1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十二日(火曜日)
午後二時二十一分開会
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委員の異動
三月十七日委員田中一君辞任につき、
その補欠として山口重彦君を議長にお
いて指名した。
三月十八日委員山口重彦君辞任につ
き、その補欠として田中一君を議長に
おいて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岩沢 忠恭君
理事
稲浦 鹿藏君
松野 孝一君
田中 一君
委員
櫻井 三郎君
田中 清一君
米田 正文君
内村 清次君
武内 五郎君
永岡 光治君
安田 敏雄君
田上 松衞君
小平 芳平君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
林野庁長官 山崎 斉君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設省河川局長 山本 三郎君
建設省河川局次
長 曾田 忠君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
説明員
大蔵省主計局主
計官 宮崎 仁君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○参考人の出席要求に関する件
○建設事業並びに建設諸計画に関する
調査
○治山治水緊急措置法案(内閣送付、
予備審査)
(治水特別会計法案に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/0
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001・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
初めに、理事の補欠互選についてお諮りいたします。
去る三月十七日の委員の異動に伴うて理事が一名欠員となっておりますので、この際その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は前例により、委員長指名の方法に一任されたい存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/1
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002・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。
それでは、私から田中一君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/2
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003・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に、参考人の出席要求についてお諮りいたします。
先般の委員会におきまして、下筌ダム建設工事問題調査について参考人の出席要求を決定いたしておりますが、この際、以上の参考人に追加して、松原ダム関係の参考人として、大分県中津江村石橋一君の出席要求を行なうことにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/3
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004・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/4
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005・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) それでは、本日の議題に入ります。
本日は、治山治水緊急措置法案を議題といたします。
まず、本案の審査に関連いたしまして、治水特別会計法案に関する調査を行ないます。
本件調査につきましては、去る二月二十三日建設省当局から要綱の説明を聴取しておりますが、本日は、主管省の大蔵当局から説明を聴取の上、質疑を行ないたいと存じます。
それからこの際、皆様に申し上げますが、審査の促進をはかるため、治山治水緊急措置法案に関する資料要求は、本日中に申し出を願うようにいたします。この点、特にお願いを申し上げます。
それでは、治水特別会計法案について、内容の説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/5
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006・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 治水特別会計法案につきまして、御説明申し上げます。
政府におきましては、治山治水事業の促進をはかるため、治山治水にかかる各十カ年計画を樹立いたしまして、事業の緊急、かつ、計画的な実施に努めることとし、別途、今国会に治山治水緊急措置法案を提案して、御審議をお願いいたしております。このうち治水事業につきまして、その経理を一般会計と区分し、もって事業の収支並びにその成果を明らかにすることが適当であると認められますので、ここに、この法律案を提案した次第でございます。
次に、この法案の概要について御説明申し上げます。
まず第一に、この特別会計においては、建設大臣が施行する河川、砂防または地すべり防止工事にかかる直轄治水事業及び多目的ダム建設工事に関する経理を行なうことを主たる目的といたしまして、あわせてこれらの事業または工事に関連のありますところの直轄伊勢湾等高潮対策事業または受託工事の施行並びに都道府県知事が施行する治水事業に対する国の負担金または補助金の交付に関する経理を行なうことといたしております。
第二に、この会計は建設大臣が管理することといたしまして、会計の経理は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分して行なうこととしております。治水勘定の歳入は、直轄治水事業及び直轄伊勢湾等高潮対策事業につき国庫が負担する部分の金額または都道府県に対する国の負担金もしくは補助金の財源に充てるための一般会計からの繰入金、これらの直轄事業にかかるところの地方負担金並びに治水関係受託工事納付金等といたしました。同勘定の歳出は、これらの直轄事業費、治水関係受託工事費並びに治水事業費負担金または補助金等とすることといたしております。次に、特定多目的ダム建設工事勘定の歳入でございますが、これは多目的ダム建設工事費に充てるための一般会計からの繰入金、地方負担金及びダム使用権設定予定者の負担金並びに多目的ダム関係受託工事納付金等といたしました。同勘定の歳出は、多目的ダム建設工事費並びに多目的ダム関係受託工事費等といたしました。これらの歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別等の区分に従って経理することといたしております。
以上のほか、この法案におきましては、この会計の予算及び決算に関して必要な事項を定めることとしております。なお、本特別会計の設置に伴いまして、特定多目的ダム建設工事特別会計法を廃止することといたしております。
以上、簡単でございますが、治水特別会計法案の説明を終わることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/6
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007・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまの説明に対しまして、御質疑の方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/7
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008・田上松衞
○田上松衞君 財政法の第十三条の二項には、国が特定の事業を行なう場合、特定の資金を保有してその運用を行なう場合、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限って、法律をもって特別会計を設置することができる、こう規定されておるわけなんですが、そこでこの場合、今の必要性というものが、どうもあまりはっきり了解できないのですが、ただ御説明では、こういうことにしたというだけで、その必要度を、いま少し御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/8
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009・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。
特別会計を設ける場合につきましては、ただいま御指摘の通り、財政法十三条の第二項に規定されておるわけでございます。
今回の治水特別会計の設置の理由といたしましては、直轄治水事業あるいは多目的ダム建設工事、これは財政法の第十三条の二項の、「国が特定の事業を行う場合」に該当いたすものといたしまして、十年間にわたりまして相当多額の経費を投資するわけでございます。そういうような関係からいたしまして、治山治水の十カ年計画というものの投資を、一覧してわかるようにはっきりさせる、しかもその実績を明確にするということは、これは国の経理を適正に実施する上におきまして必要である、このように考えまして特別会計を設けたわけであります。
なお御指摘の中に含まれておる点かと思いますが、今回の特別会計の中には補助金、負担金というようなものも入っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十年間の長期にわたりまして九千二百億に上る事業の実施をしていくという際におきまして、通覧性の問題から申しまして、それからその実績を明確にフォローしていく関係からいたしまして、この特別会計に合わせて経理することが妥当である、このように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/9
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010・田上松衞
○田上松衞君 実は私、きのう本会議で、このもとをなしまする緊急措置法について質問をいたしたわけであります。今御説明なすった点、一応説明を受けておるわけでありますが、まだはっきり納得できないことは、ここでいわゆる緊急措置法でうたっておりまするところの第二条第二項にあげている事項、この予算が、特に特定の歳入歳出という解釈に一体なるだろうか。今の御説明だけでは、どうしても納得できないのです。私の考えからいきまするならば、もしこういうことができるといたしまするならば、たとえば義務教育費の国庫負担金の関係であるとか、あるいは生活保護法に関する関係であるとか、こういうものだっても特定の若干の歳入があるわけですから、これだって、どんどん何でもかんでも、特定の歳入をもって特定の歳出に充てるんだと、こういう理由づけで、特別会計法ができなければならぬはずだと思います。ところが、それらの点については、それは許されないと、今の財政法十三条に抵触してしまうと、これだけが、どうしてそういう解釈ができるかという点を、もう少し明確にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/10
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011・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。
十三条の第二項におきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、この三つの場合に限りまして特別会計の設置ができる。で、私が先ほど申し上げました点は、直轄治水事業とか、あるいは特定多目的ダム建設工事と申しますのは、これはもちろん国の営利事業とか、そういう企業的な事業ではございません。企業的な事業ではございませんが、やはりその事業を実施いたします際におきまして、国の金だけでなしに、地方負担金も含めまして、それに一つの作業的なファンクションといたしましては、やはり合理的な、基本的なと申しますか、非常に綿密な意味におきまして、そういう形を変えた事業として実施する必要があるわけでございます。これはほかの公共事業費関係でも、そういう会計があるわけでございますが、そういうような会計といたしまして、それを中心として考えた会計ということを想定いたしまして、そうしてそれを、それじゃ、そういうものについて、なぜ特別会計を作る必要があるのかという場合におきまして、これは先ほど来申し上げておりますように、かりに、そういう事業がございましても、これは本来一般会計でやればいいじゃないかということで、当然の御疑問だと思いますが、ただ、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、十年間の長期にわたりまして、国が相当の金を投じ、また地方負担の関係も明らかにしていくと、こういう問題でございますので、やはりその特別会計を設けまして、その実績を明らかにしていくということの方がいいんじゃないか、こういうような考え方で、この特別会計を設けておるわけでございます。先ほど先生がおっしゃいました特定の歳入をもって特定の歳出に充てると、こういう根拠には、実はわれわれは基づいておらないわけでございます。従いまして今回の一般会計から入れますところの財源は、実は特定の歳入であるとはわれわれも考えておりません。
