1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月一日(木曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 中野 四郎君
理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君
理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君
理事 小林 進君 理事 滝井 義高君
理事 八木 一男君
井村 重雄君 伊藤宗一郎君
小沢 辰男君 加藤鐐五郎君
中山 マサ君 楢橋 渡君
松山千惠子君 赤松 勇君
大原 亨君 河野 正君
五島 虎雄君 中村 英男君
吉村 吉雄君 井堀 繁男君
本島百合子君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
厚生政務次官 森田重次郎君
厚生事務官
(大臣官房長) 山本 正淑君
厚 生 技 官
(医務局長) 川上 六馬君
厚生事務官
(保険局長) 高田 浩運君
委員外の出席者
厚生事務官
(医務局次長) 鈴村 信吾君
厚生事務官
(保険局船員保
険課長) 中村 一成君
専 門 員 川井 章知君
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三月一日
委員河野正君、島本虎三君及び本島百合子君辞
任につき、その補欠として山崎始男君、八百板
正君及び西村榮一君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員八百板正君、山崎始男君及び西村榮一君辞
任につき、その補欠として島本虎三君、河野正
名及び本島百合子君が議長の指名で委員に選任
された。
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本日の会議に付した案件
医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三五号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/0
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001・中野四郎
○中野委員長 これより会議を開きます。
医療金融公庫法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。井村車雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/1
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002・井村重雄
○井村委員 ただいま議題となっております医療金融公庫法の一部を改正する法律案に関して、二、三お尋ねを申し上げたいと存じます。
この医療金融公庫設立の目的というものは、私はかように解しておるのであります。ここ十数年の間、民間開業医は、非常に低額な社会保険診療費で医療をしいられておった。そういうために逐次医業の経営が非常に困難に陥ったので、設備その他が非常に老化をしてきたということと、反面、非常に近代医学が進歩したけれども、それに即応した高度の医療設備を補充し得ない現況にまで追い込まれた。そういうことにかんがみて、これを補償と言いますとあるいは言い過ぎであるかもしれぬけれども、低額診療の犠牲になっておった民間医療に対して、国家がこれを何らか補償するという意味合いで、この医療金融公庫を通じて、設備近代化また構造改革等の助成をしようという趣旨のものだと私は解釈しておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/2
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003・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 医療金融公庫設置の趣旨は、大体お述べになりましたような気持が強かったと思うのであります。要するに、お話しのように、医療の経営の実態から申しまして、設備を改善しょうと思いまして、あるいは病院の増改築をしようといたしましても十分なことができない。その実態に即しましてこれに対して便宜をはかろう、こういう趣旨のもとにできたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/3
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004・井村重雄
○井村委員 大体先ほど申しましたように、社会保険が非常に急速に拡充せられ、今日国民待望である皆保険になったけれども、その内容は、まだそぐわないものが非常に多々あると思うのであります。また、私ども率直に言って、民間開業医の内容、設備等は、公的医療機関より劣っておるということは認めざるを得ないのでありますが、しかし、おそらく厚生省の建前としては、公的医療機関のみを拡充するというのではなしに、民間医療を並行して社会保険を進歩発展させようというのでありますが、それとも、今一、いろいろ各種の省にわたった事業団がございます。昨日も滝井さんからいろいろ話がありましたが、いわゆる郵便年金、簡易保険等の事業団も医療施設をやろうという考え方で、急速に公的医療機関が伸びて参っておる。ややもすれば、民間開業医をなくして、全部国家医療にするというふうな思想がその背景にあるのではないかというふうな点も疑われるのでありますが、これについての御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/4
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005・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 国民医療の問題がだんだん進んで参りまして、従ってまた、医療施設に関する関心も非常に強くなったと思うのであります。さような関係もございまして、各種の設置主体による医療施設というものがだんだん発展して参った、これが現状であろうと思うのであります。大きく分けますと、公的な医療施設といいますか、それと、従来の開業医といいますか、私的な医療施設というものに分けることができるだろうと思います。非常に大きな設備をし、また非常に充実した内容を持った療院施設を民間の人が経営することはあるいは困難じゃなかろうか、かようにも考えるわけでございますが、いずれにしましても、公の施設にはやはり公の施設の特色があるし、また、私設の施設には私設の特色があると私は思うのであります。明治以来、御承知のように、いわゆる任意開業医制度で日本の医療制度が発展して参りました中に、このいわゆる開業医の特色、長所というものは十分認めなければならぬと私は思うのであります。さりとて、また開業医で手の及ばぬところもあるだろう、先ほど申しましたように、非常に大きな近代的な施設を充実してやっていく、こういうことになりますとなかなか容易でないということもございますので、やはりその間、お互いの長所短所を補いつつ進めていくというのが一番実情に即するのじゃないか。厚生省としましては、今申しましたように、いわゆる開業医制度の長所は十分認めておるつもりでございます。将来ともにその特色を発揮しながら、しかもまた、国民全体のためになるような医療施設の適正な配置、こういうことについて思いをこらしていかなければならぬ、かように考えまして、いろいろ検討をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/5
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006・井村重雄
○井村委員 次に、医療金融公庫の取り扱いについては、私、一つ関心を持っていただきたいことは、これは単に恩恵的に民間開業医に金を貸してやるんだというふうな考え方でなしに、設備が近代化することによって国民全体が非常によい医療を受け、りっぱな診療を受けていく、国民全体に非常に利益を及ぼしておるんだというふうな考え方を中心に運営されないと、ただ困っておる医師に、あるいは医師が、何かしら今日厚生省関係と対立関係があるから、これを一つ何とか方便的におさめてやろうというふうな小さな考え方でこれを運営されると、将来また非常に禍根を残すということであります。昨日いろいろ滝井委員からも言われましたが、今日、ややもすれば医療設備が過剰にならんとするような傾胸があります。たとえば鉄道病院あるいは船員保険の病院、いろいろな国家資本を背景とした公的病院が急速に伸びてきている。反面、今わずかの原資で医療公庫ができて、おくればせながら民間の開業医がまた医療近代化をやっている。これは非常にけっこうなことである反面、二重投資、三重投資というふうな形で非常に不経済な面があると思うのであります。こうした点についての厚生省としての根本方針はどこにあるか、少し考え直さなければならぬ時期がきたのではないかと思うのですが、御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/6
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007・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御質問の御趣旨の通りだろうと私は実は思うのであります。開業医諸君の立場から考えましても、だんだんと時代とともに進んでいかなければならぬ。同時にまた、いろいろな団体や公の団体が、言葉は語弊があるかもしれませんけれども、それぞれの利益のためにそういう施設を講じていくということも、これまた無理からぬ行き方であろうかと思います。その間、お話しのように、あるいは二重投資、五車投資というような不経済があるかもしれません。無用の摩擦を生じている点もあるかもしれません。そこらの点の調節をどうするかということは、われわれに課せられた当面の一つの大きな問題であろうと考える次第であります。厚生省としましても、この問題につきましては、今日何らかの方向をきめ、そしてやっていく段階であろうと考えております。従いまして、皆さんの御関心も非常に強いのであります。われわれといたしましても、この点については重大な関心を払い、現に、しばしば申すことでございますけれども、厚生省の諮問機関に対しましては、さような点についての検討をわずらわしておるのであります。なるべくそういうふうな結論を早く得まして、妥当な方向において問題を解決していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/7
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008・井村重雄
○井村委員 そこでお尋ねしたいのですが、昨年度の貸し出しの申請額の総額はどれくらいで、それに対する貸出額はどれくらいで、原資の不足はどういう状況になっておりますか、ちょっとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/8
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009・鈴村信吾
○鈴村説明員 ただいまのお尋ねでありますが、三十六年度の意味かと存じます。一月末現在の数字でございますが、本年度、資金は七十億円でやっておるわけでありますが、申請が七十八億円ばかり出ておりまして、それに対しまして六十九億の貸付決定を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/9
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010・井村重雄
○井村委員 要求はかなり満たされておるようでありますけれども、なおかつ年々原資が不足という状況でありますが、この申請額に対する査定率はどれくらいになりますか。たとえば一千万を要求したものに何ぼの査定になっておるか、七十億の原資、七十八億の申請があって、六十九億が貸出決定をした、けれども、個々のケースにおいての大体の金額査定率はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/10
