1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十八日(水曜日)
午前十一時二分開議
出席委員
委員長 簡牛 凡夫君
理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君
理事 塚原 俊郎君 理事 山田 彌一君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
伊藤 郷一君 生田 宏一君
宇田 國榮君 川野 芳滿君
佐々木義武君 壽原 正一君
砂原 格君 西村 英一君
細田 吉藏君 石村 英雄君
加藤 勘十君 勝澤 芳雄君
内海 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
出席政府委員
運輸政務次官 有馬 英治君
運輸事務官 広瀬 真一君
(大臣官房長)
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 岡本 悟君
委員外の出席者
日本国有鉄道副 吾孫子 豊君
総裁
日本国有鉄道常 滝山 養君
務理事
専 門 員 小西 真一君
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四月十八日
委員西村英一君辞任につき、その補欠として島
村一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員島村一郎君辞任につき、その補欠として西
村英一君が議長の指名でに選任された。
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四月十三日
道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
鉄道敷設法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/0
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001・簡牛凡夫
○簡牛委員長 これより会議を開きます。
鉄道敷設法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/1
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002・肥田次郎
○肥田委員 今度提案されております鉄道敷設法の一部を改正する法律案について、若干の質疑をいたしたいと思います。
まず、鉄道敷設法の改正案の中で、今度新しく十二件予定路線というものがふえて参りましたが、これによって、さらにその他の着工線あるいは調査線、こういうものがふえておりますが、これの区分別の数というものをまず一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/2
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003・岡本悟
○岡本政府委員 区分別と申しますのは、着工線が幾ら、それから調査線が幾ら、それから予定線が追加が幾らということでございましょうか。——今回の鉄道建設審議会で追加になりました予定路線は、御承知のように十二線でございます。それから新規着工線は九線で、従来三十八線ございますので、合計で四十七線になります。それから継続して調査に相なっております線が、五線でございます。それから新規の調査線が、十線でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/3
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004・肥田次郎
○肥田委員 もう一度お伺いしますが、予定線は総計で幾らになりますか。——格別そう大して重要な数字ではありませんから、あとでけっこうです。私の方にも数字を持っていますけれども、それの対比はあとでいたします。
そこで、この鉄道建設審議会の答申の中で、こういうことが書かれております。いわゆる財源措置は別途に検討するというような書き方がされております。この言うところの、別途に検討するというその内容は、一体どういうものなのか、お伺いしたいのであります。聞くところによりますと、鉄道建設審議会の中でいろいろと論議されておったようでありまするけれども、特に田中政調会長は、まるで池田総理が言われるように、鉄道建設のことは鉄建にまかせなさいという、こういう言い方にひとしいようなことを言われておりますので、一体鉄建が金を作る方法としては、どういうことを考えておられるのか、これを伺っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/4
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005・岡本悟
○岡本政府委員 財源措置につきましては、鉄道建設審議会におきましては、小委員会に付託に相なっておりまして、小委員会でこれから検討されるわけでございます。その検討の後に政府に建議する用意がある、こういうことでございまして、目下のところ、われわれの方でははっきりいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/5
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006・肥田次郎
○肥田委員 そうすると、運輸省当局としては、建議はされたけれども、新しく追加された予定路線、それから調査線、着工線、こういうものについての予算措置は、まだ何にも御承知ない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/6
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007・岡本悟
○岡本政府委員 鉄道建設審議会の建議の御趣旨は、今までのような鉄道の財源では、四十八線の着工線をすみやかに完成することはまず不可能であろう、だから、もっと別途の財源措置を考えなければならぬであろうが、それはいずれ小委員会で十分検討して政府に建議するから、予算措置については、その建議を受けてしかるべく善処するように、こういうことであろうかと拝察しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/7
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008・肥田次郎
○肥田委員 運輸大臣がお見えになったので、運輸大臣にもお伺いしたいと思いますが、今鉄監局長の話にありましたように、鉄道建設審議会では、とにかくこれだけのものは建議をする、しかし、それについて必要なところの予算措置は、またあとからこちらの方で考えるから、とにかくこれだけのものは別途いわゆる法律改正として通しなさい、こういう形になるわけですが、これは実は重大な問題だと思います。要するに、法案の内容、その跡始末もできないような法案をわれわれがここで審議するということについては、われわれとして責任を感じないわけにはいかない。今おっしゃるように、手段は後刻小委員会で別途に検討するというふうに書かれておるのですけれども、少なくともその内容がどのような意向を持つものであるかということがわれわれにわからないということは、まことに不都合といいますか、われわれとしては、審議すること自体が問題になってくるような気がいたします。これについて、大臣どうお考えですか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/8
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009・斎藤昇
○齋藤国務大臣 御意見のように、御審議をなさる方においても、非常な御責任を持って御審議をいただくことと存じます。同時に、提案をいたしました政府といたしまして、責任を持って提案をいたしておるわけでございまして、建設審議会から建議があったから、それをお取り次ぎをしたという趣旨ではございません。従いまして、政府といたしましては、今の日本の経済の伸長の状況にかんがみまして、地方と都市との格差の解消の問題、日本の産業の全体的な伸長、あるいは文化の向上という点からかんがみまして、この程度の鉄道を建設するということは、将来図として必要である、かように考えているわけでございます。この予定路線の追加につきましては、予定路線として御決定をいただきました以上は、できるだけ早く調査をいたし、そうして建設に持っていきたい、かように考えているわけであります。それには若干の時日を要するわけでございまするが、いずれにいたしましても、できるだけ近い機会に完成をしたいという念願であるわけであります。ただ、今日三十七年度予算として計上されておりまする新線の建設費は、御承知のように七十五億で、わずかな金額でございまするが、次の国会までには、特別の財源措置を考えまして、ただいま私が申し上げました趣旨に即応するような新線建設の計画を樹立いたしたい、かように考えているわけであります。その後においてもおそくはないではないかという御意見もあろうかと存じますけれども、予定線にしていただいて、そうして事実上のいろいろな調査も進めて参りたい、かように思って法案を提案いたした次第でございまするので、政府の、あるいは運輸省の、意のあるところをおくみ取りいただきますると同時に、また、そういった新線建設の新しい計画の樹立につきましては、建設審議会においても御審議をいただくわけでありますが、やがては当委員会の格別の御審議と御鞭撻をいただかなければならぬと考えておるわけであります。よろしくお願いをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/9
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010・肥田次郎
○肥田委員 そうすると、大臣、何ですか、運輸省当局としては、この建議に対してどの程度の積極性を持っておられるかということをわれわれは聞きたいわけですが、要するに、着工線あるいは調査線、こういうふうに具体的に鉄建の方で建議して参りますると、片一方では、予算措置はおれらの方で何とかあとからしてやろう、これの法律だけは先に通しなさい、こう言う。そうすると、運輸省当局としては、要するに小委員会の方で、それらの関係方面で予算措置をちゃんと講じてくれるのを待っておるというような消極的な立場なのか。あるいは積極的に建議されたものについては実現をするという、同時にそれの予算措置の裏づけをする、こういういうことを考えておられるのか。もし積極的にそれの実現をというふうに考えておられるなら、ただ単に小委員会の予算措置の検討を待っておるということだけでなしに、運輸省として、当然新たにこれが予算的措置を考えられなければならぬ。ところが、実際にはなかなか予算措置というものは、今日まで旧態依然として、増額されるということはほとんど困難ではないか、こういうことが考えられるわけですが、この点について、積極的に、消極的に、どの方法をとられようとするのか、これも念のためにお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/10
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011・斎藤昇
○齋藤国務大臣 運輸省といたしましても、積極的に財源措置を考えまして、そうして政府の計画といたしたいと考えておるわけであります。幸い、建設審議会におかれても、同様の御意見をもって検討をするということを先般おきめいただき、近く検討に入っていただけると思いますが、両々相待ちましてやって参りたい。運輸省としましては、ただ受け身の形でそれをじんぜん待っておるというわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/11
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012・肥田次郎
○肥田委員 まあこれはこのくらいにして、ほかの面で質問したいと思いますが、これは副総裁にお伺いします。
この新線建設というものについては、それぞれの関係から入るいろいろなお話では、とうていこれはペイできないだろう、非常に長期にわたっていわゆる赤字になる、こういうことがわれわれ常識的にも考えられるわけなんです。こういうものに対して、国鉄当局としては逐次累加されるいわゆる新線、赤字路線についてどういう措置をとられようとしておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/12
