1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十八日(水曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 篠田 弘作君 理事 竹山祐太郎君
理事 丹羽喬四郎君 理事 島上善五郎君
理事 畑 和君
藏内 修治君 薩摩 雄次君
首藤 新八君 中垣 國男君
永山 忠則君 林 博君
福永 一臣君 藤原 節夫君
松本 一郎君 山本 猛夫君
太田 一夫君 坪野 米男君
堀 昌雄君 山中日露史君
山花 秀雄君 門司 亮君
出席国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
自 治 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 新井 裕君
検 事 竹内 壽平君
自治政務次官 大上 司君
自治事務官 松村 清之君
委員外の出席者(選挙局長)
自治事務官
(選挙局選挙課
長) 中村 啓一君
自治事務官
(選挙局管理課
長) 桜沢東兵衛君
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四月十八日
委員荒舩清十郎君、内田常雄君、藏内修治君、
田中榮一君及び井堀繁男君辞任につき、その補
欠として藤原節夫君、永山忠則君、山本猛夫君、
松本一郎君及び門司亮君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
委員永山忠則君、藤原節夫君、松本一郎君、山
本猛夫君及び門司亮君辞任につき、その補欠と
して内田常雄君、荒舩清十郎君、田中榮一君、
藏内修治君及び井堀繁男君が議長の指名で委員
に選任された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇八号)
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/0
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001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
公職選挙法等の一部を改正する法律案、及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。林博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/1
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002・林博
○林委員 実は先日の私の質問におきまして幾つかの問題を提起いたしまして、それに対する回答を待っておったのでありますが、大体自治省と法務省あるいは警察庁との打ち合わせが済んだというようなお話でありましたので、それらの諸問題点について私はお尋ねいたしたいと思うのでありますが、その前に、一つだけ別個の問題として、法務省の刑事局長にお尋ねいたしたいのであります。
毎回衆議院の選挙ごとに、私の知る限りでは、何人かの自殺者が出ておると思うのです。その自殺者は、留置場の中で自殺した者もあるでしょうし、あるいは出てきてから自殺をしたという者もあるように思われます。私が、かつて、たしか昭和三十年の選挙のときでありましたか、いろいろその問題について統計あるいは資料等を求めましたところが、あまりにも意外に自殺者が多いので実はびっくりしたことがある。そこで、本日はあるいは資料は整っておらないかもしれませんが、この三、四回の衆議院の選挙におきまする自殺者が何人くらいあったか、あるいは、その自殺者がどういう原因で自殺をしたのであるかというようなことがもしおわかりでございましたならば、今御答弁願いたい。もしわかりませんでしたならば、早急に資料を御提出願いたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/2
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003・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、毎回二、三名の自殺者が選挙のたびに出ておりますことは、取り締まりに責任を持っております私どもとしましては、非常に遺憾に存じておるところでございまして、これが防止につきましては、あらゆる機会に注意、留意を喚起しておるところでございます。ただいま各選挙ごとに何名という資料を持ち合わせておりませんので、至急調製いたしましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/3
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004・林博
○林委員 ただいま二、三名ということでございましたが、二、三名のこともあったでございましょうけれども、六、七名のこともあったのではないかというふうに私は記憶しております。これは確実な資料に基づきませんので、資料を求めましてからお尋ねすることにいたします。
ただ、私は、この選挙犯罪でなぜこのように自殺者が起こるかという原因を探究しますと、この一つの原因は、選挙法というものが非常に複雑怪奇である。私ども法律家あるいは選挙に携わっている者ですら、その細目の点についてはなかなか認識ができないというような、日本の選挙法は非常に複雑な法規になっております。その複雑な法規に関連いたしまして善良な市民が引っぱられる、そして非常にびっくりいたしまして、これは大へんなことになった、留置場の中では自殺できない、外へ出てきて、自分は知らないでやったけれども、大へんな間違いを起こした、あるいは、とても恥ずかしくて、いなか等においては顔向けできないというので自殺をした場合があるのではないか、このように考えております。この点に関する法務省刑事局長の御見解を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/4
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005・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま御指摘のような事情で自殺を遂げられた人も、確かに私の記憶においてあったと思います。それから釈放後に、捜査当局に自白をしたために、部落へ帰りましてから、お前のおかげでというような、部落のつき合い、仲間から非難を受けて、村にいたたまれないというようなことをあれこれと考えた末に自殺を遂げたと認められるような事案も、絶無ではございませんでした。その他、取り調べに際しまして、取り調べが長時間にわたったために、その取り調べを苦慮した結果自殺したというふうに見られる事案も、これまた絶無ではございませんけれども、それらの点につきましては、その一々のケースにつきまして綿密な調査をしているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/5
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006・林博
○林委員 ただいまの点に関しましては、これは非常に重要な問題でもありまするし、日本の選挙法は非常に複雑であるという点にも関連する、また、取り調べがいかなるものであるかということにも関連いたしまするので、これはぜひ資料を早急にお調べになって委員会に御提出を願いたい、このように思います。
そこで、私は自治大臣にお伺いをいたしますが、実は先日私は、連座規定のうち地域規定についてお尋ねをした。地域規定の、五つか六つに分けたうちの、その地域の主宰者、これが支出承諾書を持っておって、労務賃か運動報酬かの限界が明らかでないで、三千円くらいの金を支払った、それが買収費と認定された場合に、候補者が失格するじゃないかという質問をいたしております。言葉は違いますけれども、大体そういう趣旨のことですね。それに対しまして、自治大臣はこういう御答弁をなさっておる。これをちょっと読み上げます。「さらに、これはいずれ細則なり政令で内容はきめなければならぬと思いますが、たとえば、間違って千円とか二千円とか過払いをした、多少意識はあったにしましても、そういう場合の事実上の責任は、これは出納責任者にかわるべき責任という意味で、その人が全体の法定費用の過半数を支出したような人であった場合、こういうふうになっておりますから、実際上当てはまる場合はきわめて少ないと思います。」こういう御答弁をなさっておるのです。この通りでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/6
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007・安井謙
○安井国務大臣 今の問題につきましては、これは総括主宰者というものの資格をどう認定するかということと、出納責任者としての資格で出したかどうか、この二つに分けて考える必要があろうかと思います。出納責任者という資格で問題が取り上げられる場合には、これは今の法律の解釈で明らかにしております通り、過半数の支出をやるといったような、実質上の出納責任者というものの役割でこれは問題にされる。それから地区における主宰者といいますか、責任者、これの判定につきましては、これはいろいろ御議論があったわけでありますが、私どもの基本的な考えは、まず、このいわゆる総括責任者に準じた働きを、その選挙事務所の内部でやっておる者というところに重点を置いておる。その考え方のもとに、たとえば数地区に分けられている、そういったような人がそこの地区の責任者をやっております場合に、それが悪質のものであれば、これはやはり総括責任者に準ずる取り扱いを受ける。地域がただ分けてあって、地域の何らかの関係の責任者といったような形にあるからといって、これが直ちに総括責任者へ通じる道じゃない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/7
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008・林博
○林委員 大臣のただいまの御答弁、どうも納得いかない。私は大臣の答弁を分析してみました。分析してみますと、五つか六つに分けた地域の主宰者、その主宰者の条項がありますね。主宰者が違反をすれば失格するという条項と、それからいま一つ、事実上の責任者が二分の一以上の支出をした場合に失格する、その条項が二つ重なって一つになるものだという解釈の答弁なんですよ。だから地域主宰者が——ただいま悪質な違反と言われましたが、悪質な違反というのは、私どもの解釈によれば、千円でも二千円でも、買収と認定されれば悪質なんで、候補者は失格するんですよ。その御認識がないようなんです。地域主宰者が違反を犯した場合でも、支出承諾書を持っておれば、それは出納責任者にかわるべき者だから、二分の一以上の支出がなければ失格しないのだという答弁なんですよ。私は、これは明らかにこの新法の解釈の間違いだと思う。大臣はこの連座規定をよく認識しておられないで提出しておるのではないかと思うのですが、どうですか。選挙局長、その点に関する解釈ですね。私は大臣は誤解しておられると思うんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/8
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009・安井謙
○安井国務大臣 私はその点は誤解しておるのではないのでありまして、今のこの出納責任者という資格を云々して、その面で取り上げる場合は過半数ということになりますが、その総括責任者に準ずるべき者であれば、それが金銭出納上の過失というか、悪質な犯罪を犯せば、これは出納責任者という意味でなくて、総括主宰者に準ずるべき者としての責任を負わなければならぬということに当然なるわけです。ただ、その場合の総括責任者に準ずる者というものの解釈は、単に地区的に何か連絡上の責任者になっておったとかいう、名目的や形式上のものではなくて、その地域における総括責任者でありましても、その者は、やはり本部のその総括責任者に準ずるような資格、働きを実質上やっておる者と、こういうものによってその認定はすべきものである、そういうふうに解釈しておるので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/9
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010・林博
○林委員 それはわかっておるんですよ。ただ、私の聞いているのは、大臣の言われたその総括責任者、地区の総括主宰者が、支出承諾書を持っておる場合に、労務賃か運動報酬かの限界がわからないために、二千円か三千円支払って、それが買収と認定された、その場合に、支出承諾書を持っておりながら、それが地区の総括主宰者であったために候補者が失格してしまうのではないか、こういうことを私は質問しておる。それに対するこの間の大臣の答弁は非常におかしな答弁なんですよ。支出承諾書さえ持っておれば、二分の一以上出さなければ失格しないのだという答弁になっている。速記録をよく読んでごらんなさい。そうでしょう。これは選挙局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/10
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011・松村清之
○松村(清)政府委員 いわゆる地域主宰者が買収等の悪質犯を犯した場合は、仰せの通りの連座にかかるわけですが、その場合に、この大臣のお話は、その人が法定費の半額以上を使うという場合がある場合には、その人は事実上の出納責任者としても違反になる、両方かかる、こういうふうに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/11
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012・林博
○林委員 私はそんなことを聞いているのじゃないんですよ。それは当然のことなんです。ただ、大臣が、この前、地域的な総括主宰者で支出承諾書を持っておる場合には、今言った半額以上の支出がなければ失格しないから、そういう場合にはあまり適用はないのだということを言われたから、それは間違っているのではないか、訂正されたらどうだということを私は言っているわけなのです。速記録をよく読んでごらんなさい。速記録が間違っておれば、私は取り消されたらいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/12
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013・安井謙
○安井国務大臣 ちょっと今速記録を読んでないものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/13
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014・林博
○林委員 ここにあります。あなたの答弁はそうなっているんですよ。
〔安井国務大臣に速記録を示す〕
これは大へんな間違いですよ。もしそういう認識でこの法案を出しているなら、私は大へんな間違いだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/14
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015・安井謙
○安井国務大臣 私が言おうとしておりました趣旨は、ちょっと言い回しが誤解を招いたかと思います。というのは、私は、今言う地域主宰者というものの資格をただ形式しきめられたとかなんとかいうことだけでは、これは認定できないと思う。事実上やったものでなければならぬ。でありますから、出納支払い承諾書を持ってやった人であっても、それが単に使いのような形でやっておるものならば、これは地域主宰者としての資格に欠けるものだから、そういう場合には連座はかからない。しかし、その人がやはり総括主宰者としての資格、実質上の働きをやっておるもので、そういうような、わずか千円や三千円の間違った支払いがそれにかかるとは思いませんが……(林委員「いや、かかるんですよ」と呼ぶ)当然にかかるとは、これは私は情状でどうかと思いますが、しかし、そういうようないわゆる悪質買収犯罪というものにかかって、そうしてその人が実質上の総括主宰者の代理をやっておるような地位にある人、あるいは事実上の仕事をやっておる人であれば、これは今おっしゃる通り、出納責任者の責任の分野と別個の問題としてかかることは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/15
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016・林博
○林委員 私はそれでも納得できないんですよ。この答弁はそういう答弁じゃないと思うのです。これは私の誤解じゃなくて、大臣の誤解だと思うのです。大臣の方でわかっていないんですよ。だから、はっきり認識してもらいたいですね。五つか六つに分けた地域主宰者というものは、たとい千円の略式命令を受けたって、候補者は失格するんですよ。労務費と運動報酬の限界が明らかでない、それを支払った、これが警察当局に検挙され、検察庁で起訴されて、裁判で三千円の罰金を受けたということになれば、候補者は失格するんですね。これは悪質な買収犯でないという考えなんだ。それを大臣は、その地域主宰者が悪質な買収を犯した場合という。その悪質な買収を犯した場合という大臣の概念の中には、千円や二千円の罰金は入っていない。これは明らかです。大臣は今の答弁で、そういうことを考えて答弁していないのです。そうじゃない、そういう認識でなかったならば、今までそういう認識でなかった、これからこの法律の解釈をこう解釈いたしますということを、ここではっきり明言されたらいいじゃないですか。そういうことを認識されないでこの法案を大臣は出していると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/16
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017・安井謙
○安井国務大臣 悪質な犯罪というのは、いわゆる買収犯、あるいは供応とか、そういうようなものをさすと思いますが、千円か二千円の間違った支払いということでそれが正式にかかるかどうかということには、実際公判上の疑問を持っておりますが、それがもし正式に裁判にかかったといたしましても、今のような検事の提訴によってさらに公判にかかるという二段の手続になっておりますので、私は、そこにはそう行き過ぎにたる心配はないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/17
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018・林博
○林委員 今間違った支払いと言ったけれども、これは間違った支払いじゃないですよ。私は、この間から法定選挙費用の問題、労務費と運動報酬の限界を明らかにせよと、あれほど言っておることは、この地域主宰者の場合に労務費と運動報酬の限界が明らかでない、だから、それを労務費だと思って支払ったところが、運動報酬と認定されて千円の罰金を受けた、あるいは三千円の罰金を受けたという場合に、候補者が失格するんじゃないかということをおそれているのです。それを私は聞いているのです。間違った支払いじゃないんですよ。限界が明らかでないために裁判所の認定でどうにでもなる。その認識が大臣なくてこの法案を出しておるということは、とんでもないことだと思うのです。それは小さな問題じゃないんですよ。公明選挙に大きな関連をするこの問題が解明しない限り、公明選挙なんかできるはずがないじゃないですか。何が公明選挙かわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/18
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019・安井謙
○安井国務大臣 そういうような問題につきまして、今度は、この労務者に対する報酬、それからそれに伴う純事務的な問題に対する報酬、こういうものの概念規定をできるだけ明らかにしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。しかし、ただ御承知のように、選挙の事案に限りませんで、すべてそういったものには、ほんとうに、二足す二は四とか、二足す三は五というきちっとした限界は、形式上なかなかつけにくい場合がある。これは事実上の判断によるという場合が相当できていくのはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/19
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020・林博
○林委員 私は、今のようにずらっと答弁を聞いておって、やはり大臣は地域主宰者に対する違反という問題に対する認識がなかったと認定せざるを得ないのです。これ以上申し上げませんが、私の言った通りのことであるということは、大臣はよく認識していただきたい、このように考えます。
そこで、質問の観点を変えていきますが、今申し上げたように、地域主宰者というのは大へんな問題なんです。ところが、私はこの前地域主宰者についていろいろお尋ねをしたその結果、法務省と警察庁と自治省でいろいろ御協議をなさった、こういうことであります。地域主宰者のうち数個という概念について、公権的な解釈ができ上がっておると思うのですが、その点に関してはどういう御協議が決定しておるか、それをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/20
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021・安井謙
○安井国務大臣 詳しいことは、また警察なり事務当局からも御答弁すると思いますが、一応正式な解釈として考えられるのはこういうことであります。「いわゆる地域主宰者の範囲については、連座制または刑の加重規定の趣旨にかんがみ公職の候補者または総括主宰者の下でこれらの者に準ずるものとして選挙区において相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者に限定されるものと考える。」これが第一の考え方の基礎でございます。「したがって、「数箇に分けられた選挙区」という場合の数箇の意義についても選挙区において相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者であるか否かの認定に関連して合理的かつ総合的に考えるべきである」こういうふうに解釈をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/21
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022・林博
○林委員 数箇というのはどういう概念になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/22
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023・松村清之
○松村(清)政府委員 これは私ども事務当局の考えといたしまして、数箇という場合は、普通五、六程度、こういうふうに考えています。しかし、数箇が五、六に限られるというわけではなくて、五、六より少ない場合もありますし、五、六より多い場合もある。これは先般ここで私申し上げたと思いますが、少なくとも十をこえるようなものは数箇の中には入らない、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/23
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024・林博
○林委員 警察庁長官にこの点に対する答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/24
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025・柏村信雄
○柏村政府委員 今自治省の方からお答えになりました通り、数箇というのは、一けたのものであるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/25
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026・林博
○林委員 この前の御答弁では、二箇から八箇、九箇ぐらいまでで、十箇になると数箇ではない、こういう御答弁だった。きわめてあいまいです。これを何か五、六箇ぐらいにしたらどうかという申し合わせができたようにも承っておるのですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/26
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027・竹内壽平
○竹内政府委員 これは法律概念といたしましては、五、六箇というふうにきめかねる概念だと思うのであります。これは御承知の通りであります。ただしかし、文字からいいまして、数箇とありますから、十数箇でないことは明らかです。従って、数箇という考え方から、おのずからそれは二けたにならない数字をさすのだろうということはわれわれも言えるのでございますが、その五、六であるか、二、三であるか、七、八までいいかということは、具体的な事例に即しまして合理的に判断をして定めていくより正当な結論は出てこないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/27
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028・林博
○林委員 この数箇という概念が非常にあいまいである。統一解釈では、五、六箇という解釈にまとまったというお話を聞いておったので、そうかなと思っておった。それもどうもはっきりしないで、結局、二箇から九箇ぐらいまでだという、きわめてあいまいなことで、捜査の認定の過程においてどうでもできるというようなことでございますが、私はさらにいま一つ矛盾があると思うのです。それは、たとえば参議院の全国区の場合に、区域を六つぐらいに分けたとする。北海道、東北、関東、四国、九州とかいうふうに六つぐらいに分けた。東京、大阪地区ではその人の得票数が十万票以上出る、北海道では千葉しか出ない、こういうことがあるわけです。それでも数箇なんです。ところが、北海道の千票しか出ない地区の総括主宰者が、今言ったような概念で二、三千円のものを、労務賃と運動報酬の限界が明らかでないので、支払って、買収と認定されて訴起された、そして有罪の判決を受けた場合、候補者は失格してしまう。数箇に分けた場合ですが、その通りの解釈ですか、刑事局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/28
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029・安井謙
○安井国務大臣 法務省からの御解釈もあろうと思いますが、自治省で原案を作りました際の基礎的な総括主宰者、地域主宰者という観念につきましては、先ほど読み上げましたように、実質上総括責任者としての仕事をやっておるという基礎の上に立って、さらにそれがどこかの地域の責任を持っておったとかいうような場合に、地域というのがその認定の際材料になるのだということでありまするから、極端に形式上分けられましても、それが非常に影響の狭いものである、あるいはその責任が非常に影響の狭い範囲の責任のものであるということになれば、私はこれは例外の扱いをすべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/29
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030・林博
○林委員 私は、自治知が何と言おうと、法務省が何と言おうと、これはそういうことじゃないと思うんですよ。条文はそうなってもおらない。「数箇に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行なわれる区域)の地域のうち一又は二以上の地域における選挙運動を主宰すべき者として公職の候補者又は第一号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者」当該地域ですよ。当該地域における選挙運動を主宰した者だから、北海道なら北海道において選挙運動を主宰して、その結果千票の票しか得なくても、やはりこれは地域主宰者なんですよ。五箇か六箇に分かれておれば法律の解釈はそうなると思う。刑事局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/30
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031・竹内壽平
○竹内政府委員 これは林先生のおっしゃる通りでございます。地域責任者というふうに認められる者であって、それが千円の違反を犯した、それはその通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/31
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032・林博
○林委員 自治大臣はその点に関しましても法律の認識がない。これはそういうことじゃないんです。刑事局長の言う通りなんです。われわれがこの条文を解釈しても、その通りにしかとれない。自治省のどんな内規でいろいろな解釈を下したって、そんな解釈は裁判所は下しませんよ。検察庁が起訴して裁判したって、そんな解釈にはならない。そういう点、自治大臣の考えは甘いんじゃないかと思う。どうですか、自治大臣、今の刑事局長の言うこととあなたの言うことと違っているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/32
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033・安井謙
○安井国務大臣 今の地域という観念につきましては、やはり実質というものが伴わなければならぬ。それは形式上名前だけつけるとかいうなら、形式上の名前のつけ方でいろいろな細工の仕方がある。従いまして、これを作ります最初の考え方には、実質上総括責任者に準じたような働きをする者を対象にするということがあって、そして地域責任者といったようなものが、一つの方便として考えられる、形式をきめる場合に、内容をきめる場合の要素として考えられる、こういうふうに私は解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/33
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034・林博
○林委員 もし安井自治大臣の言われるようなことなら、これは法律を修正するよりしようがないんですよ。これはこのままでは刑事局長の答弁通りですよ。私はいつまで同じ議論を繰り返しておってもしようがないので、要するに、刑事局長と自治大臣の答弁に食い違いがあったということだけはっきりしておきます。
そこで問題は、今言ったように、北海道で千票しか出ない、それがわずかな違反を犯した場合、失格するんです。ところが、反対に逆の見解に立って、府県単位に十二くらいに分けたとして、東京で十万票出るとする。これは仮定ですよ。十万票出るところのその地域の総括主宰者が、千円や二千円じ ない、もっと大きな買収をやって、二分の一まではいかないような買収をやって処罰された、これは失格しませんよ。どうですか自治大臣、これは失格しませんよ。自治大臣がわからなければ、刑事局長一つ答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/34
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035・安井謙
○安井国務大臣 いや、私は、その点につきましては、実質上の総括主事者に準ずるべき働きをしておったかどうか、それは票の数は参考の資料になろうと思います。たとえば十二分の一の地域でしがなかったからそれは絶対かからぬとか、あるいは五分の一の地域に形式上はまるからこれは絶対かかるという性格のものじゃないと私どもは確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/35
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036・林博
○林委員 それは私は大へんな間違いだと思うのです。法律が数箇といって、十以上に分けたなら、これは数箇の概念には入らないのだということを明確に答弁しておきながら、その地区でたくさん票が出たから、十二に分けておっても十三に分けておっても、これはその規定にひっかかるのだということであっては、これは法律の解釈にはなっておらぬですよ。そんなことは答弁にならぬと思うのですが、それで一体いいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/36
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037・安井謙
○安井国務大臣 ですから、総括責任者に準ずる者というものを実質的にまず判断する、そして今の地域というものは、一つの判断の要素として、形式上そういうものも取り上げる要素になる、そういうことでありますから、私は、形式上のそれが十数箇に分かれておって、一部の者が非常に大きな役割をしておっても、それは内容いかんによっては総括責任者に準ずる者という扱いを受ける場合があるし、また、数箇の場合であっても、それが非常に形式的なものであって、実質上は全部ほかに重点を置いて、内容的に総括責任者に準じたような仕事を実際その人がしてないということであれば、これはまた解釈は別個に生まれる、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/37
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038・林博
○林委員 私は今の自治大臣の答弁には全く承服できません。承服できませんが、今の東京都の場合、十数箇に分けて、東京都から非常に得票数が出ておる、その地区の主宰者が違反を犯したという場合に、候補者が失格するかどうかということについて、刑事局長の法律的な答弁を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/38
