1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 柴田 栄君
理事
鈴木 恭一君
手島 栄君
松平 勇雄君
森中 守義君
委員
新谷寅三郎君
寺尾 豊君
野田 俊作君
最上 英子君
谷村 貞治君
鈴木 強君
野上 元君
光村 甚助君
国務大臣
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
政府委員
郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君
電気通信監理官 松田 英一君
同 岩元 巖君
郵政省監察局長 荘 宏君
郵政省郵務局長 板野 学君
郵政省貯金局長 山本 圭二君
郵政省簡易保険
局長 大塚 茂君
郵政省電波監理
局長 甘利 省吾君
郵政省経理局長 西村 尚治君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
説明員
郵政大臣官房人
事部長 佐方 信博君
日本電信電話公
社総裁 大橋 八郎君
日本電信電話公
社副総裁 横田 信夫君
参考人
日本放送協会会
長 野村 秀雄君
日本放送協会専
務理事 田辺 義敏君
日本放送協会専
務理事 小野 吉郎君
日本放送協会経
理局長 春日 由三君
株式会社フジテ
レビジョン常務
取締役 福田 英雄君
株式会社日本教
育テレビ取締役 森本 重武君
日本テレビ放送
網株式会社取締
役社長 清水与七郎君
株式会社ラジオ
東京常務取締役 遠藤 幸吉君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○電信電話設備の拡充のための暫定措
置に関する法律案(内閣送付、予備
審査)
○日本電信電話公社法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○放送法第三十七条第二項の規定に基
づき、国会の承認を求めるの件(内
閣送付、予備審査)
○郵政事業及び電気通信事業の運営並
びに電波に関する調査
(郵政事業一般並びにカラーテレビ
ジョンに関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/0
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ただいまから開会いたします。
まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のうち、カラーテレビジョンに関する件の調査のため、日本民間放送連盟の株式会社ラジオ東京常務取締役遠藤幸吉君、同じく日本テレビ放送網株式会社取締役社長清水与七郎君、同じく株式会社日本教育テレビ取締役森本重武君及び同じく株式会社フジテレビ常務取締役福田英雄君を参考人に決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/1
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002・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
なお、出席要求の手続等は、委員長に御一任願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/2
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003・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/3
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004・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま議題になりました電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案について御説明申し上げます。
公衆電気通信設備の整備拡充につきましては、政府及び日本電信電話公社において鋭意努力しているところでありまして、加入電話の数は、昨年末において戦後最高の百八万加入の約三倍に当たる三百十四万加入に達するという目ざましい実績をおさめております。しかしながら、わが国経済の急速な成長を反映いたしまして、加入電話に対する需要の伸びはまことに著しいものがあり、日本電信電話公社において実施いたしております電信電話拡充第二次五カ年計画策定当時の予想をはるかに上回り、加入申し込みをしてまだ架設されない電話、すなわち加入申し込みの積滞数は年々増加の一途をたどっております。この間の事情を数字で申し上げますと、新規需要数は、昭和三十一年度において三十四万四千、三十二年度において三十三万七千、第二次五カ年計画の初年度である昭和三十三年度三十五万九千と激増いたしております。これに対する新規架設の数は、それぞれ二十二万二千、二十四万一千、二十六万五千でありまして、これにより累加された積滞数を含めますと、加入申し込みの積滞数は、昭和三十三年度において六十七万八千となったのであります。本昭和三十四年度におきましても、二十八万加入の増設をするにもかかわらず、新規需要は三十七万をこえるものと見込まれております。現状のまま推移いたしますと、第二次五カ年計画末期たる昭和三十七年度ころには、積滞数は百万をはるかにこえるものと推測されるのであります。このような事情にありますので、早急に設備拡充計画の規模を修正拡大し、電気通信に対する国民の強い要望にこたえる必要があるのでありますが、これに要する資金は相当大きな額に達し、その調達に特別な措置を講ずる必要が生じて参ったのであります。電信電話設備の建設資金は、日本電信電話公社の自己資金のほか、財政投融資並びに電話設備費負担臨時措置法に基づく負担金と加入者引き受け債券とによってまかなわれておりますが、自己資金については、その急激な増加は望み得ず、また、外部資金のうち、財政投融資計画に基づく分につきましても、建設計画の拡大に見合う資金需要を満たすことが困難であります。従いまして、政府といたしましては、財政投融資による資金の確保に努力いたしますことはもちろんでありますが、改定計画に基づく増設を行なって参りますために、加入電話の加入申込者等についても、建設資金の調達に従来以上の御努力を得ることが必要であります。このような次第でありますので、昭和三十六年三月末までの時限法たる現行の電話設備費負担臨時措置法にかえてこの法律を制定し、加入申し込者等に、積滞を解消することができると見込まれます昭和四十七年度までの期間、相当額の債券を引き受けていただくことといたしたい所存であります。ただし、この法律案におきましては、極力、加入申込者等の実質的な負担の軽減をはかるため、現行の設備費負担金の制度は廃止し、また引き受け債券につきましても適正な利回りにいたすよう配慮いたしておるのでございます。
次に、この法律案のおもな内容について申し上げます。
まず、第一に、債券の引き受けを要する場合であります。これは、加入電話の加入申し込みの承諾の場合、構内交換設備の増設または変更の場合等、現行の電話設備費負担臨時措置法において、負担金の支払い、または債券の引き受けを要する場合と大体同様でありますが、このほか新たなサービスである加入電信につきまして、その加入申し込みが承諾された場合を追加することといたしております。
第二に、引き受けるべき債券の払い込み額でありますが、単独電話につきましては、電話取扱局の等級に従って、一級局たる東京及び大阪の十五万円以内を最高とし、十二級局の二万円以内を最低として、その範囲内で政令で定める額といたしております。その他の場合の払い込み額は、一定の条件に従いまして、政令で定め、または公社が郵政大臣の認可を受けて定めることといたしております。
第三に、引き受けるべき債券の種類及び発行条件につきましては、郵政大臣が告示で定めることといたしておりますが、この債券の利回りにつきましては、政府保証債との均衡を考慮して定めなければならない旨を法定することといたしております。
第四に、債券の引き受け免除につきましては、国に対しましては、この法律の適用を除外し、地方公共団体の警察、消防機関等につきましては、日本電信電話公社が郵政大臣の認可を受けて債券の引き受けを一部免除することといたしております。大体において現行と同様であります。
なお、公衆電気通信法におきまして、加入電話の新規架設の宅内工事費に相当する部分を、装置料として四千円と定めておりますが、この装置料にかえ、加入電話の新規架設のために直接必要な工事費、すなわち、加入者開通工事費に相当する部分につきまして、これを設備料として一万円とすることとして付則において同法の一部を改正することといたしております。
その他、この法律案の付則におきまして、この法律は、本年四月一日から施行し、昭和四十八年三月三十一日までに廃止するものとする規定を置く等、所要の措置を規定しております。
以上の通りでございますので、何とぞ十分御審議下さいまして、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/4
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005・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/5
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006・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま議題になりました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
日本電信電話公社は、昭和二十八年度以来、電気通信設備の整備拡充に専心努力し、相当見るべき成果をあげておりますが、近時国民経済の急速な伸張に伴いまして、電話に対する需要もさらに熾烈の度を加えて参りました。そこで、これに対応いたしますため、日本電信電話公社は、昭和三十五年度以降拡充計画の規模を拡大修正することといたしたのでありますが、これに要する資金量は相当大きな額に上っております。
さて、この資金の調達でありますが、これにつきましては、財政投融資資金および日本電信電話公社の、自己資金をこれに充当いたしますほか、さきに御審議をお願いいたしました電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案に基づく電信電話債券の発行による資金の借り入れ並びに昭和三十五年度政府関係機関予算の予算総則にありますように、外貨電信電話債券の発行及び外貨資金の借り入れにこれを期待することといたしております。この外貨電信電話債券の発行及び外貨資金の借り入れを行なうためには、日本電信電話公社法の関係規定を整備する必要があります。この法律案はこの趣旨で同法の改正を行なおうとするものであります。
次に、この法律案のおもな内容について申し上げます。
まず第一に、ある特別の債券の発行につきましては、日本電信電話公社は、郵政大臣の認可を受けることを要しないことといたしております。すなわち、世銀との外貨資金の借り入れ契約に基づいて当該銀行に引き渡すための外貨電信電話債券につきましては、事前にその借り入れについて郵政大臣の認可が行なわれているものでありますため、あらためて郵政大臣の認可を受けることなく発行できることとし、また、外貨電信電話債券を失った者からの請求があった場合に、その代債券を発行いたしますことが外国の慣習等となっておりますので、そういう場合の代債券の発行につきましても、特に郵政大臣の認可を受けることを要しないとしておるのであります。なお、代債券の発行の場合には、一般の電信電話債券と同様に、政府は、これにかかる債務について保証契約をすることができる旨の規定を設けております。
第二に、世銀が日本電信電話公社に対して資金の貸付を行なった場合には、電信電話債券の債権者と同様に、日本電信電話公社の財産について先取特権を有するものといたしております。
第三に、日本電信電話公社は、電信電話債券発行等の国内における事務の委託と同様、郵政大臣の認可を受けて、外貨電信電話債券の発行等の事務を外国の銀行、信託会社等に委託することができることといたしております。
第四に、外貨電信電話債券の消化を円滑にするために、その利子等に対する租税その他の公課については、国際慣行にならって免税措置を講ずることといたしております。
第五に、日本道路公団法等の例にならいまして、日本電信電話公社が世銀の要求により引き渡した外貨電信電話債券を、外国の投資家が譲り受けましたときには、当該債券にかかる元利金の外貨送金に対する制限を取り除く措置の規定を設けております。
第六に、日本国有鉄道法の例にならいまして、電信電話債券の消滅時効を元金については十年、利子については五年と明定することといたしております。
以上の通りでございますので、何とぞ十分御審議下さいまして、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/6
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007・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題といたします。
まず、郵政大臣より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/7
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008・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十五年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由と、これらに対する郵政大臣の意見書の提出につきまして御説明を申し上げます。
この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見とともに国会に提出し、その承認を受けることになっているのでございます。
郵政大臣としましては、この収支予算等について、放送法の趣旨、日本放送協会の目的、放送事業の現状等を勘案いたしまして、お手元にお配り申し上げました通りの意見書を付しまして、国会の御審議をお願いする次第でございます。
これら収支予算等につきまして、大略御説明申し上げますと、昭和三十五年度における事業計画につきましては、日本放送協会において策定し、国会にも御報告いたしました昭和三十三年度を起点とする放送事業五カ年計画の第三年度計画を実施しようとするものでありまして、標準放送における放送網の拡充、老朽設備の改善、テレビジョン放送における総合、教育両放送の早期普及をはかり、放送番組について刷新、拡充に努め、また、国際放送の拡充、受信者維持対策の推進、技術、番組両分野における研究の強化等を行なうことをその重点といたしております。
次に、収支予算につきまして申し上げますと、収入、支出ともに、総額が三百七十二億九千八百余万円と予定しております。これを昭和三十四年度に比較いたしますと、それぞれ八十二億六千四百余万円の増加となっております。
収入、支出の内訳につきましては、資本収入が七十五億四千三百余万円、資本払出が九十三億六千八百余万円、事業収入が二百九十七億五千五百余万円、事業支出が二百七十五億七千九百余万円、予備金三億五千万円となっており、この事業収入と事業支出及び予備金の合計額との差額十八億二千六百余万円は、借入金の返還等、資本支出に充当されております。
なお、受信料につきましては、昭和三十四度との同額のラジオ月額八十五円、テレビジョン月額三百円を予定しております。また、この収支予算では、従前におけるラジオ、テレビジョンの区分を廃止しております。
次に、資金計画につきましては、本事業計画に基づきまして、年度中における資金の出入に関する計画を立てたものでございます。これらの計画等は、協会の目的に照らしまして、妥当なものと認められます。
以上をもちまして、私の説明を終わりといたしますが、何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御承認お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/8
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009・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、日本放送協会の補足的な説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/9
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010・野村秀雄
○参考人(野村秀雄君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和三十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その大綱を御説明いたしたいと存じますが、それに先だちまして、協会の現状と当面しております諸問題につきまして申し述べる機会をお与え下さいましたことを厚く御礼申し上げます。
協会は、公共放送の使命を達成するため、昭和三十三年度を起点といたします五カ年計画を策定いたし、委員各位の絶大なる御協力を得まして、着々その実現に努めて参りましたが、昭和三十五年度の事業計画の策定にあたりましては、この五カ年計画の第三年度といたしましての諸計画を、内外諸情勢の進展に即応させて調整し、遂行することを主眼といたしております。
まず、建設計画について申し上げますと、すみやかに標準放送網を完成して難聴地域を解消いたしますとともに、外国電波による混信を防止するため中継放送局の建設を行なうほか、既設放送局の一部増力を行なう等の諸計画を実施いたす予定でありますが、この計画を実施いたしますと、ラジオ第一放送の電波のカバレージは九九・三%、第二放送につきましては九六・二%となります。テレビジョンにおきましては総合放送局八局を新たに建設いたし、主要地域に対する置局を完了いたしますが、一方、教育放送につきましては三十四年度からの繰越分五局を加えまして九局を完成するほか、既設総合放送局の増力を行なう等の諸計画を実施いたしますが、この計画を実施いたしますと、総合テレビジョンのカバレージは八四%、教育テレビジョンのカバレージは四三%と向上いたします。また、FM放送につきましては、東京、大阪におきましてUHFによる実験局を建設する計画でおります。
次に、設備改善計画でありますが、現在の放送施設の中には多年使用のため老朽ははなはだしいものや、最近の番組演出方式の多様化、良質電波による良質放送の建前から見て、著しく陳腐化した諸施設がありますので、これらにつきまして、極力、取りかえ、整備を行ない、放送施設の近代化をはかるとともに、特にテレビジョンにつきましては、地方局でローカル番組を放送できますよう設備の拡充整備を積極的に行なう予定であります。
次に、放送番組について申し上げますと、ラジオにつきましては、テレビジョンの全国普及にかんがみまして、その特色を十二分に発揮した番組の編成に重点を置き、番組内容の刷新をはかることといたしますが、このため、原則として毎三十分時に一分間ニュースを新設してニュースの機動性を高める等の施策を行なう計画でおります。テレビジョンにつきましては、総合放送、教育放送とも一日平均一時間の放送時間を増加し、総合放送を一日平均十四時間、教育放送を一日平均七時間三十分といたしますと同時に、番組内容を充実し、また、全国主要地域において総合放送網が完成しますので、地域社会に直結したローカル番組をニュースを中心として拡充強化することとしております。
次に、国際放送についてでありますが、わが国の国際活動の活発化にかんがみまして、現在十六方向、一日二十五時間の放送を実施しておりますものに、三十五年度新たに朝鮮向け放送を増加するとともに、ゼネラルサービス三時間の時間増を行ない、一日十七方向二十九時間の放送を実施することを予定しております。
受信者の普及開発と、そのサービスについて申し上げますと、テレビジョンの志速な発展に伴いまして、ラジオ受信契約者が減少しておりますが、受信契約励行のPR対策を強化するとともに、廃止申し出者に対する契約継続勧奨を強力に実施いたし、極カラジオ受信契約者の維持増加をはかる計画をしており、また、有線放送ラジオ共同受信施設に対しましては、技術指導等の施策を積極的に実施し、テレビジョンにつきましては、放送網建設で解決困難な難視地域を救済する手段といたしまして、テレビジョン共同受信施設の技術指導及び設備助成等の施策を講ずることとしております。
次に、研究活動についてでありますが、番組様式の多様化に対応して、番組編成の研究、放送効果の調査を積極的に行なうとともに、技術研究につきましては、カラーテレビジョン、UHF放送の研究等を重点的に行なうことにいたしまして、協会の業務に直接役立てるだけでなく、広くわが国放送界全般の進歩発展に寄与いたしたい所存であります。
次に、従業員の待遇改善についてでありますが、従業員の素質及び同種企業の給与水準等を勘案いたし、定期昇給のほか、住宅手当等におきまして若干の待遇改善を行なう計画であります。
最後に、経理制度の合理化についてでありますが、協会がテレビジョン創業以来、実施して参りましたラジオ・テレビジョンの経理区分を廃止するとともに、その他の経理制度上の諸問題を解決いたし、今後の企業伸展に即応した体制を整えることといたしました。
以上の諸計画を実施いたしますと、支出総額は約三百七十二億九千九百万円に達します。
一方、収入についてでありますが、ラジオ受信契約者は、前にも申し述べました通り積極的な受信者維持増加対策を講じましても、なお相当の減少があるものと考えられますが、他方、テレビジョンにおきましては、置局その他の積極的な施策によりまして、順調な伸長を示すものと見込まれ、これらラジオ、テレビジョン受信契約者からの受信料収入は約二百九十四億八千万円となりますが、これに雑収入等を加えますと、事業収入各計は約二百九十七億五千五百万円となります。
また、建設計画を実施いたしますのに必要な資金七十三億八千八百万円の調達について申し上げますと、減価償却費等による二十六億八千八百万円の自己資金を除き、四十七億円の外部資金を必要といたしますが、この多額の資金の調達につきましては、協会といたしまして最大の努力を要するところであり、この面に関しましても各位の特段の御支援をお願いする次第であります。
以上、協会が当面いたしております諸問題と、昭和三十五年度の事業計画を申し述べさせていただきましたが、協会といたしましては、年ごとに加わる公共放送の任務の重いことを銘記いたし、従業員一同、総力を結集いたし、目的の達成に努力する所存でありますので、委員各位の一そうの御理解をいただきまして、御審議の上、何とぞすみやかに御承認下さいますよう、重ねてお願い申し上げて、私の説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/10
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011・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 以上三件の提出理由の説明を聴取いたした次第でありますが、本日はこれら三件につきましては趣旨説明の聴取のみにとどめたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/11
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012・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
質疑の通告がございますので、順次これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/12
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013・鈴木強
○鈴木強君 私、十分間くらい時間をいただきまして、テレビジョンの問題はあとにいたしますが、電電公社の方にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
総裁、われわれ国会で電電公社の事業について調査をしておるわけでありますが、そういう際に、この委員会で調査事項としてあげられた問題で委員の希望条項とか、いろいろな意見が出て参りますが、そういうものは公社は尊重をする建前をとっておられるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/13
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014・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) いろいろのこの委員会における御意見は十分謹聴いたしまして、でき得るかぎりその御趣旨に沿いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/14
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015・鈴木強
○鈴木強君 でき得るかぎり尊重するという御方針であることがわかりましたが、そこで、ちょっと私ふに落ちないのは、二十五日の委員会で、電電公社が今行なおうとしておる就業規則の改正と、これに伴う労働協約の改訂について公社の意見を伺ったのでありますが、まあ労働協約は就業規則に優先しますので、これからの労使慣行等について、できるかぎり労働協約の面でおやりになるということが筋だと思うのですが、公社としても現行の就業規則の改正を考えておったようであります。そこで一つこれらの問題は非常に問題が重大ですから、十分に一つ配意をいただきたい、こういう希望意見を出しておったのですが、その後の皆さんのおやりになっておる状況を把握しますと、二十九日の日でございますか、すでにその就業規則に対する交渉が決裂をしておるということを聞くのでありますが、二十五日にわれわれがここでまあ意見を申し上げて、二十九日には決裂をするというような、そういうことは、多少、皆さんがどういうふうに理解されておりますか、二十五日のときのわれわれの要望というのはあれですか、幹部全部、意思を統一していただいてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/15
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016・横田信夫
○説明員(横田信夫君) 先般先生からお話がありましたときにもお答え申し上げましたが、まあ就業規則自身は、これは労働基準法、そのほかの法律、それから労働協約、そういうものにもちろん基づいて、それに違反しないように作られなきゃならぬものでありますが、その就業規則自身は、私たちのまあ公社と申しますか、経営管理者の方でこれを作るべきもので、ただそれにつきましては、労働基準法上は、当然これは組合の意見をつけて労働基準監監督へ出すというのみならず、私たちの公社の中におきましては、これについて組合と協議してあるということで、組合の方のいろいろ意見も聞いて、それでそれだけの手続をしてやるということで進めてきております。たた、この労働協約——そういう意味で就業規則につきましては、まあ組合の方のいろいろの意見を伺った後、われわれとしては所定の手続を経てきめることになりますが、まあ今いろいろ労働協約についてのいろいろの規定はあるにいたしましても、従来と法律の変わった点、あるいは退職手当法が変わるとか、あるいは労働協約で変わる事項がある、あるいは時代の変化、そのほかによって字句、そのほかで不適当とするものがあるというようなことで、今度の就業規則も改正いたしておるわけでありますが、決裂というよりも、組合の方のいろいろな御意見を、まあ文書でも出していただいたわけでありますが、もうこれであとは繰り返しになるというくらい十分お聞きしたので、なお組合の方からも、場合において文書でなお追加をするかもわからぬという意見はありましたが、そういうものがあればできるだけ早く出してほしいということで、今の話し合いを一応打ち切った。こういうような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/16
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017・鈴木強
○鈴木強君 二十九日の交渉には副総裁お出になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/17
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018・横田信夫
○説明員(横田信夫君) 当日の交渉に私出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/18
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019・鈴木強
○鈴木強君 それで、私はその内容についてはここでは触れませんが、ただやり方ですね。やり方がまずいということを私は指摘したいと思うのですよ。お話の通りに就業規則の作定あるいは変更に関する覚書というのが組合との間に結ばれておりますが、皆さんの方から一月二十五日に改正案が提出されて、その後組合の方で意見をまとめておったでしょう。その意見を出して、この三項にもありますように、意見が提出された場合にはその意見について協議をする。これは協議がととのうかどうか別ですが、思想としてはととのうようにするというのが考え方だと思いますが、そういうシステムが明確になっておるにかかわらず、個々の問題について文書で出しっぱなし、出した、それに対して意見の交換がなしにやるということは、きわめてまずいと私は判断するのですね。もう少し、一方労働協約の改訂という基本的問題が出ているのですから、それと並行してやるなり、何かそこに工夫をこらして、できるだけ労使の意見をまとめていくという努力をすべきじゃないかと思うのです。提示されてからちょうど三十六日目に計算してみるとなるようですが、だから一カ月前に提示するとか、提示されてから十五日以内にこれに対して意見を出すとか、そういうルールがあるわけですが、もちろん、そのルールに従って労使がやることが建前でしょうが、多少そこに意見の食い違いもあるでしょうから、時間が延びることもあるでしょう。しかし、一週間、二週間争って、決裂などというような愚策をとることは、まことに遺憾だと思うのですね。ですからもう少し、どうしてあなたの方で具体的に意見を交換する場をとらなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/19
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020・横田信夫
○説明員(横田信夫君) ただいま先生からもお話がありましたように、一月二十五日に提示いたしまして、一応の原則的ルールは一カ月の間いろいろ話し合うということになっておりますが、もちろん一カ月で絶対にそういう協定だから、あと言うことがあっても聞かぬというような態度をとるべきじゃないと思います。また、われわれとしてもそういうつもりではありませんが、ただ先生も御承知のように、たとえば労働協約の改訂の申し出がある。たとえば時間短縮についてのいろいろ労働協約改訂の申し出がある。これに対しては私どもなかなか応じ切れないというようなことで、労働協約のこの辺の改訂の問題が結論に達しないということになると、就業規則を変える必要があっても、いつまでも変えるわけにはいかないという場合があって、これは、就業規則の改訂の必要につきましては、先ほど申しましたように、従来の法律の変わった点、あるいは労働協約に基づく点、あるいは従来のいきさつに基づいての字句の不適当、こういうものを協議しようというわけでありまして、もちろん労働協約が改正になれば、すぐ就業規則は改正さるべきものでありまして、また改正されなくても、労働協約は並行的に進んでいって、労働協約ができ上がりますならば、当然それに違反しますところは無効になるわけであります。もちろん労働協約についてはあくまで並行的に交渉を進めていく、こういうことでそれが進んでいるから、就業規則はやめろというわけにもいかないわけでありまして、その辺は御了解願いたいと思います。なお、交渉のやり方につきましては、先生の御意見によりまして、一そうわれわれとしても考えるべき点は考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/20
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021・鈴木強
○鈴木強君 私は労働協約は基本的な問題ですから、なかなかこれは結論が出ないと思うのです。ですから、これと同時にやれということは申しませんが、私の言う思想というのは、出された、提示された組合側の意見に対して、もう少し細目に対する意見の統一をして、この項目についてはどうも入れられないとか、入れられるとかという、取捨選択の何かが出てくると思うのですね。そういう組合側の提示された案に対して、もう少し時間をかけて慎重に両者で話し合いをして、これは協約は協約として譲るべきものは譲る、それから就業規則として認めるべきものは認める。組合の反対すべきものは反対し、また明確な項目に対する御検討をやっていただきたかったのが私の意見です。ですから就業規則程度で、緊急に、どうしても皆さんが二十九日に決裂をしてやらなければならぬという事態にあったとは私は思わないのです。今までの説明を聞いてみますと、そうであるならば、もう少しどうして時間を取らなかったかということを非常に奇異に感じてしょうがないのです。特に第二次五カ年計画を修正するという事態の中ですから、どうしても労使が相協力して国民の期待に沿うような方法を出しませんと、いかに拡大修正がかりに通ったとしても、それを消化することは困難だと思います。そういう大局的な立場に立つと、この就業規則程度が労使の中で話し合いができずして、意見も聞かずに決裂するということは、これは労務政策としても愚の骨頂じゃないかと私は思うのです。ですからもう少しどうでございますか、私はここでこれ以上意見は申し上げませんが、もうちょっと時間をかけて話し合いをするというような気持にはなれませんか、多少の考慮はできませんか、副総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/21
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022・横田信夫
