1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月十六日(木曜日)
午後一時四十八分開会
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委員の異動
六月十日委員松村秀逸君辞任につき、
その補欠として櫻井志郎君を議長にお
いて指名した。
本日委員、青田源太郎君及び植垣弥一
郎君辞任につき、その補欠として谷村
貞治君及び最上英子君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 堀本 宜実君
理事
櫻井 志郎君
仲原 善一君
委員
秋山俊一郎君
石谷 憲男君
岡村文四郎君
重政 庸徳君
田中 啓一君
田中 茂穂君
高橋 衛君
藤野 繁雄君
最上 英子君
谷村 貞治君
政府委員
農林政務次官 大野 市郎君
農林省農林経済
局長 坂村 吉正君
水産庁次長 高橋 泰彦君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農地局建
設部災害復旧課
長 中村 武夫君
林野庁指導部治
山課長 若江 則忠君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○天災による被害農林漁業者等に対す
る資金の融通に関する暫定措置法の
一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○昭和三十五年五月のチリ地震津波に
よる災害を受けた水産業施設の災害
復旧事業に関する特別措置法案(内
閣送付、予備審査)
○昭和三十五年五月のチリ地震津波に
よる災害を受けた漁村における漁民
の共同利用に供する特定の漁業施設
の設置に関する特別措置法案(内閣
送付、予備審査)
○昭和三十五年五月のチリ地震津波に
よる災害を受けた漁業者の共同利用
に供する小型の漁船の建造に関する
特別措置法案(内閣送付、予備審
査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/0
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001・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
六月十日松村秀逸君が辞任、その補欠として櫻井志郎君が選任されました。また、本日青田源太郎君、植垣弥一郎君が辞任、その補欠として谷村貞治君、最上英子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/1
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002・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) この際、お諮りをいたします。
委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、理事の補欠万選を行なうことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/2
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003・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。ついては、互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長から指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/3
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004・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 異議ないと認めます。よって委員長は、理事に櫻井志郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/4
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005・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(閣法第一四五号)、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法案(閣法第一四六号)、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案(閣法第一四七号)及び昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案(閣法第一四八号)、以上四件の予備審査の法案を一括議題といたします。
まず、四案について順次提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/5
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006・大野市郎
○政府委員(大野市郎君) ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案の提案理由をまず御説明申し上げます。
この改正法律案の内容は、本年五月のチリ地震津波により特に著しい被害を受けました一定区域内の被害漁業者に対して貸し付けられる経営資金について、貸付限度額の特例を設けるものであります。
すなわち、真珠又はカキの養殖に必要な資金として貸し付けられる場合は五十万円、その他の漁業経営に必要な資金として貸し付けられる場合は二十万円と、通常の貸付限度額の十五万円に比べそれぞれ大幅に貸付限度額を引き上げ、もってチリ地震津波による被害漁業者に対する資金の融通に遺憾のないようにいたしたいと存ずるのであります。
以上がこの法律案を提案いたす理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に、チリ地震津波による水産関係災害の復旧等の助成に関する特別措置に関する三法案の提案説明を申し上げます。
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧に関する特別措置法案及び昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村において漁民の丘同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案について、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
最初に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案について御説明いたします。
今回のチリ地震津波災害により沿岸漁業者の所有する小型漁船で被害を受けたものは六千隻に達し、しかも、その被害は地域的に集中して発生しているのでありますが、これら被害沿岸漁業者の多くは経営規模の零細な漁家でありまして、漁船は最も重要な生産手段であり、これが被害は、漁家の経営と生活に対する甚大な打撃となるのであります。従って、被害沿岸漁業者の漁業経営及び生活を維持するためには、災害を受けたこれら小型漁船の早急な復旧をはかることが先決でありますが、これら沿岸漁業者の作業能力は低く、自力による回復はきわめて困難な実情にありますので、これに対する応急措置として、組合員の所有経営にかかわる小型漁船の被害の大きい漁業協同組合に対し、国及び都道府県が特別の助成措置を講じ、被害を受けた沿岸漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造を行なわせることが、必要かつ適当な措置と考えられるのであります。
