1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月九日(水曜日)
午後一時二十三分開会
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委員氏名
地方行政委員
委員長 新谷寅三郎君
理事 西郷吉之助君
理事 鍋島 直紹君
理事 鈴木 壽君
理事 基 政七君
井野 碩哉君
大沢 雄一君
郡 祐一君
小林 武治君
白井 勇君
館 哲二君
西田 信一君
湯澤三千男君
占部 秀男君
木下 友敬君
松澤 兼人君
松永 忠二君
米田 勲君
中尾 辰義君
大竹平八郎君
運輸委員
委員長 平島 敏夫君
理事 天埜 良吉君
理事 江藤 智君
理事 村上 春藏君
理事 小酒井義男君
金丸 冨夫君
佐野 廣君
重宗 雄三君
谷口 慶吉君
鳥畠徳次郎君
三木與吉郎君
村松 久義君
相澤 重明君
大倉 精一君
重盛 壽治君
中村 順造君
中村 正雄君
松浦 清一君
白木義一郎君
加賀山之雄君
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出席者は左の通り。
地方行政委員
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
基 政七君
委員
大沢 雄一君
館 哲二君
湯澤三千男君
松澤 兼人君
松永 忠二君
中尾 辰義君
運輸委員
委員長 平島 敏夫君
理事
天埜 良吉君
江藤 智君
村上 春藏君
小酒井義男君
委員
金丸 冨夫君
佐野 廣君
鳥畠徳次郎君
三木與吉郎君
村松 久義君
大倉 精一君
重盛 壽治君
中村 順造君
白木義一郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警察庁刑事局長 中川 董治君
警察庁保安局長 木村 行蔵君
運輸省自動車局
長 国友 弘康君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設省道路局長 佐藤 寛政君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
警察庁保安局交
通課長 内海 倫君
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本日の会議に付した案件
○道路交通法案(内閣提出)
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〔地方行政委員長新谷寅三郎君
委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから、地方行政、運輸委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の委員長の職をつとめさせていただきますから、どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
それでは、道路交通法案を議題といたします。
まず、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/1
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002・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま議題となりました道路交通法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、現行の道路交通取締法及び同法施行令を廃止し、新たに道路交通法を制定しようとするものであります。
現行の道路交通取締法は、昭和二十二年に制定され、以来、数次の部分的な改正を加えられて今日に至っているものでありますが、この間わが国における交通事情は、自動車の急激な発達、普及及び増加に伴い、まことに著しく変化し、特に最近における大都市の道路交通は、同法制定当時と比較しますと、異常なまでに発展、変貌を遂げ、しかも、近い将来におきましては、さらに一そうの複雑と困難が加わることが予想される状況であります。このような実情に対し、現行法令の規定では、すでに、種々の点で不十分なことが痛感されるのみならず、今後の交通事情の変化には、とうてい対処し得ないものと判断されるに至りましたので、今回同法及び同法施行令について全面的に検討を加え、新しい時代に即応した道路交通の基本法としてこの法律案を立案いたしたものであります。
この法律案は、現行法令と比較して、相当広い範囲にわたって規定の整備、新設をいたしておりますが、その重要な点は、次の通りであります。
第一は、法の名称を道路交通法とし、また、法の目的を明確にしたことであります。この法律は、道路交通の基本法たる性格を有するものであることにかんがみ、現行の道路交通取締法という名称を改め、道路交通法とし、また、法の目的につきましても単に道路における危険を防止し、その他交通の安全をはかるのみでなく、積極的に交通の円滑をはかることをも目的とするものであることを明らかにいたしました。
第二は、法体系を整備するとともに、用語及び表現を平易化したことであります。現行法におきましては、道路交通の規制に関する基本的な事項が法及び施行令の両者にわたって規定されているのでありますが、これら基本的な事項は、すべてこの法律の中に規定することとして、法体系を整備し、また、国民のだれでもがこの法律を容易に理解し得るように用語及び表現をできるだけ平易にすることに意を用いました。
第三は、交通の規制に関する規定を整備したことであります。そのおもなものは、交通規制のための道路標示の設置に関する規定を新設すること、公安委員会が区間または期間の短い通行の禁止または制限を警察署長に行なわせることができる規定を新設すること、自動車の最低速度に関する規定を新設すること及び道路交通に関する調査を行なうための規定を新設すること等であります。
第四は、歩行者の通行に関する規定を整備するとともに、歩行者の保護の徹底をはかったことであります。歩行者の通行につきましては、特に一章を設けまして、その通行方法の基本を明らかにしますとともに、これらの規定には、原則として罰則を付さず、違反者に対しては、警察官が必要な指示を行なうことといたしました。また、車両等の交通方法に関する規定において歩行者の通行の保護をはかることといたしました。
第五は、車両等の交通方法の合理化をはかったことであります。自動車を初めとする各種車両等の増加に伴いまして、現行規定では、車両等の交通の規制について十分な実効を期することが困難となるに至りましたので、車両の通行方法の基本原則、追越しに関する規制、交差点における通行方法、停車及び駐車に関する規制等について新たな規定を設けるとともに、現行規定についても全面的な検討を加え、車両等の交通方法の合理化に必要な規定の整備をいたしました。
第六は、交通の円滑をはかり、危険を防止するための措置を強化したことであります。道路において車両等の通行が停滞したため交通が著しく混雑するおそれがある場合における混雑緩和の措置、違法駐車または違法工作物等の交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがある場合における移動、除去、移転等の措置について必要な規定を設けるほか、酔っぱらい運転、過労運転等の無謀運転の禁止、整備不良車両の運転の禁止等道路における危険防止の措置に関する規定を整備することといたしました。
第七は、雇用者及び車両運行管理者の義務についての規定を設けたことであります。最近における交通事故及び交通法令違反の原因には、単に運転者の責に帰すべきもののみならず、むしろ運転者を雇用する者あるいは車両の運行を管理する地位にある者の責任と思われるものが多いことが痛感されるところであります。よって、雇用者は、その雇用する運転者に安全な運転を行なわせるよう努めなければならないこと、雇用運転者をして苛酷な条件のもとに運転させてはならないこと等とするほか、車両等の運行を直接管理する地位にある者は、無免許運転、無謀運転等を命じ、または容認してはならないこととし、これらの者が、運転者とともに、交通の秩序の確立に責任のあることを明らかにいたしました。
第八は、運転免許制度の合理化をはかったことであります。運転免許の種別を整理してその簡素化をはかったこと、免許証の交付手続についてその不合理を改めたこと、免許についての行政処分の実効をはかる措置を講じたこと、各都道府県における運転免許関係事務の斉一化、適正化をはかるため全国的な基準を命令で定めることとしたこと等運転免許に関する規定を整備して、運転免許制度の合理化をはかることといたしました。
最後に、罰則を整備したことであります。現行法制定以後の社会情勢の変化及び現行の各種法令に規定する罰則との均衡を考慮して全面的に罰則を整備するとともに、過失犯の規定及び両罰規定を整備することとし、また、交通事故の原因に飲酒によるものが多い実情にかんがみ、運転者が交通違反を犯した場合において酒気を帯びていたときの刑の加重について規定する等罰則の整備をはかることといたしました。
以上がこの法律案の提案理由およびその内容の概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/2
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003・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/3
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004・大倉精一
○大倉精一君 まず、長官にお伺いしますけれども、この法律案は、国民の生活と権利に非常に重大な影響がある法律案でありますけれども、自治庁としては、いつごろからこの法律案の作業に着手をされたのか。さらにまた、この法律案に着手するにあたって、現在の交通事情に対する御認識は、どういうような御認識の上に立って作業を開始されたか。そういう基礎的なことについてまずお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/4
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005・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) これは、自治庁でなしに国家公安委員会の方であります。
御承知のように、現行の道路交通取締法は、昭和二十二年制定になったのでありまして、当時と比較いたしますると、車両の数等においても約十倍以上になっております。交通事故その他にいたしましても、これはもう、十倍以上そのスケールが大きくなっているのであります。そこで、三年ほど前から、この道路交通取締法の改正をしなければならぬという考えを起こしまして、だんだん準備しておったのでありまするが、具体的にいろいろ民間の意見を徴したり、懇談会等を開いて、具体的の立案に入ったのは、たしか昨年の春ごろからであったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/5
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006・大倉精一
○大倉精一君 この法案は、歩行者にも非常に重大な関係があるのでありますけれども、特に自動車の運転を業としておる運転手諸君としては、死活にかかわると言っても過言ではないような、非常に重大なる法案でありますけれども、聞くところによりますというと、こういう運転手諸君は、ほとんどこの法案についての相談を受けなかった、こういうことを聞いておりまするが、どういう方々と御相談になったか。あるいは御意見を聞かれたか。さらにまた、直接関係がある運転手諸君に意見を聞かなかった理由が何かあったのか。その点をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/6
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007・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) この法案を立案するに際しましては、できるだけ広く民間の意向を入れたいと思いまして、道交法改正に関する検討懇談会という委員会のようなものを組織しまして、委員が約二十人おるのでありまするが、その委員の中には、運転手、運転を業とされておるような人の代表を二人選定いたしまして、その人々にも出ていただいて、いろいろ意見を参考とし、拝聴し、また広く新聞、評論家、評論界等の意見をもたびたび聞きまして、当局としては、でき得る限り広く民意を徴して、この立案に当たったつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/7
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008・大倉精一
○大倉精一君 労働者の代表も入っておるというお話でありましたが、ハイヤー・タクシーの代表は入っておりますか。あるいはトラックの代表、そういうものはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/8
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009・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) ハイヤー・タクシーの関係は、大阪方面から西村という方が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/9
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010・大倉精一
○大倉精一君 提案理由の説明の中で、どうも私は少しふに落ちないところがありまするが、なるほどおっしゃるように、「自動車の急激な発達、普及及び増加に伴い、まことに著しく変化し、」という工合におっしゃっております。また、その通りだと思っております。最近では、一年間に東京都内においても十万台近くふえておって、六十年のオリンピックのときには、大体百万台になるのじゃないかという工合にもいわれておる状況であるが、そこで、この自動車の増加とともに非常に重大な問題は、自動車の事故が幾何級数的にふえておる。こういう事態から交通恐怖時代が出てきた。こう言っても差しつかえないと思います。そこで私は、国民の皆さんの感情的なものとしましては、なるほど直接に自動車を運転している者に対しまして、もっと強く処罰せよ、こういう感情的なものがあるかもしれませんが、しかしながら、やはり為政者としましては、そういうことではなくして、ほんとうに現在の事態と将来に対する的確な判断と、それに対する総合的な施策、抜本的な対策、こういうものを考慮しなければならぬ。そうでなければ、処罰だけでもって、罰則だけでもって、罰則の強化だけといっては語弊がありますけれども、そういったことによってこういう事態が解消をするということは考えられない。従って、まずお伺いしたいことは、総合的な施策について、こういうようなお考えをお持ちになっておるか。さらにまた、自動車は飛躍的に増加しておりますので、施策も飛躍的でなければならぬと思います。こういう観点から、どういうような施策がおありになるか。この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/10
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011・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 全く大倉委員御指摘の通りでございまして、私どもといたしましても、単に法律を作り変えるとか、罰則を重くするということだけでやろうとしておるのではないのでございまして、ご承知のように、先年、内閣にも交通事故防止対策本部というものが設けられまして、関係各省が出まして、いろいろ対策を練っておるわけでございます。それとまた、総合的交通施策といたしましては、これは、私から申し上げるのも変なんでありますが、交通の基本であります道路につきましては、道路整備五カ年計画というものを立てて、国道はもとより、さらに将来は、地方道路に至るまで、抜本的な交通整備をやろうとしている。運輸省その他を中心にいたしまして、国鉄その他の輸送機関の整備等についても、いろいろ年次計画を立ててやっておることは、私から申し上げるまでもないことであります。それらの対策と相待ちまして、しかし、このはんらんする自動車交通、ことに交通事故の頻発にかんがみまして、道路交通取締法の整備も、これは一日もゆるがせにできない。ことに、一昨年の国会でありますか、三十三年四月の衆議院地方行政委員会におきましては、交通事故防止に関する決議が行なわれているのでありまして、国会の意思も尊重いたしまして、今回道路交通法案を提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/11
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012・大倉精一
○大倉精一君 今の答弁の中で、冒頭に、こういう問題は私からとお話ありましたけれども、少なくとも、提案理由の中を見ますと、これが「交通の基本法」と書いてある。交通の基本法ということになれば、これだけ先行して飛び抜けてあるものじゃないと私は思うのです。交通の基本法ということになれば、これは、総合的な交通政策あるいは交通のあり方の上に立って、基本法という名前が出てこなければならぬと思うのです。そこで、今の問題につきましては、非常に前提として重要な問題であると思いますので、これは、運輸大臣きょうおいででありませんか。運輸大臣から一つ聞きたいと思いますけれども、局長がおりますから、局長にとりあえずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/12
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013・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) 交通関係に関しましては、われわれとして、基本法の取りまとめも考えなければならないと思っておりますが、これは、運輸省全体の問題でありますし、今後大いに研究していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/13
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014・大倉精一
○大倉精一君 本来ならば、これは運輸大臣がおいでになって、この問題を十分聞いてからでないというと、中へ入っていけないのですね。これは、自動車の増加という問題と、いわゆる交通の輻湊という問題と事故という問題とは、同じようで必ずしも私は同じでないと思うのですよ。ですから、今度の法律で、交通の円滑化を期するという一項目が入っておるわけなんです、目的に。この円滑というのは、必ずしも事故防止と同一のものではないと私は思う。そこに交通の総合的な施策がなければ、円滑化もはかられつこないと私は思う。ですから、これは運輸大臣がおいでになって、十分聞きたいと思いますから、一つこの問題は保留をいたします。
そこで、この法案をずっと私も通読をしてみましたが、この通読したところから受ける感じは、どうも、言葉が変かもしれませんけれども、やっぱりこれは警察の作った法律だ、こういうまあ感じを受けるわけです。そこで、この法律というものは、大体今まで関係法令、所属法令というものを法体系の中に整備して若干改正をした、こういう内容のように受け取れるようです。そのほかは、罰則を強化をした、こういう感じが私は非常に強いし、そうであると思っております。そこで、こういう工合にいたしまして、こういうような問題を、罰則の強化、警察官の権限の強化あるいは取り締まりだけが独走をしてこういう問題が解決できるとは私は思わぬのですが、こういう点について、一つ自治庁の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/14
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015・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほどからたびたび罰則の強化々々ということを言われておるのでございまするが、現行法は、先ほども申し上げましたように、昭和二十二年の制定でございまして、その後の物価指数、これらの変動というものは、御承知のように、非常に大きく変化しておるのであります。そういう意味で、罰金刑のようなものも、これらの一般経済事情に適応するようなものに引き直したということと、それから、その後いろいろ新しい法令、たとえばメートル法などでも、これはもう非常な、違反に対しては、五万円以下の罰金というような法体系が定められております。建築基準法等においても、同じような罰則を制定されておるのであります。まあ人命に非常な危険を与え、最もわれわれの国民生活に深い密接な関係を持っておりまするこの法案でありまするので、そういう事情を総合比較勘案いたしまして、今回の罰則の整備ができたのであります。これは、特に罰則に厳罰主義でいこうというような考えでないということを十分御認識をいただいておきたいと思うのであります。
それから、取り締まりとか警察官の権限というお話をされましたが、これはまあ、従来の法条では、非常に不明確なような点があったり、一カ所にまとまっておったというような点を、それぞれの部門々々に、警察官はその際にはどういうことをするのか、そういうふうに明確化す、はっきりさしたというようなことで、まあいろいろなところに警察官のことが出てくるわけででありまするが、それはそういう意味で、それぞれの条章に警察官の規定を入れたというような、表現をまあ整理して、実態を明示したというのが大体の考え方でございまして、これは各条文に当たって御審議願いましたならば、御研究願いましたならば、十分おわかりができることと思うのでございまして、毛頭取り締まりとか権限の強化だけでこういう道路交通に対処しよう、そういう考えではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/15
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016・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 大倉君に申し上げますが、運輸大臣はただいま予算委員会に出席中で、運輸大臣に対する質疑が今行なわれておる状態であります。で、御質疑が済み次第に当委員会に出席するように要求してございますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/16
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017・大倉精一
○大倉精一君 まあこういう問題はですね。やっぱり政府の方で率直に言った方がいいと思うのですよ。罰則を強化するのじゃないと言われておっても、やっぱり強化しているのだ、これは。世間もそう思っていますよ。物価指数といっても、今まで刑罰がなかったものが刑罰が加わっておる。物価指数というのは刑罰に関係ないでしょう。ですから、これは処罰を強化したのだ。罰則を強化したのだ。こういう理由で必要があって強化したのだ。こう言って、国民に啓蒙した方が私はいいと思うのですよ。ですから、今の御答弁は、これは水掛論になりますから、私はやめますけれども、世間一般には、これは罰則の強化ということに考えておるのです。ですから、私は、今言ったように、罰則の強化だけではいけないというわけなんですけれども、どうでしょう。もう一回そういうことを長官一つ率直に、こうこうこういう必要があってやはり罰則は強化したのだと、こう言わなきゃ、これは審議にならぬですよ。物価指数といったって、刑罰が何が物価指数に関係があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/17
