1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月九日(火曜日)
午後一時十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中野 文門君
理事
増原 恵吉君
村山 道雄君
伊藤 顕道君
横川 正市君
委員
伊能繁次郎君
大谷 瑩潤君
木村篤太郎君
小柳 牧衞君
下條 康麿君
下村 定君
松村 秀逸君
鶴園 哲夫君
松本治一郎君
矢嶋 三義君
山本伊三郎君
向井 長年君
辻 政信君
国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
法務省矯正局長 渡部 善信君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
説明員
宮内庁長官 宇佐美 毅君
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本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○国家行政組織に関する調査
(皇太子殿下の外遊に関する件)
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。
去る二月三日、内閣から提出され、即日本委員会に付託されました法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/1
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002・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) 法務省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案の要旨は、長野刑務所の位置を長野市から須坂市に変更するとともに、村を町とする処分等に伴い、法務局及び地方法務局の管轄区域並びに少年院の位置等を定める法務省設置法の別表三及び五について所要の整理を行なうことの二点であります。
ます、長野刑務所の位置を長野市から須坂市に改めることについてでありますが、御承知のように、現在の長野刑務所の舎屋は、明治十六年十二月、当時長野県監獄本署の舎屋として建設されたものを引き継いで今日に至っているのでありまして、その老朽はなはだしく、かつ、著しく狭隘のため、つとにその改築、拡張を要望されていたのであります。しかしながら、同刑務所の所在地は長野市の中心部に位し、人家櫛比して、敷地の拡張は不可能であり、また同市内に他に適当な用地を得ることも困難でありましたので、政府といたしましては、収容者の拘禁状況の改善、作業の拡充等をはかるため、早急に同刑務所の傘屋を他に新営すべく鋭意努力いたしました結果、幸いに関係各方面の協力により、同市に隣接する須坂市大字須坂に約十五万平方メートルの敷地を入手して同刑務所の舎屋の新営工事を実施しております。そこでここに法務省設置法別表四中の長野刑務所の位置を須坂市に改めようとするものであります。
次に、法務省設置法の別表の整理についてでありますが、村を町とする処分、市村の廃置分合及び村の名称変更に伴い、法務局及び地方法務局の管轄区域並びに少年院の位置等を定めている法務省設置法の別表三及び五について整理の必要が生じましたので、所要の整理を行なおうとするものであります。
以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で、提案理由の説明は終了いたしました。
自後の審査は、後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、国家行政組織に関する調査を議題として調査を進めます。
現在政府側の出席者は、宇佐美宮内庁長官でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 お許しを得まして緊急質問をいたします。私が要請している政府委員は、宮内庁長官並びに官房長官、総理府総務長倉さらに外務政務次官、外務政務次官が衆議院の本会議の関係上出席できないならば、本件について答弁のできる条約局長でもよろしい、あるいはアメリカ局長でもよろしい、儀典関係の説明員でもよろしい、当該者に出席を要望しておりますので、事務当局を通じて早急に出席方をお願い申し上げたいと思います。まず宮内庁長官に伺いますが、日本国憲法第一条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって」と書かれておりますし、それから第四条に、「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」こういりようにうたわれております。私は、天皇並びに皇室を常に尊敬思慕をいたしておりますゆえに、国会が国会の行事として開会式を行なう場合には、お客様としてお迎えするわけですから、仏は一度も欠かしたことはございません、陛下の国会への御臨席を常に迎えしおる一人であります。私あえてお伺い申し上げたいことは、この憲法の条章から申しましても、天皇並びに皇室は国政に関する権能を有しないわけですから、政治的に」あくまでも中立でなければならない、そうして皇室は政治から切り離された形で存在しなければならない、こういう私は見解を持つものでありますか、あえてこの点に関する長官の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/5
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006・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) ただいま矢嶋要員の仰せになりました通りに、憲法で天皇の御地位あるいは国政との関係ての他はっきりと明示されておりまして、私ども皇室に関する事務を取り扱うものといたしましては、この趣旨に紛淆せざるよう平素意を用いているつもりでございます。全く仰せの通りだこ存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで伺いますが、たとえば現在わが国においては、いわゆる日米新安保条約と申すような非常に国論を二分するような重大な外交、政治問題が起こっております。こういう問題に皇室が巻き込まれるというような姿というものは、極力私は回避、心すべきだと思いますが、長官の御所見いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/7
