1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十二日(火曜日)
午前十時五十二分開会
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委員氏名
建設委員
委員長 岩沢 忠恭君
理事 稲浦 鹿藏君
理事 松野 孝一君
理事 武藤 常介君
小沢久太郎君
小山邦太郎君
櫻井 三郎君
田中 清一君
西田 隆男君
前田佳都男君
米田 正文君
内村 清次君
田中 一君
武内 五郎君
永岡 光治君
安田 敏雄君
田上 松衞君
小平 芳平君
村上 義一君
野坂 参三君
農林水産委員
委員長 堀本 宜実君
理事 櫻井 志郎君
理事 仲原 善一君
理事 大河原一次君
理事 東 隆君
理事 森 八三一君
青田源太郎君
秋山俊一郎君
石谷 憲男君
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
重政 庸徳君
高橋 衛君
田中 啓一君
田中 茂穂君
藤野 繁雄君
小笠原二三男君
亀田 得治君
北村 暢君
戸叶 武君
中田 吉雄君
藤田 進君
棚橋 小虎君
千田 正君
北條 雋八君
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出席者は左の通り。
建設委員
委員長 岩沢 忠恭君
理事
稲浦 鹿藏君
松野 孝一君
武藤 常介君
委員
小沢久太郎君
小山邦太郎君
櫻井 三郎君
田中 清一君
前田佳都男君
米田 正文君
内村 清次君
田中 一君
武内 五郎君
永岡 光治君
安田 敏雄君
田上 松衞君
小平 芳平君
村上 義一君
農林水産委員
委員長 堀本 宜実君
理事
櫻井 志郎君
仲原 善一君
東 隆君
委員
青田源太郎君
石谷 憲男君
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
重政 庸徳君
高橋 衛君
田中 啓一君
田中 茂穂君
北村 暢君
藤田 進君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 福田 赳夫君
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
林野庁長官 山崎 斉君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設省河川局長 山本 三郎君
建設省河川局次
長 曾田 忠君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○治山治水緊急措置法案(内閣送付、
予備審査)
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〔建設委員長岩沢忠恭君委員長
席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/0
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001・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまから治山治水緊急措置法案について、建設、農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして私が委員長の職務を行ないます。
治山治水緊急措置法案につきましては、昨二十一日の本会議におきまして趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしまして、法案の要綱等につきまして補足説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/1
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002・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) ただいま議題となりました治山治水緊急措置法案につきまして、逐条的に御説明を申し上げたいと思います。
まず第一条は、治山治水緊急措置法案の目的に関する規定でございまして、本法案が治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進することによって、国土の保全と開発をはかり、もって国民生活の安定と向上に資するものであることを明らかにしたものでございます。
次に第二条は、この法律案において用いられておりまする治山事業及び治水事業の範囲に関する規定でございます。すなわち本法案におきまして治山事業と申しますのは、一つは森林の造成事業、または森林の造成もしくは維持に必要な事業、すなわち森林法にいう保安施設事業でございまして国が行なうもの及び都道府県が行ない、その費用の一部を国が補助するものであり、他の一つは、保安林または保安施設地区の存する地すべり地域、またはボタ山に関して規定された地すべり防止区域、またはボ夕山崩壊防止区域における地すべり防止工事、またはボタ山崩壊防止工事に関する事業で、国が行なうもの及び都道府県が施行し、その費用の一部を国が負担するものを指すことといたしました。
次に本法案において治水事業と申しますのは、河川法の適用または準用する河川砂防施設、及び砂防指定地の存する地すべり地域、またはボタ山等に関して指定された地すべり防止区域、またはボタ山崩壊防止区域における地すべり防止工事、またはボタ山崩壊防止工事に関する事業で、国が行なうもの及び都道府県知事が施行し、その費用の一部を国が負担し、または補助するものをいうことといたしております。
なおダムに関する事業は、河川に関する事業に含まれるものでございますが、特定多目的ダムの建設工事に関する事業は特に掲記いたしました。しかしながら本法案では後に申し上げますように、治山事業及び治水事業について、十カ年計画を前期、後期の各五カ年計画として定めることになっております関係から、その性質上あらかじめ長期の計画を策定することが適切でない次のような事業につきましては、それらが先に申し上げました治山事業または治水事業に該当する場合でありましても、本法案においては、治山事業または治水事業に含めないことといたしました。それは災害復旧事業及び災害関連事業並びにこれらと同様の性格を有する伊勢湾等高潮対策事業、鉱害復旧事業及び地震による地盤変動対策事業でございます。
次に第三条は、治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画に関する規定であります。すなわち農林大臣及び建設大臣は、それぞれ中央森林審議会または河川審議会の意見を聞いて、昭和三十五年度から三十九年度に至る五カ年間において実施すべき治山事業、または治水事業に関する前期五カ年計画、及び昭和四十年度から四十四年度に至る五カ年間において実施すべき治山事業、または治水事業に関する後期五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないといたしました。これらの治山事業または治水事業に関する前期及び後期の各五カ年計画は、これを合わせてそれぞれ治山事業十カ年計画または治水事業十カ年計画と総称いたすわけでございますが、この治山事業十カ年計画または治水事業十カ年計画には、それぞれ前期及び後期の各五カ年間に行なうべき事業の実施の目標及び事業の量を定めなければならないことといたしました。また治山事業と治水事業とは相互に密接な関連を有し、両者は総合的な計画のもとに実施されて、初めてその効果を完全に発揮できる性質のものでございますから、農林大臣及び建設大臣は、治山事業十カ年計画または治水事業十カ年計画を立案しようとするときは、事前に調整をはかるべき旨の規定を設けて、その総合性の確保をはかることといたしております。また、これらの計画は、国の長期経済計画との関係もまた十分に考慮して作成されなければなりませんので、農林大臣または建設大臣は、治山事業十カ年計画または治水事業十カ年計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ経済企画庁長官と協議しなければならないものといたしたのでございます。なお治山事業十カ年計画が閣議で決定されたときは、農林大臣及び建設大臣は、遅滞なくこれらの計画を都道府県知事に通知しなければならないとの規定を設けておりますが、この十カ年計画に基づく事業は、国が実施するもののみではなく、都道府県及び都道府県知事もまたこの計画に基づく事業を実施し、かつ都道府県は、それに要する費用の一部を負担しなければならないこととなりますので、計画の円滑な遂行が確保されるようにとの趣旨から設けられたものでございます。
以上の治山事業十カ年計画または治水事業十カ年計画の決定に関する手続は、その変更の場合にも準用されることといたしております。
第四条は、治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画の実施に関する規定でございます。すなわちこれらの計画を的確に実施するためには、政府といたしまして、財政上にも行政上からも種々の処置を講ずる必要がございますので、このような規定を設けたものでございます。
以上簡単でございますが、逐条説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/2
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003・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) それではこれより質疑に入りたいと存じますが、質疑は農林水産委員の方を優先して行ないたいと存じますので、建設委員の方はこの点あらかじめ御了承を願います。
それでは質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/3
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004・石谷憲男
○石谷憲男君 昨日の本会議における建設大臣の提案趣旨の御説明にもあったようでありまするが、このたび本法案を提出されましたゆえんのものは、けだし治山事業におきまして十年間に千三百億、治水事業におきまして同じく九千二百億という膨大な事業を、しかもきわめて計画的に行ないたい、こういう趣旨が、この法案提案の根拠と相なっておると思うのでございます。しかも継続して行なうことでなけらねば効果の上がらない、このような基本的な事業でありますることと、従前のこの種の長期計画のすべてが、その実施の中途において、計画倒れとなって放棄されたといったような経緯にかんがみまして、この法案を提案されましたことにつきましては、全面的に敬意を表するものでございます。しかしながら、一口に千三百億、九千二百億といいますけれども、非常にこの膨大な予算を必要とするものでありまするだけに、今後国の財政の上に占めるウエートも次第に大いさを増して参る、こういうことはいなめない事実であろうかと思うわけであります。従いまして、よほどの決心と覚悟をもってこの大事業と取っ組むということに相なりませんと、従来繰り返して参りましたような、中途において計画倒れとなり、放棄しなければならぬようなことにもなりかねませんので、かりにこの法案というものが成立をいたしたとしましても、必ずしもこれは安心しておれぬじゃないか、かように考えるわけでございます。従いまして、年々歳々予算の確保につきましては異常な努力が必要である、かように考える次第でございます。
ところがこの法案を見てみますると、第四条に政府は、「計画を実施するため必要な措置を講ずるものとする」というような、いわばきわめて微温的な表現、これが予算の確保等についての考え方を表現している条文ではないかと思うのでございまするが、まあ非常におだやかすぎるような表現で書き上げられたけれども、もう少しこれは絶対こうしなければならないといったようなふうの強いことに、どうしてお取り上げにならなかったか。この点につきまして一つ建設大臣の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/4
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005・村上勇
○国務大臣(村上勇君) この予算につきましてただいまの御指摘のような御心配になることは、私も全く石谷委員と同じ気持であります。この点われわれといたしましては非常に不安であったのでありましたが、しかしまた今回のこの治山治水の事業計画が、昨年の伊勢湾台風あるいはまた戦後年々歳々の異常な大災害を、どうしてもこの際克服して国土の安全を期さなければならないという、まあ政治といいあるいは国会といい、みなその非常な決意をいたした結果、かようなこの十カ年計画というものを策定いたしたのであります。
