1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十七日(金曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君
理事 瀬戸山三男君 理事 松澤 雄藏君
理事 石川 次夫君 理事 中島 巖君
理事 山中日露史君
逢澤 寛君 井原 岸高君
大倉 三郎君 金丸 信君
木村 公平君 徳安 實藏君
前田 義雄君 兒玉 末男君
實川 清之君 田中幾三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 中村 梅吉君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
出席政府委員
総理府事務官
(首都圏整備委
員会事務局長) 水野 岑君
総理府事務官
(経済企画庁総
合開発局長) 曾田 忠君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
委員外の出席者
総理府技官
(経済企画庁総
合開発局参事
官) 奥田 亨君
専 門 員 山口 乾治君
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本日の会議に付した案件
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一四八号)(参議院送付)
首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一四九号)(参議院送付)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
前会に引き続き質疑を続行いたします。
石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/1
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002・石川次夫
○石川委員 経済企画庁長官並びに建設大臣がきておりませんから、具体的なちょっと疑問に感ずる点の二、三を首都圏の水野局長に伺いたいと思います。
第一の既成市街地における工業等の制限に関する法律というものは、この必要性はわれわれとしても十分納得できるところでございますけれども、この裏づけになっている資料というのは、この委員会では説明されておらなかった、こう思うわけであります。現在の二十三区の東京都内における工場、その中で一体どの程度のものが外に出たいという希望をしておるかという具体的な数字、それからあと一つは、実は東京都の過度集中を排除するという目的をもって作られた法律でございますけれども、過度集中が具体的な数字として一体どういうふうになっておるのか、この点であります。と申しますのは、大ざっぱにいわれておりますのは、大体年間二十五万から三十万人の人口が東京に集中をしておる、こういわれておりますけれども、実質は六十万だということもいわれておる。と申しますのは、東京都の中の地価が相当暴騰して住宅地を求めにくいというようなこともあって、それで郊外の方にどんどん流れておるという数がおよそ三十万に近いというような推定が出ております。それでなおかつ三十万人近い人口がふえておるということは、大体プラス、マイナス六十万の人口というものが毎年東京都に集中をしておるのではないか、こういうようなことが言われておるわけでございますけれども、その六十万は、まあ差引三十万と仮定してもけっこうでございますけれども、二十五万ないし三十万の人口というものが一体どういう職業を選んで集中をしておるかという具体的な数字について、知っている範囲で一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/2
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003・水野岑
○水野政府委員 当委員会にかねてかち資料を実は配付申し上げておるのでございますが、その資料を中心といたしましてこれから御説明を申し上げたいと思います。
東京の区部における工場の実態でございますが、三十五年現在におきまして東京の工場数は、四万九千四百三十五工場ございます。その工場従業員が百十三万三千人余でございます。従いまして、首都東京は政治、経済、文化の中心であるのでございますが、それと同時に一大工業都市の性格をもあわせ有しておるというような現状でございます。この工場が最近になりまして、工業立地条件が御承知のように非常に悪くなってきておりますし、付近に拡張用地を求めようといたしましても、拡張用地を求めることができない。それから工場等の新増設を制限するという法律もございますので、拡張もできない。
そこで、ようやく最近に至りまして東京から分散しよう、こういう傾向が現われつつあるのでございます。その分散傾向につきまして東京都庁が調査をいたしたのでございますが、この調査によりますと、東京都区部内の従業員三十人以上の工場、これが全体の工場数といたしましては約六千弱ございますが、そのうち三千三百二十一工場につきまして調査票を配付いたしまして調査をいたしたのでございますが、その結果移転または東京都の区部外に拡張を希望する工場は、約半数の千六百四十八工場に達しておるのでございます。このうち純粋にと申しますか、工場全部を移転しようというような工場数が約五百工場に達しております。あとは拡張部分を首都圏内の適当な地域にこれを求めようとするものでございます。これらの工場における予定工場敷地面積は全体で六百四十二万坪に達しておりますが、なおこの調査外の工場もございますので、全体の要望する工場敷地面積といたしましては、おそらく一千万坪をこえるような膨大なものになるのではないかというふうに考えられるのでございます。しかも、この調査いたしました工場は、この移転なり拡張を希望する敷地面積につきましては、これをできるだけ早く取得をしたいんだ、おそくとも四十年までにぜひ取得をしたい、こういうような希望になっておりまして、従いまして、私どもの工業衛星都市の建設もできるだけ急いで、ピッチをあけてやる、こういう必要性があると考えられるのであります。
それから第二点の御質問でございますが、東京の二十三区内に毎年おびただしい人口増加があるわけでございますが、その区部人口の毎年の人口増加は、平均をとりますと二十六、七万というような状態になっておりますが、最近一年間はこの増加傾向が多少鈍化いたしまして二十四万人程度になっておりますが、なお楽観を許さない現状でございます。ただいま御指摘がございましたように、これは居住人口の増加でございますので、そのほか昼間人口の増加があるのでございます。この昼間人口の増加が多数に上っておるのでございますが、そういうふうに人口増加が毎年見られる。そういうような者がどういう職業に従事しておるかということを調査をいたしておるのでございますが、この調査いたしました結果によりますと、第一位は何といいましても工場労務者でございます。この工場労務者が群を抜いて多いのでございまして、これが全体の中で、もちろん無職業者、家族の妻でありますとか、そういうような家族の無職業者を除きまして、有業者といたしましても、先ほど申しましたように、第一位が工業労務者でございます。この工業労務者が約一六%くらいを占めておるのでございます。それから第二位が商業労務者でございまして、これが八%強、それから第三位が公務自由業、それから第四位が事務従事者、こういうような順位になっておりまして、工業労務者の増加が非常に著しい、こういうような現状になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/3
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004・石川次夫
○石川委員 それではその次に、この改正になる前の本法でございますが、大体作ってから三年くらい経過しております。その間にいろいろな許可申請あるいはそれに対する規制をするための目的をもって不許可にしたとか、許可をしたとかというような実態が、この資料の中を見ればおそらくわかるのじゃないかと思いますけれども、念のためにこの委員会で明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/4
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005・水野岑
○水野政府委員 工業等の制限に関する法律を施行いたしましてから、許可をいたしましたものが現在まで二件でございます。で、この法律がありません当時におきましては、毎年二十七件程度、この制限規模以上の工場なり学校の新増設が行なわれておったのでございますが、それを三年を経過いたしましてその間やむを得ないということで許可をいたしましたものが二件でございますので、ある程度の効果はこの法律の施行によりまして上げているというふうに考えているのでございます。これに対しまして、実は具体的に不許可にした、こういう事例はないのでございますが、事前指導で相当相談が参りまして、これは許可するわけにいかないということで、行政指導いたしまして、この許可申請するのを取りやめていただく、こういうようなことをやって参っておりまして、そういう相談にこれまで参りましたものが約三十件程度に上っておりますが、そういうものはよく工業等の制限等の法律の趣旨をお話し申し上げまして、御協力願う、そういうことで許可申請という手続をとる以前におきまして、これを取り下げていただいて、市街地開発区域の方へできるだけ行っていただく、こういうような措置をとってきておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/5
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006・石川次夫
○石川委員 すでに規制法の効果というものは相当あったというふうに、今の答弁からうかがわれるわけでございますが、それにもかかわらず、東京都の人口が相当ふえているというのは、一体どこに原因しているというふうにお考えになるか。それと合わせてわずか二件しか許可をしないというようなことで、現実的には相当規制の効果が上がっているというふうに別な見方をすればできるわけでございますが、それをさらに規制することによって具体的な効果というものは、どのくらいにお考えになっているか、その二点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/6
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007・水野岑
○水野政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、現在まで二件しか許可をいたしていないわけでございます。ところが最近の工場従業者の増加状況を見ますと、これは非常な増加傾向を示しておるのでございます。これを数字について申し上げますと、三十四年一年間におきまして、工場従業員の増加は八万七千人余に上っております。三十五年一年間の工場従業員の増加は十万一千人余になっておるのでございます。先ほど申し上げましたように、区部全体の毎年の増加人口が二十六、七万でございますので、工場従業員の増加だけで八万七千なり十万というのは、これにその家族を計算し、それからこの工場従業員の増加に伴うこれに関連する産業の従業者、その家族を入れますと、ただいま申しました工場従業員の増加の数字というものは、区部人口の増加の中できわめて大きなウェートを持つものでございます。こういうように、工業等の制限に関する法律を施行しておりまして、しかもこのような工場従業員の増加が認められる、これはどこに原因があるのかということを申し上げますと、第一に現行の工業等制限法によります制限規模というものが、あまりにも高過ぎる。御承知のように制限規模といたしましては、工場につきましては千六百平方メートル以上の作業場を持つ工場、こういうようなものを制限対象にいたしておるわけでございますが、これ以下の工場でございますと、何ら制限を受けない。この制限規模が現在は高過ぎるので、これをもっと引き下げる必要がある。
それから第二点といたしましては、現在の法律を施行いたしましたのが三十四年の四月一日でございますが、三十四年の四月一日現在におきまして、既存工場であるものにつきましては、御承知のように特典がございまして、既存工場の団地内におきましては無制限に増設ができる、そういうことによりまして、この従業員が三十四年、三十五年におきまして相当ふえておる、こういう結果になっておるのでございます。先ほど申しましたように、制限規模以上のものはある程度押えることができたけれども、制限規模以下のものは、どうしても押えることができませんのでどんどんふえておる。それから既存工場の工場団地内の増設は無制限にできますので、その結果拡張が行なわれた、こういうことになっているのでございます。そこで、以上申し上げましたような点をこの際改正をしていきたい。そしてこの制限規模を引き下げる、既存工場でありましても、工場団地内の無制限な増設はこれを制限する、こういうような趣旨をもちまして、今回改正案を提案いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/7
