1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十四日(木曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
本日委員大沢雄一君、小林武治君及び
井野碩哉君辞任につきその補欠として
後藤義隆君、青柳秀夫君及び野村吉三
郎君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
基 政七君
委員
青柳 秀夫君
郡 祐一君
後藤 義隆君
白井 勇君
館 哲二君
西田 信一君
野村吉三郎君
湯澤三千男君
占部 秀男君
木下 友敬君
松澤 兼人君
米田 勲君
中尾 辰義君
大竹平八郎君
衆議院議員
纐纈 彌三君
安井 吉典君
国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
国家消防本部総
務課長 山本 弘君
自治庁財政局長 奥野 誠亮君
自治庁税務局長 後藤田正晴君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
(衆議院送付、予備審査)
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○行政書士法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○消防法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって委員小林武治君及び大沢雄一君が辞任せられ、その補欠として後藤義隆君及び青柳秀夫君が委員に選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) まず、地方税法の一部を改正する法律案(衆第二一号)を議題として、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/2
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003・安井吉典
○衆議院議員(安井吉典君) 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま提案されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の御説明をいたします。
最近の政府の税制改正に対する態度は、国税が中心となり、地方税は従になっているやに思われます。従って、減税措置も国税中心になされ、地方税は、結果的には、逆に増税になっている面が、多々あるのであります。
神武景気とか岩戸景気とかいわれながらも、一部の大企業、大所得者層を除いては、依然として低生活水準にあえいでいる現状のもとで、国税より以上に、大衆課税の要素の濃い地方税の減税は、当面の急務であると断言できると思います。
しかしながら、政府におきましては、そういう事態に対して何ら考慮を払わず、かつ、大企業等に対する課税減免の特例措置その他現行地方税制の数多い矛盾を全く放置し、おざなりな改正案で地方住民の切なる要望を無視する態度に出ているやに思われますので、日本社会党といたしましては、独自の改正案を提示する次第であります。次に、改正案等の概要を御説明いたします。
第一は、事業税の減免であります。個人事業税については、基礎控除を現行二十万円を三十万円にしたいのであります。法人事業税については、特別法人に対する標準税率現行百分の七を百分の六に引き下げます。その他の法人に対する標準税率は、所得のうち年五十万円以下の金額に対するものを、現行百分の七を百分の六に引き下げるわけであります。
第二は、遊興飲食税の軽減であります。まず、遊興を伴わない飲食店、喫茶店等における免税点を、現行一人一回の料金が三百円以下とありますのを五百円以下に引き上げるわけであります。次は、旅館における免税点については、現行八百円以下を千円以下に引き上げようとするものであります。
第三は、娯楽施設利用税で、これは、ゴルフ場の利用税の標準税率を現行二百円から五百円に引き上げるものであります。
第四は、固定資産税で、田畑に対する課税標準は、評価額の三分の二の金額とし、ゴルフ場の芝や休閑地等の特殊な資産に対しては、特に制限税率を現行百分の二・一から百分の七に引き上げようとするものであります。
第五は、電気ガス税で、現行の税率百分の十を百分の七に引き下げますとともに、非課税範囲を制限いたしまして、これに対しては、税率百分の二の電気ガス税を課することといたします。なお、市町村長の指定する街灯に使用する電気につきましては、電気税を課さないものといたしたいのであります。なお、わが党は、街灯に対する電気料金引き下げの措置を別途に考慮いたしております。
第六は、消防施設税の創設であります。道府県は、市町村における消防の費用に充てる財源を交付するため、消防施設税を設けることといたします。納税義務者は民営損害保険会社とし、その道府県内の収入火災保険料を標準とし、税率は百分の三といたします。徴収方法は申告納付の方法によるものとし、農業共済、火災共済等の共済事業は除外いたします。道府県が市町村に配分する方法は、市町村の人口、家屋の床面積等を基準として別に命令で定めることといたしたいのであります。
第七は、自動車税であります。トラックに対する自動車税は、現行自家用については一万五千円、三輪小型自動車は同じく四千三百円でありますが、これをそれぞれ千円ずつ引き下げることにより、営業用のものと同額といたしたいのであります。
これらのうち、特に遊興飲食税の減税につきましては、さきの国会の両院地方行政委員会におきまして、満場一致で実現の附帯決議を行ない、ことに参議院地方行政委員会においては、当時の青木自治庁長官が改正案の政府提案を約束した経過があるものであります。
以上、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由の概略を申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/4
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005・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案(閣法第三六号)を議題とし、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 この際、大臣に二点についてお伺いいたしたいと思います。
最初に、住民税の減税とその補てんの問題でございますが、これは、臨時特別交付金の法案も別に出ておりますので、その際また詳しくお聞きをしたいとも思っておりますが、とりあえずきょうのこの議題になっております問題に関連をしてお聞きするわけであります。それで臨時特別交付金の三十億というのは、住民税の減税の補てんの対策として今回特に出したんだ、そうして当分それが続けられるんだ、こういうふうに考えてよろしいものかどうかですね。そういうことをまず最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/6
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007・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) そのように考えていただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 住民税の減税、三十五年度において百二十二億円のその額に対する穴埋めの問題につきましては、昨年の三月の当委員会におきますいろいろ論議されましたものの中にもすでに取り上げられておりまして、当時は、予想せられました額は百十八億という御説明でございましたが、その額はともかくとして、それの減収補てんは当然別途に行なっていくんだと、こういうことが、当時の青木長官並びに大蔵大臣からも特に出席をしてもらって、話し合いの中にそういう線が出ておったわけであります。しかも、具体的な補てん策としましては、たばこ消費税の率の引き上げをもってすることが至当であるという見解も、自治庁側からはっきり示されておったわけでありますが、今回の三十五年度におきますこの補てん措置においては、当時の言明とは違って、現在の交付税のような格好で、国税三税の〇・三%、こういう形になって、額も非常に小さくなっておる。こういうふうになりますと、地方の減収に対する手当としては非常に薄いものになるのではないか。従って、地方団体においては、この減税によって相当財政運営の上で困る事態が私は予想せられると思うわけですが、その辺の点につきましての見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/8
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009・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 経緯につきましては、大体鈴木委員が言われたようなことであったのであります。私どもといたしましても、この住民税の減税の問題は、所得税の減税に伴う形で現われてくるものでありまするから、その減収は当然国において補てんすべきであるという見解のもとに、今言われましたように、百二十二億の補てんを考えておったのでございます。しかし、これはやはり予算編成のときにおける財政全体の問題と見合って考えていかなければならぬのでありまして、そこで、まあこの不交付団体の減収までも補てんする必要もないんじゃないかということで、交付団体だけに考えまするというと、六十七億くらいになるのであります。しかし、さらに折衝の経緯を経まして、地方団体側にも地方税の自然増その他が相当見込まれるのでありまするから、その全部ということでなしに、やはり地方団体側も若干考えてもらうということで、約その半分になったのでございまするが、三十億を国で補てんして、まあ半分は地方団体側でも協力をしてもらうということで、今税言われましたように、国税三税に対する〇・三、まあ交付税のような考え、しかし、それは特に減税に充てるんだということで、一般交付税とはちょっと形を変えまして、臨時地方特別交付金という形でこれを出していこう、こういう経緯を経たのでございます。まあ自然増その他一般の財政と地方財政とを見合ってこの減税対策をやってもらいたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 当時のこれは国税の、所得税の減税のときからすでに当然予想せられました地方の減収分について、国税減税を行なうときにこの問題についてはっきりした話し合いがついておらなかったのも、一つ今になると残念なことだったと思いますが、しかし、それは三十五年度予算編成の際に十分考えて補てん策を講じていくのだ、しかもそれは、先ほど申しましたように、青木長官の言明あるいは黒金政務次官等の話によりますと、たばこの消費税の引き上げをもってすることが至当であると、これを強く政府の態度として、自治庁の態度として述べられておるわけなんですね。これがまあ、私も申しましたし、またあなたも今御説明ありましたように、主税の〇・三という、そういう線で、非常にやり方においても、さらに額の上においても減ってきたわけなんです。これはまあ、配分等につきましても、あとで私、この法案の別の臨時特別交付金の審議の際によくお聞きしたいと思いますが、必ずしも減税そのものにぴたりとついたような配分でもないようにも聞いておる。これはしかし、あとで私さらに詳しくお聞きしたいと思います。
そうしますと、おっしゃるように、百二十二億そのままの完全な補てん策とはあるいは言えなくとも、少なくとも当初自治庁で主張しておられましたような、交付団体分六十七億というものは、何とかこれは確保する努力をしなければならなかったのではないか、こういうふうに私今でも考えているのです。その間、これは予算編成の際に、石原長官が最後までこの問題について努力をなされて、非常な御心労をなさったということも、私どもいろいろな形において聞きまして、その努力に対してはもちろん敬意も表しますけれども、出た結果は、私残念ながら、当時の当委員会におきますところの担当大臣の説明やら自治庁の態度とは非常に違ったものになってきているということは、非常に私は残念に思うわけなんです。この三十億というのは、ここ当分ということでありますが、来年度においては、この問題について、もっと額の引き上げというようなことは、そうしますと望めないということなんでしょうか。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/10
