1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十九日(火曜日)
午前十一時十六分開会
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委員の異動
四月十五日委員青柳秀夫君、野村吉三
郎君及び後藤義隆君辞任につき、その
補欠として小林武治君、井野碩哉君及
び大沢雄一君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
基 政七君
委員
大沢 雄一君
郡 祐一君
西田 信一君
占部 秀男君
松澤 兼人君
松永 忠二君
米田 勲君
中尾 辰義君
大竹平八郎君
衆議院議員
纐纈 彌三君
国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
国家消防本部総
務課長 山本 弘君
自治庁行政局長 藤井 貞夫君
自治庁財政局長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
通商産業省公益
事業局次長 須賀井敏行君
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本日の会議に付した案件
○行政書士法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○消防法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○臨時地方特別交付金に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○地方財政法及び地方財政再建促進特
別措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
(昭和三十五年度地方財政計画等に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し御質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/1
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002・鍋島直紹
○鍋島直紹君 行政書士法の改正案について、提案者及び自治庁当局に一、二御質問をいたしたいと思いますが、その第一でございますが、行政書士法は、今日までずいぶん数回の国会にかかって論議をされておりますが、今回の改正点のポイントが、従来の任意の設立あるいは任意加入であったところの行政書士会及びその連合会、これを今回の改正法案においては、強制加入あるいは強制設立に改めておいでになる。この点がいわば憲法に保障されております職業選択の自由ということについての問題に抵触をしてきやしないかというのが、一番大きな改正の要点じゃないかと思うのであります。従いまして、この点についてのお答えを一つ提案者からいただきますとともに、それに関連をするかとも思いますが、自治庁当局から、行政書士会及びその連合会の現在における現状、そうしてこの法律が通ったあとにおいてどういう形にまあなっていくかという点について一つお答えを願いたい。
以上二点、お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/2
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003・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。お説の通り、行政書士会は、現在の法律では任意加入であり、任意設立となっております。そのために、現在一万人ぐらいの行政書士の資格を持っておられる方があるわけでございますが、任意加入でありますために、それに加入されておりまする方々は大体三八%程度のように私は記憶いたしておりますが、さらに、強制設立でありませんために、都道府県を通じまして二十九より設立いたしていないということでございます。元来、行政書士は公共の福祉というものに関係があり、特に自治体には最も密接な関係があり、また同時に、地方に対しましても非常な関係を持っているわけでございますが、設立して相当年月はたっておりますが、現在のような状態でありましては、とうていその目的を達するわけにはいきません。ことに会費を納めるというような人も、これは加入しておる者の半数程度というようなことでございまして、いろいろ知識の向上あるいは品性の陶冶、さらには会員間の十分なる連絡、結束を固くするというような点に非常に欠くるところがあるわけでございます。従いまして、かような不振な状態を続けて参りますならば、せっかくこの重要な使命を持っておりまする行政書士の会を作って参っておりましても、ほとんどその実績が上がらないというような状態になっておるわけでございます。そこで、たとえば、司法書士とか、あるいは土地家屋調査士と申しますか、そういうものは、すでに強制加入、強制設立をいたしておりまして、さようなことで、非常に成績を上げているというようなことでございます。そこで、この際、現在の状況では、とうていこの法の期待いたしておりまする成績を上げ、効果を上げるということがおぼつかないのでございまするので、他の同種の会におきましても、先ほど申し上げましたように、強制加入の制度を設けておりまするので、行政書士会におきましても、強制加入並びに強制設立をいたすようにいたしまして、そうして十分所期の目的を達するようにいたしたい、こういう考えのもとに、今回議員立法として提案をさしていただいたようなわけでございます。
ただいま憲法に保障しますところの職業の自由選択というような問題が、この強制加入によって侵されるんじゃないかというような問題で、憲法違反じゃないかというような問題もある点まで論議されておるわけでございますが、御承知のように、この職業の自由の問題につきましても、やはり公共の福祉という問題についての最低限度の保障がありますわけで、ございまして、この仕事は、先ほど来申し上げますように、公共の福祉に非常に関係を持っておりますることでもあり、先ほど申しました強制加入の制度を設けておりまする同種の業態におきましても、大体同様な考え方として処理することが差しつかえないんじゃないかというような考え方から、今回ここに改正をさしていただきまして、強制加入、強制設立をいたして、そうしてこの所期の目的を達するようにいたしたいということを考えておるわけであります。なお、今十分に統制がとれておりませんために、行政書士の方々には、まあ不当な料金を取っておるような方もあるように聞いておりまするし、また、必要な事件簿というようなものも備えてないというようなことでありまして、せっかくこの会を作りましても、ときによれば法律に違反するようなことをやっておられる方もあるというようなことも考えに入れますると、どうしてもこの際、強制加入、強制設立のもとに行政書士会を強化させまして、そうしてその所期の目的を達することが時宜に適した方策ではないかという考えのもとに、今回改正をお願いしたようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/3
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004・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) われわれの手元で集めております資料は、本年の一月一日現在でございまして、なお、報告のなかったところも四県ございますので、それらを除きました資料に基づいてお答えを申し上げる次第でございます。
一月一日現在で、行政書士の全登録者数は一万三百四人でございまして、そのうち、現実に業務を行なっておりまする者の数は七千四百九十九人、すなわち、全登録者数の約七四%に当たっておるのであります。行政書士会でございますが、現在設立されておりまするものは二十九でございまして、北海道も入れまして、その他の十七道県につきましては、まだ全然設立をされておらない。あるいは一たん設立はされましたけれども、全くその存在が有名無実化しておるというところでございます。この二十九の行政書士会に加入をいたしておりまする行政書士の数は二千七百六人ということになっておりまして、すなわち、実際に業務を行なっておる者の中で、書士会に加入しておる者の比率は四〇%弱であるということに相なっておりまするし、書士会に加入をいたしておりまする者のうちでも、会費を現実に納めておりまする者は、約六〇%程度であるというような状況に相なっておるのであります。で、行政書士会の連合会でございますが、連合会に加入をいたしておりまする行政書士会は、全体の二十九のうちで二十二でございます。ただ、これらの実態を調べてみますると、三十四年におきまして連合会に書士会の方から会費を納めましたところは十二でございまして、その会費の全額もきわめて少ないということでございます。従って、連合会自体の活動というものも、きわめて制約をせられておりまして、僅々年に一度の総会を開いて、行政書士会と事務的な連絡をいたしておるという程度にすぎない状況に相なっておるようでございます。今後、今度の改正法律案が通過をいたしまして、いわゆる行政書士会の強制設立、強制加入ということに相なりました暁にはどうなって参るかということでございますが、当然強制加入ということに法律で規定をされるということに相なりますると、かなり現実に業務を行なっておりまする者は大体これには加入をしていくのではないだろうか。そうなりますると、かなり基礎も強固になって参りまするために、行政書士会としても連合会としても、その本来の活動ということについて、かなりの進んだ措置がとられ、そのことによって行政書士自体の全体の連絡調整なり、知識の向上なり、品位の向上なり、行政書士全体の業務運営に相当程度の効果が出てくるのではあるまいかというふうに、われわれといたしましても見通しを立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/4
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005・鍋島直紹
○鍋島直紹君 そこで、自治庁に伺いたいんですが、第一点は、御承知の通り、官公署において、その書類を出す場合において行政書士に依頼をしていくというのが行政書士の仕事であると思いますけれども、もちろん、地方公共団体でもいろいろたくさんあるわけですけれども、一番行政書士を必要としている公共団体ですね。都道府県あるいは市町村、一番多くおられるというのはどちらなんでしょうかね。そういった点。もう一つは、この改正案について、御承知の通り、自治庁としては、いわば事務の簡素化といいますか、書類の形式の簡素化といいますか、そういった点を御指導になっている、そういった点と関連せしめて、本改正案について当局としてのお考えを、それを一つお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/5
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006・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 行政書士の分布の状況でございますが、これは、やはりいろいろ役所との渉外の関係で案件が多いこともございまして、市部が町村部の約二倍に及んでおる、そういう分布の状況に相なっておるわけであります。
第二の点といたしまして、自治庁といたしましては、いろいろ行政事務処理の能率化、簡素化、というような点から一般の指導を従来もやってきておりまするし、今後もそういう方面の指導というものはさらに積極的に進めて参りたい、かように考えております。それの一環として考えられもいたしまするし、また、一般の傾向といたしましても、役所のやはり事務というものが、たとえば書類の様式等につきましても、いわゆる不動文字を利用いたしまして、割りと住民というものがみずからの判断でやり得るという余地もかなり出てくる面があるのじゃないかと思うのであります。しかしながら、一面におきまして、それでもって全部が住民一人の判断でいろいろの事務処理の手続を適正にやれるかと申しますると、やはり住民自身の立場、あるいは住民自身もいろいろ他に業務もやっておられまして、ひまも十分にないとか、いろんな点からいたしまして、行政書士の業務というものが全くなくなるとは私は考えておらないのであります。従いまして、やはり行政書士の業務の運営自体を適正にして参りまして、これが間違いのない執行をやっていただくし、また料金の点につきましても、その他の点につきましても、住民の保護というものを徹底していくという必要性は、十分にこれは認めて参らなければならないのではあるまいか。そういう点におきまして、行政書士会ないしは連合会の活動というものが積極的に、今よりももっと活発になりまして、これを通じまして行政書士全体の知識、技能の向上がはかられ、それによって住民の利便がはかられるということには相当の意義があるのではないかという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/6
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007・米田勲
○米田勲君 関連して。今それぞれ御答弁がありましたが、私は、聞いていてちょっと納得ができないのです。ここの提案の理由にも、自主的の組織を整備するということをうたっていながら、法律で強制的に設立を縛り、加入を縛るというやり方は、少し行き過ぎではないかというふうに感ずるわけです。もちろん、先ほどの質問に、憲法の問題との関連で御答弁がありましたが、公共の福祉に深い関係があるので、ということになると、国民の職業の全部が大体公共の福祉に重要な関係を持っているのであって、私の考えでは、その業務運営を適正にやらせるとか、料金の問題を合理化するとか、いろいろのことがあるとしても、それはお互いの間の自主的な組織、自主的な活動、また自治庁としては、それに対する指導によって合理化させたり、向上させたりすべきものであって、法律でもってこれを縛って、そうして強制的に加入をさせたり設立させたりするというのは、どうも妥当ではないのではないか。民主的なこういうもののあり方としては、妥当でないのではないかという感じが深いのです。しかも、今自治庁の方の調査をお聞きしておりますと、現在七千四百九十九人の人が実際に仕事をしておるのに、その書士会に加入している人員というのは四〇%程度だ、こういうのが現状であるとすれば、一そう、もうしばらくの間やはり自主的に、お互いの間の連絡をとりながら、そういう仕事の合理的な運営を促進すべきものであって、これをこういう現状のままいきなり法律で縛っていくというやり方は、どうも私、納得ができないのですが、その点もう少し、法律で縛って加入をさせ、法律で縛って設立をすればどれだけ具体的にプラスがあるのか。現状のままで長い間来たはずだが、その間で特に問題になったことが一体あるのかどうか。料金などでも、高い金を取っておるというお話もありますが、そういうことは、やはり指導なりお互いの自主的な連絡提携などを深めていけば、一方的にそういうことをする人もなくなってくるのではないかということも考えられるので、今あげられましたような理由では、どうも今この法律を通すべきだという結論に私はなり切れないわけであります。
それで、それらの点を提案者からも自治庁側からも、再度もう少しわかるように、なるほどとまでいうふうな話をいただかないと、賛成をしていいのだかどうだか、ちょっとわからないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/7
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008・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの御質問は、まことに、ごもっともな御発言と拝聴いたしておるわけでございますが、先ほども申しましたように、現在任意加入でありまするために非常に不振であるということが、一つ公共性を持っておりまするこの仕事に対しまして不便であるわけでございまするし、また同種の会、たとえば司法書士でありますとか、弁理士、税理士、土地家屋調査士というような仕事をやっておりまする会におきましても、すべてこれは強制設立また強制加入という制度をとっておるわけでございます。もちろん、これらにつきましても、多少の性格が違うかもしれませんけれども、少なくとも公共の福祉のために資するという点につきましては、同じ性格を持っておるわけでございますが、しかも、これが強制的でないために加入者がわずかに四八%というようなことであり、さらに、さきにもちょっと触れましたけれども、特に高い料金を取っておるとか、あるいは領収書を出さぬとか、あるいは事件簿も作っていないというようなことは、今お話しのように、もう少し行政指導なり監督を十分にいたしますれば、改善されるところがあるかと思いますけれども、すでに相当の年限、この行政書士法ができまして、その後の推移を見ましても、今日なおそういうことでございまして、せっかく大事な仕事でありまするのに、自主的でありまるというとなかなか会員全部の結束もできませんし、また知識、技能の向上というものも、会費を、さらに入会している人以上に、また入会しておって納めないという人もほとんど半分くらいになっておるというようなことで、とうてい所期の目的を達することが至難であるというようなことで、この機会に、同種のほかの会と同じように、一つ強制加入に、また強制設立にしていただけまするならば、それらの今日まで不振であり、また不備であったものが改善され、そうして一般のこれを利用する方々にも非常に便利になってくるのじゃないか、こういう考え方でございますから、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/8
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009・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) ただいま提案者の方から御説明になりましたことと、大体私も同じような考え方を持っておるのでありますが、先刻も申し上げましたように、現在行政書士会自体が、全国で組織率自体も低い、会員も現在に行政書士として業務を行なっておりまする者の四〇%足らずであるということのために、行政書士会の活動ということも非常に不振であるという現状を見て参りますると、行政書士の実態把握というような点から見ましても、知事側からいたしましても、不利、不便な点のあることも、これは事実でございます。なお、行政指導をいたしまする際にも、やはりそういう統一した一つの組織がございますと便利で、またやりやすいという点も事実はあるわけでございまするし、そのほかに、業務、知識の向上をはかっていくというような意味もございまして、強制設立、強制加入の制度を採用いたしますることにも十分の理由が存するものと考えられておるのであります。また、ただいまお話しになっておりましたように、類似の業でありまする司法書士あるいは土地家屋調査士等につきましても同じような制度が設けられておるということとの均衡上から考えましても、行政書士につきましても同様の制度を採用する必要性はあるのではないかと、私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/9
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010・大竹平八郎
○大竹平八郎君 私は、本日初めてこの問題に対して質問をするわけですが、多分各同僚委員から質問が出ていたと思うので、あるいは重複してお尋ねするようなことになるかと思いますが、そういう場合、ごく要点だけ一つお答え願いたいと思いますが、御承知の通り、強制加入的な問題ということは、これは実際、国会議員としては、最もこの審議にあたって慎みもし、そうして慎重にいかなければならぬことは、これは言うまでもないのでありまして、私どもの経験としまして、最近二、三年前に、御承知の中小企業団体法案が上程をされたときなんでありますが、私どもは反対の中心になりまして、非常に最後まで反対をいたしましたが、結果は、たびたびの国会の延長によって、ついに参議院は通ったわけなんでありますが、こういうことから考えまして、強制加入という事態が私どもは憲法の問題にも多少抵触する疑惑の点も出てくるでしょうし、そういう点で、事柄のいかんによらず、この強制加入という問題については、われわれは非常に納得のいかない点を持っておるのでありますが、そういう点から考えて、一つ率直にお答え願いたいことは、現状では一体どういう点が悪いのだ、それから、改革をしなければならぬ重要なポイントというものはこういうところにあるのだ、これが非常に現状と大きな食い違いがあるのだというような点について、一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/10
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011・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、先ほどの御質疑も、同様な点がございましたのでありますが、今、行政局長からもお話を申し上げましたように、この法律ができましてから、現状は一万余人の行政書士があるわけでございますが、それが行政書士会に入った者がわずかに四〇%程度、半数以下でございます。それから、行政書士会が組織されておる都道府県は二十九、十七ができていない、こういうような状態になってきておるのであります。しかし、この仕事自体も非常に公共の福祉に関係のある問題でございまして、せっかくこの法律ができて、その資格についても試験等を行なってやるという形になっておって、現状がさようなことでありますることは、もとより行政指導、あるいは業者の方の自覚というような問題で、だんだん改善はされていくかもしれませんが、どうも今までの経過からいたしましても、なかなかそれは困難である。しかも、同種の業態におきまして、すでに強制加入をやって、そのために非常に成績が上がっておるという前例もあるわけでございます。さような考え方から、今の職業選択の自由というような、憲法に保障されている問題もありますけれども、これは、やはり公共の福祉という問題の前提から参りますと、そこに最小限度の制限を加えるということも、これは必ずしも憲法違反とはいわれないというふうにも解釈されており、そのために同様の業種の団体において強制加入と強制設立の方向がとられている、こういうことでございます。そういう問題がまず一つ。