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008・石川次夫
○石川委員 局長にまだ伺いたいことがたくさんあるのですが、この法案は大体きょう採決するという運びになっておりますから、極力簡単にいたしたいと思いますけれども、幸い藤山長官が見えられましたので、この法案と関連する前提条件となる条項につきまして若干の質問をしたいと思います。
と申しますのは、新産業都市法案のときも私連合審査でいろいろ申し上げてありますことは、大体高度の国土利用計画というものをやることが前提条件ではないか。新産業都市あるいは今度の首都圏整備の法案に関連をいたしまして、工場団地を設定するということになれば、とたんに地価が上がるというようなことにもなる。しかしながら、この法案そのものが非常に必要な法案だということは認めるわけでございますけれども、何といっても民間の企業採算をとる私企業に対して土地収用を強要するということは、それだけについて見てもどう考えても憲法違反の疑いが濃いと言わざるを得ないのであります。しかしながら、都市における過度集中を排除するということが当面の緊急課題になっておるということから、この法案が公共の福祉に合致するのだ、違憲でないというととが裏づけになってやっと日の目を見たというようないきさつを持っておるわけであります。その点についてわれわれは理解いたしますが、そのためには前提といたしまして農業はかくあるべし、あるいは工業はかくなければならないということを、非常に限定された狭い日本の国土の中で大きな人口を擁しておる。需要と供給の関係だけで地価がどんどんはね上がっていくということだけでなく、画然とそのところを得せしめるような国土計画というものが前提となって確立をされて、その利用区分が明確になったあとでこの法案が出るというのであれば、あるいは新産業都市法案というものが出るというのであれば満腔の賛意を表するにやぶさかでない。ところが、その前提というものが全然満たされておらない。この部分だけが飛び出したような形で出てくるというところに、憲法違反の疑いがあるのではないかという疑念を持たざるを得ないわけであります。そういう点で長官に伺いたいのは、国土総合計画案というものを迫水国務大臣が企画庁を担当しておりましたときに発表されておるわけでありますが、それがいまだに具体的に発表されておりません。新産業都市で質問を申し上げたときにも、私の質問ではありませんけれども、大臣は、四月ごろには大体その計画の具体的なものを発表する予定だというふうに答弁をされておるわけであります。ところが四月も残すところ幾らもないわけであります。いろいろな操作があって若干おくれるというようなことになるかもしれませんけれども、この迫水さんの約束もあることだし、藤山さんもそういう明確な答弁をしたことでもあるので国土総合計画案というものがもうわれわれのところに出されて――多少世論の反撃にあって修正を加える、あるいはいろいろな批判があって訂正するというようなこともあるかもしれませんが、何しろ国土計画という非常に貴重な日本の国土を、特に平地が少ない、この平地に対してだけでも総合的なきちんとした高度利用をやるのだという気がまえが出ないで、必要な現象面に対する対策だけをそのつど出すということは、どうしても国民に対する納得性が薄い、こう思わざるを得ないわけであります。従って、国土総合計画案というものがどういう経過をたどってわれわれのところに――もし原案ができておるならば、それをすぐ発表するとかなんとか言わなくてもいいのでありますが、われわれとしてはぜひそれを承知したいと思うわけでありますが、現在の段階でどういうことになっておりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/8
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009・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 こまかい日程については事務当局から御説明申し上げますけれども、三月三十一日でもって草案に対する各方面の御意向等が出ましたので、それらを取りまとめまして、国土総合開発審議会にかけて御審議を願っておるのでございまして、御審議の経過その他につきましては事務当局から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/9
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010・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。
お話しのように全国総合開発計画の草案が昨年の七月に発表されまして、そのときにおきましておおむね本年の三月末を目途として正式に決定するということになっておるわけでございますが、われわれといたしましても各方面の意見をいろいろ聞いて参っておりまして、大体三月中にその意見を取りまとめまして、三月から現在まで国土総合開発審議会の全国開発部会といいますものを四回開いて参ったわけでございます。その問いろいろ御審議をいただいておりまして、昨日の全国開発部会におきましておおむね了承を得まして、現在最終的な修文を行なっておるわけでございます。もう一度五月の初旬ごろに全国開発部会を開きまして、最終的に部会としての御意見をまとめたい。従いまして、それから若干おきまして、国土総合開発審議会の総会にお諮りして決定していただきたい、そういうふうに考えて、努力して参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/10
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011・石川次夫
○石川委員 その国土総合計画案というものを見ないと、私何とも言えないのでございますが、私の推察するところでは、経済企画庁の中の総合開発局としては、大へん苦労はされておると思いますけれども、しかしその程度のことで、国土総合開発について機関はあるけれども、会議を持ったという話は今初めて聞きまして、あまり今まで私たちも聞いておらぬわけです。これは単に経済企画庁の総合開発局、これはあなたの力を軽視するわけでも何でもございませんけれども、この非常に貴重な限られた国土の利用区分、特に農業あたりがどうなるかということは非常な不安を持っておる。それから工業、住宅、こういうふうに利用区分をはっきりさせるというところまでいくのには、大へんな事業じゃないかと思うのです。今のままの機構でもって、それが完全に、完全とまで言わないでも、相当満足のできる程度に進捗できるかどうかということについては、われわれとしても非常に不安な感じがあるわけなんですが、これについては、企画庁長官、現在のままで大体間に合うというふうにお考えになっておるかどうか。あるいはこれは相当重視して、日本の限られた国土というものを高度に開発し利用をする、そして管理をするという意味での利用区分というものを、もっと積極的に精密にやるために、新しい機関を設けなければならぬというふうにお考えになっておるかどうか。日本の土地政策というものは、外国のものと比べてみて、私あまりよく勉強はやっておりませんけれども、画然とおくれている。しかも日本の国土が、その諸外国に比べて、人口の密度からいっても、平地の面積からいっても非常に狭い。それでいながら、土地政策というものは非常におくれているという点が残念なので、これを何とか欧米国並みに追いつくというためにも、現在の程度の進捗度でもって、一体国民の満足のできるよう貴重な国土の利用というものをはかれるような、住民が十分に納得できるような形でいけるかどうかということを非常に不安に思っております。その点の対策を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/11
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012・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 御承知の通り国土開発総合計画がだいぶおくれまして、その点は申しわけない次第でございますが、ここで国土総合開発計画ができますと、地方別のそれぞれの地域立法としての開発計画が現にございます。これらのものもある程度の調整と、それから審議会等については、国土総合開発審議会の部会等にするような方法によって、相互関連を持たして参ることが適当ではないかと思います。そういう点につきましては、今度新産業都市もできたし、あるいは低開発地の工業促進法もできましたので、これらのものを一括して、そしておのずから体系的に運営をしていくことが必要であろうというふうに考えております。そこでこれらのものを運営する場合に、今日の企画庁の開発局の規模で十分であろうかという御質問でございますが、われわれの方におきましては、企画官庁でございますので、実施はそれぞれ各方面に、各省にもお願いすることでございますから、あまりに膨大な規模を必要とするとは思いませんけれども、しかし、こうした種類の仕事をやって参ります局としては、もう少し将来にわたって充実をして、そうして仕事も敏活に迅速にかつ誤りなきを期するような機構のある程度の拡大ということは、私は必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/12
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013・石川次夫
○石川委員 たとえば総合開発の中で、各地域ごとに、後進地域といいますか、九州、北海道あるいは中国、四国というふうな、ばらばらにいろいろな開発計画というものがそれぞれ持たれている。それを国土全体から調整していくというふうなことは、なかなか容易ならぬ事業じゃないか、こう考えるので、私はこの経済企画庁でおやりになることを否定するわけではございませんけれども、企画と実施というものがばらばらになるという形でも、その間に非常な食い違いが出てくるということも懸念をされるわけなんです。これはおそらく自民党の中にも多くの賛成者があるんじゃないかと私は思いますけれども、やはり国土開発というものを一元化することがどうしても必要なんじゃなかろうか。たとえば、御承知のように水資源の関係の問題にいたしましても、新産業都市の問題にいたしましても、この要請大臣というものがやたらに多いというふうなことで、マスター・プランでもって具体化しないままにこの法案というものは、実際何らの具体的を効果を見ずに済んでしまうんじゃないかということを、われわれとしては懸念をいたしておるわけなんであります。そういう点で、これはここで申し上げても結論が出る問題じゃございませんけれども、企画するところと実施するところの食い違いを埋めるということもあるし、貴重な国土というものを、何とか土地政策を具体的に推進をして活用するという意味からいっても、どうしても国土開発を一元化するという政治機関というものは必要なんじゃないかということを、これはわが党としてはもちろん決定をしている方針でありますけれども、自民党としても当然これは考えてもいいのじゃなかろうか。政府としては責任を持って、勇気を持って、今度の行政機構改革はチャンスでもございますから、この点についてどういうお考えを持っておるか。これは国務大臣としての藤山さんに伺うということはちょっとむずかしいかもしれませんが、何か御意見があれば、建設大臣にもあわせて一つこの点についての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/13
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014・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 私は、企画庁の本来の姿というものは、やはり経済の基本的な調査研究の上に立ちまして、日本の経済をどう運営していくかという一つの大きな方針を立てて参りますことが、一番の役所の使命だと存じております。従って、その意味におきまして、国土の総合開発その他も、やはり重要な一つの調査研究の課題でございますけれども、しかし実は現状においては、企画庁の仕事は各省庁の間の調整統合のあっせんをするというようなことで、そういうことをやっております結果として、各省庁の間の意見の食い違ったようなものがまとまった場合に、全部これが企画庁に近ごろはだんだんおろされてくるわけでございまして、これはあまり姿のいいものじゃないと思うのでございます。ですから、企画庁は前段に申しましたような観点に立って、一つの大きな総合的なプランを立てる官庁としていくべきだと思うのでございますが、そういう意味におきまして、今御指摘のように、なぜそういうことが起こってくるかといえば、やはり現在のような非常に複雑多岐な、かつ昔と違いました実態が出てきて参っております場合に、行政機構そのものが必ずしも適応していない点があるからこそ、各省の調整を必要とし、あるいは各省に意見の懸隔を起こす点もあろうと思うのでありまして、そういう意味から言いまして、今回有力な民間の方々が七人そろって、そうして行政組織改革の委員会もできまして、十分ここで御検討願いまして、たとえば国土省を作るとかあるいは国民生活省を作るとかいうような、新しい構想をいろいろ考えていただくことが適当じゃないか。そして、その場合における企画庁の意思というものは、経済全体に対する一つの大きな基盤の調査研究と総合対策の樹立というふうに持っていかるべきではなかろうかというふうに、私見としては私考えておるのでございまして、今回の行政改革委員会等について大きな期待を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/14
