1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十日(金曜日)
午後一時十八分開議
出席委員
外務委員会
委員長 森下 國雄君
理事 北澤 直吉君 理事 野田 武夫君
理事 福田 篤泰君 理事 古川 丈吉君
理事 松本 俊一君 理事 岡田 春夫君
理事 戸叶 里子君 理事 森島 守人君
安藤 覺君 池田 清志君
宇都宮徳馬君 椎熊 三郎君
正示啓次郎君 竹山祐太郎君
床次 徳二君 田中織之進君
松本 七郎君 井掘 繁雄君
川上 貫一君
商工委員会
委員長 早稻田柳右エ門君
理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君
理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
浦野 幸男君 中垣 國夫君
中村 重光君
出席国務大臣
外 務 大 臣 小坂善太郎君
出席政府委員
内閣官房長官 大平 正芳君
法制局参事官
(第二部長) 野木 新一君
外務事務官
(経済局経済協
力部長) 甲斐文比古君
通商産業事務官
(通商局長) 今井 善衞君
委員外の出席者
総理府事務官
(経済企画庁調
整局参事官) 羽柴 忠雄君
外務事務官
(経済局経済協
力部技術協力第
一課長) 斎木千九郎君
通商産業事務官
(通商局経済協
力部長) 井上 猛君
専 門 員 豊田 薫君
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本日の会議に付した案件
海外技術協力事業団法案(内閣提出第九二号)
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〔森下外務委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/0
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001・森下國雄
○森下委員長 これより外務委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
海外技術協力事業団法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/1
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002・森下國雄
○森下委員長 質疑の通告がありますので、これを順次許します。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/2
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003・松平忠久
○松平委員 この法案の質問に入る前提としまして、外務大臣にお聞きしたいのですが、日本の海外に対する経済協力の根本的な考え方というものについてまずお伺いいたします。
これは官房長官にもお伺いしたいと思っておるところなんですが、これの基本的な考え方というものがあり、それを推進していくという機構があるわけであります。ところが、世界における経済協力の実態というものは、なかなか複雑なものがあって、機構的にもいろいろな機構があるようであり、同時に、わが国にいたしましても、技術協力あるいは資本的な協力、あるいは賠償というような複雑なものがございまして、しかもそれがそれぞれ別個の機関によって運営をされておる、こういう実情があるわけであります。従って、まず外務大臣に、経済協力の基本的な考え方、さらに、それをやや各論的にどういうことを考えておるのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/3
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004・小坂善太郎
○小坂国務大臣 わが国の海外に対する経済協力の基本的な考え方でございまするが、わが国は平和国家として大いに世界の信頼を博したいという気持が強いわけでございます。しかし、いまだ開発のおくれている国も非常にたくさんあり、ことにアジアにおいてそれが多いわけでございまするので、アジアの一国としてのわが国は、大いに、みずから求むるところなく、的に相手方に喜ばれる経済協力を推進していきたい、これが政府の基本的な気持でございます。しかしながら、アジアといわず、中近東、アフリカあるいは中南米にも開発のおくれている国もあるわけでございますので、私どもは、何かえさを出して自分の考え方に従わせようというような考え方ではなくて、真にその国の求めるものについて、わが国の持っておる資本なり技術なりをできるだけ提供して、相ともに携えて繁栄したいというのが基本的な気持でございます。
先ほどお述べになりましたように、国連にも経済社会理事会があり、国連の下部機構としての各種の基金等の機関もあるわけでございます。その基金も、国連として扱います拡大援助計画というようなものもございまするし、また、二国間のベースで行ないまするコロンボ・プランというようなものもあるわけでございますし、こういう各種機関にわれわれ積極的に参加して、国連を中心とする経済協力、これにも大いに尽瘁いたしたいと思っております。また、かたがた、わが国自体がそれぞれの国と二国間の話し合いによって経済協力をするという面も進めたいと考えておる次第でございます。
ただ、終戦後立ち直ったとはいいながら、資本的に余力を十分に持たないわが国といたしましては、ことに技術面の協力というものを特に重視して参りたいと思っておる次第でございます。ことに、東南アジアにおきましては主として農業国でございますし、農業生産技術、農業の生産性を上げる、ことに米作の技術を向上するということは各国において非常に望まれておることでもあり、また、直ちにそれがその国の大部分を占むる農民の福祉となり、またその国の繁栄となって返ってくるものでございますので、農業並びに中小の規模の工業、そういうようなものに対するわが国の特異の技術を十分に生かして参りたい、かような気持でいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/4
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005・松平忠久
○松平委員 現在の技術方式と申しますが、そういうものの中に、二国間協定と国連を中心とするものとがある。そこで、両方やっていくのだというようなお答えでありましたが、現在のところどっちの方にウェートを置かれていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/5
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006・小坂善太郎
○小坂国務大臣 どっちにウェートということになりますと非常にむずかしい問題でございますけれども、しいて言えば、二国間の話し合いということが現実にわが国により身近い問題が多いものでございますから、そういうようなことが多いかと思います。
なお、これは経済力と全く違うわけでございますけれども、賠償の実施に伴いまして、いろいろ先方の国とも接近し、その要望もじかに聞くという問題もございます。そういうような面から、勢い二国間の経済技術協力という面が多く取り上げられることになっておるという事情もあろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/6
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007・松平忠久
○松平委員 もう一つ伺いたいのは、この技術援助は、コロンボ・プランもあるし、国連もある、アメリカの協力関係のものもある、いろいろあるわけでありますが、わが国で現在受け入れておるところの研修すべき技術者は、それの金の出どころ別にしますと、どういうものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/7
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008・甲斐文比古
○甲斐政府委員 わが方の行なっております技術協力は、大部分は政府の金でやっております。もちろん、政府ベース以外に民間でやっております技術協力もございます。これに対しましては主として通産省から補助金を出して民間の技術協力を現在実行しております。
なお、先ほどもお話がございましたように、日米合同の第三国計画というものにつきましては、大部分アメリカの金で、それに日本が付帯費的なものをつけて実施しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/8
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009・松平忠久
○松平委員 通産省の今井君に伺いたいのですが、通産省の海外に対する経済協力の方針及びやっていることはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/9
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010・今井善衞
○今井(善)政府委員 通産省でやっております経済協力は、大きく分けまして資本的な協力と技術協力ということになります。技術協力につきましては、政府ベースと民間ベースがございますが民間ベースにつきましては通産省がやっている。民間ベースと申しますのは、政府間の取りきめその他がなくて、民間同士で話し合いがございまして、とにかく日本で受け入れてくれないかという形になるわけでございまして、受入機関として海外技術者研修協会というのがございまして、それに対しまして補助金を交付いたしております。また、民間のこの技術者の派遣につきましては、これは商工会議所に委託しまして委託事業として行なっております。
政府ベースのものにつきましては、これは先ほど外務大臣からお話がございましたように、受け入れにつきましては大部分は農林関係ではないかと思います。鉱工業関係につきましては全体の二割程度でございまして、これにつきましては、外務省からお話がありました場合に私の方で受け入れについてあっせんをするというふうな形になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/10
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011・松平忠久
○松平委員 今のは技術協力関係だけれども、そのほかの技術以外の経済協力で何かございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/11
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012・今井善衞
○今井(善)政府委員 私の方は資本協力の実施をやっているわけでございます。資本協力と申しますと、たとえば海外に投資その他の形で出る。投資の形ということになりますと、設備の移転が伴います場合には、これは為替管理法によって許可しております。それから、延べ払いの形、いろいろなプラント数が延べ払いの形で出て参ります。これにつきましては、輸出入銀行あるいは経済協力基金から国の金を出しまして、それによりまして延べ払いを実施している。あるいは、パキスタン、インドとの関係におきまして政府が直接借款を与えるというふうな形の資本協力もございます。この資本協力の場合におきまして、これは相手国がいろいろの注文を出しまして技術的な相談を受けるわけですが、その技術的な相談の結果、とにかく日本から何らかの形でもって資本的に協力したいという形の場合におきまして資本協力となるわけでございまして、資本協力は姿の上では時間的に一番最後の形になるのでございます。資本協力の前段階としまして、向こうからとにかくコンサルタントを派遣してたとえば技術的なアドバイスをしてくれという申し出があるわけでございます。これは投資事前調査と申しておりますが、これにつきましては、従来から補助金でもって専門家を派遣しておりますし、今後も政府の委託費によりまして専門家を派遣することを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/12
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013・松平忠久
○松平委員 この海外経済の関係の技術協力ですか、それは海外に何か技術センターみたいなものを設けるということを聞いておるけれども、通産省でやっておるたとえばビルマの農機具センターとか、こういった方に国家の補助金が出ておりますね。そういうのは通産省はどことどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/13
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014・今井善衞
○今井(善)政府委員 この技術センターにつきましては、これは原則として外務省がおやりになっておるのでございます。通産省がやっておりますのは、三十三年から西ベンガルに技術センターを作っております。これは機械関係が中心でございまして、日本機械工業連合会、そこに委託してやっておるのが唯一の例でございまして、今後におきましては全部外務省が一元的におやりになるという形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/14
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015・松平忠久
○松平委員 先ほど私が言いましたビルマの農機具センター、これは国家の資金が出ているんでしょう。これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/15
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016・井上猛
○井上説明員 ただいまお話のありました農機具センター、これは通産省の予算で実は補助金を出しております。これは民間の農業機械海外技術振興会というのがラングーンにセンターを作っておりまして、そこでいろいろ農機具の宣伝あるいは使用の指導、そういったものをやっておりますが、そういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/16
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017・松平忠久
○松平委員 一体そういうものはもっとほかにあるのですか。今二つ言われたけれども、ほかにもどこかにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/17
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018・井上猛
○井上説明員 私の方の通産関係では、今の農機具のほかに、タイに肥料関係の団体に対する補助金が出ております。それから、これはたしかジェトロの予算から出ておると思うのですが、機械関係のセンターが、場所はちょっと忘れましたが、一応そういうものができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/18
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019・松平忠久
○松平委員 企画庁の海外経済協力に関する仕事は今何をやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/19
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020・羽柴忠雄
○羽柴説明員 経済企画庁で今やっておりますのは、海外経済協力基金の関係が中心でございます。それで、企画庁といたしましては、今までの出資が百四億あったのでございますが、今度の三十七年度におきましては六十五億追加していただきまして百六十九億ということで海外の経済の促進ということをはかるつもりでございますが、これは、輸銀ベース及び市中銀行では困難なケースにつきまして、この経済協力基金によりまして出資または貸付をいたす、かような考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/20
