1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十六年十月五日(木曜日)
午後一時四分開会
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員の異動
十月三日委員白井勇君辞任につき、そ
の補欠として山木米治君を議長におい
て指名した。
本日委員斎藤昇君辞任につき、その補
欠として上原正吉君を議長において指
名した。
委員長の異動
十月四日剱木亨弘君委員長辞任につ
き、その補欠として山本米治君を議院
において委員長に選任した。
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出席者は左の通り。
委員長 山本 米治君
理事
川上 為治君
古池 信三君
椿 繁夫君
牛田 寛君
委員
赤間 文三君
大泉 寛三君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
小林 英三君
鈴木 万平君
高橋進太郎君
阿具根 登君
岡 三郎君
近藤 信一君
中田 吉雄君
国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
国 務 大 臣 三木 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官 大川 光三君
通商産業大臣官
房長 塚本 敏夫君
通商産業省通商
局長 今井 善衛君
経済企画政務次
官 菅 太郎君
科学技術政務次
官 山本 利壽君
科学技術庁長官
官房長 島村 武久君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○産業貿易及び経済計画等に関する調
査
(通商産業大臣、経済企画庁長官及
び科学技術庁長官の施策に関する表
所に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/0
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001・山本米治
○委員長(山本米治君) これより商工委員会を開会いたします。
議事に入りますに先だち、一言ごあいさつ申し上げます。
私、今回、商工常任委員長に選任せられましたが、申すまでもなく非常にふつつかな者でございます。どうぞ皆様の格別の御支援、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/1
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002・山本米治
○委員長(山本米治君) この際、本日の議事について報告いたします。
本日は、理事の補欠互選を行ないました後、通商産業大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官から、それぞれ施策に関する所信を聴取することといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/2
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003・山本米治
○委員長(山本米治君) 初めに委員の異動について御報告いたします。
本日、斎藤昇君が委員を辞任され、その補欠として上原正吉君が委員に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/3
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004・山本米治
○委員長(山本米治君) それでは、まず理事補欠互選の件を議題といたします。
先般、椿繁夫君が一たん委員を辞任されましたため欠員となっております理事一名の補欠を選任いたすわけでありますが、その方法は、慣例により成規の手続を省略して、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/4
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005・山本米治
○委員長(山本米治君) 御異議ないと認めます。
それでは、私より理事に椿繁夫君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/5
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006・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題にいたします。
これより通商産業大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官から、それぞれ施策に関する所信を聴取することといたします。佐藤通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) わが国経済は、過去三年にわたって大幅な拡大を遂げ、国民生活水準の向上、雇用面の改善、産業構造の高度化などに顕著な成果をおさめて参りましたが、最近に至りまして、その成長のテンポが政府の想定する以上に急速であるため、国際収支の悪化を招来するに至りました。政府は最近景気の過熱を防止し、国際収支の均衡を回復するため、さきに公定歩合の引き上げを初めとして所要の施策を講じましたが、最近の情勢にかんがみ、今般、国際収支改善対策を策定いたしました。
