1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十二日(火曜日)
午前十時三十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 加藤 武徳君
理事
高橋 一夫君
吉武 恵市君
坂本 昭君
藤田藤太郎君
委員
鹿島 俊雄君
勝俣 稔君
紅露 みつ君
徳永 正利君
山本 杉君
小柳 勇君
田畑 金光君
村尾 重雄君
竹中 恒夫君
衆議院議員
齋藤 邦吉君
田中 正巳君
国務大臣
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
政府委員
厚生省保険局長 太宰 博邦君
労働政務次官 赤澤 正道君
労働大臣官房長 三治 重信君
労働省職業安定
局長 堀 秀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
衆議院法制局側
第 二 部 長 鮫島 真男君
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本日の会議に付した案件
○失業保険法及び職業安定法の一部を
改正する法律案(衆議院提出)
○厚生年金保険法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正
する法律案(衆議院提出)
○船員保険法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/0
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001・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから会議を開きます。
失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
発議者から提案理由の説明をお願いいたします。
まず、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案について齋藤衆議院議員に説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/1
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002・齋藤邦吉
○衆議院議員(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
失業保険法は、昭和二十二年第一回国会において成立し、以来今日に至るまでの間において、そのときどきの雇用失業情勢に即応して、数次にわたり改善が加えられたものでありまして、その適用範囲は、ほとんどすべての産業に及び、給付内容についてもすでに充実したものということができます。しかして、今日までの変動する経済情勢下において、失業対策の柱として失業労働者の生活の安定に寄与してきたその役割は高く評価すべきであります。
自由民主党といたしましては、社会保障制度全体としての均衡ある発展をはかるため、既存の社会保険制度を通じて費用負担の調整を行なおうとする政府の方針に賛同し、失業保険料率及び国庫負担率の引き下げによる費用負担の調整を行なうとともに、また、最近の失業情勢に対処し失業対策の効果を上げるため、失業保険の給付内容の改善措置を行なう必要があると考え、一般失業保険については、就職が著しく困難な地域における給付延長の特別措置、職業訓練所入所者に対する給付延長の制度及び就職仕度金の制度の新設、日雇失業保険については、待期日数の短縮の四点の給付改善措置を実施することとし、ここに失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案を作成し、提案いたした次第であります。
以下その概要を御説明申し上げます。
まず、費用負担の調整に関する改正事項につきましては、第一に、一般失業保険の保険料率現行千分の十六を千分の十四に改め、労使双方の負担をそれぞれ千分の一ずつ軽減したことであります。
第二に、保険給付に対する国庫負担の割合現行三分の一を四分の一に改めるとともに、毎会計年度において失業保険の収支に不足を生じた場合には、その不足額について、国庫負担の総額が保険給付に要した費用の三分の一相当額に達するまで国庫が補てんするものといたしたことであります。
また、この場合の保険収支の計算は、一般失業保険と日雇失業保険ごとに別建てとして行なうものであります。
以上の、保険料率を、千分の十六を十分の十四に改めるという点並びに保険給付に対する国庫負担の割合、現行二分の一を四分の一に改めるという点並びに、後に申し上げますが、日雇失業保険における待期日数一日の短縮、この三点が、政府提案として、先般昨年の通常国会以来政府案として提出せられておりました失業保険の部分でございます。従いまして、後に述べます点が、新しく追加されたものと御了解いただきたいと存ずる次第でございます。
次に、給付内容の改善に関する改正事項の要点について御説明いたします。
第一に、給付日数の延長に関する特別措置等の新設については、失業者が多数発生した地域について、これらの求職者を当該地域において就職させることが著しく困難である場合には、これらの求職者が他の地域において就職することを促進するため、労働大臣が広域職業紹介活動を命ずることができる制度を設けることとし、このため職業安定法の一部改正をするものであります。
しかして、労働大臣は、広域職業紹介活動を命じた場合において、必要があると認めるときは、当該地域にかかる広域職業紹介活動により職業のあっせんを受けることが適当と認められる受給資格者について、その指定する期間内に限り、一定日数分の給付延長をなすべき特別措置を決定することができることとしたものであります。
なお、給付延長に関する特別措置を決定する場合の基準及び給付延長の日数については、政令で定めることといたしますが、この特別措置に要する経費については、通常の場合と異なり国庫が三分の一を負担することといたしたものであります。
第二に、失業保険金受給資格者の職業訓練受講を容易にするため、公共職業安定所の指示により公共職業訓練——訓練期間一年以内のものに限るのでありますが、この公共職業訓練を受ける受給資格者に対しては、失業保険金の支給が終了した後もなお訓練終了日までの間失業保険金を支給する給付延長の制度を新設いたしたのであります。
第三には、失業保険金受給資格者の再就職の促進をはかるため、受給資格者が失業保険金の受給中に就職した場合には就職支度金を支給する制度を設けたことであります。
就職支度金は、受給資格者が失業後早期に就職した場合、すなわち、その者の所定給付日数の二分の一以上を残して就職した場合に支給することといたし、就職支度金の額は、所定給付日数の三分の二以上を残して就職した者については、失業保険金の五十日分相当額、所定給付日数の二分の一以上三分の二未満を残して就職した者については、三十日分相当額とすることにいたしております。
以上申し述べましたこの三つの点が、議員提案として追加いたされました事項でございます。
第四に、日雇失業保険の保険金の受給要件である待期は、現行通算六日、継続四日と定められ、かつ、日雇失業保険の収支の状況によりその日数を増減する制度となっておりますが、その日数をそれぞれ一日短縮して通算五日、継続三日に短縮するとともに、これを固定した制度に改めたことであります。
最後に、保険料率及び国庫負担の割合については、昭和三十四年度から昭和三十六年度までの保険収支の実績に照らして検討を加えることとし、その結果に基づいておそくとも昭和三十八年三月三十一日までに、適正な費用負担の割合の決定について所要の改正の手続がとられるべきものといたしておるものであります。
以上がこの法律案の要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決せられますようお願い申し上げる次第でございます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/2
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003・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それでは次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案。
右の三法案について、発議者から提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/3
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004・田中正巳
○衆議院議員(田中正巳君) ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
この法律案は、厚生年金保険の標準報酬の最高限及び保険料率を引き上げるとともに、保険給付の増額を行なうこと等をその内容としているものであります。
すなわち、改正点の第一は、標準報酬の等級区分を最低三千円から最高三万六千円までの二十等級に改め、これにより標準報酬を被保険者の報酬の実態に合わせることといたしたのであります。
その第二は、基本年金額を増額して給付内容の改善を行なったことであります。現行の基本年金額は、定額部分二万四千円と報酬比例部分とからなっておりますが、この報酬比例部分については、現行法では平均標準報酬月額の千分の五に被保険者であった期間の月数を乗じて算出しておりますのを、平均標準報酬月額の千分の六に被保険者であった期間の月数を乗じて算出するよう改めることによりまして、実質的には報酬比例部分について二割の増額を行なうとともに、現に老齢年金等の給付を受けている者にもこれと同様給付額を引き上げることとしたのであります。
第三は、保険料率を引き上げたことであります。現行の厚生年金保険の財政方式は、いわゆる修正積立方式をとっており、五年ごとに行なわれる再計算の結果に共づき、漸進的に本来の保険料率に引き上げることとなっておりますが、ちょうど昭和三十四年がその再計算の年に当たっておりますので、将来の給付予想額及びこれに要する財源等について再計算を行なった結果に基づきまして、今回は、第一種被保険者すなわち一般男子及び第四種被保険者すなわち任意継続被保険者につきましては、現行の保険料率千分の三十を千分の三十五に改めることにより千分の五を引き上げ、第三種被保険者すなわち坑内夫につきましては、現行の保険料率千分の三十五を千分の四十二に改めることにより千分の七を引き上げることといたしたのであります。
また、この保険料率は、昭和三十九年四月三十日までの暫定料率でありまして、この間において行なわれる再計算の結果に基づき改定されるべきものであります。
なお、基本年金額が引き上げられたことに伴いまして、現行法の附則に規定されている従前の年金に関する経過措置につきましても、所要の整備を加えたものであります。
以上が、この法律案を提案いたしました理由でありますが、この法律は、かつて提出されておりました政府提出の法律案とは、公布の日にち、施行月日等が若干違っているだけでありまして、内容等については変わったことがございません。要するに、閣法においては、四法案が一緒になっておったのを、一つ一つの法律案にばらしただけでありまして、内容については、施行期日その他若干の点を除きましては、実質的には変わりはないということを御了承願いたいと思います。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
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ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
この法律案の要旨といたしますところの第一点は、日雇労働者健康保険におきましては、傷病手当金につきまして、療養のため労務に服することのできない被保険者に対し、労務に服することができなくなった日から起算して第五日からこれを支給することになっておりますのを、第四日から支給することに改めたことであります。
要旨の第二点は、出産手当金の支給限度につきまして、十四日となっておりますのを二十一日に延長したことであります。右の二点はいずれも給付内容の改善をはかったわけでありますが、これは衆議院の審議において修正を見た部分であります。
要旨の第三点は、療養の給付及び家族療養費の支給に要する費用についての国庫負担率が四分の一となっておりますのを十分の三に引き上げ、これとともに、傷病手当金及び出産手当金の支給に要する費用についても、予算の範囲内で国庫が補助することとされていたものを、右と同様の国庫負担率に改めようとしたことであります。これにより、実質的に国電負担額は相当の増額となりますので、それだけ日雇健康保険制度の財政の健全化に資することになるわけであります。
この部分については、さきに提出されておりました政府提出の法律案の内容と同様であります。また、施行期日については、この議員提出の法律案は、やはり政府提出の法律案と若干違っているわけであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由並びにその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
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ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
今回の改正は、船員保険事業の健全な発展に資するため、所要の改正を行なおうとするものでありまして、その要旨は、第一に、老齢年金及び職務外死亡の場合の遺族年金の額を増加して給付内容の改善を行なったことであります。すなわち、老齢年金は、定額部分二万四千円と報酬比例部分とからなっているのでありまするが、この報酬比例部分について、現行法では平均標準報酬月額の百五十分の一に被保険者であった期間の月数を乗じて算出しておりまするのを、平均標準報酬月額の千分の八に被保険者であった期間の月数を乗じて算出するように改めることによりまして、実質的には報酬比例部分について二割の増額を行なおうとするものでありまして、これに伴い、老齢年金の半額とされている遺族年金の額も同様に増額いたすことになります。なお、この年金額の増額は、現在すでに老齢年金等の給付を受けている者にもこれを及ぼすことといたしております。
第二に、保険料率を改定して保険財政の健全化を期したことであります。船員保険の、長期給付部門につきましては、厚生年金保険と同様修正積立方式をとっており、本年がちょうど五年ごとの保険料率の再計算の年に当たっておりますので、長期給付部門の所要財源について再計算が行なわれたのでありますが、その結果によりまして、厚生年金保険における第三種被保険者、すなわち坑内夫と同様千分の七を引き上げるとともに、財源に余裕のある疾病給付部門について千分の一、失業保険部門について千分の三の保険料率の引き下げを行なうことといたしましたので、総計において、失業保険の適用を受ける者の保険料率は千分の百六十九、適用を受けない者の保険料率は千分の百五十八となり、それぞれ千分の三、あるいは千分の六の保険料率の明き上げとなるわけであります。
第三に、失業保険部門の給付に関する国庫負担金について、現行の三分の一の国庫負担率を四分の一に改めることとし、毎会計年度において、失業保険部門の収支に不足が生じた場合には、従来の国庫負担率、すなわち、三分の一相当額に達するまで、国庫が補てんすることといたしたことであります。
なお、今回の改正にかかる船員保険の保険料率及び国庫負担率は、いずれも暫定的なものでありまして、長期給付部門の保険料率につきましては、次の再計算時、失業保険部門の保険料率及び国庫負担率につきましては、昭和三十八年三月末までに再検討いたすことにしているのであります。
この議員提出の法律案については、政府提出の法律案とは施行期日が変わっているだけであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由並びにその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/4
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005・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいま四法案について発議者から提案理由の説明を伺いましたが、この四法案につきまして、逐次細部の説明をお願いしたい、かように思うわけでありまして、細部説明を衆議院法制局鮫島第二部長にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/5
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006・鮫島真男
○衆議院法制局参事(鮫島真男君) ただいま議題となりましたこの四つの法律案につきまして、提案理由の説明に補足して御説明を申し上げます。
お手元に御配付してございますこの失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案関係資料、まずこれによりまして失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案の内容について御説明申し上げます。
この改正の内容のおもな点は、この費用負担の調整に関する部分と、それから給付内容の改善に関する二つの部分からなっているわけでございますが、まずその最初の費用負担の調整に関する部分につきましては、第一には、この保険料率の引き下げをいたしたことでございます。この一般失業保険の保険料率は現在千分の十六でございますが、これを千分の十四に引き下げる、これは失業保険法の三十条第一項の改正がこれに該当するのであります。
それから次は国庫負担率の引き下げでございまして、現在保険給付に対する国庫負担の割合が三分の一になっておりますが、これを四分の一に改めます。同時に毎会計年度におきまして失業保険の収支に不足が生じました場合には、その不足額につきまして国庫負担の総額が保険給付に要した費用の三分の一相当額に達するまで国庫が補てんすることにいたしております。そしてこの場合の保険収支の計算は、一般失業保険と、日雇失業保険ごとに、別々に計算することにいたしております。関係の条文は、失業保険法二十八条第一項の改正と二十八条の第二項を新設いたしたことでございます。それから右の改正に関連いたしまして、現在、一般失業保険におきましては、毎年三月末日とそれから九月末日におきまして、過去六カ月間ごとに保険収支を計算しまして、その収支に一定割合以上の不足がありました場合には、保険料率を引き上げなければならないという規定が三十条第二項にあるわけでございますが、この三十条第二項の義務規定をこの際削除いたすことにしております。
