1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十五日(水曜日)
午後二時十七分開議
出席委員
委員長 森下 國雄君
理事 北澤 直吉君 理事 野田 武夫君
理事 福田 篤泰君 理事 松本 俊一君
理事 岡田 春夫君
愛知 揆一君 池田 清志君
宇都宮徳馬君 宇野 宗佑君
齋藤 邦吉君 椎熊 三郎君
正示啓次郎君 田澤 吉郎君
高橋 等君 竹山祐太郎君
床次 徳二君 稻村 隆一君
黒田 寿男君 田中織之進君
帆足 計君 細迫 兼光君
玉置 一徳君
出席国務大臣
外 務 大 臣 小坂善太郎君
出席政府委員
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 島村 武久君
外務事務官
(アメリカ局
長) 安藤 吉光君
外務事務官
(経済局経済協
力部長) 甲斐文比古君
外務事務官
(条約局長) 中川 融君
委員外の出席者
総理府事務官
(経済企画庁調
整局参事官) 羽柴 忠雄君
外務事務官
(経済局経済協
力部技術協力第
一課長) 斎木千九郎君
通商産業事務官
(通商局経済協
力部長) 井上 猛君
専 門 員 豊田 薫君
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四月二十四日
委員田澤吉郎君辞任につき、その補欠として富
田健治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員富田健治君辞任につき、その補欠として田
澤吉郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
委員安藤覺君、田中織之進君及び井堀繁男君辞
任につき、その補欠として高橋等君、勝間田清
一君及び玉置一徳君が議長の指名で委員に選任
された。
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本日の会議に付した案件
海外技術協力事業団法案(内閣提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/0
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001・森下國雄
○森下委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。
昨二十四日の外務委員打合会におきまして、沖繩に関する問題について、琉球立法院議長の長嶺秋夫君、琉球立法院議員の大濱国浩君、同じく平良幸市君の主君より意見を聴取し、質問を行なったのでありますが、その内容の詳細は記録してございますので、本日の会議録に参照としてその記録を掲載することにいたしたいと思いますが、これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/1
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002・森下國雄
○森下委員長 御異議なしと認め、さように取り計らうことにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/2
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003・森下國雄
○森下委員長 海外技術協力事業団法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/3
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004・田中織之進
○田中(織)委員 前回に引き続いて海外技術協力事業団法について質問を申し上げたいのであります。私ども、この法案に関係をいたしまして、前回も質問申し上げましたように、全面軍縮、特に核実験の禁止についても、これをむしろ推進することを前提として、そういうような体制ができた場合の世界の安全と平和を確保するために日本の科学技術によるところの国際奉仕というものを考えたらどうか、こういう立場でこの法案の審議に当たっておることは前回も申し上げた通りでありますが、そのことに関連をいたしまして、まだ私も確認をいたしておらないのでありますが、その前提になる核実験の問題につきまして、御承知のように、アメリカの実験再開が今月末に迫っておるわけであります。このことについて、午前中午前中入りました外電関係から見ますると、一応ソ連側から、中立国からの核実験停止に関する提案がなされそれを討議する間アメリカの実験再開は待たれたらどうか、こういう提案がなされ、アメリカ、イギリスといたしましても中立国の提案についての討議に入ることには賛成されましたけれども、アメリカは、特にそれだからといってソ連側から提案したところのこの中立国の提案を討議している間アメリカの実験再開を中止するということには応じかねる、義務的に応ずるわけには参らないという回答をなされておることは外務大臣御承知の通りでありますが、本日午前中の外電筋からの連絡によりますると、いよいよ月末に実験再開について大統領から指令が出た、こういうことが、私もまだ確認をいたしておらないのでありますが、耳に入っておるのであります。そういうことになりますと、今度の実験区域がクリスマス島周辺に拡大をされておりますので、日本の漁業その他航空・海連等すべてに重大な影響を持つので、国民としても、もしアメリカがソ連側の提案を受け入れず、この際中立国の核実験禁止に関する提案を討議する間も実験の再開を強行するということになりますると、きわめて事態が重大になるのではないか、このように心配をいたしまするので、この点について外務大臣がアメリカ方面からどのような連絡を受けておるか、この点をまず最初にただしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/4
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005・小坂善太郎
○小坂国務大臣 核実験の問題につきましては、私ども何とかこういうことをやめてもらいたいと思って努力をしておりますことは先般来申し上げましたし、私もその憂いについては田中さんと同じ憂いを持っておることも申し上げた次第でございまするが、どうも、有効な国際管理を伴う査察という問題につきまして、ソ連側との話し合いがうまく参りません。中立国の提案もございましたのでありまするが、やはり、アメリカとしては、この際ソ連の昨年末からの実験に対して実験をせざるを得ない、こういうことを考えておるようでございまして、われわれとしても、何とかこれをやめてもらって、こういう核実験の停止を査察するという査察の機構あるいは査察の方法等についてもう少し話し合いができるのではないか、また、そういうことに努力せねばならぬのではないか、こういう趣旨でいろいろアメリカ側にも話をしておったのでありまするが、今暁日本時間の六時にケネディ大統領は核実験をするという声明を出したということでございます。このことについては、非常に早くけさ通報がございまして、われわれ、あくまでこれを遺憾と思いまして、これを再考するように抗議をいたして、官房長官の談話も出したような次第でございますが、事態まことに遺憾なことだと考えておる次第でございます。こういうことは、またさらに悪循環を呼んでいくという意味において、非常に困ったことだと言わざるを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/5
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006・田中織之進
○田中(織)委員 私どもが憂えておりました最悪の事態に突入したような感がいたすのでございます。きわめて遺憾なことだと思いますが、中立国の提案がなされましたのに対して、ソ連側がその中立国の提案を討議する間アメリカの実験再開の中止という条件をつけたところにも問題があろうかと思うのでありますけれども、アメリカ側といたしましても、中立国の提案をソ連側と同じように討議しようということを受け入れられたときに、私どもは、アメリカの実験再開については義務的にその討議の間中止するということは受けられない、こういう意味の回答であったと思うので、その点から、義務的ではないとしても、今外務大臣もお述べになったように、何らか中立国の提案を中心に有効な国際査察についての方法が見出されるならば、ここでやはり実験中止の協定へ向いての一つの糸口が開かれるわけでございますから、私は、その意味で、ソ連が提案したような形の、義務的ではないにしても、アメリカ側がやはり、今外務大臣がお答えになったような悪循環をアメリカの手で食いとめる、こういう立場で自発的に討議の期間は少なくとも中止せられるのではないか、日本政府からのたび重なる抗議というものもアメリカが耳を傾けられるのではないかという期待を実は持っておったわけでございますが、ただいま外務大臣の御答弁によりますと、今暁六時にケネディ大統領が指令を出したという通報も日本政府に参ったということでございますが、そのことについては、それは通報と同時に再開をしておるものなのか、あるいは再開までに相当時間的な余裕があるものなのか、その点についての外務大臣の御答弁を伺いたいと思います。
