1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十五日(金曜日)
午後一時三十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 堀本 宜実君
理事
仲原 善一君
大河原一次君
森 八三一君
委員
秋山俊一郎君
石谷 憲男君
植垣弥一郎君
重政 庸徳君
高橋 衛君
田中 啓一君
小笠原二三男君
北村 暢君
戸叶 武君
中田 吉雄君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
農林政務次官 大野 市郎君
水産庁長官 西村健次郎君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 廣瀬 真一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
日本国有鉄道理
事 磯崎 叡君
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本日の会議に付した案件
○漁船損害補償法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
(農林畜水産関係物資の国鉄貨物運
賃に関する件)
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001・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案(閣法第四十三号、衆議院送付)を議題といたします。
本案は去る三月十八日衆議院から送付され当委員会に付託されました。本案について質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/1
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002・北村暢
○北村暢君 簡単に二、三の点についてお伺いいたしますが、今回の改正案によりまして、趣旨は、政府の御説明をお伺いしましてだいぶわかりましたが、ただお伺いしたいことは、現在の普通損害保険の引き受けの問題で、在籍隻数の加入率の問題でございますが、現在動力船で二十トン未満のものが四二%の加入率、トン数が大きくなるに従って加入率も大きくなっておりますが、無動力船については一二・二形、こういう率で、加入率が無動力船または小さな船の加入率が非常に悪い。ところが、一番やはり保険にこれは加入したくなくてしないのじゃなくて、加入の必要は確かにあるのだけれども、なかなか趣旨が徹底しないので加入ができない、また加入する能力といいますか、そういう面について持っておらぬ、こういうことから来ているのではないかと思うのですが、今度の改正案によりまして、この加入率が一体どのくらいまで加入を促進する見込みを持っておるのか、この点をまず第一にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/2
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003・西村健次郎
○政府委員(西村健次郎君) 今の二十トン未満の小型漁船あるいは無動力船となるとずっと加入率が低い、この理由は二十トン未満の動力船、無動力船につきましては事情が違うように私ども見ております。無動力船につきましては、これは、要するにそういったベカ船のようなものであって、従って、危険というものが少ないというようなことで加入率も低いということが一つ考えられます。それから二十トン未満につきましては、今度の漁船損害補償制度の改正は一つの大きな目的があるわけでございます。現在までの制度によりますと、その保険料率の関係で、保険組合が二十トン未満の船等を入れます場合におきましては、それだけ赤字が多くなる、言いかえれば保険料率がそのトン数、階層別の危険率に応じてきまっておらないというところに一つの欠点があるのじゃないか、従って、漁船保険組合がその二十トン未満のような船に対して加入を促進するという積極的な意欲が非常に欠けておるというふうに聞いております。私どもとしましては、今度の制度改正によりまして、国庫負担の増額によってこれを補うという趣旨によりまして、かえって保険料率は下がるということになり、しかも、組合の危険負担というものが現在よりはるかに軽減されるということで、この面につきましては、大いに加入率が伸びるのではないか、私どもの方としまして、一応その加入率の伸びを推定いたしておりますところは、無動力につきましては、これは率直に申し上げまして大きな伸びは期待できないと思いますが、二十トン未満の現在の加入率が四八%程度が六八・七%くらいに伸びるのじゃないか、これは昭和三十九年度でございます。昭和三十九年度においては、その程度まで伸びるのじゃないか、こういうふうに推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/3
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004・北村暢
○北村暢君 国の予算で補助をするわけでありますから、私はやはり、三十九年度で大八・七%まで加入率を促進する予定でおる、こういうことでございますから、その点はいいのでありますけれども、実際に、やはり非常な零細な漁業者また小型漁船、こういうものは、私はやはりどっちかといえば、農業災害のように強制加入をしていくということで——国家から補助をするのでありますから、そういう趣旨が成り立っていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。従って、これはまあ均霑する意味において、全在籍数が加入していくといろ方向が望ましいと思うのです。ところが、三十九年度で六入・七%ですから、まだ三〇%くらいのものは残る。これはどういう困難性があってとの全在籍数を加入ざせることができないのか。組合を作っていくといっても、組合ができないような形に散在しているとか、いろいろな理由があるのじゃないかと思うのですが、そういう特殊な事情で、やろうとしてもどうしてもできないのか、保険組合の結成を促進しても、ある程度のところまでしかいかないのか。まあ今度の改正案では、さらに漁船組合の統合なんかをやる、組合の力もつけていく、こういう考え方のようでございますが、それを地域的に、もっと、加入していないものをも含めるような形で組合を強化しつつ、その加入を促進させていくという点をやられて六八・七%、こういうような目標ではないかと思うのですが、この残る三十何%かのものというのが加入できないという原因は、一体どのようなところにあるのか、全員加入というような処置がどういう理由でとれないのか、こういう点を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/4
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005・西村健次郎
○政府委員(西村健次郎君) この漁船保険制度は、農業共済制度と違いまして、強制加入という制度をとっておりません。昨年漁船損害補償制度調査会が農林省に設けられましたときも、一応そういう意見も確かに出ました、政府部内におきまして。私どもも、従来からいろいろ議論しているととろでございます。ただやはり何と申しますか、漁業の本質的な相違にも、これは漁船漁業についていえば、階層別あるいは漁業の種類別、それから地域別によって非常な相違がございます。これを強制加入という方式はとるわけにはいかない、ただし、ここに何らかの政府の強力な援助が必要であるということで、そのために義務加入制度という制度を作りまして、これについての国庫負担の増額に伴う義務加入にまで至らない船について、これを中間的に救う方法として集団加入の制度を設けたのであります。そういう制度を設けてなおかつ、三一・三%残るのは何ゆえかという御質問でございますけれども、これはやはり、私はその組合の活動の今までの不徹底ということも確かにございます。私どもとしましては、従来の加入の伸びと、それから今度の制度改正によるさらにそれに加える伸びというものを考慮しまして、一応その六八・七%という数字を想定したわけでございます。しかし、私どもとしましてその加入率をもって足れり、これを目標として達成すればいいと、そういうふうには思っておりませんので、やはり制度的には強制加入は無理でありましても、できるだけ加入させる、それには率直に申しまして今の漁船保険組合側の活動というものがまだまだ十分でないということもございましょう。それから組合の構成というものもいろいろ反省すべき点もあるかと思います。そういう点を十分検討して、一応そういう推定はしておりますけれども、私どもとしてはもっと加入を促進していくように今後進めて参りたいと、こう思っております。ただまあどうしても、それは強制加入でない以上、やはり漁業の種類によっては、危険率が非常に低いようなものについて、やはりこういうものは加入をしないということはどうしても残ると思います。従って、強制加入の制度をとらざる限り、ある程度は残ることはこれはやむを得ない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/5
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006・北村暢
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、民営の保険とこの損害補償法による、国の補償によるこの保険との競合の問題ですが、現在民営の保険というのはどの程度、加入者が利用される度合いがですね、在籍数においてどの程度の加入度合いがあるのか。そしてまた、この全体の、まあ強制加入ということができないということに、やはり一方において民営の保険があるから、これは強制加入ということはなかなかできないのだろうと思うのですが、ただこの法律の趣旨からいっても、やはり大型船については、私は民営の保険に加入していく能力もあるし、また保険の経営そのものからいっても、大型船の場合は件数の割に額が多いということで民営で成り立つ。ところが、小型船の場合は、これはやはり民営でやってもなかなか規模が零細であれば保険として経営面から成り立たない、従って、国の保護育成をしなければならない、こういうことから両者があるのじゃないかと、まあこういうふうに理解するわけなんです。従って、その目標を一体どの程度のところに置いておられるのか。あまりこの保険を強化いたしますと、この保険制度を強化いたしますと、民営の圧迫という形も出てくるのじゃないか、まあそういう面からの反対も出てくるのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、そこら辺の調整は、私は、この農業災害のように民営というものがない場合はいいですけれども、あるという場合に、両者がある場合に、やはり競合する面が出てくるのじゃないかと思うのですが、今後の考え方として、零細な小型漁船については加入を促進していく、非常に趣旨としてはいいのじゃないかと思う。また民営の方は、こういう小型漁船の保険加入というのはどっちかといえばあまり喜ばない、こういうことだろうと思うのですから、その点の調整というものの今後の方針というものは一体どの程度のところに置いておるのか、これを一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/6