他方、最近における海外情勢の進展にかんがみ、政府は貿易為替自由化促進計画を策定し、所要の対策の充実をはかりつつ貿易自由化の繰り上げ実施を明らかにいたしました。
当面のわが国経済の課題は、以上の二方策に示された方針に従って、国際収支の改善と貿易自由化の促進をはかり、もってわが国経済の長期にわたる高度成長の実現をはかるべく、万全の努力を傾注することにあるのであります。
最近における国際収支の動向は、年度間では、相当の赤字を生ずることが予想されるに至りましたが、このような事態に対処するため、輸出の振興を基本とする積極的対策の充実をはかるとともに、国際収支の逆調は民間設備投資を中心とする内需の強調に基づくものと考えられますので、内需面においても投資、消費の各面にわたって、過大な需要の抑制を主眼とした対策を講ずることが必要とされるのであります。
通商産業省としては、以上のような見地から、さきに決定を見た国際収支改善対策の線に沿って、関係各省との協力のもとに、輸出の促進をはかるため、輸出振興税制の改善強化、日本輸出入銀行の資金の充実確保、輸出保険の保険料率の引き下げ等の措置を強力に推進実施するとともに、設備投資の抑制についても、その緊要度を考慮しつつ、各業種の実態に即して強力な行政指導を行なうこととしております。
これらの措置が実効を上げるためには、何よりも国民の理解と協力を得ることが重要であります。私といたしましては、幸いに国民各位の協力のもとに、これらの施策を講ずることにより、短期間のうちに国際収支の逆調を克服することができると信じている次第であります。
次に、自由化の促進に関する私の見解を申し述べたいと思います。
自由化の実施にあたりましては、自由化率を来年九月末までに九〇%に引き上げることを目途として、そのテンポを繰り上げることといたしました。この円滑な実施を確保するためには、当面国際収支改善のための対策を強力に推進するとともに、産業構造高度化施策、エネルギー対策、地下資源対策の充実により、産業の国際競争力の強化に万全を期したいと考えております。
また、必要以上に外国品が流入する事態を防止することは当面の急務でありますので、政府は率先して、国産品を優先的に使用するとともに、広く国民各層の支持と協力のもとに、国産品愛用についての国民運動を進めていく所存であります。
貿易自由化に関連して特に付言すべきことは、エネルギー対策であります。明年秋と予想されている石油の自由化により、石炭と石油との競合の激化等、エネルギーに関し多くの問題が生ずることが予想されるので、総合エネルギー対策の早急な確立に努めるとともに、特に石炭については、近代化資金の増強、非能率炭鉱の整備の促進、離職者対策の拡充、流通面の合理化等により、その体質改善をはかるほか、石炭問題の総合的な解決に資するため産炭地振興事業団の設立を検討中であります。このため政府は、今般、石炭対策関係閣僚会議を設置することといたしました。
なお、この際特に強調したいことは、中小企業の振興であります。政府はわが国経済に占める中小企業の重要性にかんがみ、設備の近代化、組織化の推進、金融の円滑化等の措置を強化し、その施策に遺憾なきを期している次第でありますが、当面自由化の進展に伴う中小企業へのしわよせの防止及び特に最近の金融引き締めに基づく中小企業金融の逼迫に対処するため、財政投融資の増額補正を行なうことといたしました。さらに、経済成長を安定した基盤に乗せるためには、経済の各分野における均衡の確保、なかんずく所得較差の是正に努めることが肝要でありますので、今後ともさらに、中小企業の振興には、格別の努力を傾注することとし、中小企業基本法の制定等諸般の施策の推進に万全を期する所存であります。
以上、わが国経済が当面している諸問題と、それに対する見解を申し述べましたが、最後に本国会に提出いたしました法律案について御説明いたします。
本年六月以降、第二室戸台風に至る風水害は、わが国産業に相当の被害をもたらしましたが、政府といたしましては、これらの風水害により被害を受けた中小企業者に対しましては、あとう限りの援助を行なうこととし、その一環として、本国会に新たに被災中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案を提出することといたしました。
次に、輸出入取引法の一部改正法律案、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正法律案等の石炭関係四法案、電気用品取締法案等の八法案は、いずれも前国会で御審議をいただいたものでありますが、とれら諸法案はいずれも、わが国経済の当面する諸問題の解決のために緊要とされるものであることにかんがみ、ここに再び本国会に提出し、御審議いただくこととしたのであります。何とぞ、よろしく御支援と御協力をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/7
