1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十七日(火曜日)
午前十一時四十八分開会
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委員の異動
五月十三日委員徳永正利君、西田信一
君、田中茂穂君、石谷憲男君及び小山
邦太郎君辞任につき、その補欠として
平井太郎君、植竹春彦君、津島壽一
君、林田正治君及び宮澤喜一君を議長
において指名した。
五月十六日委員江田三郎君辞任につ
き、その補欠として久保等君を議長に
おいて指名した。
本日委員平井太郎君、植竹春彦君及び
前田佳都男君辞任のため、その補欠と
して西田信一君、笹森順造君及び鍋島
直紹君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大川 光三君
理事
井川 伊平君
高田なほ子君
委員
笹森 順造君
鍋島 直紹君
西田 信一君
林田 正治君
大森 創造君
久保 等君
千葉 信君
赤松 常子君
片岡 文重君
市川 房枝君
辻 武寿君
政府委員
法務省司法法制
調査部長 津田 實君
最高裁判所長官代理者
事 務 次 長 内藤 頼博君
人 事 局 長 守田 直君
経 理 局 長 栗本 一夫君
総務局総務課長 長井 澄君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○裁判所職員臨時措置法の一部を改正
する法律案(千葉信君外一名発議)
○裁判所法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/0
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001・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告申し上げます。
五月十三日付、徳永正利君、西田信一君、田中茂穂君、石谷憲男君、小山邦太郎君、以上辞任。平井太郎君、植竹春彦君、津島壽一君、林田正治君、宮澤喜一君、以上選任。
五月十六日付、江田三郎君辞任、久保等君選任。
本日付、平井太郎君、植竹春彦君辞任、西田信一君、笹森順造君選任。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/1
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002・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に、裁判所職員臨時措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。
発議者より法律案の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/2
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003・千葉信
○千葉信君 ただいま議題となりました裁判所職員臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。
現行の裁判所職員臨時措置法は、その題名の通り、公務員制度全般の再検討と裁判所職員についての基本法規の制定が終わるまでの臨時の措置として、昭和二十七年に施行されたのであります。しかしながら、その後、御承知の通り、公務員制度の改革についての検討は続けられておりますが、いまだに公務員制度全般が整備され、安定する時期に至りませず、従ってまた、裁判所職員法とも称すべき基本法も制定されるには至っていないのであります。しかして、この臨時措置としての裁判所職員臨時措置法の運用の実情を見ますと、単に「人事院」を「最高裁判所」と読みかえて、国家公務員法、一般職の職員の給与に関する法律等の大部分をそのまま準用している結果、最高裁判所が当事者の立場にありながら、他面では第三者的立場に立たなければならないような事態がしばしば生じ、ことに職員の勤務条件に関する行政措置の要求に対する審査及び職員の意に反する不利益処分に関する審査については、そのたびに裁判所職員の権利保障の必要性が要望されてきたのであります。元来、これらの審査につきましては、特に公正かつ客観的な審査が必要とされるため、通例の場合におきましては、人事院、人事委員会、公平委員会等、特別な第三者的な機関を裁決庁とするのが例でありますが、裁判所職員につきましては、最高裁判所が審査を行なうこととされており、また、職員の懲戒処分につきましても、最高裁判所が任命権者ではない場合でも、下級裁判所にかわって懲戒処分を行なうことができるようになっておりまして、はなはだ妥当性を欠くと考えられるのであります。
この法律案は、以上のような諸点を改めますために、さしあたって、裁判所職員臨時措置法に所要の改正を加えようとするものであります。
以下この法律案の要点を申し上げますと、
第一点は、新たに最高裁判所に五人の委員をもって組織する裁判所公平委員会を設け、その委員は、人格が高潔で、裁判事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し高い識見を有する者で、裁判所職員以外の者のうちから、最高裁判所が任命するものとし、同委員会に裁判所職員の行政措置要求及び不利益処分の審査請求に対する審査と判定を行なわせることといたしました。
第二点は、裁判所公平委員会は、行政措置要求のあった事案に対する判定に基づきまして、勤務条件に関して一定の措置を必要と認めるときはその職員の所轄庁に対し、その実行を勧告しなければならないものとし、また、不利益処分の審査請求のあった事案に対する判定が、当該処分を相当でないと認めるものであったときは、当該処分を行なった者は、その判定に従い、直ちに必要な措置をとらなければならないことといたしました。
第三点は、現在最高裁判所は、国家公務員法第八十四条第二項が準用されている結果、前述いたしましたごとく、任命権者ではない場合でも、下級裁判所にかわって懲戒処分を行なうことができるようになっていますが、この規定は準用しないことといたしまして、懲戒処分は、任命権者のみがこれを行なうものといたしました。
なお、以上三点の改正のために、裁判所職員臨時措置法の本則を第一条とし、新たに第二条を設けて裁判所公平委員会に関する事項を規定し、国家公務員法の準用規定に右の三点に関する所要の改正を加え、また、経過措置として改正規定の遡及適用をするために、この法律施行前に最高裁判所に対して行政措置の要求又は不利益処分の審査請求があった事案で、この法律施行の際、まだ判定が行なわれていないものについては、裁判所公平委員会がその後の手続を行なうものといたし、ただ、すでに判定があったものについてまで遡及適用をする必要もないと考えられますので、この部分については、なお従前の例によるものとする経過規定を設けております。
以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/3
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004・大川光三
○委員長(大川光三君) これにて法案についての提案理由の説明は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/4
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005・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に、裁判所法の一部を改正する法律案を議題に供します。
本法律案に関し、前回の委員会で千葉委員から御要望のありました点につき、理事会で協議いたしました結果、法務当局から、本法律案立案の経緯について御説明をわずらわし、引き続いて裁判所側から、本法律案に関する時間延長の点について御説明を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/5
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006・津田實
○政府委員(津田實君) ただいま委員長の御指示がございましたので、この法律案提案に至りました経緯につきまして御説明を申し上げます。
従来、裁判所におきまして書記官制度調査委員会で書記官の権限のあり方についていろいろ検討がなされておりました。それにつきましては、法務省管下におきましても、検察官が委員として出席をいたしておりまして、いろいろ論議に加わっており、その経過は法務省としても十分承知いたしております。昨年末ごろ来、書記官に裁判官の補佐をさせるというような権限を認めるのが適当ではなかろうかというようなことについて公式ではありませんが、いろいろ裁判所から御連絡もありました。法務省といたしても、従来から研究をいたしておりましたが、いよいよ、時日ははっきり覚えておりませんが、書記官制度調査委員会におきまして一応の結論が出た趣で、裁判所側から法案の素案を法務省に提示されました、法案の素案につきましては、内容についていろいろ法務省といたしましても検討いたしまして、いろいろ論議を尽くしたわけでございます。裁判所側とも論議をいたしました。その結果まとまりました法案が、三月に至りまして——三月二十一日でございますか、国会に提案されたと、こういう経緯になっております。ただ、その間におきまして、前回の委員会におきまして問題になりました、裁判所書記官の執務時間の延長の問題を、法務省としていかように受け取り、いかように考えたかということであります。先ほど申しました、昨年末以来、あるいは本年当初以来におきましては、法務省といたしましては、裁判所が大蔵省に対して、勤務時間を延長することについて号俸調整を求めるという予算を要求いたしておりますことは、承知いたしておりません。従いまして、法務省といたしましては、それと無関係に、裁判所書記官の権限の拡張をされるものというふうに考えておった。ところが、いよいよ予算が確定いたしました後におきまして、裁判所側から、書記官について勤務時間の延長を将来する考えであり、それに対して相当の額の号俸の調整がなされる予定であってその予算が計上された趣旨を承知いたしました。この予算につきましては、前回の委員会でも申し上げましたように、家庭裁判所の調査官についてもさような措置がとられているという説明でございました。家庭裁判所調査官につきましては、何ら新しい権限を与える法制を作ることを裁判所側が当方に連絡しておられません。また、法務省といたしましても、家庭裁判所調査官の権限をこの際拡張するという必要性はいまだ認めておりません。ところが、裁判所書記官につきましては、裁判所書記官の学識、素養の著しい向上をした現在を見ました場合に、一方裁判官の絶対数が非常に不足しておりまして、裁判官の手不足をいかにして救済するかという問題をかかえておる現状におきまして、この書記官の有能な力を利用して裁判の促進をはかるということは、現下の裁判促進の根本問題を解決する問題とはもちろん考えませんけれども、一つの方策であるということは当然考えられるわけであります。従いまして、この仕事は、書記官の本来の仕事ではなくして、裁判官の命を受けて裁判官を補助するという形の、いわば補助的な権限でございます。しかしながら、その素養たるや、非常に高度の素養を要する重要な仕事でございます。従いましてこれは非常に弾力性のある権限でありますので、裁判官がこれをいかように駆使して裁判の促進をはかるかということは、もっぱら裁判官にまかされる事項であります。裁判官の命を受けてこの職務権限を発動するということは、すで御説明申し上げました通りでありますので、裁判官の命がいかように出るかということによって、書記官の職務内容がきまってくるわけであります。従いまして、事務の繁閑は当然きまってくるわけであります。今日、なるほど裁判所書記官の職務は非常に重要でありますし、かつ非常に多忙であることは、私どもも十分承知いたしております。しかしながら、今日の書記官の事務の中に、いささかの、一瞬の余裕もないかといえば、それはそうでもない。ことに、地方によりましては相当事務に余裕のある役所があることは、私どもも承知いたしております。また、書記官そのものの事務としては、現実に次々に行なわなければならないけれども、裁判あるいは裁判事務の促進の面から考えますると、書記官の事務を多少差し繰って裁判官の補助事務を行なうことによって全体的に裁判の促進をする余地も多々あるということも私ども認識をいたしております。従いまして、この際かような法律によって書記官の権限を拡大することは非常に適切であるというふうに判断いたしまして、この法律案を立案するということに至ったわけであります。従いまして、この法律案によりましての権限を使うことによって、つまり、裁判官がこの法律によりまして、書記官に、ある事務を命ずることによりまして、書記官が従来定められた勤務時間以内にこれを達成し得ないというような事態が起こる余地はもちろんございます、しかしながら、それはもっぱら裁判官が行なう運用の問題に帰着する。従来の時間を差し繰る程度にしか命令をしないということも可能であります。また、すでに定められておりますところの超過勤務手当を利用して、超過勤務を命じて、それによってこの事務を達成せしめることも可能であります。従いまして、この法律そのものは、直接勤務時間の延長ということを前提にしておるものではないということは、理論的に当然と思います。従いましてこの法律の権限を十二分に行使するために裁判所が勤務時間を延長するかどうかということは、もっぱら裁判所の司法行政の運営の問題として考えるべきであって、その運営がいかようであるかということは、当然批判を受けることであろうと思いますけれども、この法律自体が当然裁判所書記官の勤務時間の延長を前提にしておるとは考えられません。家庭裁判所調査官の場合に対比すれば、当然のことと考えます。従いまして、そういう意味におきまして、この法律案による書記官の権限を十二分に活用するために、あるいは裁判所は勤務時間を延長するということが適当だと判断されるかもしれません。あるいは、現にその予算が入っておるのだから、そうだと判断しておられるかもしれません。しかしながら、また異なって、現在の裁判所の事務の繁忙を考えて、勤務時間の延長を考えておられるかもしれません。そこのところは、法務省としては、これは、正確に裁判所の判断を聞くことができません。またできない立場にあることは、前回に申し上げました通り、裁判所の最終判断は最高裁判所の裁判官会議できまることであります。私どもに連結しておるのは、最高裁判所事務総局でありまして、最高裁判所事務総局は、もとより最高裁判所裁判官会議の事項につきまして準備いたす役所でありますけれども、決定権は何もありません。従いまして、最終的に裁判官会議がいかに判断するかということは、私どもは知る余地はないわけであります。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、この法律によって、現在の素養の向上した書記官の要望に対処する一つの方法であると同時に、裁判促進の上においても有効であると判断いたしましたがゆえに、かような法案を立案いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/6
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007・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の法律改正によりまする裁判所書記官の職務権限の拡充は、もとより裁判事務の能率化の一環としてなされるものでありますけれども、これは新しい意味の書記官制度を作り出す上におきまして意義を持つものでございましてその面におきまして書記官の多年の要望に沿うものでございます。こういう新しい権限を書記官に付与いたしますることが、必ずしも書記官の勤務時間の延長と直接関係するものとは申し上げられないのであります。しかしながら、今日裁判所といたしましては、事件が激増いたしまして、御承知のように、複雑困難な事件が多くなりまして事件の処理がとかく渋滞しがちでございます。それに対する非難は、各方面にその声があるわけであります。この現実の訴訟事件の処理を迅速にいたすことが、裁判所といたしましては今日の急務であるわけであります。ところで、この問題を現実に解決いたしまするためには、いろいろの方策を考えなければなりませんけれども、その一つといたしまして、やはりこの書記官の拡充されました権限を十分に効率化する必要があるのでありまして、そのために書記官の勤務時間もまた延長せざるを得ないというのが実情なのでございます。もとより勤務時間の延長ということが、裁判所の執務の上におきまして好ましいものではないということは申すまでもないのでありますけれども、裁判所の今日の執務の現実の問題からいたしまして、そうして訴訟事件を迅速に処理するという要請からいたしましてまことにやむを得ない措置と考えているわけでございます。そこで、裁判所におきましては、この法律の改正をお願いいたしますと同時に、他方、予算におきまして、勤務時間の延長に伴うところの給与の手当をいたしまして予算を要求し、予算の御審議を願ったわけであります。
以上申し上げましたような趣旨でありまして今日の裁判所としての実情からやむを得ない措置というふうに私ども考えている次第でございます。
家庭裁判所調査官につきましては、その職務の実際から申しまして、当然それに見合うような給与ということが要求されるわけでございますが、これにつきましても、やはり裁判所は従来いろいろ検討を加えて参ったわけであります。そこで、今回勤務時間を延長いたしますとともに、やはり書記官と同様に号俸調整を予算上要求いたしまして、その予算を御審議願ったわけでありまして、この面につきましても、いろいろの給与につきましては、いろいろの案が考えられるわけでございますけれども、現実の問題といたしましては、今日の調査官の職務内容に即しましたところの給与というふうに考えるわけでありまして、将来書記官にせよ調査官にせよ、その職務にふさわしい給与体系を作らなければならないということは、私ども考えているわけでありますが、今日の現実の第一歩と申しますか、そういう意味におきまして、こういう予算上の措置をとっているわけでございます。書記官制度は、従来申し上げますように、旧裁判所構成法上の裁判所書記の時代から、今日の裁判所書記官の制度にかわりまして、従来申し上げますように、任用資格にせよ、あるいは研修制度にせよ、充実したものを今日実現いたしまして、書記官の能力、識見というものは飛躍的に向上しているわけであります。今後もその措置を一そう推進充実いたしまして、書記官の職務内容を向上させ、また、さらにそれにふさわしい給与体系を作り出したいというふうに考えているわけでございます。
以上をもって御説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/7
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008・大川光三
○委員長(大川光三君) なお当局として、裁判所から内藤事務次長、守田人事局長、栗本経理局長、長井総務課長、法務省から津田司法法制調査部長が各出席されております。御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/8
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009・千葉信
○千葉信君 いろいろ補足説明を伺いましたが、前回も委員会の席上で出されましたその提案理由の説明書の内容中、今回の法律の改正に伴って、当然付帯して行なうことを計画されている内容等については、具体的には勤務時間の延長等については、提案理由の説明書は一言半句も触れておらない。かりにそういう問題が裏返しの形で付帯しているという事実について、国会の側でそのことをもしつまびらかにせず、もしくは無関心のままに法律案の審議が終わるということになれば、これは国会としての責めが十分果たせないことになる。従ってそうゆう角度から考えれば、当然今回の提案理由の説明書には、そういう点を付加すべきではなかったか、この点が問題とされる。従って、もしそういう点について私の言っている通りだとすれば、本来提案理由の説明書は出し直されなければならない。しかし、そこまで追及するのは少し酷だと考えたので、私は最終的には補足説明することがあれば補足説明ということでその問題を置きかえてもよろしいという妥協をしたわけです。このことについては、前回の委員会の審議を聞いていたものはわからないはずはなかったろう。そういう立場で求めた私の提案理由の補足説明を、今法務省当局なり、最高裁から聞いたわけですが、私は一つ一つの内容を持っている今の両者の答弁については、あとで速記録ができてから克明にその問題については質問いたします。ただ、今の場合に言えることは、今申し上げた私どもの方の補足説明を要求したその趣旨とは、はなはだしくそぐわない、特に最高裁の補足説明は一応すなおに了承できるけれども、法務省当局の答弁に至っては、この法律案提案に至る経過に籍口して、自分たちのやったことについての弁解に終始しているきらいがある。私はこういう態度がとられれば、今後問題の審議にあたって、質問に対する適切でない答弁が横行するようでは、委員会の審議は必ずぎくしゃくと混乱するであろうということを、あらかじめここで注意しておきます。その今の補足説明についての個々の質問がずいぶん発生せざるを得ませんが、これは速記録を見てから、あらためてその問題について正確に質疑応答を行なうことにいたします。