そこで、この会としまして、せっかく作られた会が、先ほど申しましたような現状では、とうていその会の目的を達成するために一つの研究会——知識、技能の向上をはかるという意味におきましても、一つの研究会をいたすにつきましても、なかなか費用も要る、加入している人と加入していない人がありますために、会が設立されている所と設立されていない所があるので、どうしても全国的に同様な歩調がとれない。さらには、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この規定に反して法外な料金を取ってみたり、またそれに対する領収書も出していない。あるいは事件等についての記載もしてないというようなことで、また、せっかくこうした公共の福祉に関する大事な仕事であって、任意加入のために入っておらない方々がきわめてルーズな形でもってやっておられるという点は、どうしてもこの際強制加入、設立によって強固な団体を作っていくことによってその点が救われ、はじめて行政書士の公共の福祉にこたえることができ、同時にまた、その知識、技能も、また同時に人格も養成するというようなことが実行可能になるのじゃないかというようなふうに考えまして私どもはこの提案をいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/11
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012・大竹平八郎
○大竹平八郎君 御承知の通り、この行政書士は一番大衆と直接関係が多いわけです。従って、これが強制加入によっていわゆる統制的な団体であるということになると、これは、従来のいろいろな団体の例を見ましても、えてして団体自体というものが非常に官僚的な態度を持っていくということが多いのですね。ことにこういう大衆の窓口であるような大事な仕事が、私はそういう点が非常に多くなっていくのじゃないかと思うのですが、この点に対してはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/12
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013・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまお話のような点が考えられるわけでありますが、御承知のように、今まででも、この行政書士の団体に対して、都道府県知事がこれに対する勧告をし、監督もある程度やるということに相なっているわけでございますが、なにせ、先ほど来申しますように、この会に入っている者がわずかに半分以下というような状態では、なかなかその点も徹底するわけにはいきませんわけでございます。さらに連合会ができますれば、自治庁長官がそれに対する勧告をすることができるというようなことになり、しかも、都道府県それぞれの事情もある程度違いますが、やはり仕事の内容というものは大体共通したものでございますので、ここで連合会につきましても強制設立ということで、そうして全国的に共通した形において行政書士の技能、知識というものを向上せしめて、そうして実際住民に非常に直接の関係の深いこの仕事に対しまして成績を上げていきたい、こういうことが今度の改正の理由に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/13
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014・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから、とにかく今でも相当いわゆるアウト・サイダー的な者がおるのですが、これは自治庁にお尋ねをするのですが、この法律が通って、なおかっこの強制加入を拒む、これはごく少数ならば別ですが、これがなおかつ相当数に達した場合について、行政指導は一体どうやられるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/14
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015・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今度強制加入ということに相なりますると、行政書士の資格を持っておりましても、業として行政書士の仕事を行なうことができないということになっております。それがまた強制加入の一つのねらいでもあるわけでございますが、現在行政書士会に加入をいたしておらない者もかなりございますけれども、われわれといたしましては、この法律が成立をいたすということに相なりますれば、行政指導を徹底をいたしまして、加入の実をあげて参りたい、かように考えまするし、見通しといたしましても、このような建前に相なりました限りにおきましては、大部分の者が行政書士会に加入をするということに相なるだろうという見通しを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/15
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016・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それは、自分の死活問題だから仕方がない、入るので、喜んで入るのと、そうして自分の主張を貫いて入らないと、いろいろの場合があると思うのですが、どうしてもそれは、お前入らなければ仕事をさせないということになれば、これは泣き泣き入ってくる。そういうことは決していい政治じゃない。いい行政指導じゃないわけなんです。で、私の今お尋ねしたのは、この法案のいい悪いは別としまして、相当数がかりにこの問題に抵抗して、そうして団体的行動をとられる。そうしてアウト・サイダー的なものを立てる、そうして別個に行動をするというような場合が私は必ずしもないとも言えぬと思うのですが、そういう場合に、ただ単に、今あなたが言われるような、いわゆるおどかし的なことでやられるといっても、それはなかなか簡単にいかないと私は思うのですが、そういうことについて、特に納得させていける御自信があるのかどうか。これは一つ纐纈さんからお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/16
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017・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの御質問、まことに理由のある御意見と思いますが、大体これは、憲法で職業の自由も認められておるわけでありまして、それに制肘を加えるような、いわゆる強制的に加入するとか、設立するとかというようなことは、今までも、この問題でなく、いろいろの形においてそういう問題は国会においても論議されておることであり、筋としてはその通りでございますが、実は、実際論にいたしますと、まだそこまでお互いに自主的に自分たちの会合を盛り立てて、そうして十分な統制のもとにやっていくというところまでまだいっていないという現状は、どうしても私ども認めざるを得ない。そういうような点で、今回、多少の問題はあるが、しかしまた、一面憲法の職業の自由というものも公共の福祉という問題が考えられて、その理由のもとに、それに対する最少限度のある程度の強制というものもやむを得ないのではないか。そういう形が、先ほど申しましたような同種の会合についても強制加入をとられた原因であろうと私は思うのであります。そこで、今入らぬ人をどうするかという問題になりますると、この法律では、要するに十九条に、その業としてこれを営むことができないという制肘、これは、強制加入の結果当然のことだろうと思うのですが、そういうようなことに相なっておりますので、われわれといたしましては、行政書士が相当の資格を持っており、もう常識も備えている方でございますので、この法律の趣旨を十分に徹底せしめ、そうして了解をいただきまして、ぜひとも進んで御加入をいただくように持っていきたいということがこの法のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/17
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018・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それは、従来の既設団体とのいろいろの感情的な対立というものは必ず私はあると思いますが、そういう点は一つ十分納得をさしてやってもらいたいということを特に一つ要望しておきます。
それから、最後に一つ、これはむろん各委員から質問が出たと思うのですが、結局、これは行政指導がまずくいきますと、こういう行政的な統制団体ということになると、料金という問題になるのですが、どうしても、下がるというよりは、むしろほうっておけば上がっていくわけです。これは、いろいろの団体のやり方を見ても、みんなそうなんですね。その設立当初はいろいろのことを言いますけれども、結局上がっていくのですね。だから、そういう点はよほど一つ行政指導を上手にやらぬと、政治問題が将来に非常に出てくると思うのですが、この点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/18
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019・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 現在の行政書士法では、料金につきましては、今お話のような点の心配もございまするので、限度額については、知事が告示をもってきめるという建前に相なっているのでございます。この点につきまして、今度の法改正によってその体系が変わるわけではございません。ただ、全体として、行政書士会等が基礎を強固にして参りました際に、そういう面の話し合いから、知事が不当にその意見に押されて、不当な料金を告示するというようなことになっては、これは一大事でございます。当初のねらいからはずれることでもございますので、そういう点につきましては、われわれといたしましても、知事に対しまして行政指導の万全を期して参るよう、今後とも一つ努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/19
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020・松澤兼人
○松澤兼人君 先ほどからお話がありましたが、憲法の問題、これはほかにも同じような業態がありまして、それには強制加入ということがあるから憲法違反にはならないと、こういう御意見のように考えられるのでございます。御説明を聞いておりますというと、こういう強制設立、強制加入という法体系を作ることの目的が、行政書士の行なっている業務の改善というところにねらいがあるのか、そうでなくて、現状のままであれば、行政書士会というものが会員が少ない、会費が集まらない、従って、会が不活発であるというところにねらいがあるのか。その点が明確でないのです。もちろん、最終のねらいというものは、公共性のある業務であるから、一般利用者といいますか、あるいは住民に利便を与えるということが最終のねらいであるという提案者の御希望というものはよくわかるわけなんですけれども、しかし、理由としてあげられているところを見ますというと、こういう強制設立、強制加入という方法をおとりになりまして、住民に対する利便というものがどういうふうによくなるのだということの保障が明確でないのです。これは、すでに各委員からも御質問があったのでありますが、重ねて、住民に対してこれだけの利便が与えられるのだということの保障を明確にしていただきたいと思うのですが、提案者の方から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/20
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021・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) お答え申し上げます。
先ほど来多少御質問のお答えのような意味を申し上げているつもりでございますが、やはり公共性を持っておりまするために、行政書士といたしましても、すでに資格を得るためには試験もしなければならぬ、こういうことがございますが、だんだん世の中が進んで参りまして、いろいろと仕事の分量もふえて参りまするし、新しいものもふえてくる。従って、これに対する利用者というものも非常にふえてくるというようなことで、行政書士としても、これはお互いに勉強し、研さんをすることによって、初めて必要な知識なり技能というものに対する向上ができる。それによって利用者に十分な満足が与えられるようになるというふうに私どもは考えているわけでございまして、強制加入によりまして、やはり行政書士が非常に勝手なことをやるというような問題につきましては、これは、行政指導で厳にその点を戒めまして、そうして住民に不便を与えるというようなことがないようにしなければなりませんし、また、先ほど来しばしば申しておりまするが、現在不当な料金を取ってみたり、あるいは領収書も与えていなかったというような問題も、この結果におきましては、相当十分な強力な指導ができるというふうに私は考えているわけでございまして、要するに、われわれの目的といたしましては、行政書士の公共性を考えまして、ぜひとも住民の需要に対して利益、利便を与えられるような線に持っていきたいということを、この法の改正によって所期しているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/21
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022・松澤兼人
○松澤兼人君 こういうふうに法の体系というものがすっかり変わってきたといたしますと、当然行政書士会というものの性格というものは変わってこなければならぬわけなんです。「設立することができる。」ということが、単一の行政書士会というものを「設立しなければならない。」、こういうふうに第十五条の一項において強制加入ということをうたうということであるならば、第二項の行政書士会の性格なり目的なりというものが必然的に変わってこなければならない。第二項は改正されておらないわけですから、現行法通りであります。任意加入の場合でも、第二項の目的、性格というものはそのまま、それから改正されまして強制加入、強制設立ということになりましても、二項の会の性格、目的というものが同一であるということであれば、私は、そういう強制加入、強制設立ということをとった意味というものが何もないんじゃないか。少なくとも憲法に違反するかもしれない単一行政書士会というものを作って、それに行政書士は強制的に加入しなければならないんだということであれば、それだけ憲法の職業選択の自由ということを制限するかもしれないような危険を冒してまでもこの法律を改正しなければならないという、そういう単一の強制的に設立された行政書士会の目的、性格というものが自然に変わってこなければならない。その目的、性格というものはそっくりそのままであって、任意加入の場合と強制加入の場合と、何も変わってこないということであれば、私はそこに非常に大きな問題があると思うのです。なぜ第二項の行政書士会の目的または性格というものを改正なさらなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/22
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023・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) お答えいたします。その目的、性格が、現在の状況におきましては、任意加入の状態におきましては十分に果たされておらないというのが現状でございまするので、この際結束を固め、この性格、業務というものの実績を上げるために、強制的の加入をいたしまして、同時にまた、その業態を十分有効ならしめるためには、お互いに研さんをし、従って、そのために知識並びに技能というものの向上をはからなければならぬ。そういう意味合いにおいて、私どもは、ことに性格、業務等につきましては、これは自然にいろいろと内容が変わってくることはあるだろうと思いますが、大体行政書士の扱っている仕事の性格には私はたいして変わりがないというようなふうに見まして、要するにその二項の目的を十分に達成する意味で、今までの自主加入においてはとうてい十分の目的を達することはできないのだからというような意味合いにおきまして、特にこの二項に対して、性格、業務の問題につきましては、私どもは、強制加入するからといって、直ちにそれが変わらなければならぬというような性格のものではないというふうに私どもは考えて参っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/23
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024・松澤兼人
○松澤兼人君 それはそういう理屈になるかもわかりませんけれども、少なくとも憲法の二十二条に職業の選択の自由というものを認めている。それを直接あるいは間接にこれは制限しようというのでありますから、少なくとも第二項の行政書士会の性格、目的の中に、この改正行政書士法の目的であるところの「もって公共の福祉に資する」とか、あるいは「住民の福利をよりよく達成する」とかいうことをうたってこそ、初めて職業選択の自由ということを一つの法律でもって制限する趣旨があるのでありまして、この連関性というものをやはりはっきりとしておかなければ、私は、そこに問題もあるし、法律改正の体裁としてもきわめてまずいのじゃないか、こういう考えを持っているわけなんです。重ねて御答弁があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/24
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025・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) 私は、ただいまの御意見も非常に貴重な御意見として拝承はいたしておりまするが、私は、先ほど御答弁申し上げましたような意味合いで、この際特にそういうものを作らなくても、また性格それ自体は、やはり公共の福祉を増進する意味においての、仕事自体はそういうものでありますので、特に私はその点をつけ加えて改正する必要はないというような工合に考えておりましたが、しかし、今の御意見は非常にりっぱな御意見として私は拝聴さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/25
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026・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと関連して。今のお話ですが、私、やはり今まで任意設置であるべき行政書士会で二項にそういうふうなことをいう。とにかくこれは、試験を受けて合格するわけですから、必要な資格というものはすでに試験で出ているわけなんです。だから、行政書士の必要な備うべき条件というものは、試験によって一応確保されておる。それでなお、それを一そう改善をし指導し連絡をしていくために行政書士会というものがあるのであって、これはあくまでもそういう意味だから、連絡、協議、向上の機関として設置することはできるというふうにしていくべき、そういう二項の趣旨が出てきたと思うのです。だから、こういうような強制的にやってくるということになれば、やはりあくまで行政書士会の性格というものは明確に変わってくるのではないかということを考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/26
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027・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) 私は、行政書士会の性格というものは、今御意見でございまするけれども、強制加入をするためには変わってこなければならぬとは、どうも考えておらぬわけでありますが、もとより仕事はだんだん新しい仕事その他ができて参りまするので、まあ仕事の内容というものについては、だんだん発展して参りますることは、これは当然でございまするけれども、大体現行の法律において、その行政書士としての性格なり業務の実態というものについての規定は、私の考えといたしましては、強制加入をやったからといって、特にそれを改正をしなければならぬ必要は認めておらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/27
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028・松澤兼人
○松澤兼人君 それからもう一つ。先ほど大竹君から、官僚的になりはしないかということと、それから料金の引き上げということが行なわれるんじゃないかと、こういう御指摘があったわけなんですが、私も、それに関連いたしまして、官僚的にもなる心配がある、あるいはもう一つは、独占的にもなる危険があるということで、それから先は、やはり行政書士が最も一般住民と密接な関係があるということで、積極的にこういう強制加入あるいはまたは強制設立という法体系をとるようになったからにおきましては、やはりそういう独占的な、あるいは官僚的な業務のやり方というものをどこかでこれを規制していく必要があると、少なくとも、先ほど申しましたように、憲法に抵触するかもしれないというような危険まで考えながら改正するんだということから考えますというと、この独占性と官僚性というものを排除するような法律の条文をここに挿入することがぜひとも必要であったというふうに考えるのでありますが、こういう独占性あるいは官僚性の排除ということにつきましては、どういうお考えでこれを抑制し、あるいはこれをそういうふうにならないように阻止なさるお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/28
