1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年三月十七日(木曜日)
午前十時二十九分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 清澤 俊英君
理事
近藤 鶴代君
吉江 勝保君
加瀬 完君
委員
安部 清美君
剱木 亨弘君
杉浦 武雄君
野本 品吉君
千葉千代世君
常岡 一郎君
衆議院議員
臼井 莊一君
国務大臣
文 部 大 臣 松田竹千代君
政府委員
文部政務次官 宮澤 喜一君
文部省初等中等
教育局長 内藤譽三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
—————————————
本日の会議に付した案件
○公立学校の学校医の公務災害補償に
関する法律の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○盲学校、聾(ろう)学校及び養護学
校への就学奨励に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/0
-
001・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告申し上げます。
一昨十五日の理事会で協議いたしました結果、本日は、まず、衆議院提出の公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につき提出者側の趣旨説明を聴取いたし、次いで、内閣提出で本審査になっております盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を行なうことに取りきめました。
以上報告の通り審議を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/1
-
002・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) 御異議ないものと認めまして、まず、公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提出者の趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/2
-
003・臼井莊一
○衆議院議員(臼井莊一君) 公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容を簡単に御説明申し上げます。
本案は、衆議院文教委員会提案の法律案でございまして、その趣旨とするところは、従来、公立学校の学校医だけに適用されていた公務災害補償を学校歯科医、学校薬剤師にもこれを適用せしめようとするものであります。
御承知のように、去る第二十六回国会において、公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律が制定せられ、公立学校の学校医が公務上の災害を受けた場合には、公費負担による適切な補償の道が講ぜられることにより、学校医が安んじてその職務に精励できるようになったのであります。
その後、第二十八回国会におきまして、学校保健法が制定せられ、同法第十六条には、学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の三者が学校の保健管理に関する専門的技術及び指導に従事する者として同等に規定されるようになりました。
しかるに、右三者のうち、公立学校の学校医だけが公務災害補償の恩恵を受け、学校歯科医及び学校薬剤師が本法より漏れていることは、まことに片手落ちというべきでありまして、学校における保健管理の重要性にかんがみ、学校歯科医及び学校薬剤師を新たに補償の対象に加える必要を認め、今回の改正案を提出するに至ったものであります。
なお、附則において、本案の施行日は、準備の都合を考慮に入れて、公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において政令で定める日からといたしました。
以上が本案の提案理由及びその内容の概要でございます。本案の起草に際し、衆議院文教委員会では、全会一致をもって、その議をまとめたものでありますから、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/3
-
004・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) 本案の質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/4
-
005・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) 次に、盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。なお、松田文部大臣、宮澤政務次官、内藤初等中等教育局長が御出席になっておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/5
-
006・加瀬完
○加瀬完君 これは大臣でなくてけっこうですが、盲聾学校あるいま養護学校の就学奨励の施設その他について、いろいろ配慮をされということは当然のことで賛成でありますが、当然と考えられることが今までおくれておったというのは、一体どういう理由なんですか、この点について御説明を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/6
-
007・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 小学部、中学部におきましては義務制でございますので、教科書、それから給食費、通学費、寄宿舎費及び雑費、いろいろ整備いたしておるわけでございます。ところが、高等部の方は、建前上は義務制になっておりません。しかしながら、盲聾の子供たちが高等部まで行きませんと、社会へ出て職につくことが困難でございますので、事実上の扱いは、高等部も義務制並みにしていきたいというのが文部省の念願でございまして、小学部、中学部に準じた措置をとって参ったわけであります。教科書費あるいは寄宿舎の経費その他につきまして、逐年、義務制並みに扱って参ったわけであります。教科書費と給食費、通学費あるいは寄宿舎、今回は寄宿舎の寝具と雑費だけを認めたわけでございまして、義務制並みに近づけていく、こういう過程でございますので、若干義務制よりはおくれた、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/7
-
008・加瀬完
○加瀬完君 この就職といいますか、一応技術を身につけても、生活が成り立つようになるまでには、どうしても高等部の課程というものを必要とする、義務制まではいろいろの補助、援護というものも割合に行き届いておってやれる。ところが貧困家庭も相当ございますので、高等部へ入れて技術を得させて、どうやら一人前の最低の社会生活ができるということにするにしては、高等部に通わせるのはなかなか困難だという幾つもの例を私ども聞いているわけであります。たとえば通学をさせるといったってなかなか経費もかかる、あるいは補助も若干あるといっても、これは寄宿舎へ入れての費用にはたえられない、これは一部その点が解決されているわけでございますが、ほんとうにこういう特殊な身体条件の子供たちを一人前にするということであるならば、こういう性格をもっと強化しなければ、ある一部分の救済であっては、結局、高等部へやれないじゃないか。ですから相変わらず、盲学校ならば、やはり従来の通り、あんま、はり、きゆうぐらいのことしかできないというのが実情じゃないかと思うのですが、将来、文部省としては、どういうお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/8
-