同時に、もし時間的になお余裕があるものということになりますれば、私は、特にアメリカとの深い関係を持ち、今度のアメリカが実験を再開しようとする地域が世界各国のうちで日本が一番関係の深い海域でありますだけに、日本側からは、少なくともこの中立国の提案を討議するその間における打開を期待する意味においてでございますけれども、重ねてアメリカ側の中止を求められるような日本政府としてのさらに強力な手を打たれることが必要ではないかと考えるのでありますが、この点についての外務大臣の御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/6
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007・小坂善太郎
○小坂国務大臣 今暁四時少し過ぎにそうした通報を私ども受けたわけでございますが、通報によりますと、けさ六時にケネディ大統領が声明を出しまして、一連の核実験をいたす、こういうことでございます。おそらく、二十五日といいますから明日になりますが、さようなことになろうというふうな話でございます。われわれとしては、実は、先ほど申し上げたように、できるだけこれを再考してもらうように申しておったのでありますが、さらに重ねてわれわれとしては再考せられたいということを申しておるわけでございます。以上のようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/7
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008・田中織之進
○田中(織)委員 過般私どもの河上委員長が遊説先で、この問題はきわめて重大でありますので、先般実験禁止についての国会の議決が衆参同時に行なわれたわけでありますが、それに引き続いて、軍縮会議の成功を願う意味からも、特にこの問題を含めた国会での新たなる意思表示ということを特に与党の方にも働きかけたいという提案をいたし、さらには、もしそういう事態になりまするならば、これは政府側ともよく話し合いまして、日本の国民があげてアメリカのこの再開を阻止したい、中止してもらいたいという熱願を込めている意味において、全国一斉に、たとい動いておる汽車でもあるいは自動車でも一分間停車をして、あるいは全国の寺院、仏閣等において一斉に鐘を鳴らす、こういうことによって日本国民一億の同胞があげてこの問題についての一致した願いを持っているということを表明することを御相談申し上げたいということで申し上げておったのでありますが、それもできないままに、いよいよ、厳密に申し上げれば明日、しかもあらゆる実験を含めての実験再開ということになることは、全く、何と申していいか、きわめて残念なことだし、あるいはまた、こういうことに対する日本国民のみならず世界の世論にアメリカが背を向けた行為ではないかと私は思う。従いまして、重ねてそういうことについての申し入ればするという意味の外務大臣の御答弁でありますけれども、この点は、外務大臣という立場ではなくて、緊急にきょうは午後にでも閣議を開いていただいて、日本政府からの重ねての要請として、何としてもこれを食いとめていただくように格段の努力をしていただきたいと思うのでありますが、お約束をいただけますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/8
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009・小坂善太郎
○小坂国務大臣 日本政府といたしまして極力この実験再開に至らざるように従来も努力したつもりでございますが、結論的にはこういう事態になりましたことを非常に遺憾に思っておるわけでございます。今後とも努力いたしたいと思っております。閣議その他の方法につきましては、これは日本政府外務省ということで抗議いたします場合は同じことであろうと考えておる次第でございます。開かなくても、このまま抗議いたしましても、その外国に対する効力は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/9
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010・田中織之進
○田中(織)委員 その点については重ねて御答弁を求めませんけれども、最後の瞬間に至るまで日本政府としてアメリカのその意図を中止せしめるためのあらゆる努力を払うという意味において、もちろん、閣議を開かなくても外務省から外務大臣の名において先方へ申し入れれば同じことだということでありますが、たまたま本日午後開かれた外務委員会で私も申し上げて、外務大臣に御賛成をいただいておることでございますので、国民にもその点についてやはり政府が現在の時限においてもまだ望みを捨てないで努力をしているということをわかっていただく意味において、私が申し上げたように、きょう午後適当な時期にあらためて閣議を開いていただいて、その閣議の新たなる決定をもって申し入れていただくように、この点は希望を申し述べておきます。
そこで、本論の海外技術協力事業団法についてなお若干の質疑をいたしたいと思うのでありますが、まず、外務省関係で三十七年度予算でこの海外技術協力事業団に委託事業として行なわせようとしておる事業予算は全体で幾らになりますか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/10
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011・甲斐文比古
○甲斐政府委員 事業委託費といたしまして、十億四千三百五万八千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/11
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012・田中織之進
○田中(織)委員 予算書によりますと、外務省所管で技術協力実施委託費としては五億八千五十七万計上され、そのほかに海外技術センター事業委託費というのが三億四千五百五十一万円、こういうようになっているので、今甲斐部長からお述べになったのと数字が若干食い違うように思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。それは海外技術協力事業団の出資の二億円も含めての意味ですか。私の申し上げているのは委託事業として事業費としての部分が幾らかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/12
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013・甲斐文比古
○甲斐政府委員 事業委託費は、コロンボ計画等技術協力実施委託事業費五億六千二百五十七万円、それから、海外技術センター事業委託費といたしまして三億四千五百五十一万八千円、そのほかに、国際協力事業費といたしまして一億三千四百九十七万円というのがございます。これを総計いたしまして十億四千三百五万八千円になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/13
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014・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、後進国経済技術援助拡大計画及び国連の特別基金の拠出金というものを含めた七億三千六百五十七万のうち事業団に直接渡される部分も含まれているという意味だろうと思うのですが、この後進国経済技術援助拡大計画及びこの計画の関係から事業団に渡される事業費予算というものはどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/14
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015・甲斐文比古
○甲斐政府委員 国連に渡しますのは、これは拠出金、分担金でございまして、事業団の事業費はこれとまた別にプラス今申し上げたものになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/15
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016・田中織之進
○田中(織)委員 この間も同じ外務省の資料で調査月報からとった数字と甲斐部長が申されている数字と若干の食い違いがあったのですが、私が現在持っておる資料と数字が若干の食い違いがあるわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/16
