1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月二十一日(木曜日)
午前十一時四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 加藤 武徳君
理事
高野 一夫君
吉武 恵市亘
坂本 昭君
藤田藤太郎君
委員
鹿島 俊雄君
勝俣 稔君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
谷口弥三郎君
徳永 正利君
山本 杉君
秋山 長造君
小柳 勇君
藤原 道子君
村尾 重雄君
竹中 恒夫君
政府委員
厚生政務次官 内藤 隆君
厚生大臣官房長 森本 潔君
厚生省児童局長 大山 正君
労働省婦人少年
局長 谷野 せつ君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生省年金局福
祉年金課長 高木 玄君
労働省職業安定
局雇用安定課長 木村 四郎君
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本日の会議に付した案件
○母子福祉資金の貸付等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提
出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/0
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001・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。前回、提案理由の説明を聞き、また、大山児童局長から細部説明がございましたが、お手元にこの法案に関します参考資料が配付されておりますが、この資料等につきまして、若干補足する点があるそうでありますから、大山児童局長の発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/1
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002・大山正
○政府委員(大山正君) お手元に提出いたしました参考資料その二につきまして、簡単に御説明申し上げます。その二の最初の部分は、本法案の逐条説明でございまして前回御説明申し上げました事柄を敷衍いたしまして、印刷に付したものでございます。
それから二十六ページから参考資料がございますので、この表につきまして、簡単に御説明をつけ加えさせていただきます。
二十六ページの第一表は、母子福祉貸付金の年度別の財源調べでございまして、各年度につきまして、国庫が県に貸し付けました金額、それから次の欄が都道府県が特別会計に繰り入れました金額、それから二番が償還の金額でございまして、その合計が名年度におきまして、母子世帯に貸し付けられる財源となった額ということになるのでございます。二十八年度では十三億ほど、三十四年度では、予算でございますが、これは十四億、三十五年度の予算が十五億ということに相なっております。
それから次の第二表は、母子福祉貸付金の申し込みと、それに対する実際の貸付の決定の額を、各年度ごとに調べましたものでございます。二十八年度、二十九年度ずっと参りまして、最近のは三十三ページに三十三年度の分がございまして、合計の欄でごらんいただきますように、申し込みがありましたのは、七万二千六百九十九人、金額にしまして約十六億でございます。実際に貸付が決定しましたのが、人数にしまして六万一千八百九人、金額にいたしまして約十二億ということに相なっております。
次の第三表は、申し込みをしましたが、承認にならなかったその理由の、理由別にいたしました表でございまして、昭和二十八年度から三十二年度までの累計を示したものでございます。不承認の事件でございます。ミスプリントで大へん失礼でございます、申しわけございません。不承認になりました理由でございまして、一つは法に規定しております資格に欠けている、二番目は財源が県におきまして不足しておった、第三が事業計画または使途が不適当である、その他ということになっております。
それから第四表は、母子相談員の活動状況でございまして、二十八年度から三十三年度までに件数といたしましては、その新規の欄でごらん願いますように、百五十三万件ほどを相談を受けたと、それから解決の件数は百三十九万件であるということでございます。それから母子相談員の活動実績を中心として書いてございます。
それから第五表は、この法律によりまして公共施設で母子世帯が売店を開くことを優先的に取り扱うようになっておりますが、その状況を各年度ごとに示したものでございます。
それから第六表は、同じくたばこの専売の小売人の指定を優先的に扱うことになっておりますので、その表でございます。三十一年度のところでごらんいただきますように、カッコをいたしましたのが、二三・五%というのが、一般の指定率でございますが、それに対しまして母子世帯は三五・二%ということで、率が高くなっております。三十二年度におきましても、一般は一八・七%だけ指定を受けておりますが、母子世帯は四二%指定を受けた、こういうことになっております。
次の第七表は、従来までございました個人の生業資金の貸付を受けました業種の種類でございますが、和洋裁編物でありますとか、物品販売業、たばこ小売業、飲食業その他がおもな内容になっております。
次の第八表は、現在未亡人団体が経営しておりますいろいろな事業の調べでございまして売店でありますとか、食堂がおもなものになっております。
次の四十五ページの第九表は、臨時の各種の貸付金制度におきましての貸付限度でありますとか、あるいは利率、据置期間、償還期限というようなものの一覧表でございます。
以上御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/2
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003・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/3
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004・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/4
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005・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 三十三年度は、国庫貸付のワクは何ぼになっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/5
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006・大山正
○政府委員(大山正君) これは前回に差し上げました資料の方でごらんいただきますと、前回の資料の六十五ページの第一表を御説明申し上げますと、この最初の国庫貸付予算額、これが国で予算として計上した額でございます。その次の貸付額と申しますのは、実際に県に対しまして国から貸し付けました予算支出額になります。それで、三十三年度の御質問でございますが、予算は五億四千万でございまして、そのうち三億六千五百万が実際に県に貸し出された、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/6
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007・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから質疑に入りますが、政府からは、ただいま説明の大山児童局長、森本官房長、児童局の植山母子福祉課長が出席をしております。なお、間もなく年金局の高木福祉年金課長が出席をいたしますし、労働省からは職業安定局長、婦人少年局長が間もなく出席をいたします。
それでは、質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/7
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008・山本杉
○山本杉君 きょうは婦人の立場から、レディ・ファーストで質問をさせていただけるそうでございますから、一つ大山局長に最初に少し総括的なことになりますけれども、何と申しましても、未亡人に対する考え方なのでございますが、これは古い話になりますが、男子の先生方はあんまり御存じないと思いますから、申し上げさせていただきますけれども、貝原益軒の書いた女大学の中に、未亡人というのは食べる能力がないから、夫に死に別れたら野たれ死にをするかもしれない、野たれ死にをしてもいい、再婚は相ならぬというようなことが書いてあるのでございます。あるいは先ごろインドに参りましたときに、インドの町に未亡人の群れが歩いておりましたけれども、その未亡人の群れというのはこじき生活をしているので、その人たちは、つい先ごろまでは、夫が死ぬとそれを焼く火の中に入って死ななければならなかったけれども、今はそんなばかなことは法律が禁じているから、それで彼女たちは、死ななくてもよくなった。しかし、家にいて暮らすことができない。また、国家がその生活を保障していない。だからあのような状態なんだということなのでございます。それで文化国家の一つのあり方として、母子家庭というものに対しての国家の保障ということは、その家庭での夫代理であり、父親代理でなくちゃならない、そういうふうに私どもは考えて、そしてこの保障の程度が高いということが、国民生活の文化水準の高いことだというふうに理解をして今日まで参ったのでございますが、まだまだ思うような状態にいっていないのでございます。今度こういう法律の改正などが行なわれてだんだんよくはなると思いますけれども、まだまだそこまでいっておりません。そうしてこの法律の趣旨というものを拝見いたしますと、母子家庭の「経済的自立の助成」であるとか、あるいは「生活意欲の助長」であるとか、あるいは児童の福祉増進というようなことがあげられているのでございますが、今の日本のその未亡人の家庭全般の状況がどういうふうでございますか、一つ大山局長に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/8
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009・大山正
○政府委員(大山正君) 母子世帯の総合的な調査をいたしましたのは昭和二十七年と昭和三十一年でございますが、昭和三十一年の調査によりますと、いわゆる母子世帯といわれる世帯の総数は百十五万世帯ということに相なっております。これにはいわゆる準母子世帯も含まれておるわけでございますが、百十五万世帯でございまして、この世帯のうち生活保護を受けておりますものは一〇・六%に当たる約十二万一千世帯が保護を受けているということに相なっております。全国の全世帯に対する被保護世帯といいますものは、二・三%でございますので、この一〇・六%というのは非常に率が高いのでございまして、やはり母子世帯の生活が非常になお苦しい状況にあるということが、この昭和三十一年の調査によっても知られるところと考えております。
母子世帯の職業別のその当時の調査でございますが、常用勤労者の世帯が全体の約二六%、農業世帯は約二二形、それから日雇いでありますとか、あるいは家内労働でありますとか、露店商、行商などを含んだ不安定な就業状態にある世帯が全体の三二・六%、そういうような状況に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/9
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010・山本杉
○山本杉君 大体その生活しております状態はどうでございましょうか。職業別は今伺いましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/10
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011・大山正
○政府委員(大山正君) 収入と支出の関係でございますが、一カ月間の現金収入の調査によりますと、五千円未満が一六・六%、五千円から一万円までのものが二二・四%、一万円から一万五千円までのものが二二・六%、一万五千円以上のものが二八・七%。大体そういうよなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/11
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012・山本杉
○山本杉君 大体において母子世帯が今数字でお示しいただきましたように、赤字世帯であるということは想像がつくのでございますが、この生活保護を受けておりますものが全体の一〇・六%ぐらいとおっしゃいましたが、母子寮の生活というようなものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/12
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013・大山正
○政府委員(大山正君) 母子寮は現在六百五十三カ所で、定員が一万三千八百六世帯、実際に入っておりますのが一万一千七百五十八世帯ということに相なっております。これは三十四年十一月の統計でございます。母子寮につきましては国の予算措置といたしましては、これの設備費の新築あるいは増改築の補助でありますとか、あるいは職員に対する事務費の補助でありますとか、それから母子寮にございます保育所に対する措置費というようなものを予算に計上しておるのでございますが、母子寮に入っておる母親の多くは大体いろいろなパート・タイムが多いかと思いますが、働きに出ているという者が大半であるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/13
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014・山本杉
○山本杉君 それでは次に、今度の改正になりました一つの大事な点でございますが、法人に対してお金を貸し付けるということを新しく法律の中に盛り込んでございますが、その法人であるところの未亡人団体でございますが、それはどんなような実態でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/14
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015・大山正
○政府委員(大山正君) 現在未亡人団体は全国の各府県にそれぞれ設置されておりましてそれを全国で統括する団体━━連合会がきておるのでございますが、この未亡人会のうちで法人格を持っておりますものは、全国の統括している団体と、それから各都道府県の未亡人会のうちの十四団体が法人格を持っておるというような状況に相なっております。現在すでにこれらの都道府県の未亡人会がそれぞれ県庁でありますとか、あるいは大学でありますとかいうようなところで食堂を経営いたしまして、その他いろいろな売店を経営する等の事業を行なっておりまするが、いずれも資金難に苦しんでいるものが非常に多いのでございまして、そういうような観点からいたしまして、このような未亡人団体等に、団体貸付、法人貸付の形で資金を貸してほしいというのが関係者の強い要望になっておりますので、今回この改正軍を提案したというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/15
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016・山本杉
○山本杉君 それで百万円という数字が出ているのでございますが、この百万円というものを、新しく借り入れたその法人が、どのように使うであろうかというようなお見通しを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/16
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017・大山正
○政府委員(大山正君) 大体未亡人団体におきまして、百万円以内で開業できると考えられます業種の形態でございますが、現在やっております実績等から見ましても、食堂あるいは売店あるいは美容所、理容所、クリーニング店、洋裁店などが大体百万円以内で開始できると考えます。また、婦人に適した業種であるというように私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/17
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018・山本杉
