1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十六年十月四日(水曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 臼井 莊一君 理事 竹下 登君
理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君
理事 高津 正道君 理事 山中 吾郎君
伊藤 郷一君 上村千一郎君
田川 誠一君 高橋 英吉君
中村庸一郎君 松山千惠子君
前田榮之助君 三木 喜夫君
村山 喜一君 鈴木 義男君
出席政府委員
文部政務次官 長谷川 峻君
文部事務官
(大臣官房長) 天城 勲君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 内藤譽三郎君
委員外の出席者
専 門 員 石井 勗君
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十月四日
委員野原覺君辞任につき、その補欠として前田
榮之助君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として
野原覺君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律案(内閣提出第一二号)
日本育英会法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)(予)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905077X00219611004/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
学校教育法等の一部を改正する法律案、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案、日本育英会法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。長谷川文部政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905077X00219611004/1
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002・長谷川峻
○長谷川政府委員 このたび、政府から提出いたしました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、学校教育法につきまして、高等学校の通信制の課程の整備並びに高等学校の定時制の課程及び通信制の課程と技能教育施設との連係のため所要の規定を設けるとともに、特殊教育及び就学義務関係の規定等を整備し、また、私立学校法につきまして、通信制の課程の整備に伴う学校法人にかかる認可等について所要の規定を設けることとしたものであります。
まず、学校教育法の改正といたしましては、第一に高等学校の通信による教育を行なう課程を通信制の課程として整備したことであります。
高等学校の通信による教育は、その発足当初の諸事情のため、全日制の課程または定時制の課程における教育方法として考えられ、現在まで運営されてきたのでありますが、最近に至り年々これを利用する生徒数も増加し、関係者の努力によりその内容も充実し、定時制の課程と並んで勤労青年を対象とする教育の上に相当の役割を果たすに至ったのであります。
そこで、このたび、これを全日制の課程、定時制の課程と並ぶ独立の通信制の課程として明確に位置づけるようにするとともに、通信制の課程のみを置く高等学校の設置をも認めることといたしたのであります。また、通信による教育は、これまで都道府県を単位として行なわれていたのであり、将来もその発達を促進するとともに、最近におけるラジオ、テレビの普及に伴い、通信教育にこれらの新しい教育手段をも考慮し、全国または数都道府県を実施単位とする広域の通信制の課程をも設置し得る道を開くことといたしました。
なお、広域の通信制の課程の設置、廃止等にかかる都道府県の教育委員会または知事の認可を行なうに際し、全国的見地からの調整、教育水準の維持の必要等の見地から、あらかじめ、文部大臣の承認を受けて行なわせることとして、その適切な実施を確保しようとしたのであります。
これらの法的整備をはかるとともにさらに各般の行政施策を講じ、勤労青年の教育の機会の普及拡充に今後格段の努力をいたしたいと存ずるのであります。
第二は、高等学校の定時制の課程及び通信制の課程と技能教育施設との連係をはかったことであります。
高等学校の定時制の課程または通信制の課程に在学する生徒が、同時にまた事業内訓練施設その他の技能教育施設において相当組織的な教育を受け、その成果を上げている場合がありますが、その施設、設備、教員組織、指導内容等が高等学校と同等以上と認められるときは、これらの技能教育施設における学習を高等学校における教科の一部の履修とみなすことといたしました。このことにより学校と産業界との相互の連係を密にし、技能教育についての能率を高め、もって科学技術教育の振興に資することといたしたのであります。
第三は、特殊教育に関する規定を整備いたしたことであります。すなわち、現在盲学校、ろう学校及び養護学校の幼稚部及び高等部は、単独には設置できないこととなっておりますが、特別の必要がある場合には、これらの部をそれぞれ単独に設置し得る道を開くとともに、盲学校、ろう学校、養護学校または特殊学級において教育することが適当な児童、生徒の範囲を明確にし、もって特殊教育の振興に資することといたしたのであります。
なお、これらのほか、義務教育諸学校にかかる就学義務に関する規定等を整備することといたしたのであります。
次に、私立学校法の改正につきましては、主として学校教育法の改正による高等学校の通信教育制度の改正に伴い、規定の整備をはかったものであります。すなわち、広域の通信制の課程の設置、廃止等にかかる認可につきましては、文部大臣の承認を経ることといたしましたことに伴い、これを設ける学校法人についても、同様の措置を定めるなど所要の規定を設けることといたしました。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
次に、今回、政府から提出いたしました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