とにかく多目的ダムとか、あるいはこの直轄治水事業というようなものは、やはり一つの事業として、一体的なものとして考え、しかも、それは相当長期にわたる、十年にもわたる、そういう計画を実施するのであるから、その実績も、特別会計という制度によって明らかにしていきたい、こういう趣旨で、この特別会計を設けようとして御審議を願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/11
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012・田上松衞
○田上松衞君 私の疑問とする点は、よくつかんでいただいているようであります。大体、了解できましたが、そこで、それではこういうような工合に了解しておけばいいわけですか。これでなければいけないとか、この方が、かくかくの必要性があるとかということ、あるいは今のように、必ずしも特定の歳入とは考えていない、こういうことであるにいたしましても、若干の、そこに疑義は残るといたしましても、お考えの点は、治水事業については、その経理を一般会計と区分して、そうして事業の収支並びに成果を明らかにすることが妥当だと、ここに書いてありますように、そういう程度の考えでやっていくのだ、こう了解すればいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/12
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013・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 先生のおっしゃる通りであろうと思いますが、なお補足して申し上げますと、この十三条の規定に基づきますところの特別会計の設置というものは、たとえば、ただいま例に出ました特定事業というものと観念されるものがあれば、必ず特別会計を作るということは、これは特別会計というものは、会計統一の原則から申しましての一つの例外でございますから、われわれとしては、そう考えておらないのであります。やはりその実体というものを相当重視して考えまして、そうしてそれを相当の規模のものであり、しかもそれが国策といたしまして非常に重要なものであり、また決算、成果というものに対して、はっきり明確にしておく必要がある。こういうようないろいろな事情を勘案いたしまして、特別会計にするかどうかということをきめるわけでございます。国が、一般会計でやっております中にも、あるいはそう長期のものではございませんが、ある程度事業的なものが相当あるわけであります。しかしそういうものにつきましては、会計統一の原則からいたしまして、これは一般会計で処理しているわけでございます。やはり、その事の重要性と申しますか、そういう点、それから、それに基づくところの経理の明確化というような点を、彼此勘案いたしまして、そうして特別会計にするかどうかということをきめているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/13
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014・田上松衞
○田上松衞君 御説明を善意に解釈いたしまして、了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/14
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015・田中一
○田中一君 小熊さん、多目的ダムの特会と相違点、ちょっと説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/15
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016・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。
多目的ダム特別会計でございますが、これは、今回の特別会計におきましても、多目的ダムの特別の勘定ということで経理されております。この多目的ダムの勘定におきましては、これは従来の多目的ダム特別会計におきますると、ほとんど全く同じ考え方に立っております。問題は、治水勘定であろうと思います。
治水勘定と多目的ダムというような従来の会計、あるいは今回の多目的ダム勘定との差異いかん、こういう御質問であろうと思うのでございますが、この治水勘定におきましては、これは、電気事業者というような、そういう事業者としての負担金は入って参りません。もちろん受益者負担金とか、そういうものは入って来ますが、予定された意味での電気事業者の負担金とか、そういうものは入って参らないわけでありますが、そのほかに、一つの特色といたしましては、治水事業勘定は、先ほどちょっと触れましたように、本来の直轄事業だけでなしに、補助金とか負担金、こういうようなものも一括経理する、こういうことになっております。この点は、先ほど来しばしば申し上げましたように、こういう非常な十カ年にもわたりますところの、膨大な投資というものを明らかにする際におきまして、補助金、負担金であるからということで、これを除外して、一般会計でやるということでは、治水事業というような性格から申しますと、適当でない、そういう趣旨で補助金、負担金というようなものも含めて、治水勘定で経理させるという点が、一つ大きな特色としてあげられると思います。
それから多目的ダム勘定とそれから治水勘定と二つが置かれておりますが、しかしながら、その場合におきまして、その工事事務費というようなものは、一体、どういうふうに扱うかという問題が一つございます。この関係につきましては、いろいろ考えたわけでございますが、やはり治水勘定というもので、一括経理する、工事事務費等の賃金とか給与の支払いというようなものは、窓口といたしましては、治水勘定から一括して支払う、そうしてその財源といたしましては、多目的ダム建設勘定の方から財源として繰り入れる、こういうような点が、今回の治水特別会計、特に治水勘定におきますところの一つの特色であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/16
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017・田中一
○田中一君 これ、予算の立て方を変えて、治水事業は、全部国がするんだという前提に立って、地方の負担金という形とみなしても会計上はいいわけですね。ということは、補助工事というものじゃなくして、国が全部するんだという前提なんですね。あと府県がする場合には、委託工事になるわけですね。する仕事は、国が委託するんだという考え方に立っても、会計の面からは、何ら違いがないわけですね。ということは、河川法によるところの直轄河川——疑問があるのは、河川法による河川というものは、一つの前提がある、それは、日本の全部の河川というものを対象にしている河川法じゃないということですね。これは国が、建設大臣が国土保全の役目を持つならば、日本のあらゆる河川全部を、建設大臣が当然見るべきである、保全の任に当たるべきであるという議論も成り立つわけなんですよ。そういう場合に、全体の国土保全のための事業というものは、河川の場合は、河川法によらないものでも、河川全部建設大臣が保全の任に当たるんだという前提に立つと、補助金という制度でなくして、今度地方の負担金という形、受益者負担金という形ですか、こういう形でもって吸い上げてもいいんじゃないかという議論も成り立つわけですよ。この河川だけが、特定の大河川を治めるための法律だということに対して、非常にわれわれ疑問を持っておるんですよ。海岸というものは、全部、とにかく建設大臣の所管になっておりますが、河川法というものは、これは、そうじゃないものなんですね。特定な河川だけに適用する河川法であるということなんです。
だから、見方を変えると、河川というものは、全部建設大臣がこれの保全の任に当たるんだ、改修並びに災害復旧全部に当たるんだ、しかしながら受益者というものが生まれてくる、その場合に、受益者に負担金を課すんだ、それを入れて財源をここにプールするんだという考え方でも、特会としては、一向差しつかえないわけですね、ちょっと言い方が悪いかもしれないけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/17
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018・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 実体の問題でございまして、非常にむずかしい問題でございますが、最初先生のおっしゃいました委託してやるといったような場合でございますが、これは国が、どの分までやるかという基本的な、実体的な問題があるわけでございますから、これは何とも申し上げられないわけでございますが、その実体は別といたしまして、この会計が、何か委託してやることが考えられるかどうか。それはやはり一つの事業として考えるならば、自分の直轄でやるものも、現在この特別会計でやるにしても、一応請け負わせるという場合も一応考えられるわけでございますから、その事業自体についての責任を国が持つという形におきまして、一つの事業であるならば、それは先ほど来御質問がありました、国が特定の事業を行なうというところの実体を持つ以上は、これは特別会計を作るということは可能であるかと思います。
その後、先生のおっしゃいました問題は、どうも、相当実体の問題が含んでおるものですから、私としては、ちょっと判断いたしかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/18
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019・田中一
○田中一君 あのね、ほかの法律は、全部建設大臣が最高責任者になっているんですが、河川法だけは、そうじゃないんですよ。河川法は、ここに法律がありますが、「此ノ法律二於テ河川ト称スルハ主務大臣二於テ公共ノ利害二重大ノ関係アリト認定シタル河川ヲ謂フ」従って、河川法による河川というのは、われわれが常に見ている河川もあれば、そうでないものもある。われわれが常に、河川法で認定しているもの以外の河川は、適用しないということになっているのですよ、この河川法では。ほかの法律は、大体もう道路なら道路——管理権等は別ですよ。従って、この河川法による河川というものと、河川法によらない河川というものがあるということなんですね。この法律があるから、今のような議論になるけれども、全部日本の河川というものは、建設大臣が、その保全の任に当たるのだという前提に立つならば、受益者が負担するものも、特会法に入れたって、読み変えるということかどうか知らぬけれども、そういう前提に立つならば、補助金なんという制度でなくて、負担でもいいわけです。負担金でもいいわけでしょう。私はどこへ追い込んでいこうかというと、一体、河川法が特定な河川だけが、建設大臣の所管するもので、この河川法を適用するのだということだけでは足りないのではないかということなんです。私は、今度の特会法に対しては賛成しているのです。やってほしいと思うのです。宮崎君や小熊君なんかは、反対したろうけれども、私はこうなって、少しでも前進させようという考え方に立っているのです。
非常にほかの法律と比べて不十分なのは、現行河川法なんです。明治二十九年にできた河川法というやつです。これは何も手が入っていないのですね。一部分改正はあるけれども、全然その手が入っていないということは事実ですね。大体、もう明治時代にできた法律というものを、基本的な法律は、全部改正されているのにかかわらず、河川法だけが今までこうやって、そのまま温存されているのです。いわゆる国民のはだに溶け込んでないわけなんです、この法律が。その意味で、今度ずいぶんあなた方抵抗があったけれども、特会法というものが生まれたことに対しては、一つの前進である。一つの壁を破ったことであるという気持を持っているのですが、今の特会法にこれを持ってくるという場合に、先ほどあなたが言っているように、河川法によらない河川も当然特会法に入っているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/19
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020・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) おっしゃいますように、河川法を適用する河川は、第一条によりまして制限がもちろんあるわけでございます。ただ、そのほかに準用河川というのがございまして、この法律で限った条文だけ適用するという準用河川がございまして、原則といたしまして、河川法の適用をしている河川につきましては、国が直轄工事をやる、準用河川につきましては、府県がやるというのが、大体の通念になっております。
しかし、河川法の原則の考えは、河川に関する工事の費用は、府県の負担というのが原則でございまして、そのうちで、特に重要なものは、河川法も適用するし、国も工事をやろうということでありまして、今のお尋ねの河川法の適用の部分だけしか、この法律の適用ないのじゃないかという点につきましては、もちろん河川法の適用ある河川は、適用いたしておりますが、準用河川につきましても、補助金を与えて工事をやるわけでございますので、この特別会計の補助金なり、負担金なりを交付するものは、ほとんどが準用河川でございますので、この法律の対象になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/20