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017・甲斐文比古
○甲斐政府委員 調査月報の資料は去年のものでございまして、今御指摘の御質問の点は今年度の予算でございますから、数字が違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/17
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018・田中織之進
○田中(織)委員 私が先ほど申し上げたのはちょっと言葉が足りないのでありますが、三十六年度までの関係のたとえば二十五億何がしという数字の押え方の問題でも、甲斐部長が前回の委員会で述べられた数字と食い違いがございます。それから、これは予算書から私がとって参った数字でありますけれども、外務省所管の技術協力実施委託費というのは五億八千五十七万、それから海外技術センターの事業費というのは三億四千五百五十一万で、それを合わせましても十億にはならないのです。その点から見て、私が数字をとり違えているのか、甲斐部長が言われている数字がどこから出たのかわからない、こういう意味です。
それから、あわせて伺いますが、この点はどうなんですか。海外技術センター事業費の関係で、通産省関係にあります五千百六十万円というものは、事業団とは関係なく、通産省自体で支出せられる予算なんですか。その点、これも実施上、事業団の所管争いの問題もあったようでありますけれども、ちょっと私どもには理解できないのでありますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/18
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019・甲斐文比古
○甲斐政府委員 通産省についております予算は、ただいま申し上げました事業団の予算とは別のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/19
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020・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、外務省関係のものは、今私が読み上げた関係で、技術協力実施委託費と海外技術センター事業費、それからこの事業団への出資、それから国連関係の後進国経済技術援助拡大計画と国連への拠出金でありますけれども、通産省関係は、今私が申し上げた海外技術センター事業費の五千百六十万円と、技術者海外進出促進事業費というのが三千四百三十六万円、それから海外技術者受入研修事業費一億六千四百十一万円ですか、こういうのが出ておるのでありますが、これらはいずれも事業団とは関係なく通産省関係で支出せられるのでありますか。何のためにこういう技術援助の関係をばらばらにしておくのですか。事業団一本のものにして政府がこういう法律を出された趣旨から見て、第一予算の組み方自体が私はおかしいじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/20
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021・甲斐文比古
○甲斐政府委員 まず、外務省関係の予算はただいま御指摘の通りでございますが、ただ、落ちておりますのが、メコン川の開発事業調査委託費、それから国際技術調査委託費、投資前調査委託費、これは総計いたしまして先ほど申し上げました一億三千四百九十七万円というものがそれに加わるわけでございます。
それから、ただいま御指摘の通産省の予算でございますが、これは民間の事業に対する補助金でございまして、われわれがいわゆる民間ベースのものと称して、今回統合の対象からはずしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/21
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022・田中織之進
○田中(織)委員 外務省関係の分はわかりますけれども、通産省関係で、ことに海外技術者受入研修事業費というのは一億六千四百万円というきわめて多額なものなんです。これは当然事業団でやるべき仕事なので、通産省の関係で予算がついておったとしても、これはやらなければならないものですが、民間でやる技術者の受入研修関係のものを、通産省は通産省で別に施設などを持ってやられるという意味の経費なんですか、その点はどうも理解できないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/22
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023・甲斐文比古
○甲斐政府委員 通産省の関係は、大体五〇%ないし七五%の補助金を、民間でやっておられる事業に対して出しておられます。民間でせっかくうまくやっておられるものですから、これを全部政府に統合する必要もないだろうということで、今回統合の範囲から除外いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/23
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024・田中織之進
○田中(織)委員 それはメコン川の関係であるとかその他の外務省所管の関係で説明は了解できますが、これは、過般の委員会で私が申し上げたように、三国間の協定、政府間ベースの技術協力あるいは援助の問題でありますけれども、御承知のように、やはり、そういう二国間の協定であっても、繁雑であるという点もありますが、国会の承認を得ていないのです。従って、予算がついたからという形で支出するということは、財政法上私は問題があると思うのです。最近どうも池田内閣の各省の関係で、予算書に載っていればという形で、支出のための法律的な処置をとるということがなされないから、特に私どもが問題にしなければならぬ点になる。通産省の関係者もお見えかもしれませんけれども、通産省関係の海外技術者受入研修事業費という名目で、これは補助ということは出ておりません。一億六千四百万を言ってみれば補助金として民間にやるということになりますれば、地方行政団体や何かに対する関係等においては、これは一々自治省の関係では法律が出ているわけなんです。通産省の関係にしてそういう民間への多額の補助金を出されるということについて、予算書に出ているからという形で、法律的な処置を講じないということは、私は財政法違反だと思うのです。そういうことになると、ひいては、二国間協定の問題でも、この間私が取り上げましたように、日米合同第三国計画というようなものは、これは人のふんどしで相撲をとるのだと甲斐部長はお答えになったわけなんですけれども、対象国が、二国間ベースでやる東南アジアの諸国がほとんど対象になっているのですね。それでなくてさえ、ガリオア・エロアの返済金等を東南アジアに振り向けるというようなことが交換文書で条件としてついているのだというのですけれども、この日米合同第三国計画というようなものになると、なおさらまるきり日本政府がアメリカの手先となってやっているというような印象を受けるので、めんどうくさいでしょうけれども、二国間のこういうことについても、国民の税金の支出を伴うのだということになれば、国会へ一々出してもらわなければならぬということにも私はなると思うのです。その点はこの問宿題の意味で私出したのですけれども、何か総合的な基本法のようなものを作っていくとか、そういう形で手数の繁雑を避ける方法は考えられないことはないのじゃないかと思うのであります。問題が出てくると思うのですが、この点についてはどうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/24
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025・井上猛
○井上説明員 先ほどちょっと問題になりました技術者受入研修事業費についてちょっと御説明申し上げますが、本件の予算は一億六千四百万でございますが、内訳をこまかく申し上げますと、実は、民間に参っております補助金が一億五千七百万ばかりございまして、国立研究所にいろいろ政府間の話し合いによりまして低開発国から研修者を受け入れるための費用が六百六十万入っておるわけでございます。従って、民間に対する補助金としては一億五千七百万ばかりの補助金になるわけでございますが、これはも民間の企業がいろいろ海外投資あるいはその他の貿易関係で相手のいろいろな企業との関係において民間同士の話し合いで向こうの研修生を受け入れて研究をやる、こういうことで、具体的に申し上げますと、海外技術者研修協会というものを民間の方で作りまして、そこで研修をやっておるわけでございます。それに対する補助金として今大体七五%の補助金を出しておるわけでございます。そういう費用が一億五千七百万載っております。