次は保険料率及び国庫負担の割合について再検討すべき旨の附則第五項の規定でございまして、保険料率及び国庫負担の割合につきましては、昭和三十四年度から昭和三十六年度までの保険収支の実績に照らしまして検討を加えまして、その結果に基づいて、おそくとも昭和三十八年三月三十一日までに所要の改正手続をなすべく、これを附則第五項において規定しております。
もう一つの改正点でございます給付内容の改善に関してでございますが、第一は、職業訓練施設入所者に関する給付延長に関する規定を新設いたしたことでございましてこれは失業保険法の第二十条の三がこれに該当いたします。すなわち失業保険金受給資格者の職業訓練受講を容易にいたしますために、公共職業安定所の指示によりまして訓練期間一年以内の公共職業訓練を受ける受給資格者に対しましては、現行法によりまする失業保険金の所定給付日数、それから次に述べます二の規定によります給付日数の延長に関する特別措置の規定がございますが、この日数をこえまして、職業訓練の終わる日まで失業保険金を支給する旨の規定を新設いたしておるのでございます。
それから二番目は、給付日数の延長に関する特別措置に関する規定を新設したことでございまして、まず職業安定法を改正いたしまして、職業安定法第十九条の二の規定を新設しまして、一定の地域において失業者が多数発生し、その地域において就職させることが著しく困難である場合には、これらの求職者が、他の地域において就職することを促進いたしますため、労働大臣が広域職業紹介活動を命ずることができることといたしております。そして右の職業安定法の第十九条の二の規定によりまして、労働大臣が、広域職業紹介活動を命じた場合において必要があると認めます場合には、労働大臣は、当該地域にかかる広域職業紹介活動により、職業のあっせんを受けることが適当と認められる受給資格者については、その指定する期間内に限りまして、一定の日数分の給付延長をなすべき特別措置を決定することができることになっております。そして、この給付延長に関する特別措置を決定する場合の基準及び給付延長の日数については、政令でこれを定めることといたしております。これの関係条文は失業保険法の第二十条の四、第二十条の五、第二十条の六がこれに該当いたします。
それから次は、就職支度金給付制度を新設いたしたことでございまして、失業保険金受給資格者の再就職の促進をはかりますために、受給資格者が就職した場合には、就職支度金を支給することといたしております。就職支度金は、受給資格者が所定給付日数の二分の一以上を残しまして就職した場合支給することといたしまして、その額は、所定給付日数の三分の二以上を残しまして就職した者につきましては、失業保険金の五十日分相当額、所定給付日数の二分の一以上、三分の二未満を残して就職した者につきましては三十日分相当額を支給いたします。これは失業保険法二十六条の二の規定でございます。
それから次は、日雇失業保険の待期日数の短縮の規定でございまして、日雇失業保険の保険金の受給要件であります待期は、現在失業保険法第三十八条の九の第五項によりまして通算六日、継続四日と定められ、また、三十八条の九の第六項によりまして、日雇保険の収支の状況によりましてその日数を増減する規定となっておるのでございますが、その日数を一日短縮して通算五日、継続三日といたしますとともに、右に申し上げました三十八条の九の第六項の規定を削りましてこの待期日数の制度を固定化したことでございます。右の給付改善に要する経費についての国庫負担分は、給付日数延長に関する特別措置の新設のものは三分の一、これは二十八条の二の規定、それからその他は四分の一で、先ほど申し上げました二十八条の改正規定がこれに該当するわけでございます。施行は公布の日から一カ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行いたしますが、国庫負担分についての改正は、昭和三十四年度以降の費用について適用いたすことになっております。
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次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案の内容について申し上げます。
お手元に配付してございます関係資料の厚生年金法の一部を改正する法律案要旨について御説明申し上げます。
まず標準報酬は、現在最低三千円から最高一が八千円まで十二等級になっておりますのを、最低三千円から最高三万六千円までの二十等級といたしておるのであります。これは三十条の改正でございます。
それから次に、保険給付の基本年金額の構成を、報酬比例部分につきまして現在は平均標準報酬月額の千分の五に被保険者期間の月数を乗ずることになっておりますのを、平均標準報酬月額の千分の六に被保険者期間の月数を乗ずることに改めたのでございます。この関係条文は、三十四条第一項及び第三項の改正でございまして、これによりまして老齢年金、障害年金、障害手当金及び遺族年金の額が増額されることとなります。
次に保険料率でございまして、第一種被保険者であります一般男子については、現在の千分の三十を千分の三十五に、それから第三種被保険者でございます坑内夫につきまして現在の千分の三十五を千分の四十二に、それから第四種被保険者であります任意継続者につきまして、現在の千分の三十を千分の三十五にそれぞれ引き上げることといたしております。第二種被保険者の女子については現在のまま千分の三十でございます。そしてこの保険料率は、先ほど御説明もございましたように、暫定的なものでございまして、昭和三十九年四月までの間の保険料率でございまして、これらに関する改正規定の条文は八十一条第五項の改正、それから附則第六条の規定がこれに該当いたします。
それから施行は、法律公布の日から起算しまして、三カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することにいたしております。
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次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の内容について御説明申し上げます。
第一には、この保険給付に関する改正でございまして、傷病手当金の支給は、現在療養のため労務に服することができなくなった日から起算しまして第五日から行なうことになっておりますのを、一日待期日数を短縮いたしまして第四日から行なうことに改めた点でございます。十六条の二の第一項の改正がこれに該当いたします。
次は、出産手当金の支給の限度が現在十四日でございますのを二十一日に延長したことでございまして、十六条の五の第一項の改正がこれに該当いたします。
次は国庫負担率の改正でございまして、現在療養給付及び家族療養費の支給に要する費用についての国庫負担率は四分の一になっておりまするが、これを十分の三に引き上げることといたしております。
それから傷病手当金及び出産手当金の支給に要する費用につきましては、現在、予算の範囲内において三分の一以内を補助するというふうになっておりまするのを、これを国庫負担の対象に加えますと同時に、その負担率を十分の三といたしておることでございまして、関係条文は二十八条の第二項の改正と、それから二十八条の二の規定を削ったことでございます。
施行期日は、右の保険給付に関する部分につきましては昭和三十五年四月一日から施行いたしまするが、その他の国庫負担に関する部分につきましては、公布の日から施行することになっております。ただし、お手元の資料に昭和三十五年四月一日から適用とございまするのは、昭和三十四年四月一日からという、ミスプリントでございますので、どうぞ御訂正をお願いいたします。国庫負担率に関する改正規定は、公布の日から施行いたしまするが、昭和三十四年四月一日から早急適用いたしますと同時に、国庫負担率の改正規定は昭和三十四年度以降の費用について適用することを明らかにいたしております。
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次は、船員保険法の一部を改正する法律案の内容について御説明を申し上げます。
第一点は、給付内容の改善に関する規定でございます。老齢年金の基本年金額の報酬規定部分につきまして、現在平均標準報酬月額の百五十分の一に被保険者負担の月数を乗ずることになっておりますのを、平均標準報酬月額の千分の八に被保険者期間の月数を乗ずることに改正した点でございます。三十五条の改正がこれに該当いたします。これは先ほど申し上げました厚生年金保険法の引き上げ割合と同じでございます。また、この改正によりまして、老齢年金の受給資格者が職務外で死亡した場合の遺族年金の額も同じ割合で増額されることと相なります。
次は、保険料率の改訂でございまして、船員保険については御承知の通り、長期給付部門と疾病給付部門と失業保険部門があるわけでございますが、先ほど提案理由の説明にもございましたように、この長期給付部門におきまして千分の七を引き上げ、それから疾病給付部門におきまして千分の一を引き下げ、失業給付部門におきまして千分の三を引き下げることにいたしまして、結局失業保険の適用を受ける被保険者につきましては、千分の三を引き上げまして千分の百六十九に改めることとなっております。
それから失業保険の適用を受けない被保険者につきましては、結局千分の六の引き上げになりまして、千分の百五十八に相なります。
それから任意継続被保険者につきましては、結局千分の七の引き上げになりまして千分の四十二と相なることになっております。これに関連しまして、この被保険者の負担割合、船舶所有者の負担割合もそれぞれ改正することになるわけでございます。これらの関係の条文は、五十九条第五項の改正と、六十条第一項の改正、それからこの改正法案の付則第九条におきまして、昭和三十二年の船員法の一部改正法律の附則第十条の規定を削除いたしております。これらの五十九条五項の改正、六十条一項の改正、それから船員法一部改正法律の附則第十条の規定を削除いたしたことが以上申し上げました保険料率の改訂に関する部分でございます。
それから第三番目は、失業保険金の支給に要する費用に対する国庫負担の料率を現在三分の一とございますのを四分の一に改めますと同時に、毎会計年度におきまして、失業保険給付部門の収支に不足を生じました場合には、その不足額について、当該部門の国庫負担総額がその支給に要した費用の三分の一に相当する額に達するまで国庫が補てんする規定となっております。これは五十八条の改正でございます。
それから改正法は、公布の日から起算しまして三カ月をこえない範囲内で、政令で定める日から施行することとなっておりまするが、国庫負担の規定は、昭和三十四年度以降の費用について適用されることを明らかにしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/6
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007・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それでは議題としております四法案を一括しまして質疑に入りたい、かように考えるのでありまして、ただいま政府からは、労働省から赤澤労働政務次官、三治官房長、堀職業安定局長、鈴木失業保険課長、住企画課長が出席しております。厚生省からは渡邊厚生大臣、太宰保険局長、山本保険局次長、加藤健康保険課長、加藤厚生年金保険課長、戸沢船員保険課長たちが出席いたしておりますし、衆議院の法制局からは、ただいま細部説明の鮫島第二部長のほかに、第二部の上田第二課長も出席いたしております。
それでは質疑のおありの方は逐次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/7
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008・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 失業保険の改正、これは日雇保険、船員保険に関係してくるわけですけれども、今度一番先に関連があるのは、保険の積立金がふえて、政府の負担を少なくする、こういうのが最初の出発点で、それからそれと見合って保険料率も下げよう、こういうことになっているわけですけれども、しかし、私は失業保険がなぜこれが必要なのか、ここの問題に触れなければならぬと思うんです。失業者の生活を守っていく、みんなが生活の不安のない、そういう世の中を作っていこうとしてこの失業保険というものができたと、私はそういう工合に認識をしている。ですから、問題は、今日の、たとえば五十万なら五十万失業者がいる、こういうことが労働力調査で発表されております。順次失業者の中から幾らか就職していく人も出てくるでありましょう。みんなが就職するということが好ましい状態ですけれども、そうもいかない状態におかれている、そうなれば、失業者の生活をよりよい条件において失業保険の保険経済が向上するに応じて、そこに私は根本的な考え方をいたすというところにこの保険の意義がある、こういう工合に思う。だからそういう意味において、保険料をかける立場から言えば、少なくてよりよいものがもらえるということが好ましいことでございましょうけれども、しかし、よりよく失業した人を守っていくということがこの保険の根本的な私は精神だと思う。そういう立場からいきますと、保険経済の黒字に対して、むしろ掛金を少のうしてとる。保険経済に支出しているものを少なくしてそのバランスをとるという、このものの考え方が私たちにはどうしてもわからぬ、だから保険経済がよくなってくればよくなってくるほど失業者の生活を守っていく、給付の問題である、また、期間の延長である、こういう工合に守っていく、こういうところに私はこの失業保険の根本精神があると思う。だからその根本精神と違って、こういう格好にされたということをまず最初にお聞きしたい。これは衆議院の齋藤さんの御意見も伺いたいし、根本的には発議した、一番最初に発議をされた労働省にお伺いをしたい。労働大臣が見えていないので非常に残念ですけれども、一つ大臣が見えましたらまた質問しますから、かわってお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/8
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009・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険に対する国庫負担率を引き下げました点につきましては、これは昭和三十四年度の予算編成にあたりまして、国民年金制度の創設であるとかあるいは国民皆保険の実施であるとかいうような社会保障制度の整備がはかられました際に、既存の各種社会保険制度を通じて費用負担の調整を行ない、社会保障全体としての均衡ある発展をはかろうとする趣旨に基づくものでありましてやむを得なかったところではなかろうかと思うのでございます。失業保険に黒字があれば、これをもってただちに給付の改善に当てるべきである、このような御感見であります。これはごもっともなところであると思うのでありますが、今回の措置は、まず政府といたしましては、社会保険全体を通じての費用負担の調整をはかる、この趣旨からの措置であります。なお、これに加えまして議員提案といたしまして、衆議院の方で三つの点につきましてとりあえず緊急やむを得ざる措置といたしまして、給付の延長等の措置が講ぜられたというような議員提案がなされたわけでございまするが、これをさらに広げまして、この際、被保険者全体につきまして、全面的な給付の改善をはかるという問題につきましては、これはただいまの保険経済は黒字ではございまするけれども、御承知のように、日本経済全体としての底が浅い。そのためにただいまのような思潮が、また、経済情勢の推移によりましてはどのようになるかもわからないという点もございまするし、また、あるいはただいま鋭意推進しております中小規模、零細規模の事業所の適用促進をはかるというようなことをやっておりまするが、この措置に伴いまして、この零細事業が入ってきますれば、保険経済としては、やはりその面は赤字がふえてくるという面も出てくるわけでございます。このような面をにらみ合わせ、全体としての給付についての根本的な検討につきましては、政府といたしましては、やはりこれも社会保険全体の調整をするという見地から、根本的に再検討をしなければならないという考え方に立ちまして、昨年の九月に社会保障制度調査会に対しまして、その給付内容の総合的検討につきまして、諮問をしておるわけでございます。これらの情勢を見まして、ここ三年間あたりの情勢を見まして、給付の内容も全面的に検討いたしたいと思っておるわけでございまするが、とりあえずのただいまの措置といたしましては、国民年金制度、国民皆保険の趣旨というような情勢にかんがみまして、費用負担のまず調整をはかるという見地から、このような措置を提案した、これに加えまして衆議院で議員提案が通りまして、とりあえず炭鉱地帯等を中心とする非常に失業情勢の悪いという地域につきましては、特別措置を中心とするとりあえずの給付改善の措置をあわせて実施していく、根本的な全体の検討につきましては、社会保障制度調査会等の御意見も十分伺いまして、政府としても真剣に取り組んで参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/9
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010・赤澤正道
○政府委員(赤澤正道君) きょうは大臣が衆議院の方に出ておりますので、私代理として政務次官の立場から申し上げたいと思います。局長だけ説明さしたのではまことに申しわけないと思いますが、一つ……。
失業保険についての考え方は、藤田委員と全くわれわれといたしましても政治的な立場として同感するものでございます。言うまでもなく、在職中の給与と申しますか、収入に近い額を私ども支給するのがやはり建前であると思いますけれども、御承知の通り、六割でしぼってやっておりまするけれども、今局長がるる説明いたしました通りに、やはりほかの保障給付の内容と違っておりましては、総合的に運営いたしますために非常にまずい面も出て参りますので、ちょっと時間がかかりますけれども、今審議会の方へ政府の方としては諮問をいたしておるわけでございます。しかし、これは単なる逃げ口上ではありませんので、私ども実業界におりまして、こういった問題が出、また、考えてきたわけでございますけれども、今のように積立金がだんだんふえ、年々巨額のものがふえていく今のような調子であったら、いつまでたってもふえるばかりで膨大な金額になっていくわけです。しかし、積立金が多いということだけが自慢にならぬのであって、それはやはり限度をこえるようになれば、財政の基礎がはっきり確立された暁には、やはりこれは給付内容を改善していく方へ回さなければならぬので、ずいぶん昨年は大蔵省とも議論をいたしたわけでありますが、まだまだそういうことには、今のところでは大蔵省との交渉の段階は立ち至っておりません。しかし、少なくとも労働省が今回企画いたしました積極的な意味での、たとえばただいま申し上げました職業訓練の際の給付延長あるいは広域職業紹介の場合、待てない人たち対する給付延長の問題、さらに就職支度金の問題、こういった方面で、わずかではありまするけれども、幾らかでも藤田委員の言われたような方向に近からしめようという努力を実はして参ったわけでございますけれども、全般的に申しますと、ただいま言ったような他の諸法律との関係もありますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。ただ決してゆるがせにはいたしておりませんので、御趣旨は十分承知いたしておるわけでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/10
