1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
四月二十八日委員大谷贇雄君辞任につ
き、その補欠として小柳牧衞君を議長
において指名した。
五月六日委員小柳牧衞君辞任につき、
その補欠として大谷贇雄君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 杉山 昌作君
理事
上林 忠次君
大矢 正君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
大谷 贇雄君
梶原 茂嘉君
河野 謙三君
林屋亀次郎君
前田 久吉君
木村禧八郎君
野溝 勝君
平林 剛君
天田 勝正君
須藤 五郎君
政府委員
大蔵政務次官 前田佳都男君
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
大蔵省管財局長
心得 武樋寅三郎君
大蔵省銀行局長 石野 信一君
大蔵省為替局長 賀屋 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
林野庁業務部長 植杉 哲夫君
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本日の会議に付した案件
○国有財産特別措胤法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
○厚生保険特別会計法等の一部を改正
する法律案(第三十一回国会内閣提
出、衆議院送付)
○一般会計の歳出の財源に充てるため
の国有林野事業特別会計からする繰
入金に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○経済基盤強化のための資金及び特別
の法人の基金に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣送付、予備審
査)
○日本開発銀行法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に
関する法律案(内閣送付、予備審
査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/0
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001・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) ただいまから、委員会を開きます。
国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明並びに補足説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/1
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002・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) ただいま議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
地方公共団体において水道施設として公共の用に供するため、普通財産を必要とする場合には、国有財産特別措置法の規定により、無償貸付ができることとなっておりますが、現在この規定により無償貸付中の水道施設は、大部分が旧軍用財産でありまして、建設以来すでに相当の期間を経過し、抜本的な施設の改良を必要とする時期に立ち至っております。これらの施設の改良を促進し、水道事業を助成するためには、当該地方公共団体に対し、水道施設として公共の用に供する普通財産を譲与することが適当であると考え、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。地方公共団体において水道施設として公共の用に供するため、普通財産を必要とする場合には、その施設の経営が営利を目的としたり、または利益をあげるものでない限り、水道施設の用途に供する等のいわゆる用途指定をいたしまして、当該地方公共団体に対し、土地を除いて普通財産を譲与することができることとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由並びにその概要であります。なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/2
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003・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次に、武樋管財局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/3
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004・武樋寅三郎
○政府委員(武樋寅三郎君) ただいま議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
地方公共団体において水道施設として公共の用に供するため、普通財産を必要とする場合には、現行の国有財産特別措置法第二条の規定により、普通財産を無償貸付することを認め、地方公共団体が経常する水道事業の助成をはかっており、昭和三十三年度末現在におきまして、台帳価格約十三億六千万円に上る土地、建物、工作物等が、この規定によって、水運施設として九十六の地方公共団体に対して無償貸付されておるのでございます。現在、水道施設として利用されているこれらの普通財産は、その大部分が旧軍用財産であります。それらのうちの建物、工作物等はもはやかなり老朽化しているにもかかわらず、財産の所有権が国に留保されておりますために、資産の償却や更新など事業の合理的な経営の面におきまして、事業者である地方公共団体の施策は必ずしも積極的でないうらみがあり、これら水道施設は、水道経営上または公衆衛生上あまり望ましくない状態にあると考えられます。これらの水道施設の改良を促進し、水道事業の積極的な経営を期待するためには、水道施設として利用されている普通財産を地方公共団体に譲与することが適当であると考えまして、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容について説明いたします。
第一に、この法律案により譲与される普通財産は、いわゆる水道施設に供されるものでありまして、取水、導水、貯水、浄水、送水、配水、すべての諸施設を含むものであります。地方公共団体が一般住民に飲用水を供給するための水道事業または製造業等の工業の用に供するものであります。
第二に、今回の措置による譲与は、水道施設を公共の川に供するときに限定されておりますので、地方公共団体がもっぱら自己の需要を充足するため設置する専用水道施設として普通財産を必要とする場合には、譲与は認められないのであります。
第三に、この法律案により譲与されるものは、土地を除く普通財産であります。土地を譲与の対象から除外しましたのは、それが建物、工作物のような施設の更新を必要とする償却資産でないため、無償貸付することによりまして十分助成目的を達成できると考えたからであります。
第四に、この法律案による普通財産の譲与は、地方公共団体においてその経営する水道事業等が営利を目的とし、または利益をあげない場合にのみ認められるものであります。従いまして、地方公共団体が水道事業の経営によって経常的に利益をあげ、それを一般会計や水道事業以外の特別会計の財源に充当しているような場合におきましては、譲与は認められないのであります。
第五に、この法律案により普通財産を譲与する場合には、譲与を受ける地方公共団体に対しいわゆる用途指定を行ない、当該普通財産を一定期間水道施設として公共の用に供する義務を課することとして、譲与の目的の達成を確保することにいたしております。
以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/4
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005・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(閣法第一六七号)を議題といたします。
この法律案は第三十一回国会に提案され、第三十三回国会まで引き続き衆議院で継続審議をし、今回修正議決の上本院に送付されたものであります。しかして、今国会に閣法第一〇一号をもって提案せられました同一件名の法律案は議決を要しないものとなった旨、今月六日付で衆議院から本院に通知がありましたので、この点御報告申し上げます。
これより本法律案の提案理由の説明並びに補足説明を聴取することにいたしますが、その際、衆議院の修正点についても便宜上政府側から御説明を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/5
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006・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) ただいま議題となりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、第二十二回国会において、政府管掌健康保険の給付費の異常な増高等に伴う支払い財源の不足を埋めるため、昭和三十年度以後七ヵ年度間、毎年度、一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れることができる措置を講じたのでありますが、その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、この一般会計からの繰り入れを昭和三十四年度以降に繰り延べたのであります。
また、船員保険におきましても、第二十二回国会において、療養給付等の部門における給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以後六ヵ年度間、毎年度、一般会計から二千八百万円を限度として、船員保険特別会計べ繰り入れることができる措置を講じたのでありますが、その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、健康保険と同様に、一般会計からの繰り入れば昭和三十四年度以後に繰り延べたのであります。