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011・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) お話のように、私どもといたしましても、地方財政の財源を確保していくという上から考えまして、その三十億ということは残念であったのでありまするが、しかし、予算ができないということになっても遺憾でありまするから、三十億という線で予算編成に協力をしたわけでございます。そこで、今後の問題でございまするが、まあ税の方も、一般地方税も自然増もございましょうし、それから国税三税の〇・三になっているというところに非常に若干の含みがある。三十億ということに限定されてないのであります。今までの趨勢から見まするというと、国税三税の方も相当の伸びがやはり見込まれるのでありますけれども、私は、やはり明年この臨時地方特別交付金の〇・三をふやしていくということはなかなか困難なことである、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、私まあもちろん、三十億、正確に言うと二十九億何がしという額なんですが、もっと引き上げられないかということは、もちろんその額だけでなしに、この臨時交付金が〇・三という一つの建前があるものですからね。これを含めて私申し上げ、お聞きしたわけなんですが、やはり私は、この減税の問題として、今の地方財政の状況からすれば、不交付団体であっても、これはやはり相当な痛手になる所が私あると思うのです。しかも、それが地方自治団体の、あるいは地方税法そのものからの減税でなしに、所得税の減税をやった当然の一つの結果として出てきた、いわば国の一つの方針といいますか、施策といいますか、そういうことによって出てきた、地方団体からすれば、あるいは好まざる減税でもあったんではないか。住民の立場からいって、税負担の軽減ということは、これは喜ばしいことでありますけれども、地方団体の今の財政状況からしますと、私、必ずしも全面的に賛成でこういう税を歓迎しておったとは言いかねると思うのです。ですから、どうしても裏づけとなるような減収の補てん対策が伴わないと、何べんも申し上げますように、地方自治団体としては非常に困ることになる。従って、こういう問題があると、将来いろいろな地方税の減税というものを当然取り上げていかなければならない段階に来ておると思いますし、私ども党の方でも、先ほどお聞きしたように、いろいろ考えておるわけでありますが、これは、政府としても、そういう方向としては否定できないものだと思いますが、そういう場合に非常に支障になるんじゃないか、地方団体にすれば非常に渋ることになる。そういう結果が生まれるんじゃないかという実は心配もあるわけなんでございます。ですから、今回のいわば国の施策によって、政府の一つの大きな政策によって出てきましたこういう国税の減税に伴って引き起こされたところの地方税の減税というものは、これは、できるだけ穴埋めをしてやって、めんどうを見ていくということでなければ私はいけないと思います。自然増収があるから、あるいはその他の財政面で、交付税が多少ふえたとかいうことで、この問題を小さく取り扱ってはいけないものだと思いますが、その点、私これでこの問題についての最後のお尋ねにしますから、重ねてお考えを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/12
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013・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 自治体が、それぞれ自分の考えからの減税の場合には、いろいろ用意を事前から考えてやるわけでありまするが、今回の住民税の減税は、先ほども申し上げましたように、所得税の減税のはね返りとしての減税でありますので、いわば押しつけられた減税ということが言えると思うのであります。そこで、私どもも、この減収補てんということは、自治庁の最大の努力目標といたしまして、最後までがんばったのでありまして、この点は御指摘の通り、こういうものはでき得る限り減収補てんをしていかなければならぬと思うのであります。まあ三十億で十分満足ではございませんが、妥結をしたということでございます。今後の問題といたしましても、こういう押しつけられた減税というような場合には、財源確保ということに非常な努力を払っていかなければならぬと思うのでありまするが、それともう一つ、たびたびここで引用して恐縮でありまするが、いわゆる税制調査会等におきましても、国、地方の税財源の配分ということを適正に考えてもらいまして、国の減税がすぐ地方に影響するとかどうとかということのないように、地方側でも一つ独自の税制が立て得るような方向に持っていってもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。御意見のところは十分体しまして、今後とも地方財源の確保に努力を続けていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 次に、もう一点お伺いいたしたいと思いますが、直接この法案そのものではございませんけれども、地方税の問題に関連をしまして、いわゆる大衆飲食にかかる免税点の引き上げの問題でございます。これは、しばしばこの委員会においても最近質問が出ておるのであります。一昨日も、そういう問題について、大臣からもいろいろ御答弁があったと聞いておりますが、三十五年度から実施するように政府も言っておりましたし、それから、当委員会におきましても、また参議院の本会議におきましても、はっきり三十五年度という年度を切った附帯決議がつけられておるのでありますが、それをなぜ三十五年度の税法改正の中に盛り込んで提案できなかったのか、そこら辺一つ、どのような検討をして今回それについて取り入れられなかったのか、その辺の事情を一つお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/14
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015・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) この問題につきましては、ここでもすでにたびたび申し上げたのでございまするが、私も、昨年自治庁長官に就任しまして以来、大衆飲食に関する免税点引き上げの問題を中心にして、地方税に関するいろいろ減税問題があるのでありまして、両院の地方行政委員会においても、いろいろ決議をする、ことに参議院の地方行政委員会においては、強力な附帯決議がされておるのであります。その趣旨に沿って努力するようにいろいろ検討をしておったのでございまするが、これもたびたび申し上げましたように、異常に伊勢湾台風の跡始末という問題がございまして、国の予算も、災害復旧、国土保全に重点を置いて、治山治水予算を編成する。そのために国税も減税は見送る。地方税も減税を見送る。地方費負担も相当ふえております。そこで、住民税の問題だけは、公約の七百億減税の一環でもございまするし、すでに課税方式の立て方によっては、もう減税が始まっておるのでありまするから、この問題だけはやはり税法を改正してやらにゃいかぬということで、一切を見送らなければならぬという事態になったのでありまして、この点は、私といたしましても遺憾に思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 まあいろいろ御検討なさった。政府部内においても、特に予算編成の際に、いろいろこれは御検討になったというお話でございます。その理由の一つとして、伊勢湾台風の跡始末の問題もあった。こういうことでありますが、もちろん伊勢湾台風が、当時だれも予想しておらなかったような、ああいう大きな災害があって、国においても、あるいは地方の持ち出しも相当大きいということは、これは確かでございますから、そういう一つの大きなことが起こったことも非常に不幸なことだし、これらの問題の未解決も私は非常にからみ合ってくる問題であっただろうと思います。しかし、地方の遊興飲食税の、いわゆる大衆飲食にかかわる免税点の引き上げに伴うところの減収というのは、これはそんな大きな額じゃないのです。最近の自治庁の調べでは、飲食関係、それから旅館の免税点の引き上げ、合わせて三十八億という話でございますが、当時、昨年あたりの予想では、三十二、三億だろうというお話でありましたが、いずれ三十八億という額になったというわけですが、これは私、そんなに大きな額じゃないと思うのです。ですから、もちろん、台風の跡始末なりあるいは国土保全の予算を組む、そういう観点からすれば、そういうものが重点になることは当然であるにしても、だからといって、この問題をそのままほおかぶりするということは許されないようないろいろな事情が私はあると思うのです。それが簡単に、もうことしは減税をやらないのだ、住民税だけはすでに始まっている所もあるから、やらざるを得なくてやった、こういうようなことで片づけられてしまっては、私はこれは非常に一つの大きな政治問題だと思う。政治責任の問題だと思うのです。私、もっと事情は別にあるのじゃないだろうかと考えるのです。これを取り上げることができなかった事情はですね。もう少しはっきりおっしゃっていただけませんか。どういうところに今回その問題が見送られねばならなかった理由があるのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/16
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017・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 率直に申し上げますと、私も従来、大衆飲食に関する課税は、免税点のある程度引き上げをやるべきであるという論者の一人であります。そういう運動にも参加しましてやっておった者の一人であります。ことにまた、この長官に就任してみますると、当院でもいろいろ決議をされておるということがありますので、院議尊重という趣旨からも、ぜひ実現をしなければならないという気持で準備、検討をしておったのが、先ほど申し上げたような事態で、残念ながらできなかった。それで、住民税の減税につきましても、この減収補てんのために非常な努力をしても、結局三十億というところで折り合わなければならなかったのでありまして、そういう地方財政の、ことに国土保全、災害復旧重点の予算を国、地方を通じて組んでいくというこの三十五年度の立場から考えまして、三十数億、四十億に近い減税を本年やるということは、これはどうも、国土保全、災害復旧重点予算を編成していくという建前の上から見まして適当ではないのではないか、残念ながらこれを見送らざるを得なかったのであります。その点、一つここらで御了承願いたいと思うのですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、実は何かはかに理由があるのじゃないかというふうにお聞きしておるわけなんですが、聞くところによりますと、もし大衆飲食に関する免税点引き上げをやれば、たとえば電気ガス税の問題だとか、あるいは鉱区税の問題、いろいろな問題がからみ合ってきて、収拾に困る、まあまあ今回はこれはそっとしておけと、こういうことがほんとうの事情であるやにも聞いておるのですが、これは一つ大臣どうです。ざっくばらんに、そういう問題とからんで、そういう問題を押えるためにこの問題も葬り去られたと、こういうふうに見ざるを得ないと思うのだが、どうです、その点の真相は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/18
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019・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今言われました遊興飲食税のほかに、電気ガス税の問題であるとか、あるいは自動車税の問題であるとか、固定資産税の問題、鉱産税の問題、いろいろあるのでございまして、まあそれも、今言われたことも若干の影響力はあったと思うのでありますが、しかし、その道連れに遊興飲食税を葬り去ったと、こういうことではございません。やはり遊興飲食税自体でも四十億近い穴が地方にあくのでございます。そういう先ほど申し上げたようなことでやはり見送らざるを得なかった。全部やれば、これは六十億ないし七十億ぐらいの穴があくわけでございますけれども、その道連れに葬り去ったのではないかということに対しましては、必ずしもそうではないと、こうお答え申し上げる以外に方法はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 先ほどのお言葉の中に、三十五年度はどうしてもやれなくなったと、それでは、三十六年度ではどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/20
