1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十二日(木曜日)
午前十時二十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 岩沢 忠恭君
理事
稲浦 鹿藏君
松野 孝一君
武藤 常介君
田中 一君
委員
小沢久太郎君
小山邦太郎君
田中 清一君
米田 正文君
武内 五郎君
永岡 光治君
安田 敏雄君
田上 松衞君
小平 芳平君
衆議院議員
村上 義一君
井手 以誠君
国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
建設大臣官房参
事官 高田 賢造君
建設省住宅局長 稗田 治君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○九州地方開発促進法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○日本住宅公団法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○地代家賃統制令の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○公共工事の前払金保証事業に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/0
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001・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
本日は提案説明三件について趣旨説明を聴取した後、公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を続けたいと思います。
初めに九州地方開発促進法の一部を改正する法律案について、まず発議者の方から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/1
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002・井手以誠
○衆議院議員(井手以誠君) 井手以誠でございます。提案いたしましてから一月以上になりましてまことに恐縮に存じておりますが、ただいまから九州地方開発促進法の一部を改正する法律案について提案の理由を申し上げます。
この法律は、昨年の通常国会において、九州、山口各県の熱望にこたえ、議員提案により全会一致成立したものであることは委員の各位御承知の通りであります。
この提案にあたって、当時の小沢自民党九州地方開発特別委員長は、この法律のかなめである国の負担率について「昭和三十四年度においては財源の裏付けを得るに至りませんでしたので、昭和三十五年度以降において所要の改正を行なうことにいたしまして附則第二項のごとき規定を設けたのであります。すなわち昭和三十五年度の予算の編成に伴って重要な事業については、九割を限度として国の通常の負担割合を二割程度引き上げる措置をとり、もって開発促進計画の実施促進を期している次第であります。」と言明されております。その上国会の権威と立法の建前から、立法と同時に国の負担割合を一率に二割引き上げようとする私ども社会党提出の修正案を否決し、この特別措置に非財政再建団体を含める自民、社会両党共同提出の修正案を可決、内閣もこれを承認する意見を述べられたことは委員各位の記憶に新しいことと思うのであります。
すなわち、この三十五年度から九州地方開発の重要事業に対する国の負担割合を二割引き上げることは、国会の厳然たる意思であり、政府、与野党一致の公約であると信じます。従いまして政府はすみやかに国の負担割合を引き上げる立法措置をとらねばならないことは申すまでもありませんが、諸般の事情から三十五年度に入った今日なお提案に至っておりませんのはまことに遺憾に存ずるものであります。よってここに本法律案を提出いたしました。
なおこの改正法律案の概要を申し上げますと、第一、財政再建団体には国の負担割合を二割引き上げ、さらに将来の財政再建団体にも同様の措置を講ずること、第二、財政再建団体と同様の財政事情にある非財政再建団体にもこの特別措置を準用すること、第三、これらに該当しない非財政再建団体に対しても、地方総合開発の見地から一割を引き上げようとするものでありまして、これらに要する一カ年の経費はおおむね十六億円の見込みであります。
以上提案のいきさつを御賢察の上、すみやかに御可決下さるよう御願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/2
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003・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 本案についての質疑は次回に譲りたいと存じます。
ちょっと速記をとめて下さい。
[速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/3
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004・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 速記を始めて。
次に日本住宅公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/4
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005・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました日本住宅公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
第一に、日本住宅公団が市街地の不燃高層化をはかるため市街地の住宅建設を行なう場合に、その建設用地の取得がますます困難となっている状況にかんがみまして、これらの用地の取得を容易にするため、住宅の建設と一体として商店、事務所等の用に供する施設を建設し、これらを当該用地の所有者等に賃貸または譲渡する方法によることがますます必要となって参りましたので、これらの業務を日本住宅公団に行なわせることを法律上明らかにいたしました。
