1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十六年二月十四日(火曜日)
午後一時三十二分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 剱木 亨弘君
理事
川上 為治君
古池 信三君
牛田 寛君
委員
赤間 文三君
井川 伊平君
上原 正吉君
岸田 幸雄君
山本 利壽君
阿具根 登君
岡 三郎君
近藤 信一君
椿 繁夫君
中田 吉雄君
国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
政府委員
通商産業省重工
業局長 佐橋 滋君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した案件
○計量法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○航空機工業振興法の一部を改正する
法律の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/0
-
001・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。
最初に理事会において申し合わせました事項について報告いたします。
本日はまず計量法等の一部を改正する法律案及び航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取し、次いで先議法案である計量法等の一部を改正する法律案について、事務当局から内容の説明を聴取いたします。
次に次回の本委員会についてでありますが、明後十六日、木曜日が定例日でございますが、当日は本院予算委員会等との関係もありますので、取りやめることといたしました。
以上御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/1
-
002・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) それではまず、計量法等の一部を改正する法律案、航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/2
-
003・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 本日ここに御審議を願います計量法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
あらためて申し述べるまでもなく、計量単位は、学術産業等の基礎になるものでありますので、普遍的なものであるとともに、でき得る限り正確であることが要求されます。このため、わが国は、明治十八年にメートル条約に加盟して以来、同条約により定められる国際的な計量単位、すなわちメートル法によりわが国における計量単位に普遍性と正確さを与えるよう努めて参りました。
しかし、現今の目ざましい科学技術の発達によって、従来の計量単位の定義ではその正確さが不十分になり、昨秋パリにおいて開催されました第十一回の国際度量衡総会でメートル等につきより正確な定義が採択され、新しい国際的な計量単位の定義が確立されました。
次に、メートル法への統一に伴い、来年より使用が禁止されることになっております仏馬力につきましては、メートル法実施以降の過去二年間の情勢を考慮いたしますと、技術的な諸問題及び諸外国の情勢から、現在一斉にその廃止を法的に強制するには無理があると思われ、実情を考慮した、妥当な対策を講ずる必要があると考えられます。
また、計魔法が制定されましてから約十年を経過いたしまして、計量行政も大いに充実して参ったのでありますが、その施行後の経験からみまして、計量器の使用の方法の制限等につきまして改善を要する事項を生ずるにいたりました。
このような事態に対処いたしますために、関係諸規定を整備する必要が生じましたので、ここに計量法等の一部を改正する法律案を提出いたしました次第であります。
この法律案の内容につきましては、御審議のつど詳細に御説明申し上げたいと存じますが、その概略を申し上げますれば、第一は、長さの計量単位であるメートルの定義を、現在のメートル原器による定義から、光の波長による定義に改めることであります。第二は、温度の計量単位は、現在度を基本単位とし、絶対温度すなわちケルビン度を補助単位としていたものを、国際度量衡総会の決議及び日本学術会議の意見に基づき、ケルビン度を基本単位とし、度を補助計量単位とするように改めますとともに、氷点と水蒸気点を定点として用いて定義していたものをより正確な水の三重点(水と氷と水蒸気とが共存している状態の温度)と絶対温度の零点を定点として用いて定義するように改めることであります。これらの定義の変更は一般的な実用面では、何らの変更を加えるものではなく、より正確な定義を採用しようとするものであります。第三は、内燃機関に関する計量等仏馬力の使用を早急にやめることのむずかしい分野につきましては、昭和三十七年以降も当分の間なお仏馬力を使用することができるようにしたことであります。また、現在、主としてはかりとますについてその用途、使用方法、使用範囲が規制されていますが、経済、計量技術の発展に伴い、多種の計量器が広く取引証明の分野に使用されるようになりましたので、このような事態に対処し、事態の変転に応じた規制が行なえるようにするため、計量器の性質上用途、使用方法、使用範囲を限定しなければならない計量器について、政令により必要な規制を行なえるようにしたのが第四の問題でございます。これらの主要な事項のほかに若干の規定の整備を行なうことといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
次に、今回提出いたしました航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案の要旨を御説明申し上げます。
