1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十六日(火曜日)
午前十時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大川 光三君
理事
井川 伊平君
後藤 義隆君
高田なほ子君
委員
泉山 三六君
林田 正治君
千葉 信君
赤松 常子君
辻 武壽君
市川 房枝君
国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
法務大臣官房経
理部長 大澤 一郎君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
法務省矯正局長 渡部 善信君
公安調査庁次長 関 之君
最高裁判所長官代理者
経 理 局 長 栗本 一夫君
説明員
警察庁警備局警
備第三課長 倉井 潔君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(破壊活動防止法の運用状況に関す
る件)
(昭和三十五年度法務省関係予算に
関する件)
(昭和三十五年度裁判所関係予算に
関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/0
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001・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
この際、連合審査に関する件についてお諮りをいたします。
御承知の通り国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案が、議員立法として提出され、目下当参議院議院運営委員会に付託されておりまするが、右法案は、法務委員会としても重要なる関係がございまするので、本院規則第三十六条に基づき、議院運営委員会と連合審査会を開催することを申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/1
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002・大川光三
○委員長(大川光三君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
ただいまの決定に基づきまして、委員長は、議院運営委員会にその旨を申し入れることにいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/2
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003・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。当局より法律案の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/3
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004・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案の改正点の第一は、第一審特に地方裁判所における訴訟の適正迅速な処理をはかる等のため、下級裁判所の裁判官の員数を改めることにした点であります。
政府におきましても、つとに第一審の充実強化のため種々努力を重ねて参り、その第一歩といたしまして、去る昭和三十二年以来、判事補の職権の特例等に関する法律の一部改正及び前後二回にわたる裁判所職員定員法の一部改正により、第一審における裁判官の充実のための措置をとりましたことは、すでに御承知の通りであります。このたびの改正は、この第一審充実強化方策の一環といたしまして、特に裁判官の負担が過重となっている地方裁判所における訴訟の適正迅速な処理をはかるとともに、この際、地方裁判所と簡易裁判所との間の事件負担の均衡、裁判官の欠員の状況等を勘案して、裁判官の定員構成を実情に即したものとするため、さしあたり人員確保の見通し等を考慮した上、判事の員数を五十人増加するとともに、簡易裁判所判事の員数を三十人減少しようとするものであります。
改正点の第二は、裁判所における事件数の増加、諸設備の拡充、整備等による事務量の増大に伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を改めることにした点であります。家庭裁判所におきましては、去る昭和三十一年以来、家庭に関する事件の審判または調停で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対してその義務の履行を勧告し、または命令する等の制度が実施されるようになったこと、並びに近年少年の保護事件がますます増加の傾向にあること等に伴いまして、これらの事件の処理に必要な調査等の事務をつかさどる家庭裁判所調査官の事務量が著しく増大して参りましたので、その数を増加する必要があるものと考えられるのであります。また、地方裁判所及び家庭裁判所における諸設備の拡充、整備に伴いまして諸般の労務等に従事する雇い人の数を増加する必要が生じました。このたびの改正は、これらの必要に応ずるため、裁判官以外の裁判所の職員の員数を八十三人増加しようとするものであります。以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/4
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005・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいま御説明を受けました裁判所職員定員法の一節を改正する法律案に対する質疑は、次回にこれを行ないたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/5
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006・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に、破壊活動防止法の運用状況に関する件について調査を行ないたいと存じます。本件に関して御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/6
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007・高田なほ子
○高田なほ子君 法務大臣にまずお尋ねをいたします。
この破壊活動防止法の三十六条に基づきますと、「法務大臣は、毎年一回、内閣総理大臣を経由して、国会に対し、この法律による団体規制の状況を報告しなければならない。」こういうふうにこの破防法の運用並びにその状況というものは、法制定の精神から見ましても、非常に慎重にしなければならないということが規定され、その具体的なあり方としては、法務大臣がこのように国会に対する報告をする義務が規定されているわけであります。で、私は最近の学生運動等からかんがみまして、法務大臣から昭和二十七年以降におけるこの破防法の適用の状況並びに最近の団体規制の状況など、一般的な問題についてまずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/7
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008・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) お答えいたします。お説のように、法律によりまして毎年一回団体のいろいろの活動につきまして、国会に法務大臣が報告することになっておりまして、本年もすでにもう国会に報告をいたした次第でございます。昨年度におきましては何ら活動状況で特定なことはないということを報告をしております。そういうようなわけで、破防法に基づきますいろいろの調査は、公安調査庁で毎日いたしておりますけれども、従って、またいろいろそういう事案があれば私どもにも直ちに報告されております。しかし、今までに破防法に当たるいろいろの行動というものにつきましては、何らまだ報告を受けておりませんし、ただ一般の情勢について事情を聴取しているだけでございますから、その点で、自分としても十分注意をして善処いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/8
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009・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣がいろいろ具体的なことについて御存じのない場合がありましたら、またよく御存じの関係者から御答弁いただいてもけっこうでありますが、法律が制定されて以来、破防法を適用されたいろいろな案件が出てきているわけでありますが、現在大体まあ三件ほど――これは無実のような形になっているのですが、なお一件はまだ係争中であるように承知しておりますが、現在どういう事件がどういう状態で係属中でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/9
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010・井野碩哉
○国務大臣(井野碩哉君) 破防法直接の該当事件はございませんが、刑事事件として二、三件あるそうでございますから、刑事局長の方から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/10
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011・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 刑事事件といたしましては、岐阜、三重、京都の各地方に発生いたしました案件につきまして、一審の裁判はたしか無罪になりました。控訴中でございまして、まだ審理中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/11
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012・高田なほ子
○高田なほ子君 静岡事件を皮切りにして、三、四件あったと思いますが、今、京都事件は大阪の高裁で係争中だと聞いておりますが、これはどういうふうになっておりますか。つまびらかでなければあとでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/12
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013・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 先ほど申しましたように、京都の事件は、ただいま大阪高裁に事件が係属中でございます。なお、争点になっておりますところは、京都事件も津の事件も、岐阜の事件も、大体同じだと思いますが、詳細にはまた資料をもちまして、別の機会に御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/13
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014・高田なほ子
○高田なほ子君 柏村警察庁長官にお尋ねをいたしますけれども、一月二十日の京都新聞によりますと、大阪駅で談話として発表されたのが出ておるようでありますが、公安調査庁は全学連など学生三団体を破防法容疑団体に指定し、実態調査に現在乗り出している、こういうような談話が発表されているわけです。そこで、この全学連など学生三団体を破防法容疑団体に指定したということは、この事実はどういうふうになっておりますものですか。この事実を説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/14
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015・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 私が大阪に参りました際に、新聞記者団との会見を申し込まれまして、駅で会見をいたしたのでございます。その際に、新聞記者諸君の方から公安調査庁で全学連を容疑団体に指定したそうだが、警察としてはどういう態度をもって臨むのかという質問があったのでございます。私が、容疑団体として公安調査庁が指定したということは申しておりません。警察といたしましては、その際、特に容疑団体として注意をされるかどうかということは、これは公安調査庁のなさることであって警察としては不法行為を取り締まるという立場において従来と特に変わった態度をとるつもりはないという答弁をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/15
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016・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、この間の国会デモ、あるいはこの羽田空港の事件、これらについてたくさんの学生がそれぞれ逮捕され、あるいはまた起訴されたのが実情でございますけれども、これは刑事事件として捜査し、逮捕し、そして起訴したと、こういう形になっておるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/16
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017・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/17
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018・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、この羽田と、それから国会デモのこの事件の概要ですね、この概要を一応説明していただきたいと思います。現状、どういうふうになっているのかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/18
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019・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 捜査の状況――その後の状況についてでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/19
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020・高田なほ子
○高田なほ子君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/20
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021・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) それではまず国会構内に侵入いたしました事件につきましての捜査のその後の状況を御説明申し上げます。
警視庁におきましては、事件発生以来鋭意捜査を続けて参ったのでありますが、現在までに被疑者を逮捕いたしました者が二十八名、任意出頭を求めて取り調べました被疑者及び参考人が二十七名、令状によりまして捜索、差し押えを行なった場所が三十二カ所に上っております。
それで、逮捕いたしました被疑者は、学生関係が九名、労組関係が十五名、共産党関係が四名ということになっております。なお、任意出頭を求めました二十七名の内訳でございますが、国会議員二名、その他総評等団体の関係者、労組員等が二十五名でございます。参考人といたしまして任意出頭を求めましたのは二人でございます。
で、逮捕いたしました被疑者二十八名の身柄につきましては、東京地検に送致をいたしまして、学生九名については全員起訴、それからその他十九名については現在まで処分保留のまま釈放されておるわけでございます。さらにその後二十五名の任意出頭を求めた被疑者に対しても、すべて書類送検をいたしておる状況でございます。
それから羽田の事件でございますが、逮捕いたしました者が、現行犯逮捕といたしまして一月十六日七十六名、それからその後三名を通常逮捕いたしておるわけであります。
それから捜索個所は、全学連の書記局、共産党書記局等合計いたしまして五十五カ所を実施いたしております。
で、被疑者の取り調べ状況でございますが、逮捕いたしました七十九名につきまして、全員を留置いたしまして取り調べ、四十八時間以内に建造物侵入及び暴力行為等処罰に関する法律違反の罪名で東京地検に身柄を送致いたしたわけであります。
検察庁関係のこともついでに申し上げますと、東京地検におきましては、全員につきまして勾留を地裁に請求し、その許可を得ましたので、引き続き勾留して取り調べを行ない、七十九名のうち二月六日に二十一名、二月八日に一名合計三十一名を起訴いたし、十一日までに起訴された者全員を東京拘置所に移管し、残余の五十七名はそれぞれ勾留期間満了日に処分保留のまま釈放しておる状況でございます。
なお東京地検におきましては――起訴の関係については詳細は法務省の方にお譲りいたしたいと思いますが、強制捜査については、現在まで大体終了いたしておりますので、今後はさらに必要に応じて任意による事犯の裏づけ捜査に重点を置いて参りたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/21
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022・高田なほ子
○高田なほ子君 公安調在庁にお尋ねをいたしますが、この全学連など学生三団体を破防法容疑団体に指定をしたという長官の談話の内容は、こういうふうになっておりますけれども、全学連などその学生三団体をこれの容疑団体に指定したというこのいきさつですね、このいきさつについて御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/22
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023・関之
○政府委員(関之君) 御説明いたします。