○山本杉君 次に、この母子相談員の補助規定をおはずしになっておるのでございますが、その理由を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/18
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019・大山正
○政府委員(大山正君) 母子相談員の費用につきましては、現在の母子福祉資金の貸付等に関する法律の中に、この費用の二分の一を国庫において負担するという条文があるのでございますが、その条文を今回整理することといたしましたのは、この条文につきましては、昭和二十九年度以降、この補助金等の臨時特例等に関する法律という法律によりまして適用が停止されているのでございまして、実際にはこの二分の一補助するという規定は働いておらないのでございまして、これにかえて地方交付税交付金で現在この費用をまかなっておるということに相なっておるのでございます。昭和二十八年度に一年間だけこの規定が適用になりまして国庫で二分の一を負担したわけでございますが、二十九年度以降、ただいま申し上げましたような事情で、適用が停止になっておるのでございまして今回これを整理することといたしたのでございますが、この条文を削除することによりまして地方において母子相談員の活動が今後低調になるということは、現在の状況では全く考えられないというように思いますので、実害はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/19
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020・山本杉
○山本杉君 それで相談員がますます活動しやすくなれば、幸いにまあ問題ないと思いますが、次に個人で貸付を受けております者、その人たちで償還不能になっているのがこの数字に出ておりますが、それに対して、百円に対して日歩三銭という延滞利子を取っていらっしゃるのですが、これは払えるものなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/20
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021・大山正
○政府委員(大山正君) この法律によります貸付金は、まあ貸付金の性質上、償還期限がきてなお払えない場合には、ただいまお話のありました延滞金を取るということになっておるのでございますが、先ほど申し上げました資料の中に、償還関係の資料もございますが、現在まだ償還できないでおる金額が相当あるのでございます。県によりましてこれを延滞金を徴収しているのでございますが、今後の問題といたしましては、どうしても払えない、支払いができないことについて相当な理由があるというものにつきましては、今回の改正案によりまして、支払い猶予の事由を広げております。従来は支払い猶予の事由というものは、きわめて狭い範囲に限定されておったのでございますが、今回の改正によりまして、「その他やむを得ない事由」ということで、社会通念から見まして、どうしても払えないのがやむを得ない事由であるというような場合には、支払い猶予をすることによりまして、将来、今回の団体貸付等による団体の事業にそういう未亡人を使っていただくとか、あるいはその他の方法によりまして何らか自立更生できるようにして、逐次支払ってもらえるようにしよう、こういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/21
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022・山本杉
○山本杉君 どうしても支払えないという場合に、これを打ち切りにするというような方法があるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/22
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023・大山正
○政府委員(大山正君) 現行法におきまして償還を免除できます場合は、本人が死亡したとき、あるいは精神もしくは身体に著しく障害を受けたため、償還することができなくなったと認められるときというように限定されているのでございまして、そうでない場合に、ただ支払いができなくなったからといって、これを免除する道はないのでございまして、また、これを安易に免除するということも、この貸付金制度の全体から申しまして必ずしも適当でないと考えますので、できるだけ本人が支払いできるように、いろいろな仕方で援助するということが筋合いかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/23
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024・山本杉
○山本杉君 次に、この貸付の申し込みに対する決定の率でございますけれども、だんだん年々決定率が高くなっているということは、私ども拝見してありがたいことだと思いますが、県の方に予算がないために、それが貸し付けられないという理由が出ておりますけれども、これに対してどういうふうにお考えでございましょうか。もっともっとたくさん貸し付けていただけるようになったらいいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/24
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025・大山正
○政府委員(大山正君) 先ほどの資料にございましたように、不承認になりました理由のうちに、財源が不足のために不承認になったというのが相当ございまして、この点につきましては、私どもも国で組んでおります予算も十分従来消化し切れなかったというようなことで、県がそれぞれの地方財政の都合上必ずしも十分な予算を組まなかったことは、まことに遺憾でございまして、私ども極力県に対しましていろいろ督励をいたしまして、財源が不足であるために貸さないということがないように、できるだけ指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/25
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026・山本杉
○山本杉君 次に、貸付金に対する利子なんでございますけれども、その種類によっては、たとえば奨学金のようなものは無利子でございます。そうして個人の場合は三分ということで団体貸付というのは五分、これは必ずしも低い利率じゃないと思うのですけれども、これに対して少し御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/26
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027・大山正
○政府委員(大山正君) 現在の個人貸付のうち、修学資金につきまして無利子になっておりますのは、育英会と同じにするということで、この法律が制定されました当時は三分の利子があったわけでございますが、その後育英会と歩調を一つにしましたために無利子にしたという経緯でございます。その他は全部、個人につきましては年利率三分としておりますが、今回の団体貸付につきましては、一つは今回の貸付金が母子世帯に直接でなくて、間接的に母子世帯に利益を受けるものであるという点が一つ。もう一点は、個人の場合よりも団体の方が金額も大きくなりますし、事業の規模も大きいので収益力も増大すると考えられますので、個人より若干高いことはやむを得ないと考えるのでありますが、その団体貸付の利率をきめるにつきましては、国民金融公庫の利率、これは大体年六分でございます。それから社会福祉事業振興会の利率が年五分一厘でございます。消費生活協同組合の貸付が年五分ということになっております。これらの関係等も考慮いたしまして年五分が適当であると、かように考えまして年五分の利率を取ることといたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/27
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028・藤原道子
○藤原道子君 伺いますが、私今の御答弁にもございましたように、母子福祉資金貸付法ができますときに、私たちはこの利子を取ることに反対したのです。大体未亡人というのは、夫がいてさえ食えないのですよ、今の世の中に食いかねるのですよ。ところが、夫を失った場合には、片腕を取られた片羽鳥と同じなんです。それに子供をかかえて生きていくのにどれだけ困難かということをあの当時も私ずいぶん主張したのですよ。ところが、奨学金も利子をかけた。ところがその後、その当時すでに一般の他の奨学金が利子がないのだからと言ったけれども、まあ理解されなくて、とうとう押し切られたのですよ。ところがその後、いろいろの運動その他で奨学金だけは利子が免除になったのですけれども、たださえ食えない、だから借りる、それから利子を取るという考え方に母子世帯に対する根本的な誤りがあったと思う。ほんとうなら母子総合福祉法があってこれらに対しては当然守っていくという立場でなければいけない。それを今度団体になるから五分の利子を取るのは当然だという、それはあなたのお考えでしょうか、大蔵省あたりから押しつけられているのでしょうか。厚生省はこういう人を守る立場で考えてもらわなければ困るので、先ほど来の御答弁では私は納得いかないわけです。貸付の金額が多くなるから利子を取る、高くなる、これは当然であり、やむを得ないというお考えが厚生省自体のお考えであるかどうか、それをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/28
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029・大山正
○政府委員(大山正君) ただいまの利子の点につきましては、先ほどお答え申し上げましたような理由から、年五分にすることはやむを得ないというように私ども考えておるのでございますが、大蔵省か厚生省かという政府部内の……まあ政府部内でいろいろ検討いたしました結果、五分程度が適当であろうということになった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/29
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030・藤原道子
○藤原道子君 私は、この点については絶対に不満足なんです。これはさらに検討願わなければ、借りた金さえ返しかねるのですよ。返せないのが私はあたりまえだと思うのです。それでも未亡人の償還率は他に比べてはいいと思っている。他の償還の率からいけばはるかにいいと思う。そして一生懸命努力しているのですが、その陰にはそれこそ涙ぐましい努力があってようやく返しているのですよ、食うものも食いかねながらも。そうですから、私はこれはやっぱり無利子であるべきだと思う。けれども今までのが三分取っているのですから、百歩譲るといたしましても、やはり五分にするということは私は不合理だと思う。この点は今後、また審議の過程で伺いたいと思いますが、そういう点はぜひ考え直してほしい。これは決して世間でも五分の利子を取るということはあたりまえだなんという考え持ちませんよ。もう少し母子世帯というものに対しての根本的な考え方をしてもらわなければ私困ると思う。
さらに伺いたいと思いますのは、政府が四億を予定していても、三億二千万ですか、政府、国家で予定した額よりはるかに下回るものしか借りられていないのですね。これは当時、福祉資金貸付法ができたときにも全額国庫で持つべきだという主張がずいぶん多かったのです。ところが、半額国庫が支出して、それと同額のものを払い込んだ場合に国家がこれに貸し出すというような制度になったわけですけれども、それを、年々少なくなっていくのに、今までこれに対しての対策はどうしてこられたのか。今ごろ督励いたしますというのは私納得できないのですが。それでほしい人が全部借りられているのならいいのですが、要求した人たちが借りられていないのですよ。ですから、従来とってこられた督励か何か知りませんが、そういうやり方について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/30
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031・大山正
○政府委員(大山正君) この法律制定当時には、都道府県の繰り入れました額と同額を国庫が貸し付けるということで参ったわけでございますが、今お話にありましたような事情もございまして、昭和三十二年度からは一対二、国が三分の二を負担するという制度に改められまして今日まで参っておるわけでございます。なお、特別な災害等がございました場合には、災害立法によりまして四分の三を国で負担するということにいたした場合もございます。なお、年々償還金が返って参りますので、これも合わせて貸付財源ということになるのでございますが、予算面におきましては、国の貸付額、都道府県の繰り入れ額は下がっておりますが、償還金の関係もございますので、全体の財源としては逐年ふえて参っております。なお、お話にありました国庫の予算を十分消化し切れないということのないように、今後ともさらに県を督励して努力して参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/31
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032・藤原道子
○藤原道子君 今までどういう督励をしていらっしゃったかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/32
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033・大山正
○政府委員(大山正君) 会議のつど、あるいは文書により、あるいは口頭によりまして、この母子福祉資金の貸付につきまして、県においても十分これらの点についても考慮するように督励して参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/33
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034・藤原道子
○藤原道子君 私は督励が十分なされていないと思うのです。と同時に、地方財政が苦しい場合にどうするか。苦しい県の者はほしくても借りられないのですよ。同じ人間でありながら、同じこうした法律の適用ができる権利を持ちながら、県が貧しいがゆえに国が出しても借りられない。貧しい県の人ほどやはり補助をしてあげたいと思いますのにこれが借りられないのです。ですから、これは当然、全額国庫負担にしたってわずかな金なんですよ。こういうように将来はお考え直しを願いたい。これは地方でたださえ苦しいところで、また理解のないところ、母子世事に理解がない県などは特にそういう傾向が強いのですから、十分そういう点を督励すると同時に、やはりこれは全額国庫負担にしてもらいたい。さらに償還金がふえてくるからというのですが、私不勉強で間違ったらあやまりますが、生業資金などは償還金があっても国庫の予算は減らさない、貸し出しの金額は減らさないで償還金があったのがプラスして貸し出されるようになっているというふうに理解しているのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/34
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035・大山正
○政府委員(大山正君) 償還金は利子あるいはその他の収入を全部含めまして県の特別会計にみな入りましてさらにそれがまた回転して貸し出される、そういうことになりますので、先ほど御説明申し上げました年五分の利子なども、県なり国の一般歳入になるのではありませんで、特別会計に入りまして、また、貸付の財源になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/35
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036・藤原道子
○藤原道子君 それはわかっているのですよ。だからそういうものが償還されても、国庫が出す金というものは年々減らさないで、償還されたものが即貸付金にプラスになっていくようなことが考えられないか。こういうことなんです、私の言うのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/36
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037・大山正