日本の経済の成長率は大体七・二とかあるいは七・五とか申しておりますが、少なくとも民生の定安と経済基盤を確立するためには、どうしてもこの災害を防止しなければならぬ。それは日本の経済の成長率よりも少し上回っても、これだけはどうしてもやらなくちゃならないという強い決意から、この程度の規模、御指摘のような治山においては千三百億、治水においては九千二百億、しかも前期五カ年計画はこうというようなことをきめたのでありますが、その大体事業費の成長率というものは、一一・五%程度でまかない得るということでありますので、私どもはこの国土保全の重要性にかんがみまして、この程度の成長率でありますならば、これはよほど国に大きな大災害とかあるいは何かのない限りは、必ずこれらの規模は十分達成できるものと、かように思って、政府はこれに対して十分措置していくという決心のもとに、この法案の第四条をきめている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/5
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006・石谷憲男
○石谷憲男君 なるほどただいま御説明のごとく、今後相応に経済の伸びというものも考えるわけでございますから、従って財政規模もふくらんで参る、そういう中でこの事業計画を推進していくのであるから相当な期待は持てる、こういうことでございます。必ずしもこれを否定するわけじゃございませんが、けだしこういった種類の仕事というものは、大災害の発生いたしました直後におきましては、みなの頭を強く支配する問題でございまするから、従って関心も高いのでございまするが、幸いにいたしまして四、五年災害の比較的少ない年が続きますると、自然に忘れたような格好になるということが、もう過去における事実でございます。二十八災の場合におきましても、御承知の通りでありまするが、国会は先がけて決議案を上程するというふうなことに相なり、さらに内閣にも、時の副総理の緒方さんを首班にいたしまする、治山治水の対策協議会というものを設けられまして、衆知を集めて計画を立案し、相当な決心をもってあの仕事にお当たりになるお覚悟であったようなふうに思うのでございまするが、その実績を見てみますると、おそらく計画中途の数字すら確保し得ないで今日に至った、そういうことがまた昨年の災害というものを大きくしている一つの原因になっている、こういうことでございます。従いまして、この予算の絶体確保、従ってこの事業の計画的な遂行ということにつきましては、よほどの決心と覚悟をもってお当たりいただくと同時に、今後そういう決心、覚悟というものを末長く続けさしていく一つの御努力を、よほど御配慮願わなければ、なかなか言うべくして私は困難な問題をはらんでおるんじゃないかと、かように考えるわけでありますが、この点につきましてももう一ぺん建設大臣のはっきりした決心、覚悟を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/6
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007・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 私は、今回の三十五年度予算の折衝にあたりましても、財政当局といろいろと交渉したのでありますが、少なくともこの民主主義の原則は、これはいろいろありましょうけれども基本人権の尊重である。基本人権を尊重するということは、とりもなおさず人命を尊ぶ、大事にするということであろうと思います。一台風で数百人、数千人というような国民を犠牲にしてどこに民主主義というものがあるのだというような、私はそういう基本に立って、どこまでも人を殺さないような、国民を犠牲にしないような治水計画を立てなければいかない。それが結局民生の安定でありまた経済基盤の強化になる。こういうようなことを申しまして、これが十分、財政当局も私と全く意見が一致して、その結果、三十五年度の治水事業費というようなものは計上されたのであります。なるほど、治水あるいは治山事業に金をかけることがいかにも経済の成長率とマッチしていないようでありますけれども、しかし災害復旧費に、もしも予定以上の、平年以上の災害復旧費をかけますならば、これは全く私は、国費をどぶに捨てるようなものである、またどぶに捨てるようなものの、もう一つこれにプラスして、いわゆる一般の人たちの非常な、個人的な大きな悲惨な被害を受けておるというようなことから考えましても、どうしてもこれは早い時期に、私どもの計画でありますが五年間に、今の台風の規模に対して、現在の被害を半減しようというのが第一の目的であります。十年計画後には、ほとんど八・九〇%までこの被害をなくしてしまうという大きな一つの目的を持っておるのでありますから、結局治水事業費はふくらんで参りましても、一一・五%程度にふくらんで参りましても、一方災害復旧費というものが減殺されて参りますから、そのために、私はこの事業費が決して不安定なものでない。この程度の事業費を投入するということは、これは今の国土の保全のためには、私は最も何をおいてもやらなければならぬ。かような意味で私といたしましては、この程度のことで十分政府としてもいずれの政府でありましょうとも、実行できると、かようにまあ信じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/7
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008・石谷憲男
○石谷憲男君 その点よくわかったのでございますが、不幸にして過去の事実をいろいろ検討いたしますると、災害直後の場合には、ただいま大臣のおっしゃったようなことを大がい言うわけであります。それが三、四年たちますと自然に災害というものはもうなくなってしまうような妙などうも考え方になってしまいまして、なかなか予算の確保について支障があるというのは、これはもう過去のはっきりした事実でございますから、そういうことも十分念頭に置いた上で、しっかりした決心と覚悟で当たっていただくということを特に御要望を申し上げておきたいと思います。
次に、この治山と治水の二つの事業は、計画面におきましても、さらにまた実施面におきましても、相互に連携をして総合的にこれが行なわれなければ、災害防除の効果を的確にあげ得ないということは、もう言う必要はないことであります。言うならば、いずれか一方の事業の効果だけを抽出して、これから云々するということは無意味だ、かように申し上げても過言ではないかと思うのでありますが、このために、おそらく法案の第三条の三項に、建設、農林の両大臣は、二つの事業の総合性を確保するために、あらかじめ相互に調整をはからなければならぬ、こういうことが言われていると思うわけでございます。そこで、一体この両大臣の相互の調整というものは、具体的にどのような機関でどのような内容のものについて行なわれるのかということを、一つ的確に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/8
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009・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 治山と治水とは全く災害防除の上に密接不可分な関係にありますことは、御指摘の通りでありまして、御承知のように、局長同士の覚書もありますけれども、しかし、現地におきましてもまた中央におきましても、十分連携を保ち、主務大臣が、それぞれその具体的な問題につきましても、全く一致して協議をいたすことになっておりますし、また、あらかじめ経済企画庁長官とも協議しなければならないという、この点にもやはり一つはその策定の規模等の問題もありますけれども、やはりこうした治山治水の調整を保っていくために、必要な段階も経て参りますので、この御指摘になりました点については十分われわれ注意いたしまして、治山と治水が別個に進んでいかないように配意いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/9
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010・石谷憲男
○石谷憲男君 中央におきまして、全体計画につきましては相互に話し合いがあって調整が行なわれるということがこの法案で明記されるわけでございますが、これは計画上の調整でございまして、実施の面における連絡、協調、調整という問題はこの中にはないわけでございます。しかしながら、これが往々にしてそごいたしますと、そこにやはり問題が発生するわけでございます。従いまして、これは希望でございますけれども、農林、建設両当局ともに、実際仕事を担当する実施面におきまする両者の連絡提携ということにつきまして、十二分なる指導を責任をもってやっていただくように、従って、その辺から妙なトラブルが起きたり、そのことが仕事上のそごになったり、従ってあとでさまざまな批判をされたりすることのないように、厳にいましめていただきたいと思います。
そこで、この法案に基づきまして、十カ年の事業を円滑に推進するために、これを特別会計で運用するということに相なっておりまして、治水事業につきましては、別途に治水事業特別会計法というものを制定されようとしているのでございますが、一方、治山事業につきましては、国有林野事業特別会計法の一部改正を行なって、新らたに治山勘定というものを設けてこれを経理するということになったようでございますけれども、これは一体、治水には特別な会計法を設け、治山には現行法の一部改正で、こういう特別勘定を設けてやるということになりましたゆえんは、一体どういうところにあるのか。これは一つどちらからでもけっこうでございますが、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/10
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011・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 従前の制度といたしましては、民有林の直轄治山事業につきましては、その事業を一般会計から国有林野事業特別会計に委託いたしまして、国有林野事業特別会計で経理して事業を実施していくという制度を従前からとっておったのでありまして、今後治山治水の緊急措置法によりまして、事業分量につきましても、直轄事業も相当に増大するというような点からいたしまして、やはりこういう事業は国有林野事業特別会計での、従前のように、組織と人員というものも活用いたしまして実施することが適当でないかというふうに考えまして、この国有林野事業特別会計に治山勘定を設けて経理するということの方がベターであるという考え方に立ったのであります。また民有林の治山事業におきまして相当大きい部分を占めております補助治山事業につきましても、これまた直轄事業あるいはまた国有林の本来の治山事業というふうなものと総合一体化いたしまして、事業を実施していくということがやはりぜひとも必要だというふうに考えますので、直轄事業も治山補助事業もやはり合わせまして、この国有林野事業特別会計に治山勘定というものを設けまして実施していくことが、最も適当な方法ではないかという考え方に立ちまして、治山勘定を設けるということにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/11
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012・石谷憲男
○石谷憲男君 この国有林野事業特別会計というものは、御承知の通り本来国有林野事業の計画的な運営をはかるための制度であるわけでありまして、国有林野事業のためのものである、まあ私どもはかように理解をいたしておるわけでありまするが、しかも今度新しく治山勘定という特別なものを設けまして経理をしようとする対象は、いずれも民有林対象である。民有林の事業である。従いましてこれは異質なものを扱うんだということに相なるんじゃないかと思うわけであります。さらに過去のこの治山事業に関しまする実績を見てみましても、国有林は相当進んでおりまするにもかかわりませず、民有林はかなりおくれておる。従いまして今度の五カ年計画ですか、こういうものの具体的な内容を見ましても、まあ民有林は三十九年度におきましては、三十四年度の事業実績の約倍になるテンポで拡大をされなければならないということに相なったにもかかわりませず、国有林の方は大体三十四年度に比しまして、若干の増はございまするが横ばいだと、まあこれは一方は非常に進む、一方は非常におくれておるということからくる今後の計画であろうかと思うわけであります。私どもが考えましてまあ一番重要であることは、相互に関連をいたしておる、しかも重要な流域につきまして一つの機関が統一的な計画を樹立して、両者が同じようなテンポで仕事をやって参るということが非常に必要であろうと思うわけでございまするが、このためにどうも異質の治山勘定というものを設けて、これをもって民有林の事業の対象となるものを扱う、国有林野事業は別科目の勘定でこれを経理して参るというようなことでは、この肝心の両者の統一性、一体性というものが計画面においてもそごすると、まあこういうことに相なる筋ではないかと、こういうふうに考えるわけでございまするが、一体今後この民有林治山のための、さらには国有林の重要な部分をも含めての特別会計の設定というようなことについて、今後の問題としてお考えになっておる筋はないものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/12