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011・鈴村信吾
○鈴村説明員 三十五年度発足いたしました当初は、御承知のように三十億の資金でありましたので、そこに八十億ないし九十億というような膨大な申請がございまして、勢い査定が非常にきびしくなったという状況であります。従いまして、借り受けの希望に対しましてかなりきつい査定になっておりましたが、幸いに今年度は資金もふえましたし、やや落ちつきを取り戻しまして、先ほど申し上げましたような、約八十億の申請に対しまして六十九億ということになりまして、平均的には大体八、九割の希望はかなえられておるという状況であります。もちろん個々に見ますと、いろいろ申請の状況は異なりますので、ほとんど一〇〇%に近い貸付をしておるものもございますし、またかなり査定を受けるといものもあります。査定を非常に受けますのは、大体こちらの基準に合致しない部面が非常に多いというようなものについて査定がきびしくなる、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/11
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012・井村重雄
○井村委員 利子は現在どれくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/12
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013・鈴村信吾
○鈴村説明員 利子はいろいろ六分五厘から九分までございますが、新築資金が六分五厘、それから増改築資金は二つに分かれておりまして、甲種増改築資金と申しますのがやはり六分五厘、乙種増改築資金が八分、それから長期運転資金、機械購入資金が九分、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/13
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014・井村重雄
○井村委員 それでは年金福祉事業団の中にも、いわゆる病院建設に対する貸し出のワクがたしかあるはずでございますが、これの利息、利率関係はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/14
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015・鈴村信吾
○鈴村説明員 事業団の方は実は私の方の所管ではございませんけれども、一応承知しておる範囲でお答えいたしますと、六分五厘一本になっておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/15
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016・井村重雄
○井村委員 そこで大臣にお尋ねいたしたいのですが、同じ厚生省で経営しておられる、しかも病院対象の貸付に、医療金融公庫は最低が六分五厘から九分までと、増改築の甲種、乙種の分はかなり高率の金を借りねばならない。片一方、年金福祉事業団の方は六分五厘一本にしぼってある。こういうことは少しお考えをいただいて、これは非常に医師会も喜び、国民全体の、しかも開業医の受け持つ部分の医療というものは、比較的未組織の低額所得の国民の医療をやっておるのでありますから、ぜひこの利率をもう少し下げるということについての御考慮をいただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/16
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017・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 医療金融公庫が設置せられました当時の状況からいたしまして、ただいまのような利率がきまったものと考えるのであります。年金福祉事業団の方は、御承知のように、国民年金なりあるいは厚生年金の還元融資、特別融資という形になっております。特別関係の深い被保険者方面を対象としての施設ということになっておりますので、御承知のような利率が一応きまっておるわけでございます。しかしながら、私といたしましては、沿革はどうありましょうとも、同じく医療施設に融資する場合において、そこにふつり合いがあってはまずいのじゃないか、かような考えのもとに実は利率の引き下げということを考慮いたしまして、ただいま関係当局との間にいろいろ話し合いを進めておるところでございます。まだ結論を得ませんのでまことに残念に存じますが、せっかく折衝をいたしておるところでありますので、何とかつり合いのとれたものにいたしたいというような心持でもって話し合いをいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/17
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018・井村重雄
○井村委員 実はこれは強硬に利率の引き下げということをお考えいただきたいと思うのであります。たとえば農林省の予算で、農業近代化資金は国と県で三分の利子補給をやっております。また、中小企業近代化の資金は、ほとんど無利子にひとしいのであります。同時に、今懸案になっておる旧地主に対する、いわゆる国民金融公庫から貸し出す金も、非常に低率の五分何厘、六分という低率でございます。こういう例をあげるまでもなく、ぜひ一つこれらの問題とからめて、利子を下げるということをお考えいただきたいと、重ねてお願いを申し上げておきます。
それから貸し出しの基礎計算でございます。これは建設省の学校建築、住宅建築に言われることでありますが、永久建築あるいは木造建築等においての単価を非常に安く見積もられる関係上、せっかく融資を受けながら、持ち出しの金に非常に苦しむというのが現状でありますが、単価はどれくらいの計算で、永久建築の場合は坪どれだけ、木造の場合はどれだけという基準をちょっとお知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/18
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019・鈴村信吾
○鈴村説明員 建築の場合の標準建築費の問題であります。一応現在地域を区分しておりますが、北海道以外の地域について申し上げますと、これは坪ではなく平米になっておりますが、病棟の場合は耐火構造の場合に二万円、木造が一万二千五百円、診療棟、管理棟の場合は、耐火構造が二万二千八百円、木造が一万三千七百円、診療所の場合には、耐火構造が一万九千四百円、木造が一万二千八百円というようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/19
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020・井村重雄
○井村委員 これは今日の実情には非常にそぐわないのであります。せっかく金を出されるのであります。非常にみんな喜んでおるのでありますが、こういうことで持ち出しの金が非常に多くなるということはつらいのであります。どうか一つ、こういうふうな単価も、いろいろな関係はありましょうけれども、十分実情に沿ったように、耐火建築及び木造の場合、診療所、病院の場合等も勘案して、建築単価の基準を少し再検討をお願いしたいと思うのですが、そういう御意思はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/20
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021・小沢辰男
○小沢(辰)委員 関連。ちょっと答弁、質問者の食い違いがあると思いますが、これは単価といいましても、坪当り単価なのが一平米なのか、それをはっきり言わないと非常な間違いが起こってきます。次長の答弁で、ただ二万円とかあるいは二万九千円とか言われて、これは平米の場合は坪当たりになると三倍近くになるのだから、そのあたりのところをよく説明をして、その上で一つ質問をするようにしたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/21
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022・鈴村信吾
○鈴村説明員 これは一平米でございます。従いまして、坪に直しますと約三倍になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/22
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023・井村重雄
○井村委員 今日は、病院建築その他の耐火建築は大体坪当たり十二万五千円、これが常識だと思うのです。六万円では木造でさえも無理だと思うのです。大体十二万円から十三万五、六千円というのが妥当の価格じゃないか。やはりこれは少なくとも一平米三万円見当に上げていただかないと、とうていこれはできないというふうな実情だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/23
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024・鈴村信吾
○鈴村説明員 お話しの点、非常にごもっともでございますので、われわれといたしましても、今関係当局とそれらの点を含めまして折衝いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/24
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025・井村重雄
○井村委員 やはりここにはいろいろな施策の、非常に気持はわかるけれども、実情にそぐわないという点があるのであります。もとより皆さん方の方においては原資調達の関係もございましょうし、また申請額等について、できるだけ八〇%、九〇%というふうに要望を満たしてやろうという親切もあることは十分わかりますけれども、さらに一つこれを掘り下げて、いいものを作るんだ、ほんとうに喜んで借りてもらうんだという考え方から、この坪当たりの単価、利子、あるいは返済期間等についても、いま一段と御配慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。いろいろと社会保険の問題等をめぐって、とかく厚生掛と医師会の問に何らか対立があるようでありますけれども、しかしながら、民間医療のことを忘れていないのだ、親切はこういうところにあるのだという誠意が一つ一つくみ取られていくならば、今日いろいろ難関に立っておる医師会との問題、また中央医療協の運営等も、こういう側面からだんだんほぐれて円滑にいくのじゃないか。ただ規則一点張りで、一定のものさしでどんぴしゃりとやることだけが行政ではないのであります。そういう点で一つ十分御考慮をいただきたいと存じます。私が先ほど三重投資、三重投資、医療の過剰サービスの時代がきはせぬかということを言ったことも、あえて御無理を言うのではなしに、できるだけ各方面に財源を求めて原資をふやしていただきたい、そしてむだな投資をしないようにという私の考え方からでございます。この点、どうか十分お含みをいただきたいと存ずるわけでございます。
そこで、これは少し意味は違うのでありますが、現在貸し出しをする場合に、地元銀行はどういう形で体系を整えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/25
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026・鈴村信吾
○鈴村説明員 委託銀行といたしまして、いわゆる中央の大銀行のほかに、その県で比較的基礎が強固な、しかも取引の多いと思われる銀行を選んで指定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/26