航空機工業振興法の一部を改正する法律は、昭和三十四年三月に制定されましたが、この法律は、昭和三十三年五月に制定されました航空機工業振興法の一部を改正いたしまして、輸送用航空機の国産化を促進するための措置として、日本航空機製造株式会社を設立し、輸送用航空機の設計、試作、製造等を行なわせることを内容とするものであります。
この一部改正法律に基づきまして、日本航空機製造株式会社が昭和三十四年六月設立され、以後現在まで、中型輸送機YS−11の試作開発を進めておりますが、この試作事業は、ほぼ計画通り順調に進行いたしておりまして、昭和三十六年度には、試作第一号機が完成し、引き続き飛行試験が行なわれ、昭和三十八年度までに全試作事業を完了する予定であります。
それとともに、本会社は、内外における輸送機の需要を勘案して、昭和三十八年度以降、YS−11型量産機の販売を行なうこととし、このため、昭和三十六年度から、量産準備を開始することといたしております。しかしながら、本会社が物的担保に乏しい等の事情からいたしますと、現状におきましては、YS−11型量産準備のための資金を、会社の信用のみで調達することはきわめて困難であると考えられます。
このような事態に対処いたしますために、当分の間、本会社の信用を政府が補完することができるよう措置する必要が生じましたので、ここに、航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました次第であります。
本法律案の要旨は、日本航空機製造株式会社の債務につきまして、当分の間、政府が保証することができるものとすることであります。
なお、これに関しまして、昭和三十六年度予算案におきまして、本会社の借入金三億円及びその利子に相当する金額を限度として、政府保証を行なう旨が規定される予定になっております。
以上が、この法律案の提案理由および内容の概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/3
-
004・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 次に計量法等の一部を改正する法律案について、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/4
-
005・佐橋滋
○政府委員(佐橋滋君) お手元にお配りしてあります計量法等の一部を改正する法律案要綱をごらんいただきたいと思いますが、ただいま大臣の提案理由説明がありましたように、本法律の改正の内容は、大体三つの点にしぼれると思います。一番目は、計量の基本単位の定義に関する事項であります。第二番目は、計量器の使用制限の問題であります。第三番目は仏馬力の使用を延長するといいますか、以上の三つが主たる内容になっております。あとは大体条文の整理程度であります。
第一番目の計量単位の定義の点について簡単に御説明を申し上げますと、現在メートルの定義が御承知のようにフランスにメートル原器がありまして、それを各国が写してきて、各国一本ずつ原器を持っておりまして、それによってそれが一メートルの長さということになっておるわけであります。これは材質は白金イリジュームで作ったものでありますが、何せ人工的なものでありますので、長い時間の間には材質の変化もあり、あるいは場合によると破損の危険もあるわけであります。今度昨年の度量衡総会において決議になりましたのは、そういったメートル原器、人工的な原器でなくて、光の波長で一メートルというものを定義しようということになったのであります。非常にまあむずかしい文句でありますが、この方法によりますと、従来メートル原器でやっておりました誤差の範囲が、従来は五百万分の一の精度でありましたのが、これでやりますと、一億分の一というような精度までの計量が可能だ、こういうことになっておるわけであります。この条文を申し上げますと、非常に学術的でむずかしいのでありますが、「クリプトン八六の原子の準位2P10と5d5との間の遷移に対応する光の真空の下における波長の一、六五〇、七六三・七三倍に等しい長さとし、国際度量衡総会の採決に従い政令で定める方法により現示する。」と、こういう非常にむずかしい定義になったわけであります。これはまあ特殊の原子から発します光をとらえまして、そのある倍数で一メートルというものを定義しようということになったわけでありまして、昨今のように科学技術の進歩が著しくて、宇宙時代というような場合には、こういった精度を要求されるという点で度量衡総会において決定になったのを各国と同じように日本においても計量法の定義に置きかえようと、こういうことであります。
次に、計量単位の温度の点でありますが、これは従来は御承知のように、摂氏度が計量基本単位ということになっておりまして、ケルビン度というのが補助単位としてあったわけでありますが、今度の改正によりまして、ケルビン度というものを計量の基本単位にし、摂氏度を補助計量単位にするということにしたわけであります。この内容は現在の摂氏の度と申しますのは、私も詳しいことはわかりませんが、水というものが三つの形に変化する、気体になり、あるいは固体として氷になるという三つの形に水が変化するわけでありますが、従来の摂氏度というのは水と氷が共存する状態、並行する状態というか、共存する状態を零度とし、水と水蒸気とが共存する状態を沸騰点百度として、それを百等分して摂氏度というものができておったわけでありますが、今度のケルビン度によりますと、それがさらに正確に定義されておるわけでありまして、ケルビン度で百度というのは、絶対温度と申し上げまして、現在人間の知恵あるいは学問で考え得る限界点、最低温度というものがあるわけでありまして、温度は御承知のように、下の方には底があって上の方には幾らでも高い温度があるというものだそうでありますが、その絶対温度というのは現在の摂氏度ではかりますと、マイナス二七三・一五度というのが絶対温度として人間が考え得る最低の温度だそうであります。これを一つの定点とし、それから今度は上の方は今までは水と氷、あるいは水と水蒸気の併存する、並行し得る状態を一つとらえておったのでありますが、今度は水と氷と水蒸気と三つの状態が併存し得る状態というのを定点にしまして、目盛りを構成するわけであります。これはこの三つの状態が併存し得る状態といいますのが、現在の摂氏度で参りますと〇・〇一度でございます。結局、まあ絶対温度と、水のこの三重点というのだそうでありますが、三重点を定点にして度盛りをきめるわけでありますが、実際の、われわれが使用しております度とは、定義が変わるだけで、実際には少しも変わりがないわけであります。ケルビン度を計量単位の基本単位としまして、従来の摂氏度を補助単位として使うことにいたすわけであります。
