1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十五日(水曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
運輸委員会
委員長 簡牛 凡夫君
理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君
理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
生田 宏一君 宇田 國榮君
川野 芳滿君 壽原 正一君
砂原 格君 竹内 俊吉君
細田 吉藏君 三池 信君
加藤 勘十君 勝澤 芳雄君
内海 清君
地方行政委員会
理事 纐纈 彌三君 理事 渡海元三郎君
理事 阪上安太郎君
伊藤 幟君 前田 義雄君
安宅 常彦君 門司 亮君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 齋藤 昇君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
総理府総務長官 小平 久雄君
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(交通局長) 富永 誠美君
運輸政務次官 有馬 英治君
運輸事務官
(大臣官房長) 広瀬 真一君
運輸事務官
(自動車局長) 木村 睦男君
建設事務官
(道路局長) 河北 正治君
委員外の出席者
内閣審議官 上平 輝夫君
警 視 長
(警察庁交通局
交通企画課長) 藤澤 三郎君
運輸事務官
(自動車参事
官) 増川 遼三君
専 門 員 小西 眞一君
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本日の会議に付した案件
自動車の保管場所の確保等に関する法律案(内
閣提出第一五六号)
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〔簡牛運輸委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/0
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001・簡牛凡夫
○簡牛委員長 これより運輸委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
自動車の保管場所の確保等に関する法律案を議題とし、審査を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/1
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002・簡牛凡夫
○簡牛委員長 まず、本案について、政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。齋藤運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/2
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003・齋藤昇
○齋藤国務大臣 ただいま議題となりました自動車の保管場所の確保等に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
現下の交通情勢は、交通事故の激増、大都市における路面交通混雑の激化等、まことに憂うべき状態となっておりますが、これに対しては、政府といたしましても、従来から、臨時交通関係閣僚懇談会及び交通対策本部において、関係行政機関相互の施策の総合調整をはかり、道路及び駐車場の整備、踏切道の改良、交通安全施設の整備、交通規制及び取り締まりの強化、交通安全運動及び交通安全教育の推進等の諸施策を講じて、これが解決に鋭意努力して参ったところであります。
しかしながら、最近における交通の発達、ことに自動車の増加は、まことに目ざましいものがあり、大都市における道路交通量は道路容量をはるかにこえて、著しい交通渋滞を招いておりますが、加うるに車庫等の保管場所を有しない自動車が多数道路上に放置されて、道路の適正な使用を阻害し、ただでさえ狭い道路を一そう狭めて、交通の混雑に拍車をかける結果となっております。
かかる現状にかんがみ、政府といたしましては、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づける等の措置を講じ、道路使用の適正化と道路交通の円滑化をはかりたいと考え、この法律案を提出いたした次第です。
次に、その要旨について御説明を申し上げます。
この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化及び道路交通の円滑化をはかることを目的としております。
まず、自動車の保管場所の確保の義務づけでありますが、この法律におきましては、自動車の保有者は当該自動車の保管場所を確保しなければならないものとし、これを担保するため、政令で定める地域内においては、保管場所を確保していることを証する書面を提出しなければ、自動車の登録を受けることができないことといたしました。
しかしながら、自動車の保管場所の確保を義務づけても、その保管場所に自動車を保管せず、自動車を道路上に放置しては何の効果もないわけでありまして、この法律は、より直接的な手段として、政令で定める地域内においては、何人も道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならないものとし、また、保管場所としての使用でなくても、長時間にわたる駐車は、同様禁止することとし、違反行為に対しては、それぞれ罰則を設けました。
なお、これらの規定は、全国的に適用されることが本来望ましいのではありますが、一挙に実施することの利害得失を考慮して、当面道路交通の円滑化をはかる上において特に必要と認められる地域を政令で指定して実施し、逐次これを拡大していくことといたしました。
さらに、この法律におきましては、現行道路交通法の駐車禁止及び駐車時間の制限に関する規定を強化いたしました。
なお、この法律は、公布の日から三月を経過した日から施行することといたしましたが、自動車の保管場所としての道路の使用の禁止等に関する規定は、現在保管場所を有しない自動車の保有者が保管場所を準備するために必要な期間を考慮して、公布の日から一年後に施行することといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/3
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004・簡牛凡夫
○簡牛委員長 これより質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。安宅常彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/4
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005・安宅常彦
○安宅委員 ただいまの提案理由をお聞きいたしまして、ちょっとどうもどこかで一本くぎが抜けておるような気がするのであります。それは、根本的には、大体私は何回も言うことでありますが、一人歩きの旅人が歩くときには、それ相当の道路があって、荷車が通るようになれば、荷車が通れるような道路ができて、馬車が歩けるようになれば、馬車の通行できるような道路が作られていなければならないのが、政治じゃないかと思うのであります。現在は、そういうのではなくて、政治そのものが道路を作らないでおいて、産業の発展や何かに追いつかないでもたもたしておって、その責任を——道路というのは、だれでも歩いてもいい。自動車で歩こうと、荷馬車で歩こうと、勝手なわけであります。それが道路なわけでありますが、そこのところに自動車を置いていかぬ、こういうように政治の側が逆にその責任を人民になすりつけるような、そういう態度というのは、私は根本的に間違いじゃないかと思うのでありまして、その点、どうしても納得がいきませんので、そういう考え方というのは正しいのか、正しくないのか、そこからまずお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/5