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007・西村健次郎
○政府委員(西村健次郎君) 民営保険との競合の問題、それで今、在籍船のうちどのくらい民営保険に入っておるかということにつきまして、ちょっと私の方もそういうデータもありませんけれども、私どもの承知している範囲では、民間保険と漁船保険との競合問題を生ずるとすれば、きわめて一部の大型船について見られるということであろうと思います。御承知のように、この漁船保険、これはもう御指摘の通り農業共済とは違います。しかし、まあ簡易生命保険と一般の民営の生命保険とのような競合もここに生ずべきものではない、こう思っております。従いまして、この漁船保険で対象としておくべき、焦点を合わすべき中心は、やはり全体の漁船のうちの中核体となる、どっちかといえば中小というところに主体を置くべきであろうと、こういうことはまさにその通りであろうと思います。そういう観点から、この義務加入制度につきましても、百トン未満の船についてのみ国庫負担をすると、こういうことになっております。
さらに保険制度全体としまして、漁船は業態組合、いわゆる業種別に作られる組合につきましても、千トン未満の船に限っておるというふうにしております。この漁船保険も国庫から相当の支出をしてやります広い意味の社会保障的なものである以上は、やはりそれは民営保険と同じベースでものを考えるわけにはいかない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/7
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008・北村暢
○北村暢君 もう一点だけお伺いしたいと思いますが、この保険の内容からいきまして、後ほどの附帯決議でも出るようでございますが、再保険特別会計の利益金約十九億あるというのですが、この保険経営の内容において、今後この法の改正によって、利益金が従来よりも増加していく方向が期待できるのかどうなのかという問題ですね。その点について今後の見通しがどのような見通しになるのか、これを一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/8
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009・西村健次郎
○政府委員(西村健次郎君) 今、北村委員が、積立金が十九億と、これは九億でございます。大体九億。そこで、これはまあ少し多いじゃないかというような議論もございます。確かにございます。従って、それを一部あるいは基金のようにすることも考究してみたのでありますが、やはりこの積立金は政府の財政投融資のワク内に入っておる。従って、これを別途そういうふうに遊離するというわけにはなかなか参らない。そのかわり、それのこの積立金の中には政府が負担を、保険料を負担した分も入っておるわけであります。それを除いた分いわば民間と申しますか、漁業者が積み立てたような格好になっておる分に相応しまする分、これを、大体一千七百万円を漁船のまあ遭難防止事業というようなことにして参りたい、こういうふうに思っております。
それから今後積立金の動向と申しますか、行方はどうなるかという御質問でございますが、今度の保険料事の改訂等をいたしました際におきまして安全率も従来は二シグマとっておりますのを一シグマにしたというような関係もありましてこの積立金が今度の新しい制度でいった場合、従来の通りどんどん積もっていくというふうには考えておりません。そうふえないという見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/9
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010・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/10
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011・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/11
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012・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/12
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013・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
この際、お諮りをいたします。委員長及び理事打合会において御協議をいただき、その御了承を得ました本法律案に対する附帯決議案を便宜、私から御披露申し上げまして、委員各位の御賛成を得たいと存じます。
まず、案文を朗読いたします。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案
附帯決議(案)
政府は、次の事項について、遺憾なく措置すべきである。
一、漁業経営の実態にかんがみ、保険料の分納を必要とする漁船に対しては、一定の条件の下に、再保険料の分割払の制度化について検討すること。しかして、再保険料の分割払の制度化が実現するまでの間、再保険料の延滞金の割合は、現行の遅延利息の割合と系統金融機関における現行最高預金利息の割合との平均を上廻らないものとすること。
二、特殊保険について、現在行われている低保険料率制は、昭和三十五年度以降においてもこれを継続実施すること。しかして、国の再保険の割合を引き上げる等の措置によって保険加入を促進するよう検討すること。
三、漁船保険事業の健全な発達を図るため、漁船再保険特別会計における利益金の活用その他によって政府が強力な助成援助を行い得るよう所要の法的措置を考究すること。
右決議する。
昭和三十五年三月二十五日
参議院農林水産委員会
この附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/13
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014・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成及びその他の自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/14
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015・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 異議ないと認めます。よってさように決定いたします。
ただいまの附帯決議に対し、大野政務次官より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/15
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016・大野市郎
○政府委員(大野市郎君) ただいま漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして附帯決議をいただきましたので、政府の見解を申し述べます。
ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分に検討いたしまして善処をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/16
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017・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/17
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018・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記を起こして。
農林畜水産関係物資の国鉄貨物運賃の件を議題といたします。
この件について、公共政策割引に関し、すでにたびたび当委員会の問題となり、現状通りこれが存続が要請され、再三にわたって決議が行なわれ、一応三月三十一日まで存続されることとなっておりますが、その期限も迫っており、また経済企画庁を中心に政府内部において検討されているところは、委員会において処置されているところとは若干相違しているように聞いておりますので、委員各位の御要求もあり、本日重ねてこの問題を議題にして事情を明らかにし、当局の善処を求めることにいたしました。
まず、政府から事情の説明を求めます。
なお、政府からの御出席は、ただいま運輸省鉄道監督局国鉄部長廣瀬さん、経済企画庁調整局交通課長岩淵さん、磯崎日本国有鉄道常務理事の方々でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/18
