1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二日(火曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
二月二十二日委員米田勲君及び占部秀
男君辞任につき、その補欠として藤田
進君及び加瀬完君を議長において指名
した。
二月二十六日委員藤田進君、加瀬完君
及び杉山昌作君辞任につき、その補欠
として米田勲君、占部秀男君及び大竹
平八郎君を議長において指名した。
二月二十九日委員松澤兼人君辞任につ
き、その補欠として加瀬完君を議長に
おいて指名した。
本日委員加瀬完君辞任につき、その補
欠として松澤兼人君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
基 政七君
委員
大沢 雄一君
館 哲二君
湯澤三千男君
占部 秀男君
木下 友敬君
松澤 兼人君
松永 忠二君
中尾 辰義君
大竹平八郎君
国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警察庁刑事局長 中川 董治君
警察庁保安局長 木村 行蔵君
国家消防本部総
務課長 山本 弘君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○消防法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○地方財政法及び地方財政再建促進特
別措置法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○道路交通法案(内閣提出)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
議事に入ります前に、委員の異動について御報告いたします。
二月二十六日付をもって委員杉山昌作君が辞任せられ、その補欠として大竹平八郎君が委員に選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) まず消防法の一部を改正する法律案及び地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案、との両案を便宜一括議題として、提案理由の説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/2
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003・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今回提案いたしました消防法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
消防法の改正につきましては、すでに第三十一回国会におきまして、その一部の改正を見たところでありますが、その後さらに火災の予防の徹底を期するため種々検討して参りましたところ、今回成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。
以下、この法律案の主なる内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、従来の防火責任者の制度を改めて、一定の防火対象物に防火管理者を設けさせ、その資格及び職務内容等について整備をはかり、もって防火管理の徹底を期することといたしました。
第二に、火災の拡大の危険の著しい物品の貯蔵または取り扱いの技術上の基準を市町村条例で定めることとし、これらに起因する火災の予防の徹底を期することといたしました。
第三に、従来は、消防の用に供する機械器具等につきまして、設備すべき建築物その他の工作物の指定並びに設備の技術上の基準に関する規定は市町村条例にゆだねておりましたが、これを改めて、政令で指定した防火対象物に対しては、消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設を設置するとともに維持しなければならないこととし、これに関する技術上の基準は政令で定めることとして、これが徹底をはかり、もって火災等の災害の防止を期することといたしました。なお、技術上の基準につきましては、地方的実情に応じ、市町村条例でその付加をすることができることとして、実情に即した運営をはかることといたしました。また、この技術上の基準に関する法令の改正または防火対象物の用途の変更による切りかえを円滑に措置するため、現存の防火対象物等における消防用設備等についての法規の適用関係を調整する条項を設けることといたしました。
第四に、以上の改正に伴う罰則及び経過措置について規定するとともに、その他規定の整備をはかることといたしました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由とその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたします。
次に、ただいま議題となりました地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明いたします。
地方財政につきましては、ここ数年来諸般の改善措置が講ぜられ、その健全化が促進されて参ったところでありますが、今後さらに地方公共団体の財政運営の面におきましても、年度間の財源調整を強化し、国と地方公共団体及び地方公共団体相互の間における財政秩序の適正化をはかり、地方財源の充実の措置に対応して、住民の税外負担を軽減し、財政運営の合理化を通じて長期にわたる財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資する必要があるのであります。
以上が本法律案の提案の理由であります。次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。
第一は、地方財政法の改正に関する事項であります。
その一は、地方公共団体における年度間の財源調整に関する規定の整備をはかったことであります。
従来からも年度間の財源調整に関する規定はあったのでありますが、これを全面的に改正し、地方公共団体の一般財源が新たに増加する義務的経費の額を著しくこえて増加することとなる場合等におきましては、その著しくこえることとなる額は、災害により生ずる経費減収の補てん、赤字の解消、緊急に実施を必要とする大規模な建設事業その他必要やむを得ない経費の財源に充てるほかは、これを積み立てるか、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等に充てるか、又は地方債の繰上償還の財源に充てなければならないものといたしました。なおこの積立金は、経済事情の変化等により歳入が激減した場合の財源不足額の補てん、災害関係の経費、財源育成のための財産の取得等の経費、地方債の繰上償還等の特定の経費に充てる以外には取りくずすことができないことといたしました。
その二は、地方公共団体相互の間における財政秩序の適正化に関する規定の整備であります。地方公共団体は、その相互の間における正常な負担関係を乱すようなことをしてはならない旨を明文をもって規定するとともに、都道府県またはその機関が行なう道路、河川、海岸等にかかる大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費は、これを市町村に負担させてはならないものといたしました。
その三は、地方財政の健全化のための諸措置に対応いたしまして、住民の税外負担の軽減合理化をはかるために、法令の規定に基づき市町村の負担に属する経費のらち政令で定めるものにつきまして、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならないものといたしました。
その四は、昭和三十四年度において行なった固定資産税の制限税率の引き下げに伴う減収を埋めるための起債の特例措置の延長でありまして、この措置は、昭和三十五年度以降におきましても、なお、当分の間実施することとしたのであります。
第二は、地方財政再建促進特別措置法の改正に関する事項であります。
その一は、財政再建計画の承認またはその変更の承認を求められた場合、合理的な再建の達成に支障がないと認められる限り、自治庁長官は、その行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するものとしたことであります。
その二は、現行法上政令で定める年度以降歳入欠陥を生じた地方公共団体について、財政再建計画を立てた後でなければ、地方債をもって公共または公用の施設の建設事業費、出資金、貸付金、地方債の借りかえ等の財源とすることができないこととなっているのでありますが、その年度を昭和三十六年度以降と法定することとし、なお地方債制限の対象を公共または公用の施設の建設事業費に限ることといたしました。
その三は、地方公共団体は、従来から、当分の間国に対して寄附金等を支出してはならないこととされているのでありますが、地方財政の実情にかんがみ、公社、公団及び公庫につきましても同様に取り扱うこととし、国及びこれに準ずる機関と地方公共団体との間における財政秩序の合理化に資することとしたことであります。
以上が地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 両案の補足説明及び質疑は、後日に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/4
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005・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、道路交通法案を議題として質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/5
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006・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/6
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007・松永忠二
○松永忠二君 長官にお尋ねいたしますが、道路交通法の提案理由の説明の中に、この新しい法律は、全面的に検討を加えて、新しい時代に即応した道路交通の基本法としてこの法律を立案したと、とういうふうに出ておるわけであります。そこで、そういう基本法を作るにあたっては、単に警察庁における検討だけではなくて、道路交通の安全あるいは円滑をはかるというためには、関係している各省が非常に多いと思うのであります。あるいは通産省あるいは運輸省、建設省、また道路基準の関係からいえば労働省、あるいはもっと広くいえば厚生省も関係をしておるわけでありますが、こういう各省との間にどういう一体検討をされて、そうしてこの道路交通法を基本法として制定をする。そういう中で警察庁の果たす役割としてこの道路交通法を制定されたのか。その経過あるいは検討の次第というものについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/7
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008・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 提案理由の説明の際にも申し上げたのでありまするが、この法律は、現行法は昭和二十二年に制定されまして、当時から考えまするというと、車両の数にいたしましても約十一・五倍というような数字、事故にいたしましても、いろいろなことを考えても、それぞれやはり十倍ぐらいになっておるのであります。まあ今日の現状に合わないということで、そこで国会におきましても、たしか一昨年の国会でありましたか、衆議院の地方行政委員会で、法案の全面的改正について、附帯決議であったか、決議されているような次第であります。一般の世論等も非常に盛り上がって参りました。今御指摘になりましたように、道路交通に関する規律でありまするので、いろいろな省に関係しております。御指摘になりましたような省のらち、特に運輸省であるとか建設省であるとか、こういうところにも、それぞれ道路運送法であるとか道路法であるとか、関連の深い法律を持っておるのであります。これらの関係各省と折衝し、十分の意見の交換を遂げましたことはもちろんのこと、なお、一般世論を徴したいと思いまして、道路交通取締法改正についての検討懇談会というものを各界の代表——専門家もいる、あるいはまた業界の代表も、あるいはその方面の労組の代表も入ってもらって、どういう検討懇談会においても数回の懇談を重ね、意見を徴しましてまとまったのがこの案でございまして、しさいに検討すれば、まだいろいろ各省でさらに調整を遂げた方がより以上いいのじゃないかという問題もございますが、大体最大公約数を集めてまとめ上げたのかとの法案であります。
大体以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/8
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009・松永忠二