次に、日本住宅公団の住宅は、耐火性能を有する集団住宅で、団地を形成している点にその特色を有するのでありますが、団地生活の利便を増進し、住宅管理を合理的に行なうための方法として、日本住宅公団は、団地の居住者の利便に供する施設の建設もしくは管理または団地の居住環境の維持、改善に関する業務を行なう事業に対して、建設大臣の認可を受けて、投資または融資をすることができるものとし、建設大臣がこの認可をしようとする場合においては、あらかじめ、大蔵大臣と協議しなければならないことといたしました。
次に、日本住宅公団は、従来、建築基準法及び宅地建物取引業法の適用にあたり、国とみなされておりましたが、同様の趣旨において、不動産登記法等の法令につきましても、その必要が認められますので、これらの法令につきましても、公団を国または国の行政機関とみなして、これらの法令を準用することといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/5
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006・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に地代家賃統制令の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/6
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007・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました地代家賃統制令の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
現行の地代家賃統制令は、終戦後における異常な住宅難による地代家賃の急騰を防止するため制定されたものであります。
現在におきましては、一般物価がおおむね安定し、ほとんどの統制が廃止され、また、住宅事情も終戦当時の窮迫した状態に比べれば相当緩和されつつあります。
また、現在行なわれております地代家賃の統制は、全部の借地借家についての統制ではなく、昭和二十五年七月十日以前に建築に着手した住宅で、延面積が三十坪以下であるもの及びその敷地に限られておりますので、一部の借地借家についてのみ地代家賃の統制が行なわれているのであります。
以上に申し述べましたことその他最近における社会経済の実情にかんがみまして、今後なおこの統制を継続することは適当でないと考えられますので、統制令を失効させるべきであると考えるのであります。しかしながら、その失効の時期につきましては賃借人が失効後に備えて必要な準備を行なうことができるよう考慮する必要がありますので、一年程度の猶予期間を置いて昭和三十六年六月三十日限り失効させることといたした次第であります。
なお、統制令失効前にした行為に対する罰則の適用については、失効後も統制令の効力を有することといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/7
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008・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 両案についての質疑は次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/8
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009・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/9
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010・田中一
○田中一君 建設大臣に総括的に、今回の公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部改正法律案について質疑をいたします。
この法律案が出た当時の社会経済的な状態というものは、かかる法律案が工事の計画的な完成のために必要であったからということは認めますが、今回の法律の改正によって一応この法律に何ら関係のない、工事完成保証人という制度を法律的にこれを認めて、そうして国と建設請負業者との間にかわされる契約の完全遂行ということを、目途にしたものであるのでありますが、工事完成保証人という制度そのものに対しての法的な根拠、それから実態等について建設大臣の所感を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/10
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011・村上勇
○国務大臣(村上勇君) もうこれは田中委員御承知の通り、従来は完成保証人が、その工事に対して契約者と同様に完成保証人として、この工事の責任を持っているのであります。しかし今回はまあ完成保証人というものでなく、保証会社が責任を持つというようなことに改めておるのでありまして、従来ややもすれば工事完成保証人が非常な損害を受けた、そのために非常な経営難に陥るような場合もあったのでありますが、これらの点が、今回の立法によって除かれるということになる次第でありますので、従来とはそういう点において相当変わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/11
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012・田中一
○田中一君 私が伺っているのは、実態はそういう制度があるということは認めております。前回の委員会でも大臣は出席なさらなかったけれども、たよえば前払保証会社の制度を利用しない発注官庁を持つ方の出席を求めまして、るる説明を聞いております。そこで工事完成保証人という制度を、この法律の改正によってあらためて確認をすることになるのです。従って、その制度の法的根拠というものを明らかにしていただきたいというお願いをしているのであって、これらについては、一つ突如として前払保証会社の法律の一部改正にあたって、工事完成保証人というこの実体、今まで現存しているものであるけれども、法的に工事完成保証人とは何かというのが解明されなければ、この法律の上に突如として工事完成保証人という制度を、文字の上でその実体を明らかにするということに対しては、相当な疑義がございます。従ってこの工事完成保証人に対する制度、今日ありますところの会計法、その他にありますところの工事完成保証人というものに対する法的な性格等が解明されなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/12
