1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 森下 國雄君
理事 北澤 直吉君 理事 野田 武夫君
理事 福田 篤泰君 理事 古川 丈吉君
理事 松本 俊一君 理事 岡田 春夫君
理事 戸叶 里子君 理事 森島 守人君
安藤 覺君 池田 清志君
宇都宮徳馬君 椎熊 三郎君
正示啓次郎君 竹山祐太郎君
床次 徳二君 田中織之進君
松本 七郎君 井堀 繁男君
川上 貫一君
出席国務大臣
外 務 大 臣 小坂善太郎君
出席政府委員
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 島村 武久君
外務事務官
(アジア局長) 伊関佑二郎君
外務事務官
(経済局経済協
力部長) 甲斐文比古君
通商産業事務官
(通商局長) 今井 善衞君
委員外の出席者
総理府事務官
(経済企画庁調
整局参事官) 羽柴 忠雄君
外務事務官
(経済局経済協
力部技術協力第
一課長) 斎木千九郎君
通商産業事務官
(通商局経済協
力部長) 井上 猛君
専 門 員 豊田 薫君
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四月二十日
委員加藤勘十君辞任につき、その補欠として田
中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十八日
軍縮協定締結及び日韓会談打切り等に関する請
願(岡良一君紹介)(第四三七七号)
同(田中武夫君紹介)(第四三七八号)日韓会
談即時打切りに関する請願外三件(井岡大治君
紹介)(第四五九一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
海外技術協力事業団法案(内閣提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/0
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001・森下國雄
○森下委員長 これより会議を開きます。
海外技術協力事業団法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/1
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002・田中織之進
○田中(織)委員 昨年の予算の審議に関連をいたしまして、第二分科会で昨年の二月二十七日に私が主として外務大臣に対して質疑を行なったのでありますが、そのときに、各省関係にばらばらになっておる海外経済協力、低開発国に対する援助、またその中心をなす技術援助等については、国として一元的な総合的な実施について考えねばならないということで意見も申し上げたわけでして、私ども社会党が持っておりまする大会、これは第十三回大会、今から約十年前でありますが、その大会で決定をいたしました和栄政策という方針がございまするので、それとの関連で若干質疑をいたしたのでございます。そのときに外務大臣も約束をせられました実行の一端として、今回海外技術協力事業団法が政府提案で国会の審議を求められてきたことは一つの進歩だと考えるのでございます。
以上この法案の内容について少しく伺ってみたいと思うのでありますが、それに先だちまして、この海外技術協力あるいは低開発国援助に対する基本的な考え方について若干外務大臣にお伺いをしてみたいと思うのであります。
ちょうど昨年の私の質問のときに申し上げたのでありますが、私ども社会党の考え方といたしましては、考えの基調を日本国憲法に置いておるわけでございます。憲法の前文が示しますように、日本国民は諸国民の公正と信義に信頼をいたしまして自国の安全と生存を保持しようと決意した。この立場に基づきまして、日本は軍備を持たない、戦争をやらないということを憲法の明文において規定しておることは御承知の通りでございます。その考え方の上に立ってやはり海外への経済援助あるいは技術協力という問題も考えなければ、それは魂の抜けたものになるのではないかということが私どもの一番心配をいたす点でございます。その点から、私どもの党が唱えておりまするいわゆる積極中立の立場と、現政府並びに歴代の保守党政府がとって参りましたところの、世界の二大陣営の一方に身を寄せて、そしてそれとの地域的な集団保障形式によりまして日本の安全を保持していこうという考え方との間に、その意味で憲法の精神を尊重するかしないかという大きな分かれ目が出てきておるのでございます。
〔委員長退席、福田(篤)委員長代理着席〕
いずれこの問題については逐次伺って参るのでありますが、それにもかかわらず、残念ながら、今日二十数万の陸海空軍を持ちまして、昨年の防衛関係の法律改正によりまして、これもはっきりと、かつての軍国主義時代の軍隊の呼称、編制というようなものも踏襲いたしまして、今日日本も、もちろん明らかに自衛のためという大きな制限を受けておりまするけれども、軍備を持っておるという事実はいなめないのでございます。従いまして、私は、この協力法に対する私どもの態度をきめるためには、前段に申し上げました憲法の精神との関係をどうするかという問題があるのでありますが、ここでお伺いしたい一つの問題は、先月の十四日から、御承知のように、ジュネーブで十八カ国によるところの軍縮会議がようやく再開せられる運びになってきておるのであります。これに対して東西両陣営からいろいろな提案がなされまして、この軍縮会議がはたして何らかの成果を得て終結するかどうかということについても、いろいろ見方がございまするが、私どもの立場からいたしまするならば、やはり日本もこの軍縮会議に参加すべきではないか。これは、あるいは政府の考え方は、日本にはいわゆる諸外国におけるような軍隊を持っていないのだから、その意味で、膨大な軍事力を持っておる国々の間の軍縮会議というものに、いわゆる軍備を持たない日本が参加する必要はないではないかという御意見もあるいは述べられるかもしれないと思うのでありまするが、私は、ただいま申し上げましたように、すでに日本には二十数万の防衛力があり、その装備力、兵力の実体から見まするならば、戦前の常設の軍隊よりも強力なる火力、攻撃力を持っておると防衛庁当局が自負しておるような、いわば実質的軍隊を持っておるのであります。その意味で、やはり、軍備を持っておる国々の会議だというこの軍縮会議の中に日本が入っていけないということにはならないと私は思う。それから、かりに憲法の規定の点から見て、戦争放棄、外国との間には軍事的に事をかまえないという建前から見ましても、不戦憲法を持っておるという日本の立場から見ましても、世界各国をして日本にならった形において戦争放棄をやらせるということが日本の平和外交の基調でなければならぬと私は思うのであります。そういう観点からいたしましても、この軍縮会議に日本は参加すべきだと私は考えるのでありますけれども、実は残念ながら構成員の中に入っておらないのであります。
そこで、外務大臣にお伺いをしたいのは、この軍縮会議に対して、日本政府としてどういう考えを持っておるか、あるいは一般的に軍縮というものに対して日本政府の考え方というものはどこに置いておるのかということ、それから、第三に、今ジュネーブで開かれておる軍縮会議に、私が申し上げた観点からいたしましても、日本が参加する大きな意義があると私は思うのでありますが、参加するための努力をなされたのかどうか、まずこの点について外務大臣のお考えを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/2
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003・小坂善太郎
○小坂国務大臣 まず、日本の平和憲法によって、わが国が国際紛争を解決する手段としての戦争をしない、これを放棄しておる、あるいはまた、日本が全く領土的な野心がないというようなことにつきましては、非常にこれは周知徹底しておると私には考えられるのでございまして、私のところへ見えますアジア・アフリカ諸国の代表者は非常にそのことを強く言われ、それなればこそ大いに日本との間に経済・技術の協力をしたいということを言っておられるのでございます。この点につきましては、田中さんもさきにお触れになりました和平政策、このお考えはまことに私も同感でございまして、ただいま御審議をいただいております海外技術協力事業団法案、これは、そうした気持において作られ、そうして、この東南アジアにおける各国の繁栄に寄与し、そのことがまたわが国の繁栄にもなることであって、これはわが国自身としてもどうしても深く東南アジアの民族の気持の中に溶け込んでいくということが必要であって、その意味で、こうした技術・経済の協力というものが非常に重大なことである、こう考えておる次第であります。これをまずもって申し上げておきたいと思います。