昭和三十四年度におきましても、別に借入全等によりこれらを処理することといたしまして一般会計からの繰り入れを昭和三十五年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、第三十一回国会に本法律案を提出し、以後引き続き衆議院において御審議をわずらわして参ったところであります。
さらに、昭和三十五年度におきましても、別に借入金等により処理することといたしましたことに伴い、一般会計からの繰り入れを、さらに昭和三十六年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、所要の法律案を提出し、すでに提案の理由を御説明いたしたのでありますが、今回、衆議院におきましてその内容を本法律案に織り込んだ修正が行なわれた次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
なお、さきに今国会に提出し、提案の理由を御説明申し上げました法律案は、衆議院におきまして議決を要しないものと決定されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/6
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007・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
この法律案は、厚生保険特別会計法の一宿改正と船員保険特別会計法の一部改正とでございます。
政府管掌健康保険におきましては、医療給付費の顕著な増加のために、昭和二十九年度約四十億円、昭和王院年度約三十億円、計約七十億円の赤字が生ずることが見込まれました。昭和三十年度におきまして十億円を一般会計から厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れまして、残額の六十億円につきましては、資金運用部からの借り入れによりまして措置をすることといたしたわけであります。その後、毎年度十億円を限度として、一般会計から厚生保険特別会計べ繰り入れると、こういうような措置を講じようとしたわけでございます。しかしながら、その後、昭和三十一年度におきまして、過去の赤字分を補てんするにとどめることなく、根本的な解決をはかる趣旨をもちまして、健康保険法に所要の改正を加えまして、予算補助といたしまして三十億円を繰り入れました。その後も引き続き、健康保険勘定の収支の健全化を期待する意味におきまして、昭和三十四年度までに、昭和三十一年度の三十億円を含めまして、総計八十億円を繰り入れて参ったわけでございます。
一方、健康保険の収支の状況はその後好転して参りまして、昭和三十一年度決算におきまして五十三億円の積立金を保有するに至り、自後好調の一途をたどりまして、昭和三十三年度決算におきましては、百八十三億円の積立金を有するに至りました。
なお、国の財政の状況から考えまして、また社会保険全体の均衡ある発展をはかる意味におきまして、事業主負担がないため、費用負担が被用者保険に比べまして困難な国民健康保険等に対する田の助成を行なう必要があること等にかんがみまして、昭和三十一年度以降昭和三十三年度までにおきまして、別に借入金等によってこれを処理することといたしまして、毎年度法的措置を講じまして、この一般会計からの十億を限度とする繰り入れを、昭和三十四年度以降に繰り延べて参ったわけでございます。
また、船員保険におきましても、その事業のうちの療養給付費等の部門におきまして、政府管掌健康保険と同様、昭和三十四年度末におきまして約一億五千万円の赤字が生ずることが見込まれましたので、これにつきましても、昭和三十年度以降六ヵ年度間、毎年度、一般会計から二千五百万円を船員保険特別会計へ繰り入れることといたしまして、第二十二国会におきまして所要の法的措置を講じた次第でございますが、その後、政府管掌健康保険と同様、根本的な解決をはかる趣旨をもちまして、船員保険法に所要の改正を加えまして、予算補助といたしまして、昭和三十一年度以降毎年度一億円ずつ、昭和三十四年度までに総計四億円を繰り入れて参ったわけでございますが、船員保険につきましても、健康保険と同様の趣旨をもちまして、昭和三十一年度以降昭和三十三年度までにおきましては、毎年度法的措置を講じ、この一般会計からの繰り入れを昭和三十四年度以後に繰り延べたのであります。なお、船員保険の療養給付等の部門の財政状況もその後漸次好転いたしまして、遠からず赤字はなくなる見込みでございます。
ところで、昭和三十四年度におきましても、別に借入金等によりましてこれを処理することといたしまして、一般会計からの繰り入れを昭和三十五年度以降に繰り延べることといたしたいと存じまして、第三十一回国会に本法律案を提案いたしまして、以後引き続き衆議院において御審議を願って参ったところでございますが、昭和三十五年度におきましても、別に借入金等によりまして処理することといたしましたことに伴いまして、一般会計からの繰り入れをさらに昭和三十六年度以降に繰り延べることといたしたいと存じまして、今風会に所要の法律案を提出し、すでに提案の理由も説明いたしたのでございますが、今回衆議院におきまして、その内容を本法律案の方に織り込みまして、「昭和三十四年度」を「昭和三十五年度」に改める。」とございますところを、「「昭和三十四年度」を「昭和三十六年度」に改める。」というふうに修正が行なわれたわけでございます。
以上簡単でございますが、補足説明を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/7
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008・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次に、一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/8
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009・大矢正
○大矢正君 この国有林野事業特別会計という会計制度の財政年度というものは、やはり四月一日から三月三十一日で終わるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/9
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010・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/10
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011・大矢正
○大矢正君 それで、この昭和三十四年度に十億円の余裕金があるから——まあ剰余金といいますか、一般会計に繰り入れるというのは、三十三年度の決算において剰余金が生じたから、これを繰る入れると、こういうことになるわけですか。三十四年度の剰余金を繰り入れると、こういうことになるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/11
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012・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 三十三年度に生ずる剰余金について申し上げますと、三十三年度の剰余金というものは、剰余金の生ずる年度としては三十三年度でございますが、最終的に確定いたしますのは三十四年度に入ってからでございます。ただ、ただいま議題となっております一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律の場合におきますところのその例に当てはめてみますと、国有林野事業特別会計法の十二条の規定から申しまして、剰余金というものはそれは三十四年度に生ずる。しかし、それを三十五年度に入れます場合に、ある程度の予定で繰り入れをする、出すということも、それは可能なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/12
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013・大矢正
○大矢正君 国有林野事業の特別会計の決算ですね、ここ最近の状況というものは、あなたの方でわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/13
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014・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 農林省から見えておりますので、農林省の方から御答弁した方が適当だと思いますので、農林省の方にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/14
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015・植杉哲夫
○説明員(植杉哲夫君) 三十三年度について申し上げますと、歳入総計が四百五十四億八千一百万円になっておりまして、歳出が四百四十億九千三百万円、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/15
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016・大矢正
○大矢正君 三十四年度はまだわからないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/16
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017・植杉哲夫
○説明員(植杉哲夫君) 三十四年度につきましては、決算がまだ決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/17
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018・大矢正
○大矢正君 この会計の積立金というのは、一体どのくらい持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/18