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027・井村重雄
○井村委員 現在おおむね、小さい県では、銀行の窓口が一つではないかと思います。そこで、これを地方の信用ある相互銀行等にまで拡大されて、できるだけ窓口を広げられる方が非常に便利ではないかと思いますが、現在地方の相互銀行等で扱っておるところはございますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/27
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028・鈴村信吾
○鈴村説明員 現在相互銀行を、委託金融機関としてすでに二、三の銀行を指定しております。来年度以降、さらにこれを若干ふやしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/28
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029・井村重雄
○井村委員 これはこの際ちょっと的はずれでありますけれども、医療金融公庫の委託銀行として、ぜひ私どもはもう少し窓口を広げて、相互銀行等にまで及ぼしていただきたい。ということは、同時に、診療報酬の支払い基金の窓口とも関係してくるのですが、これも今日少し矛盾があるようでありまますが、基金の支払いに相互あるいは信用組合等を認めておりますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/29
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030・高田浩運
○高田政府委員 それは認めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/30
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031・井村重雄
○井村委員 これは広く認める御意思はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/31
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032・高田浩運
○高田政府委員 現在のところは急にこれを変えなければならぬとは考えておりませんけれども、せっかくのお話でございますので、なお十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/32
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033・井村重雄
○井村委員 実際問題といたしまして、やはり全国の保険診療の支払いをある銀行の窓口一本にしぼるということは、あなた方の事務的な関係上非常に便利かもしれませんけれども、報酬を受ける医師の立場としては非常に不便かと思います。やはりこれは相互銀行その他にも窓口を広げていただきたい。たとえば富士銀行一本でくることはよろしいけれども、私の町では北国銀行というのが県下一本のローカル・バンクでございますが、そこに幾つかの相互銀行が各所に支店窓口を持っております。これらも直接富士銀行を通じて受け入れる体制にしなければいけない。ということは、今日のように国民皆保険になりますと、診療報酬というのは非常に莫大なものです。それを通じて、ある特定の銀行の、金融の利便といいますか、銀行の利権といいますか、利益を独占的に供与させて、厚生省がその銀行の信用を国家の力で保証しておるという形は、少し不公平ではないかと思います。こういう意味合いで、多少の困難はありましょうけれども、ぜひこれを広げていただきたいと、強くお願いを申し上げておきます。
最後に、医療金融公庫の貸し出しあるいは申請等につきましては、かなり膨大な資料を要します。精密な設計が完了しないと、なかなか貸してもらえない、決裁を受けられないというのでありますが、この手続の簡素化ということは、行政上大へん必要なことだと思うのです。医者というものは案外もの知らずでありますから、徹底的に手続をこの際簡素化して、また設計等も略設計で、ある程度やれるのかやれぬのかの内定くらいはいきまして、これが完成したときに、完成を現認することによって最終決定をするというような、二段がまえの方法もこの際あわせてやってもらいたい。非常に膨大な青写真をよこして、精密な設計をやって、一たんこれをやった場合に、許可を受けると建築途中で設計変更ができない。そのときにまた金額の変更をさせるということでは困りますから、大体第一次といたしましては、平面的な略図でやって、完成したときにこれを現認をして、最終金額を決定するというような方法も考えられないかどうか、十分この点もお考えをいただきたいと存じます。
私は、重ねて最後に、どうか原資をうんと獲得していただくということ、いわゆる返済期間の問題、また利率の問題、それからこれを委託する銀行の窓口等の問題も十分お考えをいただいて、今回も改正を願い、また来たるべき時期にもこれを改正していただきたい、かようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/33
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034・中野四郎
○中野委員長 関連を許します。中山マサ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/34
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035・中山マサ
○中山(マ)委員 今要請がきておりまする貸し出しは、どういうふうに分かれておりますか。今、利子は六分三原から九分というお話を伺いましたが、新築のための要請がこのうち何%あるか、機械のための要請が何%かということを伺うのが一つであります。私も町医者の母親としてわかっておりますのは、町医者の弱い点は、新築もさることながら、持っておる機械ということを考えます。十分に患者を満足させるだけの機械設備があるところには、やはり患者がよけい寄ってくるのであります。そういうことを考えますときに、なぜに町医者の弱いところに貸し出す金を、最高の利子にしなければならぬかという考え方を一つ聞かしていただきたい、この二点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/35
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036・鈴村信吾
○鈴村説明員 三十六年度の貸付の実績の方の数字をちょっと申し上げたいと思います。
一月末で、六十九億貸付決定をしておりますが、その内訳を申しますと、新築資金が十九億七千万円、約二十億、改築のうち、甲種の増改築、つまり六分五厘の方でありますが、二十六億であります。乙種の増改築、つまり八分の方が七億二千三百万円、機械購入、九分の方でありますが、十四億三千万円、長期運転資金、これも九分の利子でありますが、二億一千万円ということになっております。結局、六分五厘のものが、新築、甲種増改築合わせまして四十六億円、八分の口が七億、あと九分のものが十六億ということになっております。機械購入、長期運転の両資金は、ともに九分ということになっております。公権は、当初発足いたしますときに、われわれは利率はできるだけ下げたいということで、設備資金は少なくとも全部六分五厘というふうに考えておりましたけれども、現実に初年度十億の政府出資しかございませんでしたので、公庫の経理上どうしても不可能であるというので、六分五里と八分というふうに分かれたわけであります。それから機械購入、長期遺伝につきましては、これもできるだけ利子は下げたいわけでありますけれども、現在のところ九分ということになっております。特に機械購入資金等は要望が多くありますので、今後ともできるだけ利率の引き下げ等については努力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/36
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037・中山マサ
○中山(マ)委員 国民年金を出す銀行に幾つになっておりましたか。どなたか御存じの方がありましたら……。富士銀行一つというお話を今伺いましたが、支払いの窓口ですね、国民年金の方はもっとたくさんあるはずでございますが、幾つございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/37
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038・山本正淑
○山本(正)政府委員 国民年金は、現在御承知のように福祉年金の支払いがあるわけでございますが、これはたしか郵便局を通じておるはずでございます銀行個別にどこという——今のお話は国民年金でございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/38
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039・中山マサ
○中山(マ)委員 富士銀行一つというお語次——私が承りましたときに、それをもっと拡大するようにも言って広げたことを私記憶しておりますから、この問題がなぜ富士銀行一つになったか、私おかしく思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/39
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040・高田浩運
○高田政府委員 お話は、多分国民年金あるいは厚生年金の還元融資を取り扱います年金福祉事業団の取り扱い銀行のお話じゃないかと思います。これの取り扱い銀行は、銀行全部と、それから地方の方におきましては、信用金庫でございますとか、あるいは労働金庫でありますとか、そういうものも含めて取り扱うようにいたしておりますので、富士銀行一行ということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/40
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041・中山マサ
○中山(マ)委員 でございますから、私もそれを始め富士銀行一行というふうなお話を伺ったことをおぼろげながら覚えておりますが、ぜひ、今の井村先生のお話に関連いたしまして、もっと広くやっていただいたら便利だろう、こうお願いしておくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/41
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042・小沢辰男
○小沢(辰)委員 関連して。質問にちょっと漏れている点がありますので、この機会に新しいことを一つ大臣からはっきり表明していただきたいのですが、融資の対象についてでございますけれども、私立学校の医療機関を医療金融公庫の対象としてお考えになっておるかどうか、またおやりになるとすれば、その利率等について、他のいろいろな公的医療機関との関連において、低利の融資をやられるように御努力になっておられるかどうか。この点が一点と、それから新しく助産所を対象にするということが、だいぶ前からわれわれはうわさに聞いておるのでございますが、この点をはっきりとここで明君していただけるかどうか。もしそういう方針であるといたしますと、特に助産所等につきましては、この法律がもし国会の意思によって確定いたしまして四月一日から発足ということになりますと、だいぶ、そういうようなうわさを聞いて、金融機関等に相談に行った者が、末端の金融機関はもちろんまだそういう指示が流れていないだろうと思うのですが、そのために、いやそういうことは全然聞いておりませんということで、非常に期待しながらも、どうもだめらしいとか、いやできるらしいということで、非常にはっきりしない点がありますので、この機会に、この二つを、新しく対象をお広げになることが大臣として確定されておるかどうか、この点を一つお願いいたします。
