1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三十日(水曜日)
午後一時三十八分開会
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委員の異動
本日委員小平芳平君辞任につき、その
補欠として北條雋八君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 堀本 宜実君
理事
櫻井 志郎君
仲原 善一君
大河原一次君
東 隆君
森 八三一君
委員
秋山俊一郎君
石谷 憲男君
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
重政 庸徳君
高橋 衛君
田中 啓一君
藤野 繁雄君
北村 暢君
中田 吉雄君
棚橋 小虎君
千田 正君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
農林政務次官 大野 市郎君
農林省農林経済
局長 坂村 吉正君
農林省農地局長 伊東 正義君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○開拓融資保証法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/0
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001・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
本日小平芳平君が辞任、その補欠として北條雋八君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/1
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002・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(閣法第四四号)(衆議院送付)を議題といたします。
本案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/2
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003・中田吉雄
○中田吉雄君 福田農林大臣にもかつて質問申し上げたのですが、公有林野の造林資金の委託の問題ですが、地方行政委員会に出ております公営企業金融公庫法の一部改正法律案の提案理由の説明というのを見ますると、今度公営企業金融公庫法の一部改正の主要な一つの、委託業務をやるということが骨子になっておる。それにこの農林漁業金融公庫に出資されております造林資金のうち、公有林分は昭和三十五年以降委託業務をずっと続けてやるように、これはずっと、昭和三十五年だけやってみて私なんかの印象では、一年やってみる、こういうように福田農林大臣の御答弁では承ったのですが、これを見ますると、昭和三十五年以降ずっと継続のような印象を受ける提案理由の説明が出ておるわけですが、私、なわ張りの争いよりか、どちらがやった方がほんとうに荒廃した公有林の造林に効果的だかという見地からやるべきだと思うので、これはよほど、非常にたくさんある公有林をどう造林していくかということは、大きな問題で、この点はどうなんでしょう。三十五年以降、この提案理由の説明の印象では、ニュアンスから見ると、ずっと当然のこととなっているのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/3
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004・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 制度といたしましては、三十五年度以降ずっとというふうになっているわけです。これは私どもの考えでは、公有林、民有林、国有林と一貫したものでございますので、農林省がこれを全部みずからやっていく仕組みがいいというふうに考えてきておったわけでございまするが、ところが、自治庁の関係からいいますると、地方公共団体が起債をするということになるわけなんでございまして、さような自治庁の同意を要するという問題が起こってくるわけです。さようなことを円滑に、まあ農林省の仕事が農林省の手によって行なわれるということも実現し、かつ、財政面からの見方をする自治庁の立場も、円滑に動くということを考えますると、農林省から仕事を自治庁の方に委託をするのだという形が考え得る最善の道ではあるまいかと、こういうので、提案のような結果になっておるわけであります。多少経過的に問題がありましたが、結論としては、それが一番よいのではないかという、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/4
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005・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、大体昭和三十五年以降、まあ相当長期といいますか、そういう形をとるというのですが、むしろ私は、そういう形が長くとられるのなら、何も委託手数料を取ったりせぬでも、政府の原資をそっちの方に回してしまえばいいわけですが、造林の方はやっぱり農林漁業金融公庫の方で総合的に見ながら、他の造林と関連し、しかも、実施の方はそういうふうにいくということなんですが、もし長くずっとやるというのなら、もうそれは最初から委託手数料を取ったりいろいろしなくてもいいじゃないか。その辺の関係はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/5
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006・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは三十四年度に初めてやりましてそれにならいましてまた三十五年度やるということになったのでございまするが、この金をそういうふうに公有林の融資のために使うということは、これは三十六年以降につきましてはどうなるか、これはまだ未定の問題なんです。かりに、しかし、三十六年度以降におきましても、同じような融資をするという際のことを考えてみると、制度としては、一応今度お願いをしておる包括委託だとか、こういうふうに考えておるわけであります。それを一体金を出すか出さないか、これにつきましては、まだ三十六年度以降問題があるところでございます。かりに出すことになれば、この方式だということを、ただいまのところでは制度としてきめていきたいと、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/6
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007・中田吉雄
○中田吉雄君 じや、もう一つ、衆議院の附帯決議に関連しまして、附帯決議の二ですがね、酪農業の生産基盤の整備と乳業の近代化を促進するため、酪農を融資の対象にするような、主としてこれは業務方法書ですか、それの問題に関連すると思うのですが、これは私はけっこうだと思うのですが、巨大資本の酪農関係はこの適用を受けるが、そうでない小さい養豚とか、養鶏とか、やはりかなり近代的な設備をしてやるのもあるわけなんです。そこで、業務方法書を検討して問題なのは、林業関係、製塩等では、協同組合以外にも、中小企業等協同組合法によって設立されるものまで融資の対象になっている。ところが、畜産だけはそれが除外されている、業務方法書に除外されているのです。そこで、今度の衆議院の附帯決議の第二によって大きな酪農製品を作るところはそれで救済されていく、ところが、そうでない小さいところがやはり漏れてくるという、たとえば養豚にしたって、もう大へん豚肉が暴騰して、貴重な外貨を出して一時暴騰を押えるために輸入する、こういうこともあって、私は、この酪農業の生産基盤の強化のためにこういう措置をとられることについては、けっこうなんですが、そういう巨大資本でない部門がやはり同じように畜産関係は、その中小企業等協同組合、それが製塩、林業その他大部分入っているのに、これが入っていないところに問題があって、だから、この附帯決議では万全でない、大資本、そういうものは他にも融資の方法が必ずしもないではない、その救済はできるが……。万全でないと思うのですが、その点はどうでしょう。これは小さい問題ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/7
