1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月二十六日(火曜日)
午前十時五十三分開会
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委員の異動
本日委員亀田得治君辞任につき、その
補欠として江田三郎君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 堀本 宜実君
理事
櫻井 志郎君
仲原 善一君
大河原一次君
東 隆君
森 八三一君
委員
青田源太郎君
秋山俊一郎君
石谷 憲男君
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
重政 庸徳君
田中 啓一君
高橋 衛君
藤野 繁雄君
北村 暢君
戸叶 武君
中田 吉雄君
棚橋 小虎君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
農林政務次官 大野 市郎君
農林省農地局長 伊東 正義君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○開拓営農振興臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審
査)
○開拓者資金融通法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○開拓者資金融通法による政府の貸付
金の償還条件の緩和等に関する特別
措置法案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/0
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001・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案(閣法第七三号)、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(閣法第一〇五号)及び開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案(閣法第一
○六号)(以上いずれも予備審査)の三案を一括議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。三案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/1
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002・北村暢
○北村暢君 それでは質問いたしますか、まず、前回開拓営農振興臨時措置法について質問をいたしたのでございますが、その際に開拓営農改善計画についていろいろお伺いいたしたのでございますが、その際に出ました当時企図いたしました営農類型の問題についてお伺いいたしますが、三十三年度に新しい営農類型に基づいて試験的にこれを実施したのではないかと思うのですが、この実施の経過について御説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/2
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003・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 営農類型の問題でございますが、今おっしゃいますように、三十三年に新しく営農類型を作ったわけでございます。これは全国七類型に分けまして、北海道三類型、内地四類型というように類型別に分けまして、大体の所得につきましては、三十五万円程度の農家所得がある、そういうことで大体三十五万円程度の所得で営農ができる、農業だけで営農ができるような、生活ができるような農家を作っていこうじゃないかというような考え方からいたしまして、従来振興計画等におきましては、そこまでは考えておらぬわけであったのでございますが、新しい人につきましては、そういうような少し高い水準の所得を考えていくべきではなかろうかということで作ったわけでございます。従来と特に考え方を変えておりますのは、従来は穀菽農業が中心というような考え方でございました。食糧増産といいますか、そういうような考え方で、開拓営農が貫かれておったのでございます。今度の類型等におきましては、特に酪農の問題あるいは果樹等を組み合わせまして、そして、たとえば二十八年、九年ごろの冷害で相当穀菽農業の関係で被害がございましたが、そういうことからの被害も免かれ、また今後の日本の農業の発展といいますか、消費の傾向といいますか、そういう面から見まして、今言いましたような作物を中心として考えていくのが妥当じゃなかろかというようなことで、三十三年度から新しい営農類型というものを作りまして、新規に入る人全部にこれをやっているわけではございませんが、大部分、なるべくそういう類型を頭に置いて、新しく入る人については考えようというようなことで、まあ企業としての農業といいますか、そういうものが可能になるというようなことを実は考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/3
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004・北村暢
○北村暢君 ただいまの営農類型の内容については、当時の安田局長からも十分説明はお伺いして、内容的なことは大体わかっておるわけですが、これを三十三年度、相当な試験的な意味でモデル地区、北海道九十戸、内地百四十戸着手することになっておったようでございますが、これは実施されたのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/4
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005・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 営農類型につきまして、これはまあモデル的にやっていこうというようなことをやったのでございますが、三十三年度は二百三十戸ばかりやっております。北海道が三地区、内地六地区というようなことで、三十三年度は二百三十戸というものを試験的にやっております。営農資金等、内地でありますと五十万というようにふやしまして、なるべく入りました初年度からもう営農ができるようにというようなことで進めております。今申し上げましたような地区数、戸数でございます。三十四年度におきましてもやはりこれを継続しておりまして、戸数では三百二十七戸でございます。北海道が五地区、内地八地区というようなことで実はやっております。三十五年度につきましては、これは実は一般的に入植戸数も減りましたような関係で、二百戸足らずというように、若干新規入植の数が減りましたのに関連しまして若干数は減りましたが、なるべく考え方の基本としましては、基本営農類型というようなことを頭に置いて考えていきたいというように思っております。まあこのほかに、干拓地等でございますとか、その他水田地帯等入るものもございますが、私たちといたしましては、今申し上げましたようなことをなるべく中心にして考えていきたいというようなつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/5