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013・村上勇
○国務大臣(村上勇君) これは工事完成保証人の、その責任というものは、従来の工事完成保証人と今回の改正法の工事完成保証人というものは、工事の責任を持つということについては変わってないと思います。しかしながら、この前払金その他の、いわゆる工事代金についての、工事完成保証人がその工事費の責任を持たないですむ。その工事費の責任は、負担は、従来は完成保証人が持っておりましたが、これからはこの前払金の額内で、保証事業会社が持つということになっておりますので、工事費の負担については、まあ完成保証人の責任は軽減されましたが、しかし工事を完成する責任については、従来と同様になっている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/13
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014・田中一
○田中一君 どうも鬼丸官房長は少し……。大臣にこういうようなこまかい問題を聞くのははなはだ酷であろうと思うのです。しかしですよ、行政官庁の大臣としては当然聞かなければならないことなんです。今日ありますところの会計法には工事完成保証人という文字すら発見できません。従ってこういう前払保証会社の法律改正において、突如としてそういう制度が法文化されることの理由を聞いているのでございます。これは決して軽々に、こういう文字が、通常これが社会に行なわれているからといって、こうした純粋な営利企業とは申しませんけれども、少なくともこれは株式会社であり、配当もしている企業体なんです。そこに突如として工事完成保証人という制度が、新しく明文化されることについては、工事完成保証人というものの親となるべき性格の法律がなくてはならぬと思うのです。いたずらに会社の陳情、業者の陳情、発注官庁の陳情があるから、法の性格、法の立て方というものを無視して、そういう文字が現われることは、これは立法上いかがかと思うのです。従って会計法上に基づく工事完成保証人の制度並びに性格、目的というものを明らかにしていただきたいのであります。これが解明されなければ、この法律案に対する審議というものは根本的にこれは変わって参ります。従ってこれに対するもしも的確な答弁ができないならば、大蔵大臣をお呼び願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/14
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015・村上勇
○国務大臣(村上勇君) これは今田中委員御指摘の通り、どうもこれは、私は前のことをよく知りませんからはっきり申しますが、やはり発注者が間違って発注した場合があっても、そのときは完成保証人が責任を持ってやるのだから、だから発注者には一つも迷惑のかからないような仕組みになっていると思うのです。しかしこういうことは私どもは常識上やるべきでないと思いますが、そういう不安な業者に仕事を指名するということは間違っております。がしかし、とにかく非常に多岐多様にわたり、非常に件数が多いのでありますから、やはり業者として看板を掲げ、納税を果して資格を持っている者は、大体万べんなくこのクラス、このクラスというようなものを、まあその従業員等の生活保障のためにも、事業をやらせなければならぬということで、一応指名していくということになりますと、そこには思わざる見違いのある場合がなきにしもあらず、そういう際に業者が相互援助と申しますか、そういうような立場から、その工事を完成させるようにそこに完成保証人を置くというような制度は、これは一つは私はその発注者が安心をするということだけでなくて、その業者を少しでも広く採用して、そうしてその人を生かしていくというそこには隠れた愛情もある。私は法律上はわかりませんが、常識的にはそういう幅の広い考え方で完成保証人というものを置いているのじゃないか、こう思っておりますのです。そういうようなことで今後できる限りそういう保証人を奨励しないように、だんだんと業者の資格あるいは力等もわかって参りますので、一応こういう措置をとって、戦後のこんとんとしたときにはこういうことで業者を生かしていく必要があるであろうと思いますが、できる限り私どもはこういうことは少なくしていきたい、だんだんともうこういう保証をしないでもいいような事態に持っていきたい、のが私どもの理想であり希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/15
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016・田中一
○田中一君 私ども長らく、今次の国または国に準ずるところの機関が、国民との間に請負契約を結ぶ場合に、現行の会計法では不備であるということを、再三指摘し続けてきております。記憶によりますと、過去六年前からこの問題については政府に対して要求しております。政府もその意図を察知して、一時は会計法の一部を改正する法律案を出したこともございます。そうしてこれは参議院におきましても、衆議院におきましても、可決されました。しかしながら、これが突如の解散によって発効をしないままに会日に至っておる現状は、これは付上衆議院議員は御存じのはずでございます。大臣になってからはそれほど触れておらぬでしょうけれども、これは完全に、与野党ともに、この会計法の改正については要求をして参ったものでございます。そういう経緯も見ながら、それすら何ら手をつけようとしない。現に昨年の予算委員会では——昨年の予算委員会ですよ、大蔵当局は、三十五年度の予算を編成する以前にこの法律案を政府提案いたします、そして三十五年度からはこれを実施する考えでございます、ということを言明しておきながら、いまだにしない。従って私はこれは建設大臣を責めるわけじゃないのでございます。少なくとも会計法に基づく国民と国との契約でございます。国民と国との契約が正しくないならば、妥当でないならば当然改正すべきであると思うのでございます。