1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月二十七日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君
理事 松澤 雄藏君 理事 中島 巖君
理事 山中日露史君
逢澤 寛君 井原 岸高君
宇野 宗佑君 金丸 信君
丹羽喬四郎君 廣瀬 正雄君
前田 義雄君 松田 鐵藏君
山口 好一君 岡本 隆一君
兒玉 末男君 佐野 憲治君
實川 清之君 田中幾三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁総
合開発局長) 曾田 忠君
農林政務次官 中馬 辰猪君
農林事務官
(農地局長) 庄野五一郎君
建設事務官
(都市局長) 前田 光嘉君
建 設 技 官
(河川局長) 山内 一郎君
建 設 技 官
(道路局長) 河北 正治君
委員外の出席者
専 門 員 山口 乾治君
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二月二十二日
委員兒玉末男君辞任につき、その補欠として堂
森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として兒
玉末男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員兒玉末男君及び田中幾三郎君辞任につき、
その補欠として木原津與志君及び片山哲君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員木原津與志君辞任につき、その補欠として
兒玉末男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員兒玉末男君辞任につき、その補欠として木
原津與志君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員木原津與志君辞任につきその補欠として兒
玉末男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員齋藤邦吉君及び片山哲君辞任につき、その
補欠として宇野宗佑君及び田中幾三郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員宇野宗佑君辞任につき、その補欠として齋
藤邦吉君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第四〇号)
阪神高速道路公団法案(内閣提出第五四号)
水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、連合審査開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。
目下商工委員会におきまして審査中の新産業都市建設促進法案は、本委員会の所管と非常に関係の深い法案でありますので、商工委員会に連合審査会開会を申し入れることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/1
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002・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお、開会の日時等に関しましては、商工委員長と協議の上決定いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案、阪神高速道路公団法案及び水資源開発公団法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/3
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004・岡本隆一
○岡本(隆)委員 水資源公団がいよいよ出発するということになりまして、わが国の産業の発展のために非常にこれはけっこうなことだと思うのでございます。そこでこの機会に水資源開発審議会の任務、権限といった点についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、この開発促進法を見ますると、第二条で、政府は開発を必要とする水系の指定に対して基礎調査をやっていくということが規定されております。そこでその基礎調査に基づいて今度は大体この方面の水系を開発したい、こういうようなときには、その地方の関係者及び審議会の意見を聞いて水系の指定をやる、こういうふうなことでございますが、そういたしますと、水資源の開発審議会というものは、これは政府のあらかじめ作ったところの案の可否あるいはその内容について意見を述べるというふうな点にとどまるのか、それとも積極的に、こういう地点についてはこれから開発をやっていかなければならない、こういうふうな積極的な活動まで、わが国の産業の開発のためにはこういう水系を開発していかなければならぬというふうな点についての積極的な開発の態度に出る、こういうことがその権限の中に含まれておるのか含まれておらないのか、こういう点をお尋ねいたしたいと思うのでございします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/4
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005・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 水資源のこの審議会は、政府が計画しております関係について諮問をいたして、そうして御決定を願う。しかし同時に、水資源審議会自身もいろいろ意見を政府に対して進言することができるようになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/5
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006・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そういたしますと、第六条の3に「審議会は、前項に規定する重要事項について、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。」これは積極的に日本の水資源の開発のために活動していける性格を持っておる、こういうことを意味する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/6
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007・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 むろん水資源の開発に関して積極的にいろいろな御意見を出していただくということは適当なことだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/7
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008・岡本隆一
○岡本(隆)委員 さらにもう一つお尋ねをいたしたいのは、今般決定されました委員会の委員の顔ぶれでございますが、これはどういう基準によっておきめになりましたのか、その基本的な選定基準といったものがございましたらお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/8
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009・曾田忠
○曾田政府委員 私からお答えいたしたいと思いますが、御承知のように、水資源開発関係の仕事は水の供給する側と利用する側という関係の問題が出て参りますが、需要する側から申し上げますと、農業用水、工業用水、上水道用水、そういうことに相なるわけでございまして、従いまして、この水資源開発審議会の委員となるべき方の選考といたしましては、そういう方面のそれぞれの学識経験者をもって充てるというのを根本的な基準といたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/9