○説明員(横田信夫君) 先生のお話でありますが、実は組合の意見も聞かずにというのじゃなしに、いろいろ話し合っておりまして、もうこれ以上になるともう一ぺん蒸し返しになるだけだというので、もうこれで一応打ち切りにしようという段階になったということでありまして、決して組合の意見を聞かないというようなことはなしに、また先生もよく御承知のように、これは組合の意見をつけて労働基準監督署に出すのでありますから、意見を聞かぬということはあり得ないことであります。十分組合の意見をしんしゃくして就業規則はきめられるし、またこれは労働協約に違反するようなものではもちろん無効になるものであります。そういうことで、もちろん意見を聞かぬどころでなしに、組合の意見は十分それに添えて出すわけでありまして、われわれの方が今そういう筋道の間違ったことをやれば、当然これは労働基準監督署としてもこれを認めない、こういうことになるべきものでありますので、その辺はわれわれとして決して意見を聞かぬということじゃなくて、従来それを二十五日からすっと何回かの会合を開いて打ち合せしてきた。こういう経緯につきましては御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/22
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023・鈴木強
○鈴木強君 私は、最後に希望意見になるかもしれませんが、一般の就業規則の改訂の場合と違いまして、公社の場合では、少なくとも円滑な労使慣行を確立しようということから、こういった就業規則の作成とかあるいは改訂に際しては、お互いに話し合いをしてやろうじゃないか、こういう異例といえば異例の覚書が結ばれているわけですね。お互いにその精神を尊重するということは、労働組合といえども、公社といえども、同じことです。対等の立場に立って同じように責任を感じてやるのですから、ですから第三項の普通の就業規則の改訂のように過半数以上の意見を聞いてやればできるのですよ。できるのだが、そこに一方、そういう意見が出た場合には、お互いに話し合いをしようじゃないか、協議しようということになっておるのですから、協議がととのわない場合には意見を出して最終的にはやるわけですから、そういうルールを開いておきながら、個々の問題について意見が出たからといって、それに対して全部の協議をせずに、公社側からむしろもう決裂だ、これ以上やってもしょうがない、こういうような考え方で物別れになっているということはいかにも残念に思うのです。たまたま副総裁もお出になっておらないようですから、その間の一つ実情もよく御調査いただきまして、私の言っていることは無理でないと思うのです。無理でないとすれば、やはりそういう方法に基づいてもう少し折衝していただいて、そして円満にいくかどうか、それはわかりません、私も保証はできませんが、できるだけ意見のまとまるものはまとまるものとし、まとまらないものはまとまらないものとして、意見を付してあなた方がお出しになる。そういう一つのいい慣行をこの際くずさないようにしてもらいたい。そうして労使の紛争というものは、こういうところからまたよけいにトラブルが起こることのないように、十分配慮していただきたい、こういうのが私の考え方なんですよ。その点について一つ十分二十九日の模様もお聞き下さいまして、善処をしていただくように要望しておきたいと思いますが、これはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/23
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024・横田信夫
○説明員(横田信夫君) 先生の御要望につきまして、先生のお気持はよくわかったのでありますが、私も従来のいきさつにつきましては、私いろいろほかのところに行くこともございまして、列席はできませんでしたが、概略の進行状態は時々報告を受けておりますが、ただいま御報告したようないきさつで参っておりますけれども、なお細目についてもう一ぺん詳しく事情を調査いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/24
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025・鈴木強
○鈴木強君 善処されるように要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/25
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026・野上元
○野上元君 私は、前回の本委員会で大臣が所管事項を説明されたのでありますが、その中の郵政事業一般にわたりまして、郵政大臣に御質問を申し上げたのでありますが、この所管事項の説明の中を見ますと、「年末首業務はおおむね正常に近い状態で運行することができました。」と、こういうように言われておるのでありますが、年賀郵便を幾ら全体で発行して、そうして正月三日間のうちに配達された年賀郵便は幾ら、それ以後になった年賀郵便は幾らという数字がおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/26
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027・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 郵務局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/27
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028・板野学
○政府委員(板野学君) お答えいたします。
年賀郵便の総引き受け部数は約十億一千万通でございます。そのうち正月三日のうちに配達されましたものは全体の約八〇%で、ございまして、約八億通、その以後、大体十五日までにその大部分のものが配達された。一部十五日を越したものもあるようでございますけれども、それはほんのわずかでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/28
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029・野上元
○野上元君 郵政当局としては、こういう状態ならまずまず上等だというふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/29
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030・板野学
○政府委員(板野学君) 御承知のように、昨年末の年賀の扱いにつきましては、三六協定の締結が、大体年末の十二月二十三日ごろ、おそいのにつきましては二十六日にようやく結ばれたというような状況でございまして、例年に比べまして、約一週間ばかりおくれておる次第でございます。その上に通常郵便物の滞留が約一千万通に上るというような状況でございまして、そういうような各種の事情を考えまするというと、昨年の一番神武以来うまくいった年に比べまして、パーセンテージでは三日間おくれのような状況でございまするので、いろいろ不満足な点もございまするけれども、大体そういう特殊な事情のもとにおきましては、業務が大体満足すべき状況にあったのじゃないかというふうに私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/30
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031・野上元
○野上元君 今郵務局長のお話によると、大体例年に比べて二週間程度おくれた、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/31
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032・板野学
○政府委員(板野学君) 一昨年のあの三六協定の締結は、大体十二月十日ごろには結ばれておりますので、それに比べますと、三六協定の締結が約二週間おくれた、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/32
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033・野上元
○野上元君 私の質問がちょっと間違ったようですが、私のお聞きしておるのは、年賀の配達状態が昨年と比べて、あるいは一昨年と比べてどれくらいおくれたかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/33
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034・板野学
○政府委員(板野学君) 非常にうまく行なわれました一昨年が、正月元旦の配達部数が総数の約八〇%でございますが、本年度は三日に総数の八〇%になりましたので、大体三日、まる二日おくれ、しかしその後、一昨年の状況は、大体一月七日ごろにはほとんど完配されておりますけれども、本年度は大体一月の十五日、なお以降、ほんのごく少数でございますけれども、それ以降にわたったものもあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/34
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035・鈴木強
○鈴木強君 議事進行について。政務次官はおらないのですが、どうしたのですか、大臣。それから次官とか官房長とか局長、前へ来て一つやったらどうですか。大臣を補佐するのですから横にすわって、そんなうしろにすわっていなくてもいいですよ。前にすわって………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/35
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036・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 政務次官は本月の十六日まで海外出張をいたしまして、ただいま郵便事業、また電信電話の事情を視察いたしております。出張先からの報告によりますと、予定通り旅程を取り運んでおります。いましばらく御猶予いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/36
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037・野上元
○野上元君 さらにお尋ねしますが、年賀郵便がそのように例年に比べておくれたという理由は、郵政当局と組合との間に三六協定の締結がおくれたと、こういうのが理由になっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/37
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038・板野学
○政府委員(板野学君) お答えいたします。それがまあおもな大体の主要な理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/38
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039・野上元
○野上元君 そうすると、郵政当局と労働組合との間に、かりに三六協定が締結できなかったということになると、年賀郵便は配達できなかった、こういうふうに考えてもいいわけですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/39
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040・板野学
○政府委員(板野学君) 配達できなかったということはないと思いますが、配達がある程度さらにおくれるということは申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/40
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041・野上元
○野上元君 私は、昨年、郵政当局と全逓との間の紛争の際におきまして、一日も早く事態を解決しないと、年賀郵便は大へんなことになるだろう、こういうことをしばしばあなた方に勧告したわけですが、特に郵政大臣は、かりに三六協定が結ばれなくても、三百方人の非常勤を雇うから絶対安心だ、国民の皆さん安心してくれと、こう言われたのですが、それは今の郵便局長の御答弁から見ると、明らかに欺瞞の答弁であったということが言えるのですが、その点は郵政大臣としてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/41
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042・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 私は欺瞞と思っておりません。その覚悟で諸般の手続を準備をいたしておったのでございますが、幸いにして妥結成立いたしましたので、妥結成立いたしました以上は、三百万人の必要はむろんないわけで、多少、一日、二日おくれたことは大へん残念でありますけれども、多少のおくれはともかくといたしまして、できるだけ正常な姿——三六協定の締結によりまして事を運んでいきたい、さような方針をとりましたので、私の答弁はいささかもだました、つまり欺瞞の考えはなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/42
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043・野上元
○野上元君 郵政大臣は、組合との間に三六協定が結ばれようと結ばれまいと、年賀郵便というのは完全に確保するのが私の使命である、こういうふうに言われたわけですね。従って、今、郵務局長が言われているように、三六協定がおくれたとか、おくれないというようなことは、年賀郵便がおくれたという理由にならぬと思うのです、あなたの言い方からすれば。おくれたらおくれただけの、郵政当局はそれだけの処置をすればいいわけです。現実に二十三日でなければ結ばれなかったとすれば、その前にそれだけの手を打ってあるはずなんです。そうして二十三日に結ばれたけれども、なおかつ、これだけのおくれを出しておるということは、あなたは三百万の非常勤を雇い、かつまた、どんな事態あろうとも、年賀郵便だけは確保すると言って国民の前に大みえをきられたその責任は、一体どうなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/43
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044・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 私はあの答弁をいたしました当日、あのときの現状では三百万人を必要とすると、さように考えたのでありますが、その後三六協定がどんどんと結ばれる数がふえて参りましたので、その後もしばしば国会において答弁申し上げましたように、こういうふうに三六協定が結んで参れば、三百万人は絶対に必要はない。もっと少ない数でいいのだけれども、相当数前年度よりは非常勤を頼んでこなければ、責任を全うすることができない、そういうふうに考え、そういうふうに言明もして参ったのでありますが、ただいま答弁申し上げましたように、妥結いたしました以上は、妥結という新事態に基づきまして、すぐにきわめて迅速な計画変えをして、妥結に即応したような計画変えをいたしましたので、妥結した以上は——換言いたしますれば、妥結した以上は非常勤をできるだけ少なくして、全逓諸君の心からなる協力を信頼し、期待して、そうして今のような処置をとったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/44
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045・野上元
○野上元君 私はそういうことを聞いておるのじゃなくて、現実に正月の三日までに八〇%しか配達できなかった。二〇%は十五日ないし一月一ばいかかっておるのです、あとの二〇%は。そういう状態で、年賀郵便を完全におおむね正常に運行できたと言えるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/45
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046・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) それは最初、まああれが妥結しなかったような場合には三百万人を動員いたしまして、その方針のもとに、多少はおくれるかもしれませんが、ということは、あの当時から繰り返し、これも意見の表明、質疑の応容を申し上げてきたのでございますが、それにいたしましても、最初はそういう予定で責任を全うする方針でいたのでございます。そのことはあの当時申し上げていたのですが、妥結が成立いたしました以上は、妥結成立という新事態に基づいて、大へんけっこうな新事態であると存じまして、その新事態のもとに、あのような非常勤の雇い入れ数、ああいったようなことにいたしまして仕事の遂行をいたしたので、それにつきまして、例年よりはあの通りの多少のおくれを見せましたことは遺憾でございますが、しかし、あれだけの大きな係争のあとでこれだけの成績をあげたのは、これは組合員初め全郵政に関係いたしております従事員諸君の御努力の結果と、私はむしろ大へん喜ぶべきことであった、さように考えますが、例年よりおくれたという事態につきましては、それは申しわけなく遺憾に存じます。あの事態においてあの処置をした結果から見ますと、私はむしろ感謝しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/46
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047・板野学
○政府委員(板野学君) ちょっと補足的に御説明をいたしたいと思います。
年賀郵便の先ほどの配達の関係でございまするが、大体一月の五日には九二・二四%、一月の十五日にはほとんどの郵便物が配達されたというような状況でございまして、一月の三十日ごろになったというのは、新聞紙でも御承知と思いまするが、練馬の郵便局でいろいろな手違いから約五万通ばかりのものが一月末日になった、こういうような実情でございまして、もうすでに十五日までにはほとんど九九%以上ここで配達された、このような実情でございます。それから、私の説明が不十分でございましたけれども、このおくれた原因というのが、まあ三六協定が非常におそくなった。もちろん私どもは、三六協定がない場合の各種の準備はいたししおったのでございまするが、昨年の十二月の二十日には、二十日、二十一日の払暁ですか、まあ大体ああいうようなあっせん案が出るというようなことで、そういう状況に立ち至りますれば、できるだけ早急にこれは三六協定は結ばれるであろうという一つの予測、それから私の方といたしましても、経費その他をやはり最も合理的に活用するというような面からいたしまして、従来の計画を、やはり三六協定が結ばれるという状況下のもとに切りかえていくというような作業が、二十一日以降行なわれてきた。こういうような関係からいたしまして、そこに従来の物だめ以上の相当多くの、一千万通に上るような平常信の物だめがあったというようなことがいろいろこんがらがりまして、ある程度のおくれを見せた。こういうような実情でございまして、三六協定が非常におそかったということは、そういう計画の変更なり、あるいは三六協定が結ばれ得る状況に立ち至ったあとの、いろいろな締結に時間がかかった、こういうことが相当大きく作用したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/47
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048・野上元
○野上元君 今郵務局長が、通常郵便物が一千万通くらい滞留しておったというお話でございますが、当時の新聞を見ると、会逓の斗争は大したことはない。通常郵便物のおくれもほとんどない。百万通を割るだろうというような記事が盛んに出ておりましたが、今あなたは初めて真実を告白されたわけなんだが、そういうやり方がああいうふうな混乱に導いた大きな原因じゃないですか。もっとやはり真相を当時から発表すべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/48
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049・板野学
○政府委員(板野学君) 私ども、当時からすでにそういう大体の実情につきましては毎日、新聞の方に発表しておりまして、一千万通に近い、十二月の二十日ごろには確かにそういう数字も新聞に発表しております。従いまして、私どもとしては、できるだけ実情をいろいろ一般国民の方にも認識していただいて、年賀郵便に協力していただくというような周知は、できるだけとっておったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/49
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050・野上元
○野上元君 今練馬の問題が出たので、ちょっとその点聞いておきたいのですが、私の聞くところによると、郵政省と全逓本部との間に話し合いがついて、三六協定を結ぼう、こういうことになったにもかかわらず、練馬当局においては、一切三六協定は結んでもらわなくてもよろしい、自分の方はアルバイトだけでやる、こういうことでやってみて、実際に年末のぎりぎりに追い詰まったときに、アルバイトが一人減り二人減り、だんだん減っていって、あわててああいう状態になったということを聞いているが、もしかりにそういう状態であったとするならば、これは郵政本省の方針と私は違うというように思うのだが、その点はどういうふうにあなたの方は見ておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/50
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051・板野学
○政府委員(板野学君) 練馬の局におきまする三六協定の締結の時期は、昨年の十二月の二十五日でございまして、これは特別にこれがおくれたと、二十三、四日か、二十五日ごろに大部分のものが結ばれておりますので、この協定は特別におくれたということではございませんし、また私どもといたしましても、この普通の意味の三六協定は、そこに結ばれるということは、練馬については特にそういうことをやってはならぬということを言ったこともございません。ただ、練馬の局におきましては、例年非常に処理の状況があまり芳しくないものですから、いつでも非常勤態勢でやれるような態勢を一つ、ぜひととのえておってもらいたい、こういうわけで、まあ特別なそういうような指示は与えましたけれども、三六協定につきましては、特別にそういうことを言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/51
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052・野上元
○野上元君 私が聞いたのは、確かに三六協定は二十五日に結んだかもしれませんが、結んだからといって、常在員は一切年賀に手をつけてはいかぬ。常在員は一般の郵便物だけで、年賀郵便は一切アルバイトだけでやる。こういう方針のもとにやったために、ああいう結果を招いた、こういうふうに聞いておりますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/52
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053・板野学
○政府委員(板野学君) 御承知のように、練馬の局におきましても、相当平常信の物だめがございますし、一昨年は元旦に到着したものの約二、三〇%しか持ち出しができなかったというような状況でございまして、私どもといたしましても、今年度はぜひ年賀を平常の状況にまでその元旦の持ち出しをふやしたい、こういうふうな考え方を持っておった次第でございます。私どもこの三六協定の内容につきましては、当時よく存じておりませんでしたけれども、その後いろいろ向こうの状況を聞いてみますというと、年賀の処理につきましては、一月の五日までに到着したものについては極力非常勤で一つ排送しよう、それ以後のものについては常在員がこれをやろう、こういうような協定が結ばれておったようでございます。これは先ほども申し上げましたように、平常信も相当たまっておりまするし、また年賀をできるだけ元旦に極力配達したい、こういうようなところから、そういうような措置がとられたものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/53
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054・野上元
○野上元君 一応この問題はこれぐらいにしますが、それに関連して、年賀郵便が毎年々々こういう混乱状態に陥るということについて、郵政当局、特に郵政大臣としてはどういうお考えを持っておられるか。たとえば、年賀郵便の中にはきわめて虚礼的な部分が非常に大きなウェートを占めておると私は思うのです。従って、この年賀郵便を思い切って廃止してしまうか、あるいはまたもっときれいな、外国のクリスマス・カードのごとく、もらってうれしいような非常にきれいなものにして、そうして年賀郵便の価値をあらしめるということについて、そういう点についてあなた方は考慮を払われたことがあるか、その点について一つ郵政大臣からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/54
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055・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 年賀郵便の性格につきましては、私もいろいろと考えてみたのでございますが、大かたはクリスマス・カードのような清い性格を持っております。それから広告も、年賀をちょうどシーズンの境とした広告も、商店からもやはり相当受け取っております。また、長い間のぶさたを、久闊を叙して、お互いに現在の生活状態を知らせ合って、シーズンの季節の変わった、年の改まるとともに自分の決意を披瀝し、また頼み事をする、あるいは特別支持を頼む、いろいろの目的に、時期改まる、シーズン改まると、その機会を利用いたしまして、利用と申しますか、機会にあたりまして、その決意の新しきを盛るとか、いろいろな各種の内容を持っておりまして、私は虚礼に当たるものも、あるいは広告等のごとき——これは礼と申しますよりも、やっぱり広告本来の目的のために発信されるものでありましょうし、虚礼というふうなものも中にはあるかもしれません。あればこそ国会での、虚礼にわたるものをやめようというお取りきめ、申し合わせ等が行なわれるのでございますから、虚礼に属するものもあればこそそういうふうな申し合わせができるのだとは思いますけれども、まあいろいろな内容を含んでおりますので、ここで一がいに新年の年賀はがきをやめてしまうということは考えません。ことに、これにお年玉つきの寄付金がつきまして、それによりまして身体障害者を初めとして福祉のためにそれが使用されるということでございますので、虚礼にわたるもの以外につきましては、私は廃止する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/55
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056・森中守義
○森中守義君 郵政大臣に今の野上委員の関連事項としてちょっと所信をただしておきたいことがある。あなたは昨年の暮れのこの委員会で、しばしば国民に、全逓と郵政省の労使関係が正常に返らなくても年賀の問題については迷惑をかけないということを言明した記憶がありますか。会議録を見ればすぐわかる、数回ある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/56
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057・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま野上委員にお答えした通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/57
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058・森中守義
○森中守義君 私はちょっと中座していたからそれを聞いていない。私の質問に答えて下さい。あるかないかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/58
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059・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ございますが、ただし野上委員にも申し上げました通り、多少のおくれはあるのであろうけれども、それはこういうふう大きな争議の係争の際であるから、多少のおくれは生ずるであろうけれども、私はこれこれを動員して、非常勤を動員してでも自分の職責を果たす決意であることを御披瀝申し上げた次第でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/59
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060・森中守義
○森中守義君 委員会ではそういうように聞いておりません。精神的なものを、つまり決意があるから、それで了承してくれということではなかった。あくまでも迷惑をかけないという具体的な事実をあなたは言明されておる、記憶ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/60
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061・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま申し上げましたように、多少のおくれはあるであろうけれども、どうしても妥結できないときには、三百万円の非常勤を動員してその任務を遂行する決心であるということをしばしば言明いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/61
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062・森中守義
○森中守義君 それは午後から会議録を調査いたしまして、今私が言ったように、あなたは決意があるという精神的なことでなかったのです。具体的に配達をする、迷惑かけないという具体性を持って答えられておる。それは午後から一つ会議録をよく調査してはっきりさせましょう。
それからもう一つ、本会議で私の緊急質問に答えて同様にお答えになっておる。断じて迷惑をかけないということを、あなたは声を大きくして本会議で答弁された、その記憶ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/62
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063・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 速記録御調査の上、それをお述べいただきますれば……。何しろ私も、だいぶ時間もたっておりますので、言葉のごく端々までは記憶しておりません。お調べの上また御質問いただきたいと存じますが、私は今の、ただいまのこの記憶をもっていたしますれば、その決然たる決意を、妥結できないときの決意を披瀝いたしました。従って、決意を披瀝した以上は、そういうふうにいたす方針をとった。そうしてその実行準備行為に取りかかったんだということははっきり申し上げて、ある当時の私の言明とただいまの言明とに食い違いはないつもりでおりますが、しかし、これは人間のことですから記憶違いということもありますから、なお一つお取り調べの上御質問願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/63
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064・森中守義
○森中守義君 関連質問ですからあまり深入りはしたくないのですけれども、期間的にどのくらいたっておりますか、まだ六十日ぐらいですよ。そこでああいう大騒ぎをした問題が、精神的なもの、決意があるということで、あなたはあの国会を乗り切られるほどお粗末な大臣じゃ私はないと思っている。全逓と郵政省がどうなるかわからない、それで早く事態の解決をはかれというのが、国会におけるあなたと私どもとの意見の交換であった。質疑であった。質疑の応答であった。あるいは意見の開陳であった。そういう際に、決意がこうである、決意ということは精神的なものですよ。そういう精神的なもので私どもは委員会でも本会議でも了承していない。あなたがやはり得るという具体的な事実を前提としての答弁であったから了承しておいたのです。それを今ごろになって、多少言葉の食い違いがあるかもわからぬというようなことでは、これは済まされない。
そこで問題なのは、委員会でも本会議でもそういうように決意、精神ということでなくて、具体的な問題を前提にした答弁であったのに、しかもそのときには、画一的に、全逓と郵政省が正常な状態に返って三六の締結ができない、とこういう想定をあなたはしておられた。ただ各職場ごとに、事業所ごとに三六を結ぶことが望ましいという意見は私は聞いたことはある。だけれども、全体的に三六協定が結ばれるということはあなたはお考えになっていない。従って、そういう状況の中で年賀郵便に迷惑をかけないということを国会で答弁をし、かつまた朝日、毎日、読売、さらに民間放送、NHKを通じて国民にあなたは釈明をしておる。答えを出しておったのですよ。ところがさっきの答弁からいけば、どういうことですか。三日まで配達されたのは十億のうちの八億だとおっしゃる。一体、二億はどういう読み違いなんですか。私は、だからあれほど正確に国会を通じ、報道機関を通じて郵政大臣が国民に約束した事実が、あと二割だからいいじゃないかというものの、これは大臣が政治的な立場において私は許せない。二割正常な時期に配達されなかったという政治責任をどうしてとろうとされるか、それが問題です。その辺の所信を明らかにしてもらいたい。でなければ、ただその場その場で国会でいい調子に言いのがれればいい。実体もなければ理論もない、単に架空な、よく大臣が使う一種の政治的な放言であったというように私は受け取らざるを得ない。しかし現実に所定の時期までに配達できなかった。二億をあなたは年内に配達すると言っていた。配達しなかった政治責任をどうしてとりますか。それでなければ、これは委員会としても単に食言ということでも済まされない。私は大臣の政治責任を問いたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/64