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021・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 私といたしましては、三十六年度においては、まず地方財源の確保、充実を一方においてはかっていきますとともに、地方税制の整備の一環といたしまして、遊興飲食税の減税につきましては、誠意を持って実現をはかるべく最善の努力をいたす考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 これは私、実はあなたの言葉を信頼したいのでございますが、これで実は質問をやめたいと思うのですが、しかし、最善を尽くし、誠意を持ってこの問題の解決に当たるということだけでは、私まだ安心できないと思うのです。というのは、これは、あなたに対して、ちょっと私実は個人的には気の毒です。当時の担当大臣がかわっておりますし、税務局長もかわっておりますし、気の毒ですが、しかし、国会の委員会におきまして附帯決議がつけられたことが一つ、単にその附帯決議が委員のわれわれの側の一方的な押しつけによってつけたという、そういうことでなしに、その前に、すでに当時の長官は、はっきり三十五年度では必らず政府提案によってやりますということを言っておるのです。それすらもできないのであるとすれば、これは、先ほど申しましたように、あなたに対して失礼な言い分だけれども、あなたの誠意や努力に対しては、あなたの人柄からいって、その通りだと思いますけれども、ちょっと、そのことを信じて、はいさようでございますか、三十六年度ではできますかというふうに、私は安心できないと思う。実はちょっと長くなりますけれども、当時の委員会の記録をちょっと私読み上げてみたいと思う。何べんも申しますように、あなたにとってはいやなことかもしれませんが、やっぱり政府の担当大臣として、かりに大臣がかわったにしても、大臣がかわったからそれができなくなったとか、何かの事件がちょっとできたからそれがほごになったとかということは、私は許されないと思う。そういう立場から申し上げてみたいと思うわけなんです。
昨年三月二十七日の当委員会におきまして、当時の委員であります森委員から、この問題についてどうなさるのかという質問に対して、大臣は、青木さんはこう答えている。「大衆的飲食及び宿泊に対する遊興飲食税の軽減合理化につきましては、」、単なる軽減じゃございません、合理化という言葉も使っております。「軽減合理化につきましては、当委員会におきまする附帯決議の次第もありまして、その実現にできるだけの努力をいたしたのでありますけれども、三十四年度におきましては、まことに遺憾ながらこれを実現することができなかったのであります。しかし、三十五年度におきましては、当委員会の皆さん方の御協力を得まして、さらに地方財政の充実強化をはかり、必ず御趣旨に沿う考えでありますので、何とぞ御了承願いたいと存じます。」、ここで問題になるのは、「当委員会の皆さんの御協力」云々でありましたので、重ねて森さんから、一体当委員会の協力というのはどういうことか、委員会で案を出せということかと、こういうふうに聞かれましたのに答えて、青木さんは、「もちろん、政府として、当委員会の御決議の趣旨を尊重する考えでありますので、私どもの方として提案いたすものに、御趣旨を尊重して必ず実現をする、こういうことなんであります。」必ず政府提案にすると、こういうことを言っておる。これは附帯決議の問題の前なんです。なお、わが党の松澤委員も、そのあとで念を入れておられます。それに対して、やはりはっきり青木さんは、「この際は、私は三十五年度に実施したい、こういう考えであります。」、実施したいということでなくて、三十五年度から引き上げるのか、こういう重ねての松澤さんの質問に対して、「ただいまの点につきましては、松澤委員のお話の通り」、これは記録に載っております。こういうことがあって、担当大臣がここで言明をされましてやったことを、大臣がかわったからということでは私はないと思いますけれども、形からすれば、結果からすればそういうようなことになるとすれば、これは、委員会におきますところの大臣の答弁なり、政府委員の答弁というものをわれわれは一体どう考えていいのか。実は、できればさっき委員長にお願いして、総理大臣に来てもらえないかとお願いしたのだが、きょうはほかの委員会もあるから来られないということで、残念ですが、これは、政府のやはり責任のある担当大臣がここで答弁をし、そういう趣旨から、さらに私どもは、先ほど申しましたように、附帯決議をつけて、しかも、三十五年度にしてくれてもけっこうだ、必ずやりますということを青木さんが約束をせられました問題が、ほかの減税問題と私は事情が違うと思うのです、当初からのいろいろのいきさつからいって。しかも、たかが三十数億だ。しかも、もし住民税の補てんについてあなた方が考えたように、交付団体、不交付団体等について分けて考えると、これは交付団体の方はわずかで済むはずなんです。さらにもう一つは、現在税の取り方等においても、特に大都市におきましては、必ずしも適正な徴収の仕方をしておらないというようなことからしましても、あなた方が心配するような地方税の穴というものは、この点については私は大きくは出てこないだろうと思う。まあそれはともかくとしまして、この問題は、私しつこいようでありますけれども、これは単にわれわれが希望的な附帯決議をつけたとか、それに対して大臣が善処しますとか、こういった程度の問題でなしに、はっきりこういう答弁をせられておって、附帯決議をつけられておって、本会議でも、長官も十分御存じのように、満場一致でこれは通って、こういう問題がなおざりにされて、他のいろいろな事情ということに籍口して葬り去られるということは、私は非常に、先ほど申しましたように、政府の責任問題だと思うのです。ですから、あなたが誠意を持って最善の努力をなさるというお言葉、私は、実はそのままお聞きして、あなたの言葉としては信頼をしたいのだが、しかし、この問題の解決にはたしてどれだけの役に立つかということになりますと、私は、どうもその点になりますと、信頼することはできない。そのまま行ったら、これはやはり三十五年度だけでなしに、三十六年度でもどうもうまくない結果が出るんじゃないかということを私どもは心配しますが、その点、政府としての、あるいは担当大臣としての決意はこれはあるだろうと思いますが、重ねて一つ、もしおありでございましたら、お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/22
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023・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま鈴木委員がお話しになりましたように、人がかわろうが、大臣として議会において言明をしておりますることについては、これはもう当然責任を感じて、責任を持ってその実現に努力しなければならぬことは、言うまでもないことでございます。ただ、先ほど来から申し上げておりますように、異常事態が生じまして、まことに遺憾、残念でありますが、実現を見なかったということでございます。三十六年度につきましては、先刻も申し上げましたように、地方税制の問題になっておる事柄が相当あるわけでございます。その整備の一環といたしまして、遊興飲食税の減税並びに、ただいまのお言葉にありましたように、減税合理化というようなことについては、責任を持って誠意を持って実現をはかりたい。三十六年度には、地方税制の問題はどうしても触れなければならぬ問題だと私は固く信じております。これ以上は、私を信頼していただきまして、私の誠意と努力を信頼していただきたいと思います。かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 これは石原さん、あなたに対して信頼とか何とかいう問題も、変なことを言うようですが、あなたまたおかわりになるかもしれませんな。(笑声)ほんとうですよ。これは失礼な言い分で悪いのですが、そうするとまた、これは前の大臣が誠意を持って、責任を持ってやるから信頼してくれと言ったが、おれはそんなこと知らぬということになりはしないかということが心配されるのですがね。その点一つと、もう一つは、来年度三十六年度におきましては、地方税全般について検討しなければならない、こういうお話でございます。どうしても減税等の問題についてやらなければいかぬ、税の合理化について検討する、こういうお話なんでございますが、この問題だけは、ほかの問題とからめないでやってもらいたいのです。これは何年もなって、あなた、十分これは参議院議員として御承知でしょうが、参議院では、去年の三月の附帯決議は三べん目です。毎年のようにこの問題について附帯決議がつけられ、しかも、三十五年度においては必ずやるのだという、そういう言明があり、附帯決議にも三十五年という期限を切っておきながら、なおかつこれが取り残されている。今度、さっき私もお聞きしましたように、またあなたもお答えになりましたように、いろいろほかの問題、減税の問題が当然出てくると思うのです。そういうのと一緒にいろいろ検討といいますか、やられまして、また変なことになってしまったということでは、私はこれは筋が通らぬと思うのです。少なくとも来年度におきましては、ほかの、今出てきておりますところの電気ガス税の問題なり、あるいは鉱産税の問題なり、その他固定資産税の問題等、いろいろ六つばかり自民党の方ではかかえているようでございますが、そういう問題と一緒くたにして、これはちょっと事情が違いますから、特殊な問題として取り扱ってもらわないと、これはまた流れる心配があります。ですから、ほかの減税をやらなくてもいいのだという、そういう意味じゃありませんが、取り扱いの際には、この問題だけは、従来の、今私が申し上げ、またあなたも十分御存じのように、いろいろのいきさつから出てきている問題でございますし、政府として一つの大きな責任問題にもなってきていると思いますが、ほかの問題は扱いがいろいろなことになっていく過程をたどるにしても、この問題だけは一つはっきりしてもらわないと、参議院の面目まるつぶれです。私、そのことをおそれるのです。委員会なり本会議で幾くら附帯決議をつけたり、大臣の言明があっても、役に立たないじゃないかという印象を国民に与えるということは、これは非常によくないことだと思うのです。むしろ議会政治なり立法府の権威に関する問題だと私は思う。ですから、そういう点も十分に考えられて、少なくとも遊飲に関するこの問題だけは一つ、他の問題ももちろん検討することはけっこうでございますけれども、その最終的な取り扱いについては、もう最優先的に、序列第一位に当然持ってきてもらわないと、私どもの立場あるいは参議院の立場というものは全然なくなると思うのです。その点について、どういう御決意があるのか。二つの点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/24
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025・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 最初の第一点につきましては、私が先ほど申し上げました、これは政府が責任を持ってやらなければならぬのだ。人がかわろうが、担当大臣が当該委員会なり議会で声明していることは、これはもう政府が当然責任を持ってやらなければならないのだという、その点を一つ、その言葉をもってあなたの第一点のお答えにしたいと思います。個人はかわりましても、政府が責任を持ってやらなければならぬのだという気持を、私はここで表明いたすわけであります。
それから、第二の点につきましては、ちょうどあなたもそういう言葉を使われたのでありますが、院議尊重の趣旨から、これは最優先的に、地方税の減税にあたっては、遊興飲食税の問題を考えにやならぬ。第一順位に、最優先的に考えにやならぬ。こうお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/25
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026・松澤兼人
