1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十七日(木曜日)
午前十時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山本 利壽君
理事
川上 為治君
古池 信三君
栗山 良夫君
牛田 寛君
委員
井川 伊平君
上原 正吉君
岸田 幸雄君
近藤 信一君
加藤 正人君
国務大臣
国 務 大 臣 菅野和太郎君
政府委員
経済企画庁調整
局長 大堀 弘君
外務省情報文化
局長 近藤 晋一君
通商産業政務次
官 内田 常雄君
通商産業省通商
局長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省通商
局振興部長 柿坪 精吾君
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本日の会議に付した案件
○海外経済協力基金法案(内閣送付、
予備審査)
○アジア経済研究所法案(内閣提出、
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/0
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001・山本利壽
○委員長(山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。
まず、海外経済協力基金法案を議題といたします。
政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/1
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002・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 海外経済協力基金法案の提案理由を御説明申し上げます。最近の世界経済における重要な動向の一つといたしまして、東南アジアその他の開発途上にある地域に対する国際経済協力の問題が大きく取り上げられていることは御承知の通りであります。すなわち、戦後、これらの開発途上にある諸国は、その資源の開発ないし工業化をはかり、急速な経済の発展と、国民生活水準の向上を意図しているのでありますが、そのためには、資本及び技術の面でその多くを先進工業国に依存せざるを得ない状態にあるのであります。
一方において、このような開発途上にある諸国の要請にこたえてこれらの国に対する経済協力を推進することは、世界経済全般から見ても、地域的不均衡を是正し、経済交流の秩序ある進展をはかるためきわめて重要なことであると考えられるのであります。このような情勢のもとに、最近においては第二世銀の設立、大西洋経済会議の発足など、経済協力を国際的規模において一そう強力に推進しようとする動きが見られるのでありますが、わが国といたしましても、今後東南アジア諸国等との経済関係の一そうの増進をはかる上から、これらの国に対する経済協力を積極的に推進することがこの際特に必要であると、考えられるのであります。
もちろん従来もわが国のこれらの地域に対する経済協力が行なわれなかったわけではないのでありますが、わが国の場合、民間企業だけではなお資力も十分でなく、また政府関係機関としても、日本輸出入銀行が、輸出入金融のほか海外投融資に必要な金融を行なっているのでありますが、必ずしも十分とは申せない状況でありますので、このたび御審議をいただく海外経済協力基金法案によりまして、新たに、独立の法人格を有する海外経済協力基金を設立し、経済協力をさらに積極的に推進するための体制の整備をはかることとしたのであります。
次に、簡単にこの法律案の内容を御説明申し上げます。
まず、基金の目的は、すでに申し上げましたように東南アジア地域その他の開発途上にある地域の産業開発に必要な資金で従来、日本輸出入銀行及び一般の金融機関から通常の条件で供給を受けることが困難な資金の円滑な供給をはかる等の業務を行なうことによりまして海外経済協力の一そうの促進をはかることであります。次に、基金の資本金は、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律によって、政府から日本輸出入銀行へ出資されておりました五十億円と、その管理運用によって得られた利益の積立金との合計額を日本輸出入銀行から承継することとし、政府がその全額を基金の設立に際し出資することとしているのでありますが、将来、必要に応じて政府が追加出資をすることとなっております。
次に、基金の業務といたしましては、東南アジア地域等の産業開発に寄与し、かつ、わが国との経済交流を促進するため緊要と認められる事業のために、必要な資金の貸し付け、または、特に必要があるときは、貸し付けにかえて出資をすることができるほか、このような事業の準備調査またはその試験的実施のための資金の貸し付け、さらには以上のような投融資の業務に関連いたしまして基金がみずから必要な調査をすることができるよう規定いたしております。
なお、基金は、その設立の趣旨にかんがみまして、右の貸付等の業務を行なうにあたっては、日本輸出入銀行の業務と十分な調整を行なうとともに投融資の条件等につきましても日本輸出入銀行よりはやや幅広く運用できるよう配慮いたしております。
次に、基金の機構は、極力簡単なものとする建前から、役員としては、総裁一人、理事二人、監事一人の計四人とし、また、事務の相当部分は日本輸出入銀行に委託して行なうこととしております。
なお、基金の業務の運営については、関係行政機関の所掌事務と密接な関係のあるものも多いと考えられますので、総裁の諮問機関として運営協議会を設けることとし、関係行政機関と緊密な連絡を保って業務の適正な運営が行なわれるよう配慮しております。
次に、基金の監督は、経済企画庁長官がこれを行なうのでありますが、この法律の規定に基づいて認可または承認をする場合には、あらかじめ、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣と協議して行なうこととなっております。
その他、定款、業務方法書、財務及び会計等の点につきましては一般の政府出資の特別法人とほぼ同様の規定を止めております。
以上がこの法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/2
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003・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 本案の審議は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/3
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004・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、アジア経済研究所法案を議題といたします。
最初に、事務当局から内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/4
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005・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) ただいま御審議を願っておりますアジア経済研究所法案の概要につきましては、さきに提案の理由の中で、概略説明をいたしておりまするが、若干補足説明をさせていただきます。
お手元に資料といたしましてアジア経済研究所法案要綱をお配りいたしてありますので、その要綱につきまして御説明をいたします。
第一といたしまして、研究所の目的と掲げております。「アジア経済研究所は、アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、並びにその成果を普及し、もってこれらの地域との貿易の拡大及び経済協力の促進に寄与することを目的とする」ということであります。特に御説明を申し上げるほどのこともなかろうかと思いますが、調査地域といたしまして「アジア地域等」というような表現をいたしておりますが、調査の重点といたしましては、日本と貿易及び経済協力におきまして、密接な地域になりますアジア地域に重点を置いているのであります。「等」と申しておりまするのは、アジア地域以外の地域につきましても、ある程度の調査研究を行なうという趣旨でありまして、それは要綱の第十をちょっとごらんを願いたいのでありますが、第十の業務のところにおきまして、その第二項に「研究所は、前項の業務を妨げない範囲内において、アジア地域以外の地域の経済及びこれに関連する諸事情について」云々ということで、まず重点をアジア地域に置きまして、その業務を妨げない範囲において、アジア地域以外の地域についての調査研究も行なうという趣旨で「等」という表現をいたしております。それからいま、一つは「経済及びこれに関連する諸事情」というような表現をいたしておるのでありますが、これは調査研究の重点はもちろんこの経済なのでありまするが、その必要な限りにおきましては、経済に関連の深い法律あるいは社会、民族、宗教等の各般の問題につきましても、調査研究をいたそうという趣旨であります。なおこの「基礎的かつ総合的」というような表現を用いまして、在来の各種の調査研究機関との性格の相違を表わしたつもりであります。いわゆる断片的な調査であるとか、あるいは表面的なそのときどきの現象をとらえるようなことは、基礎的な調査じゃございません。あるいはジェトロのやっている調査等にまかす面も多々あるわけであります。要するにこの基礎的かつ総合的な調査研究をねらいにいたしておるのであります。
それから次は、第二は、法人格を与えるために、研究所は法人とするというようなこと、これはこの種の特殊法人と同様の表現でございます。
