1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月五日(火曜日)
午前十一時十一分開会
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委員の異動
本日委員館哲二君及び西田信一君辞任
につき、その補欠として上林忠次君及
び北畠教真君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
基 政七君
委員
上林 忠次君
北畠 教真君
郡 祐一君
白井 勇君
占部 秀男君
松澤 兼人君
政府委員
自治政務次官 丹羽喬四郎君
自治庁行政局長 藤井 貞夫君
自治庁財政局長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治庁行政局振
興課長 山本壮一郎君
食糧庁業務第二
部長 村田 豊三君
水産庁漁政部長 林田悠紀夫君
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本日の会議に付した案件
○地方公営企業法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○奄美群島復興特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。奥野財政局長から、提案理由の補足説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/1
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002・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 法律案に基づいて御説明申し上げます。
第二条の第一項、水道事業を特に水道事業と工業用水道事業に分離して規定することにいたしております。工業用水道事業が漸次発展して参りまして、地方公共団体がこれを行ないます場合も多くなって参りましたので、このように改正をいたしたいわけであります。そういたしますと、事業の実態から見ますと、水道事業については、五十人以上の企業について公営企業法を適用することといたしまするならば、工業用水道事業につきましては、三十人以上の企業に地方公営企業法を適用することが妥当だと、こう考えたわけでございます。現在工業用水道事業がすでにその運転を実施しておりますのは十五ございまして、三十人以上のものが二つでございます。なお、建設中のものが二十三ございます。第二項の規定は、第一項に各事業ごとにこの法律の適用される事業の規模を規定しているわけでございますけれども、それ以下の規模の事業でございましても、少なくとも財務に関する規定を適用いたしますことが、それらの企業の経営成績を明らかにし、資産の状態を的確に把握するためには必要なことでございますので、ある程度の員数がありますれば、少なくとも財務に関する規定は適用するということにいたしたい、かように考えたわけでございます。すなわち、第一項に掲げてあります事業でありましても、職員数が二十人をこえますと、その場合には、身分の取り扱いの規定は別にいたしましても、財務に関する規定を適用する。その結果、いわゆる官庁会計によりませんで、企業会計方式をとるわけであります。自然発生主義に基づく計理を行なうことになりますので、複式簿記を採用することになりますし、減価償却も実施していくということになって参るのであります。ただ、直ちにこれを適用いたしますと、多少混乱が起こるおそれもございまするので、附則の方で、三十六年の四月から適用するという緩和規定を置いているわけでございます。第一項の規模までは職員数はいないが、同じような事業をやっている団体が七百九十三ございます。そのうちでこの規定の適用を受けることになります企業の数が百六十三ということになっております。
第三項は、これは、現に第二項として掲げられている規定と全く同じでございます。
第七条の改正規定は、若干の規定を追加するわけでありますが、すなわち、「なお、水道事業及び工業用水道事業をあわせて経営する場合又は軌道事業、自動車運送事業及び地方鉄道事業のうち二以上の事業をあわせて経営する場合においては、それぞれ当該あわせて経営する事業を通じて管理者一人を置くことを常例とするものとする。」ということにいたしたいのでございます。水道事業を、本来の水道事業と工業用水道事業に分けて規定いたします結果、それぞれ個別に管理者を置くべきものではないかという誤解を生ずることもおそれまして、同じような種類の事業については、むしろ管理者一人を置くことを常例として能率的な運営をはかったらよろしいのだということを法文の上に明確にしたいという考え方でございます。
二十七条にただし書きを加えております。すなわち、「ただし、管理者は、地方公営企業の業務の執行上必要がある場合においては、次項の規定により当該地方公共団体の長が指定した金融機関に、当該地方公営企業の業務に係る現金の出納事務の一部を取り扱わせることができる。」ということにいたしたいのでございます。これは、企業に係ります料金を納めるのに、金融機関の窓口に持って行った方が都合がよろしい場合がたくさんございます。そういう場合には、やはり銀行その他の店に持って行って料金を納められるようにいたしたいという考え方でございます。
第三十条の改正は、これは、決算案定の議会を書いた部分でございます。事業年度終了後三カ月を経過して最初に招集される議会に付議することになっておるわけでございますけれども、臨時会では穏当でございませんので、「定例会である議会」というようにいたしたいのでございます。
三十一条中に「十日」とありますのを「二十日」に改めたいのは、毎月事業の成績を報告をする。それを翌月の十日までにしておるわけでございますが、少し短か過ぎるようでございますので、二十日に改めたいのでございます。
それから三十四条の二の規定、これは、現在地方公営企業法施行令に規定されている条文をそのまま法律にあげたわけでございます。といいますのは、第二条第二項に財務の規定だけを適用する企業を加えたわけでありますが、この部分は、従来政令で、任意にやれると、こうしておったわけでございます。それを受けまして、この三十四条の二の内容の規定が政令にあったわけでございまして、今申し上げました第二条第二項の改正とあわせまして、この規定を政令から法律に引き上げるということにいたそうとするものでございます。
附則の一項は、施行期日を示したわけでございます。先ほど申し上げましたような意味合いで、来年の四月一日から施行する。準備期間を持つようにいたしたい。かように考えておるわけでございます。
〔委員長退席、理事鍋島直紹君着席〕
第二項は、水道事業または工業用水道事業で常時雇用される職員の数が三十人未満のものを経営する部分につきましては、さらに準備期間をとる意味において、三十七年三月三十一日までの間は、当該団体が条例で定めました場合に限って、財務規定等を適用しないことができるということにいたそうとするわけであります。その間に財務の規定の適用につきましての指導の期間も持つし、また、団体側におきまして準備の期間も持つようにいたして、円滑な運営に踏み出せるようにいたしたい、かように考えているわけでございます。その他の規定は条文の整理でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/2
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003・鍋島直紹
○理事(鍋島直紹君) これより質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/3
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004・占部秀男
○占部秀男君 奥野局長に御質問を二、三いたしたいのでありますが、第一に、今度の改正によって、第二条第一項中のこの改正によると、結局工業用水道事業の場合には、三十人以上は公営企業に適用されて、三十人未満二十人以上のものは財務の規定が適用になる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/4
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005・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/5
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006・占部秀男
○占部秀男君 その場合に、適用になるというのは、二十人以上の従業員を持ったところは、水道事業だけでなく、軌道あるいは電気とか、いろいろな法二条に定めておるところのもの、すべてこういう方式にやらなければいけないということになるわけでございますか。いわば義務づけられた形でしなければならないということになるわけですか。その点いかがですか。
〔理事鍋島直紹君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/6
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007・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 なお、第二条のこの人数の問題については、いろいろと法案ができる前に経過があったということを私了承しておるのでありますが、適用の範囲の問題で、上水道の事業や軌道事業などですね。これは、将来的に考えても、人数の問題は、この工業用水道は三十名、上水道は五十名というように、こういう点については、将来さらに縮減するというような考え方はお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/8
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009・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 率直に申し上げますと、人数のいかんにかかわらず、こういう企業の性格を持った事業につきましては、官庁会計によっておりませんで、企業会計のシステムを採用することが妥当だと、こう考えております。また、官庁会計自身の考え方につきましても、今日いろいろな批判があるわけであります。そういうことを考えますと、会計制度全体につきまして、なお幾多検討の余地があるのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。ともかく、とりあえず現在の段階で、ここまでは企業会計方式を強制しても混乱は起きないだろうという考え方のもとに提案いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/9
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010・占部秀男
○占部秀男君 根本的には、人数にとらわれないというのですが、少なくとも公営企業というものは、現在世界的にもあちらこちらでなさっておる傾向から見れば、公共の目的ということに特に沿わなければならない、そういう目的もあるわけですけれども、やはり独立採算制をとるという意味で、これは一種の収益性といいますか、いわゆる営利性じゃありませんけれども、独立採算制をとるという意味における収益性というものは必要になってくると、これは必然的に必要になってくると思うのですが、そういう場合に、やはり事業の性質及び規模にも関連はあるのですけれども、一定の人数に区切らなければ、そうした収益性というものを完全に具現することは私は困難になってくる場合が相当ある。つまり事業形態によっては、あまりにも人数の少ない、すなわち企業規模というものが経営に見合わないというような問題が起こってくると思うのですが、そういう点については、どういうふうにお考えになっておりますか。これは、将来の問題として非常に重要になってくると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/10