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018・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) それは、罰金の金額を比較すれば、確かに高くなっておりまするし、あるいは刑の方でも、期間が多くなっておりまするから、そういう意味では、刑罰が重くなったということは言えると思いまするが、しかし、厳罰主義でいくとか、そういう意味でこの罰則を直したのじゃないので、経済事情に合わすとか、他の法令との比較をしまして体系を整えたというのが主たるその目的でありまして、その結果罰金が重くなり、あるいは期間が延びるということが生じておるのでありまして、この法の建前が厳罰主義、重罰主義で行こうということから出たものでないということを私は御理解願いたいということを申し上げたのでありまして、別に、これが他の法令と比較して、非常な過重な、重い罰を課しておる法令とは私はまあ考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/18
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019・小酒井義男
○小酒井義男君 私も、今大倉委員から指摘がありましたように、この警察庁から出されました「各種特別法に規定する罰則抄一覧」を見て、大倉君と同じようなことを実は考えたのですが、これに「物価指数対比表」という表がつけてあるのですね。こういう罰金というようなものを物価指数でこう比較することが、私は非常に形式的に、実態に合わぬ比較の方法じゃないかと思うのです。物価と同じように賃金が上昇しておるかどうかということも考えませんと、罰金を取られることが、すなわち当事者の生活の上に非常に大きな直接の影響を受けるわけなんです。こういう考え方で罰金の額などがきめられておるということだと思うのです、この資料が出ておることは。で、そういうことはきわめて妥当でないと思うのですが、そういう点の考慮が払われたのかどうか。こういう罰則が、この二重処分といわれておる行政罰と刑事罰と両方来ると、そういう結果が運転手の生活権にどういう影響を与えてくるかというようなことも考慮されぬと、今の社会の実態に合致する法律にはならないのじゃないかというふうに思うのです。こういう点の考え方はどういうふうであるか、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/19
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020・中川董治
○政府委員(中川董治君) 大臣からお答えになるに先立ちまして、ただいま御引用になりました資料につきまして御説明いたしまして、その後大臣からこれに対するお話があると思います。ただいまの御引用になりました印刷物は、確かに当庁で印刷いたしました。皆さんの御審議の御参考になるかと考えまして、印刷いたした次第でございます。先ほども大臣からお話がございましたように、道路交通法の立案にあたりましては、公共の場所でありますところの道路を多数の人が平等に円滑に利用する、そしてお互いに、ぶつかって事故などが起こらない、こういうことを根本といたしておりまして、罰則によって人をおどかしてこれを守らしていこうと、こういう考えは立案にあたりまして全然考えておりません。それで、結局は、この公共の場所であります道路、すなわち公の施設の道路を多数の者が公平に、しかも円滑に、危険を伴わずに利用する、その方法を具体的にそれぞれ規定いたした次第でございます。従いまして、多くの国民の方々がこの規定に従われまして、ほんとうになめらかに交通ができるということを根本の理念といたしておりまして、従って、その事柄の規制につきましては、罰則を付していない規定も少なくないのであります。国民の方々の順法精神をまず期待するという考え方でありますので、罰則のみを念頭に置いて立案したものでないことをあらかじめ申し上げておきたいと思うのであります。そう申しましても、いろいろな規制がございまして、大部分の方々がその規制に従われ、円滑に交通が行なえることを期待するのでありますけれども、不幸にして若干この規定に違反なさる方がある、こういう場合におきましては、現行法でも、他のいろいろな法定犯につきましても、罰則というものが一つの担保の役割をいたしておるということも、これまた事実でございますので、若干その規定を罰則の面から担保する役割は確かにあろうかと考えるのであります。それで、どれくらいの法定刑を課すのが適当であるかということは非常に重要な問題でありまして、一つ一つの条文につきまして、単純に物価指数の値をもってかけ算をして、それを倍加するとか三倍にするとか、こういう考え方で立案はいたしていないという趣旨を以下詳細に御説明いたしたいと思います。
ます、ごらんいただきました表について申し上げますが、これは、われわれ立案いたします場合に、六法全書などという法令集があるわけでございますが、その法令集のうちから、皆さん御案内のように、この道路交通法では、いわゆる法定犯に属する事項が多いのでありますが、一部自然犯もございますけれども、法定犯の観念に当てはまるものが多いのであります。従いまして、現行実定法にございます各種の法令中からおおむね法定犯と認められるものを中心といたしまして、ここに列挙いたしたのでございます。これは、いろいろたくさんの法令がございますので、また漏れもあろうかと思うのでありますが、私ども事務に従事する者といたしまして、いろいろ書きあげまして、こう調べて参りますと、ここにごらんいただけばわかると思いますが、これを罰金刑について申し上げてみますならば、五万円以下の罰金に当たる罪が一番多いのでございます。ここで拾い出しました犯罪について申し上げますならば、ページで申しますならば、十六ページからでございますが、恐縮でございますが、資料について申し上げます。十六ページから、五万円以下の罰金に当たる罪をずっと掲げたのでありますが、五万円以下の罰金に当たる罪の中には、いろいろたくさんございますが、たとえば報告を怠ったということに対しまして、五万円以下の罰金を課した駐車場法もございます。あるいは、建築物等の除却命令に従わなかったゆえをもって、高速自動車国道法によりまして、五万円以下の罰金が法定されておるのであります。ただいま大臣が御引用になられましたケースについて申し上げますならば、二十一ページのしまいから四つでございますが、非法定計量単位の使用禁止の規定違反の罪、これを先ほど大臣が御引用になられました。私ども、計量法に基づきまして、メートル法以外の計量法を取引等に用いた場合におきましては処罰を受ける。またその処罰が、現行計量法によれば、五万円以下の法定刑に相なっておるのであります。その他各種の法令が一ぱいございますけれども、たとえば、十九ページのしまいから四つ目をごらんいただきたいと思うのでありますが、居室の採光及び換気装置が基準に違反する罪、建築基準法の定めによりますと、お互い建築をする場合におきましては、建築が換気の装置をしておらなければいかぬ。たとえば、窓が一定の規定以上の大きさがなければならない、こういう規定があるのでございますが、それに違反したものに対しましては、五万円以下の罰金刑が法定されているのであります。この種の犯罪が相当数ありまして、ここに掲げたものだけでも、九十六ばかりの犯罪が五万円以下の罰金刑に当たる罪とされておるのであります。
それから三万円以下の罪でございますが、三万円以下の罪は、申すまでもなく、五万円以下の罰金に当たる罪よりは反社会性に乏しいとされている犯罪でございますが、これにつきましても、たとえば、道路管理者の通行の中止命令等に従わない罪、以下四十五の犯罪が規定されているのであります。それで、詳しくごらんいただけば御了解いただけると思うのでありますが、現行各法令の大体罰金刑についてこれを申しますならば、大部分の犯罪が、相当多数の犯罪が、言いかえれば、一番多い犯罪が五万円以下の罰金に当たる罪でございます。その次が三万円以下の罰金に当たる罪でございます。その次がもっと上の十万円とか、あるいは体刑が伴う罪とか、こういうことに相なろうかと思うのでありまして、比較的軽微な犯罪と申しますか、法定刑の一番低い犯罪が、最近では一万円以下の罰金に当たる罪と相なっているのであります。ずっと昔の法律につきましては別でございますけれども、最近の当院におきまして立法されるほとんどの法律は、罰金一万円未満を法定刑とする犯罪はほとんど見当たらないのであります。ごくわずか、たとえば、報告書に違反する等の罪について、報告書については、反社会性に乏しいという罪だと思うのでありますけれども、五千円以下の罪がごく一、二散見されるだけでございまして、一万円未満の法定刑を有する法律は、現行最近の立法例においては存在いたさないのであります、ごくわずかの例外を除いて。そういう見地から考えますと、道路の交通の安全と円滑を保持する目的をもって規制いたしました罪で、どれくらいの法定刑を立案にあたって考えるかということは、以上申しました現行法令体系を合理的に判断いたしまして、相当なところにきめて、皆さんの御審議をいただくのが適当かと考えたのでありますが、ただいま議題になっております法案について申しますならば、ほかの法律はおおむね五万円以下の罰金を法定刑といたしておるのでありますけれども、ただいま議題となっております道路交通法についてこれを申しますならば、三万円以下の法定刑が一番多いのでございます。ちょっとただいま議題の法案について申しますと、三万円以下の法定刑を定めたのが、数としては一番多いのでございまして、それは、お開きいただきたいと思うのでありますが、法案の百二十条関係でございますが、百二十条に、三万円以下の罰金を法定刑とする犯罪を列記いたしておるのでありますが、一号からずっと行きまして、十六号までの違反行為を列記いたしておるのでありますが、三万円以下が一番多い。その次が五万円の罪でございます。それは、この法案では百十九条第二項でございますが、従いまして言いかえて申しますならば、他の法令におきましては、おおむね五万円以下の罪が多いのでありますけれども、この法案では、三万円以下の罪が割方多い。そうしてこの法案では、三万円以下の罪よりも若干反社会性が強いと思われるもの、たとえば踏切通過の規定に違反したような場合、踏切通過によって事故が起こるという例は統計からも相当出ているのでありますが、踏切通過の規定に違反したような場合につきましては、これは三万円の罰金刑を課さずして、三万円以下の罰金刑にはしておりますけれども、体刑をも課しておるのであります。これも、やはり百十九条の財産刑といたしましては三万円以下でございます。従って、もう一ペン繰り返して申しますと、百二十条も百十九条も、財産刑につきましては三万円以下の法定刑をとっておりまして、他の法律からいえば若干比較的低い数字である、こういうことが言えようかと思うのであります。しかしながら、この法案は、その危険性というふうな念慮から、踏切違反のごときは、三万円以下の罰金刑を課するだけでは、若干担保としては適当でないと考えられますので、三カ月以下の懲役というものを選択刑として立案いたしたのであります。まあ御案内かと思いますけれども、刑法で懲役刑があるのでございますけれども、懲役刑は、三年とか五年とかいう刑が比較的多うございまして、三月という懲役刑は、非常にまれな部類に属するのでございますけれども、交通違反の実質等から考えまして、比較的短期の懲役刑を選択刑として百十九条に規定いたしたのでございます。それからその次には、ただいま申しましたその三万円以下の罰金よりも若干反社会性が強い、言いかえれば、酔っぱらい運転とか、あるいは過労運転とか、こういうようなものにつきましては、反社会性が今申したものよりもひどいという配慮から、及びいつも問題になりますスピード違反のごときは、この今申したものよりも反社会性が強いという念慮から、これは、この法案では、第百十八条に五万円以下の罰金を選択刑として規定いたしておるのであります。
繰り返して申すようでございますが、メートル法、計量法を初めとして他の法令におきましては、財産刑は五万円以下の方が多いのだけれども、この法律案におきましては、五万円以下の財産刑をつけましたのは、この法律案の交通違反中比較的反社会性の強いと認められるもの、言いかえれば、酔っぱらい運転とか、過労運転とか、スピード違反とか、こういった反社会性の強いものに限り五万円以下の法定刑を規定いたしたのでございます。それ以上の罰も確かに規定しておるのでございますが、たとえば百十七条は、その運転等が行なわれましたときに交通事故が起こった、交通事故が起こりましたときにおいて、被害があったにかかわらず、その現場処理をしないでほったらかしておく。たとえばけが人その他死人の処置をしないでほったらかしていく場合でございますが、新聞等によれば、ひき逃げという言葉を使っておるのであります。ひき逃げというような事案につきましては、五万円以下の罰金刑のほかに、一年の懲役刑をもちろん規定しておりますけれども、これはまあ比較的この法律案中では、一番高い反社会性を持っておるものでなかろうかと原案では考えておる次第でございます。
その次には、百十五条、百十六条の規定は、これは、法定犯と申すよりも刑法犯に近い規定でございまして、自然犯的な考え方の規定でございますが、みだりに信号機をこわすとか、それから来る事件、または重大な過失に基づいて建造物を損壊する、器物損壊にあらずして、建造物を損するというような事案につきましては、刑法的な意味もあろうかと思うのでありまして、これにつきましては、五年以下の懲役とか、あるいは六カ月以下の禁錮刑を規定いたしたのでございまして、そうしてこの法律の規定中一番軽微と申しますか、反社会性の乏しいものにつきましては、確かに一万円以下の罰金刑を規定しておるわけでございまして、それは、ごらんいただけばわかりますが、百二十一条に規定いたしたのでございまして、そういったことの考え方をもって立案いたしたのではございますが、金額その他につきましては、物価等も参考になるという面もありますので、あわせて物価指数等も掲げた次第でございますので、物価指数のみによって立案いたした趣旨でないことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/20
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021・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) こういう問題は、専門家の刑事局長が来ておりましたので、一応刑事局長の説明で今の点はお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/21
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022・小酒井義男
○小酒井義男君 ちょっと政府関係の皆さんに申し上げるのです、が、私も、決して交通事故防止ということに反対しておるのでも何でもないのであって、自治庁長官は、先ほど衆議院の決議を御引例になりましたが、参議院の運輸委員会でも、交通事故防止に対する小委員会というものが従来持たれて、そうして熱心にやっておるのですから、根本的には私どもは反対しておるのではない。内容にいろいろ問題点があるのではないかということで、いろいろ御質問申し上げるのですから、その点、誤解がないようにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/22
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023・中村順造
○中村順造君 ただいまの私どもの質問に対しまして、長々と答弁がされました。私は、これを聞いておりますと、まさに問うに落ちず語るに落つと、こういうような印象を深くするのですが、たまたま出された資料によりましても、物価指数ということも書いてございますが、この資料を見ましても、なるほど五万円とか三万円とかの最近の物価指数にスライドさしたようなものだけがここに抜き書きされて出されておる。しかし、お言葉の中にもありましたが、今の罰金、過料、その他現在の法律で考えてみますと、必ずしもそういう万単位あるいは千単位になっておらない法律も私はあると思う。たとえば三十円とか二十円とか、こういう単位の罰金なり過料の法律もあると思いますが、それらの金額から見まして、必ずしも、この資料に書かれておるように、同じ国の同じ法律の考え方に立って作られた法律が、一方では万単位、一方では三十円、二十円、こういう矛盾した点もあるわけでありまして、決して強調されるような、そのような筋合いのものは、私としては納得できないわけであります。さらに、今刑事局長のお話を聞いて、おりますと、先ほど申されたように、必ずしも罰則の強化でない、こういうふうな前提のもとに答弁をされておるようでありますけれども、これは、何も私どもは内容に入って、こういう点が非常に強化されておるのだ、こういう議論を今しておるわけではないのでありまして、ただ、この法律を見た場合に、罰則が強化されておるという心証を大まかに、大ざっぱに話しておるわけであります。それに対しまして、三万円がこうだ、あるいは五万円がこうだとか、あたかもそれが全面的に正しいという前提に立って話されると、私は納得ができないのです。そういう考え方が発展をするとするならば、私たちは、この法律の中には非常におそるべき要素を持っておるということを疑わざるを得ないのであります。なぜかと申しますというと、今の議論から、まだ発展をしておりませんけれども、将来発展するとしますならば、たとえば、この法律の中の混雑緩和の措置とか、あるいは通行禁止とか、それの制限とか、さらに行列等の通行あるいは道路使用の許可、こういうものを罰則を設け、さらにそれを総合的に運用する、こういう場合に、やはり何と申しましても現場の警察官の権限を強化する傾向になる。従って、そこにこの法律に基づくところの警察作用が非常に強化をされる。さらに、その運用の面につきましては、ただ単に道路交通の取り締まりということでなくして、ほかの目的でもこの法律が適用されるおそれが十分にある。たまたま刑事局長の答弁でありましたけれども、あなたの考え方の発展するところはそこまで発展するのではないか。こういう点を私は非常に心配するわけでありますが、この点は、一つあらためて、この法律によってただ道路交通の取り締まりだけということか、それとも、私が今申しましたような他の方面にわたってもこの法律は適用されることがあり得るかどうかということを長官から一つ明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/23
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024・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) これは、地方行政委員会においても私はたびたび申し上げたのでございまするが、道路交通の取り締まりから国民大衆の危険を防ごう、こういうことのみから立案されておる法律であるということを重ねて明確にここで申し上げておきたいと思います。なお、これは刑事局長からお答えした方がいいのではないかと思いますが、罰金の、ほかにも二十円三十円のがあるのじゃないかというようなお話でありましたが、これはまあ全体的にその法律を改正していない場合のことでありまして、そういう場合には、総括して、それを二百倍にするとか三百倍にするとかいうたしか特別の法律ができておるのであります。そういうようなのは、全体的に改正をするときには、実情に合ったような罰金に直していきたいというのが今の立法の実態じゃないかと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/24
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025・大倉精一
○大倉精一君 これは本来地方行政の問題でありますから、本来の委員会において十分討議されると思うのでありますけれども、なぜ私がこだわるかというと、考え方が全然違うからです。私はこの法律を読んでみて、これはもう国家権力の押しつけであり、そうして罰則の強化であり、取り締まりが独走をしておる。こういったようなことに対して、これはちっとも強化していないのだ、物価指数だと、こうおっしゃるのです。ですから、私はこう調べてみると、さっき申しましたように、懲役罰がないのが新しくふえておる。あるいはまた、六カ月の懲役罰が五年にふえておる。これは物価指数に関係ないじゃないか。こういうことを言っておるわけです。そこで、あなたの方で、強化したのは、これはこういう必要があって強化したのだというふうに言われないと、どうも私はふに落ちないわけです。そこが論点になるわけです。もう一回お尋ねするのですが、もう一つは、メートル法ということをおっしゃいましたけれども、メートル法の犯罪と交通犯罪を同じにするということは、これは私はちょっとふに落ちない。メートル法というのは、明らかに初めからごまかそうという犯罪意識があるわけです。そうして日本経済を撹乱しようという悪質なものです。交通事故というものは、一がいに言えないのです。たとえば、交通事故を起こしても、横から飛び込んできて自然事故を起こした場合もあります。あるいはスピード違反といいましても、そこにいろいろな要素がありましょう。メートル法は、初めから量目をごまかしてやろうという、そういうのとだいぶ違うのです。だから、メートル法が五万円だから、これも五万円でいいんじゃないか、そういう考え方はおかしいじゃないか。そこで、さっき長くお話しになりましたけれども、ちょっとおかしい。何か物を売りにきたように、五万円でどうだとか、一万円でどうだとか、ですから、これはもう一回だけお尋ねをしておいて、あとは地方行政委員会で十分基本的なものですからやっていただきたい。刑罰を強化されておると思うのですが、どうですか。刑罰を強化されるということならば、どういう理由で、どういう必要があったということを一つ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/25
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026・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 具体的の条章についての問題は、長官かあるいは刑事局長から何したらいいと思いますが、考え方の前提でありまするが、先ほどからいろいろ申し上げておっても、なかなか御納得いきかねておるようでありまするけれども、これは、率直に申し上げまして、改正する機会には、やはり他の法令なり、今の経済界の実情なり、常識に合うように法律を整備していかなければならぬということは、これはもう法律家でなしに、一般のやはり常識から考えてもそうであろうと思うのでありまして、そういうふうに、社会の実情に合わしてやったということを今申し上げたのでありまして、これは、かたい言葉で言えば、整備強化というように言えると思います。表現の方法としては。罰金の金額がふえ、体刑の期間も長くなったのでありまするから、確かにそういう意味ではまあ強化ということが言えると思いますが、これは、ただ強化でなしに、整備強化といいまするか、まあそういう表現で言えると思いますが、それから、まあここで大倉委員と論争するわけではありませんが、計量法の問題も、これは最初からごまかす意味だとかどうだとかおっしゃいましたけれども、計量法というのは、尺貫法を使ってはいけない、メートル法でやらなければいけないというのは、むしろこれこそ一つのメートル法にそんな何をつけておるのはおかしいじゃないか、天下の悪法だと、メートル法を言われておる評論家もあるのでありまして、まあこれは、あなたと別に私は論争する意思はございませんが、気持だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/26