○松永忠二君 私のお尋ねしたいのは、一応道路交通法として警察庁の持つ役割というものは、今後これを検討していけば私はわかると思う。ただしかし、道路交通の安全をはかっていく、危険の防止をはかっていくというためには、ここで提案されている道路交通法だけを実施していっても、これを完全にしていくことはできない。もっと具体的に言えば、運輸省あたりに関係しているので問題にもなっておりますあるいは車体の制限の問題であるとか、あるいは自家自動車について非常に多くなってきているのに、これの登録だけでこれがどんどん認められているというような点、あるいは普通の営業許可の場合における条件等についても、実は道路交通に特に深い関係を持っているそういう方面がどら具体的に解決していくのかということとかね合わせて、道路交通の法律が実施されていくというところに、初めて完全にそういうものができると思うのです。今お話のあった交通事故防止に関する決議についても、こういう点を各方面から触れて、指摘をされて決議もされているわけなんです。こういう点については、政府として総合的な政策を立てて、その一環として実施をするというのか。あるいは警察庁は自分の所管の問題としてまずこれを取り上げてやるというのか。その政府としての総合政策というものがあって、その一環として行なわれておるものなのかどうかということを私はお聞きしたいわけです。それとまた、具体的に他の省あたりが、この交通法の実施に伴ってこういう点については具体的に他の省で検討して、今後それを実施に移すという、そういういわゆる各省間の連絡もあって、今後各省において実施をされて、総合的に交通事故防止ができるという判断の上に立って出されているのかどうか。こういう点について大臣にお聞きしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/9
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010・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) この道路交通警察というか、取り締まりというか、こういう問題につきましては、従来は、戦前は、まあ原則としてほとんど警察がやっておったわけであります。乗合自動車の免許は、運輸省と当時の内務省の共管でございましたけれども、ハイヤーの免許であるとか、そういうものは、一切交通警察に重点を置いて、そういう立場でやっておられたのであります。戦後になりまして、御承知のように、警察というものが犯罪とか取り締まりとか、そういう一本にしぼってきましたので、従いまして、交通に関する行政も、非常にいろいろな方面に分散し、ことに営業関係は、一切運輸省が所管するような形になっておるわけであります。そういう関係で、今運輸省、建設省あるいは警察庁、非常に関連する面が深いのでありまして、まあ私どももいろいろな機会にも言うておるのでありますが、率直に一言えば、本来ならば、車体検査であるとかあるいは登録であるとか、こういうことは、むしろ交通取り締まりを主管する警察庁で持った方がいいのではないかというような意見も実は持っておりまして、いろいろ折衝もしつつあり、してもおることもあるのでありますが、しかし、これはなかなか行政機構の問題に触れますので、そう一朝一夕にはいかないのは、皆さんも御理解いただけると思うのでありまして、そこで、最近問題になっております、狭い道路に大きな乗合自動車がどんどん入って、行きづまりのような、ふんづまりのよらう形になっているとか、いろいろな問題があるのでありますが、実はこういう問題についても、この際でき得れば一挙にどこかに主管をきめるとか、まとめたいという考えを持ったのでありますが、なかなかそこまで参りません。そういう問題については、関係各省でいろいろ覚書を交換いたしまして、覚書に基づいていろいろの実施をする、それらの覚書その他についても、さらにそれを一そう整備せしめたい、また、今しつつあるわけでありますが、そういう問題はいろいろ残っておるのであります。今回いわゆる今までの道路交通取締法を基本にいたしまして、それを中心として、それで、取り締まるということばかりでなく、交通の一つの秩序の基本を今回の道路交通法で定めたい、こういうことでこの法律ができておるのであります。行政機構に触れる面につきましては、御指摘のように、まだ問題が残っているといえば残っているのでありますが、それは、今後関係各省の連絡を一そう緊密にいたしまして、まあ私も、そういう問題については、さらにそれを掘り下げまして、一そう円滑なる交通運輸行政が行なわれるようにいたしたい、かように思っているのでありますが、現在の段階のところでは、今私の申し上げたようなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/10
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011・松永忠二
○松永忠二君 総理府には、交通事故防止対策本部というものを設けられているように承知しているわけであります。こういうことを各省間から出てきて調整をして実施をしていくということで、事実上会議を設けられて実施をされておるわけなんですけれども、具体的に一体そういうところでどういうことが協議をされたのか。そうしてまた、先ほどお話のあった覚書等について、今後そういう面を各省の間で連絡をしていくというお話がありましたので、この点については、一つそういう覚書等の資料をやはり出していただいて、やはり私は、今度のこの道路交通法によっていろいろな人がいろいろな義務を負わなければできないわけであります。刑法的なつまり責任を負わなければできないのであります。で、そういう関係者がそれだけの責任を負うし、警察庁もそれだけの責任を負うとすれば、道路交通の安全を脅かしている他の原因である所管の省も、これに同調した責任を果たすということでなければ、これは全く、その取り締まりを強化するし、絶えずそういう面だけで道路の安全をはかっていこうという極端な言い方もされるわけなんです。従って、私は、やはり各省果たすべき責任があるのであって、そういった面に、すでに総理府等でもそういう会議も持たれているのであるから、具体的に一体どういうことをこの本部会議は各省間の連絡の問題として取り上げて協議をされたのか。また、今後各省間で覚書を、特に警察庁の方から各省への覚書を交換をして実施をしていこうという、中でも、特に私がお聞きをしたいのは、道路の幅員と通行車両の関係について、実情を十分検討の上、適当な調整、制限等の措置を講ずることということについて、具体的に今後どういう一体考え方を持っておられるのか。この点について長官から一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/11
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012・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 御指摘の交通事故防止対策本部というのが今内閣にできておるわけであります。昭和三十三年七月に設置されておるのでありまするが、これは、関係各省でいろいろ問題を持ち寄りまして討議をいたしまして、できるだけ共同歩調をとるようにという趣旨でできておるのでありまするが、これは、私率直に申し上げて、それほどの今言いましたような根本的な問題について大きな威力を発揮したり、効果をあげておるとは、私、閣内にいて、変なことを言うようでありまするけれども、現在までのところではなっていないと思います。それで、今松永委員が言われました問題は、私も一番関心を深く持っておる問題でありまして、道路の幅員、細い幅員のところへもうすれ違いもできないような大きなバスが、大型車両が入っていくというような所をしばしば見受けるのでありますが、こういう問題につきましては、そういうものを認可いたします際には、現在でも一応の協議、相談を受ける形に覚書といいまするか、両省の間でなっておるのでありまするが、その後それを変更したり、車両を変更したり、増車をしたり、いろいろなことをする際に、その後の協議がない。具体的に申しますと、こういうことになっておりまするので、私どもといたしましては、認可をする際はもちろんのこと、車両の増加をするとか、あるいは車両、車体を変えるとか、そういう問題につきましても、協議をしてもらわなければならないということを申し入れまして、その覚書を作ろうと、こういう今努力をしておるのでありまするが、この問題につきましては、運輸省と、それから道路を所管しておりまする建設省と、それから交通取り締まりの衝に当たる警察庁、この三者が今までも寄り寄り協議をしておりまするから、さらに私は強力な折衝を進めまして、そういう方向に、一切公安委員会の方へ協議をしてもらうという方向へ持っていきたいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/12
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013・松永忠二
○松永忠二君 それじゃ再度、この道路交通法を実施するにあたって、各省で同時に整備をしていかなければできない問題について考えておられる覚書の内容、項目等を一つ後刻資料としてお出し願いたいと思うわけであります。
そこでまず、よそのことはさておいて、一体警察庁として、基本法であるこの道路交通法を完全に実施するにあたって、まず自分自身の庁として一体どういう準備をなさっておるのか。まあ極端に申し上げますと、りっぱな法律ができ上がっても、一体これを処理する能力があるのかどうかというような問題が一つ大きく出てくるわけであります。人によれば、これを批評する人は、道路交通法というようなものは、むしろ非常に簡単なものがよいのではないか、前の法律に比べてみて、三十一条のものが百三十条にもなって、非常に複雑になってきたということについて、国民がほとんどその道路交通の基本法については頭に入れていられる程度のいわゆる簡潔さとわかりやすさが必要だというふうに考えられておるときに、百三十条にも上るものをここで基本法として制定されておるわけです。そうなって参りますと、この法律を完全実施をするための一体警察庁の準備はどういうふうになっておるのか。お分けを、いただいた予算資料等についても一応見せていただきましたけれども、こういう点について、どんな一体処理能力として完全に処理していける自信を持っておられるのか。こういう用意について一つまずお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/13
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014・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 私から一応総括的なことを話しまして、あと警察庁長官から補足してもらいたいと思いますが、この基本法は、お話のように、まあ簡略のものがいいということは私も同感でございますが、今日は、できるだけこの法律に書こうという建前になっておるのでありまして、施行令とかいろいろそういうものに含まれておるようなものも、でき得る限りこの法の方へ一本にまとめようという工夫が講じられまするので、そういう意味で条章が自然にふえるということ、それから交通が非常に複雑化しておりまするので、まあ必然的にどうしても関係の条章がふえるということは、これはある程度やむを得ないことでありますが、条文がふえましたのは、以上のような二つの理由から私はふえておると思うのであります。
それから、これを施行していくについての心がまえでありまするが、まあ法運営の衝に当たるいわゆる交通警察官、これらの陣容につきましては、拡充強化のためにまあ三カ年で四千人を増員しようということで、三十四年度から始まってきておるのであります。第一年度もすでに千四十人、それから三十五年度で全体の警察官が三千人増員になっておりますので、その中から千百人かあるいは二百人の交通警察官がさらに増員されるだろうと思いますが、ここ三カ年か四カ年の間に四千人くらい増員いたしまして、この複雑化しておる、繁雑化した交通取り締まりに対処したい。
それから、いろいろな施設の面につきましても、大体ごらんになってわかりまするように、まあ白バイであるとかパトカーであるとか、いろいろなものを整備し、今回は、この法律にありまするように、不当に駐車しておるような、路上に放置されておるような自動車を、場合によっては横へ持っていかなければならぬというような意味で、クレーン・カーであるとか、いろいろなそういうようなものも整備したい。さらに三十五年度の予算につきましては、ヘリコプターを全国に二機用意したわけであります。これも、今後年次計画をもちまして、管区に一台ぐらいずつヘリコプターを持ち、空からの非常な雑踏の交通整理にも用いる、あるいはまた、交通違反を取り締まるレーダーのようなものであるとか、あるいは酒気を帯びた運転を今回は非常に取り締まるわけでありますが、アルコール検出であるとか、施設の面におきましても装備の面におきましても、つまり人員、装備、施設、これらの面において充実をはかっていきまして、道路交通法が適正に運用されていくようにしたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/14
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015・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいま大臣からお話のありましたように、この法律が制定されました暁におきまして、十分に円滑にこれが運用されるということが何よりも大事なことであろうと思います。そこで、ただいま大臣からお話がありましたように、増員の面であるとか、あるいは装備の強化の面であるとか、そういうようなこともできるだけ考えて参りたいと思いますが、何よりもこの衝に当たる警察官の教養ということに重点を置いて参りたいというふうに考えております。交通専従員については、相当に教養も施してきておるわけでございますが、さらにこの法律に盛られます内容等について、また取り締まりあるいは指導の適正を期するというようなことについて、知識のみならず、態度、教養というようなことについて十分に教育を施して参るほか、さらに、交通専従員に限らず、第一線に勤務します外勤警察官等についても、交通法令についての十分な知識を与えるように努力をして参りたいと考えておるわけであります。また、実際に車両等を運転します運転手等について、十分な知識と、また心がまえというものが養われなければならないことは当然でございまして、そういう面とか、さらに一般の民衆の十分の理解と協力、交通道徳の向上というような点にもさらに力を注いで参りたいと考えておるわけでございます。