ただいま御設問の十八カ国の軍縮会議の問題でございますが、これは、当初、御承知のように、東西両陣営において五カ国ずつ国が出まして、そして軍縮会議をやっておったわけでございますが、昨年から新たに八カ国を追加する、こういうことになりまして、第十六回総会におきましても、日本をこの国の一つに加えようという話が出たのでございます。しかしながら、これはソ連側において拒否をされた、こういうふうに承っておるのでございます。もちろん、私ども、そういう機会がございますれば、こうした軍縮会議に参加するということはけっこうなことであると思っております。
われわれがこの会議に対してどういう働きかけをしているかということでございますが、私どもの考えておりますことは、すでにたびたびの機会で申し上げておりまするように、軍縮そのものはどうしてもしなければならぬけれども、まず実行可能なものから始めたい、それには、軍縮というのはいろいろ入り組んだ問題がございますので、まず核実験の停止協定から始めたい、これはぜひやってもらいたい、こういうことでいるわけでございます。先般国会の御決議もございまして、私どもはそれを待つまでもなくやることでございまするが、特にこれは国民一致の要望でございますので、現在核を保有している米、ソ、英、仏、これ以外の他の軍縮会議の参加国すべてに対しまして、わが方の考え方を伝えまして、そうして、ぜひ管理を伴う有効な核実験の停止協定ができることを望んでいる気持を伝えた次第であります。私どもは軍縮の目標はさように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/3
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004・田中織之進
○田中(織)委員 第十六回総会において、日本も参加さしたらどうかという意見が一部から出て、日本もそういう機会があるならば参加したいと思っておる、しかしソ連からの拒否にあって実際に参加しておらないということでございますが、その点は、現在日本の政府がとっておる態度、特にアメリカとの間のいわゆる二国間の軍事同盟的性格を持つ安保条約により、日本には、なお米軍の多数の基地が存在しておる、こういうような関係が、ソ連側が日本の軍縮会議への参加拒否の一つの大きな理由としておるところではないかと私は想像するのであります。その点は、私らの立場においても、特に私どもが主張する国際的な中立主義の立場から見まするならば、日本の現在の外交政策の基調というものは残念ながらそういうカテゴリーに入りませんので、東西両陣営から五カ国ずつということになるならば、西側陣営の中の一国として参加するということでなければ、現実問題として中立国のワクの中に入るわけには参らないこともわかります。しかし、私がここで指摘をいたしたい点は、ソ連側におきましても、今ジュネーブで取り組んでおられるような一般の軍縮とは別な形において、やはり各国は、その問題についての結論が出ないまでも、各国が現在使っておるところの軍事費を世界の各国がすべて何割かの圧縮をいたしまして、それを一つ国際連合に供出をすることによって、たとえば低開発国に対する援助というようなものについて国連を中心に積極的にやったらどうか、こういう提案がグロムイコ外相から、これはたしか一九五八年九月十八日でありますけれども、実はなされておるのであります。少しその趣旨と申し上げますと、周知のように国々の軍事予算を歩調をそろえて削減しようという提案がすでに軍縮の話し合いの間に触れられた、しかし、この提案は他の諸問題と結びつけて触れられたにすぎず、そして、そのように結びにつけられたためにその協定の達成が困難になったのである、本総会では、ソビエト政府は、軍縮に関係した他の諸問題について協定できてもできなくても、それとは無関係に実施されるべき独立の措置としてこの問題を検討することを提案する、もしわれらが軍縮についての話し合いがはまり込んだくるぐる回りの輪から抜け道を見出そうとするならば、どこかでこの輪を突き破らねばならない、こういう実は提案というか発言がなされておるのであります。同様な提案は、現在アメリカの国連代表になっておるスチブンソン氏が、やはり同じ年に、すでになくなられましたが、ダレス国務長官のおる席で同じような発言をなされ、その後スチブンソン氏がソ連を訪問されたときに、フルシチョフ首相その他とも会って、こういうようなことも話し合いをされた。
〔福田(篤)委員長代理退席、野田(武)委員長代理着席〕
さらにさかのぼりますと、一九五五年の七月に、これもジュネーブ会議でありますけれども、当時のフランスの首相のフォール氏から、これは米英仏ソの四大国でありますけれども、それぞれの軍事支出を削減し、これによって浮いた金額を低開発国の援助に振り向けらるべきだという提案を行ないましたが、これも日の目を見るに至らなかった、実はこういう経緯があるのであります。後ほどまた科学技術の問題に関連して申し上げる世界科学者会議における同様趣旨の提案もあるわけでございますが、これは、今ジュネーブで討議をしている一般的軍縮の問題、あるいはその重点として外務大臣が御答弁になりましたところの、特に核兵器の禁止という問題に重点を置いたこの会議の姿に対して、日本としても、いわば深い関心を持っておるので、そういう会議に参加する機会が与えられるなら積極的に参加したいという外務大臣の御意思のように承ったのでありますが、私が今申し上げたように、すでに一九五五年以来、フランスあるいはイギリスの関係におきましても、あるいはアメリカの現在の国連代表であるスチブンソン氏にいたしましても、また、ことしの会議に参加することを拒否したというソ連側においても、一九五八年、グロムイコ外相が一般軍縮提案を切り離した形において実はこういう提案がなされております。
私どもといたしましては、こういう観点から見て、やはりこれはある意味から見れば軍縮のなしくずし的なものになることになるのではないかという考えを持つのでありますが、こういう立場に立って、この軍縮会議等の場に日本が参加することのために日本がさらに積極的な努力をする、あるいは、単なる日本の立場というものは、やはり不戦憲法というのがあるのでありますから、そういう立場を全面的に押し出して、盛んに日本の外交の基調は国連中心主義だということを強調されるのでありまするから、各国が持っておる軍事費というようなものはそういう意味で年々何がしかずつでもそれを節減したものを国連に持ち寄りまして、そうして有効に低開発国の援助あるいは技術協力というような方面に努力すべきではないが。後ほどまた法案に直接関連して伺いますけれども、国連は、現在、いろいろな低開発国に対する国連としての援助、技術協力、こういうようなことを行なっておりまするけれども、残念ながら、その活動資金と申しまするか、財政的な裏づけにおいてきわめて貧弱な状態にあるのでありまするから、そういうものをさらに強化するという意味において、まさに一石二鳥と申しまするか、そういう効果が期待せられるのではないかと思うのでありますが、そういう点について、外務大臣として、今後日本政府の方針としてこれを推進していかれるお考えがないかどうか、また、そういう点に立って今後検討せられるお考えがあるかないか、この際伺ってみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/4
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005・小坂善太郎
○小坂国務大臣 国連が世界平和のための唯一しかも最高の機関であるという趣旨からいたしまして、軍縮の問題自身も国連で扱われる。同時に、後進国の開発の問題も国連の大きな仕事であるわけでございます。軍縮の点につきましては、第十六回総会の直前に米ソ間で原則的な合意ができましたことは、われわれも非常に明るい希望を持つところでございまするが、一方、そうした軍事費よりも経済援助に各国が金をよけいに出す、そういう考え方が望ましいことは、これは言うまでもないことでございます。国連といたしましても、経済社会理事会、これは非常に大きな分野を持つ理事会になっておりまして、日本もECOSOCの関係としては理事といたしまして非常に重要な働きをいたしており、あるいは委員長となりあるいは理事となって活躍しておることは御承知の通りであります。国連自身で後進国開発援助資金あるいは国連の拡大援助計画というようなものも持っておりまするが、一方において、二国間の協定、たとえばコロンボ・プランというものによってこれをやっていく、あるいはエカフェというようなアジアの地域的なものに対する国連の援助というような各種の機関があるわけでありまするが、われわれとしましては、世界平和を、過去の苦い経験にかんがみて、またその反省の上に非常に強く希望しておる日本といたしましては、新しく登場した南北の問題とも言われているいわゆる後進国開発援助の問題に対して、非常な努力を傾けていきたいということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/5