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021・田中一
○田中一君 そこで、そうなっているのです。そうなっているが、四千億といわれている、前期五カ年計画の中でも、百億というものは、これは完全な府県の単独工事になっているわけですね。百億というものは、そうなっているのですね。これだって国が全部やるんだという原則の上に立って、百億という向こうの負担をしたって、一向差しつかえないじゃないかというのです。という見方をしたって差しつかえないじゃないかというのです。
たしか、こうでしょう、四千億のうち、府県の地方の単独工事というものは百億ありますね。それから関連工事という、ややこしい所管している工事が二百五十億ですかな。そうすると、この川の対象になるのは、それらのものを除いたところの三千六百五十億というものが、この対象になるわけですね。特会の対象になるんでしょう。そういうことになるのですね。
そうすると、私は、河川法の疑問からくるんですが、では百億、府県の単独の工事の百億というものは、どういう程度のものをさしてますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/21
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022・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これは、大部分の県におきましては、維持補修の事業でございます。作ったところが、長年の間にいたんできた、そういうものを手を入れておこうという事業が多いわけでございまして、中には非常に富裕の東京とかいうところでは、河川改修等を自分でやっているのも多少はございますけれども、ほとんどは、今、維持補修の工事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/22
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023・田中一
○田中一君 そうすると、河川法に主務大臣が指定する河川のほかに、準用河川がある。準用河川のほかに河川というものは、どういうものを、われわれ考えていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/23
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024・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これは通常は、普通河川といっておりまして、準用河川に指定にならない前は、すべて普通河川でございまして、そのうちから、県知事がこれは準用河川にするという基準がございまして、それに合うようなものを準用河川にしたいと、まあこれを別の面からいいますと、県費負担の河川ということでございますが、そういうふうなことを申請して参りまして、建設大臣が、それを認可いたしますると準用河川になるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/24
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025・田中一
○田中一君 そうすると、これはとても、あなたの方はわかっていると思うけれども、われわれ河川の実体というものはわからないのですよ。どれが河川法の河川であって、どれが準用されている河川であって、どれが普通河川であって、それから今、百億の金は準用河川の維持管理費だということを言っているけれども、一体、普通河川というものに対する改修なり事業というものは、全然考えておらないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/25
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026・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) この特別会計法は、国の支出をきめる特別会計法でございますので、補助金なり負担金を出さないものについては、対象にいたしておりません。
それから今、普通河川についてやるかということでございますが、普通河川というのは、これは、私どもの観念からいいますと、河川法の立場ではございませんけれども、地元の市町村が管理するという形に相なっておりまして、私ども補助金、負担金の対象にいたしまするのは、県の管理になっておりまする準用河川以上ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/26
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027・田中一
○田中一君 そうすると、大災害があった場合には、普通河川にも、十分に災害復旧費はむろん出るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/27
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028・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これは、町村工事といたしまして補助金を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/28
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029・田中一
○田中一君 これは一つ、先ほど委員長の言っているように、一体私は、ほかの方は、みんなよく御存じの方が多いかしらぬけれども、どうも、普通河川が何本あって、どのくらいの延長があり、どういう工合に分布されてる、準用河川が、どうなっている、河川法上の河川が、どうなっているということがわからない、わからぬで僕は質問してるんですがね。そいつ一つ、出してもらえぬかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/29
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030・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 普通河川の延長となりますと、非常に長くなりますけれども、河川法の適用河川が何ぼあって、延長が幾らある、準用河川が何ぼあって、延長が幾らあるという資料はございますので、これを提出いたしますると、残りが普通の河川でございます。これは非常に長いあれになりますから、その辺の資料はございますので、提出さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/30
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031・田中一
○田中一君 この特別会計に入るものは、従って前期五カ年、三千九百億というものが、この特別会計の方に入るということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/31
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032・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 先ほどお話がございましたように、前期五カ年の総投資額は四千億円で、そのうちからお話の三百五十億を引きますと三千六百五十億でございます。それの、国が自分でやる事業それから国の負担する金、あるいは補助で出すべき金は、この特別会計の補助の対象になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/32
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033・田中一
○田中一君 そうすると、関連工事は除いておりますね。関連工事は、緊急措置法で除いておるけれども、二百五十億というものは、これは特会には入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/33
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034・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 関連事業は、特別会計の対象にしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/34
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035・田中一
○田中一君 おりませんね。そうすると、結局三千六百五十億というのが特会に入る金だと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/35
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036・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) ちょっと申し忘れましたけれども、三千六百五十億というのは治山治水、砂防、ダム、河川改修でございまして、それ以外に、特別のものといたしまして、伊勢湾の対策事業の直轄事業が、この特別会計の対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/36
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037・田中一
○田中一君 この伊勢湾のあれは、直轄工事になった、そこで海岸は、どうなんです、委託されたものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/37
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038・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これは、特別会計では経理いたさないで、もし委託がございますれば、これは国の会計ということではございませんけれども、委託で処置したい、別の処置をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/38
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039・田中一
○田中一君 それじゃ、まあ僕は賛成した方なんだから、工合が悪いけれども、なぜ大蔵省が相当の抵抗を示したかということを一つ、宮崎君に説明さして下さい。純粋な議論をしていただきたいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/39
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040・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。
ただいま法規課長から、いろいろ特別会計の設立の経緯につきまして御説明ございました。私どもといたしまして、この治水特別会計の問題を議論いたしました場合に、第一に問題になりましたのは、ただいま御指摘のありました法規的な問題がございます。
といいますのは、ただいま法規課長の御説明でもありましたように、こういった事業、重要な事業でございまするが、こういう事業につきましては、財政の原則としますれば、できる限り一般会計でやりたい、一般会計でやる方が原則でございます。従いまして、特別会計を設置しなければ、この事業が非常に支障を来たすというような実体がないのであれば、これは一つ、一般会計で実施することにしてはどうか、こういうのが私どもの議論であります。
従いまして、その問題というのは、何かということになりますと、結局治水五カ年計画、あるいは十カ年計画というものの規模を、どのように考えるかという問題が、一番重大な問題でございます。
で、御承知と思いますが、私どもが治山治水の閣僚懇談会、その他の方におきまして、大蔵省としてこの計画規模は、この程度の規模でやっていただけないかということを主張して参りました。その規模は、この事業を一般会計で実施できる程度の規模として、私どもは考えておったわけでございますので、そういうような規模というものを前提として考える限り、一般会計でむしろ実施できるのじゃないか、従って特別会計ということまで考えなくてもやれるだろう、こういうようなのが、私どものこの予算編成の当時、あるいはその前におきます主張でございます。しかし御承知のような経緯がございまして……(田中一君「承知していない」と述ぶ)治水事業の前期四千億円、十カ年九千二百億円という、非常に大きな規模をもちまして、国策として、これを推進して参ることになって参りましたので、こういう規模で実施して参るということになりますれば、やはりこれを計画の方も、はっきり決定をする、同時に、この財政的な措置としては、特別会計によりまして、事業の実績を明確に把握いたしますようにいたしますと同時に、直轄事業につきます地方の分担金というものを特別会計にも取り入れまして、財源の拡充をはかる、こういうことも必要になって参ったわけでございます。そういうことで、私ども特別会計に賛成をして、これをやろうということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/40
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041・田中一