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019・植杉哲夫
○説明員(植杉哲夫君) 三十三年度におきまして歳計剰余金の累計が百九十八億七千八百万円、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/19
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020・大矢正
○大矢正君 この積立金というものと剰余金というものとは、おのずから性格が違ってくるでしょう。積み立てというのはある程度、法律によってできているかどうかは私もわからぬが、大体どの程度は毎年積み立てていかなければならぬという一つのワクがあって、そのワクに基づいて積み立てをやっていく。剰余金というのは、その積み立てをやったあとに残った、ほんとうに余ったものを称して剰余金と言うわけでしょう。そういうことじゃないですか。その点はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/20
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021・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 先生のおっしゃいます通りでございまして、歳計剰余金の方は、これは現金べースの問題で、すなわち歳入額から歳出額、支出額を控除した現金の残りというものが剰余金になるわけでございます。積立金と申しますのは、これはやはり損益計算上の利益、企業的な損益計算上の利益の積み立て、こういうことになるわけでございますから、損益計算上利益がありましても、現金がない場合もございますし、あるいは剰余金がありましたからといって必ず利益があるというわけではございません。その辺のところは別の観念でございます。今、農林省の方から御答弁がございましたのは、損益計算上の積立金の累計額を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/21
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022・大矢正
○大矢正君 これは、この会計で毎年度どの程度の積み立てをやっていける——損失の目安もあるだろうと思うし、いろいろあると思うのですが、災害なんかの場合も考えられるので、そういう積立金というのは大体歳入に対して何%とか、いろいろあるだろうと思うのですが、それはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/22
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023・植杉哲夫
○説明員(植杉哲夫君) その決算によりまして出ました利益の全額を積み立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/23
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024・大矢正
○大矢正君 そうすると、天災その他によってこの会計で大幅な損害を受けたなんという場合には、その一年度だけで全部決算してしまうというような格好になってしまいませんか。毎年度ある程度、どの程度積み立ててそういう損失を埋めるという考え方がないと、もう一年で、毎年度々々々、とにかくそういう損失については決算してしまう。従って、膨大な赤字が出るときと、膨大な黒字が出るときと、災害の少ないときは黒字になるし、災害が一たび起こるとものすごい赤字になるというような格好で、この会計というのは非常に波が出てくるという危険性はないのですか、そういう形でいくと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/24
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025・植杉哲夫
○説明員(植杉哲夫君) ただいまのお話でございますが、この会計におきましては、積立金を持っております範囲内におきまして、できるだけその当該年度の決算において始末いたしまして、できるだけ後年度にそういったような損失を継続しないで処理するようになっておりますが、金額によりましては後年度に処理する場合もございますことになると思いますが、現在まではそういった処理をいたしておりませんのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/25
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026・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 野溝さん、銀行局長が、見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/26
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027・野溝勝
○野溝勝君 これは、この法案とは直接の関係はないと思うのでございますが、間接には金融財政に関係をしておる問題でございますから、この際一つお承りしておきたいと思います。先般来、大蔵大臣とも、貿易・為替の自由化の問題についていろいろと質疑をかわしたのです。特に、金融の方面に対しましては、時間の関係で聞くことができませんでした。この際、為替並びに貿易の自由化の影響が金融上にどういうふうに来ておるか、特に中小商工業者はこの貿易の自由化のために金融が緩和される感じを持ったところが、そうでない、逆な結果が現われつつあるのであります。この間に、当局の一つ見解、展望について、銀行局長からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/27
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028・石野信一
○政府委員(石野信一君) 為替・貿易の自由化と金融との関係でございますが、今日まで為替・貿易の自由化の中で実際に進行して参っておりますのは、主として貿易の関係の自由化でございます。それで、この為替・貿易の自由化が金融に対してどういう関係を持つかという点につきまして、現実にすでに関係が生じておるということではございませんが、将来のことも含めまして、一応の展望と申しますか、そういったことを申し上げてみますると、今申しました貿易の自由化というでとによって、企業の仕事がやりやすくなる面もございましょう。ただ、場合によって、特殊の産業あるいは企業について、その影響を受けるものもあるわけでございます。そうなりますと、これについて一時的に金融難とか、あるいは企業の経営が困難になるというような問題が起こると思いますが、これにつきましては、具体的なケースとして、これを単に救済金融ということで全部救済するということには、そういうふうには考えられないとは思いますけれども、しかし、その影響が経済的に重要なことにならないように、金融上具体的なケースとして適当に処理をいたして、その影響を緩和していくということが必要に相なると思います。それから、第二に、国際経済との競争関係で、金利を下げていかなければなるまいという問題が出て参りますが、これにつきましては、申すまでもございませんが、金利というものは結局資金の需要と供給との関係できまって参るものでございまして、人為的にこれを引き下げるということはかえっていろいろの弊害も生ずるものでございまして、やはり金利が下がるような環境を作っていくということは必要だと思います。その意味におきましても、資金の需要が過熱状態になって非常に強くなるというようなことを、できるだけ押えていく。これがためには、公定歩合、あるいは準備金制度、その他金融政策を弾力的に運用しまして、過熱状態に至らないうちに安定した経済成長というものを確保していく。そういうことと、それからやはり健全な外資を入れる、資本の蓄積をそれによって補い、また国内の資本の蓄積も通貨の安定を確保しつつ増進するということによって、金利が下がるような態勢を作っていくということが必要であります。私どもも、できる限り、そういう意味で金利は長期的に引き下げていきたいというふうに考えておるのであります。
それから、第三には、いわゆるホット・マネーと申しますか、短期の金が入ってきて、日本の経済状態が悪いというような徴候でも見えました場合には、それが急激に引き揚げられるというようなことに相なりますと、金融の調整というものを、単に国内の資金関係だけでなくて、自由化の後には対外関係をも含めて、外国の金の出入りをも含めて調整をしなければならないわけであります。そういうものの対策も必要になって参ると思いますけれども、しかしながら、これも今すぐそういう状態にまですべてを自由化するということではございません。先の問題でございまして、そういうことも問題の一つとして考えておく必要があると思うのであります。
それから、第四に、そういったことに関連して、金融機関の合理化というものを進めていかなければならないことはもちろんでございます。これは為替自由化のいかんを問わずやらなければならないことでございますが、自由化に伴う金利の引き下げ等と関連いたしまして、金融機関の合理化については十分指導をして参りたいというふうに考えております。
大体、両者の関係は以上のような点に要点があるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/28
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029・野溝勝
○野溝勝君 局長さんが今お話しになったようなことはよくわかるのですが、特に私の言うのは、中小商工業者の場合、俗に中小企業といわれておりますが、自由化と金融の動きについては神経過敏であり、不安を生じておるわけであります。特に地方における金融機関としましては、戦争中に統制をいたしました方針そのままで、大体県下一行主義の方針をとっております。全く、文字通り、独占金融なんでございます。その独占金融の銀行が、御承知のごとく、地方で集めた資金は金融の動きの激しい中央にみんなどんどん持っていって、地方の方にはその融資が少なく、非常に劣悪になってきているわけであります。こんなわけで、今回の為替・貿易の自由化に関連いたしまして、金融なども緩和されると思ったところが、あべこべに、かえって窮屈になってきた。そういうようなことに対して、銀行局長としてはこの同をどう処理並びに調整していこうというのか。先ほどお話しのことは、これは抽象的で、けっこうなんでございますが、具体的にはそれと逆な方向が現われておるのでございます。そういうことに対して何か警告したことがありますか、または何か通達を出したことがございますか、または考えておることがございますか、この点、お伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/29