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019・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) 国鉄の貨物運賃の暫定割引につきましては、昨年来からいろいろ問題になっておりまして、昨年の暮れになりまして、経済企画庁を中心といたしまして、運輸省、農林省あるいは通産省の関係省が寄りまして、この貨物の暫定割引をいかにするかという問題を検討いたしました結果、とりあえず三月の末日まで延ばすということを決定いたしまして、その趣旨に従いまして国鉄に指示をいたしたわけでございます。その後国鉄の方でもいろいろ関係方面と折衝を続けて参りましたが、ただいまの段階では結論を得ませんので、国鉄の方はこの暫定割引の趣旨から申しまして、これを廃止をしたいという強い希望は持っておりますが、政府といたしましては、国鉄の趣旨もよくわかりますが、やはり国民生活に与える影響等も十分に慎重に考慮をする必要があるということで、期限も迫りましたので、国鉄のその他の一般的な公共負担というものもかなりございます、また運賃体系等の問題もございますので、こういった問題を総合的に、いましばらく時間をいただきまして、延ばして、検討して、総体的にこれを処理する必要があるというふうに考えまして、とりあえず、さらに六カ月間暫定割引を存続いたしまして、その間にただいま申し上げましたような総合的な検討を関係者間において進めて参りたいというふうにまあ一応結論を得まして、国鉄に対しまして、そのように措置をするように指示をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/19
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020・千田正
○千田正君 今、運輸省から説明がありましたが、私、ちょっと六カ月延ばしたと——磯崎さんなんか、にがい顔をしているようですけれども、国会が六カ月の間ずっと開いておればいいけれども、どうも休会になるおそれがあるので、それでかりに六カ月済んでから突如として国鉄本来の伝家の宝刀を抜いたんじゃ困るのであって、大体の見当がつかれたならば、農水委員会等に一応前もって御報告をいただくなり、御協議をいただくということを一つこの際念を押して、私はほかに会議を控えておりますから、一応その点の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/20
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021・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) ただいま六カ月という問題で非常に何かここに意味があるのじゃないかというお話がございましたが、実はそうではないのでございまして、国鉄は強く三カ月くらいということを希望しておりましたが、問題がかなり、ほかの問題と、ただいま申し上げましたいろいろな問題と関連して大きな問題でもございますし、それからこの問題を処理いたしますにつきましては、やはり関係方面と十分にお話し合いを国鉄としてはしていくということで、まあ多少国鉄の希望には反しますが、政府といたしましては、十分に時間をとって、その間に十分論議を尽くすという意味で六カ月という期間を延ばしたわけでございまして、この間におきまして、先ほど冒頭に申しましたように、これはやはりかなり重大な問題でございますので、政府といたしましては、国鉄のやり方を十分に注意をして参りますので、抜き打ちにやるとか、そういう趣旨では全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/21
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022・森八三一
○森八三一君 この問題が数次にわたってこの委員会で取り上げられて、その間、再三にわたって委員会としての総意の決定が決議の姿で行なわれたことはもう御承知の通りであります。その趣旨とするところは、今、部長がお述べになった趣旨とごうも変わりません。が、しかしながら、国鉄に非常な負担をかけておるということも、これは忍びがたいことですから、そこで、昨年の十一月でありましたか、十二月でありましたか、本年度末まで延長するというときの最後の委員会で論議せられましたことは、どうしても国鉄内部の経営の合理化によって吸収ができないのかどうかということを十分吟味すべきであるが、それがどうしても不可能だということであれば、事の重大性と、特に貿易の自由化というような問題から、国内における各種の生産のコストを切り下げていく、そうして国際競争にたえるように持っていくためにも、あるいはまた、民生の安定を期するためにも現行制度は存続しなければならぬことだから、要すれば昭和三十五年度の予算の中へそれを織り込んで、一般会計から国鉄にそういうものを助成する等のことも考えなければならぬのではあるまいか。だから、そういう点について十分究明をすべきであるということが表明されておる。そういうことについて、一体昭和三十五年度予算編成という機会があったわけですから、その機会にそれがどう検討されたのか。私、他の委員会で承るところによりますというと、何にもそういう点については研究しなかったというようなふうにも承っておるが、これは私の聞き違いであるかもしれませんが、だといたしますれば、非常に私は怠慢じゃないか。これくらい真剣に論議をして昨年の六月が八月に延び、八月が十二月に延び、十二月が年度末に延びるというように小きざみにずっと移行して参りました。その経過と論議の内容をお考えになりますれば、昭和三十五年度の予算編成のときには、真剣にこの問題に取り組んで解明されなければならぬはずであったと思うのです。おそらく国鉄としては、かなり無理な新線建設なんかを押しつけておるのですから、この二十億の軽減というものはかなり私は負担になると思うのです。だから、そうだとすれば、当然国が一般会計で補給するというくらいのことを考えてしかるべきだと思う。それを検討せずに今日に及んだということだとすれば非常に残念なんですが、どう検討なさったのか、そのいきさつを一つ御解明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/22
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023・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) この問題は昨年の八月まで一応延ばしまして、その後直ちに経済企画庁が中心になりまして大蔵省等も含めまして、ただいま御指摘になりました、たとえば一部を国でめんどうを見るというような問題も含めまして、昨年の九月ごろから暮れまでかかりまして数回関係者の間で議論をいたしました。ただいまおっしゃいましたような点も一応考慮しながら検討いたしました。一応個々の品目につきましていろいろ検討いたしまして、物によってはあまり物価あるいは生産等へ影響なしに吸収できるものもある。国で一応めんどうを見るという点はかなり難色がございまして、国で負担という問題は結局結論が得られないで今日まで至っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/23
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024・森八三一
○森八三一君 非常に私は残念に思うのですがね、国鉄も経営の合理化によって吸収される余地があるのかどうかということをまず検討しなければならぬ。おそらく現状においては、私の想像では国鉄もだいぶ切り詰めてやつていらっしゃいますから吸収不可能になると想像いたします。が、しかし、それを検討していただきたい。その結果どうしても吸収不可能ということであれば、事の重要性にかんがみて一般会計から補給すべきであるということがこの委員会において再三再四論議をされ、特に小笠原委員等からそういう点については強く要請されたはずなんです。そこで、そういうような究明されないでそのままになっておる、究明したけれども国で負担ができぬということでございますと、それは国鉄にも吸収ができない、一般会計からも補給できないとなりまして値上げすると現在の割引を廃止するということに私は筋としては行くと思うのです。そういうことになつちゃいかぬというのがわれわれの意見であり、国会内部の、特にこの委員会における総意なんですね。これは一人の反対もないのです。これはきわめて重大な結果になると思うのです。貿易の自由化に備える観点から考えても、国民生活の安定を期するという点から考えても、この制度は存続しなければいかぬ。存続するためには方途としては二つよりありません。国鉄で吸収する、もしくは一般会計から補給する。国鉄に吸収は不可能だ、一般会計はやらぬというなら、それはどうするのですか。そういう結論が出ないままに、今お話のように六カ月延期ということは、これは私は意味をなさないと思う。そういう点が究明されなければ、三十六年度予算の編成のときには、それをもう一ぺん掘り下げて検討して一般会計から補給するという道をお開きにならなければその意には沿わないと思います。六カ月延期したって全然意味がない。一般会計から補給する道が開けないということは、これは少なくとも委員会の趣旨には沿わぬでしょう。今お話のように一部値上げするということはわれわれは考えていないのですから。一部のものを値上げをして一部は継続するとしても、継続すればその部分だけは少なくとも国鉄にしわ寄せが行くのです。そうでしょう。その行く分は今度は国鉄で吸収ができますか。そういう見通しですか。国鉄で吸収できぬということであれは、そうしなければならぬはずでしょう。今お話のように、一歩譲ってみたって、一部は廃止をする、一部は存続する。存続する部分は当然残りますよ。その根本問題がちっとも解明されずに六カ月延期というようなそんな中途半端なことをやったって問題の解決には私はならぬと思う。なぜ一カ年間、三十六年度予算編成とにらみ合わせて抜本的な措置をやるという措置をおやりにならなかったのか、その理由はどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/24
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025・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) 確かに貨物の暫定割引による国鉄の公共負担ということももちろん大きな問題でございますが、実は先ほども申し上げましたように、国鉄がこのほかに各種の公共負担を負わされておりますので、そういった問題を含めまして大きく検討したいという趣旨で一応六カ月延ばしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/25
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026・森八三一