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011・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 公営企業は、原則として独立採算で運営をしていくということは、人数のいかんを問わず、そういう性格のものだと思います。そういう意味で、現に地方財政法にはそういう規定を置いているわけでございます。これは、別に人数のいかんを問うておりません。地方公営企業法の場合には、そういうことを離れまして、さらに財務の規定でありますとか、あるいは身分取り扱いの規定でありますとか、そういうことにつきまして、地方自治法あるいはそれらの関係規定を適用することが穏当でございませんので、別なシステムをとることができるのだ、また、とらせることによって、公営企業の能率を発揮さしたいのだ、こういう考え方に基づいているわけでございます。独立採算でいくかいかないかという問題と、地方公営企業で、これに地方公営企業法を適用する場合に、ある程度の員数を持った企業でなければ公営企業の適用はしないのだということは別個の問題だ、かように考えているわけでございます。もとより地方公共団体の行なうものでございますので、企業でありましても、収益にとらわれたような運営をするわけではございませんし、そういう見地でもっぱら運営するようなものは、むしろ地方公共団体で行なうことが適当であるかどうかという問題が起こってこようかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/11
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012・占部秀男
○占部秀男君 これはなお、最近の公営企業といいますか、そういう扱いが、割合に地方団体の事務事業の中にも、質的にも量的にもふえてきている。こういうような傾向から、地方団体の本来行なうべきものが、何か料金を取る、あるいは使用料を取る方へ肩がわりされるような傾向が出ているというのじゃありませんよ、出てきたのでは、非常に将来にかけて問題があると思うのです。特に、地方財政が苦しくなってくるということになって、そういう形の方向がとられると、私は、非常に住民福祉の上から言っても問題が出てくるのじゃないかと思うのです。
そこで、なお二条にかけてお伺いしたいことは、たとえば下水の問題、あるいは埋め立て、特に港湾と限らず、工場用地であるとか、いろいろな住宅用地、そういった埋め立ての問題、そういうような問題について、こういう地方公営企業的な法を適用するような考えはあるのでございますか。ないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/12
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013・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 地方公共団体が、条例で、みずから地方公営企業法を適用しようとする場合には、それは禁止いたしておりません。私たちの考え方のもとでは、下水道事業でありますとか、あるいは港湾整備事業でありますとかいうようなものは、準公営企業という呼び方をいたしております。また、そういう関係でいろいろな規定をいたしているわけでございます。公営企業の場合に、私たちは、純然たる独立採算の性格を持った運営をしてよろしいと、こう考えております。準公営企業になりますと、部分的に一般会計から相当な繰り入れを行なうことを常例とすべきものであろう、こういう考え方に立っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/13
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014・占部秀男
○占部秀男君 この二条の中で、第三項は、「前二項に定める場合のほか、地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の経営する企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。」こういうふうになったでしょう。この意味は、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/14
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015・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) これは、現行法の第二条の第二項の規定でございまして、これを受けまして、現行の地方公営企業法の施行令には、どういうような企業にこの法律の規定の全部または一部を適用することができるのかという意味をもちまして、主としてその経費を当該企業の経営に伴う収入をもって充てるものについて適用することができるのだということを明確にいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/15
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016・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、この「収入をもって充てる」というのですが、その収入をもって充てる、そういう事業というと、具体的にいって、どういうような形になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/16
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017・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 今お話しになりました下水道事業でありますとか、港湾整備事業でありますとか、そういうものでありましても、主としてその経費を当該企業の経営に伴う収入をもって充てるのだというようなものでありますならば、その団体の考えに基づいて、適用しようと思えばできるということになるわけであります。
なお、申し落としましたが、第二条の第一項で、それぞれの事業ごとに職員の数を規定いたしております。その職員の数以下の事業でありましても、同種の事業であれば、この法律の規定の全部または一部を適用することができるのだということを政令で明らかにいたしております。その二つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/17
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018・占部秀男
○占部秀男君 それから第二十七条一項のただし書きの問題なんですが、ここでは、当該地方公営企業の業務に係る現金の出納事務の一部を金融機関に取り扱わせることができる、というのですか、行わせるというのですか、そういうことになっておるわけですね。その場合に、現金の出納事務そのものを扱うのは、これは金融機関に全部預けて扱わせるのか、それとも水道なら水道の職員を、よくありますな、派出して、そして職員に実際出納事務そのものをやらせるのか、そういうことはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/18
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019・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 金融機関に出納事務の一部を取り扱わせるわけでございますので、そこへ公営企業の職員が出向く必要はないわけでございます。金融機関の職員が料金を受け取ってくれればよろしいわけでございます。そして受け取った料金を公営企業の口座の方に振り込んでくれればよろしいという考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/19
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020・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、税金をその期間前に郵便局へ払い込んでいく、あれと全く同じ方式をとってもよろしい、こういうふうに考えていいわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/20
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021・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/21
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022・占部秀男
○占部秀男君 それから、この管理者の問題ですがね。私も、御存じのような関係で、ほとんど半年ぐらいは地方を歩いているのですが、専任の管理者があるとないとでは非常に、公共企業の経営自体の問題もそうですが、特に労務管理やその他の問題に触れても、率直に言うと、何と申しますか、経営自体の運営面において相当な開きがあるという場合を私は見るのですが、少なくともこの公営企業体というところには、専任の管理者というものは必ず置かなければならない。特にこのいうような何か指導方針といいますか、強力な行政指導でもしてこれをあれするというような意思はありませんか。法では、助役の場合できることになっておりますね。ですから、そういうようなものを専任のやはり管理者を、少なくともたとえば水道事業でいえば五十人、軌道、自動車でいえば百人というようなある程度従業員を使った、何と申しますか、経営形態になっておるわけですから、そういう点については何かお考えはありませんかどうか。また、専任の管理者がいないような場合に、いろいろ労使関係あるいは運営上で不便があったというような、そういうような報告というか調査というか、そういうものがあるかないか、簡明に一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/22
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023・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 基本的には、おっしゃいますように、管理者を置くべきものだと思います。それが地方公営企業法の精神だと思います。ただし、例外的に、管理者に適材が得られないとか、あるいは他の企業との関係において、公営企業ではあるけれども、むしろ他の企業と一体的な把握運営をした方がよろしいから、長がむしろその任務もあわせて行なった方がよろしいというようなこともあろうかと思うのでございます。そういうことを考えまして、ただし書きで置かないことができる場合を規定したわけでございます。現状は、大体二割くらいの部分は管理者が置かれておりません。そういう団体につきましては、今申し上げますようないろいろな事情があろうかと思うのでございます。現在特に不都合な事態が起こっているとは思っていないわけでございますが、本来置く建前でございますので、そういうつもりで今後も指導に当たって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/23
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024・占部秀男
○占部秀男君 実は、どういうわけでこういうことを局長にお願いするかと申しますと、この適任者が得られないというので、一時的な形で、専任の管理者がいないような場合ならいいですが、そうじゃなくして、いろいろ専任管理者を置かなくちゃならぬと市長さんも考えていても、議会関係が、あるいはまたその他の関係から置かないで、それがついずっと長くなってしまうと、そういうことの結果、企業そのものも、労使関係そのものも非常にまずくなったという例が相当あるのですよ。これは調べていただけばわかるのですが、やはり専任管理者を置かなければならないというようなところまで自治庁としては、少なくとも公営企業体なんですから、強力な一つ指導をしてもらわなければならぬと思うのですがね。そういう点、一つ重ねて今局長の御答弁もありましたから、お願いをしたいと思うわけです。
それから繰入金の問題ですが、赤字の、水道のような場合には割合にうまくいっているところも、特に人数が少ないところでも相当あるようでありますけれども、やはり企業体である以上、いろいろそのときそのときの経済的な条件というものに大きく影響される場合が個々の企業になるとあるわけであります。この赤字の際に、何と申しますか、一般会計からの繰り入れといいますか、赤字を当面補てんしてもらうための、補てんというか、措置してもらうための、たしか公営企業法の中にもそういう規定がありましたですね。ああいうような面について、特に赤字の際、単にあの場合には、災害であるとか、いろんな条件が二、三ついていたと思うのですが、やはり経済的な変動というものは相当あるということも考えて、赤字の際にはそういうような赤字処理の問題ができるような、何と申しますか、措置をとってもらうことが望ましいのではないかというようにわれわれは考えるのですが、そういう点については、今までのやり方はどういうふうになっておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/24