○田中一君 そうすると、原則としては一般財政でやった方がいいのではないか、原則としては。しかしながら、その主張というものは、現在の九千二百億という治水事業じゃなくして、もっと小規模なものを大蔵省としては考えておった、その程度ならばいいではないか、こう言っておったけれども、御承知の事情でという御承知の、という分だけは知りませんけれども、九千二百億になったから、これはもう、何するかわからないから、一つ特別会計にして、明確にその数字を把握しようという考え方で特別会計に対して賛成したということなんですね。
そこで、そういうことになると、御承知のように、という内容を僕が説明すると、十カ年もの間、九千二百億という予算の一種の編成権というものを、予算を縛られたのではかなわない、何が起こるかわからない、そんな一兆五千億なら一兆五千億というもののうちの、十カ年九千二百億というものを縛られたのでは面子にかかわる、やはり、一々おれのところに相談に来い、そうして、ものをきめようじゃないかという、伝統的な大蔵省のあなた方の感覚ですね、そういうものを何とかして守っていきたいというところから、抵抗というか、異議があったのであって、事ここに至っては、やむを得ず、不本意ながら、予算も閣議決定で、九千二百億にいよいよ決定してしまったのじゃ、やむを得ぬという踏み切りをしたのですか——したと、見ようとするのですな、そこで、九千二百億の一応の計画が立っても、なおかつ大蔵省は、承知しておる範囲では、やはりそんなことをする必要はないのじゃないかというような御意見であったように聞いているのです。
その辺の経緯は、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/41
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042・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。
治水事業につきまして、これは、非常に重要な事業でもございまするし、また国としてこの事業をぜひとも完成までもっていかなければならないという性格の事業でございますので、もちろん財政関係の私どもといたしましても、このような事業が、できる限り早く完成する。計画の規模としても、国の財政の許す範囲であれば、できるだけ早く、しかも大規模にできるということが望ましいことは申すまでもないことでございます。
ただ、ただいま九千二百億の規模につきまして、私どもが当初考えていた規模といいますか、大蔵省が主張した規模というものが、ややこれより低い数字を申し上げておったというのは、これは、まあ部内でのいわば議論の経過を申し上げたわけでございまするが、この点、若干明らかにいたしますると、もちろんこういう会議におきまして、実施の責任に当たられる建設省、あるいは農林省におきまして、それぞれ事業の計画というものが、各事業個所ごとにできております。その事業を、できる限り早い時期に完成したいという意見を持つのは当然でございまして、そういう意味から、計画の規模としては、できる限り大きなものをやりたいということを主張されるわけであります。それに対しまして、財政当局なり、あるいは経済企画庁の立場といたしますれば、やはりいろいろの経済的な事情、あるいは財政的な事情から見まして、こういう負担がふえるということは、なかなか大へんでございますから、そういう意味から、どうしても若干の消極的な意見を言わざるを得ないということは当然でございまするし、そういう意味におきまして意見の相違が出て参るわけでございまするが、もちろん予算の編成の過程を通じまして、この両方の立場というものも、十分それぞれ議論がありました後に、この計画規模をやろうということを決定になったわけでございまして、私どもとしても、現在きまりました九千二百億の規模は、これはぜひやらなければならぬ、またこれは非常に重要なことである、こういうふうに感じておるわけでございまして、現在不満を持っておるというような事態のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/42
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043・田中一
○田中一君 これは午前中の農水委員会との連合で、農水委員の諸君から、ずいぶん質問があったのですが、宮崎君に伺っておきたいのは、十カ年計画が作成された暁には、法律的に、財政当局の意見というよりも、その計画に縛られるということは、従来とも、そういう例がありましたか。
私は今まで、あなたもちょっと言った、予算の許す範囲とかいうけれども、道路整備緊急措置法による事業でも、年度別の計画実施というものが、多少ズレが起きていることを承知しております。で、今度は、こうして公共事業——主として、港湾も昨年できましたし、道路ができ、港湾ができ、河川ができるということになりますると、相当財政当局に対する制約があるわけですね。これが完全に閣議決定でもあり、予算は、これはもう日本がつぶれるような事態になれば、これは別でしょうけれども、われわれは平和な日本であるという前提に立って、まあ自衛隊なんかというものに対しては、ことしと同じように要求があっても、縮減して、これを重点的に計画に乗せていくのだということで、今まで、そういう心組みでやっておったのか、それから今後とも、こういう気持で見ようとするのか、あなたは主計官として、あなたがいつもじゃまになっているんですから、これは一つ、率直に言っていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/43
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044・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。
治山治水十カ年計画と申しますのが、今度の緊急措置法によりまして決定されるわけでございまするが、国土保全関係のこういう事業につきまして、年限を限りました計画というものが、閣議決定によって決定されるということは、今回が初めてであると私は承知しております。
ただいま道路のお話も出ましたが、道路整備五カ年計画につきましても、これは、もちろん財源の裏づけということも十分考えまして、計画の規模をきめたわけでございますので、その実施に当たりましては、非常な特別の事情がない限りは、これを計画通り実施していくということでございます。で、年次計画というようなものはございませんが、これは毎年度の財政事情は、若干変動もございまするので、それは、各年々の事情によって、若干の伸び縮みというのは当然考えなければなりませんが、五カ年全体として見れば、これは、ぜひとも実施するという覚悟でやっておるわけでございます。
今回の治山治水十カ年計画についても、その形は、道路の場合と全く同様でございまして、これにつきましては、私どもといたしましても、計画通り実施していくということを当然考えておりまするし、また現在の三十五年度予算の規模、さらにこれから見通します今後の増加率というような点を勘案いたしましても、これは、計画通り実施できるもの、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/44
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045・田中一
○田中一君 これは、しばしば宮崎主計官の口から、私は聞いていることなんですけれども、昭和二十八年のあの大災害のあとにできた、治山治水、あれは十カ年計画だったかな、要綱がございました。この長期計画にのっとって、それを作成したのは、あれは緒方さんが会長になって総理府で作成したかもしれませんが、当然これは経済企画庁なり建設省は参画しておったはずなんです。
ところが、この計画をもととして、あれは閣議決定じゃありませんけれども、あれによって公共事業、ことに災害から国土を守ろうという一つの事業が、そのままあの思想から進んできたと思うのですよ。
ところが、あなたの口からしばしば聞くように、あの計画通りに建設省が要求をした予算を、たとえば砂防事業なんというのは、他の河川の工事と比較する場合には、相当低い進捗率を示している、現在でも。これはなぜかというと、山本君が河川局長になってから、そういうことになったのかもしれないけれども、道路、あの二十八年の計画を実施、そのままを実行しようという意思が、建設省当局にないのだということを、あなた僕に言っている。これは、村上さんもおられるから、私は、自分の耳で聞いておる。従って、今度の五カ年計画が策定されれば、これはおそらく山本君が、河川局長でいるかいないか知らぬけれども、少なくとも山本君が局長でいる限り、今度の策定された前期五カ年計画のままの、計画に乗った予算の要求はするであろうと思うのです。
そういう場合、逆に今度は主計官の方で、これはおかしいじゃないか、あの計画によれば、砂防はこれこれと、それから河川はこれこれという、砂防、河川、そのほかに何かある、地すべりもあろうし、それから海岸、伊勢湾もあろうし、いろいろ直轄河川もあるだろうし、そういうものから見て、今度は宮崎君の方で、これはおかしいじゃないか、計画よりも、砂防が減っているじゃないか、これはもっとふやしなさいということは、今回策定される五カ年計画によって、逆にあなたの方から、ふやさなければならないという意思表示は、当然できることと思うのです。その点は、どうでしょうか、できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/45
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046・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) ただいま二十八年の治山治水基本対策要綱に関する問題に関連してのお話でございますが、この計画につきましては、先生も御指摘のように、十カ年ということで、一応計画を決定になったわけでございますし、その規模も、相当大きいのでございますので、建設省といたしましては、その後これに基づいてこの治水五カ年計画ですか、新治水五カ年計画というものを作られたわけでございます。予算要求の方も、毎年度の予算でございますから、計画を全部やってしまうということであれば、当然計画通りということもございましょうが、そういう五カ年計画というようなものに基づいて、しかもそのうち、当該年度のものを要求されるということでありますから、これは進捗率等について、必ずしも比例的にやっておらないということは、種々技術的あるいはその他の理由のあることと私も承知しております。
それで今回、治山治水十カ年計画につきまして、前期五カ年、後期五カ年というように区切りをつけられました理由は、一つには、そういう点もあろうかと思いますが、これは五カ年計画ということでありますると、その事業の内容等につきましても、相当詳細にきめなければならぬのではなかろうかと、こういうふうに考えます。
で、そういう場合におきまして、これが閣議決定になり、そうして認められて、予算の要求という形に現われるということになりますると、これは、水系別の河川の状況、自然条件が変化したとか、あるいは特別の事情があって、計画変更を必要とする事態がありますれば別でございますが、通常の場合であれば、当然その計画に基づきまして、予算の要求が出ることと思います。こういうことに対して、私どもが当然賛成いたすことは言うまでもないことでございまして、現に、道路整備五カ年計画に基づく予算の査定等をごらん願いますれば、ほとんど全部が、要求通りになっておるわけでございまして、そういう点は、私ども十分心して参りたいと、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/46
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047・田中一
○田中一君 いや、あなたから今まで伺っているのは、自分も砂防事業の重要性をよく知っているのだけれども、何と言っても建設省が予算を要求しないのだ、だから困るんだということを伺っておるのですよ。一昨年でしたか、村上さんと一緒になって、だいぶ宮崎主計官、通いましたね、通って、そうしてまた取って返して、建設省へ行って、おかしいじゃないかと、なぜ要求しないのか、こういう経緯が、今までにございました。従って今度策定される五カ年計画は、計画そのものが、年度別に計画量というものは、おそらく策定されると思うのです。これが閣議決定になった暁には、河川局長あたりが、それの決定に目をおおって、他の方に重点的に目をやって、かたわな治水計画をしたのではならないと思うからなんですよ。
その場合には、逆に大蔵省の方から、これはおかしいではないか、砂防と見合わないじゃないか、計画に見合ってないじゃないか、砂防が少ないから、もう少し余分にしたらどうですかというようなサゼスチョンができるでしょうね、あなたの方では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/47
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048・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) 私どもも参画してきめます五カ年計画でございまするから、そういうような事態が生ずるということは、私全く予想いたしておりませんけれども、もちろん毎年度の予算として要求のあります各事業別の進捗状況なり、そういった点につきまして、十分御説明を拝聴した上で、これは合理的でないということが判断されますれば、私どもとして、これを改めていただくということを意見として申し上げることはもちろんできまするし、また、そういうふうにいたしたいと思います。