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006・田中織之進
○田中(織)委員 確かに、国連の経済社会理事会でありますか、そこで、柿坪大使から、日本の戦争放棄の憲法の趣旨から敷衍いたしまして、日本は軍備を持たないということによって利益を受けた世界最初の国民だ、こういうような発言がなされておるのであります。しかし、私どもの立場から見まするならば、その発言はけっこうだと私は思うのです。その発言がけっこうだということになれば、現実に、日本の二兆五千億の本年度の予算の中においても、その約八%に近い二千億になんなんとするところの軍事費を使っておる自衛隊というもののあり方について国内的に反省するとともに、そういうような軍備を持たないということの利益を享受しておる国民だということになりますれば、私が前段に申し上げたような観点に立ちまして、国連を通じての、あるいはそれへ参りまするまでの過程といたしまして、日本としては、この法案の審議に際して現われておりますように、年間にいたしますると、三十六年度で二十五億程度のものが特に技術協力あるいは技術援助というような面で国の予算が支出されておるのでありますけれども、そういうようなものも、たとえば自衛隊関係の予算に比べますると、まさにその一%にも当たらないような零細な金額に相なるのであります。そういう点から見て、今外務大臣がお述べになりましたような形で、世界唯一の平和機構としての国連を中心として特に低開発国に対する経済援助あるいは技術協力というような面についてさらに努力するということは、私、ここで実は法案を拝見いたしまして、また法案の提案説明を伺ってみましても、残念ながら、私が今述べておりまするような立場のスピリットというか、そういうものが実はにじみ出てきておらない。今外務大臣もお述べになられて、私はあげ足をとるのではありませんけれども、それらの後進国が経済的に開発をされて参りまするならば、それはやはり日本の経済の発展というようなものにもはね返ってくるということですが、それは結果としてそういうことは期待されますけれども、どうもそういうものを期待してやるということになりますると、極端な言葉になるかもしれませんけれども、技術の輸出であったり、あるいは日本の経済的な進出の尖兵的な役割を果たさせようとするのではないか、こういうところに私は問題が起こってくると思う。
〔野田(武)委員長代理退席、委員長着席〕
勢い、そういうような非難なり誤解なり、そういうようなものをさせない意味においても、もう少しこの問題については積極的に考慮する必要がある。現実に、国連関係のことについても後ほど伺いまするけれども、外務省からいただいた資料によりますると、国連関係もあらゆる分野でわずかばかりの金をもってあっちこっち手をつけているというような実態だと私は思うのでありますが、今日すでに百カ国にもまさに手の届く加盟国を持ちまして、中華人民共和国の問題が解決をいたしまするならば、文字通り世界の唯一のいわゆる平和機構としての国連が確立せられようという、こういうときに、片一方また、先ほどから申し上げますように、軍縮会議というものが、あるいはその事前に米ソ間のある程度の意見の一致を見ておるのでこれが成功するのではないかということを期待されるというただいまの外務大臣の答弁から見ましても、それと裏腹の関係においても、もう少し、一つの魂を込めた立場においての、国連を中心といたしまするこういう低開発国に対する援助あるいは技術協力というような体制をしくべきでないか、このように考えるのでありますが、この点について重ねて外相の所信を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/6
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007・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私の申し上げたことが少し舌足らずであったようで、恐縮に存じまするが、私としましては、日本としては、ことに東南アジア、われわれの近隣の諸国に対しまして、われわれとしてはできるだけのことをして、経済的に開発すべきものは援助していきたい、こういう気持であるわけでございます。しかし、この諸国がりっぱに経済的に開発されるということは、よってもって、かえって日本としても、近隣の諸国が繁栄するということによって、日本自身も利益を受けるところがあろう、こういう意味を申し上げたのでございまするが、決して、われわれが少しばかりのものを出して、おつりの方を大きく取ろうというような気持では毛頭ないつもりでございます。さような気持でもって、私どもは国連におきましてもできるだけの協力をする、こういうことでやっておりまするが、実は、日本の国連支出金というものは本年二・二七%受け持つということになっておりますが、これは世界で第六番目の負担である、かようなところに行っておるわけでございます。われわれの財政もなかなかとこまかく配分されておりまして、この面に対して特に大きくということも、各役所からのバランスの問題等もありましてなかなか困難な点もございまするが、私どもといたしましては、国連を通じての経済援助協力というものに対して、極力、財政の許す限り大蔵省とも折衝いたしまして協力して参りたい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/7
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008・田中織之進
○田中(織)委員 その点については、昨年の三月の何日だったか日にちは明確に記憶いたしませんが、アメリカの国連担当の国務次官補であったかと思いますが、クリーブランド氏が、やはり、国連警察軍ということになりまするといささか語弊があるのでありまするが、実は新しい提案をなされておるのであります。それもやはり大いに考えなければならぬ問題ではないか。なお、これは昨年のことでありますが、三月五日にケネディ大統領が平和部隊への自由諸国の参加を求められたときにも、私どもは、やはり、それはアメリカの平和部隊に自由国家の一員としての日本が参加するというようなことではなくて、それはやはり国連を中心にすべきだ、アメリカも、思い切って、そういうものを、アメリカの言う平和部隊にいたしましても、国連へ供出する、こういう立場に立ってこそ初めて意義があると考え、その場合にも、私ども当時の党の政審会長の成田君とともに大卒官房長官にお会いをいたしまして、やはり日本もそういう呼びかけを受けたという立場になればむしろ国連を通じてやるべきだということを提案いたしたのであります。そして、先ほど申しましたように、これはたしか昨年の三月の二十八日だそうでありますが、クリーブランド国務次官補が、米、英、仏、ソ、ブラジル、日本、インドなどの青年によって構成する国連主催の平和部隊の創設ということを示唆するような発言をなされておるのであります。しかも、との部隊は、国連のユネスコ、教育科学文化機構、あるいはILO、国際労働機構、世界保健機関、国連食糧農業機関などのワク内で活動するものとして、私が先ほど申し上げておりまする現在の国連関係のこういう低開発国に対する技術あるいは経済援助協力というようなものをさらに一本化するという考え方のもとに提案をされているもののように私どもは受け取るのであります。この点から申しますると、私どもの党が考えておりまするいわゆる、再軍備にかわるものといたしまして、科学技術による世界平和への奉仕隊というものをわれわれは出そう、こういう考え方と考えにおいて共通するわけでありますが、重ねて外務大臣に、現在国連に対する財政分担というものも世界で六番目の負担を現実に行なうまでに進んできておるのだということでしたが、しかし、国連のこれらの技術協力の機構というものも、外務大臣もお認めのように幾つかに分かれておるのでありますから、これをさらに強力なものにするためにも、もっとこれを強化する体制を国際的にもやはり取り上げるべきではないか、そういう点において、日本政府として、先ほどの経済社会理事会というようなものもその意味において重要な発言の場ではないかと思うのでありますけれども、そこで積極的に国際的に呼びかけをする御熱意を持っておられるかどうか、伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/8