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008・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) もちろん、政田上の諸問題につきまして、皇室がある見解を示されたり、あるいはこれに甘き込まれるというようなことのないようにわれわれとしては努力すべきもりと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はその、長官の答弁を」といたします。そこで具体的に伺いますが、現在皇太子殿下が外国から招付を受けておられる国はどういう国がございますか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/9
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010・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 招待と申しましても、正式の招待状をいただかれたのは一つもございませんが、過去においてエチオピア、イランの皇帝、あるいはインドの大統領、インドネシアの大統領、フィリピンの大統領等が、元首としてはわが国にお見えになっておりまして、そのうちでそれぞれ皇太子殿下にそれぞれの国を御訪問いただきたいということを非公式にわれわれの耳に入っているものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今あげられました諸国の元首並びに首相が、わが国においでになられたのは、政府の御招待によるものか、あるいは皇室の御招待によるものか、どういうものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/11
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012・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 外国の元首あるいは総理大臣その他の方が、日本にたくさんの方が御訪問になっておりますが、いつの場合におきましても、日本でお招きするというのは、一つの外交事務として政府と申しますか、外務省で検討されて、その考え方をきめられるわけであります。しかし、現在国賓としてそういった元首等がお見えになりました場合に、当然儀礼上皇室で接伴をされるというのが通例でございまして、従って、皇室がイニシアチーブをとってまつ先に招待をされたということは一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 続けて伺いますが、ただいま東南アジア諸国から、非公式に皇太子殿下のお招きを受けているということでありますが、適当な機会にこれらの諸国の御招待に応じようというような御計画があられるかどうか、また皇太子殿下御本人におかれてお招きに応じて御訪問してみたいというようなお気持があられるかどうか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/13
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014・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 終戦後、講和条約が成立後に、外国」の元首でまつ先に見えたのは、エチオピアの皇太子、これは数年前のことでございます。自来次々と見えておりまして、先ほど申し上げました通りに、何らかの機会に皇太子殿下においでいただけないかというような意思が伝わって参りました。われわれといたしましては、これらのことは、十分適当の時期に実現すべきものというふうに考えております。実は昨年におきましても、相当考慮いたしたわけでございますが、御結婚後の妃殿下の御妊娠ということもあって、昨年は実現に至っておりません。われわれは近い機会に、こういう国の御訪問が実現するように考えたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 伝えられるところの、皇太子殿下が五月下旬ころにアメリカを訪問されるという、このアイクの御招待は公式のものとしてきているわけですか、非公式の口頭を通じて御内意を伺うというような形で来ているのでありますか。その辺の事情をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/15
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016・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) アメリカ大統領から皇太子、同妃殿下に対する御招待ということは、先ごろ総理大臣が渡米の際に、あちらから申し出がございました。共同発表の通りに、総理は十分実現に努力する旨を述べられ、総理は帰られてそのことを私に口頭で伝えられておりますが、アメリカからはまだ正式の文書というものは参っておりません。しかし、そういう事情でございますので、現在、先ほども申し上げました諸国との関係、それからその他のことを今考慮中でございましていつごろおいでになるかということもまだ結論に達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/16
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017・矢嶋三義
○矢嶋三義君 やや掘り下げて、具体的にお伺いたしますが、皇太子殿下が訪米されるお話をあなたが耳に入れたのは最初はいつでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/17
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018・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 共同声明が出ますときに、アメリカからの総理大臣一から、外務省を経て耳にいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 共同声明の出る前ですか、あとですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/19
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020・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 共同声明が正「式に発表になる少し前と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 少し前とは、どのくらい前ですか。そのときに、あなたはどういう御返事をなさったのでありますか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/21