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010・岡本隆一
○岡本(隆)委員 これは水資源開発促進法並びに公団法の審議の過程において、非常に大きな問題として取り上げられたのは、供給する側とそれから水を利用する側との間の利害の衝突、そしてまたそれに伴うところの摩擦というものが一番重要な審議の中の課題であったと思います。そこでこの審議会の委員の選定の基準というものは、全く中立的な人を選ぶ、こういう立場に立っておられるのか、あるいはその委員会の中に供給者側も利用者側もともに含んで、いわゆる三者構成というふうな形において委員を選定された、こういうふうな意味なのか、そのいずれをおとりになりましたのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/10
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011・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 いわゆるお話しのような三者構成的な意味で、需要者側、供給者側及び中立というような三者構成的な意味で選んだつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/11
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012・岡本隆一
○岡本(隆)委員 それではお伺いいたしますが、この十五名の委員の顔ぶれのうち、どなたとどなたが学識経験者であり、どなたとどなたが利用者側であり、どなたが供給者側の立場を代表されるものであるかというととろを一つ御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/12
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013・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
まず中立と申しますか、足立正さん、鈴木雅次さん、金沢良雄さん、奥野正巳さん、森永貞一郎さん。それから河川関係といたしまして、供給者側といいますか、新居善太郎さん、内海清温さん。それから農林関係といたしまして和田保さん、渡部伍良さん。それから工業用水関係といたしまして徳永久次さん、藤井丙午さん。それから上水道関係の代表といたしまして国富忠寛さん、葛西嘉資さん、それから地方公共団体といいますか、そういう代表といたしまして荻田保さん、高辻武邦さん、以上十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/13
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014・岡本隆一
○岡本(隆)委員 今御説明を願ったのでございますが、そうすると、純粋の供給者の側の立場に立っておられるのは、富山県の知事をしておられた高辻さんとそれから荻田さん、この二人でございますか。この荻田さんというのは、地方財政審議会委員と書いてございますが、どういう職業を持っておられ、どういうふうな経歴の方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/14
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015・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
第一のお尋ねの、供給者側といいますか、河川関係の方は新居善太郎さんと内海清温さんでございます。それから、今お尋ねの荻田さんと高辻さん、これは地方公共団体の代表ということで、直接には第一線といたしまして都道府県が水を管理しておりますが、そういう河川管理の業務を含めて両方の立場と思っております。なお、荻田保さんの現在の職業は覚えておりませんが、地方制度調査会の委員でございまして、前に自治省におられた方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/15
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016・岡本隆一
○岡本(隆)委員 新居さんについては、以前たしか大阪の知事をやっておられた方じゃないかと思うのでございますが、現在は愛育会病院の理事長をやっておられる。この方は中立的な立場に立っておられる、こういうふうに思うのでございますが、内海さんは電発の総裁であった方である、こういうことになりますと、これはやはり利用者側の立場に立っておられる。そういたしますと、純粋に供給者の立場に立ってものを考えられるのは、私の見方からしていきますと、高辻さん一人であるかのように思われます。前回の委員会でもってあれほど利用者と供給者との間の摩擦というものが問題になり、その間の意見の調整をやっていかなければならないというふうな中にあって、供給者の側の意見というものをこの委員会で述べるというふうな人があまりに少ない。従って、この顔ぶれを見ていきますと、各省がそれぞれ、おれのところはこれとこれだ、おれのところはこれとこれだと並び大名を並べた、こういうふうな感じしか受け取れない、こういうふうなことであっては、開発をいかにやっていくかというふうなことが問題になったときには、必ず決定が、どうしても水利用の側に傾いた審議会の決定が出てくる。そういたしますと、今度はいよいよそれを実施しようという段階になると、供給者側と非常な摩擦が起こる、円滑に仕事が進んでいかない、こういうふうなことを危惧するのでございますが、これは私の考え方が少し片寄っているのでしょうか、あるいはあなた方もこうして並べてみられて、私からそういう点を指摘されると、少しそういうきらいがあったかとも思う、こういうふうにお考えになりますか、その辺のところを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/16
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017・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
今のお話の新居善太郎さんと内海清温さんの問題でございますが、このお二方はいずれも河川審議会の委員をされておられる方でございまして、そういう意味におきましても、河川管理あるいは供給の点につきまして十分な御認識を持っておられるというふうにわれわれは承知しております。なお足立正さんは現在日本商工会議所の会頭でございますが、足立正さんは河川審議会の会長というような仕事をやっておられるわけでございまして、決して河川管理あるいは水の供給者側からの河川の代表、そういうものを過小評価して審議会の委員をきめておるというようなことは、われわれとしましては毛頭考えていない次第であります。相当慎重審議の結果であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/17
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018・岡本隆一
○岡本(隆)委員 おのおのの方々につきましての見方はいろいろな考え方も出てくると思いますから、主観の相違があるということはやむを得ないと思いますが、どうも水の供給者側が少し軽視されておる。たとえば関西で申しますならば、滋賀県のごときは琵琶湖という非常に大きな水源をかかえておる、あるいはまた大きく問題になっておる長野県であるとか群馬地方であるとか、そういうところから、今度の水資源の開発公団法が審議される過程の中で、資源供給者の立場に立って国会の方へも陳情に参りましたり、また参考人に出てきてもらいましていろいろ意見も承りました。そういう人々の中から、利用者の立場を十分将来運営の中にしみ通るようにしてもらいたい、こういう強い意見を出された人々の中から、せめて一人くらい委員が当然選定されなければならなかった、こういうふうに私は思っておるのでございます。すでにおきめになったことを今からとやかく変更してもらいたいの何のと私は言うのではございませんが、将来の運営にあたりましては、供給者側というものをも十分考慮の中に入れて運営をしていただくことを、この機会にお願いをいたしておきたいと思うのであります。