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027・大倉精一
○大倉精一君 メートル法は、私の誤解であれば訂正しますけれども、そういう天下の悪法はやめたらいいと思います。そういう悪法にならわぬでもいいと思います。そこで、私はまだ納得できないのです。どうして納得できないかというと、これは罰則強化じゃないとおっしゃるけれども、罰則は、非常に国民は大きな関心を持っておるのですよ。罰則は、つまり国民感情から言うならば、運転手に処罰が強化されたからいいじゃないか、早くこれをやれとおっしゃるけれども、ところが、運転手の方から見れば、これは大へんだということになる。おそらく私は罰則強化だと思う。お互い官僚じゃございませんから、第何条はこうだというようなことは言わぬでもいいと思う。罰則を強化しなければならぬという観点に立ったならば、どういう理由があって罰則を強化しなければならないか、これは理由があったはずです。これは、一つ専門家にまかして作業してもらえばいいと思うけれども、私の聞いているのは、この法案の基本であるところの罰則を強化しなければならぬというふうにお考えになったその基本的なものを一つ聞いているわけです。あとは地方行政で大いにやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/27
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028・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 率直に申し上げまして、これは、ちょっと議論がこうなっているような感じもいたしますので、ちょっと補足して御説明申し上げますが、罰則強化ということは、確かに罰則強化だと思います。私は。しかも、その強化するにあたりまして、特に悪質なものには、今大臣からお話しになりました、物価指数であるとかいうような観点を越えて重くする。また、さほどでないものについては、物価指数等にこだわらず、倍率は少なくするというようにいたしたわけでございます。現実の問題としては、確かに罰則強化でありますが、現行法がいかにも低い。その低いのは、やはり二十二年に制定されたということに根拠があるのではないかと思います。それから、実例として、そういう罰金刑等を重くしなければならないという現実の問題としては、たとえば、修理工場の前に自動車を不法に置いておく。これに、今たしか法定刑が三千円以下の罰金でありますが、裁判になりますと、これが五百円か千円というような刑がかけられる。そうすると、毎日々々罰金を取って、一カ月あれしても、千円なら三万円、そうすれば十分にそれでいけるというようなことで、これは、罰金をふやしたからそういうようなことがなくなるということじゃありません。罰金をふやすということとあわせまして、そういう不法な物件というものについて、これを他に移すことの権限を特に警察官または警察署長に与えている規定もございます。そういうものと相待ってやるつもりでございますが、罰則の強化という点については、それで御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/28
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029・大倉精一
○大倉精一君 まあこの問題は、地方行政でうんとやってもらいたいと思うんですが、罰則強化ということをお認めになったので、強化した内容については、私はふに落ちないものがたくさんあるのだ。その一、二については、これからいろいろお尋ね等をする過程において出て参りますけれども、大いに地方行政の方で一つ、人が人を罰するので、軽々に扱わないで、物価指数がどうとか、経済事情がどうとか、そういうことでなくて、ほんとうに国民の納得のいくようなものを一つ十分論議してもらいたいと思うんです。そこで私は、さらに提案理由の説明の中でお伺いをするのですけれども、先にちょっと触れたのですけれども、私の納得いかない点は、「全面的に検討を加え、新しい時代に即応した道路交通の基本法としてこの法律案を立案」した、こうなっている。そこで、「新しい時代に即応」というのでありますけれども、基本法ということになれば、これはやはり一つの交通秩序なりあるいは交通の状態なりというものに対して、正常な状態ということを想定して、その上に立って、一つの基本的な国民の守るべきルールということが出てくると思う。私は正常な状態でないと思う。ですから、言葉じりをつかまえるようでありますが、新しい時代に即応した基本法ということになると、現在に即応した基本法だから、現在のような交通混乱の時代、交通恐怖、こういうものの上に立った法律であるのか、あるいは、これからだんだん政府のいろいろな施策よろしきを得て、そうしてこの交通事情が変わってきたら、基本法というものはまた変わってくるのかどうか。この辺、基本法とうたわれているのは、私は、基本法じゃなくて、これだけが独走しておると思う。私は、そういう基本法はないと思うのですが、こういう大だんびらをふり回したような表現は適当であるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/29
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030・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) これは、道路交通につきましての基本法と申しておるわけでございまして、第一条に申します目的に沿ったものというふうに理解をいたしておるわけでございます。この道路交通法は、しからば現在の非常に混雑しておるものに対するものなのか、正常化した時代のものにふさわしいものなのかという御質問でございますが、私は、両方を持っておる。今の混雑した状況に対してもぜひこういうふうな改正が必要であるし、この改正によって、相当長い期間というものは道路交通の正常化と申しますか、安全と円滑に資し得る法律ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/30
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031・大倉精一
○大倉精一君 その御答弁も、私と少し認識が違うと私は思う。これは非常時、平時両方に通用するとおっしゃいますけれども、今の罰則規定に関連しても、私はもっと交通が正常化になり、そしてさらにまた、一般の社会情勢も正常化になってくれば、こんなに大きな罰則をかけなくてもいい時代が来るだろうと私は思う。この罰則自体はやはり相当、今明瞭におっしゃいませんけれども、この混乱した交通の時期において直ちに取り締まりを強化して、十分ではないかもしれませんけれども、取り締まりなりあるいは事故防止の一助にしよう、こういうお考えであると思う。これが平時と両方使えるのだということは、私は考えられないのだ、罰則一つ見ても。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/31
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032・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 罰則は、先ほど私強化したと申しましたが、その前に、大臣なり刑事局長からお話し申し上げましたように、確かに現行法が低すぎる。従って強化して、ある意味では、もちろん罰則だけによって道路交通の安全円滑を担保しようという考えは毛頭ございませんが、これも一つの交通違反というものについての戒めになるというふうには考えておるわけでございますが、しからば、非常にめっぽうもないような厳罰主義で臨んで、一罰百戒的にやって、違反を戒めようとするものであるかというと、そうではなくして、将来にわたっても、この程度の罰則というものはやはり存続すべきじゃないか。もちろん理想として、罰則なくして違反がないというのが私は理想と思いますけれども、いやしくもこうした法律につきましては、この程度の罰則はやはり存続してしかるべきものではないか。しかも、交通がだんだん円滑になりますれば、ますます違反というものも、安全思想というようなものが普及して参るにつれて少なくなる。そういうまれなる違反について、何もこれをまた低めるというような必要はないのじゃないか。その低める必要がないということにつきましては、先ほど刑事局長から申したような理由によって、大体ほかの法令との均衡をとったものとわれわれ理解いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/32
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033・大倉精一
○大倉精一君 まあ正常化になって、事故が少なくなっても、こういう罰則は低める必要はないというお言葉は、非常に重大ですけれども、これは、きょうここでは場所が違いますからやめますが、これまた、一つ本委員会で問題になるかと思う。私は、今罰則だけを引例しましたから、あなたは罰則だけを言いましたけれども、交通の規制なり、ルールなり、あるいは警察官の権限なりというものは、今のような混乱時代と平常な時代と違うと私は思うのですよ。それをあなた、今両方とも入れるのだ、どうもそういう答弁だから、私は、これはどうも納得いかないから、二度三度お尋ねしなければならないのですよ。あなたは、腹の中では、基本法だと言っていますけれども、今のこの状態における基本法だと、こうお考えになっているだろうと思う。私は、ずっとこれをいろいろ見てきたのです。そう思うから、法案を見てみるというと、正常化になったときには、私は違ってくるのじゃないかと思う。そこでさらに、そういうような混乱が今日起こっているけれども、この混乱のときに、この基本法を守れ、守らないと処罰するぞというのは、こういう混乱の原因というものを政府全体がもっとまじめに探究しなければならないと思う。そういうものは、今日の混乱なりあるいは交通不安というものは、歴年にわたる政府の交通政策の無能な、なきにひとしいような交通政策の累積が今日の事態になった。仕方がないから、これを権力をもってずっとやっていこう、権力独走という形にならざるを得ない。ほかの方が間に合わないから、とりあえずこれでもっていこう、迷惑するのは一般の市民ですよ。何か法案を見てみると、ここは通ってはいかぬぞ、通ったら処罰されることになっている。情状酌量は条文の上ではあるでしょうけれども、政府の歴年におけるところの自動車行政なりあるいは交通行政というものの無能な累積がこうなった。これを、国民の目をこちらの方に転換してしまう。国民の感情に便乗してしまう。国民は、いわゆる感情と申しますか、やはり単純なる思惑から、けっこうな話じゃないか、こうなってくる。こういうところに非常に大きな問題がある。だから私は、先ほど自分の考えも全部言っているのですが、あなたのお考えと違うから、どうもふに落ちないので聞いているのです。私はこういう考えを持っているのですが、長官どうですか、あなたのお考えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/33
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034・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほどもお答え申し上げたと思うのでありまするが、政府におきましても、まあ十分ではございませんけれども、やはり交通総合政策というものは、いろいろ考えているわけであります。それが、さっき申し上げました道路五カ年計画であるとか、あるいは運輸行政においても年次計画でいろいろやっておられると思う。国鉄を初め、地下鉄を始め、それから建設省においては、さらに都市計画その他において都市交通の整備をはかるとか、いろいろなことをやっておられるのでありまするが、何しろ急激な交通量の膨張でありまして、確かに交通量の膨張に追っつけないという現状ではないかと私は思うのでありまして、そういうところから、二十二年に作られた法律では、何とも実態に合わないからというので、整備されたのが今回の提案でありまして、まあいろいろ議論をいたしましても、結局この現状は何とかしなければならないのであります。現状に合うように、交通規制の法制を整備いたしまして、国民大衆を保護していかなきゃならない。こういうことは、私はやはり政治をやるものとして当然考えていかなければならない問題ではないか。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/34
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035・大倉精一
○大倉精一君 その何とかしなければならぬ、しなければならぬと言って、今日まできちゃっている。何とかしなければならないと言っている間に大臣がおかわりになって、また新しい大臣になって、だめになっちゃう。こういうことが重なってきているのですよ。それで、こんなことは何べん繰返してもしようがありませんが、三十三年に警察庁警備部警ら交通課から出している「道路交通についての問題とその対策」というパンフレットがあります。この中でも、現在の交通の混乱あるいは交通事故に対する問題点がたくさん上げられております。そしてこの対策についてもたくさん上げられております。上げられておりまするが、この中で、一体何がどれだけやられたかということをずっと見てみると、ほとんどやられていない。こういう対策はあなたの方でもしなければならないということをずっと述べておられるのです。ところが、何にもやられておられないのですね。そういうことはちっともやられずに、一番簡単な、法律を作ることを先にやられてしまう。こういうところに私は問題があると思うので、いろいろお尋ねしているのですよ。ですから、今長官はいろいろおっしゃるけれども、一つ、在任中にはむずかしいかもしれませんが、やるやると言ってずっと済んでしまうのは怠慢なんです。怠慢と言っては失礼かもしれませんけれども、そういう累積を全部国民に、厳罰でもって、厳罰と言うと何ですが、処罰の強化、あるいは権力の強化、これでもって押えよう。こういうところに私は、この法案の非常に重大な問題があると思うのです。ですから、これは一つさらに地方行政の問題としてさらにまた関連があるからけっこうですけれども、私は、処罰をやればいいんじゃなくて、自分じゃ運転やりませんけれども、私、運転者の心理というものをよく聞いたり何かしてみますと、結局これが萎縮をするという結果になるのじゃないか、たとえば、具体的にいいますと、あの混雑しておる所を、運転者がああぶつかるぶつかると思って、恐怖のもとに運転をやっておるとぶつかると、こう言いますよ。これが人間の心理です。たとえば、崖ぶちに立ってごらんなさい。落ちる落ちると思っていると落ちちゃう。そういうことで、処罰さえすればいいんじゃなくて、私は、これが非常に大きなあなた方の誤解じゃないかと思う。今まで処罰の強化は何回やられたか知りませんけれども、それによって一つも事故は減っていない。しかも、運転者は、約三千円だからぶっつけてやろう、一万円になったからやめてやろう、そんなものは一人もおらないと思う。でありますから、こういうところにあなた方の錯覚があるのじゃないかと思います。あるいはまた、この処罰を見ましても、経済力といいます、か、運転者の負担能力を非常にはるかにこえた金額になるのでありますけれども、自家用車を自分で運転するドライバーは別としまして、そうなると生活に直結するから、それを取り戻そうということで、無理な運転をするという悪循環もあるのですね。こういうところに少し錯覚がありはしないかと思うのですが、どうでしょうか。一つ長官、お答え願いたいと思います。そういう現象はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/35
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036・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 警察庁長官の方から一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/36
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037・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、われわれも、罰則のみによってこれを担保しようという考えは毛頭ないわけでございまして、ただ、罰則というものも、やはり現行法の罰則はいかにも合理性に欠けておる。従って、今回全面改正の際に、罰則も実情に合うように強化すべきであるという観点に立ちまして、その基礎としては、先ほど来申し上げているような考え方でいたしておるわけでございます。なるほどぶっつけるというようなことについては、御説の通りと思いますけれども、たとえば、スピード違反というようなものが非常な危険な行為でございますが、こういうものにつきましても、あるいは無免許運転というようなことにつきましても、相当の金を持った人は、罰金などに科せられても大したことはない。まあこれは、金持ちであれば、何万円にしても大したことはないかもしれませんが、やはりそこに戒める意味の相当効果のある罰則というものがやはり実情に合って考えられなければいかぬのじゃないかというふうに思うのであります。
それから、先ほどお話のありました権限を強化し罰則を強化するというお話でございましたが、警察官の権限につきましては、なるほど不法駐車して非常に交通の危険な妨害になっておるというようなものを他に移す権限を与えたとか、違法工作物等についてこれを除去する権限を与えたというような点は、確かに広がっておる面があるわけでございますけれども、全体としては、むしろ現在法律で簡単に規定して、政令に譲っておるというようなものを法律に正確に規定するということにいたしたのが主でございまして、また、歩行者につきましては、現在違法の歩行をしたものは、それ自体罰則というものがかけられる建前になっておるわけでありますが、これを違法な歩行者については、その違法な歩行だけでは罰則は適用しない。それを警察官が見た場合に、正しい歩行をするように言って、なおかつこれを聞かないで、無理に違法な歩き方をするというものについて罰則をもって臨むということにいたしたわけでございまして、むしろこの点は、歩行者について法律を順守する気風というものが醸成されることを期待いたしまして、罰則をつけないということにいたしておるようなわけでございまして、そう個々に御検討をいただきますれば、権限強化という面はやむを得ざる━━先ほど申しましたようなことについては新しく規定を加えておりますけれども、全体的には、警察官の権限をそう強化しておるものとは私考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/37
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038・大倉精一
○大倉精一君 まああなたの方は、なるべく権限の強化という印象を与えないようにという努力のあとが見えるのですが、答弁の中には、私は率直に言われてもいいと思う。先ほどの罰則と同じように、こういう部面には権限を強化しましたということを、そういう答弁がないと、もっと率直でないと、国民は納得しないと思うのですよ。それで、今歩行者についてそういう工合に仰せになったのですが、私は詳しくは勉強してはおりませんけれども、そういうことは書いてないですね。得てして運転者対警察というのは、現地において警官の裁量によってどうでもやる。そのことをお知りになっておるかどうか。お知りになっておらなければ、一つタクシーに乗って、スピード違反をやらせてみて、そうして警官にとっつかまってみられたらよくわかると思う。私どもちょいちょいそういう経験がありますけれども、現場の警官の裁量によってどうでもなる。そういうことは、情状酌量ということはやはりどこにも書いてない。やろうと思えばやれる。そこに法律の危険性がある。そういう処罰についても、今、合理性がないので合理化するとおっしゃいますけれども、私は二、三の例をあげますけれども、たとえば、法七十条に違反するというと何万円かとられる、私は、七十条に何が書いてあるかと思って見てみましたところが、あたりまえのことが書いてある。こういうことが書いてある。「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、」あたりまえのことである。「かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような方法で運転しなければならない。」あたりまえのことである。これに違反すると、何万円かの罰金をとられる。そんなばかなことがありますか。あるいはまた、信号のない細い道路から大きい道路に行く場合に徐行しなければならない。あるいは一旦停車をしなければならない。ところが、今の東京の道路の状態を見ておりますと、大きな道路は、ひっきなしにトラックが通り、自動車が通っておる。そうして狭い道路から大きい道路に出る場合は、出よう出ようと、そのチャンスを待って並んでおる。先頭が出ると、続いてずっと出る。それによって交通秩序が保たれる。ところが、法律によると、一台々々徐行してとまっていかなければならない。そんなことをやったら、どんなになりますか。かえって、それを法律の通りやったら、厳密にやったら、交通秩序が乱れる。情状酌量があるかもしれませんけれども、そんなことは書いてない。それがあるとすれば一書いておかなければならない。あるいはまた、第二条によりますというと、停車というのは、このトラックは五分間で荷役せよと、これが一体できますか。トラックの種類によって、そういうことは書いてあって、これによって罰金を取られるのがあたりまえ、ですから、あなた方は、今のは不合理だから、合理的に直すと言うけれども、どう考えてみても、私は何べん読んでも合理性がない。どういう点を情状酌量してかんべんしていただけるのですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/38
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039・内海倫