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006・北村暢
○北村暢君 この営農類型の資金の内容は一体どんなふうになっているんでしょうか。実施した経過について、まあ標準型のどれか一つの例をとってで差しつかえございませんが、資金の内容についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/6
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007・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 一つの類型をとりましてでございますが、大体所得につきましては、先ほどのようなことをねらいとしておるわけでございます。それで開墾その他につきましては、今申し上げましたように、開墾は大体一年で終わってしまうというようなことで炎はやっておりまして、二年目からは、これは全耕地について作付をするというような形に実はなっております。
資金でございますが、国の補助金、これは建設費あるいは開墾作業費を含めてでございますが、大体四十万ぐらいのことでいたしております。それから開拓者資金融通特別会計からは五十万ないし五十五万というものを貸しまして、家畜でありますとか、農機具でありますとか、こういうものを買うという資金に充てております。従来は十八万程度でございますが、今回は五十五万というふうにいたしております。それからまあ携行資金を持ってきてくれということを実は言っております。これからの開拓者につきましては、携行資金を持って——これは物でもいいという考え方をとっておりますが、なるべくそういうものを持つなり、あるいは資金を持って入ってほしいということで、大体二十万程度のものを頭に置いて考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/7
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008・北村暢
○北村暢君 それで営農類型によって資金も違うわけでございますが、やはり相当な資金がかかるわけで、一つの例として畑作酪農経営、これに対して農地白書の資料によると二百十二万四千円、その内訳は、補助金が五十万、開拓者資金約五十万、残余の農林漁業資金が六十三万、自己携行資金が二十万、営農黒字二十五万を見込んでいる、こういうことのようなんですが、資金的に従来の実施した経過からいって、自己携行資金あるいはその他の資金というものが相当やはりかかるのじゃないかと思うのですが、資金面において十分これはいっておるのかどうか、従来実施した経験の中で一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/8
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009・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今おっしゃいました中で特に問題のございますのは、携行資金のことにつきましては、実は二十万というものは大きいのじゃないかというようなことを入る人から言われることがございます。そのほかの点につきましては、先ほど国の資金につきましては、従来十八万でありましたものが五十五万、これは申し上げた通りでございます。これらにつきましては年次計画に従いまして実は貸付をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/9
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010・北村暢
○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、モデル地区の新しく実施された営農類型について、実施された戸数、これは先ほど来答弁があったわけですが、これらはいずれも試験的な域を脱していないのじゃないかと思うのです。従って、新規入植者であっても、試験的な域を脱しないということになれば、これは試験の域を脱して新しい入植者に対して全般的に実施される意思があるのかないのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/10
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011・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今おっしゃいましたようにまだ始まりまして三十三、三十四年と二カ年でございます。二カ年の間は大体モデル的に地区を選んでやるということでございますが、将来は——先ほど申し上げました水田地帯等につきましては、この基本営農類型地区というものを水田経営については作っておりません。特に干拓地区でございますが、そういうことを別にいたしますれば、われわれの考えとしましては、将来なるべくといいますか、そのほかはこの基本営農類型という形を頭に置きまして、ほとんど全部をこれでやっていくというようなことが望ましいというふうに実は考えております。ただ今の段階でやっておりますことは、モデル的といいますか、全部が基本営農類型ということになっておりません。私どもとしましては、この振興計画等の問題の片づくのとにらみ合わせまして、新規のものにつきましては、この基本営農類型でやっていきたいというふうに割り切りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/11
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012・北村暢
