1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月二十三日(火曜日)
午前十時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中野 文門君
理事
村山 道雄君
伊藤 顕道君
横川 正市君
委員
木村篤太郎君
小柳 牧衞君
下條 康麿君
下村 定君
一松 定吉君
松村 秀逸君
鶴園 哲夫君
山本伊三郎君
辻 政信君
国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠雄君
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 實君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
郵政省監察局長 荘 宏君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○農林省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○法務省設置法の一部を改正する法無
案(内閣提出)
○国家公務員制度及び恩給に関する調
査
(公務員の給与に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。
去る二月三十日、予備審査のため、本委員会に付託されました農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/1
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002・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま上程されました農林省設置法の一部を改正する法律案の提案の理由を改正の内容と合わせて御説明申し上げます。
第一は、青果物に関する行政を振興局の所掌とすることであります。
御承知の通りわが国の農業における果樹農業の地位は、近来とみにその重要度を増すに至っておりますので、政府といたしましても、別途果樹農業振興特別措置法案を今国会に提案いたし、その振興を期する所存でありますが、同時にこれに対処いたしますため、農林省の組織につきましてもその整備をはかり、果樹その他青果物に関する行政事務を、生産から消費まで一貫して振興局の所掌することといたすものであります。
第二は、放射線育種場の新設であります。
放射線を作物に照射して突然変異を生ぜしめ、これを品種改良に利用することは、つとに各国において研究が進められ、わが国におきましても、原子力平和利用の一環として昭和三十一年以来関係試験研究機関において放射線照射室を設置し、育種研究を進めて参りましたが、これら室内照射による試験では、自然のままの条件を具備し得ない等の欠陥がありますので、今回農林省の附属機関として放射線育種場を新たに茨城県に設置し、ここにおいて農作物及び林木に対する放射線のほ場照射を行なうこととし、品種改良の飛躍的発展をはかろうとするものであります。
第三は、飼料検査所の新設でありますが、これは最近の飼料需要の増大に伴い、飼料検査業務を強化する必要がありますので、現在これら検査業務を行なっております畜産局飼料課分室を独立の附属機関とするものであります。
第四は、名古屋農地事務局に高潮対策事業部を設置することであります。
昨年九月伊勢湾地方を襲いましたいわゆる伊勢湾台風による干拓地等の被害は、まことに激甚をきわめたものがございました。すでに前国会においてこれが対策として、各位の御賛同のもとに各種の立法が成立を見、政府といたしましても鋭意その実施に当たっております次第でありますが、今回、これら伊勢湾出潮対策事業を総合的、計画的、かつ、急速に実施するため、名古屋農地事務局に臨時に高潮対策事業部を設け、もって被災干拓地等の災害復旧工事、毎度災害防止のための改良工事の推進に遺憾なきを期そうとするものであります。
次に、昨年設置されました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会は、その調査審議も順調に進み、今年三月中には予定通り答申がなされる運びに至っておりますので、今回これを廃止することといたしております。
以上のほか、現在蚕糸局で行なっております繭糸価格安定のための生糸の買い入れ及び売り渡しの業務の実情にかんがみ、これらの業務を生糸検査所において行ない得ることとする等若干の規定の整備を行なっております。
以上がこの法律案の主要な内容及び提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/4
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005・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き、質疑に行ないます。ただいま出席の政府側り方々は、竹内刑事局長、川井公安課長であります。大協も間もなく出席いたします。御質疑のおありの方は、領外御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/5
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006・横川正市
○横川正市君 法務省設置法の一部改正法律案とは直接関係はないわけですが、この機会に、法務省と、それから郵政省の監察局との間の関連事項について二、三質問をしたいと思うのであります。
具体的に案件を申し上げますと、現地からの上申報告によりますと、これは事故案件として上局へ上申をされた内容のものでありまして、この事故案件が起こった日にちは、十二月の上旬なんですが、それがたまたま二カ月を経過いたしまして、最高検の指示によって現地に令達されて、二カ月後に逮捕者を出しておるという問題であります。これは、私はその捜査が難渋いたしましておくれたという理由ならば、これはもうそういう場合もあるだろうと思いますし、もっと長期に期間を要する場合もあると思いますが、現地には、私服の警官が六人、それから郵政監察官と、それから郵政省の管理者が約三十人、しかも非常に公然と大衆の中で行なわれた案件で、しかも、監察官のとらえた事件を、事故としての案件として取り上げておる。そういうような案件が上局に報告されたものか、二カ月後になってから、今度は事件として捜査をされておる。しかも、その捜査は、少なくとも、もう少し的確な証拠品その他があってやられているならば、これは私はそういう場合ものると思うのでありますが、そうでははしに、相当いわば当時の関係者の言動といいますか、言辞といいますか、そういったものを中心として捜査が行なわれておる。しかも、その捜査では逮捕者も出しておるというようなことで、事故調査にしてはいささか私は行き過ぎがある。それからもう一つは、これは労働問題が関連いたしておりますので、労働問題に対する弾圧が企図されているんじゃないか。まあ、事件が非常にでっち上げられたような内容を持っておるというわけであります。そういう点から御質問をするわけでありますが、事件のいわゆる案件のあった場所は、これは石川県の金沢郵便局で起こっております。それから事件の内容というのは、これは制限超過をいたしております小包の入っておる行のうを、これを輸送することを、これを労働条件の問題として阻止をした。当然これは制限超過の荷物でありますから、内容の検査をし、整備をして発送しなきゃならぬということから、発送先でありまする記標を抜いた、こういう事件なんでありましてその記標を抜いたということだけが、何かこれは公文書かなんかに該当するということで事件になっておると聞いておるわけであります。実は私は非常に不思議に思って、日曜日に出かけて、月曜の午後から現地へ行って調査をいたしたわけです。調査をいたしましたところが、監察局の言い分では、これは事故調査として、事故として上局に報告をいたしました。ところが、報告を受けた監察局は、その事故を、最高検とどういうふうな打ち合わせをしたのか、事件として三カ月後におろしてきて、そうして全く当事者閥、いわゆる局長側も、局の理事者側も、もちろん組合側も、全く意表を突かれて、逮捕者が突然出てきたというような案件になっておるわけなんです。そこで私は、この事件に対して、法務省としてどういうふうにとらえてしかも、どういうつもりで捜査に出ておるか。この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/6
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007・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいま御指摘のような事案が昨年十二月十九日発生いたしまして、本年の二月十一日に、通常逮捕によって関係者の二、三の者を逮捕いたしましたことは事実でございます。
この事案は、今大体お話もございましたように、昨年の秋季年末闘争に際しまして、金沢郵便局におきまして、小包郵便物の郵袋の郵送先を記載した標札十一枚をほしいままに抜き取って隠匿をいたしました。その点が公文書を毀棄したという事実になるわけであります。それから、そうすることによりまして、郵便の疎通を阻害したという点が郵便法七十八条の違反になるわけでございます。そういう容疑に基づきまして逮捕捜査を進めた次第でございます。申すまでもなく、純粋に司法事件としての取り扱いでございまして、組合の弾圧というような意図のもとにやったものではございません。
また、事件発生後二カ月もたってから捜査に着手するということはいかがなものかという御疑念もおありのようでございますが、現行犯で逮捕する場合は別といたしまして、こういう郵便局の内部において起こった事案のごときものは、捜査官憲には、直接には一に触れないのでございまして、あるいは内部におきましては事故取扱の扱いになっておったかもしれませんが、その事案を聞きまして、法律的に検討いたしました結果、今のような犯罪の容疑があるということになりまして、若干の資料、証拠、そういうものを積み重ねて参りまして逮捕状をもらうという段階に到達したのが二カ月後ということに相なるわけであります。これをもって著しくおそい捜査であるということは、この種の事件としましては、一がいに申しかねるのであります。事案によりましては、きわめてすみやかに捜査に着手することもできますし、また、事案によりましては、非常にまあ捜査に着手するまでの間に時間を要する場合もあるのでございまして、これは事件ごとに、ケース・バイ・ケースできまることでございます。
以上のように考えておりまして、この事件につきまして、特に御疑念のような点は、捜査当局におきましては、毛頭持っていない。純粋に司法事件として取り扱っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/7
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008・横川正市