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022・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 時間的に、今あれでございますが、こういう共同声明に至るだろうということで、その内容をわれわれに、外務省を経て伝わってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それに対して、あなたはどういう御返事なり意見を述べられたのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/23
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024・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 共同声明にございます通りに、総理大臣としては、その実現に、御希望に沿うように、実現に努力するという文句だけでございまして、一切その他のことはございませんので、われわれとしては、別段特に返事を求められるような電報ではございません。そういうことになったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 共同声明の出る前にこういうお話があるがいかがでございましょうという立場から、皇太子殿下あるいは妃殿下の御内意をあなたはお伺いになられましたか、なられませんか。もしなられたとするならば、どういう御意向をお漏らしになられたか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/25
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026・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 先ほども申し上げましたように、アメリカ側と申しますか、そういうことは昨年の夏ぐらいから一部で希望がございましてわれわれとしても、一応そういうことは耳にいたしておりましたが、大統領が皇太子殿下をお招きになるということは、その共同声明のときに初めて聞いたわけでございます。われわれはあらゆる、そういう通知が来るたびに、両陛下はもちろん、皇太子殿下にも申し上げております。ですから共同声明を発表する前には御承知になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/26
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027・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/27
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028・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 官房長官に伺います。皇太子殿下訪米の件について、共同声明にこの内容が盛られておりますが、ワシントンから外務省を通じ、哲内庁の意向を伺って、そうして五月下旬の皇太子殿下の訪米可能という判断のもとに、共同声明に盛られたものと私は予測しているわけですが、相違ないかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/29
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030・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) これは十九日が調印、それからまた、その日にアイゼンハワー大統領との会談がございました。これは一般政治の問題についてでありまして、翌日二十日は、さらに打ち合百わせの上、会談を再び用いたのであります。その席上では、日本から日米修好百年目に当たっておるので、種々の行事もある。この機会に大統領のおいでをぜひ期待するということで、いわゆる御招待をいたしましたが、ところが大統領はちょうど極東には出かけてみたいと思っておったのだけれども、ちょうどソ連を訪問するその帰途に東の方に……(「もう少しわかるように言って下さい」と呼ぶ者あり)ソ連を旅行するが、シベリアを通って帰ることの許可を得ておるから、その帰途がちょうどいいから、その帰途に日本に寄ることにしたい、しかしそれは長い日数はとうてい無理である、せいぜい二日ぐらいという話があったそうであります。これに対して向こうから同じような理由のもとに、記念すべき年にあたって、ぜひ日本の皇太子御夫妻を招待したいというお話があった。それは総理大臣の所掌外の問題であって、皇室の御都合をよく聞いてみないと確答はいたしかねる、しかしながら、皇太子夫妻を招待したいという切なる御希望の趣旨はよくわかったから、その趣旨に沿うて努力はいたします、こういう返事をして別れたのでございまして、その趣旨が共同芦別に出たものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 時間がありませんから、私が伺っているポイントに合わせて簡単にお答え願います。共同声明を出される前に、ワシントンから宮内庁に交渉をしたかしないか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/31
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032・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) この問題については、実は、私は事務的には存じておりませんでした。大体アメリカの万からこういう申し出があってそれに対してこういうふうに答えておったというような趣旨の連絡はしたようでありますが、いつ行けるとか何とかというようなそういう確答を得た上のものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その話は共同声明の出る前の晩ごろから出た話ですか。こういうくらいのことを官房長官知っていないはずはない。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/33