全学連、社会主義学生同盟及び共産主義者同盟、この三つの団体でありますが、御承知の通りに勤評反対闘争からこれらの学生団体がとかく過激的な行動に出る傾向にあったのでございます。そのような傾向が漸次進展いたしまして、この安保反対闘争の問題などに関連いたしまして、昨年の中ごろから非常にこう矯激な言動が現われてきたのであります。その言動は、要するにその三団体から出している通達であるとか、あるいは部内の機関紙的なものであるとか、このような中に出ている文言を見てみますると、等しく集団暴力行為を扇動する、こういう傾向が顕著になったのであります。この集団暴力行為の扇動は、たとえば国会を占拠しろとか、あるいは岸総理を引っぱり出して大衆の前に立たせろとか、あるいはこれは極端な言葉でありまするが、市街戦も辞せず戦うとか、これは実際配付した場合は墨で消してありましたが、そういう文書をここで作ったことはどうも疑いないことのようであります。それらのこの文言というものは、解し方によっては非常に憂慮すべきことを言っているようにも見えますし、しかしまた、まあ公平に言いまして著しく集団暴力行為を扇動しているものである、こういうふうにまず判断されるわけであります。そうしてまた、それらの裏づけといたしまして、国会の構内への侵入事件であるとか、あるいは羽田空港の事件であるとかというようなこの事件が、これらの実際の行動としてここに展開してきているわけであります。これらのいろいろな言論的なその問題と、そうしてそれらの実際の行動というものを彼此考覈いたしまして、どうもこれは破防法によって調査しなければならない段階にきていると、こういうふうに考えまして、昨年の暮れに一応破防法の容疑団体として、調べる、こういう方針をきめまして、そういう方針を全庁に指令いたしまして、ただいま調査している段階なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/23
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024・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、全学連と社会主義青年同即と共産主義青年同盟ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/24
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025・関之
○政府委員(関之君) 共産主義者同盟。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/25
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026・高田なほ子
○高田なほ子君 この三つを十二月の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/26
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027・関之
○政府委員(関之君) 正確には十二月の初めでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/27
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028・高田なほ子
○高田なほ子君 十二月の初めに破防法容疑団体と指定して、そして現に今調査をしている、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/28
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029・関之
○政府委員(関之君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/29
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030・高田なほ子
○高田なほ子君 そうしますと、これは調査第二部に属して調査をされている問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/30
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031・関之
○政府委員(関之君) 調査第一部関係で調査をいたしておるのであります。役所の構成から申しますと、調査第一部関係において担任して調査をしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/31
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032・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、この調査第一部はですね、「破壊活動防止法第四条第一項第一号に掲げる暴力主義的破壊活動を行った団体に関する調査に関する事務をつかさどる。」と、こういうふうになっておりますが、調査第一部が調査をしているということになれば、破壊活動防止法の第四条の第一項第一号に掲げる暴力主義的破壊活動を行なった団体に関する調査、そうするとこれはあれですか、この第四条第一項に規定する破壊活動を行なったものというふうにみなして調査をされたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/32
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033・関之
○政府委員(関之君) 今申し上げたような趣旨の行動が、少なくとも破壊活動防止法の第四条掲記の各条章に当てはめて考えてみましたときに、少なくともそれに、ある部分は当たってきた、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/33
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034・高田なほ子
○高田なほ子君 この破防法を運営する場合には、その当局の主観的な判断ではなくて、やはり主観的よりはむしろいろいろな客観的な条件というものがそろわなければ、この破防法というものが運営されないように私は承知をしておるわけですけれども、客観的な条件というのはどういう条件がそろっているわけですか。先ほどお話の中にありましたが、全学連とかあるいは社青同とかそういうものの通達とか機関紙、そういうようなものの表現は大へんに暴力的な傾向を帯びている、その扇動の仕方が大へんに暴力行為をあおるような顕著なものがあった、こういうようなことでありますけれども、ただ単にその通達とか機関紙とかが大へんに扇動的であるということだけで、この破防法による調査というものは、できないのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/34
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035・関之
○政府委員(関之君) 破防法の第四条の中には、犯罪から申しますと、既遂的な、ある行為を行なったという、その行動の面と、中には内乱関係におきましてはその内乱の正当性、必要性を主張した文書の配付であるとか、あるいは騒擾ないしは殺人の問題につきましてはその教唆扇動ということが、破壊活動の一つの類型として取り上げてあるわけであります。これらの問題から考えてみまして、今の申し上げた三つの学生の団体は、どうもその条項によって考えなければならない疑いのある行為であると、こういうように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/35
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036・高田なほ子
○高田なほ子君 この破防法の第三条では、規制の基準が書いてありますが、この中では「思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。」こういうふうに、表現の自由というようなことが大へんに重んぜられなければならないというようなことが、第三条の中に規定されておるわけです。今おっしゃるように、これとはまた別個にですね、第四条第一項に該当するようなものなので、この調査第一課の方で捜査しておるというお話ですけれども、第四条では、第四条の一ということになると、刑法の内乱、内乱の予備、陰謀、内乱等の幇助、外患誘致、外患援助、外患誘致及び外患援助の未遂、外患誘致及び外患援助の予備、陰謀に規定する行為、この行為に該当するということで、あれですか、調査第一部の主管でもって捜査をされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/36
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037・関之
○政府委員(関之君) 破防法の上に乗っけて今申し上げたような三団体の行為を見てみますと、役所の構成から申しますと、いろいろと関係してくるわけです。しかし今のところは、主として第一部関係においてこれを扱っておるわけでありましていろいろの問題の調査の前については、二部関係もこれに援助はしておりますが、主として一部関係が行なっておる、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/37
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038・高田なほ子
○高田なほ子君 この一部関係の内容というものには、破防法の中でも一番重要な部面を占めているところでございましょう。全学連というのは外患誘致とか日本の国を引っくり返すような団体であるというようなお考えがどういうところからきているんでしょう。私は、私見にわたるかもしれませんけれども、学生運動というのは、それは一部矯激な人もいるかもしれませんが、いろいろなことを試み、あるいはまたその試みている中で失敗を重ね、その試み、失敗を繰り返しながら、社会人として成長するという一つの青年期の特有な行き方があると思うのです。全学連の行為を、私は全部これがいいというふうに考えてはもちろんおりません。行動についてはいろいろ批判があります。これは御承知のように保守党からも非難されただろうし、それからわれわれ社会党の方からもこの行動については数々の非難を受けておる。世間一般からも実は非難を受けておるわけです。しかしながら、この学生の、青年のですね、特有なやはり心理というものから、いろいろ表現にどぎついことを使ったり、あるいはまた気分にまかせてといいますか、勇ましい言葉を使ったりする場合も非常に多いのではないかと思うのですそういうようなこの学生、青年の特有な成長過程の心理というものを十分にしんしゃくすることなしに、単にその書いた文書が激烈であるとか、この文書によると日本の国を引つくり返して外患を誘致して内乱を誘発するような行為であるというように判断するということは、時に、ある意味での青年の成長を押えてしまう結果になりかねないのではないかというようなことも、私は考えるわけです。ですから、この破防法の容疑団体として指定するためには、相当に的確なる資料、的確なる条件というものがそろわなければならないのじゃないかと思うのです。先ほど公安調調査庁のお話によりますというと、調査第一部の方でもってそれに該当するものとして今捜査を進めているということですけれども、どうも第一部に該当するような行動が、はたしてあったかどうかということについては、私は非常に疑問に思う。その疑問の第一は、たとえば国会デモの場合でも、岸さんを引っぱり出せとか何とか、それは学生ですからそういう激烈な言葉を使ったかもしれませんけれども、一体、引っぱり出して、それからあとどうするかということについては、相当全学連が用意してきたかきてないかというところが、私は判定の基礎になってくるのじゃないかと思う。あのときに、全学連の学生たちは、国会に入り込んでこれを占拠するような、そういうような武器、危機を招来するような武器、そういうような物を所持したというふうに判断をされ、捜査をされているのですか。あるいはまた羽田のデモのときにそういう緊急、かつ危険な状態を招来させるような凶器というものが携えられておったのかどうか。この二つの事件の捜査された段階で、いかなる凶器というもの、あるいは身体に危害を与えるというよりは、むしろそれ以上の凶器、そういうものが持参されておったのか。この点について、一応承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/38
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039・関之
○政府委員(関之君) この破防法上調査を指定した三団体が、要するに破防法という法律によって容疑があるというふうに考えられるかどうかという御質問の趣旨かと思うのでありますが、ここでやや詳細にわたりまするが、私どもがなぜそれを認めざるを得なかったかという点について御説明してみたいと思います。もちろん青年、学生という特有な身分でありまして、われわれも通ってきた経過でありまして、それらのところを反省してみまして、十分なる同情と、そして若いいろいろな気持に対する同情的な考え方は十分に持って考えていますが、しかし、いろいろそれぞれの事情を考えてみて、どうも破防法上これを調査せざるを得ない、こういうふうに実は踏み切ったわけであります。その事情といたしましては、これは、まず問題になりまするのは、もちろん学生運動という一般の問題から考えてみまして、その運動が純真な学生のいろいろな大学における学問のあり方とか、あるいはその中の彼らの生活であるとか、いろいろ簡問について運動されること、これはもちろん当然なことでありましょうし、その問題にわれわれもとやかく言う考えは毛頭持っておりません。ただ問題は、その運動が発展して、国家の革命であるとか、あるいはいろいろなそういう問題を中心としての政治的問題に発展してくる。もちろんそれは憲法上保障されている言論の自由の範囲内のことがありましょう、ありましょうが、破防法におきましては、今申し上げたような内乱の教唆扇動ないしはその正当性、必要性の文書の頒布ということは、これは犯罪として規定されているわけであります。また、政治上の目的をもって騒擾を起こすとか、あるいは殺人を犯すとかいうような問題についての、そのような行為の教唆扇動も、また犯罪として規定されているわけであります。言論はその範囲内において私は自由でない、このように思うのであります。それは法律によって明らかに犯罪である、こういう覆うに相なるわけであります。それで、問題は学生運動がその範囲に入ってきたかどうかという問題に相なると思うのであります。それで、どうも入ってきたという疑いを深めざるを得ないというのが、私どもの判断になるわけであります。しからば、なぜそのような判断をいたしたかという問題に相なるわけでありますが、たとえて申しますと、ここに私どもは三つの団体を指定しましたが、その一つに社会主義学生同盟というものがあるわけであります。その学生同盟の根本的な性格、一体何を目的としているかという問題が、一つ問題に相なるわけでありまして、やはり破防法上の問題は、要するに政治上の暴力的な破壊活動でありまして、政治上の主義主張の推進と、どういうような綱領を掲げて運動しているかということが問題に相なるわけであります。その根本的な考え方が、現象面において各種の暴力的な行動となって展開する、こういうふうに考えられるわけであります。そういう根本的な性格と無関係に、散発的に問題が発生するというふうには私ども考えていないのであります。もともと破防法の考え方は、性格的に暴力主義的破壊活動を対象として取り締まる。散発的にぽつぽつやったところで、そういうことは破防法の対象には考えていないということが根本の考え方に相なるわけであります。そこで、たとえばそれらの団体の一つに、日本社会主義学生同盟というのがございます。これはもと反戦学生同盟というのが一昨年の五月に社会主義学生同盟というふうに発展解消して、新たにそういう名称をとって運動して参りまして、また、それが今日におきましても存在し、私どもの調査の対象として取り上げたのでございます。そこで、その綱領、規約の一部をここで読みまして、結局、こういうことを目的としているということを御説明してみたいと思うのであります。この綱領、規約を見てみますと、前文と各綱領というものが書いてあるわけであります。そこで、前文を見てみますると、これは現世界の社会党展の各種の客観的な事態について彼らの見解を述べてあるわけであります。冒頭は「偉大な時代が切り拓かれつつある。人間労働の巨大な蓄積が、今や人類の生活圏の宇宙空間への拡大を可能ならしめる生産力の発展を生み出し、人間の自然征服とその自由な発展の未来に限りない展望を開いている。」というような書き出しのもとに、「労働者階級の解放運動の発展が、広大な社会主義国を作り出し、人間の人間による搾取と、貧困と屈辱との地上からの一掃の時を日一日と近づけている。」こういうようなふうに誓い、次に続けて、そうして「我々は、日本と人類の未来を代表する世代としてそして搾取階級の利益の為ではなく、被圧迫階級の利益の為にのみ、我々の知的力量が役立てられることを熱烈に希求する進歩的インテリゲンチャとして、日本と世界の社会主義的変革のため、全力をあげて活動するであろう。」こういうふうに冒頭に書いてあるわけであります。そこで、一般に全学生ではございません。今申し上げたような三団体をリードし、その中に、それらをバツクとして活動している学生の考え方でありますが、まず第一にこのような考え方から、学生は自分らの先進性という点をまず規定つけております。先進性という文字は、先に進む性と書いてあります。要するに、われわれは世界情勢に敏感に世の中のことを感ずる、あるいは世の中のことを先に感じて先に行動し、そうして今の強大な労働者階級を引張って先頭となって問題を切り開いていく、それがまず半生の理論を規定づける。考え方を規定づけたのであります。そうしてそのような考え方とあわせて社会の分析におきましては、いずれも共通なところは、現在の共産党より急激な考え方を展開しているということのようであります。これらの綱領、規約などの中に出ていることを通常的に考えてみまして、非常にそれは共産党と違った意味において、まあ急激と申しましょうか、そう解釈をいたしておるわけであります。御承知の通り共産党におきましては、これは現在は革命の手段といたしまして、まず第一に共産党、労働者を中心とした広範な人民民主主義革命を遂行する。そうしてそれを漸次社会主義革命から共産主義革命への労働者階級独裁の形態に持っていく、こういうことが共産党の意見のようでございます。ところが、学生諸君は、いきなりプロレタリア独裁の社会主義革命に突進するというのが彼らのどうも情勢分析となって現われてきているわけであります。この点につきまして、共産党がそれはトロッキストである、お前たちはトロッキストではないかということを言ってこれを非難し、昨年来これら矯激な学生党員七十余名を共産党から除名いたしまして、その他、党活動の停止、多数のものを処分いたしておるわけであります。要するに、考え方が現在の共産党よりもさらに極端な、国際的に申しますとトロッキスト的な考え方を持っている、こういうことに相なるわけであります。こういうようなものが、今の全学連の幹部であって、そこを基盤として活動し、日本社会主義学生同盟ないしは共産主義者同盟というものに巣くって、そして運動を展開しておる、こういうことに相なるわけでございます。どうもそういうようなことが――この前文は一つの例でありまするが――看取されるわけであります。