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039・竹内壽平
○竹内政府委員 そのお答えを申し上げます前に、自治大臣がしきりにおっしゃっておられますところは、地区責任者をどういうふうにして認定するかということをおっしゃっておるわけなんです。認定された地区責任者であるということになれば、その責任者が犯した違反は、軽微でありましても、それがまた多額でありましても、これは連座につながっていくことは、先ほど申し上げた通りであります。しかし、地区責任者でないというふうに見られる者が、たまたま捜査の結果相当大きな違反が出たという場合に、それがまた法律の解釈上連座につながらないことは、これまた明白であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/39
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040・林博
○林委員 法定選挙費用の二分の一でつながりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/40
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041・竹内壽平
○竹内政府委員 それはもちろんであります。そういうふうに私どもは解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/41
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042・林博
○林委員 私の聞いているのはそうじゃないのです。かりに選挙区を十二個に分けて、東京都で非常にたくさん得票数が出る。十二個に分けているんだから・十二分の一の選挙区ですよ。主宰者が分けた、あるいは候補者が分けた十二分の一の選挙区、そこで相当な得票数が出ておる、その主宰者が、選挙費用の二分の一までいきませんけれども、違反を犯した場合に、候補者は失格しないのじゃないかということを私は言っているのです。その点に対する回答を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/42
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043・竹内壽平
○竹内政府委員 それは直ちに失格につながる地区責任者になるともならぬとも、すぐには答えられぬと思います。それは二十に分けようと三十に分けようと、形式的に分けましても、選挙の実態を見ますれば、そのうちの幾つかに重点が置かれているかもしれない。数箇に置かれているかもしれません。そういうふうにまた諸般の証拠から認められてくる場合には、そのうちの一つが地区責任者に認定される場合もあり得ると思います。これは今の総括主宰者を認定する裁判の実際からも、同じようなことが言えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/43
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044・林博
○林委員 これは大へんなことになってしまったわけです。総括主宰者または候補者が数箇に分けた場合と法文に認定しながら、裁判所の方で、たとい十数箇に分けても、そのうちの五箇くらいが重要だということになれば、これは数箇に分けた選挙区とやられてしまうわけです。法律の解釈がどうにでもなるという御答弁になってしまったのです。私は、それでは非常に法案の字句の趣旨に反するのではないかという感じもするのですが、それでいいのでしょうか。候補者が幾つかに地区を定める、その定めた地区が数箇の場合にはひっかかる、十以上に分けた場合には法律的にひっかからぬ、こういうことになっておる。あなたの解釈では、非常に重要な地区であれば、十以上に分けても、そのうちの一つが数箇という概念に入ってしまうんだという御答弁なんです。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/44
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045・竹内壽平
○竹内政府委員 これは先ほどの解釈で正しいと思っておりますが、形式的に、なるほど十地区あるいは十五地区に候補者はそういうふうに考えてやりましても、実際には、そこのある地区については、その候補者の選挙の実勢からいいまして、ほとんど文字通り形式的にとどめておるのもありましょうし、便宜上そういうふうにやっておるのもありましょうし、これは選挙の実態を見て、これが総括主宰者であるかどうかということを判断していかなければならぬ。それは先ほど自治大臣が熱心にお述べになった通りであります。従って、十数箇に分かれておりましても、選挙の実態から言うならば、そのうちの数箇が地区総括主宰者という考え方に固まってくるのではないだろうかと思う。それは現在の総括主宰者という考え方につきましても、一人ではなくて二人と認めざるを得ないような場合もあることは、実例上明らかであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/45
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046・林博
○林委員 それは共謀してやれば二人の総括主宰者と認められる場合もありましょう。しかし、この規定はそういう規定でないと思う。やはり総括主宰者を数箇に分けたという前提があると思いますが、その幅を解釈することは大へんな規定なんだ。私は、この規定自体に、今言ったような拡張解釈が許されるならば、検討していかなければならぬという疑問を残します。しかしながら、これ以上追及しても、本日は時間がございませんから、この問題はこの程度にとどめますが、なおこれは私は納得しておらないということをはっきり申し上げておいて、次の質問に移ります。
今、地区責任者に関連する問題として、非常に得票数の少ない地区責任者が、運動報酬と労務報酬の限界が明らかでないために違反がしばしば起こる、こういうことを先日私が申し上げた。あるいは実費弁償との間が明らかでない。そこで、運動報酬と労務賃を明らかにする、あるいは選挙従事者に対する報酬を認めろと言っておったのですが、運動報酬と労務賃との限界について何か三省庁間に——自治大臣の先日のお言葉では、政令できめるとか、細則できめるとかいうお話であった。ところが、その後の事情をいろいろ伺ってみますと、政令ではなくして、何か三者間の覚書、具体的な事例を列記してこの区別を明らかにしよう、こういうお考えのようであります。そこで、もし三者の間で、運動報酬と労務賃とに関する——こういう場合は運動報酬なんだ、こういう場合は労務賃なんだ、あるいは労務賃の中に事務員というものがありますね、事務員の概念を新たに規定されたようです。私は、事務員は入れても入れなくても同じだという解釈でありますが、自治省の方では必ずしもそうではないようであります。そこで、この運動報酬と労務賃に対する三者間の申し合わせができておると思いますが、この委員会でその点をはっきりしていただきたいと思います。その覚書というものがあるならば、ここで朗読なり、あるいはその概念を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/46
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047・安井謙
○安井国務大臣 覚書とか三者間の協定といったような形式上のものであるかどうかにつきましては別でございますが、少なくとも自治省あるいは法務省、警察の間で統一されました見解につきまして申し上げます。
労務者報酬および事務員報酬
選挙運動のために使用する労務者および事務員に対しては報酬および実費弁償を支払うことができることとなる。
いかなるものが報酬を支給することのできる労務者、事務員であるか否かについてはその行為が単なる機械的労務または事務に服するものか、特定の候補者のため当選を得るのに必要かつ有利な行為を自ら判断実行するものであるかという点で具体的事例に応じて判断しなければならないが、一応次のようなものが労務者、率務員と認められる。
(1) 労務者
(1) 公職の候補者等の命を受けて、それをそのまま選挙運動者に伝える者。
(2) 選挙事務所において湯茶の接待をしたり、掃除をする者。
(3) 選挙運動用自動車の運転手、助手。
(4) 演説会場において聴衆席、演壇、マイク、暖房等の準備や会場の整理にあたる者。
(5) ポスター貼り、立札、看板の運搬などを選挙運動者の指示に従って行なう者。
これが労務者の概念に入る例示でございます。むろん、これだけであるかないか、これに準じたものはこれに入ると思います。
(2) 事務員
(1) 選挙事務所において電話、来訪者の取り次ぎ等の事務に従事する者。
(2) 出納責任者の指示の下で金銭の出納、諸帳簿への記入等をなす者。
(3) 公職の候補者等の命を受けて諸様式に基づき選挙関係報告書類を作成する者。
(4) ハガキの宛名書、各種書類の浄書などの事務に従事する者。
(5) 選挙用関係文書の発送受付等の事務に従事する者。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/47
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048・林博
○林委員 法務大臣並びに警察庁長官にお伺いいたしますが、今の解釈が三者間の決定でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/48
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049・植木庚子郎
○植木国務大臣 三者間の打ち合わせの結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/49
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050・柏村信雄
○柏村政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/50
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051・林博
○林委員 ちょっとお伺いをいたしたいのですが、これは私は非常に問題があると思う。選挙の労務者は、今までの概念では、選挙のときに雇い入れたという雇用契約が問題になっておっただろうと思うのです。ところが、実際選挙には、雇用契約で雇い入れて、そうして頭を使わない機械的な労務はなかなかないわけです。ポスター一枚張るにも、その辺の電柱にべたべた張ればいいというわけにいかない。やはり頭を働かせる。いま一つもっと問題は、現実には選挙運動をやっておる、演説会に一回出た、あるいは推薦状に名前を連ねたという人がおるわけです。そういう人は、現実にはそういう日もあるし、あるいは労務者としてポスターを百枚張り歩いた、こういうこともあるわけです。大ていの場合はそうなんです。選挙事務所に来てお茶の接待をしておる。どこのだれかわからないような者がただ金をもらいにだけ来ているんじゃなく、その候補者を支持する人たちが集まってきてお茶くみの接待をしておる、場合によってはその人が選挙運動することもある、しかし、現実にはお茶もくんでおる、こういうことなのです。そうすると、一体どういうところに労務君の限界を置くか。裁判所に行きますと、非常におもしろい見解を示すのです。というのは、この人は選挙演説会に出ておるから、幾らポスターを張っていても、労務者じゃないというのです。それから、推薦状にお前は名前を連ねておるじゃないか、推薦はがきを出しておるじゃないか。警察の調べは、警察庁長官御承知だろうけれども、常にそうですよ。労務者を調べるときには、お前推薦状に名前を書いておるじゃないか、こんな労務者があるか、演説会に出ておるじゃないか、労務者というものはそんなものじゃない、こう言うのです。現実にはポスターを張っておる、そして労務賃をもらっておる。そういうところを一体どう解釈されるのか。たとい選挙運動をしておっても、労務を提供しておる部分、いわゆるポスターを張ったとか、お茶をくんでおる部分、これに対しては私どもは労務賃が支払われて当然だという考え方なんです。そうしなければ、法定選挙費用、東京一区の二百六万などというものは絶対使えませんよ。これは当選者の名前は出しませんけれども、二百六万のうち幾ら当選者が支出しておるかと思って取り寄せてみましたら、一人は百五万九千九百五十一円、一人は七十七万七千八百十五円、一人は七十三万三千百九十九円、一人も二百六万使っておる人はいないのです。半分または半分以下です。こういうことは、今言ったように選挙の労務費を現実には支払わないのですよ。なぜ支払わないかというと、選挙運動をしておるじゃないか、演説会で演説しておるじゃないか、あるいは推薦はがきを出しておるじゃないか、だからお前は労務者じゃない、幾らお茶くみをしたってポスターを張ったって、お前は労務者じゃないというのが裁判所の判断です。一体こういう点に対する限界線をどこに置くのか。これは自治大臣、法務大臣——法務大臣が御答弁できなければ刑事局長でもけっこうですが、それと警察庁長官、これから一つ明白な御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/51
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052・安井謙
○安井国務大臣 お話のように、選挙運動者あるいは推薦者となるような資格のある者が労務を提供した場合に、それに対する労務賃は支払うべきじゃないか、こういう御質問だと思いますが、私ども、この点につきましては、労務者と事務員は、さきに規定いたしましたように、特定の候補者のため当選を得るのに必要かつ有利な行為をみずから判断、実行するものであるかどうかという点によって区分けをしておるわけでありまして、そういう推薦者になる人とか、あるいは参謀になるような資格の人がたまたまお茶をくんだり、あるいは、なるほど、前回にも御指摘がありましたが、ポスターを張るためにいろいろ労務を提供されるという場合があっても、これに対しては労務報酬は払うべきものじゃない。実費弁償は別でございますが、労務報酬は、こういう人がたまたまそういう労務を提供されたからといって払うべきものじゃないというふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/52
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053・林博
○林委員 警察庁長官の答弁を聞く前に、私は、安井大臣のそういう御答弁であるならば、今の法定選挙費用のうち労務費用というものは一銭も払えないと思うんですよ。候補者のために尽くそう、そんな考えはまるでなしに選挙事務所に来て働いている者はいませんよ。みんな頭の中ではそういう判断力を持った人が来ているのです。それがポスターを張ったり湯茶を接待したりしている。そういうものはやはり労務を提供しているのですよ。労務者ですよ。そういう労務者に対して金を払わないという考えはどうかしているのじゃないか。そういう解釈ならば、それでは労務賃は一銭も払えないということが現実になってくるのです。警察庁長官と法務大臣の、その点に対する御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/53
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054・柏村信雄
○柏村政府委員 支払うものは、役務の実態、それが労務であるという実態に即して、それで支払われるものは差しつかえないというふうに考えておるわけでございまして、その者が選挙運動者である実態である場合におきましては、これは買収にかかるということになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/54
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055・林博
○林委員 そういうふうに確実に分ければ、そうなるのですよ。警察庁長官の言われた答弁の通りです。しかし、現実にはそうではないのです。現実に演説会に出て、ポスターを百枚でも二百枚でも張っている人があるわけです。演説会に出た分については、私はこの法規のもとでは運動報酬は払えないと思うのです。まる一日つぶしてポスターを張った場合に、これに労務賃を払えないということはおかしいじゃないか、こういうことを聞いているのです。だから、その限界を明らかにしろ、一体どういうことなのか、一回で毛演説会に出れば、幾ら労務をやっても労務賃が払えないのか、その限界線で違反が起こっている場合が多いのですよ。今これが一番問題なんです。こういうことを認識しないで取り締まりをやられたのでは、大へんです。私どもが幾ら公明選挙をやろうと思っても、その点がはっきりしない限りは公明選挙はできません。その点をお尋ねしているのです。今の答弁では答弁になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/55
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056・柏村信雄
○柏村政府委員 今お話のように、一日じゅう労務者的な役務に従事したという者については、当然報酬を支払ってしかるべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/56
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057・林博
○林委員 そうしますと、これは自治大臣と警察庁長官とちょっと答弁の食い違いができてきたわけですよ。選挙運動者であっても、一日じゅう労務を提供しておった場合には払ってもいい、警察庁長官はこういう見解を示された。そこで自治大臣との間にそごがある。まだ法務大臣の御答弁を聞いていないので、今度は法務大臣の御答弁を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/57
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058・柏村信雄
○柏村政府委員 選挙運動者に対しまして報酬を支払い得るのではなくて、そのときはあくまで労務者に対する報酬でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/58
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059・林博
○林委員 それはそうなんです。しかし、同じ人ですよ。それは同じ人が違う行為をやっただけです。法務大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/59
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060・竹内壽平
○竹内政府委員 それは非常にむずかしい問題でございまして、これがはっきり区別ができますならば、大へん都合がいいわけですが、大体選挙運動者というふうに見られる場合、そういう人がたまたま労務のようなことをついでにやったという場合には、区別がしにくいので、むしろ運動者としてのついでにそれをやったというふうに見られるだろう。それから、その逆に、一つの例を申しますならば、アルバイトの学生さんが運動をやった場合、これは文字通り賃かせぎにやってきておる学生さんだろうと思うのですが、しかしながら、選挙に行って演説をぶっているというような場合に、このアルバイトはどっちだというような問題があると思います。もしこれが明確に区分し得るならば、区分した方がいいわけです。だから、これは運動者だと見られる場合にはもちろん払えませんが、労務者ならば労務賃は払える、こういうふうに解釈ができるならば、私はそういうふうに解釈した方がいいと思うのですが、実際問題としてはなかなか区別しにくいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/60
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061・林博
○林委員 いろいろ違反の問題が起きるのですが、ここで関連質問があるそうですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/61
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062・山本猛夫
○山本(猛)委員 同一人がそういうふうに解釈される場合、こういうことの場合はどうですか。政党活動をするために、その団体に所属している政党員が、政党活動費として配分された、ところが、たまたまこれが選挙活動費と見られて問題になった、こういうことです。ですから、そういう場合の政党活動と選挙活動とのけじめの問題は、どういうところでつけておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/62
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063・竹内壽平
○竹内政府委員 政党活動と選挙活動は、選挙活動といいます場合には、特定の選挙で特定の候補者の当選を得しむる、得しめないということ、この点が政党活動とは明らかに異なっておるわけです。政党活動も、選挙の際に一そう活発になりますから、ただいまのような御疑念が起こってくるわけでございますが、要は、選挙運動であるか政党活動であるかは、事実認定の問題でございまして、特定の候補者のための活動であるかどうかということをけじめにいたしまして区別をつけるよりほかはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/63
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064・山本猛夫
○山本(猛)委員 それじゃお尋ねしますが、たとえば政党員が政党活動をやっておる、それは選挙のときに選挙活動はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/64
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065・竹内壽平
○竹内政府委員 それはもちろんできますが、選挙運動をおやりになれば、選挙法の規制を受けることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/65
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066・山本猛夫
○山本(猛)委員 そこで私はそのけじめの問題を伺っているのです。政党活動と選挙活動のけじめをどこへ渇いておいでになっているのか、また、それを置くことが困難なのか、あるいは置いておいでにならないのか、そのけじめを伺っている。法に基づいてと、こうおっしゃるのですが、法に基づいてどういう点までが政党活動であるか、どういうところからは選挙活動であるか。従って、今刑事局長がお答えになったように、政党の党員も、選挙活動をやってはならないという規定はないわけですね。ですから、どこにめどを置いて、たとえば検察側が、政党活動費として配分をせられたものが選挙活動費とまぎらわしいというような見解を下される場合、どういうところでめどをおつけになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/66
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067・竹内壽平
○竹内政府委員 それは、先ほどお答え申し上げましたように、特定の候補者のために直接貢献するような運動をしたか、そうじゃなくて、特定の候補者だけじゃなくて、その当該所属の政党の政治活動としてやったかどうかということをめどにいたしまして、事実認定に誤まりなきを期しておるわけでございますが、その区別等の法律解釈等の点につきましては、私どもの方は、取り締まりという観点からそういう解釈をしておるのでございますが、自治省からも御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/67
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068・山本猛夫
○山本(猛)委員 では、安井自治大臣にお尋ねしますが、今申し上げたけじめの問題を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/68
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069・安井謙
○安井国務大臣 政党所属の従事員が政党から一定の給与を受けておる、そういう人が、政治活動のほかに選挙運動をやったという場合、これは私は、やはりやったからといって、そのためにその受けておる給与が選挙運動の費用というふうにはならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/69
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070・山本猛夫
○山本(猛)委員 それでは一つの例をあげて伺います。この前の参議院の半数改選のときの実例をあげて承りたい。こういうことがあったのです。政党活動費として何がしかのものが十何名の人たちに配分された。ところが、これが選挙活動費と認定されて取り上げられた。しかも、その経緯のことについては後刻お話を申し上げますが、この人たちの陳情書によりますと、警察官によってでっち上げられ、検察官によってでっち上げられ、それが基礎になって裁判所へ持ち込まれてしまった、あとで上申書を提出したが、それは一顧も顧みられずして有罪の判決が下ったと申すのです。こういう事例があるわけです。それは自由民主党の盛岡支部でです。こういうことを警察庁長官御承知でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/70
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071・柏村信雄
○柏村政府委員 私はその事実を承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/71
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072・山本猛夫
○山本(猛)委員 御承知なければお話をいたします。政党活動費として配分をせられたのであるから、政党活動費として配分をせられたことを明確にするために記録に残したというのです。それは、配分に当たった者も、配分された者も、これは当然政党活動費であるということを確認した結果として記録にきちっと残したと申しているのです。この人たちの申しますのには、それを歪曲されて、選挙活動費とされて、全部が有罪の判決を下されるに至ったというのです。このような結果を招くような、警察の取り調べあるいは検察庁の取り調べの基礎がそういうふうにでき上がっていった。しかも、それは違うのだと言ったって、誘導尋問が行なわれ、ひっかけられして、とうとうそういうふうに基礎がでっち上げられたまま裁判所の方へ持ち込まれていると、この人たちは言い続けているのです。裁判所は、またあとでそれに対する上申書が提出されているにもかかわらず、それは警察庁あるいは検察庁の基礎的なものが非常に名文化され、作文が有罪を作り上げることに成功されているためであったかもしれないとしたなら、あるいは警察庁あるいは検察庁の作文が基礎となって判決の基礎をなしているとしたら、法務大臣いかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/72
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073・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまのお話の件は、私は内容の詳細については存じませんが、陳情がございましたので、そういう事例のあることは承知しております。そしてそれが目下裁判係属中であることも承知しております。しかし、その内容そのものについては詳しく存じませんから、もし政府委員が知っておりましたら、政府委員からお答えさせることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/73
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074・山本猛夫
○山本(猛)委員 それでは、それを知っている政府委員がありましたら、どなたかどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/74
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075・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま御指摘のケースと、私が今考えておりますケースと一致しておりますかどうかわかりませんが、過般盛岡でありました事件を、今御質問を受けながら私は思い出しておったのでございますが、これは形式上といいますか、形の上では、仰せの通り政党活動として分配されたもののごとくでありますが、それを使用するときに、使う人たちの考え方が、特定の候補者のための選挙運動としてそれを使っておるということになっておるようなケースだと私は思うのでございますが、それは裁判の結果によって、事実認定がどういうふうに合理的な証拠によって認められるかということにかかるわけでございまして、これはもっぱら事実をどう見るかということに帰着する問題だと思うので、法律解釈論的にどこに限界があるかということになりますと、これは先ほど申しましたように、特定の候補者の当選を得させるというその目的が直接である場合には、これは当該選挙運動の方に入る、それが間接といいますか、同じ党派でございますから、その党活動というものは、間接にはその候補者の有利になるような運動になると思いますが、そういうふうに間接の場合には党の活動だというふうに従来解釈されておるように私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/75
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076・山本猛夫
○山本(猛)委員 選挙活動など何にもやっていないのに、つっくるめられて有罪の判決になっておる。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/76
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077・竹内壽平
○竹内政府委員 どうしても事実が誤認であるということであるならば、控訴上告をされまして、裁判手続によってやっていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/77
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078・山本猛夫
○山本(猛)委員 それが控訴された結果、第二審でも有罪になっているのです。法務大臣に聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/78
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079・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまのお話が事実その通りであるといたしますと、私も、裁判所の第二審ですか、一審ですか、それの判定がはたして真実に合っているのかどうか、個人的には多大の疑問を存します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/79
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080・山本猛夫
○山本(猛)委員 これは委員長、一つ資料をおとりになっていただきたい。
それから時間がないようでございますから、お話を進めて参りますが、自治大臣、一体選挙法の本改正法案は、あなたは完璧を期されたものとお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/80
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081・安井謙
○安井国務大臣 選挙法そのものが非常に複雑なものでございますし、現行選挙法についても幾多の問題点はまだあろうと思っております。しかし、私どもが今回出しましたのは、例の選挙制度審議会によりまして出された答申の精神をできるだけ実現するために、そういった点を主として取り上げてきておるものでありまして、あるいはこの問題以外に、いろいろこの審議会を通じましても御質問や御指摘のあったような問題もまだほかにも多々あろうかと思います。従いまして、そういう意味からは、これだけのもので決して完璧なものだとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/81
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082・山本猛夫
○山本(猛)委員 そこで、今関連質問で、政党活動費と選挙活動費、政党活動と選挙活動の区別もつかないでいる。お聞きの通りです。つかないでいるということでも、これは完璧を期された改正法案とは言えない。
弔う一つだけ伺っておきたい。百三十六条の二に、「次の各号の一に該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。」として、その第一号に「国又は地方公共団体の公務員」としてある。国または地方団体の公務員というからには、国務大臣のあなたもお入りになるわけですね。そのうしろにいる政務次官も入る。それから衆議院議員も入るのですね。特別職は入らないとこの法律には書いてないですね。除外であるとは書いてないですね。これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/82
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083・松村清之
○松村(清)政府委員 この百三十六条の二にいいます「国又は地方公共団体の公務員」の中には、一般職、特別職全部を含みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/83