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009・小坂善太郎
○小坂国務大臣 経済開発に関する諸機関が国連の中で幾つかございます点について、もっとこれを統合し能率的なものにしたらどうかという御意見は、私も傾聴をいたしたいと存じます。実は、お話にもございましたように、ECOSOCの理事会にアメリカからの平和部隊に供出の件が提案されたこともございますが、これについてわが国も前向きで検討をいたしておるわけでございます。ただ、国連自身につきまして、経済的にはさような面で各国協力の気持が非常に強く盛り上がりつつあることは非常に喜ばしいことでありますが、全体として、やはり東西両陣営の抗争が国連の中に持ち込まれて、むしろこれが宣伝の場にされるというようなきらいも一方にあるのでございまして、さような点から相互不信というようなものもこの国連の場において最近非常に顕著に現われておるのであります。こういう状況を、何とか一つ、真に世界平和を守るための最高唯一の機関としての国連の実体に沿うようにしたいということは、私ども常々非常に強く希望しておるところでございます。さような方向に向かって極力わが国としては努力したいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/9
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010・田中織之進
○田中(織)委員 その点については、原則として御賛成をいただいたのでありますから、今後一つ大いに努力をしていただきたいと思うのであります。
そこで、先ほどちょっと触れましたが、日本の非武装中立という私どもの考え方、これは、憲法の前文あるいは第九条の点から見て、私どもは、国内的に実はこれは解決しておる問題だ、こういうように現在も理解をしておるのであります。しかし、現実には、先ほどからたびたび申し上げますように、自衛隊というものを持って、実質的な軍隊を持っておるし、中立という点については、外務大臣も、この間、「自由」という雑誌の二月号を拝見しますと、渡辺元世界銀行の理事でありますかとの対談で、社会党の言う中立というようなことは、少し今の国際情勢を考えれば成り立たないということについてもう少し考えるべきではないかと言って、皮肉たっぷりな発言をなされておるのも私は見たのでありますけれども、憲法の前文で、先ほど私が読み上げましたところの、諸国民の公正と信義に信頼し、自国の安全と生存を保持しようと決意したとありまして、そういう立場に立って憲法が制定されているのであります。日本の立場は、これによって日本の安全を保持しようということで、そのためにやはり日本は軍隊を持たないという第九条が生まれたように私どもは理解するのです。しかも、この憲法ができたときに、当時のマッカーサー連合軍最高司令官の声明の中に、日本をアジアにおける永世中立国とするのだということがあったということによりましても、私は、やはり、少なくとも憲法が制定された当時はこの考え方であったと思うのであります。しかし、それはいわゆる日本の安全を保持するということであるわけなんですから、国内におけると同時に、対外的な関係におきましても同じような考えを持たなければならぬ。その点から見れば、日本の憲法のような考え方の上に立って、他国の安全にも協力し、時に国際連合の平和、安全保障に協力するということが、この前文の、諸国民の公正と信義に信頼をして自国の安全を保持する、こういう精神の裏の意義として当然出てくるのではないかと、このように私は考えるのです。私どもは、そういう立場に立ちまして、特に国連の平和安全機構に対する積極的な協力の面といたしましては、先ほどからも申し上げておるのでありますけれども、科学技術によるところの奉仕隊というようなものを派遣することを考えてはどうかと思うのです。これは後ほどこの法案の対象になっておる国々の問題についても触れますけれども、東西両陣営にまたがりまして、こういう日本の科学技術による奉仕隊を派遣するというような考え方が、一番その意味で憲法の精神にのっとったものではないかというふうに考えるのです。ところが、この憲法前文の解釈の問題から、日本が自国の安全ということを認めようということになりますならば、ことに現在すでに日本が加盟をしておる国連が世界の唯一の平和機構ということで、国際紛争のたびに、たとえばコンゴの問題あるいはスエズの問題等におきますいわゆる国連軍の出動というような場合に、私らは、これは国連憲章の四十三条でありますか、免責規定に従いまして、軍事的にこれに参加しなければならないことは免除せられるという考え方の上に立っておるのでありまするけれども、多くの論者は、日本が平和憲法で戦争放棄をやって軍隊を持たない、こういう建前になっておるから、そういうような場合に国連警察軍にも軍隊を供出することはできないではないか、そういうようなことは不都合だということで、憲法を改正する、あるいは自衛隊の海外出動というようなものも国連警察軍であればいいではないか、こういうようなところに議論を持っていこうという動きがあることは私どもも承知をいたしておるのでありますけれども、私は、くどいようでありますけれども、憲法前文、第九条の精神からいたしまするならば、日本が戦争放棄をすることによって日本の安全を保持しようとする考え方を世界各国に推し広めようという考え方の上に立ちまするならば、やはり、科学技術によるところの世界各国への奉仕、こういう考え方というものを推し進めなければならない、このように考えるのでありまするが、重ねてこの点についての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。この点が、もし私どもの考えの基本的なものを取り入れてもらえるならば、私は、先ほど外務大臣が言われましたように、国連の中における経済開発に対する協力あるいは技術援助というようなものをさらに強力化するというようなことについて日本としてもさらに積極的な役割を果たせるゆえんではないか、このように考えるのでありますけれども、外相の御所信を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/10
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011・小坂善太郎
○小坂国務大臣 現在の、国際情勢の見方、あるいは局地的紛争というものを解決しなければならないような場所が所々に起きておる、こういうようなことからいたしまして、いわゆる軍備を持つ国それ自身に対して、わが方としてどういう説得をすべきかというようなことについては、これはまたいろいろ意見の分かれるところかとも存じまするけれども、いずれにいたしましても、そうした国際紛争が起きるということの大きな部分は、貧困あるいは疾病あるいは生活の困窮、そういうことが原因でございまするから、やはり、全部を豊かにする、世界の全人類を豊かにするということが、われわれ人数として大きな目標であると思うのであります。そういう意味で、私どもは、われわれの許す限りにおいて、海外経済・技術協力、これは資本のみならず技術的な協力をしていくということを非常に大きく考えておるわけでございまして、今回ここに御審議をいただいておりまする技術協力事業団というのも、われわれの気持の現われでございます。ただ、国連に対してどういう働きかけをするかというようなことは、今申し上げたような理念に立って協力を働きかけるのでございまするが、われわれとしては、われわれのやるべきことをやって、しかも、こういうことをわれわれがやっておるということにおいて説得力も強くなるわけでございますので、実は、私はこの海外技術協力事業団というものをここに発足するということについては非常に大きな期待を持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/11
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012・田中織之進
○田中(織)委員 外務大臣は、別の機会にも、特に国際情勢の把握の仕方、局地的な戦争の危険があるという現実の認識について、私ども社会党と外務大臣との考え方がだいぶ開きがあるということを絶えず口にされる。たまたま今も出たのでありますけれども、私は一つここで外務大臣に申し上げたいのでありますが、それは、ちょうど四月十日号の世界週報に載っておるのでありますが、アメリカのエール大学の心理学部のロバート・リフトン教授が、日本の軍事評論家の大井篤氏の軍備賛成論、実はこれに対する批判を書いておるのであります。大井さんは、御承知のように軍事評論家として異色ある存在でありますけれども、やはり、外務大臣と同じような、少なくとも核兵器の異常な発達の段階においては全面戦争はあり得ないけれども、局地戦争はあり得るのだ、そういう立場において、日本もやはり軍備を持たなければならぬという論者でありますが、それをロバート・リフトン教授は批評をいたしまして、「私は、大井氏の態度こそは、政治的軍事的思考の中で理性という基本概念を歪める世界いたるところの一般的傾向の一つの現われだと思うので、あえて大井氏の説に反論を試みてみたまでである。日本人こそは、その戦争と平和の経験から、全人類の生き残る最善の方法を見出す基礎が理性にあるということをわれわれはすべてに認識させることのできる立場にある」、こういうように、アメリカの心理学者でありますけれども書いております。