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030・石野信一
○政府委員(石野信一君) お尋ねの点は、為替の自由化に関連して金融が緩和されるものと期待したのだが、特に地方の中小企業等では非常に金融が詰まってきて困る、こういう点の御質問と存じますが、この点は、為替の自由化に直接関連すると申しますよりも、むしろ全体の資金の需要と供給の関係に問題があるわけでございます。まあ三十三年から三十四年の初めにかけては、資金の需要関係が全般として非常に緩慢と申しますか、ゆるやかであったのでございますが、三十四年の半ばごろから全体の資金需要がふえてきた。これは結局、経済の成長が非常に伸びたということでございます。これに、伸びるに伴って必要な資金というものが需要された関係で、金融の逼迫が起こっておるわけでございます。
その場合に、今御指摘のコールに地方銀行が金を出して、地方での金融がそれがために逼迫しておるのではないかという点でございますが、この点につきましては、私どもも、コールがそう常識はずれて高くなるということは好ましい現象ではございません。そういう意味では、実際上の指導をいろいろといたしておるのでございますが、何分にも、これは財政の引き揚げというような関係もコール市場にも影響いたしますので、二月、三月期に財政の非常に引き揚げる場合には、コールが高くなるという傾向はある程度やむを得ないところであります。四月は財政がゆるみましたので、その点ある程度緩和をいたして改善されたのでございます。
この点につきましては、中小企業と白しましても、これまた大企業等の資金繰りの関係もございまするので、大企業の方の金が詰まると、また中小企業への支払いが、何と申しますか、遅延するというような問題もございます。そういう意味で、金融も水の流れのように全体として関連しておりますので、やはり全体の資金需要と供給との関係が適当な状態になるということが必要であると考えるのでございまして、何と申しましても、そういう意味での金融政策、広い意味での金融政策が第一であると思うのでございます。
従いまして、御質問の点につきましては、具体的にこうする、ああするというような指導と申しますか、通牒等のことはいたしておりませんけれども、実際上、そういう意味で金融全体の政策として常に注意をいたしまして、コール等の点につきましても、事実上の指導をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/30
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031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ただいま、為替の自由化と金融及び金融制度の問題につきまして伺ったのですが、さっぱりわからぬのです、政府の考え方が。それで、為替自由化をやる場合に一つの大きな問題として、日本の金利を国際金利になるべく近づけるということが一つの前提条件、要件である。ちょうど、ほかの輸出入商品の取引の場合、国内のコストを下げる、そうして外国との競争力をつける、それと同じように、金利についてもそういうことが必要だと思うのですが、その点に関して、今までの御答弁ですと、金利というものは結局資金の需給関係からきまってくるのだ、ですから、無理してそれを下げていくということは好ましいとは思えない、そこで国内的な対策としては、国内の資金の需給関係についてあまり無理な、何ですか、資金需要ですか、過熱的な需要を避けていく、それから対外的には外資を入れていく、外資を入れることによって資金の量をふやす、そういうことによって需給関係上金利をゆるめていく。それでコールなんか、今のお話、短期資金については、ホット・マネーの問題はあるけれども、短期資金を入れればコールもゆるむ。——もっとも地方銀行はこれに反対しているとか言われますが、そういうことも承ったのです。しかし、結局、金利が資金の需給関係からきまってくるということになれば、為替自由化をやっていく場合に、金利を国際的に下げる必要があるというけれども、むしろ外資を入れるということが先になるのじゃないですか。こっちで金利を下げて前提条件を作るというよりも、むしろ短期、長期の資金を入れることによって資金の量をふやす、それによって金利を下げるということになるのであって、この為替の自由化のことは、国内の方で無理に金利を下げるという指導をしないとすれば、むしろ自由化の方が先じゃないですか。そういうふうに私は解釈できるのですが、今までの御答弁ですと、そこのところが何だかさっぱりあいまいもことしてわからぬのです。それはどういう方針なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/31
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032・石野信一
○政府委員(石野信一君) 御質問の点は、両面の問題だと思うんです。国内でも、資金の需給関係を調整して金利をだんだん下げるような政策を考えていくと。同時に、適正な外資を入れることによって、それによってむしろ金利を下げることの要因を作っていく。従って、極端な例を申しますと、どんどん完全に自由にすれば、金利が高ければそこへ入ってくるだろう、従って金利は下がるじゃないかということでございますが、その場合に、今度日本の円に対する信頼、それから外貨に対する、ドルならドルに対する信頼というのはどっちが強いかということは、そのときどきの情勢によるわけでございますが、むしろ円に対する信頼がなくなった場合に、今度は急激に出ていくというような問題がありますので、ただ入れさえすればいいということにはならないことは御承知の通りであります。従って、そこを適度に適正な外資を入れていくということによって、むしろ金利の引き下げを推進すると申しますか、その方に効果があるような政策として、そういうことも考えて参る。従って、為替の自由化によって金利を下げるという面があるじゃないかという点は、そういう面もあることは御指摘の通りでございます。それをどういうふうにやっていくか、その程度といつどういうふうにやっていくかということは、関連した問題として、その辺を両方考えていくと、こういうことだと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/32
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033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 野溝さんの質問をそらすといけませんから、私は簡単にもう一問だけお聞きいたしますが、結論からいえば、政府が指導的にもっとやらなければ、金利なんか下がりっこありませんよ。需給関係で下げる下げるといったって、今の日本の金利を需給関係によって下げるなんというのは、それは理屈ですよ。それは理屈はそうですよ。だけれども、需給関係で下げるなら、むしろ自由化をしてどんどん外国から資金を入れなければ、なかなか下がりませんし、国内においたってまだ資金需要は強いのでしょう。下げる下げるなんて、国際的に金利水準をさや寄せしてあれしていくなんていったって、そんなことはできっこありませんよ。ですから、もっとほんとうに国際的に金利水準を下げるというならば、政府が指導的にやっていかなければ私は下がらぬと思うのです。ですから、為替自由化の前提として、日本の金利を国際金利に近づけるなんということ自体がおかしいと思うのですよ、実際問題としてね。むしろ、自由化を先にやるべきです。下げるならですよ、需給関係から。それには国内の方の影響の問題がありますから、その対策を至急立てないで、そんなことはできませんよ。ちっとも政府はそういうことをやっておりません。どうもその辺は、私は、政府の理屈としては経済原論みたいなことを聞きますけれども、さっぱり具体的な為替自由化と金融政策を立てていくについての政府のかまえですか、何だかあいまいもことして、需給関係論じゃ、それは経済原論を聞いているようなもので、私はこれは意見ですが、その程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/33
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034・野溝勝
○野溝勝君 これは、今の木村委員の質問なり意見なりは、銀行局長だけでなくて、これは大蔵大臣が来た際にもっとゆっくり、重大な問題ですから、論議を願うことにしまして、私の質問を具体的にこれから進めていきたいと思います。
先ほど局長のおっしゃるには、金融政策は水の流れるごとくやると。それは全くその通りなんです。しかし、もしそういうふうにいっておらぬ場合があったら、どうするのですか。もしそういうあなた方の考えておられるような政策通りに銀行がやっておらぬという場合には、どうなんですか。もっと具体的にいえば、銀行に対しては銀行局は検査をするわけですね。検査をした際に、その内容はわかると思うんです。そうした場合には、一体どういう態度というか、どういう処置をとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/34
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035・石野信一
○政府委員(石野信一君) その具体的なケースによって違いまするが、一般的に申しますれば、検査をいたしまして、そうして適当でない点につきましては、その検査のあとで注意をいたしまして、指導いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/35
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036・野溝勝
○野溝勝君 注意といっても、その内容のいかんによっては、その注意にもいろいろあると思うのでございますが、きょうはちょうど石野局長のほかに調査官も来ておられるようでございますから、そのあらましを、こういう場合はこういうふうにする、こういう場合はこういうふうにするという、注意の、段階とかその内容によってはいろいろあると思うのでございますが、そのあらましをお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/36