○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、従来の開拓営農振興臨時措置法による施策というものは、負債の条件緩和その他二、三行なわれたのでありますけれども、実際は実情からすれば、従来の消極的な負債の条件緩和その他に終始して、積極的に不振開拓農家が経営の近代化なり、あるいはおくれている工事の促進をやる、あるいは積極的な経営資金を拡大する、こういうような面についての施策がなされておらない。従って、開拓営農振興臨時措置法の実施後、二年、三年たって、今日なお不振開拓農家の実情というものは解消しない段階にあるんじゃないか、このように思うのです。今回の開拓関係三法案の改正案によりましても、政府資金条件緩和その他が行なわれておりますけれども、これもまた消極的に政府資金の滞納の状態を一時緩和する程度にとどまっておる、こういう現状じゃないかと思うのです。従って、このような状態でいきますというと、約十四万の開拓農家のうちの七、八割というものが不振農家で、臨時措置法の施策をとって、なおかつ、これを脱し切れないでいる、こういう状態にあるわけなんですが、これをただいま説明のありました営農類型の実施、新規の開拓についてはこの営農類型の形で実施をしたい、こういうことのようでございますが、要は新しいものについてはそのようでけっこうでございますが、しかしながら、この開拓者の七、八割を占める不振農家、これをやはり資金面においてもこの営農類型に合致するようなところまで持っていかないというと、私は問題の解決にはならないじゃないか。この前も申し上げましたように、改善計画に、振興計画によりましても、その負債の整理等を見ましても、どうもこれだけでは開拓農家がりっぱに立ち直ってやっていけるというような形にはならないじゃないか、このように思うのです。なるほど、実は離村資金その他について拡大されておるようでありますけれども、まだまだ私はこれは問題の解消にはほど遠いのではないか、このように思うのです。従って、今出ておりますこの営農類型、所得約三十五万を目標に置いておるその営農類型それ自体も、私は改訂の段階に来ておるのではないかというふうに思うのですが、その開拓の営農類型と不振農家との差があまりにもはなはだしい。これはもう万人の認めるところなんです。従って、消極的な負債の条件緩和その他では、とうていこの不振農家が、今考えておる、これからできるであろう開拓農家とは非常に大きな差が出てくる。従って、開拓農家としてはこの営農類型を法定化するとか、あるいはその実施について何らかの方法を講じて、不振農家をこの営農類型に持っていくというようなことをやるべきである、こういう要望が非常に強く出ておるのであります。従って、これのためには、従来の開拓の何といいますか、不徹底であったものを徹底的にやらなければならない、こういう考え方が出ているのでありますが、何回かこれの施策をやったにかかわらず、今日なおこの不振農家というものは解消しない、こういう状態にあるわけなんです。従って、この新しい営農類型と不振農家との関係をどのように処理されようと考えておられるのか。とてもそういうところまでは持っていけないということで、これはあきらめてしまうのか、どうなのか。従来のこの政府のとっている態度を見るというと、私は何か消極的でもうあきらめに近い状態になっていると思います。このように思うのでありますが、この不振開拓農家を一体この営農類型との関連においてどのように持っていこうとしているのか。今度の三法案によってどの程度改善しようとしているのか。この点を一つ具体的に説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/12
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013・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 営農類型等の問題と過去に入りました人たちの問題、もう一つは、言いますればパイロット・フアームのような問題との関係もございます。それで今御質問になりました中で、まあこの法律は非常に消極的であまり営農安定に役立たぬじゃないか、これだけではだめじゃないかというお話でございますが、私どもとしましても、この法律だけで開拓の問題を片づけるという考えはございませんで、やはり先生のおっしゃいますように、建設工事をやりまして基盤を作って参りますとか、あるいは追加投資をいたしますとか、ということもまた一方ではこれは当然やっているわけでございます。それで両々相待ちまして今立てておりますところの振興計画を達成したいというのが、実はこの今度御審議願いました法案の趣旨でございます。それで基本営農類型との関係はどうかという御質問でございますが、これは実は基本類型と今まで入りました人との間では、配分しました面積等も違いがございます。また考えておりました従来の入っておりました人がやっておりました営農の形と今度の基本営農類型と、かなり違っております。その中間で振興計画というものを作りまして、これは基本営農類型より一年前でございますが、振興計画でもやはり地帯よりましては、先ほど申し上げましたように、単に米とか麦とか、あるいは雑穀というようなことだけでなくて、実は追加投資の中で大きな部分を占めておりますのは実は酪農関係等でございます。振興計画も、方向としましてはやはり基本営農類型のような考え方の振興計画を実は作っているところが多いわけでございます。それでその実績につきましては、先日、先生の御質問でお答えしたのでございますが、自作農資金がほとんど一〇〇%でございますが、それを除きますと、まだ五〇とか、あるいは三〇とかいうようなことで、やりました実績はまだ低うございます。それでわれわれとしましては、一足飛びに基本営農類型にいくということにいたしますと、これはまた相当な時間も要しますし、また前々問題になっております間引きといいますか、そういう意味の再配分の問題等も出て参りますし、また、かなり大がかりな開拓の方向転換といいますか——をやることが、どうしても手段としては出てくるんじゃなかろうか、そういうことをいたしますのは、われわれとしましては、今立てております振興計画でも、ある程度のこれは黒字の転換になるまで応援しようということで、せっかく今やっておりますので、その第一段階としましては、そういう振興計画を大体達成しまして、その上で基本営農類型のような考え方、あるいはまた開拓地の再配分、今後の開拓というような問題につきましては、財政投融資の面その他からいたしましてもかなり大きな問題を含んでおりますので、これは、実は審議会等でも議論していただく大きな問題だろうというふうに思っておりますが、われわれの基本的な態度としましては、まず振興計画の達成が第一段階じゃないかというような考え方で、今御審議願っておるような法案を実は作ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/13
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014・北村暢
○北村暢君 今の答弁で、振興計画に基づく資金の総量というのは一体どの程度になっておるか。それから、過去三年間実施してきたんですが、それに対して、資金がどれだけ出されて、どれだけ今日不足しておるのか、この点一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/14
