1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十二日(木曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 中野 四郎君
理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君
理事 澁谷 直藏君 理事 藤本 捨助君
理事 松山千惠子君 理事 柳谷清三郎君
理事 五島 虎雄君 理事 八木 一男君
安藤 覺君 井村 重雄君
浦野 幸男君 大橋 武夫君
加藤鐐五郎君 倉石 忠雄君
佐伯 宗義君 中山 マサ君
永山 忠則君 楢橋 渡君
米田 吉盛君 淺沼 享子君
大原 亨君 島本 虎三君
田邊 誠君 滝井 義高君
中村 英男君 吉村 吉雄君
受田 新吉君 本島百合子君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
厚生政務次官 森田重次郎君
厚生事務官
(大臣官房長) 山本 正淑君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 尾村 偉久君
厚生事務官
(年金局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(援護局長) 山本淺太郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(特別地域連絡
局第二課長) 和田 秀吉君
大蔵事務官
(主計官) 岩尾 一君
厚生事務官
(援護局庶務課
長) 福田 芳助君
厚生事務官
(援護局援護課
長) 石田 政夫君
厚生事務官
(援護局未帰還
調査部長) 吉田 元久君
専 門 員 川井 章知君
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四月十二日
委員井堀繁男君辞任につき、その補欠として受
田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として井
堀繁男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事澁谷直藏君同日理事辞任につき、その補欠
として松山千惠子君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任の件
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第七二号)
臨時医療報酬調査会設置法案(内閣提出第一〇
一号)
ばい煙の排出の規制等に関する法律案(内閣提
出第一四二号)
生活保護法の一部を改正する法律案(八木一男
君外十一名提出、衆法第九号)
医療法の一部を改正する法律案(滝井義高君外
十一名提名、衆法第二八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/0
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001・中野四郎
○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、臨時医療報酬調査会設置法案、ばい煙の排出の規制等に関する法律案、八木一男君外十一名提出の生活保護法の一部を改正する法律案、滝井義高君外十一名提出の医療法の一部を改正する法律案、以上五案を一括議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/1
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002・滝井義高
○滝井委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、これは年金のときに質問をするはずでしたが、落ちておったので、援護法で質問さしていただきたいのです。それは国民年金と公的年金あるいは公務扶助料との併給の問題があるわけです。これは当然援護法関係の遺族年金との併給も行なわれるものと理解をしておりますが、それは間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/2
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003・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/3
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004・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、公的年金と併給する場合の限界は二万四千円、公務扶助料等と併給する場合は七万円の限度にしておるわけでございますが、これは一体どういう理論的な根拠から、公的年金の場合は二万四千円の頭打ちにし、公務扶助料などの場合には七万円の頭打ちにしたのか、これを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/4
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005・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 いろいろお考えはあったと思いますが、諸般の政治的御事情等でそうせられたものと聞いておりますが、詳しくは年金局長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/5
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006・中野四郎
○中野委員長 年金局長はあとで呼びますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/6
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007・滝井義高
○滝井委員 政治的な配慮とおっしゃいますけれども、こういう生活保障的な面であまり政治的な配慮をするということは、非常に問題があると思うわけです。これが千円か二千円違うのなら、政治的な配慮もできると思う。ところが片や二万四千円、片や七万円と、ほとんど三倍なわけですね。これでは、政治的な配慮にしてはあまりにも常識がなさ過ぎると思うのです。こういうびっこな形にするためには、何かそれだけのしっかりとした理由がなければならぬと思うのです。特に山本さんの方の所管で、今まで公務扶助料は五万三千二百円だったですね。それから遺族年金の方は五万一千円ですね。このくらいな違いは、片方は軍人だし、片方は軍属あるいは準軍属と、こういう形だから、これは遺族に対しては、当時の戦争では軍人の方が主役を演じておったのだからわかるわけです。それで、軍人、軍属の差は、五万三千二百円と五万千円ですから、二千二百円しか違わぬわけです。ところが今度これを併給をした場合に、もとが違うから二万四千円が限界で、片一方は七万が限界だ、こう言えるのかもしれないけれども、併給までして生活を保障しようとするならば、やはり二万四千円の公的年金との併給の問題というのは、もう少し上げてもいいんではないかという感じがするのです。これは非常に片手落ちな形になっておるという感じがするのですが、そこらあたり、大臣、何かこう——これはほんとうは年金のときにやらなければならぬのだけれども、さあ、やめやめと言うものですから、実はやっていないのです。しかし、これは公務扶助料なり遺族年金に関係あるものですから、ここでやらしていただこうということで見送ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/7
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008・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 理論的な根拠というふうなお尋ねでありますが、私のお答えで御満足がいくかどうか存じませんが、また理論的に御不満な点がございましたら、政府委員がそのうち参ると思いますけれども、お聞きを願いたいと思います。
従来からも一般の公務扶助料との間に差画があるということは、御承知の通りでございます。普通の文官等の公務扶助料の額と、戦傷戦没者に対する問題あるいは軍人に対する恩給の問題との間には、必ずしも同じような考え方でない点があると思うのです。と申しますのは、単なる老後を養うというような、あるいは遺族に対する生活保障的な意味のほかに、戦争によって傷つき、あるいは戦争によって倒れられました方については、特殊な国家に対する功労、またさような方を失われました遺族の方々の心持というものを考えまして、特別な配慮のもとに特別な金額が盛られておると思うのであります。一般の公務扶助料の場合とはおのずからそこに差異がある、そういうふうな扱い方で今日までこの制度が行なわれておると思うのでございます。そのまま今回それを踏襲いたしたわけでございます。さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/8
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009・滝井義高
○滝井委員 いろいろ厚生省等から出している説明を見ると、こういう説明の仕方をしているのです。あるいはこれは厚生省の公式の見解でないのかもしれぬけれども、私の読んだ範囲では、公的年金を二万四千の限度としたのは、これは生活保護は大人で大体月二千円程度ですから、それを一年分とすれば二万四千円、これが生活保障の限度だ。だから二万四千円にした。ところが公務扶助料は、今大臣が言われたように戦死というような非常に精神的な打撃面が大きい、それに生活保障的な面を加味して七万円だ、こういう説明をしておるのです。なるほどそうかなという感じもしなくはないけれども、今後この問題に関連してあとにもう一つ出るわけですが、こういう増額の仕方なり併給をおやりになろうとする場合には、あまりにも政治的な配慮だけでやっておると、今のようになかなか理屈がつきにくくなるのです。やはりこの引き上げについては、一定の法則というか、基準というか、そういう理論的に筋の立ったものをやる必要があると思うのです。昨日永山委員も、これは与党の発言としては非常に重大な発言だったのですが、たとえば恩給法なり援護法なり、いろいろの種種雑多な援護の法律がある、しかしこういうものは、体系的にやはり一本化しなければいかぬだろうという御主張があったのです。大臣も、それについては重大だから、慎重に検討するということを前にお答えになったという答弁を援護局長がされておるようですが、そういうお考えがあるとすれば、当然やはり引き上げの基準についても、何か科学的な根拠を持たなければいかぬと思うのです。私は読んでとにかく世間が援護法と恩給法くらいむずかしい法律はないと言うのです。なぜむずかしいかというと、引き上げの理論的な根拠というものが、全然そのときそのときではっきりしていないわけです。二十八年ですか、臨時恩給等調査会委員にさせられまして、恩給法をやりましたけれども、やったときは覚えておるが、あとは法則がないから、金額なんかすぐ忘れてしまう。それから実施の段階が、あるものは七月から実施し、あるものは十月から実施し、あるものは三カ年計画になり、あるものはもっと長い計画になるというように、こま切れに実施していくわけでしょう。だから理解をしようといったって、法律と首っ引きでなければ理解できないという形になっておるのです。たとえば今の公的年金と公務扶助料の国民年金併給問題のほかに、たとえば今度の戦傷病者戦没者遺族等援護法の障害年金及び障害一時金の増額の問題にしても、「特別項症、第一項症又は第二項症に係る障害年金の支給を受ける者には三万一千円を、第三項症から第六項症まで又は第一款症に係る障害年金の支給を受ける者には七千円を同項の年金額に加給する。」こういうふうに加給になっておるわけです。一体この三万一千円とか七千円とかいうのはどういう根拠から出てきたのであろうかということ、これはどうも、この法案を読んだり、提案理由を読んでみてもさっぱりわからぬのです。これは今内閣委員会に付託されておる恩給についても同じです。あまりにも政治的過ぎて、どうも理解ができないのです。それならば、政府は一・一%しか物価は上げませんと言っておったのに、物価は年度末に八%も上がった。八倍上がったわけです。従って、こういう物価が上がるときにはスライドをして、恩給なり年金というものはこうしますよということならば話はわかる。あるものは二万五千円ベースでそのまま据え置く、あるものは二万円にするのだ、あるものは二万五千円ベースにするのだ。これだって、何かお年寄りには七十才ですか、年令を区切って、それ以上ちょっと早目にやるのだ、こういうことは理屈としてはわかるのですけれども、何か一貫をした理論的な根拠というものをお作りになっておかないと、大蔵省と太刀打ちする場合でも力関係でいつもちょん切られたり、あるものを上積みにさせられたりすることになるのじゃないかという感じがするのですが、こういう障害年金等についても、何かはっきりした根拠がおありになるのですか、それとも今のような政治的な配慮からですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/9
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010・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 障害年金につきましては、御指摘のように恩給法に右へならえをしたわけでありますが、従前も常にそのような措置で引き上げが行なわれてきたという経過にかんがみまして、今回も、恩給の方がそういうふうに定まりましたので、援護法の世界へそれをそのまま取り入れたということでございます。これは基本的な考えは、やはり一万五千円ベースを二万四千円ベースに引き上げる、そういう基礎に立って、それぞれ増加恩給等の額が改定される、こういうふうに了知をしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/10
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011・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、別に援護局としては大した理論的根拠はなくて、恩給を上げたからこちらも右へならえをしたのだ、この程度のことですよ。しかし、それではやはり無責任だと思うのです。それでは一体、なぜあなた方が恩給に右へならえをして額を上げるのかということは、やはりはっきりしておく必要があると思うのですよ。そうしないと、永山さんが昨日指摘されておりました、何か体系化をし、一本化をしていこうという場合に、そのときそのときの政治情勢でやられるということだったらこれは大へんなことだし、また、他の社会保障との関連を考えた場合に、今後社会保障の総合調整をおやりになろうとする場合に、何だ援護法や恩給というものは何も根拠がなくて上げておるのだということでは、私は筋が通らぬと思うのですよ。ぜひ一つこれは何か科学的に検討して、遺族団体その他が毎年九段の会館に集まって大会をやって、代議士が行って激励をして、そしてその責任を負って今度は政治的に上げるというような、こういう悪い慣行はやめる。そういう遺族が、それだけのお金を使うだけお気の毒なんですから。やはり物価が上がり、公務員のベース・アップがあったならば、適切にこれは陳情がなくても処置をするならするという、何か科学的なものをお作りになることがやはり必要じゃないかと思うのですが、大臣どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/11
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012・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 恩給の問題は、御承知のように長い歴史を持っておる問題でございます。ことに今度の戦争後の問題といたしましては、社会情勢がいろいろ変動しておりますので、従来の制度、従来の金額ではなかなかやっていけないということは、これは当然のことでございますので、遺族の方々はもちろんのこと、関係の皆さん方それぞれ御心配になりまして、そのつどこれの引き上げをはかって参ってきた、単なる政治的なと申しますよりは、やはり遺族の方々の状況等もよく見た上で皆さんが御心配になりまして、そして政府もそれに対しておこたえをしておるようなわけでございます。理論的な金額についての根拠ということ、これができればけっこうかと存じますけれども、なかなかそう簡単に結論が出ない問題だと存じますが、やはりそのときそのときの経済情勢等も考えまして、引き上げるべきときには引き上げていかなければならぬ、さように私ども考えておるような次第でございます。御趣旨につきましては、昨日永山さんからもいろいろ御質問があったそうでございますが、私どもさらによく検討さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/12
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013・中野四郎
○中野委員長 関連質問を許します。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/13
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014・永山忠則
○永山委員 恩給法にやはりスライドしてやっていくのだ、こういうように言われているのですが、恩給法では六十才未満の父母に対しても給付されているのですけれども、援護法では六十才未満の者にはやらないということになっているのですが、その不合理を是正する考えはないかという点と、そして関連ですからついでに申し上げますが、今滝井委員が言われましたように、生活が向上して、諸物価も上がることによって一般の給与所得がベース・アップができるわけです。やはりそれに比例して恩給法もいくようでありますし、援護法もいくのでありますが、そのつど運動をして、マス・コミの方では強い圧力団体に突っつかれてやったごくと非常な批判を受けておるわけですが、われわれは圧力団体によって動くわけではありませんけれども、実際上生活が向上し、諸物価が上がるということに対して、どうしてもやはり給与所得の上昇に比例して恩給も援護法もやらねばならぬと思っているのですが、何らかそこにスライドする基準を、法的な処置でなくても、行政的にも大体の基準をおきめしていただかないと、現在の上がり方を見ましても、実際上二万四千円ベースに六十才以上の者がまるまる手取りになるのは昭和四十年です。昭和四十年にまるまるなるわけです。そうすると、それまでに給与ベースは四段階上がる。必ず一割くらいずつ今年もやはりベースはアップするわけですが、そうして旧来の分が四年おくれてようやく着手しておる。そうして全部もらうときには、また四年先にみなもらうのですから、大体八年おくれていっておるわけです。ですから、上がったとたんには八段階も違っておるというような虐待になり、生活も非常に苦しい状態に置かれているわけです。そういう関係でございますので、この場合やはりベースにスライドしてやるというような基本的な方針をおきめいただいて、つど政治的配慮とか、あるいは圧力とかいうようなことでやるごとく国民に印象づけられないようにすべきではないかというように考えておる次第でありますが、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/14
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015・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 恩給法等による今日の扶助料その他の給付につきましては、ただいま永山委員の申されましたように、経済情勢等に見合いましてスライド制というようなものが必要であるというこの考え方は、もちろんこれらの扶助料その他が、生活保障的な意味を持っておるというところから出発しての御議論だろうと私は思うのであります。確かにその要素はあると思う。ただ、この問題はなかなか簡単には結論の出せない問題で、御承知のように、今御指摘になりましたが、実は私どもも、今回の引き上げにいたしましても、これまでの引き上げにいたしましても、一ぺんにぼっと引き上げるというふうなことをしないで、あるものはいつから、あるものはいつからというようなことで引き上げておる。今回もまたさような状態で予算をお願いしておるということでございますので、そういうふうな点から申しますと、今のやり方というものは決して合理的である、決して完全であると私どもは考えておりません。やむを得ざる事情のもとにかようなことになってきておるものと御了承いただけておると私は思うのでございますけれども、決して完全とは思っておりません。しかし、今申しましたように、生活保障的な意味において、おっしゃる通りに何らか適正な基準があって、そうしてこれが、かれこれ騒がないでも上がっていくというようなことになれば、これは非常にけっこうだと思うのでありますが、この問題につきましては、根本から現在の給料そのものから検討してかからなければならない要素もあろうかと思いますが、政府といたしましても慎重な態度をもって臨まなければならない性質の問題かと心得ておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/15
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016・永山忠則
○永山委員 関連ですから、きわめて簡単に済ませたいと思うのでありますが、恩給法にいたしましても援護法にいたしましても、国家が責任を持ってその老後の生活を保障し、あるいは家族の生活を安定するということが基本になっているのですから、その基本から言えば、やはり給与所得者のベースが上がった場合においては、やはり上げて生活を安定せしめるという基本原則に立っていただかなければならぬ問題であると思うのです。恩給局長はおられませんが、国務大臣として特に御考慮をいただきたいということは、今日いずれの国も、国が乱れる根本は、行政関係の部面が堕落をした場合、あるいはそこに汚職問題等が起きるような状態になったときに国が乱れる。国民は税金をかけて、そうして行政面の人を信頼して、国が行くべき指針を指導してもらうのが官吏なんですから、国民は安心してその指導力に従ってついていっておるわけですから、その官吏の一生挺身をして国のためにやろうというプライド、これが今日官吏が薄給に甘んじて国政を推進しておるのであります。それが老後の生活を得られないということになれば、中途でどこかの会社へ行こう、あるいはやめたときにおいて何らか生活の道を得ようというような考え方に行き、あるいは老後の生活ができないから、そこで何か収入を得るような道を講じようというような邪道を行くときにおいて、国自体が乱れるのでございますから、恩給というものの本質は、老後の生活を安定せしめるのだ、そうして子供の教育も十分できるようにしてやるんだ、なお国家命令で犠牲になった人に対しては国が責任を負うのだという基本方針にのっとって、必ず給与ベースが上がれば恩給も援護法の処遇もスライドしていくんだという基本的態度を確立されることが、その国をして健全な発達と興隆をもたらすゆえんであると深く信じておりますので、ただいまの説を十分国務大臣として検討を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/16
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017・滝井義高
○滝井委員 今永山さんからいろいろ御質問がございましたが、われわれのいただいておる資料の百七十六ページをごらんになると、「法改正関係年金、手当等改定状況一覧表」というのがありますが、二十七年四月一日から三十九年七月一日までのことを書いておるわけです。なかなか複雑怪奇というか、非常にわかりにくいのです。だからこういうことについても、いろいろ過去の既得権その他がおわかりだと思うけれども、、さいぜんの二万四千と七万と同じように、やはりお上げになるときにはできる限り足並みをそろえて、そしてあまり額の違わない状態をこの際作ることが必要じゃないかという感じがするのです。そのアンバランスを是正するという政府が、いつもみずからアンバランスを作っていくのです、政府提案ですから……。その他の制度とのアンバランスの調整どころか、一つの制度の中におけるアンバランスというものが、こういうように実に多岐にわたってあるわけですから、こういう点を根本的に、総合調整の問題と一緒に御検討願いたいと思います。
次は、未帰還者留守家族等援護法ですが、この十八条の療養の給付の五項で、療養の期間が経過しても引き続き療養を要すると認められる期間、これは誤りだというので当分の間、こう正誤表をいただいたのですが、「その期間の経過後においても、当分の間、その者の申請により、必要な療養の給付を行なうことができる。」こうなっておるわけです。今までは三年、二年と、こう区切ってきたわけです。今度政府が、当分の間と、こうしたのは、今度これからよくなるまでは治療してあげます、転帰がはっきりしますまでは治療してあげますというように、政府が態度を転換をしたと考えて差しつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/17
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018・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 御指摘のように、従前は非常に小刻みな期間で延ばすという措置をとってきたのでございますが、帰還患者の大部分が結核または精神の患者でございます実情から見まして、そういう患者の方々が、非常に先行きの不安を持って療養に当たっておられるのはぬぐえない事実だと考えられましたので、今回は「当分の間」という表現にしたわけでございますが、そういう表現を使いました気持の底は、ただいま滝井先生の御指摘の気持でやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/18
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019・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これでこの分に関する限りは、そう法律を変えなくてもいいということになって一歩前進したわけです。
それから、もう一つ未帰還者に関する特別措置法の二条の第一項の一号と二号とを削除することになったわけですが、これは第二条で厚生大臣が死亡を宣言することができるが、同時に家族も死亡の確認を求めることができるわけです。そういう二つの理由からこの一号と二号は必要なくなった、こういう意味なのですか。夫帰還者は、この一号、二号に該当する者はほとんど全部死亡した、そういうことがはっきりしてきたので削除した、こういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/19
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020・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 措置法をただいま御審議いただいておりますように直しました趣旨は、御承知のように、留守家族援護法では、過去七年以内において生存の資料のある者というのが条件になっております。ところで、現在の規定のままいきますと、二十八年以降のある時期に生存資料がありました者の中でも、今日としては諸般の事情から見まして死亡と推断せざるを得ないような方が若干ございます。そういう方々につきましては、現行法の規定によりますると、厚生大臣の戦時死亡宣告の申し立てをすることができません。また御遺族には、民法の本来の規定によります失跡宣告の確定の規定はもちろんあるわけでございますけれども、当該家族から自分の家族について失跡宣告をするということは情において忍びないというような事情がございまして、少数であると思いますが、そうした御家族の方々につきましても、やはり厚生大臣が死亡宣告の申し立て手続をすることができる対象に加えてあげて、そういう人につきまして恩給の公務扶助料なり、遺族年金なり、遺族給与金なりが出せるようにして上げる。また、そういうことと相応じまして、新しい生活の設計といいますか、親族相続の問題の解決の区切りをつけなければいかぬという御希望の方もございますので、民法の一般の規定、いわゆる失跡宣告の条件を満たし得る期間だけの者を対象にするということの方が、留守家族、御遺族のお立場にも沿い得るような見地から今回のような改正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/20