法律の関係でございますが、これは、個々の具体的な事業について一々単独法を作るかどうかというような問題がございますが、こういう補助金については、一般的な法律として、例の補助金の適正化に関する法律というようなものがございますので、それに基づいて当然われわれの方は補助金を支出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/25
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026・田中織之進
○田中(織)委員 実はその点は非常に問題があるのです。僕は社会労働委員会でも一つ取り上げたのですけれども、皇太子の御成婚記念の寄付金が千七百万集まった。それを種に、三十五年度に七千万円、ことしは一億円という形で、やはり厚生省関係ですけれども、金を出して、神奈川県と東京都の境に、子供の国という中央児童遊園施設ですか、そういうものを作る。
〔委員長退席、福田(篤)委員長代理着席〕
こういうようなものも、問題は、皇太子の御成婚記念としてわずか千七百万円の寄付金を種に一億という金を出し、全体で完成するまでに二十億ばかり金が要る、そういうようなものについても、やはり、予算書に出ているからという形で、全然法律の裏づけがない。私はその点は問題だということを指摘いたしたのですけれども、井上部長は通産省関係の補助金は補助金等適正化に関する法律にのっとってやるということに逃げられたわけですけれども、これは、財政法の厳密なる解釈の上から見たら、そういう便宜的なことは私は許されないと思う。最近これは外務省の関係だけではなくて各省全般にわたることですから、一つ警告を発しておきます。私どもとしては、後ほど私らのように改められるかどうかということを伺いますけれども、もしそれがいれられなければ、これは反対の一つの大きな理由になりますから、その点を申し上げておきます。
その予算の関係から見れば、これも若干は海外技術の関係になるのでありますが、総理府の関係で青年関係の対策費という形で、政府がやる技術援助というか、そういう関係の費目が総理府の関係に金額はわずかですけれども三項目分ぐらいにわたって出ている。農林省関係もあります。
私は、やはり、政府間ベースのもので、これは事業団の関係は国際的な取りきめあるいは協定というようなものに基づいてやるものというふうに限定している点はわかりますけれども、将来の問題になるかもしれませんけれども、そういう分け方はあまりにも実情に沿わないので、事業団の所管でも、外務省と通産省とに所管の問題が出てきて、そのつど関係大臣に相談するということで話が落ちついたようでありますけれども、これは、わずか二億円ばかりのアジア協会を引き直したような事業団ではなしに、アメリカでも今度ICAだとかその他すべての関係、平和部隊の関係を別にして、この海外技術援助の機関を統合されるのですね。そういう点から見て、日本も勢いそういうことを考えなければいけないのではないかと思うのですけれども、アメリカは、現在のICA、それから開発借款基金ですか、DLF、平和のための食糧計画、ワシントン輸出入銀行の現地通貨業務、これを引き継ぐために国務省内に国際開発局というものを作って、これは、大統領、国務長官に直属し、国務省次官の地位を開発局長官に与え、しかも、この開発局は、長官官房、アジア、近東、南アジア、ラ米、アフリカ、ヨーロッパの四つの地域局、三つの計画部局及び四つの管理部局からなるという非常に広大な計画を立てられておりますし、いただいた資料によりますと、イギリスの関係におきましても、昨年の七月二十四日に技術協力省が設置されて、従来英国の外務省、英連邦関係省、植民地省に分掌していたものを一つにまとめられる。それから、西独の関係、カナダの関係等、それぞれこのいただいた資料で拝見をいたしたのであります。私は、そういう意味で、今度のような中途半端な形でなしに、もっと総理大臣に直属するような部門としてこれを確立すべきではないか、こういう実は考えを持っているわけです。私どもの和栄政策という考え方から言えば、いわゆる国際和栄協力庁というか、そういうような強力なものをやはり作るべきだという考えを私どもの党でも立てておるわけですが、予算の関係、あるいはそれの費用の使い方というようなものを検討して参りますと、政府案で考えておるものについても、早晩そういうものへ向いて発展せしめなければならぬという感じを深くいたすのでありますが、この点についての外務大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/26
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027・小坂善太郎
○小坂国務大臣 海外に対する技術経済協力が非常に重要になっておりますこの段階におきまして、われわれといたしましては、何かばらばらに行なわれているものをできるだけ集約して、より能率的にしたい、こう考えておるわけでございますが、この事業団を作りますについて、いろいろと現実に行なわれております実態とのにらみ合わせにおきまして、とりあえず、この法案において御審議願っておりますように、現在ございますアジア協会とかラ米協会あるいは国建協、メコン調査会というような政府ベースのものを取りまとめまして、まずこれで出発してみよう、こういうことになりましたわけでございます。外務省というものは外国に対する窓口であるわけでございますが、通産省のように国内の経済の実態を指導し監督しておられます省において現実に行なわれておりますいろいろな問題点が多くあるわけでございまして、それらとの間に調整を行ないまして、この段階においてはこういう案を持っておるわけでございます。将来、これをやってみておりますうちに、いろいろ発展的に改良される部面も出てこよう、かように考えておりますが、現在の時点においてはこれで出発さしていただくということに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/27
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028・田中織之進
○田中(織)委員 せっかく私が要求しました資料で、皆さんにもお配りをしておるのでありますが、先ほど申し上げたように、英、米、西独、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、それぞれこれらの先輩国がりっぱな政府機構として持っておる見本を資料としていただいているのですから、日本人の役所のセクショナリズムを一つ克服して、外務大臣あたりは次の年度くらいにはそういうものへ前進的体制をとるように注文をしておきます。
それから、法案に直接関連をして二、三お伺いをしたいのですが、事業団法の二十条の三で、事業団の附帯する業務をあげられておるのですが、附帯する業務ということになると、かなり幅広いものが出てくると思うのですけれども、具体的に附帯業務としてはどんなことを考えられておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/28
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029・甲斐文比古
○甲斐政府委員 直ちにやらなければならない附帯業務というのは、派遣専門家の語学研修あるいは現地事情についていろいろ研修を加えるというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/29
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030・田中織之進
○田中(織)委員 語学研修の問題はきわめて私必要なことだと思うのですけれども、そういう点をひっくるめて、委託業務イ、ロ、ハ、ニと四項目あげておられるわけなんです。そこで、そういう点を含めて、事業団に、協力要員を教育し育成する仕事を委託業務として追加したらどうか、むしろ追加すべきではないか。この点は後ほど科学技術庁の関係者がおられますれば科学技術庁等の関係が出てくるのでお伺いしたいことなんですけれども、やはり、協力要員の確保という見地から見れば、委託業務の点で協力要員の教育と養成というような仕事も事業団にやらせる。別個に科学技術庁あたりで私が先ほど申し上げましたような構想の一環としてやられるということであればおのずから別問題ですけれども、差し迫った問題としてもこういうことが必要になるのではないか。実は、もし修正をできるものならということで、修正条項の中に一つ私どもも考えていた事項なんですが、この点のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/30