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015・中村梅吉
○中村国務大臣 ただいま藤山長官からお答えがありましたように、私どもとしましても、現在のあり方で万全であるとも思っておりません。企画庁としてはむしろ水資源であるとか総合開発等をになっておりまして、他の本来の使命達成の上から見ますと非常に御迷惑とされておるのじゃないかと思いますが、現状の行政機構がこういうふうになっておりますのでいたし方ない次第で、私どもといたしましても行政調査会ができまして、いわゆるフーバー委員会で行政機構全体を検討される際には、ぜひこういう問題も一つ取り上げて御検討を願いたいという希望を持ちまして、所管の大臣にも申し入れをいたしておるような次第であります。今後政府部内全体としても十分検討すべき問題である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/15
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016・石川次夫
○石川委員 この問題は、行政機構の改革の根本をなす問題で、ここでは討論をしたり結論を出す場ではないと思いますが、そういう要望を申し上げておくにとどめておきますけれども、国土総合計画というものはどうしても急いでやらなければならぬ。高度の利用区分を明確にするということの上に立って初めて土地というものは、イギリスのキングス・ランドという思想までいかないまでも、所有権は神聖かつ犯すべからざるものであるが、国の目的に沿って高度に利用するための利用権というものは、今のようにただ需要と供給との関係でほしいままに地価がつり上がっていくという関係でなしに、持っていかなければ、長い歴史を見た場合の日本の発展というのは望めないのではないかという点で、土地問題はきわめていろいろな政策の根本をなす問題であるということをお考えをいただいて、早急に、緊急な課題でありますし、拙速というわけにいきませんけれども、ぜひ進めてもらいたいということを希望するにとどめておきます。藤山長官大へんお忙しいようでありますから、あと非常に重要な問題を質問したいと思ったのですが、簡略に申し上げたいと思いますことは、この前も申し上げましたけれども地価の問題であります。と申しますことは、いろいろな物価対策、総合対策というものを設けられましたが、これについては私も意見はあります。意見はありますけれども、ここはその討論をする場所ではありませんから省略いたしますけれども、何といっても物価の根幹をなすと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、地価の対策というものをおろそかにした物価対策というものは意味をなさない、こういうふうに思わざるを得ないわけです。この理由につきましては、私からお話しするのは釈迦に説法のきらいがありますから、あえて申し上げませんつもりではございますけれども、何といっても住宅の取得難というものが、地価の高騰に基因している。庶民の生活はそれによって非常な圧迫を受けておるということは、否定できない重要な問題ではないかと思います。それから、さらに公共用地を取得しょうといっても、どんどん地価が上がっていくというようなことで、国土開発というものは円満にいかないという問題もあるわけです。
それから、そのほかに、現在のところはそれほどの大きな影響はないかもしれませんけれども、工業用の土地の値段というものは、外国に比べて最近は大体十倍くらいになっている。ところがこれはこのままでとまればいいのですけれども、このまま野放しでどんどんうなぎ上りになれば、工業製品の価格というものに当然はね返ってくることは明らかである。そういうことから、かてて加えて国際競争力というものに対する影響にもなる。それはただ単に工業製品だけではなくて、おそらく農業経営というものも資本主義経営に移ることにならざるを得ないのではないかと予想されますけれども、その土地の売買価格というものは非常に高騰するということになれば、農産物の価格にもはね返ってくることは当然であります。そういうようなことで、この土地の値段を何とか押えるということをしないと、これはとんでもないことになる。これは国民が皮膚に触れて、庶民といわずあるいは経済人といわず、感じておるわけでありますけれども、土地政策と同じように、物価対策の一番根っこになる地価の対策というものは、何ら手を打たれていないといっても差しつかえないのじゃないかと思います。これは非常にむずかしい問題です。しかし、わが党の立場からいいますと、何か旧地主の農地補償の問題に見られるように、自民党の性格というものが何か地主を背景としているから、どうも土地が値上がりするということを期待している地主が背景になっているから、地価対策が打てないのじゃないかというようなことを勘ぐらざるを得ないわけであります。それでは、しかし国民の生活とは完全に離反することになるわけで、どう考えてもこの地価の問題というのは積極的にやってもらわなければ困る。従って、地価の問題で申し上げたいことはいろいろたくさんありますが、最近の問題として私が懸念をいたしておりますのは、貿易の自由化ということと関連して、資本あるいは為替というものが自由になるということになって、今のままの地価の状態でありますというと、このくらい安定した投資というものはないわけで、外国の資本が日本の国土を相当支配するということは決して杞憂ではないと思う。そういうこともあわせて考えていかなければならない。それから、さらに地価がどんどん上がるということによって、国民所得にないところの一つの担保能力というものが出て参ります。国民所得じゃありません。従ってこれによって、これを担保として、いわゆる信用インフレのもとになっておる過剰投資の根っこになる。あと一つ株の問題がありますけれども、株の方は曲がりなりにもこれは大蔵省というものが監督、規制ができるというような仕組みができております。しかし、株は国民のうちのわずか二割かそこらしか持っておらないでしょう。しかし、土地なしに生活している人は一人もないわけです。この国民が土地なしに暮らしていけないという、その土地に対する管理、国土総合計画というものもありますけれども、地価の問題について何らの規制も行なわれていない。これでは私はどうしても政治の重大なる欠陥といわなければならぬと思う。われわれとしても、この地価問題は非常にむずかしい問題であるけれども、今非常に苦心惨たんしながら地価問題の対策に取っ組んでおりますが、なかなか容易なことでありません。それで私は非常に困難な課題であるということは十分よくわかりますけれども、具体的に政府としてはこの地価対策についてこうやるのだという話は、審議会や何かではちょいちょい出てきますけれども、政府自身が、おれたちがこうやるのだという意思表示をしたという例はいまだかつて聞いたことがないわけで、非常に怠慢だと思う。私はおとといでしたか建設大臣に伺いましたところが、鑑定員の制度を作るということで何とかしたいということを言っておりますが、一つでも二つでもいいから、土地の値上がりするというムードを消すための強硬な手段、具体的な方策が打ち出されなければ悔いを千載に残すのではないか。これはほうっておいていい問題でない。審議会を作って二年も三年もたって、そのうちに何かいい案が出るであろうということで放置できる問題でないのではないか、こう思うわけでありますが、経済企画庁長官として、この物価対策の根っこになる地価対策に対してどういう具体的な案を持っているか。お持ちであるなら聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/16
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017・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 物価の面から見ましても、お話のように三十六年度の消費者物価の上がりました原因は、食料関係についで住宅費の問題が高騰の原因をなしておるものでございます。そういう意味から見ましても、直接消費者物価対策の上からも必要でございます。今御指摘のございましたように、たとえば公共用地の取得なりあるいは今後工業を発展さして参りますためには、地価の高騰ということ自体が日本の経済に及ぼします影響は、非常に重要なものでございます。たとえば首都圏から疎開をするというようなことを考えてみましても、行き先の地価が急に高騰するというようなことでありましては、実行ができないのでありまして、先般も日本の輸出玩具の関係の方々が千葉県に移住をしようとしたところが、地価の問題で行きつかえたというようなこともあるわけであります。そういう面から見まして、今後の経済のあり方、工業のあり方という上から見ましても、この地価問題は非常に重要だと思います。御承知の通り宅地関係につきましては、建設省がすでに審議会を作られまして、十分この問題に取り組んでいただけると思いますけれども、経済全体を総合的にながめてみますと、これらの問題をどう処理していくかということは、非常に重大な問題だと思いますので、私どもも昨年来この問題について、企画庁内でもって検討を始めております。近い機会に外国等の地価に対する対策等も調べ上げまして、そして何らかの方針を考えて参りたいということで今進めておるわけであります。ただお話のように非常に広範な問題でもあり、非常にむずかしい問題でもございますので、むろん早急に問題を解決して参ることが必要であることは、私ども十分承知しておりますが、慎重にそれらのものを検討して参らなければならぬ点もございますので、そういう意味において決してこれはなおざりにできない問題として、早急に問題を取り上げていかなければならぬという考え方のもとに、現在企画庁においても、総合的に土地の問題をどうするか、地価の問題をどうするかということを検討をすでに開始しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/17
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018・石川次夫
○石川委員 心がまえはよく拝聴いたしましたけれども、具体的にどうするかということを一、二わかれば伺いたかったのです。これは、別な機会にまたゆっくりお伺いするといたしまして、その点は省略いたしますけれども、私非常に残念に思いますのは、経済白書というのは大へんよくできておりました。私拝見をして、相当部厚いもので、詳細なデータが載っておりますけれども、地価に対してことさらにこれぞといったことに触れておりません。そういう点でも、私は、何か経済企画庁として、地価の問題をむずかしいからことさら逃げているのか、あるいはその重大性というものの認識が少ないのかという疑念をいつも持ち続けて今日まできたわけであります。今伺えば、この地価の問題は大へん重要だということを了承されて、早急に対策を立てなければならぬということのようでございますから、この経済白書の中には、地価の問題を特筆大書するということでなければ、私は困ると思う。その点でぜひ一つ経済企画庁長官の猛省を促すと言っては大へん僭越かもしれませんけれども、この点についてぜひ認識を新たにして、具体的な案を一つでも二つでもいいから、たとえばおととい建設大臣が話した鑑定員制度を設ける、あるいはそのことによって地方々々の標準地価というものを公示するというようなことをやって、それを守るのだというふうなムードを作っただけでもずいぶん違うんじゃないか。もちろんそれだけでは十分な効果を上げることはできないかもしれません。いろいろな総合的な対策を必要とするのだろうと思いますけれども、この点は、庶民の生活の安定、物価対策の根源というような意味で、ほんとうに具体的に一歩でも二歩でも前進させるという気迫をもって、一つ取っ組んでもらいたいということを一言要望いたしまして、経済企画庁の関係はこれくらいで今日は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/18
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019・二階堂進