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013・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまのお尋ねは、建設の資金ということじゃなしに、建設された以後の営業収支の見通しについてのお尋ねであろうかと思いますが、これらの線路の一つ一つについて、まだそう詳しく収支計算、経済計算を必ずしもやっておりませんけれども、これらの新しく着工線として取り上げられ、また調査線として取り上げられました線路の多くは、開業の当初しばらくの間は、従来の例から考えましても、なかなかその線として収支相償うという状態にはほど遠いものが多いと思われます。それで、営業上の赤字というものが、ただいまの建前としては、国鉄全体の収支の中でバランスがとれるように考えて経営計画を立ててきておるわけでございますけれども、これらの新たな路線が非常にふえて参りますというと、申し上げるまでもないことでございますが、収支の面でいろいろ困難な事態が起こってくることも予想されます。それで、そういうふうな事態に対処いたしましては、過去においては、特別運賃というようなことをお考え願ったこともございましたが、今後の推移によりまして、適当な処置を国鉄自身でまかないきれない場合には、いろいろまた政府御当局においてもお考えをいただかなければならないことがあろうかと思いまするが、私どもといたしましては、できる限りは全体の収支の中でこれらの赤字経営の路線の運営もまかなって参りますように、努力を今後ともいたして参りたい、かように考えております。一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/13
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014・肥田次郎
○肥田委員 具体的な例でお伺いしたいと思いますが、われわれは、こういう矛盾を感じるわけです。昨年のこの審議のときにも、若干そういうことに触れたことがあると思いますが、予定路線が昇格をして調査路線になり、そうして調査路線がさらに昇格をして着工線、建設路線になる、そうした暁に、何年かかりにたったとして、これはどうしても赤字路線はペイができない。それから赤字路線として置いておく、そのこと自体が必要かどうかという論議が起こってくることも、当然あると思うのです。これは民間鉄道の中には、たびたびそういう事例があります。その際に、これは廃止するかどうかという問題が起きる。そうして結局鉄道をめくってバスの専用路線にするか、こういうことさえ行なわれておるのがあるわけです。国鉄に、具体的にそういう例が、もう現実にやはりあると思うのです。そういう関連を考えると、いかにも矛盾しておるではないか。鉄道建設審議会のいわゆる建議を、われわれは軽率だということは、これはもうもったいなくてみじんも申しませんけれども、しかし、現実にそういう例が過去にあるとするならば、これは将来もあると見なければならない。そうすると、いかにもむだではないか。鉄道を敷設する。敷設した鉄道がどうしてもペイができないからということで、何年か後にはこれをめくってバスに切りかえる、あるいはトラック輸送に切りかえる、こういうことについて、しさいに、もっと計画的ないわゆる事前対策というものが講じられてしかるべきじゃないかというのが、われわれの考え方であるわけです。具体的にと申しましたので、当面国鉄としてそういう関係にある路線があったら、一つここで発表してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/14
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015・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国鉄の全路線の経営状態というものを線区別に見ますと、今日におきましても、約二万キロの路線の中で、いわゆるその線区として黒字であるということになっておりますのは、全体の線区の中の二割程度でございます。二万キロのうちの約四千キロの線区であげました黒字によって、あとの一万六千キロの線区で生ずる赤字をカバーするという姿になっておるのでございます。それで、赤字の線区の中にも、もちろんいろいろ段階がございまして、その程度に応じまして、極端に赤字の多くなるような線区であり、しかもその線区が必ずしも鉄道を必要としないであろうというふうに思われるような場所に対しましては、これを鉄道線路としては廃止をし、あるいはそれを国鉄のバスに置きかえるというような処置を、場所によって講じておるのでございますけれども、今手をつけるべく大体話もまとまりつつあります例といたしましては、これはいわゆる新しい建設線ということではございませんけれども、北陸本線の敦賀——今庄間に新しいトンネルが開通いたしまして、近くこの六月から本線が切りかえられますので、その機会に、従来の北陸本線の方を撤去いたしまして、これにかえて必要な個所まで国鉄のバスを入れるというような話が、現に進められつつございます。これは一つの例でございます。さらにまた、同じ線区の延長であります敦賀から米原に行きます間のいわゆる柳ケ瀬線というような線区につきましても、ただいまそういうような話し合いが現地関係の当局との間でも進められておりまして、運輸御当局の方にも、この点につきましては御了承を願うように、ただいまお願いもいたしておるわけでございますが、そういうような例がございます。これは一つの実例でございまするが、このほかにも、自動車の方がむしろ事情に合っておるというようなところは、つい先日の建設審議会におきましても、たとえば大和の五条から城戸に至る五新線の一部につきましても、当分の間自動車の路線として営業するというようにおきめいただいた例もございます。そういうようなことで、線区によりまして、鉄道を必ずしも必要としないと思われるような線区は、自動車に置きかえていただくというようなことを考えておりますし、さらに、それぞれの線区につきまして、できるだけ赤字を少なくするということのために、運営の方式等につきましても、思い切った簡素化の手段を講じまして、赤字の程度を最小限に食いとめるというような施策も講ずることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/15
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016・肥田次郎
○肥田委員 確かにおっしゃるように、建設審議会の方からそういう答申が出ておるのもあります。しかし、それにはこれで相当地元の反対もありますし、私は、ここらにもむだがあると思うのです。鉄道を敷くことと、今度方針を変えることと——そういうことについては、地元の人は鉄道ができると思い込んでしまっておる。鉄道と自動車、あるいはトラック、バス、こういう手段による反対の当、不当はさておいて、とかく鉄道敷設という問題は、地価の問題だとか、いろいろな関係において複雑な内容を持っておりますから、それが変更されるということになると、地元は、いい悪いにかかわらず、あげて反対をするというような運動も起きてくる。これは実は大へんなことなんです。ですから、そういう面を考えても、われわれとしては、鉄道建設審議会が十分に審議をされておるとは思うけれども、なおかつ、そこには土地の事情によって、政治的な動きをその中から排除してしまうことはなかなかむずかしい、そういうようなものだと思う。だから、当初からむだをなくするということを第一の考え方としてしなければならぬというのが、われわれの考え方であるわけです。
そこで、今日の状態の中で、国鉄がさきに国鉄法の一部を改正した例の千葉の臨海鉄道、こういうものについても、国鉄で単独で資金を出して建設することは困難だというふうな事情に置かれておる。これは大体ペイするのじゃないかと言われておる。これでも、国鉄当局単独の建設ということにはならない。そういう事情であるにかかわらず、なおかつ、次々と着工線、予定線が追加されるということは、われわれは、先ほどから運輸省当局の説明を聞いておっても、どうも納得ができない。とにかく何でもいいからこれだけ通しておきなさい、こういうふうにしかとれない。責任がきわめて薄弱である、こういうふうに思うわけです。
さらに、これは言葉の内容がぴたりそういうふうであったとはわれわれ申しませんけれども、田中政調会長が小委員長として論議の中で、赤字路線だから、これは国家的使命を持っておる国有鉄道がやるのがあたりまえなんだという言葉が出ておる。これはもちろん、赤字路線だから国鉄がこれを引き受けなければならぬ、この言葉の意味の範囲は、おのずからあると思います。けれども、これだけ聞いておると、いわゆる赤字路線であろうが何であろうが、政府がきめたものはすべて国鉄がやらなければならぬのだ、こういうふうに非常に大きな任務が国有鉄道に課せられておる。そうすると、一方では総裁が言っておられるように、いわゆる独立採算を国鉄は国鉄なりにとるのだ。赤字路線があっても、全体としてそれをペイするようにやっていくのだ、こうおっしゃっておる。この間の矛盾を、あなはどういうふうにお考えになりますか。本来ペイできないものをペイするという措置を講じようということになると、そのしわ寄せはどこに行くのですか。具体的に対策を一つ副総裁からお伺いしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/16
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017・吾孫子豊
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、現在の国鉄路線につきましても、その中でいわゆる黒字と言い得る線区は、全体の二割程度であるわけでございまして、その二割の黒字線区の黒字によって、あとの八割のいわゆる赤字路線というものの赤字をまかなっているという姿であるわけでございます。全体として独立採算の線をくずさないというワクの中で、国鉄としては、国鉄の公共的な使命から、できる限り地方経済の発展のためにも、産業の基盤として寄与することが、国鉄としての責務であると考えておるわけでございます。ただしかし、赤字があまりに大きくなって参ります場合には、全体の独立採算体制の基礎が脅かされるおそれもありますので、それらの赤字の特に大きな線区につきましては、先ほども申し上げましたように、線区として鉄道を撤去いたしましても、何とかがまんしていただけるというようなところにつきましては、これを自動車に置きかえるというような措置も講じまするし、また、その地方の特殊事情からして、どうしても鉄道でなければならぬというようなところにつきましては、もちろん鉄道を敷設するのでありますが、その場合の経営方法として、できるだけ最小限の経費で、赤字の程度を食いとめ得るような方法を思い切って講ずるというような手段をとりまして、それらの線区の経営に当たっていくというのが、私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/17
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018・肥田次郎
○肥田委員 経営の概念ですから、ここで今あまり突き詰めた質問も控えます。ただ、これはこういうふうに理解したらよろしいですか。田中小委員長の言うておるところの、赤字路線だから、これは国鉄にやらすんだ、こういう言い方は、これにはおのずから限界があると思いますけれども、国鉄当局としては、おのずから独立採算がとれる範囲内で引き受ける性質のものだ、こういうことに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/18
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019・斎藤昇
○齋藤国務大臣 これは私の方からお答えした方がよろしかろうかと存じますが、なるほど国鉄には、一応独立採算制という言葉が経理上使われておりますけれども、しかしながら、これが国有鉄道であるというゆえんは、やはり必ず経営をしたらもうかるというところでなければしないという趣旨ではなくて、経営上は赤字が出ても、国策として必要だというところはやっていくというところに、国鉄の使命があるわけであります。その点をおそらく田中政調会長が言われたと存じます。たとえば道路を構築する、維持をしていくということについては、何の使用料もとらないで、無料で国が提供する、あるいは公共団体が提供するという建前になっておりますが、国鉄は無料ではありませんけれども、しかしながら、必ずそこがペイをしなければやらないというものではないことは、御承知の通りであります。そういうことならば、これは私鉄にしていいわけであります。そういうわけでございまするので、国鉄の運営は、両面を持っております。ただ、独立採算性と申しまするのは、できるだけ企業性を発揮をして、そうしてこれはもうかっても、もうからぬでもいいというような経営では困る、一つの企業として経営の立っていくように、できるだけ企業性を発揮してやっていってもらいたいということを言っておるわけであります。従いまして、国鉄は、政府あるいは国として建設をしなければならぬという決定をされた場合には、これが建設をし、経営をし、維持していくべきであり、その経営のやり方が企業性の立場から十分であり、なおかつそれでも赤字が出るというならば、国として何らかの財政措置を考えるべきだ、こういう性格のものだと存じております。従いまして、最近の新線建設につきましては、御承知のように利子補給をいたしまして、普通の私鉄であるならば、利子補給でなくてやるようなところについても、利子補給という制度を設けましたのも、そういう趣旨でございます。今日の状態におきましては、大体その程度で赤字路線もあるいは黒字路線も一緒にしやてっていけばいけるであろうという見通しのもとに立っておりますが、今後新線を非常にたくさんやっていく。しかも、そこはペイをしないところが多いということになって参れば、利子補給の考え方をもう少し高度に考えていくというようなことも考えて参らなければならないであろう。そこは政府の鉄道政策にあるのでございまするから、国鉄自身の経営とはまた別であるとお考えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/19
