1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十三日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 青木 正君 理事 竹山祐太郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 島上善五郎君
理事 畑 和君
荒舩清十郎君 仮谷 忠男君
薩摩 雄次君 首藤 新八君
田中 榮一君 中垣 國男君
永山 忠則君 林 博君
福永 一臣君 太田 一夫君
山中日露史君 山花 秀雄君
井堀 繁男君
出席国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(選挙局長) 松村 清之君
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四月十三日
委員内田常雄君辞任につき、その補欠として永
山忠則君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員永山忠則君辞任につき、その補欠として内
田常雄君が議長の指名で委員に選任された。
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四月九日
連座制強化に関する請願外八件(島上善五郎君
紹介)(第三七七一号)
選挙違反者の罰則強化に関する請願外七件(島
上善五郎君紹介)(第三七七二号)
同外五件(春日一幸君紹介)(第三八〇九号)
選挙区別人口と議員定数の不均衡是正に関する
請願外八件(島上善五郎君紹介)(第三七七三
号)
同外二件(本島百合子君紹介)(第三八一〇
号)
は本委員会に付託された。
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四月六日
公職選挙法の一部改正に関する陳情書
(第六五六号)
同
(第七一四号)
同(
第七四一号)
同
(第七四二号)
沖繩人の日本に対する参政権回復に関する陳情
書
(第六五七号)
選挙にラジオ、テレビ活用に関する陳情書
(第七七七
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇八号)
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇九
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/0
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001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
右両案並びに公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する島上善五郎君外二名提出の修正案を一括して質疑を継続いたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/1
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002・島上善五郎
○島上委員 政府案の内容につきまして、一、二お伺いいたしたいと思います。問題点はたくさんありますけれども、まだ大臣もお見えになっておりませんし、二、三の点について伺っておきます。
このたびの改正案は、選挙制度審議会の答申に基礎を置いておりますことは、これは当然ですけれども、その中で問題の三点についてはきょうは質問しませんが、この答申の精神は、選挙運動を候補者中心から政党の運動へ移行せしめよう、こういう考えに立っておりますことと、もう一つは、非常に弊害の多いいわゆる悪質違反については、これを厳罰にする、同時に、弊害のない運動につきましてはあまり取り締まり、取り締まりと言わずに緩和しよう、こういう方向をとっておることも事実でございます。その緩和の具体的な一点として、選挙運動については、衆議院議員及び参議院議員の候補者となろうとする者は、事前に、選挙期日の公示または公示前において選挙運動をすることができる。具体的にいうと、演説会並びに選挙に関する経歴の印刷物を頒布することができる、こういうことになっているわけでありますが、これは政府案のままでは問題があるような気がいたします。これは先般林君も質問しておりましたが、演説会を百回開く、それから演説会告知用のポスターを張ることもできる、こういうことになっておりますが、この演説会は、告示後の候補者の個人演説会と同じような性格のものであるというふうに解釈されますが、そういうものであるかどうか。従って告知用のポスターも告示後の個人演説会の周知のためのポスターと同じような性質のもの、こういうふうに解釈してよろしいかどうか、まず伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/2
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003・松村清之
○松村(清)政府委員 演説会の開催に関しましては、選挙運動期間中の演説会と事前運動としての演説会と、その性格においては、ほぼ似通ったものであると存じます。ただこの選挙演説会を告知いたしますポスターにつきましては、そこに若干違いがあるように思うのでございます。と申しますのは、法律の原案にありますように、事前運動としての演説会を告知するポスターにつきましては、選挙の公示前一定期間内に入りましたならば、一斉にこれをされいにさせる、こういう義務を候補者側に負わしておるのでございます。しかし、それまではできるだけ制限というものははずしていこうということで、ポスターの枚数には制限を加えておりません。また、これを制限いたすとなりますと、たとえば事務的には選挙管理委員会等が常時動く体制を作っておきませんと、いつこのポスターの検印を求められるかもわからない、こういうようなことで、事前運動といたしましては、期間が長うございますので、事務的な点等も考えまして、ポスターについては制限を加えない、しかし一定期日になればこれを全部きれいにさせる、こういう趣旨で原案が作成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/3
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004・島上善五郎
○島上委員 事前の演説会ができなくなりますと、その二日以内に撤去しなければならない。それだけの違いは私もわかっています。それ以外の点では、違いといえば、今度は検印を受けないから枚数が無制限である。しかし告知用のポスターは、演説会自体がいわば告示後の個人演説会と同じ性格のものですから、ポスターについても、もちろん図案等についてはいろいろ各人異なるでしょうけれども、ポスターそのものも検印を受けないということ、枚数に制限がない、二日間のうちに撤去しなければならぬという以外は同じだと思うのです。そこでこの点に関する議論がございまして、新聞の報道等によりますれば、これを修正しようと伝えられているようですが、このままですと、この事前演説会の経費は選挙費用の経費の中に合算する、こういうことになっておりましても、実態をつかむことはなかなか困難であろうと思うのです。実際にかかった通り届け出ればそれはけっこうですけれども、極端に申しますと、一回の演説会についてポスターを一万枚張っても、千枚と届け出たってどうしようもないと思うのです。大へんな経費がかかる、こういうことになるのではないかと思うのです。金のかからない選挙ということを指向しておりながら、この点は非常に問題点だろうと思うのです。
それからもう一つ問題になるのは、候補者個人の運動から政党の運動に移行せしめよう、こういう考えが基本になっているにもかかわらず、こういう候補者個人の個人演説会という形になりますれば、ここにもまた問題があると思うのです。おそらくこの事前の演説会は、新人の人は大いに活用して、百回でも目一ぱいにやる、こういうことになるのじゃないか、こう思いますが、私が今尋ねている点の、費用が大へんかかるということ、それが的確に捕捉しがたいというところ、それから候補者個人の運動から政党の運動に移行せしめようという方向に反するということ、この点に対するお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/4