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021・松平忠久
○松平委員 外務大臣にお伺いしたいのですが、今お聞きの通り、ばらばらだと思うのです。大体、技術協力にいたしましても、民間ベースは通産省、政府関係は外務省、資金関係において輸銀は大蔵省、経済協力基金は経企庁という工合に、各個ばらばらにやっておる。これはよその国ではだんだん統一する傾向にあります。御承知のように、アメリカにいたしましてもそうです。一体政府はこんな格好で各省に予算を分けてばらばらにやらしておっていいのかどうか。何か問題にして閣議か何かでだれかが言い出さなくてはならぬはずのものだろうと思うんですよ。これはもう役所のセレクショナリズムがこういう結果になったんじゃなかろうかと思うんですけれども、それにしても、あまりに政府自体が機構の上に乗っかっておって、しかもそのセクショナリズムの上に立って旗を振って飛んで歩くというのが大臣の仕事になっては困るわけだ。こういう点について私は池田総理に聞かなくちゃならぬことだけれども、国務大臣としてあなたどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/21
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022・小坂善太郎
○小坂国務大臣 御指摘の点は、私も非常に同感するところが多いわけでございまして、省みてその点は非常に残念に私自身思うわけでございますが、なかなか、各省でそれぞれやっていらっしゃることは、それぞれの分野において自信と責任においてやっていらっしゃることでございますので、一挙にこれを一元化するということも現状では困難な問題があろうということは、私も実際を見てさような気がするわけでございます。御指摘のように、イギリスにおいては閣外関係の担当の大臣がおりますし、ベルギーなども海外協力技術大臣というのもおるわけでございます。貿易経済技術協力大臣というのもおるわけでございます。さような一つの機構ということを考えております国もあるわけでございますが、現状においてはなかなかそこまで参らぬわけでございます。今回この事業団を作りまして、少なくとも政府ベースの関係の団体を一本化するということを進めました点は、そういう大きな目標に向って一歩近づくということにもなろうか、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/22
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023・松平忠久
○松平委員 しからば、技術協力を政府のベースとか民間のベースに分ける根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/23
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024・甲斐文比古
○甲斐政府委員 その技術協力につきましては、われわれの考え方といたしましては、本来政府のやるべき事業であると思っておりますが、もちろん民間の方でおやりになっていただくということは、これは非常にけっこうなことでございます。政府の予算にはおのずから限度がございます。技術協力というものはますますやっていかなければならぬ。従いまして、政府のほかに民間の方でどんどんおやりになっていただくということは、政府としては大いに奨励しなければならぬことじゃないかというふうに思っております。また、諸外国の例を見ましても、政府がやると同時に民間の方でもやる、両々相待って技術協力を強化していくというのが世界の趨勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/24
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025・松平忠久
○松平委員 通産省の民間ベースの技術訓練センターですか、駕籠町か何かあっちの方にあるでしょう。あれは幾ら経費がかかっているのですか。民間から幾ら集めて、政府から幾ら出していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/25
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026・今井善衞
○今井(善)政府委員 海外技術者研修協会に対する経費でございますが、これは補助金の形になっておりまして、七五%補助するということになっておりまして、三十六年度は九千六百万円の予算でございましたが、しかし、ことし三十七年度は一億五千万円の予算でございます。従いまして、民間から五千万円別に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/26
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027・松平忠久
○松平委員 外務省のやられる今度の事業団は、基金が二億円だそうでありますけれども、これは事業費としては一年に幾ら使うのですか。それから、聞くところによると、民間からやはり寄付金を仰いでやらなければならぬ、こういう話であります。寄付金は幾ら仰ぐのですか。本年度一年の経費は幾らで、そのうち政府のものが幾ら、それから民間のものが幾ら、これを一つ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/27
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028・甲斐文比古
○甲斐政府委員 外務省といたしまして、三十七年度に技術協力費として予算を十三億五千九百万円いただくことになっております。そのうち御指摘の二億円は事業団に対する出資金となっておりますので、残りの大体十一億五千万円というものが、その中に若干いわゆる事務費、事業団の管理費的なものがございますけれども、ほとんど大部分のもの、十一億近いものが事業費ということになっております。
それから、民間の方からは大体千五百万円ばかり賛助会費を集めるという予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/28
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029・松平忠久
○松平委員 お聞きしたいのですが、政府でやるところのものを、どうして民間から一体金を集めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/29
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030・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この経済協力という仕事は、官民一致してやらなければならぬ大聖業でございます。しかし、一面、先ほど申し上げましたように、直接の業界へのはね返りが少ないということから、やはり大部分は政府が持つ。しかし、もちろん民間が無関心であっていただいては困る、そういう意味からも、若干、ほんのスズメの涙ほどのものを集めようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/30
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031・松平忠久
○松平委員 今まであったアジア協会ですか、あれは民間から幾ら集めておったのですか。一年の経費の中で幾らが民間の金なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/31
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032・甲斐文比古
○甲斐政府委員 アジア協会のやっておりました事業は、今度の事業団に比べますと、だいぶ規模が小さいわけでございますが、やはり大部分委託費で仕事をいたしておりました。民間から集めておりましたのは千五百万円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/32
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033・松平忠久
○松平委員 今お聞きすると、政府が大部分出すけれども、民間からも集めるのだ、政府だけじゃなくて民間も協力するという形を見せた方がいい、こういうお話であった。通産省のやっておられるのも、七五%は政府の金で、あとの二五%が民間の金なんだ。そういうものを別々にやっておくというのは、ちょっとおかしいような気がするけれども、何かほかにまだ特別の根拠はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/33
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034・甲斐文比古
○甲斐政府委員 事業団の方は、民間から集めますのは一%足らずのものでございます。これは文字通りいわゆる政府事業と申していいのじゃないか。通産省の方でおやりになっておられますのは、本来民間がやるべきものに対して、できるだけ政府が援助して奨励をするという意味で、七五%ないし五〇%の補助を出しておる。これは両両相待っていくべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/34
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035・松平忠久
○松平委員 どうも私はまだよくわからない。結局これは歴史的な遺産の継承というようなことで、そういうことになっているのじゃなかろうか、こう思います。セクショナリズムというものがまだなかなか直りにくいのだという一つの現象がここに現われているように思う。これをいろいろ言ってみたところで、これは内閣自体がそういう政治力がないのだからやむを得ない。
そこで、もう一つお伺いしたいのですが、さっき、商工会議所で技術者のあっせん事業をやっておって、通産省ですか、そこへ補助金を三千五百万円ばかり出しておる、こういう話なんだが、これは一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/35
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036・今井善衞
○今井(善)政府委員 商工会議所に委託しております事業でございますが、御承知のように、商工会議所という組織は、世界共通の組織でございまして、政府ベースじゃなく、お互いに商工会議所同士でもって技術者の派遣をあっせんしてほしいという要望が海外から来るわけでございまして、そのときに、商工会議所のメンバーのうち海外に出てもいいという技術者を登録しておきまして、それに対しまして、登録の事務費とか、あるいは、海外におきまして若干の出張事務所がありまして、そこでいろいろそういう連絡事務をするということで、三千五百万円ばかり補助しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/36
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037・松平忠久
○松平委員 今度の事業団は、外国へ出す技術者の派遣のこともやるわけでしょう。それはその予算もあるだろうと思うのだけれども、それと今言ったこととはダブりませんか。どういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/37
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038・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この事業団が海外に専門家、技術者を派遣いたしますが、これは相手国政府からの要請に応じて派遣をする。ただいまも通商局長の言われた通産省でやっておられる商工会議所からの技術者の派遣は、先方の商工会議所、つまり民間からの要請でやるということで区別をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/38
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039・松平忠久
○松平委員 そうすると、それを民間と政府で分けた、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/39
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040・甲斐文比古
○甲斐政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/40
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041・松平忠久
○松平委員 それでは、お伺いしたいのですが、海外に技術協力センターみたいなものを作るというので、ことしも若干計画があるようですが、先ほど私が通商局長に聞いたところのベンガルの機械センターですか、そういうものとか、それから、民間でやっておるのだけれども政府が補助金を出しておるタイの肥料のセンターとか、あるいはビルマの農機具のセンターとかいうものは、そのままにしておいて、そうして、あとの新しく作るものは今度の事業団がやるのだ、こういうように伺っておるのだけれども、それは一体どういうわけなんですか。これは、どうせ海外に作るというものならば、一つの事業団に統合してやった方が人事その他の面でも相当やりやすいのじゃないかと思うのだが、これをわざわざ切り離してやっておるのはどういう意味があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/41
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042・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいまお話がございました通産所管でやっておりますビルマの農機具のセンターあるいはタイの肥料センターと、ベンガル湾の技術センターとは、性質を異にするものでございまして、ビルマの農機具センターとタイの肥料センターは、要するに、これは、民間でやっておる、それに対して政府が補助金を出してその事業を奨励しておる。ハウラのセンターの方は確かに政府ベースのものでございまして、本来外務省のやるべきものである、この事業団がやるべきものであるという御説はごもっともなのでございますが、ただ、これは、できましたときは、当時におきましては通産省が予算を取りまして通産所管でやったものでございます。これは、三十三年以後は技術センターはすべて外務省がやるということになって、いわば過去の遺物といいますか、これだけは例外として残っておるわけでございまして、これを統合するかどうかという問題もあったのでございますが、このセンターは、現在通産省の所管でうまくいっておりますし、また、このセンターは、三年後、つまり間もなくですが、インド側に移譲されるものでございますので、これはそのままにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/42
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043・松平忠久
○松平委員 どうも私は支離滅裂のように思うのですよ。これは、日本でいろいろ研修をするのだったら日本の官庁がやればいいのだけれども、海外におけるやつは外務省の所管でもいいと思うのだが、それが各個入り乱れて、それぞれがなわ張りを持っておるというところに、非常な意思の不統一というか、すっきりしないものが出てくるわけなんです。
そこで、お伺いしたいのですが、今度の事業団というものは、何か調査のようなものをされるそうだけれども、調査費というものは幾ばく計上してありますか。それで、その調査の対象は何を調査するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/43
