1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十日(水曜日)
午後二時二分開会
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委員の異動
二月八日委員植竹春彦君辞任につき、
その補欠として赤間文三君議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 山本 利壽君
理事
古池 信三君
栗山 良夫君
牛田 寛君
委員
赤間 文三君
井川 伊平君
岸田 幸雄君
斎藤 昇君
高橋進太郎君
阿具根 登君
阿部 竹松君
近藤 信一君
藤田 進君
吉田 法晴君
奥 むめお君
国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
政府委員
公正取引委員会
委員長 佐藤 基君
経済企画庁長官
官房会計課長 塚本 茂君
科学技術政務次
官 横山 フク君
科学技術庁長官
官房長 原田 久君
科学技術庁長官
官房会計課長 江 文吉君
科学技術庁振興
局長 鈴江 康平君
科学技術庁原子
力局長 佐々木義武君
通商産業政務次
官 内田 常雄君
通商産業大臣官
房長 斎藤 正年君
通商産業大臣管
房会計局長 加藤 悦次君
通商産業省鉱山
局長 福井 政男君
中小企業庁長官 小山 雄二君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省企業
局次長 磯野 太郎君
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本日の会議に付した案件
○経済の自立と発展に関する調査
(昭和三十五年度通商産業省の予算
及び施策に関する件)
(昭和三十五年度経済企画庁の予算
及び施策に関する件)
(昭和三十五年度科学技術庁の予算
及び施策に関する件)
(公正取引委員会の業務概況に関す
る件)
○派遣委員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/0
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001・山本利壽
○委員長(山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について報告いたします。
二月八日植竹春彦君が辞任され、その補欠に赤間文三君か選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/1
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002・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、委員長及び理事打合公の結果を御報告いたします。
本日は、ます通商産業省、経済企画庁、科学技術庁の昭和三十五年度予算及び施策に関する件並びに公正取引委員会の業務概況に関する件について説明を聴取したのち、派遣委員の報告を聞くことと決定いたしましたから、御了承お願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/2
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003・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、通商内業省、経済企画庁、科学技術庁の昭和三十五年度予算及び施策に関する件並びに公正取引委員会の業務概況に関する件を議題といたします。
まず、通商産業省について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/3
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004・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 通商産業政策の重点につきまして御説明申し上げたいと存じます。
本年度のわが国経済は、まれにみる発展を遂げ、鉱工業生産水準は前年度に比べて、二七%程度の大幅な上昇を見るものと思われるのであります。これは消費の堅調な上昇、設備投資の増加、在庫投資の著しい回復及び対米輸出を中心とした輸出の順調な伸びなどに支えられたことによると考えるのであります。経済成長率で申しますならば、実質で実に一三%の上昇が見込まれておるのであります。しかもその洲、国際収支も物価も順調に推移いたしておりまして、高い成長率にもかかわらずきわめて安定していると申すことができるのであります。特に国際収支は輸出の大幅な増加と輸入価格の安定によりまして、毎月黒字を続け、年度間の実質収支は、二億万千万ドルの黒字が見込まれておるのであります。なお、形式収支で申しますと、大体四億五千万ドルの黒字が見込まれるのであります。この結果、外貨準備高は昨年末におきまして十一億三千三百万ドルに達したのであります。
来年度につきましても、相変わらず順調な発展を続けるものと思われますが、さきに閣議決定をいたしました経済計画におきましては、国民総生産において実質六・六%程度の増加か見込よれておりまして、鉱工業生産も一一・八%程度の上昇が見通されているのであります。通商産業省といたしましても、右の目標の実現に向かって、今後引き続き種々の施策を進めて参る所存でありますか、その際特に留意しなければならない問題といたしましては、貿易の自由化との関連についてであります。
以下に、貿易の自由化を中心として、通商産業政策の具体策につきまして御説明いたしたいと存じます。その前に、来年度の通商医業省関係予算について触れますならば、その総額におきましては、本年度の約百三百十九億円に対しまして、約四宮六億円増、比率にいたしまして約三六%増の百七十五億円余を計しいたしております。また当省関係の財政投融資の総額は千六百十二億円と、本年度当初計画に比べまして六十五億円の増額となっておるのであります。しかして、この一般会計予算及び財政投融資の確保と運用によりまして、今後各秤施策の積極的な推進を期することができると考えておる次第であります。
貿易の自由化は、昨年末の西欧諸国の通貨交換性回復を契機といたしまして、西欧先進国を中心として国際的規模において推進されて参っております。わが国といたしましては、将来の飛躍的経済発展の基礎を固めるため、さらに一段と輸出の拡大が必要でありまして、そのためには日本経済をして、できるだけ円滑に世界経済の中に溶け込ませる必要かあり、また真に国際競争力のある産業休質を作る必要があるのでありましてこの意味におきましても、自由化を進めることが必要であると考えられるのであります。
このため通商産業省といたしましては、昨年秋以来数次にわたって、自由化につきましての措置を実施して参ったのであります。
すなわち、対ドル差別十品目につきましては、これをすみやかに完全なA・A制に改めることといたしまして、銅合金くず、石こう、アバカ、ラワン材につきましては、すでに本年一月より実施いたしておるのであります。またその他の鉄鋼くず、牛脂、粗製ラードにつきましては、本年四月から実施する方針を決定いたしております。
さらに従来事実上輸入を禁止いたしておりました一般消費財につきましても輸入の道を開き、機械及び雑費等の消費財のうち約八十品目余につきまして、外資資金自動割当制度を創設し、本年四月から陶磁器等約百五十品目をこれに加えることといたしております。またAA制適用品目の拡大につきましても、昨秋来、セメント、塩化ビニール等を含む約二百三十品目に適用いたし、本年四月からは、ニッケル、鉱石、毛くず等約、三百九十品目を追加することに決定いたしますなどの措置を実施して参ったのでありす。
政府においては、今後一そう自由化を総合的、かつ円滑に促進するため、さきに貿易為替自由化促進閣僚会議を内閣に設置いたしまして、五月末を目途として自由化計画の検討を行うといたした次第であります。もとより、これら自由化を推進するに当りましては、国内産業の受け入れ態劣の整備をはかりますとともに、金融、為替、財政の諸政策の遂行に当たりましても、自由化に対処すへく総合的運営をはかりますなど、万全の措置を講ずる必要かあることはもちろんであります。通商産業省として検討準備しております事項といたしましては、まず国際的な自由化の進展か、国際的輸出競争の激化を招くことになると思われますので、従来にもましで海外市場の開拓と販路の拡張をはかることといたしております。このため予算案におきましても、日本貿易振興会による海外市場調査、日本商品の宣伝あっせん、国際見本市の参加、国内中小企業に対する貿易指導業務等につきまして、前年度対比約二億八千万円増の十三倍七八千万円を計上いたしたのであります。
海外市場確保のための施策といたしましては、右のほか、プラント輸出の促進、巡航見本船の派遣、輸出雑貨のデザイン登録、認証制度の確立等の施策を講ずることといたしております。
また、海外市場対策とも関連いたしまして、経済済協力の問題が重要となって参りますが、西欧先進諸国の経済が自由化とブロック化を背景といたしまして繁栄の道をたどっております反面、低開発国の経済的困難はますます増大し、世界市場の狭隙化を招く傾向にありまして、低開発国に対する経済協力の促進は一九六〇年代における先進工業国の共通課題ともなって参っております。特にに、東南アジア等の低開発国に対する貿易依存度の高いわが国におきましては、これら諸国との経済協力を促進するごとによりまして、重要原材料の輸入の促進及び資本財輸出の振興をはかることが肝要であります。そのため政府は、特殊法人として、海外経済協力基金を設置することといたしておるのでありますが、今後はこの基金を活用して、経済、技術等の協力施策の積極的促進をはかる所存であります。
しかして、この経済協力を効果的に実際いたしで参りますために、財団法人アジア経済研究所を特殊法人に改組強化することといたしておるのであります。その他、技術者及び中小企業者の海外派遣のあっせん、海外技術者の受け入れ研修の円滑化等、各般の経済協力施策を講ずることといたしておるのであります。
第二に、自由化の進展によりまして、当然国内における従来の生産流通にわたる産業秩序に影響を及ぼすもののと思われますが、特に、輸出入取引における過当競争の激化が憂慮されますので、貿易関係業界の良識ある自主調整の強化をはかる必要があるのであります。このため、今国会に輸出入取引法の改正法案を提出いたしまして御審議を願うことといたしたのであります。また、繊維原料の輸入自由化に当たりましては、繊維産業が相当な過剰設備をかかえております現状におきましては、過剰生産によりまして産業界の混乱を招くおそれが強く、これを予防いたしますための法的措置を検討中であります。
第三には、産業の体質改善と産業基盤の強化であります。今後、貿易の自由化の進展に伴いまして、従来貿易管理によって多かれ少なかれ保護されて参りましたわが国産業が、裸になって激しい国際競争にさらされることになるのでありますが、これに打ち勝ち得る国際競争力を身につけることこそ、日本産業の従来の飛躍的発展の基礎を作るものであると考えるのであります。
そのためには、個々の企業についてはく合理化、近代化を促進し、経営の充実をはかりますなど、その体質の改善か急務でありまして、多面、産業の基盤となる道路、港湾、工業用水、工場用地造成等、産業関連施設の画期的強化と、電力、石炭、鉄鋼等基礎産業部門の整備及び価格の安定をはかることが、従来にもまして要請されると存ずるのであります。これらの施策を確保するため、特に財政資金による誘導的、補完的措置が必要でありますので、来年度におきましても、これらの部門に資金を、重点的に投入することといたしたのであります。また、企業の体質改善には新技術の開発と、これが産業における利用の促進か必要でありますので、国立試験研究機関の設備の、更新、近代化をはかりますとともに、民間における試験研究に対しましても、国家的見地から見て重要と思われますものにつきまして、所要の助成措置を講じておるのであります。なお、工業所有権に関する出願件数の激増に対しましては、その処理の正常化をはかるため、定員、経費を大幅に充実することといたしております。