○横川正市君 今の刑事局長の説明によると、現地でいたしました私の確認とは、全然事件の案件が違います。まず、その郵袋から十一枚の記標をだれも知らないうちに抜き取られたというような、そういう事件じゃないのであります。これは、事前に、制限超過の小荷物については取り扱わないようにしてもらいたいということを組合側から、管理者である局長に対して強い申し入れがあった。ところがこの申し入れがあったにもかかわらず、制限超過の小荷物がどんどん入ってくる、これは現場を見ればわかるように、郵便局の年末の業務というのは、普通の状態ではなしに、非常に大多忙な時期でありますから、こういう種の荷物というのは、無制限に出てくるわけです。そこで問題の、摘出いたしましたのは、鉄道郵便局の職員が、規定に従ってその重量制限をしているにかかわらず、超過をされたものがどんどんこられると、これはからだが幾つあっても足らぬから、締める場合に制限超過をしないようにしてくれということが再三にわたって申し入れがあって、そこで組合の方では、それをとらえて局長に申し入れをしたわけであります。ところが、それを申し入れをしたにもかかわらず、制限超過の小荷物が出るので、そこで先ほど言いましたように、私服警官が六人もいるところで、それから監察官と管理者を入れれば三十人もいる目の前で、制限超過の小荷物を看貫にはかって、そしてそれを横にのけたわけです。ですから、それは当然管理者において処置をしなければならない問題である。その中から、たまたま記標を十一枚抜いて、そして、これは指示に従って制限内小包にすべきである、こういうふうに組合から要請をしたということが、これが現地の実情なんです。そこで監察局では、これは事故として上司に、こういう事情がありましたと報告をされているわけであります。私は、これは担当の検事とも検事正とも会って、その実情というものも聞いてきましたが、これは監察局側も、それから地元の検事の意向によりましても、そのことは認めているのです。しかも林検事は、私に、これは管理者に落度があったので、その点呼ばれた方々が管理者に落度があったんだということを実は言ってほしいんだ、ところが、それが言われないものだから実は因っておりますということまで言っておるわけです。私は少なくとも、こういうような案件を取り扱うについては、もう少し監察局とあなたの方とではよく連絡をとって、事実をはっきりした上で行なうのが当然じゃないかと思う。しかも、そういうことが誤認をされて文書上の問題からきわめてその事件を大きくとらえて、そうして、不当に三人もの人を拘束をして取り調べる。ところが、取り調べたけれども、三人からは何もあがってこない。そこで今度は、現地の職場にいた者を片っ端から参考人として呼び出している。これはあなたたちも、実際に経験者なんですからおわかりでしょうが、郵便局のようなところでまじめに働いている者が、調べ室に入れられて、何時間も取り調べられて、それで平常な神経でおれるということはこれはないわけです。そういう格好で現地の職場に圧力をかけているということは、これは私は非常にこの事件そのものを誇大に考えられて、ひいてはこれは労働組合に対する弾圧を加えようとしている意図があるんじゃないか。その証拠に、管理者もびっくりしてしまって、こんなになるとは全然思わなかったという状態になっている。それから私は、人事部長やその他に会いましたが、実はそのときには、地区の委員長もみな見ていたのですから、あのときとめてくれればよかったんですというような話をしておりました。それから、監察の一部長に会ったら、監察の一部長は、適時適切な指導を与えるのであるが、あのときは制限超過の荷物は日常茶飯事として行なわれていることだから、私どもはそれを黙認しておりましたというような格好で、きわめてその事態というものは公々然とした場所で行なわれたということであります。しかもそれが事件として報告された文書の上告の取り上げ方で、今度は逮捕者を出して調べている。こういう取り扱い上についてはきわめて遺憾な点が私はあったというふうに思うのです。その点、私の言ったことが、あなたの方では間違いだというふうにはっきり言われて、そうしてあなたの考えていることが正しいと、しかもこれは、何かだれもいないところで十一枚記標だけ盗まれた、どうもそれはだれとだれとだれらしいということで、逮捕し調べられたというふうに先ほどの説明からはとれるわけですが、その点をもう少し明らかにしてもらいたいと思う。私は現地に行って、担当者に全部会って調査をしてきているわけですから、その点あなたの方で、私が調査したのと、あなたの方が、専門家が調査したところが、事実において違ったら、私はこれは責任を追及しなければならぬ問題だと思う。そういうことでこの点についての詳しい説明をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/8
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009・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 弾圧の意図のもとにやったのだという点を除きましては、あまりただいま先生のおっしゃったことと私のお答え申し上げたことに食い違いがないつもりでございますが、隠匿という言葉は、刑法に書いてある言葉でございまして隠匿というのは、何もみんなの目の前でやったのは隠匿にならないので、ひそかにやったのが隠匿だという御意味でありますならば、これは違う、大ぜいの前でやったに違いないと私も思います。
それから、この規定の十五キロという制限をこえた郵袋があったようでございます。これも検察側は、そういう弁解があることを承知いたしております。しかし、検察側の見方といたしましては、これは内部の規定でございましてこれを是正する方法こそ内部でやるべきでありまするが、それが年末多忙の際、一々看貫をしないで入っておる中には、そういう十五キロをこえた郵袋もあったようでございます。それを管理者側が直さないというので、従業員が勝手にそれを抜き取ってしまって、抜き取ってしまえば、どれがどの郵便局に行く郵袋かということは、わからなくなってしまいますので、結局その点は、郵便の阻害を生じてくるわけであります。そういう点を検察側は見たのであります。当事者が事故だ事故だと言うならば取り締まれないということでありますと、大ていの犯罪は、横領にいたしましても、買職にいたしましても、当事者はそれほどにむ思ってない人もあるかもしれませんし、それはやはり公益の立場から判断して処置すべきであります。で、本件も、検察側といたしましては、そういう観点に立って事件を処理したというふうに考えております。
なお重ねて申し上げますが、犯罪の捜査におきまして、一般の方が考えるように、被疑者を確定いたしますことは、すこぶる困難でございます。よしん場ば、私が犯人でございますと名乗り出た場合にも、人違いということもありますし、なかなか大勢の関係者の中から、だれが最も容疑が強いものであるか、そうして、また、だれが責任を負うべきものであるかということを、ある程度検察側としましては、いやしくも令状を取って身柄を逮捕しようという場合には、慎重に犯人の、容疑者の特定ということに時間を要するのでございます。ことに事案は、年末多忙の際に起こったことでございましてその現場ですぐ逮捕するというようなことになりますると、かえって郵便物の阻害、先生も御指摘のように、非常に仕事に大きな影響を与えますので、それらの点を考慮いたしました結果、若干の時間がかったたというふうに考えておるのでございます。要は今の郵便物を超過しているかどうかという点は、これは内部的に処置すべきことであって、だからといって何でも引き抜いてしまっていいというものじゃない。この辺が私は法律を執行する場合の常識だと思いますが、そういう点もあえて勝手に実力でもって標札をとってしまうというようなことは、私どもとしては法律執行の立場から黙過し得ない、こういうのが検察庁の態度であると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/9
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010・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいま井野法務大臣、津田町法法制調査部長、岩松矯正局参事官、荘郵政省監察局長、羽山司法法制課長、田坂司法法制調査部付検事、渡辺上席監察官が御出席になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/10
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011・横川正市
○横川正市君 問題をとらえて事件にしようと思えば、これはほこりの出ないものはないわけですね。私はだれもそうだと思うのですよ。たとえば、食糧管理法があって白米を食べている。これもまたその一つだと思う。ですから、ものによって誇大に考えられて、かえって百害あって一利なしというようなことは、法の週刊についてもこれは私は相当運用上考慮されてしかるべきだ、そういう建前から、今回の事件というのは、文書の内容では事故の案件としてこれは取り扱われ、しかも行政処分としての処分を受けております。ですから、そういう筋からいえば、これはすでに内部で処置をされたものと私どもは考えておるのです。いずれもこの担当、当時そこにいた者はいずれかの格好で処分を受けているわけですから、そういう行政処分によってこれは処置されたもの、こういうかうに思っております。ただ、その文書が事故案件としてあがってきた。いわゆる郵政省の監察局がそれを文章を読んで判断をしたこと、それからそれがたまたま検察庁に渡って最高検と合議の中で、これは少なくとも相当事件としての形に変貌しておったというように、私はとるわけなんです。ことにただいま言ったように、重量制限の荷物については、その場で問題が出たのでなしに、事前に局長側に対してこれは要請をいたしております。それから局長側は認めておるのは、重量制限の場合の取り扱いについて上局に了承をもらう、あるいは許可をもらうための手続とかあるいは条項の、これを使う場合の取り扱い規定について定められた上局に対する承認要請とか、こういったものがあって、初めてこの行のうというのは、この取り扱い上正規の形で出ていくのです。それからもう一つは、第一に郵便物の疎通を非常におくらせたという判断のようですが、載せられた客車便は、これは全部この問題がありましても、同じ客車に載せられておった。全然これは郵便物はおくれておりません。これは当時の汽車の発車と、それから小包のしめと見ていただければ、その郵便物がおくれたかおくれないか、明確なんです。
そこで問題になりますのは、私は郵政監察官にもあなたの方ではこの問題についてどういうふうな処置をしたか、自分で見ておって。そういう処置が出たということ、そこで郵政監察官の新聞発表によりましても、局長側にもこれは落度があったということを明確に認めておる案件でありますから、監察官の当然の指導任務とすれば、当時管理者とそれからその労働条件だといって、これを摘発しております組合側と、両者の目の前でこの取り扱いについては、今言ったような取り扱い上の取り扱いを正規に終えて、そうして両者納得の間でこの問題の取り扱いを進めていくというのが、これが監察官の任務なんです。そこで、監察官はどうして当然のあなたのやるべき仕事をしなかったのかといったところが、彼はこういうふうに言うのです。それは通常制限、超過制限をされた荷物が出ていくのは、これは普通のことになっているものですから、それで私の方では普通にいくものだと考えておりました。まず認識の違いというのは、ここに一つあると思う。
それからもう一つは、組合側でいえば、これは当然制限超過しているのだから、ちょうど、あなたが小包みを、たとえば四キロの小包を包んだつもりで窓口へ持っていく。切手も全部はってある。窓口ではかってみたところが少しばかりオーバーをしている。これは取扱規程に違反をいたしますから、中のものを減らすか何かして下さい。そうでなければその小包は受け付けません。こういうふうに言って断わられる場合があると思う。これは制限を超過している場合、それは職員側にすれば労働条件の問題としては、これは当然制限を、この小包はオーバーしているのだから、これは直すべきである。すなわち、十五キログラム以下に小包みを一つなり二つなり抜いてしめ直すべきである。こういう要請をしておるわけ、です。ところがそれをやらないで、その制限をオーバーしたものを発送しようとする、それは間違いじゃないかというところにトラブルが起こっておるわけであります。ですから、私はそれは当然の事故として取り扱われるものであってあなたの言うように、記標を隠居したというような種類のものとは思われない。そういうものがなせあなたの方と郵政監察局との間の連絡の中で、何か公文書を破棄したというような重大案件に関連をするようなものにとれたのかどうか。