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084・山本猛夫
○山本(猛)委員 それでは法務大臣も自治大臣も、それから政務次官はむろんで入るし、大臣秘書官も、衆議院議員も参議院議員もということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/84
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085・松村清之
○松村(清)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/85
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086・山本猛夫
○山本(猛)委員 これは大へんな問題ではありませんか。自治大臣、どうですか、あなたはこれでいいとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/86
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087・松村清之
○松村(清)政府委員 ただ、大へんだという意味がよくわかりませんけれども、これは、そのあとに書いてありますように、地位利用という言葉で限定をしております。従って、この地位利用という言葉に当てはまるかどうか、こういう問題によってきめられるわけで、何でもかんでも入るわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/87
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088・山本猛夫
○山本(猛)委員 それはなぜ私はこれを引っ張り出したかというと、さっきの林君の関連質問に対するものと好一対なんです。よろしいですか。たそがれどきになって、どの辺まではきちっと昼で、どの辺からがきちっと夜ということは解釈できないということを刑事局長が言っているのですよ。それと同じことなんです。それはニュアンスでいって、ときによっては入るのだ、ときによっては入らないのだといったようなことでやられたら、これは全部入る場合もできてくる、こういうことです。選挙運動費と政党活動費とのけじめの問題も同様なのです。こんな改正法案をぽかぽか出されたのでは、たまったものじゃない。もう少し検討されてこれを出し直されたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/88
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089・松村清之
○松村(清)政府委員 これは原形は現行法にすでにあるわけでございまして、現行法の二百三十九条の二にやはり「国又は地方公共団体の公務員でその地位を利用して」云々とあるのを、その内容を広げた、こういうことで、本質はもうすでに現行法の中にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/89
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090・山本猛夫
○山本(猛)委員 これは基本的な問題ですから、私は自治大臣に聞いているのです。よろしゅうございますか。政党活動費と選挙活動費のけじめ、これはどうしてもつきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/90
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091・安井謙
○安井国務大臣 お話の通り、選挙運動あるいは政党活動というものに対するけじめの中には、なかなか今明確な一線を画し得ないような面が実態上あることは、事実でございます。それはおのずから一つの社会的な常識というか、通念で解釈するより仕方がない。しかし、この法案、現行法全体が全部完全なものばかりであるというふうには私ども必ずしも考えておりませんし、また、現在選挙制度審議会におきましても、政党法のあり方、それから政治資金のあり方、そういった問題についても根本的な検討を今までされてきておるわけであります。また将来もこれを期待いたしておるわけであります。しかし、さしあたってこれだけのものはとりあえず直した方がいいじゃないか、こういう勧告の御趣旨によりまして、その中で私どもが、法文上の適用の場合に非常に非常識になるというか、行き過ぎになると思われる面を若干修正いたしまして出しておるわけでありまして、選挙法全体につきましていろいろな御質問が出て参りますれば、まだ不備な点があることはよく承知しております。また、法文の解釈だけでは、これは幾らやりましてもできない場合もあろうと思います。これは事柄自体が、明確に一線をきちんと画し得るということじゃなくて、全体の状況から常識上の判断をして結論を出すという場合も、幾ら法文を直してみましても、かなり起こってこようかと思いますが、できるだけ将来そういった問題にも疑点を少なくするように今後も努力はいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/91
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092・山本猛夫
○山本(猛)委員 それでは、法務大臣と警察庁長官にお尋ねをいたします。
自治大臣のお話によりますと、今後取り締まりや何かの場合、ニュアンスでという、刑事局長も大体そういうようなことをおっしゃっておられます。そういう場合、ニュアンスでといいましても、今後どういう措置を講じて取り締まりの公正を期されようとするか。選挙の方は公明選挙でやる。取り締まりの方はどうですか。選挙は公明選挙をしいる、しかし、取り締まりの方は、何でもかんでも選挙違反者を作るんだといったようなやり方に対して、警察庁長官、法務大臣、自治大臣は、どういうふうにお考えになってさようなことを是正なさるのですか。この改正法案の中で今後どういう措置を講ぜられるのか、御決意を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/92
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093・植木庚子郎
○植木国務大臣 われわれ法務当局といたしましては、選挙の自由と公正は、これまたぜひとも守りたい一つの大きな目標でございます。従って、取り締まりにあたりましては、でき得る限り選挙運動の妨害にならないように、しかも、悪質な犯罪あるいは法規違反の行為が横行して、そのために選挙の公正が害せられるというようなことがないようにやっていくということが基本的な方針です。しかし、これはそう申しましたところで、抽象的でございますから、実際上の運用としてどうなるかといえば、これはやはり多年の過去の経験もございます。また、それについての判例もございます。従って、過去の経験、判例等に徴し、しかも選挙は厳正に行なわれなければならぬというような点についても十分留意をいたしまして、できるだけ涵養していきたい、これよりほかございませんし、さように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/93
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094・柏村信雄
○柏村政府委員 警察といたしましても、法務大臣お述べになりました通りでございますが、取り締まりに当たります警察官の良識をできるだけ涵養いたしまして、社会が納得するような、常識ある、かつ厳正な取り締まりを実施して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/94
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095・藤原節夫
○藤原(節)委員 関連して。ただいま選挙活動費と政党活動費と費用の点でけじめがどうかということが問題になったわけであります。これは使った方の考え方、やり方によるという御答弁でございますが、費用の点は別として、政党の政治活動自体が従来しばしば選挙運動であると認定されまして、問題になっておる。そのために、政党の政治活動が非常に阻害されておる例が多いのです。これは決して自民党だけでなく、社会党におかれても同じようなことが言えると思うのです。特に私は一つここで具体的な例として、政党の機関紙というものは、従来しばしば不正なる文書図画の配布であるということで問題になった。今回も、聞くところによると、長崎の知事選挙と京都の知事選挙でも、政党の機関紙の配布が問題になっておる。たしか警察で調べておられるはずですが、現在これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/95
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096・新井裕
○新井政府委員 御指摘になりました京都と長崎のことは、具体的に私ども聞いておりませんが、政党の機関紙が問題になりましたのは、通常の政党の機関紙の形に地方版のような形をとりまして、特定の選挙区に関係のある記事を載せて、それを普通頒布されておる以外の範囲に頒布されておるということで取り締まったような記憶がございますけれども、御質問の点はもう一ぺんよく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/96
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097・藤原節夫
○藤原(節)委員 今の長崎及び京都の問題については、御調査の上で御報告を願いたいです。
今言われました頒布の方法あるいは内容、地方版云々、こういう問題、これは確かに従来問題になっておる。御承知のように、政党の機関紙は、時事問題を掲載する新聞と同様に扱われて、選挙に関する報道、論評を許されておるわけです。選挙に関する報道、論評が許される以上は、当然党に所属する候補者の記事が多数出るわけです。特にそれが知事選挙であるとか、一人一区の参議院選挙などの場合は、特定候補の記事が多く出る、こういう結果になることは当然なわけで、これが直ちに不正なる文書の配布であるというふうに言われるのは、少し問題じゃないか。それからまた、配布の方法が、あの条文には、通常の頒布方法と書いてある。通常の頒布方法というのは、日刊紙や何かですと、いわゆる新聞配達人が配るとか、あるいはダイレクトメールで第三種郵便で出す、これが通常の頒布方法であるということはわかっておりますが、政党の機関紙の場合は、通常の頒布方法としてそういう方法をとっておらぬことは、御承知の通りであります。大体政党の組織を通じて、保守党の場合は、地方の組織を通じて、個人の後援会の組織を通じて配布をする、あるいは演説会等において頒布をする。これが最も通常なる政党機関紙の頒布方法だと思うのです。その点で、これが通常であるかないかということが従来しばしば問題になっておる。この点に対する自治省当局の御見解をまず承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/97
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098・安井謙
○安井国務大臣 原則といたしましては、現行選挙法におきましては、新聞等の報道、評論というものについては最大限の自由を認めておりまして、これは条章にも明らかになっております。従いまして、それが特定の候補者を扱う、あるいは特定の候補者の論評にわたるといった場合はこれは許されておるというのが通常の解釈である。ただ、機関誌とか、あるいは、政党の機関紙に限りませんが、その他の機関紙といったようなものがそれを扱います場合に、この配布の方法とか、また、その記事を出します際の金銭の授受の関係とか、そういった他の要件とからみ合いました場合に、やはりこれは個々にそこの状況で判断をするほかに仕方がない場合がたくさんあろうと思います。従って、原則としては、新聞報道については広い報道、評論の自由が許されておるというのが、当然の選挙法の解釈であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/98
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099・藤原節夫
○藤原(節)委員 報道、評論の自由が許されておる、従って、特定候補の記事を書いてもいいということなんでありますが、それが従来問題になっておる。別にその間に金銭の授受があるとかなんとかいうことでない。党本部において編集し発行して、それが演説会等で配布せられた、あるいは後援会の組織等をもって頒布せられたということが、不正なる文書図書の頒布であるという、これはしばしば事例があるのです。ことに私は、かつて党の事務局の機関紙の名義人になっておった関係から、たびたび当事者として呼び出されて、証人になって法廷に立ったこともありますし、実は前回の参議院選挙のあとだと思いますが、東京地方検察庁において、これは不正なる文書図画の配布であり、党の本部は共犯であるというようなことで、われわれはそうは思わぬ、正当なる行為であると思うということで争ったのでありますが、最後に、当時の東京地方検察庁の次席検事岡崎何がしという人だと思いますが、それは見解の相違だ、——見解の相違ではどうもこっちは負けるのでありますが、見解の相違ではあるけれども、確かに法に不備があるということは検察当局も認めます、だから、法の不備ではあるけれども、その不備なる法のもとにおいては政党の方でも十分に慎重にやって下さいよ、こういう話だから、それは慎重にやりましょう、しかしながら、不備な法をそのままにしておく法はないじゃないか、なぜ政党の政治活動と個人の選挙運動とまぎらわしいようなものをそのままにしておくか、その点は政府は責任を持って正すべきではないか、それはその通り政府としては責任を持って改正いたしましょうというような問答の末に、その場合は一応不問に付されたのであります。そういういきさつがあるのでありますが、どうも今回の改正案を見ましても、その辺に対する何らの手当がなされておらぬ。この改正案がもし成立しても、依然として問題は残ると思う。その辺に対する配慮が一体なされておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/99
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100・松村清之
○松村(清)政府委員 ただいまのお話の点を解決いたしますのには、政党の機関紙にも選挙運動にわたる記事が載せられるようにすることが解決方法だと思うのでございますが、現行法は、御承知のように個人本位の選挙という建前になっております。従いまして、選挙運動期間中におきます政党の選挙運動はもとよりのこと、政治活動についてもきつい制限が加えられておることも、御承知の通りだろうと思います。そこで、先般の選挙制度審議会におきましても、今日は政党本位の選挙に移行すべきであるからと、政党の選挙運動期間中における政治活動を大幅に緩和するとともに、政党に選挙運動をすることすらも認める方向でいろいろ審議した結果、とりあえずは、政府の原案にありますように、政党の主催する街頭演説で候補軒の名前を言うとか、その他、衆議院の選挙では、ポスターには特定の候補者の選挙運動にわたる記事を書いていい、こういうふうに、現段階としては、相当政党の選挙運動を認めるところまで選挙制度審議会でも答申を出して、それに基づいて政府案を作っておるわけでございます。今お話しの機関紙の問題については、将来の問題として検討すべき問題ではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/100
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101・藤原節夫
○藤原(節)委員 時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、政党の機関紙というものは、政党の政治活動の非常に大きな、大事な部分を占めるものですが、これに関する規定があいまいである。しかも、問題になっても、いまだにそれに対する反省も行なわれておらぬということは、この改正案の大きな欠陥であると思うのです。その点、十分お考えを願いたい。同時に、政党の政治活動というものを強化して、個人本位の選挙から政党本位の選挙にするとおっしゃる以上は、政党の政治活動はいかなるものであるかということの認識をもっと深めて、これに対する十分の理解のもとに案を練っていただかないと、たとえば保守党の場合は、個人の後援会というものは、現状においては、ある意味で政党の下部機関の役割をなしているのです。そういう場合に、後援会に対する規制がこういうふうに行なわれる方向にある、あるいはまた、政治資金の問題につきましても、政党の政治活動をゆるめるとか、強化するとかいいながら、政治資金の方は締めていこう、こういうような点に対する本質的な矛盾がずいぶんあると思う。これはあらためてまた御検討願い、御質問申し上げることにして、きょうはこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/101
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102・林博
○林委員 いろいろ関連質問がございましたが、話をもとに戻しまして、私が先ほど御質問いたしました、運動報酬と労務骨報酬との問題について三省庁間の申し合わせが書面ででき上がっておるのであります。しかしながら、先ほども私が質問しましたことによって、選挙運動者と、それから労務者との限界が必ずしも明らかになっておらぬ。しかも、自治大臣と警察庁の答弁には非常に矛盾があるというふうに私は考えます。それでありますから、先ほど私が申しましたような点について、いま一度よく御協議を下さることを要望いたします。
そこで話がちょっと移りますが、私が、前回の御質問におきまして、選挙従事者に対する費用をなぜ認めないのか、たとえば出納責任者に対する費用をなぜ認めないのかという質問をいたしたのであります。それに関しまして、実は自治省の方からも、これは取り締まり当局の方で最初からかなりの反対があるのだという御見解でございました。そして、今ずっと話を聞いておりますと、選挙運動で、とにかく選挙というものに、頭を使わないで、からだだけ動かしている者には報酬を払うのだ、多少でも頭を働かせていろいろものを考え、企画したり、あるいは出納責任者の地位にあるような者は、とにかくただでやらねばならぬのだという建前になっておると思うのです。しかしながら、今の概念では、頭を使うこともやはり一つの労務なのであって、これに対して報酬を認めないということは、社会常識の通念に私は反すると思うのです。極端な例で言えば、出納責任者のもとでその命令を受けて帳簿をつける者には金が支払われるのだというお話でありましたが、出納麦作者、あるいは、お前はポスターを張れ、ここへ張れと言って労務者を連れて歩く者、こういう者には選挙の報酬というものは認められないわけですね。私はこれは非常な問題であると思うのです。私はこれは認めなければならないと思う。第一、今の法定選挙費用は二百六万円と言ったが、先ほど私がここに資料の提出を求めましたように、半分以上使った者はないのです。みな七十万円とか七十三万円で、一番多い者で百五万円なのです。これをなぜ使えないかと言うと、一つには、先ほど言ったように、労務者と運動員との限界が明らかでない、明らかでないから、うかつに払えない、だからみなこれを届け出に出さないのです。これだけの費用で私は必ずしもみんな選挙が済んでおるとは考えません。そういう限界が明らかでないから、正規に支払えないのです。いま一つは、選挙従事者に対する報酬というものは認められておらない、当然認められるべきものが認められておらないから、このように法定選挙費用が——法定選挙費用を幾らふやしたってだめだと私は思うのです。
そこで、私は法務省にお伺いするのですが、この選挙従事者に対する報酬を支出することに反対をしておられものかどうか、また、反対をしておられるとすれば、その反対の根拠はどこにあるのか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/102
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103・竹内壽平
○竹内政府委員 この問題は、私は一つの立法政策の問題だと思うのでございます。法務省の事務当局といたしましては、反対の見解を持っております。そのことも公の席上で申し述べたことがございます。しかし、それは事務当局の、選挙法を扱って参りましたものの立場から申し上げておることでございまして、申すならば、選挙制度審議会というようなところで、広く衆知を集めてこの問題を解決していただくのが相当ではなかろうかというのが、結論になっておるわけでございます。そこで、事務当局の反対の意見をここで申し上げてもあまり意味がないかもしれませんが、私どもの考え方といたしましては、選挙運動につきましては、もちろん、実費弁償は許されるのは当然でありますけれども、報酬を受けて選挙運動をするということは、選挙の建前は反するのではないだろうか。従来この問題が今日まで議論されながらもついに認められなかったのも、背後にそういうような考え方があるのじゃないだろうかというふうに想像いたすのでございます。と申しますのは、選挙運動をする人が報酬をもらってやるということになりますと、いかにも商業上の宣伝広告をするのと何かそこにけじめがつけにくいものになりまして、選挙運動の純粋性と申しますか、そういうものを汚すような結果になるのじゃないだろうか。だから、この報酬をもらったということにつきまして、従来もこれを常に買収犯の範疇に入れて処罰をするというこの体系をくずさずに、ずっと過去において日本の選挙法はできておるように思うのでございます。これを外国の例にとってみましても、イギリスなどはこの点について最も関心を持っておるようでございますが、報酬を認めておるというふうには私どもも承知いたしておらないのでございます。そういうような観点から、私どもは、選挙の公正を担保していくためには、選挙運動者については実費弁償を値上げして実情に合うようにすることは当然すべきことであろうと思いますけれども、普通の労務の反対給付という意味においての報酬を認めますことは、そういう観点からしましてどうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/103
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104・林博
○林委員 そういう考え方もあるかもしれませんけれども、少なくとも出納責任者というのは、うちの仕事をほっぽって二十日間事務所に詰め切りで、金の支払いだの、帳簿の作成だのという仕事にかかり切りなんですね。その部分に対してまで全然報酬なしでやれと言われたら、私どもは出納責任者を探すことができない。実際いってやってくれる人がない。安井自治大臣はあると言われたけれども、非常に古い人だから、やってくれる人があるでしょうが、私どもは出納責任者をなかなか探せないのです。現実に各候補者は出納責任者に困っていると思うのです。われわれは政治に関係しているけれども、この前申し上げましたが、ちゃんと歳費というものをもらっておりますよ。また、取り締まり当局だって、いろいろ取り締まりをするのには捜査費というものが出ると思うのです。すべて何でもただやれということは、今の世の中に通用しないのじゃないかと思うのです。二十日間一生懸命帳簿をつけて、金の出し入れをし、まかり間違えば、おいこらとやられちゃう、そういう地位にありながら、全然報酬をやらない。お前ただやれ、サービスだ、こういうことが今の世の中に通用するでしょうか。私は法務大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/104
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105・植木庚子郎
○植木国務大臣 御意見の存するところも同感し得る点もございます。しかし、先ほど政府委員がお答え申し上げました通り、多年のわが国の選挙制度全般の基礎にわたる問題でございますから、将来の問題として検討の価値はあるもの、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/105
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106・永山忠則
○永山委員 関連して。多年の慣例が選挙違反の悪質のものにつながって、これが中心になって違反が起きているのですから、この場合に、この多年の慣習を取り払うという考えでなければいかぬと思うのです。私は、法務当局が反対されておるのは、別にもう一つあると思うのです。取り締まり上、やはりこの報酬を認めたのでは処罰ができぬ。際限がなくなるのじゃないかということが、反対の中心の意見だと思う。ただ理念的に高い思想で、選挙運動は無報酬でやるのだという観点でこれを推し進めているということよりは、これを中心に善良なる人たちがすべて違反に問われるという点も十分考慮されていかなければ、今度は安心して選挙ができる、とにかく違反せずにやるという体制だけは作ってもらって、それから厳罰にいくということでなければ、今度の選挙法の改正も意味がない、こう考えるのですが、法務大臣の御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/106
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107・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまの永山委員の御質問の趣旨をちょっと私解しかねるところがあるのでありますが、先ほど来問題の点は、出納責任者に対する報酬の問題、それに対して法務省の事務当局が従来反対の意見を持って進んでおるということについて、日本の選挙制度全体に対する基本の問題であるから、でき得る限り、先ほどの林委員の御趣旨の存するところは同感する点もありますから、将来検討したい、こう申し上げたのであります。しかし、それがこの際直すべきかどうかというところまでおっしゃるのですと、今回は、自治省当局といたしましては、その点についてこの際直そうというところまで機が熟しておらなかった。従って、われわれの関係省に対しましても御相談がなく、現在のままで御提案をしておる、こういう実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/107
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108・永山忠則
○永山委員 関連質問ですから、時間もないから申し上げませんが、今回直さなければいけないという大きな理由は、地域担当者、その地域での選挙従事者が来たときに、昼弁当代だといって、百五十円しかやれないのに五百円やった場合においては、これはもう直ちに候補者へ連座することになっているのです。選挙従事者の報酬を認めない、完全に無報酬でやるという原則でいった場合には、非常に実情に合わぬ場合がある。選挙従事者が何日も非常に努力しておるから、もらった酒があるから一升持っていって飲めといっても、それが地域担当者、その地域の選挙従事者であれば、これは直ちに候補者にくるわけですから、従って、無報酬で選挙をやるのだという観点で進んでおいて、連座を強化するということでは、一たまりもなく直ちに候補者の失脚につながるという重大な選挙法の改正ですから、今回御考慮なさらねばならぬということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/108
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109・林博
○林委員 私も今永山さんのおっしゃったことと全く同意見で、法定選挙費用が現在の選挙法のもとでは絶対使えないと思うのです。これを使えるようにするには、しかも選挙違反をほんとうになくして、公明選挙にするためには、労務報酬と運動報酬の限界を明らかにすること、先ほどはあいまいでしたが、これを明らかにすること、いま一つは、選挙従事者——不当なる選挙運動をやるやつはだめですが、ほんとうの正当な選挙従事者に対して報酬を支払うようにする。これによって、私は法定選挙費用を目一ぱいまで使えてくるのじゃないか、それで公明選挙ができるのじゃないかというふうに思っております。幾ら法定選挙費用だけふやしても、使えない法定選挙費用をふやされても、私どもはありがたくない。それだけに、金がやみで動くということになってくるのじゃないか。私は、法定選挙費用をふやすならば、ふやすと同時に、この法定選挙費用を目一ぱいに使えるような法律を作る責任が当局にあると思う。当局だけでなく、私どもに責任があると思う。こうすることによって私は公明選挙が実現できるという見解でありますが、これは解釈上解決できる問題ではありませんで、立法上の問題あるいは修正案の問題として考えなければならないと思いますので、この程度でとどめますけれども、これに関係をいたしまして実費弁償というものがあるわけです。この実費弁償が非常に問題になってくる。今までの違反は、労務費と運動報酬との限界、これがわからないということ、いま一つは、実費弁償の支給で問題になってくるわけなんです。というのは、実費弁償はどういう場合に要るかというと、たとえばポスターを張り歩く場合に車を使う、その車代の実費弁償は法規上認められている。ところが、事務所に選挙対策のために一定の区議会議員などが毎日通ってくる、この車代を換算しますと、一日往復四百円として、二四が八千円になる、そこで実費弁償を支払おうとすると、私どもはこわくて払えない。なぜ払えないかというと、自動車には受け取りがない。受け取りがなくして一人の区議会議員に八千円なら八千円という実費弁償を支給すると、これが買収だというふうに認定される。現実に今までそういうことが買収だといって幾らもやられておる。ことにこういう場合もあり得る。たとえば、前渡しとして、労務賃とか実費弁償を、たとえば八千円なら八千円大体車代がかかるだろうというので渡して、預かり証を取って、あとで精算して返して下さいということで、出納責任者から出て、書面をぴしっとやっていても、それでも買収費だといってやられる場合があり得るわけです。だから、こういうところの限界、実費弁償の解釈、これは自治省に言わせれば、法律で認められておるものなんだから、答弁のしようがないというお話だった。きのう選挙局長、選挙課長に聞いたら、法律に認められているのだという。しかし、現実には捜査当局ではほとんど買収費として検挙している。中には起訴になった例がある。実費弁償の証明がない、受け取りがないじゃないか、こういうことを言われておるのでありますが、この点を解決しなければ、やはり法定選挙費用を目一ぱい使えないと思う。この点に関する刑事局長の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/109
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110・竹内壽平
○竹内政府委員 実費弁償でありますならば、これは出納責任者の承諾によって支出することは、当然法の認めておるところでございますし、今自動車等につきまして受け取りがないということでございますけれども、現行法のもとにおきましても、百八十八条一項のただし響きに、「但し、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。」というふうにもあり、徴しがたい事情を付言しなければなりませんが、そういうことになっておりまして、今仰せのように、実費弁償でありながら、報酬であるかのごとく認定される危険があるということでございますけれども、その点は、もしそういうふうな認定を受けるということになりますと、はなはだ遺憾に存ずるわけでございますけれども、建前論としましては、一応ここで区別はつき得るようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/110
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111・林博
○林委員 私も、建前論としては刑事局長のおっしゃった通りだと思うのです。私どももその線に従ってやりたいと思う。しかしながら、これは警察庁長官からも御意見を承りたいのだが、現実には捜査官がそういう現状を御承知ないのですね、車代が幾らかかるとかなんとかという認識がない。とにかく、金が一万でも動けば買収だという観念なんです。これはいま少し捜査官に教育をしていただいて、現場の第一線に徹底していただいて、実費弁償は受け取りがなくても認めるべきものだという観念は、私はもう少し徹底をしていただきたいと思う。それから刑事局長、今の前渡しの点、それは違法であるかどうか。実費弁償を前渡しして、あとで精算して返還させる、これが現実に行なわれておりますよ。これが違法であるかどうかという答弁もはっきり承っておきたい。労務費についても同じです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/111
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112・竹内壽平
○竹内政府委員 これは実際の事実認定にあたっては非常にむずかしいのでございますが、理論としましては、前渡しといいましても、それは支出にならないことは当然で、あとで精算になるわけでございます。その精算のとき、実費をこえた支払いになっておれば違反になるわけでございます。前渡しそれ自体は、ほんとに前渡しなら買収金じゃございません。理屈はそうなるのでございますが、実際問題として扱われるときに、これがはっきりしにくいかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/112
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113・林博
○林委員 これは実際問題であって、やはり第一線の捜査官をよく教育していただきたいと思うのです。そういうことで行き過ぎて選挙違反でむやみに引っぱって、非常に過酷な捜査になっている例があるのですよ。そのために選挙違反で自殺者が出たり、善良な市民が苦しめられるということがよくあるわけですね。この点はよく第一線に徹底するように教育をしていただきたいと思います。警察庁長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/113
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114・柏村信雄
○柏村政府委員 金が動けばすぐ買収だというような考え方で第一線がやっているとは考えておりませんが、ただいまお話しのような点、十分に注意しまして、誤認とか行き過ぎとかいうことのないように注意したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/114