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008・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この金融につきましては、自由化というような問題が出てきているわけです。世界の大勢としてそういう問題が提起されているわけですが、酪農製品につきまして、これを現在の状態を考えますと、絶対に自由化はできない、こういうふうに考えているわけです。しかし、それはそれといたしまして、外国の酪農製品と日本の酪農製品と比べてみると、非常に大きな格差が価格上出てきているわけであります。これは自由化の問題なんかとは別な問題としましても、どうしても解決しなければ日本の酪農業としてならない問題であるという考えを持っているのです。今後の日本の農業からいいますると、どうしても酪農と果樹、これは特に力を入れていきたい。果樹につきましては、果樹振興法等で融資の道も特に開くようにいたしました。それから酪農につきましても、同じような見地からコストの引き下げ、そのための金利の低減ということを考えていくべき筋合いであり、そうしなければならぬというふうに考えているわけでございますが、附帯決議をいただきました趣旨は、もとより尊重しなければなりませんが、さような考え方から、行政庁としては、どういう方法がよかろうかということを検討するわけでございます。いろいろ他に及ぼす影響、彼此権衡の問題が御指摘のようにあるわけでございます。小さい業種につきましては、ただいま共同利用施設に対しまして低利融資をしているというようなこともありまするが、なお、他との権衡につきましては、よく十分調査いたしましてやっていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/8
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009・中田吉雄
○中田吉雄君 酪農関係の自由化の問題に対す御見解等、大へんけっこうですが、それとは別に、衆議院の附帯決議にあるようなことをして、酪農基盤を強化するということについても、私は異論はないのです。ただ、なぜ林業、製塩その他には、農協の共同施設以外にもあるのに、酪農でしたら巨大資本でやれますが、養豚とか養鶏は、どうしても私は、そういう必ずしも大きな資本で不足を補うということにはなかなかできにくいので、しかも、農協でやろうとしても、なかなか町村単位の農協があって、特殊農協を作るということがなかなか指導方針として困難であるというようなこともあって、中小企業等によってやるものもありまして、その辺は私は、さっきの御発言のように、他の権衡からいっても、製塩、林業その他は中小企業等、大体対象になっておるのです。実は、いろいろわれわれの経験しておるのでも、総合農協が、その下に特殊なものを作るというようなことは、なかなか指導方針としてはめんどうな事態があります。私は、この衆議院の酪農に対する措置と合わせて、一つどういうわけで方法書にこれが除外されたか、いろいろな理由があると思うのですが、あわせて御検討いただきたい、こういうことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/9
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010・北村暢
○北村暢君 大臣が見えましたのでお尋ねしますが、先般の当委員会において、資金構成の問題について御質問をいたしたのですが、大野政務次官は、今年度は、産業投資特別会計の無利子の政府出資というものを、前年同様にとどめるかわりに、資金運用部からの借入金を増加して、そして公庫の資金のワクを拡大することで折り合ったと、こういうふうにおっしゃっておるわけでございます。もちろん政府の出資金の増額に努力をしたけれども、これができないために、資金の総額をふやすことで折り合ったのだ、それから坂村局長は、産業投資特別会計の今後の見通しについての答弁では、三十四年度が三百二十八億であったものが、三十五年度は二百六十億、三十六年度は二百億ぐらいになるのじゃないか、これは正確な見通しではないけれども、そういうふうになるのじゃないかというのが、大蔵省の言っている状況である、こういう説明があったわけでございます。そこでお伺いいたしたいのは、貿易の自由化とからみまして、日本の金利政策全体の問題に一つ大きな問題があると思うのですが、貿易自由化との関連で、体質改善を叫ばれている今日、大きな一つの問題としては、国際金利と比較をいたして、日本の金利は非常に高いということは周知の事実でありますが、これに対して自由化との関連において、日本国内の金利政策として、今後一体どのような考え方で対処せられようとしておるのか、まず、この点を一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/10
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011・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは農林省の関係というよりは、通産省とか、そういう鉱工業の方の関係が、自由化という面をまあ全面的にかぶってくるということになりますが、自由化をほんとうにやるというようなことになると、問題は、私はその前提措置としては、税と金利の対策であろうというふうに思うわけであります。自由化をするという以上、自由な競争だということになれば、国際的に外国と日本の産業というものが、同じ程度の基盤の上に立っているということでなければ、これはまあ、いわば何かおもしをつけられて競争するのだということになりますから、なかなかやっていけないというふうに考えられるわけでございまして、そういうおもしを取りはずさなければならぬ、その際の一番の問題は、税と金利の問題であるというふうに考えるわけであります。さような観点から、税の負担の軽減も今後やっていかなければならぬ問題であるし、同時に、金利の問題もそうであろうと思います。特に金利につきましては、数年前までは、日本の産業はひどい高金利の金を使っておったわけでございますが、最近は日本の金利は多少下がっておりまするが、それ以上に今度は、国際金利水準というのが上がってきまして、今日世界銀行あたりの金を貸す状況を見ても、六分ぐらいの金を貸すというようなことになって、大へん詰まってはきているのです。しかし、まだ多少日本の金利水準というのは割高でありますので、この金利水準の引き下げということは、今後の日本経済の体質をよくするという上から見て、非常に重要な課題であり、そのためのあらゆる努力をしなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/11
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012・北村暢
○北村暢君 それで先ほど申しましたように、産投会計の状況が将来非常に悲観的な方向にあるというふうに言われておるのでありますが、今後のこの種の政府出資というものについての見通しについてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/12