○政府委員(大山正君) 国庫の予算が減って参っておりますのは、先ほど申し上げましたような、十分従来償還されなかったような実績であるというようなことと、それから償還金が逐次ふえているということによるものでございますが、お話のように、国庫の支出も極力減らすようなことなく、償還金がそのまま財源のワクとしてふえていくように努力したいと、うふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/37
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038・藤原道子
○藤原道子君 私ども地方へ参りますと、貸付の基準がきびしくて、ほしくても借りられない、こういう例がたくさんあるのですよ。ですからこの福祉法がなくてはほかに救われる道がないのでございますから、この貸付のワクといいましょうか、条件、こういうものをもっと緩和してなまけておれば生活保護の適用を受けられる、だけれどもそうでなく、何とか自立していきたいという努力をしている母子世帯に対してあまりきびしいワクをはめるということは、本来のこの法律の趣旨に反すると思う。それと同時に、そういう人も多いのだから、そういうワクを広げると同時に、生業資金なんかでは国家の予算を減らされていないが、入ってきたものが即またプラスされて貸し付けられるというふうな、同じ資金であって、特に母子の場合というものを考慮されるならば、今後はぜひそういうふうにお考えを改めてほしいと思いますが、お考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/38
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039・大山正
○政府委員(大山正君) 御趣旨の通りに努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/39
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040・藤原道子
○藤原道子君 御努力下さるものと私は御信頼しておりますから、ぜひそういうふうにお運びを願いたいと思います。
それから今度ひもつきでなくてやるということですが、ひもがつかないと弱い面は削られるのですよ、どこの世帯でも。ですからこれはやはり従来のようにお考えを、一般の中から、その中へ含まれているのだというようなことでなく、母子世帯に必ずいくようにやはり考えてもらいたい。私はそういうふうなことを強く要望しておきます。
それからさらに伺いたいと思いますのは、厚生省として、今の母子世帯に対してこの程度のことで母子世帯が更生できるとお考えになっているのでしょうか、根本的な対策はどういうふうにお考えになっているのか、これを私伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/40
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041・大山正
○政府委員(大山正君) 今回の改正は一つのもちろん進歩と申しますか、改善でございますが、これによって万事問題が解決するというふうにはもちろん考えておらないのでございまして、母子福祉資金の貸付の関係はもちろん私どもといたしまして、さらに改善をはからなくてはならぬところでございますが、そのほかに住宅の問題でありますとか、あるいは年金の問題でありますとか、あるいは税の問題でありますとか、あるいは農地の問題でありますとか、いろいろ母子世帯の福祉に関係する問題がございますので、これらの関係行政庁と十分連絡をとりまして、母子世帯の福祉を全面的に推進するようにしなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/41
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042・藤原道子
○藤原道子君 母子福祉資金貸付法ができます当時からずっと続いていることでございますが、母子総合福祉法というようなものを作れというわれわれの主張に対して考慮いたしますというような御答弁をしばしば聞いておるのですが、総合的な母子の福祉対策というようなものに対してのお考えがございますならば、この際お伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/42
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043・大山正
○政府委員(大山正君) 母子福祉に関する総合法という考え方が、現在の貸付法の制定当時にもあったように伺っておるのでございますが、ただ総合法ということになりますと、ただいま申しましたような年金の問題でありますとか、あるいは住宅の問題、税の問題、その他いろいろな問題がことに厚生省以外の関係の問題も非常に多いのでございまして、これらを一本にした法律を作るということは実際問題としてむずかしいというように考えますので、私どもといたしましては、法律といたしましては、ただいまの貸付法を中心にしてこれを逐次改善していく、その他関係のある官庁につきましては、法律は一本にしませんが、行政面においてできるだけの連絡をとりまして母子福祉のために総合的な施策が進むように考えるということで参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/43
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044・藤原道子
○藤原道子君 局長から伺うまでもなく、厚生省がまたがっておることはわれわれも承知しておる。ですから、それが困難であることはその当時からわかっておった、けれども、母子対策は非常に重要であるから、片親で育っておるということの困難性も考え、また、母親の育てられた子供の将来ということを考えれば、どうしてもこれは重大な政策としてそういう方向で努力しなければならないということで、われわれも主張し、また、政府からもそういう御答弁をいただいたことがあるわけです。ところが、法律ができてきょうまで相当年月がたっておりますが、この間において母子福祉に対する根本的なお考えがないというのはおかしいので、お持ちになっておるかどうか、将来の見通しでもけっこうですから、ぜひ聞かしてもらいたい。一時のがれでは困るのです。私責めるのではない。母子福祉が大事であるからどういうお考えを持っておられるかを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/44
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045・大山正
○政府委員(大山正君) 母子福祉につきましては、ただいまの貸付法を制定以後ほとんど毎年のように、改正いたしまして、だんだん内容の改善をして参った。この点は先生すでによく御承知の通りだと思います。それぞれの貸付、たとえば修学資金の貸付金額を引き上げますとか、あるいは事業継続資金につきましても据置期間を設けますとか、あるいは住宅補修資金を創設するとか、あるいは生業資金を五万円を十万円にいたしますとか、あるいは現在の制度では、都道府県に貸します場合に、児童福祉審議会の意見を聞いて貸し付けることになっておるのでございますが、それを急を要する場合には、その意見を聞かないで貸し付けてもよろしいというように、手続を簡素化いたしますとか、いろいろな改正をして参ったのは一つの点であると考えます。
次に、住宅問題につきましては、第二種公営住宅のうちにおきまして、母子世帯を優先的に入居させるようにという従来の方針で参っておるのでございますが、特に三十四年度からは、第二種公営住宅のうちに母子世帯向けの住宅のワクをとりまして、そのワクの中で母子世帯向けの公営化宅を優先的に建てるという方法をとって参っております。その他母子寮につきましても、毎年新築、増改築の予算をとりまして、これの整備に努めて参っておるような状況であります。農地の問題につきましては、御承知のように、紛議があった場合に小作主事を派遣して解決することにいたしておるのでございますが、大体この問題につきましては、今あまり大きな意味はないというふうに承知いたしております。課税につきましても、次第に免税の額が多くなっておるように承知いたしております。今後の問題といたしましては、やはり現在未亡人の関係の団体等におきまして一番大きな問題として取り上げておりますのは、ただいまの団体貸付によりまして母子世帯に働く機会を与えるという点と、もう一つは母子福祉年金の問題につきまして、生別母子についての取り扱いの問題が一番大きな関心事であろうかと考えます。生別母子の問題等につきましては、また、関係の年金局等と私どもの方でも十分今後打ち合わせまして何らか打開の道があるかどうかということにつきまして検討したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/45
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046・藤原道子
○藤原道子君 私は、こまかい点については次回に譲らしていただきたいと存じますが、償還不能といいましょうか、償還できない人ですね、こういう人に対する取り立てが非常にきびしいのですよ。局長はそれほど無理をさしてはいないつもりでおいでになるかもしりませんが、下部末端に行きますと、それだけにそのことによってどんなにか悲劇が起きているのです。私は、払おうと思って努力していて払えない人に対してむごい取り立ては即座に中止してもらいたいのです。よく酒飲んで、怠けて払えないというようなのは未亡人の場合には一つもいないんです。ほんとうにちょっと病気をしても、今のような状態では医療費というものは非常に加算されているのです。あるいは子供の入学だとか何とかで政府で見ている、生活保護で見ているといったって、それはスズメの涙なんです。実際の面において母子世帯がどんなに悲惨な状態にあるかということを局長ももう少し下部の実態を調べてほしい。厚生省で私たちがこういう質問をしたときの御答弁と、それから実地に行って出先機関が扱っているのとは雲泥の差がある。ですから、私はこの福祉資金貸付法の精神からいって当然これはくれてもいい金だと私たちは思っているのですけれども、法の建前上まあいろいろできないからこういうことになっているのですから、努力しても払えないものにあまり無理なことをしないような指導、適当な時期に、打ち切りの方法はございませんでしょうけれども、無期延期にしてしまえばいいんです。運営の面で幾らでも妙味は発揮できると思いますので、いかにこれがきびしい取り扱いがなされておるかということを、実態をもう少し御調査になって、無期延期その他の方法をとられんことを強く要望して、きょうはこれで質問を打ち切りたいと思いすが、これに対してどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/46
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047・大山正
○政府委員(大山正君) 償還金の支払いにつきましては、現在の規定は支払い猶予の場合が非常に限定されております。今回の改正案におきまして、この支払い猶予の事由を広げることにいたしましたので、その他やむを得ない事由ということで、ほんとうにお話のように、働いても払えないのだというような場合には支払い猶予ができるようにいたしたいと考えておりますので、この改正の機会に、御趣旨の点も十分徹底するように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/47
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048・紅露みつ
○紅露みつ君 母子福祉法という単独法が要望されていることはもうずっと前からのことでございまして、厚生省よく御存じのはずなんでございます。これに対して先ほどもお話がありましたように、この福祉資金を広げていって、実際面からこれを充実していくんだという方針でこれを強化していらしたはずでございますが、まあその現われとして今回の改正なんかもなされるのであろうとは存じますけれども、それにいたしますと、やはりもっと資金が大きくふくれていなければならないはずなんでございますね。この点は私は、ほんとうに貧弱だと思うのです。こういう団体貸付というものも、これもだいぶ前からの強い要望でございますので、根本的にこの改正案に私は賛成で、大へん母子の方も喜んでくれるだろうと存じますけれども、それにしては元の貸付金というものがもっとこの際ふくれなければならなかったと思うのでございますが、それはまあどうお考えになられますか。
それから三分の二に国庫負担を大きくすれば、貸付の資金がみんな使い切るのだということを母子の方たちも大へんに強く要望されましたし、厚生省もそう思ってこの国庫の負担率を三十三年ですか、引き上げたと思うのですが、それが一向に実績が上っていないんですね、これはほんとうに言いにくいことですが、私どもも腹立たしく思います。せっかく三分の二の国庫負担にしたのに、また割り当てられた資金を各府県が返してしまうというようなことは、ほんとうに残念だと思うのですが、それはどういうふうな努力をしていただきましたか、だいぶお疲れになりましたから、私はそれを追及しようとは存じませんけれども、今後の問題として新しく何かこれまでの推進策以外の方法を考えていただかなければならぬと思います。
それからあとちょっと一、二点心配な点をお聞きしておきたいと思うのですが、今申し上げたように、絶対量が、資金がふえないんですね。ところが、こうした団体貸付がこれが根本的に私は繰り返して申し上げますが、賛成なんでございますよ、決して反対なんではないのでございますが、こうした百万からのまとまった金を貸し付けていくということになりますると、この乏しい資金というものは私はたちまち貸し尽くしてしまうと思うのです。そうなった場合に、個人の借り手は一体どうなるかということですが、借りようと思っても個人なんかは借りられなくなってしまうのではなかろうかと思うのですが、そこのところをどうお考えになりましょうか。まあその辺で一つ御答弁いただけましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/48
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049・大山正
○政府委員(大山正君) 県がこの関係の予算を十分消化しないという点につきましては御指摘の通りでございまして、私どもも大へん残念に思っております。三十二年に国庫の負担率を高めましたので、大体県は従来通りの額を繰り入れるならば資金量がはるかに大きくなるというふうに考えていたのでありますが、むしろ三分の二になりましたときに、県はそれをいいことにして減らしたというような感じもいたすのでございます。この点につきましては、一つ今後とも十分県の方と連絡しまして、そのようなことのないように努力して参りたいと思います。
それから本年度の資金ワクは前年度に比べまして大体七千万円くらいふえる計算になっております。団体貸付の場合にどの程度借りるかということでございますが、現在法人格を持っております、これに該当する団体は約三十と考えております。かりに本年度中にこの制度を利用するために法人格を持つような改組する団体があると考えましても、各県一団体平均、五十団体くらいかと存じますので、五十団体がこの百万円の貸付資金と三十万円の継続資金を借りることにいたしましても、十分個人の方に影響なしにまかなえるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/49
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050・紅露みつ
○紅露みつ君 まあ見通しといたしましてはそのように考えておいでなら、もう専門にかかっていることですから安心いたしましょうと思いますが、まだ私はその跡始末が心配になるんです。先ほどもお話が出ておったようにきびしい取り立てをするな、私どもも同感でございます。それから利子の点なんかも、ほんとうに無利子で行くべきだと思うものを引き上げているということは、まあ団体としての仕事が相当大きくなるから、特に事業という性格が強くなるからという意味かもわかりませんけれども、母子福祉資金としては私はこの努力は続けていただきたいと思うのです。五分に引き上げるということはどう考えても方向が悪いと思います。それからとにかく引き上げるのでございますから、現実に。この努力はこれからも私はしていただきたいと思うのですし、そうしてきびしい取り立て方はしていただきたくないと思う。ところで、この貸付百万円というようなことになると、やはり母子としてはかつて扱ったことのない大きな額なのでございます。で、これを返還します場合に、どうも返還しにくくなるのではないかということを私は心配するのです。母子の団体ではなかったけれども、終戦直後団体貸付というものはあったのでございます。あれは引揚者の団体等におきまして。それは盛んに私どもも支援をいたしたのでございますけれども、その償還に至っては━━まああのときとは違います。現在ははっきりと法制化していくのでございますし、福祉資金というものは、今まで扱って、彼此ともに経験があるから、あの当時の混乱時代とは比較になりませんでしょうけれども、あのときの団体貸付というものは全く支離滅裂、償還されなかったものでしょう。今もそのままになっておると思うのですが、あのようなことになりますというと、非常にあと立ち上がるのに、団体貸付というような大きなものが打ち出されたために、そのあと立ち上がれないというような打撃を母子の方が受けてしまうようなことができやしないかということを心配するのですが、あまり残酷な取り立てをしないでも償還ができるというお見通しを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/50