このため、チリ地震津波災害による小型漁船の被害が著しい都道府県を対象とし、これらの都道府県において組合員の所有経営にかかわる小型漁船の被害の著しい漁業協同組合が、チリ地震津波災害によりその所有経営にかかわる小型漁船について沈没、滅失その他著しい損害を受けた組合員の共同利用に供するために小型の漁船を建造する場合において、その建造に要する経費の三分の二を都道府県が補助する場合、国は予算の範囲内で、この都道府県の補助額の二分の一を補助することができることとした次第であります。なお、小型漁船の建造及びその利用の方法につきましては、漁村の実態に即して弾力ある運用を期することといたしておることを申し添えます。
次に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法案について御説明いたします。
今次津波災害におきましては、水産関係の共同利用施設、すなわち共同加工場、冷蔵庫、倉庫等のこうむった損害も相当大きいものがあるのでありますが、これらの共同利用施設は、漁業者の漁獲物の円滑な処理を行ない魚価の維持に貢献する等、漁業経営上欠くべからざる施設でありますから、漁業者の個人施設と同様、その迅速な復旧をはかる必要があることは申すまでもありません。
水産業協同組合の所有する共同利用施設の災害復旧につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によりまして、一カ所十万円以上の復旧事業費につき十分の二の国庫補助を行なうことになっておりますが、今回は、災害の実情にかんがみ、その特例を設けて、被害激甚地域に対する補助率を十分の九に、その他の地域に対する補助率を十分の五に引き上げるとともに、被害激甚地域における補助対象事業費を一カ所三万円に引き下げる措置を講ずることとした次第であります。
さらに、この法律案におきましては、水産動植物の養殖施設に対する助成措置を定めております。今次津波災害においては、水産関係個人施設の被害が大きかったのでありますが、特に、カキ、真珠等の水産物養殖施設については、昨年以来再度の災害を受けた漁業者も多く、その打撃は深刻なものがあるのであります。このため政府といたしましては、被害の大きかった地域における、カキ、真珠及び真珠貝の養殖施設の災害復旧事業に対しましては、被害の程度に応じ予算の範囲内において十分の九以内の国庫補助の措置を講じ、これら養殖業のすみやかな回復を期することとした次第であります。
最後に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村において漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案について御説明申し上げます。
今回のチリ地震津波による災害の特色は、北海道及び三陸方面の沿岸漁村部落で集中的な打撃を受け、漁民の住宅や漁船、漁具、養殖施設等の個人漁業施設の大半を喪失したものが多数に及ぶことでありまして、これら漁村部落の漁民は、当面の生活資金にも事欠く現状にあるのであります。従いまして、これら被害激甚漁村部落につきましては、網組、のり組、生産組合等の漁民集団により、それぞれその地域に適した漁業を応急的に実施させ、または必要な共同利用施設を建設させることによりその迅速な立ち上がりをはかることが何よりも必要と考えられますので、漁民の漁業施設、住宅等の被害の大きい部落の区域をその地区内に含む漁業協同組合が、これら部落の漁民の共同利用に供する水産養殖施設、網漁具、その他の共同利用施設を設置するのに要する経費につき、都道府県が当該漁業協同組合に対し、二分の一を下らない率による補助をする場合には、国は予算の範囲内において、当該都道府県に対し、二分の一の補助をすることができることとした次第であります。
チリ地震津波による水産関係の災害復旧等の助成に関する三つの特別措置法案の内容はおおむね以上の通りであります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/6
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007・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 次に、四案につき順次補足説明を求めます。なお、政令事項の内容及び予算関係についても説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/7
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008・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) それでは天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案につきましての補足説明をいたしたいと思います。
すでに御承知のように、今度のチリ地震津波の被害に対しましては、非常に激甚でありまするので、天災融資法の発動を予定をいたしまして、災害直後、農林省といたしましては、各中金その他の金融機関を通じましてつなぎ融資をするようにということで、そういうつなぎ融資を促進するための通牒を出してそういう措置をとって参りましたのでございます。そこで、現行法におきまして、先般の六月八日でございますが、今度の津波による被害農林漁業者に対する天災融資法を適用することができるとりあえずの措置といたしまして、現行法のままで天災融資法を適用するということの決定をいたしまして、六月八日の政令でこれを公布いたしました。融資の総額は、各県の実情調査の資料によりまして、二十三億円ということで政令を公布いたしましたわけでございます。しかしながら、被害の実態を見ますと、非常に深刻な被害がだいぶ多いのでありまして、特に水産関係につきましてその被害の程度が大きいのでございまして、これは現行法のままでは融資の措置が十分でないというふうに判断をいたしまして、この天災融資法の改正をいたしまして、そうして必要なる措置をとることが必要であるというふうに考えましたわけでございます。そういうことでこの天災融資法の改正をお願いいたしたわけでございます。
この内容は、先ほど政務次官の提案理由の御説明にありましたように、主体は、資金の貸付ワクの限度を引き上げるという内容でございまして、その中でも特に漁業者が一番被害が激甚でございまして、その他の部門におきましては、特に法律を改正いたしまして限度アップをするというほどのこともないではないかというふうな判断でございまして、漁業者につきまして、前の伊勢湾台風の際に行ないましたと同じ程度の救済措置を考えまして、同じ程度に限度アップをするということをお願いを申し上げておるわけでございます。今までは漁業者についての経営資金については、最高十五万円、その他の資金についても十五万円でございましたけれども、今回の改正におきましては、経営資金については、これを二十万円、真珠及びカキの養殖に必要な資金として貸し付けられる資金については五十万円、こういうことで伊勢湾の場合と同じような措置をとりたいというふうに考えておりますわけでございます。