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025・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 一般会計から特別会計へ繰り入れをする場合は、すなわち、公営企業法の第十八条に、「災害の復旧その他特別の事由に因り必要がある場合」にはできると、こういう規定を置いているわけであります。要するに、当該団体の考え方に基づいて繰り入ればできるわけでございまして、特にそれを抑制するような立場はとっていないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/25
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026・占部秀男
○占部秀男君 これは、特にそれを抑制するような立場をとっておらないという事情もわかるのですけれども、これは相当、個々の現場へ行きますと、事業の性質によっては、今言ったように、経済の変動をくらって、赤字の問題が大きな問題になってくる場合があるので、それが運営面においても、また人を使う場合にもすぐに響いてくるというような形になってきて、それで、また今度景気が、景気というか、その事業に対する景気がある程度ノーマルになってくると、また臨時に人を入れなくちゃならぬというような、そういうような波動的な影響が相当あるのですよ。少なくともそういうようなある程度の期間の見通しを立てた上に立っては、まあ何らかの計画が要るでしょうけれども、期間の見通しを立てた上においては、やはり優先的という言葉はおかしいけれども、当該公営企業を守るために、赤字を当面処置できるような措置というものはやはり考えてもらわなくちゃならぬのじゃないかと思うのですが、この十八条によると、さっき私申したように、災害その他ということで、やはりどうしても、今、市は金が苦しいものですから、そういうところの条件がからまり過ぎるのですね。からまり過ぎて、企業体そのものの、何といいますか、企業の将来の見通しというものも考えないというのじゃないでしょうけれども、それを考えるまでの余裕がないというような形ですね。そういうことが出てきて、結局企業体の運営を毒しておるというような姿があるのですね。そういう点は何らか、これは行政指導でもけっこうですけれども、やってもらわぬと、全般的とは私は言いませんけれども、やってもらわぬとならないのじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/26
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027・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 具体の例をお教えいただいて、それについて適当な指導方法を考えた方がよろしいのじゃないかと思います。ただ、基本的には公営企業が一般会計に相当おぶさっている。しかも、それも、経営上の赤字補てんをしてもらうというような姿が常例的になっていくことは、これは避けるべきだと思うのであります。やはり公営企業でございますので、独立採算を旨とする運営に努力をしていかなければならない。一般会計から赤字補てんを絶えずさせますことは、それだけ一般住民の租税負担が重くなるということが結果的に起こってくるわけでございますので、なるべくはやはり避けたい、こう思います。しかし、それぞれの企業の具体の問題については、御指摘のような問題もあろうかと思いますので、そういう個々の問題につきましてお教えをいただいた方がよろしいのじゃないか、こう思います。そうして円滑な運営ができるように私たちも努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/27
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028・占部秀男
○占部秀男君 具体的な問題でね。
それから、さっき、この法改正の二十七条の第一項の金融機関の問題についてちょっとお聞きしたのですけれども、私忘れていたのですけれども、水道の場合には集金事務があるわけですね。あの集金事務は、この際廃止しようという考えですか。その集金事務をなくなしちゃって金融機関に一任しようという、そういうような考え、あるいは法が通った後にそういうような指導をされると、これは非常に大きな問題が職場に起こってくることになるのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/28
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029・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) そういうことまでは考えていないわけでございます。あくまでも、これはただし書きで、こういう取り扱わせることができるとしようとしているわけでございます。もとより団体によりましては、あるいはそういうことまで金融機関にゆだねようというものが起こらないとは限らぬと思いますが、私たちは、別段そういうことをねらってこの規定を置こうとしているわけではございません。先ほど申し上げました通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/29
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030・占部秀男
○占部秀男君 最後に、法の適用範囲についてもう一ぺん念を入れておきたいと思うのですが、現状は、第二条で、ここにこう表として掲げられておるわけですね、地方公営企業というものがですね。ところで、いろいろ最近の傾向で、たとえば競輪であるとか、競馬事業であるとか、そういうようなものは、どうも公営企業法の適用というような形が何かあっちこっちで問題が起こっておるというように私たち聞いておるのですが、やはりああいうようなものは、これは公営企業としては非常にまずいのであって、そういう点について、何か将来とも、公営企業はこうこうこういうものでなければならないというような、統一した基準というか、何というか、そういうものはどこかにないのでございますかな。事業の性格についてこうこうこういうような事業の性格のものはすなわち公営企業だというような、統一解釈と言うとおかしいけれども、統一基準というか、何といいますかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/30
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031・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 公営企業とか準公営企業とか、いろいろな言葉を使っているわけでございますけれども、やはりどういうものを適用するためにそのような言葉を使うのかということによって、若干その範囲に異同があることはやむを得ないのじゃないかと、こう私たちは考えております。地方公営企業法にいう公営企業もございますし、地方財政法で、独立採算の建前をとることを旨とする、あるいは特別会計で経理することを旨とするという意味の公営企業もございます。あるいは公営企業金融公庫の融資対象にする意味における公営企業もございます。あるいは地方債において、公営企業分と準公営企業分と分けて地方債の配分を行なうものもございます。大体共通した内容を持っておると私たちは思っているわけでございますが、大体その具体の範囲においては食い違いがあるわけでございます。これはやむを得ないのではないかと、こう私たちは思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/31
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032・占部秀男
○占部秀男君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/32
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033・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御質疑はございませんか。——それでは、本案の質疑はこれにて終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/33
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034・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
なお、討論、採決は午後の委員会に譲りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/34
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035・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって委員館哲二君、西田信一君が辞任せられ、その補欠として上林忠次君、北畠教真君が委員に選任せられました。
午後一時まで休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
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午後一時四十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/35
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036・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。藤井行政局長から補足説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/36
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037・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今回の改正案の内容は二点ございまして、第十条の二第五項及び第十条の三第二項関係の改正は、昨年から出発をいたしました奄美群島復興信用基金の関係で、融資業務に政府から出資をすることになったのでございますが、本年度は総額これが一億ということになっておったのでございますが、奄美群島の資金需要というものは、とうていこの程度ではまかない切れないということでございまして、さらに来年度は八千万円を追加いたしまして、総額一億八千万円に増額をしようとするものでございます。われわれといたしましては、一億八千万ということでも、なお十分であるとは思っておりません。特に今後復興関係が軌道に乗って参りますに従いまして、資金需要も逐年増加して参ることが予想されるのでありまして、これに対処いたしまする場合におきましては、なお将来増額を必要とするのではないかと考えておりますが、本年度の実績、また来年の資金需要の見通しというものを考えます場合におきましては、八千万円を増額いたしますることによって、本年度以上の資金需要にある程度こたえ得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
第二の点は、登録税法の一部改正でございますが、この点は、信用基金が融資をいたしまする際に、担保を徴することがございます。その場合に、土地、建物、船舶の抵当権の設定をいたすわけでございますが、これを普通の場合でいきますると、いわゆる債務者に負担をせしめるということに相なるわけでございます。しかし、何分にも零細な事業者でございまするので、これに事務費を負担させるということもいかがかと存ぜられまするし、また一面、信用基金自体も、基金全体として非常に少ないということで、運用にも非常に苦労をいたしておるような段階でございまして、これを基金自体が負担をいたしていくというのも、全体の運用面から見まして好ましくないという点を考慮いたしましてこの際、登録税法の一部を改正をいたしまして、これらの抵当権の取得の登記については登録税を課さないということにいたしたいということが骨子でございます。