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051・大山正
○政府委員(大山正君) 従来他の貸付におきまして、共同貸付のような形で個人が共同でやる場合に、仕事がうまくいかなくて失敗したという例は非常に多いようであります。今回はいわゆる個人が借ります共同貸付ではありませんで、法人格を持ったしっかりした団体がやるということでございまして、個人がやる場合よりもこういう団体でありますれば、県庁その他で、売店を開く場合にも非常に場所を借りやすいというような面もあろうかと思います。しっかりした背景を持って事業をやりますので、十分私どもとしては返還ができる、今までの未亡人団体がこの貸付金を借りずにやっておりました実績等を見ましても十分やっていけるというように考えておりますが、なお、個々の具体的な場合につきましては、各県の児童福祉審議会にそれぞれかけまして決定するということになっておりますので、そこら辺の事業の見通しあるいは返還の見通し等も十分立ち得るものについて貸すというようなことに相なっておりますので、その点の心配はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/51
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052・紅露みつ
○紅露みつ君 それからその事業開始資金を借りて事業を始める場合ですが、何と申しましても母子の集まりでございますので、事業面ということには範囲は限られておりましょうけれども、経験は浅いと思わなければなりませんが、ですから、従って、相当これをめんどうを見てやるといいますか、その初めにおいて審議会で通り一ぺんで、これならいけるだろうというような事務的な行き方でなく、これを指導していく。その当初においても、あるいは事業を始めましても指導していく、めんどうを見てやる、世話をしてやるということが新しくここに加えられなければならないと思うのですがね。今までと違ってそれをどんなふうになさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/52
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053・大山正
○政府委員(大山正君) 実際問題として、各県で一団体あるいは二団体というようなことで、しかもそれが全県的な団体であるというように考えられますので、県庁の関係部課等におきましても、これは十分指導監督ができるというように考えておりますし、私どもまた、これらにつきまして、いやしくも事業の失敗によってそれに働いている母子世帯の方々が非常に迷惑をこうむるというようなことのないように十分指導して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/53
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054・紅露みつ
○紅露みつ君 もう一ぺん念を押しておきたいと思うのですが、そこの法人格を持った団体の理事が保証人になるというふうにしてございますが、そういう責任の所在、まあ母子の方々もだいぶ今まで経験されてしっかりしてきてはおりましょうけれども、よくその責任ということも前もって責任を持てるように指導してから始めなくてはいけないと思いますし、それは本省あたり局長さんなんかはそのつもりでいらっしゃいましょうけれども、地方に参りますと、何もかにも一緒に県庁が扱うのですから、よほどこちらから念を入れて頼んで下さらないというと、その事業のめんどうを見て指導をする、注意をして成り立つようにやってあげるということはなかなかできないんじゃないかと思う。どうしてもそれが心配になるのですが、それが失敗しましたらほんとうに今後は立ち上がれないのでございますからね。どうかそれは特別に、これが成立いたしましたら県に御連絡をとるというよりも、それこそ特別に出てきて、課長、部長、そうしたところにしっかり注文をつけていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/54
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055・大山正
○政府委員(大山正君) 御趣旨のようにできるだけ努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/55
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056・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/56
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057・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記をつけて。
それじゃ先ほど報告いたしましたように、労働省からは谷野婦人少年局長、それから職業安定局の木村雇用安定課長が出席しております。なお、厚生省の高木福祉年金課長も出席しております。
質疑のおありの方は引き続き御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/57
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058・山本杉
○山本杉君 今、社会党の藤原委員からも、また、紅露委員からも御指摘があった団体貸付の利子の点でございますが、これは相当に当局においても、またいろいろと各方面で御苦心のあったところだと思いますけれども、これはまあ私どもの考えとしては、個人貸付が三分でございますから、団体の方もせめて三分までには何とかしていただきたいという希望だけ私述べさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/58
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059・坂本昭
○坂本昭君 今回の母子福祉の貸付法の一部改正は、確かに改善の面があることを認めたいと思います。それからまた、ある面においては、母子家庭のその母の生活の安定のために、労働省よりも厚生省が若干熱意があるということも私は認めたいという点も若干あります。しかし、いろいろな問題点がありますので、少しお伺いいたしたい。
第一は、先ほど来いろいろの数があげられて、この資料にも非常によく説明はされておりますが、まだ少し足りない点がありますので、その点を少し伺っておきたい。第一は、母子世帯の百十五万の世帯について、いわゆる子供の数が何人であるか、それから未亡人団体、今三十という数を言っておられましたが、この未亡人団体のわずか三十ですから、その内容はもうつぶさに点検できていると思うのです。どういうふうな内容、どういうふうな企業をしているか、経営の状態はどうか、この二つのことをもう少し説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/59
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060・大山正
○政府委員(大山正君) 昭和三十一年の調査によりますと、母子世帯の百十五万の世帯におきまして子供の数は平均一世帯当たり一人ということになっております。
それから未亡人団体につきましては、現在各都道府県にそれぞれ未亡人会ができておりますが、三十と申し上げましたのは、このうちで法人格を持っておりますものが、未亡人団体につきましては十四ございます。この未亡人団体と別個に母子寮等を経営しております社会福祉法人がございますので、それを合わせますと約三十が、この法律に直ちに該当する団体であるということを申し上げましたのでございまして、未亡人団体についてだけ申し上げますと、全国の各都道府県の未亡人会のうちで十四が法人格を今持っておる団体であるというように相なっております。で、この未亡人会がやっております事業は、先ほどの表にございますように、売店でありますとか、あるいは食堂、そういうようなものがおもなものでございますが、なお、例を具体的に申し上げてみますと、岩手の未亡人団体では、売店を四つ、これは岩手大学の各学部に売店を持っておるというようなこと、あるいは食堂は、県庁の中と、それから高等学校の中に食堂を持っておる、あるいは岩手大学の中に、たばこの販売店を持っておるというようなのがございます。それから宮城県におきましては、学生寮でありますとか、あるいは会員の宿泊所でありますとか、あるいは生活相談所でありますとか、そういうようなことをやっておりますのでございまして、全国的に、各未亡人団体におきまして活発に活動をしておる県におきましては、大体このような活動をやっておるようでございます。
なお、これらの事業の経理内容につきましては、もちろん、いいところと必ずしもよくないところとございますわけでございますが、いずれも資金の融通をしてもらえるならば非常に今後活発にやっていけるという意味におきまして、今回の団体からの要望が非常に全国的に強いというように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/60
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061・坂本昭
○坂本昭君 そうすると、その経営状況は必ずしもよくない、全般的に言ってよくないと、非常に企業の成績を上げている、利潤を上げているとは決して言えないと、そういうような全般的な理解の仕方でよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/61
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062・大山正
○政府委員(大山正君) 全般的に悪いというふうに申し上げることはないと思いまして、たとえば岩手のただいまの未亡人会の事業などは、非常にうまくいっているというようにいわれておりますが、ただ、県によりましては、必ずしも全部が全部うまくいっているというわけではございませんで、特に資金の面において苦しんでおるという点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/62
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063・坂本昭
○坂本昭君 しかし、その資金の確保ができたとしても、大体売店だとか食堂だとかいったことは、しかも、その母子団体、未亡人団体が経営している以上は、高い利益をとってやっているとは思われません。従って、私がなぜこまかく申し上げているかというと、やはり利率の五分の点なんです。利潤を十分とる企業ならば、それならば五分ということについても、ある程度、私、納得してもよろしいと思う。しかし、非常に経営の困難なこういう未亡人の団体の場合ならば、皆さんのこの資料の中にも出ておりますが、各種の貸付金の制度の中で五分以下で貸し付けているものもなきにしもあらず、そして従来は三分であった。従って、たとえ、団体であろうと個人であろうと、その性格において非常に脆弱な経済基盤の上に立って経営している場合には、私は、従来の線を少なくとも守るのが、これが厚生省としては、私は非常に大事な任務ではないかと思います。ことに、それは後々予算にも響いてくるでしょうが、当面、三十五年度予算には無関係のことである。私は、これを五分に引き上げたということについては、どうしても今までの二、三の方が指摘された通り納得できない。何かこの団体の人たちが非常に利潤を上げた企業をやっておられるというならばいざ知らず、そうでないとするならば、私はこれを上げるべきではない、その点をもう少し説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/63
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064・大山正
○政府委員(大山正君) 団体貸付の利率につきましては、先ほど申し上げましたように、この団体貸付が母子世帯直接の貸付ではありませんで、間接の貸付であるという点を考慮し、また、個人の場合よりは、事業といたしましても相当大規模になり、収益力も個人よりは大きいというように考えられますので、個人よりは、ある程度高くなるということはやむを得ないかと思うのでございますが、国民金融公庫の利率でありますとか、あるいは社会福祉事業振興会、消費生活協同組合の貸付の利率等を勘案いたしまして、年五分ぐらいが適当であるというように考えるわけでございますが、もちろん、この年五分にするということは、これによって国庫なり県の一般歳入がふえるわけじゃございませんで、特別会計に入りまして、また、全体の貸付金の財源になるということでございますので、予算に直接関係する問題じゃございませんですけれども、以上のような観点からこの利率をきめたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/64
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065・坂本昭
○坂本昭君 この利率の問題は、まだあとでたびたび少し検討していきたいと思います。
次に質問を進めたいと思いますが、子供の数が大体一世帯平均二人ということですが、この二人の年令構成ですね━━はどうなっておるか。特に私の申し上げたいことは、足手まといになる子供を連れておる母子世帯では非常に生活の不安定をもたらすだろうと私は思う。そういう点で、どういうふうな状態になっておるか。これは昭和三十一年の統計だと、今だと子供さんも大きくなっておるかもしれませんが、私は、母子世帯というものの生まれてくる条件、その中で、大体どういうふうな子供さんを連れておる母子世帯が多いか、あるいは準母子世帯が多いかという点を理解するために、少し年令構成を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/65
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066・大山正
○政府委員(大山正君) 零才から五才までの子供が六・六%、六才から十三才までが四三・二%、十四才から十七才までの子供が二五・二%、十八才から十九才までが一五%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/66
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067・坂本昭
○坂本昭君 皆さんの扱っておる母子世帯というものは、準母子世帯も含んでおられるので、もちろん、その生別の家庭も含んでおられるのは当然だと思いますが、そうしますと、三十一年の統計から、その後の推移の中で、私は、生別は比較的多いのじゃないか、たとえば東京都の母子寮などの例を見ても。さて、零才から五才の六・六%という数が、これはどう減っていっておるか、あるいは、どうふえていっておるか、これは推測になるだろうと思いますが、どういう御見解をお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/67
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068・大山正
○政府委員(大山正君) この当時の調査によりますと、死別母子世帯の率がたしか七七、八%であったと承知しておりますが、現存、いろいろな調査によりますと、大体五割ぐらいが死別世帯の率ではないかという推測も出ております。これは正確にはわかりませんので、都市の母子寮の率が五割ぐらいになりますので、その率を直ちに全国的に押し広めて考えることはできないかと思いますが、五割から七割ぐらいまでの間が死別母子世帯の率になるというふうに考えられますので、昭和三十一年当時よりは確かに生別世帯の方が多くなっているというふうに考えられますので、御指摘にありますような零才から五才までという子供の数も、その後の推測としては減っているのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/68
