1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月十六日(木曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
本日、委員田中清一君及び河野謙三君
辞任につき、その補欠として鹿島俊雄
君及び北畠教真君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 岩沢 忠恭君
理事
稲浦 鹿藏君
松野 孝一君
武藤 常介君
委員
小沢久太郎君
太田 正孝君
鹿島 俊雄君
北畠 教真君
小山邦太郎君
米田 正文君
国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
建設政務次官 大沢 雄一君
建設大臣官房長
住宅局長事務代
理 鬼丸 勝之君
建設省河川局長 山内 一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○昭和三十五年五月のチリ地震津波に
よる災害を受けた地域における津波
対策事業に関する特別措置法案(内
閣送付、予備審査)
○昭和三十五年五月のチリ地震津波に
よる災害に伴う公営住宅法の特例に
関する法律案(内閣送付、予備審
査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/0
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001・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
六月十六日付河野謙三君が辞任せられ北品教真君が選任せられ、田中清一君が辞任せられ、鹿島俊雄君が選任せられました。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/1
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002・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法案及び昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律案、両案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/2
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003・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法案につきまして提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
本年五月チリ沖に発生した地震に伴う大津波が、わが国の太平洋沿岸の各地に来襲し、幾多の尊い人命を失うとともに、巨額の物的損害を惹起しましたことは周知の通りであります。特に三陸沿岸地域等は、過去におきましても幾たびか津波による災害を受けているところでありまして、政府といたしましては、国土保全と民生安定の見地からこの際、津波による災害を防止する対策を樹立し、計画的にこれを実施することといたした次第であります。
これがこの法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
まず、この法律の目的は、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域において、津波対策事業の計画的な実施をはかり、もって国土の保全と民生の安定に資することであります。
第二に、津波対策事業の内容となるべき事業は、チリ地震津波により災害を受けた地域におきまして、災害を受けた海岸または海岸付近の河川及びこれらに接続する海岸または海岸付近の河川について施行する事業で、津波による災害を防止するために必要な海岸堤防、河川堤防等の新設または改良に関する事業等であります。
第三に、主務大臣は、関係地方公共団体の意見を聞いて、津波対策事業計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしました。
第四に、津波対策事業計画、その他津波対策事業に関する重要な事項を審議するために、総理府にチリ地震津波対策審議会を置くことといたしました。
第五に、政府、津波対策事業計画を実施するために必要な措置を講ずることとし、国の財政の許す範囲内においてその実施を促進すべきことといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました昭和三十五平五月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律案につきまして提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、本年五月のチリ地震津波による住宅の被害の状況にかんがみ、その災害による被災者を入居させるための公営住宅の建設を促進するため、公営住宅の建設に要する費用についての国の補助卒の引き上げ等について公営住宅法の特例を設けようとするものであります。
次にこの法律案の要旨について御説明申し上げます。
すなわち、本年五月のチリ地震津波による災害であって政令で定める地域に発生したものに関して、事業主体が災害により住宅を失った者に賃貸するため第二種公営住宅を建設するときは、国は、予算の範囲内でその費用の四分の三を補助することができることとし、現行法に定める国の補助率より高率の補助を行なう措置を講ずるとともに、国の補助の対象とする住宅の戸数を増加し、災害により滅失した住宅の戸数の五割に相当する戸数を国の補助の対象とすることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/3
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004・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に、津波対策事実に関する特別措置法案について逐条説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/4
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005・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) ただいま提案理由の説明がありました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。
第一条は、この法律案の目的に関する規定でありまして、この法律案が、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業の計画的な実施をはかり、もって国土の保全と民生の安定に資するものであることを明らかにしたものであります。