ことに根拠として何ら会計法に規定されていない問題を、発注官庁であり行政官庁であるところの建設大臣が、一方的に建設業法の改正を行なったり、あるいは建設業法でそれを規定しようとしたり、あるいは今回の前払保証会社の運営につく法律改正に突如としてそれを持ち上げたりすることは、これは根拠がございません。従ってどこまでも政府全体の責任として国民の前に、どのような方途で国民との契約を結んでいくかという契約法の究明、すなわち契約法の整備ということが前提にならなきゃならないんです。従って建設大臣にこれ以上は質問しません、大蔵大臣に来ていただいて十分に質疑したいと思います。その態度が明らかになりませんと、部分的な建設大臣の所管の行政権内の問題として、これを看過することはできないのであります。どこまでも会計法という基本法に基づき、第四章の第二十九条の「契約」というものが根拠にならなきゃならぬと思うんです。従って、この問題につきましてはこれ以上、この点につきましては大臣には質問いたしませんが、委員長、大蔵大臣をお呼び願って、十分にその点についての見解を聞くための機会を持たして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/16
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017・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 大蔵大臣の招致については、後刻理事会で決定しますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/17
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018・田中一
○田中一君 そこで、今回の法律の改正、まあその根本の問題は別にして、工事完成保証人が——いや、元請の、前払保証会社と、前払保証の契約を結んだ業者が、俗にいうけつを割ったとき、工事完成保証人の方に仕事がそのまま、金も何も全部そっちへいって、スムーズに工事完成保証人が残工事を完成するということになることになりまして、前払保証会社の方のいわゆる前払いに対する債権というものは、元請にのみかかっていくというような制度になるわけでございますね、今度の法律の改正は。従って、注文を出す方としてはこれはもうまことにけっこうな案でございます。しかしながら、工事完成保証人というものが、一応前払保証会社と新しい残工事の契約が自動的に結ばれてくるわけでございます。打ち切るわけでございますから。そうすると、工事完成保証人という元請が、これに元請になるわけでございますから、工事完成保証人という元請に対しては、工事完成保証人をつける必要がないかどうかという問題が残るのでございます。むろん工事完成保証人をつけるということは会計法上にはございません。ございませんけれども、自分の事業というものを、計画通りに資金の面におきましても、工程の面におきましても、スムースに持とうというところにねらいがあるならば、当然工事完成保証人が元請になった場合に、この元請に対するところの工事完成保証人をつけべきが正しいのでございます。この点について官房長に前回の委員会で質問いたしましたけれども、まあこの辺でとめておけばよかろうと思うというような実にあいまいな答弁をなさる。それ以外に答弁できんと、これであっちゃならんのです。なぜ工事完成保証人をつけるかということになりますと、第一の工事完成保証人が元請になった場合には、当然現在建設大臣が行政的に実施しているところの工事完成保証人が次に生まれなきゃならない。それがまた工事完成保証人が元請になった場合には、その工事完成保証人という、第二の工事完成保証人というものに対する工事完成保証人がつかなきゃならないのですよ。目的が、限られた予算と、限られた期間において完全に契約を履行するというところにあるわけでございますから、当然そうならなきゃならないのです。一ぺんだけでよろしいということにはならないのでございます。従って、そのような修正が持たれなければ、この法律の精神というものは一貫して筋が通っておらんと思います。この点についての建設大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/18
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019・村上勇
○国務大臣(村上勇君) これはなかなかむずかしいことで、当初の契約者が工事完成保証人をつけて、まあ発注者に迷惑のかからぬようにやったとする。しかし、それはまあ今田中委員のお話のように、工事をそのまま放棄してしまったという場合には、工事完成保証人は、その責任を持って、まあ前払金についてはこの保証会社が出す、しかし前払金は出してくれても、まあかりに全然手をつけぬで逃げたとする、その場合にはその工事はたとえ一〇%でも五%でも、何分でも利益がある——一ぱいにあがるとしたならば、前の契約者というものは、ちゃんと面子にかけても将来の店の信用からも仕上げるわけですが、損だから逃げ出した、またそれだけの金額をやっても、工事完成保証人は、自分で入札したものでない、自分で、これだけならばと確信のある価格で入札したものでないので、人からぶっつけられて、その人とは——その人もできないから逃げた。それを工事完成保証人が受け取ってみたところで、やはり工事完成保証人としては、損だから逃げ出すということになれば、また次の工事完成保証人が同じような結果を繰り返すので、だれがやっても、結局、人のやっている仕事を、損してまでやろうというだけの人はなかなか見当たらない。でありますから、結局、その工事が採算がとれぬという場合に、これはもうどこかで解約する以外にない。その解約する場合には、私はそこに何らかの罰則があるとか、あるいは何とかいうようなことは、これはまあ罰則があるでしょう。違約金がありますが、それ以外にない。第一工事完成保証人が、まあ面目にかけても、自分は完成保証人だから、前の人がけつを割ったから自分でやってやろう、こういう義侠的な精神が、この種の請負業者に多いから、あるいは面目、面子にかけてもやるだろうと思います。しかしながらまあそうでなくて採算上とにかく損だから私はやらない、こう出た場合には私はそこで打ち切るべきだ、解約すべきものだと思います。ですから第一の契約者も面目を失してしまって社会的には葬られるが、完成保証人も、この場合私はやはりそれの何分、何パーセントかの名声を落とす。業者は信用で生きているものでありますから、少なくとも少々ぐらいの損なら、私は完成保証人がこれをやってのける、また現在もやってのけておるようでありますから、まあまあその次の段階の、その次の完成保証人がどうだということになった場合には、私としては解約——その際には、契約者も社会的に葬られるが、完成保証人の面目というものも非常に失墜いたしますので、そこらが目に見えない、ここで数字に現わすことのない罰則になってきておりますから、まあそういうところで私は一応打ち切るべきだと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/19