そこで、私はここで最高裁の方に注文せざるを得ませんが、最高裁の職員、特にこの際は書記官とか、ないしは調査官に重点を置いて調査検討する必要ありというので、一体最高裁の職員の賃金は他の一般職等に比べてどういう状態なのか、少なくともその適正な賃金の状態になっているかということを判断する必要が今回の勤務時間延長等の問題にからんで起こってきておる。そのために、私はどうしても最高裁の職員等についての平均賃金額を正確に把握するという必要から、資料を提出することを要求いたします。どうも提出された資料を見ると、私の要求したものとはずいぶん食い違っておる。むしろはっきり言うと、私の要求したその目的を達することのできないような資料が提出された。これは何もこの委員会の席上で事を荒ら立てて取り上げなくても、場合によれば私は平常の御連絡でも十分私の要求している趣旨なり、ないしはその内容等についてお話を申し上げる用意がありますけれども、ただしかし正式にこの委員会で要求した資料なので、この点について私は一言私の要求したその資料について補足説明を行なって、もう一度所期の目的を達することのできるような資料を出してもらわなければならない。その第一点は、私の要求している趣旨というのは、さっきも申し上げたように、最高裁の職員の貸金の状態がどうかということを正確に把握するという目的に立っておる。そういう賃金の状態を正確に把握するために必要なものは、現在の状態のもとにおける一般職の職員に対する給与の制度なり、最高裁の職員のこれに対する準用規定による賃金の問題なり等についてどういう比較の方法があるかといえば、これは平均賃金額による以外は方法がないという状態です。もちろんその当初、昭和二十二、三年当時のいわゆるベース賃金の制度のもとにおきましては、比較する対象が常に明確になっておった。御承知のように年令二十八才・家族構成は一・二人、それから勤務地は乙地域の勤務者ということで、その基準のものを上下することによってそれぞれの俸給表が作成された。常にその賃金の比較は簡単かつ明瞭だった。ところがたしか昭和二十八年から政府の方針によってその方法がくずされて、そして平均賃金制度に置きかえられた。職員全体の基準賃金の総平均額を算出し、たとえば一般職の職員の場合には、一般職の職員全体の基準賃金、本俸と家族手当と、今の暫定手当、当時の勤務地手当、これの総平均額と、それから比較する必要のある場合には、民間の賃金、もしくは最高裁の職員の賃金等がどういう状態にあるかということが比較検討されるという格好に置きかえられた。ですから、今私の要求している資料というのは、そういう現実から一般職の職員——最高裁の職員は一般職でないから、一般職の職員の平均賃金額、これは人事院の方ではっきり資料があるわけです。それから最高裁の裁判官を含む平均賃金額ないしはまた裁判官並びにその秘書官以外の職員の平均賃金額、いずれでもよろしい、これがまず提出されなければならない。その次は、賃金の金額だけでは比較にならないので、一般職の職員の場合には、その職員の構成する、たとえば年令別あるいは学歴別あるいは勤続別、経験年数別、家族構成別、ないしはこの前の委員会でも守田さんから御答弁があって、勤務地の関係についてはその平均というものは最高裁として出せる限度があるという話がありました。それはこの前の守田さんの答弁を了承しておりますから、勤務地の関係についてはそれでよろしい。これの一般職の職員の場合と、最高裁の裁判官並びにその秘書官を含んでもいいし、含まなくてもいいから、そういう職員構成の内容をつまびらかに把握できる、つまり賃金が商いのか安いのかということを正確に把握できる、そういう付帯した資料というものが出されていないと……。出ている資料では、これじゃチンプンカンプンで、てんで比較になりません。「行政職(一)職員の学歴別、経験年数別、平均俸給額比較表」というものが出ております。でこの経験年数別等については一年未満から一年以上、三十年以上まで各年数別に応じて平均した資料が出ています。で、これも上段は一般職の職員、下段は裁判所職員となっている。学歴についても高小卒から短大、大学卒まで一応はこれは表となって出てはおります。失敬な言いぐさだけれども、平均賃金を比較する場合の資料としては、おおよそナンセンスです。高いところもあるし、安いところもある、こんなものを幾らひねくり回してみても、最高相の職員の賃金の平均の状態がどういう格好になっているかということは全然把握できない。もう一つの資料も問題ですが、まあよけいなことは言わぬ主義ですから、よけいなことは言いません。従って、この資料はほとんど賃金比較の資料としては私は使ってもむだだと思う。一つそれを取り急いで最高裁の方から出してもらいたいし、私の言っていることでふに落ちない点があり、すなおに了解できない点があれば、ここでお尋ねを受けてもいいし、また別な角度で御連絡をいただいてもいいし、いずれにしても今度は間違いなくそういう目的を達することのできるような資料をぜひお願いしたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/9
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010・大川光三
○委員長(大川光三君) ちょっと千葉委員にお願いしますが、ただいま請求されました資料の要点を願わくば委員長までお書き願って、ちょっと説明が長いので委員長自身も聞きとりにくかったんですが、要点をお書き願って、その上でお願いしたらと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/10
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011・千葉信
○千葉信君 あれですか、委員長のところへ要求する資料の、たとえば項目とか何とかを書いて出してもらいたいとし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/11
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012・大川光三
○委員長(大川光三君) ええ。そうでないと、またあなたのお気に沿わぬような場合があるといけませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/12
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013・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ここで資料についてお断わり申し上げることがございます。それは各省別の給与べースでございますが、これは昭和三十四年一月一日現在のものが大蔵省で調べました一番新しい資料であります。それ以後の分は出ておりません。だからこれによる以外にない。これによったものであります。それから「行政職(一)職員の学歴別、経験年数別、平均俸給額比較表」というのがございますが、これは昭和三十二年七月一日現在で各学歴別、経験年数別で出ている。これは人事院から出ている資料でございますが、これが一番新しいので、それ以降の分がございません。ですから、これによったというわけでございます。それからその経験年数別というのは、やはり人事院の資料がこういう幅のある経験年数で出ておるわけでございますので、それでそれによらざるを得なかった。ですから、ただいま千葉委員の御指摘のように、高かったり低かったりするのは、その職員が各経験年数のどこかに偏在するといったような関係で高かったり低かったりするという結果が出てくるわけでございます。この各経験年数はこれによる以外は、ほかに方法はございません。そういう点を御承知、御理解願いました上で御連絡下されば、できるだけの資料を用意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/13
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014・千葉信
○千葉信君 最初からこれは速記録にはっきりしたはずだが、私は各省庁別ということを最終的には要求してないのです。各省庁別ということだったら、これはややこしくて、比較検討する僕の方でもその煩にたえぬということになるから私は最初から最高裁と一般職の職員という言葉を使っている。ですから各省庁別でなくてもけっこうですから、一般職の職員全体の賃金額なり、ないしはまた経験年数等々の資料でけっこうです。それからこの今宵われた三十二年七月一日現在の経験、事歴別等のこの表は、克明に一項々々賃金をあげておられますけれども、ここまで明細な必要はない。そしてどだい大蔵省にはこれしかない。大蔵省にしかこんなものはないかもしれません。あなたの方で一般職の職員の給与の問題に関する資料を大蔵省から取り寄せるということ自体が私は少しおかしいんじゃないか。そういう資料は一般職の職員に対する給与の主務官庁である人事院に賃金額の資料もあれば経験年数別の資料もある。そういうところからお取り寄せになって、一般職全体の総平均でけっこうですから、そんなに窮屈にお考えにならなくとも、一年未満の高小卒の賃金が幾らになっているとか何とかいうそれを私はお尋ねしているのじゃないのです。その点は一つお取り違いないように。たとえば必要だと思うのは、学歴別の総人数ですね、それは高小卒か、中学か、大学か。それから勤続状態等の関係等についても何年以下の者が何人、何年以下の者が何円、何万円になっておるとか何とかいうごの資料は、これはあなたの方では大蔵省の方からもらったというけれども、これこそまゆつばものです。この学歴別人数は、この方は人事院ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/14
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015・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/15
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016・千葉信
○千葉信君 そうしてべース調べというのが大蔵省ですか。——それじゃ人事院の方からもらったというこの資料、こういう資料でなくてもけっこうですから、今、言ったように学歴、経験年数等のその、項目別の賃金額ではなく、賃金額は総体でけっこうですから、賃金額は関係なしに、その人員数で比較検討ができますから、あなたの方の場合にもそういうもので検討ができるわけですから、そういう資料を出すようにしていただきたい、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/16
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017・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) その点はすぐできると思います。ただいま人事院の資料と申しましたのは、こういう資料でございます。これが一番新しいので、三十二年七月一日現在の国家公務員給与実態調査報告書、これが一番新しいのでありまして、それ以降の分につきましては、人事院としては公表する段階にないということで、入手できないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/17
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018・千葉信
○千葉信君 これはまあ私の方から要求すれば取れる道もありますが、三十二年の七月一日と、それから別の調査では三十四年の一月一日という格好で、多少のその間にズレがあっても、その点は注釈書につけてもらえばわかりますから、そういう格好でお出しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/18
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019・大川光三
○委員長(大川光三君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/19
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020・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/20
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021・大森創造
○大森創造君 私はしろうとですから、ごく単刀直截に二、三わからないことをお聞きします。先ほどの提案理由の補足説明の中で、裁判所の方か、法務省の方ですか、家庭裁判所の調査官というのが今度のこの法律の改正の中に含まれていて職務内容の変更はないけれども、非常に繁忙だから時間と号俸を調節するということがございましたが、その通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/21
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022・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 家庭裁判所調査官につきましては、その職務の実際、実態から申しまして、それにふさわしい給与体系等も考えなければならないわけでございまして、これも一つの懸案として裁判所としては検討しているわけでございますけれども、今回そのまあ一つのステップといたしまして、家庭裁判所調査官は、特に困難な事件も扱います関係上勤務時間を週五十二時間に延長いたしまして、同町に一六%の号俸調整をつけるという予算上の措置をお願いしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/22
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023・大森創造
○大森創造君 そうしますというと、この法律改正によると、それと密接な関連があると思うのですが、今度の書記官の号俸調整、それとは調査官の場合は性質を異にする、時期にすれば一年前でもよかったし、繁忙である事情には変わりないのだから、三年前でもよかったという性格のものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/23
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024・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の、書記官の権限の拡張とは直接関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/24
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025・大森創造
○大森創造君 ありませんね。
この時間延長の問題は、法務省は直接聞いていないし、あずかり知らないということなんですが、時間延長をしたその法規的な根拠はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/25
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026・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) それは裁判所職員臨時措置法によりまして準用いたします一般職の職員の給与に関する法律、第十四条第三項に基づいてやるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/26
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027・大森創造
○大森創造君 労働基準法とか、その他の法律を見ますというと、例外的に時間延長ということを認める場合があるということがその他の法律にございますが、直接には、今言われましたように、一般職の職員の給与に関する法律第十四条ということになることは、その方が直接はあると思うんですが、しかし、憲法からいうても、あるいは基準法からいうても、そういう直接関係する法律以上に一般的なものをきめているものを、どうお考えになりますか。時間延長ということはこれは時代逆行であるし、まずいという趣旨のものが、ほかの法律にあると思うんですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/27
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028・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 憲法第二十七条で、勤務条件につきましては法律で定める主義をとっております。その法律に基づきまして国家公務員法ができましたし、国家公務員法に基づきまして一般職の職員の給与に関する法律ができました。そして、その十四条三項で、特殊の職員の勤務時間につきましては、人事院の承認を得て、各庁の長が時間の延長について定めることができる、というふうな規定が設けられてありまして、それを裁判所の職員についても準用いたしておる次第でございます。で、そういうふうに法律の委任に基づきましてやるものでございますから、これを称して憲法違反とは言えないと私は思っております。また、一般的にすべての勤労者を対象とする労働基準法がございますが、これは国家公務員としての特殊性に基づきまして、国家公務員法及びそれに基づく給与関係法律のある限り、すなわちそれに抵触する限りは、国家公務員には適用がないというふうに、国家公務員法附則第十六条、及び、第一次改正法律附則——たしか第三条だったと思いますが——というふうな規定がございますように、そういう扱いになっておるわけでございまして、それも労働基準法に抵触するといったようなものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/28
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029・大森創造
○大森創造君 それで、別な角度から質問しますが、この裁判所の書記官という方は、事件量とともに仕事の内容は忙しいことは、きのうきょう始まったことでないだろう。終戦後ずっと漸増の傾向にあると思います。そこで、超過勤務なり、今までは今までなりに仕事をこなしていただろうと思う、どこかで無理をしながら。そうすると、今度の六十条の改正というんですか、これを具体的に行なわなくても、実施しなくても、それと似たような仕事は、実質的には相当程度やっていたのと違いますか。その点、事情がわかりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/29
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030・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判所書記官の仕事は、これは、終戦後事件の増加に伴いまして、定員にある程度の増員はありましたけれども、まあ非常に多忙である。しかし、その多忙は今まで超過勤務手当でまかなってきたわけでございます。ただ今回の改正によりまして、裁判所書記官の職務の範囲が拡充いたしますのと、その職務の性質が、裁判官とも職務の執務体制にある程度マッチする必要がある。御承知のように裁判官につきましては、勤務時間の定めというものは特にいたしておりません。それは、実際上はかりますれば、やはり六十五時間ぐらいはやっておるものとわれわれは思うのでありますが、そういった裁判官の職務の一部を補助いたします関係で、勤務時間を一部延長したというようなことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/30
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031・大森創造
○大森創造君 私のお伺いしたのは、今度法改正によって、本来の書記官の仕事というものとプラス裁判官の補助的な事務ということになりますが、裁判官の補助的な事務というものは、最終的には裁判官の責任において負うものでありますが、そういう仕事の内容というものは、実質的に今までやっていたのと違いますか。ある程度やっていたでしょう、実質的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/31
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032・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 書記官の事務の中には、ただいま御指摘のような裁判官を補助するような内容の職務はございました。それは現行の裁判所法の六十条第二項に定めております職務、それに付随いたしますところの私ども訟廷事務などと申しておりますけれども、そういったような事務がございまして、裁判官を補助する面がございました。しかし今回新しく付加されますところの権限は、それとはまた別のものでございまして裁判官が裁判をするために調査をする、その調査の補助という、これは全く新しい補助の仕事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/32
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033・大森創造