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013・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 産業投資特別会計は、傾向としては先ぼそりでございます。従って、この会計に、農林漁業金融公庫の出資に多くを期待するということは、なかなか私は困難ではあるまいかというふうに思うわけであります。しかし一面において、農林漁業金融公庫ができました沿革なんか考えてみますと、これはもう低利長期の金を出すということにあるわけでございまするから、その低利長期という要請を満足させるための原資を獲得しなければならぬという必要があるわけでございましてそういうようなことから考えて、私は昭和三十五年度の予算の編成にあたりましては、これは相当思い切った考え方の構成がえをしてみなければいかぬではあるまいかと考えたわけでございます。それはまず農林漁業金融公庫の資金量を確保するという問題が一つあるわけでございます。その量を確保するという見地からいうと、これまた運用部資金というような限られた資金のみでなくて、また政府出資というような限られた面ばかりでなくて、あるいは系統金融に蓄積されており、今後もふえるであろう金を活用する、あるいは農業団体の資金等として保有されている金を使うということ、これを考えていきたいというふうに存じたわけでございます。そういうことをすれば、資金量の問題は解決するのでございますが、今度はそれじゃ、その金利の問題をどうするのかという問題があるわけでございまして、それに対しましては、利子を公庫に対しまして補給するとか、いろいろ考え方が出てくると思うわけでございます。私は、いろいろ政府部内において議論をしてきたのでございまするが、その大きな方向におきましては、政府部内でもそう意見の違いもなかったのでございまするが、何しろ唐突のことでございましたので、その考え方というものを三十五年度予算で織り込む段階にならなかったのです。従って、ただいま予算案として御審議願っておるような財政投融資計画ということになっておるわけなんでございまするが、しかし、段階として考えますると、そういう諸問題を根本的に検討すべき時期に来ておると、こういうふうに考えておりますので、だんだんとその行くべき方向というものを固めていかなければならぬかと、かように存じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/13
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014・北村暢
○北村暢君 ただいまの大臣の答弁で、大体産業投資特別会計に対する期待も、今後そう大きな期待をかけることができない、先ぼそりの状態であるということでございますから、それを、系統資金の活用という考え方をもって今後当たらなければならないような意見がございましたが、私は三十五年度の今度の公庫の資金構成を見まして、大体公庫の資金コストの面からいっても、出資金と借入金の割合は、三十五年度が、ここ十年間の実績からいって、最低の比率を示しておる。いわゆる出資金と借入金の比率が最低になっている。しかも、資金構成からいってもう限度に来ているんじゃないか、これ以上やれば、金利の逆ざや的な傾向が出てくるというふうなところのぎりぎりのところまで来ている、このように思うのでありますから、今後の、特に来年度の対策としては、これは早急にやはり解決しなければならない問題である、このように考えます。従って、ぜひ一つこの点を考慮していただきたい、このように思いますが、そこでお伺いしたいのは、制度金融としてはいろいろあるのでありまして、すでに政策金融の中に、系統資金を資金源としているものが相当多数あるわけです。そういうような点からいって、国の特別会計その他でやっているものももちろんございますけれども、系統資金を資金源にしているものが相当ある、こういうような点からいって、今後公庫と、それから従来ありますところの制度金融というものの整理といいますか、は、これはもう従来いわれているところでありまして、非常に混淆してきているというようなことがいわれておるわけなんです。従って、私の質問を申し上げたいのは、資金源が、系統資金でやっていくということになって参りますと、非常に公庫と、その他の制度金融との間に混淆するまぎらわしい点が非常に出てくるということも考えられるのです。従って、この点について、一体私は、将来とも農林漁業金融公庫というものを育成していく、これを活用していくという方向が望ましいという考え方に立っておるのですけれども、そういう面で今後の資金構成の上からいって、公庫に対する期待というものがまた農林省の施策として一体どのように、他の制度金融との間の関係からいって考えられておるのか、この点を一つ、将来の問題でございますからお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/14
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015・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まず、その公庫の資金源をどこに求めるかということですが、これは私は産業投資特別会計から出資するのと、それから一般の資金運用部あたりの融資の比率が問題ではなくて、問題は運用金利がどういうところになるかというところにあるだろうと思うのです。そのための努力をしなければならぬということだろうと思うのであります。また、第二にお尋ねの制度金融がいろいろ多岐複雑である、こういう問題でございますが、これは確かに私はそう考えます。さよなことで、三十五年度予算に関連いたしましては、まず、開拓者に対する融資をさしあたり整理をしてみるということをいたしたわけでありますが、これとてもまだ完全にそういう方向にでき上がったというふうには考えておらないわけであります。まあ公庫と中金のあり方というものにつきましては、そういう制度金融全体の簡素化というか、一元化といいますか、そういうことも含めまして検討を今いたしておるところでございます。なるべくすみやかに広げたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/15
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016・北村暢
○北村暢君 それからもう一点お伺いしておきたいんですが、今度の公庫の資金の増額された分の大宗は、土地改良と自作農維持資金、これが三十億ずつ前年度よりふえているわけでございます。それでお伺いしたいのは、自作農維持資金、自創資金の三十四年度、今年度の災害に使われている分は一体どの程度占めておるか、従来、自創資金がその目的である自作地あるいは小作地の買い上げというような面よりも、災害のためにこれが使われている面が非常に大きな地位を占めておる。従って、私は災害の面については、これは天災融資法なり共済制度があるのでありますから、この面を充実をして、自創資金は自創資金としての本来の目的に使われることが望ましい、このように思うのです。従って自創資金というのは、これは金利の面からいっても、貸付条件が非常に有利なんでありますから、しかも、借りる希望者も非常に多い資金です。それに対して、今年度は三十億の増額になっておるわけでございます。この運用というものは非常に重要だと考えます。従って、自創資金はやはり自創資金としての本来の目的に使われる方向に持っていくべきである、こういうふうに思うのでございますが、現状はどうなっておるのか、それから今後のこの運営をどのように考えられるか、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/16