ただ、私ども今まで長年にわたって、こういった問題について建設省河川局とおつき合いをいたしておりまするが、そういうような、先生の御心配のような事態というものは、全く起こらないと、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/48
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049・田中一
○田中一君 今までは、閣議決定もしない、昭和二十八年の十カ年計画であったから、建設省は勝手に、その計画よりも、はずれた問題もやっておったけれども、今度は、それは間違いであろうということなんであって、今まではあったと、あなた自分で口で言っているのだから、私は、よく知っております。これからは、そういうことはないと思いますが、村上さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/49
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050・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 閣議決定をしますし、また今度は大蔵省の方も、建設省以上に国土保全ということを認識してきておりますから、これからは、そういう今までのような心配は、私はないものと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/50
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051・田中一
○田中一君 今までは、やはりあったんですね。
そこで、この特別会計は、やっぱり財源の確保というのが中心になっていると思うのですね。
そこで、治水による受益というものは、もうこれですっかり洗いざらい吸い上げましたかな。洗いざらいという言葉は、非常に何ですけれども、たとえば農業用の水路ですね、水路事業、これは、たしか地益税か、地方税か、こんな税金があったと思うのですよ、地益税というのかな。用水も引っぱる——これは治水事務所というのですか、土地改良区が負担する費用なんですよ。これなんかも、やはり私が調べた範囲では、大したものじゃないけれども、やっぱりこれも、一つの財源なんじゃないかと思うのですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/51
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052・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) 地方自治法の規定に、水利地益税の規定がございまして、これによって一定の地域を限って賦課をしておる例が、もちろんございまするが、しかし直接この河川事業等に伴いまして、水利地益税を課しているというような事例は私あまり聞いておりません。これはもう、非常にわずかな例ではないかと思います。一般的に行なわれておりますのは、河川事業に伴いまして、当然その一定の地域に、これは受益があるわけでありますから、そういった受益の町村から、分担金を徴収しておるという例が、これはまあ各県とも通じてございます。その率等におきましては、これはまあ、まちまちでございまするが、通常一割、あるいはそれ以内という程度の分担金を徴しているということがございます。
この場合には、その受益の対象が、農業であるとか、あるいは一般の商業であるとかというようなやり方ではなくて、その地域の市町村に賦課されておるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/52
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053・田中一
○田中一君 これらが、やっぱり特別会計の財源ということは考えられませんかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/53
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054・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) 現在の特別会計の形におきましては、そういった負担金等がありまする場合には、これは府県の負担といたしまして、国の補助金といたしましては、そういった負担金を控除したのちの純粋の工事費に対して一定の負担割合をいたす、こういう形になっておりまするので、国費としてはもちろん節約になるわけでございまするが、これを直接特別会計に取り入れることはいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/54
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055・田中一
○田中一君 それからダムの特会ですね、あれにあった農業用水の受益負担もありますね。そこでそのダムの場合には、ああいう一つの築堤をやるわけですけれども、その費用ということになるのでしょうけれども、一般河川も河川改修した場合には、そういうものは現在でも取っておらぬのですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/55
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056・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。今申し上げました市町村負担金というようなものは、先ほど申しましたように、農業という特定の業種に対する負担金という形ではないわけでございます。直接土地改良区等からそういった負担金を徴収しておるという例は私ども聞いておりません。特定多目的ダムの場合におきまする特定農業負担金と申しておりまするが、これは非常に特定なものでございまして、そのダムを作りますときに、そのダムにためます水をもって農業用水利に役立てるという計画に基づいて、この事業を実施しまたし場合でありまするから、従いまして、この水を利用する土地改良区等は特定いたしておりますし、計画の際にはっきりとその受益の程度もつかまえておるわけでございまするから、従いまして、これは特別に負担金を出していただく、こういうことになっておるわけでございまして、一般の河川改修事業でございますと、これは当然農業等の受益も相当あることと存じまするが、何分にもそういった場合に、計画的にその農業のためにということでやるわけでもございませんし、また多くの場合こういったものは不特定の地域になることが多うございまするので、これは直接土地改良区等から取るということはいたしておらないのでございまして、まあ市町村という形で負担をしていただくというのが現在のやり方でございまして、この形を改めるということはなかなか簡単ではございませんし、またそういう必要もないのではないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/56
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057・田中一
○田中一君 たとえばあそこは、佐原の先でしたかな、利根川の佐原の上流に印旛に行くポンプ場ができましたね。あれは農林省がたしかやっておりますね。あれは特に農業用水ばかりではなくて、工業用水もあそこから取ろうということでやっておるのではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/57
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058・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 印旛の排水場だと思いますが、利根川に作っておりますものは、あれは印旛沼周辺の水を排水する目的で作っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/58
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059・田中一
○田中一君 しかし、場合によれば、印旛からたとえば千葉の臨海工業地帯に水がほしい場合には、あれは逆な作用をする場合もあり得るわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/59
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060・宮崎仁
○説明員(宮崎仁君) ただいま先生から御指摘の問題は、現在そういうような計画が通産省あたりの方から出ておりまして、企画庁あたりでもいろいろ問題にして調査をいたしておるものでございます。これはその印旛沼の湖水を利用しまして、千葉の工業用水にさらにもう少し水量をふやしたいという希望がございます。そのためには現在の印旛沼の水量だけでは足りなくなりますので、利根川から水を入れるとかいうようなことは考えられないかどうか、その場合にどういうものを作ったらよろしいかということで調査は行なわれておりまするが、まだそういうふうなことをやったということもきまってもおりませんし、もちろんそういう施設はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/60
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061・田中一
○田中一君 そういう場合には、工業用水にもそういう河川から直接にそこまで、ポンプアップでも何でもいいですが、取る場合に、これはやはり受益者にならぬですかな。それからもう一つは、茨城県の波崎が塩害で非常に苦労したときがございましたね。そのためにあすこに排水場を作っているのもありますね。ああしたものはやはり受益者ということにならぬですかな。個人じゃなくて町村なら町村で持つということにならぬですかね。これは災害工事としてそのまま作ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/61
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062・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 今の用水関係につきましては、用水関係に要する費用は、用水を行なう人が事業を行なうわけでございますので、これは国の河川工事としては行なわないわけでございまして、用水を取る人が工事をやるわけでございます。ただ、水を取ることによって利益を受けるわけでございますが、工業用水等におきましては、各府県で条例を作りまして水の使用料というものを県がとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/62
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063・田中一
○田中一君 私がこういうことを言うのは、何とかして特別会計にしたいということで、あれやこれや財源調べをしたことがあるんですがね。何とか水利によるところの財源というものはどっかから持ち出せないか。おそらく宮崎君あたりが反対するだろうから、その裏を返して探そうじゃないかということで探したことがあるんですが、どうも現行法ではないわけなんですね。水利地域税なんといったものはごく少なくて全部で三億円程度しかないというんですよ。そんなものじゃ話にならぬと思ったことがあるんですよ。これもひとえに治水事業というものを計画性あるものにして、大蔵省のいわゆる出し渋りを縛ろうというところにあった。まあ私はこの辺で質問はやめますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/63
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064・安田敏雄
○安田敏雄君 この昨年、国土建設の現況という本をいただいて見ますと、この中に、昭和二十八年度に内閣に設置された治山治水対策協議会で決定された基本計画のおもなる事業を遂行していく過程で、この治水費のところを見ますと、昭和二十五年から三十三年度までの数字をあげて、治水事業費投資の状況は比較的一般水準を保持しているとはいうものの、国の財政上公共的投資額中に占める割合は漸次低下しているという前提がうたってあって、その次にいって、しかしながら今後もこの程度の投資額で推移するものとすれば、基本計画の達成にはなお三十年を必要とするということが書いてあるわけなんです。従って、そういうのを見て、今度のこの措置法によって積極的に治水計画をしようということの目的のために、建設大臣の提案理由の説明の中には、昭和三十年度に策定した治水基本計画に基づいて、その残事業のうち主要な事業を三十五年度から十カ年間で達成する。従って、当面五カ年計画では四千億円用意しているのだ、こういうように説明してあるわけでございますが、前段の方のこの建設白書ですか、これに載っておりますところを見ますと、三十年毎年この投資額を必要とするのだということになりまして、これを十カ年でなし遂げようとするには、少なくとも最小限度われわれが算術的に考えまして三倍の投資額を毎年していかなければならぬというように思うわけなんです。ところが、同じく説明の中には、治山事業費については、前年度よりも大幅に増額いたしまして三〇%増額したということをうたっているわけなんですね。そうしますと、私しろうとで考えたところによって大体二倍から三倍は投資しなければならぬというのが、まず計画の初年度にあたって三〇%では、この計画を実行していく中において少しくどうも数字が合わないし、計画倒れになるんではないかということが当初から心配されるわけなんです。こういう点についてもう少しく具体的に説明願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/64