以上、貿易自由化に関しまして、現在までの措置と今後必要とされまする通商産業施策につきまして申し述べたのでありますか、さらに私の重点として考慮しております事項は、中小企業の振興ということであります。このたあ中小企業対策につきましては、予算案におきましてもし二十四億円余を確保し、対前年度比八億八千万円余の実質増といたしたのてあります、御存じの通り、中小企業は、わが国経済の中において生産、流通、雇用等の各面において、きわめて重要な地位を占めておりまして、今後自由化方策の円滑な推進の上にも、また、わが国経済が飛躍的に発展するためにも、中小企業の振興こそまさに喫緊のことてあるのであります。しかるに、現在の中小企業は経営の不安定に悩んでおり、また、その設備、技術等におきましても著しく立ちおくれておるものが多いのでありまして、今後とも中小企業の体質に応した振興策を一そう強力に推進して参る所存であります。特に小規模事業者対策につきましては、今国会に商工会の組織等に関する法律案を提案いたし、商工会を法制化し、商工会議所とともに小規模事業者に対する指導事業に当たらせることといたしまして、これらの事業を補助するため、四億円余を新たに予算に計上いたしたのであります。このほか、今後は中小企業に対しまして、業種別に実態に即した施策を推退する必要がございますので、所要の法的措置を検討いたしております。
なお、中小鉱山の行います新鉱床探査につきましては、前年度に対し倍額の一億円の補助を計上いたしたのであります。
また、中小企業の金融対策といたしましては、来年度は中小企業金融公庫に対しまして、二百十五億円、民間金融公庫に対しましては二百九十億円の財政資金をそれぞれ融資いたしまて、運用額におきましてもいずれも本年度当初計画を上回り、前者は七百十五億円、後者は千四十億円を確保することといたしております。また、商工中金につきましては、三十億円の財政資金を投入いたしまして、本年度当初計画に比べて百億円増と三百五十億円の貸し出し純増を行なうことといたしております。さらに、零細企業金融に重要な役割を来しております信用保証協会に対する融資基金として、中小企業信用保険公庫に対し、政府出資十八億円を行うことといたしております。これに地方公共団体等からの相当額の資金的援助を加えることによりまして、保証協会の延べ保証額は、本年度の約千四百億円に対しまして、年度間約四百億円程度の増大が見込まれるのであります。
最後に、石炭対策について申し述べます。石炭業に対しましては、前国会における炭鉱離職者臨時措置法の成立によりまして、当面の地域的、集団的に発生いたします失業者に対する援護措置を講じたのであります。しかしながら、石炭問題の根本的解決のためには、何と申しましてもその合理化の推進によりまして抜本的な体質改善を行ない、重油等の総合エネルギーと競争できるようにいたしますことが不可欠であります。このため、従来の非能率炭鉱の買い上げ及び炭鉱離職者の援護措置を一段と強化して参りますとともに、一般会計予算において二十一億四千万円を投入し、無利子による炭鉱設備近代化特別貸付金制度及び中小炭鉱機械化促進特別貸付金制度を創設いたしまして、炭鉱の画期的若返りをはかり、高能率炭鉱の造成を促進し、流通機構の合理化をはかるなど、石炭産業の体質改善を期しておるのであります。また、石炭不況のもとにつきましても積極的合理化を推進いたざせますため、開銀及び中小公庫によります特利の適用、償還期間の延長等の措置をとることといたしておるのであります。これらの施策を実施いたしますため、今国会において、石炭鉱業合理化臨時措置法の所要の改正につきまして御審議を願うことといたしておるのであります。
なお、これら石灰鉱業の体質改善は、今直ちに実現されるものではございませんので、重油ボイラーの設備制限措置につきましては、若干の緩和措置を講じた上、三年を限り延長いたしたいと考えておるのであります。
以上によりまして、今後における通商産業政策の重点事項に関しまして、基本的考え方と具体的施策の概要を申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/4
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005・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 委員各位にお願いしておきますが、各大臣は本日、衆議院の予算委員会との関係がございますので、大臣に対する質疑は明日の委員会にお諮りを願いたいと思います。
ただ、栗山さんから何か先ほどの通産大臣に対してちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/5
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006・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいま通商産業政策の重点について伺ったのでありますが、その中で実は昨年末臨時国会におきまして、特にわが党の岡委員等から強い発言のありました自転車の競技に関する問題につきまして、何ら御発言がなかったわけであります。ところがそれがないのが、あるいはあたりまえかもしれないと私は思っておりました、臨時国会のときの御議論によりますと、自民党の党内においても、まだこの問題をどうするかという結論は出ていない。通商産業省としても審議会等に諮問をし、その結果を待って態度をきめたいということでありました。従って、当委員会は審議会の経過を十分に承知いたしたいので、速記録等も提出せられたい、よろしいということに相なっておったわけであります。ところかそういう矢先きに、過日理事会に通商産業省から御配付をいただいた第三十四回国会提出予定法律案というのが十八件ございます。その中の十一番目に自転車競技法の一部を改正する法律案というのが予定法案として書かれてある。しかもその理由に、「有効期間の延長等の所要の改正を行なうため」となっておりまして、これだけを見まするというと、通商産業省としてはもう自転車競技法については結論か出ているやに考えられるわけです。この点は私は臨時国会からの経緯からするというと、通商産業省の内部で少しものの考え方に手落ちがあるのではないかと考えるのでありますが、この点伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/6
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007・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 栗山さん御承知の通り、法律の当然の改正か本国会に出さなければならぬことに相なっておるのであります。従いまして、その点がございますので提出法律案の方に入れておりますが、ただ年限の問題だけでなしに、実体につきましても相当検討を加えなければならぬというのて検討中でございます。従って、提出法律案の中には入れておりますが、まだ内容につきましての点がはっきりいたしておりませんので、今御説明を省略したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/7
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008・栗山良夫
○栗山良夫君 これは自転車競技法を期限が来るからそのまま自動的に廃案とせられたいという意見と、それから若干内容を改正してさらに法律を継続したいという意見とありまして、結論が出ていないわけてす。ですからあるいは廃止ときまるかもしれないし、若干内容を変更するということになるかもしれませんので、従って、当委員会の立場からいうならば、臨時国会で相当真剣に議論したことですから、従って、審議会等の答申の模様、あるいはまたその後の経過等若干お聞きしてから、どうするかということをわれわれに聞かしていただくということの方が、何かすわりがいいように思うのです。これだけ読んでみますと、有効期間の延長等の所要の改正を行なうとはっき書いてありますからね。この点は大臣もおわかりになっておることと思いますので、当委員会の考えを述べて、十分留意していただくようにお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/8
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009・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 栗山さんのお話の通りに非常に関心のある事柄でございまするから、昨年未以来の通産省所管の審議会の様子、また党におきましての審議の状況中間報告することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/9
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010・藤田進
○藤田進君 今大臣述べられました中で、二ページの一行目と三行目の数字が、言われたのともらっているのが違っているのです。速記に載っていますから、どっちがいいかはっきりしてもらっておきたいのと、委員長に希望しておきたいのは、当委員会の所管で政府の予定定提法律案の資料ですね、至急に一つ御配布願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/10
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011・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 今の二べージの三行目は十三億二千二百万ドルがほんとうでございます。
それから、二億五千万ドルの黒字、「年度間の実質収支は、二億五千万ドルの黒字が見込まれておるのであります。」ここに私は、形式収支は四億五千二万ドル、とつけ加えました。十三億二千二百万ドルということは、二億五千万ドルでは出てこないのであります。為替収支の形式収支がこの保有外貨になるのでございまして、今まで私は常に言っているのでございますけれども、政府の言い方が実質の分だけ言っております。そして外資の現在高がこうなっておるというと、黒字というものは、この何の外貨準備高とマッチしない。外貨準備高というのは、形式的な為替収支を言っておるわけです。十三億二千二百万ドルというものは、三十四年中に形式的に大体四億五千万ドル程度のものがふえるということの結果で十三百億二千二百万ドルが出ますので、私は形式収支四億五千万ドルということをつけ加えて御説明したのでございます。実質的には二億五千万ドル、形式収支は四億五千万ドルということをつけ加えました。三行目の分は十三億二千二百万ドル、これはここに書いておる通りでございます。読み違いましたことをおわびいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/11
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012・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に経済企画庁について御説明順います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/12
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013・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) ここに第三十四回国会の休会明けにあたり、経済問題に関し所信の一端を述べ、各位の御協力を得たいと存じます。
ここ、数年来のわが国経済の成長は、欧米諸国に比べてまことに目ざましいものがあり、その経済力は、国際的にも高く評価されるに至っております。特に、昨年は一貫して予想以上に急速な拡大を遂げたのでありますが、その間、国際収支は黒字を継続し、物価も平穏な推移を示し、大観して順調な数量景気を展開してきたのであります。今後ともますますこの経済成長力を発揚するとともに、わが国経済の体質的た弱点を是正するよう、適切な施策を推進することが、経済政策の基本的な課題であると存じます。このため、一方において、経済が安定した成長をとげるように当面、設備投資や資金需要の動きに見られるような一部の刺戟的要因については、充分配慮するとともに、他方、産業の近代化を推進し、科学技術を振興し、道路、港湾等の産業基盤を整備拡充し、輸出と海外経済協力を促進し、国民生活と所得の格差を是正するなど、わが国経済の基礎を固めてゆきたいと考えるのであります。