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017・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) ただいまの御質問でございますが、三十四年度におきますところの自創資金の当初のワクは百億でございまして、それが伊勢湾台風で増額をいたしまして、総額が百二十九億になりまして、その中で、ただいま正確な数字ではございませんが、大体四十五、六億くらいが災害のために使われているという、大体三〇%あまりでございます。この点につきましては、本来の自創資金の目的に使われる部分を相当災害に食い込んでおると、こういうような御意見でございますが、もちろんその通りでございますが、実際問題といたしましては、やつぱり災害のために自作農が転落するというような場合が非常に多いのでございまして、そういうような意味から申しますれば、災害によってそういう事態になりましたものは、やはりこの資金を使いまして救済をしていくというようなことも、必ずしも本来の目標からはずれたということもいえないのではないかというふうにも考えておるわけでございます。しかしながら、お説のように、これが災害のために、このまま自作農資金が非常に安易に使われるという問題は、やっぱり考えなければならない問題でございまして、ちょうど農業災害補償制度につきましては、根本的に一つ制度の検討をしよう、こういう段階にも来ておるのでございますが、そういう問題あるいは天災融資法の問題、それから自創資金に対する災害対策のための問題というようなものは、総合的に関連させまして検討すべきであるというように私どもは考えておるのでございましてそういう線で、農業災害補償制度の検討の場合にも、そういう問題を同時に一つ検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/17
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018・藤野繁雄
○藤野繁雄君 さっき農林大臣は、酪農事業と果樹というものについては、積極的に力を入れていくということで、政府の酪農事業に対するいろいろの施策で酪農事業が発展しつつあることは、まことに喜びにたえないのでございます、しかし、その奨励の結果、年々百五十万石ないし二百万石の乳ができる、これには加工をやっていかなければいけない、そうしてこの加工が完全にできるかできないかということが、また酪農事業が伸展するかどうかということになってくるのであります。これは御承知の通りであります。しかしてこの酪農事業の施設を改善をするためには、少なくとも毎年毎年五十億ないし六十億円の金が要ると考えられるのであります。そういうふうなことであるのでありますから、昨年の三月の第三十一国会においては、酪農振興法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、当参議院ではこれに附帯決議をしていることは、御承知の通りであるのであります。そういうふうなことからいたしまして、政府においては開発銀行であるとか、北海道東北開発公庫であるとかいうようなところから融資の道を開いていただいたのであります。しかし、その融資の結果はどうであるかというと、金利が年九分である、据置期間が非常に短い、償還期限が五年以内である、こういうふうなことでは施設をしようと思っても、これを有利に施設をすることができないのでありますから、この点から考えてみますというと、どうしたっても貸付条件を、いろいろの点について緩和していかなければいけないのであります。こういうふうなことからいたしますというと、私はこの酪農事業を近代化し、健全な発達をはかるためには、農林漁業金融公庫から、少なくとも金利は七分五厘、据置期間は五年以上、償還期限は十五年以上というような条件で貸し付けなくては、せっかく発達の途上にあり、日本の農業の体質改善をする酪農事業の伸展はできないのじゃなかろうかと思うのでありますが、これに対するところの大臣の考えを承り、同時にまた、牛乳の加工処理資金の融通に対する右以外の根本の方針があったらばそれを承りたいと思うのであります。また、きのうの衆議院の農林水産委員会における附帯決議その他を考えてみましても、私は、少なくとも政府において次期国会までにはこういうふうな方面に融資するところの所定の法制的の問題、財政投融資の問題を研究いたさなければできないと考えているのでありますが、これに対する大臣のお考えを承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/18
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019・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、私は今後の農業の部面におきまして、酪農と果樹が非常に大事な問題でありまして、特別に留意をしていかなければならぬと考えているのです。酪農につきましては、衆議院からの決議も承知いたしております。当委員会におきましても、同じような趣旨の御決議を検討中だというふうにも承っておりますので、政府としましても、衆議院の決議、参議院のそういう御審議等の線に沿うように極力努力してみたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/19
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020・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ただいま農林大臣は、熱意のある答弁をしていただいたのでありますが、どうしたって、さっきも申し上げましたように、開発銀行及び北海道東北の開発公庫、あるいは農林漁業金融公庫というふうなものから、安いところの金利を出して、そうしてさっき申し上げたように、年々五十億ないし六十億の資金を要するのでありますから、この資金が出るように、法制的及び財政投融資的のことをやらなくちゃいけない。政府がこれに対して誠意ある措置を講ぜられるようにお願いしたいと思うのであります。なお、委員長においては、今検討中の附帯決議によって、私が今まで申し上げた趣旨が徹底するように、お取り計らいをお願いして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/20
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021・東隆
○東隆君 今、藤野さんが質問されたことに対して農林大臣がお答えになって誠意のあるところはわかったのでありますが、私は、法制的な改正その他をやる前に、農林大臣として、業務方法書その他を直すことによって、ある範囲のものには融資することができる、こういう考え方を持っているわけであります。基本的には私はこの前の結晶ブドウ糖の場合において、法律をいじったのでありますけれども、しかし、これは業者に対しての場合でありましたけれども、私は農民の資本というようなものを考えて参りますると、ある程度業務方法書によって解決のつく段階にあるし、基本的には私は、法律をいじる、こういうような過程をとって早急にやり得る面があるのじゃないか、こう思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/21
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022・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、業務方法書で一部解決することができる面もあるわけです。それもあわせて検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/22
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023・東隆
○東隆君 私は、そういうふうに一つお考えを願いたいと思うわけであります。そこで、もう一つ関連してお伺いをいたしますが、北海道でビートの問題でだいぶ——もうすでに農林省は腹をおきめになっておるかどうか、これはわかりませんけれども、北海道では、農業協同組合関係でもってビート工場をこしらえる、こういう計画が進められておるので、北海道の農民がこぞってこれに賛意を表し、相当な運動をしておるわけであります。この関係の資金の融資は、農林漁業金融公庫の共同施設に関係をした面の融資が私は最も適当だろう、こういう考え方を持っておるわけであります。従って、この資金も当然必要とするわけでありますが、この点はどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/23