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037・石野信一
○政府委員(石野信一君) そのこういう場合はこうというという、そのお話が、具体的な何かをお持ちになっての御質問かどうかわかりませんので、どういう点をお尋ねなのか、ちょっとわかりかねるのでございますが、たとえば貸付について不良のものと申しますか、そういったものがあれば、それについては厳重に注意をして、回収その他に努力をするということを指導いたすわけであります。その他、具体的にどういう点を問題にしておられるのかわかりませんけれども、金融機関として一般的に私どもが指導している点につきまして違反なり、あるいは不適当な措置があれば、それを直させる。ただ、貸付等につきましては、すでに行なわれている貸付をただ回収しろといっても、なかなかできないというようなことでございまするので、そういった場合にはこちらの言う通りに必ずなるというわけにも参りませんけれども、そういう点について将来にわたって強く注意を喚起する、こういうふうに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/37
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038・野溝勝
○野溝勝君 私は、抽象的な質問であって、あなたの答えも抽象的な答えでありましたから、さようなことをお聞きするのですが、大体、銀行法を見ますると、銀行法ほど全く銀行業者の、何といいますか、ためになる法律はないと思うのだな。銀行は、何かといえば、公共性を持っているとか社会性を持っているとか言う。公共性、社会性なんというものは、そう期待することはできないと思うんですよ。国民金融公庫とか、あるいは中小企業公庫とかいうのは、確かに公共性、社会性を持っている。たとえば、少し内容でもよくて支払いでもいいというと、どんどん金を使って下さい……。一朝悪くなってくると、全く高利貸の本性を現わして、血も涙もないやり方をやる。これは実際、現在の金融機関に対する法の、不備という点もあると思う。ただ、今銀行局長がおっしゃるように、抽象的に、注意ぐらいのことで、戒告ぐらいのことでうにゃうにやになつちまうので、そういう結果になると思って、こういう点は、私は、時代の推移とともに、特に新しく就任された銀行局長は一つ、あるいは上司からいれられぬかもしらぬけれども、もっと大衆のためになるように銀行法の一部改正法律案ぐらいは——私は何も国営にしろということは言いませんよ。しかし、古くさい、依然として金融業者の温存のみを考えておる銀行法というものを、少し脱皮するように考えてほしい。これは意見でございますから、あなたの答えはあとで一緒に答えてもらいたい。それを申して私は質問をやります。
かようなことを聞くのは、最近、中小商工業者が、あるいは農民が、自由化の問題とともに金融上不安になっている際に、長野県においては八十二銀行という統制された一行がございます。それが三月の十八日の地元の信濃毎日新聞、あるいは読売新聞、あるいは中央におきましては金融通信等には、この問題を取り上げられまして報道されておるのでございます。特に私は、長野県の県民として心配しておったようなことがこういうふうに現われることは、まことに遺憾でございます。このことに対しては、局長就任早々でございますけれども、その間の消息を御存じでございましたか、そのことを一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/38
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039・石野信一
○政府委員(石野信一君) 八十二銀行の頭取、副頭取に対しまして小林取締役が、明和紡績に対する不当融資ということを理由に、それが銀行に損害を与えたという理由で告訴をしている事実を御指摘と存じます。これにつきましては、ただいま長野地検で調査中でございます。まだ結論は、この方は出ておりません。事実はそういう事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/39
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040・野溝勝
○野溝勝君 そこまで当局が知っておるということになれば、私は当局の所見を聞かなければならぬのです。いやしくも金融機関の代表者である頭取並びに副頭取が、融資上の問題において、目下中小商工業者や農民が金融上に不安にかられておるときに、かようなことが、刑事問題になるならぬは別として、一たびこういうことが暴露報道されたことに対して、当局はただ告発されたということだけ聞いておるといって、それで済まされるのですか。その点を一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/40
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041・石野信一
○政府委員(石野信一君) その点につきましては、すでに問題が司直の手にかかっておるわけでございまするので、その結果を待ちまして私どもとしても考えたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/41
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042・野溝勝
○野溝勝君 私は、質問を続けるのでございますが、大体、小林君が告発をしたというのは、確かに縁故融資、すなわち不当の関係ということがおもなようでございます。新聞にも出ております。この内容を質すのに先だち、問題の八十二銀行が今日五百有余億になる預金を、ほとんど県下が大部分でございますが、集めておりながら、その融資先は多く都会方面が多いのです。この間にあって八十二がどんな融資内容になっておるか、当局は調査したか示してほしい。もし調査がないとするならば、私は次回の大蔵委員会にその資料を提示してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/42
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043・石野信一
○政府委員(石野信一君) ただいま一般的な資料はございましたら、あとで申し上げますが、この明和紡績の問題につきましては、検査のときにも発見をいたしまして、こういう融資は適当でないから、できる限り回収をはかり、その整理を促進するようにということは注意をいたしております。一般的な融資先等につきましては、ただいま資料がございませんでしたから、後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/43
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044・野溝勝
○野溝勝君 銀行の問題となると、有力な政治家、有力な財界方面がもみ消し運動をしておるようでございますが、そういうことによって当局がもしかりにも左右されることがあったならば、それこそ重大な問題だと思うのです。その点は特に、行政当局におられる中堅の局長、課長諸君は、筋を通してやっていただきたい。これを特に強く希望しておくものです。それから、それに関連してですが、特に、今局長のお話しになった小林取締役が告発を提起したわけですが、この小林君という人物は、告発された側からいろいろ逆宣伝致しますけれども、昭和十九年のときに農地解放を一番先にやった進歩的な人物です。地元では、農民から尊敬された大地主であった。あの当時、自作農創設法に基づいて、農地解放の指令が出る前にやつちゃった。いう気持の人物である。三十五才にして村長をやり、信頼ある人です。父君は八十二銀行合併前の六十三銀行当時の頭取をしていたのです。なお、同君は畜産事業に熱心で、馬好きでしたから、よく私も知っておるのでございますが、小林君が今回の告発をするには、常務重役になろうとか、あるいは頭取になるとか、そういう野心を持ってやっておるのじゃなくて、真剣に考えて、金融業の正道のために一つ自分は戦っていかなきゃならぬという気持でおるのでありまして、かような決意は容易でないのです。同君がさような気持で戦っておるということに対して、義憤を感ずるものです。同君個人の問題として考えるよりは、いやしくも五百億の預金を持っておるこの八十二統一銀行が、今日株主を軽視し、並びに一般の中小商工業者、農民等の金融を抑制しておいて、甘味のある中央にのみ貸し出しをし、さらには縁故融資をするという、このことを私は指摘するのでございまして、これに対して当局は、単にまだ調べてということでなくて、三月十八日にすでに問題が提起されておるのでございますから、銀行局としてはある程度の調査もされたと思うのでございますが、告発の刑事訴追の結果を待ってどうするということでなくて、それまでに何らか処置はとらなんだですか。この事件は千葉銀行ほどのことはございません。しかし、最近福井銀行といい、あるいは八十二銀行といい、各銀行がこういう問題を起こして、貿易の自由化と並行して一般に金融上の心配をしておるときに、ゆゆしきことだと思いますので、特に当局の真剣なるお答えと態度をこの際お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/44
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045・石野信一
○政府委員(石野信一君) まあ銀行の貸し出し態度その他につきまして、銀行局としてはあくまでも適正に公正に処理をしていくように、厳正に処理をしていくようにという御意見につきましては、私ども全くその通りに考えるのでございます。ただ、この問題につきまして、今、どういうふうにこれを処理するか、あるいはどういうふうに考えておるかということを、ここで答弁しろというふうにおっしゃいます点につきましては、やはりすでに司口の手にかかっておりますので、その調査の結果を待ちました上で、まあ待ちました上で考えると申しますか、その待ちました上のことにさしていただきたい。従いまして、本日それについての態度をここで表明しろとおっしゃる点につきましては、御容赦を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/45