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005・松村清之
○松村(清)政府委員 その問題は経緯から申し上げますと、選挙制度審議会におきましては、事前においては言論文書に関する限りは自由にしよう、こういう議論から出発いたしまして、その間主として現議員の方から、全く自由というのはいろいろ問題もあるからということで、そこに回数の制限を演説会については付与したわけでございます。ところがその演説会を告知いたしますポスターにつきましては、これは先ほどの点を少し補足さしていただきたいと思いますが、選挙運動期間中のポスターというものは、これはもちろん演説会を告知するポスターもございますけれども、制限されております。枚数は衆議院の場合八千枚でございますか、制限されております。ポスターは告知用のポスターだけでなくて、選挙運動用のポスターということが主体でございます。ところがこの事前のポスターというものは、告知するだけのポスターである、こういう点にポスターとしての性格に違った点があるのでございます。そこで無制限にすると金がかかるということ、もちろん言論文書、そういったものを自由にすることは、金の方においてはこれはかかるかと思いますが、それだからこそ法定費用というものをきめまして、事前運動のための演説会等に要する経費も選挙運動期間中の法定費と合わせて、一緒に経費の額をきめるという建前にしておるわけでございます。イギリス等におきましては、法定費の制度はあるけれども、言論文書はあまり拘束していない。あるいはドイツ等においては法定費の制度もない、こういうような外国の例でございますけれども、そこでわが国においては、事前運動に関するものは法定費ということで抑える。それから選挙運動演説会の回数は抑えますが、それを告知するだけのポスターというものは、いわば、考えてみれば広告というようなものと同様にも考えられますので、これには特に制限する必要はないというふうに考えたのでございます。従って金がかかるということにつきましては、法定費というワクでこれを処置するより道がない。
それから政党本位の選挙へ移るということとの問題でございますが、今日政党は政治活動をすることは自由でございますが、選挙運動をやるということは今の体制ではできないことになっております。ただ今度の政府原案におきましては、選挙運動期間中においては政党の政治活動を制限しておりましたのを、今までより大幅に緩和する。また、政党につきまして選挙運動すらもできるようにした。これは今度の新しい仕組みでございますが、この政府原案程度が政党本位の選挙にするための、現行の制度のもとにおいて考えられる最大限ではないかと思います。政党本位の選挙にするためには、もっとほかの方法もあわせて考えなければならないと思います。従って、事前におきまして政党が選挙運動をやるということは、今のところは、そういう点は考えられないのでございまして、政治活動はもちろんできますが、政党の選挙運動ということは、事前運動としては現在のところ考えられる余地がないのではないか、そういうふうに考えますと、その事前運動としての演説会に関する限り、政党本位の選挙と反するというような点につきましては・私は特に考えてはいないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/5
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006・島上善五郎
○島上委員 それでは、一つ一つ伺っていきます。
法定費用で抑えるということは、これは理屈としてはわかります。しかし、告示後の運動は大体一定の型にはまっているようなものですから、枚数も回数も制限がある。これは費用で抑えることは可能ですし、また調べることも可能だと思うのです。ところが告示前の運動は、今言ったように、選挙管理委員会の活動も告示後のように活動していませんし、警察もおそらくこういうふうになりますればそれに目をつける必要もないわけですから、そうすると告示前の百回の演説会、そのポスター、印刷物、頒布するチラシ、こういうものに対しては、実態を捕捉することが事実上不可能だと思う。実態を捕捉することは不可能です。良心的な人は最小限度の費用でやって、それを届けるでしょう。しかし、必ずしもそうとばかりは言えないのです。特に昭和三十五年十一月の選挙の状況を見ましても、新しい人が当選しようとすれば、現職を追い越していかなければならぬわけですから、非常な努力を要するわけです。その努力が百回の演説会に集中されるということになれば、私はポスターでも相当大量にやるだろうし、それから問題の費用を捕捉すということが不可能であります。チラシもそうです。チラシもここでは一種類とか、三種類とか制限がございませんから、極端に言えばいろいろな種類のチラシを作って、来た人に——これは何枚渡してはいかぬということはもちろん制限できるものではないわけですから、来た人に百枚くらいずつやる、一種類十枚ずつ、十種類やる。こういうことも可能ですし、そうすると、それに伴って起こる問題は、もらった人はたくさんの枚数をもらえば、うちに帰ってから近所隣に配るという問題も起こるわけです。そういう経費を捕捉しがたいということや、チラシの種類、枚数は制限もございませんから、それに伴って、もらった人が近所隣や職場に行って配るという問題が起こってもよろしいならばいいのですよ。私は別にいいとか悪いとか言っているのではないのです。そういう点についてお考えになってやっておるのかどうか、よろしいというふうにお考えかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/6
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007・松村清之
○松村(清)政府委員 第二番目のチラシの問題につきましては、これはうちに持って帰って方々に配付すれば文書図画頒布の違反になるわけでございますが……。(「事前だものならないよ」と呼ぶ者あり)第一の質問の、法定費用で抑える、これは御承知のように、今日でも法定費の届出をしてありますけれども、これはなかなか捕捉しがたいことは御承知の通りでございます。従って事前運動の費用は、政府の原案では、毎年の分を締めくくって選挙管理委員会に届けるように制度の上ではいたしておりますけれども、個人の法定費と同様に完全に捕捉するということはなかなかむずかしいと思います。しかしこの法定費で制限するということを考える以上は、この程度で規制するよりほかに仕方がない、こういうふうに考えておるわけでございます。ビラの点につきましては、もちろん選挙演説会場においては、無制限にビラの頒布が認められるわけでございますが、それを外に持ち出していろいろ頒布することにつきましては、それぞれ選挙運動の違反、事前運動の違反、こういうことで規制される建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/7
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008・島上善五郎