○説明員(内海倫君) ただいまの大倉先生の点につきましては、やや技術的な点だけを御説明を申し上げたいと思います。この法律で、われわれといたしましては、極力合理化という点を念頭に置きまして規定をいたしましたので、たとえば、先ほど御指摘になりました交差点等におきまして通行の原則、現行法に書いてありますことと、その内容におきましてはほとんど異ならないのでありますけれども、たとえば現行法で、先ほどのような場合でも、あるいは一時停車することをも義務づけられておるような点につきましては、種々検討いたしました結果、徐行すればそれで足りるというような点から、むしろ先生のおっしゃいましたような点を若干考慮したものでございまして、ただ、その他の規定につきましても、先ほどおっしゃいましたような観点から見ていただきますれば、あるいはやや酷に失しておるというような規定の点も私はあろうかと思いますが、御承知のように、日本の道路の交通の状態を見ておりますと、非常に広い、条件のいい道路から始まりまして、非常に条件の悪い道路まで入りますので、それらをおおってカバーするような規定というものを一応作り出さなければならない法の宿命を持っておりますので、その点を私どもは苦心して規定いたしたつもりでおります。また、駐車の点につきましても、貨物の駐車を、停車という状態をここに規定してあります。五分間というところを除いた形で規定いたしますと、いかにも貨物につきまして酷になりますので、特に貨物に関する限りは、五分以内は、継続して駐車しておっても、これは駐車とせずに停車として、たとえば、駐車禁止地における停車を認めていくという考え方にいでておりますもので、しからば、これを今度は、たとえば貨物の実態を考えまして、あるいは十五分というようなことにいたしますと、今度は、駐車禁止をしなければならない場所に十五分間も車をとめられましたのでは、これは、どうにも駐車の禁止の効果が出てこないという観点で定めましたもので、そういう点で、まあ私どもとしましては、いろいろな技術的な検討を加えて、合理化をはかったつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/39
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040・重盛壽治
○重盛壽治君 ちょっと関連して。どうもきょう私は、先ほどからこの法案の説明を聞いて、全部を詳細に知っているわけでありませんけれども、お話の中から出てくるところを見ると、道路交通法によって道路の交通緩和をはかるのだということが中心であります。しかし、実際にはそうではなくて、この内容からいきますと、自動車の運転手、自動車業者等に対する一種の弾圧的な法律である。これは、いろいろ今まで罰金のことも出たし、いろいろな問題が出たが、石原長官も、また柏村さんも、実情に沿ったように変えたのだとおっしゃるが、全く実情に沿わない私は変え方じゃないかと思う。一貫した考え方というものも、もちろん罰則によって今日の自動車行政が行なわれ、そうしてそれが、自動車の運行がうまくいって、道路を国民が安心して通れるという時代にはない。特に皆さん方が一番承知しておる東京都の実態を一度外に出てごらんなさい。こんな法律を作って、はたしてこれによってやっていかれるのか。この法律によって予算を幾ら取って、どういうふうに取り締まりをやっていこうとするのか。その点、まずお聞きしなければならぬ。運輸大臣が来ておらぬが、先ほどから総合施策総合施策と言われるが、まさに総合施策が欠除している。自治庁と取り締まりの側の警察庁とでこういうものを作っても、運輸省が、あるいはこの自動車に関連しておる自動車局長が、この法律で自動車行政がやっていかれると考えておられるのか。これは、自動車局長にあとで聞きたいと思う。こんなことにしたならば、自動車はほとんど麻痺状態になる。今でも困っておる。なるほどスピード、アップ、たとえば、一つの例をとりますと、スピード、アップと柏村さん言ったのですが、スピードを出すことが非常に危険だと、その通りに考えられます、一応。けれども、東京のような場合で、ほとんど歩行者と同じように、場合によっては歩行者で詰まってしまって、いつも詰まっておるのだな、主要なところにいくと。そうしてようやく今度はあいて、危険がないからということで少し走っていくと、今のスピード制限のらち内では、もう自動車としての任務が果たし得ないぐらいの状態に追い込まれておる。それを一々スピード過剰だというかどで取り締まっていく、そういうようなことの考え方からいくならば、何であるかというと、これは道路取り締まりの法律ではなくて、自動車運転手取り締まり法だと、こういう考え方を持たなければならぬ。従って、そういう罰則によって交通緩和をはかっていくというこの考え方、それから、自動車運転手等に特に苛酷な処罰を持ってくるということに対して、私はもう絶対反対であります。どなたかが根本的に反対するものではないというが、むしろ私は根本的にこれに反対する。こういう物の考え方であっては、私は交通緩和はできないと思う。どういう点で、特に自動車行政をやっておる自動車局長なり運輸大臣と話し合ったか知らぬが、運輸大臣自体も、常に交通の緩和をはかり、そうして国民の便利をはかっていく。特に自動車行政に大きな重点を置いてやっておる。なるほどいろんな仕事をやって、僕らに言わせれば、若干売名的と言いたいところですが、個人タクシーというようなものをやって、年末に七十人か八十人の者を許可し、あと千人にするか幾らにするか知らぬが、非常にたくさんの人に期待だけ持たして、しかも、それが遅々として進まない。これが四月か五月に何台になるか知りませんが、そんなことをやる前に、どうして運転手を保護していくか、あるいはどうして道路をほんとうに国民が安心して通れるようなことにするかというところのいわゆる総合施策というものが、運輸省、それから自治庁、取り締まり側、さらには、言うならば建設、ここらでやはり話し合いをしていかなければ、私はこれは全部見ませんけれども、たとえば、道路をほんとうに国民のものとしてお互いに使っていくようにしようじゃないかというときに、一体東京都内の私は決してあの商人の人たちのことを別にどうこう申し上げたくありませんが、あなた方が通ってみればわかる。自分の店頭の前は、ほとんど道路ではなくて、自分のうちのこれは宅地か何かと同じように使用しているのですね。そしてはなはだしいときには、横につけるべき自転車はおおむね縦につけている、あるいは三輪車も、いろんなものを放置しておるが、こういうものに対してどういうようなお考えを持ち、どういう取り締まりをしているのか、これも参考に一つ。この中に入っていると思いまするが、それの処罰もお聞きしたい。ただ私は、そういうことよりは、この処罰をして、ほんとうにこれでやっていけないということがまず一つ。どれだけ石原長官ががんばって、予算を取られたか知らぬけれども、これだけの法律を作ったからには、守らしていかなければならぬ。守らしてやっていくということで、今の現状で手が足りるのか足りないのか。私は断じてでき得ないと思う。でき得ない法律を作って、先ほど大倉委員の言われたように、常にびくびくした形で自動車運転をやらせるということになれば、これは非常な大きな欠陥になってくる。一つの例を言っても、それでは、朝のラッシュにバスが定員超過をしている。三万円以下の罰金といっても、一体だれから罰金を取るのですか。事業主から取るのですか。車掌から取るのですか。運転手から取るのですか。私は、きょうは時間がないようですから、そこまで突っ込んで聞きませんけれども、これを一つ一つ条文的にお考えになったならば、やるべくしてでき得ない。もしやろうとすれば、それは、一方的に自動車の運転手や自動車業に携わる者に対する大きな弾圧の法規になってくる。このように考えるのですが、えらい散漫な質問ですから、わかりにくかったかもしれませんが、総合的に一体どういうふうにほんとうにお考えになっているか。長官、柏村長官、自動車局長等から意見を聞いて、他の委員の質問もあろうと存じますから、もしこういう形でこの道交法を改正するということに対しては、基本的にやはり研究をし直さなければいけないという考えを持つものであります。一応御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/40
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041・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 交通問題にずっと関係されておりました重盛委員のことでありまするから、実情はよく御存じでの御質問であろうと思うのでありますけれども、今回の法律がいわゆる厳罰主義の、運転手その他だけの取り締まりを目標にした法律であるように聞こえるような御意見であったのでありますが、これは少し誤解といいますか、言い過ぎられたのじゃないかと思うのでありますが、この法律は、提案理由でもたしか申し上げたと思いまするが、まず交通規制の合理化をはかって、ひどく簡単にいえば、道路標識のほかに、さらに道路標示などをこしらえて、一般の交通規制がうまくいくようにするとか、あるいは歩行者の保護に非常に重点を置いている法律でありまして、歩行者の保護ということを考えておる。それから、今御指摘になりましたような、道路に車を放置するとか、道路をわが物顔に使っておるとか、そういうことを徹底的に取り締まるように、場合によれば実力まで用いまして、そういう車を除去するとか、施設を取り除くとか、そういう危険防止のためのいろいろの措置を加えておる。むしろ重盛委員の言われたようなことを非常に重点的に織り込んだ法律であると私どもは自負しておるのであります。それから、運転手を非常に目のかたきのように、罰則ばかり強化しておるということを言われますが、一面また、われわれは運転者の保護ということも考えておるのでありまして、いろいろの事故を起こすに際しても、これは運転手だけの責任ではない。こういうノルマをしいておる雇用主あるいは運転業務の管理者、こういう人にも場合によれば責任を分担してもらわにゃならぬのじゃないかというようなことを、この法律の中にも今織り込んでおるわけでございまして、いろいろの点を考えておるものであるということを一つ御理解を願いたいと思うのであります。
それから、この法律を施行するにあたっての今われわれの準備でございます。これは、やはり相当交通警察官を増員せにゃならぬと思います。警察官は、御存じと思いますが、三年間で一万名の増員をはかっておりますが、そのうち四千名はこういう交通警察に当てたいというわけで、三十四年度から私どもはそういう計画で進めておるわけであります。また、こういう計画に即応して、いろいろの装備、施設、あとで御質問があれば、さらに当局からお答えいたしますが、いろいろのものを準備しておるということでございます。
それからなお、今後の問題といたしまして、私はやはり、たびたび大倉委員その他の皆様から出ております総合施策というような意味で、運輸省なり建設省なりと緊密な連絡がとれるようにしなければいけないと思います。私の希望意見を言わしてもらいまするならば、道路にいろいろのバスを入れるとかどうとかというときには、やはり公安委員会の意見をよく徴してもらって、細い道路に不当なる大型の車が入るとか、そういうことのないように、運輸省、公安委員会というものがもっと連絡のとれるような措置をとらにやならぬ。現状では、ある程度できておりまするけれども、まだ不十分なところが多々あり、意見の調整のできていないところがあるのでありますから、こういう意見もすみやかに調整をとりまして、もっと緊密な連絡を発揮しなければいけない、こういうように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/41
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042・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) 自動車に関しまする行政が多岐に分かれておりまして、権限がまた分かれておりますことも、皆さん御存じの通りでございますけれども、運輸省としては、運送員及び車両の保安技術の面で要請を行なっておるわけでありますが、この総合施策を打ち立てるということに関しましては、われわれこそ必要を感じておりまして、その方面に努力をいたしておるわけでございますが、この道路交通法に関しましては、運輸省といたしましても、警察庁から協議を受けまして、罰則の点は別でございますが、全部にわたりまして検討をいたしまして、大体これで運用できるであろう、その他は、おおよそ運用を円滑にしていくように取り計らっていきたいということで交渉いたして参りまして、政府提案にもなったわけでございますが、しかし、総合的な施策といたしましては、先ほど石原国務大臣からもお話しいたしました内閣の事故防止対策本部でも審議をしておりますが、私どもの方から内閣の方に申しておりますのは、むしろ事故防止対策本部というような形ではなしに、もっと自動車に関しまする根本的な施策を打ち出すような機関を何か総理府としても作ることを考えてもらいたいということを申しておるような状況でございまして、関係官庁で十分連絡を密にいたしまして、交通政策の推進をはかっていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/42
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043・重盛壽治
○重盛壽治君 先ほどから大倉委員の言われるように、それは、地方行政委員会が中心の問題でありますから、私は、その問題についていろいろ申しませんけれども、私どもの運輸委員の立場から考えるならば、何としても非常に無理な法律である。このことがまず第一。国友さんは、罰則の問題は別としてと言われますが、罰則が別ならばわれわれも問題はない。けれども、これほど罰則が強化されるということになれば、これは、運転手を一体石原さんはどこで保護するように作ってくれたか、たいへんありがたいことを書いてくれたのでありますが、運転手を保護するところがあるとするならば、私は勉強不足かと思いますが、私の感ずる限りは、結局、全部がやはり第一線に立って働く運転手にしわ寄せられているように考えられる。特にどなたか、そちらのはじで、三万円ぐらいの罰金何でもないじゃないかというふうな言い方をされていましたが、三万円の罰金を一回課せられれば、一カ月一万円ずつは残りっこない。残るとしても、三カ月ではだめになってしまう。一カ月の生活は一回の罰金で、極端なことをいうと、できなくなる。しかも、こういう形で罰則をし、私は、何というか、警察官をふやして取り締まりを厳にしろという意味で警察官をふやせと言うのじゃない。予算をできるだけ取って、実際にほんとうに法をよくするために法を守ってもらって、いい指導をしていく、そういう指導をさせなければならぬ。取り締まって、罰金だげ取ればいいというのじゃない。ところが、実際には、柏村さん御存じかどうか知らぬけれども、第一線のさらにまた末端の方にいくと、一件つかまえて上申すれば何とか、賞与のときか何か知らぬけれども、点数がよくなって、成績がよくなる。おれも少しはやらなければ、どうも人並みに温情主義じゃいけないのだという、冗談話に警察官で言う人がいるので、警察官をふやして、それからこの法律を出せば、逆によけいに罰金を取られる人が多くなるくらいである。私は、そういう意味でなくて、ほんとうに法律を徹底させるという意味は、自動車の運転手が、この法律を作っても、法を犯さなくてもやっていけるような状態にしなければ、総合的な交通の安全というものははかられないのじゃないかということを申し上げたいわけです。それには、なるほど運輸省と建設省の関係があるが、たとえば、東京の例を引くと、これは東京都のことだから、そちらでおやり下さいということになるかもしらぬけれども、地下鉄工事をやっている。ようやく直ったら、今度はガス会社が来て掘り返す。それが今度直ると、同じ所を電灯会社が来てやっている。こういういわゆるばらばらな施策をやっている現状で、道路だけは一つお互いに安心して通れる道路にしようとしても、ほんとうに百年河清を待つことになる。ですから、その点をもっと厳密に掘り下げて、そうして石原さんの言われるように、通る人たちも交通機関というものにどういう角度で協力するかという指導をしていく。そういう指導の方法が一体とられるのか。先ほども、どなたか酔っぱらい運転云々というようなことを言われたけれども、なるほど酔っぱらい運転が事故の大きな原因ではあるけれども、私は、この原因をもっと掘り下げるならば、事故の一番大きい原因は、無免許運転が一番だと思う。一方、あなた方の下部機関では、そうりっぱな腕でない人に、どういう形か知らぬけれども、免許を出している。教習所を作っても、その教習所で免状をやって、実地試験もやらずに、学科試験だけやって免状をやるというようなことをおやりになっているが、こういうことを考えるならば、粗製乱造という言い方をしなければならぬ。技術の未熟な人たちが交通量の多い所を運転するのが一番事故の原因である。酔っぱらい運転がその次です。それから次がスピードの出し過ぎというので、スピードの出し過ぎというのは、優秀な技術者がスピードを出して起こした事故はない。やはり未熟な人たちが、少し飛ばしてやろうというところに事故が起こってくる。だから、私は逆に言うならば、これをどんどん取り締まるということを、これにも賛成しないけれども、するならば、もっと道路の見通しのきく所はスピード・アップしてもいいようなことも別に考えているのかどうか。そうしなければ、自動車の生命というものはもうなくなるのです。たとえば、先ほど何回も言うように、ほとんど詰まっています。あなた方が登庁してくるときに、交差点ではほとんど詰まってしまうでしょう。それから見通しのきく所へきて、やれいいと思ってスピードを出そうとすれば、これは二十五キロ制限、二十五キロというのはまあないでしょうが、三十キロ以内、━━今どき三十キロぐらいで走っておったのでは、また詰まってしまうという状態が起きてくる。こういう点については、もう少し広範に考えてもらいたい。まだ法律はきまったわけでないから、お考え直し願いたい。私は、そういう意味から、国友さんには運輸委員会の面でまたお尋ねしますが、こういう形で作られたならば、自動車行政はおそらくできない。このように考えます。そういう点を十分一つ打ち合わせをして、自治庁と運輸省、それから取り締る方と、あるいはまた、さっきから言われるバスの許可をしたり免許証を出したりする方と、それから車の許可をする方と、みんなが一貫していないところにも大きな総合施策の欠けておるということも言えるわけです。そういう問題は、やっぱり十分、かなり広い角度から研究してこの法律を作り上げていくという考え方に立たぬと、これは法律だけで縛る、罰則だけの法律だという形が残る危険性がある。私はこのように考えますから、一つこの点、十分御考慮を願いたいと同時に、国友さんにいま一ぺん一つ、これでいいのかどうかを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/43
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044・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) 先ほど罰則と申しましたのは、この道路交通法の罰則がまとまりましたのは非常にあとでございまして、罰則は、警察庁当局と法務省当局とでお打ち合わせになっておりましたので、われわれは、この道路交通法のその他の各条について一つ一つに当たりまして見たわけでございますが、この道路交通法に今規定してありますことで、われわれとしては、自動車行政をやっていくに支障ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/44
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045・大倉精一
○大倉精一君 罰則の点については、いろいろ質問も済みましたので、時間がたちますので、私は、この点については、さらに本委員会で掘り下げて討議をしてもらいたいと思うのですけれども、その参考のために一、二を述べて、次に移っていきたいと思います。
使用者の方へも罰則がある、こういうことでございましたが、私はただ、心配になる一点だけ例として申し上げて、こういう例があとにあれば、検討してもらいたいと思うのです。たとえば、第七十五条二項ですね。これは要するに、直接管理する地位にある者が過労、病気その他で運転することを命じたならば三万円の罰金、こういうことになる。ですからこれは、お前、眠くなったら、車をとめて眠っておれよ。疲れたら無理しなくてもいいから、とまって休んでおれ、こう言っておけばいいのです。言っておけばいいのですけれども、雇用条件その他によって、運転手は過労の状態で走らなければならぬという、そういういろいろな客観的な条件があって走った場合には、これは処罰されないのだ。いや、私はとまって眠っておれと言っておきましたと、こう言えばおしまいです。ですから私はこういうところにも抜け道があるのじゃないかと心配するのでして、本委員会の審議の際に参考にしてもらいたいと思うのです。それから、本来運転手の事故防止ということは、私は、処罰じゃなくて、やっぱり指導主義でいかなければほんとうの成果は上がらないと思うのですよ。私は、いっかの運輸委員会で、四、五年前でございましたが、言ったことがあるのですけれども、たとえば、白バイが隠れておって、スピード違反を見つけて、ぱっと飛んでいって一点かせぐ、こういうのじゃなくて、昔は、宮城タマヨさんがかつて質問をして、追及しておられたのですけれども、日比谷の交差点に非常に厳格な交通巡査が見えたそうだ。非常にこわかったそうですよ。こわかったけれども、その人は一ぺんも処罰したことはない。そこで、運転手がそこを通るときには、あそこにこわい巡査がおるということで、もちろんそこはもう交通違反は全然ない。処罰したことはない。こういう工合に、私は、根本的な考え方から、刑罰を重くして取り締まるというのじゃなくて、やはり指導をするという精神で事故防止をするという、こういうことが非常に大事じゃないかと思うのですが、これは、一つ今後審議の参考にしていただいて、遺憾のないようにお願いしたいと思う。
私は、私自身の参考のために資料を要求したいと思うのですけれども、過去において処罰規定を改正した時期と、その後におけるところの事故件数の趨勢についての何か資料がありましたら、参考のために出してもらいたいと思います。
そこで、いろいろ申し上げたのですけれども、まあ処罰を反対するものじゃありません。処罰のないことはありませんから、処罰を合理化してもらいたいということ、ただ、今の事故が営業車よりも自家用車に非常に多いということ、これは御存じの通りであります。そこで、自家用車については、私は、これはもうほんとうにスピードを享楽する、町の非常に悪質なものだと思う。これは大いに処罰してもらわなければなりませんけれども、そのとばっちりを、ハンドル一本でもって飯を食っておる運転手が食っては大へんであります。でありますから、私はこれをくどくどと申し上げておるわけなんです。こういう点についても、改正すべき点があれば、十分改正をしてやってもらいたいと思います。
それから私は、先ほどから総合施策ということを言っておりますけれども、結局、この法案だけが独走するのじゃなくて、こういう非常に重大な法案でありますから、これの効果をあげるためには、関連する諸法令というものを検討をし、さらに新しいものを新設するなら新設するという、そういうことが並行しないというと、非常にびっこなものになるのじゃないか、私はこういうことを考えまするが、今、政府の方では、ILOの批准を契機にして、これを関連法規の整備という名前のもとに、何か法律を悪くするようなことがおありになるようでございますけれども、そういうものじゃなくて、これこそほんとうに、今現実に町には、こう言っておるときにも死傷者が出ておるのでありますから、関係法規を一刻も早く検討して、整備しなければならないと思うのですけれども、そういうような検討をしておる点があれば、さらにまた、改正しようということを考えておられる法案なり何なりがあれば、これから新しく法律を作ろうというものがあれば、これらを一つ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/45
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046・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) ただいま大倉委員からお話がありました問題の数点につきましてお答え申し上げたいと思いますが、先ほどから根本の総合施策についてのお話が非常にたびたび出ております。これは、全く大きな根本問題ではないかと思います。この道交法案を作ります過程におきましても、運輸省なり建設省なり、あるいは文部省なりに対しまして、これと相関連しまして、道路交通が十分円滑に安全にいくようにというような観点から、だいぶいろいろ強調をいたしております。ことに内閣にありますところの交通事故防止対策本部におきましては、声を大にいたしまして訴えておるわけであります。また、いろいろな資料も出しまして訴えておるわけでありまして、この法律の改正案だけですべてを解決することは全く無理でありまして、これと相並行しまして、いろいろな問題につきましては、われわれも強調いたしております。