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020・肥田次郎
○肥田委員 実は今私は国鉄副総裁に質問したわけです。ところが、進んで運輸大臣の方からお答えをいただきました。ところが、その内容が、私は相当重大だというのです。私がお聞きしておるのは、公共企業体という国鉄の経営について、運輸当局はそういうふうにお考えになっておっても、国鉄当局はそういう運営をしておらぬじゃないか、また運営をできないように仕向けられておるではないか、こういうことを心配しておるのです。ですから、運輸大臣の言われるように、もし国鉄がどうしても困るというなら、また特別の方法を考える。これはなるほど、言葉ではそういうことになると思うのです。ところが、特別の方法を考えようというこの手段が、実際にどういう形で現われてくるかということになると、それは国鉄の方でペイするような経営をやりなさい、こういうことになるのですね。だから、国鉄当局は、仕方なしに合理化もやらなければならぬ、〇・五カ月出さなければならぬ期末手当を〇・四に削って、そうしてぐずぐず問題を起こさなければならぬ、こういうことになる。さらに今度の賃上げ問題にしたって、そういうことです。仲裁裁定にもはっきり書いてある。池田の経済政策はこういう失敗が起きてきた、去年の賃上げは少しもプラスになっていない、これは残念なことだけれども実際だ、いわゆる政府がとっておる物価抑制の政策もあるから、賃上げはこれでがまんしなさい、こう書いておる。ことごとにそういうような現象が現われておるのです。私は、運輸省当局がそういうふうに考えられてやっても、現実に国鉄当局の運営は、そのような幅を持った運営というものはさせられない、こういうことを心配しておるのですから、小委員長が言うように、赤字路線だから国鉄にやらすのはあたりまえなんだ、こういうものの考え方というものは——これはそれほど極端なものではないと思うけれども、しかし、これにはおのずから限界があるではないか、こういうことを私は言っておるのです。ですから、それについて、国鉄当局は、これは何でもかんでもこうきめられたものは引き受けますというようなことを本気で考えておるのかどうか、こういうことを私は副総裁に聞いておるわけです。あなた方の方でも、実際に経営を管理されておる運輸省に対して注文があるところは、こういうところですっぱりと言ってもらった方が、私はいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/20
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021・吾孫子豊
○吾孫子説明員 新線の建設の問題につきましては、まず第一に、建設資金の調達の問題がございまするし、次には、建設された開通後の経営上の赤字の補てんと申しますか、補償をどうするかという問題と、大きく分ければ二つあるわけでございますので、それらの点につきまして、先般の建設審議議会におきましても、画期的な、財源の措置について方法を講ずべきであるという御趣旨のことをおきめになっておられますし、そのことがさらに小委員会において継続して御検討を願うことにもなっておりますので、国鉄といたしましては、これらの財源に対して特段の措置が講じていただけるということを、大なる期待を持って考えておるのでございます。そういうような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/21
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022・肥田次郎
○肥田委員 昨年のこの審議のときに、これは私はこういうふうに記憶しておるのですが、当時運輸大臣は、これは運輸省としても積極的に賛成しておるのか、こういう質問がどなたかからあったと思います。ところが、これは鉄道建設審議会の方から答申をされたものだからという、こういう答弁がありました。そうしたら、それはけしからぬじゃないか、そういうことじゃなしに、いいか悪いか、どう思っているのだと聞かれて、初めて運輸省としては答申、建議の通りにやりたいと思う、こういう答弁があったわけです。この裏を考えてみると、運輸省当局も、実はあまりありがたい改正案ではないのじゃないか、こういう気持がしたわけです。私は、今でもその考え方は変わりません。ちょっとここで読んでみますけれども、三月三十日の朝日新聞の論説にこう書いてあります。「またも強引な赤字線の建設」、省略しますけれども、「世論を無視し、横車を押そうとする態度はわれわれの了解しがたいところである」、こういうふうに、いわゆる鉄道建設審議会に対して批判を加えております。これら新線の中にはほとんど黒字線はなく、大部分は開業と同時に長期赤字に悩まされることが明白である。承知しながら無理を強行しようというのは、これが地方開発に役立つという口実からである。しかし地方開発のためであれば道路を整備して、国鉄バスを走らせればよく、国鉄の負担もあまり大きくない。一日に二、三本しか列車を運転しないような線を建設することは大きな国家的不経済といわなければなるまい。」こう書いておる。この新聞論調でさえも、きわめてこれに対しては批判的なんです。私は、言うところの新線だとかあるいは予定路線だとか、こういうものが決定されても、これは政治路線だという考え方はしておらないわけです。それは実際に必要であるという立場からきめられるのである。ただ残念ながら、必要であるけれども、この資金の裏づけがない。だから、予定路線としてこれが決定せられても、四十年も五十年も日の目も見ないでそのままになってしまう、そんな無責任なことではいかぬではないか。必要なものなら、すみやかに建設するという方針をとらなければいけない、これが一番大切なことだと思う。それをやらないような、そういう責任感がないから、政治路線だという非難を受けてくる。これが一番私は大切なことだと思うわけです。ですから、ここでお聞きしたいのは、これは一つ鉄監局長にお伺いしますが、従来非常にたくさんこうして山積しておるところのいわゆる予定線、こういうものは、これも前会お伺いしましたが、これを再検討して、そして整理するように——必要なものは必要としてすみやかに建設する、それからとうてい見込みのない、不可能だというようなものについては、そう大して政治的配慮をすることなく、別な方法で、いわゆるバスに切りかえるとかトラックに切りかえるとか、そういう方法を講ずることによって、これらに対しての終止符を打つ、こういうことについて、運輸省当局として鉄建の方に逆に建議するような、こういうお考えを持っておられるかどうか、一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/22
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023・岡本悟
○岡本政府委員 この問題につきましては、昨年の国会におきまして、たしかお答え申し上げたことがあるかと存じますが、実は鉄道建設審議会におきましても、昭和二十七年か二十八年ごろ、別表を全面的に仰せのように再検討して、捨てるべきものは捨てることがいいのじゃないかという御意見が出たようでございますけれども、しかし、これに対しては強い反論がございまして、いやしくも国民に対して、特に関係地方民に対して約束しておる予定路線を整理するということは、重大なる問題であるから、やはり慎重に考えなければいけない、こういうふうな御意見が勝ちを占めまして、そのことは見送られたといういきさつがございます。もちろん運輸省といたしましても、この取り扱いについてはやはりい慎重に対処すべきであるということを申し上げたのでございますけれども、その方針は、現在におきましても変わっおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/23
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024・肥田次郎
○肥田委員 私も、やっぱりこれは依然として考え方が変わらないわけです。四十年も前にきまったいわゆる予定路線というものが、これが実現を見ることなく今日まできておる。これを新しい方法で解決をすること自体が、むしろ責任のある態度であって、国民に対して約束したことを変更することは申しわけないというような、こういう時代錯誤の考え方では、決して池田さんの言われるところの所得倍増計画にマッチするようなことにはならないし、これこそ不親切きわまる、不誠意きわまる考え方ではないか、こういう考え方が、私は変わらないわけです。ですから、私は、引き続いてこういう法案が出るたびに、この考え方は述べていきたいと思うのですが、当局においても、こういうものに対する考え方、これにはさらに積極的に、時代に適した手段を講ずるように、運輸当局の責任ある立場においても、そういう処置をとられるのが当然であろうというふうに考えるわけです。四十年も五十年も実現のできないものをかかえておいて、それで国民に約束が果たせるなどということは、およそ常識的に考えられないことなんですから、そのことが、私は一番大切なことだと思います。
そこで、さらにもう一、二点、締めくくりとしてお伺いしておきたいと思いますが、やはり今度のこのことだけではなしに、いわゆる新線建設という問題と国鉄の経営ということに関連しては、これは切り離して考えるわけには参りません。ですからいわゆる赤字、赤字でないという問題はさておいて、少なくとも国鉄経営が新路線をたくさんかかえた——結局これは赤字路線をかかえたということになりますが、そういうことのために、国鉄の職員の待遇を犠牲にして、それでもって国家的使命を果たせる、こういう考え方を持っておるとするなら、これは大いなる時代錯誤だろうと思うわけです。それから運輸当局としては、小委員会が言っておるように、別途に財源の裏づけをするという、これはもっとはっきりさしたものにして、委員会に対して何らかの方法でこれを了知するような方法をとってもらいたい。私らの方で金を作ってやるから、お前らの方はこの法案を通しなさいという態度に対しては、われわれは何としても納得することができない。もしそれが明らかにならないなら、われわれはこの審議をここで一時中断して、それらの考え方を明らかにしてもらった上で審議を継続する、こういうことが、当然私は責任のある処置だと思う。大臣、そういう方法をとってもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/24
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025・斎藤昇
○齋藤国務大臣 ただいまも述べましたように、新線建設に対する資金源をどうして獲得するかということについて、十分検討をして参りたい、かように考えております。素案ができましたならば、またここで御審議をいただく機会が近く参るであろうと思いますし、皆様の御協力によってそういうことをやって参りたいと考えております。今直ちに十カ年、何兆円の計画でどうということを申し上げる段階ではございませんが、そういったような考え方で今いろいろと調査、検討を進めている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/25
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026・肥田次郎
○肥田委員 質問はこれで終わりたいと思いますが、国鉄当局の方に、もう一つだめを押しておきたいと思います。
先般仲裁裁定が出たときに、これは確か副総裁のお言葉であったと思いますが、新聞に書いてある言葉ですから、副総裁がどういうふうに言われたかということは、これは私はおのずから責任は違うと思います。けれども、今度の仲裁裁定によって、国鉄は建設費を人件費の方にとられるということになるだろうというふうなことが言われておりました。従って、いろいろな面で延びてくるというようなことにも受け取れますし、同時に、それによってさらに合理化をやらなければならぬというような着想も出てくるかもわからぬと思います。しかし、片一方には、こういうふうに次へ次へと赤字路線を背負わされるという立場もあるわけですから、その点は明確に区分をして考えられることが必要だろうということをつけ加えておきたいと思います。
それから運輸省当局に対しては、何度お尋ねしても明確なる答弁がいただけませんけれども、少なくとも国鉄の経営をこれ以上脅かすようなことのないような財源の裏づけということは、当然過ぎるほど当然な処置でありますから、その点が十分考慮せられるように要望いたしておきます。
ほかに質問者がございますので、私の質問は、これで打ち切らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/26
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027・簡牛凡夫
○簡牛委員長 勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/27
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028・勝澤芳雄