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011・齋藤邦吉
○衆議院議員(齋藤邦吉君) 政府から昨年予算編成にあたりまして国庫負担を三分の一を四分の一にするという問題について話があったわけでございますが、御承知のように、三十四年度の予算編成にあたりましては、社会保障体制の大きな拡充をいたそうではないか、こういうふうなことから国民年金制度の創設、こういうふうな問題になり、国民健康保険法の全面的改正に伴いまして国民皆保険を実施すると、こういうふうな、全般的に社会保障体制を大拡充する、こういうふうなことで、国の財政の上から申しましてもなかなかこれは容易なことではない。そういうふうなことからいたしまして、この際、失業保険について三分の一を四分の一にする、こういうふうな話し合いになって参ったのでございます。私個人といたしましては、こういう失業保険について、国の財政が窮屈だからと申しましても、国の負担を三分の一を四分の一にするということは、私個人としては好ましい姿ではないと思いますけれども、やはり大きく社会保障体制全体としての発展のために、黒字であります失業保険については、まあやむを得ないのではなかろうか、こういうわけで実は賛同いたした次第でございます。先ほど藤田委員の仰せになりましたように、失業保険の会計が余裕があるという場合には、そういうことをやらずにむしろ給付内容の改善をはかって失業者を守るような失業保険制度の確立に努力したらどうだろうかという御意見、私まことにごもっともだと思っております。昨年はそういうわけで、三分の一を四分の一ということで、わが党といたしましては、財政の建前からやむを得ないと、こういうことで政府提案と相なった次第でございますけれども、その後やはり経済情勢の変動、さらにまた、失業情勢ということを考え合わせまして、こうした姿でこの政府提案の法律案を進めることがどうであろうか、こういうことが党内でもいろいろ論じられるようになりましたので、藤田委員のお気持とわが党の気持は全然食い違っておりません。こういうふうなことから、この際、それではやはり余裕のある失業保険であるならば、この際緊急な問題を一つ一括して解決しようではないか、こういうことに相なりまして、いわゆる訓練所に入っておる者につきましては一カ年を限り失業保険金を支給しようではないか、あるいは失業情勢の悪い地域においては期間延長をやろうではないか、あるいは就職支度金という制度をやろうではないか、こういうふうな三つの改善の内容、合計いたしますと、年間約三十一億になると計算されておりますが、そういうことをやって、そしてこの際、給付内容の改善をいたそうではないか、こういうことに相なったわけでございます。従いまして、わが党の気持といたしましては、余裕があればできるだけ給付内容の改善に充てる。こういう気持を持っておることは、まことに藤田委員の御意見と同様でございますが、昨年はなかなか、社会保障体制の大拡充という、やはり国の財政のことも考えなければならぬ、そういうことで、その点についてはやむを得ないであろう。こういうふうに考えて提案いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/11
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012・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私の考え方には賛成だと次官も齋藤さんもおっしゃっている。その考え方が賛成で、給付内容をよくしたのだ、少しよくした面があるのだ、こういうお話でございますけれども、根本的な問題だと私は思うのです。今局長は、年金との見合いのもとに、社会保障を確立する見合いのもとにこの問題の削減、こういうお話がありました。これは一つ大蔵大臣に来てもらって私は少しお聞きしたいと思うのです。もう一つ言われたのは、経済の底が浅い。それからもう一つは、零細企業が入ってきたら赤字になる。私はあなたの主張は分裂していやせぬかと思う。経済の底が浅い、財政上の負担がないという理由をどこから立ててくるか。まず私は、その一点を少し申し上げたいと思います。
ことし政府が発表した三十五年度の経済の見通し、三十四年度の実績見通しにおいても、法人は四六%の所得増を来たす。五割ですよ。こういう問題があります。それからもう一つ見れば、税の特別措置法で千二百二十七億、この中には社会政策的な面が一割余りありますけれども、そういうことが講じられている。根本的に日本の経済を見てみたら、私は生産はどんどん上がるけれども、外国の貿易待ち経済というような格好で、国民がその潤いを受けていないというような経済政策なんです。だから、労働行政というものは、単に請負行政でないということを私は今までにも言っているのです。国の経済政策の中で、この生産を担当する労働者をどう守っていくかという、そこに根本の問題がある。日本の現在の経済政策の推移の中で、労働行政、労働大臣というものは、労働者をいかに保護していくかというところに心をいたさなければならぬと私は思うのです。これだけの今日の経済の上昇のあるときに、国庫が支出増だからこれはへずるのだ、そういう理屈は私は成り立ってこないと思う。このときこそ、労働時間を短縮して雇用を拡大することによって、困っている失業者の方をいかに救済するかということでなければならないと私は思う。
その次に言われた、零細企業が入ってきたら赤字になるという心配があるから社会保障審議会にかける。そんなら、この料率を引き下げたり、国庫負担を引き下げたり、なぜするのです。五人未満は自由加入です。この際なぜ強制加入にして——五人以下の事業所で働いている人でも労働者なんです。その人を守るという方向に根本的な考え方をなぜされないか。片一方では、底が浅いという理由のもとに、社会保障するからこの金をへずるのだ、こう言う。五人以下の所は任意加入である。これが入ってくれば赤字になるという見通しならば、なぜ保険料を下げ、国庫負担を下げるか。理屈に合わぬじゃないですか。私はそう言いたい。そのところをもう少し関連して話して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/12
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013・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 私がただいま申し上げましたのは、ここ数年来の日本経済の状況を見てみますると、お説のように、非常に順調な傾向を見せております。これに対しまして、政府全体としても、さらにこれを維持発展せしむるべく諸種の施策を講じているところでございまして、ぜひこれをさらに均衡ある発展を遂げさしていくという方向に持っていかなければならないと思っております。ただ、その場合におきまして、失業保険の給付内容につきまして、これを、ただいま六割となっておるのを、たとえば八割あるいは九割にする、あるいは給付期間を、その再就職ができまするまで期間を制限なしに無期限に延長するというような措置を講ずるような改正をいたしまするためには、やはりずっと長期にわたりまして失業保険経済というものを考えていかなければならない必要があるのではないか。昭和二十九年におきましても、御承知のように、失業保険の収支が赤字になった場合もあったわけであります。もとより、今後においては、そのようなことは当分の間はないということをわれわれは信じておりますけれども、今後十年あるいは二十年、三十年というような先まで見ながら、失業保険の根本的検討を行なうということにつきましては、やはりそのような日本の経済の事情というものも考えなければならぬのではないかという気分を申し上げたわけでございます。
それから第二番目に、この保険給付の改善の問題につきましては、これは、ただいま齋藤議員あるいは赤澤政務次官から御説明がありましたけれども、今回の改正案には、政府原案にも日雇いの待期の減というような措置を講じておる。それに加えまして、議員提案によりまして、三つの点につきまして相当大幅の給付の改善がなされたわけでございます。従いまして、われわれといたしましても、黒字があればこれをすぐ国庫負担の減、保険料の減というところへ持っていくのではなくて、給付の改善ということについても真剣に検討を加えていく必要があるということについては、先生のおっしゃる通りに考えておるのでございます。ただ、これをさらに加えまして、たとえば、一般的な被保険者の給付につきまして、これを全面的に大幅に上げる、あるいは給付期間についてこれを無期限に延長するというようなことを考えまするには、やはりいろいろ根本的に検討をしなければならぬのではないか。もとより、そのような努力をしない、逃げ口上にして何もしないというのではありませんので、御承知のように、社会保障制度調査会に正式に総理大臣から諮問をいたしまして、この検討を願っております。これができました上で、われわれとしては真剣にこの給付全体の改善の問題に取り組みたい考えでございます。
それから第二の点につきまして、零細企業が入れば赤字になるじゃないかというふうに私が言ったじゃないかというお話でございます。これは、私の説明の仕方があるいはまずかったので誤解を招いたかもしれませんが、零細企業が入れば失業保険がすぐ赤字になると言ったのではございません。零細企業の加入が多くなりますれば、零細企業においては、御承知のように、離職率というようなものも一般の現在の大中の企業の離職率等に比べますれば非常に高い状況でございますので、そういうものが多く入ってくれば、その面はマイナスになる面が出てくるということを申し上げた。そういうものも考え合わせながら検討しなければならない。ただいま強制適用にしたらどうかというお話もございましたが、昭和三十三年には、御承知のように、中小零細の事業の適用を促進いたしまするために、失業保険の事務の簡素化を行なうと同時に、事務組合の制度というものを創設いたしました。この改正の線に沿いまして昨年来われわれとしては小、零細企業の適用の促進をはかっております。この措置をやります場合には、やはりこの零細事業が多くなってきますと離職率の関連は高くなってくるという問題も考えなければいけないというようないろいろの面をからみ合わせて、そうして他の社会保障、社会保険全体の調整という見地に立ちまして大局的に検討することが必要じゃないか、社会保障制度調査会の審議はその意味において尊重し、われわれとしては真剣にこの問題に第二段として受り組んで参りたい、このような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/13
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014・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 局長は少しうがった発言を慎んでもらいたい。私が給付内容をよくせいと言ったら、失業者は永久に死ぬまで支給する、そういう議論までまだ入っていない、そうでしょう。給付の延長であるとか、たとえば給付内容の改善であるとか、五人未満の任意適用を強制適用というような格好にするとかいうようなものを並べて、今日の保険経済の中で被保険者の負担の度合いによって改善をしていくというところに思いをいたさなければならぬということを僕は言っておる。それにそういう言い方は私はけしからぬと思う。まあいいです。いいけれども、問題は今も重ねてあなたが言われるように、零細企業が入ってきたらその面だけ赤字になる——これもやつぱり労働者なんです。五人以下は労働者でないということじゃない。国の労働保護の建前から言ったら五人以下の労働者も守っていかなければならないことは当然だと思う。こういう方々には離職が多いから支出が多くなるというならば、なぜこの際こういう改正をしなければならぬか。あなたは給付内容がよくなったと言うけれども、齋藤衆議院議員の提案説明のときに、政府案は千分の十六を十四にする、三分の一を四分の一に、待期の一日減、これが政府案でございますとはっきりここで説明をされた。この一日減の政府支出は三億円です。たった三億円じゃないか、六百億からの積立金があってたった三億円の支出だ、そうして国庫負担を引いても三十億削減するんです。それにたった三億円の支出をやるということは、あなたが先ほどから言われるように、ほんとうに失業者を守っていくということになるか、私はなかなかわからぬと思う、そういう言い方をされては。私はだから政府は、このような考え方をもって、年金との関係において、また、皆保険との関係においてと言われるけれども、先ほど少し申し上げたように、国民所得は昨年から一五%もふえておる。経済の成長も一三%しておる。法人所得は四六%、勤労者、自由営業、農民になったら非常に少ないんです。農民は五・四%しかしておりません、所得のふえ方は。勤労所得が一一%、これは政府が発表しておるのですからあなた方よく御承知だと思う。だから日本の大筋は経済はどんどん成長して、オートメーションになれば首切りが起こり、失業者が、働きたくとも職場から追われるという現象が出てくるわけです。そういうときにおいて、このような危険があったから三年ほど前にアメリカでも二十六週の失業保険を大統領が命令して三十九週に延ばしておる。こういうことが、アメリカそのままとは言いませんけれども、失業保険ができた建前なんです。それをこんな格好でやっていくというものの考え方が私は納得できぬ、こういうことをさっきから言っているわけです。この論議は詳しい論議に入りますから、一応譲りましょう。あとでまたするといたしまして、それじゃ一つ労働省にお伺いしたいことは、現在の失業者、失業対策事業の現状、今後の雇用計画、こういう問題をつぶさに一つ説明してもらいたいと思う、これに関連して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/14
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015・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 最近の労働市場の状況等を中心にいたしまして、ただいま政府の考えておりますところを御説明申し上げます。
昨年の景況を見てみますると、三十四年の四月から十一月を平均いたしまして、月間の求職者の平均人員は一月百二十三万人でございます。それに対しまして求人は六十二万人と、前年の同期、すなわち三十三年の同期におきまして求職が百三十五万、求人が四十七万というような当時の情勢に比べまして労働市場は好転しつつあるということが言えるわけでございます。
来年度の失業対策につきましては、これも御承知のように、われわれといたしましては、日雇失業対策労務者の賃金を増加することが同種の労働者の賃金が上昇している傾向にかんがみまして絶対に必要である、このような考え方から、これをまず重点に取り上げまして、平均二十八円アップということを実施いたしたい考えでございまして、来年度からこれを実施いたしたい考えでございます。
失対事業のワクにつきましては、御承知のように、一般と特別失対、それから臨就を合わせまして、昨年度に比べまして一万八千人の減少を見ておりまするが、これは四月から十一月を平均いたしましてこの状況を見てみますると、昨年は一昨年に比べまして登録の日雇いの数は増加しておりまするけれども、民間就労の伸びというものが非常に多く、すなわち四月から十一月を平均いたしまして百五十六万が百九十八万ということに約月平均延べ四十数万程度の増加を見ている、このような情勢にかんがみまして、民間就労の伸び、それから公共事業、財政投融資のワクの拡大というような点をにらみ合わせまして、それと調整をはかりながら、一万八千人の減の人員ではございまするが、これを彼此勘案いたしまするとおおむね円滑にやっていけるのではないかという考え方でございます。従いまして、来年度は賃金アップということを中心に失対事業をさらに推進して参りたい、このような考え方でございます。
大体ただいまのような考え方で進んでいるわけでございますが、それにつけ加えて若干申し上げますると、職業訓練の制度につきましては、これは最近の雇用情勢は一般的に好転はしつつあるけれども、結局技術者の不足という点が非常に大きな隘路ではないかという感じがするわけであります。その意味におきまして、来年度は職業訓練制度というものを大幅に拡充いたしましてたとえば金額で申しまするならば、昨年度に比べまして本年度は約六億円増の二十六億円というものの予算を計上いたしまして、ただいま大体五万一千人のその訓練生を見込んでおるわけでございますが、来年度におきましてはこれをさらに六千人増加いたしまして五万七千人の職業訓練を実施していく、これをさらに年次計画によりまして逐次拡大して参りたい考えでございます。なお、それと並びまして、産業構造等の変化によりまして一般的な好調の陰に摩擦的な失業の問題を生じておる。これは炭鉱等におきまして如実に見受けられるところでございまするが、この炭鉱の離職者に対応するための措置といたしまして、これも昨年度に比べまして五億ないし六億程度の増額をいたしまして、炭鉱離職者のための措置、すなわち広域職業紹介それから緊急就労対策事業、鉱害復旧事業というようないろいろな措置をこれとあわせて併用して、炭鉱離職者の方々の配置転換あるいは生活の援護等が円滑に行なわれまするように配意をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/15
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016・小柳勇