もう一つ、私は、あなたの方では、これは何かささいなことのようですが、個人の身分に関する点からいえば、もしもこれが一つの事件となる、あなたの方も取り上げた以上、引っ込みがつかないから、これを進めていく、そうして起訴をする、休職になる、判決がきまる、懲戒免職になる。一人の人間の、これはもういわば死刑を宣告されたような、公務員のそういう結果が生まれてくることが判然としているようなことをやるのに、非常に、事は、私は取り上げ方としては、内容その他からいってみても、非常にまずい遺憾な点が私はあったと思う。こういうふうに見ているわけなんであります。しかもそういう点で、どういうわけであなたの方でやったのかといえば、私の調査した内容というものは、全然あなたの方は知らないで、最高検としては下部の検察庁に対して指示をしているらしい。少なくとも二カ月かかったというのは、そういう理由があって私はなったのだろうと思います。これは私は、取り扱いとしては、あなたの方は少し事を他に及ぼそうとしているのじゃないか。他に及ぼそうとしているのは何かと言えば、これは労働組合に対する明らかなる弾圧を意図して行なわれたのじゃないか。その証拠に、一監察官の言辞をとってみますと、ああいうふうに騒ぐやつは全部首にしてしまえばいいのだというようなことが現に言われておる。それもはっきり聞いた人間がいるわけです。それからある者は、あいつとあいつは普通おとなしいからいいけれども、こいつだけはいつもきかないから、おきゅうをすえておかなければいかぬということを言っておるのもはっきり聞いておる。そういうようなことが、いわゆる感情問題や遺恨みたいなものが事件の中に介在をしておってしかも、こういうようなささいなことが大きく取り上げられたとすると、私はあなたたちの、一般国民が受ける印象上からも、きわめてこれは不信用を招く結果になるのじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、この事件は、私は少なくとも、あなたの方が監察局と連絡をされて、そうして連絡を受けたときに、どのように把握をされたかというその事実を、もう少し明確にしてもらいたい。そうすれば、現地に起こった事象と照合してみれば、明らかにそれはあなたの方の結論というものが行き過ぎであったかどうか明確になる。こういうことから、あなたの方では、どうこれをとらえておるのかをお聞きしておるわけで、お聞きした内容では、いささかやはり問題は、私は問題を誇大に取り上げ過ぎているのじゃないかというふうに思うわけです。そういう点では、一つ慎重に取り扱っていただきたい。まあ、これは事件として出ておる問題で、当然迷惑をこうむっている者もおりますし、それからそのことによってきわめて精神的な打撃を受けておる者もおるわけです。そういうことを抜きにして、あなたの方では、純然たる司法事件として取り上げて法の示すところに従ってこれを解決したいのだと、こういうような考え方だと言えば、それまでのものかもわかりませんが、私は、案件そのものからいけば、きわめてこれは微々たるものであって、あなたが先ほど言ったように、現地で、その場で適切な監察官の指導があれば、問題は解決したことなんです。それがなぜこういう事件になったか。それは、報告がされて、検察庁とそれから郵政監察官との間の連絡がこういう結果を生んだんじゃないか。その連絡は、他にも及ぼすことだから、これからも当然起こってくる問題なので、どういう連絡をいつもされているのですか、こういう点について明らかにしてもらいたいと、こう思ったわけです。この点について、監察局長も来ているようですから、一つ両者からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/11
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012・荘宏
○政府委員(荘宏君) お答えいたします。郵政省の監察局といたしましては、事件が起こりますと、いろいろの事故犯罪の疑いあるものが起こりますと、調査をいたすわけでございます。本件につきましては、非常に特異な事件でもありますので、関係の機関とお打ち合わせをいたしまして、共同して調査をいたしたと、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/12
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013・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 連絡の方法につきましては、事件によりまして、きまった型があるわけではございません。現地の出先の検察庁と郵政御当局との間で話し合いをすることもございますし、事案によりましては、出先の郵政当局から本省の方に御連絡があり、本省の方から最高検察庁に御連絡があって、両者の間で話し合いをすることもあると思います。従って、この事件がどちらであったかは、私ども第三者の立場にあります法務当局としては存じておらないのでありますけれども、おそらくこの種の事件につきましては、法律解釈については、あるいは本省の方から最高検にも御連絡があって、最高検でも法解釈についての見解を意思表示したと思いますが、具体的事件を、どう、いつ、どういう形で検挙するかというようなことは、最高検で指示すべき案件ではないので、これは現地に一任された事項だと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/13
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014・横川正市
○横川正市君 そうすると、これはこういうように解していいですか。郵政監察局長の今の説明によりますと、これは異例な案件だと思うので、現地からの報告に従って、それで法律その他の問題で最高検と相談をして、郵政監察局が下部の監察局へ指示をして、下部の監察局が地方検察庁に取り調べ、あるいは出先の警察に取調べを依頼した。その依頼をした結果、逮捕者を出して調査を進めた、こういうようないわばかぎ型のケースでやられた事件だと、こういうように了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/14
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015・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 現地で起こった事件を、現地の郵政当局から金沢の地方検察庁に事実とともに御連絡がありまして、もちろん警察当局も入りまして、いわゆる捜査機関の中でこの問題の処理について検討されたと思うのでございます。さらに、今の標札を抜き取って隠してしまう行為が公文書投棄になるかどうかというようなこと、それが同町に郵便法七十八条の違反になるかどうかというような点についての法律解釈につき最高検察庁の意見を求めてきたのではないか。これは私もまだここへ出てくるまでに調査をして参っておりませんけれども、最高検察庁というお言葉が先ほどございましたので、もしそういう関係があるとすれば、そういう点の関与が最高検察庁でなされておると、そうして、具体的にいつそれを検挙するかということは、現地の証拠の集まり工合その他によって現地の判断ですることになっていると、これがまあ一般の場合の実情であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/15
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016・横川正市
○横川正市君 郵政の監察局長にお聞きいたしますが、先ほどあなたは、異例な事故だというのでこれを捜査するようにいたしましたということですが、どういうふうに事件を認識されておりますか、その内容を一つ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/16
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017・荘宏
○政府委員(荘宏君) 先ほど私が申し上げました異例のということについてその考えはどうかと、こういうお尋ねでございますが、従来いろいろ事件がございましたけれども、郵袋の標札を抜き取ったという事件は、今回が初めてでございます。従いまして、異例なものと、かように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/17
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018・横川正市
○横川正市君 現地の監察官は、局側である管理者側にも責任がある問題だというふうにこれは新聞でも公表いたしておりますし、私もその事実についていろいろと聞きただしたところが、そのことを認めておるわけであります。これは監察当局の処置としては、その制限超過をされた荷物が公然と行くことに対し、ああいう繁忙な時期だし、まあ通常行なっていることなんだから、これは仕方がないことなんだと、それをとめた処置というのが、これは異例な案件に属すると、こういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/18
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019・荘宏
○政府委員(荘宏君) 重量制限をこえたというお話しでございますが、実は郵袋一個の重量を十五キロといたしておりますのは、標準として十五キロという内規の定めにいたしているわけであります。従いまして、係で一つ一つ当たりまして、行のうを締めるというわけでもございませんので、十五キロということにつきましては、若干のゆとりがあり得るのではないかと、かように考えております。それから、役所の内部の取扱標準をこえたからといって、直ちに郵標を引き抜いて郵便の差し立てを不能に至らしめるということは、これは行き過ぎのことであって許されないものではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/19
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020・横川正市
○横川正市君 こういうような処置ができたら上局に承認を求めるというふうにまできめられたものが、十五キロというのは、十五キロから少しオーバーしても、足りなくても、それはどっちでもいいものなんだと考えているところに、私は非常にあなたの方の指導上の問題として欠陥があると思うのです。だから、現地の監察官は、通常行なわれておるから、これは私の方では別に指導いたしませんでしたというようなことを言っておるのです。それでそれでは片一方の新聞その他の発表を見ると、そういう処置をとらなかったことは、局側のこれは落度であったという点をさしている。これはまあ非常にこの取扱い上としては私はあなたの方の指導も含めてまずい問題があったと思うのです。私はこれが認識の相違だったと思うのですよ。あなたの方はオーバーしてもいいんだし、組合の方はオーバーしちや困るのだと、オーバーするとしないと、この問題がたまたま記標の問題にぶつかったわけであって、あなたが言うように、何でもないものから記標が抜き取られて、そして発送を阻害したなんという、そういうばかげたもんじゃないのです。だから、私は、郵政監察官がそのときにいたのですからね、現地に何人も。しかも私服の警官が六人も入っておって、そして管理者は三十人も郵政局から行っておって、なぜそこでその取扱い上の規定に従って上局の承認を求めて、すぐ発送するという手続をとらなかったのか、そういうふうの点について言ったところが答弁できないわけですよ、現地の監察官は。それはあなたが言うようにあいまいな物の見方をしているからだ。そしてそこから事きわめて三人もの人間が身柄を拘束されて、逮捕されて取調べを受けるというような事態に発展することを暗に監察官がこれを歓迎するかのごとき言辞を弄しておった。これはあなたの方の今の考え方と一連して、これは関連がありますよ。だから、これは私は労働組合に対する弾圧だと言うのです。現地で話をすれば処置のできるものをあとまで延ばしておいて、しかも記標を抜き取ったという点だけを取り上げて問題の本質を一つも究明しておらない、こういうところに問題がある。だから、現地の監察官に言ってみなさい、一番調べたいのは何かと言ったら、管理者の落度について実は一番調べたいと思っていると、こう言っているのですよ。こういう案件についてしかもこういうように逮捕者を出し、参考人をどんどん呼び上げる、こういうふうに拡大することそのこと自体が、私はこれは心理的にも実際的にも組合に与える影響力というものを計算に入れて行なった事件だというふうに見られるのですよ、あとから見れば。私は現地に行っていろいろ調査した結果、異例な、そんなあれじゃないですよ。これはあなたの方の局側の落度に対して、労働条件の問題から再三申し入れているのに実施をされないから、そこでこの組合側の者がこういう処置をとらざるを得なかったという、そういう事例をはっきりと相手側も認め、それから組合側もこれはまずかったけれども、実際上は郵便物をおくらせないで組合で協力してすぐその汽車に積み込んだんで、こんな問題になるとは思わなかったという程度にしか認識しておらない。私は、そういう点から、監察当局の考え方というものについて、非常にこの事件に関しても、おそらく他にもこれは累の及ぶ事件があるのじゃないかと思うのですが、司法監察官としての立場ということよりも、私は指導監察官というような立場が八割も九割も高い。現場で犯罪人をわざわざ出すようなそういう処置をとるということは、これはきわめて遺憾です。このことについては私はこの質問は時間がありませんから、これ以上やりませんが、監察当局に対しては強く私は遺憾の意を表しておきます。あとでこの問題はさらに一つ究明したいと思います。