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115・林博
○林委員 いよいよ申し合わせの時間がなくなって参りましたので、一点だけお尋ねいたします。それは、今回の改正案の百九十九条の五ですか、その他にありますが、後援団体、後援会の活動の規制に関して「当該選挙に関し」という言葉がございます。この「当該選挙に関し」というのは、告示との関係においてどういう意味があるのか。これもあるいは三省庁間の申し合わせ一応の解明をしておるのじゃないかと思いますが、一つ選挙局長から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/115
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116・松村清之
○松村(清)政府委員 先ほど大臣がおっしゃいましたように、三省庁間で実質的に協議しましたのがありますから、一応読み上げてみます。「「当該選挙に関し」とは、「当該選挙に際し、当該選挙に関する事項を動機として」であると解される。したがって、選挙の種類および施行時期についてある程度特定していることが必要である。かかる意味において選挙期日の公示後はもとより、公示前であっても「当該選挙に関し」に該当する場合がある。ただ後者の場合については公職の候補者となろうとする者との関連における選挙の種類および施行期日の特定という点で、具体的には個々のケースごとに判断しなければならないが、時期的な接近性もその判断の一つの要素となることと考えられる。」以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/116
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117・林博
○林委員 私はこの点に関してはしいて反対でもないのですけれども、きわめてあいまいな表現であるというふうに考えております。むしろ、立法論としては、選挙告示後だとか、三カ月前だとかいうふうにした方が、はっきりするではないか。それでないと、捜査官の認定によってどうにでもなってしまうのではないかという感じもいたしますが、きょうは一応自治省並びに三省庁間の公権的な解釈がこうだということで承っておきまして、このことにつきましていま少し私自身検討してみたいと思いますから、それ以上の質問はいたしません。保留いたします。
いま一つ問題は、当該選挙に関し、後援会が通常の飲食物なら提供してもいいということになっております。ところが、いま一つ選挙法に規定があって、選挙運動に関しては飲食物を提供してはならないという規定があるわけなんです。この「当該選挙に関し」というのと「選挙運動に関し」というのと、どう違うのか。この規定でいきますと、現実には、選挙運動期間中に後援会で当該選挙に関して通常の食事程度を出してもいいという解釈になってしまうのですよ。だから、飲食物の提供禁止とこの規定との関係、これをどういうふうに自治省で御解釈になっておるか、この点についてお尋ねしておきたいと思います。それもなおあとで検討します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/117
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118・安井謙
○安井国務大臣 選挙運動に関しての飲食物の提供ということになると、繁務所等で通常出す弁当というものは当然認められるのでありますが、一般的には禁じられておりますから、後援会活動でありましても、告示後の選挙運動期間になった場合には、食事を出すことは非常に問題——というより、違法になる。しかし、告示前に通常の弁当を出すということは、告示前は選挙運動は行なわれておらぬおけでありますから、それが別途に選挙運動が行なわれておるということになりますれば、これは事前運動で、別個の問題でありますが、通常の弁当を出すのはこれは認められる、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/118
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119・林博
○林委員 一点だけ選挙局長に伺っておきたい。「選挙運動に関し」ということと、今度の改正案の「当該選挙に関し」ということとは、何か意味が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/119
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120・松村清之
○松村(清)政府委員 これはむろん意味は非常に違っております。選挙運動に関しといえば、特定の選挙で特定の候補者を支持する一切の活動、そういうように非常に幅が狭いわけであります。当該選挙に関しといえば、先ほど申し上げましたように、選挙運動に関しよりももっと広い。そういう幅の広狭というものがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/120
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121・林博
○林委員 幅が広い狭いといっても、具体的に御説明を聞きませんと私は納得できない。けれども、この問題は、時間がありませんから、この程度にしておきます。
いま一点、これは何か公権的解釈をなさっておると見受けられる点についてお伺いいたしますが、収支決算の際に、報告書の写しですか、添付しろというような、非常にめんどうな規定が今回の改正案になされておる。この点が問題なんですが、これを何か事実上簡素化されるようなお打ち合わせをされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/121
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122・松村清之
○松村(清)政府委員 これにつきましても打ち合わせばいたしましたが、その要旨は申し上げますと、結局省令できめることになると思いますが、選挙運動費用の支出にかかる領収書につきましては、各債権者ごとに一括取りまとめたものでできてるようにして、その写しを収支報告芽に添えていただくようにする。領収書を徴しがたいものにつきましては、出納責任者において全部を取りまとめて作成した書面を収支報告書に添付するようにしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/122
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123・林博
○林委員 時間も超過いたしましたので、私の質問は終わります。ただ、きょう数点にわたって自治省、法務省、警察庁からの統一見解が出されたわけでありまして、私も実はきょう正式に承ったばかりなのであります。まだ直ちに、それ以上の質問がないということは申せませんので、なお検討いたすことにしまして、質問を留保して本日は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/123
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124・加藤常太郎
○加藤委員長 松木一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/124
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125・松本一郎
○松本(一)委員 私は法務委員をやっておりますので、法務委員会で一度法務当局の見解を伺おうと思っておりましたが、ちょうど幸いですので、お尋ねいたします。
先ほど竹内刑事局長な、また柏村警察庁長官なりのお話で、いわゆる運動員の実費弁償、あるいは労務員の労務賃というものを先渡しすることは差しつかえないというお話でありましたが、後に出納報告をするときに帳簿に記載されておれば先渡しは差しつかえございませんか。もう一度お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/125
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126・竹内壽平
○竹内政府委員 それは理論として申し上げたのでございまして、そういう前渡しをしたために、いろいろ買収の容疑を受けることがあって、その辺がはっきりせぬじゃないかという御質問に対しての答弁を申し上げたわけでございまして、誤解がございませんように——差しつかえないというふうにおとりをいただきますと、誤解を生ずるおそれもございますが、理論としましては、前渡し金は前渡し金であって、買収金でもなければ実費の金でもない。実費というからには、精算がついたときに実費という支出が完成いたすわけでございまして、前渡し金が買収でないということは、前渡しの性質からいって買収じゃない。しかし、そういうふうなまだはっきりと筋がきまっていない金が前に渡されますと、取り締まり上容疑を受けるような場合があり得ることを、先ほど遺憾の意を表しながらその点を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/126
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127・松本一郎
○松本(一)委員 どうもその点はなはだ不明瞭です。買収の目的をもって前渡しをした場合、あるいはそうでない、あらかじめ実費弁償、これこれ程度はかかるだろうから、この程度は前渡しをしておこうという純粋な気持の場合、こういう場合があろうと思います。しかし、いずれにしても、後ほど選管に出納報告をするときに記載されれば、おそらくそれは正しい意味での先渡し、こう解釈せざるを得ないのじゃないか、こう思うのです。買収の目的であるかないかは、だれが一体判定するのですか。その判定は警察官なり検察官なり裁判官でしょう。この人たちも、しょせんは人です。ですから、少しく悪意を持てば、これは事前の買収の目的と解釈するでしょうし、善意に解釈すれば、かりにも出納報告が選管にしてあるのですから、そうすれば何をかこれを買収の目的といえるか。実は二十八年の衆議院選挙でこの問題で私はひっかかったのです。お恥ずかしいことですけれども、村の村会議員が選挙に従離して、わずか三千円ずつを二十名ほどに実費弁償として先渡しをした。後に選挙が済んでから選管に報告してある。それにかかわらず、今局長のお話のように買収の目的、こう解釈して彼らを逮捕した。しかも警察に三日も四日も留置して、そして彼らが買収の目的でございましたと言わなければならぬようにして、調書を作った。実に私どもは遺憾に思いましたが、要するに、取り締まりの衝に当たる警察官なりあるいは検事が、善意で、ものをすなおに見て——公明選挙であるかないかということは、そういう人たちの判断によって、不明朗である、明朗であるという解釈が分かれる場合がしばしば起こると思うんです。だから、そういうことから考えたら、法律を作るときに、もう少し、そういう司法当局の判断によって、これは買収だとか、あるいは買収でないということでなくて、だれがどう判断しても、どう考えてもすっきりするように法律を作っておいた方が間違いがないのじゃないか、それを導火線として、とにかく百数十名、あれやこれやということで、警察当局に調べられたという苦い体験を私は持っております。だから、こういう点も実情をよくお考え願って——たびたび選挙をしていますと、あるいは間違いがないとも言えません。一回や二回はいいのです。実際問題を申し上げますと、捜査課あたりは、一度目の選挙でどの候補者はこのくらいの間違いの調書があった。二度目はこのくらい、三度になると、こうなるでしょう。だから、もうここらである候補者を一ぺん調べ上げたらということで、選挙の前から目をつけるのです。そうすれば当然上がるのです。上がらないのが不思議なんです。ですから、私ども衆議院の選挙を七回やっておるが、二十八年に全部やられた。もうしばらくはよかろう、ほかの候補者をやるだろうと思っていますが、そういうことを考えるときに、法律を作る場合には、よほど実情をよくわきまえて作ること。それといま一つ、ここでのお話を聞いていると、ごもっともな点が多々ありますよ。しかし、末端の警察官だとかあるいは検察官というところになると、皆さんの御意思というものが徹底しない。いわゆる親の心子知らずということがありますから、この罰則に関する限りは、末端までそれが徹底するように十分御指導を願いたい、こう私は思います。ですから、この点、法務大臣なり、あるいは自治大臣の御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/127
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128・安井謙
○安井国務大臣 ただいまのお話、非常にごもっともな点もあると思うのです。前渡しというものは非常に解釈のむずかしい点があって、それが往々にして行き過ぎがあるというような場合もあろうかと思います。ただ、原則として、今の前渡しにしましても、支払い承諾にしましても、やはりこれは目的と金額が一応はっきりしておるということが要件として必要であろうと思っております。しかし、そういうこと以外に、何か実績を上げなければいかぬための検挙とかなんとかいうことにつきましては、今後も十分に、私どもそういう行き過ぎのないように厳重に指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/128
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129・植木庚子郎
○植木国務大臣 御意見の存するところは十分に参考にさしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/129
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130・松本一郎
○松本(一)委員 最後に一言だけ——先ほど竹内局長はイギリスの例をあげて、いわゆる選挙というものは、報酬を目的とせずに遅効員は選挙に奉仕すべきものだ、こうおっしゃいました。ごもっともであります。私もイギリスの状況もアメリカの状況もよく知っております。しかし、遺憾ながら日本の現実はそうじゃないのです。ですから、運動員は実費弁償だ、労務員は労務債だ、こういうことになりますが、さて運動員の仕事と労務員の仕事とどこがどう違うかということになると、実際問題としてわかりかねる場合が多いのです。ですから、こういう実費弁償だ、労務費だということを言わずに、いわゆる労務費なら労務費一本で、たとい運動員でも、先ほどお話のごとく、報酬が一日幾ら払えるようにしておけば、ややこしい計算はしないでいいわけです。選挙のようなどさくさ仕事に、こんなこまかい計算をせいといっても、実際問題としてだれがしますか。法律を忠実に実行しようと思ったら、そういうやっかいなことをしなければならぬ。ですから、ついその場を都合よくということになれば、これが解釈のいかんによっては違反になる。要するに、国民の選挙ですから、候補者が悪いとか運動員が悪いというよりも、国民全体が悪ければ、何ぼ法律を改正しても選挙はよくならないのです。結局、国民に対する政治教育が日本は不徹底なんです。まだ十二分ではないわけです。そうすれば、イギリスやアメリカを例を引いても無理です。それは今から五十年も先になれば別ですよ。ですから、現実に国民の考え方、有権者がどういうことをやっておるかということに即した——二歩三二歩も前進した法律を作っても、ようついてこないのですから、せめて半歩とか一歩ということにして、できることならば実費弁償とか労務費ということを抜きにして一本にして、あいまいなことのないように願えたらと、こう私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/130
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131・加藤常太郎
○加藤委員長 午前の会議はこの程度とし、午後は二時より再開いたします。
これにて休憩いたします。
午後一時休憩
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午後二時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/131
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132・加藤常太郎
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/132
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133・堀昌雄
○堀委員 午前中、林委員の御質問にも出ておりましたけれども、自治大臣にお伺いをいたしたいのは、百九十九条の玉の第二項で、後援会に対する供応接待等の問題でございます。実は選挙制度審議会の答申はこの問題について「選挙に関する寄付及び政治資金の規正の合理化」という項目がございまして、その第二項には、後援団体等が行なう寄附の禁止」というのがございます。この中には明らかに「当該選挙に関し」と書かれておるわけでございます。三番目が「後援団体の総会等においてする饗応接待等の禁止」、こういうことになっておりますが、この項については「当該選挙に関し」という字は入っていないのでございます。その四番目には「公職の候補者等の後援団体に対する寄附の制限」ということがありまして、これには再び「当該選挙に関し、後援団体に対し寄附をしてはならないものとすること。」こういうふうに審議会の答申はなっておるわけでございます。それから自治省の方で選挙制度審議会にお配りいただいたものだと思いますが、昭和三十七年二月十二日の「公職選挙法等の一部を改正する法律案要綱」という自治省の文書には、やはりこの部分につきましては、後援団体に対して供応接待の部分につきましては「当該選挙に閲し」という言葉は入っておりません。ところが今次法律案が提出されて参りますと、先ほども御議論になりましたけれども、「当該選挙に関し」という言葉がここに入ってきておるわけです。審議会でこの問題を論議されました経緯の中では、現在非常に後援会等が活発に行なわれて、あるいはバスによっていろいろと小旅行等が試みられ、あるいは演劇その他に招待をされる等、まさに目に余る行為があるというのが多数の委員の御見解でありましたし、そのことによって実は被害を受けておるのは私ども革新の側の者ではなくて、保守党の皆さん方が相互にきわめて激しいこれらの競争をされることによって非常に多額の費用を負担されることになり、そのこと自体、選挙の公正を欠くのではないか、こういうお考えがもとになってこの答申になったわけであって、答申の趣旨は「当該選挙に関し」ということではなかったわけでありますが、法律案となるについては、これは当該選挙というワクが限定をされております。実はこれまでは、御承知のように与党及び自治省の修正問題につきましては主として三点、すでに論議をされた点が大きくクローズ・アップされておりましたけれども、しかし今度の改正の中で、後援団体の総会等においてする供応接待等の禁止はきわめて重要な条項の一つであったわけでございます。それについて、何がゆえにこれに「当該選挙に関し」という言葉を用いられることになったのか、その経緯とお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/133
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134・安井謙
○安井国務大臣 後援会活動につきましていろんな食事を出すとか、あるいは物品供与、そういった点の制限を当該選挙に限り、こういうふうに法文を出していることは御指摘の通りであります。また同時に審議会の答申といたしましては、当該選挙に関してでなくて、全面的にこれにきつい制限をつけろ、こういう御趣旨もあったことも承知しております。ただこの問題は、今後の選挙法の改正ができるだけ狭く、選挙法自体に関連する部分に極端にしぼりたいというようなことで、政治資金の規正等も同じように幅をとりあえず狭めたもので出しておるということが一つ。
もう一つは、今でも一方でいろいろ御検討になっております政党法の問題、あるいは後援会というものの性格が、ある意味で政党の下部組織に似たようなものであるといったような性格もございまして、これは直ちに今の日常の活動にまで大きく規制を加えるということは、今直ちにこれを取り上げるのはどうかという気がいたしまして、とりあえずの処置としてこの選挙に限る、当該選挙に関して、こういうふうな文字で限定をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/134
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135・堀昌雄
○堀委員 先ほどの林委員の御質問に対しての御答弁も、実はこの「当該選挙に関し」が非常に論議の的になっております。このことは、実は私、この前の公聴会で公述人の皆さんにお伺いをしてみました。一体政治資金と選挙資金というものの区別がつくかどうか。そうすると、これについては、どうもつかないだろうとおっしゃるのが、その日に御出席の各党推薦の公述人のすべてのお答えでございました。先ほどからの法務省なり警察庁なりのお答えを聞いておりましても、「当該選挙に関し」ということの範囲がきわめて不明確であって、見ようによっては無限に拡大されるし、見ようによっては公示の中まで追い込められる。そうすると、一体その判断をだれがするかということになると、これは取り扱いの関係から、最初には警察官の判断に待たざるを得ないことになる。その次に検察官の判断となり、最終的に裁判官の判断になる。こういう問題になってくると思うのです。私は今選挙違反の問題でいろいろと与党の方の御質問の中で感じますことは、やはり問題は、選挙法というものが非常にむずかしい性格のものであるということもありますけれども、規定の仕方がやや抽象的、概念的なものがあるために、それを双方が自分たちの判断に有利に解するところに、やや問題の起こる余地が残るのではないか、こういう感じがいたしてなりません。
そこで、先ほど「当該選挙に関し」ということについて文書をお読みになりましたのを伺ってみますが、もう一回読み上げますと、「「当該選挙に関し」と選挙期日の公示との関係」という中で、「「当該選挙に関し」とは、「当該選挙に際し、当該選挙に関する事項を動機として」であると解される。「こういうふうな表現になっております。「当該選挙に際し」というのですが、「当該選挙に際し」という時間的な経緯は、これは一体どう理解をするのか。これは一つ自治省、法務省、それから警察庁、「際し」というのは、時間的にはどういう具体的なものであるかを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/135
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136・松村清之
○松村(清)政府委員 これは具体的にいつからかということは、総合的な判断にかかりますのでなかなかむずかしいと思いますが、抽象的には、お手元に持っておられますプリントのあとに書いてございますように、選挙の種類、衆議院か参議院か、それから施行時期、選挙がいつあるか、こういうことがある程度きまっておる。こういう状況判断がなければ、「選挙に際し」というふうには言えない、こういう解釈をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/136
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137・堀昌雄
○堀委員 以下同じですか。——そうすると、今のは特定の選挙の川口があるということが一つ。なるほどこれはそうでしょう。しかしその「際し」というのは、これは私非常にむずかしい言葉だと思うのです。わかりやすい日本語で一ぺん言ってみたら、どういうことになるのでしょうか。どうも法律の用語はむずかし過ぎてちょっと因るのですが、「当該選挙に際し」ですから、それを小学校の三年生くらいがわかるように、ちょっと一ぺん言ってみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/137
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138・松村清之
○松村(清)政府委員 これは「際し」ということと全く同じ言葉を置きかえる言葉は、今ここで発見に苦しむのでございますが、これに似たような言葉で言えば、選挙にあたって、こういうようなこともあろうかと思いますが、これとどういう関係にありますか、その点ここで具体的にはっきりいたさないのでございますが、ともかく「際し」というその言葉からいたしまして、時期的に相当接近しておる、接近性がある——これはあとにも書いてありますが、そういう接近性ということも一つの要素になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/138
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139・堀昌雄
○堀委員 実は今度の選挙法の問題が審議会で取り上げられましたときに、選挙法はむずかし過ぎるというのが、これは特に専門家の弁護士の方を初め皆さん異口同音であったわけです。私は、選挙法に限らず、日本の法律はむずかし過ぎると思うのです。「当該選挙に関し」なんて、こういう言葉はわれわれ日常使わない言葉なんですね。それは「当該選挙」まではいいとしましても、こういうふうな「関し」などと言わないで、小学校の三年生くらいがわかることにならないと、法律があっても、国民が読んでわからないというような法律を出したのでは、私はこれは国民に不親切だと思うのです。私も大学を卒業して、日本では最高学府を卒業してきたつもりで、日本人として四十五年日本で生活をしてきているのです。それでもなお今ここでこんなことを聞かなければならぬというような法律の書き方は、私は問題が残るというふうに思うのです。
そこで、それは一応少しあとへ残して、「当該選挙に関する事項を動機として」、こうございますね。そうすると、「事項を動機として」、これがまた私は非常に問題が出てくる言葉だと思いますが、「この動機として」というのは、具体的にはどういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/139
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140・松村清之
○松村(清)政府委員 これも大へんむずかしい言葉でございますが、その選挙に関係のある事柄をきっかけとして、その人の行為の発動の原因として、こういうような意味に解せられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/140
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141・堀昌雄
○堀委員 今のあれで、私、抽象的な論議をここでしてみても始まらないと思うのですが、事前運動の問題、これとやはり非常に問題が似ていると思うのです。事前運動というものが当該選挙に関して行なわれるかどうかということにやはりなるのではないかと思う。事前運動については、この前太田さんが質問しておられるのに対しても、新井さんがお答えになっておるのは、やはり非常にむずかしいということをここで御答弁になっておるわけです。そこで私どもは、やはりある程度時期的な範囲をここで少し明らかにしておかないと、その立場々々の人が恣意的な判断でやられることになると、これは私ども、審議会で答申をされた趣旨に反してくるのではないかという感じもいたしますので、特に後援会の供応接待——あとまだ問題があるのは、一体供応とはどういうもので接待とはどういうもので、普通の飲食物の提供というのはどういうことか、これがまたやはり次に問題になってくる。
一つずつ問題がある。まず供応と接待がどう違うのか、接待の内容とは何ぞや、普通の飲食物の提供は接待であるのかないのかということをはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/141
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142・松村清之
○松村(清)政府委員 供応接待というのは、これは一つにまとめて解釈しているわけです。日常の社交において、一般的に知人や取引先その他の間において、こういう供応接待が行なわれておるわけですが、具体的に申し上げますと、供応接待の意味は、酒食の供与、映画演劇の観賞、温泉への招待等、日常社交の程度というものを越えるような、そういうものを意味しておると解釈しております。
〔島上委員「社交の程度とは何ぞや」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/142
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143・堀昌雄
○堀委員 今島上さんも触れられましたが、その次に出てくる社交の程度をまたきめなければなりません。通常の飲食の提供というものは、酒がつけば接待になり、酒がつかなければ通常の飲食の程度になる場合もあるのでしょうか、これは例外規定がうしろにくっついているのですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/143
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144・松村清之
○松村(清)政府委員 ここの案にあります一般飲食物の提供という意味には、酒というものは入らない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/144
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145・堀昌雄
○堀委員 私が申し上げておるのは、与党の方の御質問とは少し角度が違うのです。というのは、審議会では、通常の飲食物の提供を除く、こういうことは答申にはなかったわけです。なぜなかったかというと、そういう式の規定を設けることによって問題が非常にあいまいになる。今度はその通常の飲食と接待との関係がどうなるのかということが出てくるから、審議会としての論議はそのものに触れないで、ともかくも供応接待というようなことはよくないということに問題が処理されておったにもかかわらず、ここでわざわざ通常の飲食の提供ということが入ってきたために、通常の飲食というものは何ぞやということを先にきめなければならなくなる。そうすると、通常の飲食の程度というのは一体どういう程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/145
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146・松村清之
○松村(清)政府委員 大へんむずかしいのでございますが、一応現在の選挙法でも、百九十七条の二で、弁当料というものを規定してございます。これは今度百五十円以内、こうなっておりますから、一応弁当料百五十円以内、こういう程度なら、この通常の飲食物の提供、食事の提供、こういうふうになろうかと思いますが、具体的にはそのときの生活環境なり社交の程度なり土地の習慣なり、いろいろなことを判断して総合的にきめるよりほかにいたし方ないのじゃなかろうか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/146
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147・堀昌雄
○堀委員 今の後段が問題になると思うのです。生活の条件とか社交上の慣習とかということになれば、三百円だっておそらく——池田さんがライスカレーでよく会をなさる、われわれ新聞で見るとあのライスカレーは三百円か五百円のライスカレーだ、普通のライスカレーというのは、われわれの常識なら百円だ、こういうように、やはりその人の立場々々で、一つのライスカレーをとってみても、通常の食事だと片一方は思っても、そうならないということになりますから、私はこういう規定をするのならば、やはりここに金額を切るというようなことをしないところに問題がある。だからここに、通常用いられる程度の食事の提供を除くというときには、この通常用いられる食事とは一回百円以内である。今汽車弁当なら百円で食えるのですから、行川をもって限度とするとはっきり書かれておるなら、あとは百円をこえれば供応接待ということになるのでありますから、取り締まりをする方にしたところで、恣意的な判断によってあとで問題が起こることはないのじゃないか、こういうふうに私は感じるのですが、ここで一つ、少なくとも今全国の汽車弁当は、上等の弁当が百五十円、普通の弁当は百円で売っているのですから、通常の食事の提供とは一回百円までというふうに、ここで一つあなた方が統一見解を示してもらいたい。そうしておけば、あと問題はないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/147
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148・松村清之
○松村(清)政府委員 これは先ほど申しましたように、一応今度の改正案では弁当料百五十円に改正をするわけでございまして、百五十円程度ということが普通用いられる食事の提供の意義として一応判断の要素となるかと思いますが、しかし、先ほども申しましたように、これも一がいに言えないのでございまして、いろいろな事情を勘案いたしましてその程度をきめることが実情に適するのじゃないか。それははっきりと百五十円できめることも立法上できないことはございませんけれども、それではその土地のいろいろな事情に適したやり方にはならないのではなかろうか、そういうふうに思いまして、金額できちんときめることについては問題が残るのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/148
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149・堀昌雄
○堀委員 あなた方は、労務者等に対する弁当代の提供は今度百五十円にしておられるわけですね。それは地域に関係せず百五十円でしょう。そうすると、一律に切ることの適不適ということは、私は選挙に限っては問題は別だと思う。社交上の問題なら別ですよ。「当該選挙に関し」とまで、あなた方はくくってきているのですからね。「当該選挙に関し」とまでくくっておいて、そうして通常の食事の提供なら、これは選挙中における飲食物の提供と同一の線を引くのが当然じゃないですか。そうすれば当然百五十円ということになるのじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/149
