1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月九日(木曜日)
午前十一時四分開会
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委員の異動
六月八日委員北畠教真君及び谷村貞治
君辞任につき、その補欠として大谷瑩
潤君及び一松定吉君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 中野 文門君
理事
増原 恵吉君
村山 道雄君
委員
大谷 瑩潤君
大谷 贇雄君
木村篤太郎君
小柳 牧衞君
下條 康麿君
下村 定君
一松 定吉君
国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
国家消防本部総
務課長 山本 弘君
行政管理庁行政
管理局長 山口 酉君
自治政務次官 丹羽喬四郎君
自治庁長官官房
長 柴田 護君
外務政務次官 小林 絹治君
外務大臣官房長 内田 藤雄君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
建設省計画局長 關盛 吉雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自治庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。
最初に、委員の異動について御報告いたします。昨日北畠教真君及び谷村貞治君が辞任され、大谷瑩潤君及び一松定吉君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/1
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行いたします。政府側出席の方々は、大沢建設政務次官、鬼丸建設大臣官房長、關盛計画局長、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/2
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003・村山道雄
○村山道雄君 このたび公共用地取得制度調査会が設けられ、その法律案が提出され、おるわけでございまするが、土地収用の問題が主として取り上げられることは当然であると思います。なお、私はこの問題に関連いたしまして、この公共用地取得制度調査会においてぜひ御調査、御検討いただきたいと考えておる事柄がございまするので、そのことを申し上げまして当局の御意向を伺いたいと存ずるのであります。で、多目的ダムを作りますために、山の中にありまする部落等の立ちのきの問題等のありまするときに、よく起こる問題でございまするが、その財産価格を評定して補償する、価格補償ということだけではどうしても現地の人たちが満足をしないというか、将来の不安がそれによって解決するかどうかがわからないという事情がございます。千円と三千円の区別はよくわかっておりましても、百万円と三百万円ということになりますると、どうもぴんとこない人たちが多いという実情でございます。私も知事をいたしておりましたときに、経験があるのでございまするが、そういう際に、君たちの所得が今までよりも減らないだけの仕事を見つけてやるという話をしますると、これはその値段にかかわらず乗ってくる実情があるのでございます。そういうことで私の実行いたしました例を申し上げますと、農林省の補助をいただきまして、廃川敷の干拓をしてそこに集団移住をさせる、その場合の営農の状態が、今までの山中における水田あるいは漁業あるいは山林の伐採、炭焼き等による所得よりも低くならないということ、あるいは補助その他の方法をもってめんどうをみてやるということにいたしまして、話し合いをつけた実例がございます。そのときに私の記憶に残っておりますのは、自分の親の墓をどうしてくれるかということを、若い男が申しました。で、山の中では土葬をしているので、墓石の評価された価格を補償されたことは問題にならない。ぜひ土を掘って、棺と墓石とを新しく行くところまで送り届けてくれ、その約束をするかということでありました。私はその約束をしたのでありますが、やはりいよいよ引っ越すときになりまして、知事との約束があるからというので、県庁のトラックで、この墓石と下の上を深く掘りまして、棺と一緒に新しい居住地のところまで持って行って、また埋めてやった。これでその人たちは満足をいたしたのでありますが、こういう点が、御影石は一平方センチメーターは幾ら補償するというようなことでは、どうしても解決をしない点になってくると思うのでございまして、価格補償という観点に立つことが、土地買収の建前であることはもちろんでありまするが、そういう特殊の場合におきまして、生活保障、これは価格補償の補償と違う安全保障の保障でありまするが、というような考え方がその中に加わってきます場合におきましては、案外たくさんの金を補償しなくても、問題が円満に解決する場合があるということを痛感をいたした問題でございます。制度として取り上げるのには、むずかしい点がいろいろあるだろうと思いまするが、せっかく公共用地の取得制度調査会ができるのでございまするから、こういう問題、つまり今後の生活を保障してやるというような点について、いろいろな考慮を国としてとっていくというような点について、ぜひ御検討をいただきたいと考えるのでございまするが、こういう点について御検討いただく御用意があるかどうかという点について、御意見をお伺いいたしたいと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/3
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004・大沢雄一
○政府委員(大沢雄一君) ただいま村山委員の御質問の点全く同感でございます。ほんとうにその通りと考える次第でございます。公共用地の現在までの価格の補償が、価格補償を建前といたしておったのでございまするが、現在の経済情勢、社会状態のもとにおきまして、とうていそれのみでは完全な補償にならない。ただいま御説のように、庁く生活保障と申しますか、あるいは生活再建の方策にわたりまして、被収用者の立場から、その生活権を保護するというこの点に深く思いをいたしまして対策を立てなければならないということを、私ども痛感いたしておりまする次第でございます。もし御承認をいただきまして取得制度調査会が設置をいたしました場合におきましては、その調査検討事項の重要項目として、生活再建の対策につきまして十分の御審議をいただきたい、かように考えておる次第であります。もとより、この点は建設省のみではできないことでございますので、関係各省その他と十分連絡をとりまして、こういう方面について新しい補償の面を開いて参りまして、そうして円滑な公共用地の取得を得たいと、かように考えておりまする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/4
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005・村山道雄
○村山道雄君 次にお尋ねいたしたいと存じまするのは、今度できます公共用地取得制度調査会は、どういう構成になるお考えでございましょうか。これが土地を取る方の側の代表ばかりで構成をされて土地を取られる方の側の意向が無視されるのではないかという心配もあるようでございまするから、それらの点につきましての御内意を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/5
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006・大沢雄一
