1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十九日(火曜日)
午後一時五十一分開会
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出席者は左の通り。
理事
川上 為治君
古池 信三君
栗山 良夫君
牛田 寛君
委員
赤間 文三君
上原 正吉君
岸田 幸雄君
斎藤 昇君
鈴木 万平君
近藤 信一君
椿 繁夫君
島 清君
加藤 正人君
政府委員
通商産業政務次
官 原田 憲君
通商産業大臣官
房長 斎藤 正年君
通商産業省通商
局長 松尾泰一郎君
通商産業省鉱山
局長 福井 政男君
通商産業省石炭
局長 樋詰 誠明君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○アジア経済研究所法案(内閣提出、
衆議院送付)
○重油ボイラーの設置の制限等に関す
る臨時措置に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/0
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001・古池信三
○理事(古池信三君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は委員長が事故のために出席されませんので、委託によって私がかわって委員長の職務を行ないますから、どうか皆さま方の御協力をお願いいたします。
最初に、先ほどの委員長理事打合会の結果を御報告いたします。
本日は最初にアジア経済研究所法案について質疑を続行し、続いて重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について、内容並びに提出資料についての説明を政府委員より聴取いたすことにします。
明日は委員会は開会いたしません。明後三月三十一日木曜日には午前十時より委員会を開いて、アジア経済研究所法案について質疑を続行し、さらに重油ボイラー法一部改正案の審議をいたすことに相なりました。
以上が本日の委員長理事打合会における打ち合わせの結果であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/1
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002・古池信三
○理事(古池信三君) それではまずアジア経済研究所法案を議題といたします。前回に引き続いて質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/2
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003・近藤信一
○近藤信一君 まず、アジア経済研究所法案の質疑の前に、今の委員長理事打合会の報告に対してちょっとお尋ねしますが、この委員長理事打合会では、次の三十一日にアジア経済研究所の法案をあげるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/3
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004・古池信三
○理事(古池信三君) ええ、大体質疑が終了すれば、討論採決に持っていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/4
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005・近藤信一
○近藤信一君 それではアジア経済研究所の所管問題について、ちょっとお尋ねしたいと思いますが、アジア経済研究所の所管をめぐりまして、通産省と外務省の間に何か深刻な権限争いというふうなものがあったように伝えられておりますが、そのいきさつについて、どういうような状態であったか、まず政務次官にちょっとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/5
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006・原田憲
○政府委員(原田憲君) アジア経済研究所の所管問題について、通産省と外務省との間に所管争いというものがあったのではないかというお問いでございますが、所管争いというほどのものはございませんで、外務省は外務省として、その職務上アジア経済研究所の所管は外務省が当然だという気持をもって主張されたのでありますが、このアジア経済研究所はその成立の経緯から明らかなように、貿易業界や産業界等に対して、貿易活動、または貿易と深く結びついた民間経済協力活動に対して必要な基礎資料を提供することをおもな目的としております。そこでその監督は、通産省に置くことがよかろうということで、このことにつきましては閣議において了解事項がございまして、通産省の所管ということに相なった次第でありまして、外務大臣もその点についてはすでにはっきりと、それでよいという所見をお述べになっておりまして、所管争いというほどのものがあったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/6
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007・近藤信一
○近藤信一君 今、政務次官のお答えだと、その点は閣議できまったようでございますが、大体この所管問題という基準がどういうふうな結着がつけられたのか。それからまた外務省所管事項の中に、外務省設置法第三条の六号にあります「外国に関する調査」というのがありまして、これを根拠にして外務省は通産省との共管を主張したというふうに聞いております。通産省の所管だという法的の根拠というふうなものはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/7
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008・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 所管につきましては、ただいま政務次官から御答弁になりましたが、外務省の設置法第三条にも、もちろん「外国に関する調査」という項目があるのでありますが、この規定は政府自身の行なう行政事務についての規定でありまして、外務省がみずから外交に関して、外国に関する調査を行なうことを明らかにしたものであります。従ってこの規定は、民間の貿易及び経済協力活動を促進するための基礎的調査を行なうアジア研究所の所管とは関係がないと、われわれは解釈をいたしております。またこの規定は、外国に関する調査が外務省の独占的な任務であると定めたものでもないのでありまして、各省の設置法にそれぞれ所掌の事務に属する調査に関する規定がございまして、各省はそれぞれの所掌事務を円滑適切に実施するために、内外の調査を行なうべき旨を定めたものであります。所管につきましては、ただいま政務次官から答弁があった通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/8
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009・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、研究所は通産省の単独所管、こういうことにされたわけでございますが、そういたしますると、外務省の方は研究所に対して非協力というようなおそれがあるようにも思われまするので、法案の二十三条を見ますると、研究所の業務の中には、海外資料の収集、現地調査等があげられております。これらの仕事に対しまして外務省が——在外公館が十分に協力するかどうか、この点がちょっと心配になりますが、その保証は何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/9
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010・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) このアジア経済研究所の所管が通産省というふうにきめられます閣議のときにも、この研究所の活動につきましては各省と密接な関係があるわけでありまして、特に外務省とも深い関係があるわけでありまして、各省との関係を密接にするのみならず、各省がこの研究所の事業を円滑に遂行するために、心から協力するという了解になっておるのでございまして、各省との連携を密接にいたしますために、本法の中におきましても、参与会等の制度が設けられておるわけでございます。各省また関係の民間機関が相ともに協力をして、この研究所の事業を円滑に遂行させる、こういうことになっておるわけでございまして、御心配のような点はごうもないというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/10
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011・近藤信一
○近藤信一君 通産省と外務省との所管争いは別にしまして、とにかくこうした各省のなわ張り争いというふうなことが、しばしば今日までも伝えられておるわけなんです。特に今度の場合には、海外経済協力事業ということがおもな点であろうかと思うのです。そういう点から考えましても、政府の内部に非協力な点があるというふうなことは、私ども今までもいろいろと、通産省に限ったことでなくして、他の省でもこういうことは聞いておるわけです。こういう点を考えました場合に、将来の運営においても非常に困難を予想されるのではないかと、こういうふうに思われますし、たとえば数年前から継続して行なわれておりましたメコン河の流域について総合調査というふうなものがあったはずなんです。これは三十四年度の予算書には外務省所管として四千三百二十万円が計上されております。こういう仕事はアジア経済研究所の仕事ではないかと思います。従って、通産省所管とした方が適当のようにも思われますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/11
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012・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) メコン河の水流の調査につきましては、外務省の所管ということにきめられておるのであります。もちろん各省はこれに対しまして心から協力をしております。特に、たとえば通産省の所管する海外電力調査会のごときはその一員となりまして心から協力をしておるのでありますが、確かに、メコン河の水流調査を開始をいたしますときには、それに関与する団体の関係上、若干各省事務当局の間におきまして意見の相違もあったことは事実でありますが、閣議におきまして、メコン河の水流調査の方は外務省が所管になってやるということにきまり、それと多分ほぼ同時だったかと思うのでありますが、アジア経済研究所の方の所管、これはその当時はもちろん財団法人の問題でございますが、につきましては所管は通産省ということになったのでございまして、今御指摘のアジア経済研究所がメコンの水流調査なんかもいたすべきではないかという御質疑かと思うのでありますが、まあわれわれは、具体的なプロジェクトが決まりまして、それを調査研究をするという場合には、率直に申しますと、アジア経済研究所の所掌ではなしに、アジア経済研究所というものは、そういう具体的なプロジェクトを決定するその事前におきまして総合的な基礎調査がなされるのが必要であるという場合に行なわれるというふうに理解をしておるのであります。いろいろな調査がもちろんございます。ジェトロのいたす調査もありますし、あるいは国でいたす調査もありますし、また、具体的なたとえば資源の開発に関しましてときどきに応じまして調査団の行ってやります調査もございますが、このアジア経済研究所の調査は、それらの調査の前提になる基礎的な総合的な調査を一般的に実施をするというふうに解釈をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/12
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013・近藤信一
○近藤信一君 まあ役所のなわ張り争いというふうなことが、研究所の将来の発展を阻害するというふうなことがあれば、まことにこれは遺憾なことでありますが、研究所の所管は、やはり設立の要望書の中にもありますように、通産省が所管することが適当だろうと思います。しかし、必要に応じては他の省とも十分に協力して、そうしていくような配慮というものが必要であろうと、私はこう思うんですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/13
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014・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) お説ごもっともでありまして、われわれもその通りに考えておるのであります。繰り返して申し上げることになるかもしれませんが、要するに、設立の経緯なり所管の簡明明確化という点におきまして、通産省の所管ということになりましたが、これは各省の心からなる協力を得なければ円滑な調査もできないのであります。外務省、通産省、運輸省その他各省もそういう心づもりでおられることをわれわれ確信をいたしておるのでありますが、制度的には、参与会という制度をもちまして、ここで各省から参与に出ていただきまして、密接に連絡をしていくという建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/14
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015・近藤信一
○近藤信一君 それから、これはこの前栗山委員も言っておられましたが、今度財団法人を特殊法人にする、こういうことで提案説明の中にも書いてありましたが、やはりわが国におきましては、アジア経済研究所を中心機関として長期的な調査研究をやる、こういう体制を敷かれるわけなんであります。その内容の拡充強化をするためには、どうしても端的に言いまして、純粋な民間団体というふうにも考えられます。しかし、これが今度財団法人から特殊法人に切りかえられる。そこでその理由と思われるのは、資金があまり集まらないから、これを特殊法人にして政府から出資してと、こういうふうなことが考えられたのじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/15