それから司法関係の皆さんの答弁を聞いておりますと、事実の認識の非常に違っておるところがあると私は思う。これは今取調べ中ですから、あなたの方でもよく下部の指導をして、不当に職員を侵害しないように取り扱いには注意してもらいたいと思う。以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/20
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021・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/21
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022・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしたいと思いますが、まず出していただいている法務省からの参考資料、これを見ますと、長野刑務所の現在の施設の収容定員、これは五百九十一名になっておる。そこで新施設の収容定員を見ると、七百四十六名になっておる。ずっとふえておるわけです。ところがここで知りたいのは、現在の収容定員はこの資料には出ていない。もちろんこまかいことですから、概数でけっこうですが、大体おわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/23
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024・津田實
○政府委員(津田實君) 現在の収容所の定員は約六百名くらいでございます。現在と申しますのは、長野市にございますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その約六百名というのは収容定員ですか。現在入っておる収容者はどのくらいかと、わからなければあとでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/25
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026・津田實
○政府委員(津田實君) 現在はもちろん口によって違いますが、大体千名前後でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで現在の施設が明治十六年のきわめて古いものであるから、収容定員が非常に少ないと、これはよくわかる、昔の古い建物ですから。ところが、今度新たに建てたのは定員数は七百四十六名ですね。そこで、今お尋ねした現在どのくらい入っておるか。これは千名突破しておる。これはこの資料にもございますが、三十三年十二月末日現在で千百六十四名ほど入っておる。おそらくこれよりふえておるのじゃないかと思うのですが、大体千名を突破していることだけは事実です。こまかい数字はどうでもいいが、ただここでお伺いしたい点は、こういう状況では、収容定員は七百四十六名、現在おるのは千名突破しておる。そこでお伺いするのですが、これではさっそく新施設を作っても入りきれぬではないですか。ここがお尋ねしたい点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/27
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028・津田實
○政府委員(津田實君) 刑務所の施設は御承知のように、新しい施設は次第に収容状況をよくして参りますので、だんだん充実いたしております。従いまして予算の関係もございまして、なかなか一気に大きなものを建てるわけに参りませんので、次第に拡充するという建前で参っておる次第でございます。それにいたしましても、古い庁舎に比べますと、収容状況はずいぶんよくなっておるわけでございます。しかし、全国的に平均を見ますと、やはり刑務所は早急に増設するわけには参りませんので、拘禁状態は、いわゆる定員というものから超過しておるというやむを得ない状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは最初から狭い、定員では入りきれない。こういうことは、最初からわかって、おるにもかかわらず、あえて現在収容人員より小さい施設を作っておるということは、これは悪いことをした人間であるから一つ入るだけ入れておけと、そういう考えがもしありとすれば、これははなはだ遺憾なことですが、おそらく予算その他の関係であるとは思いますが、ここのところがどうも納得いきかねるわけです。現在千人を突破しているのですね。最初からすぐ困るわけでしょう。ただし、一つの監房に、四名定員のところを七名も入れれば、これは十分足りるわけですね。これは現場を見て、初めて実情がわかっているのでお伺いするわけですが、あまりにも、もうほとんど窮屈な実情で、これは、たとい悪いことをしても、再び罪を犯させないそういう温かい思いやりで、再び累犯を犯さないように、そういう思いやりからすれば、いささか、こういう点では矛盾するのではないか、こういうふうに思う。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/29
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030・津田實
○政府委員(津田實君) その点は確かに御指摘の通りでございまして、定員に見合うだけの収容施設を設けることが理想でございます。でありますが、御承知のように、現在収容者の数は、ときによりまして非常に違って参ります。終戦後その他異常の状況によりまして、非常にふえて参りましたが、昨今は多少づつ年々々減少の傾向にございますので、まあ、どこを目安にして収容施設を長期計画で設けるかということは問題になると思います。従いまして、今日のように拘禁率が常に収容定員をオーバーしているという状況は、一面から見れば犯罪状況が悪いということにもなるのでございまして、そこらの見合いがございますし、あまりたくさんのものを、国費を使って建ててあけておくというわけにも参りませんので、なかなか建設と、その収容状況が見合わないという、技術的に非常にむずかしい点があろうと思われるのでございますが、次第に拘禁状況は改善されていっているし、一面収容者が減ってくるという現況にありますので、遠からずこの状況は解消できるのではないかというふうに考えられる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前に申し上げました前橋刑務所の場合でも、これもずいぶん古い、七十年以上たった古い刑務所ですが、従って、当初の目標は、定員目標は六百名ぐらい。それが、千二百近く入っておるわけですね、現在でも……。そういうことで、全国の五十七の刑務所についても、私は全然知りませんけれども、大体そういうような状況下ではなかろうかと思うのですが、この点はどうなんですか。特に前橋は多いのか、そういう点全国的にはどうなのか、その動向ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/31
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032・津田實
○政府委員(津田實君) 全国的には、ただいまのところ、たとえば東京付近の小菅に例をとりますと、収容率がだんだん減少して参っております。ただいまの前橋の御指摘の数は、ちょっと手元に資料がございませんので、わかりかねますが、それは、むしろ収容状況がよくない部類に属するというふうに考えております。全国的には必ずしもそんな高い率にはなっていないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 やはり刑務所を改築したり、移転する場合は、現在の収容数と、そうして今御指摘の将来の見通しですね。こういうことを勘案して、当然その規模の大きさが決定する。これは私どもしろうとの常識ですが、そういう点の配慮が何らなされていないように考えるのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/33
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034・津田實
○政府委員(津田實君) ただいま長野の刑務所のような、非常に古い施設が相当全国にございます。そういう施設を改良して参ることが急務でございまして、新たに刑務所を増設するというようなことはなかなかできない。そこで、先日大臣からも申し上げましたが、本年度計画は、名古屋外一カ所を移転改造するということになるわけです。そういうことによりまして逐次収容状況をよくして参るという方針が立てられておりますので、これは長期計画で立てておるわけでございますので、決して無計画でやっておるわけではございません。ただ、非常に年月と莫大な経費を要しますので、その面での障害というものがあるということを申し上げなければならぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 施設について二、三お伺いしたわけですが、私の言わんとするところは、結局施設を大きくしろ大きくしろと、そういうふうに受け取ったやも存じませんけれども、そんな施設よりは基本的に大事なことは、何といっても犯罪数を少なくして刑務所などだんだん縮小して、できるならば廃止すると、こういうことが望ましいと思うのです。なかなか現状をもってしてはそういうことは望むべくもない。そこで大事な点は、せいぜい逐次縮小するように、そういう方向にお互いに努力しなければならぬと思うのですが、この点について前に大臣にもお伺いしたわけですが、具体的にどういうことを今考えておられるか、そういう点をお伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/35
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036・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) 調査部長からお答え申し上げましたように、現在の状態では収容人員の方が定員よりは超過しております。従ってまあ、犯罪の情勢を見まして適当に拡張計画も立てていかなければならぬと思いますが、予算の制約もございまして、なかなか法務省の思うようにいかないことだけは残念に思っております。この点前橋はこれから新しい刑務所を今度移転して作るわけでございますが、現在の収容人員を十分考慮に入れましてその移転計画を立てたい、こう考えておりますので、御質問の要点もそこにあると思うのです。これからできるものに非常に不足な設備を作ってはいかんじゃないか、こういうお尋ねだと思いますが、その点は十分に考慮して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前橋刑務所の移転等について十分配慮していただいておる、これはせいぜいお骨折りをいただきたいと思うのですが、ただ大よその見通し等についてはおわかりにならないですか、もしおわかりであれば、大よそのところでけっこうですが承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/37
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038・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) 昨年までの計画では、前橋は第一次計画に入っていなかったのです。二十数カ所の刑務所の移転を考えておりまして、第一次としては十カ所を予定しております。その中には入っていなかった。しかし、いろいろの実情を聞いておりますので、今年から国庫債務負担契約の形をとりましたので、これは市当局の方といろいろ話し合いをしますれば、案外前橋の方が早くでき上ってくるのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、この審議はまだまだ私続くものとけさまで予定しておったのですが、きょうのお話で大体本日あげるということになったので、それで今ごろになって調査資料の提出をお願いするのはいかがかと思いますけれども、いろいろ関連があって後日のために以下お願いする資料を一つぜひお願いしていただいて、そうして質問を終わりたいのですが、過去十カ年間における五十七の刑務所と、それから少年刑務所、それから拘置所別、それと犯罪種類別、それから男女別、それから初犯、再犯、累犯というように、累犯については三犯、四犯、五犯、以下犯数別にこういう現在の収容人員の一覧表、こういうものを一つお骨折りでも提出していただきたい、後日の参考にしたいと、そういうように思います。以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/39