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031・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいま御指摘の、派遣委員の確保という問題は、この事業団の行ないます、この事業団を作りました一つの重要な目的になっておりまして、これは実は一項のロ、「アジア等の地域に人員を派遣して技術協力を行なうこと。」、つまり専門家を派遣して技術協力を行なうことという中に、技術要員、専門家の確保という業務も含めて解釈をいたしております。語学研修は先ほど申し上げましたような三号の附帯業務と解しておるわけであります。
〔福田(篤)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/31
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032・田中織之進
○田中(織)委員 語学研修は附帯業務でよろしいと思います。協力要員の確保の問題は、アジア地域だけに限定されて、当面はアジア地域に重点を指向することはもっともなことだと思うのでありますけれども、全体としての協力要員の確保、その教育と養成というようなことについて対策を立てなければ、それでなくてもなかなか協力要員の確保という問題はむずかしい。従って、もうこれはあらためて伺いませんが、資料等で拝見いたしますると、たとえば海外へ派遣する技術協力要員は全体で二百数十名というようなことになるわけなんで、幾ら割引しても、これは日本製の平和部隊だと言うのにはいささかお粗末に過ぎるのではないか。しかし、この間、井上部長にも出ていただきましたし、甲斐部長からもあるいは参事官からも党の政審で事情を伺ったのでありますけれども、現地で指導的な役割を果たせるような技術を身につけた人を確保するというととはなかなか金もかかるし時間もかかるという困難さを聞いておるので、私は、やはり、この問題は、急速にはいかないとしても、事業団というものができて実行の中心になるということになれば、この教育と養成を別個にというか、やはりそういう専門の機関をこの事業団の中に持つような考え方を今後検討を進めてもらいたい。これは要望だけにとどめます。
それから、二十条の四で、こまかいことになるのでありますけれども、「前三号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行なうこと。」と規定しているのですけれども、これは、二十条の一、二、三でいろいろ書いてきて、さらに漏れたものをここで出されて拾い上げるという意味の規定だろうと思うのですが、この二十四条の四に掲げられておる「第一条の目的を達成するため必要な業務」というのは、具体的にはどんなことが予定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/32
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033・甲斐文比古
○甲斐政府委員 本来のこの事業団の業務ではございませんが、現在インドネシアから賠償研修生というのを預かっております。これなどはやはり四号で受けることになっております。それからまた、この事業活動に関連しまして、いわゆる広報活動をやらなければならぬ。これなども四号で読んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/33
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034・田中織之進
○田中(織)委員 なお、細部にわたっては、三十五条の交付金、これは三十七年度はどのくらいお考えになっておるのか伺いたいし、さらに、附則の七条で、現在の社団法人アジア協会の仕事がこの事業団に引き継がれるのでありますが、その関係の細部についても伺いたい点があるのでありますが、ある程度資料が出ておりまするので、その点はもうあらためて伺いません。
そこで、その事業団は、広報活動というようなことも付随してあげられたわけなんですけれども、役員の構成は法律にはっきり理事何名とかいうような形で出ておるのでありますが、大体事業団としての職員は、海外へ派遣する協力要員というようなものを別として、それは大体どのくらいになる予定なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/34
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035・甲斐文比古
○甲斐政府委員 三十七年度におきましては一応百十九名を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/35
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036・田中織之進
○田中(織)委員 三十七年度の交付金は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/36
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037・甲斐文比古
○甲斐政府委員 八千四百十七万円を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/37
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038・田中織之進
○田中(織)委員 このアジア協会の創立されたいきさつも当時私外務委員で承知いたしておるのでありますが、その後の事業内容のことについてもいろいろ批判があることは御承知の通りなんです。そういう点からも、この事業団の運営そのものについてもいろいろ問題が私出てくるのじゃないかと思うのでありますが、その点についてはきょうはあまりお伺いはいたしません。
そこで、この法案と関連いたしまして、経済企画庁からお見えいただいておるならば、これは技術協力の面、政府間関係のものでありますけれども、あなたの方で所管になっておる例の経済協力基金の関係ですね。本年度も基金に産投からですか繰り入れて相当資金が充実されるわけでありますけれども、どうも、予算委員会の討議を見ておりましても、昨年から発足したわけでありますけれども、協力基金の事業内容についてあまり検討されていないし、また、企画庁の方からも協力基金の内容についてはあまり国会側にいろいろ資料その他の形で提出されることも、要求がなかったから出さなかったのかもしれませんけれども、あまり出ておらないのでありますが、昨年度の実績と本年度の大体計画のあらましというようなものをこれに関連して伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/38
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039・羽柴忠雄
○羽柴説明員 全体の基金の出資関係につきましては、現在の資本金は百四億ございまして、これが三十七年度におきましてさらに六十五億の政府出資が行なわれる予定になっております。これを合計いたしますと、全部で百六十九億円となる見通しでございます。
そこで、昨年度、三十六年度におきましていかなる実績があったかということにつきまして御説明申し上げますと、融資と出資とに分かれておるわけでございますが、融資といたしましては二件ございます。一件は、アラブ連合共和国のスエズ運河の浚渫工事の着工準備資金といたしまして、これは水野組が請け負ったのでございますが、全部で三億三千万円という承諾金額になっておるわけでございます。それから、もう一つは、ボリビアの国のカランガス銅鉱山の探鉱費でございまして、これは三菱金属工業株式会社がいたしまして、金額は四億二千万円でございまして、合計いたしまして七億五千万円というのが融資の内訳でございます。次に、出資といたしましては、北スマトラ石油開発協力株式会社でございますが、これにインドネシア共和国の北スマトラ油田復旧開発のための協力事業資金といたしまして出資しておりまして、これが全体で金額といたしまして四億円ということになっておるわけでございます。それで、合計いたしまして十一億五千万円ということに相なっておるわけでございます。
そのほか、第二次出資といたしまして、本年三十七年度におきまして、この北スマトラ石油開発協力株式会社の関係に対しまして三億五千万円を予定いたしております。
そのほか、三十七年度の計画といたしましては、いろいろな内談が出て参りまして、現在いろいろな検討をいたしておるわけでございますが、大体内談状況の要点を申し上げますと、全体で二百八十億円に上りますところの内談が出て参っております。ただ、これに対しましては、全部が全部融資または出資をするということにはなっておりませんで、このうち必要なる部分というものにつきましてはこれから具体化していくわけでございますが、現在のところでは、出資金が百六十九億になりましても、全体として二百八十億にわたるととろの内談が来ておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/39