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034・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) その話というのはどの話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 アイク訪日にこたえて皇太子殿下が訪米されるというこういう内容を共同声明の中に織り込むという話は、あなた方ワシントンに着いてから出て参った話ですか、それとも東京を出発する前からあった話ですかということをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/35
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036・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) アイゼンハワーを日本に招待すれば、まあ向こうも皇太子御夫妻を招待する、したいということを言うだろうという推測は聞いておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それはいつどこで聞きましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/37
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038・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) いつどこで聞いたといって、はっきりした記憶はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 日本ですか、それともワシントンに着いてからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/39
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040・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 日本で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 日本で。しからばどういうわけで、何ですかそういうのがあるならば、出発にあたって宮内庁長官に、こういうものが共同声明の中に織り込まれるかもしれないがどうしたものだろうということを、どうして御相談申し上げないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/41
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042・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) そういう不的確な問題について打ち合わせをする必要なりを認めなかったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 おかしいですよ。妃殿下は今御懐妊中じゃないですか。その方にあなた出産後一、二ヶ月にして外国に御旅行していただく、そういうあなた重要な問題が覚書の中に入りそうだというのに、宮内庁長官には出しも何もしないで、ワシントンから覚書を発する前の晩ぐらいにこういう話があるということを電話するということは何事です。(「人道上の問題だよ」と呼ぶ者あり)まさしく人道上の問題じゃないですか。あなた、どう思いますか。それからホノルルからどう電話をかけたのですか。ワシントンに着いてから……。うそを言いなさんな、はっきりおっしゃい。あなた方がホノルルに着いたときに、ホノルルでこういう問題を協議しているじゃないですか。それは日本の各新聞に報道されている。ところが、宮内庁長官はそういうことは全くつんぼさじきである。問題は、日米安保条約のこの国会の審議、その後に起こる批准の問題の一つのPRに、この皇太子殿下を利用した形跡きわめて濃厚である。政治的に利用される、岸さんの政治的な延命策を遂げるために、目的のためには手段を選ばないという権力的なものが出ている。あなたがおいでになる前に、皇室のあり方については憲法上の問題から宮内庁百長官と質疑応答をして完全に意見が一致している。非常に私は重大なことだと思う。国民すべてがこういう疑問と不満を持っております。岸内閣のスポークスマンとしての官房長官は、国民にいかに答えられるか。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/43
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044・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 何か人道上の問題とかいうお話でございましたが、私は了解に苦しむわけでありまして、ただ向こうの方から、皇太子御夫妻を招待したいという申し入れがあるかもしらぬというような予測を、推測を聞いておったわけであります。それで、向こうに参りましてアイゼンハワーの招待を正式にいたしましたところが、向こうからそれに対して正式にその話があった。そこで、おいでになるかならぬか、とにかく皇室の御都合を伺った上でないと何ともお答えできない、ただしかし、アメリカ大統領の御希望に沿うように私はできるだけの努力はいたします、そういうことを話したそうであります。でありますから、出産後直ちにというような、そういったような問題は、一切皇室の御都合を聞いた上でないと何とも申し上げられないと言って答えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 で、具体的に伺いますがね。第一点としては、そういう問題を共同声明の中に織り込むという事前の話し合いがあるならば、当然宮内庁、長倉に意見を伺って、そうして取り扱うべき性質のものですよ。そこに一つの大きな問題点がある。それから、お答え願いたい点は、これは、アイクさんが六月下旬に訪日をされる。その訪日と交換訪問という形ですか、あるいは答礼という形でございますか。お招きを受けたならば、皇太子殿下の訪米は、その時期はいつでも、こちらが自主的にきめ得る、自由にきめ得るものか、それとも新聞等に伝えられておるように、アイクさんの訪日と前後して訪米されるというような、そういう制約はあるのかどうか。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/45