○政府委員(大沢雄一君) ただいまのお尋ねの点でございまするが、調査会の委員は御案内の通り十五人以内で構成する予定でございますが、委員といたしまして学識経験者、実務家、収用委員会の委員等、公共用地の取得問題につきまして学識経験を有する者のうちから適任者を選任する考えでございますが、大体の構想といたしましては、収用する者、企業家の立場にありまする者と、それから収用される被収用者の立場にありまする者との数の均衡ということも、きわめて重要な問題ではないか、なおまた、衆議院の審議の段階におきまして、その被収用者の立場に立つ者のうちに、農業関係者等は特にこの点を十分注意をして参らなければならぬという御論議がありました。ごもっともに考えておる次第でございます。第三者の立場に立ちまする学識経験者、企業者の側に立ちまする者、被収用者の側に立ちまする者、この三者を、十分公正な意見の反映ができまするような、均衡を得た構成にいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/6
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007・村山道雄
○村山道雄君 次にお伺いいたしますのは、この調査会の存置期間の問題でございます。法律案では来年の三月末日までとなっておるのでございまするが、かりにこの法律案が今月の十五日に発効すると仮定をいたしましても、正味九カ月半になるわけでございます。政府はこの調査会がこの短い期間内に調査を完了するという自信をお持ちになっておりまするか、お伺いをいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/7
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008・大沢雄一
○政府委員(大沢雄一君) 存置期間の問題でございまするが、ただいま御指摘の通り、三十六年の三月三十一日まで、私どもといたしましては、当初一年の存置期間として考えておりましたのでございます。現在この期間が日々と詰まって参っておりますることは、ただいま御指摘の通りでございまするが、しかしながら、他面におきまして、この公共用地取得制度がすみやかに現在問題となっておりまする点につきまして、解決点を得まして適正な改善を行ないたいという要望が、非常に御案内の通り強いものでございます。問題点はいろいろございまして、しかもきわめて重要な問題でございまするが、私どもといたしましては、できるだけ御承認をいただきましてから、早急に発足をいたしまして、調査の促進をいたしまして、ただいまお願いをいたしておりまするこの存続期間内に結論を得たいと、かように目下のところ考えております次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/8
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009・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/9
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010・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席の方々は、小林外務政務次官、内田外務大臣官房長、北原外務参事官、以上の方々でございます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/10
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011・村山道雄
○村山道雄君 外務省はどうして外務審議官を置かねばならないのでありまするか、その必要性について御説明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/11
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012・小林絹治
○政府委員(小林絹治君) 詳細の点につきましては、官房長、北原参事官出席しておりますから、申し上げさせます。概要だけ私からお答えを申し上げさしていただきます。なぜ外務審議官が必要であるかということにつきましては、外務省の仕事が非常に多くなって参りました。ここに表がありますが、昭和二年には在京の大公使館数が二十七、昭和八年は二十九、昭和十一年は三十四、昭和三十五年には六十五、現在本邦における外国公館数は百三十四にふえております。これは外務省の仕事がだんだんこちらも忙しくなってきた、各国も日本に対してこれだけ公館数をふやした、仕事がふえてきたわけであります。そこで、ほかの省にもいろいろ名前はかわっておりますけれども、本日においてこの御審議を願っております外務省の仕事の内容は外務事務次官補なのです。ところがいろいろの関係があって、事務次官補という名前はまあ賛成が少ないものですから、けれども仕事は外務事務次官を補佐する。そこで各外国の公館等と折衝いたしますにつきましても、やはり相当なこれぐらいの地位の人が政府を代表して向こうと話をするということでないと、向こうの人たちも不満足なのです。それと事務次官というものは御承知かとも思いますけれども、非常に忙しい。私が現在政務次官をしており、事務次官、官房長に会いたいと思ってもなかなか会えない。特に事務次官に省内のわれわれさえも会えない。つきましては、この事務次官を助ける次官補の仕事をする者がぜひ必要であるということでお願いをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/12
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013・村山道雄
○村山道雄君 外務審議官の任務と職務内容につきまして、もう少し具体的に御説明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/13
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014・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) お答え申し上げます。ただいま政務次官から御説明ございましたような趣旨で設置いたすわけでございますので、おのずからその職務もその趣旨にのっとったようなものになるであろうと思います。第一には、ただいま政務次官からお話ございましたように、在京の公館長が大公使合わせまして今六十五になっております。この人たちが外務省に大臣、あるいは次官に面会を求めてくる回数というものは非常に多いわけでございます。実質的にわれわれの方から見ましては、局長が応待してもさして不都合でない場合でも、相手方から見ますと、あの大使は次官が会ってくれたのに自分は局長であしらわれたということになりますと、はなはだ相手方の自尊心を傷つけるということもございますので、おのずから大公使との面接応待ということが、どうしても非常に大きな任務になるのではないかと思います。
第二は、ただいまの御説明には必ずしも触れられておりませんでしたが、最近まあ招待外交そのほか交通機関の進展に伴いまして、日本に参ります相当な公館というものは、国賓とか政府の賓客以外にも非常に多くなっているわけでございます。事実上、外務省におきまして、その人が日本におるということに基づきまして、ある程度の接待を行なわなければならない件数というのは、昨年度内で約百七十件に上っております。こういう場合にもやはり大臣、次官あるいはそれにかわるような人が適当な接遇をいたさざるを得ないということがございますので、そういったこともこの外務審議官がかなり行なうようになるのではなかろうか。
それからもう一つは、国際会議などの問題でございますが、これまた戦後、国連の機構等がおもな原因でございますが、そのほかにも国際会議というものの数が非常にふえておりまして、そのうちまた相当な数が現に東京において行なわれております。こうした場合にも、大臣、次官にかわりまして何かその会議に出て会議のあるいはデレゲーションのメンバーになる、あるいは接待をするというような必要がふえておりますので、そういうこともおのずからこの外務審議官の一つの任務になるのではなかろうか。そのほか、外におきまする会議の場合によりまして、これは具体的な例は、先般も後進国開発の会議がワシントンで行なわれたわけでありますが、各国の次官クラスが会議のメンバーであるという場合に、日本の実情から見まして、次官が実際上その会議に出るということは困難でございますので、その場合には、ただいまの外務審議官が出席するということになるのではなかろうか。大体以上がそういう任務であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/14