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015・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 振興計画につきましては、実はこの前もちょっとお答えいたしたのでございますが、この振興計画を立てました中で、たとえば開拓者資金特別会計から貸してもらいたいというのは、当初百二十億ぐらいでございましたが、現在は百四十二億というようにふえております。また、農林漁業資金は、約九十億貸してほしいということになっております。それから自作農資金は五十一億、それから営農改善資金、これは天災資金の借りかえでございますが、約四十一億というような資金の要望がございます。建設工事は別にいたしまして、資金の要望はそういうことになっております。今申し上げました振興対策資金は、百四十二億ぐらいの要望でございますが、三十五年度まではおそらく六十二億、四四%ぐらいだろうという——これは三十四年の実績と三十五年の予算から考えまして大体六十二億ぐらいじゃないか。それから農林漁業資金、これは公庫資金でございますが、約九十億ということの要望でございますが、これが二十八億ぐらい、三〇%ぐらいじゃないか。自作農資金は五十一億という要望がございますが、これは三十五年度までに全部貸し出しを終わります。実は自作農資金につきましては、もう少し貸してほしいという要望がございますので、追加が出ればまた考えたいというように思っております。それから営農改善資金につきましては、これは四十一億の借りかえの要望がございますが、これもほとんど一〇〇%借りかえは終わるだろうというように見ております。
それで資金関係では、今申し上げましたように、自作農改善資金は、大体三十五年でほぼ計画に盛られた金額は出せますが、開拓者資金特別会計あるいは公庫資金につきましては、先ほど申し上げましたような率でございます。そのほかに、御承知の開墾作業でございますとか、あるいはその他土壌改良というようなもの、そのほかに建設工事というのがあるのでございますが、特に起こつておりますのは、開墾作業でございますとか、土壌改良というようなものにつきましては、まだおそらく三〇%台までいかぬのじゃないかというような見通しでございます。建設工事につきましては、大ざっぱに申し上げまして大体三十五年度で半分くらいというのが、今までの実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/15
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016・北村暢
○北村暢君 そうしますと、これは前回も聞いたのですけれども、今のような状況でこの振興計画が終了した後におけるこの開拓の営農不振の農家というのは、当初七割くらいあったのが、どのくらい減る目標でやっておられるのか。これは完全というふうには私は絶対にならないのじゃないかと思うのです。ですから全部が不振農家でなくなるということは望ましいことですけれども、そういうことにはこの計画が実施されてもならないというふうに私は思うのですが、どのくらいのところを目標に置いておるのですか。そのほかのいろいろな施策で、間引きをやるとかなんとか、そのほかの施策が考えられると思うのですけれども、今回の営農振興法によって、これの計画が実施最終年度において、一体不振農家がどのくらい解消するか、この目標を一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/16
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017・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 振興計画を作りました実は目標としましては、農家はそれで一つ黒字になって、拡大再生産をしていく転機をつかむまで、この振興計画でやっていくのだというような目標で、実はこれをやったわけでございます。それで理論的には、それについております建設工事でございますとか、あるいは資金計画が達成できますれば、一応の黒字に転換するというようなことに相なるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これは一応五年を目標にするというようなことで振興計画を作ったのでございますが、建設工事その他につきましては、実はこれはことしの予算をベースにして考えますと、まだ約五年くらいの残年量がございます。でありますので、当初考えましたように、立ててから五年間で全部計画が達成するということは、なかなか困難でございますので、そういう意味で黒字になっていくということには、もう少し長い期間が要るのではなかろうか。そういうことをやりますためには、先生おっしゃいましたように、振興計画には直接はございませんでしたが、たとえば間引きの問題等も、あるいは当然の施策として考える必要があるのでございましょうし、また当初予定しておりませんでした国の債権の条件の緩和、これも実は、振興計画にはそういう予定はなかったのでございますが、やはりそういうような施策もつけ加えまして、そうして振興計画を達成していくという考え方を実はとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/17
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018・北村暢
○北村暢君 どうもはっきりしないのですがね、この振興法というのは、開拓農民からいわせれば、実はこの振興法を唯一のたよりにしてきたわけです。ところが、それが実施されて実は案外なので、どうも先ほど来言うように、振興法が実施されても、なかなか振興しない。大体この振興計画に基づくその平均値といいますか、農家の所得というのは一体どの程度に見ておられるのか。開拓営農の営農類型によれば、平均して三五万程度の所得をみているようですが、この開拓営農振興臨時措置法というものを実施せられて、そうして黒字に転換をして、なおかっこの営農類型に向かって改善されていくという先ほどの説明のようですが、一体この黒字に転換をして所得、営農類型に匹敵する所得を得るまでということになると、これは開拓農家としては今後何年かかるかちょっとわからないのではないかと思うのですね。そういうような点について、一体振興計画による赤字を克服するその目標というのは、一体所得はどのくらいに見ておるのか、それに対して赤字がどのくらい出ておるのか、ここら辺のところを説明願いたい。どうも営農類型の考え方との間に非常に大きな隔たりがあるのだが、どのくらいの隔たりがあるのかはっきりしませんので、どの程度のことを考えているのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/18
