1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年三月二十二日(木曜日)
午後一時四分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 青木 正君 理事 竹山祐太郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 坂本 泰良君
理事 島上善五郎君 理事 畑 和君
薩摩 雄次君 首藤 新八君
中垣 國男君 林 博君
福永 一臣君 坪野 米男君
山中日露史君 井堀 繁男君
出席政府委員
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(選挙局長) 松村 清之君
—————————————
本日の会議に付した案件
公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇八号)
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X00719620322/0
-
001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
公職選挙法等の一部を改正する法律案、及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題として審査を進めます。
公職選挙法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党島上善五郎君外二名より修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X00719620322/1
-
002・加藤常太郎
○加藤委員長 これより修正案について提出者より趣旨説明を求めます。島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X00719620322/2
-
003・島上善五郎
○島上委員 ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案の修正案について、私は、日本社会党を代表し、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
過ぐる三月一日、政府は、民主政治の健全な発展を期するため、選挙制度審議会の答申に基づき所要の改正を行なうとの理由により、公職選挙法等の一部を改正する法律案を本院に提案したのでありますが、その内容は、選挙制度審議会の答申中の最も重要な、連座制の強化、政治資金の規正、高級公務員の立候補制限の三点を全く背抜きにしたものであり、金のかからない公明選挙を切望する国民多年の念願を踏みにじったのであります。このことは、一昨年十一月の衆議院選挙における醜悪目をおおわしめるような数多くの金権腐敗選挙に対して、政府及び与党が何らの反省を示していないことを物語るものであり、みずから提案して作った選挙制度審議会の答申尊重の義務を怠り、審議会設置法第三条に違反する行為といわねばなりません。
そこで、日本社会党は、右の三点につきほぼ答申通り修正案をここに提案し、国民注視の中において政府案と対比して十分に審議していただきたいと存ずる次第であります。
次に、この修正案の内容について御説明いたしますが、高級公務員の立候補制限に関する事項と連座制強化に関する事項は、公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案であり、政治資金規正に関する事項は、政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案であります。
まず、公職選挙法一部改正の修正点について申し上げますと、その第一は、高級公務員の立候補制限に関する事項であります。高級公務員の一部の者が、過去において国家の権力機構を悪用し、許可、認可、補助金、交付金支給等々、選挙人に接する行政を通じて、在職中に、主として参議院全国区選挙に際し露骨な事前運動を行ない、選挙の公正公明を乱した事実は枚挙にいとまなく、国民ひとしくひんしゅくしているところであります。それゆえに、これらの高級公務員の立候補を制限すべしとの国民の声はかつての選挙制度調査会当時から取り上げられ、今回の選挙制度審議会においても重要事項の一つとして検討の結果、国または公社、公団もしくは公庫の法律で定める職にあった者は、離職後最初に行なわれる参議院全国選出議員の選挙に立候補できないものとすることとの答申がなされたのであります。しかるに政府案は、第一に、高級公務員に限らず一般公務員にまで広げて焦点をぼかし、内容をすりかえ、第二には、立候補を制限せず、地位利用の選挙運動及びその類似行為を禁止し、この禁止に違反した場合の当選を無効にする案に変更したのであります。これでは答申の内容が全く無視されゆがめられたというのほかありません。