また、ただいまお話のありましたように、諸法令の点につきましても、われわれの方におきまして検討いたしておりまして、それにつきましては、それぞれの各省に対しまして要望もいたそうと思っております。
それから、先ほどお話がありました運転者だけに対するしわ寄せがすべて非常に大きくうつっておるのではないかというふうな御印象かと思いますけれども、この法案におきまして非常に考えましたことは、運転者がいろいろな相当無謀な運転をせざるを得ないその背景には、やはり諸種の原因がある。これに関連しまして、その原因の実態を検討いたしまして、いわゆる運行管理者なりあるいは雇用者に対しても責任の所在を追及していきたいというので、従来の道交法と変わった、一歩前進の建前をとったわけであります。そういう意味におきましては、私たちは、いろいろな実態というものを、実情を基礎にいたしまして立案いたしたのであります。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/46
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047・大倉精一
○大倉精一君 結局まあ何もないということなんですけれども、これは、私は委員長から要求してもらいたいのですが、これはとてもきょう一日では終わらないと思うから、この次に、総合施策をやる担当のたとえば課長とか局長とか、場合によっては総理大臣も、これは非常に大事なものですから、そういう担当の人に来ていただいて、こういう点について十分一つお聞きしたいと思うのです。これは、あとからまたあれしますけれども……。
そこで私は、この際二、三質問をしておくのですけれども、これは参考のために、あなた方の方からどんどんと担当の部面について強力に押していかないと実現できないことでありますから、一つ御意見だけ伺っておきたいと思うのですが、先ほどからいろいろ各省間のばらばらな行政のために、どうも効果的な行政施策ができない、こういう意見がありました。私もその通りだと思います。今私が一々例をもって申し上げる必要もないと思うのです。たとえば、ばかのような話ですけれども、地下鉄の所管一つがきまっていない。道路の下を穴を掘っていくと、これは道路の下だから建設省、道路の下じゃないというと、これは運輸省だと、穴はどこへ掘っても同じですけれども、ですからこれは、道路の下を掘るなら、何メートルまでが道路なのか。ずっと下まで行くと、アメリカまで行ってしまうのではないかということになります。こういうことで所管が違う。ですから、名古屋あたりで地下鉄をやろうとすると、名古屋駅から笹島までは、道路の上を通っているから運輸省、それからずっと道路の上でない所を行くから建設省、こういうことでもたもたして、いまだに片がつかないでいる。こういうことは、数え上げればきりがありませんが、そこで従来、今どなたかがおっしゃったように、各省間の協議会なり委員会なりというものがあったようでございますけれども、そういうものが効果的な運用をされておったかどうか。私は決してそうではないと思うけれども、その実情について、どなたか一つ詳しい方に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/47
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048・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 内閣に交通事故防止対策本部というのがございまして、もちろん非常に強力な機関として、何と申しますか、非常に成果を上げたということは申し得ないかもしれませんが、そこに関係各省集まりまして、それぞれ資料を持ち寄り、また、当面の重要な問題について協議をいたしまして、それを持ち帰って、各省の所管に応じてこれを推進するというやり方をいたしておるわけでありまして、たとえば、神風タクシーを解消するというようなことにつきましても、また騒音防止の問題にいたしましても、また最近は、先ほどお話もございました、工事がまちまちに行なわれることについての道路上の工事の調整というようなことについて、この第三の問題は、あまりまだはっきりした効果が出ていないようでございますが、第一、第二は相当に成果を収めておるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/48
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049・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いておるのは、神風タクシーというのは内閣に設けたと言いますけれども、新聞にじゃんじゃん書かれて、何かやらんというと調子が悪いから設けただけであって、ああいうもので根本的なことにはならぬと思うのです。今まであるところの情報なり、あるいは聞いてみますというと、各省間の連絡協議会なり委員会なりがあったそうでありますけれども、これはほとんど委員が代理で出て来たり、あるいは欠席したりして、うまくいかなかったということをちょいちょい聞くのです。そういうことではこれは何にもならぬ。しかも、各省間のなわ張りというのは、今言ったように非常に激しい。そこで私は、そういう意味ではなくて、法律でちゃんと権限を与えて、一つの時間給ぐらいは与えるメンバーにするところの調整機関なり、あるいは総合機関なりというものを設ける必要がある。法律でもって権限を与える。そうでもしないと、各省間のものはだめだと思うのです。本来ならば、これは行政機構をすっかり変えればいいけれども、なかなかそうはいかないと思う。ですから、行政機関はそのままにしておいて、そのおのおのにわたったところのものは、そういう法律でもって権限を与えたところの行政機関を作らなければならぬと思うのですけれども、私は一つ長官に御意見をお伺いし、また運輸大臣おいでになりませんので、局長からでもお伺いして、もし御賛成であれば、その方に向かってどんどんと担当者に働きかけてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/49
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050・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいまの大倉委員の御意見は、非常にけっこうな御意見であると思うのでありまして、現在でも、公安委員会といいますか、警察庁、運輸省、建設省、この道路とバスその他の問題については、いろいろ話し合いはよくしておるのでありまするが、そういう委員会式のものにでもして、常時連絡をとるような方法を講ずるということも非常にけっこうな御意見だと、そういう意見を申し出て、実現できるように私も努力してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/50
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051・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) 私どもといたしましては、今石原国務大臣から御答弁がありましたように、けっこうなお考え方であると思いますし、その方向に推進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/51
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052・大倉精一
○大倉精一君 今、長官は常時連絡機関と、こうおっしゃったのだが、私の言ったのは、そういうことじゃなくて、やはり法律を作って、そういうものを立法化して、権限のある一つの機関を作る、こういうことなんです。それでなければ、いろいろ今までやっておられたことに毛の生えたようなものを作っても何にもならぬ。たとえば、道路の舗装あるいは道路建設をやってみても、三十トンのトレーラーが出てくる。これは、別名で言えば、道路破壊機です。こういうものがどんどん出てくる。こういうものの調整も何もない。あるいは産業あるいは工業力がどんどん発展してくると、あるいは変圧器や何かでも、従来は分解して搬送していたが、それじゃ採算がとれぬから、そのまま三十トンでも四十トンでも搬送しなければならぬという事実もある。その間に何の連絡もない。ですから、私の言っているのは、法律でもって権限を与えたものを作れ、そうして時間給くらいは加えろ、それをもう一回一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/52
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053・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 大倉委員の言われましたことは、せんじ詰めれば、結局行政委員会のようなものでもということになるのかと思いますけれども、これは、現在の行政組織法その他からいいまして、大臣の権限をさらに越えるような一つの機関ということにもなる場合もあるかと思いまして、これは、私ここで即答はできませんけれども、なかなかめんどうな問題だと思いまするが、先ほど私が申した程度の常時連絡協議をはかるような機関、それだけでも私は非常な進歩だと思います。そういう意味で、御趣旨をよく参考にしまして、今後善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/53
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054・大倉精一
○大倉精一君 それじゃ後日、担当課長ですか、局長ですか、担当は総理大臣ですか、に来ていただいて、とくと私は意見を承ってみたいと思う。従来に毛の生えたようなことじゃどうにも私はならぬと思います。技術的な委員会か、行政委員会かなにかわかりませんけれども、そういうものは一つ御検討を願って、一つ強く要望しておきます。
それからもう一つは、運転手の関係でありますけれども、これは、警察庁の方でも、営業用の運転手の常態の運転については、雇用関係が非常に大きな問題であるということは、もうすでに御承知だと思うのです。それで私は、この交通関係、公益関係にある労働者ですね。これを普通一般産業並みに労働賃金、労働時間、労働条件というものを労使間の交渉だけにほうっておいていいものか悪いものか、ここに大きな問題があるのではないかと思うのですね。ですから、これは何らかの法制措置をする必要があるのではないか、こういう工合に考えるのです。たとえば、私は運輸委員会でもよく問題にしておるのですけれども、今メトロ・タクシーというものがある。長いことこれはストライキをやっておる。やっておれば、それだけこれは市民の足を取られておる。長い間にわたって免許事業活動をやっていない。公益事業活動をやっていないわけだ。私は仙台に行きましたところが、仙台では、四百台のタクシーが、二百台五日間ストライキをやっておる。ありはせぬですよ、あそこにはタクシーが。そういうものを放置しておいていいものかどうか。こういうところにいわゆる交通行政の一つの大きな問題があるのじゃないか。あるいは、労働問題だからおれは知らないと、こういうふうなものじゃないと私は思うのですが、その点についてどうなんですか。これは、何か抜本的にそういう点について御検討されたことがあるかどうか。どなたに伺ったらいいかわかりませんが、取り締まりをする限りにおいては、そういうこともやっぱり考えなければならない。こういう法律を作った側からどういうものか、もう一ぺん御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/54
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055・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 営業関係の運転者の業務につきまして、雇用関係から生ずるいろいろの制約があり、これを正常なものにして、安全な運転が確保されるようにするということは、非常に大事なことであろうと思うのでございますが、労務管理の面あるいは営業内容の面になりますると、これはまあ所管のことを申してはなはだ恐縮でございますが、やはり運輸省なり労働省なりにおいて十分御検討願うものではあるまいか。ただ、それが違反等に結びついてくると、そういう危険性があるというようなことにつきまして、われわれとしても、いろいるの防止対策というものを考えて参ることに相なろうと思うのでございまして、そういうものの一部がこの七十四条とか七十五条とか、あるいは罰則におきまする両罰規定というようなものに今度表わして参ったというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/55
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056・大倉精一
○大倉精一君 私は、そういう抽象的なことではなかなかおさまらぬと思うのです。たとえば、東京都内を何キロ走るかと、こういうような問題がありました。三百六十五キロ、ところが、これはスピードを守って走れば三百二十キロくらいじゃないか、これは警察庁のお考えじゃないかと思います。組合の方も、大体客待ち時間も含めて東京都内を走れば三百二十キロ、それを強引に三百八十キロ、三百六十五キロというのは、どういうところから出てきたかわかりませんが、これはスピード違反をやらなければ走れない。現実はそうじゃないかと思う。計算したところでは、三百六十五キロが最高だ。最高だといっても、やはりこれは業者の方からできるだけ走ってこいという、ノルマになるのです。危険ノルマです。はなはだしいものは、今じゃないかもしれませんが、四百キロ走って、お客さんから名刺か何かの証明をもらえばいいのだと、あるいはまた、車庫に帰るのに、バツクして帰るとメーターが戻ってしまうと、そういうようなことで、これはもうそういうことはなかなかうまくない。そこで私は、そういう関係から、トラック運転手の争議なりタクシー運転手の争議というものは、一般の産業の争議と違って、あるいは待遇改善の要求は、これは、裏返していけば、交通安全の要求と同じだと思うのです。交通安全要求のために戦っておるのと同じだと思うのです。表面は賃金闘争ですが、それは交通安全の闘争と私は思っておる。そう理解をしてやってもらいたい。そこで私は、この際立法化する必要があるのじゃないか。こういう交通関係に携っておるバスあるいはトラックあるいはタクシー、こういうものの労働条件に関する立法化を考える必要があるのじゃないか。そこで私は、外国の例もいるいろ聞いてみましたが、やはり外国にも単独立法であります。たとえば、一例を紹介しますと、イタリアでは、イタリアにおける郊外行きバス事業従業員の労働時間を規制する法律というのがあります。ここは、個人タクシーというものが多いものですから、タクシーにはないのです。こういうところにやはりある。またイギリスにおいても、これは一九三〇年に、道路運輸法というものの中で、一定の労働時間を規制する、これは労働時間並びに労働賃金を規制したものでありますけれども、労働時間はいいが、労働賃金がうまくなかったというので、これもまた新しく法律を作った。それが道路運搬賃金法という単独立法ですが、こういうものをやはり考えなければならぬのじゃないか。そういうものを野放しにしておいて、そういうものを考えずに処罰してしまう。賃金を上げるためにはストライキをやっておれ、これでは片手落ちじゃないか。そういう点について、私は取り締まる側の意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/56
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057・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいま大倉委員のお話、まことに大事な問題であろうと思います。今までは、運用上と申しますか、実際の指導につきまして、運輸省等とも、われわれ警察側といたしましては、相当に運転者の立場に立って、運転者が安全に運転できる条件というものをぜひともかなえてもらいたいということで、運輸省が指導されるについても、相当強く申し入れをいたしているようなわけでございます。ただいまお話の、法律でこれを考えるというような点につきましても、運輸省、労働省等ともよく打ち合わせをしまして、真剣に検討をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/57
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058・大倉精一
○大倉精一君 最後に、私は二点だけ伺っておきたいのですけれども、まず第一番には、どんなりっぱな法律を作っても、それを実行する裏づけがなければ何にもならぬ。一体こういう法律をお作りになって、これをちゃんと実行していくだけの予算なり人員、定員なり、そういうものの裏づけがあるのですか。これは運輸省と両方に聞きたい。こういうものなしに、文章だけ作っておいて、それは一体だれがやるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/58
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059・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) この法律の実行を確保するということにつきましては、まず何よりも、この法律が国民一般に理解され、特に交通に関係ある人たちに深く理解され、この法律を順守して、交通の安全、円滑を期そうという協力的な気持が全体にみなぎってくるということが、まず第一であろうと思います。しかし、その点につきましては、本案の国会における審議の過程を通じ、また成立いたしました暁には、準備期間として大体六カ月をこえない範囲で施行することにしておりますので、かりに四月に成立するとすれば、十月一日から施行するということになるかと思いますが、その間におけるPR等についても、大いに努めて参りたいと思います。また、これを実際指導、取り締まりをいたしまする警察官につきましても、特に十分に法律を理解するのみならず、指導、取り締まり等についての適正を期するような指導、訓練ということと、教養ということを特に考えて参りたいというふうに思っておるわけでございますが、先ほど大臣からもお述べになりましたように、またその要員につきましても、本年度から三カ年計画で交通警察官四千名を増員いたす。すでに今年度千数百名のものを増員いたしておるわけでございますが、そういうふうにいたしまして、万全を期して参りたい。また、この経費につきましては、これは原則として都道府県費に相なるわけでございまして、純粋の国費としては、クレーン・カーその他の装備車両そういうものを若干考えておる程度でございます。従って、予算額として、国費としては、そう大したものではございませんが、人員については、ある程度これをもって充足して参り得るのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/59
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060・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) 補足してお答え申し上げたいと思いますが、この道交法の改正というものを予想いたしまして、昨年の予算折衝のときに、科学警察研究所の中に交通部を作り、そうして交通取り締まりの諸般の規制関係あるいは運転免許に関する問題、その他、運転者にいろいろな諸般の心理的影響がございますので、これらの問題諸般にわたりまして、科学的研究をいたしたいということで、交通部の中に十名内外の専門家を新たに採用いたしまして、心理学者あるいは社会学者あるいは交通学、交通工学、こういう諸般の専門家を入れた新しい陣容を整えたわけであります。従来のような、ただ警官だけの経験法則だけでは十分に間に合いませんので、やはり科学的な研究をいたそうということで、十名内外の陣容を整え、また、額は小そうございますけれども、約五百万円の研究費を取ったわけであります。そのほかに、ただいま長官からお話がありましたが、交通の機動取り締りに関する、あるいは指導に関する車両の五カ年整備計画を立てまして、三十四年から五カ年間にわたって、千五百台ばかりの整備計画を立てて、できるだけ交通の実態に合った、それに即応するような指導なり取り締りをやって参りたい。あるいは、来年度の予算として、ヘリコプターを二台予算案に提出いたしております。これは、上空から実際の流れを全体的に見まして、どこに現にネックがあるかというような流れの工合を全般的に見まして、それを機動的に連絡しながら規制をするというようなこともございます。あるいはアルコール検出なり、あるいは自動車重量計器なり、その他交通信号器なり道路標識などの補助金については、約三千万増の予算を組んでおるわけであります。これは、本年度よりも来年度は三千万増の補助金を組みました。従いまして、少なくともその倍額以上が県費と対応額で、合わせて六千万ぐらいは、本年度よりは三十五年度は増される形になっております。そういう状況で、今、国の財政不如意な際でありますけれども、非常に力を入れながら若干増額を実現しつつあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/60
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061・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) 運輸省といたしましては、全般的な定員及び予算の過少ということは、われわれ非常に痛感しておりまして、本年度も増員要求等をいたしまして、自動車関係九十名の増員を認められたわけでございますが、今後も、これらの点について、自動車交通の安全確保という面からするところの経費及び定員というものについての増員要求をして参りたいと思いますが、この道路交通法が施行されますについて、運輸省として定員がどれだけ要るかと申しますと、それほどはこの道路交通法の関係では要らないと考えておるのでございますが、今後全般的な定員不足ということはございますので、この点は大いに努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/61
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062・大倉精一