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013・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、国有林野事業といたしましては、昭和三十三年から三十七年の経済五カ年計画に対応いたしまして、この五カ年に治山事業について百六十二億円の事業計画をいたしたのでありますが、これに対します三十三、三十四年の二カ年間の実績は四〇%に達しておるのであります。民有林におきましては、五カ年間の計画を五百六十億円と予定いたしました三十三、三十四年の二カ年間の合計いたしました実績は、二四%にも達しないというふうな状態でありまして、両者の総合一体化という点につきましては、必ずしも十分な成果を得られなかったというふうに私たちも反省をいたしておるのであります。この新しい緊急措置法の実施に伴いまして、国有林におきましては、大体当初立てました五カ年計画の線で進みますならば、所期の目標は到達することができるわけであります。民有林におきましては、相当大幅な経費の増加というものがなければ、この目的を達することができないという段階にあるのでありまして、新しいこの措置法の制定に伴いまして、民有林につきましても大幅の増加を行ないまして、国有林、民有林あわせて流域保全という観点からいたしまして、総合化、計画化された事業が進められなければならぬというふうに考えた次第であります。
なお、国有林野事業特別会計の中に治山勘定、業務勘定、事業勘定というものを設けたわけでありますが、われわれといたしましては、この一つの国有林野事業特別会計という中におきまして、民有林の経費というものを相当に増額され、国有林と民有林あわせて流域保全という観点から総合化され、計画化されたほんとうのいい治山事業が今後行なっていけるというふうに確信をしておるわけでありますが、なお今後の問題といたしましては、ほんとうにその計画するところのものを一体化するという面で、制度の上におきましても、より進んだ、より現実に適合した制度、方法があるのではないかという点につきましては、われわれも今後十分検討して進んでいきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/13
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014・石谷憲男
○石谷憲男君 仰せのごとく、一応格好といたしましては、国有林野事業特別会計の中に国有林も民有林も含めておるとおっしゃるわけでございますが、これはいわば異質のものの中に、借りるべきものでない所にちょっと宿借りをしたということであって、このことによって両者の計画性の統一といったようなものが私は現実にはかられるというようには考えられぬわけであります。むしろせっかく治山事業との関連性においてこの十カ年の長期計画というものを文字通り遂行されようとしておるやさきでございますから、名実ともに一体化されるようなことを少なくとも山林だけについても考える必要があるのではないか。そういうことのためには、私はむしろ今後の問題といたしましては、治山勘定というふうなものを設けてやるようなやり方でなくて、すっきりした特別会計というものを設けて、これには国有林も民有林も入れて、計画の面から実施にあたって統一のある運営をはかられるということのために御研究をいただくことの方がむしろベターじゃないかと、かように考えますので、一つ十分今後の研究課題にしておいてもらいたい、かように御要望をいたすわけであります。
それから一口に十カ年千三百億ということをいうようでございまするが、これまたきわめて膨大な資金であるわけでございまするが、これは今後の問題かもしれませんけれども、これを調達するについては、すべてこれを一般の財政負担としてお考えになっておるのか、それともあるいは国有林野事業特別会計の益金の一部というふうなものをただ動員をして、これに充てるというふうなお考えなのか、あるいは後者のようなお考えであるとするならば、その金額は一体どれくらいかということにつきまして御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/14
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015・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 十カ年間に千三百億、企業の実績から考えますと相当膨大な計画が含まれているわけであります。これに対します財源といたしましては、もちろんその主体を一般会計から繰り入れを仰ぐということを予想していることは当然でありますが、なおまた国有林野事業特別会計が、昭和三十四年度からも御存じの通り、剰余金を利益金の限度におきまして一般会計に繰り入れをいたしまして、民有林の振興に寄与するという制度を開始いたしたのでありますけれども、これを今後やはり継続して進んでいくというのが適当であるというふうに考えておるのであります。その見通しにつきましては、十年あるいはさらに長期というふうな見通しにつきましては、木材価格の推移その他の点から種々むずかしい、簡単に予測できない点もあるのでありまするが、ここ当面する数年間におきましては、十億ないし十四、五億円の程度のものをそういう方面に寄与することができるものであろうと推定いたしておるのでありまして、従いまして、これの使途をどういうふうにするかという点につきましては、さらに造林事業、治山事業、これらのものにも振り向けていかなければならぬと思っておるのでありまして、造林事業につきましては、長期据え置きの融資の推進という点に従来から七億程度のものを出しておるわけであります。全体の繰入額からそういう点を控除いたしました限度のものを、治山事業にも充当して振り向けたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/15
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016・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ちょっとただいま農林大臣がお見えになりまして、農林大臣が予算委員会の関係上時間の制約がありますから、農林大臣に対する質問をこの際集中してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/16
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017・石谷憲男
○石谷憲男君 現在の木材価格は確かに上昇傾向にありまするし、国有林野事業特別会計の経理内容も確かに現在のところは好調子のようでございまするけれども、かなり苦しい運営をいたしましたことは、ほんの先だってのことであるということを考えますると、よほど先々の見通しを的確につけた上で、これらの事業に対しまする援助というものの額を決定していただくということが非常に望ましいのではないか。しかも国有林野事業自体にも内容改善をいたさなければならぬさまざまな問題を含む今日の状況でございまするだけに、その点の検討につきましては、でき得る限り一つ的確な見通しの上に立っておやりいただくことを、特に御要望を申し上げておきます。
そこで最近の災害の特徴的な事実ともいうべきものは、御案内の通り、まあ中小河川の流域における被害が非常に大きい。さらに堤防、護岸等の防災施設の被害が非常に目立ってきたということにあるのでございます。もちろんこの原因には多々あることと思いまするが、その有力なものの一つといたしまして、洪水時に流出する土砂をとにかく調整をするということをせずして、これらの問題の理解は成り立たないという現状にあるんではないか、というふうに思うわけでございまして、従いましてこの上流地帯の治山事業を行ないますことともに、上流山地の整備を緊急にはかるという必要もあろうかと考えるわけでございます。まあこの意味からこの十カ年計画の中に、保安林の整備事業あるいは予防治山の事業というものを含めて実施をされますことは、まことに当を得た措置だと、まあかように考えるわけでございまするが、この二十八災の直後にやはり山地の整備こそ緊要であるという趣旨のもとに、保安林の整備計画というものを実施いたしたのでございまするが、一体この現状はどうなっておるのか。あるいは今度の十カ年計画というものの遂行とあわせまして、これを大きく支える背後の大問題として、この保安林整備計画というものは二十八災のときに立てたあれでいいのか、改定するとすれば改定の計画をお持ちなのか。それからさらに、この時点におきまして、保安林整備臨時措置法という特別な法律を作って、これらの保安林の中で主要な部分にあるものを計画的に国が買い入れて、国有保安林として必要な整備を行ない、その効果を長く維持する責任を持つ、こういう仕事をやって参っておられるわけでありますが、これまた今度の十カ年計画とあわせ考えまして、この買い入れ計画等の変更をお考えになっておるか、そういう点につきましてさらによくわかるよう御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/17
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018・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 昭和二十八年の災害のあとにおきましてお説の通り保安林整備計画を立てたのであります。その計画は当時におきます保安林二百五十万町歩弱のものを、四百万町歩に増大しなければならないという計画であったのでありますが、これに対しまして最近までの状況は、増加すべきものの調査はすでに完了いたしまして、昭和三十五年度中に所定の保安林指定の仕事を完了いたすという計画になっておるのでありまして、その完了後におきます保安林の整備というものは、今後どういうふうに向けるかという点につきましては、現在検討を加えておるのであります。この保安林の面積をさらに増大するという方向よりも、むしろこの指定された保安林の経営その他につきまして的確な処置を講じて参る、ということが主眼点ではないだろうかというふうに考えて検討を進めておる次第であります。それから同時にその際に決定されました民有保安林の中で重要な地域のものを国が買い入れまして、維持、管理、経営を国みずからの責任において実施するということにいたしまして、それを十カ年間で三十万町歩予定しておったのでありますが、最近までの状況は約十二、三万町歩の買い入れを終了したという段階にあるのでありまして、これまた当初の計画の線に沿って今後これを進めて参りたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/18
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019・石谷憲男
○石谷憲男君 御承知の通り、最近の木材需要の増大傾向はきわめて顕著なものがあるわけでありまして、このことは国内の森林生産にきわめて過重な負担をかけるという結果に相なっておるわけであります。従いまして、このような一般情勢の中心でいわゆる保安林の制度というふうなものを正しく守るためには、どうしてもやはり保安林補償の制度を創設する必要があるというふうに考えておるわけでありまするが、これらにつきましての点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/19