○大森創造君 今配付されました「本改正法律案と裁判所書記官の勤務時間の延長について」という印刷物を見ますというと、時間延長、これの具体的なことは、一遍が五十三時間ということになっても、実際上は、裁判所によっては、あるいは裁判所が決定するといっても、具体的には担当する裁判官が決定することだろうと思います。具体的な内容については。所属する書記官の仕事の内容については、その担当の所属の判事が決定することだろうと思うのでございますが、その場合には、一般的には五十二時間ということに八時間延長しましても、具体的な職場における書記官の仕事の内容、繁忙の差というものは、非常に異なりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/33
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034・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の新しく設けられます裁判官の行なう調査の補助の仕事は、これは裁判官が事件を裁判する上における調査の補助でございますが、そういう意味で、法律的にも必要な職務になるわけでございますが、その補助の職務を行なうものにつきましては、裁判官の命を受けるわけでございます。その裁判官と申しますのは、ただいまお話のございました書記官の所属する裁判官になるわけでございます。従いまして、書記官が補助する内容は、裁判官によってきめられるわけでございます。きまってくるわけでありまして、従って、人により、そういう繁閑の差はできるわけであります。そのときの事件の内容、あるいは調査の内容によりまして、おのずからその差異は出るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/34
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035・大森創造
○大森創造君 そうしますというと、責任はどこまでも裁判官でございますが、新たに補助的な仕事として書記官に与えられる任務というものは、裁判官自体がみずから処理しても何ら差しつかえない、この法律の改正にかかわらず。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/35
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036・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判官が審理、裁判するための調査でございますので、裁判官自身がやることは何ら差しつかえないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/36
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037・大森創造
○大森創造君 そうしますというと、裁判官の人柄というか、能力いかんによっては、書記官ばかりに事務をさせて、そうして形式的な責任をとるというふうなこともできるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/37
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038・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) おそらく御指摘の点は、裁判官が自分で調査をしないで、書記官にその仕事をかぶせる心配があるんじゃないかというような御趣旨かと存じますけれども、実際問題といたしまして、裁判官が裁判をいたしますということは、御承知のように、裁判というものには、判断ばかりでなくて、判断の経過を示すところの理由というものをつけるわけでございます。そういう裁判をし、裁判書きを作るというような仕事を裁判官が担当いたします以上、調査を自分がしないで、ただめくら判を押すというようなやり方で裁判をすることは、仕組上できないわけでございます。これは訴訟手続の上でやかましくこういうことは規定されておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、ただいま御指摘のようなことは、実際問題として起こり得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/38
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039・大森創造
○大森創造君 あと一つでやめますが、私は実際問題というのはよく知らないものですから、逆に伺いますが、第三項というものを新たにしました中で、「その他」云々というところがございますね。これは逆に「その他」ということについて、今度は仕事の内容を無制限に考えておるという危険性はありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/39
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040・津田實
○政府委員(津田實君) ただいまの「その他」の事項につきましては、そこに例示がございます。この「裁判官の行う法令及び判例の調査」という一つの例示によってある程度「その他」の内容が判断せられるわけでございますが、現在考えられておるところの事項は、まあ今例に上がっておるものを含めて申し上げますと、適用すべき法律、命令、規則、告示等の調査、その存否、あるいは内容の調査、それから裁判例、学説その他参考文献、あるいは議事速記録というようなものでございます。そういうものの調査、それから具体的な記録に基づきまして訴訟手続が適正に履践されているか、つまり法律の要求している通り履践されているかどうかの調査、それから記録の中にある書類についての調査が適式であるかどうかということの調査、それから審判に必要な計算、これはたとえば膨大な計算事件につきまして、裁判官みずからが計算をいたすのでありますが、その照合をやる、あるいは別途計算して照合してみるということ、あるいは書面につきましての照合、つまり被害始末書の記録と犯罪一覧表とそごがあるかどうか、こういうことをいたすというように法律的にはまあ一応解釈されるわけであります。最高裁判所事務当局におきましても、そういう解釈を持ってこれを調整していくという意図があるように連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/40
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041・高田なほ子
○高田なほ子君 資料をちょっと要求します。きょういただいた「本改正法律案と裁判所書記官の勤務時間の延長について」、これは資料をいただきましたが、この中に書いてあることですね、「裁判所としては、事件の激増、複雑困難化のため渋滞している訴訟事件を迅速に処理することが刻下の急務であり、現実の問題としてその解決に寄与するためには、この拡充される書記官の権限を十分に行使させる必要があるから、書記官の勤務時間を一週四四時間から一週五二時間に延長する要がある。」これは書記官の勤務時間の延長について補足説明をされた。同時に、きょういただいたもう一つの資料の中には、「裁判所職員の勤務時間に関する規則要綱案」こういうものが出されております。これを拝見すると、「裁判所書記官及び家庭裁判所調査官の勤務時間は、一週について五十二時間とし、その勤務時間の割り振りは、当該職員の属する裁判所が裁判事務の実情に応じて定めるものとすること。」こういう規則要綱案を出されている。そこで資料としていただきたいことは、この前の委員会で、裁判官の仕事を補助する書記官の仕事の性格と、それから家庭裁判所調査官の果たすべき職務内容は、これは画然として区別のあるものであるということを前回の委員会で質問し、当局も認めたはずである。ところが、認めておりながら、どうも勤務時間に関する規則要綱などについては、さっぱりその内容的な区別がされておらない。つまり裁判官の果たしているこの法律的な判断の過程において果たすべき書記官の役割と、それから個々の少年なり、あるいは家庭問題等について、教育的な、あるいは社会的な分野から検討してその処分意見を提出する権限を調査官は持っておる。その処分意見の提出については、これは裁判官の命令に従う必要は何もない。独立した処分意見を提出することになっているのが調査官の職務内容だと思うんです。そういう性格のものなんです。しかるにもかかわらず、先ほどお出しになったこの規則要綱案は、「裁判所が裁判事務の実情に応じて定めるものとすること。」あくまでも上から独自の職務内容を押しつける内容を持った規則要綱案であって、私はこれは大へんおかしいと思う。だから、もしこの調査官にも勤務時間の延長が必要であるとするならば、今あなたがここでお述べになりましたが、そのお述べになったのは、非常にいまいな述べ方をしているんですね。たとえば職務内容に即した給与にするために時間延長をするというような説明なんで、これはどうも合点がいかない。だから要求したいことは、家庭裁判所調査官の勤務時間の延長について、どういう理由で延長するのか。そうしてまたその延長されたそのことによって、調査官が裁判所の命令に服さなければならないというような職務内容に変更されるとするならば、これはもう家庭裁判所の調査官の職務内容を根本的に変えていくおそるべき私は改革案だと思う。だから勤務時間の延長について調査官の分も、補足説明として、これと同じような形式に作って出していただくことを要求したい。あと疑問の分については、後刻時間をいただいて質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/41
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042・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいま高田委員から御請求のありました資料は、なるべくすみやかに御提出を願いたいと思います。
本件に関する午前中の審議はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
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午後二時五十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/42
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043・大川光三
○委員長(大川光三君) これより休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
まず、委員長より資料の請求をいたします。午前の委員会において千葉委員より御要望のありました資料を要約いたしますると、すなわち
第一、平均賃金。1、一般公務員、2、裁判官を含む裁判所職員、3、裁判官秘書を除く裁判所職員。
第二、平均賃金に対する参考資料。1、学歴別、2、経験年数別、3、年令別、4、家族構成別、5、勤務地別。
以上に対する、平均賃金調べ。
なお、第二は第一に準じ一、2、3の区別に従って資料を調整すること。
以上でありまするから、当局よりすみやかなる機会に資料の提出をお願いいたします。
御質問ある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/43
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044・久保等
○久保等君 私の手元にある資料でちょっとお伺いしたいのですが、裁判所法の一部を改正する法律案参考資料その二というものを手元にいただいておりますが、これの四ページのところで、裁判所書記官補等の現在員というのがございますが、これの説明を願いたいと思いますが、予算定員、それから現在員、欠員というふうに分けてここに書いてあるのですが、御説明をちょっと願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/44
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045・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 資料6の裁判所書記官補等の現在員でございますが、各予算定員、現在員は、各裁判所別にここに掲げられてある通りでございましてその欠員につきまして高最裁三角じるしの十二、高裁三角じるしの四十九、地裁三角じるしの三百八十一、家裁三角じるしの百五十三、計三角じるし五百九十五となっております。この三角じるしは、いわゆる過員を意味しております。裁判所書記官及び裁判所書記官補の定員につきまして裁判所書記官の定員を裁判所書記官補に流用することが承認されております。そこで、裁判所法の一部を改正する法律案参考資料の三ページに、裁判所書記官の定員及び現在員というのがございます。これによりますると、裁判所書記官の欠員は六百十四名になっているわけでございまして、その欠員の定員を流用いたしまして、書記官補が五百九十五名過員になっている、差引したものが両方通じましての欠員ということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/45
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046・久保等
○久保等君 まあ頭数の点で裁判所の書記官と書記官補の人員のいわば融通をやっているようなんですけれども、それも非常に扱いとしては何かおかしいと思うのですが、書記官と書記官補というと、これはやはりどういうところに区別を特に置いて書記官制度と書記官補制度というのがあるのですか、しろうとですから、まずそこら辺から御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/46
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047・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判所書記官は、裁判所書記官補から順次任用していくということになっておるわけでございまして、裁判所書記官補を裁判所書記官に任用いたしますには、裁判所書記官研修所に養成部というのがございまして、そこに一年または二年入れまして研修させた上、その養成の過程を経まして裁判所書記官に任用するか、あるいはその書記官研修所に入所しないで、裁判所書記官昇任試験というのがございまして、その試験に合格した者を書記官に任用するか、あるいは書記官補としての経験年数の非常に長くなった人につきましては、特別の短期研修をいたしまして、そして法律的な知識を十分与えた上で書記官に任用するか、この三通りを今実施しておるわけであります。すなわち書記官補から書記としての仕事が一人前に十分やっていけるというふうに、実力をつけさせて書記官に任用するという関係でございますので、書記官と書記官補との間に、やはりそこに区別があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/47
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048・久保等
○久保等君 そうしてみると、書記官補以上に書記官をむしろより充実していくというか、書記官補の相当年数の長い者が書記官に任用できるというような建前になっているとするならば、書記官そのものを、もちろん書記官補そのものの欠員を充実していかなければならないと思うのですが、それより以上に、仕事の性格その他からいって、書記官そのものを充実さしていかなければならない状況にあると思うのですが、六百十四名現実に欠員がある、その欠員の主たる理由はどういうころにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/48
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049・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 戦争中に裁判所職員の多くが、これは軍需産業その他に転出していったわけでございます。そうして、終戦後、裁判所の面目が一新いたしたわけでございますが、その際に、裁判所の機構の拡充に伴いまして、採用いたしました職員は皆若かったわけでございます。そういう人たちに、すぐに裁判所書記官としての仕事をさせますことは、いろいろな点で問題がありますので、何とかこれを教育してそうして一人前の書記官にしたいということで、先ほど、午前中にも話が出ましたように、裁判所書記官制度調査委員会におきまして、いろいろ討議を尽くしていただきまして、裁判所書記官研修所というものを設けまして、そこで十分教育して、一人前の書記官を作り上げていく。ただいま申し上げましたように、それに行けない人たちがございますので、そういう人たちには、それぞれまた各庁で研修をした上で昇任試験によって昇任さしていくといったような経過をたどってきて、現在六百十四名の欠員が出てきているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/49
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050・久保等
○久保等君 六百十四名の欠員が現在書記官についてあるということですが、今のお話で、この欠員を埋めるような努力もしておられるような御説明もあるわけなんですが、それならば、終戦直後といいますか、ある一定の時期をとって、どの程度の欠員があったのか、この欠員状況についての経過を一つ御説明願いたい。あまりこまかい数字が手元になくて御説明ができなければ、概略でもいいのですが、その努力をせられた経過がどういうふうになっておるのか、欠員充足の今日までの努力をどういうふうにあなた方はやってきたか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/50
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051・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 概数を申し上げまして恐縮でございますが、書記官研修所ができましたのが昭和二十五年でございます。それから研修所の設備が非常にわずかでありましたために、年間大体百三十名ずつの研修生を出しまして、現在まで十年間に約千三百名の書記官、この春を入れますと千四百何名かのものになりますが、そういう人たちがそれぞれ書記官になっていったわけでございます。
それから、さらに、昇任試験で合格した者は、はっきりした数字が、今手元にございませんけれども、私の記憶では約七百名くらいの程度ではなかろうかと考えております。それから、昨年度から実施いたしたわけでございますが、特別研修によりましてそれぞれ書記官に任用すべき資格を取得されましたのが四百八十名かあると思いますが、この特別研修をした者のうち、ある部分は、なお事務官の本官でおる部分もあります。そういったような状況で、順次補充して参ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/51
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052・久保等
○久保等君 そうすると、三十五年から研修所を開設して研修をやることによって書記官の確保に努め、あるいは昇任試験、特別研修制度、そういうものを合わせると、約二千数百名になると思いますが、終戦直後、特に昭和二十三、四年ごろ書記官というものはほとんどいなかったという計算になりますが、そういう状態だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/52
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053・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 二十四年当時をごらん下さいますと、二千百三十九人ほど当時書記官の定員があったわけでございます。で、書記官補が二千四十九名の定員がありました。これはいわゆる書記官と書記官補に分けましてその中の書記官と、うものが非常に少なかった。従いまして、書記官補の数が、定員よりは、書記官の定員をだいぶ食っておったということになります。で、それじゃ書記官の事務はどうなっていたかということになりますと、これは書記官補のうちの一部に書記官の仕事ができるようにいたしまして、書記官の事務に支障を来たさないようにいたしておったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/53
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054・久保等
○久保等君 それじゃ、二十四年度の書記官の当時の現在員は何名ぐらいだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/54
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055・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま手元に資料がございませんので、ちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/55
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056・久保等