○松澤兼人君 過日も私、石原国務大臣に申し上げたのですけれども、速記を見ますというと、初めて石原国務大臣が自治庁長官として参議院のこの委員会に御出席になりました三十四年七月四日の委員会で、いろいろと地方財政の問題につきまして御見解の表明があったわけであります。そのときに私は、新任の石原国務大臣に対しまして、従来参議院の地方行政委員会と自治庁の間にこういう約束ができているのであるから、これはもうのっぴきならない約束であるということを申し上げまして、石原国務大臣も、その趣旨に沿うてできるだけの努力をする、こういう言明があったわけであります。そこで、先ほど来鈴木委員から申されておりましたことは、非常に鈴木君もおとなしい人でありますけれども、この言葉を私考えるのに、うっぷんやる方ないという気持があるだろうと思うのです。この点は、委員長は当時館さんだったわけなんですが、委員長がかわられても、あるいは自民党の地方行政の委員の方がかわられても、やはり委員会の決議というものは、政府との間に固い約束ができたのでありますから、この点につきましては、政府はもちろん、少なくともこの地方行政委員会というものが続いている限りにおきましては、連帯で責任を負わなければならぬと思うのです。その点、今になってから、自分たちは知らないのだというようなことは、これは責任を果たさないと思う。しかも、私たちが出しました修正案に対しては、当面その修正案をのむことは地方財政に欠陥を生ずるからだめなんだ、これはあらためて三十五年度から実施するということで、自分たちは社会党の修正案にはむしろこの際は反対しなければならぬということを言っておられるわけです。そこで、元に戻りまして、石原国務大臣に申し上げることですが、私たちが言っていることは、遊興飲食税の問題については、公給領収証を現状のまま存続させるという立場でもって、免税点の引き上げを強く要望しているわけです。もしも三十五年度におきましても、さらには三十六年度におきましても、免税点の引き上げということが三十五年度では行なえない、三十六年度でもあやふやであるということになると、遊興飲食税そのものの徴収方法とか、あるいは遊興飲食税そのものに対する考え方というものが納税義務者の間に非常に影響を与える。われわれは、非常に高級の人々やなんかが遊興飲食税の公給領収証を撤廃してくれということに対し、まあそう言うな、やはり公給領収証というものは必要であると言って、免税点の引き上げということに中心を合わせてやってきたのです。われわれとしても、こういう段階で、政府に誠意がないならば——公給領収証なんて、そういうものは必要ない。現実においてそうなんだけれども、政府に誠意がないならば、やはり公給領収証というような徴収の方法というのは、この際もう考え直す必要があるということをわれわれとしましても決意せざるを得ない。そうすれば、従来のように、上から網をかぶせて、見込みで徴収するというような、従来ありました、府県税当局と、それから遊興飲食税の納税義務者との間のごたごたというものがまた起こってくるということを考えなければならぬと思うのであります。この点は、奥野君にいたしましても、また後藤田君にいたしましても、始終業者の諸君とは密接しておられる。それで、そういう要望を持ってこられる人たちに、公給領収証は一つ存続していくようにしてくれと、しかし、免税点の問題は徐々に解決していくということを業者の間に約束されているだろうと思うんです。ほんとうに政府が誠意がなければ、われわれもまた公給領収証撤廃というようなふうに考え直さなければならぬ。特に、私はこの前も申し上げましたけれども、芸者の花代を減らし、それから遊興飲食税の免税点以上のものに対する課税の率をふやしたということ、これはまことにけしからぬことでありまして、そもそも私たちは、もう大衆飲食に対しては税金を全部はずせという意見を持っておる。それを、政府の方としては、芸者の花代は減らす、一方大衆性のある飲食に対して税金をふやすということは、まことに私たちとしてはふんまんやる方ないわけです。この点は、長年こういう問題を取り扱ってき、熱心に審議してきましたわれわれ共通の意見なんです。こういう事態を自治庁長官として石原国務大臣はどういうふうにお考えになるか。将来の遊興飲食税のあり方というものは、こういう業者に対して政府が不信の感を与えることによって、私は根底からくずれやしないかということを非常に心配するわけなんです。この点につきまして、決意を一つ御披瀝願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/26
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027・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほどからたびたび申し上げましたように、長い懸案の、しかも当院地方行政委員会で最も熱心に検討されておりまするこの問題の解決の前進を三十五年度において見得なかったということは、私自身としても遺憾、残念に思っておる問題の一つでございます。で、今松澤委員からもいろいろお話しになりましたように、遊興飲食税という名前になっておりますけれども、論議されている点は、全く大衆飲食の大衆の負担軽減に関する問題でございまして、先ほどから申し上げましたように、私がこの職に就任する前から、私自身もこの遊興飲食税の軽減、合理化については、その運動に参加しておったものの一人であったくらいであります。そこで、先ほどから申し上げましたように、この問題につきましては、院議尊重の趣旨から、一つ最優先的に考えまして、誠意を持って実現に努力をしたいと、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/27
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028・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、別なことでちょっとお伺いしますけれども、先ほど来ずっと社会党の御意見及び大臣の御答弁も拝聴いたしておりまして、かたや、前からの約束もあるから当然これをやってもらいたいと、かたや、伊勢湾台風等で相当な被害をこうむったから今回見送ったと、まあ私も、両方の言い分はもっともだと、こういうふうに思うのでありますが、飲食税そのものが大衆税であって、しかも、一日の労働が終わって、ビール一ぱい飲んで、ちょっと何か食べると三百円以上こしちゃう、こういうようなものにはたして……数字的なものは別としまして、ただ単に収支の数字を合わせるだけでありますれば、これは事務官僚の仕事でありまして、一国の担当大臣としては、少しどうも欠けているんじゃないか。ですから、国民大衆の声を聞いて三百円という、この免税点がはたして高いか安いか、こういうことを考慮して、やはり大臣として政治力を発揮してやってもらわないと、これは大きな問題になると私は思うわけなんです。ですから、この三百円の免税点、八百円の免税点が高いか安いのか、大臣はどのようにお考えになるか、私は拝聴したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/28
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029・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 私も、飲食の方の免税点の三百円は、これは引き上げなければならぬという考えを持っております。それから、旅館の方の八百円でございますが、これは、率直に申しますると、いなかと都会では、相当これは感じが若干違うところもあると思います。いなかへ行けば、千円といえば、一流の一流が千円というふうなことになる。(笑声)だから、この点は、あとで若干検討しなきゃならぬ点はあると思いますが、今あなたから、私の考えを言えとおっしゃったので、今私の感じを率直に申し上げたのであります。「一流の一流」は、ちょっと訂正しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/29
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030・中尾辰義
○中尾辰義君 大体大臣の答弁では、三百円は引き上げなければならぬのだ、このようにおっしゃったわけですから、私も善意にそれを解釈したい、このように思っておりますから、ぜひともこの点は善処していただきたいと、このように要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/30
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031・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって委員井野碩哉君が辞任され、その補欠として野村吉三郎君が委員に選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/31
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032・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/32
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033・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。
これより直ちに討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/33
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034・占部秀男
○占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されております地方税法の一部を改正する法律案について反対の意見を表明するものでございます。
もともと本改正案の内容を見ますと、昨年の国と地方を通ずる減税に伴う必然の措置を中心としたものでありまして、そうした意味合いから申し上げますならば、何らへんてつもない改正案である、かようにも言えるのでございます。しかし、より深く考えてみますと、その何らへんてつもない改正案を政府が出した、ここに大きな問題点があるとわれわれは考えるわけでございます。言うまでもなく、地方税は、国税に比べまして、いわば応益性の強い課税方針がとられておることは周知の事実でございます。納税義務者の立場からいいますならば、国民大多数のものの立場から言いますならば、大衆課税の要素が非常に国税に比べて濃い、こういう性格を持っておると私どもは考えております。従って、個人事業税の基礎控除の引き上げの問題にしろ、ただいま問題となっております遊興飲食税の免税点の引き上げ、あるいは旅館の免税点の引き上げの問題にしろ、田畑等に対する課税標準の評価額の引き下げの問題にしろ、あるいは電気ガス税のいろいろな整理の問題にしろ、今日地方税を減税させなければならない、アンバランスを直さなければならない、こういうことは、いわば世論ともなっておると私どもは考えておるのであります。
ところで、三十五年度、すなわち本年度の地方財政の見通しを考えますならば、これは、自治庁の発表に待つまでもなく、相当の増収が予定され得ると思うのであります。地方財政計画を見ましても、昨三十四年度のこれは当初計画ではございますけれども、地方財政計画、これに比べて八百たしか十二億だと思いましたが、自然増が見込まれておりまして、八百億の自然増が見込まれるというようなことは、私の知る限りでは、かつてなかったところであると考えます。さらにまた、三十四年度の決算見込みに比べましても、これはもちろん自治庁の発表によって私たちは了承しておるところでありますけれども、少なくとも四百五、六十億の増収にはなる。財政通達にも、はっきりとそういう点が出ておると思います。さらに、最近ここ数年における地方税の減税を実現した場合を考えましても、その年その年の自然増収の税の伸びはおそらく三百億から四百億程度のときにさえ、減税問題が扱われておったという過去の歴史もあるわけでございます。さようないろいろな条件を考えましたときに、大衆課税的な要素の濃い地方税の問題を減税もしくは整理をするということは、これはもう当然今回の国会においては課題とならなければならない点でありまして、その点が無視されておる。こういうところに私どもは非常に強い不満を持っておるわけであります。本委員会におきましても、同僚議員あるいは私が大臣に対してこの点をお尋ねをいたしました。大臣は、そのつど、今日の御答弁の中にもありましたように、本年の地方財政の立て方そのものが災害復旧を中心とし、国土の保全を中心としておる。そのために減税問題にはまあいわば手の回らないところも出てきておる。さようなことを一番大きな理由にされておるのでありますが、こういうような理由自体に私どもは納得のできないものを持っておるのであります。なぜかというならば、かりに大臣のいわれたような理由をそのままわれわれが受け取ったとしても、地方税の税体系を整理することによって、大衆課税的なものを減税するところの余地が十分にある。たとえば、電気ガス税の減免措置、これの全体とはいわなくとも、少なくとも常識でこれは減免を廃止すべきであると考えられる問題も相当あるし、自治庁自体もそれを認めておる。そういうものをすることによって逆に大衆課税の引き下げを行なう、あるいは税の整理を行なう、こういうことはでき得る余地のある問題であります。ところが、今度の地方税法の一部改正案、すなわち、本法案にはそういう点が全くほおかぶりされておって、無視されておる。芽さえ出ていない。こういうようなことは、当然大衆にとっては、現政府のやり方はあまりにも無責任きわまると私たちは考えざるを得ないのであります。特にただいま問題となっております大衆飲食の免税点の引き上げの問題のごときは、私が言うまでもなく、ここですでにたびたび論議されましたように、本委員会としても、三回にわたってこれが決議を行ない、昨年三月二十七日の委員会においては、明三十五年度、すなわち本年度から必ず実施させるということを、いわば政府との合議とは言わなくとも、了解のもとに決議を行なっておる問題でございます。しかも、石原大臣は、大臣の就任当初に、本委員会において、私が大臣の在任中にやりたい、こういう問題について四つ五つ問題点を明らかにされましたが、その中にもこの問題が入っておったわけでございます。私は、大臣の好意ある立場とその人格については、何ら申し上げることはないのでありますけれども、事は個人の問題でなく、やはり政治上の、政府の問題であります。院の決議がかような形でたびたび無視されるということは、これは、院のいわば建前からいっても、とうていわれわれとしては納得のできないことになると思うのであります。しかも、大衆飲食の問題等は、その内容が地方税の税体系を大きく変える問題であるとか、あるいはまた、相当多額のいわば財源を要する問題であるとか、こういう問題ならともかくも、この問題自体は単なる技術上の問題にすぎないし、その内容にしても、三十八億円程度の問題にすぎない。そういう問題さえ全く無視されておるというこの事態に至っては、私どもは、とうていこの法律案に賛成することはできないのであります。