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150・松村清之
○松村(清)政府委員 話がこまかくなって恐縮でございますが、今の弁当料の百五十円、現行法は百円でございますが、法律の建前では、これも基準という表現が用いてあるのでございまして、きちんと百円あるいは百五十円というわけではなく、基準という法律の立て方になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/150
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151・堀昌雄
○堀委員 それでは私譲歩しますが、百五十円を基準とすると、何もここで今法律を修正しろというのではないのですから、統一見解にしておいてもらいたい。警察庁長官に伺いますが、あなた方の立場としてみても、百五十円を基準とするとあれば、それをこえるものは供応接待だと考えられるし、それ以下は飲食物の提供で例外だということになる。あなた方は恣意的な判断を用いずして、警察官が一つの法律の客観的条件に基づいて行動ができるということになるし、またそういうことをする側の人たちも、ここまでは大丈夫だということの基準ができるのですからね。私はその方が望ましいと思いますが、あなた方の立場としてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/151
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152・新井裕
○新井政府委員 目安としては今おっしゃるようなことがございますけれども、ここで百五十円が基準であるということを言い切るだけのものを十分研究いたしておりません。おそらく金額を灘かなかったのは、今まで五十円程度で済ましておる地方があるにかかわらず、百五十円程度とすれば三倍にもしがる。かえって不経済であるというような考慮があったのじゃなかろうかと思うのであります。確かに一つの目安ではございますけれども、今の制度の建て方として、ここまでやるのは少し前進のし過ぎではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/152
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153・堀昌雄
○堀委員 そうすると、これはこういうことになると思うのです。ある地方ではあなた方は五十円が適当の地域があるとおっしゃいましたが、そういうことになると、全国的に、五十円のところというのはどこで、百円のところはどこで、百五十円のところはどこなのか、ちょっと言っていただきたいのです。そうでしょう。私が今言っていることは何も百五十円に上げなさいということを言っているわけではないのですが、どこかに線を切ってなければ、そういう恣意的な判断ができて、われわれはこの地方は五十円だと思ったなんて言われても、実はそのほかの人が百円だと思ったということになると、さっきの林さんたちのような論議が出てくるから、一ぺん、五十円の地域は大体どういう府県、百円はどういう府県、それから百五十円はどういうところか、言ってみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/153
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154・新井裕
○新井政府委員 遊興飲食税をたとえば二百円にすれば、百九十九円で売る店が出てくるというようなものでありまして、線を引けば引いただけ、またむずかしい問題が残るだろうと思います。百五十円が限度だとも必ずしも考えておりません。今御説明にありましたように、二百円のライスカレーがどうだ、こう言われて、今すぐに返答はいたしかねるのでありますけれども、一つの見当として考えておるという以外にお答えのしようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/154
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155・堀昌雄
○堀委員 そういう実態としてのお気持はわかりますが、しかしそのことが選挙法を混乱させるもとだと思うのです。「当該選挙に関し」の字句の問題は、その選挙から逆算して六カ月と、はっきり一ぺん限っておいて、そうして五カ月から選挙の間においてこれが行なわれたときは、当該選挙に関したものとみなすとか、何かどこかにはっきりした——政令で書こうと、何でもいいです。ただこういう抽象的な言葉ばかりで法律ができておるところに、片方は悪用をするし、片方は、自分たちはちゃんとしたつもりでも、取り締まられる側からは行き過ぎたことになるのは、基準がないからではないですか。だからこの基準の問題は——この問題に限らず、政治資金と選挙資金は、一体どこから選挙資金になって、どこから政治資金になるのか、公示後に出たものが選挙資金か、われわれはそうは認めませんよ。それではどこからが「当該選挙に関し」というのか、この点がまたわからなくなってくるのです。特定の日にちをあなた方がはっきり言っているわけだから、特定の日にちから前六カ月なら六カ月、こういうふうになってくると非常にはっきりしてきて、この問題の混乱は少なくなるのではないかと思う。だから、この問題については、こういう抽象的言辞でなく、時間であるとか金額であるとかは、本来的に数をもって表示をするのでなければ的確なる概念にならない。単位を取り扱う場合には、そういう単位を明らかにすることが法律として適当ではないか、こういうふうに思いますが、法務省の方どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/155
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156・竹内壽平
○竹内政府委員 堀委員のおっしゃる御趣旨はよく理解できるのでございますが、事この問題に関しましては、少し違った考えを持っております。たとえば選挙の公示よりも八カ月前におきまして、現に事前運動で裁判を受けて有罪になった例もあるのでございます。今の場合は事前運動ではございません。それを六カ月で限るということになりますと、取り締まり上いろいろな問題がありそうな気がいたすのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/156
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157・永山忠則
○永山委員 ちょっと関連して聞きたいのですが、今の「当該選挙に関し」ということで、事実上事前運動で引っぱられているのは、だれだれを次の選挙に出すためにという目的で寄った場合に、こういう事実があればやられておるわけです。現在は、悪質な犯罪でないときは六カ月が時効でありますから、六カ月以内は手をつけない。悪質の場合は一年以内ですから、今言ったように八カ月前にやった事例はあるのですが、大体短期時効六カ月、そして悪質犯一年という時効がありますから、その時効の範囲でしぼられてきているのですが、今度は時効が三年になりましたから、三年前の分でも、だれそれを目的に後援団体が動いて、こういうことに触れたときには違反になるという結果に追い込まれる。そこで今度労働組合なら労働組合で、社会党を支持するためにといっても、その社会党は一人しか候補者がない場合で、次にそれが出ることがきまっておる場合は、その人を当選さす目的でやることにも解釈できるし、後援団体ならば、後援会で会合することは、後援会の人を次に出す目的で会合しておるに違いないから、次に出すために会合したであろうということで、検察当局は違反事実があれば、これは必ずやっておるというのが現状です。ただ手をつけるかつけぬかというだけで、一応の違反として警告を発し、こうして悪質なと思うものはやる。現実にやられたものもあるわけです。
ことに要綱の六の8に「公職の候補者等は、当該選挙に関し、後援団体に対し寄附をしてはならないものとすること。」と書いてあるのですから、次になろうとする候補者のうちに寄って会合したときに、通常の御飯を出しても、候補者のうちに寄ってやったんだから次にそれを出す目的だった。寄る以上はその目的で寄るのです。また後援団体が寄る以上は、次の選挙に出そうという目的で寄る。その場合に候補者が御飯を出しても、これはそのものずばりで、候補者自身がやっておるわけです。もし家内がやれば、連座でもって候補者がやられる。すなわち家庭に後援会の人が寄った場合においては、候補者もしくは候補者の家庭で一切食事を出すこともできぬことになるわけですから、おそらく後援団体が、だれだれを次の選挙に出す目的の後援団体であるならば一切の活動を禁止するという目途からこれは出ておる。またそういう結論に解釈がとれるように与えるのですが、御意見承れたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/157
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158・松村清之
○松村(清)政府委員 いろいろお話がございましたが、時効の問題とは直接に関連はないかと思うのです。ただ、警察、検察の方がおられますが、事前運動に関しましては、立候補届出があって初めてはっきりするわけでございますから、立候補届出があった後に警察なり検察でその人を逮捕されるようなことが多いわけでございます。そういたしますと、半年の時効でございますから、半年前にはさかのぼれない、事実上そうなっておるだけでございまして、先ほど法務省の方からお話がございましたように、八カ月前でも事前運動ということが認められれば逮捕されるわけでして、時効の問題とは直接関連がないと思います。
それから、今要綱の8を特に取り出されましたが、私どもの解釈としましては、寄付の中には食事の提供は含まれない、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/158
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159・永山忠則
○永山委員 事前運動関係でも、立候補前一年をこえた場合はいいのですが、一年前にだれだれを候補にするために寄って飲食を提供した者はやられておるわけです。形式犯は大体時効が六カ月ですからやらない。ですからこれも時効に関連がないことはない。大体それによって基準線が行なわれておって、次の選挙でだれだれをやるという目的のもとに寄った場合はどうしてもかかるのです。だから時効をはずした以上は、これは無限にかかるといっても差しつかえはないわけであります。
それから、当該選挙に関して候補者が団体に寄付してはならぬということは、金だけでなしに、物も入れば飲食物も入るというのが当然の解釈ではないか。その前に供応接待には飲食は含むということがあるから、この文を援用するんだという解釈をとることは無理である。すなわち、一項設けて後援団体に対して寄付をしてはならぬということは、金の寄付だけではない。物の寄付も入る。物の寄付ということになれば、食事提供も物の寄付であるというように解釈するのが正しい解釈ではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/159
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160・堀昌雄
○堀委員 竹内さんのお答えで、私そういう事実を知りませんから、私が六カ月と言ったのは、何もコンクリートに六カ月と限ったのじゃない。一年でもいいのです。とにかくどこかに線を引いておいた方が取り締まりの側も楽だろうし、やる方も一年以内そういうことしてはいかぬとわかっていたらやらない。ところが「当該選挙に関し」ということになっているものだから、やる方は六カ月くらい前ならまだ大丈夫と思ってやる。片一方はそうじゃないんだというようなことになって、やはり基準がどこかで少しはっきりしていないと、非常にここでいろいろな混乱があるのじゃないかというのです。さっきの金額も、今新井さんが、百五十円は高過ぎる——私も百五十円は高いと思うのです。百円でいいだろうと思うのです。しかし五十円ということになると困るので、そこらは常識の範囲ということにしなければならぬと思いますが、これは何らかやはりそういうことになっておった方が、国民としても、選挙運動に携わる者にしても理解しやすい。というのは、こういう表現になっておりますと、良心的というか、そういう人は非常に厳密にこれを解釈します。何かやることがこわいということになって、非常に厳密に解釈する。横着な人はこれを最大限に自分身勝手に解釈するというようなことが、今日の選挙の公明化を妨げておる一つの要素になっているのじゃないか。たまたまこれを例に出しただけですが、この選挙法、これを一貫して流れる問題として、今後法務省、警察庁、自治省は、何らかこれに対する時期的な統一的見解、参議院選挙の全国区については大体どのくらいだとか、地方区の選挙についてはどのぐらいとか、衆議院選挙についてはこれはわからないので、参議院なんかとは違ってくると思いますから、範囲が多少短かくなってもやむを得ないだろうと思いますが、おのおののケース・バイ・ケースで結局はこの問題は考えなければならないことなんですね。だから何らか私は概念規定のようなもので——この金銭とか時間とかいうことでは、われわれが日常使うときに、率直に言ってこれは抽象的に使えないですよ。国会答弁でいつも私非常に感心するのはいろいろという言葉を非常に皆さん使うのです。いろいろというのは、一番国会答弁のくせ者だと思う。いろいろということは、要するに量を表わさない抽象的ばく然概念ですね。これは逃げるのに一番もってこいだ。だから、こういうことでは私はいけないじゃないかと思う。国民はいろいろなんて言われたって何のことだかさっぱりわからないですから、その点は十分考えていただきたいと思います。
時間がたちますからその次へ参りますが、この会議録を読んでおりまして、どうも松村さんが大へんな御答弁をしていらっしゃるので、ちょっとこれを伺っておきたいのですけれども、事前の演説会の問題の中で、永山委員が四月十三日にお尋ねになったときに、「もちろん、この演説会のやり方いかんで金がたくさんもかかれば、もっと少なくても済むと思います。しかし、これはやはりある程度のものというふうに考えて私どもは計算したわけですが、演説会と申しますと、何か大々的な演説会を開いて聴衆に選挙運動としての演説をして訴えるというふうにとられがちでございますが、たとえば、いろいろな会合の席を利用いたしましてその席へたまたま出席いたしまして、自分は今度の選挙に立候補するからよろしく頼むということを言えるようにしたい、こういう考えで作ったのであります。」かように速記録にあるのですが、これはこの通りでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/160
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161・松村清之
○松村(清)政府委員 大体この事前運動の演説会のそもそもの発端といたしまして、私の関しておる限りにおきましては、公示前のいろいろな会合において——また、いろいろを使いますが、ほんとうに県人会とかクラス会とかその他いろいろな会合において、今度立候補しようと思っても、何も言えないわけなんです。それでこういうことは、およそ人情といいますか、風俗等の点から見て不自然じゃなかろうか、こういうところから、この辺からやはりはずしていく必要があるのじゃないか、こういう意味が非常にあったわけです。それとともに、言論文書というものはできるだけ自由がいいんじゃないか、こういう意味もあって、この事前運動としての演説会というものが、今日議題に上ったように私は考えているわけです。その全貌を私はこの間強く申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/161
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162・堀昌雄
○堀委員 これはしかし、私は経緯はその委員会におりませんからわかりませんでしたが、問題のある点だと思う。ということは、演説会として会場を借りて、ビラを張ってということになれば、だれもが客観的に演説会があることを認定できますね。これは当然届けなければならないということになってくると思います。ところが同窓会へ行く、クラス会へ行く、何かの会へ行くというときに、これは本来ならば事前に届けなければならぬことになっておりますが、事前に届けて、そこへ行ってあいさつをしますということが事実行われるかどうか。これがもし事前に届けてやらなければ、この場合には当然事前運動で処罰されるでしょう。これは警察庁に伺いますが、あなた方はこれで取り締まれますか。今の松村さんの答弁のように、クラス会へ行く、同窓会へ行く、そこへ行ってさっとあいさつをする、しかし実は届けてないでしょう。二日前か何日か前に届けなければならぬ規定がありますが、どこどこで演説会をするというならおかるけれども、同窓会へ行くのを届けるとは思いませんので、法律の文面ではこういうふうに私は理解ができないのですよ。それで取り締まりがどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/162
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163・新井裕
○新井政府委員 どういう意味でおっしゃったのかちょっとわかりかねるのでありますけれども、選挙局長の答弁した趣旨は、そういうものを届ければ堂々とできるからいいのだ、こういうふうに答弁したのだと思います。ところが今、堀委員のおっしゃるのは、そういうのをもぐりでやったらどうかというのですから、どうも選挙局長の答弁と関連なく、悪いことでありまして、これは法律をどうきめようとも、そういう無届けで事前運動をすれば、百二十九条違反になる。それがわかるかわからぬか、それは閉鎖した社会におけるできごとというのは非常にわかりにくいということは、御指摘の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/163
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164・堀昌雄
○堀委員 そこで私は、演説会というものの概念、これをやはりここではっきりしておいていただきたいと思う。私は、法律に書かれた「演説会」というのは、よもやこんなことだとは思っていなかったのです。やはり会場をきちんとして、そこへちゃんとポスターも張って、何月何日からどこどこの会場で個人演説会をいたします、そして入口にはだれだれの個人演説会場と張り出してあるものを、われわれ社会通念上事前個人演説会だと思っておったのですが、あなたの、そういうこともいいのだということは、私この記録を読むまでこの法律でこんなことができると夢にも思わなかった。だから、この問題だけはやめてもらいたいと思うのですが、今の法律にあることは、松村さんの言われた、さっき私が読んだようたおそれも含むと通常解釈するのかどうかですね。法務省側の見解を伺ってお寺ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/164
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165・竹内壽平
○竹内政府委員 この部分は、自治省の方で十分御検討なさって作られた法律でございますから、先ほど選挙局長が仰せになりましたように、一定のワク内で言論だけは事前運動を合法化していこうというお考えで、しかしそれは回数、経費は全部加算になるのだというようなことからお作りになったということでございまして、これも立法政策の問題でございますから、私の方から申し上げる筋合いでございませんからが、取り締まりにつきましては警察庁刑事局上長が述べられましたように、捜査はなかかかむずかしいだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/165
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166・堀昌雄
○堀委員 私は今おっしゃったのは個人演説会ではなくて、今のクラス会等におけるものは、あいさつ行為だと思うのですがね。あいさつ行為は明らかにこれは投票依頼いいますか、そういう格好で、言論の自由とはやや趣を異にしているのではないか。だから審議会の答申の線は、やはり明らかに言論の自由はできるだけ事前にも認めようじゃないかというのが基本線であって、あいさつ行為を認めようということではなかったのではないか。私はそのときのその審議の経過は知りませんからわかりませんが、この点は自治省としては撤回していだたいた方が、今後に間違いがないのではないか、これがもしあって、こういうことができるのだということになると、これは費用がかからないのですよ。費用がかかれば届出ということが非常にはっきりしてきましょうね。ところが同窓会へ行って、自分がめしを食うだけ出すわけですから、会場費も要らなければ、何も要らない。そうしてともかくそこで、よろしく頼む、こういうことを言っただけで、それがはたして言論の自由で、事前運動の個人演説だという飛躍は、私はちょっと問題があると思う。この点は一つ、これは何も法律に出ているのではないのですから、あなたが国会で答弁されただけのことですから、じっくりお考えを願って、最終的な国会審議のときにもう一ぺん私がお尋ねしますから、そのときにお答えをいただけばけっこうだと思います。
それから、今ちょっと事前運動のことについて出ましたから、もう一つ伺っておきますが、二百一条の三第六項で、「第一項の規定により一の公職の立候補予定者として届け出た者は、同時に、他の公職の立候補予定者として届け出ることができない。」こうありますね。これは衆議院、参議院の選挙に大体限られておるようでありますが、この場合どういうことになりましょうか。まず先に、参議院なら参議院の立候補予定者として届け出てやりますね。ところがたまたま市長選挙が、市長が死んだかして、突然目の前に起こった。そうするとこの人は、参議院の予定者として届けておったけれども、参議院の方には立候補しないで、その市長選挙あるいは知事選挙、そういうものに立候補した、この場合はこの問題はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/166
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167・松村清之
○松村(清)政府委員 これは事前運動の演説会のところの問題でございますが、立候補予定著として届け出るだけでございますから、ほかの選挙に立候補しても別に差しつかえないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/167
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168・堀昌雄
○堀委員 この立候補届出以前の演説会の特例というものは、衆議院と参議院の選挙に限られておりますね。そうすると、私が今申したのは、なるほど選挙としては参議院なら参議院の事前運動としてやっていますね。しかしこれは、私はたまたまなくなったとかなんとかいう、きわめて自然な場合の例を出したのですが、逆の場合もあり得るだろうと思います。次の知事選挙に一つ出てやろう、そのときに、約一年半前から次の参議院地方区に出ますといって事前運動をしっかりやっている、事前演説会をやっている、そしてそれには出ないで、知事選挙に出る。同じですよ。参議院地方区という範囲で事前の演説会をやっていいて、ビラを配り、ポスターを張っておいて、そして知事選挙に出る、これは取り締まれないのですね、この法律では。いいのですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/168
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169・松村清之
○松村(清)政府委員 これは国の選挙というものだけに限っておりますから、その場合は取り締まることができてません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/169
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170・堀昌雄
○堀委員 そうすると、これは、別に私は抜け穴を探して言っているのではないのですけれども、そういうことは公平を欠くと思うのです。これは今の選挙区より外へ広がる場合は、地方区のあれにはないと思いますが、衆議院の選挙区の範囲内で夢前運動をやっておいて、それで知事に出るというなら全部の範囲にかかりませんから問題ないと思いますが、少なくとも、逆に大きい範囲へ網をかけて、小さい範囲の地方選挙に出てくる分については規制をする必要があるのではないかと思う。ものの考え方としては。衆議院、参議院に限って認めているのであって、ほかの選挙のことをあなた方は予想してなかったのではないかと思うのです。私はこの法律が通ったら、必ずそういうことが起こると思います。なかなか選挙というものはウの目タカの目で何かうまい方法がないかと考えておられるわけですから、この点については何らかの規制を、どこかでするような必要があると思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/170
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171・松村清之
○松村(清)政府委員 これにつきましては、知事選挙まで含めて、国の選挙とあわせ規制の対象にするかどうかという問題もあろうかと思いますが、選挙制度審議会の答申で、国の選挙とありましたので、これに限ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/171
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172・堀昌雄
○堀委員 私の伺ったようなことは、予測して検討されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/172
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173・松村清之
○松村(清)政府委員 この法律作成の過程におきましては、何分にも新しい制度なものでございますから、そういう点を検討は一応いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/173
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174・堀昌雄
○堀委員 そうすると、そういうことはあっても違法ではないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/174
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175・松村清之
○松村(清)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/175
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176・堀昌雄
○堀委員 少し今度は具体的な問題から伺っておきたいと存じますが、百四十一条の第三項で「第一項の自動車は、町村の議会の議員及び長の選挙以外の選挙にあっては政令で定める乗用の自動車」と、こうありますね。この政令の内容は一体どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/176
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177・松村清之
○松村(清)政府委員 現在政令については検討中でございますが、こういう観点から規定をいたしたいと思っております。それはこの法律の趣旨がまず乗用車であるということ、それから、たとい乗用車であっても、たとえばオープンカーのように、そこへ立つとトラックの上に立つと同じような、そういうことではこの趣旨が生かされませんから、乗用車であるということと、それからそういうふうにオーブンでないということ、こういう観点からきめたいと思います。従って、たとえばジープというようなものがございますが、ジープについては、ほろがついているものとか、あるいはワクがついているようなもの、こういうものはかまわない。しかし乗用車でもオープンカーはいけない、こういうようなきめ方をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/177
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178・堀昌雄
○堀委員 ちょっと今のお話わからないのですが、ジープのほろがついているのはよくて、乗用車のほろのついているのは悪いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/178
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179・松村清之
○松村(清)政府委員 ジープというのは、これはきちんとワクのかかったのもございますが、ほろつきというのが多いわけでございます。それできちんとほろでおおってある、その状態で使う場合には、これは認めていいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/179
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180・堀昌雄
○堀委員 そうすると、どうもおかしいのです。要するにあなたの今のおっしゃる概念は、上へこうかぶさるかどうかということなんでしょう。オープンカーだって、普通はオープンカーで走っているのではなくて、屋根をかぶせて走っている。ジープにももちろん、横が何かかたい金属や板できちんとこうなって、上もきちんとこうなっているのがあるかもしれませんが、普通一般の、そこらを走っているジープというのは、あれはオープンカーなんですよ。やっぱり本来的にジープもオープンカーですよ。そのオーブンという点については、これは同じじゃないかと思うのです。だからそこは一つ概念を統一しておいてもらわないと、参議院の選挙を目の前に控えていることですから、これは法律が通るという前提ですから、それはいろいろ頭を悩ましておるだろうと思いますから、その点は一つはっきりしてもらいたいのです。だからオープンカーというのではなくて、要するに有蓋の乗用車ならよろしいということで、その有蓋だということは、金属であろうと、木であろうと、キャンバスであろうと、それが有蓋なのかどうかということでないと、今の、ジープはほろでもいいのだということになると、ジープだって上ははずれるわけですから、はずしたものは認めない、それなら同じようにオープンカーだってはずしたものは認めない、屋根がかかっているものはよろしいと、こういうことになるのじゃないかと思いますが、そこのところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/180
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181・松村清之
○松村(清)政府委員 これにつきましては、二、三年前から、実はこの特別委員会におきましても、具体的に自動車の種類について検討したことがあるわけであります。その過程にかんがみまして、乗用車のオープンというものは非常に少ないわけですが、ジープのほろ付というものはきわめて多いわけで、そういうような実際の点を考えまして、当時の事情によりますと、私が今申し上げたような範囲をあげて、規定の対象にした過去においての事実があるわけでございますから・その当時はもうこの委員会でお話がおまとまりになったことでございますので、そういう点を考えまして、理屈でなくて、そういう事実を尊重して規定することが現状に適するのではなかろうか、それでそういうふうな線で今考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/181
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182・堀昌雄
○堀委員 私は、やはり法律である以上は、一つの概念がはっきりすることが前提じゃないかと思います。車の数が多いとか少ないとかはその次の問題で、概念として、要するに車の上に何かおおいがあって、それが取りはずしができても、はずしてある場合は違反だ。これがこうかぶさっている場合は有蓋であるという前提があるならば、それは乗用者で有蓋である、ジーブで有蓋であるというのなら、同一の取り扱いをするのが、私は法律なり政令なりの建前じゃないかと思いますから、この前にどういう御議論があったか私もよく知りません。ただ多少私が知っている範囲では、ほろを上げるだろう、上げれば、どっちにしたって違反なんですからね。有蓋の乗用車ということになれば、それはほろがあるという前提で、乗用者ということになるんじゃないか。あまりそういう概念がちぐはぐなような政令なり法律は、私は望しくないと思います。だからやめるのなら両方をやめる、やるのならそういうことでやるということ。それからもう一つ、その点で私どもいろいろ聞かれたのは、そういうことになると、プラスチックかなにかで、中に乗っておったら外からまる見えになるようなものをまた作るだろう。こういうようなことになるから、これは普通の市販でなく特別製のものを作らせるというようなことになると、本来の趣旨に反しますから、そういう点は配慮をしておいていただきたいと思います。
それからもう一つ、政治活動の自動車というのがありますね。この政治活動の自動車は規制がないのです。政令で定めるとか、何もないのですが、これはそのままでいくと、道路交通法、三十五年法律第百五号の二条の九の原動機付自動車になってしまうと思うのです。これは乗用車とかトラックとかの区別ということではなくなると思うので、この点はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/182
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183・松村清之
○松村(清)政府委員 政治活動用の自動車につきましては、今回は別に規制をしなくて、従来通りの概念であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/183
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184・福永一臣