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029・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの御質問、強制加入、強制設立によって強化するということになりますると、官僚的あるいは独占的になるという心配がないかということでございますが、ごもっともな御心配だと感じます。そこで、御承知のように、今度の改正案の十八条の二の「監督」という面におきまして、都道府県が行政書士会、または自治庁長官が行政書士会連合会というものについて監督を強化するというふうな条項を入れまして、そうした点につきましては、十分のそういうことを防ぐことができるような条文を入れておるわけでございます。それによりまして徹底的な行政指導のもとに、ただいま御心配に相なりまするような点が防ぐことができるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/29
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030・松澤兼人
○松澤兼人君 もう一つ、行政局長にお伺いいたしたいのですが、大きな市におきましては、市の職員であるものが、いわゆる無料代書とか、あるいはまたは無料で書類を書いてくれたり、あるいはまた提出してくれたりするような制度がある所があるのです。こういうものは、報酬を受けて、依頼者のために業としてやっているわけではない。しかし、業務の内容からいえば、行政書士がしている内容と同じようなことです。これはまあ報酬を受けないということと、業としてやってないということで、当然行政書士会に加入する必要もないと思うし、また、そういうことのためにいろいろ行政書士会の方から圧力をかけられるという心配はないと思いますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/30
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031・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今お話のように、職員がやっておりますのは、これは、役所自体の一つのサービス行政の一環として、住民の利便をはかる意味合いをもってやっているのであります。従いまして、これは、形式的に申しても、業としてやるのでもなく、また報酬を受けてやるのでももちろんございませんので、その点については問題はないと思いまするし、私自身といたしましては、そういうサービス行政の面は、今後ともやはり自然の空気ができて参りまするならば、これは助長していくことが望ましいことでありまして、そういうことに対して何らかのかりにそういう圧力があるといたしましても、私は、従来の方針を別に変える必要はない、むしろ自然に伸びていく面は伸ばしていったらいいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/31
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032・松澤兼人
○松澤兼人君 それは、今のお話は大へんわれわれとしても賛成でありまして、どこの市長さん、あるいは町村長さんでも、サービス行政ということは非常に選挙のときにはよくおっしゃるわけでして、そういうことの窓口といいますか、あるいは末端事務の処理などが、できる限り代書的なことまでやりまして、住民の方には利便をはかっているというようなこともあるのであります。こういうことは、将来ももし必要があるならば助長していきたいと。単一の行政書士会というものが強制的に設立されて、その行政書士会に入らない行政書士は業として行政書士の仕事をすることはできない、こういうふうに、いわば独占的な仕事をやるようになっても、そういう紛糾に対しては、行政局としては、どこまでも自治体側の立場に立ってその紛糾を処理すると、こういうお考えであると確認いたしましたけれども、その通りでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/32
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033・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 私は、今御指摘になりましたような事柄も含めまして、やはり先刻も申し上げましたように、役所の届出の事務とか、その他の書類関係というようなものを含めて、それをできるだけ簡素化していく、住民の利便をはかる意味において、でき得る限り不動文字等を十分に使用することによって行政の利便をはかっていくという方法で事を進めるのが今後の方針であってしかるべきではないかというふうに考えております。従いまして、今のようなことを中心として紛議が起こるというようなことになりました場合におきましても、私といたしましては、御指摘になりましたような線においてこれを解決していくのが正しい方法ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/33
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034・中尾辰義
○中尾辰義君 一点だけお伺いいたしますが、第十九条の非行政書士等の取り締まり、この資格を持つものには、大がいどこでももぐりというものがあるわけですがね。現在行政書士の数が一万幾らと、その中で非行政書士といわれるような者がどのくらいあるのですか。そしてまた、そういうような弊害なり、またそういった者に対する指導とか取り締まりとか、そういったようなものはどういうふうにしていらっしゃるのか。その一点だけお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/34
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035・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻申し上げました一万三百四十というのは、これは、正式に行政書士の試験を受け、正式に登録をいたしておりまする者の今まで集まりました総数でございます。従って、この中には非行政書士もぐりという者はむろん入っておりません。登録を受け試験を受けておらなければ、業として行政書士の職務を行なうことができないということになっておる次第でございます。従いまして、もぐりで、そういうような成規の手続を経ないで行政書士類似の業務を行なうということは禁止をせられておる建前でございますが、場合によって今まで二、三そういう例があったこともございます。そういう点については、法の禁止をいたしておりますることでございまするので、この点につきましては、監督の権限を持っております知事についてさらに督励を加えまするとともに、自治庁自体といたしましても、連合会を通じてこれらの事務については監督権限を行使する建前に相なっておりますので、それらの点については、万全の配慮を今後とも加えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/35
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036・松永忠二
○松永忠二君 二、三の点について……。この行政書士会というのは、都道府県知事の認可を受けるということになっておりますが、こういうもので全国的な組織を法律で規制をするというようなものは他にあるのですか。それを自治庁の方に一つお尋ねしたいのです。所管的には都道府県の認可を受ける、こういうふうなものについて、全国的に一つの連合会を設立しなければできないという法律規制をしたようなものが他にあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/36
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037・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/37
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038・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/38
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039・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいまの問題につきましては、御承知のように、税理士だとか司法書士というものは、法務省あるいは大蔵省で統一している、大体全国的なものでございますが、行政書士は、お説のように、大体府県単位という問題でございますけれども、もちろん、地方自治団体は、それぞれ内容的にいろいろのものがある団体ですけれども、しかし、自治体の性格としては共通した点があり、同時に、内容的にも全国的に相当共通な点がありますので、ここで連合会を作りまして、そこで自治庁長官の監督下に置くということで、今そういう例があるかどうかということについてちょっと私存じませんが、連合会を組織して、一そう、全国的に共通の点もありますので、連合会においていろいろの会議の研修でありますとか、あるいは仕事の内容についての検討をするとかいうような問題が必要ではないかというふうに私どもは考えて、連合会の組織を強制設立するというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/39
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040・松永忠二
○松永忠二君 やはり私は、その点を明らかにしていただきたいと思うのですがね。これは、先ほどからいろいろお話のあるように、実は行政書士は、試験をして、しかも、なおかつ登録をしてあるものです。その試験と登録を済んでいる行政書士が、行政書士会に入会してないときには、業として、業務としてはできないというようなことを規定しているということも相当問題が多いと思うのです。しかも、行政書士会がそれだけ強制をしておいて、所管というか、認可はみんな都道府県知事になっておるのに、それをまた全国一個の行政書士会連合会を設立しなければできないという法律規制をするということになると、これは相当やはり根拠がなければこういうことはやり得ないものだと思います。その意味で、そういう点があるいは法制局等で検討されて、どういうふうに類似的なものがあるのか、そういうものを聞いて判断をしていかないと、非常に無理があるということについては、少しわれわれも考えているわけなんですが、考えていることは、何とかしていい行政書士を作っていくことについて努力をしていきたいというような、そういう趣旨の面もあることも承知はしているけれども、しかし、あくまでそういう点は任意的な団体の中で善処されていくとか、あるいは自治庁でも行政的な指導をされていくというところで目的を達成していくべきではなかろうかという判断をするわけでありまして、そういう意味でお聞きしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/40
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041・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻お尋ねの、これとぴったり同じような団体については、ちょっと私は今記憶にないのでございますけれども、今お話しになりました点について、若干付加的に御説明を申し上げておきますと、もちろん、この行政書士というものが業務を行ないますためには、試験を受け、あるいは登録をしなければならない。それから行政書士会に加入しなければならぬ。府県単位に設立されます行政書士会に加入しなければならぬ。それらの点については、他の司法書士なり土地家屋調査士等についてもこれは前例がございます。同じ例がございます。それ以上に、個々の行政書士自身について連合会に強制加入をすることを法律でもって規定しようというわけではございません。この点は、連合会は、あくまで府県単位に設立されます団体としての行政書士会が連合会を設立をしなければならぬということになるわけでありまして、個人としての行政書士が二重に強制加入をされるという筋合いのものではございません。この点は、御説明を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/41
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042・松永忠二
○松永忠二君 私の申し上げておるのは、やはりあなたのあとにおっしゃったことではなくて、やはり行政書士会が連合会を作ると、しかも、行政書士会そのものは、その認可が都道府県知事の認可にある、そういうものを一体全国的なものに加入させるということを法律規制をするという、そういう類似なものがあるかどうかということをお聞きしたわけです。個人が両方へ加入する義務を法律規制をしているというような、そういうことを私は申し上げていないわけです。やはりこの点は私は明確にならないと思うのですが、この点は法律のことであるので、やはり問題はあると思うのですよ。だから、わかればこの点の疑義は氷解するので、たとえば内閣にも法制局もありますし、ここにも参議院の法制局もあるわけですから、そういうものがあれば、もしここで具体的に説明をしていただいてもけっこうだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/42
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043・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/43
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044・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/44
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045・松永忠二
○松永忠二君 これは自治庁の方にお聞きしたいのですが、今、こういうふうな問題について、自治庁の方で積極的にこれを改正を考えなかったということについては、何か理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/45
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046・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) この点につきましては、この改正案の方向自体について、私たちが異議を持っておるわけではごうもございません。この方向自体が、やはり行政書士の知識技能の向上その他から申しましても、十分に意義のあるということには認めておるのでありますが、ただその判断の問題で、今これを踏み切るかどうかという点でございます。その点について、提案者側といたしましては、組織率その他が非常に劣弱だから、この際一つやった方がいいんじゃないかという判断に立っておられますし、私たちの方といたしましては、もう少し組織率が自発的に上がってきたその際にやるのが時期としていいんじゃないか、そういう点において、自治庁といたしましても従来研究は進めておりまして、いろいろ検討して参っておったのでございますけれども、時期の点についてなお結論が出なかったということで、御了承を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/46
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047・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対する質疑はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/47
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048・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、前回に引き続き、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/48
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049・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
四月十五日付をもって委員青柳秀夫君、野村吉三郎君、後藤義隆君が辞任され、その補欠として小林武治君、井野碩哉君、大沢雄一君がそれぞれ委員に選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 通産省の方がおいで下さっておりますから、簡単にお聞きしますが、三十一回国会で、この消防法の一部を改正する法律案を上げるときに、御承知のように、当委員会で附帯決議をつけまして、一つは、電気工事をする者の資格試験の実施、一つは、小良電気器具の排除についての適切な措置をすべきである、こういう二つの内容を含んだ附帯決議をいたしておるわけでございますが、前の電気工事をする者についての資格試験を行なうことについて、何かと御準備があるようなことを聞いておるわけですが、もしそういうことについての準備がありましたら、そのあらましを一つお聞きしたいと思うのです。それから一つは、小良電気器具の排除の措置について、その後どのようなことをなさっておるのか。あわせて、二つの点についてお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/50
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051・須賀井敏行
○説明員(須賀井敏行君) ただいま御質問の通り、昨年の本委員会で附帯決議をいただきまして、一つは、電気工事をする者の資格試験の実施、もう一つは、不良電気器具の排除、この二つについて措置の遺憾なきを期すべきである、こういうことをいただいておりまして、私どもといたしましても、その品は、全く同様に、その必要を感じまして、その後いろいろ検討を続けて参ったわけでございます。
それで、第一段の電気工事をする者の資格試験につきましては、国家消防本部の方ともいろいろ御相談をいたしまして、本国会に、この電気工事に従事する者の試験の実施、そうしてそれによって資格を定めて、義務を定める、大体そういったことを骨子といたしました法律案をただいま準備をいたしておりまして、ある程度の草案を得まして、今関係省といろいろ協議をいたしておる段階でございます。近日中に国会に提案させていただきまして、御審議をお願いしたい、こう考えておる次第でございますので、何分よろしくお願い申し上げたいと思います。
それからもう一つの、不良電気器具の問題につきましてもいろいろ検討いたしましたが、これにつきましては、一応現在の電気用品取締規則というのがございまして、幾分不備の点もございますけれども、これは次に、一般の電気の施設に関する法律案を別途出したいと検討いたしておりますけれども、本国会にも間に合いませんし、またこれにつきましては、やはり国家消防本部の方にもいろいろお打ち合せいたしまして、実施の面においてそういったものの取り締まりを強化するということで大体ある程度の目的は達せられるのじゃないかということで、消防審議会でもいろいろ検討いたしまして、大体そういう実施面で附帯決議の御趣旨を生かしていきたい、大体そういうふうな考え方で、今日まで参っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 電気工事をする者の試験の問題ですが、近くそれに関係する法案を国会に出したいと、こういうお話ですが、そうすると、その骨子はどういうふうになっておりますか。簡単でよろしゅうございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/52
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053・須賀井敏行
○説明員(須賀井敏行君) 大体おもな点は、この試験を都道府県にお願いして実施するということが骨子でありまして、ただ、全部の人にみな試験を受けてもらうということも、また、多年の経験を生かして従来長い間この仕事に従事しておられた方については、試験を受けないでも、何か別途都道府県知事が認定をするというような方法でこれにかえていく、その二つを並行いたしまして、新しい人はもちろん全部試験をいたします。従来多年経験のある方については、今申し上げましたように、一部は認定制度を併用して、電気工事に従事する方の資格をきめて素質の向上をはかりたい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 それからもう一つは、不良電気器具の排除の問題ですがね。これは実施面でやっていきたい、またいけるのだ、こういうふうなお話なんですが、いろいろなその器具の製作なり等については、いろいろあなたの方で基準なんかを定めておられるわけなんですが、実際市販されたりあるいは使われておりますそのものについては、中にはうまくないというようなものがあって、それがときには火災の発火の原因にもなるというようなことにもなっておるために、私どもは、先ほども申しましたような附帯決議の中で、その点についての適切な措置をしてもらいたいと、こういうことをやったわけなんですが、きょうは時間がございませんからね。また問題がいろいろこまかいところにもなると思いますから、いずれあとでけっこうでございますから、そういう実施面で、具体的にどういうふうにこれをやっていくのかというようなことにつきまして、国家消防本部の方との話し合いがつきましたら、一つそういうふうな、何かプリントのようなものでも、これはもちろん骨子だけでけっこうでございますから、あとでお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/54