○小柳勇君 藤田委員は、失業から雇用へすでに発展しておりますが、私はこの失業保険の問題自体をもう少し討論しておかなければならぬと思うのです。藤旧委員の前の質問に関連して質問を展開していきたいと思うのです。特に政府提案が衆議院で議員提案に修正されて、自民党の提案としてありますので、もう少し失業保険自体について、あるいは厚生年金保険自体について討論をしておかなければ、将来この法案ができましても問題が残ると思いますから、二、三質問を展開したいと思いますが、第一は、演説を聞きますと非常にやむを得ぬというような気になります。で、具体的に質問していきますと、まずこの失業保険を受ける、月平均でいいのですが、月平均に受けるその受給者の数、月の平均、それから受給者の平均給与額、受給額、金額ですね。それから失業保険を、日雇失業保険を受ける月平均の数並びに平均給与額、これをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/16
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017・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 最近の失業保険金の給付状況につきまして御説明申し上げます。ただいまお尋ねのまず受給者の実人員がどのくらいであるかということでございまするが、昭和三十四年の状況を申し上げてみますると、四月には四十七万三千人でございましたが、その後経済の好転等を反映いたしまして、下期におきましては三十三万ないし三十五万人程度でございます。それから保険金の給付総額は、これも月別に申し上げますると、三十四年の四月におきましては三十四億円程度でございましたが、下期におきましては二十五億ないし二十九億程度の支出状況でございます。平均の受給月額でございまするが、大体一月にいたしまして、これはあまり大した変化もございませんが、七千二百円ないし七千七百円、月によりまして多少の変動はございまするが、そのような受給額に、一人当たりの受給額になっております。
それから次に日雇いについて申し上げまするが、日雇いにつきましては、これは受給の実人員は大体昨年の四月が十七万人程度でございます。それが下期に至りましては、やや減っておりまするが、大体十五万人程度という状況でございます。これの費用が大体一カ月に、四月が一億二千万程度、下期におきましては一億一千万程度というような状況になっております。
なお、日雇いの失業保険につきましては、一人当たりの給付額というものは御承知のように、二段階に分けておりまして、二百円、それから第二段階が百四十円というような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/17
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018・小柳勇
○小柳勇君 あとの日雇失業の月平均の受給額ですね、金額、そういうものは言うていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/18
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019・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 月平均の受給額が総額といたしましては、大体四月が一億二千万円程度、それから下期になりましてやや減っておりますが、一億一千万円程度でございます。それからそれを一人にいたしてみますると、これが御承知のように、定額給になっておりまするので、一段階に該当いたす方が一日二百円、それから二級に該当する方が一日百四十円、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/19
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020・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 先ほどの失業雇用の趨勢というものは好転していると、こういうお話でございました。しかし、失業雇用の傾向が好転しているという毎月勤労統計の表、この前もらったあれだけ見ると、いかにも失業者がない状態になっている。しかし、現実政府のいう失業者はちっとも減らない。労働力調査でも減らない。そこに一つの問題があります。不完全就労、要するに潜在失業というこういう問題を把握しようと政府はしていない。そこにも問題が一つある。もう一つ、就労が伸びたといったって、不安定な雇用関係の数字だけがふえ、臨時就労とか社外工というようなものが今の就労の七、八〇%を占めておる。もっとひどく占めているというような状態なんです。そういう格好で、不安定な状態において、本来国際的といいますか、外国の失業者は摩擦失業ですから、そういう状態なら必ず、私は失業者で食えませんという格好で失業者のベースに乗ってくるわけです。そういうものがべースに乗らぬような施策を政府はやっているのです。そういうことをやって、今の失業、要するに緊急失業対策事業を初め、失業対策事業は昨年よりか一万八千減らしている。そうして、就労がよくなったという一時的な現象をとらえて、そういう対策を立てておられるわけですけれども、私はそういう状態であればこそ、失業保険というものがもっともっと、今働いている日本の経済というのは、投資、要するに資金と設備だけで生産はできるものじゃない。いかにして今の労働者を守っていく、そうしてそれが生産に転換をして国民の生活が向上するかというところにいかなきゃならぬのに、そういう不安定な状況にみんな追い込んでいる状態を顕在化そうともしない。そういうものを摘出して保護しようともしない。そうしてそのままほったらかしている。あの労働力調査というようなところにゆだねて知らぬ顔といいますかね。そういう状態に置いておって、この失業した人を守っていくという失業保険をこういう格好に私はやっていくなんというようなことは、私としてはこれはもうまことにもって理解できないのです。だから私はそれにもう一つ関連して御質問しますが、五人未満の任意加入の現状はどうなっているかということです。これは総労働者数と、要するに加入労働者数、事業総数、これを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/20
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021・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ただいま先生の指摘されました点につきまして私もその点につきましては同感でございます。やはりわが国における雇用問題が非常にすっきりしないというふうな、その根本的な原因は、御指摘のように、不完全就業者あるいは潜在失業的な形態の雇用者が相当多いというところに存在するのではなかろうか、この点につきましても御指摘の通りだと存じます。これにつきましては、私は根本的にやはりたとえば第一には、最低賃金制度の拡充発展であるとか、それから家内労働法制の準備であるとか、それから社会保障全体の発展というような措置が総合的にとられていく必要がある。これらのものが総合的に講ぜられて、ただいま御指摘の潜在失業的な形態、あるいは不完全就業的な形態のものがだんだん少なくなってきて日本の失業問題というものがすっきりした方向に向かうことになるのではないだろうか。この点につきましてはわれわれも今後大いに努力したい考えでございます。なお、それとあわせまして、やはり労働力の質をよくするという面におきましても、われわれの方といたしましては、職業訓練制度もこれは積極的な拡充発展というものをはかって、労働力の質というものをよくすることによって、雇用しようという者に対するところの適正なる供給が行なわれるというような方向に持っていかなければならないのじゃないかと考えているわけでございます。
次に、五人未満の労働者を雇用する事業所の失業保険の加入状況でございますが、これはまず第一に、単独加入の面から申し上げますると、大体これはやや数字が古いので恐縮でございますが、昨年の七月現在におきまして、五人未満の事業所の単独加入が約四万七千事業所でございます。被保険者数が十万三千人でございます。それから次に、先ほども申し上げましたが、三十三年の法律の改正によりまして事務組合制度が設けられましてれこの事務組合制度の活用によりますところの適用促進をただいまはかっておるわけでございますが、これは昨年の十一月現在で事務組合が六百三十できました。それからその事業所が、この事務組合に委託した事業所が約八千でございます。そのうち五人未満のところが約三千七百、それから五人以上が四千三百というような状況になっております。それから被保険者数が約四万三千人、このような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/21
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022・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、今はできたところだけ言われたのだが、事業所数、それから総労働者数、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/22
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023・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ただいまちょっと正確な数字を持ちあわしておりませんので、後刻またお届け申し上げますが、五人未満の事業所におけるところの被保険者数が二百四十万、それから事業所にいたしまして約百万というふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/23
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024・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 二百四十万……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/24
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025・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 被保険者が二百四十万、事業所にいたしまして百万……失礼しました。被保険者と申し上げましたが言葉が適切でございません。労働者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/25
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026・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、事業所にして四千七百、それから労働者にして十万三千人、二百四十万の中で、この一年を過ぎているのだが、十万人くらいしか加入をしていない。それじゃあと二百三十万近く残っている、こういうことになりますわ。この事務組合制度という、この四万三千人と十万人とは別ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/26
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027・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/27
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028・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、それにしたって十五万人、二百二十五万というのが残っておる、こういうことになるわけです。こういう労働者はあらゆる社会保険制度から置いてきぼりを食って非常に悲惨な状態で生活をされておる。この人を救う。救うという言い方はおかしいけれども、当然失業保険の対象になるべき人員なんだ。そうでしょう。この当然失業保険の対象になるべき人員を、こういうことを労働省は知っておられる。今の局長の話を聞いておるといろいろ言われました。社会保障しなければならぬ、最低賃金をしなければならぬ。そういうことをよく知っておりながら、あなた方がお作りになるものは形式だけのものにみな終わっておる。それでまたこれも一部はよくしましたというだけで、五人未満のものを見たって二百四十万の中で十五万。一年余りの間に吸収されないで残っておる労働者がたくさんおるということを知りながら、こういう保険の考え方というのはどこから出てくるのだ、そういう思想がどこから出てくるのか、それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/28
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029・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) この中小零細事業の適用促進のために、昭和三十三年末に先ほど御説明いたしました失業保険法の一部改正を行なったわけでございます。そこで実施になりましたのが三十四年度初めからでございます。そこでただいま申し上げましたように、昨年の七月もしくは十一月の現在においてこのような状況である、こういうことを申し上げたのでございます。この法律改正後まだ日も浅い、一年足らずの間でございまするが、その間におきましてただいまのような数字が出てきておるということでございます。もとより全体の人数からいえば、まだまだ十分ではございませんが、私といたしましては、御指摘の点もございますが、まだ法律改正が緒についたばかりのところでございます。その最初のすべり出しといたしましては、この程度でも、不満足ではございますが、まあかなりの成績をおさめておるのではないかというようなことも半面言えるのではないか。われわれといたしましては、この改正の点を中軸にいたしまして、今後におきましてさらにこの中小零細企業の適用促進、これにつきましてはわれわれの機能を上げましてさらに努力いたしたいと、これに対しまして逐年この方式によりまするところの零細事業の労働者の加入促進を積極的に推進して参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/29
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030・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 積極的に推進してもらうことはけっこうです。だから私はそれは何も言うておらない。だからこれだけ残っておるのに、それをほうっておいて今のような改正をするという考え方はどこから出てくるのかと、こう聞いておる。次官、一つどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/30
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031・赤澤正道
○政府委員(赤澤正道君) 局長が何か零細企業を加入さしたら保険が赤字になると困ると言っておるというようにおとりになったかもしれませんが、そういうわけでは決してないので、労働省の設置法も、言うまでもなく、われわれの任務は労働者の福祉と職業の確保をはかるということが任務となっておるわけであります。この努力を一ときも忘れたことはないわけであります。一日も早く藤田委員のおっしゃるような形に作り上げなければならぬと思います。ただ、やはり率直に言って、こういうことを言うとしかられるかもわからぬけれども、ずいぶん努力をいたしましたが、労働行政全体としては前進しておるつもりですが、御指摘の通り、失業保険の面では私は後退した現状にあるということを率直に認めなければならぬと思います。何といっても三分の一が四分の一になってしまった。これは将来そうなるわけではありませんけれども、また千分の十六を十四に切り下げたといったことで解決がつく問題じゃありませんので、やはり私どもは、この際前進させたかったけれども、ただほかのいろいろな制度や法令とも関連がありますし、大蔵省に、われわれの方も前進の仕方を詰めてなかったために負けたのだと、大へん残念ですけれども、そういう結果になっておりますので、労働省全体としては、一生懸命に前進させようと考えておる点だけは、一つお認めをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/31
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032・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それはちょっと、そんなんなら何をか言わんやということになってしまうわけですよ、ほんとうに。局長の発言といい、次官は非常に熱意を持って御発言をいただいたのだけれども、しかし、五人未満のこの問題一つ見たって今のような現状が出てくるわけです。任意包括の方法と任意加入というものを入れようという思想はもうスタートを切っているのだ。五人未満の労働者を救おうというスタートを切っておるのだ。三十三年の暮れに労働者を救おうというスタートを切っておる。スタートは切ったけれども、ちょいとさわってみただけでほって置く、そうじゃないですか。二百二十五万という労働者をほって置いて、それでこっちの方で都合のいいことをやっていくなんということは……、だからこれは、そういう現状からいって、こんな改正がどんな基礎において出てきましたかということを問わざるを得ないようになってくるわけです。これは一つ大蔵大臣に来てもらって、この問題をやらなければならぬと思いますが、大臣もきょうはおいでにならないから非常に残念なんです。それで、それ以上の返事ができぬようですから、私は次の問題を聞きますけれども、社会保障制度審議会にこれをおかけになって、総合的な給付の問題その他を検討するということで、審議会に固定した意見を持って持ち込むということは、なかなか、独立の機関ですから、そういう無理なことはできないにしても、あなたの方の考え方は、ほかのことは言いませんけれども、たとえば五人未満の労働者について、将来どう救おうとお考えになっておるのか。これだけ先に聞かせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/32