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015・村山道雄
○村山道雄君 外務事務次官と外務審議官とは、職務上どういう関係になるのでございましょうか。事務次官が外務審議官を指揮命令するとか、そういったほかにどういうことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/15
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016・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) これは法律的な方から申し上げますと、これは御承知のことでございますが、国家行政組織法の十七条の二というのに、まず次官の方から申し上げますと、その第一項に、「各省及び第三条第三項但書の各庁には、事務次官一人を置くその二項におきまして、「事務次官は、その機関の最たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督するこうなっております。そしてその四項に、「総理府、各省及び各庁には、特に必要がある場合においては、別に法律の定めるところにより、その所掌事務の一部を総括整理する職を置くことができる。」。この外務審議官はこの第四項に基づきまして設置しようとするものでございます。従いまして、省務全体の整理、監督の責任者はあくまで事務次官でございまして、外務審議官はその事務次官の補佐者、あるいは代理者の形におきまして特定の事務につきまして整理、統合いたす、こういう大体職務になるものと了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/16
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017・村山道雄
○村山道雄君 外務省には現在三等級の審議百という職名の者が五人置かれておりまするが、今回一等級の外務審議官が置かれることになりますと、同じ省内に審議官と外務審議官とが置かれまして紛淆を来たすおそれがあるように考えますが、この点はどういうふうにお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/17
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018・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 先ほど政務次官から御説明申し上げましたように、われわれといたしましては、この外務審議官というものを設置いたしますほんとうの趣旨は、まあ次官補、外国で次官代理とか、次官補とか、いろいろ職名ございますが、できますならばそういうもの、そういう形のそういう名称を持ったものにいたしたいというのが実はほんとうの希望であったわけでございます。しかしながら、それにつきましては、いろいろそういう職名のものを置きますことにつきまして日本の行政組織法の問題、あるいはそれが各省との振り合い等の関係から非常に異論が強うございまして、やむを得ず、これにはいろいろな曲折がございましたが、結局は外務審議官という名前に落ちついたわけでございます。そういたしますと、御指摘のように審議官という名前のものが別にございますので、はなはだおもしろくない面がないとは、実はわれわれも憂えてはおりますが、しかし、仕事の内容の方で申しますと、この審議官と申しますのは、特別の命を受けまして、重要な事務について審議し、あるいは企画に参与するという職務でございまして、この外務審議官がただいま御説明申し上げました一般的な形において次官の代理者あるいは補佐者の立場で仕事をいたすのとは、実質的には違うと思っております。審議官は、実情を申し上げますと、官房に配置されておりましてこの特別のごくいわば部分的な仕事につきまして命を受けて審議し、あるいは企画に参画する、こういうようなことをやっておるわけでございまして、名称上ちょっと混淆いたす面もあるようでございますけれども、実質的には違った任務であろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/18
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019・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/19
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020・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席の方々は、石原自治庁長官、丹羽自治政務次官、柴田自治庁官房長、山本国家消防本部総務課長、山口行政管理庁行政監理局長、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/20
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021・小柳牧衞
○小柳牧衞君 自治省の設置につきまして、二、三お伺いいたしたいと思いますが、この自治省を作るということについて、きわめて常識的な世間のうわさというものは、まず第一に内務省の復活じゃないかと、こういう点でございます。なぜ内務省の復活をそうきらうのか、また場合によっては、なぜそんなにおそれをなしておるのか、そんなことから、どうしてまあその内務省の復活ということを非常にいやがっておるのかということを考えてみまするというと、もちろん府県制あるいは市町村制時代の地方制度の場合と今日の自治制度とは非常に違っておりまするから、従って内務省のようなものでは困るということは当然だと思うのですが、それだけではなく、非常にこの内務省の復活をいやがっておるということを考えてみまするというと、いろいろの点があると思いまするが、私はそのおもなるものは、一つはこの警察の関係であると思います。第二は監督権の問題であると思うのですが、まず第一にこの警察の関係について、今度の自治省はどういう立場にあるかということをお尋ねしたいと思います。今日警察制度が、自治庁とは全然違った立場になっておるのでありまして、従って自治庁を基礎にして自治省を作るということにおきましては警察の関係は全然ないと思うのであって、警察に対する不安あるいはおそれというものが内務省の復活という形においては出てくるはずはないと思うのですが、しかし、一番その世俗的に一種の色めがねをもって見られるということは、警察のうちでも政治警察であると思います。それでまず第一にお尋ねしたいことは、政治警察についての今度の自治省はもちろん関係はないことと思いまするが、あらためてこの点をはっきりしておいていただきたいと思うのであります。
それから第三は、この自治警察の問題だと思うのです。今日は国家警察と自治警察の問題は、すでに解決済みでありまするけれども、しかし海外の地方制度、いわば欧米等の自治制度の思想のうちにはどうしてもこの自治警察というものが触れるのであって従って将来自治省のもとにおいて地方自治団体の権限が拡充されるということに進んで参りまするというと、この自治警察というものもまた市町村等においてとり入れてやるということになるのではないかというようなことも考えられるのであります。従って私はこの際、自治警察に対する政府のお考えをまずお聞きしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/21