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055・松澤兼人
○松澤兼人君 今のことにも関連するような問題なんですけれども、これは、消防本部及び通産省、両方かと思いますけれども、最近電熱器具等の電気器具が非常にたくさん使われるようになっておりまして、大へんけっこうなことなんですけれども、しかし、屋内配線というものが旧態依然たるものでして、それだけ使っている電気器具の容量をささえるだけの配線工事がなされているのか、あるいはまたは、末端で、一ぱい一ぱい電気を使った場合に、負荷が過重になっているのじゃないかというようなことを簡単に、電気器具の使用者がどこかへ依頼した場合に、負担が過重であるかどうかというようなことを検定していただくような制度といいますか、手続というものがどこかにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/55
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056・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) ただいまお話のありましたように、配線の能力以上の負荷を電熱器その他でやっておるというような、主として家庭あるいは小工場等でやっております事実が非常に多いのです。それで、消防といたしましては、もちろん、先ほどお話のありました電気工事人の試験によって電気工事の疎漏を防ぐという問題と、消防法によります建築許可の同意の際に、配線工事がどういうふうになっておるかということも十分調査いたしまして、許可の同意を支えるという措置をとっておるわけでございますが、実際に使用を始めてから、ただいまお話のありましたような、過度な使い方というものをいかにして指導し是正していくかということは、消防にとっては非常に大きな重要な問題でございますので、消防法第四条によります予防査察の際に、電気の使用状況を十分聞いてたとえば、一つの電灯線にソケットを幾つもつけて、非常に負荷が過ぎるというようなことがないように指導いたしておりますとともに、いろいろな機会をとらえて、電気の使用を適正にいくようにという指導を徹底するようにやっているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/56
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057・松澤兼人
○松澤兼人君 通産省の方としては、電力会社に何かそういうような御注意を与えているという事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/57
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058・須賀井敏行
○説明員(須賀井敏行君) ただいまのお話のような点も一部なきにしもあらずで、私ども心配しておるのでございますが、ただ、これにつきましては、電力会社は屋内の保安につきましても一応の責任を持っておりますから、そういった事態をいろいろ家庭において見つけましたときには、いろいろお願いを申し上げ、あるいは今消防本部の方からお話がありましたように、あまり大きな熱を一度にかけないようにお願いし、あるいはどうしてもその必要がある場合は、一部配線をし直すということを御注意いたしまして、適宜そういった弊害を除いていこうということは、電力会社としても自分の義務としてやっておる次第でございます。ただ、非常に戸数も多く、屋内の内部のことで、わかりにくいことがありますので、必ずしも万全を期しがたいと思いますが、方針といたしましては、そういうようなことをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/58
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059・松澤兼人
○松澤兼人君 御注文申し上げますけれども、ときどき、われわれとしましても、これはちょっと電気を多く使い過ぎておるのではないかと思うときがあるのです。その場合、消防署に電話でもしたら、どのくらい使っておったらどんなことになるかというようなことを簡単に、何というのですか、ボルト・メーターとか、そういうようなもので検査してもらえるようなことを考えていただくこと、あるいは電力会社等につきましても、簡単に、ちょっと見てくれないかというくらいのことで、どのくらいの器具だったらちょっとあぶないとか、あるいは配線をどういうふうに変えたらよさそうだというようなことをやっていただくような便利な方法を考えていただきたいと思うのです。これから電気器具をいろいろ使うということ、これは必至の勢いなんです。ところが、配線工事というものは十五年も二十年も前にやったままで、末端に非常に大きな負担をかけているから、どっかで故障が起こることは必然だと思うのです。どうか一つよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/59
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060・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 暫時休憩いたします。
午後零時五十分休憩
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午後二時四十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/60
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061・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
休憩前に引き続き、消防法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 消防の施設の強化拡充の問題でございますが、これは、すでに消防本部の方で基準等を示しておりますけれども、そういうものに合致したものはほとんどないというような状態であるということを聞いておりますし、何かこう、いただいたこの資料の三十四年度版の「火災の実態と消防の現況」という刷りものの中にある表を見ましても、非常に各都市の消防施設の現況というものは寒心にたえないというようなものが私は出ておるのじゃないかと思うのですが、結局これは、市町村におきますところの財政の問題と切り離して考えることができない問題であろうと思うのです。この際、大臣もおいでになっておりますので、消防施設の拡充について、今後どういうふうな方針、具体的には、市町村にそういう財源を付与していくというようなことをどうお考えになっておられるのか。こういう点についての一つお考えを聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/62
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063・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 消防施設の強化として今までやってきておりましたのは、御承知のように、市町村の消防施設に対しまして三分の一の国庫補助をもってやってきておるわけでございます。三分の一というと、あと三分の二は、やはり地元で負担しなければなりませんので、財政力のある所では比較的消防施設を伸ばしやすいのであります。財政力の低い市町村におきましてはなかなか伸びない。そこで、現在消防施設費の補助は、六億数千万円計上されておるのでありますが、将来の問題としまして、補助率を少し高めるか、それとも、なかなかこれを高めるということも簡単にはできませんので、交付税などの単位費用なども、わずかではございますけれども、逐年ふやしまして、そういう団体に消防関係の費用が少しでも行くように努力をしておるわけでございまするが、私は、ただいま鈴木委員の御指摘の通りに、市町村の財政と非常に関連の深い問題でございまするので、この消防施設を強化さす意味において、補助率の引き上げか、あるいはまた、交付税等において単位費用をさらに引き上げて、財政力が低いために消防施設の強化ができないような町村にそういう趣旨の金が少しでも回るように、今後とも努力をしなければならぬと思っております。
それからやはり消防施設に関連してくる問題でございまするが、いわゆる消防団員の処遇というようなものも、ほとんど名目的なものにすぎないのであります。でありまするから、こういう消防団員の処遇というようなことについても、三十五年度で一応調査をいたしまして、今後団員の出動手当であるとか、あるいはまた、せめて団員が退職でもしたような場合にある程度の報償を与えまして、消防団員ももっと献身的に働けるように、そういうことも講じてみたい。両々相待ちまして、消防施設の拡充強化をやっていきたい。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 三十三年度の市町村の決算概況を見ますと、消防のために使われる費用についても、ここに出ているわけなんですが、これを見ましても、全市町村の消防で使う金の額からいっても、あるいはパーセンテージからいっても、これではとうてい消防施設の強化なり整備拡充というようなものにはほど遠いと、こういうふうに思わざるを得ない数字が出ておるわけです。もちろん、パーセンテージだけでどうのこうのと言うべき筋合いのものではないかもしれませんけれども、しかし、一応の他の費用との振り合い等からいたしますと、私の今指摘したようなことが言えるのじゃないかと思うのです。さらに、この消防費の中には施設のために使う金というのは、大体四分の一か、あるいはそれ以下の金しかないというふうにも見られるわけでございまして、約半分、五〇%というものは人件費であり、さらに、今言ったように、大体二〇%ないし二五%というのが消防施設のために使われる金である。こういうふうに見てくると、私、現在の日本の火災の発生なり、あるいはいろいろな火災の状況等から見まして、どうしてもやはりこのままにしてはおけないという状況にあるのだということが明らかであろうと思うのです。ただいま大臣は、国から出す補助経費、あるいは交付税における単位費用の問題等についてもお話がございましたけれども、現在三分の一で六億五千万円ぐらい出ているわけでありまするが、どうも私ども考えますと、三分の一出ているのだからという、その率だけで見てはいけないので、町村で希望するものをいろいろ、何といいますか、取り上げられるものは、全部じゃなくて、そのうちの三分の一しか補助が出ないというような状況なんでございますから、こういう面で、もっと額を引き上げるというようなことも必要になってくるのじゃないか、必ずしも率の問題でなくて、額そのものをもっと引き上げることによって、もっと多くの市町村に金が回るというようなことも私考えられると思うのですが、そういう点についてはどうでございましょうか。予算折衝等においていろいろ問題のあった点であろうと思いますけれども、今後のあなた方の一つの努力目標というようなことにはなるものかならぬものか、その点、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/64
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065・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 六億五千万ですか、その額をもっとふやすということも、それは多いにこしたことはないのでありますが、先ほどちょっと申し上げましたように、三分の一の補助ということになるとあと、三分の二は何らかの形で負担しなければなりませんので、そういう意味で、六億をむやみやたらにふやしても、なかなか消化し切れないというようなことも一面考えていかにゃならぬと思うのであります。そこで、申し上げましたように、補助率をもう少しふやすか、あるいはまた、あとの三分の二の負担について、単位費用を引き上げていくということも一つの問題でありましょうし、それから、こういう面の融資ですね。比較的安い金を融資をして、施設の拡充に当たらしめたい。こういう点も力を入れている一つの方向でございまして、そういう点にも力を入れていきたいと思っております。
それから、今回提案しております国家消防本部を自治庁に統合するという、そうすると、いわゆる自治体消防としての新面目をいよいよ発揮できるようになるのと同時に、自治庁と一体になりますから、地方財政のめんどうの見方とか、そういう問題については、現在よりは一そう円滑になるのではないか、かように考えているのでありまして、消防施設の拡充強化にはいま一段本腰を入れて、力を入れなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 もちろん、今大臣がおっしゃったように、補助金の現在の額をそのままの形で引き上げただけでは、残りの負担分に対する市町村の財政力というような問題からして、問題になることは確かでございます。従って私は、根本的には、今の国の補助の制度あるいは従って当然関係する法令の改正というところにまでいって、今では予算の範囲内において三分の一の金を出せるのだと、こういうような格好になっているはずなんでございますが、もっと私は、そういう点の改正といいますか、そういうところまでは進むということは根本的には考えておるのでありますが、ただ、六億五千万円をふやさなければならぬということは、まだ三分の一でも補助をすれば、地方でできる施設があるわけなんです。それが全然補助の対象にならぬということで、やはり足踏みさせられるという事実もあるものですから、そういう点からいって、まず法令の改正というような、あるいは補助率引き上げということが今にわかに望めないとすれば、そういうところからでも一つ手をつけるべきではないだろうか。こういうっもりで申し上げたわけなんです。それからいま一つは、安い金での融資ということでございましたが、これは三十四年度で、損保から出た金でどのくらい融資しておられますか。三十四年度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/66
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067・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 三十四年度の公募債の引受額は、損害保険会社引き受け分が八億です。それから、私有物件災害共済会引き受けが六億二千三百万円、その他一般単独分が四千五百万ありまして、合わせて十四億六千八百万、三十四年度で起債の引き受けがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 このうち八億が損保の方からの金だというのですが、もっと損保あたりから出ませんかな。そこら辺、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/68
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069・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 私も、この金はできるだけ出してもらいたいと思いまして、これでも年々累増してきているわけであります。三十五年度は十億をこす金をぜひ出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、損保から、大臣一つ強く損保の方と折衝しまして、もっとこの金を出したらいいんじゃないかというふうに思うのですが、ほかの方に相当損保の方では今金を出しておりますしね。これは、あるいはこちらの方が少し、利回り等からすれば、利子等からすれば、損保の方ではもうけが少ないということにあるいはなるかもしれません。私、利子が今どの程度でほかの方に出しているかわかりませんから、あるいはそういう点もあるんじゃないかと思うのですが、そういうかりに問題があるにしても、消防施設の拡充強化のために損保から今融資をする、公募債という形でそういうことをやるということは、決して損保それ自体からいっても、大きい目で見ますと、マイナスになることではないと思いますからね。これは、今三十五年度では十億をこす金を出したいということですが、昨年もたしか十数億の線を出して折衝されたように聞いておりますが、せめてことしの倍くらい、あるいはそれに近い、十五億くらいの金を出させるようになると、地方では相当助かるんじゃないかというふうに思うのですが、その点、大臣、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/70
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071・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今、地方からのいろいろの要望等も集めておりますので、その金がどれくらいになりますか。十億をこすと、こう申し上げたのでありまして、十億から十五億くらいまでの間でぜひ実現せしめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/71
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072・鈴木壽
○鈴木壽君 この点に関連して、いわゆる消防施設税というようなことにつきまして、自治庁も相当検討なされて、一時は提案するようになったように聞いておりますが、この点は、今どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/72
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073・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 消防施設税の問題も、私就任以来、いろいろ検討しておったのでございまするが、率直に申し上げまして、今この融資の問題もございまするので、税制は、先般地方税法の一部改正を委員会では御承認を得たのでございますが、この税制については、とにかく三十五年度は、住民税の減税以外には原則として見送ろう、こういうことになりましたので、消防施設税の問題も、それ以上深くは掘り下げなかったのでございますが、ただ問題は、消防施設税というものが実現してくると、一方基準財政需要額、基準財政収入額等にもまたこれが乗ってくるのでございまして、交付税の方からそれだけのものがまた減ぜられるとか、いろいろの問題がございまして、融資のワクを出さすということ、交付税との関連、そういういろいろの面を考慮しまして、もう少し掘り下げて検討しなければならぬのじゃないかと、こういう段階で、研究だけは引き続き自治庁並びに国家消防本部において続けてもらっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/73
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074・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題は、ことしは見送らざるを得ないということで、なおまた、研究しておるというお話でございますが、これは、ことし見送ったのは減税に関するそれなんですから、むしろこれは、増税と言っては悪いけれども、税を取る。しかも、これは直接、何といいますか、ある一つの目的のために使うような、そういう税金でございますから、いろいろなこれは反対論も私はあると思うのです。率直に言ってですね。あると思いますけれども、やはりそういうところに踏み切って、自治体が独自にやはり消防施設のために金が使えるというような体制になることが、現在の貧弱な消防施設のそれを強化していくという一つの大きなまた柱になっていくんじゃないかと思う。それは、交付税その他によっていろいろ見られておりますけれども、その額においても十分でないし、さらにまた、いわば交付税に盛られておりますいろいろなそういうような内容というものは、必ずしもひもつきの金でもないんですから、当然やはり何かささえになる一つの財源というものが与えられることが消防施設の向上のためには非常に助けになるんだろうと、こういうふうに思うんですが、そこで、どうです。実は、私ども社会党の方では、御承知のように、今回地方税法の改正案の中に、消防施設税というものを織り込んであるわけなんですが、まあ私どもの方の案をとってもらえるなら、これは幸いですけれども、かりにそのままとっていただけないとしても、ぜひ一つ実現するように、大臣からこの点を、単に研究中ということでなしにですね。努力していただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/74
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075・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 私も、就任後たびたび消防施設税を実現せしめるというようなことを発言しておりました関係で、責任もあり、三十五年度におきましては一応見送られておりますけれども、今後ともこの問題は、先ほど述べました融資のワクの問題、あるいは交付税との関係その他等、利害得失を考えまして、私は、やはり消防施設を強化する意味では、こういう目的税があった方がいいという考え方は捨てておりません。今後ともこの施設税の実現に努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/75