○島上委員 今度法定費用を合理的に改めるということは、たとえば労務者の日当その他、実態に即しない点があるということも一つですが、合理的に改めると同時に、いろいろな書類を添付し、受取書等を添付して捕捉しやすいようにするということも一つの面だと思うんです。幾ら合理的に改めても、でたらめな届けを出して、しかもこれを捕捉することができない、実態を握ることができないということじゃ、これは意味ないんです。ところがこういうふうに事前の印刷物、ポスター、チラシを、回数は百回ですけれども、無制限にするということは相当多額の経費がかかり、かつ、その実態をいよいよつかみにくくする。こういう矛盾は何としてもおおいがたいと思います。それからチラシを持っていって配れば事前の選挙違反だ、こうおっしゃいますけれども、それは一人で五百枚も千枚も持っていって軒並みに、町じゅう配ればそうなるかもしれぬけれども、十枚や二十枚家に持っていって家族のものに見せたって、どうしようもないでしょう。あるいは同居人の十人も置いている人が、同居人にやったって、それまで選挙違反だということは実際上できないと思います。私が言うのは、枚数にも制限がないし、種類にも制限がないでしょう。ですから極端にいえば、百種類作ったってこの法律からいえば違反じゃないんですね。いろいろな種類のものを工夫して、漫画を入れたり、写真を入れたり、いろいろなものを工夫して幾種類も作ってもいいわけですね。幾種類も作ると、良心的に一種類一枚ずつやっても、十種類作れば十枚になるんですね。その十枚をポケットに入れていけば、勢いそれに伴って、少なくとも最小限うちにいる同居人くらいには見せる、まあ近所の人に見せるというような問題が当然起こってきますね。そういうことをお考えになってこの法律にしたかどうかということを伺っているわけです。大々的な違反はわかりますが、違反と言いがたいような行為が伴って生じてくる、こういうことをお考えになったかどうか。それでよろしければ、それでいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/8
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009・松村清之
○松村(清)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、選挙制度審議会の調査審議以来、言論文書に関するものはできるだけ自由にしていこう、少々のことは乗り越えて、これをできるだけ自由にしていこうという思想のもとに作られておるものでございますから、選挙運動期間中のことは別として、事前運動に関するものは、演説会は一定の制限を加えるけれども、ポスター、ビラについてはこれに制限を加えることをはずしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/9
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010・島上善五郎
○島上委員 できるだけ自由にしようという考えは、私も賛成なんです。しかし大へん金がかかるという問題は、やはり金のかからぬような工夫がありそうなものだと思う。そこが私は抜けていると思うのです。今度は大臣に伺いますが、今局長から御答弁がありましたが、今度の選挙法改正のものの考えの重要な一点として、候補者個人の運動から政党の運動に移行させよう、こういう考えなんですね。ところがさっき私が指摘しておりますのは、この言論文書による事前運動を緩和した、これは緩和したのはよろしいです。私も賛成です。ところがその緩和した運動が、今言った個人の運動から政党の運動に移行させようという考えであるにもかかわらず、その肝心の緩和した部分が候補者個人の運動なんです。そうでしょう。候補者個人の運動です。これでいいかどうかということです。私の考えを言わしていただくならば、この緩和した部分は候補者個人の運動ではなくて、政党の運動にすべきものだと思うのです。今局長のお答えによると、今度の緩和では、告示後の政党の運動を緩和した、これはわかります。それは当然です。告示後の運動を緩和したなら、告示前の運動も緩和すべきではないか。政党の選挙活動というものは、日常活動が一切選挙に結びついているのです。今、自民党でも社会党で、各党がいろいろな政党の政治活動をやっているでしょう、日常活動をやっているでしょう、これが参議院選挙に結びつかない日常活動と言えますか。これは参議院選挙に結びついているのです。法律の関係上、現行法があります関係上、参議院に立つ候補者の直接の選挙運動ができないだけの話で、実際はもう紙一重というところまでやっているのです。安井大臣自身がおやりになったでしょう。私知っていますよ。せんだって八芳園で開かれた秋田県人会の総会に行って、秋田県では長谷山行毅君が今度地方区から立ちますからよろしくお願いしますと言ったでしょう。私これはやむを得ないと思うのです。そこを個人の運動として緩和したから問題があると思う。これは政党の運動として緩和すべきものではないか、私はそう思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/10
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011・安井謙
○安井国務大臣 私は今の御説は非常にごもっともな点があると思います。確かに選挙の活動について、できるだけ政党の活動できる分野を広げたいというのが答申の精神でもあったと思います。そのために告示期間後の政党活動につきましては、相当自由な政党の選挙運動を認めるというふうにいたしたわけでございます。これは事前にまで及ぶということがあるいは趣旨としては通ると思いますが、技術的にいろいろ政党でやらせるということになると、まだめんどうな問題があるので、せめて個人の言論文書による事前活動をある程度自由にするという点にとどめたわけですが、先ほどから聞いておりますお話のように、個人の演説会を無制限に近い数で許すとか、あるいは無制限に近い方法でポスターとかビラ等を配付するというようなものは、これはまたおのずから限度を設けるなり何かしなければ非常に弊害が伴ったり、混乱する部分も出てくると思いますので、私はできれば、そういう個人演説会等でビラを配るというような場合にも、ある程度政令なり規則でこの基準なり規格を設けるのでなければいけまいというふうには考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/11
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012・島上善五郎
○島上委員 それは法律で何の制限もしないで、政令で規制するといってもだめですよ。規制する必要があるなら法律で規制すべきだし、私は大臣がお見えになる前に局長に聞きましたが、規制は費用で規制しているだけですよ。ところがその費用がどれだけかかったかという実態をつかむことができるかというと、できないですよ。そこに問題がある。そうかといって、これは自民党の青木さんにも聞かなければわからぬだろうけれども、これを全然はずしてしまう、全然なしにしてしまうということになれば、せっかくの事前の運動を緩和しようという答申の趣旨が全然これでは殺されてしまうわけですね。そこで、これは候補者個人の演説会としてこれだけ許して、候補者個人のチラシ、候補者個人の告示のポスターということになるから問題であって、政党の運動として、政党の活動として認めるなら、多少それでも弊害があるかもしれませんけれども、弊害が半減され、三分の一になるじゃないか。そこで政党の日常活動が選挙活動に結びついているのは当然だし、結びつくのは当然であるにもかかわらず、選挙活動しないもの、のどのこの辺まで出てきているのに言わない、紙一重のところまでいって言えない、それがむしろ不自然なんです。西ドイツの選挙などは、期間はもちろんありませんが、一年も二年も前からオルグを派遣して宣伝をして、選挙運動をやっている。これは当然ですよ。政党の日常活動から選挙運動を差し引いたら、残るものは一体何がありますかと言いたいくらいですよ。極論すれば、政党の日常活動これすべて選挙活動に結びついていると思うのです。ですから、この事前の緩和している部分は政党の活動として認める。そして候補者者個人もその政党の演説会なり集会なりに行って、私はこの次の選挙に公認されましたからよろしくお願いしますと言ってもいい。そういう意味の個人の言論自由を認めるというふうにしますれば、現職議員に対する新人がハンディキャップがついているといったような問題も、そこで大いに緩和され、解決されるのじゃないか、そしてさっき言ったような弊害もなくなるのじゃないかと思うのです。これは非常に問題のところだと思うのです。考え方自体が逆行しているということと、金のかからない選挙にしようということが、かえって大へん金のかかる選挙になるということです。もう一ぺんはっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/12