それから、先ほど大臣に対する御質問の中にありました、交通行政についての総合的な施策というものがなければならないではないかという御意見については、まことに同感でございまして、私どもも、終始そういう点に努力をいたしてきておるわけでございます。ところが、先ほど大臣からもお話がありましたように、それぞれ所管が分かれておりまして、なかなか思うように参らないのが実情でございます。最近の交通事情、また世論の高揚というようなことからいたしまして、関係各省においても、非常にこういう点については関心を深めて参ってきております。今回の道交法改正につきましても、そういう意味において、これを契機として、さらにそうした協力関係と申しますか、総合的見地に立った国家的施策というものを推進して参る機運がだいぶ高まってきておるように存じております。建設省におきまする車両制限令であるとか、あるいは運輸省における道路運送法の改正というようなことにつきましても、そういうことをできるだけ盛り込んでいってもらいたいというふうに考えておるわけであります。
それから、前の御質問に補足して申し上げますが、内閣にできております対策本部は、もちろん非常に強力な活動というところには至っておりませんけれども、たとえば、先般来問題になっておりました神風タクシーの問題であるとか、あるいは騒音防止の問題であるとか、さらに道路上においてまちまちに行なわれる工事の調整の問題であるとか、そういうものを対策本部において取り上げまして、これは、各省に関係するところが深いような事項でありますので、対策本部で取り上げまして、この基本方針に基づいて相当に各省努力をいたしたわけでございまして、騒音防止とか神風タクシーについては、かなりの成績をあげてきているのではないかというふうに思っておるわけであります。
なお、この法案が成立いたしまして、公布になりましてから六カ月以内に施行するということにいたしておりますので、この法案の審議中におきましても、できるだけこの国会の論議を通じ、またその他のマスコミ等の利用によりまして、一般の啓蒙に当たると同時に、施行後におきまして、この六カ月以内の期間を十分こうした面に準備の期間に充てて、万全を期して参りたい、こう考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/15
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016・松永忠二
○松永忠二君 今お話をお聞きしますと、交通警察の充実という点で、人員について年次計画をもって進められておるというお話を聞いたわけです。施設のお話もいろいろ出てきておるけれども、現実に法律の中で、いわゆる過載をしたものの取り締まりというものも出ておるわけです。これらについては、やはり計量機の整備というものがなければ、ただ出しているだけにすぎないと思うのであります。こういう点について、やはり年次計画を立てて事実上やられておるのか。お話のように、ただやっているということなのか。その点を一つお聞かせいただきたい。それで、年次計画を立てているものならば、その年次計画を一つ示していただきたいと思うのです。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/16
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017・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 人員の増強につきましては、これは、交通問題のみならず、現在の警察の実情、諸外国との比較等も勘案いたしまして、われわれといたしましては、本年度から三カ年一万名増員という計画を立てまして、本年度は、すでに二千五百余名の増員をきめていただいておりまするし、来年度予算におきまして、予算と申しますか、財政計画において三千名増員ということを一応内定されておるようなわけでございます。その中にありまして、特に交通警察を最重点といたしまして、一万名のらち四千名をこれに充実しようという、この点だけは計画性を持っておるつもりでやっておるわけでございます。
ただいまお話の計量機につきましては、各県におきまして、要所々々にこれを備えるような計画を県ごとに立てておるわけであります。また、国において必要とする装備につきましては、はっきりした年次計画というところまでは参りません。これは、大蔵省となかなか年次計画の折衝というものも困難で、一般車両につきましては五カ年計画ということで、一応昨年度から実施をいたしておりますが、交通関係の装備、施設ということについては、遺憾ながらまだ確たる年次計画というところまでは至っておりませんが、そういう点につきましても、今後努力をして解決をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/17
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018・松永忠二
○松永忠二君 そこで、その次にお尋ねをしたいのでありますが、道路交通取締法に比較して、ここで、世間でもよく言われておることであるし、事実上少し調べて参りましても、警察官の権限というものが非常に拡大をされているというふうに思うのであります。随所にそういう点が見当たるわけであります。この道路交通の安全を期し、あるいは円滑をはかるということで、これを現実に取り扱っている警察官の権限を広げていく必要があるということは、ある程度私たちとしても了解ができるのでありますけれども、この点については、やはりこの権限を拡大するにあたっては、よほどの慎重さと、特に指示権の内容を明確にするということが非常に必要だというふうに考えるわけであります。この点について、やはり相当問題のある点があるように思うのでありますが、こういう点については、特に今度の立法にあたって、警察官の権限の拡大という問題について、大臣はどういうふうなお考えを持たれてこれを処理されてこられたのか、この点について見解を一つお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/18
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019・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今度の法の改正で、ことさらに権限を強化したという点はあまりないのでありまして、また、そういう意思も持ってやっているわけでは全然ございません。ただ、従来やや明確を欠いておったような点を明らかにしたとか、一括して従来規定されておったものが、今度は方方にそれが出てきたとかいうようなところがいろいろあるわけでありまして、これは、必要でありましたならば、警察の方からさらに詳細にそういう点を御説明していいと思います。私どももこの全体を通じて感じるのでありますが、むしろ現行規定よりもさらにしぼった、現行規定にないような、「必要な限度において」という言葉を入れたり、むしろしぼっているところがあるくらいでありまして、権限をさらに強化するとか、そういう意欲を持ってこの法の改正に当たったというようなことは全然ないということを私から総括的に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/19
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020・松永忠二
○松永忠二君 大臣に一つ再度お尋ねするわけでありますが、この点については、必ずしもあなたのおっしゃったようなことだけだというふうに私ども理解ができないわけであります。まあこれは、逐条審議をして参りますと、いろいろ問題が出てくると思うのでありますが、あるいは公安委員会の権限を無視するというような面も出ているのではないかということすらも考える点もあるわけであります。特にこれを非常に研究をしている方の中にでも、特に労働組合の運動等に従事をしている人たちの中には、デモの規制等を非常に必要以上に拘束をするような条項がありはせぬか、あるいは警職法的な性格を帯びているものもあるのではないかというようなことすら言われているわけです。この点については、今言ったような大臣の見解だとされるならば、これを具体的に検討をしていって、やはりこういう必要を認めない、特にそういう誤解を受けるということであるならば、現行法で十分できている場合もあるのであるから、何もそこに新たな条項を加える必要もないというような場合も出てくるのではないかというように考えるわけです。従って、むしろ今持っている警察官の権限をむしろ限定をするというようなことに努力をしたのだというお話であるならば、こういう点については、今後十分検討していって、修正をしていくというような点についても、それが今申し上げました原則に照らして考えていくならば、そういう問題があるとすれば、十分にそういうふうな心配をなくする必要があると思うのでありますが、こういう点については、やはり今言った原則から考えていって、今後われわれとしても、そういう問題について、いわゆる危惧を抱かないような基本法にしていく必要があると思うのですが、この点について、大臣一つどんな見解をお持ちでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/20
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021・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) これは、今松永委員も言われたのでありまするが、逐条で審議していく際に、いろいろ論議したらいいと思いますということで、逐条で審議する際にいろいろ御論議を願いたいと思うのでありますが、総括的には、私先ほど申し上げたような趣旨でこれをやっておるのでありまして、まあたとえば、違法に駐車をして車を置いておる。これはもう今日、世論というか、いわゆる青空車庫と言ったり、細い道の出口に不当に車を置いて、運転手もどこへ行ったかわからないというような、そういうような事態もあり、違法駐車をしているような者について、取り除かしたり、いろいろ命令をしたりする。一例をあげれば、こういうようなことが加わっている。そういう点はあるかと思いますが、これは逐条審議していただきまして、今あなたが言われたようなデモにどうだとか、あるいは警職法的何があるとかというようなことは、私は全然ないと思います。ただ、デモでも、交通の繁雑、混乱とか、そういう面からのいろいろの接触点は、これはもう当然出てくると思うのでありまして、デモだけ別に通さなければならぬとかどうとかということはない。まあそういう点はございますけれども、交通取り締まりを中心とした以外に、何か今言われたようなほかの目途があるのじゃないかというようなことは全然ない。そういう疑念をもし持たれまするならば、逐条審議をする際に、その点は十分われわれも話していきたい、こういう気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/21
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022・松永忠二
○松永忠二君 今お話があったのでありますけれども、実は、たとえば、交通取り締まりの見地からデモ規制をするということについては、ある程度最高裁の判決も出ておるわけであります。しかし、その最高裁の判決も、これは、その条文によって、この条文この条文によってのことであるというようなことで、それによる場合には少しその考え方が違うのではないかというような考え方も実はあるわけであります。こういう関係のことも、実は今度の道路交通法には出てきているわけであります。たとえば、私たちは、この問題についてはいろいろ考えていかなければできないもので、いたずらにこれを否定ずるということではありませんけれども、運転手が過失を犯した場合のときに、みずからこれを申告をしていくというような問題、あるいは、そのほかに両罰規定の問題等、やはり相当法的にも検討を要する。ある程度結論が出ているというばかりにはいかないというような面についても、これを規定をした面が出てきておるわけです。こういう点については、一体どういう見解を持たれておるのか。そういう点について関係方面と一応の話し合いをされ、結論を出されておられるのか。こういう点について一つ、個々の点だけではありません。どんな検討をされているのでありますか。その点についてもし大臣で適当でありませんでしたならば、長官の方から聞かしていただきたいと思います。あまり長くならぬでよろしゅうございますから簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/22
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023・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 警察官の権限が強化されてはいないかということに対しましては、ただいま大臣から御説明申し上げました通り、原則的には、強化するという考えは持っておりません。ただ、違法駐車に対する措置であるとか、危険防止のための工作物に対する応急措置であるとかというようなものに対する、直接これを警察の手によって移動させるというような問題は新しい規定としてありますけれども、ただいまお話しのようなデモに関して、現行法令の規定に加えてこれを規制するというような考えは全然出ておらぬわけでございます。これは、先ほどお話しのように、逐条審議の際に十分御説明申し上げまして、御納得をいただきたいと思っておるわけでございますがその他運転手等の報告義務等につきましても、現行法と趣旨において何ら変えておらぬわけでありますが、現行法においてはややばく然と規定されておるために誤解を生ずるおそれもあるというような点を整備をいたして、むしろ警察官が職権を行使する際におきまして、これを適正に行なうように、規定の上で整備を加えて規制をするというふうな見地が多く出ているようにわれわれは考えておる次第でございます。なお、個々の問題につきましては、とくとまた御説明を申し上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/23
