1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十二日(火曜日)
午前十時四十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山本 利壽君
理事
川上 為治君
古池 信三君
栗山 良夫君
牛田 寛君
委員
井川 伊平君
上原 正吉君
岸田 幸雄君
小林 英三君
斎藤 昇君
鈴木 万平君
高橋進太郎君
近藤 信一君
椿 繁夫君
島 清君
国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
政府委員
科学技術庁原子
力局長 佐々木義武君
科学技術庁原子
力局次長 法貴 四郎君
通商産業政務次
官 原田 憲君
通商産業省鉱山
局長 福井 政男君
中小企業庁長官 小山 雄二君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
科学技術庁原子
力局放射線安全
課長 亘理 信一君
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本日の会議に付した案件
○石油及び可燃性天然ガス資源開発法
の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○中小企業業種別振興臨時措置法案
(内閣提出、衆病院送付)
○放射性同位元素等による放射線障害
の防止に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/0
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001・山本利壽
○委員長(山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。
本日は最初に、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の三都を改正する法律案の討論採決を行ない、ついで放射性同位元素等による放射障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の三都を改正する法律案、中小企業業種別振興臨時措置法案、以上三案について審議を行ないます。
それではまず、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の三都を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては前回の委員会においてすでに質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
本案を可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/1
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002・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/2
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003・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 御異議ないものと認め、よってさように決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/3
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004・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、中小企業業種別振興臨時措置法案を議題といたします。
事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/4
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005・小山雄二
○政府委員(小山雄二君) 中小企業業種別振興臨時措置法案につきまして、法案の主要な点を御説明申し上げます。
まず第一条は、目的に関する規定でありますが、この法律は、業種別に中小企業を振興し、これを通じて国民経済の健全な発展に資することをその目的としております。業種別に中小企業を振興する理由でありますが、中小企業の中には多種多様の業種を含んでおり、しかも業種によりそれぞれ問題点が異なっておりますので、それぞれの業種の実態に即応したところからのこまかい対策を推進することが中小企業の振興のために最も効率的であると認められるからであります。
第二条は、本法においていう「中小企業者」とは、中小企業団体組織法第五条に規定する中小企業者であるという、中小企業者の定義を定めたわけであります。団体組織法の第五条の定義に従いますのは、組織化対策が業種別振興対策の大きな柱の一つになる点にかんがみまして、この定義に従うことが最も適切であると考えられるからであります。
第三条は、改善事項の諮問等を定めた規定であり、本法の中心となる規定であります。業種別対策を推進しようとする場合に、まず考えられるべき点は、改善事項の策定ということであります。すなわち、中小企業を業種別に振興するために、中小企業の振興の方向を明らかにし、これに基づき、経営を合理化し、技術水準を向上し、共同経済事業を促進し、競争を正常化し、取引を適正化する等、経営基盤の充実強化と環境の整備のための一連の施策を相互に有機的に関連させながら実施する必要があるのでありますが、このためには、改善事項を定めることにより、中小企業の企業者の努力すべき方向目標を明らかにするとともに、重点的に指導すべき点や、指導の方法を定めることが効率的であります。そして、業種別ごとに改善事項を定めると言いましても、全業種について一度にこれを定めることは困難でありますので、順次政令で定める業種について改善事項を定めて業種別振興対策を推進することとしております。
このように順次政令で業種を定めることといたしますと、業種の選定順序が問題になりますが、業種選定の順序といたしましては、一般的にいえば、中小企業の振興、ひいては日本経済の発展のために、当該業種に対して総合的施策を講ずることの緊要性を考えて、その緊要度の大きいものから順次指定するということになるかと思います。
次に、改善事項を定めようとするときは中小企業振興審議会に諮問しなければならないこととしておりますが、適切な改善事項を定めることが業種別振興対策の基本であり、これがためにはあらゆる角度から慎重に審議することが必要でありますので、衆知を集めた審議会にはかることにしたのであります。
なお、改善すべき事項が定められましたときは、これを公表し、その周知徹底をはかりますとともに、その実施の促進をはかるため必要な指導を行なうこととしております。