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020・田中一
○田中一君 それは大へん違うのです。もし建設大臣の意向がそうならば、この法律の改正はする必要ございません、おやめなさい。現行でいいんです。残工事の五分だけを罰金に払えば、いつでも解約できるんです、工事完成保証人というものは。おやめなさい。今建設大臣がその御意見ならば、法律案を提案する理由は一つもございません。おやめになることが正しいのでございます。しかし私は今建設大臣のお言葉からするならば、これは全然審議する必要ございません。これは廃法にするのが正しいのです。現行行なわれているところの会計法が不備であるということを指摘しなければならないのですよ。建設大臣、自分でもって会計法も何も詳しく、あなたのような大人物は最近の方と違うのでしょうから、これはわからぬでしょうけれども、会計法という根拠を知らないで今のような言葉は困るのです。ことにきのうまでは、官房長ほるるとしてこの法律があればかくかくになるんだ、当然事業という第一回の契約というものを遂行さすことが、注文出すものの側の主眼であるから、そうもっていくんだということをるる強弁をしている。強弁になります。今の大臣の言葉と比較してみまして強弁になる。ところが今大臣のように、工事完成保証人がいないならば、五分の違約金を出して責任を解除すればいいじゃないかということになると、これはまた問題は別の問題で、この法律の提案のものと逆な見方に立たざるを得ないと思うのです。それでまあ建設大臣と官房長とやり合わすのも、一つのおもしろいいき方かもしれぬけれども、そういうことはいたしません。いたしませんが、これは少なくとも工事完成保証人の性格というものは何かということが解明され、どうしても国としては一ぺん契約したところの事業というものは、その期間内に何とかして完成してほしい、契約によるところの義務を遂行してほしいということが念願であろうと思うのですよ。これがことにそう願いながらも、契約約款等を中央建設業審議会でもって昭和二十六年に付議し、そうして一応の案としては決定されておりますけれども、これは政府が認めたものでも何でもございません。ただそれはそうした結論に達したということに過ぎない、定款もできております。これなんか割合にいい方向にいっているんじゃないかと思っておりましたけれども、実態はそうではないのです。国の方で都合のいいことはそのまま使うし、都合の悪いことはそんなものは認めないということであって、少なくとも契約行為という、国の行なう契約行為というものが不十分な旧憲法時代の、いわゆる仕事をさしてやるんだという思想に立っているところの会計法である限り、どういう制度を変えようとも、これは完全に国民の利益になるようなものでもないのです。私はここではっきり申し上げたいのは、今建設大臣は、これは時間をかけてもう一ぺん、お忙しいでしょうけれども、一ぺんよく庁内で話し合ってもらわないと困るのです。今のような御答弁では、私はこの法律の改正の目的に反していますし、ことにその今の解約すればいいじゃないかということになるならば、こういう制度は要らない。解約すればいいのです。必ず解約するものだという、けつを割った場合には必ず解約するのだ、そうして別途残工事に対しては新しく入札をするのだという制度にお変えなさい。それが目的であるのです。従ってその点は、どうも食い違いがあって、場合によったら速記やめた方がいいのじゃないかと思うのだがな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/20
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021・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ちょっと一つ。これは田中さん、非常にあなた、よく業界の事情に精通されているし、まあ私以上に内幕はおわかりになっている。私は今の解約ということは、そういうことはまあないと、しかし一の完成保証人、二、三、四、五、六というように、そういう複雑なその何とか保証人というやつをやっておれば、これはもうきりがない。際限がないので、そこはどこかで打ち切るべきだ。その打ち切るべきときはいつか。それは第一の完成保証人というものが、とうていできないという場合を想像するところに、今までのあり方は、全然この前払いなるものを、第一保証人がもらえないのです、今の現行法では。これは保証会社は損をしない。損をするのはだれかといえば、完成保証人が損をしている。しかしそれでもいわゆるその五分の解約金を出さないで、何百万損をしてもやっております、事実において。今までのようなこの前払金を自分がひっかぶっても、業者というものは、みな完成保証人という契約者に続く責任者であるというものは、これはやってきております。それは私はそれをやらないで逃げ出したという業者はあまり知らない。それくらい完全にやっております。でありますが、今度はかりに六百万なら六百万のこの表にあるように金を支払ったと、しかしその金はこの保証事業会社が、契約者がけつ割った場合には、保証会社が完成保証人の方に出してやる。これは今までと違う。完成保証人の責任が、非常に遂行する上にこれは楽になってくるわけですね。でありますから、私は少なくとも完成保証人になるくらいの人は、絶対にそういうことは、まあ十に一つもないだろうと思います。でありますから、この会計法とかいうようなことについては、私、こういうあまり勉強もしておりませんが、これはあなたのおっしゃる通りだろうと思いますが、この法律だけからみた場合に、現行法では保証会社は全然損しないと、やらずぶったくりというような立場で。しかし完成保証人は判をついただけで、前の人が相当食いちらしたものを仕上げていかにゃならぬ。それも従来仕上げております。しかし今回はこの前払金は、この保証事業会社の方で完成保証人を出すということですから、私としては解約というような問題が全然ない、何千円、何万円という公共事業の中で、全然ないとはいえませんが、しかしこれはごくわずかなものになってくるのじゃなかろうか。それほど私は事業会社というものは、その店の信用なりあるいは面子なり何なりというものを重んずる、信用の維持だけで生きているのでありますから、少々苦しくてもこれは十分やってのけると、こう思います。ですからこの法律だけから申しますならば、現行法と今度の改正法というものとを比較してみますと、改正されたためにその発注者に対する迷惑も少なくなるし、また完成保証人は十分その事業を完遂していくだけの責任を、今まで以上に持っていけるというように、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/21