○福永(一)委員 関連して選挙局長にちょっとお伺いしますが、選挙用の自動車ですね、あれは馬力はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/184
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185・松村清之
○松村(清)政府委員 これは政令の作成のときにきちんときめなければならないと思いますが、今手元に案として持っておりますのには、定員十人以下の乗用自動車ということで、定員十人以下でございますから、それらの点から馬力がおのずから制限されるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/185
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186・福永一臣
○福永(一)委員 同じジープでも何ccといって馬力の強いやっと弱いやつがあるのですよ。それで同じジープでもわずかな、何十ccくらいのところでとがめられる場合が実際にあったのです。たとえば具体的には、トヨタ自動車の製造にかかるジープというものは馬力が強い、アメリカのウイスルは馬力が弱かったから見のがされた、こういうことがあったのですが、今度はそんなけちなことを言わずに、少し広範囲に、十人くらい乗れば相当な馬力だと思いますが、その点はあまり窮屈にしないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/186
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187・松村清之
○松村(清)政府委員 今のジープの点に関しましては、これも私どもだけの役所の案で、いずれ取り締まり当局、運輸当局と相談してきめたいと思いますが、これはジープのことを法律で四輪駆動式の自動車と、非常にわかりにくいのですが、車両の重量二トン以下のもの、大体こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/187
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188・福永一臣
○福永(一)委員 何十cc、百何十ccとかで、ちゃんとワクがきめられてあるはずですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/188
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189・松村清之
○松村(清)政府委員 現在国産のジープではトヨタが一・六トン、日産が一・七トン、新三菱が一・四トン、こういう重量になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/189
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190・福永一臣
○福永(一)委員 重量ばかりではなくて、 エンジンのキャパシティですね、この制限があったでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/190
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191・松村清之
○松村(清)政府委員 馬力につきましては、別に制限というものは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/191
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192・福永一臣
○福永(一)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/192
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193・堀昌雄
○堀委員 今またちょっとおもしろいことを伺ったのですが、乗用車で十人ですか、十人というのは、われわれあまり寡聞にして聞いたことがないのですが、常識的には、大型の乗用車というのが六人か七人くらいじゃないかと思うのです。このころ何かちょっと長細い乗用車らしきスタイルで荷物も運搬するし、うしろをを倒すと、いすになって八人なり九人なり乗れるものがある。こういうことになってくると、本来あれは貨物自動車だとわれわれは思っておるのですが、そこらのところが非常にあいまいになりますが、今の十人以内というのはどういうことか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/193
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194・松村清之
○松村(清)政府委員 これは道路運送法施行規則の第一条の第二項第三号に乗用自動車の定義がしてあるわけでございます。それに「乗車定員十人以下云々とあるわけでございまして、結局これはバスのようなものははずれるわけでありますが、座席がうしろに二列くらいになったものも乗用車であると私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/194
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195・堀昌雄
○堀委員 それから、少しこまかいことですが、答申の精神にちょっとどうかと思われるのが一つあります。四十六条で、「選挙人は、投票所において、投票用紙に当該選挙の公職の候補者一人の氏名を自書して、これを投票箱に入れなければならない。」今度こういう直し方がしてあるわけですね。これまではどうなっておったかというと、「選挙人は、投票所において、投票用紙に自ら当該選挙の公職の候補者一人の氏名を記載して、これを投票箱に入れなければならない。」こうあるのです。一体この「自書して」ということに直した意味ですね。「自ら当該選挙の公職の候補者一人の氏名を記載して、」ずっとこの方が私はよくわかると思う。なぜこれを「自書して」なんというむずかしいことに直したのですか。この前審議会では、なるたけ法律はわかりよく、簡素化してもらいたいという答申なんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/195
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196・松村清之
○松村(清)政府委員 これは、私今聞いたのでございますが、ほんとうに事務的な意味で整理したようでございまして、自書という言葉の方が狭い、そして自書という言葉がほかの条文にありますので、それと調子を合わせる、こういうことで直したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/196
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197・堀昌雄
○堀委員 みずから記載するより、自書というのは狭いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/197
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198・松村清之
○松村(清)政府委員 従来はそう解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/198
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199・堀昌雄
○堀委員 ちょっと法務省、これは法制局がほんとうかもしれませんが、「投票用紙に自ら当該選挙の公職の候補者一人の氏名を記載して」とあったのを、「投票用紙に当該選挙の公職の候補者一人の氏名を自書して」というふうに直してある。そして「自書して」というのは、みずから記載するよりは範囲が狭いというお答えなんですが、法務省でもそういう解釈があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/199
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200・松村清之
○松村(清)政府委員 先ほどの条文を少し補足したいと思うのですが、六十八条に「左の投票は、無効とする。」という条文があるわけなんです。そこの第六号の「公職の候補者の氏名を自書しないもの」は無効とする、この字句に合わしただけで、何の意味もなくて事務的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/200
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201・堀昌雄
○堀委員 それなら逆ですね。その「自書」という方を、みずから記載をするというふうに直すべきじゃないですか。私はさっきから言葉のことに非常にこだわりますが、自書というのは、やはり自分の名前を書く場合のことを自書するというふうに言う場合が多くて、どうもちょっとこれは適切でない。これは事務的なことであげ足をとっているようで悪いですけれども、しかし私が言うのは、法律をもっとわかりやすくということです。これは大体非常にわかりやすく書いてある。それをかえってむずかしくするのでは、私は審議会の答申——いろいろな席上へおいでになっていたからわかったと思いますが、むずかしいからわかりやすくしてくれと言っているのに、これはむずかしくなっているので、こういう点はちょっと困る。今さらあなた方も修正できないでしょうが、次に修正するときは、逆にみんなひっくり返してもらいたいということです。
それから、その次は八十六条第四項、政党の証明書の問題ですが、証明書を出すだけでなくて、「並びに政令で定める文書を添えなければならない。」こういうようにあるが、一体何を政令で定められるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/201
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202・松村清之
○松村(清)政府委員 これは現行施行令第八十八条に、「法律によって当該公職と兼ねることのできない職に在る者についてはその職名」ということが書いてありますが、そのことがこれに当てはまるわけで、将来また必要な書類がありましたならば、この政令で書く、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/202
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203・堀昌雄
○堀委員 その次に、同じ条の五項になるのですが、地方公共団体の議会の長の立候補辞退ですが、これまでは「候補者たることを辞した」ときはというふうになっておるのが、今度は「候補者たることを辞したものとみなされた」ときは、こういうように書き直されておるのですね。これは一体どういう意味ですか。辞したときという方がはっきりしているが、「みなされた」ということをつけ加えなければならぬ積極的な理由があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/203
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204・松村清之
○松村(清)政府委員 これは今度の改正によりまして、立候補の辞退が立候補の届出期間内でなければできないから、こういうようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/204
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205・堀昌雄
○堀委員 ちょっともう一ぺん言って下さい。どういう場合にみなされるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/205
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206・松村清之
○松村(清)政府委員 これはさき申しました改正の結果、立候補者が公務員になった場合に、立候補を辞退したものとみなされる、この一つが今度残ることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/206
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207・堀昌雄
○堀委員 次、百三十六条の二ですね。「次の各号の一に該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。」とありますが、「その地位」というのは、公務員でありますから、公務員としての地位と解すべきだと思いますが、この点をはっきりさせておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/207
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208・松村清之
○松村(清)政府委員 これは御説のように、公務員としての地位でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/208
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209・堀昌雄
○堀委員 ちょっとこれに関係があるのですが、二百三十九条の二で、「職務上の旅行」という言葉があります。この「職務上の旅行」という「職務」というのも、やはり公務員としての職務と限定して理解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/209
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210・松村清之
○松村(清)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/210
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211・堀昌雄
○堀委員 二百五十一条の三、「指示又は要請を受けたもの」というのがありますね。この「指示又は要請」というのは、具体的にはどういうことに該当しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/211
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212・松村清之
○松村(清)政府委員 これは公務員としての組織の中にあるものでございますから、「指示」といえば、上の者から下の者へ指示する、こういうことです。「要請」といいますのは、その上下の関係よりももっと広い意味で、そういうことを頼む、依頼するということと同じように考えても差しつかえないのではないかと思いいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/212
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213・堀昌雄
○堀委員 そうすると、これはおおむね上から下へということに理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/213
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214・松村清之
○松村(清)政府委員 これは横の関係もあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/214
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215・堀昌雄
○堀委員 横の関係とは、公務員の職務上、同等の職という意味の横ということ、要するに私が言うのは、官職の低い者は上には影響力がないだろう、私は公務員として当然そうだと思うのです。そこをちょっとはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/215
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216・松村清之
○松村(清)政府委員 この「要請」という言葉は、先ほど申しましたように、もっと広い意味で依頼と申しますか、そういうような意味で、下から上へお願いするというような場合も、これに含まれてくると法律的には解せられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/216
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217・堀昌雄
○堀委員 そうすると、下から上へという場合は、具体的には、これはどういうふうにして行なわれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/217
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218・松村清之
○松村(清)政府委員 具体的には局長から次官へ頼む、こういうことをやはり「要請」——これは下から上への依頼だと解せられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/218
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219・堀昌雄
○堀委員 そうすると、そういう要請は、比較的個々に行なわれるものというふうに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/219
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220・松村清之
○松村(清)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/220
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221・堀昌雄
○堀委員 それから、これは法律にないのですが、答申では、選挙用の無料はがきが譲渡されることがないように何か処理をしてもらいたいということがある。法律の中には一つもないですね。これはどこかありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/221
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222・松村清之
○松村(清)政府委員 これは政令で定めるということに法律の中でしておりまして、政令で郵政省と十分打ち合わせた結果を書こうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/222
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223・堀昌雄
○堀委員 ポスターの検印が今後は、これで読むと、証紙の交付をもってかえ得る、こういうことになると思いますが、そうするとこれもやはりこの部分は政令等についてのいろいろなあれがないのですが、ポスターの検印なら、持っていって判を押すのだからまだいいですが、証紙をぼっと渡して張れということになると、証紙の横流しが非常に簡単にできるようになると思いますが、その点については何らか配慮をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/223
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224・松村清之
○松村(清)政府委員 これは現行法にそういった関係の譲渡禁止、これは罰則だけでございますが、今はがきのような特別な措置というものは考えておりません。ただ実際上、私どもは今参議院の全国の場合だけこの証紙というものを考えたいと思っておりますが、その証紙に一、二、三とか百三十とかいうような番号を打ちまして、その一の番号のものはどこへ、こういうふうに考えておりますから、これが不正譲渡防止の措置になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/224
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225・堀昌雄
○堀委員 百五十四条で「立会演説会においては、当該選挙における公職の候補者がその選挙運動のための演説を行なうものとし、」こういうことになっていますね。これまでの「演説を行うものとし」が「その選挙運動のための演説を行なうものとし」こういうふうに改正されておりますが、その趣旨はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/225
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226・松村清之
○松村(清)政府委員 これは特に意味があるわけではないのでございますが、この法律を整理する際に明確にしておきたいと思いまして、「選挙運動のための演説」、こういうふうに明確にしただけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/226
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227・堀昌雄
○堀委員 明確にしただけということだと、私ちょっと納得ができないのですが、こう書いた以上、——これからは比較的郵便による届出はできないとか、あるいは供託金が上がりましたから、泡沫候補というものはなくなると思いますけれども、これまではよく自分の選挙演説をやらなくて、立会演説会で、ある特定の候補者の応援演説をやっておるようなことがしばしばあるのですね。そうすると、これなら選挙運動のための演説を行なわなければ、これはともかくやめてもらうということになっていいのじゃないかというふうに、私は積極的に解釈をしたのですけれども、そこはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/227
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228・松村清之
○松村(清)政府委員 この現行法百五十四条の改正でございますが、これは、先ほどの明確にしたという意味は、たとえば立会演説会でございますが、従来ほんのわずかな例でございますが、ある候補者が自分の選集運動のための演説はちっともやらないで、他の人の選挙演説をやるという例がありましたので、特に明確にしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/228
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229・堀昌雄
○堀委員 第百六十四条の九で、街頭演説の場所の確保ということが今度新しく法律になりました。これは地方自治体に対して一つの責任を課すことになりますが、具体的にはこれはどういうことをさすのか、ちょっと承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/229
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230・松村清之
○松村(清)政府委員 これは特に市部において、街頭演説の場所を候補者によって確保されることの困難な地域について、とりあえず考えていきたいと思うのでございますが、たとえば場所を選挙管理委員会で確保しておきまして——もちろん場所を確保するには、交通その他の点から関係の役所と打ち合わせた七でやるわけでございますが、そこで最小限度街頭演説の場所という掲示をいたしまして、できるならば演壇等も設けることが望ましいと思いますが、これは予算額を千円と考えておりますので、なかなか困難な点もあろうかと思いますが、最小限度は一つ街頭演説の場所ということを明示する何らかの掲示をいたしまして、そこでは交通あるいは人の往来等にじゃまをされないで、候補者が自由にその場所で演説をできるようにする、そういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/230
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231・堀昌雄
○堀委員 次に、百九十四条で選挙運動に関する支出金額の制限がありますが、あげてこれは政令にまかせてありますね。そこで一体今皆さんの方では政令は大体どのような基準で考えておられるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/231
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232・松村清之
○松村(清)政府委員 これは衆議院の選挙に関しましては、実は今度の法律で立候補前の演説会の費用も含めて法定費として作ることになっております。これは選挙区によっていろいろ違いますが、全国平均といたしまして二百八十万円——現在は八十万円でございますが、二百八十万円と計算をいたしております。ついでに参議院も申し上げますと、参議院の地方区は大体四百万円、全国区で八百万円、そういう程度に今のところ計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/232
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233・堀昌雄
○堀委員 ここでは政令で定める額というのは、二つ出ておりますね。要するに固有なものと、人口等によるところの関係でかけ算か何かしたものを足すことになると思うのですが、ここでちょっと矛盾が出てくると思うのは、計算方法がどうかという点です。これは分け方によりますけれども、今のところは、都会地の方が人口稠密だからたくさん選挙費用が出て、地方の方が人口が稀薄だから選挙費用が少なくなる、現実には地方の方は何泊もしなければ動けない、東京とか部会地は泊まる必要がなくて終日どこへでも行けるというところがある、こういうふうに実態上逆になっておる面があるのじゃないかと思うのですね。そこで今おっしゃった二百八十万円平均という問題が一つありますけれども、ものの考え方は、一体固定する部分の力が大きくなるのか、人口按分といいますか、そういう関係のものの方が大きくなるのかによってものの性質が変わってくると思う。これの半分以上が固定をされてくるということになるならば、人口の影響は少なくなるのですね。ところがその固定した部分が非常に少なくなれば、人口の影響が大きくなる、こういうことになると思うのですが、ものの考え方としてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/233
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234・松村清之
○松村(清)政府委員 これはお説のように、私どもも、有権者数に応じて法定費が上下することについては、非常な不合理を感じております。選挙の費用というものは、有権者数が多かろうが少なかろうが、その固定した部分が非常に多いのじゃないか。お話しのように現実は、都会地が法定費用が多くて、いなかの方が少なくなっておりましょうが、むしろ金の方ではある意味ではいなかの力が多くかかるのではないか。そういうふうになっておりますので、この機会に平均額の半分というものを固定費にして、半分を従来同様有権者数にスライドする。それから先ほど申しました立候補届出前の演説会も、これは全部固定費にしてしまう。それで衆議院について今二百八十万円と申し上げましたが、このうち固定費が百八十万円となりまして、あとの百万円が有権者数でスライドするわけで、現行の建前にこれを直しますと、有権者を議長定数で割ったものに単価九円をかけるということになります。従って半分を固定費、事前の演説会費は固定費、こういう考え方で計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/234
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235・堀昌雄
○堀委員 そうすると、皆さんは事前演説会を含めてというふうにお考えになって、事前演説会が自問であるということが一つの基準になっておるということですが、もし何らかの都合によってこの事前演説会の回数が減ってくるということになると、この総額は減るというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/235
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236・松村清之
○松村(清)政府委員 これは事前の演説会費と選挙運動期間中の法定費というものを、この原案では合わせて一つの法定費と考えておりまして、その間の金の融通というものはどちらへ使ってもいい、事前運動に使う金が残れば選挙運動期間中に使ってもいいし、その逆であってもいい、こういう考え方で法律を作っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/236
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237・堀昌雄
○堀委員 私、今の金額を伺って、われわれとしてはこれは大幅に引き上げられたという感じが実はいたします。与党の方からはそういう感じはないかもしれませんが。もちろん今いろいろと不当な事実がたくさん出ておるということで、審議会としていろいろ御意見があって延ばすことになったので、金額はどうかわかりませんけれども、ただ私どもはこの費用がここまできたときに、さっきからちょっとお話も出ておりましたが、あとで支出等の領収書の写しが困難なときには、出納責任者が一括して書いて写しを出せるという項がありますが、これがまた非常な抜け穴になのではないか。とにかくわからないものは一括して出納責任者でやってしまうということになれば、わからないのかそうでない使途なのか、実は問題が残ってくるのじゃないか。そうすると、その場合には、出納責任者がそういうことのできるワクは、全部の選挙費用のうちの大体どの程度だ、またこれは問題は金額ですから、何らかの目安がないと有名無実になりはしないか。要するに領収書を添付しなさいといっても、債権者ごとに一括でよいことになっているし、それが一つ二つ出て、あとはわかりませんということで、出納責任者が全部残りをさっと書いて出してくることも、私は現行法では可能じゃないかと思いますが、ここらの関連は大体こういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/237
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238・松村清之
○松村(清)政府委員 これも先ほどからいろいろ御議論が出ておりますが、領収書を徴しがたいという場合は、そのときそのときの事情でいろいろあろうと思うのでございまして、なかなか幾らの範囲内ということもきめがたいのじゃなかろうかと思います。そういうふうに考えまして、別に制限額というものを置いていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/238
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239・堀昌雄
○堀委員 私きょう申し上げた中で一番肝心な問題は、これはあとで少し御検討いただきたいけれども、いろんな問題が抽象的になっておる分については、ある程度何らかのところで金額なり時間の問題は統一的な見解があることが望ましいということが一つ。それから、さっき一つお話が出ておりまして、私非常に重大な問題だと思いますのは、竹内刑事局長もお答えいただいて、私も同感なんですが、選挙制度審議会では運動員の方に費用を出すという点については強い反対が実はあるわけでして、運動員と労務者、事務員がダブった場合の判定ということが、これまた困難な問題になるというふうに考えられるわけです。私はやはり審議会の意向というものは、運動員は運動員として、労務者は労務者として雇ってもらいたい、要するに労務者や事務員というものは主として運動する者ではない、職務によってやるという原則で一つものを考えてもらいたい、大体こういう意向であったようにわれわれは考えておりますので、その点についてはさっきの御答弁で私かなり十分だとは思いますけれども、審議会の意向はそこにあったという点を一つ十分お含みを願って、それでは今度はどういうふうに統一見解にするかという点については、先ほどの御答弁のあの範囲というものを一つ明確にしていただきたいことを私は要望いたしておきたい、かように思いますので、その点をお含み願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/239
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240・畑和
○畑委員 関連して。一点だけ敷衍して聞いておきたいのです。公務員の地位利用、この点では堀委員からの質問に対して、あくまで公務員のいるその地位を利用するのがいかぬということで、これはわかった。そうなるとさらに聞きたいのは、労働組合のいろいろな役職がございます。組合の委員長、書記長あるいは支部長、それから末端の支部の役員といった役職員がありますが、そういった人たちが労働組合の役員の立場で選挙運動をやることは、まあ一般の例の制限はありますが、そのことは別として、この規定に触れないかどうか、はっきり答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/240
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241・松村清之
○松村(清)政府委員 これは一人の人間が組合員としての地位と公務員としての地位というものを兼ねておりますから、具体的の場合の状況でいろいろ出てくると思いますが、純粋に組合員として終始動くということならば、別にこれとは無関係のことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/241
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242・畑和