この天災融資法といいますのは、御承知のように被害を受けました農林漁業者に対しまして系統金融機関あるいはその他の金融機関から融資をいたしまして、それに対しまして政府それから県、市町村という三段階で、三つの機関がおのおのその損失補償、それから利子補給ということをやりまして金利を下げていくという性質のものでございます。そこで、この法律によりまして一般の被害農林漁業者、それから特別被害農林漁業者、こういう二つの区分がございます。一般の被害農林漁業者につきましては、金利は六分五厘、それから特別被害農林漁業者については三分五厘、こういう金利にいたしておりますわけでございます。そのほか、さらに伊勢湾の場合におきましても、特に被害の激甚な県を政令で指定をいたしまして、その県に対しまして、伊勢湾の場合にも特例法を適用いたしたわけでございますが、この場合におきましても、今回も伊勢湾の場合と同じように、被害の激甚な県を政令で指定をいたしまして、その県につきましてこの特例法を適用したいというふうに考えておりますわけでございます。その政令で指定をしたいというふうに考えております県は、大体農業関係では岩手、宮城、それから三重、徳島という四県でございまして、それから漁業関係では北海道、青森、岩手、宮城、静岡、三重、和歌山、徳島、愛媛それから高知——今申しました県は特別被害地域を指定をいたしまして、特別被害農業者といたしまして三分五厘の金融をやるということもできる県でございます。それからこの特例法を適用しようと思って現在考えております県は、北海道、青森、岩手、宮城、静岡、三重、和歌山、徳島、愛媛及び高知、一道九県でございます。
大体そういうことで運用をいたしていきたいというふうに考えておりますわけでございます。どうぞよろしく御審議をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/8
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009・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) それでは最初に小型漁船の建造に関する特別措置法についての御説明と、それに伴いまする特別措置法の施行令要綱、これについて補足的に御説明申し上げます。
まず、全体の趣旨につきましては、ただいま政務次官より御説明した通りでございまするが、この小型漁船の建造に関する措置法の第一項におきまして、まず、小型漁船の被害が著しい都道府県で、政令で定める府県についてこの法律が適用されるわけでございますが、その点が政令要綱の一のところで書いてありますように、「法第一項の政令で定める都道府県は、次の二つの要件のすべてをみたす都道府県とする」というふうに考えております。その第一は、「その都道府県の区域内に住所を有する漁業者の小型漁船でチリ地震津波による著しい被害を受けたものの合計隻数が百隻をこえること。」、第二の要件は、「その都道府県の区域内の漁業協同組合の総数に対する小型漁船に被害のあった漁業協同組合の数の割合が百分の十をこえること。」、これが府県が指定される要件でございます。この要件は過般行ないました伊勢湾台風の際にとりました要件と同じでございます。次は、この法律の第一項の後段で書いてありまする点は、要するに国が三分の一を補助し、都道府県が三分の一を補助するという趣旨でございます。
第二項におきましては、さらに、以上の都道府県の要件のほかに、漁業協同組合の要件を政令で定めるというふうに書いてありまするが、その要件と申しまするのは、この要綱案の二で書いてありますように、「法第二項の政令で定める要件は、その組合員の小型漁船でチリ地震津波災害により沈没、滅失その他著しい被害を受けたものの合計隻数が十隻をこえるか、又はその組合員の小型漁船の総隻数に対する被害小型漁船の合計隻数の割合が百分の二十をこえるかのいずれかとするものとする」と、こうございます。この漁業協同組合の要件は、過般の伊勢湾台風の際にとりましたときには、十隻というところが二十五隻、それから百分の二十というところが百分の四十という規定になっておったのでございまするが、今般の災害の実態にかんがみまして、その要件を引き下げまして、ここで書いてありまするような要件といたすわけでございます。
それからさらに、この法律案で出て参りまする小型漁船は、政令でその範囲を定めるというふうに書いてありまするので、その点もその要綱の三の小型漁船の範囲として「法第二項の政令で定める小型漁船は、無動力漁船及び、総トン数五トン未満の動力漁船」ということにいたしております。
それからさらに、法案の方の沈没、滅失その他政令で定めるそういう著しい被害という被害の範囲の問題でございますが、これは「法第二項の政令で定める著しい被害は、修繕することができないか、又は著しく困難な程度の損壊とする」というふうに伊勢湾と同じようにいたすこととしております。で、法案の最後に「政令で定めるところにより小型の漁船を建造するために要する経費をいうものとする。」と、こうございますが、その「政令で」と申しまするのは、五の小型漁船の建造の要件に書いてありまするように、「法第一項の国の補助に係る共同利用小型漁船建造費は、二の要件に該当する漁業協同組合が、被害小型漁船に係る組合員の共同利用に供するため、当該漁業協同組合に係る被害小型漁船の合計隻数及び合計総トン数の範囲内の合計隻数及び合計総トン数の小型の漁船を建造するのに要する経費に限るものとする。」とございます。これは伊勢湾台風の際にとりました措置は、これは御存じのように、被害を受けた漁船の三隻に対しまして一隻だけを国が八割補助をするというような趣旨で組み立てられておりまして、従いまして、組合は三隻のうちの一隻を所有して組合員の共同利用に供するというのが伊勢湾台風の際の措置であったわけでございまするが、この点につきましては、その後の実態及び今次の災害の実態からいたしまして、三隻——一隻ということは固執いたしませず、原則として一対一の割合で復旧させるというふうに切りかえたわけでございます。この点が伊勢湾の際にとりました措置と今回の措置とかなり基本的に変わった点かと考えられている次第でございます。
次は、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法案と、その政令について御説明申し上げます。
この法律の第一条は、これは今回の津波の災害を受けた水産業協同組合の所有する共同利用施設に関する特別措置でありまして、この考え方につきましては、伊勢湾の際にとりました措置と同様でございます。
第二条でございまするが、第二条の、まず目的とする「水産動植物の養殖施設で政令で定めるもの」、こうございまするが、これにつきましては、お手元に配付いたしました施行令案要綱というものの第二に書いてありますように、「法第二条の政令で定める水産動植物の養殖施設は、かき、真珠又は真珠貝の養殖いかだ」というふうに考えております。なお、この養殖施設に対しまして助成措置を講ずる地域の問題でございまするが、これは政令の第三の地域指定というところに書いてありますように、「法第二条の政令で定める被害激甚地域は、かきの養殖いかだに係るものにあっては第一号、真珠又は真珠貝の養殖いかだに係るものにあっては第二号に掲げる区域とする」というふうにしておりまして、まず、カキの養殖の用に供せられていた養殖いかだで、今回のチリ津波による災害を受けたものの数が、災害の発生の際に、その市町村の地先水面でカキの養殖の用に供せられていた養殖いかだの数の百分の二十をこえる市町村の地先水面の区域というふうに規定しております。それから、なお真珠及び真珠貝につきましては、同様にやはり百分の二十ということを基準にいたしておるわけでございます。で、この基準それ自体の考え方につきましては、伊勢湾台風の際と同じでございます。それから法案の方に「事業費につき十分の九の範囲内で政令で定める率を下らない率による補助をする場合には、」云々というふうに書いてございまするが、この補助率の問題につきましては、要綱の第四に、「かきの養殖いかだに係る法第二条の政令で定める率は、漁業者ごとに、次の各号に掲げる災害復旧事業費の区分に従い、それぞれ当該各号に掲げる率と下るものとする。」「一、災害復旧事業の事業費(以下「災害復旧事業費」という。)のうち六台以下の台数の養殖いかだに係る部分については、十分の九。」