○二階堂委員長 関連して。私の方から企画庁長官にお伺いします。今、石川先生の方から御質問がございましたが、土地の問題は非常に重要な問題なんです。ただ単に建設関係のみならず、国民生活全体について非常に大きな問題だと思っております。そこで国土総合開発法に基づく総合計画を近く具体的にお示しになるようなことになると思っておりますが、この日本の狭い国土の土地の利用計画というものを全国的に調査されて、はっきりした一つの指針と申しますか、これはわれわれの立場から申しますと、計画経済ではないのですから、この土地はこうすべきだとか、この土地はこの値段でどうすべきだとかということは別問題といたしまして、住宅地というものに対する土地が一体どのくらいなければならぬものか、あるいは食糧政策の上から、農業の面から考えた農地というものがどの程度必要なものか、その他土地に必要な問題が相当あるわけなんです。そういう土地の総合的な利用計画というものを政府全体においてお立てになる、方針をお示しになることが前提であって、今見ておりますと、建設省は住宅について土地の値上がりがひどいから、この点についてはどうしなければいかぬとか、あるいは農業の問題につきましても、一方では土地をどんどん侵食しながら、一方においては開墾、開拓を盛んにやっておる。食糧政策も変わって参りますので、そういうこと等勘案されまして、今後日本の土地の利用というものをどういうふうに具体的に計画を立てていくかということを、政府全体としてお考えになることが焦眉の急務じゃなかろうか。これは国民生活、経済全体に関する大きな問題です。そういう計画が非常におくれておると思うのです。そういうことに対して、企画庁が――どこが担当されるかわかりませんが、少なくとも藤山さんの方におかれましてそういう全国の土地の利用計画というものを、これは地域的にもいろいろ問題がありましょう、そういうものを早急にお立てになるという決意を、行政機構全体の改革とも関連して積極的に政府がなされる時期に来ておると思うのですが、そういう決意がちっとも示されていない。御承知の通り国土総合開発法という法律がありますが、この法律は全国で開発計画を立てるべき精神を持った法律なんです。その法律ができておるにかかわらず、全く死文化されております。生きてきていない。従って親になる法律が死んでしまっておるから、地域的に個々ばらばらの地域開発というような法律ができてきている。それに関連して、今度はまた地価の問題等がいろいろ出てきておる。たとえば大きな道路が一本通るにしましても、その道路がどこを通るかということを民間の人はウの目タカの目で調べておる。大きな道路が通れば地価が上がるのだ。そうすると、金を持った者は、すぐその付近の買収を始める。特定の業者がゴルフ場を作ったりホテルを作ったりして金もうけをしようとする。そういうようなことでは、私は収拾のつかないことになってしまうと思う。事が起こったときに場当たり的に政府は各省においていろいろの案をお立てになる。そういうことでは、今後いろいろ行政上混乱を来たすばかりだと思います。そういうことは、今後一つ政府が腹をきめてやればやれぬことはないと思う。党においては、行政機構改革の特別委員会ができておりますけれども、各省間のなわ張り争いがあって、なかなか具体的にできない。私は政府の腹いかんによってはきめらるべきものだと思うのですが、そういう決意を一つお示し願いたい、こういうふうに考えるのですが、長官の御所見がありましたら伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/19
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020・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 将来の土地計画は、委員長のお話のように、私どもも非常に重要な問題と思います。かりに所得倍増計画等におきます計画に即応して、どういうふうに土地の分割状態ができるか、農業に対してどう、工業に対してどう、あるいは公共用的な道路その他の施設に対してどうとか、こういう問題は十分検討しなければなりませんし、またおそらく農業におきましても、選択的拡大というようなことで、将来の農業用地の問題というものは相当な変化もあるのではないかと思います。工業につきましても、今日までの過去の統計を見てみますと、工業用地が、必ずしも従来の割合のようにはふえてない。工業の規模に対して、常識的に考えますと、非常に大きな規模に土地がふえていくように考えますけれども、必ずしもそういう状況でもない。これはやはり中小企業の発達あるいは工場自体が平屋でなくて三階、四階になるというような関係もあろうと思います。割合土地の余裕がありながら、近代産業は比較的用地面積が少なくていく。そういう点をもう少しこまかに調べてみることは非常に必要なことだと思うので、結局土地の価格の問題を扱います基礎的な問題というのは、そういうところから一つ根を出して入りませんとできてこない問題じゃないかと思う。そういう点については従来必ずしも十分であったとは私ども思っておりませんし、また十分な調査もできておりません。従って、こういうような調査は、先ほど申しましたように、各省にまたがることでありますから、各省とそれぞれ共同をしながら、われわれとしては農業用地が将来の選択的拡大によってどの程度に変化を起こしながらいくか、あるいは工業用地が、日本の産業の十年後の状態によってどのくらいな工業用地面積が要るか、そういうような点についてはさらに十分な検討をいたしてみたい、こういうふうに思っております。これがやはり地価の問題を解決します一つの基礎的な資料になると思うのでございまして、委員長のお話のようなことについては十分一つ企画庁としても検討をいたし、さらに研究して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/20
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021・石川次夫
○石川委員 私もうすでに申し上げたのですけれども、委員長と若干意見を異にする点があるのです。
それは、自民党は自由経済だからというお話があるが、私は憲法学者に来ていただいて、大体マッカーサー憲法といわれる向きもあるけれども、英文の原稿は、憲法二十九条はどうなっているんだという話を伺いましたところが、土地国有に近いような思想が盛られておって、それが削除されたという話を私も前に聞いたことがあるのです。なるほど土地国有というようなことは、われわれとしてはもちろん考えておりません。考えておりませんが、何回も申し上げますように、非常に狭い限られた国土、国民の共有の財産とも言える貴重な国土というものは、自由に放任されるべきものではない、こうわれわれとしては考えております。従って、利用区分というようなものはきちっときめて、高度に利用できるのだという自信を持った上で、ある程度これは積極的な協力を求めるための強硬手段もやむを得ないのじゃなかろうか。所有権の問題ではない、利用権の問題ですが、またそのくらいの考え方をしないと、国土というものの価値はなくなるのじゃないか、こういうようにわれわれは考えておる点だけをつけ加えて、またそのくらいの決意がないと土地問題の解決はつかないというように考えております。
次に局長に具体的な問題で若干伺いたい。
工業制限の法令の中で、私大へん不勉強で申しわけないのでございますけれども、これは都市計画として事業を行なうということになっておるわけです。それでたとえば水戸なら本月私の方でいうならば日立なら日立というところに都市計画があって、それを首都圏で開発区域に指定して、その都市計画の中で商業地域とか工業地域とか重工業地域とか住宅地域というふうに分かれますが、その中の工業団地として首都圏整備委員会がこれを指定する、こういう運びになるのか。それとも十六の開発区域が一応あるわけですが、その中で工業団地というものだけを摘出して指定して、この法案の対象にするというおつもりなのか。その点がちょっと私ははっきりしなかったので伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/21
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022・水野岑
○水野政府委員 まず首都圏整備計画によりまして、市街地開発区域を指定し、そして市街地開発区域につきまして、重要施設の整備計画を作るわけでございますが、この重要施設の整備計画の大きな一環となるものが工業団地造成事業でございます。この工業団地造成事業を首都圏整備計画で総合的な整備計画の一環としてきめて参るのでございます。その工業団地造成事業は、今回の改正法律案が制定されるということになりますと、この首都圏整備計画できめられました工業団地造成事業をもとといたしまして都市計画決定をしていく。ところがこの都市計画決定をする際に、この工業団地造成事業を都市計画決定する場合におきましては、工業専用地区であるということが重大な要件になっております。従って、工業専用地区がすでにあるというような地区につきまして、工業団地造成事業の都市計画決定ができるのでございます。そういう場合、私どもの市街地開発区域におきましては、新しい団地を相当大規模に取得いたしまして、造成をしていくというようなことになっておりますので、通例の場合におきましては、用途地域が指定されてない場合が非常に多いのでございます。そこで首都圏整備計画をまずきめまして、そしてこの首都圏整備計画に基づいて、新しい市街地になるところに用途地域をまずきめていただく。しかも今度はこういう工業専用地区というととが要件になっておりますので、工業専用地区の指定をしていただく、こういうことになるわけでございます。
従いまして、すでに都市計画決定の用途地域の指定がなされておるというような地域でございましたならば、この首都圏整備計画に基づきまして、用途地域の変更というようなことも出て参ります。と申しますのは、従来工業地域であったところも、今度は工業専用地区にしていただかなくてはならない、こういうような従来きめられております用途地域も、首都圏整備計画に基づきまして変更していただくというような場合も出て参りますし、それから通例の場合は、首都圏整備計画に基づきまして新たな用途地域を指定するという場合が、従来の例を見ますと多いのでございますが、そういうような首都圏整備計画に基づきまして都市計画を変更して、都市計画の用途地域を変更していただいたり、あるいは新たに用途地域を指定していただく、こういうようなことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/22
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023・石川次夫
○石川委員 それで大へんしろうとの質問で恐縮ですが、首都圏整備委員会の方で、今度は市街地開発区域というものを指定して、工業団地であるとか、こういう指定をしたときにおいて、すでにこの法案の対象となる土地収用の権限というものを発動するのかどうか。あるいはそれをさらに地方の都市計画におろしていって、そこで都市計画を作って用途地域を明らかにして、工業専用地区となったときに、この法案の対象となる資格要件が備わるのか、その点がはっきりしないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/23
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024・水野岑
○水野政府委員 工業団地造成事業として、本改正案によりまして取り上げられて、そうして土地収用権が出てくると申しますのは、工業団地造成事業というものは、都市計画事業決定をなされる、この段階においてでございます。従いまして、都市計画決定に基づいて都市計画事業決定というものがなされるわけでありますが、これは各地方にある都市計画地方審議会にかけまして、そうして住民の意向というものが十分そこに審議を通じて反映するわけでありますが、そういう意味で都市計画地方審議会の議を経て建設大臣が都市計画事業決定をする。その際に、具体的に土地収用法の事業認定があったものとみなされるということになっておりまして、そういうときになって初めて土地収用権が発動できる態勢になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/24
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025・石川次夫
○石川委員 それでは次に移りますが、工業の団地に指定をする専用地区ですか、この工業専用地区というものは、どのくらいの面積を大よその概念として首都圏整備委員会では考えておられるか。それから専用地区の中には、関連する施設としての工場だけではなしに、住宅も考えられるかもしれませんし、あるいはいろいろな福祉施設等もあるかもしれませんが、そういうものも含めて考えられておるのかどうか、純粋に工場だけなのかどうか、その点を教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/25
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026・水野岑