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022・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 今回の自治庁の自治省への昇格に対しましても、また先年内政省案というものが提案されました際にも、ただいま小柳委員からいろいろおっしゃいましたように、何か内務省の復活を意図しておる一連の筋からこういうことを考えておるのじゃないかというようなことを、俗にそういう議論が一部に言われるのでありますが、しかしこれは小柳委員も十分御承知でありましょうが、昔の内務省というのは、いわゆる都道府県の知事の任免権を持っている、また警察というものも内務大臣のもとに統括されておった制度であります。その他今日分かれております建設、労働、厚生、いろいろなものを統括しておった膨大な機構であったのであります。それが地方長官も御承知のように、公選制度になりまして、全然中央とつながりなしに考えられておる。こういうことになっております。警察も御承知のように、中央には国家公安委員会というものが設けられまして、これは政府の任命する国家公安委員によって運営されるのでありますが、しかしそれは国会の同意を得て任命されておるということであります。地方にはそれぞれの公安委員会を設けておりまして、これは県会の、地方議会の承認を得て公安委員に任命される、公安委員会の管理のもとに警察というものが運営されておるのであります。この制度は、もちろん法律の改正——ですべてのことをやらねばできないのでありますが、今回の自治省の案は御承知のように、従来の自治庁に国家消防本部を統合しようという、これだけの案のものでございまして、警察の方との全然関連のない組織によって考えられておる。でありますから、ただいま御質問の政治警察などということは、もう警察全体と何ら関係なしに行なわれておる省の問題でございます。全然関係のない、毛頭ございません。そういう考えは片鱗もただいま私はないと思います。
それから自治体警察の問題についての御意見もあったのでありますが、これは戦後、御承知のように、国家警察と自治体警察とに分かれた時代がございまして、しかし、これは警察制度というものの全体の運営から考えまして、実施してみたところが、いろいろ不都合があって、不便があって困るというので、法律改正を行なって警察が一本化されたのであります。これらの体験、経緯等から見ましても、ただいまのところでは、さらに自治体警察を、これを変える、こういう考えは私どもは持っておりません。そういう意味で警察とはおよそ、全く関係のない構想のもとに、今回の自治省への昇格ということが考えられておるのであるということをここではっきり申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/22
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023・小柳牧衞
○小柳牧衞君 ただいまの御答弁で大体了承いたしたのでありますが、しかし、従来の例から申しまするというと、自治庁の長官が公安委員長の仕事もやっておるようでありますが、これはどういう関係でそうなつたのか、あるいは将来こういうような公安委員長と自治省の首脳部との関係はどうなるのか。それについての御意見をまずお伺いいたしたいと思います。
それから第二はただいまもお答えがあったのでありますが、私は自治体警察というものは、将来相当考慮されるという時代が来るのじゃないか。すなわち今日においては、試験済みだと簡単に言いきることもできるとは思いますけれども、地方自治団体の職務権限がだんだん時代の趨勢によって拡大されるというときになりますというと、自治警察もまた考えなければならない時代になるのじゃないか、そういうような際に、すなわち警察と自治省の関係がまた出てくるのじゃないか、こういうような将来の見通し等を加味いたしまして内務省復活ということがまた考えさせられるということのようにも思われますので、この場合におきまして、自治体警察の将来の見通しについてもっと突っ込んだお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/23
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024・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 自治庁長官と公安委員長との関係でございますが、これは従来の例を見ましても、私の前任者であります青木国務大臣が自治庁長官と国家公安委員長を兼ねましたのが初めての例だと思うのであります。しかも青木大臣は、御承知のように、途中で一時離れたこともございます。たまたま私がまた兼ねたことによりまして、いろいろの御意見が出ておるのではないかと思うのでありますが、これは衆議院の本会議におきまして同じような門司委員から質問が出た際に、総理大臣は、これはやはり人事の都合といいまするか、その人の適不適ということから考えておることであって何らの意味はないということを、総理もはっきり答弁されておったわけであります。
それから自治体警察の問題について再び御意見があったのでございまするが、ただいま私どもの考えておるところは先ほど申し上げた通りであります。消防も、御承知のように、自治体消防ということになっております。そういうような観点からいたしまして、あるいは交通警察であるとか、そういう特殊のものについて、あるいは、将来、検討の対象になることは、これは私の私見でございまするけれども、論議の対象にはなるかと思いまするけれども、警察制度全体として先年考えられたような国家警察、自治体警察と、こういうことはすでに一応体験を経たことでもありまするし、そういう考えはただいまのところ全然ないということを、重ねてお答えをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/24
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025・小柳牧衞
○小柳牧衞君 内務省復活をきらっておる第二点は、私は、中央政府の自治体に対する監督権の問題だろうと思うのです。その監督権の問題、これは広い意味の監督権でございまするが、一つは人事の問題と思います。将来、中央の政府とまた地方自治体との人事の交流ということは、いわゆる人事の沈滞を防ぐ意味から言っても、私は望ましいこととは思いまするけれども、しかし、それにはおのずから順序なり、あるいは筋道なり、程度があると思うのです。いわゆる天下り式に地方の自治体に人をだんだん入れるということになりますというと、自然、自治体をして萎縮せしむるというようなことにならぬとも限りませんし、なお人事についてもっと大きい問題は、いわゆる首長の選任の問題であります。これは市町村につきましては、さまで問題ないかと思いまするけれども、大きな都市なり、あるいはまた府県知事の選任等につきましては、官選的な考え方を入れるのではないかというおそれが相当強いと思います。また学問的に言って、地方自治のあり方、ことに府県のあり方等につきましては、理論的にもっと官選的の思想を入れる方がいいんじゃないかというような考え方もあるようでありまするから、自治省ができた機会に、中央の機構が拡張する機会に、いわゆる監督権を拡大いたしまして人事の問題等に強く出てくるのじゃないかというおそれが、内務省復活という問題とからんでくるのじゃないかと思うのです。さらにまたもう一歩進みまして、今もちょっと申し上げましたが、地方制度におきまして一番の問題になっておるのは、府県のあり方だと思うのです。その府県のあり方のうちにおいても、一番の核心であるのは首長の選任の問題でありまするから、あるいはここに広域地方行政の立場において道を置くというような場合において道州の首長を官選にするとか、あるいは官選を入れた制度にするというようなことが言われておりまするので、要するに、広い意味の監督権の名において地方自治団体を圧迫するような人事が行なわれる。それがすなわち内務省復活だということに結んでくるのじゃないかと思うのです。
そのほか、また最後にお尋ねしたいことは、自治省ができまして、府県なりあるいは市町村に対する監督権が拡大されるという点があるかどうか、この点を概括的にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/25