○久保等君 定員のお話は、今説明があり、また、資料でももらっておるようですからいいんですが、私今お尋ねしておるのは、先ほど来の御説明によりますると、二十五年度以降、書記官の任用について努力をした人員の数字が大体約二千四百名前後ぐらいの数になるような御説明があったのですが、そうだとすると、一体二十四年ごろは何名ぐらいいたのか数字的に申し上げると、若干やめられた方ももちろんおるでしようが、いずれにしても、きわめてわずかしかいなかったんじゃないかと推定せられる。しかし、そういうことでは裁判事務はおそらくほとんど円満に円滑にというよりも、どうやらこうやら、その日暮らしの裁判事務もやれなかったのではないかと想像されるのですが、当時の数字を、手元に正確な数字がなければ、大よその御説明でも伺わぬと、ちょっと説明つかぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/56
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057・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 資料その二の一ページをごらん願いますと、昭和二十四年に書記官の定員が二千百三十九名でありましたが、昭和二十九年に三千百七十八名に増員されておるわけであります。そして昭和三十四年現在は三千百九十九名というふうになっているわけで、昭和二十四年から昭和三十四年までの間に約千名以上の増員がなされているわけでございます。で、この書記官の充員は、この十年間で順次こうなってきたわけでございまして二十四年当時書記官が極少であったということは言い切れないのですけれども、非常に多くの書記官としての欠員があったということだけは申せますが、その員数は、どうも前のことでありますので、ここでは申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/57
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058・久保等
○久保等君 まあ数字ですから、はっきりお答え願わないと意味ないんですが、ただ、この第一ページのところの経過は、確かに昭和二十四年の二千百三十九名が昭和三十四年度の場合三千百九十九名に、定員はなるほどそうなっておるのです。私の問題にしておるのは、実在員の方を問題にしているので、その実在員の方については、先ほどの御説明を伺うと、十年間に約二千五百名の人員確保をはかってきたという御説明があったわけですがそうだとすると、現在人員と比べると、あまり大してそこに差が出てこないのですが、だから、三十四年の実在員が一体どの程度であったのか、資料を調べてでなければ答弁願えなければ、これはまあ調べてもらうよりほか方法ないのですが、ちょっとあまり数中が違い過ぎますからね。その状況をお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/58
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059・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ちょっと私の説明がまずかったのですが、もちろんその当時の現在員をつかむことは私現在できませんが、要するに、もとは、裁判所書記と申しておった。それを新憲法の理念に基づきまして基本的人権擁護の一翼をになう職員といたしまして非常に重大視して、それで裁判所書記というのを裁判所書記官と裁判所書記官補に分けたわけでございます。ですから、裁判所書記官は当時少なかったということは言えますが、書記官補はたくさんいた。書記官の定員に食い込むほどいたということだけは、まあここで言える。しかし、裁判所書記官としての仕事は、この両方でやっておったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/59
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060・久保等
○久保等君 そう話をからませると、ちょっとわからなくなるんですがね。書記が書記官という名前になり、そうしてそれから実質的な待遇をそういう方向にはかっていったという経過はわかります、それはそれとして。だから、ここで御説明としては、やっぱり書記官というものの定員とそれから実在員というものの経過を数学的にはっきり納得のいくように御説明を願わないと、実際は書記官も書記官補もとにかくやっておったんだ、まあそこで何というか融通をつけてあったんだというような説明程度では、定員なり実在員の数の問題ですからね。もう少しはっきり、だれが聞いてもわかるような御説明を願わぬと、私どもあまり事情をよく知らない者からすると、言っておられることがよくわからないんです。先ほどの御説明と対照した場合に、一体どっちがほんとうだろうかということにならざるを得ないと思うんですがね。ですから、ここの予算定員はあくまでも予算定員ですから、実在員じゃないのだろうと思うんです。しかも、最近の、最近というか現在における定員と実在員というものは、あまりにも非常に食い違っておる状況ですから、なおさら定員は定員としてそれからさらに実在員は実在員として状況をお聞きしなければ、実態がわかりにくいわけです。もちろん、二十四年当時の実在員というものは、お調べになればわかるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/60
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061・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そうです。ここに手持ち資料がないというだけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/61
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062・久保等
○久保等君 それでは、先ほど来お尋ねしていることを、もう少しはっきりした資料でお出しを願って御説明を願いたいと思うんです。私のお尋ねしておるのは、二十四年の実在員がどうだったのか、それからその後——さきほどの御説明のもあるいは数字が概数だろうと思うんですが——研修方法によりあるいは昇任試験等、そういったような方法で任用せられて、どういう形で充足されてきたのか、それから書記官補の場合についても私はやはり同じようなことをお尋ねしたいと思う、その点を一つ具体的な資料としてお出しを願いたいと思います。委員長の方から一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/62
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063・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいま久保委員より御要望のありまする資料は、次回委員会までに御提出を願います。ただ、委員長よりつけ加えて申し上げたいのは、昭和二十四年当時における書記官または書記官補の実在員及び自来十年間に退職者が年々どれほどあったか、またふえたのが年々どれほどあったかというのを、あわせて説明いただくと、都合がいいと思いますから、そういう意味の資料を御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/63
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064・久保等
○久保等君 それでは次の質問をいたしたいと思うのですが、現在の予算定員、これについては、どういうお考えでおられるのですか。仕事の処理上まずまず現在定員でどうやらやっていけるというお考えなのか、どういうお考えを持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/64
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065・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 書記官並びに書記官補の定員のお尋ねでございますけれども、御承知のように裁判所におきましては、年々事件の増加を見ておりますし、また非常に困難な事件も多くなっておりまして、裁判所のそういう事務の負担というものは、ますます増加をする傾向にあるのであります。そういう観点に立ちまして、裁判所の裁判官あるいは書記官、書記官補等の定員の増加、増員ということは、非常に私どもが必要とするところなのでございます。ただ、現実の問題といたしまして、前にも申し上げましたけれども、裁判官の増員ということが事実上できないのでございます。そういった関係で、裁判庶務が今日のような状態にあるわけでございますけれども、裁判官の増員ができませんために、実際問題といたしまして、書記官その他の増員ということも、裁判官の増員のない限り、やはりその数に見合うところのそういった定員の増加も現実の問題としてし得ない状況にあるわけです。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/65
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066・大川光三
○委員長(大川光三君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
本日付で前田佳都男君辞任、鍋島直紹君選任。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/66
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067・久保等
○久保等君 もちろん裁判官のやらなければならぬ職務を、これは書記官なり書記官補でやっていくということは許されないのですが、裁判官のもちろん定員の増に伴って書記官の力も当然増員をしていかなければならぬということに相なるのでしょうが、しかし、書記官なり書記官補だけの事務について、現在何とかやはり増員によってこれを解決していかなければならぬという問題も非常に多いと思うのです。何か裁判官がふやせられないから、やむを得ないのだということですが、そういうことではなくて、やはり裁判事務の補助的な仕事をいろいろやっているわけですから、そういう面の充足をやはりはかっていく意味から、調査官なりあるいはまた今言った書記官、書記官補といったようなものの増員というようなことは、非常に焦眉の急の問題として、御努力をせられている問題じゃないですか。裁判官の問題を解決しなければ、その問題は実はどうにもならぬのだというようにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/67
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068・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判所職員の全体の数から申しますと、確かに仰せの通り、増員ということが裁判事務の負担の面から申しまして緊急のことに相違ないのでございますけれども、裁判所の仕事は、法律に定められた手続によりまして事件を処理するわけでございまして、やはり裁判官の増員がなければ、裁判単位と申しますか、合議体の確立も、あるいは単独体の確立も望むことができませんので、そういう所に配属される書記官の数も、裁判官の増員に見合わざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/68
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069・久保等
○久保等君 そうすると、現在の裁判官の実在員の面からいくと、それに見合ったところの職員は、一応足りているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/69
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070・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 現在の現実の問題といたしましては、裁判官の不足ということが、一番困った問題になっているわけでございまして、その他の職員につきましては、現在の裁判官の数でやります限り、一応は整備されていると言ってよろしいかと思います。ただしかしながら、なお今日裁判所でもって、たとえば速記制度であるとか、そういったものの採用について徐々にその充足をはかっておりますので、そういった面につきましては、さらに現在の裁判官の数におきましても、あるいは増員を必要とするような面がないことはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/70
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071・久保等
○久保等君 非常に何か裁判事務上は問題がないような御答弁なんですが、そうだとすると、最近、なんですか、この予算要求をされるような場合に、書記官なり書記官補の増員要求というようなことは、やられたことはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/71
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072・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 予算の要求におきましては、やはり裁判官の増員要求、それから書記官、書記官補等の増員要求はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/72
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073・久保等
○久保等君 それはあくまでも裁判官との関連における増員要求であって、裁判官の増員がなければ書記官なり書記官補の増員要求ということは必要ないのだというお考えで要求をせられたわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/73
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074・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 書記官、書記官補の増員に関します限りは、やはり裁判官の増員と見合わざるを得ないのであります。その他の面におきましての増員も、もとより考えられないわけではございませんけれども、実際の裁判所の実務の上から申しますると、やはり裁判官の数に見合わざるを得ない、従って、なかなか予算上その増加がむずかしいということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/74
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075・久保等
○久保等君 そうすると、今度の裁判所法一部改正法案の中で、新しく書記官の、まあいわば権限として法改正を行なおうとしておりまする調査事項、これは裁判官を補助し、そうして調査をやるといったような権限を付与しようとしておるが、これは従来どこでやっておった仕事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/75
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076・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) そういった意味の裁判官が行なう調査の補助の職務は、今日までございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/76
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077・久保等
○久保等君 そうすると、勢いまあ裁判官みずからやらざるを得ないということになっておるわけですか、現在は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/77
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078・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) そういう調査は、今後も当然裁判官かみずからやるわけでございますけれども、そういった補助は、今日までなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/78
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079・久保等
○久保等君 そうだとすると、裁判官のみずからやっておった職務を、今度は書記官に、六十条の改正によってやれるような法改正をやろうという法案が出されておると思う。そうしてそれに要する一体備えられた要員というものは、大体どの程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/79
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080・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の法改正でお願いしております裁判所書記官の権限の拡充は、先般来申し上げております裁判所の事件の増加、事件の困難化に伴います訴訟の遅滞に対する対策の一つとしていたすわけでございまして、結局これは迅速、適正な裁判の実現ということに寄与するのが目的でございます。しかしながら、一方において、また裁判所書記官の素質、能力というものが、先ほど来申し上げております研修所、研修等によりまして、非常に向上いたしておるわけでございまして、その素質、能力に見合うところの職務内容を作って、先ほど来申し上げます訴訟の迅速、適正な処理に貢献するということがそのねらいでございます。従いまして、そういった意味の新しい書記官制度を作り出す上におきましても、今回の改正は重要な意味を持つわけでございまして、裁判所書記官が今後法律書記として一そうその職務内容を充実していく一つのステップになるわけだと存じておるわけでございます。従いまして、その職務につきましては、裁判所書記官が、書記官の地位におきまして裁判官の行なう調査の補助をするわけでございます。その仕事の量につきましては、やはり裁判官が今日のような執務状況におります、すなわち御承知のように非常に多くの事件を負担して、裁判官が日夜その仕事をしておるわけでございますけれども、そういった執務体制に応じまして、やはり調査の補助をいたさなければなりませんので、従って、書記官につきまして勤務時間を延長いたしまして、その調査の補助に当たられますとともに、まあそれに対する俸給の号俸調整ということを予算上要求したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/80
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081・久保等
○久保等君 いや、私の質問に対する御答弁には実はなっておらないのですが、まあ今、超過勤務をやってもらうことによって、何か人員の面は埋め合わしていくというような御説明ですが、そういうことじゃなくて、私のお尋ねしているのは、当然権限が拡大するのだから、それだけ人手が大ぜい要るのじゃないか、そうなれば、一体どの程度の人員が必要だというふうにお考えになっているのか。また、問題の解決はそういう方向で解決していかなければならぬ問題だと私は思う。従って、あなたの方で特にこういった法案を出すからには、どの程度の仕事を、当然このことによって、全国でやるとするならば、人員に見積もればこういうような程度になるという数字は、つかんでなければならないと思うのですが、その点をお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/81
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082・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判官の行なう調査ないし調査の補助ということは、結局これは裁判所が負担している事件処理の仕事の量になるわけでございます。その面におきまして裁判官も裁判所書記官も、これは一体になって行なう仕事でございますが、その負担を一体どういう人員の増加によってこれを解決し得るかということになりますと、やはりこれはその職務の内容から申しまして、裁判官、裁判所書記官の増員ということにならなければ解決できない問題でございます。で、裁判官の増員につきましては、まあいろいろな角度から考えられるわけでございますけれども、私ども一応の数字として考えておりますのは、今日事件が非常に停滞しております八大都市におきまする、ことに第一審の裁判所を充実いたしますということを考えました場合に、大体裁判官がやはり二百人くらいは増員が必要である。従ってそれに見合うところの書記官、書記官補の増員が必要であるというふうに考えているわけであります。しかし、これはやはり現実の問題として申し上げますと、数の上の問題でありまして、ではそれだけの裁判官がすぐ増員できるかという問題になりますと、現実の問題としては非常に困難な実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/82