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024・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) ただいまお話のように、たとえば北海道の協同組合連合会というようなものがビート工場を作るというような場合には、もちろん協同組合の共同施設として取り扱うことができるのでございまして、従来も第一工場等につきましては、公庫から共同利用施設として融資をしているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/24
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025・東隆
○東隆君 農林大臣のお答えがございませんが、私は一つこの点は十分にお考えを願いたい、こう考えるわけであります。
その次に、私は、農林大臣が就任された当時、財政的な形でもって利子補給をすることによって農林中金の系統金融を公庫の資金源にする、こういうようなことをちょっと言われたようにも思うのであります。私は、この資金源を使うことによって相当大幅に低利資金が農村に流れていくという可能性が生まれてくると思うわけです。しかしこれに対しては、大蔵省の銀行局その他から相当な反撃があると思います。しかし、これを強行するだけの決意が農林大臣にありますると、相当農村関係の低利資金の分野は広がっていくように考えるわけでありますが、この点どういうふうにお考えを進められておるか、その点を一つお聞きしておきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/25
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026・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 公庫の資金といたしまして、系統資金なり、農業団体の積立金なんかを使うということは、私は、農村から集まった資金を農村に還元するという趣旨におきまして、どうしても今後取り入れていかなければならぬ考え方であるというふうに考えるわけです。それから、他面農林中金に相当多額の過剰資金が集まってこれの使用が非常に乱雑に流れておる、と言っちゃ語弊があるかもしれませんが、金融政策を実行していく目的と沿わない場合があるわけです。たとえばコールに資金が回っておるとか、まことに不正常な形ではあるまいかというふうに考えるわけであります。そういう意味からいたしましてこれらの資金を農村に還元し、また正常の国家目的に沿うというふうにする一つの方法としては、私は、それらの資金を公庫を通して融資をするということを考えてしかるべきじゃないかということを考えておる次第であります。その際に利息の問題が起こるわけですね。それに伴いまして、利子補給ということがすぐ議論になるところでございますが、財政的に問題があるわけです。金融政策的には問題はない。それがたまりたまって毎年々々融資の額がふえる。そうすると、自動的に利子の補給額がふえるということで、国の財政問題としてうるさく議論をされるところなんです。しかし、私はそれを踏み切ってしかるべきじゃないかというふうに考える。その形はどうかしりませんけれども、また検討する余地があると思うけれども、とにかく、その利子負担というものにつきまして、国家が今の農村の現状から見て踏み切ってこれを補給をする、差額を負担するという考え方を踏み切っていいじゃないかというふうに考えておる次第でございます。そういう議論を今しておる最中でございます。予算のときから引き続いて今やっておる最中でありまして、なるべくすみやかに結論を得て、そうして農村の金融が正常化されるということを実現していきたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/26
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027・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/27
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028・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/28
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029・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記を始めて。
別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/29
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030・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/30
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031・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
ちょっと速記をとめて。
午後二時二十八分速記中止
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午後二時四十三分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/31
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032・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記をつけて。
先ほどの採決の際、多数と認めますと宣言をいたしましたが、全会一致の間違いでございますので、ここに訂正をいたして全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
この際、お諮りをいたします。
理事の方の御協議をいただき、その御了承を得まして、本法律案に対する附帯決議案を便宜私から御披露申し上げ、委員各位の御賛成を得たいと存じます。
まず、案文を朗読いたします。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案附帯決議(案)
政府は速かに農林漁業金融の改善方策を決定しその実施を図ることとし、しかして当面次の事項に関して遺憾なく措置すべきである。
一、農林漁業者等の資金の需要に応じ、かつ貸付業務の円滑と貸出金利の低下を期し、農林漁業金融公庫の原資の充実を図り、しかして政府資金が原資の過半に達するよう政府の出資の増加に努めること。
二、農林漁業金融公庫の貸付金の据置期間内に土地改良事業の経済効果が収められるよう土地改良事業の完成を促進するため必要な措置を講ずること。
三、酪農業の健全な発達を期し、乳業の近代化を促進するため、すくなくとも酪農振興法に規定されている集約酪農地域および酪農経営改善地区内において生産される牛乳の処理加工施設の新増設または改善のため必要な長期低利の資金を農林漁業金融公庫から融通することができるよう、速かに、所要の法制的および財政的措置を講ずること。
右決議する。
昭和三十五年三月三十日
参議院農林水産委員会以上でございます。
別に御発言もなければ、ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/32
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033・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。よって本決議案は委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/33
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034・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