○水野政府委員 私どもの市街地開発区域の建設方針というものでございますが、これは大体大きなところも小さいところもありますが、内陸地帯においては、平均しまして八十万坪の工業団地を取得計画する。そうして八十万坪の工業団地を計画いたしますと、大体工業従業人口が約二万人それによって増加するわけであります。これに第三次産業従業人口、それからそれらの家族というものを含めて考えまして、十万人程度の人口をいわゆる人為的にふやしていく、そういうことで八十万坪の工業団地を設定計画するわけでありますが、この八十万坪の工業団地の中で根幹になる地域、こういうような地帯を公共的な機関をして、都県あるいは都県の加入する一部事務組合、住宅公団、こういったものに直接造成せしめる、こういう方針でございまして、現在までやっておりますのは、八十万坪のうち最近は五十万坪程度をただいま申しました公共的な機関をして造成せしめる。従いまして、五十万坪程度のことを今実施して参っておりますが、最近の工場の分散傾向等にかんがみますと、八十万坪という工業団地全体につきまして、公共的な機関をしてみずから取得、造成せしめる、こういうふうにした方が適当ではないかというふうに考えまして、八十万坪程度を今後は工業専用地区として指定をいたしまして、公共的な機関をして造成せしめる、こういうようなことをやって参りたいというふうなつもりでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/26
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027・石川次夫
○石川委員 きょうは文部省が来ておりませんけれども、文部省の方の学校の関係につきましては、この前山中吾郎さんからの質問で大体尽きておると思いますから繰り返しませんが、学校も相当人口が集中するという点ではむしろ工場以上ではないか。家族がないということで、全体の数字としてはそれほどでもないかもしれませんが、集中の度合いからいけば、学校の方がむしろ密集をするというふうに考えるので、今度の附則にある三年の猶予期間ということになりますと、この前も申されましたように、これからの三年間というのは大学のピークです。三年間のピークが過ぎてしまえば、あとは学生の数は絶対数としては日本では減ってくる。従って、三年間の猶予期間を与えるならば、ほとんどの整備というものが済んでしまうということになるし、そこで三年間だからそれ急げということになって、むしろこれは促進をするということになってしまうのではないか。こういうふうなことで、われわれとしては附則に対して、趣旨は了としないわけではございませんけれども、かえってこれは逆効果になるということを考えておりまして、むしろ学校等の移転なんかにつきましては、われわれが前から言っておりますように、文教都市といいますか、そういうものへ思い切って移転をするというような基本的な構想、抜本的な対策というものを打ち立てないと、非常に小細工にすぎないという格好になるのじゃなかろうか。これは工場その他を含めて言えることでありますが、特に学校なんかにつきましては、文教都市というような構想もちらほらしておるようでありますし、この文教都市を作るというふうな構想があれば、それに持っていった方がむしろ抜本的な対策になる、こういうことなんですが、この点はどういうふうにお考えになっているか、あるいはまた大学等の移転なんかは、現在はぼちぼちと進捗してある程度の実績が上がっておるとすれば、その実数なんかがおわかりだったらお知らせを願いたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/27
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028・水野岑
○水野政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの御質問に対して御答弁を漏らしましたので、つけ加えて答えさせていただきます。
先ほど申しました八十万坪程度の工業団地を計画いたしますが、これはあくまでも工場用地でございまして、御質問にありましたような住宅地につきましては、この工業団地とは別に住宅団地を計画するわけでございます。そして住宅団地の中に商店街、そういうようなものを計画いたします。そういうように、工業団地につきましては、そういう住宅の建設はいたしませんで、別に工業団地に近い環境良好なところに住宅団地を計画する、こういう考え方でございます。
それから、ただいまの御質問にございました学校の分散の問題でございますが、ただいま御意見もございましたように、大学という施設、こういうようなものは東京の二十三区という非常に教育環境の悪い地帯に必ずしもあることを必要としないのでございまして、これは増設、新設、拡張を制限する、こういう措置をとりますと同時に、漸次既存の大学の分散も指導、奨励していく、勧奨していく、こういうことはこの首都への人口の過度集中を防止する対策の上におきましても、大きな一つの措置であろうと考えております。
ただ既存の大学施設というようなことになりますと、法律に基づいて強権で分散を命令するというようなことは適当でないと考えますので、あくまでも指導勧奨で、これをできるだけ行政指導でやっていくというようなことにならざるを得ないと思います。ただそういうような指導勧奨を行政指導でやっていくということになりますと、この大学の分散を受け入れる学園都市、教育都市と申しますか、そういう受け入れ態勢の整備ということもまた十分考えていかなくてはならぬと考えておるのでございまして、大学等の学校施設につきましては、これが新設、拡張は制限するという法律措置を講じつつ、一面におきましてそういう大学の分散につきましても行政指導をしていく。それに伴いまして学園都市を建設して環境の良好な都市を作るということに、今後われわれといたしまして努力をいたさなければならぬというふうに考えておりまして、ただいま学園都市の建設というようなことにつきまして鋭意その計画を練りつつある、こういうような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/28
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029・石川次夫
○石川委員 学校の方の関係はいろいろ意見もありますけれども、大体この前質問しましたから打ち切りたいと思いますが、ただ今のこの法案の体裁からだけ見ますと工場と学校とを制限していて、片方では工業団地を準備してやるということがあるけれども、学校の土地を用意するということが全然この法案には出ていないわけです。形の上から見ても非常に片手落ちだというふうに考えざるを得ないわけで、学園都市の構想が今持たれておるというような話を伺いましたけれども、この学校の分散ということについてもぜひ積極的に具体策を進めていただきたい。
それから建設大臣にちょっと伺いたいのですが、これも根本的な問題でここでとやかく結論を出すわけに参りませんけれども、私前から申し上げておるように、東京都の交通難、あるいは都市問題の対策ということに関連をして、最近は水道まで足りなくなってきたというふうなことで大へんな騒ぎになっておりますが、水道だけではありません。このままの形でもって都市集中というものが進む限りにおいては――非常にオーバーな表現だと言って笑われますけれども、東京都は崩壊するのではなかろうか。もうすでに精神面においては崩壊しておる面が多々出てきております。これはここで申し上げることではありませんから申し上げませんけれども、そういうことで抜本的な対策を考えないと、そういう小細工だけではどうにもならぬ段階にきておる。従って、思い切って東京都の都市の持ついろいろな機能、あるいは首都としての機能の中で一つの機能だけをそっくり移転するという抜本的な対策を考えないと、この程度の法案ではとうてい都市集中を排除するという効果は十分に期待できない、こう思わざるを得ないわけです。その点についてここで御答弁は求めませんけれども、人口の集中、交通の集中、塵埃、騒音、色の問題もあるわけです。こういうものが重なり合って、ちょっとやそっとの解決ではどうにもならぬという病的な状態に東京都はなりつつある。そのことを通じて東京都がいろいろな流行とかいろいろな指導的立場に立っておるということになると、日本の将来に非常な暗影を投げかけるという点において重大問題ではないか。単なる行政の問題だけではなくて、抜本的に東京都を何とかしなければならぬということで、大へん重要な課題を申し上げて恐縮でございますけれども、この点もこの程度のことでは小細工にすぎぬというふうにわれ一われとしては考えざるを得ないので、ぜひ御配慮を願いたいと思うのです。
それからきょうの議運の関係で大へん採決を急がなければならぬということなので、私も二、三の点だけを申し上げて、あとほかの人に譲りたいと思っておりますけれども、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案については、いろいろ申し上げたいことがあります。
特に一番問題になりますのは強制収用の問題でありますけれども、おとといでしたか憲法学者も呼んでこの点については一応の質問をやっておりますので、ここでは省略をして、具体的な諸問題で、この施行者は一体都市だけなのか、一部事務組合あるいは住宅公団ということになっておりますけれども、開発公社というのは、地方にちょいちょいあるわけです。開発公社をこの対象にしないというと、運営がうまくいかないのじゃなかろうかと思うのですけれども、この法・案の中には入っておらぬ、こういうように考えますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/29
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030・水野岑
○水野政府委員 ただいま御質問ございました開発公社の問題でございますが、御承知のように、開発公社は財団法人の場合が多い。民法の公益法人でございますので、それの資金の関係、それに対する監督の関係、そういうような点におきまして、公共団体あるいは住宅公団というような国の代行機関と比較いたしますと、やはり公益的な色彩というものは薄いというように感ぜざるを得ないのでございます。そこで工業団地造成事業につきまして、土地収用権を付与するというような大きな権限を与えるものでございますので、そういうような開発公社というような公益法人にまで、この事業施行者を拡大することは、少し行き過ぎであるというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/30
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031・石川次夫
○石川委員 あと一点だけ建設大臣に伺います。この工業団地造成が土地収用の対象になって、相当補償の問題が出てくると思うのです。これは公共用地に関する特別措置法案がこの前通過しましたけれども、これによりますと、それに対する答申としての補償の基準というものは、一応出たように新聞では拝見しております。しかし、これは私具体的にこの委員会で一回も説明を受けてないのが、私としては非常に不満ではございますけれども、しかし補償の基準というのは、公共用地の特別措置関係だけに適用することなのか、これ私非常に不勉強ではっきりいたしませんけれども、一般の土地収用にもこれを適用するというようなお考えなのか、その点を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/31
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032・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまお尋ねのございました補償基準の統一に関する公共用地の補償基準審議会における答申を政府としてはいただいたのでございます。これはただいまお尋ねの点について申し上げますと、土地収用の対象となる事業について、収用委員会が裁決いたします場合の基準となるべきものであると同時に、各省々々の長が任意契約によって実施いたします場合の補償の基準ともなる、こういう性質のものとして、政府部内において、その措置をとるべく、目下具体的に準備を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/32
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033・石川次夫
○石川委員 新聞で拝見しただけで内容がわかりませんので、いつか機会をあらためて、一応の答申はこうなっている、政府としてはこういうふうにやりたいという説明が一回あってしかるべきじゃないか、われわれとしては非常に関心を持っておるわけです。あの中は大体われわれの考えておる線に近いような答申が出ておるように思いますけれども、ただ私がもっと積極的にやっていただきたいと思うのは、こういう強制収用というものを私企業に対してまで適用するということになりますと、全体的に見れば必要だということが納得をされても、収用の対象となる人の立場からいうと、工場を作るのに強制収用するのかというような不満が相当出てくると思うのです。実際問題としては、なかなか土地収用というものの適用はしないとは思いますけれども、しかし、そういうふうな考えなきにしもあらずと思いますので、その場合の被収用者の救済というようなことについては、特別に補償の面で考慮をするという配慮が必要ではなかろうか、こう考えるわけでございます。ところで私はこの前も補償の基準のときに申し上げたように、生活対策といいますか、そういうものも、今度は積極的に考えるということになっておりますが、財源措置としてはなかなかこれは容易じゃないんじゃないかというふうに考えますけれども、補償金庫というふうなものをやはり国が用意をして、生活対策まで、低利融資、あるいはこれは補助金でございますかどうか知りませんが、そういうふうなことで、よほど好意的に生活対策にまでめんどうを見るという配慮がないと、この強制収用だけをするということに対しての不満は非常に大きくなるのじゃないか、こう思うのですが、その点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/33