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083・久保等
○久保等君 裁判官二百名に対してどの程度の書記官が必要ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/83
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084・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 大体の標準といたしましては、裁判官一人に書記官、書記官補三人と想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/84
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085・久保等
○久保等君 合計で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/85
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086・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判官一人について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/86
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087・久保等
○久保等君 書記官、書記官補合計で三人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/87
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088・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/88
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089・久保等
○久保等君 もう少し何か私の質問に対してはっきりしたお答えをいただかなければならぬのですが、今度の権限拡張に伴って、すぐ何か裁判官をふやさないと書記官をふやせないという御説明なんですけれども、そうでなくて、現実に書記官の職務そのものの勤務時間を延長するなり何なりして、とにかく仕事の量がふえることははっきりしていますね、だから全国的に見た場合に、どの程度の、とにかく書記官というものの増員をしなければならぬかということは、数字的に出てくるんじゃないですか。その数字は出てくるのですか、出てこないのですか。私の質問していることが不可能なことを御答弁を求めているなら……。答弁をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/89
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090・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいま申しましたように、事件の審理、裁判に必要なところの調査ないし調査の補助ということになりますと、やはり裁判官、書記官、その間が一体関係になりまして当たる仕事になるわけでございまして、そのために、書記官だけを何人ふやせばこうなるというのじやなくて、やはり実際の問題といたしましては、裁判単位としての裁判官、書記官の増員がなければならないことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/90
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091・久保等
○久保等君 まあ今の御説明だと、裁判官一人に対して五名程度の書記官なり書記官補というものが必要なんだという説明なんだけれども、はたしてその比率そのものが適正かどうかということが一つの問題としてあるのじゃないかと思う。それから、これは従来のやり方で、調査事務等は全然やらせない建前で一対三という形になっておったのが、今度はさらにそれにプラス書記官の事務量を従来より以上に調査事項までやらせるというふうになって参るならば、これは当然三であったのが、あるいは三・五になるか、四になるか、そこらはわかりませんが、いずれにしても定員をふやさなければならぬということははっきり言えるのじゃないですか。あなたの考え方から言うならば一対三というのは、これは動かせないのだ。そして三人の書記官に勤務時間でも延長してやってもらわなければならぬというのは、どうも説明として私は納得できない。だからあなたは定員の増加は絶対やりたくないのだという既成概念で説明せられるからそういう説明になるのであって、やはり勤務時間をふやさなければならぬほど仕事があるなら、本来当然定員でふやしていくのが筋道だ。従って、定員が大体どの程度必要なんだ、今度の事務を拡大することによって、どの程度の増員をしなければならぬということは、これは数字的にはっきりしたものが出てくるはずだし、その説明がつかないはずは私はないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/91
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092・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 先ほど来申し上げますように、裁判官の仕事と書記官の仕事はそういう面におきましては一種の裁判単位と申しますか、そういったものといたしまして、一つになっているわけでありますですから、ただ書記官の数をふやすことによってそういった仕事がさばけていくということにはなかなかならないのであります。これはどこまでもやはり裁判所の事件の処理という面から考えますと、やはり裁判単位の問題として考えざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/92
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093・久保等
○久保等君 それならもう少し詳細な説明をしてもらいたいと思うのですがね。要するに、一人ふやしてはふやし過ぎるのだ、今五名、裁判単位なら裁判単位で、判事一人、書記官なら書記官三人でやっておるのだと、これを一組なら一組にいたします。それを四名にするのは多いのだというなら、一体三・幾らになるか、一人ふやすのは多過ぎるかもわからぬけれども、とにかく人員をふやさなければならないということは言えると思う。勤務時間を延長しなければならないくらいだからそうでしょう。それは三・四なのか、五なのか、六なのか。一人ふやすということは、一人は多過ぎるのだ、しかし少なくとも一時間なり二時間なり勤務時間をふやさなければならぬ。しかも定められた八時間勤務なら八時間勤務で処理できないということなら、それをオーバーしただけは人間をふやさざるを得ない。だからあなたの具体的な数字、根拠からいうと、一人では多いのだ、しかし、〇・幾らになるかという説明になりますか。そういう説明を伺わぬと納得できない。だから私の申し上げているのは、人間は一人であって、これを半分に切れといったって切りようがない、人では。だから一挙に三人を四人にするということも無理だ、そんなにふやす必要はないのだということなら、それで十分の一人必要なのか、十分の二人必要なのか、そういうことは数字的に御説明願えると思う。ちょっと事情を私はよく知らなかったのですからなんだけれども、理屈はそうなるんじゃないですか。私の質問の方が無理ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/93
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094・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 書記官の新しい権限を行ないますのにつきましての勤務時間の延長ということも、これは裁判所の執務体制に応じての時間延長を考えているわけでありまして、新しい権限がふえるからすなわち勤務時間がそれだけ延長されるという意味ではございませんので、これは先ほど来申し上げます裁判の単位と申しますか、そういった実際の運営上勤務時間がふえるということを申し上げているのであります。従って書記官のそういった新しい権限は、そういった形において行なわれるわけでありまして、現在の私どもの実際の仕事の面から申しますると、調査あるいは調査の補助ということは、やはり裁判単位として考えざるを得ない。それは裁判所の事件の処理の実情からそうならざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/94
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095・久保等
○久保等君 私の質問がおわかりになりませんかね。これは普通予算を大蔵省と折衝する場合に、事務量がふえて、それに対する定員がどの程度必要かというようなことは、これは予算要求する場合のいろはのいの字の常識だと思う。だからそれについての説明なりそれから材料そのものもお持ちにならぬで大蔵省との折衝をやったって、大蔵省でそれはびた一文だって、一人の人間だってそれは認めません。そんな程度では、現実に勤務時間を延長しなければならぬというほど、従来の法律さえ改正して新しい事務を書記官なり書記官補にやらせようという制度を仰る場合に、それに対して一体人間が幾ら必要なのかということについて、根拠をお持ちにならぬでは、説明になっていないじゃないですか。私のお聞きしているのは、勤務時間の延長なんかお聞きしているんじゃないんですよ。法律に伴っての人員は何人必要なのかという質問なんです、端的に言うと。この法律に伴っての一体人員はどの程度必要なんですかとお聞きしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/95
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096・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判所のいわゆる裁判官にせよ書記官にせよ、そういったものの定員の増加は、これはやはり事件の増加に見合って増加の手当をしているわけであります。これが事件数の増加に応じ得ない。先ほど来申し上げております裁判官等につきましては、事件数の増加に応じ得ないのであります。しかしながら、書記官及び法廷に立ち会いますところの速記官の数、こういうものから申しますると、事件の増加に上回る今日まで増員の措置がとってこられているわけであります。数字を申し上げますと、昭和二十四年の事件数に、比べまして昭和三十四年におきましては、事件においては昭和二十四年を一〇〇といたしますと三十四年は一一九の事件数になっております。裁判官の数は昭和二十四年を一〇〇といたしますると、昭和三十四年は二一になっております。それから書記官、書記官補、速記官この人員は昭和二十四年を一〇〇といたしますと一四三になっております、すなわち最高裁判所が今日まで、先ほど来申し上げております裁判所書記官制度というものを作ります上におきまして、先ほど人事局長が申し上げましたように、裁判所書記官制度調査委員会というものを置きまして、今日までそういった書記官制度を作ることを努力して参ったわけでございますが、その間に書記官の任用試験、研修制度、そういったものを置きまして、書記官の素質、能力を向上いたしますとともに、書記官並びに速記官の充実をはかりまして、ただいま申し上げたような人数になっているわけであります。今日速記官のそういった配置、それから書記官の先ほど来申し上げます素質、能力の向上、そういった両面の手当によりまして、今回の改正をお願いできるような体制になったというわけであります。裁判所書記官制度と申しますのは、昔の裁判所書記制度がございましたが、それをいろいろの措置によりまして改めまして、新しい書記官制度を作りつつあるわけでございますが、その過程におきまして、今日そういった新しい権限を書記官に付与いたしますことは、その素質、能力におきましても、その執務の上におきましても可能であるということで、今回の法律の改正をお願いしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/96
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097・久保等
○久保等君 同じ質問ばかりを繰り返して、またピントをはずれた同じような答弁ばかりされておっても、これは一向にどうも私も議事進行ができなくて弱るんですがね。今の説明を聞いても、別にあげ足をとるわけじゃないのですけれども、あなたの先ほど来の御答弁を聞いておると、裁判官をふやさなければ書記官というのはふやせないのだというような、私しろうとだからそれでごまかせるような答弁をせられておるのですが、今の御説明を伺いますと、昭和二十四年を一〇〇とすれば、裁判官一〇〇に対して昭和三十四年度では裁判官一一一%になっておった。書記官の方は、二十四年度一〇〇とすれば、三十四年度は一四三%になっておる。では同じような比率としてあなたの先ほど来の説明を聞くと、裁判官がふえるパーセンテージとそれから書記官がふえるパーセンテージとは常に同じパーセンテージでふえていかなければならぬように説明しておきながら、現実に今の説明された十年間の説明の中では、パーセンテージはうんと違います。そうなりますと、先ほどの説明がインチキだということになるのだし、どっちがほんとうなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/97
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098・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 先ほど申し上げましたパーセンテージは、これは書記官、そのほかに速記官を含んでおります。それからまあそういった意味で先ほど申し上げたパーセンテージが出るわけであります。それから裁判官一人についての書記官の数でございますけれども、これは今日そういった基準を私ども立てているわけでありまして、まあこれは裁判所の実際の執務の実態を調査いたしまして、そういった合理的な率を出すわけでございますけれども、昭和二十四年当時の持っておりました率が今日はそのまま維持されているわけではございません。今日合理的に考える率を申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/98
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099・久保等
○久保等君 それから今の裁判官一人に対して五名の書記官なり書記官補の比率は、これはもうどこも全く画一に扱っているのですか。所によっては二名になり、所によっては四名になるというようなことは絶対ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/99
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100・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) それは全体的な基準を申し上げたのでありまして実際には裁判の仕事の性質、量等によりましてその率は変わるわけであります。裁判官は必ずしも法廷の仕事ばかりでございません。刑事も民事もございますし、非訟事件もございますし、いろいろな仕事をしておりますので、一応の全般の基準を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/100
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101・久保等
○久保等君 そうだとすると、なおさら所によっては一名必要な所もあるし、所によっては一名ほどふやさなくてもいいかもしれませんが、とにかく、いずれにしても増員をしなければならぬというような所も現実にあるだろうと思うのです。しかし、私はそういう個々の問題についての内容について、一々定員が幾らあるからどうかというようなことを質問しているのではないのですよ。先ほど来質問しております私の要点は、同じことを繰り返すのだけれども、法改正に伴って職務権限というものが拡大するのですからね、だからその拡大した部分に対しては、一体定員に見積もったらどの程度の定員になるか。それでは一体仕事の最はわからないのですか、全然。しかし、何とかしてこれは算定しなければ解決つかぬじゃないですか。その数字はお持ちでないのですか。それから大蔵省との折衝も従って定員の面ではやったことはないのですか。その事実関係だけを明らかにしてもらいたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/101
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102・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 先ほど申し上げましたように、裁判官に対する補助的な書記官であるとか、速記官の数が、先ほど申し上げましたようなパーセンテージでもって増加して参ったわけであります。この手当と、先ほど来申し上げております書記官の能力向上等から、こういった合同改正するような新しい職務を書記官に行なわせるということができるということになったわけであります。結局その補助の仕事の量ということになりますけれども、これは、実際問題とすると、裁判官が調査をいたすわけでありますが、その補助を書記官に命じてさせるということになります。その補助の仕事の量ということになりますと、これはやはり全くその裁判単位のことになりまして、裁判官と裁判書記官のそういった仕事の量は、一つにやはり数えざるを得ないのであります。それは今回の措置が事件の審理の促進ということに向けられます関係上、それは一つとして考えざるを得ないのであります。なお、定員の増加につきましては、裁判官の定員増、それから書記官等の定員増の要求は、大蔵省にはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/102
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103・久保等
○久保等君 実は質問する方が少しあきれるのですけれども、勤務時間も従来の勤務時間で十分間に合います、それから今言った裁判官と書記官、書記官補との定数の比率にしても、これは変更しなくてやれるのですというならば、これは定員は実は増員しなくても間に合っていると答弁できるかもしれぬけれども、現実に、とにかく勤務時間を延長しなければ困るのだという立場からするならば、その勤務時間その方面から数字をはじいてもある程度の定員が出てきますけれども、しかし、あなたの方で私は当然それに所要の人員というものを数字的にはじかれた根拠を持っておられて対大蔵省と交渉をやられて、本筋の解決はやはり定員獲得の方で解決していくべきだと思うのです。あなたは一つのグループになっておって、何か切り離せないような話をするけれども、だんだん突っ込むと、必ずしも一対三の比率だって一つの基準にすぎないのです。仕事の量によっては五名の所もあるし、四名の所もあるし、あるいは二名の所もあるというような状況だとすると、なおさら私は定員でもってはじき出すのがますますやさしくなると思うのですが、そういう定員を全然考えないで私の質問に答弁しようとするものだから、非常に無理した答弁をしているけれども、当然こういった法改正をして事務量の増大をするならば、それに見合ったところの人員を何とか確保していかなければならないというのが本筋ですよ、それはいい悪いは別として。さしむきの定員獲得の方法でやるというならば、いい悪いは別として、一つの理屈です。私どもが賛成する、しないは別として、一つの解決策ですよ。しかし、そういう方面を全然抜きにして、それで勤務時間の延長だけでもって何か正当化しようとするような説明をするものですから、全然答弁になっておりません。何べんも同じようなことを聞いても同じですけれども、どうなんですか。もうくどいからこの程度で、この問題は同じようなことを繰り返しませんから、もう少しはっきりわかるように一つ答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/103
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104・大川光三
○委員長(大川光三君) 委員長からちょっと関連して伺いますが、この法律案を考えますと、結局、書記官一人について一週八時間の時間の延長になりますね。そうすると、六人の書記官に対して一人の書記官をふやすというようなことによって実務はまかなえるのかどうかということをあわせてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/104