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021・滝井義高
○滝井委員 今までも三十条の宣告の請求は、厚生大臣はできたわけですね。そういう三十条の宣告の請求を、遺族の意向を確かめて厚生大臣がやって大丈夫だというような件数は相当多いですか。どの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/21
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022・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この法改正をしなくて、従前の戦時死亡宣告の申し立ての累積が幾らあるかというお尋ねでございましょうか。——それは、本年の一月三十一日現在を申し上げますと、戦時死亡宣告の審判の確定いたしました者が五千九百九十六件でございます。それから御家族の同意を得て審判の申し立て中でございますのか三千九百三十五件でございます。次に、留守家族の同意を得て審判の手続中のものが千五百四十件でございます。このほかに、最近におきましては戦時死亡宣告の趣旨が留守家族に十分周知されまして、非常に順調と申しますか、かなりの数が引き続きましてこういう手続をとりたい、政府の方でイニシアチブをとってほしいというような数字は、このほかに相当あるように地方の状況を伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/22
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023・滝井義高
○滝井委員 相当多いわけですね。そうすると、今度の一号と二号とを削ったらどういう影響が現われてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/23
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024・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 昭和二十八年以降の生存の資料があったものでございますから、一般的に申し上げますと各地とも平穏な状況が続いておるわけでございますから、その後死亡と推断されるような数はそう多くはないと思うのでありますが、やはり想像としましては、三百人くらいはその必要がある方が出てくるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/24
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025・滝井義高
○滝井委員 次は、沖繩地域に関する特例です。この未帰還者留守家族等援護法の附則で、沖繩地域に関する特例があるわけです。これに関連して少し質問してみたいのですが、まずこの沖繩在住の公的扶助を要する結核患者の内地における療養のため必要な経費というのを、ことしの予算で千六百七十万六千円計上されているわけでございます。それでこの援護法関係の患者というのは結核患者が相当多いわけでしょうが、この沖繩在住の公的扶助を要する結核患者の内地における療養費千六百七十万六千円とこの援護法と、何か直接の関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/25
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026・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 特連の方からもお答えがあると思いますが、関係ないものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは沖繩在住の公的扶助を要する結核患者の内地における療養のため必要な経費、こうなっておるのですが、この公的扶助というのは沖繩における公的扶助なんですか、日本内地の生活保護基準で言う公的扶助に当たるのですか。これは予算書の説明では、沖繩在住の公的扶助を要する結核患者の内地における療養のため必要な経費、こうなっておるのですが、できればこの内容を御説明いただけば一番いいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/27
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028・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 援護局関係の、ただいま御指摘の留守家族援護法等によりますところの療養の経費は、私の方でやっております。今の予算とは関係のないものでございます。別に計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/28
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029・和田秀吉
○和田説明員 ただいまお話しのございました沖繩関係の結核患者の本土での療養費一千六百七十万六千円のこの予算につきましては、厚生省の医務局の方でいろいろこまかな積算をなされまして、予算を御要求なさった、かように承っております。医務局の方で詳しいことはわかっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/29
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030・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは内地に連れてきて療養せしめるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/30
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031・和田秀吉
○和田説明員 そうでございます。
〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/31
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032・滝井義高
○滝井委員 内地に沖繩人を連れてきて療養をするということになると、その状態というものは、完全看護完全給食の形になるわけですね。療養費だけでなくて、生活費その他も見ることになると思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/32
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033・和田秀吉
○和田説明員 詳しいことは医務局の方がおいでになりますならば御説明が十分できると思いますが、私どもの伺っております範囲で申し上げますと、沖繩におります結核患者のうち、三十七年度におきまして、この七月以降におきまして大体百名を本土の療養所に受け入れをするための予算措置である、このように伺っております。完全看護完全給食かどうかという点につきましては、詳しいことは医務局の方から御答弁を願う方が適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/33
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034・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この援護法でやる患者も、沖繩には一人もないというわけにはいかぬと思うのです。これは相当あると思うのです。この関係の患者は一体どうなっておるかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/34
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035・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 現在留守家族等援護法によりまする沖繩関係の方々の療養状況でございますが、援護法によりまする適用を受けております者は、全体で九十三件でございます。そのうち内地に入院をしていただいておる方が二十三人、沖繩の施設、病院へ御入院になっておる者が二十人、沖繩で通院治療を受けておられる者が五十人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/35
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036・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、内地で入院の二十三人、それから沖繩の施設で二十人というようなものの中で、結核患者はどういう形になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/36
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037・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 ごく正確なことはわかりませんが、大部分が結核であると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/37
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038・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、こういうものは援護局の予算で支弁をしているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/38
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039・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/39
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040・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この沖繩関係の、沖繩援助等の経費の中にそういう経費はどこに入っていますか。これは厚生省の援護局の予算の中に入れてしまっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/40
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041・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/41
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042・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは沖繩在住の結核患者の療養費というのと、こんなものは一緒にすべきではないですか。実は沖繩の予算の組み方というのが、私がこの前から指摘しておるようにでたらめなんです。その内容が一体何なのかさっぱりわからない。総理府で沖繩関係を一括して、総理府、文部省、厚生省、運輸省の所管をみなお扱いになっておる。ところが、今言っているように、沖繩には、われわれ国会に政府は、今年は十億七千五百九十五万五千円を沖繩に対して出しておりますと、こう言うけれども、あにはからんや、援護局の予算の中にも今言ったように沖繩のものがあるわけです。そうすると、約九十三件のものについてやれば、これは千万以上の金というものが、別に援護局の経費の中で出ていくことになるわけです。そういうものはここに載ってきていない。ところが、一方、結核患者の療養費というものが別に出る。当然厚生省の援護局関係からこれだけのものが出ると、こう載ってこなければならぬはずです。そういうことは、総理府と全然関係なく出るということもおかしいと思うのです。こういう予算の組み方が、国会議員が尋ねてみないと、まるきり予算というものがわからぬようになっておる。特に沖繩関係はそうなんです。今後はプライス法で、三月二十日のケネディの新政策で、六百万ドルをこえてもやるという声明があるわけでしょう。そうすると、日本もそれにつれて相当ふやさなければならぬ。各省でやっているものをやはり出してもらわないと、一体日本がほんとうに沖繩関係にどの程度出しておるかということが、正確につかみにくいことになるのですよ。当然これは、内地で二十三人も入院しておるというならば、こういう経費と一緒にしてでもいいと私は思うのです。しかし、内訳は援護局のものから出ております、あるいは一般会計から医務局に千六百万なら千六百万出します、そうすると合わせたらこれは二千万とか二千五百万とか、こうなるのですから、はっきりわかるわけです。沖繩関係の結核にはこれだけ出しているんだということがはっきりわかる。そういう点、もう少しはっきりしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/42
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043・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 先生の御指摘の点は、一面はよくわかりますが、やはり援護法というものの性格が、国家補償的な援護だというような立法の趣旨から見まして、一般の社会保障あるいは公的扶助といったものよりも優先して取り扱われるという思想であると思います。従いまして、内地の場合におきましても、結核予防法なりあるいは生活保護法というものとは別に、援護法の世界として、援護局の予算に予算が計上されておるというような組み立て方とも関連があるのかとも思います。そういう面もございますので、御意見の点は今後におきまして十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/43
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044・滝井義高
○滝井委員 予算は援護局にあってもかまわないのです。たとえばマイクロ回線を沖繩に作るのだって、その工事費その他は電電公社の特別会計の中に入っているのですから。しかし、それはやはり予算の説明その他の中には、これは沖繩に持っていくものですよと、はっきり出てきておるわけです。だから沖繩在住結核患者療養費として、たとえば二千万円なら二千万円にして、そして医務局でやる普通の結核患者には千六百七十万、あなたの方の援護局でやる留守家族援護関係のものがたとえば五百万なら五百万、こうやってもらえばきちっとわかる。われわれが今のような質問をしなくたって、これを見たらわかるわけでしょう。ところが実際は、今度は総理府で沖繩関係のものはどうですかと言うと、援護局のものなんかは何も出てこないわけです。実際はやっておる。金がいっているわけですよ。だからそういう点をもう少しはっきりしてもらいたいということなんです。これは当然のことだと思うのです。そうしますと、そういうもののほかに恩給なり遺族年金なり引揚給付金というようなものがいっておるわけです。これは一体沖繩関係にどの程度いっておるのですか。こうなると、もう総理府に全然出てこないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/44
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045・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 まず、留守家族援護法によりまする療養はただいま申したところでございますが、留守家族手当が百五十件出ております。それから遺族援護法でございますが、沖繩関係だけ拾いますと、今まで障害年金、遺族年金、遺族給付金、合計いたしまして八万二千百五件受け付けておりますが、これに対しまして七万八千九百六十件裁定を終えまして、現在未裁定の手持ちが三千百四十五件、これは本年三月一日現在の数字でございます。それから給付金ももちろん出ておりますが、今沖繩関係だけの分を取り出したものを持っておりませんが、若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/45
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046・滝井義高
○滝井委員 できればこれは恩給局にお願いしなければいかぬのですが、特連局の方で、恩給、それから今寄った援護法関係、それから引揚者の給付金、こういうものを一つまとめて沖繩関係は幾ら出るんだ、件数で幾ら、金額で幾ら、これを一つ、わかれば御説明願えればいいし、わからなければあとで資料を出していただきたい。
それから、今の山本さんの方の金額は幾らになるか。今百五十件と七万八千九百六十件の裁定がありましたね、その金額です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/46
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047・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この金額は、いろいろ障害年金等、症状の款項症別に出さなければいけませんので、けさ件数だけ拾ったわけでございまして、金額は計算いたしておりません。
それから引揚者給付金は約八万件程度でございまして、大部分認定済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/47
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048・和田秀吉
○和田説明員 総理府の特連局では、ちょうど年金、金の方は郵政省の東京地方貯金局が全部一括して沖繩の方に送金しておりますものですから、その方の報告を受けております。こまかな数字につきましては、ただいま資料がございませんけれども、今までに過去十カ年の間に沖繩に軍人恩給、援護年金、遺族年金、弔慰金、そういったケースの総額おおよそ百五十億程度が送金されておる、そういう統計をとった記憶がございますので、一応申し上げておきまして、なお詳しいのは資料として御提出できるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/48
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049・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、百五十億十カ年ならば、約十五億程度一年に出ているわけです。この予算書の沖繩援助等の経費というのは十億ちょっとですね。これ以上のものが出ておるわけです。だからやはりそういうものは、厚生省なり総理府の中に出さなければいかぬわけですよ。これは沖繩の一つの援助ですからね。今われわれは、韓国との間に未払い賃金とか恩給とかいうような問題を交渉しているのですよ。沖繩のこれが、重要な参考資料になると私は見ているのです。沖繩に払っているこのやり方が、今後の日韓交渉——われわれが今後質問する場合に、沖繩の実績がどうだということは非常に重要です。なぜならば、同じようにもとの日本の領土だったところですからね。だから沖繩の出し方というものは、韓国との財産請求権問題のモデル・ケースになると思う。当然そういうものはここに注を入れて出してもらって、足し算をしなくても出してもらって、それではっきりするわけなんです、そういうものは全然沖繩援助でない——やはり援助ですよ、これは。今後一つ来年度の予算編成から、ぜひこれはそういうものをここに出してもらいたいと思うのですがね。総理府の所管でないものだって出しておるわけですから、ぜひ一つそうしていただきたいと思います。
次に、この附則の四十項の沖繩地域に関する特例のところに「北緯二十七度以南の南西諸島に住所又は居所を有する者その他政令で定める者については、」というのがあるのですね。「留守家族手当及び附則第四十六項の規定による手当の支給の始期及び支給方法並びに療養の給付を受けることができる期間に関し、政令で、必要な特例を定めることができる。」こうなっているわけです。この文章にはいろいろたくさんな問題点があるわけです。まず住所及び居所、この違いは一体どういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/49
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050・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この住所につきましては、先生御承知の通り、民法の解釈といたしましていろいろ説がございます。私もよく存じませんが、簡単に言いますと、一つしかないという説と、二つあるというような考えが成り立つという説とあるようでございます。今日としては、二つあり得るという説の方が公権的な解釈として使われているものではないかと存じます。居所といいますのは、そこを生活の本拠と言うには必ずしも的確に当たらないけれども、ある時期を限って言えば、それに準じたところというふうに理解しておるのでございまして、いずれにしろ、この留守家族援護法におきましては、恒久的ないわゆる住所というもののほかに、その者が一時的に生活の起居の場所としておるところも含めてよろしいという意味で、「住所又は居所を」という表現が使われておるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/50
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051・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、総理府設置法の九条一項二号に、これは「南方地域に滞在する日本国民の保護に関する事務を行うこと。」と、行なう事務のことをずっと書いてあるわけです。それで、その特連局の行なう南方の居所とか住所とかいうのはないですよね。「滞在する」としかないのです。「滞在する」というのは、非常にわれわれは一時的なものだと思っておる。今のあなたの居所の解釈に非常に近いわけですね。それから居住するというのが、何か南方関係にあるかというと、南方同胞援護会法、これは三十二年六月一日法律百六十号ですね。この一条にあります。南方同胞援護会法の第一条に「同地域に居住する日本国民に対し援護を行い、もつてその福祉の増進を図ることを目的とする。」こうなっておるのですよ。南方連絡局が沖繩の事務を扱うのだけれども、沖繩人というのは南方に滞在をする国民ではないですね。明らかに琉球列島をふるさととして、これは永住しているわけでしょう。どうも総理府設置法の特連局の取り扱う国民というのは、日本国民というのには沖繩人は入らぬのじゃないか。いろいろ私条文を探してみたのです。すると、ないのですよ。二つしか法律はないですからね。総理府設置法と南方同胞援護会法しかない。ほかに法律はないのです。ここらの解釈と、それから今のこの沖繩地域に関する特例における住所、居所との関係、ここを何か少しわかりやすく解明してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/51
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052・和田秀吉
○和田説明員 今手元に設置法のあれはございませんけれども、今お読みいただきました滞在という言葉でございますが、南方地域に滞在する者を保護するというその滞在ということは、日本本土から沖繩への旅行者、これがだいぶおるわけでございまして、その人たちはあくまでも短期間の滞在でございまして、向こうに住所もしくは居所を持つという人ではないわけでございますので、そういった人たちに対する、沖繩へ旅行されている期間に何か問題が起きました場合に、その人たちの保護を南方連絡事務所におきまして行なう、こういう趣旨と私ども解釈しております。それから南方同胞援護会の方は、これはいわば旧沖繩県人、やはり日本国民でもございますので、その沖繩にもともと住んでおります日本国民につきましての、それを同胞と考えまして援護の手を尽くしたい、そういう趣旨のように私は理解しております。その点、南方連絡事務所と——所掌業務でございますが、これはアメリカ側と日本政府との間での取りきめがございまして、非常に限定されております。沖繩に住んでおります旧沖繩県人全部につきましての保護につきましては、南方連絡事務所におきましては直接保護する権限はないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/52
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053・滝井義高
○滝井委員 だから私はここに問題が出てくると思うのです。アメリカとの関係で、沖繩における日本人については、南方連絡事務所というのは所管をしないことになるわけです。そうすると、その所管をしない南方に住所、居所を有する者について、今度は「政令で定める」云々、こういうことが出てくるわけです、こっちのこの援護法では。そうすると、矛盾してくるわけです。日本で沖繩に住所を有する者についてという法律は、南方同胞援護会法以外にないんですよ。特連局の所管事務の中にはない。ところが今度援護法では、こういうものが出てくるわけです。そうすると、一体この行政はだれがやるのだというと、やり手がない。宙に浮くわけです。だから白紙委任をすることになるわけです。何か今郵便局から一括して金を百五十億ぐらい送りましたということだけれども、一体その金が、沖繩の恩給なり遺族年金を受ける同胞に確実にいっただろうかどうかということはさっぱりわからぬ、そういう問題が出てくるわけです。だからそこらを一体どう厚生省は確めておるか、こういうことになるのです。百五十億の金といったら相当の金がいくわけですが、そういうものは総理府の予算の方にも出てきていない。厚生省が援護局の中で予算をとったら、それをおそらくお送りになっているだろうと思うが、一体事務的にどういう工合にして本人の手にきちっと届いたという確証を持っておるのかということですね。
〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/53
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054・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 留守家族援護法について申し上げますれば、この法律の委任規定を受けました政令に特例が定められてございまして、現在、内地でございますれば都道府県知事がやっております仕事につきましては、琉球政府の当局に委任することができるという規定に基づきまして委任をしておるわけでございます。現実には、さらに琉球政府から管下の市町村に事務が流れておるわけでございますが、沖繩におきまする行政の中でも、この留守家族援護法なり遺族援護法は、非常に大きなウエートを現状としては持っておるところでございますし、私の方から特に那覇の南方連事務所に優秀な職員を派遣いたしまして、琉球政府をある意味で御指導もし、ある意味ではお助けをして、行政の運営に間違いのないように、また的確に行なわれるように、常時側面から助言をしておるような状況でございます。また直接法律の改正等、あるいは事務の中でもこういう面が渋滞しておるのではないかというような点につきましては、琉球政府の御了解を得まして、直接市町村長等もその職員が指導しておるようなことでございまして、行政的には十分的確を期し得るような配意をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/54
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055・和田秀吉