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006・齋藤昇
○齋藤国務大臣 ただいまの御意見は、まあ半分正しいようで、半分正しくないような気がいたします。と申しまするのは、もちろん今日、自動車は急激に増加をいたして参りました。これは日本の経済の急激な伸長の結果であると思います。道路の新設あるいは改修、拡幅がこれに順応していないという点も、事実でございます。しかしながら、欧米諸国を見ましても、道路をどれだけ拡幅いたしましても、大都市内における自動車の交通というものは、非常に混雑をいたして参っております。おそらく日本におきましても、いかに道路を拡幅いたしましても、国民の持っている自動車が、自由に、直接あるいは間接の規制なしに通行できるということは、非常に困難であろうと思います。ことに道路上に自動車を放置をしておくということは、本来の道路の使用の仕方ではございません。また、交通の混雑を来たすもとでございます。従いまして、直接、間接を問わず、どの国も、先進国におきましては、道路における自動車の駐車をきわめて制限をし、ところによっては絶対に駐車をせしめないというような方途をとっております。ましてや道路を車庫がわりに使用するということは、道路の部分にもよりまするけれども、絶対に禁止をするという措置をとらなければならないことは、これは道路をいかによくいたしましても、考えておかなければならぬ施策だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/6
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007・安宅常彦
○安宅委員 そういう議論もあるでしょう。しかし、私が言っているのがほんとうは正しいんだと思うのであります。なぜかといいますと、この間もいろいろ論議したことで、ダンプカーや何かは二十一才以上しか運転していかぬという、そういう免許の年令を引き上げることにしたわけでありますが、そういう場合に、自衛隊の場合はいいなんということになっているわけですね。なぜいいかというと、事故が少ない。これは自衛隊が通るときは、みんなあぶないというんでどいているんです。ところが、普通の車の運転手さんは二十一才以上でなければならぬという、理屈の合わないことが、このごろたくさん出ているのです。そういう理屈に合わないことが、この法律でも出てきそうな気がしてならないわけであります。たとえば、自動車を登録する場合に、車庫なり保管場所というのは、今までも記載する必要があったのであります。それが欠格条件ではなかったわけですね。そういう人が今まで乗り回しておって、これから自動車を運転しようとする人は、今度そういうものがなければいかぬという法律になってくるならば、どだい憲法上疑義があるから、道路に置いていかぬ、そういうことは言えないので、それが条件にはならなかったのが今までの通例だ、こういうふうに私は考えているのですが、この法律ができたことによって、今までの通説がくつがえって、自動車を持つ場合には、どうしても保管場所をつけなければならない。それでなければ絶対許すことができない、こういうふうになったら、不公平が法のもとに出てきて、これはおかしいじゃないかという議論が、必ず問題になってくると思うのであります。
それから、この法律では、今までのそういう人のためには一年後に施行することにした、こういうふうになっておりますが、保管場所というのは、道路以外ならどこでもいいという話のようでありますけれども、あき地も何にもない人は、どうするんですか。自動車をこれから買う人で、あき地も何にもない人は、これからあき地を探すかもしれませんが、今までの人でない人は、どうにもしようがないです。そうすると、一年後といえども、その人は自動車を持てないことになる。それに対して政府があき地を探してくれるなら話がわかりますが、この法律では何らの保障もありません。金を貸してくれるといっても、貧乏な人は、金を融資されたって返せないということなる。そういうことで、法のもとに不平等が出てきて、これは憲法上の問題まで、政府を相手どって告訴なんか起こされたら、政府はどうしますか。そこのところがちょっとわかりませんから、お答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/7
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008・齋藤昇
○齋藤国務大臣 今までは、営業用の車は、車庫を持たなければならないことになっておったわけでございます。ただ、今日の交通量等から見まして、また、道路の本来の使用という面から見まして、初めから道路を車庫がわりに使おうという考え方は、これは是正をしていくべきじゃないかという考えをとったわけでございます。
そこで、今後乗用車等、今まで車庫あるいは車を保管する場所を届出をしなくてもよかったものが、これから車を持つ者についてはその必要があることは片手落ちではないかというお話でありますが、一つには、現在持っている者に一斉に車の保管場所を持てということは、事実上困難であるという点が第一点。そのために、今後買う者からということであれば施設をしやすいであろうということがある。現に持っております人でも、今後車を変える、あるいは使用の本拠を変えるという場合には、保管場所をきめて、そうして証明をもっていたさなければ登録がえはできないということになりますから、年月はかかりますが、逐次現在の持っている人でも、車を変えるとか、あるいは使用の本拠を変えるという場合には、必要が起こってくるわけであります。一面取り締まりの見地からは、地域を指定いたしまして、一年後には、指定された地域内においてはその道路上を車庫がわりに使うということが、事実できなくなりますから、そこで不公平といえば不公平かもしれませんが、これは現実に合った方策だ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/8
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009・安宅常彦
○安宅委員 取り締まりの方の当局にお伺いいたしますが、長官、私は最後に言ったのですが、今までは車庫を持たなくてもよろしいということで、法のもとで許可を受けて営業しており、あるいは自家用の車を持っておる。こういう人が、持たなければだめだ、お前は車持っちゃいかぬ、こういうことになるのは、おかしいじゃないか。道路というのは、どだい人がとまっても歩いてもいいと同じように、車がとまっても走ってもいいわけですから、そういうことで——なるほど道義的にはここに、置いちゃいかぬなと思ったときには置かないという良心は、国民の側が持っておる。しかし、保管場所がなければ車を許可せぬぞということは、政府が何かの補償——今地主さんなんか補償をよこせとえらくがんばっているようでありますが、今までそういう許可条件でやっていた人に、何らの補償もなしに、あといかぬぞ、こういうふうに言うつもりなんですか。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/9
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010・柏村信雄
○柏村政府委員 今回の法律におきましては、今後自動車を登録する場合に、車庫といいますか、保管場所を確保していることが必要であるということが、まず第一でございます。それから第三条に、訓示規定と申しますか、基本的な考え方として、保管場所を持たなければいかぬということにしまして、第五条におきまして、道路を保管場所として使用してはならない。従来はそれが一応許されたといいますか、黙認されておったのが、今度きびしくなるじゃないかということを中心のお話と存じますが、五条につきましては、なるほど従来そういうふうに道路を使っておったものも使えなくなるというきびしい規定でございます。しかしこれに、つきましては、一応猶予期間一年というものを置き、それからどの区域をそうするかという、これは非常にむずかしい問題がその上で起こってくるわけでございます。従いまして、交通の実情というものと、今お話しのような自動車の設置場所が、合理的に考えて確保できるような状況であるかどうかというような点も十分に考えた上で、区域の指定とか、その時期とかというものを考えていく必要が、五条の実際の運用につきましては、あるのではないか。何でも六大都市であれば、一年たてば全部そういうふうにしてしまうというふうな考え方でいくと、今お話のような非常な混乱が起こるのではないか。五条の運用という問題については、むずかしい問題があるように思いますが、この点は十分慎重に考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/10