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020・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 保安林の補償につきましては、この施業ということが保安林になったために制限されるということになるわけでありますから、この制限される限度におきまして経済的に補償をしなければならないというふうに考えております。また森林法にもそういう趣旨が規定されているのであります。この補償の問題につきましては、昭和三十四年度からまず伐採を禁止されている保安林、あるいはまた施業の方で、単木択伐というようなものを要請されております保安林というようなものにつきましての損失補償を、三十五年度から開始したのでありまして、今後、この制度を水源林その他にまでどういうふうに拡大していくかということを、なお検討して進めて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/20
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021・石谷憲男
○石谷憲男君 一つ農林大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、この十カ年千三百億という規模の治山事業というものが、計画的に推進をいたそうとして参りますと、他の山林における公共投資でございまする、造林あるいは林道の仕事に相応的なしわが寄るのじゃないかというような、一般的な不安が実はあるわけであります。ところが考えてみますると、この直接的に治山事業というものを大きく背後で支えている仕事は、これは造林事業であるというふうに考えるわけであります。また林道事業が計画的に行なわれて参りませんと、いわゆる既開発の森林に対しまして過重な負担が一そう寄るわけでありますから、それは直接、間接に治山事業の問題に影響を持って参るということであります。従いまして、治山事業、林道事業並びに造林事業という三つの山林事業における公共投資というものは、私どもは一体不可分なものである、むしろ治山事業というものが、これだけ伸びれば伸びるほど、造林事業もあるいは林道事業もあわせて伸ばさなければならない。かように考えているわけでございますが、これらの問題につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/21
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022・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 治山計画は十カ年千三百億というのでございまするが、三十五年度は御承知のように八十七億円を計上しているわけであります。それでこれも大体年率八・七%で逐次伸びていきますれば、十年目には千三百億円になるわけであります。八・七%の伸びということを考えますると、これは日本の財政力からいいましてそう困難ではないというふうにみているわけでございます。必ずこれは実現しなければならぬし、また実現できると、こういう考えでございます。その際に造林とその他の関連の仕事を圧迫するかというようなお話でございまするが、そう急激でない伸びでございますので、造林にいたしましてもあるいは林道にいたしましても、これはそう困難なしにこれと並行して遂行できるというふうに考えて、またそういたしたいというふうな所存でございます。来年ぐらいになりますると、計画造林の国有林の伐採も可能になる時期になって参ります。林野特別会計の方ではそれだけ収入がふえてくるわけであります。その収入を財源といたしまして、あるいは造林にこれを活用するとか、あるいは現在狭い範囲で行なっておりまする保険の拡充をいたしますとか、あるいは造林金融をさらに拡充するというようなことなどをいたしまして、治山計画と造林並びに林道整備ということが並行して参るようにいたしたいと、かような考えを持っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/22
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023・石谷憲男
○石谷憲男君 ただいま大臣は年率八・七%ぐらい伸ばしていけば大体千三百億ぐらいになるのだと、こうおっしゃっているわけであります。この仕事は、従ってそれほどむずかしくもない。しかも絶対これは確保しなければならぬのであるということでありまするが、先ほど建設大臣にもとくと御要望申し上げたのでございますけれども、こういう種類の仕事というものは、やはりその熱さがのどもとを過ぎますると、とかく忘れがちになるという、もう過去の歴然たる事実があるわけであります。そこでこれはそう気楽にお考えいただかないで、あくまでも非常にむずかしいものだという考え方で、とにかく責任を持ってこの仕事の計画的な遂行に当たられるだけの、私は御覚悟をもって絶対当たっていただかなければならないということを、特に農林大臣に御要望申し上げておきます。
それから一、二、この法案の内容について、ちょっとお伺いいたしたいことがございまするが、この法案の三条の二項によりますると、かなり手続が大げさな割合にきわめて簡単な内容が書いてあるようであります。そこで、この第二項の各号の具体的な内容を一つ伺いたいのでありますが、まず一号の「事業の実施の目標」というものは、一体どういうことを言っているのですか。どういう内容のものでありますか。また二号の「事業の量」というものは、少なくとも年次別、都道府県別、事業種類別にこれを定めるということにならなければならないものだと思うのでありますが、そういったような内容について一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/23
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024・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 第三条の二項に、治山事業前期五カ年計画及び後期五カ年計画、並びに治水事業の前期五カ年計画及び後期五カ年計画、におきましての事業の実施の目標という項目と、それから事業の量ということが書いてございます。これは道路の五カ年計画におきましてもこういうことになっておりますが、事業の実施の目標におきましては、おおむね私の治水事業で申しまするならば、治水事業の五カ年間におきまして、何河川をやりまして、おおむね平均いたしまして何十パーセント程度の仕事をやりまして、被害をどのくらいにとどめようというのが大体の実施の目標になります。それから五カ年間におきまする行なうべき事業の量というものは、同じ実施の目標のうちにも出てきますけれども、河川の改修は何本やってそのうち幾ら完成をいたし、残りの河川につきましてはどのくらいの完成率に達成する、それに要する事業費は幾らというようなことを規定いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/24
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025・石谷憲男
○石谷憲男君 それから本日もらいました治山事業長期計画資料というものを見ますと、計画の要旨の中に、昭和三十四年度末に、民有林荒廃地は二十五万三千ヘクタールある、年々四千二百ヘクタール新生荒廃地が出ている。こういうことが書いてあるのでありますが、治山事業を行なうべき対象になるというものが必ずしも明確でないというふうに考えるわけでございますが、特にこの明確に二十五万三千ヘクタールというふうに計上されているのは、どういう根拠からの数字ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/25
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026・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 昭和二十九、三十の両年度におきまして、全国的に荒廃地の実態調査を行ないまして、公共事業の対象となります荒廃地の把握をしたのであります。自後年々復旧済みの面積を除外いたしますとともに、新しく発生したものにつきまして、そのつど実地調査を行なって加えていくというようなことをいたしたのであります。その結果、三十四年度末の荒廃地の面積が、民有林におきましては二十五万三千ヘクタールというふうな実態にある、ということを把握しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/26
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027・石谷憲男
○石谷憲男君 たとえば点のような崩壊地であっても、これは本事業の対象にするというわけではないと思うわけでありまして、そこでおのずから一定の基準というものがなければならない、かように考えるわけであります。従いまして、私は少なくとも一定の基準を設けて、これ以上のものは治山事業として取り上げてやるのだということをおやりにならぬと、そのときどきの財政事情、予算内容によりましては、やらなければならぬ仕事というものが、次第に予算のワクに制約を受けて落ちていかなければならぬ、ということになってくるおそれが多分にある、かように考えるわけであります。それから一体民有林について四千二百ヘクタールの新生崩壊地、国有林について六百ヘクタールの毎年の新生崩壊地というものがございまするが、こういうものを計算をされました基礎を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/27
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028・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 今お話のございました民有林におきまして、四千二百町歩の年々の新生荒廃地発生の面積につきましては、昭和二十九年から昭和三十二年までに発生いたしました新生荒廃地の面積を平均したものでありまして、民有林につきましては四千二百ヘクタール、国有林につきましては六百ヘクタール、合計して四千八百ヘクタールというのがこの四カ年間の実績であるということになったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/28
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029・石谷憲男
○石谷憲男君 二十九年から三十二年といいますと比較的平穏な年である。平穏な年に発生したものだけでそれを今度の事業対象にされるということは、いささかこれは無理ではないか。二十八年、あるいは昨年といったようなかなり大規模な風水害がありますると、新生崩壊地の発生も非常に多くなるのじゃないか。そういうものの取り上げが少ないと、この事業の対象になるものがそれだけ少なくなっていくということでございまするから、その点につきましては、もう一そう的確な資料でこの計画内容をお固めいただくように、特に御要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/29
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030・東隆
○東隆君 私は、治山治水関係の問題で、将来のことを考えますと、いろいろ問題が起きてくるのではないかと思うのですが、こういう考え方をいたしますので、お聞きいたすのでありますが、一体治山と治水のどちらの方に重点を置かれておるのか、この点を一つ明らかにしてもらいたい。というのはたとえば治水は政治の要諦である、こういうようなシナの言葉がありますが、私は日本のような山岳の多い所ではかえって治山が政治の要諦である、こういう考え方を持つわけなんです。従ってそういうようなことを考えて参りますると、たとえば山腹砂防であるとか渓流砂防であるとか、こういうような問題が私は中心になる筋合いのものであろうと考えるわけです。伊勢湾台風だの何だのそういうような惨事を起こしますから、この問題が政治の問題になってきたと思うのですけれども、そして特別会計を作るというような段階に至ったと思うのでございますけれども、しかし根本を考えると、やはり山を治める方が基本になって、そうしてこの計画が進められていかなければならない、こういう考え方を私は持つわけで、長期であれば長期であるほどその点を重視しなければならない。ところが私の見るところでは、実のところ申しますと山腹砂防は必ずしもうまくいっておらない。それから渓流の砂防、河川の上流の砂防関係はほとんど手をつけておられない。そして下流の方面ばかりに災害が起きたというので、大あわてをしてやっておるのが現状なんでありますから、そこで今回の場合も、どうも建設省に主務省——というと語弊がありますけれども、そちらの方は建設大臣の方がつかれておるようであります。そこで多少疑問を持ちますので、一体治山と治水とどちらの方に重点を置かれているのか、この点一つ両大臣からお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/30