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065・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 二十八年に立てました基本対策の総事業費は、現在の物価にいたしますると一兆二千四百八十億余りになります。それに対しまして、二十九年ないし三十四年までに実施いたしました事業費が二千三百二十六億でございますので、進行率は六年間で一七・四%でございますので、二十九年から三十四年までの実施額の平均をもって実施して参りますると、大体三十年近くかかるということに相なるわけでございます。そうして今回考えておりまする十カ年計画の費用は、先ほどからお話がございましたように、九千二百億でございますので、三十五年度以降に残っておる治水事業は、約一兆二千億でございますので、残りの分の七五、六%ができ上るわけでございまして、その点は、大臣の御説明にありましたように、これだけ、七十数パーセント実施いたしまするならば、残っておる事業の四分の三ができるわけでございますので、主要の事業は、その間に完成できるということでございます。これは計算いたしてみまするとそういうことに相なるわけでございまして、大臣の御説明通りに進捗できるわけでございます。残りの事業を全部やるわけじゃございませんで、その四分の三ぐらいを実施いたしますれば、主要な事業はでき上るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/65
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066・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 安田君、特別会計の方を先に……、特別会計で何か御質疑がなければ、引き続いて治山治水緊急措置法案の質疑に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/66
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067・安田敏雄
○安田敏雄君 そうしますと、今度の治水特別会計の予算額の総計を見ますと、五百五十億になっておるわけなんですね。そうしますと、この勘定でいきますと、五カ年に四千億だということでございますから、五カ年間の平均値を算術的に見ますと八百億になるわけです。それに対しましてまだ相当、二百億以上の開きがあるわけなんですよ。そういうのを、今までの田中さんの質問から関連して見たり、あるいはまた過去の実績から見ますと、建設省がおとなしくて大蔵省に請求しないのだというような問題も出ている中では、何か八百億の平均値に対しまして五百五十六億円と、少しこれは計画に当初からもうズレがあるのではないかと、こういうふうに私ども考えられるのですが、この点どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/67
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068・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) その点御疑問があると思いますが、予算書にあげてありまする金は国費でございまするので、事業費に換算いたしますると、河川、砂防、ダム、これに要する費用等を入れますると、三十五年度の事業費は五百八十億に相なります。その点におきまして、一つ事業費の方がふえるわけでございます。
それからもう一つは、五カ年間四千億ということでございますが、この四千億の中には、先ほど田中先生からもお話がございましたように、県の単独で行ないますものが百億、それから河川におきまして、災害と合併いたして施行する災害関連事業費が約二百五十億ございますので、治水対策として河川改修、砂防、ダム等に行ないまする事業費は、五カ年間で三千六百五十億、この三千六百五十億と五百八十億を対比していただきますと、五百八十億をスタートといたしますと、大体一一・五%ずつ毎年伸びて参りますと、五カ年間の合計が三千六百五十億ということに相なるわけでございまして、数字のつじつまはそれで合うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/68
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069・安田敏雄
○安田敏雄君 なおその次の問題としては、建設白書には電源開発を主軸とするB種公共事業のような進捗率が、従来は五九・七%、それから治水費は非常におくれて三二%、こういうふうに進捗率が低位にあるということが書いてあるのでございますが、そういう面からいきましても、従来よりもむしろ大幅に二倍ぐらいにするというと、過去の事例からいきますと六百億以上になっていかないと、完全な対策ができないではないかというふうにも考えられるのですが、こういう点についての御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/69
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070・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) ただいまのお話は、特定地域の総合開発計画というのが、閣議できまった地域がございまして、この地域の内容におきまして電源開発には幾ら要る、治山治水には幾ら要る、あるいは農業の土地改良に幾ら要るという数字が掲げてございまして、それが閣議決定になっているわけでございまして、まことに遺憾ながら、電源開発等におきましては、その閣議決定になった事業の進捗率が非常にいいわけでございまして、治山治水が、他の事業にも若干それに類するものもあると思いますけれども、基礎的事業である公営事業が非常におくれているということが、そのパンフレットに書いてあるわけでございまして、私どもといたしましても、こういう状況であるので、災害が非常に多く発生するのだということを申し上げているわけでございます。私どもといたしましてはそういうふうにおくれているので早く推進しなければいかぬということで、年来強く主張して参りました。ようやく三十五年度以降五カ年計画で推進できるということでございまして、三十五年度は五百八十億でございますが、これが逐次一一・五%ということで伸びて参りますと、三十五年度では約八百九十億に相なるわけでございまして、まあ今おっしゃいまするようにまだ不十分であるということは、まあ言えばきりはないのでございますけれども、この線まで持っていけたということは、われわれといたしましても非常にその面におきまする推進が得られたということに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/70
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071・田上松衞
○田上松衞君 一番しまいのここでいう十カ年計画を実施するために必要な措置を講ずるということになっているのですが、必要な措置の範囲を一つ御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/71
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072・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 内容といたしましては、財政上の措置はもちろんのこと、行政的に申しまして、人員であるとかあるいは技術の面であるとか、地方公共団体で行なう事業もございますので、そういうふうな面におきまして必要な措置を講じようということでございます。財政的な措置と申しまするとやはり国の費用だけではいけないわけでございます。地方で持ち出す費用もございますので、それらを含めまして国といたしまして、これの計画が実施できるようにあわせて処置をしようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/72
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073・田上松衞
○田上松衞君 そのほかに隠されたものはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/73
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074・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) そのほかのことは考えていないわけでございまして、ほかにと申しますと法律や予算の範囲をこえて、事務当局あるいは政府がそういうことをやるということはもちろんできないわけでございまして、もし今の法律等においてできないことがありますれば、もちろん法律を提案いたしまして、国会の御承認をいただかなければならぬということはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/74
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075・田上松衞
○田上松衞君 今の話は御説明通り承っておいて、午前中に農林大臣にお聞きしたのですけれどもどうもはっきり納得できなかったのです。繰り返しておきますけれども、経済企画庁長官に、すでに同じ役所のことであるから協議はされておったろうと思うのですけれども、経済企画庁長官と建設大臣が出されたところのこの案と何か食い違った点が出て参りましたか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/75
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076・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 経済企画庁長官と治水関係閣僚懇談会におきましていろいろと協議した際に、当初は、建設省あるいは農林省の要求する治山治水の事業規模というものと経済企画庁の規模は必ずしも一致いたしていないのでありまして、むしろその規模が建設省の策定したものよりも小規模であったということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/76
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077・田上松衞
○田上松衞君 そうすると大体これに関係いたしまする措置の中の大蔵大臣の考えとも若干違っておった、この今の御説明になったような点が、さっき発見されたわけですが、ややそれと同じような意味だったということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/77
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078・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 大体この治水関係閣僚懇談会の協議の際には、ただいま申しましたように、当初は経済企画庁案あるいは大蔵省案というものが、いずれも建設農林両省の案よりも下回っておったのでありましたが、その後この実態につきましてわれわれが十分その計画を示し、緊要度の高いところからずっと五カ年計画あるいは十カ年計画の規模を詳細に説明いたしましたところが、だんだんと了解できまして、最後の段階では全く大蔵当局も経済企画庁も、われわれとその規模において一致いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/78
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079・田上松衞
○田上松衞君 さらにさかのぼりますが、この案によりますると農林大臣と建設大臣との間に、治山治水事業の総合性を確保するために、あらかじめ相互の調整をはからなければならぬということも、また規定されておるわけなんです。そこで農林大臣と建設大臣との間の調整は完全にできたものだとみなしてよろしいのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/79
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080・村上勇
○国務大臣(村上勇君) これはもう災害防除の一番基本になる両省が、もしもまちまちな事業を遂行いたしましたのではその目的に沿わないのでありますから、十分一水系ごとに協議いたしまして、投資を有効ならしめるような方法を講じております。特に治山治水の閣僚懇談会に至るまでの間には、各段階において事務当局同士の折衝がたびたび行なわれまして十分この目的を達成するに足るだけの措置は講じておりますし、絶対にばらばらの考え方で計画を立てていないことははっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/80
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081・田上松衞