かようにして、わが国経済は、来年度も引き続き着実な拡大を遂げ、その経済成長率は実質で六・六%程度となり、また、国際収支は実質で約一億五千万ドルの黒字が期持され、物価は、おおむね横ばいに推移するものと予想されます。
次に、世界経済の動向に眼を転じますと、貿易為替の自由化は急速に拡広しつつあり、経済交流はますます活発になるものと思われます。貿易依存度の高いわが国経済は、この世界の大勢に遅れることなく、進んでこれに即応していくことはきわめて緊要であります。このため、政府は、さきに貿易為替自由化促進閣僚会議を設け、計画的に自由化を推進する方針を明らかにしましたが、国内経済に与える影響については十分検討しつつ、てきるだけ早急かつ、円滑に自由化を実現していく所存であります。
以上述べました諸般の政策は、さらに長期的た観点から総合的に推進することによって、一そうその成果が期待されるのであります。このため、政府は、わが国経済の祝状に即応した新しい経済計画を策定することとし、昨年十一月経済審議会に諮問し、この後、鋭意その作業を進めております。これにより今後おおむね十年間に国民所得を倍増し、もって雇用を改善し、国民経済と国民生活の均衡ある発展をはかっていきたいと考えております。
もとより日本経済の発展は、国民全体の創意と努力に負うところが大きいのでありますが、政府の使命もまたきわめて重要であることを痛感するのであります。つきましては、今後とも一そうの御協力をお願いしたいと思うのであります。
なお、今国会には、特に東南アジア等との経済協力を促進するため、海外経済協力基金の設置を目的とする法案を提出する予定にいたしておりますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/13
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014・栗山良夫
○栗山良夫君 施政方針の資料というようなことはおかしいかもしれませんが、ただいま御説明をいただきました中に、新しい経済計画を経済審議会に諮問をしているということが述べられておりますが、実はいろいろな調査をし、自由化の問題を扱うにしましても、この結論がないというと非常に不便するわけです、政府の計画は一体どうなるのかわかりませんから。しかし臨時国会のときのお話では、大よそその、結論が出る時期というのは、われわれも承知をしております。承知をしておりますが、しかしなるべく早く、細部の点はようございますが、おもなるものの、骨格だけを示していただけないか。それは結論と大きく食い違うようなことがないと思いますから。若干の食い違いが、結論が出たときに出ましても、われわれ別に責任をどうというものじゃありませんから、骨格だけ大至急一ぺん委員会に示していただけないものか、これは私意見を述べてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/14
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015・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 今の国民所得倍増の長期経済計画につきましては、基本構想というものは自民党で策定しておるのでありまして、その策定につきましては、経済企画庁が協力してやっておりますので、政府といたしましては、一応その自民党の策定した基本構想を、それを一応の標準として、目標としてそれで長期経済計画を立てようということで、経済審議会にかけておりますが、経済審議会におきましては、その基本問題、まあたとえば経済成長率の問題がある。それはやはり議論になっておるのでありまして、われわれの方で一応かりに立てておる七・二%という経洗成長率がいいか悪いかということで、今いろいろ議論しておる最中なんであります。まあそういうただいまのところは経過なのであります。その成長率がきまらなければ、大体今具体的な政策が立てられないというのが、ただいまの状況でありますが、その基本構想がもしも必要であれば、皆さんにお配りしても差しつかえない、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/15
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016・栗山良夫
○栗山良夫君 基本構想というのは、自民党で作られておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/16
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017・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 自民党です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/17
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018・栗山良夫
○栗山良夫君 それでは意味がないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/18
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019・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) その基本構想とそれから政府——私どもの方の定めました基本構想と大体同じようなものです、内容が。でありますから、それで一応自民党の立てた基本構想、それを標準として今後経済審議会に諮ろうじゃないかということで、経済審議会に諮っておるような次第でありますので、もし、それが、経済、審議会に諮っておる、その基本構想が御入用であればお配りしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/19
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020・栗山良夫
○栗山良夫君 それでけっこうです。ただ先はど池田通産大臣も施政演説の中で、一番重要なエネルギーの問題に触れておる、石炭政策その他で、重油のことまで。しかしこれをこの通常国会でいろいろわれわれが調査をし、国政に参画すると申しましても、政府の考えておる基本のそういう骨格がなければ、これはやりようがありません、実際問題として。貿易自由化の問題でもだんだん掘り下げていけば、ここに突き当たってくる。これは臨時国会のときに私ども相当くどいくらい申し上げたことです。ですから今の話であると、四月か五月になってしまうのです。ですから政策を抽象的に述べられたということになってしまうわけですから、何としても、これは早く骨格でもいいのですから、おもなるものの骨格だけは示していただきたい。こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/20
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021・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、科学技術庁について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/21
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022・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 科学技術振興のための昭和三十五年度における基本的施策について申し上げます。
科学技術は、その影響するところ大きく、一国の政治、経済、外交、文化等国政の各分野において、きわめて重要な役割を演じているところでありますが、最近におけるめざましい技術革新の進展に伴い、この傾向はますます強化されつつあります。近時諸外国におきましても、科学技術の重要性に対する深い認識に基づき、国情に即して種々方式は異りますが、いずれも科学技術振興のため国をあげての努力を傾注している実情であります。このような情勢にかんがみまして、政府といたしましては、つとにその重要性を認識いたし、科学技術振興策を最重要施策の一つとして取り上げ、その振興に意を尽して参ったところでありますが、来たる昭和三十五年度におきましては、施策の重点化に力点を置きまして、特に科学技術会議の答申を尊重しつつ強力に科学技術振興政策を推し進める所存であります。
この構想に基づき科学技術庁が新年度においてその推進をはかりたいと考えている施策の大要は次の通りであります、
まず、長期的かつ総合的な計画の樹立であります。科学技術の振興のためには、長期的かつ総合的視野の上に立った一貫性と継続性のある基本方策を確立する必要のあることはいうまでもないところであり、特に本年は所得倍増をはかる長期経済計画が策定されることになっておりますので、この長期経済計画推進の根幹となるべき、長期科学技術振興計画の樹立は本年の急務であると考えられます。かかる観点のもとに政府といたしましては、近く予定されております「十年後を目標とする科学技術振興の基本方策について」の科学技術会議の答申の線に即して科学技術振興の確固不動の体制を確立し、もって一九六〇年をしてわが国が科学技術の分野においても先進請国に追い付き追い越す「黄金の年代」へスタートする年たらしめるべく努力する所存であります。
次に、来年度において実施に移したい施策は、昨年末に行なわれました科学技術会議答申「昭和三十五年度における科学技術振興の重点方策について」に盛られた諸事項であります。御承知のとおり科学技術会議の答申は、1、基礎的科学技術の振興、2、科学技術者の養成と処遇改善、3、民間における科学技術活動の育成、4、特別指定研究等の推進の四項目からなっておりますが、まず第一の基礎的科学技術振興のためには、大学の教育及び研究機能の充実と国、公立研究機関の充実強化をはかることが基本と思われますので、国立大学における教官研究費の水準の引上げ、科学研究費の増額、国立大学施設設備改善のための助成の強化を行なう予定でありまして、これは必ずしも十分とはいいがたいのでありますが、将来引き続き努力を傾けるつもりであります。
また、各省庁関係研究機関の整備充実につきましても前年度より更に強力にこれを推し進めることになっております。
次に、第二の科学技術者の養成と処遇改善でありますが、まず、科学技術振興の基盤となる科学技術者の養成につきまして、先般来実施中の理工系学生八千人増員三カ年計画の最終年次として来年度は国、公私立を通じ約千六百人の増員が可能となる見通しでありますし、さらに人材養成の十カ年計画を準備中であります。研究公務員の処遇につきましても、人事院勧告の線に沿いまして、研究職については一般を上回る改善が予定され、そのため必要な予算その他の措置が取り進められております、なお、研究職手当の支給、大学教官の給与改善等につきまして、今後引き続き尽力いたす所存であります。
第三の民間における科学技術活動の育成につきましては、まず民間における研究促進のための税制上の措置として、研究設備等の減価償却の取り扱いの改善、研究施設、研究費に対する寄付金の損金算入、科学技術関係賞金に対する非課税措置、共同研究施設の特別償却措置等が具体的に考慮されることになっておりますので、その実施を早急にはかりたい所存であります。また理化学研究所の移転・拡充、日本科学技術情報センターの整備を初め、全日本科学技術振興財団、地方発明センターへの補助等について、その必要とする予算が計上されることになりましたので、その効率的な運用によって民間科学技術活動が一段と活發に進められるよう努力いたしたいと存じます。