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040・田中織之進
○田中(織)委員 そこで、三十六年度にやられたアラブ連合のスエズ運河の浚渫工事の関係ですけれども、水野組の内容等についても実は伺いたいのでありますが、いずれこれは後ほどでもいいですから資料で一つ出していただきたいと思います。
そこで、三十七年度の投融資計画について、申し込みを受けておるというか、内談中のものが十六件で、基金からの期待額が二百八十億ですかに上るということなんですが、そういう申し込みは基金の方で直接もちろん受けられるわけなんですけれども、そういうことの最終決定については、これは基金自体でやっておられるものでありますか。基金法の内容も当時は見ておったのでありますが、あるいは付属してそういう審査機関というものが別にできておるのかもしれないと思うのですが、その点はどういうことになりましょうか。今年の資金を入れますれば百七十億近い資金量で、現在までに出ているのは約その一割程度のもの、あと百五十億程度のものがこれから活用せられるわけなんですけれども、そういう点から見て、これは、現実に融資なりあるいは出資なりされる時期に、政府から出されるということでなしに、一応やはり従来の予算できまった出資額というものは基金の方に組み入れられて、基金の方であるいは委託されるなり何なりという形で活用せられることだと思うし、こういうようなものが投融資先の選定いかんによりますと大東亜共栄圏思想の一九六二年版だというようなことの非難も受けかねまじき結果になると思うので、その点から、どういうことが対象になるかということもわれわれとしてもやはり国民にかわって関心を持たざるを得ないのですけれども、その間の事情はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/40
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041・羽柴忠雄
○羽柴説明員 この海外協力基金で出資または融資をいたします案件は、まず市中銀行もしくは輸出入銀行におきまして貸付が困難であるというような案件につきまして海外経済協力基金を使う、こういう建前になっておるわけでございまして、もちろん各案件につきましては為替管理法上のいろいろな許可というものは必要でございますが、この具体的案件につきまして、この経費を出すか出さないかということの決定は、経済協力基金の業務方法書に従いまして、経済協力基金で独自に決定をいたすという建前になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/41
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042・田中織之進
○田中(織)委員 たしかこの基金の最高責任者は柳田さんでしたか、理事の顔触れを見ましても、そういう経済界の事情には精通された人を据えられておると思うのです。これはもちろん政府との緊密な連絡は内面的にはおありなのだろうと思うのですけれども、基金自体でやられるということになりますと、われわれはたまたま審議の機会に出される資料によって基金が現実にどういうような会社を通じてどういう国のどういう事業に対して金を出しているかということを知るよりほかに方法がないわけです。その点については経済企画庁としても特に十分注意をしていただかないことには、賠償問題でも、先年インドネシア賠償の問題に関連をいたしましたように、日本の業者が賠償関係のものと結びついて、極端な言葉で言えば、国際的な汚職というか、フィリピンでも問題になっているような関係が出てくる。ことに、経済協力の関係の資金の融通というような形で多額の国民の税金がそういう面に振り向けられることになると、これはわれわれが万年野党でおる関係からひがみじゃないかとあるいは与党の諸君から笑われるかもしれませんけれども、これは私はいろいろの問題を含むと思うのです。この点については本題と直接関係はございません。関連してのことでありますから、警告を発する程度にとどめたいと思うのであります。
そこで、最後に、科学技術庁の担当者がお見えでございますれば、これはほんとうは三木長官においでをいただいて伺いたいと思うのでありますが、先週の委員会からおいでいただいておったかとい思いますので、あるいは私が外務大臣との間で質疑応答を申し上げたので、私どもの考え方をお聞き下さっておると思うのであります。特に、科学技術庁は、海外への技術協力、技術援助、こういう点になりますと、結局海外へ派遣する協力要員の確保については一番責任のある役所になろうかと思う。あるいはまた、海外の低開発国から日本で技術を修得したいというような人たちを受け入れてそれに教育をしていくというようなことについても、先ほど私事業団法の業務の中にそれを入れろという点を申し上げたのでありますが、これは科学技術庁として特に考えていただかなければならぬ問題になろうかと思うのであります。これは大臣でないとあるいは総合的な立場に立ったお考えを承ることができないかと思うのですけれども、憲法の前文に、日本は諸国民の公正と信義に信頼して自国の安全と生存を保持しようと決意した、このようにあります。これを対外的に考えれば、やはり同じような考えで、自国の安全を諸国民の公正と信義に信頼するということになれば、われわれは一面他国の安全に寄与し、特に国際連合の平和、安全保持に協力するという責務がここから当然出てくると思うのです。その平和憲法の趣旨、精神に沿うところの、他国の安全に寄与し、国連の平和、安全保障に貢献する道は、科学技術による奉仕だ、こういうことを私ども兼本的に考えておるわけでありますが、そういう考え方に立って海外技術協力というものも考えてはどうか。そういう点で、今度政府が出して参りました海外技術協力事業団法では、全く物足りないというか、とれには魂がない。低開発国の経済開発に対する援助、技術に対する協力ということですが、それが日本の貿易の伸長であるとか日本の市場拡大であるとかいうような面へのはね返りを期待しておると、その面を押し詰めていく結果は、極端な言葉を使えば経済侵略の尖兵的な役割を果たそうという意図があるのではないかという誤解を招くことになると思う。科学技術庁あたりが私どもが申し上げておるような精神を盛り込んでおるならば、その点が払拭される、こういうように考えるのであります。長官がおられないわけでありますけれども、科学技術庁の立場において、いわゆる軍事的なものと離れた立場、全く平和的なベースにおいて世界の平和と後進国の開発に協力するという面で科学技術というものを持っていこうというお考えをお持ちになっているかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/42
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043・島村武久
○島村政府委員 大臣からお答え申し上げるべき性質の問題だと思いますので、私のお答え申し上げますことで御満足いただけるかどうかと思うのでございますけれども、この事業団法に対する御批判の点は別にいたしまして、少なくとも、前段でおっしゃいましたような点は、私どももその通りに考えておることでございます。科学技術庁といたしましては、科学技術の面を平和的に進めるということは、単に日本国内だけの問題ではなくて、広く、発展途上にある国と特に限定するまでもなく、すべての国々と、平和裏に手を結んでやっていくという必要があるということを痛感しておるものであります。
科学技術庁は、御承知の通り、生まれましてまだそう長い歴史を持っておるわけでございません。とりあえずの仕事といたしましては、戦後、立ちおくれておりましたわが国内部の科学技術を先進国に追いつくようにするということのためにそのほとんどの力を傾注いたしております。対外的な面で申しますと、たとえば、ここで議論になっておりましたような問題にいたしましても、留学生を海外に派遣するというようなことで追われておったのでございますけれども、先ほど来、あるいは先日来のお話に出ておりましたような、日本が他国から教えてもらう、あるいは他国からいろいろな協力を得るというかわりに、日本は日本としてやはり尽くせるだけのことは尽くす必要がある。単に個々のバーターというだけでなくて、田中委員がおっしゃいましたような精神にのっとりまして、われわれといたしましてもそういうことを考える必要があると思っておるわけでございます。
実は、外務省あるいは通産省あたりでは、今国会に提出されております外務省の事業団法のような構想、これは前からお持ちだったと思うのでございますけれども、私どもの方でもそれに似たような構想も考えておりましたが、何と申しますか、悪く申しますといわば所管争い的なことになりますよりは、実質的に目的が達成せられればいいわけでございまして、外務省のこの新しい御構想に対しまして、科学技術庁も賛成をいたしておるわけでございます。