それから、次に綱領といたしまして、この綱領の中を少し御紹介いたしますると……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/39
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040・大川光三
○委員長(大川光三君) 御発言中ですけれども、ちょっと待って下さい。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/40
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041・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/41
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042・高田なほ子
○高田なほ子君 公安調査庁の方からいろいろ伺ってから、そちらの方に伺った方がたいへん関連してわかりやすいのではないかと思ったのですけれども、時間の関係上、一応切りますけれども、これはあれですか、国会デモと羽田デモ事件について、それぞれ現状をずっと報告して下さったわけですが、この場合に、どのような凶器が、いわゆる凶器といわれるような物が、証拠物件としてあげられているものですか。この点について破防法との関連で大へん大切な点なので、これを一つ聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/42
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043・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 国会構内の侵入の際のデモの場合と、それから羽田空港の事件の場合におきまして、全学連が、たとえば旗とかプラカードとかいうものは持ちましたが、特別なる凶器というものを所持したというふうには聞いておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/43
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044・高田なほ子
○高田なほ子君 これは国会デモも羽田デモも同様の御答弁でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/44
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045・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/45
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046・高田なほ子
○高田なほ子君 わかりました。
その次、羽田デモの事件でありますけれども、これは大体たくさんの学生が行ったのですが、これを逮捕するときに、ずいぶんおかしな逮捕の仕方をしたということがいろいろ雑誌にも載っているし、それから全学連の学生にも当時の事情など私ども調査のためにいろいろ聞いてみたのですが、大へん目星をつかんでおいて、これはいいとかゴボウ抜きにして、ずっと警官の人垣の中を送り出して、最後のところで判別をされたようですが、これはいいとか、これはつかまえろとか、これは放せとかいうふうにして、非常に的確に、いわゆる学生運動のリーダーというような人をつかまえていったというようなことを報告されているわけですけれども、羽田デモの場合に、あの現場でもってそれぞれつかまえたのは、どういうような容疑でつかまえたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/46
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047・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、建造物侵入及び暴力行為等処罰に関する法律違反の疑いをもって、建補するときはいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/47
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048・高田なほ子
○高田なほ子君 その場合に、警官の人垣のトンネルの中を送り出してつかまえるときに、これはいい、あれは悪いというふうにしてつかまえたのが、いわゆる学生運動の中でもリーダーといわれるような人がうまいあんばいにつかまってしまったというようなことがあったわけですけれども、これは常時学生運動のリーダーのような者を写真が何かとっておいて、そういうような場合に目星をつけてつかまえるということになっているのですか、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/48
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049・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) あの場合におきましては、全員が建造物侵入の現行犯であるということ、これは言えると思います。しかし、これを逮捕するにあたっては、現場の指揮官がやはりその中で指導的な役割を行なっているというふうな者を主として逮捕する。あるいはその場において警察官に対し公務執行妨害をするというような者を主として逮捕するということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/49
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050・高田なほ子
○高田なほ子君 羽田デモの中で、特別私ども問題にしているのは、格段に暴力をふるったわけでもないそういうような女子学生もだいぶつかまったようですけれども、樺島美智子さんとか下土井よし子さんとかいう東大の文学部の学生、それから医大の学生の方ですが、これはいずれも学友会の副委員長とか自治会の委員長とか、そういう肩書きを持っている女子学生です、この女子学生は、あの中でどういう役割を果たしたかということについては、あとでお調べになってわかったことじゃないかと思いますけれども、とにかく肩書きのついている者は、肩書きだけで引っぱられていったというような一部批評があるわけです。私も、なるほど肩書きだけでこれはつかまえたんだろうけれども、一体どういうふうにして見分けるのか、こういう学生運動をしているリーダーになるような人は、警察の方が年中あちこち写真でもとっていて、その写真に照らし合わせて逮捕するときにうまい工合に逮捕していくのかという疑問を持ったわけです。建造物不法侵入というようなことだったり、それから警察官の職務執行妨害だとかいうようなこととは別個に、目星をつけて逮捕をする傾向にあるのではないかというような疑問が出てくるわけです。時間がないから一々は、ここに資料を持ってきているんですけれども、それは省略いたしますけれども、そういう首謀者をいつでもねらって、こういう事件のときに持っていくというようなやり方をされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/50
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051・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 格別常にそういうことを意識的にやるというふうに限っておるわけではございませんけれども、いろいろな学生運動の際、不法越軌にわたるときに、あとの証拠のために写真をとっておくというようなことから、自然、写真によってこういうのがほとんどあらゆる場合において指導的役割をしておるという認定になる場合もあり得ると思います。羽田のときに、具体的にそういうふうな写真を携行するなり何なりしてやったというふうには聞いておりませんけれども、少なくとも全員が現行犯として該当するにいたしましても、そのうちの指導的な役割をしておる者を逮捕することによって、事案の全貌を明らかにすることがむしろ容易であるというようなことも若干は心理的に手伝っておる場合もあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/51
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052・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、見分ける場合に、前もってそういう見分ける準備はしておらないということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/52
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053・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 見分ける場合もあり得ると思います。あり得ると思いますが、羽田の場合にそういう意図をもってやったというふうには私聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/53
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054・高田なほ子
○高田なほ子君 見分ける場合もあり得るでしょうけれども、私は、本人の知らない間に学生運動に参加しているという理由で、警察の方が写真を手に入れて、あらかじめこれを容疑者として見るというその考え方については、私はこれは不当だと思う。特にまあこの二人のお嬢さんなんかは、一人はどうやら祭り上げられた委員長であるようにも聞いているし、家庭も非常にりっぱな家庭で、御本人も非常に学業にも熱心である、こういうような者が破防法の容疑団体の中の一連の首魁者というような観点から、年中警察が写真を持っていて、機会あらばつかまえろというようなやり方というものは、私は決してとるべきものではないのじゃないか。わけて女子学生に対しては相当これは注意をされて、特に学生運動の中における女子学生というものの立場というもの、これはなかなか微妙な点もあるわけなんですから、十分にこれはお含みいただかなければならないと思いますが、現在でもあれですか、この学生運動のリーダーは、あなたの方でいろいろ写真や資料など常時取りそろえておかれるわけなのでしょうか。この点いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/54
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055・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 学生運動を行なうということ自体、それはまことにけっこうなことでもありまするし、そういうことだけで写真をとってあらかじめ容疑者というふうなレッテルを張るということはいたしておりません。しかしながら、よく起こりまする不法事案に率先して指導的役割をとっておるというようなものは、その場の現場証拠を固める意味において写真をとることは最小行為としていたしておるわけであります。そういう中に、たまたま写真によって確認をいたしておくという将来へのまた予防的な見解場とか、いろいろな点から、一体そういうことが前に起こった場合においてとられた写真から、これが指導的役割をする可能性があるというふうな判断をする場合もあると考えますが、単に学生運動で、これは委員長である、これは何かあぶないぞということで写真をとって、そういうものを指導者としてあらかじめ容疑的に注意するというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/55
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056・大川光三
○委員長(大川光三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/56
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057・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/57
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058・高田なほ子
○高田なほ子君 現場でいろいろ証拠物件として写真をとることはわかるんですけれども、羽田の場合、前もって的確だったというのですよ。これはいい、これは悪いというふうに、実にその的確な判断をされていた。だから、前々からこれをつかまえよう、これを持っていこうというような方向でやられたのではないかということから、私は以上の質問をしたわけですけれども、そういうことはやっておらないということであれば、これはまあけっこうなことだと思いますけれども、この羽田デモの多くの学生が、今私が申し上げたような形でもって逮捕されたわけですが、この羽田デモの事前に、公安調査庁と警察というのは、どういう程度の情報交換というものを行なわれたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/58
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059・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 必ずしも型がきまっておるわけではございませんが、公安調査庁の力で特異な情報を入手された場合、これは警察が知っておいたがよかろうというものは、われわれの方にちょうだいすることもございますし、また、同じようなものが私の方にも情報として入っておるということもございますが、これはお互いの協力態勢ということは常時やっておるわけでございまして、必要な情報をそのときそのときちょうだいするということで、特にこの羽田の問題について公安調査庁と事前に打ち合わせをして情報交換をするというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/59
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060・大川光三
○委員長(大川光三君) それでは法務大臣ありがとうございました。
それでは引き続いて先ほどの関さんからの御説明を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/60
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061・関之
○政府委員(関之君) そういうような今まで申し上げたような考え方、また社会情勢の分析の結果、ここに申し上げるような綱領となって出てくるわけでございます。これはさっき申し上げたのとあるいは一部ダブることになるかもわかりませんが、「一、我々は戦争と搾取と抑圧の原因である帝国主義に反対し、労働者階級の解放の闘いを支持し、日本と世界に於る社会主義の実現のために闘う。二、我々は、全世界の労働者階級を中心とする人民の解放闘争を支持し、これと固く団結してその発展のために闘う。三、我々は帝国主義の戦争と搾取と抑圧の政策に反対する人民の、反戦・民主的権利擁護・生活擁護の闘いを支持し、その発展のために闘う。四、我々は以上の課題と、学生の政治的、経済的、文化的諸要求をかかげて、学生運動の発展のために闘う。五、我々は、労働者階級の諸闘争と結びつき、その発展のためにたたかう。」このような綱領を掲げているわけであります。どうもこれは一般常識の立場に立って考えてみまして、この種の綱領というものが普通考えられる学生運動の幅を著しく範囲をこえて政治的な問題に突入している。しかもその突入の仕方が、かなり過激にと申しましょうか、矯激な考え方をもって行動を展開している、こういうことが考えられるのであります。そうしてこれらの綱領――これは社会主義学生同盟という団体の綱領でありまして、その団体の綱領――こういうものが出るゆえんのものは、それは個人がやはりそういう考え方をもってこれに当たっているということになるのでありまして、その中の一人の意見でありまするが、まだ社会主義学生同盟が反戦学生同盟と言われた時代に「反戦旗情報」という情報を出していたのであります。その情報の中に、一人の意見といたしまして、「平和と独立のための人民戦線政府樹立の展望」という論文があるわけであります。その論文の中を見ますると、今申し上げました綱領よりもさらに矯激なことを書き立て、そうしてそのおもな御判断の御参考になることをここに御紹介いたしますと、次のようなことを響いて、その結びといたしまして「反戦学生同盟は、日本プロレタリアートの諸階級政党――社会党、共産党及びすべての進歩的組織に対して、右の展望についての認識の調整と統一を要求し、統一戦線政府綱領として、次の諸スローガンを大衆の前に提示すべきである。」こういう前提のもとに少し申し上げてみますると、「1、日米安全保障条約、行政協定その他従属条約の破棄。2、米軍事基地の全面的撤去、沖縄の本国帰属。3、社会主義諸国との国交、通商の全面的確立。4、自衛隊、現存警察諸組織の解体、労働者階級の武装。是を基礎とする民主的民族的国防軍及び警察組織の創設、交戦権の回復。5、勤労諸階級、階層の民主主義的諸権利の徹底的拡大」この中にABCとありまして、Cに「言論、集会、結社、政治ストライキ、武装街頭デモの自由。6、全言論、報道機関に対する民主的統制」というようなことがあり、さらに「7、統一戦線政府の倒壊ないし、その基本政策を阻害する目的を有する活動を遂行する。すべての個人、法人、組織の財産の即時没収と解散。8、日銀及び五大銀行の単一銀行への統合とその国有化。」また、「10、武器生産の可能であり必要な工場の国有化」など、いろいろありますが、そうして11、としまして御承知のようなことがここに書いてございます。これは個人の意見でありまするが、今申し上げたような綱領の作り出される一つの基本的なものの中の個人がこういうような考え方を持っている者も存在しているわけであります。こうなりますると、これは明らかに暴力革命を前面に目途としているということを、これはどうしても、どう見ても、この文書でどなたがごらんになっても、私はそういう結論に相ならざるを得ないと、こう考えるのであります。そこで、過去において消すことのできないそれらの行動によって判断される資料から考えてみまして、どうも反戦学生同盟及びこれらの同盟員の有数な分子によって指導される全学連の中枢組織及び共産主義者同盟というようなものは、被防法所定のこれらの暴力被壊活動に触れるきわめて深い疑いのある行動を打ち出してきた、こういうふうに私は考えているわけであります。それで、もちろん破防法というものが、第三条はもとよりのこと、二条におきましても、その使い方のいかんに上っては、民主主義を阻害する危険のあるものであることは、私どもも国会の御慎重なる審議の経過を通じて十分に考えており、また原案起稿にあたりましても、その点が最も苦心をいたした点でありまして、いろいろそう考えておりまするが、さて、このようなことを主張し、そしてこのような考え方を打ち出して進んでくる団体のそれらの行動を、ただこれを言論の自由として放任しておくことができるかどうかということに相なるのでありましてもう私は、今申し上げたようなことは、どなたがごらんになっても、常識ある者ならば、これはどうも心配であるという結論になろうと存ずるのであります。そのような観点から、わが庁におきましては、これは一応調べてみるということに踏み切った次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/61