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040・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/40
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041・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/41
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042・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/42
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043・中野文門
○委員長(中野文門君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定
いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/43
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044・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/44
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045・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/45
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046・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまから、国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題として調査を進めます。政府側出席の方々は、淺井人事院総裁、瀧本給与局長、以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/46
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047・山本伊三郎
○山本伊三郎君 本日は給与関係の担当大臣が出席を願うか、あるいは総理大臣が来ていただくということで質問の要綱を準備しておったのですが、残念ながらまだきまらないようでございますから、せっかく淺井人事院総裁が見えましたので、ほんの一、二だけ基本的な問題について質問しておきたいと思います。これは今後一般職の職員の給与の改正法律案、その他一連の給与法の改正についても関連のある問題でございますが、まず第一点は、今度の一般職の職員の給与改正について、一応昨年の七月十六日勧告を人事院が出されましたが、その後今度の改正法律案を立法される際に、人事院はこれに対して何らか政府から御相談にあずかられたかどうか、全然ノー・タッチであったかどうか、これを人事院総裁にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/47
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048・淺井清
○政府委員(淺井清君) お答え申し上げますが、政府で法案を提出する場合は、慣例上人事院と協議することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/48
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049・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まずそれだけ聞いておけば、自後の審議の参考にしたいと思うのですが、それじゃもう一つ、人事院総裁にお聞きしておきたいのですが、国家公務員法第二十八条の第一項に、こういう条文があることはもうすでに御存じだと思いますが、ちょっと読んでみますが、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」という言葉がある。それからその次に「その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。」こういう一項がある。第二項は、毎年やられるいわゆる定期的な勧告、この第一項に関しまして昨年の暮れ、佐藤大蔵大臣に私は追及したのですが、昨年の期末手当は、非常に社会情勢、経済情勢が変っておるのに、いわゆる勧告を重点に置いて、夏期手当がすでに勧告されておるので、本年、昨年からは来年ですが、本年の六月の夏期手当だけは〇・一上げる、こういう答弁で、そのとき追及したのですが、佐藤大蔵大臣は、あまり法律的には回答しておられない。幸いにして人事院総裁、この点は十分認識があると思うのですが、すでに昨年の期末手当は一応別といたしましても、本年人事院では相当各給与の状態、民間会社のいわゆる給与の状態を調べておられると思いますが、相当状態が変わっておると思いますが、この三月末におけるいわゆる年度末手当と申しますか、そういうものが組合から提出されておると思うのですが、これに対し、この条項を考えて、いわゆる人事院が随時これに対して勧告する、要するに用意があるかどうか、この点を一つ答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/49
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050・淺井清
○政府委員(淺井清君) ただいまの条文はお示しの通りでありますが、随時と申しましても、給与一般、もしくは手当、そういうものは人事院といたしましては、組合の要求もさることながら、やはり全国的な調査をしなきゃならぬと思っております。その調査はそう随時と申しましても、短時間にできるものではございませんので、そこで人事院といたしましては、最近にまたこの調査を始めて、一体過去におきましてどの程度上がったかということを調べまして、それによって勧告すべきときは勧告いたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/50
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051・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすれば、まあ私の記憶では、過去相当、人事院が設けられてから相当になりますけれども、これを発動されたことはあまり記憶がない。もちろん調査には相当時日がかかるのはわかりますけれども、調査しておれば、いつも言うように、一年後あるいは二年後にならなければ、いわゆる民間の給与と比較して公務員の給与が直されないというのが実情である。今日もうすでにそう稠密な調査をしなくても、一応人事院という大きい規模のある組織を持っておられるのですから、大体の情勢はつかめておると思う。この意味においてわれわれはこの条項をまずまじめに実行してもらいたいと思う。これは政府、大臣がおらぬのでありますから、この前段のやつは追及できませんけれども、これは人事院は勧告を怠ってはならないけれども、国会自身においてもこれはいわゆる取り上げられる問題なんです。政府の責任もここにあると思うのですが、私は政府、担当の大臣が来たときに追及いたしますが、人事院としてはやはりこれをまじめに考えてもらいたい。おそらく膨大な調査が要るからということになれば、この条項というものは一体いつ発動されるか、これを一つ考えてもらいたい。昨年から本年にかけて、非常に岩戸景気としても、民間の工場、会社の賃金は相当上がっておる。それをただじんぜんとして調査に藉口して、それが一年なり、二年なりおくれることは、公務員はいつも民間の給与からはるかに下のところでくぎづけされるという結果になる。この責任を人事院は考えてもらわなければならない。今人事院無用論がいろいろ世上言われておるのは、こういうところから来ると思う。こういう法律の条項を知っておられるならば、かりに調査が時日がかかってもそれをやるだけの努力をされたておるかどうかというところに問題があると思う。そういう調査に時日がかかるからといって、年に一回それをもう出してしまえば、もう正月も盆も一緒に済んでしまったように、やれやれと、あとは政府の責任だと、のほほんとしておる人事院ではだめだ。そういう事態を考えて努力されておるかどうか、これをもう一ぺん聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/51
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052・淺井清
○政府委員(淺井清君) その条項はわれわれとして順守いたし、絶えずそういう調査をしておるつもりでございます。しかしながら御承知のように、公務員の給与はやはり納税者の担負になっておりますから人事院の勧告は、それは公務員諸君の満足も得られなければならないけれども、同時に納税者たる国民の納得も得られなければならぬと思います。でございまするから、やはりそこには科学的と申しまするか、よく皆さんも納得できるような調査に基づいた勧告をする必要があると思います。これはこの団交を主といたしておりまするその土俵の上で双方が議論を戦わせまして、それを適当に妥協させていいという委員会の立場と人事院の立場とは、そこのところが少しく違うのでございまして、ただいまおしかりの点もございましたけれども、人事院といたしましては決してそういう努力を怠っておるものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/52
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053・山本伊三郎
○山本伊三郎君 もうそれで質問終わろうと思ったんですが、今人事院総裁はちょっとわれわれとしては気になることを言われましたので、それについて一つ反問しておきたい。納税者の納得する給与といわれるが、一体納税者が納得するというのは、どこの基準で人事院がそれを取り上げられておるのか。人事院がかつて出版されたいわゆる各国の給与の状態を発表されておりますが、それから見ても日本の公務員の給与というのはきわめて低い。私の調べによりましても諸外国では一般民間の給与よりも若干高いところに公務員の給与というものが定められておる。日本の場合は一般の民間の給与よりも若干低いところに押えるのが常識になっている。これは一体納税者の納得するというのは、人事院はどこでそれを受け取られたか、それを一つ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/53
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054・淺井清
○政府委員(淺井清君) 私が納税者が納得すると申しましたのは、幾らなら納税者が納得するかというような数字的な意味で申し上げたのではないのでございます。ただ公務員の給与の改善を勧告いたす場合に、それがよく調べて、科学的の根拠に立っているならば、納税者たる国民も納得するであろうという、ただその抽象的なことを申し上げたんで、決してただいま御指摘のような意味で申し上げたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/54