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069・坂本昭
○坂本昭君 減っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/69
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070・大山正
○政府委員(大山正君) と、一応推測いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/70
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071・坂本昭
○坂本昭君 私はむしろ逆だと思いますね。小さい子供ができて別れるという、こういう生別家庭が多いのではないか。もちろんこれは推測ですが。しかし、むしろこの問題を議論するのではなくて、先ほど来母子福祉の総合立法の問題が出ておりますので、私先ほど来お伺いしておりまして、どうも少し焦点がぼけていると思います。実は母子福祉の中心課題といいますか、このつかまえ方がもう少し検討が必要じゃないかと思う。それはですね、結局母子家庭の福祉、生活の安定という問題で、問題は二つあると思うのです。一つは母親の雇用の問題、それからもう一つはおっかさんが働くための足手まといになる子供の問題。言いかえれば、一つは保育所の問題であり、一方は母子家庭の一つの雇用の問題、従って、もし総合立法をするならば、あなたの方は貸付金で一つ押していこうというふうなお考えのようですが、私はこの母子家庭の母親の雇用の面で一つこれをとらえることと、もう一つは保育所の面でとらえていくということ、この二つが解決できれば母子家庭に何も資金など貸し付けしなくても生活の安定がかなり達成されるのではないか。もちろん資金の貸付をやめろというのではありません。が、問題は私はそういうふうに二つに分けて考えたらどうかと思うのですが、これについては、厚生省の児童局長さん、それから労働省の婦人少年局長さんの御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/71
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072・大山正
○政府委員(大山正君) 母の雇用自体の問題は労働省の関係になるかと思いますが、私どもの関係といたしましては、ただいまの福祉資金の、生業資金の個人貸付によって自営業の面を考えていく。もう一つは今回の改正によります団体貸付によりまして、そのような未亡人団体その他関係の団体のところでできるだけ働く機会を与えるようにしてはどうかというのが考え方でございます。
それから保育所の問題につきましては、確かに母子家庭の子供が参っている場合が多いかと思います。もちろんそのほかの場合もございますが。で保育所の問題につきまして、何か母子福祉法の総合立法に取り入れてはどうかという御意見かと存じますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/72
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073・坂本昭
○坂本昭君 そうじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/73
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074・大山正
○政府委員(大山正君) そうじゃないですか。保育所の問題につきましては、今後とも私どもできるだけその数なりあるいは配置なりあるいは措置費の問題なり努力して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/74
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075・谷野せつ
○政府委員(谷野せつ君) 夫と別れまして独立して生活していかなければならない母子家庭の、特に就業援助の問題につきましては、労働省の婦人少年局におきましてかねてからいろいろと考えを進めて参りました。母子家庭の婦人は子供をかかえております上に、家庭生活の経験しかございませんために、労働市場に出ましてとかく就職がしにくい問題がございます。このような問題と関連いたしまして、特別に未亡人の職業対策という考え方に立ちまして、婦人少年局が創立以来この問題についていろいろと考えを進めて参ったのでございますが、第一段階といたしまして特に調査を実施いたしまして、現在工業的企業あるいはその他の企業におきまして未亡人がどれくらいどのような仕事に働いているかということを調査いたしました。この結果に基づきまして未亡人の適職と思われる職業について職務分析を行ないまして、それに基づいた職務分類を安定所や婦人団体に差し上げまして、今後未亡人団体などが母子家庭の職業の相談に応じられますような場合に、参考になるように基本的なものを差しあげたわけでございます。
それからまた一方、未亡人の職業の就業援助につきまして、特に婦人少年局に設けられております婦人少年問題審議会にお諮りいたしまして、先生方と御一緒にその対策を研究いたしております。その結果といたしまして、特に家庭生活に経験のあられる方のその家庭の経験そのままを生かして、年配婦人が就業が可能なような施設といたしまして、家事サービスの公共職業補導施設を東京、大阪に設けるようになったわけでございますが、その後もなおずっと未亡人の職業対策をこの婦人少年問題審議会におきまして検討いただいております。特に未亡人の就業につきましては、使用者の理解も深めなければなりませんし、特に就業の場合に夫の働いていた事業所で使っていただくということが大へん有効でございますので、そちらの向きにも理解を深めるように努力をいたしておりますが、さらにこの未亡人の職業対策の問題につきまして、審議会の研究課題といたしまして、現在の職業の中で少し職業訓練を与えれば、未亡人の適職として事業所にも喜ばれ、かつ未亡人も自立ができるのではないかというような仕事を、現在の審議会において研究を進めていただいております。その研究を進めていただきました結果、職業訓練の内容をどういうふうにするかということもあわせて進めていただきまして、さらに母子福祉貸付資金などを活用して、この職業訓練が受けられるように進める方向において、現在この婦人少年問題審議会が研究中でございます。できるだけ早い機会に回答を出していただきたいと存じまして、審議会の先生方にお願いをしている段階でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/75
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076・坂本昭
○坂本昭君 今問題が二つ出ていますんで、最初にその保育所の問題について、これはきょうは当面の問題じゃありませんから、これ以上は深くは審議しようとは思いませんが、一応この際、母子福祉の重点をなすものが母子家庭の場合に私は保育の点、特に六十二、三万の現在保育所にある措置を要するこの保育児の中で、おそらく今の数を計算してみても、十数万の人たち、十数万の子供さんがこれがおそらく措置せられておるのではないか。母子家庭の子供が措置せられておるのではないかと思うのですね。そういう面から育っても今日の保育所の経営の仕方あるいは保育所対策、これについては私は非常に不満な点が多いと思う。これは次官に一つこの際申し上げておきたいのですが、母子家庭のみならず、一般勤労家庭においても、この保育所の問題というものは非常に切実な問題であります。従って、今までのような保育所の扱い方ではなくて、私はこの際、むしろ保育所に対する全面的な法改正をやって、そうしてこれを充実させることが、母子家庭並びに一般勤労家庭全般に対して、児童福祉を増進するゆえんだと思う。そういう点で保育対策についての責任ある御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/76
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077・内藤隆
○政府委員(内藤隆君) お説ごもっともであります。十分御期待に沿うように、内容、機構、あるいはこれからの運営の方法等を十分検討したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/77
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078・坂本昭
○坂本昭君 そのごもっともで、それで打ち切られては困るのですね。保育所の新しい法律を作って、いずれ全面的にやり直すくらいのそういう決意を持っておられるかどうか、具体的におやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/78
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079・内藤隆
○政府委員(内藤隆君) 今ここで法律の改正等を明言できないけれども、十分御期待に沿うように一つやってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/79
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080・坂本昭
○坂本昭君 保育所問題は、別の機会にあとお尋ねしますが、雇用の問題でただいま労働省の方からの説明がありましたが、今度の改正の十六条のところにも、従来から公共的施設内において母子家庭あるいはその母子福祉団体の施設を設置することを許すように努めなければならない。こういう非常に雇用に関係のある法文が今までも作られてあったということは、私は非常にけっこうなことだと思うのです。ただ、問題は、皆さんの資料の第五に、たとえば売店の設置の状態、これを見ますと、合計五百五十七カ所ありますが、一体ここで何人合計働いていますか。何人の人がこの法律によって守られているか、その実数を一つ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/80
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081・大山正
○政府委員(大山正君) 正確な数字は持ち合わせておりませんか、これはおおむね、個人に対する許可と申しますか、貸付になっておりますので、一施設当たり一人というように考えてよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/81
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082・坂本昭
○坂本昭君 さらに第八表では、未亡人団体の経営の事業調べがあって、これには合計百八十一団体の売店とか食堂その他の調べが載っていますが、これとて一施設に千名とか二千名ということはあり得ないと思うのですね。そうすると、この百八十一カ所で働いている未亡人は一体何人くらいと見てよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/82
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083・大山正
○政府委員(大山正君) おおむね五人ないし十人程度のものであると、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/83
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084・坂本昭
○坂本昭君 そうしますと、両方合わして一千名ちょっと程度の人しか、いわば母子家庭が雇用の上において職業の安定を得られておるにすぎないということに私はなってくると思うのです。で、今回労働省は、身体障害者については、雇用促進法というものを一応提案して、目下審議をしておりますが、この第十六条は、特殊な母子家庭について、その福祉をはかろうとするためのものでありますが、一方身体障害者の方については、雇用の促進という点で、新しい立法が出されている。私はこの点十六条をもっと積極的に、この場合は公共施設の中に未亡人の個人あるいは団体の施設を設置することを許すように努める。あるいはどういう業務があるかということを、十六条の第三項に、「配偶者のない女子であって現に児童を扶養している者及び母子福祉団体に知らせる措置を講じなければならない。」、これは非常に私は進んだ行き方であると思って、非常にけっこうだと思うのですが、このことについて、労働省と厚生省との関係がどういうふうに調整されているか。たとえばこの十六条の今の三項について少しお伺いしますが、母子家庭のお母さんなり、福祉団体に知らせる措置をどういうふうにして講ずるのか。あるいはどういうふうにして知らせるか、まずその把握するのが、まあ団体の方は全国で三十ぐらいしかないから、それぞれに知らせたらいいでしょう。しかし、さらにその未亡人の家庭に、あなたにはこういうところの働き場所がありますよと言って知らせるのに、一体どういうふうな手段をとるか。たとえばその未亡人の家庭、母子の家庭を登録制にするのか、登録制にしておいて、そうしてそれはだれか管理をしておってそうしてこういう職場がある、あなたたちが働いたらよろしい、それはだれが責任を持って、どういうふうに知らせるか、これはまず厚生省の御意見を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/84
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085・大山正
○政府委員(大山正君) 現在この規定の運営といたしましては、府県庁におきまして、これらの調べました結果を母子相談員等を通じまして、適当な母子世帯、そういうところに働くことが適当だと思われるような母子世帯に知らせるというような方法と、もう一つは未亡人会を通じて知らせるというような方法とを用いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/85
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086・坂本昭
○坂本昭君 そうしたら、労働省の婦人少年局長にお伺いしますが、あなたの方では、いろいろな職業訓練も母子家庭について、特に未亡人についてなさっておられる。だからそういう職種というものを幾つかもうすでに検討しておられると思うのですね。そうした場合に、厚生省のこういう計画とあなた方とは今までも密接な関連はとってやってこられましたか。また、今後は、こういうふうなことにきまったのですが、これをどういうふうに具体化するお考えであるか、その点一つ局長さんの御意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/86
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087・谷野せつ
○政府委員(谷野せつ君) 現実に地方においでになられます母子世帯の方で就職される方の相談相手といたしまして、一番身近に私どもがお世話を申し上げておりますのは、婦人少年室に置かれております協助員でございます。これが全国に現在千五百名置かれておりますが、今年度さらに一千名増員していただきましたので、二千五百名が地方におりますわけでございます。で、この人たちが母子世帯の方の御相談にも応じまして、職業安定所との関連を持ちまして、十分に母子福祉資金その他の法律を活用いたしまして、就業ができますように側面的な援助をいたしているわけでございます。これからも私どもの婦人少年問題審議会におきましては、売店とは限りませんで、もう少し未亡人に日常ではなく、雇用の面に立って未亡人が働ける場を現在探しておりますので、その職業訓練などにつきまして、実際の問題として取り入れることができるようになりましたような場合には、地方の婦人少年室、または府県の職業安定所、それから府県の厚生省の出先の方と十分御相談申し上げて、そこの関連について、ほんとうの地方においでになる方に届かれるような方向において実施して参りたいと思っております。職業の開拓につきましては、現在検討中で、はっきりしたことをまだ申し上げることができませんで、大へん申しわけございませんが、いろいろなものから職業を見つけましてそれがものになるかどうかを検討している実情でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/87