○大倉精一君 これは、警察の方は地方行政の方で大いに検討してもらって、ほんとうに大衆の保護をはかり、あるいは陣容を整えていくべきだと思うのだが、運輸省の方は、道路交通の総本山であるところの陸運局の陣容はまことにお粗末なものだから、これはもう年々歳々運輸委員会で問題になっていながら、大臣は重点的に努力しますと言っていながら、そのうちに大臣がかわってしまって、さっぱり努力しておらぬ。今度でも、大臣は、運輸委員会におきまして、道路交通、道路行政は重点的に考えまして云々というりっぱなお話でありました。ところが、お金を見てみると、わずかに四千万しかふえておらぬ。あるいは、人員は九十名、それも損害賠償の方に十何名、こうなると、自動車が東京都内で十万台ずつふえるというのですが、これは、四千万円くらいじゃかえって減ですよ。増にはならぬのですよ。自動車がどんどんふえて、陣容はどんどん減っていく、相対的に。こういうことでは、法案を作っても何にもならぬ。たとえば、町にはやみトラックが走っている。やみ自動車が堂々と法律の前で走っておっても手がつかぬ。こんなことでは、法律を作っても私は何にもならぬと思う。ですから、守れない法律は作らぬ方がいいと思います。ですから、そういう点について、きょうは大臣がおらぬから、大臣が見えたら、私はあらためてお聞きしたいと思います。そうでなかったら、これはもうとんでもないことになってしまって、これはただ立法の遊戯にすぎなくなる。
それからもう一つ、これは、この際お伺いしたいのですが、今度百二十四条ですか、非常に膨大なる法律でありますし、それからなかなか内容がこまかく、一回で読んでもわからないところがずいぶんありますが、こういうものを自動車の運転手はもちろんのこと、一般大衆にどうやって知らせるのですか。知らないうちに大衆が罪を犯して、そうして罰金を取られる。情状酌量としてはありますが、そんなことは、どこにも法律の文章の中には出てない。一体どうやってこれを国民に周知徹底させるのか。具体的な方法についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/62
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063・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かにこの法案は膨大なるものでございます。現行法は、法律がたしか三十何条、政令が八十条ぐらいございまして、これをまとめまして、まあ政令の相当部分を取り入れまして、これだけのものになったわけであります。法文も、できるだけわかりやすい文句を考えたわけでございますが、何分にも法律でございまして、やはり法律的に正確ということを期しますると、ちょっとわかりにくいというような面も出てくるのはやむを得ないかと思いますが、われわれといたしましては、この法律を単に新聞等に書いてもらうということだけでなしに、解説的なパンフレットとか、あるいはわかりやすいガイドブック式のものもできるだけ作りまして、その向き向きに応じて趣旨が徹底するようにはかって参りたいと思っているわけでございます。われわれがいたすだけでなしに、また、マスコミの機関等にもできるだけ協力をいただきまして、そういう徹底をはかって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/63
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064・大倉精一
○大倉精一君 これは、マスコミといいましても、最近のテレビ等は、賛成賛成というだけでもって、さっぱり具体的に解説しておらない。ですから、私が心配することは、やはりこれは画期的な法律だと私は思うんです。改正案じゃないかと思うんです。これは、国民の生活と権利義務に密着するものであり、しかも膨大なるものであり、しかもこまかくわかりにくいものである。こういうものに対して、国民に対して知らしめるということが大事です。国民は、知らないがために処罰をされるだけでなく、知らされないために処罰されるわけです。この罪は政府にあるわけです。その政府の罪を国民が刑罰でもって償わなければならぬ。こういうばかなことはないと思います。でありますから、これはぜひとも、是非は別にして、やる場合においては、十分周知徹底されなければいかぬと思います。だから、きょうはまあいろいろな質問をいたしましたけれども、どうも納得できないのです。何にも総合的なものはない。先ほどは、たとえば、これは運輸委員会でやることでありますけれども、営業車の運転手の賃金、労働条件の問題を出しましたけれども、これも、そういう低賃金でなければやっていけない経営者があるかもしれない。そうすれば、やはりこれは運輸行政になってくる。そういう抜本的なものにさかのぼって対策を立てなければ、私どもはどうしても、この法律だけが独走することについては、あくまでも反対しなければならぬと思います。独走的なやり方については……。そういう総合的なものの上に立ってこそ、道路交通法が生きていくと思います。ですから、そういう点については納得できないので、委員長、さらに突っ込んで連合審査を開いていただいて、関係大臣を呼んでいただいて、もう少し突っ込んだ検討を加えたいと思うのです。この点を委員長に要望して、きょうの質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/64
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065・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 連合審査の問題につきましては、地方行政委員会で、理事会においてよく打ち合わせをいたしました上で、さらに運輸委員長とも相談の上、決定いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/65
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066・白木義一郎
○白木義一郎君 簡単にお尋ねしておきたいと思いますが、この法案については、「単に警察的な取り締まりの根拠法ではなく、むしろあらゆる国民が安全に道路を通行するために積極的に順守すべき道路交通の基本法であると理解されるべきものであると考えまして、現行の道路交通取締法という名称を道路交通法と改めることといたしました。」と、こういう説明があるのですが、なるほど制限的な取締法という名称を避けて、単に交通法と改めたということについては、非常にこまかい配慮がされていると、このように感じておりますが、そこで、これはわれわれに非常に密接な法律なので、少なくとも病人で寝ている以外には、全部この法律に影響される事柄だろうと思うので、非常に膨大な法案についてどう周知徹底するかということは、今長官の答弁がありましたけれども、それは長官の今後の努力を信頼いたしまして、ただ、六カ月の施行の準備期間として、その間に周知徹底すると、これはまことにけっこうなことだと思いますが、その周に、われわれも、身近に触れる問題ですから、そのPRの一助も果たしたいというような立場から、若干の不明なところをお尋ねをしておきたいと、こう思う次第でございます。
最初に、第五十一条の第二項ですが、「交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において、当該車両の駐車の方法の変更その他必要な措置をとり、又は当該車両が駐車している場所からの距離が五十以下の罰金、こういうことになっておりますけれども、「(アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態にあることをいう。)」、ここのところでどういうふうな判断をして違反者を判定するか、この点、お伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/66
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067・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) この規定は、現行法でもほとんど同じような表現の規定がございまして、いわゆるめいてい運転といいますか、酔っぱらい運転でございますが、どの程度アルコールを体内に保有すればめいていになるかどうかということは、非常に個人の差がありまして、また、同じ個人でも、状況によって違いますので、一がいに言い得ませんけれども、結局、原因は酒を飲んだことにあり、それから、状態は正常な運転ができないというおそれのある状態をキャッチした、こういうことでありますが、現実には、現在すでに街頭でもやっておりますように、アルコール検知器というのがございまして、北川式検知器と申しますけれども、風船袋がありまして、それに一定量の呼気を吹き込みまして、ドランク・メーター、いわゆる体温計みたいな形のメーターがあり、そのメーターに、いわゆる呼気に含まれているアルコール、酒気の程度といいますか、それが現われてきまして、さらにそれがリトマス試験紙に移しますとある程度の色が出てくる。その色によってめいていの程度というものが技術的には判定され、また、それだけでやるのでなくて、実際の顔色あるいは態度その他諸般の状態を総合的に判断しまして、正常な運転ができない程度の酔っぱらい運転ということをキャッチすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/67
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068・白木義一郎
○白木義一郎君 これは、それぞれ量によって大へん違うので、むずかしいことだろうと思いますが、そのようにしていろいろ苦心をされているということをお聞きしておく程度にしておきまして、その次の六十六条の、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」これも六カ月以下の懲役、五万円以下の罰金と、こういうようになっていますけれども、この過労とか病気、そういったようなものの判定をどうするか。これもちょっとお伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/68
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069・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) この過労、病気などの程度といいますか、基準といいますか、こういうことにつきまして、客観的にこれだという標準なりあるいは学問的にどの程度だということは、なかなかきめにくいと思います。しかし、これも、実は先ほど申しましたように、現行法第七条に、酒に酔いその他の事由によって正常な運転ができないにかかわらず運転するということを無謀操縦として禁止しておりまして、その中に入っている条項を今度分けて、これだけの事由を取り上げたのであります。従いまして、結論的に申しますと、やはり正常な運転ができない程度の精神的あるいは肉体的な故障といいますか、そういう状態をいう以外に実際ありません。従って、ただの疲労程度でなくて、相当極度の疲労、または病気も、いわゆる本人が非常に猛烈なせきをして、そのせきが運転中に非常に影響があるというような場合もあるでしょうし、それぞれのケース・バイ・ケースで判定しないと、一応具体的に客観的な基準といって線が引きにくいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/69
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070・白木義一郎
○白木義一郎君 これは、野球の選手なんかも、試合の終わった場合に相当な過労になっているわけですが、そこらあたりをきめるのも、これもなかなか大へんなことだろうと思います。
その次に、六十七条の第二項の、「前項の場合において、当該車両等の運転者が引き続き前三条の規定に違反して車両等を運転するおそれがあるときは、警察官は、その者が正常な運転ができる状態になるまで車両等の運転をしてはならない旨を指示する等道路における交通の危険を防止するため必要な応急の措置をとることができる。」非常に具体性を欠く「必要な応急の措置」、この辺にわれわれは、いかなる措置をとるのか、あるいは、それによってはいささか人権じゅうりんの心配がある、このようにわれわれしろうとは考えるわけですが、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/70
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071・内海倫
○説明員(内海倫君) 私からかわりまして……。
この六十七条の二項の規定は、先ほどの前にあります無免許運転あるいは酔っぱらい運転、あるいは過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で運転する、こういうふうな運転がありましたときに、たとえば、六十五条の酔っぱらい運転を例にとりますれば、実際に酒を飲んで、ふらふら状態で運転しておる状態にある運転を警察官が阻止いたしまして、それ自身一応この六十五条の適用によりまして処理いたしますが、さてそれでは、そのまま酔っぱらい運転をおれは続けるのだということで運転をされたのでは、やはり道路上における危険は去らないわけでありまするので、そういう場合におきまする措置、これを第二項できめたものであります。従いまして、そういうふうな状態でさらに引き続いて運転するおそれがありますときは、警察官は、その運転者に対して、正常な運転ができる状態、まあ酒の場合でいいますと、そういう正常な運転ができる状態━━酔いがさめるまで一応運転をしないようにしてもらう。従って、それは別にどうこうするというよりも、車から離れて酔いをさます、そういうような措置をとる。あるいは、どうしても本人がぐでぐでで、どうにもならないというのであれば、住所を聞いて、その関係の人に連絡をして迎いに来てもらう。こういうふうな措置をするというふうな一つの例示をあげまして、道路における交通の危険を防止する必要な応急の措置をとる。すなわち、今言いました必要な応急の措置といいますのは、あるいは電話をかけて何するというようなことも、必要な応急の措置として考えておるわけであります。一応酒の酔いについての例をとりまして申し上げれば、そういうことであります。
なお、先ほどおっしゃいました、これによって人権を侵害するおそれありということにつきましては、もとより私どもといたしましては、絶対にこの規定において行き過ぎのあるというふうなことのないような厳格な指導をいたしたいと思っておりますが、私どもの考えております措置は、どこまでもその運転しておる人の生命を、身体を保護するという観点から発したサービス措置であり、あわせてまた、それを継続することによって他に危害を与える影響を防止しようとする、両面の目的を持ったものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/71
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072・白木義一郎
○白木義一郎君 こういう点については、さらに慎重にPRをやっていただきたいと思います。
次に、これは大倉委員からもちょっとお話がありましたが、第七十条の安全運転の義務、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような方法で運転しなければならない。」これを犯すと、やはり百十九条で、三カ月、三万円と、こういうことになっていますが、これは非常に不明確な、法律と言えないような法律のような気がするわけですが、どこにも取り締まる具体的な事例が載っていないように思うのですが、この点は、実際面について詳しく一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/72
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073・内海倫
○説明員(内海倫君) お答えいたします。
まず、現行法との関係でございますが、現行法にも、第七十条に対応します規定は、法及び政令に書いてあるのでありますが、それらを整理し、まとめまして、第七十条の規定にいたしたのであります。そこでこれの具体的な問題でありますが、大倉委員からもおっしゃいましたように、まことに当然のことを当然に書いたという規定ではないか、まさにその通りでございまして、われわれとしては、ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作しない運転ということが非常に危険の原因になりますので、これを規定いたしました。しからば、実情を見ておりますと、実際の交通事故の原因、あるいは他の交通の非常に妨害になるような運転が行なわれる実態について調べて見た場合、たとえば、ハンドルをおもしろ半分にくるくる回していく、あるいはブレーキを適当に踏んだり離したりして、遊び半分の運転というものが実際しばしば行なわれている例があるのでございます。もとより、たくさんの運転者の中でありますから、その数からいえば、きわめて少数であることは当然でございますけれども、さらに、「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような方法で運転しなければならない。」これも、たとえば、この道交法に、自動車はまっすぐに運転をしなければならないという規定はないのであります。従って、わずかにこういうふうな屈曲運転をかりにいたしましたとしても、これを取り締まる規定はないのでございますが、しからば、そういう点で、それが他人に危害を及ぼすような方法で、しかも、非常に交通量の多い道路でそういう運転をやることになると、これは非常に安全を害するとともに、他の交通に危害を与えることにもなりますので、そういう観点から第七十条というものを作りました。従って、第七十条の法律的な観点から申しますならば、他の前の方にいろいろ規定しております交通方法等の規定の中で定めがたいものとして、この運転者の義務の中に第七十条を設けたのであります。従いまして、本質的には、まことに当然のことを規定いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/73
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074・白木義一郎
○白木義一郎君 予想通りのお答えをしていただいたわけでございますが、実は、われわれ取り締まられる方の側といたしまして、これは非常にあぶない法律なんです。どこからか違反をかぎつけて、それを取り締まろうとしてできなかった場合、全部ここにしわ寄せができるというように思いますからして、一つ長官もよく御検討を願いたいと思います。
次に、六十八条のスピード違反のことにつきまして、第七十四条の「(雇用者の義務)」というところの第二項に、「雇用者は、雇用運転者が第六十八条の規定に違反することを誘発するように時間を拘束した業務を課し、又はそのような条件を付して雇用運転者に車両等を運転させてはならない。」いわゆる最高速度の順守という、雇用者の最も守らなければならないことですが、これはわれわれも、うっかりすると、ちょいちょいやるような事件であって、すなわち、汽車の時間がないから、国会の運転手に、急いでくれというような場合に、よく該当する問題じゃないかと思うのですが、そこで、この七十四条には処罰の規定がないように思うのです。こういうような、雇用者の方から不用意に違反を誘発するようなことがあった場合に、ただ運転者だけがその罰則を受けるというのもかわいそうなような気がしますが、この点、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/74
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075・中川董治
○政府委員(中川董治君) お示しの七十四条二項には、それ自体罰則はないのでございますが、場合々々によろうかと思いますが、極端にスピード違反を具体的に命令したようなことが証明される場合におきましては共犯で罰せられると、こういう場合があろうかと思います。ところが、ここに七十四条二項に書いてありますのは、誘発するような時間でございますので、具体性がないという点におきまして罰則を規定いたさなかったのでございますが、こういう誘発的なことにつきましては、関係者の順法精神に待ちたいと、こういう精神でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/75
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076・白木義一郎
○白木義一郎君 それと同じように、トラックが荷物を運ぼうとするときに、荷主から強制をされる場合があります。これは、運転手としてとうしてもやむを得ないような場合がしばしばあるだろうと思いますが、このときの問題もついでにお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/76
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077・中川董治
○政府委員(中川董治君) 荷主が当該車の制限範囲をこえてたくさん積めということを具体的に指示したということが明確に証明される場合におきましては、共犯で罰せられることになります。及び共同正犯の共犯で罰せられることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/77
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078・白木義一郎
○白木義一郎君 次に、七十一条の条文は、歩行者の優先の原則ということから、これも非常に身近であり、かつ大事な、しかも、事故防止にはぜひとも守らなければならない規定が書かれてありますが、この中で、泥よけ器をつける、こういう表現がありますが、将来この泥よけ器をつけることを義務づけるのか、あるいは雇用者の義務にも、七十四条の第三項に、「泥よけ器を備える等の必要な措置をとらなければならない。」このように出ておりますが、これは、将来この法案が改訂された暁には、必ずやらなければならないか、やらなければならないとすれば、処罰の規定がないわけですから、この点もはっきりしておいた方がいいように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/78
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079・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) 七十一条の方からお答え申し上げたいと思いますが、これは「泥よけ器をつけ、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」迷惑を及ぼさないというところに法的な義務がございまするが、泥よけ器を必ずつけなければいかぬという義務は課しておりません。しかし、将来どうかという問題につきましては、泥よけ器自体の性能についても、いろいろな疑問もありますし、また、その費用の問題もありますし、諸般の状況から考えまして、すぐ近い将来にそれを義務づける法的な規定を作るという意思は目下のところございません。それから、七十四条の三項で、雇用者の側にこれと対応する規定を入れました。これは、運転者が今申し上げたような規定に違反することのないように、「車両等に泥よけ器を備える等の必要な措置をとらなければならない。」こういうふうになっておりまして、泥よけ器をつけてやれば、それはもう一応義務を果たしたことになりますが、それをつけない場合でも、たとえば非常に天候が悪いと、あすこは道が悪いという場合に、バスならバスで、タイム・テーブルの変更なり、ある程度の時間の余裕をテーブルで組むというようなやり方もあるでしょう。まあそういうことで、「等」というところで雇用者の義務をうたっておるわけです。従いまして、泥よけ器そのものをつける義務ということについて、法定的にこれもいたしておりませんし、また、近い将来にそれをやるということもまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/79