第二条は、この法律案で津波対策事業と申します場合にどのような事業が含まれるのか、その範囲を明らかにした規定であります。すなわち、本法案において津波対策事業と申しますのは、昭和三十年五月のチリ地震津波による災害を受けた政令で定める地域において、チリ地震津波により著しい災害を受けた海岸または海岸と同様の効用を有する河川及びこれらの被災海岸または被災河川に接続する海岸または河川について施行する津波による災害を防止するため必要な海岸堤防、河川堤防等の政令で定める施設の新設または改良に関する事業をいい、これらの施設についてあわせて施行するチリ地震津波による災害の災害復旧事業を含むことといたしております。第三条は、津波対策事業計画に関する規定であります。すなわち、津波対策事業に関する主務大臣は、津波対策事業について、関係地方公共団体の意見を聞き、かつ、チリ地地震津波対策事業の審議を経てその事業計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものといたしました。この事業計画には津波対策事業の実施の目標及び事業竜を定めなければならないことといたしました。次に、津波対策事業計画について閣議の決定があったときは、主務大臣は遅滞なくこの計画を関係地方公共団体に通知しなければならないことといたしております。以上の津波対策事業計画の決定に関する手続は、その変更の場合にも準用されることといたしております。第四条は、津波対策事業計画、その他津波対策事業に関する重要事項を審議するため、総理府にチリ地震津波対策審議会を置くこととし、この法律に規定するもののほか、必要な事項は政令で定めることといたしました。第五条は、津波対策事業計画の実施に関する規定であります。すなわち、政府といたしましては、この計画を実施するために必要な行政上、財政上の諸措置を講ずるものとし、かつ、国の財政の許す範囲内においてその実施を促進することに努める必要がありますので、このような規定を設けたものであります。以上がこの法律案の逐条説明でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやりに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/5
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006・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) それではこれから質疑を行ないます。特別措置法案について御質疑の方は順次御発言を願います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/6
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007・米田正文
○米田正文君 まず、私は、津波対策事業に関する特別措置法の方から御質問をいたしたいと思いますが、私ども先般東北地方の津波被害の状況を調査をして参りました。前回の委員会でその御報告を申し上げたのでありますが、そのときにもいろいろと私どもの意見をまぜて申し上げておきましたが、今度の被害は、特に三陸方面では明治元年以来今回の津波に至りますまで、九十一年間に九回の津波を受けております。それぞれ被害を受けたのでありますが、特に明治二十九年六月十五日の被害は死者二万一千九百五十三名というような大被害を起こしております。その次が昭和八年のもので、これも死者、行方不明合わせて三千六十四名の者を出しております。それから昭和二十一年にも千四百六十四名という死者及び行不明合計の数字を出しております。今回はその数字が百三十九名にとどまっているということは、私ども非常に特異な現われでありますので、よくこの辺の検討をいたして参ったのですが、このことは、従前のたび重なる津波経験によって地元の人が非常に津波に対しての措置を心得ている、あるいは津波警報に対するとるべき措置を順守するというようなことが確実に行なわれたから被害が非常に、特に人命の被害が少なかったということが言われると思います。現地の各地にも道ばたにこの津波時の心得を書いた石碑が各所に立っている。津波が来たら物なんて固執しないですぐ避難しなければいかぬとか、あるいは異常な引き潮があったら津波と思えとか、いろいろなことを書いて周知徹底をさしております。そういうことが今回非常に役立ったのでありまして、気象庁の予報は残念ながらこれは今回はほとんど役に立たなかった。むしろ現地の漁夫等が朝早く漁に出て、異常な引き潮に気がついて、それを関係の人に通知をすることによって避難命令が出たというような実情でありました。そこでそういう人命の被害も少なく、それから公共土木施設の被害も、私どもが行ったときにはまだ、調査の結果は非常に少ない数字でありました。これはそういうたび重なる被害があったにかかわらず、今まで公共施設に関する措置、いわゆる恒久対策というものができておらなかったというところで公共災害が少なかったということも言えると思う。で、そういうように公共災害なり人命の被害が非常に少なかったというのに対して、多かったのは水産関係の施設、これはまあ水産業というものが非常な発達をしておるということでありますが、さらには建設関係では、住家の破壊流失が多くて、これが五千戸以上に達しておるというのが今次の水害の特徴であったのでありますが、従いまして、この大きい被害の内容から見まして、住宅対策と、それから津波に対する恒久対策としての津波対策事業というものが今回特別立法として現われたものであります。いずれも重要な問題だと思います。
それでまず私はお聞きしたいのは、私どもが参りましたときよりだいぶ時間がその後たっておりますが、まず公共上木施設のその後の調査の結果を、数字的なものを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/7
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008・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 公共土木施設の被害につきましても、先般ここで御報告しましたのはたしか総体で二十七億、三百四十七カ所という数字でございましたが、その後被害の激甚でございました岩手、宮城、こういうような県におきまして相当海津関係の施設の被害につきまして、こちらからも指導官が参りまして、こういうふうにすればいいじゃないかというようないろいろ指導をして参りましたが、そういう関係か、多少増額になりまして、総計で三十七億、こういう数字になっております。しかしこの海岸につきましては、津波対策事業として考えられる部分もあるいはこの海岸の中に入っているかとも思われます。従って厳格な査定をやらなければはっきりいたしませんが、一応の報告は全国で三十七億、こういうような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/8
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009・米田正文
○米田正文君 それで、まあ非常に手っとり早く、わかりやすく言ば、今度の津波対策事業というものは、現に岩手県の田老町というところに防潮堤がすでにできておる。これは昭和八年の水害後建設をされて、その後昭和二十九年に再び建設省の関係の事業として実施されたものでありますが、わかりやすくいえばああいう防潮堤を建設するということだと思います。あるいは陸前高田市の前面に防潮林ができておりますが、これもやはり昭和八年の津波後できた防潮林でありますが、ああいうものをやるというようなことになるのだと思いますが、それらの事業がこの津波対策事業として今後計画をされていくと思いますが、この特別措置法は計画を立てて、それを閣議決定していってやることが主になっておって、その後の事業実施については、これではまだ十分でないように思います。そこでこれは各省の今後立てる津波対策事業の総合調整の審議会によってやって、そしてそれを閣議決定をするようになっておりますが、それらを決定したあとにおいてどういうように実施していく予定であるか、その点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/9