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046・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) この問題は、全然拘束がなかったようでございます。それはこちらの皇室の御都合によってどうでもなるものと私は解釈をしておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは岸内閣のスポークスマンとして、責任ある答弁として了承してよろしゅうございますか、まずそれを聞いて次を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/47
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048・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 記念すべき年でございますから、そういうふうに話し合いをしたのでありますから、それを年を越すとか、あるいは二年たってからということではもちろんないと思います。ことし中のうちで、両方に都合のよい時期というふうに私は解釈しておったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次の内容の報道は、新聞記者諸君の誤報だということに相なるわけでしょうか、伺います。それは日米修好、百年になるから皇太子殿下が訪米され、その答礼としてアイクさんが訪日される、こういうことが伝えられ、あるいはアイクさんがソビエトを訪問された帰りに六月下旬に訪日をされるので、その訪日よりも先に皇太子殿下が訪米されないと工合が悪いから、皇太子殿下の訪米は大体五月二十日ごろに相なるであろう、こういう報道が各紙になされております。これらの報道というものは一切誤りだ、そういうふうにとってよろしいのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/49
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050・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 御出産後のおからだの都合もございましょうし、それでただアイゼンハワーがソ連から帰ると幾ばくもなく総選挙が始まる、であるからしてその前ということになると、勢い五月中ということになるが、それはまあいろいろな皇室の御都合、おからだの御都合等もあるだろうというようなことは、私も聞いておりました。しかし、それが決して確定的なものではもちろんないことは、それは申し上げるまでもないことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 で、私は次に伺いますが、岸内閣としてはさらに具体的に、アイクさんと岸さんと話したんですが、岸総理としては、皇太子殿下妃殿下両殿下によく接触されてお気持も承っておられる宮内庁長官の、宮内庁側の意向というものを尊重される立場をとられますか、それとも内閣としてこの時期の訪米が適当であるから、その意向に宮内庁側が合わしてほしいというような態度で、宮内庁側に対処されるお考えであられるのかどうか、私は当然宮内庁側の、営内庁長官の意向というものをまずもって尊重すべきものと考えますが、官房長官はどうお考えになりますか、明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/51
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052・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) それは当然あなたの御意見通りいかなければならぬことかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 宮内庁長官に伺いますが、あなたは皇太子殿下の御訪米の問題は、共同声明が発表される直前にそういうものが織り込まれるであろうという電話を受けたということです。従って全権団が出発する前に、そういうことをあなたはお聞きになっていないし、また両殿下の御内意も承っておりれないわけです。伝えられるところによると、アイクが六月下旬に訪日される、で、大統領選挙等の関係もあっ、五月の下旬二十日ごろに云々といわれておりますが、これは私は時期としてはきわめて不適当だと考えるわけです。国際親善の立場において皇太子殿下が外国を訪問なさるというそのことは、私はけっこうだと思います。しかし時期的に考えて、五月二十日ごろというならば、妃殿下の御出産の直後でございますよ、非常識もきわまると思う。また政治的には、今国論を沸かしているところの日米新安保体制、安保条約の審議がクライマックスに達して、国論は沸騰しているときである。あるいは批准段階です。そういう段階にアイクさんの全く交換訪問のような形で、皇太子殿下が御訪米なさるということは、非常に人道上からいっても、また皇室が政治から切り離されなければならないという、政治的に中立でなければならないというこの原則からいって、きわめて私は不適当な時期だと考えるわけですが、宮内庁長官はどういう御見解を持っておられますか、明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/53
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054・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 先ほど来、官房長官に御質問がございましたが、私は事実を申し上げたいと思いますが、総理が渡米前に、アイゼンハワー大統領を、もし来てくれるなら招待をしたい。もし来るようになったら、は、皇室が国賓として御歓待を願う必要が起こるという連絡はありました。そのとき、私は、答礼の問題その他が起こりませんかという話をいたしましたら、総理は、かりにそれが出ても、これは非常に重要なことであるから、自分としてははっきり何も言ってこない。大体引き受けたというような形にははっきりはできないことであるということを言っておられました。われわれとしては、どういうことが起こるかどうかは、その当時ははっきりしなかったわけであります。しかし、ほんとうに両国の親善を深めるという意味で、百年祭を記念してこういうことになりました以上、それに従ってわれわれとしては考えるべきでありますが、総理が帰られて、私が伺いまして、何か時期とかその他について、希望なり、あるいはお打ち合わせがあったのかというと、それは全然ないということでございました。従ってわれわれとしては、ことし一年、百年のことがございますので、ことしは一番、両殿下に対する御招待でありますから、なるべく両殿下のおいでになる時期ということを考えるのは、これは儀礼上当然だと思いますが、これはこちらの都合ばかりでなく、アイゼンハワー大統領がワシントンにおられなければなりませず、そういう関係は相互に話し合って、適当な時期をきめなければならないと思います。もちろん、御出産の関係がございますから、どうしても比較的早い時期ということになりますと、妃殿下はおいでになれないことが起こるだろうと私は思います。ですから先ほど申し上げました通りに、エチオピアその他の国の関係もございます。そういう点を合わせて、最も殿下の御健康にもいい、あるいはそういう国論がございますれば、そういう点を十分考慮して、われわれとしてはアメリカ側と打ち合わせをしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで宮内庁長官としては、かりに訪米されるとした場合に、総合判断した場合、適当な時期というものは、どのころという御判断をされているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/55