そこで今の問題に関連いたしまして、水系の指定が大体予定をされておる模様でございますが、この水系の指定にあたって、滋賀県と非常に関係の深い琵琶湖の問題が取り上げられております。そして方針として、今その資料が手元にございませんので、どこにそういうことが書いてあったかということははっきり記憶にございませんが、大体琵琶湖の開発については堅田締め切り案というものが、大体水公団がこれからやっていく仕事の中の一つとして予定されておるというふうなことが報道されておったのを見たのでございますが、これについて、今申しました利用者側と供給者側との間の調整というものについて、非常に大きな問題が出ていると私は思うのです。堅田締め切り案は、大体琵琶湖を北の大きな部分と南の小部分とに分けて、そこに堰堤を作って、渇水期には北の水をどんどん吸い上げて、最も渇水の状態にあるときには大体マイナス三メートルまでその水をくみ上げて利用するのだ、こういうふうな案になっておる模様でございますが、こういうふうな方針をとりますと、渇水期になりますと、大部分がほとんど水がかんからかんに干上がった琵琶湖ということになってしまうのでありまして、これによって受けるところの滋賀県の影響というものは、きわめて重大なものであると思う。そこで、こういうことをおきめになるのには、もちろん審議会に御相談になり、あわせてまた審議会の議を経て、同時に滋賀県の知事なりその他地元の側と御相談になるとは思うのでございますが、しかしながら、こういうふうな案というものは、非常に大きな滋賀県の中にセンセーションを起こしてくるであろうということは、容易に想像されるのでございます。大体、淀川水系を予定水系の中に入れておられる、同時にまた琵琶湖の水の利用については堅田締め切り案でやっていくという御見解かどうか、その辺のところを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/18
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019・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 むろん一応利根川水系と淀川水系をまず着手するのが適当ではないかという考え方で、審議会にいろいろ御諮問申し上げると同時に、関係都道府県の知事の意見をも聞いていくつもりであります。またいかなければならぬものだと考えております。技術的な問題につきましては、建設省当局においていろいろ御検討になっておりますので、その方からお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/19
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020・山内一郎
○山内(一郎)政府委員 琵琶湖の開発につきまして現在いろいろ調査をやっておりますが、近畿地区における有力な水の供給源であることには間違いございません。ただそれを極端に利用するということになりますと、ただいま先生の言われましたようにいろいな影響が出てくると思います。現在はその影響について徹底的に調査をやっておる段階でございますが、マイナス三メートルまでなるかどうかという点についても、あまりにもマイナス三メートルでは影響が大きいということになれば、これはまた再検討しなければいけないと思っております。現在素案としてはそういう構想がある、こういう程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/20
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021・岡本隆一
○岡本(隆)委員 私は、堅田締め切り案というものは滋賀県にとっては非常に過酷な考え方であると思うのです。私は隣県の者でありまして滋賀県人でございませんから、むしろ公平な立場に立ってものが言えると思います。かりに平常水位より三メートル水面が下がりますと、付近は、もちろん伏流水がなくなってしまいます。それからまた漁業の面に大きな影響があるというだけでなしに、琵琶湖というのは御承知のように湖岸から対岸へ行くのには船を利用して行っておりますが、港の施設が全然だめになって、あらためて交通難というものが大きな問題として出てくるのでございます。それだけでなしに、そういうふうな直接の現在の状態に及ぼす影響、漁業であるとか、観光であるとか、農業、交通、地盤沈下あるいはまた水道その他の環境衛生の面について影響があるだけでなしに、琵琶湖の周辺の開発というものは、ことに工業的な開発がすっかりだめになる、こういうふうに私は思うのです。しかもそれに対しては、ある一部の調査によりますと、おそらくそういうふうな補償面で三百五十億か四百億くらい必要であろう、直接補償だけでその程度のものが必要であろうというようなことがいわれておる模様でございます。むしろ私はこういうふうな考え方をとるよりも、琵琶湖の洪水時の浸水面積は非常に広うございます。この浸水面積の半分はうんと掘り下げて、掘り下げた土を浸水面積の半分へ積み上げて、それでもって琵琶湖周辺にずっと浸水しないような地域をたくさん作りまして、そこを工業用地として開発していく、工業用地として処分していけば、埋め立てによって工業用地の造成をやるのと同じ形で、土地を盛り上げていくということで、うまくいくであろうと思います。それによって琵琶湖周辺というものは、琵琶湖という大きな水に臨んだところの臨湖工業地帯と申しますか、そういう形として開発していく、こういうふうな方式があるということを特にこの際私は関係当局の方々に、一つ頭の中に入れておいていただきたいと思うのです。もし今考えられておるような堅田締め切り案でいくとするならば、琵琶湖周辺というものは将来私は工業地としては開発されていかない。しかも水の面でも非常に不便な農業地帯ということになりまして、琵琶湖周辺というものは永遠に後進地域として残されていく、こういうふうなことであるとすると、これは滋賀県にとって非常な痛手であろうと私は思うのであります。だから、むしろ積極的に琵琶湖の周辺を、中に大きな湖を持ったところの工業地帯として開発していく、そうしますと琵琶湖の水を何べんでもぐるぐる回転させることによって、もちろん水質汚濁を防止するためのいろいろな措置は、それぞれの事業体に工事させなければなりませんけれども、とにかく水を美しくさえすれば何べんでもぐるぐる回して使えるのでありますから、水を特に必要とする工業を琵琶湖沿岸にどんどん発展させていくというふうな考え方というものは、私は構想としては十分可能な構想である、こういうふうに思いますので、堅田締め切り案もある程度お考えの中で計画を立てておられると思います。その方ももちろん十分検討していただいてけっこうと思うのでありますが、また臨湖工業地帯として琵琶湖を開発していく、そして現在大きな出水のときには一応水を洗い堰でとめる、放水しないでとめます。そのためにものすごい浸水が起こりますが、浸水が起こらないように、琵琶湖の水を他の河川が流れたあと、急いで放流しなければならぬというふうな状態でなく、いつまでもその水を抱いておいて、徐々にはき出していって京阪神の水資源とする、こういうようなことになりますと、琵琶湖そのものが沿岸の住民に何ら浸水の影響を与えない、同時に工業開発にも琵琶湖湖岸そのものが役に立つ、一センチでたしか七百万トンの水がたくわえられるというのでございますから、一メートルになりますと膨大な水量がたくわえられるということになるのでありますから、そういうような琵琶湖の開発様式というものもあり得るのだということで、そういう構想も一つあわせて研究していただきたいと思うのでございますが、藤山企画庁長官のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/21