それから次の第三のところに、資本金に関する規定、「研究所の資本金は、一億円と研究所の設立に際し政府以外の者が出資する額の合計額とすること。」で第二項に「政府は、研究所の設立に際し前項の億円を出資するものとすること。」こういうふうに表現をいたしております。一億円は政府が出しまして、政府以外の者の出資も予定をいたしておりますが、現在のところ一応二千万円を予定いたしております。今後できますならば、五千万円程度に民間出資額の方はふやして参りたいというふうに考えております。政府出資の方はさしあたり一億円でありますが、この第四項でも書いておりまするように、もし予算が許され、政府出資が増加していくというようなことになりました場合には、この第四項におきまして、この法律改正を待たずして、資本金がふやせるというような表現になっております。
第四の定款につきましては、別段例文的なものでありますので、御説明を要しないかと思います。次に、役員の規定、第五と書いております。「研究所に、役員として、会長一人、所長一人、理事二人以内及び監事二人以内を置くものとすること。」、比較的役員の数を少数にしぼつたつもりでありまして、こういう調査機関の性質としては、役員機構は簡素にやる方がよかろうというような趣旨をもちまして、この程度の人数にいたしたのであります。で、一つの特色としましては、会長と所長というような制度を設けておりまするが、このほかにも、たとえば国立競技場法等にも例があるのであります。その場合は、会長、理事長というような表現になっております。で、今回の場合、これは研究所でございまするので、まあ会長、所長ということにいたしたのでありますが、従来たとえば学校法人等におきましては、理事長、それから学長ないし校長というような形をとりまして、理事長に学校経営の才のある人材を迎え、学長ないし校長には、教育者、研究者としてすぐれた人材を迎える方法を認めているのでありますが、そういう人材を集め、適材適所に用いる配慮というので、こういう会長、所長制をとったのであります。現在の財団法人アジア研究所も、同様な体制をとっているということで、それをやや踏襲したのでありますが、法律的に申しますれば、そういうほかに例もありますし、学校法人等におきましては、大体こういうふうな総裁、副総裁とかあるいは理事長、副理事長とかいうような通例の場合よりも、こういう会長、理事長とか会長、所長というようなあるいは会長、学長というふうな表現をとる場合もあります。その例にならったのであります。
それから次に、第六は、「会長、所長及び監事は、通商産業大臣が任命するものとすること。」、あとの「理事は、会長が任命するものとする。」ということは、従来のこういう特殊法人と同じ形態をとっております。
次は、役員の任期でありますが、これが会長、所長、理事の任期が四年、監事が二年ということであります。この辺もほかの特殊法人とほぼ同じようなことになっているのであります。
それから役員の欠格条項につきましても、大体この特殊法人のほとんど例文的な規定であります。
それから次の第九、参与会という制度を置きました。「研究所に、参与会を置くこと。」「参与会は、会長の諮問に応じ、研究所の業務の運営に関する重要事項を審議すること。」、それからまた次では「会長に意見を述べることができるものとする」、それから「十五人以内で組織する」、それから「参与は、研究所の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、通商産業大臣の認可を受けて、会長が任命すること。」ということをきめました。で、これは先ほども役員のところで申しましたように、役員の組織として、できるだけこの執行機関を簡素、強力にするという形態をとりました。反面、その研究所の性格としまして、関係各省に関連する事項が非常に多い、またいろいろ財界、学界、その他の調査機関とも関連するところが多いのであります。この研究所の業務を円滑に運営をいたしますためには、広く各方面の意見を集めて適正な運営を期する方がよかろうということで、こういう参与会という制度を設けたのであります。現在の財団法人アジア経済研究所におきましても、参与会という制度をとっております。現在十人程度の参与になっておりますが、それを強化するという意味で十五名ということにいたしております。
なお、このほかに在来の民間の各種の調査機関との連繋を密にいたしまして、調査の実をあげるようにいたすことになっておるのであります。要するに、これは調査の機関の性質といたしまして重複して調査をするということがあっては何ですので、そういうことを避ける意味におきまして、調査協議会というのを、事実上、法律に基づかずに設けるということになっておるのであります。
次は、第十の業務のところでございます。「研究所は、第一の目的を達成するため、次の業務を行うものとすること。」、第一が「アジア地域の経済及びこれに関連する諸事情に関する資料を収集すること。」、第二が「アジア地域の経済及びこれに関連する諸事情に関し、文献その他の資料により調査研究を行ない、又は現地調査を行なうこと。」、それから三が「前二号に掲げる業務に係る成果を定期的に、若しくは時宜に応じて、又は依頼に応じて、提供すること。」、それから第四が「前各号に掲げるもののほか、第一の目的を達成するため必要な業務。」、まず、アジア地域に関する経済及びこれに関連する諸事情についての資料の収集、それから文献、その他の資料による調査研究をやりまして、大体、在来の調査研究機関は、その調査の内容あるいは対象というものは、この研究所のごとく、基礎的、総合的ではございませんが、それにしましても、資料の収集なり、文献による調査研究というものが大体在来の調査機関の重点であったかと思うのであります。それでは率直に申しまして、最近のようにアジア緒国、新興国として日進月歩、いろいろ経済上変化をしているというような場合におきまして、十分な調査研究をいたせられませんので、まず内地におきまして、資料を集めたり、文献による調査をやるが、それで不十分なる点は、現地に人間を派遣いたしまして調査をする。この現地調査というところに、この研究所の特色があろうかと思うのであります。なお、現地調査は、短期に現地に人間を派遣いたしましてやるのでありますが、現地語を修得するというような必要もありますので、現地語を修得するためのいろいろなゼミナールも持たなければならぬというようなことになりますし、ただ現地調査とこう簡単に申しましても、非常にむずかしいことなんでございます。条文の方でははっきり明確にはなっておりませんが、そういう現地語に精通をしたいわゆる調査マンの養成ということ、これは在来の調査機関に行なわれなかったのでありますが、これに非常に重点を置きたいというふうに考えておるのであります。なお繰り返すことになりますが、現地調査も、長期の派遣調査と、それから短期の現地調査、二種類に分かれるかと思うのであります。それから、さようにいたしました調査結果を、定期的にまたは時宜にまたは外部からの依頼に応じて提供する、いわゆる広報活動と申しますか、のようなこともいたします。それから第四といたしましては、その他の業務でございます。これは、アジア地域に対する、いろいろそういう研究調査ないし関心を高めるために、ゼミナールをやるとかあるいは講演会を開くとかいうふうなことを予想いたしているのであります。それから第二項は、アジア地域に重点を置きますが、その業務を妨げない範囲で、アジア地域以外の地域の経済及びこれに関連する諸事情についても調査研究を行なう、こういうことでございます。
それからあと、第十、第十二、第十三、第十四と、これもほとんど特殊法人に伴ないます整文でございますので、省略させていただきます。
それから第十五といたしまして、監督の規定を入れております。「研究所は、通商産業大臣が監督するものとする」、それから「通商産業大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、研究所に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができるものとする」ということ、これも監督上から見れば、特殊法人に関連する当然の規定でありますが、一言補足させていただきますと、現在の財団法人アジア経済研究所も通産省が所管いたしておりますし、そもそもことの起こりが、貿易の拡大なり経済協力に資するために、財界方面からの要望がありまして、それに学界の強い要望もありまして、こういう財団法人ができ、またその財団法人を特殊法人にしようというような経緯からみまして、通産大臣の所管ということになったのであります。まあ往々にして考えられますほかの省との関係もあるのでありますが、監督の簡素化を期するという意味において、通産大臣だけの所管に一応なっておりますが、外務省あるいは農林省、ほかの省とも関連するところが非常に多うございますので、それらとの緊密な連絡調整につきましては、先ほど申しました参与会を活用することによって十分に効果を発揮していきたい、こういうふうに考えているのであります。なお、この調査機関の性質としまして、必要があるときには、監督上必要な命令を出すということは、特殊法人の一般並みの規定になっておりますが、心がまえとしましては、監督は最小必要限度にとどめまして極力調査機関の自主性を尊重するということになっております。それにつきましては、そういうような閣議の了解もついているような次第であります。
以上簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/5
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006・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 引き続き、本案の質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/6
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007・栗山良夫
○栗山良夫君 このアジア経済研究所の研究の対象にせられている地域は今の御説明によりますと、アジア地域等というので相当広い意味に解釈をせられているようでありますが、その内容をもう少し詳しく伺いたいと思います。特にアジア地域というのは一体、安全保障条約ではないわけですけれども、アジア地域というのは体何か、それから等というのは一体、アジア地域が主であって、等というものはアジア地域よりさらに狭いものだという工合に、常識的にはプラス・アルファですから、小さく考えるものですから、どの程度のものであるか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/7