第四条は、中小企業者もしくはその団体、または関連事業者もしくはその団体に対する改善事項の円滑なる運用を期するために必要な勧告について定めたものであります。主務大臣の勧告を改善事項の五号と六号にかかるものに限定いたしましたのは、改善事項のうち、一号から四号まで、及び第七号の事項は、個々の中小企業者内部の問題でありますから、個々の中小企業者の努力に期待すべきものであり、国は、必要な場合、指導、資金的援助等、側面的措置をとることで足りると考えられますのに反し、第五号及び第六号はいわゆる中小企業の環境整備であり、個々の中小企業の努力だけでは解決されない問題であります。そこで当該中小企業者に対する中小企業全体の協力を必要とする場合に、その協力が得られないために改善事項の円滑な遂行が確保できないときには、第一項によって勧告ができるように措置するとともに、さらに関連事業者の協力をも必要とし、その協力が得られないために改善事項の円滑な遂行を確保できないときには、第二項によって勧告することができるように措置することとした次第でございます。関連事業者とは「当該中小企業者の事業と競合し若しくは関連する事業を行なう者」でありまして、競合する事業を行なう者とは、当該業種に属する事業者であつて中小企業者以外の者、当該業種に属する事業と競合する事業を営む者等であり、関連する事業を営む者とは、当該業種に属する事実を行なう中小企業者と取引関係のある事業者を言うのであります。第三項において勧告をするときにも中小企業振興審議会に諮問しなければならないことになっておりますが、これは、勧告は企業間における調整的事項について行なうものでありますから慎重を期する必要があるとともに、格業種に関する勧告措置の運用に統一性を持たせる必要があるからであります。
第五条から第十条までは、中小企業振興審議会の組織、運営について定めた規定であります。
中小企業振興審議会は、本法ではきわめて重要な地位を占めておりまして、業種別振興対策の適切かつ効果的な推進をはかるためには改善事項を策定する場合、勧告をする場合、報告を徴収する場合は、衆知に諮つて行なうことが適切であると考えられますので、これがため中小企業振興審議会を設置することとしたわけであります。
なお、本審議会は諮問機関でありますと同時に、また積極的に関係大臣に対し、中小企業の振興に関する重要事項について建議することができることになっております。
第十一条は報告の徴収について規定しております。すなわち有効適切な改善事項を定める、または当該改善事項の円滑なる遂行を確保するためには実態を十分把握することが不可欠でありますが、従来の実績から見て、任意調査では不十分でありますので、本条で報告の徴収権を規定したのであります。本条により主務大臣は当該業種に価する事業を行なう中小企業者のみならず、開通事業者からも報告を徴収することができることになります。調査事項はそれぞれ政令で定めることになっておりますが、関連事業者に対する報告の徴収を業務の状況に限りましたのは、経川の状況についてまで関連事業者について報告を求めるのは行き過ぎでありますとともに、業務の状況を調査すれば所期の目的は達成されると考えるからであります。
第十二条は主務大臣の定義の規定であります。主務大臣は、「当該指定業種に属する事業を所管する大臣とする」旨を規定して、ただし、関連事業者の報告の徴収を行なう場合は例外でありまして、「勧告又は報告の徴収の対象となる者の行なう事業を所管する大臣」ということになっております。
最後に、付則の関係の規定でありますが、第一項は、本法の施行期日の規定でありまして、公布の日から行なうこととなっております。
第二項は、本法の有効期間に関する規定であります。「昭和四十年三月三十一日限りその効力を失う」旨を規定しております。このように時限立法といたしましたのは、貿易の自由化、最低賃金法の施行、技術の革新の進展に伴ない、中小企業の生産性を早急に考慮することが日本経済の健全なる発展のために不可欠になっておりますが、できるだけすみやかに総合的対策を講じ、合理化する必要のある業種については五ヵ年程度の期間を設け、その期間内に集中的に必要な改善事項を定め、業種別振興対策を推進することが最も適当であると考えられるからであります。
以上をもちまして御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/5
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006・山本利壽
○委員長(山本利壽君) この法案に対する質疑は後に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/6
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007・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 次に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由及び内容説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/7
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008・栗山良夫
○栗山良夫君 本法案には直接関係はありませんが、アイソトープの開発が進み、そしてその利用も各種、各方面にかなりの発展をしております関係から、二、三その点に触れてお尋ねをいたしたいと思います。
最初にお伺いいたしますのは、アイソトープと申しましてもいろいろと種類がたくさんあるのでありますが、現在国内で、輸入を含めてけつこうでありますが、実用に供されておるアイソトープというものはどういうものがあるか、その種類をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/8
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009・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) アイソトープの輸入は、毎年ほぼ前年度の倍程度に逐年増加して参りまして、ただいま三十四年度は大体輸入が二億円程度になっております。国内ではいまだ生産は微々たるものでございまして、絶対的多数は海外から輸入しております。その輸人量が大体二億円。その輸入先は、アメリカ、カナダ、英国が主であります。使つております種類は、トレーサーとして、線源として用いるものが主でありまして、一番おもなるものは、御承知のように、コバルト60、そのほかに燐の32、あるいはカルシウムの45、あるいはヨードの131等がおもなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/9
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010・栗山良夫
○栗山良夫君 輸入元素でおよそ四種類ばかりのものが実用に供されておるやにお聞きいたしますが、これの主たる用途はどういうところにありますか。ただいま資料といたしましては、具体的実例というので、ここに資料をちようだいいたしておりますが、このうちで今輸入されたアイソトープは主としてどれがどういうように使われておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/10
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011・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) お手元に配布いたしました資料の中で、まあ分類の仕方は、こういう部門別の分類の仕方がありまして、あるいは用途別に農業、工業というような分け方もございますが、お手元に差し上げました具体的な実例に従いまして申し上げますと、トレーサー等に用いますのはやはりコバルト60、それから根源等に用いますのも、ただいまの段階ではそういうものが主のように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/11
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012・栗山良夫
○栗山良夫君 何に使うのですか、ちょっと今聞き漏らしましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/12