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008・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、藤山経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/8
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009・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ここ数年来、わが国経済は旺盛な拡大の基調を続け、本年度の国民総生産は十六兆数千億円に達し、昨年度の実績に対し実質一〇%に近い成長を遂げようとしており、国民生活水準の向上、雇用面の改善、産業の近代化など顕著な成果をおさめているのでありますが、一面、この成長のテンポは、国民所得倍増計画に予定した昨年度の国民総生産十三兆六千億円に対し、実質一七%以上という、予想を著しく上回るものであるため、道路、港湾、労働力などの面で隘路を生ずるとともに、物価の上昇や国際収支の悪化を来たしております。このため、政府は、すでに実施中の金融引き締め、設備投資の抑制、輸入担保率の引き上げ、輸出振興策等一連の措置のほか、今回、国際収支改善対策を決定いたしました。この対策は、単に内需の抑制という消極的な面のみでなく、国際収支の均衡を回復するためには、積極的にわが国産業の国際競争力を強化し、輸出を振興することがきわめて肝要であることにかんがみ輸出振興対策には、税制、金融、保険等の面で格段の措置を講ずることといたしております。経済企画庁としては、貿易の自由化及び輸出の振興のため緊急を要する合理化投資、中小企業へのしわ寄せ防止等については、周到な配慮を加えつつ、関係各省間の調整に当たり、この対策の円滑な実施を推進し、国際収支の均衡の回復と経済の安定成長を達成して参りたいと考えております。
政府は、昨年六月、貿易、為替自由化計画大綱を決定し、以後この線に沿って自由化の推進に努めて参りましたが、本年七月、わが国の貿易自由化率を明年九月までに九〇%程度に引き上げることを目途として、これをさらに促進する方針を決定いたしました。しかしながら、わが国経済は、近年の高成長にもかかわらず、今なお、農林漁業や中小企業における近代化の立ちおくれ、育成過程にある産業や企業における経営上、技術上の弱点、地域的失業及び不完全就業の存在など、多くの問題を包蔵しており、今後の自由化の促進にあたっては、配慮すべき点が多々あるのであります。したがって、政府は、このほど、これらの対策を織り込んで、貿易、為替自由化促進計画を決定したのでありますが、経済企画庁としては、今後の自由化促進がわが国産業に与える影響については、十分な注意を払いつつ、関係各省との密接な連絡のもとに、自由化に対して必要な対策の具体化につとめ、国際収支の改善と相待って、自由化の促進をはかって参りたいと考えております。
最近における物価の動向には、依然注目を要するものがあります。卸売物価は、供給力が著しく増大しておりますので、おおむね安定した動きを示しておりますが、供給の弾力性の乏しい木材については、著しい上昇をみております。消費者物価については、近年の所得増加に伴う消費構造の変化などもあって、住居費、雑費、食料費を中心に上昇傾向をたどっております。
物価の問題は、国民生活に密着した問題であると同時に、高度成長を安定的に持続させる上からもきわめて重要でありますので、経済企画庁としては、景気抑制策の浸透をはかるとともに、閣議決定をみた公共料金値上げ抑制措置を引き続き実施していくほか、従来設置されている消費者物価対策連絡協議会を今後とも一層活用し、関係各省との連絡協調のもとに、総合的な物価対策を推進して参りたいと考えております。
わが国経済に内在する二重構造の解消、特に地域間の所得格差の是正は、わが国経済の多年の懸案であり、国民所得倍増計画においても、一つの重要な課題として取り上げているところであります。この問題の解決には、全国的な観点に立って、総合的に施策を推進する必要がありますので、経済企画庁としては、特定地域の開発、離島振興、低開発地域の開発を引き続き促進するとともに、全国総合開発計画をできるだけ早く策定したいと考え、国土総合開発審議会の調査審議を経て、去る七月成案を得たのでありますが、この計画は多方面に重大な影響を及ぼすものでありますので、十分慎重を期し、先般、これを全国総合開発計画草案として公表いたしました。今後、関係方面の意見を十分聴取するとともに、地域経済問題調査会も発足する運びとなりましたので、その調査検討の結果をも取り入れ、より完全な計画として決定したいと考えております。
なお、全国総合開発の促進に関連して、工場の地方分散を促進するため、低開発地域工業開発促進法案を、また、水資源の総合的な開発とその合理的な利用をはかるため、水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案をそれぞれ前国会に提案したのでありますが、いずれも審議未了となりましたので、今国会に再提出いたしております。何とぞよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/9