○田上松衞君 特にこの緊急措置法を作らなければならなかったことから推測いたしまして、今までの間に、治山事業及び治水事業との間に、これに盛られてありまするようなことが達成できなかった一番因った点はどういう点でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/81
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082・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 私の知る範囲におきましては、農林、建設両当局の間に、別に事業遂行の上に何らそごはなかったように私ども承知いたしておりますが、ただ先ほど来田中委員からもいろいろお話がありましたように、私どもとしてはこの法律によって、十カ年あるいは五カ年の事業の規模を決定し、これを閣議にかけて正式に決定するということに相なりますので、そうなりますれば、今までのように建設あるいは農林それぞれの内輪だけの五カ年計画とか十カ年計画というものが、往々にして予算の裏づけがいろんな問題で一貫して参りませんので、この際どうしてもこの法律によって閣議決定をして、計画予算というものを裏づけをしてもらうというので、私はこの緊急措置法が非常に重要な役割をするものだろうと、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/82
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083・田上松衞
○田上松衞君 そこで初めに戻ってくるわけですけれども、必要な財政上の措置については、今までのお話あるいはさっき大蔵関係の方のお話の中でも大体わかるわけですが、行政上の措置というものが特に考えられたという点について、何か今までの間に大きな欠陥があったのか、さように感じられないにかかわらずそういう措置が特に明記されなければならないという理由について、いま少し御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/83
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084・村上勇
○国務大臣(村上勇君) この第四条の「必要な措置を講ずるものとする。」という点は、これはただこのまま読みますと、いろいろ必要な措置があるのじゃないかというようにお考えになられるのは、私は当然だろうと思います。しかし私どもがこの「必要な措置を講ずるものとする。」というその基本的なものは、先ほど申しましたように、予算の裏づけを政府はしなければいけないぞということを、この最後の第四条によって、この法律によって厳重に政府に要求していると申しますか、政府に責任を持たしておるというように私は解釈しておりますし、またこの立法にあたりまして一番力を入れたのが、この四条でありますことを一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/84
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085・田上松衞
○田上松衞君 午前中農林大臣に聞いたときに建設大臣がおいでだったから、大体おわかりになっておるだろうと思うのですが、地域を選定するための基準を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/85
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086・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 地域的には、先ほど農林大臣のお答えいたしておりましたように、また私も昨日、本会議でお答えいたしましたように、その緊要度の高いところ、あるいは人口の密度とかあるいは経済基盤、あるいは経済力、そういうようないろいろなことを勘案いたしまして決定するのでありますが、大体この法案の提出に至るまでには、こういう問題につきましてはもう大約の地域の決定等もでき上がっております。私はこの地域決定につきましては、時間的にさほど不安がないものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/86
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087・田上松衞
○田上松衞君 もちろん予算の案ができておるわけでありますから、具体的にこれの地域だということはきまっておるだろうと思いますし、それの御発表を願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/87
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088・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 大体の五カ年計画は、すでに長い間かかって緊要度の高い所からそれぞれ策定いたしております。特に午前中に田上委員から農林大臣に御質問のありました点につきまして、私もこれをお答えしなければなりませんが、この法案が時間的に三十五年度の計画と非常にそごを来たすんじゃないかという御質疑でありましたが、私は田上委員の潔癖論から申しますならば、あなたの御疑念の点と全く一致した考えを持っております。従いましてこの点については、法案の通らないうちにまた法案が通ってもわずか幾日かの短時日に、そういう地域的なことが経済企画庁長官と相談し、あるいは審議会等にかけて実施できないんじゃないかということは全くその通りであります。しかしすでに長い年限にわたってこの計画は樹立されておりましたし、また三十五年度予算に、その緊要度の高い所から計画に入れまして、ただいま予算として御審議願っておるのでありますので、私どもはこれを三十五年度、初年度の事業につきましては、一応これで経済企画庁にもまた審議会にも御了解が得られるものと確信いたしております。三十五年度の予算を含んだあとの四カ年、これを合わせた五年計画につきましては、この法案が成立いたしました後に、十分検討してなるべくすみやかにそれぞれの機関に諮って正式に決定いたしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/88
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089・田上松衞
○田上松衞君 一応了承しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/89
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090・永岡光治
○永岡光治君 ちょっと建設大臣にお尋ねいたしたいんですが、第三条で案の作成からそれから農林大臣、建設大臣で意見の調整のことを規定され、その前に経済企画庁長官の協議があり、作成できたやつは一応県知事に通達するということになっておりますが、この法律が通過いたしましてから、具体的にどういう順序で進んでいくんでしょうか。これを見るとだいぶ錯綜しておるようですが、まず最初に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/90
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091・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 順序は多少——最後決定はもう一ぺん相談することはありますけれども、大体の順序といたしましては、従来農林省におきましても、建設省におきましても十カ年あるいは五カ年計画等の作業はいたしておったのでございます。ただ最後に決定いたしました五カ年計画あるいは十カ年計画の規模が、当初考えておった規模よりも多少変わってきておりますから、それにあわせるように各事業費を作らなければいかぬわけでありまして、それにつきましては建設省の直轄工事ならば自分で作らせますけれども、補助工事につきましては、やはり府県等が事業の担当者でございますので、計画につきましてその意見を聞かなければならぬのでありまして、その意見をただいま数字的に聞いております。それをまとめまして建設省案ができるわけでございますが、それができましたならば、この条文の趣旨によりまして農林大臣と、主として治山と砂防の関係を個所別に打ち合せをいたしまして、その上で経済企画庁に一応まとまった案を御相談し、同時に一方各審議会にかけまして、審議会の審議も一度では済まないかとも存じます。この審議会というのは学識経験者も入っておりますけれども、関係各省の次官が審議会の委員になっておりますので、経済企画庁長官と協議がまとまると同時に、審議会が通るという形になりはせぬかと私は考えておるわけでございます。そんなふうな順序になりまして、次に閣議決定ということに相なりまして、その閣議決定がありましたならば、都道府県知事に内容を御通知するという順序に相なると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/91
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092・永岡光治
○永岡光治君 そうすると予算の裏づけのある法律で、四月一日から実施されることに規定されておりますが、かりに四月一日から一応効力が発効するとして、大体いつごろ県知事の方に通達できるという段階になりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/92
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093・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これにつきましては私どもといたしましては、先ほど来の御説明もございましたので、前期の五カ年計画の決定は特に急がなければならぬと思っておりますので、私どもの方の希望といたしましては、五月末か六月初めには五カ年計画を決定したいと思いますけれども、これは各省との折衝にも時間がかかりますので、多少のズレはあるかとも存じますけれども、そういうふうに想定をいたしまして作業を進めております。従いましてそれが決定いたしますならば、その直後に各関係の都道府県の知事さんにはお知らせしなければならぬというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/93
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094・永岡光治
○永岡光治君 そうすると五月末ということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/94
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095・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 閣議決定をそのへんの目途としてお願いしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/95
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096・永岡光治
○永岡光治君 そうすると、実際にこの工事の動き出す時期、着工の時期というのはやはり七月ごろになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/96
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097・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) その点が先ほど来いろいろ御質問ございましてお答え申し上げたわけでありますが、五カ年計画あるいは十カ年計画の全体の規模は、今閣議決定が済まなければできないわけでございますが、さりとて四月から六月まで工事を休むわけにもいきませんので、便宜と申しますか、この三十五年度予算案につきましてはすでに閣議決定もございますし、また国会の御審議を経まして成立いたしますならば、三十五年度事業につきましては四月から発足さしていただきまして、その事業を五カ年計画に含まさしていただこうというのが趣旨でございます。従いまして、事業が六月からでなければ始まらぬということではございませんように措置したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/97
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098・永岡光治
○永岡光治君 私の質問の要旨は結局予算の消化の状況を心配しているものですから、その消化状況がはたしてうまくいくだろうかどうだろうかということで質問しているわけですが、その点は大体心配はない、こういうふうに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/98
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099・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 三十五年度の事業につきましては、従来やっておりますように、三十四年度の事業をやっておりましたと同様に、四月早々から事業に着手いたしますし、しかも来年度におきましては相当事業量が伸びるわけでございますので、各種の起債措置等につきましてもできるだけ早くきめていただきまして、あわせて事業の促進がはかれるように努力いたしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/99