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008・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) アジア地域といいますものは、率直に申しまして、はっきりした定義もないようでありますが、一応われわれとしましては地理上のアジアというふうに考えております。で、非常に厳密に言いますと、はっきりした基準はないというのが正しいようでございます。一応ここで言います、アジア地域と申しておりますものは、まずヨーロッパとアフリカとそれから大洋洲との境界をと申しますと、ヨーロッパとの境界はウラル山脈、カスピ海、それからコーカサス、黒海、ダーダネルス海峡、それと、もちろん地中海も入りますが、その線を一応ヨーロッパとの境界と考える。それからアフリカとの境界は、スエズと紅海とを結ぶ線、それから大洋洲との境界はニューギニアとモルッカ諸島との線というふうに解釈いたしております。それよりも東で、アメリカ大陸との境界はべーリング海が境になりますから、北をさしているわけであります。もちろん、中共もシベリアも含んでいるわけでありまして、一応アジア地域というものはそういうふうに本法では了解をいたしております。
それから等と申しますものは、先ほども御説明をいたしておりましたように、調査の重点をアジア地域に置いたのでございますが、その業務を妨げない範囲におきまして、いま少し範囲を広げまして、中南米とか、あるいはアフリカとかというふうな地域までも及ぶ、要するにアジア地域よりも狭いということではございませんので、アジア地域以外の地域、その他の地域も考えているわけでございます。ただアメリカなりヨーロッパ諸国はどういうことを含むのかという御質問もあろうかと思いますが条文的に見ますともちろん含むということになるわけでありまするが、何分そうなると結局世界全部を調べる、こうなりますと、とてもこういう研究機関の予算、その他の関係もございますので、そこまで手を広げられませんし、また先進国の方は非常に調査がいき届いているということでありまするので、まあそういう調査研究がいき届いておらぬ非工業国といいますか、後進国を、その他の地域におきましても考えている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/8
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009・栗山良夫
○栗山良夫君 要するに、私がどうしてそういう愚問を発したかと申しますというと、中近東が入るか入らないかという問題でありますが、今の御説明だと入るということですね、そういうように理解してよろしいですね。
もう一つは、中共、シベリア地区が入るか入らないか、これは入るということでよろしいと思います。
もう一つは、この流れている立法の精神が後進国が対象ですね、しかし後進国経済研究所というのではちょっとさわりが悪いからアジア経済研究所という名前にせられたのだと思います。ですからその地域がアジア地域の下に、等というところに、中南米とアフリカが入るのではアフリカと中南米を寄せたら、等ではないですね、アジア地域とイコール、あるいは大きいかもしれない。あるいはそういう意味で、地理的にも等でなくて、ほとんどイコールに等しい。それからもう一つは、日本の経済進出を考えれば、東南アジアもさることながら、中南米、それから今、勃興期にあるアフリカというものに十分に関心をもってやはり開拓をしていかなければならぬ、そういう意味から考えれば、説明では入っているとおっしゃるのですが、堂々と中南米あるいはアフリカの後進国というものをもう少しクローズアップせられたらいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/9
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010・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) お説ごもっともでございまするが、やはり調査研究の意図する重点が日本と一番関係の深い、貿易関係におきましても大体アジア地域といいますのは輸出で四〇%、輸入で三〇%ぐらいに属しております。そういう非常に密接な地域、特に新興国が多い地域と今後貿易も拡大しなければいかぬし、経済協力も推進していかなければならない。ところがそれらの地域は戦前の調査は彼らの宗主国で若干の調べももちろんございますが新興国につきましては日進月歩であって、なかなかその実態の把握がむずかしいということで、特に資料がそろっておらぬという点もありまして、アジア地域に重点を置いて、最近の最新のいろいろなそういう事情を調べたいというのが本心であります。しかしながら、そうかといってアジア地域だけに限るのかということになりますと、そうでもない。もちろんこの機関の充実するにつれて、アジア地域の調査研究を妨げない範囲において、その他の地域も及ぶのだという趣旨なのであります。初めからアジア地域と中南米というようなものを並列的に考えてはいないのであります。アジア地域をやはり重点にまずやって、それからその他の地域に及ぶということを表わすために等ということで表現をしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/10
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011・栗山良夫
○栗山良夫君 法律を作るのにはその方が便利かもしれませんが、経済の実態からいえば、これはあとでもう少し私質問を続けますけれども、ラテン・アメリカの地区なんというものは、われわれが知っている若干の知識その他からすれば、技術輸出、資本輸出の、要するに現地の受け入れ態勢というものは、ブラジル等を中心として非常に旺盛だといわれているのですね、ところがそれじゃ中南米の諸研究というものが十分であるかどうか、必ずしも十分ではない。そういう意味で、経済効果からいえば中南米に眼を向けるということの方も、私は東南アジアいわゆるアジアを軽視するわけではないけれども、さらに重要度が増してきやしないか。それからアフリカの動きなどというのは、おととしの情勢では、もう今日は判断はできません。去年の情勢でも判断できない。急角度の変化を遂げつつあるから、そういうわけで経済情勢というものはあまりよくわかっていない。ですからそういうものをやはりもう少し、せっかく特殊法人を作って研究をするというならば、政府資金を一億なり、一億で足りなければ二億円の資金で、もう少し雄大な構想で始めることが必要ではないか。非常にそういう経済研究が必要であるとするならば、その必要度はラテン・アメリカもアフリカもアジアも甲乙はないと私は思えるのです。このアジア地域等という表現だと、これを今説明聞くからわかりますが、別の人が読んだんではラテン・アメリカやアフリカが入っているとは思われない、どう考えても。ですから私はそういう意見を述べているのです。これはどんなに考えても、これは日本文でそういうふうに理解しませんけれども、アジア地域等に、等の中にラテン・アメリカやアフリカが入っているという解釈は、そういうふうに理解しにくいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/11
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012・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) 私も栗山先生のおっしゃることはよくわかりますし、場合によってはそういうことにしたらどうかという気持も立案過程においてはいたしました。ところがこれは今の松尾局長からの御説明でも御承知のように、すでに昭和三十三年に財団法人として発足しましたアジア経済研究所をそのまま引き継ぐことになっておりまして、平たい言葉でいえば、すでにアジア経済研究所として売り込んできておるし、ある程度の実績も上げつつある際であります。そこで、たとえば海外経済研究所というような名前に一足飛びにしない方がこの際としてはいいだろうということで、その名称を引き継ぎました。ところが表現は第一条でございましたか、「アジア地域等」だけで読ませるのは、おっしゃる通り無理がありますので、そこで法律の第二十二条、法律をお持ちの方はごらんになるとわかりますが、十一ページに特に第三項というのを設けました。一足飛びにその調査の対象は広げないで、第一次の調査対象は文字通りにアジア地域にするということを第一項でうたいますとともに、第三項では、「研究所は、第一項の業務を妨げない範囲内において、アジア地域以外の地域の経済及びこれに関連する諸事情について調査研究を行ない、」、こういうことを明らかにいたしまして第一条の「アジア地域等」の中身をここで二つに分けて、この三項の方で余力といいますか、あるいはこれはまあ今後の研究の基本方針、課題の立て方にもよるわけでありますが、アフリカなりあるいは中南米なりの調査研究もできるようにする。これにつきましては、まあ事業計画とか調査計画とかいうものが形式上通産大臣の認可にかかりますし、それよりも前に、まあこの方面のベテランを集めて参与会を設けまして、そうして毎年度どういう調査研究対象を取り上げるかということについて、そこで打ち合せをいたしまして、その結果、毎年の事業研究調査計画ができますその際に、これは私などはいつまで通産省におるかしりません、政府部内におるかしりませんが、栗山先生のような気持を持ちまして、力の及ぶ限りアジア地域以外、この第二十二条の第三項の地域等につきましても研究をして参るのがよかろう、こういうことで名称並びにこれまでの債権債務といいますか、資産は従来のアジア経済研究所から引き継ぐ、こういう格好で法律はこのようにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/12
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013・栗山良夫