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013・安井謙
○安井国務大臣 今の島上さんのお考えのようなことも、私は確かに答申の精神を生かす一つの方法であろうかと思います。ただ政党の活動ということになりますと、その範囲や、もののきめ方がなかなか困難じゃないか、それより個人としての事前の言論、文書による活動の自由を認めるのがとりあえずの措置だろうということで、私どもこういう案にしておるわけであります。しかし島上さんの今のようなお説自身については、今後ともできるだけ検討をいたさなければいかぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/13
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014・荒舩清十郎
○荒舩委員 今の島上委員の質問に関連して一つ。実は選挙前の演説会百回、たとえば一例をあげると、来年は衆議院が解散になりそうだということになってくると、百回の言論といいますか、百回演説ができる。たとえば現職の議員は、いわゆる通常国会が百五十日で、一年三百六十五日から百五十日を引くと、そうすると通常国会のときは演説会もやらないといたしまして、その合間にやるとすると二日に一ぺんずつは演説会ができる。それからまた来年選挙になりそうだというので、新人の候補者が事前の運動を百回やろうということになると、三日に一ぺんあるいは四日に一ぺんは演説会もできるということで、もし現職の議員が議会で百五十日、あるいは臨時国会がありまして、その間一生懸命一日も休まず勉強しておると、新人はその間三日に一ぺん、四日に一ぺんというものは堂々と演説会もできて、しかも今島上さんの言うように、その間に何千枚も、極端にいえば何万枚もビラをまけるというようなことも、これでいえば確かに選挙費に加算されるが、しかしそういうこともでき得るのです。そういうことを考えると、この事前運動の演説会百回あるいはビラの制限がないというようなことに非常な矛盾がある。政府当局はよく考えないでこんなものを出してしまった、そう言うと失礼だが、この選挙法なんか、審議会で答申があったから、それに似通ったようなものを出せば政府の責任はのがれられるのだというような意味で、ろくな検討もしないで出したから、こういう結果が出た。また言い方は、はなはだまずいかもしれませんが、与党も野党も、大多数の人は、どうせこの選挙法は通る心配はないといううちにだんだん進行してきた。従って国会内の代議士の様子を見ると、選挙法を読んだ人が何%もいないうちにどんどん進行してきた。また自治大臣も、出した以上慎重を期して出したというが、まことに慎重を期さないで出した、こういうことなんだ。憶測ですから、もし誤った点があるなら取り消しますが、事実はそうなんだ。そこで、今島上さんの質問しておることと答弁がまことにちぐはぐで、漫画をかいたような——言い方はまずいかもしれないが、まことに答弁になっておらないように考えるのですが、この事前運動の演説会百回だとか、無制限にビラをまくとか、こういうようなことは、大臣は一つ考え直して削除いたしましょうという勇気があるかどうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/14
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015・安井謙
○安井国務大臣 はなはだ検討が足りないのではないかというおしかりをいただいたわけでありますが、私どもといたしましては、審議会の御意見にそういうものが相当具体的に載っておったという点、それから趣旨としてできる限り言論、文書の自由は認めるべきである、これをオーバーした場合には、今の金額でおのずから制限がありますから、そうむやみなことはできないのではないかというような角度からこれを取り上げておるわけであります。これを削除してはどうか、進んで削除する気はないかという今の御質問につきましては、大へん御返事のしにくい問題でありますが、私ども御意見のある点については、いろいろ将来の問題としては検討もしなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/15
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016・荒舩清十郎
○荒舩委員 さすがに安井自治大臣はりっぱで頭もよいし、それから取り消す用意もありそうなような答弁に私は聞きました。そこでこの辺は、あやまちを改めるのは早い方がいいというように、極論ですが、そうも考えておるので、この辺は早く出し直しをするのがよいのだが、今の議会制度では、出した案を政府がここにだけは削除しましょうということはどうもできないように、常識で思えます。そこで、与党も野党も、この辺はいさぎよく削りたいという考えがあるように私は仄聞をしていますので、そういうときは、面子にこだわらないで、お面を食らって、お胴を食らって、小手を食らって参ったというところで、つつしんで同調するように、今から警告いたします。
なお、続いて私は、今後相当長い時間にわたりまして、選挙法のいろいろな部分について逐条的に私の質問をいたしますが、今関連質問でございまして、社会党を代表する大先輩がやっている途中の時間を費やしては悪いと思いますから、以上で引き下がります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/16
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017・永山忠則
○永山委員 関連して。今の島上委員の質問に対して重大な点があったので、ちょっと聞いてみたいことがあるのです。政府答弁がそごしている点です。大臣は、事前運動の費用は政令等で適当に制約するというふうに言われた。ビラ、ポスターの問題も政令で何とかせざるを得ないだろうと言われたのですが、事務当局は、選挙費用で総括的に縛るのだ、そういうことを言われているのですが、これは重大ですから、その間どちらをおとりになるのか、はっきりした方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/17
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018・安井謙
○安井国務大臣 政府案として出しております趣旨は、今事務当局が答弁しました通り、おのずから選挙の全体の費用というものは限度があるのでありますから、そうむやみに野放図になることはあるまい、こういう趣旨でございます。しかし、同じビラを配るにしても、今の何十種類というようなものをむやみにやることを認めるかどうかということになりますと、これはおのずから限度もありましょうから、こういうものは政令あるいは規則で相当の制限を加えることが、また内容的にはしかるべきものであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/18
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019・永山忠則
○永山委員 今大臣の説明では、ビラの種類を何十種類とするについては政令で何とか縛らなければならぬ、こういうように言われるのですが、そういうことは、ビラの種類は一種類でなければいかぬとか、二種類でなければいかぬというようにおきめになるのでございますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/19
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020・安井謙