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024・松永忠二
○松永忠二君 いろいろお話はありましたが、たとえば、具体的に指摘をしても、第六条等に、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」というようなことについては、これはなかなか広い規定であるように思う。現行法には全然ないわけであって、現行法には、多く「命令の定めるところによって」というような規定を伴っているわけであります。そのほか七十七条あたりの許可事項の中にも、広範なものが相当あるというように私たち考えているので、この点については、今後十分研究をして、先ほど申しましたように、大臣の言われたような原則に立ってこれを処理をしていくという考え方でこの問題を検討していくという方法で参りたいと思うわけであります。
それから、もう一つの点でありますが、罰則の問題であります。罰則は全面的に強化をされているわけでありますが、これについては、やはり悪質なる交通違反のごときは、これを十分な処置をしていくという必要を痛感をしておるのでありますけれども、ただ、やはり公平を失するというようなことでは、まことに工合が悪いと思うのであります。こういう点について、この罰則を制定するにあたって、一たいどういう基準に基づいて罰則を制定されたのか。まず、その点について一つお聞かせをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/24
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025・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かに、御指摘のように、罰則が、刑期におきましても、また罰金の場合の金額におきましても、相当に現行法より高くなっておることは事実でございます。ただ、現行法は、御承知のように、昭和二十二年にできたわけでございまして、その当時の物価の状況と現在の物価の状況というものを考えますると、非常な開きがあるわけでございます。そうした、七、八倍になっておるというような点から、物価の趨勢という問題と、さらにまた、この道交法以外の各種の最近できております法令との罰則の均衡というような点も考え合わせまして、この点につきましては、法務省ともともとと打ち合わせをいたしまして、合理的にわれわれとしては刑期並びに金額について案を練ったつもりでございます。決して、交通違反が非常に多いから、高い罰則をもってこれを規制していこうというだけの考え方ではございませんで、過去十数年にわたる物価の趨勢と最近の法令における罰則規定との均衡という点を特に考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/25
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026・松永忠二
○松永忠二君 大臣にお尋ねをするのでありますが、先ほど私当初に質問いたしましたように、道路交通の安全をはかるのには、道路交通法を整備して、これを実施をするということで十分ではなくて、その他交通の安全を脅かす原因は他にあるというような点が実はあるわけです。こういう面の整備が十分になされていないのにかかわらず、これを運転する者だけ、あるいは過失によって、そういうことが過失として出てくる、そういう現象をとらえて、それを処罰するということについては、やはり相当考えていかなければできない面があるのではないかと思う。しかし、ここで規定をしている中には、現実に法律には規定をするけれども、実行不可能ではないかというものも実はあるわけです。たとえば、具体的に申し上げるならば、第五十七条の乗車または積載の制限というものは、現実に定員を一体守っているバスが幾台あるか。また、守らせることによって、かえって一般の人の不満を受けるというような事情もあるわけです。これについても、今まで一応三千円の罰則はきめておいたけれども、それをほとんど他と同じような工合に、いわゆる罰金加重をしていくというようなやり方も実は具体的に出てきているわけです。こうなってくると、罰則を強化する部面が必要だということは考えるのでありますけれども、現実にほかの法規も整備してないじゃないか。この中にきめてある法規の中にも、現実にこれをしいるととは無理ではないかというような条項もある。しかも、その条項にも罰則規定が出てきている。しかもそれが、非常に従前よりも十倍に上っているということになると、善意としてなされるこういう態勢がやはり一方的なしわ寄せを受け、加重をされるという結果になるのであって、こういう点についての罰則の問題については、どういうふうに一体考えておられるのか。考えられてきたのか。ここにきめてあることは、もう完全にだれも実施ができるものであって、実施をすることは無理ではないというような考え方のもとに当然行なわれるものだから、これに違反するのはけしからぬから、今までは低かったから、これを上げるというような、そういう考え方も決してないじゃないという感じを受けるのでありますが、こういう考慮を払っておられるのかどうか。罰則についてですね。こういう点については、まず罰則について、特に前よりも非常に加重してきたということについて、そういう点を特に注意をして罰則を決定したのか、どういう配意をされてこの罰則を規定されているのかという点について、大臣に一つ基本的な考え方をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/26
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027・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 冒頭に松永委員からもお尋ねがあったのでありますが、御指摘のように、細い道路に大きな車体が入っているとか、あるいは定員過剰の車がいろいろ通っているとか、そういう問題はいろいろまだ残ってはいると思いますが、しかし、今日の交通の現状からいたしまして、今回の改正くらいの罰則をもって臨まなければ、他のいろいろの諸法令との比較その他等から考えましても、これでちょうど均衡がとれているようなところじゃないかと思うのです。それで、他の原因という面につきましては、松永委員が今指摘されました以外にもいろいろ問題があると思うのでありまして、たとえば、雇い主が不当に労働過重をしいていやしないか、あるいは運転管理者が、その会社のいわゆる管理者がまたいろいろ無理をしいていやしないか、こういう問題が一つにはあると思うのであります。でありまするから、そういう面についてもそれぞれ相当の意を払いまして、また、一般歩行者がかえっていろいろ原因になっているというようなこともあると思いまするので、歩行者についても、歩行の訓練とか、交通規則に従うような風を守るとか、いろいろそういう面からも推し進めておるのでありまして、私は、やはり今日のこの交通事態に処する交通法規の罰則としては、このくらいのものが当然ではないかと思うのでありまして、非常に問題が無理ではないかと思うような面につきましては、これは、いろいろそれぞれの具体的事犯についての情状その他という問題で、そこで適当に裁量されるべきじゃないかと、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/27
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028・松永忠二
○松永忠二君 まあその点については、今、一つ具体的に私はあげたわけでありますが、その他の点もあるのでありますが、現実に実行が非常に困難であるという問題について、これに罰則を罰金的に高めていったという面については、やはりこの程度のことは、他と均衡上必要だというふうに考えておられてやられたのか。御承知のように、この法律によるところの罰則だけではなくて、現実には社内規則があって、これまた罰金的なつまり刑を出しているわけです、社内では。現実的に、過失でいろいろあれをすれば、法規制違反をすれば、御承知の通り、免許状の取り上げもあるわけです。だから、現実に一体それらの罰金がそういう人たちにどういう影響を及ぼしておるかという面についても、すでに御承知だと思うのであります。こうなってくると、今お話のように、ほかの法律といっても、刑法的に犯罪を犯して、その犯罪を犯した罰金との均衡が失しているというような、そういう判断では、実際はこれを一律的に上げるという点については無理があるのではないか、特にそういう点について配意がされているのかいないのかという点であります。
〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕
その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/28
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029・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいま大臣からお答えいたしました通りでございますが、ややこまかい数字等に関連することがございますので、私から具体的に御説明いたしたいと思います。
ただいま当庁長官から申しましたように、現行法が制定されましたときの物価事情と今日の物価事情というのが、日本銀行その他で科学的に検討されておるのでありますが、それは確かに大へんな高価に相なっておるのであります。具体的に数字で申し上げたいと思います。
現行法が制定されました当時は、大体その前後の年を標準にするのでありますが、二十年、二十一年、二十二年、こういう当時の物価指数と今日の情勢とは、二十年に比しましては今日は九十九倍、それから二十一年につきましては二十一倍、二十二年につきましては今日は二・二二倍、こういう倍率を持っておるのであります。それを御疑念なさいますように、現行法の罰則の数字にかけ算的にあるいは十倍あるいは七倍と、こういう数字にするということは適当でないと、こういう点につきましては、松永委員と同様に考えて立案いたしたのでございます。
それで、確かに十倍になっておるのもございます。十倍になっておりますのは、物価指数からいえば、十倍も適当といわれるのでありますが、悪質と認められるもの、例をあげて申しますと、いわゆるひき逃げというような事件があるわけでありますが、交通事故で人を死亡させた。死亡させたにかかわらず、その善後の処置をしないで逃げてしまう。こういうようなのは、世間でもひき逃げは大へん悪いと言われておるのでありますが、こういった点につきましては、確かに十倍になっておるのであります。現行法では、そういう場合の罪に対しては五千円以下の罰金でありますが、改正の提案いたしました原案では、五万円以下の罰金に相なっておるのでございます。ところが、各条章の罪は、それぞれ具体的にきわめて緻密に規定いたしておりますので、それぞれ態様を異にするのでございます。もちろん、犯罪でありますので、悪いという点は悪いのでございますけれども、その反社会性のことと、ただいまの物価の点を考え合わせまして、機械的に倍率をかけていないと、これがまず原則でございます。御指摘になりました乗車及び積載の制限でございますが、これも、大へん大きな荷物を積むということについては、交通上の危険を増大することは確かに多いのでございますけれども、また、個々のケースごとに裁判所はしかるべき判決をなさることと思うのでありますが、法定刑につきましても、これを機械的に十倍にすると、こういう措置は講じておりませんので、むしろこの場合の倍率は非常に少ない倍率に相なっておるのであります。それから、いろいろ物価指数だけで法定刑をきめるのもいかがかと考えまするので、ただいま御指摘になりました事項につきましては、われわれまたそのように考えておるのですが、自然犯と考えられたものと、法定犯と考えられたものと、学者は区別しておるのでありますが、刑法等の自然犯のことも考えておりますけれども、主として法定犯、たとえば各種の特別法が相当たくさんあるのでありますが、計量法の罪——お互いに生活する場合においてメートル法以外の計量は用いてはならないと、こういう規定があるのでありますが、これらのごときは確かに法定犯でございます。そういう法定犯の規定を各現行法の規定から拾い出しまして、その罪との均衡と、それぞれの罪——現在定められてある法定犯のそれぞれの罪の均衡と、この法律において規定いたそうとする内容とを個々に比較検討いたしまして、現行罰則体系が乱れないように——こちらが低過ぎて乱れても困りますし、こちらが高過ぎて乱れても困るのでありますが、両方との均衡において乱れないようにということで、緻密に検討いたしておりますので、ただいま御指摘のありましたように、一律に画一的に十倍とか何倍とかという措置を講じておらないのであります。逐条審議の際に、個々に各関係のときに具体的に適確にお答え申し上げたいと思うのでありますが、画一的な措置を講じていない。物価指数等も考えましたけれども、他の法定犯との均衡ということを正確に考えまして、不当な法定刑が加えられない、適正な法定刑を加えるということを念頭に置いて立案いたしましたので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/29
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030・松永忠二
○松永忠二君 今お願いしておきたいのは、現実に罰金としてどんなふうな罰金が課せられているのか。現状ですね。罰金刑として、実際にその罰金刑を課した資料ですね。これを一つ出してもらいたいと思うのです。