それともう一つ、先ほど井村先生や中山先生の質問にありましたように、やはり利率問題は大事な点であります。特に善処を願うと同時に、単価の点につきましては、これは国の予算でいろいろ公共事業等をやります場合の単価と違って、およそ医療金融公庫なりあるいは福祉事業団なりというものは、そのためにもちろん融資の事業量が、若干対象数にしても坪数にしても減るかもしれませんが、やはり一つ一つに十分な融資をやるということが一番大事だと思いますので、単価の点については、特に一つ目標を十分世の常識に合うような点に置いていただいて、すっかり折衝を願い、決定を願いたい。その二点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/42
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043・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お尋ねの私立の大学の病院それから助産所でありますが、いずれも厚生省といたしまして融資の対象にするつもりでございます。来年度は、おかげさまで若干原資もふえましたので、この機会に一つ拡大したい、かように考えておる次第でございます。なお、単価等の点につきましても、十分一つ考究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/43
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044・中野四郎
○中野委員長 ちょっと私から伺っておくのですが、今の私立大学病院の貸付については、利子はどれだけであるかということ、それから大体どのくらいのワクを見ておるかという点、それから助産所の方の金利をどういうふうに厚生省では考えておるか、大蔵省との折衝は終わったのかどうか、その点明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/44
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045・鈴村信吾
○鈴村説明員 ただいま関係当局と折衝中でありまして、まだ最終的な結論に到達していないわけであります。それからお話しの学校法人に貸し付けるワクにつきましても、今折衝中でありまして、まだ最終的な了解に到達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/45
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046・井村重雄
○井村委員 ちょっともう一つ忘れましたが、今承ると、私立大学等の診療所、病院にも貸し出しのワクを広げるということであります。今貸し出しの限度額が、たしか二千万円か三千万円でありますが、そういうことであるとするならば、相当この貸し出しのワクを広げなければならない。民間開業医でも、近ごろよく二人か三人が医療法人を作りまして、相当完備した大きなものを作るという傾向にあるのでありますが、二千万円や三千万円の貸し出し限度ではとうてい事業ができないのですが、この点について何か御考慮がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/46
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047・川上六馬
○川上政府委員 ただいまのお話のように、学校法人の医療施設を医療金融公庫の貸し出しの対象にいたすことにいたしておるわけでありますが、御承知のように、これは非常に規模の大きいものが大部分でありまして、そのほか民間にもなかなか規模の大きいものが少なくないというような事情もあるかと思いますので、明年度からは、従来の貸付限度というものをわれわれとしてはかなり大幅に上げたいということで、目下折衝いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/47
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048・中野四郎
○中野委員長 もう一つ委員長から聞いておきたいのですが、先ほど鈴村次長から、ワクの点については折衝中ということですが、金利の点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/48
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049・鈴村信吾
○鈴村説明員 金利の点についても、ただいま折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/49
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050・中野四郎
○中野委員長 厚生省の考え方というものは明らかにしておいていいと思うのですが、一体どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/50
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051・鈴村信吾
○鈴村説明員 公庫が最初できますときに、目標として、なるべく他のたとえば還元融資とか公的医療機関に対する融資等と不均衡でないようにということが大目標でできたわけでありますので、そういう他の医療機関に対する融資との均衡等を考えまして、できるだけ不均衡でない線に持っていきたいということで努力しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/51
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052・中野四郎
○中野委員長 大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/52
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053・大原亨
○大原委員 事務的なことを質問いたします。この法律案の改正の中に、公庫の「「理事長」を「総裁」に改める。」とありますが、どういうことなんですか。今度は医療金融公庫総裁ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/53
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054・鈴村信吾
○鈴村説明員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/54
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055・大原亨
○大原委員 理事長と総裁はどこが違うのですか。また改めました理由はここに書いてないのですが、まあ私ちょっと念のために、これは初めて出つくわしましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/55
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056・鈴村信吾
○鈴村説明員 ほかの公庫が大体全部総裁になっております。できた当初から総裁のものもありますし、途中で総裁に変わったものもございますが、今ほかのものが全部総裁になっておりますので、ほかの公庫の例にならったということもございます。その他業務運営の円滑も考慮いたしまして、この際……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/56
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057・大原亨
○大原委員 それは日銀総裁と比べてみて、こちらが低いとか高いとかいうのじゃないけれども、理事長を今回総裁にされた、こういうことですか。それに関連しまして、今度は医療金融公庫の総裁の報酬はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/57
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058・鈴村信吾
○鈴村説明員 理事長のときと全く同じでございます。他の公庫と同じ二十六万円だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/58
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059・大原亨
○大原委員 それから職員が百幾名ということになっているのですが、その給与の基準は、大体どういうところに目安を置いて職員の給与をきめておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/59
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060・鈴村信吾
○鈴村説明員 大体政府の方針といたしましては、これは大蔵省の方で統一的な方針のようでありますが、各公庫とも大体公務員の二割増くらいのところということで、大体基準ができておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/60
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061・大原亨
○大原委員 二割増というのは、結局は公務員の年金とかいろいろのことを考えてやるわけですか、それとも、特に金融機関との関連を考えて、二割に引き上げるということを考えたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/61
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062・鈴村信吾
○鈴村説明員 大蔵省の方の方針の二割増というのは、根拠は必ずしも明確でないのでありますが、たとえば公務員の年金、退職金、この関係、それから民間の金融機関との関係とか、すべての点を考慮して、大体公務員の二割増という点に落ちついているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/62
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063・大原亨
○大原委員 このいただきました参考資料の十五ページに、共同利用施設について件数と金額が載せてあります。それの中身を私はわかりませんのでお聞きするのですが、中身は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/63
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064・川上六馬
○川上政府委員 開業の診療所などは、御承知のように個々に検査をする、たとえばいろいろな細菌検査でありますとか、あるいは病理の検査でありますとか、そういう臨床検査を個々にやるというようなことも能率の上からどうかという問題がありますし、なお、最近では、レントゲン検査にいたしましても、さらに進んで心電図をとるとかいうような、高度のそういう検査施設をだんだん整えていかなければならぬというような状態になってきておりますので、個々の診療所でめいめいそういうものを設備するということよりも、共同してそういう施設を作ってお互いにこれを利用していくのだ、そういうような性質のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/64
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065・大原亨
○大原委員 そういう施設、機械等の共同利用、こういう御答弁ですが、そういう考え方は私は賛成ですけれども、どうなんですか、こういう施設等に対する融資のワクを大体きめているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/65