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033・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 五人未満の問題でございますが、ただいまほって置くというお話がございましたが、そうではございません。われわれの考え方といたしましては、五人未満の適用促進をはかるために、事務組合の制度が創設されたわけでございます。それが昭和三十四年度当初から実施されて、緒についたばかりである、約半年そこそこの経験でございまするが、先ほど申し上げましたような、まあ、不満足ではありましょうけれども、相当の実績もおさめておるという状況でありまするから、今後におきまして、これをさらに推進して参りたい、そのような方向によりまして、五人未満の事業所に雇用される労働者の失業保険の加入の促進をはかっていくという考え方でございます。従いまして、ただいま第二の御質問なんでございまするが、われわれといたしましては、五人未満の事業所の労働者が、失業保険に加入するという方向は望ましいわけでございましてその方向に持っていくと、要はそれを強制適用に踏み切るか、あるいはただいま実施しております事務組合等の制度を活用して、これがまだ緒についたばかりでありますから、この制度をさらに積極的に推進することによりまして、まず基盤を作っていくことが必要だという方法の問題になるだろうと思うのでございますが、方向といたしましては、零細企業の労働者が、失業保険の適用を促進されるということは望ましいことでもございまするし、われわれとしても、その方向に向かって努力しなければならないところである、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/33
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034・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこでお尋ねしたいのですけれども、五人未満の事業所、任意加入でスタートを切ったと、これを救済していこうということでスタートを切った。出先は、全国的には労働基準局だと思うのです。だから労働基準局を中心に各事業所にこの制度を知らすということから始めなければならぬと思うのです。理解をさして、そうして入りなさいという状態が今進んでいるのだと私は思うのです。しかし、局長もよく御存じの通り、今の安全衛生を初めといたしまして基準法の違反は、私は何ぼあるか知りませんけれども、何十万件基準法の違反がある、事業所の監査をするのは五年に一ぺんしか事業所の監査ができぬ、こういうことを聞いているわけです。正確なことを一つ、あとから知らしてもらいたいのだが、そういう状態で違反はしっぱなし、そうして何のおとがめもないという現状の中に置かれている。上の方ではやります、やりますと言ったところで、この実効というものは上がりっこないと私は思うのです。実効が上がらなければ、救われないのは労働者なんです。だからそこのピントは、労働者を救済する、守っていくところにピントを合わせなければ、問題は前に進まないわけです、そうでしょう。そうしたら考え方として出てくることは、何といっても何らかの実情に応じて加入さしていくという方法が具体的に出てこなければ、この問題は解決しない。だから強制適用というような問題が出てくる、たとえば、きょう、あしたから入りなさいというのが無理なら、一年とか半年とか余裕期間をもって加入さしていくとかという、そういう方法も私は考えなければならないと思うのです。それを一生懸命今のシステムでやりますといったところで、なかなか前に進まぬと私は思う。それを聞いている、そういうことについてどうお考えになっているか。労働者を救済する、保護するというところにピントが合っているのですから、その建前からどうされますかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/34
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035・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険の事務は、現在県の職業安定所の、系統で推進して参ることになっておりまするが、職業安定行政の機関と協力いたしまして、ただいま昨年度の実施以来、中小零細規模の事業所の適用加入促進の運動をやろうじゃないかということで、昨年から大いに馬力をかけております。最近になりまして全国の職業安定課長、失業保険課長会議を招集いたしましたが、その席上におきましても、さらにこれを総合的に推進していこうじゃないか、こういう申し合わせをしたところでございます。また、お話のように、相手が零細の企業の方々でございますから、まだ現在の労働法制、それから労働保険の制度等を十分に知らない方もありますもので、お話のように、わかりやすくこれをPRして、まず理解さしていくという方向が必要じゃないか、こう考えるのでございます。従来労働省におきまするところの、いわば行政の一つの盲点になっておりました中小零細企業に対する労務管理の合理化指導という面を、今後強力に、これは職業安定行政だけでなしに、労働基準関係、それから労政関係等の出先も一緒になりまして、零細な事業所に対するところの、近代的、合理的な労務管理の指導啓蒙というものを、この際積極的にやっていこうじゃないか、こういう考えで講習会等を実施して、各地域ごとに盛り上げていこうという考えになっております。このような一般的な啓蒙運動と、それからあとは具体的な行政指導、こういうものを合わせまして、なかなか強制加入というところまで、まだ踏み切れないわけでございますが、とりあえず実施が緒につきましたこの事務組合の制度を活用いたしまして、適用加入の促進をはかって参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/35
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036・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから強制加入にまだ踏み切れないということは、今のような状態で単なるPR、現実の問題としては進まぬという状態を置いている、こういうことになるとどれだけ——先ほど基準局と言いましたが、職安局ですけれども、それはこういう状態に置いておいて、そうしてこっちの方だけやる、たとえば給付の内容を改善するという問題についても、失業した人が就職をするような状態はどうだ、長く失業して困っている人に対して、給付の延長をどれくらいしたら保険経済にどうなってくるか、こういう試算をされたことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/36
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037・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 部内におきましていろいろ研究しております。また、失業保険の適用を受けました者がどのように生活し、どのように就業したかというようなものも、これは部分的な調査でございますが、部内で実施しております。これらの問題も検討いたしまして、それと今後におきます社会保障制度調査会の御審議と相待ちまして、理想の方向に逐次近づけて参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/37
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038・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 この保険の根本精神の問題については、先ほど申し上げましたけれども、五人未満の労働者が一番やはりこの保険の大きな課題だと私は思うのです。非常に安い賃金で働いておられる方々が、たとえば一定の限度以下の収入の人には、どうしてその生活を守るために、給付の内容を変えてやるとかいうような問題も私は出てくると思うのです。だからそういう問題についてもお考えになったことがあるんですか。今の返事を聞いていると、いろいろの角度から研究しておりますということですね。それですと、今の保険経済の趨勢を一つお話し願いたいと思うのです。昨年、一昨年、今年ですね、どういう状態か、経理の面から一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/38
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039・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険の制度は御承知のように、昭和二十二年十二月に創設され現在に至ったわけでございます。その間、失業保険の収支は二十九年度におきまして、約十二億円の赤字が出ましたほかは、おおむね順調に推移をしておるわけでございます。それから昭和三十四年度における失業保険経済の大体の見込みを申し上げますると、一般失業保険についてまず見ますと、保険給付額は三十三年度に比べまして減少をしておりまして、約三百四十九億円の支出が見込まれるわけでございます。一方、これに対します保険料の収入は、前年度より増加をいたしまして、約三百八十九億円程度と見込んでおります。これに三十四年度の当初予算の国庫負担金八十四億、それから昭和三十一年度の受け入れ不足清算分、これを補正で見込みましたが、三十六億四千万円、これを入れますと、三十四年度における収入の増加は約五百億円斜度になるものと見込んでおります。約前年度に比べまして九十四億円程度の剰余金の増加を見込んでおるわけでございます。
次に、日雇いの失業保険につきましては、保険給付額は大体前年度と同額の約十五億八千万円見込んでおります。これに対しまする収入が、保険料収入約十二億六千万円、国庫負担金約三億九千万円、合せまして十六億五千万円程度見込んでおりますので、大体六、七千万円程度の剰余が生ずるのではないか、大体このような見込みを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/39
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040・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 この今の言われた一般失業保険の五百億、それからプラス結局九十四億というものは政府の三分の一を四分の一にし、保険料率を下げた経済ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/40
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041・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 三分の一を四分の一に下げて見込んでおります。これに対しまして保険料の方は、これは法案が成立いたしません関係上、やはり千分の十六によるところの収入でございます。これは見込みでございまするので、また清算して見まするといろいろ違いが出てくると思いますが、一応申し上げますると、国軍負担につきましては三分の一を四分の一に減らしてございます。それから保険料収入は千分の十六という見込みで、この推算をしております。と申しまするのは、この保険料の減少につきましては、法案が成立いたしませんでした関係もございまして、やはり千分の十六で徴収しておりますのでそれを見込んでいる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/41
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042・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、この法案が成立すると、三十五年度はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/42
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043・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 来年度の収支につきまして、これはその後における賃金の増加、雇用の増加というような点も見込んで計算しなければなりません。三十五年度におきまして、大体保険料収入は三百七十八億程度を見込んでおります。これに一般会計からの受け入れ八十七億円、あと運用収入、印紙収入等を合わせまして、歳入は大体五百二十億程度見込んでおります。それに対しまして歳出は、これは保険金が中心になりますが、約三百四十六億円程度見込んでおります。これにその他の雑費を入れまして、大体この収入の五百二十億に対しまして、約百二十億円程度の剰余を生ずるということでございまするので、大体その百二十億円を除きました四百億円弱が歳出でございます。それから百二十億円程度の剰余を生ずる、これは予備費に計上してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/43
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044・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、三百四十六億というのが保険料の支出の見込みであるのに、これに対して六十億近く、何ですか、雑費が要るわけですか。どういうことです、雑費というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/44
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045・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) おもなものを申し上げますと、業務取り扱い費約二十四億、それから福祉施設関係の経費二十一億、その他たとえば庁舎新営費であるとか、その他の雑費を合わせまして六十億、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/45
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046・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、今の見込みでも百二十億も剰余金が出る。あなたが先ほど心配された五人未満の労働者を強制加入にしてみたって、一ぺんに百二十億も赤字は出まいでしょう。食いつぶせとは私は言いませんけれども、六百六億も積立金がある、こういう状態だからこそ、今年あたりこそ私は労働行政として一般の雇用関係もそうだし、保険の問題もそうだが、こういうことでことしこそ私は五人未満の労働者を救いますのだと言って労働省が旗を立てられたって、世間の人は何ら不思議に思わない。むしろこういうことをする、こういう改正をすること自身、世の中の人は何と不思議なことをするな、政府というものは、こうしか感じられないんじゃないですか。そういうまた結着になってくるわけです、この面から見て。どうなんですかね。あなたのこれを聞いておりますと、どこから見てもなかなか理解できないんだが、それじゃこの失業保険というものを、将来どういう工合に持っていこうかという考え方なんですか。これは一つ社会保障として、この失業保険を見ていくのか、単に相互扶助の保険制度としていくのか、そこらあたりの考え方、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/46
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047・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ただいま御審議を願っております失業保険関係の改正法案が成立実施されますれば、先ほどもお話がありましたが、大体給付の改善で、三点で三十一億円程度増加するだろう、このように考えます。それであとは予備費の問題でございまするが、昨年度におきましても、予備費は九十八億円程度を計上しております。やはり予備費につきましては、失業保険の給付状況に変動がある場合も——これはおそらくないと思いまするが、そのようなことも考慮いたさなければならないので、まあ予備費が昨年程度の金額になるということは、やむを得ないことではないか、このように考えます。
なおさらに、今後の問題につきましては、たとえば五人未満のものを一斉に入れたらばどうなるであろうかという問題もございます。それからあと、まあこれもおしかりを受けるかわかりませんが、いろいろ現在出ておりますいろいろな関係者の要望等を聞いてみますると、保険給付の率の引き上げであるとか、あるいは給付期間の延長であるとか、いろいろな御意見が出ております。これらのものをかね合わせて、どのように保険経済とにらみ合わせて長期的に見通しを立てていくかという問題が第二段の作業になるわけでございます。これは社会保障制度審議会、調査会の御審議を待つと同時に、われわれとしても、第二段の問題として長期的な見通しを立てまして、この作業に、第二段としてさっそく取りかかるべき問題だ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/47
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048・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 労働次官に、今の問題についてどういうお考えを持っているかをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/48
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049・赤澤正道