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022・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 今のようないろいろのお話を承りまして、そういうことを十分検討していくことは必要だと思います。私どもの経験からいたしましても、技術的な知識は持っておりませんけれども、しかし存外しろうとの意見——しろうとと申すとあれでございますけれども、技術的にしろうとの意見が実際にそれを何とか技術に合うようにやってもらうことの必要な場合があるわけでありまして、私どもも化学工業の経営をやりましたが、化学工業の全くのしろうとですが、しろうと考えでも何とか技術者に生かしてもらいたいということも言ったこともございます。そういうふうないろいろな御意見が出まして、各方面からいろいろな検討をして、むろん滋賀県の琵琶湖を十分に有効に利用するということは当然必要なことでございますので、そういう意味でも貴重な御意見として、いろいろ検討さしていただくことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/22
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023・岡本隆一
○岡本(隆)委員 次にお尋ねいたしたいのは、今度の公団の発足に際しまして、指定の予定水系が利根川と淀川になっておる。最初法案の審議の場合には、木曾三川、それから九州の筑後川ですか、北九州の水系、そういうふうなものも大体開発をしていくんだというふうな構想のように承っておったのでございますが、それがその二つの川に規模が縮小されたというふうに受け取れるのでございますが、それはどういう意味でございましょうか、その間の経緯を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/23
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024・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 特別に二つの川に縮小されたというわけではございませんけれども、これはなかなか大きな仕事でございまして、あらゆる地方を指定いたしましても、十分手が届かない、最初からやれない場合もございます。またそういうことを指定しますためには、十分な調査も必要でございます。従って、とりあえず今日問題になり、ある程度の調査が進んでおります二河川についてまず出発をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/24
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025・岡本隆一
○岡本(隆)委員 今地盤沈下が問題になっておりますのは、東京と名古屋と阪神であります。従って、その三地域というものは、特に工業用水の開発というものが焦眉の問題であろうと思います。いずれこれは、また地盤沈下対策のその方の規制の問題が法律案として出て参っておりますから、その問題の審議の過程の中で、またいろいろ御意見も承りたいと思うのでございますけれども、とにかく京阪神及び東京、愛知というものが当面の対象になっておるのに、木曾三川が水系指定をされておらない。これはどういう意味にとっていいのか。愛知用水がすでにあるから、もうこれで工業用水は十分なんだ、だから別に今あわてて水系指定をしなくてもいいんだ、こういうふうな御意向と受け取るべきなのか、あるはほかに理由があるのでしょうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/25
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026・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 特別にいろいろな理由はございません。ただ先ほど申し上げましたように、相当大規模な仕事をいたすことでございますし、さしあたり調査もほぼ完了しております利根川と淀川、また工業用水あるいは上下水道の問題もございますし、地盤沈下の問題もございますので、従ってそういう面から取り上げて参るのでございます。中京地区につきましては、将来の大きな工業地帯でございまして、この方面の問題については十分将来考えて参らなければならぬので、従って調査も進めて参って将来の問題として取り上げていくということに相なろうと思います。愛知用水公団があるから済むとかなんとかいうことよりも、むしろそういう意味にお考えいただいたらけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/26
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027・岡本隆一
○岡本(隆)委員 水資源については、たとえて言えば、淀川水系開発公団ですか、あるいは利根川水系の開発公団とか、いろいろ別建に河川別にやっていこうというふうな話もございましたが、やはりこれは全国的な視野の上に立って一本化してやっていくべきだということで、水資源開発公団は一本なんだ、こういうように最終的にきまったように聞いておりますが、その方針は今も昔も変わりはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/27
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028・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 過去のいろいろないきさつについては私もよく承知いたしておりませんが、少なくとも日本の水資源を開発して参って、それを有効に利用していくという見地から申しますれば、やはりたくさんの公団ができまして、そうしてやって参りますよりも、一つの公団でやって参ります方が適当だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/28
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029・岡本隆一
○岡本(隆)委員 私はこの公団ができますときに、大体日本の水資源の開発という構想が実際に生かされ始めたのが愛知用水である、だかから愛知用水を中心にして水資源開発公団というものがだんだん形をなしていくのだ、こういうふうに思っておりましたら、さにあらずして愛知用水は別建になっておる。こういうようなことなので、やや奇異の感を抱かざるを得ないのでありますが、日本の水資源の濫觴であるところの愛知用水公団というものが水資源開発公団と別建になっておるということは、これは原則論的にも間違っておるし、また実情から見てもどうも変である。だからこれは当然すみやかに統合さるべきものであるというふうに考えられるのに、これが統合されておらないのはどういう理由であるかということを、藤山長官と農林省側の両方から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/29
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030・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 従来の方針と別に変わった点はないのでありまして、御承知の通り豊川用水の問題が起こりまして、水資源開発公団の方の発足がおくれましたから、豊川の方の仕事を愛知用水公団がやることになりましたし、かつまたアメリカから借款をいたしております関係もございますので、そういう関係が整備されまして、そうしてその上で従来の方針がとり行なわれるということに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/30
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031・庄野五一郎
○庄野政府委員 愛知用水公団と水資源開発公団との関係でありますが、今藤山長官からお答えがございましたように私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/31