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066・鈴村信吾
○鈴村説明員 特にワクはきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/66
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067・大原亨
○大原委員 要求に従ってやるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/67
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068・鈴村信吾
○鈴村説明員 はあ、要求に応じましてやるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/68
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069・大原亨
○大原委員 それから、ただいまもいろいろと質問があったのですが、厚生年金福祉事業団の融資の対象に——この融資を受ける資格がある問題では前の国会で議論したのですが、企業の主があると思うのです。厚生年金の事業に対する責任者ですね。そういう場合の医療機関を厚生年金の福祉事業団で設立する場合があるでしょう。あるのですか、ないですか。厚生年金福祉事業団の中でも病院を作ることはできるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/69
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070・高田浩運
○高田政府委員 事業主、病院等につきましては、厚生年金福祉事業団から融資をする建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/70
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071・大原亨
○大原委員 私は今の質疑応答の中で聞き漏らしていたのですが、利子は、医療金融公庫の場合と厚生年金福祉事業団の場合は、同じ病院を作る際に商い低いがありますか、あるとすればどういうところに理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/71
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072・高田浩運
○高田政府委員 年金福祉事業団の場合には六分五厘ということにいたしておりますので、概してそちらの方がいいことになっておると思いますが、これは事業主及び労働者が拠出をいたしました保険料、それを被保険者等の福祉のために還元するという趣旨で還元融資という制度が設けられ、その建前から貸し出されるものでございますので、従って、一般の場合よりも特別に有利な条件にするということが、一応考え方としては建前になっておる。そういう趣旨で、おそらく医療金融公庫の場合よりも有利な利子条件になっております。そういうふうな事情であると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/72
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073・大原亨
○大原委員 これはいろいろとそういう差別をされた場合の理由はあると思うし、今お話しの理由は若干わかるのですが、しかし、全体といたしましては、やはり高い利子の金を使いましたら経費が高くつきますし、医療内容も悪くなりますから、特に医療金融公庫は国民年金の積立金も入っているのですね。医療金融公庫の融資の財源の中には国民年金の積立金もあるし、厚生年金の積立金もあるし、これが資金運用部からそれぞれ二つの方向に厚生年金福祉事業団も出ているということでしょう。だから今言われた面接当事者、こういうこともあるわけですけれども、全体の趣旨からいえば、利子が違うということはやはりおかしいと思う。同じように社会保障で還元するのですから、だからこれは、医療金融公庫の利子は対象によって若干危険率や事務費がかさむという原価計算もあると思うのですが、新築その他の場合には、全般的に下げていくのがいいんじゃないですかね。いかがですか。
〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/73
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074・川上六馬
○川上政府委員 私どもも、大体医療の実態というものから考えまして、そうあまり高くない方が望ましいような考え方をやはり持っておるのであります。そういう方向で関係当局と折衝いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/74
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075・大原亨
○大原委員 その点はよく要望として聞くわけです。お医者さんの要望が、全部が全部私どもいいとは思わないが、しかし、そういう点は当然妥当なことだと思いますので、ぜひともその点は努力願いたい。
それから、私立大学の付属病院も入るということになりますと、公的医療機関を除く私的医療機関に対しましては、全般的に医療金融公庫の対象に入るということになると思うのです。そこで、その中で私今質疑応答を聞いておりますと区分けがあるようなんですが、医療金融公庫の対象となる総合病院なり専門的な病院、そういう区分けはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/75
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076・鈴村信吾
○鈴村説明員 今までのところ、特別に融資の面で区分しておりませんでしたが、今後非常に限度額を引き上げるという場合に、若干その辺を区分する必要が起こって参るかと思います。と申しますのは、たとえば今二千万円の限度額を大幅に引き上げるならば一律に全部を一億にまで引き上げるとか、あるいはもっとそれ以上に引き上げるということも実際上困難かと思いますので、やや差をつけて、非常に大きな病院についてはかなり限度額を引き上げる、それから規模の若干小さいものについては限度額にとどめる、そういうふうな、限度額引き上げについては若干区別をせざるを得ないのではないかというような感じがしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/76
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077・大原亨
○大原委員 滝井委員も質問いたしておりましたが、私全面的にどうこうというわけではないのですが、公的医療機関とか、法人格で私立大学の付属病院であるというような総合病院ですね、治療を受ける立場になると、やはり総合病院へ行って治療を受ける方が、いろいろな点においてどことなく安心感があるし、利用度が多くなる、これはやはり一般の常識だと思うのです。それと一緒に、町の一お者さんが、今もお話があったが、共同施設を作ったり、あるいはいろいろな総合病院の形態をとるような法人的な経営をしている人が最近ふえていると私は思うのですが、そういうことは全体として考えてみたら、やはり経営主体を、単に今までの観念で公的医療機関だけというふうな観念で総合的な病院を考えないで、全般的にはやはり国民が求めているそういうふうな総合病院に対する要請、あるいは町の専門医院に対する要請、こういうものはそれぞれあるわけですから、滝井委員もいろいろ質疑応答されておりましたが、公的医療機関の位置づけ、町のお医者さんの位置づけ、こういうこと等については、漸次全体の医療を統制するという観点だけでなしに、ほんとうにサービス的医療機関を作るという意味において、考え方を全体的に整理して考えてみる必要があるのではないか。この問題を突き詰めてみるとたくさんの問題になりますけれども、いや社会化だ何だという議論も出てくると思いますが、そういう理屈でなしに、国民皆保険ということになっておるのですから、医療の機会均等という国民の立場に立ったらそういう要望があるわけです。だから、そういう面においては、経営主体のいかんにかかわらず、やはり総合的な病院、専用的な病院というものの存在価値があると私は思うのです。そこで町のお医者さんが、医療という公的な目的のために、医療保障のために大きな病院を作るという際には、たとえば共同施設とかあるいは総合病院に対する融資とか、そういう場合には、これは公的医療機関が独立採算その他で受ける安い利子と同じように利子を下げていく、医療金融公庫の運用面においては、そういうものについては下げていくというような、そういう機械の内容まで含めて利子を下げていくということが必要だと思う。そういう点を念頭に置いて、医療金融公庫はだんだん大きくなるのですから、ぜひともそういうふうに運用していただきたいと思います。これは抽象的な質問ですけれども、厚生大臣の御所見があれば承って胸きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/77
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078・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お話の御趣意につきましては、私どもも実は関心を払っておる問題の一つでございます。医療施設が、国民皆保険の今日、全国的に見ましても適正な配置と申しますか、分布を見るようにいたしたいものと実は思っておる次第でございます。それにつきまして、何も公的、私的に分ける必要もないと思います。白紙の上にプランを立てるわけではございませんから、現実の上に立って、だんだんと国民全体が進んだ医療を受けられるような姿に持っていかなければならないと考えております。そういうふうなことでございますので、私的の医療施設につきましても、十分その土地において適当なものであればけっこうなものだと実は思うのであります。お話しのありました医療金融公庫の貸し出し等につきましても、その辺のことについて十分考慮いたしまして、妥当な貸し出しがで奉るようにいたしたい、かような考え方のもとに関係当局ともいろいろ話をいたしておるようなわけでございます。御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/78
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079・齋藤邦吉
○齋藤(邦)委員長代理 井堀繁男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/79
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080・井堀繁男
○井堀委員 私は、ただいま議題になっておりまする船員保険法の改正について、お尋ねをいたしたいと思うのであります。順序から申しますと、事務当局にお答えをいただいて、政策に関連した部分は大臣から御答弁を願うのが、お尋ねする方の側も、またお答え願う方の側も便利であろうと思うのでありますが、伺いますと、他の委員会との関係がありまして時間がないそうでありますので、順序を変えてお尋ねをいたしますので、お答えにくい点があるかと思いまするが、お含みの上で一つ御答弁いただきたいと思うのであります。