○政府委員(赤澤正道君) 労働省の任務であります——ことに労働者の福祉と職業の確保でありますが、私は単に生活面の相互扶助的な保険じゃなくして、もっと積極的に活用をしていくべきものだという考え方を捨てることができないのでありまして、そういう観点に立って、実はあなたがおっしゃることは、私どもは一政務次官として妥当な立場として主張し、そうして大蔵省などと何回かずいぶん議論をしたわけであります。その経過を先ほど申し上げたわけでありまして、言うまでもなく、やはり単に六割の給付と言いましても、収入の低い人はほんのわずかの、生活できぬような給付額になってしまいますので、この面も何とかしなければならぬわけでありまして、全般的にやはりこれだけ剰余金が出てくれば、もっとその面でもこれを先進国にあります通りに高めていくということも考えなければなりませんが、私はさらに進んで、第二段の職業の確保の裏づけになるべき労働者諸君の技能水準の向上あるいはまた、職業訓練で十分これを行なえば——また、受け入れ側でも非常に成果を期待もいたしておりまするし、そういう方面に積極的にこれを投じていくという考え方を申し述べたわけでございまするけれども、微力で、われわれが考えておる通り、労働省が考えておりまする通りに進まなかった、ただどうも、いろいろ御尽力を願って、先ほど申し上げました三点だけは確かに前進したと考えておりまするけれども、基本的にはそう考えざるを得ない。大蔵当局と折衝いたしました際に、藤田委員も多分あとでお聞きになると思いますが、一体保険経済の保険基金を一体どこまで積めば安心できるのかという問題すら実はせんじ詰めて話し合った、ただ、これが幾ら幾らまで積めば安心だということは結論が出ておりませんけれども、まだまだ不安だという考え方を政府の一部では捨て切っておりません。にもかかわらず、われわれの方としては多少ずつでも前進さしていきたい、そういった目的を達成いたしますために、この保険の剰余というものがこれほど、積立金が今までほどあってさらに百億に近いものが出ていくものは、もっと有効に使わなければならないという考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/49
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050・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を落とし
て。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/50
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051・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こし
て。
暫時休憩いたします。
午後零時三十七分休憩
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午後一時五十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/51
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052・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それでは午前に引き続いて会議を開きます。
逐次質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/52
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053・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 午前中の質疑、途中で切れたわけですけれども、もう少しお聞きしたいのですが、日本の社会保障制度として、年金や、医療制度または失業の救済、こういう格好で保険制度として出発しているわけですけれども、先ほど局長にも、次官にもお尋ねしたのですけれども、相互扶助的な保険制度の現状について努力をするということの御返事があったのですけれども、保険制度そのものを、そういう相互扶助の保険制度として進めていかれるのか、それとも社会保障としての、たとえば国の施策として、将来いろいろあるでしょうけれども、もっと考え方の根本をなしているものは、たとえば社会保障の問題の根本をなすものは、今日の事態から見ても、何といっても、私は、一つの面では富の再配分ですね。そういうものに理由はつけながら、結局は国の経済的な繁栄という道を、生産力に応じて行なわれて、それでカバーしているというのが各国の状態だと私は思うのです。だから単に扶助的な保険制度としてのみにこれを限っていくということじゃ少し物足らぬのじゃないかと私は思うのです。だから、その点もう少し基本的な考え方を重ねて一つお尋ねをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/53
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054・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ただいまお尋ねの点につきまして、これはいろいろな見解がございましょうけれども、私どもは、もとより被保険者が保険料を納める、それを一つの柱にして、保険経済を営んでいくという面はありますけれども、やはりこれは日本の経済発展の過程において、その間に生ずる失業者の生活を保障していく、それをもって日本の経済が均衡ある発展を将来遂げていくように、各制度が相待ってその一助になるという考え方で検討さるべき問題であると思います。従いまして単なる相互扶助というものにとどまらず、やはり社会政策的な観点から社会保障全体を再検討し、また、その一環として失業保険制度も考える、このような基本的考え方で進むべきである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/54
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055・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、またもとに返るんだが、どうもそういう根本的な考え方があるとすれば、またなぜこういう結果が出てきたかということを聞かざるを得ないんだが、これは一つ繰り返しませんが、齋藤さん、一つどうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/55
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056・齋藤邦吉
○衆議院議員(齋藤邦吉君) 堀局長が申された通りだと私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/56
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057・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、衆議院で修正をして、医療給付の面を深めてゆこうという気持が動いたこと、そのことについては私は敬意を表しますけれども、今のようなお考えのもとでこの問題を見るときには、衆議院の中でこういうことになって、ここに提案されたということには、少し齋藤さんとしては心苦しいところがあるんじゃないかというような気がするんですけれども、そこらの心境を一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/57
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058・齋藤邦吉
○衆議院議員(齋藤邦吉君) 藤田委員の最初の御質問にお答え申し上げましたように、三分の一、四分の一という問題については先ほどから私がお答え申し上げましたように、私個人としては好ましい姿ではない、こういうふうに現在でも考えております。ただ、昨年度昭和三十四年度の予算を政府が編成するにあたりまして、国民健康保険法の全面改正をやって、三十五年度末に国民皆保険をやろう、それから国民年金というほんとうに日本の社会保障史上において画期的ともいうべき国民年金を実施しようと、こうなって参りますと、やはり国の財政から見ても相当支出がふえる、そういうことであるから、やはり財政的な面の調整をはかろうではないか、こういう政府からのお話しがあった。そこでまあ私ども好ましいとは思いませんでしたけれども、国の財政の立場上やはりやむを得ないだろう、こういうことで賛同をいたしておったわけでございます。率直に申します、やむを得ず賛同をいたしたわけでございます。ところで、その後、衆議院における国会の審議の状況等もにらみ合わせまして、さらにまた、その後の社会情勢の変化、雇用情勢の変化等もにらみ合わせて、やはり三分の一を四分の一にするということだけ、さらにまた、日雇いの待期を一日ふやすというだけでこの法案を通すということは、諸般の情勢からいかがであろうかということをわが党も良識的に考えまして、先ほど来、藤田委員が仰せになりましたように、こういう余裕がある際には、それでは、もちろん、この点はいろいろ御意見の差はあると思いますが、多少なりとも給付内容の改善をはかると、こういうふうにいくべきではなかろうかと、こういうことで実はこういう議員提案ということになった次第でございます。おそらく藤田委員も十分その間の事情は御承知かと思いますが、私どもも、やむを得ず国の財政上賛同いたしましたけれども、やはり良識的に給付内容の改善と、こういうことでまあ議員提案、こういうことになった次第であることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/58
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059・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあその議論は繰り返しませんけれども、私が残念に思うのは、まあ保険経済自身から見ての黒字の問題も一つの問題ですけれども、今日の経済動向の面から見ても、労働行政としてはもう今踏み切るのに最善のときだと私は思っているから、なおこの問題が起きてくると私は思うのです。
そこで私はお聞きしたいのですが、外国の保険制度というものはどういう工合に動いているか。国によってこれだけということではなしに、総合的な要素の国もありますから、そこらの一つ推移をお聞かせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/59
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060・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 諸外国の失業保険制度は、ただいま御指摘になりましたように、それぞれの国情、沿革等によっていろいろな相違はございます。中には非常に進んだ国もございまするし、それから中にはまだ不十分な面もあるわけでございます。そこで、大体のところを申し上げたいと思いますが、御承知のように、ILOの社会保障の最低基準に関する条約のうち、失業に関する給付の規定がございますが、これは給付額を賃金の四五%以上、それから給付期間は十三週以上というようなことでございます。それから個々のいろいろな国がございますが、たとえばアメリカでは、給付額は五〇%ないし六〇%、給付期間は六週から二十六週までの範囲内でそれぞれの州で定めるというような制度になっております。それからカナダは、これは週給十五ドル未満六ドル以上、大体四〇%、給付期間は三十六週、ただし、拠出期間が七十二週より少ないときは、拠出期間の二分の一を限度とする、こういうような制度になっております。それからオランダは、給付額七〇%、給付期間は七十八日分。ノルウエーは、三二%から約四五%、これは十五週。スイスは 賃金日額——これはいろいろなことが書いてございますが、賃金日額二十四フラン以下は六〇%、右以上になりました場合には、十フランをこえるごとに六〇%から一%減じた率というような給付額になっておりますが、給付期間は九十日分。それからまだあといろいろございますが、たとえば、最も進んでおる例といたしましては、御承知だと思いますが、たとえばニュージーランドの場合、これは世界で最も進んだ制度であると考えておりますが、給付額は一週当たり四ポンド十シルリングの手当を支給する。それから二十才未満で被扶養者のない者には三ポンドというような、具体的な金額できめることになっております。それから給付期間は再就職まで無期限ということになっております。これがおそらく世界では一番進んでおる例ではないか。このように、いろいろ各国によりましてその国情、沿革等によりまして、非常に進んでおる国もございまするし、また、ただいま申し上げた中でもお気づきと思いますが、なかなかそこまで達していない国もある。日本の場合でも御承知のように、賃金の六〇%が給付額でありまして、給付期間は雇用期間に応じ九十日、百八十日、二百十日、二百七十日という四段階になっておることは御承知の通りでございまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/60
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061・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、一定の給付の基準があるわけですけれども、たとえば、今はもうヨーロッパの国々をとってみても、景気、不景気というような、変動という、影響というのはほとんどないと思うのです。日本のような、こういう二重構造、二重就労というような格好のこういうものがなしに、むしろ、社会保障制度が進んで、そういう調整が行なわれておるから、ほとんど私はないと思うのですけれども、失業が多量に出る、こういう場合にコントロールをする規定というのを持っておるのはどこですか。失業が多く出た場合に調整をする、たとえば支給内容をふやすとか、そういう格好の規定を持っておるところはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/61
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062・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) たとえばスイス等におきましては、失業情勢が悪いような場合には、政府の定めるところによりまして一定の基準をさらに若干延長するというような調節措置を講じておる例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/62
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063・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 また、アメリカの例を出して恐縮ですけれども、労働行政というものは、失業の者だけの保険経済の中における小さいワクの操作というものであってはならぬと私は思うのです。だからこそ、アメリカは五七年ですか、二十六週を二十九週にする、大統領が命令してそれを実行したという例なんです。私は、あのときに労働大臣にやかましく言ったのだけれども、一昨年言ったのだけれども、言った答えが、こういう答えになってきたわけなんです。保険金ができてきた、失業者が、積み立てがふえてきた、失業者が非常にたくさん出ている。だから、何とかこれを、失業給付の内容を、基金があるのだから、積立金があるのだから改善をしなければならぬじゃないかということを言った答えが、こういう格好になってきたわけです。だから、私は、労働省として、このようなものを見るときに、もっと日本の経済政策の中で、日本の政策、計画を立てる中で、労働省というのは遠慮しがちといいますか、何か請負的な気分で労働行政をやっておられるということが、どうも納得いかないのですよ。だから、そういう格好で、なぜ、こういう形が一番いい条件のときに出てくるかということは、どうも大臣がおいでにならないので、私は、あまり深く触れたくないけれども、なかなか来ないというから、私はお聞きするわけですけれども、どうか次官か局長か、一つ所信をお願いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/63
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064・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ただいま藤田委員の御指摘のように、失業保険制度の内容も、そのときの情勢をにらみ合わせて、これをさらに進歩発展させる方向へ持っていくべきである、このお説につきましては、私どもも同感でございます。そのような基本的考え方の上に立ちまして今後も行政をやって参りたいという気分は持っておるわけでございます。ただ、本年度においてどうであるかという問題でございますが、これは先ほど来申し上げておりまするように、本年度は、国民年金制度の創設であるとか、国民皆保険の実施であるとか、このようなことにかんがみまして、費用負担の調整をまずやるべきではないか、このような見地から、やむを得ざる改正としてこのようなことを考えたわけでございます。しかし、それならば給付内容はそのまま据え置きでよいかと申しますると、われわれはそうは考えておりません。やはりその情勢に応じて、実情に合って、次第に進展、改善さしていくべきものであるという考え方は、基本的な考え方として持っております。そこで、今度の法案におきましては、まあもとの政府原案によりますれば、一つのまあ給付面の改善があるわけであります。それから議員提案によりますれば、それに三つつけ加わっておるわけであります。これはまあとりあえずの措置ということで考えたわけで、その意味でも、われわれの気持の一端はまあ御了解願えるんじゃないかと思うわけでございまするが、それではこれでもう全部ストップして、失業保険の保険給付内容というものはこれで固定化するものであるというふうには、われわれ考えておりません。その点につきましては、第二段の問題として、社会保障全体の立場から、失業保険については、どのような給付内容について改正を加えるべきであるかという問題について、現に社会保障制度調査会にも諮問を申し上げておるところでございまするし、われわれもそれと並行して、これは誠意をもって一つ今後検討を加えて参りたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/64
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065・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 基本的な問題はまあ大臣が来てからお聞きするとしまして、たとえば、失業——今、日々失業者が出てくるわけです。失業者の保険を支給される新規の人が出てくるわけですけれども、その中で、どういう工合になっていますかね。たとえば、定年のような格好でおやめになる方も一部おいでになるでしょう。それからそうでない失業者、企業整備その他で首を切られるということになるわけですが、そこで、その失業された人が今度就職をされる。就職をされるときには、どういう工合になっておりますか。何パーセントぐらいが何カ月ぐらいに就職するとか、そういう——その定年らしき人が何パーセントぐらいおって、それから失業から就職への転換の工合ですね。そこらあたり聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/65