以上のような理由から、地方税法の一部を改正する今回の法律案に対しては、日本社会党としては絶対に反対である。かような立場を表明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/34
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035・大竹平八郎
○大竹平八郎君 私は、本法案に対しまして賛成をする者であります。しかし、賛成の討論にあたりまして政府当局に要望をいたしたいことは、この本法案を通じて見るときにおきまして、非常に釈然としないものがたくさんあるわけでございます。ことに、しばしば各委員の繰り返されておりまする大衆飲食税の問題のごときは、本委員会におきましてもしばしば問題にもなり、石原長官自身も陣頭に立たれて、この問題をかつては強調をした一人であります。また、与党自民党の内部におきましても、この問題につきましては、多数の賛成者のあることを私どもは知っておる。こういうものが等閑に付せられ、さらにこれは、私は予算委員会におきまして石原長官にもお尋ねをいたしたのでありますが、人頭税ともいわるべきところの電気ガス税等の問題でございます。これらの問題につきましても全く考慮が払われていないわけでございます。ことに、政令でこれは発令できるとはいいながら、ガスのごときは、昨年料金の値上げをいたしたわけであります。料金の値上げをいたしたということは、自然的にガス税がふえておる。こういうようなことも昨年行なわれておるわけでございます。こういう点に全く考慮のなかったということは遺憾にたえない。
それから、この法案を見まして、交付税をもらう資格のある交付団体だけについて所得税軽減の影響の計算をいたしますというと、六十七億という数字が出るわけであります。これが別途また地方特別交付金として新たに討議をせられます三十億円、これはまあ支出をされるわけでありますが、これは、いかにも政治的に、六十七億を二で割ったというような感じがいたしまして、法律技術の点から申しましても、いろいろ論議があったのではないかと、かように考えるわけでございます。しかし、これは国税が昨年減税になった自然的なやり方であるのでございますので、一応私は賛成をいたすのでありますが、この際、私が申し上げましたような人頭税に近い電気ガス税の問題とか、あるいはしばしば問題になっているこの大衆飲食税等の問題を含めまして、政府に地方税の根本的改革を特にこの際要望いたしまして、賛成をするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/35
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036・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/36
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037・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。
地方税法の一部を改正する法律案(閣法第三六号)を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/37
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038・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/38
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039・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
午後一時半まで休憩いたします。
午後零時六分休憩
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午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/39
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040・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
まず、行政書士法の一部を改正する法律案を議題として、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/40
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041・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいま議題に供せられました行政書士法の一部を改正する法律案について、その提案理由の説明をいたします。
行政書士法は、昭和二十六年、行政書士の業務の公共性にかんがみ、その業務の適正な執行を確保して、一面その利用者の便益に資するとともに、行政書士の資質の向上と職務執行上の利益をはかるため、制定せられたのでありますが、その後の本法の施行状況を見るに、従来任意設立、任意加入であった行政書士会並びにその連合会を司法書士、税理士等類似の業務の場合と同様、義務設立、強制加入とすることによって、行政書士会の自主的な指導力を強化して行政書士の品位の保持、業務の改善、適正化に資する必要があるので、本改正案を提案いたした次第であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/41
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042・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対する質疑は、次回に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/42
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043・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
鈴木本部長から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/43
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044・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) さきに提案理由の説明がありました消防法の一部を改正する法律案の内容につきまして、補足的に御説明申し上げます。
この法律案は、提案理由の説明にもありました通り、防火管理者に関する規定の整備をはかり、また少量危険物等の貯蔵または取り扱いの基準を市町村条例で定めることとし、あわせて消防の用に供する設備等の技術上の基準を政令で定めてその規制を行ない、その他規定の整備をはかろうとするものでありまして、第八条の改正、第九条の二の追加、第十条の一部改正、第十七条の改正及びこれに伴う第十七条の二から第十七条の四までの追加並びにこれらに関する罰則の改正と附則とからなっております。
改正にあたっての考え方といたしましては、火災の防止の徹底を期するため、物的設備と、これを管理する人的組織を整備し、あわせて市町村の火災予防条例の整備をはかることをもって主眼といたしております。
以下、各条文につきまして御説明を申し上げます。
第八条の改正は、従来の防火責任者の業務内容の明確化及び強化をはかり、これに伴い、その名称を防火管理者と改めた上、政令で定める資格要件を具備すべきものとし、かつ、防火管理者を設けるべき防火対象物は、多数の者が出入し、勤務し、または居住するものについて政令で定めることとし、その選定または解任を届出事項とすることといたしたものであります。
第九条の二は、消防法別表で定めております数量に満たない危険物、危険物に準ずる政令で定める可燃性の物品、または火災発生の際その拡大がすみやかであるか、もしくは消火活動に著しく困難を来たすような物品について、その貯蔵または取り扱いの技術上の基準を市町村の条例で定めることといたしたものであります。
第十条の一部改正は、車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取り扱う貯蔵所について規定の明確化をはかったものであります。
第十七条の改正は、防火対象物における消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設に関するものでありまして、これらを設置すべき防火対象物につきましては、従来は学校、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館及び飲食店を法定するほかは、市町村条例において指定するところによっておりましたが、これを政令で定めることに改め、かつ、その技術上の基準は、市町村条例にあげてゆだねておりました点を改めて、政令で定めることとし、新たに法律で維持義務を課することといたしました。ただ、これらの技術上の基準につきましては、気候または風土の特殊性をも考慮いたしまして、政令またはこれに基づく命令の定めるところによるのみでは不十分と認められる場合には、市町村条例で基準を付加することができることとして、実情に即した運用をはかり得るように配慮いたしております。
第十七条の二及び第十七条の三は、消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設のうち消火器、避難器具等簡易なもの以外のものを新たに設置させるときは、既存の建築物等にあっては相当大幅にわたる工事が必要となり、経済的負担が大きくなります点をも勘案いたしまして、本来これらに適用せられるべき法規の適用は除外し、従前適用されていた法規を適用することとして例外を認め、切りかえに際しての負担をできるだけ軽からしめるための措置をとり得るように設けた条項であります。第十七条の二が法規改正の場合におけるものであり、第十七条の三が防火対象物の用途の変更の場合におけるものであります。ただ、いずれもやむをえず認める例外的措置でありますので、従来とも違法であった場合でありますとか、大規模の工事を伴う場合とかにおきましては、原則に戻って、本来適用されるべき法規を適用することとして調整をはかっております。
第十七条の四は、消防の用に供する設備、消防用水または消火活動上必要な施設の設置または維持が、技術上の基準に従ってなされていないときは、消防長または消防署長において、所要の命令を発し得るものとして、これら技術上の基準を遵守させる措置を講じたものであります。
第四十二条から第四十五条までの改正は、以上の改正に伴う規定についての違反に関する罰則について整備をはかったものであります。また第四十六条の改正におきましては、第九条の二の規定に基づく条例に対し、罰金刑のみの刑罰規定を委任することといたしました。
附則におきましては、防火管理者の資格についての経過措置並びに消防の用に供する設備等のうち消火器、避難器具等簡易なものの技術上の基準についての経過措置を講じております。なお、この法律の施行時期を公布の日から起算して九月をこえない範囲で政令で定める日といたしましたのは、今回の改正の内容を充分周知徹底させる必要があると考えたからであります。
以上、この法律案の主要な点について、その概要を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/44