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065・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) たびたび答弁いたしますように、私はこういう大きな争議があるんだからという言葉は使いませんでしたが、多少のおくれはあるでしょうけれども、私はどこまでもこうこうしかじかの方針をもって任務の遂行に当たる決意であると申したのであって決意、精神的なものと具体的なものと違うとおっしゃいますが、私は自分の述べた決意に対しては、やはりその述べた決意に対する責任を持っておると考えますから、無責任だとは考えません。精神的なものでもやはり責任はあると思っておる。だから、もしそれがうまくいかなければ、自分の感じておる責任は、やはり具体的結果に基づく責任を負うのは当然だと私は思う。そこで責任のがれはいたしておりません。ただ、あなたと見解を異にしておる。私のその当時述べた私の述べ方には、年末闘争の問題は、これは三六協定で解決していくべき問題であり、またその他の問題は、それは公労法の方で解決していくべき問題であって、問題を二つに分けて処置する方針であるということも、その当時述べておるところでありますから、責任も回避しなければ、あの当時を振り返りまして、自分はどういうふうな考え方であるということを、ここでもう一ぺんまた、野上委員の御質問に対して述べましたが、よくなるんだからということ、繰り返りますと、私は、まあ妥結されなければ、これは三百万人の非常勤を動員して責任を果たすと言いましたが、多少のおくれのあることは、これははっきり申し上げておりますが、私の記憶しておるところでありますが、しかし、妥結した以上は、妥結したという新事態に即して、それじゃどういうふうなやり方をしていくかということを急遽策定をして、全組合員諸君、また組合に加入していない諸君、また監督の立場にある諸君の、全郵政人の協力を得てこの仕事を達成したのであって、あれだけの大きな係争の事件のあとには、あの程度のおくれは、これは私としては、皆さんに対して、国民に対して、残念ではあるけれども、あれだけの係争のあとで、あれだけ一生懸命に、全郵政人打って一丸となってやってくれた努力に対しては、これは私は組合員諸君にも、組合に加入していない諸君に対しても感謝をいたしておるところでありまして、また、大方の世間も、全郵政の全従業員に対して感謝いたしてくれていると、私はさように認識いたしておる次第でございまして、従って、感謝しておって、この程度の、あの大きな係争事件のあとであれだけの実績をあげれば、実に、私も現場を見て参りましたが、組合員の諸君も、もう係争事件などはいつあったのかというような顔をして、一生懸命やってくれました。あの意気込みを見ましたときに、私はただただ感謝にあふれた元日を迎えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/65
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066・森中守義
○森中守義君 後段は、そういうことを私は聞いていない。言わないことまでしゃべらぬでいいですよ。私が問うているのは、質問の中で、国民に迷惑をかけてはいけないから、一日も早く団体交渉の再開なり、ないしはそれに準ずるような話し合いをした方がよろしかろう。そうしなければ、大へんなことになるぞという質問を私はしたのです。ところが、あなたは、だめだ、全逓が正常な状態に返らなければいかぬいかぬと、こう言った。それならば年賀がおくれると言ったら、おくれません、絶対にそういうことはないと、こうあなたは数回にわたって委員会で言明をし、かつまた、本会議でも同様なことを言っておる。だから私をして言わしめるならば、最悪の状態のまま、つまり係争状態のまま年賀が配られることになるが、それでも大丈夫だということは、決意とか精神的なものでなくして、現実に迷惑をかけないとする態勢がとられておらなければ、ああいうことは私は言えないと思う。気持をくんでくれ、決意がこうであったということでは、およそこれは行政機関のやるべきことじゃありません。気持はだれでも郵政省の諸君は持っておる。だから畳み込むように、私が大丈夫か大丈夫かと言ったら、大丈夫だと、こう言った。しかるに実際出てきたのは、二億が所定の期日までに配達されていない。それは国会でも言い、新聞、ラジオ、テレビ等を通じてあなたが言明したことと違ってきておるから、その責任をどうするかというのは、これは私は大臣として当然とるべき責任だと思う。だから、従業員諸君がよくやってくれたとか、管理者諸君がよくやったというのは、これはあなた一人でなくて、この委員会全部それは認めておる。そういうことを非難したり攻撃しているんじゃない。さばけるということを言明をし、国民に約束をしたのに、二億以上のものが残ったという責任をどうする。これは当然大臣の政治的責任が問われてもいいと思う。あのころ関係の委員や私どもから、もしもそういうことができなかった場合にはどうするんだとあなたは問われたことがある。そのときに、そのときはそのときで責任をとりますということもあなたは言っている。およそ二億になるのか三億になるのかわからぬけれども、私どもはあの見方からしまして、おそらく大臣が言うように、完全に所定の時期までにはさばけないだろうという想定をした。しかるがゆえに、あなたはそう言うが、さばけなかったらどうするんだ、責任をとるのか、こういう質問をあなたは受けて、責任をとります。こういう重要な問題について記憶がないとは言わせない。どうですか、年末にあなたが言明をしたことと二億食い違った政治的責任をどうする。それで処分をされたとかということはおかしい。聞かないことまでしゃべらないでいいんです。聞かれたことだけしゃべりなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/66
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067・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) いろいろ御意見が出ましたが、最初の方からお答えいたします。
公労委からのあっせんによって正常化されることになったので、新しい代表者ということで団交を再開したのでありまして、私の言明は、正常化されなければ団交を開かないといった言葉について食言はございませんでした。
それから、そのあとの責任を果たしたかどうか、配達し得たか得ないかの問題でありますが、これまた、昨年来しばしば申し上げたことでありますが、年賀郵便だからといっても、元日に全市配達されていないということは、これは例年でもそうであります。例年は八〇%運ばれておるのが例年の状態だということを、その当時からも申したのでありまして、全部が元日に配達されないから、それで郵政大臣は無責任だということは、これは酷評に過ぎないかと私は思います。私は初めから繰り返して言う通りに、多少のおくれはあるでありましょうということは、あれだけ大きなとにかく係争があったのでありますから、まああれだけ運べれば、これはもう上等だと、さように考えて、国民に大きな迷惑をかけないというしばしばの言明は、その通り私は実行いたして参ったと、さように申し上げることができます。記憶につきましては、私は先ほどから述べた通りに記憶しておるのであるけれども、森中委員の記憶と私の記憶とが違うらしいので、これは私から言ったんじゃない。森中委員がおっしゃる通り、速記録に従って再質問すると言われましたので、さようにお願いいたしますと相づちを打った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/67
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068・森中守義
○森中守義君 郵政大臣、これはね、あなたは酷評と言われるけれども、ここは討論する場所じゃないんです。真実を探求していくところであります。そこで、通念的に言われている所定の期日とは、これは元日ではない。少なくとも私は三カ日と思っている。さっき郵務局長も、三カ日の間に十億のうち八億だと言った。それはそれでいい。元日よりおくれたから承知しないなんと言った私は覚えはない。これは去年もその通りである。それと、あなたの問題のとらえどころが、私にちょっとぴんとこない。正常な状態に返るとか返らぬとか、そういうことじゃなくして、ずっとせんじ詰めていけば、全逓が正常な状態に返らなくてもやれるんだということを言明をしたので、それじゃやれないときにはどうするんだと、こう聞いたら、責任をとる、とこう言ったものだから、だから、実際問題としては二億残った、どうするんだと、こう聞いた。だから、あなたは記憶違いがあるかわからぬとか、意見の相違があると言われるけれども、これは一つ午後ゆっくりと会議録を見て、十二分にただしておきたいと思いますけれども、もしも私の言った通りであったならばどうします。どういう責任をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/68
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069・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 速記録について再質疑をお願いいたします。そのときに、私も速記録に従ってまた答弁をいたします。今からそのときはどうするというふうな仮定の事実についてお答えいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/69
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070・鈴木恭一
○鈴木恭一君 ちょっと私も関連してよろしゅうございますか。ちょっと問題が違うのですが、やはり今遅配とか年末斗争とかというお話がありましたから、一つ私に……。これは昨日の新聞を見ますと、また郵便の遅配がぶり返した。まあ大臣は年末斗争の解決でいいサービスをしたと、平常に戻ったと、こういうふうにおっしゃっておるのですが、まだ、二月上旬には一応平常に戻ったが、二月中旬から都内の足立、中野、石神井、小石川、葛飾の五局を中心に千通、二千通の滞留、遅配が出てきておる。これは私実に問題だと思うのです。いろいろこれには原因があると思うのですが、一体二月まで年末の遅配というものが依然として続いておったように思えるのですね。そうであったかどうか、そうして二月には平常に戻ったのだが、また中旬からこういうふうな状態が出たと、そうしてこのままでいけば三月の末から四月にかけて郵便物の混乱が避けられないというような考えで、郵政省としては対策を協議しておる。きわめて新聞の記事としては小さいのですけれども、年末のあの状態から考えてみまして、また年末以前の状態等を考えまして、郵政省としては、私はやはり重大な問題としてお考えにならなければならぬ問題だと思います。もちろんここでは、全逓本部はおくれの原因をすべて組合の闘争のせいにするのは当局の責任がある、こう書いております。これは組合としては当然そういうことを言うでしょうが、一つ郵政大臣にお尋ねしたいのですが、二月末まで遅配があったのかどうか、そうして今回の原因は何であるか、そうしてどういう措置をおとりになろうとするか。なおここでは試験通信を始めるというふうなことが一番初めの方にあるのですが、こういうことは対策としてお考えはどういう意味であるのか、その点を一つ、その四点についてこの際お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/70
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071・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) 大へんまた始まったようでありますが、一時は正常化をいたしまして愁眉を開いたのでございますが、どうも組合の闘争指導が、一つの郵便局に始まりますと、そこに遅配が始まりますと、闘争の指導を変えて、今度よその局に指令を出すようになりまして、指令が解除されるということになるとその局が正常化されると、あっちでぽつぽつ、こっちでぽつぽつ出て参りますので、非常にこの監督指導をしております上に困っておるのが事実でございます。何とかこういったような闘争方針をやめていただけると、まことに国民のためにけっこうだと存じますのですが、そこで、それに対してどうしたらいいかということに関しましては、省議でもこの問題を取り上げて検討をいたすことになっておるのでございます。なお、これにつきましての詳細は郵務局長からお答えをいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/71
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072・板野学
○政府委員(板野学君) それでは私こまかい点にわたりまして御報告を申し上げたいと思います。
新聞紙にそういうふうに出ておりまするが、私ども、その中で非常に滞留を一時生じておるというような局は足立でございまして、そのほかの小石川、石神井、葛飾等につきましては、いずれも千とか二千程度でございまして、これらの原因につきましても、なお詳細に調査しておりまするけれども、それが急に百貨店、またその他の区役所等からいろいろな税金その他の物が出まして、こういうことが生じたのか、あるいはこれが例の年末等にございましたような一種のサボタージュによるのかということにつきましては、なお詳細に現在調査中でございますが、足立の局につきましては、一番たまりましたときは三万通ばかりたまったのであります。これらの原因につきまして、私どももいろいろ調査いたしましたところ、ここでは三六協定が実は締結されておらない。その原因は、年末その他でなお十五時間の超勤が加えられていないということのようでございまするけれども、まあこれらも大体足立局だけでなく、いろいろな年末その他の超勤につきましては、全国の郵便局で大体話し合いがついておるわけでございまするので、そういう事実はないのだということで、いろいろ折衝いたしておりましたけれど、なかなかこの点で折り合わないというような事情のようでございます。しかし、足立の局につきましても、最近三六協定を締結されまして、現在どんど物が減っております。また一方、市内特別郵便が、特別に足立の局では約二万通ばかりたくさん出たものでございますから、それらの処理等につきましては、まあ非常勤措置等をとっておりましたけれども、そういうことが重なったという意味でございます。しかし私ども、なおいろいろ、このような各局につきましては、そのおくれました原因等につきましても、今後詳細検討をいたしまして、三月十五日以降はまた、どうも三六協定は結ばないというようなことをもいわれておりまするので、私どもといたしましては、できるだけまあ三六協定を今後結んでもらいますと同時に、そういうような結ばれないような状況におきまして、郵便物を遅配なく、何とか一つ国民のためにこれは配達をしたいという、こういうわけで、現在いろいろそれの原因、その他その事態が起こりました場合のやり方等につきまして検討いたしておるわけでございます。
なおまた、先ほどの試験通信の問題でございますが、これは例年やっておりまする試験通信の一つでございまして、ことしは少し時期がおくれたわけでございまするが、こういう試験通信も例年のなにに従いまして、時期おくれでございまするが、やるということを、まあ新聞で特にそういうことを両者を結びつけて発表したのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/72
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073・鈴木恭一
○鈴木恭一君 ここに書いてある足立とか中野、石神井、小石川、葛飾なんというのは、これは前から問題の局なんですね。それが年末を過ぎてなお前のような状態が続くということは、当局としてやはり私は相当これは慎重に考えられてしかるべきだと思うのです。これにはいろいろ私は原因があると思います。局舎の問題は私も行って見てきましたが、局舎の問題、その他もございます。でございますが、だらだらだらだら、もう実際一年以上もこういうふうな状態が続くのだというのでは、実際私は問題だと思うのですね。特に私はその点について、単なる一部局のそうした一時的の状態だといって、新聞なんか読んで見過ごせないのです。ぜひその点は大臣も慎重に私は考えてもらいたいと思うのです。たまたま、東京でこういうふうな問題があるから、こうやって新聞に出るのですが、そうした問題については特段の僕は努力をしてもらいたい。これをお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/73
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074・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/74
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075・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/75
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076・光村甚助
○光村甚助君 今の自民党の鈴木委員からそういうお話がございますので、私の方ばかり顔を見て言われると何かおかしいのですが、去年でも私が全逓がそういう闘争をやっているときに、ただここで批判ばかりしてはいけないから、中央郵便局だとか、郵便局の実際を見てもらいたいということを私らたびたび言っている。あなた方の方は、そういうときには見に行かずに、ただ新聞だけ見て、こうではないか、ああではないかと言われては困るから、当局ばかりに聞かないで、たまには一つ全逓に来てもらって、こういうことが出ているが、実際はどうなのかということも聞いてもらいたい。当局の言うことはやっぱり自分たちのいいことばかりしか言わないのですから、それでやはり逓信委員会からも局舎を見に行くとか、わざとやっているのか、定員が足らずにやっているのか、超勤ももらわないでやっているのか、そういう実態も知らないで、全逓だけがいけない言うのは納得ができないので、そういう面も、去年からわれわれが何べんも暮れの郵便局の状態を見に行こうと言ったって見に行かない。ですから、一方的にそういうことをやるときには、一ぺん組合も呼んで実際を聞こうじゃないか、郵便局のひどいところを見に行って実際を調べようじゃないか、こういう問題を委員長の方で善処していただいて、やはり、私たちは、社会党といわず、自民党といわず、世間の誤解を招くようなことのないように、これはやりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/76
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077・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御発言まことにごもっともでございますので、当委員会といたしましても、正常なる運営にすみやかに復帰できるような措置を考えたいと存じます。
それでは、午前中はこの程度にとどめまして、これにて休憩いたします。
午後零時二十二分休憩
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午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/77
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078・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは、ただいまより開会いたします。
午前中に引き続き、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
通告がございますので、鈴木強委員の発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/78
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079・鈴木強
○鈴木強君 私は、きょう参考人の方方に、大へんお忙しい中でおいでいただきましたが、御承知の通り日本のカラーテレビ放送の本放送の免許について、いろいろ問題があるところでありますが、非常に重大な問題でありますので、皆様方の御意見も、ぜひ承りたいと思いまして、おいでいただいたわけであります。ちょっと時間の関係でお待たせをして申訳ありませんでした。
最初に、私は郵政大臣にお尋ねをしたいのでありますが、大臣は御就任早早、このカラーテレビジョンの本免許について、かなり強い信念を持たれておったようであります。その後ヨーロッパ、アメリカ等も視察をされて、昨年の暮に、もうすでにカラーテレビの放送の実施の段階にきているかのごとき御発言もあったようでありますが、その後この問題が多少紆余曲折をしたようであります。二月の九日の衆議院逓信委員会において、カラーテレビの本放送の免許は、三月の下旬ないし四月の上旬に行なう。こういう言明をされておりますので、あなたが決意をもって就任され、しかし技術的にいろいろ検討をして見ると、なかなかむずかしいものだということもおわかりなようで、その後いろいろと検討されておったわけですが、二月九日の逓信委員会で言明をされるに至りましたお考え方を、最初に承りたいと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/79
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080・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) まず結論から、ただいまの御質問の最終要点をまず申し上げたいと存じます。それは三月九日の衆議院委員会におきまして、私が三月か四月に、本放送を許可すると言ったという発言ではございませんので、速記録を御検討いただきたいのでございますが、私の努力の目標を尋ねられたのでございまして、努力目標といたしましては、一応のめどを、ただいまお述べになりましたような期間に置いておるのだという程度のことを申し上げまして、それならばいつ許可かということについては、未定である旨の答弁をいたしておるのでございます。
次に、御質問に答えますことは、それまでの経過についてお答えいたします。
私は郵政省に入りましたのは、昨年の六月の十八日でございまして、あらゆる所管事項を迅速に、懸案であったものを処置いたしたいという方針でございましたが、カラーテレビの問題につきましては、慎重にやって参りますことを逓信委員会でも答弁申し上げ、さような自分の心がまえでおったのでございます。慎重と申しますことは、時間をうんとゆっくりするという意味でもなければ、きわめて迅速に結論を出すという意味でもございません。時間的の問題よりは、じっくり検討するという意味でございます。じっくり検討するということになりますれば、それは迅速ということよりは、ゆっくりという意味も含まれておりますけれども、しかし、それはしません、時間的に重点を置きました考え方ではなく、その検討の内容について慎重を期するという意味でございました。ただいまも、その心境でおります。
それで、カラーテレビを考えてみますと、もう日本で実験がなされましてから七、八年になります。一つのことの検討につきまして、時間的にも、もうこのくらいでいいならばいい、悪いならば悪いという結論は出せないものであろうか、出せるものであろうかということも検討してみたい。また就任当時から、私も半年以上にもなりますので、まあ行政担当者といたしまして、一つの問題をおおかた半年以上もかかりましたならば、もうここらで結論を出しませんことには、かえって怠慢のそしりも免れない、いいならばいい、悪いならば悪い、もし延ばすべき理由があるならば、何ゆえに延ばすべきかという結論も出さなければいけないのではないか。そこで私は、また個人の主観だけでは、この問題に結論を——ほかの問題でもそうでありますが、この問題につきましても、個人の主観だけで結論を出したくない。十分に客観性を考えまして行政措置をいたしたいと、さような心がまえで進んで参りました。もっとも就任当時から、その画像を見ますときに、まことに色彩といい、映像がよく映りますので、実にきれいなものだと、このくらいなら、大かた本免許でもいいのじゃなかろうかというふうなことを思いましたが、これとても、私の主観にすぎないかもしれない。いわんやアメリカ式以外の、日本ではアメリカ式ばかりが実験されているといたしましても、アメリカ式以外に、現にヨーロッパ式というものがあって、しかもヨーロッパではヨーロッパ式を採用するという情報をしょっちゅう聞いておる。アメリカではアメリカ方式を継続していくという情報をしょっちゅう聞いておる。それならば自分も、この問題はおりあれば、自分でまのあたり見て、十分の検討も加え、またまのあたり実物を見ないと、これには責任ある行政態度がとれない。さような考えを持っておりましたところ、たまたまITUの国際会議に、わが国の使いをすることになりまして、昨年の九月末から十月の末にかけまして、欧米を旅行いたしました際、通過いたしました各国、あるいはわざわざ寄りまして、カラーテレビも、郵務の視察とあわせて、これを実地に見て参った次第でございます。また議論もたたかわして参った次第でございます。
その結果といたしまして、もうヨーロッパ式も、大へんりっぱである、アメリカ式も、まことにあざやかである、安定度も非常によくなってきている。これならば、どうせどっちかにきめるならば、白黒でもコンパティブルであるアメリカ方式を日本としては採用してしかるべきであろうと考えましたが、しょせんは、それは私の主観にすぎないということであってはならない。そういうように考えまして、なお検討を続けておりましたところ、昨年の幕に、日本の権威者を網羅いたして━━網羅という言葉、全部網羅ということでもございませんでしょうが、あらかた網羅いたしておりますカラーテレビ調査会におかれまして、今許可するならば、急いでという字は使っていないようでございますが、今許可するならば、アメリカ方式がしかるべき旨の答申がございましたので、私の考えも、これは単に一主観にすぎないと見ない、このカラーテレビの御答申を尊重して、また自分の信念とも合致することであるから、もうここらで各党のそれぞれの機関にも御理解を得るためにお話も申し上げ、役所といたしましても、それを許可する方向で事務の準備だけはいたさせてしかるべきだと存じまして、さように事務の方の取りまとめ方を指令はいたしておるのでございますが、さてこれを許可いたしますまでには、まだ電波監理審議会にも諮問いたさなければならず、電波監理審議会におかれましては、いずれ各界の御意見を聴聞されて、あらゆる参考となるべき資料のもとに検討されまして、答申があることと思います。その答申に基づいて、郵政大臣といたしまして、十分に検討して、最後の結論を出していく、こういう考えでございますので、私といたしましては、政府としてはカラーテレビは、アメリカ式で今日の段階で許可してしかるべきではないかというふうに考えてはおりますが、まだ、以上の手続を踏んでおりませんし、御意見も拝聴していない部分もございますので、その結論は未定である旨の答弁を二月九日にいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/80
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081・鈴木強
○鈴木強君 お尋ねをしてお聞きをしてみると、かなり慎重に大臣がお考えになっているように私は感ずるのですが、しかし一方、いろんな新聞や報道から受ける感じは、非常にあなたが急いでおられるような感じも受けるのですね。
私は率直に申し上げまして、慎重論者であるわけです。しかし六年も七年も実験放送をやっているわけですから、その実験放送の過程からして、技術的にこれがいけるかどうか、あるいはそれは送信する側の立場ではなしに、一方また視聴者の立場、国民の立場も考えて、しかもそれには、技術界の協力も必要ですから、白黒とカラーとをどういうように併用していくか、これらの問題があると思います。ですから私、今のお話で、あなたが、与党である自民党のところにも、相談をしているがごとく、していないがごとく、結論は出ていないようにも、私たちは聞いているんですが、やはり政党政治ですから、党の態度を開くことも大事ですが、所管の大臣として、あなたが就任の当時、ここに電波タイムスの八月二十九日のやつを持っているんですが、この中に、新聞に誤まりはないと私は思うのですが、「たとえばNTSC式のように、いちいち技術者を呼ばなければ調整が出来ないようでは困る。NTVの実験を見たが色彩は広重以前のものだし、遠近感もなく、ドギツイ三原色ではイメージも感じられない。これを三十分も続けて見ることは非常に苦痛を感ずる。かようなもので東京オリムピックを世界中継するなどということは逆効果以外のなにものでもない」と、こういうふうに記者の問いに対して、あなたが言われているわけですね。
私はお尋ねしたいのは、あなたが、少なくとも三月下旬ないし四月上旬を目途として本放送の免許を出そう、こういうふうに一応目途であっても、国会において答弁をなされるということになりますと、このアメリカ方式について、今あなたも認めておられるような技術的な点について、アメリカを回り、ヨーロッパを回って両者を比較してみて、なるほどNTSC方式が一番ベターだ、こういうように御判断をなさるについて、技術的の面は、こういう欠陥が、どう克服されてあなたはそうなったのか。
それからもう一つは、お尋ねしたいのが、この日本の業界ですね、売る方の立場、視聴者の立場、国民の立場、こういう点を考え、なおかつ製造メーカーの方々の現状からして、そういうことがいいのかどうなのか、これらの点は、十分御検討なさって私は言明されたと思うのです。それはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/81
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082・植竹春彦
○国務大臣(植竹春彦君) もう予鈴が鳴りまして、三分ばかりたっておりますので、早口で恐縮でございますが、急いでお答え申し上げます。
ただいまの新聞記事は、おおむね事実でございます。それで私は、確かに初めNTVの画像を見まして、その新聞記事のように考えまして、これはまだ早いと思いました。それから調整につきましても、現在のようじゃだめだ、こういうふうに思いました。ところが向こうに参りまして、RCAのちょうとペリー・コモの実際のショーをカラーテレビで映像をやっているのを見ましたときに、まるで日本の——はなはだ失礼ですが、NTVとまるで違う、性能のいいものを見まして、ははあ同じアメリカ式でも、こんないいのがあるかと、こう思いました。それから調節いたしますのにも、しろうとで、うちの五才になる子供という言葉をRCAの役員が使っておりましたが、小さい子供でも、三つの取手をちょっと動かしただけで、じき調整できるようになっている。私たちがやりましてもできたのでございます。
それから日本に帰りましたところが、その後NTVの芝居や何かやっております映像は、非常にどきつうございました。まだどぎつかったのでございますが、野球の放送とか、私は郷里宇都宮で、その映像を見ました。カラーで見ました。私が見ておりましたところが、まるでよくなっている。それからもう一つには、日本で製作いたしました機械があまりよくなかったのです。今度は、最近私がナショナルのこれは機械を見た。ところがむしろRCAよりいいのじゃないか、おそらく皆さんごらんになりましても、御同感だろうと思います。まるで違っております。こんなに去年よりも、ことし進境が著しいならば、もうよかろうと思いましたことと、またメーカーに対する問題、たとえば受像機の部品なり受像機そのものなどを、世界に向かってコスト・ダウンして輸出していったら非常にいいだろう、日本は、コスト・ダウンの名手と申しましょうか、日本の電子工業が、すばらしい勢いで伸びつつある、こういったような状態でもって、東南アにしろ逆にアメリカに輸出するにしろ、ロイアルティはRCAのものを、ただいまのところは支払うといたしましても、そういったような観点から、世界のカラーテレビ市場に受像機を送り出して、この輸出によりまして、わが国の貿易事業にも相当これで寄与することができるだろう、こういうふうな考え方。また普及度は、今のところ十分ではないけれども、まずこういったような文化の特産物というものは、最初は全部全国に一般に普及されてから許可するのでは、むしろおそきに失するのであり、もうあのような技術的な面であれば、これを許可いたしまして、そうしてますますそれに皆さんを加えていって、改良、普及、発達させることができる。最初は、大ぜいが一つの広場に集まって見る程度でもいいのじゃないか。蓄音機も、かつてそうであった。白黒のテレビにしても、かつてそうであった。ラジオもそうである。カラーテレビにしても、そのような段階を経て、共通の広場から家庭に入り、最後に発明されれば、ポータブル・カラーテレビ受像機でも発明いたされますれば、さらに個人のポケットに、それが普及されていく。かような段階をとって、文化の発明品は普及される。今までの歴史を考えてみましても、こういう観点につきましては、ただいまの普及度が現在のような状態であっても、もう許可してしかるべきであろうという考え方でございます。
大へん申し上げかねますが、もう予鈴鳴りまして、だいぶたちますので、一応退席さしていただきまして、済みましたら、またすぐに戻って参りたいと思います。お許し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/82
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083・鈴木強
○鈴木強君 私は、この技術的な面について、大臣の御所見を承りましたが、まだ国際的な標準方式も、ヨーロッパ方式、アメリカ方式で統一されておらない。だから昨年のうちに、その結論が出るような御様子でありましたが、これも伸びております。おそらく本年の八月か九月か知りませんが、そのころに会議も予定されているようでありますから、国際的な将来の点も考えまして、国際基準というものをどうやるのか、世界の趨勢等を見きわめる点について、大臣の御所見も承りたいのですし、監理局長もみえておらないようでありますから、一応保留いたします。