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013・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) 技術的な問題になりますので、私からお答えいたしますが、ここにありますトレーサーとしましての利用としましては、いろんなものに使われるのでございまして、たとえばダムの漏水調査というようなことには、たとえばトリチウムというふうなものを使いまして、これは水の中の水素と同じように動作いたしますので、それをトレースすることによって漏水を見つけるというふうなことをいろいろやつております。
それからロの放射線源としての利用としましては、現在のところやはり圧倒的にコバルト60がたくさん使われておりまして、これは名所で非常に数百キューリー程度のものを多く使つておるわけでございます。
それから、そのほか摩耗検査、これは材質に適当なアイソトープを入れるわけでありますが、たとえば潤滑油のような場合には、やはりカーボン等の放射性同位元素を使うというようなことも可能でございます。いろいろなものがそのときそのときの用途に応じまして使われておるわけであります。
それから医学部門では、たとえば甲状腺にはヨードが集まりますので、ヨードのアイソトープを使う。それから、たとえば、ここには書いてありませんけれども、脳腫瘍といいますか、脳のおでき等に関しましては、ボロンのようなものが集まりますので、ボロン——これはボロンを初めに患者に飲ませまして、あとからたとえば中性子照射をやると、それがボロンのアイソトープになる。それで脳のおできがなおるというふうなことがいろいろやられております。
それからガンの治療には御存じのようにコバルト60までの線源を使いまして、これは相当強力な線源を使いまして、ガンに集中的に照射するというようなことをやつておるわけでございます。
それから農業の方では、肥料の成分としまして、たとえば窒素の同位元素を使うというふうなことが考えられるわけでございます。それから燐酸肥料等につきましては、燐のアイソトープを使うというようなことをいろいろやつております。
それからハの食品保存では、やはりコバルト60——これは相当強力な線源を用いないと、やはり殺菌の用をなしませんので、コバルト60の綿源を使います。
それからちょっと変わつておりますのは、古美術の科学的研究、これはコバルト60で内部構造を知るために一種のエキス線に近いガンマ線を出すわけでありますが、それでいろいろ写真測定などをするわけですが、そのほかカーボン14の放射性同位元素が——これは半減期が大体二千六百年ぐらいでありますので、これのカーボン14の成分比を調べることによって、古美術とか、昔の布等も、そのときに使われました材料の年代が推定できるわけであります。それで歴史的な、つまり年代推定をやりまして、考古学上の非常に貴重な資料を作る——年代推定に非常に役立つというふうなこともございます。
そういうふうに各方面にいろいろなアイソトープが使われておるわけです。しかし圧倒的に現在のところではコバルト60が量としては多いということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/13
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014・栗山良夫
○栗山良夫君 国内の利用関係はおよそ見当がつきました。先進団であるアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、その他ソ連も入りましようが、そういう国々で平和利用を目的として作らてれいる同位元素というのはどれくらいの種類があるものですか。それはわかつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/14
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015・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) 非常に多種類ございまして、おもに使われておりますのは、コバルト60が多いのですけれども、種類は、よく使われておりますものが十種類くらいございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/15
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016・栗山良夫
○栗山良夫君 それで、今外国でもうすでに実用価値があるというので開発されているアイソトープの種類が十種類あるとおっしゃるのですが、その十種類は少なくとも日本には全部来ておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/16
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017・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) 必要に応じまして取りつけることが可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/17
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018・栗山良夫
○栗山良夫君 原子炉を工合よく使えば、今科学的にはアイソトープというものは各金属材料等でやるわけですが、どのくらいの種類やる可能性がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/18
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019・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) 原則的にはあらゆる元素、まあ大体同位元素を作る可能性がございますので、大体百種類くらいは人工放射性元素として作ることが可能でございます。もっと多いかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/19
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020・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで問題は、今の日本のやり方は、大へんおくれましたからやむを得ないと思いますが、外国である程度開発されたものを日本へ持ち込んで、そうして日本のあらゆる産業あるいは農業、医学、その他の分野に、まあ悪い言葉で言えば、まねて一生懸命やつておると、こういうことになるのでしようが、日本にも原子炉もできたことですから、日本的に製造可能なアイソトープをいろいろ使つて日本的な材料をこしらえて実用に供するとか、そういうふうな試みというものは今あるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/20
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021・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 国産第一号炉と申しますか、ただいま原子力研究所で、一号炉稼働申でございますが、二号炉、三号炉ができまして、二号炉も多数のアイソトープができます。三号炉の国産一号炉ができますれば、将来はこの炉でもって日本の必要とするアイソトープはほとんど生産可能になるだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/21