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105・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の職務を行ないます上におきまして、勤務時間を一週八時間延長するということでございますけれども、これは前に申し上げましたように、裁判所の執務の実情からそういう延長をするわけでございまして、この仕事がふえるために、執務が新しく加えられましたために、直ちに当然勤務時間が延長されるということではないのであります。新しい職務が裁判所書記官に加えられまして、その職務を行ないます上におきましては、裁判所の執務の現状からいって、勤務時間を延ばさざるを得ないということを申し上げておるのであります。それから書記官に今日そういう新しい職務を加え得るということは、先ほど来申し上げますように、書記官の素質、能力の向上ということと、今日までに手当して参りましたところの書記官あるいは速記官制度の充実という面から、今日その段階に踏み切るということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/105
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106・千葉信
○千葉信君 関連質問。内藤さんにお伺いしますが、最高裁判所としては、書記官の職務内容を変更するとか拡大するとかいうことを、一応この際は、話をすっきりさせるために切り離して、そういう職務内容を変えるか変えないかは別として、最高裁全体としては、今回の勤務時間延長の最高裁の方針なるものは、一週八時間の勤務時間を延長することによって、当分の間裁判事務を処理できる、こういうお考えで計画をお立てになったのですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/106
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107・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 最高裁判所といたしましては、書記官が今度与えられまする新しい職務を行ないますのに、実際に即応したところの措置を考えているわけでありまして、それが先ほど来申し上げますようなそういった勤務時間に関する措置にもなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/107
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108・千葉信
○千葉信君 私の聞いているのは、話がめんどうくさくなると僕のような単純な頭のやつが混乱してわからなくなるから、切り離して書記官の仕事が変わるとか変わらないとかそんなことは切り離して、全体として、最高裁としては今後の裁判の処理のため、少なくとも当分の間四十四時間の勤務時間を書記官の場合には、これを五十一時間にすれば仕事がやっていける、こういう考えに立って今回の勤務時間延長の方針を一応きめられた、こう了解すべきだと思うのですが、その通りだとおっしゃれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/108
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109・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判事務の処理にいろいろな手段、方法があるわけでございますけれども、そういうものを一切含めて裁判所書記官の勤務時間の延長が必要だということは申せます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/109
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110・千葉信
○千葉信君 そこで、この際勤務時間を延長することによって裁判の事務処理が可能、そこで裁判所の方として裁判官一人に対し三人つけるとか、あるいは四人は要らぬとか、一つの裁判を処理するためには、裁判官一人、書記官、書記官補三人というそのやり方は別問題として、その話をごっちゃにするとまたこじれてしまうから、それは別にしてその全体の処理の方針として、現有の書記官に対して十一分の一だけ勤務時間を増加するのですから、従って現在の書記官全体——のこれは一人対三人とか何とかということを抜きにして、総体の考えとして十一分の二の勤務時間をふやせばやっていけるのだ、そうすれば、あなたとしては、総体の人員も十一分の二だけふやせば、仕事がやっていけるという小学生でもわかるような理屈になると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/110
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111・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 実は先ほども申し上げますように、人員の増加だけでは必ずしも解決し得ない。通常の理屈としては御指摘の通りかと存じますけれども、そういう仕事の量からのみ勤務時間の延長が要請されているのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/111
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112・千葉信
○千葉信君 ですから、たとえば一つの裁判を処理する場合に、裁判官一人に三人を配置する、このやり方を、たとえばそれでは勤務時間をその三人に対して週八時間延ばすその割合というのは、三人に対して一人ふやすことになるか二人ふやすことになるかは、計算上はっきり出てくる。実際上のやり方としてそういうことがいい悪い、やれるやれないという問題は別ですが、理屈として、三人の職員に対して一週間八時間時間を延ばせば仕事がやっていけるということならば、三人合わせて三八——二十四の二十四時間、つまりあなたの言っておられる一つの独立した裁判処理の問題のために、少なくとも数字上は裁判官一人に対して三人、それから一週間二十四時間の勤務をする者がいればやっていけるということになる。そうすると、二十四時間分一人働く者がいれば、三人の裁判官の勤務時間は延長しなくてもやっていけるという割り切った理屈が出てくると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/112
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113・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の書記官の仕事に対するそういう手当は、仕事の量だけの面ではございませんものですから、その数字上の御意見はわかりますけれども、実際はその仕事の量だけの問題ではないわけでございますから、そういった人員の手当だけで解決し得ない面がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/113
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114・千葉信
○千葉信君 ですから、一つ一つの問題で考えれば、裁判のやり方自体がこういうやり方をしているということで混乱をするのでしょうが、全体として見れば、今回の勤務時間を延長される、裁判官の数からいけば、裁判官のその数に対して十一分の二だけの勤務をする書記官がいれば、勤務時間は延長しなくてもいいという結論になる。従って現在の書記官の十一分の三の書記官を総体として配置することになれば仕事ができるということになる。従って、簡単に割り切ったすっきりした理屈からいけば、現在の書記官の十一分の二だけの要員を配置することができれば仕事ができるという結論になる。その点は理屈としてあなたはその理屈は間違っているとおっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/114
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115・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 数字上の問題として決して間違っているとは申しませんけれども、その仕事の量ないしそれから出るところの数字だけでは解決できない事態なものですから、それを申し上げますと、またいろいろ混乱させるとおっしゃるかもしれませんけれども、裁判所が実際に事件をやっておりますのは、裁判官が実は非常に過重な負担で仕事をしているわけでございまして、その裁判官の行ないまする調査の直接の補助ということになりますると、これは分量として時間を延ばすということではなくて、そういった裁判官の仕事の仕方に即して、補助の仕事のために時間を延ばさざるを得ないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/115
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116・千葉信
○千葉信君 どうしてまあ最高裁という所は、問題をむずかしく考え過ぎて答弁にどじを踏んでいるのでしょうかね。これは私じゃなく、私は関連でしたのですが、本質問者の久保君の質問の要旨も、そういう裁判のやり方がどうとかこうとかということを抜きにして、そういうことを抜きにして、今最高裁では勤務時間をふやさなければ仕事はやっていけないということを考えているのだから、何ぼ延ばされるかは別として、勤務時間の延長のかわりに、一体これを人員に置きかえれば何ぼくらいということになるか、その点を、今あなたの答弁いかんによっては、それじゃ勤務時間の延長をやめて定員を何人にしろということを久保君は言おうとしているのじゃなく、一つの仮定として、今回の勤務時間の延長を定員に置きかえれば一体幾らになるのかということを最高裁に聞いている。それをあなたはむずかしく考えて、やれ裁判の単位がどうのとむずかしく考えるものだから、四十八時間なり四十四時間勤務する、一人じゃなく半分の勤務しかできないとか、二十四時間だとかという数字が出てくるものだから、よけいあなたの方でむずかしく考えて、言うから混乱するので、非常に簡単な理屈として、定員に置きかえた場合に、最高裁としてどれくらいの定員に考えているか、これを聞いているのです。それをあなたの方でそういうふうにむずかしく問題を考えて、ますます混乱するような答弁になっているのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/116
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117・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 今回の考えられておりまする勤務時間の延長、その時間を計算いたしまして人数を出すことは、これは可能だと思います。論理上御指摘の通りと存じます。ただ、そのことがこの問題の解決にはなりませんので、先ほど来申し上げますように、裁判所のないし裁判官の執務のあれ方について御説明申し上げたわけでありまして、数字上の理論としては、まさに御指摘の通りでございます。ただ、それが問題の解決にはならないということでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/117
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118・高田なほ子
○高田なほ子君 ただいまの質問に関連いたしまして資料を一つ要求したい。今のお答えでは、ちょっと聞いてわかりませんから、次のような趣旨で資料をちょうだいしたい。事件の激増に対応する裁判官の定員の不足というのが、現在の裁判を非常に遅延させている。これを除去するために書記官の権限の拡大ということが主張されてきているわけです。どうも裁判官の定員増に対する最高裁の努力というものについては、遺憾ながらこれを正しく評価することが私は数字的にできない。それはわが国の予算が非常に少ないので、なかなか裁判官の待遇がよくならないという面があるかもしれませんけれども、しかし、私の手元にあります表によりますと、これは明治三十年からの表ですから、これを読み上げませんが、昭和二十年に裁判官の数は千百八十八名、これに対して警察官は七万三千九百三十五人という数字を示しています。それから三十年から五年たって、つまり昭和二十五年に裁判官の数は二千二百六十一名、ここで七十三名の数が増加しています。ところが警察官の方はちょうど同じ年間にふえた数は、五万二千人を数えています。それから昭和二十五年から二十八年の間で裁判官がふえた数はたった三十四人、これに対して警察官のふえた数は二万七千人という数を示している。従って警察官の増加率というものはきわめて事件の激増に対応する増加率を示していますが、裁判官の定員の数のふえ方というものはあまりにも貧し過ぎる。片方が五万三千人もいたときにやっと七十三名、片方が一万七千名ふえたときにやっと三十四名、それから昭和二十八年から三十三年までにふえた事件数が非常に多いけれども、裁判官のふえた数はこの調査によると二十名きりふえておらない。従って、こういうような微々たる裁判官の増加に伴って今の一対三という比率がはじき出されておるそうでありますが、書記官の定員増については、私からいわせると、怠慢きわまりないものを感ずるわけです。しかし、他に正確な資料がありませんから、昭和二十年度以降裁判官の増加した数を年次的にあけてもらいたいことと、同じく昭和二十年度以降書記官の定員がどのようにふえてそしてその定員に対する実在員の配置率がどういうふうになっているか、これはすぐ御調査ができると思いますから、二つの数字をお示しいただいて、次の参考資料にさしていただきたいと思います。委員長によろしくお取り扱いをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/118
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119・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいま高田委員から御要望のありました資料は、先ほどの久保委員からの御要望の資料に関連いたしますから、久保委員の要望の資料、高田委員の要望の資料と合わせて作って御提出を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/119
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120・久保等
○久保等君 先ほど来の私の質問に対して、答弁が——いろいろ関連質問という形でなされましたが、なお相変らず押し問答のような形の答弁で、一向に要領を得ていないのですが、私は、問題の解決をほんとうにまじめに考えておるのかどうかという実は懸念さえ持たざるを得ない。おそらく定員という数では対大蔵省との折衝なり、あるいは大蔵省への要求もやっておられないのじゃないかというように思うのです、今までのあなたの答弁からすると。そうだとすると、全く問題の解決に対して、私は本筋を誤まったものの考え方だと思うのです。この点についてはこれ以上きょうのところは質問しませんが、しかし、いずれもう少し一つわれわれにでもよくわかるような御説明を願いたいと思うのです。もしそれに対して何ら具体案を持っておらないとするならば、一つ早急に、今後の問題に関連することですから、ぜひ一つ対策をお立てになって、実はこの問題については今後こういうふうに解決していきたいのだというような案を一つお示しを願いたい。それぞれの方面と打ち合わせるなり、御相談をされることは、もちろん御相談をされて、ぜひこうあるべきなんだ、勤務時間延長は、これは将来における、今後における事務扱い方の処理の方法とは私は思われない。この点が世界の動向からいっても全くおかしな話だと思う。従って、若干の困難性が事務的にあっても、ぜひ一つこういう方向で解決していくいうことの一つの具体案を早急に、法案の審議との関連性もあるのですから、ぜひ一つそういう御努力を、願って、御説明はいずれ後日願いたい、これを一つそういう意味で宿題にして、きょうのところは、この問題については質疑はこれで打ち切ります。
それから、一番最初に質問いたしておりました書記官の定員なり、あるいは異存員の問題ですが、これも資料が出てからでないと質問できないのですが、ただ一つだけちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、書記官の方は定員が不足しておる。それから書記官補の方は定員にオーバーしておるというような状況で、とにかく融通してやっておるわけです。しかし、これも全くおかしいと思うのです。できる限り早急に、むしろ書記官補の方の諸君を、何といいますか、書記官に任用するというようなことで、当然努力をやってもらって、そうしてあとのところの補充は補充としてやっていくというような形にしなければ、先ほどお話にあったように、すぐしろうとをもって書記官にするわけにはいかない。ある程度の専門的な知識も必要だし、経験も必要だ。そうだとするならば、定員がふえたからといって、直ちに採用して間に合うという仕事ではないだけに、私は、よほどそういったことについて長期計画を立てなければ問題が解決しない。判事についてもそうですか、調査官、調査官補の場合でも、程度の差こそあれ、長期計画を立てなければならない。従って、今後の事件の推移なんかもある程度私は大体大よその見当はつくと思う。それに見合って、長期的な人員確保の対策をお立てになる必要があると思う。それで、さしあたって本年度の場合には、書記官の任用なんかは、どの程度お考えになっておるのですか、まだ定員にやっぱり足らないはずですが、三十四年度末でも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/120
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121・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 本年度ただいま欠員があると申しました六百十四人、これは二月一日現在の欠員でございます。これは書記官補からそれぞれ三つの方法で研修いたしまして、あるいは昇任試験でそれぞれ任用を大体できる見込みでおります。私どもの計画といたしましては、この書記官が一ぱいになりますれば、あるいはなることが見通し得ますれば、順次書記官補の定員を書記官に組みかえまして、そして全部書記官にしていくというのが大体の私どもの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/121
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122・久保等
○久保等君 この六百十四名の欠員は、いつがきたら埋まるのですか、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/122
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123・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 本年の十二月までには大体埋まると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/123
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124・久保等
○久保等君 書記官補の方はどうなりますか、そのときには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/124
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125・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ちょっと意味合いが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/125
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126・久保等
○久保等君 書記官の方はことしじゅうに全部埋まるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/126
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127・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そうでございます。そうして書記官補の今の過員になっているものがずっと減ってくるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/127
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128・久保等
○久保等君 書記官の定員は、完全にことしの十二月ごろ埋まるというわけですね、そうすると、書記官補の方があきますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/128
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129・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 書記官補は過員になっておりますので、大体わずかな欠員になるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/129