ただいまの附帯決議に対し、福田農林大臣より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/34
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035・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま附帯決議の御決議を願いましたが、政府におきましては、御決議の線に沿いまして極力努力善処いたしますことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/35
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036・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/36
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037・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記をつけて。
開拓者融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第四六号)(予備審査)を議題にいたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/37
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038・千田正
○千田正君 今度の法案の趣旨は、短期融資と中期融資と、大体両方あわせまして一億というように私は承知しておるのですが、その程度で全国におけるところの開拓者の中期及び短期の融資の効果が十分上がるかどうか、非常に私は疑問に思うのですが、この点一点と、それから、しょっちゅう、災害等におけるところの融資をせっかく政府が見ましても、現地におきましては、たび重なるところのいわゆる借金のために、前の借金を返さなければ、せっかくの融資も借りられない、こういう事態が現地においてはたびたび生じておるのでありまして、その点はどの程度まで緩和されるのか、この法案によって。私はもう少し多くの金融措置を必要とするんじゃないか、こう考えられますが、その二点だけお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/38
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039・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今御質問の一億で開拓者の営農資金が十分か、一億が六億、六倍になりますので、保証の限度は六倍でございますが、これは昨日もお答えいたしましたが、これを出資いたしましても、保証できますのは大体三十億くらいだろうと思っております。それで、大体開拓者としましては、全部で百三十億くらいの営農資金を使うのじゃないかというふうに見ておりますので、この保証で十分だとは言い切れないと思います。ただ政府出資だけではございませんで、過去の事例等から見まして、これに伴って地方協会の出資が必要なわけでございます。これは開拓者並びに都道府県が出資するわけでございますが、今までのまあテンポといいますか、そういうものから見まして、そうまた大きな出資も期待できない、短い期間では。ということでございますので、大体この一年間で政府が一億、前に出ておればそのくらいが開拓者等が出資する限度でなかろうか、こういう判断でやりましたので、これでもって全部まかなえるとか、あるいは七、八割まかなえますということはまだ申し上げかねます。ただ、これは漸進的に、やはり地方の出資と相待ってやっていきたいというふうに考えております。
それからもう一点、災害資金の問題でございますが、これは災害資金、それからその他従来保証を受けて借りていたものが返せぬ、あるいは代位弁済をしたというようなものも、原則としてこれは組合融資でございますので、貸さぬというのが、実は相互保証でございまして、原則になっております。ただしかし、そういう組合でも償還の計画がはっきりしているものとか、あるいは延滞の場合でも、中央の保証協会が半分代位弁済をするということを確約したものについては、なるべく延滞あるいは代位弁済がありましても貸していこうじゃないかということを、
一つ一つのケース・バイ・ケースでやってなるべく融資ができるように考えております。昨年は、現在で四億くらい保証しておりましたが、ことしは七億くらい現在で保証しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/39
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040・千田正
○千田正君 それでケース・バイ・ケースで十分研究されるのも非常にけっこうなことです。ところが、そういうふうに考えても、なおかつ、どうしても救われないという面が出てくる。結局のところは、開拓地を放棄しなければならないような、離農しなくちゃならないような人たちもある。これは必ずしも開拓の営農の問題ばかりじゃなく、いわゆる家族に病人があったとか、あるいはいろいろな条件のもとに、どうしても開拓の所期の目的が達し得られない。それにはいろいろな複雑の事情のあるのもありますので、そういう離農寸前の姿のものは、何によって救われるか、これに対する方法を何か考えられておられるか、これはどうですか。これでは救われないでしょう、この融資法では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/40
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041・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 離農寸前で、借金で困っている人がこれでどうかという御質問でございますが、私はこれだけでは救えるとは思っておりません。ただ、そういう組合が健全な組合であって代位弁済もしてなかったというような健全な組合に、たとえば、そういう人が入っていたと仮定しました場合に、これは組合単位でものを考えておりますので、そういう組合に融資ができるということになりますれば、組合の中でそういうことに、今度は組合の関係でどうするかという問題が一つ出てくるかと思います。それからこれだけではいけませんので、離農寸前の人の借金の状態というものはどういうものかということを解析しなければならぬのでございますが、たとえば自作農資金等につきましては、これは開拓地の自作農資金は、ほとんど要望の九〇%近く実は出しております。三十五年度にもまた十五、六億出す予定にしております。自作農資金等も、あるいはそういう場合に役に立つのではなかろうかと思いますが、これだけでそういう人が救えるということは、それは言えぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/41
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042・森八三一
○森八三一君 昨日、他の委員の質問に答えて庄野部長から、中央協会の運営に要する経費が三千数百万円というお話がございましたが、一体中央協会の機構がどうなっておるのか、どういう仕事を一体やっておるのか、私は三千数百万円の金では、この非常に重要な仕事を、その協会がです、ほんとうに終始責任を負って処理するような能力はないじゃないか。真に審査をして間違いがないような決定をしてそれを処理していくということになりまするためには、かなり膨大な機構が必要じゃないかと、こう思うのです。実際はほんとうの事務的処理だけをなすっておるのであって、実態は公庫なり、あるいは地方庁なり農林省なりの本来の職場で実際の問題を処理されておるというのが実態ではないかと思うのですが、まあその実情を一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/42