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022・栗山良夫
○栗山良夫君 いや、できることは私はそういうことではっきりしたと思うのですね。原子炉ができるわけですから、今もおっしゃったように、百種類くらいの製造は可能だと、こういうわけでありますから、従って、今日本に入れているのはコバルト60を初めとして、今四種類ばかりあげられたわけであります。世界的には十種類くらいできておる。さらに今後進んでいけば、特殊な目的のために特殊なアイソトープというものが必要であると、こういうことが学問的にわかった場合には、そういうものを日本で作り得るわけです。ですからそういうような外川のまねをしてすることも必要でしようけれども、まねばかりしないで、日本的に新しい研究分野を開いて、そうしてアイソトープを大いにあらゆる方面に利用していくと、そういう試みというものはおありですかということを伺つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/22
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023・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) もちろんそういうことでわれわれも努力しているわけでございまして、ことに短寿命のアイソトープの中には数分から数時間という短寿命のアイソトープもございますので、そういうものは外国から取りつけますのでは非常に能率が落ちるわけでございますから、やはり国内の原子炉で作りましたものをすぐその近所の研究所で使うというような形にしまして、大いに用途に供したい。そのほかいろいろ日本の特殊事情に応じまして、たとえば稲作の収量をふやす、これは種子の照射等をやるわけでございますが、外国等ではそういう問題をあまりやりませんので、日本独自の研究としてそういう点を推進するということを心がけております。稲作の改良等についても相当いい結果が出ておりまして、大体一〇%ぐらいは増収できるというふうな稲の苗も現在できているというふうな状態でございます。今後も日本の国情に即した特殊な用途を門発しまして、大いにアイソトープの利用を促進したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/23
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024・小林英三
○小林英三君 ちょっと栗山君の関連質問。アイソトープですね、これは私どもも大体はわかつておりますが、せつかく専門家がいらつしやるので、アイソトープの定義というか、どういうものだということを掘り下げて一つ十分に説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/24
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025・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) アイソトープといいますのは、普通略してアイソトープといっておりますが、今印したものの内容はラジオ・アイソトープ——人工放射性同位元素を略してアイソトープといっているわけでございます。人工放射性同位元素といいますのは、結局同位元素の中で放射線を持つたものということでございまして同位元素というのは厳密にいいますと、元素というのは結局、その物理、化学的な性質は、外周の電子の数、それから原子核の中の陽子の数と結局一致するわけですが、学問的には原子核の中の陽子の数でいっているわけであります。それで元素がきまるわけでございます。原子番号といいますのは、原子核の中の陽子の数できまります。陽子の数で元素がきまるというふうにお考えいただいてけつこうです。ところが原子核は陽子と中性子の集まりでできておりますので、陽子の数が同じでも中性子の数が違いますと、核としての性質が変わつ参ります。しかし元素としての物理、化学的な性質は変わりません。陽子の数が同じで中性子の数が違う元素を同位元素と申しております。そのうちの放射性同位元素というのは、その原子核が不安定で常時放射線を出すものを放射性同位元素というわけでございます。どうして不安定になって放射線を出すかというと、それが安定な状態よりも少しエネルギーを過剰に持っているために、そのエネルギーを常時放出しながら次第に安定な状態に落ちつくわけです。その過程で放射能を持つというようにいうわけであります。そのエネルギーの出し方といたしましてはアルフア線、べータ線、ガンマ線という三種類の放射線を出しまして、そうして次第にエネルギーを失つて安定した同位元素に落ちつくわけであります。ですから人工放射性同位元素というのは、安定した同位元素を、中性子を衝撃してやることによりまして、中性子を一つ中に入れてやりますというと、その原子核が不安定になります。つまり陽子の数が同じで中性子の数がふえたような格好になります。それで非常に不安定になりまして、そうしてあとは常時放射線を出しながらエネルギーを失つていくという過程を生じます。そのエネルギーを失いつつある過程が放射能を持つということで、それがつまり放射性同位元素、そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/25
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026・小林英三
○小林英三君 ちょっと委員長、済みません、速記させないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/26
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027・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/27
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028・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 速記起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/28
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029・栗山良夫
○栗山良夫君 合この小林君の御質問に付随して、資料をもし作つてお配りをいただけるならば、先ほど私がお尋ねしておった内容を加味して原子番号順に、アイソトープのできるやつとできないやつ、製造の可能のものと可能でないものと、それから半減週期がどの程度のものか。そういうものをずっと一覧表にしたものを一つ作つて下さい。その説明は説明でいいですけれども、資料としてはですね、その方が皆さんもわかりやすい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/29
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030・法貴四郎
○政府委員(法貴四郎君) それはあるんです。そういうりつぱなもの、グラフが、もうりつぱなものがございますから、それを一つ資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/30
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031・栗山良夫