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010・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 御指摘のように特別措置法によりまして審議会を設け、審議会に各省の関係者及びその他過去の伊勢湾台風の防潮提の審議会のような権威者を集めての一つのここに立案ができたといたしまして、それに対して政府は第五条に示されておりますように、この計画の実施に関しましては、この計画を実施するために必要な行政上の措置なた財政上の諸措置を講ずるということにいたしておりますが、これは結局今回の公共土木施設の災害につきましては比較的軽微でありますがゆえに、特別立法の措置を講じないことにいたしておりますので、災害の原形復旧についてはこの措置で私どもは十分だと思いますが、しかし、特別措置法による、いわゆる再度災害を繰り返さないような措置を講ずるといたしますならば、今回の公共土木の災害の数倍の経費を必要とする、いわゆる防災施設というものが行なわれると思います。こうなりますとその地元の公共団体等の財政によってはとうてい、いかに計画がりっぱにできましても、これが地元負担にたえられないために実施が困難となろうと黒います。従いまして、そういう場合を考慮いたしまして、その必要な措置、すなわち国庫補助率の引き上げ等の措置も別途にこれは考慮していかなければならないというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/10
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011・米田正文
○米田正文君 その工事実施に関するいろいろな措置を必要とすると思うのでありますが、その問題はあと回しにいたしますが、要するにこの計画を立てて、そして今後強力に実行していこうという御趣旨のように承りました。御趣旨はけっこうだと思います。ではことし一年はどういう準備をされていく予定であるかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/11
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012・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ことしは公共土木施設の災害の復旧に力を注ぐということが重点でありまして、この措置法による審議会の決定等については、なかなか直ちにその事業に着手するというところまでは困難だと思います。これは慎重に御審議を願って、そうてことしは調査費等を十分に出して十分省さして立案するということにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/12
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013・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 今の米田君の質問に関連してお尋ねしたいのですが、この措置法案は結局被害災地の方の人たちからすると、何かこう物足れぬということで、はたしてこれが実施し得るのかどうかという懸念を持っておりやせぬかと思うのですが、なぜ、この国庫負担法の特例を認めて、公共事業が、少ないというお話だけれども、少ないなら少ないだけ、それに関連するとか、あるいは楠町事業というものに対しての補助率を高率に、特例法を設けて、そうして事業を早く進めることが一番望ましいことじゃなかったかと私は思うのですけれども、どうもこの法律は、僕ら見て割り切れぬような感じがするのです。この辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/13
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014・村上勇
○国務大臣(村上勇君) それは河川災害の場合と少し私は趣きを異にしていると思います。河川災害の場合は堤防が濁流によって崩壊する、直ちにその堤防を強固にすればいいということで足りますから、直ちにその復旧に関連して改良復旧等にとりかかることができますが、こういう特殊な津波対策というものは、背後地の関係を考慮したり、あるいはまたこれがいいということがわかってもなかなか、防波堤を作ればもう背後に土地がちっともない、海岸の山からすぐに海に飛び込むようなところで、住民のいろいろなことも考え——特にあの地方は御承知のようにほとんど港湾と漁港地域になっております。従って漁港の部分は農林省の水産庁でいる、港湾は運輸省で所管しているというようなことでありますから、こういう各省の関係しているその背後地にどういうものを設けたらいいかということについて、私は河川災害の場合とちょっと違うと思います。従って、関係各省が慎重に協議して、そうしてこの結論を得たもので、再度災害のないような措置を講ずるというようなことをいたしますにはどうしても時間的に、すぐことしじゅうにあそこはこうしなければならぬというようなほど、せっぱ詰まつたものではないということはないでしょうが、とにかくこれはちょっと非常に審議を要するのじゃないか、慎重な審議を要すると思います。そういう点で、とうてい、どういう結論になるか知りませんが、各地域によってそれぞれ異なっておりますので、そういう理想案ができたとしても、地元で今日の現行法で十分できるところもありましょうが、まあまあ大体私はあの地方の力からいってとうてい現行補助率では、幾らいい案がてきてもやれないのじゃないか、そういうために、慎重に設計、計画を立てて、そうして、その上で必要な措置を講じてこの仕事をやるというように考えて、この立法を御審議願っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/14
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015・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) そうすると今のお話だと、財政的には非常に困難だ、従って、これで総合的の計画をして実施に移す場合においては、まあ、でき得れば全額措置を講じてやる、あるいはまた非常に高率な助成をして事業を推進する、こういう含みがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/15
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016・村上勇
○国務大臣(村上勇君) この第五条の必要な措置を講ずるというところは、私どもの考えでは、そういう高率な補助をして、地元の貧打にたえ得るような状態でやってい、というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/16