○勝澤委員 国鉄の線区別の営業収益の状態は、おわかりになりますか。黒字線、赤字線、営業係数。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/28
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029・吾孫子豊
○吾孫子説明員 各線のものはわかっておりますけれども、全体として申しますと、約二万キロの営業線路のうちの二割が黒字線でありまして、あとの八割は赤字線というのが今までの実績でございます。こまかくは、もし必要がございますれば、あとでまた申し上げたい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/29
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030・勝澤芳雄
○勝澤委員 黒字線が二割であと八割が赤字線区について、あるいは閑散線区というものについて、国鉄はこれが解消のためにいろいろ努力をされているようでありますが、その結果は、どういう状態になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/30
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031・吾孫子豊
○吾孫子説明員 これも、それぞれの線区によりまして事情はまちまちでございまするが、全体といたしまして、相当な赤字の軽減を見ております。赤字線区の収支を改善いたしますために、たとえば駅員の配置を減らす、駅員無配置の駅を作りますとか、あるいは駅員の出づらを減らしますとか、あるいはまた非管理駅というふうに呼んでおりますが、そういうふうな駅を設置いたしまして、一部の業務を外部に委託をいたしましたり、また、閑散線区につきましては、多少人を削減いたしましたり、あるいは踏切の種別を変更いたしますとか、いろいろな方法を講じまして、一方においては経費の節減をはかり、他方においては積極的な施策によって増収策を講ずるというような方法によりまして、これは現在管理所とか、管理長とか、運輸区というようなものを設置しております八十一線区についての、昭和三十四年度までの累計でございますけれども、この八十一線区につきまして、約十億円以上の赤字を減らすというような成果を上げております。
なお、こまかいことを申し上げますれば、各駅の作業あるいは列車の輸送の面におきまして、設備の改善その他いろいろな方法を講じております。たとえば、駅の構内において、今まで転轍手を必要としておったポイントをスプリング・ポイントに変えますとか、あるいは構内作業のやり方を合理化いたしますとか、あるいはまた乗務員の運用方法を合理化するとか、あるいは蒸気列車を気動車に置きかえるとか、車両の検修の合理化をはかりますとか、線路の保守方式を改善いたしますとか、いろいろな方法を講じまして、経費の減をはかり、かつまた収入の増をはかるというような方法をとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/31
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032・勝澤芳雄
○勝澤委員 赤字線区について国鉄がいろいろと合理化を懸命に進められておることについては、今御説明があり、私もよく存じております。しかし、内部的に合理化をする場合においては、予定通りの方向で進められると思いますが、外部的な合理化というものについては、地域的な、政治的ないろいろな関係があって、なかなか合理化が進みにくいということを聞いておりますが、この点どうでしょうか。
〔委員長退席、關谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/32
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033・吾孫子豊
○吾孫子説明員 その点はお話の通りでございまして、たとえば貨物駅の集約合理化というようなことを相当程度実施いたしておりますが、これの実行にあたりましては、関係の地元の方々との間でいろいろ問題がございまして、いろいろな点で苦労はいたしております。これは一つの例でございますが、貨物駅の集約というような問題でも苦労いたしておりまするし、また全体としてのサービスの質的向上のために、部分的にはある程度サービスが低下するというふうに思われるような面も出てくる場合もございますので、そういう際に、関係各方面の方々の御理解を得るためには、ずいぶん苦労することもたくさんあるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/33
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034・勝澤芳雄
○勝澤委員 貨物の集約の問題や、たとえば最近行なわれております北陸線の柳ケ瀬線の問題この地元の了解というものについて、相当な苦労をされておるということを私もよく存じております。従いまして、赤字線区を合理化する、経費を節約するためには、なかなか努力が要る。片方でそういう努力もしておるし、なかなか困難であるけれども、やっておる。しかし、片方でまた赤字線というのを作らなければならぬ。この矛盾については、副総裁も、私が言わなくても十分おわかりになっていると思うのです。まあ先ほど新聞論評も出ておりましたし、あるいは雑誌でもそうです。また、一般の従業員においても、鉄道建設審議会できまったとたんに、もうばかばかしい、仕事をするのがいやだ、これが、まあここでは副総裁はそういう御答弁はできないでしょうが、国鉄全体の従業員の気持だと思うのです。きのう観光小委員会で、東京車掌区の車掌が来まして、そこで一体たれっぱなしの便所はけしからぬじゃないか、もっとそれをたれっぱなしでないように改造を考えたらどうか。あるいは清掃夫を民間に委託しておる。もっと清掃夫をたくさん乗せて掃除をしたらどうだ。もっと元気のいいのをやったらどうだと言ったら、労働省告示で一日四百八十円しか出せませんから、腰の曲がった人か未亡人しか来ません、国鉄はこれ以上何ともならぬ、もっとやはり国から予算をもらわなければ、国鉄がサービスを向上するためには困難ですという話を、現場の車掌がここできのう口述しておった。私は、その通りだと思うのです。ですから、そうやって一生懸命やっている人たち、そうやって総裁以下一生懸命やっている。それが、こうやってまたたくさん赤字の線路をかぶされたということ、これは皆さんが一生懸命やればやるほど、これはかなわぬ、これでは経営の合理化も企業努力もやってもつまらぬという気持というのは、これはもう職場の中にほうふつとしておると思うのです。これは私が申し上げるまでもなく、ここにも、国鉄の監査報告書の中にも書いておりますし、あるいは昨年の運賃の値上げのときも、総裁も、その通りですと、私の質問に答えておる。これは私は、まことに残念なことだと思うのです。まああとでまた大臣に十分その点について御質問いたしたいと思います。
次に、新線建設の二十七年度以降今日までの投資額は、元本、利子、どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/34
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035・吾孫子豊
○吾孫子説明員 二十七年度以降の工事費の総額は、五百二十四億円ということに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/35
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036・勝澤芳雄
○勝澤委員 いつまでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/36
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037・吾孫子豊
○吾孫子説明員 三十六年度の決算見込みを含めまして、五百二十四億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/37
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038・勝澤芳雄
○勝澤委員 利子はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/38
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039・吾孫子豊
○吾孫子説明員 利子は今ちょっと……。集計すればわかるのでございますが、合算額がちょっと出しておりませんので、後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/39
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040・勝澤芳雄
○勝澤委員 大体どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/40
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041・岡本悟
○岡本政府委員 利子は、十五億一千百六十一万というふうに相なっております。この利子は、投資額についての利子でございますが、原価計算上どういうふうに新線に利子を負担させるかということにつきましては、いろいろ方法がございまして、国鉄が借り入れました借入金全体に対する利子を、この新線建設に按分いたします方法も、また別途ございます。たとえば換算車両キロにつきまして割り当てる、こういう方法を用いますと、またうんと額が違って参りまして、つまり非常に少なくなって参ります。直接には、今申し上げた数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/41
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042・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは、この新線建設の状況ですが、二十七年度以降開業をしたもの、何キロ、何線、工事中のもの、あるいは調査中のもの、あるいはその他、こういうふうに分けて、おわかりになりましたら、数字は大まかでけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/42
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043・岡本悟
○岡本政府委員 戦後、新線建設が再開されました昭和二十七年度から最近までに建設に着手した新線は、五十五線、二千八十七キロでございます。このうち、すでに全線開通しましたものは、二十線でございます。それから部分開業したものが九線、合わせて六百二十一キロ余りに相なっております。この投資額が、先ほど国鉄の方からお答え申し上げましたような決算額に相なるわけでございます。約五百二十億であります。それから現在工事中のものは、三十四線、延長一千四百六十一キロでございます。これに鉄道建設審議会で着工線として建議されたものが、十三線ございます。延長約五百十九キロございます。それから先ほど肥田委員にお答え申し上げましたように、着工線は以上でございますが、そのほか、調査線と相なっておりますものが、十五線ございます。この延長が約八百六十キロばかりに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/43
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044・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、今日までの投資額はわかりましたが、今後の予想される所要建設資金といいますか、これは幾らになりますか。それと、今回建議された十二線というのの大体の所要資金は、どれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/44
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045・岡本悟
○岡本政府委員 今後、国鉄が建設すべき新線は、合計四十七線、延長一千九百八十キロでございます。昭和三十六年度以降の建設費所要額は、概算一千九百八十二億、大体二千億を必要とするというふうに見積もっております。今度の着工線を含めまして、そういうことに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/45
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046・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、次には、今まで開業したものの営業収益の状態は、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/46
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047・岡本悟