○森八三一君 どうも私は理解しかねるのですが、磯崎さんが再三再四ここへ来て口をきわめて、どうしてもこれは国鉄では吸収ができませんという話をしておるでしょう。お話を聞くと、私はそのことがわからぬことちっともありません。そのことはわかるんです。わかるが、この割引制度を廃止するということが、国民経済全体に非常な悪影響を来たすということは、それ以上に重要な問題なんだ。だから、問題を解決いたしまするためには、磯崎常務理事がおっしゃるようなことであるのかどうか、国鉄の内部の経営状況というものを、十分政府としては監督をしておるんですから吟味しなさい。その吟味をなさった結果、国鉄に吸収の能力ありと、こう結論されたならそれはよろしいんです。その結論が今出ておらぬということでしょう。それじゃ事の重要性にかんがみて、一般会計から補給しなさい、それもやれぬというのでしょう。それで六カ月延期して、年度の途中に結論が出たというときには、国鉄で吸収し得る部分が明確になります。不足した部分だけは補正予算を組んで、一般会計から補給するなり、予備費から出すなりという方針がきまって、六カ月間延期するということでございますならば話はわかるんです。六カ月間さらにその内客を検討する、それでこれだけは国鉄が負担できるからそれは国鉄で吸収する、どうしても吸収のできぬ部分だけは、補正予算を出すなり、あるいは予備費からそれを穴埋めするなりということを考えましょうでございますから、六カ月延期ということなら一応了解できる、了解できますが、そういうことを何も強要されずに、三十五年度の予算のときに解決しなさい、こういうことをいろいろ企画庁の方でも、そのことは大臣もここへ来られて了承されておるんです。重要な問題ですから、そういうことも含めて検討いたしましょう、その結論が出ぬうちに、年度の途中まで延ばしたというのは、どうも話がわからぬが、私が申し上げたように六カ月延期しておいて、その間に国鉄で吸収される部分を究明して確定しました、どうしてもその究明をした結果、国鉄には吸収ができぬ部分は、一般会計から予備費その他の方法によって補給するということがきまったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/26
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027・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) ただいま御質疑のございましたような点を含めまして、もう少し早く結論を出せばよかったのでございまするが、いろいろ論議しておりましたが、先ほど申しましたように、この辺がまだ十分究明がされませんままに今日に実は至ったわけでございます。そういったわけでさらに六カ月延ばしまして、ただいま御質疑がございましたような点をすべて含めまして、さらに検討を進めて参りたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/27
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028・森八三一
○森八三一君 そうすると、六カ月究明なさいまして結論が出たときに、私の申し上げるように、国鉄で吸収のできるものは問題はありませんね。これは現行通りとするもので問題なし。国鉄に吸収のできない部分は、一般会計の方から補給をするという趣旨と了解してよろしいのか。そうでないということでございますると、吸収不可能な部分については、六カ月後にこの制度を廃止するということになるわけですね。そうならなければつじつまが合いません。今政府は廃止することもあり得るという前提に立っていらっしゃるんですか。委員会で何べんも何べんも決議してあらゆる角度から考えて、ただ農林委員会だから農林物資だけのことを論議しておるというんじゃないんです。われわれは広く国家的な立場に立って、国民的な立場に立って論議をしておるのであって、そんなセクト的な狭い視野からこの問題を取り上げておるのではございません。そのわれわれの意思が、この制度は存続すべしということを主張しておるのに、値上げをするという前提をお持ちになっておるとすれば、われわれの意思というものを無視するという態度であると了解せざるを得ない。その辺はどうなんですか。無視してでもやるということなのか、また、その結論を得た結果では、一般会計から補給するという考え方に立っていらっしゃるんでしょうか。どうですか、はっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/28
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029・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) たびたび当委員会の御決議のございましたことは十分承知しておりますので、そういった趣旨を十分尊重するという意味で検討を進めて参りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/29
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030・森八三一
○森八三一君 押し問答ですからこれでやめますが、どうも私は納得できない。そういう意味を含めて検討するとおっしゃいましても、当委員会の出しておる方向というものははっきりしておるんですね。だから、検討の余地は、私の申し上げるように、国鉄に吸収させ得るかどうかということの検討、それらが残っておれば残っておっていいんです。幸いに全額が国鉄に吸収されるということなら、こんな願ったことはないと思います。それが不可能であった場合には、その部分をどうなさいますか。われわれはそのときには、当然この制度は存続されなければならぬ筋のものであるから、一般会計から補給をすべきである。ちょうど三十五年度予算編成のときに際会しておったので、そういう措置をすることについて十分検討しなさい、こう申し上げたのです。ところが、今のお話は、そういう面をも含めて検討したけれども、結論が出なかったから六カ月間延期するとおっしゃったのです。六カ月たって結論が出ますね。出たときに国鉄で吸収不可能な部分についてはどうなさいますか。私は年度の途中にはそれは不可能ではあるまいか。だとすれば、昭和三十六年度予算の編成のときに、それを追い込んでいく以外に手はない、こう私は自分ながら了解するのです。そこで、六カ月間延長するということは意味をなさないのじゃないか。なぜ昭和三十六年度予算との関連において一年間延期ということを措置されなかったか。六カ月ということになりますれば、その結論が六カ月目に出たときには始末しようがないでしょう。一般会計から補給するとおっしゃって下されば、それで問題は解明なんです。そのときに一般会計からは出せません。国鉄も吸収できません。委員会の趣旨は踏みにじるという態度でございますと言うのもそれも一つの方法です。明確にして下さい。結論が出たときに、委員会は何とおっしゃいましょうとも、政府は政府の感覚で勝手に処置しますということで、六カ月間延期ということなのか、国鉄に吸収できぬ部分があった場合には、一般会計から補給いたしましょうということなのか、はっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/30
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031・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ちょっと命令をお受けした方の立場から一言申し上げたいのですが、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/31
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032・森八三一
○森八三一君 あなたが答弁したって困りゃしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/32
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033・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) しかし、一応政府からそういうふうに措置しろという御命令を受けました私どもの立場としてどういうふうに考えているかということだけ申し上げて、お許しを得れば申し上げさしていただきたいのです。私はこの問題は非常に重大で、総裁が参って御説明申し上げるはずですが、ちょうど病気で寝ておりますので、かわってお答えさせていただきます。この暫定割引につきましては、昨年の八月当委員会におきまして、企画庁長官、農林、運輸両大臣、それからうちの総裁列席の上でいろいろ御審議がございました。結局八月から政府において検討するからということで暮れまで延ばされ、また暮れにはちょうど予算の編成期でございました。編成の最中にこの期限が切れますわけでございます。十二月三十一日で切れたわけで、ちょうど予算編成期にも該当いたしておりましたので、ことしの三月までそれが延びたわけでございます。私ども国鉄といたしまして私は私自身といたしましては、この暫定割引は昭和三十二年に私自身が作ったものでございますし、また四回今まで延期いたしましたのも、私の責任において延期いたしたものでございまして、非常にこの問題につきましては、私も重大な関心を持っているわけでございます。私どもの立場から申しますれば、国鉄の立場から申しますれば、これは理論上廃止いたしたいという熱望は今でも実は変わっておりませんのでございます。と申しますことは、昭和三十二年の秋以来、昨年の暮れまで運賃制度調査会というものを設けまして、これにつきましても過般その経過を簡単に御報告を申し上げましたし、関係省には事務局の方にもお届けをいたしておりますが、相当いろんな人にも集まってもらいまして、二年半いろいろ検討いたしてもらいました結果、やはりごく小部分しか、いわゆる森先生のおっしゃった、国鉄において吸収できないという点も大体数字的にも解明できているわけでございまして、私どもといたしましては、ぜひ、いずれにしろ国鉄の負担でなしに、場合によっては政府、あるいは場合によっては受益者の負担、この負担の方法によって考えていただきたい、こう考えているわけでございます。すでに過去四年間で金額も約百億近くなっているのでありまして、一年間二十億でございますが、すでに四年たっておりまして八十七、八億になっております。以前の分を合わせますと約百億をこしております。国鉄財政上実は非常に大きな問題だと考えております。私どもといたしましては、このほかに実は運賃上のいろいろな公共負担を背負っておるわけでございます。一番いい例が、たとえば学生あるいは通勤者の定期の割引につきましては、御承知かと存じますが学生が約九割引き、通勤が約七割引きこれは割引の率でございまして、実収運賃は一割ないし二割でございます。