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017・米田正文
○米田正文君 先ほど大臣の御説明の中に、ことしは調査をやって計画を立てようという御趣旨だと思うのですが、そこで、では、ことしは予算は大体どのくらい調査のための予算をとって、そうしてどういう実施機関が、府県なら府県、建設省が加わってやるか、そういうような予算の関係、実施の方法等についてはどういうお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/17
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018・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 津波対策につきましては、非常に、昭和八年の実績もございますが、なかなかむずかしい点もございまして、どうしても調査費をとってやらなければいけない、こういうふうに思っております。そうして関係いたしますのは運輸省と農林省の三省に関係いたしますので、現在、三省間でどういう調査をやろう、それから調査費は幾らであるかということを検討いたしておりますが、調査をやる内容といたしましては、潮位の痕跡の調査、それから建造物、それから深浅測量、地形側柱、経済的な調査、それからそのほかに土木研究所におきまして、やはり津波発生のそういう装置を設備しまして、津波の実態を概略的にでも本年度は把握をしたい、こういうつもりでいたしております。
金額につきましては、三省の間で最終的な結果はまだ出ておりませんが、建設省としては約三千万円程度の調査貨を今年度の予備費から支出をしてやる予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/18
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019・米田正文
○米田正文君 これはなかなか調査といっても、調査のやり方もいろいろあって、幾らでも長くかかるし、早くもできる性質のものですからして、こういう緊急対策の調査である以上、早く調査を完了して計画を樹立するということが必要だと思うのです。これはいずれ府県の機関で調査をし、計画を立てるだろうと思うのですが、ことしじゅうかかるというようなめどは初めから立てることのないように、一つ今年度内早く、私は今からやれば暮れまでには計画が完成するのじゃないかと思うのですが、その辺の見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/19
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020・村上勇
○国務大臣(村上勇君) まあ全部が全部というわけにはいきますまいが、それを重点的に検討して参りますれば、大体暮れまでには十分できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/20
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021・米田正文
○米田正文君 それから第二条の中に「政令で定める地域」ということになっておりますが、政令で定めるには基準を設けて、ある一定基準以上のものになろうと思うのですが、その基準についての考え方はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/21
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022・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) この該当地域をきめるのは非常にむずかしいと思いますが、一言でいえば、今回の津波で著しく被害を受けた地域、こういうことになりますが、ただいま考えておりますのは、三陸沿岸と仙台湾、これはもう非常に被害が激甚でございますので、この地域は必ず入ると思います。その他の点々としております——ともかく被害は太平洋沿岸ほとんど全域にわたっておりますので、点々としております市町村につきましては至急にいろいろ調査をやりまして、この地域に入るかどうか、こういうことを検討したいと思っております。現在まだ基準の点まで、その調査を見ながら、そして政令で定める地域をきめる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/22
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023・米田正文
○米田正文君 これは政令基準ができていないとわからぬですが、その検討する過程において一つ考えておいていただきたいことは、まあ中心は三陸になるだろうと思うのですけれども、それに匹敵するような三重県の海岸にそういう事態がある、あるいは北海直にもあるということになれば、それらの基準で入れるような考慮をしておいていただきたいのは、特に先だって知事会において三重県の知事は、伊勢湾台風で防潮堤等をやってもらうつもりで県は要望を出したけれども、これも削りあれも削りで、ほとんど残るところはないくらいに削られてしまった。聞くところによると三重県は伊勢湾高潮対策事業でもうやったのだから、あの地域は入らないというようなことをいう者がおる、そうしたことでは困るということでありましたからして、私はそういう意味ではなかろうと思う。当然津波対策としてやるべき地域があれば、政令基準に合う地点はやることになるだろうから、そういう御心配は要りませんと言っておきましたが、政令段階では一つ御検討をお願いいたしておきたいと思います。
それから審議会で最後計画案の検討をすることになっておりますが、その審議会の構成はどういう人たちで、顔ぶれはどういうところを予想されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/23
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024・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 審議会の構成でございますが、伊勢湾台風のときは審議会でなく、事実上協議会を開いてやっておりました。大体そういうような近いメンバーでやったらどうかと思っております。つまり建設、運輸、農林の三省が入るのはもちろんでありますが、大蔵、自治、経済企画庁、科学技術庁、その他いろいろ津波の権威者である学識経験者、こういう方々の入った審議会を作ったらどうかと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/24
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025・米田正文
○米田正文君 それはまた別に三条の中で、地方公共団体の意見を聞くことになっておるんですが、この審議会の構成委員の中に地方公共団体の長なり、あるいは役員なりを入れる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/25