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076・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、まああまり言うと、損保の悪口みたいになりますから、やめますが、やっぱりいろいろああいうところから、実はわれわれのところにも反対の意向というようなもので来ますけれども、しかし、今の損保の経営状況等から見て、掛金の一部を直接の契約者に還元するか、あるいはこういう施設のために出すなり、どっちかの方法を私はやっぱりとらざるを得ないところまでになっておると思うのですね。ですから私、一つ研究が、長い将来にわたっての前進を示さない研究でなしに、ぜひとも一つこれは早急実現できるような方法で御検討いただいて、そういうことによって、先ほど来私意見めいたことを申し上げておりますが、現在の貧弱な消防施設、おそらくこのまま行ったら、日本における火災から来るところの損害をなくすとか、できるだけ小さくするといっても、なかなか大へんだと思うから、どだい燃えやすい家ばかりなんですから、たよるところは、防火に対するいろいろなお互いの注意と、さらに火が出ても大火に至らないという、何といいますか、外からの力による消火といいますか、そういうことをする以外にはないわけですから、そういう意味における消防施設の拡充ということが非常に大きな問題になっているときなんでございますから、ぜひ一つこの点を実現できるように、強い決意で進められたいということを希望して、私、この問題についての質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/76
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077・大竹平八郎
○大竹平八郎君 簡単に一、二点お尋ねしたいんですが、これは、平素私が考えておることなんでありますが、何か国とかあるいは都道府県というものが、どうも第一線の市町村に消防行政というものをたより過ぎる。こういう感じをわれわれ持っていたのでありますが、三十二年の消防審議会のときにも、これが問題になって指摘をされておるわけなんであります。その後この問題について、合理的にはたして運営せられるような処置を当局はとられたのかどうか。その点を一つ大臣に伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/77
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078・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ちょっと消防本部長から答えまして、それから私……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/78
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079・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 三十二年に消防審議会の答申がなされまして、その答申の内容は、御承知の通りに、消防の現在の制度のあり方の問題、それから、ただいまお話しにありましたように、国と都道府県と市町村の統一と申しますか、総合された消防行政をどうするかという問題、従いまして、それに伴う市町村消防行政組織のあり方、あるいは県のそれ、国のそれといったようなこと、さらに消防財源の問題、そういった問題について答申がなされたわけでございますが、一番問題の、先ほどからお話のあります消防財源の問題につきましては、根本的な改革というものは今日までまだなされておりませんで、先ほど大臣からお答えがありましたような状況でございます。今日までこの答申に基づいて行なわれましたことは、昨年消防法の一部改正をいただきました危険物に関する行政を、先ほど申し上げましたような、国、都道府県、市町村一体となった形における取り締まり行政が行なわれるような状態に改正をいただいたということ、それから、今回改正をお願いいたしております建築物の消防施設の強化、あるいはそれの管理面の強化という問題、これらは、やはり国、都道府県並びに市町村の総合した力によって消防力を強化していこうという目途のもとに計画されたものでございまして、具体的に昭和三十二年の消防審議会の答申に基づきましてとられました処置は、以上のような程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/79
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080・大竹平八郎
○大竹平八郎君 本部長に伺いますが、この法案の骨子になっておる防火責任者の制度という問題があるわけなんですが、従来どこの建物の中にも、必ず各部屋ごとに、いわゆる責任者というものを出しているわけなんですが、これはしかし、きわめてぼうばくたるもので、消防に対する技術的な何らの経験もないような連中ばかり大体多いのですね。今度は、そういう点において多少その整備をはかっていくわけなんでありますが、大きな、たとえば三菱が経営している丸ビルであるとか、あるいは大手町ビルであるとかいうような所では、それぞれ専門に近いような訓練もするだろうし、そしてまた、問題の損害の補償、あるいは殉職のような場合もある、あるいは傷ついたというような場合がある、あるいは不具になって、そうして永久に医療を待たなければならぬというような問題も出てくる。しかし、そういう大きな会社は、会社自体としていろいろやられるかしらぬけれども、一般は必ずしもそういかないと思う。消防職員の方には、むろん損害補償というようなものは、これは、私よくわかりませんが、何か規定があって、十分それに償うようなことはしていると思うのですが、こういう点についてはどうなんですか。防火責任者に対する問題ですね。これは、消防署の方からやるわけにはいかぬけれども、何か勧告的なものを会社に出すとか、何か処置は考えられているかどうか。こういうのは、別に法案の中には出ていないわけなんです。その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/80
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081・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 今回の改正でお願いいたしております第八条の防火管理者の規定が、大体ただいまの御質問の内容を持ったものでございます。従来とももちろん、防火責任者という規定が、やはり第八条の現在の規定でございますが、防火責任者という者を規定されておりまして、防火責任者を設けて、いろいろ訓練を行なわなければならない、施設を充実しなければならないという一応の義務規定になっておりますけれども、まあ実際問題としては、単なる訓示規定程度にとどまりまして、実際に防火責任者を置いて、どれだけのことをやっているかというようなことは、報告も何もございませんので、実際には実効が上がりません。また防火責任者と一応きめましても、それがまあごく形式的にきめただけで、たとえば、守衛の一人を防火責任者にするというようなことで、何ら実権も力も持たない者を形式的に防火責任者にしておいて、形だけ整えていくというようなものが大部分と言ってもいいくらいの状況でございます。その欠陥を補うために今回改正をお願いしたわけでございますが、今回の改正は、防火管理者という名前を用いまして、この防火の管理という面に力を入れまして、この管理者の人選にあたっては、先ほど申しましたような欠陥を除きますような意味で、管理に、その建物なら建物、工作物なら工作物についてある程度権限、力を持っている者が防火管理者として責任を持つ。しかも、その防火管理者が何をするかということも法律に規定いたしまして、その業務内容を明らかにして、責任を明確にする。それらの者を選任した場合、あるいは解任した場合というようなときには、消防署にこれを届け出るということで、この規定の徹底化によりまして、この現行法にあります消防法第四条の予防査察と組み合わせて、防火上の管理を徹底させようということでございまして、今後は、この防火責任者がその建物なり工作物なり工作物に対してあくまでも責任を持つ。それの予防査察その他の方法によりまして、消防署がこれを徹底的に指導するという態勢をとりたい、こういうことでございます。まあそれだけ徹底した管理をさせるようにいたしますると、特に学校とか事業場、工場といったような大きな所はもちろんのこと、百貨店とか、そういったような所につきましても、相当防火管理が徹底するのじゃないか。かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/81
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082・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから、従来もあると思うのですが、たとえば、ある紡績会社が保安要員みたいな連中を三十人なら三十人、五十人なら五十人集めて、そうして防火訓練をやっておる。こういう社内組織における消防団というようなものについては、特別何か技術的な訓練というものは、本部の方から指令し、あるいはやっておるような事実はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/82
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083・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) お話にありましたように、大きな事業場、工場におきましては、自衛消防隊を持っておりまして、これの大きな施設になりますと、たとえば、日立のような所は、相当大きな規模の義勇消防隊を持っております。その他、いろいろ程度はございますが、自衛消防隊を持っておる工場が相当ございます。これらに対しましては、所轄の消防署で、常に一緒に訓練をやりましたり、そのついでに指導したり、相当徹底した指導をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/83
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084・大竹平八郎
○大竹平八郎君 いま一つ。これは全然違うことなんで、これは、われわれが毎日見て感ずることなんですけれども、これは技術的な問題になると思うのですけれども、消防のいわゆる動員の方法、たとえば、東京の例を一つとって伺いたいのですが、非常に三月、四月は季節風が吹く。そうすると、A地区で火災が起こった。そうするというと、大体A地域を管理する消防署が動員されている。従来でも、Aでも起き、あるいはCでも起き、それからまた、ほかの所でも起きるというような場合があるわけですね。こういうときに対しての動員というものは、これは技術的にどういう工合におやりになっておるのですか。たとえば、私どもが不安に思うことは、消防署がからっぽだ。そうして同じA地域でも、ある所で燃えている。ところが、またBにも火事が起きたという場合、消防署が全くからだというようなことを現実にわれわれは見るのです。何だか不安を感ずるのだけれども、こういうものに対する動員というのは、これは簡単でいいのですが、どういうような方法でおやりになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/84
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085・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 常設消防のある所が全部と申し上げるわけではございませんが、たとえば、東京のような常設消防が充実しております所におきましては、動員計画が非常に緻密に立てられております。それで、よく新聞にも出ますように、出場は第一出場から第四出場までございまして、最低七、八台から最高三十六、七台まで出るという段階がきめてございます。それで、一カ所に火災がありましたときに、たとえば、丸の内消防署の地域の所属の車はどれとどれ、たとえば第二出場の場合にはどれとどれ、それから出張所の車ではどれとどれ、地域によって全部計画が定められております。ところが、一台しかない出張所から車が出て行ってしまうと、そこがからになります。それに対しましては、また直ちに少し遠い所から補充しまして、留守の間を守るような計画をちゃんと立てております。ですから、近くの所に火災が二つ、三つ連続して発生いたしましても、出払ってしまって、あとが続かぬというようなことはないように計画されております。もちろん、これは東京とか大都市で、相当常設消防の充実した所の話でございまして、いかなる所でもそうということにはいきませんけれども、地方におきましても、常設消防団を組み合わせまして、おおむねそれに似たような警備態勢を計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/85
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086・松澤兼人
○松澤兼人君 本部長にちょっとお伺いしたいのですけれども、先ほど消防施設の拡充の問題について、鈴木委員からお話がありました。それはもちろん大切なことですが、しかし、街路によりますと、消防車が入らないというようなことがよくある。これは、消防署自身としてどうにも手のつけられないことだろうと思う。せっかく優秀なポンプ自動車が参りましても、実際に動かす場合に、道幅が狭いとか、街角が直角であるとか何とかいうことで、非常に遠くからでなければ消防作業ができないというようなことがある。そういうようなことについて、もっと根本的に、全部が全部というわけにはいかぬでしょうけれども、市街地を形成している町の大部分にわたって、消防が直接火元まで到達できるような措置というものはどんなふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/86
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087・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 御指摘のように、道路が狭くて、家が混雑していて、消防車が入れないというような個所は、東京都内にも相当ございます。また、全国的に見ましたら、そういう工合の悪い町の形になっておる所が非常に多いわけでございまして、それは結局、都市計画の問題で、道路を広くしない限り解決しない問題でございますけれども、現在のそれぞれの市、町の消防車の入れる道路と入れない道路と、はっきりと調査いたしております。それと水との関連、水利との関連を十分ふだん調査いたしておりまして、ポンプが入れないから、遠い所からホースを引くというような計画を立てておるわけでございますけれども、しかし、消防車が入れ、水が近くにあれば、これにこしたことはないのでございまして、最近そういう道路の狭い町に対処するために、だんだんと中型ないしは小型の消防車を作る傾向にございまして、われわれもまた、そういうことを奨励いたしております。東京都のような所におきましても、裏の路地に入れるような中型車をだんだんとふやしておるような傾向になっております。今後とも、都市計画で町の構成を変えるということは非常に困難な問題でございますので、そういった町の道路の幅員に応じた車を作るということ、またそれに伴う水利施設を完備するということを奨励していきたい、さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/87
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088・松澤兼人
○松澤兼人君 もう一つお伺いしたいのは、消防自動車、消防ポンプを製作している会社ですか営業所、こういう所は、今まではかなり地方に分散してあったようでしたけれども、最近はどうなんですか。各市町村の消防署なんかで購入する場合には、比較的大きなメーカーに限られてしまって、中小企業的な、地方に分散している消防自動車の製造販売業者というものにあまり注文がいかない傾向があるじゃないですか。こういうことは、もう各市町村の消防自体の問題ですか、それとも国家消防本部というような中央的な指導あるいは奨励、そういうことで、あまり大企業だけに集中しないで、地方的な中小企業の消防自動車の製造業者にも均霑できるような方法をとっていらっしゃるか、現実にはどんなことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/88
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089・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 御指摘のように、最近業界のメーカーの競争が激しいために、地方の弱小ポンプメーカーがつぶれる傾向にありますことは、御指摘の通りでございます。これは、ポンプのメーカーは、大企業、大きな業者と申しましても、自動車は自動車メーカーが作って、それにポンプの装備をするだけの商売でございますので、大きなメーカーといいましても、他の大きな企業メーカーに比べますと、まことに弱小なものでございます。それで、競争が非常に激しいものですから、地方のこまかいメーカーでも、最近もつぶれてるのがかなりあるわけでございますが、現在の市町村の消防ポンプの製造や発注状況から見ますと、大きなポンプ業者だけでおおむね間に合うような傾向でございます。将来、先ほど大臣からのお答えもありましたように、消防施設の強化がある程度軌道に乗りまして、ポンプがどんどん発注されるということになりますると、現在の数軒の大きなメーカーだけでは、とても間に合わないようなことになろうかと思います。そうなれば、自然地方の小メーカーも立っていくようになることと思うのでございますが、これは、どうもメーカーの力が非常に弱いために、組合等の結成も思うように参りません。結局、自由な競争にまかせっきりにしてるものですから、地方のメーカーが立っていかぬというような弊害がございます。それで、私ども、メーカーにもしょっちゅう勧めておるのでございますが、強力な組合を作って、組合でお互いに商売が立っていくようにしていったらどうかということを勧めておるのでございますが、先ほど申し上げましたようなポンプの発注状況でございますので、それが思うようにいきませんで、御指摘のような結果が出ておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/89
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090・松澤兼人
○松澤兼人君 石原国務大臣にちょっと希望的に申し上げたいのですが、今度の消防法の改正の問題は別といたしまして、これからは、消防庁が自治省の外局となって、これまでの関係よりはもっと密接になってくると思うのですが、今の消防組織法を見ておりましても、非常にこう遠慮がちな消防組織を持っているわけでして、もちろん、自治体消防、市町村消防という建前からいって、それが当然だろうと思うのです。府県段階におきましても、消防、防災課というものはきわめて人員も少ないし、予算も少ないわけでして、監督というような権限がないという、そういう現在の消防法なり消防組織法なりの建前からいって、これは当然のことかと思うのです。しかし、今回の国家消防本部を統合して自治省の外局としての消防庁というものができると、ある程度までは、やはり行政指導なんということでもって、積極的に自治体消防というものを強化拡充していかなければならないと思う。そういうことで、現在の消防組織法を見ましても、雑則のところに、国なりあるいは県なりが市町村の消防に対して助言を与えたり、あるいはまたは勧告を与えたり、もしくは下の方からいろいろ希望や意見が上がってきた場合には、国家消防本部なりあるいは府県消防課というものが、何かそれに対処して行政的な指導をするという形になっているのです。本来いうならば、そういうことは当然組織法の中における本章の中に、上下の関係というもの、監督を強化するという意味ではありませんけれども、指導なら指導、助言あるいは勧告、そういう形のものにつきましては、やはりこれは雑則の中ではなくして、やはり本章の中において明確にしていくことが当然であろうと思うのです。これは、将来漸次そういう関係というものが明確になって、国の消防に対する責任と、それから、市町村の消防に対する責任というものとがおのずから明確になりつつ、相互に助け合うという形をとっていかなければならないと思うのです。当然消防組織法も将来は改正されていくと思うのです。その点は、いたずらに中央の監督なり管理なりというものを強化するという意味ではなくて、明確にそれぞれ責任を果たして協力していくようにしてもらいたい。これは一つの希望であります。
もう一つは、現在の国家消防本部というものは、先ほど申しましたように、非常に遠慮深い法律の立て方で作られております。今回は、自治省の中の外局として、いわば従来のような立場から非常に明るいところへ出てくるような形になってくるわけであります。そこで、今の消防本部の陣容が十分でないということを私申し上げるわけじゃないのですけれども、しかし、地方行政委員会において消防のことをいろいろ審議しておりましても、あるいは消防大学なり消防研究所なり見てきましても、何となく、私たちが接触するほかの行政官庁や行政省庁の人と比べて、非常に遠慮深くて、いわば政治的なことをお考えになっていらっしゃると思うのですけれども、そういう意見の開陳というものがわれわれにはピンと来ないのです。先般も、同僚の米田君と、消防大学、消防研究所を見学いたしました後に、この委員会でこの問題を非常に大きく取り上げられまして、予算の関係やら、あるいは人事の関係や、運営の関係など、非常に大きく取り上げ、そしてまた、そのせいでもないのですが、予算も多少ふえたというようなことがあるわけです。やはりどっかでこの問題を大きく取り上げていかなければ、予算あるいは行政の拡充というようなことも十分にいかないと思うのです。そのためには、今の幹部の人たちがどうこうというわけではございませんけれども、新消防庁に昇格するという、こういういい機会に、人事の強化とか刷新とか、そういうことを考えていただいて、今の方方に十分にフルに力を発揮してもらうようにしていただく、また、新陳代謝といいますか、あるいはまた、自治省自身からの人事交流というようなものを考えて、まあはったりばかりではいけませんけれども、ある程度は政治的な一つの意見も委員会に開陳していただけるようにしてもらいたいと思うのです。こういう面で、何か一つ抱負経綸がありましたら、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/90