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044・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいまの御質問は、おそらくこの第二十条の第一項第一号の二の「アジア等の地域における公共的な開発計画に関し基礎的調査を行なうこと。」という点についての御質問だと思いますが、従来、この事業団のできます前には、外務省が委託費を出しまして、メコン調査会に委託しまして、メコン川下流地域の開発調査というものを実施して参っております。それからまた、国際技術建設協会というものに同じくこの関係の仕事を委託して参っております。本年はこの関係の予算がだいぶふえまして、メコン川関係、それから国際技術建設協会の従来の予算以外に、大体五千五百万円ばかり予算がついたのでございます。その技術協力部門において占めます比重において、単なる技術者の研修あるいは専門家の派遣、いわゆる訓練ばかりでなくて、やはり、投資前基礎調査といいますか、国連の技術協力の概念の中でもこの関係の技術協力というものを非常に重要視しておるわけであります。これが非常に、いわゆる発展途上にある、開発途上にある諸国の経済開発に必要なものであるということから、この予算がついておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/44
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045・松平忠久
○松平委員 経企庁の海外経済協力基金は、調査費というものはございますか。幾ら持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/45
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046・羽柴忠雄
○羽柴説明員 これは予算の中に調査費は計上されております。これは、経済協力基金の本旨といたしまして、必要なる出資並びに貸付を行なうということ以外に必要なる調査を行なうという規定がございまして、それで調査費につきましては計上されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/46
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047・松平忠久
○松平委員 それは、どこからか頼まれてするのではなくて、自発的に調査するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/47
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048・羽柴忠雄
○羽柴説明員 これにつきましては、経済協力基金の法律の中にうたってあるわけでございますが、必要な調査を行なうという規定がございまして、実は、今度の法律改正におきまして、いろいろこの点につきましても問題があったのでございますが、必要な調査は仕事に関連いたしましてできることになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/48
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049・松平忠久
○松平委員 通産省は、アジア経済研究所、これに調査費をかなり出しておる。ほとんど全部調査の費用だろうと思うのですが、本年度の予算に海外開発計画調査事業というのと海外投資等調査事業というものに約一億円の調査費がついておるわけです。これは、聞くところによると、国際建設協会等を通じて委託調査をするという話があった。そうすると、今のこの事業団も、国際建設協会に委託して調査するんだ、こういうものがあるわけです。本年度七千万円ばかり予算がついている。これは通産省の場合はどういう立場において一体どういう調査をするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/49
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050・今井善衞
○今井(善)政府委員 アジア研究所についております事業費は、全体で二億円でございます。これは、国々の経済状態なり何なり、非常に一般的な基礎的な調査を担当しておるわけでございます。それから、三十六年度までは、通産省に海外投資等基礎調査費というのが四千万円ついておりまして、これは七五%の補助金でございます。たとえば、海外から、電源開発について日本に相談に乗ってほしい、あるいは資源開発について日本のコンサルタントを派遣してほしい、いろいろの要望が民間なりあるいは政府を通じてあるわけでありまして、その際にみな出かけますのは業界のエキスパートでございます。ただ、業界の企業とは直接つながらないような、そういう前段階の基礎調査でございますので、従って、国が補助金を出す必要があるということで、七五%出しておるわけでございます。今国建協のお話がございましたが、国建協に出した例もございますけれども、それはごくわずかでございます。それから、今回委託費としまして全額国が負担するという調査費が五千五百万円ついておるわけでございます。これは、向こうから調査を依頼されますケースに応じまして、非常にまだばく然としまして、それがはたして輸出につながるかどうか、輸出と申しますか、商売としてつながってくるかどうか、こういう非常にまだ見通しのつかない段階におきましては、業界人のエキスパートを出そうとしましてもなかなか出ていけないという関係で、国がよけい負担しなければならないし、それからまた、たとえばプラント協会にも調査費が約五千万円ついてあるのでございますが、これは、プロジェクトの話が非常にコンクリートになりまして、そうして輸出につながる可能性が非常に強いという場合には補助率は五〇%でよろしい。それから、その中間の七五%というのが、今までやっております事前調査費でございまして、これは今度増額になりまして五千五百万円という予算になったわけでございます。これは、たとえば鉱産物の資源開発あるいは漁業の資源開発というふうな場合におきまして、結局派遣いたしますのは鉱山関係あるいは漁業関係の専門家を派遣するわけでございます。それは、もしその調査がうまくいきまして、そうして事業として進出する可能性ということになりますと、やはり民間で若干負担していいのではないかということで、二五%は民間に負担させ、七五%国庫で補助をする。いろいろの形によりまして、あるいは国が一〇〇%持つ、あるいは七五%持つ、五〇%持つというケースがあってしかるべきものだとわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/50
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051・松平忠久
○松平委員 これは、大臣お聞きの通り、調査も各個ばらばらで、そこで調査をする場合にその役所の人が自分で出張っていって調査をするということはほとんどない、だれか調査マンというものを向こうに派遣して調査さしておる、こういうことなんです。
そこで、ばらばらの人がばらばらに行って調査するというのじゃなくて、何か海外の調査機関というものをもう少し一元化していく、こういうことが必要だろうと思うのです。こういうことじや、予算をただぶん取って、そうしておのおのの立場によってそれをやっておるのだけれども、結局やはりダブったりいろいろなことになっちゃう、こういうことになるわけですよ。この点は一つもう少しまともなものを考えていってみたらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/51
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052・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私も松平さんの御質問の趣旨はわからぬわけじゃございませんが、なかなか、現実の問題としますと、先ほどお答えいたしましたように、仕事そのものが民間の仕事であるということになりますと、従いましてその調査も民間ベースということになりまして、政府ベースの調査はあくまでその形において別のものがよかろうというようなことで今回のようになりましたわけでございますが、私どもの考えでは、従来アジア協会あるいはラ米協会または国建協またはメコン調査会というようなものがそれぞれ分かれておりましたのを、少なくともこの関係の政府ベースのものは一本にした、これでこの関係においては一歩を進めた、こういうことに考えておりますので、一歩々々できるだけその方向に向かって、全体が最も有効な能率的な海外技術協力の組織ができますような方向で努力をしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/52
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053・松平忠久
○松平委員 民間のいろいろな調査会というか協力会というか、そういうものを使って調査するのだけれども、その民間のものもそういう一つのひもつきのようなものがあって、それも補助金やあるいは委託費を出すからそういうものが存在するという一つの役割を演じているのじゃないかと思うのです。だから、たとえば、海外電力調査会とか、海外鉱物資源開発協力協会、漁業協会、森林、プラント関係、それから日本機械輸出組合、いろいろなものが民間にあるわけですよ。民間にいろいろなものがあるというのは、それぞれ理由がないこともないけれども、それを助長しているのはやはり政府なんです。政府が金を出すからそれが存在しておる。だから、こういうものをもう少し有機的な関連を持たせていくためにも、ぜひ一つ協力なものを使っていかなくてはならぬじゃないか、こういうふうに私は考えているわけです。
それでは、もう本会議になりましたので、質問は保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/53
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054・森下國雄
○森下委員長 本会議散会後再開することとして、この際暫時休憩いたします。
午後二時二分休憩
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午後三時五十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/54
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055・森下國雄
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/55
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056・松平忠久
○松平委員 法案のことを若干お伺いしたのですが、資本金の二億円というのは一体どういうふうにしておくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/56
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057・甲斐文比古
○甲斐政府委員 出資金の二億円は、研修及び宿泊施設に充てるためついたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/57
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058・松平忠久
○松平委員 宿泊施設なんかに二億円を充てるというが、三億円は基金だから、預けておくとか、どこか運用するのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/58
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059・甲斐文比古
○甲斐政府委員 おそらく松平先生はジェトロの基金をお考えじゃないかと思いますが、あれと違いまして、これは預けてその果実で運営をするというものではございませんで、これによって不動産を取得するための基金になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/59
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060・松平忠久
○松平委員 条文について伺いたいのですが、十五条、「事業団と会長又は理事長との利益が相反する事項については、会長及び理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。」、こういうことがある。一体事業団の会長が事業団と利害が相反するというのはどういうことですか。事業団と個人たる会長が利害相反するということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/60
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061・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいまお話しの通り、事業団の執行機関といたしまして代表権を持っておる会長及び理事長は、自然人としての会長、理事長の利害関係と必ずしも一致しない。たとえば、例をあげますと、事業団におきまして技術指導用の機材を買うという問題が起こりましたときに、会長もしくは理事長が自分の所属する企業の製造にかかるそういうものを納めようという場合に、事業団は買う立場ですからできるだけ安く買いたい、ところが、その製造業者としての会長または理事長はできるだけ高く売りたい、そういう場合には利害が相反するわけであります。そういう場合に会長または理事長が事業団を代表するのは適当でないということで、監事がかわって代表するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/61
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062・松平忠久
○松平委員 法人の場合は、役員、理事、監事があるのですけれども、会長なり理事長が責任の立場にあって事務の運営に当たるわけだけれども、その場合に、会長、理事長が事故あるときは先任の理事がこれにかわるというのが当然なんで、監事はあくまで監査役なんだ。理事があるのに監査役がその会務の責任を会長もしくは理事長のかわりにとる、代表するというのは、一体民法上どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/62
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063・甲斐文比古
○甲斐政府委員 理事は会長が任命することになっておりますので、会長の任命された理事では不適当である、監事は外務大臣が任命いたしますので、この場合に限り、非常に特殊なめったに起こることではない場合でございますので、監事が代行するということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/63
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064・松平忠久
○松平委員 それじゃこれは民法なり商法の特例になるのですか。ほかにこういう例がありますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/64
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065・野木新一
○野木政府委員 一般に、理屈としては、立法政策の問題がありまして、やはり、今おっしゃったように、理事なども会長が任命権を持っておりますから、それにまかせてはやはりインフルエンスが強いだろう、監事は外務大臣の任命ですからやはり公正な立場を代表するのだ、そういう立法趣旨に出ているので、それはそれとして十分理由があると存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/65
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066・松平忠久
○松平委員 それは任命権者が違うからそういうことであると思うのだけれども、だから、そういうふうに監事をして理事会の責任者と同じような職務をとらせる、こういうわけだけれども、これはどうも納得できない。今までの法律論から言って、一般常識論から言っても、理事長なりというものが事故あるときは理事がやるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/66