○安井国務大臣 私の方では、おのずから何十種類というもの——しかし、実際やってやれぬことはないじゃないかと言われれば、事実そういうことになろうかと思いますので、そういうものについては、制限はおのずから事前に何かの形で設けなければなるまい、あるいは演説の回数といったようなものはうたってありますが、御指摘になったように、ほとんどそのために忙殺されて、実際の政治活動、一般の与えられた議員の政治活動に不便があるようなことはなるべくないような方向でこの実際上の処理はしたい、こう考えておるわけであります。今いろいろ御質問のありました点につきましては、将来の問題としてももっとよく検討はしてみたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/20
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021・永山忠則
○永山委員 将来の問題として研究されたのでは困るのです。これは通過したら直ちに実行に入るわけでございますから、どうしても政令でするのなら、どういうように政令で縛っていくんだということをおきめにならなければいかぬ。そして委員会へは、大体こういう構想だ、しかし、実際問題としては、法律では野放しになっているものを政令で規制するというようなことは、これはむしろ法律違反になるわけですから、可能ではない。われわれは、事務当局の言われるように、費用で縛るという以外に道がないのじゃないかと思うのです。おそらく大臣は、事務当局と十分検討されておらない結果ではないだろうかと思いますから、よく一つ御検討をされて、正しいお考えを——また、政令できめるのならば、こういうふうにやるということをお示し願いたいと思います。
関連ですから、まだいろいろありますが、私は一応この辺で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/21
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022・安井謙
○安井国務大臣 技術的な点につきましては、いろいろよく検討をした上で御返事をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/22
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023・荒舩清十郎
○荒舩委員 制令でポスターの制限をするとおっしゃいますが、政令でポスターの制限ぐらいできるとお思いですか。私はできないと思うのです。これはお取り消しになったらどうですか。これは法律で規制をしないで、政令でポスターの制限をするなんというような幼稚な答弁は、日本の衆議院では通らないことだと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/23
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024・安井謙
○安井国務大臣 今の荒舩先生のお話につきましては、技術的にもう一ぺんよく検討することにさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/24
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025・荒舩清十郎
○荒舩委員 了解いたします。そんなことはだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/25
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026・島上善五郎
○島上委員 この点は確かにもう一ぺんよく検討してもらわなければならぬところだと思うのです。よく検討するということは、修正に応ずる用意がある、こういう意味だろうと思うのです。
そこで、私はさっきも言いましたが、どうも御答弁がよく納得できません。もう一ぺんはっきり私どもの考えを申し上げておきたいのですが、たとえば、百回を五十回にする、あるいは六十回にする、ポスターをどうするということになっても、この原案をちょっといじる程度では、これは五十歩百歩だと思うのです。そこで、この事前の百回、それに伴うチラシといったようなものを全部削除してしまう、こういうことをかりに想定しますね、そうなりますと、審議会答申の、事前の言論、文書による運動を緩和するという精神が全然そこで死んでしまうわけです。そこで、私がさっき言ったように、これは候補者個人の運動ではなくて、政党の運動というふうにして緩和すべきものである、そうすれば、さっきから指摘している弊害がなくなるのですから、そこで政党の運動として緩和することは、一体どうして立法技術上困難がありますか。困難も何もありませんよ。政府がやらなかっただけの話なんです。あるいは気がつかなかったのかどうか知りませんが、政党の運動として緩和する、これはきわめて自然な話です。当然ですよ。そうして政党の運動の中に候補者が行って、私はこの次参議院をやります、衆議院をやりますから、よろしくという言論を許すことは、これまた当然のことですよ。今よく検討するという点にお気づきになられたのですから、さらに一歩を進めて、思い切ってこれを政党の運動として緩和するというふうに切りかえてもらいたい。政党の選挙運動として——政党の日常活動は、これはさっき言ったように、選挙活動と結びついているのですよ。結びついているものを、今の法律の関係で選挙運動と言わぬだけの話なんです。選挙運動なんですよ。一体、法律で政党の選挙運動をそこまで緩和したら、どうして弊害があるか。何も弊害はないのです。弊害があるとおっしゃるならば、その弊害を指摘してもらいたいし、私の意見に賛成ならば、さらに一歩を進めてそこまで一つ修正の際に検討をしてみるというふうに御答弁をいただけるかと思うのですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/26
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027・安井謙
○安井国務大臣 先ほど申しましたように、この政党の活動を認めた方がいいじゃないかというのは、私は、確かに御意見として傾聴に値するものである、こういうふうに思います。ただ、これを実際に適用しようとしました場合に、それは政党でない場合もあるし、政党が確認されてないような人もあったり何かしまして、個人の事前運動ということに限定しておいた方が処置がしやすいというふうに考えてこの案は出しておるわけです。しかし、基本的なお考え自体につきましては、私ども十分傾聴に値するものだというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/27
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028・島上善五郎
○島上委員 どうも今の御答弁は、これは残念ながらやはり御答弁になっていないと思うのです。
そこで、同じことを繰り返してもしようがないから、きょうのところは、この問題はこの程度にしておきますが、そのことに関連して、これは局長でけっこうですが、ちょっと伺います。事前の演説会ができなくなる期間があって、できなくなったら、二日の間に撤去しなければならぬ、こういう義務規定をつけておりますね。一体これは実際上可能だと思いますか、どうですか。私は不可能だと思うのです。それは答弁では可能だとおっしゃるでしょう。不可能です。
それともう一つは、事前の演説会の告知のポスターは、二日の間に撤去させる。しかし、名前を知らせるためのスローガンだけのポスターは一ぱいある。現に町じゅう一ぱいあるでしょう。この規制がないのですね。そのバランスは一体どうしますか。スローガンと名前と写真だけのポスター——参議院の候補者諸君のポスターはすでに町にはんらんしている状況でしょう。これは選挙が告示されてから後は取らなければならぬですよ。片方は、告示される前、事前の演説会ができなくなったときから二日間の後に撤去しなければならぬ、片方は、選挙期日の告示後に撤去しなければならぬ、この不均衡を一体どうしますか。私は、これは実際上言うべくして実行ができないということ、それからこの不均衡が残っておるというところに、やはり一つの問題があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/28