そこで、きょう御出席の参考人の方々に、大へん恐縮でございますが、私は、もう自分の党の立場ということを離れまして、率直にお尋ねをするわけですが、日放連の方も組織がございまして、できるならば、私は統一して、どなたか一人おいでいただけるようにと思ったのでございますが、それぞれ御見解も多少なり異なっているようでございます。従って四名の方々がおいでいただいた方がよろしいというようなお話でありましたので、委員長とも御相談の上で、四人の方にお出をいただいたわけでありますが、今お聞きのように、皆さんは、その筋の専門家でございますから、技術的にこれは国際基準を含めて、さらにまた、製造能力、量産の点を合わせ、さらにまた、カラーテレビが、今後どの程度の普及が考えられておられるのか、そういった点を総合的に判断をされて、早くやるべきだという意見と、もう少し慎重であるべきだという意見とあると思うのです。ですから、われわれ国会で、この問題を審議するに当りまして、皆さんの貴重な御意見をぜひ承って参考にしたいと思いますが、一つ、今のような現況の中で、もう時期が来ておるのだからやるべきだという意見もお持ちでしょうし、そうでない意見もあると思いますが、率直に皆さんが、カラーテレビは、今日時期的に三月ないし四月ということも言われておりますが、いずれにしても、早くスタートすべきであるという御意見か、あるいはそこに、どういう隘路があるのか、そういう点から、技術的にも、また、国民感情から考てましても、御勉強だと思いますから、一つぜひお聞かせいただきたいと思うわけであります。
一つNHKさんの方から逐次きょうお出いただいております皆さんに承わりたいと思います。実はきょうは業界と申しますか、製造業者の方を一人お呼びしたかったのでありますが、それが、ちょっと手違いで漏れておりますが、大体意見は、私わかっておりますので、その方は、別に関連して御質問いたしますが、一応皆さんから御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/83
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084・田辺義敏
○参考人(田辺義敏君) ただいまのことに関しまして、必ずしも満足な御回答ができるか多少疑問でありますが、私どもの見解を申し上げたいと思います。
カラーテレビジョンの標準方式につきましては、カラーテレビ調査会の動向にも示しておりますように、現在におきましてはNTSC方式が最も適当であろう、私どもは、こういう見解を持っております。カラーテレビジョンを正式放送化する問題といたしましては、いろいろな意味の経済性、あるいは白黒テレビに対する影響などを慎重に考えなければならないと思いまするが、一方また、カラーテレビジョンの本放送を実施いたしますと、日本の科学技術と申しますか、エレクトニクスの振興に役立つというような利点もあるかと思います。しかし、この時期につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、私ども慎重に考えていきたいと思っております。
まず、その問題点としまして、カラーテレビジョンをやります場合に、それに使います送信側の諸種の機械あるいは受像機、こういうものを外国から輸入してやるというのでは、ほんとうの実施とは考えられませんので、どうしても、これは機械の国産化という問題が必要かと考えます。そのうち特に受像機につきましては、国産の受像機というものが生産される見込みが必要であるかと思います。現在アメリカの受像機は、大きさが御承知のように二十一インチでございまして、安いものでこれが約五百ドルいたします。従って、これをこのまま、この二十一インチの受像機を日本の家庭にすぐ入れ得るかどうかということにも非常に問題があるかと思います。
そこで、私どもといたしましては、もしできれば、もう少し小型の受信機を日本で生産できれば大へん都合がいいのではないか、こういう考えを持っております。この実際問題といたしまして、受像機を二十一インチから、私ども今考えておりますのは、十七インチを考えておりますが、かなり技術的にはむずかしい点もございます。しかし、大体現在におきましては十七インチの大きさの受像機の試作にある程度成功しております。この十七インチを使いますと、一番中心になっております三色受像管の十七インチのものは、現在白黒で使っておりますブラウン管のガラスを、そのまま利用できる点が利点かと思います。それから二十一インチの受像機に比べまして、大体目方で七〇%ぐらい、容積におきまして四〇%ぐらいになる可能性がございます。従って値段も二十一インチのものよりは、若干安くできる可能性があるかと思います。受像機につきましては、大体以上のような考え方を持っておりまして、十七インチの受像機というものを目標にいたしましていろいろ研究などを進めております。
次に、送信側の問題でございますが、現在の送信側の設備におきましては、大体NTSC方式を採用いたしまして、大ていのものの国産はすでに大体技術的に目標がついております。特に送信機につきましては若干の調整を加えるだけで白黒に使っておりますのがそのまま使えます。スタジオ設備につきましても、これはカメラは白黒と別にカラーの系統を用意する必要があるのでございますが、私どもの研究所におきまして、かなり外国製のものよりは、若干小型で性能のそれに劣らないものの試作に成功いたしまして、これを数社のメーカーに、この技術を公開いたしまして、各メーカーが現在試作を終わったような状態でございます。最近使われておりますビデオ・テープレコーダーにつきましても、これを国産のものでカラーに使いますことは、大体見通しがついております。マイクロウエーブの中継線につきましては、これも若干問題はあるかと思いますが、電電公社さんの協力を得まして、逐次整備いたして参りますれば、根本的な問題はないかと思います。このような状況でございまして、送信側の設備といたしましては、大体われわれとしては、ほぼ本放送に移っても差しつかえないのではないか、そういうふうな考えを持っております。
次に、カラーテレビジョンをやります場合に、白黒テレビに対する影響、それから白黒のみを持っております受信者にも、いろいろな影響を与える点があるかと思うわけでありますので、私どもの方といたしましては、あくまでも自黒の受像者に迷惑をかけない、かりにカラーテレビジョンの放送をやるにいたしましても、白黒の受信者に迷惑をかけないという根本の方針をとっていきたい、かように考えております。
しかし、カラーの放送をいたしますと、NTSC方式は、これは白黒の受信者は、これを白黒の絵として見るわけでございますから、その影響を、カラーをやりますために、白黒で受けておりますものの絵が悪くなるということは極力避けるべきでありまして、そのためにも、もしカラーをやるにいたしましても、その点は、十分留意をしてやっていかなければならないかと思っております。
以上、申し上げましたような私どもの考えでございまして、目下のところ、私どもといたしましては、教育テレビジョンの全国放送網の早期完成ということに最大の私どもの力を注いでいきたいと、こう考えておりますが、教育番組につきましても、内容的には、これをカラー化する方が非常に効果があるものもあるかと考えられますので、一般の総合テレビジョンにおきましても、教育テレビジョンにおきましても、もしやるならば、両方ともにカラーを活用していきたい、こういうふうに考えております。
以上、申し上げましたような次第でございまして、これを実施するにあたりましては、諸条件を十分考えまして、慎重主義をとりまして、実験放送を続けながら、順次国策として、このカラーテレビジョンの実施がきまりますならば、いつでもこれを切りかえていく、こういうふうな体制をとりつつある状況でございます。
次に、若干研究問題に触れますが、先ほど申し上げましたように、送信側の諸機械につきましては、ほぼ研究もめどがついておりますが、受像機につきましては、まだ完全なめどがついておりません。従いまして、今後研究の重点は、受像機の研究という点に重点がしぼられてくるかと思います。
それから、もう一つ問題といたしましては、先ほどお話もありましたように、NTSC方式と申しますのは、アメリカのカラーテレビジョンも、ヨーロッパのカラーテレビジョン方式も、NTSC方式であることは同じでありまして、ただ標準方式の本数とか、あるいは枚数とか、こういうものが違っておりますために、将来国際中継を、ヨーロッパ方式の方から国際中継する場合には、標準方式の変換ということが必要になってきます。このことにつきましては、白黒につきましては、かなり研究が進んでおりますが、まだカラーにつきましては、ほとんど研究が進んでおらない状況でございますので、今後の標準方式の変換、特にカラーにおきます標準方式の変換という研究が、受像機の研究と同時に、将来大事な研究テーマかと思っております。
大体、私どものカラーテレビに関しましての考え方は以上のような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/84
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085・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。
続いて株式会社富士テレビジョン常務取締役福田英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/85
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086・福田英雄
○参考人(福田英雄君) 私どもの意見まで、こういう機会にお聞きいただけることを厚く感謝いたします。
私は、私と申しますよりも、富士テレビジョンの中で、各部門で検討いたしました意見を申し上げるわけでございますが、結論を先に申し上げますと、とにかく近い将来に、テレビがカラーテレビの方へ進んでいくということは、これはもう当然予想されますので、実はカラーテレビの研究準備、これもいたしておるのでございます。
しかしながら、だからといって、当面今すぐカラー放送をしようというような考えは、私は持っていないのでございます。それよりも、むしろ現在いたしております白黒テレビを、もっと発展させる、もっと普及させる、こういうことが当面の重要なことじゃないか、こういうふうな考え方を持っているのでございます。その理由をかいつまんで申し上げますと、一つは、先ほどからお話ございますように、アメリカにおきましても、一昨年、昨年あるいは現在、こういうふうに比較いたしますと、状況は変化しておりますけれども、それにいたしましても、現在のとろまでの経験では、経済力が非常に違うアメリカにおいてさえ、カラーテレビは、伸び悩んでおるという事情があるということ、それから第二には、私はきょうお招きをあずかりましたうちで、おそらくたった一人、番組編成を担当しておる者だと思うのでございますけれども、いい番組を出しまして、非常に影響力の強い御承知のようなメーディアでございますので、よりよき番組を作って出すということが見られる皆様方の文化の向上と申しますか、健全な娯楽を提供すると申しますか、国民生活の上に寄与できるのじゃないか、そういう方向に日夜努力しておるわけでございます。
しかしながら、振り返って考えてみますと、ラジオから白黒のテレビへ発達して参りました初期におきまして、これは、テレビ当局者みずから、そういうことを考えてはおりませんけれども、世間では、御案内のように、たとえば一億総白痴化番組とかいうような言葉がテレビの代名詞のごとき時期も、一時あったことは事実でございます。
で、それが各テレビに関係しておられる方、あるいはこれに指導的な役割を持っておられる先生方というような方々、すべての方の御努力で、日々内容がよくなって参りまして、今日では、まあ私が申し上げるとおかしいのですが、まさか一億総白痴化即テレビというようなことはいえない、もっといいものになってきている、こういうふうに思っておるわけでございます。
で、それは、私の見解では、テレビのセットが、その当時の参加された方の御見識通り、非常に急速に普及してきたという裏づけがあって、今日の番組の状態にだんだん進んできている、こういうふうに思うわけでございます。
で、私はラジオからテレビに移りまして、テレビの経験は非常にわずか、たった一年でございますが、その一年の最初と今日と比較いたしまして、テレビの番組の製作費というものは、相当高いお金をかけて、いい番組を作り得る状態になっております。そういうものがありまして、初めて現われます番組がよくなるわけでございます。ラジオのお話をいたしましたけれども、同じ程度の番組を作ろうといたしますと、ラジオと現在の白黒のテレビと比較いたしまして、約四倍ないし七倍の製作費が必要でございます。これをまた白黒のテレビと同じ程度の番組をカラーで出そうということになりますと、まあ約四倍の製作費を要するというふうに、いろいろの本にもありますし、いわれておるのでございます。しかし、現在すぐカラーテレビの放送をいたしますれば、それだけの負担力はないと思うのでございます。
そういたしますれば、番組の質を低下させなければいけないのでございます。いつまでも、質の低下した余儀なく低下しておる番組を続けるということが、国民文化の上に、国民生活の上に、ためになるとは私は思わないのでございます。それで、日ごとに、一時パイオニア的に出した番組を、中身を上げていくということがなければ、私は、そうにわかにカラーテレビを出すということが、はたして国民生活の上に役立つことであるかどうか、こういう疑問を持っているわけでございます。
そこで、カラーのセットが始まりますれば、非常に急速にどんどん普及していくような見通しが立つかどうか、こういう問題が前提条件になるのでございますけれども、これは技術の問題なんでございます。先ほどからお話が出ておりますように、昨年とことしとは、もう現に、セットの状態も違っておる、普及しやすい状態にだんだんなりつつあるというようなことでございますけれども、今もお話しありましたように、日本で、白黒のテレビにおいても、最も普及しておるのは十四インチのセットでありますけれども、━━今お話しありましたように、十七インチのカラー・セットは、いろいろ御研究をされておるというようなことも、私今初めて伺ったのですけれども━━ございますし、私どもの方の技術関係者の研究の結果では、今にわかに現在のセットその他の条件で、だんだん白黒のテレビを私たちがやり始めて以後の状態のように引き続き伸びていくかどうか、まだ、多少の疑問がある。もう少し、やはり技術面の研究というものがあって、そして御承知のような技術界の進歩の状態でございますから、それに、そう長い期日がかかるとは思えないので、非常に近い期間において、もっと普及しやすい、日本の私どもの経済力でも容易に買えるようなセット、そういうものが出てくることは、もう明らかである。しかし今のとこはそういう予想がまだつきかねるから、現在のところでは、そうカラーのテレビジョンを早くやるというようなことをしないで、われわれその道の者でございますから、みずから研究をしておいて、そして時間をかけて技術的に、そういったはっきりした見通しができ上りましたときに出し始めるということが、最もテレビの社会的役割を上げていく上によろしいのじゃないか、こういうような見解を持っておるわけでございます。
それで当面のところは、一方カラーの研究準備を進めますと同時に、それをすぐ着手するということではなくして、白黒のテレビも、何も今私自身、毎日製作しておりまして満足しておるわけではないのでございます。もっと皆様方の日ごろの御批判なり、御要望に沿うような程度の高い健全なものにしていかなければならない、こういうふうに日夜苦労しておりますので、それに当面もっと努力するそれは幸いに非常にセットも普及しておりますので、費用の面からも、負担力がだんだん伸びておりますから、今明るい将来の見通しを確信して、そういった努力をしておるような現状でございます。それからまた非常に全国にテレビ局ができまして、ほとんどカバーしたとはいうものの、まだなかなかそうでない土地もあるのじゃないか。そんなようなところにテレビを普及するというようなことが、むしろそれよりも先の問題なのじゃないか。とにかく白黒テレビに、現在のところはもっと勢力を注いで、そして国民生活のためになるようなテレビ番組をお出ししていくということが、当面緊急の問題じゃないか。そしてもっとカラーについては研究して、はっきりした予想が立つ時期において、ふん切るということがよろしいのじゃないか、このようなことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/86
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087・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。
それでは続いて、株式会社日本教育テレビ取締役、森本重武君にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/87
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088・森本重武
○参考人(森本重武君) 意見というお話でございますので、御参考になりますかどうか、非常に心配しておるのでございますが、一応意見を述べさしていただきます。
それで、このテレビジョンがカラーに移って参りますということは、映画の他の例を見ましても、これは自然の勢いでございまして、結局は時期の問題であると考えております。しかし特に民放業者といたしましては、普及の見通しのつかないものを始めるということは、まことにつらいことなのでございます。それでカラーテレビジョンを実施しておるというのは、アメリカだけでございますので、普及の見通しということも、アメリカの例しかないので、非常に一体、普及の見通しがあるかどうかということは判断をしにくい問題であると思います。
そこで先ほどもお話のございましたように、ほとんどわが国の白黒のテレビ放送と一年以内の差で出発いたしましたアメリカのカラーテレビが伸びないのは御承知の通りでございますが、その伸びない原因というものを、私としては、まだ十分納得するところに至っていないのでございます。従って普及の見通しがあるかないかということを、私としては十分判断できないのでございますが、ただ原因の一つとしては、十分な準備がなくて始めてしまったのではないかということも考えられるわけでございまして、やはり放送を開始するということになりますと、十分な準備をしてやるべきではないか、こういうふうに思うのでございます。
その例には直接当らないかと思いますが、御承知のようにヨーロッパのテレビ界におきましては、番組は、大がいの国が一つか二つでございまして、非常に伸びが悪いのでございますが、やはり急速に普及をさせるというようなことになりますというと、幾つか変わったいろいろのプログラムが見られるということが第一の条件ではないかと、こういうふうに考えるのでございます。ところがわが国では、特に民放におきましては、数社を除きまして大半の局は、この一、二年の間に開局いたしたのが多いのでございまして、その基礎は、まだ確実でないわけでございまして、カラー放送になりますと費用がふえるわけでございますが、そういうような費用にたえて十分多種多彩なプログラムを組むということは、大半の局においては、不可能ではないかと思いますし、またスポンサーの実情から申しましても、カラー放送にたえるだけの負担能力があるかどうかという点に、まだまだ疑問があるというふうに感ぜられるのであります。
従ってこの放送開始というような時期につきましては、非常に問題でございまして、アメリカは、カラー放送におきましても、もう五年以上もたっておりますが、非常に普及がおそくて、おそらく一番早くカラーの受像機を買った人は、もうこわれるくらいになっているかと思います。そういうように普及がおそいということでは、受像機を買った人にも迷惑になりますし、やはり十分体制が整ったところで放送を開始した方がいいのではないかというふうに考えられますので、十分この放送側、あるいは製作者、あるいは特に民放ですと、スポンサーというような状況をも考えていただきまして、時期については、十分慎重に一つ御考慮願いたい、こういうふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/88
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089・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。
次に、日本テレビ放送網株式会社の社長清水与七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/89
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090・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 御三方は、同じような御意見かと思いますが、私は、全然違っておりまして、非常に積極論であります。私は日本は、現在カラーテレビを実施する時期に達していると考えているわけでございます。
なぜかと申しますと、一体、先ほども皆さんがおっしゃったように、カラーテレビというものは、白黒のテレビより進歩したもので、はるかにいい、これは好ましい、どうしてもやりたいということであります。日本では、やはりそういう声が高いのであります。昨年カラーテレビ調査会が、街頭受像機について見る人のアンケートをとって、「お前はどう思うか」と、すると、そのうち、八五%の者は、やはりカラーテレビの方がいい、早くカラーにならぬかという答案でありました。このことは、カラーテレビ調査会の報告にも出ております。こういうふうに一般大衆というものは、カラーになることを待っている。それを放送業者の都合で、いろいろのことを言って延ばすというようなことは常道ではない。何としてもがまんしても、やはり早く一般が好むようにしなければならぬ。ことにアメリカでは、すでにやっておるわけです。アメリカを見てきた人は、アメリカでカラーをやっているのに、日本でどうしてできぬのかと言う人もありまして、日本も、できるなら一刻も早くやる方がいいというふうに私は考えております。一般の人はそう思っております。
そうして、今まで、なぜそれがいかぬかというと、先ほども話が出ましたように、受像機が、画面が悪い、あるいは調整がむずかしいというようなことが非常に言いふらされたのでありまして、アメリカから帰って来た人は、ことにそういうことを言うのです。とてもだめだというふうなことを言います。私も去年だか、アメリカに行ってきたが、決してそうじゃないのです。それは、初めやったのは悪かった。十分研究しないでやったものがあったために、調整がむずかしい。画面もよくなかった。今日では非常にきれいになった。皆さんの中でも、日本テレビにおいでになって、ごらんになった方もおいででしょうが、実際きれいになった。だれも、ついていていちいちやっておるわけじゃない。それは古い話なんです。今日では、その点では安心すべきところまで行きました。
その次は、今までは一つの障害というのが、標準方式がきまっていないじゃないか。そんなのでは、本放送はできぬじゃないかということでありましたが、これは先ほど皆さんもおっしゃいましたように、NTSC方式が一番いいということで、カラ—テレビ調査会で、長い間研究してきめたものです。先ほどお話のようにヨーロッパの方式、アメリカの方式がありますが、なかなか一致することはむずかしい。それを一致させるのは、転換方式というものがある。先ほど田辺さんが述べられましたように、転換することもできる。必ずしも同じようなものにする必要はないというわけなんです。そういうわけですからして、NTSC方式が一番いいということをカラーテレビ調査会がきめた。それを郵政省に答申したところが、郵政省でも、それではやはり日本もNTSC方式がよかろうということになりまして、そのうち審議会をやって、本ぎまりになるわけでありますが、とにかくNTSC方式にするということにきまりましたから、私は、本放送はできぬという障害はなくなった。
その次にはメーカーはどうか。メーカーは、非常に意欲が高まっています。早く一つカラーをやりたい。新聞をごらんになると、東芝とか、日立とか、松下電器とか、日本電気は、毎日一ページの広告を出して、カラー時代来たれりということをやりますけれども、カラーをやろうという意欲に満ち満ちて、非常にやろうという考え方が強い。研究をしておりますから、これまた御心配はありません。
そこで、これは最後に値段の問題ですが、これはいろいろ問題がある。なるほど、やろうと思っても受像機が高いじゃないか、一般の人の手に入らぬ、これは確かであります。これは物が複雑ですから、やはり高い。しかしながら、今日、私どもは五、六十台アメリカから輸入しましたが、これは、アメリカでは四百九十五ドルで、二十一インチのやつです。約五百ドルです。それを日本へ持ってきますというと、関税がかかったり、物品税がかかって、私どもは三十六万円で買った。二十一インチのセットが二十六万円ということは、そう高い値段でありません。日本のメーカーも始めるときには、それより高かったら、どんどんこれは自由貿易になれば、アメリカからテレビ・セットが入ってきて三十万円以下で入ることは間違いない。そうすれば、日本のメーカーは、歯を食いしばってでも三十万円以下にしなければならぬ。今もお話ししましたように、二十一インチでは大きすぎます。十七インチならいい。十七インチになれば、値が下がります。値が下がりますれば、またそれだけ安くなる。そのことは、白黒のときも同じです。白黒も初めできたときは、御承知でしょうが、二十万円くらいしました。それが今日、十四インチでもありますが、五万円とかで買えるようになった。これも少しがんばれば、きっと安くなる。日本のメーカーは必ずやります。私はその点、ちっとも心配ないと思います。その上に、先ほど出ましたように、カラーテレビという技術は、非常にむずかしい技術です。この技術をマスターするということは、日本の技術を進歩させる、日本の学問を進歩させる、それが結局、日本の製品がよくなって、海外に輸出できるということになる。カラーテレビそのものが、すぐアメリカに輸出できるかどうかしりませんが、とにかくエレクトロニクスという学問が進みますれば、日本の貿易が振興することは確かです。現にトランジスタ・ラジオは、アメリカに行って、アメリカで非常に問題になっているというほど、日本のものは進むのです。私は、カラーテレビのように、非常にむずかしい技術を仕込んでいって、これと取っ組んでやれば、日本人は手先が器用とか何とか、いいところがあるし、それから工賃が安いという点から、やれば、きっと安くなる。アメリカへ持っていっても、どんどん輸出できるということになります。そういう点からいっても、やはりカラーテレビを、ちゅうちょ逡巡しないで早くやる。待っておらなければならぬ理由はない。その待っている理由は、白黒が普及してない、普及してからやるとか、準備がととのっていないから、もう少しということです。ですから、少し歯を食いしばって、早く進んだ方がいい。
それから、先ほどお話にもありましたが、アメリカでは普及していないという、これは事実です。アメリカは、始めてから五、六年になりますが、現在は五十万台で、一%しかない。だから、日本ではだめじゃないかというが、これは、ちょっと違うのです。アメリカでは、なぜ普及しないかというと、アメリカでは、第一、八〇%も白黒テレビを持っているのです。そこへ持ってきて、カラーテレビは五百ドルですから、二倍半もするものを使うという意欲はあまりない、これが一つ、これは私の考えです。それからもう一つは、カラーテレビを見たことがない。実際アメリカには、日本で、われわれがやっているような街頭で見せるといったようなやり方はありませんから、見たことはないのです。どんなものだということを知らないというので、見ない人が多い。それが一つの原因です。そのほかに、さっきも申し上げましたように、初めのやつは、非常に悪かった、手を焼いた。その上、それをやっているのは、RCA一軒だけでしたから、ほかの者はみな悪口を言うのです。あんなものは、とんでもないとか何とかいう悪口が重なって、日本から行った人が聞いてきて、それを伝えるということで、悪口のために非常に普及しなかったということは事実です。ところが最近は、必ずしもそうではなく、RCA一軒だけでなくて、去年は、アドミラルという会社が始めた。それで相当、数が出たわけです。今年もまた、有力会社が始めるということを言っております。なぜかというと、RCA発表によりますと、受像機がもうかるようになった。今まで受像機は損しておったのです。RCAでは、今までやりかけたのだから仕方ないというのでやっておったのだが、それが今日、もうかるようになった。そうすると、ほかの会社も始めるに違いない、こういうのであります。私はアメリカの今までの状況から見て、これは伸びない、普及しないということは、必ずしもそうじゃない。今後は大いに普及する。いわんや、日本は、事情が非常に違うのです。日本は、まだ白黒の普及も非常に少ないし、それからメーカーも非常に熱心だし、日本人は、大体色を好む━━色を好むというとおかしいが、色彩を好む、ことに感覚が非常に強い。ですから日本のフィルムなども、白黒フィルムとカラーフィルムの比率は、世界で一番日本がカラーを多く作るのです。そのくらいカラーというものを、国民が喜ぶのですから、その国民が、いろいろ苦心さんたんすれば、うまくいく。アメリカでは普及しないが、日本では普及するというふうに考えます。
これは私の私見でございますが、先ほどお話がございましたから、申し上げるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/90
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091・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは、株式会社ラジオ東京常務取締、遠藤幸吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/91
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092・遠藤幸吉
○参考人(遠藤幸吉君) 私の考えております考え方を申し上げます。
私どもも、カラーテレビジョンにつきましては、相当期待を持っている者の一人でございますが、それだけに、やはりこれを事業としてやる場合には、その普及率の大きくあることに対しても、非常に期待をいたしている者でございます。
その普及といことについては、どういうことが関係するかと考えますというと、やはりより多くの人が、それを容易に入手できるという状態であることが必要だと思うのですが、それには、やはり高ければいかぬ、安くなければいけないと思いますし、買ったあとで、維持に相当手間をとったり、金がかかるようなことがあっても困ると思います。それから調整が容易であるということ、買ってみて、絵が非常にいい絵であることが必要だと思います。最初のうちは、好奇心で見ておりましても、それを見つけていますというと、非常に疲れたり、あるいはどぎついためにいやになったりするような状態の画質であることは好ましくないと思います。そういうことは、すべて普及を阻害するものとになると思います。
一方、先ほどからお話がございますように、アメリカでは、日本で白黒を実施した一年後に、つまり七年ぐらい前から、カラー放送を始めているのでありますが、現在においてすら五十万台前後の状態で、非常に普及の度合いがおそいわけでございます。いろいろその理由については、取りざたされておりますけれども、あるいは内容がよくないとか、あるいは放送時間が短いとか、あるいは調整がむずかしいとか、あるいは値段が高いとかというようなことが言われておるのでありますけれども、そのうちの、かりに高いという問題が、日本で相当問題になると思いますが、この高いというやつが、はたして、現在アメリカでは、四百九十五ドルという先ほどもお話がありましたように、一体、どういう状態で、これが安くなっていくのだろうかというようなことを考えて参りますと、これはやはり、量産になれば、もっと安くなるだろうという意見がありますが、RCAでは、昨年か一昨年、それを三百ドル台にダンピングして下げたことがあるのでございますけれども、やはり思わしくないので、やはりもとの値段の四百九十五ドルかに戻しておるような状態でございます。
この機会に、先ほども清水さんからお話がありましたように、白黒があるから、相当普及されているから伸びが悪いのだろうというようなことでございましたが、これは日本においても、同じような条件で考える必要があるのではないかと思います。現に、それと同じようにアメリカでも、カラーを買うなら白黒二台を買った方がよろしいというような傾向が相当見られておるというようなことも聞いておりますし、それから、カラーを見ていないからというようなことでございましたけれども、私どもの方の——私、技術局でありますけれども、次長が昨年の夏に、アメリカに参りまして、やはりこのカラーの普及状態というものについて、私どもは非常に関心を持っているわけでありますので、その点を、よく調べてきてもらいたいということで出してやったわけでありますが、そのうちの一部に、なかなか見当たらない。で、ある所の店で、カラーと白黒の店があって、そこへ行ったところが両方出しておる。これは、内容に影響があったのかもしれませんけれども、カラーの方を見ないで、白黒の方を見ておったというような報告を帰って来て私どもにしておったわけでありまして、必ずしも見ていないから売れ行きが悪いというようなことではないのではないかと思います。それからカラー調査会では、コンパティブルが好ましい。これも私ども、できればその方がよろしいと思います。コンパティブルでもVHF帯でやるためには、差しあたってはNTSC方式に、あるいはそれに準ずる以外のものは見当たらないという答申を出しておりましたけれども、私も、その通りだと思いますけれども、しかしカラー調査会におきましても、さらにその家庭における画質の評価とか、調整の難易というようなものを調べてみる必要があるのではないか、あるいは受信機の長期安定化、簡易化、低廉化というものも調査する必要がある、こういう答申もしているわけであります。それから、変換方式につきましても、できておるというようなことでございましたけれども、これも研究しなければならぬ。これはできておるという答申は出ておらないのであります。さらに科学技術の進歩につきましても、たとえこのNTSC方式を採用いたしましても、その長期安定化、低廉化というものにつきましても、外国のものをそのまま取り入れるということじゃなくて、私どもとしまして、やはり日本自身の開発されたものが、その中に十分織り込まれる、織り込まれる場合に、その方式が、じゃまになるようなことでは困るのではないか。これは、こういうことで行くこそ、ほんとうの科学技術の向上に資する基盤を作るものは、そこにあるのではないか、私どもは、そう信じております。