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130・久保等
○久保等君 そうすると、書記官の問題、書記官補の問題も、定員の上からだけ見るならば、実情は別として、定員の上から見るならば、一応欠員問題だけはことしじゆうに解決はつく見通しだということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/130
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131・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/131
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132・久保等
○久保等君 私はきょうはこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/132
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133・大川光三
○委員長(大川光三君) 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/133
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134・市川房枝
○市川房枝君 今度の時間延長は、家庭裁判所の調査官にも適用されると思うのでございますが、家庭裁判所の調査官は、仕事の性質上、婦人が多いのではないかと思いますけれども、男子と婦人との割合はどのくらいになっておりますか。それから婦人の中で既婚者と未婚者の割合がどんなふうになっておりますか、付いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/134
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135・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 家庭裁判所調査官及び調査官補の数が、定員が下百五十九名と存じますが、それが今回増員になりまして千百七十九名になるかと思います。女子は大体その五分の一というふうに考えておりますが、なお既婚、未婚の数につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、お答え申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/135
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136・市川房枝
○市川房枝君 全国の数字はわかりませんが、私の手に入りました東京の家庭裁判所の調査官だけについて見ますと、調査官二十四名のうち既婚者が十九名、未婚者五名ということになっておりますが、既婚者が多いという現実、ほかの裁判所でもそうではないかと思いますが、時間延長ということが、婦人、ことに既婚者には非常な影響を及ぼすかと思います。婦人に対しては、労働基準法でもって時間の制限あるいは深夜勤務禁止の保護規定なんかございますが、今度の四十八時間から五十二時間に延長されることは、基準法から見て何ら差しつかえないのかどうか、かりに差しつかえないとしても、そういう婦人に対する勤務のことについて、裁判所当局としては、どういうふうにお考えになっておりますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/136
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137・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 婦人の勤務に関しまする扱いが、一般の公務員同様にあることは申すまでもないのでございます。ただいま御指摘のように、既婚の婦人が特に勤務の上でいろいろ支障もあろうかということは、私どもも承知をいたしているわけでございます。しかしながら、これを制度として考えてみました場合には、やはり家庭裁判所調査官は家庭裁判所調査官でございまして、制度の面において男子と区別いたすということは、先ほど申し上げました特殊の一般公務員にございますような特別な扱いは別といたしまして、制度面において区別するということは困難ではないかと存じます。ただ、私どもといたしましては、実際問題としてそれぞれに、その人々によりましていろいろ支障なり何なりもございますので、実際の運用におきまして、日常の仕事の扱い方におきまして、なるべく無理のないようなことで措置するということにならざるを得ないと存するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/137
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138・市川房枝
○市川房枝君 制度とおっしゃいましたけれども、時間延長ということは、前から各委員の方々からずいぶん御議論が出ておりまして、むしろ時代に逆行だということを私どもも認めるわけでございますが、そういう時代に逆行して、ことに既婚の婦人なんかの場合に、そういう人たちの希望といいますか、そういう人たちはこの時間の延長に対してどう考えているかということについての当局としては意見をそうした人々からお聞きになりましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/138
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139・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) そういう人たちの意見につきましては、当局としては、前にも申したと存じますけれども、意向を徴したことがございます。私といたしましても、実は家庭裁判所には勤務したことがございますので、そういった調査官の諸君を知っております関係上、いろいろそういう事情なり実情を訴えられたことがあるわけでございます。御指摘のように、家庭裁判所の調査官という仕事は、まことに婦人にとっても向いております仕事でありますので、裁判所自体といたしましても、婦人の職員がいることによりまして、事件の扱いにプラスがあるわけでございます。従いまして、そういう人たちの無理のないような勤務なり、仕事なりにしたいということは考えますけれども、今回のような措置をとります場合に、女子として特別に男子とは別の扱いをするということは、これはやはり許されないことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/139
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140・市川房枝
○市川房枝君 特別にということは限界がありますし、必ずしも私もそれを主張するわけではありませんけれども、しかし、六時まで延長される、それから家庭に帰って、それから夕食の支度をしていくといいますか、そういう非常な家庭の労働と重なってくると、だんだん疲れてきて、その裁判所の仕事がオーバー・ワークになってくる。つい続かないからやめるというような事態も起こり得るかと思うのですが、そういう場合に、今婦人に家庭裁判所なんかの調査官は非常に適しておるし、婦人にぜひやってもらいたいという御意向がありましたけれども、もし婦人がだんだん減っていく、減ってもかまわないのだ、女がしなければ男にかえるのだ、その点はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/140
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141・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 週五十二時間の勤務となりました場合に、調査官の仕事は、御承知のように、それぞれ事件を持ちまして、自分の持ちました事件に対応しまして仕事をいたすわけでございます。従って、普通の事務のように、一斉に六時まで残るとかいうようなことよりも、やはりその扱います事件に応じて仕事をするということになろうかと存じます。従って、ある場合には非常におそれまで仕事をしなければならない場合もございましょうし、ある場合には比較的早く、普通の時間に切り上げられるということもあろうかと思います。そういった実際の仕事のあんばいによりまして、なるべく無理のないというようなことで実際の運営を考えるわけでございます。私どもといたしましては、ある相当数の女子家庭裁判所調査官というものは、家庭裁判所の扱います事件の性質上必要でございますし、これはぜひ確保したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/141
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142・市川房枝
○市川房枝君 今の御答弁の中に、必ずしも六時まで残らなくてもいいんだ、事務をもっと早く切り上げて帰ってもいいんだというようなお言葉がありましたが、それをはっきりお認めになって、そうすれば土曜日だってそんなに午後働かぬでもいい、仕事をうまく片づけて帰ればいいということでしたら、はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/142
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143・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) それは、一週五十二時間ということを申し上げただけでございまして、一週五十二時間をどう割り振るかということは、結局それは各裁判所の実際の事件の扱いに応じてきまるほかないと思います。従って割り振りは各裁判所においてきめることになると思います。それから、土曜日の午後なども、実を申しますと、今日調査官がなお土曜日の午後仕事をしているような状況でございます。あるときには夜、あるときには日曜日にすら仕事をしているのが実情でございます。そういう面におきましては、調査官が自分の担当いたします事件につきまして非常に、良心的にやりますので、そういうことになるわけでございますけれども、実を申しますと、そういう職務に見合ったところのほんとうの給与体系というものが私どもほしいわけであります。今日それを実現するまでに参りませんものですから、私ども、何といいますか、当面の措置として先ほど来申し上げたような号俸調整ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/143
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144・高田なほ子
○高田なほ子君 関連して、ちょっと伺いますが、さっき婦人調査官の問題について、制度上で区別することはできたいという御答弁があったわけですが、そのことについてちょっと伺いたい。制度上で同一労働、同一賃金の原則は、これはくずすことはもちろんできません。しかし、この婦人労働者、婦人で働いている者の母性を擁護するということは、近代社会ではきわめて重要な問題になってきている。特に制度上で区別することはできないと言うが、しかし、この場合、同一労働、同一賃金の上に立って一体、最高裁は産前産後の休暇というものをどういうふうに考えているか。それから、労働基準法で示す生理休暇三日というこの基準を、どういうふうに一体考えているのか。このことは、あくまで制度上の問題であって、特に家庭裁判所の調査官だけの問題ではございません。産前産後の休暇と生理休暇の問題は、制度上の問題としてどういうふうに取り扱っているのか、この点について詳細に述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/144
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145・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 産前産後の休暇それから生理休暇、産前産後の休暇はこれは所定通り与えておると思います。それから生理休暇は、これは今全体の資料を持ち合わせませんけれども、請求がある限り与えておると思います。(「思いますじゃだめだ」と呼ぶ者あり)それは全体の資料を持ちませんから、与えることのできるように掲示はしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/145
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146・高田なほ子
○高田なほ子君 今の御答弁は、確信に満ちない御答弁である。(笑声)だろうと思うという予想でありますが、しかし、私はそれを責める前に、もう少し母性擁護の面について、最高裁が積極的な計画をお立てになる必要があると思う。たとえば、労働墓準法に示される産前産後の休暇十二週間は、これは最低であります。ですから、事件の件数がきわめて多いというような場合には、良心的に産前の六週間の休暇をとることがしかく困難であろうと思うのです。だから、代行する者が、何かの形で補助的な者が、考えられなければならない。つまり、今の女教師の場合には、産休——お産でお休みをした場合——に補助代員が法律的に認められている形になっております。一足飛びに調査官にもそういうふうにせよということは、定員さえ満たない現状ですから困難だろうとは思いますけれども、これは何か最高裁で、母性擁護の点で、そういうような具体的な立案を計画されたことがあるかどうかということ。それから生休の問題——生理休暇の問題——は、なかなか仕事が多忙だと自分から言い出し得ないわけであります。しかし、私どもの調査するところによると、生休のときに全然苦痛を訴えないという方はそうたくさんない。習慣的にこれはなっておるからかもしれませんけれども、非常にこの面、遠慮されている面があると思います。この生休等については、だんだん職場がきびしくなってきますと、どうも婦人の方からこういうことを言い出せなくなっているし、一説によれば、東京家庭裁判所の中では、産前産後の休暇とか生理休暇とかやかましく言うから、婦人調査官の採用される道が狭められておるのだというようなことを言われている方もあるやに聞いている。これはきわめて重大問題です。だから私は市川さんの質問に関連して母性擁護という面におきまして、最高裁として何か具体的な立案計画はないか。生理休暇等の請求というものの実情はどうなっているのだろうか、こういう点をお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/146
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147・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 母性の保護でございますけれども、最高裁判所におきましても、家庭裁判所調査官の人たちが、若い人たちが現在多いのでございますけれども、だんだんにそういう人たちが結婚し、子供を持ち、母となっていくわけでございまして、そういった手当につきましては十分措置を講じたいと存じております。
産休であるとかあるいは生理休暇であるとか、そういうものにつきましても、そういう人たちがそう遠慮なくとれるような措置を講じて参りたいと思っているわけであります。今日におきましても、産休に対するいろいろ人員的手当につきまして考えているわけでございまして、たとえば産休の場合に臨時の補助を置くというようなことも——まあ調査官にはちょっとにわかにはできませんけれども、他の職種の女子職員につきましては、臨時で間に合うものには臨時を置くというようなことで措置をしているわけでございます。その他の面につきましても、さらに実態の調査をいたしまして、人員の手当ができるように今後措置したいというように考えております。調査官におきましてももちろんそういう措置が必要でございます。私ども、調査官補の最初の採用などに立ち会っておりますけれども、女子の志望者で優秀な人はみんな採用しております。女子であるがゆえに、先ほど御指摘になりましたような理由で、採用を見合わせるというようなことは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/147
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148・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一点お尋ねしておきますが、東京家庭裁判所の調査によると、婦人調査官の中で既婚者が十九名です。それから未婚者が五名です。圧倒的に既婚者が多いようです。それから官補の場合は、既婚者が十三名、これに対する未婚者が七名。調査官も調査官補も圧倒的に既婚者が多いようです。あるいはまた書記官、これは一、一ですから同数でありますが、書記官補の場合は、既婚者が四、未婚者が一というように、いずれも既婚者の数が多い。これはまあ仕事の関係上、子供を持ち、家庭を持った方が家庭裁判所の調査官となるには、きわめて不可欠の条件として、高く評価されるわけですから、当然こういう結果が生ずるのはあたりまえでございましょう。そこで、こういうような状態でありますから、労働基準法に示される労働時間の四十八時間は——私から釈迦に説法のような形でありますが、四十八時間というのは、労働基準法の第一条に明記してあるように、これはもう最低のぎりぎりの線である。これ以上延ばすというようなことについては、特に婦人労働者の場合には、よほどこれは慎重に考えなきゃならない。こういうような面から、婦人労働——婦人で職場で働いている方が家庭と両立し得ないという職場の環境は、現在の世界の趨勢から見ても、そういうことはきわめて少なくなりつつあるわけですけれども、特にこの働く婦人の労働時間というものに対して、最高裁判所は、時代認識を欠いているのじゃないかという考え方を私は持つのですが、最高裁はどうお考えになっていますか。また、この問題について労働省の婦人少年局あたりから少しいろいろ意見でも聞くような機会が私はほしいと思いますが、一度そういう機会を得るというような具体的な考えはお持ちにならないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/148
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149・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 勤務時間の延長が必要やむを得ないこととして私どもは考えているわけでございますけれども、そのことが、特に婦人の調査官にとりまして過重な負担になるかということは、それは私どもとしてもその点を心配しているわけでございます。ただ、先ほど来申し上げますように、制度の上におきまして女子をそういう意味で男子と区別するということは、これはいかがかと存ずるわけでありまして、先ほど申し上げますような、実際の執務の運用におきましてなるべく無理のない措置を講ずるというようなことにならざるを得ないわけでございます。今後も、そういう婦人の勤労条件につきましては、私ども、ただいま御指摘のございました当局あたりとも十分に打ち合わせまして、遺漏のないことを期したいと存じております。先ほど来申し上げますように、家庭裁判所の調査官の女子の仕事というものは、今後も非常に重要な地位を占めていくと存じますので、そういった職種につきましては、遺憾なきを期したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/149
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150・高田なほ子
○高田なほ子君 どうもあなたの考え方、ちょっと時代錯誤じゃないですかね。働く婦人は同一労働、同一賃金で、それはいいのですよ。しかし母性保護というものを加えて、男性と全く同じだというのが建前なんです。母性保護というのは、よその方にのけちゃって、男子と同じような条件であるということは間違いです。これはあなたの間違いです。母性保護という面を加えて、それで男性と同じ条件になるということが、これは同一労働、同一賃金の原則なんです。婦人労働問題というものは、近来とみに研究されてきておる問題で、おそらく最高裁の皆さん方は、婦人労働という問題について論じ合うということは、この瞬間が初めてじゃないかと思う。だから私は今にわかに申し上げませんで、またこの次にゆっくりと質問をして意見を交換し合いたいと思いますから、婦人労働というところを一つ研究しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/150
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151・市川房枝
○市川房枝君 労働時間の延長の問題は、今、高田さんからもお話がありましたけれども、私も同じように、延長ずることには賛成できかねるのです。また、東京の家庭裁判所の調査官の多くの方々もこれに反対の意向を持っておられるのでありまして、私はそういう陳情を受けておりますから、ぜひこの点はもう一ぺん御検討を願いたいと思います。