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016・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 財団法人を特殊法人にいたします理由は、一言にして申し上げますならば、研究所の事業の基礎を強固にいたしまして、要するに安定的な基礎の上に置くという一言に尽きるのであります。確かに、ただ単に事務をやるということでありますれば、毎年財団法人に対して補助金を交付するということでもやれないことはないのでございますが、えてしてこういう民間団体は最初の二、三年は何とかなるのでございますが、だんだん年月がたつに従いまして、民間からの賛助安も集めにくくなるというのが例でございます。またこの調査研究所に働く人間にいたしましても、やはり基礎が安定をいたしませんと、有能な人は一生をかけてそこに身を投ずることはなかなかできにくいような事情もありまして、まあこの基礎を強固にしまして、有能な人材を集めて、長きにわたりましてしっかりした調査をしてもらう。そうなれば民間の金も勢いある程度継続的に集まりますし、また政府も何と申しますか、特殊法人にした以上、補助金でやっておりました時代よりも、まあ金がつきやすいというのがこれが常でございます。まあそういうふうないろいろな意味合いから申しまして、特殊法人にされたのであります。理論的に議論をいたしますと、甲乙つけにくい面もあろうかと思いますが、われわれとしましては、その方がよりベターであるという一言に尽きるのではないかという工合に考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/16
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017・近藤信一
○近藤信一君 民間の出資金につきましては、財団法人の場合には百万円、それから特殊法人に対しましては二千万円ということになっておるのです。これはもう資料の十ページにも出ていると思うのです。そこで、研究所の案内の中に、役員や評議員の名簿があるわけでございますが、それを見ますると、従来、まあ小林会長以下実に、まあ豪華なメンバーがずらりと並んでおるわけなんです。これだけのメンバーで百万円、いや二千万円というのはちょっと少ないようにも考えられるのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/17
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018・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 財団法人の寄付行為におきましては、一応百万円ということになって、おるのであります。今回、特殊法人のこのアジア経済研究所になりますと、現在のところ、さしあたりは民間からの出資を二千万円程度期待をいたしておるのであります。多ければ多いほどいいのでありますが、いろいろ当たって見ますと、まあ最初は二千万円で、できるだけわれわれとしては、それを増額されることを期待をしておるのであります。われわれの心づもりから言いますと、五千万円ぐらいにまで二、三年の間に増加をされることを期待をしておるのでありますが、これはわれわれだけが期待をしても実現がわかりませんが、まあ現在のところは、そういうふうな見通しを立てて進んでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/18
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019・近藤信一
○近藤信一君 今局長が言われましたように、有能な人を集めて特殊法人としてもっと発展をさせていきたい、そういうことで有能な士を集められるわけですが、それで、最初まあ二千万円くらいということで、こういうことで政府出資が一億円ですか、一億円ですね。政府が一億円で、民間が二千万円ということだと、これはあまりかけ離れておるようにも考えられるのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/19
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020・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 資本金が今の御指摘にありましたように、政府の一億円、それから民間の二千万円のほかに三十五年度の事業費の補助金としまして、一億五千万円強の補助金を出すことになっておるのでありますが、まあ資本金の額といたしますれば、確かにそう多い方ではなかろうと思いますが、しかし財団法人百万円の基金の場合よりも、やはり今後の安定性という点から言うと、非常に格段な相違があるのでありまして、もちろん最初でありますので一億二千万円でありますが、今後必要に応じまして資本金の増額ということも可能になろうと思いますので、現に財団法人のアジア経済研究所を担当されておりまする会長なりあるいは所長も、この特殊法人になることによって真に有能な人さまも集め得るのだというふうに、固く信用し得られているような次第でもありまして、われわれもその通りに信じているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/20
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021・近藤信一
○近藤信一君 この資料を見ますと、三十四年度は賛助会費が二千三百八十万円、こういうことになっているのです。そこでこの賛助会費のこの会費は一口幾らぐらい集めておられるのか。三十五年度はこれが三十四年度より減っている。賛助会費が減っていますが、これは一体どういう点で三十四年度より三十五年度がまあこう減ってきているのか。政府から出資するので、これは賛助会費の方を減らしたのかどうか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/21
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022・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 賛助会費は三十四年度二千三百八十万円でありますが、実はその同額を掲げてももちろんいいわけでありますが、まあ数字をまるくする黄味におきまして二千三百五十万円ということにしたのでありまして、特に減るであろうという見通しを立てているものではございません。大体賛助会費は横ばいか、できればもう少し多くいただきたいというふうには考えているのであります。大体確実性のあるところを踏みまして、数字をまるくする意味もありまして、二千三百五十万円ということにしたのであります。で、大体賛助会費は一日十万円というのを原則と考えているのであります。実績は十万円以上のものもあるようであります。若干それを切れるものもあるようであります。まあ大体一口十万円と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/22
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023・近藤信一
○近藤信一君 今局長の言われましたように、本来であれば賛助会費はふえると、まあ私も思うのです。ところが予算書では三十万円減っているんですが、これはまあ減るということを予想されたんですか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/23
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024・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 別段減るという予想はいたしておりません。かために組んだということでありまして、まあ初年度は民間からも出資金の二千万円もありますので、相当かためにしたというのであります。できるだけ実績以上には集めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 財団法人の方の寄付行為の五条の一号及び二号には寄付についての規定がありますが、今まではどれぐらいの寄付が集まっておりますか。また今後の寄付の見通しはどのくらい数を立てておられるのか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/25
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026・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) ちょっと御質問の点が、私わかりにくいのでありますが、この資料の予算規模でお示しをしている賛助会費というのをいわゆる寄付に考えておるのでありまして、賛助会費以外の寄付というのは予想をしていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/26
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027・近藤信一
○近藤信一君 賛助会費がすなわち寄付ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/27
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028・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/28
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029・近藤信一
○近藤信一君 そうですが。資金面から見ますと、いわゆる財界の熱意はどの程度なものであるか、またもし相当の熱意があるとするならば、ことさら特殊法人にしなくても十分やっていけるはずじゃないかと思われるわけです。これをあえて特殊法人にされたということは、先ほどからるる御説明がありますけれども、これはもうどうしても財団法人ではうまくいかない、特殊法人にした方が今後の運営がいいからと、こういう点で特殊法人にされたのかどうか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/29
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030・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 理由は二つあろうかと思うのであります。一つは財政面からでありますが、財政面は先ほど来申し上げておりますように、賛助会費におきましても三十四年度、三十五年度と横ばいでありまして、特殊法人になったために二千万円だけ出資金として多く民間から出していただくということなのであります。従いまして民間の熱意という点からいいますと、財団法人あるいはアジア経済研究所の特殊法人といいましても、そうまあ違わないのではないかと私は考えておるのでありますが、いま一つの点といたしまして基礎を安定させる、そうしてまあ有能な調査マンを集めるという点からいいますと、どうしても百万円の基金を持つ財団法人ということではなかなか調査マンが集まりにくいというのが、やはり実際の最も深い必要性というふうに考えておるのでありまして、まあわれわれ政府側で考えるよりも、実際これをやっておられる財団法人側の幹部あるいは職員の気持からいいますと、その点を非常に強く主張されていたのであります。大学を卒業した優秀な調査員を採用する、あるいは大学の研究所におる調査マンを採用するという場合におきましても、その点がやはり一番ネックになる。そのためにどうしても特殊法人にして、そういう有能な人に来やすいようにしてやる、安定して来させるということが一番必要であるということが常々現在の財団法人の経済研究所の人たちから言われておったのでありますが、特殊法人になることによって、若干政府が、資本金ももちろんでありますが、補助金にしましてもある程度毎年々々恒常的に出さなければならん、あるいは若干増加していかなければならん。そういうふうな経済上上の利益もありましょうが、それよりも精神面の方の利益の方がより大切ではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/30
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031・近藤信一
○近藤信一君 特殊法人にされる以上は、政府の監督が強化されることも当然だと思いますが、研究所が、特に社会科学関係の研究所の監督、それからその研究の対象が当然現実の政治や経済に関係してくるのでありまして、非常にむずかしいと思いますが、研究所の監督に当たってどのような基本方針をお立てになっておられるのか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/31
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032・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 研究所に対します監督は、この条文の中でもごらんいただきますように、人事、財務それから業務面等の特殊法人としての監督上必要最小限のものにつきまして、法律上規定をされておるのでありまするが、われわれの気持といたしましては、調査内容とか、その調査の実施の方法等の調査業務につきましては、できるだけ政府は介入をしないという建前で考えておるのであります。研究所の自主性を極力尊重したいというふうに考えてでおります。しかし国から多額の補助金を交付いたしまする関係上、財務面の監督はやはりある程度行なわれるのは当然であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/32
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033・近藤信一