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062・高田なほ子
○高田なほ子君 共産主義のいろいろの現状については、あなたの方がよく御調査になって、私どもはその報告はいただいてありますから、この問題には私は触れる必要はないわけであります。ただ、全学連を破防法容疑団体として指定したということ、このことについて私はしぼっているわけなんです。全学連を破跡法容疑団体として指定したということは、非常に私は重要な内容を持っているというふうに考えているわけなんです。全学連のいろいろの宣伝、それから機関紙、それらのものを見ると、今あなたがおっしゃったように、安保反対とか、基地の撤退とか、自衛隊の解散とかいうようなことを言っておるようでありますけれども、われわれ社会党でも同じようなことを言っているわけなんです。全くこれと同じわけです。そういうような考え方を持っておって、そして団体的に行動したからといって即これが破壊活動防止法の適用になるものかどうか、実は私は疑問だと思う。その行動自体は、やはり見ていかなければならないと思うのですが、さっきおっしゃったように、警察庁長官もおっしゃったように、国会デモでもあるいはまた羽田のデモでも、言うところの凶器というようなものは何らこれは持ってないわけですね。旗だとか、プラカードとか、こういうようなものきり持ってないので、そのほかの凶器と思われるようなものは持っておりません、こういうふうに御答弁になっておられますけれども、そうだとすれば、破防法四条一項の中の政治的目的をもって凶器を携え、多衆共同をしてなす刑法九十五条に規定する行動、こういったような行動には、私は全学連の行動というものは当てはまるか当てはまらないかということには、大へん疑問を持つ一人であります。あなたはどういうふうにお考えになっておりますか、思想そのものだけをお考えになっていらっしゃるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/62
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063・関之
○政府委員(関之君) 私は、もちろん今日全学連の諸君のやっている今申し上げたような思想的基盤に立つ行動が、内乱そのものであるとか、あるいは騒擾そのものであるというふうに御答弁申し上げているわけではないのであります。しかし、どうも彼らがそういうことを、はるかかなたではあるけれども、望んでいるということは、どうもこれは疑いない。それはどなたがごらんになっても、これだけの証拠をごらんいただけば、これはわかると思うのであります。従って、それを望んで、いつどこでどんな行動に出るかということが一つの問題であろう、こう思っているわけであります。そこで問題は、この反戦旗情報の一人の個人の意見、あるいは勤評闘争の中途において示した矯激な運動、かなりその中には矯激な言葉が出てきているわけであります。また、安保反対闘争のうちで、先ほど申し上げたような、国会を占拠しろ、国会の中に入れ、あるいは岸総理を引っぱり出して立たせとか、ないしは市街戦を辞せずというこの言葉は、飾り文句かしれませんが、この言葉自体が通常に用うべからざる私は言葉だと思うのであります。そういうような言葉が、これらの背景によって作り出されたということを考えてみますと、どうも破防法の暴力規定、破壊活動のもちろん内乱自体ではありませんが、その入口のところあたりには明らかにどうも触れてきた、こういうふうに私は思わざるを得ないのであります。そこで調査をいたす、こういうことなのであります。そこで、今の全学連の問題でございますが、これは私ども実は非常に心配しているわけであります。全学連の、御承知のように全体の構成約二十九万でありまして、その大部分は、私どもの処置を大いに不満がり、遺憾とするところと思います。しかしながら、その中枢部分――約二千と踏んでよろしいのでございますが、中枢部分は、どうもこういう考え方によってリードされているわけです。いわば二十九万がそれによって利用されているというふうに私どもは思っているわけであります。しかし、組織として見れば、明らかに全学連の名称をもって機関紙を出し、通達を出し、運動を展開しておるわけでありまして、この点もどうも私ども非常に悩みがあるわけでありますが、何もそうだといって、大部分の二十八万何がしのその学生諸君の全部がこれに私は当たらぬと思うのでありますが、しかし、その頭の、その全体の団体を率いて号令をかけているその頭の中枢部分は、いかにもそういうような、われわれのこの問題にひっかかるような考え方と、事態が出てきているということに相なるわけでありまして、この点は、私も事態を見まして、実はどうも割り切れぬものもありますが、さて団体はどうかと申しますと、どうも頭はそうである。だから、丹頂ヅルと言えばまことに丹頂ヅルの的確な事例でありますが、やはり団体としてどうかということになると、これは団体としてそういうことを言っている。団体の政治的な機関が、機関として動かしているその行動が、そういう今申し上げたような事態になるというと、やはりそこはそういうふうに一応考えざるを得ない。社会・主義学生同盟や共産主義者同盟は、ほとんど全員がそういう考え方でありますから、これについては私どもそういう悩みと矛盾は感じませんが、全学連については、いろいろ高田委員の御質問のような私も内心悩みを感じておりまするが、そうかといって、今申し上げたような事情で、ございまして一応とにかく調べてみる。しかし、その調べるにあたりましては、そういう事情がありますから、私どもとしての十分なる考慮のもとに、とにかく妙なことはやめろ、ただ必要なのは、そういうような中心分子がどういうような方向において動きつつあるかということだけを確めろ、こういうふうに指示をいたしまして、良識ある学生の行動を一々どうこうするというようなことは、全然いたす考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/63
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064・高田なほ子
○高田なほ子君 まあ公安調査庁も、全学連を破防法の容疑団体として規制することについては、割り切れない考えを持っているということが明らかになったのですが、全く私もその通りだろうと思う。その内乱そのものではないけれども、内乱の予備、陰謀が確かにあるということは、これは思想方面から調査した結果、そういう結論を出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/64
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065・関之
○政府委員(関之君) これは内乱の予備、陰謀というどの階段が予備であるか、陰謀であるかということは、法律上非常にむずかしい問題でありまして、私は、まだそんなものはないと実は思っております。こういうものは、まだ今、この今日の段階においては、学生諸君もそこまではいっていない。そこまではいっていないが、そこまでいく、発展のおそれのある可能性は確かにある、こういうようなふうに私はその事態を思っているわけであります。従って、その事態が、前の事態としての各種の現存的な行動私も羽田事件、あるいは国会侵入事件に彼らが凶器を何も持っていかなかったことはよく承知しております。しかし、昨年の勤評闘争において、われわれはすでに武器を集める段階になったということを一、二の指導者は叫んでおるわけでありまして、そこらの問題を考えてみまして、なるほどそれでは、武器を集めてどうこうするという段階になると、国家全体の治安の面から見ると、手おくれの状態になるわけであります。われわれは、できるだけそんなことにはならない前に処理いたさなければならぬ、そうかといって言論の自由の問題がありますから、そこの範囲をどうするかというところに、これは私どもの非常に悩み及び苦労しなければならない問題があるのでありまして、そこらのところを最も賢明に、一方において言論の十分なる尊重をしながら、しかし他方においては、えらい大きなことにならない前にこれを賢明に処理いたしたい、ここのところに現段階における私どもの最も苦心しているところが存するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/65
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066・高田なほ子
○高田なほ子君 この内乱の予備、陰謀のおそれあるものとして全学連を容疑団体としたということに、御答弁の中から受け取れるわけなのですがね。今お説の中に、勤評闘争の中で、武器を集めろなんと言った者がいるなんというお話が出ていますけれども、こんなはね上がりの一人、二人の意見が常識的でこういうはね上がりがみんなそうだというなら、これは問題でしょうけれども、一人、二人のはれ上がりの意見を、ここであなた、お取り出しになつたって、そんなものは通用しないので、全学連の山にも一人、二人のそれははね上がりはいるでしょうけれども、この全学連、二十九万の学生の団体自体が、はたしてその内乱の予備、陰謀を持つおそれある団体であるかどうかということの判断については、これは私、相当慎重になされなきゃならないと思うんです。なぜなれば、この全学連が破防法の容疑団体であるというような指定をされれば、これは必然的に学生運動を逼塞させる結果になるんです。それは公安調査庁の今のお考えは、割り切れないとは言うけれども、全学連そのものが破防法の規制団体だということになってくれば、これは学生運動をもう最大に私は押えるものだというふうに考えるんです。ですから、もし、そんなにおそれあるものであるとするならば、これはよほど、その証拠固めというものをしなきゃならないように思うんですけれども、一体どういう方法で全学連に対して証拠固めをしていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/66
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067・関之
○政府委員(関之君) 今の全学連の問題につきましては、まことに高田委員と私は感を同じゅうするものでありまして、決してむちゃなことをする考えはごうまつありませんし、学生運動の健全な発展のために慎重な考慮をすべきことは、これはもう申すまでもないところなのであります。そこで、その調査の仕方でありまするが、これは御承知の通りに、破防法には強制調査権というものはございません。従って、すべて可能な、任意な方法によって、その学連の中枢分子ですね、学連の中枢分子の矯激な運動ないしは各種の謀議、画策というものを調べるということに相なるのであります。で、方法は、要するにそういう任意な方法によって行なうということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/67
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068・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、今あれですか、全学連の中枢部に対して調査権を発動しているということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/68
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069・関之
○政府委員(関之君) 大筋としては、大体そういうふうに御了承いただいてけっこうであります。問題は、約二千前後の中枢分子の行動でありまするから、あとのことについては、私どもは、もう手を出す余裕もございませんし、現在の段階においては、その一番中心のところに限ってとにかく一応、このような文書を作るその中枢に向かって調査をいたしている、こういうことであるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/69
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070・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、今の段階は、これは破防法容疑団体として中枢部の捜査を公安調査庁が進めつつあると、こういうことになるわけですけれども、御承知のように、この破防法の四条一項の中には、一つの政治的な目的をもって凶器を携えて共同して公務執行妨害をしたり、あるいは職務に対して反対をする行動をしたりというような、いわゆる刑法九十五条に規定するものが破防法四条の適用になるように考えているわけですけれども、どうも今御説明を聞くというと、内乱の予備、陰謀のおそれのある団体――そのおそれも、将来先のおそれがある団体として今調査をしていられるというお話ですけれども、どうもこの内乱の予備、陰謀には、やっぱり凶器、武器、そういうものが私は一つの破防法適用の条件になってくるというふうに考えるんですが、思想的に、自衛隊を解散しろとか安保条約に反対だからといってにわかにその破防法の容疑団体だというような形で捜査を進めていかれるということにも、私は、はなはだ疑問を持つんですが、竹内刑事局長、この場合、破防法の第四条の一項にいう凶器というのは、どういうものを凶器と言うんですか。政治的意見をもって、内乱――日本の国の政治を変革する目的を持っているもの、その内乱のために必要であるこの凶器、そういう凶器というものは、一体どういうものを凶器とさすんでしょう。旗ざおとかプラカードも、やっぱり凶器というふうに考えていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/70
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071・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 私どもこの破防法四条に書いてございます凶器という意味につきましては、破防法で特に別の意味があるというのではなくて、やはり刑法その他の法律に凶器という文家ございますし、またその凶器につきましては非常に古くから幾つかの判例がありまして、解釈はほぼ確定しておるというふうに考えておるわけでございます。それによりますと、その解釈は、同時にこの四条の凶器にもひとしく適用されるというふうに思っております。今日まで明らかにされております解釈によりますと、ただいま御指摘のプラカードとか旗ざおというようなものは一般的には凶器の中に入らない。ただ、まあ特殊な形態をしておるようなものですね、これは竹やりといったふうな、先をとがらせてあるとか、そういったような特殊な工作の施してありますような旗ざおということになりますと、やはり凶器の中に入れざるを得ないんじゃないかというふうに解されるのでございますが、一般的に申しましてプラカードあるいは旗ざをというようなたぐいのものは、凶器の中に入らないという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/71
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072・高田なほ子
○高田なほ子君 公安調査庁にお尋ねいたしますが、今凶器の定義が局長から御説明があったわけなんですが、全学連の使った竹ざおとかあるいはプラカード、そういうものも、将来政治的目的をもって多衆共同して内乱を発生させ、あるいは国体を変革させる、そういう予行演習であるというようなものの見方をされて、この破防法容疑団体というふうに指定されたのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/72
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073・関之
○政府委員(関之君) この破防法の凶器の点は、全く今の竹内刑事局長の御説明の通りでありまして、旗ざを自体がすぐ凶器になるとは考えておりませんし、そのようなことは国会審議のときにおきましても問題になりまして、