以上、ごく簡単でございますが、今回の一部改正法律案の内容の骨子について説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 ただいまの御説明の中に、今回政府出資がさらに八千万円追加されまして、一億八千万円というふうになるのですが、これでもってまだ不十分であると、将来さらに増額しなければならぬじゃないかというような御説明でございましたが、配付されました資料を見ますと、三十四年度の基金に対する借り入れの申し込み概況というのを見ますと、申し込みが全部で二億九百五十五万円と、こういうふうになっておりますね。融資をしたものが八千五百八十八万円と、こういうふうになっております。そこで、二億一千万円程度でございますから、今度八千万円追加されまして一億八千万円になりますと、大体この調子だとまあまあというところじゃないだろうかと、こういうふうにもこの数字からだけすると言うことができると思うのですが、ここら辺の事情。先ほど申しましたように、何か貸付の条件その他できついところがあって、なかなか申し込まないという、ほんとうはもっと需要の面でたくさんあるんだけれども、申し込みがこのようなことになっておると、こういうのであるのか、そこら辺の事情、一つお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/38
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039・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 本年度につきましては、申し込みが約二億ということに相なっておることは御指摘の通りでございますが、実は、融資業務を始めましたのは昨年の六月からでございます。店開きでございましたので、いろいろ諸準備等もございまして、実際に仕事を始めましたのが六月になったわけでございます。それ以来いろいろ周知徹底もはかり、手続等についても、郡民一般にこれを普及徹底をはかりまして、だんだん仕事が軌道に乗ってきておるわけでございますが、その結果が、申し込みといたしましては約二億出てきたわけであります。ただ、本年度については、御承知のように、融資の全体の出資金自体が一億ということでございましてこの一億円は、まるまる実は貸せるわけではございませんで、これを運用いたしまして事務費等を捻出をいたしております。そういう関係もございまして、十二月末日現在で実際に融資をいたしました額が八千五百万円程度ということに相なったのでございます。従って、まだもう少し申し込みの中で何とかして上げなければならぬというものでも、本年度のワクの関係から融資ができなかったというものもかなり残っておるというふうに考えておるのであります。
なお、来年度については、まるまる年度初めから事業を行なって参りまするし、大体この事業の趣旨というものも郡民に周知徹底をいたしましたということもございます。そこで、復興基金をして、来年度の大体融資に対する申し込みはどの程度があるかと、資金需要はどの程度かということをあらかじめ調べさしたのでございますが、これによりますと、大体まあ推定をされまするのが、三億九千万円程度は融資を受けたいという申し込みがあるような状況になっておるのであります。それに対しまして実は一億八千と。しかも、一億八千でも、融資の条件といたしましてすぐにその当該年度で返って参らないものもございます。そういう点から申しますると、今度のワクでもなかなか十分に島民の需要にはこたえ得ないのではないかと、かように考えておるのでございますが、ただ、短期で返って参りまするものも、この八千五百万円の中には約三千万円ぐらいはあるのではないかというふうに考えられまするので、全体といたしましては、来年度においては本年度よりも以上の融資というものが可能になるのではないか。ただ、将来といたしましては、だんだん資金需要がふえて参りますこともございますので、私たちといたしましては、一億八千万ということでは将来なかなか需要にこたえ得ないのではないかと、こういう考えをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 三十五年度における資金の需要のあらましを調べてみたら、三億九千万円程度だ、こういうお話ですと、三十五年度の一億八千万円をもってしては、その半分にも足りないという額になると思いますのですが、さらに、この中では、今あなたのお話の中にもありましたように、短期ですぐ回収できて回せるのが全部じゃないと思いますから、相当窮屈な貸付にならざるを得ないと思うのです。そこで将来、三十六年度以降に政府出資の追加について、原則的にはやはり何か話し合いが政府部内にできておるのだと思いますが、そういう点もしありましたら、一つお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/40
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041・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) われわれ自治庁当局といたしましては、当初融資業務を開始いたします際の構想といたしましては、いろいろな資金需要見通しというものを立てました結果、大体あるべき姿としては、五億円程度の出資金がほしいというふうに実は考えておったのであります。そういうところから、年度別に計画を立てまして、当初は二億円、それから二年度は二億円、第三年度は一億円というように計画を実は立てておったのでございまするが、予算折衝の段階におきまして、われわれの主張通りにはなかなか参らなかったのでございまして、当初といたしましては一億円、二年度といたしましては一億八千万円ということに相なった次第でございます。今お尋ねになりました将来の計画について、政府部内で話し合いがついておるかという点につきましては、確定的な話し合いはまだついておりません。ただ、私たちといたしましては、一億八千万では、これはとうてい将来の資金需要には応じ切れない、もう少し今後年度別に増額をしていく必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、三十五年度ですら三億九千万円程度の需要があるとすれば、三十六年、三十七年と、今後産業の振興等にからんで、当然資金として需要がふえていくのじゃないだろうか、こういうふうに思うので、少なくとも三億か三億五千万円程度なければ、住民のそうした要望をかなえ、従ってそういうことによる産業の振興ということにあまり寄与するところがなくなるのじゃないだろうかと、こういうふうに思うのですが、その点については、政府部内では今はっきりした話し合いがついておらんと、こういうことでありますが、これは将来のことでございますから………ただ、私心配なのは、あなた方が初年度の三十四年度において一億、その次に一億、さらに一億と、五億円程度の資金がほしいと言っておったのに、最初の第一年次においては一億円、今度は八千万円と、額がだんだん下がってくるような傾向にあるのじゃないかということが心配されますのですが、一つこの点は強く、現地の事情、資金需要の関係等を政府部内で話し合って、将来の増額にあまり支障のない程度の増額をしてもらいたいと、一つ要望めいたことを私申し上げたいと思います。
それからなお、保証の仕事も従来通りやっておるはずですが、最近における保証の状況について、どのようになっていますか。これ一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/42
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043・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 保証業務も、おかげをもちまして、その後割と順調な推移を見ておるのではないかと、かように考えております。実はこの保証の業務につきましては、そのもととなりまする資金というものにつきまして、御承知のように、これはアメリカの方から政府が移転を受けましたものをさらに基金に引き継ぎましてこの回収業務を行ないながら、それとにらみ合わせて保証業務のワクというものも漸次進展をせしめておるという状況でございます。当初は承継債権の回収額——当初と申しますのは、三十年の九月から始めまして三十一年の三月末日まででございますが、これが初年度について見ますると、回収額はわずかに三百七十万円程度でございまして、これに対して信用保証の状況は、金額にいたしまして一千百万円程度であったのであります。これが、業務を開始いたしました最初であるということも大いに原因に相なっておると思いますが、その後三十一年度になりますると、回収額が四千八百万円、これに対しまして保証の実績を見ますと、すでに二億六千四百万円ということに上りまして大体軌道に乗ったのであります。三十二年度について見ますと、回収額が六千五百万、これに対しまして保証実績が約三億五百万、三十三年度について見ますと、債権回収額が八千万、保証実績が三億五千万というふうに相なっておりまして、なお、三十四年度については、十二月末日現在の調査によりますると、債権回収累計が九千六百万ということに相なりまして、同保証実績も、十二月末ではございまするけれども、すでに四億二千万円ということに相なっておりまして、全体として順調な推移を見ているのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 問題は、この保証と一緒にやっている、新たに三十四年度からの政府出資による基金の設立に伴う融資だと思うのですが、先ほども申し上げましたように、私現地のことはよく知りませんで、話だけか、あるいはちょっと書いたものだけしか見たその知識しかございませんけれども、非常に零細な企業家といいますか、そういう人たちが多いので、何としてもやはりそういう人たちがまともに仕事ができ、立ち上がれるというようなことをしない限り、奄美大島の復興ということがほんとうにならない、こういうふうに思うわけなんで、そういう意味で先ほどもちょっと触れましたけれども、今後の資金の増額、さらに従ってそれに伴うところの貸し出しの増加というようなことについて、一つ大いにやってもらいたいと思うのです。
貸し出しの問題はそれくらいにしまして、次に、これに関連をいたしまして、沖縄の産業の問題で、特に黒糖の生産の問題、こういう問題について一、二お伺いしてみたいと思います。それで、この中で私お聞きしたいのは、黒糖生産のための小さな工場がたくさんあって、しかもそれは、復興計画に基づく補助なり融資等によってできておる工場なのでございますが、それが最近非常に業態が不振に陥っている。これは、一方には大型の工場が進出をしておるというようなことからそういうふうな結果になっていると、こういうことなんでございますが、そこら辺の状況をいま少しく具体的に御説明願いたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/44