高等学校は、義務教育に続く学校として戦後の学制改革により新たに設けられた制度でありますが、十数年を経過した今日におきましては中学校卒業者の半教以上が高等学校に進学しており、わが国の学校教育において大きな役割を果たしているのであります。しかしながら、高等学校の設置、規模、学級編成、教職員定数等につきましては、従来、学校教育法及び文部省令である高等学校設置基準等の規定を根拠としてきたのでありますが、その後高等学校教育の実態が大きく変化して参り、現行の規定が必ずしもこれに即応しないこと、高等学校の教育課程の改訂に伴い、これを実施していくために必要な教職員定数を確保しなければならないこと、最近における地方財政の実情にかんがみ、高等学校の設置等について国が一定の基準を示す必要があること、また、今後における中学校卒業者数の急増に伴い、高等学校進学者数の増加に対処する必要があることなどの理由により、公立高等学校の設置、適正な配置及び規模並びに学級編制及び教職員定数の標準について、国の方針を策定することが緊要となって参ったのであります。
政府におきましては、これらの実情にかんがみまして、この際これが解決をはかるべく、本法律案を提出いたしたのであります。すなわち、この法律案は、公立高等学校の設置について所要の規定を設けるとともに、その適正な配置及び規模並びに学級編制及び公立の高等学校に置くべき教職員の定数の都道府県または市町村ごとの標準を定めることとしたものであります。
まず、公立の高等学校の設置につきましては、現在、都道府県及び市町村がこれを設置する場合には別段の制限がないのでありますが、一方、地方自治法におきましては、高等学校に関する事務は主として都道府県が処理するものと規定されております。この法律案におきましては、この考え方を進めて、公立の高等学校の設置は原則として都道府県が行なうものとし、政令で定める一定基準に該当する市町村は高等学校を設置することができるものとすることにいたしました。
第二は、公立の高等学校の配置及び規模の適正化について規定したことであります。すなわち、都道府県はその区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないことといたしました。なお、この場合において、私立の高等学校が公立の高等学校と相ともに高等学校教育の普及と機会均等のため果たしている役割の重要性にかんがみ、私立の高等学校の配置状況を十分に考慮しなければならないことといたしました。また、公立の高等学校の学校規模の最低標準を定め、高等学校の教育水準の向上をはかることといたしたのであります。
第三は、学級編制が教育効果の上に大きな影響があることにかんがみ、学級規模の適正化をはかるため、その標準となるべき生徒数について規定いたしました。
第四は、公立の高等学校の都道府県または市町村ごとの教職員の定数の確保をはかるため、その標準となるべき数を定めたことであります。すなわち、この法律案におきましては、校長、教諭、助教諭、講師、養護教諭、実習助手、事務職員などの職種別に教職員数を算定し、これらの数を合計して、都道府県または市町村ごとに置くべき教職員の定数の標準となるべき数を定めたのであります。この場合、標準となるべき数の算定の基礎については、高等学校の課程ごとの生徒の数を基本とし、これに課程の特色や学科の数、学校規模などの諸条件を十分考慮するようにいたしました。
なお、これらの教職員の具体的配置については、各教育委員会が、地方の実情に即して適切に措置できるように考慮したのであります。
第五は経過措置であります。
その一は、この法律案によって算定した教職員定数の標準を実施することに伴う急激な財政負担を緩和するための規定でありまして、この法律施行の際、現に定められている教職員の定数がこの法律による教職員定数に達しない都道府県または市町村は、昭和三十八年三月三十一日までの間に、順次、教職員定数を充実していかなければならないことといたしました。
その二は、昭和三十八年度以降昭和四十四年三月三十一日までの間における生徒数の急増に対処するための措置でありまして、この間におきましては、約一割までの生徒増について教職員定数を増加させることなく、生徒を収容できるようにいたしたのであります。
なお、これに伴って、この期間中は学級編制の標準についても、一学級当たりの収容生徒数を一割だけ増加できることといたしました。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。
最後に、このたび政府から提出いたしました日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
昭和十九年日本育英会法施行以来、日本育英会は、年々堅実な発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資の貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒は、きわめて多数にのぼり、国家的な育英事案として多大の成果をおさめて参りました。
日本育英会から学資の貸与を受けた者は、修業後一定の期限内にその貸与金を返還する義務を有しておりますが、特例として、それらの者が義務教育に従事する教員または高度の学術研究者となった場合に、その貸与金の返還を免除できる制度を設けて参りましたのは、それらの分野に積極的に人材を誘致し、義務教育の充実と学術の振興をはかろうとする趣旨に基づくものであります。
ところが、近年、高等学校進学者の急増に対処し、また科学技術者の育成を促進するため、高等学校、大学または高等専門学校に優秀な教員を確保することがますます重要になって参りましたので、これに応ずる措置を講ずるとともに、日本育英会の貸与金の回収を一そう適確に行なうため、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。
改正の第一点は、大学における貸与金の返還を免除される職のうちに、高等学校、大学、高等専門学校その他の施設の教育の職を加えたことであります。
改正の第二点は、大学院における貸与金の返還を免除される職のうちに、中学校、高等学校及び高等専門学校の教育の職を加えたことであります。
改正の第三点は、日本育英会の業務の方法のうち、特に貸与金の回収に関するものは、主務大臣の定めるところによるものとしたことであります。
改正の第四点は、当分の間、大学もしくは大学院または高等専門学校で学資の貸与を受けた者が、沖繩の教育または研究の職についた場合も、日本本土の場合と同様に、その貸与金の返還を免除できる規定を設けたことであります。
改正の第五点は、当分の間、貸与金の返還免除については、国立工業教員養成所を大学と同じ取り扱いとしたことであります。
以上が、この法案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905077X00219611004/2
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003・櫻内義雄
○櫻内委員長 質疑は次会以降に譲ることといたします。
本日はこの程度とし、次会は来たる六日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を閉会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905077X00219611004/3
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