第四に、特別指定研究等の推進につきましては、台風防災科学技術、宇宙科学技術、基礎電子工学、核融合、海洋科学技術及び対ガン科学技術の六部門を特別研究として指定し、その研究の総合的推進を行なう所存であり、その円滑完全な遂行を期するため、これらの特別研究促進と相互間の調整をはかる経費として一億円の予算を計上している次第であります。特に最近発展の目ざましい宇宙科学技術につきましては、その重要性にかんがみ、政府といたしましては、宇宿開発審議会を総理府に設置し、この審議会において宇宙利用及び宇宙科学技術に関する垂要事項を調査審議いたしますとともに、科学技術庁設置法に所要の改正を加え、宇宙科学技術に関する事務を効率的に処理するようにいたしたく関係法案を今国会に提出いたし御審議を願う予定になっております。
なお、台風科学技術と関連いたしまして、臨時台風科学対策委員会における調査、審議状況を御報告いたしますと、同委員会は先年十月設置後鋭意台風科学対策の検討を続けて参りましたが、特に昨年末には伊勢湾台風調査団を派遣し、その調査結果に基づき、中間報告書を提出いたしております。同委員会は引き続き調査審議を継続中でございまして、三月末迄に結論を出すよう努力いたしておる次第であります。
次に、原子力平和利用関係についてでありますが、昨年は長い間の懸案でありました、日本原子力発電会社の実用規模発電炉の設置も許可され、原子燃料公社のウラン精製試験工場が完成する等幾つかの大きな進展が見られたところでありますが、昭和三十五年度におきましては、さらに一層の進歩を目ざし、原子力平和利用の成果の拡大をはかるべく次のごとき措置を講じて参りたい所存であります。
まず、内外における原子力開発研究の進展に伴い、わが国の長期原子力基本計画につきましてその再検討を行ない、原子力平和利用の確固たる体制の確立をはかりますとともに、従来に引き続き、核融合、原子力船の研究、アイソトープの利用促進等に力を注ぐ予定であります。
また原子力研究所の原子炉等につきましては、昭和三十二年八月末から運転しております。RR—一号炉は、原子炉物理、核物理の実験、各種の照射実験、アイソトープの製造等研究所内外の研究に広く共同利用され、この種の原子炉としては、世界的な成果をおさめているところであり、建設中のJRR—二号炉も本年三月末に工事を完了する予定であります。またJRR—三号炉(国産一号炉)については、敷地の整備、建家の建設、炉の製造等が着々と進行しており、来年度末には運転開始の予定であります。
さらにJPDR(濃縮ウラン沸騰水型動力試験炉)をゼネラルエレクトリック社から購入することも内定しており、目下その契約内容につきまして同社と交渉中でありますし、新しいアイデアとして世界各国から注目を浴びております平均質型原子炉につきましても、本年は臨界実験装置を設置し、その研究開発を鋭意推進する所存であります。またこれら原子炉等に使用される原子燃料に関しましても人形峠及びその周辺地区に重点を置いて探鉱を実施することになっておりまして、今後の探鉱の進展により鉱量は一段と増加するものと期待されております。ウラン製錬につきましては、原子燃料公社東海製錬所に建設したわが国独自の湿式法精製錬パイロットプラントにおいて試験研究を進めているところであり、同製錬所は日本原子力研究所で建設中の国産一号炉用燃料を供給することになっております。
なお、同公社は国内ウラン鉱製錬を目標として、東海製錬所内に粗製錬パイロットプラントを建設し、すでに人形峠産ウラン鉱よりウラン精鉱の制造に成功していることでもありまして、近い将来国内ウラン鉱の一貫製錬も可能となる見通しであります。
さらに今後の原子力開発の進展を考えますと、原子力による万一の災害に備えて早急に原子力災害補償制度の確立をはかるほか、従来の都市計画との異質性を考慮に入れた原子力施設地帯整備計画を樹立することが必要と思われますので、関係各方面の意見を十分取り入れて必要な法的措置を論じるよう目下準備中であります。
最後に、国際間における科学技術交流が近年ますます活溌化し、重要性を帯びつつある情勢に対応いたしまして、わが国におきましても、国連及び世界各国との国際協力を重要視し、協力関係を強化していく考えでありますが、具体的には日本科学技術情報センター、科学技術アタッシェの強化拡充をはかり海外科学技術調査団、海外留学生等を派遣するとともに、本年は日豪科学技術の交流の実現につきましても、その具体化を促進すべく、その必要経費を予算案に計上している次第であります。
以上新年度の重要施策として、当面考慮いたしております科学技術振興方策の大綱を申し述べたのでありますが、私といたしましては、これらの方策を中心として、科学技術振興に全力を傾注する覚悟でございますので、旧会議員各位を初め関係各位の切なる御協力をお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/22
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023・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、公正取引委員会の業務概況について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/23
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024・佐藤基
○政府委員(佐藤基君) まず、昭和三十四年における公正取引委員会の業務の概略を御説明いたします。
昭和三十四年中の業務の詳細は、お手元にお届けいたしました資料に記載してありますが、そのうち特に注目すべき点を申し上げることといたします。まず、不況に対処する企業の共同行為でありますが、独占禁止法の規定による許可を受けたものは硬質塩化ビニル管、セルロイド新製生地、イースト、麻糸の四業種でありまして、硬質塩化ビニル管を除き、構造的不況雇業というべきものであります。従いまして、全般的な好況の情勢にもかかわらす、前年から継続して行なわれているのであります。特に硬質塩化ビニル管とセルロイド新製生地は、価格制限も認めております。なお、このほか石炭につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法による減産指示の協議を通産大臣から受けまして、これに応じました。また、硫安につきましては、通産省の行政指導により、減産指示と公開販売制が実施されております。
このほか、前年まで多数実施されました勧告操短は、景気上昇に伴い三十三年中におおむね廃止され、三十四年中に残っているものは繊維のみであります。なお、繊維につきましては、繊維工業設備臨時措置法に基づき、絹人絹織機、綿スフ織機、粘紡機の設備処理が、また生糸製造設備臨時措置法に基づき、器械製糸設備の処理が行たわれました。
また、鉄鋼業につきまして、五月から好況対策として公開販売制がとられております。
これら主務官庁による行政措置については、その必要性、関連産業、一般消費者に与える影響等を調査検討いたしまして、必要がある場合には、主務官庁に要望、警告等を発して運営の適正に資することといたしております。
次に、企業の合併、営業譲り受け等は、合併が三百九十二件、営業譲り受け等が百二十七件で、従来の推移を見ますと、合併は百三十二年度の三百九十八件をピークとして横ばい傾向にあります。営業譲り受け等は、三十一年度の二百九件をピークにやや減少傾向にあります。
合併につきまして業種別に見ますと、卸、小売業が各業種のうちで最も多いことは従来と変りませんが、前年に対しては、減少しております。製造業中、紡績、同製品が五十一件となって前年までの倍以上に増加しているのがきわ立っております。
次に中小企業団体法に基づく調整規程は、三十四年中に三十六件増加し、また新たに員外者規制命令の発動されたものは六件でありまして、累計でそれぞれ九十三件、二十六件となっております。これを業種別に見ますと、最も多いのが製造業中繊維及び同製品で、調整規程は九件、命令発動は二件で、累計はそれ、それ三十三件、十一件であります。なお機械及び同付属品は、調整規程四件、命令発動二件でありますが、累計して見ますと、それぞれ十二件、五件となり、累計数では繊維及び同製品に次いで多い業種であります。このほか卸、小売業及び金融業に本年新たに調整規程かそれぞれ三件及び一件行なわれております。
企業合理化のための共同行為につきましては、三十四年におきましてはマーガリン、ショートニングの生産品種制限が新たに認められましたほか、前年来引き続き実施のために期間延長の認可を行なったものといたしまして、一、綿とビスコース・スフの混紡糸の止産品種制限、二、ベアリングの生産品種制限、三、鉄くず購入制限、四、純スパン・レーヨン糸の生産品種制限の四件があります。さらに、特別法に基づくものといたしまして、機械工業振興臨時措置法に基づく。プレス製造専業の生産品種制限があります。
次に、下請代金支払遅延等防止法の施行につきましては六百五十四の親工場を調査し、うち百五十四工場に対して精密検査を行ない、百三工場に対して支払い改善を促す勧告等の措置をとりました。これらを見ますと、好況の影響もあり、下請代金の支払い状況は、総体として若干の改善を見ております。
このほか、ガットにおきまして国際的制限取引慣行に関する専門家会議が開かれ、中村清委員が専門家として出席して討議に参加いたしました。
以上が、昭和三十四年中における業務の概略であります。
次に、三十五年度の予算でありますが、今国会の御審議をお願いいたします当委員会関係予算は、総額一億二千百七十九万三千円でありまして、昭和三十四年度の一億二千二百六十八万九千円よりも八十九万六千円の減となっております。しかし昭和三十四年度予算中には、独禁法改正に伴う経費が含まれておりますので、これを修正しますと、実質的には二百六十一万八千円の増加であります。
同予算のうち、注目すべき点は、国際取引課の新設が認められていることであります。
今後の独禁法の運用に当たりましては、従来にも増して多事のことと予想されるのでありますが、各位の御支援を得て重責を果したい所存であります。
以上簡単ながら、ごあいさつといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/24
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025・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 続いて予算について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/25
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026・斎藤正年
○政府委員(斎藤正年君) 昭和三十五年度一般会計予算要求重要事項表という横に長い表をお配りいたしております。通産省の予算の全体の規模でございますが、一番最後のページをごらんいただきますと、合計が出ておりますが、本年度の予算額が百二十九億六千三百万円、来年度の予算の要求額は百七十、五億六千四百万、結局四十六億の増加でございます。なお本年度には、織機の買い上げの経費といたしまして七億円が計上されておりますが、これが完了いたしまして、当然減になりますので、この分も加えて考えますと、五十三億と、実質的には本年度予算の四割程度の増加になるわけでございます。
内容につきまして、簡単に御説明いたします。
第一が貿易振興経済協力費でございますが、最初の貿易振興会の助成費でございます。総額で十三億六千万円、本年度に比べまして二億七千万円を増加いたしておりますが、そのうち新規の事業といたしましては、来年度モスクワにおきまして見本市を開催いたしたいということでございます。予算といたしましては、来年度の予算として約二億円程度を予定し、さらに本年度の予算の中から五千万円程度を支出いたしまして、総事業費といたしまして三億強くらいの事業費になる予定でございます。もう一つは、本年が日米通商条約ができましてから百年になりますので、百年の記念として米国で巡回見本市を開きたいということでございます。費用といたしましては一億円でございます。それからもう一つは、従来貿易振興会が海外につきまして、相当各種の情報の収集とか、調査とかいたしております分が、十分国内の中小企業者に徹底いたしておりませんので、この徹底をはかりますために貿易相談所を設置したいということで、来年度その計画を予定いたしております。