○岡本政府委員 昭和二十六年度以降におきまして開業した新線は、二十七線ございまが、その昭和三十五年度の平均の営業係数は二〇九%、赤字額は約十二億二千万円でございます。これは国鉄の原価計算方式によりまして計算されたもので、利子を先ほども申し上げました換算車両キロに応じまして配分したものでございまして、この場合の利子額は、約六千五百万円でございます。しかし、これも先ほど申し上げましたように、投資額に応じた利子は約十五億円になりますので、これを各線に負担させますと、営業係数はうんと悪くなりまして、平均三三九となります。赤字額は、二十六億六千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/47
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048・勝澤芳雄
○勝澤委員 その営業係数の最高と最低は、どういう工合になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/48
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049・岡本悟
○岡本政府委員 この利息を換算車両キロに応じて配分いたします原価計算方式によりますと、その場合の最高の営業係数は、六二六というのがございます。それから投下資本に対する利子を直接新線に配分するという考え方をとりますと、最高のものは一四六四、こういう係数が出ておるものがございます。最低は、前の換算車両キロに応じまして利息を配分する場合の原価計算方式によりますと、一一一というのがございます。それから利息を直接負担させる方式で参りますと、最低は一五二でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/49
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050・勝澤芳雄
○勝澤委員 今お聞きしましたけれども、実はこの営業係数、営業キロからいいますと、鉄監局の資料と国鉄から出している資料、それから出すときによって相当資料が違っておりますので、これはぜひ統一してもらいたいと思います。今の係数でも、私の手元にあるのとちょっと違うわけです。その点はぜひお願いしておきます。
次に、今後予定されている建設線で、黒字経営となるものがあるのですか。
〔關谷委員長代理退席、高橋(清)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/50
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051・吾孫子豊
○吾孫子説明員 今後の開業の黒字の問題は、やはり時間的経過との関係も考えませんと、一がいになかなかお答えが申し上げにくいと思うのでありますが、たとえば根岸線みたいなところは、これは黒字になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/51
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052・勝澤芳雄
○勝澤委員 特別な二、三の線を除いて、あとは赤字だ、こういうことは言えると思いますが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/52
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053・吾孫子豊
○吾孫子説明員 大体の傾向としてはそういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/53
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054・勝澤芳雄
○勝澤委員 営業係数も、先ほどの平均で総係費を入れればおおむね三三九という平均が出ておりますから、その辺か、なおそれよりも営業係数は高くなるだろう、こういう予想は私は言えると思うのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/54
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055・吾孫子豊
○吾孫子説明員 先ほどの営業係数は、大体その程度になるであろうという見通しで算出しておりますので、それより高くなるか低くなるかはわかりませんが、高くなるであろうということは必ずしも言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/55
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056・勝澤芳雄
○勝澤委員 赤字になることは確かであります。そうすると、経営を圧迫することも確かであります。経営を圧迫しないために、現状ですら赤字線区については合理化をやっている。ですから、これから建設しようとする、開通しようとする線については、相当思い切った経営方針をやらなければ、現状のままの営業係数、あるいはそれ以上になることも確かであります。ですから、そうした場合においては、特別の方法をとるというようなことを、鉄監局の方ではお考えになっておるのですか。現状の赤字線区でさえ、国鉄は今一生懸命合理化をやっている。そういう中で、これから新しく開通される線区というものは、赤字になることは明確です。そしてその営業係数も、今までの平均よりも高くなることは、私は明確だと思います。そういう点から言うならば、相当思い切ったやり方をしていかなければ、経営に相当大きな圧迫をかけてくると思うのですが、その点についての具体的対策を、鉄監局はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/56
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057・岡本悟
○岡本政府委員 現在では、御承知のように、これも建設審議会の御建議によりまして、新線建設に対する助成の一つの方策として、利子補給の方法をとっております。本年度の予算も、御承知のように、四億一千万円ばかりでございます。しかし、やはり根本的には、運輸省といたしましては、鉄道建設審議会の御建議にもありますように、政府出資をもってこの新線建設に当たるという方法が、国鉄の経営上の負担を軽減するという意味から申しましても、一番妥当である、かように思っておりますが、しかし、先ほど来大臣からもお答え申しましたように、鉄道建設審議会では、建設資金の確保について、従来とは異なった画期的な措置を講ずる必要に迫られることは論を待たないところであるから、さらに慎重審議を重ねて、すみやかに適切な建議をなす用意のあることを付言するというふうにおっしゃっておりますので、単なる政府出資という方法以外に、別途の御建議があるいは出るかもしれない、かように予想はしておりますけれども、その建議をいただきました際に、またこれらも政府側としての検討を十分加えていきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/57
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058・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣にお尋ねしたいのですが、単なる政府出資以外に、相当画期的な方法を建設審議会は考えているというお話があったわけです。あなたも、鉄道建設審議会委員の一員であり、まさにその責任あるものであると思うのでありますが、どういうことをお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/58
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059・斎藤昇
○齋藤国務大臣 私は、鉄道建設審議委員ではございません。
その画期的な方法は、政府資金、その政府資金に対する利子をどうするか。現在新線は六分五厘ということにいたしておりますが、それをさらにどうしていくかということが、一番の点になってくるであろう、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/59
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060・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣、そんなのは画期的ではないのです。六分五厘の金利をちょっと下げたくらいではだめなんです、利子補給なんですから。基本的に鉄道建設審議会は画期的なものを考えている、政府出資以外だ、こう鉄監局長は言われたのですから、そういう立場で、あなたは鉄道建設審議会委員でないとするならば、今度は受けて立つ場合に、新線建設についてはどういうようにしてくれというような要望をするかという点について、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/60
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061・斎藤昇
○齋藤国務大臣 問題は、ただいま申しましたのは、その数量であろうと思います。年間七十五億とか九十億とか、その数字を何倍にしていくかという点だと思うわけです。今ここで年間三百億とか四百億、あるいは五百億という数字をお答え申し上げるわけには参りませんが、その数字が、今までの例に比べると相当画期的なものになるであろう、こうお考えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/61
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062・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣、なるであろうということでなくて、あなたは大臣としてこういう線を作るときには、とにかく相当画期的なことをやらなければならぬということもおわかりになっているのですから、運輸大臣としてどういうことを要望するかということを、私はお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/62
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063・斎藤昇
○齋藤国務大臣 その数量を、相当画期的なものを要望いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/63
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064・勝澤芳雄
○勝澤委員 国鉄当局にお尋ねしたいのですが、新線を建設する。そしてまだ開通をしていなというところが、たくさんあるわけですね。その場合の利子を負担した場合と、開通をして営業して欠損になる場合と、どっちの方が得なんでしょう。線路別に分けますと、開通しなかった方が得だ、利子を負担しているだけの方が得だ、開通したら損だ、こういう点があるんです。具体的に調べますと、あるんです。そうすると、金を使いっぱなしでほったらかしておいた方が得だ、開通してしまったら、とにかく金がかかって損だ、こういう点があるんですが、その点、国鉄としてはなるべく開通をおくらした方が得なんだとお考えですか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/64
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065・滝山養
○滝山説明員 今のお話は、すでに開業している線でも類似の問題がございまして、結局、先ほど全体の利益のうち二割は黒字だと申し上げましたが、あとの残りにつきましては、半分はいわゆる直接経費をまかなえない線区があるわけです。あとの半分は、直接経費はまかなえるが、間接経費をまかなえないという線区があるわけであります。直接経費がまかなえないということは、直接運営に対する経費すらその収入でまかなえないという線区でありまして、それは運賃が全体で一本になっておるため、原価をまかなえないことと、輸送量が少なくて、収入が少ないということのためそうなるわけでありまして、今後開通いたします線区につきましても、大部分の線は、どちらかと申し上げますと、直接経費はまかなえない線が多いだろうと思います。そういう線につきましては、経営だけから申し上げると、開業しない方が得だということになるわけでございますけれども、しかし、その点は、やはり公共性の点にかんがみまして、未稼動資産をふやすということは、国家的に非常に不経済であり、集中して経済効果を上げるという御勧告もございますので、なるべくその線に沿いまして、経済効果の多いような開業方法をとっているわけでございます。そして内容も、先ほどいろいろお話がございましたが、既設線について行なっているような合理化方策を新線建設の場合にも取り上げまして、赤字の少ないように努力を払っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/65