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046・野溝勝
○野溝勝君 これは単に八十二銀行というだけの問題じゃなくて、全金融機関にも関連しておる問題でございますから、きょうは、局長のお話もございますけれども、大蔵委員会としては警告をして、同時に、われわれの気持というものを当局によく伝える、当局もまたわれわれの気持をよく知って、今後行政に当たらなければならぬと思うのです。さような意味で私はお聞きするのでございますが、今、銀行局長はしばらくその調査の結果を待ってからにしていただきたい、こういうのでございますが、そのしばらく調査の結果をというのは、刑事の何といいますか、今検察当局が調べておるからその結果にするというのか、自主的にこちらで調査に乗り出して、その結果にするのか、どういう意味でしばらく待ってくれというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/46
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047・石野信一
○政府委員(石野信一君) まあ司直の手で調査をいたしましたその調査の内容も、私どもとしては参考にいたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/47
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048・野溝勝
○野溝勝君 私は、個人——頭取とか副頭取とか、感情的じゃないですよ。いやしくも銀行経営の衝に当たっている、さらに先ほども申したような内容も持っておる、さらに県民が不満と目下自由化で不安を持っておるこの際に、こういうことを起こしておって、それが政府である銀行局が検察庁の結果を待ってからというようなことでは、行政庁としては怠慢であると思うのです。それですから、どうかこの際一つ、その前に調査し、結果を報告するならするということで、政務次官、調査官も来ておられますから、そこで一つ相談をして、答弁をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/48
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049・石野信一
○政府委員(石野信一君) その調査をしないとか、それについてどういうふうに考えるかというようなことを何ら考えないというようなことを申すわけではございませんが、司直の手によって地検でいろいろの調査が行なわれますと、その間に、一般の銀行検査権限とか銀行局の行政権に基づいては調査できないような問題も、調査が行なわれるわけでございます。従いましてそういう調査の行なわれております以上は、やはりその調査も参考にいたしたいというふうに考えまするし、そういう意味におきまして、ただいまここでどういう措置をとるかということを答えろという点につきましては、どうか御容赦を願いたい、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/49
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050・野溝勝
○野溝勝君 よくわかりました。そこで、銀行当局も誠意をもってこれに当たられるというような御意思でございますので、くどくは申しませんが、この問題が本委員会において取り上げられた以上は、どうか早く本委員会にその結果を明らかにすることを強く要求しておきます。さらに、近い機会に調査報告がなければ、特に委員長にはこの件に関する報告を求めることを一つ明確にしておきます。
次に、私が申し上げておきたいことは、これは多分局長もたびたび際会することだと思いますが、金融機関が何か問題が起こると、圧力が発動される。そこで、とんでもない司法当局にまで手が伸びるらしい。私は、いずれ結果を待って、場合によってはこの問題を取り上げて訴えたいと思うのでございますが、特に明和紡績という先ほどお話しになりましたこの縁故融資の関係について一言だけ申し上げておきます。
明和紡績は、これは昭和二十二年に設立されまして、黒沢現在の八十二銀行副頭取の兄黒沢米太郎氏が会長です。それから黒沢氏の弟が、御承知のごとく経理部長をやり、さらにその妹婿がそれぞれの重役をやっておるわけなんです。それで、社長には黒沢四郎という弟がなっていた。この融資は、小出頭取が黒沢副頭取に協力をしてきた。そして二十七年におきましては損失九千万円、それに利子等を加算すると、銀行側は二億余円の赤字を出した。これはまだ概略のことでございますが、こういう縁故融資をしておったのでございます。でありますから、この縁故融資当時の検査はずさんであった。現銀行局長の責任ではないと思います。そういう事情のもとに今日までいろいろのトラブルがあって、さらにそれに対ししりぬぐいするために、世紀紡績を長野に作らして、それにまた引き継ぎをさして、帳面づらを一応整えようとしているわけでございますが、その間のいわば世紀紡績への移譲の内容、すなわちカラクリにつきましては、詳細はきょうは申し上げませんけれども、なかなか手が込んでいるらしいのでございます。背任を帯びた刑事問題であることは想像ができる。かようなことが金融界に起こったことは、まことに金融機関に対する信私地に落ちたと思います。一般からの不満の声は一そう高まってくるのでございますから、どうか、先ほど局長がお答えになったように、私の質問に対し、局長は就任早々ではございますけれども、あらゆる権力、あらゆる圧力に左右されぬ、いわゆる銀行当局としてはあくまでも正しい筋を通し、納得のできる措置をとられたい。この際、今一応当局のはっきりしたところをお聞かせを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/50
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051・石野信一
○政府委員(石野信一君) 銀行の行政につきましては、お話の通り、これはあくまで厳正、公正に行なうべきこと、申すまでもないところでございます。その点につきましては、私ども常にそういう考え方で毎日の事務を行なっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/51
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052・野溝勝
○野溝勝君 この際、一つ政務次官の方からも……。これはなかなか手が込んでいるのです。小坂財閥が背景に動いているといううわさもある。もとの電源開発総裁小坂順造、あの君などが……。だから、佐藤君あたりへも手が伸びやせぬかと心配している。それほど案じているわけでございますから、一つ政務次官から、かような問題が具体的になってきているということで、あなたからもこの点を強く大臣にお伝え願いたい。監督官庁として行政措置をとって、執行部は来たるべき総会があるそうでございますから、それまでに善処されたい。こんな問題を起こしたら、頭取、副頭取は責任をとるべきであると思います。また誠意、謙虚を披瀝すべきものだと思います。そうでないと、容易でない問題が次々に起こると思います。その点に対して、銀行局長は就任早々だから思い切ったことが言えないので、少し大事をとっていると思うんです。あなた言えないところは、一つ大蔵大臣に次官よりはっきり言ってやるようにして下さい。私の意見に対して、あなたの所見を一つお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/52
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053・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) 八十二銀行のことに関連しまして、野溝先生からいろいろ御指摘をいただいたのでありますが、御指摘にもございましたように、この金融機関、ことに銀行の公共性を発揮しなくちゃならぬということ、並びに信用保持の点のために、この問題につきましては特に厳正公平に、ただいまの御指摘の点を十分注意しつつ、上司にもよく御報告をいたしまして善処をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/53
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054・野溝勝
○野溝勝君 委員長、きょうはこの程度で委員長に一任しておきますが、先ほど要求と希望をしたように、当局の調査結果を待って、さらに本委員会において大臣の答えを得ることにします。金融政策の問題は重大問題でございますから、この点を留保いたしまして、きょうはこの程度で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/54
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055・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 承知しました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/55
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056・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) それでは、速記をつけて。
それでは、本案に対する質疑は、今日のところはこの程度で終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/56
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057・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次は、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律の一部を改正する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、及び、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案を一括議題として、順次補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/57