次に雑貨センターでございますか、これは本年度からスタートいたしまして、雑貨の輸出につきまして、テザインの保全及び改良をはかりますことと、それから検査業務を行なうこと並びに雑貨関係の業界の組織、あるいは技術方面の指導をいたすことを目的としておる団体でございますが、本年度五千二百万円の補助に対しまして、来年度一億一千万円、約倍額のものを計上いたしております。補助のおもなる内容は、この備考の3にございますように、共同検査場及び共同保管場の設置の補助でございます。それが本年度に比べまして相当増加いたしております。
それからもう一つ、来年度の新しい事業といたしましては、国際見本市、会場は東京都の晴海にございますが、そごに常設の展示場を設置したいということで、その補助金が新たに計上されております。
それから次に二ページの5でございますが、巡航見本市開催費補助金というのがございます。これは過去二回いたしました。一回は東南アジア方面、それから一回は一昨年から昨年にかけまして、中南米を日本船で回って歩いた。大体一年置きにやる計画でございますので、来年度は、また第三回目の巡航見本市を開催したいということで、その改装費その他として国庫補助が一億二千七百万円計上されております。
それから、その次のアジア経済研究所でございますが、これも昨年財団法人として設立されました団体でございまして、主としてアジアにつきまして基礎的な経済の調査研究をやるということでございまして、東畑博士を所長として、来年度はこの基礎を強固にし、研究調査を充実いたしますために、新たに政府から一億円の出費をいたしまして、特殊法人に改組するということといたしたい。なお補助金も、本年度に比べまして五割増し程度を計上しております。あと貿易振興、経済協力関係、いろいろ項目はございますが省略いたしまして、次に四ページでございますが、中小企業対策費でございます。
中小企業対策費は、そこにございますように、形式としては一億八千万円増の二十四億でございますが、先ほど御説明いたしましたように、本年度予算には七億円の織機の買い上げ代金が入っておりますので、それを差し引いて考えますと、八億八千万円、相当大幅な増加になっております。
その(1)は、設備近代化でございまして、これは本年度十億の補助金でございましたのを、本年度さらに三億増加いたしまして十三億にしたい。その費目は、中小企業の設備近代化につきまして、一つの有力な施設でございますが、本年度が十億、それから昨年度が六億というふうに、ここ三年ばかり急速に増加いたしております。従来この設備近代化の補助につきましては、機械代金の三分の一を国と地方と折半で補助する、すなわち国庫の補助率は六分の一でございましたのを、特に来年度は、代金の二分の一を限度として国と地方庁で半々、すなわち国の補助率を四分の一に引き上げるということでございます。
それから(3)の鉱工業汚水処理施設設置補助というのがございます。これは五千万円で異同がございません。汚水処理施設につきましては、この前の通常国会で工場排水法、水質保全法等が決定されたわけでございますが、それに対して必要な除害施設を補助する必要があるということで、その補助金が計上されておるわけでございますが、本年度は共同施設についてだけ補助するということになっておりましたのを、来年度は、さらに個別の施設につきましても、設備の種類によりまして、特に近代化に役立つようなものは補助をするということになったわけでございますが、ただ、まだ水質保全法につきましては、現在五河川が調査河川として指定されまして、まだ水質の調査をやっておる段階でございますので、補助額は増額いたしておりません。
その次は、小規模事業対策費でございますが、これは、先ほど大臣からも御説明をいたしました商工会等の運営に必要な経費でございまして、特に小規模企業に対しまして、その指導なり、助成なりの仕事を推進いたしますために、この指導員、ここには経営改善普及員という名前で言っておりますが、要するに指導員を従来に比べまして大幅に増加して、そして従来は、大体商工会議所に依頼いたしておりましたのを、さらに商工会議所のない町村にまで全部普及したいということで、予算額も画期的にふやしまして、本年六千二百万円を四億強まで増加いたしたわけでございます。
それから4番目の中小鉱山新鉱床探査費補助でございます。これも本年度の倍額以上の一億円計上になりました。これは従来、大体、五千万円程度の補助でございましたが、今後中小鉱山の育成対策をさらに強化する必要がある。特に将来貿易の自由化ということになりますと、資源的に非常に不利な立場にある国内の鉱山の助成を強化していかなければならぬというような考え方で、大幅に増額をいたしたわけでございます。
それから次の5番目の煙火類災害防止施設費補助というので、あらたに三千万円計上しております。これは昨年、花火工場の災害が非常に頻発いたしまして、しかもそれは、工場内部だけでなしに、外部に対しましても、非常にいろいろ被害を及ぼしておりますので、この煙火工場の特に危険な施設につきまして、バリケードの設置をさせようというので、そのための補助金を計上いたしたわけでございます。国が四分の一、府県も同額の四分の一で、二分の一の補助をいたしたいという予定で、大体、来年度一ぱいで完了をする予定でございます。あといろいろ中小企業対策についてでございますが、説明は省略いたします。
第三番目は鉱工業技術振興費、六ページ以下でございます。試験研究所の研究費は、本年度に比べまして二割程度増加いたしまして、十五億余計上いたしております。内容につきましては、大体、本年度の研究項目等と大した異同はございませんが、ただ来年度は、特に、従来研究内容の充実に非常に力を入れて参りましたが、その方面が、やや体裁が整って参りましたので、今後、主として施設の改善に力を入れたいということで、設備の近代化とか、建物、土地購入費とかというようなものに、かなり力を入れていく考え方でございます。
それから次の七ページの3、自動車高速試験場建設費補助一千万円というのがございますが、これは日本の乗用車が、最近外国に輸出されるようになりまして、従来の車に比べまして、はるかに高速を要求されるようになりましたが、高速試験場というのが、現在の日本にございませんので、今度業界が、共同で試験場を設置したいということになりまして、この補助金一千万円を計上しております。他は、試験場の建設についての出資について、免税の扱いをすることによりましてやっていきたいと考えております。その扱いについて、なお現在、どういう扱いをするかということについて、研究中でございます。
それから四番目に特許行政改善費でございますが、これはこの前の通常国会で、特許関係の法律の改正を承認いただいたことがございますが、その際、特に特許行政の改善については、人員、経費ともに、大幅に増額すべきであるといういうようなお話でございました。来年度は人間が九十名増、それから予算も、ここにございますように一億二千二百万円増ということになっております。この特許行政費につきましては、これは、人件費を含んだ数字でございまして、従って事務費その他につきましては、この備考にございますように、備考の2に、審査審判事務処理、資料整備、公報発行費等ということで或っておりますが、本年度一億二千三百万円が一億九千七百万円に、相当大幅に増額になっております。それから建設省所管で、建物整備費二千八百万円が計上されております。
それから四番目の産業基盤強化費でございますが、工業用水道が本年度に比べまして四億二千万円増の十二億七千万円、従来の継続十一ヵ所のほかに、新規四ヵ所を着工ということで、引当大幅に増額をされております。ほかの項目につきましては説明を省略させていただきます。
それから最後に、石炭の特別対策でございますが、今度の国会に所要の法律改正もお願いする予定でございますが、予算面におきましても、非常に画期的な増加になりまして、総額二十八億六千八百万円が石炭対策費として通産省予算に計上されております。このほかに、労働関係の予算については、労働省その他、他の省に計上されております。
通産省に計上されております予算のうちで、第一番の非能率炭鉱整理費補助四億円、新規の費品でございます。これは、従来非能率炭鉱の買い上げにつきましては、鉱業権者が一般に、トン当たり二十円の納付金を納めますとか、それから、もう一つは開発銀行あるいは中小企業金融公庫の貸付金のうちで、これは従来一般の貸付金は、九分の金利をとってわりますが、そのうち二分五厘を、この炭鉱整備事業団に納付いたしました場合には免除することになっておりまして、結局六分五厘と九分との差額二分五厘を買い上げの財源に充てておったわけでございますが、来年度から開発銀行及び中小公庫の石炭関係融資は六分五厘に金利を引き下げることになったわけでございます。そういうことに内定しております。従って炭鉱整備事業団の買い上げ財源が、その分だけ大体約六億程度でございますが、減少いたしますので、それを補てんしますために、鉱業権の買い取り代金についてだけ補助しようということで、その補助額が四億円でございます。
次に石炭鉱業合理化事業団出資金という形になっておりますが、これは、先ほど大臣からも御説明申しあげました合理化のための特別貸付金でございますが、ただ、これは一般公計から直接貸付をいたしませんで、石炭鉱業整備事業団を改組いたしまして、石炭鉱業合理化事業団と、仮称でございますが、そういう名前に改めまして、この事業団を通して貸し付けるということにいたしまして、国庫からの出し方は、この事業団に対する出資という形で処理することと予定しております。その中で、中小炭鉱の機械化促進の部分が一億四千万、その他の部分か二十億でございまして、その二十億のうち、約一億四千万円は流通関係の施設の近代化に使う予定でございますので、結局縦坑その他坑内の坑道の合理化のための特別貸付金の分は、十八億六千万円となっております。
それから三番目に、石炭技術振興補助、五千七百万円が計上されております。これも新しい費目でございますが、従来石炭関係の研究につきましては、通産省所管の資源技術試験所で研究しておりますし、民間でも、若干補助金を別に出しておりますが、これは、石炭の技術振興財団というものを業者の共同出資で作りまして、ここにありますような水力採炭とか、あるいは水力輸送とかあるいは水圧鉄柱というふうな、非常に大規模の工業化試験をやるということになりまして、その分に対する補助金でございます。
その他は、大体従来の費目でございますので、説明を省略させていただきます。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/26
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027・山本利壽
○委員長(山本利壽君) それでは次に、通産省関係で財政投融資計画について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/27
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028・磯野太郎
○説明員(磯野太郎君) お手元にございますこういう長いのがございます。か、昭和三十五年度財政投融資計画総括表というのがあるはずでございます。簡単に御説明いたします。
この表でございますが、一番左の方に各機関の名称が記載されております。それからその次に、御参考までに三十四年度の計画を入れております。それから一番右の方に、三十五年度の予算案の数字を入れております。
それで、総数について申し上げますと、一番最後の欄かち二段目をごらんいただきますと、合計の欄がございますが、合計の欄は、右の方の三十五年度予算案の数字をごらんいただきますと、総額千六百十二億円でございます。これに対しまして、三十四年度の計画は千五百四十七億円でございますから——なおちょっと言い忘れましたけれども、カツコ内にございます数字は、これは備考に書いてございますように、去年の十一月の補正予算によって改定した数字でございますので、これから申し上げますのは、すべて当初予算との比較で申し上げたいと思います。三十四年度千五百四十七億円でございますので、差し引き六十五億円、比率にいたしまして約四・二%がふえております。そういうような格好に相なっております。