元来、船員保険は、労働保険の中でも特異性を持っておる労働保険の一つであることは明らかであります。ことに将来、この種の社会保険を労働保険と統合していこうという場合においては、私は船員保険はある意味においてモデル的役割を演ずる保険であると思うのであります。たとえば労災保険あるいは健康保険、厚生年金保険、失業保険などを兼ね備えておる、総合的な性格を多分に機能的に発揮しておる保険である、もちろんそれだけに多くの欠陥もありましょうし、他の保険制度とのふつり合いその他が出てくることは、また反面一つの弊害であろうと思うのであります。それだけに厚生行政の中、特に労働保険の制度の中においては、特段の注意を払うべき性質の保険であろうと思うのであります。しかるに、どうも今回の船員保険の改正案を拝見いたしましても、社会保険審議会や社会保障制度会からの答申の中で、この点をかなり強く指摘しておるのであります。にもかかわらず、ごくおざなりの改正しか、しかも標準報酬を最低最高の引き上げ、あるいは特に私どもよくないと思うのでありますが健康保険との権衡をはかろうという意味であろうと思うのでありますが、あとでお答えを願うとはっきりすると思うのでありますが、初診の際の一部負担などをわざわざここへ持ってきてくっつけたなどは、拙劣なやり方だといわなければならぬと思うのであります。こういう点を具体的にお尋ねをしてから大臣に御答弁を願うと正確な御回答が願えると思うのでありますが、冒頭に申し上げたような事情がありまして、少し飛びますけれども、こういう船員保険の改正についてはもっと抜本的な、すなわち保険制度の将来性に注視して改正案を出してくるべきではないか。まずこの点に対する厚生当局のこの法案改正に対する心組みについて非常な誤りがあるのじゃないかと思われますが、厚生大臣はこの点についてどういうふうにお気づきになっておいでになるか、あるいは事務当局におまかせになって、深く検討なさっておいでにならぬのかどうか、その辺もありましょうから、一つ正直なところをお話しいただいて、将来の問題についての注文をするところはいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/80
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081・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 船員保険の問題、率直に申し上げまして詳細なところは私も十分承知いたしておりませんが、しかし、この制度につきまして改善を要する点が多々あるということでございます。御承知のように、この船員保険は、成立の当時からそうであったと思うのでございますが、船主側あるいは船員側あるいは業態の別等によりまして、一本の船員保険でやっていく上におきましては、内部的にいろいろの問題を包蔵しておるわけでございます。これは井堀さんもよく御承知だと思うのであります。そういうことでありますので、改善を進めて参ります上から申しましても、なかなか話の折り合いがつかないような点が多々あると私は伺っておるのであります。今度のこの法案につきましても、さような意味から申しますれば、いろいろまだ問題が残されておるということも承知いたしておる次第でございます。どうやら話の落ちつきましたものをもって法案を作りまして、御審議を願うことにいたしたのでありすまが、残されました問題もいろいろあると思いますので、これにつきましては続いて検討を進めるように、でぎるだけ話のつくものから解決していきたい、こういうつもりでやっておるようなわけでございます。御了承いただきたいと思います。詳細は局長からでもお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/81
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082・井堀繁男
○井堀委員 厚生行政各般にわたりますから、なかなか目が届かないだろうと思うのです、ことに船員保険などというのは、あなたの方の専門家の中でも、特に気をつけておいでになる方でもないとわかりにくいかと思うのです。しかし、この保険の制度については、私が先ほど申し上げたような他の保険制度と統合もしくは成長を遂げていくときには、大きな役割をする性格のものであるということをぜひ深く御認識いただいて、特に社会保険審議会の答申案がここにございますけれども、三十七伊二月二日付の答申の中でも、船員保険については種々の検討を要する事項があるので、表記——具体的にはあげておりませんが、表記に関する審議会の答申の趣旨を参照して早急に合理的な検討をなさいということを、特に注意をいたしております。さらにそれを受けて、社会保障制度審議会もこのことを重ねて強調いたしております。その理由は、私が冒頭申し上げた性格にあると思うのであります。こういう点について私は非常に遺憾の意を表するわけであります。
そこで、具体的な問題を一、二申し上げて、政策転換に必要だと思います部分をお尋ねして、あとは事務当局に伺おうと思います。それは今度の標準報酬の改定にあたりまして、最高を五万五千円に引き上げて、最低を七千円に引きしげておるわけでありますが、従来の三万五千円を早く引き上げてほしいということは、関係者から長い間の要望であるし、この委員会でも附帯決議を付したくらいであります。それを長い間放任して、との機会にようやく健康保険の五万二千円に拘衡させるという考え方に基づくものと思うのでありますが、こういう考え方に、よく厚生当局の態度が現われておると思うのであります。御存じのように、標準報酬でありますから、賃金の実体所得に対するバランスを考えておるわけであります。でありますから、船員の給料というものが、どういう性格のものであるかということが前提になってこなければならぬはずであります。陸上の労働と異なります点は、御存じのように長期の航海を、しかも、生活の一切をその中でまかなっていく性格の労働であり、また報酬もそれに見合うような報酬でありますから、その標準報酬の金額は、一般よりは高いのが通例でなければならぬ。また、調査をわざわざ求めるまでもなくて、海員法によってもその把握は簡単にできるわけであります。だから、実態把握が困難であるという意味で、多少そこにずさんなものがあるということでありますならば、われわれはあまり問題にしません。しかし、正確に把握できるデータはたくさんあるのです。そして今申し上げるように特殊の労働で、その報酬は一般より基準が闘いということは常識であって、今まで十年の長い間最高を低く押えて、そしてようやく今度引き上げてきた。ところが、健康保険にならわせるというようなやり方、これは当局のいかにずさんな保険に対する態度かということを暴露するに十分だと思う。私は今からでもおそくはないと思うのであります。こういう保険の実態について、もう少し実情に沿う改善を行なっていく必要がある。これは後退です、実際は。この点に対して、これは政策の関係もありましょうから、もしお気づきであればお答えを願うし、なおよくわからなければ事務当局からでもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/82
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083・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この問題については、実情から申しまして、従来のが非常に低きに失しておったというので、今度引き上げの御審議を願うことにいたしたわけでございますが、それにつきましても、なお非常な議論が残っておるというふうに私ども承知いたしております。そこで、当局に命じまして、この標準報酬の最高限をどうするかという問題については、続いて検討するようにというふうに言っておるところであります。なるべく早く結論を得たいものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/83
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084・井堀繁男
○井堀委員 暫定的なものであるということは、全体からうかがえぬわけではありませんけれども、しかし、こういうものは暫定的に扱うべきものではありません。実態に即応して改正していく、これは必然的な行為として現われてくるのでありまして、何も政策を用いなくても事務的に出てくる答えだと思います。それを、ことさらにおくらせておるというようなことは、厚生行政としては非常なマイナスだと思いますので、それで大臣に答弁をわずらわしたわけであります。これは事務当局にその前にお答えいただくと、あなたがそういう問題に対処なされる上に参考になると思いますから、一つためしに伺ってみたいと思います。どういうわけで健康保険と同じにしなければならぬのか、この点をまず一つ伺ってみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/84
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085・高田浩運
○高田政府委員 御承知のように、船員保険ば、最初にお話しがありましたように疾病部門、年金部門それから労災部門、失業保険部門、いわゆるそれらを含めた総合保険の体制をとっておるわけでございます。その意味で、標準報酬については、それぞれの陸上との関係ということも一応考えてみなければなりませんし、船員保険特有の状況ということも考えなければなりませんし、それやこれやで、今おしかりをいただいておるように、標準報酬の最高額の引き上げというのがここ十年間も据え置かれておったということであろうと思います。私も実は就任後日が浅く、十分の検討をして最終の結論を出すには少し時日が足りなかったうらみがあるのでございますが、十年間も三万六千円で据え置くということは、何としてもこれは不適当であって、これだけは早急に当座の措置としてでも解決しなければならないということで、さしあたって大体折り合いがつくと考えられる五万二千円で一応当面の解決をいたしまして、今後の問題につきましては引き続いて検討をして、次の通常国会あたりでもって根本的な改正を考えてみようじゃないか、そういうような気持で、いろいろ御意見はございましたけれども、その点で一応現段階においては踏み切ったような次第でございます。
なお、念のために申し上げておきますが、灘尾厚生大臣は船員保険法ができます当時に直接関係しておられましたので、非常にお詳しく、私もいろいろ教えられているわけでございます。御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/85
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086・井堀繁男
○井堀委員 私も失念しておりました。そうでしたね。これは当時なかなか議論され、私どもも勉強させられたが、国会でもこの委員会でも、あまり熱心に論議をされる機会が比較的少なかったことを残念に思うわけであります。それでも標準報酬というものについては、実態に合うように引き上げなさいという附帯決議がついておるのでありますから、国会でも強い関心を注ぎ、特に社会保険審議会、社会保障制度審議会が、一再ならず当局には強い答申並びに要請をしている。厚生大臣、これは声の少ないところには配慮が足りないという民生政治の陰でもあると思うのです。しかし、大局的に見まして、今後の労働保険の将来を展望しながら、こういう制度を少しでも合理的に、すみやかに改善をはかるという立場からいたしますと、こういうものが一番先に俎上に上ってよいものであると私どもは痛感したので、ことさらあなたをわずらわして実は答弁を伺っておるわけであります。これは今のところ全く私どもと同じような考えのようでありますが、ただ私どもは直接的な責任者でありませんものですから——議員だから責任がないとは言えませんけれども、当局としては、当然こういう問題を率先して改善していかなければならぬという点について、与野党の立場を越えて、熱心にこういう問題について御協力願いたい。その具体的事実を一つあげたわけであります。
〔齋藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、次にもう一つこれはお考えいただく資料になると思いますが、標準報酬を上げなさいということは、保険制度の問題もありますが、これはある意味において権利に眠っている。権利に眠ることは民主主義の罪悪だといわれているくらいなのに、要するに、法律の欠陥から、いたずらに権利をじゅうりんするという積極的な形で出てくるという点に大事な点があるわけです。だから標準報酬というのは、あくまで一定期間は実際収入というものをコントロールして、一つの標準を出すわけです。それは社会保障の精神でなければならぬ。しかし、たびたびやるということは事務的にも困難を生ずるというので、一定期間を置いたり、あるいは法律制度によって制約をしておるということは説明を要しないと思う。こういう点からいきまして、実際病気その他の被保険者が、当然の生活保護を受ける際に、日ごろのものと格段の開きがあるということは許されることじゃないと思いますので、さっそくに改善方をお考え願って、一つ提案をしてほしいと思います。