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088・坂本昭
○坂本昭君 いや、それは今からゆっくり検討したところで、それは何ら検討だけでは解決できないのです。私は今少なくともあなたのところの婦人少年室の協助員、それから母子相談員それから職業安定所の紹介官、この三者のどこかが中心になってまとめないと、幾らそんな職場を見つけたって問題解決できないと思う。この三者、職業安定行政、それからあなたのところの行政と、それから厚生省の母子相談員と、この三つを末梢でどうやってくくりつけているのですか。そうして、これはだれが責任者となるべきであるか、まずそれをとりあえず厚生省の意見を聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/88
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089・大山正
○政府委員(大山正君) 母子相成員は福祉事務所におりまして、福祉事務所長の指揮を受けまして、母子世帯の就職相談あるいは貸付の相談あるいは住宅の相談、その他万々のことを相談にあずかっているわけでございますが、職業関係の部局とも十分連絡をしまして、職業開拓に努めなければならない、こういうことであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/89
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090・谷野せつ
○政府委員(谷野せつ君) 協助員が実際に困っていらっしゃる家庭をお見受けいたしましたときには、その家庭に行って御相談に応ずるわけでございますが、その場合に、労働省の所管に関する部門につきましては、すぐにその所管を通して解決することができるのでございますが、労働省の所管以外の厚生省の部分につきましても、協助員という性格からいたしまして、すぐに母子相談員と御相談もできますし、さらにまた、福祉事務所にも協助員が自分で行って御相談をして、その間のケースを十分助けるようにするということが協助員の仕事になっておりますので、協助員といたしましては、厚生省の福祉事務所あるいは母子相談員と十分相談をとってそうして安定所に連絡をして、職業の解決の道をつけるように働いているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/90
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091・坂本昭
○坂本昭君 これは末梢でだれが中心になってやるか、非常にこれはむずかしい問題点もあろうと思うのです。従って、私はこれはやっぱり婦人少年室が中心になるのが一番いいと思うのです。一番中心になってこの未亡人の母子家庭の人たちの雇用問題を促進していく。そうしてその一方においては、母子相談員が福祉事務所から、たとえば貸付金のことなど検討する。それからまた、職業の種類を選択するについては、この職業安定所の職業紹介官に連絡する。そういう点であなたのところが中心になるのが一番いいと、私は一応私案を持っておりますが、しかし、これについては各省の横の連絡を十分とっていただく。特にきょうは次官がおいででございますから、厚生次官から、特にこういう末梢の点について、非常にばらばらであります。今の場合、婦人少年室の協助員、母子相談員、それから職業紹介官、これらを十分末梢において横の連絡をとるような、御連携を一つ労働省との間にとっていただきたい、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/91
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092・内藤隆
○政府委員(内藤隆君) よく御趣旨に沿うて、横の連絡をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/92
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093・坂本昭
○坂本昭君 次に、今度身体障害者の雇用促進法ができておりますが、職業安定局の——労働省の方にお聞きいたしたいのですが、身体障害者については、割当雇用というものができてきた、しかし、その生活の条件において母子家庭というものも非常に似たような条件のもとに置かれている。この母子家庭に対して割当雇用というものを何らかの方法でとることができないか。たとえば、この今の法律の、貸付金の法律の十六条では、公共施設の中において「施設を設置することを許すように努めなければならない。」この場合に、全部をそうしなければならないとは書いてありませんが、比較的積極的な意図が示されている。で、労働省の雇用促進について、今の母子家庭について何らかの検討をしておられないか、その点をこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/93
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094・木村四郎
○説明員(木村四郎君) 御答弁申し上げます。幼少の子女を養育しながら、一家の生計をささえていかなければならない未亡人の問題、これは深刻な社会問題といたしまして、昭和二十四年に母子福祉対策要綱を政府が決定いたしまして、今問題になっておりまする、御審議願っておりまするところの、母子福祉資金の貸付等の、厚生省でやっておられる施策の一環と並行いたしまして、労働省としましては、昭和二十四年から安定所におきまするところの人開拓、それから今婦人少年局長が申し上げました家事サービス、公共職業補導所、内職相談所等の貸付金、それから安定所におきまする簡易職業紹介の実施というふうな面におきまして、特に子供をかかえておる未亡人の就職促進につきましては、その推進をはかっておるわけでございまするが、ただいま御質問のありました身体障害者と同じように、これを雇用率をもって就職を促進する考えはないかどうかという問題でございまするが、身体障害者の方はその能力を持っていながらも、身体障害者なるがゆえに、雇用の場を狭まれておるというふうなことでありまして、その能力を、残存能力を完全に発揮せしめるために、この割当雇用といいますか、雇用率を設定いたしまして、推進していこうというふうに割り切って考えたわけでございまするが、一方、未亡人の問題、片親の問題、あるいはろうあの子弟の問題、そういった社会的ハンディキャップを持って、にわかにはなかなか偏見等によって就職の促進がかなり制約を受けているという面があることは事実でございます。それは社会的なハンディキャップといいますか、そういったものでございまして、それは社会的な啓蒙活動というふうな面によって推進する。そのほか、厚生省とも連絡をとりまして、社会福祉活動の強化によってこれを推進していくという考えが先に立つわけでございまして、身体障害者の能力を持っているにかかわらず、就職の場をはばまれておるというふうな物理的、身体的欠陥によるものではなくして、むしろ能力はあるけれども、社会的なハンディキャップがあるというふうなことで、ややその性質、趣を異にしておりますので、われわれといたしましては、厚生省とも連絡の上、社会のそういった考え方を啓蒙指導して、それとともに社会政策的な面から、これを推進していくというふうな方法をとった方が、今の段階ではいいのではないか、かように考えられまするので、身体障害者のように雇用比率を設定して推進していくというふうには、今のところ考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/94
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095・坂本昭
○坂本昭君 しかし、今度労働省が出した身体障害者の雇用促進法の中にも、就職に困難なということが別表の中に書いてあります。今あなたの説明の通りに、母子家庭の場合も、就職に困難な一つの社会的条件を作っているという以上は、どこかで、だれかが、この母子家庭の雇用の安定のためにやってくれなければ、手がつかないのです。それで、この第十六条に書かれていることは、私はかなり内容は強いと思うのです。とにかく公共施設においては「許すように努めなければならない。」それからまた、そういう施設がどこどこにあるかということは、そういう団体やあるいは個人に対して知らせなければならない。非常に強いことが書いてある。しかし、ここには、雇用の安定については、これは厚生省の法律なものだから書いてないのですよ、ところが、労働省の方は、あなたの方は、能力がちゃんとあるということを認めながらも、なおかつその就職の世話をしない。これははなはだけしからぬ。僕はそういう点じゃ納得できませんよ。能力のない人でさえもつけてやろう、現実に能力があって、それが職場を得られなくて、職業の安定ができていない、どこかで何とかしてもらわないというと、これはもう未亡人は生活ができない、これは労働省と厚生省でもう少し積極的な対策をどっちかでやっていただかないと困るんですね。今のように労働省はわしは知らぬということでほっぽり出されたのでは一体どうしますか。きょう労働大臣来ておりませんが、あんたの方じゃこんなに未亡人の職業の安定を放置されるのでははなはだ困ります、何とかしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/95
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096・木村四郎
○説明員(木村四郎君) ただいま坂本先上からいろいろおしかりを受けたのでありまするけれども、私がただいま申し上げましたのは、決してこの未亡人等の就職の問題についてなおざりにするという問題ではございませんので、先ほど婦人少年局長からも申し上げましたように、特に子供をかかえた未亡人の対策のためには、訓練、拡充とかあるいは職業紹介の強化等によりまして措置をはかっておるところでございまして、今後も一そうわれわれといたしましては、昭和二十四年の母子福祉対策要綱で決定せられました線に乗りまして一そう強力に進めていきたいと、かように考えておるのでございまするが、たとえば、東京都におきまする未亡人等に対する簡易職業紹介の成績を申し上げましても、毎月東京都内におきまして一千二百名の人たちが月間二十一日平均、子供をかかえながらある時間の間、ひまを見つけて働くというふうな、いわゆるアルバイトの紹介でありまするが、こういった制度も促進しておるわけであります。それから婦人少年局長から話はありませんでしたけれども、最近ホーム・ヘルパー制度というふうなものをやることになりまして、今石川島造船所で試験的にやっておりまするが、それは労働者の福祉の増進をはかる一方、そういった未亡人の対策を講ずるために、工場、事業所にいわゆるホーム・ヘルプといいますか、家事の援助をする職員を採用いたしまして、そして工場の労働者の奥さんが病気になったようなときに派遣してやるというふうな制度を試みまして、労働者の福祉とともに、未亡人の就職の確保をはかっておるというふうな制度を本年度から始めるというふうなことになっておるのでございます。その他、職業紹介の面におきましても、今後一そう婦人少年局とも連絡をとりまして、安短所において強力に進めたいと考えておりまするので、われわれは、身体障害者の雇用立法を提出したこの精神にのっとりまして、未亡人の問題、遺児、片親の問題も一生懸命やっていきたいという覚悟でございます。どうぞその点御了承を得たいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/96
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097・坂本昭
○坂本昭君 今の御説明の中には問題点が二つあると思うのですね。で、第一点はそうした未亡人の場合、就職に困難な社会的なハンディキャップのある人の雇用をどういう法律で促進するかという点、私はやはり身体障害者の雇用促進の中へできるだけ入れていくということがやっぱり現実的だと思うのです。特に未亡人の中でも戦争犠牲者というような突然に社会的条件が悪くなったというような人、こういう人たちはできるだけこれに含めていくという、外国にもある実例に徴していかなければ私は救われないと思うのです。で、戦争未亡人あるいは戦争遺児については、身体障害者にならって見ていく、これがあなたの言われる法の精神だと思う。これはまた別に雇用促進法のときに一つあらためて議論しますが、しかし、この点については、労働省より厚生省の方が進んでいます、労働省の方が私は少し怠慢だと思う。この十六条の精神というものは、これはかなり強い精神ですよ。「許すように努めなければならない。」とか、「講じなければならない。」と、精神は比較的強く、かつ、これはだいぶ前にできた立法であって、その点労働省は何にもしておらぬ、あらためて次の機会に労働省を激励しようと思いますが、それが第一点。
もう一つの点は、今労働省の方の説明があったように、東京都で子供をかかえながら千二百人の人の未亡人の雇用の問題をいろいろと世話をしておるという話がある、今ちょうど言われたですが、子供をかかえながらということですよ、そのかかえるときの世話は、今度は厚生省なんです。厚生省はこれこそ保育所の充実のためにやらなくちゃいけない点です。今労働省にはホーム・ヘルパーの制度とか、あるいは各都市においてはそれに似たものが厚生省の中で作られつつある、私はそういう点でこの保育所の問題は、保育に欠けておる児童の単なる措置はということよりも、直接雇用に関係をした点で労働省と厚生省が密接に協力してやっていただかないといけない段階にきている、つまり単なる生活保護の対象としての児童の措置、そういう保育所の時代はもう去った、だから法律改正を少し考えたらどうかということを先ほどから言っているのであります。この問題も一応あらためて議論したいのですが、少なくとも次官、この点だけはつかんでいただきたいですね。厚生省で考えているような、従来の保育に欠けた生活保護の対象としての児童対策ではもういけないということです。つまり労働問題と雇用問題と関係のある保育所という形で保育所を一つつかんでいただきたい、そういうことだけは一つ指摘しておいて、時間がありませんから……。
次に、母子相談員の、先ほど若干指摘されましたが、母子相談員の問題について先ほどの説明でどうもまだ納得できませんから、もう一度お伺いいたしたい。資料に件数等かなり出ておりますが、母子相談員が全国で何人おるか、まずそのことを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/97
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098・大山正
○政府委員(大山正君) 現在八百七十六名。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/98
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099・坂本昭
○坂本昭君 この八百七十六名で今の仕事を十分に推進されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/99
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100・大山正
○政府委員(大山正君) 各福祉事務所に一人ということでございまして、福祉事務所全部を埋めておるわけではございませんですけれども、大部分の所におるということでございまして、各福祉事務所に一名ずつおりまして、相当忙しい仕事をしておりますが、職責を果たしておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/100
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101・坂本昭
○坂本昭君 この数は私は非常に少ないのではないかと思うのです。これは定員制なんですか。どういう制度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/101
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102・大山正
○政府委員(大山正君) 各府県におきまして福祉事務所に置くということになっておりまして、それが交付金の算定基礎の中に入って地方に費用が行っている、こういう形になります。いわゆる定員職員ではございませんで、非常勤職員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/102
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103・坂本昭