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067・野木新一
○野木政府委員 民法におきましては、五十七条で、「法人ト理事トノ利益相反スル事項二付テハ理事ハ代理権ヲ有セス此場合二於テハ前条ノ規定二依リテ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス」といった規定があるわけでございます。それで、理事と法人と利益が相反する場合には、他の理事をして代理させるということはとらず、特別代理人制度をとっておるわけであります。本法案におきましては、特別代理人というよりも、むしろ、こういう事項でありますから、監事に事業団を代表させるようにしたわけでありまして、それは先ほど言う民法の規定に対しましては一種の特別規定になる、特別規定と申しましょうか、特殊の立法になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/67
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068・松平忠久
○松平委員 その根拠はどこにあるのです。その根拠はただ任命権者が違うというだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/68
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069・野木新一
○野木政府委員 根拠は、やはり、法人と理事との間に利害が相反するという場合には、法人を代表するのがやはり理事長なんで、理事系統の役員でありますと、それと利害が反するのでありますから、それとは離れた特別代理人というのを選任するのもいいのですが、しかも、特別代理人は民法で裁判所が選任するわけでありますから、そういうように会社の執行系統と離れた者が代表する、これがやはり公正を維持するゆえんじゃないか。要するに、いかにして公正を維持するか、そういう目的に照らしまして、特別代理人を選任しなければ、やはり監事あたりが代表するのが一番その趣旨に適すると思うのであります。その趣旨に適するというのは、今言ったように、任命権者と離れておるというところに帰着するのではないかと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/69
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070・松平忠久
○松平委員 ほかにもそういう例はございますか。つまり、最近政府の出している特殊法人が非常に多いわけだ。その特殊法人の今までの先例はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/70
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071・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ジェトロ、アジア経済研究所、みな同じような例になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/71
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072・松平忠久
○松平委員 十三条の二項に職務上の義務違反の規定がございます。これも解任の条件になっておるわけだけれども、職務規程というものを作るという条文がございませんようですが、そうすると、この義務違反というのはどういうことを意味しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/72
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073・甲斐文比古
○甲斐政府委員 まず、三十一条に、「事業団は、外務大臣が監督する。」という規定がございますが、この監督規定に違反した場合、それから、三十六条、三十七条の罰則規定がございますが、これらの条項に違反した場合にはこの条文に該当するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/73
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074・松平忠久
○松平委員 そうすると、三十六条、三十七条に罰則がありますが、罰金に処するとか過料に処するとかいうことがここにありますが、それを聞かなかった場合のことを意味しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/74
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075・甲斐文比古
○甲斐政府委員 私が今申し上げましたのは、三十六条の報告を求められて報告をしなかった、つまり義務に違反したということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/75
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076・松平忠久
○松平委員 そうすると、職務上の義務というのは、この法律案の中にある職務のことを言っておるわけですか、それとも、別に職務上の職務規程というものを設けて、そうしてその規程に基づいた義務違反ということになるのか、あるいは、この条文は、ただ法律の中の役員たるの職務上の義務、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/76
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077・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この法律に規定されております義務に違反した場合をさすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/77
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078・松平忠久
○松平委員 そうすると、職務に関する内部の規程というものは作らない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/78
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079・甲斐文比古
○甲斐政府委員 就業規則というものを作ります。この就業規則に違反する場合も該当するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/79
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080・松平忠久
○松平委員 就業規則に違反する場合にも該当するということは、就業規則にこれを援用するわけですね。
それから、これは後刻ほかの委員からも質問があると思うのですが、一番おかしく思うのは、これの設立なんです。設立の規定がございますが、外務大臣は会長、理事長というものを任命して、そうして、そのあとで設立委員を任命する。附則の策二条でまず群業団の会長、理事長及び監事を先に任命してしまう、あとから設立委員を任命する、そうして設立の事務をつかさどらしめる、こういうわけですね。一体、その設立の事務というのは、会長だの理事長だの監事というものをだれにしようかという推薦をするとか、そういうことが設立の重要な専務ではないかと思うんだけれども、設立委員はそういうことをしないで、そうして、いきなり会長、理事長、監事は外務大臣が任命してしまって、そのあとから設立委員を任命する。設立委員は一体何をするのか、一番重要なことをしないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/80
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081・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この特殊法人におきましては、普通の民法法人と違いまして、将来の社長とか専務とかいうものをいわゆる互選するのではなくて、外務大臣が任命することになっております。会長、理事長、監事は外務大臣が任命することになっております。従いまして、その準備委員、設立委員を任命いたしますときに、同時に会長、理事長、監事となるべき者をあらかじめ指名するという必要が起こるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/81
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082・松平忠久
○松平委員 それでは、会長、理事長あるいは監事の指名を受けた者は必ずしも設立委員じゃない、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/82
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083・甲斐文比古
○甲斐政府委員 その設立委員は設立に関する事務を処理するわけでございます。会長、理事長、監事はいわゆる設立委員ではございませんが、事実上設立委員と協同して設立をやるということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/83
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084・松平忠久
○松平委員 それはどこかに条文はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/84
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085・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この附則の第二条、第三条、第四条を通じて読んでいただきますと、この趣旨が出ておると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/85
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086・松平忠久
○松平委員 この設立委員というのは、それじゃ何をやるのですか。設立の事務というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/86
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087・甲斐文比古
○甲斐政府委員 これは設立の準備でございまして、すべて、特殊法人の場合には、みなこういうふうな条文を附則として設けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/87
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088・松平忠久
○松平委員 特殊法人の場合に限って、まず政府が会長、理事長、監事を任命して、そのあとで設立委員を任命するという、その根拠は一体どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/88
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089・甲斐文比古
○甲斐政府委員 これは、あととか先とかいうことではなくて、同時であるというふうに了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/89
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090・松平忠久
○松平委員 同時は同時であってもいいけれども、しからば、会長、理事長、監事というものは、この法文から言うならば設立委員に必ずしもならぬわけだ。そして、会長、理事長、監事の意見と設立委員の意見が違った場合には一体どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/90
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091・甲斐文比古
○甲斐政府委員 実際問題といたしましては、設立委員と、それから外務大臣の指名を受けました会長、理事長、監事というものは一体となってやるわけでありまして、会長、理事長、監事は、設立委員という名前はついておりませんが、設立委員の事実上長として、会長が設立準備の事務を総理していくということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/91
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092・松平忠久
○松平委員 それでは、そういうふうに修正したらどうですか。この法文ではちっともわからないね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/92
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093・甲斐文比古
○甲斐政府委員 従来、こういう例文ですべて特殊法人はやっておりまして、何ら不都合なく行なわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/93
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094・松平忠久
○松平委員 これは事実上はそうでも、しかしながら、法律論としては、会長、理事長、監事というものは必ずしも設立委員ではない。しかも、その設立委員と会長、理事長に指名を受けた者とが意見の違う場合もあり得るわけです。ところが、特殊法人に限ってこういうふうなやり方をしておるというのはどこに根拠があるのか。これは、法律論として、法制局、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/94
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095・野木新一
○野木政府委員 これは、純然たる法律論といたしましては、ただいま先生の御質問に現われたように設立委員と会長、理事長または監事となるべき者とは同じである必要はないわけであります。法律上は区別があるわけです。ただ、会長、理事長並びに監事となるべき者を外務大臣が指名するというのは、先ほど外務省の政府委員からお答えしましたように、やはり、終局においてこの会長、理事長、監事は外務大臣の任命にかかっておりますので、できたとたんにこういうものがなければなりませんので、あらかじめそれを指名しておく。設立委員は設立手続をつかさどるために別個の性質のものとしてあるわけでありまして、法律上は、設立委員が設立して、ある段階において、これは法文にありますように、附則の四条二項ですか、「設立委員は、出資金の払込みがあった日において、その事務を附則第二条第一項の規定により指名された会長となるべき者に引き継がなければならない。」、こう引き継ぎまして、そうして設立委員の任務は終わるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/95
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096・松平忠久
○松平委員 設立の引き続ぎはだれにするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/96
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097・野木新一
○野木政府委員 附則四条二項にありますように、会長となるべき者に引き継がなければならぬ。それですから、厳格に言うと、そのときまでに会長となるべき者を指名しておけばいいわけなんでありまして、必ずしも、実際の運用はともかくとしまして、法律論としましては、会長となるべき者を先に指名しておかなければならない、あるいは設立委員の指名よりもおくれてはいかぬ、そういうことはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/97