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045・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 関連してでもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/46
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047・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと本部長の見解を承りたいのですが、本案でなしに、実はちょっと消防の組織上の問題でございますが、三月の都議会で、東京都下の相当な市町村の消防組織を都に委任できるような条例ができたはずなんでございます。それについて御承知になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/48
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049・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 そこで、これはちょっと珍しいことになってきたと思うのですが、もともと消防の仕事というのは、市町村固有の事務だと私どもは考えておるし、現在の法でもそういうふうになっておると思うのです。それが、今度は東京都の条例で、都においてその仕事の委託を受ける。こういうことになって、非常に特異な形になってきたわけですね。これは、どういう法的な根拠でこういうことができるものか。そこら辺について、消防庁としてどういう見解を持っておるのか。きょうは自治庁は見えませんが、あとで自治庁の方にも見解をお聞きしたいと思いますが、その点についての見解をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/50
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051・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) この四月一日から、お話のありましたように、東京都下の三多摩の九市七町の職員消防の、すなわち消防署の関係の事務を、東京都二十三区の消防事務を管理いたします東京都知事に委任されたわけでございますが、これは、御承知のように、法律で、二十三区消防事務については一つの市とみなすということになって、ちょっと一般の道府県における消防と、いわゆる市町村消防の形態とは同じような形態をとっておらないわけでございますが、かねてから三多摩の職員消防の九市七町を所管しております消防の連中並びに各市町当局が、職員消防については二十三区の消防と一緒にしてもらいたいという希望は、これは自治体消防発足間もない時代から希望があって、多分これは、議会にも陳情等があったように記憶いたしております。それで、今日の法律においてどういう形にやったらこれが適法にできるかということで、かねがね研究されておったようでありますが、今回その話がまとまりまして、この九市七町の職員消防、常設消防の仕事については、東京二十三区の消防を管理する東京都知事に事務を委任するために、都に委任するという形をとりまして、地方自治法の二百五十二条の十四によります委託事務という形で委託されたわけでございまして、この二十三区の消防が一つの市とみなされておりますので、法律の形式から申しますと、市町の消防事務の一部を二十三区という、市とみなされておるものに委託されたという形になっておりますので、特に自治法上差しつかえないものと解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 かねてからの要望なり、そういうことについては、事情としては私どももわかります。それから、今のお話の東京都の消防、東京都における各特別区の消防とそれから都の関係も、これは法律的に、消防組織法の第十六条、十七条で、これは一応明らかになっておるわけなんですが、そのことと、今回の九市七町のそれとは、ちょっと考え方が違うものではないだろうか、こういうふうに思うのですが、今あなたの説明ですと、地方自治法の二百五十二条の十四によってやったんだと、こういうふうなことでありますが、なるほど二百五十二条の十四は、事務の委託のことについての規定でありまして、一般的な規定だと思うわけなんですね。ただ、この場合にも、先ほど申しました、消防の一部とあなたはおっしゃるのですが、常設消防の全部が委託されるような格好になっておりますですね。残るのは、施設とは、何かそういうものの管理というようなことだけしか残っておらないわけですね。第七条に、水利施設の設置、維持及び管理というところで、現在の市やあるいは町でその設置なり維持について責任を持つということだけであって、その他全部が都の方へ行ってしまう、こういうことなんですから、一部という解釈もちょっと私当を得ておらないのじゃないかと思いますし、さらに、組合を作ってやるというようなことは、従来どこかに例があるようでありますが、今言ったように、全部、いわゆる市町村固有の仕事である消防の事務というものを都に委託をする、こういう格好は、今の消防組織法の建前から、あるいは消防のあり方から言って、ちょっと行き過ぎじゃないだろうかと思うのですがね。これは、あなた方は、法の上でも、二百五十二条の十四等においても委託はできるのだと、こうおつしゃいますが、確かに一般的な委託ということは、市町村の事務であっても、その一部について行なうということが規定はされておりますけれども、常設消防のほとんど全部についてそういう委託の格好をとってやるというようなことについては、これは私は、自治体のあり方として、また消防本来のあり方としては、非常に行き過ぎな処置ではないだろうか。こういうふうに思う。あまり事を便宜主義的に考えていたんじゃないですか。なるほど東京都の各区の連合された東京消防庁の全体の施設なり機動力なりというものは、非常に他には見られないだけのものでありましょうから、そういうものの中に含まれてやることは、防火上から言っても、いろいろな便利があるということは私は言えると思うのですがね。しかしそれは、さっき言ったように、別の角度から考えて、連絡なり、場合によっては組合を作るなり、そういうことはあり得ると思うのですが、こういう委託という格好でやるということについては、私はどうしてもちょっと納得のできないところがあるのですが、重ねてそういう点についての御見解を聞かしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/52
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053・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 私が先ほど一部と申し上げましたのは、職員消防の関係だけが委託されましたので、消防団の事務並びに施設としましては、水利施設等は委託されておりませんので、一部と申し上げたわけでございます。東京都の従来の二十三区の消防については、一つの市とみなすという、このことがすでに変態と言えば変態なわけでございまして、今回の九市七町の委託というのも、変態と言えば御指摘のごとく変態であろうと思うのでございますが、東京都政の実情から見まして、従来のいろいろ消防上の行政のあり方並びに活動の状況等から見て、こういう東京都という特別変った行政組織におきましては、こういう委託という措置をとられるのもやむを得ないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 なるほど東京都というのは、これはまあ特別な形態ですわな。それはまああなたのおっしゃる通りなんですが、しかし、都下のそれぞれの市あるいは町というものは、これはまたしかし、普通の地方自治団体として厳として存在しておったし、これからもそうだと思うわけですね。将来現在のいろいろな首都圏の問題等がどのように発展するかはともかくとして、少なくとも今まで何々市あるいは何々町というものは、普通にいう地方公共団体にこれは間違いない。そういう実態としてもやってきておると思うのですね。その中で、消防事務というものは、私はやっぱり地方自治法に示された一つの固有の事務であろうと思う。なるほどお話のように、また条例の第一条にもあるように、消防団にかかるものや水利施設の問題等は除外されておりますが、消防本部あるいは消防署を置く市町村の長その他の職員の権限に属するものをみんな含んで、職員のそういう身分関係のものまで含んでの委託でございますから、非常に私特異なケースだと思うのですね。従来見なかった新しい形がここに生まれてきておるわけですね。それがいろいろな実際的な防火なり、あるいは消火活動、そういう面からいって、都合がいいというような、先ほど言ったような、そういう便宜主義的なことだけで、市町村本来の仕事をみなそっちへ持っていかれると、実質的に何もなくなつちまうんです。そういうことは一体許されるものかどうか。地方自治法の二百五十二条の十四や十五をそういうように解釈していいものかどうかということは、ちょっと問題があると思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/54
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055・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 先ほど申し上げましたように、この問題はだいぶ古い問題でございまして、ことに首都圏等の問題が具体化してきましたから、なおさらこの問題が具体化して参ったわけでございますが、かねてから東京都と自治庁と、それから私どもも入りまして、法的にどうかということを十分検討いたしまして、東京都の先ほど申し上げましたような特別な事情並びに協力関係がほかに見られない特別な密接な関係にあるということから、まあ一部には便宜主義ということもあろうかとも思いますけれども、そういったようないろいろな実情から考えて、一緒になった方がいいということに結論が出まして、しかも法律的に、地方自治法の委託事務ということでやっておる自治法の解釈も差しつかえないという結論も出まして、それぞれそういう措置がとられたわけでございます。そういう事情で実現いたしたものでございますから、これがほかの府県に同じような例が出てこやせぬかとか、そういった問題は全然ない。ほんとうに東京都に特別な措置というふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 私も、これはまさかほかの県でやろうといったって事情がちょっと違いますから、そう簡単には私はやれないことだと思うのです。しかし、委託というものをそういうふうに解釈をすれば、県に委託するということでなしに、今度他の町村に委託する、大きな市がそばにあるんだといった場合に、近接の町村等において、今言ったように、かりに常設消防等がある町があるとすれば、そういうものが今度は隣の大きな市に事務を委託するんだというような格好は、私は、この考え方からすれば認められるし、否定できないことになってくるわけですね。そうなりますと、消防の仕事というものは、これは苦しい現在の市町村の財政の中ではありますけれども、しかし、本来持っておらなければならない仕事として、地方住民の生活福祉にも密接な関係のあるこういう仕事なんですから、そういうものを簡単に手離すというようなことについては、考え方としては、一つのどうもルーズな考え方になり過ぎておるのじゃないかというふうに思うわけなんですが、これはやってしまったことで、今さら何と言っても、これは量見がきまっておりますから、四月一日から発足しておるはずでございますから、こういうことに対するあなた方なりあるいは自治庁なりの考え方というものは、私は、やっぱりもう少ししっかりしておかないと困るのじゃないかと思うのです。その点はまあそれくらいで、一つお聞きしますのは、職員の身分も、たしかこれは第八条の協議事項によって都の方へ移るのだというふうに聞いておりますが、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/56
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057・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 御指摘の点も、付属協定によりまして、やはり職員の人事権も東京都知事に委託されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、そういうこともやっぱり変な格好になってきて、そこで、今度また町村におきますところの職員のいろいろな地位なり、そういうものと、場合によっては給与なり年金等の関係等からいっても、違った団体に入って、いろいろな違った条例なり何かあると、それぞれやっぱり問題が出てきますわな。そういう問題は、それは二次的な問題としても、職員もそっちの方の身分が切りかえられ、それから経費なんかも、これはもちろん当然委託した方で負担しなければならぬと思いますが、そういう点はどういうふうになっておるか、お聞きになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/58