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056・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) ただいま申し上げました通りに、両殿下がおそろいになります以上は、おそいほどよろしいというのは、これは当然常識だろうと思います。ただ、これはこちらの都合ばかりでなく、向こうの都合もあります。これは今、官房長官が仰せになりました通り、向こうは大統領選挙という熾烈な政治問題もあるわけであります。そういう点とこちらのいろいろな事情をにらみ合わせて、お二人でおいでになるのに、御健康その他から見て一番いい時期が見つかることを念願するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/56
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057・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
[速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/57
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058・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 官房長官、警告を含めて私は最後に質問をいたします。普通の良識をもってするならば、このたびの皇太子殿下の訪米計画というものは、明らかに皇室を利用される、そういうお考えがあったということが、だれでも私は結論として出てくると思う。まことに私はゆゆしき事柄だと思う。アイクさんはアメリカの大統領です。だからおいでになると答礼の意味もありましょうけれども、アイクさんははっきりしたこれは政治家です。あらゆる政治家としての発言を日本に来てもなされるでしょう。そのアイクさんと岸さんが、日本で多く論ぜられている新安保条約を結ばれたわけです。そのアイクさんが訪日されるのに対してちょうど時期をねらって、そして皇太子殿下をアメリカに御旅行をしていただく、そういうようなことで、この斜陽化した岸政権に突つかえ棒をしようというようなこういう考え方が底流にあるということは、これは憲法上から考えましても許すことのできないことだと思うのです、目的のためには手段を選ばないという、こういうやり方はですね。宮内庁長官も総理に気がねして若干答弁を曲げているようです。これは私はいろいろな筋から聞いているんですが、非常に具体化したのは、岸さんがホノルルに着いてからですよ。それから非常に話が表面に出て参り、そしてワシントンに行ってから、それからまた先発しておったところの随員の諸君の最も重点を置かれたのは、このアイク、皇太子の交換訪問、この問題であったわけですよ。しかも、それは営内庁長官と十分の連絡をとることなく、また皇太子殿下、妃殿下、両殿下の御意向も、お気持も十分お伺いすることもなく、こういう時期にこういうことを発表するということは、許すことのできないことだと思う。警告を発して皆さん方のお考えを承りたい。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/59
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060・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 事情は先ほどから申し上げるような事情になっておりますが、これに対して、これは皇室を政治上、に利用するものであるということのこれに対する考え方はどうかというお話でございますから、お答え申し上げますが、私は決して政治的に皇室を利用するという意図のもとに行なわれた問題ではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 も上官房長官、ほんとうにそう考えられておるんなら非常識ですよ、あなた方は。国民の大多数はそういうふうにとらざるを得ない、そこに非常に遺憾の意を表明しているわけです。で、宮内庁長官に伺いますが、私は日米関係もありますし、それからすでにお招きを受けた東南アジア諸国との関係もありますし、取り扱いがいろいろ微妙だと思うのです。しかし、日米全権がああいう時期にああいう発表をして、ああいう共同声明をしますと、国民には非常な疑惑の念を持たしている、そうして私は皇室に対しては迷惑千万だ、皇太子並びに妃殿下は迷惑されていると思う。従ってかりにこの東南アジア諸国あるいはアメリカを訪れられるにしても、その順序並びに時期というものは、慎重の上にも慎重を期する私は必要がある。日米修好百年というふうな年ではありましょうけれども、私は日米新安保条約、これらの国論は一応おさまるという時期までは、訪米等はなされない方が適切ではないか。できることなら、私は来年あるいは再来年にこの計画を繰り延べられた方が適当ではないか、かように考えますが、宮内庁長官の一つ御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/61