〔委員長退席、松本(俊)委員長代理着席〕
これは、特に日本が世界唯一の被爆国である、そういう立場に立ちまして、先ほどから私が引用いたします日本国憲法というもの、こういう点からいたしまして、当然、日本の国民というものは、まあ極端な言葉かもしれませんけれども、国際情勢がどうあろうと、たとい局地的な戦争の危険が迫っておろうとも、日本が、やはり過ぐる戦争の末期に原爆というものを受けて、そのショックがまださめやらぬときであったかもしれませんけれども、少なくとも昭和二十二年に不戦憲法を施行し、やがて来月の三日が憲法発布の記念日でありますけれども、この新憲法が生まれたという立場に立ちますならば、外務大臣はきわめて現実的な御見解のようですけれども、私は、極端な議論をすれば、どういうきびしい国際情勢があろうとも、やはり日本の進む方向というものが、過ぐる第二次大戦争の特に終末における痛ましい経験から見て、平和憲法を振りかざして世界に呼びかけるということが、やはり日本の外交の基調でなければならない、こういう考え方の上に立っておるわけでありますが、今ここでは、外務大臣と論争する場ではありませんので、私のその点の考えを申し述べるにとどめまして、次に進みたいと思うのでございます。
そこで、これも今までの質問で一応尽きているようなことになるのでありますが、直接法案についての質疑に入りたいと思うのであります。
低開発国に対する経済協力あるいは技術協力、技術援助、こういうようなものが必要だという点は、先ほどからの外務大臣の御答弁によってわかるのであります。改まって伺うようでありますけれども、この海外技術協力事業団法を制定せられる根本理念というか、基本的な考えというものをもう一度あらためて伺いたいと思うのであります。これは、直接法案を提案せられるいわゆる魂というか、スピリットに属する部分でございますから、記録にとどめたいと思いますので、伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/12
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013・小坂善太郎
○小坂国務大臣 わが国といたしましては、アジア地域その他開発途上にありまする海外の諸地域に対しまして、どうしてもこの地域が繁栄をしていただくことが、これはひとりその地域住民の熱望であるのみならず、大きくアジアの平和、世界の平和という観点から見まして非常に必要なことであると考えまして、従来いろいろ分かれてそれぞれの機関でやっておりましたことを統合いたしまして、政府ベースの技術協力の体制を一元化して、それを能率的にしかも有効に、しかも相手国に喜ばれるような体制で進めたい、かような考え方が基本でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/13
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014・田中織之進
○田中(織)委員 そこで、法案には、「アジア地域その他の開発途上にある海外の地域」、こういうことが対象地域としてあげられておるのでありますが、これは具体的とはどこどこをさすのか、この点をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/14
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015・小坂善太郎
○小坂国務大臣 これは、ここに書いてございますように、アジア地域、その他開発途上にある中近東、アフリカあるいは中南米諸地域全域にわたるわけでございますが、その間口ばかり広げられませんので、主としてアジア地域ということになろうかと思います。しかし、もちろん、他の地域を排するものではございません。ただ、国交のない国に関しましては、これは政府のやることでございますから、適用がないというふうになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/15
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016・田中織之進
○田中(織)委員 そうすると、開発途上にある海外の地域というものはほとんど全部を網羅するという考え方であるが、勢いアジア地域に重点を指向したい、こういう意味に受け取れるのでありますが、それは予算等の関係もあってそういう制約を受けることは私はやむを得ないと思うのであります。そのうちで中南米関係もあげられたのでありますけれども、たとえばキューバというようなもの、これもアメリカに言わせれば共産主義陣営の国だということになっておるのでありますけれれども、率直に言って、中南米諸国と同じように経済的にはやはりおくれた国だと思うのであります。こういうキューバというような問題、あと、たとえば朝鮮人民共和国あるいはベトナム民主共和国、こういうような関係も当然対象に入らなければならないのではないかと私は思うのでありますけれども、その点は、政府ベースのことで、特に二国間協定、あるいは何らかの国際的な取りきめに基づいて行なう政府間ベースのことであるから、国交未回復のところは別問題だという答弁で、その点については重ねて伺おうとは思わないのであります。たとえばキューバ等のように日本が国交を持っておる地域はどうなるのか。それから、従来の関係から見て、後ほど伺いますけれども、たとえば、アメリカの第三国開発計画でありますか、その関係等については韓国が入っておるわけであります。率直に言って、韓国は厳密な意味における国交回復をしている国だというわけには参らないと思うのであります。ところが、すでに外務省等から出された資料によりますと韓国が入っておるように見受けるのでありますが、その点についてはいかがでしょうか。これは事務当局からでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/16
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017・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいま御指摘のように、国交関係にない国々からは原則として受け入れておりません。ただ、韓国の場合は、これは非常に近い国でありますので、便宜上、アメリカの第三国計画によって、これは主としてアメリカは経費を負担しておるのでありますが、アメリカに頼まれて便宜上ごく少数の者を受け入れております。
なお、キューバにつきましては、従来一、二名研修生を受け入れました実績もございますし、将来とも、キューバからは、要請があれば、わが方としては、もちろん他の地域からの要請ともにらみ合わせまして、余裕のある限りはこれを受け入れていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/17
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018・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、こういうカテゴリーというか分類の仕方は私自身もあまり賛成をしないのでありますけれども、低開発国という関係につきましては、将来の問題になりますが、率直に申し上げまして、中華人民共和国等も、アジアに位置して、少なくとも現在の水準から見ますれば経済的には低い位置にある、このように見るのでありますが、これは国交回復後の問題ということになりますし、ある意味から見れば、こういう面からも国交回復を推進せられることが好ましいと思うのでありますが、中国を初めといたしまして、先ほど申し上げましたベトナムあるいは朝鮮人民共和国、その他、今後もまだ植民地的な支配から脱却をして独立をするであろう、あるいは形態は社会主義的な政治形態をとるかもしれないような国々につきましても、国交回復というものが行なわれて何らかその間において政府間協定というものが取り結ばれる可能性があれば、そういうところをもあえてこの事業の対象として、将来の問題になりますけれども、加えていく考え方でございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/18