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019・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 臨時措置法でやりましたときの対象農家でありますが、これは先生も御承知の通り、法律の施行規則で、ある一定の面積を掲げまして、そのくらいの面積があれば当然このくらいの粗収入があるだろう、それより以下の人につきましては一つ振興計画を立ててもらってそれ以上になるようにしようじゃないかというような前提で、たとえば配分面積が一町二反から二町の場合には粗収入として二十五万、いろいろ面積によりましてこれは収入を実は出しておるわけでございます。それに該当しない人につきまして、これは振興計画を立ててもらってそれ以上になってもらう。実はこのときには、上の所得はどこまで達成すればいいのだという意味の、たとえば基本営農類型で出しました所得が三十五万前後ということをはっきりこれは明定いたしておりません。この場合にやりましたのは、こういう大体の配分面積であれば、このくらいの粗収入にまだ達しない人を一つ対象にしようというようなことで、先生のおっしゃいました三十五万とか、そういう意味の農家所得については掲げておりません。それでぴっしゃりこの振興計画の所得と基本営農類型の所得と対照するようにはなっておりませんが、基本営農類型の所得の考え方につきましては、さっき申し上げましたように、黒字になっていけるところまでが振興計画で、それが将来の拡大再生産ができるという段階までの計画を立てようじゃないかというので一応の基準を省令で実は作ったわけでございます。それで先生のおっしゃいましたように、ぴっしゃり三十五万に対しまして振興計画自体の所得というものははっきり明定はいたしておりませんが、われわれが振興計画を考えます際にも、人によりましては、実は個々に作っておりますので、個々の振興計画を作っておりますので、基本営農類型的な所得を頭に置いて実は作っておるような人も中にございます。ございますが、一般的にいえば、先生のおっしゃいましたように、振興計画と基本営農類型との間には私は差があるというふうに、金額でぴっしゃりは申し上げかねますが、差があるということは認めざるを得ないと思います。それで臨時措置法でございますが、これもごらんになりますと、内容は天災資金の重圧で営農が不安定であったというようなことで、天災資金の借りかえというのが実は一番大きなこれは内容的な問題になっております。そのほかには、先生が今おっしゃいましたような振興計画を立てて助成していくという、柱にしますとこの二本でございますが、われわれとしましては、将来も既入植者につきましては振興計画だけやって、あと投げてしまうという意味では実は全然ございません。基本営農類型自身についても、今、先生から再検討の要があるじゃないかというお話がございましたが、私もそういう問題は当然出てくるだろうと思います。それで私どもの考え方としては、まず振興計画が達成するだけの財政投融資なり何かしてやるということが第一段階であって、その上で基本営農類型までいくのか、あるいはそれをまた考え直したところまでいくのか、あるいはある程度離農するのかというようなことにつきましては、一つ審議会等でよく議論してもらう必要があるのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、振興計画だけで終わるのだという考えは実は毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/19
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020・北村暢
○北村暢君 そこでお伺いしたいのですが、私は、この十四万の開拓農家は、既存の農家と違いまして、今後の新規入植はもちろん、営農類型に沿った経営規模を持っていくということを主眼にするのでありますけれども、この営農類型に類するような形で処理されておる開拓農家というのは非常に少ないのでありまして、圧倒的な部分が緊急開拓当時の、入植者の約七割から八割占める者がこの緊急開拓当時に入植した人です。従って、営農の規模その他においてもこれは非常に貧しいので、開拓農家の七、八割という者がそういうふうな形になっておる。しかしながら、開拓農家でありますから、当然これは既存の農家と違って専業農家として成り立つ規模を持つべきはずであった、大体が。そういうことだろうと思う。ところが、今営農振興計画によりましても、農地の面積により、あるいは土地の条件なりその他によってそれぞれの振興計画というものが非常にまちまちで、一定の目標というものを持っておらない。農外収入その他を含めて赤字を克服する、面積に応じた農業収入というもので黒字になればいいの、だという計画になっておるのです。そうしますと、どうしてもこれは、開拓農家としては他にたよるところのない、条件の悪い所に入っておるのですから、しかも九〇%以上が畑作である、こういう点からいって酪農なり畜産を取り入れなければならないということは、これはわかり切った事実なんですね。そういう点からいって、今度の振興法その他によっても、先ほど来いわれておる災害で資金を借りかえするとか何とかいう消極的手段にしかなっておらない。従って、今後の資金の拡大なり何なり、営農資金の拡大なりというものは、相当思い切った財政投融資をしなければならないと思うのです。そういうことですから、私はここで、基本問題調査会の検討もあるように、経済的に非常に成り立たない立地条件の所へ入っておるというような開拓農家なんかも相当あるわけですね。だれが見てもこれは成り立たないというような感じの所もたくさんあると思う。従って、そういうような点からいって、それを経済的に成り立つようなところまで持っていくということになれば、今までの開拓につぎ込んだ政府資金その他の資金についても、とても開拓農家が一本立ちできるような形になって今投資されていないじゃないか、離村資金その他の天災資金に切りかえたものについては百パーセントであるけれども、開拓営農振興資金についても四四%、公庫の金が三〇%という状態、こういうような状態では、やはり簡単には近いうちに振興するというような望みというものは非常に立たないんじゃないか。そこで、開拓農家に対して、この十四万の開拓農家を今後間引きその他もあるでしょうけれども、間引きは非常に試験的に今度やられようという考え方のようですが、根本的にはその審議会でこれからやるんだということのようでございますけれども、非常にこれは入った開拓農家にとっては、私は今後の望みというものを、希望というものを持たせるためには相当やはり思い切った施策が必要でないか、このように思うのです。従って、この審議会においてやるのでしょうけれども、今既存の農家ですら一定規模の自営農業にまで持っていこう、こういう考え方がすでに出ているような状況です。必ずしも私どもは賛成はいたしませんけれども、そういう考え方すら出てきておる段階で、この不振な五〇%というのは相当不振な開拓農家だと思います。これを今後財政投融資によってやっていこうというのでありますから、これは大へんなことだと思うのです。