○近藤信一君 特殊法人にされるということは、当然ある意味においては、政府はその責任を持つということになるわけなんであります。これは国内関係だけでございますれば、さほどの問題はないと思いますが、この研究所のようにやはりこの研究の対象が外国であります場合に、外国の資料を集めたり、それから外国に研究員を派遣しなければならん。こういう場合には、いろいろとまあむずかしい問題が起こって来るのではないかとこう思われるのです。中国の新華社電なんかによりますると、この研究所は日本の独占資本の海外進出と結びつけております。特殊法人にすることは、そういうような誤解を招くおそれがあると思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/33
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034・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) できるだけ誤解のないようにいたさなければならんというふうに考えております。確かに新華社電におきましては、かなり誤解があるように了解をいたしております。まあ過去の戦前のいろいろな調査機関と、情勢も変わっておりまするので、そういう壟断資本の進出を助けるというような考え方は、おそらく日本の今日におきまして考えられないことであります。純粋に貿易の促進とかあるいは経済提携の促進に役立たせようという意味の調査でございます。従いまして研究所の現地に派遣されます調査員につきましては、もちろん慎重にいろいろ誤解を招くようなことのないようにいたさなければなりませんが、われわれといたしましても、いたずらにこれは特殊の使命を持っておるかのような目で日本国内で見るということが、もうすでに外国の誤解を招く一歩ではないかというふうに考えておるのでありまして、われわれはそういうことはどうも意図しておらないと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/34
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035・近藤信一
○近藤信一君 この点は前回の委員会でも栗山委員からもいろいろと対象の問題なんかで質問がございました。特に研究所の対象の地域に中国が含まれることも当然でございまして、すでに三十四年度にも中国における農業の社会主義の改造、それから中国の経済の海外依存の構造、それから中国の財政構造、これらについての研究が行なわれておりますが、こういう中国研究もやるような研究所を特殊法人化して政府は出資を行なう、こういうことになるわけなんです。これは何も中国に対する新しい方針ということではないと思うのですが、この点現在中国と日本との関係、それを将来こういう面を通じて好転されるというふうなお考えかどうか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/35
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036・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 前回にも申し上げたかと思うのでありますが、アジア経済研究所でありますので、アジア地域にかなり重点を置くという、こう申し上げた、またアジア地域とはどういう範囲であるかというようなお尋ねがありましたので、これは中共なりシベリア等も含むのであるというふうに申し上げたのであります。過去におきましても、財団法人アジア経済研究所は、中国につきましての若干の調査研究をいたしております。しかしこれはあくまで文献による調査でございまして、この新しいアジア経済研究所のほんとうの特色というものは、そういう文献調査はもちろんでありますが、その文献調査で明らかにし得ない点を、現地に研究員を派遣しまして、そこでつぶさに調査をしよう、こういう建前でございますが、中国におきましては、御存じのような状況でありますので、人を派遣するという段階ではないのではないかというふうに考えておるのであります。中国だから特殊法人として調べるということが不適当だというふうにもわれわれは考えておりません。あくまでもそれがまじめなる意図と目的でもってやる限りは、それは誤解は解けるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/36
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037・近藤信一
○近藤信一君 局長も言っておられますように、アジア地域等ということで、シベリアも含む、こういうふうなことでございますが、やはりシベリア、それから中国、こういうところにやはり資料収集のためには、また研究調査するためには、研究員の派遣というふうなことも出てくるのじゃないかと思うのですが、このシベリア地区や中国への研究員の派遣というふうなことは、どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/37
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038・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) できるだけそういうことのできる時期が早いことを期待をいたしておるのでありますが、何分設立早々でありますので、まず何と申しますか、やりよい事業から着実にスタートしていくということになろうかと思うのであります。中国なりシベリアということになりますと、もし要請があれば早くやる必要もあるかと思いますが、ただいまのところ、いろいろ調査上の困難等がありますので、少し時期的にはおくれるのではないか、しかし建前としてはできる、またやらねばならぬことではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/38
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039・近藤信一
○近藤信一君 これは当然韓国も含まれると思うのです。韓国との日韓会談もこの間うまく話がついたようで、もう交換もなされるわけです。やりよいものとなると、韓国なんか早いと思うのですが、韓国あたりに対しての考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/39
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040・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 韓国につきましても同様に考えておりますが、何分渡航ということになりますと、韓国は非常にむずかしいところでありまして、これは今のところほとんど日本人の貿易業者の渡航も許されておらないというほどで、ましてや調査員の渡航ということはむずかしいのではないかというふうに考えております。できるだけそういう渡航が早くできますような時期を望んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/40
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041・近藤信一
○近藤信一君 次には、研究所の組織についてお尋ねをしたいと思うのですが、研究所の役員を見ますると、やはり会長、所長というふうなことになっておりますし、特に研究所を代表する者となっております。これは会長、所長、これらが研究所を代表する、そういうことになっておりまするが、現在の研究所、たとえば理化学研究所だとか、または原子力研究所、こういうふうなところでは理事長ということになって、会長、所長というふうなものは置いていないようにも考えられるのですが、特に今度会長、所長を置くというような制度にされたのは、どういう観点から、そういうふうな結果になってきたのか。また他の研究所で、会長があり、所長がありというふうなところがあれば、その点をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/41
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042・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 会長、所長制をとりましたのは、ほかにももちろん例はあるわけでありまして、特に学校法人におきましては、理事長、学長、校長というふうな役員の形になっておるのであります。要するに、人材を集めて、適材を適所に用いるという点から、どういう名前にするのが適当かということを考えるべきではないかと思うのでありまして、会長、副会長、あるいは理事長、副理事長というふうな形が一般的かと思うのでありますが、今度の場合は、経営手腕のある人を会長に持っていき、それからほんとうの調査研究に詳しい人を所長に持っていくというような意味合いから、会長、所長制をとったのでありまして、ほかの例では、国立競技場法には、会長、理事長というふうな例もあります。われわれは、今回の場合は、会長、所長制が一番ふさわしいということで、その例をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/42
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043・近藤信一
○近藤信一君 あまり有能な、偉い人ばかり集めてしまって、役のつけどころがないから、会長、所長なんて制度を作って、そういうところへはめ込むような気持もするわけなんです。そういうようなことで、ただ人材を集める、集めるといわれて幹部ばかりできてしまって因るというようなことでも、やはり運営上困るのではないかと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/43
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044・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 現在の財団法人アジア経済研究所もそうでありますが、本法におきましても、役員の機構は、他の特殊法人と御比較を願えれば、おわかり願えるかと思いますが、非常に人数をしぼっております。理事機構、役員機構は簡素、強力にいこうというので、人数も非常にしぼっておるのでありまして、決して役員の数が頭でっかちになるというふうな考え方をいたしておりません。会長、所長のほかに、理事二名、監事二名というふうなことであります。その点からは、役員機構は、他の特殊法人に比べまして非常に簡素にする考えでおるのであります。人員につきましては、これはある程度予算上の制約もございまするが、三十五年度におきましては説明の中にありますように、かなり人員を増加することになっております。何分早々でございまするので、十分とまではいきませんが、今後調査員その他、事務の方の人員の増強に一そう努力をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/44
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045・近藤信一
○近藤信一君 十九条に、参与を置く制度があるわけなんです。参与を置くということになりますが、具体的にはどんな人を参与に置かれる意向を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/45
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046・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 参与としましては、現在の財団法人アジア経済研究所におきましては、十一名でありまして、官庁関係では、外務、大蔵、文部、農林、通産、経済企画庁の各次官が参与になっております。その他は、農林水産業生産性向上会議の理事長、それから経済団体連合会の事務局長、国際文化会館の専務理事、それから朝日新聞の論説主幹、お茶の水大学学長さんというふうになっているのであります。大体この新しい法律下におきましても、これを踏襲をして、全部人員としましては十五名でございますので、あと数名適当な人を補充して拡充をするというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/46
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047・近藤信一
○近藤信一君 現在の財団法人の人そっくりと、その他にまあ新たに置かれると、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/47
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048・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/48
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049・近藤信一
○近藤信一君 参与が審議するのは「業務の運営に関する重要事項」となっておりますが、それは研究の内容にまでわたっていろいろと御相談なされるのか、それとも運営面に限られて今後運営されていかれるのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/49
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050・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 参与会の職務権限の一つといたしまして「業務の運営に関する重要事項」ということになっておりますが、この重要事項といいますのは事業計画、資金計画、それから収支予算の決定を考えておるのでございますが、調査の細部にわたることまでは参与会ではタッチしないというふうに考えております。大体どういう方面といいますか、調査の方針というふうなものは、参与会に諮問したらよいのではないかというふうに考えております。これは別段法律的にはそこまではっきりと掲げておらないのであります。普通の例文のごとく「業務の運営に関する重要事項」ということになっております。その「業務の運営に関する重要事項」というのは、先ほど申しましたような事項を通例指しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/50