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010・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、三木科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/10
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011・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私は、このたび科学技術庁長官の重任をにない、このほど国際原子力機関の総会に列席し、かつまた、西欧諸国における原子力の開発判用状況を中心といたしまして、科学技術のめざましい進展を見て参り、わが国がこれら先進国に伍して経済と文化の向上を実現するためには、科学技術水準の画期的な向上をはかることが、まさに刻下の急務であることを痛切に感じて参ったのであります。
政府といたしましては、従来とも科学技術振興を重要施策の一つに掲げまして、その強力な推進に努めて参ったのでありますが、私は、科学技術が国の繁栄のための基盤であるとの確信のもとに、わが国情にふさわしい科学技術振興施策を確立し、その具体化に努力して参る所存であり、当面、次のごとき諸施策を強力に実施して参りたいと存じます。
まず、科学技術を画期的に振興するためには、統一的な指針が必要でありますので、科学技術に関する基本理念を明らかにし、総合的基本的態勢を整備することを目途として、研究のあり方、国のとるべき施策、科学技術振興計画の策定等の内容を盛り込んだ科学技術に関する基本法を制定すべきであると考え、科学技術会議の答申を待って法案の作成を進めていきたいと存じております。
次に、国立試験研究機関は技術革新のめざましい進展に即応してそのあり方を再検討し、その内容を画期的に刷新充実することが必要であり、過般そのための方策を科学技術会議に諮問いたしました次第であります。
第三に、最近、国が強力に取り上げなければならない重要研究の分野が増加してきております。まず、近年産業の発展と都市の膨大化は、大気汚染、水質汚濁、騒音等の災害を惹起してきており、これらの災害を防止し、さらに国民生活環境の積極的向上をはかる科学技術に関する研究は、国が早急に取り上げなければならない重要研究でありますので、その画期的振興をはかりたいと存じます。次に台風、集中豪雨、地震等各種災害もまた毎年繰り返され、被害はかえって累増する傾向すら見受けられますが、これら災害の予知、予防及び対策に関する研究は、国として強力に推進しなければならない重要研究でありますので、従来に増して強力にその推進をはかりたいと存じます。
さらに国として先導的に行なわなければならぬ研究として、宇宙科学技術、海洋科学技術、電子科学技術等があり、いずれもこれを重要研究として推進して参る所存でありますが、特に宇宙科学技術につきましては、最近の諸外国の宇宙科学技術の急速な発展にかんがみ、わが国に即応した宇宙開発に関する科学技術を一段と促進するよう措置していく所存であります。
第四に、わが国技術の海外依存体制からの脱却をはかり、国産新技術を育成するためには、民間の研究活動を促進強化する必要があります。これがため、民間の研究意欲を助長する諸方策、なかんずく中税法上の優遇措置を講じて参りたいと存じますが、特に研究法人制度を創設し、科学技術に関する研究を行なう研究法人に対しては、税法上の優遇等強力な助成措置を講ずべく研究法人法案の作成について検討を進めるとともに、すでに発足いたしました新技術開発事業団の強化拡充をはかりたいと考えております。
なお、中小企業における技術水準の向上につきましても、共同研究の推進、技術指導の強化等の措置を推進する所存でありますが、特に科学技術情報につきましては、従来、ややもすれば大企業に利用される傾向がありました日本科学技術情報センターの情報提供業務を拡大し、中小企業に対し、これにふさわしい情報の普及をはからせたいと考えております。
第五に、科学技術者の不足は、今後ますますその逼迫度を加えることが予想されますので、科学技術者の養成につきましては、青少年に対する理科教育の充実から始め、質、量両面から教育における長期的計画的対策について文部省に積極的に協力するとともに、当庁自体としても、再教育等の面でできる限り努力をいたしたい所存であります。
なお、研究公務員が安んじて研究に没頭できるようその処遇の改善につきましては、従来にも増して強力に推進していきたい考えであります。
第六に、原子力の平和利用につきましては、本年二月原子力開発利用長期計画を新たに策定し、長期的開発利用の展望を明らかにいたしましたが、この新計画の円滑なる推進をはかるため、従来の研究、開発の上に立って基礎及び応用面の拡大強化をはかる所存であります。すなわち、既定計画に基づく動力試験炉、遮蔽研究炉の建設、燃料再処理、プルトニウム燃料及び原子力船等の分野における研究開発の活発なる推進を期するほか、明年度は特に放射線化学中央研究所を新設して、この分野における研究開発の画期的な進展を期したいと存じます。
なお、放射線に対する安全対策についても、一そうの充実をはかる所存であります。