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098・松平忠久
○松平委員 それでは、設立事務とはどういうものですか。どういう手続なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/98
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099・野木新一
○野木政府委員 設立事務といいますのは、これは法人でありますから、法人の実体を形成する手続であります。これは定款はここには出していなかったと思います。それでございますから、これは、実体において一番大きな点は、出資金の払い込みを請求し、その払い込みを完了させる、そういう点が一番実体になる点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/99
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100・松平忠久
○松平委員 そういたしますと、この法案の考え方というものは、出資金だとかそういう財政上のいろいろなことは設立委員にやらして、そして組織については外務大臣がやる、こういうことですね。甲斐君、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/100
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101・甲斐文比古
○甲斐政府委員 必ずしもその両方の事務を純然と分けるものではない、協同してやるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/101
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102・松平忠久
○松平委員 協同してやるとさつきから言われておるけれども、その協同してやるという考え方はどの法文から出てくるのですか。設立委員は別個に外務大臣が任命し、会長、理事長、監事も別個に外務大臣が任命するわけだ。その二組の意見が一致することはもちろんあり得るでしょう。だけれども、意見が違う場合も出てくると思うのだ。その場合はどうやって調整するか。どうするつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/102
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103・甲斐文比古
○甲斐政府委員 私はただいま実際上の取り扱いを申し上げましたが、法律的な解釈は、これは法制局の第二部長から御説明してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/103
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104・野木新一
○野木政府委員 法律的には、設立に関する事務を処理するというのは設立委員の権限でありますから、違うといっても、それは設立委員の意見によってやるよりしようがないと思います。ただ、しかしながら、同じ外務大臣が任命することでありますし、そういう意見の反するということも実際問題としては起こることもないのじゃないだろうか。しかし、法律的に言うと、もし意見が違った場合には、設立の手続は設立委員の権限なり義務でありますから、それに従ってやる、そういうことに法律上はなっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/104
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105・松平忠久
○松平委員 それでは、設立委員には、人事の任命、役員の任命権はないわけです。しかし、その他の設立の手続は一切設立委員の専管になっておるわけです。その場合、財産の処分その他について、設立委員がかりに指名された会長等と考え方が変わった場合はどうなりますか。変わった結論が出た場合には、これは妙なことになりはせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/105
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106・野木新一
○野木政府委員 設立委員は、あくまでも設立に関する事務でありますが、事業団が設立になった、子供が生まれてきた後におきましては、これは会長なり理事なりの権限になりまして、設立委員がやったことがどうもできた後に都合が悪ければ、そのあとのできた者は権限でそれを変更するとかなんとかいうことはできるわけであります。ただ、業務方法書とかは外務大臣の認可を要しますので、そういう手続を踏まなければなりませんが、そういう手続を踏みさえすれば、設立委員がそういうことをいつまでもやっておる、そういうことではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/106
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107・松平忠久
○松平委員 しかしながら、これは一応新しい事業を継続していくということなんですから、今までアジア協会がやっておった事業を今度できた特殊法人が継続してやるわけなんですよ。その場合に、設立委員が、こういうような事業についてはこれはやるとかやらぬとか決定をするわけです。あるいは財産の継承におきましても決定をするわけです。そういう場合はどうなりますか。それが今度は新しい理事会か何かでまた違ったことをどんどんできるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/107
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108・野木新一
○野木政府委員 設立委員はあくまでも設立までの段階の準備行為でありますから、たとえば先ほど言った出資金の払い込みとかいう点は非常に重要なことでありますが、そのほかにも、私は実際の手続を知りませんが、事業団ができたらすぐ動けるように、たとえば場合によっては業務方法書とかそういうものの案みたいなものを作るというようなことを普通の場合にはやっておるのではないかと想像されます。
それから、今言われた財産の点につきましては、附則の七条におきまして、「社団法人アジア協会は、定款で定めるところにより、設立委員に対して、事業団においてその一切の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。」、そうして、「設立委員は、前項の規定による申出があったときは、遅滞なく、外務大臣の認可を申請しなければならない。」、こういうことがありますので、本件の設立委員は、アジア協会からの申し出を受理し、しかも外務大臣に認可を申請する、こういうようなことも事業団ができ上がるまでの設立委員の一つの仕事になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/108
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109・松平忠久
○松平委員 そのことを言っているのです。設立委員に重大な権限を与えておるわけですよ。アジア協会の一切の権利義務を継承することを設立委員に申し出て、設立委員がこれを受け入れるかどうかということをきめなければならないでしょう。それで外務大臣に申請するということになる場合に、設立委員なるものが違った結論を出した場合は一体どうなりますか。こういう財産はいいけれどもこの財産は引き受けないというような結論を出すようなことがあり得ると思う。そういう場合にトラブルが起こるのじゃないか。だから、私の言わんとするところは、ひっきょうするに、設立委員というものは、会長になりあるいは理事長になるという者がやはり設立委員になっていないとまずいのじゃないか。それが全然別個な外務大臣の任命になっておって、設立委員は別個で、会長、理事長になる者は別なんだ、こんなやり方でうまく動きますか。実際問題は行政指導によって動くかもしれませんけれども、法律論を展開していくならば、全然別個な人格を持ったものだ。そういうことで、設立委員は最も重大な財産の受け入れということを一方でやっておって、一方会長になる者は全然たな上げになる、知らぬわけだ。一体そういう会社なり法人の設立の仕方というのはございますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/109
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110・野木新一
○野木政府委員 御指摘の点はまことにもっともな点もあると思いますが、この法案におきましても、もしそういう疑念がこの場合非常に多いというならば、法律上といたしましては、会長、理事長または監事となるべき者を指名し、また刑の資格で設立委員に任命するということも可能ではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/110
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111・松平忠久
○松平委員 それは、可能だということは、できるということですか。それはどこに書いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/111
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112・野木新一
○野木政府委員 別に禁止の規定がありませんので、必ずしも法律の趣旨に反するとまで言わなくてもいいのではないかと解したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/112
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113・松平忠久
○松平委員 官房長官にちょっとお聞きしたいのです。
これは法律論ではありません。今度の海外技術協力事業団というものは、政府関係の約束その他に基づいて技術者を受け入れて研修をさせる、こういう法律であります。そのほか、海外に技術センターのようなものを作る、こういうことになっておるわけであります。ところが、現在は、この法律ができましても、民間のものは通産省でやります。しかも、通産省は七五%の補助を出して、われわれもちょっと行ってみたけれども、なかなかりっぱにやっておられるようだ。二五%ばかり民間から金を集めてやっておる。民間のものはそういう受入体制、政府機関のものはこのような受入体制である、こういうので二元的に行なわれておるわけです。そのほか、資本協力等におきましても、輸銀は輸銀の関係で大蔵省の専管であり、それから切り離して海外協力経済基金というものは経企庁の所管になっておる。そういうものが各個ばらばらにやっておるんだが、これを各省にいろいろ言ってみてもだめなんだ。これは、総理大臣なり官房長官のもとで、一生懸命にどうしたらいいかということを考えて、政治力でそれをやっていくよりほかに直すことはできません。これはセクショナリズムから来た歴史的な背景でこういうことになっておる。
そこで、今後日本が海外経済協力をやっていくという場合においては、こういう各個ばらばらでは、予算の使い方もむだになる、人間の使い方も結局むだになると思う。そういうことからよその国ではだんだん統一する方向に持っていっておるわけです。そこで、日本はまだ積極的に海外協力をやるという段階にはなっておらぬかもしれぬけれども、しかし、そろそろそういう準備体制は整えていく必要があるのではないか、これが私の持論なんですが、官房長官はどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/113
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114・大平正芳
○大平政府委員 この事業団の設立につきまして、政府部内におきまして各省との間に御協議があったわけでございまして、各省はそれぞれ設置法のもとで自分の仕事をいたしておりまして、また、その自分の所管の仕事につきましては、各省ともそれぞれ非常に熱心であるわけでございます。今御指摘のように、所管別に摩擦重複等が皆無ではございませんが、これは、漸次、そういったことのないように、行政効率が上がるように持っていくのが、私どもの当然の任務であると思うのでございます。ただいまお言葉にもありましたように、これを前進的に持って参らなければならぬわけでございまして、私は、今度できました事業団自体も、そういう意味では技術協力に関する限り一つの前進でできたのではないかと思うのでございます。今度海外技術協力というものがだんだんと拡充展開されて参るようになりますと、具体的にいろいろな事例が出てくるだろうと思います。そういった問題をどういう配列に置いて参るかということは絶えず政府の問題になろうと思うのでございますが、今御指摘のように、できるだけそれをまとめていって、海外枝術協力自体が効果を発掘するように持っていくべきでございますし、鋭意その方向に努力して参るというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/114
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115・松平忠久
○松平委員 その方向はきわめて私も同感であります。ぜひそうしてほしいのだけれども、その前提として、何か法律に基づく一つの制度のようなものとして、海外経済協力会議というが、政府部内に一つの合議制のようなものを持って、これは事実上の合議制ではなくて、法律に基づく合議制のようなものを設ける必要もあるのじゃなかろうか。いきなり、海外経済協力省というが、あるいは経済協力庁という外局のようなものを作るのもけっこうでしょう。しかし、その前提として、もう少し密接に関係各省で海外協力に関して意思の疎通をはかるような、やや権限の強いような委員会制度というようなものを一体設けられないのかどうかということなんです。どうですか、この考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/115
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116・大平正芳
○大平政府委員 現在、内政問題でも、たとえば交通問題とかあるいは基地問題でございますとかというような問題がやかましくなって参りまして、これに伴う関係会議というようなのも、これは制度的なものではなくて閣議の決定でやっておるのでございます。ところが、私どもがこれをやってみまして感じますことは、そのほかにも、国防会議もございますし、経済閣僚会議もございますし、その他閣僚自体が参加した今考えられているような合議体は少し時間的な配分から申しまして無理じゃないかという感じがするのでございまして、端的に閣議にお願いするということにしないと、毎日それをやっておらなければいかぬというような始末になるわけでございまして、だとしますと、やはり次官レベルでそういったものをまとめていく仕組みが必要じゃないかということになりますと、閣僚会議を設けますと必ずそれを受けまして次官レベルの事務局を持たなければなりませんで、これもまた非常に混雑しておる状況でございます。従って、何か仕組みを考えろということで、しかも相当権限があり各省を掌握して指導して参るというような機関が観念的にほしいわけでございますが、事実上、屋上屋になりはしないかという懸念もあります。しかし、海外経済協力はもっと広範に行なわれて参るというような段階になりますれば、あるいは仰せのようなことの仕組みを考えなければ動きにくいような場面が来るのじゃないかということも考えられますので、なお、そういう問題点を承りまして、私どもも検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/116
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117・松平忠久