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055・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあ、それから派生すると、ますます質問が深くなりますから、きょうはそういう約束でないからおきますけれども、人事院は、科学的にやらんと、要するに納税者が納得しないとおっしゃいますけれども、科学的については、この前の臨時国会の過程において、瀧本給与局長おられますが、相当論議をされたと思う。あれくらいの科学的な要するに調査で納税者があなたが言うておるように納得するというような、そういう観点のものではないと思う。やはり人事院なり、政府の主観が多く入っておるんです。そういうことを言われるならば今後追及いたしますけれども、あまりにその場限りの逃がれ言葉ではなくて、人事院の設置された精神というものを少なくとも人事院総裁ははっきり把握してもらいたいと思う。現在公務員がたよりにしておるのは、人事院だけであって、争議権もないし、少しやると、いわゆる処罰される、今日検察庁が手を入れるというような時代が来ておる。その人事院がその場限りに国会の答弁だけ逃れたらいいというような考え方でおられないと思いますけれども、もっと誠意を持った立場から公務員の給与を考えてもらいたいと思う。それから私が質問すると、何か組合の団体交渉とか何とかいって、私が何か組合の関係を持ってここに来ておるというのは、それは私はけしからぬと思う。私は何も組合の意向をどうこうだと言っておるのではない。一国会議員として内閣委員として、正常な公務員の給与はどうあるべきかということをいつも考えてやっておる。われわれは、無法な給与を出せというようなことを主張しておらない。人事院が出された勧告に基づいて出されたところの法律案の改正について、これはよかろうかということを審議しているのであって、何か言うと、淺井総裁は、組合の団体交渉で妥協させたらいいと言うが、そういうことはわれわれは考えておらない。今後そういう言葉を使われたならば、その点も追及いたしますから、その点は一つ取り消してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/55
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056・淺井清
○政府委員(淺井清君) 二つ問題があると思いますが、第一は、私どもは決して一時のがれの答弁をここでいたしておるのではないのでありまして、科学的と申しましたが、人事院としては人事院なりに非常に苦心をしているのでありまして、十分人事院の使命はお言葉通り自覚して参りたいと思っております。
第二に、団体交渉云々と申しましたのは、それは団交権を持っている方では双方の主張を妥協させるように裁定すればよいけれども、団交権のない職員を預かっておる人事院といたしましては、国体交渉がないのでございまするから、人事院としては科学的な調査を独自の立場でやるほかないと申し上げたのでありまして、これは決して国会議員の御職責と少しも関係がないのでございまして、私の言葉が誤り伝えられましたのならば、それはあらためて訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/56
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057・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ、私のきょうの人事院に対する質問は、あまり追及したいと思ってはおらなかったのでありますから、今後こういう問題が出てくると思いますが、先ほど人事院総裁は、調査が相当長期にかかるから、直ちにこの年度末については勧告を考えておらないというような答弁でございましたが、なおこの点は十分考えてもらいたい。単にここでこの場が済んだらというんじゃなくてこの問題は今後いろいろな問題を引きずってくると思います。この二十八条の第一項をもう少し誠実に人事院としては考えてもらいたい、こういうことを希望いたしまして、本日の私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/57
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058・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 勧告の問題と、民間の給与の調査のやり方、こういう問題につきまして、三つほど淺井総裁にお伺いをして、そうして、ぜひ一つ慎重なる御検討を願いたいというふうに思っているわけであります。昨年の十二月、人事院の勧告並びに民間給与の調査のやり方等につきまして、不審に思われたり、あるいは問題になるような点につきまして、ほぼ詳細に御質問申し上げたわけでありますが、その中で、一つは勧告の実施の時期を明らかにされていないという問題であります。これにつきましては、今の勧告のやり方でいきますというと、公務員の場合は、どうしても民間から確実に一年はおくれる。もっと詳細に見ますと、一年十カ月かそこらあたりずれて給与が改訂されていく。こういうことは公務員としては非常に耐えられない問題だという点につきましてお伺いしました。この点につきましては、淺井総裁も御同感の意を表明されまして、また、政府といたしましても同感である、検討したいということであったわけでございますが、その後総裁がこの内閣委員会におきましても、四月一日から人事院としては実施されるものだと思っておった、それが実施されないのはきわめて遺憾だというような御答弁がありまして、さらに、参議院の本会議におきましても同じ趣旨の御答弁があったわけであります。公務員としましても、この点については何かほっとした気持もあるわけでありますが、この淺井総裁の、四月一日から実施されるものと思っておった、それが実施されないのははなはだ遺憾だ、この答弁につきまして伺いたいのでありますが、そういうような御答弁をなさった趣旨は、人事院の給与の実態調査は三月末に調査をやるのであるから、そのときに民間よりも五・七%低いということになるのであるからして、四月一日から実施されるのが至当だというふうなお考えではなかろうかと思うわけでありますが、そういうふうに解釈をしてよろしゅうございましょうかどうか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/58
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059・淺井清
○政府委員(淺井清君) 私の参議院の本会議で申し上げましたことをまた繰り返すにすぎないのでございますが、人事院といたしましては、これまで何回も勧告いたしております。実施時期を書いたこともございます。しかし、最近は、ただなるべくすみやかに実施されんことを望むというふうな表現をとっておるのであります。これは、やはり財政の問題がからんで参りますので、これは国会及び内閣の権限であって、人事院にはその権限がないものでございまするから、人事院といたしましては、ただ抽象的になるべくすみやかにということを言っておるのでございまするが、これは、ただいま御質問のように、それじゃいつまで延ばしてもいいかというようなことは毛頭考えてないのでございます。その後の経過を見ますると、常に翌年の四月からこれが実施されておる状態だ。これは公務員諸君にとっても重大問題であるし、また、われわれとしてもはなはだ遺憾に思うということは、すでにこの席上においても申し述べた通りでございまするから、ただいま鶴園委員の述べられたことには同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/59
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060・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 問題になります点は、実施の時期を明らかにしないでできるだけすみやかにというふうな勧告になっております点が、私としましては、察するに、人事院のお考えも正確にやはりお出しになったらどうか。そうでありませんというと、国会並びに政府の方といたしましても、人事院のお考えを正しく把握をするということにはなりにくいのではないだろうか、なおまた、実施の時期を明らかになさることが人事院の御意思をやはりはっきりなさるという上においていいのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。従いまして、勧告の実施の時期を明らかにしてもらうというふうなことをお考えできないものかどうか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/60
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061・淺井清
○政府委員(淺井清君) 御趣旨ごもっともにも存じまするので、まあ過去のことは別といたしまして、今年度の勧告においてこれをどう取り扱うということは研究いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/61
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062・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次にお伺いをしたい点は、人事院は年一回民間の給与の実態調査をおやりになるわけでありますが、それが三月末をとっておられるという点につきまして、昨年の十二月に種々この問題について御質問を申し上げたわけであります。三月末と申しますというと、二月という特殊な月が入るわけでありまして、即ち、二月は二十八日しかないという特殊な月が入るわけでありますので、こういう月をとることはいろいろな意味において公務員に疑問を持たせるおそれが多いわけであります。その観点から、私、十二月にも種々伺ったわけでありますが、従いまして、三月末の調査という点について、ぜひ一つ御配意をいただきたいと思っておるわけであります。十二月のこの内閣委員会におきます質問に対しまして総裁としては、四月末の調査という点については、勧告は年一回やることになる、七月十六日から次の年の七月十六日までにいたすか、十五口までにいたすか、その間に一回やらなければならないという、いわゆる俗称淺井総裁年度と、こう私たちは申し上げておるわけでありますが、そういうようなお話でありました。これには総裁のおっしゃるような総裁年度といっては恐縮でありますが、七月の十六日から翌年の七月の十五日という年度の考え方もありましょうし、また暦年度もありましょう、一月から十二月という。さらに四月一日から翌年の三月の末までという年度、その間に一回というとり方もあろうと思います。その点について、総裁はかつてこの委員会におきまして年度説をとられたこともあるようでありますが、しかし、この点は今私ここでどうこうというふうに申し上げたくないわけでありますけれども、ただ三月末というものをおとりになりますことは、先ほど申し上げましたように、二月という特殊な月が入りますので、一つ四月末の調査にお願いをいたしまして、技術的に申し上げまして、種々困難な血もあろうと思っております。総裁の御趣旨でありますというと、四月末の調査をして七月の十六日までの間に勧告をすると、どうしても一カ月詰めた作業に入らなければならないということで、非常に技術的にむずかしい問題もあろうかと思いますが、たとえば三十三年度の民間の給与実態調査におきましては、十一万名の個人調査をやっておられるわけであります。三十四年度は約三十六万という個人調査をやっておられますからして、大体この三十六万という昨年の民間給与の調査でほぼいろいろな点についての御推察もできたろうと思いますので、これを半分くらい減らして、二十万かあるいは十七、八万というようなところでおやりになりますれば、四月末の調査をおとりになりましても、七月十六日に勧告が間に合わないというようなこともなかろうかとも思うわけでありますが、そこらの点につきましての総裁なり給与局長のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/62
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063・淺井清