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022・田中一
○田中一君 それは現在の状態からみた場合の用意ということに対しては認めます。認めますが、一体工事完成保証人の性格というものが明らかにならぬと困るわけです。私は、初契約であろうと何であろうと、契約というものは相互に義務、権利というものを、平等に持っているのでございますから、この契約に基づいてそれを遂行するのが正しいのであると思うのです。従って工事完成保証人というものをつけようという意図は、今のように天災地変、不可抗力によるところのけつ割りという問題が起きた場合には、工事完成保証人がそれを持つということにならざるを得ないと思うのです。いいですか、ゆっくり首をかしげなさいよ。
そこで、作為的な、人為的な悪意をもってその仕事を投げた場合、これも当然、これは工事完成保証人が、そのあとをしょわなければならぬということになるのですよ。一体、あなた方は、現在会計法に基づく公入札の制度を採用しておりません。建設省で所管するものは、ことごとく指名競争入札の制度を採用しております。指名競争入札の制度を採用しておるということは、その当該事業の完遂にあたって、適格者という者のみを指名しているに想違ないのでございます。あるいはせんだっても言ったのですが、東京都のようにたくさん、数々の汚職を生んでいる。この汚職というものは、不適格者が工事をやって不正があるから、汚職になるのだと思います。特別の便宜をはかったりなんかするから、そういうことになると思います。しかし、幸いにして建設省は、多少あったでしょうけれども、数は少ない。
適格者である者を指名した場合に、それ以外の者は、その適格者と認めない者が、少なくとも同等の資力なり同等の信用なり同等の力を持っていると予想されるという者の中においても、指名しなかったという実態があるわけなんです。同等の者があるならば、指名すればいいのです。おそらく今まで、大体十社くらいの指名が最高でしょう。それ以上のものはない。たいてい五社、七社、十社程度のものだと思います。十社の中で、一人もそれに対する工事完成保証人という役を受けないということ。場合によれば、全部キャンセルするかもしれない。お断わりいたします——その場合には、指名する。指名でランクされたBでもCでもいい、その下の者も、上の者もあるかもしれません。工事完成保証人が、この仕事が当然可能であるというような制度は、国鉄がやっているそらです。しかし建設省の場合には、おそらくそういうものは、的確にそういうものをつかんでいるかどうかの問題は、これは問題があろうと思います。
そういたしますと、発注者側にも、指名者の選定というものに対する責任があるわけなんですよ。そうでしょう。その責任というものは、当然負わなければならないのです。それはどこにもありません。そうして、その契約というものは、一方的に解除されるということは、約款できめているのでしょう。残工事の五分というものの罰金を払えば、すぐその責任は解除されるという、金銭でそれを始末をつけようという考え方に立っているということは、これは間違いであるということなんですよ。どこまでも契約に基づくところの工事の完成ということが主眼でなければならぬ。工事の完成というものを主眼とするから、工事完成保証人という制度が設けられてあるのではございませんか。おそらくそういうものの内容のものだろうと思います。それが五分の罰金によって、それを解除されるということになるならば、これは、百万円を払って二千万円の損失を免かれるならば、どしどし解約していく。どんな条件を持とうが、持つまりが、解約します。
しかし幸いに業界には、業界というのは、建設請負業界には、談合という美風がございます。談合はなかなかよろしい。これはもしたたき合いの工事、いわゆる会計法に基づく原則というものは何かと申しますと、これは、どこまでも公入札制度です。それは、それではいい仕事ができないというので、今日では指名競争入札という制度を使っている。指名競争入札を使っているのは少数でございますから、話し合いをつける。談合というのは、悪いことができる意味ではない。自衛権の発動だ——しいて言えば。これは、どの業界でもやっております。従って、その話し合いによって、仕事が落札されるという美風があるから、まだ、まあ最近は相当仕事の面において、そうした大きなダンピングとか、過当競争というものはない。ないからこそ、多少ともよいのではないかという考え方も、情勢から判断いたしますけれども、これが一たん、建設業界が不況になった場合には、われわれは苦い経験を知っております。それこそたたき合い、熾烈な過当競争というものが行なわれる。その際には、だれも受け手がないのです。受け手がないというのは、工事完成保証人の受け手がないということです。総合的に、これは一つ、君に借りがあるから、この貸しを引き受けましょうという形でもって仁義上、慣習上やっておることであって、これを私は、法文化しなければならないのではないかと言うのです。やはり契約というものは、相互の問題なんです。相互の権利義務なんです。しかし、これは対等でなければならぬ。片務的な契約によって、国民が押しつぶされるということがあってはならぬということです。現在はいいけれども、過当競争時代になった場合には、それこそ非常な危険なところに陥るのではないかということです。今日、談合という美風があるから、幸いに、あまり激しい問題が起きておりませんけれども、この程度の問題ではいかぬということです。
従って会計法に基づく契約行為というものに対する十分なる解明がされ、そうして工事完成保証人の性格等が、法律で義務づけられるということにならなければならぬと思う。