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011・安宅常彦
○安宅委員 そうすると、ますますおかしくなるのじゃないですかね。一年後に施行するということを書いてあるのですが、運用で何とかする、こういう話でありますが、大体日本に、特に六大都市周辺とその市内に、そういう自動車の台数が何万台とあるのですから、そんなあき地があるとあなたの方では思ってこういうことを考えたのでしょうが、ないのじゃないですか。ないから、道路に置いているのでしょう。一年後にやるのだ。しかも、あなたの答弁では、一ぺんにやると混乱が起きるから、むずかしいけれども運用で何とかしたい。そうすると、おれのところはあき地がない、おれのところもないとみんな言われたら、どういうふうにして取り締まるのか。具体的に一つ説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/11
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012・柏村信雄
○柏村政府委員 自動車を持っている者が、自分のところにあき地がないから作らぬというのを個々に一々救済していくというような考え方で、先ほど申し上げたわけではないのでございます。しかし、御承知のように、大都市におけるあき地または利用すべき土地、車庫、保管場所として利用すべき土地が、非常に払底しているということも事実でございます。従いまして、第五条を実際に動かしていくということになりますれば、政府なり公共団体なりがかなり思い切った施策をして、そして共同の保管場所であるとか——これは地下という場合もございましょうし、地上という場合もございましょうが、そういうような立体的なものを考えるとか、いろいろな方途を考えて、そういうものと並行して、実際に動くような運営をしていく必要があるという意味で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/12
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013・安宅常彦
○安宅委員 それでわかりました。そういうことになりますと、運輸大臣、この法律を作るときには、ただいま警察庁長官が言ったような予想というものがはっきりして、それで、従来車を持っておった人々の保管場所というものをどういうふうに確保するのか、政府がこれに対してどういう措置をするのかということを国民に示して、こういう法律を作るのだったら話はわかりますけれども、どうなるかわからない、運用で何とかやりたい、とにかく保管場所を持ってない者はだめになるのだという気合いだけかけておいて、何らの措置もしない法律などというものは、根本的に本末転倒の法律ではないかと思うのでありますが、この点は、どういう施策を将来政府はとるつもりであるかということを明確にこの際言ってもらわないと、特に大きい企業なり大会社などは何とかなるでしょう、遠いところに車庫を持つことも、保管場所を持つこともできるでしょう、しかし、中小零細の、小型四輪一台か二台持って回っている人とか、それから都内のまん中に店舗をはってきゅうきゅうしながら営業をやっている人で、保管場所が全然ない。家がびっしりしているから、そういうところの人に対してはどういうことをするのかというくらいの、はっきりしたことを示してもらいませんと、これは中小零細企業を中心としたこれらの人たちが、とんでもない法律を作ってくれたものだということで、政府を恨むことになるのではないかと思うのでありますが、どういう施策を予定しておるのか。あるいはこういうことについて、せっかく閣僚懇談会などもやっておるようでありますが、話題になったことがあるのかないのか。なったとすれば、どういう話があったのか。そういうところまで一つ答弁をしていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/13
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014・齋藤昇
○齋藤国務大臣 取り締まりを実施いたしますのは、今後一年経過期間を置きまして、そしてその地域を政令できめる必要があり、またやり得るというところを指定してやるというようなことになるだろうと、われわれは考えております。そこでただいまおっしゃいますように、今日たくさんの車が路上を保管場所に当てているわけであります。今おっしゃいますように、ことに中小企業に属するような人が相当たくさんこういう状況にありますので、中小企業の組合等に対しまして、あるいは助成金を出す、あるいはそういう施設を作った場合に、固定資産税は免除するとか、軽減をするとかいう助成措置をはかりまして、逐次実際の取り締まりも可能であるという状況に持っていった上でしたいというのが、この法案の考え方でございます。交通閣僚懇談会等におきましても、その点が最も重要な点だと考えまして、大蔵省、通産省等も参加していただいて、そうして自動車の共同保管場所を作らせて、それに対する助成方策を至急に講じていこう、かようにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/14
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015・安宅常彦
○安宅委員 自治大臣にお伺いしますが、この法律に、そういう場合を予想して、政府が何らかの施策を行なうという義務づけの条文などを入れるべきではないかという話はなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/15
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016・安井謙
○安井国務大臣 自治省といたしましても、今運輸大臣のお話のように、保管場所を民間で作るためのいろいろな便宜供与には努めて協力をいたすということで、閣僚懇談会等でも十分な話し合いを進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/16
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017・安宅常彦
○安宅委員 それは今運輸大臣から聞いたのです。だから、そういう制限を加えるのですから、加える側の政府が何らかの義務を負わなければ、そうしますとか、助成金をあとでやるかもしれないとかいうことではなくて、そういうことをしなければならないという条文を入れないと、この法律はいけないんじゃないかという話し合いなどがなかったかと聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/17
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018・安井謙
○安井国務大臣 これから新しく入れる者は車庫あるいは常置所を持たなければならぬ、そして将来は全部持たなければならないという考え方は、すでに現在でも一般の営業車には適用されておるわけであります。従来、自家用車にそういった面が黙認されておったといいますか、放置されておった。これだけの自動車の非常な混雑の事情になってくれば、当然自家用車に対してもそういったある程度の規制が必要じゃないかという考え方から出ておるわけでありまして、従って、そのために、今度は全面的に初めから法文に政府で保障するような方法を正式に入れるということではなぐ、それを実現していくためには、政府としても、今後資金の面、あるいは場所の面、あるいは税金の面、そういう点ででき得る限りの考慮と配慮をしていこうというふうに考えております。従って、条文の中へ直接政府の保障的なものを入れることは、いかがかと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/18