○栗山良夫君 私の申し上げていることは、第二十二条の第三項にある「第一項の業務を妨げない範囲内において、」というその字があまり気に入らないということなんです。なぜそんな限定を下したか、それは削除してしまって、研究所はアジア地域において、そうなれば私はいいわけでありますが、で、今の御説明を聞くと、なぜこの文字を入れたかというと、今現にある財団法人、これを引き継いで特殊法人に組織変えをするのだ、財団法人の機構はあまり大きく変えないでやった方がいいと、こうおっしゃるのだが、それならば財団法人のままお変えになっても差しつかえないじゃないか。なぜ特殊法人の方にわざわざ名義変えをなさるのか、私はその意味がわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/13
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014・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) お説はまことにごもっともなお尋ねと思います。私自身もそう思いまして、当初は調査機関なんというものを好んで政府機関にしないで財団法人でいいじゃないかという気がいたしましたが、ところが今のその財団法人、アジア経済研究所を運営しております、たとえば所長の東畑精一さん等責任を持っている方の御希望や御意見を承ってみますと、いわゆる財団法人で発足をいたしますと、当初は発足した形をとるが、なかなかその後の資金も集まらない、実際問題として。今までまあ財界からおそらく何千万円からの資金とか、政府も金を一億円か、昨年度何ぼか出しておりますが、あとが続かないと同時に、有能な調査マンを集めて、そこでそれを継続的にしかも長期計画で養成するのは、今までの、昨年できたような財団法人では長く続かない。何々の研究所といったものに、これはあとでお尋ねもあると思いますが、他にも政府が補助金を出しておるものがございます。たとえば外務省なり文部省なり。しかしそれを長期的に調査マンを養成してしっかりした財政規模を持つためには、特殊法人にして、そして政府からも財政融資をつけてもらうと同時に、学界なり財界なりで調査マンを作っていくような仕組みがぜひほしいういうような、こういうような当事者の御意向もございまして、それで思い切って特殊法人に変えた次第でございます。これは法文をお読みいただきますと、他の特殊法人と同じように、わずらわしい監督規定がございまして、特に財務などにつきまして監督規定がありまして、いかにも自由であるべき調査機関がそのような政府の特殊機関化したような、法文でしばるような印象を受けますが、その運用はそういうふうなことをしないということで、この運用につきましては、閣議の了解ですか、決定ですか、もありまして、運営はできるだけ自主性にまかす、あるいは自主性を尊ぶと、こういうようなわざわざ閣議了解の注釈までしていただいたような次第でございましてそういうような経緯から特殊法人の形をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/14
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015・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、要するに、この法案の提案理由の説明に書いてあるところを見ると、きわめて雄大だが、実際の内容というものは、ただいまある財団法人が若干動脈硬化に陥っている、だから特殊法人にして現状の仕事を初期の財団を作った当時の目的ぐらいに維持していきたいと、そういうことですか。きわめて消極的なものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/15
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016・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) 私の表現が悪かったかもしれませんがそういうわけではありません。財団法人を作りますと、当初財界から何千万円か集まり、政府も一億ぐらいの補助金を入れましたが、えてして、長くその規模が続いて発展するための資金的な基礎も得られない。当初ははなばなしいけれども、今言うような龍頭蛇尾に終わることもなしとしないわけでありますから、これも提案理由の説明で述べましたように、発展させて、充実させて、長期的な構想のもとにやっていくためには、思い切って特殊法人にして、政府も出資をし、また必要ならば今回の一億円のみならず、引き続いても出資をするという規定も、この法律の中にはうたっておるわけでございまして、今栗山先生のおっしゃるように、動脈硬化に陥っておるものをそのまま固めていくということではございません。これは財団法人でも発足して三年目でありまして、まだ尻つぼみになるわけではありませんです。これは五年や七年は財団法人のままでいくでしょうが、それでは調査マンもなかなか集まらないし、今後の今おっしゃる雄大な調査機構としての構想も実現できないということで、思い切ってこのような提案をして御賛同を得たいと、こういうような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/16
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017・栗山良夫
○栗山良夫君 私はそういう工合に特段にきめつけたわけではなしに、内田さんなり松尾さんの答弁を聞いておって、質疑をして答弁を聞いておると、どうもそういう印象しか出てこないのでそう申し上げたのですよ。どうもそういう印象しか強く焼きつかない。だからせっかく今貿易も自由化になったし、自由化の建前からいえば後進国との貿易というものは非常に重要だから、思い切って雄大な構想でやるというなら、私が述べた意見のような工合になさらないと、この法律というものは生きてこない。そうでしょう。松尾君どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/17
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018・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) また繰り返すようになるかもしれませんが、この法案を作成する過程におきましては、先生の御指摘のような点、いわゆるアジア地域だけに限らずに、世界を対象にするいわゆる海外経済研究所というような構想もわれわれはいたしたのであります。どっちがよかろうかということでいろいろもんだのでありまするが、実際の貿易、それから経済提携の実績等から判断いたしましても、一例をあげてみますと、昨年度プラント類の輸出承認の額から見ましても、東南アジアに対しましては、一億五千六百万ドルを許可する。が、中南米には二千五百万ドル程度が許可になっておるということであります。その他の、たとえば投資の関係にしましても、東南アジアと申しますか、いわゆるアジアと、中南米等を見ますと、非常に差もあるし、何分、今は、やはりアジアということに重点を置くのが、あまり広く全体というよりもピントがはっきりするだろうということが一つと、それから先ほど政務次官からもお答えがありましたように現在のアジア研究所も、アジアをということで、かなり名前も売れてきているということです。だからそれは、いわば歴史的な沿革、やはり重点をそこに置くという方が、よりよいのではなかろうか。さしあたりといたしましては、将来アジアその他の地域も並列的にやった方がいいということなら、またそのときに法律を改正してもいいじゃないか。さしあたり法律としては重点なりピントをはっきりさせる方がよかろうじゃないかということで、アジア等というふうにして、アジアに重点を置いたわけであります。しかしお説のような点もありましたので、アジア以外の地域につきましても調査研究をやるんだということで、二十二条の第三項を一項設けた、こういうことになったわけであります。確かにお説の点は、われわれとしても非常に迷うた点でありまして、今御審議願っておる原案の方がベターではないかというふうに落ちついたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/18
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019・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、その次にお尋ねいたしますことは、この経済研究所は、今予定をされている対象地域の国々の政治的な諸事情などというものも、調査の対象になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/19
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020・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 「関連する諸事情」という中には、もちろん政治も、民族社会、宗教というふうな点も含めて解釈をいたしておるわけでありますが、しかしこれはあくまでも重点は経済でございますので、宗教なら宗教、政治なら政治だけ、それを中心にして調査研究するということじゃなしに、経済の調査に必要な限りにおきまして、関連してそういう政治関係等も調査研究をする、こういう建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/20
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021・栗山良夫