一応そういうふうなことに審議上はなっておるわけであります。それで、全学連ないしは日本社会主義学生同盟あるいは共産主義者同盟、こういうようなものが、ただいま私が申し上げたような基本的な考え方の根本が、そこを目途としているということは、これはもうこれだけの証拠がありましたならば、何人も私は疑うことができないと思うのであります。従って、はるかかなた何月何日に革命を起こすということを一まだその段階ではありませんが、それを目途として彼らが運動を進めつつあるということは、私は疑いないと思うのであります。そして問題は、そのような危険な矯激な行動を目途として、その目的に進んでいるわけであります。その段階においては、もちろん今申し上げたような法に触れないような行為をいたす、これもあり得ると思いますが、だんだん触れていく。そして矯激な行動から内乱の実行ということに相なると思うのであります。こういうことになるのでありますが、そこで、私はこの竹ざをとか、あるいはプラカードが内乱の武器になるというふうに、すぐそんなことには考えておりません。やる段階になりますと、おそらくそんなものは問題でない。もう少し違った方法がそこにとられるであろうかと思うのであります。まあそういうようなふうに考えておりまして、すべて予行演習であるかいなかという問題でありまするが、これは私はそれらの行動が直ちに予行演習である、こういうふうには思っておりません。思っておりませんが、予行的なもの、現実に革命を起こす――すぐ予行ということではありませんが、それを作り出す、一つの基盤を作り出すものである、こういうような努力を重ねているものである、こう思うのであります。それで、もちろん今日常識的に考えてみまして、これらの思い上がった学生諸君が、それだけの学生諸君だけでもって社会を変革させるというようなことは、いろんな事情を考えてみまして、それはおそらく非常に困難な、あるいは不可能であるというような、公平な判断が出てくるかと思います。思いますが、さりながら、彼らは主観的にはそういうような目標を目途として、とにかく動きつつある、しかもその数は一人や二人ではなくて、千、二千というような人々の一応結集で、しかもバツクとしてそういう基盤を利用している、こういう点は、どうも全体の問題を考えてみる上において判断してみなければならない問題と、このように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/73
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074・高田なほ子
○高田なほ子君 くどくどとなるわけですけれども、具体的には安保改定反対あるいは今言うような自衛隊の解散とか、軍事基地を撤退せよというような、そういうプラカードを今後もあらゆる団体が掲げてくるだろうと思います。特に今度の安保批准に際しましては、これはもう冬民間団体、仏教の団体もこれは反対をして、徹底的に岸内閣の退陣を要求しているというような情勢の中で、公安調査庁のものの見方からすれば、そういった考え方をもって新しい社会を建設しようというものが、みんな破防法容疑団体の思想であるような見方をされますと、これはもうたまったものじゃない。で、学生運動の中には、繰り返して言いますけれどもね、必ずこれは行き過ぎがあるんですよ。自民党の方々でも個人的に話してみると、「おれも若い時代には学生運動じゃよくあばれたもんだ」というような述懐をされてそしてまた全学連の方も、これは学校を卒業して、どこかへ就職されれば、生きのいい運動をしたものだというような、なつかしい思い出話になりながら、その思い出の中に、やはり社会においての何か一つの芽というものを持っていらっしゃるわけなんですから、単にプラカードがどうだ、表現がどうだということで、にわかに破防法の容疑団体というふうに指定するということは、繰り返して言いますけれども、これは非常に険なことだと思う。はなはだ危険なことだと思う。そこで、結論的にお尋ねしますけれども、あれですか、公安審査委員会の方には、破防法の容疑団体として全学連の調査が済めば、これを審査をお出しになることになるわけですけれども、いつごろ審査を、請求をお出しになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/74
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075・関之
○政府委員(関之君) 審査委員会に排出の問題については、まだ具体的に考えておりません。私は結論は、結局今申し上げましたような経過で調査をしておりまして、今後のこれら学生の諸団体の動向のいかんによる、今までのところはそういうような状況であったが、要するに審査委員会に要求するかどうかということは、今後の動向いかんによる、こういうふうにここではお答え申し上げるよりほかはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/75
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076・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、これは未知の問題になるわけですが、そうすると、なお私は具体的に今度聞きたくなる。全学連は、言うように安保批准反対というプラカードを今後も掲げて、それはデモもやるでしょう、私らもやるつもりです。こういうようなことは、あれですか、やはり破防法の容疑団体として一つの証拠となるものだというふうに、先ほどからあなた御答弁になっていらっしゃるようですが、そういうことになったらこれは困りますがね、どうなんです、ここらの見解は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/76
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077・関之
○政府委員(関之君) お答えいたします。御疑問の点は、私どもはやはり非常に苦心しているところなのであります。安保反対ということ、あるいは平和運動、すべての問題につきまして同じ問題がそこにあるわけであります。そこで、私はたとえば共産党の標語とか、あるいはプラカードないしは失礼な申し分ですが、社会党の標語とが、全くある意味においては同じものがある。しかし究極の目的は、実現せんとする目的は違うものがある、それは根本的綱領の違いを示すものでありまして、違っている。そこでその関係におきまして、現在のその種の運動、そういう社会運動には二つのものが存在している。根本は、はるかなかなたにプロレタリア独裁の革命を目途としているもの、そういう人たちのその運動、そうして全くそういうものを考えない方々の運動というものが、同じ形でもってここに出てきている。しかしその根本を見ておりますと、そこにやはり違いがありまして、まずこれを出して次にこれを出す、それからこういうような綱領や標語が変化していくことになるわけでありまして、そこでわれわれは、根本の目標との関係において、明らかにそこを区別いたしまして、単純な安保反対というような問題が、これは破防法に該当する、すべてそういうこと自体が、何でもかでもその標語を掲げれば、それがすべて破防法に該当するなどということは、絶対に考えておりません。どうぞその点は私どもの良識ある苦心というものを御信用いただきたいのであります。決してそんなことは考えておりません。問題、やはりある団体の根本の目標、ただいま申し上げたような根本のねらいとする目標をよく見まして、そうしてその目標の実現としてどういうプロセスで、彼らのその目標を実現せんとするのかをよく考えて、それとの関係において問題を考えてみる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/77
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078・高田なほ子
○高田なほ子君 重ねてもう一ぺん確認しておきたいことですが、全学連を破防法容疑団体として、審査委員会に請求するかしないかということについては、今後の全学連の行動による、こういうようなお話でありますが、そうだとすると、この全労連の今後の行動を見てからということは、具体的に言うと、どういう行動があった場合に、あなたは公安調査庁の長官として、請求をなされるおつもりですか、具体的にどういう行動があった場合にはするつもりか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/78
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079・関之
○政府委員(関之君) これは破防法第五条ないし第七条におきまして、規制請求の条件といたしまして、一度破壊活動をいたした団体が反覆継続してこれを行なう可能性がある、そういう場合に規制請求を出すことができる、こういうことになっている。しかしすべての場合に、しゃくし定木に私どもはいたす考えはないのでありまして、今申し上げたように、これは学生という身分の全く特殊性――今、高田委員の御指摘の通りに、三年なり五年なりすれば社会生活に入っていきまして、いわば区切られた学生という特殊身分の運動でありまして、いろいろの事情を考察いたしまして、そういうような条件をよく見まして、そうして今後の、たとえば破防法所定の騒擾のせん動であるとかあるいは内乱の予備、陰謀であるというような、具体的におそれのある行動がそこに感知せられるというような、彼らがそこまでいくかどうかという問題をよく考えてみまして、その上で考えるというようなことに相なろうかと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/79
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080・高田なほ子
○高田なほ子君 学生運動の中には、これはもう私は内乱の予備、陰謀をするほどの実力は持っていないと思う、そういう実力はね。二十九万、三十万に及ぶ学生が内乱の予備、陰謀をするほど、日本の学生は私は冷静を欠いているとは考えられない。ただ、その彼らの青年特有の非常に純情な気持から、心からなる憤りをもって、そうして時の政治に対する不満を表現する方法のまずさから、たまたまいろいろな誤解を招き、その誤解に基づくあなたの方の調査庁のものの見方が、それを直ちにこの内乱の予備、陰謀ありとして、これを一々きつく取り締まり、調査していくというやり方については、よほど一つお考えいただかないと……。また、全学連の今後の行動について、具体的にどういう行動だということをお尋ねしたところ、まあ破防法の五条七条をお出しになっているわけですけれども、それは何も凶器を持って組織的、計画的にかつ継続的に、日本の国の騒擾を目途として行なっているものでないというような考えを、一つ十分に確かめられて、学生運動に対して権力がやたらに介入することのないように、私らも心から願ってやまない。なぜなれば、権力の重圧に対して、われわれこういう年配の者でも、やはり何くそという気持が起こってきます。若い者に対して、権力の重圧や不愉快な捜査とか、非常に不明朗な調査というものが及んだ場合に、むしろ平地に波乱を巻き起こすようなもので、かえって政治権力者が学年運動を挑発してそして破防法適用を拡大させていくというような、そういうこともやりかねないんじゃないかという気もするわけです。破防法が制定されたころに、私どもは国会において大いに戦って、こういう悪い法律は成立しないように望んだんですけれども、とうとうこれは成立してその破防法を適用させるために、いろいろな菅生事件とか何とかでっち上げ事件が出てきて、それで破防法の適用ということを合法的にやるような政治背景ができているわけです。現在やはり安保条約の改定批准という問題は、単に社会党とそれから岸内閣との対決という問題でなくて全国民的な問題であり、全国民的な疑惑を持っている問題でありますから、おそらく全学連も今後この安保批准に対しては、やはり反対の運動を続けていくでありましょう。われわれもまた反対の運動を続けていこうと思うわけです。労働組合も、それから一般の宗教団体も、そういう運動に立ち上がってくることは必至だろうと思うわけです。そういうことを直ちに内乱の予備陰謀ありとして、そうしてこれを調査の対象にするというようなことがあっては、破防法が一番おそれているところの思想あるいはその自由、それから集会の自由、言論の自由というものが、きわめて脅かされるというような結果にもなりかねない。従って、その全学連のはね上がっている学生に対しては、当然大学当局が、これに注意を喚起し、そうしてまた大学当局みずからがこれを教育的に措置するという方法もあるわけなのでありますから、どうか一つ破防法の容疑団体というようなことで、やたらにこれを抑えていって、物も言わせない形にして、これを解散に導くようなきっかけを作るのではなくて健全な学生運動というものは、当然やはりこれを進めさせていかなければならないものなんです。歴史の発展の過程では、これはもう絶対に学生運動は必要なんですから、これに不当なる調査をされたり、また思い過ごしをされたりして学生運動に圧迫を加えるようなことがくれぐれもないように、もし個人的に必要があるならば、それは個人の問題として、おやりになったらいい。団体それ自体を網に引っかけて、ここに全学連の九州支部があるという、その支部にまでどんどん調査官が調査をしていくというような、全国一律にねらうやり方というものは、私は破防法の正しい運用の仕方ではないというふうに考えます。どうしてもそうじゃないというふうに考えられる。ですからこれは十分一つ御注意いただいて今後の、将来の行動を見てから破防法適用の団体にするかしないかをきめるというのは、これは見方によっては、やはりおどかしですよ。おまえが今後これをするかどうかを見てからやるんだと、執行猶予みたいな形で学生運動を見るということも、これは私はあやまちじゃないかと思う。今後の動向によるというようなお話ですけれども、もしそうだとするなら、大挙当局や何かともいろいろ私はお話し合いがあるべきものだと思いますけれども、公安調査庁としては、大学当局あたりと学生運動について積極的なお話し合いというものがなされたようなことがありますか。あるいはまた文部大臣は、羽田デモ事件に際して積極的に学生運動を押えろというような強い見解を持っておるようでありますが、文部大臣と、それから公安調査庁というものは、学生運動に対して何か連絡があるものか、そこら辺の事情を一応最後に承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/80
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081・関之
○政府委員(関之君) 以上は、資料に基づきまして申し上げましたごとくでありまして私どもは大へん遺憾なことでありまするが、これらの団体の行動をただ腕をこまぬいて見送るという段階ではない、遺憾ながら調べざるを得ない、こういう立場で、すべて正当な調査を展開している所存なのであります。もちろん二条、三条その他の法律の全趣旨にかんがみて、必要最小限度にとどめるという高田委員の御指摘のように、とにかく学生という特殊の身分で、私どもも経験のあることでありますから、その点は、私どもややおおらかな気持でその行動を見たい、しかし、それかといって、どうこう言うことは、どうも国家の全体的な秩序から見まして好ましくない、こういうふうな考えから調査をいたすわけであります。今の大学あるいは文部省との関連でありますが、私ども、役所が、こういうような破防法の運用という関係上、とかく学生運動その他に、どうあるべきかというような問題は、私自身としては持っていないわけではありませんけれども、それをもって大学の先生にどうこうするとか、あるいは文部省の方々に、おれはこう思うからあなたはこうしなさいというようなことを言う意思は毛頭ありません。それは、かえってこういうことをやりますると、これは、思想問題について私どもの介入になるわけでありますから、意見を聞かれた場合には、実は原因は、こういうところにあるように思う、こういうところに一つ問題があるというようなことは、お答えすることも、今までもありましたし、今後もそういうことをいたそうとは思いますが、ただ積極的に私どもがどうこう言うことは、どうも長い目から見たら、私どもはそういうことをしない方がいいのじゃないか、そういうことを申し上げますと、どうも学生運動に介入するとか、あるいは健全な学生運動自体に対して私どもが入っていくとか、いろいろな問題が生ずるのでありますからして、今のところは、そういう事態に私どもは積極的に介入して、大学の先生その他にいろいろなことを積極的にこちらから持ちかけるということは慎しむべきことであるというように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/81
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082・高田なほ子
○高田なほ子君 私の質問の趣旨を間違えて御答弁になったのでしょうか。あなたに介入されては困る、ただ文部大臣が、羽田のデモ事件に対して、学生運動に対しては強硬な態度に出るのだというようなことでありますから、多分公安調査庁あたりにもいろいろと連絡があったのじゃないかと思うのです。そういうような連絡がなかったのかということと、もう一つは、大学当局の中でいろいろ、ここにも資料を持ってきているのですが、九州大学あたりでも、これは大へんいろいろ問題を起こしているわけです。これはやはり九学連の中の三名の学生を対象とした調査らしいのですけれども、こういうようないざこざを起こすのでなくて、調査官が勝手に学生の生活とか学生の自治の中に踏み込んでいくのではなくて、むしろこういうおそれのあるようなことがあった場合に、大学の自治というものを守るためにも、調査官派遣の前に、大学当局と何かお話し合いでもって解決できたらば私はすべきものだと思うのです。学生独自の、学園の独自の判断にまかせるような方法だって、私はあると思う。そういうようなことをするために、お話し合いというものも、あるときにはあってもいいのじゃないかということです。介入されてはこれは困るのです。だからそういう意味で私は聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/82
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083・関之
○政府委員(関之君) 文部省との関係につきましては、これは今申し上げたような調査上、各種の資料がここに出てくるわけであります。入手して今御紹介いたしたようなものが……。で、向こうの方から、どういうようなことを考えているかというような、何か資料があったらばもらいたいというときには、その資料は文部省の方に、関係庁の方に差し上げているわけです。また、具体的な調査の問題で、大学当局との連絡でありますが、これは私ども必要最小限度……。とにかくすべて学園の問題はいろいろなトラブルの起きるということは十分承知しておりますから、もし大学の学生課の方に何か御連絡申し上げて、問題を打開するのに賢明な方法があるというときには、やはりそういうような方法をとることといたしております。そうかといってそこまでは問題を持っていかずに済むこともあるし、だから問題は、そういうような観点から、すべて一がいに全部御相談するということでもないし、しかし賢明なる処置、最も穏便にうまく事をはかるというような観点から、場合によってはもちろん御相談申し上げることもあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/83
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084・高田なほ子