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026・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 地方公共団体の意見を聞くということは、この法律に入っておりますが、その開く形の問題ですが、審議会のメンバーとして入っていただくか、あるいはその会議で十分発言していただくか、いずれがいいか、よく検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/26
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027・米田正文
○米田正文君 これは法律で地方公共団体の意見を聞くということになっておる以上、そういう会議で聞くか、文書で聞くか、そういう点も私は両方やる必要があるんじゃないかと思っているんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/27
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028・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 今の御意見もごもっともでございますので、十分そういうことを考えて審議会の構成を作りたい、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/28
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029・米田正文
○米田正文君 それからこういう対策事業をやる場合には、伊勢湾台風のときは、改良費と災害復旧費が、半々とは言いませんが、半々、大体同じ程度のものを合わせて対策事業ということになったように思うんですが、今回の場合はちょっと違うと思うんです、伊勢湾対策とは。というのは伊勢湾対策のときは相当の施設があって、災害復旧費も相当あるけれども、今回のあの地域、特に三陸地域等はほとんど施設のないところであって、その災害復旧費とのにらみ合わせ、比率なんということをいうと、この計画は私はほとんどできないんじゃないかと思う。その点は純然たる改良、新設が起きる、そういうもので考えないとできないんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/29
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030・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) その点でございますが、伊勢湾台風の高潮対策事業につきましても、原則的には災害復旧費と改良費が一対一というようなことがとられておりましたが、実際には熊野灘等におきましては相当倍率が高くなっています。三陸方面につきましては相当条件が違いまして、従来の公共施設が少ない、そういうような点を特に考えまして、さらにそういう倍率の点は大幅にとるべきじゃないか、こういうような意見で、ただいま現地の調査をやっております。その調律の結果を待ちまして、経済効果等とにらみ合わせ、従来以上の倍率をとってやりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/30
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031・米田正文
○米田正文君 その点は一つ、今回のは特別のケースでありますから特別な考え方で進むように強く要望いたしておきます。
その次に、五条で、必要な措置を講じ、国の財政の許す範囲内でその実施を促進することに努めるということになっておりますが、これも財政上の関係になってくると、およその見当をつけなければいかぬと思うんですが、伊勢湾のときは各省の分を合わせると八百四十億にも総額は上っておるが、今度のは一体どの程度の規模か、大きい考え方からいって、その規模をどの程度に見るかという考えができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/31
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032・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) その点につきましては三省今極力調査中でございまして、規模が幾らになるか、残念でございますが、今申し上げられない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/32
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033・米田正文
○米田正文君 それで今私は伊勢湾等と対比しても相当な規模であることを要望しておくと同時に、伊勢湾は今のような状態だと、あの高潮対策事業は、五年ぐらいはかかりそうだと思うのですが、そういう長期のものでは私はいけないので、やはり災害復旧事業と大体歩調を合わせるぐらいに完了するようにする必要があると思うのですが、その考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/33
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034・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) お説の通りでございますが、まずその規模がわかりませんので、財政とのにらみ合わせで、はたして何年にできるか、よくわかりませんが、極力災害復旧と歩調を合わせる、これは好ましい状態でございますので、そういう点を、一そう努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/34
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035・米田正文
○米田正文君 最後にお聞きしたいのは先ほど委員長から大臣にも御質問があったのですが、この事業の、いよい士事業実施の段階に入ったときの事業の負担率の問題ですが、これは現地では、高率補助を非常に強く要望しており、自民党としても、この問題はぜひ高率補助にする必要があるということを強く主張しておりますので、この点についての見通しを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/35
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036・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) 補助率の問題でございますが、これは事業の規模と、それから地方財政との関係というような点で、大体きまるのじゃないかと思います。その規模につきましても、現在まだよくわかりませんが、大体の見通しとしては、現在の海岸法できめられております補助率では、地方財政の点から考えまして非常に実施が、完全実施が困難ではないかというふうには想像されます。よく事業全体の規模をつかみまして、極力実施が完全にできるように補助率を上げていきたい。こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/36
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037・米田正文