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043・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 御質問の点でございますが、中央保証協会で三十四年度の予算が三千五百七十万ぐらいになっております。その中で、これはほとんど財源は、出資金の預金なり、あるいは割農の購入等から出てきます。全部これは金利でございます。その中で、三千五百万のうちで地方の保証協会に千六百万出しております。これは地方保証協会の人件費その他の一部に充てております。それでその残りの千五百万が中央保証協会の人件費なり事務費ということになっております。職員が十人、役員が十三人ありますが、役員のうちで有給でおるのが、二名でございます。あとは職員でございます。実際の保証は、地方保証協会がやりまして中央は再保証するというような役割をするわけでありますが、現状は、地方の保証協会は実は、保証協会の職員はもちろんございますが、これは県等が相当運用いたしております。現実の問題として、県の部長なり課長なりが地方保証協会のことを手伝いをするというようなことをしていることがございます。これは、なるべく金のかからぬようにいたしまして農民に金融の手当がつくようにというような考えをもってやっておりますので、あまり機構だけ膨大になるということはなるべく慎みたいというようなことで、地方におきましては、特に県等の力を借りてやっておるのが現状でございます。ただ中央におきましては、再保証におきまして、国で、農林省がどういうようなところまでの運営はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/43
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044・森八三一
○森八三一君 今お話のように中央の協会が千二、三百万円の金ですかを使うことになると思いますが、それで十人の職員と常勤役員二名ということになりますると、私は実際の問題としては、地方協会の方で審査を遂げて出てきたものを書面上の御審査をなさるという程度であって、その方々が現地について実際の調査をしたり何かしてやる能力はないと思うのです。そこで、今までも十分経費のかからぬように苦労されておる努力は私も買いますが、もう一歩進めて、五億と申しますると、今お話があったように、六分五厘の金利としても三千二百五十万円、七分の公社債運用をいたしますれば三千五百万円の金利が出るわけですね。そこで、公庫の融資をする場合の金利と、それから開拓農業協同組合がそれを実際に個々の農家に融資をする場合の金利との中に、手数料として、短期資金については日歩二厘というものが認められておる。この日歩二厘というものは年利にいたしますれば七厘三毛ですね。そういたしますると、三十億の資金を動かすとしてその平均がどうなりまするかわかりませんが、かりに八カ月といたしますると、延べ年間の融資は二十億ということになるわけですね。二十億といたしますると、七厘三毛というものは千四百六十万円あれば済むということになる。そこで、帯にもならぬ、たすきにもならぬ程度の機構だとするならば、そういうものについては公庫の方へでも事務的なことは委託をして、あと不公正な審査があってはいけませんから、臨機の始末をするための何か委員会制度のようなものでも作りまして、そこで一カ月に一ぺんなり二へんなり審査をする程度のものに改めてしまえば、今申し上げまするように、単位開拓農業協同組合が手数料として取っておる年利七厘三毛、千四百六十万円というものは、これは三千数百万円の金利収入のうちから助成をしてやって、ほんとうに困っておる農家に公庫の金利そのままで通してさっといけるようにしてやることが、この立法の精神でもあり、開拓農民に報いるゆえんでもあると思うのですが、そういうような始末をお考えになる必要があるような気がするのですがね。これがほんとうにですよ、その一々のものについて審査をして的確にやっていくというようなことでございますれば、十人、二人ではとうていできない、こう思います。事務的処理ならむしろ公庫の方へ委託をして、公庫にまかせ切つちまうというときにあやまちが起きぬとも限りませんから、そういうことについては何かこう委員会制度のようなものを設けまして、それで審査をする。その審査をした結論だけが公庫で実施されるというようにいたしますれば、三千五百万円の金利収入のうちから半分もあれば少なくともそういう始末はつくのではないか。そうすると、半分で公庫の金利、それが個々の農民へ直結してしまう。途中の取り扱い手数料相当額は協会の方から取り扱い段階の方へ助成するなり、あるいは公庫へ助成するなり、方法はいろいろあろうと思いますが、助成することによって真の目的が達成するのじゃないかというふうに思いますが、そういう考えはできないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/44
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045・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 御質問の点で、この仕組みが、農協、中金を通しまして県連、開拓農協というふうに一定の仕組みがあり、片っ方で保証協会という形でそれを保証する、二本建でやっておるわけでございます。先生おっしゃいました一つの金利の問題は、開拓農協と県連、その関係では実は二年以内において連合会と組合が協議しまして分けることになっております。それは農協系統の中では、この間に二銭一厘と二銭三厘、二厘の関係で事務費を出しております。それからもう一面の仕組みの保証協会の方は、今申し上げましたように、地方におきましては地方協会の出資分の利子と、それから中央から参ります金でまかなっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、中央の保証協会は千五百万でございます。それから地方に千六百万ばかり出しております。そうしてやはり仕組みの関係上、私どもは中央よりも地方の方をなるべくがっちりしまして、第一線で十分審査ができて、そうして保証するというのが最も望ましいのじゃなかろうかということで、なるべく中央よりも地方の方へ力を入れるというような考え方をとっております。
それから中央の問題でございますが、これは今申し上げましたように、千五百万ということで、先ほど申し上げましたような陣容でやっておるわけでございますが、これではたして十分かどうかという御質問でございますが、今の建前を変えまして、先生のおっしゃいましたような、公庫とか、あるいは委員会とか、そういうことでやればどうかということにつきましては、実はまだ検討いたしておりません。これは今後の問題として検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/45
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046・森八三一