○栗山良夫君 私の質問の趣旨とするところは、いかにその貴重なる経済の基礎研究が成立しても、相手国の政治情勢を無視しての経済進出というものはあり得ないと思うのです。で、特に今後、どういう動きになりますか、非常に私も関心を持ってながめているのは、インドネシアの動きなどというものは、最もその代表的なものであろうと思う。ソ連首相の訪問にこたえて、インドネシアの政治的、経済的な反響というものは、きわめて大きなものであります。これは、私が申し上げるまでもないでしょうが、これがどういう工合に発展していくか、インドネシアを一生懸命に調べてみたところが、経済の交流は日本を対象に日本、インドネシアの間ではさっぱり進まなかった、進む見通しがなくなった、こういうことになりかねないかもしれない。ですから経済は経済だが、やはり政治を無視しての経済研究などというものは、これは趣味でやるとか学問としてやるなら別だが、少なくとも生きている経済を扱うテーマとしては、それを入れていかなくては意味がないではないか、私はそう考えるのですが、そこの積極性の問題ですね、政治情勢というものを経済情勢と今後同じようなウエートでやることが、少なくとも今非常に思想的に動揺している東南アジア等の調査について、あるいは近東等の調査については必要ではないかということです。次官から。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/21
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022・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) 私は、インドネシアなどにつきましては、栗山先生のお説はごもっとものことと考えます。「経済及びこれに関連する諸事情」といいましても、経済は政治を離れては存在しないのが、インドネシアの今日の状況でありましょうから、おのずから調査の対象もそういうものが取り上げられるだろうことを期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/22
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023・栗山良夫
○栗山良夫君 ところが、この法案の条文あるいは法案に対する政府の説明要綱その他には、そういう点に一言も触れていない。これは少し手落ちじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/23
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024・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) 形式的には、すべて「関連する」ということで読み切っております。ことにこれは、すぐ商取引の値段を調べるとか、取引の相手方を調べるとかいう、つまり貿易の調査をするとかあるいは経済協力と直接に結びついた調査をするということでなしに、「基礎的かつ総合的」というようなことの調査をすることを調査対象にいたしておりますために、今申しましたように形式的な説明で、あるいは法文では、そういうところで読み切って、その中に政治事情も入るだろうし、あるいは労働事情も、社会事情も、宗教事情も、必要な限りは取り入れて参る、かような解釈で読んでいただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/24
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025・栗山良夫
○栗山良夫君 私は、どうも不十分なような気がしますけれども、一応必要性のあることは認められたようだから、まあこの程度にしておきますが、これはやはりウエートをもう少し強くとっておく必要があろうかと私は思います。行政指導としては……。学問的に研究するのなら私は一向反対しません。近東の古代の研究をするようなもので、そういうことなら一向反対しませんけれども、生きている経済を扱う、特に日本の経済力を向こうと相互に伸長し合う、そういうような建前からいく場合には、相手が変動していなければいいですが、時々刻々動揺しているものについて、将来もおそらく動揺をまだまだ続けるでしょうし、政治情勢の研究というものが一番必要だと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/25
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026・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) よくお気持はわかりました。オン・レコードでこういうことを申していいかどうかわかりませんけれども、私どもの気持では、法文なりあるいは公の趣旨説明の中で、政治の面あるいはさらに進んでは軍事の面があるかもしれませんが、そういうようなことを対象として表現することは、相手国の感情とか、反響とかというようなものもあるかもしれないことを考慮いたしますと、これは関連する、また基礎的、総合的ということで、必要な限度において研究をしていく方がよかろうと思いまして、一応このような表現にいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/26
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027・栗山良夫
○栗山良夫君 御説明によりますと、この研究所のテーマとせられるところは、相当高度の基礎研究をなさるということでありまするから、その意味においては非常に重要なことであろうと思いますが、また従って、その成果が出た場合には、これを民間なり、政府なりが高度に活用をして、実際の業務に利用していくということですから将来注目していいと思いますけれども、ちょうど外務省がおいでになっておるようでありますから、外務省に一つ伺いたいと思いますが、外務省が、産業経済関係の各省と直接あるいは間接に連絡をとりながら、日本という国を海外紹介、海外宣伝、そういうことをおやりになっておると思いますが、その実態を伺いたいと思います。どういうところに重点を置いて海外宣伝、海外紹介というものをおやりになっておるか。日本というもの、いかにこういう工合に基礎研究をやって、諸外国と大いに提携してやろうとしたところで、日本そのものを向こうがよく理解をしていかなければ、これは実際仕事にはならぬと私は思うのであります。どういうところを重点にしておやりになっておるか、それを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/27
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028・近藤晋一
○政府委員(近藤晋一君) 外務省は、もちろんその職務の上から申しまして、日本の内外の情勢を海外によく理解させ、啓蒙するという仕事を持っておるわけであります。御説明するまでもなく、日本の内外の情勢を知らせるということは、何分非常に広範な分野に及ぶわけであります。日本の政治、経済、産業あるいは外交、文化、非常に広い面に及ぶところであります。ただいま御指摘になりましたように、日本の産業あるいは商品等を知らせるということも、その前に相手国が日本全般につきましてよく理解し、日本に対する好意を持つということが一つの前提にもなろうかと思います。と申しましても、われわれが努力しております対外啓発、宣伝におきまして産業あるいは貿易の面を決してないがしろにしているわけでないわけでありまして、重点の一つとしてやっておるところであります。もちろん、外国におきます海外活動はいろいろの方法があるわけでございますが、何分在外におきましてそういう活動をいたしますためには、まず日本の中におきまして、たとえば外務省なりあるいは通産省その他の関係の官庁等の協力を得まして、在外においてそういう啓発活動を行なうための素材というものを十分に提供する必要がある次第でございます。もちろん、予算等の制約から、決してわれわれはそれが十分に在外公館に提供されているとは申しませんけれども、予算の範囲内におきまして、また外務省自体の予算だけではなくて、関係の官庁、たとえば通産省とかあるいは通産省と密接な関係にございますジェトロとか、こういうような各関係機関の予算に基づいて作成された素材を外務省に提供され、あるいは外務省に必要があれば、たとえばジェトロで作りました映画を買い上げて、そうしてさらには、そういう官庁関係のみならず、民間の各会社等がそれぞれの立場で自己の対外宣伝のために作っております映画等も提供を受けまして、できるだけ在外に適当な素材を与えることによって活動をやっているところでございます。
ただいま外務省としてどういうことをやっているかというお話でございますので、少し長くなりますが、御説明させていただきますと、まず、そういう意味の素材を与える面の活動におきましては、まず出版物による啓発ということが考えられるわけでございます。いろいろ出版物の種類もございますが、私の方としまして一つ重点を置いておりますのは、東京におります外国の各大使館も、すべて各国でやっていることでございますが、いわゆるインフォメーション・ブリティンと申しますか、定期的に出して海外に配付するものでございまして、現在、外務省におきましては、インフォメーション・ブリティンというものを本省におきまして、月二回作りまして、これを在外公館に送りまして、在外公館が、それぞれの国の実情に応じてこれを再編集いたしまして、それぞれの国の言葉に直しまして、これを配付しております。現在、このインフォメーション・ブリティンというのは、約十四カ国語に直されまして、一回の発行部数の総数が七万程度に及んでおります。これを作ります場合にも、単に日本の文化とかそういう面だけではなくて、日本の産業の新しい分野であるとか、あるいは日本の科学、日本の医学での新しい分野、そういうような問題につきましても、関係の官庁等から、適当な機関から資料を受けまして、編集をいたしまして、出しているわけであります。
さらに、いわゆるパンフレット類をいろいろ外務省でも作っておりまして、この外務省で出しますパンフレットは、一応日本全体の姿を知らせるということを重点に置いております。しかしながらこれだけでは不十分でございますので、産業経済等についての紹介のものは、各省が出されているものあるいは民間において出されている適当なものを寄贈を受け、あるいは買い上げて海外に配付しているところであります。一、二の見本を持ってきておりますので、後ほどお目にかけてもよろしいと思います。