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045・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 先般砂糖消費税の引き下げと、それから関税の引き上げということが同時に行なわれたのでありますが、これによりまして、カンショ糖生産というものが軌道に乗り得る見通しがついて参りましたので、奄美群島におきましては、特に新式の大型の分みつ工場というものの進出が相当目ざましくなって参ったのであります。今後もこの趨勢はいよいよ顕著になってくるのではないかというふうに考えられるのであります。これに伴いまして、既存の今御指摘になりました小型工場が、数は相当たくさんございますが、畜力でもってやっている一トン工場あたりも合わせますと、全体で七百程度ございますが、これをどのように、大型工場とのからみ合わせで、その保護なり、あるいは調整なりというものをはかっていくかということを検討していかなければならぬ段階になっておると思うのであります。しかもこの中には、復興事業によって補助を行なって設置いたしました工場が六十含まれているというような関係もあるわけであります。そこで、大型の分みつ工場ができましても、輸送集荷の状況その他から見まして、小型工場が全部不必要になるというものでもございませんし、また将来黒糖の需要というものが絶無になるわけのものでもないという状況もございます。従いまして、今後の方針といたしましては、現地におきまするカンショの増産対策というものも当然行なって参らなければなりませんが、これとあわせまして、中規模の工場の経営自体を合理化していく、コストを引き下げて、その生産自体を有利に経営ができるような方法も考えていかなければならぬ。さらに、企業の統合あるいは農工分離をいたしますための職業施策であるとか、さらには、大規模の工場とのキビの集荷区域の協定をいたすとか、いろいろの対策を総合的に実は検討していかなければならぬのではないかと思っております。しかし、目下これらの中規模工場の実は実態につきまして詳細に調査をいたす必要がございまして、現地についても、支庁を督励いたしまして、調査をいたしております段階でございます。早急にその結果を待って適切な対策を立てて参りたいと考えておる次第でございますが、大型の工場の進出ということは、これは一つの傾向としてこれを抑制していくということはとうていできがたいことでもあり、また、そういうことは一面抑制すべき筋合いのものではないと思うのでありますが、しかし、それかといって、従来の中規模の工場というものを成り行きにまかせて放置していくということは、これはとうてい許されない事柄でございまして、今ちょっと一般的に申し上げましたような、そういう方針というものを頭に考えながら、総合的な対策というものをすみやかに一つ樹立をいたしたいということで、現在検討中の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題は、私も非常に厄介な問題だと思います。あなたも今お話のように、一方には大型工場が進出してくる。それをむげに押さえることもできないという一つの事情も私はあると思います。さればと言って、現在の小工場を今のようなままにして、今後ますます不況に陥り、さらに融資なりそういうものも返還不能になるというようなことに立ち至るのを見ておるわけにもこれは参らぬと思います。特に私はここで問題だと思うのは、先ほども言ったように、零細なこういう人たち、特に農民の人たちが組合を作ったりなんかしてやっている、こういうものをやはりつぶしていくということは、何と考えても私は許されないことだと思うのですが、そこで、今のお話では、たとえばサトウキビの供給の範囲を定めるとか、いろいろ考えておるのだが、これから現地の実態をよく調査した上で対策を考えていきたいと、こういうことなんでございますが、大型工場がそこにできて、操業開始するという時期に、すでにこういう大型工場の問題を将来どういうふうに持っていくかということを当然考えられなければならなかったのではないだろうかと私は思うのです。二つも三つも大きな工場ができて生産を開始してやっている。一方には、今言ったような小工場が非常に苦境に陥っていると、こういう事態になって、さて今度これをどうしようというのでは、私はやはりおそ過ぎるのじゃないだろうかと思うのですが、これから調査してというようなことでは、どうも手おくれになるというような感じがするわけなんでございますが、そこら辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/46
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047・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) そういう心配も私たちはいたしておりまして、実は手おくれではないかという考え方もあり得ると思います。ただ、国の方針といたしまして、国内の甘味資源の供給度というものをできるだけ引き上げていきたい、そういう方針がきまりまして、それに基づいて大型工場の進出ということが実は本年度あたりから非常に本格的になってきたという実情もあるわけであります。それとともに、黒糖に対する需要というものが、将来これがどんどん減っていって、絶滅の方向に行くかと申しますと、これもそうでもございません。やはり特殊需要というものもあるという点もございまして、それらの点、全体としてのカンショの増産対策というものとにらみ合わした場合に、総合的にどうやって参るかという点につきまして、実は時期的に若干のズレがありましたために、大型工場の進出をする際に、同時に解決をするという運びにまで実は至らなかったのであります。しかしながら、この点については、そうかといって、このまま放置いたしておきまして、中小規模の工場というものを成り行きにまかせて、自滅するものは自滅するがいいのだというような態度は、これはとうてい許されることでもございません。そこで、本年度あたりから本格的になって参りましたので、その点、農林省とも十分連絡をとりながら、現在鹿児島県当局といたしまして、実態について詳細な検討を行なわしておる次第でありまして、奄美の復興審議会でもこの問題が取り上げられておりまするが、これらにつきましては、できるだけ一つすみやかに実態の調査をいたしました結果によって対策を樹立して、これを実行に移して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 お話のように、これは、今後一体黒糖の需要というのはどうなるのか、こういうこともやはり一つの見通しを持たなきゃならぬと思います。さらにこれは、分みつ糖への転換といいますか、そういう問題も当然これは考えていかなければならない。それらに見合うようなサトウキビの増産態勢を一体どうするのかと、こういう問題を総合的にやはり考えていかなければならないと思うので、先ほど私申し上げましたように、そういう点についての当初からの見通しなり、それに基づくところの計画というものが私は足りなかったのじゃないだろうかというふうに思うわけなのです。大型工場がすでに二つも相当大きなやつができておる。さらに、後年度では、他の工場もそこに進出するということがほぼ確定的だと、こういう中にあって困るのは今の小型工場、こういうことになると思うのです。しかも、先ほど言いましたように、その中には、融資をしたり補助金を出したりしておるものが六十四もある。一体こういうものを将来どう持っていくかということは、単にそういう仕事をしておる小工場の経営者あるいは関係者だけでなしに、これはやはり融資をし、あるいは資金をあっせんした政府の側においても、当然私は考えられなければならない問題であるというふうに考えるのですが、これに対して農林省の方では、どういうふうにこの奄美の問題を考えておられるのか。単に国内の需要をある程度国内で生産されるそれによってまかなうということで、分みつ糖にどんどんどんどん切りかえていくということだけでは、私はやはり奄美の問題というのはそう解決はできないと思うのですが、どういうふうにそういう点について考えておられるのか、少し具体的に私お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/48
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049・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の点につきまして、ただいま自治庁の方からも詳細なお答えがあったのでございますが、御承知の通り、昨年国内の甘味資源の自給度を高めるという措置の一環といたしまして、関税の大幅の引き上げと、消費税の引き下げと、こういう一連の措置をとりましたがために、そのいわば反射的な効果の一つといたしまして、西南諸島におきましても、サトウキビによりまして分みつ糖ができるように相なったわけであります。もとよりこれは企業採算の上に立っての企業化でございまするし、また、ただいま申しましたような関税、消費税の一連の改定措置も、さような国内甘味資源の自給度を向上せしめるという意図からではございまするが、たまたま西南諸島におきましては、在来の黒糖生産というものがございまして、黒糖の生産それ自体は、非常に価格の変動が著しいとか、あるいは保管管理に非常な困難性が伴うとかいう、製品そのものからきまするそういう特殊事情等もございまして、円滑にこれが分みつ糖に切りかわれば、それは合理化の一つの方法であろうと私どもは考えておりまするが、ただいまも藤井局長から御指摘のありましたように、全部が全部分みつ糖化される筋合いのものでもありません。逆に、ある程度は黒糖が希少価値を発揮いたしまして、場合によったらば有利になるような面もなきにしもあらずというようなふうにも考えておりまするし、まだ、奄美諸島のサトウキビそのものの性格から参りましても、糖度の関係で、ある時期におきましては、どうしても分みつ糖ができないサトウキビがあるやにも伺っておりまして、そういう一定期間に生産されまするサトウキビにつきましては、やはり黒糖を作った方が、歩どまり等の関係からも有利であろうというふうな専門家の御意見も伺っておりまして、いずれにいたしましても、ただいま御指摘のありましたように、もちろんある程度の分みつ化は行なわれると思いまするけれども、同時に、在来の黒糖につきましても、ある程度の育成と申しまするか、保護をして参る必要があるのではなかろうか、かように食糧庁といたしましても考えておりまして、かねがね実は自治庁ともその点につきましては御連絡も申し上げておるのでございまするが、先ほど来御指摘にありましたように、非常に実は零細な工場の数が多くて、それぞれのまた特殊事情等もございますようでございまして、それらの詳細な実態につきましても、ただいま現地の方で御調査中のように承っております。いずれ調査の結果が自治庁に上がって参りますれば、われわれといたしましても、自治庁の当局とよく御相談をいたしまして今後の対策等についても十二分に検討して農林省といたしましてとるべき措置がございますれば、またそれについても積極的に検討をして参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 まあ結論は、今後の調査の結果によらなければというようなことになると思うのですが、私はやはり、先ほども申し上げましたように、分みつ糖の生産を進めていくと、あるものについては切りかえていくのだと、こういうことは、一つの大きな見地に立ってのぜひやらなければならぬことだと思うのです。と同時に、特に奄美におきますところの現在までの黒糖生産の小工場の問題をどうするかということは、やはり当初においてそういうことが考えられていかなければならないのじゃないだろうかと、特にまあそれらの中に、何べんも申し上げますように、これは国でやはり補助をし、融資をして作らした工場が相当数あるわけなんです。一体こういうものが将来どうなっていくかというようなことは、補助なり融資の効果を上げるためにも、私は検討をゆるがせにすることができない問題であったろうと思うのですが、これがこれからだといって、私はやはり時期的におそいのじゃないかと思う。現地ではこういう問題で苦しんでおる。さらに、こういう問題と、サトウキビの増産態勢といいますか、そういう問題とからんできて、なかなか深刻な問題になってきておるようであります。
いま一つは、サトウキビの価格の問題、こういう問題がまた農民との間にいろいろトラブルが起こっておるように聞いております。私ども必ずしも、農民の言う値段が至当であり、これが妥当であり、一歩も譲れないものであるというふうなことを言うのではありませんけれども、現地におけるいろいろな交渉なり、やりとりなりからしますと、この問題も相当これはやはり大きな問題として考えていかなければならぬ、そういう一連の問題をひっくるめた総合的な対策がやはり早く作られなければならないと思うのです。これは調査中と言いますが、大体調査の終わるのはいつごろなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/50
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051・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 現地と連絡をとっております結果によると、大体六月中には詳細な調査が終わるという連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 六月中に調査を終わって、それらの対策を立てるということになりますと、これも、時期的にいって、いつごろになりそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/52