ただ、問題は、この事業団の現実的なねらいと申しますものが、先日来外務省から御答弁申し上げておりましたように、現在までにいろいろな機関を通じてやっておられましたものをまとめて、さらに能率的に効率的にと申しますか、やっていくというところにねらいがございまして、そう大きな新しい構想を盛られたものでは必ずしもないわけでございます。私どもといたしましては、将来は、そういったような田中委員もおっしゃいましたような施策がさらに強く進められることが必要じゃないかと考えております。
具体的な問題といたしまして、協力要員の確保という点でございますが、この点につきましては、もちろん田中委員がおっしゃった通り一番大きなポイントだと考えますが、御承知の通り、国内的にも科学者、技術者の不足というものは非常に深刻でございます。科学技術庁といたしましては、御承知の通り、文部省あたりにも要望をいたしまして、教育の拡充といった方向で努力していただいておるわけでございます。特に、海外派遣要員の養成というようなことにつきましては、学校教育だけでなくて、別途に考える必要がある。大体におきましては、むしろ再教育といったような面の必要があるんじゃなかろうかというふうに考えております。ただ、問題は、科学技術の進歩に伴いまして、技術の内容が細分化して参る傾向もございますし、また、非常に専門的である必要がございます。また、その技術の内容も絶えず進歩して参りますので、ただ単に海外向けの要員として海外に出っぱなし、あるいは海外派遣要員が専門であるというような者を養成いたしましてやっていくことが一番いい方法であるかどうかということについては、問題を感じております。要は、海外要員ということも非常に重要でございますけれども、すべての面にわたりましてそういった意味での技術者を数多くふやしていく、また、それを再教育することによりまして、絶えず新しい技術、専門的な技術を身につけた人員を国内的にももっともっとたくさん養成するところの方法というものを考慮しなければならないんじゃないか、このように考えております。
いずれにいたしましても、外務省で今度おやりになるような事業がスムーズに進みますように科学技術庁といたしましても、この要員の確保というような点につきましてもできるだけの協力をして参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/43
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044・田中織之進
○田中(織)委員 これはいずれまた三木科学技術庁長官に直接お伺いをいたしたいと思うのでありますが、一九五八年の九月十四日にオーストリアのキッツビュールで世界科学者会議というのが開かれておるのであります。との会議の第一回はカナダのパグウォッシュで開かれた関係で、第三回パグウォッシュ会議とも言われておるのでございますが、これは、現在アメリカにおるアインシュタイン、それから英国のラッセル、こういう人たちが提唱して、米国の資産家サイラス・イートンという人が資金を出しまして、オーストリアのキッツビュールで開かれたときにはオーストリア政府からも費用を出しております。参加者は、米、英、ソ連、フランス等二十カ国、七十人ばかりの一流の科学者で、わが国からは湯川博士、朝永博士たち五人が参加しておるのでありますが、この第三回パグウォッシュム会議の声明の中で、今日の世界の平和のために最も必要な急務は科学技術による国際的協力援助を組織的に進めるべきであるということが結論なんです。戦争をなくすることの必要性、軍備競争を終わらせることの必要性、戦争は何を意味するか、核実験による障害、科学の国際協力というような五点に触れまして、六番目に、「平和のための技術」ということで、「世界の低開発国家群における極端に低い生活水準が国際間の緊張の原因となるだろう。われわれは、これらの国の友好に工業化の研究と計画を進めることが焦眉の急だと思う。これは単に世界の大半の生活水準を引き上げるだけでなく、高度に工業化された強国の間の争いの種を減らすことをも助けるであろう。」、それから、七番目に、「科学者の責任」ということで、このように言うておるのであります。「われわれの科学のいまだかつてない成長によって与えられた危険と潜在力の広い理解を国民の間に広がらせ、国民の教育に寄与することがすべての国の科学者の責任だと信ずる。科学者は国防に対する彼らの貢献を賞賛されるか、大量破壊の兵器を発見し、人類を危険に陥れたことによって非難されるか、いずれかである。多くの国々で科学が現在楽しんでいる物質的支持の増加は、主としてそれが直接または間接に国家の軍事力増強に対する重要性と軍備競争における成功の程度によっている。それは人数の知識を増し、すべての人の幸福のために自然力に対する人類の支配力を増すという科学本来の目的からそらされている。われわれはこのような状態に立ち至った条件を検討し、すべての国民とその政府に対し、永続する安定な平和の状態を確立するよう訴える。」というのが、この第三回パグウォッシュ会議の声明なんですが、私は、やはり、先ほどから申し上げておるように、日本の平和憲法の精神を国際的に推し広めていく点から見るならば、科学技術による奉仕と世界への貢献ということを、平和憲法を持っておる日本の立場において推し進めなければならぬ、こういう立場で、この政府の提案されたものについても、その意味から見れば、技術的にはこれの一端を達成するものにはなるかもしれないけれども、どうも残念ながら、そのスピリットが欠けておるという点を強調してきておるのでありますが、この点を、きょうは大臣がおられませんけれども、特にお伝えをいただきたいと思う。
それから、最後に、過般衆議院の科学技術特別委員会でも基本法の制定について一つの案を得られた思うのでありますけれども、戦後、科学技術全般の問題というよりも、特に原子力の問題が重点を置いて取り上げられたことは、また一つの時代の要請であったかと思うのであります。原子力あるいは宇宙科学というようなものが一番進んだ科学として重点を置かれるべきはもちろんだと思うのですけれども、私は、今こそ、日本の経済が非常な成長を遂げてきた現在の段階において、むしろ立ちおくれておるのは科学技術の振興の問題ではないか、このように考えるのであります。この点については、先ほど、役所間のセクショナリズムを持ち込んだ形での所管争いというようなことをむしろ避けて、実質的に役に立つようにということで科学技術庁は考えておるということで、私は、そういう謙譲な態度もけっこうだと思いますけれども、科学技術庁としては、むしろあなたの方が主管になって、外務省が考えている、あるいは通産省が考えている経済協力というようなものにともすれば放たれる非難を払拭する意味においても、やはり、ほんとうの根底のある理論づけというか、裏打ちをする仕事が科学技術庁の役割ではないか、こういうように考えるので、この点は、特別に御答弁は求めませんけれども、一つお考えをいただきたいと思うのであります。
なお、一番最後に、小さい問題でありますけれども、技術協力で海外へ派遣される人たちの待遇の問題、それから、何年か後に交代して日本へ帰ってくる、そういう場合の地位の保障の問題、あるいは退職年金だとか基金だとか、そういうようなことについて中断することのない加算の問題、こういうような細部の点は、十分私の意見を申し上げてお答えをいただくことはできませんでしたけれども、そういうような点について実施にあたって十分御検討をいただきたい、こういう要望を申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/44
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045・森下國雄
○森下委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がございませんので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/45
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046・森下國雄
○森下委員長 これより討論に入ります。討論の申し出がありますので、これを許します。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/46
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047・田中織之進
○田中(織)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、残念ながら本案に反対の意思表示をいたすものでございます。