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051・近藤信一
○近藤信一君 この十九条の五項に「参与は、研究所の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、通商産業大臣の認可を受けて、会長が任命する。」、こうあるのですが、通産大臣の認可を受けなければ、参与を会長が勝手に任命するということはできないのですか。会長には会長としての権限で参与を任命すると、こういうふうなことにはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/51
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052・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この通産大臣の認可にかかられましたのは、参与会を広く有識者の意見を反映する機関たらしめるように監督するためでありまして、この研究所につきましては、この出資者の総会というようなものを特に法定をいたしておりません。参与会がいわばこの唯一の研究所の最高諮問機関というような格好になっておるのであります。従いまして通産大臣がその研究所を監督する責任上、認可にかからせる方がベターではなかろうかということで、ほかの同種の例も大体こういう例が多いのでございますが、特にこの通産大臣が、これはやかましくしたという趣旨ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/52
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053・近藤信一
○近藤信一君 そうしますと、会長が参与としてこの人が適当であると考えて、その人を参与会に任命しようとしても、通産大臣が、それはまかりならぬと、こういうことになりますれば、その人を会長が適当だと思われる人であっても、これは参与会に任命することはできないと、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/53
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054・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 法律の建前としてはそういうことになりますが、しかし実際問題といたしましては、現実にはあまりそういう事例も起こらぬかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/54
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055・近藤信一
○近藤信一君 法律の建前としてそういうことになりますから、法律としてこれが立法されれば、これは法律としてそれが適用される以上は、会長が適当と思っても、それが通産大臣と意見の違う点があるかもわかりません。そういうときには適当な人でもこれは参与に任命することができない、法律の建前からいえば、そういうことになるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/55
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056・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 法律の建前からいえばその通りであります。認可である以上、通産大臣が認可をしなければ、会長はこの人を参与にと思いましてもできない場合ももちろんございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/56
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057・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますと、今度財団法人から特殊法人にされる、それによっていろいろとそうした参与会等に対する人選の権限が通産大臣に移ってしまう、こういうことにもなろうかと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/57
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058・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 特殊法人でございまするので、監督上必要な点は、他の特殊法人法と同じように規定をいたしておるのでありまして、別段新しい点はございませんが、しかし今の財団法人という場合よりも、もちろん特殊法人になることによって人事面の監督も強化されるということは、これはやむを得ないことかと思うのでございます。しかしこれはまあ良識に従って行なわれることでありまするので、監督規定があるから非常にやかましくされるというわけでもないわけでありまして、しからば、そういう点がなかったら、そういう監督規定がなかったらどうか。一億の資本金を国が出し、一億五千万円の補助金を出すのに監督をどうしてやらないのだという御批判もあろうかと思いますが、別段この特殊法人に対しまして、他の特殊法人に比しましてわれわれとしましては比較的ゆるい監督規定になっているというふうに確信をいたしております。調査機関の性質といたしまして、特殊法人である以上、最小限度の監督はやむを得ませんけれども、あまりぎしぎしした監督はできるだけ避けたいという考え方でありまして、しかし法律である以上、監督規定をなくしてしまうというわけにいきませんので、別途閣議の了解事項をもちまして、そういうできるだけ監督を最小限度にしまして、研究所の自主性を尊重するという閣議了解事項もできておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/58
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059・近藤信一
○近藤信一君 参与会のことはこの程度にいたしまして、研究所の会長、所長というふうな制度が今度できるわけでございますが、聞くところによれば、現在の小林会長、東畑所長、こういうふうな人がそのまま就任されるかのごとくに聞いておるわけなんです。そこで小林氏は十七条にいわれておりますような営利を目的とする団体の役員になっておられるのか。またはそういう団体の役員になっておられないのか、この点どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/59
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060・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今の会長なり所長が特殊法人の会長、所長に引き継がれることになろうかと思うのでございます。小林さんは現在のところいろいろな役職におられますが、いわゆる本法のいう、営利を目的とする団体の役員あるいはみずから営利事業をやっておられるという概念に該当するものといたしましては、アラビア石油の取締役、それから日本郵船の取締役になっておられるのであります。あとは役員には該当しないようであります。従いまして十七条によりまして、通産大臣の承認を受けられることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/60
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061・近藤信一
○近藤信一君 そうすると、この十七条にあります兼職禁止事項の営利事業に従事していないことでなくして、やはりアラビア石油とか、日本郵船の役員をやっておられれば、当然これは営利事業じゃないかと思うのですが、この点アラビア石油、それから日本郵船は営利事業でないと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/61
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062・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今申しましたのは、この本文の方に該当いたすわけであります。従いまして通産大臣の承認を受けたときは、その限りではないということになっております。従いまして通産大臣の承認を受けられればかまわない。こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/62
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063・近藤信一
○近藤信一君 通産大臣の承認があれば、営利事業の社長であろうと、会長であろうと、重役であろうとかまわない、こういうことに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/63
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064・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) さようでございます。要するに、この役員の兼職禁止の規定は、その人がこの特殊法人の役員としてこの事務に専念できるかどうかということにかかるのであります。従いまして、他に非常に時間の大部分をさかねばならぬような営利会社の社長あるいは常務をやっておられるというふうな場合におきましては、これは不適当ではございますが、ただ営利事業に関係をなしておるといいましても、平取締役で、月に一ぺんか二へんかの取締役会に出ておられるということでありますれば、アジア経済研究所の会長としての職務を遂行されるに何ら差しつかえないわけであります。従ってそういう場合には、「ただし、通商正業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」ということで承認を得られるわけであります。どうしても兼職を認めないという場合には、ただし書きが初めからないわけでありまして、今度の本法によりましては、十七条にただし書きを入れておるわけでありますから、私は、小林さんの場合はこのただし書きで通産大臣は承認されるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/64
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065・近藤信一
○近藤信一君 そうすれば、何もここに兼職禁止事項としてうたわなくても、これはいけるのじゃないかと思うのです。わざわざここに兼職禁止の項目があって、さらに末尾に通産大臣の承認を受けたときはこの限りにあらず、こういうことになれば、だれでもいい、結果的にはだれでもいいということになるのではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/65
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066・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) だれでもいいということにはならぬのでありまして、今現実に小林さんの場合は承認を受けられると思うのでありますが、またどういう人にかわられるかもわからないわけでありまして、あくまでやはり通産大臣の承認事項になっておりまして、原則としては営利会社、あるいは営利事業等をやられるという場合にはいけないということで監督をしているような格好になっておるのでございます。これはほかの特殊法人におきましても、みなおおむねそういう例になっておろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/66
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067・近藤信一
○近藤信一君 研究所が出発したばかりだから、当然これは所外の研究者の協力がなければならぬと思うんです。しかし将来は所内の研究所員でほとんどやってゆくことが私は望ましいと思うんです。そこで外部の専門家の協力が、研究所の研究活動が動脈硬化を来たさないようにするために必要だ、こう言っていますが、将来はどういうふうにやっていかれるのか。現在のようにやはり寄り合い世帯のような形でやっていかれるのか、それとも独立した研究所として内部だけの者でこれをやってゆくような考えを持っておられるのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/67
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068・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今のお尋ねは、やはり調査のやり方に関するのではないかとも思うのでありますが、現在のところまだ人員は充実いたしておるとは申しかねるようなわけであります。従いまして部外の専門調査機関の協力を得る、あるいはまた非常に有能な調査家個人の協力を得ている場合もかなり多いのであります。今後この調査網が充実するにつれまして、研究が独自で比較的部外の協力によらずに調査研究をやることが多くなろうかと思うのでありますが、しかしながら、その場合におきましても、民間にもいろいろの部門あるいは特殊の機関、調査研究機関もあるわけであります。それがお互いに重複をして仕事をするということは、これは能率の点からゆきまして、まずいことでございまするので、いろいろ在来からある調査研究機関との連係を緊密にとりまして、お互いに効果を上げるということを行なわなければならぬのであります。これはやはり内部の人員の充実といなとにかかわらず、絶えず心がけなければならぬことであります。従いまして、その意味におきまして調査協議会というものを非常に関係の深い調査機関とともに構成することになっておるのであります。格機関との密接な連係のもとに調査を最も効率的にいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/68
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069・近藤信一