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053・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) これが出て参りました上で農林省とわれわれの方でよく検討をいたしまして、直ちにでき得ることであれば直ちに実施をするという方策を打ち出さなければなりません。また、その他の何らかの行政的あるいは立法的、今度財政的措置を要するということに相なりまするならば、それらの措置につきましては、若干まあ時期的におくれざるを得ないということにもなるかと思いますが、とにもかくにも先刻御指摘もございましたような全体の総合的対策というものを打ち立てて、これをはっきりさせるということが先決問題ではないかというふうに考えておりまして、これについては、ちょっと今ここで、いつというふうに明言をいたしかねますけれども、われわれといたしましては、まあできるだけすみやかにこの対策を一つ樹立いたしまして、実行に逐次移して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 農林省の方にお聞きしたいのですが、国内における黒糖の需要というものを大体どの程度に見て、地域的に生産地というのはある限られた所しか現在ではないのですから、それを生産の計画というものを現在のところどういうふうに立てておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/54
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055・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 絶対的には、御承知のように、甘味が足りませんので、年々相当大量の、大体百万トン前後でございまするが、粗糖を輸入をいたしておりまして、国内自身で自給できます甘味と申しまするのは、大体本年度、三十四年度で二十三、四万トンと私どもは予定を立てております。さらに、これを逐年国内の生産を高めるように努力を今いたしておりまするので、三十五年度におきましては、大体三十万トン程度の自給度になるのではなかろうかと考えております。その中において占めまする黒糖の地位でございまするが、黒糖はもとより、ただいま申しますように、砂糖の絶対量が足りないわけでございまするから、多少の価格の高下はございまするけれども、三十四年度においては大体三万トン程度、三十五年度におきましても三万数千トン程度の供給と申しまするか、逆に消費と申しても差しつかえないのでございまするが、その程度の消費は見込まれるのではなかろうかと、かように私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/55
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056・占部秀男
○占部秀男君 そうしますと、三十五年度の三万数千トンという需要が見込まれるとすれば、今国内で、たとえば奄美とか種子島とか、二、三あると思いますが、そういう所の生産でこれはまかなっていけるということになると思うのですが、どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/56
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057・村田豊三
○説明員(村田豊三君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、今問題は奄美ですが、奄美におけるこういう小工場の生産に従事している、小工場のしっかりした仕事のやり方ができていけば、この人たち、あんまりそう心配しないで将来ともやっていけると、こういうふうなことが大まかに言えると思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/58
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059・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 先ほども申しまするように、価格の面で生産者の納得いくような価格が維持できるかどうかというふうな問題、あるいは、先ほども御指摘のございましたように、原料サトウキビの値段の問題、これはいろいろ条件があると存じまするけれども、さような点が満たされまするならば、黒糖それ自体として、採算がとれなくて自滅していくというふうな事態にはならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 今の黒糖の価格ですね。斤当たりどのくらいですか。これは非常に不安定だということのお話がありましたが、どのくらいであるのか。さらに、その価格の維持についてどのような手を打っていかれるつもりなのか。この二点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/60
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061・山本壮一郎
○説明員(山本壮一郎君) 黒糖の価格でございますが、これは、御承知のように、砂糖というのは国際商品でございまして、特に黒糖の場合、非常に価格の変動が激しいのでございます。で、従来大体平均相場が四十二円から四十四円程度というのが普通であったのでございますが、本年度は、本年度と申しますか、昨年末、これは十二月末の大阪の相場でございますが、斤当たり百円という、非常にいい値段が出ております。ただし、このいい値段というのは、品質がやはりいいもの、品質の優良なものにつきまして、特に黒糖の相場が非常に上がりまして、まあこういう現象が、本年のキビの価格の会社側との折衝におきまして、農民側を非常に強く出させた。従って、若干のトラブルがあったと、こういうことじゃないかと思いますが、従来の平均相場は大体四十円台というのが相場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/61
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062・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の黒糖の価格の維持の方策でございまするが、これは、先ほど来申し上げまするように、国内で生産をいたしまする甘味資源が採算的に採算がとれるようにという関税なり消費税の配慮、これが方策の非常に大きな点であろうかと存じます。そのほかにもう一点、これも非常に大きな影響力を持つことと存じまするのは、粗糖につきまして外貨割当措置をとっておりまして、輸入の制限をしておるわけでございます。輸入制限と、ただいま申しました関税なり消費税なりの一連の措置によりまして、現在農林省といたしましては、糖価の水準をおおむね斤当たり七十三円、キロ当たり百二十二円弱という一定の水準に維持をして参る。このことは、やや糖価が高値に安定しているという感じがあるのでございまするが、それも、一にかかって、分みつ糖にいたしましても、黒糖にいたしましても、ビート糖にいたしましても、そういう国内で生産されまする甘味資源の増産をはかって参るという配慮から出ておる措置でございまして、さような点が黒糖のある程度の生産の維持、価格の維持に反映して参るのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/62
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063・鈴木壽
○鈴木壽君 この黒糖といえば、どっちかというと、将来性がないとかいう、従来この委員会等においても、そういうような点について問題があって、分みつ糖に切りかえるというような話もありましたが、現在のこういう苦境の中で、かりに分みつ糖の生産に切りかえるというようなことを言っても、なかなかちょっと今のような形のままではできないと思うんですが、そういう点について何か検討しておられますか、私は、今言ったように、非常にむずかしい問題じゃないかと思うんですが、簡単に分みつ糖に切りかえればいいじゃないかという論をなす人もありますけれども、私は、今の小型工場が直ちに分みつ糖の製造に切りかえていくというようなことは至難なことじゃないだろうかというふうに思うんですが、その点、何か御検討したことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/63
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064・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今の小型工場は、これは、機械設備その他の点から申しましても、分みつ糖に切りかえることは、これは困難だと思います。やはり黒糖は黒糖ということでやっていかなければいけないというふうに考えております。ただ、分みつ糖の大型工場との関係で将来問題になって参りますのは、結局はキビの全体の量、従ってそれの集荷の能力ということにつながって参りますために、大型工場の方にキビが集まり過ぎて、そのために小型工場の方にキビが集まらないというような現象が来ることによって、企業が成り立って参らないというような現象が出てくる可能性が大いにあるのじゃないか。それらの点を、先刻来御指摘がありましたように、総合対策の一環として、これに一つ対処する方策を至急に検討しなければならないのじゃないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/64
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065・鈴木壽
○鈴木壽君 私、この問題について、以上でやめますが、現在の小型工場のこういう苦況にあるのを、これはやはり一日も早く対策を立てて、救済と言っては言葉が悪いですが、やっていかなければならぬ。これがまた一つの島民の非常な産業の振興ということにあずかってくる緊要問題であり、さらにまた、気持の上でも非常に張りが出てくる問題じゃないかと私は思いますから、早急に一つ対策を立てられて善処していただくように要望して、私は一応この問題についての質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/65
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066・基政七
○基政七君 それでは、私あとから来たので、鈴木さんの方で相当御質問願っておるんじゃないかと思うのですが、大きな筋は、私は、この前衆議院の方で附帯決議されておりますね。あれが完全に政府の方で実施されれば、そう問題がないんじゃないかと思いますが、その際に、今の糖業関係ですね。おもに起債なんかでまかなっておられるわけでしょうけれども、三十八年度で一応計画が終わるとして、それに起債関係の負担がそのとき非常に大きくなるんじゃないかと思うのです。が、そういうことについての打ち切りが、五、六年の間の起債関係の処理について、地方財政の負担がかからないように何か御処置をする考えを持っておられるかどうか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/66
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067・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 奄美群島の復興の計画は、来年度で七年度に入るわけであります。十カ年計画でやって参りまするので、三十八年度になりますると、この計画自体はどうしていくかということをその以前に考えて参らなければならぬと思います。それで、今の段階において、私たちといたしまして、この計画をさらに再延長するかというようなことを申し上げる段階ではないと思いますが、ただ、この計画が順調に推移して参りましたといたしましても、十年でわれわれが所期の目的といたしておりました成果がはたしてうまく上がるのかどうか。あるいは、最終年度になりまして計画がばったり打ち切られてしまう、その場合に、次年度からつなぎ等の問題がどうなってくるか、そういう点も実はあわせて考慮をして参らなければならぬと思っておるのでありまして、そういうような意味合いから、実は、新年度に入りましてから、今後の実施計画の概要と従来の実績というものをにらみ合わせまして、もう一度十カ年計画自体を再検討して参りたいという心組みで実はおるわけであります。このことは直ちに、先刻申し上げましたように、計画自体をさらに拡大するかどうか、あるいは期限自体を延長するかどうかということを申しておるのじゃございませんけれども、もう一ぺん従来の実績と今後の進捗状況というものをにらみ合わせて再検討しなければならぬ時期に来ておると思います。その一環としてここに問題になって参りますのは、今御指摘になりましたような、特に市町村関係の起債の問題でございます。なるほど現在奄美の各市町村の財政構造等を見ました場合に、起債というものが占めておる地位というものはゆるがせにできません。特に今後年次がどんどん進んで参りまして、償還額というものがふえて参るということになりますると、償還額というものはかなり大きな比重を実は占めてくるのであります。これに対しましては、私たちも、はっきりと何らかの一つ対策は、これは講じなければならぬというふうに考えております。むろん国費でもって全額でやっておりますものも多いわけでありまするけれども、また一面において、自己負担能力というものがきわめて零細でありますために、市町村が起債を起こしておるという額もまたばかにならないのでありまして、それらの点につきましては、将来問題として私たち考えておりますのは、全体的なやはり市町村財政の向上の問題と並行いたしましてやはり奄美の特殊性にかんがみて、交付税等について特例措置を講ずるようなことも考えられないだろうか。あるいは、これは私の今のただ単なる私案でございまするけれども、何らかの意味で、利子補給というような点も考慮しなければならない段階があるいは来るのではないかというふうに実は考えておるのであります。それらにつきましても、全体計画の再検討の一環といたしまして検討いたしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/67