○和田説明員 先ほど約百五十億ほど沖繩の方に実際に金が送られておると申し上げましたが、これは軍人恩給並びに遺族年金以外、いわゆる旧沖繩県の職員であって、沖繩県の退隠料、今で言いますと恩給、そういったものももらえなかった。それから二十年の四月以降、アメリカが上陸しまして沖繩県というものが事実上なくなりましたけれども、二十一年の一月二十八日に行政分離されるまでの間には、沖繩県というのが実はあったわけでございます。その間の職員の支払い給与、それに伴う退職手当、そういったものを一切がっさい見ておりましたものを、大まかに百五十億ということを申し上げたのでございます。その金を、それではどういうふうに沖繩の方に流したかと申しますと、これは二十一年の一月二十八日以降は日本の行政権が及ばないわけでございますので、私どもの役所が二十七年の七月にできまして以後、沖繩に関しましては一切沖繩のアメリカ側との取りきめによりまして、援護法なりあるいは恩給法なりその他の国内法の沖繩への適用の問題につきましては、一々アメリカ側、つまり沖繩を管理しておりますアメリカ側との外交折衝によりまして、向こうと日本政府との了解を得ました上で向こうに施行する、実際に送金するという手続をとったわけでございます。一応大綱的なことを取りきめいたしまして、それから事務的な送金の問題、これは主として郵政省の方で案をお作りになったわけでございますが、こまかなことを向こうと取りきめたわけでございます。それから事務委託費というものも、毎年私ども総理府の方で取っておりまして、琉球政府にはその事務に要する委託費を流しております。そういったあれで、大綱につきましては現地のアメリカ側との取りきめできまり、こまかなことはそれぞれ琉球政府に事務委託費を流しまして、そして事務を国内並みにやっていただく。現在おります沖繩の人たちは、やはり日本国民でもありますし、法的には、あくまでも属人的な法律につきましては沖繩に及ぼすのが妥当ではなかろうかと私ども考えておりまして、恩給なり遺族年金なりは、当然現在沖繩におります日本国民がそれを取得するのが正しいのじゃないか、そういうような考え方でアメリカ側と取りきめを進めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/55
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056・滝井義高
○滝井委員 根本的なことはもう少し先にいってお尋ねいたしますが、そうしますと、今住所、居所の問題についていろいろ御説明をいただきましたけれども、なかなか納得がいきかねるところがある。住所、居所を有する者について、政令でいろいろなことを定めておやりになることになるが、実質的にはそれは全部委託金か何かをやって、あるいは南方連絡事務所に優秀な職員を派して指導をやらしておるのだ。法律は、属人的なものはできるだけ適用していきたいというようなことまではわかりましたが、その根本論はあとでまた質問するとして、その次に、「その他政令で定める者について」というのがある。この「その他政令で定める者」というのは、住所または居所を有する者のほかに、一体どういうものがあるのかということが一つ。それからこの「始期及び支給方法並びに療養の給付を受けることができる期間に関し、政令で、必要な特例を定めることができる。」という、こういう政令で定める特例というのは一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/56
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057・福田芳助
○福田説明員 「その他政令で定める者」につきましては、特に新たな範囲を追加してはおりません。ただ、法施行当時の経過規定といたしまして、内地から移ってきた者とか、あるいは逆に居所を変えた者、それらについての申請の方法なり受付について規定しておるだけでございます。また、留守家族手当を何カ月ごとに支払うかにつきましては、三カ月分まとめて支払うこといたしております。
次に、療養の給付の始期ですが、政令の施行の日から始めることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/57
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058・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、そういう政令で定める場合には、これは外務省を通じてアメリカ当局と折衝した上で、了解を得て政令というものは出すことにしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/58
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059・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 厚生省といたしましては、特連局と十分打ち合わせをいたしました上で出すことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/59
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060・滝井義高
○滝井委員 特連局は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/60
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061・和田秀吉
○和田説明員 政令につきましては、すでに法律ができまして、法律を沖繩の同胞に適用するにつきましては、すでにアメリカ側との間で折衝をしまして了解を取りつけてありますわけでございますから、政令の段階は、一々了解を取りつけるということまではいたしておりません。法律にうたってありますものですから、法律だけは了解を取りつけてあります。法律の案を出す際には、事前に、こういうことをこちらの方で適用するようにしたいということにつきましては、那覇の事務所長から沖繩のアメリカ側との間に、こういう話を持ち出しまして了解を取りつけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/61
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062・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今度のこの戦傷病者戦没者遺族等援護法の国会提出に当たっても、当然アメリカのキャラウェー高等弁務官と沖繩の出張所長とが十分了解の上でこれを出した、こう理解して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/62
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063・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 今回の法律改正は、沖繩に特有なものがございませんので、そういう連絡はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/63
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064・滝井義高
○滝井委員 たとえば、沖繩地域に関する特例が新設されている。四十四項なんというのがあるわけですね。私が聞きたいのは、私は日本の法律を作るときは、大してアメリカと折衝は要らぬのだと思っておったのです。そうしたら今沖繩ともやっぱり折衝するのだということを聞いたので、そうなると、日本は沖繩とあまり変わらぬということになってきたのです。日本の国会で作る立法までアメリカと相談をしなければだめだということになれば、これは非常に重大なことなんです。そうなると、外務大臣をちょっと呼んでもらわなければいかぬです。外務省の条約局長でもけっこうですが、委員長、ちょっと呼んでくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/64
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065・和田秀吉
○和田説明員 あるいは私の言い違いかと思いますけれども、先ほど申しましたように属人的なものを向こうに及ぼすということで、援護法を沖繩の方に適用する際には「政令で定める者」ということで法律の上にはうたわれておったわけで、あります。それで、琉球政府云々という言葉が援護法の中に出てきておりますので、その際には一応政令で琉球政府の方に、この事務を、つまり援護法の実際上の適用をするにあたりましては、アメリカの了解を取りつけるために、那覇の事務所長と当時の沖繩のアメリカ当局との間に文書の交換がございました。その意味での現地限りの了解でございまして、やはり私が先ほどちょっと言い違いました点は、援護法の法律の上には沖繩というのは全然表現されておりません。今申しました戦傷病者の方は、援護法には「政令で定める」という表現でございまして、政令の方に、琉球政府の当局に事務を委託する、そういう表現になっておりまして、その際には、政令に関しまして、那覇の事務所長を通じましてアメリカ側との交換文書で、このようにするからという了解文書を取りかわした事例がございます。留守家族援護法につきましては、私どもも法律ができましたあとに、そういうことを一方的に、那覇の事務所を通しましてこのようにするからという文書を流したように記憶しておりますけれども、法律がこちらの方ででき上がる前に向こうの了解を取りつけたという事例は、私は記憶しておりません。できましたあとで実際に施行する際に、そのようにするという一方的な文書を、那覇の事務所長を通しまして流しました事例はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/65
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066・滝井義高
○滝井委員 和田さん御存じの通り、沖繩に関する法律というのは大してないのです。まず沖繩における模範農場に必要な物品及び本邦と沖繩との間の電気通信に必要な電気通信設備の譲与に関する法律、それから南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律、これは今度の国会で一部改正の法律案が出ておりますね。大体このくらいですよ。当然これはアメリカの了解を得ることになったのでしょうね。作る前にアメリカと話し合ったのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/66
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067・和田秀吉
○和田説明員 ただいまお話のございましたモデル農場並びにマイクロ回線の件の法律に関しましては、私は所管でございませんために詳しいことは存じておりませんので、お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/67
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068・滝井義高
○滝井委員 ばかにかたくなっちゃって……。私どうしてこういうことを言うかというと、今、属人的な法律については当然やっていいんだという御説があったわけです。しかも未払い賃金、退職金、恩給、それから遺族年金、引揚者給付金等もすべてひっくるめて百五十億程度お払いになっているけれども、その年間平均十五億円というものは総理府の予算に出ていない。僕は今聞いて初めてわかったわけです。そういうものは、当然日本政府は法律を作ってきちっと向こうにお届けになっておるわけですが、お届けになったならば、これが一体沖繩の住民にきちっといっておるかどうかということを確かめることが必要なんです。ところが確かめることも今できないのです。確かめることもできないし、そのお金を支給する事務を現地でやることもできないのです。そしてこれは南方連絡事務所を通じて琉球政府に渡して、今度は琉球政府が下部の市町村に流していく。その場合に、事務その他はベテランが行って指導をしている、こういうことでしょう。来週からアメリカとの間に沖繩新政策についての交渉が始まるわけですよ。そうすると、われわれは施政権の返還を要望しているのですから——これは政府も同じです。保守党であろうと革新政党であろうと、沖繩の現地においても内地においても、一致した要望です。そこで、一挙に施政権を要求するということが不可能だとするならば、少なくとも十カ年間に百五十億も出した属人的な恩給法とか援護法というようなものの実施は、日本みずからがやっても、アメリカの軍事基地としての沖繩の使用には大きな妨げにはならないわけです。あるいはアメリカの施政権というものを大きく侵害することにはならないと思うのです。岸さんの理論ではないけれども、その分だけわが方に施政権が返ったことになるわけです。それだけアメリカの施政権がへこんで、日本の施政権が出ていく、こういう形になる。これは岸理論です。そうすると、この機会に私は要求すべきだと思うのです。これはほんとうは厚生大臣におってもらわなければならない点ですが……。それから外務省を呼んでくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/68
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069・中野四郎
○中野委員長 できるだけ御要望はいれるようにしますが、今参議院の外務委員会をやっておりまして、総理初め全部出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/69
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070・滝井義高
○滝井委員 来週から始まるのですから、当然これは要求すべきだと思います。一体政府は、それだけの腹がまえがあるかないかということです。沖繩からも、それぞれ自由民主党の皆さんも、社会大衆党の皆さんも、近く議長以下二、三人やっていらっしゃるでしょう。こういうじみな、アメリカの軍事基地を維持する上にちっとも支障にならないようなものは、日本からベテランの一人か二人やって、事務の指導ではなくて、やはりそのお金をきちっと届ける事務までこちらがやるべきだと思います。それが施政権を返還してもらう大きな前進になると思いますし、それが沖繩住民の福祉の前進になると私は思います。こういう点を、厚生省は、沖繩問題がこんなに重要な段階になっておるのに、考えたことがなかったのかどうかということです。
それでは次に進みましょう。これは大臣がいらっしゃってから御答弁願うとして、次は、ことしの沖繩援助等の経費の中では出ておりませんけれども、去年出ている経費があるのです。それは、疎開船対馬丸遭難学童及び——これからが大事ですよ、援護法適用外戦闘協力死没者経費、二億四千四百七十四万円が出ておるわけです。この内容をちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/70
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071・和田秀吉
○和田説明員 ただいまお話がございました疎開船対馬丸の対象者数七百三十八名というものは、はっきりわかっておりまして、それからその他援護法適用外死没者等が約一万一千五百、合わせまして一万二千二百幾らのなくなった方、一柱ごとに二万円の見舞金を差し上げるという考え方で、二億四千幾らの予算を計上したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/71
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072・滝井義高
○滝井委員 そうすると、今の御説明は対馬丸対象の学童が七百三十八人——私対馬丸の内容を、どうしてこういう対象になるのかよくわからないのですが、これはおそらく軍の関与があったと思うのです。対馬丸に乗船するときか何か、軍の関係があったのだろうとは思うんだが、その内容をもう一ぺん詳しく説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/72
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073・和田秀吉
○和田説明員 十九年の八月の——日にちはちょっと忘れましたが、二十日過ぎでございます。当時沖繩の戦況が非常に逼迫いたしまして、沖繩の学童を本土——本土と申しましても九州でございますが、九州に疎開する計画が進められまして、八月の上旬から、当時の軍の要請と申しますか、一応乗った対馬丸は海軍の方から保護された船で——私ども専門的なことはわかりませんけれども、その船に沖繩の学童が乗りまして九州に向けて出帆いたしましたのですが、鹿児島県の十島村の沖合いの悪石島沖合いで、敵の潜水艦の魚雷を受けてそこで遭難した、そのように報じられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/73
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074・滝井義高
○滝井委員 そうなりますと、これは特に私が注目したいのは、援護法適用外戦闘協力者になっておるわけですよ。沖繩にこういうお金を出すことは賛成です。最近これは配分がきまったのでしょう、ごく最近、二月か三月ごろに。まだこれは配分しておらぬ金です。内地で援護法の適用が非常に大きな問題になっておるわけです。内地に先行して沖繩に出すことになるわけです。戦闘みたいな状態で、死没したりけがした人たちというのは多いのです。しかし援護法にしても、国との契約がなければだめだというのは、これは一貫したきちっとしたものですよ。私が心配するのは、私が何かで読んだのは、これを出しても内地その他大して波及するところがないということで、これは初めてお出しになっておるのでしょう。今までないのですからね、二億円というものを出した前例がない。三十六年度の予算で初めて出て、私新聞その他で見たと思いますが、このごろ、ことしに入ってからその配分がきまっています。だからこれは、今度は相当影響するところが大きくなってくると思うのです。これは何らかの形でしなければならぬけれども、それだったら、援護法か何かでやっておいた方がよくないかという感じがするのです。それも予算の出し方が、あなた方は下手だと私は思うのです。私から見つけられる。援護法を審議するときに、わざわざ援護法外とおやりになるから、こういう質問をせざるを得ないことになるのですよ。これは御存じの通り、沖繩からは税金は一文も取れていないのですよ。税金の取れていない沖繩に援護法外の処置をするならば、税金の取れている日本になぜ援護法外のことができないんだという理論になってくるのですよ。だからむしろこういう援護法適用外なんと書かぬで、沖繩の戦闘の特殊性にかんがみこれだけの見舞金を出しますというような形にした方が筋も通るし、通りがいいわけなんです。ところが、さいぜんから永山さんが——いないからいいようなものかもしれませんけれども、永山さんあたり強硬な主張をされているわけでしょう。そうすると、税金を出していない地区に援護法を越えた処置をするのですから、税金を出している地区は、当然それと同じものをやってもいいということになる。そうすると、消防団その他で軍の命令で行ってけがをしたり、命をなくした人はたくさんおります。今われわれのととろにそういうものが言ってきている。しかしそれは、軍の命令であるという関係がはっきりしないのですよ。国との雇用関係というものがはっきりしないので、全部なっているというのが相当ありますよ。そうすると、そういうものまでも及ぶという、これは一つの契機を作るわけです、足場を作ることになる。まあ自由民主党の政府さんは、地主に四千億も出そうという景気のいいところがあるから、広がってもいいとは思いますけれども、これはどういうことでやったのか。これはアメリカのお許しをいただいたのだろうとは思いますけれども、この前の予算もお組みになっているし、しかしこの予算は、多分このごろ何か配分方法その他がきまったように私は新聞で見たのです。その内容を詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/74
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075・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この見舞金の所管は特連局でございますが、援護法とも関係がございますので、了知しておる限り申し上げます。御承知の通り、内地でもいろいろ戦災等はあるわけでございますけれども、沖繩の当時の戦闘が、全島あげて、しかも老幼男女を問わず、激烈な戦闘に巻き込まれた。しかもその中におきましては、援護法でいうところの戦闘参加とはいいがたいけれども、それに次ぐ、単なる戦争殉難ということではない、たとえて例をあげますと、一つの洞窟の壕があった、そこに住民が避難しておりましたところ、軍がそこへ入ってくるために、やむを得ずその壕から出ていかなければならなかったというような、普通の戦争殉難とは違った度合いの、非常に気の毒な住民が非常に多い。また、今日祖国復帰を叫んでおられまする沖繩の特別の立場もあるということで援護法の世界では、どうしても立法の建前、現在の条章の分析から見まして当てはまらないけれども、それに次ぐものとして、内地の戦災等とはおのずから違った一つのカテゴリーがあるのではないかということで、こうした内地にない見舞金が定められた、こういうふうに了知しておるところでございます。
なお、これらの方々につきましては、この要綱にもございますように——この対馬丸は別でございますが、その他の沖繩の在住民の見舞金にかかるかどうかという死因の認定は、援護法等の関係が非常に深うございますので、厚生大臣が認定をするということになっておるところでございます。
ところで沖繩の住民に対しまする援護法の取り扱いは、非常にデリケートでございまして、かねて沖繩の住民から戦闘参加申立書というのをとって、一々個人ごとに当時どういう状態であったかということを、詳細申請をとっておるのでございます。そのうち援護法に明確に該当する、つまり援護法でいうところの戦闘参加の実のあったという人々につきましては、相当裁定を進めておるのでございますが、この見舞金のケースに当たるものはどれかということが問題になるわけでございますが、この実施要領がごく最近できましたので、対馬丸以外の——対馬丸はすぐにでもおそらくやっていただいておると思いますが、その他の住民についての見舞金の支給につきましても、見舞金該当者であるという認定を早急にいたすように私どもの内部でも作業をいたしておりまするし、琉球政府にもそのような連絡をしておるところでございます。こういうものが設けられました以上、なるべく早く住民に見舞金が届きますように、厚生省としても一面関係がございますので、努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/75
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076・滝井義高
○滝井委員 それなら、援護法の改正をして戦闘参加というところでする方が、はっきりするのじゃないでしょうか。何かもう戦後ではないというて、いろいろの終戦処理的なものを終わりにしようとするときに、また毛を吹いて傷を求めるような措置というものは、やらぬ方がいいのじゃないかと思うのです。どうせ数が一万一千五百人と七百三十八人、一万二千二百三十八人くらいであれば、どこか援護法の戦闘参加というのを少なくして、沖繩を特例として入れておやりになった方が私はいいじゃないかという感じがするのですが、こういうふうにわざわざ、援護法適用外というけれども、二万円というと援護法の弔慰金と同じでしょう。だから、援護法適用外といっておるくせに、援護法と同じことになっておる。二万円、同じじゃないですか。五万円ですか、とにかく同じような形でやるということに問題があると思う。そうなりますと、遺族はどうするかということが必ず次にくるのです。私は次を言いたい。遺族は遺族年金をくれますかとくる。弔慰金をやった者になぜ年金をくれぬのか、少なくとも五年は下さい、こうなると思うのです。準軍属と同じ程度の五年の遺族給付金ですか、給与金ですか、これをいただきたい、こうなるわけです。そういう理論的な発展をしてくるのです。だから私は、むしろそういう割り切り方で問題をきちっと片づけていっておかぬと、さいぜん言ったように、これは必ず内地に連鎖反応を起こさざるを得ないのです。われわれだって、こういう形が出てくればこれを言いますよ。戦闘参加と同じような状態で特殊性があったのだということになれば、少なくともこれは軍属でないけれども、準軍属くらいにはしなければならぬ、こうなるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/76
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077・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 戦闘に結果的に協力したことがあるということを申し上げたのでございまして、いわゆる戦闘参加をした人々ではない。たとえば、子供さんなんかも非常に多いのでありまして、また先ほど言いました単に壕を結果的に提供したということでございまして、援護法では、やはり一つの意思能力を持って戦闘に協力する、たとえば弾薬を運搬するとか、あるいは救護に当たるとか、あるいは直接兵火を交えるとかいったような積極的行動を持っておるものを戦闘参加というふうに扱っておりますので、その辺の援護法にいうところの戦闘参加者とは違うというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/77
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078・滝井義高
○滝井委員 援護法にいう戦闘参加者とは違うけれども、沖繩の戦闘の特殊性にかんがみて、内地に出さないようなお金を出すわけですね。私は鹿児島の志布志におりましたけれども、グラマンがやってきて地域住民だって相当みんなやられたですよ。そして軍に、材木の切り出しその他には協力をしてきているわけです。では、あの鹿児島の志布志地区の住民には、沖繩と同じように、あの位置の特殊性にかんがみ弔慰金二万円くれるか、こうなるわけです。それはやれないのです。だから、こういうものは、法律によらずにお金を税金がないところにお出しになるのですから、そうすると、これは法律のワクの中に、無理にでも少しでも入れる方がいいのです。入れてもこれは国民感情として、国民は無理とは言わぬと私は思います。ひめゆりの塔その他の戦闘の状態をみんな映画その他で見て知っておりますから、何人かは弾薬を運んだかもしれないし、積極的か消極的かといったって、卑怯なやつは、突貫といってもなかなか壕から飛び出さぬかもしれぬのだから、そこらあたりは法律のワクの中に入れる方がよかったのじゃないか。今から入れてもおそくはないのじゃないかという感じがしますが、何かそういう外ということでは問題があると思う。それから学童の問題は、これは学童ですから、また何か別な処置ができるのじゃないかという感じがするのです。そしてむしろ積極的なことを言うようでありますけれども、今沖繩は内地に復帰していないから、まだ私たちに遺族の給付金をくれという声は出てきませんが、一たび復帰してごらんなさい。一万一千五百人の遺族の皆さんは、ああして弔慰金を援護法と同じような形でいただいておるから、額は少なくても、五万が二万になったとしても、私たちにも準軍属として取り扱っていただきたい、必ず私は出てくると思うのです。言うと思うのです。それなら、政治というのは先手を打つことの方がいい政治です。みんなから言われてからしぶしぶ出す金というものは生きない。それなら、前もって援護法の中に入れて準軍属としてぴちっとした方が、どのくらい死んだ英霊——英霊というか、その死なれた一万一千五百人の皆さんも、どのくらい死にがいがあったかと思われるか知れないし、地下で喜びますよ。私はそういうやり方をおやりになることの方がいいのじゃないかという感じがします。これは私は予算委員会でやりたいと思ったけれども、機会がなかったから、時間がなくてここまで持ってきたのだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/78