、それから「二、災害復旧事業費のうち前号に掲げる部分以外の部分については十分の五」とし」、「累年被害者の十台以下のものに限る」、こういうふうにいたしております。で、この文の考え方でございまするが、大体カキの養殖いかだにつきましては、最初の被害地域につきましては、伊勢湾と同様の措置、すなわち六台以下の台数のいかだにつきまして十分の九ということにいたしまして、累年の災害を受けた地帯につきましては、十台以下のものに限りまして七台から十台の間のところが十分の五というふうにしたわけでございます。次は真珠の問題でございますが、「真珠又は真珠貝の養殖いかだに係る法第二条の政令で定める率は、漁業者ごとに、次の各号に掲げる災害復旧事業費の区分に従い、それぞれ当該各号に掲げる率とするもの」といたしております。そして「使用いかだ台数十台以下の新規被害者及び使用いかだ台数百台以下の累年被害者に限る。」ということでございます。そして「災害復旧事業費のうち十台以下の台数の養殖いかだに係る部分については十分の九」、それから「災害復旧事業費のうち前号に掲げる部分以外の部分については十分の五」、すなわち「累年被害者の三十台以下のものに限る」というふうにいたす所存でございます。これはちょっとおわかりにくいかと存じますが、要するに、最初に被害を受けました地域につきましては、伊勢湾と同様の措置をとりますが、累年災害につきましては、伊勢湾のワクを上回る措置をとりたい。でその部分につきましては、十分の五の補助率で措置いたしたいということでございます。その際の上限は、この最後に書いてありまするように、累年被害者の三十台以下のものに限ってやりたい、こういうことでございます。従いまして、要約いたしますと、使用するいかだ台数の百台以下のものに限りまして、累年の場合に十分の五の補助率で助成をする、こういう趣旨でございます。
次は、法案の昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案並びにそれに関する施行令案の要綱案について御説明申し上げます。
この法律は、従来になかった措置でございまして、従前は、狩野川台風その他の場合におきましては、予算措置をもって措置して参ったのでありまするが、今回は特に法律を作りましてこれに対応していくという考え方でございまして、考え方のポイントは、先ほど政務次官より説明した通りでございます。
まず、法案におきましてこの措置の対象になりまする部落でございまするが、法律案におきましては、「漁民の漁業施設、住宅等の被害の大きい部落で政令で定めるもの(以下「特別被害漁村」という。)」、こういうことでございまするが、まずこの地域が指定されまして、そしてその「全部又は一部をその地区内に含む漁業協同組合」が、以下御説明いたしまするように、事業をいたすわけでございまして、それに対して二分の一の補助をすると、こういう考え方になっております。従いまして、まず第一に、地域指定の問題でございますが、これは要綱案に書いてありまするように、「昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法第一項の政令で定める部落は、第一号及び第三号の要件又は第二号及び第三号の要件をみたすものとして都道府県知事が農林大臣の承認を受けて指定する部落とするもの」といたします。「ただし、第一号又は第二号の要件については、当該部落の網漁業又はのり養殖業に対する依存度が相当高い場合に限る。」というふうに考えられております。で、その問題の第一号、二号、三号でございますが、それにつきましては、一号として、「その部落の区域内に住所を有する漁民又はその団体が法第一項の災害の発生の際に所有していた小型定置網等の網漁具に対する当該網漁具で当該災害を受けたものの割合が、一定の比率をこえること。」、従いまして、この趣旨は、小型定置網等の網漁具が相当程度の被害を受けた部落と、このように考えられるわけでございます。第二号としては、「前号の漁民又は団体が法第一項の災害の発生の際に所有していたのり養殖施設に対する当該のり養殖施設で当該災害を受けたものの割合が、一定の比率をこえること。」ということでございますが、これはノリ地帯におきましては、ノリの養殖施設の被害の度合いで部落を指定していくと、こういう考え方でございます。で、次の第三号といたしましては、これはいずれの場合にも適用される規定でございますが、まず、「その部落の区域内にある第一号の漁民の住宅の総数に対する当該住宅で当該災害を受けたものの合計数の割合が、一定の比率をこえること。」ということでございますから、この趣旨は、部落の漁民の住宅が相当程度以上の被害を受けておる場合ということでございます。この第一号、第二号、第三号がそれぞれ第一号及び第三号、第二号及び第三号、これのいずれかの要件を満たすことによりまして部落を指定する、こういう考え方でございます。
以上で部落がほぼわかるわけでありまするが、次に、どのような特定漁業の施設設置をするかということでございまするが、この点は法律の第二項で、「組合員の共同利用に供するための漁業施設(網漁具を含む。)で政令で定めるもの」、こうございまするが、それにつきましては、要綱案の第二、漁業施設の範囲ということで、「法第二項の政令で定める漁業施設は、水産物干場、加工施設その他の共同利用施設、のり等の養殖施設及び小型定置網等の網漁具」というように考えております。で、このやり方でございまするが、ただいま考えている範囲では、このような漁業施設の利用方法を考えておるわけですが、これは被害激甚漁村部落におきまして漁業生産組合、網組ないしノリ組といったような漁民の集団に対しまして、漁業協同組合がこれらの施設を、二分の一の補助を受けたこれらの施設を貸し付け、応急的にこれらの漁業の復旧を促進するというふうに考えておるわけでございます。
以上がこの特定の漁業施設の設置に関する特別措置法施行令並びに本法の概略の説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/9
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010・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ただいま説明を求めました四案について一括質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/10
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011・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この小型漁船の復旧に対する予算は大体どの程度に考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/11
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012・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) ただいま大蔵省と折衝中でございまして、まだ最終点に決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/12
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013・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 ごく大ざっぱでいいんですが、この法律案でどれくらいの船が建造されることになるか、大よその程度でいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/13