○高田なほ子君 今度の全学連の二つの問題について、公安調査庁は、何か大学と関係がありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/84
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085・関之
○政府委員(関之君) 二つの問題と申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/85
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086・高田なほ子
○高田なほ子君 国会デモと羽田デモの事件です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/86
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087・関之
○政府委員(関之君) 別に大学当局の方とは関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/87
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088・高田なほ子
○高田なほ子君 全然ないのですね。
柏村長官がお帰りになってしまいましたので、竹内刑事局長に一つお尋ねしておきたいのですが、この九州大学新聞というのは、九州の大学で出しておる新聞、これを資料にしておるわけです。また、私ども社会党としても、実は九州大学事件に関して調査団が行きました。これは全学連の運動に加盟しておるという三名の学生のリーダー、このリーダーが、これが羽田のデモに参加したということの理由で、一月二十二日の午前三時に、学生も何も立ち会いなしに、全部書類を押収して持って行ってしまったという事件がある。これは全学連に関係した捜査なのでありますから、当然学連の当事者がこの書類押収の際には立ち会うべき筋合いのものであるにかかわらず、全然立ち会わないで、ほとんど書類を皆引ったくっていっちゃったらしい、立ち会いなしで。そこで、あとでそれを聞きつけた学生たちが驚いて、押収した書類はわれわれが立ち会わないで持って行っちゃったのだから、とにかく中の書類を見せてくれ。学連に関係したものならば学連の問題で捜査するということであるならばこれはやむを得ないけれども、全然立ち会いもなし、それと無関係のものまで持っていくということは、これははなはだしい越権行為ではないかということで、大へんな抗議をしたらしい。しかしとうとう押収した書類は一部も返すことなく、そのまま持っていってしまったという、いわゆる警察官の違法行為が調査団の報告の中に出てきております。実は、先ほど委員会が始まる前に、長官にこの問題について当局がどういうふうな御調査をされたのか、一ぺん承りたいと、言いましたが、お見えにならないわけです。こういうような事実に対して、あなたはどう考えられますか。立会人もいないで持って行っちゃったということは、法律的に見てどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/88
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089・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その九州の押収捜索の問題についてのくわしいことについては、私どもは実は承知いたしておらないのでありますが、ただ理論的に申しますと、押収されました場所の管理者が、押収の際に立ち会っておりますれば、押収することはできるわけなのであります。押収しましたものにつきましては、押収の目録を相手方に差し上げるということになっております。今おっしゃるように全学連の関係の書類を持って行こう、あるいはほかのものを押収しようという場合でございますから、全学連の人が立ち会うということが妥当とも言えますし、また、見せてくれと言えば見せて上げなければならない場合もあると思いますが、しかし、理論からすれば、立ち会わぬと言えば押収ができないかというと、そういうものじゃない、やはり管理者に立ち会わせて、あるいは一般私人の場合でも、当該の家の対象の家族がいなければ隣人を立ち会わせるというようなことも実は規定しております。条文から申しますと、そういうことになりますが、具体的事案について違法であるかどうかということになりますと、私ただいま伺いました点では、直ぐ違法だという結論は出てこないと思いますけれども、妥当であるかどうかということになりますと、具体的に実際に即して当、不当を考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/89
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090・高田なほ子
○高田なほ子君 管理者が立ち会う場合は私はあり得ると考えるし、また、当然法的にはそういうことになっておりますけれども、しかし、ちゃんと全学連が書記局があって連絡すればわかるものを、わざと連絡しないで、それでただ持って行ってしまって、押収したものを何も見せないということについては、これはやはり妥当な方法ではないのじゃないか。先ほどから重ねて私は学生運動について育っておるのですが、やはり若い人たちはとても純粋ですし、純粋だけに妥当でないと思われることに対してはおとなが考える以上の憤りを持っている。憤激を持っておる。そうしていろいろな問題を起こさなくていいところに問題を起こすようなことになりがちなんです。私は今度の九大事件についても、ずいぶんこれは学生は騒いでおるようですが、調査団の調査の状況もここにいただいておるわけなんですけれども、やはりこの学生に対する、あるいは大学の自治というものに対する当局の考え方というものは、少しあせり過ぎておるのじゃないか、もう少し冷静に、ことに波乱を起こさないように、必要とあれば――私は必要なことをしてはいけぬということを考えていません。――やはり必要のあるものは必要の限度でもってすべての行動がされるわけでありますけれども、今言うような管理者でなくて、学連に連絡をして、そうして必要な書類を押収するならば、合法的にそれをおやりになればいいわけでありますけれども、そういうことができるのに、わざわざやらないで、午前二時に書類を持って行ってしまってまた、その書類を一度見せてほしいというものを見せないというのは、あまりにも学生に対する私は不当な弾圧じゃないか、はなはだ私は不当だと思う。きょうは時間があまりございませんから、この問題については、また後刻柏村長官にお出ましを願いまして、事の真相を御報告をしていただき、また私どもからも、こういう事態についてくわしく御報告申し上げる機会を得たいと思いますが、一つ九州大学の問題について十分に真相を御調査いただいて、あなたの方では、こういう九州大学新聞なんていうのは、とっくに押収されているでしょうからお持ちになっていらっしゃるでしょう、私の方でも、こういう新聞を持っておりますけれども、これに基づいて十分調査をされて、申し開きがあれば、一つ申し開きをしてもらって、われわれの誤解があれば誤解を解いていただくように、誠意をもって一つ当たっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/90
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091・倉井潔
○説明員(倉井潔君) 長官がお帰りになるときに、倉井三課長でございますが、もし私でよかったら答弁しておけというお話でございましたが、差しつかえなければ、私、御答弁さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/91
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092・大川光三
○委員長(大川光三君) いかがでしょう。倉井さんに答弁してもらいましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/92
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093・高田なほ子
○高田なほ子君 全部そろっているのですか、資料が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/93
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094・倉井潔
○説明員(倉井潔君) 大体そろっているつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/94
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095・高田なほ子
○高田なほ子君 それではあなたの方の言い分だけきょう聞かせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/95
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096・倉井潔
○説明員(倉井潔君) 簡単に状況を御説明申し上げたいと思いますが、警察庁では、羽田の事件の捜索上必要がありましたので、一月の二十日に東京簡裁から九州大学内の九学連書記局の押収捜索の許可状の発行を受けましてこれの執行を福岡県警察に嘱託をした次第であります。福岡県の警察では、この嘱託に基づきまして押収捜索を、行なうべく一月の二十一日の早朝、捜査員十三名を九州大学に派遣したのであります。
そこで、捜査員は午前六時三十分に九州大学に到着いたしまして、直ちに守衛室におもむきまして来意を告げ、守衛の案内で当直室に至りまして、当直中でありました文部事務官の福澤章という人に対しまして令状を示して、学校側代表と九学連書記局側代表一名の立ち会いのもとに捜索を実施したいと連絡を依頼したところが、学校側では副田経済学部長が午前六時四十分に来所いたしまして、そして九学連の書記局側は代表が来ましたが、全学連の書記局側は代表が来ないために、しばらく捜索の着手を待つこととしたのであります。そこで約一時間ぐらい書記局の代表の来るのを待っていたのであります。しかし現われませんでした。いたずらに時間がかかりますときは、学生の多数登校によりまして無用なトラブルを起こすおそれがあるということを考えまして、やむを得ず七時四十分から学校側の五名の立ち会いを得まして捜索を開始したのであります。そして八時二十八分までに関係資料を発見しましてこれを押収し、その旨を明らかにするために押収物件の、今お話がありました目録の作成にかかったのであります。学生部長が、目録を作成するだけならば私の部屋に行きましょう、こういうようなことで、さらに補導課長も、八時三十分からは授業が始まるから、学生が来るからというので、押収物を持ちまして五名の警察官が学生部長室に移動しました。他の警察官八名は、学校前の巡査派出所に引き揚げて待機していたのであります。午前八時四十分に今度は学生部長室でその目録を作成し終わりまして、その押収品目録を経済学部長に手交いたしまして、証拠品との照合に入ったところが、学校側の方から一つ異議が出まして押収物件の一部に羽田デモに関係のない書類があるという異議申し立てがあったのでありますが、執行者としては関係ありと認めたものだというふうに回答いたしまして、結局まあ見解の相違ということで、その押収捜索は九時二十分に照合を終了したということになっています。
この間に、八時四十五分ごろから九学連の委員長ら学生が同室に入り込みまして、照合が終わるころには約十名ぐらいになっておったのであります。その目録の照合を終了した後に、学生部長から、学生にも納得のいくように話してもらえないか、こういう旨の申し入れがありましたので、これに応じまして、学生側の要求により、令状を示したところが、学生らは、何の理由で九学連の書記局を捜索したのか、それから学生代表の立ち会いなくしてなぜ捜索したか、九大自治学連の書類もあるから返してもらいたい、こういう抗議があったのであります。これに対して警察側は、裁判官の発した正当な令状によったものである、それからこの押収捜索は、学校の施設内にあるから学校当局の立ち会いを得て行なったのだ、学校当局の立ち会いを得ないでやったのではないのだ、なお、学生側の立ち会いの来るのを一時間も待っておったのである、押収物は令状に示す羽田デモ事件に関係のあるものばかりなんで、直ちに返すわけにはいかないのだ、こういう旨を説明いたしましたが、学生らはこれに納得せず、説明が終わっても、帰ろうとする警察官を取り囲んで、そうして押収物に手をかけて押収物件を奪取しようとするというようなことなどもありました。学生部長室一帯は相当険悪な空気になってしまった、こういうことであります。そこで警察側は、混乱を避けるために、やむを得ず押収物を一時経済学部長に預けまして、そして付き添って監視しながら、なおしばらく話し合いに応じていたのであります。その後、学生側は刻々その数が増加してきまして、約五百名くらいになりまして、警察側に対して抗議を繰り返し、再三にわたって、学校当局及び警察側の説得に応ぜず、すわり込み、実力で警察側の押収物件の持ち帰りを阻止するというような態勢を示すに至りましたので、警察としましては、派出所に置きました一個分隊を含めて三個中隊――約三百名でありますが――の警察部隊を招集し、一方、大学当局に対しては、すみやかに学校内にある警察官を押収物件とともに帰してもらいたい、これ以上事態を悪化遷延せしめるならば、やむを得ず実力行使をしても帰さざるを得ない、こういう申し入れをしたのであります。これに対して学校側では、緊急学部長会議を開いて学校側の態度をきめて、学生を説得するのだから、少し実力行使を見合わしてもらいたい、こういう要望があったのであります。そこで、学部長会議を開催して、その結論として、午後三時四十分ごろ、有田法学部長代理が、学生に対して、警察側にはいささかも違法行為はない、学生は警察官が差し押える物件の持ち帰ることを阻止してはいけないということを学校側から説得しております。しかしながら、学生はなおすわり込みを解かず、押収物件の持ち帰りは不可能であったので、警察はその後も学校当局の説得を要望する一方、県本部の警備課員を学校に派遣して学生の説得に当たらせたのでありますが、学生側は全く応ずる気配がなく、午後八時十五分ごろ、山田学長から学生側を説得したけれども、学生は聞いてくれない、これ以上の判断は警察におまかせいたします、こういうことの回答があったのであります。そこで、八時五十分ごろ、招集していた部隊のうちの二個中隊を大学近くに前進させまして、そしてやむを得ざる実力行使の態勢を整えたのであります。そして、午後の九時四十分ごろから広報車――警察の伝達のための広報車でありますが、この広報車だけを正門前に出しまして、そして警告の広報を開始いたしましたところ、学生側は正門を閉じてしまい、そしてそれに針金等で補強いたしまして約百名の学生が配置についてあくまでも実力をもって阻止の態勢を示して相当の抵抗が予想されたのであります。それから、やがて午後の十時六分に、正門に山田学長が出て参りました。先ほどは警察に、もうどうにもならないからまかす、こういうことを言うておったのでありますけれども、いま一度話し合うから待ってほしいと、警察側に懇請してこられたのでありますので、警察側は、さらに学長の説得を期待いたしまして、やむを得ざる実力行使を差し控えて、状況を見ておったのであります。そこで、学生側と学校側との話し合いは、今度は翌日になってしまって、二十二日の午前一時過ぎに一応終了したのでありますけれども、学生側はなお納得しないで、「無抵抗の抵抗」と称して、ますますスクラムを固く、気勢を上げるに至って参りましたので、警察側としては、やむを得ず一時五十分から、正門から一個中隊、裏門から三個中隊を学校内に入れまして、十分に警告を行なったあと、校舎の廊下並びに学長室の周辺にすわり込んでおりました三百五十名の学生を排除いたしまして、そして午前二時五十六分に押収物件を確保して、そして三時四十分、学生の解散とともに警察も学校から引き揚げた、こういう事情になっております。
今、高田先生の、違法な押収捜索をやったということに対しまして、実情は違っておりますので、この点、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/96
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097・高田なほ子
○高田なほ子君 実情を承りました。私の方の調査ともまた違う。この食い違いは、また次の機会に十分質問でただしていきたいと思いますから、これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/97
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098・大川光三
○委員長(大川光三君) ほかに御発言もないようでございまするから、本件につきましての調査は、この程度にとどめたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/98
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099・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に、昭和三十五年度裁判所関係予算並びに同法務省関係予算について調査を行ないたいと存じます。
御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/99
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100・高田なほ子
○高田なほ子君 売春対策関係の予算は、厚生省の方と二つまたがっておるようですから、法務省の方だけではちょっとこの全般をお話しいただける面がむずかしいんじゃないかという気もするわけですが、この婦人相談所とそれから婦人相談員、これは予算から見ると、相談員の数がだいぶ減ったようにありますけれども、あなたの方でこの点、ずっと説明していただけますか。ちょっと私、資料を置いてきてしまって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/100
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101・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 御質問の婦人相談員関係は厚生省で、ちょっと法務省ではわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/101