それで、営農振興法によってこれだけで終わるんじゃないんだと、こういうふうにおっしゃられるのですが、もうすでに入植して十五年、十何年たって、大体において開拓者として一本立ちしなければならない状況、借りた政府資金その他についても据置き期間というものを経て、もう償還期間の時期に入ってきている。こういうような時期になっておるわけです。そういうようなことですから、これがまあ非常に大きな行政上の不十分であったということだけはもうはっきりしておるのですから、そういう中で、政府資金も回収率はきわめて悪くなって低下してきておる、こういうような状態の中で、今法律を改正してこれも借りかえるというようなことのようですけれども、従って、抜本的な開拓行政の変換をはからなければ、今の不振開拓農家というものは、簡単には改善されないんじゃないかというふうに思うのです。従って、今これだけでは、営農振興法の今度の改正だけで、またこの計画だけで事足りるとはしないと言うのですけれども、私はやはり開拓農家に希望を与える意味において、しからば一体どんな方途を今後考えようとするのかということですね。今度の振興法の改正点を見ましても、審議会を作ること、あるいは災害資金の一部たな上げすること、これしか出ていないのですから、積極的な振興の融資の措置なり何なり、こういうようなものについては出ておりません。従って、そういうような処置を一体いつこれをやられようとするのか、極端にいえば、開拓農家から言わせれば、今度の開拓営農振興法は抜本的に改正をするのでなければ、今回はもうこのまま継続審議なり廃案になってもいいんだ、これによって開拓農家は救われるような状態にはとてもならないんだ、従って抜本改正まで、この法案は流してもらっても、流れたからといって大した影響はないんだ、こういうようなことすら言っておるのです。そういうような点からして、伊東局長は今これだけに終わるんじゃないんだと言われておるのですが、しからば一体どんな措置をこの後に考えておるのか。これがないというと、開拓農家は、私は希望もなければ安心もしないのではないか、こう思うのです。従って相当資料も、調査もされ、何度か振興の措置というものを繰り返してきて、今日十何年立っておるのですから、そろそろやはり抜本的な改正がなされて、計画的な方向というものをはっきり打ち出す段階にある、こういうふうに思うのです。従ってこの点について、今後これで終わらないとするならば、一体いかような方法を考えようとしておるのか、この点を一つ御説明を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/20
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021・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今いろいろ御意見がございましたが、実は開拓者の中にもいろいろな意見があることは私らも承知いたしております。ただ、開拓の現状を見ましても、開拓者にいろいろな意見がありますように、実は私ども地方へ行って見ましても、同じ地区で道路一つ隔てて、もうこれは要振興農家にもならんでちゃんとしている開拓者もある。道路一つ隔てて実は全然だめだというような、自然的、経済的条件を同じにしながら全然右と左のような結果を示しているところも実は往々にして見るのでございます。それで私どもとしましては、今やっておりますことだけで十分とは申しませんが、開拓というものは全然望みがないんだというふうには実は解しておりません。で、所によりましてはそういうところもございますし、また既存の農家をリードしておるというところもございますので、事務当局としてはやはり明るい希望を持ってやろうじゃないかというような基本的な態度を持っておるわけでございます。先生のおっしゃいました中で、今度の改正には追加投資の問題とか、そういうものは何も出ておらぬじゃないかという御意見でございますが、これは実は予算的な措置、たとえば開拓者資金につきましては、約二十六億くらい貸しますし、自作農資金も十五億くらい貸す。また、建設工事もやっていくというような、法律ではございませんが、この振興計画達成のために国が援助するということをこの法律は規定しておるのでございますが、そういう意味の援助は、まあ十分とは申し上げかねますが、極力条件緩和等のほかに積極的な面としては取り上げていきたい、またいきつつあるということでございます。
将来の問題でございますが、私先ほど申し上げましたように、まず第一段階としましては、これは今せっかく立てて実施中の振興計画達成をすることが第一段階だということを申し上げたのでございますが、私も先生と一緒でございまして、今の振興計画達成をしたから、もうこれで開拓については手をつけなくても大丈夫ということは実は考えておらぬのでございますけれども、実は開拓の将来の問題とこれは関連して参るのでございますが、基本問題調査会等でもいろいろ議論されております。これは脱農の問題とかいろいろございますが、ある一定の希望を持たせて、農業だけである水準の生活ができるというふうなものを作っていくべきじゃないかというような思想が問題の中心になっておりますが、開拓につきましてもやはりその考えは私は同じだろうと思います。それで将来の問題につきましては、これは政務次官からも先日御答弁ありましたように、国土資源の開発、高度利用ということとあわせまして、既存の農家が一これは既存の農家といいますか、私はその場合には当然既入植の人も頭に入れて考えたらいいと思うのでございますが、既存の農家の間引きの問題も実はございます。間引きしまして残った人にある程度の経営規模の面積を与えるようにするということは、これは当然考えていくべき問題でございまして、その間引きの場合の方向として農業にいくか、農業以外に出ていくか、いろいろ問題があるわけでございますが、さらに農業の方面にいくという人につきましては、これはこれからの土地利用といいますか、土地の高度開発といいますか、そういうことを当然考えていくべきでございまして、その場合もこれは当然既存の、入りました開拓者等につきまして、そういうことは考えていくべきだというふうにわれわれは思っております。その場合の所得等の目標につきましては、あるいは営農の形態等につきましては、これは開拓地等の関係でおそらく畑地で酪農なり果樹なりというものが中心になっていくものと思うのでございますが、これは何も開拓と既存の農家と区別する必要はないのでございまして、やはり開拓農民につきましても既存の農家がねらっておりますような程度の水準の所得ということは、これは当然考えていくべきものだ、その際に今の振興計画だけでは足りぬ部分につきましては、先ほどから問題になっておりますような再配分の問題とか、そういうようなことが私は当然出てくるのだ、既入植者の問題につきましては、ですから既存の農家の人と一緒に頭に置きまして考えていくべきじゃなかろうか、ただ今までの経緯がございますので、従来通りといいますか、ある程度既存の農家よりも厚い保護をすることは当然でございます。将来のねらいとしましては、開拓といい、既存の農家といい、同じところをねらっていくというのが私は施策の方向としては当然でなかろうかというふうに考えますので、再配分、間引きの問題とか、あるいは場合によりましては離農——全然農業から離れるということもあると思うのでございますが、そういうこともなお考え合わせまして将来の問題としてやっていったらどうかというふうなことを今考えておりますし、そういう問題等につきましては、一つ審議会等でも三十六年度の予算ならば間に合うようなテンポで法案の御審議を願えれば、いろいろな議論をしてもらったらどうだろうという考え方でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/21
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022・北村暢