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014・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) まだ確定的な数字ではございませんが、まず、被害隻数をきめる場合に該当する府県が問題なわけでございますが、ただいまの手持ちの資料で、かりに検討しておる段階としては、該当する府県といたしましては、北海道、青森、岩手、宮城及び和歌山の五県がこれに該当するのではないかというふうに考えられております。従いまして、もしそうだといたしますと、おおむねのこの補助の対象となる漁船は約二千九百隻以下ではないかというふうに考えております。従いまして、そういう想定のもとに計算いたしますと、予算総額はおおむね五千万台ではないかというふうに、ただいまのところ計算して、大蔵省と折衝いたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/14
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015・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この補助につきましては、大体三分の二が補助されると、そうするとあと三分の一はそれぞれ組合で調達しなければならぬが、これらに対する資金は何か特別に金利の安いもので金融するような、融通するようなことになりますか、それともそれはもう勝手に自分でやる、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/15
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016・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) この小型漁船につきまする補助の融資についてどのように考えておるかという御質問でございますが、これは自己負担部分につきましては、漁業協同組合の事業といたしまして、農林漁業金融公庫の融資を期待しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/16
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017・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 その融資される資金につきましての償還期限だとか、あるいは利息だとかいうようなものは、普通の金融と同じに扱うのですか。何かこれに対して金利を安くするとか、あるいは償還期限を相当長く見るとかいうようなことは特別に今回は措置しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/17
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018・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) 農林漁業金融公庫の方の融資につきましては、この場合には漁業協同組合が建造いたしまして、共同利用施設といたしまして貸し付けることになるわけでございますが、これは普通の場合には七分五厘でございますけれども、災害の場合には金利を下げまして七分の金利で貸し付ける、こういうことに相なっております。それから償還期限は十五年でございまして、据え置き期間は二年、こういうことでございます。償還期限は十五年以内でございます。据え置き期間も二年以内でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/18
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019・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 おおむねどれくらい考えておりますか。据え置きじゃない、償還期限を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/19
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020・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) この範囲内で、公庫が実態に応じましていろいろ貸付の具体的な場合に相談していく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/20
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021・仲原善一
○仲原善一君 天災融資法の改正の方の問題と関連した話ですが、旧債があって、それが焦げついてなかなか払えない、そういう問題が組合によってはだいぶあると思いますけれども、そういうものと今度の災害の場合と全く切り離して、そのワクの通りに二十万なり五十万出ることになるのかどうかですね、それは旧債がうまく整理されていない、滞納なり延納なりになっているところについてもこれは適用できるのかどうか、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/21
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022・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) 現実問題といたしまして、天災融資法の金が出ますのは組合から出るわけでございますので、従来の旧債等についても、その旧債がある場合どうするかという問題がいろいろあると思うのです。ただ実際問題といたしまして、天災融資法の場合には、市町村、県、あるいは国というようなところで損失補償をやっております。ですから、そのために災害を受けた農林漁業者が、これは組合におきまして、最終的には損失になるのじゃないかというようなものについても、これは私思い切って貸せるように、こういうような趣旨で損失補償をやっているわけでございますが、また、そういう問題を起こさないように、できるだけ旧債等のことや何かについて、実際困っている者に貸せないというようなことが起こりませんように私たち指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/22
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023・仲原善一
○仲原善一君 先ほどの御説明で、何か二十三億ばかりというような計算をしておられましたけれども、この金融のワクは従来のワクの中でおやりになるのか、あるいはそれを特別に今回ふやして、資金ワクをそれだけふやすのか、その点はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/23
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024・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) 先ほど説明のところでちょっと落としまして申しわけございませんでしたが、現行法で六月の八日に適用、発動いたしました場合が二十三億の総ワクでございまして、今度限度アップをいたしまして法律改正をお願いいたしました場合には、三十億にいたそうというように考えております。大体三十億で現在の調査の状況ではまかなえるのじゃあるまいかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/24
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025・仲原善一