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019・安宅常彦
○安宅委員 警察庁長官にお伺いしますが、こういうことになりますと、今まで保管場所というのが書いてある。実際そういう保管場所があるのかないのかということをあなたの方で調査したところが、調査し切れなかったということを、地方行政委員会の道路交通小委員会が何かで答弁しておると思うのであります。今後実際にそういう保管場所があるのかないのか、あるいはあったとしても、実際に使用でき得る保管場所なのかどうか、これはすばらしい台数とあわせて、あなたの方の交通局なんて、この間できましたけれども、二、三人人をふやしただけで、そんなことできるのですか。できる見込みがありますか。できる自信がありますか。それをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/19
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020・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいま安井自治大臣からお話のごさいました営業用——運送の営業用は、車庫を確保しておるわけでございます。その他の自家用トラック等につきましては、登録の際記載事項ということになっておって、これの確認ということは、必ずしもされておらないわけであります。一時警視庁管内におきまして、その記載事項が正しい記載であるかどうかということを調査したことがございますが、その際は、かなりずさんな記載がされておるという事実があったのでございます。今度行なわれます法律につきましては、とりあえず、第四条で、新しく自動車を登録する場合におきまして、保管場所が確保されているかどうかを確かめるという問題があるわけでございをして、それにつきましては、警察としても十分協力して参りたいと思っておりまするが、その程度のものでありますれば——これは五条の指定よりは区域がずっと広くなると思いますけれども、その程度のものでありますれば、そういう場所があるかどうかの確認というようなことにつていは、もちろん努力を要します。人手も食うものでございますけれども、不可能な問題ではない、非常に困難だというほどのものではないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/20
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021・安宅常彦
○安宅委員 私は、だんだんピントがはずれてしまうかもしれませんが、自家用の乗用車なんというのは、乗用車を持つくらいの人は車庫くらい持たなければならぬという理屈はわかるのです。自家用の乗用車でないいろいろなものがありますね。こういう人々が非常に困るのじゃないかと思うのです。従って、ただいままでいろいろ助成なり何かの措置をすると盛んに言っておられるのでありますが、実際今のやり方でずっと見ておりますと、私はできないような気がしてならぬのです。から証文だけ発行しまして、あとで知らぬぞということになって、苦しむのは、そういう私が言った、ほんとうの小さい商店やそういうところが非常に困るのじゃないかと思うのです。たとえば道路に置いては悪いといっても、保管場所でないところに置いておるじゃないか——赤坂あたりはえらい乗用車がぎっしり詰まっておりますが、どういう人が使っておるのか私わかりませんけれども、長時間駐車しておるじゃないいか。一時だといいながら夜までぎっしりやられたら、お前は何分前からきているのかどうなのかなんということを、交通関係の取り締まり当局で判断することができますか。できないでしょう。できないから、結局道路における自動車のはんらんなんというのは、何もならないじゃないかと思うのです。そういう観点から見た場合に、どういう結果になるか、ちょっとお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/21
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022・柏村信雄
○柏村政府委員 今度の五条におきまして、長時間、すなわち昼夜を分かたず十二時間以上継続して同一場所に置く、あるいは夜間八時間以上置くということを禁止いたしております。こういうものについてどういう調査をするかという問題は、確かにお話のようにむずかしい問題でございます。これは、その間に動かしているか動かしていないかという問題もありますけれども、しかし、毎日自分のうちの前に車をとめて、どこにも入れるところがないというようなものは、第一項に該当いたしまするし、第二項については、そういうものでない場合でも、すなわち、自分のうちの前でないというようなところでも、確かにそういう長時間にわたってとめておいたということが立証されるような状況になれば取り締まるということでございまして、とまっている車を一々当たって、すべてについて何時間おったかということを克明にやっていくという趣旨では、必ずしもないわけでございます。あるいは御質問の趣旨がそういうことでなしに、駐車禁止以外の場所に長時間置いておるというようなものは、なかなか取り締まれないじゃないかというお話、この点は確かにあると思います。現在道交法において、とめた車の右側三・五メートルないところは駐車することができないということでありまするが、今回の法律においては、区域を定めまして、あるいは四メートル、あるいは五メートルなければとめてはならないという場所を指定していくというような方途によって、非常に混雑するようなところに長時間、あるいはたくさんの車が駐車するというようなことを防ぐ方途は、第六条で実効が保たれるようになる、そういう面の効果はあろうかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/22
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023・阪上安太郎
○阪上委員 二、三点関連質問いたしたいと思いますが、まず最初に、この自動車の保有者は、当該自動車の保管場所を確保しなければならない、この考え方は、憲法二十九条との関係はどういうことになるのでございますか。この点を一つ、運輸大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/23
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024・齋藤昇
○齋藤国務大臣 憲法二十九条は「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」、この条文に照らしまして、ただいまの自動車を持つ者は保管する場所を道路以外のところに持たなければならないという規制は、これは財産権の使用の一方途でもあろうかと思いまするが、たといそういうように解釈をいたしましても、これは公共の福祉に適合するような、そういう使用の仕方をしなければならぬわけでございまするから、公共の福祉という見地から、何ら支障はない、かように考えまして、財産権を侵すものではない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/24
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025・阪上安太郎
○阪上委員 御説のように、憲法第二十九条では、私有財産は、これを侵してはならない、こういうふうに規定をされております。それはいろいろ学説はありましようけれども、直接的に、間接的にやはり侵しちゃいかぬ、こういう意味だと、われわれは解釈する。この場合、保管場所というものを確保しなければ、自動車を保有している者がこれを使うことができぬということになって参りますと、間接的に私有財産権を侵している、こういうふうに考えるわけであります。それから二項の、財産権の内容については法律でこれを定める、この場合は別に問題はないと思います。そこで「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」、こういうように規定されております。従って、こういった規制をやろうという場合におきましては、当然それに何らかの正当な補償というものがついてこなければならぬ、こういうように考えるのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/25