○森八三一君 さっそく一つ御検討願いたいのですがね。私の申し上げましたのは、中央の協会的な存在、機能といいますかね、そういうものが全然不必要とは思いません。思いませんが、千五百万円の金を使って、十人と二人という専任者がおられると、その程度ではわれわれの期待するような仕事は実際はできぬのじゃないか。ほんとうに事務処理だけであって真の審査をするというようなことは実際問題としてできない。だから、地方から上がってくる再保証の要求について、形式的な、といいますると、現在いらっしゃる理事の方に失礼なことを申し上げることになりますが、結局、私も、形式的におやりになっておる程度ではあるまいか、その程度であれば、金融上の責任をしょいまする公庫の方がむしろ真剣にやっておるんじゃないかと、こう思うのです。ですから、そういう審査について公庫の方が、ただ金貸し根性でやられては困りますから、そういうことの押えさえすればそれでよろしい。だといたしますれば、中央協会の専任職員等はなくしてしまって、事務的なことは公庫へ委託をする。公庫が勝手なまねをしないようにする押えだけの委員会とか何か、そういうものを作ってやっていく、こういうようにいたしますれば、中央で使っている千五百万円の金というものはほとんど大部分というものが浮いてくるのじゃないか。今後またこの資金は漸次増大をしていくのですから、金利のさやというものもふえて参ります。さらに考えますれば、あるいは八分近くの運営も、今日確実運営において不可能ではない道もあろうと思うのでございます。それやこれやを考えますと、中央協会の必要とする協議会なり委員会なりの必要経費を取って、その残りで二厘相当額のものは支弁ができやせぬかと——地方協会へやる千六百万円というものを削ったのでは、これは相当第一線じゃやっておると思いますから、それは困ると思います。が、中央協会の機構というものを、何も役に立たないと言うとこれまたしかられますが、第三者的に見ると、むしろ実質的には公庫の方にまかして押えだけをしていく委員会制度でやっていけばわずかな費用で済む。そうすれば、その二厘というものをその利ざやの中から補給してやろう、こういうようにするというと、公庫の貸付金がそのままそっくり開拓農民に及ぶのですから、農民としても非常に感じがいいし、経済的にも助かる。これは研究しておらぬとおっしゃるから、今ここでどうという結論をつけようとは思いません。思いませんが、精神が低利な資金を供給してやろうというところにあるわけですから、低利という目的を達成するためには、そういう方法も一つ真剣に御考究を願っていいんじゃないか、私はこう思うのです。将来の問題として一つ十分御研究を願って、あまり何といいますか、そこで——あとは申し上げません、言うとあれですから。ならぬように一つしていただきたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/46
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047・東隆
○東隆君 はなはだ小さい問題を聞くようでございますけれども、この保証法によって貸し出しをするものの中に肥料があるわけです。そこで、石灰ですね、石灰はこれは実は振興基金の方でもって出す方法と、開拓地は補助で出しておるわけです。そこで北海道はもちろんのこと、開拓地帯は初期の場合に灰カルを入れることは、これはもう何も問題ない。当然入れなければならぬのですが、それを入れるとなると、肥料よりも場合によっては灰カルの方が重要なものになるのです。そこで、あの中に石灰を——これは肥料とは言わないのですね。肥料でないわけです。そこで、灰カルはどんなような扱いにするか、それを一つお聞きをしたいのです。これは非常にルートが三つにも四つにもなっておりまして、実は非常に大切な関係のものですから、どんなふうになっておるか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/47
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048・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 開拓地の土壌改良の問題につきましては、これは補助金でやっております。それでこちらの方ではほとんど取り扱いをいたしておりませんが、保証協会で保証でやれないということには実はなっておりません。希望がありますればやっても差しつかえないということになっております。現実の問題としましては、土壌改良の補助金等で石灰を買っておりますのが多うございますが、そっちの方でやっておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/48
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049・中田吉雄
○中田吉雄君 貸付の問題ですが、これでは開拓農協が組合員である開拓者にするわけですが、昨日いただきましたこの資料では、五ページですがね、この規模別の開拓農協を見ますると、内地では三千九百十四でそのうち十戸未満が千六、十戸から三十戸までが千九百九と、非常に小さい組合で、それで開拓営農振興組合の七六%というものは四十戸以下で、実際専従職員が一人もいない。それが八割おるわけなんです。実際そういうことで、どういう手続で専従がいないのに現在やっておるか。それが非常にそのために事務が渋滞したりしてきておるのですが、開拓農協が零細で専従職員が八割近くいない。こういうことに対してどういうふうに、これは償還その他と関連して非常に問題だと思うのですが、これはどういうような措置をとられようとしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/49
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050・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 開拓農協の問題は、これは基本的な問題でございます。先生おっしゃいましたように、専従職員がいない組合がかなり多い。現状を言ってみますと、組合長の自宅で組合長が野らから帰ってきてから事務をとるというようなことをやっておる組合が多いわけでございます。われわれとしましても、そういうことが、先生がおっしゃいますように、いろいろな事務が迅速にいかぬ。償還の場合の問題もありましょうし、また貸付の場合の問題もありましょうし、いろいろございます。それでこの組合の問題は、われわれとしましては、まず開拓者のためということで開拓者個人につきまして対策を考えたわけでございますが、第二の段階として、開拓農協はこういう姿でいいのか、総合農協の関係をどうしたらいいかというようなことで、組合につきましては何か抜本的なことを考えませんと、組合員のことだけ考えていてもこれはしようがないじゃないかというようなつもりで、この次の段階におきましては、この開拓組合の整備統合といいますか、総合農協の関係をどうするかということにつきましては、何かある具体策を立てまして対策を立てていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/50
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051・中田吉雄
○中田吉雄君 ただいまの御発言のように、一つは整理統合があって大きな規模にして専従職員を置けるようにするということもあると思うのですが、開拓そのものの性格からして、これは非常に僻遠の地ですから、統合にも限界がある。そこに非常に普通の町村合併に伴う平坦地その他の統合とはちょっと趣きを異にしておると思うのですが、そういう問題に対処するために、事務だけを統合する、兼ねて専従職員を置くというようなことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/51
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052・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 来年の予算では、実はある組合を事務だけ統合して合同事務所を作ろうじゃないか、組合は個々にございますが、事務所を合同にしていただくというようなことで若干予算も計上はいたしました。これも先生がおっしゃいましたような趣旨のものだろうと私は考えております。一つの方向としましては、今おっしゃいましたように、組合の統合だけではなくて、事務だけを統合する合同事務所を作って考えるということも一つの行き方かとも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/52
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053・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本日は、本件についてはこの程度にいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02019600330/53
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