今お話があったのでありますが、私は、特に、実情に即した法律であって、しかも完全にこれを故意に破ったり、悪質な違反をするということであれば、これは厳罰にするというようなことについては、今の実情から当然だと思うのでありますが、中には私は、完全実施をすることが非常に困難であり、他の原因も伴っていたりするような場合も出てきているので、こういう点については、やはり罰則を相当配慮していく必要があるというように考えるわけです。で、特に、ここに新しい罰則として禁錮というものが出てきたのでありますけれども、この禁錮をすると、まあ禁錮ということになると、現実に地公法等によって禁錮刑を受けた場合にはその職を失うということになるわけなんです。
〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕
これは、地公法の二十八条等によると、禁錮以上の刑に処せられたという場合には職を失うということも規定をされているのでありますが、こういう点については、現実に、たとえば最高速度の遵守というような規定に違反をして、まあ現実には禁錮刑というのが出てくるのでありますが、公務員あるいは公務員に準ずる者等で、これの相当影響を受けている者もあるのでありますけれども、特にそういうふうな配意は、罰則を規定するときには行なっていたのか、配慮したのかどうかという点についてお話を聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/30
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031・中川董治
○政府委員(中川董治君) 今回禁錮刑が法定刑の一つとして定められておるのは、御指摘の通りでありますが、お話のございましたように、それぞれの刑罰法規で、刑法総則に定められておる罰がその内容によって法定されるのでありますが、刑罰法規としては、それ自体裁判所を拘束するだけでありまして、何らこのこと自体は法律効果がない、裁判の刑罰の宣告以外に効果がないのでありますが、御指摘のごとく、他の法令、たとえば公職選挙法とか、御指摘のような法令等によって、ある一定の要件として、たとえば禁錮以上の刑に処せられた、たとえば何年以下の懲役に処せられたものというこういう要件で欠格条項として規定せられた法令もあることは、よく存じておるのであります。こういうことは、現在の法律体系できわめて正確に整備されておるのでありますが、それに際して、今回禁錮刑を考えましたのは、そういうことはもちろん念頭に置いたのでございますけれども、現行法で一番の問題点の一つが、過失犯に関する規定なんでありますが、これは、いろいろ刑法学者においても相当議論があるところであり、特に行政法学者の間においても議論のあるところでありますが、現在の犯罪と申しますのは、故意ということを少なくとも自然犯においては中心にしておる。自然犯において、故意を中心にして罰しておりまして、あやまってどろぼうするという概念は入っておらないのであります。刑法犯におきましても、やはり過失を罰しておるのでありますが、禁錮刑が規定せられておるのであります。業務上の過失致死等については、禁錮刑が確かに規定されておるのであります。そういう禁錮刑という制度が過失犯においても確かに法定せられるととろでありますが、行政犯に対しても、こういうような道路交通法違反にも響くのだ、過失を罰する旨を明示しなくとも、過失を罰することを趣旨とする、その見解が学界において一部存在するのであります。その影響等もございまして、現在は過失犯を明文をもって罰してはおりませんけれども、裁判の実際において、過失で免許状を忘れてきた、こういうようなな事案に対しましても、過失犯を罰する旨の明文のない現行法におきましても、処罰を受けた判例もあるのでありまして、その点、あいまいといえばあいまいな状態に現行法が相なっておるのであります。それで、考え方といたしましては、事柄をあいまいにするということは、人権の保護上適当でございませんので、過失を罰しないものについては罰しないことが明確になるように、むしろ書かない。そのかわり、過失を罰ずるというのは、反社会性の強いものにつきましては、判例等にまかすことなく、立法として、過失犯を罰する旨の明確な規定を置く。すなわち、現行法に規定しておる処罰の中で、過失犯を罰する旨を明示するものとしないものとに区別する方が相当であろう。むしろ人権の保護上適当であろうという考慮から、そういう配慮を用いたのでございますが、その配慮を用いたものは、おおむね法定刑、罰金刑でありますが、過失犯の中で特に刑法犯との関連において重要なものは、ごく一部に限り、御指摘のごとく禁錮刑が法定せられたのでございますが、先ほども申し上げましたように、刑法はもちろんでございますが、各種の法令中に、過失犯のごく悪質なものにつきまして禁錮刑が定められておるという現行法の状態をにらみ合わせまして、決して均衡を失するものでないという考え方で整備されたつもりでございますけれども、個々の条文の説明のときに詳しく申し上げたいと思います。そういう趣旨から、禁錮刑という刑がこの法律の明文の中に現われた、こういうような点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/31
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032・松永忠二
○松永忠二君 そういう今お話のような点に触れた点がまだほかに出てきておるのでありますが、この点については、やはりおのおの見解もあることであるので、参考人等の意見も私たち聞かしていただきたいと思っておるわけであります。
そこで、大臣にお尋ねするのでありますが、よくいう神風タクシーのことから、いろいろ道路交通の法律を改めなければできぬというようなことで、それも一つの大きな力であったと思うのでありますが、そういう点について、雇用者と雇用されておる運転手の間の違反についての責任を分けていくとか、両罰というより、責任をおのおの負つていくという規定が出ているわけなんであります。これについても、まあそこに出ていますのは、やはり第七十四条とか第七十五条に雇用者の義務が出ているのでありますけれども、これもまたよく調べて参りますと、雇用者の責任については非常に寛大な点があって、たとえば第七十四条について考えれば、これによる雇用者の責任というものは罰則の規定はないわけであります。ところが、これと同様な、今度はこの運転手の方については、六十六条に非常なまあ罰則が出てきているわけであります。こうなってくると、よくいうノルマを強制するというようなことについても、これは、罰則の規定は雇用者の方にはない。しかし、強制をされて運転した者については、これは罰則規定があるというようなことで、まあ一歩前進して、第七十五条に、いわゆる管理する者について、それを雇用する者との両罰の規定は存在するのでありますけれども、こういう面についてやはりせっかく問題が高まってきて、雇用者にも責任があるというふうに相当世論が起きてきているときであるのでありますから、やはりこういう点については公平な責任を負うというようにしていかないと、やはりそのいわゆる罰則についても、いろいろな不均衡を示すというような点が出てくると思う。こういう点について、やはりこの際、雇用者の責任を十分一つ明確にしていくという点については異存はないことだと私たちは思うのであります。特に雇用者と運転手との責任を明確にして、おのおのその責任を等分に負わせていくという点については、全く趣旨には御異存はないと思うのでありますが、そういう点については、大臣としてはどういうふうな考え方を持っておられるのか。なお、この点については、やはりわれわれ問題があるというふうにはっきり考えておるのでありますけれども、この点について、大臣の意見を聞きたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/32
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033・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今、松永委員もお話しになりましたように、雇用者の責任を問うという形にしましたのは、まあ今度新たにそういう道路交通法上の義務を雇用者にも課していったということなんであります。ただ問題は、雇い運転手にいろいろの問題がありました際に、はたして雇用者のいわゆる刑法責任でずね、罰則上の責任、この挙証していくということがなかなかめんどうな、困難な面もあると思うのでありまして、そういうところから一歩前進という意味で、今回は雇用者の順法精神に期待して、道路交通法上の健全な慣行の確立を期したいということで、一歩前進したということが一つと、それから、いわゆる両罰規定の方で、雇用主にも、業務主の方にも責任が及ぶ面もあるのでありますが、そういう面で、両々いこうということで、犯罪の責任をあげる挙証がなかなかむずかしいということと、まあ一歩前進して、順法精神にこの際は期待すると、こういう両々からこの程度のことになっておるのでありまして、これは、今後法的なりあるいはそういう捜査面の慣行がだんだん進んで、確立して、非常に明確であるというようなことがたくさん出てくるというようなことであれば、さらにこういう点こそ考えてみていい問題じゃないかと私は思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/33
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034・松永忠二
○松永忠二君 先ほど提案されておるように、基本法としての道路交通法を制定したということになると、やはり一歩前進したというような形ではなくて、基本的にやはり明確にしていくということが必要だと思うのであります。そういう点で、今これを証拠立てるものが非常に不明だという話も出てきているわけでありますが、ここあたりについて私たちは、決して証拠立てることについて不足はない。現実に法律で規制をしないでも、政令でもって規制をしていっても、具体的にはこれはできる事柄であって、そこにあるように、ほとんどどこでも継続して、たとえば走る時間等を規定するとか、あるいは勤務の時間を規定するとか、いろいろな方法があると思うのでありますが、この点については、やはり雇用者の義務については、使用者の義務と同様な責任をやはり負っていくということが必要だと思うので、こういう今後この問題については、やはり私たちは十分検討をして、せっかくの基本法を決定するのでありますから、やはりそれを明確にしていく。もしここを不明確にしていくならば、せっかく規定したことも単に一歩の前進であって、解決の方法としては不十分であり、不徹底であるというふうなところが出てくると思うのであります。こういう点については、やはり今後私たちも十分検討した上で、具体的に問題を解決するような方向にしたいと考えているわけであります。
最後に一つお尋ねをしたいのは、先ほどからも少し申しましたように、刑法というのか、法律的に少し疑義があるというところで、これはむしろもう少し強化をしてもいいのではないかという意見の中に、酔っぱらい運転の禁止というような問題も出てきている。それと刑の加重という問題が出てきて、こういう刑の加重の仕方をするということは、法的には少し無理があるのではないか。法律的に禁止をしていないのに、刑罰的にはそれを加重していくというやり方については、刑法的に考えて、少し疑義もあるのじゃないかというようなことがあって、進んで、むしろこういう問題については、徹底した規制をしていく方がよいのではないかというふうに点も論議をされていることも御承知の通りだと思うのであります。こういう点については、この規定をするにあたっては、やはりどういう方面の意見を聞かれ、どういう判断に立ってこの程度の規制にされたのか。この点を一つ最後にお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/34
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035・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 酔っぱらい運転については、これは禁止行為であるということは言うをまたないのでありますが、ただいまお話しの、酒気を帯びた運転が、違法なことがあった場合に、刑を加重するということについての御質問だと思いますが、確かに酒を飲んだ、あるいは酒気を帯びたということだけで、それを禁止するという考え方もあろうかと思います。審議の、審議といいますか、法案を作成する過程においては、そういうことも一応案として考えられた一つの問題でございますが、御承知のように、人体のアルコールに対する反応状況というのは、各人非常にまちまちでございまするし、また、社会の実情からも、単に酒を飲むとか、あるいは酒気を帯びたということだけでこれを禁止するということは、実際の社会生活にも合わないのではないか。従いまして、ただ、その酒気を帯びる状況というものは、あるいは運動神経は非常に敏活になるけれども、一方において注意力が欠けるというような危険性を内包するものであることには、大体原則的にはそうであろうと思います。従いまして、こういうものについて、それが一定の違反行為を犯した場合につきましては、これに対して刑を加重するということで、反射的に酒を慎むという考え方を伸ばしていきたいという面もあるわけでございます。御指摘のように、確かに異例の立法でありまして、おそらく諸外国においてもあまり例のない規定かと存じますけれども、日本の現在の交通事情、また、相当に酒を飲んで運転する者の多い実情から考えまして、ぜひともこういう規定を新しく設けまして、違法行為の防止に努めたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 いろいろお尋ねしたいととがあるんですが、ただいまの松永委員の質問の最後のところの罰則の問題に関連をして、一、二お伺いしてみたいと思います。