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026・齋藤昇
○齋藤国務大臣 これは財産権を、たとえば自動車を使用するというわけでもございませんし、現に道路上を車庫がわりに使っている。その車庫がわりに使っている権利がある、こういうようには見られませんから、補償という問題は起きてこないと、われわれは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/26
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027・阪上安太郎
○阪上委員 別に、法律で補償する場合において、それが完全補償であるということは、われわれ言わないのであります。いろいろな場合を考えましても、わが国において、こういった場合におけるいろいろな補償の内容を調べて見ますと、完全補償をしているのは一つもない。しかし、何らかの補償をしなければならないのではないかという考え方を、私は持つわけなんです。今言われたように、今まで使ってはならない場所に車を置いておる、駐車してはいけない場所に車を置いておる、そのことを禁止しようとすることは、それ自体別に補償が必要でないのだ、こういう解釈ではなくして、車を持っているのものが、これがどうしても保管場所というものをこの際作らなければならぬ、こういうことになった場合に、これに対するところの補償というものは、当然あってしかるべきじゃないか。その場合、個々の補償をわれわれは言うわけじゃない。あなたのおっしゃるようなものの考え方も、私は成り立つと思います。しかし、行政上こういったものを考えていく場合に、個々の補償がないとしても、たとえば無料の駐車場であるとか、公営の駐車場であるとかいうものをやはり作っていって、そうしてどうしてもそういう土地を入手することができないというものに対しての救済措置というものは、当然講じられるべきである。この措置を、私は、やはり憲法解釈上からも必要とするのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、いま一度、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/27
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028・齋藤昇
○齋藤国務大臣 社会問題といたしまして、現に道路上に車をしょっちゅう保管場所としてとどめているという場合に、これは何ら措置しないで明日から全部取りのけてしまえということは、事実上いい政治とは言えませんから、これに対しましては、できるだけ公共用地を開放するとか、あるいは助成措置を講ずるとかいうことをいたして参りたい、かように考てえいるわけでありますが、これから車を持つものに対して、何らか補償的な意味でということは、車を持つもののために、政府なり公共団体がそういう保管場所を置くということは、これは望ましいかもわかりませんが、しかし、日本の現状におきましては、そこまではちょっと行き届きかねるというのが現状だと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/28
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029・阪上安太郎
○阪上委員 ですから、私は申し上げておるのでありますが、普通道路の整備が行き届いておって、しかも交通緩和対策としても、大量輸送計画その他が完備しておる、そういった状態下においては、私はこういう問題は起こってこないと思う。こういう規制をする必要がないと思うのです。ところが、こういう規制をしなければならぬということになったのは、やはりそういったいろいろな諸政策が十二分に行き届いていなかったからだ、こういうふうにわれわれは解釈するのです。むしろ極端な言い方をすれば、政府の責任です。普通、諸外国おきましても、芝の上に車をほうり込んでも別に差しつかえないじゃないか。また、非常ないなかの閑散たる場所においては、道路上に車を置いておっても別にかまわぬじゃないかという考え方も、成り立つわけなんです。それをどうしてもこういうふうに規制しなければならぬ、この場合、政令で指定する地域においてやらなければならぬということになれば、一般的じゃないじゃないか。その場合、私は当然適当な補償をしなければならぬと思うが、しかし、個々に対しての補償ということは、この際必ずしもそこまでいく必要はないけれども、やはり公の施設によってある程度救済することが必要である。たとい猶予期間が一年置かれておったとしましても、一年たってもなおかつ入手できないものは一体どうするか、こういう問題も出てくるのじゃないかと思うのです。
そこで、先ほど大臣は、そういうことのためにも公共用地というものを提供して、そして車を置くことができるようなものに持っていきたい、こういうふうにおっしゃっているのでありますが、その計画はどういうふうになっておりますか。閣僚懇談会等において、あるいは総理府の中にありますところの交通対策本部等において、作案しておられると思うのでありますけれども、どのように考えておられますか、どういう計画をお持ちになっておられますか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/29
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030・齋藤昇
○齋藤国務大臣 これから新たに車を持とうとするものに対しまして、何らかの助成措置を講ずるとか、あるいは公共の駐車場、車の保管場所を設けるとかいうことは、ただいま政府としては考えておりません。現に、路上を駐車場がわりに使っている者が、非常に多い。これは一年後になりますると、地域によりますけれども、指定をしたいと考える地域に、相当ございまするから、これに対しては、事実上相当の措置を講じなければ、実際困るじゃないか、かように考えて、先ほど申しますように、でき得るならば、公園とか、あるいは学校の校庭等を一時使用ができないかどうかという検討をいたしますると同時に、中小企業等の団体に対しまして、共同の保管場所を作るという場合には、特別の融資をしよう、あるいは税制面でも考慮をしようというような助成方針をとろうという方針は、昨日の交通閣僚懇談会においてきめまして、これの具体化を至急にはかって、そして一年後の施行に支障のないようにいたしたい、かように考えておりまするので、各細目——それに対して、助成金がどのぐらい要るか、何%の助成をするか、税制をどうするかという細目は、まだきまっておりませんが、これを早急にきめまして、施行に差しつかえを来たさないようにいたしたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/30
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031・阪上安太郎
○阪上委員 それから次に、この政令で定める地域の内容、構想を一つ承りたいと思いますが、警察庁長官からでも一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/31
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032・柏村信雄
○柏村政府委員 第四条と第五条の適用区域については、政令で定めることにいたしておるわけでございます。これにつきまして、具体的にまだ十分案ができておるわけではございませんが、第四条の方は、相当交通の輻輳する区域を含めて広い範囲に及ぶ可能性があるわけでございますが、第五条の適用につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、一年の猶予期間を置くと同時に、実際の施行にあたりましても、その施策が並行して行なわれるということと十分見合いまして、指定を個々にして参りたい。従いまして、これは非常に抽象的で恐縮でございますが、五条の適用区域は相当にしぼられる、それから四条はできるだけ広くしたいという気持をもって、実情に合わしていく、こういうふうな考え方をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/32