こういった極度の割引をしておるものが通学、通勤定期のほかに多少ございます。そういった公共負担が負担額といたしまして計算いたしますと、年間約五百億をちょっと上回るくらいの数字になっております。その一部につきましては、昨年の秋に実施いたしました学生割引の改訂でございますとか、あるいは今度四月から実施いたします新聞、雑誌の運賃の引き上げ、こういった方法によりまして少しずつ回収いたしておりますが、この暫定割引の問題を含めまして全般としてはまだ解決いたしておりません。そのほかに、森先生のお言葉に甘えるようなことで非常に恐縮でございますが、新線の建設につきましても、実は昭和二十六年度以降やりました建設線の赤字、これが毎年の経費だけで約二十億になっております、しかもこれからできます建設線はほとんどこれに類似した赤字を積み重ねていくわけでございまして、たとえばこれもごく卑近な例で恐縮でございますが、一昨昨日開業いたしました鹿児島県の枕崎線という線がございます、約十七キロでございますが、この枕崎線は運賃収入が年間で約八百万円でございます、これに対しまして経費が七千二百万円でございます。この七千二百万円の経費のうち五千二百万円は利子でございます。そういった非常に、営業収入百に対しまして経費がちょうど千かかる、こういったような建設線が実は今後四月十五日に奥能登線が開業し、また二、三カ月置いて広島県の岩日線が開業するというように方々出て参りますと、この建設線による赤字の負担額も相当金額的にふえて参ります。さらに、現在着工中の建設線を全部完成いたすといたしますと、現在着工中のものだけでも約千四、五百億くらいかかるのでございます。従って、その利子負担だけでも相当膨大な額になるわけでございます。私どもといたしましては、少なくとも今度の予算で新線建設の利子負担、利子補給程度のものは実は政府にお願いし、あるいは利子補給ができなければ政府の利子の要らない、利子のかからない金を貸してもらうか、いずれかの方法によりまして国民経済上ぜひ必要な新線の建設ならこれを実施したいということをお願い申し上げたわけですが、まことに私ども力が足りませんで、同じ運輸省の中でありながら海運の方だけは利子補給ができて、私どもの方はできなかったということは全く私どもの責任だと考えております。そういったこともございまして、私どもとしましては、実は三月末まで延ばされたときにはせめてその程度のことはしていただけると思いまして三月末まで延期することも承諾いたしたのでありますが、実は私どもの力不足でできませんで、結局もう旬日の間に締め切りの日が迫ったわけであります。ただ昨年来の、経済企画庁を中心といたしまして関係各省すなわち経済企画庁、大蔵省、通産省、農林省の各省の御協議の模様等を拝見いたしましても、なかなか議論が尽きませんで、大蔵省は金は出せない、農林省は上げては困るというように、いろいろ御意見が分かれまして今日までまだ調整ができる段階になっておりません。従いまして、私どもといたしましては実は相当強く、三月末にせめて半減いたしたいという希望を実は非常に強く持っておったのでございます。しかし、一方参議院、衆議院の委員会の御決議もございますし、農林省当局におかれても絶対困る、農林省当局は困る、困るだけではなしに、必ず私の方に対する何らかの措置をお考え下さるというふうに確信しておりますが、たまたまそういったことにつきましてもことしの予算の編成のときにいろいろ問題になったことは事実でございますが、ここで半年延ばしてその間に政府としても考えてやるからとおっしゃって下さいますし、半年たちますと、ちょうど来年度予算編成のいろいろ下話の始まる時期でもございますので、私どもといたしましては政府関係各省の御協力を期待いたしまして半年間延ばすということで、本日すでに現場に手配いたしたわけでございます。
従いまして、今後とも私どもといたしましても、できるだけ政府当局あるいは関係の方面にいろいろお願いいたします。私どもといたしましては、何と申しますか、極端な話を申し上げますればお金をいただければ実はいいのでございまして、政府が下さいましてもあるいは荷主が下さいましてもいい。ただ運賃の制度の面から申しますと、今の暫定割引と申しますのは若干制度的には問題のある制度だ、これは事実でございます。従いましてそういった面をも含めまして、政府関係各省間におきましてこの半年の期間に十分検討された上、九月末までには必ず私どもの納得できるような御措置がとられるということを確信いたしまして政府の御命令をお受けした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/33
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034・森八三一
○森八三一君 ただいまの磯崎さんの御説明は別に聞かぬでもよかったのですが、そういうことでしたら九月末には何とかしてやるからという、その何とかしてやるという内容を聞いているのですよ。それは国鉄はそれでいいのです、何とかしてやると言われれば。それは親方日の丸で、じっとしていれば何とかしてやるという、その日の丸は何を考えているかということを聞いているのです。そのときに荷主の方へ転嫁することをお考えになっているとすれば、これはまさに委員会の決議を無視することになりますよ。そのときに一般会計から補給するのだとおっしゃるならば、これはもう話はわかるが、年度の途中に私はそういうことはできなかろうと思うのです。なかなかむずかしい。そこでなぜ六カ月刻んだか。六カ月刻んだについては、年度の途中でも、委員会の趣旨を尊重しながら国鉄が満足するというような回答が出せるという確信がおありになるからこそ、年度の途中をお刻みになったということなら了解します。だから、一般会計から補給しますよと、こうおつしゃればよろしゅうございます。むずかしい答弁をちょうだいしようとは思いません。それだけでいいのです。どうですか、予備費もありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/34
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035・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) 実はただいま御指摘ございましたような点は、昨年の暮れまでの論議の期間にもいろいろ検討いたしまして、国鉄は今磯崎理事が申しましたような点で強く主張しておりました。私どもは当委員会の御決議もございますので、この点も十分尊重しなくちゃいかぬ。大蔵省もこの会議に入っておりましたが、大蔵省の方は、これは国がめんどうを見るという格好じゃなくて解決すべきだという点をかたく主張いたしまして譲らないというような格好で、結論を得られないで、とりあえず延ばすという格好になりましたのです。結局今まで、それぞれ主張ははっきりしておりますが、なかなか調整がつかないというままに今日に至りましたので、さらに今国鉄からお話がありましたように、貨物の暫定割引以外の大きないろいろの公共的な負担等もございますので、こういった点も各方面で最近やかましく論議されております。そういった点も含めましてさらにこの六カ月の間に各方面の主張といいますか、国鉄の意向、あるいは大蔵省の意向、当委員会の御意向、こういった面を十分に勘案しながら、調整をとりながらこの六カ月間に答えを出していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/35
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036・中田吉雄
○中田吉雄君 ただいまの森委員の御質問に対する答弁がいろいろありましたが、この六カ月延ばしたその真意ですね、大体公共割引に対する認識という問題ですね。実は磯崎理事も申されたのですが、四月一日から新聞、雑誌が、たしか新聞が一キロ二十円ですか、雑誌が六十円ですか、値上げになり、また通運料金の値上げがあり、そうして地下鉄の値上げがあり、私はこれはそういうこととからんで少しうがち過ぎるかもしれませんが、さっきの発言にもあったように、実際は二十億のうちの半分を、四月からか、あるいは三カ月延ばして国会が済んだころにやるというような、十億上げるという情報がかなり飛んでおったのです。それがまあ六カ月大幅に延ばされた。ここの問題は、私はやはり各種の、さきにも申された運賃体系の改訂といいますか、そういうこととからんで各個撃破でまずやっておいて、最後に、結局巷間伝えられておったように二十億のうちの半分を運賃に転嫁する、こういうようなことにしている。まあやりやすいように一ぺんにいろいろ私鉄の——私鉄ではありません、地下鉄を上げる、新聞、雑誌のなにをやり、同時にやるとなかなかめんどうなので各個撃破の作戦じゃないかというふうに、少しうがち過ぎるのですが、四カ月ないし三カ月延ばして、そうして国会が済んだころに十億円転嫁する、こういう方針だということが印刷物でもかなり流布されておったのが六カ月延ばされた真意ですね。これは森さんの質問にも関連するのですが、最後には一体どうなんですか。運賃値上げの各個撃破こういう作戦じゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/36
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037・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問でございますが、新聞、雑誌につきましては多少私の説明が足りませんで、あるいは御理解が十分でなかったかと存じますが、これは実は新聞料金を値上げいたしましたときに、すなわち三百三十円から三百九十円に値上げいたしましたときに上げるという前からの新聞関係者との約束であったわけでございます。それが実施がおくれましたためでございますし、また雑誌につきましても、新聞を認めれば雑誌も認める、これはもう前からの約束でございまして、実はもっと早く話がつくはずでございました。ところが、御承知の通り新聞の三百九十円という代金の回収が不十分でございましたので新聞社と話をいたしました結果、年度内に延ばしたものでございまして、しかも直接これは購読者自体には影響はない問題でございますので、少なくとも私どもの方で関係をいたしておりますいわゆる全般的な問題とは多少性質が違う問題でございます。