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032・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そうすると、アメリカの借款があるから、その借款の返済が済むまでは統合できない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/32
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033・庄野五一郎
○庄野政府委員 今藤山長官からお答えがありましたように、水資源開発公団が企画されまして、その話が出て参りました当時におきましては、愛知用水公団と合併の方向で検討されたことは事実でございますが、その後愛知用水公団といたしまして、水資源開発公団の発足が、いろいろな調整等の問題がございましておくれておりましたことと、片方においては豊川用水の事業承継という問題もございまして、愛知用水としては豊川用水の事業を承継いたしまして、愛知用水公団方式で早急にやる、こういう問題が起こりましたことと、片や愛知用水公団といたしましては世銀から借款をいたしております。そういう関係の処理もいたさなければならぬ、そちらの方の話もついてないというような問題、それから木曾三川については先ほどからお話がありましたように、利根なりあるいは淀川水系のようにまだ十分調査も進んでない、こういうようなことで、早急に水源開発促進法による水系指定の段取りまでいかない、こういうような問題もありまして、愛知用水公団につきましては合併はしばらく見送る、こういうことに相なりました。そういうような問題がございまして、いずれそういう合併の問題が示されますときにおいて、地元の水資源の開発上どういう方式でやるのが一番適当かというような点は十分そのときに判断してやる、こういうふうにやっていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/33
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034・岡本隆一
○岡本(隆)委員 先ほどから木曾三川については調査が不十分であるから、こういうふうな御意見を藤山さんおっしゃっておられますが、むしろ木曾三川も非常に調査が進んでおる。調査が非常に進んでおるから愛知用水というものが実現したのです。調査の上に立って愛知用水公団が発足しているのです。そういうふうな意味からいけば、愛知用水が他に先立ってこういうふうな公団形式でもって、しかも未利用地の開発をやっていくとか大きな農業及び工業を兼ねたところの導水路を作って水資源開発をやるというような点で、これはむしろ愛知用水が他の河川に先んじて行なわれるくらい調査が進んでおる。だから愛知用水が作られた第二段階として、今度はいかに木曾三川を利用すべきかという点で、長良川の河口せきの問題であるとかその他のダムの建設の問題であるとかいうようなものが具体的な課題に上っておるわけなんです。そういうふうな言い抜けをのらりくらりと、藤山さんはなかなか語尾をはっきりさせないように、上手にわかりにくいように御答弁なさって、なかなかこのごろは名大臣ぶりを発揮されるようになってこられました。しかしながら、そういう点においては、私たちは今の御説明では十分その理由を理解することができません。
さらにアメリカとの借款の関係にいたしましても、国が保証して借りているのです。公団といえども、これはいわば国の機関に準じたものです。だからそういうふうなものがやっておるときに、国の方針としてどういう形にその公団を切りかえていとうと、その借款をそのまま水資源公団に受け継いでいってもちょっとも差しつかえない問題である。そんな了解くらい断じて取り得られないことはない。これは藤山さんとても、かりに公団が変わったからその借款をそれへ引き継ぐというようなことが話し合いができないなどとあなたもおっしゃりはすまいと思いますし、そんなことができないような主管大臣なら即刻引き下がっていただかなければならない、こういうふうに私たち思うのでございます。だからそういうふうなことよりも、ほかに何か困難な、あるいは困難なのか、あるいはしてはいけないのか、何かもう少し納得のいくような理由があるのではないか、私たちはこういうふうに思うのでございますけれども、重ねて御答弁を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/34
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035・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 お話のような他に別に特殊な理由があるわけではございません。むろん木曾三川の検討というものについては、愛知用水の関係だけにおきましては相当な検討もされておりましょうけれども、今後さらに一そうの検討をする必要もございます。
また御承知の通りこの水資源公団のできます時期が非常におくれまして、昨年の通常国会等で御可決をいただけなかったわけで、従って臨時国会でお願いをしたようなことにもなりました。そういうようなことでその間愛知用水公団に豊川用水の仕事もやらせることになって進めております。
アメリカの借款をこういうことに切りかえられないか。私は切りかえられないと申しているのではないのでございますが、御承知の通り金を貸します方というのはなかなかやかましいのでございまして、ことにアメリカは事務的にも非常にやかましい手続、あるいはいろいろな調査報告その他ございます。従って国家が保証したからこれとこれはどうだというようにそう簡単にいかないのではないか。むろんわれわれ努力をすることについて決してやぶさかではございませんけれども、銀行から金を借りましてそれを新しく合併会社等に引き継ぐというようなときには、条件が新しく出てくる場合もございますし、あるいはその採算がどうであろうかというようないろいろな条件も出て参りますので、そういう点について十分な了解を得ていかなければならぬのでございます。
水資源公団が発足した後に、そういう問題についてもやはり話し合いをしながら解決していかなければならぬのでありまして、大きな方針において変わってはおりませんけれども、ただいまのような理由でありまして、私は決してできないと申しているのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/35
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036・岡本隆一
○岡本(隆)委員 農林省の方にお伺いしたいと思うのでございます。豊川の用水工事が愛知用水の工事として今行なわれておりますが、これは少なくも最初から愛知用水が終われば他の方へ仕事をやらせてもいいというお考えがあったところに、一つには水資源公団の出発がおくれたという二つの事情で、豊川の方の事業を引き続いて愛知用水公団にやらせている。元来ならば直轄でやるべき問題だ。こういうふうに私ども承っているのでございますが、そうすると今度かりに愛知用水が水資源公団と合併したということになれば、豊川の工事、あるいは豊川の施設というものは切り離して農林省の直轄事業として継続していくお考えか、あるいはやはり愛知用水と一緒に水資源公団に持っていくというふうなお考えですか、その辺はどういうようなお考えでしょうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/36
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037・庄野五一郎