○栗山良夫君 けつこうです。
そこで、この法律の中で、やはり非常に目につきますのは、その廃棄を業とする専門屋を設けるということが一つのみそになっていると思いますが、こういうことは外国ではどういうことになっておりますか。アメリカとかイギリスとかフランスは、こういうふうな、やはり汚染物を廃棄することを業とするような、そういう仕事を持つ法人ができているのかどうか。これは回でやつているのか、民間でやつているのか。そういうことを、外国のことを少し聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/31
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032・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) お答え申し上げます。
米国におきましては、原子力委員会の許可を受けました民間の廃棄物処理業者というのが十社ございまして、その十社が、それぞれ分担をし合つて処理をしておるようであります。そのほか、国立研究所でありますオークリッジの試験所等でも、AECの条件に従って廃棄物の処理を行なっております。英国におきましては、これはハーウェルというところの国立研究所、一番大きい研究所ですが、そこが中心になりまして、方々の使用した廃棄物を集荷いたしまして、そこで処理をするというふうな状況になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/32
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033・栗山良夫
○栗山良夫君 これはハーウェルの国立研究所が直轄でやつておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/33
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034・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) ハーウェル研究所が、みずから、週に一回、各種、大学とか、いろんな研究所とかを回りまして、その貯蔵したものを集めては処理するというふうな状況に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/34
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035・栗山良夫
○栗山良夫君 そのアメリカのオークリッジの処理場は別としまして、業者が十社ある——といいますか、その十社は、アメリカの国内を適当に区域を分けて、その区域内は独占的に一つの業者が担当する、そういう工合にやつているんですか。あるいは、完全にフリーでやつているんですか、区域の問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/35
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036・亘理信一
○説明員(亘理信一君) お答え申し上げます。
独占的に、アメリカ原子力委員会が許可をしておるのではございませんで、これは同じ業種を、同じ全米にわたって競争的にやつておる会社もございます。ただし、特定の、それぞれ廃棄業の中に、ただ単に人の品物を、あけないで集めてきて、一時的に最終処理の業者に渡すということだけを許可条件にされまして、それを業としてやつておる会社もございますし、中間の、その今申しました会社のものを集めまして、最終処理をいたしまして、そして、船に積んで行って、AECの指定されました海洋地点で海へ投棄するということをやつておる業者もございますし、いろいろの段階のものがございます。
で、いずれも条件が非常に厳重な——二十条くらいな、いろいろ条件がございまして、期間は原則として二年。二年という期間ことに更新いたしまして、その条件全部を満足することにおいてやれ、こういうふうな許可条件になっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/36
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037・栗山良夫
○栗山良夫君 私は先ほどの御説明では、廃棄業者十社というのは、集荷をする人——集荷だけの業者は、その廃棄処分業者の中へ入るので、全然集荷業者というものは、独立した業者とは考えなかったのですが、その集荷業者も独立に廃棄業と一緒に考えて十社、こういうことになりますか。いろいろな集荷する人、その集荷したものを廃棄所に入れて廃棄をする業者、そういうものを入れて十社ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/37
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038・亘理信一
○説明員(亘理信一君) その通りでございます。全部入れまして十社でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/38
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039・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、私の先ほどの質問に戻るわけですが、まあ集荷業者の力はいいですけれども、実際に処理処分をしておる業者というのは、それは十社のうちで何社で、しかもその廃棄する会社というのは、地代的に相当独占的な——独占という言葉は強過ぎますけれども、区域を定められて、その区域内で集荷したものを、この廃棄会社がやる、そういうような工合にきまつているのですか。それまでもフリーですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/39
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040・亘理信一
○説明員(亘理信一君) いろいろ原子力局の方で集めました情報でございますと、独占的ということはAECの許可条件でもございませんようでございますが、実質的の事実としては、ほとんどある区域のものでは、一つの——数州なり、主として関係の深い州のところに、二つ、三つというふうに会社はないようでございますので、実質的には、まあ独占というような状況でやつておるように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/40
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041・栗山良夫
○栗山良夫君 いや、アメリカが四十何州あるのですからね。だから、今のようなお話で、一州に一つということになれば、四十幾つあるわけだけれども、そうでなくて、十しかないのだ。で、十のうちで、しかも集荷業者も入っているとおっしゃるのですから、純粋の廃棄処理をする業者というのは、もっと少ないのでしよう。それは数は伺いませんでしたが、幾なんですかね。
その廃棄業者が全米の区域を担当するということになれば、やはり区域というものはきまつているのでしよう。太平洋岸、大西洋岸とか、南部とか、そういうことになっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/41