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062・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 今、矢嶋委員が冒頭に仰せになりました通りに、すでにアイゼンハワー大統領が百年の機会に日本を訪問される、これに対してアイゼンハワーから皇太子殿下、同妃殿下に御招待がありました以上、総理大臣がその節に述べられました通り、これが実現についてわれわれが努力するのは、大きな国際親善からいって当然であると私は現在考えております。また、御訪米の時期につきましては、先ほど申し上げましたが、百年祭を機という目的がございますので、一年、二年先というわけにも参らんかと思います。アメリカ側も別段何月と申しておりません。こちらも新聞で五月二十百とか十一月とか、どういう根拠から出されたか知りませんが、出ておりますけれども、われわれとしてはまだ全然きまっておりません。ただ先ほども申し上げました通りに、両殿下がおそろいになっておいでになる時期というのは、これは医者の意見もあり、今後の推移も見なければならんことでありまして、これは常識的に申せばおそいほどその点はよくなるということは、これはだれが考えても当然であると思います。ただ十一月に大統領選挙がございますし、まあかりにわが国の政治上の非常に激しいさなかに来賓が来るのも、実際十分おもてなしができないということは向こうでもそうでございましょう。しかしおいでになるのは、今私の考えでは、そう長期間ではないと思いますので、できるだけこちらの事情も話し、アメリカ側と打ち割って話して、私は最も国民の皆さんが御納得のいく時期において、しかも両殿下の御都合も伺っていたします。万一、御出産その他御健康上のことがあります。れば、先ほど申した通りに、殿下お一方でおいでにならなければならんことも起こるだろうと思います。これはわれわれは十分そういう点を考慮いたしまして、すみやかに結論を出したいと考えておりますが、今実際のところ、ここで、いつごろということはまだはっきり申し上げる結論まで達しておりません。これから折衝するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 きょうは緊急質問としてお許しいただいたので、これだけに限定して伺ったわけですが、最後に、私はもう一間さしていただきます。それは外務省並びに政府部内では、アイクさんが六月下旬においでになる。その前にでき得べくんば訪米していただこうという考えがあることは事実ですよ。だから、私は宮内庁長官としてはしっかりしていただかなければならんと思う。しかも、官房長官が先ほど、宮内庁長官の意向を十分尊重して優先的にこの意見を取り入れて、政府としては方針をきめるというわけですから、だから両殿下に最も近く接しておるあなたとしては、しっかりしていただかなければならんと思う。少なくとも今外務省を中心とする政府部内、これはワシントンにおける両国の政府を代表する随員同士の話し合いから出てきたものなんですが、そのアイクさんのおいでになる前後、しかも、その前五月下旬ごろという計画というものは、私はまことに人道にも反する決定だと思う。少なくともその点は宮内庁長官としてしっかりしなければ、両殿下に私は御迷惑をかけると思います。一人の女性が出産した場合に、常識的に考えても、三ヵ月かあるいは四ヵ月の初めに出産される一人の女性がですよ、五月かあるいは六月に自分が生み落としたお子様を国に置いて外国旅行をされるというような、そういうことを希望する女性は、私は日本国内の女性に一人もないと思う。もし五月あるいは六月初めに御旅行していただく、しかも両殿下おそろいということになれば、妃殿下の意を無視して、そしてある意味において押えて、そして訪米されるということになるということは、常識的に考えてもはっきりしている。従って、伝えられるアイクさんのおいでになる時期の前、その前後あまり時日をおかずに訪米されるということは、とりもなおさず、これは何といっても日本の外交問題としてあるいは国交問題として大きく浮かび上がって参っております新安保条約との関連づけをせざるを得なくなってくる。そうなって参りますと、この憲法第四条の、国政に関する権能を有しない皇室は、あくまで政治から分離されなければならぬ原則にも反して参りますので、皇室のあり方としても問題となりますし、また、皇室並びに直接当事者である両殿下に非常に気の毒だ、特に妃殿下には御迷惑千万なことだと思うのです。その点は両殿下としても、なかなか率直に申し上げにくい点があられると思うのですよ。その点はあらゆる角度から当事者として、しかも、最高の立場にある宮内庁長官としては、しっかりとして、たとえ任命権者であろうと、総理に対して言うべきことははっきり言わなければならぬと思う、そういう意味においてあえてきょうあなたにおいで願って、そして私緊急質問さしていただいたわけでありまして、伝えられるような時期に絶対そういうふうな事態にならないように、重ねてこの点をお答え願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/63
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064・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 何度も申し上げました通りに、われわれといたしましては、大きな意味の国際親善という立場において、皇太子殿下、同妃殿下の御外遊を考える、これはアメリカのみならず他の国の場合においても当然でございます。単純に政治的理由で日時をきめるというようなことは、われわれとしてはあってはいけないというふうに考えております、今お述べになりました妃殿下のことは、先ほどもるる申し上げました通りに、かりに御安産で無事にお二方がお過ごしになっても、やはりあとの授乳ということもございます。これは普通の母親として当然考えるべきことは、より以上にわれわれは大事に考えるというのは、従前からの考え方でございます。あらゆる方面から検討いたしまして、われわれの希望をもちろん第一に出したいと思います。ただ、相手がございますから、いつになるか、招待されたアイゼンハワー大統領がワシントンにおられて都合がいいということにならないと、一方的にもきめられない点がございます。そういう点がございますが、それはあくまでそういった政治的な意味でなくてきまるように、われわれとしては最善を尽くしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/64
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065・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記やめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/65
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066・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記始めて。
他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめて、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00219600209/66
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