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019・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、国交が回復いたしますれば、政府ベースの技術協力をなし得る基礎ができるわけでございます。先ほどから申し上げましたように、ただ、わが方の予算も限られておりますので、世界各国からの要請をどういうふうに振り向けるかということにつきましては、おのずからわが方で諸種の見地から方針をきめまして割り当てるわけでございます。しかし、国交が回復すれば、共産圏からの要請に対してもこれを排除するというつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/19
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020・田中織之進
○田中(織)委員 予算の制約もございましょう。しかし、その点については、前段に外務大臣と三、四質疑応答いたしましたように、日本の立場から見るならば、むしろ積極的にこの面を強化していかなければならぬ。経済的なはね返りというものを期待しないでも日本がこれをやらなければならぬということを申し上げておるので、その点の制約は克服して、将来国交が回復するということになりますならば、共産主義陣営も、今協力部長のお答えになったような形で話し合いがつくならば積極的に技術協力体制をしいていいのだという考え方を今後も貫いていってもらいたいと私は思うのであります。そうでありませんと、たまたま、昨年の十一月の十九日でありますか、共産党の機関誌のアカハタの日曜版によりますと、東南アジアをねらう日本の平和部隊という中に、この法案が意図しているところのものはいわゆる反共体制を東南アジアに打ち立てるための一つの尖兵的な役割を持たせるものだ、こういうように書いておるのであります。どうも、そういうように誤解される部分が、平和部隊に関するアメリカ側のいろいろな声明だとか発表だとかいうようなものの中にもなきにしもあらずだと私は思う。そういう意味で、特に国交未回復のところは別でありますということで、それは現在のこの法案の建前から見て除外されたことはやむを得ないのでありますが、将来の問題としてぜひやはり加えていかなければ、何か反共政策の一環だというような考え方を持てばこの技術協力というものが死んでしまうことになるので、その点を申し上げたわけであります。
たまたま、今月の二日の毎日新聞の三ページでございますけれども、「米平和部隊の一年」という中に、チリ南部に入られましたトム・スキャンロン君の記事が出ておるのであります。その中で、この青年が話をしているのに、先ほど外務大臣も触れられたのでありますけれども、特にチリ南部等のおくれた農民に、少なくとも経済的な恵みを一日も早く与えるという観点で平和部隊のこの青年が活動しておるので、非常に働きがいがあると申しております。まるきり、農民のことでありますけれども、自分の生産物というようなものも買いたたきをされて、日本にも米作り米食わすということわざがありますけれども、作った生産物の利益を享受することができない農民たちに、農民としての、生産者としての自覚から指導しておるという記事が出ておるわけであります。そこにたまたまこういう言葉がございます。「僕たちは共産主義を打倒するよりもカンペシーノの生活を助けるために戦っているつもりです。もし僕たちの仕事が人間の悲惨に対する人間の同情から出たものでなく、共産主義への恐れが動機だとしたら、僕たちは決して成功しないでしょう。」と言っておる。カンペシーノというのは農民のことです。私が先ほどから質問の形で申し上げている点について、海外技術協力事業団から派遣する技術専門家というようなものは、ある意味から言えば平和部隊の日本版だ、こういう言葉を自民党の方でも使っていることがあるようであります。かりにそういうことになりますならば、先ほどの経済協力部長の答弁もちょっと気になります。予算の制約があるから、多数の希望があっても、こちらは選択の自由があるわけでありますけれども、どうも、自由主義陣営、少なくとも中立的というようなことに限られて、こういう精神が死ぬような結果になるおそれなしとしないので、この点についてはやはり特段とお考えをいただきたい。
さらに、こういう面を通じて、たとえば日中の国交回復の問題も非常に困難な事態が続いておるわけでありますけれども、こういう面を通じて国交回復への道を推進していくことも一つの行き方ではないかと思うのであります。この点について外務大臣のお考えを承っておきたいと思うのであります。
〔松本(俊)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/20
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021・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私の海外技術協力事業団に対する気持はお聞きいただいた次第でございますが、私ども、アジア諸地域に対してわが技術を使ってもらうという場合、一番手っとり早い、これがまた重点であると思っておりますことは、やはり農業技術指導であろうかと思うのであります。やはり、日本の生産性の高い米作、これを米食地域であるアジア諸国の間に普及するということは、これはまずもってその地の農民の生活を豊かにすることであるわけでありまして、こういう点については非常な期待をかけておるのであります。また、一部行なっております従来からのこの種の協力についても、非常に喜ばれておると承知いたしております。ただ、この事業団が行ないますものは、やはり、政府間協定によって行なうものでございますから、そこにおのずから制限があるわけでございますが、今私の申し上げたような気持をいかにして理解してもらい諸国の間に広めていくかということは、これはまた別の問題でございまして、そういう点についても別の方法でできるだけ考えて参りたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/21
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022・田中織之進
○田中(織)委員 その点については、私の申し上げた趣旨からもお考えをいただくよう特に希望を述べておきます。
次に、主として二国間方式に基づく政府間ベースの技術援助の実施機関として事業団が設立されるわけでありますが、現在国際的な協定あるいは取りきめによって二国間で行なっている技術援助は大体どの範囲になりましょうか。実は資料もいただいておるのでありますが、あの資料はほかの皆さんにもお配りになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/22
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023・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この法案の二十条を見ていただきますと、事業団の行ないます事務が出ておるわけでございます。第一項第一号、「国の委託を受けて、次の業務を行なうこと。」、「イ」としまして、「アジア等の地域からの技術研修員に対し技術の研修を行なうこと。」、この点について、お手元に差し上げました「研修生計画別、年度別業種別受入実績総括表」、これは大体過去におきましてやってきた受け入れの実績でございます。このように、コロンボ計画、中近東アフリカ計画、中南米計画等々によりまして、業種別には農林畜産、水産、土木建設、鉱業重工業等々というふうに分けられておりますが、この事業団が発足いたしまして、三十七年度の予算におきましては昨年より若干研修生も受け入れの人数がふえまして、昨年度は九百二名受け入れたわけでございますが、千七名を受け入れるということになっております。それから「口」の「アジア等の地域に人員を派遣して技術協力を行なうこと。」、これは、同じくお手元に差し上げております「専門家計画別、年度別、業種別派遣実績総括表」、大体これによって従来やってきました形がおわかりになると思いますが、明年度はこういう方式で専門家の派遣は総計百六十二名、ただ、それに家族が参りますので、百八十名分の予算を見てございます。今年度が百三十五名でございます。それから次に、「ハ」に、「アジア等の地域に設置される技術協力センターに必要な人員の派遣、機械設備の調達等その設置及び運営に必要な業務を行なうこと。」というのがございますが、これは、「海外技術訓練センターの現状」という資料をお手元に届けてございます。従来すでに予算がつきましたものが十カ所ございますが、さらに明年度は三カ所新たに設置する予算がついております。次に、「二」に、「アジア等の地域における公共的な開発計画に関し基礎的調査を行なうこと。」、これは、国連等でも投資前の基礎調査あるいは投資前の技術協力といわれておるものでありまして、相手の開発計画に関して基礎調査を行なうということでございます。この関係の従来の実績は、御承知のように、メコン川の調査、また国際建設技術協会が行なって参っておりますたとえばインドの国鉄交流電化計画調査あるいはシリアのヘジャース鉄道復旧計画の調査等々がございます。今年度はさらにこのほかに五千五百万円の予算がついております。