次に、もう一つ関係して私が非常に不可解に思うのは、初診料の問題です。かつて健康保険が赤字で苦しんでいる時分に、私どもも不用意だったと思うが、健康保険に気をとられております間に、船員保険にそういう改悪がなされた。正直言うと、私もあとで気がついて、しまったと思ったくらいです。初診料は、船員保険ではどこから考えてもとる必要のないものです。保険経済の上からいっても、あるいは保険の性質がさっき言った健康保険と異なりますから、健康保険が従来初診料五十円だったのを百円に上げるときに、そういうところに初診料を一挙に百円くっつけるということは全く時代錯誤で、こういう点はよい機会だから改められたらどうかと思います。この点について厚生大臣のお考えを願えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/86
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087・高田浩運
○高田政府委員 厚生大臣からお答えがあります前に、ちょっと私から御答弁申し上げます。
お話しの点は、業務上の疾病の場合にも、初診料を本人が払ってあとで事業主からもらう、そういうしかけになっているにかかわらず、あるいはめんどうくさいとか、そういうことになっていることを知らないとかいうことで、実際上被保険者が相当犠牲をこうむっている、これは適当でないじゃないか、そういうお考えが御質問の本旨だと思うのです。そのことを離れまして、一部負担制度が適当であるかどうかということについては、これはいろいろな考え方があると思いますし、私も、一がいに制度自体が悪い制度であるというふうにきめてしまうことは、いかがかと存ずるのでございます。しかし、現実にはそういうふうに被保険者が不当な犠牲をこうむっているということであれば、やはりこれは検討を要する問題だと思います。ただ、なるほどお話しのように、制度ができました当初は、相当部分事業主からもらわないでおしまいになる、すなわち被保険者の犠牲がそれだけ大きいという事象が多かったようでございますが、その点は、だんだん実情としては事業主の還付が励行されて、緩和されているやに承知をいたしているのでございます。一方、この制度につきましては、業務外の場合との関連もございますし、それからこの制度を設けた趣旨というものが、多少業務上の災害についてのメリット制ということも考慮されているように考えられますし、この辺のところを勘案をして、先ほどお話しのありましたいろいろな問題を含めて、十分一つ検討いたしたいと考えております。今のところ、これをどうこうする、右左の答えができないことは残念でございますが、そういうふうな気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/87
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088・井堀繁男
○井堀委員 大臣にちょっとお尋ねするのでありますが、今のお答えは、健康保険の場合には、私は必ずしもすべてを否定するものではありません。一部分は真理がある。しかし全体からいうと、ああいう制度というものは制度の成長の上に抵抗になってくるものであって、大局的にいえば、あまり意味をなさぬ制度であると健康保険でさえ言える。私がなぜ船賃保険のときにこれを言うかというと、船員保険は、さっき申し上げたように総合保険なんです。そうして被保険者として疾病その他の場合の給付を受けるにいたしましても、船の上の場合は、私の病気であろうと公傷であろうと、こういうことには環境上とらわれない性質のものなんです。そういう特殊の労働と報酬形態の中から生まれてくる保険であります。初診料を健康保険でやったからすぐ持ってくるということは、とてつもない失敗だ、私どもそういう点で強調すべきであったのに、その部分について反対せず、一応可決したのは手抜からであったと思いますが、いいことに気がついたら即刻改めるということは、厚生行政の上で大切だと思いますので、一例をあげてお考えを願い、あなたの御判断を願いたいと思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/88
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089・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私は、先ほど局長が船員保険のことを知っておるようなことを申しましたけれども、これはずいぶん古い話であります。一番初めに法律案を書いたことはあるのですが、それは流れてしまいまして、その後だいぶ年月を置いてできたわけで、古いことであります。ただ、当時から、船員保険というものとほかの保険とが違っておるということくらいは覚えておったつもりであります。今お話しになりました問題につきましては、診療を受ける場合の一部負担制度をどうするか、それがいいか悪いか、両論あろうと私は思うのでございますけれども、にわかに結論を下すわけにはいきません。従って、厚生省としましても、一部負担制度そのものを今どうしようということについての意見は、固まっておらないのでございます。現状通りという考え方をいたしておるわけであります。ただ、船員の問題につきましては、実はこの間も部内話をいたしたのでございますけれども、どうもおかしいところがあるのじゃないかというような話も出て、事務当局もその点はもちろん十分気のついている問題であります。ことに業務上の傷病と一緒になっておりますから、なお話がおかしいじゃないかというような疑問を持っておるわけであります。御指摘の点もございますので、今後改正する場合につきまして、これらの問題についても十分御趣旨をくんで検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/89
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090・井堀繁男
○井堀委員 時間もなんでしょうから、あと二つばかり具体的なものを、関連してあなたの政策転換に必要なものを承っておきたいと思います。それはこの保険は、さっき冒頭に申し上げたように労災保険との関係、厚生年金保険との関係においてこういう改正をするときに、やはり将来の総合保険への糸口、すなわち芽の出るような制度であれば、私はそれが非常にささいな改正であっても、大いに共鳴を感ずるのであります。しかし、見せかけがよくても、そういう成長の際に、抵抗になるようなものは厳に慎まなければいけない、こういう観点から実はお尋ねをするわけであります。その点からいきますと、今度の改正については、当局に御反省をいただきたいという意味で私はお尋ねをするのであります。
それは労災保険の場合には、私どもは古い法律の中からこういうものになじんできたものですから、少し癖もあるかと思いますが、昔は工場法といったようなものがありまして、あの時分は、公傷は全額雇い主が持って、健康保険にかわるときに公傷も私病も一緒にして、そのかわりに半額もらえるということでプールされた。われわれは、既得権の侵害だというわけでかなり抵抗を試みたことがあったのです。今考えてみると幼稚な話ですけれども、しかし、それも将来疾病の場合に保険で全額まかなってもらえるという希望がやはりそこにあったから、そういう主張も、自然、力を失ってきたわけであります。そういう意味での抵抗がやはりあると思うのです。私はこの改正の中では、そういうものではなくて、むしろ妻がうしろ向きになっているという感じがいたしますからお尋ねをするわけであります。それは船員の関係は、さっき申し上げたように船でありますから、陸上と違うのであります。だからこそ労働基準法ではなしに、船員法の規定を特に設けて保護することにしておるわけであります。この関係でもちょっとあとで局長にお尋ねするつもりですが、要するに、陸上の労働とは違った保護法規を持っておる。やはりそれに準じた災害などに対する配慮がなければならぬ。それを、さいぜんもお尋ねしたように、標準報酬のところでああいうやり方をしている。それが尾を引いて、ここにきているということも言えるのです。でありますから、船の上で起こった一切の、そういった被保険者として領有すべきものについては、それは陸上と異なってやれるということにしなければ、健康保険にもならえないことになります。あるいは労災保険にも追っつけないことになる。ここでマイナスの面が出てくる。なぜこの点を、この際思い切って改善なさらなかったのであるか。非常に遺憾に思うのです。お気づきになってやらなかったのであるか、あるいはお気づきにならなかったのであるか。この点を一つ大臣から率直に伺って、もしお気づきにならぬのならば、私はこの際猛反省を願うし、それから知っていたけれどもやらぬのだということになりますと、これはおそるべき非政だと思うので、次にお尋ねをいたさなければなりません。その辺を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/90
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091・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この御指摘になりました問題が、実は確かに問題点であると存じております。また、それがあるがゆえに、いろいろ標準報酬の問題につきましても話がまとまりにくい、私率直に言ってそういう点もあるのじゃないだろうか、かようにも思う次第であります。御趣旨につきましては、実はその問題については多少私の考え方が古いかもしれませんけれども、どうも問題が残されておるような気がいたしておるのであります。十分一つ検討さしていただきたいと思います。どうも工場法時代の頭が私にも残っておるような気がしますので、あるいはどうかと思いますけれども、災害補償という面から考えまして、確かに問題点があるのじゃないだろうか、こういうふうに存じております。今回はようやくこの辺で話がまとまったということでございますから、今後の問題として、さらに一つ検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/91
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092・井堀繁男
○井堀委員 局長に、具体的な点で簡単に、そのものずばりお答え願えるものは願えれば、私の質問はどんどん進んでいくと思うし、わからぬことはあとでけっこうです。
標準報酬のところへ戻ってきますけれども、最高の問題にちょっとさっき触れましたが、最高の線を健康保険とそろえましたね。そうすると、大体最低のところでいきますと三千円と七千円、そうすると約二・三倍ぐらい、下の方をこういう工合に食い違わして、上の方々一緒にした。なぜ一緒にしたのでしょうか。この辺は何かわけがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/92
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093・高田浩運
○高田政府委員 これは健康保険にそろえるというよりも、上の方の問題については、一応話し合いのつく線としてその辺をめどにした、そういうふうに御理解いただいた方がいいかと思うのであります。従って、下の方につきましても、健康保険と同じということではなしに、やはりこれは船員保険の実情なり船員保険の体系というものを考えて、従来も違っておりましたし、さらにこれを引き上げよう、そういうことでございまして、確かに健康保険の方は三千円、それから船員保険の場合は、五千円を七千円に引き上げるということで上がってくるわけであります。総合保険であるという建前からいって、いわゆるとられっぱなしというよりも、やはりそれだけ給付内容の改善になるという点も相当ございますし、それからまた、陸上の場合と海上の場合で雇用形態ないし賃金の内容等が違っておる点もございますので、その辺は健康保険と合わせずに、これを離すように引き上げた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/93