それからなお、時間を延長することに関連して、待遇をよくする——調整の予算を計上して、それが成立をしておるということを前々からお話も聞いておりますが、家庭裁判所の婦人の調査官の場合、一六%の調整でございますか、どのくらい月給としてふえることになりますか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/151
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152・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 若い調査官は月額約千五百円、ずっと上の調査官になりますと四千円ぐらい月額がふえるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/152
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153・大川光三
○委員長(大川光三君) この機会に、書記官についても、ただいまと同じような概略の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/153
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154・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 書記官についても同様なことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/154
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155・大川光三
○委員長(大川光三君) 金額にすると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/155
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156・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 調査官の方がずっと上の人が——多い人が多いということが言い得ると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/156
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157・大川光三
○委員長(大川光三君) そこで、これは参考になることですから伺うのですが、書記官の場合に、いわゆる月額最高どのくらいふえるのか、最低の人でどの程度かということを数額をもって御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/157
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158・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) それでは次回に各書記官の等級別、号がたくさんあります。従いまして各等級の、まあ一号ぐらいを例にとりましてそうして金額をはじきまして御参考に供したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/158
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159・大川光三
○委員長(大川光三君) それでは、ただいまの点は次回に、だれでもよくわかるような一覧表にして参考資料としてお出しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/159
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160・市川房枝
○市川房枝君 今増加する金額の御答弁がありましたが、十六%というのは、今度十六%になるのではなくて今までもう八%のすでに調整額がついておった、それに対して今度新たに八%だけ追加になるわけですね、それをお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/160
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161・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/161
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162・市川房枝
○市川房枝君 ところが、実際問題としては調査官の人たちは、今までやはり事務量が多いために居残りをやった。土曜日もある程度居残りをやった。そのときに居残り手当、時間外手当というものをもらっておったわけですが、超過勤務手当ですね、ところが、それのその額を計算いたしますると、今度の八%の調整額は待遇改善にあらずして、むしろ待遇改悪になるという訴えを受けておるのですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/162
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163・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 八%の調整額を超勤予算に計算いたしますと、約月に十一時間分の超勤予算に該当いたします。なお、これは俸給でありますから、勤勉手当、期末手当などもこれに関係してくるわけでございまして、そういったものを計算して概略いたしますと、もちろん御定手当なんかも組み入れて計算すべきでありましょうが、大ざつぱに計算いたしまして、大体十一五時間ぐらいのものになるのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/163
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164・千葉信
○千葉信君 ちょっと関連して。なるべく問題を、どんどん審議を進行させるためには、少々頭の悪いわれわれでもわかるような説明をする必要がある。今あなたの言っていることは間違いじゃないと思うのですが、今回の八%の調整号俸を超過勤務手当に振りかえて計算した場合には、月の延長勤務、居残り勤務は、十一時間程度の超過勤務手当に該当するというこういう説明は、うそじゃない、うそじゃないけれども、それじゃわれわれの頭であらためてその一週間八時間、一カ月に直せば大体四週間。これは四倍しなければいかぬ、そうしてその四倍した延長された勤務時間と十一時間というものを対比して計算しなければならぬ。それよりも、ざっくばらんに答弁としてはわかりやすく、たとえば片方週八時間の勤務時間の延長に対して八%の調整号俸という金額が、これを超過勤務手当に振りかえて計算をすれば、金額にすれば大体五倍の金額になるとか、あるいはその勤務時間の計算からいうと、時間の計算からいけば、八時間かける四という格好になりますという答弁するとか、そういう答弁をしてもらわないと、ぎくしゃくするばかりで、全然進まない。僕なんかは頭が悪いから、うっかりと、あなたの今の答弁を聞いていると、これは八時間と十一時間の違いしかないのかという勘違いをするおそれがある。この点は、一つ今後答弁の際には気をつけてもらいたい。
それから次長にお尋ねしたいと思うのですがね、さっきの調査官の問題に関連して、特に婦人の場合について、何か最高裁としては五十二時間に延長するのだけれども、実際の施行にあたっては何らかの考慮をする、考慮をする用意があるという意味の答弁をされた、まあそれが五十二時間の一週間のワク内で、月曜日延ばして水曜日を短くするとか、火曜日をうんと長くして木曜日に勤務時間を縮めるとかいう意味では、これは何らかの考慮をするということにはならない。依然として五十二時間は五十二時間ですから。ですから私は次長の答弁は、少なくとも五十二時間という勤務時間をきめても、婦人の場合にも条件は考慮しなければならぬから、その点については何か五十二時間以内の何時間かということで全部延ばすのじゃない、手心は加える、その点は考慮するという意味の答弁だと思うが、これは次長、どうも私はそういう態度は、今の問題を審議している過程では、そういう答弁は実に不行き届きだ、たとえて言えば、この間、次長御承知のように、列車の中で婦人から定期や財布をすって、その定期だけを拾いましたといって届けて感謝されているという記事がありましたが、どろぼうが人から物をふんだくっておいて、そのうちの何ぼか返しておいて恩に着せる。これとあまり違わない態度だ。さっきの何らかの考慮をするという内容を、具体的にもっとはっきりとしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/164
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165・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいまの私の答弁に対する御質問でございますので、お答えいたしますが、一週間五十一時間ということにつきましては、男子、女子の区別をつけることができないということを申し上げたわけでございます。その点、誤解のないように、お願いいたします。ただ、その一週五十二時間というきまりの上におきまして、実際の仕事におきましては、これは扱います事件の都合によりまして、その割り振りがきまってくるわけでございまして、これは各裁判所において割り振りをきめる、その割り振りをきめる場合、それで実際に事件を処理する上におきまして、なるべく無理のないような執務であるべきであるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/165
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166・千葉信
○千葉信君 そうすると、考慮するという意味は、五十二時間の勤務時間の延長をして、そうしてそのワク内で勤務時間の若干の短縮をはかるというそういう具体的の内容を含まない考慮ですか、含む考慮ですか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/166
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167・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 含まない考慮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/167
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168・大森創造
○大森創造君 一つお伺いいたしますが、時間延長という問題と八%、一六%という問題についてですが、時間延長して号俸調整をするというような措置、これはそういう点の例が政府職員に近ごろあったか、裁判所の問題はわかるけれども、それ以外の官庁において法律改正についてそういう措置がなされたという例があるか、今度の法律改正についてそういう点について調べられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/168
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169・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 政府職員のうち、たとえば検察事務官でございますが、御承知のように検察事務官は検察官の事務を補助する職員でございますが、それでこの職員は、昭和二十九年三月一日に、一般職の職員の給与に関する法律第十四条第三号によりまして、人事院の承認を受けて四号の調整が行なわれておる。また、公安調査庁におきます公安調査官も同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/169
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170・大森創造
○大森創造君 時間延長も一緒ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/170
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171・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 時間延長はいずれも五十二時間になっております。
なお、昭和三十二年四月一日に一般職の職員の給与に関する法律が改正されまして、そうしてこれらの職員の俸給は、公安職俸給表というのがありましたが、この調整された額は、そのまま俸給表の額に掲げられて、そして勤務時間はやはり五十二時間というふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/171
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172・大森創造
○大森創造君 この書記官の定員の欠員補充の問題が、今の御答弁で六百五十名本年じゅうに解決するという御者弁であって、現在書記官補というのは、定員過剰であるから、この方から繰り合わせるということで、その問題については、本年じゅうに解決するということを確認したいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/172
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173・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 補充する予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/173
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174・大森創造
○大森創造君 予定ですか。予定というのは、二年、三年先になって予定が狂うという可能性があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/174
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175・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/175
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176・大森創造
○大森創造君 これは、予定ということはわかりますが、ある程度確信を持ったお答えですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/176
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177・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/177
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178・市川房枝
○市川房枝君 先ほどの私の、待遇が、むしろ改善ではなくて改悪だということを申し上げた質問に対して、えらいむずかしい御答弁がありまして、よく私もわからなかったのですが、千葉さんの御質問がありまして、私が直接調査員の人から伺いますと、今まで時間外の手当として一時間百十二円もらっておった。ところが、今度五十二時間の延長になるというと、一時間二十何円という計算になると、だから非常にまあ待遇が悪くなるということを聞いたのですが、それはお認めになりますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/178
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179・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) お答えいたします。超過勤務手当は一時間につきまして〇・二五プラスして支払われる。一時間当りの給与額というものは、やはり勤務時間が長くなりますと、減るということは、これは事実でございます。そんなに変わるかどうかは——ちょっとそこまで変わるとは思いませんが、減ることは間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/179
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180・市川房枝
○市川房枝君 家庭裁判所の調査官は、現在調査官といいますか、その他の人も、交代で毎月五時から七時まで、二時間ずつ居残りをして、一般の人たちの相談に乗っておるということ、あるいはまた土曜日も三時間ぐらい居残りをしてやっておる、そうしてそれに対しては、今申したような居残りの手当が与えられている、それでまあ事務を処理しているわけなんですが、今度の時間延長も、大体それと似たり寄ったりなわけですが、そうして待遇はずっと悪くなるということは、これはどうも了解に苦しむわけでしてむしろ、仕事が多ければ、今までのように時間延長で時間外手当を払って仕事を処理することにした方がまだいいんではないかと思うのですが、どうして五十二時間延長というふうな方法をおとりになったのか、それは大蔵省の意思ですか。最高裁の意思なんですか。どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/180
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181・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 家庭裁判所調査官の事務のあり方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、家庭裁判所にも非常に多くの事件を持っておりまして、調査官がそれぞれに事件を担当いたしまして調査等の仕事に当たっているわけであります。実際の問題といたしまして、現在定められております勤務時間外の仕事が相当あるわけであります。この仕事につきまして、完全に超過勤務手当が支給されますれば相当のそれは額になるわけでございますけれども、実のところ超過勤務と申しますのは、臨時の措置として認められている制度でございますので、予算上多くの超過勤務手当が組まれていないのであります。月平均いたしまして十時間程度の超過勤務手当しか予算に認められていないのであります。そういった関係から申しますると、実際の仕事に即したところの勤務時間ということを考えまして、勤務時間の延長ということをするわけでございますけれども、それがそういう職務に応じたところの給与ということが、実はさらに検討されなければならないわけであります。ただ、今日の公務員の給与制度におきましては、五十二時間の勤務時間ということで二八%の調整ということが最高と申しますか、精一ぱいのところなのでありまして、そういう意味におきまして一六%の号俸調整ということにいたすわけであります。この一六%の号俸調整は、確かに時間で割りますれば超過勤務手当の一時間当たりよりも少ないのでありますけれども、予算の制約を受けております超過勤務手当ということを考えますると、一六%調整の方が金額としては多くなるわけであります。それから先ほど人事局長から申し上げましたように、超過勤務手当は、ただ超過勤務手当にとどまるわけでありますけれども、俸給の号俸調整は、さらに勤勉手当、期末手当等において計算の基礎となるわけであります。そういう意味の利益もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/181
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182・市川房枝
○市川房枝君 今も一六%の調整とおっしゃっていましたけれども、それはやはり八%の調整になるわけで、何だか少しその点が混乱するわけでありますが、どうも時間を延長してなお待遇がむずしろ悪くなるというふうなことでは、少しどうも納得いたしかねるのですが、私はきょう一応このくらいにして、なおまた別の機会にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/182
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183・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/183
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184・大川光三
○委員長(大川光三君) 速記を始めて。
ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。
以上をもって本日の審議は終了いたしました。
次回の委員会は五月十九日午前十時より開会いたします。
本日はこれをもって委員会を散会いたします。
午後四時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02019600517/184
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