○近藤信一君 研究所が委託研究を行なうというふうなことがござざいますが、それについての規定というものは二十二条の三号、この規定がそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/69
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070・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 委託研究の場合は別に規定がなくともできるようであります。法制局との審議の段階におきましても、そういう議論もあったのでありますが、法制局の意見としては、それは当然自分の能力——行為能力のあるものは委託するのはいいんだと、別に規定はなくともできるんだというようなことで、特に委託という規定は入れてございませんが、それはできるというふうに解釈しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/70
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071・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、委託研究の方は、その規定がなくてもどんどん適当な人に委託をして研究をすればいい、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/71
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072・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) その方がより能率的であり、必要があるという場合にはやはり委託することも考えております。また人から委託を受けることも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/72
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073・近藤信一
○近藤信一君 現在すでに幾つかのこういう研究所というふうな、類似な研究所というものがありますが、それらと今後どういうふうな関係をとっていかれますか。また研究所が設立にあたっての構想によりますと、民間における現在の既存のアジア研究機関のうち、適当と思われるものに対しましては、将来、その今特殊法人にされた研究所との関係、それから、これがもし民間で適当なのが将来発展していくというようなことになりますれば、それらに将来まかすとか、こういうふうな御構想でもありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/73
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074・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、調査研究を効率的にいたすという観点から考えておるのでありまして、従来の調査機関とは密接に連絡をしていく。そのためには調査協議会というものを持ちまして連絡を緊密にするというふうに考えておるのであります。で、将来、この事項はもうどの機関に必ず委託をするというふうな考え方は、今のところはいたしておりません。これは、今後の研究所の運営にあたって、会長なり所長なりが考えられることではなかろうかと思うのでありますが、われわれとしては、原則としまして、そういう部外の調査研究機関と連絡を密にしていくというと原則に立っておるのであります。あるいは研究所といたしましてこの調査はこの調査研究所に専門的に委託をしようというようなこともあろうかと思いますが、今のところは、そうはっきりとそういう予定をいたしておりません。要は、在来の調査研究機関との関係を密にし、調査を効率的にいたすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/74
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075・近藤信一
○近藤信一君 今度特殊法人にされるのは、財団法人の研究所では運営上うまていかない、そこでまあ今度特殊法人にされるわけですが、将来、民間でこういう研究所のりっぱな研究機関というものができて、当然これは独立してやっていけると、こういうことになれば、今の政府の考えておられる特殊法人の研究所というようなものは必要なくなるんじゃないかというようにも考えられるわけなんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/75
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076・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 将来の事態につきましては、私も明確なお答えができないのでありますが、過去の経験からみまして、こういう調査研究につきまして、しっかりした機関というものはなかなか生まれにくかった。そこにこういうものを設立しようという專情があったのであります。従いまして、今後民間のそういうりっぱな調査研究機関が生まれてきた場合に、それをこの特殊法人といかに関係をつけるか。これは今後研究いたさなければならぬかと思うのでありますが、今のところは、ちょっとそういう予想もされませんので、われわれとしては、どっちかというと、調査研究機関としてはそういう強力にして大きなものが生まれにくかったのだから、少なくとも、この調査研究機関が在来の調査研究機関の中に中核的な調査研究機関として、いろいろな調査研究機関と手を携えて共に成長していくというように考えておるような次第でありまして、将来そういう事態になりますれば、また再検討の時期もあるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/76
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077・近藤信一
○近藤信一君 最後に、一点お伺いしますが、そういたしますると、今度特殊法人のアジア経済研究所が将来ずっと発展して、ずっと政府の監督のもとに置かれると、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/77
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078・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/78
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079・古池信三
○理事(古池信三君) よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/79
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080・近藤信一
○近藤信一君 はい、いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/80
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081・加藤正人
○加藤正人君 この「経常上利益を生じた」というこの利益というのは、どういう種類の利益ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/81
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082・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この機関の性質といたしまして利益が出るような場合はあまりないかと思うのでありますが、調査研究した出版物が非常に売れた、あるいは、予定よりも会費とか寄付金的なものが集まって剰余金ができた場合を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/82
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083・加藤正人
○加藤正人君 そうすると、利益というようなことよりか、余裕金ぐらいの程度のものでしょうね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/83
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084・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 三十条に余裕金というのがあるわけであります。この余裕金というのは、要するに、利益金というよりは、その当座当座で、要するに遊んでおる金という意味で余裕金という言葉を使っております。たとえば二十八条でいう利益といいますのは、普通みなこういう表現を使っておるのでありますが、いま少し俗な言い方を申し上げれば、収支予算——収支におきまして剰余金があった場合というふうに御理解願った方が、よりわかりやすいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/84
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085・加藤正人
○加藤正人君 今、予測はできませんが、将来まあ非常に都合よくいろいろなものが発展していって、そういうような余裕金なども相当たまるようなことになり得ることもあるいはあるかもしれませんが、最後に解散のときに出資金に応じて分配する、残余財産を。「前項の規定により各出資者に分配することができる額は、その出資額を限度とする。」ということになりますと、万一、余裕金が相当の額に達したときには、出資額を限度とすると、自然あとにさらに残金が残るわけですね。そういう残金の処理は最終的にはどういうふうに処理されることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/85
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086・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 出資額を限度といたしておりますので、残りますと、これは国庫に帰属されるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/86
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087・島清
○島清君 他の委員諸君からたぶん御質問があったのじゃないのかと思いまするが、もしあって同様な質問であれば、お答えになったということでお断わりいただいて、それから速記録を読ましていただきますから、お答えにならなくともいいと思います。
まず第一番にお聞きしたいと思いますことは、特殊法人にもいろいろございますけれども、これを見ますというと、役員の任免ちっちょくの権を大臣が強く持っておられまして、そうして、この特殊法人の役員と職員の職務権限の能力といいますか、これが非常に弱いように思えるのです。ただ任命されて、言葉をかえて申し上げますと、あやつり人形のように、大臣という名において、通産省の事務当局のあやつるがままの仕事という形で、いすにすわっておるというような印象を非常に深くするのです。たとえば職員という項目もございますけれども、その職員というものの、たとえば業務上研究したその研究の成果をどういう形でもってその機関に反映せしめていくかというようなことなどについても、何か触れてないように思われるのです。それから理事というのも二人ですが、非常に少数で、すべてが上から下へ命令系統が画然としておりまして、おしなべて非常に自主性が失なわれておると、こういう感じを深くするのですが、何か、そうしなければならない事情があってのことでございますかどうか、この辺のことについて、詳しく一つ御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/87
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088・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この役員の点につきましては、先ほどもるるお答えをいたしておったのでございまするが、一言に申しまして非常に簡素、強力にやりたいということで、他の特殊法人に比べますと役員の数を比較的少なくいたしております。少なくいたしましたことが、かえって役員が、あまり仕事をせずに遊んでおるのではないかという印象を持たれたのではないかと思うのでありますが、われわれは、そうじゃありませんで、調査研究所の性格といたしまして、並び大名的な役員を多くするよりも、これは、もう必要最小限度にしておいて、その下に、有能な調査マンを育成する、調査マンにやらしていくという建前であります。現在の財団法人のアジア経済研究所のやり方をごらん願ってもおわかり願えるかと思うのでありまするが、比較的うまくいっておるのであります。これもこの役員が非常に少ないので。で、われわれとしましては、先ほど来申し上げておりますように、役員にほんとうに中核的な業務を営んでいただくわけであります。ほかの事業と違いまして役所の監督する面というものは非常に限られるかと思います。しかし特殊法人の、特殊法人法といたしまして、一応所要の監督規定は盛られておるのでありまするが、それも、比較的少なくいたしたつもりであります。実際の運用に当たりましては、監督はできるだけ最小限度にいたしたいというふうに考えておるのであります。
先般も、現在の所長の東畑さんとも、いろいろ懇談をいたしましたが、東畑さんはあるいは監督できるならば、大いにやってもらいたい。それだけ有能な役人があれば、大いに歓迎するということさえ言われたくらいであります。正直のところ、三十三年、三十四年度の調査テーマをごらん願いましても、なかなかわれわれの方が、ああじゃこうじゃと言える、実は能力が乏しいのであります。調査研究所に大綱を示して、実質的にやっていただくというのが望ましいのじゃないか、これがまた実情に即するのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/88