○松平委員 数年前にそういう構想があったように思うのです。ところが、機が熟さなくて、今日の段階になってくると、ますます各省のなわ張りがいろいろ出てくるということになって、僕らが見ておっても、現在この種のようなものは四分五裂です。そこで、やはり、これは今のうちからもう考えて、来年度あたりはそろそろ考えなければならぬ段階に来ているのじゃないか、こう思いますので、これは特に要望いたしておきます。官房長官にはそれだけです。
それから、あとのこまかいことは、今金属関係の方の小委員会が始まっておりますので、そこへ私は行かなければならないので、時間がなくてできませんので、これに関連しまして一、二点外務大臣にお伺いしておきたいと思います。
その第一は、海外技術協力の事業団を作る、あるいは海外にも技術センターを作る、こういう仕事の上において、その衝に当たる役人はどういうような訓練なりどういう養成をしようとしておりますか。特別に何らかの訓練を与えるのか、あるいは、今おる者を、ちょっとお前、海外の技術センターの長になれということにするのか、あるいは、広く部外から適任者を適材適所で求めてくるというのであるか、どういう人事のお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/117
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118・小坂善太郎
○小坂国務大臣 この事業団を運営いたして参りますには、相当専門的な知識が必要であると考えますし、また、ある意味においては事業的な勘というものを持った要素かと思います。また、語学等の面も当然必要であろうと思いますが、そういう点をいろいろコンバインして考えて参りたいと思います。
そこで、部外から人を入れるかということでありますが、もとより、通産、農林関係の方々も必要な知識を非常にたくさん持っておるのでございますから、役所としてそういうことを歓迎いたしたいと思いますし、また、いわゆる役所以外の事業畑におきましても、相当国家的な広い気持を持った実業家というような者の中からも考えて参りたいというふうに思っておる次第であります。外務省の所管であるからといって、私どものなわ張りということでは考えたくないというふうに思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/118
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119・松平忠久
○松平委員 それはけっこうであります。私は、どうも、今の日本人の中には海外経済協力に適当な人間というのはいないのじゃないかと思っております。実際言いますと、外務省の役人もだめだし、通産省の役人もだめです。また、実業家もだめです。日本人の中にはおよそこれに適当した人間は少ないのです。そこで、これは養成していくよりしようがない。だから、この養成に外務大臣は相当頭を使ってもらいたいと思う。そのことを要望するわけです。
それから、もう一つ私は外務大臣にこの際伺っておきたいのは、給与の関係なんです。一体、こういう人々に給与をどの程度差し上げることを考えておるのか。それはこういうことです。私はただ単に給与のことを言っておるのではないのです。およそ東南アジアからアフリカ、アラビヤというようなところの技術センターなり在外公館、ジェトロでも同じですが、そういうところへ行っておる人の気持を察してみると、早く日本へ帰りたいという気持です。早く任期を全うして日本へ帰りたい、これが偽らざる全部の気持なんです。一体そういうことで海外経済協力ができるかどうか。根本問題です。この根本問題はどこにあるかというと、給与の体系を改めていかなければなりません。このことは、政府はもとよりでありますけれども、実は民間に非常に多い。そこで、民間の各商社にしましてもどこにいたしましても、全部が腰かけで、女房もつれていかない。いわんや、その地域社会に溶け込もうなんて生活はどこでもやっておりません。これらの連中は、全部、任期を全うして早く日本に帰ってポストのいいところへつきたい。だから、その仕事はその場でやっておるのだけれども、絶えず本店なり本省に向かってのPR活動というか、自己というものを主張するようなことしかこの連中はやらないのです。そこに非常に大きな欠陥がある。これは、イギリスにしても、西ドイツにしても、やっていることは、給与を上げてやって、そして、そこで土着していくという覚悟をきめさせてやっているような格好なんです。だから、植民地が次から次に独立しても、経済は相変わらずイギリスがぎゅっと押えている。支店長もやめてからなおかつそこで仕事をしておる。そういうやり方をやっているわけです。それの根本はどこにあるかというと、政府の給与体系にあり、民間がこれに対して右へならえをやっておるというところに大きな欠陥があるわけです。これを一つお考えおき願いたいと思うのだけれども、これに対してどういうお考えを持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/119
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120・小坂善太郎
○小坂国務大臣 非常にごもっともなお話だと思いまして、私も非常に同感でございます。今度この事業団は一般の役人より若干よく待遇するように考えておるのでございますが、しかし、どうも、私も東南アジア等に行ってみまして、たとえばコロンボ・プランで出ておる人の待遇などを聞きますと、今御指摘のように、イギリスあたりは自家用車を持って飛んで歩いておる。こっちはわらじばきで非常に熱心にやっておる人もございます。しかし、どうも現地人の気持からしますと、何か非常に親近感を感ずる一方、何か自動車で飛んで歩く人の方が権威があるように見えるという点もございましたりいたしまして、非常に考えなければならぬことだと思っております。なお、給与が低いために、マラリアにかかって死んだというような方も農協の方であったようなこともありまして、これはおっしゃる通りで、そういう面を、この事業団ができましたら、大いにそういう体験を持ちしかも抱負を持った人に少しまかせて運営して、私どもも気がついたことはどんどん申しまして、これは発足する最初が大事でありますから、十分お話のような点を気をつけたいと思います。先ほどお話がございました、人を養成するということについても、十分考慮して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/120
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121・松平忠久
○松平委員 最後にもう一つ伺いたいのですが、冒頭に大臣が言われたけれども、経済協力のいろいろな仕組みがございますが、その中で、東南アジアなりあるいは中近東、アフリカというところを対象にした場合には、これはかなり農業に力を入れなければならぬということは、お話の通りなんです。同時にまた、中小企業にも力を入れなければならぬ。そこで、人口が非常に多い国がかなりございます。従って、雇用問題というものを抜きにしては、私は経済協力というものは成り立たぬと思う。つまり、農業の人口をいかに少なくしながらこれをほかの産業に移すかということなんです。このほかの産業、手っとり早く言うならば、これは言うまでもなく日用必需品を供給するところのものが必要であります。同時に、あわせて、それを作るもとになる基幹産業も必要でありましょう。しかしながら、今私が見ておるのに、どこの国も基幹産業をやろうという考え方で出発して、何カ年計画というものを立てておるけれども、必ずしもうまくいっていない。これは中共を例にとるまでもなく、今や軽工業品をやらなければならぬ、国民にもっと消費物資を与えなければならぬということは、これは当然なんです。それは、インドにしてもどこにしても、そういう方向に動いておると私は思うのであります。そこで、これらの技術を修得した者を中心といたしまして、中小企業の産業というものが起こって参って、そこへ日本が資本的なり技術的なりの協力をしていかなければならない、こういう考え方というものをわれわれは大きく重要視していかなければならぬ段階だと思います。その中で、一般の今日の日本の欠陥は、大企業の進出につきましては、これはいろいろな国家の資金を使う仕組みがございます。ところが、中小企業の場合におきましては、ほとんどそういうものがないといったような現状なんです。
そこで、考えられることは、国内における保証協会のようなものを作る必要があるわけです。保証協会のようなものは、必ずしも日本独力だけでできるのではなくて、それは外国との話し合いによって折半の出資によって作るということをやらなければならないし、また、今日やっておる国もございます。それによりまして、リスクの伴うところのそれらの小さい産業を日本が経済協力をしてやっていく場合において、それに対して一種の二国間の保証協会というものを作っていって、そうして、それに事業保証をある程度、八〇%くらいやらせるような仕組みがなければ私はだめだと思うのです。そういう考えをぜひ実現させていただきたい。これは相手国との交渉によりましょうけれども、私は、これは不可能なことではない、こういうふうに思います。もしそれに対する御所見がありましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/121
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122・小坂善太郎
○小坂国務大臣 非常にけっこうなお考えであると思います。二国間の投資保証協定というようなものをできるだけ私ども作って参りたいと思いますけれども、そこには、ただいまおっしゃったように、どっかにまた再保険をさせる、こういう考え方が非常に必要であると思います。お話の考え方は私において十分同感するところでございます。今後さらに研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/122
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123・松平忠久
○松平委員 終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/123
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124・森下國雄
○森下委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/124
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125・中村重光
○中村(重)委員 時間がありませんから簡単に要点だけお尋ねをしたいと思います。
ただいま松平委員から指摘されましたように、この事業団の所管をめぐって、外務、通産両省においてはずいぶん長い間いろいろと問題であったということを伺っておるわけですが、このことは、松平委員も指摘しましたようにセクショナリズムということも言えるでございましょうし、あるいはまた、両省の事務当局が一つの熱意をもって技術協力をやらなければならない、そういった考え方というものがそういう問題の形に持ち込んでいったというようにも解されるわけでございますが、外務大臣としては、これは通産省の所管でなくてやはり外務省の専管としてこれを推進していかなければならないということに対しての積極的な一つの理由づけというものがあろうかと思います。まずその点に対して外務大臣の所見を伺ってみたいと思うのであります。
なお、時間の節約をはかる関係上あわせてお尋ねしておきますが、いろいろと通産省との関係もこの後に残されておるものがあるのであります。それらの調整をどういうふうなことではかっていこうとしておられるのか、この点に対してもお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/125
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126・小坂善太郎
○小坂国務大臣 このたびこの事業団ができますことによって、大いに海外技術経済協力を進めたい、こう考えておりまするが、やはり、この種のものを行ないまする場合に、いわゆる役人の頭、一般に観念的に考えられておるような役人の頭、それだけではいかぬという気持でおります。先ほども申し上げましたように、それを機動的に、しかも相手国の感情を十分理解した経済協力をなされなければならない、こう考えておりますので、私ども外務省としては、国の窓口、外国に対する窓口として政府間の経済協力をお引き受けいたしておるわけでありますが、しかし、外務省がやったからといって、外務省だけでセクト主義を発揮するということは毛頭私どもは考えておりませんので、ぜひ一つこれに経験のある各省の御協力を得て全きを期したい、こう考えております。
その意味で、これは後段の御質問の点に触れるわけでございますが、やはり、門戸を広くいたしまして、民間の方もそうでございますし、それから、通産、農林あるいは経企といった各種の国内官庁のそれそれの優秀な方にも大いに門戸を広くして、これを迎えていく。目下政府間ベースでございますが、これを大いに推進していくということをやってみているうちに、なるほどこれじゃ一つ総合的に考えた方がいいという気持もあるいは起こるかもしれぬというふうにも思っておるような次第でございます。
もとより、この経済協力は非常に技術面が大きいわけでございますし、また、民間の創意工夫によって、国と国との経済協力が進む非常に大きい部面があるわけであります。その面では、通産省が従来とも非常に骨を折られ、また、業績もなかなかあげておられる。この点については大いに尊敬をいたしまするが、それを通産省とか外務省とかということでなくて、大きく日本という考え方で考えるようになって参りますれば、非常にけっこうなことかと思います。そんな気持でこの事業団を発足していきたい、運営を考えてみたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/126
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127・中村重光
○中村(重)委員 そういうことになりますと、先ほど松平委員も指摘しましたが、現在技術センター等通産省がやっておるところは従来通り残すこういうことになったということが、やはり、いろいろ理由づけは先ほど御答弁の中でありましたけれども、すっきりしない点を感ずる。それらの点が一元化するということが好ましかったのじやないかと考えますが、その点についてはどのような見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/127
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128・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私ども、現実に直面いたしまして、なかなか解決困難な問題がございますわけで、どうもこれは私の力の足らざるを恥じるほかないのでございますが、現実においてはなかなかそこまではいけない現実であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/128
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129・中村重光
○中村(重)委員 通産省は従来技術協力という形において積極的な推進をやっておったという点は、認めるわけです。そこで、通産省設置法というのがありますね。それにまた通産省設置法に伴って施行令といようなものがここで残ってくるわけになりますが、この点に対しての法的な処理というのはどうなるのか、この点に対して今井さんからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/129
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130・今井善衞