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042・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 集荷の場所並びにこの海洋投棄する場所によって違うわけでありまして、運搬だけをして海洋投棄するものが、太平洋方面では三社あるようでございます。
それから、集荷した容器をあけないで、パッキングだけ、まあ再パッキングしまして、そして海洋投棄するものが、太平洋方面で一社、大西洋方面で三社というふうになっております。
それから、容器から出しまして、実際に処理を行なつた後に——処理と申しますのは、液体でありますれば、薄いものは、そのまま流しますけれども、非常に濃度の高いものでありますれば、さらに濃度を高めまして、コンデンスしてコンクリートの容器の中に入れるわけですけれども、あるいは固体物であれば粉にしたりいたしまして、セメント状にいたしまして海に沈める、こういう作業をやるのですが、その処理を行なつた後に海洋投棄するものは三社ございまして、これは太平洋側でやるのが一社でありまして、大西洋太平洋両方ともに処理を行なっているものが二社ございます。
大体、以上のようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/42
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043・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、それで十社になりますね、ちようど。今のだと薄めて海へ捨てるまでやるのだから処理だね。要するに処理会社が、十社ということですね。
そこで問題になるのは、そういう競争的に、こういう仕事をやつておる企業体というものは、純然たる民間の法人なのか、あるいは政府の代行機関のような特殊法人なのか、その企業の性格ですね。それから、こういう仕事がアメリカで、かりに純然たる民間法人でやつておるとすれば、採算が合う仕事なのか、そういう点は、御調査ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/43
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044・亘理信一
○説明員(亘理信一君) お答え申し上げます。
大部分のものは、これは純然たる民間の会社でございます。そしてその中には、たとえばアメリカン・メールライン・カンパニーというのは、船会社でございます。従って、常時一つの貨物船を持って、航路を持っておるわけでございますが、その貨物船が委託を受けて、料金を取りまして、これは全然集荷して容器をあけないで、そのまま持っていって、海へ、指定された地点へ、自分の貨物船の定期航路からずっとはずれまして、安全な地点に、原子力委員会の指定する地点にいって投棄する、こういう形体の会社がございますし、また大部分の経理の内容状態まで、ごく最近のものは、まだ調査がそこまでできておりませんのでよくわかりませんでございますが、要するに実績を見てみますというと、アメリカの、たとえば太平洋のサンフランシスコ沖合で一万六千キュリーもやつておりますけれども、こういうような船会社の取り扱つておりますものは非常に少ない量であるようでございます。というのは、国立研究機関なり非常に大きいところのものはコースト・ガードの、アメリカのつまり政府の船が無償でそういうものを安全に取り扱つて捨てておりますので、大西洋の方も太平洋の方も、大物はこういうコマーシャル・ベースのつまり企業ということの対象になっておらないわけでございます。従ってこれは、ほんとうの純然たる民間会社の廃棄物を、主として取り扱つておる、こういうふうな状況のように思われます。おそらく、十分大した利益ではございませんでしようが、赤字にならない糧皮の適正な利益で、その料金をきめておつて、それによって経営しておるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/44
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045・栗山良夫
○栗山良夫君 今のあなたの御答弁は、一つ矛盾が入っておりますよ。十社あつて、およそ大部分は、純然たる民間会社だとおっしゃる。私は十社ということがきまつているから、その中で、どれが民間会社かわかると思うのですが、およそでなくて、はっきりとどうだということが……。しかも、それだけ純然たる民間会社が十社やつていて、そういうものは、仕事の量からいえば微々たるものだ、船会社が兼務でやつておるのだ、廃棄会社じゃないですね、船会社の一部、ディパートとしてやつており、大量のものは政府の船で無償でやつておる、こういうことになると、どうもアメリカが、今十社あつてやつておるという姿と、説明と合わないような気がするのですが、もう少し説明が必要じゃないですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/45
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046・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) ただいままで御説明申し上げました十社の内容を見ますと、カンパニー、あるいはコーポレーションというふうになっておりまして、民間の会社には間違いないようでございます。
ただ、この十社が扱うアイソトープの量が、はたしてアメリカの全廃棄物の何割を扱つているかという。は、詳細な資料がございませんので、的確にお答えすることはできませんけれども、おそらく私の考えでは、アイソトープの利用は、アメリカにおきましては、必ずしも国の機関が、大半を扱つているというふうには見られません。おそらく大部分のアイソトープの生産は、国の機関が多うございましょうが、利用する方面は、医字にいたしましても、あるいは農業、鉱工業方面にいたしましても、主として民間あるいは地方の機関が利用していることは間違いない事実のようでございますので、従いまして、その廃棄物を扱う量が、本社の扱う量がどれぐらいかという点に関しましては、少なくとも、この十社の方は、政府が直接廃棄するよりも、量としては多いのじゃないかという推測でございますけれども、的確な資料がございませんので、要すれば、あらためて調査いたしましてお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/46
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047・栗山良夫
○栗山良夫君 それで、なぜ私は、そういった愚問のようなことを申し上げるかと申しますと、今度、この法案に出ているこの廃棄を業とするというものも、将来、ほんとうに採算的に、これが成り立つように育成するのか、あくまでも特殊法人的な格好で、国の補助金を対象にして常業するものなのか、あるいはまた面接岡が、将来またやるようになるのか、その点の性格を知る上において、きわめて不明確なんですね。ただ危険度のことしか書いていない。
そこで、アメリカは先進国で、もうすでにアイソトープの利用も相当高度に進んでおるように、われわれは聞いておりますから、それで先進国として、どういうふうに処理しているのか、これを伺いたいと思ったのです。ところがアメリカのような国でありますから、民間の会社が、採算を無視して国の仕事にサービスをする、あるいはこういうアイソトープという特別な危険物だから、社会的にサービスをする、そういう会社を作つてやりましょうというようなことは、とうていあり得ないことです。そうすれば十社あれば、十社が採算をとつて、仕事をしていると見なければならぬわけです。だからそういう意味で、アメリカで、もし採算がとれて、こういう会社があり得るということならば、日本でも、将来あり得ると児なければならない、そういう考え方からして将来の日本のあるべき姿を考えてみる場合に、やはりこういう問題は、何といってもおくれているのですから、アメリカなりイギリスなり——イギリスは、はっきりしましたが、アメリカ等の現況というものを、もう少し的確につかんで、そうしてその上で、われわれが判断をする、頭のありどころをきめる、こういうことでなければならないと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/47