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091・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 経綸というほどのものでもございませんが、御指摘になりましたように、この消防は、自治体消防という建前に、ずっと市町村消防になっておるのでありまするが、ところが、中央でそれを代表しまする国家消防本部というものの性格がどうもはっきりしたものでない。総理府の外局か何か、どうもはっきりしたものでない。責任大臣は国家公安委員会で何するというような形になっておりますが、地方に行きますというと、地方の公安委員会は全然関係がなく、都道府県知事のもとで、総務部とか厚生部で所管しておりますので、そういう意味での縦の機構というものが非常にはっきりしていないというようなところに、今御指摘になったような問題がいろいろ生まれてきておったと思うのであります。今回、自治庁設置法の改正案が通過いたしまして、消防と自治庁が一緒になるということになりましたならば、そういう点は私はきわめてすっきりすると思うのでありまして、ことに、後段で述べられましたような、人事の交流であるとか、刷新であるとか、そういう点はきわめてやりやすくなると思います。それからまた、私は、今政府で考えております防災基本法、災害防止のこういうものの考え方と相関連いたしまして、消防庁といいますか、消防機能が防災面にもっと積極面を開いてくる、こういうことになりましたならば、非常に消防の機構というものも、もっと生気のあふれた活発なものになってくるのじゃないか、ぜひそういう方向に持っていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/91
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092・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/92
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093・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/93
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094・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。消防法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/94
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095・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/95
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096・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/96
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097・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、臨時地方特別交付金に関する法律案、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案並びに地方行政の改革に関する調査中特に昭和三十五年度地方財政計画に関する事項を便宜一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/97
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098・占部秀男
○占部秀男君 地方財政計画に関連をし、特に地方の今年度の行財政の運営の面に大きく関連をする問題でございますので、この際、藤井局長、奥野局長にもお伺いし、大臣にもちょっとお伺いをしたいと思うのでありますが、先ごろ四月一日付で、たしか行政局長名でありましたが、「市町村職員の給与制度の合理化について」という通達といいますか、都道府県知事あてに出ているわけであります。これはおそらく、本委員会で一年がかりで小委員会を作って、先ころ結論を見ました新市町村建設問題と市町村職員の給与についての決議を受けて、その行政指導をするためにかような通達が出たもの、かように今私は了承するわけでありますが、そういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/98
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099・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 市町村職員の給与の改善、なかんずく非常に実態からいって低給与にございます小さい市とかあるいは町村に関する給与の改善措置につきましては、私たちの方といたしましても、何らかの行政指導を加えていきたいということは、かねがね考えておった事柄でございます。その点は、折りに触れて指導をして参っておったのでございますが、たまたま当委員会におきましても、小委員会を設置せられまして、その方面にわたるいろいろのことを調査研究をせられました結果、結論をお出しになったのであります。ちょうど私たちが考えておりまする線とも一致をいたしておりまする部分が非常に多いということでもございまするし、ちょうど時期的に適当であるということで、前記お述べになりました通牒を知事あてに発したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/99
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100・占部秀男
○占部秀男君 非常にけっこうなことであると、われわれは考えておるのでありまするが、なお、五月の上旬だと思いましたが、全国の地方課長会議を開いて、これらの問題を協議するというような予定を聞いておりますし、さらには、この通達に基づいて、これを具体化するような細目的な指導の方針といいますか、そういうものもお作りになるというお話を聞いているのですが、その通りでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/100
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101・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 地方課長会議等にいたしましても、どういうような方法でやっていきますか、その点まだ具体的には決定いたしておりませんですが、そういうことも考えております。なお、一般的な趣旨等につきましては、その後に開かれまする総務部長会議その他におきましても、趣旨の徹底をはかって参りたい、かように考えておりまするし、なお、県当局において市町村に対して指導をいたします際のもう少し具体的な基準というようなものにつきましても、当然地方課当局等においては、もう少しこまかいものについて知りたいという要望も出て参ると思いますので、それらの点につきましても、目下事務当局の手をもってせっかく研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/101
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102・占部秀男
○占部秀男君 非常に、何と申しますか、この問題についてはいわば親切なやり方であって、われわれは、一年間のいろいろな調査の問題についてさようにお手回しをいただくことは、非常にけっこうだと思うのでありますが、従いまして、この機会に、二、三この間の通達について大ワク的にちょっとお聞きをしておきたいことがあるのでありますが、それは、今度の通達をずっと総攬してみますと、本委員会で決議をいたしましたその決議の趣旨が相当盛られている点がございまして、その点は非常にけっこうでありますが、ただ、疑念をちょっと持たれるような点が大ワク的にもございますので、その点、ちょっとお伺いをしたいと思うのでありますが、その通達の全体を見ますと、第一に考えさせられることは、任命制度と給与制度の、いわゆる制度を整備するということについては、相当詳細にしるされているのでありますけれども、この職員の給与の改善関係については、やや概念的なうらみが出ていると私は考えているのでありまして、そういうような点から、何か給与の引き上げ是正というものが、低い給与の是正ということがむしろ従になっているというような感じを抱くのでありますが、そういうような考えではないわけでございますか。その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/102
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103・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 非常にひどい状況にありまする町村等がかりにございまする場合において、それらの改善措置というものについては、われわれもできるだけ熱意を持って、それの改善に努力をいたしていきたい。これは、従来もそういう考えで進めて参っているのであります。ただ、この点については、初めに申し上げておりますように、いろいろのいきさつ、従来までの経緯等もございまして、早急になかなか参りがたいという点もございます。しかしながら、われわれといたしましては、給与の改善というのは金がかかるから、非常に消極的で、従として考えておるというようなことは、これはございません。公務員制度全般の一環といたしまして、非常にまあ不備な点が多々ございます。これは給与のみならず、任用制度その他についても不備な点がございます。それらの点については、給与の点を考えて参りまするならば、やはりそれの前提になるものとして、任用制度等もあわせてやはり考えていく必要があるのじゃないかという建前で考えておるわけでありまして、特にその点について、明確に意識をして従にするとかいうような気持は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/103
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104・占部秀男
○占部秀男君 どうしてこういうような言い方をするかといいますと、これを読まれて、どうも市町村の現場へ行って、制度的な改正はどんどんやるけれども、低給与の是正の問題についてはあとへ延ばそうというような、市長さんや町長さんのとり方によってそういうことが走り出されると、非常にわれわれとしても心外であると感じたものですから、そういう点についてお伺いしたわけですが、そのお言葉を聞いて、非常にけっこうだと思うわけであります。
もう一つ、総括的にお伺いしたいことは、この今度の通達を読んでみますと、その前文に、いろいろと、昭和三十二年、三十三年とこれらの問題、あるいは新市町村の赤字問題や新市町村の建設問題にからんだ通達等を出して、これを資料にしろというような形にもなっておりますし、第四の職員の配置の適正化の項を見ますと、何かこの当時の新市町村建設促進法などを参照しろというところから、あの建設促進法というのは、いわゆる消費的な経費を詰めて、投資的な経費に回せということが相当強調されておったと、そういうような内容から見て、さらにまた、第五の職員構成の適正化についての項の中で、新陳代謝の問題が相当強調され、うたっておる。こういうところから見て、まず職員の合理化を行ない、首切りを行なって、それによって浮かせた金でいわば低給与の引き上げをしろと、こういうように、悪く読むと、どうもそういうふうに読めるような節がないでもないと、われわれこれは少し勘ぐりかもしれませんけれども、考えられるわけなんであります。そこで、この点ははっきりとお聞きをしたいことは、もちろん、院の決議のあの内容を読んでいただけばわかると思うのでありますが、これはもう局長、当然わかっておると思うのですけれども、首切りをして給与の引き上げの財源にしようということは、当委員会としてももちろん考えておらぬことであって、そういうような考え方の流れではないと私は考えるのでありますが、念のために、一つ局長からその点をお伺いしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/104
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105・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) われわれも、給与の改善を行なう際には、必ずいわゆる人員整理を行なわなければいかぬというような態度を従来からもとってきたわけでもございませんし、現在もそういう態度をとっておるわけではありません。ただ、また一環的に公務員制度自体として考えました場合において、なお町村当たりの財政状況、その中におきまする人件費の占める比重その他を見ました場合に、さらに、人事制度自体として考えた場合におきましては、やはりできるだけ職場というものの空気を明朗にいたしまして、公務の能率的な運営をはからなければならぬというような点から申しましても、やはり職員の新陳代謝ということは、合理的に行なわれる限り、私はやはり進んでやるべき筋合いのものではないかというふうに考えておるのでありまして、そういうことは、任用制度その他を含めて人事制度の改善という一環として全体的に通牒をいたしましたので、そういった点も全部含まれておるわけであります。ただ、給与改善を行なう際には、ぜひともそれは新陳代謝をはかって浮かした金でなければやっちゃいかぬとか、そういうことは、むろん通牒の文面をごらんいただきましても、そういうものは現われておらないと思いまするし、その点においては、小委員会の御趣旨というものに背反したものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/105
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106・占部秀男
○占部秀男君 この点、実は地方の方へ行きますと、通牒全体として見てですね。やはり今まで低給与に置かれておったという歴史的な事実があるものですから、市町村長さんは、まあそういうことはないとは思うのですけれども、そういうことで今度の通達が出たのではないと思うのですけれども、そこにウエートを置いてとかくこういう問題を処理しがちであると、そのために職員団体との間にトラブルが起こるというような事例がたびたびあるわけでありますけれども、従って、この人員の適正配置の問題であるとか、その他の問題も、今局長の言われたような一般的な問題としてはあり得ると思うし、またそういう点が出てくる場合もあると思うのでありますけれども、しかし、この給与の低い是正という問題とは、これは本質的に違う問題であって、それを直接的に橋をかけるような形の地方の動きについては、厳に一つ警戒というか、そういうことのないように御指導をいただきたいと思うわけであります。その点、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/106
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107・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 公務員制度全般の総合的な通牒というのは、実は今回初めてだと思います。そういう意味で、どういう反響が参りますか、まだ今のところ具体的には出ておりませんですが、それらの趣旨等については、今後機会あります。ことに、一片の通牒として流しっぱなしということでなくて、会議その他を通じて明らかにして参りたいと考えておるのであります。給与改善等につきましては、先刻も申し上げましたように、これは新陳代謝をはからなければ、それを前提としておるのであって、それが行なわれなければ絶対にやっちゃいかぬとか、そういうような趣旨でないことは、これはむろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/107
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108・占部秀男
○占部秀男君 そこで、この第一の給与制度の合理化の基本方針の中で、一つだけお伺いしたいことは、総合的な長期的なこの給与の合理化の計画を立てる必要があると、こういうことをまあうたわれておるわけでありますが、考えられておるのは、どういうふうな形を考えられておられるのでありますか。その内容を、もしよかったら、一つ率直にお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/108
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109・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) ある具体的な市町村がございまして、そこにおける給与体系あるいは給与水準がかくかくであるといたしました場合、いわゆるあるべき給与水準というものはそれぞれある程度まあ想定されるわけであります。ただ、その場合に、その開きが非常に大きいという場合には、今までも累次申し上げておりまするように、急にそれを理想的にと申しますか、あるべき姿に持って参るということは、意欲としてございましても、そのために財政負担というものが急増して参るということもあわせて当然に予測せられる事柄でございます。従いまして、給与改善という方式に踏み切った場合におきましても、おのずから財政負担が急増をして、そのために財政構造がきわめて悪くなるということになりましては、これは、給与の面だけから見ればそれでいいかもしれませんけれども、全体のやっぱり財政改善というような点、あるいは健全なる財政運営というような面から見ますれば、これは、いろいろ国の立場から見ましても、諸施策を講じて今まで曲りなりにもやってきたというような状況でございましてそれを一挙に今くつがえしてしまうということになりましても、これは本来の趣旨からは逸脱すると思うのであります。そういう意味で、おのずからあるべき水準に持っていくにはどうするかということを考え、なおそれを実施に移していく年次別計画というものをあわせて考えて、その場合に、長期的な視野のもとに総合的に一つ考えてもらいたいという点を、やはり自治庁として申す場合においては、当然やはり主張すべきである。また、全体としての町村行政の、あるいは財政の運営に当たる者といたしましては、当然それらの点を頭に置いていただきたい。そういう希望を表明したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/109
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110・占部秀男
○占部秀男君 一口に申せば、財政的にもいろいろ程度が各市町村ごとにあるので、従ってどうしても、給与の是正をする場合に、その市町村ならその市町村の財政的な基礎が今言われたように、くずれるような形があってはならない。そういう場合には、三年計画なり何年計画という形で問題の処理に当たっていく、少なくとも低給与の是正については、漸進の方向で問題の計画を立てさせると、こういう形でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/110
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111・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 個々具体的な市町村につきましては、それぞれの事情がございます。給与水準自体も、いわゆる理論給与と称せられるものとの差というものも非常に大きい所もあり、そうでない所もある。また、財政状況なども個々別々に違っております。しかし、これを一般的に申しまする場合においては、やはりある程度視野を広くして、しかも遠くを見ながら、長期的な視野に立って、それらは総合的に判定をして、具体的に一つ適正なところでやってもらいたい、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/111
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112・占部秀男
○占部秀男君 この問題は、このあとで新市町村建設計画あるいは財政再建計画との調整をうたっておるのでありますが、これは、新市町村建設計画並びに財政再建計画との調整という、その調整の言葉は、給与改善なら給与改善という問題に優先して云々というような意味合いではないと私は考えるのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/112