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102・高田なほ子
○高田なほ子君 婦人相談員と婦人相談室というのは、やはり更生保護の、面で、それから法務省の売春関係の問題とやはり密接な関係を私は持っていると思いますがね。こういう、売春の更生問題については矯正教官あたりと何も連絡する機関というものはないんでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/102
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103・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) これは、仰せのごとく、婦人補導院から退院いたしました者は、厚生省関係の婦人相談員の方々のお世話にならなければなりませんので、各補導院では密接な連絡をとっております。私らの方には、実は特殊面接委員という制度を持っております、これは部外者の方々が退院後の指導援護をやっていただきますにつきましてのあらかじめの御連絡を申し上げ、部外の調整をとっていただくためにそういう制度を持っておりますが、そういう特殊面接委員に相談員の方がなっていただきまして、入院中から退院後のことを御相談申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/103
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104・高田なほ子
○高田なほ子君 まあ今言うような婦人相談所の職員の仕事というのは、とても保護更正の面で重要な役割を実は占めてきておるのですが、これは三十四年六月一日の官報、この官報の中に出ておる「充実したい婦人保護」という面で、これは主として厚生省の方の言い分がここに書かれてあるわけです。もちろん法務省としては「達成したい法の目的」、こういう見出しでその後の売春防止法の運用について白書みたいな形で発表されておるわけです。これを見ると、どちらも婦人保護とか、それから婦人の更生については、ぜひとも法務省としても法の目的通り達成したいというような意味のことが、更生保護の面を充実したい、こういうことでずっと書いておるわけです。ところが今度の予算では、更生省の予算になるのですが、先ほど申し上げたように、婦人相談所の職員の定員を、たしか六十四名じゃなかったかと思いますが、定員を減らしておるのですね。この、減らした理由については、相談員がそう必要じゃなくなったという観点から減らしたのじゃないかと思うのですがね、ただ、やぶから棒に減らすわけはないと思いますが、そうすると、これは法務省の方では厚生保護の相談室を拡充したいというようなことでやっていただくわけですが、相談員を減らして相談室だけ拡充したいといったってこれは工合が悪いような気がするのですが、ここらの関連というのはどういうふうになっておるのですか、ちょっと私にわからないので、この点をお話していただきたいし、それから定員を減らしたということについても、どうも私現状から見て納得いかないのです。あなたのお考えですね、厚生省じゃないからおわかりにならないと思いますが、あなたの考えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/104
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105・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 実は売春対策の一環といたしまして検察庁に更生保護相談室というものを作っておるのでございます。これは事件の処理に当たりまして、起訴を相当とするか、あるいはその他の補導によってまかない得るか、その辺の判断を下す資料を集めるために、更生保護相談室を設けておるのでございます。この更生保護相談室には保護司の方々とか、それから厚生省の婦人相談員などもお見えになっておると思うのでございます。そういう面では御協力いただいておると思うのでございます。ですが、この婦人相談室そのものは厚生省の所管でございますし、また、相談員の方々も厚生省の所管でございますので、その辺の事情、ちょっと私、はかりかねるのでございます。ただ、われわれといたしましては、なるべくそれは拡充していただきまして事後の処理にも十分お手当いただきたいという希望は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/105
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106・高田なほ子
○高田なほ子君 婦人相談員のみならず、売春対策費が一連に後退しているのです。数字の資料を私今自分で持ってこないで、質問も非常にしにくいわけなんですが、とにかく全項目後退しているのですよ。そうすると、あれですか、今売春対策費が後退したということと、それから法務省が考えている法実施後の状況というものと見比べまして、はたして後退するような現状であるかどうかというところに、私疑問を持っているわけなんです。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/106
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107・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 予算面から概略申し上げますが、売春対策関係の予算といたしましては、いわゆる捜査検挙の関係につきましては、他の検察費の中に計上されておりましてこれにつきましてそのうち幾らが売春関係の検察費であるかということは、これは予算上明記されておりません。しかし、検察関係のいわゆる検察費は、昨年度の一般事件の増に伴いまして増加を示しておるのであります。特に売春関係といたしましては、検察庁におきまする売春犯罪対策のための会同開催経費三百三十一万、鑑定謝費百十七万というものが前年度同額で計上されておるのでございます。このうち、一部いわゆる行政経費の節約を受けまして、三%くらいの減は受けておりますが、項目としましては昨年度同様に計上されておる次第でございます。
また、ただいま矯正局長から御説明申し上げました検察庁にございます更生保護相談室の関係経費も、前年予算通り四百四十万円が計上されておるわけでございます。ただ、減少いたしましたのは婦人補導院の関係経費で、二百五十万ばかりが減になっておる次第でございます。これは婦人補導院の収容施設の備品費でございまして、御承知のように婦人補導院の新営は、昭和三十三年度予算で認められまして、三十四年度にまたがって建設いたしまして、昨年度中に器具器材等の購入をほぼ終了したわけであります。ただ、三十五年度におきましては、エキス線装置の三百万円の必要が生じました。この三百万円を差し引きまして、二百六十万の減ということになっておる次第でございます。いわゆる婦人補導院の収容費と申しますか、収容者に対する処遇その他の経費につきましては、収容所費の日用品等のむしろ値上げを認めまして、はなはだ些少ではございますが、四万五千円の増になっております。収容者の数も大体二百人を予定しておりますので、大体法務省関係におきましては、ただいま申し上げました一部の器材の購入費等が整理せられましたという意味で、二百五十万円ほどの減になりましたが、その他の経費は大体昨年通り同額の計上をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/107
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108・高田なほ子
○高田なほ子君 この収容費四万五千円増になったお話があったのですが、四万五千円国の予算で増になったからといって、大した影響もないと思うのですが、あまり不思議だから、一応念のために伺っておきたいのですが、何で四万五千円ふえるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/108
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109・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 石けんでございますとか、日用品の単価の増を見まして増額になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/109
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110・大川光三
○委員長(大川光三君) ちょっと関連して私から……。収容人員のお話がありましたが、本年度は二百人を予定しておるのですか。収容人員はそこで前年との比較はどうなんでしょうか、その点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/110
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111・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 収容予定人員は前年度同様の二百名を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/111
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112・高田なほ子
○高田なほ子君 あれですか、単価増になったというのは、物価の値上がり等でもってそれを上げたんですか。それとも単に予算の体裁上こういうふうに上がったということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/112
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113・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) ちり紙その他を官給いたしますので、その枚数をふやしましたり、また石けん一個を、今ちょっと覚えておりませんが、つまり一週間に一個というのを五日に一個にするとか、そういうふうに内容の充実をはかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/113
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114・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、私ども委員会で石けんとかちり紙とか、だいぶやかましく言ったので、少しふやしたということになるのですが、これは念のために聞きたいのですが、一日やはり鼻紙四枚から五枚になったという程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/114
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115・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 婦人補導院におきましては、一日九・五枚が十四枚にふえたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/115
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116・高田なほ子
○高田なほ子君 その次にお尋ねいたしますが、婦人補導院の収容費は、法務関係では四万ふえているのですが、これが日曜品の単価の増ということになるわけですか、婦人補導院収容費の四万というのは、今御説明になったところでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/116
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117・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) ただいまの日用品単価の増で三万六千円、その他食糧費等の単価増で九千円、合わせて四万五千円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/117
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118・高田なほ子
○高田なほ子君 それから今婦人補導院は東京、大阪、福岡の三カ所ですね、この東京、大阪、福岡の三カ所で、さらにことし二百名の収容定員をふやすというお話ですけれども、この三カ所の中にこの二百名というもののふえた収容人員が収容されるようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/118
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119・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) ただいまちょっと御説明の言葉が足りなかったかもしれませんが、つまり一日二百人の収容を予定しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/119
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120・高田なほ子
○高田なほ子君 そうするとそこのところよくわからないのですが、一日二百名の収容を予定しておるというのは、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/120
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121・大澤一郎
○政府委員(大澤一郎君) 定員が二百名ということで考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/121
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122・高田なほ子
○高田なほ子君 今、東京、大阪、福岡の三カ所に何人の婦人が補導されているわけなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/122
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123・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 私からお答えいたします。実はまだ東京と九州は本院ができてないのでございます。大阪だけが本院ができておりますが、従って、これが本院ができますと、収容もふえてくると思いますが、現在の一月末の状況は、栃木に実は分院がございますので、東京の婦人補導院の分院でございますが、ここに七十五名。それから大阪は本院でございますが、大阪は七十一名。それから九州の福岡の方はふもとに分院がございますが、ここで三十四名。合計百八十名でございます。東京の婦人補導院は今月二十五日に完成の予定でございます。三月からこちらで本格的な収容を開始したいと考えております。福岡の方はちょっとおくれまして五月に入ると思いますが、本院を目下非常に急いでおりますので、至急に完成して、そこに収容したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/123
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124・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、三十二年から三十三年までの間に更生保護相談室が取り扱った売春婦が二千六百四十八名という大へんな数に及んでいるようですが、統計から見ると。そのうち、約七二%に当たる千九百十五人というものが、やはり婦人補導院あたりに入って、そうして更生の道を選ばなければならない人のようでありますけれども、今御説明によると、七十五名入っておるということでありますが、この千九百十五名というような救いの手のない人たちは、一体どういうふうになってしまっているのでしょうか。収容された七十五名はいいですよ。しかし、婦人相談室が取り扱った者の中で、どうしても保護更生の必要があると思う者は千九百何名で、約二千名くらいの人数なんですが、その中で七十五名だけは、今東京の、本院ではないけれども、入っていると、こういうのです。ところが、この二十五日から本院ができて、収容する施設もできることになるようですが、そうすると、七十五名以外の収容されざる者というものは今どういうふうな状態になっているというふうに当局は把握されておるのか、また二十五日から東京にできる本院の中にさしあたって何名ぐらいの者が収容されるようになるものか、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/124
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125・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 売春防止法で捜査を受けました人たちがいかようになっておりますか、はっきり私の方に資料はございませんですけれども、昨年中――三十四年の一月から十二月まで栃木の婦人寮に入りました者は百十四名ということになっております。一月末の現存が七十五名でございますが、現に入って参りました者は百一十四名ということになっておるのでございます。従いまして、その他千何ぼの残りの者がどうなっておるかということでございますが、これはおそらく起訴猶予処分になりました者、あるいは罰金に処せられた者もあるかと思うのでございますが、さような処分で、今後の更生を期しておるのではないかと思うのでございます。今度東京の婦人補導院が完成いたしますと、ここは収容定員百名でございますので、今後は定員一ぱいに収容いたしまして、なるべく補導処分の効果を上げていきたいと思っておる次第でございます。まことに数としては少ないのでございますが、実績をあげて、逐次必要に応じて今後の対策を講じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/125