そういう前提がなければ、今のような問題が起きまして、何らこれが契約の相手方として、完全に相互の権利義務を行使し、工事完成保証人があっても、これは完全に権利義務を継承して行なうということにならないのです。なぜならば、残工事五分の罰金を払えばいいのだということになりますと、それであってはならぬのです。従って、その点については、はなはだ不十分でありますし、私はこの法律に対しては、大体において今よりもましであるという考えを持っておりますけれども、国務大臣の一人として、建設大臣は、根本的なこれらの工事完成保証人等の根拠法というものが制定されなければ、単にあなたの場合、建設省の場合をいうと、契約係官が、今度はお前のところは指名しないぞとか、それからだれもかれも談合で落札をしたけれども、工事完成保証人にならぬという場合には、口をきく場合もございます。そういうことは、一カ月、三カ月で、契約にならなければ仕事が進まないものだから、そうして今度は、指名しないとか何とかおどかして、それは建設大臣が、さっきちらちら言葉の端に見せたところの、精神的な、形にないところの圧迫というか、罰則というか、罰を食わすから、それがなろうということ、それは合理的なものじゃございません。悪い慣習なんです発注者の……。発注者というものも、おそらく一係官ぐらいが言外に、今度選挙に投票しなかったらお前指名しないぞと言うから、九十何万票も取る議員もおるということになるのです。——こういう悪いことをしちゃならないのです。そういうような余地を残すような制度は、あっちゃならないのです。どこまでも対等の立場でもって、契約行為が行なわれなければならぬということの原則に立っておるわけです、これは。
きょうは、これは採決するわけではございませんから、従って、この問題については、私が納得するような形の政府としての考え方、これは、この法律を実施するところの行政官としての、監督大臣としての建設大臣でなくて、政府として、どういう態度に出るかということが解明されなくちゃならぬと思う。この点については、一つ質疑は保留いたしますから、私は、もうこの程度にします。保留しておきますから、これに対する明快な答弁をしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/22
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023・田上松衞
○田上松衞君 まあ申し上げたいことは、田中委員で尽きていると思いますけれども、念のためにもう一ぺん強調しておきたいと思うのです。
大体、国民が国及び公共団体等を発注者とするところの工事に関して、最も強く要望していることは、田中委員も言われたように、工事完成の期限及び工事内容、それなんですよ。すなわち、工事完成保証人という制度を、これを必要だと考える。もしまた、それを存置するということであるならば、そういうことは、ただ前払い金と称する一つの金銭債務の、そういう点ではなくして、どこまでも期間内に、契約条項通りの工事を完成せしめてもらう、これだと思う。これは、もう議論の余地はないと思うのです。むしろ、前払金に関するところの求償というようなことは、民事裁判の手続等で十分であって、そんなことは当然なことだ。せっかく改正しようとする法の中に、こういうことを言っては、むしろ変なことになりはしないかということを最初に申し上げたい。と申し上げますることは、発注者が工事完成保証人に履行の請求をなし得るという点が、この場合に、もちろんそのことだけをうたってあるのですけれども、これだと、ともすると、逆に国民感情から見ますると、さっき申し上げた、最も強く要望しておりまするところの期間及び工事内容というものは、極端に言うならば、そんなものはどうでもいいようなふうに、何か抜け穴でも作ってあげるような、そういう工合になるおそれすら生まれてくるということなんです。
しいてこれを申し上げることは、さっき大臣のお言葉の中に、こういう場合には解約するという面が少なくなるだろうけれども——ということは、逆に言うと、やはり解約することもあり得る、そういうことの感じを強く与えてしまうので、その点を、私が申し上げたように、そうした工事期間、あるいは工事の内容というものに対して、事業会社、請負業者等に、あるいは特にこの場合、工事保証人に対して、何かしら抜け道、裏を作ってやってしまうというおそれが生じてくる、この感を深くせしめるだけだと実は考えておるわけなんです。
そこで、田中委員が言われたように、将来国民が最も強く要望している点についてのことを十分研究になって、近い将来に、そういう方面についての措置をお考えになるかどうかという点、これをお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/23
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024・村上勇
○国務大臣(村上勇君) これは、お説のように、工事完成保証人も、契約者も、もちろん契約者が完全でありさえすれば、こういう問題は起きてこないので、ただ工事完成保証人は、単なるアクセサリーについているというようなことが最も望ましいことであり、将来の指名につきましても、そういう点を十分考慮していく必要があろうかと思います。
特に、この請負契約というようなものが、従来、どうも片務的に——発注者は片務的な契約をしているのではないのでありますが、日本の請負業者の慣習とでも申しますか、とかく非常に片務的になっておる部分があるのであります。そういう点につきましては、私どもは、法律の若干の改正とか、あるいはまた、これが双務的になるように、今中央建設審議会等で検討いたしておりますので、こういう点につきましても、十分今後研究して、万遺憾なきを期さなければならないと思っております。ただ、この今御審議いただいております法案につきましては、前と今度の改正を比べていただけば、前よりも今度の方ができがいい。工事を仕上げる上に、国民に御迷惑をかけないように前よりも相当なり得るというだけでありまして、ほんとうの理論的な問題、またこの完成保証人の選び方等につきましては、私どもは、もう少し法的に、これを裏づけていくような方法を研究して、次の機会には、その面の御審議も仰がなければならないと思っております。
従って、ただいまの御意見につきましては、十分これから中央建設審議会等においても研究いたしまして、何らかの成案を得て、御意見に沿っていきたいと、かように思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/24
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025・田上松衞
○田上松衞君 まあ後段については、よく御誠意のほどもうかがわれて、安心するのです。