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059・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 経費は、やはり協定によりまして、委託した方の市町が東京都に納めるという協定になっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 委託した方が委託された東京都に納めるについての何か基準等がありますか。そこら辺の協定はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/60
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061・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 経費の関係につきましては、委託事務の管理に要する経費は、両者の協議によって定める規約案によりますと、義務を委託した各市町が負担することになっております点は先ほど申し上げた通りでありますが、東京都が特に必要と認めた場合には、東京都がその一部を負担するという内容になっておるようでございます。それから、各年度において委託事務の管理に要した経費のうち、各市町の負担すべき額に過不足を生じた場合は、翌年度の負担金の額で調整する、そういった内容の協定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、そういうふうな経費のことは、これは簡単なので、条例ですから、何か経費の負担についての、たとえば交付税額の中に見込まれる基準財政需要額のそういうところを根拠にするとか何かがないと、これはまたいろいろ問題があると思うのですね。そこら辺について何かお聞きになっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/62
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063・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 先ほど申し上げました以外に経費について私ども聞いておりますことは、特別区の消防事務を都知事が管理する場合に要する経費は、地方財政法第九条の規定により東京都が負担することになっておる。それから、消防に関する地方交付税の基準財政需要額の算定も、地方交付税法第二十一条の規定により東京都として計算されるということになっております。それから、事務委託をした各市町の消防費は、従来通りそれぞれの市町の地方交付税の基準財政需要額において算定されますので、委託事務の管理に要する経費は、当然事務委託をした各市町村が負担すべきものである、こういう取りきめになっているようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 これはできてしまっておりますが、こういう点について、これは一体地方自治団体の本来の仕事が何か、それを維持していくためにはどういう方途がとられるべきか、そういうような根本的な問題をやはり考えていかないと、これは非常に先ほど申し上げましたように便宜主義的な考え方で、ただ大きな世帯の中に入っていけばこれは都合がいいのだという、それしかないと思うんです。これは、相当距離的に離れた所もあるでしょう。こういうものに対して、東京都がはたして委託を受けて、今後その相当離れた所に対して、一体従来より違ったどの程度の消防施設なりあるいは防火態勢なり消火の態勢なりがとれるかというと、なかなか私はやっぱり問題があると思うんです。そういう問題も考えないで、単に大きな世帯の中に入っていけば都合がいいのだ、こういうようなことで、おのおのが本来持っておる仕事で責任を果たすべきそういう仕事を、一般的な事務の委託について許されておるからという、そういうことで入っていくということは、これはやつぱり許されないことじゃないだろうかというふうに思うのです。おそらくこれは、先ほども言いましたように、東京都下の問題だけであろうと思いますけれども、しかし、こういうことが将来に一体絶無かというと、必ずしも私はそうではないと思うのですが、そういう面から言って、指導する立場にあるあなた方がやはりもう少しきちんとしておいてもらいたいと私は思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/64
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065・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) この東京都の事例は、あくまでも東京都という特殊事情に基づく特別なやむを得ざる事例と私は考えておりますので、御指摘のありましたように、今後の成り行きで、消防事務の執行上支障を来たすようなことがあっても困りますから、その点については、御指摘のような憂いがないように、今後十分成り行きを注意して見守って指導していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 こういうふうになった根本的な問題は、現在の市町村における財政上の問題だと思うのです。もっと、市町村の財政上で、いわゆる消防施設なりそういうものに金をかけることができたり、あるいは消防の態勢を整えていく上にそんなに圧迫を感じないでやっていけるというようなことであれば、これはこういうことにならなかったと思うんです。もちろん、今国からも相当の助成もしておりますけれども、しかしこれは、毎年あなた方が要求している額からしますと少ない額である。さらにまた、地方が要望しておる額からすれば、これまたきわめて少ない額でありますから、そういう面も考えていかないと、こういう問題は、根本的な問題の解決に私はならないと思うんです。八王子、青梅、府中、調布、こういう市でも、あるいはその他の町でも、これは、ただ単に入ったからということで、のんきにしておられないと思うのですが、しかし、まあ地元の切なる要望というようなことで、こういうふうな便宜主義的なことがとられたと思うのですが、私は、やはり今回の問題を契機に、消防行政のあり方、それをささえる財政の問題をどうやっていくか。もちろん、あなた方だけのあれでは解決つきませんけれども、政府としてもこれは本気になってやらないと、こういうことになって、本来市町村が持って、充実のために努力をすべきそういう仕事までも、ほかの方に委託してしまうのだという格好にならざるを得なくなってくるのじゃないかと思いますから、その点一つ要望として、今後の消防行政のあり方あるいは消防財政のあり方等について十分一つ考えていただきたいということを要望しておきます。
それから、ちょっとお聞きしたいのですが、第八条の「政令で定める資格を有する者」というのは、これは、政令の内容なんか、今考えられているようならば、あとでお示しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/66
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067・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 資格者の政令につきましては、ただいま鋭意検討中でございますが、おおむね私の考えておりますのは、具体的に申し上げますと、第八条の「管理」というところに重点があるわけでございますから、管理能力のある者、あるいは管理の力のある者が防火管理者になるような方向で政令を定めたいと考えておるわけでございます。具体的に申し上げますと、現在考えておりますのは、会社等におきましては庶務課長、官庁等におきましては会計課長、工場等におきましては保安管理者というような、実際に力のある人がなるように、もっともそういう人ばかりでなしに、十分消防の方面に知識のある者とか、あるいは経験のある者がなれるような措置を講じたいと思っておりますが、おおむねそういうところを標準に政令を定めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 これは防火の管理者でございますから、庶務課長や会計課長、それは力があるかもしれませんし、権原もあるいは持っているかもしれませんが、目的が防火という点にあってそれの責任を負う立場にある者をきめることですから、私は、これを見ただけで考えましたことは、それなら、一体防火管理者を政令で定める資格というものは、そういう主として能力といっても、防火に関する能力なり知識なり、何かそういうことでないだろうか、こう考えておったのですが、お話だと、それはつけたりで、何か職制の上で課長だとか、しかも、会計課長とか庶務課長といったところで、これは別に防火のことにそんなに大したあれじゃないと思うのですが、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/68
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069・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 現行法の第八条も、一応防火管理者を定めていろいろな仕事をしなければならないということになっているのでございますが、まあ形式的に、たとえば守衛を防火管理者にして、形式上だけ格好を整えているというようなことで、現実にその建物なら建物、施設なら施設全体の責任を持って、火が出ないようにということを常日ごろ管理面で注意していくような形がとられていないのが多いわけでございます。今度は、この改正によりまして、その建物なり施設の全体に対しての防火責任者というものを定めまして、その下に、もちろんそれぞれの設備なりあるいは部屋ごとに、火気取り締まりの責任者と申しますか、現在ありまするそういった種類のものをもちろん下に置きまして、それらを統合して、建物全体の防火上の処置なりあるいは維持管理をする責任者をきめたいというのが、今度のこの第八条の改正の趣旨でございます。ですから、先ほどお話のありましたようなものは、この組織の中に当然考えられるものとして、今回の改正は考えておるわけでございます。むしろもっと広い全体の管理の責任を持つものを置きたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 これはまあ会社によっていろいろ違うと思うのでございますが、その場合に、庶務課長はともかく、会計課長は、建物とか何か、そういうことについて一体どういう権原を持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/70
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071・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) この問題は、だれを管理者にするかということは、それぞれの施設について相当いろいろな、その種類といいますか、態様が違うと思うのでございます。で、私どもこのまあ考えられますそれぞれの建物なり施設について、だれがその管理者になったらいいのかということを今検討しておりますが、結局ケース・バイ・ケースで、消防署長の指導のもとに、その建物の状況に応じて、この第八条の目的が達せられるような人を選んで、防火管理者にきめるということにせざるを得ないのじゃないかと思います。従いまして、この政令できめます資格というのは、相当幅の広い規定を設けたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/71
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072・鈴木壽