○仲原善一君 それから水産庁次長にお伺いしたいのですけれども、伊勢湾台風の場合と、今回のチリ地震津波の場合と比較して、今回有利になった部分だけをちょっと、大よそでいいですけれども、どの点だけが有利になったか、ちょっとお知らせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/25
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026・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) 私どもの、きょう御審議願いましたのは三つの法案についてでございますが、まず、小型漁船につきましては、従来三隻に対して一そうの割合で復旧の措置をいたしたのでございまするが、今回はそのことを条件とせず、原則として一対一の割合で助成をするという点は、いろいろ考え方もあろうかと存じまするが、実際問題としては漁業者には便利になったのではあるまいかというふうに考えられております。
それから補助率の問題でございますが、伊勢湾の場合には三隻に対して八割でございまするから一隻当たり二割六分六厘何がしになろうかと思いますが、その点につきましては、国を三分の一とし、なお知事の補助を三分の一、合計三分の二にいたしておりまするので、実質的な漁業者の負担は残りの三分の一ということになっておりまするので、見かけの補助率の問題ではなくて、個々の漁業者にとっての自己負担部分ははるかに低い率となっているというふうに考えられる次第でございます。
それからこの暫定措置法関係の養殖いかだについてでございまするが、伊勢湾におきましては、真珠は原則として十台以下のいかだについての九割補助だけでございましたが、今回は累年災害につきましては、百台未満の経営体につきまして三十台までのところは五割を補助をするということでございまするから、従いましてこの再度災害を受けた特に三重県等の地帯におきましては従来よりも範囲の広いいかだにつきまして助成金が交付される、こういうことにしております。同じようにカキにおきましても、初めての災害の地帯におきましては、伊勢湾と同じように六台ということでございまするが、やはり累年の災害地帯におきましては、補助率は若干今度追加される部分につきましては下がりますが、しかし、いずれにしても十台未満までこれを見るという点が伊勢湾より変わった点であろうかというふうに思います。
それからなお第三番目といたしましては、伊勢湾の際には、やはり予算措置といたしまして、この共同利用施設の措置は主として農村についてとられたわけでございまするが、今回は特に漁業についての災害が多かったこと、それから全体としての災害の額は少ないけれども部落に対する漁業の災害が集中的であったこと、それらの点にかんがみまして、このたび漁村の復興についての特別の措置につきましての立法をいたしまして五割の補助をするというような体系を整理いたしました点は、伊勢湾と違った点というふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/26
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027・仲原善一
○仲原善一君 ただいまの最後の共同施設の問題ですが、これは新設をやる場合でもいいわけですね。災害にかからなくて、そういうものが全然なかったところも、この災害を契機にして新しく共同施設をやるという場合にも補助金は出るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/27
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028・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) これは先ほど説明いたしましたように、政令その他の規定に該当する部落におきまして、最も当面必要な漁業施設の復興をいたしたいという考えでございまするから、従いましてその部落に適した新しい事業であっても差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/28
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029・仲原善一
○仲原善一君 次に農地、農業用施設というのは、この伊勢湾台風の場合には、被害激甚地については相当の高率補助をやって、そうして補助残については起債を認めていったやり方があったわけですが、今回の場合は農地なり農業用共同施設、そういうものについては措置は必要はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/29
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030・中村武夫
○説明員(中村武夫君) 今回の津波によります被害額は、先ほど資料を差し上げましたと思いますが、農地、農用施設関係では約十一億ございまして、そのうち海岸の占める部分は約七億、その他農地、農用施設につきましては三億四千万円ばかりでございます。従いまして局部的には非常に被害の激甚なところもございましたが、全体的に見ますと割合農地、農用施設の被害は軽少でございますので、特に伊勢湾のような特別な措置を考えなかったような次第かと思います。
それから海岸につきましては、御存じのように津波対策事業に関する特別措置法が制定されますので、これによって救済されることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/30
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031・仲原善一
○仲原善一君 今回の津波の場合に防潮林があって大へん役に立ったという話も聞いておるわけですけれども、防潮林関係についての、今回の被害なんかを契機にして何か措置しておられるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/31
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032・若江則忠
○説明員(若江則忠君) 今度のチリ地震津波に対しまして防潮林が果たしました効果が各地から報告されておるわけでございますが、つきましては、今災害復旧課長から述べられました津波対策事業の特別措置法という法律の中で、対策事業として防潮林を組み入れることによりまして積極的に防潮林による津波対策事業を今後拡充したいと、かように考えております。
なお関連いたしまして、本月中に大学あるいは試験場、水産科学研究所等の権威者を現地に派遣いたしまして津波に対する防潮林の機能、効用等をつぶさに審査いたしまして今後の防潮林の配置等の参考にいたしたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/32
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033・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ちょっと伺いますが、この「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案要綱」の中で、五十万円の融資をする、その表書きの書き出しに、真珠またはカキの養殖に必要な資金として貸し付ける場合、ということが書いてございます。ここには「真珠またはカキの養殖に必要な」と、こう書いてある。ところが説明書の中を見ますと、カキ、真珠及び真珠貝の養殖施設の被害復旧に対しまして被害の程度に応じて予算の範囲内で補助をしよう、こういうのだが、これには「真珠」と書いてある。こちらには「真珠及び真珠貝の養殖」というふうに事を分けて書いてあるのだが、これは一体どういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/33