次に内容につきまして申し上げますと、これはよく御承知でございますが、私どもといたしましては、大体通産省関係の財政投融資の基本的な考え方につきまして、来年度四つばかりの柱を考えております。第一点といたしましては、大きく申しまして、経済基盤の強化というふうな柱でございますが、これは大体開銀、電発等が、この柱に該当するのではないかと考えております。第二番目といたしまして、輸出の振興と海外経済協力の推進でございますが、ここに記載されております分につきましては、日本輸出入銀行の関係、それから開発銀行の関係が、これに該当いたします。なおこのほかに、いわゆる経済協力基金の問題がございますが、これも、この柱に当たるものだと考えております。それから三番目といたしまして、中小企業金融の円滑化ということを考えておりますが、これは、ここにございます中小企業金融公庫あるいは商工中金、中小企業信用保険公庫、この三つが、中小金融の円滑化ということに相なっております。四番目といたしまして、あとにございます開発銀行のところで御説明いたしますけれども、来年度から新たに地域開発の推進というふうなことを考えておりまして、この点で、開発銀行の中に新しく地方開発に対する相当額の予算を計上いたしたいというふうに考えている次第でございます。
次に、おのおのの機関につきまして、簡単に御説明いたしますと、まず、第一の日本開発銀行でございますが、これは三十四年度計画、これは合計の欄でずうっとごらんいただくとけっこうだと存じますか、六百八十億円に対しまして、明年度は六百六十億円というふうに、約三十億円ばかり下回っております。これは結果的に申し上げますと、来年度の開発銀行の中身といたしまして、電力と海運の関係が、相当削減に相なっておりますので、それで、こういうふうな二十億減というような格好になっているわけであります。
第三番目の、中小企業金融公庫でございますが、これは、本年度当初の運用規模六百四一五億円に対しまして、七十億円増の七百十五億というふうな運用規模になっております。この七十億円の増は、大体三十五年度の鉱工業生産の伸張率の見通し一一・八%に対しまして、それに相当する約一一%の増を見込んでいる数字でございます。
その次に、商工組合中央金庫でございますが、これは、最後の合計の欄、これは貸出純増の数字でございますが、本年度の百五十億の純増に対しまして、相当ふえまして、百億ふえました二百五十億の貸出純増に相なっております。
次に、中小企業信用保険公庫でございますが、これは、本年度の十億に対しまして、明年度は十八億の増に相なっております。これは御承知のように府県の信用保証協会に対する保証貸付額の増加でございますが、この基金は、明年度十八億入りますと、累計六十八億円になる予定でございます。なお、このほかに先ほど大臣も申し上げましたように、明年度につきましては、地方公共団体等から約十億円程度の基金の増を期待いたしている次第でございます。
次に、日本輸出入銀行でございますが、本年度当初の運用規模八百億に対しまして、八十億下回りました七百二十億というふうな数字になっております。これは約一割下回っております。それから本年度の輸銀の貸付の実績を勘案いたしますと、大体この程度で、一応差しつかえないというふうに考えている次第でございます。なお、これで不足がございますれば、必要によって、資金運用部等から弾力的に資金を取るというふうなことを考えております。
次に、電源開発でございますが、これは本年度四百九十億の資金触に対しまして、明年度は四百六十五億の資金量でございますが、資材の値下がりその他もございまして、大体、工事計画としては、本年度と同様ということに相なっております。
次に、石油資源開発でございますが、これは、本年度の二十九億の運用に対しまして、明年度は二十七億四千万円の運用に相なっております。なお、このほかに、まん中辺に公募債借入金五億円というのがございますが、これは、明年度につきまして、初めてこの石油資源開発の、実際に採掘をいたします開発資金といたしまして、政府の保証によりまして、公募債の借り入れが認められたわけでございます。
なお、一番最後の欄にございます日本航空機製造株式会社につきましては、これは御承知のように、中型輸送機の中産化をやる会社でございますけれども、これはMSA資金、経済援助資金特別会計から出ることになっておりますので、特別の扱いをいたしておりますが、本年度五億六千万円の運用に対しまして、明年度は十三億五千万円というふうなことになっております。
それからその次に、次のページをおめくりいただきまして、日本開発銀行の融資計画が、そこに御参考までに書いてございますが、三十四年度計画と三十五年度予算額をごらん願いますと、電力につきましては、本年度の二百五十億に対しまして、明年度は二百五億と相なっております。この電力につきましては、御承知のように明年度内部留保の上昇、あるいは社債等によりまして電源開発工事を遂行するわけてございますが、なおこれにつきましては、開発銀行がニューヨーク市場の状況によりまして、三千万ドルの外債を発行し得る道を予算総則をもちまして開いておる次第でございます。海運につきましては、本年度百八十億に対して百四十五億でございますが、これは十六次造船十七万五千トンの予算を計上いたしておる次第でございます。
その他につきましては、特段に申し上げることもございませんが、先ほど申し上げましたように、そこにいろいろの項目が並んでおりますが、一番最後に、地域開発というのがございます。これにつきましては、ここに数字が出ておりませんが、明年度七十億ばかりをこの地域開発の貸付にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
以上、簡単でございますが。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/28
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029・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、経済企画庁関係の予算について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/29
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030・塚本茂
○政府委員(塚本茂君) お手元に昭和三十五年度予算事項別内訳表というのが配布にたっていると思いますが、それをごらん願いたいと思います。
昭和三十五年度の経済企画庁として本国会に要求しておりまする金額は、四十六億三千七十三万六千円でございます。前年度の予算額が三十七億四千二百万円、比較いたしますと八億八千八百万円増ということになっております。経済企画庁のような事務官庁としては金額も大きいじゃないかという御疑念もあろうと思いますが、一枚目をちょとめくっていただきまして、ここにカッコ書きで離島振興対策事業費計という欄がございます。この欄は、離島振興事業費という項と、揮発油税財源離島道路事業費の二つの項の合計額を書いた数字でございますが、これは前年度二十五億四千二百万円に対して、新年度は三十二億九千八百万円、ここで七億一千六百万円増になっております。それからその上の欄をごらんいただきますと国土総合開発事業調整費、前年度六億五千万円、これに対して新年度七億七千万円ここで一億三千万円の増になっております。この二つを合わせますと、八億三千六百万円の増でございまして、これを差し引きますと、その上の小計という欄がございます。これをごらん願いますと、前年度が五億五千万、それに対して新年度は六億二百万、で、五千百万余の増、これが経済企画庁の予算でございます。と申しますのは、この国土総合開発事業調整費と離島振興対策事業費は、いずれも、これは、各省に移しかえをして、それを支出いたします。従って、経済企画庁としては、これを使わない、支出しないという建前でございますので、経済企画庁で支出する経費といたしましては、先ほど申し上げました五億五千万に対して六億二百万、こういうことでございます。
で、第一ページ目に戻っていただきますと、そういうわけでございまして、この経費は、項経済企画庁と二枚目の(項)土地調査費、二つの項がございますが、この経済企画庁の項では、現在、経済企画庁の定員化された職員というものは四百三十六名おるのでございますが、これに対して事務量の増で新たに定員を十六名要求いたしております。
その内訳はこの備考に書いてありますように、経済協力では五名、離島で三名、総合計画で、一名、電子計算機で三名、九州開発で二名、都合十六名の新規増員を要求しております。
それから、特に重要なものはございませんので、ほとんど前年同様の数字でございますので十番まで飛ばしていただきますが、十番の経済協力は経済協力基金関係の事務をやります関係で五十九万一千円増。
それから十一番の水質汚濁規制、これは前年度六河川と水俣水域の調査をやったのでありますが、新年度では新規に七河川と、昨年度やりました六河川のうちの四河川を継続します。それと水俣の水域を調査するということで、前年度の千八百万円に対して新年度は三千万円、これが千百万大幅に増額しております。
それから次に十二番、木材資源利用の合理化、これは補助金でございまして、従来数年間補助金を出してぎておるのでありますが、補助の率も上がったということで、来年からこの補助金をやめまして委託費に切りかえた次第でございます。
それから十三番は長期経済展望作業、これと所得倍増計画を作る経費でございます。ここで八十四万円ばかり増になっております。で、六番の経済審議会の六十六万九千円と、この長期展望作業なり所得倍増計画策定で、いろいろ課員の数も多くなり、また専門員その他がふえるということで経費がかさみますので、六十六万九千円を経済審議会の方でもふやしております。
それから二十番へ飛んでいただきましてこれは従来戦後経済史の記述篇という論文のようなものを出しておったのでありますが、明年度はさらに戦後の経済安定本部時代のなまのままの資料をそのまま印刷して出したい、かように考えてこの資料篇を一篇追加しております。
次に経済研究所の運営でございますが、電子計算機の購入費が二千五百万円落ちましたので非常に大きく減額になったようでございますが、これはそういう二千五百万落とした関係で二千五百三十万円減になっております。
それから二十五番の昭和三十五年国富調査は、昭和三十年に国富調査の本調査が行なわれたのでありますが、次は昭和四十年すなわち十年置きに国富調査が行なわれるということでございますが、この経済の進展の激しい際には十年そのままではなかなか数字がつかまりませんので、その途中で中間の簡易調査を行ないたい、こういう経偉でこれは初年度でございます。
それから三十三番、三十四番はいずれも地域開発の関係でございますが、九州、四国等に地域開発の実をあげたいということで経費を増額しております。
それから(項)土地調査費のところへ入りまして、ここでは地籍調査の計画よりもかなりおくれておりますので、これを促進するために千五百万円ばかり増額して要求しております。
以上簡単でございますが、経済企画庁の予算の概要を御説明申し上げました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/30
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031・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に科学技術庁関係の予算について説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/31
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032・原田久
○政府委員(原田久君) 科学技術庁の昭和三十五年度予算要求の概要につままして、お手元にお配りしてあります科学技術庁予算事項別総表というのに基きまして御説明させていただきます。
科学技術庁の予算の総額から申し上げますが、一番最後の表に百十三億八千万円と書いてございまして、前年度の百三億九千万円に比べまして九億八千万円ほど増額、増加率は、九・五%ということになっております。このほかに債務負担行為が四十一億九千万円ほどございまして、債務負担行為で申しますと八億三千万円ほど増額になっておる。これが全体の模様でございます。
その内容につきまして、一般の部と原子力の部とに分かれておりますので、二つに分けて御説明を申し上げます。
一般の部の1の科学技術振興基本方策策定及び調査その中に(1)と(2)がございまして、それぞれの項目が書いてございますが、これは科学技術政策を推進いたしますしのいろいろな角度から必要とする経費でございまして、大体前年度と同様でございます。若干の増減はございますが、特に説明は省略させていただきます。