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126・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、一日二百名の収容計画が今発表されたわけですが、その計画はこういうことになりますか。そうすると、東京が百名、大阪は現在七十一名で、福岡の方が分院で三十四名ということになると、これは二百五名ということになるわけですね。二百名というのは、三月から収容を開始される東京の本院の収容人員を目途としてこの二百名という数字をお出しになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/126
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127・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 実は大阪の方も、定員は九十名なんでございます。それが今七十一名しか入っていないというわけでございます。もうちょっと余裕があるわけでありますが、まだ入っておりません。九州の福岡にできますものも、九十名の定員で今作っておるのでございます。従いまして、それができますれば、九十名までは収容可能なわけでございます。予算関係では二百名ということになっておりますが、これは三十四年度の実績が、分院ができなかったために少なかったわけでございます。さようなところから、三十四年度の実績をもととされますので、この点、われわれとしては、少なくとも二百八十名の線を出したかったのでございますが、とりあえずのところは、実績もこうであるから、一応二百名としておいてもしも足らなければ予備費の方で十分見られるから、その点は実績に応じて考慮しよう、こういうことで、一応平均しまして、年間を通じまして二百名という予算に相なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/127
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128・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、実績から二百名ということで、今言うような、大へん小さなことを聞くようですけれども、私は、政治というものは、何も大ざっぱなことばかりでなくて、こういうこまかいところに注意しないと、せっかくの予算も、それから施設も、愛情あるものにならないというような観点から聞いているのですが、さっきのお話の、収容費が四万五千円上がって、日用品あるいは食糧費もそれぞれ上がるということに予算ではなっているわけでなんです。ところが、今お話のように、東京が百名、大阪が九十名、福岡が九十名ということに、これはまあ満ぱいにはもちろんならないと思いますけれども、みんな満員になると、これはあなたの仰せの通り二百八十名になるわけですね。そうすると、せっかく組んだ予算というものが、具体的に言えば、はな紙十四枚になっても、実際には、人が多いから、せっかくの十四枚が、また十四枚にならないということにもなりかねないのではないですか、こういう場合にはどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/128
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129・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) これは、一人に対しましてそういう標準ができましたら、ふえますれば、それに応じての、収容に伴う費用は見てもらえることになるわけでございます。でございますから、単価が上がりますと、全体のやはり給与が上がっていくということになりますので、決してこの予算で全部をまかなっていくわけではございません。ふえますれば、ふえたに相応いたしまして食糧費から、日用品から、被服費から、全部がそれに伴って参りますので、御心配のようなことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/129
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130・高田なほ子
○高田なほ子君 婦人補導院の補導処分というのは、大体六カ月というふうに組が引かれるわけですが、六カ月過ぎても、まだこれは退院さしては工合が悪いという者もあるでしょうが、そういう者の措置はどうなっているのか、あるいは六カ月以前に仮退院するという者はどういうふうな状況になっているものか、ここらあたり一つ説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/130
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131・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 仰せのごとく、六カ月になっておりますので、六カ月でまだなおらない者もあり得るわけでございます。これもやむを得ず出さなければならないわけでございます。その場合の手当でございますが、これは、ただいま高田委員から仰せのありました婦人相談員との密接な連絡によりまして、今後の指導援護をお願いすることになるわけでございます。これは任意のことになりますので、強制はできません。その点は非常に力の弱いものになるかと思いますけれども、本人が更生の意欲に燃えてくれますれば、その線に沿って今後の指導ができるわけでございます。なお、仮退院の者は、これは保護観察所の手で観察保護が加えられるわけでございますが、これも仮退院期間中でございますので、通じまして六カ月をこえますと、今仰せのように観察保護ができないことになるわけでございます。従いまして、これも厚生省関係の相談室のお世話にならざるを得ないということでございます。さような関係から、われわれの方では、厚生省との連絡は非常に緊密にとっていかなければならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/131
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132・高田なほ子
○高田なほ子君 その大切な、六カ月で社会に復帰させるようないわゆる更正保護というものは、私は、あまり可能じゃないというふうに考えているのです。まあ六カ月という期間はどういうことでその六カ月を出したか、大へん疑問に私思うのですけれども、今一応六カ月となっている、しかし六カ月以上置くということは、今のお話では、大体できないしかけのようになっているようですが、六カ月たてば、社会生活に適応させるような状態にならなくとも、無理でもやりでも出さなければならないというような状態が今繰り返されているわけなんです。そういう中で、この婦人相談室の世話になり、あるいは婦人相談員とのつながりを持たなければならないわけなんですが、今度の厚生予算の中で一番私ひどいと思ったのは、この婦人相談室の定員をものすごく削っているのです。数字を今持って来ないので非常に残念なんですが、あなたもきっと研究なすったら驚いちゃうのじゃないだろうかと思います。よくもこんなに定員を減らしたと思うほど、ばっさり減らしているのです。地方の実情はやっぱり婦人の団体あたりといろいろ懇談をする婦人相談室の必要、婦人相談員の必要というものが、とてもあげられているし、今やはり法務省の見解としても必要なことが明らかになっているわけなのですね。六カ月という短い期間であればこそ、なおさら必要であるわけなんです。それが、今言うように、せっかくの受け入れ態勢であるべき相談室なり相談員なりの定員を減らし、予算を減らしということになれば、六カ月たって、今度どういうふうにすることもできないような状態に追い込まれる危険性というものを、一応私どもは考えていかなければならないわけですが、それにしても、今のたった三カ所の補導院きりないということについては、これまた売春防止法がざる法だと言われても私はしようがないと思うのですね。法務省としては、この三カ所のほかに何か計画を持たれておられるのでしょうか、補導院の増設とか、その他、六カ月の期間後における対策がどうというようなことがあれば、この際、一応伺わせておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/132
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133・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) この六カ月の期間と申しますのは、ほんとうは実際われわれとしても短か過ぎるかとも思っておるのでございます。ただ、この六カ月になりましたにつきましては、刑罰規定との対比から、どうしてもこの六カ月以上という線が出なかったのでございます。われわれといたしましては、この六カ月の期間を最も有効にどうしてやっていくかということの大きなむずかしい問題に取り組んでおるわけでございますが、で、仰せのごとく全国三カ所、定員二百八十人で、あまりに少いのでないかという仰せでございますが、確かに売春の数その他の点から考えますれば、非常に少ないと思うのでございます。で、ただいま申し上げましたように、まだ補導院も本格的な施設ができていない現状でございます。本格的な本院を作りまして、そしてこの実績をやはり積み上げていきまして、これだけの成績を上げており、死者対策としては必要なものなんだというところの実績を上げて、そしてこれを増設していくというふうな方向に持っていかなければならないと思っておりますので、極力本院ができましてから、その成果を十分発揮するように今後努めていく、そしてほんとうにこの補導処分というものの効果を上げまして、早急に増設という方向に持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/133
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134・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、あれですか、さしあたっては、この大阪と東京と福岡の三カ所で実績を上げるような施設をしながら積み重ねていく、当分はこれ以上の増設というものは考えていないということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/134
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135・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 三十五年度ではそのままでいきまして、その成績を見た上でということにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/135
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136・高田なほ子
○高田なほ子君 売春対策とこれは関係があることなんですけれども、犯罪の検挙件数を、いつかやはり法務省の資料でもって拝見したのですが、売春の誘致ですね、ポン引き、この中に少年の数が非常に多く数字的に出ておりますけれども、この実情はどうなっておりますか。今資料はないのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/136
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137・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) この問題につきましては、刑事局の方で十分資料を整えておると思いますので、後刻刑事局長の方からでも詳しくお答えするようにしたらよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/137
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138・高田なほ子
○高田なほ子君 この問題について私は刑事局長から……。ひもの問題がありましたですね、法務省としてひもの取り締まりを強化するというようなことがあったのですが、法務省の資料を見ますと、売春を誘致するいわゆるポン引きですか、そういうものの数の中に、少年の数がとても統計ではふえてきておる。だからこういうことに対して、法務省ではよほどこれは研究しなければならないところにきておるのじゃないかというような気持から、今質問をしたわけですが、これは後刻伺わせてもらうことにいたしましょう。
私は売春関係についてはこのくらいの程度です。
次に、裁判所の関係について一つ伺っておきますけれども、今度書記官ですか、待遇改善で何か号俸調整の予算が組まれておるようですが、その総額はどのくらい組まれておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/138
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139・栗本一夫
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) お答えいたします。
裁判所書記官、家庭裁判所調査官の号俸調整の金額は、一億九百四十九万九千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/139
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140・高田なほ子
○高田なほ子君 その号俸調整に何か条件がついているのじゃないですか。勤務時間について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/140
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141・栗本一夫
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 条件と申しますか、権限の拡充及び勤務時間の延長等のことは、大蔵省とこの予算を入れてもらうにつきまして、何と申しますか、条件ということはございませんが、大体さようなことにいたしたいというふうには答えてあるはずでございます。これは主として人事局の所管でございまして、正確なことは人事局長からお答えいたした方が私は正確かと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/141
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142・高田なほ子
○高田なほ子君 人事局長はお見えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/142
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143・栗本一夫
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) きょうは特にお呼び出しがございませんでしたので、参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/143
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144・高田なほ子
○高田なほ子君 号俸調整一億九百万ですかの予算を組まれたことは、これはけっこうなんですが、ただ、その権限の拡充ですか、どんなふうに権限の拡充をされるのか。これはおわかりですか。また、勤務時間の延長ということは、これは私は問題だと思う。号俸調整をするにあたって勤務時間を延長しなければ号俸調整ができないという、そういうやり方については、疑問があります。大よそどのくらいの勤務時間の延長が考えられているのですか。大よそでいいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/144
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145・栗本一夫
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) お答えを避けるわけではございませんが、いずれまたこういうようなことは人事局長が参りまして答弁さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/145
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146・高田なほ子
○高田なほ子君 その勤務時間の延長の問題は、私の詳しく聞きたいところなのです。人をばかにしていますよね。不当な給与の、その号俸調整をやるというのに、勤務時間を延長しなければ号俸調整ができないというようなことは、これは全く冒涜ですよね。こんなことはあなたに言ってもしようがないですが、内容を聞かなければわからないですが、はなはだけしからぬことだと思う。実はこれをお伺いしようと思って、それで質問を始めたわけです。しかし、当面の方がお見えにならないとあれば、また次の機会にても聞かしていただくことにします。私は裁判所関係では大体今のところこの問題だけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/146
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147・大川光三
○委員長(大川光三君) ちょつと高田君に申し上げます。ただいまの御質問の点は、いずれ裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の説明があるときに関連しまして、御注文の説明員に来てもらって説明を聴取したいと思いますから、さよう御了承願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/147
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148・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記を始めて下さい。
ほかに御発言がなければ、本件についての調査はこの程度にとどめたいと存じます。
以上をもって本日の議事は終了しました。
次回の委員会の期日は、追って公報をもってお知らせいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X00319600216/148
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