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034・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) 法律案の文章と、それから説明書きとが違うようでまことに恐縮でございますが、真珠の養殖と真珠貝の養殖と、こう一緒に考えました場合に当然ダブるわけでございますけれども、真珠貝の方は非常にその金額が張らないわけでございます。それで真珠の養殖の方が金額が張るわけでございまして、ですから法律の言葉といたしましては、真珠ということでこれを一緒にカバーいたしまして限度を上げておいた、こういうようなことで御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/34
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035・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) それでは内容は同様である、こういうことに解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/35
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036・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/36
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037・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) もう一つ水産庁の次長にお伺いしたいと思いますが、その打撃が個人に非常に大きいということで、新しく被害を受けたものに対しては十分の九以内の国庫補助の処置を講ずるということになっておるようでありますが、十台以下という限度をこの前の何ですか、伊勢湾台風のときにも設定されたので、今ごろ聞くのはおかしいように思うのですが、一応十台以上に及ばないという理由は何か、特別の理由があったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/37
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038・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) これは伊勢湾台風の場合にとった措置にさかのぼるわけでございますが、われわれの考え方は、やはり零細経営体の持っておるいかだに対して助成するという考え方でございます。従いまして、その場合には、真珠につきましてはいろいろと経営体が、一台、二台の経営体から数百台にまたがる経営体、いろいろ階層の差があるわけでございますが、一応助成の対象にするのは十台以下の経営体について、十台まで見るという趣旨でございまして、従いましてこのたびも最初に被害を受けた地帯につきましては、伊勢湾と同様な措置で考えて参りたいというふうに措置した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/38
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039・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 大体わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/39
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040・坂村吉正
○政府委員(坂村吉正君) 先ほどの説明で、言葉の関係であるいは誤解をいただくといかぬと思いますので、もう一度お答え申し上げますが、真珠の養殖の場合には非常に金額が張るのでございまして、ですから真珠の場合に五十万円に引き上げたわけでございますが、母貝の養殖の場合には、真珠貝の養殖の場合にはこれは金額が張らないのでございまして、これは普通の経営資金としての二十万円の範囲内でやっていける、こういう考え方でございます。ですから、従いまして法律の方におきましては、真珠ということで一応上げてありまして、その他、一般の母貝の養殖等だけをやっております場合には、一般の経営資金と同じように十五万円を二十万円に上げた、その範囲でやっていける、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/40
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041・櫻井志郎
○櫻井志郎君 この前の委員会に私が休みましたので、そのとき質問があって答えが出ておるのなら、これはもうよろしいのですが、休みましたので、質問いたしまするが、今の仲原委員からも御質問があったのでありまするけれども、たとえばですね、今度の津波災害の小型漁船の補助額、法律は県が三分の二補助するものに対して国が半分、つまり一隻に対して三分の二補助される。それから伊勢湾台風のときは、三隻について一隻が補助の対象になる、補助額は八〇%、伊勢湾台風のときにはどういう説明あるいは趣旨だったか、私は忘れたのでありますが、三隻に対して一隻補助の対象になるというのは、多少その考え方の中に共同化の促進ということが政策として織り込まれている、こういう説明があったかどうか知らぬけれども、私はそういう解釈を現に勝手にしているのですが、今度はそれは一対一だというふうになったのは、どういうわけなんですか。伊勢湾台風も非常に激しい災害をもたらした。今度の津波災害も、これは伊勢湾台風のように広い面にはきていない。当然津波災害であるから線として出てきているけれども、いずれにしても災害を受けた方々という点から言いましてこれは同じようにひどい災害を受けた。そういう人たちの復興に対して国の補助行政としての現われが違ってくる。違ってくるについては、なぜそう違ってこなければならないのか。なぜ、そういう政策に違った現われがなければならないのか。相当期間が離れているというのならこれは一つわかるのでありますが、同じ政権のもとに、時間的差のごく近い時期に起こった二つの災害に、なぜそういう違った現われが出てこなければならぬのか、あるいはやむを得なくそうなったのか、そういう点についてまず御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/41
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042・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) ただいまの御質問は非常に重要な御質問だと思いますが、まず大体申し上げたい点は二点あろうかと思っております。