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026・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 自治省ができるごとによって、人事権その他についてさらに一そう容喙の度が深まるのじゃないかというような懸念を中心としての御質問でございましたが、小柳委員もおそらくよく御承知のことと思うのでありまするが、自治庁初め中央各省と都道府県の間で人事の交流は若干ございます。これは、今、小柳委員も言われましたように、人事の沈滞を防ぐというような意味もございます。それからわれわれの方としましては、将来自治省の幹部を養成するにいたしましても、やはりこれは地方の実情を、ある程度、現場の教養、認識もなければならない。そういうようなこと、それから都道府県側の方といたしましても、中央の者がときどき出て来て、いろいろ連関を深める、こういうようなことが中心になって、話し合いずくでの人事の交流がある程度行われておる。私はこれはむしろけっこうな、いいこではないかと思っておるのでありまして、こういう意味の人事の交流は、今後とも私は続くと思います。しかし自治省になったから、これがさらにその圧力で強化される、そういう考えはこれはございませんし、制度上からもちょっとあまり考えられないのじゃないか。それから今回のこの、自治省は、いわゆる組織法といいまするか、設置法の改正で、自治庁と消防本部が一緒になっておるのでありまして、いろいろの権限の拡大とかいうことは、むしろ実体法である地方自治法であるとか、地方財政法であるとか、そういう方面に大臣なりいろいろのものの権限というものはむしろうたわれておるわけでありまして、今回の設置法の改正で権限の強化であるとか、そういうことは毛頭考えられてはいない。むしろ、地方自治を尊重いたしまして、地方自治の育成強化、地方財政の充実をはかるということが目的で今回の昇格案が考えられておるわけであります。
それから府県のあり方とか、あるいは道州制の問題と関連して、首長の任命的制度を加味したものが考えられるのじゃないかというお話がございましたが、これは地方制度調査会の答申のいわゆる道州制の答申はややそういう方向でございまして、地方議会の同意を得て長を任命するというようなたしか考え方になっておるのじゃないかと思います。しかし私は、今、小柳委員もちょっとおふれになりましたが、完全自治体の首長というものは、これはもう公選であることには間違いない、これは容易に動かすことのできない問題であり、また動かそうとも考えておりません。道州制というのはこれは私は自治体という面よりも、やはり国との中間的性質を持った、出先でもありませんが、中間的性質を持った機関ではないか。現に府県というものの性格も、はたして完全自治体かどうかということに、いろいろ疑問が出ておるような形に今なりつつあるわけでありますから、そういう性格の広域といいますか、地域の首長なり管理者というものの制度については、またこれは別な考え方が一部には出てくるかもしれないと思うのでありまして、そういう意味の検討は行なわれると思いまするが、いわゆる自治体の首長を任命制度に持っていくとかどうとかいう方向は、現在の考え方にもないし、今回の案にもないし、将来といえども私はおそらくないと、また現に私どもは考えていない、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/26
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027・小柳牧衞
○小柳牧衞君 次に、この今度できます自治省の職務の範囲についてお尋ねいたしたいと思います。今度の自治省は、要するに従来の自治庁と消防の本部をただ合わせたというようなものにすぎないようでありまするが、私はこの自治省を作る機会において、地方制度に関するものはできるだけみんなこの自治省に付属せしめることがよろしいんではないかというように思っておるのでありましてその意味におきましては、今度の自治省の職務は少しなまぬるいというような感じを持っておるのでありますが、まずその第一は、今度はこの奄美大島に関する開発の仕事は移したようでありまするが、最近地方にずいぶん起こって参りました開発、いわゆる北海道開発とか、東北開発、四国開発、九州開発、まあその他これから一そうこういうような開発の仕事が出てくると思うのです。これは、将来は、一定の仕事が終わりますれば、それぞれの自治体に帰属せしめるべき運命を持っておるものでないかと思うのです。まあ臨時にそういうような部局を置いたというに過ぎないと思うのですが、たとえ臨時であっても、将来地方自治体に帰属すべき性質のものであったならば、中央政府におきましてはそういうようなものを他の省に帰属せしめずして、全部自治省におさめて、そうして他の省との連絡のもとにこの仕事を遂行するようにする方がよろしいんではないかと、まあかように考えておりまするし、もう一つつけたりにお聞きしたいのは、今度は沖縄に関する仕事は、従前通り総理府に置くようになっておりまするが、これは見方はいろいろありまするが、まあ、今日は潜在主権は持っておるけれども、他の施政権のもとにあるからこれは自治省に置くということは当を得ないという御議論もあると思います。しかし、沖縄が日本の固有の領土であったということから、また潜在主権が認められておる今日、また沖縄の昔の県民が皆一日も早く本土に帰ることを念願しておるという切なるその希望等を考慮いたしまするというと、むしろこういうような機会に自治省にこれを帰属せしめることが、かえって感情の上からいいましてもよろしいんではないかというように考えられますので、まずこの開発庁の仕事、すなわち臨時の性格を持っておる開発庁の仕事等は、この機会において自治省に移すことが適当ではないかと思うのでありまするが、この点についての御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/27
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028・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま小柳委員の申されました意見には、私ども全く同様の考えを持っておるものでございます。実は今回の改正案にあたりましても、今言われました少なくとも地方総合開発の問題、それからこれはお触れになりませんでしたけれども、離島振興の問題などもあります。これは経済企画庁で所管いたしておりますが、こういうものは少なくとも今回の案に入れてみたいという考えを一時持っておりました。しかし、これは従来の経緯から、ご存じのように自由民主党における行政調査委員会等におきましても、もう従来から非常に論議をかわされておるのでありまするが、まあそういう意見に同感の意を表する人が非常に多数でありながら、いわゆる官庁の機構というものについては、なかなかむずかしいのであります。行政審議会においてもそういう答申が出ております。しかし、これを実現するにつきましては、非常な時間を要し、従来内政省案が出されたときに、ついにいろいろなことから、これも国会の審議を見ずして撤回しなければならないような事態の経緯を経ております。まあ少くとも自治省という一つの受け入れ態勢を作って、こういうものを将来考えていきたい。これは行政審議会の答申も出ておりますので、今後そういう方向に大きく踏み出していきたいと思っております。
南方事務局の問題につきましても、同様の意見もあり、考え方もございますが、これはただいまお話になりましたように、施政権が直接及んでおりませんので、考え方は強く持っておりますけれども、今後の、これからの問題といたしまして、御指摘になったような考え方で進めたい。しかし、とりあえず自治省という受け入れ態勢という形をこしらえて今後の具体化に資したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/28
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029・小柳牧衞