○米田正文君 最後に、総括的に結論を申し上げますと、この特別措置法は早急に計画案を樹立することが必要だということを申し上げておきますが、各省関係もありますけれども、一つ至急に新しい観点から計画を樹立すること、その作業を早く完了することを要望いたしておきます。
同時に、今年度の災害復旧は、今年度やらなければならぬ急ぐ災害復旧があると思うのです。これは、この事業と直接関連のないものについては、どんどん事業が進んでいくように災害復旧もあるいは関連事業も、この特別措置法に関係なくやらなければならぬものがあると思うのですが、そういうものについて、急いでやる必要があると思うのですが、その点、特に建設省の計画というか、方針をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/37
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038・山内一郎
○政府委員(山内一郎君) お説の通りでございまして、津波対策事業の特別立法がされるというので、事業を待つというわけにはいかないと思います。この津波対策事業に、関係のないと言いますか、この計画に入らなくても、災害復旧だけで十分処理できるという個所につきましては、現在も、極力その復旧をやっております。この対策事業に入りそうだという個所については、一応仮工事程度で処置をいたしまして、至急に、この全体計画を作って実施に移していったらどうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/38
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039・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに何か、この措置法案についての御質疑ございませんか。——なければ特別措置法案についての質疑は終了したことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/39
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040・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に、昭和三十五年三月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律案について質疑を行ないます。御質疑のある方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/40
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041・米田正文
○米田正文君 公営住宅法の特例に関する法律案について質問をいたしますが、まず今回の津波災害で滅失した戸数は、現在の調査では、幾らになっているか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/41
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042・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 現在査定をいたしました結果、判明しておりまする滅失戸数は内地、北海道、全部合わせまして二千九百八十四戸になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/42
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043・米田正文
○米田正文君 今の公営住宅法によると、滅失戸数の三割までを三分の一補助するという建前になっているのですが、そういう数字が出てくると、今後、建設をする所要戸数はどのくらいになる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/43
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044・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 今後の建設計画戸数でございますが、これは県市町村が事業主体になりますので、事業主体から要望を十二分に聴取し、また現地の調査の結果とにらみ合わせて検討いたしておりまするが、ただいまのところ内地、北海道合わせまして九百六十六戸を考えております。ただこの数字は、若干なお移動があるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/44
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045・米田正文
○米田正文君 その一千戸に近い所要戸数でもって、私はまあ被害としては、非常に大きい部類に属すると思うのです。大体、これは今年度中にやりますか。来年にかけて、二年でやるのですか、一年でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/45
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046・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 従来の扱いからいたしまして、二年間にわたって、全部の建設を終わるということにいたす考えでございますが、ただ災害が、今年度比較的早目にございましたので、従来は、大体六割を当年度やって、あとの四割を二年目にやるということでやっておりましたが、今回の災害につきましては、七割程度を当年度建設いたしまして、あとの三割を、三十度早々に着工ができるように取り計らいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/46
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047・米田正文
○米田正文君 これはまあ従前から、二年でやっているようですが、これはどうも、私は経験によって見ると、災害住宅というのは、大体二年にわたるのは、どうも不合理だというような気がしてきているのです。
ことに今度の災害のようなのは、年度の初めにきたものであって、来年度まで待たしているというようなことでは、災害対策の意義が非情に薄れてくると思うのです。こういう早くきた被害については、今、一割を上げて七割にしたという話ですけれども、五月というような年度の早いときにきたものについては、もうその当該年度にやらないというと、これは災害対策にならないのじゃないか。九月なり十月なり、あるいはもう年度の終わりにきた災害についての災害対策住宅ならば、これは、まあ技術上もやむを得ないということにもなるけれども、この点ちょっと、考え方が適当でないような気もするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/47