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066・勝澤芳雄
○勝澤委員 開業をするよりも、利子だけを払っておる方が得だということになるならば、どこから出るのも同じ税金ですから、やはり私は、開業しない方が経済的に得だ、こういうことになると思う。それはいろいろの運ぶものとか、全体的に——国鉄だけで見るわけにいきませんよ。そのまわりのことも、やはり運ぶものも考えながら総合的に考えなければいかぬわけですから、これは十分研究に値する問題なんです。これは国鉄だけでなくて、運輸省として十分検討しなければならぬ問題なんです。(「国の経済全般から考える問題だ」と呼ぶ者あり)今お話がありましたように、国の経済全体で考えて、利子を払った方が得だ、開通すれば損だというのがあるわけです。私が調べたら、あるわけです。
そこで、大臣、大体赤字の路線というものは、営業係数が幾らぐらいになるまで作らせるつもりなんですか。それは私が今言いましたように、利子だけ払った方が得だ。開通した方が損だ。それは国鉄の企業内部だけで考えた場合、あるいは全体的に運ぶものもいろいろ考えた場合、これは具体的にあるんです。ですから、こういう点から考えてみますと、やはりその建設線の赤字限度というものは、どこまで運輸省としては考えるのか。とにかく国鉄自体としてどこまでまかなえるようにするのかという、ある程度の限度があると思う。私は、線路を作るなということを言っておるわけではない。線路を作ることもけっこうだけれども、やはり限度をきめてやらなければいけない、こういう点から申し上げておるのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/66
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067・斎藤昇
○齋藤国務大臣 国鉄の経営は、御承知のように総合的に考えて参らなければ相なりませんので、特定の路線だけをとって、そこが非常に赤字であるから、当該地方の経済、文化その他のことを度外視して、やめた方がいい、そういう結論は出てこない。従って、私は、営業係数が何ぼ以下のところは、部分的に見て何ぼ以上になればそれはやめさすのだという方針はとれないと思っておるのでございます。国鉄は、御承知のように、他の私鉄とは違いまして、税の面等におきましても、あるいは配当というような面においても、非常に違った形になっているわけでありますから、従って、国鉄全体の経営として見て参らなければなりません。その場合に、全体としての経営がやっていけるか、いけないかという点が問題でありまして、やっていけないというような場合に、しからば地方の文化、経済の発展というようなことを度外視してまで切ってしまわなければならぬか、そのときに政府の財政的援助というものは考えられるかどうか、これはそういう段階になったときの政治判断だと私は思います。一がいに、ただ経済性ということだけで国鉄を論じるわけには参らない。そういう論であれば、私は、もう国鉄は全部民営にしてしまって、そして経済性ということだけに着目をして、地方開発だとか、文化の交流だとか、国民全体の福祉という点と離れて経営をさすというのが適当だと思うのでありますが、しかし、その方針は政府としてはとるべきではない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/67
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068・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで大臣、こういうことなんですよ。片方で合理化なり、企業経営をとにかくよくするために一生懸命やっているわけですが、その一つ一つのものを見ますと、たとえば最近問題になりました被服工場の廃止という問題を見ましても、公共性というものを考えるならば、これは置くべきなんですね、鉄道職員が服を着なくなるわけじゃないですから。ただ、民間と比べて賃金が高いから、その差が出ているだけなんです。ですから、問題は、その限度というのが私は大へんむずかしいと思う。その限度を、監督官庁としての運輸省はどこに置くのか。ですから、新線建設大へんけっこうだ。しかし、それが赤字路線だ。そして相当高い営業係数で、それを建設するについても、あるいは開通をした後においても、採算がとれずに、とにかく元も取れないということがはっきりしているんだから、それを国鉄経営の中で一体どれだけやらせるのだという一つのファクターをきめてやらぬと、片方で合理化々々々とやっているのですから、合理化が進めば進むほど片方から圧迫される。これだけもうかったから、もうかった分だけとにかく配分をしなさいという、日本国有鉄道になっているわけです。従業員が一生懸命働いて能率を上げたら、それについてその部分というものはとにかくやりなさい、これは企業のあたりまえの考え方ですよ。ですから、やればやるほどあれですから、限度はここですよ。お前は百メートル歩けばいいのだ。百二十メートル行ったら、そのうちのどれくらいは自由にできるのだということにしてやらなければ、企業をやっている立場から言えば、なかなかやれない。もしそうでないなら、親方日の丸で、そういう企業努力をする経営者というのはあまり利口でない、こういうことを極端に言わなければならぬでしょう。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/68
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069・斎藤昇
○齋藤国務大臣 国鉄は、私が先ほど申しますような使命と性格を持っておるわけでございます。
〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕
しかしながら、経営自体は、どこまでも企業性という点に立って、合理化のできる限りはやっていかなければなりません。今おっしゃいますように、おれのところは日の丸だから経営はどうでもいいという経営をされたのでは、これは適当な経営者とは言えないわけであります。監督上も、そこに少しもむだのないような、合理的な経営をやっていってもらわなければなりません。そういう立場で監督もしなければならぬと思っております。被服工場を維持することが、これは国民の福利増進の上で必要だ、国鉄がそういう使命を持っているということであれば、その被服工場は赤を出しても経営をしていかなければならぬと思いますが、国鉄は、被服工場を経営するために設けたものではございませんので、従って、被服は他の方式によって調達した方が合理的だというのであれば、被服工場を廃止していくのが当然だ、私はかように考えます。従って、新線建設によって、赤字路線が経営の当初の間は相当ふえるということは事実でございましょうが、そのために経営合理化の考え方をにぶらせるというようなことがあっては相ならぬと思います。もうかったものは全部そこに従業しているもので分けてしまわなければならないという考え方は、私は、とることができない、こう考えます。何となれば、先ほど申しましたように、これは税金も、また配当も支払っていないわけでありますから、少なくとももうかる部分において、一般の私立の会社であるならば、税金として出さなければならぬ面、あるいは配当として支払うべきものというようなものは、これはやはり公共性のために、もうからぬところにでもつぎ込んでいくという考え方に立たなければなるまいか。これをどういうように計算をしていくかということは、一つのいわゆるもうからない新線をどこまでも維持していかなければならないかという限度と、あるいは関係をするかもわからない。今そういう点についても、私は、一つ十分検討してみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/69
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070・勝澤芳雄
○勝澤委員 これは大臣、この公共企業体とか、あるいは国策会社の経営というのはどうあるべきかというのは、大へんむずかしい問題だと思うのです。これは大へん一つのいい例ですが、きのう農地開発機械公団の法律が本会議を通ったようでありますけれども、わが党は、これは反対をしたわけです。これは一番皮肉な例が、国策会社は日の丸会社だ、赤字を幾ら作ってもいいというふうに考えたわけではないでしょうけれども、最近問題になっておる東北開発株式会社を見れば、おわかりになると思う。公共性と企業性に押しつぶされて、そして会計検査院から指摘をされるような虚偽の決算をして、そして役員が総改選になりました。しかし、総改選した役員はどうなったかと言えば、十六万円の月給をもらっていたある一人の理事は、農地開発機械公団の総裁になって、たしか二十六万円の月給をもらうようになって、退職金を約八百万もらうわけです。赤字を一生懸命作るために努力をしたわけではないでしょうけれども、これがその国策会社の現状なんです。それから農地開発機械公団の総裁が、今度愛知用水の公団の総裁になりました。退職金が千何百万と言われておる。結局企業の努力をしておる国鉄の総裁、副総裁以下の理事の人たちと、企業の努力をしていなかった人たちと比べてみたら、これじゃ、企業経営の合理化をやって、あっちからきらわれたり、こっちからきらわれたり、国鉄の従業員にきらわれたり、貨物の集約輸送をやって地元の代議士にきらわれたり、そんなことするよりも、やはり何でもオーライです。何でもけっこうです、ええ、よろしゅうございますと言った方が、私は、今のやり方のもとでは得だ、こういうようになっておるように思うのです。ですから、正直者がばかを見ないような経営形態にさしてやらなければいけないと思う。ですから、私は、赤字路線を作る。新線建設の限度というものは、ある程度きめてやる。これ以上はいけないということにしてやらなければ、これは幾らやったって、一生懸命やるほど損のような気がするわけです。こう思うのです。私は、最近の東北開発株式会社や農地開発機械公団の決算の内容、経理の内容、そしてまたそれによって動いた人事問題を見ましても、まさにこの通りだと思う。これも国鉄と同じような国策会社です。公共企業なんです。
そこで次に、お尋ねしたいのは、国鉄は、昨年でしたか、新線建設については、赤字の新線は何とか解消しなければならぬ。そのためにはバス路線の自動車輸送というものに重点を置くべきだということを大々的に取り上げて、これは相当調査をして、これを建設審議会に緊急提案をするというようなことがあったわけであります。それからいきますと、今度のものというものは、まさにひっくり返った、こういうことになると思うのですが、この点についての経過とお考えを、国鉄の方から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/70
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071・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国鉄としては、自動車でも間に合うのではないか、あるいは自動車の方が経営上もよろしいのではないかという意見を申し上げておった線路もございまするが、いろいろな角度から御検討いただきました結果、先般の審議会では、五新線の五条——城戸間についてさしあたり自動車専用線路として運営するということをおきめいただいただけでございまして、私どもの考えておりました通りに事は運んだわけではございませんけれども、今後の閑散線区の改良方式その他につきましては、なお私ども検討を重ねて参りたいと思っておりまするし、また、私どもの考えは、率直に申し上げて、建設審議会においても、さらに御検討を願うこともお願いいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/71
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072・勝澤芳雄
○勝澤委員 私は、前会申し上げましたけれども、新線を建設するときには、鉄道建設審議会から建議がなされて、それに基づいて国鉄総裁がこの線を作ってくれという申請をして運輸大臣が許可する、形式的にはこうなっておるというお話を聞きました。そこで、総裁に私は申し上げたことがあるんですが、あなたが申請書類を半年でも、一年でも、二年でも、判こを押さずに運輸大臣に出さなければ、それだけ国鉄の経営がよくなるんですという話をしたことがあるんです。よく地方の自治体で、御承知のように、認可の問題をめぐって議会を施行者との意見が対立している。そういう問題があります。そうしてなかなか政治問題になっておる点もあるんですけれども、そういう点から考えてみるならば、総裁が、国鉄総裁としてこう思う、これが一番いいんだということをお考えになって、かりに建設審議会で敗れたとしても、結論的に言うならば、まだ戦いの道はあるということが言えると思うのです。いや、そう言ったって、任命されているんだからできないと言うならば、線路をまくらに討ち死にするという決意をして出てきたんですから、それくらいの覚悟はあってしかるべきだと思うのです。それくらいの覚悟があればこそ、国鉄が動いていると思うのです。ですから、そういう点から考えたら、鉄道建設審議会がそういうものをやるやり方に対しての国鉄の正論というものは、あまりにもなさ過ぎると思うのです。きょうも御答弁を聞いておっても、今あなたの御答弁で、国鉄の従業員に、副総裁は国会でこんなことを言っていると言ったら、大へんなことですよ。これはやっぱり言いにくいことでもずばり言って、困ることでも押しつけられていっていると言わなければ通らぬと思う。そういう点を考えてみなければならぬと思うのです。どうですか、鉄監局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/72