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029・松村清之
○松村(清)政府委員 仰せのごとく、このポスターをきれいにすることは、実際上非常にむずかしいと思いますが、しかし、私どもは、制度を考える上において、できるだけそういうことができるように、まずポスターの撤去を本人に義務づけ、また、それを聞かない場合には選管が撤去命令を出すとか、その他罰則をつけるとか、こういうことでこの法案を作っているわけです。
なお、あとのスローガンの問題、これは今お話のように、選挙運動期間中に入りますれば、個人の名前が書いてありますようなスローガン、これはやはり違法なものとして処置しなければならぬと思いますが、確かに、そういうスローガンを書いたものと、演説会を告知するポスターと、その間の不均衡は、あると言えばあると申せるかもしれませんけれども、一方は、スローガンという性格の違うポスターであり、一方は、選挙演説会を告知するという目的を持ったポスターでございまして、その間にポスターの性格は違います。しかし、各候補者にとってはこれは均衡が保たれる。ただ、ポスターだけの二つの間では不均衡かもしれませんけれども、その個人々々の候補者になるべき人にとっては、これは不平等な扱いにはならないと思います。ただ、町がきれいになるかどうかという問題にいたしますれば、それは一方のポスターは残りますし、他方のポスターは撤去される、そういう点においては区別があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/29
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030・島上善五郎
○島上委員 私は、町がきれいになるとか、きれいにならぬとかいうことを聞いておるのではないのです。それは別個の問題でしょうけれども、これは明らかな不均衡ですよ。片方は、告知のポスターですから、候補者とも書ける。自由民主党何々候補者とも書ける。片方は、スローガンのなにですから、候補者と書けない。それだけの違いですよ。しかし、名前は同じように大きく書いてもかまわないし、写真入りでもかまわないし、片方は、告示されてから選管から撤去命令がきて、それからぽつりぽつり撤去すればいいのですから、その間に一週間や五日間たってしまう。十分に目的を達してしまうのです。片方は、演説会ができなくなったら、二日以内に撤去しなければならぬ。これはおかしいですよ。撤去も、少しくらいの処罰規定を作ったって、そんなものこたえませんよ。私はまだそこのところまで見ておりませんが、これを撤去しなかったらどういう罰則がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/30
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031・松村清之
○松村(清)政府委員 これは二百五十二条の二に新たに「(立候補の届出前の演説会の規制違反)」といたしまして、一年以下の禁固または千円以上三万円以下の罰金、こういう規定を設けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/31
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032・島上善五郎
○島上委員 それは二日間以内に撤去しない場合に、撤去命令を出して、それからのことでしょう。それはどういうことになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/32
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033・松村清之
○松村(清)政府委員 これは撤去命令のあるなしにかかわらず、二日以内に撤去しなかった場合もこれに該当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/33
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034・島上善五郎
○島上委員 それはだれが処罰されますか。これは掲示責任者というものを届け出るか、そのポスターに記入しなければならぬということはここに書いてはありませんが、掲示責任者か、それとも当の候補者か。掲示責任者は、罰金一万円くらい食ったって、ちっとも痛くもかゆくもないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/34
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035・松村清之
○松村(清)政府委員 これは選挙運動期間中のポスターと同じように、それを掲示した者が該当者です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/35
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036・島上善五郎
○島上委員 私は実はきょうこの点だけ質問する予定でしたから、これで質問を終わりますが、残余の問題は、まだたくさん問題点がありますから、これはまたあとでゆっくり質問することにします。大臣にとっくりこの点は考えてもらいたいと思うのです。選挙制度審議会の答申を生かしつつ、そうして費用のかからない選挙にするためには、これではならぬということは、これはおそらく与野党一致していると思うのです。よく考えて下さい。これを通すからには、そういう間違った点は直さなければならぬですからね。私どもは、この程度を直して、賛成というわけにはいきません。社会党の修正案を出しておりますから、これはまたあらためて一つゆっくり大臣に社会党の修正案の問題もお伺いしますが、社会党修正案を取り入れていただきませんと、賛成というわけにはいきませんけれども、この点は非常に問題であるから、一つよく考え直してもらいたいということを希望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/36
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037・永山忠則
○永山委員 ちょっと関連して。きわめて小さい問題ですが、ただいまの事前運動等に関連しまして、百回演説会を認める場合に、費用を見積もるということですが、そうすると、旧来の選挙よりは事前運動を許可したのですから、大体どのくらい増すという計算を立てておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/37
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038・松村清之
○松村(清)政府委員 今のところ、事前運動の演説会分といたしまして七十八万円見込んで計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/38
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039・永山忠則
○永山委員 七十八万円ということになりますれば、一回が七千八百円ということになるわけですね。七千八百円というようなことで、実際問題として、会場を借りるといっても、そういう費用ではいかないと思うのです。それから印刷をしてやる場合でも、そういう費用ではとてもできそうもないのですがね。そうすると、どうも計算が実情に合わぬと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/39
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040・松村清之