さらに、方式が一度決定されますというと、そういうようなことがありましても、なかなかこれは、それを変えることができない。変えようとすると、いろいろな方面に支障を及ぼす、犠牲をかけるというようなことで、以上のことから総合しまして、私どもは今これを早くカラーを実施しなければならぬという意向が、どこにあるのか、ちょっと了解に苦しむ次第であります。
さらに私ども放送をやっておる立場からいきまして、もしNTSC方式でもって実施するということになった場合に、どういう態度で臨んでいくかということをちょっと申し上げてみたいと思いますが、やはりこの普及ということについて、先ほども申し上げましたように非常な疑問を持っておるわけであります。従って、これはカラーが実施された場合には、運営には非常に困難を伴うこともあるだろうということを予想しているわけであります。もし運営が困難になるというようなことに逢着されますというと、先ほど清水さんのお話にあったように、白黒の番組の内容そのものにも、あるいは影響があるのではないか、あるいは白黒のスポンサーの方に、あるいは負担を転嫁しなければならぬようなことも起こるのではないかというようなことも十分考えなければならないと思います。
その辺の見通しを十分立てた上で、実施しなければならぬというように考えておるわけであります。
それからコンパティブルでございますけれども、これは完全なコンパティブルというわけにはいかぬと思うのであります。従って大多数の白黒の受信機を持っていらっしゃる方に、われわれがカラーでもって放送する場合に、それが若干でも低下する、画質が低下するというような場合は、非常に大多数の人の犠牲において、われわれがカラーを実施するというようなことになりますので、そういう点についての影響等も、相当考慮した上で、実施するか実施しないかということを決定する必要があるのじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。
それからもう一つ、ちょっと付言いたしますけれども、今、早く日本でカラーの、実施をやって、受像機をどんどん生産すれば、安くなって外国へ輸出できるのじゃないかというような考え方を持っているようでありますけれども、これは相当、あまい考え方がありはせぬかというような疑問を持つわけであります。
と申しますのは、白黒の受像機を、われわれが日本で生産しましてから、もう相当長い年月がたっているわけでありますが、アメリカにおきましても、白黒の受像機が幾らかというと、十七インチか、あるいは二十一インチか今ちょっと忘れましたが、百ドルちょっとぐらいで買える状態です。それを日本に換算しますと、日本の受像機の十四インチが高いか安いか、大よそ見当がつくのでありまして、日本で作る場合、非常に安いものができる、従ってアメリカへ輸出する場合に、それが非常に促進になるのじゃないかというような考え方で、もし実施されるというようなことがあれば、相当誤算が生ずるのじゃないかというふうに考えております。トランジスタ・ラジオのごときは、大工業というよりも、日本人の作業に適したような工業内容を持っているものですから、これだけでもって、カラーの受像機関係、こういうものも、どんどん安くできて、輸出が促進されると、もし考えて、そういうことのみでもって、カラーをかりに早く実施するということだったら、非常に間違いを起こしやせんかという心配をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/92
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093・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/93
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094・鈴木強
○鈴木強君 五人の方の御意見を承りましたが、基本的白黒からカラーに移行するということの必要性は、どなたもお認めになっていると思う。ただそのやり方について、技術的な面、あるいは今後の普及の点、国民全般にいい番組を提供するというような電波法の精神からして、時期が非常に尚早だという御意見と、そうでなく清水社長さんのおっしゃるように、今や直ちにやるべきだというふうに、こういうふうに分かれていると思います。
そこで、ちょっと清水社長さんにお尋ねしますが、今あなたの積極論の中で、今や見る人たちは、一日も早くカラーにしろ、こういう意見だということが、カラーテレビの調査会の答申だ、こういうような御意見もあるのですが、そのお調べになったのは、どういう方法でおとりになったのでございますか。たとえば街頭テレビを見ている人たちに、どうだ、こういうふうにお聞きになったかどうか、私の心配するのは、皆さんもおっしゃっているように、やはり普及ということが、将来どの程度見通しがあるのか、技術的な面にも問題があります、問題がありますが、そういう日本の普及の度合い、今遠藤さんのおっしゃったような、製造業者は意欲を持っている、メーカーは大丈夫だとおっしゃいますが、その普及の度合い等を勘案して、それぞれの会社で白黒の製作とカラーの製作と並行的にやっていくと思いますが、そういう場合に、資産の評価、その他から見ましても両立できるかどうか。しかもそれが、かなりの需要があるとすれば、また採算がとれるかも知れませんが、お伺いすると、年間百台とか一カ月百台ですか、その程度のことを考えておるようでありまするので、その普及がどの程度いくかということが非常に問題になると思うのですね。そういう点からして、NTVさんの方で主張されているような世論というようなカラーテレビに対する考え方のつかみ方が、どういうところにあったかということ。
それからメーカーでも、あなたがアメリカにも逆に輸出できるというようなことをおっしゃるのですが、この点は、私は遠藤さんのおっしゃるようなことを懸念するのです。現在白黒でもそうですし、特に、今後貿易の自由化ということが成り立ってきますと、まあアメリカで、かりに安いものができるとすれば、それが、どんどんとこちらに入ってくるでしょうし、そういうことによって日本のメーカーが、必ず圧迫を受ける。これは貿易の自由化に政府が踏み切っておるものですから、今年度あたりから、そういう方向にかなりくると思いますね。そうすると、日本の全産業が、国際市場の中で太刀打ちしなければならぬということで大へんなことになると思うのですが、それは別としても、そういった情勢もありますので、なかなか日本のメーカー連中の決意というものがつかないのじゃないかというふうに、私たちは思うわけでありますが、そこらが、非常に問題だと思うし、もう一つは、アメリカ方式を採用するという政府の方針のようですが、これも御存じの通り、国際基準——ヨーロッパ、アメリカ方式について、今年の五、六月ごろに会議かなんかあるようでありまして、そこで国際的な基準をきめようという動きがあるのですが、これは、はたしてうまくいくかどうか疑問でありますが、そういった将来に向っての国際基準というものを真剣に各国が考えておるという段階でありますから、それらの点を、かなり考慮しませんと、問題があろうかと思います。
田辺さんのおっしゃったように、ヨーロッパ式とアメリカ式とその方式自体については、そう差がないとおっしゃいますが、使う波が、向うはUHFを使っておるのですから、やはり受像機を別にやらなければならぬということもあると思います。VHFの場合ですと、カラーが白黒にも使えるということで、この点は利点がある。そういったこともあわせたときに、国際的なテレビ網というものが拡充されていくでしょう、そのときになって、日本があわてるということでなくて、大局的に、将来を見通して基準をきめた方がよかろう、こういうふうに思うのですが、その点に対する御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/94
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095・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 最初に、私がカラーテレビも輸出できるだろうとは言いませんでした。カラーテレビは、むづかしいでしょうと言いました。けれども、カラーテレビのようなむづかしい技術が発達すれば、全般的に、エレクトロニクスは上手になる。そこで日本から、そういう物が出ていくということを申したので、カラーテレビそのものは、すぐにアメリカに輸出できるかどうか私もわかりません。さっきそういうことをはさみましたけれども、あるいはお聞きとりにくかったかも知れませんが、そういうことでございます。
それからアンケートの問題、これはカラーテレビ調査会がやったのです。私どものところに、約六十カ所街頭テレビがございますから、そこに調査員をやって、紙をやって聞いたのですが、そのときに、色の点で、みんな満足したというのは八五%でございます。しかし調査会としては、家庭の方も調べたいというので、今後それをやろうというのですが、何しろ今までは、郵政省の方で許さぬものですから、受像機がありませんからできなかった。しかし今後、それが日本でできるようになれば、それは、そういう調査もやる必要がある。
それから、私は割合に楽観しているのは、普及するだろうということで、この点は、だいぶ見解が違うのです。私は長年テレビの方をやってた人間でありまして、自分も、そういうことに経緯がございますから、一生懸命やれば、うまくいく、普及するだろう、ものがよければ、必ず普及すると思っております。それはこういうわけで普及しないじゃないかと追い詰められれば、私もその点は考えますけれども、大体において、同業者のものは、いろいろ、ものがよければ、そしてそれが自然の方向に向いているものならば、必ず普及するに違いないと考えている、長年テレビをやってきて、それで、大して失敗もしないできたのですから、私は、今後日本のカラーテレビが急速に普及するかどうかわかりませんが、アメリカは五年しても、さっぱり進まぬというのとは、日本はちょっと違う。さっき遠藤さんが言われたけれども、アメリカでは見たことがない、これは見たことがないのは事実です。見たこともないものを買う気はしません。これをKRの方は、どういうふうに見たか知りませんが、なかなか見られない。なかなか見られませんが、私は専門家ですから、見て歩いたんです。自分のホテルにも受像機を置いてもらって見たり、いろいろした。そしてアメリカのものも、そう悪くないな、そう思ったのです。その後、ますますアメリカのセットはよくなった。先ほど申しましたようにアドミラルも始めれば、ほかの会社も始めるというあれですから、アメリカも、今後普及します。しかしアメリカが普及しなくても日本が普及しないということではない。日本は、アメリカが普及しないでも普及するという考え方です。それは今言ったいろいろな事情で、日本は私は普及すると思う。日本人は、カラーが好きである。ものを安く作ることも知っている。いろいろの点でです。
それから、さっき白黒も普及しているじゃないかと、でも白黒は、二〇%しか普及していない。アメリカは八〇%普及している。八〇%も占めているのに、高いものをもっていってもだめです。いなかへいけば、テン・パーセントまでいかないところもあります。そういうところへ持っていけば、それは白黒よりも、カラーが普及するだろうというのは、アメリカと日本とは違うと申し上げたゆえんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/95
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096・鈴木強
○鈴木強君 お答えの中で、このNTSC方式に、一応政府が態度をきめようとしているようですが、方向も、そのような方向ですか、それをちょっと将来の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/96
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097・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 今のアメリカの方式、ヨーロッパの方式、これは、先ほど田辺さんもおっしゃったように、違っている方式です。NTSC方式ですと、白黒も見られる。カラーも見られるし、白黒も見られるが、根本の白黒が違っている、それが困るのです。アメリカは六メガサイクル、日本も六メガサイクルです。ヨーロッパでは七メガサイクルですし、本数も、アメリカは五百二十五本、ヨーロッパでは六百二十五本だから、カラーテレビというものを、白黒にしようとすれば、還元して白黒が一致しなければだめです。白黒は、アメリカに五千万台もある、イギリスにも千万台以上もある。それを今さら方式を合わせても合いっこないのです。そこで、カラーテレビを中継方式でもやろうじゃないかといって、いろいろやったが、やはりいろいろコンパティブルという問題が引っかかる。根本の六メガ、七メガの問題が解決しなければ、これは解決しないわけです。ということが、今度日本でもわかって、カラーテレビ調査会でも、これはどうもいかん、何べんもほうぼうで、モスクワでも、ロスアンジェルスでも、やりました。去年はジュネーブでもやりました。今年も。毎年そういうことをやって、お役人が出張していくけれども、なかなかそれがきまるわけじゃない。
そこで、これはおそらくきまらぬと思うから、一応、日本はアメリカ式にした方がいい。しかし国際交換のときには、さっきのお話のように交換する方法があるというのです。いろいろ工夫すれば、アメリカの番組をヨーロッパヘ、ヨーロッパの番組をアメリカへ移すことができるというのですから、そう問題がないわけです。そこでカラーテレビに調査会も踏み切ったということが書いてあります。そこをごらんになったかどうかわかりませんが、まあ、そういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/97
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098・鈴木強
○鈴木強君 まだ、ちょっと理解ができませんのは、世論のつかみ方です。そこに見ている人たちに紙を配って聞いたということですが、それはまあ、たしかに日本人は色を好みますから、ですからそこで見ておった連中は、なるほどいいと思うでしょう。しかし技術的にどうなのか、各国の技術と比べてどうなのか、そういう点は、まあほとんど無関心というか、専門家ではないと思いますから。ただそこで見ていいと思った、こう言ったのじゃないかと思うのです。
ですから、今あなたの言われているように、あなたの勘かどうかわかりませんが、とにかく自分の専門的な立場からして大丈夫普及すると、こう確信をもっておられるので、それはあなたの御見解ですから、私にはどうとも言われませんが、しかしそれには、やはりある程度の、今言った世論調査なり、カラーテレビの普及というものが、あらゆる角度から、やはり国民の意見を徴し、世論を把握した上でおやりにならないと、多少問題があるのじゃないかということを、私は老婆心的に心配するのです。ですから、そういうふうなことを今おやりになっているようですが、現実にそのことがやはり出てきて初めて確信の持てるところが出てくるのじゃないでしょうか。今のカラーに変えろという世論調査の仕方というのは、ちょっと問題があるように思うのですが。それからもう一つ問題になるのは、日本には白黒テレビが幾つかできてきましたから、お宅のように早くから実験放送をやった所は、それぞれ勉強もされているでしょうし、御工夫もされているわけですから、率直に言って待ち切れないという気持もあると思います。しかし、日本の公共放送を初め民間放送にしても、やはり放送法、電波法の定めるところによって、国民があまねく公平に享受する、そういう精神に向かって皆さん御苦労いただいておるわけです。ですから幾つかあるテレビ会社の人たちの意見を——三人の方の意見からいうと、そういった白黒は今スタートしたときで、なかなかカラーに踏み切るということは、経営の面から見てもあるいは見通しから見ても困難じゃないかと、こういうところに見解の相違があるわけですけれども、端的に伺いますが、NTVさんの方では、おれのところはすでにできるのだから一つ本免許しろと、あとはあとでそれぞれ研究してどこでもやったらいいじゃないか、おれのところは早くやったのだからと、こういうような考え方でおられるのでございましょうか。その点放送に携わる皆様方のチーム・ワークの何もあるでしょうし、それぞれ独立しておりますから問題が必ずしも統一できるとは思いませんが、事こういう放送事業なんかの場合は、少なくとも皆さんは、それぞれ会社は違いますが、思うところは一つですからそういう立場で考え方を協議されて、全体的な立場に立って、多少準備ができておっても、全体のレベルを考え、全体の調整を考え、ほかと統一行動をとると、そういうふうなことはなかなかこれはむずかしいと思いますが、その点の考慮で多少なりやっていただいた方がいいんじゃないかというふうに感ずるのですが、その点は大へん失礼なお尋ねで申しわけないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/98
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099・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 私どもは、自分が準備できたから、ほかの準備ができていないところはかまわぬというようなことは考えておりません。しかし、とにかくカラーというものは早く普及した方がいいと思った、だから準備もした。準備の方があとからできた。今おっしゃるように、私の方はできますが、ほかの方では準備が整わぬという所もあります。しかしこれはラジオのときも同じことで、私どもはテレビというものが日本にできたときに非常に反対でありました。ラジオがこういうふうに普及していて、テレビの入る余地がないじゃないか、けれどもやはりテレビというものは進んだものなんだから、これはやった方がいいということで無理にやったわけですね。そうしたら、ほかのラジオの方もテレビをやった方がいいということになって、今日ではテレビにみんななっちゃったわけですから、そういうふうにだれか先走ってやろうという者がおるのですから、それをあなたおっしゃるように押えつけてやるということも何だから、やはりやりたくているのだから、その点は悪いことじゃない、こう思っているのですから、この点は御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/99
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100・鈴木強
○鈴木強君 まあ清水さんのおっしゃることは大体わかりましたが、前段の世論の把握については、私ちょっと指摘したことが失礼になるかどうかわかりませんが、なおやられているようですから、全国的なやはりカラーに対する世論調査と申しますか、そういったものについてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/100
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101・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) その世論調査というのは私どもがやったわけじゃなくて、カラー・テレビ調査会がやった。今までのところそれしか道がなかった。とにかくこれは街頭受像機が六十台しかない、全体の受像機が百台しかないのですから調べようがないので、そこでそういう方法をとった。そのときに、あなたがおっしゃるように、よくわからずに、大体世論調査というものはそういうものでありまして、感じを言うので、それを集めたのが世論で、それを一々理屈を考えてやるのは専門家の話で、われわれ聞かぬでもいいと思っておりますから、やはり何でもない人の話を聞こうというわけでやったのですから、それを専門知識のない人がやったのですから、それが八五%まではそうやりたい、やった方がいいと言う。世論というものは大体そんなもので、衆愚といいますか、そういう者の意見ですから、専門家じゃない。あなたは専門家の意見なら専門家の意見で聞けばよろしい。それでそういうふうにやった。しかしそれでは足らぬというので、家庭でもやろうとしたが受像機もないから……、だんだん家庭も普及しているというように調査会の報告にはありますが、大体世論というのはそういうものであります。これは私がやったものではなくてカラー・テレビ調査会がやった、その結果がそういうふうに出たということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/101
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102・鈴木強
○鈴木強君 確かにあなたのおっしゃるようなことも一つの理論と思うので否定はいたしませんが、しかし見ている人たちの単純な考え方というのは、街頭にどんどん進出して無料奉仕的におやりになることは歓迎するところでしょう、国民から見ると。将来これが家庭の中に入ってくるような場合にどうかということをもう一歩考えて、たとえば値段がアメリカで五百ドルぐらいしているようでありますが、それからしても五、六十万円というところが大体の相場ですね。そうしますと、特別な金のある方は別として大体中流以下の階層で果して、そういう高額な受像機が買えるかどうかということも、一つの問題になると思います。ですからそういう点もやはりこれは技術専門家というより、むしろ買う立場に立てばそういうことがまず前提になると思います。アメリカにおいて普及しなかったことはいろいろ原因がありましょう。今清水さんのあげられたように技術の非常に悪かったということもありましょう。私も一昨年二カ月ばかり向こうに行きましたから特に関心を持っていろいろ見て来ました。見て来ましたが、指摘されているような画面の問題とかアフター・サービスの問題もその当時十分でありませんでしたが、だから準備段階が十分できない中にアメリカではスタートしたということが今日のように普及が落ちている、こういうところに私は原因があるのではないかと判断いたします。その後技術が改良されてもなかなか今四十万台からちょっと出た程度にしかカラーは普及しておらないのです。だからそういうことを考えても今後の見通しについて、楽観できるかどうかということは疑問のあるところだと思うのです。だからカラー・テレビ調査会がおやりになることでありますから、皆さんにお尋ねするのも大へん失礼な話だと思いますが、やはりNTVならNTVは独自の立場でいろいろおやりになっているようでありますが、そういう中で根拠になる一つの裏づけといいますが、値段はこうでこうなるのだという一つのテーマを与えて、それによって世論の動向をつかむこういうことが私は第一の適切な方法と思います。そういうことになって初めて皆さんが確信をもってスタートできるのじゃないかと思うのであります。だから私はテレビの調査会のやり方に対してはもうちょっとそういう世論のつかみ方についての研究をいただきたかったというのが、国会から見るわれわれの希望意見なんであります。そういうわけでなかなか今後の見通しというやつが、そう簡単に私は立つとも限らないと思うのでありますが、清水さんの専門的な御研究と過去の体験からして大丈夫だという確信を持たれる裏づけというものが、御経験ですからこれは貴重なものでありましょう、しかしこれをもう一歩何か御工夫いただいて確信の持てるようなことをお考えいただいたらと思いますが、この点についてはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/102
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103・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 私先ほどから申し上げておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/103
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104・遠藤幸吉
○参考人(遠藤幸吉君) カラー・テレビ調査会のアンケートのとり方についてのお話でございますが、私カラー・テレビの調査会に出ているものでありますが、あの街頭のアンケートをとるに至った順序、私の記憶が間違っておりましたら、まことに申しわけないのですが、やはり本則は家庭へ持ち込んで調査するということが本則であったと思っております。そのためにあるいはこのたまなどを外国から輸入しまして日本のメーカーに作っていただいて、ある数をまとめてそれを家庭に持ち込んでいろいろ調査したい、その調査の予備的な行動として、その調査方決等につきまして検討する必要があるので、とりあえず街頭でやってみようということで、街頭の調査が始まったと思います。従いまして、その調査要領につきましても、たとえばこれは私だけの考え方なんですけれども、問いとして一、二、三、四、五と書いて、その程度で満足か、やや満足か、それから非常に不満とかといったような順序で書いておる。それを逆に書いたら一体どうなるであろうかというような意見も出ておった。そういうことをいう人もあるわけですが、そういった調査要領で調べるという、そういうために街頭で調査したというふうに私は記憶しておるのでありますけれども、間違っておったらまことに申しわけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/104
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105・鈴木強
○鈴木強君 大体お伺いする点は終わりましたので、あとはまあ大臣もお見えになっておりますので政府の方に対して標準方式のことについて質問したいと思っておったのですが、大体御出席をいただきました参考人の方々からの御質疑はこれで私は終わりたいと思います。大へんありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/105
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106・森中守義
○森中守義君 ちょっと私一問だけ。これはどなたに承った方がいいのか、ちょっと私も質問が皆さんに直接に関係ないことですから非常に困るのでありますが、民放連というところで、この問題について討議をされて、ある意見の一致を見ておいでになるか、またその辺のことが電波当局の方にどういう形で意思表示されているのか、もしおきめになっているかいないかわかりませんが、その民放連としての統一しておる見解がもしおありでしたらそのことを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/106
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107・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) 私は民放連の理事をしておりますから、それに参与しておるわけでありますが、民放連はカラー・テレビをどうしようかということは論議したことはございませんです。それはそれぞれの会社でいろいろやっておることでありまして、しかしそういうことについて何をどうしようというそういうことを論じたこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/107
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108・森中守義
○森中守義君 それはこういうように理解してよろしゅうございますか。別段民放連という組織的な団体で論ずべき事柄ではない、そういうような理解の仕方でよろしいのですか。それとも機会がなくてまだ論議されたことがないというように理解すべきなのか、どちらでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/108
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109・清水与七郎
○参考人(清水与七郎君) その点は私もはっきりしません、私はただ平理事でありますから。そういうお話は出ていませんから、また私は出そうと思っておりません。そういうことが出るかどうかは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/109
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110・森中守義
○森中守義君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/110
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111・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは参考人の皆様方には非常に御多用のところを御足労をわずらわしまして、いろいろ御意見を拝聴しましてありがとうございました。
大体質疑が終わりましたので順次お引き取りをいただきたいと思います。ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/111
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112・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/112
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113・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは速記を起こして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/113
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114・野上元
○野上元君 大臣の所管事項の説明について質問すると、こういうことに午前中申し上げたのですが、逐次質問して参りたいと思いますのでお答えをいただきたいと思います。
所管事項の、三ページにありますが、「藤林あっせん案によりまして団体交渉問題は一応の解決を見、」と、こうあなたの方で言われているわけですが、一応の解決というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/114
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115・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 私が別に起草したわけでございませんので何でございますが、長らく問題になっておりました全逓と郵政省との間の問題が藤林あっせんを契機といたしまして、お互いに団交できるようになったということによりまして、私たちはまあ長らくの終止符が打てたと思うわけでございますけれども御承知のように、なお公労法四条三項という法律が生きておりますので、それにつきましてはいわゆるそのあっせん案でございますので、そういうことを加味したことだろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/115
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116・野上元
○野上元君 この一応の解決というのにはいろいろな意味があるんじゃないか、というふうに実は私は考えたわけですが、今前段であなたが言われたように長い紛争状態が一応の解決をみたのだと、こういう意味であるならば了解できるのですが、さらに掘り下げて、なお今日公労法四条三項があるのだからと、こういうふうに言われるとちょっと問題があるような気がするのです。というのは、その次のページに出てくるように、「全逓の正常化によりまして郵政部内の労使関係が明朗性を取り戻し」たと、こういうふうにはっきりうたわれておるのですから、組合側には問題はないと、政府側にILO批准という問題が残っておるんだと、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/116
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117・佐方信博
○説明員(佐方信博君) その問題も確かに残っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/117
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118・野上元
○野上元君 いや、私の問いにはっきり答えてもらいたいのですが、組合側にはもう問題はなくなっておる、正常化した、しかし政府側はまだILO八十七号を批准し、かつ公労法第四条三項を削除するのだという問題が残っておるんだと、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/118
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119・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 政府側といたしましては、御承知の通り、国内法の整備でありますとかあるいはまたILO条約八十七号の批准という問題が残っております。それから全逓の方といたしましては、あっせん案をお互いにのんだ結果といたしましては、団交もできるようになってきたわけでございますが、一部にはまだいろいろな論議があることは御承知の通りでございます。しかし、私たちとしてはそういう意味を別に含めませんで、とにかく長らくの問題が片づいてほっとしたのだというような意味を率直に現わしてあることだ、というふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/119
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120・野上元
○野上元君 それで一応わかりました。
次にお聞きしたいのですが、これもやはり三ページにありますが、「昨年以来の違法な闘争により」とこういうふうになっておるのですが、これはどういう意味なんですか。この違法というのはどういう法律的根拠に基づいて違法であると、こういうふうに判断されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/120
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121・佐方信博