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033・阪上安太郎
○阪上委員 私は、政令で定める範囲というものを、もう少し科学的に検討したものがほしいということなんです。たとえば米国あたりでも、フィラデルフィアの都市交通圏というようなものがあるわけなんですが、これは長官も御存じだと思う。あるいはトロント方式等によって、そういう交通対策というものを進めているところもあるわけなんです。非常に科学的にそういったものを編み出しておる、こういうことなんです。そしてフィラデルフィアの場合においては、半径一マイル以内をもって都心部というようなことをして、第一圏、第二圏、第三圏、第四圏というふうにいたしまして、きわめて科学的にそういった範囲というものをきめております。私が伺いたいのは、政令で定める場合においても、これそのままの形にはなりませんけれども、そういったものが必要ではなかろうか。先ほど運輸大臣からも答弁がありましたが、必ずしも五大都市とかなんとかに限るわけではない。それはその通りだと思うのです。そこで、何かそういった科学的なものをやはりこの際作り出しておくということが必要じゃないかと思うのでありますが、あなたのお考え方はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/33
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034・柏村信雄
○柏村政府委員 確かにお話の通り、こういう問題はできるだけ科学的に検討をして、その結果に基づいて決定をしていくべきものと思います。ただ、そういう方向はその通りでございますが、まだ具体的に検討が遂げられていないということを申し上げたのでございまして、第五条の適用区域は、さしあたっては、実際に交通が輻輳して道路に自動車を置くことが非常に交通の支障になるような区域であり、しかもこれに対しての保管場所についての救済がなされ得るような情勢というものとにらみ合わせて、指定されていくようになるのではないか、それから、第四条につきましては、そういう交通ひんぱんなところに集中し得る区域と申しますか、集中しがちな区域というようなところに、まずさしあたっては重点的に指定されるという方向になるのではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/34
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035・阪上安太郎
○阪上委員 これは質問ではありませんが、こういったものを実施する場合の政令なんですけれども、やはり全国的に当てはまるような、科学的な根拠のあるものを作っていただきたい。このことを希望いたしまして、私の関連質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/35
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036・安宅常彦
○安宅委員 それで、今まで阪上さんからお話がありましたように、私は、一番先にこういう問題について——公共の福祉という立場からというあとの答弁がありましたが、実際に車を持つ立場になった人が、あるいは従来持っておった人で今度規制をされるという人が、憲法上の理由で、現実に損害を与えられたということで、憲法違反の訴訟か何か起こされたらどうするのですかという質問に対しては、答えてないのです。これは非常に重要な問題だと思うのでありますが、関連してこういう例もあるのです。たとえば現在の自動車の免許その他そういう許可というものは、都道府県ごとにみな違うでしょう。私は山形県ですが、山形県で受けてきて、それで議員宿舎にいるわけだ。議員宿舎なんていうのは駐車するところはないわけだ。こういう仮定をしますと、どこにも置くところがないわけです。それならもうこういう法律を作ってもまるでしり抜けで、ざるどころか、ガラス窓ぐらいな穴があいているような気がしてならないのですよ。だから、阪上さんが言ったような科学的な、そういう駐車の制限なり保管場所の設置なりというものを、政府がこの法律を出す場合の義務づけとして条文にはっきり書いて、そして憲法上相当疑義がなくなったという形で出てこない限りは、憲法違反だということで訴えられるような件数がたくさん出てしまって、お手上げになる。反面、青森県あたりで免許を受けて、そして堂々と乗り込んできてやったために、交通の渋滞というものは何らの解決にはならなかった、こういうふうなことが出てくるような気がするのでありますが、告訴があった場合には堂々と応訴をしても大丈夫だという見解を持っておるのかどうか。それから、第二点の、私が指摘したような事柄によって、まるでこの法律を作ってもしり抜けじゃないかという私の考え方なんですが、しり抜けではないというふうに言えるのかどうか。さらに、その結論として、私が何回も言ったように、いろろ規制を受ける人に対して、政府が相当の義務を負うのだという条文をさらに入れることを考えていないかどうか、必要があるのではないか。この三点について一つ答弁をしてもらいたいと思うのです。これはどなたでもけっこうでありますから、その担当と思われる方から答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/36
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037・木村睦男
○木村(睦)政府委員 ただいま御質問の一部の回答になるかもしれませんが例をあげられました、たとえば山形県で車をお持ちになって、山形県で使っておられるその場合には、山形県で車の登録をやるわけでございます。それで、今度法律で第四条の保管場所の証明書がなければ登録ができないというこの条文の適用は、政令でもって地域を限定することになっておりますので、かりに山形県がこの政令による地域の中に入っていないという場合でありますと、証明なくして自由に登録ができるわけでございます。山形県でお使いになる場合に山形県で証明なしで登録をして使っておられた車を、今度東京都の平河町なら平河町に移られまして、平河町の宿舎を拠点にしてその車を使われるということになりますと今まで車の使用の本拠が山形県の山形市なら山形市でありましたものが、東京都の平河町になるわけでござます。使用の本拠が違って参りますと、登録がえということになるわけであります。そうしますと、東京都内が政令による地域の中に含まれるということになりますと、平河町に使用の本拠を移して登録がえをやりますときには、保管場所の証明がなければ東京都においては登録しない、こういうふうになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/37
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038・柏村信雄
○柏村政府委員 この法律によって取り締まりをした場合等において、訴訟事件になったときに、あるいは憲法違反の訴えがあった場合に、自信があるのかという御質問でございますが、これは私ども十分政府部内、法制局も含めて立案したものでございますので、自信を持って対処し得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/38
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039・安宅常彦
○安宅委員 それからもう一つ、義務づけの条文を加える意思はやっぱりないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/39
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040・齋藤昇
○齋藤国務大臣 その考えは政府としては持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/40
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041・安宅常彦
○安宅委員 わかりました。