二番目の科学技術振興の基盤体制整備、この内容といたしましては、科学技術庁所管の研究所、あるいは監督しておる、研究所関係になるわけでございますが、まず節一番に附属研究機関といたしまして、航空技術研究所でございますが、現金で十九億ほどございまして、前年度に比べまして三億二千万円ほど増額になっております。定員も六十人はど増員になっております。内容といたしましては諸種の施設を充実するということが主体になっております。(ロ)の金属材料技術研究所は六億五千万円で、人員は四十九名増員になっておりますが、内容は大体施設の充実、研究費の充実というような内容でございます。
次に(2)の理化学研究所の整備拡充でございますが、金額は五億二千万円で前年度の正価に比べまして二千万円の増になっております。その内訳は一般研究部門が三億九千万円、新技術開発部門として、ある程度完成しました研究を企業化の段階に持ち込めるような、一種の試験をするための経費を出す制度を持っておりますが、この部門で一億三千万円ほど使うことは前年度と同様でございます。人員も十六人ほど増加をしておりますが、内容的な大きな変更はございません。ただ三十五年度では、三十六年度におきまして研究所を移転するという内容の調査費がついておることでございます。金額はわずかなものでございますが三十六年度には、現在の仮屋に入っておる、また老朽化しておる理化学研究所を新しい土地に移して新設する、という内容を若干含んでおるという点に変わった点がございます。
次に三番目の(4)の日本科学技術情報センターでございますが、これも科学技術庁発足以来皆様方の御支援をいただきまして逐次仕事を拡大しておりますが、来年は二千五百万円ほど増額に代りまして、一億一千三百万円の予算に上ったわけでございます。人員は二十八人ほど増員が認められております。新しい仕事といたしましては、従来原子力関係の情報につきましてはここで扱っておりませんでしたけれども、三十五年度からは原子力関係の情報についてもここで扱うということになった点が特徴でございます。それから(ロ)の地方発明センター設置でございますが、これは今回二ヵ所広島と京都に設置が認められておりまして、その地方の発明者の共同の研究の場所だとか、技術の相談の場所だとか、発明品の展示場といったようなものを設けようというので、半額補助の補助金といたしまして二千八百万円ほど新たにつけた点が特徴でございます。それから(4)の全日本科学技術振興財団の助成、これも新規でございまして七千万円でございます。これは科学技術の振興のためには、一般国民に対しまする科学技術の普及啓蒙、といったようなことが非常に必要でございまして、こういった点につきまして政府機関でやりますとどうしても十分行なえませんので、かねてから民間の発心によってこういった事業が行なわれることを期待しておりましたところが、一昨年来こういう話が進みまして、昨年の暮から急に具体化になり近く発足することになっておる、全日本科学孜術振興財団に七千万円ほど拠金を出すという予算でございます。
次に大きな三番目の重要研究分野の開拓と振興でございまして、そのうち宇宙科学技術が今回新たについたわけでございまして、三千八百万円ほどでございます。その内容は備考に書いてございますが、設置する予定になっておりまする宇宙科学技術審議会の経費、宇宙科学技術の海外調査団の経費、調査費、それから委託研究費等が内容になっております。それから三番目の特別研究の促進調整か一億円でございますが、これも新たにつきました。これは昨年の十二月に科学技術会議が答申をいたしまして、特に重要な研究につきましては六項目ほど、台風、防災あるいは宇宙、海洋等の研究テーマが指定されたわけでございますが、そういった研究の振興過程におきまして相互間の調整、あるいは新規な事項が発生したような場合に、それに付加する予算としてこの特別研究の経費一億円がついたのでございます。次の4の科学技術試験研究の助成は、前年度より減額になっておりますが、内容といたしましては備考に書いてありますような四つのテーマで、このうち水質汚濁、水温利用は前年度の継続、大気汚濁、実験動物は新規でございますが、こういった内容のものについて補助金を出す、あるいは委託費を出すというものでございます。
次のページへ参りまして民間科学技術活動の活発化、(1)は発明実施化試験の助成でございまして、二千五百万円ほどでございますが、これは若干の増額を見ております。それから技術士制度の育成強化、これも事務的な経費でございまして、技術試験の試験委員の経費でございます。若干の増額になっております。
それから、五番目の国際技術協力の強化でございますが、国際会議等の出席五百七十二万円ほどでございますが、これも若干増額になっております。それから日豪科学技術の交流、これは新規でございまして百二十一万円ほどでございますが、昨年来オーストラリアと日本との間で技術の交流を促進するという話が進みまして、オーストラリア政府は日本の科学者に奨学金を出して招聘する、日本政府もこれにこたえて日本へ招聘するということで話が進んで参りまして、この予算がつくことになった次第でございます。それから海外科学技術調査団派遣、これも新規でございまして、三百七十五万円ほどでありますが、これは主として台風、防災関係の専門家を調査団として海外に派遣して台風科学などの連絡、調整、調査というようなことに当たらせたいという内容でございます。
その他は若干事務的になりますので説明を省略させていただきます。
次に原子力の部でございますが、1の(1)日本原子力研究所でございますが、金額は四十四億円で前年度と同額になっております。債務負担行為が若干増額になっておりますが、説明を省略させていただきます。(2)国立機関の試験研究促進、原子力関係の予算は科学技術庁か一括計上して、関係各省に配分することになっているのでございますが、五億一千万円ほどで前年度より三千七百万円ほど減っておりますが、内容的には原子力センターとか核融合等の問題がこの中に入っております。(3)は民間試験研究の助成三億二千万円で、これも六千万円ほど減額になっております。これは前年度より見かけ上減額になっておりますが、三十四年度の内容に債務負担分引減額分一億円ほどが入っておりますので、実質的には増額になっているわけであります。
次に核燃料開発の促進の(1)の原子燃料公社が、一億円増の十二億三千万円となっておりまして、人員増六十六名が含まれております。(2)の核原料物質の探鉱奨励、これは千四百万円ほどでありまして前年度より五百万円ほど減額になっております。これは実績が少ないということの反映としての減額でございます。
それから三番目の放射線障害防止措置の強化。放射線医学総合研究所の経費でございますが、六十二人ほど人口が増員されております。次に放射線側定調査費、それから放射性廃棄物処理事業の助成等若干減額になっておりますが、説明を省略させていただきます。
それから核燃料物質等の購入でございますが、二億六千七百万円で一億七千万円ほど増額になっております。これはCP5型の炉の詰めかえ分だとか、あるいは新設の民間の炉の燃料増加分等か内容になっております。
五番目の原子力平和利用国際協力の強化等以下は大体特に目新しいものはございませんので、説明を省略させていただきます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/32
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033・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 以上をもって予算関係の説明は終わりました。これに対する質疑はすでにお諮りいたしましたように次回に譲りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/33
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034・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。
先般、石炭鉱業、原子力関係施設、伊勢湾台風による中小企業災害対策実施状況及び臨海工業地帯並びに火薬工場等について実地調査を行なうため、三班の委員派遣を行ないましたので、これより各班の御報告をお願いいたします。
ます、九州班よりお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/34
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035・阿具根登
○阿具根登君 九州班について御報作申し上げます。
九州班の派遣委員は、大竹、井川両委員と私の三名で、吉川、川上両委員が現地参加として行動をともにされました。
一月二十一日の朝、福岡市に集合し、三日間にわたり五炭問題の調査を中心に、北九州における産業事情について順次説明聴取、懇談、現地視察、記者会見等を行なって参りました。
訪問先、視察先は、福岡通商産業局、石炭鉱業整備事業団九州支部、九州鉱害復旧事業団、福岡県知事、整備事業団の買い上げた高陽炭鉱、員島大之浦炭鉱、遠賀川沿岸の鉱実地、八幡製鉄所、若松港、門司市等でございます。この間、大手、中小石炭業界、鉱業関係市町村、炭鉱関係労働組合とそれぞれ懇談会を行ない、また、筑豊炭田の各地で鉱害関係の陳情を受けて参りました。
申すまでもなく、未曾有の深刻な石炭不況下にあって、九州の炭鉱地帯には問題が山積しておりす。われわれは、前後数回にわたる懇談会を通じて当事者の方々の要望、陳情、御意見等を承って参りました。この中には、当委員会として早急に取り上げねばならたいと思われる切実な声が幾多ございます。しかしながら、これを逐次御報告しますと大へん長くなりますので、詳細は別に報告書を用意してありますから、これをごらん願うこととし、ここではおもだった印象だけを述べて報告にかえたいと存じます。
まず、石炭産業の景気の指標といわれる貯炭の動きから、最近の九州地方の炭況を見ますると、業者貯炭は、昨年六月の二百六十万トンをピークとして、その後徐々に減り始め、年末には約半減しております。年度末には百万トンを割って、正常貯炭に戻るだろうといわれ、貯炭は予想以上に減少している模様でした。この原因としては、出炭制限が予期以上の効果を現わしたこと、また、一方において鉄鋼、セメント等、製造業の好況により、石炭需要が最近になってだいぶ伸びてきたこと等をあげておりました。こうして二年余にわたって膨大な貯炭の圧迫に悩まされてきた石炭鉱業も、需給面の数字の上からだけ見れば、一応今年度中に常態に戻るだろうとの説明で、やや意外の感があったのであります。しかしながら、貯炭の減少が直ちに炭価の回復、石炭鉱業の景気回復に結びつかないのがエネルギー革命下といわれる今回の石炭危機の特徴でありましょう。昨年の電力用炭価交渉のころより全くの買手市場となった石炭市場において、重油という強敵を控え、これからは貯炭が減ってきてもさらに炭価を下げていかなければならないという立場に置かれているのが、従来の石炭鉱業のあり方と大きく違う点であります。九州では年末に低品位炭の一部に品薄を生じたため、中小炭鉱の中にはやや強気に伝じた向きもないでもありませんが、石炭業界の大勢としては、ようやく昨年中の混迷から脱して、エネルギー革命の趨勢を受け入れ、再びかつてのようなボロもうけの時代はやってこないものと観念し、重油と対抗できるよう合理化を進めて炭価引き下げに努力しているのが最近の姿であると見受けられました。
次に、炭鉱離職者の問題でございます。昨年度一万人の離職者を出した九州の炭鉱では、今年度は二万人をこえる離職者を出すものと見られ、炭鉱地帯の失業者は激増しております。特に最近の特徴は、昨年度は大手筋からはほとんど離職者を出さなかったのか、今年度は大手からもすでに一万人を出しており、企業整備の本格化を物語っております。他に産業の乏しい炭鉱地帯では、失業者は再就職の機会もなく、住む家もなく、その悲惨な状態については黒い羽根運動等を通じすでに御了承の通りであります。たとえば田川市の例をとってみましても、失業対策費、生活保護費の市の予算全体に占める割合が四割をこえているという状況で、商店街も売り上げが激減し、町中が火の消えたようなありさまです。炭鉱離職者臨時措置法の制定は、地元市町村では歓迎しておりますが、実施面には問題が多く、まだまだ対策としては不十分であるといっております。特に緊急就労事業費の単価が八百五十円では効果の上がる事業が困難で、労働意欲を失わせるから、単価を引ぎ上げてほしいというのが、関係者の一致した要望でした。