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068・基政七
○基政七君 今の御説明で大体了解できるわけですけれども、これは、事業打ち切り以前に、なかなか急にこういうことは運ぶ問題ではないのですから、かなり前広に調査していただいて、奄美地方の地方財政に、たださえ困窮しておるのですから、十分の対策が立てられるように、温情ある措置をぜひお願いいたしておきたいと思います。
それからもう一つは、あそこは、毎年台風で被害をこうむるわけでありますが、地元の方は、台風に対する何らかの政府の措置が必要じゃないかという声が強いわけですが、そういうことについて御考慮されておるかどうか、それは余地がないのかどうか、ちょっとお尋ねいたしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/68
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069・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 御指摘のように、奄美群島は、全体が台風常襲地帯でありまして、そのために、市町村財政のみならず、一般の群島民の経済力というものもきわめて低位に置かれておる一般の大きな原因になっておるのではないかということは、その通りであると思うのでありますが、台風に対して根本的な対策ということになりますと、これは奄美だけの問題ではなくして、奄美に対して何らか考慮いたしますといたしますれば、災害復旧等について特例を設けていくというような点でございまして、その点につきましては、他の離島並みに、むろん奄美についても特例措置を講じております。補助率等も高くやっております。それらの補助率について、高率補助を適用する対象というものをもっと広くやっていくというような問題もございます。また、民生安定自体の問題といたしましては、台風というものをどっかへそれさせるという、そういう大問題は別といたしまして、やはり台風に強い農作物、品種というものを導入していくという問題、あるいは家屋等につきましても、非常に貧弱なみじめな実は住宅に相なっておりますが、これらにつきましても、台風にやはり耐え得るに値するような堅牢なものを一つ作っていかなければならぬじゃないか、そういう問題も実はあるわけです。これらの点につきましては、奄美群島の復興費の中に調査費等も含まれておりまして、現地に適した住宅等について、学者に調査もしてもらい、また設計等もやっておりまして、それについての実験等もあわせて実はやっておるわけでありますけれども、なお、これが一般化するにはなかなか至っておらないのが現状でございます。いずれにいたしましても、われわれの力の及ぶ範囲のことにつきましては、できるだけやはり台風に対する態勢というものを強化していくという方向で、足もとから固めていく方向で努力を従来もやって参ったつもりでございますけれども、今後ともその方向では一そうの努力を傾けて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/69
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070・基政七
○基政七君 端的にお伺いするわけですが、交付税等の場合に、態容補正ということは、自治庁、困難なんですか。これは、農林関係でも同じようなことが言えるのじゃないかと思いますが、これは非常に困難であれば別なんですが、向こうの台風被害というものは、年々幾つか、とにかくあるわけですから、ほとんど壊滅状態に達するような場合によっては大きな台風の被害をこうむっておるわけですが、それについて、今まで政府の力が及んでいないのではないかということが一般の疑問になっておるわけです。その辺で、交付税等の場合に補正が可能であるのかないのか。その辺、一つあわせて端的にお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/70
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071・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻ちょっと申し上げましたように、奄美自体の経済力の貧弱な現況というものに対処して、どういうふうにやっていくかという問題とも実は関連をいたします。その点は、復興十カ年計画というものの今後の進捗状況なり、成果なりというものともにらみ合わせて考えなければならぬと思っております。それと並行して、先刻御指摘にもなりましたような、市町村の起債のいわゆる元利償還費の増額というようなことに対する対策も含めまして、市町村財政自体を何らかもう少しましなものに持っていくための特別措置というものを考究せざるを得ないという時期に実は来るのじゃないかという感じもいたしております。それらの点については、今ここでは具体案を持っておりません。しかし、お話になりましたようなそういう方法も、一つの対案としては考えられるのではないか。これは、内地における台風常襲地帯との均衡の問題も起きては参りましょうけれども、それとは別に、特に頻度が激しい、さらに離島であるというような点とにらみ合わせての何らかの特例措置というものは考えられないかという点につきましても、一つの研究課題といたしまして、われわれとしても真剣に取り組んで参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/71
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072・基政七
○基政七君 これは、直接の問題であるからまずいと思うのですが、私が勘ぐり過ぎているのじゃないかと思うのですが、鹿児島という所は、非常に県財政として困窮県なんですね。苦しい県だと思うのです。それゆえに、奄美大島のように非常に異常なといいますか、そういう状態がいろいろ出てきたと思うのです。それで、交付金やその他の補助金が適正に措置されているかどうか。そういう場合の監査はおやりになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/72
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073・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) それらの点につきましては、それぞれ法令に従って運用されておるというふうにわれわれ信じておるわけでありまして、鹿児島県が、自分の県自体が貧困であるために、そのしわ寄せを奄美にやっておるという事態は、私は絶対にないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/73
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074・基政七
○基政七君 絶対にないように私ども考えたいのですが、そこら辺は、今後とも一つよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/74
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075・占部秀男
○占部秀男君 この奄美の問題について、こまかい御質問をしたいと思っておるのですが、衆議院の方でやっていますから、重複になる点は避けて、私は、ただ一点だけ最後に御質問したいのですが、それは、復興計画の進め方ですね。これは、どうも現地に行って見たことはないが、聞いてみると、一番大事なのは、奄美の民度の引き上げですね。結局は、奄美の問題も、民度というか何というか、島民の生活が何らかの形で引き上げられるというところにいかないと問題が解決をしないようですが、そういうようなところに向かっては、十カ年計画というものは、何か上っつらをなでたような感じを、言い方が少しえげつないようで悪いのですが、受けるわけです。二、三の資料も来ておるのですが、今局長のお話で、私、途中で来たのですけれども、同僚の鈴木委員の御質問に対して、やはり再検討を根本的にしなければならぬと思うということと、何か、六月中に自治庁としての調査を終えたいというようなことも言われたように思うのですが、そういうような調査をやられるような場合、そうして今度のこの奄美の再建を特に十カ年計画の方にからんでどうしようという根本的な場合には、やはり自治庁の方からじかに現地の方も調査をされて、そうして問題の解決に当たるように、県越しでなくしていただきたいと思うのですが、この点は、特にどうも奄美の場合は、ほかの県と違って、その必要があるのじゃないかという感じがいたしますので、その一点だけ、一つ希望を添えて申し上げておきます。私もいろいろ質問したいことがありますが、それは、またあとの機会にやらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/75
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076・鈴木壽
○鈴木壽君 水産庁の方にせっかくおいで願っておりますから、ただお帰りになったのじゃ何ですから、あまり時間もないから、もうやめようと思っていましたが、漁船に対する融資の問題なんですが、これは、相当な融資が漁船に対して行なわれておるようでありますが、三十年から三十三年までの間に三十五隻、約二億円に近い金が融資されておる。こういうことを私も聞いておりますが、ただ、その融資されておるものの中に、まあ現地の人たちからすれば、いろいろ不満な問題があるようであります。特に融資が、まあ何といいますか、縁故関係というようなことで融資されておるんじゃないか、それから、その人だけにたくさんの船に対しての融資が行なわれておる。しかもその船は、奄美の島へはふだんは近づきもしない、こういうことが言われておるんですが、たとえば、ある人は、実際は居住地は鹿児島であるけれども、住民登録だけ名瀬ですか、どこかにやっておる。そしてその人が八隻もの船に対しての融資を受けておる。相当融資の額も、従って全体の融資額からすれば、大きなウエートを占めた融資をしてもらっておるんだと、まあこういうことが言われておるようでありますが、こういうことについて、何かあなた方の方で調査をなさって、今言われておるような、そういうようなことについての事実をつかんでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/76
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077・林田悠紀夫