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094・井堀繁男
○井堀委員 あなたと議論する気はありませんけれども、あなた方の立場からいたしますと、理路整然と一つの形態を維持していかないといけないと思うのです。標準報酬というものは、どの部分を持ってきても実質所得とひどく離れないというところに原則があるわけです。だから給与の実態とどだい離れたものをこしらえたら、説明がつかぬと思うのです。今長々と苦しい答弁をして、何かどうも折り合いをつけられるのか知りませんけれども、被保険者もありましょうし、それから保険者側もありましょうけれども、それは利害が違うのでありますから、そういうものが完全に意見の一致できるものじゃありません。だから、そういうものを当てにしてもしそういうことをなさるとするならば、それはむしろ政治政策の問題だと思うのです。ぴたっとしたものさしを持たないでそういうことをやられたら、それは危険だと思う。それはあやまちだと思います。標準報酬というものは、やはり報酬の実態をよく見きわめて、そうしてそれにどうバランスをさしていくか、幅はきわめて狭いものである。今のお答弁を聞いて、私は非常に危険だと思います。標準報酬は一つの大きなものさしですから、そのものさしを延び尺にしたり、メートル尺を鯨尺にするようなことのないようにしていただきませんと、われわれ自身も、法案に取り組む場合に非常に迷惑であります。そういう点はお互いに明確にしていきたいと思います。あなたの言葉じりをとらえるわけではなりません。
そこで、特殊な事情ということをいろいろ言いますと、報酬の問題については特殊な事情のものもありますけれども、実態をつかむ、その実態からいきますと、むしろ私は最高を引き上げていくべきではないかという主張に立つわけなんです。でありますから、下をこういうふうにするのなら、上もややそれに近いものさしを当てるとすれば、二・三ですから約十一万です。実際、私はここにデータを持っておりますが。陸上の労働者と労働の質などを比べてみますと、陸上の労働者よりはるかに高いということは言うまでもない。だから、そういうものを無理に——将来保険を統合するからといっても、保険が統合されてもそういうものは生かしていかなければならぬ。その芽をつむようなことをなさることは、私は非常な成長への逆コースだと思いますので、お尋ねをいたしたわけであります。一つ、その点を十分反省されまして、正しい方向に持っていかれるように強く要望いたしておきます。
ついでに、もう一つ具体的な点をお尋ねしてみたいと思います。それはこの標準報酬をおきめになるときに——これは運輸省の所管で、運輸省の方にもいろいろ資料をちょうだいに上がったのですが、割にいいものを持っている。われわれみたいに労働問題を専攻する者からいたしますと、こういうところにこういう資料があるということで、この間も農林省からえらい労働関係の資料をちょうだいして恥ずかしく思っておるわけであります。特にこういう行政をおやりになるときには、運輸省に存外すぐれた資料や、そういうものに役立つもろもろの資料があると思うのであります。そういうものとの連絡は十分おとりになっておりましょうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/94
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095・高田浩運
○高田政府委員 前段については、御要望でございますのでよく検討してみます。念のために申し上げておきますけれども、私どもも、やはりお話しの趣旨と同じように、標準報酬というものはなるべく実態に合わす、べきものだ、こういう根本の考え方については全く同意見でございます。そこで、現実はそれと違うじゃないかということであろうと思いますが、下の方の引き上げについては、これは御推測の通りに、大体現実の報酬に合わせることを一応のめどにしたわけであります。上の方の問題については、お話しのように、それより以上の報酬の者がかなりおるわけであります。これをどうするかということについて、お話ごもっともでございますけれども、とにかく二十七年から三万六千円で据え置かれた。これは厚生省としてなすべきことを十分なさなかったという御批判は当然と思いますけれども、それにはまたそれの一つの理由もあったのじゃないかと私は考えます。一方、しからばこれを、さらに根本的な解決を待つためにもう少し延ばしてやるか、あるいは少しでもこの際上げるかという判断に立ちました場合に、根本的な改正というものはあるいは一年送りましても、とにかくこの三万六千円というのはずいぶんひどいじゃないか、そういうふうな考え方で一応五万二千円に持っていく、そういうことで一つ御了承いただきたいと思います。
なお、後段に御質問のございました船員の賃金の実態等について、私の方でもいろいろ調査をしておりますが、同時に、関係の運輸省等とも十分連絡をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/95
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096・井堀繁男
○井堀委員 あなたと議論をかまえるつもりはないが、ちょっと小づらにくく感じたのは、要望ではありませんよ。間違っているのじゃないですか。私は、何もあなたと議論してあなたの責任を追及しているのではなくて、保険の本質を正しく伸ばしていきたいから、間違っていることを指摘しただけの話です。私の主張が間違っているのなら間違っていると言って下さい。こういう問題をやるときは、真摯な態度で臨んでおるつもりであります。あげ足とりはやりませんから、そういうつもりでお答えをいただきたい。
それから、運輸省との関係資料については、大よそお取り寄せになっているだろうと思うけれども、これを私がなぜ聞いたかというと、あなたの方で昭和三十六年八月に実施されたこの極関係の統計資料の中で、漁船関係などの給与のあれが出ておりましたが、それが実際とかなり違うのですよ。それで、どっちに信憑力があるかということについて、私は運輸省のものに軍配を上げた。その上げ方が悪いというなら反駁して下さればいいのです。それはスタッフも違うし、予算のつぎ込み方も違うし、目的もおのずから違いますから、深さの相違のあることは私も認めておる。悪意ではないのです。ただ、そういうものをお使いになるのが望ましいと思ったから聞いたのであって、そうすればもっといい標準報酬というものが母体として生まれるだろうと思ったのです。こういう標準報酬をおきめになる際には、できれば実態をもっと正確につかんでほしい。もちろん社会保険審議会の協力を求めるわけですから、ここには船主側と船員を代表するりっぱな組織の代表者が出るわけですが、そこに出す資料が、政治的な配慮があったり曲がったものであってはいけないということから、実は申し上げておるわけであります。ですから、手に入る資料はできるだけその審議会に提供して、公正な結論が出るようにしていただきたい。時間があれば、そのデータとあなた方のやった作業との関係を突き合わせて申し上げるとよくわかると思うのですが、その点は専門家だと思ったものだから、時間の節約のため申し上げなかったのですが、そういう意味で、標準報酬の問題については、他の保険にも影響がありますから、至急にお調べ願って、実態に近いものをぜひ出していただきたいと思います。
次に、これはあなた方の直接の関係ではありませんが、船員法の適用事業場の中で問題を摘出して伺いますと、機帆船と漁船の例をとってみますと、機帆船の場合は五トン以上という規格がある、漁船の場合は三十トンという基準を置いているわけです。これは実質的に見ると、私はそういう労働の体験はありませんけども、そういう人たちの話を聞いてみると、機帆船の場合には大体陸岸線沿いに航行する、ところが漁船の場合は、小さい船でも対角線で沖に出ていく、そういう特殊性がひそんでいるのですね。船員法はその点によく目をつけてやっておりますが、これと今言う船員保険法の適用とがちぐはぐになっていると思うですが、あなたはこの点に対してどういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/96
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097・高田浩運
○高田政府委員 船員法の船員を、私の方としてはそのまま船員保険法の被保険者として取り扱っておると私は理解いたしております。
それから、なお前段について、私の申し上げたことが誤解を生じたとすれば非常に私も意外なことでありましたが、井堀先生の御質問は私も多分に同じように感じておった点でもございますし、私としては真剣に検討すべきこととして、真摯な気持でお答え申し上げたつもりでございます。もしそういうふうにお取りいただけなかったとすれば残念でございますが、誤解でございますから御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/97
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098・井堀繁男
○井堀委員 今お尋ねしておりますのは、御存じのように、漁船の場合と機帆船の場合は、機帆船は五トン以上、それから漁船の場合は三十トン以上と、かなり違うのです。ほんとうを言えば、漁船の方が危険な機会が多いのです。保険の恩典に浴す機会が機帆船より多い、こう理解している。ですから、ほんとうは五トン、三十トンというようなことは逆にしてもいいくらいです。それからこれはもっと言えば、健康保険その他陸上の場合には、五人未満の事業場がおおむね任意包括になったりするなどということはあべこべで、強制加入させるということが、保険の方から言えば当然だと私は思う。ただ、被保険者を保護すると同時に、保険者、すなわち零細企業の負担能力の問題が実際問題として浮かび上がってくるからであろうと思う。しかし、それは本筋から蓄えば逆なのであって、労働者の保護から言いますと、保護を多く要求する方に保険の範囲が拡大されていくというのが当然でなければならぬわけであります。これは当然なことでありますが、そういう零細企業の場合をいうこともあるけれども、この場合は、私は零細企業というよりは、むしろそれは立て方に間違いがあるのじゃないかと思いますので、一つ御検討を願いたい。いきなりぽんと出しても回答はどうかと思いますが、私は非常に矛盾を感じておりましたから、この機会にちょっとあなたの御意見を伺ったわけであります。ぜひ改めてもらわなければならぬことだと思っております。
それから、さっきの最高限度の問題について十一万と言いましたけれども、公務員共済法の関係などから言いましても、やはり矛盾があります。健康保険だけを見ないで、やはり他の保険制度も十分ごらんいただいて、そうして総合的なものを出すというのなら、いい悪いは別として一つのものさしになると思うが、どうも片寄ったものさしを押しつけてくるようなきらいがありますから、私はお尋ねしたのであります。
それから、もう一つこの機会にあれしておきたいと思いますのは、厚生年金との関係ですが、これも私は非常に問題があると思う。だから船員保険法の改正のときにこそ、厚生年金の改正をやらなければならぬ時期がきておるわけです。こういう関係とのにらみ合いの上で私はお尋ねをしようと思ったわけでありますが、大へん時間も経過しておりますし、ぜひ一つ以上申し上げた点を参酌されまして、労災並びに厚生年金保険などとの見合いもありますから、もっと広い視野の上に立って、実際に適用できるように十分御努力願いたいと思います。
時間もありませんようですから、またいずれこれは続行されると思いますので、こまかい点は、他の委員との関係においてお尋ねすることにいたして、保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/98
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099・中野四郎
○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる六日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X01219620301/99
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