ただ、最後のあなたの答弁ですが、私は活動の本拠は東京だというふうには考えない。どうしても山形が本拠なので、それで、山形を本拠にしてやってきておるので、東京でいろいろ商活動なり、その他いろいろな公的な活動があるでしょう。そういうことを今やっておるので本拠には近いうちにまた行くのだ、本拠はどこまでも山形だという腹だったら、どこまでも水かけ論で、そういうことはいろいろ取り締まりのときに不公平が出てきたり、官憲の判断で適当なことをやられたら、えらい行き過ぎが将来出てくると思うのです。もしかりに私だったら、絶対あなたのその持論には承服できませんから、冗談言うなこの野郎というので、けんかになってしまって、私は、本拠は山形だから文句を言うなというふうに言われたら、どうも手をあげてしまうのではないかと思うのです。そういういろいろな抜け穴がたくさんあるようでありますが、まあ何とか政府で措置もするそうでありますから、納得はしませんけれども、これで質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/41
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042・簡牛凡夫
○簡牛委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/42
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043・門司亮
○門司委員 私は、この法案で、ちっょと現状に沿わないといいますか、問題の起こりそうな点を二、三大臣に聞いておきたいと思います。
一つは、この法律でいう道路の意義なんですが、これは公道でしょうね。私がこういうことを聞きますのは、都心のまん中には比較的少ないかと思いますが、日本の都市行政というのはまだほんとうに整備されておりませんので、道路の中には私道がたくさんあるのです。そうしてそれが公道と同じように使われている。厳密に言うと、そこに自動車を置いたからといって、ちゃんと税金を納めているし、私の道路だ、私の土地だと言われれば、しょうがないと思われるようなところがあるのです。こういうものはやはりこの法律の対象にするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/43
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044・齋藤昇
○齋藤国務大臣 これは道路交通取締法にある道路と同じでございまして、道路法上の道路は、もちろん私道でありましても、公共のために公開をされて、一般の交通の用に供している道路は、この法律では道路として取り扱っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/44
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045・門司亮
○門司委員 これは、一般の交通の用に供しておる道路とは、俗にいう公道だ。しかし私有権は持っている人があるのです。これは伸びております都市にはたくさんあるのです。これは市役所に道路をもらってもらいたいといっても、側溝をつけてこいとか、あるいは砂利を敷いてこいとかいうから、市役所あるいは町村役場などになかなか移譲ができないのです。そうしますと、帳面の上ではどこまでもそれは私の所有地なんです。それにはやはり税金を払わなければならぬ。ただし人が通っておる、そういう道路がこの中に含まれないとすると、新開地などでは非常に困る。至るところで、自分の土地に車を置いて何が悪い、こういう理屈が生まれてくると思う。今の大臣のような言葉で、それは公共の用に供するのだから、そこでもいけないということになりますと、これは私有財産との関係がかなり無理になりはしないか。他人の道路に置くことはよくないかもしれません。しかし、道路自身の土地の所有者が所有者の車を置く場合に、それもいけないということが言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/45
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046・齋藤昇
○齋藤国務大臣 現在でも、御承知のように道交法では駐車禁止もできることになっておりますので、その点は、公共の用に供しておれば、その限度において所有権は制限をせられておるというのは、道交法と同じ解釈であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/46
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047・門司亮
○門司委員 道交法の解釈と同じだと言われると、少し問題が出てくる。道路と道交法の関係というのは、道交法のできているのは道路の維持管理でできた法律ではないのです。道路上におけるいろいろな問題を処理するために道交法ができているのです。従って、その場合は、それが私道であろうと、いかなるところであろうと、公道と目される、あるいは私道であっても、公道の性格は十分になくても、人が通って公に公開されておれば、これはやはり道路交通の関係から、人間が交通しているのですから、その地上におけるいろいろなできごとというのは、当然取り締まりの対象になるかと思う。しかし、事所有権に関する問題にぶつかってきますと、なかなかそういかないのではないか。私の土地に私の車を置くのがどうして悪いのかということになる。そういうのが出てきやしませんか。これは都市計画か何かできちんとして、道路予定地だという路線に入っておればまだしも問題は少なかろうと思いますけれども、最近の郊外の新開地に行ってごらんなさい。ほとんどと言っていいほど道路が私道です。これは土地されておりません。私はそれを心配するのです。だから、この法律に言っている道路というのは、どの程度までを指さしているのか、どの程度までそれに監視ができるのか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/47
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048・齋藤昇
○齋藤国務大臣 この法律は、やはり道路交通の疎通をはかるという趣旨も持っております。従って、道路交通法によるいわゆる駐車を禁止するということとうらはらになるわけでありまして、長い間の駐車をしていることが、結局自動車の車庫がわりに使うということになるわけでありますから、私道でありましても、駐車禁止ができるということは、私道の所有権を侵すわけではないわけでありますから、駐車の禁止がもっときびしいので——もっときびしいといいますか、その一態様と見れば、社会作用としては見れないことはない。同じ作用を持っておるわけでありまして、道路交通の疎通をよくするという趣旨でこの法律を作っておるわけでありますから、従って、所有権の問題は、これは先ほどおっしゃいます道路交通取締法においても、あるいはそういうような感じを持たれるであろうと思います。この法律においても同じ感じを持たれるであろうと思いますが、いやしくも公衆の交通の用に供しております以上は、その交通の用に供している方途によって使われなければならぬので、その限度においては所有権が制限をされるのは当然だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/48
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049・門司亮
○門司委員 どうも大臣の答弁は、私はふに落ちかねるのです。その点がはっきりしていないような気がする。なるほど公共の用に供しておるから道路とみなすのだというならみなして、他人の車を置くということについてはどうかと思いますが、その土地の所有権者がそこに自分の車を置く場合は、そういう理屈が出てきはしないか。今までの判例その他から見ますと、たとえばそれが私道であっても、奥に他人の家が何軒か建っておる、そこまで行くのにはどうしてもそこを通らなければ、先の住宅の使用ができないのだという場合に、地主が意地悪くそこにかきねをするというようなことについては、これは行政上の措置で、そういうところにかきねをしてはいけないとかなんとか言われておるようですけれども、そういうものと違った形が、ここには必ず出てくると思うのです。時間も何ですから、あまり押し問答しても、大臣の答弁ははっきりしませんが、その点をある程度はっきりしていただきませんと、さっき申しましたように、公道にまだなっていなくても、地図の上では一応都市計画の路線にでも予定されておるということならばまだしもであります。だから、こういう法律をお出しになるならば、地方自治体に対しても、道路の問題についてはことさらに関心を持って、そしてできるだけ公道に直していくというような方針をとりませんと、つまらないところでいろいろな問題を起こしやしないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/49