それから暫定割引につきましては、何か半年で三カ月を延ばして半分切るということが流布されたとおっしゃいますが、私どもはそういうことについては存じません。ただ私どもはあくまでも四月一日から半減するという事務的な案を作ったことは事実でございますし、私としては少なくともその程度のことはやるべきだというふうに考えておったのでございます。従いまして、まあ地下鉄その他は私どもの関係じゃございませんが、私どもはこの暫定割引につきましては当初から私どもなりの一貫した気持でもってやっておったわけでございまして、ほかの問題とはあまり関係ないと、こういうふうに私ども限りでは了承いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/37
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038・中田吉雄
○中田吉雄君 しかし、まあ手順としては、結局そういうふうに結果としては御発言の通りに善意に解釈しても、手順としては私そうなっていくのじゃないかと、こういうふうに思うのですがね。
そこでお伺いしたい点は、さっきの発言に、運賃制度調査会等でもいろいろ審議し、理論上もこれは改むべきだと、こういうことなんですが、その理論上という意味は、私は前にも質問申し上げたのですが、改訂してもまあ全部切っても、運賃を二割公共割引しているやつを切っても物資が国鉄のルートに乗るという前提に私は立っておられると思うのです。その相関関係は一体どうかという問題なんです。運賃を上げても、それはもう国鉄のペースに乗ってくるという関係がなければ、運賃を上げることと、それが競争関係にある、道路等がよくなればますます長距離輸送もでき、日通その他の方に転嫁することも起こって、そういう面で、その相関関係というようなことが、まあいろいろ計数的にもはじいておられると思うのですが、私は簡単にはそういかない。農産物、特に木材その他全体の価格に占める運賃の高い比率から見て、できるだけそれを負担を軽くするような方向で、非常にまた運賃の占める割合の高いものは市場から脱落したり、あるいはもっといいかもしれない他の競争機関に転嫁したりして、長期的に見ると必ずしも国鉄当局の期待しておられるような結果にならぬじゃないかということも予想されるのですが、その関係はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/38
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039・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点につきましては、以前の当委員会におきましても先生から御質問ございまして、私もお答え申し上げましたが、私どもといたしましては、まず第一に、御質問の暫定割引という制度が現在の国鉄の運賃制度上どういう立場にあるかという問題でございます。
〔委員長退席、理事仲原善一君着席〕
この点は、実は非常に複雑な貨物運賃の制度の御説明を申し上げるべきでございますが、大へん時間もかかりますので、ただ端的に申し上げますと、私どもといたしましては、いわゆる現在の古い制度の運賃制度、すなわち消化主義と申しますか、負担力主義と申しますか、ちょうど税金を取るような形で運賃を取っておるわけでございます。それを現在の、等級制度と申しておりますが、その等級制度の中から生活必需品物資といたしまして、これは政府部内におきまして一応きめました約百三十の物資につきましては、特別等級という特別な等級を使って安くしております。たとえば米にいたしますと、本来ならば四級といって一一〇という運賃をもらうべきものを、一番低い七五という運賃に、約三割以上の米の割引をいたしております。その他約百三十の品目は、いずれも本来ならばもっと高かるべき運賃のものを特別等級で下げております。それが特別等級に下がった差額が八十億でございますか、これは当然国鉄の公共性から申しまして割引すべきであるというふうに考えまして、その点につきましては運賃制度調査会も当然同じような結論を出しております。今すぐいわゆる特別等級まで廃止しろという結論は申しておりません。しかしながら、ただいま申し上げました暫定割引と申しますのは、まあ私が三十二年に自分で作りまして、そういうことを言うのは非常に妙な話でございますが、その中には特別等級から引いているものもあれば普通等級から引いているものもある。しかも割引の率も非常に区々でございます。多少古いものもあれば新しいものもあるといった、その発生の過程におきましても事情が違っておりますし、また各品目ごとに必ずしも一貫した思想でもって選ばれたものではないと思います。また遂に、現在割引いたしておりますという百十の品目の中に、実はほとんど輸送の実績のないものがございます。たとえばシジミとかアサリとかというものも品目に入っておりますが、こういう品目は実は輸送実績がほとんどございません。そういった品目が約二十六品目くらいございます。こういった品目をはたして制度として残しておくこと自体にも非常に矛盾があるのではないかということなどを考えまして、事務的にも実は整理すべきものが相当あるわけでございますし、またもしほかの方々から言わせれば、ああいった品目を暫定割引するならこっちも暫定割引してくれという御要望もたくさんあるわけであります。そういったことからいたしまして、今の暫定割引と申しますのは、理論上いわゆる現在の運賃制度というすでに古い概念でございますが、現在まあ一応定説になっております運賃制度の中に包摂しにくい面が相当たくさんあるのでございます。
〔理事仲原善一君退席、委員長着席〕
ことに現在の運賃制度、一番運賃の安いたとえば米でございますが、米の七五という指数は、私の方は直接費だけしかカバーできない運賃でございます。しかもその七五のものから引きまして、現在の暫定割引の中には指数六〇幾つという非常に低廉なものもございます。こういったものになりますと、どうしてこういうものだけを原価を割って、約五割割って輸送しなくちゃならないのかという理屈があまりないわけでございます。そういったように、理論上運賃制度の中に入らない面が実は大部分だというふうに了解していただきたいと思います。それから運賃を上げれば、先生のおっししゃったように、ある程度のものは輸送の範囲から脱落するものがある。しかしながら、たまたま現在暫定割引をいたしておりますものは、いわゆる運賃の非常に安い物資、外国と違います点は、アメリカにおきましても、ヨーロッパにおきましても、トラック運賃の方は鉄道運賃より安いわけでございます。鉄道運賃の方がトラック運賃より高いから、鉄道運賃というのはほとんど外国におきましてはいじればいじるほど貨物が減る、こういう現状であります。現に昨年五月ドイツでやりましたのは、先生のおっしゃいましたような結果を招来いたしております。ただ、日本ではまだトラック運賃と申しますのは、鉄道運賃を一〇〇といたしますと大体トラック運賃が一六〇、それから実際の運賃が一一〇、この違いはいろんな理由でそういうことがございますが、実収運賃から申しますと、鉄道運賃の一〇〇に対しまして平均一一〇くらい、徐々に下がっては参っておりますが、まだまだ一〇〇を割っていない。こういった暫定物資——暫定割引をしている物資とは、まだまだ相当の開きのある物資でございまして、しかもこの暫定割引物資はみんな非常に足の長い物資でございます。木材といたしますと、大体木材平均七百キロ輸送、現在トラックで運んでおります平均輸送キロは六十キロでございます。従いまして多少上がったからすぐ輸送量が減るということよりも、むしろ私どもから申しますと、これは始終農林省に申し上げておるのでありますが、木材なら木材、あるいは鮮魚なら鮮魚の流通過程におきまして運賃は下げていくのだ、だれが負担するのか——あくまでも運賃というのは生産者が負担するのだ、この建前自身が私どもといたしましては理論的にも相当矛盾がある。たとえば木材にも市が立っておりますが、その市で木材が安く売れようが高く売れようが、どんな価格でも木材の運賃は生産者が負担するのだ。これはその流通制度自身も私は多少問題があるのではないかということを農林省に申し上げて農林省でも実は流通経済のいろんな研究会等もお持ちでございますが、この中でもこういった問題が論議されておるように伺っておるわけであります。そういった問題で、運賃が上がればすぐ輸送が減るという面ももちろんございますし、あまり響かない面もございます。これは各物資ごとにいわゆる平均輸送キロ、いわゆる足の長さ、それから価格の中における運賃の占める割合、いろいろございまして先生のおっしゃった面もございますし、あるいはそうでないものもございます。私どもといたしましては、暫定割引をもしかりに全廃いたしたといたしましても、それほど鉄道の輸送量にすぐ響くということは考えられないわけでございます。もし高級品の運賃割引をいたしまして、その高級品の運賃割引をやめるということになりますと、これはすぐ響きます。しかしながら、こういった暫定割引をいたしております大体平均原価より下がったものにつきましては、他の輸送物資は別といたしまして、運賃のこの程度の値上がりがすぐ輸送量に響くということは、私どもとしては一応今までの実績から申しましても考えられない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/39
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040・中田吉雄
○中田吉雄君 シジミですか、全然輸送実績のないものが現在あったにしても、事務的な問題はともかくとして、二十億も影響のある輸送実績のある特別等級であれ、普通等級であれこれを廃止しなくても、私はどんな法律を見たって例外のない規則はないですよ。憲法だろうが、民法だろうが、どんな法律を見たって例外なし。一体例外を除かなければ国鉄が成り立たぬという問題は、もっと本質に触れた……私は現在のようにまだ道路も悪いですが、もう道路の、昨年から発足しました整備計画が出て主要幹線等が舗装されてくると、日通その他にまかせて国鉄がトラックに手を出されぬ限りは、私はこの問題は非常にはね返りを来たしてとうていやり切れぬ。私は一昨年アメリカに参りましたが、鉄道も斜陽産業で、そうしてもう飛行機も斜陽産業、軍用機も斜陽産業ということで大きな変化が起きて私はやはり国鉄が輸送の一体の関連としてトラック輸送に手を出さずに……全然ないとは申しませんが、国鉄経営トラック等もありますから、ほとんど有利なところを他の業界にまかせておいてやっておられますならば、これは私は全然はずして、よし転換してみても、私はなお国鉄は不採算路線の建設等もからんでなかなか困難な事態になるというように考えておるわけであります。すぐははね返らぬと言われましたが、なるほど一〇〇と一六〇といえばだいぶ運賃負担の差がありますが、大体ドア・ツウ・ドアで一切駅まで運んで貨物車に載っけておるしてからまた運ぶというこの関係を考えますと、必ずしも一〇〇と一六〇という比率にはならぬ。もっと接近したものになる。私はそう軽くはね返りを軽視することはできぬじゃないかというふうに見ておるわけであります。特に私は先にも申し上げましたように、トラック輸送なしに、国鉄がやられずに、一貫的な経営をせずに、貨物だけでやる、貨車だけでいくという方式によっては、これはいろいろな特典を全部はねのけても私はなかなか困難じゃないだろうかというふうに、だんだんトラック輸送の伸びを見ましても、これは一大脅威になる。そういう観念で見るべきだというふうに考えておるわけであります。それは別にしても、私はなかなか、先にも磯崎理事、廣瀬部長が申されたように対大蔵省との関係は困難だということになれば、さりとて国会の議決等もあるということで、結局いずれ近く問題になる運賃体系の改訂に埋没して、それとの関連でこれを実質的に骨抜きにするような改正を意図されるようなことはありませんか、その点は一体どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/40