ただ、その前のお話の中に、前の制度と今度の改正案と比べると、まあ前進しておるんだという意味のお話がありましたが、そこが、さっき申し上げたように、なるほど前払金は戻ってくるのだという、その点における国民の迷惑を少なくすると——それはわかるのです。ですが、申し上げておいたのは、そのかわり、期間がおくれようと、工事内容が少し粗雑になろうと、そういうことを追及されないような、この面をやっておけば、この方はどうでもよいというような、どうもにおいを与える点において、マイナスの方が強くなりはしないかと、このことを申し上げておるわけなんです。まあその点を御理解願いたいということと、さらに申し上げておきたいのですが、先般参考人の方から陳述があったわけです。その中で、ただいま手に入ったのですけれども、東日本建設業保証株式会社の三島取締役社長から意見が出ております。これについて見ますると、こういう保証会社すらも、工事完成保証人の制度を廃止した方がよいという意見を多分に持っているわけなんです。ごらんになっただろうと思うのですが、結論的には、これを廃止した方がよいと、その具体的な理由ということについては、「請負契約の合理化及び企業経営の健全化の観点から望ましい制度とは思われません。」と、こう断定しているわけなんですね。その次の問題については、「建設省発注工事には一般に工事完成保証人がつけられている現状でありますが、その具体的な理由については、私どもから申し上げかねる次第でございます。」と、これは非常に意味深長なものがありまして、これまた、われわれは、こんなものは納得していないということなんです。
三問は、あなた方の御意見でございますから、これは申し上げる必要はありませんが、いずれにいたしましても、こういう保証会社でさえも、非協力的だと見てよろしいと、こう考えるわけなんです。
そこで、非常におそれることは、何かそれが発注者の利益だけのために——ということは、さっき申し上げました国及び地方公共同体等を発注者とする場合においては、発注者は、すなわち国民だということになるわけでありますけれども、多くの世間に与える感じでは、それでないところの民間の業者等の発注者、これの一つの利益擁護みたいに響くおそれがたくさんあると、こう考えるわけです。それはまた、しばらく議論は抜きにしておいて、ただこの場合は、いろいろそういう問題はあるけれども、ともかく、やはり将来は十分研究して、むしろこういう制度はないような状態に持っていくと、そういう決意はあるのだけれども、ただ、今の場合、せめて前払金と称する金銭債務の点についてだけでも、何とか役立ちはしないかという点において、これをお出しになった、こう理解してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/25
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026・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 前段の工事の施工上、あるいは工事の期限というようなものにつきましては、これは施工の面は申すまでもなく、これは絶対に仕様書、あるいは設計書がありますので、それから外に出るのは、われわれは絶対に許されないことでありますので、この点については御安心いただきたいと思います。
なお工期につきましては、われわれとしては、これをこの完成保証人がないために、ただ単独契約で、その業者が逃げていったという場合に解約ということは、これはできるのでありますけれども、解約した際には、また次の工事契約者を、指名入札等によってきめる、また次の人が準備をする、その人もいけないと、極端に申しますと、次から次と指名をやりかえて解約して参りますというと、これは非常に工期がおくれて参りまして、堤防のごとき、ちょうど台風期に間に合わないというようなことも、そういう事態も生じて参りますので、要するに発注者というものは、国民にかわって発注するのでありますから、国民として、なるたけ損のないようなことを考えるのは、これは、発注者の当然考えるべきことであろうと思います。
従って、この工事完成保証人というものは、今の場合戦後の比較的業者が各地に、今、日本では国内に、何万社というものがあるそうであります。そういう中から、それを大体のランクをきめて、これならば一億以上の仕事に十分やり得るというようなものをきめてはおりますけれども、しかし発注者にも多数の、あるいはその会社の、そのときのその瞬間の実情というようなもの、これをつかむことができないために、とんでもないところに指名したというような場合も、またなきにしもあらずと思います。従って、どうしても完成保証人を、こういう場合には置いて、そしてそういう場合があっても、次の人が十分工期内に仕上げてもらえるというようなことで、私どもは完成保証人制度を設けておるのでありますが、三島君の意見にもありますように、実際に、この指名入札制度が完全なものであれば、こういうものは絶対に私は要らぬと思います。しかし今の段階では、比較的仕事の数が多いので、業者が多いので、相当その発注者においては、査定は厳密にいたしますけれども、また中には、その時その時の業者の債務等の関係で、事業を遂行する上に非常に困難を来たす場合もありますので、そういうところを、国民にかわって用心深く発注者が、こういう制度を設けておるというように御理解いただけば、私はその点は御納得がいただけるのではないかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/26
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027・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 速記、ちょっととめて。
[速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/27
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028・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 速記をつけて。
残余の質疑は、次回に譲りまして、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X02819600512/28
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