次に、鉱害についてございます。臨鉱法に基づき九州鉱害復旧事業団が行なってきた復旧事業量はすでに七十億円をこえ、相当の実績を上げてはおりますが、築豊炭田の一帯ではまだ各所に鉱害地が取り残されており、現地では三十七年に失効する臨鉱法の延長を希望しておりました。
離職者問題、鉱害問題については、その他多くの要望がありましたか、これは報告書によってごらんいただきたいと存じます。
簡単でございますが、最後に、このたびの調査に御協力をいただきお世話になりました関係各位に厚くお礼を申し上げて、報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/35
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036・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、中部班の御報告をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/36
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037・近藤信一
○近藤信一君 中部班の概要について御報告申し上げます。
中部班は、片町委員と私が参加いたしまして、一月二十日から二十二百までの、三日間にわたって伊勢湾台風による災害の復旧状況、工場立地の問題を中心にして、名古屋、四日市地区の産業事情並びに火薬工場を視察して参りました。
視察個所を申し上げますと、中部電力の新名古屋火力発電所、高野精密工業本社工場、日本油脂の武豊火薬工場、東海製鉄の建設予定地、日本合成ゴムと、三菱油化の四日市工場等でありまして、その間、名古屋通産局において、台風被害の復旧状況と今後の工場立地対策等につき説明を聴取するとともに、東海製鉄の関係者から、その建設計画の説明を受けたのであります。これらの詳細は、別に会議録に報告書として掲載させていただきたいと思いますので、ここではその概略を申し上げて報告にかえさせていただきます。
まず、中部臨海工業地帯の台風被害と今後の立地対策について、名古屋通産局長より説明を聴取いたしましたが、産業の立ち直りが予想外に早かった原因として、景気上昇期にあったために、各産業の自立する環境に恵まれていたことと、資金、資材の手当が当を得、加うるに電力の復興等も早かったことをあげておりました。また、今後の工場立地対策としては、産業別にそれぞれの立地条件を定め、計画的、総合的に行なうことが必要だろうと申しておりました。
次に、若干の問題について述べてみたいと存じます。中部電力の新名古屋火力発車所では、第一号機十五万六千キロワット及び第二号機二十二万キロワットが運転を行なっており、今後第三号期、第四号機、各二十二万キロワット二基を増設する予定でありますが、昨年の台風のときには高潮をかぶってしまった経験から、現在建設中の機器類はもっと高く据え付けるようにするとのことであります。なお、今後大容量の火力発電設備の事故に備えるため、予備供給力を貯水式ダムによる水力に求めることが必要ではないかということがいろいろと論議されたことをつけ加えておきます。
高野精密工業は、時計類を生産する会社であり、台風に際しては約一メートルも浸水したのでありますが、幸い機械は水をかぶらなかったので、復旧も早く、現在高級腕時計に重点を置き生産しておりますが、将来はもっと輸出を伸ばしたいとのことであります。
東海製鉄についてでありますが、この製鉄所の建設予定地は、知多半島の横須賀地区に決定しており、そこの海面を埋め立てることにより建設しようとするものであります。漁業補償の問題も近く全面的に解決するとのことでありますので、埋め立てを始め、来年の秋にはまずコールド・ストリップ・ミルが完成する予定で、次いで高炉、製鋼等の設備を新設して、昭和四十年度には鋼塊年産百二十万トンの大製鉄所に発展させる構想であります。
次に、四日市工業地帯についてでありますが、ここの特色は、石油精製工業を中心として各種の化学工業が発達しており、石油精製工業、化学工業との間には原料の需給関係について密接な関連性を持っているのであります。三菱油化、日本合成ゴムの工場はその典型的なものと言えましょう。なお、合成ゴムの需要は多いため、日本合成ゴム会社の前途も明るいとのことで、当初の計画よりも早く黒字に転ずるであろうということでした。これら石油化学製品の国産化は、石油化学製品の輸入を防止し、外貨節約ともなり、経済効果を上げていると思われます。
今回視察いたしました名古屋、四日市を中心とする中部工業地帯は、将来ますます発展するものと思われますが、工場の立地にあたっては、伊勢湾台風による貴重な経験を生かして、防災対策を十分考慮することが必要であることを痛感いたしました。今後この地域の発展の契機となるものと考えられますことは製鉄所の建設であります。製鉄所が建設された暁には、もちろん関連産業もここに集まり、中部産業界は大きく飛躍するであろうと現地では期待をよせておりました。
日本油脂の武豊火薬工場は、たまたまわれわれが参りまする前、一月十四日に爆発事故が発生し、ダイナマイトの製造作業は中止しておりましたので、事故現場を見て参りました。爆発事故は第三膠化工室で起こり、爆発とともに同工室は飛散して、作業員二名が即死し、その工室を中心に付近の建物も全壊、半壊し、三十六名の作業員が負傷したのであります。爆発した火薬の量は一・七トンであったとのことであります。その原因については究明中であり、いまだ決定的なことは判明しておりませんでした。これら火薬類の災害防止と災害対策については、今後当委員会でも検討すべき問題であろうと存じます。
以上、視察の概要を申し上げましたが、最後に、今回の視察にあたっていろいろ御協力下さいました名古屋通産局並びに関係諸会社の各位に対し深く感謝の意を表しまして、私の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/37
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038・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、東海村、日立班について私から御報告申し上げます。
東海村、日立班の派遣委員は、古池、栗山、奥の各委員と、それに私の四名で、期間は一月十九日より二十一日まででございました。
視察個所は、東海村の原子燃料公社東海製錬所及び日本原子力研究所東海研究所並びに日立市の日立製作所多賀工場、日立工場、日立研究所でございます。
視察個所の実情の詳細につきましては、別に報告書を用意してございますので、これを会議録の末尾に掲載させていただくことにいたしまして、ここでは簡単にその間の感想を申し述べてみたいと思うのでございます。
まず、原子燃料公社東海製錬所について申し上げますと、御承知の通り、ここはウラン鉱石から原子燃料の素材としての金属ウランを製錬するところでありますが、現在は原子燃料に関する各種の試験研究のほか、主として人形峠産ウラン鉱石からウラン精鉱、すなわちイエローケーキを作る粗製練と、海外から輸入したイエローケーキを精製、還元して金属ウランを作る精製練とをそれぞれ中間試験的規模で行なっておるのでございます。現在のところ、原子燃料の生産はいまだ試験研究の域を出ていないとはいえ、今後発電用等の原子炉が設置されていくにつれて、原子燃料の生産はより大きな規模で行なわなければならないでありましょうし、当精錬所の役割もますます重要になっていくであろうと思われます。従ってこの場合、原子燃料を国有にすべきかどうかという問題を初め、核原料物質の国内開発か輸入優先か、燃料公社は今後いかにあるべきか等について政府の長期計画を確立してほしいという関係者の要望がございました。この点、予算とか核原料開発の将来の見通しについて種々困難もありましょうが、一日も早く政府当局は具体的な構想を打ち出すよう希望いたすものでございます。
次に、日本原子力研究所東海研究所でございますが、目下研究用原子炉としては、三十二年八月臨界に到達したウォーター・ボイラー型が順調に稼働しており、これに続いて、先国会、燃料要素の受け入れと免責問題でわれわれが法案の審査をした、例のCP5型が現在完成の直前の状態にあります。なお国産第一号炉は、その巨大なドーム状のコンクリートの遮蔽が築造されつつあるところでございました。そのほか、コバルト60一万キューリーのガンマー線照射設備や燃料加工の研究、あるいは高速中性子の試験施設とか廃棄物処理場、図書館なども整備されておりました。こういう研究設備の充実ぶりは、まことに目をみはるものがあり、さらには動力試験炉の輸入契約も近く予定され、また、関係者が最も期待している材料試験炉の設置も考えられているとのことでございました。
しかし、この研究のテンポについていろいろの批判が各方面からあるようでございますが、原子力の研究という地道なものは決して一朝一夕に結実するものではなく、いたずらに成果を求めるに急なることは供しむべきで、長い目で見守ってほしいという関係者の意向に対しては、われわれも同感の意を表して参った次第でございます。なお、研究所に隣接して、コールダーホール型発電用炉が設置される予定の日本原子力発電会社の敷地があり、すでに整地が進められておりましたが、会社側と研究所側との間では、用水その他の施設関係はもちろん、炉の建設、運転等についても緊密な協力体制をとり、今後もとっていくとのことでございました。
次に、日立製作所関係でございますが、多賀工場は、家庭電気製品、小型モートル、理化学機器、工業計器等を生産しており、日立工場はこれと対照的に、主として重電機等大型のものを製作しております。日立研究所は、これら諸工場の技術的中枢であり、頭脳であるとともに、日本人の技術によって、日本の電機製品を世界に広めるという創業以来のモットーの、技術的支柱ともなっているものでございまして、基礎研究室のほか、日立及び国分工場内に八つの分室を持ち、製品と密接に関連した研究を行なっております。われわれの視察いたしましたのは、日立工場内の超高圧送電系統及び機器の研究、電気機器、装置及びその自動制御の研究、原子力開発に関する研究等でございますが、特に原子力開発関係の研究が予想外に進んでおるのに驚嘆した次第でございます。なお、日立製作所及び地元当局の多年の念願でありました日立港の建設現場を視察いたしました。ここは、日立と東海村との中間に位し、太平洋に直面した港で、日本でもあまり例のないものでございますが、現在予算約十五億円で第一期工事が進められておりまして、すでに三千トン級の船舶の停泊が可能でをあるほどに工事が進んでおり、日立工場の重機械等の積み出し等はもとより、常磐地区一帯の生産品の搬出、必要な原料の確保に非常な貢献をいたしております。日立港の完成の暁には、一万トン級の船舶の出入も可能になるようでございますが、文字通り原子力産業関連港として、日立工業地帯が今後原子力産業地帯として発展していくために必要欠くべからざる施設であることは申すまでもありません。そのときが少しでも早まるよう、関係者からは、国家予算その他の援助を要望しておりました。
最後に、今回の視察を通じて、視察先のほとんどすべてから、技術者、研究者の不足を強く訴えられたのでございます。これは現在わが国の科学技術振興の重大な隘路ともいうべきものであり、この解決は、学校教育制度の根本に触れる問題でございますので、科学技術庁もさることながら、文部省当局においても抜本的な対策の検討をされるよう希望しておきたいと存じます。
以上、大要を申し述べた次第でございますが、この委員派遣の日程の円滑なる遂行に御協力いただきました原子燃料公社、日本原子力研究所、株式会社日立製作所及び科学技術庁当局に対し、この席を借りまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
以上で派遣委員の報告は終わりました。各班から委員長あてに提出されております文書による報告書は、委員長において、本日の会議録に掲載するようにいたしますから、御了承をお順いいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X00319600210/38
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