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073・岡本悟
○岡本政府委員 新線建設は、地域格差の是正であるとか、あるいは新しい産業資源の開発であるとか、あるいは最近特に大規模な臨海工業地帯の造成ということもございますし、あるいは従来の国鉄の輸送体系の是正ということもございますし、まあいろんな国家的な要請があるわけでございまして、われわれといたしましては、新線建設は非常に必要なものであるという判断に立ちまして、現在の敷設法の改正をお願いしておるわけでございます。世上いろいろ批判のあることは承知いたしておりますけれども、そういった国策的な見地の尊重ということが、やはり第一義的に考慮さるべきであるという判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/73
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074・勝澤芳雄
○勝澤委員 私は、新線建設が不必要だということを言っているわけじゃないのです。それだけは誤解のないようにしていただきたい。それで大臣、新線建設株式会社、あるいはこんなものでも作ってやってみたらどうでしょうか。そのお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/74
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075・斎藤昇
○齋藤国務大臣 新線建設株式会社という御構想は、どういう御構想か存じませんが、建設をして経営をしない株式会社というものを作ってみたらという考え方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/75
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076・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、先ほどからお尋ねしましたら、これからの予定されている路線の建設費は、約二千億と言われました。これを何年で大体やる見込みなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/76
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077・岡本悟
○岡本政府委員 本年度の予算は、御承知のように七十五億でございますので、これでいきますと、当然計算上はっきりいたしますように、二十年以上かかるわけでございます。そこで、この前の建設審議会で拝聴いたしておりました議論によりますと、こういった予算規模で建設を進めておったのでは問題にならない。先ほど申しました見地からの国家的な要請にこたえるわけにいかないということで、先ほど来申し上げておりますような建設審議会の御審議になったのではないかと拝察しております。つまり特に大臣がお触れになりましたが、従来と異なった画期的な財源措置を講ずる必要があるというふうに判断をなさったと存じます。従いまして、どういう建議が今後出ますか、小委員会の御審議の結果を待ってみなければなりませんが、たとえば十カ年計画で何キロの建設をする、その財源措置については、こういう方法をもってするというようなことに相なるのではないかというふうに推測いたしておりますが、目下のところでは、具体的にはわれわれは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/77
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078・勝澤芳雄
○勝澤委員 池田さんの所得倍増計画だって、一年でもう変わらざるを得なくなっちゃった。二十年も先のことまで考えて新線を建設するなんていうのは、まさに交通の実態を知らな過ぎると思うのです。今私のようなしろうとでもわかりますが、専門家である局長がお考えになれば、一体十年先、二十年先の鉄道が必要かどうかということは、私は常識の問題になってくると思う。しかし、それをも審議しなければならぬわれわれは、まさに悲哀を感ずるわけであります。
そこで、利子補給の実態でございますが、これは、どういうふうな形で今利子補給というのがやられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/78
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079・岡本悟
○岡本政府委員 これも御承知のように、昨年の第三十八国会で、日本国有鉄道新線建設補給特別措置法が成立いたしたのでございますが、その実施状況を申し上げますと、法律では、御案内のように、建設費利子相当額の計算につきましては運輸省令にまかされておりますが、本年の二月、運輸省令第一号としまして、日本国有鉄道新線建設補助規則が制定されたのでございます。この省令によりますと、利子相当額は、昭和三十五年年度以降補助しようとする年度の前年度までに支出した新線建設費の額に六分五厘の率を乗じて得た額でございまして、その新線建設費は、国鉄の予算における建設費のうち、運輸大臣が予定鉄道線路の建設に要したと認める費用の額となっております。従って、三十五年度の国鉄の建設費の決算額は、五十五億六千二百八十一万円余りでございまして、全額運輸大臣が建設に要した資金と認めまして、これに六分五厘を乗じますと、三億六千百五十八万円余りになります。しかし、法律では、これも御承知のように、予算で定めるところにより補助することができるという規定がございますので、三十六年度の予算は三億八百万円余りでございまして、この額を国鉄に先般交付いたしたのでございます。三十七年度におきましては、三十五年度の建設費決算額及び三十六年度の建設費を勘案いたしまして、四億二千四百七十五万円余りの予算が決定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/79
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080・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、三十五年度には五十五億の建設費を使ったから、それについて三億八百万の利子補給をした。三十六年度は幾ら使ったのですか。大体幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/80
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081・岡本悟
○岡本政府委員 三十六年度は、大体の決算見込みは、七十二億七千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/81
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082・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、それは全額を見れないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/82
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083・岡本悟
○岡本政府委員 予算の範囲内、こうきめてございますので、全額見ることは、おそらくできないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/83
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084・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、実際に建設資金を予算で七十五億ときめても、利子補給の方の財源というものがないならば、これはできないということになれば、この分だけ底抜けといいますか、そういう利子補給だ、こういうことなのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/84
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085・岡本悟
○岡本政府委員 法律でも明らかなように、予算の範囲内において、こうございますので、これはやむを得ないかと存じます。そのときの財源状態に応じてきめられることであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/85
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086・勝澤芳雄
○勝澤委員 三十五年度に五十五億で、その利子を三億八百万やったのですから、三十六年度で七十二億の建設をしたならば、七十二億に五十五億を足したのへ利子補給しなければ、ほんとうの利子補給じゃないですか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/86
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087・岡本悟
○岡本政府委員 予算の要求の出し方としては、その通りでございます。三十五年度の決算額、三十六年度の決算見込額、これを足しまして、六分五厘を乗じまして要求いたしておりましたけれども、これも予算の範囲内ということで、実際に成立しました予算額は、先ほど申し上げました四億二千万円余りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/87
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088・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、これは毎年の建設資金の一年分の利子しか見ない、こういうふうに予算的にはなっておるのですが、今までの実績から、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/88
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089・岡本悟
○岡本政府委員 そうではございませんで、三十五年度の決算額について見ますと、三十六年度にも、あるいは三十七年度にも利子の補給を受ける、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/89
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090・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、これは私はどうも合わないと思うのですけれども、現金の利子補給をしていくと、現金償還というのは、大体どれくらいかかって現金償還されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/90
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091・吾孫子豊
○吾孫子説明員 四年間据え置きで、あと十五年間に均等償還をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/91
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092・勝澤芳雄
○勝澤委員 四年間据え置きの十五年間均等で返す、その間の利子というものはやはり見なければいけないと思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/92
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093・岡本悟
○岡本政府委員 実は運輸省原案といたしましてはさように考えましたが、大蔵当局と種々折衝しました結果、現在のような法律の建前になりまして、つまり昭和三十五年度以降昭和三十九年度までに支出した建設費についての利子相当額を計算しまして、予算の範囲内で補助する、こういうことに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/93
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094・勝澤芳雄