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031・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 御指摘のように、河川災害の最も原因になりまするのは、非常に予想以上の雨量、計画以上の雨量ということもありましょうが、しかしまず山腹の崩壊、山くずれ等によって、土砂あるいは立木等を流すことによって非常に災害が大きくなっているということは、これはもういなめない事実であります。さればといって堤防のかさ上げをなおざりにするわけにもいきませんし、また一つの河川の事業をゆるがせにするということはできないのであります。従っていずれにカを入れてやるということでなく、両々相待って初めて災害防止の目的が達成できると思いますから、決してこれに甲乙はないのであります。ただ、御指摘のような比較的山間僻地にある砂防事業には、割合に国民の目が届かない点もあろうかと思います。従って今回のこの措置法案におきましては、治山、治水ともに調和のとれた一つの規模を策定いたしまして、これらの河川の災害の防止に万全を期するということを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/31
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032・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、ただいま建設大臣が申し述べましたことと同じ考えをもっておるわけでありますが、やはり上流、下流の対策が相並行いたしまして、初めて治山治水対策として災害の防除の効力を発揮する、かように考えるわけであります。いずれを重しとし、いずれを軽しとするかということはないのでありまして、両々相待たなければならない、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/32
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033・東隆
○東隆君 私は両々相待つということはもちろん必要なので、そのためにこそ、一つにまとめられてこの法律を出された、こういう考え方なんです。しかし治水関係となりますると、建設省の方に重点が置かれているようにも考えますので、しかも法律は建設委員会にかけられておる、こういうことになっております。そこで私は、先ほど申したように、やはり治山を中心に置かなければ、日本の長期的な治水の仕事はできない、こういう考え方で質問をしておるわけでありまして、先ほどお聞きになったことに対する答えでは、民有林と国有林の関係なんかも、何かだいぶむずかしいように聞こえますし、そういうふうになりますると、上流でたとえば林道を作る、これはソイル・エロージョンを起こす基本になる問題です。山に道をこしらえてそうして土をほじくり返したら、これはもうすぐ大水によって雨が降ったときに直ちに土が崩壊する基本になる、しかしそういう所に対してコンクリートでがっちりしたものを作るのは一つもないのでありますから、従ってどうしても渓流の砂防というところに重点を置かなければならぬ。ところが渓流砂防に対しては、農林省の方、ことに林野庁の関係は、あまり力を注いでおられないと思うのです。そこで、山腹を修復するような、そういうようなことにあるいは力を入れておられると思うのですが、だから従って、どうしても上流の方を基本に治めなければならぬのですが、そっちの方も今までの事情からみると、特殊な所だけできているようでありますけれども、ほとんどないがしろにされている。これを治めないでおいてそうして治水をやるなんていう、そういう考え方を起こされると、私はもう大へんなことになると思う。ここの所がちょうど建設省と農林省の盲点になってくるわけです。仕事の盲点になってきている所ですから、こいつに対してどれくらいの力を注がれるのか、こいつを最初にきめてかかることが私は治山治水計画を立てることの基本になるのではなかろうか、こういうような考え方を持つわけなんです。だから国有林会計の方から持ち出すものももちろん考えなければならないし、一般のものから持っていくことも必要でありましょうし、そういうような点でこの盲点をどういうふうに解決されるか、法律は私はその盲点を解決するために作ったものだろうと思うのです。セクト主義をここで一つ何とかなくしてやっていくための法律だろうと、こう考えますので、一体そういう点でどういうふうにお考えになっているか、それをやはりどうも所掌がはっきりしないのです。法文を見ますと企画庁長官まで飛び出してきて、そうして調整をするようないろいろなことが書いてありますけれども、はっきりしておりませんから、この点をどういうふうにされるのか、これを一つ明らかにしていただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/33
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034・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 御承知のように、山腹砂防は農林省の所管になりまして、渓流砂防が建設省の所管になっております。ただいま砂防にちょっとも力が入らないじゃないかという御意見のようでありますが、しかし最近に至りまして非常に砂防に、どうも河川災害の主たる原因が最も砂防の不備にあるというような点から、非常に最近は砂防に力を入れてきておりまして、砂防と申しましても一がいに渓流にただ単に小さな砂防堰堤を作るというだけではなく、これらはもとより大事でありますが、なおダムサイトの適当な個所にいわゆる特定多目的ダム等を作りまして、これによっていわゆる放流調整をし、また土砂の下流への流出を防いでいるというようなわけでありまして、まだまだ私どもとしては今までの砂防の事業費だけでは不満足でありますので、この十カ年計画におきましては、渓流砂防に六百カ所とか、あるいはその他の堰堤ダム式のもの千数百カ所を作ろうというようなことで計画をいたしておりますが、山を治めなければ川は治まらない、常識的に私どもはそういうようなことを考えながら、渓流砂防につきましては十分今後力を入れて参りたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/34
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035・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) この法律案の形でございまするが、これは内容でもおわかりのように農林、建設両省が主管というか、さような立場になっているわけであります。便宜上大株主とも申すべき建設大臣が主として国会の説明に当たる、こういうことになっているのでございまするが、実質的には両省同じ立場におきまして、治山治水相並行して進めると、かようなことになっている次第でありますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/35
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036・米田正文
○米田正文君 関連して。今二枚いただいた資料で、見ておって間違いがあるからと思うのですが、二ページの「国有林治山事業長期計画」という所の前期、後期に分けて七十億と九十億になっておりますな、合計二百六十億になっておるがこれは前期の誤りでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/36
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037・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 国有林の治山事業の長期計画につきましては、前期の五カ年計画が百七十億円、後期の五カ年計画が百九十億円、合計いたしまして十カ年で三百六十億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/37
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038・東隆
○東隆君 渓流砂防を中心にして、農林省と建設省との間に相当な話し合いを進めなければこの仕事はないがしろにされると思うのですが、今までの経過等はどういうような形で進められておったのですか、私ははなはだこの点遺憾に思っておるのですが、この関係はどういうふうに調節をされておったか、この点を一つ建設省の方からお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/38
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039・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 山腹砂防と渓流砂防の問題につきましてはお説の通り、農林省と建設省の所管が重複する面もございますので、元来建設、農林両省の間の申し合わせがございまして、渓流につきまして工事を行なう場合は建設省、山腹を行なう場合は農林省ということが原則でございまして、それに関連する事業は両省において一緒にやるという場合もあるわけでございます。具体的問題といたしましては、従来五カ年計画を策定しようという準備を進めておる間におきましても、一々水系別に林野庁と私の方で個所別に打ち合わせをいたしまして、その原則に基づきまして仕事の割り振りをいたしております。それから毎年の事業の実施にあたりましても、本省同士の打ち合わせばもちろんのこと、各県におきましても土木関係及び治山関係を受け持ちまする関係当局間におきまして、打ち合わせをやりまして抜ける所のないように、また重複する所のないようにという趣旨におきまして、打ち合わせをやりまして、毎年度の事業を施行しておるわけでございます。今回の五カ年計画、あるいは十カ年計画の立案におきましてもその点に主眼があるわけでございまして、第三条の第三項におきまして、お互いの治山計画なりあるいは治水計画を立案するにあたりましては、その案の作成の事前に両省で協議を十分やろうということに相なっておりますので、今後におきましても従来の線以上にさらによく打ち合わせをして進めて参りたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/39
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040・東隆
○東隆君 私は、渓流砂防の区域、山腹砂防の区域、これは国有林あるいは民有林の区域内にあるのでありますから、大部分従って建設省がイニシアをとらないで農林省の方でイニシアをとって、そうして山を治めるという関係のものを考えていくべきじゃないか、こういう考え方を持つのです。というのはなぜかというと、政治はやはり人がたくさんいるところが中心になるのですから、それで治水の方になりますると建設省関係、これはもうすぐ人口のたくさんあるところですから、票数のたくさんあるところ、こうなりまして、これはもう力が十分に入る、こう考えるわけですが、ところが、山は実際のことをいうと人がいないですからね。従ってそっちの方でもって十分な力を入れるためには、やはり国が中心になってやるべきで、そういうふうに考えると、やはり農林省関係の方に重点を置いて渓流砂防と山腹砂防をやるのだ、こういう体制に変えて、そうして下流との関連において建設省と十分に打ち合わせをする、こういう形をとれば、私は政治の方面におけるそのいろいろな問題もやはりうまく行くのじゃないか。これはもう人間のいないところはこれはなかなか力が進んでいかないのですから、そういう点で一つこれは農林大臣一考を要するところだと、こう思うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/40