第一は、伊勢湾の際の被害の状況でございまするが、伊勢湾台風の際におきましては、非常に広い範囲での、今回の漁船の被害よりもはるかに多い漁船が被害をこうむったのでございまして、当時の状況といたしましては、資材の関係で被害を受けた漁業者の個々の船を直すだけの時間的な余裕と物理的な余裕が実はかなり窮迫しておったように私たちとしては考えたのでございます。従いまして、部落の中で物理的な点からいいまして、三隻のうちの一隻くらい程度しか復旧し得ないという前提のもとにおきましては、それは金融その他の措置ないしは自己資金の関係で、たまたま裕福な方だけが船を持つことができて、その他の方はもう当分の間船を持つことができないという事態もございましたので、そういうことでは効率的に船を使うことにはならないだろう、従いまして、その際はやはり組合で、その三隻のうちのできました一隻を組合で持ちまして、これを三人が共同で使って参ろうということを考えた次第でございまして、こういう意味で高率の補助をした次第でございます。従いまして、結果として共同化になったというような説明があるいは当たるか、当たらないかは問題かと思いまするが、一応結果的にそうならざるを得ない状況のもとに三隻のうちの一隻をやったと、こういう事情かと思います。しかしながら、そのような事情があったにせよ、一つの将来の行き方として、共同化にもなり得るという御説明をいたしましたことは事実でございます。
それから第二点は、そのような条件のもとに、一応共同化を目ざしてやった実態がどうだったかという、その後における批判の問題でございまするが、これはなるほど三隻のうちの一隻だけしか船ができなかった時期におきましては、立法したねらいが、完全に私どもとしては行ない得たというふうに確信いたしております。ところが、次第にその後個人の努力によりまして、三隻の船をとりあえず組合で一隻を作り、その後組合員も一隻を作り、またその後一隻を作ると、こういう格好になって参りますと、最初のねらいました共同化の点が、必ずしも所期の通りには継続されませんで、結果としては個人に使用が移っていくという結果になったわけでございます。しかし私どもとしては、そのようになったことは、やはり共同化ということで打ち出して、結果として漁民の利益になったのであるから、これはやはり法の目的を達したのであろうというふうに理解しておるような次第でございます。
さて、今回の災害でございまするが、先ほど御説明申し上げましたように、まずこの災害の程度から申しまして、それから特に地理的な条件その他の条件を考えますと、特に小型の木造船、無動力船、これは非常に今回被害が多かったわけでございまするが、これはやはり主として養殖に従事する船でもあるということをあわせ考えますと、三隻のうちの一隻だけ作ればよろしいということではなかなか実態に合わない点が出てくるのじゃないかという点と、もう一つは、この際、施策のよろしきを得、林野庁の御協力があれば、三隻のうちの一隻と言わないで、三隻ともかなり急速に回復ができるであろうという想定も実は私どもとして持っておるような次第でございます。従いましてその伊勢湾の体験と今回の災害の性質によりまして、今度の提案としては三対一という考え方ではなしに、一対一を原則にいたした次第でございます。しかしながら、共同化の線はまだ捨て切ってはおりませんのでございまして、今度の措置も一対一で復旧はいたしまするが、所有はやはり漁業協同組合といたしまして、急速に生産手段を復興し、漁業協同組合員にそれを適宜に行使させるという考え方をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/42
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043・櫻井志郎
○櫻井志郎君 どうも私、今高橋次長の御説明に納得しがたい点があるのですが、伊勢湾台風のときには、漁船の復旧資材が少ない、急速な漁船の復旧に対して、これに必要な資材の供給が多分困難であろうということを想定して、三隻に一隻ということにしたのだという話だとすると、どうも私はそういう説明であったとすれば、あのときにあの法案に同意はしなかったであろうと思うのです。そういう言い方をすれば、それじゃ住宅だって、流れた住宅を復旧する復旧資材は困難である、何でも困難、じゃ住宅も三軒に一軒、五軒に一軒、十軒に一軒ということを言えますか。こういう考え方で三隻に一隻とされたとすると、私は非常に問題点がある、むしろ三隻に一隻ということをやってみたけれども、実際の復旧という点になると、なかなかその共同化といいましょうか、共同でやろうということが、行政の実態として困難であった、あったから、共同化の促進はしたいけれども、やむを得ずこうしたのだという説明であるなら、それは私の気持としては納得できる。その点もう少し簡潔に御説明いただきたい。
それからもう一つは、今度一対一ということにしたけれども、かりにその個人々々の漁業者が、一緒にやりましょう、前の場合と逆でございます。逆に持ち寄ってやりましょう、これは漁業協同組合の所有になるのでしたかね、いずれにしても個人負担というものは、分けて三隻なら三隻別々に作るというのを一隻にして負担をして、あとは共同経営でいきましょう、こういう希望が逆に出たら、それは補助金の対象にならないのかどうか。以上二点簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/43
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044・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) 第一点のこの共同化必ずしもうまくいかなかったのではないかという御指摘でございますが、そういう点は多分にあったということでございます。
それから第二点の、漁業者個人々々が寄りまして、もう少し船を大きくしたい、ないしは動力化したいというような御希望のある場合には、先ほど御説明いたしました要綱の五の規定で書いてありますように、合計隻数または合計総トン数の範囲内におきましては、これは助成をもっておこたえいたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/44
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045・櫻井志郎
○櫻井志郎君 次長、肝心なところ抜かしちゃったので……三隻に一隻にしたというのは、資材がないからそうしたのだというあなたの御説明なんですが、その通りであったのか、もしそうであったとすれば、なぜそんなに漁船だけは遠慮をしなければならなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/45
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046・高橋泰彦
○政府委員(高橋泰彦君) この伊勢湾当時の資材の状況は、確かに今回の災害の場合よりも、かなり窮屈であったというふうに考えた次第でございます。従いまして、そういう意図で共同化をはかったというのがおもなねらいでございましたけれども、しかし共同化の実態は、ただいま先生御指摘の通り、必ずしも共同化という趣旨は、所期の目的の効果を十分あげることができませんで、その後における漁民の要望も、個々で船を持ちたいという要望に変わっていることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/46
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047・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/47
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048・堀本宜実
○委員長(堀本宜実君) 速記をつけて。
他に御発言もなければ、ここでしばらく休憩をいたします。
午後三時十二分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415007X03519600616/48
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