○説明員(佐方信博君) その違法の中にはいろいろ実はあると思いますけれども、たとえば勤務時間内に職場大会を開きまして、正規の勤務時間をさくというようなことも一つの違法という例だと、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/121
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122・野上元
○野上元君 そうすると公労法十七条にいう争議行為というのはなかったと、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/122
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123・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 公務員の場合にいわゆる争議行為というようなことは実は許されていないわけですね。極端に一般的にいいますと、争議行為といいますと、代表的なものはストライキですけれども、そういうものは一応今のわれわれの場合に許されていないということでございますので、いわゆる争議行為をなさることは非常に法律に触れるということが多いと、こういうお答えをするほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/123
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124・野上元
○野上元君 私が聞いておるのは、この所管事項説明の中にある「違法な闘争により」というのは、これはどの法律に基づいて違法だと言っておるのかということを聞いておるのであって、それは公労法十七条にいう争議行為とあなたの方は認められたのかどうか、こういうことを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/124
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125・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 公務員の職務遂行義務というものは、国家公務員法に主としてきめられておるですね。それから公労法の十七条にももちろん争議行為の禁止がうたってあるわけでございます。そういう法規に定めることに反することは違法行為だと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/125
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126・野上元
○野上元君 そうすると、公務員法にも違反しておるし公労法にも違反しておると、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/126
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127・佐方信博
○説明員(佐方信博君) その通りだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/127
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128・野上元
○野上元君 そうすると、公務員法というのは何条に該当するのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/128
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129・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 公務員法は八十二条に「この法律又は人事院規則に違反した場合」それから「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」あるいは「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合と」こういうことをたくさんあげておりますが、少なくとも八十二条で大本をきめているということであります。これによってこの該当条文はまた別に出てくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/129
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130・野上元
○野上元君 そうすると、公務員法八十二条というのは、労働問題をこの中で規定していると、こういうふうに解釈をされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/130
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131・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 労働問題も全部含めまして、とにかく法律できめた場合は含まれる。民間企業の場合でございますと、いろんなことをきめてございましてもいわゆる争議権というものがあるわけでございます。その面において排除されますけれども、国家公務員の場合におきましては、争議権というものが別に認められておりませんので、個々の法律で禁止しておることにつきましてはこの条例に触れてくる、こういうふうに解釈するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/131
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132・野上元
○野上元君 それでは、公労法十七条というのは特に必要ないじゃないですか。八十二条ですべてが規制されるということになるならば、わさわざ公労法十七条で争議行為を禁止するというような二重の法律を作る必要がないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/132
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133・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 御承知のように、国家公務員法は国家公務員だけに適用になるわけでございます。それから公労法は、国家公務員と、国家公務員ではございませんが、国家公務員の中のいわゆる現業関係ですね、それと公共企業体とに関係しおるものでございまして、別に重複いたしましても、そうあれはないじゃないか、ただ、私たちの考えておりますのは条文としてはダブっておりますけれども、国家公務員法の懲戒の場合と公労法による懲戒の場合と、効果等が少し違った面もございますので、私たちはそのケースによりまして両方適用が考えられるということも今までやってきたことがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/133
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134・野上元
○野上元君 そうすると、郵政省が相手とする全逓の場合には、その全逓の労働運動に対する規制というのは、主として公労法によって律せられているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/134
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135・佐方信博
○説明員(佐方信博君) それは別にどっちでなくちゃならぬということは私はないと思います。ただし、たとえば個々的な暴行事件等になりますと、これは公労法でなくて国家公務員法だけでいい。そうでない場合は両方適用してもいいのじゃないかという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/135
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136・野上元
○野上元君 そうすると、違法行為によってあなたの方は大分処分をしたということが新聞に発表されておりますが、その処分を適用した法律はどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/136
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137・佐方信博
○説明員(佐方信博君) ごく最近におきましては全部国家公務員法を適用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/137
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138・野上元
○野上元君 昨年末から行なわれておりましたあの全逓の争議については、どの法律を適用されたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/138
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139・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 国家公務員法を適用いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/139
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140・野上元
○野上元君 そうすると公労法の十七条にいう争議行為ではなかったのだと、こういうふうに見てよろしいですか、あの当時のことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/140
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141・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 法律的に考えましたときには両方あるかと存じます。公労法の十七条を適用してもいいケースもございますし、国家公務員法にいっていいケースもある。ところが公労法の場合には十七条を適用いたしまして直接発動する条文が、明文の上では免職だけになっているわけでございます。従いまして、いわゆる労働運動を指導した方等に対して適用いたしますときには、これはまた変なことになってしまいますけれども、野上委員長に対して適用いたしましたときには公労法でいたしましたけれども、そのほか最近におきましては、そういう免職の該当事件もございませんので、免職の該当する事件はありましても、免職の適用をいたしておりませんでしたので、はっきりいたしますように国家公務員法を適用いたしました。今度の場合には実は免職が出て参りましたけれども、それはいわゆる労働運動と申しますよりも、非常に個々的な何といいますか暴行事件等が多かったので、公労法を適用する余地がなくて、国家公務員法を適用したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/141
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142・野上元
○野上元君 公労法十八条によると、確かに「解雇されるものとする」とこういうふうになっているわけです。解雇以外にはないのだ、こういうふうにあなたの方で解釈しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/142
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143・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 「解雇されるものとする」というので解雇以外は何もできないかということについては、いろいろ問題もあるようでございます。しかし私の方では少なくとも明文では「解雇されるもの」とするということでございますので、事件の内容が公労法十七条を適用するような場合でありましても、免職を適用したくないときには、私たちの方では国家公務員法でいけるので、国家公務員法を適用しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/143
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144・野上元
○野上元君 それはむりやりに国家公務員法を適用したのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/144
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145・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 別に無理してそういうことを適用したつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/145
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146・野上元
○野上元君 私は少なくとも郵政省と全逓との間は、労働問題についてはすべて公労法で適用さるべきだと考えるわけです。従って、実際に争議行為があったならば十八条によって処分すべきである、もしもその処分に該当しないということであるならば、これはもう一切の処分は行なうべきでないと思うのです。それを国家公務員法によって制するというような行き方は明らかに私は誤りだと思うのです。特に集団的に訓告や戒告を出しておるというようなやり方、それは明らかに行き過ぎじゃないかと、こういうふうに考えるのですが、郵政当局はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/146
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147・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 私の方は、それが国家公務員員法を適用することが何らおかしいことではないと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/147
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148・野上元
○野上元君 だから先ほど私が言いましたように、国家公務員員法八十二条はそういうふうな労働問題を予想して作りれた法律ではなくして、個々の公務員があるいは郵政省の体面を汚すような行為を行なったとか、あるいは故意に業務を怠慢したとかいう場合にやるべきであって、少なくとも労働運動に適用すべき法律ではないというふうに私は考えるわけですが、その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/148
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149・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 公共事業に従事する人に、いわゆる争議権、罷業権等がはっきり認められておるということになりますと、法律の解釈いろいろあろうかと存じますけれども、われわれの場合には罷業権その他一切争議権というものは認めてないわけでございますから、私としましては国家公務員法をそのまま適用しても差しつかえないと、こういうふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/149
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150・野上元
○野上元君 そうすると、今回大量処分したその処分の内容というのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/150
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151・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 処分の内容は、いわゆる違法な闘争をした、たとえば勤務時間中に職場大会をやったとか、それから、そういう本部指令と全然別に個々的なつるし上げというようなこと、あるいはまた暴行事件といったようなこと、そういうものを拾い上げまして処分をいたした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/151
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152・野上元
○野上元君 今労働運動とは切り離して個人の非行について処分したと、こういうふうに言っておられるが、そういうものもあるというお話ですね。しかし今回行なわれた処分の内容を見てみますと、全部やはり労働組合運動から発生した問題だというふうにわれわれとしては見ておるのですが、その点はどうなんですか。完全に切り離された問題だというふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/152
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153・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 長い闘争の間のことでございますので、広い意味で考えてみますると、闘争に関連して起こったことでございまして、一般的な突発的な刑事事件ということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/153
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154・野上元
○野上元君 たとえば馘首された人たちが四名ばかりおったようですが、その中の内容を見てみると、指導者であるというふうな責任を問われておる者、あるいはまた個人で暴行を行なった者、こういうふうに分けられると思うのですが、どうですかその点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/154
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155・佐方信博
○説明員(佐方信博君) その場合におきましては、みんなある程度役職にある方でございますので、広い意味では指導者ともいえるわけでございますが、仙台の場合あるいはまた長野等の場合におきましては、主として責任者としての行為が問われております。それから三重県の場合、島根県の場合におきましては、指導者であるということもございますけれども、直接手を下してやられたという面を強く問われておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/155
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156・野上元
○野上元君 かりに指導者であるからといって処分をされたという場合を取り上げてみて、その場合でも公労法十八条ではやるべきでなくて、国家公務員法でやるべきだと、こういうふうに考えたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/156
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157・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 仙台の場合には郵政局に行きまして、いわゆる座りこみをいたしまして、管理者を長時間にわたってつるし上が行なわれたという事件でありますが、少なくとも郵便局において業務をストップされる、公衆への直接のサービスのストップという問題じゃないものですから、これは公労法でいくよりも国家公務員法でいくべきじゃなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/157
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158・野上元
○野上元君 ある馘首された人の場合を例にとってみますと、事件が刑事事件になって警察に勾留されておる間に免職の発令をしたというようなことがあるのですが、そういうことは国家公務員法上できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/158
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159・佐方信博
○説明員(佐方信博君) そういうことはなかったと存じております。発令いたしましたときには、もう出ておられたというふうに私了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/159
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160・野上元
○野上元君 そうすると裁判にはまだ係属中ではないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/160
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161・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 裁判と申しますか、起訴されるとか、いわゆる裁判が正式に公判が開かれておりませんけれども、起訴中でございますけれども、人事院の承認を得まして処分いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/161
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162・野上元
○野上元君 ほんとうに人事院の承認を得られましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/162
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163・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/163
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164・野上元
○野上元君 これは大臣にお聞きしたいところなんですが、大臣は先ほどあのような大闘争のあとで、一たん妥結したら郵政従業員は火の玉になってやってくれて非常に感謝しておると、こう言いながら、多量の処分をしなければならなかった理由は一体なんですか。感謝しながら処分するなんていうのがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/164
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165・佐方信博
○説明員(佐方信博君) お互いに長い間いろいろ論議をいたしまして、国民の皆様に非常に御迷惑をかけたが、年末には藤林あっせんをのみまして、お互いにこれから現場も明るく話し合っていこうということで、先ほどお話のように何とか年の瀬を乗りこえてやってきたわけでございます。お互にほっといたしましたし、私たちといたしましてももう過去のことを一切水に流したいという気持もいたしましたけれども、その後よく調べてみますと、相当長い期間でございましたので、やはり歴然とした違法行為であるとか、あるいはまたいろいろ非常にみんなに迷惑をかけた点等ございますので、いろいろ今までのことを考えまして、やはり処分をしなければならないと考えたわけでございます。しかし妥結した前後の事情でございますとか、いろいろなことを考えまして、特にひどくこれから持っていこうという気は毛頭なくて、できるならこれを責任を追及するだけにとどめることにして収めよう、ということも十二分に考慮いたしまして、そういう点をしんしゃくしたつもりでございます。ただし特別にひどかった事件につきましては、いろいろな関係もございまして、検察庁に引っぱられておる者とか刑事事件等については、やはりうまく取まりましたけれども、例外的に起こっておることにつきましてだけは、責任を追及しなければ、大きな職場の秩序が成り立ちませんので、非常に残念なことでございますけれども、私たちとしてはけじめだけはつけるということをせざるを得なかった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/165
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166・野上元
○野上元君 処分の問題については、さらに質問を続けたいと思いますが、きょうは時間がありませんのでほかの問題に一応移りたいと思います。
特に一番私が質問申し上げたいのは、先ほど一応の解決ということでちょっと触れたのですが、これを完全に解決するためには郵政省としたらどうしたらいいか、どういうふうにお考えになっておりますか、完全に解決するためには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/166
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167・佐方信博
○説明員(佐方信博君) とにかく藤林あっせんをお互いにのみましてやっておるわけでございますので、私たちとしましてはお互いに藤林あっせんの精神にのっとりまして仕事をやっていきたい、ということを一応考えております。しかし、あと何か完全でないとかということになって参りますと、藤林あっせんによりますと、とにかく臨時代表というものの資格については、名実ともに内外を代表するものでなくてはならぬのだという意見もございます。同時にまた近い機会に一応四条三項に従ってその通りにしてもらうならば、これはまた非常にりっぱなことじゃないかという議論もある。同時にまた政府におきましては、ILO条約の批准ということには、御承知のように全逓の正常化ということと、国内法規の整備という二つの条件があったわけでございますが、そういう点から早い機会にILO条約が批准されていくということになりますと、昨年の政府の方針が全部消えるということになってしまうだろうと思います。とりあえず私たちとしましては、今、全逓との間におきまして団交をいたし、また協約をいたしますときに藤林あっせんの趣旨に従って臨時代表の人と話をいたし、そうして今、毎日のように団交いたしておりますので、お互いにせっかくでき上がりましたこういう雰囲気でございますので、両方でよく話し合って、そうしてよりよき慣行ル作って、長い間のお互いにいざこざがあったことをこの際払拭して出発したい、こういう気持でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/167
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168・野上元
○野上元君 さきに岸総理大臣も各委員会における質問で、全逓も正常化したので政府もILO条約八十七号を早く批准したい、こういうふうに答弁をしておりますし、労働大臣もまたそういうふうに言っておるわけです。そこでILO条約八十七号を政府が一日も早く批准すれば、問題は完全に解決すると思うのだが、その点について郵政省はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/168
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169・佐方信博
○説明員(佐方信博君) ILO条約の批准につきましては、全逓の正常化と国内法規との整備ということが一応条件になっておったように存じております。私といたしましては早い機会に整備され、批准されることを希望いたしておるわけでありまして、ただ一応国内法規の整備という問題が直接郵政省関係のことではございませんので、今、私たちが知っておりますことは、新聞等で出ておる、あるいは国会の論議等で総理が言明されておることという域を出ておりません。労働省が中心となりまして、その関係のところといろいろ論議を進めておるようでございますが、新聞を見ましても、今いろいろな方面からいろいろな意見が出ておるようでございますけれども、何らかのある程度の成案があれば、私たちも当然これでいつ行くという相談があろうかと思いますけれども、今のところ郵政省と関連のない、ほかの省の関係の問題がいろいろ論議されておるという程度を承知しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/169
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170・野上元
○野上元君 ILO条約を批准すれば、どうしても改正しなければならぬ法律というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/170
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171・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 公労法の四条三項と地公労法の一部、あるいは鉄道営業法の問題ということが今まで論議されておったようでありますが、最近国家公務員に関連しても何か問題があるというようなことがいわれておる。しかしそれについては私の方として直接今折衝いたしておりませんので、詳細はあまりここで申し上げるほどの材料を実は持っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/171
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172・野上元
○野上元君 新聞等の報ずるところによると、国内法規の改正という中に、公労法はもちろん地公労法、この二つは当然改正しなければならぬが、さらに鉄道営業法を改正したい。さらにまたこの際専従制度といいますか、これを全廃したい、在籍専従制度、これを全廃したい、こういうふうにいっておりますが、鉄道営業法だとか在籍専従制度の問題について、ILO条約八十七号と直接関係があると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/172
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173・佐方信博
○説明員(佐方信博君) この件につきましては、私たちは直接の関係でございませんので、一つ答弁を遠慮さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/173
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174・野上元
○野上元君 私が心配しているのは、最近の新聞にちらちら出てくるのは、ILO条約八十七号は今国会を見送りか、こういうことが椎名官房長官からもちょっと言われたし、本日の新聞にも、政府あるいは自由民主党の中にそういう動きがある。こういうことが出ておるわけですが、もしもそれがおくれると非常に問題が紛糾するおそれがあるので、こういうことは避けてもらいたいと思っておりますが、郵政当局としてはどういうふうに希望し、どういうふうに今後運動をされるのかお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/174
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175・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 本件につきましては、過日の国会の論議におきましても、責任ある大臣から、四月上旬を目途として出していきたいというお話が出ておりますので、私たちはそうなるものと考えてよろしいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/175
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176・野上元
○野上元君 郵政当局としては、一日も早くILO条約八十七号を批准してもらいたいという強い希望を持っておる、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/176
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177・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 郵政当局としてはたびたび、全逓の正常化を早くしないと、批准がおくれてかえって損じゃないかということで、これまで警告も申し上げたりいろいろなこともいたしておりましたので、私どもとしましては、一応今の段階になって参りました以上は、早い機会にそういう一切の問題が解決してくれるということを期待しておりますので、先ほど申し上げましたように、ILO条約を早く批准するというために必要な国内法規の整備が、他の省関係においていろいろあるとしますならば、それらは早く解決してもらいたいという熱望を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/177
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178・野上元
○野上元君 私はこの機会に明らかにしておきたいと思いますが、ILO条約を批准することによって、必然的に改正されるべき法律以外の問題をこれにからめて、ILO条約八十七号の批准を延期し、かつこの国会で見送るというがごときことのないように、郵政当局としても一番問題の発端の省なんですから、十分に一つ努力してもらいたい、このことを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/178
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179・佐方信博