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041・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど来申し上げましております通り、これはもう一体としてやらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。ただいま山腹の渓流につきましては、これは森林経営と密接に関係があるので農林省が受け持ち、それから渓流以下の水域につきましては、これは建設省が受け持つ、こういうことにいたしておるわけでございますが、しかし、やるにつきましては水系ごとに、また町村ごとに、また個所ごとに両省でこまかく打ち合わせましてやるのでございまして、大体そういう基準がありまするから、それに従っておのおのが立案をいたしまするが、でき上がるものにつきましては、両省打ち合わせの上、そごのないものを作っていく、こういうことになりますので、両省の協力関係がどうもうまくいかないというのでありますれば、お話のような問題も起こってくる可能性もあるわけでございますが、この点は緊密な連絡のもとに、いささかもそごはないということを期しておりますので、御安心願ってしかるべきである、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/41
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042・北村暢
○北村暢君 それでは私は今、東委員、石谷委員から主張されておりまする治山治水の根本的な考え方について両大臣の説明をお伺いしますと、治山も治水もどちらの方に重点があるということでなしに、平等に一つ考えていくのだ、こういうような説明でございますけれども、これは私はやはり、建設省の治水に対する力の入れ方と農林省の治山に対する力の入れ方とは非常に格段の差があると思う。まず農林省の治山の考え方については、やはり森林の政策、林業としての生産ということが第一義的にやはり農林省は考えている。従ってこれはある程度過伐、乱伐になりましても、木材の需要に応ずるための体制というものは整えなければならぬ、これが一つ大きな前提として農林省側は持っているわけです。従ってそういう点からいたしますというと、治山治水全体からいって、やはり私はそこに非常に大きな差が出てきているのじゃないかということをまず考えるのです。その点は石谷委員も、治山が国有林野事業の特別会計の一勘定として、治山勘定として取り上げた、こういう不徹底なことではいかぬということを指摘されておりますし、また東委員は、まず治山が優先すべきである。せっかくの多目的ダムあるいは下流の堰堤にいたしましても、ダムが山腹工事その他の工事が、砂防工事が完全でなければすぐ埋まってしまうという現実の問題、これらの問題があるわけでありますから、何としてもやはり治山ということがまず最初に考えられなければならない。こういう考え方をやはり一つ持っていただきたいと思うのです。そこでお伺いいたしたいのは、従来は造林を含めて治山治水事業対策費ということになっておりましたが、今回は造林というものは治山事業では考えないわけではないでしょうけれども、特別会計の中から抜かれているわけです。そこで先般三十二年に出ました農林白書でも、現在の森林の生長量に対して一五〇%の採伐率になっている。いわゆる過伐になっている状況でございます。そのために乱伐になって山が荒れている、こういうことをはっきりうたっているのでございます。そういう点からいたしまして、この過伐というものを防ぐためには、何としても奥地林の開発のための林道の開発あるいは積極的な造林、こういうものが伴わないというと、治山の効果というものは出てこない。これはもう先ほど来言われているところでございますが、私、三十年の経済自立五カ年計画、それから三十二年の新五カ年計画を全部当たって見ましたが、その当たって見ました中から見ますというと、大体林道、造林という経費は横ばいであります。また、治山も横ばいでありましたが、今度の計画によりまして、治山は約十何億かふえるようになっておりますけれども、大体造林、林道という経費は横ばいの状態であります。従って従来の過伐というものは今日なお克服されていない現状にある。従ってこの治山治水の長期十カ年計画というものができた今日においては、私はやはり林業の、林道、造林を含めた長期計画というものがここで改訂されなければならぬのじゃないか、このように考えるのでございます。従ってこれを改訂する意思があるかないか、この点を一つ大臣から明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/42
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043・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 治山対策と並行いたしまして造林政策を大いに進めなければならぬことは、先ほども申し上げた通りでございまするが、造林につきましては、パルプ資源というようなことも考えますると、この際特に力を入れなければならぬというふうには考えております。植樹をする、しかもそれが低コストで生産されるというところの政策がこの際必要である。さようなことから、来年以降到来いたしまする国有林の計画伐採等もいたしまして、そういう財源も植林、造林の方向に大きく力を向けていきたいというふうに考える次第でございます。なおこの問題は、党の基本政策調査会の方でも重要問題として取り上げておりますが、いずれにいたしましても、お話のような方向で大きくこの政策の転換というか、拡大をしなければならぬというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/43
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044・北村暢
○北村暢君 そこでもう一つお伺いしたいのは、先ほど来言われている治山と治水の問題で、建設大臣は十カ年計画を遂行した暁においては八、九〇%のところまで進度率を持っていきたい、こういうことを言われているわけであります。ところが、今まだ閣議にかかってはいないのでしょうけれども、ここにいただいている資料による治山事業長期計画によりますというと、十カ年終わりましたあとにおける事業量というものは七〇%であります。しかも、それは七〇%で大体昭和何年ですか、まあ戦前の非常に安定した治山の程度に復するんだ、こういうことで七〇%を目標に置いているのでございます。しかも、今度の計画を見ましても、経済自立五カ年計画の場合における五カ年計画、これはやはり五百九十億の予算をもってやるという計画になっております。それから三十二年度の新五カ年計画においても五百六十億の予算をもってこれをやるということになっている。今度の前期の五カ年計画においても民有林が五百五十億ということでございまして、それに国有林百七十億を含めますというと六百億幾らですか、ということになるわけですが、この過去の五カ年計画と比較いたしまして、私は今度の五カ年計画が飛躍的に前進したと、こういうふうには受け取れないのであります。従ってまた、この五カ年計画の内容等によりましても、この三十五年度から三十九年度における事業費というものを見ましても、これは三十九年度に至るまでの五カ年の間、だんだん予算が、事業費がふえていっている、こういう状態になっているのでございます。で、総額的にいっても、それからまず治山をやって、ダムを埋めない対策を山の方から立てておいて、そして下流の施設をする、こういうことが私はやはり望ましいのじゃないか。従って、この計画を見ますというと、どうしてもそういう考え方の逆になっているんじゃないかというような感じがするのであります。これはどうしてもやはり私は、過去の治山計画からすれば画期的なものとは言えないんじゃないか。従って先ほど来言っている治山というものに対して、建設省の治水というものよりも程度においては平等に考えておるといっておりますけれども、平等どころではなくして、やはり治山の方が政治力からいっても何にしても、これはどうしてもひけ目になっておる。この点が、まあいろいろな点から検討してみて、大臣のお答えになるような治山、治水というものを平等に考えておるという形にはなっておらぬ。もっとやはり積極的にやるべきでなかったかというふうに思うのでありますけれども、大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/44
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045・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今度の治山計画がどうも前とそう大した違いもないようじゃないか、飛躍的なことがないのではないかというようなお話でございまするが、数字をごらん願いましても明瞭でありますように、三十五年の八十七億円という民有林だけをとりましても、これは三十四年に比べまして三三%の増加なんです。これはなかなか私どもといたしましては思い切った増加をいたしているわけなんであります。その三三%ふえたものを基礎にいたしまして、さらに毎年大体平均しますと八・七%ぐらいずつつけていこうというようなことでございまするから、これはよほど今までの計画と比べますると画期的な前進をしておるというふうに考えておるわけであります。今までの計画は、計画はできましたけれども、なかなか計画倒れということで進行いたしておりませんでしたことは事実でございます。今度はさような財政上の裏づけをもちましてやりますので、これは間違いなく実現できる、かように考えておるのでございます。
これはもう山腹の工事とかいうことと下流の大規模の工事ということで、事業の量について建設、農林両者で違いのあることは御理解いただけると思うのでございますが、山腹の農林省が受け持ちまするところの事業につきましては、これは必要にして十分な計画を立て得る財源が確保されておる、かように私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/45
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046・北村暢
○北村暢君 ただいまの答弁では私は納得しないのですが、昨年度の予算から本年度の予算を比べれば、それは確かにふえているのです。これは否定いたしません。いたさないのですが、従来の治山の長期計画というものが、二年置きぐらいに長期計画、長期計画と作っているわけなんですよ。その長期計画と比較しますというと、今度の十カ年計画というものは何も前進した計画ではない、こういうことを言っておるのですよ、私は。これは経済自立五カ年計画を作ったときの状態を見ますというと、最初の十カ年計画というものは一応考えておりますけれども、その最終の目標は昭和五十五年に置いている。ところが三十二年の新計画によりますというと、昭和五十年を目標に置いている。ところが、今度の計画によりましても、十カ年計画で七割のところまで持っていくということになっておりますけれども、その残った三割をやるというと、やはり昭和五十年ぐらいになっていく。従って計画の内容そのものについては大した前進はしておらぬということを言っておるのです。従って、この治水関係からいうと、私は今度の計画では相当なやはり前進をしておる、従来の計画より前進しておる。建設大臣の答弁を聞きましても、これは進度の程度からいっても、計画そのものが前進しておる。私はまあその点を指摘しておるのです。従って、現在までの、予算の計画倒れになって、予算が取れなくて実施できなくて、今度は計画のままに予算を組むということですから、この点はいいですが、それにしても、この治水の進度と見合った計画というものは、もう少しやはり積極的であるべきじゃないか。この点を建設大臣は明らかに治水の方は八、九割までやると、こう言っておる。農林大臣の方は七割までしか十カ年にはできないと、そういうふうに説明になっておる。そういう点からいっても、はっきり今の答弁の中から出ている。私はそういう点からとらえて今申し上げておるわけですが、今の予算からいった、昨年度の予算から比べた増額になった分だけで取り上げては、私は治山というものの考え方においてもう少し重点を置くべきじゃないか、こういう意見なんですよ、その点は一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/46
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047・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 北村さんのただいまの、私が十カ年後には事業量として大体八、九割までいくということを申し上げたようにまあ伺ったんですが、私の申し上げましたのは、効果が大体八、九割の効果になるということでありまして、やはり建設省としても、事業量としては十カ年計画を計画予定通りに完遂いたしましても、七割強という程度でありまして、この点御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/47