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048・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) お説のように、アメリカと英国では廃棄業の扱いと申しますか、やり方は違つておるようでございますが、しからば日本では将来、どういうふうに持っていくかということは、非常にむずかしい問題でありまして、ただいまの段階では、日本放射性同位元素協会というものがございまして、ここで大量に輸入して、いわばそこで、いろいろ小さいものに分けて、そうして卸、あるいは小売の方に配給するわけでございますが、将来日本原子力研究所で、輸入にとつてかわりまして生産した場合に、日本に輸入いたしましたアイソトープを、将来も、日本放射性同位元素協会が輸入して配給したと同じような形態で、今後ともやらしていいかどうか。同じ形態でよろしいかという点に関しましては、まだ、いろいろ問題があるようでございますので、ただいま検討中でございます。
従いまして、今栗山先生の御質問のように、米国方式なり、英国方式なり、どちらの方が、わが国に一番適当な様式と考えるかという点は、今後の研究問題ではありますけれども、いずれにいたしましても、こういうものは、いわば営利というものを目指したものでは、やはり国自体の政策としては好ましいものじやありませんので、この点は、あくまでも障害の防止、被害を及ぼさないという点が主眼でございますので、それを根本にいたしまして——といって、民間の企業でありますれば、全然採算を度外視してやらすというわけにもいきませんので、そういう点もあんばいしながら、今後のこういう扱い業者の将来のあり方というものを考えていきたいというふうに、ただいま研究いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/48
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049・栗山良夫
○栗山良夫君 いくら日本でも、ここまで進んできたんだから、たとえば病院に例をとれば、各府県の、山奥にある病院でありましようとも、農業協同組合の病院であろうとも、いろいろな病院で盛んにアイソトープを治療用に使うということになるこでしようあるいは農事研究所にしても、各方面に、全国に、ずっと網のようにアイソトープが分布されるということになり、それ出集めて廃棄をするということになれば、これはやはり、一つの大きな仕事にもちろんなると思います。
そのときに、今おっしゃったように、国でやるのか、あるいはの外郭団体のような格好で協会にやらせるのか、あるいは民間に営利事業としてやらせるのかという方向は、態度をきめる上においては非常に重要なことだと私は思うのです。しかし、現にアメリカで、今、十社の純然たる民間会社がやつているということであれば、この民間会社なるものは、採算を度外視した民間会社というものは、アメリカにはあり得ないと私は思うのですがね。私の考え方が違えば別ですよ。少なくともアメリカでは、そんな中途半端な株式会社なんというものはあり得ないと思うのです。そのあり得ない会社が、こういうものを扱つて、企業をやつているということであれば、やはりこの十社の内容というものを、もう少し検討されて、そうして国会へ、この法案の説明として報告されるということが、私は必要ではないか、こう考えるんですがね。
それとも、もう割り切つてしまつて、イギリス式で、全部国でやるんだ、費用がかかっても、国でやるんだ、こういうことであれば別です。しかし、そのときには、アメリカですら、営業的に成り立っているものを、なぜ日本が国でやつて、全部の経費を国が持たなければならぬのですか、こういう逆な質問も僕は出ると思う発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/49
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050・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) アメリカの扱い業者の実態を調査いたす点は、御説の通りだと思いますので、できる限り調査を進めたいと思います。
たとえば、この中には、ヌクリアー・エンジニアリング・カンパニーなどもございますが、こういう会社は、日本にも関係の深い会社でありますし、十分連絡がとれると思いますので、いろいろ研究してみたいと思います。
ただ、日本で、先ほど申しましたように、いろいろ扱い様式の点は、今後考えなければならぬ点もございますけれども、ただいまの段階では、国営でやるという考えはないのでございまして、原子局研究所が主として生産するものであれば、研究所がみずからこの卸売を、この放射性同位元素を、従来もやりました協会に一手に、そこだけにしか行わせぬか、あるいは別の組合なり大商社等に扱わすという点を考えていいのかどうかという点が、一つのポイントでございまして、小売に関しましては、それぞれ、そのおろした先から、たとえばさっき申しました同位元素協会で、従来通り小売りする、末端配給するという点においては同様でありましようし、原子力研究所が、いろいろの小さいところまで、自分自身が商人のようになって配給するということは考えられぬのでありますから、そういう点までは、きまつておりません。
要は、国営的な考えはない。主として原子力研究所が生産したものを扱うことに対して、同位元素協会に一手にやらすか、そうでなくて、ほかにも認めるか、慰める場合には、さっき申しましたように許可制度にしておきませんと、やたらにさしたのじや、先生のおっしゃったように、もうかるものだといたしますと、やたら希望者がありまして、大へんなことになると思いますので、十分に適格性その他あるいは監督の行き届くようにした上で扱わしていきたいというのが、この法案を提出した趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/50
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051・栗山良夫
○栗山良夫君 日本放射性同位元素協会というものの性格は、どういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/51
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052・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 社団法人でございまして、戦後初めて、米軍が日本にアイソトープの輸入を許可した際から、ずっと一手に扱つているところでございまして、協会長は茅誠司東大総長が会長になって、非常に日本のアイソトープの権威の方ですが、役員をしておりまして、もつぱら公益性を主とした機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/52
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053・栗山良夫