最近いろいろな交通事故が頻発するおりから、もっと厳重に取り締まれ、あるいは罰則を強化せいというような声が大きくなってきておると思います。今回のこの法の改正案を——まあ改正案というよりも、むしろこれは新しい一つの新案というべきでしようが、これを見ましても、相当、取り締まりあるいは罰則の強化ということが目立って大きな問題として私は出てきておると思います。ただしかし、こういう交通法規において罰則の強化だけが重視をされるというようなこと、取り締まりの部面だけが強化されていくというようなことよりも、根本的には、先ほども松永委員からもお尋ねのありました中の意見としての、もっとその予防対策に注意して、根本的な総合対策があるべきだと思うわけです。この点につきましては、あとで、現在たとえば内閣の事故防止対策委員会等において検討されております問題、あるいは関係当局においてそれぞれいろいろ検討なさっていると思いますから、そういう現状あるいは将来の見通し等について、詳しくお聞きしたいと思いますが、それはともかくとして、今直ちに、根本的な事故の防止対策ができておらない現在に、やはり取り締まりあるいは罰則の強化ということも、私はやっぱりやむを得ない一つの問題として考えなきゃならぬと思います。
そこで私、きょうは、具体的な問題については、罰則のここがこうだとか、あるいはこれはどうかというようなことには触れませんが、ただ私、いろいろ今回の法の罰則を見、あるいはは現在の取り締まり等を見まして、こういう法規による取り締まりなり、あるいは違反事故についての罰則がどういうふうに実際に行なわれておるのか。もっと言えば、現在の関係当局の手をもってして、はたして現行法によるところの違反なり、それに伴う罰則なりというものについて、適確にそれが行なわれておるかどうかということが、私まず問題になるんじゃないかと思うわけなんです。たとえば、スピード違反というような問題につきましても、これはまあ、運悪くとっつかまるやつは、違反なり、あるいはそれに関係する処罰なりを受けるかもしれませんが、見るところ、十分取り締まりがきれておるとは私一言えないと思うんですね。で、こういう点から、法規には制限速度というものがあり、それを守らなきゃならぬということになっておるにもかかわらず、現状がそうであるとすれば、新しい法でいろいろまた詳細に規定をし、それに対する取り締まりやら、あるいは最後的には罰則なりというものを設けましても、何かこら底が抜けていくのじゃないだろうかと、まあ悪い言葉でございますけれども、そういう感じを受けるわけなんですが、一つこの問題について、当局からまず最初に、現在どうなっており、どのようなところにそんならば取り締まりの支障があるのかですね。あるいは取り締まり陣営の手不足というような問題もありましようし、そういう問題について、一つ最初に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/36
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037・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお話しのように、確かに、一例をとつて、スピード違反ということについて、これが十分に取り締まられていないということは、まさしく実情であろうかと思います。ただ、そらした交通法規というものは、やはり国民の順守すべきところをまず示して、できるだけ国民がこれを理解し、尊重するというところが基本になければならないと思うわけでございます。違反はもちろん取り締まるべきものではありましょうが、違反を犯さない精神というものが醸成されていくというところに基本を置くべきものと思います。現に取り締まられていない面が相当あるということは、御指摘の通りであろうと思いまして、これは人員の不足もありましょう。また装備上の欠陥、取り締まり方策の不十分というようなこともあると思いますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたように、できるだけ国民の理解、協力を得て、国民が法に示したところに従って行動するという空気をできるだけ高めると同時に、また、いやしくも違反をする者につきましては、これを適正に取り締まっていくというための人員の増強であるとか、あるいは、先ほどちょっと大臣が述べられましたように、レーダーその他の装備の強化というような面についても、今後工夫を重ねていかなければならないと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 お話しのように、私も、現在の運転者の心がまえといいますか、あるいは素質といいますかね。資質の向上というふうに問題は、これはまあ根本的な問題だと私思うのですね。ですから、そういうことの問題については、またあとから機会を見てお伺いしたいと思いますが、それからもう一つは、現在手薄であり、まあ取り締まりにもなかなか大へんだ、こういう事情も、私ほぼ了解できるのですが、そしてまた、このスピード違反というのは、これは実は取り締まるのにむずかしい問題だと思うのです。しかし、自動車の最近のひどい事故の大半というものは、私はスピード違反に関係をしておるものではないかというふうに見ておるわけなんです。あなた方からいただいたこの事故の資料を見ましても、そういうことが程度言えると思うのです。一方に神風タクシーとか、あるいは雷族とかというようなものがあり、まあその他いろいろこのスピードに関係する事故というものは、これはふえこそすれ、減ってはおらない現状であるわけなんですが、これは、ちまたの声は、こういうものに対してはもっと徹底的な取り締まりと、それから処罰をすべきであるというふうに、ずい分大きな声が上がっておると思うのです。必ずしも私は、罪人を作ることが目的でもなければ、できればそういうふうに処罰をしなくて済むようなことが考えられなければいけないということは、これは基本的にはその通りだと思うのです。ただ、その問題が人命に直接関係をする、人間のからだのそれに直接関係をし、あるいは財産に直接の害を与えるというような問題であるだけに、もしそれが明らかに法に違反したために、あるいは故意であるために、スピード違反を犯し、そして事故を起こしたというのであれば、私はやっぱり強い態度で臨むべきであろうと思うのです。ちょっと話は横道になるようでございますが、私の郷里の方で、車にはねられて瀕死の重傷を負った人の最後の言葉に、ただ一言、車はもっとゆっくり走ってほしい。これはたんたんたる道路でひかれた人なのですが、そういう声をあげてなくなっておるということを聞いておる。誇張して言えば、走る凶器というふうな言葉で最近言っておる人もあるようでありますが、理由のない殺人者に追っかけられているようなものだと言う人もあるわけなのですが、表現はともかくとして、やっぱり私、重大な問題になってきていると思うのです。こういうことに対して、私は、今後の取り締まりにあたっては、よほど注意してやってもらわないと、いつまでたっても、法規は立派にはなった。しかし、そういう人命に関する事故は依然として減らない。むしろふえていく。こういうことが起こりはしないか、こういうことをおそれるものであります。そういう点に対して、今後の態勢の上から、あるいは取り締まりに当たる警察官のいろいろな問題もあるかと思いますが、そういう点について、一つ警察庁の長官の方からお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/38
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039・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいま御指摘のように、スピード違反が交通事故を起こします最大のものになっておることは、その通りでございまして、こういう悪質なものに対して、取り締まりを徹底していくということは、警察の責務として、当然強く考えなければならないところだろうと思います。今回法案の改正を機会に、あらゆる方途を講じまして、十分に一般に対する啓蒙もいたしますとともに、警察官についても、こういうものの取り締まりを厳重にやっていくという態勢をいよいよ強化して参りたいと、こういうふうに考えておるわけなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 それらの対策については、あとでまたお聞きする機会があると思いますが、現在、私が先ほど申しましたように、スピード違反というものはなかなかつかまえにくいし、メーターでもつけて、どこかで待ちかまえておるというのであればともかく、うしろからついて走るとかなんとかというのであればともかく、なかなかこれはつかまえにくいものなのですが、そういう違反というものをあげにくいものと違って、少し注意すれば取り締まれるものについても、私、現在取り締まりの中にどうも手抜かりがあるのじゃないだろうか、こう思う点がある。それは、道路の不法占拠の問題なんですが、いろいろ路上に物品を出して置く。あるいは店屋の出っ張りが出ているとか、物を積んで歩道の大半を埋めているとか、あるいは修理作業場の車が路上に置かれて、そうして路上で整備作業をすると、こういうことになりますと、私、もっとこれは取り締まりにおいて気をつけることによってそういうことがなくなると思うのですが、これは一体どういうふうになっています。現在どういうことでおやりになっておるのか。放置しておるわけじゃないだろうが、私の見るところでは、放置とほぼ同様なような格好になっておると思うのですが、この点、一体どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/40
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041・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) いわゆる路上への放置物件の措置についてのお話でございますが、現在におきましても、屋台を出しましたり、あるいは店の先に、歩道にまで店を広げてやっておるというようなものについての取り締まりが不十分であるという御指摘、まさにわれわれもそういうことを感じております。これは、相当やかましくそういうものについての取り締まりをするような方向で指導はいたしておるわけでございますが、現在までのところ、十分な取り締まりが徹底していないということは、御指摘の通りでございます。この法律案におきましても、七十六条の禁止行為の中におきまして、こういう放置物件についての禁止規定を設けておるわけでございまして、何度も先ほどから申し上げますように、世論が非常に交通問題について高まりつつあり、一般の認識も深まって参り、また、そうした法案を制定することを機会として、一そうそういう一ことが促進される機会をつかまえまして、ただいま御指摘のような問題につきましても、警察をあげて十分な取り締まりを励行するようにいたして参りたい。これには、先ほど申しましたように、単に交通専務員のみならず、一般の外勤警察官等にやはり違法行為というものについての適確な措置というようなものについての関心を深め、知識を得しめるということが非常に大事であろうと思います。もちろん、一般の協力ということがなければならぬ問題ではございますけれども、そういう両々相待って、できるだけ交通の妨害になるような事態というものを防ぎ、違法を戒めていくという方向で努力して参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/41
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042・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) ただいま長官がお話ししたところで尽きておりますけれども、補足して、大体の状況を申し上げたいと思います。
放置物件につきましては、まことに目に余るものもありますので、最近は特に各県、あるいは東京、大阪などは、放置物件の取り締まりに相当力を入れております。その数字を概略申し上げますと、三十二年が、全国で放置物件の取り締まりを受けましたのが一万八千七百十四件、三十三年が、その倍になりまして三万六千六百十件、それから三十四年、これは若干推定が入っておりますけれども、七万七千三十八件、毎年飛躍的に取り締まりをやっておりまして、できるだけ現行法でも活用してやっていきたいということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/42
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043・鈴木壽
○鈴木壽君 取り締まり件数が毎年ずっと、倍ぐらいずつふえておるわけですが、むしろ違反者がそれくらいふえているというようなことにもなりかねないのですが、ともかく現行法でもこれは取り締まれるはずなんです。令の六十八条なり法の二十六条で、これはある程度取り締まれると思うのですが、そういうものに従っての取り締まりだと思うのですが、現在でも、これは、私ども住んでおる近所、ちょっと歩いてみても、大通りの歩道に、さっき言ったように、くだもの屋の朝ずっと箱を出して、その上に広げていろんなものを出しておる。半分ぐらい歩道にかかっておるというようなこと、あるいは魚屋のあき箱が歩道にみんな重ねられておるというようなこと、さらに私、最近特に問題だと思うことは、先ほどもちょっと言いましたように、自動車関係の会社なり、あるいは整備工場の整備の車を大っぴらに、歩道はおろか、道路へ出てやっておるというようなこと、はたしてこのようなことが一々警察署長等の許可を受けたりなんかしてやられておるものかどうか。あるいはあなた方の警察関係の権限外のことであって、これは運輸省なり陸運局等で何か取り締まるべきことであるのか。あるいは通産省関係のことであるのか。そこら辺はどういうふうになっておりますか。ちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/43