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058・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の補足説明を申し上げます。
農林漁業金融公庫におきまして、今回、国の直接または間接の補助の対象とならない牧野の改良または造成にかかる事業に対する貸付につきまして、その利子を年利五分から三分五厘に軽減することができる道を開こうといたしましたのは、自給飼料でありますところの牧草を生産するために、牧野の改良または造成を行なうことが酪農振興上必要であるからであります。牧野の改良または造成にかかる事業に対する貸付利子の軽減の対象といたしまするところの非補助小団地等土地改良事業助成基金への影響につきましては、貸付対象の事業量が少なくて影響も僅少でございます。すなわち、昭和三十五年度におきましては、利子軽減対象の貸付予定額は九十一億円でございますが、そのうち牧野の改良または造成にかかる事業分は一億円と予定されておりますので、その利子軽減額は年間約百万円程度でございます。同基金の運用益の予定額四億二千二百万円をもって十分まかなえるものでございます。
以上簡単でございますが、提案理由説明を補足いたしまして御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/58
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059・石野信一
○政府委員(石野信一君) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案を補足説明させていただきます。
これは、さきの提案理由の説明でも御説明いたしましたように、日本開発銀行に対して大蔵大臣の認可を受けて外貨債券を発行することができるようにするということを目的とした改正でございます。従いまして、これに付随いたしまして外貨債券発行額の限度の規定の改正、それから政府がこの外貨債券の元利の支払いについて保証をすることができることにするための改正、その他外貨債券の利子の非課税及び発行事務の委託等に関する規定を設けるというような、所要の規定の整備を行なうことを目的とした改正でございます。
逐条的に御説明申し上げた方がよいかと存じますので、お手元にございますと思いますが、日本開発銀行法の一部を改正する法律案をごらんいただきたいと存じます。その二ページをごらんいただきますと、まん中のところに「外貨債券の発行」という見出しで、第三十七条の二というのがございますが、これがただいま申しました外貨債券を発行し得ることにするための規定でございまして、日本開発銀行はその「業務を行なうため必要な資金の財源に充てるため、大蔵大臣の認可を受けて、外国通貨をもって表示する債券(以下「外貨債券」という。)を発行することができる。」という規定でございます。従来は、開銀は政府からの借入金と外国の金融機関からの借入金ということが借り入れではできることになっておりましたが、これを外貨債券の発行ができるということにいたすわけでございます。それで、第二項は、その外貨債券を発行したあとで、所有者が失った場合に、代債券を発行するための規定でございます。それから、第三項は、日本開発銀行は、大蔵大臣の認可を受けて、外貨債券の発行、償還、利子の支払いその他の外貨債券に関する事務の全部または一部を、外国の銀行とか日本の銀行、信託会社、証券業者に委託することができる。事務の委託に関する規定でございます。第四項は、外貨債券に関し必要な事項、たとえば証券の形式とか、証券券面記載事項というようなものは、政令で定める。この三十七条の二によって外貨債券の発行を可能ならしめようということでございます。
それから、その次に「政府保証」という見出しがございまして、三十七条の三、これは、政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、この外貨債券にかかる債務について、予算の定めるところによって、保証契約をすることができる。この「予算の定めるところ」というので、すでに成立いたしました三十五年度の一般会計予算の総則に、三千万ドルに相当する金額まで保証契約をすることができるということに相なっております。第二項は、先ほど申しました所有が債券を失った場合に代債券を発行する。この代債券も原債券と同じものでなければなりませんので、これについて、まあこれは非常に例外的に起こる、また少額の問題でございますが、保証契約をすることができるという規定でございます。
それから、次の四ページに参りますと、「利子等の非課税」という見出しがございますが、これは開銀の発行いたします外貨債券の利子及びその償還により受けるべき差益については、租税その他の公課を課さない。その消化を円滑ならしめるために、他の外国でも会、外国市場で発行する場合に大体こういう規定を置いて、こういうふうに取り扱っておりまするので、この前の国債の発行について御審議をいただいた規定と、ここのところの利子の非課税の点は全然同じでございます。ただし書きは、所得税法第一条第一項に規定する個人、法人税法第一条第一項に掲げる法人、これは居住者、在留邦人、またこれらに準ずるものとして政令で定めるもの、従って非居住者でありますが、日本で事業をしているもの、こういうようなものについてはこの限りではないということで、非課税の措置はとらない。外国人が外債を非居住者が持つというときに課税をしないというふうにいたしておるので、この前の国債の場合と全然同じでございます。第二項につきましても、これは代位納付規定の問題でございまして、今申しましたこのただし書きで、「政令で定めるもの」、居住者または日本法人に準ずるものとして政令で定めるものにつきまして、これは源泉徴収にかわる代位納付という規定を適用しないで、申告納税方法によるための規定でございまして、これは外国で利子が支払われますために、日本の居住者につきましても源泉徴収の適用がなくて、申告納税方式になりますので、それとの権衡をはかるための規定でございます。
三十八条に「次のただし書を加える。」とありまするのは、三十八条は余裕金の運用の規定でございまして、現在は、開銀は国債の保有、それから資金運用部への預託、日本銀行への預託、余裕金はこれだけに運用するという制限がございますが、外債の場合には、手取り金を外貨で外国銀行の方に預金するというような必要も生じまするので、外貨債券に関する事務の遂行上必要がある場合には、大蔵大臣の承認を受けて今申した以外の運用もできるというふうに規定をいたすのでございます。
五十一条以下は罰則の規定でございまして、先ほどの「認可」が加わります。外貨債券の発行について認可が必要になりますことに伴う等、まあ規定の整備ということでございます。
最初の第一ページに戻りまして、第十八条の二についての規定がございますが、これは借入金の限度額を規定した規定でございます。これも、外貨債券の発行を認めることになりますのに伴う付随的な改正でありまして、従来、借入金の限度を自己資本の倍——資本金と準備金の合計額の倍ということになっております。これについて、その限度額の方を変えるわけではありませんが、今度発行いたします外貨債券の債務の現在額と借入金の額が、両方合わせてただいま申しました自己資本の倍という限度の中に入らなければいけないということに改正をいたすわけでございます。この限度はまだ本年、三十四年度末で二千億ちょっとございます。三十五年度、これを外貨債券まで発行いたしましても、政府の借り入れ等も含めまして、なお千五百億程度の余裕が三十五年度末にも残る見通しでございます。
ただし書きがこれにくっつきまして、「当該債券については、発行済みのものの借換えのため必要があるときは、一時当該額をこえて発行することができる。」。御承知の通り、これは、借りかえの場合には一時的に既発行の分と今度借りかえの分とがダブる場合、この限度の範囲をこえるとしても、すぐにまたその重複が解消するわけでございますから、その点はこの限度以外でいいという規定でございます。
それから、第十八条の二の第二項の規定は、これは開銀の行ないます貸付、それから社債の応募、肩がわり、それから債務の保証、こういうものの限度でございますが、これにつきましても、結局、自己資本の三倍、すなわち自己資本と今の借り入れ限度額の合計額をこえてはならないということになっておりますが、これにつきまして、「借入金」という規定だけでありましたのを「借入れ及び債券発行」ということにいたして前項の規定と平仄を合わせるわけでございます。
それから、第十九条の一項中「借入金の利子」の下に、今度発行する債券の利子、まあ百ドルの額面のものは九十八ドルで発行する場合、その格差二ドルなら二ドルという利子に相当する分を加えるという規定は、これは貸付利率の基準についての規定でございまして、開銀の貸付利子、債務保証の保証料率をきめるにあたっては、その運用の利息と、それから借り入れの資金コスト、それから付属諸費、経費、そういうものが償うように、ペイするように、かつ、一般の銀行の金利を考えて、その貸付利息、保証料率等をきめようという規定でございますが、その中に資金コストが今までは借入金の利子ということになっておりましたのに、債券の発行ができるようになりますので、債券の利子というものが加わるわけでございます。
それから、第二十四条第二項中「借入金の利子」の下に、この債券の利子というものを入れる。これも開銀の予算に関する規定でございまして、その支出の項目に、今まで借入金の利子という項目だけでございましたのを、ほかにもちろん経費等もあるわけでございますが、借入金についで債券の利子をも支出の項目として加える。技術的な規定の整備でございます。次に、三十七条第一項中「又は」の下に「大蔵大臣の認可を受けて」というものが加わる。これは従来、資金の借り入れの規定でございまして、これは開銀は、先ほど申し上げましたように、政府からの侍り入れと、それから外国の銀行その他の金融機関からの外貨資金の借り入れができることになっておりますが、これについて、従来は外国の銀行その他の金融機関からの借り入れというものは実際上は世界銀行からの借り入れだけしか行なっておらなかったのでございますが、今後為替の自由化等が進むにつれまして、あるいは一般の金融機関からの借り入れということも起こるかもしれません。従いまして、こういう借入金の額が結局開銀の貸付量を決定し、財政投融資にも関連して参りますので、これについても、外貨債券の発行において認可を必要とするのと平氏を合わせて、認可を受ける必要があるということで改正をいたすのでございます。