○栗山良夫君 それで、その社団法人の資金構成は、どうなっているのか。それから、この会社というのは、外国からのアイソトープの輸入の仕事、岡内における小売の仕手、そういうものを一手に引き受けている団体のようにおっしゃったのですが、そういうことであるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/53
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054・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) この協会の資金源は、輸入します量、価格の何パーセントか、ちょっと精確なことは忘れましたが、いわば手数料のようなものをかけまして、そうして協会運営の経費に充ててございます。
なぜこういう協会が一手にやつた方がよろしいかと申しますと、わずかの量をたくさんに分けて持ってきますと、非常に経費がかさばりますし、と申しますのは、わずかでも、相当量でも、コンクリートの非常に厚い容器の中に入れまして、そうして飛行機で運んでくるわけでございますから、運んできたあとで、羽田にでも、特殊な倉庫を作つておきまして、そこで、いろいろ特殊な扱いをするというような関係上、どうしても一手に、いわば大量にと申しますか、輸入いたしましてそうしてその協会で扱う、相当膨大な装備を持っております、そこで遠隔操作でもって、アイソトープを分けまして、必要な所へ小さく分けてやるわけですが、それを各社が、それぞれ必要な分だけ、英米その他に注文いたしますと、とても膨大な輸送量になりますので、むしろこういうふうに一手に輸入した方がよろしい、こういうものが沿革的に、自然発生と申しますか、そういうふうにできたものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/54
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055・栗山良夫
○栗山良夫君 それで、この資本金はどこから出ていて、幾らくらいであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/55
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056・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) おもな各使用個所が会員になりまして、会員の費用でもって資金にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/56
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057・栗山良夫
○栗山良夫君 それで、輸入から末端の小売まで、全部一手にしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/57
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058・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) ただいまの段階は、そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/58
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059・栗山良夫
○栗山良夫君 この社団法人の仕事の性格、仕事の内容、資本金、それから扱い数量、そういうようなものをまとめた何かパンフレットのようなものございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/59
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060・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/60
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061・栗山良夫
○栗山良夫君 それを一ついただきたいと思います。
この社団法人は、国の補助金は、もちろん出ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/61
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062・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) この扱いの手数料的な意味、あるいは事業を続けるための補助金というものは出しておりません。しかし配給と申しますか、来たものを処理する際に、いろいろ処理するための設備等で、特殊な研究的な要素もございますので、そういう助点に関しましては、研究費の一部といたしまして、補助金を従来出したことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/62
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063・栗山良夫
○栗山良夫君 まだ二、三伺いたい点はほかにもありますが、一番問題は、放射線障害の防止に関する技術的な問題がありましよう、これは、政令か何かでおやりになるでしようが、そういう点は、行政権の範囲内で行なわれることであつて、間違いのないように措置せられれば、国会としては、さほど、そういう内容にまで立ち入る必要はなかろうと思いますが、配給業者等の問題は、これはやはり、ある程度将来の方向というものを見きわめておかないといけない、そう思います。ですから、現行の処理協会の内容も、もう少し詳しくお聞かせを願い、今後国内の生産の場合、それからさらにアイソトープが国内で広範に各方面に利用せられる場合等を含めて、どういうことでいくのか、この点については、もう少し突つ込んで、私はお尋ねをいたしたいと思います。
それから廃棄物の問題については、これも、さらに若干お尋ねをいたしたい点がありますが、きようは、ちょっと時間の関係がございますので、この程度で保留いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/63
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064・山本利壽
○委員長(山本利壽君) 本案の質疑は、本日は、この程度にとどめたいと思いますが、およろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/64
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065・山本利壽
○委員長(山本利壽君) それでは、この際、理事会において申し合わせました本委員会の審議予定について、御報告申し上げます。
明十三日水曜日は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、中小企業業種別振興臨時措置法案について審議を行ないます。
明後日十四日は、右の三案のほかに、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について審議に入ります。
以上、御了承を願います。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414461X02119600412/65
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