○今井(善)政府委員 通産省設置法によりますと、通産省の任務または権限といたしまして、通商経済上の国際協力の推進ということに相なっておるのでございます。御承知のように、通産省といたしましては、別途、通商関係について、輸出にいたしましても輸入にいたしましても、それを総括するということが任務、権限になっておりまして、この経済協力は通商関係と非常に密接な関係があるわけでございまして、特に、最終の段階であります企業の進出だとか、あるいは資本協力、延べ払いという段階になりますと、その手段としては、物の移動、輸出というふうな形に現われてくるわけでございます。しかも、その場合には、個々の企業がやる、政府機関ではございませんで、それぞれの会社がやるというふうな形になるわけでございます。従いまして、たとえば、経済協力と申しましても、延べ払いとかあるいは投資という段階になりますと、経済協力と貿易が密接不可分だという関係になります。たとえば、技術協力のうちでも、二つに分けまして、技術者の受け入れ、派遣ということになりますと、それ自体は、もちろん貿易と関係はございますけれども、その関係というものは、何と申しますか、国際親善を通じてというふうな回りくどいような関係になります。ところが、たとえば製鉄所を作るとかあるいは肥料工場を作るとかということについて相談を受けるということになりますと、それ自体が貿易と非常に密接な関係になる。通産省といたしましては、片や貿易というものを任務、権限にしておるので、経済協力につきましてもその貿易面と接触の深いものにつきまして非常な関心を持ってやっておるというのが実情でございます。従いまして、民間ベースということになりますと、これは民間としては何らかの利益観念が頭に残っておりますので、従って貿易と比較的密接なことをやっておる、さような関係で通産省がやっておるわけでございますし、政府ベースのものにつきましても、貿易と相当密着しておるようなものにつきましては、通産省として力を入れてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/130
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131・中村重光
○中村(重)委員 業務ということに対してはわかりますけれども、やはり、一つの法体系という形になって参りますと、問題があるのではないが。この事業団法の二十条の業務の範囲という問題と、通商産業省組織令の三十四条の二項との関係は、やはりここに抵触してくる、このように考えるわけです。この点はやはりはっきりしなければならぬのじゃないか、こう考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/131
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132・今井善衞
○今井(善)政府委員 通産省組織令の三十四条には、海外との通商経済協力に関する事務を総括するということになっておりまして、その意味は、先ほど申しましたように、通商関係と非常に近い観念でもって私ども運用しておるわけでございます。ところで、この事業団の事業の範囲、これは、その目的にございますように、政府ベースの関係を中心としてやる。その場合に、海外からの受け入れあるいは海外への派遣という関係、あるいは海外における技術センターの運営の問題、これらは政府ベースとしてやっておるわけでございまして、これは、むしろ、先ほど申しましたように、貿易とはもちろんつながりますけれども、それが間接的なつながり方、国際親善を増すことによりまして貿易の増大をはかるという程度のつながり方でございまして、従いまして、そういう意味合いにおきまして、これは外務省がこの事業団を専管として監督していただいて一向差しつかえないのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/132
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133・中村重光
○中村(重)委員 ところが、事業団は二十条に基づいて業務を推進してくる、こういうことになって参りますし、通産省としては、組織令の三十四条の二、これはもうこういうことは当然であるから、こういう形で推進をしてくるということになって参りますと、事実上の業務の推進の上においてやはりそこに混乱が起こってくるといったようなことが私は起こり得ると思いますので、従って、この点に対しては、今日までの事務当局との折衝の中において、やはり、二十条の業務の範囲というものはどういうものか、これらのことと関係をいたしましていろいろと話し合いがなされておるのではないか、これは当然であると私は思う。この点に対しては外務省の甲斐さんの御見解を一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/133
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134・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいま通商局長からの御説明のように、経済協力のうち、民間ベースでやるものにつきましては、この事業団はこれを除外しておる。政府ベースのものは原則としてこの事業団でやるわけでありまするが、先ほどお話がありましたように、この業務の範囲のうちで、一項一号のイ、ロ、ハ、ニのニにございます「アジア等の地域における公共的な開発計画に関し基礎的調査を行なうこと。」、この点につきまして通商経済上の必要という問題との調整が起こってくる。この点につきましては、通産当局と外務当局との間に十分論議をかわしまして、矛盾しないように調整をいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/134
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135・中村重光
○中村(重)委員 通産省設置法の組織令と事業団の二十条の業務の範囲、この点に対してはいろいろと問題があろうと思いますけれども、時間の関係もありますので、この点はいずれまた適当な機会にお尋ねしてみたいと思います。
そこで、この組織の筋一条の目的ですが、これは、アジアの全地域、こういうことになっておりますし、それだけではなくて、開発途上にある海外の地域、こういうことになって参りますと、これは非常に広域な地域になってくるわけです。元来、事業団ということになって参りますと、すでにそこで海外協力を現実にやらなければならない、こういったような直接交渉のある地域というのが事業団の場合は主として起こってくると考えるわけですが、ところが、この場合は非常に広域にわたっている。また、アジアの地域ということになって参りますと、アジアは、いろいろ、ここで私が申し上げるまでもなく、中国も入って参りましょうし、韓国も当然入ってくるでありましょう。また、日本との間にまだ交渉もない、外交関係というものもできてない地域というようなものも、広範囲に入ってくることになります。また、南米各地、それぞれ非常な広大な地域にわたってくるわけですが、特にこれらの非常に広い地域ということにこの目的の中で定めたということに対しては、一つの考え方があろうかと思うわけですが、それに対する真意を一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/135
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136・甲斐文比古
○甲斐政府委員 技術協力は、けさほどからお話がございましたように、いわゆる二国間ベースでやるもの、それから、国際連合等国際機関を通じてやるもの、いろいろございますが、この目的といたしまするところは、結局、いわゆる世界の低開発国、と言うと言葉が悪いものですから、開発途上にあるものと書いてあるわけでございますが、開発のおくれている国々に対して、その開発を助けて彼らの生活水準もあわせて上げるということによって世界平和に寄与するということにあるわけでございます。従いまして、ただアジア地域にだけ限定するということはできません。全世界の開発のおくれておる地域を同時に引き上げていくということが必要になってくるわけであります。ただ、わが国の場合におきましては、わが国の地理的な位置、また、資金にもおのずから限度がございますので、アジア地域に重点を置くということになっております。
なお、ただいまお話のごとく、この法律は、一応国交のある国ということで、アジア地域にございましてもまだ国交の開かれておらないところには一応その適用がないという建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/136
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137・中村重光
○中村(重)委員 そこで、この目的には非常に広域な地域をあげておるわけですけれども、事業団が直ちに活動を開始する、こういうことに対しては、限られた地域というものがあろうかと思うのですが、それらの国々というのはどういうところを想定しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/137
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138・甲斐文比古
○甲斐政府委員 全部をあげますとだいぶ数が多いのでございますが、まずアフリカからいきますと、これは
○EECで低開発諸国一覧表というものを作っておりまして、大体それによったものでございます。ヨーロッパ地域で申しますと、キプロス、ジブラルタル、ギリシャ、マルタ、スペイン、トルコ、ユーゴスラビアが入っております。アフリカでは、アルジェリア、サハラ、アンゴラ、 アセンション、バストランド、ベチュアナランド、英領カメルーン、仏領カメルーン、ケープベルデ諸局、これはポルトガル領でございます。中央アフリカ連邦セウタ、メリラ、コンゴの旧ベルギー領、同じく旧フランス領、チャド、コモロ群島、ダホメ、エチオピア、エリトリア、ローデシア・ニアサランド連邦、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア等々、たくさんございます。それから、アメリカ州では、主としていわゆる中南米諸国でございます。アルゼンチン、バハマ群島、バーミューダ群島、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ、エクアドル、サルバドル等々。それから、アジア地域では、アデン、アフガニスタン、バーレーン、ブータン、小笠原諸島、ブルネイ、北ボルネオ、サラワク、ビルマ、カンボジア、セイロン、台湾、グァム島、香港、インド、インドネシア、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェート、ラオス、レバノン、マカオ、マルディブ群島、マラヤ連邦、ネパール、パキスタン、フィリピン、カタール土侯国、サウジアラビア、シッキム、シンガポール、タイ等ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/138
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139・中村重光
○中村(重)委員 いろいろたくさんの国をおあげになったのですが、私はそれがいけないと言うのではありません。
そこで、私がお尋ねしたいのは、この技術協力というものの目的の問題なんです。外交上の親善であるとか、人道主義的な精神ということになりますか、そういったようなことを、主としてやっていくということを考えるのか、あるいは、そうじゃなくて、お答えがありましたように、この開発途上にある国々が技術提携というものを求めている、これらの国の経済発展をはかっていく、そのことが日本の輸出、投資活動というものを非常に強めていくということになる、外務大臣が初めにお答えになりましたように、そうした国々が繁栄をするということは日本の繁栄に通じていくんだ、こういったような考え方の上に立って技術協力をやるということが主であるということなのか、この点が非常に大きな問題点ではなかろうか、私はそう考えるわけです。そうなって参りますと、私は通産省のパンフレットで見たのです。実は、低開発国の国民のいわゆる人材の訓練あるいは指導ということが主たる目的であるとおいてあるのを見た。これは非常に問題だと私は考えるわけです。これを悪くとって参りますと、人材の指導ということはそれじゃどういうことなのか、訓練ということはどういうことになるのかというように、いろいろイデオロギー的にこの問題をとればとれるわけです。こういういうことから、今たくさんの国をおあげになりましたが、それらの国々に対するところの技術協力というものを今度は外務省が一元化してやっていくという場合に、そうではないんだ、あくまで低開発国の経済活動を強めていく、こういうようなウエートの上に立ってこれをやろうとする、その意思のもとに一元化をはかってきたとするならば、今までやってきたことと、特にこれから先やろうとするについては積極的な一つの考え方というものがなければならぬ、私はこう思う。それらの点について一つ外務大臣の考え方を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/139
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140・小坂善太郎
○小坂国務大臣 民間のベースの経済協力というものがやはり直ちに反射的に反対給付につながるという面が強いのに比べまして、国家間のベースの経済協力というものは、技術協力をしたから直ちに反対給付を求めるというものではないものが多いわけでございます。そういう反対給付の面は非常に低いものが多いということが考えられるわけでございます。今回この事業団を作りました主体になりまするものは、アジア協会が現在やっておりまする事業を全部引き継ぎます。それから、ラ米協会がございますが、この技術協力部門を引き継ぐわけで、民間の部門はなお残存するわけでございます。それから、いわゆる国建協、国際建設協会、それがやっておりまする部分も同様な形で引き継ぎます。さらに、メコン調査会、これは任意団体でございますので、政府の委託事業、この部分を引き継ぐわけでございます。従いまして、さしあたりこの事業団の考えおりまする事業対象というものは、従来これらのものがやっていたものを引き継ぐという部面が多いわけでございます。
そこで、先ほど甲斐政府委員から申し上げましたように、DACの関係でいわゆる低開発国というふうにみなされておりまする一覧表には、先ほど述べたように非常にたくさんの国があるわけでございます。しかし、ラ米協会等でやっておりまする部分で、米州機構の国が入っておるわけでございます。たとえばブラジル等には繊維の関係で先ごろセンターを作りましたようなわけでございますが、これらの国にそういう事業がございまするが、主として対象はアジアの国になるということになろうと思うのでございます。
これらの国に対しまして民間ベースでいろいろ事業関係の経済協力も行なわれまするが、それよりも、われわれがこの事業団で考えておりますのは、政府間ベース、すなわち、直ちに反射的に利益がはね返ってこないようなものを、向こうの国の人たちの希望に沿うような経済技術の協力をしていこう、こういうことになって参るというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/140
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141・中村重光
○中村(重)委員 今井通商局長にお尋ねしますが、通産省のこの技術協力の主たる目的ということですね、これは、低開発国の人材の訓練、指導、これが主であったということが、あなたの方で出しておるパンフレットにはっきり書いてある。これは適当ではないんだ、こういう一つの考え方というものが当然起こってこなければならない。そういうことではなしに、実際は、投資をする、あるいは輸出をする、そのためには、やはり技術協力をやって、そして、それらの日本が技術協力をやろうとする国々の経済を非常に強めていくように、日本の貿易振興をはかるためのその土壌を作っていく、ここに技術協力の重点を置いてこなければならぬ、こういうことに私はなると思うのですが、まず、今までの技術協力が、そうした低開発国の国民の訓練であるとかあるいは指導であるとか、こういうことが主であるということであったとするならば、今までの指導というものはどういうことを実はやっておられたか、その点について伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/141
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142・今井善衞
○今井(善)政府委員 通産省は決して低開発国の人の技術訓練、人としての能力を高めるというふうなところに重点を置いているわけでございませんで、先ほど来お話がございましたように、技術協力を通じまして、相手国の技術の不足を補ってそれを高めていく、それによりまして相手国の繁栄をもたらし、それがはね返りまして日本との貿易の拡大に役立つというところをねらっておるわけでございます。