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113・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 新市町村建設計画なりあるいは財政再建計画なりというものを必ずしも優先しなければならないということはないと思います。ただ、財政再建計画あたりにつきましては、それぞれ年次別の計画がございます。それらにつきましては、その後の事情の変更に応じまして、なるべく早く、再建期間を短縮して参りたいというような要請もあろうかと思います。それらとのやはり見合わせで、個々具体的に検討してもらいたい。ただ、われわれの立場としては、やはり非常に著しく低給与にあるというようなものは、この際、やはり漸進的に改善の方向に向けて参りたい、そういう趣旨を盛り込みながら、やはりその他の全体的な計画との調和も当然はかって参らなければならぬものであると、そういう意味のことを表わしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/113
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114・占部秀男
○占部秀男君 次に、二項の給与関係、条例の整備というような問題でございますけれども、この整備について、前文では、国家公務員に準ずべきことは当然である。その給与制度も国家公務員に準ずべきことは当然である。かようにしるされておるのでありますが、この項に入りますと、国及び類似団体や地域における民間団体との給与の関連と、こういう点が相当強調されておるように見受けられるわけであります。そこで、この類似の地方団体というようなことを特に中心に置かれるようになると、低い類似の団体を見合うという形で、結局は、何と申しますか、低い者同士があっせんし合うというような形で、結局、市町村の現場においては、引き上げるものも引き上げられないというような問題が起きてきては困るというところを私心配するわけでありますが、このうたっておる意味はどういう意味でありますか。むしろ私は、前文でうたっておるように、国家公務員の給与にまず準ずることが先決であると、かようにはっきりとうたってもらうべきではなかったかと、かように思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/114
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115・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) もちろん、一番ひどい状況にありまする町村というものをお互いに横目で見ながら、それらに準じていくというようなことでは、これは給与の改善というものは行なわれません。しかし、地方公務員法自体の精神もそういうところにあるのではないことは御承知の通りであります。国の制度に準じ、なお地方公共団体の実態というものを参酌し、さらには、民間の事業者のベースの状況というものを考えながら考慮していくべきである。なお、その他に財政状況等も、その他という条件で勘案をしていくことが当然であるという建前になっておるのであります。ただ基本は、お話しになりましたように、給与の関係等については、国の給与に準ずるという建前を本則にしておることは、これは事実でございます。今までも、その趣旨をもちまして指導をやってきております。類似の通牒、特に国家公務員につきまして、給与改訂等がございました際には、これを受けて地方に示達をいたします通牒にも、その趣旨のことを盛り込んでおるわけであります。大体においては、その精神が生かされて、今日まで来ておると思います。ただ、中になかなかそこまで参らないというものがなおございまするので、それらについても、この際、一歩前進の一つ態勢を指導して参りたいという趣旨に出たものであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/115
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116・占部秀男
○占部秀男君 なぜこういう点を念を入れるかといいますと、地方の現場、特に低いような市町村の場合には、いつの場合でも、その地方の家内工業的な、何か製材場、木工場というような、半分住み込みで働いておるというような、そして市会議員なり町村会議員の方々がそれを経営しておる。こういうような形から、市町村の職員の給与を上げると、おれの工場の職工の給与も上げなくちゃならぬので、けしからぬというので、これは上げないようにしようということは、事実そういう点がまだまだたくさんあるのであります。特に市町村の職員は、やはり地方公務員であって、しかも、局長が認められておるように、今日合併以後の市町村というものは、相当近代化の方向に向かっている。こういうようなときでありますから、そういうようなことのないように、一つ民間産業の問題の特に低いところに持ってきて押えるというような、そういうことのないように、この点については、特に一つ行政指導を御配慮願いたい。かように感じて私は言ったわけですけれども、その点局長、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/116
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117・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) その点につきましても、先刻申し上げたことと趣旨は同一になると思いますが、民間の事業場の給与等につきましても、これを参考としながらきめなければならぬと言っておりますのは、むろん民間の給与というものから突拍子もない、かけ離れた高いものになってはならぬという点の含みは一つあると思います。しかし、現実に今問題になっておりまするのは、町村の給与等というものは、そういうレベルからはむしろはるかに低いものもあるわけであります。たまたまある具体的な工場、あるいはそれも家内工業のそういう従業員の給与を理由として、それを低位に押えていくというような態度は、これは法律の精神でもないことは言うまでもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/117
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118・占部秀男
○占部秀男君 次に、給料表の制度の問題について、ちょっと簡単にお伺いしたいのですが、この自治庁の方で簡素化しようということには、この前からのお話ですが、これは、われわれとしても、実態に合った問題であると思っておるんですけれども、簡素化の方向が、ここで掲げているものは、そういうことはないと思うのですが、たとえば、国の六、七、八級というようなところにこうしわ寄せというか圧縮というか腰だめをしていくとか、あるいはまた、昇給の幅を圧縮するとか、さようなことは、当然給料表の簡素化の中には入っていないとは思うのですけれども、そういう点についても、はっきりした行政指導を今度願えると思うのですが、その点、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/118
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119・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今の制度に移ります場合に、いわゆる何級々々という制度をとっておった時代がございますことは、御承知の通りでございます。あの場合に、国においては十五級という制度まであったわけでございますけれども、その際に、町村等におきましては、まあ指導の徹底もはかれなかったこともございましょうが、そのまま国の制度をとって、十五級制というようなものを実は採用しておった向きもあったのであります。今度の等級制になりました際にもその点十分に考えまして、ただ文字通りに、国の方が八等級をとっておる、従ってこれも八等級でやらなければならぬというものではない。そもそも府県の段階においても、大きな府県というものについても、ある程度のその点実態に合った一つ等級制をしくべきである。さらに町村等におきましては、さらにその実態に合った、もう少し簡素化された俸給表を採用すべきである、そういう主張をいたしておるのであります。従って、別に六、七、八の等級に、そこへ押し込めろという趣旨でないことはむろんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/119
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120・占部秀男
○占部秀男君 それから次に、初任給についての問題が出ておるのですけれども、この中で、先般非常に、われわれはその通りだと思うのですが、この「給料の額については、国家公務員、他の地方公共団体の職員、」この辺まではいいのですが、「民間事業の従業者との均衡及び任用制度との関連を考慮し、明確な基準を設定すること。」こういうことになっておるのですが、この前の局長の御答弁の中で、ほぼこの問題についての同じような答弁が出ておるのですから、あまりしつこくは言いたくないのですけれども、やはり明確な、むしろ初任給はこの程度だという明確な、何といいますか、基準といいますか、具体的な額をきめた基準を明らかにしてもらうべきではなかったかと私は思うのですが、それでないと、どうも初任給のこの基準が低くとらえられ過ぎて、そして結局は低給与の引き上げ、改善という問題も、なかなか中間の中だるみの形になると、こういうことをわれわれはおそれるのですけれども、その点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/120
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121・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 初任給を具体的に今基準を示したらいいではないかという点でございますが、その点につきましては、お説もごもっともであろうかと思うのでありますが、基準をきめるとなりますると、どういたしましても、国の基準ということが一番理屈のつくものになってくるわけであります。その場合に、現在国の方で七千二百円なら七千二百円ということをある学歴の者について考えておる。しかも、法律できめられておるという場合に、地方は、それは五千円でいいということを示すことは実はできないのでありまして、それこそむしろおかしいではないかという議論の方が勝ちを制するだろうと思うのであります。しからばといいまして、今国がやっておるから、それは七千二百円で絶対に一つ統一しなければいかぬということを申しました場合に、さらでだに、そのほかの職員につきましても、そこまでは至っておらないというものも実はあるわけであります。その点、初任給の段階においてあまり明確な線を具体的に出しますと、その影響するところがあまりにも大き過ぎて、また弾力性が非常に乏しくなるのではないか、その点、踏み切るべきが当然だという議論もあろうかと思いますけれども、その点は、もう少しやはり地方の財政状況その他をにらみ合わせまして、弾力性のある、長期的見通しというものを可能にするような余地を残しておきたいという、実は正直を申せば、考え方に出ているものでございます。この内容につきましては、実は重点といたしましては、国の場合も参酌しつつ明確な基準を一つ書きなさいということでございます。今、町村あたりにおいては、初任給というようなものもまるきりはっきりしたものがきまっておらないで、町長あたりが、まあいわば恣意的な判断と申せば適切ではないかも存じませんけれども、上の者がこうだからこのくらいでいいだろうというようなことで、きわめて明確な基準に基づかないでやられておる向きもございますので、そういうものについては、やはりはっきりとした基準をきめていく。その基準をきめることによって、漸次従来の在職者等の給与決定というものもはっきりしてくるのではないか。そういう点に実は重点を置いたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/121
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122・占部秀男
○占部秀男君 現在の市町村の人事関係の幹部の恣意的な判断でやられるよりか、はるかにこの点は前進をしておると思うのでありますが、ただ、前進をしておっても、事実内容的に前進をしないと、これは一片の通達というだけに終わると、こういうことになるわけであります。従って、この点については、われわれも今後の推移を見て、一つ局長の方にもこの点についての要請あるいはまたお話もいたしたいと思うのですが、やはりこの指導の結果、ある程度問題がどうしてもはっきり行かないという場合には、やはり国の方として、モデル・ケース的なものは、かりに臨時的な暫定的なものであろうとも、やはり明示してもらうということが、この問題を進める推進力になると思うのでございまして、その点は、きょうは一応今の局長の御答弁がありましたので、この次に、一つ私も考え方をまとめて、譲りたいと思うわけであります。
その次に、昇給についての定期昇給の問題をうたってあることは、これは非常に、現在の市町村の職員の立場からいうと、その通りやってもらわなければならぬ問題でありますが、ただ、その中で気になることは、昇給の場合に、事情によって、「特別の事情がない限り」という条件がついておるわけです。これはどうも、すべて「特別の事情」というものにひっかけられて、結局この低給与があるべき姿になかなか進まないというような場合が出てこやしないかということを私たちは心配するわけであります。そこで、この「特別の事情がない限り」定期昇給はやるべきであるという、こういう「特別の事情」というのは、一体どういうようなことを指導される心組みでいらっしゃるか、その点を一つお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/122
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123・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 「特別の事情」というのはこういう場合だということを具体的にあげて指導するつもりは持っておりません。ただ、こういう通牒でございますので、あまり抜き差しならぬところにまで追い込むということも、この点考えていかなければならぬということを念頭に置いておりますために、方々にそれらしい表現があるわけでございますけれども、われわれといたしましては、「特別の事情がない限り」というのはこういうような場合だということを特に説明をするつもりはございません。ただ、今後の長い年月のことをかりに考えました場合において、また、先年のような地方財政の逼迫というようなことが絶無であるということは言い切れないのではないかというふうに思うのであります。そういう際に、好ましくないことでございましても、全体として昇給を一時見合わせるというような事情が全体として出て参りました場合に、それすらも許されないというようなことはいかがであろうかというようなことを実は念頭には置いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/123
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124・占部秀男
○占部秀男君 全体的な場合のことを主として考えておるのですね。
それから、任命権者の裁量によって差別昇給が行なわれないように、何らか一つ具体的な指導を、これはこまかい形になるかもしれませんが、この機会に一つやっていただきたいと思うのですが、その点、いかがでございましょうか、だいぶあるように見受けられますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/124
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125・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 昇給についても、法律の規定は、御承知のように、良好な勤務成績をもって所定の期間を勤務したという場合に行なうことができるのだという建前になっておることは、これは事実でございます。それらのいわゆるメリット・システムに反するような昇給のやり方、あるいは昇給をさせないやり方、これはやはり人事管理面から申しても適正な運営とは言えないのでありまして、そのあるべき姿に持って参りますることは、行政指導面においては気をつけてやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/125
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126・占部秀男
○占部秀男君 それから諸手当の問題ですが、ここに列挙的に、時間外勤務手当あるいは宿日直手当等が書かれておるのですが、この文面を読んでみますと、このほかに、たとえば特殊勤務手当であるとか、夜勤の問題であるとか、休日給であるとか、いろいろ現在法律でうたってあるところでも、五つ、六つ、まだ諸手当その他の給与の内容があるわけですが、それらを含めての意味をここに書かれたのだと私は思うのですけれども、念のために一つお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/126
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127・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 退職手当等諸手当、こういうふうに書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/127
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128・占部秀男
○占部秀男君 それからその次に、この任用制度について急所の点だけ一つお伺いをいたしておきますが、この市町村の任用の問題については、これは今度試験を、公開試験の問題を強調されておるので、非常にわれわれもけっこうだと思うのでありますけれども、なかなかそれだけでは行けないまだ現実が相当あるということは、言うまでもないわけでございます。そこで、この任用にあたって、試験採用をする場合と選考採用が行なわれた場合とで、従来その身分や給与の問題で相当ズレのある場合があるのです。いわば二重構造的な問題が市町村によっては起こっておる。その起こった二重構造をどういうふうに是正するかということで、またこれも頭の痛い問題になっておるというような実情もあるわけですが、今度の指導にあたっては、一つ二重構造的な問題が起こらないように御指導を願いたい。かように思うわけですが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/128
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129・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 競争試験も選考も、それぞれ任用方法の形式でございます。できる限り競争試験によるべきである。どうしても競争試験により得ない場合には、選考によっても差しつかえがない、やむを得ないという建前をとっておるのでありますが、いずれにしても、これは任用方法の形式でございます。従って、任用された職員の身分、給与等につきましては、これは取り扱いを異にすべき筋合いのものではない。業種のいかんによりまして差別が生じてくるということは、むろんこれはやむを得ませんが、任用方法によって差別をつける筋合いではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/129
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130・占部秀男
○占部秀男君 次に、選考の場合に、この通達では、明確な選考基準を実施するようにしろということを書いてあるのですが、非常にこれは私は賛成だと思うのでありまして、こういうことは、結局ひもつき人事あるいは人事の暗さというものを一掃して、明朗化する一番基礎になると思うのでありますが、そういうような意味で、非常に賛成なんでありますが、ただこれを言いっぱなしでは、なかなか市町村、特に小さな市町村の場合には、これがなかなか実行できがたいある一面もあるのでありまして、従って、選考に対する基準を作る、その基準はかくのごとき基準を作ったらいいのじゃないかというような、モデル的なものを示して行政指導をしていただけば非常にけっこうだと思うのですが、その点についてのお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/130
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131・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) ただいまのところでは、そこまでのことは考えておりませんですが、今後地方課長会議等をやりまして、あるいはその後の指導による実績、実態等を見ました上で、そういう必要性があるということでございますれば、われわれとしても、基準というものについて考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/131
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132・占部秀男
○占部秀男君 次に、この職員構成の適正化の項でありますけれども、これは先ほど触れましたので、私も省略したいと思いますが、どうもこの今回の問題は、給与制度の合理化が中心となっておる。そこへもってきてこういう点が入ってきますと、目ざわりということは私はどうも言い過ぎで、そこまで言うのはどうかと思うのですけれども、何かここにウエートを置かれるという感じがどうしても強く感じられるものですから、従って、この文章にも書かれておる新陳代謝その他の問題については、先ほど局長が申されましたように、一般的な問題として、特におそらくこの通達を中心に、あちらこちらの市町村で、低給与の引き上げがどの程度であるかは別として、実際の実施段階に入ると思うんですが、そういう場合に、これがブレーキの役をしないように、五月ですか、人事会議なり、あるいは詳細な手段方法の細則的な問題を出す場合に、特に一つ御注意を願いたいと思うわけであります。これがどうにも突っかい棒になりますと、せっかく院でやった決議も逆効果を来たすということになりますので、特にその点を念を入れてお願いしたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/132