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066・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) これは労働省におきまして、三十五年の三月に失業者の帰趨調査という調査を実施しておりますが、それにつきまして見ますると、全体を一〇〇といたしましてそのうち、事業主の都合による解雇に基づくものが四七・五%でございます。次に、契約期間の完了による退職が五・七%でございます。それから本人の都合による退職、これが四六・二%、これはそのうちの相当部分は、給付制限を受けるというような者がありますが、安定所に出頭されました方につきまして調べてみますると、四六・二%が本人都合による退職ということになっております。それからその次に、定年による退職は四%ということになっております。大体ざっぱでございますが、退職の理由、事由別の分類は、以上のようなことに相なっております。
あと、どのくらいで就職するかというお尋ねでございましたが、ただいまちょっと資料を分類しておりますので、後ほどお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/66
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067・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それがどれくらいであと就職するかという問題が、やはり非常に重要な影響を持つわけです。というのは、この就職の動きも、経済の動きと関連なしとはしないと思います。根本的にはしないと思いますけれども、そういうウエートは今日の機械化の時代には、だんだんそのウエートは減っていっているのじゃないかというふうに私は思うのです。だから、失業という格好の人は、むしろ就職の機会がなしに、この不安定な、命をつなぐといいますかね、そういう就労状態に全部追い込まれているのじゃないか。たとえば、就職の機会があっても、ほとんどの人が……。そして就職というのは、新規学卒という、この機械化に応じて、そういう就職の率がふえているのじゃないか、こういう工合に私は判断する。まあ御意見があったら聞かしてほしいのですけれども……。
で、そうなると、その失業した人は、むしろ停滞、固定するのですね。失業状態が固定する。こういう格好で動いてくる。そうなってくると、保険料の、この自後の生活を見るという概念が、見方が、たとえば摩擦失業という概念で失業保険を見る場合と、日本のような潜在失業、半失業、不安定な状態に追い込むという失業状態を失業保険でとらえる場合と、だいぶ私は考え方を変えなきゃならぬのじゃないか。そういうところに、この今の、たとえば一つの問題として、給付をどの程度延長してやるのがいいのかという問題、それから生活の面から見て低所得者に対するカバーをどういう格好にしたらいいのかという問題が、私はやはり保険の運営上の問題として出てくるのじゃないかと、こう思うのです。だから、そこらの問題が明確に——ほとんどの人が二、三カ月で就職する機会があるというなら、失業保険の給付延長なんというふうなものを考えなくても、私は——まあ考えなくてと言ったら言い過ぎかもしらぬけれども、そういう問題はあまり重要なポイントになってこないのではないか。しかし、後段の面からいうと、私は重要な面としてこの問題をとらえなきゃいかぬのじゃないか、こう思っているわけです。だから、基本的な状態というものがわからないと、われわれとしても困る。ただ、私たちが趨勢として見ているのは、後段の失業した人は新しい就職の機会というものがなしに、むしろ固定した失業状態にほとんどの人が追い込まれていっていて、よしその中からはい出す人があったとしても、不安定な状態で雇用関係の中に追い込まれているという判断をしているわけです。そこらがとらえ方の問題の中心だと思うのです。だから、単に修正やるとかやらぬとかいうことは、完全雇用との問題に関係してくるわけですが、どの程度被保険者が保険料にたえ得るかどうかということによって、そのバランスを経済といいますか、今の状態では経済の関係できめていかなければならぬ。それが悪化してくれば、何といっても先ほど申されたように、社会が保障していくという格好にそれを進めなきゃならぬというのが、私はポイントだと思うのですよ。だから一つできたら聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/67
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068・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 同じ先ほど申し上げました調査によりますると、給付を開始いたしましてから大体九カ月後にもう一ぺん調査をしていただく、九カ月後におきまして大体五八・六%が就業をいたしております。四一%程度がまだ就業しておらない。こういう状況が出ております。そこで、この原因についてはいろいろなことがございましょう。日本全体の労働市場がアンバランスでありまして、雇用の需給調整が円滑に行なわれないというような面もございましょう。それから第二には再就職するにあたりまして、基本的な技能を身につけておらないというために再就職が非常にむずかしい、こういう面もあろうと思います。それから何と申しましても就職するにあたりましては、いろいろ雑費がかかるわけでございます。たとえば同じ職場から違った所にいきますれば、洋服とまではいかぬまでも、ネクタイとワイシャツくらいは買わなければ、その勤務もできないというような面もありまするし、それからその他新しい職場を見つけるにあたりまして、いろいろ電車賃もかかりましょうし、あちらこちらに行ったりして頼んで歩くようなことも必要になろう、その雑費がないために再就職もおくれる、こういう面もあろうと思うのでございます。その他いろいろな原因が錯綜すると思うのでございますが、そこでわれわれといたしましては、今度の議員提案の改正部分のうち、第一に失業保険金を支給するにつきましては、職業訓練中でありますれば、大体一年間訓練をいたしますると、基礎的な技能は身につくと思います。それもその期間に失業保険をもらえないということでは、せっかく職業訓練所に入ろうと思いましても長くは続かないというようなことになろうと思いますので、一年間は失業保険金を訓練やりながらもらえるというようなことにもなりまするし、それからさらに、早期就職いたします場合には、就職支度金というようなものも雑費として差し上げることができるようになっておりますので、これで全部改善されるとはもとより申しませんけれども、まあ失業保険を受給している方々が割合再就職しやすくなるという効果はあると思います。かようなことと相待ちまして、私どもの方といたしましても全国的な職業安定組織を積極的に動かしまして今までのやり方にこだわることなく、ある場合においては広域職業紹介というような労務需給調整を円滑にするための措置、これも活発化して参りたい。まだそれでも足りないところがありましょうが、それ以上の分はさらに検討するといたしまして、さしあたり今のような二、三点を実施いたしましただけでも、再就職の促進には相当寄与することができるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/68
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069・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 職業訓練をやってそうして再就職の機会を作る、これはまことにけっこうだと私は思います。だから、それはけっこうだから、その点のここに出てくる問題ばかりじゃなしに、職業訓練所——まず県にあるのは職業訓練所ですけれども、今年は五億七千万円ですか、そういうのをお入れになるそうだけれども、これだけの潜在失業者が多いときに、とてもそれじゃ追っつかないという感じを私は持つわけです。それで問題は、それはやってもらわなければならぬが、五八・六%の就職された者の内容ですね。内容はどういう条件のもとに就職しているか、これは九カ月後というけれども、大体何カ月目ぐらいに何パーーセント就職したかということがわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/69
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070・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) そこまでの調査は、残念ながらまだしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/70
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071・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこが私は労働行政をつかさどる労働省としては怠慢しごくだと私は思う。延長はいかぬ、給付の内容改善もなさらない。今お話しになりました訓練中の手当その他は衆議院においての問題なんです。それでいてそういう調査は、把握は一つもせぬ。五八・六%だけは就業した、あとの四一・四%という人は就職をしていない。九カ月後においてその状態なんです。その五八・六%というのは、先ほども申し上げましたように、今日の就労の状態を見れば、社外工とか臨時工というような格好で非常に不安定なところへ全部追い込まれている、こういうような私は今の現状ではなかろうかと思うのです。だから、私はそういう基礎調査をして、失業者がどういう状態になっているかということをなぜお調べになって、そうして対策をお立てにならないかということが私はここへ根本的な問題として出てくると思うので、単に失業の問題なら労働力化率の調査、あの数字だけを見ておればいいということであっては私はいけないと思います。私は労働省はそういう調査は率先してやって実態を把握してやるべきじゃないか。まだまだ家内労働とかいろいろありますけれども、これは私はやめますけれども、そういう状態でただ一つの面を……、大蔵省が社会保障の面だからしんぼうせいといえば、相当がんばられたというお話を聞いて、その点は敬意を表しますけれども、結果的にはこういうことになっている。内容はやつぱり衆議院の修正をのければ、待期期間の一日分だけで終わっているというような法案をお出しになるわけですよ、実際問題として。だから、私はそこでうまく説明をされても、なかなか私はむずかしい問題だと理解ができないのじゃないかと思うのです。
そこで、いろいろだくさんありますけれども、もう一、二点聞いておきたいのですが、この日雇いの失業保険の問題に入りますが、今度二十八円上がって三百三十四円になっているわけですね。三百三十四円が平均なんです。で、失業保険の面から見ると、三百円の百四十円。そうしますと、だからは生活を上げるという建前で、これに二十八円お上げになったんだが、失業保険の面もこれを百四十円と、三百円で固定していかれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/71
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072・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 失業対策事業労務者の賃金が全国平均にいたしまして、ただいま言われましたように、二十八円アップするということになります。そこでこの給付額についてどのように考えるかということでございます。失対の労務省の失業保険につきましては、これは一般の被保険者と異なりまして、大体定額的な考え方をとっております。これはその性質上どうしても、事務的に考えまして、そのようにする以外に道はないだろうということで、なっておるわけであります。そこで、現在の場合は、二百八十円というものを境にいたしまして二百八十円以上の方は二百円、それ未満の方は百四十円、こういうことになっておるわけでございます。その定額表にしてあります関係で、給付率が非常に有利になる方もございまするし、不利になる方もある、大体二百円をかりに六割として逆算いたしますと、三百三十何円くらいがそれに該当すると思うのでございます。そこで、二百八十円、二百九十円、三百円というところの方は率がよくなる、それからそれ以上に高い、三百三十円以上に高いような方は率が悪くなる、こういうような面がございます。それから下の面についても同様のことが言えるわけであります。ただ、全体として考えますると全体の賃金が平均して二十八円アップになりますので、この際何らかこういう面について調整をする必要があるのではないか、このような考え方も出てくるわけであります。そしてわれわれとしては、この点について検討をいたしたい考えでございまするが、問題は、いろいろな見方が出てくる、たとえば給付金額を引き上げるならば、保険料も引き上げたらどうだ、これはわれわれが今そういう結論を持っておるわけではございませんで、これはそういう考え方もあるということを申し上げる程度でございますが、そういうような議論も出てくる場合がある、それに対してどのように考えていったらいいか、それから全体のバランスとしては、今の程度に上の方はしておいても、下の方の最低生活を保障するという意味で、ある程度のその下のささえの意味で、最低額をきめたらどうだというような問題も考えられるわけであります。そうしますと、今度は日雇いだけでなしに、一般の被保険者の分につきましても、同じようにやはり最低額というものを規制したらどうか、このような考え方も出てくる。それからさらに合わせますと、他の社会保険、あるいは労災保険等について見ましても、平均賃金の非常に低いようなものについてただ六割というようなことでいいかどうか、こういうような問題もからみ合わさってくる、これらの点を彼此勘案いたしまして、われわれとしては、早急に一つ結論を得るように検討に着手したいと考えておるのであります。今直ちにそういう点を抜きにいたしまして、この金額の面だけ変えるというわけにも参りませんので、これにつきましては、われわれとしてなるべくすみやかに検討に着手して、成案を得るように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/72
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073・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 たとえば、三百三十余円を、平均値を取っても、二百円をこえるわけですね、それを二百八十円から以上の人は二百円になるわけだが、問題は平均値が三百三十余円なら、もう少し高い人もだいぶあるわけです。そういう人が、たとえば仕事がなくて休業した場合に、二百円なら、半分にも達せぬような人もあると思うのです。そして失業保険の原則からいって、今六〇%ということになっているのですけれども、下の人の、所得の少ない人をもう少しふやしてあげて、せめて八割くらいの失業保険を出すようにして生活を守ってやったらどうか、守ってあげたらどうかという議論が今あるところなんです。それはそちらの方であるけれども、今度の日雇いの面は、これは今検討するとおっしゃいましたから、検討はぜひしていただかなければいけませんけれども、たとえば八割にしたら二百七十五円というようなところになるわけです。いつごろまでにこれを検討して実施するかということを、これは一つ聞かしていただきたいと思うのです。このままではどうにもならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/73
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074・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) この問題につきましては、われわれも早急に検討に着手したい考えでございます。そこで、検討する場合には、いろいろ問題点は、先ほども一、二の例をあげまして申し上げたわけでございますが、いろいろ他の制度との関連も出て参ります。そこでこの点についてはわれわれとしてなるべくすみやかに成案を得るようにして、社会保障制度調査会その他適当なる機関にお諮りをいたしまして、その御意見を聞いた上で、なるべくすみやかに成案を得たい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/74
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075・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ちょっと今の答弁はわれわれ納得いたしません。社会保障審議会にかけるのは、先ほどの午前中の質疑で、大体検討してもらって、三年ぐらいの見通しというお話があったと思う。私の聞き間違いならいいですよ。いいけれども、そういう長期の間に、社会保障審議会が全般の出題をやるというような社会保障審議会に、この問題もその一連の中に入れて、それでは、まあ三年が二年になっても——それでは二年もこれを待つということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/75
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076・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) この点につきましては、やはりその給付内容の改善について早急に実施を要する問題と、まあ非常に広範囲にわたるので、少し時日がかかるというような問題と、おのずから分かれると思います。われわれといたしましては、こういう問題はやはり非常な零細所得者にからむ問題でございますから、別に三年内に審議してもらいたいというようなものでは毛頭ございません。緊急を要する問題として、他の緊急を要しない——と言っては語弊がありますが、検討を要する問題とまた切り離しまして、なるべくすみやかに成案を得るように努力したい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/76
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077・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、緊急に成案を得たいというものの考え方は、二、三カ月のうちに結論をきめて実施する、こう理解してもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/77