ところで、この技術協力ということになりますと、ここにこの事業団としてあげております仕事のタイプは大まかに申しまして三つになるかと思いますが、一つは、受け入れ、派遣の問題でございます。受け入れ、派遣の問題は、これは、相手国の技術者の訓練に協力いたしまして、たとえば、その方々が帰った場合に、りっぱな技術者として、後進国に産業が興るようにということでございますし、それからまた、日本から出かけまして、技術センターを作るとか、あるいはさらにこの投資前の基礎調査の問題があるわけでございまして、この投資前の基礎調査と申しますのは、とにかく、向こうでもって、中小企業にいたしましてもあるいは大企業にいたしましても、工業化をしたい、りっぱな工場なり何なりを作っていきたいという場合に、日本といたしまして出かけて、いろいろの調査をし、アドヴァイスを与えるという関係にあるわけでございまして、私の方でたまたま、この技術協力あるいは経済協力の現状と問題点というパンフレットをこの間出しましたが、その際に、第一の受け入れ、派遣の問題だけは、そういうふうに相手国の技術不足に対しまして日本側でもっていろいろトレーニングする場合に協力するということを一つだけ取り上げて言っておるわけでございまして、あといろいろの形態がそのあとにずっと出ております。技術協力という場合にいろいろの形があるわけで、たまたまその一つのタイプが先生のお目にとまったのではないかと思いますが、先ほど来申しますように、われわれといたしまして、先生と全く意見は同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/142
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143・中村重光
○中村(重)委員 時間がございませんから、本論に入って質問しますが、この業務の範囲として、第二十条で、イ、ロ、ハ、ニと、こういうことになっておりますが、ただいま今井局長からも御答弁がありましたように、派遣の場合と受け入れの場合というのがすべてあるわけです。これに対しては、派遣も受け入れも、これはもう事業団にはっきり書いてありますから、当然これは事業団の業務であるから外務省の所管であるということはわかりますけれども、この点に対して、派遣は外務省である、ところが、受け入れということについては、国内の技術協力指導であるから、これに対しては通産省がやはりイニシアチブをとってやっていくといったような、両事務当局との間においてこれらの点に対しての調整がなされておるのではないかと思いますが、まずこの点に対して伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/143
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144・甲斐文比古
○甲斐政府委員 受け入れましたいわゆる諸外国からの研修員に対しましてわが国内において技術訓練をいたします場合には、それぞれ関係の各省を通じまして、たとえば、鉱工業分野の訓練なり研修を受けまする場合には通産省にお願いする、電気通信関係であれば通産あるいは郵政、それからまた、道路、港湾であれば建設、運輸、社会福祉、厚生関係であれは厚生省、農業、水産であれば農林省、それから、一般の職業訓練であれば労働省、まあ関係の各省が非常に多いわけであります。そこで、先方からの要請を受けますのは外務省でございますので、外務省がまずこれを受けまして、そうして、国内におきましてはそれぞれ関係の各省にお願いをして研修を行なっておるのが現状でございます。この点につきましては、特に通産省とだけの問題ではございません。通産省との間に特別の調整といいますか、通産省とだけ特別に調整をするという問題はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/144
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145・中村重光
○中村(重)委員 この派遣の場合、相手国の政府とだけであるか、あるいはその国の企業ですね、その派遣に対しても応ずる、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/145
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146・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この事業団のやります事業は、相手国の政府あるいは地方公共団体等からの要請に基づいて派遣をするということでございまして、相手国に存在します私企業からの要請につきましては、この事業団は直接には事業としてはこれを行なわないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/146
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147・中村重光
○中村(重)委員 そのことは、相手国の私企業から直接派遣を要請してきた場合はこれに直接応ずるのではないけれども、相手国の政府を通じて、相手国の政府の責任において相手国の私企業に派遣を要請されるということはあり得る、その場合はそれに応ずる、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/147
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148・甲斐文比古
○甲斐政府委員 それは個々の場合によりまするが、この事業団は、第二十条の第一項、第四号に、「前三号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行なうこと。」という条項がございまして、私企業でも、相手国政府を通じて要請がある場合には、この事業団であっせんができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/148
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149・中村重光
○中村(重)委員 ここで経済協力基金との関係はどういうことになりますか。先ほど企画庁の方から御説明がありましたが、当初設立のときに五十四億、次に五十億、それから今度は六十五億、こういうことに基金が予算化されている。ところが、これに対しては、まだ二十億足らずの予算の支出が行なわれているにすぎない、こういうことを聞いておるわけですが、この経済協力基金との関係、これらのことに対してこの事業団との関連があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/149
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150・甲斐文比古
○甲斐政府委員 この事業団は技術協力のための団体でございまして、基金は、いわゆる経済協力、資金援助、資金協力のため機関でございます。従いまして、その事業はおのずから別個のものでございまするが、先ほど来今井通商局長の説明にもありましたように、技術協力ということも、実は、それを通じて、あるいは特に公共的な開発計画に関する基礎的調査というものを実施していきますると、遠い将来に資金協力という問題も起こってくる、起こり得る。そういう点では、資金協力の段階になれば、これは基金の仕事になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/150
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151・中村重光
○中村(重)委員 現実の問題として私どもがやはり波乱が起こるんじゃないかと思うのは、ただいま、技術協力である、こう言われた。ところが、技術協力、資金協力というものも目的は同じなんです。その手段が違うだけだと私は思うのです。従って、これらの関連というものを円滑に行なっていくのでなければ、せっかくの技術協力あるいは資金協力もその効果を現わすことができない結果が私は起こってくると思う。これらの点の調整、関連というものをどうやっていくかということは非常に問題があると私は思う。この点に対しては外務大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/151
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152・小坂善太郎
○小坂国務大臣 技術協力をやっておりまする過程におきましては資金の面との関係が出てくるということは仰せの通りだと思います。従いまして、あるプロジェクトに対しまして技術協力を行なう、その場合にこれこれの資金が要る、しかもそれは直ちに回収し得ないような性格のものである、商業的な採算から見てはこれはなし得ないというようなものがありまする場合には、当然基金の方と御相談をするという過程になろうかとも思います。法制的には特段の関連はないのでございますが、実際運用面でこれは緊密に連絡せねばならぬ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/152
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153・中村重光
○中村(重)委員 ただいま外務大臣が言われたように、この点は運用面でよほど注意をしていくということでなければ、せっかくの協力というものが成果をあげることができない、こう私は思うのです。
そこで、この技術協力事業団を設立したということは、所得倍増計画というものによって昭和四十五年度までに十九億ドルの協力をするということが倍増計画の中に書かれておって、やはりこの計画を実施する、実現させるというような考え方、これが基本となって今度の事業団を作るという形になったのかどうか、積極的な面を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/153
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154・甲斐文比古
○甲斐政府委員 ただいまの十九億ドルというお話は、いわゆる資金協力、われわれは経済協力と申しておりますが、資金協力の面の需要がそれくらいになるということでございまするが、もちろんその中の一部分は技術協力も占める、しかし、大部分は資金協力の需要がそれくらいにふえるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/154
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155・中村重光
○中村(重)委員 ただいま御答弁の通り、これは、十九億ドルというのは確かに資金協力なんです。しかし、私が申し上げたのは、技術協力と資金協力というのはうらはらの関係にあるんだから、この技術協力をやろうという積極的な意味は、国際的な関係、国連の要請、いろいろあるわけです。これを設立しようとした要素というものはやはりあろうと私は思う。そこで、所得倍増計画に盛られたところの海外協力、この十九億ドルということがあるわけですから、この事業団を作って外務省の専管としてこの協力を一元化していく、技術協力を一元化していくというこの考え方については、後進地域のこの低開発国の経済発展をはかっていく、そこで日本の貿易を伸ばしていくといったような考え方というようなことと、これは倍増計画のやはり一環としてこういうような方針を進めていこうとしておられるのであるかどうか、まずこの点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/155
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156・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私ども、この事業団を作りたいということを考えましたのは、直接的にいわゆる所得倍増計画との関連において考えたわけではないのでございます。われわれとしましては、日本として、幸いにしてここまで経済復興がなされて参りましたので、このわれわれの経済復興の努力をさらに近隣の諸国においてまだ低開発の経済状態にある国々に大いに及ぼしたい、そういう気持が強いのでございまして、結果的にはあるいは関連があるということもないわけではないかと思いますけれども、われわれがこれを作ります意図は、別に所得倍増計画というものを直接意識してこれを作りますわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/156
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157・中村重光
○中村(重)委員 約束の五時半の時間が参りましたから、飛び飛びになって私の質問が徹底しませんが、また適当な機会にお尋ねしますが、ここで通産省それから外務省ともに五千五百万円の予算がついておるようであります。これは、どちらも同額の予算がついたということは、どうも、私どもは、いささかもって、長い間の混乱といいますか、これを足して二で割る、こういう形で、それが五千五百万円という予算がいずれにもつけられたのじゃないかと思われるのですが、それはまずおきまして、この五千五百万円をどう有効に使っていくかということが問題なんですよ。外務大臣としても、外務省の専管として技術協力を進めていく、通産省との関係も十分調整をしていこうということであるならば、これらの点に対しての考え方というものが私はなければならぬと思うのです。これらの点に対しての一つ御方針を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/157
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158・小坂善太郎
○小坂国務大臣 実は、私ども、大蔵省に予算折衝いたしておりまする過程におきまして非常に多くの事業を考えておったのでありますが、最近のものとしましては、インドネシアのカリマンタンあるいは港湾建設計画、あるいは、ネパールの水力発発計画、あるいはタイの南部道路の建設計画、あるいはシンガポールの工業用地整備計画、いろいろなものがありますわけでございますが、これは全部枕を並べて討ち死にのうき目にあったわけでございますが、これではあまりひどいではないか、このうちで調査をする段階においてどうしても資金の、要るものが出てくるから、そのうち一つどれか生かせというので樽俎折衝いたしておりますうちに、五千五百万円をつけましたから、このうちで一つこれを有効にして下さいというような、これは内輪話でございますが、さような過程になりましたわけでございます。私ども、このカリマンタンの問題あるいは港湾建設計画の問題は重要と考えておりまするので、これらのものに充てるようにやっていこうかとも思いまするが、これは目下のところ形にしっかり成熟した計画になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/158
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159・中村重光
○中村(重)委員 これで約束の時間ですからやめますが、せっかく前向きでこの事業団を作るのだ、こういうことでありますので、いろいろ今日までの過程には問題もあっただろうと私は考えます。しかし、前向きで作った法律、前向きで作った事業団であるならば、ほんとうにその成果というものがあがってこなければならぬと考えるわけです。十分一つこれらの点に対しては外務大臣も配慮されて、そうしてこの事業団が十分当初の目的を遂行できるように御努力をお願いしたい。またいずれ適当なときに御質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/159
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160・森下國雄
○森下委員長 これにて連合審査会は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003982X00119620420/160
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