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041・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生のお話の前のお話は非常に私も全く同感でございまして、現在の運賃制度のままで参りますれば、いわゆる私の方の高級貨物、たとえばタバコとか綿織物、そういったものはもうトラックにとられる一方でございます。従って当然高級品については、これは値下げをするという時期がもう参っております。そういった意味で先生のごらんになったアメリカの鉄道はまさにその例でありましてヨーロッパにおきましても同じような措置がとられております。私どもは当然そこに考えをいたさなければならぬ、こういうふうに存じております。
それからただいまお話しのあとの方、運賃制度全般の改訂につきましては、この暫定割引のものにつきましては、一応原則としては全部ワク外でございます。すなわち運賃制度を一応いじりたいというように考えておりますが、この問題をからませますと、非常は理論上の運賃制度に現実問題が入って参りますので、制度自身が乱れるおそれがある。従いまして運賃制度をもし変えるといたしましても、この暫定割引はこの運賃制度改正のワク外にそのまま現状におきましては存置するつもりでございます。ただたまたま暫定割引をいたしております品目の中で、今度の運賃制度改正をするためにたとえば非常に運賃の下がるものがあるというものにつきましてはある程度考えますが、これは品目的にごくわずかなものであります。数品目にすぎません。従って二十億を構成します大多数のものは一応運賃制度を変えましてもそのワク外に置くというふうに考えておるわけでございまして、その点をこの運賃制度改正の中にこれをくるめてうやむやにしてしまうのではないかということは絶対にございませんので、その点は私ども今考えております改正案とは全くこれは別にやっていることをはっきり申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/41
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042・中田吉雄
○中田吉雄君 くどいようですが、最近私の知っておるのでも、この適用を受ける、大体比較的値段の高いものを、日通を通じて出荷したのです、国鉄の窓口でやったりすると、税金の関係もあるということで。やはり最近トラックを買って、自家経営ですか、ということで、三百キロ、貨物を満載して相当遠いところからやってくる、そういうものがどんどん出ている。これは、相当やはり根本に触れた関連で取り上げぬと、もう例外を全部はずさねば成り立たぬというのでは……これはやはり根本に触れた長い将来の展望に基づく改訂でないじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。その点は参考までに申し上げておきますが、じゃ、運賃体系の改訂はいつですか。通運料金を上げたりすれば、案外早いのじゃないかと思っておるのですが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/42
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043・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 過般来、運賃制度調査会におきまして、運賃全般についていろいろ検討いたしまして、その結果は、新聞等において公けになっておりまして、これは貨物運賃だけでございませんで、旅客運賃も全部含めたものでございます。私どもといたしましては、なるべく早く運賃制度を改訂したいという意図を持っておりますが、まだ政府としてのはっきりとしたお態度もきまっておりませんので、私どもといたしましては、答申が出ましたのは、一部が昨年の七月で、残りは十二月でございますが、なるべくその答申の趣旨に沿いまして、早い機会に運賃制度の改訂をさせていただきたい、こういうふうに考えておりますが、まだ政府の方のはっきりした御意向がきまっておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/43
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044・中田吉雄
○中田吉雄君 最後に一つ、その運賃体系を改められる際に、それにすりかえてしまうというようなことは、さっきも発言がありましたが、厳に考えていただきたいし、実際不採算路線その他を余儀なくさせられるような日本の政治情勢でもありますから、十分苦衷はわかるのですが、やはりこの公共政策割引が、日本の国民経済長期の展望に立って、国鉄運賃の培養にもなると、その辺のことを農林省、通産省等も、十分御認識いただいて運賃体系の改訂に名をかりて、実質上に公共政策割引を廃止するというようなことのないように、一つ強く希望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/44
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045・北村暢
○北村暢君 森委員と中田委員から質問がありまして、大体尽くされておると思いますから、私簡単にお伺いいたしますが、今国鉄当局は、あくまでも従来の考え方を変えておらないので、公共政策割引はなくしたい、この考え方は変わっておらぬ。何か、磯崎さん今度理事になられてだいぶ考え方も変わって非常に理解があるように聞いたのですけれども、きょうの話を聞くと、さっぱり変わっていないようで、私もびっくりしているのですが、たいぶ話が違うのじゃないかと、こう思っております。でありますから、六カ月延ばすのも、実は、国鉄当局が非常に理解あってやったのだろうと思っておったのだが、考えはそうでもないようでございます。そこで、運輸当局と農林当局にお伺いしたいのは、森委員も盛んに言われておるのですが、先ほど国有鉄道部長の答弁で、大体私も理解しました。決議の点も十分考えて今後対処したい、こういうことでございますから、国鉄の考えているように、廃止することを前提において考えるということは、国鉄は国鉄の内部の関係からであろうと思いますけれども、そういうことでないということですから、私も一応その点は了解はいたしますけれども、やはり運賃の理論とか何かから言えば、国鉄当局の言っていること、答申案に出ている通り、これは私ども理論としては認められる、なるほどとうなずける点が相当あるのであります。しかしながら、現実の問題としてそういう理論があるにかかわらず、この農林水産委員会では何回かそれに反する決議がなされておる、これはもう実態なんであります。そこで一年かかっても廃止することができなくて、現実に二十億というものは、国鉄が赤字の要素をかかえたままになって、何らの処置がなされていないというのが実態なんであります。そこで、やはりこの点は国鉄当局から農林省が何とか十億持ってもらいたいということについて、寄り寄り協議いたします、協議いたしますで、今日も結論が出ていない実情です。従って私は、どうしてもやはりこの公共政策割引を廃止しようという動きの出てきたのは、先ほど来中田委員も質問しているように、国鉄運賃全体の改正の問題が今問題になっているのですから、これと一緒になるというと、やはりものによっては二重の増加を来たすことが起こり得る、急激な変化がくる、従ってこの公共割引だけでも先になしくずしといいますか、あらかじめ廃止をしておいて、そうして大きな混乱がないように、本格的な等級の改訂まで持っていきたい。これは国鉄の考え方としては当然そういうふうになってくるのだろうと思います。ところが、たまたま六カ月間延ばしたことによりましてこれが私は同じような時期になってしまうのじゃないかというふうな感じがするのです。そうすればますますこれは、現在適用になっている貨物に対する影響というものは非常に大きいのじゃないか、こういうふうに考えられるのです。これは私どもいかに反対しても、今度の運賃改訂において、現在適用になっている貨物に対して、何といっても考え方から言えば上がるようなしかけになっておるわけですよ、絶対に。従って私どもは、それに対しても重大な関心があるのだが、とりあえずこの六カ月延ばすということが言われておりますけれども、今制度上としては、これはもう運賃の改訂とは別個に、あくまでも切り離してやる、こういうことを埋没させないということですから、それは前提としては、残すということを前提において、埋没させないということが委員会の意思でもあるし、これは農林当局は、まだ一回も答弁されておりませんけれども、この意思は農林当局からもはっきり聞いておきたい。これは大蔵省も反対、運輸省も反対、反対のところで守るのは農林省しかないわけであります。従ってここで農林省がよほどの決意を持っていないというと押し切られちゃうのです。ですからこれは農林省はやはりこの生産農民なりあるいは木材関係、いろいろの関係の非常に強い陳情も受け、その立場に立ってやらないというと、これは押し切られる可能性というものは十分にあるというふうに私思いますから、一つ農林省の明確な態度を聞いておかなければいけない。運輸当局においては、これは減らす一点張りであると思います。大蔵省から金さえもらえば、国鉄の方はいいと言っているのですから、これは運輸省は何としても、国鉄はあんまり痛めつけても私はいかんと思うのですよ。従って運輸省としてもこれは国鉄の事情を考えて一つ予算確保の、一般会計からの補給なり何なりという問題についてやはり真剣に考えてもらいたい。これは前からの趣旨でございますから、これは一つ要望しておきたいと思います。