○庄野政府委員 愛知用水公団発足の当時におきましては、愛知用水が木曾川から水を引きまして知多半島に灌漑する、こういう事業を五年間で完成するという目的で愛知用水公団が発足いたしましたが、昨年愛知用水公団の基幹工事が終了いたします段階において、愛知用水公団方式による水の開発方式——今まで国営、県営、団体営というふうに農林省の土地改良をやっておりますのを、非常に集中的に一貫施行いたしまして、世銀なりその他開発銀行なりあるいは資金運用部の金を入れてやる、こういった愛知用水公団方式による土地改良の早期完遂という方式が非常に有効でありますし、また効率的であるということもありまして、昨年基幹工事を終えます段階において豊川用水は非常に大きな仕事でありますし、また今まで国営としてやって参りましたけれども、やはり愛知用水公団方式を活用して、早期に完成したらいいんじゃないかというような議論が出まして、愛知用水が基幹工事の完了とともに豊川用水に引き継ぐ、ただし愛知用水の管理事務、それからこれまで事業をやりました分につきましての県なり地元負担金の徴収、そういうようないわゆる今後の管理事務的なものは愛知用水として残りますけれども、やはり今まで愛知用水として建設工事に投下してきました技術なり運用なり、そういった組織は活用すべきじゃないか、こういうような問題もありまして、豊川用水の利用を引き継いでやる。この愛知用水は、木曾川水系が基本計画に入るというような段階におきましては、どういうふうにするかということは、慎重にそのときの情勢等も判断してやらなくちゃならぬ。基本方針としてはそう樹立すべきであろう、こういうような話になっております。その段階におきまして、豊川用水が大体四十二年ごろに完成するわけでございますが、事業の中途におきまして、どういうふうにするかという問題につきましては、そのときの情勢によってよく判断いたさなければならぬ、こう思っておりますが、今にわかに結論は出せない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/37
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038・岡本隆一
○岡本(隆)委員 その問題はやはり相当むずかしい問題だと思うのです。それで水資源の水系指定ということの意味ですが、たとえば淀川の水系指定をやります。そうしますと、ことに阪神地帯には、それ以外に淀川とか大和川であるとか、さまざまな川がございます。そういうところの水もあわせて阪神地帯の工業用水として総合的に開発していかなければならぬ。利根川についても私は同じようなことが言えると思うのです。かなりかけ離れたところを流れている川といえども、多摩川であるとかあるいは相模川であるとか、そういうものもあわせて京浜工業地帯の工業用水として考えていかなければならぬ。そうしますと、水系指定ということが、利根川一本に限られてくるのか、あるいはまたその付近の河川をも含めて水系指定という言葉の中には含まれるのか、こういう問題が私は生まれてくると思うのですが、それはどう理解すればいいのでございましょうか。水系指定というものは、やはり名前がついた川だけであって、利根川及び多摩川と、及びがつかない限り、多摩川その他の河川というものは水系指定の中に入らないのか、そういう解釈ですね、水系指定という言葉の解釈というものについて、藤山さんのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/38
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039・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 たとえば利根川を指定する場合に、広域的な関係でもって、利根川に関係しております各河川というものが入ってくることは、これは当然のことだと思います。ただしかし、その他離れております多摩川であるとか相模川であるとかいうものまで、今にわかに入れて連絡する、調整をするということには一応考えておりません。しかし、むろんそれは将来そういうものを連絡し、あるいは何らかの形でもって、たとえばトンネルを貫通して連絡するとか、水をあっちへも流し、こっちへも流すということが非常に便利であれば、そういうことも将来の問題としてはあるいは考えられるかもしれません。現状においては、少なくとも利根川を指定いたしますれば、利根川水系そのものを広域的に考えるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/39
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040・岡本隆一
○岡本(隆)委員 参議院で、今の愛知用水問題について附帯決議がついておる。そして、可及的すみやかに公団の発足と一緒に統合するようにということになっておるのございますが、今度のこれに対処して、そういう附帯決議があるにかかわらず、それが別建になっておるというふうな点ですね。これは参議院の附帯決議の可及的という言葉はどういうふうに理解しておられるか。
それからまた、一本化する方針だという、方針そのものは原則的にお認めになっておられるのでございますか、この愛知用水公団には多くの技術者を持っております。それら技術者はやはり広い規模の中で大きく活躍したい、なるべくなら早く統合していただいて、自分らが全国的な水資源の開発という視野に立って活躍をしてみたい、またそういう広い範囲で活動できるような立場に、いわゆる狭い金魚ばちに入れておかれるより、大きな池に入れてもらいたい。そうしてその中で伸び伸びとした仕事をやって、十分自分たちの持っておるところの経験と技術とを生かしていきたい、こういうふうな考え方で、技術者の多くは、やはり公団が早く統合されていくことを非常に希望しておるというようなことでございますから、これは政府の方でもできるだけ——これは農林省それから建設省にもお願いしておきたいと思うのでございますが、そういう技術者の気持というものも十分くんでやっていただきまして、この公団の運営方法をやっていただくようにお願いしておきたいと思います。
それからまた、さっき申しました琵琶湖の開発については、特に私は隣県のなにとして身近に感じますだけに、資源地域の考え方あるいは資源地域の立場というものを十分頭の中に入れ、同時にまた仕事の中にもそれが反映するような形でもって運営していただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/40
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041・山中日露史
○山中(日)委員 簡単に関連してお尋ねをいたしておきたいと思います。いよいよ水資源公団がことしの四月から発足することになりまして、淀川あるいは江戸川水系というものにとりあえずかかるということになっておるのですが、やがて将来はいろいろな重要河川が追加されると思います。ところでこの公団法が最初制定されますときに一番問題になりましたのは、このように将来公団が莫大な事業費を投じて開発をする場合に、それを利用する側の、つまり工業用水ならば企業家、あるいは農業用水ならば農民、上水道ならば市町村、こういった側のいわゆる水料金、これが一体将来どういうふうになるのか、このことがかなり重要な問題だったと思うのです。そこで、今度の改正案におきましても、これは公団に対しては政府が出資することができる、また公団の借入金については、政府は保証することができる、こういうふうに規定いたしましたのも、要するに結局利用する側の水の負担をできるだけ軽くする、安くするということがねらいであろう、こう思うのです。そうだとすれば、政府が公団に出資するということを決定される際には、将来この工業用水とかあるいは農業用水、上水道用水の建設単価というものを、一体どの程度に押える必要があるのかということを考えられて、こういった政府が出資するあるいは保証をするというような助成的な措置を講じたのだろうと思うのです。そこでお聞きしたいのは、この建設単価については一体どういうふうな考え方を持っておられるのか、その点を一つお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/41
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042・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