○畑委員 その辺が、理論的にはわかるのです、その地位を利用していろいろ選挙運動をやることはいけないことなんで、従って高級公務員の場合にむしろ立候補させないことがいいというのが、答申の線であったわけです。それがやめられた。そのかわり、公務員が地位を利用してやる選挙運動はいかぬということにしようということになったのが、この政府案ですが、そうなると、地位の利用とは何かということで、公務員の全部がその地位を利用しているということになってくるわけです。そういたしますと、お宅の方の考え方は、ともかくその公務員としての地位、それを利用することがいけないということだとすれば、今言った労働組合の役員の場合は、二つの地位を兼ねることになるけれども、あくまでも労働組合の役員としてやる選挙運動だとすればかからない、こういうことでいいわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/242
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243・松村清之
○松村(清)政府委員 まあ理論的にはそれでいいわけでございますが、繰り返すようでございますが、実際の場合の行動を見まして、それが組合員としての地位なのか、公務員としての地位なのか、その辺の判別ということは残ると思いますが、理論的には仰せの通りでいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/243
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244・畑和
○畑委員 そこでいろいろ問題になるのです。今度は警察の取り締まりの関係にもなると思うのですが、これを乱用されては因る。今の選挙局長の話では、理論的に一応はっきり割り切っている。割り切っているけれども、ただ、たまたま労働組合の役員の地位が、同時に公務員のある地位でもあるわけです。あとの公務員という方に重点が置かれると、えらい迷惑する。乱用されるおそれがある。その点を私は心配しているのだが、警察当局の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/244
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245・新井裕
○新井政府委員 解釈は、今自治省からお答え申し上げた通りでございます。ただ事実の認定でございますので、おそらく、われわれ今想像しただけではわかりませんけれども、むずかしいかね合いの場面は出てくると思いますけれども、特に乱用されるような心配はあまりないのではないかと思います。というのは、労働組合というもので地位をはっきりしておって、しかも内部で働きかけておるのと、外部にいて働きかけた、このあたりが実際の判定のけじめになるのじゃないかというふうにも想像いたしますけれども、私どもは、そうむずかしい場面がたくさん起こるというふうには、今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/245
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246・畑和
○畑委員 その点は当局を信頼するほかないけれども、まあいろいろ具体的な場合にはどうにも解釈ができるということでやられるおそれもあると思う。しかし、大体労働組合の役員というものは、その公職の地位を利用することはほとんどあるまいと私は思う。組合としての地位ということは大いにあるけれども、組合の役員が、現実にある公務員としての地位を利用するというようなことでやられるとたまらぬと思うから、それで念を押しておいたわけでありますが、その点は信頼してやるほかないと思うわけですけれども、今後とも、これが通るということになった場合には、厳重に戒心をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/246
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247・永山忠則
○永山委員 その問題にちょっと関連して。ただいまの公務員の地位と労働組合の役員の地位とは、それで選挙運動をやるというときには、私は不可分一体のものだと思うのです。そういうように解釈すべきが正当な解釈だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/247
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248・松村清之
○松村(清)政府委員 これはやはり理屈の上ではもとより、実際の上でも、組合員としての地位と公務員としての地位というものは、ある程度はっきりと区別できると思います。ただ実際の場におきましては、私が先ほどから申し上げておりますように、非常に入りまじって行為の実態が現われるということもありますから、そこにいきますと、お話のような両方の地位というものを兼ねて運動をすることも考えられることであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/248
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249・加藤常太郎
○加藤委員長 松本一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/249
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250・松本一郎
○松本(一)委員 大へん時間がおくれて、大臣を初め当局に御迷惑をかけておりますが、一言重要な点でお尋ねをいたしたいと思います。特に選挙局長にお尋ねをいたしますが、今度の改正で、今の選挙法二百五十三条の特例で、選挙違反があった場合は時効を原則として一カ年ということが、今度は削除されておるということであります。そうすると、一般刑事訴訟法による三年ということにならざるを得ないと思うのです。何がために特例で一カ年としてあったかといえば、いわゆる選挙違反は一種の政治犯である、普通の犯罪とは違う、またせっかく当選したような人を、いつ選挙違反が摘発されるかという不安の状態にいつまでも置いておくということは、大ぜいの有権者の意思に沿わない、国民の利益にならぬ、あるいは市町村民の利益にならぬというような意味から、特に一年に短縮されておったと私は思います。それをどういうわけで、この時効期限の条項を削除して、一般刑事訴訟法に準じたか、このお考え方をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/250
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251・松村清之
○松村(清)政府委員 これは選挙制度審議会の答申を受けたのでございますが、この審議会におきましても、選挙犯罪というものが今仰せのような、何かほかの刑事犯罪と違ったところがある、そのことが実は問題に上ったわけでございます。選挙違反というものが罪悪感を伴わない、こういうところに一つの問題があるのではなかろうか、そこで選挙の公明化をはかりますためには、選挙違反、選挙犯罪というものを一般犯罪と同じように扱う、そういうような考えから、選挙法に特に短期時効制度というものを設けておることをやめて、一般犯罪と同じように刑事訴訟法によるようにすべきだ、こういう趣旨で答申が出まして、それを政府は受けて、その通り立法化したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/251
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252・松本一郎
○松本(一)委員 審議会の答申は、第一点は連座規定の強化、第二点は公民権の停止、第三点は恩赦等を廃止せよ、第四点は今の時効を普通の犯罪と同様に扱え等々でございます。これはきびしい答申の内容だと私は思います。そこで、法律によって、審議会を国会が承認した以上、その答申を尊重することは当然だと思うが、しかしこれに従う理由は私はないと思う。従って、政府も、原案をお作りなさるとき、答申は尊重した、しかしいろいろの事項において答申通りにいけなかったということも言い得るはずだと思う。そういう点から考えて、一般の、たとえばどろぼうとか、あるいは詐欺とか、あるいは傷害というような犯罪とこの選挙とを同様に考えるというところに、大きなあやまちがありはせぬか、私は実はこう思うのです。かような法律によって公明選挙の実が上がるならよろしいですよ、もし上がらぬとしたら、一体だれが責任をとるのですか、ここが問題なのです。私が自治大臣である限り、十年二十年務めていて、もしもその実が上がらぬ場合には私が責任をとるというような、信頼できる政府や、内閣や、政治家が一体どこにあるか。こういうことから考えて、私は、およそ公明選挙というものは、正しく明るくはむろんですが、一面においては朗らかに自由に楽しく行なわれなければならぬはずなんです。民主国家において何が一番大事かと言えば、選挙です。個人の冠婚葬祭も大切でしょうが、公の行事として一番大事なものは選挙だ。その選挙が戦々きょうきょうと取り締まりをおそれつつ行なわれるというところに、わが日本の今日の姿がある。だから早くこれから脱却して、ほんとうに終戦後の新しい民主日本建設という方針に持っていくなら、選挙法を努めて寛大に、他の面から政治指導、政治教育を行なうというのが、私は本筋じゃないかと思う。それを怠り、できないがために、やむを得ず選挙法だけをやたらに厳しくして罰則を強化してその実を上げるということは、みずからの無能を暴露したものだ。私も二十八年に選挙違反に問われて、そのとき選挙法の解釈で相当検察当局と議論をしたが、あなた方がお作りなすった選挙法ではありませんかと言われたときに、二の句が継げなんだ。幸い今はこうして国会におりますから、今度こそはもうあやまちの起こらないような選挙法にぜひともしなければならぬ。これは私個人のことではなく、国家のことであり、後ほどまた立候補される方、票を入れる有権者のために——そういうことから考えてみて、審議会の精神を尊重してこういう原案が出てきた。そこでこれを実施、運営また取り締まりにあたられる当局、法務大臣に一つお伺いをしたい。また竹内さんあたりもお見えになりますが、審議会の答申を尊重して法案を出したといえば、その実施、運営にあたっても、その精神を尊重して運営にあたってもらわなければならぬはずでしょう。しからばこんな手厳しい選挙法で運営にあたった場合、一体どういう選挙が行なわれるか、私どもこれがおそろしいんです。ですからいろいろな問題もありましょうが、なお国会は国会として各党とも議論をつくして、修正すべき点は修正をするということにして、ほんとうに正しいまた明るい、楽しい選挙ができるような法律を作らなければ申しわけない、こう私は考えるのですが、審議会の答申を尊重して取り締まりにあたる司法当局は、どうお考えになっておるか。精神を尊重してやりますと言われたのでは、法律は厳しいは、取り締まりは厳しいは、言いかえれば警察国家の再現です。せっかくの終戦後の新しい民主国家、それがために自由にしてほがらかな選挙のできる選挙法にだんだん緩和されていってこそ、民主国家の発達があり得ると私は思うのです。これが逆になっておる。こういうことから考えて、取り締まりの衝に当たられる御責任者の法務大臣あるいは竹内局長あたりのお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/252
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253・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまの松本委員の御意見の存するところは、私もよく理解ができます。しかしながら、今回のこの政府提案につきましては、政府といたしまして、前の国会における審議会の法案審議の際における状況等にもかんがみまして、この審議会の答申を尊重して参るという建前でございますから、松本委員の仰せられましたような御趣旨も休し、また、われわれ国会におけるあの審議会法案のときの趣旨もあわせ考えまして、今回といたしましてはこの程度の提案は、現在の日本の選挙界の実情にかんがみてやむを得ないもの、かように考えまして、こうした提案になっているわけであります。しかし、もちろん今日までの御審議の状況等も十分傾聴いたしまして、取り締まり当局といたしましてはこれらを十分参考にして、円滑なる、また厳正なる法の通用をして参りたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/253
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254・加藤常太郎
○加藤委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/254
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255・門司亮
○門司委員 最初に法務大臣にお伺いをしておきたいと思うのは、いろいろな問題はあろうかと思いますが、一つは連座制と裁判との関係です。連座制の問題がいろいろ議論になっておりますが、結局答申案は、御承知のように、三つの裁判が終わって有罪と決定すればすぐそれで失格する、こういうことになっております。ところが政府原案ではそうなっておらない。やはり検察官なりがやることになっておる。そうすると、ここにまた二回の裁判が当然行なわれる。一つのものをきめようとすると、結局五回の裁判の決定を経なければものが片づかないようになってくる。そうしますと結局議員の任期というのは、地方議員であれば四年だが、参議院は六年で、衆議院の場合は大体平均して二年八カ月というのが数字上はっきりしてきている。そのうちに、もう選挙は次の選挙に入ってしまって、実際は何の効果もないということになろうかと私は思う。選挙違反というのは、その人自身を罰するということが一つの問題ではございますけれども、選挙違反に問われて失格するということは、もうその議員としての資格がなくなっておる。ところが、そういうふうに裁判が延びてしまって、その任期が切れてしまった。厳密に言うならば当然資格のない人が、議会に出てきて堂々と発言をして、しかもそれが国政に反映をしておるということになると、いささか矛盾があるように考えるのですが、この点はどうなんです。率直に言っておきますよ。犯罪でもみんな同じことですけれども、選挙犯罪にいたしましても、普通の刑事犯罪にいたしましても、裁判の結果というのは、そのよしあしと、さらに刑量を定めるものであって、事犯自身はずっと前に起こっているんです。そうすると、選挙違反のことを考えて参りますと、その事犯の起こったときに、すでにその人の選挙というものは無効になっていなければならないはずなんですね。刑事犯罪だってそうでしょう。犯罪を起こした時点において、すでに犯罪を構成しているのです。そう考えて参るならば、やはり裁判が明らかになった時点に横すべりしたからといって、決して私は人権をじゅうりんするものでもなければ、憲法に違反するものでもないというように考えられるわけです。この点どうですか。非常に長く延びているのを、これを縮められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/255
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256・植木庚子郎
○植木国務大臣 連座規定の問題についてのただいまの御質問については、私はかように考えます。すなわち連座規定を強化して、そしていわゆる選挙の公正を期するということはその趣旨においては全くその通りしかるべきものであると思うのであります。しかしながら候補者または当選人自身の意図に基づくのではなくして、総括主宰者またはそれぞれ特定の資格のある者が違反を起こした場合に、その違反による間違いが当然候補者もしくはその当選人の資格に及ぶということは、当該当選人もしくはその候補者のために、どうしてもこれは相当考えなければならぬ重大な問題があると思うのであります。従ってこの問題について、今度の提案のようなやり方でいいかどうか、なお検討の余地がないかということについては、私はもっともっと検討を重ねるべきであると思いますけれども、しかし一方総括主宰者もしくはこれに準ずる人たちの間違いが確定したからといって、当該当選人もしくは候補者の責任に直ちにしてしまうことについては、どうも憲法上の問題から考えましても、何だかあまりにも行き過ぎがありはしないかと考えるのであります。その間にいかなる調節をはかればいいかという問題については、いろいろ御苦心を関係者がなすったところでありますし、われわれも考えてみましたけれども、適当な案が見つからなかった。そこで今回のような措置をやむを得ず講じて、当該当選人についても十分立場の疎明といいますか、状態を明らかにする機会を与えることが当然である、かように考えて今回の提案になった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/256
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257・門司亮
○門司委員 私は、選挙というのは一体性のものであると考えるのであります。部分的に切り離して議論するものではないと考えております。だからわれわれの考え方からいいますと、たといそれが総括主宰者であろうとなかろうと、いかなる人であろうと、その選挙に関して供応あるいは買収というような、俗に言われる悪質犯があった場合には、無過失でありましても、やはり候補者だった者が責任を負うべきである。そのくらいの厳重なものが必要ではないか。ほかの刑法その他でも、無過失なものに対するいろいろなものはあると思います。全然日本の法律にはないわけではないと思います。ことに選挙は、国民の生活に直接関係のある政治を支配するもので、きわめて厳重に行なうことが正しいと考えておる。そういう意味で考えて参りますと、今のような大臣の答弁では、どうも選挙というものをどう考えているかわからぬと思う。選挙は、御承知のように普通の破廉恥罪とは違うということです。選挙の犯罪こそ民主主義社会における最も大きな社会的犯罪だと思うのです。これは法律をきめる、ことに国会は法律をきめる場所である。地方の自治体におきましても、憲法でゆだねられている範囲において条例をこしらえて、国民に罰則を課することの権限を持っているのである。その権限を持つものが、そもそも出てくるときに間違いがあったんだということでは、普通の破廉恥罪よりももっと強く処置をしなければ、法の公正というものは期せられない。そう考えて参りますと、結局今の大臣の答弁では承服しかねるわけでございます。
同時に、これについて関連してもう一つ聞いておきますが、選挙についての裁判が非常におそくなっていることについて、もう少し早くする名案がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/257
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258・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまの前段につきましては、門司委員の御意見の存するところは私も理解できます。ことに非常に純粋な、また崇高な理想をお考えになっておるのでありまして、全く敬服に値するものであります。しかしながら、今日までの日本の現状におきまして、そうした理想に直ちにつき得るかどうかについては多大の疑問を感じます。
また第二段の、選挙関係の裁判等をもっと早くやる問題につきましては、常に心がけてはおりますけれども、御承知のような状態で、ときには相当時間がかかっておるものがあります。いわゆる百日裁判というような規定もあり、関係者はそのつもりであらゆる努力をいたしておりますけれども、なかなか思うように参らぬ。従ってこの問題については、なおこの上にも督励を加えまして、あらゆる努力を試みるというよりほかにお答えの申し上げようがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/258
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259・門司亮
○門司委員 それからもう一つ、具体的な問題に入る前に概念的に聞いておきたいと思いますことは、先ほどから与党の方の質問の中にもちょっとありましたが、私非常に不可解、というよりわからないので、大臣にもう一度聞いておきますが、従来日本では、選挙に対します犯罪を国事犯と考えるという非常に大きな間違いがあったと思う。これは天皇制の時期に、選挙が何の特権のような形、政治が特権のような形で行なわれた場合においては、あるいは国事犯というような、非常に一般の概念から超越したような、神がかりのようなことで処理されておった時期があったか知らない、またそういう考え方を持っておったか知らない。しかし現在ではそういう考え方を持つ時期ではないと考えます。持つこと自身がおかしいと思う。だから先ほど申し上げましたように、選挙こそ、ほんとうに厳重に犯罪に対しては処断すべきであって、決して国事犯というような古い概念に立って選挙法を論ずべきものではないと考えておるが、その点に対する大臣の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/259
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260・植木庚子郎
○植木国務大臣 これまた御意見の存するところに対しましては敬意を払い、また私も同感する点もありますけれども、しかしながら、日本の現状におきまして、直ちにそうした改正までいけるかどうかということは、なお、まだまだ検討の余地があるやに私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/260
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261・門司亮
○門司委員 きょう総理大臣がおいでになれば、ほんとうは総理大臣に聞いた方がよろしいと思うのですが、法務大臣に聞いたあとで自治大臣にもお伺いするかもしれませんが、選挙法という法律に対する基本的なものの考え方で、私は、選挙法は、あくまでも憲法付属の法典として解釈すべきであるという観点に立っておるのでございます。決して一党の政策であってはならないと考えておりますが、この私の考え方は間違っておりますか。全く憲法と同じような次元に立って選挙法を考えておるのであります。民主主義の上に立って憲法を守ろうとするならば、選挙法こそ普通の法律の概念で考えることは大きな間違いだと考えておりますが、この考え方が違っておるかどうか、法務大臣から御回答を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/261
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262・植木庚子郎
○植木国務大臣 その点は、現在の選挙法は、あのたくさんの条文にわたり、また詳細なることまでを、みなきめておりますが、ああしたものを直ちに憲法付属の法典的に考えるのはどうかということについては、私疑問を持ちます。しかしながら、仰せの通り何としても選挙は民主政治のほんとうに基本的なものでございますから、いわゆる選挙についての基本的な重要な問題を憲法付属の法律にきめておきまして、そうしてそれにさらに付属するたくさんの手続法、これはそれほどには重く考えないでもいいような、あるいはその時期に応じて修正あるいは改正し得るような状態にあることは、むしろ好ましいのではないかと私も考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/262
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263・門司亮
○門司委員 それで問題になりますのは、私は、今申し上げましたように、明らかに憲法付属の法典であって、一党一派の政策ではない、国民のものであるという考え方に立つべきだと考えております。ところが自治省の大臣は、御承知のように答申案についても、各党じゃありませんよ、自分の政党の派閥を持ち回って御意見を聞かれて、そうして、議院内閣制であるから与党と政府の意見が一致しなければ国会に出すことができないというお考えのように私は承っておりますが、また大臣から直接そういう話を聞いておりますが、この考え方は、私の今申し上げました概念とは非常な大きな隔たりを持っておる。議院内閣制であるから与党と政府の意見が一致しなければ出せないんだということでございますが、前段には御承知のように制度審議会があるのであります。従って、政府が法律によってゆだねた制度審議会の案があれば、それをそのまま国会で審議する、各党各派に相談をされる、そうしてよりいいものをこしらえていくということは当然行なわれるべき筋合いだと思う。国会で審議することになれば不思議はない。審議会の案をうのみにするなんていうこともないはずです。しかし議院内閣制であるから与党と政府の意見が一致しなければ責任を持って出せないというものの考え方は、普通の政策論議の場合はそれでよろしいと思います。これはおのおの政策を持って政党が立っている以上は、その政党の政策を法律に直して実行し得る道を開いていくということは、これはよろしいと考える。しかし事選挙法に関する限りは、やはり国民のものとしてこれを考えなければならぬ。この原案から見れば、今の安井大臣の意向からいえば、今度出された選挙法の改正は自民党の選挙法であります。決して国民の選挙法とは言えないでしょう。私どもは少なくとも選挙法である限りにおいては、そういうものの考え方で議論すべきでないという考え方を持っておる。従ってこの審議会の答申等についても、もう少し配慮がせられるべきではなかったか。こういうふうに曲げて——曲げてと言うと怒られるかもしれませんが、たくさん変えて出されるということは、明らかに自民党の選挙法なんですね。議院内閣制であって責任を持たなければならぬということなら、そういうことでしょう。しかも多数をお持ちになっておるから、これが通るかもしれない。こういう考え方で一体よろしいかどうかということであります。その点は法務省の考え方としてはどうなんですか。憲法付属の法典として考えれば、そういう議論がどうしても出てくるのですよ。これは議院内閣制との関連性ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/263
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264・植木庚子郎
○植木国務大臣 ただいまの御質問は、今回の法案提案に至るまでの経過についての御批判でございまして、その御批判に対して私の考えはと聞かれましても、私自身は、関係の大臣としては十分いろいろな場合も想定し、またどういうことをお答えになっておるかも私聞いておりませんが、やはり公正な立場で、この法案が国会に出ました場合、円滑に審議を進め、しかも今回の国会において通過して、なるべく早く、少しでもよい法律によって選挙が行なわれるようにしようという御趣旨に出たものと考えますから、これに対して、それ以上の私の考えは差し控えさしていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/264
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265・門司亮
○門司委員 それ以上あまり押し問答することもどうかと思いますから、もう一、二点だけ聞いておきたいと思います。
一つは、この選挙法の改正の中には触れておりませんが、選挙法の中に、御承知のように供託金の没収という事項がございます。没収という文字を明らかに使っております。法文の中には国に帰属する、あるいは都道府県に帰属する、こう書いてありますが、表題は明らかに没収となっている。選挙は憲法で定められた国民の一つの大きな権利であります。その権利を行使する場合に、得票が足らなかったといって私有財産を没収するということがいいか悪いか、これはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/265
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266・植木庚子郎
○植木国務大臣 供託金の没収の問題につきましては、私は理論的には必ずしもいい制度と思いません。しかしながら、やはり日本の実情におきまして、候補者の乱立を防いでいこうということの一つの助けとしてこういう制度が主としてあるのだろうと私は今理解しておるのであります。この意味におきましては、今日までの実情におきましてはやむを得ないものだ、いい規定ではないが、やむを得ないものだ、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/266
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267・門司亮
○門司委員 今の大臣のお考えだといたしますと、私はむしろこれは納付金制度に直した方がよろしい。当選した人も、しない人も、立候補する身分保証としてのものが一つと、同時に一方において、こういう制度を設けるなら、当選した人も、納付金制度にして納めてしまった方がむしろ公平ではないか。いわゆる小さい候補者というか、俗に泡沫候補と言っておりますが、泡沫候補の乱立を防ぐというのならば、没収するのも納付金にするのも同じことでしょう。しかも当選した人は返されるが、落選した人は——これは明らかに罰則なんです。立候補して、お前は特定の得票をとれなかったから罰金だ。没収と書いてありますから、罰金と大して変わらないと思うのです。憲法に定められた国民の権利を行使して罰金を仰せつかったのではかなわないのです。やはり法を明らかにしていこうというならば、当選した人も落選した人も、納付金制度のようにして、同じように納めるなら納める。かなり公営の費用がかかっておりますから、それを負担する。むろん全額じゃありませんが、納付金制度にしたならば法の前には平等になるのではないか。一方においては法の前に平等だと書いておりながら、一方において、憲法に書いてある国民の権利を行使して、特定の票に至らなかったからといって差別をつけられることは、少し問題がありはしないかと思います。もう一度御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/267
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268・植木庚子郎
○植木国務大臣 今の供託金の制度を納付金の制度に変えて、当選者もまた落選者も、一様に全部納付してしまうという格好にしたらどうかという御意見は、私は一つの傾聴すべき御意見だ、こう思います。納付金制度にするとどういう障害があるかという問題については、必ずしも弁解し得ないような障害があるとは、私の個人的意見としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/268
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269・門司亮
○門司委員 それから、あとは事務当局の方でよろしいと思いますが、これはこの選挙法とはちょっと離れたことでありますが、選挙の犯罪のことで聞いておりますので、念のために聞いておきます。
私は日にちを忘れましたが、ある新聞に、最近行なわれた地方の長並びに議員の選挙で、場所は四国と書いてありましたが、大体千八百人くらいの有権者のところで、違反として引っぱれば千五百人くらいは引っぱらなければならない、どうにもならないので検察庁は手をつけなかったということが新聞にちょっと書いてあったように思いますが、そういう事実がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/269
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270・竹内壽平
○竹内政府委員 そういう報告は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/270
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271・門司亮
○門司委員 私は聞いていないと言われればそれまでと思いますが、それじゃ新聞の報道があるいは間違っておったかもしれません。これは四国とだけしか書いてありませんで、ほかに何も書いてないので、私もその場所を指摘する材料を持っておりません。しかしこれに似たようなことは今までも再三あったということを聞いておりますので、これほど選挙犯罪がたくさんあって、あり過ぎれば検察庁は手をつけないというならば、これは始末の悪いことだと私は思うのですが、検察庁の考え方は、いかほど選挙違反があろうと、やはり敢然として手をつけるということでなければならぬ。この新聞の報道を見ますと、警察も手が足りない、そんなことをやっていた日には、警察の全力をあげてそればかりやっていなければならないので、とてもほかの犯罪の取り締まりができないから、あるいは留置場が足りないからどうしようもないと言っておりますが、そういうものに対して、どういうふうにこれから処置されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/271
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272・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま、そのような事例を私承知いたしておらないのでございますが、それとは逆に、ほとんど全村が違反に問われた事例がありまして、検挙をし、粛正をはかったという事例は、甲府の管内にもございますし、福井の管内にもございますし、その他地方選挙に至りましては、相当あちこちでそういう事例を見ておるのでございます。むしろ苛察ではないかというような批判さえも受けたというようなわけでございまして、手不足であるから控えたとか、留置場がないからやめたというようなことは、警察、検察ともにあり得ないことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/272
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273・門司亮
○門司委員 あとは自治省の大臣に聞いておきたいと思いますが、御承知のように、今度の問題で一つの焦点としてありました高級公務員の立候補の制限でありますが、これは何か答申案通りにすると憲法違反になる疑いがあるからというようなことで変えられたといわれております。答申案の中には、御承知のように、抽象的にただ法律で定める職種ということに書いております。しかしその間のいろいろな答申過程におきましては、かつて職種をずっと並べたこともございます。だから、職種を並べて制限をすることは私はできると思うのだが、これができない理由は何かほかにもございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/273
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274・安井謙