○説明員(佐方信博君) どうも一説明員の資格でそういうことをお答えするのも、いささか責任重大過ぎますけれども、私たちの関係いたしておりますところの労働省、それから私たちといたしましては、別にあらためて何らかの問題を起こして、そうして批准を引き延ばすというようなことは考えておりません。私は労働省の人からもそういうことは聞いておらないということだけを申し上げまして、どうも責任ある御答弁はちょっと私の身に重過ぎるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/179
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180・野上元
○野上元君 この問題についてはまた後ほど大臣等にお話しすることにいたします。
次に若干、経理上の問題についてお尋ねしておきたいのですが、現在三十四年度において電電からの繰入金はどうなんですか。赤字になっておりますか、黒字になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/180
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181・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 現在のところはまだ赤字ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/181
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182・野上元
○野上元君 そうすると、三十四年度末における推定としては赤字になるのですか、黒字になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/182
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183・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) これはまだ郵務局と電電公社におきまして、鋭意折衝してもらっておる段階にございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、その折衝いかんによりましては、若干の赤字になるかもしれないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/183
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184・野上元
○野上元君 三十五年度においてはどういうふうに計算されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/184
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185・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 従来通りの郵務当局と電電の営業当局と打ち合わせた方式がございまして、この従来通りの方式に従いまして、算出いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/185
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186・野上元
○野上元君 そうすると、三十五年度における収支バランスの見通しは、やはり赤字になるという可能性の方が強いというふうにみてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/186
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187・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 今後の交渉の結果いかんによりますけれども、もしことしの話し合いがまとまりませんで赤字になるようでしたら、あるいは来年もそういう事態が再び繰り返されるかもしれないという懸念を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/187
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188・野上元
○野上元君 すでに三十四年度からみて三十五年度を類推できるような状態にあるときに、郵政当局としては電電公社とその問題についてさらによく話し合いを進めて、初めから赤字が立つような繰り入れをやるべきじゃないと思うのですが、郵政当局としては、その基本協約といいますか、郵政省と電電公社との間の基本協約について変えるという積極的な努力をされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/188
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189・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 現在、最初申し上げましたように、郵務局において鋭意折衝を続けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/189
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190・野上元
○野上元君 その見通しはどうですか、その折衝の見通しは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/190
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191・板野学
○政府委員(板野学君) この問題につきましては、御承知のように現在のところ単金繰り入れという、単金にその物数をかけたものというところで、そういう話になっておるわけでありますが、以前は予算繰り入れという方法でやっておったわけであります。現在、単金繰り入れがいいのか、予算繰り入れがいいのかという点につきましても、これは公社の方といろいろ現在までまだ論議をいたしておるわけでございますが、単金の繰り入れの場合におきましても、なお郵政省といたしましていろいろと大蔵省の承認を受け、あるいは郵政省で経費を出しておるというようなものもございますので、こういう経費を公社の方から繰り入れてもらえば、予算と実際の収入額との赤字というものが、相当そこで減ってくるのではないかということで、私どもといたしましては現在の単金繰り入れという制度のもとで、なおかつ公社といろんな折衝をする問題があるということで、ただいま資料を整備いたしまして、これからまた公社と至急に一つ交渉に入るというように進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/191
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192・野上元
○野上元君 その交渉の見通しはどうなんですか、郵政省の言い分が通るという可能性があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/192
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193・板野学
○政府委員(板野学君) これはどうとも今のところまだ具体的な項目についての交渉に入っておりませんので申し上げられませんが、従来の経験から見て、いろいろその辺にまだ問題が相当あるのじゃないか、直ちに公社がこれに応ずるという態勢でもなさそうだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/193
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194・野上元
○野上元君 そうすると、従来の基本協約をそのままやると、三十五年度においてもまた再び赤字が出ると、こういうふうに大体認識しておいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/194
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195・板野学
○政府委員(板野学君) 現在のままの基本協約ではそのような赤字が残ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/195
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196・野上元
○野上元君 それでは郵便貯金の特別会計の問題についてお尋ねしたいのですが、三十四年度末における赤字というものはどれくらいになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/196
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197・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) ただいま正確なものは持ち合わせておりませんが、大体四百億と、はなはだ概算で失礼でございますけれども承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/197
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198・野上元
○野上元君 私は、郵便貯金は一兆円の線にこぎつけることができるならば、郵便貯金の特別会計は、自前でやれる、こういうふうにしばしば聞いておったわけですが、実際にそうですが。一兆円の貯金ができたら郵便貯金特別会計も自前で運営できる、赤字にならなくて済む、こういうふうに従来から言われておりましたが、最近ようやく一兆円の線に近づいてきておりますが、実際にそのような状態が現出しておるかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/198
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199・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) お説の通り一兆円は本年の六、七月ごろに達成できると思います。遺憾ながら収支の面におきましては、毎年やはり六十数億、七十億程度の歳入不足を生じる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/199
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200・野上元
○野上元君 新年度、三十五年度における予想として、そうすると借金の赤字の累計は四百八十億ないし四百九十億くらいになる、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/200
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201・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/201
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202・野上元
○野上元君 そうすると、従来郵政省が計画した一兆円というものの構想というのは全くくずれ去ってしまうわけですが、それについて郵便貯金当局はどういうふうに今後対策を立てていくか、赤字をなくするためにどういう対策を立てていくか、その方針を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/202
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203・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) 一兆円のときに、今の大蔵省との関係のままで収支が償うというふうに私ども考えていないわけであります。おそらくそのころまでにその関係を調整して、そうして収支が償うような態勢を作る一つの目標として、今まで申し上げてきたのじゃないかと思いますが、現在のような資金運用部への預託金の利子六分と、こういうことを前提といたします限りは、この赤字の率は低減いたしましても、貯金の現在高が増加しますので、不足繰り入れ金というものの額においては減少いたさないのであります。そこでわれわれとしましては、その六分という預託利率が非常に低いわけでありますので、これの引き上げ化といいますか、適正化につきまして大蔵省と折衝しておるわけであります。結局は資金運用部資金法の改正とあわせて、郵便貯金特別会計法の改正ということになるわけでありますが、そこに目標を置いて話し合いを進めておるわけであります。従いまして、その結果適正な預託利子というものが、法律の改正によりましてきめられますと郵便貯金としても収支が償うようになると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/203
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204・野上元
○野上元君 そうすると、郵便貯金の特別会計が収支バランスが合うというのは、大蔵省の資金運用部資金の預託利率ですか、これを引き上げる以外にはないと、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/204
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205・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/205
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206・野上元
○野上元君 そうすると、貯金自体が幾らふえても赤字はどうしても出る、こういう仕組みになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/206
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207・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) 赤字という言葉が非常に私は適切でないと考えるわけでありまして、歳入が歳出に見合うだけ入ってこないという意味において、形の上では赤字でございますが、おっしゃる通り、今の資金運用部資金法の定めております預託利子のままでありますと、幾ら郵便貯金がふえましても、六分で原資並びに預金者への支払い利子をまかなっていけませんから、おっしゃる意味の赤字はずっと続くと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/207
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208・野上元
○野上元君 郵政当局としてはそういうことでいいと考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/208
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209・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) もとよりいいとは考えておりませんのでございまして、従いまして、ここ数年来その点では大蔵省とも話し合いを続けて参っておるわけでありますが、私どもとしましても、そのスピードを一そう速めて、一つなるべく早く改正に持っていきたいと努力いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/209
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210・野上元
○野上元君 経理局長にお聞きしたいのですが、郵便貯金の特別会計から郵政特別会計へ繰り入れるべき金があるわけですね。それがまた赤字になっておるというお話を聞いておるのですが、それはどれくらい赤字になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/210
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211・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 貯金会計から郵政事業特別会計に繰り入れてもらいます経費は、お説の通り、近年毎年決算してみますと赤字になっております。その金額は大体十億から十二億程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/211
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212・野上元
○野上元君 そういう赤字は一体どうやって補てんしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/212
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213・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) この郵政事業特別会計は、御承知のように郵便事業、貯金、保険、電通の委託業務、全部一本経理になって、総合経理の妙といえばいえるのかもしれませんが、そういう建前になっております関係で、ほかの方の剰余をそちらに回しましてまかなっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/213
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214・野上元
○野上元君 それでは、郵便事業についてお聞きしたいのですが、三十四年度から三十五年度へかけての郵便の成長率といいますかね、それは大体どれくらいに見ておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/214
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215・板野学
○政府委員(板野学君) 大体約八%弱と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/215
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216・野上元
○野上元君 私が聞くところによりますと、三十三年度の決算から見ると、一種、二種、三種、四種、五種、それぞれの収支がわかるわけですね。それによるとほとんどが赤子だということを聞いておるのですが、その点は明らかにしてもらいたいと思う。一種、二種、三種、四種、五種……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/216
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217・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 原価計算した結果によりますと、一種、二種とそれから書留とか速達とかという特殊料金扱いのものは黒字になっておりますが、第三種郵便物と第四種郵便物、それから小包郵便物こういうようなものは赤字になっておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/217
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218・野上元
○野上元君 その赤字の額はどれくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/218
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219・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) ここに詳しい資料をちょうど今持ち合わせておりませんのですが、三十二年度の決算の結果から申しますと、第三種郵便物が総額三十億円、小包郵便物も大体三十億程度の赤字になっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/219
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220・野上元
○野上元君 そうすると、従来は途中でベースアップ等が行なわれた場合には、この郵便事業の関係の収入による弾力条項発動によってまかなってきたのですが、三十五年度においてかりに途中でベースアップが行なわれた場合に、今まで私から質問しました赤字を埋めて、さらにベースアップができるような余裕財源が生まれてくるという見通しはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/220
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221・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 実は三十五年度の歳入歳出の見込みは一応立てておるのでございますが、これは率直に申し上げますときわめて窮屈な見込みだというふうに私ども考えておるのでございます。と申しますのは収入の方がだんだん限度にきておりまして、たとえば歳出の方は年々膨脹して参っております。三十五年あたりがちょうどその限度にきたように考えるのでありますが、歳入の面でまあ中心をなしますものは郵便事業収入でございますが、郵便事業収入は前年度すなわち三十四年度の七・二%の自然増収を実は見込んでおるわけでございます。見込んでおるわけでございますが、実際には私どもの従来の経験、いろいろな資料などから出しました見込みからいたしますと、おそらく自然増収は七・二%にはとどまりますまい、おそらく九%から一〇%くらい行くと思いますけれども、従ってその七・二%と九%ないし一〇%の伸びの差額が大体十億あまりになろうかと思います。これが結局弾力条項発動の、財源になるわけであります。従来でしたらこの財源が大体四十億程度、まあ三十四年度はあるいは二十数億になるかと思いますが、まあ二十億から四十億程度の財源が予算以上に見込まれたのでありますけれども、三十五年度におきましてはこれが大体せいぜい十億あまりではなかろうか。そういうことに相なりますと、まあベースアップですが、その範囲内のベースアップでしたら、かつかつまあまかなえるかとも思います。しかしその範囲内と申しましても、今の歳出予算には、御承知のように特別手当などが一般公務員より低い見込みでございますので、従来の例からいいますと、大体組んであります以外に特別手当として〇・三カ月分くらいは当然見込まなきゃいけません。そういうものを差し引きしますとベースアップに当てます財源というものはもっともっと低くなるわけであります。ですからその範囲内におけるベースアップでしたらあるいはまかなえるかもしれませんが、一人当たり五百円とか六百円とかということになりますと数十億の持ち出しになりますので、今の見通しとしましてはまかないきれないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/221
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222・野上元
○野上元君 まあそういうお話を聞いていると非常に寒い感じがするわけですが、郵政省に今度組合は幾らのベースアップを要求しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/222
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223・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 一律三千円アップという要求書をもらっております。まだこまかい団交はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/223
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224・野上元
○野上元君 結局最終的にはベースアップの問題が解決するのは、公労委に持ち込まれるというようなことも予想できるわけでございます。風評によると非常にことしは景気もよろしい、岩戸以来の景気だということで民間においても各社一斉にベースアップを行なうだろう、そしてまたこの現業の五官庁ですか、現業に関しても公労委も相当のベースアップを認めるだろう、こういうふうなことを言っているわけですが、その場合は郵政当局としてはこの仲裁裁定が出たらどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/224
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225・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 仲裁裁定が出ますれば当然われわれはその裁定に従わなければならぬ。そういうときにはそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/225
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226・野上元
○野上元君 そういうときにはどういうふうにして金のやり繰りをするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/226
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227・佐方信博
○説明員(佐方信博君) 今までの経過でございますると、調停段階におきましては各企業体の財政状況であるとか民間企業等との関連をみまして調停が出ますけれども、なかなか両方とも、のまないとかいろいろなことでいつも仲裁に入るわけであります。従いましてことしの郵政省の財政状況というものをみたときにどういう裁定が出ますからょっと予測ができません。しかし予測できませんけれども、裁定が出ますれば私たちはそれに従わなければならぬということであります。そこで一般的に考えますと郵政省の場合金がないとはいいましても、他の会計からもらう分は予算を作るときにきまっているともらえるわけでございますけれども、そういうことが何にもございませんと、現状の基礎のままで予算がもらえる、作っていかれるということでございますので、ほんとうにきちきちのところしかできない。従って今までのやり方でありますと、郵便事業におけるところの予想以上の収入でありますとか、あるいは保険等からの弾力条項を発動して、予備金をとるとかいうことでまかなってきておりますけれども、本年度は一体これがどういうことになるのか。私どもの方も今後の財政内容を検討いたしまして、組合との団交をしていかなければならぬと思いますが、仲裁にいきます間に私たちも十分研究してやっていきたい。しかし先ほど経理局長も申しましたように、ことしは郵政省の場合に総体の経費の半分よりちょっと少ないわけですが、そのくらいの金は郵政省でまかなわなければならぬ。その金は相当窮屈だということでありますので、私たちとしてはいろいろな面で非常に問題が起ころうと思っておりますけれども、これから組合と交渉を重ねながら財源などについて省内の意見を調整していきたいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/227
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228・野上元
○野上元君 先ほどの質問で明らかになったように電電借入金も赤字、郵貯会計も赤字、さらに郵便の弾力条項を発動できるのはわずかに十億、こういうふうにだんだん郵政省が追いつめられていっているのは、これは理由はどこにあるのですか。どうしてこういう状態になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/228
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229・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) これは結局歳入が歳出に見合わなくなったということでございますけれども、その歳出が何によってそう膨張したかというとやはり人件費が一番大きな原因をなしていると思うのであります。歳出予算の業務費の中で人件費の占めますパーセンテージが、御承知かと思いますが、大体七七%程度でございまして、新年度の予算は七六・九%ということになっておりますけれども、決算をしますと大ていこれが少しずつ上回っておるのが実情でございます。最近特に毎年少しずつのベースアップがございます。その関係が一番大きな原因を成しておると思います。もちろん物件費の方も膨張しておりますけれども、人件費の膨張比率に比べますときわめて窮屈な実情でございます。他方これをまかなうだけの収入があれば、歳出が膨張しても問題はないのでありますが、収入の方も昭和二十六年に値上げをいたしまして、郵便料金の値上げは初めてではございませんが、郵便料金の値上げがありまして、あれからようやく郵政事業特別会計も黒字に転じてから今費まで十年近くの間、あの当時の要請にこたえてあの郵便料金体系でまかない得たわけですけれども、人件費の膨張、物件費の膨張をもうそろそろまかない切れない段階にきた、限度にきたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/229
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230・野上元
○野上元君 七七%の人件費を持っているというのは、政郵当局としてはそれは多過ぎる、これは減らさなければいかぬとこういうふうに考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/230
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231・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 必ずしも七七%が多過ぎるというふうに結論づけてしまうだけの自信はございませんが、ほかの企業体に比較いたしまして、人件費の占めるパーセンテージがきわめて大きいということは事実でございまして、郵政事業の健全経営といいますか、そういうふうな面からいいますと、こういう点も十分一つ真剣に検討していかなければならぬのではないかというふうに人は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/231
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232・野上元
○野上元君 そういう考え方は私はおかしいのじゃないかと思うのですが、人件費がふえるということは、七七%持っているということは結局それだけ職員の数が多い、そうしてそれに給料を払わなければならない、こういうことなんですね、簡単に言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/232
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233・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/233
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234・野上元
○野上元君 そういうそれが多過ぎるということになるわけですね。あなたの言うことを聞いておると、必ずしも多いとは言わぬが検討しなければならぬと言いながら片方では増員を要求されておる、それはどういうことですか、どちらが正しいのですか、増員を要求されるのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/234
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235・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 増員は、やはり業務量も多くなりますから、必要なだけの定員も要るということで要求しておるわけでありますが、私が真剣に検討しなければならぬと申し上げましたのは、必ずしも減員をするとかベースダウンするとか、そういったような意味では毛頭ないのでございまして、全体に機械化の要求があればそういうことも考えなければなりませんし、歳入の面におきましてももう少しやはりいろいろ検討することも必要でありましょうし、まあいろいろ総合的にこの際真剣に検討しなければならない段階にきておる、というつもりで申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/235
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236・野上元
○野上元君 とにかく郵政当局が扱っておるようなやつはみんな赤字になっているんだね。どれもこれもみんな赤字だ。一つ郵便だけわずかに十億の黒字、しかもその中を見ると、これはもう三種以下全部何十億という赤字なんです。これは一体郵政当局はほうっておくのですか。どうしようというのですか。この赤字をそのまま認めるというんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/236
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237・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 私が真剣に検討しなければならないと申し上げましたのはそういうことも含めてのことでございまして、まあ三十五年度の予算は目下国会で審議していただいておるわけでありますが、もう三十五年度執行段階においてベースアップがありますと、すぐそういった困難な問題に逢着するような状態が十分見込まれますので、目下各事業局でもよりより相談いたしまして、貯金の問題、郵便料金の問題その他いろいろ検討しておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/237