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080・白木義一郎
○白木義一郎君 次は、七十大条の第四項の第七号、「前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」、この項と、第十一条の隊列、葬列あるいはデモ行進、そういったような取り締まりとの関係ですね。ここの条文の第十一条の三項との関係は、どっちか一方でこれは取り締まれるのじゃないかと思います。またこれは、今論議されておりますデモ規制法ですか、ああいうようなことにも関係があるのじゃないかと、このように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/80
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081・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ます十一条につきましては、これは、行列等の通行の方法を定めたものでございます。この七十六条の四項七号と申しますのは、これは禁止行為でございまして、六号まで具体的にこう書いてございますが、そのほかにも、たとえば東北地方あたりで、非常に寒くなって水が凍るというような場合に、いつからいつまで道路に水をまいてはならないとか、そういうふうな地方的に禁止する行為というものがあり得るわけでございまして、そういうものを全体に画一で考えずに、地方々々の実情に応じて公安委員会が定めた行為を禁止行為としてとり上げよう、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/81
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082・白木義一郎
○白木義一郎君 次は、免許の欠格事由ということですが、第八十八条に、大型の免許については十八才、それから二輪免許、軽免許及び第二種原付免許にあっては十六才、この年令で、現在走る凶器といわれる乗り物に対する免許の資格が与えられるわけですが、なお、刑事未成年者の違反があるのじゃないかと思うのです。いわゆる十四才以下の子供が交通違反をしたときには、これはまあ全然少年法の立場から取り締まれないというような心配もありますし、それから、十八才になれば大型の自動車が運転できる、こういうふうになっておりますけれども、この条文とそれから少年法の関係、十八才になれば自動車に乗れる、いわゆる成年並みに扱っていくのか。それとも少年法の改正を予想してこういうようになっているのか。大へん十六、七才でスリルを味わうにはまことに便利な免許規定じゃ、ないかと、このように心配するわけですが、むしろ交通事故の防止という建前からいえば、このような危険な年令の人たちには、むしろもう少し免許年令を上げて、そうして違反に対してはある程度の罰則を設けておくと、こういうようにわれわれは考えるんですが、御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/82
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083・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) この法案におきまして、従来現行規定におきましては、普通免許と小型自動四輪車免許を分けてあったのを一つにいたしたわけでございます。それで、小型自動四輪車免許は、現行法で十六才以上これを受け得るということになっておりますので、一つに、普通免許一本にいたしました際、普通免許を十六才と、現行法では普通免許十八才でありますのを十六才まで下げるということにいたしたわけでありますが、この理由といたしましては、確かにただいまお話しのような、少年のスリルを味わう危険性ということも、もちろん一部考えられるわけでございますけれども、運転技能の点から見ますと、普通自動車と小型四輪自動車とは構造上若干の差異はございますが、普通自動車が小型四輪車に比べて非常に高度の運転技能を必要とするというようなわけでもないように思うのであります。また、自動車台数につきまして見ましても、普通自動車は、昭和三十四年七月末現在で十四万二千台余でございます。これに対しまして小型自動四輪車は、その三倍半くらい多い五十二万三千という台数になっておりまするし、また、現在のわが国の自動車の生産状況を見ましても、小型乗用自動車が普及いたしまして、大きい方は、貨物自動車の大型化という傾向があるわけでございまして、普通自動車の台数は今後ますます減少していくんじゃないか。一方現在発給されておりまする第一種の普通免許の件数は、昭和三十四年の七月末におきまして二十七万六千七百件ということに相なり、第一種の小型自動四輪免許が四十一万六千ということになっておりますが、先ほど申しあげましたように、実際に動いている車というものは、小型自動車が五十二万三千で、普通自動車が十四万二千と、こういうことで、実際に普通免許を受けている人でも、小型を使っている人が非常に多いという実情でありまするし、だんだんその傾向が強くなるんじゃないかということになりますと、現在十六才で認めております小型四輪車というものを上げて十八才にするということは、これはやはり趨勢と申しますか、大きい観点から言うと、やはり非常に制約を加えるということに相なるんじゃないか。一部確かに御指摘のような危険性というものもありまして、この辺は非常に慎重に考えたのでありますが、特に就職等につきまして、十八才未満で、いわゆる高等学校時代に免許を取って、そしてこれがやはり就職の、まあ一般の民間の商店とか、そういうようなところの就職などにはやはり相当効果があるというようなことにもなりまするので、この際、やはり思い切って、現在小型に認めております十六才のところにおろしていく。それでも現在より弊害がそう増大するものではなかろう。いい面が、またさっきも申し上げたように、プラスの面が相当にあるのではないかというふうに考えて、十六才にいたしたわけであります。
それから少年法との関係でございますが、これも、お話のように、道交法違反について、少年を成年並みに扱うということも一応考えられるんでありまするが、まあ少年の健全な育成とか、非行少年の性格の矯正、環境の矯正というようなことを考えております少年法の基本的な精神とか、法体系ということを考えますると、この道交法だけについて少年事件の特別の例外的取り扱いをするということは、ほかの法令違反の少年事件というようなものとの関連からしても、はたして妥当なものであるかどうか、もちろん、これは検討を要する問題だとは考えておりますが、道交法の改正を機会に、これだけについて少年事件というものを考えるということは、ちょっと踏み切りがつかない。もう少しやはり深く全体を考えて対処すべきものではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/83
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084・白木義一郎
○白木義一郎君 最後に、一点だけお伺いしておきますが、これも大倉さんから話がありましたが、非常に従来の取締法と比較しますと、今度の法案は、非常に罰則が前と比べましていろいろ議論の余地はありますけれども、前法令と比較しますと、非常に強くなっているという立場から、どうしてもこれは取締官の指導主義ということの徹底をぜひともやっていただきたい。それにつけても、もうおわかりのことと思いますが、一例を申し上げますと、役所へ行っても、都会議員の名刺と参議院の名刺とでは受け付ける者の態度が違う。このぐらい権力に対しては人間は敏感であり、また、スピード違反をサイレンを鳴らしてつかまえるときの気持もまた格別な味があるのじゃないかということも想像するわけでございますので、でき得る限り交通の混乱防止、事故防止があくまでも建前である。取り締まり罰則を科するのは、やむを得ず科するんであるというような点の警察官の教養指導に、長官は全力をあげていただきたいと思います。
それから最後に、これは全然別問題なんですが、ちょっと気がついたところでお話しておきたいと思いますが、先ごろ神奈川で火薬庫の爆発があった。そのときにアメリカの兵隊さんが非常に応援をして、災害救助に功績を立てた。その兵隊に対する長官が表彰をなすったことは、まことに時宜を得た、適切な方法である、こう思うわけでございますが、それについて、表彰者を役所へ呼んでそうして国民の代表として表彰するよりも、むしろああいうような一つのこういう混乱した世の中に起きた美談のような事件に対しては、長官が心からそれを感謝し表彰する意味で、国民の代表として当方から先方へ出かけて行って、そうしてねんごろに感謝を伝達する、こういうような心がまえがあっていいのじゃないかと、これは、私がその記事を見たときに感じたままをちょうど見、えた機会にお話をしておきたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/84
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085・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 第一の、この法律の運用につきまして、警察官ができるだけ指導的な立場に立ち、取り締まるということよりも、指導性をうんと発揮するようにというお話、まことにごもっともでありまして、この道交法は、道路上における危険防止と安全、円滑ということを基本にして、それをまあこいねがっているわけでございまして、それを達成するについて、やむを得ない違反等悪質な者について取り締まりをもって臨むということはもちろんあるわけでございますが、要は第一条の目的を達するということに重点を置いて、警察官の指導力というものを十分に親切に行ない得るように、できるだけの力を注ぎたいと思います。
それから、先ほど今のアメリカ人の問題は、実は、お話のように、こちらから持っていこうというつもりでおったのでございますが、本人としては、ぜひとも警察庁の長官室に行って受けたいと、こういうことで、御夫婦で来るということでありますので、こちらから出向くということでなしに、おいでを願ったわけでございます。これは、本人がそれを非常に希望したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/85
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086・中村順造
○中村順造君 時間がだいぶおそくなりましたので、簡単に一、二質問したいと思います。委員長にお伺いしますが、建設省関係の、道路局長かどなたか、ここにお見えになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/86
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087・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 道路局長が先ほどから見えております。なお、政務次官も見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/87
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088・中村順造
○中村順造君 それでは、どなたでもけっこうでございますが、自動車の関連、あるいは交通量の関連でございますが、私どもが車で町を歩きます場合に、先刻来いろいろ議論されておりましたように、罰則を強化すればこの混雑が緩和するとか、あるいは現在の道路交通が円滑にいくというふうには私は考えておりません。なお、政治の面からいたしましても、何か不都合があれば、直ちに処罰をもってこれに対処するということは、大いに考えなきゃならぬ問題だと思います。罰則を強化することによって——そういう政治をとること自体にも多くの問題があろうかと存じますが、車に乗って考えた場合に、どうしても、この罰則ということが先に頭にくる以前の問題として、道路の容量、あるいは、これはまあ運輸省とも関係があるわけでありますが、その容量の中で運転をされる自動車の種別、こういうものが非常に痛切に感じられるわけであります。先ほど大倉委員からもお話がございましたけれども、まあ一つの例としても、道路を何回も、同じ所を次から次に掘り返していく、違う目的で掘り返していく、こういう問題もありますけれども、さらに、それ以外の問題として、道路容量の問題、いわゆる道路に関するところの政策の問題、年々自動車は大型化していきますし、道はどうしても狭いという感じを受けるわけでありますが、新しい道路を設けるとか、あるいは道路を拡張するとか、道路政策全体に対する考え方が、最近の道路交通に関して考えられるかどうか。なおかつ、その点につきまして、具体的に、それでは今日まで、私の今申し述べましたような内容で配慮がされたという実例があれば、この点を一つお伺いしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/88
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089・佐藤寛政
○政府委員(佐藤寛政君) 道路交通の事故の防止につきまして、先ほど来先生方の御心配を承っておった次第でございますが、私ども建設省、道路を作る方の側から申しますというと、結局、道路を整備することが非常におくれておりますものですから、こういうようなことが起こるのであると、こう考えまして先ほどからまあいろいろ恐縮して伺っておった次第でございます。私どもの方の道路の整備の立場から申しますというと、まあ自動車もろくに通れないような非常に悪い道路、無理をして通れば、交通量が多いからでなく、自動車の交通そのものによって交通の危険というものが起こり得る、交通の安全を保持しがたいというような、そういういわば前時代的な道路、こういうものもたくさん控えておりまして実は、一面においてこれらの整備を進めなければならない。それからもう一つは、たとえば、東京の近くのように、道路そのものは、一応幅も相当あるし、それからまた、舗装もできておる。おるけれども、それらに対して利用される交通の量が非常に多い関係で、実際の交通にあたっては危険な場合が、そして事故を起こすような場合がたくさんあるものがあるわけでございます。ただいま先生の御指摘によりまして、これらの後者の、道路の交通能力ということも考えておかねばならぬ。それらに対してどういう方針を持っておるかという御質問のように承りましたので、それについて若干事情を御説明申し上げたいと存じます。
私どもは、常に道路を利用いたします各種の交通の━━車両ばかりではございません、交通の種類によりまして、その交通量の調査をいたしております。これは、全国的には五カ年間に一回ずつ、五年ごとにやっております。これはもう過去おそらく六、七回にわたって、この五年ごとにずっとやっておるのでございます。全国にやっております。こうしたこの全国的な調査をして、いろいろ資料を持っておるのでございますが、最近のこの交通量の激増の状況は、五年ごとの調査などではとうてい間に合わないということから、重要道路の交通量その他交通の実態につきましては、中央並びに地方の各機関と協力いたしまして、ほとんど毎年そういう調査をいたしております。そして現在はこういう状態であるけれども、この道路が、この交通が、数年先になるとどういうふうになるかという予測を、交通量などの推定もいたしております。
まあ具体的に申しますというと、第二京浜国道、一級国道一号線でございますが、これなどは、現在ごらんのような状態で、もうすでに飽和いたしております。それから先、横浜を通って、湘南、箱根を通りまして、大阪まで参ります道路、一級一号でございますが、この一級一号の道路などを見ますというと、部分的には、今申しましたように、もうすでに飽和に達して、どうにもならないような状態になっておる。全体的に申しましても、ただいま私どもの調査の結果の推定では、昭和四十年ごろになりますというと、全面的にこれは交通容量を超過いたしまして、非常に交通のもう混雑を来たす、こういう推定でございます。
それで、こういうような交通推定を常にいたしておるわけでございますが、そこで、たとえば第二京浜国道のような場合につきましては、すでに私どもといたしましては、さらにあの京浜間の交通を緩和いたします一つの計画をもって、実は三十四年度の予算をもって、この新道路の築造を考えておる次第でございます。
そういうふうに、この各地の道路につきましては、交通の実情と、それからそれが将来どういうふうに伸びていくか、それからまた、事故などがございましたときには、いろいろと警察関係でお調べになっておるようでございますが、道路の方で、そのお調べになった実情をよく伺うとか、あるいはまた、道路自体でこの調査をいたすとかいたしまして、将来の交通の伸びに応じまして、支障のない道路を作って参るよう心がけていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/89
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090・中村順造
○中村順造君 お話はよくわかりましたが、この交通量の調査に関連をするわけでありますが、お話を承っておりますと、非常にけっこうな調査がされておる。しかし、最近は、五カ年ごとだということでは実情に合わぬということもおわかりのようでありますが、そこで私は、その調査の結果、明らかにそういう面について、道路の交通量から見て、これはまずいというふうな結論が出る場合があると思います。せっかくそういう結論が出た場合に、それでは、それがどういう面で生かされておるか、これは国友自動車局長にもお尋ねをいたしたいと思いますが、そういうふうな道路の容量が限界に来ておる。しかし、この法律は全国で適用されるものでありますが、地方によりますと、そういう限界に来ておる道路の容量の中で、さらにバス、トラックあるいは定期便、こういうものが逐次許可あるいは認可になって営業を開始している。こういう場合もあろうかと思う。これがもし、今道路局長のお話にありましたように、その調査の結果、こういうものが非常に有効に措置をされるということになりますならば、この自動車の道路の交通ということにつきましては、若干その面からの規制も受けて円滑に交通がいく、ひいては事故も少ない、こういう結果になろうかと思うのです。これらの関連性につきまして、もう一回、その調査結果がどういうふうに生かされておるのか、それからまた、これを受ける側の自動車局としては、許可認可に関連をしてどういう考え方でやっておられるか。この点に関連して伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/90
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091・佐藤寛政
○政府委員(佐藤寛政君) 五年ごとに全国的に調査をいたしております交通調査の結果は、取りまとめましても相当大部なものでございますが、取りまとめて活版印刷をいたしまして、相当部数そういう資料を作って、私どもの方としては、関係方面に、御利用下さる方面に、皆さんに差し上げてございます。これは、建設省が実施いたします全国的な正式な交通調査でございます。そのほか年々必要に応じてやっておりますものは、これは必ずしも全国どの道路も全部やるというわけではございませんで、そろそろ交通対策を考えなければなるまいと思われるもの、その他必要に応じて実施しているのでございますが、それは必要に応じての調査でございますから、その調査いたしました結果をいろいろ研究いたしまして、将来の交通の事情等を調査研究いたしました結果を、あるいは機関誌に発表するとか、その研究報告会に発表するとかいうような形で、なまの調査そのものだけでなく、いろいろそれに従いまして研究をいたしましたことを関係方面にはお知らせをするように努力をいたしております。それから、いろいろそうした調査は私どもの方でやっておりますが、同時にまた、運輸省、それから警察方面、また各地方団体がそれぞれ必要に応じてやっておりますので、なるべく総合的に資料を集める必要がございますので、私どもの方といたしましては、そういう資料がございましたならば、この各機関に連絡いたしまして、その結果をちょうだいいたしまして、それをまとめるような努力もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/91
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092・国友弘康
○政府委員(国友弘康君) バス等の免許に関しましては、これは道路運送法に基いて意見聴取をいたしておりますが、道路管理者の意見を聴取する。それから公安委員会の意見は覚書によって提出いたしておりますが、公安委員会の吉見も聴取いたしまして、運輸省で措置いたします場合には、道路管理者及び公安委員会の意見をそのまま取り入れて今措置をいたしております。ただ、最も古く免許されました路線につきましては、東京の郊外地帯というような所で、非常に狭い道路に大型のバスが走っておりまして、危険な状態であるということもいわれ、われわれもそれを痛感しておりますのですが、これらの事項に関しましては、具体的にその場所その場所で解決をいたしておりまして、これは、道路管理者及び警察当局も打ち合わせまして、すでに数件、場所々々によりまして解決をして、できるだけそのバス及びその他の自動車交通が円滑にいくような措置をいたしておるのが現状でございまして、今後もできるだけその方面につきましては改善をはかっていきたいと思っておりますし、新しいバス路線の免許については、道路管理者とか公安委員会の意見をそのまま尊重して措置をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/92
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093・中村順造
○中村順造君 それでは、先ほど来この点につきまして、いろいろ関係各当局で意見の調整なり打ち合わせをする機関を設ける、しかもそれが権威のあるものを設けようという御意見もありましたので、私といたしましても、願くはそういう機関が設けられて、そうして今申しましたようなことが非常に高い見地から配慮されるということを望むわけであります。たまたま運輸大臣がお見えになりましたので、これはやはり、道路交通ということと陸運行政と申しますか、自動車行政全般に関連をする問題として、私の方は長い間宿題を持っておったわけでありますが、たまたま所管の自治庁長官もおられますので、それぞれ一つここで御意見を承ることができますならば、お聞かせを願いたいと思いますが、と申しますのは、それぞれの地方にあります陸運事務所、この陸運事務所が現在、これは私ども今さら説明するまでもなく、非常にあいまいもことした存在であります。説明する必要もないと思いますが、そういうことで、私どもは、運輸委員としていろいろお話を今日まで承った中では、ぜひ陸運事務所の所属については、運輸省に一つ一貫して所管さしていただきたいと、こういう要望もしばしば承っておりますが、そういうことも、やはりこの道路交通なりあるいは陸運行政を全般的に見ました場合に、その必要もあろうかと考えますが、たまたま二人の大臣がおられますので、この際、一つこの点に関する御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/93