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044・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 修理工場前の路上に自動車がたくさん置かれておるという状況は、私どもも目にずる問題でございますが、これは、まさしく警察の取り締まりの対象になるべきものでございます。もちろん、そういう自動車を置く者が、警察署長の許可を得て、正当に道路を使用しているわけではないわけでございます。ただ、こうした物件については、これを他に移すように、どこかに格納するようにというような命令行為、また命令に従わない場合における科罰行為ということは、これは可能でございますが、現状はそれが十分徹底しない、また励行されていないというような状況でございます。今回の改正案におきましては、違法駐車というようなものにつきまして、道路の危険がはなはだしい、あるいは交通の妨害に著しくなるというような場合に、これを他に警察力をもって移すというような道も考えておるわけでございまして、そういう権限とあわせて、現在のような修理工場前の道路を不法に使用するというような事態をできるだけ解消して参るように努めて参りたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/44
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045・鈴木壽
○鈴木壽君 お話のように、現在今度のこの法を見ますと、特に第五章の「道路の使用等」という一章を設けまして、こういうものについていろいろ規定をされておるわけでございますが、例として申し上げました、たとえば自動車の整備工場の整備すべき車、あるいは整備の終わった車、あるいは作業中のそういうものが路上にあって、通行上非常に支障を来たす、場合によっては事故の原因にもなりかねない。こういうことについては、私は、やはり現在の法でも取り締まれる部面があり、取り締まるべきものではないか。新しい法ができたから、今度さらにやりやすくなったというようなことがあるかもしれませんけれども、現在の法において、そういうことがもっときちんと行なわれるようにできないものかどうか。こういうことなんですが、どらですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/45
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046・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 現行規定においても、制度的にできる問題が実現されないでおるということは、遺憾ながら事実でございます。この点は、法の成立という問題を離れましても、われわれ従来も努力をして参ったのでございますが、現行法の規定も十分に活用して、できるだけそうした違法状態のないように努めて参りたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/46
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047・鈴木壽
○鈴木壽君 その輸送の車に関係というか、そういうことをやっている事業所といいますか、それから今の車の整備の仕事をしておる。そういうものには作業場なり、あるいは車庫、あるいはそれに類する、道路にはみ出さなくてもいいような車の置ける場所といいますか、そういうもののそろっておることが、私はそういう仕事を、何といいますか、認可したりなんかする一つの条件になっているんじゃないかと思いますが、これはもちろん、あなたの方の直接関係するところじゃないかもしれませんが、ですから、そういう点をもっとしっかり他の関係当局と話し合いをしてやらないと、見ますと、小さな整備の工場で、せいぜいあの広さだったら、普通の車だったら、二台くらい入れたらもう一ぱいになるんじゃないかと思われるような所で、中に二台も入って、そこにも二、三台あって、今言ったように、外で作業をしなければならぬ、こういうのは私はざらにあるんじゃないかと思うんですがね。こういうものについては、どういうふうな措置を現在までやってこられましたのか。それから、将来またどういうふうにやっていかれようとするのか。この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/47
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048・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) 確かに、今御指摘の点につきましては、現行の法体系におきましては、やはりその整備工場が使うべき敷地その他につきましては、その計画を出して、それで運輸省の許可を受ける、おおむねこういうふうに相なっておるわけであります。そういうものについて、許可を受けた通りにやっていないという場合が相当にあることは事実であります。これらにつきまして、私たち警察の方からは、あるいは警視庁なり第一線からは、たびたび申し入れをしまして、そういう違反者に対しては行政処分をするなり、あるいは適当なる措置をとつてもらいたいということを絶えず申し入れをいたしております。しかし、まあ完全にそれが効果を上げておるとは言えないと思うのであります。従いまして、先ほど長官からもお話がありましたように、放置物件がある。その場合に、その違法であるということに対して、その追及はできましても、現実にそれを排除するという手段がございませんので、非常に交通の妨害になりましたり、危険になりましたりといろ場合に、その原因を取り除くということができないのであります。そういう点で、若干この法案では新たな措置をとり得るような案を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/48
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049・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、私、自動車業者なり、あるいは整備工場の人たちが仕事を始める場合に、やはり認可の大きな要件として、強く今後規制づけていかないと、今後罰則等もこれは加わると思いますが、そういうことによって、ある程度そういう不法占拠ということの件数は減るかもしれません。しかし、今言ったように、現実に仕事をするためには、やはり道路へでも出なければ仕事ができないというような、そういう規模といいますか、工場の条件等が、あるいは敷地の条件等がそういうふうになっている所があるので、小さな工場になると、それがざらではないか。これは私、はなはだ言っては悪いかもしれませんけれども、麹町のあの裏通りあたり、あそこら辺にたくさん整備工場があるんですが、ときどきあそこを通ってみて、はたしてこれでいいものか。通行する車が、ようやくよけてもらったりなんかしなければ通れないという、これは駐車とか何かのそれにも関係しますけれども、そういう問題がありますものですから、一つ十分今後そういう面についての運輸省関係との連係なりをやって、あなた方が幾ら目を光らして歩いても、今言ったようなことを、さてけしからぬといって、かりに取り除かせたにしても、そこのうちの仕事そのものにまた関係をしてくる、こういう問題も私残るのじゃないかと思いますから、十分一つ今後の対策については検討していただきたいと思うのです。そこで私、罰則に関連しまして、あるいは取り締まり等について、一、二現状についてお伺いしましたが、先ほど冒頭に申し上げましたように、今回の法を見ましても、やはり現状のいわゆる根本的な恒久的な対策ができておらない現状であってみれば、法そのものが依然としてやはり取り締まり的なものにならざるを得ないし、また、罰則というものも当然強化されていかなければならぬというふうに私はなることは、まことにやむを得ないと思うのですが、その事故防止の対策を立てる場合に、一体どういうふうに考えられておるのか。私、一つの問題として、これだけがそうだという意味じゃなしに、現在の事故というものは一体どういうものから起こっておるのかというようなことを十分お考えになられたかと思うのですが、そういうものも一つ考えていかなければならぬじゃないだろうか。で、いただきましたこの交通事故の統計資料を見ましても、いろいろ私、問題が出てくるんじゃないかと思うのです。さっき申し上げましたように、道路の問題とか、他の工作物なり、あるいはその他の問題等を一応別にしましても、事故の起こった原因というものを突きつめた場合に、法規を作る場合に、相当私、参考になる点があるだろうと思うのです。もちろんこれは、あなた方十分こういうものを検討なされた結果お作りになったものだと思うのですが、私、自分なりにこのいただいた資料からいろいろ考えてみましたが、そういう点から考えて、一体現在の法規そのものが、理論的にもあるいは実際的にも、事故防止という面から見て、果して適合しておるかどうかというような問題が私はあると思う。それからこれは、違反の大部分は法規を無視し、法規に違反したところから出ておるわけでございますが、そういうものを一体それじゃどうしたらいいのかという問題、あるいはその原因が操縦者の状態等にあるというような場合に、一体その操縦者の状態をどういうふうにあるべき姿に持っていく手を打つべきであるかと、こういう点も考えていかなければならぬし、車両の状態によっての事故があるとすれば、一体車両の検査なり整備なりというものがどうなければならぬか、それと、現在のように、あなた方の手を離れてそういうことが行なわれておりますから、あなた方から見たら、そういう問題をどら処理をしていけばいいのかと、こういういろいろな問題があると私は思うのです。そういう点について、私は、こまかいことはもちろんここで必要でないと思うのです。今回の新しい法案を作る場合に、どういう配慮をなされたのか、少し抽象的な質問の仕方でございますが、もしそういう点についての御配慮があったとすれば、一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/49
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050・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 最近の交通事故が非常に増大しておるということの根本的な原因といたしましては、確かに自動車の数が、昭和二十二年に比較しますと、十一倍以上に相なっておるわけでございます。ところが、これを通すところの道路というものが、十分にこれに応じた整備がなされていない。また、運転手等の交通道徳あるいは歩行者等の交通に対する認識等も、こうしたものに応じた進歩改善がなされていないというようなところに、非常に大きな原因があるように思うのであります。従いまして、根本対策としましては、先ほど来先生方からお話しのように、建設省であるとか、あるいは運輸省であるとか、その他関係各省が一体となって、大乗的に問題を考えていかなければなるまいと思うのでありますが、ただ、われわれ道路交通の面を預かるものといたしまして、現在の道路交通取締法、また、それに基づく政令というようなものを通覧いたしましても、非常に実情に沿わない面が多くあるということで、まず第一には、交通の規制の合理化をはかっていく。また、歩行者保護の徹底を期して参る。さらに、車両等の交通法の合理化をはかっていく。それから、危険防止のために各種の措置の強化をはかる。また、雇用されておりまする運転者等につきましては、単に運転者のみの責めに帰させないように、雇用者等の責任の問題もありますので、こういう雇用者等についての義務を規定するというような問題、また運転免許につきましても、現在各府県独自にやっているわけでございます。今回の法案におきましても、建前はそういうことにいたしておりますけれども、できるだけ基準を明確にして、斉一な免許制度あるいは教養制度、教習制度というようなものを確立して参る。また、現行法ができました当時とは、車両の種類等についても、また免許を受けまする資格についても、いろいろと改善を加えていかなければなりません点もございますので、そういう運転免許制度全般について検討を加えるというような問題とあわせまして、最後に、罰則の規定を強化し、特に両罰規定とか、あるいは飲酒運転等について特殊な規定を設けるというようなことをいたしまして、とにかくにも現在の道路交通取締法並びにこれに基づく政令の不備な点を是正し、今後将来、しばらくにわたって、国民が道路交通の基本法として守るべき体系として道交法を立案いたしたような次第でございます。繰り返して申し上げますが、この法律は、われわれの立場において最善を尽くしたつもりでございますが、この法律の改正のみによって、道路交通の円滑化あるいは事故防止ということに、もちろん相当に効果あることは事実と思いますけれども、それによって抜本的な解決をはかり得たとはいささかも私どもも考えておりませんので、この上とも国民大衆の理解と、それから関係当局、特に深い関係のある各省の大乗的な見地に立っての交通政策の樹立ということに邁進して参らなければならぬというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/50
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051・鈴木壽