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089・島清
○島清君 それから、今私は職員などについて、職員の何といいますか、発言権といいますか、それがいささかも規定されてないということの意味の御質問を申し上げたのですが、あわせて御答弁いただく前に、その職員というのは、言うところの事務員的な能力者を任命されようとするか、それから経済研究所のことであるから、それぞれ一応専門の学問を承った、それぞれの権威者を職員という形で当てていきたいという考え方であるのか、その辺のことは、どういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/89
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090・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 第一点の職員の発言権いかんという御質問でございますが、これはこの法律によりまして特にまあ規定する事項でもなかろうかというふうに考えます。
ただ、第二十条に「研究所の職員は、会長が任命する」という、普通の特殊法人の形態をとっておるのであります。特殊法人としまして、役員と職員がやはり密接に協力をして、その目的を達成されるというのが、あるべき姿でもあるし、望ましい姿であるかと思う。別段職員の発言がどうだということは、規定する必要もなかろうというふうに考えております。
それから職員の採用方針ということでありますが、今のところは、実は所長が東畑先生、それからその下に、副所長にこれも東大の教授がおられるのであります。まあこの方は、もちろん役員になられるかと思っておりますが、職員につきましては、われわれといたしまして、今のところ職員のこういう採用方針をするということを役所で申し上げるだけの実は研究もいたしておりませんが、役員が、研究所の幹部が最も適切な職員を選任をされるだろうというふうに考えておるのであります。今までの傾向から申しますれば、できるだけ有能なその筋々の調査マンを育成をするというようなつもりで採用されておるようでありまして、何分、給与等の関係もありまするから、そう、もうすでに、なんといいますか、成熟された、かなり御年配の研究者というよりは、若い大学出、あるいは大学のいろいろ研究所にいたような人たちを中心に、調査マンを育成するというようなことで採用されているように、見受けられるのであります。大体今後も、そういう方向でいかれるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/90
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091・島清
○島清君 それは、今松尾局長の御答弁はですね、僕が、いささか危惧に感じておるような点を、そのままお答えになったんですが、会長、所長は、大臣が任命する。それ以下は、ずっと理事も二人置いて、そして会長の責任において任命すると。こういう形をとられると、あとの職員については、まあ大臣も知らない、それは研究所の会長、所長の責任においてやるんだと、こういうことでですね。ただ、要所だけを押えておれば、それでよろしいのだというような意味の御答弁でございますが、私はですね、この種の研究所、特に特殊法人という、その法人格を持たして特別な権能を持たしてやらせようとするからには、やっぱりどういう職員を配置して、その能力を国家のために活用していくかという構想がなければいけないと思うのです。
で、私がそう申し上げまする理由といたしましては、あの学界というところは案外に、非常に封建的なんですね。たとえば私などが東大に入院をいたしまして、その私たちが、先生というて脈をとっていただく東大の先生方の生活状態を聞いてみると、実に、まあお話にならんような薄給なんですね。それで、何のために、それじゃそういうところで働いておられるかというと、それぞれのやっぱり学閥があって、その先生のお声がかりといいましょうか、そういうもので、早く学会にその名をなしたり、その人の腕で、あるいは博士論文をとりたいとかいうようなまあ徒弟的な——に近いと思われるような封建的なシステムになっておるのですね。これは、別に法律があって、そうするわけじゃないのですが。それから立身出世というような考え方で、そういうふうにならざるを得ないんですね。そうすると、この経済研究所が、もしかりに私たちが、今、東大の例をとってお話申し上げたんですが、そういうことであり、そこで職員に、何ら発言権を認めないということになり、若干私の憂えておることが、実際研究をいたしまする場合に、研究所の空気となって現われてくるんじゃないかということを私は心配をして、その意味合いでお尋ねしておるわけなんです。
おそらく私が想像いたしまするに、この種の研究所に職員という名において、その業務に携わる方々は、それぞれ専門分野を持った、草間で一家をなそうという人々だと思うんです。しかしながらまだ一家をなしていない。一家をなすには、一家をなすルードが必要である。まあこの程度の方々が来られるんじゃないか。そうであるとすれば、今までの学界にはそういった封建的と見られるほどに親分、子分といいますか、そういう関係が非常に深いので、もう少し近代的に研究所を運営せしむるための配慮があってしかるべきじゃなかったかと、私は、そういう意味においてお尋ねをしておるわけなんです。
そういう構想がなかったとするなら、これはまたなかったでよろしゅうございますけれども、なかったとするならば、そこらの配慮が、少し足りなかったのじゃないかというふうに、まあ思えるのですが、どうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/91
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092・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) ただいまの先生の御指摘、私もごもっともと思うのであります。
が、これまでの財団法人でございますが、東畑先生が、いろいろ職員を採用されているのを見ておりますと、今御指摘のような封建的なことは、採用ということには非常に気を使われまして、学閥意識といいますか、そういう意識は、もうほとんどないと申し上げてもよかろうと思います。非常に公平な採用をされておる。採用の場合は、必ず競争試験をして採用するという点もございますし、まあ先生御指摘の点は、われわれも十分気をつけて参りたいと思いまするので、今の現在の首脳部では、大体おまかせしておく方が私はいいんじゃないかというふうに考えております。もしそういう一部の学校閥に片寄るというような場合には、これは、御注意申し上げてもよかろうと思いますが、今のところ、割に公正な採用をなさっておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/92
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093・島清
○島清君 まあ東畑先生も、いつまでも所長というわけでもないでしょうが、そういう機関が設置されますと、人的な偏向というものが、それは年を重ねていくに従ってあり得るわけですから、その辺のことは、この委員会で質疑の中に、そういう危惧の念があったということで、将来の運営について、大いに委員会の意見を反映をしてもらって、運用していただくことにしまして、どうぞ、特にそういうことのないように御配慮いただきたいと思うんです。
それから、業務の内容でございますが、アジア経済研究所という、研究というのも、いろいろ広い意味で、この社団法人アジア経済研究所の業務の内容を見てみますと、日本から東南アジア、アジア方面に、私は移民というものを送るということの一つの経済活動の一端として、重視しなければならないと思うのです。それは、移民という形で表現していいかどうかわかりませんが、あるいは技術指導というか何というか、言葉は原子力時代の今日の言葉で言い表わしてもよろしいかと思いますが、少くとも幾人かの優秀な技術指導者が、一定期間アジア地域の数ヵ所に行って、そうしてそこで、一定期間住まいをして、生活をするというような事態が私はあっていいと思う。ですから、何か社団法人の業務の中には、そういうものが取り上げられていないようですが、今度の特殊法人のアジア研究所に、そういうことを期待することが無理なんでしょうか、それとも、そういうことも含めて研究の対象にしようとしてお考えであるかどうか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/93
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094・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) アジア経済研究所の業務につきましては、第二十二条に規定いたしておるのでありますが、この二十二条に規定しております諸般の調査研究が、今先生御指摘のような人的交流に役立つ面もあることは、これは当然でございますが、アジア研究所そのものといたしましては、そういう移民と申しますか、技術者の派遣といいますか、そういうことには、直接タッチはいたさないのであります。
実は、技術協力斡旋本部というものを、若干の補助金をもちまして、日本商工会議所の中へ設立されております。その斡旋本部が、東南アジアの若干の地に、長期駐在員を派遣いたしておりまして、こちらから現地に出ております派遣された技術者の、いろいろめんどうを見ておるのでありまして、また、どういうような求人の要望があるか、どういう技術者を、現地の方の、どういう機関が要望しておるかというようなことを取り調べまして、日本側に連絡をしておるというような技術協力の斡旋本部の駐在員が、日本商工会議所から数名、東南アジアに出ております。それらが今先生の御指摘のような事務を担当いたしておるのではないかと思うのであります。
アジア研究所といたしましては、直接にそういう人のあっせんまでも、今のところはいたす予定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/94
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095・島清
○島清君 私が申し上げているのは、移民の送出について考えているかという意味ではなくて、低開発ということになりますと、開発をして、そこに当然に従事する技術者が必要なわけですから、どういう国に、どういう技術を開発して、そうしてどういう技術者を送る、技術者を送る場合には、年令は幾つぐらいであるとか、独身者であるか、妻帯者であるか、独身者の場合には、日本民族の血を残すことは、それは適当でないなんというようなことが当然に考えられていかなければならないと思うのです。ですから、そういう意味において、それは移民という言葉は、適当でないかもしれませんが、だから私は、一定期間数年間その開発に随行して、向こうで数年間生活をしなければならぬ、こういう人々を、有能な技術者を送らなければならないということを、今やもう低開発と、それから貿易の拡大等で表裏一体となって、これを無視するわけにいかないわけなんです。それはそれぞれの機関において、あるいは進められており、あるいは研究されておるかもしれませんけれども、当然にアジア経済研究所としても、ここらの点についても、思いを及ぼすべきじゃなかったか、配慮すべきじゃなかったか、こういう意味においてお尋ねをしたわけなんです。
それはそうとして、ついでに、またお答えいただければ、ついでにお答えいただくといたしまして、この種のアジア経済問題を研究する民間団体といいますか、たとえば貿易商社の中には、そういうものを持っているのがあるかもしれません、私は寡聞にしてそれを承知をしておりませんけれども、あるかどうか、あるといたしますると、今、近藤委員の質問に対しては、この種の団体とは、何というか、密接な連携を持って、この研究を進めていきたいというような意味の御答弁でございましたが、外務省が、補助金を出しております団体のことについては、あとで聞きますけれども、そうでない純粋な民間団体で、補助金も何も受けていないというような民間の、そういう研究機関があるかどうか、あるといたしますと、そういう団体とはどのような関係で研究を進めていかれるか、ついででございますから、外務省あたりが補助金を出しておりますアジア地域における、たとえばメコン河の開発の研究団体であるとか、あるいはアジア協会であるとか、それから説明書によりますというと、アジア地域以外の地域、たとえばアフリカだとか、中南米というようなものをうたっておられますけれども、中南米のことであるとすれば、ラテン・アメリカ協会、ここらも外務省から補助金を受けておりますけれども、この種の団体との関係は、緊密な連携をとって、調査目的を達成していくのだというだけでは、ちょっと説明が、少し舌足らずのような気がするのですが、そこらの関係を、ちょっと御説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/95
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096・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほどのお尋ねの点を、ちょっと補足を申し上げますが、このアジア各国との技術協力の必要性につきましては、私ども、先生と同感でありまして、ますますその必要性が高まって参っておるのであります。
従いまして、先ほども申しましたように、若干の補助金を商工会議所に与えまして、そういう技術の協力のあっせんをさせておるというような次第であります。これはアジア経済研究所といたしましては、直接その技術交流にはタッチいたしませんが、低開発国の中小企業の状況一般についても調査をいたすわけでありまして、また各国の、いろいろその産業水準の調査というようなものもいたす予定になっておりますので、それらの調査が、そういう技術協力に貢献する点は大いにあるのではないかというふうに考えるのであります。
それから第二点の、他のいろいろな民間の調査研究機関との関係でありますが、国から補助金を出されているものも若干ございます。今われわれの調べによりますと、文部省が比較的多いのでありまして、たとえば国民経済研究協会とか、世界経済調査会、それから三菱経済研究所、あるいは政治経済研究所、あるいは中国研究所、これらは、いずれも財団法人なり社団法人でございますが、文部省から、若干の補助金が出ております。その他、外務省からもエカフェ協会に対しまして、若干の補助金が出ておるのであります。そのほか、補助金が国から出ていない民間の機関も、若干ございますが、いずれも、これらの調査研究機関とは、必要な範囲におきまして調査協議会を作りまして、それぞれ調査の内容を公開をし合いまして、調査を重複することを避けておる、たとえば中国研究所に対しましては、アジア経済研究所の方から、調査を委託をしておるというような点もございまして、今後これらの調査研究機関とは、密接に連絡をしまして、ともどもに効果を上げて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/96