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048・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 北村委員のお話でございますが、お話によりますというと、まず財政上の裏づけが十分今度はできたという点につきましては御了解を願っておると思うのです。ただ、その基本になる計画いかんという問題でありますが、これは建設省におきましても、農林省におきましても、昭和初期の状態に治山治水の状態を復元しようという基本目標においては、これは全く一致しているわけです。これは少しも違いはないのであります。そういうような目標を実現するためには、大体どのくらいの事業をやらなければならぬかというと、まあ七〇%くらいのところの治山につきましては荒廃地を整理しなければいかぬ、こういうことになるわけでありまして、その点につきまして、私どもの所管の方が熱意を欠いているという点は私どもはないというふうに考えておるわけであります。
前回に立てました長期計画におきましては、三十六万町歩の荒廃地に対しまして、これを解消していこうということで進んだのでございますが、これが済まなかった。今日なお三十万町歩を残すことになるわけでありますが、さらにその後発生しました災害による荒廃地まで加えまして、三十二万町歩というものを対象として、これを十カ年間で七割解消しようということでありまして、河川の方も全く同じ建前でやっておりますので、さように御了承を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/48
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049・北村暢
○北村暢君 次に、非常にこまかい問題で恐縮でございますが、今度の計画によりますというと、国有林の荒廃地が六万六千ヘクタールということになって、新生が六百ヘクタール、こういうことで五カ年計画で立てているようでございますが、農林白書の資料によって、三十二年度までの国有林の荒廃地その他の残が三万五千九百六十七ヘクタール——ヘクタールじゃなくて町歩になっております。ところがもう三十四年で六万六千ヘクタールになっている。これは年々国有林事業、国有林野の治山事業というものは、今度の計画によりましてもさしたる前進を示さない。横すべり的な、予算の形にもそういうふうになって、それでまあ比較的安定した進度でいいということになっているのでございますけれども、この点が三十二年度の残事業三万五千ヘクタールが三十四年度末で六万六千ヘクタールになっている。この六百ヘクタールずつの新生荒廃地というものができておりますけれども、相当に安定した国有林野の治山事業というものをやっているはずなのに、なぜこういうふうなことで残事業が三十四年度で六万六千というようにふえているのか、この点の御説明をいただきたい。昭和二十一年から三十二年まで、国有林の残事業は三万八千ヘクタールをこえたことがない統計になっているわけです。一躍六万六千ヘクタールになっているという事情を説明していただきたい。
それから石谷委員も触れられているんですが、この法案の私はやはり最大のねらいは、従来計画して計画倒れになってきているそれを、今度の閣議にはかって、そうして予算を裏打ちをするというところがこの法案の大きなねらいであるというふうに私はまあ理解をしているわけです。従ってこの予算の確保にあたって、当然まあ閣議で、計画したものが、承認したものが予算化せられるということは当然であろうと思うんでありますけれども、前期の五カ年で民有林で五百五十億、これを確保するということも、この年次計画というものをやってもなかなか大蔵省が了解をしない。五カ年で五百五十億、総額で一応了解するというようなことになっているわけであります。従ってこれは年次計画をやはりはっきり立てて、それを大蔵省が了承するという保証がない限り、せっかく法律を作っても、これは治水も同じことだと思うのですけれども、これは私はせっかく法律を作って、またそれが予算の確保が最大のねらいである法律が、その法律の意味というものをなくするのじゃないかというふうに心配をする。従って伊勢湾台風に刺激されて第一年度予算の大幅増額が確保できた。三十六年度、七年度と、こう続いていくときに、この計画が三十五年度よりも六年度、七年度と予算が増額していく、年次計画によっても、そういう状態にある中で、私はこの予算の確保ということが非常に今後のこの法律運営にあたって大きな問題になるだろうと、このように判断する。従って予算折衝のいきさつからいって、前期五カ年計画における総額をある程度押えた十カ年計画で、治水で九千二百億、治山で千三百億、こういう総額にほぼ了解を得たというのですが、そこのところが得たような形にはなっておりますけれども、年次計画においてなかなか大蔵省が了承しないというような点も聞いておるわけであります。従ってこれらの問題については、両大臣、せっかくの法律ができた大きなねらいであるのでありますから、この点を、大蔵大臣がおられれば一番いいのでありますけれども、実際運営にあたる両大臣から、予算折衝のいきさつ、今後の信念について一つ重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/49
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050・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今後の予算についてでございまするが、今までの長期計画というのがありまして、これがなかなか進展しなかった。これは予算の裏づけというものがなかったからだ。それはどういうことかというと、長期計画と申し上げまするが、これは役所同士の内部の一応の希望図という程度のものでございまして、これは閣議において承認したとか何とかいうものではございません。今度は大蔵大臣も閣議には列席するのでありまするから、その閣議におきまして承認をするということになりまして、また今後の予算の折衝におきましてはほとんど自動的にこの経費は優先的に確保されるというような性格を持つわけです。しかもその閣議をさらに権威づけるというような意味におきまして、今回特別の法律をお願いすると、こういうことに相なりますので、これは国会の意思としても、この閣議というものにおいて十分財源を確保すべしということを要請するというような関係に相なろうかというふうに存じますので、今後この計画を執行するための予算につきましては、これは心配なくやっていけるのだと、そのことは大蔵大臣を含めた閣議におきましても了承されておるのだ、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/50
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051・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま農林大臣のお答えしたと全く同じであります。御承知のように、昨年のようなああいう伊勢湾台風その他の台風によって、非常に大きな災害復旧費を投入しなければならないというようなときでも、今回の治水の成長率は三〇%以上になっておる。ただいま計画いたしておりますのは、大体先ほど申しましたように一一・五%程度の成長率で九千二百億円の治水の事業が完全に実施されると思います。大蔵当局としては、この九千二百億については何ら大した問題としていないのであります。ただ毎年々々定期的に予算をつけていくということについては多少の不安もあるようでありますが、それは非常な大災害というような場合には、多少そこにそのワク内で差し繰りしてもらえぬかというようなこともありましたが、私どもは国土保全の大目的のためには、この程度の成長率であってそう問題はない。また一年ごとに災害の復旧費というものが軽減されていくのでありますから、私はこの程度の事業費を一般会計から特別会計に繰り入れることについては何ら差しつかえはないというようなことを申しまして、大蔵当局も十分これは了承していただいておりますので、ただいま農林大臣のお答えのように、さしたる私は不安はないと、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/51
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052・山崎斉
○政府委員(山崎斉君) 国有林の荒廃地の残存面積の問題でありますが、御存じの通り、この面積がふえました原因には二つあるわけでありまして、第一点が北海道における残存面積の増加、三十三、三十四にわたりまして、民有林の保安林を買い入れしたのでありまして、その保安林にあります荒廃地の面積の増加という二点でありますが、北海道につきましては、御存じの通り、風倒木が発生いたしまして、それに伴う山地の荒廃というものが漸次顕著になって参ったということで、大体北海道におきましては、風倒発生前におきまして、治山事業というものの必要性というものが非常に少なかったのでありますが、それがその後におきまして精細な調査の結果、面積の増加というものを見たという関係を主体としているわけでありまして、自後におきまして特別に国有林におきまして荒廃地が大きく発生したというようなものではないというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/52
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053・田上松衞
○田上松衞君 農林大臣、何か非常に急いでおられるようであります。そこできわめて簡潔にお伺いいたします。きのう私は農林大臣及び建設大臣に対する質問をむしろ重点的にやったつもりでおったのです。ところが私の質問に対しては建設大臣の答弁が全然それてしまっているわけなんですよ。おそらく、農林大臣は眠っておられたかどうかわからぬのだが、農林大臣の答弁は建設大臣と全く同意見でありまして、もうそれっ切りだったのです。何を聞いておったのかさっぱりわからぬ。がっかりしちゃったのです。私はよけいなことを申し上げましたが、実は一分間ぐらいの時間を余しておいて、その点について再質問する下心を持っておったのですけれども、あの場合ではいろいろ時間等の関係で、同僚諸君の立場を考えて遠慮申し上げておった。そこできょうの機会を待っておったのであります。たくさんお聞きしたいことがありますけれども、さっき申し上げたようにお急ぎのような状態でありますから、ほんの一点あるいは二点、これだけをお聞きしておきたいと思います。
まあ端的に聞きますが、あなたの方でなさろうとするところの、地域的に事業対象の選定をするについてのその基準、これを先にお聞きしておきたい。さっき申し上げましたように、何にもその基準についても答えられていないのですからね、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/53
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054・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは事業の緊急度を基準にいたしていきたいと、かように考えているわけであります。緊急度を考える場合の重点として取り上げる項目は、その災害防止効果ということと、産業に与える効果、この二つが重点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/54
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055・田上松衞
○田上松衞君 非常に抽象的なことなのですが、私はそれを心配するのです。実はこのことは、附則にありますように、あなた方が実施されようとされる目標は四月一日にあるのでしょう。ところがそれまでの間あと幾日ありますか、この間にいろいろな手続をしなければならないわけなのです。両大臣がそれぞれの審議会にこれをかけなければならぬ点がある。あるいは経済企画庁長官とも協議しなければならぬ点がある。そうして閣議に持ち込まなければならぬ。そんなことが、今このような、きょうのようなこういう空気から察知いたしまして、実際あなたはできるのかどうか。しかし、私はきのうもはっきり申し上げたように、この案自体についても、民主社会党に関する限りは大きくこれは歓迎するのですよ、やらせたいのです。やってもらわなければならぬのです。これについては私どもは最も積極的なんです。そういう観点に立って聞いておるのだけれども、お答えによっては、必要度に応じてなんという、そういう抽象的なことでは困る。もうすでに地理的にどこそこということをお考えになっておるかどうか、それをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/55