○小柳牧衞君 開発庁の仕事についての御意見は大体了承したのでありますけれども、開発の仕事でも、実は臨時ではなくてそのものの性質上、各省の関係が多いから、便宜そういうような仕事を一つまとめておるというようにお話しになりましたが、総合開発というような仕事、これは臨時の仕事ではないと思うのですが、しかし、そういうような各省に関係のあるようなもり、少なくとも地方自治に関係のあるものは全部これは自治省に総合していただく方が国の行政の配分の上からいって適当ではないかと思うのです。そういうような仕事はあるいはそういうふうにやってもいいのじゃないかという議論もありましょうが、自治省を設ける一つの理由は、総理府における仕事が多くなって、事務が急速に運ばないということもあって、急速にやつたということでありますから、あるいは受け入れ態勢ができないということも一応の理由ですが、受け入れ態勢が完全にできたというような機会を待つということは、必ずしも賢明な処置ではないと思うので、こういうような機構の改革の際に、遠大な理想のもとに将来そういうような仕事の移管することの促進をはかる意味からいっても、一歩前進していただく方がいいと思うのですが、これは将来に対する希望でありますから、これ以上申しませんが、要するにただ自治庁と消防本部を一緒にしたというようなことだけでは、せっかくのいい機会を逃がすように感じられますので、この点はまた改めて政府の所信をお聞きするのでありますが、一日も早くこういうようなもりを統合されることに努力される御意見がありますか、重ねてお尋ねする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/29
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030・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 一日も早くやりたいと思っておるのでありまして、現にこの案を出す直前におきましても、少なくとも離島振興くらいは包含したいということで、具体的な折衝を始めたのでありますが、やはり時間を要しますし、国会に間に合わなくてもいかぬというので見送ったわけであります。個人的関係を述べてはいかがかと思うのでありますが、政府部内あるいは当面の経済企画庁長官等も、経済企画庁でこういう実体的の仕事を持っておるということは、むしろ自分個人としてはおかしいと思っておるというような意見も吐かれたのであります。将来、これらの仕事を統合するということにつきましては、まあいろいろ関連の省もありまするので問題はあると思いまするが、こういう方向に大きく一刻も早く踏み出していきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/30
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031・小柳牧衞
○小柳牧衞君 総理府の方から自治省を独立させるにつきまして、相当仕事の分配が違ってきたようにも思いますが、まず第一にお聞きしたいことは、今度自治省を作るにつきまして、総理大臣の権限から自治大臣の権限の方に移るものはどんなものがありまするか、例示的に伺いたいし、また従来通り総理大臣の権限となされておりますものがどんなものか、一応お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/31
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032・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 総括的なことを私から申し上げまして、もし足らざるところがあれば、局長、官房長の方からお答えしたいと思いますが、原則といたしまして、現在の総理大臣の権限とされておりまするものは大部分自治大臣に移るわけであります。しかし、いわゆる全体の行政の立場から総理大臣の権限と書かれております面、たとえば都道府県知事を罷免するような場合の権限でありますとか、あるいは公共団体が行政法令に違反していろいろなことをした場合に、それの是正改善を求めるような措置、こういう式のものは、これはやはり自治大臣になりましても総理大臣に残されておる権限、まあそういう二、三のものが総理大臣の権限に残るだろうと思います。普通一般の権限は自治大臣に移る、こういう建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/32
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033・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私から補足して御説明申し上げますが、自治庁を自治省にいたしまする一つのねらいと申しますか、効果と申しますか、ということは、現行法では、自治庁長官は、地方自治に関しまする内閣総理大臣の権限の行使に関しましてこれを補佐していく、こういう建前になっておるわけでありますが、実際問題といたしまして、内閣の首班でありまする総理大臣が地方自治に関しまするもろもろの権限を行使していくのに際して非常に繁雑にわたる事務的な処理の責任を背負うことは適当ではないだろう、自治庁を自治省にして参りますると、その辺の関係はすっきりいたしまして内閣総理大臣から、さようなさまつな行政事務から総理大臣を解放すると申しますか、そういう効果がございますが、そういうようなねらいに照らしまして内閣の首班として全体的立場から内閣総理大臣に権限を留保さすことが適当である、かように考えられますものを除きましては、あげて自治大臣に権限を移したのであります。残しましたものは、国家行政組織法の十五条、十六条、十五条、十六条につきましては先ほど大臣から御説明がありましたが、その通りの権限、地方自治法の百四十六条の都道府県知事に対しまする措置命令、並びに都道府県知事の罷免、に関する権限、それから二百四十六条の二の地方公共団体の適正な事務処理確保のための措置、これに関しまする権限、それから二百四十六条の三の地方公共団体の適正な運営を確保するための調査に関する権限、それから二百六十一条のあらゆる地方公共団体のみに適用さるべき手続に関するもの、それから公職選挙法の衆議院議員及び参議院議員の当選人の報告の受理、それから同じく公職選挙法の百十一条の衆議院議員及び参議院議員の欠員通知を受理する権限、これだけのものが内閣総理大臣の権限として残っております。その他の権限はすべて自治大臣に移したわけでございます。
それから、なお国家行政組織法の内閣総理大臣の権限につきましては、その行使について自治庁長官は補佐をしておったわけでございますが、これは国家行政組織法に関係します問題でもございますので、自治大臣が協力をする、こういう形に書き改めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/33
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034・小柳牧衞
○小柳牧衞君 私はこの自治省が設けられました上は、自治大臣というものは地方行政に対する、言葉は多少どうかと思うのですが、最高の機関であると思うのです。従って事の軽量によって、あるものは従前通り総理大臣がその職務権限を持ち、軽微なものは自治大臣が持つというようなことでは、大へん私は遺憾だと思うのです。たとえば府県知事を罷免するというようなことは重大であるからして総理大臣がやるのだという考えは、私はどうかと思うのです。私は軽重の差によって総理大臣に属し、あるいは自治大臣に属するというような考え方は、この自治省の設置の際に払拭してしかるべきものじゃないかと思うのです。ただし、各省の仕事に関係を持っているが、便宜上自治省にこれを帰属せしめるというようなものは、これはそれぞれの省に協議することが容易でないというならば、各省の調整の衝にある総理大臣がやるべきことはこれはよろしいと思うのですが、性質の、問題の軽重によって総理大臣と自治大臣と区別するということは、私はどうかと思うのです。また、各省にはそれぞれ関係のあるものもありましょうから、その方法としましては、各省と協議するなり、あるいはまた閣議に諮るなり、それは問題の性質によってやってよろしいのですが、この際自治省ができて、そうして責任の大臣を置くということになったならば、一切の問題は、あげて自治大臣にやるものとして総理大臣の関係はできるだけ今のような方針で整理されるのが適当であって、従来のような補佐役だというようなことは、少しでも残さぬようにするのが適切と思うのですがその点について政府の御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/34