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078・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) なるべくすみやかにわれわれとしては成案を得るように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/78
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079・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 どうもすみやかとか、早い機会とかいうようなことがよく出てくるわけなんだが、この問題は、すみやかとか早い機会とかいうような表現で、私は逃げるべきものではない。大臣がおいでにならないので、あなたは大臣じゃないから、返事ができないのかもしれないけれども、至急にこれはやらなければ、理屈に合わぬじゃないですか。どうですか、次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/79
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080・赤澤正道
○政府委員(赤澤正道君) 御指摘の通りでして、実は真剣に討議はしておるわけでございます。この間も衆議院で滝井君の質問があって、一体百四十円で一日飯を食えるか。あんた食べる自信があったら三日間小づかいやるからやってみたらどうだとまで、実は極言されて、それはおじいさんと若い者とは食べる量も違うかもわかりませんし、百四十円で食えといえば食える方法もないこともないかもわからぬけれども、それは冗談で、やはりこういう生活できないような状態にいつまでも捨てておくということはお互い許されないことですから、今藤田さんから、三年もかかるとか、三、四カ月うちに結論は出せないのかと追い詰められたわけですが、大臣はどう言うか知りませんけれども、今私どもも、いついつまでにはこれはこういたしますということは申し上げられません。何も社会保障制度調査会にからませて、単に引き延ばししようという気持でおるのではないということを一つお認め願いたいと思います。ただあまりこういう問題、さっきの失業保険の問題も同じですけれども、やってみますとすぐ生活保護法との給付のバランスがどうなるとか、保険の内容のバランスがどうなるということがあちこちから出てくるので、私たちの知識の不足の点もありますので、事務当局から聞くとなるほどなと思うこともあるわけです。しかし、そういうことで放置することも許されませんので、目下そういった面につきましても、極力進めておりまするので御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/80
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081・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあお気持だけをもって理解いたします。だから、至急におやりになるということでそう期待しておきます。
それで、もう一つは、やはり失業保険の問題で、今はどんぶり勘定ですね、失業保険は。今度の三分の一、四分の一の問題が出てきて別個で清算して云々ということが出てきているわけです。よく高い所得の再配分の面を、私の考え方は今のような生産の独占化という形の中から大きくは税金によって再配分をして社会保障、貧困救済というところにいくのが建前だと思うけれども、よく保険料の問題にまでそういう議論がちょくちょく入るわけです。それでそういうことでは私は困ると思っているのです。根本的には保険の保険料の操作で富の再配分というようなものの考え方は一つこれは捨ててもらいたいと思うのです、根本的に。だから、経済全体の問題として、私は低所得者の生活を守っていくというところに基本を置いてもらってこのような問題を考えていただきたい、こういう工合に思います。その面からいって、これはやはりどんぶり勘定ですね、全体の失業保険の中の会計の中の問題なんです。そういう意味ではこの保険の内容を見ればこれが再配分の一つの方法なんだということになるかとも私は思うのですが、だから、そういう面は先ほどの低所得者——雇用労働者の低所得者八割の面と、今おっしゃった日雇労働者の失業保険との面の問題はそういう一つ気持で至急にやっていただきたい、お願いします。だから三分の一、四分の一が、私の気持をあなた方うなづいておられ、理解しておられる面から言えば、それもまたひっかかってくるわけなんだが、そこで、待期期間というのがありますね、待期期間というのがね。これは一日ずつ削減されたわけですけれども、それで出費が三億円ほどになったということですけれども、どうですかね、恒常的に雇用関係があって、失業された方と違って日雇いという方々は政府が二一・五日保証するといったところで、いまだに府県において十七、八日、ようやく十七、八日まで上がってきたところもありますけれども、二十五日くらいのところもあります。ありますけれども、やはり民間就労との関係で非常に仕事がなくてあぶれが多いというようなところがあるわけなんですね、これは。だから、そういうところでやはり失業保険というのは、この待期期間を四日、今度は三日が四日になりましたけれども、そこで待期期間を置く必要がどういうことであったのかという私は疑問を持っているわけですがね。その保険経済の中から出費が云々というならばその分だけ国庫が持てばいいんだし、これこそ生活保護法の中に追い込むか、日雇労働者として社会に貢献を、労働力を提供してもらいながらやはり守っていくかということになれば、やはり勤労の中で生きて、社会に労働力が提供されて貢献しているという形が一番好ましい問題なんだから、そういう方々に待期期間を置くなんということの思想が、いろいろ理屈があるだろうけれども、そこらあたりはどういう考え方なんだか、もう一度聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/81
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082・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 現在の待期期間は、日雇いにつきましては通算六日、継続四日ということになっております。今度の改正ではこれを一日ずつ短縮しようという考え方でおります。まあ、一日短縮はこれはもう間違いなく日雇いの方々にとっては福音になると思いまするが、それでは不十分なので、もっと一思いに減らすかあるいは撤廃したらどうか、こういう御意見になるわけでございますが、結局この現在の日雇保険の立て方というものが、まあ一応前ニカ月の実績を見まして、それによってその歴月の間に失業保険金を支給する、こういう立て方になっておりまして、いろいろ技術的にめんどうな面があるわけでございます。私は、これはもう根本的にいろいろな考え方が成り立つと思います。単に失業保険だけの問題でなしに、現在の失対事業の基本的あり方につきましては、先日もこの委員会で御質問に答えて大臣からもお答えしたわけでございますが、やはり根本的に検討を要する問題もあると思います。そういう問題ともからみ合わせて、どのようなあり方が適当であるかということについては基本的に研究してみたいと思います。ただ、現状のままでから申し上げますと、まあ先ほどお話がありましたように、一日短縮ということにつきましても表にすぐ現われてくるであろうと思われるものが三億円というものになって出てくるわけであります。実はそればかりでなしに、やってみました上で実績を見てまた検討もしなければならぬと思いますが、今まで隠れておりましたものが相当出てくるというような面もあるいは出てくるのではないか、これはまあ実際問題として実績を見てみませんとわかりませんけれども、そういうような実績も見て考える必要があるのではないか。まあ、一応一般と日雇いはどんぶり勘定になってはおりまするが、やはり一応日雇いの面と一般の面とで、まあ、その日雇い等について計算いたしました場合に、もう保険収支が成り立たないように非常な赤字になるというようなことになりましても、これは保険として一つの大きな問題点が出て参ると思います。そこで、われわれといたしましては、とにかく今の待期は長過ぎる、こういう御議論はあるようでございますから、とりあえず一日短縮、これをやりまして、その実績を見ながら、また失対事業全般の基本的な検討も考えなければなりませんし、また、この実績を見ながらこの日雇いの失業保険のあり方についても基本的検討を加えなければならない。とりあえず一日短縮ということはいいことだから、やってみて、その実績を見た上でさらに必要に応じて検討を加えて参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/82
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083・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 問題は日雇労働者二十五日稼働なら稼働というものが保証できるように、せめて二十四日の稼働というものは保証できて、あとは休日という格好で保証できるようになれば、労働行政の指導でそういうことになってくると、失対労働者だけですから、この失業保険の問題もそう問題に大きくはならないと私は思うのです。ただ、今言われたように、三日だけれども、やってみなければ実績はわからぬと言われるけれども、まあ、天下をひっくり返すような大きな額になるわけじゃない、まさか五億も六億にもなるわけじゃないと思う。ふえたところで三億にちょっぴりふえるかくらいの程度なんです、財政の面から言うとですよ。だから、今ではいろいろな理屈がついて、どんぶり勘定というか、一本の会計の中にあるものが、たとえば、三億円が五倍になったとして十五億円、五倍もせんでもみなほとんど解決ができる問題だ。だから私は、そういう点はその保険経済からそれを出すというのがいかなんだら、その面だけ国が保証するという手も私はあると思うのです、思想的には。そういうやはり処置から言っても待期の問題というのは、私は必要がないのではないか。必要がないという言い方はともかくとして、日雇労働者にはちょっと酷ではないかという考え方を言っているわけです。だから、その点は一つ十分に先ほどの問題とあわせて緊急に処置をしてもらう問題ではないのですか、どうですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/83
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084・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 今後の推移を見て、早急にわれわれとしては検討いたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/84
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085・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、これは今までいろいろの問題について質疑をして参りましたけれども、今はまあ日雇いの問題ですけれども、その失業保険の今度の改正というものをまあ政府は予算の面から出してきておられるわけなんだが、現存の推定でも百二十億も黒字があるわけです。赤字になったらやりましょうと、こういう状態が続く限り赤字になりっこないわけです。そういうことが、昨年は九十四億、今年は百二十億、これだけ失業保険に黒字を予備金に見越してそしておやりになって、まあ日本の経済の動きをどういう工合に期待されているのか。だれが考えたって今の庶民、勤労国民にはあまり今日の景気の潤いはありませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、日本経済が成長していくという姿だけは、国民の一人として希望しない者はない。そういう格好でいく限りにおいては赤字になりっこはない。三十八年までに赤字になりっこはないという推定です。しかし、もう一つの面から見て、日本の経済のもう一つの面から見て、三十二年、三年に来たような経済というものも、今のようなやり方から経済政策をやっている限りは、私は一つの面から心配しておるわけです。だから、そこらの考え方をどこに置いておられるのか、日本の経済の推移というものを、それを一つ次官から伺いたい、局長からでもけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/85
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086・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) ここ数年来の状況につきましては先ほど御説明申し上げましたが、昭和二十九年度において赤字が生じたという以外は、おおむね順調に進んでおります。まあこれは先の問題になりますので、まあそれを見なければわかりませんけれども、私は今の経済基調に大きな変化——よほど大きな変化がない限りは、おおむね順調に今後も進むのではないか。失業保険は現在はおおむね順調に推移するのではないか、このように考えております。この法案によりますれば、この三年間の実績を見まして、収支の状況を見まして、それと今度はもう一方の検討問題として、先ほどからいろいろお話もありました、まだそのほかに関係者からいろいろな要望も出ておりますが、保険給付についてどのようなあり方をとるべきかという問題とからみ合わせまして、それを彼此勘案いたしましてどのような形が失業保険経済として長期的に適当であるか、給付の面、費用負担の面についても、その三年間の実績とそれから関係方面の御意見を十分伺った上での給付の調整、この面から一つからみ合わせてみまして、それによって今度失業保険というものは長期的にどのような形でいくべきか、こういうような結論を得ましてその結果を三十八年三月までにおそくとも成立するというような措置を講じて参る。ただし、その間におきましても、先ほどお話がありましたような緊急措置を要する面については、三年待つということでなしに、できるだけ早く、成案を得次第、成案を得ますればこの改正は行ないたい考えでございますが、基本的、長期的な問題といたしましては、今のような三年間の長期検討を行ないまして、それによって失業保険制度というものが落ちついて発展できるというような成案を得るように措置いたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/86
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087・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 三十四年度の実根見通しというものは、政府が発表しているのだけれども昨年九十四億だったというのだが、六百六億というのはいつ現在の問題か知りませんが、三十五年度の積立金がどれだけふえるか、見通しですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/87
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088・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) 大体七百数十億円くらいになるであろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/88
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089・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 三十五年の三月末……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/89
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090・堀秀夫
○政府委員(堀秀夫君) その通りでございます。これは清算してみませんとわかりませんけれども、大体七百数十億になるであろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/90
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091・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 このときで、ことしの三月現在で七百数十億という膨大な積立金を持ってまた百二十億の三十五年の黒字を見越して、実績はもっとふえるかもわからぬが、そういう格好でこういう法案を出してくるというのは実際問題がある、これはどうも私はそういう思想に感心するのだ。こういう法案が出てくるという考え方に、驚いているわけですけれども、時間が三時になったから、きょうはもうやめますけれども、聞けば聞くほどこの法案は納得がいかぬ。これはもう私ばかりじゃないと思うのです。われわれ野党ばかりじゃない。聞けば聞くほどこの失業保険の今度の改正というのは、衆議院で皆さんの努力された面もありますけれども、それまでの案を見たら、何を考えておったかということにこれは驚かざるを得ないのですね。われわれもここでこれについて審議をするわけだが、こういうことは実際に聞きぱなし、耳のはたを通りっぱなしということで、政府当局がこの問題に処すというようなことは、私はどうも納得がいかぬのです、この法案に関する限りですね。それだけ申し上げて、きょうはやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/91
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092・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それでは本日の質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/92
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093・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X01519600322/93
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