○鈴木壽君 そこで、いろいろお話を伺いましたが、何べんも申し上げますように、また、あなた方のお言葉にもありましたように、今直ちに抜本的な事故防止対策というものもなかなかむずかしい問題ですが、しかし、少なくとも現在起こっておる、あるいは起こりつつある事故の原因を尋ねていった場合に、今すぐやっぱり手を打たなければならぬ問題、単なる法改正という意味じゃなしに、そういう問題が私いろいろあるのじゃないかと思うのです。いただいた資料の三十二ページは、交通事故の原因について詳しく数字をあげられたものだと、こう思うのですが、これを見ますと、車等の側に原因があると思われるものが、総事故の十九万余に対して十五万六千八百九十一、こういう数字が出ているわけです。しかも、そのうちいわゆる操縦者の所為と、明らかにこれを見ますと、区分を見ますと、法規の無視ですね。違反、これは過失もあるでありましょう。不注意から来たのもありましょう。あるいは技術の未熟な点から、思わず知らず徐行すべきところを、ギアの入れかえがうまくなくてなんというのもあるかもしれませんが、とにかくそういう法規に違反したことからのがほとんど全部でございますね。十五万六千。こういうものからしますと、私は、いわゆる操縦者の心がまえなり、法を守るという、そういう考え方、こういうものについて、言葉は悪いけれども、やはり再教育をする必要があるのではないかと、こういうふうに思うわけですね。あるいは操縦者の状態、これは非常に大きな数字を示して、二万八千幾らと、こうなっておりますが、この中に明らかに、心身状態というよりも、むしろ技術の熟練をしておらないためにという、いわゆる未熟練のそれが半分近くの一万二千件ある。こういう問題も、やはり技術の未熟練の単なる事故あるいは違反という、そのものだけでなしに、一体そういうものに対して、技術の未熟な者に対して車を運転させていいかどうか、あるいは再教育をする方法を当然考えていかなければならないと私は思うのです。車両の状態等におきましても、これは見ますと、ちょっと整備をし、あるいは注意をすれば、こんなふうに件数にはならないのではないかというふうに大きな件数を示しておるのですから、こういう問題について、単に法規の上で、こうしなければならぬ、あるいは違反の場合にはこらなんだというふうな罰則規定等よりも、むしろそういう面で、一体取り締まるあなた方なり、あるいは働かせておる人なり、あるいは運輸関係の方の当局として、どうしなければならぬかということが私考えなければならぬと思うのですが、こういう点についても、何かお話し合いをしておったり、寄り寄り関係当局の間に連絡をするというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/51
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052・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かに運転者の未熟から、あるいは心がまえ等の問題から事故が起こっている面も非常に多いわけで、今回の改正法案におきましては、違反をして停止処分、いわゆる行政処分としての運転の免許の停止を何カ月か処分をするというような場合におきまして、本人の申し出によって講習を受けることを得させる。そうして講習を受けた者に対しては、その停止処分の期間を短縮する。その受講の程度に応じて短縮するというようなことで、技能を高めつつ、本人にも利益があるというようなことを加味した規定を設けておるわけでございます。そのほかに、一般的に再教育と申しますか、そういう機会も地方々々において、これは強制的にはなかなかいたしにくいものかと思いますが、そういう技術を高めるような方策も講じて参りたい。また、運転免許につきましても、先ほどもちょっと斉一化の問題を申し上げましたが、免許についても、技術をさらに現在よりも高度なものを要求するという方向に持っていきたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/52
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053・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、やっぱり今後のいわゆる事故防止対策というような点になりますと、何べんも申し上げまするように、法を改正する、あるいはいろいろな規則を作る、それによって取り締まるというようなことも、もちろん大乗的な方法として必要にはなってきますけれども、今、こういうあなた方の資料から見ました、そういうもので考えた場合に、そういうこともやはりぜひ一つこれは本腰を入れてやっていかないと、なかなか事故防止というようなことは、掛声だけで、なくならぬと思うのですね。ですから、その点一つ、注文みたいなことになりますが、それを申し上げておきたいと思うのです。
それからさらに、これはまあ、今申し上げたのは、車両あるいは操縦者等の側から見たのですが、人間関係について、やはり相当法規無視というようなことで事故が起こっておるわけですね。人関係では九千三百五十九と、これは事故ですから、いわゆるその法違反、取り締まりというようなことになりますと、もっともっと私、警告とか、そういうものからいくと、たくさんあるのじゃないかと思うが、ともかく事故でばかにならない件数があがっておる。
さっきも申しましたように、人命にかかわり、場合によっては大きなけがをするというようなことがこの中に当然出てくると思うのですが、そこで、一般の人も、国民の方も法規を守ってもらいたい。法の順守については十分注意をしていただきたいというような、これは当然そういうふうにおっしゃると思いますが、やっぱり一般の人も守り得るようなわかりやすい法規あるいは交通の指示なり、いろいろなそういうものがなければならぬと思う。特に交通整理を行なっておる交差点とか、雑踏するような所では、あるいはそういう警官の方の指示によったり、信号機等によってやられるということがあると思うのですが、そういう整理の行なわれておらない、あるいは信号機等のついておらない所にいろいろな問題が起こると思うのですね。ですから、条件を整えてやるというようなこと、こういうことも大きな問題、さらに、そういう場所を通る場合の交通規則なり法規を守ってもらうためには、今言ったように、やはりわかりやすい、守りやすい法規でないと、読んでみたって何のことかわからぬというふうなものであっては困るし、あまりややこしくても、これは私は困ると思うので、あなた方が今回、できるだけわかりやすく、平易にして、道路交通の基本たらしめたいというような、非常な努力でお作りになったようでありますが、残念ながら、読んでみますと、なかなかやっぱり容易でない。何べんも何べんも考えて、なるほどそうかと、これは、普通の人にこういう法規を覚えろとか何とか言っても、なかなか大へんじゃないかと思うのですが、そういうことについて今後の、言葉は悪いけれども、啓蒙とか、あるいは一般の方に周知していただくための何か手段なり、そういうことをやはりぜひ真剣に考えなければいけないと思うのですが、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/53
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054・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) この法案は、ただいまお話のように、われわれとしては、できるだけ平易に書くことに努めたつもりでございますが、なかなかどらも役人仕事であり、また、特にこの法律の中には、犯罪構成要件を満たすような、やはり正確さを期するというような点がございまして、なかなか御満足いくような平易な文章にはなりかねたかと思いますが、努力は相当にいたしたつもりでございます。なお、この法律の趣旨の徹底ということにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、あらゆるマスコミを通じ、また、われわれの方としても、パンフレットその他わかりやすい絵の入ったようなもので、民衆にわかるようなものを、理解できるようなものを作る等のことをいたし、また、各府県にございます交通安全協会等の協力も得まして、そういう普及徹底にはできるだけ努めて参りたいと思いまするし、これまた先ほど申し上げたことでございますが、交通専務員のみならず外勤警察官に、交通の重要性、また交通法規の認識理解というようなものをさらに深めるようにいたして参りたいと思っておるわけでございます。
今度の法案におきましては、特に歩行者の保護ということについて、注意をいたして規定したつもりでございますが、たとえば、交差点以外の横断道路においては、横断道路を人が通っているときは、自動車は一時停止ないし徐行して、歩行者の交通を妨げないようにしなければいかぬとか、あるいは目の見えない人とか、耳の聞こえない人、あるいは幼児等が歩いているときには、同じような注意をしなければいかぬというような規定も加えておるわけでございます。また、歩行者自体についての取り締まりの問題でございますが、歩行者には、正常な歩行方法ということを示しておきますが、一部の悪質な者以外は、正しい歩行方法というものを規定し、これに対して法律を尊重するという気持からこれを守ることを期待して、直ちには罰則をつけないということにいたしておりまして、ただ、警察官が、正しくない歩行をしている者に対して、正しい歩行をすべきことを指示した場合に、これに違反したときに罰則を適用するというふに改めて、法の順守をできるだけ自発的にやってもらう。それにはまた、先ほど来お話のありましたように、十分に法についての理解を深めるということが必要であろうと思いますので、そういうことに特に努力を続けて参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/54
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055・木村行蔵
○政府委員(木村行蔵君) 鈴木先生のおっしゃられる再教育ということは、非常に重大な問題だと私たちは思っております。先般・二月に、先ほどお話が出ました交通事故防止対策本部、各省の関係官が集まりまして、いろいろな総合対策について相当意見を出しております。そのときに、私の方から文書で、交通知識なり交通道徳に関する義務教育化という要望書を出しまして、実は、各会社で出しておりますところのいろいろな小学校あるいは中学校、高校の教科書を相当検討いたしました、その検討の結果、交通に関する教科内容が非常に貧弱でありまして、せいぜい小学校における教科書の低学年の社会科ぐらいのところで出ているような状況でございます。やはり社会科だけでなしに、あるいは数学にも関係ありますし、あるいは国語にも関係ありますし、万般関係が深いものですから、いろいろな面について要望を出しまして、さらに今後は、歩行者なり運転者全般についても、こういう教育をすべきではないかということを相当強く要望いたしておるのであります。
それから、先ほど長官からもお話がありましたけれども、秋と春に全国交通安全旬間がございますが、そのときに、できるだけその機会を利用しまして、法規なりあるいは技能者の講習会を各地方で自発的にやっておりますけれども、こちらから勧奨して相当やらしているという事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 きょうはあまり時間もないから、この程度でやめますが、今後、この法がかりにできた場合に、さらにもっといろいろな具体的なことを当然やはり示さなければいけないことがあると思うのですが、また法案の中にも、そういうものにようなければならぬということもありますし、運転手なりあるいは関係する人々に対して、特に運転手の諸君に対して、もっと親切に教えてやるような部面があってもいいのじゃないか。これは本質的な問題じゃございませんけれども、たとえば、交差点に入っていく場合には、徐行しなければいかぬとか、踏切のところでは一たん停止をする、あるいは徐行しなければならぬとか、いろいろありますが、そういうことについて、私ちょっと見て、これはなるほどと思ったのですが、外国——スイスの交通関係法規に、坂道をおりるときに、伝動装置を機関から切り、または変速装置のクラッチを中立に入れたままでおりてはならない。こういうこともありますし、ニュートラルにしてはいかぬ、こういうことまであるのですが私、そこまで一々こまかくやれと言うのじゃございませんが、やはりもっと、法を守るという心がまえと同時に、当然なさなければならないとと、単にブレーキを踏むんだとかなんとかというよりも、むしろこういうようなことも、再教育の機会を通して、必ずしも私は政令にこんなことをきめなくてもいいと思うのですが、そういうようなことまでやはり注意を与える、あるいは守らせるというようなことが、現在の事故をより少なくするためには必要なことであるのではないかと思って、興味深くいろんな条項を読んでおりますが、相当具体的に書いてありますね。これだったら、いや、おれはブレーキを踏んだけれども、どうもあまりきかなかったとかなんとかというようなことがなくて、あるいは技術の面で、おれはこういうふうなことをしたのだけれども、思う通りにならなかったとかというようなことがなくて、当然やはり事故を防ぐために、暴走なんかというものも防げるのではないだろうか、こういうふうに思うわけなので、これは、今言ったように、法律で一々こんなこまかいことまでやる必要はないにしても、何かそういう点等を配慮することによって、私は、事故を防ぐという上にやはりプラスになる点があるのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、いずれその他の問題につきましても、次回に二、三お聞きしたいと思いますが、きょうはこの程度で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/56
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057・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、本案に対する質疑は、本日はこれで終わります。明日は午前十時から開会いたします。
本日は、これで散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00519600302/57
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