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035・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) これはさっきちょっと私も触れたと思いまするが、このいわゆる地方行政の主管大臣としての立場からの権限は、一切これは自治大臣に移るわけであります。しかし、この国家行政の最高責任者としての立場であるとか、あるいは関係各省にいわゆる各行政部門を代表する総理大臣の立場というものがあるのでありまして、先ほど官房長の方からいろいろ例示をいたしましたように、知事の罷免の問題であるとか、あるいはいろいろの法令違反のことというようなことは、ひとり地方行政というか、自治庁関係の法令ということでなしに、それぞれの関係各省にまたがるいろいろの問題等もあるのでありますから、こういうことは私はやはり自治大臣の権能でなしに、総理大臣の、行政の最高責任者としての総理大臣の権能としておくというのが、これはむしろ当然ではないかと思いまして、そういう意味で事が重いから総理大臣、軽いから自治大臣ということでなしに、事柄の性質によりまして分けられる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/35
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036・小柳牧衞
○小柳牧衞君 性質によって所属をきめるということは、一応納得できるのでありますが、しかし性質が、先ほども申しましたように、各省に関連するものであっても、地方自治団体に関係するものは、一応あけて自治省に帰すべきものだと思うのです。従って、国の最高機関であって、そうして国の事務もとっているというような立場よりその首長を罷免する場合には、総理大臣にするということも考えられますけれども、しかし、その本来の身分といいますか、所属というものは自治体であり、そうして自治体を広い意味の監督をしているものは自治省大臣であるならば、その責任においてやることが私は当然ではないかと思うのです。これはまあ一つの議論でありまするが、いろいろのことに関係あるからというならば、先ほど申しましたように、各省と協議するなり、あるいは閣議にこれをはかるなり、いろいろの方法はあると思うのですか、処分の責任というものは、あげて自治省大臣にあるようにすることが、行政の性質上、私は妥当であるかと思うのですが、重ねてこの点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/36
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037・柴田護
○政府委員(柴田護君) 御言葉の御趣旨よくわかるのですが、権限の分配をいたします場合に、大体お話しのような基本的な考え方で、原則として自治関係のもので内閣総理大臣に帰属せしめられた権限は、全部自治大臣に移すという原則を立てて、事務を整理いたしまして、それからその事務の内容が、各省大臣の専管に属せしめられるというようなものについて、地方団体に対して一定の措置を命令するとか、あるいはこれに類するいろいろな措置をとる、こういうようなものにつきましては、これはやはり自治大臣も各省大臣と同じ立場における大臣でございます、行政事務の分担管理という意味におきましては同じでございます。従いまして、そういうものにつきましては、内閣総理大臣に代行してもらうのが適当ではないか。公職選挙法のことを申し上げましたが、公職選挙法の権限を置いておきましたのは、この部分につきましては、行政府の最高責任者としての対立法府の関係、こういう関係から、やはり内閣総理大臣に置いておくのが適当ではないか。国家行政組織法におきましても、同じような考え方で、十五条、十六条は、やはり内閣総理大臣の権限に置いておくべきではないか、こういう判断から、ごく限られた権限だけを内閣総理大臣に残しておく。従いまして、結果的には、これは言い過ぎかもしれませんが、小柳先生の御意見を大体実現しているのじゃないか、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/37
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038・小柳牧衞
○小柳牧衞君 ただいまの問題は、あまりくどく申し上げませんが、もしそういうような関係にあるならば、総理大臣と自治省大臣連名でもって処分するということも可能だと思う。あくまで私は、自治省というものができた以上は、自治省の名においてやることが、また、自治省の責任においてやることが、適当なのであって、これを同じ省なりあるいは同じ大臣である立場においてほかにそいつをやるということが、私ははなはだせっかく省を設けた趣旨に遠ざかるのじゃないかというような感じを持つのであります。もう一度この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/38
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039・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) これはどうもこれ以上は議論になるところでございまして、小柳委員のような考え方も確かにあると思いまするが、また一面、先ほど申されたように、自治体に対する権限を強化して、内務省の復活じゃないかというような意見も一方にはあるくらいでありまするから、私は今までこの案に示しておるような程度の限界が、現状に即した一番妥当なものではないかと考えて提案しているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/39
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040・小柳牧衞
○小柳牧衞君 次に、この消防の問題について一、二お伺いいたしたいと思うのですが、現在消防の国の行政機構における立場というものは、ずいぶんいろいろ複雑であると思うのです。あるいはこれを従来のような方法で、将来消防庁というものを作ってやるというような考え方もあるのじゃないかと思うのです。ことに地方自治体から申しまするというと、まあ一種の固有事務といってもよろしいのじゃないかと思うのです。そういうような、消防というものは非常に将来考えなければならぬ問題だと思うのです。で、これを今自治省を作る際に入れたという、まあどうしても入れた方がよろしいという理由はどこにあるのでありますか。あるいは自治庁をただ自治省にするのじゃ、少しどうも線が弱いというような、これは失敬な言い分ですけれども、まあ合わしたのだということであるとすれば、これはもう言う必要もございませんが、何か、もっともっとこの消防というものを自治省につける法的の理由があるならばお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/40