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100・永岡光治
○永岡光治君 第二条では、この予算の対象外の規定を第三項ですか、規定いたしてありますが、そこで、いずれ当委員会でも付帯決議等で問題になるのじゃないかと想像いたしますが、これによりますと、この工事を実施するために、府県ないしその他の市町村等で行なう工事に影響のあるような工事ですね、その工事をやったために手直しをしなければならぬというような工事が府県ないし市町村でできた場合、その経費はどういうふうにみるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/100
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101・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 治山治水事業はもちろんでございますが、原因者負担という原則がございまして、治山治水事業を行なったために、他の農業用水なりその他の事業や工作物に影響があって、目的が達せられないというような場合には、もちろん原因者でありまする河川工事なり、あるいは砂防工事を行ないます国なり地方公共団体の河川費、砂防費等から支出いたしまして、支障のないように措置するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/101
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102・永岡光治
○永岡光治君 その点で、その県なり市町村の地方公共団体の負担にならずに、たとえば私もど心配するのは、めんどうはみるけれども、なんぼかのある程度の補助程度にとどまって、結局市町村が迷惑をこうむるというようなことがあっては困るのだと思うので、その点をまるまる国の方でみていただけるということになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/102
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103・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) ただいまの工事は河川なり砂防なりの付帯工事という項目がございますが、その付帯工事費で支弁いたしますので、そのために何も受益のない市町村等が金を支出するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/103
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104・永岡光治
○永岡光治君 今のそういう規定はどこかに出ているのですか。この法律以外にそれを保障される規定があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/104
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105・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) この法律は、治山治水の十カ年計画をきめて、その実施を確実にしようという法律でございまして、各事業はいずれも根拠法があるわけでございまして、河川の工事を行なう場合におきましては河川法、砂防事業を行なう場合は砂防法でございますので、いずれも付帯工事の規定がございますので、原因が河川の工事によって生じた場合には、原因者である河川工事を行なう者が負担して事業をやるということに規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/105
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106・田中一
○田中一君 ちょっと。まず資料をもらってから質問したいと思ったのですけれども、今永岡君のに関連して聞きますが、この法律というのは、緊急措置法を見ると、計画策定にあたって事前に何ら地方公共団体の長には相談しておらぬようになっておるのです。何にも相談してないようになっておる。決定すれば知事に通知するということになっておるのですけれども、これはむろんあなた方の答弁はきっと、この計画そのものが地方公共団体の長であるところの知事から、こうしてくれああしてくれという要求があるから、それをまとめるのでその必要はないなんて答弁するだろうけれども、これはどうかと思う。というのは一面単独の事業がある、たとえば普通河川、さっき説明を聞いたように、普通河川であれば単独事業なんです。それが自分らの知らないうちにたとえば、いつの間にか直轄河川に流入する水がどこかでとめられたり、あるいは今永岡君の質問にあるように、かさ上げされたりして困るような場合があるかもわからない。こういうものの連絡調整というものは、どこにもこの法律じゃ事前に行なうというように書いておらぬ。また山本君は、それは河川法の本法にあるからその方でやればいいと言うかもしれぬけれども、そういうものじゃない。私の言っておるのは、十カ年計画の策定という法律であるならば、そのものに対してそういう事前の協議が必要であろうと思う。一方的なものなんです。その点はどう調整をするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/106
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107・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) これにつきましては、もちろん県の行なう事業もございますし、河川の管理は県知事でございますので、その意見を十分聞いてやらなければいかぬわけでございますので、先ほども御説明申し上げましたように、治水計画、治山計画を作る場合には、県営でやります事業につきましては県から意見をとっております。直轄事業も国で一応計画は立てるわけでございますが、関係府県と相談いたしまして地建の方で作成いたしておりますので、県の意向は十分しんしゃくされまして計画の上に反映して参るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/107
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108・田中一
○田中一君 そういう条文はありますか。実体は相談するというけれども、しなければならないのと、一方的にするのと非常に違う。あなた方は役人なんだ、しかし知事は民選の輿望をになった者なんです。考えてみればあなた方よりも知事の方がやはり影響するところが大きい。権限としては行政区域に対しては大きいですよ。それらのものを除外して計画を策定するというようなことじゃ困る。実体はそうじゃないということはわかります。それは法律のどこにあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/108
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109・山本三郎
○政府委員(山本三郎君) 法律には書いてございませんが、河川法の趣旨によりまして、県知事は国の機関といたしまして河川を管理しておるという状況でございまして、建設大臣が監督をいたしておりますので、建設大臣が計画をいたしましても、決して法律には触れないわけでございます。ただ、この事業を行なう場合におきましては、地方の負担も伴いますので、十分地方公共団体の長といたしましての知事には相談をいたさなければならぬわけでございます。従いまして、具体的には、地方の公共団体の意見を十分汲み入れるように地方の計画をただいまとっておりますし、また直轄事業につきましては府県当局と十分打ち合わせておりまして、事業計画は立てた、実施ができないというようなことがないように具体的には進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/109
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110・田中一
○田中一君 知事に相談しないでも計画を立てられるようになっておる、この法律はね。知事に相談しないでも計画の策定はできるのです、この法律では。どうしてそれを明示しないですか。実際そうだ。ことに北海道などの事実というものは、実体としては、建設大臣が北海道開発庁長官を兼摂しているからそんなことはないというかもしらぬけれども、経済企画庁の所管でもなければ、北海道の場合は建設大臣の所管でもないです。総理大臣の所管であり、かつそれに対する主務の国務大臣として北海道開発庁長官というものが任命されておるのですが、ここには何も相談しないで北海道の場合をやる。だから貫いているものが独断でやれるんだということなんです、法律の面から見た場合には。実態はそうじゃないのでしょう、おそらく。しかしながら法律の面では、北海道の場合でも、北海道を直接担当している開発長官には何も相談しなくてもできるんだという建前になってるんですね。むろん都道府県知事にも何ら相談しなくてもいいんだという建前になってるんですよ。何べんも言うように実態は違いますよ。実態は相談してやるでしょうけれども、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/110
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111・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 北海道開発庁の長官は、治水関係閣僚懇談会にもその主要メンバーの一人になっておりますし、それから北海道自体でも総合開発あるいはこれらの計画がなされておるのでありますから、それをこの治水関係閣僚懇談会等において、北海道は北海道としての立場を十分取り入れていけることになると思います。またこの治水事業の五年計画あるいは十カ年計画等は、これはみな最終的には閣議で決定するということでありますが、この閣議決定の際の閣僚の一人でもありますし、あらゆる機会にこれらに対して北海道としての問題を取り上げて、十分その意見を申し述べる機会があるので、私としては別に特に北海道というようなことをここに示さなくても、十分これでやっていけるものと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/111
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112・田中一
○田中一君 私が言っているのは、実態はそうであろう、しかしながら法文の上でそれがないじゃないかと言ってるんですよ。経済企画庁長官は出てます。実態としては、所管は建設大臣の所管ではないんです。予算も北海道開発庁は別なんですよ。建設大臣の所管の予算じゃないのです。だからこの十カ年計画というのは別だと言っておるのですよ。建設大臣が扱うのだということになっておらぬと思う。設置法を調べてみましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/112
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113・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 北海道開発庁の長官の発言するその場面というものは、そういうふうにたびたび正式な機関で発言ができるのであります。しかし建設大臣は日本中の、北海道を含めたすべての治水計画、あるいは農林大臣の場合には治山計画等の総責任を負っておるのでありますから、北海道開発庁長官としては、一地域の責任者であるというようなことから、私は特にこの措置法に明記しなくても十分ことは足りると、かように思っております。
それから都道府県知事は、都道府県の問題につきましては、いわゆる河川関係等の審議会の構成メンバーの中にこの都道府県の代表が入っておりますから、これらの正式な機関を通じてそれぞれ意見があるところを十分伝えて、検討することができるとこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/113
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114・田中一
○田中一君 どうも村上さんそれは不十分だよ。もっと納得するような形の説明をしてほしいのだがな——とにかく不十分です。不十分ですから一つ次会に譲ってもう一ぺん質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/114
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115・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御発言がなければ、本日はこれにて終了することに決したいと思います。
先刻要求を出していただきました資料要求につきましては可及的すみやかに調製の上、当委員会に御提出していただくようにお願いをいたしておきます。
本日はこれで散会いたします。
午後四時十六分散会
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X01419600322/115
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