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097・島清
○島清君 このアジア経済研究所立法原案策定の過程におきましては、何か外務省とその所管をどうするかという、その調整をされるに、ずいぶん時間がかかったようですが、そのゆえに、いろいろと各官庁の所管にあるこの民間団体との関係においては、まあ緊密な研究の公開をし合って連絡をしていくということだと思うのですが、もう少し一歩進めて、役所のセクショナリズムを打破いたしまして、百歩を進めて、この種の研究機関を統合すると、こういうような考え方で、何か折衝されたことがあるかどうか、その辺のことは、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/97
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098・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この外務省との所管の問題につきましては、先ほど近藤先生の御質問もありまして、るるお答えをいたしたのであります。若干の事務当局問の話し合いというものも、もちろんございましたが、今のところ、それがうしろに味を残しておるということは、こうもございません。アジア経済研究所を中心として、者省もこれに協力をしていくという態勢になっておるのであります。
まあ、こういう特殊法人ということになりますと、御存じのジェトロのときでも、そうでございましたが、役人の常といたしまして、そういうことは、よくありがちなことなんでございますが、アジア経済研究所の場合を例にとって申し上げますと、外務省だけではございませんで、関係するところは、経済官庁全部に関係をしておるのです。そうすると、五つも六つも官庁が所管するということになって、それは非常にまた、いろいろ批判を受けるわけであります。設立の経過、また監督を簡素にするという点から、最も近いところということで通産省ということになったのであります。その点は御了解を願いたいと思うのであります。
それから従来のいろいろな調査機関の統合を企図したことがあるかというお尋ねでありますが、まだ、そこまでの企てはございません。何分調査研究機関というものは、それぞれ沿革その他もありまして、なかなか普通の経済団体の統合というような式に考えにくい点もあるのではないかと思います。あったかなかったかということでございますが、そういう統合が企図されたことは、私はなかったのではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/98
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099・島清
○島清君 まあ、私は先ほど、職員の発言権の問題についてお尋ねをしたのでしたが、職員の研究と調査の結果について、いうところの学閥の今の封建的なあり方で、せっかく自信を持って、確信を持って調査研究したものが、その光電が頭が古いがゆえに、自分の調査研究というものが、思うように発表できない、こういうようなことがないように、十分に職員の発言権ということについては考慮を払わなければならぬのじゃないか、こういうふうに思いますので、その点は一つ、十分御配慮を願いたいものだと、一つ希望だけを述べておきまして、質問は、大体、まあお尋ねしようと思っておったことを、近藤委員の質問されておることを聞いておりましたら、私が聞こうと思っておった点もお尋ねだったようですから、この程度で、私の質問は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/99
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100・栗山良夫
○栗山良夫君 私は、前回の質問で一点だけ、ちょっと漏らしていた点があるので伺います。
本法案によりますと、このたび政府から一億円、民間からの出資金が二千万円ありまして、そしてその資金が出されました資料によりますと、資金計画に載っております資金計画の収入としては三億一千九百五十八万円、支出も同じようになっております。ところが、収支予算を見まするというと、この資金計画の中で、政府の出資金と民間の出資金、これが主であろうところの利息が、一体どこへいくのか、それが明確になっておりませんが、これは、どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/100
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101・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 資金計画の収入のまん中以下のところに、雑収入というのが五百四十万円ございますが、これが資本金一億二千万円の金利をここへ見込んでおるわけであります。金利という格好で、収入に見ておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/101
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102・栗山良夫
○栗山良夫君 これは、勘定整理のことなのですが、政府から一億円出資をするというのは、これは見せ金ではなくて、あるいは民間から二千万円出資をするというのは見せ金ではなくて、これによって運用よろしきを得て、相当な利潤を得て、それを経常に使ってよろしい、こういうことなのでしょう。そうすれば、その扱いを雑収入で扱うということは、少しおかしくはございませんか。これは受け取り利息とか何とか、明確なる勘定整理をすべきで、雑収入で五百四十万円を上げるというようなことは、少し適切ではないことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/102
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103・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 他の団体におきましても、大体かような整理をいたしておるのでございます。一応資本金の一億二千万円は、金融機関に預託をしてやっていくのが建前でございますが、将来、もし研究所の建物等を買うという必要が起こった場合、そういうことも考えておりますが、さしあたりといたしましては、金融機関に預けるのを原則に考えております。
従って、その金利でございますが、その金利の整理の仕方を資本金から、すべて金利あるいはその他雑収入というふうに規定しても、別段かまいませんが、普通雑収入として、一括してやっておる例によっただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/103
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104・栗山良夫
○栗山良夫君 これは、やはり国費の供給を受けて、その一部が経営費に入るわけですから、私は希望としては、勘定整理をやはり明確にしておかれる方がよろしくはないか。これは建物をもしお買いになったときには、ちゃんと建物という勘定整理になるでしょう。雑収入という勘定整理ではないだろう。その意味では、明確にしておかれる必要がある、こう考える。
それからもう一つ、この法律で、私非常に不明確だと思うのは、資本金なのですが、政府が一億円をさしあたり出すということが、第四条に書かれております。そして第四条の第一項の第四号には、「資本金を増加するときは、予算の範囲内において、研究所に出資することができる。」、こうなっておりますが、そこに書かれている予算の範囲内という意味は、どういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/104
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105・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 国家予算の範囲内ということでありまして、将来、もし国の予算におきまして、一億円のほかに一億円を増資してやろうという場合がありますれば、法律改正を待たずに、ここで増資できる、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/105
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106・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、予算措置というのは、別に予備費から出す、そういう意味でなくして、正規の年度予算あるいは補正予算に組んで、国家予算の正規の手続を経た上でできるので、出資についての法律改正だけはしない、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/106
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107・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/107
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108・栗山良夫
○栗山良夫君 それからもら一つ、お伺いしたいことは、政府の方の出資のことは、こういう工合にはっきりしておりますが、政府以外のものが出資する額というものについて、何ら比率もなければ、拘束も何もなくて、一切自由の格好になっているが、資金計画をいただいて一千万円ということがわかりましたが、そういう式のものでいいものかどうか、私は非常に疑問を持っております。
結局これは、国が一つの法人として、経済の基礎研究をやることは間違いないにしても、それによって、その研究を利用をし、それによって直接やはり利益をする人は、それぞれの方面において経済活動をする民間の団体が中心になるでしょう。そういうことであれば、政府以外の、そういう関連団体には、もう少し積極的に資金的な協力もさせてしかるべきでないか、私は日本の財界というと、ちょっと語弊がありますが、困難な問題については、政府依存の意識が強く、そしてある程度問題が解けると、今度は、自分の方の企業意欲による独占の傾向が強くなっている。諸外国では、科学研究に対する研究費には、惜みなく自社内においてはもとより、いろいろな機関に、どんどん寄付をしている。たとえば大学等におきましても、日本の国立大学の一番金を使う工学部のごときは、その卒業生の最近の状態を見ますと、ほとんど大企業に吸い上げられてしまっている。これは国費で養った学生ですから、大企業が直接恩恵を受けているわけです。そういう状態であるのに、大学の方には、どのくらいの寄付があるかというと、ほとんどない。諸外国では工学部といえども、私立の大学か学校法人として、民間の有力な、まあ要するに個人法人を問わず、民間から相当巨額な運営基金というものを寄付を仰いで、そしてやっておるのです。貧乏ゆるぎもしないような私立大学の態勢というものはできている。
そういう点からいくと、日本の財界の人などは、経済が、まだ底が浅いといえば、それまでですけれども、もう少し私は、こういう直接利益をしないことでも、間接あいるはまたその間接に、やがては自分の企業に大きい利益をもたらすというものについては、積極的な協力を私は資金的にすべきだと思うのです。そういう思想が、非常に欠けているのですね。この点は、文部大臣のお説教みたいなことを言いましたが、一体、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/108
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109・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 民間からの出資上の協力につきましても、私は先生に、まことに御同感でございまして、われわれもそのつもりで、一つ民間に強く働きかけて参りたいというふうに考えております。
それから民間からの出資金の額を、法律の中では規定はいたしておりませんが、別途定款の中で規定をいたすことになっておりますので、それで明確になろうかと思います。繰り返して申し上げるようになりますが、設立に際しましては、二千万円を予定をいたしております。自後、先ほど申しましたように、増額をして参りたい。増額をした場合に、もちろん定款の変更という格好で表われますし、第四条の第三項、「必要があるときは、通商産業大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」ということで、法律上は差しつかえない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/109
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110・栗山良夫
○栗山良夫君 その点はいいんですが、私は、二十万円の額が適当かどうかということを言っているので、たとえば、「アジア経済研究所案内書」というパンフレットをもらいましたが、うしろの評議員等の名簿を見ますというと、日本のほとんどマンモス会社、金融機関その他全部名前が入っています。それだけたくさん名前を入れて、幾ら入っているかというと、その出資金は、ほんとうにわずかに百万ですよ。これが幾つありますね、全部で。これは、おそらく私は経営者なり金融機関なりが、そんなみみっちい考えでなくて、政府のこういうものに当たる思想の問題だと思うのです。この百万円を、一軒ずつに割ってみて下さい。幾らになるか。そういうことで、この大切な国費を乱費することはけしからぬと思う。経済団体に、これが必要があると思って置かれるなら、そんなものじゃないのです。それだけ説いて集まらないような研究機関なら、作らない方がいい。直撲、日本の海外活動に必要な調査をするというのだから、それを財界の方で、そんな必要はないのだ、百万しか出さないのだということであれば、必要ない。それよりも、テレビの放送に、一回放送して百万円使った方が効果があがる。こういうことであるかも知れない。そういう意味で、どうも私は理解できないのです。パンフレットは、りっぱによくできているのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/110