また、そういうような出版物だけではなくして、やはり最近は、各国とも視聴覚と申しますか、目を通してその国を理解するというのが一番早手回しであり、かつ効果的でございますので、写真とか、スライドとか、あるいは特に映画による啓発という点も、外務省として重点を置いております。たとえば写真は、日本の国民生活とかあるいは産業の状況等の写真を作りまして、海外の新聞社その他等に配付する措置をとっております。これにつきましても見本を持って参りましたので、後ほどごらんいただきたいと存じます。映画でございますが、これはわれわれとしましても非常に重点を置いているところでありまして、単に映画を海外で映すのみならず、その国でテレビ等が発達している場合には、テレビを通じてこれを上映してやっていくということでございます。外務省におきましては、昭和三十二年に、初めて映画の関係の予算が約千五百万円つきまして、その後漸次ふえて参りまして、三十五年度予算では、ちょっと正確な数字はあとで申し上げたいと思いますが、六千四百万円ばかりの予算がついております。この映画につきましても、外務省自体で作っておる映画は年間二本ないし三本でございますが、外務省としましては、先ほど冒頭に御説明しましたように、日本の国情全般を知らせるということを一応考えておるわけでありまして、しかしながらそれだけでは日本の経済、産業等の紹介には不十分でございますので、ジェトロで作ります映画でございますとか、あるいは民間の会社等が作ります適当な産業映画等の寄贈を受けて、あるいは買い上げて、これを在外公館に配布しております。現在在外公館に対して配布しております総数は約二千六百本に上っております。これはまだまだ各国の例から比べますと非常にわずかな数であることは言うまでもないわけでありまして、われわれとしましては、今後ともこの映画の配布数を、関係方面の協力を得ましてふやしたいと考えております。そこで映画の六千四百万円。三十五年度の予算につきましてその内訳を申しますと、外務省自体が作るか、そのコピーを作るための予算が二千八百万円ございまして、それに対しまして映画の適当なものを買い上げるための予算は、それより多く、三千万円ございます。この区分けからも一応御想像願えますように、外務省だけでは産業経済だけの特定な部門について映画を作るだけの余裕はございませんので、こういうふうにして適当なものを買い上げて海外に出しているということをやっております。御参考までに申し上げますと、昨年度予算によりまして九百四十五本でございます。この中でさらに内訳を作りますと、外務省が作りましたものに基づいてコピーをとりまして送りました映画の本数は百二十本でありまして、購入をいたしました——適当な、ジェトロ、あるいは観光協会、あるいは民間のものを買い上げて送りました本数が総数六百四十八本でございます。さらに寄贈を受けました数は総数百四十本、そこで当委員会においておそらく興味をお持ちになると思いましたので、一応調べて参りましたことを申し上げますと、購入映画のうちでいわゆる純粋に産業紹介の映画というものは、六百八十四本のうち約百五十本でございまして、その百五十本の中にはジェトロから買い上げましたものが十種、八十四本ございます。さらに寄贈を受けました映画の百四十本の中で純粋に産業映画と考えられるものは六十八本ございまして、この中でジェトロから産業映画等の寄贈を受けましたのが九種、三十二本、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/28
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029・栗山良夫
○栗山良夫君 年々非常に出版物あるいはフィルム等による日本の海外紹介が計画的に進められておるということを聞きましたし、また過日若干のフィルムを実地にわれわれ見せてもらいまして、まあ大へんけっこうであるとは思います。映画そのものも割合によくできておったという皆さんの御批評のようですが、私は機会を失して全部はちょっと拝見できなかったのですが、けっこうと思います。そういうことは別にしまして、もう一つお伺いをいたしておかなければならぬことは、やはり各国とも日本を理解してくれる、また理解をしてもらわなければならぬ一番大事な国民層はどこかというと、やはり今学校で勉強している諸君ですね。次の世代をになっていくそういう青少年諸君に日本というものをほんとうによくわかってもらわなければ困る。これは日本でも同じことだと思います。アメリカなり、ヨーロッパ各国のほんとうのことを日本の学生によく知らせておかなければならぬ。そういう建前からすると、去年だったと思いますが、東京の百貨店で、外務省はだいぶ痛かったと思うのですが、世界各国の教科書を並べて、明治時代の人力車の絵や、富士山の絵、そういったようなきわめて幼稚な日本の紹介のようなものが今日なお諸外国の教科書に日本の紹介として載っておるということが、だいぶ批判的な世論を受けながら、展示されたことを御記憶だと思います。これこそ急速に外務省の力をもって諸外国の文部省と交渉せられて、近代日本というものが教科書に載るように努力せられなければならぬと思う。そういうことはまだできていないですかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/29
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030・近藤晋一
○政府委員(近藤晋一君) ただいまの御指摘は名前を忘れましたが、誤解された日本展、これを実はやりました主子団体であります国際教育情報センターというのがございますが、この展覧会はなるほど私たちの対外啓発活動が十分でないということを示す意味におきましては、栗山先生の言われましたように、われわれにとっては痛いわけでありますが、実はこの団体は外務省から補助を出しておる団体でありまして、国内におきましてそういうような気運を盛り上げるためにむしろ外務省の方から積極的にこういう展覧会をしてほしいということでやったのでありまして、われわれとしましては、ただ映画とか、パンフレットを配るだけではだめであって、御指摘の若い世代、学生たちの使っておる教科書というものが間違っておるようなことを早く直す必要があることは、その重要性を前から考えておりまして、昭和三十三年度におきまして在外公館に訓令を出しまして、各国の使っておる地理、歴史、社会科等の中等学校、高等学校の教科書を集めさせまして、これをただいま申しました国際教育情報センターをして調査させまして、どの点がどのように間違っているかということをよく総合的に調査させました。さらに本年度におきましては、この調査に基づいてこの点はこういうふうに直すべきだという資料まで外国語で作りまして、その上で相手国に——これは相手国の文部省になる場合もございましょうし、あるいはそういうふうに直接手を打つということが相手の文教政策に干渉することになるというような点でまずい場合には、教科書の発行者に対しましてその是正を求める、こういうような手段をとりたいと思っておりますし、従来これほど組織的にではございませんけれども、個々にはそういう努力をいたしまして成果をあげた部面もございます。御承知のように、教科書というものは一たん作られますと、これを改訂するのに五年あるいはかなり長い期間がかかりますので、その間間違ったものが続くということも十分ありますので、外務省としましては、その間教師たちに対しまして、副教材と申しますか、そういうような資料を提供いたしまして、実際の教育の場合にあたってそれを利用してもらうということをやっております。そのためにいわゆる副教材の資料としての資料を現在外務省は作っておりまして、在外公館に配付し、そうして在外公館が各国の教育機関を通じてそれを教師たちに配付するという処置をとっております。その一つの見本をここに持って参っておりますので、後ほどお目にかけたいと存じます。さらに御指摘の教科書改訂方策に並びまして、やはり教科書を書く人、また教科書に関係の機関の実力者を日本に招待して、実際の日本を見てもらって、なるほど自分の国の教科書はこれと間違っておるという認識を得るために、たとえば昨年度はイギリスの王室地理学協会の地理の学者を招きまして実際見てもらい、この人は帰りましてから、自分の国の間違った教科書を展示をして、そうしてその国の教科書作成者に対してその反省を促し、あるいは後援してもらうというような効果もあげておりますが、こういうことは今後もさらにやりたいと思いますが、何ぶん予算の制約もございますので、十分とは決して申しませんけれども、一応そういう努力もしておるということをあわせて申しあげておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/30
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031・栗山良夫
○栗山良夫君 まあ大体事情はよくわかりましたし、努力しておられるという点も了解をいたしましたが、ただ今予算にしばられて計画できないということは、これはやはり日本の恥ですから、外務省は少なくともそういう言葉を吐かれない方が私はいいと思う。大蔵省がしぼることはそれはまた別の観点ですから。藤山さんの率いられる外務省は、予算がないからやりたいのだけれどもできないのですというようなことではないように、何としても予算をとって、そうして、一、二年のうちに今おっしゃったようなことを、もう調査一応済んだわけでしょうから、不満足な点については改善をするのだ、そういうふうに積極的な態度で臨んでもらいたいと思いますね。私はなぜそういうことを申しますかといいますと、最近もある経済界の人がラテン・アメリカの方にずっと旅行をして、そうして自分の会社でできている優秀な製品のカタログをずっと見せて歩いたところが、日本でこういうものができるか、人力車と富士山の日本にこういうものができるかといってどうしても信用しない。そういう状態に陥らしめたのは外務省の責任です。しかし外務省の責任というのは、外務省には何で、少なくとも産業関係からいえば経済関係省の係官も全部外務省付になって海外へ行っているわけですから連帯責任でもある。関係各省の連帯責任でもあるわけですが、とにかく当面は外務省の責任です。そういう意味で、日本のために海外へ渡航をして日本の経済を大いにプラスさせようと思って善意で動いた民間人が相手国に行って恥をかかなければならぬというような、そういうことは一刻も早く払拭してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/31