大体おもなる事業はそういうことでございますが、さらに、第二号にございます「技術研修員のための研修施設及び宿泊施設を設置し、及び運営すること。」、それからまた、前二号の業務に附帯する業務、また、そのほか随時第一条の本事業団設置の目的を達成するため必要な業務を行なうことができるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/23
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024・田中織之進
○田中(織)委員 私は特に質問に関連して資料をいただいておりますが、この問題は、私の方の党の関係の諸君でも今後の検討なりそういうものにやはり必要がありますから、資料はできれば委員の皆さんに全部お配りしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/24
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025・森下國雄
○森下委員長 全部お配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/25
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026・田中織之進
○田中(織)委員 そこで、いただきました資料の関係で一、二伺いたいのでありますけれども、この中には、「その他アジア地域計画」というのがございますが、別に私が持っております昨年の八月の外務省の調査月報によりますと、北東アジア技術協力計画というのがございます。これは同じ内容のものだと思うのでありますが、その外務省の調査月報によりますと、昭和三十五年から開始され、これは派遣人員、受入人員等もわずかでございますけれども、しかも直接のなには中華民国、台湾だけのようになっておるのですけれども、これは、台湾政府との間にやはり取りきめが行なわれて、それに基づいて実施されておるのか、これはあとの日米合同第三国訓練計画の場合にも響くのでありますが、こういう場合の協定あるいは取りきめというのは外交的にはどういう形になるのか、国会への承認手続の点はどういうことになるのか、この点を伺っておきたいと思います。日米合同第三国訓練計画とも関連してお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/26
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027・甲斐文比古
○甲斐政府委員 実は、この研修生の受け入れあるいは専門家の派遣につきましては、一々協定というものは作っておりません。先方政府から口頭あるいは文書で申し入れがある場合に、大多数の場合は文書でございますが、申し入れがあります場合に、それを両方で検討して派遣をするということでございまして、いわゆる国際協定という、協定、条約の形はとっておりません。ただ、訓練センター設置につきましては、こまかい免税その他の特権の問題を取りきめなければなりませんので、一応行政協定を結んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/27
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028・田中織之進
○田中(織)委員 予算は、たとえば北東アジア技術協力計画で三十五年度わずかに二百七十万円程度のものでありますけれども、こういう取りきめ等に基づいては、やはり相当の予算額が、人員がふえるに伴いまして出ることになると私は思うのであります。それで、事業団法がありましても、政府予算で委託をする関係の事業をやるわけでございまして、協力事業団の予算等の問題については、毎国会予算に関連して国会の承認を求めるということになるのでありますけれども、私は、技術センターに限らず、この種のものについては、やはり一つの外交上の協定という形で、しかも国民の財政負担を伴うのでありますから、それは少なくとも繁雑でありましょうけれども承認を求めるような手続をとらなければいけないのではないか。あるいはそういうことについては予算のときに国会で承認を求めておるのだからいいという答弁があるかもしれませんけれども、そういうことになりますと、私はやはり予算審議にあたって少なくともその当該年度に予想されるようなものについてはかなり詳細出さなければいけないと思うのです。そういう点について特に問題になるのは、今私が伺ったことでお答えにならないのでありますが、日米合同第三国訓練計画の関係であります。外務省の調査月報によりますると、この計画に基づいてやはり相当な人員を各方面から受け入れておるのでございます。これは六一年の三月三十一日現在でありますけれども、千五百二十四名、派遣の費用はアメリカが負担するということになっておる。しかし、それの受け入れの施設なり若干の費用というものは、三十五年の日米間で新たに締結された協定に基づいて日本が負担するということになっておるので、たとえば、三十六年度は幾らで、三十七年度は幾らか、三十七年度はこれからのことになるのでありますけれども、この第三国訓練計画に関する予算が幾らかということも伺いたいのでありますが、特に、こういう関係は、ほかの二国間方式のコロンボ計画で日本とそれぞれやっておる関係も受け入れの対象国はダブっていることになるのです。そういうことにいたしますと、すでにこの委員会を通過して今参議院に行っているのですけれども、ガリオア・エロアの返済金の一部を東南アジアの経済開発、協力というような面に使うということを交換公文で条件がついたようでございますが、そういうような関係からして、私が先ほど質問したことと、日本の技術協力、技術援助というものがどうもアメリカの出店のような、アメリカとはまるきりうらはらな関係になっておるような印象を与えるということになると私は思うので、今までの分は過去のことでございますけれども、今後の問題といたしましては、特に日米の間で、アメリカの第三国訓練計画に日本がこういう形でやるということは、今度日本にも事業団ができて、いわゆる政府間ベースで相当積極的に意欲的にこの問題に取り組もうという立場になれば、やはり検討されなければならない問題を含んでおるのではないか、このように考えるのでありますが、この点についてはできれば外務大臣からお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/28
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029・甲斐文比古
○甲斐政府委員 相当技術的な問題になりますので、大臣にかわりまして私から御答弁させていただきたいと思います。
逆になりますが、まず日米合同第三国訓練計画の力から御説明させていただきたいと思います。これは、本来アメリカが自分の予算で自分の国に連れていくべきものを、むしろこれらの諸国と日本との関係を緊密化するという意味で、主たる経費負担は自分の方でやるが、しかし、日本で若干その一部を負担して、いわばアメリカのふんどしで日本が東南アジア諸国に対して技術協力をするということになるものでございまして、決してアメリカの指図を受けてやるのではございません。むしろ、アメリカ側が好意的に、日本も経費がかかることだから、本来は、アメリカが自分のところへ連れていって自分でやれば、アメリカとこれらの諸国の間の親善関係の増進、あるいはひいては経済的なはね返りもアメリカにだけ落ちるが、これを自分の負担においてむしろ日本に連れてくる、それはまたこれらの諸国にとりましてもアメリカで技術研修を受けるよりも日本で受けた方がむしろ実益があるという点も考慮されておるわけでございまして、本来から言えば、これらの人数を全部日本側の全額負担で予算を取れればいいのでございますが、そこまでの余裕がないものでございますから、せっかくアメリカも金があることですから、これを使わせてもらっておるという現状でございます。