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、未墾地買収の成果ですね、未墾地買収の、三十四年度でも三十三年度でもようございますが、合計でわかっておられる点。それから、そのうち事業を完了し、あるいは実施中のもので、入植者に配分したものはどのくらいになっているか。それから、開拓財産として今どのくらい管理しているかについてお伺いしたい。
それからもう一つは、入植戸数と離農した戸数、三十二年度までで約二十万一千九百戸入植して、離農したものが五万五千三百戸ということになっておるようです。その場合、離農したものが負債というものを完全に処理していっているのかどうなのか。今回の特別法によっても組合の借金というものを、これを個人貸しの負債に切りかえる、こういうことにもなったようでございますが、とにもかくにも離農した人の取るに取れない焦げつきの負債というのは一体どのくらいあるのか。
それから開拓営農の非常に不振な原因の一つに、非常に大きな問題としてやはり開拓農協の不振問題があると思うのです。これは弱小組合が非常に多いので、専門の専従の書記すら置けない組合が非常にたくさんある。こういうような点からいって、今度の特別法による借りかえ措置をやる事務手続をするのでも、これは相当大へんなことになるというふうに思うのです。従って、この開拓農協の不振ということが開拓営農全体における不振の非常に大きな原因にもなっておる。こういうことは、これは前前から言われており、農林当局も十分知っているところだと思うのですが、この開拓農協の整備促進ということについて考えておられるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/22
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023・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 順序がいろいろになるかもしれませんが、離農者等の数につきましては、実はお手元に資料を差し上げてあると思うのでございますが……開拓地における離農者の状況及び債務の処理について、という資料をたしか差し上げてございます。あとでごらん願えればけっこうでございますが、二十万七千ぐらい入りまして、先生おっしゃいました、五万七千七百ぐらいが離農しております。二十五年までに入りました人が、たしかそのうちの九二%ぐらい離農を占めておりますので、離農者は、実は大部分は緊急開拓当時入りました人が離農しておるというような数字になっております。
それから離農者の債務の処理の問題でございますが、これも実はお手元に資料を差し上げてございます。国の債権につきましては、離農者に対する債権額は七億八千五百万というのが残っております。七億八千五百万残っておりまして、おそらくそのうち四千四百万ぐらいが返ってくるだろう、なお債務者が行方不明で全然わからぬというのが一億五千三百万というような実は数字で、国から貸しました金につきましてはそういう数字になっております。やり方は、国の金につきましては、大体承継入植等でありますればその人に払ってもらえますが、そうでない、どうしても払えぬ場合には和解という手続をとりまして、和解したあとで履行延期をするというようなやり方をとっております。そのほか、災害資金でございますと、これは中金から出ております系統資金でございますので、例の法律に損失補償がございます。現在までに二千六百万ばかり開拓者の離農者につきまして損失補償をやっております。
それから今度の問題でございますが、今度は個人債に切りかえるわけでございますが、たとえば過去の人で行方不明になっておるというような人がありますれば、これは第三者契約をいたしますので、相手がありませんので第三者契約ができませんので、組合の債務として残しておいて整理をするというようなやり方におそらくなるであろうというふうに考えております。行方不明以外のわかっておる人につきましては、その離農につきましては、先ほど申し上げましたように、和解という手続をとりまして償還の履行の延期をやっておるわけでございます。
それから開拓財産でございますが、実はこれもお手元にたしか昭和三十三年度末現在の開拓財産利用概況という資料を差し上げてあります。これをごらんになればけっこうでございますが、大体百五十万町足らず未墾地を買収をしてあるわけでございますが、そのうちで今現在国で管理しているまだ売り渡しの終わっておりませんものが約五十万七千町でございます。百五十万のうち五十万七千町はまだ売り渡しを終わっておらぬという面積でございます。これは国が管理いたしております。その中で開拓者に配分は済みまして、まだ売り渡しの手続が終わっておらぬというのが約四万四千五百町くらいございます。それではまたこれは資料でお配りいたしますが、まだ配っておらぬそうでございますので資料でお配りいたしますが、管理面積、国が持っておりまするのは五十万七千町、それから配分済みで売り渡しが終わっておりませんのは四万四千五百町歩でございます。でありまするので、残りはまだ未配分のものが四十六万三千くらいあるわけでございます。そのうちで大きいものを申し上げますと、計画を立てまして計画承認済みというのは十六万八千くらいでございます。また計画中というのが約六万一千、それから計画が全然立っておらぬというのが十万七千くらいございます。不用地と思われるのが約八万、道路とか水路になるというのが四万三千くらいというのを予想はいたしております。これにつきましては、資料で大体事務局別に数字がございますので、後刻お手元にお届けしたいと思います。問題の買収でございますが、ちょっと数字が動きましたならば、また後ほどいつかの機会に訂正させていただきたいと思いますが、やはり七、八千町歩くらいになっておるはずでございます。これは間違いましたら訂正させていただきます。
それから今度債務の個人引き受けをやりますので、開拓農協が今まで一括借りておりましたのが個人引き受けになる、引き受けをする個人と開拓農協というものが第三者契約を結びまして個人引き受けをするわけでございますが、その場合の手数料等の問題でございますが、これは組合には、実は単協へは償還額の二%が手数料としていくことになります。実はそのほかに事務費は特には考えておりませんが、開拓農協の整備ということにつきましては、実は今年の予算では全然事務員もおらぬような農協につきまして、合同事務所を一つ一県一つずつ全県にわたって作ろうというような予算を実は出しまして、先生御承知のように、もう職員のおらぬ開拓農協というものは約八〇%あります。事務所を単独で持っておるというのは一六%ぐらいしかありません。農協としまして実はおっしゃいます通り非常に貧弱でございます。それでこの農協の問題につきましては、実は総合農協との関係もございます。