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034・關盛吉雄
○關盛政府委員 答申のありました問題は、公共用地の取得に伴う損失の補償に関する適正な措置についての答申でございまして、従って、いわゆる財産権に対する適正な補償を行なうべき範囲は何であるかということを定めることを目的といたしております。補償の実施と関連いたしまして、生活再建の問題であるとか、あるいは現在のわが国におきましてはまだ慣例が十分確立されておりませんけれども、社会的な受忍の範囲をこえて当該公共用地の付近地における事業損失をこうむる人々に対する損害賠償の問題、事業施行に伴う損害賠償の問題、こういったような問題も、生活再建の問題と並行して、現実に行なわれる補償との、補償そのもののワクの外ではありますけれども、関連の深い問題でございます。ただ統一の問題としてこれを議論いたしますときには、生活再建の問題でありますとか損害賠償という問題は、個々具体のケースによりましていろいろ差別が多いわけでございますので、統一基準作成の段階においてまだ十分な具体例が確立されておりませんので、答申からは漏れておる、こういうのがこの答申の内容でございますが、ただいまお話しのような点は、さらに具体の慣行の確立に向かって進み、かつその方針がすみやかに立てらるべきことが審議会としても要望が出ておりますので、その線に従って政府部内十分検討をいたして参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/34
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035・石川次夫
○石川委員 私の質問はこれで終わります。まだ聞きたいところはたくさんありますが、時間の関係もございますから省略しますけれども、補償の基準については、あらためて一つぜひゆっくり御説明を願いたいということを要望して、次の質問者に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/35
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036・二階堂進
○二階堂委員長 児玉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/36
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037・兒玉末男
○兒玉委員 時間が非常に迫っておるということでございますので、基本的な問題点を一、二、それから経過措置として学校関係の問題が出されておりますので、この点について二、三点お伺いしたいと思います。
まず第一は、この法律の基本となるところの首都圏整備法が制定されてからすでに六年間たっておりますが、この法律の中におきまして、整備委員会なりあるいはこの諮問機関としての首都圏審議会の審議委員こういうものによって、この法律によって規制されておるところの首都圏の基本計画なりあるいは整備事業計画が制定されて、その実行状況については第十五条によって国会に報告する、こういうように非常に厳格な規制がなされておるわけでありますけれども、この法律の中から、さらに今上程されておりますこの二つの一部改正法案との関連について考えますならば、このような委員会なりあるいは審議会というものが今までどういうふうに活用されてきたのか、このことが厳格に実施をされますならば、今ここでさらにこのような一部規制するような法律を出さなくても、十分この効果というものは期待できたはずだと思うのですが、この整備委員会なり審議会等の運用、第二十一条による首都圏の整備計画というものが具体的にどの程度今日まで確立されてきたのか、この基本的な点について担当者の方からお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/37
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038・水野岑
○水野政府委員 首都圏整備委員会が去る三十一年の六月に発足したのでございますが、首都圏整備の基本方針を定める基本計画につきましては、三十一年度におきまして、首都圏整備審議会に付議して、すでに決定を見ておるのでございますが、この基本計画に基づきまして、十カ年を目標とする整備計画が策定されているのでありまして、首都圏全域にわたる計画といたしましては、首都圏内重要連絡幹線道路整備計画を去る三十二年に決定をしております。
次に、既成市街地につきましては、現在までに建築物の高層化計画あるいは公共住宅整備計画、道路街路整備計画等十八の計画を決定しておるのでございます。
そのほか市街地開発区域の整備につきましては、まずこの市街地開発区域の指定を行なうのでございますが、去る三十二年八月に相模原町田地区を指定をいたしまして、引き続き八王子・日野地区、大宮・浦和地区等九地区につきまして、この市街地開発区域の整備計画につきましては、すでに一部は策定を見ておるのでございますが、現在残りの重要施設につきまして、整備計画を策定中であるというような段階でございます。このような首都圏整備計画をきめます際には、あらかじめ首都圏整備審議会に付議して、その御審議を願うというようなことで、この首都圏整備委員会も非常に活発に運営されているというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/38
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039・兒玉末男
○兒玉委員 計画が一部策定されてからすでに五年ないし六年の年月を経ておるわけでありますが、単に計画の策定ということだけでなくて、具体的にその計画というものが実行されなかったところに、私はこのような問題が発生しているのではないかと思うわけです。それでやはり強力に推進するための積極的な意欲がないのではないか。ただ単にプランだけであって、そのプランというものがどの程度事業計画の中において実行されてきたのか。今言われたように十カ年間でこの計画の完成をしたいという御答弁であったかと思いますが、現在どの程度その計画が実際に実行に移されておるのか、この点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/39
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040・水野岑
○水野政府委員 私の答弁も適当でない個所があったと思いますが、実はこの首都圏の整備の重要方針を定める基本計画は、昭和五十年を目標としておりまして、この具体的な重要施設の整備につきましては、五十年を前期、後期、二期に分けまして、前期十カ年計画につきまして、ただいま申しましたような重要施設の整備計画を策定いたしておるわけであります。
これの進捗状況でございますが、三十二年度から三十六年度に至る五カ年間々見てみますと、予定事業量のほぼ七割五分に近い進捗率を示しておると申して差しつかえないと思っておりますが、ただ今回提案をいたしたような改正案を提出いたしましたのも、その進捗状況の一そう促進をはかりたい、こういうことで提案をしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/40
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041・兒玉末男
○兒玉委員 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律が昭和三十四年に制定されたけれども、今言われたようなことを含めてさらに規制をきびしくして促進をはかりたいという御答弁でありましたが、首都圏整備法の二十六条に基づく法案にいたしましても、これが制限に対するところの適用除外あるいは経過措置が非常に甘かった、こういうことでさらに今度この制限を規制していきたいというのが大体提案の御趣旨だと思いますが、適用除外なり経過措置ということにおいて、どういう点に抜かりがあったのか、この点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/41
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042・水野岑
○水野政府委員 いろんな点が実はあるわけですが、主要な点を申し上げますと二点でございます。
第一点は、現在の制限規模が高過ぎる、これをもっと引き下げる要があるということでございます。工場につきましては、御承知のように千六百平方メートル以上の作業場を持つ工場というようなものが制限対象施設になっております。大学につきましては二千平方メートル以上の敷地を持つ大学ということになっております。これらの制限規模が高きに過ぎる。これをもっと引き下げる要があるということが第一点でございます。
第二点は、この法律を制定実施いたしました三十四年四月一日にすでにある工場なり大学、こういう既存施設につきましては、その工場なり大学の団地内におきましては無制限に増築ができる、こういうことによりまして、どんどん増設が行なわれておるような現状でございまして、そういう団地内の増設を制限する要がある、こういうことが第二点であります。
そのほかいろいろございますが、主要な点は今申しました二点をこの際改正いたしまして、工業等の新増設を一そうきびしく制限していきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/42
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043・兒玉末男
○兒玉委員 ただいまそういう一つの手抜かりの点をさらに規制しようという御答弁でありましたが、さらに今回出されておりますこの改正法案の中で、工場、学校等の、特に学校関係についての経過措置として附則にこういうことが書いてあるわけです。ただし、この改正法の施行の日に工業等制限区域内に存していた学校で届出をしたものについては、理工科系の大学及び高等専門学校にあっては当分の間、その他の教室については三年以内に限り、この法による改正後の第四条第一項の規定を適用しない、こういうことがうたってありますが、この点は今申しました三十四年に制定されたときよりは多少はその面積等において狭くなっておるわけでございますけれども、この学校関係の理工科系大学並びに高等専門学校にあっては当分の間というのは、きわめてあいまいな表現であって、これではまた同じようなことを繰り返すのではないか。特に教育に関しましては重大な問題であり、文部省当局の相当の抵抗があったことが予想されるのですが、当分の間というのはどういう観念に立っての当分の間であるのか、またその他の教室についてはこの法律の施行日から起算して三年以内というのは、どういう理論的な根拠に基づいて三年というものに規制したのか、こういう点についての今までの経過なりあるいはこれによってはたしてせっかくの規制が実効をあげることができるのかどうか、この二点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/43
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044・水野岑
○水野政府委員 まず第一点でございますが、当分の間とございますのは、最高十年以内でございまして、科学技術者の大量養成が現在非常に必要である、こういうような情勢にかんがみまして、そういうような要請のある期間最高十年といたしまして、その範囲内で考えていきたい。それから三年と書きましたのは、学部等を新設いたしました場合におきましては、学年進行による増設、施設の整備というようなことが認められておりますので、学年進行による充実ということになると、三年間になりますので、そこで三年間というような期間をとったのでございます。このような経過措置を特に学校について認めましたのは、大学、特に私立大学の現状、御承知のように、科学技術教育の振興が叫ばれております今日におきまして、施設を整備する、こういうようなことがあります場合に、どういたしましても、既存施設と人的、物的に連携をとって施設を増設しないと、多額の経費がかかる、こういうような関係もございますので、私どもの理想論から申しますと、こういう経過措置を設けますことは、必ずしも満足すべきものではございませんけれども、大学の、ことに私立大学の現状にかんがみまして、やむを得ない措置といたしまして、こういう経過措置を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/44