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079・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 御趣旨まことにごもっともな点もございますので、運用につきましては、極力戦闘協力の、戦闘参加の具体的事象を求めまして、先生御指摘のような趣旨で援護法の認定も今後やって参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/79
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080・滝井義高
○滝井委員 そうすると、ちょっと確かめておきますが、その発言は非常に重要な発言ですから、その一万一千五百人の中で、この援護法の適用を受ける可能性のある人というものは、今現実にすでに相当おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/80
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081・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 これは先ほど申しましたように、戦闘参加申立書というものが出ております。ところが、表現も人によりましていろいろ不十分なところがございますので、その全体を通覧いたしました上、さらに個別に内容を検討いたしまして、当然こういうことをやっておられるという程度の事跡は書いてあるのだから、他の類似の方のケースはこういうふうに書かれてあるところから見ると、この人も戦闘参加の実力があったのではないかという親切な気持をもって見ておるところでございます。今のところ、はっきりどのくらいこの援護法に該当するかということは的確には申し上げられませんが、二千とかいうような程度は援護法で拾い得るのじゃないか、しかし、これは個々の申し立てを十分慎重に吟味した上でないと申せませんので、一応感じだけを申し上げておくにとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/81
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082・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これはなかなか重要なところで、沖繩の人は非常に喜ぶと思うのです。一万一千五百人の中でそういう申し立てをしておるという人二千人程度、そうしますと、その方々は、形態としては準軍属の取り扱いを受けることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/82
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083・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 戦闘参加の具体的事跡がつかみ得る方につきましては、準軍属の処遇を受けるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/83
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084・滝井義高
○滝井委員 学童の方は別として、一万一千五百人については、できるだけそういう温情ある措置をおとりになることの方がいい。これはあとで内地のいろいろな問題に波及をさせないためにも、やはり沖繩の特殊性というものをきちっとして、援護法の適用に持っていく方がいい。その場合に、見舞金を二万円やっておって、今度は弔慰金という形で追加しなければならぬ問題があるかもしれませんけれども、しかし、それにしても、私はその方が、将来沖繩の住民が日本に復帰しても、感情的にやはり非常にいいのじゃないかという感じがするわけです。これでやめますが、多分来週か再来週——新聞には来週と出ておりますが、来週から、三月二十日のケネディの新沖繩政策に関する日米間の具体的な折衡が始まるわけです。外務省に来てもらって少しそこらを尋ねたいと思ったが、来ていただけませんので、機会を改めてまたやりますが、ここは一つ厚生省が御奮発いただいて、こういう恩給や援護、引揚者給付金、未払い賃金等の社会保障的な、沖繩の軍事基地政策に直接のかかわりのない行政は、やはり強硬に日本に返してもらい、そして南方の連絡事務所にはそれぞれの関係官庁が出ていって事務をやるという体制、同時に、その支払った金については会計監査を受けるという体制——これは会計検査院も、私の質問に対して、ぜひそうしたい、しかし今なかなか困難ですと言っておるのです。しかし、それはやはりやるだけの態勢をこういうところからとっていかなければ話にならぬと思うのですよ。各省腰抜けですから、まず厚生省、あなたのところからふんどしを締め直して外務大臣の小坂さんを叱咤激励して、これだけは絶対にやってもらわなければならぬという態勢を、一つどうですか、政務次官、やれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/84
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085・森田重次郎
○森田政府委員 御期待に沿うよう懸命の努力を重ねたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/85
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086・滝井義高
○滝井委員 それから岩尾さんがいらっしゃっておるから、岩尾さんにちょっと伺いますが、実は過去十カ年間で沖繩に、恩給とか、未払い賃金とか、かつての沖繩県の職員に対する退職金とか、それから援護法関係の引揚者給付金というようなものを百五十億くらいお払いになっておるわけです。一年にすれば十億ずつです。そういう予算がこの予算書の説明には出てきてないのですよ。総理府の沖繩の援助等の経費には出てきていないわけです。それはどうなっておるかというと、みんなそれぞれの、援護関係ならば引揚援護局の予算の中に入ってしまって、出てきていない。ところが、これも広義の意味の沖繩の援助になるわけです。そうすると、日本が沖繩に援助しているのはわずかに十億じゃないか、こんなけちでどうするかと言われるわけです。そういう経費も当然やはり総理府がこうして一括してまとめて、文部省、厚生省、運輸省とお出しになるならば、こういう経費は厚生省、未払い賃金なら労働省というふうにお出しになっておく方が、われわれが沖繩を大所高所から見て論議する場合に非常に役立つわけです。そういうものに隠れてしまっておるので、こうしていろいろ質問をしてほじくり出さないとなかなかお答えをいただけない、こういうことです。ですから、厚生省で来年度からこういう予算の説明をお作りになるときには、こういう経費もここにあげて、沖繩関係の援護の全貌が明白になるようにしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/86
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087・岩尾一
○岩尾説明員 沖繩に対しまする各法律に基づきます給付ですが、これは沖繩に対しまして、あるいは南西諸島に対しまして、恩給等においても当然日本内地と同じように適用をしておるというものについては、それぞれの法律によって計上しておるわけであります。そうでなくて、沖繩だけについて施政権その他の関係で別個に、日本内地と違った措置をやるものについては、援助という形で、先ほど申されましたように十億の金を計上しておるわけであります。将来そういうものを各省から抜き出してやる方がいいのか、あるいはそういった沖繩だけの特殊な経費だけを援護の形で出す方がいいのかという点は、なおよく検討いたしたいと思います。これは先ほど先生が御質問になりましたように、見舞金を現実に給付することに三十六年度予算でなったわけでありますが、見舞金につきましては、援護法の対象になる沖繩の人の中で、たとえば十四才未満の人、そういうような人でも、ああいう非常に苛烈な戦場になった、日本内地は戦場にはなっていない、そういう意味で、非常に苛烈な戦場になったために、六つや七つの子供でも戦争の巻き添えを食ってなくなった方がおられる。そういう人に対して特に見舞金を出そうということで、援護法の外で見舞金を出しておるわけであります。従って、もし見舞金を出しましても、それで援護法の給付金をよこせとかなんとかいう主張にはなりませんので、むしろそういった沖繩にいたしておるのと同じようなことを、日本内地にもやったらどうかというような主張の方が出てくる可能性があるわけです。これは沖繩の特殊な、戦場になった様相をながめて見舞金を出しておるわけであります。日本内地につきましては、皆さん方の御要望によりまして、援護につきましては遺家族援護法をもって行なうということでやっております。沖繩はその外の問題であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/87
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088・滝井義高
○滝井委員 それは今議論済みなんです。だから、私は外のものをこうしてお出しになると、あなたが今はっきり御指摘になったように、私も指摘したが、内地の者にそれは波及しますよ。それならば沖繩の特殊性にかんがみて、戦闘協力者を戦闘参加者という形に見たらよいのではないか。そうすると、これは二万円の弔慰金のほかに、準軍属ですから、五年間は年金をもらえるわけです。だからその方にいった方がいい。むしろ将来沖繩が復帰した場合も、感情として、今の二万円だけおやりになっておると、私どもは戦闘協力者、参加者だからあれにして下さいということが出ますよと、先のことを言っておる。ですから、政治というものは、言われてやるよりも出す金は先に出しておいた力がいいのではないか。その方がかえって内地に波及しませんよ。内地に波及したら、わずかの金を惜しんだために、そういうようなもっと大きなものをやらなければならぬ。自民党さんは、四千億の地主の補償までお出しになろうという大ふるまいをやろうというのですから、そのときはそのときでいいのでしょうけれども、われわれ社会党としては先のことを心配しておるのです。従って、沖繩は沖繩の限度にする。しかし、それはできるだけのことをしてあげましょう。この法律の許す範囲でやっておった方がいい。しかも数は学童を入れて一万二千人そこそこじゃないですかということで、あなたと同じように内地のことを心配しておるのです。理論的に言うと、税金を払っていない沖繩に、それだけの援護法外の形で戦闘参加者でない者もやるというならば、内地もやってくれたらどうかということが必ず出るのです。そこを心配しておるのです。それから、将来は、予算についても注書きでも何でもいいから、百五十億の金が十年間に出ておるから、そういうものをここに沖繩関係のものとして出して下さい。十億円ばかり出ておる経費のほかに、他の経費はそう多くないと思います。それは総理府の方で、一回資料として私個人あてでもけっこうですから、ぜひさいぜん要求しておったものを出してもらいたい。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/88
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089・中野四郎
○中野委員長 田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/89
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090・田邊誠
○田邊(誠)委員 今回、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案が提案をされまして、長い間大へん生活の面でも苦しんでおられる遺族等に対して、ある程度年金、一時金あるいは給与金等の増額等がはかられることは非常にけっこうである。もちろんわれわれは、今回の恩給法等の一部改正によるところの傷病恩給や公務扶助料の増額に関連をする形でもって増額をいたしますから、これの額が適正であるかどうかについては将来なお引き続き検討する必要があると思いますけれども、これらの増額の内容とともに、もう一つ問題になりますことは、この法律の適用によって、いわゆる戦傷病者、戦没者等の遺族や未帰還者の留守家族というものがすべての面で包含をされる、こういった形ができるものかどうかということが一番大きい関心であります。もちろん戦時あるいは戦後の混乱期におけるところの法律適用でありますから、その間においてはいろいろな支障があり、困難があることは十分承知をいたしておるのであります。
〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
しかし、なおかつ、われわれは、なるべくこの法の恩恵というものがあまねく行き渡ることが望ましい姿であると考えておるわけでありますが、当局で御調査になりました結果から見ましても、いわゆる戦傷病者、戦没者の遺族の受給者が、昨年の十二月一日現在でもって十四万八千人、未帰還者の留守家族の受給者は、本年の一月一日で四千六百五十一人となっておるわけでございますが、私はやはりこれだけではすべてを包括したとは言いがたいと思うのであります。事実年金等の裁定の状況を見ましても、かなりの未裁定件数が残っておるわけでありまして、これは今私の申し上げたことを如実に物語っておると思うのであります。私が今申し上げたようにいろいろ困難な条件がありましょうとも、これらの未裁定件数というものをそのまま放置することは許されないのでありまして、これに対するところの的確な対処が必要であろうと思いますけれども、具体的に今後これらの未裁定の、いわゆるわれわれから見れば包括して遺族ないしは留守家族と認定すべき人たちに対しましてどのような措置をとられるつもりであるか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/90
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091・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 戦傷病者遺族等援護法の未裁定の処理促進につきましては、昨日来国会の皆様から非常な御激励と御注意を受けたのでございますが、大臣も端的に決意を表明いたしましたように、私どもといたしましては、御遺族のお立場を考えまして、いろいろ技術的に困難はございますけれども、一そうの努力を傾けてこの促進をはかって参りたいというふうに存じます。
なお、今日、未裁定件数がかなりございます理由で昨日申し上げませんでした理由の一つに、御存じのように、遺族援護法というのは毎年のように改正をされております。従いまして、新たに今まで対象でなかったものが対象になるといったようなことで、そのつど対象がふえますことによって、結果的にその改正に伴うところの裁定の要求が出て参りまして、手持ちとしては昨日申し上げましたような件数があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、裁定の促進は私どもの至上の課題といたしまして、全努力を傾けて参る覚悟でございます。
なお、先生のお尋ねの現行制度によりますところの遺族あるいは留守家族といったもののほかに、漏れているものがあるのではないかというような意味のお尋ねもあったかと思うのでございますが、これはいろいろ政策の問題でございますけれども、援護法におきましては、二十七年の法制定当時から見ますと、ずいぶん対象を拡大して今日に至っているのでございます。非常に厳密に言いますと、日本の戦災者のごとき、一種の戦争の犠牲者もあるわけでございますが、やはり国が一つの雇用関係といったようなものに着目いたしまして、補償的援護をするという援護法の世界におきましてはおのずから限度もあると存ぜられますので、今日の対象の範囲は、そうした立法の建前から見ますと相当改善された現状ではないか、こういうことに判断いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/91
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092・田邊誠
○田邊(誠)委員 今局長のお話で大体方針というものはわかりますけれども、しかし、具体的に未裁定の件数に対してどのような措置をするかということのお示しがないのであります。私は、これは時日が過ぎますれば過ぎるほど、ますます事態は困難になっていく一方でありまして、現在未裁定の内容というものはいろいろありましょうけれども、しかし、これをあなた方のいわゆる官庁の力やあるいは地方公共団体のいろいろな努力をさらに続けてもらうにいたしましても、そういった平面的な努力だけではやはり認定をすることはできないものが残るのではないかと思うのであります。そういったものに対して、これを包括して措置をする、こういうような政治的な手段を考えなければならない段階がもうきておるのではないかと考えるのですけれども、それに対するところの対処の仕方はどうか、こういうふうにお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/92
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093・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 一見この件数は非常に滞留件数が多いようにもうかがえますが、全体から見ますと、今までの援護法の裁定件数の非常に膨大な数から見ますと、総体の比重としては非常に少ないものでございます。またしかし、そうはいっても、御遺族にとりましては、自分の該当の一件の早いかおそいかということが問題であるという事情も十分わかりますので、厚生省といたしましては、諮問機関でございます援護審査会というものもございますが、そういう方面の協力もお願いして、特に不服の申し立て等の処理の迅速化を急いでおるわけでございます。そのほか、厚生省内部におきましても担当の班を特別に作りまして、こうした未裁定あるいは不服処理の未裁定の事案の解消に努力を傾けていく決意でございますし、具体的な措置をとっているわけでございます。また、結果の数字から見ましても、現在の滞留件数と昨年のそれを比べますと、ただいま参考資料にお示ししております数は、前年の同期に比べますと約半数に減じているような状況でございます。それからまた、不服の申し立ての処理につきましても、最近の四カ月ばかりの実績をとりますと、前年の同期に比べまして、これも処理件数が倍以上ということになっておりまして、私どもが申しました決意は、ただ単に口頭禅でなく、現実の数字としてそういうふうによき結果が出ているわけでございますので、今後もこうした数字にさらに満足することなく、一そう努力を傾けまして十分御期待に沿うように迅速な処理をすることができるものと、かたく信じておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/93
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094・田邊誠
○田邊(誠)委員 そうしますと、具体的に、遺族の方が大体年金や給与金の支給を受けられないところの未裁定件数というものは、約一万件弱のように聞いておりますけれども、これは事務的な作業が進めば、ほとんどその大部分というものは解消するというふうにわれわれは受け受っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/94
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095・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 私が処理と申しますのは、援護法の各条章に照らしまして、遺族年金なりあるいは障害年金なりをもらい得る条件を満たしておるものは認容の裁定をいたしますし、死亡条件とかあるいは遺族要件等が法の条項に合わないというものは棄却をいたす、その仕訳を全体を通じて処理するというわけでございまして、現在出ておりますもので未裁定になっておりますものは、ありていに申しますと、非常に難解なケースでございます。難解といいますのは、本人はこういう申し立てをしておるということでございますが、たとえば病気の原因が公務によって死んだものとはとうてい考えられない、あるいは準軍属、徴用工等でございますと、どういう軍需工場にいたというようなことが書いてございますが、どうもそれに該当しないとか、あるいは極端に申しますと、私も最近そういうおくれたものの個々の案件を見ておるようにいたしておりますが、海軍のこういう階級に属しておったという本人の申し立てがございますが、厚生省の資料、名簿にはそういう海軍の人はいないというようなことで、なかなか的確に申し立ての線に沿った裁定をすることができないケースが多いのでございます。しかし、そういうのは、該当しないといって単に棄却をするということは非常に冷たい仕打ちでございますので、厚生省としては、何とか御遺族の申し立てが真実なのではないかというようなことで、二回、三回調査を重ねる。たとえば準軍属でございますと、当時の軍需工場はない、そうすると、それを継承した会社に当たるといったような、二段、三段の調査を重ねまして、何とか申し立ての御遺族の御主張の通る道はないかということで、むずかしい調査の壁を突き破ろうと努力しておるわけであります。そういうことで時日が経過いたしまして、結果的に一見非常におくれておるというふうに見られますけれども、そういうものにつきましては、内部的にはずいぶん苦労して二段、三段の調査を重ねておるケースが多い、こういうふうに実情を御認識いただければ非常にありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/95
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096・田邊誠
○田邊(誠)委員 今いろいろな作業を進めておることは承知できますけれども、遺族ばかりでなくて、未帰還者の留守家族に対する措置からいっても、この表には一万七千余の未帰還者の数が載っておりますけれども、未復員者の留守家族に対して受給者は二千六百二十、一般邦人の留守家族に対しては二千三十一、五千人に足りないところの受給者の数のようであります。これが留守家族手当を支給しておるところの現状のようでございますけれども、私はこの面に至っては、前述の遺家族の方々に対する支給を包括的にするという作業が終了しない以上に、非常に困難がつきまとっているのではないかと思うのでありまして、事実認定にいたしましても、留守家族の申し立ても、必ずしも的確にその事態を把握するというふうにはいかない面が非常に多いのであります。あるいはまた、証人の面からいいましても、そちら側から調べる状態からいいましても、なかなか最後までこれをつかむことができない、こういったものもあるかと思います。しかし、いわゆる罪を罰する場合におけるものとは別に、逆にこういったものはなるべく包括するように適応させることが、法の趣旨であろうと思うのであります。そういった点からある程度認定基準等がおありとするならば、その解釈をさらに拡大して、より以上これが適用される状態を作業の面で作り上げないと、私はこの終了はなかなかできないのではないかと考えておるのでありまして、将来にわたってこの法律の解釈や運用の面で、現在以上のさらにあたたかい措置をするというお気持があるかどうかを伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/96
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097・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 お話の中に未帰還者と留守家族手当の受給者の開きの問題を御指摘になりましたが、これは御承知のように、現在の留守家族援護法という法律で、たとえば父母の場合、六十才以上であるというのが支給条件になっております。これはいろいろ御議論があろうと思うのでありますが、当初から一種の生活保障的な面で、他の立法例も六十才以上というふうになっておるのが、社会保障の法令では通例でございますので、そういう趣旨に沿ってそういう立法ができておるわけでございます。従いまして、そういう面については、認定について甘い辛いの問題はないのであります。
お尋ねの後段の援護法の問題につきましても、いろいろ条件が法律に書かれてございますが、私ども法を現実に運用する者としましては、ただいま先生の御指摘のような御遺族に対してあたたかい気持で、善意をもって、なるべく法の運用もそうしたいし、ただいま申しましたように、一応本人の申し立てだけでは該当しないようなものにつきましても、何とか該当し得る道があるのではないかということで、念には念を入れて調査を重ねておるという状況でございまして、御趣旨の点は十分心していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/97
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098・田邊誠
○田邊(誠)委員 この適用範囲についてはいろいろ問題がありましょうけれども、実際は予算の面では、先年度の九十億に比べて、総ワクでは、との法の改正によっても予算はふえないのでありますから、そういった面でやはりさらに行政解釈を的確にされて、これが全体的に包含される方向に進まれることが望ましいと思うのであります。
ちょっと時間がありませんのであまり突き詰めて御質問はいたしませんが、割当の時間の中で問題点をさらに明らかにさせていただきたいと思うのであります。そういう遺族や留守家族の適用をなるべくやるということと同時に、この法律の運用の中でその次に問題になって参りますのは、何といっても、先ほど来議論のあるところの軍人、軍属のいわゆる規定づけというものは一体どこまでやるのか、あるいは公務疾病にかかった範囲というものは一体どの程度までこれを認めるのか、この認め方によってこの数が多くもなり、少なくもなるわけであります。この遺族等の援護法は、制定以来そういう方面ではその範囲をだんだんとなるべく拡大して、この適用者をふやしてきたという経緯があることは、私どもは承知をいたしておるのでありまして、それは当然の処置とはいっても、われわれは遺族の方々の心中からいって大へん喜ばしいことだと思っておるのでありますが、援護法の第四条の3に、これは当初なかったのを改正してつけ加えた条文でありますけれども、いわゆる軍人、軍属が昭和二十九年九月二日以降において海外から内地に帰ってきて、復員をしたあとで郷里に帰る旅行中などで、自分の責任に帰さない疾病等にかかった場合においては、これを公務とみなして軍人、軍属の在職期間として適用するという内容であります。この法律の改正によって適用を受けたところの人員は、一体どの程度ございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/98
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099・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 的確には今資料がございませんが、こういう改正がありましてから、この条文で適用になったものは二十名以内ではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/99
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100・田邊誠
○田邊(誠)委員 数はあまり多くないようでありますけれども、しかし、この持つ意味というものは非常に重要でありまして、これはやはり復員の時点以後においても実際に自分のうちにたどり着かないうちにいわゆる疾病にかかったり、いろいろな事故でもって死亡された、そういったものを公務とみなすということは、これは私は当然のことであろうと思うのであります。何といっても当時の混乱の時代であり、あるいは戦後のいろいろの事故の発生が多いという事態の中で、実際にはうちにたどり着かないうちにこういった事故が起こって、死亡するというようなことが考えられるところでありまして、大へん私はけっこうな措置であろうと考えておるのであります。ただこの措置は、軍人、軍属が海外から内地に引き上げてきて、内地のいわば具体的には港なら港に入ってきて、そこでもって復員作業が終わった、その後において郷里に帰る旅行中に、自己の責任でなくて疾病等にかかった場合、こういうのでありますけれども、私はこれと相見合って、こういったことは、単に内地に帰ってきて復員作業を終えたということでなくして、当時外地でもって外地復員をして、それから日本に引き上げてくる、こういう人たちがかなりあったと思うのであります。ところが、たとえば中国なら中国の北京なり天津なりでもって復員をした。その後、集団的にないしは個人的に日本に帰るという途中において、国府軍なり中共軍等によって殺害をされた、こういうものがあると私は思うのであります。現実に私が聞いておる範囲でも、そういったものがあるのであります。これも当然第四条の二の内地において復員作業が終わって、その後におけるところの事故によって適用されておるという、こういった人たちと同じ立場であろうと私は思うのであります。
〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
あるいは外地の場合においては、より私は復員後といえども日本に帰る旅行というものは大へんな苦労が多かったし、大へんな難渋をきわめただろうと私は考えるのでありまして、この外地現地復員後において、こういった殺害等によるところの死亡が認定をされておるところの遺族に対して、この法律の適用が私は当然あってしかるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますけれども、一体現状はどうなっているのでしょうか。あるいは適用になっておらないと現在私は承っておるのでありますけれども、それははなはだ均衡を欠くものと思いますが、これに対する措置をするおつもりがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/100
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101・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 四条の二が設けられました趣旨は、当時の復員につきましては、やはり個人々々が自分の思惑で日本に帰ったものではございませんで、やはり部隊行動をとって、責任ある者の命令に従いまして計画的に集結をして、帰還輸送船によって日本に上陸したものでございます。そういう従前と同じ形において、軍人という身分はなくなりましても、一つの部隊としての秩序を保って日本に帰ってくる一般のケースに着目いたしまして、ただいま先生の御指摘のようなその途中における事故を一つの在職期間の事故と見るというふうにせられた、もっともな改正であると思うのでございます。ところで、外地でいわゆる現地復員をいたしましたものは、そうした内地に一定の計画に従いまして正々と帰還するというようなことを好まないでいろいろの御事情があると思いますけれども、ともかく日本に帰りたくないか、あるいは隊から自発的に離れていったか、あるいは少なくともしばらくは模様を見たいということであえて現地にとどまるということで、ともかく自分の何らかの理由による意思によって離れていった者につきまして、現地復員をしたものでございます。従いまして、その現地におきましてその復員後いろいろの死傷にかかられたという者につきましては、十分個別の事情をお聞きしなければならぬと思いますが、現状はどうかと言われれば、それは援護法の対象ではないというふうに言おざるを得ないと思うのでございます。しかしながら、援護法には戦闘参加者といったような者もございますので、希有の例だと思いますが、その後何らかの事情で戦闘参加というような実態があれば別でございますが、一般の状況としましては、現地復員後における自決といいますか、自殺といいますか、あるいはその他の市民生活的な環境において死亡した者については、四条の二のような趣旨での援護法の救済ということは考えられないのではないかと思いますが、先生のお手持ちのケースにつきましては、個別によく事情を伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/101
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102・田邊誠
○田邊(誠)委員 一般的な例としてそういったことがあると言われますけれども、しかし、外地で当時非常な混乱の中で隊から離れていった、あるいは当時逃亡したというような者もあると思う。その後また事態の回復を待って戻ってき、復員をしてきて正規の援護法の適用を受ける、こういう人たちもおったと思うのであります。これはもちろん、何か自己の特殊な利害関係等でもって逃亡したり離隊した者は認めないでありましょうけれども、それ以外の者は、当時の非常な混乱の中で判断を誤ったものとして適用を受けておるという事例があると思う。それと、今私が申し上げたのはやはり類型的なものでありまして、一体日本に帰れるものやら、あるいはこれから先どういうふうに事態が変わるものやらわからぬ中で、現地で復員をするというひらめきがあったとしまして、それを有力な原因としてこの法の適用からはずすということは、私はやはり考えられるべき筋合いのものがあるのではないかと思います。今申し上げたような、これは具体的な事実でございますけれども、これは好意的に私は見た場合には、決してその土地に永住をしたいというような気持でもって現地復員をしたものではないと思うのであります。従って、そういった形から言うならば、第四条の二が特異な例として設けられた事実を私は承知いたしておりますけれども、その事実から演繹をいたしますならば、今私が申し上げたような現地復員といったものが、その後中共軍等によって殺害をされたという事実があるとすれば、これは何らかの形でもってこの法の適用を受ける、こういう措置を講ずべきではないかと思うのでありますけれども、今後さらに十分な検討をされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/102
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103・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 非常に特異な環境に置かれまして、一たんは現地復員をした者につきましても、特別な事情があって本人が辞退した事情で当時やむを得なかったと認められるものが絶無ではございません。そういう方につきましては、現地復員の取り消しをした例も、過去にきわめて少数ではございますが、あることを承知いたしておりますが、今の個別のケースにつきましては、よく事情を承りまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/103
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104・田邊誠
○田邊(誠)委員 ですから、一つの要件だけでなくて、戦闘要員であったというような事態もあろう、あるいはまた、現地復員のその内容というものが、確かに当時の混乱の時期にやむを得ざる措置であった、こういうようないろいろな要素の中で一つでも適用になるような要件というものがあるとすれば、それを取り上げて、やはり援護法の適用を受けさせることが最も親切な道であろうと私は考えるのであります。私は遺族の方々や留守家族の方々の生活の実態をさらにお聞きしたいと思っておったのでありますけれども、割当の時間が超過いたしましたから、非常にお困りの状態の中で、やはり適用の範囲を広げて総括的にこれを包含する、こういう強い指導をしてもらうことを要望したいと思います。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/104
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105・中野四郎
○中野委員長 五島虎雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/105
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106・五島虎雄
○五島委員 この際、時間もずいぶん少なくなっておりますけれども、一つの点について質問をいたしておきたいと思います。
私は、引揚者給付金等支給法に関連して質問をいたします。昨年の本会議において、参議院先議で支給対象の地域を拡大されたわけです。すなわち、南方地域を引揚者給付金の対象といたしましたけれども、昨年私の質問の中で明らかになったのは、この引揚者に対するところの基金が五億円程度いまだ残っている、こういうことでございまして、そうして南方地域をこれに該当せしめたわけですけれども、当時、乳幼児に対してもこれを支給しなければ理屈が合わぬのじゃないかというようなことを、私やあるいは滝井委員からも質問をいたしておりました。それからまた、外地に引き続き六カ月以上居住しない者はこれを対象としない。すなわち、六カ月以前から居住しておらなければ、それ以内外地に居住しておってもこれの支給対象にならないというのは矛盾ではないかということについて質問をいたしていたわけであります。ところが、われわれが考えてみますに、これは非常に矛盾しているではないか。しかし、せっかくできた法律で今日まで行政的に措置をされてきたわけですけれども、御承知のように、一部の改正が行なわれるたびごとに、われわれは、この点については非常に矛盾があるような気がいたします。なるほど、行政の基本をなすことについては、ある一定の期限というものを明確にしなければなりませんけれども、たとえば、政府の国家的事業等々で終戦直前に外地に渡って行った開拓民、いわば農業開拓やらあるいは工業開拓の問題等々もあろうと思われます。ところが、六カ月の期間内に——終戦以前六カ月以内に向こうに渡って行った人人が多数あったのではないかと考えられます。ところが、国民の意思、希望もあったでしょうけれども、国の戦力に協力し、そうして満州で政府の意向通りに開拓をしよう、それに従事をしようと張り切って行った者が、八月十五日に終戦となって、そうして帰らざるを得ない、引き揚げざるを得ない、こういう人々が支給の対象外になるということは、条理の中からも矛盾ではなかろうか。従って、法律あるいは行政的確立の上で期限を切るということは納得いきますし、十数年来この規定によって処理されてきておるわけですけれども、われわれは、この問題についてはなお矛盾があるような気がいたすわけであります。この点について当局はどういうように考えられておるか、その一点だけ質問をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/106
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107・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 いろいろ先生から今まで御意見も拝聴いたしましたし、関係団体の方々がいろいろ強く要望せられていることは承知しておるところでございます。また、実態的にも十分検討に値すべき問題とは存ずるのでございますが、政府としては、御案内のように、その趣旨に沿った法律案を御審議願うように出していない現状でございますので、事情御推察いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/107
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108・五島虎雄
○五島委員 事情は推察をいたしますけれども、たとえば、実態等々の中から、六カ月以内国の政策に協力し、やむを得ず——やむを得ずということは語弊がありましょうが、開拓民等々になって、そうして六カ月以内に帰らざるを得なかったというような人々、実態調査上でそういう人たちは何人ぐらいおられる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/108
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109・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 今日的確な数字は把握できないのでございますが、内地に知縁、血縁を失ったにひとしいような引揚者の方々ということに着目したわけでございますので、そういう立法の趣旨は法の建前として尊重されなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/109
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110・五島虎雄
○五島委員 私は、たくさんは聞きませんが、六カ月以上のものにきめた法の精神というもの、法の考え方というのは理解ができます。しかし、幾ら本拠を六カ月以前に置いても、その道理が合わない。そうしてまた、六カ月以内のものにでもほんとうにやむを得ないというような場合の類型が多数あろうと思われるわけです。従って、六カ月以内であろうとも、生活の本拠をきめて渡った人々、そういう人々で、終戦というような大きな事件にあって帰らざるを得ない人たちは、まことに気の毒じゃなかろうかというように考えられます。従って、あなた方にこれを改正する気持ちがないかとかなんとかいうようなことを聞いても、私の満足するような答弁にはなり得ないと思います。私の趣旨も了解ができるじゃないかと意いますが、政務次官でも局長でもよいが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/110
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111・森田重次郎
○森田政府委員 事情はよくわかっております。十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/111
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112・五島虎雄
○五島委員 ただいまのことについて、事情はよくわかっているという政務次官の言葉を了としまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/112
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113・中野四郎
○中野委員長 八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/113
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114・八木一男
○八木(一)委員 ただいま議題になっております戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、ごく簡単に御質問を申し上げたいと存じます。
この法律で、戦傷病者やあるいは戦没者遺族、あるいは夫帰還者留守家族等につきまして、その処遇がある程度改善を見ましたことは、国民の方々、その対象者の方々とともに喜びといたしたいと存じます。なおその内容がまだ十分でない点は遺憾でございますが、どんどん内容もよくなり、また適用者が拡大されるように望むものであります。もう一つこの法律の中に引揚者給付金等支給法の問題があるわけでございますが、すべてについてまだ不十分だと思いますが、引揚者給付金等支給法の改正の際には、具体的な前進を遂げたとは言われない内容であると私どもは考えているわけであります。先ほど五島委員から御質問になった点、これなども非常に重要な点であろうと思うのでありますが、もう一点私伺っておきたいと思いますが、給付金ではなしに、なくなった方に対する遺族給付金の支給要件が、二十五才以上でなくなった方というふうになっているわけであります。これは非常に制限がきびしくて、たとえばそれ以下の年令でなくなった方の遺族に対しても当然給付金が必要である。また、その遺族の方はこれを渇望しておられると思うわけであります。なぜこの際において、この年令を下げられなかったか、その点についての政府側の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/114
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115・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この給付金法ができました際は、政府でも十分検討をしたことは言うまでもないのでございますが、当時の国会の諸先生方も、非常に御熱心に、この法案の内容、性格といったようなものについて、院の内外にわたりまして御検討いただいたと私了承しておるのでございます。また、関係の団体にも十分連絡がとられまして、日本の法律としては非常に特異な体系の給付金法ができたというふうに承知しておるのでございます。引揚者給付金及びただいまお尋ねの遺族給付金の条件につきましても、いろいろ御議論の末、現在のような条件が打ち出されたというふうに承知いたしておるわけでございますが、ただいま御指摘の遺族給付金の年令を二十五才にしましたのは、当初政府の考えは、たしか三十才であったのではないかと思います。そういうふうに政府側が主張しておりましたけれども、いろいろ国会の御論議等を調整いたしました結果、二十五才というふうになったと過去のことを私聞いたのでございます。しかし、この二十五才というのは、何もただ単に中をとって半分にしたというわけじゃなくて、やはり遺族給付金を特に普通の国民の場合と違って出しますことにしましたゆえんは、まる裸になって日本に引き揚げてこざるを得なかった引揚者のうち、いわば一家の生計の中心のような働き手を失った方に対する特別のお見舞をしたいということで、二十五才という年令がきまったのでございまして、やはり一家の生計の中心というような点をどこに置くかという点を見定めまして、この年令は考えるべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/115
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116・八木一男
○八木(一)委員 そのようにしぼられた原因は、当時の財政事情が一番大きな要件であったと思います。現在は予算規模もぐっとふえております。このような社会保障的なことについては、前進に次ぐ前進を遂げなければならないということが、国民の世論になっているところであります。従って、政府としては積極的にこのような不十分な状態を十分にするために努力をせられなければならないのに、このような法律の提出の際にそれが考慮せられておらない点につきましては、はなはだ不満であり、政府として非常に不熱心であったと言わざるを得ないと私どもは考えるわけであります。ことに、この法律の中で引揚者の給付金の金額につきましては、年令でいろいろと段階が設けられております。その年令は、十八才未満と十八才以上三十才未満、三十才以上五十才未満、五十才以上というふうに区切りがついているわけであります。そういう状態でございますから、諸バランスを常に主張せられる政府側としては、二十五才というものはこのバランスに合わない。少なくとも十八才というバランスに合わせるという努力を当然せらるべきであろうと思いますけれども、この点お出しにならなかったことは非常に遺憾であります。その点について今政府側がどのように考えておられるか、政務次官でも局長でもけっこうでございますが、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/116
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117・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 御案内のように、遺族給付金は終戦時の年令をとらえておるものでございます。従いまして、ただいま引揚者給付金の方の年令の区切り方の線と合っていないじゃないかという御指摘でございますが、なるほどそういうふうな御指摘も可能と存じますけれども、そもそも現在の二十五才という線がそういう趣旨でできておるのではなく、先ほど申しましたように、一家の生計の中心、そこをとらえたものでございますから、引揚者給付金の十八才以上四等級の区分になっておる年令と必ずしも合っていないわけでございます。従いまして、この遺族給付金の年令をそれと必ずしも合わさなければならぬというふうに考えなくてもいいのではないか。むしろ、どの程度が生計の中心、一家の働きの中心を失ったものであるかという、遺族給付金を出すこととした立法の趣旨から見てどの年令が適当かというふうに判断すべきではないか、こういうふうに考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/117
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118・八木一男
○八木(一)委員 終戦時とおっしゃいましたけれども、十八才あるいは三十才で区切ったときには、その一家の生計の中心度合いがそこで違うということで、給付金のそういう区切りがついた。その理屈を一貫させるとしたならば、この区切りにマッチさせることが一つのよい方法ではないかと思うわけでございます。
それから二十五才以上が生計の中心者と限られておりますけれども、そのような状態は一般的な考え方であって、引揚者というような非常に不運な状態にある方々は、非常に疲れ切った状態で日本に帰ってこられた。従って、若い十八才、十九才、二十才、二十一才という人たちが、生計の本拠を失ってぐったりした両親にかわって、ほんとうの生活の再建をしなければならないという状態になっておるわけであります。一般のときのように、親がそれほど戦争で痛い目にあわないで、前からの給料をとり、前からの商売をやって楽に生活ができる——戦後みな楽ではありませんでしたけれども、一般的に見れば、ほかの人よりはそう苦痛が少なくて生活ができる状態ではなしに、一切の財産を投じて外国に行った、そうしてその一切を失った、それで意欲を失って疲れ果てて帰ってきた両親にそのような生活の根源を求めることは無理であります。そこで若い気力のある青年が一家の主力となって働くということが、引揚者の方々の状態であろうと考えるものでございます。その考え方は正しいと私どもは信じているわけであります。従って、一般的に二十五才が一家の支柱になるという考え方は、そういう状態に対しては同情の少ない形式的な見方であろうかと思います。そのような意味で、この二十五才は、そういう方がなくなったあと、さらにがっかりして生活が苦しくなっておられるわけでありますから、遺族給付金も十八才以上ということで出されることが至当であろうと思うわけであります。なお、ほかの制度との関連でございますが、年金制度について政府側がくどくど御答弁下さる必要はございませんけれども、これも一家の支柱ではないというようなへ理屈をおっしゃる必要は毛頭ないわけでございます。十六才以上になると母子福祉年金の対象にならない。拠出年金でも、十八才以上でないとそのような遺族年金の対象にならないということになっております。これは、ただその人が一人だけ働けばいいのであって、一家の支柱じゃないというようなことを無理やりに政府側がこじつけようとするならば、そういう答弁もできるでありましょうけれども、実際の状態として、その母子世帯や何かが、十六才をこえ、十八才をこえたならば母子福祉年金あるいは母子年金の給付を受けられないということは、その子供に一家の支柱になって働けという制度であろうと思う。それは非常に冷酷な制度ではございますけれども、少なくともほかの方でそういうような状態になっている現在において、引揚者給付金の遺族給付金について二十五才ということは当を得ておらない、これを大幅に引き下げて、十八才以上は遺族給付金の対象にするということが当然考えられてしかるべきものだと思うわけであります。現在政府がこの提案をされた、いろいろ閣議でされたから、直ちに政府側からこれを直すということは無理であることはわかります。しかしながら、そういう方向について検討さるべきものであり、善処さるべきものであるという国民の多くの人たちの声、またわれわれ国会の委員の意見について、その筋としてはそういうことであるという御意見であろうと思いますが、それにつきましてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/118
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119・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 先生の御指摘の点は十分検討すべき問題である、十分お気持はわかるところでございます。ただ、くどいようでございますが、十八才という年令にすべきであるという点につきましては、そういうお考えも十分成り立つとは思いますけれども、これは年金ではございませんで、特別の、他に類例のない一つの援護的施策でございます。引揚者の置かれた当時の事情は、今先生の御指摘の通りでございますけれども、こうした特別の、一種の見舞金といいますか、こういうものを出す年令としては、必ずしも国民年金等のそうした年令に直ちに符節を合わすということが絶対に必要であるというふうには考えなくてもいいのじゃないか、しかし、これを何とか下げたいというお気持はよくわかりますし、政府としても十分検討に値すべき問題であるという点は同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/119
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120・八木一男
○八木(一)委員 それでは、具体的な質問は終わりますが、厚生大臣に、戦没者あるいは戦傷病者や未帰還者の留守家族あるいは引揚者等の方々の処遇の問題について、厚生省がなお一段と熱心にやられることを要望いたしまして、一言でけっこうでございますからお答えをいただいて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/120
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121・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまお尋ねになりましたような方々に対する処遇の問題といたしまして、まだいろいろ問題も残っておるかと私も思うのでございます。厚生省としましては、検討すべきものは十分検討して参りたい、かように考えておる次第でございますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/121
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122・中野四郎
○中野委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/122
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123・受田新吉
○受田委員 時間がありませんから一言だけ……。
ちょうど遺家族の援護法ができて満十年になるわけです。昭和二十七年四月三十日にこの法律が施行されまして、十年の日月をけみして、遺家族の皆さんに、漸進的に国家の処遇が、国家補償の精神に基づくという第一条の規定に基づいて進められてきたのですが、今度で第十二次の改正になるわけです。なお、この援護法と恩給法の両方の法律を通じて、幾つか漏れた人々が今度の改正でも残ってくるわけです。今大臣は、その点について何らかの措置を今後も考えたいという御答弁でございましたが、この援護法のできた歴史と、これが翌年恩給法に変わってきたいきさつなどを契機として、私は午前中の質問はもう時間がないのでやりませんが、午後、公務扶助料と遺族年金の算定基礎及び扶養家族に対する手当額の問題、並びに弔慰金あるいは弔慰料の額の問題、及びなお未処遇の問題について、短時間の間に重点的にお尋ねさせていただきます。
大臣に一言御答弁願いたいことは、この援護法の歴史と精神に基づいて、国家補償という基本線に立って、無益の戦争に参加した人々は漏れなく救うという基本線だけははっきり打ち立てて、十分の手を尽くして、厚生省のあらゆる人的動員をやりまして、漏れた人々の、国家補償の精神に基づく、恩給法で救われない場合はせめて援護法で完全に救うという基本線を打ち立てるという態度を持っておられるかどうかということをはっきり御答弁願って、午前中の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/123