○坂本昭君 その交付金の対象となる場合は、いつも八百七十六名で、この法律のできたときからずっときているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/103
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104・大山正
○政府委員(大山正君) 交付金の算定基礎といたしましては、現在の福祉事務所の数の千十が基礎になっておるのでございまして、県によりまして十分充員してないことがあるために八百七十六名になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/104
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105・坂本昭
○坂本昭君 そうしますと、交付金の対象としては千十名の基準が作られているけれども、実際は非常に少ないということですね、八百七十六名でやつている、非常に忙しい仕事、また、今後どんどんふえてくるにもかかわらず、人が足りない。
さらに母子相談員の費用ですね。費用の基準、これはどういう内訳になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/105
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106・大山正
○政府委員(大山正君) 地方交付税交付金に算定されております基礎は、手当が月額一万円、年額十二万円、旅費が年額二万五千円、事務費が年額六千円、合計いたしまして年額十五万一千円が一人当たりの費用でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/106
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107・坂本昭
○坂本昭君 先ほどの説明では、昭和二十八年のときに一回だけ最初にできた法律の二分の一国庫負担ということが行なわれて、その後は、例の昭和二十九年にできた補助金等の臨時特例等に関する法律によって、最初の通りに行なわれたと、それはなぜそういうことになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/107
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108・大山正
○政府委員(大山正君) この法律が昭和二十八年度に成立しました当初、八百三十名の母子相談員がおりましてそれに対する二分の一の国庫補助がこの法律によって行なわれたわけでございますが、二十九年度以降、この御指摘にありました補助金等の臨時特例等に関する法律ということによりまして、適用が停止されておりますが、これは地方制度調査会の答申等によりまして、一般のこのような地方公務員の関係の人件費はできるだけ平衡交付金でいくんだという趣旨によるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/108
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109・坂本昭
○坂本昭君 そうしますと、最初二十八年のときの二分の一の国庫負担が、あと実質的には今の十五万一千円の二分の一として交付金でもらっていることは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/109
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110・大山正
○政府委員(大山正君) 昭和二十八年の場合には、この二分の一を国庫で負担したわけでございますが、現在はその全額を平衡交付金に組んであるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/110
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111・坂本昭
○坂本昭君 そうすれば、この母子相談員は全額国庫負担ということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/111
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112・大山正
○政府委員(大山正君) 全額地方交付税交付金で行っておる、その算定基礎に入っておるということでございますので、地方でひもをつかずに自由に使える金の中に算定基礎として入っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/112
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113・坂本昭
○坂本昭君 そうすると、千十名で配付されて、実際は八百七十六名しか動いてないというと、その差額は一体どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/113
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114・大山正
○政府委員(大山正君) 御承知のように、地方交付税の交付金につきましては、一応の算定基礎はございますが、これを県知事が自由に裁量で使えるということになっておりますので、他の費用に回されておるといいますか、使用されているというふうに考えざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/114
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115・坂本昭
○坂本昭君 これはどうも何か少し納得がいきませんね。この大事な母子相談員の基準の千十名にもなぜ足りないんですか。まずその点お伺いいたしたい。八百七十六名というふうに、実際の数より少ないのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/115
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116・大山正
○政府委員(大山正君) 県によりまして各福祉事務所全部に置く費用は一応きておるわけでございますが、それを実際には各福祉事務所全部に置かずに、二つの福祉事務所を兼ねさせるというような形で人数が減らされて、八百七十六名しか現在置かれておらない、こういう状況であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/116
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117・坂本昭
○坂本昭君 次の問題を伺いますが、この貸付金の中で、生活資金、これは対象としては比較的少ないようではありますが、本人月額一千円以内、児童一人について月額五百円以内、こういうふうになっておりますが、一番最初あなたの説明では百十五万世帯のうち生活保護が一〇・六%、それから五千円以下が一六・六%、つまりボーダー・ラインの人が生活保護を受けてなくて、それに近い人がたくさんあると思う。その非常にたくさんあるにもかかわらず、この生活資金の貸付というものがパーセントの上において非常に少ない。たとえばこの資料の中で見ましても生活資金のパーセントは一%にも足らない。たとえばこの申し込みの数から言っても、昭和三十三年度についても百五十八名しかありません。これはなぜこんなに少ないかということをまず御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/117
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118・大山正
○政府委員(大山正君) この母子福祉貸付金の場合の生活資金は、いわゆる消費的な生活資金そのものではございませんで、技能習得中に限ってその技能習得中、生活を多少でも見ようという趣旨から本人は月額千円以内、児童一人につき五百円以内、こういうふうになっておりまして、技能習得中以外の一般的な生活資金としては、この法律の対象になっておりませんので、御指摘のように、件数も金額も非常に少ないということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/118
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119・坂本昭
○坂本昭君 まあしかし、技能習得中は自分の生活手段というものはないわけですから、一応これで生活しなければならぬということは当然ですね。この場合に、あなたの方で一人千円、子供一人五百円ときめられた根拠はどういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/119
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120・大山正
○政府委員(大山正君) 当時議員立法で成立いたしました法律のそのままで、その後改正されておらないわけでございますが、当時千円なりあるいは五百円というふうにきめられました趣旨につきましては、おそらく技能習得中若干でもこれの手助けを、援助をしようという趣旨でこの金額をきめたというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/120
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121・坂本昭
○坂本昭君 これは、労働省の今度の身体障害者の雇用促進の場合の適用訓練の場合ですね。適用訓練の場合の労働省の金額の根拠は、たしか五千円でしたね。非常に高いのですよ。ところが、労働省の方は五千円、それから厚生省の方は、まあ生活の足しというのだけれども、実際から言ったら技能訓練を受けている間は生活の根拠はないのだから、私はとてもこの千円では生活できないと思う。こういうものは当然もっと増額すべきではないか。今度の法律改正の中で利子の問題もあります。高い利子を、今までの三分のやつを五分にするというのも間違っているけれども、また、こういうような点、せっかく職業を認めて技能訓練をしようという場合に、もっと十分技能の訓練もできるようにこの額も上げるべきじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/121
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122・大山正
○政府委員(大山正君) 当時の、制定されました当時の事情につきまして、記録によりますと、千円と、それから児童一人五百円というようにきめたので、月額で二千円以内の生活資金は一応借りられる。それでこの額については、社会保障制度審議会の社会保障制度に関する勧告中の遺族に対する無拠出年金の額を参考としたものである、月額千円または五百円という金額は、それだけでは生活維持できない額であるが、生活資金というのは生活費を補うものとして貸し付けられるものであると考えられるからこの額に定められたのであるというのが当時の制定の事情かと思うのでございますが、これらの金額につきましては、なお、他のこの種の貸付金の金額と考え合わせまして、今後検討したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/122
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123・坂本昭
○坂本昭君 少なくともこれが今のように技能習得の貸金であるというならば、少なくとも労働省の適用訓練と合わせてもっとこれは大幅に引き上げるべきだと思う。それに対して検討してそういう点の実効の上がるようにやっていただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/123
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124・大山正
○政府委員(大山正君) 今後とも十分一つ検討したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/124
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125・坂本昭
○坂本昭君 なおこの際、例の福祉年金との関連について伺いたいのですが、この母子福祉の貸付法では、これは生別、死別を問わずに、また、準母子家庭も対象として扱っておられる。ところが、福祉年金の場合ははっきりと死別であるということが規定せられ、しかも千円が基準になって、かつ、第二種から二百円ずつ一人につけている。結局この福祉年金の実態のために母子家庭は十分な恩典を得ることなしに非常に困っておられる。先ほど来、児童局長からもこの福祉年金との調整については年金局ともいろいろと相談しているというような御意見でごさいましたが、年金局として今のこの福祉年金━━母子福祉年余の扱いについての現段階と将来の見通しを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/125
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126・高木玄
○説明員(高木玄君) 母子福祉年金の現在の実施の状況を申し上げますと、三月三十一日現在で十八万二千人の方が市町村に手続を終えておられます。当初予定いたしました四十万七千人に比べますと四五%という成績でございます。これは他の老齢障害年金に比べますと、老齢、障害はいずれも当初予定数を上回っておる成績をあげておりますので、母子の場合には予定数を下回る結果になっております。現段階における対策といたしましては、二月十五日に大蔵省と協議いたしまして、特別に母子福祉年金のPRにつきまして予算措置を講じまして、二月十五日以降分都道府県におきまして、母子福祉年金につきまして最終的な呼びかけをいたしております。それで、これは県によりまして個々の母子世帯にそれぞれ当たって裁定請求書提出のところは出すようにというふうに促進いたしておるわけであります。それと同時に、三月三日から第一回の福祉年金の支払いが開始されましたが、その支払い自体が非常なPRになりまして、今まで自分は母子福祉年金の該当者じゃないというふうにあきらめておった人か、同じような生活条件の方がまわりで現実にもらわれたということで手続に来ておられる方がふえております。ことしに入りまして、一月、二月の間はこの裁定請求書の提出の状況の割合が月に二%━━一%から二%の間の伸びでございましたが、三月に入りまして四%伸びております。従いまして、今まで裁定請求書の漏れの方が、現在そういったPRなり何かの徹底によりまして漸次書類の提出が伸びておる、こういうような状況であります。それからこのように当初予定数を割りました原因はいろいろあると思いますが、ただいま先生の申されました点につきまして、特に母子福祉年金につきましてこのように他の老齢、障害に比べまして成績が悪かったということにつきましては、私どもも深刻に反省いたしておりまして、この人については手直しをしなければ、母子福祉年金については何らかの改善策を講じなければならないんじゃないかということを痛切に感じておるわけでございます。特に先生の御指摘になりました準母子世帯につきましては、現在真剣に研究を進めております。生別母子世帯につきましては確かにこれは大きな関心でございますが、これについては、実は三つの問題点があるのでございます。
まず第一の問題点は、生別といったような普通の場合の離婚でございますが、離婚といったようなその当事者の意思によって年金給付の事由が作られるということになりますと、年金給付を受けるために擬装離婚する、あるいは協議離婚をするといったような逆選択の場合が出て参りまして、その点年金制度の建前と非常に反するのでございます。申すまでもなく、年金制度におきましては、偶発的な事故に対して年金給付をするのが建前でございまして、人為的に事故が作られるというものは、本質的に避けなければならないのではないかということが考えられるまず第一の問題点でございまして、世界各国の社会保険の例に徹しましても生別を保険事項に入れる例はないのであります。
それから第二番目に問題点になりますのは、たとえ離婚されましても、子供の父親に当たられる方は、現実には生存しておられる方でありまして、その方はあくまで子供に対して扶養責任を負っておるわけでございます。生別母子世帯にも年金を給付するといたしますと、そうした私的な扶養責任と公的な扶養責任とをどう考えるかということに困難な問題があります。
第三番目は、生別母子世帯の把握が非常に困難であります。特に国民年金においては、内縁関係を包摂いたしておりますが、内縁関係の解消といったようなものを実務的に把握するということがほとんど不可能に近い。そういった実務的な難点があると存ずるわけでございます。