第七に、科学技術の国際交流につきましては、科学技術研究が、今や国際的規模において行なわれるべき時代となり、科学技術に関する国際交流はますますその重要性、必要性を増しつつあることは、今回の海外出張を通じましても、特に痛感させられるところであります。したがいまして、今後とも国際機関の行なう研究には積極的に参加し、科学技術者の交流及び技術援助の推進をはかり、国際会議への参加を積極化するとともに、科学技術に関する国際会議のわが国における開催を大いに推進する所存であります。
私が今回の国際原子力機関総会において、アジア・アイソトープ・センターの設立を提案いたしましたのも、この趣旨に基づくものであります。
第八に、科学技術に関する普及啓発、情報活動の強化についてであります。国民各層に対する科学技術思想の普及啓発を行なうため、日本科学技術振興財団に力強い援助を行ない、科学技術情報の収集、提供の中枢機関としての日本科学技術情報センターの機能の増強をはかるとともに、地方発明センターの増設につき助成をはかる方針でありますが、その他経済の高度成長と技術革新による資源利用構造の変化、公害の拡大等の諸問題については、資源総合利用の観点からの調査活動を強化し、発明奨励活動の充実等につきましても十分配慮いたして参りたいと存じております。
最後に、上述しました諸般の施策を強力に推進して参りますためには、科学技術行政体制の強化をはかる必要があります。そもそも近年科学技術の著しい発達は一面において、専門の細分化をもたらすとともに、他方、研究の総合性を必要としております。このような情勢にかんがみ、特に第三の項で言及しました大気汚染、水質汚濁、防災、宇宙、海洋、電子等の国として強力に推進しなければならない重要研究は、いずれも各部門の協力を要する総合研究でありまして、その総合的計画的推進をはかることが緊要であります。したがいまして、科学技術庁の総合調整機能の強化充実をはかるため、研究調整局を新設し、特別研究促進調整費制度を拡大する等所要の措置を講ずるとともに、諸般の重要問題について、必要に応じ関係閣僚会議を開催し、関係省庁間の緊密な連絡のもとに、当庁の任務遂行の万全を期したい所存であります。
以上、当面の施策の大綱について、明年度予算編成の構想とも関連せしめつつ申し述べたのでありますが、わが国科学技術振興施策の重要性にかんがみ、その施策に微力ながら全力を傾注して参りたいと考えております。委員各位の御支援、御協力を切にお願いしてやまない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/11
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012・山本米治
○委員長(山本米治君) 各大臣に対する質疑は、都合により、後日に譲ります。
次に、山本科学技術政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/12
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013・山本利壽
○政府委員(山本利壽君) 先般、政務次官の更迭にあたりまして、私が科学技術政務次官に任ぜられまして、三木長官のもとで懸命に勉強していきたいと存じますが、特に皆さん方の御指導と御協力によりまして、その任務を全ういたしたいと存ずる次第であります。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/13
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014・中田吉雄
○中田吉雄君 いろいろ今提案理由の説明があったんですが、佐藤大臣から、いろいろの内容を見ましても、たとえば国際収支改善対策とか、あるいは藤山長官が全国総合開発計画草案とか、いろいろ重要な発表をしておられて、この質問をするには、そういう資料がなくてはいけないのに、全然資料を出さず、これははなはだ不親切ですから、こういう諸提案を十分勉強するに足る裏づける資料を出していただきたいと思うのです。いろいろ新聞では、われわれも大綱は散見していますけれども、具体的に国際収支改善対策、全国総合開発計画草案とかいうものを発表して、そういうことを、云々ということを言いながら、そういう資料が一つも出ていない。だからひとつ特に新任の委員長として、いいかげんに、資料なしにこれを審議せいということで、どんどん議事を進められることについて、はなはだ異論があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103914461X00219611005/14
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015・山本米治
○委員長(山本米治君) 承知いたしました。よく関係方面に連絡して、資料は、ただいまのような御要望に沿うような資料を要求しておきます。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十三分散会
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