以上、逐条的に御説明申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/59
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060・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、先般提案理由の大要を御説明いたしましたが、これにつきまして若干補足的な御説明をいたしたいと存じます。
最初に、そもそも今般国際開発協会の設立が考えられるに至りました経緯について触れておきたいと存じます。低開発地域の経済開発のための融資を行なう国際機関といたしましては、御承知の通り、従来から国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行と呼んでおるものでございますが、それと、それから国際金融公社等がございますが、世界銀行はその性質上融資の対象、条件等に制約があり、また国際金融公社の方は資本規模も小さく、民間との協調融資をねらいとして設立されたものである関係上、その融資活動にはおのずから限界があるのであります。そこで、これら両機関の活動を補完するために、通常の貸付条件よりも弾力的で、しかも借り入れ国の国際収支に多くの負担をかけないような条件で融資を行なう機関といたしまして、新たにこの国際開発協会の設立が考えられるに至った次第であります。
すなわち、昨年の九月末から開かれました世界銀行総会は、米国が上程いたしました国際開発協会設立に関する決議案というものを同年十月一日に採択いたしまして、世界銀行の理事会はこの決議に基づいて協定案を審議いたしました結果、本年一月二十六日に国際開発協会協定を作成いたしまして、この協定は世界銀行の加盟国である六十八カ国に対して署名のために開放せられたのであります。わが国といたしましては、この協会に加盟するためにこの協定を受諾する必要がありまして、このためすでに御協賛を得ました昭和二十五年度予算におきまして出資のために必要な予算措置を講じますとともに、この協定及びこの法律案を提案して御審議をお願いいたしておる次第であります。
法律案そのものは比較的簡単でございますが、この法律案の基礎をなしております協定を御理解願う必要があろうかと思いますので、まず、その協定の概要について申し上げたいと存じます。
協定は、前文と、それから本文十一ヵ条及び末文からなっておりまして、協会の目的、出資、出資通貨、業務、組織及び運営等について規定をいたしておりますが、そのおもな骨子のみを要約して御説明いたしたいと存じます。
第一に、協会の目的でございますが、加盟国内の低開発地域の経済開発を促進し、生産性を高め、かつ、それにより生活水準を向上することにあり、特にそのため低開発地域の重要な開発要請に対し、すでに申し上げましたように比較的緩和された条件で融資を行ない、それによって世界銀行の開発目的を促進し、その活動を補完することにございます。ちなみに、協会の総裁、総務、理事及びスタッフは、すべて世界銀行と共通させることになっております。
第二に、協会べの加盟でございますが、世界銀行に加盟しております国のすべてに対して開放されておりまして、各加盟国は増資後の世界銀行に対する応募額と同じ率でもって協会の当初資本金十億ドルを分担出資することになっております。この千億ドルを当初出資と申しますが、この当初出資につきましては、すべての加盟国がその一〇%を金または自由交換可能通貨で、残りの九〇%につきましては、加盟国全体を一部の国と二部の国というふうに二つに分類をいたしまして、先進工業国を第一部の国といたしまして、これらの国は金または自由交換可能通貨で、それから低開発国を第二部の国といたしまして、これらの国は自由通貨で払い込むこととなっております。さらに、各国の払込額につきましては、初年度は一〇%部分の半分、すなわち全体に対して五%、それから九〇%部分の五分の一、すなわち一八%、これの合計であります二三%を払い込むことになっておりまして、第二年度から第五年度までの四ヵ年間に残りを毎年度均等に分割して払い込むことになっております。従いまして、二年度から五年度までは毎年全体の一九・二五%を払い込むことになるわけでございます。なお、九〇%部分につきましては国債で代用することができることとなっております。また、協会の資金補てんの方法といたしましては、五年ごとに増資の可否について検討をし、あるいはある加盟国から他の加盟国通貨による供与を受け入れる等の規定があります。
第三に、融資活動についてでございますが、協会の融資は加盟国における低開発地域の開発のために行なわれるものでありますが、原則として特定のプロジェクトに対してのみ融資され、しかも、市場において調達不能で、かつ世界銀行の融資対象とならないものに対して行なわれることになっております。先ほど申し上げました当初出資による資金につきましては、融資形態は原則として貸付に限られることになっております。
第四に、この協定は、出資総額十億ドルの六五%以上を構成する額を出資する政府が署名し、かつ受諾書を寄託したときに効力を生することとなっておりますが、ただし、どのような場合でも本年九月十五日前には発効しないということになっております。なお、協定署名の期限は本年十二月末日までとされております。
以上が協定の内容でございますが、この協定を受諾し、協会に加盟するためには、この協定の各署名政府は、この協定に基づくすべての義務を履行するために必要な国内措置をとることが必要とされており、従いまして、政府といたしましては、すでに別途講じました出資所要額についての予算措置のほか、ここにこの法律案の御審議をお願いいたしているわけでございます。
以上が協定についての御説明でございます。
次に、この法律案について御説明をいたしたいと存じます。
この法律案は、本文五カ条、附則二項からなっておりまして、おおむね、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の例にならって規定しております。
第一に、この法律は「国際開発協会へ加盟するために必要な措置を講じ、及び国際開発協会協定の円滑な履行を確保することを目的とする。」ということを規定しております。第二に、出資でございますが、政府は協会に対し、協定によるわが国の出資額である三千三百五十九万合衆国ドル、すなわち、本邦通貨に換算いたしますと百二十億九千二百四十万円を限度として出資し得ることを規定いたしております。すなわち、わが国の出資根拠を明確に規定しております。
第三に、政府は協会に対し、金または自由交換可能通貨によってその出資を行なうことができることを規定しております。ここで自由交換可能通貨とは何かということでございますが、これは協定上の用語でありまして、この協定によりますと、次の二種類があるものとされております。第一種は、加盟国の通貨で、協会が国際通貨基金と協議の後、協会の業務の目的のため他の加盟国の通貨に十分交換することが可能であると認めたものであり、米ドルのほか、通貨の交換性を回復した西欧通貨はすべてこの範疇に属するものと考えられます。第二種は、加盟国の通貨であって、その加盟国が、協会が満足すべき条件で、協会の業務の目的のため他の加盟国の通貨と交換することに同意したものであります。つまり、わが国の世界銀行に対する出資円のごとく、まだ一般的な制度といたしましては交換性がなくとも、世界銀行の業務に使用される範囲内では交換可能の建前としておりますような通貨がこれに該当するものと考えられます。わが国といたしましては、世界銀行の場合と同様に、協会に対する出資円につきましても交換可能の建前といたす方針でございますので、この限りにおきまして円は協定上の自由交換可能通貨に入るわけでございます。第四に、協会に出資する自由交換可能通貨が本邦通貨たる円である場合には、当該本邦通貨にかえて、その一部を国債で出資することができることとし、このため政府は必要な額を限度として国債を発行することができることといたしております。すなわち、協定では、出資の九〇%に当たる部分で当該加盟国通貨により払い込まれたかまたは払い込まれるべき通貨の一部が協会の業務に必要でないと認めるときは、そのかわりに当該加盟国の政府等が発行する手形その他の債務証書を受領し得ることになっておりますが、この点を国内法上明らかにするとともに、政府に国債の発行権限を与えた次第であります。なお、わが国は別当出資額三千三百五十九万ドルのうち、初年度払い込み分としてその二三%、すなわち七百七十二万五千七百ドルに相当する二十七億八千百二十五万二千円を払い込む義務を負っているものでありますが、この規定によりまして一八%部分の二十一億七千六百六十三万二千円を国債により出資し、残り五%部分の六億四百六十三万円のみを現金で出資することといたした次第であります。なお、この国債は、譲渡禁止かつ無利子のもので、要求あり次第額面で支払われるべきものとされておりますが、これら国債の発行条件、国債の償還、国債整理基金特別会計への繰り入れ等につきましては、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律のそれら諸規定を準用いたしております。第五に、世界銀行等の場合と同様、協会は協定において各加盟国は当該加盟国通貨その他の資産を保管するために協会の寄託所として原則として自国の中央銀行を指定するものとしておりますが、これを受けまして、本法律案におきましては、日本銀行は、日本銀行法第二十七条、すなわち業務に関する規定にかかわらず、協会の保有する本邦通貨その他の資産の寄託所としての業務を行なうものとしております。本法律案の附則におきましては、この法律は、協定と不可分の関係にありますので、協定の効力発生の日から施行することとし、また、大蔵省設置法の一部を改正し、国際開発協会に関する事務を大蔵省の所掌事務に加えております。以上、先般行ないました本法律案の提案理由の補足説明でございますが、何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決下さいますよらお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/60
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061・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 本日は、これにて故会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01719600510/61
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