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032・近藤晋一
○政府委員(近藤晋一君) ただいま栗山先生の言われることは全く同感でありまして、そのような意味におきまして努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/32
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033・栗山良夫
○栗山良夫君 もう時間が大分迫りましたから、きょうはこの程度で質問を終わりたいと思いますが、資料の関係になるかもしれませんが、松尾局長にちょっとお尋ねいたします。
要綱の第十一に事業計画、資金計画及び収支予算というのがありますね、これはこの法人ができるというと、すぐに通商産業大臣の認可を受けられることになっているのです。ところがわれわれがちょうだいしたこのアジア経済研究所法案の参考資料というものを見ますると、これは既存の財団法人の貸借対照表なり損益計算書なり、そういうものがありますが、新しくできる特殊法人のこういうものは何も出ておりませんね。これをぜひ一つ出してもらいたい。
それから第二にやるのは、「研究所に、参与会を置く。」、「参与会は、参与十五人以内で組織する。」と書いてありますがその参与会のメンバーは、この方面に権威のある学識経験者をもって充てるということになっておりますが、これまたちょうだいいたしました資料には十四ページに「わが国及び外国の研究所の概要」というのがありまして、経済企画庁の研究所から始まって、ずいぶんたくさん入っておりますが、この研究所の代表者なんかは参与として選ばれるのか、あるいはこういうものと無関係に学識経験者なるものを選ぶのか、その辺がよくわれわれわからないのです。そういう点も参与というものが、ある組織的な——組織的なと申しますのは、民間にある研究所を総動員するとか、権威者を総動員するとかいう意味で体系的に選ばれるのなら、そういう資料を作って出してもらいたい。ここで一々お聞きしましても繁雑ですから、参与というものは、どういうもの、どういう団体から選ぶのか、どういう権威者を選ぶのか、これはおそらくこの人が失職しているからこれは参与にしようとか、この人は今度は定年退職になるからそれを選ぶとか、そういう便宜主義で選ばれることはないと思いますけれども、そういうことであれば、そういうことをおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/33
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034・内田常雄
○政府委員(内田常雄君) 今の参与の問題でありますが、大体こういうことになっております。現在の財団法人にも参与がありますが、これは十五人じゃなしに十一人がおられると思います。今度特殊法人に改組されれば十五人になるでありましょうが、それらの十一人なり十五人の人々は、一部は官庁の代表者が入ることを予定しております。現在も入っております。それから他の一部はこれはまあ官庁職員以外の学識経験者でありますが、これは今栗山委員が申されたような各種の調査機関の代表者といいますよりも、むしろ学界の代表者とかあるいは言論界の代表者でありますとか、あるいは調査団体連合会の代表者というような、アジア経済研究所の動き方などの方向を取り上げるのに意見を述べ得るような人々を予定いたしておりまして、各調査機関との連絡やテーマを取り上げるための連絡協議会式なものといたしましては、これは現在でもありますが、今後も作るのでありますが、調査協議会というものを置くことになっております。この調査協議会に、これは政府側の調査担当者も入りますが、民間や学界のそれぞれの調査機関の代表者とか、あるいは調査の担当者、その方面のベテラン、こういう人に入っていただきまして、調査協議会をもって運営する、こういう現在の仕組みでありますし、今後も構想でございます。だれが新しい参与になるか、だれがまた新しい調査協議会のメンバーになるか。調査協議会の方はこれは十五人とか十一人とかということでございません。三十人あっても五十人あってもいいのでありますから、今予定されている人物はどういう人物であるかということは資料にして出すことは困難かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/34
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035・栗山良夫
○栗山良夫君 その職員というのは、これは有給の役員なり、職員なり、そういう人はどれくらいおりますか、有給を予定されている人は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/35
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036・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今のお尋ねは役員でございますか。役員につきましては会長は一応無給というように考えております。所長それから理事二名、監事二名。参与は役員ではないわけであります。もちろん無給でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/36
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037・栗山良夫
○栗山良夫君 それでは、あとは次回に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/37
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038・牛田寛
○牛田寛君 参考資料の中で、アジア経済研究所の活動の概要は今までの質疑で承知いたしておりますが、実態調査の面にかなりの重点を置いておられるように思っております。三十三年度、三十四年度、三十五年度と、実態調査の人数が、ずっと出ておりますが、内容はどのような立場でどのような具体的な実態調査をやっておられるか。今後またどのような方向に進んでいかれるか、もう少し具体的に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/38
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039・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) どうでしょうか。資料を後刻出さしていたださましたらどうかと思いますが。これは非常に項目、それから要するにテーマ、調査国名、調査員、どの程度の金が要るかということは各年度別にしたのがございますので、それをあとで資料でお出ししたらいかがかと思っております。それからただいまのお尋ね、それから先ほどの栗山先生のお尋ねにも関連するのでありますが、三十五年度の事業計画につきましては、われわれの方の交付する予算の説明といたしまして、概略のテーマが、なんぼというふうなものはあるわけでございますが、今研究所の方でこまかいものをやっておる最中でございますから、これも数日中にお出しするにはちょっと間に合わないのじゃないかと考えております。事業計画と申しましても、研究所自身がやる調査研究もありまするし、あるいは、特定のグループに調査研究を依頼するもの、あるいは非常に専門家に個人にお願いするものというようにいろいろ分れておるわけでございます。どういうテーマを選ぶかということは今ちょっと検討いたしておる最中でございますので、これを全部三十五年度の事業計画として、委員会に数日中にお出しするには間に合わないので、この点は一つ御容赦を願いたいと思います。三十三年度、三十四年度につきましては、詳細なものを提出さしていただこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/39
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040・牛田寛
○牛田寛君 大体了承したのですが三十五年度はやはり三十四年度のその方向を大体踏襲しておきめになることになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/40
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041・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) テーマはかなり違ってこようかと思いまするが、やり方はほとんど同じでございまして、今お配りいたしております参考資料の九ページをごらん願いますれば、三十五年度計画しているところでございますが、たとえば国内調査と国外調査と広報活動それから資料購入というふうに分かれておりますが、大体たとえば一番上の国内調査につきましては研究委員会でやる、研究委員会といいますと、研究所が中心になりまして、若干外部の人に協力を願いましてグループ別に委員会を組織し、そうしてテーマをきめていく方法でございますが、これが三十四年と三十五年を比較してごらん願えばわかりますように、テーマをかなりふやしている。また特別の研究というのは大学等のある特定のグループ、調査機関にお願いをする分でありまして、これは三十五年度は若干減っております。それから個人研究と申しますのは、特殊な個人の専門家に委託する。これは大体三十四年度と三十五年は同じになる、こういうふうに考えております。それからあとは現地調査におきましては海外の派遣員それから現地調査に出す人間の数等は三十五年度もかなりふやすことで考えております。資料購入につきましても、総額としては同じでございますから、そういう方向で大体考えております。広報活動はこれは調査の結果ができてきているのでございます。調査の結果ができますにつれましてだんだんふえていく、問題は具体的などういうテーマを選ぶかということになりますと、まだ今研究中、作業をしている最中でございまして、早急にはお出ししかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/41