○政府委員(淺井清君) まず第一にお答えいたしたいことは、人事院は慣例といたしまして七月十六日に勧告をいたしております。これは初めはそういう日はきまっておらなかった。ところが、毎年予算を八月に編成いたします関係上、それよりおくれましては勧告の意味がないじゃないかというような意見がありまして、八月以前に行なう、それが七月十六日になったと、そういたしますと、やはり三月末の時点で民間調査をすると、こういうふうになったのでございます。そこで一年に一回ということがございまして、これまでの解釈によりますれば、前に勧告をやった日から一年と、こういうことになりますから、七月十六日までにはしなければならない。さすれば三月末で調査をしないというと間に合わない。こういう逆の論法が出て参っておるのがただいまの慣例でございます。ところが、ただいま鶴園委員が御指摘になりましたように、私どもも、三月末は民間賃金が低くなっておる、だから人事院はことさらに低いところでとっておるのではないかというあらぬ疑いを受けている面もあるように思っております。そこで今年度といたしましては、一体どの時点で調査をすればよいかという点についてはすでに研究中なんでございます。これは今月中かあるいは来月上旬にはきめなければならぬと思っておりますが、ただいまこの席上では、その問題はすでに研究中であるということだけ申し上げるほかはないと思いまするが、ただ、やるといたしますれば、やはり四月の基準に変えるといたしますれば四月にすると、こういうことになるのです。これは鶴園委員の御指摘の通りでありますが、これは技術的にうまくいくかどうかいろいろ疑問がございます。第一に、四月末で調査をいたしますれば、七月十六日に勧告することは、これはどうも物理的に不可能じゃないかと思う。また、四月は労働省の基本調査等とぶつかりまして非常にやりにくいというような点もございましていろいろそこに問題がございますから、ただいまその点については研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/63
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064・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次にお伺いをいたしたい点は、民間の給与の実態調査をやられます場合に、二十日以上勤務した者を調査しておられる。この場合に問題になりますのは、公務員の場合におきましては日給制の人たちもいるわけですが、しかしそれはほんの一部でありまして、特に人事院が給与の比較をなさいます場合には、定員内の職員と定員外の公務員と民間とを比較なさいますのでございますので、公務員の場合におきましては日給制というものはいないわけであります。ところが、民間の場合におきましては、私どもの推定では、おそらく人事院の調査の中の半数近い者は日給制になっている。そういたしますというと、二十日以上の勤務というふうにいたしますというと、その中の半数近い者は日給制でございますので、どうしても民間給与というものが低くとられる、こういう疑いを公務員が持っているわけです。事実そういう問題もあると思いますが、これは非常にまずいのじゃないだろうかというふうに思うわけであります。いうならば、民間の場合におきましては手取り額、公務員の場合においてはべースを比較しておられる、民間のべースと公務員のベースを比較するのじゃなくて、民間の手取り額、実際受け取った額、そうして公務員のべースを比較されるというふうにほぼ申していいのじゃないかと思うのであります。これはやはりどうも疑いを持たれますし、低く民間の給与を調査されるのじゃないかという懸念も持つわけでございます。この点について何かの御配意をいただかなければならぬのじゃないだろうかと思っております。民間の場合におきましては、平均して月二十一日ないし二十二日というのが一カ月の働く日数でありますが、さらにそれから一日削って二十日というふうに出しておられる、こういう問題、またこの内閣委員会でも出ましたけれども、臨時職員という人たちが民間の調査の場合には入ってくるおそれということは否定できない。この点は先ほど局長もお認めになったと思うのでありますが、そういうおそれがある。私たちも確かに局長御心配以上に臨時職の方々が民間の場合には入っておるというふうに思うわけでありますが、この点につきまして、局長なり総裁におかれてどういうふうにお考えになっておられますか、お伺いいたしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/64
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065・淺井清
○政府委員(淺井清君) お答えいたす前に、さいぜんの答弁にちょっと補足いたしたいと思いますが、もし鶴園委員の仰せられる通り、四月で調査をいたしますとするならば、七月十六日はどうも私はこれは物理的に無理であろうと思っております。しかしながら、私としては前の勧告から一年でやることを望ましいとは思っております。しかしながら過去の実例を見ましても、これはおくれたこともあるのでございます。二週間ほどおくれておることもあるのでございまするから、もしそうならば、私はおくれるのもやむを得ないということをまず申し上げたいと思っております。
それから第二の御指摘の点はごもっともでございますが、これはただいま民間のそういう日給制による者の稼働口数が少ないから低く出るという問題だろうと思いますが、この点については何か考慮しなければならぬかと思いますが、これは技術的な問題でございますから、給与局長からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/65
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066・瀧本忠雄
○政府委員(瀧本忠雄君) ただいま問題になっておりまする日給者の問題は、公務員と民間とを比較いたしまする場合に、いわゆる行政(二)俸給表の問題になるわけでございます。そのほかの俸給表におきましては大体そういう問題はない、多少あるかもしれませんが、大体においてないというふうに思います。で、御指摘のように、行(二)関係の職種におきまして、民間に日給者がおる。それが、三月分の調査をいたすと、その三月分というのは、大体民間において賃金の締め切り期間が前月の二十五日から翌月の二十四日と、こういう賃金締め切り、これは月給と合っておりません。その結果、三月分と称しながら二月の短い期間が入ってくる。で、問題はむしろその短い賃金締め切り、賃金計算期間の中で日給者を問題にするならば、そういう人の稼働日数は通常の月に比べて少ないじゃないか、この問題が重点であるわけでございます。われわれは、そこでそういうことに対しまして、そういう影響が現われないようにというので従来二十口、二十日以上働いておる者でないと調査の対象にしないということでやって参ったのでありまするけれども、二十日では少ないじゃないかという問題があろうかと思うのであります。従いまして、その点はさらにわれわれの方として検討をいたしたいと思っております。で、これは日給者を全部調査の外にはずす、あるいは民間におきまして、給与の支払い方法が日給できまっておっても、それが状態としていわゆる永続勤務の職員あるいは労務者でありまする場合に、やはりこれを対象の外に除くことは適当でないとかりにいたしまするならば、この日数が短い者はこれを除くというようなことも考えられるのでございます。また、この問題は、従来通り三月分の調査をいたすか、四月分でやるかという問題にも関係して参る問題でございます。かねて御指摘がございましたので、われわれの方では現在慎重に検討いたしております。なお、この調査はわれわれがやっておりますもので、十分注意してやっておるつもりでありまするけれども、なお不備な点が従来なかったとは言えないのでありまするから、臨時職員を除くような問題は、従来も十分注意をしておったのでありますけれども、今後においてはそういうふうに異見を来たさないように、調査要綱等も、調査実施計画等も定めたい、このように考えまして、現在研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/66
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067・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 先ほども申し上げましたように、公務員の場合におきましては、定員内の職員でありまするので、これは月給制であります。民間の場合におきましては、日給制や月給制や混合した形で調査が行なわれておるのであります。このことが、先ほど申し上げましたようないろいろな疑問等を生ぜしめるものではないだろうかというように思うわけであります。民間の場合には、職員の二〇%近い一八%ぐらいが日給制であるというふうに人事院のかつての調査に出ております。また、工員の中の約六〇%は日給制だというふうに人事院の調査に出ております。従いまして民間の場合におきましても、工員の場合も月給制でありますし、職員の場合は圧倒的に八〇%以上の者が月給制であるわけでありますから、従って、民間と公務員との給与を比較する場合に、つまり、民間の給与の調査をなさいます場合に、日給制を省いて月給制だけをとるというふうな御配意もあっていいのではないだろうかと、若干人事院の中でもそういうお考えがあるやに承っておるわけでありますが、月給制をとりましても、職員の圧倒的な者は月給制でありますし、工員の約四〇%以上の者が月給制であるわけでありますから、民間と公務員を比較する場合に何らの差しつかえはないんじゃないだろうか。従来のやり方でやりますというと、先ほど申し上げましたように、二十日以上の勤務という問題も出て参りますし、その他、臨時工が入るのじゃないかという懸念も出て参ります。いろいろ問題が出てくるのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございますが、民間の月給制の者と公務員を比較する、そういうようなお考えは、あるいは、そういうようなことを検討なさる御用意はないものかどうか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/67
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068・瀧本忠雄
○政府委員(瀧本忠雄君) 先ほども申し上げましたように、問題は、この民間と公務員を比較いたしまする場合に、給与の支給の方法が月給であるか、あるいは日給月給であるか、あるいは日給であるかというようなことが主眼点ではないように思ったのでありますが、あくまで同様な勤務をいたしておる者、臨時職員を除きまして、同様な勤務をいたしておる者ということを調べるのが主眼であるというふうに思うのであります。そういう場合に、たとえば月給者だけを調べて、それが適当であるということになれば、これは官民の月給者だけの比較をいたすということでよろしかろうと考えるわけでありますが、その辺がちょっとどんなものであろうか、御指摘の点も含めまして十分検討いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/68
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069・横川正市
○横川正市君 関連。一問だけ。これは私、さっき山本委員や鶴園委員からやられておるように、人事院は政策を抜きにして実態をとらえて、そうして、それに基づいて最も早い時期に公務員の利益を守るための人事院の勧告を行なう、こういう総裁の答弁でありましたので、おそらく変転する経済事情その他政策の問題だから、そのときになって考えるんだと答弁されるのじゃないかと思うんですが、今政府が政策として国民所得の倍増計画、これをやっておるわけですね。しかも、それは与党の中にも、野党の中にも、また政府の中にも真剣に取り上げられておるわけであります。ですから、今一般的に言われるように、倍増というのは、所得の倍増であって給与の倍増でないという場合には、これは倍増計画がかりにありましても、この倍増計画によるところの恩恵を浴さない面も多分に含まれておるというような説明もされておるようであります。一般的にこの国民所得の倍増計画が実施されれば、現在の国民生活というものは、これは現在の水準から、少なくとも倍増計画に従ってこれは上がっていくものである。たとえば五カ年計画ならば毎年二割、あるいは十カ年計画ならば毎年一割、こういうふうに上がっていくものだと予想して、経済生活の一つの方針というものが政策的にきめられてくると思うんです。こういう場合は、人事院として、当面の政策だから検討を加えていないということなのか、すでにもう政府の方でその方針が計画化されようとしておるのですから、人事院としても、これに対して何らかの考え方を具体化する方針を持っておるのかどうか。それから、もう一つは、もしそれをやられなかった場合、今言っておるように、一年半、二年後でなければ公務員の利益を守ることができないような結果になっておりますから、そうなれば、現在、この政策遂行の結果来るところの公務員の給与上の利益というものを人事院はどういうふうに守ろうとしておるのか。もう一つは、もしそれを守ろうとしても、当面、人事院としては、制度上欠陥があってそれはできないのだというようなことがあれば、一体、その欠陥というのはどういうことなのか、検討しておるかどうか、この点をこの際、関連してお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/69