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050・齋藤昇
○齋藤国務大臣 ただいまの点は、問題の起こらないように、十分地方の方に懇切に通達その他の指導をいたして参りまして、門司さんのおっしゃるようなことのないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/50
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051・門司亮
○門司委員 それからもう一つの問題は、先ほどから議論になっておることだと思いますが、駐車場は実は持っておる。だから許可を受けておるということです。この場合、主として自分の所有地における駐車場が、大体これに当てはまることだと思う。しかし、たまたまどこかへ出かけていって、そこには駐車場がなかった。しかも、そこで一日なり半日なり相当時間用事をしなければならぬというときに、車をどこに置くかという問題が必ず出てくると思う。愛知の車が東京に来てうろうろするようなことがあるかもしれませんし、あるいは大阪の車が来ておることも最近はありますが、そういう場合の処置は、一体どういうふうな形になるのかということです。だから、この法律に基づいて、地方自治体に対して、公共の駐車場というようなものを適当な場所に適当な広さで設けさせるということができるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/51
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052・齋藤昇
○齋藤国務大臣 この法律には、そういった駐車場を設けさす、あるいは助成をするという規定は入っておりません。ただ、実際上の措置といたしまして、そういう指導をし、助成をし、やって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/52
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053・門司亮
○門司委員 そうだとすると、かなり実態に沿わないものが事実上できはしないか。なるほど、昼間一日使って、夜間使わなくなって公道に放置された車——放置すると言うとおこられるかもしれませんが、置きっぱなしの車がたくさんありますが、それらの問題の取り締まりはこれで整理できると思いますが、日常の取り締まりは困難ではないか。置く所がなければどこに置くかということであって、車を一日じゅううろうろそこらを運転して回っておるわけにいかぬと思います。だから、どうしてもこういう法律をお出しになるとすれば、一方には、そういうものの不都合のないような処置を地方の自治体なりに、特に私は地方の自治体と言いたいと思いますが、ある程度義務づける、という言葉が行き過ぎならば、行政上の措置を考えてもらうということが、やはりこの法律の中で書かれておく必要がありはしませんか。そうしないと、完全なものにならないと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/53
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054・齋藤昇
○齋藤国務大臣 実際問題といたしましては、おっしゃる通り、その点が事実上の問題として一番むずかしい問題になるだろう、かように考えております。従いまして、公共の駐車場をふやす、それについては助成をする道も考えて参る。そしてこの取り締まりは、一年後に地域を指定して取り締まりをするということになりますが、その取り締まりをする地域を指定する際にも、そういうことを勘案しながら地域を指定いたして参らなければ、今おっしゃるような非常な不便を起こすであろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/54
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055・門司亮
○門司委員 そうすると、そういう処置が、私は、この法律を見ただけではできないような気がするから、お尋ねをするのです。具体的の問題としては、地方の自治体にはいろいろあろうかと思います。けさの新聞の神奈川版では、神奈川県ではそういうことを考えて何とかやっていきたいということを、警察本部と県の関係の諸君が集まって相談しているようです。でありますから、こういうものが、具体的に、各地方で自主的に行なわれる可能性はあろうかと私は思う。それにいたしましても、やはり法律の中でそういうものが考えられて、そしてそれには経済的の援助をするとかというようなものがなければならないということと、この駐車場にいたしましても、非常に問題を起こそうと思いますので、一カ所に車がみんな集まるというと、その付近の人たちが迷惑をするという、土地の反対もあり得ると考えられる。私は、地方の自治体の状態を見ると、こういう施設は自治体でやろうとすれば、実際はできるのですね。ところが、それにいたしましても、今考えられているのは、学校の校庭だとか公園だとかということが一部に考えられているということが新聞に出ておりますけれども、これは非常に危険だと思います。どうしても自治体としてはその危険を避けるために、ある一定の場所を、有料にするか無料にするかはそのときの情勢で別の問題として、少なくともそういう処置を講じなければ、本人が持っておるのに、車庫だけを義務づけてみたところで、今日の交通状態をこれで緩和するわけにはいかない。従って、私は、この法律は少し寸足らずじゃないか、もう少しはっきりしたものにする必要がありはしないかということでお尋ねをするわけでありますが、そういたしますと、大臣の今の答弁では、将来そういうことを研究してはっきりさせるということですが、私は、この法律の通過の過程において、もしでき得ればどこかにそういう条項を入れて、万全の策をこの際講ずべきではないか。ただ車を所有しておる者だけを対象にした法律では、今日の目的の達成は完全に行なえない。いやみを言うようですけれども、どうも警察の諸君が集まれば、取り締まりだけを厳重にすれば、それで問題が解決するようにものを考える、運輸省は運輸省で、車の持ち主だけにそういう義務づけをすれば片づくという、そういう考え方ではいけないと思うのです。これはやはり警察ともよく話し合いを願って、地方自治体とも話し合いを願って、そうして万全を期されることを強く大臣に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/55
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056・齋藤昇
○齋藤国務大臣 ただいまの御要望の点は、政府として十分留意をいたして参りたいと考えております。今国会において御通過を願いました駐車場法の改正、これを満度に使いまして、ただいまおっしゃいますような間違いがないように、一般に不便をかけないようにいたしながら、地域を指定して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/56
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057・簡牛凡夫
○簡牛委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにこざいませんので、本連合審査会はこれにて終了いたします。
午前十一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003874X00119620425/57
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