次には、光度の計量単位、光の強さを表わす単位カンデラというのを、基本単位に、現在誘導単位にしておりましたものを、基本単位にする改正をいたします。これは計量の基本単位と申しますのは、長さをはかるメートルと、それから質量をはかりますキログラムと、それから時をはかります時間、秒という単位、それから温度と、それから電気の強さをはかりますアンペア、それからこの光度の強さをはかります光度の単位、こういう六つが世界の計量の基本単位になっておるわけでありまして、従来この光度の単位を、計量法では誘導単位にしておりましたのを、各国なみに基本単位としてあげるということにいたしたわけであります。そのほかに、工率の計量単位に、ワットのほかキログラムメートル毎秒というものを加えるということであります。それがいわゆる計量の単位に関します改正であります。
次は計量器の使用に当たっての制限であります。これは従来、ますだとか、はかりだとかというものにつきまして、計量器というものは、ある特定の使用方法で使用しなければ、計量器の正確さというものは期しがたいのでありまして、これを法律でその使用の制限をうたうことになっておったわけでありますが、その後非常に複雑な計量器が、幾百種類にもわたって生産され使用されておりますので、この一々の計量器の使用の方法を法律でうたうということは、時宜にも適しませんので、計量器の種類によって、その使用の方法を、政令で制限したいというふうに考えたわけであります。この用途に一、二、三と三つの範疇を書いてありますが、第一は、「特定の物の計量に使用しないと正確に計量することができない計量器」、たとえばオイル容器のようなものでありまして、液体をはかる容器の計量についても、たとえばオイル容器で水をはかりますと、これは正確にはかったことにならない。ということは、オイル容器は、非常に粘質性がありますので、少し普通の液体——水だとか清酒等をはかるのと比べて大きめにますを作って、はかったその結果が、一リットルなら一リットルということになるように作ってあるわけであります。オイル容器で水その他をはかれば、これは計量の正確さを期しがたいわけでありますので、オイル容器はオイルをはからなければならぬというようなことを規制したいわけであります。
次の範疇は、「特定の使用の方法に従って使用しないと正確に計量することができない計量器」と申しますのは、たとえばコンベヤでものをはかる。コンベヤで石炭なり鉱石なりを、上を通過させまして、何時間に通った量によって計量する計量器の場合に、上を回転しますコンベヤの速度が非常に問題になるわけでありまして、これはきめられた速度でそこを通過するようにしなければ、計量器の正確を期しがたいわけでありますが、そういうようなことを政令でうたいたいということであります。
次は「一定の範囲内における計量に使用しないと正確に計量することができない計量器」、こういうことを申しますのは、たとえば八百屋あるいは魚屋の店頭にあるような二キログラム刻みの計量器、これだと百等分なら百等分にしてありますと、二十グラムとかいうような単位に一目盛りがなるわけでありまして、こういった目盛りのはかりでは、たとえば五十グラムだとか六十グラムだとかいうものをはかる場合は正確でありますが、これで非常に容量の少ない、例は非常におかしいのですが、たとえば薬をはかっていくというようなことになりますと、これはもう絶対に正確にははかれないわけでありますので、度盛りの何倍以上のものでなければはかってはいけないというような規定を、設けたいわけであります。こういったいわゆる計量器の使用に当たっての制限を加えないと、その計量器自身の正確さを期しがたいというものが、たくさんにできてきておりますので、そういった点を、消費者を保護する意味において、政令で限定をいたしたい、こういうふうに考えているわけであります。
次の改正の要点は、仏馬力を使用する期間の問題であります。現在メートル法が統一施行になります前までは、馬力というのは、英馬力と仏馬力というのが使用されておったわけでありますが、英馬力の方は禁止をいたしまして、仏馬力の方は、ことしの十二月三十一日までの暫定使用を、単位として認めておったわけであります。ところが現在世界の各国の状況をみますと、仏馬力という単位の使用が非常に圧倒的であります。内燃機関等は、大体仏馬力でその表示をされておりますので、日本だけこの仏馬力を早急にやめるということは、いろいろの取引面その他につきまして、支障があります。よって世界の各国が、かなり仏馬力の使用を停止するような時期に、日本におきましても、仏馬力の使用を禁止する方が適当ではないかということが考えられますので、当分の間、この仏馬力の使用を認めるようにするということであります。
以上が提案申し上げました計量法の一部を改正する法律のおもなる内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/5
-
006・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 本案の質疑は、都合により次回に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814461X00319610214/6
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。