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133・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻も申し上げましたように、この点を給与改善の前提条件にするという意図は持っておりません。ただ、全体的に、任用制度あるいは給与制度の改善をはかります際には、これらの点も念頭に入れて運営をしてもらいたいという趣旨を明らかにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/133
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134・占部秀男
○占部秀男君 それからもう一つ、これに関連をして、職員構成の適正化の問題の中で、特に昭和三十一年でしたか、新市町村建設方針、あれを出されたときに、その中に、運営面の関係から、別表二として、人口段階別に、何人くらいの職員が適当であるということを出されているわけですが、今度はあの表をそのままつけて出しているわけであります。ところが、われわれの考えからいきますと、あの表以降、相当な事務事業の量もふえている。しかも、町村合併後の新市町村の近代的な体制の中で、事務の質的な変更、事業の質的な発展、いわば行政水準の引き上げというような形の問題もある。そこで、あれをあのまま、何か参考ならばいいですけれども、おそらく参考のつもりで出したと思うのですけれども、あれを資料にしてきちっと割られてしまうと、これは、ほんとうに低給与の地ならしをするために、はみ出した人間を首を切るという形になるわけでありまして、そういう点は、おそらく参考だとは思うんですけれども、あの点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/134
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135・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 今度の通牒は、実はその中に、従来示して参りました通牒にも言及をいたしておりまして、いわば任用制度なり給与問題の運営についての集大成した一つの運営指導方針としてこれを考えていきたいというつもりもあったわけであります。そういう意味で、いろいろなものを盛り込んでおります。また、新市町村の一つの人員配置基準上申しますものにつきましても、今の段階では、これを別に訂正するつもりもございませんし、従来出ておるものでございますから、これを付加したのでございますが、しかしこれは、御承知のように、参考にして一つ考えられたい。人員構成を考えるにも、いろいろな点を考えるにも、やはり参考に一つしてもらいたいということを要請したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/135
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136・占部秀男
○占部秀男君 重ねて、くどいようですが、あれで規制しようという考えはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/136
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137・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 個々具体的な町村等について聞かれました場合におきましては、いろいろ具体的にはお答えをいたしますけれども、これでもって全部の市町村がこの基準に合っておるかというと、実はそういうわけでもございませんので、その点、おのずから指導方針のニュアンスというものがおわかりいただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/137
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138・占部秀男
○占部秀男君 その点、しつっこいようですが、ニュアンスは、われわれも決して一本やりでぽんと上げてもらおうなんていうことも、なかなか個々の団体別に財政事情もあるし、いろいろな歴史的な過程もあるのですから、機械的な考えを持っていないのですが、ただ、人口段階別になった職員数というものを、三十一年当時のやつをそのままで規制をしようという形になると、これは非常にトラブルが起こってくるので、そういう点はないだろうと思うのですけれども、その点だけ明確に一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/138
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139・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 繰り返して申しますが、参考としてお示しをいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/139
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140・占部秀男
○占部秀男君 わかりました。
次に、6の給与費の適正化の項なんですけれども、この中で、特に三十五年度地方財政計画における給与単価の問題等も出されて、相当親切に書かれておって、われわれも、決議をした側から見て、非常にありがたいと思う点が多いのでありますが、ただ、この中で、給与関係費の急激な膨張をしないようにという点を示されておるわけですが、もちろん、低給与の改善ということは、何か非常に給与をぐっと引き上げて、プラス・アルファを取るとかなんとかいう問題じゃなくして急激な膨張ということは、私は、特に機械的な形で行かない限りはあり得ないと考えておるのですが、どうもこういうような示され方をすると、市町村では、急激な膨張をするのだからいけないと書いてあるから、こういう点についてはまずあとにしようと、こういうことになりがちなんで、そういう点については、やはり具体的に、何と申しますか、これによって市町村長さんたちが口実を設けて逃げるという言い方は悪いのですけれども、そういうことのないような一つ指導をはっきりとしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/140
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141・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 実は、御承知のように、従来も、財政計画上におきましては、それぞれ最近の資料に基づいて、可能な限り、いわゆる実態に合うべき適正給与というものを算定をいたしまして、これを基準にいたしておるのであります。来年度の財政計画におきましても、一昨年七月に施行いたしました給与の実態調査というものに即応しながら、これをいわゆる理論給与といわれるものに手直しをして、これを基準にして見ておるので、従来とてもその方針には別に変わりはなかったわけでございますけれども、事実は、ある町村等に例をとってみれば、実態調査をすれば、財政計画上に計上されておるそこまで実は行っておらない。行っておらないという場合はどうなっておるかということなんですが、その経費はどこに使われておるのか。いろいろむずかしい問題は別といたしましても、そうだからといって、それを急激に増加をする、理論給与まで一ぺんに持ってくるということをやりました場合には、現実の町村の財政等にとっては、非常にやはり他の部面への重圧が参るということは事実でございます。また、そういうところへしわ寄せを生ぜしめないようにするといたしますれば、勢い歳入等について過大な見積りをして、つじつまを合わせるというようなことにも相なって参るわけであります。いずれにしても、あまりにも急激な財政構造の変化を生ぜしめるということになりますと、将来の財政運営にもきわめて困難が予想せられるということでございます。そういうやはり大ワクというものは、われわれ自治庁としては、はめておかざるを得ないのではなかろうか。しかし、あくまで適正なる給与単価というものは計画の中に振り込んでいく、そういう方向に向かって、漸進的に改善を行なっていくというのがわれわれのほんとうの気持であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/141
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142・占部秀男
○占部秀男君 実は、地財計画上の給与単価の問題なんでありますが、われわれの立場から言えば、少なくともその給与単価のところまでは今度は上げてもらうのは当然じゃないかと、実際地方の方が改善されるのが当然じゃないかと、こういうような考え方を持っているのですけれども、いずれにしても、その事実は、その個々の市町村の財政状態の問題その他の問題との関連ということがありますので、これはまあ希望としてわれわれの方は申し上げておいて、局長の今言われたところに向かって引き上げていく方向については、これはもちろんやってもらわなくちゃならぬと、かように思うのでありますが、それにしても財源上の問題なんですが、これは、やはり今の市町村の状態を見ると、一定の財政のワクというものの問題もあって、これを、今局長の言われたように、その金はどこへ行ったかというような問題、こういうような問題もあるのですが、一応やはりワクというものはさまっている。そこで、これを実行し、これを実際に効果を上げていくためには、やはり財政的な問題が何としても、かりに呼び水的な問題としてあったとしても、裏づけ的なものがなくちゃならないと考えるし、決議の中にも、そういう点もうたわれているわけでありますが、何か今度の地財計画上は、市町村の側で一万二、三千人ですか、実態調査の調べ……これから見て、給与の措置に対する積算の人数が少なかったというような点を補充し、さらに市町村関係については、たしか二百三十五円でしたか、一人当たり単価を上げている、かような問題もあるわけであります。従って、こういうような問題が、やはり町村の低給与の是正の場合に、いわば一つのてことなって給与の問題を促進させるもとになる。そういうような意味合いで、この七十七億なら七十七億のあるものがあるのだというような形をどうも調べてみて考えているのですが、そういうように考えてよろしゅうございますか、この点については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/142
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143・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 一昨年七月に給与実態調査をしてみますと、地方財政計画に見込んでおります人数よりも実際の職員が多かった。あるいは比較的経験年数に応じて考えられる給与単価、これを比較すると、地方財政計画上の単価に不足があったというようなことから、その是正をはかったわけでございます。地方財源全体として給与費が十分でなかったということは、個々の団体の財政運営において、どこかにひずみが寄っておったと、こう思うわけでありまして、あるいは給与費は十分支払われておったけれども、事業費が不足であったとか、あるいは御指摘のような、給与費が十分に支払われていないとかというような問題があったかと思うのであります。そういうようなことから、地方財政計画の是正をはかり、さらにまた、交付税積算上の是正をはかって参ったわけでありまして、財政計画上地方団体の財政運営を不合理ならしめないようにしたいという考え方を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/143
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144・占部秀男
○占部秀男君 局長からそのお話を聞いて、やや明るい気持がしたわけですが、そうすると、そういうような金というものは、この交付税という形で、交付団体にはどんな措置で具体的には流れていくことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/144
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145・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 交付税の場合には、行政項目ごとに単位費用を法定しているわけでありますが、その単位費用を法定することにつきましては、標準団体にどの程度職員数を必要とし、また、その職員に支払うべき給与費はどの程度であるべきかということを想定しているわけであります。その想定自身に修正を加えて単位費用をはじき直すという作業をやったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/145
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146・占部秀男
○占部秀男君 なお、このことに関連して、何か給与の引き上げやその他があったような場合には、あれはたしか基準財政需要額の積算の基礎の問題になるのじゃないかと思うのですが、その他の項か何かに引っくるめて、毎年ふくらましておったと思うのですが、そういうようなことも、やはりこの場合には行なわれることになるわけでありますか。その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/146
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147・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 原則的には、今回の中級職員の給与改訂の問題でありますとか、あるいは期末手当の増額の問題でありますとか、あるいは昇給財源の問題でありますとか、そういうものを個々の行政項目について見ておるわけであります。しかし、さらにその他の諸費におきまして一括して弾力のある財源を見るというような計算の仕方をいたしております。三十四年度におきましては、交付税の計算方式についてかなり大幅な改正を加えたわけでございまして、その際に、昇給財源は一括してその他諸費に算入したというようなことがございます。今回は、先ほど申し上げましたような給与実態調査の結果に基づく是正もございましたので、それぞれの行政項目につきまして、適正な給与単価を基礎にして単位費用をはじいていくという作業を行なったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/147
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148・占部秀男
○占部秀男君 最後に、勤務時間その他の勤務条件に関する事項なんですが、この中で、一つ特に留意をしておいていただきたいと思うことは、勤務時間その他が国の基準を中心にして条例化される、規定されるということは、これは私は、当然必要だし、かくあらねばならないと考えるわけなんでありますけれども、この市町村の、特に小さな市町村の場合は、御存じのように、労働基準法に関連のある問題が相当含まれておるわけですね。この労務といいますか、勤務の状態の中で、しかも、その小さな市町村は、結局市町村長が基準法に基づく、何といいますか、監督といいますか、それの責務を負っておるということから、結局、超過勤務をやっても金は払ってもらえないけれども、それを訴える先が支払うべき市長さんであるというような、町長さんであるというようなことや、いろいろなことから、とかく労働強化になりがちになっておりますし、また私は、そういうあり方も、法体系の上からもおかしいんじゃないかと思いますが、相当労働強化になっておる部面がある。私、現実の場で見ておるのですが、この際、そういうことのないように、一挙に法の改正というまではいかなくても、その間行政指導その他で、この勤務時間その他の条例をきめることや、結局は労働強化になるというようなことのないように、一つの強力な指導をこの際あわせてやっていただきたいと同時に、やはり使う者と、基準法による、何と申しますか、監督権を持つ者との間の合理的な責任を明確にする点について、将来やはりこれをやってもらわなくちゃならないんじゃないか。特にILOの問題もあるし、そういう点について御留意を願いたいと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/148
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149・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) これを機会に勤務条件あるいは労働時間の強化等をはかるというつもりは毛頭持っておりません。これは、あくまでやはり大体においては国の制度に準じてやっていくべき筋合いのものであると考えております。ただ、きわめて不明確なところがなおたくさんございます。そういう面については、やはり条例あるいは関係規則で明確に一つやって参りたいというのでございます。
なお、労働基準監督機関の問題につきましては、これは、当初地方公務員法ができました際にいろいろ論議がございました末、現行のようになっております。その点、府県の段階あるいは人事委員会のある段階においては、第三者機関たる人事委員会が監督を行なっておりますので、比較的問題は少ない。しかし、人事委員会のない所においては、長がその権限を行使するということのために、若干監督の権限というものは適正に発揮されないんじゃないかというような問題が、これは絶無ではないと思います。事実そういうことのために問題を生じた所も若干ございます。そのつど、そういうものについては注意はいたしておりますが、制度としてどういうあり方がいいのかということにつきましては、なお今後一つ研究をいたしまして、改正を要するめどがはっきりとわれわれとしても確信がつきますならば、機会のある場合に考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/149
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150・占部秀男
○占部秀男君 最後ですが、特にその点お願いしたいことは、今までは、勤務時間なり何なりの規定というものは、条例あるいは規則等でなかった。ところが今度は、この法的な措置、形ででき上がったというと、それ自体は強制力を持つわけでありまして、その勤務時間の、何といいますか、ひずみというか、押えられる方はそれであるけれども、さて今度はその無権利の状態にあって、一方では条例等で縛られていくということになると、非常に職員としては何か重圧を感ずる。事実その場では、問題も今度は公式な形で起こってくると思う。今までは超過勤務をやっても泣き寝入りしたというような形が、すべて条例になってくると、なかなかそうはいかないということで、トラブルが起こる心配が私は相当あると思いますので、そういう点については、特に一つ速急に御留意を願いたいと思うのです。
それから最後に、大臣に、これは一言だけですが、もうすでに両局長からいやというような顔をされておるほど、この点お話したんで、言うことはないんですが、いずれにしても、今地方の方は、今度いよいよ通達が出されるというので、非常な期待を持っておるわけです。先ほど局長にもこまかい点についてお願いを申し上げておきましたけれども、要は、やはり一挙にそこまで行くか、あるいはそれぞれの個々の市町村の事情によって段階的に進んでいくかという、その違いは私はあると思うのですが、いずれにしても、本案を契機に、この給与の特に谷間におる低い市町村の職員の給与は、平均並みのところまでは速急に一つ改善するように、これがバックをしないように、あと戻りをしないように、一つ行政指導その他でお願いをしたいと思うんですが、大臣の一つ速急にやってやるという声をお願いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/150
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151・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほど両局長からいろいろお答え申し上げたんでありまするが、ことに三十五年度の地方財政計画には、給与の実態調査に基づくものであるとか、あるいはまた、人事院勧告に基づく是正であるとか、昇給であるとか、そういう財源を相当基準財政需要額に見て計上しておるのであります。御指摘のように、市町村ことに町村の給与の実態は非常に低いと思うのでありまして、今後とも、こういうことの是正、向上につきましては、できる限りの努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/151
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152・占部秀男
○占部秀男君 どうも長いこと、委員長、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/152
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153・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 大臣への質疑は次会に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X02019600419/153
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