以上三つが大きな難点でございまして、生別問題につきましては、その三つの問題点が克服できるかどうかということを今現在検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/126
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127・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/127
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128・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/128
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129・坂本昭
○坂本昭君 年金局のそういった理論は私もある程度理解できる。しかし、これについて所管の児童局の方ではこうした中で一つこの問題をどう取り扱ったらいいかということについての御意見を聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/129
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130・大山正
○政府委員(大山正君) ただいま年金局から御説明がありましたような難点がございますので、具体的にどういう範囲の生別母子世帯をとらまえるべきか、その態様等を十分一つ検討いたしまして、これならば実務的にもいけるんじゃなかろうか、あるいは理論的にもいけるんじゃなかろうかという点をさらに詳細に検討いたしまして、年金局ともいろいろ打ち合わせをしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/130
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131・坂本昭
○坂本昭君 それはいつまでに今の検討を終わりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/131
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132・大山正
○政府委員(大山正君) ただいまいろいろ検討しておりますが、年金局とは今週末からさらに協議を進めるという予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/132
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133・坂本昭
○坂本昭君 結論の出るのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/133
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134・大山正
○政府委員(大山正君) まだ確たる見通しを立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/134
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135・坂本昭
○坂本昭君 今の点は、特に来年から開始される無拠出年金との関係もあるし、国民が具体的に現実的に非常な関心を持っておる点であって、厚生省としてはすみやかに結論を出していただきたい。そうしてその結論の模様によっては新しいいろいろな手段を講じなければならないと思う。たとえば、私は今あなたの方の資料を見ても、母子家庭がいかに生活保護を受けておるか、さらに非常に低所得層の人がいかに多いか、ボーダーラインのところに苦しんでおる人がいかに多いかということは、もうこの数字を見ただけで非常に明らかである。そうしてこの貸付資金はあとで償還する性質のものであります。だから私は、初めは県が半分出しておりまして、今は三分の一になってきておる。しかし、国の負担を私はもっとふやしてもいいと思うのです。生活保護法並みに五分の四のところまでやったって、これはあとで返すものですから、国の負担をもっと上げること。それから利率も、少なくとも三歩の線で押えて、たとえ団体貸付の場合であろうとも、今までの線を引き上げるということは、私は間違っておると思う。従って、この国の負担率をもっと増すこと。さらに利率を、これを引き下げること、私はこういう努力をしていただくことによって、この生活保護に至らないで更生を願っておる母子家庭の人たちの正しい生活の方向を私は指示できるのではないかと思う。今の国の負担の率を引き上げることと、それから利率を五分引き下げることについて一つ御意見を承りたい。これは特に次官から厚生省を代表して一つ御返答いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/135
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136・内藤隆
○政府委員(内藤隆君) 国の負担率につきましては、予算の関係等もありますので、ここで明言し得ないのでありますが、将来はさような点等に一つ検討を加えて進んでいきたい、かように考えます。
それから利率の問題でありますが、これはなるべく少ない方がいいのでありまするから、私ども一つ大いに考えてみたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/136
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137・坂本昭
○坂本昭君 いいですか、今のような答弁で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/137
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138・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/138
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139・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/139
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140・小柳勇
○小柳勇君 一つだけ質問いたしますが、これはずっと母子福祉資金の貸付の金額並びにその具体的な仕事を見てみますと、非常に小規模な、金額も小規模だし、それからその事業の種目なども非常に小規模な売店とかあるいは食堂とかそういうものしか対象になっていないわけです。未亡人であるということが男のたとえばやもめに比べてそういう事業能力などについて非常に劣等視してある。従って、大きな事業をやろうとするような野心のある未亡人などについてはこれはほとんど実効がないような気がするのです。そういうものは、まあいろいろそれは中小企業金融公庫などはありますけれども、この根本的な考え方が未亡人、母子家庭であるので、そういうささやかな生業によってささやかに生活しなさいという考えであるのかどうか。もしそうでないとするならば、将来もう少し大規模の事業にも考えていかなければならぬと思うが、そういう点、根本的な考え方について御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/140
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141・大山正
○政府委員(大山正君) 大規模ないろいろ事業等につきましては、あるいは中小企業金融公庫、その他の資金融通の面もあろうかと思いますが、この法律におきましては個人の自営業が従来貸付の対象となった事業であるというように考えられますので、この法律制定当時は五万円が限度でございましたが、現在改正によりまして十万円まできております。今回団体貸付を認めまして百万円までということにいたしましたのでございます。これは他のこの種の貸付制度と比べても別段そう特に低い額ということではないと思いますが、なお、御趣旨の点につきましては、今後とも一つ十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/141
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142・小柳勇
○小柳勇君 わかりました。
もう一つ。未亡人あるいは母子家庭がかわいそうだからというれんびんの思想があるような気がしてならないのです。この法案を見まして、それよりももっと、婦人少年局長、母子福祉課長などもおられるのですから、全体的なPRなどをやりまして、もっと未亡人や母子家庭に大きな野心を持たして、たとえば事業をやる場合にはこういう資金の貸し出し方法もありますとか、あるいはほかにあまりたよらないでしゃんとしてやるためにはこういうような方法もありますというような資金貸付方法、これをPRすると同時に、もっと大きな希望を持った、男子のやもめと同じような野心を持った事業ができるような方向に、たとえば旅館を経営しなさいとか、料理屋をやりなさいとか、服飾店をやりなさいとか、何々工場をやりなさいとかいうようなPRも同時にしてもらう。それから同時に、どうしてもささやかにやる者については、もっとこの法律をわからせる。こういう法律が出ましたが、私今この細部については、この法律を見てわかりましたが、世のたくさんの未亡人あるいは母子の家庭がこの法律の存在を十分知って活用できるようにPRの方法についても、一つ十分なされるように要請いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/142
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143・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/143
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144・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。━━別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/144
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145・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方の孝子を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/145
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146・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/146
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147・高野一夫
○高野一夫君 私は、当委員会関係の各党各会派共同一致をもちまして、ただいま議決せられました本案に対しまして、次のような附帯決議を付することの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
母子福祉資金の貸付等に関する法
律の一部を改正する法律案に対す
る附帯決議
一、母子家族は、本来社会保障施策
の重要問題として取扱うべきであ
り、国がその生活の保護資金の貸
付のみでなく、年金その他の支給
金の増額によって行うことを建前
とすべきであり、政府は此の際母
子家族対策をその生活実体に即し
て立てるべきである。
二、貸付金の徴集については、母子
家族の実体を十分勘案して特段の
配慮をなすべきである。
三、貸付金の利子については、軽減
その他今後特別の考慮をなすべき
である。
四、地方財政窮乏の現状にかんが
み、貸付に要する資金は、出来る
かぎり国庫負担を増額するよう努
めること。
以上であります。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/147
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148・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいま高野君提出の動議は成立いたしました。
高野君提出の附帯決議案を議題といたします。動議の提出者から提案理由の説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/148
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149・高野一夫
○高野一夫君 提案理由の説明は、もはや私が申し上げました案文朗読で十分御理解を願ったことと思いますので、くどくど申し上げる必要もなかろうかと思います。とにかく母子家族の生活の保護については最後まで国が責任を持って、この資金の貸付だけでなく、年金、その他あらゆる支給金を含めて国庫の増額、国の負担の増額をはかるべきである。従って、こういうことを建前といたしまして、この際さらに掘り下げて母子家族の実態調査を十分いたしました上で、根本的な対策を考慮してもらいたい、こういうわけであります。
それから先ほど来御質疑にもありました通りに、貸付金等の徴収については、いわゆる苛斂誅求的のやり方でなくして、母子家族の実態を十分調べ、勘案した上で、配慮すべきものは特段の配慮を十分なすべきではないか、こ、ういうことであります。
また、団体並びに個人等の利子については、これはできるだけ軽減されることを希望いたしますが、軽減その他の問題を含めまして、今後十分政府において考慮をしてもらいたい。
なお、これは国の負担増額ということだけでなくして、地方財政に関係のある問題でございますから、地方財政の窮乏の現状も十分勘案した上で、国の負担についての考慮なすべきであるる、こういうような意味で、先ほど朗読いたしましたような案文にいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/149
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150・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御質疑がございませんか。━━別に御質疑もないようでありますから、高野君提出の附帯決議案の採決をいたします。ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/150
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151・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 全会一致でございます。よって高野君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議として、ただいま議決された法案にこれを付することに決定いたしました。
政府から発言を求められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/151
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152・内藤隆
○政府委員(内藤隆君) ただいま全会一致をもって可決されました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/152
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153・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/153
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154・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと慰めます。さよう決定いたしましAも
それでは、本日はこれで散会いたします。
午後一時三十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02619600421/154
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