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238・野上元
○野上元君 公労委のこれは非公式なんですが、値上げをしたいんだが、どうも郵政省に金がないので、ほかのところも上げるわけにいかない、こういっているんですが、その点は郵政省としては責任は非常に重大だと思う。少なくとも公労協傘下の百万に近い組合員の値上げをすべきなのに、郵政省に金がないために値上げができないということになると、あなた方の責任はきわめて重大だと思うが、これをふやす方法はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/238
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239・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) どうもこれは大臣にでもきてもらってよくなにしなきゃいかぬと思いますが、私ども事務屋としては、それぞれ各事業局とも相談して対策を実は真剣に慎重に相談しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/239
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240・野上元
○野上元君 この点についてはまた後ほど大臣にお話しましょう。
次には定員の問題ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/240
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241・鈴木強
○鈴木強君 関連して。経理局長にお尋ねするのですが、あなたの説明を聞いておると非常に誤解を受けるのですよ。要するに人件費が七〇何%という、まあ歳出の大多数を占めておるということは、必要があって、事業量もふえておりますしね。定員措置なり、それはまあ機械化をやるということも一つの合理化ですから、あなたの方も考えるでしょう。しかしそれに対して定員をどうするかという問題でありますけれども、しかし私はそういうことでなしに、やはり今あなたが最後にちょっと言われたからわかりましたけれども、公共性というものと採算制というものが、こういう事業ではどうバランスをとるかということがやはり基本問題なんです。その中に、実態論としてはわかります、あなたの言うことは。やはり上の論議でないと、実態的な話をされると、何だか七〇何%占めておって、郵政の仕事というものはみんな人件費にとられてしまって、いかにも人が多いように考えられる。ですから説明の仕方にもあると思いますけれども、私はやはりそういう公共事業というものに立って経営を論じられ、そうしてその際における収支というものが、公共事業の独立採算というものと企業性というものとどうマッチするかという角度から、やはり論議せぬと非常に私は誤解を受けると思うので、最終的にわかりましたから答弁は要りませんけれどもちょっと注意しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/241
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242・光村甚助
○光村甚助君 私も一つ。今鈴木さんの言われたことでけっこうですが、何にも仕事をしないお役所は人件費だけで一ぱいですよ、人件費だけのお役所という所もある。鉄道だとか電電公社だとか、東京大阪間を三時間で走る汽車を作るようなところだったら、これは人件費より事業費もたくさん出てくるから、今さっき鈴木さんの言われたように、いかにも郵政省というところは人件費は多うございますといわれたら、働いている人は非常に迷惑ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/242
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243・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) そういうつもりで申し上げたのでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/243
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244・光村甚助
○光村甚助君 そういうことに、とられますよ、速記録を読んだ世間の人が。新聞記事だけを読んだら誤解を受けますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/244
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245・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) そういうふうに誤解を招いたとしますれば、私の言葉の足りなかったことのためでありましょうから、申しわけないと思いますが、実はそういうつもりで申し上げたのではありません。野上委員からそういうふうに、収支バランスがとれなくなった原因は何かとおっしゃられましたから、実態をそのまま申し上げただけであります。先ほど七七%占めておることがけしからぬ、何とかしなければならぬという趣旨で申し上げたのではございませんので、一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/245
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246・野上元
○野上元君 三十五年度予算に郵政省は最初定員を一万六百八十九名増員を要求したわけですね。それで現実には四千五百三十三人ですかに削られた。かりに一万六百八十九名成立したとすれば一体幾ら金はかかるのですか、余分に。この十億の弾力条項はいよいよゼロになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/246
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247・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 大体二十億近くくれるはずだったと思います。これが全部成立しますれば。従いまして、これが全部成立いたしますれば、歳入の方も一応今七・二%を見込んでおりますけれども、それを先ほど私が申しましたように、九乃至一〇%の線をまるまる歳出に見込まなければ収支がつぐなわなかったかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/247
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248・野上元
○野上元君 私が心配するのは、定員というものは郵便物の数によってきまるのか、そうじゃなくて、予算によってきまるのかというのが問題なんだと思います。かりに今あなたの言われるように、一万人が成立しておったら金がないのです。あなた方が一万人必要だと言っておるが、実際に大蔵省が認めてしまうと、今度は金がなくなる、そんなばかなことじゃ困ると思います。この点は一体どうするつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/248
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249・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 実は、ちょっとまた先ほど申し上げましたのが言葉が足りなかったかと思いますが、一万何十人という要求は、これは全部郵便事業定員ではございませんので、貯金関係の定員、電電関係の定員あるいは保険関係の定員もございます。ですから、そういう方がまるまる成立しました分は、そちらの方の会計から受け入れ分としてもらえるわけですから、その点は全部が全部郵便事業にかかるというわけではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/249
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250・野上元
○野上元君 しかしよそからもらえると言ったって、そんな金がない、よそは赤字だという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/250
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251・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) よそは赤字と申しましても、必要な経費だけは一応もらえる建前になっておるわけです。予算成立の際にそれが見込まれますれば、当然要求もいたしますし、また向こうもくれるはずになっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/251
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252・野上元
○野上元君 いずれにいたしましても、非常な窮屈な予算だというだけは明らかになったわけですよ。それで二、三年前から比べますと、苦しく窮屈になっているわけですね。この問題について抜本的に郵政省は考えないと、これはもう来年も再来年もジリ貧に落ちていったら、最終的にはどうなるかということを心配するわけです。私は前に聞いておったのは、まだまだ当分郵便のピークは続く、下がるなんていうことはないのだ。安心してよろしいということをしばしば聞いておったのですが、これを見てみますと、もう来年あたりはこれはまるまる赤字になってしまうというような心配が十分に予想される。こういう問題について郵政当局としては、あなたに聞いても仕方がないと思いますけれども、郵政大臣に聞かなければわからぬと思いますが、どうやったら——、しかしあなた方もまあ郵政大臣のブレーンなんですから、当然郵政大臣に対して適当な勧告をする義務がある。そういう立場から見て、むしろあなた方の方が事業に詳しいのだし、実力者なんだから、この際聞いておきたいのですが、どうメスを入れるかという点について一つ意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/252
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253・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 経理局長といたしましては、貯金会計の繰り入れ分も、もう少し十分にもらうように努力をいたしたい、電電からの繰り入れ分も、赤が立たないように善処いたしたい。同時に、一番大きな問題かと思いますが、実はそういう歳入歳出の実情になっておりますので、郵便料金の改定というようなことも、これは郵務局長から答弁していただくのが至当かと思いますけれども、経理局長といたしましては、郵便料金の改定ということも、もう真剣にそれこそ考えてもらわなければいかぬ段階ではないかというふうに考え、かつ、大臣にもそういうような意見具申もしているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/253
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254・野上元
○野上元君 それではこのくらいにしまして、あとちょっと簡保についてお尋ねしたいのですが、今度の貿易の自由化あるいは為替の自由化が行なわれて、簡易保険に与える影響というものについてはどういうふうに検討されているか、ちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/254
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255・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 貿易の自由化あるいは為替の自由化によって貨幣価値の下落あるいは物価の影響、それが景気にどういう影響を及ぼすかというようなことは、いろいろ経済界において論議されている問題でありまして、私どももそれに注意をいたしておりますが、目下のところ、直接簡易保険にどういう影響があるかという点については、まだ的確に実はつかみかねているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/255
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256・野上元
○野上元君 郵政当局としては、保険金額の最高額の引き上げについて努力されているようですが、われわれが見ると、今二十五万円ですね。二十五万円では、死んだあとの葬祭料にしかならぬ、とうてい老後の生活あるいは遺族を養うに足る金ではないと思う。従って五十万円、百万円にでもしてもらいたいと思うのだが、その点については、郵政当局としてはどういうふうにやっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/256
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257・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 私どもも、現在の二十五万円では、保険の目的であります老後の生活の安定という面から見ましても、また、万一不幸が起こりました場合の医療費あるいは葬祭費及ば遺族の当座の生活費という点から見ましても、不十分でありまして、これはなるべくそういった目的に沿う額まで引き上げたいという希望を持ちまして、努力をいたしているわけでございます。郵政審議会におきましても、慎重に審議されました結果、簡易保険としては五十万円程度の最高制限というものが妥当であろうというような答申をいただいているので、私どもも、一気にそこまではなかなか諸般の情勢もありまして、むずかしいと思いますが、できるだけ引き上げたいということで、目下努力をいたしているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/257
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258・野上元
○野上元君 そうすると郵政当局ではどのくらいが適当だと考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/258
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259・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 先ほど申し上げました郵政審議会の答申は、尊重すべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/259
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260・野上元
○野上元君 繰り越し剰余金が、三十四年度末においては大体百八十億ぐらい、それから三十五年度末における推定は三百二十億ぐらいになっているのですが、相当伸びがあるわけです。この繰り越し剰余金をどういうふうに処置しようとされているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/260
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261・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 繰り越し剰余金がどういうふうにして発生しているかという原因と関連をする問題でございますが、事業費と、保険料に見込まれております付加料率、事業費に充てるべき財源として予定されているものですが、これとの比較から見ますと、三十三年度の決算で見ますと、まだ事業費が少し多い、予定された付加率より少し多くなっております。三十四年度の決算はまだできておりませんが、大体三十四年度で付加率と事業費率とがトントンぐらいになるのじゃないかというふうに考えておりますので、従って剰余金が出ております原因は、死差益、死亡が予定ほどないという点と、それから利差益、予定利率が四分となっておりますが、実際の運用利回りは五分八厘ぐらいに回っております。そういう点から出てきた剰余金でございますので、これは当然保険加入者に還元せらるべきものだというふうに考えております。昨年、従って配当、こうわれわれの言っておる長期還付金をふやしましたが、この剰余金がある程度またたまりましたならば、この配当をふやす財源、あるいは確定的な見通しが立つならば、保険料率を引き上げる財源に使うべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/261
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262・野上元
○野上元君 そういう考え方も確かにあろうかと思いますが、とにかくこれだけ簡易保険を隆盛なところに持ってきたという従業員の努力というのも、これは並み大ていじゃないと思うのです。それに対する還元というようなことは考えておられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/262
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263・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、その剰余金の出ましたもとが、主として加入者から少しよけい取り過ぎているというような点にあるわけでございます。ただそのもとを、運用を少しよく回しているとか、あるいは死亡率の引き下げをやっておるという点におきましても、もちろん従業員の方々が面接監査その他をやりまして、逆選択その他を防止しておるというような努力の結果も当然それに関与いたしております。そういう点もございますので、その方に少し回すということが全然この剰余金の性質に反するということは言えませんけれども、主たる原因が加入者からきているという点にありますので、主として加入者に還元すべきものだというふうに考えておるわけございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/263
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264・野上元
○野上元君 そうすると、来年度においては料率を引き下げる、こういう計画を持っておられると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/264
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265・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) さしあたり、来年度において料率を引き下げるというところまで確定的には考えておりません。まず、さしあたってやるべきことは、来年度がいいか再来年度がいいか、いろいろこれは民間保険の配当の仕方等の関連もございますので、それらとにらみ合わせて、おそらく最初は配当の増額ということになるのじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/265
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266・森中守義
○森中守義君 官房長に資料を二つだけお願いしたい。
一つは、新安保に関連する行政協定、これの三条、七条に関係のある日米間の合意書、これはすでに存在するはずですし、早急に一つ御提出いただきたい。
それから、監理官室にこれも資料は十分あると思いますからお願いしたいと思いますが、終戦処理費です、それから安全保障費、これによる電電公社に対する米軍の専用回線料の未払いが四十三億五千万あります。ついては二十七年、以降終戦処理費で幾ら、安全保障費で幾ら、四十三億五千万の内訳を一つ出していただきたい。さらに、日米合同委員会が何回この問題で開かれて、郵政省からだれが、電電公社からだれ、米軍からどういう資格の人が出てきて、どういう話の内容になったのか。要するに合同委員会の回数と出席者ですね。そういうものを御提出いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/266
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267・柴田栄
○委員長(柴田栄君) よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/267
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268・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/268
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269・野上元
○野上元君 私も資料を、特に郵務局長にお願いしたいのです。一種、二種、三種、四種、五種、小包、特殊、その他各種にわたる郵便物の種類のコストを計算してあったら、それをぜひ出していただきたいと思います。その収支の関係もその種類別に一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/269
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270・板野学
○政府委員(板野学君) コストの計算は経理局でやっておりますので、私の方は一つ種類別の収支状況を御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/270
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271・西村尚治
○政府委員(西村尚治君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/271
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272・森中守義
○森中守義君 ちょっと官房長にお尋ねしておきますが、きょう提案理由の説明をされた二法案、それに協会予算、これ以外に今国会に法案の提出予定されているものはありますか。もしそういうものがあれば、いつごろそれはお出しになる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/272
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273・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 大臣の所管事項の御説明の中に書かれてあります以外の法案といたしましては、簡易郵便局法の問題が一つございます。これにつきましては、目下各種の問題がございまして、最終的に法案を提出する時期等につきましての結論が出ておりませんので、ただいま御質問の、いつになるかということにつきましては、私からはお答えいたしかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/273
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274・森中守義
○森中守義君 それからもう一つ、野上委員の質問に関連をして、時間的に相当——予算の分科会等も間もなくありますので、ぜひ聞かせていただきたいのですが、貯金の例の六分の確定交付率、これをここ数年間大蔵省と郵政省がお話になった。しかし一向らちがあかないということは、すでに行政機関相互間の話し合いは限界を過ぎておるという意味なのか、あるいはまだまだ話し合いの余地があるという意味であるか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/274
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275・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 私どもの耳にいたしておりまする程度の点についてでありますが、この問題は事務当局間の従来の話においては非常にむずかしい。しかしこのままではいけないので、郵政省としては独自の長期計画等を立てまして、相当の合理化はする。しかしその半面において、真に不足とする経費等についての繰り入れを要求するという理論的な内容を十分に説明する、こういう立場に立って今後作業を進めなければならない。これは事務当局だけの話ではなかなかむずかしい一面もありますので、広く各方面の御了解を得るように省としては積極的に動きたい、かような程度に私ども承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/275
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276・森中守義
○森中守義君 ちょっとそこのニュアンスが私ははっきりしないのですが、要するに限界に来ているから、消極的な立場から省内における合理化をやるのか、あるいは改善を加えて、現行の確定六分でやっていけるという、長期計画の中にそういうお考えをお持ちであるのか、あるいは六分の壁を破るということが長期計画の中に入れられておるのか、それはどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/276
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277・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) その点はまだはっきりと申し上げられないのでございます。ただ申し上げられますことは、郵便貯金の現在の経費率をどこまで切り下げ得るかという点についての検討と、現実に郵便貯金の経営の実態というものを、さらに収支相償わせるためには、いかなる積極的な施策を講ずべきかということについての第一次的な検討をしておるのでありまして、積極的にどの程度までやっていくのかという点についての内容と申しましょうか、今までの消極的な態度を積極的なものに改めるのかというお尋ねかとも思いますけれども、少なくともその意味におきましては、一歩積極的に立場を明快にして進めていくべきではなかろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/277
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278・山本圭二
○政府委員(山本圭二君) 事務的な話としましてはいろいろございますが、大蔵省におきましても三十五年度は、三十六年度から国民年金のいわゆる福祉でないのが始まりますので、その掛金が入ってくる。それについて厚生省当局も非常に金利等で問題にしておりますので、三十五年度は資金運用部全体の各種の預託金についてのどうしても再検討をしなければならぬとしでありますので、いわば一種のチャンスでありますので、その三十五年度において資金運用審議会等を通じて十分話し合おうということになっておるわけであります。こちらも口頭ではいろいろ話を持ちかけておりますが、正確な資料を持ち寄って新年度において話し合おうじゃないかということに、先方もその気のように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/278
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279・森中守義
○森中守義君 官房長に尋ねますが、長期計画をこの前、近々お出しいただくということで大いに期待しているわけですが、消極的であっていいという意見を私は持っておりません。従って貯金あるいは保険の場合も、資金運用部の利子の問題についてはとかく今までいろいろと論議してきたことでもありますし、これの改善ということは長期計画の中に入っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/279
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280・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) さような点も当然検討されるようになっております。
先ほども森中先生からの御要求の行政協定関係の資料要求につきましては、私、了承いたしましたと御返事いたしましたのでありますが、なお、政府部内におきまして資料の提出等につきまして、どういう資料をさらに提供するかということにつきましては、関係の向きとそれぞれ相談いたしまして、その内容等につきまして、提出申し上ぐるべきものにつきまして提出する、こういうことで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/280
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281・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それはどういう意味ですか。何か統一しなければいけないというようなことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/281
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282・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/282
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283・森中守義
○森中守義君 これは資料の提出の可否をめぐりまして、しばしば国会法の問題とか、あるいは議院証言法の問題等で論議があるところですが、実は今の合意書は、これは外務省にも実はあるのです。もし郵政が御都合が悪ければ、外務委員会なり、あるいはその他安保委員会等でもらってもいいのですが、そうむずかしい問題でないでしょう。それと今官房長の言われるのは、いわゆる三条、七条の関係をさしておいでになるのか、あるいは現行の行政協定による安全保障費あるいは終戦処理費、これらも同様な趣旨のもとにそういう発言があったのですか、その辺はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/283
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284・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 御要求の資料が大へん広範にわたっておりますので、外務関係並びに電電公社のこういう従来のいろいろのいきさつ等につきまして、私持ち帰りまして、詳細に相談した上で、どこまで御提出申し上げるかということにつきましての条件の御返事を申し上げておるわけでありますから、そういう意味におきまして一つ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/284
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285・森中守義
○森中守義君 大へんどうも、これはお立場もわかりますが、広範にはわたっていないのです。七条、三条の冊子になったもの一冊と、それと四十三億五千万の内容、合同委員会のこれは記録があるわけですから、何月何日と、合同委員会全部出してくれというのじゃないのです。四十三億五千万の処理をやった、合同委員会は回数はあまりありません。ほんの一回か二回ですから、ちょっとメモしていただけですから、むずかしいことではないですね。広範にわたっちゃいませんから、とにかく出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/285
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286・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 郵政省に関係の分だけでいいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/286
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287・森中守義
○森中守義君 そうです。また今の三条、七条というのは郵政省——郵便とか電波とか電信のような関係だけですからね。官房長官いいでしょう。これは勇敢に出すべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/287
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288・荒巻伊勢雄
○政府委員(荒巻伊勢雄君) まことに同じことを繰り返して恐縮でございますが、持ち帰りまして、十分討議いたしまして、そうして御提出すべきものは出すと、こういうふうにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/288
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289・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 国会の審議の資料としてできるだけ一つ御協力をお願いいたします。
ほかに御発言もないようですから、本件に関しては本日はこの程度にいたしたいと思います。本日はこれで散会いたします。
午後四時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414816X00319600303/289
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