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124・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 具体的なお答えは申し上げかねますけれども、ただいま受田委員の仰せになりました御趣旨につきましては、私どもも十分了承いたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/124
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125・中野四郎
○中野委員長 この際、委員長から一度厚生大臣並びに当局に質疑をしてみたいと思いますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは恩給法の実施の経過にかんがみてみましても、両法が実施されて約十年になるのですが、今日なお未処理の段階が相当多いようであります。これは戦争の犠牲者として当面の人はなかなか容易でないと思います。従って、援護法のワクを拡大するか恩給法のワクを拡大して、これら戦争の尊い犠牲者に対して報ゆる道を作らなければならぬと考えておるものでありますが、今回のこの改正の場面から直ちにというわけには参りますまいが、最も近い将来において、これらの人々をすみやかにそのワクの中に入れて適当なる処置をすることの意思があるかどうか、こういう点は国民精神作興の上からも非常に大事な問題であろうと私は思うのであります。現にこの戦争によって戦死をし、あるいはそういうものが現認されない段階において、いろいろな面でこれが入っていない人たち、靖国の神社に祭られていない人たちが相当あると思うのです。これらの遺家族のことを思いますとき、すみやかに当局はこれに対する処置をすべきであると思うのですが、厚生大臣はどういうふうに考えておられますか、この機会に明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/125
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126・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 受田委員の御質問もございまして、また重ねて特に委員長からのお尋ねでございます。その委員長のお心持が全委員会のお心持であろうと私も思うのであります。そのお心持につきましては、私ども全く同様に考えております。改府といたしましても、誠意を持ってこの問題に対処いたしたいと存じておりますから、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/126
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127・中野四郎
○中野委員長 すみやかに善処されるように要望いたしておきます。
本会議散会後まで休憩をいたします。
午後一時五十八分休憩
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午後二時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/127
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128・中野四郎
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りをいたします。
理事澁谷直藏君より理事辞任の申し出がありますから、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/128
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129・中野四郎
○中野委員長 御異議なしと認め、同君の理事辞任を許可するに決しました。
つきましては、理事に一名欠員を生じましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、補欠選任につきましては委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/129
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130・中野四郎
○中野委員長 御異議なしと認め、松山千惠子君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/130
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131・中野四郎
○中野委員長 内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/131
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132・受田新吉
○受田委員 まず、私は午前中の質疑に続きまして、灘尾厚生大臣にお伺いを申し上げたいことは、大臣の御所管に属する法律の中に、戦傷病者戦没者遺族等援護法と未帰還者留守家族等援護法、未帰還者に関する特別措置法、こういう幾つかの法律があるのでございますが、その中で戦傷病者戦没者遺族等援護法には、その第一条に「国家補償の精神に基き、」と書いてある。それからその他の法律には「国の責任において、」と書いてあるわけでございますが、この国家補償の精神に基づく法律と、国の責任において行なう法律との相違点はどこにあるのか、御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/132
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133・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 まず事務的にお答え申し上げますが、この遺族援護法が制定されますときには、これをどういうふうなものにすべきかということでずいぶん御議論のあったところは、先生よく御承知であると存じます。当時軍人恩給がストップされておりましたために、これにかわるものとして早急に何らか立法的措置をする必要があるということでございましたが、恩給法とは必ずしも建前が同じであるというふうには言い切れない面がございました。しかし、それかといって、単に一種の社会保障的な援護というものでもないというようなことで、その中間的な思想をとりまして、基本的にはやはり国家補償という理念を取り入れつつ、その法律の姿としては援護の形態をとろうという立法に、非常に御苦心せられたように聞いておるのでございます。
〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
そういうことで、ただいま御指摘のように、国家補償の理念に基づき援護をするという法律の根本の性格が定立されたわけでありますが、留守家族等援護法におきましては、先生も御指摘のように、第一条に、「国の責任において、その留守家族に対して手当を支給するとともに、」云々と書いてございます。特段大きな開きがあるとは思いませんが、御承知のように留守家族等援護法は、当時の夫復員者給与法及び特別未帰還者給与法の肩がわりとして生まれたものでございまして、そのもとの両法は、国が一種の雇用の立場に立っておりまして、いわば雇主としての軍人、軍属に対する施策を書いてあったものでございますけれども、特別未帰還者は、ソビエトに抑留された軍人、軍属と同様の事情に置かれたものとしての特別の援護をするというようなことでございましたので、やはりその究極において国の責任ということをうたった方がよろしい、特に調査究明というような点が国の大きな任務であるというような重要な内容もありましたので、国の責任においてというこの法律の目的を定立したものと思います。また、留守家族等援護法においては、帰還患者に療養を行なうという切実な問題もあります。そういうことで国の責任という表現が、この立法をいたします際の適当な表現であろうということで、こういう文言になったのであると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/133
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134・受田新吉
○受田委員 特別未帰還者の援護法が留守家族等援護法に発展解消した、また未復員者給与法も溶け込んできた、こういうことに、援護法の中では一つの体系がここにできておる。もう一つ戦傷病者戦没者遺族等の援護法は、国家補償という精神に基づくということになると、恩給法への前提という意味が含まれておった。今あなたの御答弁では、こういうことに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/134
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135・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 当時援護法ができましたときは、まだ軍人恩給はストップされておったのでございますが、いずれこの軍人恩給は復活するのではないかという予測はあったと思います。けれども、従前の恩給の世界だけで処理することには、いささか範囲等におきましてもおおい切れないものがあるのではないか。今次の大戦の特性からいたしまして、従前の恩給プロパー以外に、国としてめんどうを見る必要のあるものがあるというような点が援護法の大きな着眼でございましたので、恩給と全く同じというところにまでは思想は整理されておらない、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/135
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136・受田新吉
○受田委員 国家補償の精神ということになれば、恩給法も援護法も同じという基盤に立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/136
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137・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 言葉のとりようと思いますけれども、恩給は、いわば国が雇用主である立場に立ちまして、その者に対するめんどうを見るということでございまして、先生のお気持に近いと思いますが、国家補償というものにずばり該当するものとして恩給は考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/137
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138・受田新吉
○受田委員 そこで問題を提起したいのですけれども、今回の改正案を拝見いたしますと、遺族年金が五万一千円から七万一千円に増額されております。しかるに、恩給法の規定による兵の公務扶助料につきましては、今回七万二千四百二十円——今まで五万三千二百円が七万二千四百二十円に増額されている。今の国家補償の精神に基づくということであるならば、援護法の遺族年金が公務扶助料と差をつけられるということは妥当性を欠くと考えるのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/138
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139・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 ただいまの受田先生のような御意見も一面十分成り立つと思うのでございますが、今回の改正にあたりましては、その点につきましていろいろ政府部内でも議論をしたところでございます。御承知のように、現在は兵の公務扶助料は五万三千二百円、それに対しまして遺族年金は五万一千円という、二千二百円の差がついておるわけでございます。もともとこういう公務扶助料及び遺族年金の額をどのように定めるかという点につきましては、たしか昭和三十三年であったと思いますが、ずいぶん議論されたところと承知しておりますけれども、やはり遺族援護法の現行の対象は、いわゆる軍人恩給法の対象とはやや違ったものが対象になる。いわゆる雇用人、軍属であるというような点に着目いたしまして、昭和三十三年のときにおきましてずいぶん議論されましたあげく、このような差が設けられたのでございます。それは一つには、戦争中、軍人というものはもともと非常に危険度の高い地位に置かれておるというようなことから見まして、兵の公務扶助料の額と、兵の仮定俸給と同額の仮定俸給にありますところの文官が、戦時中普通公務によって死亡した場合の扶助料の額との中間をとるのが適当ではないかという議論で倍率を出しまして、結果としては、中間よりもやや商い現行の遺族年金の額が定められたと承知しておるのでございます。今回の改正にあたりましては、ただいま先生の御指摘のような御議論も相当有力にございますので、いろいろ再検討したのでございますけれども、やはり昭和三十三年の際に定立いたしました軍人と雇用人、軍属とはおのずから差があるのはやむを得ないという建前は一応尊重しながらも、しかし、ただいま御指摘のような御意見が非常に有力にありまする現在の事情を考え、御遺族のお立場等も考えまして、今回は従前の二千二百円という差を半分だけ縮めまして、その縮めた額を基礎にいたしまして、今回の恩給のベース・アップの率、すなわち一・三六一をかけまして、それが七万九百八円になりますが、それをまるめまして七万一千円とした次第でございます。この点につきましては、財政当局も当初は別の意見を持っておったところでございますが、厚生大臣の非常な努力によりまして、財政当局も今回のような増額に最終的には賛成をしてくれたような内部事情でございます。そのように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/139
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140・受田新吉
○受田委員 今御説明を承っておると、援護法と恩給法のアンバランスにつきまして、努力をされて圧縮したという御答弁でございました。しかし、問題は、この遺族援護法の中に規定してある該当者の中に、旧軍人で当然恩給法と同じ恩典に浴すべき立場の人々が、法律上の規定のまずさなどから漏れているのですね。たとえば旧軍人であっても、子供がなくて孫である、あるいは配偶者が当然りっぱな奥さんであっても内縁関係になっておる。その人は、当時法律的に内縁であった分はもうだめである。あるいは改正民法以前の同一戸籍内にあったところの配偶者とか子とか祖父母とかいうものは、援護法の中に入っているのです。恩給法でいけば恩給法の額がもらえる。本質的には全く同じ恩給法の適用を受けなければならない者が、援護法に入っているがゆえに差がつけられる。この点をどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/140
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141・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 御指摘の通り、一つの大きな問題と存じます。しかしながら、これは恩給法の問題にもつながると思いますけれども、その改正は別といたしまして、援護法の世界をとってみますと、ただいま先生の御指摘のような方はきわめて少数でございまして、大部分は軍人と本来ステータスの異なる、また勤務の態様等も一般的には異なります軍属の立場を考えますと、やはりそこを全く軍人と同じようにしてしまうということにもまた一つの問題があろうと思います。従いまして、ただいまの御指摘の点は、われわれ今後におきましても十分政府部内におきまして検討を遂げたい、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/141
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142・受田新吉
○受田委員 私は、今せっかくの御説明でありますが、大体昭和三十三年以前の援護法では、これは恩給法の公務扶助料と遺族年金は同額であった。一番下が同額であったものを三十三年に差をつけたときに、私はずいぶんお尋ねをした。そうして非常に苦しい御答弁で陳弁これ努められるような情勢であった。しかし、そのとき何とか検討したいというお言葉であったのでありますが、今回の改正でそれが直されているかといえば、やはり直されていない。従いまして、金額が圧縮されたということは、ただ単に弁明にすぎないと思うのです。国家の公務に従って、ただいま御説明のあった通り、大東亜戦争の様相そのものは、旧恩給法時代と規模、態様が全く違う近代的な戦争の犠牲者というものは、全く正式な軍人であろうと軍属であろうと、あるいは雇用者であろうと、同じ立場で国家の公務に従ったという点では、これは同一の処遇をすべきだと私は思うのですが、この点援護法の改正にあたってどういう配慮をしたか。あなたが、努力してその差を半分に縮めたと言うが、しかるに、まだ千二百円の差があるということは、なくなられた遺族にとっては、法律的に自分は恩給法に属すべきが、法律の不備で援護法に属されているという人を含めて、国家の公務に当たった人については扶助料、遺族年金は同額ということに、わずかの金額ですから、なぜおやりになれなかったか、私は非常に残念だと思うのですよ。大臣、あなたのお立場もあったと思いますから、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/142
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143・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/143
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144・受田新吉
○受田委員 今指摘した問題は、十分検討して次の機会に直していきたいという御趣旨のように伺っておりますので、その問題はそれじゃ一応お預けにしましょう。
もう一つ問題は、援護法では十八才までの子供が遺族の対象になっているわけです。恩給法では二十才となっている。ちょうど英霊のお子さんが今ごろ十八才、二十才で大学に進学するころになっておるのに、そのころから遺族の対象からはずされるということは、経済負担からいっても容易でない。遺族にとっては二才の差が大へんだと思うのです。恩給法と同じ遺族の立場にある者は、何とか考慮してあげないと困ると思うのですけれども、大臣、この二年差についても何らかの配慮をすべきでなかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/144
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145・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 これも一つの問題とは存じますが、援護法の趣旨あるいは一般の社会保障制度におきます遺族年金の支給の例等から見まして、ただいまの御指摘のように、直ちに年令上の制限を緩和することはいかがなものかと考えられるわけでございます。先ほど遺族援護法の立法の趣旨についておただしがございましたが、国家補償的な理念に立ちつつも、やはり一般援護の着眼も援護法の中には性格としてあるわけでございますので、そういう点から、直ちに恩給法と全く同じようにしなければならないというこの点は、援護法の趣旨から見まして、いささか問題があるのではないかと思われるのでございます。また、恩給及び援護法の全般にわたりまして問題点の検討を十分遂げられました臨時恩給等調査会の御審議の際にもこの問題が出まして、その結論ともいうべき報告の中にも恩給、遺族両法の基本的性格の差異などからして、今直ちに恩給法並みに制限を緩和することはいたさないというのが、臨時恩給等調査会の趣旨でございます。そういう事情でございますので、直ちに恩給法と全く同じような規定にするということは、いささか問題ではないかと考えられるのでございます。しかしながら、十八才以上の子供でございましても十分同情すべき場合がございますので、援護法自体にも、御案内のように「不具廃疾であって、生活資料を得ることができない」といった場合には、援護を要すべき場合には遺族年金が出るというような規定もある次第でございます。また、一般の労災以下社会保障の制度におきましては、すべて十八才という年令がとられておることも御案内の通りでございますので、一つの研究課題とは存じますが、今直ちにそうするという確約はいたしかねるところでございます。
〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/145
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146・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいま事務当局からお答えを申し上げましたところで尽きるのでございますが、受田委員のお心持は私も了解できるような気持を持っております。ただ、事務当局もお答え申し上げましたように、いわゆる恩給法とこの援護法も全く同じ扱いにすべきかどうかというところになりますと、まだいろいろ問題もあろうかと思うのであります。検討を要する点もあろうかと思うのであります。お尋ねのお心持は十分私にもわかるつもりでございますが、この問題はいろいろ関係するところもございますので、一つ政府といたしましても十分研究をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/146
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147・受田新吉
○受田委員 その研究の中に、今政府委員の御説明の中で、問題は社会保障のところでも十八才となっている、こういうことを例にあげられたのですが、国家補償と社会保障と混同されて、ここで国家補償の精神に基づく援護法をお取り扱いになってはいけないと私は思う。国家補償とほかのとは違うとはっきりさっき言われたのですから、国家補償となれば、その精神に基づいて、遺族の子供の場合にも十八才を二十才に——そのころ特に大学へ行く子供が多いのですから、学資が足りないという切実な問題があるのです。そこで育英資金なども優先的に遺家族の子供さんを処遇するという原則を打ち立てておいて、遺族の子供さんは、お父さんがなくても安心して勉強できるというはっきりとした別の法の対策でもあれば、これは大臣、われわれとしてもあえて法規の改正という困難をしなくてもいい。具体的に何かできればいいと思う。その点について何か考慮されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/147
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148・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御趣旨はよくわかっておるつもりでありますが、先ほど申しました通り、政府としましてもまじめに研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/148
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149・受田新吉
○受田委員 十分対策を考えたいという御答弁でありますから、この点もおきます。
非常に急ぎます。端的に御答弁を願いますが、昭和二十七年この援護法ができた当時、私この法案を審査した責任者の一人でありましたけれども、その当時の法三十四条に基づく弔慰金は五万と、準軍属が三万になっているのですが、十年前と今日では、すでに物価も、また給与ベースも相当に変わってきておる。今ごろ裁定されたのを、依然として十年前の五万に三万という額をそのまま踏襲するというのは時代おくれの感がすると思うのですが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/149
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150・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 この弔慰金の性格は、御遺族の置かれた当時のお立場を考えまして、お灯明料の足しにもしていただくという、国が弔意を表わす気持を金額として五万円ということに定められたと聞いておるわけでございます。これは幾らが妥当かということは、当時の社会通念に従いまして、財政の許す限度として考えられたものと思うのでございますが、今日として見れば、必ずしも妥当な金額でないという御指摘も十分成り立つと思うのでございます。けれども、やはり国債という十年償還の形はとっておりますけれども、年金とは違いまして、その時期において国が幾らかを出して弔意を表わしたいという事の性質の金でございますので、やはりその当時における額の当否をもって今日も律すべきで、今日裁定が出たからといって、今目新しい人については別の額を与えるということにも、また一つの問題が出ようと思うのでございます。引揚者給付金の場合におきます際の問題も同様でございまして、今日でも給付金の申請は出ておるような状況でございますが、これを今日の物価の水準に合わした額をまた異なった額として出すということには、またそこに一つの問題が出てくると思われますので、これは二十七年当時定められました額をやはり適当として考えざるを得ないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/150
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151・受田新吉
○受田委員 十年前の昔と同じ額でいいという御議論は、非常に場当たり的な御議論になるおそれがあるのです。これから支給される場合の人々は、千年も十五年も苦痛がずいぶん続いた人ですから、苦痛の続いた人に対して新しい規定で弔慰額を高めていったって、これは決して前に裁定された人が不平を言われるはずはないのです。長い苦労が続いてようやく死亡が判明したような方々に対して、現状の物価情勢に応じた待遇をするということは、私は当然であると思うのです。
時間が非常に切迫しておりますので、大事な問題を青い尽くすことはできませんが、もう一つこの類似の問題といたしましては、未帰還者に対する例の特別措置法における弔慰料の二万、三万という額も適当な額と言えないのですから、こういう点もあわせて、ここで、ただ単に遺骨引取料を本年ちょっぴり上げるという措置ではなくて、もっと根本的な処遇をお考えになられるという誠実さを示さなければいかぬと思うのですが、どうですか。——答弁がないようですからひっかけてお尋ねしますが、問題は、この援護法の中の「国家補償の精神に基き、」という規定に基づけば、動員学徒、徴用工と同じ立場の——先般の改正で準軍属という名称を差し上げていささか慰めていただいたのですけれども、この方々に対する遺族給与金というものが一般の額よりも半額ぐらいという、この金額も問題があるわけなのです。少なくとも援護法に規定されたものは全額支給するという原則をはっきり打ち立てて、しかも長期にわたって年金化する根本態度に切りかえていくという、この動員学徒、徴用工、いわゆるその他の準軍属の方々に対する処遇は、大臣用意ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/151
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152・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この問題については、これまでも私の所見を申し述べる機会があったと思います。その考え方に何の変わりもございません。私といたしましては、この処遇の改善に極力努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/152
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153・受田新吉