われわれは答申の趣旨を尊重して修正案を作成し、別紙修正案要綱にありますように、法律に定める職については、弊害の最も多いと思われる地位に極力しぼり、また、在職期間が短期で影神力の薄いと思われるものはこれを除外し、指定の職に通じて二カ年以上の在職者に限り、また離職後一年間に行なわれる全国区立候補禁止に限ったのであります。このように特定の職、特定の選挙、特定の期間にしぼったことにより、一部にいわれる憲法違反の疑いもないものと確信いたします。
第二に、連座制に関する事項について申し上げます。
過去の幾多の実例が示すように、総括主宰者または出納責任者の悪魔違反による刑確定後、選挙人による当選無効の訴訟によって再度の裁判を経て連座する現行規定はほとんど連座の実効を上げ得ない有名無実の法律であるのにかんがみ、これをきびしく改正すべしとの国民世論を正しく取り上げたのが答申案であります。しかるに政府案は、連座の対象者は一応答申を尊重してはいるが、親族については、同居し、意思を通じ、悪質犯罪により禁固以上の刑に処せられ、刑の執行猶予に処せられなかった場合のみに限定したことにより、これまた全く有名無実の空文と化し、その上肝心の当然失格規定が削られ、刑確定後検察官の当選無効の訴訟提起に変更したことによって、現行法と選ぶところのないものに後退してしまったのであります。もしこれをしも連座制強化というならば、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいで、法律にうとい国民を欺くものといわざるを得ません。
われわれの修正案は、審議会の答申通りに、第一は、対象となる総括主宰者、出納責任者等並びに親族の悪質違反による刑確定と同町に当選者は当然に失格することとし、第二に、親族については、同居、禁固以上、執行猶予にならない場合等を削除し、意思を通じての条件のみを付することとしたのであります。厳格に過ぎるとの戸も聞かないではないが、近来の日に余る買収選挙の宿弊を正すには、この程度のきびしさをもってしなければとうてい不可能であると信ずるからであります。
次に、政治賞金規正法の一部改正案に対する修正点を、申し上げます。
選挙界の腐敗の根源は、莫大な政治資金が不正不当に流されるところにあることは申し上ぐるまでもなく、従って物と金によって汚されている昨今の腐敗選挙を粛正するには政治資金に必要なる規正を加えることの緊要なるは何人も認めるところであります。選挙制度審議会がこの点に着眼し、国または公共企業体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者たる者並びに国から補助金、奨励金、助成金、負担金等または出資金を受けている会社その他の法人、地方公共団体と同様の関係にある会社、法人は、選挙または政治活動に関して寄付をしてはならないものとするとの答申をしたことは、きわめて適切であるというべきであります。審議会においては、これはさしあたって必要な最小限度の措置であって、さらに進んで、政治献金はすべて個人に限定すべきものとの理想に近づけようとしているのも当然とうなずけるのであります。しかるに政府案は、一切の規正を当該選挙に関してのみに限定し、一般の政治献金に関しては従来通り何らの規正をも加えず、これまた全くのざる法に後退させてしまったのであります。
国または公社等と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者や、円から財政投融資、補助金、交付金、利子補給等の特別の恩恵を受けている会社等が、当該選挙に関して以外ならば政党に対する献金が野放しに許されてよいものであろうか。一般政治献金と選挙資金が厳密な意味で区別することは不可能であります。これはまさに政界腐敗の根源、疑獄、汚職の温床が無限に放置されているにひとしく、政治道義の上からも断じて不可といわねばなりません。このようなことでは、民主政治の健全なる発展も選挙の公明化も百年河清を待つにひとしいというべきでありましょう。
そこで、われわれは、審議会の答申案通りに、選挙に関するいなとを問わず、前述の国と密接な利害関係の伴う会社、法人からの政党への献金を禁止する修正を加えようとするものであります。
以上をもって修正案の概要を御説明いたしました。すでに世論は圧倒的に審議会の答申案を支持していることが明らかであり、国会における審議中にさらに一段とこの世論が高まるものと思われます。何とぞ十分御審議の上、われわれの修正案を取り入れずみやかに公職選挙法の大改正を実現し、国民の信頼にこたえられんことを希望する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X00719620322/3
-
004・加藤常太郎
○加藤委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
ただいま趣旨説明を聴取いたしました修正案に対し、質疑は次会より行なうことといたします。
本日はこの程度とし、次会は、明二十三日午前十一時から委員会を開会いたします。
これにて散会いたします。
午後一時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X00719620322/4
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。