○安井国務大臣 答申案通りにこれを採用すれば憲法違反であるというふうに私ども考えたわけじゃないのでありまして、いわゆる高級公務員というものを全面的に禁止することについては、そういう憲法上の問題の疑義も出てこようという懸念があったわけです。従ってそれじゃ答申案で言われておりますように、特殊の職権を指定できるかどうかということになりますと、局長まではどうだ、それじゃ部長はどうなんだ、あるいは課長にも公務員で立候補した例がございます。そこまで広げるのかという問題もございます。また特定の職種をきめる場合に、何を基準にやるのか、過去の実績をみんなとるのかというと、それはなかなかむずかしい。今まで実績がなかったものでも、将来可能性としてあり得ないという保証もないわけで、またあるいは特定の職名を指定いたしましても、これが職制改正等によって名称や職制自体が変わった場合にどう扱うのかといった、あらゆる角度からいろいろと検討いたしましたが、どうしても納得のいく指定の仕方が見つからない、それで、本来の目的は、公務員の地位を利用した権力利用がいかぬのだという趣旨に違いないと思いまして、その方を立法技術の上からも取り得る限度で取り上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/274
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275・門司亮
○門司委員 もう時間もございませんし、委員長の仰せで、あまり長くやると御迷惑だと思いますから、長くはやりませんが、しかし選挙は秩序というのが非常に大事なんですね。選挙法を考える場合には、やはり法律一点張り、理屈一点張りでなくて、選挙の秩序をどう保持するかということが非常に大事なことなんですね。そこで現行法にも職種によって制限をしておる。これは裁判官とかなんとかというのでなくて、選挙の秩序を保持するために、最近入れた。何年でありましたか、ずっとあとから、この選挙法の改正のときに入れた。あなた方の方がよく御存じだと思いますが、八十七条の二をあとから入れておりますね。そしてここには、知事、市長を退職した者の立候補の制限がちゃんと書かれております。条文には、「都道府県知事又は市長の職の退職を申し出た者は、当該退職の申立があったことに因り告示された都道府県知事又は市長の選挙における候補者となることができない。」こう書いてあります。これは一体どういうわけなんですか。ちゃんと制限しているでしょう。知事や市長さんが在職中にやめて、そうしてその裏にあるものは——この法律を改正したときのいきさつから申し上げますと、四年あるものを三年でやめる、そうすると、相手方は、まだ立候補もきまらなければ、人間もきめてない、しかもやめてから五十日以内に選挙をしなければならない、現職が勝つにきまっておる、そういうずるい考え方から、ときどきそういうことがあったのにかんがみて、この八十七条の二を入れたと私は思っております。あとから挿入した法律であります。これは選挙の秩序を保持するためなんです。何もこの場合に、前の知事や市長が選挙運動をしたとは私は考えない。しかし法的からいえば、そういうことは大して問題にはならない。高級公務員の場合も、概念としては同じようなことが考えられはしないか。選挙にきわめて有利な地位にあり、あるいは行動自身が選挙にきわめて都合のいいような地位におって、そしてこれを乱用する危険性のある者については、選挙の秩序を保持することのために、一定の制限をしたからといって、別に大した問題はない、現行法にもこういうものがちゃんとあるのでありますから……。こういう私どもの考え方が間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/275
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276・松村清之
○松村(清)政府委員 この八十七条の二は、知事、市長が自分の当選を有利ならしめるために、途中でやめて直ちに立候補するということが、選挙の公正を害するだけでなくて、知事、市長という公職をないがしろにする、こういう趣旨からこの法律が作られておるのだろうと思います。ところがただいまの高級公務員の立候補制限の方につきましては、高級公務員が選挙に出るときはやめなければならないのでございますが、やめて立候補すること自体を押えようということであって、知事、市長が任期途中でやめてその公職をないがしろにするということとは趣旨を異にしておることでありまして、同じように論ずることはむずかしいのではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/276
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277・門司亮
○門司委員 今、選挙局長、そういう答弁をされましたが、選挙の秩序を保持するということになりますと、選挙の秩序を乱すおそれのある者については、私は禁止しておいた方がよろしいと思うのです。市長などの場合でも、これは道徳的にも少しおかしいですね。自分が当選することのために、途中でやめてすぐ次の選挙に出るということは考えられぬ。しかし法律で定める場合においては、やはり選挙の秩序を維持することのためにそういうことが必要だということでこの法律ができたと、当時の選挙法の改正のときに、私は考えている。ところが今のような考え方でいけば、危険のある、おそれのある者はやはりやめておいた方が選挙の秩序は保持されると思います。選挙はあくまでもスタート・ラインが一緒でないと工合が悪いから、できるだけ一つでなければならぬ。みんな同じようなスタート・ラインに立って選挙を行なうということが、公正な選挙を行なう最大の問題である。事前運動等がやかましく言われておるのは、そのことだと思います。みんなが同じようにやればよろしいのであるが、抜けがけをしていろんなことをやることについての制限が加えられる。そう考えて参りますと、高級公務員の職種を定めてやったからといって、大して差しつかえはないのじゃないか。むしろそれの方が選挙の秩序を保持することのためによろしいのではないか。しかもこの場合も、次の選挙でありますから、あるいは年限を限って三年なら三年ということで、選挙に影響のあると考えられる、いわゆる選挙の秩序を乱すと考えられる範囲においてこれをきめようというのでありますから、今の大臣のような答弁にはならないのではないかと考えておりますが、そういうのはどうですか。やはりどうしても大臣の言うような考え方になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/277
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278・安井謙
○安井国務大臣 これは先般社会党で修正案をお出しになりました際も、この基準について種々委員からの御質問がございました。それらを伺っておりましても、なるほど一定の基準というやつは非常にむずかしいものだ、なかなか合理的に立てにくいという感を今さら深くしたわけでありまして、一定の職種を高級公務員の中できめるということは、どうしても技術的に合理的なきめ方をすることはできない、こういうふうに私どもは考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/278
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279・門司亮
○門司委員 時間もありませんし、あまり押し問答していることもどうかと思いますから、次に移っておきたいと思いますが、事前運動の定義と、それからもう一つは、後援団体という字が今度の選挙法の中に新しく出てきておるのでありますが、一体後援団体というものの定義はどういうことになっておりますか。法律には何も書いてないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/279
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280・松村清之
○松村(清)政府委員 事前運動につきましては、法律で定義はございません。それで従来、判例その他解釈といたしましては、事前運動と申しますのは、選挙に立候補する前におきまして、特定の人の当選を得せしめるために行なわれる必要、有利である活動を事前運動と一応定義しておるわけでありまして、後援団体の定義は、今回百九十九条の五の後援団体に関する寄付等の禁止というところで定義してあります。念のために読んでみますと、「政党その他の政治団体又はその支部で、特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の政治上の主義若しくは施策を支持し、又は特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者を推薦し、若しくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの(以下「後援団体」という。)」こういうふうに定義してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/280
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281・門司亮
○門司委員 そうしますと、今の百九十九条の五と二百四十九条の五ですか、二つにそういう字句が出ております。しかし私の聞いておりますのは、そうすると、これは届出を要するのか。片一方のいわゆる政治活動の方は届出をして行なうようになっておるが、後援団体はただ書きっぱなしであって届出も何もない。従って後援団体というのは幾つあってもちっとも差しつかえない、どんなものがあろうともちっとも差しつかえないというように考えられるのか。その辺はどうなんですか。届出をしてきちんときめるようになっておりますか、それとも任意に何でもいいからこしらえてもよろしい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/281
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282・松村清之
○松村(清)政府委員 これは別に届け出を必要としないわけでございまして、この百九十五条のただいま読みました事柄に該当すれば後援団体であるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/282
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283・門司亮
○門司委員 そうすると、こういう解釈をつけてよろしゅうございますか。一人の特定な人に後援団体が幾つできてもちっとも差しつかえはない、従ってその後援団体の行為というものは、これに書いてある通りに、幾らやってもよろしいということに解釈しておいてよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/283
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284・松村清之
○松村(清)政府委員 百九十五条のこの定義に当てはまるものでございますれば、幾つあってもかまわないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/284
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285・門司亮
○門司委員 そうすると、ここに非常に大きな問題が起こるわけですが、法律をこういうふうにきちっと書くからには、やはり推薦団体あるいは政治活動に関する届け出というものがなければ、これが幾つでもできちゃって、どんな小さいのでも、たとえば今非合法的といいますか、脱法的に行なっております旅行会とかいろいろな会合で、明らかに供応しておると思われるものはたくさんある、しかしこれらの問題でも、みんなこれは後援団体だ、届出も何もないのですから、やかましく言われたら後援団体だと言えばそれで通るのですか。そういうことでこれはよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/285
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286・松村清之
○松村(清)政府委員 先ほど説明が足らなかったのでございますが、これは法律に政党その他の政治団体とこう書き出してございまして、この政党その他の政治団体としては、政治資金規正法による届け出を必要とするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/286
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287・門司亮
○門司委員 そうすると、さっきの答弁では、政治資金規正法による届け出が要らないように解釈されるのでございますが、後援団体はやはり届けるのですか、その点を一つはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/287
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288・松村清之
○松村(清)政府委員 後援団体でも、この政治資金規正法にいう政党その他の政治団体というふうに考えられるようなものであれば、政治資金規正法によって届け出る必要があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/288
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289・門司亮
○門司委員 私が聞いておるのは、その点がわからないのです。考えられればと言うのは、だれが考えるのです。後援団体をこしらえた人が考えるのですか、あなた方の方で考えるのか、あるいは候補者自身が考えるのか、だれが考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/289
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290・松村清之
○松村(清)政府委員 これはやはり後援団体を作った人が、政治資金規正法にのっとって届け出るべきものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/290
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291・門司亮
○門司委員 これは大臣に一つお聞きをしたいと思いますが、選挙法の中にはいろいろ複雑なものがありまして、ことに公務員の問題等についても、地方公務員法でちゃんと政治活動は禁じられておるということ、それからもう一つは、選挙の問題です。選挙活動と政治活動との区分は、私は非常にむずかしいと思うのですが、これはどういうふうに区分されますか。当該選挙に関する候補者を当選せしめる目的とか、あるいは当選せしめない目的とかいうのは、これはもう選挙運動である。しかし、選挙活動というものと政治活動というものの見さかいはなかなかつかないと思うのだが、この辺はどういうふうに線を引けばよろしいとお考えになっておりますか。今の後援団体等ができると、非常にややこしいものができると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/291
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292・安井謙
○安井国務大臣 おっしゃる通り、政治活動と選挙活動の区分というものは、非常に明確を欠く場合があろうと思います。広い意味の政治活動という中には選挙運動も含まれると思いますが、少なくとも選挙運動という場合には、その目標にした選挙というものを中心にしてそれに対する運動なり活動というふうに、広い政治活動の中で限定をされたものになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/292
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293・門司亮
○門司委員 そうすると後援団体というものの定義といいますか、考え方が少し変わってくるということになりますね。後援団体は、これに書いてあるところによると、特定の人の運動に使われるわけですからね。政治活動ではないという解釈をすることが正しいと私は思うのです。特定の人の後援団体ですから、政党を支持しとかなんとか書いてはありますけれども、実際の運動は決して政党活動ではないと私は思う。ところがそれが政治資金規正法の中に含まれるというようなことになりますと、この境は、後援団体というものは一体何をやればいいのですか。この後援団体というものの解釈は、同時にここに書かれたものは、あくまでも個人を対象にした一つの後援団体である、いわゆる選挙を対象にしたものである、たとえ政治的思想は同じであっても、それを支持するといっても、実態は特定の候補者を、特定の人を応援するものであって、選挙に関連する以外の政治活動ではないと私は考える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/293
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294・安井謙
○安井国務大臣 それは、後援会は選挙活動にわたる部分が出てくると思いますが、必ずしも、特定の人の後援活動というものが、全部狭い意味の選挙活動であるということは言い切れない。その人の政治的な活動全体、これを後援するためにできておるというふうに解釈はできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/294
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295・門司亮
○門司委員 そうしますと、政党の定義というものと非常にむずかしい関係が出てきやしませんか。少なくとも政治資金規正法に関係のありまする考え方というものは、一つの政党が選挙を行なうことは当然でありますが、しかし一つの政党に対するものの考え方である。後援会の場合は、少なくとも個人を対象とした問題であることに間違いはない。しかし、それは広い意味の政治活動とあなたはおっしゃるけれども、議員それ自身が政治に参画をしているのでありますから、広い意味の政治活動かもしれない。しかし、実際は個人の後援団体である。決してその一つの政党の後援団体とは私は言っていないのです。これは、その辺のけじめは一体どうつけられるかということについては、非常に大きな疑問があろうと思う。だから今の選挙局長の答弁のようなことでは非常にまぎらわしいものができてしまって、取り扱いに困るのではないですか。こんなものが幾らでも後援会ができてきて、そうしてそれが全部政治活動と結びついてくる、あるいは選挙活動と結びついてくる、こういうふうになって参りますと、非常にややこしい問題ができて、取り締まりに困るのではないかということが考えられるのですが、その辺のけじめをもう少しはっきりしておかなければならぬ。政治活動と選挙活動は一体どう違うかということと、これに対する後援会の役割というものを、何をするものであるかということを、はっきり知っておかなければいかぬということであります。そうしなければ、選挙の際にいろいろ問題が起こると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/295
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296・安井謙
○安井国務大臣 今までの観念でありますと、選挙活動、選挙運動というものは、これは告示以後でなければできないわけであります。従いまして、後援会というものが一般的にその人個人を対象にしようとも、——その人の政治活動一般を応援するという場合はあり得ようと思います。ただその後援会が高度といいますか、何か政治的な資金まで募集するというような場合には、これは当然今度は政治資金規正法の適用を受けるべき団体になるので、当然届出を要するということになろうと思います。もう一つ全体として非常に疑問があるではないかという御意見に対しましては、私は全くそうだろうと思います。門司委員が言われますように、今日政党法というものもまだ日本で確立をしておりません。従いまして、そういうものの明確な規定づけ、あるいは将来あるべき姿というようなものについては、まだ不十分な点があることは私ども認めますが、現在はそういう解釈で一応割り切るより仕方があるまいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/296
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297・門司亮
○門司委員 大臣はよく逃げられるのですが、ものを言えばすぐ審議会の答申を待ってとか、また政党法だとか言われますが、政党法なんて、正しい政党法というものが世界のどこかにありますか。われわれの聞いておる範囲では、アルゼンチンに一つあるということは聞いておりますが、きわめて複雑多岐にわたるものであって、尋常では解釈ができないほどむずかしいものであるということがいわれております。いずれの国でも、政党法というものはまだできていないと思います。それを日本でこしらえようといったって、実際はむずかしいのではないか。それができるまで待つといったって、いつまで待っていればできるのかわかりません。ドイツの選挙法の場合は、政党とは、と書いてあって、政党の定義が書いてあるようであります。その程度のことなら、日本の選挙法の中に書けるかもしれません。しかし厳密の意味の政党法というものは、今の日本の憲法があって、そうして国民全体が政治に参画し得る建前をとっておる今日におきまして、政党法をこしらえて、それで政治も選挙も縛ろうといったって、実際は非常に困難だと思うのであります。だから、できるとしても西ドイツの法律程度のものが書かれる。この法律にいう政党とはこういうものだという解釈ぐらいでなければ、純粋な政党法なんというものはできやしないと思う。できないことがわかっておって、政党法がまだできていないというような答弁をされることはおかしいと思うのです。もう少し現実的の話に進めてもらえませんか。届出をすれば何でもできる。しかしその場合には政治資金規正法というものが一方にあって、そうして必ずしも後援団体が今やっておるのとは多少違った形を持っておる。片方は政党というものを中心にした一つの政治資金規正法であることに間違いはない。後援団体である場合には選挙にむろん関係はあり、政治にむろん関係はありますが、個人を対象としたものであることに間違いはない。これを混同して考えておるということになると、いろいろ複雑な問題が出てきやしませんか。これは、政治資金規正法自身もぼつぼつ直さなければならぬようになりはしませんか。片方は特定の人間を規定してないでしょう。だから、政治資金規正法がそういう特定の人間を考えて、それに寄付をしてもよろしい、あるいはこうしてもよろしい、政治資金規正法の方から直していけばあるいは直らないことはないかもしれない。しかし現在の政治資金規正法には個人の後援団体というものが含まれるかどうかということについては、私は現行法では疑問がある、それを直されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/297
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298・安井謙
○安井国務大臣 これははっきり、個人に対する後援会でも、政治資金規正法は現行では明確に適用されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/298
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299・門司亮
○門司委員 私が言っておりますのは、そういうことが選挙のたびにございますよ。一つ何か団体が、たとえば労働組合なら労働組合が選挙のときにやることがありますよ。しかしその場合でも、個人は対象にしていないと思うのですよ。その場合でもいわゆる政党なら政党というものを支持するという、その中から出た候補者を支持するという、こういう段階を踏んでいると私は思うのです。しかし後援会というものの性格は全然違うと思う。もしそういう考え方なら、この後援会というものをとったらどうです。政治資金規正法でこういう団体はできるということを書いた方が、よっぽど明確だと思う。私がおそれますのは、現在日本にある後援会というものは政党とか政派というものを越えた、その人個人を応援しようという団体であることに私は間違いがないと思う。また、そういうことにでき上っていると思う。そうしてそれが一つの候補者について幾つかこしらえられて、どんな大きな団体であろうと、どんな小さな団体であろうと、後援会の届出をしさえすればそれでよろしい、間違いがあった場合には、政治資金規正法で届けてやっているのだということになれば、それでよろしいのだ、こういうふうに考えてくると、なかなか今の大臣の答弁だけでは済まされないのじゃないか。今でもあると言われておりますが、今でもあるのはどういうことになっておりますか。大体政党を支持するという形の上で、政治資金規正法は届けられておるのでございましょう。個人に金を出す場合も、選挙の場合に寄付をする場合は、あるいはそういうものがあるかもしれない。しかし実際においては、そういう個人々々の問題にはそういうものはないと私は思うのですよ。政党を通じた、選挙の際にはそういうものも私はあり得るかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/299
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300・安井謙
○安井国務大臣 その点はそうじゃないのでありまして、明確に特定の個人を対象にした後援会が政治資金の規正を受けるという場合は、非常に数多く現在でもあるのであります。そういう個人を対象にした後援会といえども、そういう政治資金を集めたり出したりするということについては、政治資金規正法の適用を受けるということに、現行法でははっきり規定がなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/300
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301・門司亮
○門司委員 そうだとすると、この法律に書いてあります後援会に対して寄付または候補者が云々するのは、政治資金規正法にもそのまま適用してもよろしゅうございますか、考えてもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/301
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302・安井謙
○安井国務大臣 これは選挙法で、今の後援団体が寄付をする、あるいは候補者が金で後援団体を作り上げるというものを禁ずるために、今規定を設けておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/302
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303・門司亮
○門司委員 どうもその辺の、政治活動と選挙活動との、それから同時に後援会との三角の関係が私にはまだはっきりしない。これ以上聞きませんが、今の大臣の答弁だといたしますと、かりに後援会というものが幾つできてもそれに寄付をすることを禁ずると、こうおっしゃるのでしょう。そうすると、性格は政治資金規正法に届け出たと全く同じものだということになりますと、政治資金規正法に届けた場合でも、あるいは届け出ない場合でも、これは寄付をしてはならないということですか。だから、たとえば労働組合その他が政治資金規正法に基づいて、だれかやる。その団体にかりに寄付をして、あるいはそうでなくて、個人でなくして、政党なら政党を支持することをきめる、そうしてそこにだれかが寄付するということも、やはりこの法律で禁じられるというふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/303
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304・安井謙
○安井国務大臣 政党に対する候補者個人の寄付は、この選挙法では認めておるわけであります。ただ、個人のそういった後援会に対しては、個人が、候補者が金を出して後援会組織を作るというようなことの悪弊をとめるという趣旨で、その後援会に対する個人の寄付を認めない。逆に今度は、後援会が個人に対して援助をするとか、資金を出す、これは認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/304
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305・門司亮
○門司委員 その点は、同じ政治資金規正法でこれは同じような形でできるのだというなら、同じものである。ただ後援会には寄付をしてはならないということを禁ずるだけだと、大臣は今お話しになりますけれども、性格が全く同じであって同じような届出をするというのなら、こういう形、後援団体というような形をこの法律に新しく入れる必要はなかったのではないか。ただ単に、後援団体というようなものを作ってはいけないとか、あるいは、寄付をしてはいけないということをはっきり書いておいた方がよかったのではないか、後援団体自身というものを指定した方がよかったのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/305
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306・安井謙
○安井国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がはっきりしないのでございますが、今の個人に対する後援会は、文字通り解釈されまして、幾らできても法的の規制はないと思います。ただ、その個人の後援会というものが政治資金を集める、あるいは出すとかいうようなところまで発展をしております場合には、これについては政治資金規正法の適用を受ける。それは個人に対する後援会であろうと、また政党そのものであろうと、この政治資金の規正を受ける場合には同じことである、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/306
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307・門司亮
○門司委員 そこまではわかるのですが、私の聞いておりますのは、そういうことで、個人のこの後援会に対するものに制限を加えたということは、後援会の弊害をどう除去するかということが、私は目的だったと思うのです。そうするならば、片方に政治資金規正法がありますから、それで幾らでもおやりなさい、後援会はいけないのだということで禁じた方が早かったのではないかということです。混同されて非常に困る問題ができやしないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/307
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308・安井謙
○安井国務大臣 その点は、たとえば政治資金規正法の適用を受けてない個人的な後援会においても、候補者が何か任意な形で寄付をするという場合があり得るかもしれません。しかしやはり、それはそれとして単独にとめて、禁止しておいた方がよかろう、こういうことで、むしろ後援会活動で、あまり候補者が金を使ってそういうものを作るということは端的にとめるということではっきりさしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/308
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309・松村清之
○松村(清)政府委員 補足いたしておきますけれども、政治資金規正法では寄付の制限というものが設けられておらないわけで、ただその収支の届出を出すだけの体系になっております。それで、ちょっとお話の趣旨がわからないのですが、何か政治資金規正法で後援団体の結成を禁止しておけばというふうに私受け取ったのですが、結成を禁ずるということになりますと、これは現在の法律では憲法上の問題があって非常にむずかしいのでございますので、後援団体の結成は自由にしておいて、寄付の制限だけをした、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/309
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310・門司亮
○門司委員 私の質問とちょっと違うのですが、私は政治資金規正法で禁じようということではないのです。この法律で禁じた方が早いのです。端的に後援団体というものは作ってはいけないということをきめておけば、この法律自身が、後援団体を金を出してこしらえるような不純なものがあるからそれを取り締まるのだ、それをなくするのだという趣旨だとするならば、そういうものはいけないのだということをはっきり書きっぱなしにしておいて、この、政治資金規正法と同じような性格を持つのだとか、同じようなことになるのだとかいうようにややこしいことでなくした方がよかったのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/310
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311・松村清之
○松村(清)政府委員 ただ、法律の体系は、政治資金規正法につきましても、公選法にいたしましても、そういう後援団体の結成を禁止するということは、憲法の結社の自由の問題と関連いたしまして、これは不可能な問題じゃないかと思います。結成は自由にしておいて、寄付を規正する、こういう考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/311
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312・加藤常太郎
○加藤委員長 本日はこの程度とし、次会は明後二十日金曜日午前十時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午後五時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004219X01319620418/312
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