○説明員(林田悠紀夫君) 奄美大島の復興計画につきまして、漁船の建造を許可いたしましたものにつきましては、実は、沿岸漁業の振興という見地からのものと、それから、奄美の人を船に乗せまして、結局奄美の島民に収入が落ちるようにしようというふうな考え方によりまする遠洋漁業を振興していくという、二つの面から考えられるわけであります。それで、今の先生のお話は、この遠洋漁業の振興の面についてだと思いますが、これにつきましては、大臣許可になっておるものが多い次第でありまして、この奄美群島の復興計画に基づきまして、鹿児島県の方から農林大臣の方に、こういう漁船について、カツオ、マグロ漁業ならばカツオ、マグロ漁業を許可してもらいたいというふうな申請が出て参りまして、その申請について検討した上で許可をしてきたわけでございます。それで、まあ本来ならば、この沿岸漁業の振興という見地でございましたならば、奄美大島にもあまり立派な漁港はございませんし、また冷凍設備もないというふうなことでありまするから、あまり大きい船は作る必要がないということになるわけであります。しかしながら、やはり漁民の労働者の収入もふやしていこうというふうな見地から、大きい船も許可するということにしたわけであります。従って、そういうふうな場合には、そういう船が奄美にあまり寄りつかずに、水揚げはほかの大きな漁港にいたしまして、あまり奄美大島の方には水揚げはしないというふうなことは、まあ当然出てくる次第でございまして、そういうふうなことがありまするので、その結果、ほかの所に常時おって、奄美大島とはあまり関係ないんじゃないかというふうなことが言われておるんじゃないかと存じます。また、そういうふうな状態も、まあ遠洋漁業を許可した結果起こってきておるということになっておりまして、十分な調査はいたしておりませんが、どういう船をいつ許可したかということにつきましては、大臣許可でやっておりまするから、よく承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/77
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078・鈴木壽
○鈴木壽君 遠洋漁業の場合、お話のように、水揚げが必ずしも奄美にしなくても、また事実上できない場合が多くあると思うので、私は、その点はあまり問題にすべきじゃないと思うのです。ただ、それなら、鹿児島なら鹿児島の人が、奄美に全然関係のないような操業をやって、単に一人か二人住民を水夫として乗せていく、こういう形であれば奄美の復興計画の融資のワクの中に入れてもらったりなんかすることができるというようなことになると、私はちょっと問題じゃないかと思うのです。しかも、計画的に、年に何航海かする、そのうち奄美に何回か寄るのだ、こういう計画を出しておる船で、現在一ぺんも奄美に寄りつかない、こういう船があるという話でございます。私、実際現場を見ておりませんが、そういうことがもしも事実だとすれば、私は、奄美の復興計画というものを一つの食いものにしたものがおるのじゃないかということをおそれるわけなんです。ですから、幾ら遠洋漁業であっても、たとえば、乗組員の数にしても、二十人なら二十人、三十人なら三十人の中にどれくらい奄美の人が入っておらなければならないとか、あるいは寄港回数にしても、年に一ぺんか二へんは入ってこなくてはいかぬとか、何かやはり条件があっていいように思うのです。でないと、ほかの県の、たとえば静岡でも、あるいは神奈川の人でも、住民登録をしさえすれば、復興計画の中の融資を受けたり、場合によっては補助も受けられる、こういうようなことであれば、私は、復興計画そのものからすれば筋違いなことになるのじゃないか。何べんも言うように、実際のそれを押えておるわけではありませんが、話によれば、今私が言うような人がおる。しかも、今七そうも八そうも融資を受けておる船を持っておるのだ、こういうような話があるとすれば、ちょっと問題じゃないか。そういうことについての御調査なり何かないだろうか。こういうふうに思ってお聞きをしたわけなんです。最後に、念を入れてお聞きしますが、住民登録さえすれば、だれでも遠洋漁業の場合には復興計画の中に入れてもらって融資の対象になる、こういう建前なのですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/78
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079・林田悠紀夫
○説明員(林田悠紀夫君) 奄美につきましてのカツオ、マグロ漁業の許可は、やはり奄美群島の振興ということを考えて許可したわけでありまして、県知事に対して、昭和三十年の八月三十日でしたか、適格者を選定して申請するよう通達をしたわけでございますが、そのときの条件としましては、受け入れ態勢を整備して、つとめて組合の自営船にするというふうなこととか、船型について、復興に寄与するよう検討するとか、まあいろいろ条件をつけておりまして、その結果、三十年度に許可いたしましたカツオ、マグロは四隻でありまするが、これは、名瀬遠洋漁業生産組合、大島漁業生産組合、漁栄丸カツオ生産組合、それから、茂野という人になっておりまするが、こういうふうに、大体生産組合、すなわち組合が自営するというのがほとんど中心になりまして許可しておるようなわけでございます。このほかに、漁業の許可では、もっと小さい、中型のカツオ、マグロ、そういうものにつきましては、個人を対象にいたしまするし、あるいは大臣許可漁業でなくて、知事許可漁業がありまして、知事許可漁業とか、あるいはサバ釣りの漁業とか、そういうものは個人が多いわけでありますから、漁業者で長崎くらい持っているというふうな人も当然あるのじゃないかと思いまするが、大型のカツオ、マグロ漁業につきましては、先ほど申し上げましたような方針で許可をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/79
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080・鈴木壽
○鈴木壽君 これは私も話を聞いただけで、それを直ちに真実なりとしてものを言うこともちょっと変だと思いますから、私の言ったような、たとえば、名前を申し上げますと、西俣某という元県の水産課長をした人なんだそうですが、それが一体どういうふうな生活の根拠を持っている人であり、どういうふうな融資を受けている人であるのか、こういうことを、事情をあとで御調査してみていただけませんか。それから、あなたが言うような大型のものであるのか、もっと小さい漁船に対しての許可を県知事あたりから得て操業をしているものであるのか。私ども、話のそのことだけでは、直ちに聞いた話だけを正しいと申し上げているわけではありませんから、そこを一つお調べの上、あとで一つ機会がありましたら、私またお聞きしたいと思いますから、私はあくまで、やはり漁船であれ、その他の産業振興のための融資あるいは補助というものは、奄美の復興のためになるような形で使われるべきであって、何かそれが利用されたような形において補助金をもらったり、あるいは融資を受けたりするようなことがもしあるとすれば、私は非常に残念なことだと思うので、そういうふうにお聞きしているわけなんです。私今言ったように、はっきり断定するような事実を私自身も持っておりませんから、話を聞いただけでございますから、念を入れる意味で、一つお調べになっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/80
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081・林田悠紀夫
○説明員(林田悠紀夫君) 調査します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/81
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082・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ほかに御発言もなければ、これにて本案に対する質疑は終了したものと認め御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/82
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083・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。ちょっと速記を置いて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/83
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084・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/84
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085・鍋島直紹
○鍋島直紹君 私は、本案について賛成の討論を行ないます。本法律案は、奄美大島の振興をはかるための融資業務の拡充をはかろうとするもので、妥当の措置と認めますが、施行期日の関係で、次の通り各派共同修正案を便宜私より朗読いたします。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一項中「昭和三十五年四月一日」を「公布の日」に改める。
以上をもって修正案の趣旨説明を兼ね賛成討論を終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/85
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086・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言がなければ、これにて討論は終局したものと認め御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/86
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087・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、これより奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行ないます。
まず、鍋島君の討論中にありました修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/87
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088・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって本修正案は可決せられました。
次に、可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/88
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089・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本法律案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/89
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090・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/90
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091・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、再び地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案は、午前中に質疑を終了しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認め御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/91
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092・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。地方公営企業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/92
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093・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/93
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094・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01619600405/94
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