ただいま先生お尋ねのように、水の料金といいます問題は、この水公団の事業に伴います水の料金にとどまりませず、全国的に非常に重要な問題だと考えております。われわれといたしましては、いわゆる水の料金のアロケーション方式というのがございますので、たとえば妥当指数というような考え方で今まで料金を算出しておるわけでありますが、この点につきましても、いろいろ各省にもまた検討すべき筋はございますので、目下具体的に今後のあり方につきまして検討しておる最中でございます。
その次にお尋ねの問題でございますが、水公団の一部改正によりまして出資金の規定を設けたわけでございますが、これはとりあえずの問題といたしまして、三十七年度に行ないます公団の事業といいますものは、主として現在建設省等で行なわれております事業を、そのまま引き継ぐというような関係がございまして、特に今までのアロケーション方式によってきまっております基準に従って仕事を引き継ぐわけでございまして、特に新しくいわゆる新規の事業量はまだ具体的な計画ができておりません関係上、三十七年度はとりあえず従来の事業を引き継ぐというような状況になっておるわけでございます。従いまして、新規事業といたしまして今後いろいろ考えられるわけでございますけれども、それの水の料金が具体的に幾らになるかというような問題がまた未解決でございますので、今回はそういう意味の出資は考えておらないわけでございます。今度法律改正におきまして、三億円という出資の内容は、公団の事業が非常に複雑多岐であるということと、それから初年度でございますから、いろいろ初度調弁費がかかるというような事情で、公団の運営を円滑にするという意味の出資でございまして、法律にもございますように、今後必要があれば出資金を増額するというような規定もございますし、ただいまお尋ねの水の料金等に関します公団の出資につきましては、今後の全体計画とにらみ合わせまして、検討して参りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/42
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043・山中日露史
○山中(日)委員 水の料金を幾らにするかという具体的なことは、今の段階ではむろんできないと思いますけれども、ただ私どもしろうととして考えられますことは、公団が莫大な費用を投じて一つの水系を開発して、その水流は農業用水にも使われるし、あるいは工業用水にも使われるし、それからまた上水道にも使われるということになるだろうと思う。その水流をそういった需要者に流すに必要な経費というものは、一括してそこに投ぜられるわけだと思うのです。その場合に、その水流から工業用水として何トン使う、あるいは農業用水として何トン使う、上水道として何トン使うというようなことが、大体需要者側の需要に応じて定まると思うのです。その場合にその水流を作るといいますか、その水系を開発するに公団の要した事業費というものが、ただ工業用水として使う企業家に負担させる分はトン数で一トン幾らというようなことでいくのか基本的な考え方ですが、農業用水は一体何トン幾らというふうに水の料金できめていくのか、それともその企業の利潤とかそういった企業自体の性格から、ここに要した工事費の幾らはその工業用水を使う企業家に負担さしていくというようなきめ方でいくのか、そういった基本的なことがはっきりしませんと、将来この開発に協力する農民なりあるいは町村あるいは企業家の協力というものが得られないじゃないか、そういう基本的な考え方を今から定めておく必要があるのではないか、こういうふうに考えられる。結局こまかい料金は別として、料金でいくか負担でいくかという考え方があると思いますけれども、大体この事業費をペイするためには、どういうような負担の立て方でいくのかという、基本的な考え方を一応明らかにしておく必要があると思うのであります。またそれはみなの聞きたいところではないかと思うのでお尋ねしておるわけです。その点御説明ができれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/43
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044・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
現在やっております費用負担の割当の方法というものは、大体身がわり建設費あるいは妥当投資額というような考え方でやっておるわけであります。妥当投資額といいますと、たとえば農業について例を申し上げますと、その水によりまして年間の収益がどのくらい上がるかという問題、それから維持管理費がどの程度かかるかということがございますが、要するに年間の収益から維持管理費を引きましたものにつきまして資本還元、それが一応農業用水として幾ら投資すれば妥当であるかという計算になるわけであります。上水道あるいは工業用水道でも同じでございますが、大体年間の収入、それから年間の経費、これを引きまして、それに資本還元するという程度でございます。ただ資本還元のやり方といたしまして、各水ごとに若干の違いがあるわけでございまして、たとえば利子率について申し上げますと、発電の場合は九%、それから灌漑の場合は六%、それから洪水調節の場合は五%、工業用水の場合は七・三%、そういうのが現在の方式でありますが、なお利子率がこういう割合でいいかということも今後十分検討しなければならないと思っております。大体そういう妥当投資額によって、一応各事業が幾ら投資すればいいかというものを計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/44
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045・二階堂進
○二階堂委員長 ほかに何か関連ありませんか。——それでは中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/45
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046・中島巖
○中島(巖)委員 阪神高速道路公団法案について若干質問いたしたいと思うのです。これはあまり今まで質問もしてないように思いますので……。ちょうど道路整備五カ年計画が五カ年間でどれだけ事業をやるという一つのめどをつけておるわけですが、おそらくこの阪神高速道路についても大体八路線に五十八キロというようなことをお聞きしているのですが、これらの大ざっぱな計画についてお聞きしたいということが一点と、それから私が申し上げるまでもございませんけれども、東京が非常に交通麻痺の状態になっているというけれども、大阪の方がさらに、道路面積の面からいいましても、それから交通事故による死者の面からいきましても非常にひどいものであって、大阪の道路面積とかいうようなものは九%だというような状態で、私も昨年実地を見たのですが、非常にひどいものなんです。そこでわれわれも、この大阪の交通問題を打開するには、地下鉄の建設かあるいは高架の自動車専用道路よりほかない、こう考えておったのでありますが、あそこはああいうような土地柄で、地下鉄ということは非常に問題があって、高架の専用道路よりほか仕方がない、こういうふうに私ども考えておるわけで、むしろこれらの計画はおそきに失したのじゃないか、こういうように考えるわけなんです。
そこで質問の要点に入りますけれども、一応のめどは大体どういうめどをつけておるのか、そしてその予定の事業費はどのくらいになるのか、これが第一点。
第二点といたしまし、大阪のあの人口稠密な状態から見て、おそらく高架でいくよりほか仕方ないと考えるのですが、そうすると公有水面を利用する、こういうところにしぼられると思うのでありますけれども、この計画予定の中で公有面積の占める部分はどのくらいであるか。
それから第三点といたしまして、大阪から神戸へ抜けるのに、海岸線を通るとか、あるいは現在の第二阪神の上へ高架で建設する、こういういろいろのうわさがあるのでありますけれども、これはどういう計画になっておるか。
第四点といたしまして、東京都の首都高速道路公団と違って、関係するところの地方公共団体が幾つかあるわけてありますか、これらの負担分担はどういうふうに持っていくのであるか。