それというのも、二回にわたる質疑において私から申し上げましたように、政府が現在この法案に盛り込んでおられるような技術協力というものにつきましては、ともすれば、やはり、日本の経済的発展、貿易振興、こういうような、きわめて近視眼的というか、そう言えば語弊がありますけれども、そういう考え方が先に立ってこういう問題が提起されているように私どもには受け取れるのであります。その意味で、これは、岸前内閣の当時、岸前総理が東南アジアを訪問いたしまして、これらの問題について東南アジアの各国で触れられましたときに、若干の国々との間には、技術センターあるいは技術援助についての二国間の取りきめが行なわれるような成果もあがってきておるのでありますけれども、岸さんの過去の経歴も響いておると思いますが、あたかも大東亜戦争当時の大東亜共栄圏思想の再現ではないか、こういうような非難を一部から受けた。あるいはそれは誤解であった面もあろうかと思うのでありますが、どうも、この法案そのものを見ますと、これを貫く基本的な考え方というものがにじみ出ていない点で、われわれはどうしても賛成するわけにはいかないのであります。私どもといたしましては、従来やって参りました各省ばらばらの海外に対する、特に低開発国に対する技術援助を、今度は外務省の関係の事業団に一本化いたしまして前進させようとすることについての努力は認めますけれども、この技術協力については、従来の技術協力ということではなくて、これを通じて世界の諸国民に対して、すべての科学技術が戦争と独占のためではなくて平和と繁栄のために利用せられるという一番大事な点が欠けているのではないか。これを一つ盛り込んでいただけるならば、われわれはこれに賛成するにやぶさかではないのであります。
さらに、私どもが、今から約十年前の第十三回大会できめた和栄政策という考え方のしに立ちまして、また、今ジュネーブで軍縮会議が開かれておるわけでございますけれども、そういう全面軍縮あるいはその軍縮へいく階梯として、前段に申し上げたような技術協力の立場から見て、各国が軍事費をその意味においてセーブしたものを、国連を通じて科学技術協力の国際的な連帯のもとに取り組まれるものに金を出すという形で実質的に軍縮を達成する道も開かれるのではないか、そういう観点から見て、全体を通じてきわめてわずかな、二兆五千億の予算に比べまするならばその〇・〇何%にしか当たらないような零細な金額ではなくて、私どもは、この軍縮の精神からも考えるならば、技術協力の財源に、思い切って防衛関係の費用を漸次削減する形で振り向けていく、こういうことは与党の諸君の賛成が得られるならばできることなんです。しかし、この点については、過日来の討議を通じて今日直ちにそういう方向へ向いて賛成をいただくわけには参らないということが、これに反対せざるを得ない第二点でございます。
それから、第三点といたしましては、今度は、従来のアジア協会を事業団に引き上げまして、アジア協会のやっていた仕事を引き継いで、それに新しいものを若干加えまして、業務を発展させようということでありますけれども、すでにこの法案の審議にあたって政府関係から提出されました資料にありますように、英米を初めといたしまして、西ドイツ、ニュージーランド、オーストラリア、カナダというような、経済的にはある意味からすれば日本よりもはるかに劣っておるような国々でも、政府の機関といたしまして、政府直接の問題としてこの技術協力の問題が取り上げられておるのでありますけれども、今度は一つの前進であるということは認めますけれども、そういう政府が直接の機構を政府部内に持ってこれを進めるという点において、その構想が欠けておりますので、従来からのわずかな前進は認めますけれども、その意味から見るならば、われわれの理想としておるものにほど遠いことになります。運用のいかんによりますると、いたずらに、日本も最近は大国意識というようなことで池田総理あたりがいささかオーバーなものを持ち合わせているような心配があるので、そういう点から見ても、この面からやはり日本が新しい経済侵略を進めようとするのではないかという感じを特に東南アジア等の国々に押しつける危険性がある、こういう点から、この点については私どもの意見をいれられて十分練り合わせて出していただくことを希望したいのでありますが、どうしてもやはり今国会で成立させるということでありますれば、遺憾ながら反対せざるを得ないという立場でございます。
以上をもって私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/47
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048・森下國雄
○森下委員長 正示啓次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/48
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049・正示啓次郎
○正示委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております海外技術協力事業団法案に賛成の意思を表明いたします。
田中織之進先生とはたまたま私同じ県でございまして、先輩でございまして、個人的には非常に親しく願っておりますのに、こうして公の立場におきましてはまさに正反対なことを申し上げなければならぬのも、まことに不思議な縁だと思うのでありますが、御了承いただきたいと思います。
申し上げるまでもなく、最近の外交における経済問題の重要性はきわめて高まっております。本国会におきましては、別途在外公館諸君の在勤俸の改正というふうな多年のきわめて困難な懸案が解決せられまして、この外交官の各位が海外におきましてわが国の経済的利益の伸長のために日夜寝食を忘れ粉骨砕身されておることに対し、いささか国家としてもこれに報いるところがあったことは御承知の通りであります。私は今国会における一つの大きなエポックを作った仕事であったと思うのであります。
今議題になっておりますこの海外技術協力の問題、これは、申し上げるまでもなく、いわゆる開発途上における諸国に対する経済協力は、今や世界経済の発展と国際政治の安定のために不可欠の要件となっておりますこと、これも申し上げるまでもないのであります。一九六〇年代こそは開発援助の時代であるとまで言われておるのであります。その中でも、技術協力は資本協力と相待ってその強力な推進が強く要請せられており、従来、わが国におきましても、技術協力は東南アジアを中心としてずっと行なわれて参りました。その実績についても国際的に相当高く評価されておることは御承知の通りであります。
従って、われわれといたしましては、今後ともわが国の技術がこれら開発途上にある諸国の経済発展にますます大きく寄与することを切に希望しておるのであります。
このような要請にこたえまして、今国会に政府におきましてはいわゆる政府ベースの技術協力の体制を拡充強化するために本法案を提出されました。これも多年の懸案でありまして、各省各庁に関係するところが根が深く、なかなか根がからみ合っておりまして、これを切り取って一本の海外技術協力事業団という特殊法人を設立することに踏み切るということは容易なことではなかったかと思います。それをあえて踏み切られた英断に対しまして、私どもは心から敬意と賛意を表する次第でございます。従来、ともすれば、各省各庁が、てんでんばらばらとまではあるいは言い過ぎかもしれませんが、その中心をどこに置くかということの基本が固まらずして海外技術協力ということを行なわれておったのでありますが、本事業団の発足によりまして統一的かつ効率的にこの技術協力が推進されることになりましたことは、まことに時宜を得た措置であると言わざるを得ないと思うのであります。ただいま田中委員が言われました一部の誤解のごときは、技術経済という一点に本事業団がその使命のすべてをささげることによりまして、何ら問題なく解消するものと私はかたく信じておるのであります。
なお、以上のごとき本事業団の重要な使命にかんがみ、その積極的な活動を推進いたしますために、関係各省庁が今後一致協力して、この新しく産声を上げようとする事業団の発展のために御尽力あらんことを切に私はお願いする次第でございます。
以上の趣旨を申し述べまして、本法案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/49
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050・森下國雄
○森下委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/50
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051・森下國雄
○森下委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、いかがでございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/51
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052・森下國雄
○森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003968X02619620425/52
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