なお、三十六年度におきましては、四百名受け入れるにつきまして、わが方の予算支出は千三百五十二万円で、結局一人四万円足らずでやっておるわけであります。それに対して、アメリカが負担しておりますのは、多くの旅費がかかりますのでその十倍以上の金を使う。また、三十七年度におきましては、同じく四百名でございますが、若干単価を上げて待遇をよくするために千六百万円となっております。
それから、先ほどお話がございました一々国会の承認を得よということでございますが、個々のケースについて国会の承認を得るということは、とうてい事実問題としてできないととでございます。また、先ほどもお話しのように、すでに国会の御承認を得ました予算のワク内でわれわれは行動しておるものでございます。あるいは予算の審議のときにもう少しやっていただくということには、いつでもわれわれ喜んで御答弁申し上げたいと思いますが、一々個々のケースについて国会に諮ることはできないので、御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/29
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030・田中織之進
○田中(織)委員 これはやはり財政法との関係もございまして、外務省関係だけに限らず、予算が承認されればいいのだという形で、たとえば厚生省関係においてもこの間私ども取り上げたのでありますけれども、支出のための法律に基づかないということになれば支出というものが行なわれぬことに相なるので、法律にかわるものとしての国際間の取りきめというようなものがあるということになれば、これは何らかの形で国会の承認を得なければならない性質のものだと思うのです。そこで、その意味から見て一つの便法として私は申し上げたのでありますが、予算審議のときに質問してくれればいいではないかという態度ではいかぬと私は思います。そういうことになれば、少なくとも、この費目の内訳はこうだ、あるいは次年度においてこういうようなところが予定されるというものは、予算請求をされる省から積極的に出るということになればよろしいのでありますが、各省ともに、最近は予算で承認されればという形でやっておりますが、予算に承認されただけでは、ほんとうは、財政法上の考え方から言えば、私はそれは支出はできないと思うのです。やはり、法律的な根拠があって、予算に組み入れられてこそ初めて支出をされるので、この点については事務的に非常に繁雑になることは考えられますし、継続的なことになりますれば、一番最初のときに国会の手続をとって参りますれば、少なくともそういう協定なり取りきめに基づいて継続的に行なわれる関係については、単年度ごとのものはその必要はないと思うのでございますけれども、私はその必要が出てくるのではないかと思うのです。特に、日米合同第三国訓練計画の問題については、極端に言えばアメリカのふんどしで日本がやっているのだということになるわけでありますが、これらの地域に対しましては、日本独自の立場でやはり何らかの形のものが現在取り組まれておるわけでありますから、これは、私は、今後の問題としては、日本の独自の関係に切りかえて、アメリカ関係のものはアメリ関係として、これはアメリカで独自にやっていただく、あるいはそういう関係のものがあるならば、それぞれ、対象国と、韓国にしても、台湾、カンボジア、セイロン、インド、インドネシア、ネパール、こういうような関係から、この関係はやはり日本が受け入れる、こういうことにすべきであると思うのですが、アメリカがちょうど日米合同第三国訓練計画と同じように日本以外の国との間でこういう協定を結んで進めておられるところはほかにはおありですか、どうですか。——すぐおわかりにならなければ、なお来週もこの問題の審議は進みますから、そのときでもお答えをいただいていいと思うのであります。一つの問題だと思いますので、その点は一つ御検討をいただきたいと思うのであります。
そこで、次の問題として、わが国の技術援助、これは古いことは伺いませんが、大体三十六年度の関係から見て、量的には全体としてどの程度になるか。先ほど私は外務省の資料で二十五億何千万円かの数字を拝見をいたしたのでありますけれども、大体そんなものですか。その内訳はどういうようになっておりますか。特にその関係で民間の企業体あるいは民間団体でやるものに対しては補助金その他の形で助成もなされておると思うのですが、それが幾らございますか。特に民間への補助の関係については、内訳がわかりますれば御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/30
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031・甲斐文比古
○甲斐政府委員 従来外務省が技術協力関係に支出しております予算は、三十六年度におきましては、アジア協会、ラテンアメリカ協会、国際建設技術協会、それからメコン調査会に対する補助金、委託費その他といたしまして大体八億二千万円、今お話の出ました二十五億とその残額約十七億というものは、これは分掛金としていろいろな機関に出しておるものであるというふうに思います。三十七年度におきましては、この八億二千万円の予算が大体三億六千万に増額されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/31
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032・田中織之進
○田中(織)委員 三十六年度の二国間方式による技術援助計画のための支出は約九億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/32
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033・甲斐文比古
○甲斐政府委員 三十六年度は八億二千万です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/33
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034・田中織之進
○田中(織)委員 それから、国連関係の拠出金は幾らですか。十三億ばかりですか。先ほど甲斐部長が述べられた民間団体への交付金というか補助金というか、そういうようなものが約三億八千万円入っておるという意味に了解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/34
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035・甲斐文比古
○甲斐政府委員 昨年度におきましては、国連の後進国経済開発技術援助拡大計画及び国連の特別基金に対する拠出金といたしまして六億五千六百万円支出されております。その他、アジア生産性機構の拠出金として千五百十六万円、それから、アジア生産性機構分担金として千三百十四万円、コロンボ計画の分担金が二百十万円、国際連合分担金が八億五千八百万円、おもなところを拾ってみますとそういうことになります。これは昨年度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/35
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036・田中織之進
○田中(織)委員 できれば、そういうようなことについての明細の資料が出せれば出していただきたいと思います。特に三十七年度についても大体見当がつく。実は、私の方でも和栄政策に基づく具体的な計画を今策定を進めておるので、参考にいたしたいと思いますので、お願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/36
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037・森下國雄
○森下委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/37
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038・森下國雄
○森下委員長 速記を始めて。
それでは、残余の質疑は次会に譲ることとして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02519620420/38
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