われわれ開拓者といろいろ議論をしましたときに、農協の問題につきましては、実はまあ本年度は一つ農協の整備ということよりも、入れものよりも中身といいますか、開拓者の個人々々の問題につきまして一つ手を打とうじゃないか、開拓農協の整備の問題は一つ近い将来にというような相談をしたこともあるのでございますが、私としましては開拓農協につきましては、これは一つやはり経済ベースで割り切りまして、経済的に開拓農協として門戸を張ってやっていくだけのまだ資格がないというものにつきましては、これは開拓農協に団体加入しますとか、また開拓農協と総合農協にダブって加入しておる人が六割前後たしかございますので、そういうふうにしてもっていくかなんとかしまして、これは経済的に成り立たぬような開拓農協につきましては、やはり割り切った考え方でもっていったら、処置したらどうか、総合農協との関係を割り切ったらどうかというようなことを考えておりまして、私どもとしましては、開拓農協をいつまでも開拓農協として整備育成していくということでなくて、そういう資格のあるものについては当然考えますが、それ以外のものにつきましては総合農協の関係を十分考慮しまして、そちらと密接な連携をとってやっていくということがいいのじゃなかろうかというような考え方を持っておりますが、これにつきましては三十六年度の予算等においてある程度の考え方を打ち出したいというような今つもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/23
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024・北村暢
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、買収した面積が百四十二万町歩、これは三十二年度末の資料そういうふうになっておるわけなんですが、それに対して耕地面積が増反分も合わせて四十三万五千町歩ということのようです。そうしますと、これは私は開拓地として買収したものと、耕地中のものももちろん含んでいるから三十二年度末でこういう数字が出ておるのかもしれませんが、それにしてもこの開拓地として買収した面積と、それから耕地として造成せられた面積との間に非常に大きな差があるわけです。これは私は開拓行政をやっていく上において、多額の国費を投下してやっていく上において非常に不可解に感ずる。農道あるいは薪炭林、採草地その他も含んでおられると思うのですけれども、それにしても百四十五、六万町歩の買収面積に対して耕地面積が四十三万町歩だ、こういうことになるというと、何かむだがあるような感じがしてならないのですが、この点は一体どのようになっておるか、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/24
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025・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今配分しました面積で道路とか、あるいは防風林でありますとか、薪炭林その他農用地等の詳細な数字は持っておりませんが、今先生が御指摘になりました開墾面積といいますか、耕地の開墾済みの面積のことだと思います。これは開墾予定地がその後若干ふえまして増反を入れまして四十七万ぐらいになっておりますが、これはまだ当然耕地となるべきもので開墾が進みませんで、まだ未墾地という、売り渡しはしましたけれども、残っておるものがございます。四十七万町歩というのは大体進度率からいいまして、耕地になるべきところの七〇%ぐらいの数字になっておりまして、今後まだ開墾をすべきところが相当あるわけでございます。御指摘のように当地に行ってみますと、土地はもらったけれども労力が不足だ。たとえば五町売ってもらったが、二町ぐらい開墾するともう営農で手一ぱいになって、あとの二町なり三町が開墾できぬで残っておるというのが実はかなりございます。先生のおっしゃいましたのは、差の大きいものは実はそういうものがございます。現在で約四十七万ぐらいの開墾済みということになっておりますが、あとは配分をしましても開墾が済んでおらぬと、そのほかは先生のおっしゃった道路とか水路でありますとか、あるいは防風林とか薪炭林というようなものがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/25
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026・北村暢
○北村暢君 それにしても百四十何万町歩——百五十万町歩に近いものに対して七割完成したとしても、七割で四十何万町歩、こういうようなことでもちょっと開きがあり過ぎるようで、農道、その他の宅地その他はあれでしょうけれども、そういうものを敷設しても営農類型の状態を見ましても、耕地とその他の薪炭、採草地と約半々程度であるというふうになっておるようですが、大体開拓面積について、耕地と耕地でない土地と二月の配分においてどの程度になればいいのか。またどのくらいこの農道だの何だのが必要なのか。これは大体基準があるのではないかというふうに思うのですけれども、百五十万町歩にして五十万、三分の一しか耕地にならない。これでは何かこの開拓の成果といいますか、そういう面からいって何か計画上にそごがあるんじゃないかというふうな感じがするのです。これはまあ数字的に見て、私はそういうふうに三分の一くらいしか耕地ができないものなのかどうなのか、ここら辺がちょっと疑問に思いますのでお伺いしておるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/26
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027・伊東正義
○政府委員(伊東正義君) 今申し上げました中で、百五十万の中で実はまだ全然国が持っておりますのは五十万あるわけです。これは配分いたしておりませんで、配分しました対象というのは大体百万——大ざっぱな話でございますが、百万くらいでございます。そのうちで耕地になりましたのが約四十七万一千ということを先ほど申し上げたわけでございます。それが開墾の進度からいいますと約七〇%ぐらいでございますので、大体百万やりまして、今までの計画でございますが、耕地になるだろうというところは七十万町歩ないし百万町歩ぐらいがそうなるというような計画でございます。ですから先生おっしゃいましたように、百五十万で三分の一かというお話でございますが、五十万というものは先ほど申し上げましたようにまだ全然配分いたしておりませんので、その点の違いはあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/27
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028・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 午前はこの程度にいたしまして、午後は一時三十分から再開をいたします。
それでは休憩いたします。
午後、零時十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X02819600426/28
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