009・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ただいま申しましたように、義務制並みにして同様の就学奨励をしいていきたい。今、義務制の小中学部と高等部と比べまして、残っている部分は、寄宿舎に居住の者の食費だけが残っているのでありまして、それ以外はほとんど小中学部並みになっております。ですから、この点からは問題はないのですけれども、御指摘の通り、盲学校、聾学校の場合は就職の範囲が非常に狭いという点で、盲の場合は、はり、きゅう、あんまのようなものが中心でございまして、それ以外に多少音楽等もございますけれども、私どもとしては、もっと就職の範囲を広げていきたい、こういう点で、できるだけ今検討もいたしておりますが、盲人や聾人に適した教育を盲聾学校においても強化して参りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/9
-
010・加瀬完
○加瀬完君 普通児の義務制の学校ならば、これは通学距離も非常に近いし、経費も割合にかからない。しかし義務制であっても、盲聾学校というのは、大体、県下に一カ所とか、二カ所という数しかないわけでありますから、通学にしても、あるいは就学にしても、一般の義務制の子供とは違った経費がかかるわけです。特に通学距離なんかが長いと、身体障害の子供たちでありますから、家庭の心配もございますし、また経費もかかる、これが実情ではないかと思うのです。これは賛成ですけれども、どうもまだ中途半端で、これだけの補助があるから、高等部へ子供たちをやれる条件ができたということにはならないんじゃないか。ですから義務制に準ずるということではなくして、むしろ高等部までを通じて、一人前の生活能力のあるおとなに仕上げるという基本線をもっと強めていかなければならないんじゃないか、こういう感じがするんですけれども、文部省はこの点についてどんな御所見がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/10
-
011・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 全く同感でございます。私どもは——ちょっとここで加瀬委員が誤解していらっしゃるんじゃないかと思うのですけれども、小中学校並みという意味じゃないんです。盲聾学校の場合には寄宿舎におりますので、普通通学するのと違いますので、通学につきましても国が大幅に援助しております。大体六割くらい小中学校の場合には見ておりますし、高等部はほとんど全部くらい見ております。それから教科書は、これは小中高を通じて全員無償でございます。それから給食費は、これも小中高を通じまして大幅に、六割程度無償にしておるわけでございます。それから寄宿舎の経費、これも小中高を通じまして、寄宿舎雑費については六割程度無償にしておると思うのでございます。高等部の寄宿に伴う食費だけがまだ解決しておりません。それから、このたびの法案で、小中学部につきましては修学旅行費を大幅に見ることにいたしましたが、高等部につきましては、この点はまだいたしておりません。御指摘の通りでございますので、私どもはその線に沿って盲学校、聾学校におきましては一人前になるように、高等部までを義務制な扱いにしたいという基本線をもちまして、大蔵当局とも毎年相談して改善に努めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/11
-
012・加瀬完
○加瀬完君 この盲聾学校のあるところまで駅からスクールバスなどがあると非常に高い。ある学校もあるけれども、ほとんどスクールバスを持っていない。特に盲学校の方は案外スクールバスが考えられておりますけれども、聾学校がない、しかし交通事故の危険は、むしろ目が見えますと音の感覚がないということがありますので、むしろ聾学校の児童の方が交通事故が多い。聾学校の方からどうしても通学バスを必要とするというような声があるのですけれども、府県の財政が貧困でありますから、なかなか県でこれをまかなうというところまではいっておらないというような声を聞くのでありますが、通学バスの補助金みたいなものは、文部省としてはお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/12
-
013・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 昨年から肢体不自由児のいわゆる養護学校につきましては、通学バスを国で補助いたしました。御指摘の点もございますので、来年度はぜひこの中にワクをふやしまして、盲聾の分も含めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/13
-
014・野本品吉
○野本品吉君 この間、私は教科書の問題でちょっと質問したのですが、やはりそれと関連していることがありますので、その点をちょっとお伺いしておきたいのです。盲聾学校の点字教科書の出版普及、これは十分いっておりますかどうか、この点をちょっとお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/14
-
015・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 点字の図書は、これは値段が高くなりますので、その点は、できるだけ値段を低くしたいという気持もございまして、実は印刷機を、「点字毎日」と「ライトハウス」に文部省が無償で貸与しております。ですから、その関係で私は印刷関係では不自由ないと思っております。それから児童に渡す分につきましても、国で教科書を編集いたしまして、そして今申し上げましたように印刷関係は、「点字毎日」と「ライトハウス」に無償で貸与して印刷をしていただいている、こういう状況でありまして、教科書代は全部国で無償で払っております。こういう次第でございますので、教科書に関する限りは心配はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/15
-
016・野本品吉
○野本品吉君 教科書は大へん文部省のお骨折りで完全に支給をされている。その他の一般の盲人の読みものの問題ですが、これは特別な団体があって、寄付金を有志から集めて、点字の読みものを作って図書館へ配布する等のことをやっているわけなんですが、あの仕事につきまして、私はちょっと最初は関係したのですけれども、今はあまりその後の状況を知りませんけれども、おわかりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/16
-
017・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 一般の読みものについては、このごろだいぶ点字の読みものも出て参りましたけれども、まだまだ私は不十分だと思っております。厚生省には点字の図書館もございますけれども、文部省関係でも、できるだけいわゆる課外読みもの、こういうような点で子供たちに広く普及させなければならぬと思っておりますが、まだこの点は十分に行き届いているとは申せないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/17
-
018・野本品吉
○野本品吉君 これは厚生省の仕事でもあり、あるいは文部省の仕事でもあろうと思うのですが、やはり教科書以外の点字の読みものをできるだけ普及させることによって、あの人たちにいろいろな文化の恩典に完全に浴させるようにということは、将来この問題を考える上において大事なことだと思いますので、御研究願いたいという希望だけを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/18
-
019・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) ほかに御質疑ありませんか。——御質疑がなければ、本日の質疑はこの程度にとめまして、あとは次回に譲ることにいたしたいと思います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/19
-
020・清澤俊英
○委員長(清澤俊英君) 速記をつけて。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415077X00619600317/20
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。