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042・牛田寛
○牛田寛君 国内調査のテーマの決定等の問題は御説明大体わかりましたが、私が伺いたいのは海外調査の面ですね、現地調査、あるいは実態調査に何名か割り当てられておりまするが、それらの方々が具体的にどういう立場で調査をやっておいでになるか、そういうことを伺いたい。これはあとで資料をいただいてもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/42
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043・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 実は海外調査の方もまだ正確にだれをどういうテーマでというまだ今きまっていないわけでありまして、ちょっと今資料をお出しするのはむずかしいものと思っております。ただ海外調査のうちの現地実態調査はそれぞれ上の国内調査の補完をやらせるわけでありますので、国内調査がきまってきますれば、それの足らぬところを現地実態調査して補完をしていく、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/43
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044・栗山良夫
○栗山良夫君 私ちょっと聞き漏らしましたが、特殊法人出発後一カ年間の予算書というのは提出していただけないという先ほどの御答弁でございましたが、要綱の十一項目にある事業計画、資金計画、収支予算というものは提出されないということでございましたかね。要綱の十一。それはしかし私は実施に入って実施と計画の予算なり予定と若干のそごがくるということは了承しますけれども、少なくとも特殊法人というものを作って、法律でこれを認めようというのに、その十一の事業計画とか、そういうものが全然国会に提出できないということは了承できませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/44
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045・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 参考資料の十ページに「アジア経済研究所の予算規模」といたしまして、三十五年度のものを、これをもっとこまかく細分したものを御要求されているのではないかと思いますが、今のところでは大体概略といたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/45
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046・栗山良夫
○栗山良夫君 それから十二ページですね。十二ページをちょっと見て下さい。予想貸借対照表と予想損益計算書というのがございますね。これは財団のときでしょう。ですから特殊法人が出発後一カ年間のこういう予想表ができないのはおかしいのではないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/46
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047・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) はなはだ申しわけないのでございますが、予想貸借対照表、それから損益計算書、三十五年度につきましては、まだはっきりしたものができておらないわけでありまして、目下補助金と、それから民間からの寄付金とを予想して作業している最中なものでございますから、一つ概略の説明で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/47
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048・栗山良夫
○栗山良夫君 この法律が参議院、衆議院を通れば、特殊法人はできると思うんですよ。そのときに、あなた、そういう計画がなければ創立総会での議案がないじゃないですか、創立総会にかける議案がない。そんな幽霊会社なんて見たことはないよ。それはだめですよ、そんなことは……。そんなでたらめな、白紙委任状のような、そんな法律案なんぞ通せませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/48
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049・柿坪精吾
○説明員(柿坪精吾君) 三十五年度の予算につきましては、人間を何名にふやすか、研究員を何名ということは九ページにございますが、そういうことで、役員が何名、職員が何名、研究員が中心をなすわけでありますが、そのほか資料購入に幾ら金を使う、あるいは、建物に幾ら使うかということはきまっておるわけでございますが、ただ、調査の中身につきましては、予算で大体の調査規模というものをきめておりまして、従いまして、国内調査で研究委員会何テーマ、何テーマということで、大体一テーマごとにそれを均分したくらいのものを予定いたしまして、それを固めるのは国内の研究者と打ち合わせなければなりませんし、また、海外に行きます場合には、海外の引受機関とも打ち合わせなければならぬということで、この具体的なテーマの中身は、今後逐次固まって参ります。従いまして、個々のテーマで、一つは平均の価格でいかないで、場所によっては調査に金がかかる、あるいは平均以下で済むというようなものもございまして、年度当初に予定いたしておりますのは、テーマの数を予定いたしておるだけでございます。従いまして、これが固まるのは、逐次年度の途中で固まっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/49
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050・栗山良夫
○栗山良夫君 それはあなたの方の御都合はそういうことだろうけれども、国会で審議する立場なり、あるいは特殊法人には、あなた株主の立場からいったら、そんな、あなた何ですよ、ルーズなことで総会で決定することもできないだろうし、国会としても何が出てくるかわからないようなものを審議するわけにいかないでしょう。大ていどんな公社法案が出ても、第一期の事業見積書だとか、それに付随する経理の予想書くらいは出ますよ。三十四年度の財団法人のところまでは実績である。三十五年度は職員の数やそういうものはある、しかし肝心の経理の方のことは何もないのだということじゃ手落ちじゃないですか、私はだから実績と予想と将来決算のときに合わなくてもそれはやむを得ないけれども、何もないということはおかしいじゃないかということを言っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/50
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051・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 早速それじゃ調整しまして出さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/51
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052・牛田寛
○牛田寛君 私は現地の実態調査が非常に重要視されておる。この実態調査を強力に行なうか行なわないかの問題で、先ほども質疑がございましたように、経済事情の調査、それに関連する各国の政治動向であるとか、あるいは民族、風俗ですね、そういうものの調査であるとかいうことが完全にいくか、いかないかのポイントになってくると思うわけであります。その点をもう少し具体的にどういう方針でやられるかお伺いしたがったわけなんでございますけれども、まあそれに派生して三十五年度の計画もはっきりしておられないようでありますので、研究という問題から考えましても、もう次年度の計画は、前年度末には大体でき上っておらなければ計画は完成しない、その点から考えましても、もう少しこういう点を強力に推進しておいでになるのでなければ、財団法人を特殊法人にした意味がないように考えられますので、その点当局に強力に推進していただきたいということを要望いたしまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/52
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053・山本利壽
○委員長(山本利壽君) そのほかに御質疑はございませんか。——それでは本日は本案の質疑をこの程度にとめたいと存じます。
この際、理事会において申し合わせました来週の審議予定について御報告いたします。三月二十二日火曜日は、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案について質疑の後、討論採決を行ない、ついでアジア経済研究所法案及び重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を行ないます。二十二日水曜日及び二十四日木曜日は委員会を開会いたしません。なお、二十九日火曜日は、一応アジア経済研究所法案及び重油ボイラー法案の審議を行なうことにいたします。
以上御了承をお願いいたします。
本百はこれにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01519600317/53
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