○松村(清)政府委員 もちろん、との演説会のやり方いかんで金がたくさんもかかれば、もっと少なくても済むと思います。しかし、これはやはりある程度のものというふうに考えて私どもは計算したわけですが、演説会と申しますと、何か大々的な演説会を開いて聴衆に選挙運動としての演説をして訴えるというふうにとられがちでございますが、たとえば、いろいろな会合の席を利用いたしましてその席へたまたま出席いたしまして、自分は今度の選挙に立候補するからよろしく頼むということを言えるようにしたい、こういう考えで作ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/40
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041・荒舩清十郎
○荒舩委員 今のはどうもおそれ入った答弁で、それじゃ、一方には結婚式があり、一方には葬儀がある、やれ何の集会だの、そういうものを百回と勘定ができますか。今のは答弁になっておらないと私は思うのです。今のような答弁は速記録から抹消しておかないと、大へんなことになると思うのですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/41
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042・松村清之
○松村(清)政府委員 私は、冠婚葬祭と言っているわけではございませんが、あるいはクラス会をやったような席でこういう演説をする、そういうようなことも考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/42
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043・荒舩清十郎
○荒舩委員 これはおかしな話で、クラス会に制限をするのですか。おかしいじゃないですか。冠婚葬祭もあれば、クラス会もある。町内の会合もあれば、道路普請のこともあれば、いろいろなところでそういうことがあると思う。これは速記録に残しておくことは、あとで困りはしないですか。それはあなたを追及する意味じゃございませんから、悪く思わないでいただきたいと思いますが、この事前運動というものに対して大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
政党法という問題と事前運動、いわゆる政党と個人との関連性を考えると、事前運動の百回を審議会の答申があったからということで出してしまったのですが、実際このままでこの法律が改正されて出たときに、あとになって、これは通ってしまったが、大へんなことだということに相なってきはしないかと思うのです。私も与党でございまして、自由民主党の一人ですから、あまり大臣の困るようなことは申し上げませんが、非常に不備であって、むしろナンセンスに近いようなことだと私は思う。審議会の答申があってから、迎合すると言ってははなはだ失礼ですが、審議会の答申を尊重するという意味で、どろなわ式の選挙法を出す、こういうことなんです。だから、政党と個人の選挙運動というのはもう少しよくお考えをいただいて、慎重にお願いしたい。事前運動は百回、それから、確かに選挙費には加算されるが、ポスターの制限なんというようなことも、めちゃくちゃなことです。こんなことは、出してもだめです。取り締まりも何もできるものではない。こういう問題についても、与党とよく相談をして、つつしんで取り消しをいたしますというようなことに相なると思うのですが、悪いことを改めるにはばかるなかれ、そういう点、われわれの意見もよく頭に入れておいていただきたい、こう思うのです。安井自治大臣も参議院議員でございますから、これを出しておいて、あとで参議院議員の選挙をやったが、とんでもないことになったということのないように警告を申し上げながら、意見を述べたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/43
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044・永山忠則
○永山委員 今局長が言われたことは市大だと思うのです。現在でも、あいさつだけは選挙演説回数になっていないのです。それを回数に加えるということは、非常に重大な発言だと思います。その点、演説会とあいさつの関係をどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/44
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045・松村清之
○松村(清)政府委員 私の申し上げましたのは、たとえば、クラス会その他の会合という施設を利用して選挙運動のための演説をするということを申し上げたわけでございまして、その点誤解のないように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/45
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046・永山忠則
○永山委員 演説会をやるのに一回七千八百円というものを認めておるのですが、そのうち、ポスターをどのくらい、ビラをどのくらい、会場費はどのくらいと御計算になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/46
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047・安井謙
○安井国務大臣 ちょっと今資料をあれしておりますから——先ほどの、政党法との関連を十分考えたかというお話につきましては、これは答申におきましても、政党法その他の問題でいろいろと掘り下げなければならぬ問題があるが、さしあたりこうしろというようなことで、今御指摘のように、これはそれとの関係を十分に掘り下げておるというわけには参らぬと思います。今の演説会のあいさつにつきましては、たとえば、同窓会というようなものを演説会に切りかえるというような場合には演説会に入りますが、通常のあいさつは別扱いになっておるのは、永山先生御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/47
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048・松村清之
○松村(清)政府委員 先ほどの七十八万円の内訳でございますが、会場の借り上げ料、これはいろいろなものをおしなべてでございますが、一回三千円という計算にいたしております。その他は、文書図画費といたしまして告知用のポスター費を十六万円、ポスター掲示費十四万円、ポスターは一回二百枚使うという計算で、百回十六万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/48
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049・田中榮一