○受田委員 臨時恩給等調査会に私も委員として参加をしたけれども、その当時の情勢と五年たった今日では、また情勢が変わっているのです。あの当時は、遺族給与金を設けるというのに年令制限がつけてあったけれども、今日はこれを撤廃して年金化しようという空気、国民もこれは反対しなくなったのです。国民は、遺家族に対する処遇を国民的な世論として今協力してくれておるのですから、こういう段階においては、臨恩の答申がこうだなどということを今持ち出されるのではなくして、新しい観点から、時代の要請にこたえる処遇を考えるという態度をおとりになるべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/153
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154・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 国会の皆様方ないし国民の方々の気持を尊重いたしまして、政府といたしましても今後ともに検討を続けて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/154
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155・受田新吉
○受田委員 同時にもう一つ、結婚をして軍人の奥さんとして勤めておられた方が、夫に死なれて、戦後やむなく経済上で再婚をした。しかし、間もなく解消をして英霊の家に帰られたという方々は、ほんのちょっとだけ正式の結婚を別の人としたというので、形式がそうだったというので救われておらない人がおるのです。この人は、今英霊の家へ帰って、英霊を守っておられる方々が救われていない。この前の国会で何とかするという御答弁であった。このたびその措置がしてない。その他入夫婚姻等の処遇もまだはっきりしない。その他の未処遇者の問題等があるのでございますが、こういう未処遇の残された問題で、もっと法律解釈を、援護法ですので幅が広くやれるのですから、恩給法じゃないのですから、援護法で幅をちょっと広げるという配慮をなすべきで、救われる道が、まだ残っている人たちに対してはあるべきだと思うのですが、まだ間に合わなかったのでしょうか。大臣、これからこの問題は手をつけられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/155
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156・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 いろいろまだ問題が残っておるように私も思うのでございます。今回は具体化するところまで参っておりませんけれども、先ほどの御質問の御趣旨と同じことであります。残された問題につきまして、政府としましては十分検討いたしまして、善処したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/156
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157・受田新吉
○受田委員 大臣が非常に誠意を持って御答弁でありますから、私、あなたの御努力に御期待を申し上げることにします。また今回の改正案にも、あなたの御誠意がある程度盛られていることも私容認しますから、一つ早急に対策を立ててほしい。
最後に、この問題は、あなたは国務大臣のお立場から御答弁願いたいのですが、韓国人、台湾人等で、日本国民として日本軍人として応召をし、戦死した、こういう人々が今靖国神社に祭られておりますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/157
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158・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 祭られていないと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/158
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159・受田新吉
○受田委員 たとい今日韓国人であって、台湾人であって外国人であろうとも、その人が戦死したときは、日本軍人として、英霊として戦死したのです。その人は靖国神社に祭られてない、こういうことになると、その死なれた、今は外国人であるが、当時は厳たる日本軍人であったその英霊に対しては、どうおこたえするかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/159
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160・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御指摘の問題につきましては、私十分一つ研究してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/160
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161・受田新吉
○受田委員 これは公務扶助料も遺族年金も出ていないのです。日本人で戦死された日本人の英霊が扶助料をもらっているが、そのお隣に住んでいる、ずっと引き続いて日本に住んでいる韓国人は、日本軍人として戦死したが、その両親にも奥さんにも子供にも、何ら扶助料も年金も出てないということの現実は、これは重大な問題だと私は思います。今そうなっておりますね。そこで日韓会談の請求権の問題とかいう外交交渉の問題とは別に、日本政府としては独自の立場から、当時の日本軍人としてなくなった英霊に対する処遇だけは日本国内でちゃんとやっておいて、あとからその額を請求権交渉のときにやられるというこの順序を、はっきりと区別されてお取り扱いになられる必要はないか。これは私、なくなった英霊に対して一つの問題があると思うのですがね。大臣、国務大臣として閣議において有力に発言されて、日韓交渉の過程において問題であろうけれども、請求権の問題とは別に、国内的にこの処遇を考えていくという御発言をしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/161
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162・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 非常に意義のある御質疑をいただいたように思います。率直に申し上げますけれども、ただいまのところ、政府といたしましては、現行法の建前からいたしまして、いわゆる対象が日本人に限られるということになっておりますので、今お話しになりましたような方々に対する措置はとられていないということであります。それに対する受田委員のお尋ねの御趣旨は私も同感の節がございます。政府としましては、今お話にも出ましたが、この問題は日韓交渉というものの過程を通じて解決いたしたい、かような考え方で今日までやっておるわけでございます。閣議で発言するとかしないとかいう問題をここで申し上げるのもどうかと存じますけれども、お心持は十分私同感をいたしておる次第であります。さらにまた、今後とも研究して参りたいと思います。政府の従来の態度といたしましては、今申し上げる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/162
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163・受田新吉
○受田委員 私はきょう大事な問題点を幾つも拾っているのですが、時間的に制限をされておりますのではなはだ遺憾で、これで質問を終わりますけれども、この援護法の改正という遺家族処遇にとっては非常に大事な機会に、一つ一つ漸進的にということはありますけれども、もはや国家の経済情勢も落ちついておる現段階において、遺家族処遇の問題は抜本的に解決するという基本線を打ち立てていただきたかったのです。これがまだぼっつらぼっつらといういき方では、われわれははなはだ残念に思うわけで、抜本的遺家族処遇政策を打ち立てて、国家の公務に従事された遺家族に全面的に国をあげて感謝し、その遺家族を守ってあげ、そうして新しい国家作りにみんなが精励するという態勢を抜本的にやってもらいたい。それで厚生省の所管もあれば総理府の所管もありますけれども、政府全体としてこの問題を根本的に、育英資金の増額の問題、就職の問題等も含めて、抜本的にこの対策を解決するという用意をしていただきたい。大臣の最後の御答弁で私引き下がります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/163
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164・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 非常に遺家族の皆さんに対する深い愛情と、また熱意のあるお尋ねでございます。私もそのお心持につきましては全く同感であります。政府といたしましても今後とも努力いたしまして、できるだけ御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/164
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165・中野四郎
○中野委員長 大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/165
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166・大原亨
○大原委員 時間もだいぶ迫っておりますので、簡潔に質問いたします。今までいろいろと議論されました点と若干重複しておる点もございますが、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
この法律も、制定以来年数がたつに従いまして、戦傷病者戦没者遺族などということで、援護法等ということで範囲も非常に広くなってきて、関連する法案も出て参りました。そこでこの援護法で関連する問題とも含めまして、この適用の対象となっておる人々の対象別の名前を最初にずらっとあげてみて下さい。関連した問題を含めまして、対象になっているものをずらっとあげて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/166
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167・石田政夫
○石田説明員 現行援護法の対象とされておりますものは、大きく分けまして軍人、軍属、準軍属、この三通りに分かれようかと思うのであります。そういたしまして、この準軍属は、先生御案内のように、さらに分けますれば動員学徒あるいは国家総動員法によります徴用工、あるいは戦闘参加者、あるいは特別未帰還者等でございます。それぞれこれらのカテゴリーのものが軍人、軍属と若干異なるわけでありまして、対象となるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/167
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168・大原亨
○大原委員 それで援護法で最初からきびしく言われておりました公務という戦争犠牲者の範囲の原則も、未帰還者や引揚者等の問題を含めまして、だんだん広がっておるわけです。だから立法の趣旨も広がってきているわけですから、私は逐次質問いたしますけれども、時間がないから簡潔に御答弁いただきたいと思うのですが、そういう点では、そのほとんどは戦争犠牲者の社会保障制度が完備していない面における特別の国家的な補償、こういう面において考えていけば、この法律におきましても相当まだ考慮する余地があるのじゃないかという点を指摘いたします。それは議論いたしません。
第二の質問といたしまして、今まで質疑応答がございましたが、準軍属の中で動員学徒等の有期の年金を、終身年金にする等々の問題を含めまして改善をされている、そういう大臣の御努力や、あるいは政府・与党全体、国会全体のそういう要望に沿うような改善の方向というものが議論されておるわけですが、その中身につきましてどういう方向でやっているのか、具体的なお考えがあれば、今までの質疑応答の中から、もうちょっと具体的に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/168
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169・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 現在軍人、軍属の場合と準軍属の場合との処遇は、相当広範に違っておるわけでございます。従いまして、いろいろ御遺族はもとより、先生方からも数々の御指摘をいただいておるわけでございます。大臣も、このような問題について、何とか前向きで各方面の御要望を満たすような努力をしたいということで御言明になっておるわけでございますが、事務当局としても、これから個々の具体的な問題についてさらに掘り下げた検討をして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
ところで、現在そのような数多くの問題の中でも一番問題になろうと思いますのは、まず御指摘のような遺族給与金というものがせっかく三十三年に創設されたのでございますが、五年という有期にされておる。しかも金額は半額であるというような点が、基本的に大きい問題であろうと思います。次には障害年金、それから遺族年金を通じまして、業務上の死亡ということだけでなく、あるいは障害という、廃疾ということでなくて、加えて戦時災害という軍属にないところの条件がかぶさっておるという点も、一つの大きな問題ではないかと思われるのでございます。それから遺族給与金につきましては、特に父母の場合に準軍属だけに一つの制限がございまして、遺族要件におきましても、彼此均衡を欠くといったような面があろうと思うのでございます。六十才以上でありましても、他にその者を扶養する直系血族があるときには支給しないといったような制限も、相当問題ではないかと思うのでございます。
以上の諸点につきましては、いろいろ政府部内におきましても折衝を要すべき、むずかしい問題が多々あると思うのでございますが、私どもといたしましては、大臣の御意図を受けまして、せっかく検討をし、関係方面との折衝も逐次していきたいもの、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/169
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170・大原亨
○大原委員 ただいま御答弁の中で、大体おもには三点にわたりまして、改善の方向についてのお話があったわけでありますが、準軍属という制度を設けて軍属と差別をする、そういう恩給調査会の答申等を参酌されて立法を進めてこられたわけですが、しかし実施過程におきまして、やはりこれでは法律の公平の原則に反する、こういう点が逐次出て参りまして、この点については、だれもが改正を支持するような、そういう意見になったと思うのであります。その三点の問題につきまして、きょうは大蔵省の担当主計官、課長等が都合でお見えになっておりませんが、厚生大臣は熱意を持って実施に当たられておるわけでありますけれども、三点を含めて、準軍属、軍属との差別をなくしていくという方向において、もちろん全体の底を上げていくという方針ですが、そういう点についての御決意のほどを大臣の方から一つ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/170
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171・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この問題につきましては、かつて大原委員から御質問をいただいたことがございます。できれば、実は私はこの通常国会にでも出したいくらいなつもりでおりましたけれども、とうとうそこまでは参りかねたわけでございます。次の通常国会を期しまして、何とか御期待に沿うような結論を出して、御審議を願うように持って参りたい、さような覚悟を持って努力をいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/171
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172・大原亨
○大原委員 だから内容、各項目等の問題を含めまして、この点につきましてはぜひ御努力をいただきたい、これができるまでは厚生大臣を灘尾さんはおやめにならぬように——総理大臣になられるのはかまいませんし、大蔵大臣になられるのもかまいませんが、ただ厚生大臣だけは、七月末に内閣改造でおやめになるということがないように、与党の諸君も同席されておりますから……。
それでは次の問題に進むといたしまして、引揚者の問題が第四の改正項目として出ておりましたが、私も引揚者ですが、立法の根拠はどういうところですか、もう一回簡単に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/172
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173・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 引揚者給付金の制定にあたりましては、大きな社会問題になっておったと思うのでございます。いろいろ団体の陳情もございましたし、また実際終戦に伴いまして文字通り裸一貫で帰ってきて、相当多数の人が地縁人縁を失って帰ってきた。しかも受け入れる国内におきましては、住宅なりあるいは食糧なりといったような面におきまして、必ずしも故国に帰った安らぎを得るような環境になかった。そういう非常な苦難の道を歩かれました方々につきまして、政府としてもやはり何らかの特別な対策、施策というものを考えるべきじゃないかという社会的な要望をいれることが適当であるということで、この給付金が支給されたというふうに承知しておるわけでございます。当時、また一面におきまして在外財産の問題をめぐりまして、いろいろ問題があったことも事実でございますが、政府としては在外財産の問題は考えないという前提に立って、この給付金の問題で当時の事態を処理したいという気持で、この法案ができたというふうに了知しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/173
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174・大原亨
○大原委員 ただいまの御答弁で明らかになりましたが、引揚者の交付公債等の給付の問題は、つまり公務ということではないが、戦争で地縁人縁を外地において全部失ったという戦争犠牲者に対する援護、こういうことが一つと、もう一つは、在外財産の国際法上の問題等を議論する場合における請求権の問題、そういう問題に直接は関係ないが、大所高所から、つまり最近いわれておる大所高所論から出す、こういうふうなのが大体立法の精神、こういうことですか、もう一回……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/174
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175・山本淺太郎
○山本(淺)政府委員 そのように私は了知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/175
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176・大原亨
○大原委員 それで、日韓会談等、今あるわけですが、満州や韓国その他外地には日本人がたくさんおったわけですが、韓国には非常に多かったわけです。在外財産の請求権の問題が、必然的に韓国側の請求権の問題との関連で出てくるわけです。だから、法律の公平という原則からいいますと、私が引揚者だから言うおけではありませんけれども、しかし、たとえば地主補償にいたしましても、これは一度土地を売却する代金を政府といたしまして制度的に出しておるわけです。だから、法律の根拠からいいますと、在外財産は、個人、法人を問わず、私的な財産については没収してはならぬのであります。これは戦時国際法規のやっていることであります。だから、それを若干の、特定の国の間における権利義務の関係で放棄いたしましても、やはりそのことについての権利を、戦敗国であるからということで放棄させることはできぬのであります。だから、そういう法の趣旨からいえば、地主補償の問題、いろいろな問題、政治的な道義の問題では戦犯の問題等もあるけれども、そういう問題等を含めて、法律の公平の原則からいえば、引揚者に対するそういう補償の問題も、私は今日の段階では無制度というふうなことは言わないけれども、少なくとも社会保障制度において救援できないで、しかもその問題については、たとえば融資その他の問題等含めまして、総合的な援護の措置をとるべき問題は、私は地主補償の問題よりも優先する問題じゃないかと思うわけであります。そういう点につきまして、これはきわめて政治的な問題でありますけれども、今回改正になります引揚者の国債の問題等ございますが、これに関連いたしまして、私はさらに、この点については大いに前進したかまえにおいてこの内容改善をすべきではないかと存じますけれども、御所見のほどを伺わしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/176
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177・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまのお尋ねの問題は、非常に大きな問題と私は思うのでございます。引揚者に対する給付金の制度の制定の趣旨なり考え方については、私も事務当局からお答え申し上げましたような意味において承知いたしておるわけであります。当時といたしまして、在外財産の補償をする意思はなかったと思うのでありますが、またこの問題となりますと、ひとり引き揚げられた方だけの問題でもない、戦争による犠牲というものを考えました場合に、非常に大きな問題を含んでおると私も思うのでございます。今直ちにこれにつきまして的確なるお答えをする用意を私は持っておりませんが、大原委員の御意見として拝聴させていただくにとどめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/177
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178・大原亨
○大原委員 なかなか大きな問題ではありますけれども、やはりこの問題は社会保障制度をとにかく前進させていく、そうして救貧的なものから防貧的なものにやっていくという、そういう観点から総合的な調整をして、特例法についても漸次制定していくという大きな方針だろうと思うのです。だから、そういう方針で財政上の措置や法律上の措置をすべきだと思いますけれども、しかし、この問題は問題としてあるということを、国務大臣といたしましての灘尾さんが十分御理解しておいていただきたい。政府の中におきまして、たとえば地主補償について四千億円、六千億円の補償問題があるわけですが、しかし、この問題は、やはり国民の中においては、法律の公平という問題等から考えてみまして、いろいろな問題——これとすぐ引きかえにどうこうということはないけれども、ここで議論はいたしませんけれども、しかしそういう問題に対しては、重大な問題であるということを御理解いただきたい。この点を私は指摘しておきます。
それから、この援護法の中におきまして、やはり戦争の犠牲者で無視できない問題は、私は原爆の被爆者の問題であろうと思います。これは厚生大臣が御配慮になるということは、中身は同じ戦争であるから、私はそういう点であらゆる観点において足がかりを求めて努力をする、こういう御方針であったと思います。しかしながら、引揚者等の問題を含めまして、こういう援護の範囲が、戦争の犠牲者の特に無視できない点について拡大をされているのでありますから、私は原爆の被爆者に対しましても、元来ガリオア、エロアその他の問題に関連して議論になっておりまして、民社党の田中代議士等も発言をいたしておりましたけれども、やはりこの問題は、私ども考えてみましても、放射能の影響等というのは世代を越えて影響するかもしれない、生殖機能や造血機能に影響がある、ガンの問題が最近非常に発生しておる、こういう問題を考えてみまして、人道上の立場からも国際法上の立場からも、これは無視できない問題じゃないか。従って、医療上の問題については逐次進めて参りましたけれども、いわゆる生活の問題、援護の問題等について、やはり私は問題が残っておるというふうに思うのであります。従って私は、この法律を直ちに作るということではありませんが、この法律の精神を普遍化するという意味において、特別法その他の問題を含めて現状において十分であるということは言えないのじゃないか、こういう点においてはなお努力をすべき余地があるんじゃないか、そういう点について、原則的な問題につきまして厚生大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/178
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179・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 原爆関係の援護法についてのお尋ねでございますが、この問題につきましては、大原さんも私も同じような心持で実はおると思うのでございます。だんだん御協力によりまして、その制度につきましても改善を加えつつあるわけでございますが、実情に即しまして、今後さらに改善を要するものがあれば改善するにやぶさかではないという心持を持っておる次第でございます。御趣旨につきましては、私何ら異存はございません、十分考えて参りたいと思っておる次第でございます。さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/179
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180・大原亨
○大原委員 先般ガリオア・エロア審議のときの田中代議士の質問に対しまして——私はちょうど質問をする機会を失しましたけれども、質問に対しまして池田総理から非常に大きな答弁があった、非常にこれは問題といたしましては無視できない答弁があった。というのはどういう点かといいますと、四億九千万ドルという返済債務を確定するにあたって、これを低く割り引いて押えたのであるが、その一番大きな理由としては、言わず語らずのうちに、アメリカ側においてやはり原爆投下という問題についての大きな関心があったから、その問題がこういうふうになったんだ、こういう御答弁がありました。そういたしますと、私はこの問題をこまかく議論いたしますと幾らでも議論しなければなりませんけれども、大所高所から議論いたしてみましても、その御答弁は非常に——私はそのときそこで傍聴いたしておりましたけれども、きわめて大切な問題、重大な問題を総理大臣は言っておられる。その前の国際法違反の問題あるいは賠償問題等の議論は、私はきょうはしない、しばらくおくといたしまして、別の機会に議論するといたしまして、この問題は、そのためにこのガリオア・エロアの返済債務が大幅に引き下げられたというふうな明らかな答弁がございますけれども、そのことになりますと、被爆者として見ますと、被爆者が個人的にそういう大きな犠牲を負うて、そうして国全体の債務が低くなったんだ、こういうことになりますと、やはり人道上の見地から当然アメリカが日本に賠償すべき問題について、被爆者自身に個人的な問題に肩がわりされたということになりますと、これは法律的にも政治道義の上からいいましても重大な問題がある、こういう点を私は指摘をしなければなりません。この問題につきましては、直接厚生大臣の御答弁ではありませんけれども、国務大臣といたしまして、この問題は重大な問題であるという点を御認識いただきたいと思うのであります。池田総理大臣の御答弁に対しましての御所見があれば、一つ厚生大臣の方から御答弁いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/180