それからもう一つは、国鉄の運賃全体の改訂の問題、早くやりたいということですか、今国会に間に合って提案することができるわけですか、この点を一つお伺いをしておきたいと思います。これは私ども国鉄運賃の改訂そのものにも相当関心を持っておりまするので、この改正案というものは今度の国会に間に合うように提案できるのかどうか、この点一つ運輸当局にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/45
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046・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私どもといたしましては、今申しました通り、今私どもの考えております運賃制度全般の改訂が、貨物運賃だけでなしに、旅客運賃にもずっと及んでおりまして、国鉄運賃全般の運賃制度の改訂でございますので、なるべく早く実施いたしたいというふうに、実施していただきたいというふうに考えております。できればもちろん今国会に御審議願いたい、こういう私ども強い希望を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/46
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047・北村暢
○北村暢君 運輸当局は出す自信があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/47
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048・廣瀬真一
○政府委員(廣瀬真一君) ただいま国鉄から答弁いたしましたように、今般の国鉄が考えております運賃改訂は、旅客貨物いずれも内容といたしましてはいわゆる運賃のベース・アップというものではなく、今まで大分古い制度で不合理な点がたくさん中に含まれておりますので、そういった点を、いわばでこぼこを直すといったような格好で、貨物旅客いずれも不増収、不減収というので、制度を改めるという性質のものでございまして、国鉄は各方面といろいろ折衝を続けておりまして、運輸省といたしましても、各方面との了解がある程度つきますれば、今国会に出したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/48
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049・北村暢
○北村暢君 今度の不増収、不減収ですか、この方針、これわかるのですけれども、しかし、運賃制度調査会の答申からいっても、国鉄の先ほど来の答弁からいっても、高級貨物は下げなければならない、そのために不減収ですから、低級貨物は上げなければならないというのは、これははっきりしているわけですよ。従って低級貨物の上がる分については、農林水産物はこれは絶対の関係を持っているわけです。内容等が、私どもも検討いたしましたしわかっているのですよ。ですから、そういう点について今非常に大きな不安を持っておるわけです。これに対して私どももいかにこれは調整するかということは、今後非常に大きな問題だと思う。これはこの案が国会へ出てくれば、非常に大きな論議になりますし、いずれにせよ論議になる問題です。だから、そういう不増収、不減収ということでございますけれども、農林水産物に対しては、重大関心を持たざるを得ない問題なんです。だから、従ってこれに対しては私ども、従来この委員会も重大な関心を持っている、それとやはり今度の暫定割引の問題とは大きな影響があるということですね。私ども関心を持っておるのですが、従って今度の国会に間に合って出すということになれば、これはまただいぶこちらの方も真剣にならざるを得ない問題であるからお伺いしたんです。
それから農林当局は一体、何回か協議されておるわけですね。大倉、運輸当局と協議されておるのですが、それの中で農林省は守る立場でやってくれたことは間違いないと思うのですが、実際問題として国鉄が切実に十億一つ見てもらいたい、でき得ればこの四月一日からでも半分の十億だけは国鉄負担を軽減したいと、こう積極的に言われておるわけです。そういう現実があるんですから、先ほどの森委員から言っておるように、そうだとすれば、上げないという原則に立てばこれは一般会計で見るより方法はないわけです。それが今度の予算の折衝の過程で、六カ月延ばしたということになれば、またこれは国鉄が、どこがどうめんどう見るわけでもない、赤字は国鉄が背負わなければならぬ。そうすると、だめだだめだと言いながら一カ年もう過ぎちゃうんです。そうすると、だめなんだけれども国鉄は何とかやれるんだろうということになつちゃって、これはおかしな結果になると思うんですよ。従って私はそろそろ何といっても結論出さなければならないと思う。六カ月間と言いますけれどもね。だからそこら辺で、やはり政府としても、農林当局としても、大蔵省がおれば一番いいんですが、これは私はやはり廃止しないという原則のもとで今後折衝せられる決意でおられるのかどうか、この点を一つお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/49
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050・大野市郎
○政府委員(大野市郎君) この、問題になって御論議をいただいておりまする公共割引の農林水産物資につきましての件は、昨年の暮れの委員会におきましても農林当局の考え方は申し述べたように記憶しておりますが、さらに当時は、先ほど森委員のお説のうちにも出ましたが、所得の格差を是正したいという大きな政策の柱を言うております関係から、主としてその問題でてこ入れをいたしておりましたが、さらに貿易自由化の声がまた新しく取り上げられてきております関係から、二重に農林物資の関係が、価格の変動が非常に重要になって参りましたので、われわれとしましては、先ほどもそういう話が出ましたが、高いものはどこかへ逃げても農林水産物資は多少いじっても結局貨物に乗って動くだろうという国鉄の話が出ましたので、あの通り物は動かなければ国民生活が困るのですから動くわけで、それはもう国鉄さんは反対のことを言っておるのでありまして、われわれは国民生活の上からやむにやまれない輸送物資であるから、これは値上げはまかりならぬという主張をいたしておるのでございます。ただ折衝の過程におきまして、事務当局がいろいろ個々の品目について個々の検討をいたさざるを得なくて、いろいろ折衝があったことは事実でございますが、これらの点につきましては農林当局といたしましては、先ほど述べた二つの政策を、われわれが身にしみて実感をしましたときには、とうてい譲ることのできない点でございますから、あくまでもその主張で農林水産物資の価格の上がらないようにということで主張を続けて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/50
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051・中田吉雄
○中田吉雄君 大野政務次官からの決意を伺ったんですが、先般衆参両院の農林水産委員会におきましても、通運料金の値上げについてかなり強い反対の何があったんですが、新聞その他の伝えるところでは、まあ政府与党との話がうまくついて、若干引き上げの率をまあかげんして上げちゃったということで、運輸省や国鉄当局が運賃値上げにかなり自信を持っているというようなことも伝えられており、ただいま一つ、大野政務次官が発言されたような点を、十分、そういう通運料金の引き上げのときのようなことのないように重ねて御希望申し上げておきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/51
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052・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/52
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053・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/53
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054・仲原善一
○仲原善一君 農林畜水産関係物資の国鉄貨物運賃公共政策割引につきましては、数回にわたって本委員会でも取り上げ、たびたび延ばしてきたわけでございまするが、今回も、ただいま国有鉄道部長のお話によりますと、六カ月延びるということになりましてその点、われわれ大いに意を強くしたわけでございますが、やはり事の重大性にかんがみまして、将来のことがやはり懸念されます。当委員会としてもたびたび議決いたしたわけでございまするが、今の段階において、あらためて、ただいまお手元に差し上げておりますような議決をいたしまして、関係先に配って、将来とも引き続いてこの公共割引制度が存続するようにいたしたいと考えております。
案文を朗読いたします。
農林畜水産関係物資の国鉄貨物運賃公共政策割引に関する件(案)
政府は、従来農林畜水産関係物資について行われて来た、日本国有鉄道の貨物運賃公共政策割引を、今後もこれを現状どおり継続して実施することとし、これがため必要な措置を講ずべきである。
右決議する。
昭和三十五年三月二十五日
参議院農林水産委員会
送付先は、経済企画庁長官、運輸大臣、大蔵大臣、農林大臣、日本国有鉄道総裁、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/54
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055・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいまの仲原委員の御提案の決議案を当委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/55
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056・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないようでございます。そのように決定をいたします。
本日はこの程度にいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X01819600325/56
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