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111・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 今御指摘の点は、私もそういう感じはするのでございますが、寄付行為の中の百万円と申しますのは、最初、こういう団体設立のときに出すこの寄付金、基金に該当するものでございまして、あと毎年毎年と申しましても、まだフルに賛助会費をもらったのは昨年だけでございますが、二千三百八十万円もらったわけです。三十五年度は、大体それの横ばいの二千三百五十万円と、それから資本金の二千万円、だから三十五年度といたしましては四千数百万円民間から出していただくということになろうかと思うのであります。従いまして三十六年度になりますと、三十五年度に出資を願った二千万円というものが必要なくなるわけでございます。
まあ、私たちの気持といたしましては、資本金で増額を願うか、あるいは賛助会費ということで増額を願うか、少なくとも従来よりは、もう少し奮発をしていただきたいというふうに考えているのであります。その点につきましては、栗山先生と、われわれも同じような気持をもっております。現在財団法人の幹部は、どうも資金集めには、少し弱いのじゃないかという感じは率直に申しまして、もっております。もう少し、われわれも強く、その点は申し上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/111
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112・栗山良夫
○栗山良夫君 きょうは、大臣お出になりませんのでお尋ねできないのですが、僕は、とにかく財界の幹部の皆さん方に、こういう問題が起こるたびに考えてもらいたいと思っていることがあるのですが、それは、今申し上げましたようなことなんです。
私立大学にいたしましても、このごろ競争が激しくなるというと、たくさんの入学を許されない人々から、巨額の受験料をとったり、あるいはたまたま入学が許されても、個人に対して非常に大へんな学校運営金を徴収して、そういうことをしなければ、私学の経営ができないような、そういう格好にしておくことは、これは、よくないと思う。そういう私学も、また非常に重要であると思う。官学の方は、国の予算でやるわけですけれども、そうであるならば、財界はなぜ、もっと個別の、そういう金の徴収をしないで、学生の負担をやわらげて、そうしてアメリカか、イギリスあたりや、あるいはヨーロッパの各国がやっているさような、私立大学の経営の基礎というものを、財界が作らないのかということを私はほんとうは強く申したい。それと同じように、通商産業の大臣としては、直接産業経済に影響のある、こういう研究機関、そのほかいろんなものがあります。そういうものについては、もっと積極的に、資金的な協力というものをなされなければいかぬ。そういう意味では、おそらく話せばわかっていただけると思うのですが、まず第一に、政府自身が腹をきめて、政府が一億円出すと、こうなれば、少なくとも財界はそれと同額だけは出してもらう、そういう、大体基準というものがなければならぬのだが、それがないところに、こういう問題が起きてくる。一つの計画をたてたときには国も協力をする。直接、間接の受益者であるあなた方も協力をしてもらいたい、こういう意味で呼びかければ、必ず私はいけると思うのです。
そのことを、大臣の所感として私は伺いたいと思っていたのですが、およそこの世の中に、政府との協力機関で民間の受益者が二割やそこらで済ませるような仕事は、日本の、ほかにどこにもありません。地方公共団体と中央との関係におていも、そうです。地方が二割を出して、中央が八割出してくれる事業がどこにありますか。伊勢湾台風だってそんなふうにはいかない。これは根本的に考えてもらわなければいかんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/112
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113・古池信三
○理事(古池信三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/113
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114・古池信三
○理事(古池信三君) 速記をつけて。
他に御質疑ございませんか——他に御質疑がなければ、本案の質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/114
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115・古池信三
○理事(古池信三君) 御異議ないものと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。
なお村論、採決は、次回に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/115
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116・古池信三
○理事(古池信三君) 次に、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
事務当局より、本案の内容並びに提出資料について、説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/116
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117・福井政男
○政府委員(福井政男君) 重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案ということでございますが、今回改正案を、この国会に出すようにあいなりました趣旨と、それから内容につきまして、簡単に御説明申し上げます。
重油ボイラーの規制の法律は、御承知のように昭和三十年に、石炭不況対策の一環といたしまして制定されたわけでございます。自来石炭鉱業合理化臨時措置法と並びまして、石炭対策の裏表づけをなして参ったのでございます。
この法律は、五ヵ年間の限時立法に相なっておるわけでございますが、石炭鉱業が、その間合理化に努力いたして参りましたが、昨今の事態から見まして、さらに石炭の合理化を進めて参りますためには、この重油ボイラー規制法を延長する必要がある、こういうことで、今回この法律を三ヵ年間延長いたしたいということにいたしたわけであります。
で、石炭の方の合理化計画としましては、また、あとに御審議いただきます際に、詳しく御説明申し上げる予定でございますが、この今後三ヵ年間に、石炭の価格を千二百円下げまして、競合エネルギーでございます重油と対抗するような態勢を整備していくと、こういうことになっておりますのが、三ヵ年という期間をとりました次第でございます。
なお三ヵ年延長いたして参りますにつきまして、従来、この法律を施行いたして参りました経験から見まして、いろいろ問題点がございます。一番大きい問題といたしまして、中小企業の合理化、近代化を進めます上に配慮をいたしまして、今回ごく小型のボイラーを、法律の規制対象から除外する、こういうことにいたしたわけであります。これは、内容的な点でございまして、同時に、この法律を三ヵ年の限時立法にいたしました。現行法では、法律の規定の仕方が、廃止行為を必要とする書き方になっておりますが、今回の改正法案におきましては、三年たちますと、自然にこの法律は効力を失ってくると、こういう形式をとったわけであります。
以上、申し上げました点につきまして、法律の内容につきまして、若干御説明申し上げます。
第一に、小型のボイラーを法の規制対象から除外いたしたわけでありますが、この小型のボイラーとは、伝熱面積で五十平米未満のボイラーを、この法律の適用から除外することにいたしたわけであります。この五十平米未満の小型ボイラーと申しますのは、俗に申しますと、一トンボイラー未満のものでありまして、一時間の蒸気の発生量が約一トン未満、こういう、いわゆる一トンボイラーを法の対象からはずしたというふうに、常識的に御了解いただければけっこうです。
この小型のボイラーは、暖厨房でございますとか、あるいはクリーニング屋さん、風呂屋さん、あるいは自動車タイヤの修理でございますとか、食品加工でございますとか、その他合成樹脂の加工業等の非常に小さい企業等に多く使用されておるわけであります。ボイラーの数から申しますと、この五十平米未満のボイラーが、全体の約八〇%を占めております。ボイラーは、総数におきましては五万八千百十二罐ございます。このうちの約八〇%に相当いたします。
それから、このボイラーをはずすことによりまして、石炭の消費量に、どういう影響があるかという点でございますが、三十四年度の一般炭の需要量は約三千九百万トンでございます。このうちボイラー用炭としましては約二千三百万トンとなっております。この伝熱面積五十平米未満のボイラー炭の消費量は、私どもの推定では、約二百万トンと推定されております。従いまして一般炭の全需要量から見ますと、約五%ということになっております。ただボイラーの設置されております場所から見まして、産炭地に設置されておりますものは、まあ今後規制対象外になりましても、すぐさま、それが転換をするというようなことは考えられませんので、そういったものが、この二百万トンの消費量から除外されることになりますので、その産炭地におきまするものが、約二割ぐらいございます。従って四十万トン程度は産炭地に所在するボイラーの消費量である、こういうことになりますので、この二百万トン、五十平米米満のものを法律の適用除外におきました場合の石炭の消費減としましては、約百六十万トン前後のものであろう、こういう推定をいたしております。
そういたしますと、一般炭の総需要壱三千九百万トンに対しましては、約四%ということになります。
次に、法律の上では直接に現われておりませんが、御承知のように、ボイラー炭の関係からみまして、電力のボイラーの問題が、非常に大きいウエートをもっておるわけであります。この関係が、法律適用上、どういうふうになるかという問題がございます。法律の中では、今回の改正法案の中にも、表面上は全然出ておりません。ただ、法律の解釈としまして、設置という言葉が使ってございます。電力の重油の専焼設備を設置いたします場合に、相当長い時間を必要とするわけであります。そういう観点から見ましても、どういうふうな適用が、この限時立法の関係から見て適用されるかという問題が一つあるわけです。第一番に、電力の重油専焼設備が、現行法で認められるかどうかという問題が、根本的に一つあるわけでございます。現行法上では認めます根拠がございません。今回法律改正をいたしまして、小型ボイラーにつきましては、ただいま御説明申し上げましたように、法律上ボイラーということからはずしてしまうわけでありますが、重油専焼設備につきましては、重油ボイラー法の第二条によりまして、通産省令がございます。この省令で、いろいろ認め得る場合を規定いたしておりますが、その第五項ロ号に、「設置が必要であってやむを得ないと認められる場合であって、通商産業省令で定めるとき」という規定がございます。この規定を活用いたしまして、今度この省令を、この五項ロ号に基づきまして、現行省令を改正いたしまして、重油専焼設備を認め得る根拠規定を作る、こういう予定で、目下検討いたしております。
なお内容につきましては、先ほど申し上げました三年間の限時立法ということと、設置ということに非常に長い期間を要するということで、どういう適用状態になるかという点でございますが、これは電力業界と、それから石炭業界、両業界が通産省の中にありまして話し合いまして、電力業界の年々石炭の消費量を増加することを保障するという前提で話し合いが行われておるわけでありますが、現在のところ、電力業界としましては、年々百万トン程度の石炭の消費は増加していくということで、一方中部でございますとか、あるいは東京、関西、こういったところの、どうしても急激な電力負荷に即応いたしますために、重油専焼設備を置かなければまずいというような地点に、この重油専焼設備を認めようと、こういうことで検討いたしておるわけであります。適用されます関係といたしましては、ただいま申し上げましたように三十五年度から着手するものも出てこようと思っております。ただ、この法律の適用期間内に着手をいたしまして、法律の失効後に完成する、こういうものも出て参りますが、これは、先ほど申し上げましたように設置ということが、工事に着手いたしましてから完了するまでの一連の行為を、この法律的には設置と呼んでおりますので、もちろん法律の適用を受ける、こういう建前になりますけれども、それは、しかし、先ほど申し上げましたように、石炭の引き取り増を行う、しかも両業界で話し合いのつきましたものについて認める。こういうことで運用いたして参る法律にいたしておるわけであります。
ごく簡単でございますが、説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/117
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118・栗山良夫
○栗山良夫君 今の改正省令案は、これは、提示願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/118
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119・福井政男
○政府委員(福井政男君) まだ、改正省令案を検討中でございまして、成案を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/119
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120・古池信三
○理事(古池信三君) 本案の質疑は、都合により次回に譲ります。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X01719600329/120
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