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181・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私は、池田総理の答弁そのものを実は聞いておりませんので、どういう状況のもとにどういう御答弁をなさったのかよくわかりませんが、またこれが原爆の問題と引きかえになってそうして安くなった、そういうおつもりでおっしゃったんじゃないと私は思います。要するに、アメリカがガリオア・エロアの問題を解決するについて……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/181
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182・中野四郎
○中野委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/182
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183・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 アメリカ側の心持についていろいろお話があったのではなかろうかと思うのでありますが、性質上私はこれは引きかえにすべき問題とは思っておりません。また、そういう趣旨で総理が答弁をせられたものとも思わないのでございます。何さま直接聞いておりませんので、それ以上のことは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/183
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184・大原亨
○大原委員 私は実際に聞いていたのでありますが、池田総理大臣は田中代議士の質疑応答の直後に、その質疑応答の前後段段階においてはお聞きになっていなくて、さっとお入りになりまして、この問題について答弁になったのです。その答弁の中には、新聞にも出ておるけれども、明らかにそういう御答弁でありました。つまり原爆被災者の問題については重大な問題である、こういう問題が、この四億九千万ドルの債務類の決定には大きな影響があるのだ、こういう答弁であります。この点は、一つ速記録を大臣の方、政府委員の方でもお調べになりまして、そして私は、その真意について後刻の機会におきまして質問をいたしたいと存じますから、十分検討していただきたい。こういう問題は、これは総理大臣に来てもらわなければいかぬのだけれども——来てもらわなければならぬのです。ほんとうですよ。重大な問題です。ガリオア・エロアについて金額が低くなったのは、原爆の被害というのがアメリカ側の念頭にあったから、そのことがあったためにこんなに低くなったという御答弁です。明らかです。そのことは、もしそれがその通りの真意とすれば、あるいはそういう事情が道義的な問題等々を含めておそらくあっただろう。そういう問題であったにいたしましても、そういう御答弁につきましては、事実を言っておるのであるとするならば、これは当然のこととは言え、私は問題は大きいと思いまするし、そういう観点から国内において、国が賠償請求権を放棄したために政府が責任を持って被爆者の援護をやるのだ、こういう決意をあわせて表明する意思があったのであれば、この問題は一つの筋であります。この問題は問題を進めまして、十分会議録をお調べいただきまして、そして閣議におきましても機会を見てこの点を明らかにしていただき、私といたしましても会議録を十分調査いたしまして、将来この問題を明らかにしていきたいと思います。
それから被爆者の医療法の改正につきましては、政府、国会あげていろいろと御協力によってできたわけであります。相当数できたわけでございますが、その中に医療手当の二千円というのがあります。認定被爆者に対する医療手当の二千円、これは純粋に医療上の見地であるか、あるいは立法の趣旨につきましては、これはきわめて理解の上に立った一つの政治的な立法であります。このことについて、私はこれをほじくり回してとやかく言うのではありません。この問題は援護の一つのきっかけ、一つの足がかりになる立法ではないかと私は思うのであります。この問題について性格をできるだけ明確にしながら、この金額の適用範囲を拡大していくということは、私は一つの立法論といたしましては問題ではないかと思うのであります。この医療手当の趣旨と、そしてさらに、その問題等につきましての私が提起いたしました問題につきましての御所見があれば、政府委員の方でもよろしいから御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/184
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185・尾村偉久
○尾村政府委員 現在の二千円の医療手当は、この立法の趣旨であります国が被爆者に対して健康診断及び医療を行なう、これをやるために必要な医療雑費として法律改正のときに盛り込んだ性格のものでございますので、直接医療に必要な紙その他治療に直接伴うものとして入れてあるものでございますから、ただいまの援護あるいは生活保障というような趣旨は、この中には性格としては入ってはおらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/185
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186・大原亨
○大原委員 二千円というのは、医療に伴う実費補償ということでありましょう。どのくらいの人に何人くらい支給いたしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/186
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187・尾村偉久
○尾村政府委員 現在まで、これは入院中に支払うものであり、あるいは医療を外来で受けている間に支払うものでございますので、出入りがございますが、大体常時二千名程度の支給をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/187
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188・大原亨
○大原委員 これは認定被爆者の中から所得の制限をいたしておると思うのでありますが、所得の制限はできるだけ撤廃をしてもらいたいということがあるわけであります。政府も今まで努力をするような御答弁が何回かあったわけであります。その点はそういう方向で御努力になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/188
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189・尾村偉久
○尾村政府委員 これは、ただいま申しましたように、一応医療費等は国で全部現物支給で見ておりますので、それに伴うほんとうの日常の医療に伴う雑費でございまして、これの支出のできない現実に因る方ということでございますので、所得制限をかけております。当時妥当な線として一応政令以下できめまして引いておりますが、この点はまた実情に応じまして、それでは医療そのものの遂行上困るということが、実績がはっきりして参りますれば、またそれに応じた改正も十分検討しなければいかぬ、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/189
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190・大原亨
○大原委員 本人や家族の所得で所得税を納める能力のある者は支給をされないということにつきましても、実情といたしましては、ほとんど一生不治の病のような人も含めまして治療をいたしておる、そういう人々に対しまして、二千円という金額を医療に伴う直接の経費といたしまして、税金その他の対象にならない、生活保護法の差し引きの対象にならないような費用として補償いたしておるのでありましたならば、やはりそういう実情から考えてみましたら、これはやたらにあまり所得制限をなすべきではないのではないか。だれもそういう点については家族やその他に迷惑をかけておるのでありますから、働く能力がないのでありますから、その点につきましては、その制限につきまして生活保護法の制限よりも上げておるわけであります、所得税を払う能力という点において限界を上げておるわけでございますが、その点につきましては、それを補償いたしましても認定被爆者でありますから四、五千人のものでありましょう。だから私は、この点については制限を撤廃する方向で御研究をいただきたいと思うのであります。これは私は理屈は通っておると思うのでありますが、その点につきまして政府委員か大臣の方から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/190
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191・尾村偉久
○尾村政府委員 これは三十五年の八月から始めたものでありますので、現在、その後の実際の支給の実績等が逐次まとまりまして、困難性との見合いでそれに応じたものを十分検討いたしまして、必要に応じてこれは再検討する、こういうことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/191
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192・大原亨
○大原委員 そういう長い間病院に入りまして、白血病にいたしましてもガンにいたしましても、なかなか原爆病というものはなおりません。なおらないで死んでいく人がたくさんあって、広島や長崎の原爆病院等を中心といたしましてそういう犠牲者があるわけでありますが、そういう際において、弔慰金等の問題につきまして、健康保険や医療保険の体系の中にも葬式料その他を含めましてあるわけであります。だから、これは無制限に言っておるわけではありませんから、当然道義的な措置といたしましても、埋葬料、弔慰金等の問題等を含めまして——私はこの点につきましては、なくなった三十数万の人たち全部を含めてという議論をいたしますけれども、きょうはそういう問題を別にいたしまして、そういう直接原爆症によりまして国が医療法上の措置をとっておる人々がなくなった場合には、やはり弔慰金等の措置をすべきではないか。これは私は問題解決の一つの意見として申し上げておきたいと思います。
それから最近も新聞に出ておりましたが、広島、長崎の原爆病院を中心といたしまして、被爆者に対する医療上の問題で最近の顕著な傾向は、ガンの発生が非常にふえているということであります。ガンの発生等の問題につきましては、私は医療の専門ではありませんが、たとえば人間ドッグ等の予防的な措置を含めて、ガンの治療の問題において相当放射能を使っての治療でありますか、そういう治療の設備が要るわけであります。私はきょうは郵政省の御出席もいただいて——郵務局関係だと思いますが、原爆病院はおそらく年賀はがき等で出たと思うのです。そういう施設等につきましては、そう何億円もかかるわけではございませんから、そういう問題につきましても、おそらく厚生省もその配分等には社会保障関係ですから関係しておられると思うのでありますが、そういう問題の施設等につきましても、りっぱな施設を置いておいて、そしてそれが他の病院との関係においても活用できるような、そういう御努力を、当然政府が予算化すべきでありますけれども、そういう方向からも解決すべきではないかと存じます。そういう点について、政府委員の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/192
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193・尾村偉久
○尾村政府委員 原爆病院の患者が、逐次ガンの比率がふえてきておりますと申しますのは、白血病その他の発生の割合が前に比較して減ったわけで、ガンが相対的にふえたわけであります。これらの両原爆病院につきましては、親病院である日赤病院というものの総合的な医療能力というもので実は原爆指定病院として指定してありますので、結局はその地元の病院の治療能力ということでございまして、従って両方とも公的医療機関でございますが、これらのガンあるいはその他のむずかしい病気もございますけれども、それらに対する治療能力を高めるという意味で、これは厚生省としてぜひ世話をしたい、こういうことでいきたいと存じております。もちろんお年玉つきの年賀はがきによる配分であの病棟は両方ともできたと考えますが、当然その場合にも、中央診療機関である日赤の方の治療機関をたよれるという前提でああいうことが行なわれたわけでありますが、総合的に患者が多くなったために不足するという点については、そういう意味での全体の公的医療機関としての整備を、地域では大事なものでございますから、これの方を配慮する、こういうことにいたす方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/193
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194・大原亨
○大原委員 これは希望として申し上げておきますが、健康保険のガンの治療範囲とかいう問題について私はよく知りませんが、実際上は、現在の医療法によっては一番問題のガンの治療ができない、施設上も、制度上も困難に逢着している。予防の問題を含めてかと存じますけれども、そういう問題が持ち上がっておるようでございまして、せっかく原爆病院というものが、作られておっても、そういう機械や設備がないためにできないということでございますので、これもやはり医療法の趣旨を貫徹する意味において、十分御配慮いただきたいと思うのであります。
お急ぎのようでありますから、最後に一つ御質問をいたしますが、この被爆者の治療や援護の問題は、今まで経験しなかったきわめて重大な問題や複雑な問題をかかえておるわけであります。従って、この問題は、私どもとしてもあらためて大いに議論をいたしたいところでありますが、一つ厚生大臣におきましては、これらあらゆる問題について御検討いただきまして、被爆者あるいは関係者の要望にこたえていただくことを特に期待いたしたいと存じます。厚生大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/194
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195・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お尋ねの点につきましては、先ほども申しましたように、私と大原先生と気持の上においては何の変わりもないと思っております。私としましては、できるだけお世話が行き届くように、今後とも努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/195
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196・中野四郎
○中野委員長 これにて本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/196
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197・中野四郎
○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/197
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198・中野四郎
○中野委員長 ただいま委員長の手元に小沢辰男君、五島虎雄君及び本島百合子君より、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/198
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199・中野四郎
○中野委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。小沢辰男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/199
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200・小沢辰男
○小沢(辰)委員 私は、自由民主党、社会党、民主社会党、三党を代表いたしまして、ただいま委員長に提出をし、同時に各位に配付いたしましたような修正案を提案いたしたいと考えます。
まず修正案の内容を申し上げますが、第一点は、第二条第一項第一号の中の改正でございまして、これは開拓者の方々につきましては、在外期間六カ月の要件を緩和いたしてあるのでございますが、これら開拓者の方々と同様な、いわば工業移民といわれるような方々につきましても、特にその方々が日本政府の命令あるいはまた強い要請によって外地に生活の本拠を有するに至ったような場合に、個々に厚生大臣が認定をされまして、これを引揚者給付金の支給対象にしてもらいたいということでございます。
第二点は、在外在住期間六カ月という支給要件になっておりますために、六カ月未満の幼児、乳児につきまして引揚者給付金の対象とされていないのでございまして、この点は前々から、あるいはまた質疑の過程におきまして、委員各位から、この点の不備あるいは実際に気の毒な例をいろいろと説明されて、質疑があったのでございます。私どもとしては、在外居住期間六カ月未満の子供さんも当然引揚者給付金の対象にすべきものと考えておりますので、これが修正を条文の中へ織り込んでいきたい。これが第二点の修正点でございます。
第三番目は、現行法によりますと、引き揚げ後死亡した者に支給される遺族給付金の支給要件が二十五才ということになっておるわけでございますが、これは立法の当時、第一には二十五才以上の人が生計維持の責任者であるという考え方——この遺族給付金の支給というものが、いわば引揚者の方方が裸一貫で帰られた、いろいろな財産の喪失その他を考えまして制定されたような経過からしまして、独立生計というような意味で二十五才以上ということを考えられたのじゃなかろうかと思うのでございますが、すでに満二十才という場合には、御承知の通り成年男子として独立の、一人前の生計を営む者というふうにわれわれ広く常識上考えておるし、また、いろいろな立法の中でその通りに取り扱いをいたしておるわけでございます。その意味からこの二十五才の制限を二十才までに引き下げたい、こういうような考え方で、各党一致いたしまして第三の改正をやりたい、こういうことになったわけでございます。
それから四番目に改正をいたしたい点は、御承知の通り、五月十六日でございますか、この給付金の時効の期限が切れることになっておるわけでございまして、そうなりますと、これからお出しになる方は、あと一カ月後にこの時効が完成いたしますと申請をしたい人でもできなくなる、その資格要件なり権利を持っておる人もできなくなるのでございます。もちろんこれは前前からの法律でございますので、この点その期間内に十分権利を主張する、申請をするということが当然ではありますけれども、なお現在の状況を見ますと、月々一千件をこえるような申請が出ておる状況でございまして、このままにあと一カ月で時効が切れる、満了するということになりますと、非常に気の毒な方が出てくるのではなかろうかというふうに考えられるのであります。従って、この時効をさしあたり一年間延長したい、そしてできるだけ政府においても申請漏れのないように、各都道府県を通じまして周知徹底を期していただきまして、ほんとうに来年の五月までにはそうした権利に漏れるような人がないようにしていただきたいと考えておるわけでございます。その意味で時効を一年間延長したい、これが改正の要点でございます。
この四点の改正につきまして、もちろんわれわれの計算によりますと、三億五千万ばかりの費用を要することに考えられますが、これは御承知の通り、国債の発行限度が一応なお相当数残り得るという見通しを十分つけられるのでございまして、この点、国債発行のワクとしてわれわれがかつてきめましたこのワク内で十分処理できる問題でございますので、予算案通過後の今日におきましても何らこの点の支障がないわけでございます。従いまして、われわれとしては、引揚者の方々の年来いろいろの主張されて参りました主張あるいは要望というものを本院において取り上げまして、この際一つ解決いたしたいという気持から、四点につきまして本法の修正をしようということに一決をいたしたわけでございまして、三党共同提案でございますので、すみやかに可決をしていただきたいと考えまして、提案の趣旨の説明といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/200
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201・中野四郎
○中野委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/201
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202・中野四郎
○中野委員長 速記を始めて。
修正案について御発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/202
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203・中野四郎
○中野委員長 御発言がなければ、次に戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありまするが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/203
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204・中野四郎
○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案の採決に入ります。
まず小沢辰男君、五島虎雄君、本島百合子君提出の修正案について採決をいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/204
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205・中野四郎
○中野委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決をいたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/205
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206・中野四郎
○中野委員長 起立総員。よって、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は、小沢辰男君、五島虎雄君、本島百合子君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/206
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207・中野四郎
○中野委員長 この際、澁谷直藏君、八木一男君及び本島百合子君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりまするので、その趣旨の説明を求めます。澁谷直藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/207
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208・澁谷直藏
○澁谷委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法律案に対して附帯決議を付するの動議を提出いたすものでございます。
最初に、附帯決議案を朗読いたします。
戦傷病者戦没者遺族等の援護については、法制定後も数次の改正が行なわれ、順次充実がはかられてきたところであるが、なお改善をはかるべき問題が残されている。なかんずく、動員学徒等当時総動員業務等に従事することを余儀なくされた準軍属の遺族に対する処遇は、著しく他と均衡を失している。
よって、政府は、遺族給与金の年金化、戦時災害要件の撤廃、遺族要件の緩和等の実現を期し、すみやかに法改正のための必要な措置を講ずるとともに、特殊勤務に従事したもとの満鉄職員等の処遇等の問題についてもさらに十分な検討を遂げるべきである。
なお、政府は原爆被爆者に対する援護に遺憾なきを期すべきである。
以上でありますが、ただいま議題となっておりまする法律案は、言うまでもなく、広範な戦後処理問題の一環をなすものでございます。戦いを終わりましてここに十七年、世界が驚嘆するような経済の復興、再建をなし遂げた現在でございます。もはや戦後ではないと言われてからもう数年を経過しておる現在でございますが、つぶさにわが国内の状況を見ますると、やはりそこにはなまなましい戦争のつめあとの残滓が残っておる事実を見のがすわけには参らないのであります。ただいま議題となっておりまするこの戦傷病者戦没者の遺族の問題は、その中におきましても最も厳粛な問題であることは言うを待ちません。国に命をささげました方々の遺族の処遇につきましては、私ども政治家といたしまして、党派の差別を越えまして、最も厳粛な態度を持って臨まなければならない問題であると確信いたすものでございます。今回の政府提案の法律案におきましても、相当改善の前進措置がとられたことはまことに望ましいことであり、またさらに、ただいま議決を見ました修正案におきましても、現実に即応するようにさらに何歩かの前進の措置をとられたことも、これまた喜びにたえない次第でございます。しかしながら、ただいま朗読いたしました附帯決議の中にもうたっておりまするように、遺族給与金の年金化、戦時災害要件の撤廃、遺族要件の緩和等、なお今後解決を要する問題が残されておるわけでございまして、私どもは、今後国力の充実と見合って、これらの残された問題を超党派的に逐次解決をして参りたいと心から念願をするものでございます。
以上が附帯決議の趣旨の説明でございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/208
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209・中野四郎
○中野委員長 本動議について採決をいたします。
本動議の通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/209
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210・中野四郎
○中野委員長 起立総員。よって、本案には澁谷直藏君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、灘尾厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。灘尾厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/210
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211・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまの御決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、善処いたしたいと考えます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/211
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212・中野四郎
○中野委員長 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/212
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213・中野四郎
○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会をいたします。
午後四時十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004410X02819620412/213
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