この四つの点について、なるべく詳しく、わかりよく、具体的に御説明願いたいと思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/46
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047・前田光嘉
○前田(光)政府委員 お答え申し上げます。
阪神高速道路公団の全体計画について御質問がございましたが、現在の阪神地区の交通状況から考えまして目下検討いたしておりますのは、大阪の中心部における環状線と、それから大阪の外部から大阪市内に入ってくるための放射状の路線、及び阪神間を結ぶ路線、及び神戸の臨港線と結ぶ路線、こういうものが高速道路として適当な、必要な路線だろうと考えまして計画を考えております。将来のことはさておきまして、とりあえず一応のまとまった形として考えておりますのは、そういうふうな路線におきまして環状線を一つと、それから放射状の路線を六線、及び神戸の臨港線としての線を一線と、八本の線を考えております。そういたしまして、その全体の長さは、現在のところ五十八キロを考えております。しかし、この五カ年計画におきましては、事業費の関係もございまして、このうちの一部を着工する。最も緊急度の高い環状線及び大阪から尼崎の方へ向かう線、及び神戸の臨港線の一部というものを、この五カ年計画におきましては建設費として百八十八億円の事業費でやりたいと思って計画を進めております。
以上が全体計画の概要でございます。
次に、公有水面の利用の状況はどうかという御質問がございましたが、大阪地区におきましては、御承知のように運河が相当ございますので、特に民家のあるところを避けまして、できるだけ、あるいは運河の上あるいは河川なり道路の上を利用しようと思っておりますが、現在の計画によりますと、全体の五十八キロのうちで、河川の上を利用するのは約二十六・五キロ、全体の延長の四五・七%というものは河川を使う計画になっております。
それからその次に、阪神間の道路をどうするかという御質問でございましたが、阪神問につきましては、御承知のように、現在名神高速道路の計画も実施を進めておりますし、また第二阪神国道も相当工事が進捗いたしまして、とりあえずはそれらの道路におきまして相当の交通量の消化ができる、こう思っております。しかしながら、この阪神高速道路公団といたしましても、都市高速道路としてのこれらの地区における必要を認めておりますので、今後さらにこの名神高速道路及び第二阪神国道の完成の状況を考えまして将来検討いたしたいと思っております。目下のところ、阪神高速道路がどこを通るということにつきましては、まだ明確な案はきめておりません。
次に、関係地方公共団体の負担の問題について御質問がありましたが、この阪神公団につきましては、最も関係の深いのは、大阪府、大阪市、兵庫県、神戸市、この四者を一応考えております。もちろん将来発展いたしますと、あるいは高速道路にいたしましてもあるいは阪神間を結ぶ路線にいたしましても、その他のいわゆる阪神間の近郊諸都市にも影響いたしますけれども、とりあえずは、今申し上げました四者から出資をいただく、あるいは必要な交付金をお願いしたいと思っております。事業の量は、現在の計画で考えますと、ほとんど八割あるいは九割が大阪市内になりますので、分担割合もそれを勘案いたしまして、まだ確定はしておりませんけれども、全体の相当部分につきましては大阪府及び大阪市にお願いしたいという考えで話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/47
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048・中島巖
○中島(巖)委員 あの状態ではこういうような有料道路の建設はやむを得ないと思いますけれども、このごろ視察して感じたことですが、神戸から芦屋、それから尼崎、あの一帯は、人家の稠密していることは非常なもので、こういうような目先の難局を打開するために、こういうような方法をどうしてもとらなければならぬけれども、それと同時に、先行的な都市計画というような案はないのですか。たとえば神戸市におけるところの、宅地が崩壊して非常な災難を受けているような状況から見て、どうしてもあそこは大きな宅地を供給しなければならぬ、こういうような観点から考えて、たとえば六甲山に穴をあけて裏の広い方に宅地の団地を設けるとかなんとかいって、行き詰まってしまってから、あとから言わずに、やはりこういう政策と同時にまた根本的な打開策をせなければならぬと思うのですが、そういうようなお考えはあるわけですか、ないわけですか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/48
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049・前田光嘉
○前田(光)政府委員 阪神地域は、御承知のように日本で京浜地区に次ぐ人口の密集し、しかも着々産業が発展してきておりますので、これが円滑に都市の機能が発展できます土には都市計画といたしましても、かねてからいろいろ案を練っております。ただいま御指摘の住宅団地につきましても、あるいは神戸市におきましては裏側の六甲地区あるいは須磨地区につきまして相当大規模な住宅開発をしておりますし、あるいは大阪におきましても、大阪市の近郊に相当大規模な団地を現在開発いたしております。しかし、単に住宅団地の開発だけではなくて、全体としての阪神地区につきましての基本的な計画を立てる必要がございますので、特に大阪市におかれましては、それらの問題を検討するために民間あるいは各界の権威者を集めまして、将来の阪神の都市圏はどうあるべきかということを検討されております。すでに都市計画として決定いたしましたものにつきましても、まだ事業化のできていない計画だけありまして、事業の促進しないものも相当ありますので、そういう点につきましてもできるだけ早い機会に実現するようにわれわれも努力しています。同時にまた阪神地区におきまして、特に大阪の密集地帯におきましては、現在の都市計画をもう一ぺん再検討いたしまして、あの大阪の都市のあり方をもう一ぺん検討した上で新しい都市に体質改善するという方途も必要と考えますので、そういうふうな再開発につきましても目下構想を練っている実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/49
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050・中島巖
○中島(巖)委員 この阪神高速道路公団法ですね、これは十分な審議もできていないわけなんですが、現在の大阪の状況から見て、これはどうしても僕らも成立させねばいけないという、こういうような考えを持っておるわけで、実はきょうも委員長から明日関係者を呼んで事情を聴取して午後上げてくれろというような御意見がありましたから、私どもはすぐ国対へはかって委員長の御意見になるべく沿うようにいたしたい、こういうような考えを持っておるわけですが、それにしてはあまりに現在まで出ておるところの資料というものが非常に不足ですから、明日までに時間がないけれども、もう少し全体計画はどうなんだ、第一期計画はどうなんだ、資金の関係はこうなんだというような資料を一つあすの委員会までに、時間がなくて大へんお忙しいだろうと思うのですが、大ざっぱでいいから、一つ委員長から申し込むようにお願いをいたしまして、私の質問はこれで終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/50
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051・二階堂進
○二階堂委員長 ただいまの中島委員の申し入れにつきまして局長にさらに申し入れておきますが、先般資料としてお手元にこういう膨大な資料が配付してあると思いますが、一応中島委員の方でも一つ御検討を願います。わかりました。
次会は明二十八日水曜日午前十時理事会、同三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X00719620227/51
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