○鈴木壽君 それは、一般論としては、あなたのおっしゃる通りだと思うのですが、ただ、御説明の中に、庶務課長とか会計課長ということを先にお話しになって、その他防火の知識を持ったり能力を持ったりするものというお話でございましたから、会計課長というものは、一体そういうことに対してどの程度の権原を持つものか、むしろもっと適確に建物の管理に当たる、これは、名前はどうなるかわかりませんよ。庶務課長になるか、何になるかわかりませんが、そういう責任を持つ地位にあるものというふうにおっしゃっていただければ、それならそれで、あとケース・バイ・ケースで、消防関係の人たちと話し合いをして、協議の上で、この人が適当だろうというようなことできめるということになるといいと思うのですがね。そういうお話がなくて、ただ庶務課長やあるいは会計課長というふうなお話が出たものですから、会計課長というのはそんなに、私、まあ普通の場合には会計に関することだけで、もし施設のことで金がかかるんだったら、その責任者から会計課長のところへ要求すればいいことだし、防火管理者にまではたしてなる資格があるかどうかをちょっと私不審に思ったものですから、お聞きしたわけなんです。ですから、これはやはりあくまでもこういうことでしょう。ここに、事業場であれ、学校であれ、病院であれ、その建物の管理をする責任の地位にあるもの、これは広い表現の仕方でありますが、そういうことで、何かやはり消防庁の方と協議の上で、この方が適格者だということできめると、それしかないと思うのですが、どうです。意図はそういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/72
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073・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 大体お話の通りでございます。それで、現在、先ほども申し上げましたように、防火管理者に関する政令をどういう形できめようか、どういう表現にしようかということをせっかく検討中でございますので、ただいまお話のありましたような点を十分考えまして、遺漏のないような政令を設けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/73
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074・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、ちょっと私は、今度新しくできます第九条の二の、このいただいた法案の二ページ目の四行目のところにある、「別表で定める数量未満の危険物、油かすその他政令で定める危険物に準ずる可燃性の」云々と、こうあるのですが、この油かすというのは、これはどういうのです、内容は。もっと具体的にいうと、この別表にあるあれですか、第四類に入るようなものですか。これはどういうのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/74
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075・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 別表で定める数量以上のものは、第十条以下の危険物の規定によって規制を受けるわけでありますが、それ未満の危険物、それから油かすというのは一つの例をあげたのでございまして、これはいろいろあるのでございますが、現在の予防条例におきましても、大量可燃物の第一類というのに掲げてありますのが準危険物と称するものでございまして、現在考えておりますこの準危険物に入るものといたしましては、油——ここの油かす以外に、油を含んだボロ、マッチ、パラフィン、塩化アセチレン、亜塩素酸塩類、いろいろあるわけでございます。これを、いかなるものを入れたら適当かということは、関係各省並びに技術者、学者等の意見を参酌して、この政令をきめる際に、この準危険物の範囲をきめたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/75
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076・鈴木壽
○鈴木壽君 私、お聞きしたのは、これは別表に定める数量未満の危険物ですから、もちろんこの別表の中に入らないのですがね。その数量関係では入りませんが、もし数量のそういう問題があって入れるとすれば、第四類に入るようなものか、油かすというのは。そういうような油、いわゆる動植物油なり、そういうものの油のかすと、こういうのか。普通油かすといってもたくさんありますからね。どういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/76
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077・山本弘
○政府委員(山本弘君) 別表に指定数量が載っておりますが、それ以上のものではありません、ここに載っております油かすは。「油かすその他政令で定める危険物に準ずる可燃性の物品」ということになっておりまして、準危険物として考えられるものでございます。それは、火のつきやすいものということでございます。そして「又はわら製品、木毛その他これらに類する物品で」云々、これは大量可燃物というふうに考えている部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/77
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078・鈴木壽
○鈴木壽君 わかりました。私読み方も違っておったようです。その点もわかりましたが、油かすといった場合に、具体的にどういうようなのですか。実は、ふだんこれは正確な用い方でないかもしれませんが、油かすといわれるものにはいろいろ種類があるでしょう。ですから、ここでいう油かすというのは、そういうものを含めているのかどうか。あるいは特にこういうものを油かすというのだと、こういうのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/78
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079・山本弘
○政府委員(山本弘君) 今油かすと申しましても、非常に範囲が広うございまして、その「油かすその他」云々は一つの例示でございまして、豆かす等であって、火がつきやすいという状態にあるものを示しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/79
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080・鈴木壽
○鈴木壽君 豆かす等の、しぼったあとのやっと、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/80
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081・山本弘
○政府委員(山本弘君) しぼったあとのものであって、いわゆる火のつきやすいもの、こういうものでございます。それで、非常に種類が多くございまして、油かすと申しましても、全然火がつかない、つけてもつかないというのもあるそうでございます。だから、そういう油かすという一つの例示的品目をあげまして、そういうものであって、火のつきやすいものという意味に政令でもってきめたいと、かように存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/81
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082・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、大豆のいわゆる豆かすというようなもの、油かすというようなもの、それから菜種油のあの油かすと普通いいますね。ああいうようなものですね、そういうようなもの、燃やす気があれば燃えますわな。だから、実はね、今私が申し上げますように、油かすというものの中にいろいろなものがあるものですからね、ふだんに言っているものがね。これは正確な使い方でないかもしれませんよ。ふだん使っている言葉ですからね。しかし、油かすという言葉の中にはいろいろなものがあるから、そういうものであるか。今言ったように、豆かすのような、あるいは菜種油の油かすというようなものであるか。あるいは油の、いろいろ機械油だとか何か、ああいうものの、それこそこれはかすとは言わぬかもしらぬけれども、ふだんこれは油かすだと、こう言っている、きたないような、捨てなければならぬようなよごれたやつ、こういうものもこの中に含まれるのかどうか。ちょっと私はっきりしなかったものですからね。それでお聞きしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/82
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083・山本弘
○政府委員(山本弘君) 今鈴木委員から御指摘のように、これは、いずれも油のしぼりかすで可燃性のものも含んでおりますし、あるいは油のふきぎれの、ボロきれのようなものであって可燃性のもの、これらもいずれも含んでおるのでございます。具体的には、現在の火災予防条例の準則がございますが、それの別表第一に、第一類として掲げてあるもの、先ほど本部長から御答弁申し上げましたが、マッチ、パラフィンあるいはいろいろな酸化性の物質、そういうようなものと同様に、可燃性のものであるというふうに考えておるのでございます。なお、具体的品目につきましては、先ほどもお答え申しましたように、関係農林省あるいは通産省関係とも協議いたしまして、具体的危険のあるものというものの品名を指定いたしまして、その点を遺漏ないようにいたしたいと、かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/83
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084・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと御説明がおかしいようだな。何か、いわゆる油かす、豆かすとか菜種油のいわゆる油かすといっているもの、そういうのだというならわかりますが、今度またボロきれまで入れる、油かすに。それはふだん使わないこともないです。機械油なんかのきたなくなって捨てるようなものも、これは油かす、捨ててこいなんて言うのだから、これはルーズな使い方だと思うのです。ほんとうを言えば、そうじゃないと思うのだけれども、まあしかし、ふだんの用語があいまいに使われておるものですからね。そういうことから、この油かすというものが誤解を生みやすい。これはまああとで政令できめるでしょうから、はっきりするといえばそれまでですけれども、この用語として、ちょっと私、はてどの程度こういういろいろなものを含むものかと、こう思ったから聞きましたが、ボロきれにしみ込んだ油まで油かす、しぼりかすも油かすということになると、ちょっとこれは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/84
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085・山本弘
○政府委員(山本弘君) あらためて、重ねて申し上げたいと思いますが、ちょっと重複して申し上げましたので、説明が二重になっておりますので、実は、油かすと申します場合におきましては、豆かすとか、御指摘の菜種油を取ったかすとか、あるいはゴマをしぼったかすというようないわゆる可燃性のものでございます。で、「その他政令で定める危険物に準ずる可燃性」というところで、実は油ぎれなどを申し上げたのでございまして、二つを一緒に申し上げましたので、重複をしてかえって理解に悪いようなことも申し上げましたことをおわび申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/85
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086・鈴木壽
○鈴木壽君 いやいや、私も聞き方がちょっとはっきりしなかったと思います。まあいいです。ではわかりました。まあいずれね。これは政令にゆだねるのが相当ありますから、これは今すぐじゃ、もちろんまだできておらないと思いますが、あとで何かの機会に、やっぱり今ちょっとお聞きしたように、はっきりしない点もありますからね。何かの機会にお示しいただいて、やって下さるような機会を作っていただきたいと思います。今後いろいろ委員会等のこともあると思いますから、実施まで相当期間があると思うのでございますからね。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/86
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087・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、本日の質疑はこの程度で打ち切りまして、次会は四月十九日、来週火曜日の午前十時から開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X01919600414/87
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