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094・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 最近の交通事故並びに輸送の錯綜につきましては重大なる問題になっておりまして、一日もゆるがせにできない段階にきておるので、われわれも、毎日新聞等を見ましても、これは容易ならないことであると、いろいろ苦慮いたしておるのでありますが、従って、今回の国会にも、自動車審議会というものを作る予算等を要求いたしまして、法案等も出しておるような次第でありまして、さいぜん承りますように、総合的な立場からやっぱりこの問題を解決しなければならない。ことに都市交通については、これはもう大へんなことになっておるので、都市交通の審議会においても道路部会というものを設けまして、いろいろ検討をお願いしておるような次第でありますが、今、中村委員からお話しになりました陸運事務所の帰属の問題でありますが、陸運輸送といたしましては、私としては、運輸大臣といたしまして、石原長官にお願いを申し上げておるのは、ぜひ陸運事務所を運輸省側に一つ一本の筋の通るように移管してもらいたい。これは、最近の白タクの取り締まり等の問題等におきましても、その知事のいかんによりまして、御存じのように、地方長官のもとに隷属しておる関係もありまして、長官のいかんによっては取り締まりもやらない。だから、違法行為も野放しになっておるということもあるのでありまして、それらがひいて事故を起こし、犯罪を誘発するということでもあるのでありますから、また、予算その他人員も運輸省側からやっておるような関係もありますので、できれば運輸行政の一環としてこれは一元化してもらいたい。また、これに働いておる職員の諸君も、労働組合等がしばしば陳情に参りまして、身分等の不安等も感じておるような状態でもありますから、私が運輸大臣になりましてから、石原長官にこの問題を投げかけて、今交渉をしておる次第でありまして、どうか石原長官、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/94
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095・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 自動車行政の統一といいますか、陸運事務所の問題につきましては、ただいま楢橋運輸大臣からいろいろお話のございましたように、私と楢橋大臣の間でもいろいろ意見の交換をしているわけであります。実は、私もかつて地方長官をしまして、陸運事務所というものが配下にあって、どういう形になっているかということもよく承知しておるものであります。そこで、この系統の一本化ということについては、私もあえて異論を持っておるものではないのでありまするが、ただ、この現在の錯綜した自動車の行政のうちで、いわゆる車体の登録であるとか、あるいは車体検査のような仕事、こういうものはむしろ交通警察の行政で管掌した方がいいのではないかという、私はこれは昔からの意見を持っております。ごとに戦前におきましては、こういう行政は一切いわゆる交通警察行政であった。戦後の警察制度の変革に伴いまして、今日のような形になっておるのでありまするが、しかし、今日の事態からいえば、こういう面の行政は、むしろ人員においても機構においても整備しておりまする交通警察の範疇に入れた方がいいのではないかと、まあこの点が私と運輸大臣との間でまだ意見の調整のつかない問題でありまして、まあ自治庁、警察庁、運輸省の間でこの問題に何らかの結論を得たい。まあ結論を得るには、私と楢橋運輸大臣の間の時期が非常にいいのではないかと私自身は思っておるのでありますが、なかなか役所の行政というものは、御存じのように、一朝一夕に簡単に割り切れないものが多々あるのであります。陸運事務所を系統機関の一本の筋に置くということについては、私は、その線ででき得る限りの今研究と調整努力をしつつある段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/95
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096・中村順造
○中村順造君 大へん私はやぶへびのようなことになりましたが、今、石原自治庁長官の最後のお話でございますが、警察の方にまかしたらどうだろうかというお話がありましたが、この点は、私は反対であります。申し上げるまでもなく、警察は最近非常にお忙しいようでありまして、何か労使の間でもなかなかおやりになるようでありまして、そこまではとても手が回らぬと思います。従いまして、やはり交通の取り締まりということなら別でありますけれども、この観点からするところのいわゆる陸運行政あるいは交通政策というふうな面からは、やはり懸案になっております陸運事務所の帰属の件につきましては、私はあえて運輸委員であるからということで申し上げるわけではありませんけれども、いろいろ従来の歴史、経過等にかんがみまして、さらにその仕事に実際に携わっておる人たちの意向まで考えますときには、やはり本来の運輸省に帰属をすべきではないかというふうな考え方があるわけでありまして、これは、たまたま今楢橋運輸大臣と石原国務大臣の間では非常に話がつけやすい、こういうお話もせっかくございましたので、一つつけやすい時期に明確につけていただくということを希望いたすわけであります。
それから、これは非常にこまかい話でありますが、これもまた自動車局長とあるいは警察当局とのどちらかという問題かもしれませんが、先ほど白木委員からも御指摘ありましたが、私は運輸委員として、全国各地から、自動車の泥よけですか、これによる実害の例証をあげて、たくさんの陳情を受けておる。いろいろ先ほど来罰則強化ということもいわれておりますが、これがただ単に徐行すればそれでよろしいとか、あるいはつけてもつけなくても原則だと、こういうことでは、現実に実害があるわけでありまして、こういう面につきましては、また別な視野から一つ配慮されてよろしいのではないか。これは多くの実害者から陳情に基づく私の要望でありますので、この点は、一つ御配慮いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/96
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097・大倉精一
○大倉精一君 これは自治庁長官にお伺いするのですけれども、お伺いするというよりも、ただいま陸運事務所の話が出ましたので、参考のために一つ聞いてもらいたい。
私も、どうもやはり楢橋運輸大臣の方へ軍配を上げる方でありまして、そういう立場からやるのですが、最近やはり地方にこれをおろした場合に、一長一短があるでしょうが、いろいろな弊害が私はあると思うのですよ。特に心配されることは、県知事が昔と違って公選でございますから、そういう関係から、与党野党の県会議員というものがおって、政治的ないろいろなものが出てくるのではないか。むろんこれは中立はあると思うのですが、それ以上に下へおろせば妙なものが出るのじゃないか。
もう一つは、自動車というものの性格から、一つの地域に限定されたものじゃなくて、広範囲にわたってこれはやはり運行され、広い行動範囲にわたるもので、さらにまた、各県によって富裕県も貧乏県もある。あるいは条例によっていろいろ違う。こうなってくるというと、やはり自動車行政の一貫性ということについて非常に問題が出てくるのではないか。私がちょっと聞くところによるというと、ある県では、免許をするについては、県の方へ寄付せい、一台について幾ら寄付せい、寄付をもらって免許するという所もあるようであります。こういうことが今でもあるのだから、今度は、向こうへ行ってしまったら大へんなことになるんじゃないかという気がするのです。こういう数々の弊害がありますから、これは一つ、自治庁長官は地方におられたのだから、みなの意向でそういうことにいかぬだろうと思いますけれども、そういう点についても、十分一つお考え願いたい。そういう点についても御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/97
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098・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほども私触れたのでありまするが、陸運事務所が知事の下部機構にあるということについては、私は必ずしもそれに賛成しておるものじゃないのであります。陸運事務所は陸運局の系統に一本化していいと私は考えておるのでありまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、この交通警察の見地から、むしろ自動車の登録であるとか、あるいは車体検査のようなものは、交通警察が握った方が実態に即するのじゃないか、大へん運輸省なり陸運当局に対してあるいは失礼な言い分かもしれませんが、今の現状から考えましたならば、その方が実績を上げるのじゃないかというので、自治庁とか、いわゆる地方制度の機構にほしいというのじゃない、むしろ警察の方に統一した方がいいのじゃないか。前はそうだったのです。それで非常な実績を上げておったのであって、それを言うておるのでありまして、自治庁の問題じゃないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/98
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099・大倉精一
○大倉精一君 まあお二人おいでになって、これ以上あれですから、どうか一つ一長一短あるところを十分御勘案願って、運輸関係の意見というものを十分一つ尊重してもらうようにお願いしたいと思います。
それから、道路局長おいでになりますので、関連して質問したいのですけれども、先ほど中村さんの方からいろいろ御質問がありましたが、今、都市の交通で最も妨害になるのは道路工事なんですね。しかも、どうも一月過ぎになりますというと、年度予算を消化するために方々一斉に道路工事が始まってくる。こういうことがいまだに消えない現象なんですけれども、こういうものは、年間平均して道路をやり、やむを得ないものは夜間やるとか、そういうような措置がとられないものか。毎年々々、どうも年度末になりますというと、道路工事が集中して、非常に混乱が起こってくる。こういう現象があるのですけれども、一つこれに対する措置についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/99
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100・佐藤寛政
○政府委員(佐藤寛政君) 都市の交通を阻害いたしております原因の一つとしては、道路工事も確かに重要な要素でございまして、私どもとしては、非常に頭を悩ましておるのでございます。これには、道路を掘りますには、道路工事以外に、下水、ガス、電気、いろいろございますが、ただいま御指摘になりましたような道路工事自体も確かにその一つであると存じておるわけでございます。そこで、ただいまの道路工事のやり方でございますが、御承知のように、東京都内を例にとりまして申し上げますというと、一級国道というような最重要路線の修繕は、国直轄で実施いたしております。それから、その他の道路は、これは都が工事するとか、あるいは、東京の場合ですと区が工事をするとか、いろいろそれぞれの分担によって各機関で実施いたしておりますが、国が直接実施いたしております直轄の事業に対しましては、修繕工事は、ただいまは夜間やらせるようにいたしております。これは全部ではございませんが、その場所に応じまして、むしろ昼間は一応掘ったところをかぶせまして、そうして交通のじゃまにならないようにいたし、そうして工事は、再び夜になるとそれを掘り起こして実施する。ずいぶん経費がかかることでございますが、交通のそうじやまにならないという関係から、そういうふうにいたさしております。これは、直轄はそういうふうに実施いたしておりますが、非常に混雑する道路につきましては、各機関で実施いたしておりますいわゆる補助事業、あるいは単独の事業につきましても、なるべくそういうふうに実施してもらうように慫慂いたしておるわけでございます。東京都自身の工事などでは、一部そういうふうにしてくれておるところもあるようでございますが、まだ全面的に夜間工事というところまではいっておらないようでございます。従いまして、これらにつきましては、私ども工事を実施いたします関係機関といたしましてもよく相談いたしまして、できるだけじゃましないように、御指摘のように、夜間実施いたした方が非常に有効である場合には、極力そういうやり方をやるように、その他諸般の交通をじゃましないという点では、研究を進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/100
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101・重盛壽治
○重盛壽治君 運輸大臣が最後に申しわけに来てくれたが、だいぶおそくなってしまって、非常に運輸には関連性のあるこの法案の審議で、残念だったと思います。あとから国友自動車局長に聞いていただけばこれは幸いですが、この法案は、何といっても運輸行政の上には、特に自動車行政の上には非常に大きな影響を持つ法案であります。そこで、先ほど来自治庁長官や警察庁長官その他の関係者にいろいろお尋ねをし、またお願いをしておったのでありますが、どうしてもこれは、ちょうどおいでになっておる自治庁、運輸省、建設省、警察庁、特にこうした部面が一体になって解決していただかなければならぬし、その一体の角度から見て作り上げていかなければならぬ法律であろうと私は考えるのであります。そこで、そういう方針でもちろんおやりになってきたという答弁はあったのでありまするが、これを固め上げるまでには、さらにその方針を強化をしてもらうべきではなかろうかと思います。ここで言うのは、あるいは言い過ぎであるかもしれませんけれども、すでに道路局長が、五年先には、また京浜国道といえども詰まってしまうであろうと言われるが、交通量というものはますます発展というのか、あるいは膨張というのか、そういう姿が現われることは考えなければならぬ。時たまたま四年後にはオリンピックの大会が開催される。これは私はあえてあなた方にオリンピックの能書をいろいろ言うわけではありませんけれども、オリンピックが単なる国民の体位の向上であるとか、あるいは各競技種目によって強力な選手を作り上げるということではなくて、それを契機として、できるならば、これは私どもも若干関係者の一人として考えることは、日本の将来の方向づけを一つ考えたい。その方向づけの一端としては、いわゆる観光日本としての姿を、そこらを契機として、いまだなかった絶好な機会を利用して一つ盛り上げてみたい。そうすることのためには、従来のような━━今決して石原長官と楢橋運輸大臣とのやりとりを聞いて、それがけしからぬとか何とかいうことではございませんけれども、従来ややもすればなわ張り的な立場にいて、道路はうまくいったけれども、あの大会には自動車行政はうまくいかなかった、自動車はつながってばかりいて、一つも走らなかったじゃないか、あるいは、取り締まりが厳にしてうまくいかなかったのじゃないか、外国人が大へん感情を害したのじゃないかというような、いろいろな問題等が起きることも考えられるし、私は、何といっても、それを契機として、今申しますように、観光日本の実態、さらには、あなた方とは少し感覚が違うかもしれませんけれども、平和国家の日本の姿というものは、こういうきれいな姿でやっていくのだという実態も見ていただきたい。従って、えらい戦争準備なんかをした姿を見せるよりは、文化的な推進した姿を見せるべきであると思う。そういう意味合いからいって、どうしてもやはり総合施策という線に大きく踏み切ってもらわなければならぬし、そういうためには、こういう何かのやはり契機がなければならぬのではなかろうかと存じますので、こうした法案を作っていくときに、それらも一つ含めて、もう四年先といってもすぐであります。特に道路の問題などを一緒に解決していくことになれば、これは、今からやってもあるいはおそいかもしらぬぐらいの問題でございますので、そういう意味合いで、総合施策委員会のようなものをぜひ設置をしていただきたい。これは、あるいは予算委員会でお願いすることであるかもしれませんけれども、たまたまきょうのようにそろっていただいたことがないので、この法案に関連した問題として、一つお願いをしておきたいと存じますし、さらに、自治庁長官、運輸大臣のこれに対する御意見があるならば、聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/101
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102・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) ただいま非常な適切なお話がありまして、私もかねてからこの道路交通問題については非常に心配もし、かつまた、今日のようにばらばらであってはだめだという考え方を持っておったのでありまして、今般道交法の上程されるにあたりまして、警察関係、自治庁関係及び建設省、私たちの方と共同で、この問題をやはりやらなければならぬ段階に来ましたので、ちょうど明日交通閣僚懇談会等もありますので、建設大臣もいずれ出られますし、自治庁長官も出られますから、その会のあとでも一つ御相談を申し上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/102
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103・松永忠二
○松永忠二君 今お話を聞いておりますと、今までも非常に道路行政なり、あるいは自動車行政なり、あるいは警察の行政が円滑にいくことに努力をしてきたというお話をなさっておるわけなんですが、たとえば、私たち、きのう東京都内を一巡してみても、こういう話も具体的に出ておるわけです。第二京浜国道について、たとえば道路構造令によって分離帯が両側に作られている。まん中へ分離帯を持ってきてくれれば非常に衝突も起こらない。そこで、まあそういう点を再三再四交渉しているが、事実上それができていない。そのために非常に事故も多いと言っているわけです。また、今の道路を掘り起こす問題等についても、中仙道の方へ行く道路は、第二国道も、両方ともいじっているということなんです。そのために道路の運送が非常に輻湊している具体的な事例もあるわけです。それからなお、今陸運事務所の行政の移管の問題について出てきているんですが、御承知のように、運送法について政令を作らなければできないということで、特にバスの免許の問題について政令で基準を作るということが、事実上いまだなお行なわれていない。そのためには、建設省やまたは公安委員会の意見を聞かなければならないという申し合わせもできているし、そういうものは、すでに二十九年や三十年からできているにかかわらず、その免許が運輸省において割合にルーズに行なわれているというところに、所管についても異議が申し立てられる理由が出てきていると思うわけです。おっしゃる通りに、聞いていると、非常に円滑に連絡がとられているようなことをおっしゃるけれども、事実上は、非常に連絡はうまくいってないわけです。うまくいっていないために、結局こういうふうな法改正もしなければできないという実情にあるので、こういう点について、私たちは地方行政ですから、具体的な問題が起こったときに、また一つ両省の方から出てきていただくけれども、あまりに今の御答弁が私たちの実情を調査したものと違っているので、こういう点については、やはりもう少し率直に私たちもお聞きをしなければいけないし、また、この道路交通法を通すにあたって、建設省と運輸省の果たす責任というものを明確にしてもらわない限り、道路交通の責任を警察庁だけが一方的に負うことはできないというふうに私たちは思っているのです。その点について、両方からなおもう一回答弁をしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/103
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104・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) ごもっともなお話でありまして、その点、率直に言って、十分に連絡ができおらず、かつまた、実現しておらないことが、今日この道路法をめぐって一つ協議会を作ったらどうかというような提案をされて、答弁しておるような事態でありまして、それは率直に認めるのであります。従いまして、今後は一つそういう線に沿いまして、今ネックになっている問題、あるいは運輸省等においても直すべき点が多々あると実は認めるのでありますが、その点は、バスの問題等におきましても、せまい所をバス一ぱいに走っておる。それで交通事故を起こしておる。しかし、一方には、どうしてもバスを通してくれというような切実な要求等がある。そういう場合等において、バスの大きさはどういうふうに規格し、交通事故を少なくするのか、あるいは、乗る人員を少なくして、小さいバスを何台も通すというふうにするか、何らかそういう点を工夫して、道路をすぐ直せない所は、要求する道路交通量を運ぶという一つの使命を勘案して、そこに妥当な常識的な解決をするということをやられるべきだと思うので、先般私、衆議院の運輸委員会の方においてもそういうことを申して、自動車局長にも、至急研究もし、かつまた、そういう措置もとるように指示しておるような次第でありまして、その点は、今後十分気をつけるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/104
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105・佐藤寛政
○政府委員(佐藤寛政君) 交通関係の各機関に対しては、いろいろ連絡をとっておるつもりでございますが、なお不十分な点につきましては、今後さらに注意いたしまして、手落ちのないように連絡をとって参りたいと存じております。ただいま御指摘の、道路とそこを通る車との関係につきましても、実は道路法の方に、道路が非常に狭い場合におきましては、その道路の構造との関係で、そこを通る車両を制限することができると、政令でそういうような規定もございます。つまりあまり狭い道路に対しましては、大きな車が通ることを制限することができるような措置があるわけでございます。実は、この政令の設置にきましても、本日でなく、すでに数年前からこういうことを考えておったのでございます。これは、先般の地方行政委員会におきましても申し上げておると存じますが、従来たびたびそういうことを考えたのでございます。狭い道を大きな車を通すことを制限することは、交通事故を防ぐ上から申しまして有効でございますが、同時に、また一面、交通利用者の不便ということも考えなければなりませんので、そこにむずかしいところがあるわけでございますが、ただいまこれらの問題につきましても、具体的にする必要があるだろうというようなことで、運輸省、警察方面とも御相談いたしておりますが、その他こうした問題につきましては、十分御連絡をつけるようにさして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/105
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106・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 残余の質疑は次回に譲ることにいたしまして、連合審査会は、明日午前十時から開会することにいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414695X00119600309/106
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