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070・淺井清
○政府委員(淺井清君) 第一点は、所得倍増計画との関連云々でございますが、人事院といたしまして、給与改善の勧告をいたしまする場合には、やはり現在の民間賃金、生計費というものが基礎となることは、公務員法に明示されてございまするから、先回りをして貸金を上げる、給与を上げるということは人事院の立場としてできないように思っております。
それから第一点は、現在の制度上の欠陥でございまするが、これはそもそも憲法から見ましても、人事院のような独立した機関の持つ権限にはおのずから限界があろうと思っております。憲法によりますれば、やはり国家に対して責任を負う者は、国務大臣が連帯して責任を負うのでございます。人事院は非常な独立性を与えられておりますが、これにはおのずから限界があるので勧告をもって限界とすると、まあ法律上はさようになっておりまするから、この勧告を国会並びに政府がどう取り扱うかということに立ち入って人事院は何もすることができないのです。これは法律上でございます。もちろん、人事院といたしましては勧告いたしたことを実現すべく努力はいたしまするけれども、法律の上におきましては人事院は勧告にとどまると。しかし、勧告をしたからそれでいいと思っているわけではございませんが、法律上そうなっている。もし欠陥というなら、それ以上のことができないところに欠陥があるだろうと思いまするけれども、これは欠陥というべきものでなくて、これはやはり制度上やむを得ぬことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/70
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071・横川正市
○横川正市君 ちょっと私の質問と総裁の答弁とは、私はそういうことを聞いているんじゃないのです。政府が現実に五カ年計画、十カ年計画で倍増計画をやっていけばおのずと国民生活、いわゆる経済生活というのは一割なり二割なり上がるわけですよ、計画の中で。ところが今の人事院の方式でいけばこれはもう早くて一年半、おそければ二年おくれるわけですね。そういうことでは公務員の利益というのは守れない結果にならないか。それを欠陥として人事院は一体これを改正する意図とか、そういったものを検討する必要があるんじゃないかと私は言っているんで、そういう検討するような用意があるのか、ないのかという御質問をしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/71
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072・淺井清
○政府委員(淺井清君) ちょっと簡単に申し過ぎましたかもしれませんが、なるほど人事院は勧告をいたしまする場合は景気のいい場合、悪い場合、いろいろな要素は研究してもいいということになっておりまするが、主たるものはやはり現実の民間賃金でございまするから、これを基礎とすることはやむを得ない。
それから勧告の実施が非常におくれておる、これは私どもも非常に遺憾と思っておる次第でございまして、私どもといたしましては、勧告の基礎となっております調査の時点からやはり給与が増額されることはもちろん望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/72
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073・伊藤顕道
○伊藤顕道君 鶴園委員の質問に関連して一点お伺いしますが、先ほど鶴園委員から、三月という月は民間給与の一番低いときなので、それを避けて、四月に実施できないか、こういう意味の質問に対して、総裁から、そうなると、慣例でやっておった七月十六日の勧告は相当おくれると。これは私はおくれてもそんなこと問題ないと思うのです。さかのぼって実施するように、しかもいつ幾日実施するように、こういう二つの要素を入れれば、勧告の時期が少しおくれるということは問題ないと思うのです。あなた、前の国会で私に、万難を排して公務員の利益を守るということを表明されておる。そういう総裁がなぜそういうことができないのか、いまだに納得しかねるわけです。その点はっきりさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/73
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074・淺井清
○政府委員(淺井清君) 昨年までのことは別といたしまして、さいぜん鶴園委員から今年度はどうするかというお尋ねでございましたから、ただいまその点は真剣に研究をしておる、かように答えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/74
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075・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ところが、同じく鶴園委員の、勧告の実施の時期を明確にできないかという、そういう質問に対してあなたは、これは人事院の権限外だからできない、そういう意味に言われませんでしたか。私そういう意味にとれたが、もしそうでなければ問題ないですが、もし権限外だからできない、そういうことを言われたのでないとしたら、これはできないはずはない。権限内ならなぜできないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/75
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076・淺井清
○政府委員(淺井清君) それは速記録をお調べ下さればわかるのですが、さようには言っておらぬつもりです。それは、人事院が、なるべくすみやかにと従来書いて参りましたのは、人事院はみずから公務員の給与の予算を編成する権限を持たない。これは国会及び内閣の仕事であるから、そこでなるべくすみやかにと、こういう従来は表現を使ってきたのだということだけを申し上げたのでありまして、何も権限を明示することができない、こういうふうには申し上げなかったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/76
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077・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それはそれとして了解しますが、そこで人事院は言うまでもなく政府から独立した機関であるわけですね。そうだとすると、人事院独自の立場で、しかも公務員の利益をあくまで万難を排して守る、そういう考え方の上に立てば、今までかつてやったこともあるわけですね、いつ幾日実施するようにと。一度やったことがなぜあとできないか。しかもそのことが、やることが公務員の利益になり、しかもあなたは、公務員の利益を守るためには万難を排してやる、こうおっしゃっておるわけです。非常に矛盾すると思うのです。なぜそういうことができないのか。あなたがそういう考え方の上に立って実施時期を明確にすることによって、しかもさかのぼって実施するように、こういう一つの要素を含めて勧告すれば、もう明らかに公務員の利益を守ることができるわけです。そこであなたは私に対して約束を忠実に守るということがここで初めて言えると思うのです。それができないならば、ただ口頭禅でやって、口先だけで、実際腹はそこにないのだ、そういうふうに解釈せざるを得ないわけです。この点重ねてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/77
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078・淺井清
○政府委員(淺井清君) 私は決してできないとは申し上げておらぬのでございまして、その点につきましては、ほかの問題とも合わせて研究中である、こういうふうに申し上げただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/78
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079・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それではこれ以上質問いたしませんが、一つ、今お答えになったように、ただ形式的に、そういう質問があったから検討ということでなく、誠意をもって、一つ極力早急に結論が出るよう重ねて御検討のほどをお願いしたい。それで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/79
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080・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私非常に疑問に思っておる点がございますので、その点を申し上げまして総裁の今後の御配慮を願いたいと思うのですが、勧告の場合につきましては、いつも七月の大体十六日になるわけですが、その勧告は、できるだけすみやかにというふうに、いつもできるだけすみやかに、なるべくすみやかに実施されるようにというふうに、毎年交互の言葉を使って出ておるのであります。ですが私としましては、七月十六日に勧告を出して、できるだけすみやかに、あるいは年によりましては、なるべくすみやかにということでは、これは七月十六日以降の問題としてできるだけすみやかにというふうにとられるおそれが、政府に、あるいは国会においてもそういう懸念があるのじゃないだろうかということを非常に心配をいたしておるわけであります。従いまして、総裁のおっしゃいますように、民間の給与の調査をやったときから実施すべきだ、そうしないのは遺憾じゃないかというような御発言とは少し食い違ってくるのじゃないだろうかというような懸念をいたしておるわけであります。従いまして総裁のおっしやるような、遺憾であるというような発言がそうでなくなるには、やはり実施の時期というものを明確に四月一日というふうになされば問題は解消していくのじゃないだろうか、こういうような懸念をいつも、長年持っているような次第でありますので、その点も合わせまして総裁の方で御検討をお願い申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/80
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081・淺井清
○政府委員(淺井清君) ただいまの御質疑の意味が少しわからないのでございますけれども、要するに鶴園さんと私とのやりとりは、勧告の時期をなるべくすみやかにというような抽象的な文句ではなしに、いつからやるのかということを書けと、こういう御趣旨だと思っておりますから、それを研究すると申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/81
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082・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度でとどめます。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後一時一分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00519600223/82
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