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045・兒玉末男
○兒玉委員 最後に一点お伺いいたしたいと思うのですが、先ほど石川さんの方からも御質問があって、よく私は聞き取れなかった面があるのですが、経過措置十年ということになりますと、その間の趨勢というものは相当変化が予想されるわけでありますけれども、この際並行的に、先ほど言われたような学園都市、理工科系の学校を集団的に郊外に移転する、こういう積極的な政策を打ち出していくべきではなかろうかと思うわけです。こういう十年間の暫定措置という経過措置と並行的に、郊外への積極的な政策なりまた構想というものは持っていないのかどうか、この点だけを明らかにしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/45
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046・水野岑
○水野政府委員 学園都市の建設は、今御指摘がございましたように私どもとして大へん重要なことであると考えております。この学園都市をぜひ私どもといたしましては早急に建設に着工したいということで、目下諸般の調査、準備をしているという段階でございまして、できるだけ早くこの学園都市建設の構想を実現に移すようにわれわれといたしましては努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/46
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047・二階堂進
○二階堂委員長 中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/47
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048・中島巖
○中島(巖)委員 実はきょういろいろ御質問いたしたいと思っておったのですが、災害対策特別委員会があってその方に出かけておりましたので、大ざっぱな一点だけを質問いたしたいと思います。経済企画庁見え七いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/48
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049・二階堂進
○二階堂委員長 もう帰りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/49
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050・中島巖
○中島(巖)委員 それでは大臣にお伺いしたいのですが、この首都圏の整備委員会は昭和三十一年度に昭和四十一年度までの構想を発表しておるわけです。その構想によりますと、一つの例をあげますと、昭和四十一年には都内の交通網に対するところの一日最大の交通量はどうなるかというようなことで、たしか国鉄八線、私鉄十五線、二十三線について昭和四十一年はこういう交通量になるということを発表しておったのであります。それが昭和三十四年のたしか鉄道年鑑だと思いましたが、それを見ると、昭和四十一年にこういう交通量になるという数字をすでにオーバーしておる。それから、その後におきましていわゆるグリーン・ベルト時代の学園都市の構想を発表されたり、また川島長官の官庁移転の問題なんかも発表されて、この東京都の過大化をいかに解消するかという点で非常に苦慮されておることは、これらの諸問題をとらえてみれば、はっきりいたしておると私は思うのであります。そこで今度のはこういうような構想でこの法律案を提案されまして、首都圏整備委員会、これを首都圏内に限った整備委員会とすれば、こういう構想を発表されるのは一まあそういうような成り行きだろうと思うのです。そこで基本的な問題として、例の国土総合開発法であるとか、国土調査法であるとか、こういう幾多の法律が出ておるわけでありまして、日本全国の国土開発をどういうふうに持っていくべきかといろ基本的の構想が固まっておって、これは経済企画庁に質問したいと思ったのですが、おりませんのでとりやめますけれども、その一環としてこの首都圏整備委員会の任務が初めてはっきりするわけである。こういうような国土総合開発法ができても、これに対する構想が何らできておらない、その上に積み重ねてのものが今度法案に突如として出たわけであります。そこで私はこれに対して反対するものではございませんけれども、今まで首都圏整備委員会の計画とか構想というようなものをたびたびお伺いしておって、いつもそれが三年か四年たつと根本的に食い違っておる。従って、今度の法案に対しても私どもは反対はせずにお手並み拝見という考えでおるわけです。ところがこの構想ができるについては、とにかく素案であっても大体十年間くらいなアウトラインの構想は必ずおありだと思う。そういうようなものの御発表を早急にお願いいたしたいと思うわけであります。
そこで建設大臣にお尋ねする一点は、国全体の幾つかの法律ができておりますから、この法律に根拠を置いて国全体の計画を樹立すべきじゃないか、そしてまた一つの地方としてのそれぞれのただいまのような案ができるべきである。従って国全体の国土総合開発法に基づくところの案がないために、例の広域首都圏問題であるとか、今は商工委員会にかかっておる新産業都市の問題であるとかいうような、いろいろの構想を持った法案がばらばらに出てきておる。これでは結局役所のセクショナリズムで、おのおのの立場で勝手な法案が次から次に提出されるというのが現状ではないか、こういうように考えるわけでありますが、これに対して大臣の御所見をお伺いいたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/50
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051・中村梅吉
○中村国務大臣 御承知の通り、国土総合開発も前の迫水長官のころに草案ができまして、この草案に対して世間の十分な御批判をいただくために、政府としましても公表をいたし、しかもそれに対する意見等がようやく各方面から集まりまして、現在国土総合開発審議会において審議中のよし、先ほど企画庁の方からも御答弁があったわけでございますが、近く結論が出せる模様と承知をいたしております。もちろん首都圏整備の方も国土総合開発ということと大いに関係があるわけでございますが、首都圏関係は御承知の通り三十一年に法律ができまして以来、御承知のような構想で進んできておりますので、これももちろんこの国土全体の総合開発と十分な関連を持っておるわけでございます。
なおこのような方法によりまして、人口の過度の集中を解決していこうという努力をしておるわけでございますが、これは現在御審議中の新産業都市の法案なども関係がございますし、国土総合開発とも関係がございまして、やはり他の地方にできるだけ魅力のある都市を育成していくという努力も他面必要であろうと思うのであります。そういたしませんと、農山村あるいは漁村から直通で大都市に魅力を持った人たちが流れ込んで参りますので、これは幾ら過度の集中排除に努力しましても、そういう流入状態の源泉があったのでは、これはなかなか防ぎ切れません。そこでこれらの農山漁村の人たちが、まず東北なら東北の魅力のある都市に集中をして、そこで定着をさせるような地方開発というものが活発に進められなければ、私は本来の首都圏整備にいたしましても、目的は達し得ないのではないだろうかと思っております。これらが相にらみ合って進むところに効を奏しますので、最近は、今度御審議をいただいております新産業都市の法案にいたしましても、今企画庁が最終段階の作業をやっておられる国土総合開発も、やはりこういった構想で進んでおると思いますので、これらと相関連をして効を奏する、こういうように私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/51
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052・二階堂進
○二階堂委員長 他に両案に対し質疑の申し出がありませんので、両案に対する質疑を終局することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/52
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053・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/53
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054・二階堂進
○二階堂委員長 この際首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案に対し、石川次夫君より修正案が提出されておりますので、これの趣旨説明を求めます。石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/54
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055・石川次夫
○石川委員 最初に修正案を読み上げます。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第二項中「以下同じ。」を削り、附則第三項及び附則第四項を削り、附則第五項を附則第三項とする。
これはすでにこの委員会において再三質疑応答がかわされて、内容については今さら繰り返す必要もないと思いますので、簡単に結論だけを申し上げますと、この法案は、首都に集中する過度集中を排除するという意味をもって、これに関連するあと一つの首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案と同時に出されているうらはらの法律でありますけれども、この過度集中を排除するために、工業等を制限するという趣旨については、もちろん国民のだれ一人として反対するものはないと思うのであります。いろいろと意見はありますけれども、この中で特にわれわれとして問題といたしたいのは、過度集中排除をするということであるならば、工場のみではなくて、むしろ密集度の高い学校なんかも、当然対象としなければいけないのじゃなかろうか、こう考えるのでございますけれども、この法案によりますと、工業学校関係は当分の間――聞くところによりますと、十年間が最高限度というようなことで、この制限外になっておる。さらにまたその他の大学につきましては、三年間を限って特に届出を要しない、許可の必要がないということになっておるわけでございますけれども、われわれとしては、当然学校もこの対象として含めなければ、この法案の趣旨を十分に生かすことができないのではないか。むしろ積極的に学園都市の構想などを持って、これに学校を移していくということのためには、三年間という期限をつけないで、むしろきびしい制限を付しておいて、政治的にこれを活用することによって、この学園都市を積極的に建設し、移しかえていくというようなことに持っていくことの方が、十分な効果を期待できるであろうし、さらにまたこの三年間に区切るということは、高等学校が特に非常に人数の多くなるピークに差しかかるときでありまして、一番学生の数の多いことを予想して、それに備えた三年の間の学校の建設ということになりますと、過去にもこういう例が再三あったようでありますけれども、むしろこれは非常に促進をはかるということになって、過度集中を排除するというねらいを持ったこの法律が、逆に過度集中を促進するという結果になるわけでございますから、これはこの法律の効果を期待する上からいいましても、きわめて逆効果であるという意味で、われわれとしてはこの修正案を提案したわけであります。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/55
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056・二階堂進
○二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/56
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057・二階堂進
○二階堂委員長 本修正案に対し御発言はございませんか。――別にないようでありますので、本修正案並びに原案を一括して討論に付するわけでございますが、討論の通告がございませんので、これより直ちに採決を行ないます。
まず、石川次夫君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/57
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058・二階堂進