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048・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいまの御意見、ごもっともだと存じますが、従来の、これは事業主体が、特に市町村が、財政事情もある程度ありますが、あるいはその用地の設定、買収等々で、なかなかまとまった戸数を一ぺんに建てることはむずかしいというような事情もありまして、かてて加えてお話のような災害の発生の時期が、大体夏から秋にかけてあるという場合が多いものですから、六—四というようなことでやっておりまして、今回は、私どもはもっと七割以上八割でも建てられるものならば建てたい、こういうことで、まあ大蔵省とも話し合っておりますが、市町村当局の意向をいろいろ聞いてみました結果、まあ平均でございますけれども、大体七割程度で、ことしは落ちつきそうだという状況でございまして、なお、お話の趣旨によって、できるだけよけい今年度建ちますように配慮いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/48
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049・米田正文
○米田正文君 これは毎年の建設省の予算の中に、災害用の住宅としてあらかじめ予定してある分がありますね。今回の分は、おそらくそのワク内で操作ができると思うんですが、これは、もうおそらくこれで一ぱい一ぱいになって、今後の災害については、新しくまたこのワクをふやす計画を立てなければならぬと思うのですが、それらの準備を今からしておく必要があると思うのですが、その点について、どういう準備をされようとしておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/49
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050・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま御指摘のように、公営住宅の災害対策用といたしましては、例年そうでありますが、本年度予算におきましても、千戸分が用意されておりますので、今回の災害の本年度建設分につきましては、このうちから十分まかなえると考えております。
しかしながら、お話のように、今後災害が予想されまするし、それに対処いたしまして、どういう手を打つか、この間土木建築部長会議を開催いたしました際にも、府県当局に十分留意を促しておきましたけれども、戸数の増加、従って金額の問題につきましては、今後の起こった災害に対処しまして、具体的に予備費の要求をいたして参るというふうに考えております。そのほか台風等が、従来ひんぱんに起きておりました地帯の市町村に対しましては、あらかじめ災害復旧用の住宅計画を、特に構造別の計画等を研究さしておくということを指示いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/50
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051・米田正文
○米田正文君 今回の公営住宅法の特例は、これは要するに、災害が起きたときには、その滅失戸数の三割を対象にして、そしてそれに三分の二の補助をしようという今の現行法の率なり、あるいは補助率なりでは不十分だというので、特別な措置として、これを滅失戸数の五割まで上げなくちゃならぬ、そしてその五割を対象として、四分の三という補助率も引き上げようというわけでありますが、これは要するに、これも適用地域を、どの程度にしぼるかということが問題だと思うのです。
そこで、先般公営住宅法の改正で、一市町村で二百戸という規定を作ったわけですが、その標準程度でやろうとするのか、あるいはもっと他の要求もいれようとするのか、その辺の考え方をお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/51
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052・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 先般、今国会において御審議いただきまして成立いたしました公営住宅法の災害関係の規定の改正は、これは現行の規定の適用の基準として、一市町村二百戸以上ということが、新しい基準として規定されたわけでございますが、今次の災害の場合の特例法といたしましては、さらに補助率を上げたり、あるいは三割を五割に引き上げるという関係から、さらにしぼりまして、一市町村二百戸以上かつ滅失戸数の一割以上とする予定に考えております。一応この基準で政令に定めまして、該当市町村を建設大臣が告示をすると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/52
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053・米田正文
○米田正文君 そうすると、適用する地域は、どういう市町村になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/53
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054・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいまのところ、はっきり該当いたしますのは、岩手県の大船渡市、宮城県の志津川町、北海道の浜中村、そのほか旧市町村の区域の関係等におきまして若干まだあるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/54
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055・米田正文
○米田正文君 要するに、この高率補助にする特例の趣旨は、補助率を上げることによって市町村の起債する額をなるべく小さくしてやろう、そうして地方財政に寄与してやるというのが一点と、それから、それに災害を受けた者が住むのだからして、家賃を安くしてやるという二つの趣旨が、この中に入っておると思うんですが、特にこういう特例をやると、家賃がどれだけ違うかという点の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/55
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056・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 家賃につきましては、ただいま御指摘のように、補助率が上がりますると、その分だけ下がるわけでございますが、構造別に若干違いますので、木造について申し上げますと、これは差額が百四十四円。これは具体的に宮城県の旭台の一例をとっております。それから、耐火構造のうち、簡易耐火の平家でございますと、百六十五円の差額になります。また、その簡易耐火の二階でございますと、二百六円の差額になります。だいたい百四十円から二百円ぐらいの開きが出るということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/56
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057・米田正文
○米田正文君 そうすると、もう一つの点の市町村の起債する起債力の問題ですが、これは全額起債になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/57