○勝澤委員 新線を建設して、その利子だけは補給するけれども、実はその現金がなかなか返されないのです。先ほどの経営の状態を見てみても、建設をしたあとは赤字が出ることが明確なんですから、現金を返すには、またこれはなかなか大へんだということになる。どこから出さなければならぬ。出せなければ、結局書きかえをすることになるでしょう。そうした場合においては、やはり利子は当然見なければならぬと思うのですが、それは見るようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/94
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095・岡本悟
○岡本政府委員 しばしば申し上げておりますように、五年間について見る、こういうことでございまして、償還にかりに十五年、据え置きを入れて二十年間要するといたしまして、その期間だけ全部見るということではございません。昭和三十五年度以降昭和三十九年度までの建設費について、昭和三十六年度以降五年間、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/95
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096・勝澤芳雄
○勝澤委員 国鉄は、この建設費に対して、毎年どれくらいずつ返済ができる余裕があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/96
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097・吾孫子豊
○吾孫子説明員 どれくらいずつ返済ができる余裕があるのかというお尋ねでございますが、これはなかなかむずかしいお尋ねだと思いますが、借金は返さなければなりませんので、期限が来ればあらゆる算段を講じて返す場合によれば、借金を返済するためにさらに借金をするという方法もとらねばなりませんし、また自己資金と申しますか、全体の収支の中で別途なにするなりなんなりいたしまして、とにかくお借りした借金は、所定の約款通りお返しをするというふうにせざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/97
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098・勝澤芳雄
○勝澤委員 私は、実際に工事に使った建設費の利子だけを見ておったのでは、これはいつまでたっても解決しないと思うのです。これはやはり元金が返せるまで十分めんどうを見てやらなければならぬ。これは運輸省もそのつもりでやったのでしょうけれども、大蔵省の方からだめだ、こう言われたということで、できない。結局これは、私はますます増大をしていくと思うのです。また返す余裕なんかあるはずはないわけです。増大をしていったら、その部分の利子というものは、相当所得倍増以上に倍増して、利子補給を倍増していかなければ、これはやっていけないと思うのです。そこで先ほど鉄監局長も、画期的なことを建設審議会で考ているということでありますから、画期的なものが出てくるでしょう。私はうそを申しませんという池田さんの政治のもとで行なわれておるわけですから、一つその画期的なものについて、大臣、これはやはり責任を持ってやってもらわぬといけないと思うのです。今利子補給のこの前の法律が出て、ないよりやった方がいいということでわれわれも賛成をしてやってみたのですけれども、いろいろ調べてみたら、これは底抜けですよ。みなここにおられる方々も、線路を作らなければならぬ人もおる、あるいは当然作るべきところがまだ作られていない点もあるわけですから、それを少しでも早くするためには、やはり国鉄の経営の中で占めている赤字建設線というものがどういう立場にあるかということは、十分御存じだと思いますので、別に意見は食い違っていないと思いますけれども、どうか一つ、その点、大臣、今画期的だと鉄監局長は言われたのですけれども、この建議を見ると、あまりきっちりしたものの言い方というものは大していないようでありまして、これはすみやかに適切なる建議をなす用意があるというふうに言われておりますけれども、この点について、十分な決意をもってやるという表明を一つ大臣からしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/98
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099・斎藤昇
○齋藤国務大臣 先ほどから申しておりますように、日本の今後の発展に備えまして、十分の決意をもって臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/99
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100・勝澤芳雄
○勝澤委員 最後に、国鉄当局にも申し上げておきたいのですが、先ほど私は、国策会社のあり方、公共企業の経営のあり方ということで、東北開発株式会社と農地開発機械公団の経営についてちょっと触れました。まさにこれに比べたら、国鉄は異常な決意をもって、極端に言うと、むちゃくちゃな経営努力を私はしていると思うのです。しかし、その結果が、いろいろこういう外部の圧迫といいますか、というものによって経営努力が抹殺されるようなもののやり方というものについては、やはりきっちりしなければ、これはなかなか——皆さんは上の方で見ているからわかるから納得はするのでしょうけれども、働いている従業員は、なかなかそういうことはわかならないわけでありますから、一体何をしているのだ。こんなにおれたちに仕事を余分にさして、そうして労働強化をしいて——片方ここにおる人たちから言えば、ますます集約輸送をやって、ますます不便になって、駅員もいなくなったというようなことになるわけでありますから、この調和というものをよほど考えてやらなければ、私はいけないと思うのです。まあ一つそういう点から、今の政府の態度のあり方というものを考えて、あまり先頭ばかりを切ってやることが、国鉄の経営の根本的によくなることではないと私は思う。この辺でやはり少し昼寝をして、基本的に今言われている画期的な努力をする態度を国鉄は見守る。それによってわれわれも考えるということも、また必要なきにしもあらず、こう思いますので、一言付言をして、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/100
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101・簡牛凡夫
○簡牛委員長 久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/101
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102・久保三郎
○久保委員 もう時間もありませんし、大体質疑は尽きましたが、一つだけお尋ねし、資料をあとでいいから出してほしい。現在新線の建設中であって、未稼働になっている資産が、約百六十九億、百七十億ほどあるわけです。これが当面の問題として、投資はしたものの未稼働であるということは、国家的見地からいっても不経済だし、経営自体から見ればまた別な観点も出るかと思うのでありますが、これは今の進度でいって、国鉄は新五カ年計画を樹立されたわけですが、その中でこれはどういうふうに組み込まれているのか。これからの問題は別として、どういうふうにやられているのか、これは一言吾孫子副総裁からお答えをいただき、そういう年次的資金計画というか、建設計画というものがおありなら、あとで書類をもって御回答いただきたいというふうに考えます。
それからもう一つは、昨年もそうでありますが、調査線については軒並み、総花的に予算の配分をしたのでありますが、実際はそういうふうには使っておらぬと思うのであります。
そこで資料提出でありますが、昨年、いわゆる三十六年度の決算で、線別に調査費の決算がどの程度になっておるか。この国会がやっているときには、大体政治的な配慮があって、各線に同じように、一億単位くらいに軒並みにずっとつけている。これは先ほどのどなたかの質問にもあったように、何か期待を持たせているだけであって、実際は進行していない。こういうことも、改めてもらわなければいかぬと思うんで。そういう点を一つお願いします。
それからこれは意見になりますが、運輸大臣に一言申し上げますが、先ほど来、肥田委員あるいは勝澤委員からお話があったように、新線建設そのものを、われわれ自体は、純粋な意味では否定はしていません。しかしながら、いわゆる世間で言うところの政治路線というものに対して、これは十分やらなければならないと同時に、国鉄の経営とは別個に考えて、新線建設を考えるというお話もございましたが、これは所得倍増計画からいっても、その辺はちょっと実際と違うんです。所得倍増計画の交通部門におけるところの答申は、確定されたものについては、既設線区の赤字線についても、やはり輸送方式を変える。輸送方式を変えるというのは、鉄道のいわゆる縮小というか、鉄道をやめようというような意味にも書いてあるわけです。そのことからいっても、これは非常に矛盾があるので、私は、すっきりした形で新線建設の問題をまず第一に確定しろ、こう言いたいんです。
それから先ほどお話があったように、このままいくならば、今日まで手をつけたいわゆる着工線並びに調査線を含めると、大体三十七、八年かかる。海峡を入れれば、これは大へんな手数かかると思うのであります。これは何と抗弁しても、政治路線ではなかろうかということになってしまう。ここらのところを真剣に取り組む必要があろうと思うのでそういう計画についてどう考えておるか、これは運輸大臣なり鉄監局長からお答え願いたい。なお足りない部分については、資料をもって御回答いただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/102
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103・斎藤昇
○齋藤国務大臣 御意見の次第、まことにごもっともでございまして、先ほどからいろいろとお答えをいたしておりました中に、全部私の答えが入っておると存じますがこの上ともに十分努力をして参りまして、ただいまの御意見に沿うようにいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/103
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104・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまお話の中にございました未稼働資産の問題でございますが、未稼働資産がふえるということは好ましいことでございませんので、実際の工事の着工計画にあたりましては、できるだけ早く竣工して経済効果を上げるように、今までも努力はいたしておったつもりでございますが、なお一そうの努力をいたして参りたいというふうに考えております。その他御要望のございました細目につきましては、別途資料をお届けするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/104
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105・簡牛凡夫
○簡牛委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑は、これにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/105
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106・簡牛凡夫
○簡牛委員長 これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出もございませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/106
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107・簡牛凡夫
○簡牛委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。
鉄道敷設法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/107
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108・簡牛凡夫
○簡牛委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/108
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109・簡牛凡夫
○簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次会は、来たる二十日、金曜日、午前十時より委員会を開会いたします。
なお、本日午後一時五十分より都市交通に関する小委員会、明十九日午前十時より踏切道整備に関する小委員会が開会されます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X02319620418/109
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