○二階堂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/58
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059・二階堂進
○二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/59
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060・二階堂進
○二階堂委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、松澤雄藏君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
松澤雄藏君より趣旨の説明を聴取いたします。松澤雄藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/60
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061・松澤雄藏
○松澤委員 附帯決議を読み上げます。皆さんの御賛成を得たいと思います。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法制定の趣旨にかんがみ、特に左の点に留意すべきである。
1 附則第三項の学校についての経過措置は、その期間を短縮する等、運用に万全を期すること。
2 学校についても、首都圏の地域内に適正配置をはかるよう措置すること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/61
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062・二階堂進
○二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対しましては、別に発言の申し出がございませんので、本動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/62
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063・二階堂進
○二階堂委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/63
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064・二階堂進
○二階堂委員長 次に、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案を討論に付します。
討論の通告がありますのでこれを許します。石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/64
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065・石川次夫
○石川委員 首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につきまして、社会党を代表して、簡単に反対の理由を申し上げます。
この法案は、これとともに出されました首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案とうらはらの形で出ておりまして、都市における過度集中を排除するという趣旨を持った法案でありますだけに、その必要性はわれわれとしても了承できるわけでありますが、その前提条件となりますところの国土の高度利用、そのための利用区分ということを明確にいたしまして、たとえば農業、工業、住宅というようなものに、それぞれその所を得せしめるという前提条件があって、初めてこの法案というものが効果的に生かされ、運用できるというふうに考えますけれども、その前提抜きにこの法案だけが出されますと、どう考えても憲法に抵触するおそれがきわめて多いとわれわれは考えざるを得ないわけであります。
なるほど最近、都市集中というものを排除しなければならないということが一般の世論となりまして、公共の福祉という憲法の概念に、これがちょうど適合するのではなかろうかという見方もあることも、うなずけないわけではありませんが、この土地収用を行なうという対象が、利益を生むところの私の企業に対して行なわれるということにつきましては、公共用の環境、施設がございませんだけに、これが公共の完全な福祉というものに合致するかどうか、どう考えても、われわれとしては大きな疑問を持たざるを得ないわけであります。特に制限された工場が工業団地に移る場合には、優先順位が付されることになっておりますけれども、この制限された工場に対してのみこれが適用されるというのであれば、まだわれわれとしては理解がしやすいのでございますが、この制限された工場だけではないということになって参りますと、収用される対象、農民その他地主の気持からいたしましても財産権に抵触するのではないか、憲法に抵触するのではないかという疑問なきを得ないわけであります。特に、これがいわゆる四大工業ベルト地帯というようなところに対しても、こういう法案の規制が将来生まれるでありましょうから、新産業都市法案などとともに、これが全国的に前例となって拡大発展をする可能性があるというだけに、なおさらこの点について私は多くの疑念を持つわけであります。
従って、こういうような多くの疑点を残したまま、現時点でこの法案に対してはにわかに賛成しがたい、これがわれわれの反対理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/65
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066・二階堂進
○二階堂委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより本案を採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/66
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067・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/67
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068・二階堂進
○二階堂委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田中幾三郎君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
田中幾三郎君より趣旨の説明を聴取いたします。田中幾三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/68
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069・田中幾三郎
○田中(幾)委員 私は民主社会党、自由民主党を代表いたしまして、ただいまの法案に対する附帯決議を提出いたしたいと思います。
まず主文を朗読いたします。
政府は、本法による工業団地造成事業の実施にあたり、土地等を収用する場合には、特に個人の権利並びに私有財産権を不当に侵害することのないよう特段の配慮をなし、被収用者に対しては公正妥当な補償を行なうよう、万全の措置を講ずべきである。
右決議する。
最近、公共のために土地を収用する法律がたくさん出て参りまして、憲法の二十九条による私有財産権というものが、この公共の福祉もしくは公共の利益という名によってだんだんと圧縮されてきておる傾向であります。先般も参考人に私が質問をいたしたのでありますが、公共の福祉と私企業の利益というものとの区分が非常に明確になりがたい。公共の福祉ということはきわめて抽象的な言葉でありますから、何が公共の福祉か、何が公共のための利益かということを決定するには非常に困難を伴うのであります。たとえば電発の場合のごときは、やはりこれは一種の私企業でありますから、電気を作って売るということにおいては私企業であります。しかし、電気を売るということによって公共の福祉、利益がもたらされておるのでありますから、私企業を通じて公共の福祉、利益がもたらされるという意味でありますが、本件の場合は、市街地に工業団地を作っても公共の福祉を受けるのはだれかということになりますと、非常な疑点が出てきます。都市全般の不定多数人が、あそこに工業団地ができたのでどういう公共の福祉を受けたかということが、非常に判定しにくいのでありまして、これを乱用いたしますならば、工業団地を造成するという陰に隠れて私企業がこの団地において行なわれる、これは非常に危険でありまして、私先般質問をいたしたときにも、参考人の意見は私企業に重点を置くのであるならば憲法違反の疑いが十分にあるという答弁でありました。でありますからこの法案を実施するにあたっては、私有財産を侵害しないように十分配慮をなすべきである。しかし、憲法におきましては補償をすれば私有財産も制限できるということは当然でありますから、問題はやはり補償にあるので、自分の意思に関係なく強制買収をされても補償があればそれで償うのでありますから、やはり補償という点に重点を置かなければならぬと思うのでありまして、補償を十分にすれば強制買収――自分の意思にかかわらず所有権を失ってもそれで所有者は満足するのでありますから、この二点について万全の措置を講じてもらいたい。
しかし、先般も三十八国会、三十九国会を通じて附帯決議が幾つなされたかということを調べましたところが、ずいぶん多数あります。しかし、附帯決議は何らの拘束力を持たないのでありますから、私はあってもなくてもいいのではないかと思いますけれども、附帯決議を出した私の趣旨は、やはり被収用者に対しては正当な補償を払うということです。法律によれば、補償が少なければ裁決を求めることもできる規定はありますけれども、やはりかように公共のために土地収用あるいは強制買収が非常に多くなった今日におきましては、別個の機関として裁判所的な存在として補償委員会とかあるいは補償裁判所とかいう特殊の機関を設けてそこにおいてこの問題を解決すべきが至当ではないか。ですからこの附帯決議が単なる附帯決議でなしにそういう機関、組織を作る方向に進んでもらいたい。
聞くところによりますと買収基準というものを定めておるようでありますけれども、基準だけでは十分ではありません。基準を定めて、基準を実行する組織なり機関なり独立したものを作ってやるべきではないかと思うのでありまして、この附帯決議の中に万全の措置と書いてありますけれども、そういう一つの機関、組織を作るべきではないかという趣旨でありますから、どうぞ諸君の御賛成を得たいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/69
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070・二階堂進
○二階堂委員長 以上で趣旨の説明を終わりました。
本動議に対しましては別に発言の申し出もございませんので、本動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/70
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071・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。
この際中村国務大臣より発言を求められております。これを許します。中村国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/71
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072・中村梅吉
○中村国務大臣 ただいま両法案に対する附帯決議がございましたが、政府といたしましては、附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、最善を尽くして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/72
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073・二階堂進
○二階堂委員長 お諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/73
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074・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
次会は、来たる五月六日日曜日、午前十時より理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004149X02119620427/74
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