○田中(榮)委員 関連いたしまして簡単に質問したいと思うのであります。かりに事前運動が百回できるといたしまして、東京都の場合と一応想像してみますと、現在区会議員の定員が、多分一千百名くらいだと思います。それが百回としますと、十万、それから都会議員、そのほか、現役の議員のほかに、新人がそれぞれその倍立つとしますと、参議院の地方区、全国区、これらを合算しますと、まず東京都の場合だけを想像しますと、三千五百名くらいの現役議員、それから新人候補というものがみんな入り乱れまして事前運動をやるといたします。その場合に、一人が平均一回二千枚としますと、七億枚のポスターが東京都内に一年間に張られることになります。かりにこれを一回一人五千枚としますと、十七億五千枚のポスターが東京都内の電柱に張りめぐらされる。これは最悪の場合を予想しますと、七億枚のポスターがかりに東京都内に張りめぐらされた場合に、都民の受ける感情というものはどうでしょうか。都市美観とか何とか、いろいろ言っておりますが、選挙用のポスターが七億枚も東京都内に張られるとしたならば、どこへ行ってもポスターばかり、しかもそれがなかなか撤去されず、きたないポスターが雨ざらしになって東京都内に張りめぐらされているという実情を考えますと、われわれははだにアワを生ずるような感じがするわけです。それから、ただいまのお話によりますと、一回七千八百円ということでありますが、現在の都内の会場を借りる費用なんというものは、とても三千円や何かでは貸してくれるところはございません。大体五千円から一万円かかるわけです。それから、ポスターにいたしましても、かりに一区内の区会議員がポスターを張る場合、二百枚なんということはとうてい考えられないことです。大体千枚から三千枚くらいのポスターは張っておるわけです。そういうようなことから考えますと、この百回の事前運動をやるということは、与党としましても、また政府としましても、よほど考えていただきませんと、選挙に対する国民の非常な不信の念といいますか、いやな気持を起こさせるということは、選挙の公正あるいは選挙の森厳さを疑わせるというような結果にも相なります。費用の点は、もちろん、これを計算することはなかなか困難であります。法定費用の中に入れるといいましても、現在の選挙の法定費用でその通りやっているとは、だれも思っていません。いわんや、こうした事前運動の会場費その他の計算の仕方というものは、そう簡単に出るものではない。ことに一般の世論は、選挙の費用はなるべく安くさせたい、安い費用でりっぱな選挙をしたいというのが国民の要望でございますので、そういう意味からいたしまして、私は、事前運動百回ということは慎重に一つ御考慮願わなければならぬ問題だと思います。先ほど来どなたかからも、これは修正した方がよかろうという御意見があったのでございますが、私も、できれば何かこの点について政府としてももう一度真剣に町検討されることを要望いたしまして、私の関連質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/49
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050・永山忠則
○永山委員 費用の関係は一回分七千八百円だということですが、その一回分のポスターが幾らだとか、そのポスターの張り賃はどのくらいであるとかいう詳細な内訳をあとで出してもらうようにお願いしたいと思います。
そこで、さらにこういうことを関連してお伺いしたいと思います。前の選挙で落ちた人が、次の選挙に立候補するということを予定して、三年も四年も前からやる場合もあるわけですね。そうなると、それらのことを印刷屋で調べるといっても、なかなか調べがつかぬと思います。そういう書類はなくしてしまっておるかもしれない。従って、一年間の費用が大体平均よりオーバーしているというようなときには、選管が調査をすることになるのですか、警察の方が調査をすることになるのですか。これをほうっておいて最後に調査をするということになった場合には、三年も四年も前の分はおそらく証拠になるものはないと思います。そうしますと、そういう関係で一年間の報告を出させておいて、その費用があまりオーバーしているというときには調査を進めるということになるのですか、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/50
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051・松村清之
○松村(清)政府委員 これは法律案にもございますように、事前演説会をやるにあたりましては、自分が今度行なわれるであろう選挙の立候補者になるというようなこととか、選挙に際しましてはどういう施設を使ってやる、そういうようなことを選挙管理委員会にあらかじめ届け出てやらなければならないことになっております。そういうような点、それから費用の届け出は毎年末というようなことにいたしておりますが、そういうような点を見まして、その間に何か不審なところでもあれば、やはり警察なりその他で調査も行なわれることになるのではないかと思います。
それからなお、先ほど田中委員のお話でございましたが、この事前運動の演説会は、国の選挙だけでございますから、地方の選挙には適用されません。それからなお、演説会場は、選挙運動期間中に使っておるような学校その他の公共施設も使用できるようにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/51
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052・永山忠則
○永山委員 ただいま何か不審の点があれば調査を進めるといわれるのですが、不審というのはどういうようなことをさすわけですか。われわれが考えるのには、どうも選挙費用を使っているなという点以外はちょっと不審はないと思うのですが、しかし、選挙費用を使うといいましても、最初多く使って、後に少なく使うということもあるのですから、一年の平均の選挙費用が少し上がっているからというのですぐ調査を始めていくというようなことになれば、不当干渉ということにもなるわけですから、どうしても最後に選挙費用の中で調査する以外に私はないと思います。それを、何か不審だからというので調査を受けることになれば、警察官が踏み込んでくることになると思うのですが、ただいまの不審がある場合ということは、どういうことをさしておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/52
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053・松村清之
○松村(清)政府委員 これは現行の一般の法定費用についてと同じような考え方になるわけでございますが、もちろん、お話のように、全体の法定費用としてきめられるわけでございますから、最終的に締めくくったものが、これが一番きめ手になるわけでございますが、しかし、それまでに薫る過程におきましても、一年に一回報告することになっております。従って、あらかじめ選挙管理委員会に届け出たそのことは、これはわかっておるわけでございますから、それらと、年末に届け出られた費用等を見まして、そこに不審な点がありますれば、選挙管理委員会としては、現行法の規定が準用されまして、報告書の調査上必要があれば、資料なり報告を出させることができる、また虚偽の報告になっておりますれば、当然罰則にかかることになっております。そういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/53
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054・永山忠則
○永山委員 関連ですから、それ以上私の方も追及しませんが、要するに、費用というものが七十八万円ということにきまっておれば、それが最初の年に二十万も三十万も使えば、何か不審があるということで調査をされる可能性があるわけです。しかし、実際問題としては、最後のときの選挙費用で調査すべきなんですから、その途中において調査するということは、不当干渉である、そうなってくれば、三年前、四年前の分というものは全然わからない、どこを調べてもわからないということで、上手にやった者勝ちというような結果にもなるし、しからざれば、不当干渉になるという、非常に矛盾した結果になるのではないかというようにも感ずるのでありますが、きょうは関連だし、早くやめろということでありますから、あらためてまた御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/54
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055・加藤常太郎
○加藤委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。
これにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01119620413/55
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