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056・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御質問の点は、もちろん本法案が通過することを前提といたしまして、いろいろ事務的な準備を進めております。また、事務的の準備といたしましては、すでに策定いたしました前からの長期計画もあるわけでございまして、それを手直しいたし、そうして政府当局の原案とするということになるわけです。それを審議会の方で御審議願う。また、建設省や、あるいは経済企画庁に連絡をいたしまして、その間の調整をとる、こういうことになるわけでございまして、私ども政府の、農林省としての事務的な準備はずっと進めておるのです。しかし、それにもかかわらず、お話しのように、さような審議会にお諮りをするとか、あるいは関係省に相談をするとかいうような手続を経て、閣議の決定に至りますのは、おそらく私は本年度内、もう余目もないわけでございますから、これには間に合いますまいと、かように考えておる次第でございます。しかし、なるべく早く閣議決定まで持ち込む、しかし持ち込むのが年度が始まってからになりまするが、それまでの問題といたしましては、当初農林省で予定いたしておりまする問題を実行に移すというほかはないのであります。これを閣議に持ち込むところの計画に取り込んでいただけるように、審議会にもお願いをし、関係省にも御連絡をすると、こういう段取りになるかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/56
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057・田上松衞
○田上松衞君 聞けば聞くほど実際おかしな感じがするのですよ。法の方では緊急措置法ということをここへ打ち出して、これによってやるのだといいながら、実際には年度内には間に合わぬだろうから、今までのはいいかげんにやっていく、そういうことが一体許されるのでしょうか、どうなんでしょうか。非常にそこに大きな疑惑を持つのですが、一体国民がそういうことを納得するでしょうか。通ることを予定しておいて、そうして済ましているのだ。実際は仕事はやるのだ、だがもとをなす法律はあとからでいいのだということにとれるわけです、お話によっては。一体、そういうことがどういう点で可能になるでしょうか。もっと明確に、建設大臣は機会がありますし、私は農林大臣の感覚についてお聞きしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/57
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058・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お話の点は、私はごもっともだと思うのです。理想的にはこの法律が通り、閣議決定が終わって、それから十カ年計画なり五カ年計画が施行されるということに相なりますることが、これはもっともであろうというふうに考えるわけでございます。しかし、緊急に私どもは作業はいたしたいというわけでございまして、閣議の決定はおくれまするが、しかし、それまでの間におきましても、まず緊急を要する事業につきましては着手をするということで、これも現実の問題といたしましては御理解を願えないではあるまい、かように考えている次第でございます。いわゆる経済長期十カ年計画ということにつきましても、同じような事情がありまして、この計画は夏ごろ策定というようなことになりましょうが、これは三十五年度初めからこれを措置するというようなことに相なりまするので、それと大体同じような事情におきまして、現実の問題として、やむを得ず緊急的にかような措置をいたすというふうに御理解を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/58
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059・田上松衞
○田上松衞君 逆にお聞きします。一体、経済企画庁長官との協議はもうできたのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/59
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060・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/60
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061・田上松衞
○田上松衞君 法文の中に、十カ年計画の案を両大臣が立てようとする場合には、「あらかじめ経済企画庁長官に協議しなければならない。」、こういうことになっているわけですね。それからもう一点、両大臣がそれぞれの審議会にかけなければならないということになっている。経済企画庁長官と協議するのと審議会にかけるのとは、どっちが先になり、どっちがあとになるのですか、それは大臣の感覚を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/61
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062・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 経済企画庁とはまだ最終的な協議はいたしておりません。おりませんが、事務的な下打ち合わせはずっとやっている次第でございます。従いまして、まあ形式的な協議ということが最終的には行なわれるということになりまするが、その審議会と経済企画庁との間の相談の先後につきましては、政府案をきめて、それで審議会にかけるというのでございますから、事実上は企画庁長官の方に先に相談をして、それを審議会にお諮りをするという段取りになろうかというふうに存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/62
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063・田上松衞
○田上松衞君 どうもその辺が法文の方でも明らかでないし、ただ、「あらかじめ」というだけですから、それを心配するわけです。私はきのう質問した中に特に強調しておった点は、むしろ行政府に対するところの権限委任の行き過ぎ、われわれはそれを重視しているわけです。お話を承っていると、どうやらあなたの方に関する限りは、中央森林審議会ですか、これにかける、あるいは経済企画庁長官、これらとの間も、まああなたの方の意見によって何でも通してやってしまうのだというような底意がちらついてしょうがないのです。これは民主主義の原則に反しやしないかということなんです。私はそういうようなことを心配するので、先にお話しになったことがほんとうであったとすれば、法もでき上がらないうちに、実際には間に合わぬから仕事にはかかるのだ。ところが、あとで経済企画庁長官及び中央森林審議会との間における意見の相違が出てきたり、あるいは起案者でありますところのあなたの方との相違が出てきてしまったりする場合の一体けじめはどうなります。そういうところが非常に心配だと思うのですが、そういう点についてあなたの御所見を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/63
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064・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今までの長期計画におきましても、各方面の意見を伺いましてさようなことをきめておりますので、私は、中央森林審議会が開かれましても、私どもの提案とそう大きな意見の懸隔が出ることは予想はいたしておりません、おりませんが、万一意見の相違があるという際におきましては、昭和三十四年でも仕事は行なわれております。また三十五年でも着工するというような個所も出てきます。そういうものとの調整につきましては、十分審議会と御相談をいたしました上で善処をしなければならぬ、かような筋合いかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/64
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065・田上松衞
○田上松衞君 先ほどからいろいろな人々の質疑応答を通して感ずることは、なぜこういう緊急措置法案を作らなければならないのかということについて、あるいは今までのとどう違うのかという点について、農林大臣の御説明が、いや、予算をごらんになればわかる、相当の相違をここに来たしておるのではないかと私は承っておりました。そういう相当な開きをする、従来のやり方と事業施行と違って、そういう相違があなたみずからの口からでもあるのだと言われるのに、今までのは昭和三十四年度においてどんどんやって文句なくきているから、それらの審議会の意見だって、経済企画庁の意見だって違いようはないと考えられるということ、どうもそこに踏み切れない点があります。一体これをどうとればいいのですかね。どういう工合に認識し、どういう工合に私どもが納得すればいいのか、苦しむわけです。もっと明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/65
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066・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 本法律案の御審議をわずらわすゆえんのものは、一方においては特別会計法の改正につきまして御審議をお願いしておるわけであります。それと並行いたしましての問題でございます。特別会計を今回修正いたしまして、建設、農林両省とも、この予算の実行を確保するという意味の会計的な仕組を整えているのです。それから、その中身につきましても、先ほど申し上げております通り、これは従来に見られない大幅な増額をいたしており、それと並行して、それが今後もちゃんと確保されるというためには、今までのような閣議できめたこともない、その閣議ということも、法律に根拠の基づくものでもないというような状態を改めて、今回は十年計画というものが政府全体の意思であり、その政府全体の意思というものが、さらに国会において支持されておる意思であるということを明確にするということが、本法案を御審議願うゆえんのものでございます。さようなことでありますので、これがもっと早く通過成立しておりまして、そうして三十五年度予算の執行、四月一日から実行ができるような状態になっておりますると、まことに理想的ではありまするが、ことはそういうふうに運んでおりません。まことにそれはやむを得ないことでございまするが、その時間的ズレは自後において調整をするというほかはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/66
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067・田上松衞
○田上松衞君 納得できない点がだんだん広がってしまっていくのですけれども、いろいろ御都合があるようですから、まあ、先にあれをいろいろ指摘されたように、あなたの方は建設大臣まかせというようなことにどうしてもなるようですから、以下、建設大臣の方からむしろ的確なあれで納得さしていただくことにいたしまして打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/67
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068・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御発言もなければ、治山治水緊急措置法案についての本連合審査会はこれにて終了することにいたしたいと存じます。さように決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/68
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069・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。
それではこれにて散会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414148X00119600322/69
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