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041・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 国家消防本部を自治省に統合して、自治庁と合体して自治省にしました一番の一つのなには、消防というものは、御承知のように自治体消防、自治体の最も大きな仕事の一つになっているということが一つでございます。それからいま一つは、国家消防本部というものの機構でございまするが、これがまことに、国家消防本部というものは一体どういうものかということを検討いたしますると、まあ総理府の一つの部門にはなっておりまするけれども、これを代表する国務大臣というものは、ただいまでは国家公安委員会の委員長、こういうことになっております。ところが、地方に参りまするというと、都道府県の公安委員会というものは、これは全然関係も何もないのでありまして、都通府県の総務部なり、厚生部で消防の事務を見ている。自治体の末端の消防は、組織、機構の上において警察とは何も関係ない、こういう非常に国家消防本部というものがまあわけのわからない存在になっておる、まあそういうこともかたがた兼ねて、今回消防本部を合体する、そうして将来の含みといたしまして、消防はもちろん防災的の仕事を他面に持っておるわけでございますので、私どもは消防の組織、機能をさらに整備いたしまして、でき得れば防災的の機能、機構を一そう持たしめていきたい、でき得れば消防庁、防災庁というような考え方にも発展せしめていきたい、こういう構想のもとに消防本部を統合するという考え方を立てておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/41
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042・小柳牧衞
○小柳牧衞君 消防の行政事務における立場というものは、非常に先ほど申しましたように微妙であると思うのですが、時代の要望は、この防災という方に漸次向いてきておるように思われます。また事実から申しましても、防災に非常に消防が活動したことは、もう周知のことであります。将来この防災の方にうんと力を入れるということはどうしてもやっていただかなければならぬ、この際一そうこの点について力を入れていただきたいと思いますが、もしそれにつきまして何か御意見があったらこの機会に承りたいと思いまするが、それと関連いたしまして、私どもはこの警察と消防というものは長い間の関係にあり、また実際火災等の場合においての消防の活動を見ると、警察との連絡が不十分であるという場合には、非常にその活動がうまくいかぬようであります。まあそれでありまするから、消防というものは、どうしても警察との関係を考えて、将来どうするか、ことに国家公安委員会との関係があるのでありまするが、まあそうすると、今度自治省ができた場合には、この警察との関係はどうなるのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/42
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043・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) 第一点の防災時の問題につきましては、先ほど私お答え、意見を申し述べておいたんでありまするが、でき得れば消防庁を防災庁というようなものに、まあ発展、拡大せしめたいという希望を持っております。
それから警察との関係につきましては、これは自治体消防といいながら、実際火災現場その他におきまして、警察と密接なる連関を持ってやらにやならぬことは申すまでもないことでございます。現行法におきましても消防組織法二十一条ですか、等によりまして警察と自治体等が協定を結んでおきまして、消防時における活動等について、いろいろ連関をとっておるわけでありまして、現在国家公安委員会の系統に属しておりまするけれども、末端においては、先ほど申し上げましたように、都道府県になると、警察と全然関係がない、現行の制度がそういうことであります。むしろ、自治省になることによりまして都道府県、市町村と、こういう一連の関係でいく方が、都道府県における警察との関連は、現在よりもむしろよくなるのではないかというぐらいに私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/43
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044・小柳牧衞
○小柳牧衞君 まあ、消防全体についてもそうですが、ことに警察と消防との関係については、十分に一つ御検討願いたいと思います。しかし、これは非常に痛しかゆしというような感じもないわけではないんで、この点を強くやれば、先ほどの自治警察の問題にまた逆転をする。これを切り離すというと、活動力に影響する。まあどうしていいのか、実はすこぶるむずかしい問題と思うのでありますが、それだけにまた、これは将来どうしても解決してもらわなければならぬ。また日常、地方国民の生活に関係深い問題ですから、急いでやっていただきたいと思います。
最後に一つお尋ねしたいことは、まあ私は自治省を作るということは多数の団体等から希望もあり、しかも、予算を初め法令等につきましても、責任ある立場において強力に推進する意味から言っても、私は非常に望ましいことだと思うのですが、しかしまた、一面には非常に急いでやって、受け入れ態勢についても十分まだ研究の余地があり、将来はしたいのだ、こういうふうな含みのものも相当あるのでありますから、もう少しこれは研究してもいいのじゃないかという議論も立つと思います。しかしながら、世間の要望を考えますれば、一日も早くこれを成立することがけっこうだと思うのですが、ときたまこういうような政界の事情にありまするというと、何かこういうようなことが特に急がなければならぬ理由でもあるのかというようなことを言う人もあるだろうと思うのです。そういうような点については、十分こういう機会において誤解を解くということがいいのではないかと思うのです。たとえば今の安保問題との関連があって急ぐのだとか、あるいはILOの関係において急ぐのだという、こういうようなことが取りざたされるのではないかと思うのです。でありますから、率直に言ってこれはどうしてこんなに急ぐのかという点を、忌憚のない御答弁をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/44
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045・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) どうしてこんなに急ぐのかということは何もおかしなことではないのでありましてすでに数年前内政省案というものが出されたのでありますか、先ほど申し上げましたように論議されないで持ちかえされた。そういうずっと従来のいきさつにかんがみて、今回の程度の案の自治省案を出しているわけでございまして、この国の行政の基本は、自治団体にいわゆる地方自治の振興にあるということは今さら私から申すまでもないことであります。それから地方の予算にしてもあの膨大な予算、それは国の予算というものに匹敵するぐらいの、あるいは地方の方が多い場合もある。それからあるいは国の予算の実際消化される面は、おそらく六割くらいが地方で消化される、こういう地方自治といいますか、地方行政を主管する責任省も責任大臣もないということは、これはやはりおかしいことでございまして、今言われましたように地方自治に関する六団体等も従来非常に要望をしております。従来からの懸案の一環として進めている問題でありまして、今言われたように、何か安保、ILOそういうことと全然関連なく、従来より要望され論議されてきている問題でございますから、私どもはこれを推進していく次第でございまして、今言われたような問題については、全然何らの関係がないということをはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/45
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046・小柳牧衞
○小柳牧衞君 私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/46
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047・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X03119600609/47
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