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058・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 従来、災害公営住宅の地方負担分の起債につきましては、自治相におきましても、私どもの意見を了承しまして全額起債という方針でやっておりましたが、実際には、全額に至らなかった例も、事業主体によってはかなりございます。
今回は、特に特例法を適用する市町村のみならず、一般の市町村につきましても、全額起債を認めるようにという申し入れをしておりまして、自治庁も、考え方、方針としては一〇〇%起債を認めようということで、今具体的に検討をいたしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/58
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059・米田正文
○米田正文君 さきほども申し上げましたように、今回の津波被害の建設行政としての対策のいちばん重要なのは、この問題だと思うんです。今日すでに、もう住宅に因っておる状態ですから、特に緊急を要する問題だと思いますので、今の起債問題を早く解決してやって、市町村に安心して仕事ができるように、建設省も、直接の所管じゃないでしょうが、大いに努力をする必要があると思います。この点を特に強調いたしまして、この特別の法律だけに関する私の質問は終わります。
もう一つ、これに加えてですが、住宅行政という面でお尋ねをいたしておきたいのですが、今度被害現地に行って感じたのは、また非常に強い要望があったのは、この海岸に面する地域に防潮堤を作りたい、都市の中で防火帝ができて、いわゆる火事が起きたときに、ある帯状の地域で火事を防ぐための防火帯というのが、今実施をされておる、そういうものと同じように、津波常襲地帯においては、津波の来る前血に津波を防ぐ地帯を作りたいという希望が非常に強く各地にあります。これは、まあ今の制度では、住宅金融公庫の協力も得なければならぬと思いますが、国としてこの問題を、防火帯と同じような方式として助成をする必要があると思うのですが、この点についての建設省の方針を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/59
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060・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) 防潮帯と申しますか、防災上の帯を建築物によって構築するということは、私どもも、きわめて適切な対策であると考えております。
ただ、現在の耐火建築促進法におきましては、郷案内のように、これは木造建築と耐火建築の費用の差額の一部を補助するということになっておりまして、結局相当部分の建築費は、建主が負担しなければならないということでございますし、また公庫の中高層耐火建築物にいたしましても、これは実際上、建築費の半分ぐらいは建主の負担になるわけでございます。あとは融資という面で、結局その町に住む人のふところ工合の問題が一つと、それから防火帯を防潮的な意味で指定することは、耐火建築促進法では可能でございます。——これは防火だけでなくて「その他の災害」ということも入っておりますので可能でございますから、私ども今具体的に、たとえば大船渡市あたりにつきまして検討いたしておりますことも……、ただ一面に、防火帝を指定いたしますると、その地域は防火地区というような地区の指定になりまして、一般的に木造の建築が規制されるという効果を伴いますので、地元の意向が、必ずしも簡単にまとまらないという事情もございます。
そこで、いろいろ今検討いたしておりまするが、相当な町の中心部になるような所で、市街地につきまして、モデル的にそういう帯状の不燃建築物の建築を防火帯とか中高層建築の融資をからみ合わせまして、作っていくようなことを考えたらどうかということで、今、具体的に検討いたしているような次第でございます。
なお、場合によりましては、農林省あたりとタイアップいたしまして、公営住宅の下にげたをはかせまして、そのけたは漁民の人たちの生産施設にする、あるいは店舗でもよろしゅうございます。そういう場合に、農林省の方の設備資金の低利な融資をやってもらうというようなことも、あわせ考えたらどうかと、いろいろ今、研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/60
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061・米田正文
○米田正文君 それは私は一つやってみたらいいと思う。ただ、これをやるには、方針を早くきめぬと、都市計画上の問題を早くやる必要があるので、まずやるということをきめて、そうして都市計画上の手続を済まして、一つやってみる必要がある。
これは今のお話を聞くと、防火帯でやろうとするから、いろいろな支障があるので、防火帯とは、ちょっと趣旨が違ってきているので、前面に堅固なコンクリートなり、あるいはブロックでも、これは強くすればいいと思うのですが、そういう津波が来ても壊されぬ家を作る、破壊されない家を作るということができれば、それから後方地帯の、背後地の住宅というものが、非常に安全になるということは、これは明らかでございますから、そういう地帯を作るということでもって、それから後の方は、木造であって火事には弱くても、これはまた趣旨が違うと思う。防火地帯を指定するというようなことまで考えていくと、いわゆる防火布の思想でいくと、ちょっとこの一問題は解決できぬのじゃないかと思うのです。だからまああれでいけるというような考えに立たないで、やはり新しい考え方に立ったもので……、私は、必ずしも法律がなくとも、モデル・ケースぐらいならば、できると思う。
だから、今のげたばき住宅等の考えも入れて、至急に一つ考えていただきたい。あるいは近路問題等もあると思うが、いずれにしても都市計画関係で今度の対策について、十分一つ努力してもらいたいと思う。どうぞ、そういうことを私は強く要望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/61
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062・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御質疑ありませんか。——なければ、本案についての質疑は一応終了いたすことにいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/62
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063・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 速記を始めて。
それでは、これにて暫時休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
〔休憩後聞会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03319600616/63
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