1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十三日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 早稻田柳右エ門君
理事 岡本 茂君 理事 中村 幸八君
理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君
理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
浦野 幸男君 神田 博君
齋藤 憲三君 首藤 新八君
田中 榮一君 中垣 國男君
野田 武夫君 南 好雄君
村上 勇君 北山 愛郎君
久保田 豊君 小林 ちづ君
多賀谷真稔君 中嶋 英夫君
西村 力弥君 伊藤卯四郎君
出席政府委員
経済企画政務次
官 菅 太郎君
通商産業事務官
(大臣官房長) 塚本 敏夫君
中小企業庁長官 大堀 弘君
委員外の出席者
議 員 井手 以誠君
専 門 員 越田 清七君
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二月十日
国民生活研究所法案(内閣提出第八一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国民生活研究所法案(内閣提出第八一号)
有明海開発促進法案(井手以誠君外二十一名提
出、衆法第四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/0
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001・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 これより会議を開きます。
井手以誠君外二十一名提出の有明海開発促進法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/1
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002・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 まず提案者より趣旨の説明を聴取することといたします。提案者井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/2
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003・井手以誠
○井手議員 有明海開発促進法案について提案の理由を御説明申し上げます。
この法案は、去る第三十八国会におきまして、一応継続審査の決定をいただいておりましたが、残念ながら、その後事情によって廃案になったものでありまして、ここにあらためて提案をいたした次第でございます。
九州の中央部に深く湾入している有明海は、最大干潮時には海岸から遠く六・七キロまで干潟地となる広大な浅海でありますので、その湾口部を締め切り、水位を下げ、第二線の干拓堤防を築きますと、一挙に五万三千ヘクタールの新しい国土が造成されるのであります。ここに三万八千ヘクタールの干拓農業を展開し、埋蔵量四十億トンと推定される海底炭田を開発するとともに、この石炭と背後地の資源を組み合わせて臨海工業地帯を形成振興すれば、九州地域経済の停滞性と後進性を打開して、有業人口三十五万、年間四千二百億円の総生産を上げ、百万人をこえる人口を収容し得ることになるのでありまして、この有明海地域の総合開発は、狭い国土に四十七番目の「有明県」を作り出そうとする世紀の大開発事業であります。すなわちこの総合開発によって、
一、肥沃な干拓地三万八千ヘクタールに農家の二三男、漁場を失う漁業者など二万戸を入植させ、水田酪農を取り入れた高度の農業経営によって年間二百億円の農業生産と所得の増大が期待されます。これによって九州農業の低い就業構造を引き上げ、過剰農村人口を緩和することができるのであります。
二、推定埋蔵炭量四十億トン、通産省調査による有明海東部の可採炭量は十六億トン、うち七十%は粘結炭という豊富貴重な地下資源を開発すれば、従業員数三万九千、年間出炭一千二十万トン、生産額五百数十億円に上り、これによって老衰化した筑豊、唐津、北松炭田の将来に備え、またほとんど輸入に依存する原料炭五百万トンをおおむね自給して巨額の外貨節約となります。
最近鉱害をめぐって干拓計画と石炭開発の利害対立が伝えられております。もちろん個々の築堤干拓地には当然予想されるところでありますが、一時に行なう大干拓には鉱業用地を保留し、充填技術の採用、鉱害予防の措置を講ずれば、その多くは克服され、進んで干拓地の随所に縦坑を容易に開さくすることができ、坑道延長の宿命的難問題は同時に解決するという一大利便を得ることになります。もとより企業家の利潤評価よりも雇用、所得など広く国民経済的立場に立って判断すべきであり、地下資源は国民のものであります。従って未開発炭田の開発は電源開発株式会社のごとき公の機関によるべきでありましょう。
なお説明を進めておりますので、地図も御参照願いたいと思います。
三、相当面積の臨海工業地帯を造成、淡水化する干潮諸河川、内水湖の豊富な用水と、石炭を初め背後地の資源を活用して重化学工業、肥料、窯業、火力発電、食料品加工、臨海関連工業等を振興すれば、就業人員十一万六千、その年生産三千五百億円の巨額を見込まれるのであります。従来九州の経済は原料工業に偏在している上、その設備は老朽化し、生産の成長は鈍化するとともに、狭隘な産業構造の外郭性、辺境性、後進性から社会的人口の滞留圧迫が加重されておりますので、地域経済を若返らし、厚みをつけ、地域格差を是正して均衡ある成長と雇用の改善をはからねばなりません。
四、いわゆる台風常襲地帯にある有明海地域は、洪水と満潮が重複して年平均七十二億円の大被害を受け、現在防災改修改良工事は五百億円を計画されておりますが、大締め切りによって水位を二・五メートル低下すれば、海岸堤防二百十五キロメートル、十河川を含む干潮地域十二万ヘクタールの保全効果は六百億円、既耕地の排水改良は八十億円の効果を見込まれております。
五、流域三千ヘクタールに及ぶ九州で第一の大河、筑後川は年平均流量二十七億トンに上っておりますが、その利用度はわずか九億トンにすぎず、貴重な水資源は、大半未利用のまま放流され、一方北九州、福岡地方における工業用水、都市用水の需要は最近急増し、中下流の農業用水はますます不足を来たしておりますので、これら用水の確保は切実な問題となっております。従って筑後川の治水、利水を調整開発することは、当面の急務であり、その利便と経済効果はばく大なものがありましょう。
六、一面締め切り築堤によって直接に漁場を失う人々にはまことに気の毒にたえません。この沿岸漁業はきわめて集約的、停滞的で所得が低いため、局面打開を迫られている窮境にあり、また半農半漁の立場もありますので、干拓への優先入植、第二次、第三次産業への吸収または淡水漁業、外海漁業拡大等によって解決をはかることが必要でありましょう。
以上のごとく優に一つの県に相当する事業効果が見込まれるとともに、財政面からの経済効果は少なくとも堤防保全、排水改良に六百八十億円、土地造成に二千億円その他二十億円を加え二千七百億円を期待され、一方これに要する経費は締め切り堤防八百四十億円、干拓堤防八百五十億円、地区内工事百三十億円、補償費三百五十億円、計二千百七十億円の見込みで、直接の経済効果よりも五百三十億円下回るのでありますから、この大事業を十分採算ベースに乗るものと推定されるのであります。この国土を守り、この国土を開く大事業に自衛隊を活用すれば、工事費は大幅の節減を見るでありましょう。
すでに九州地方開発促進法による審議会に有明部会が設けられたほか各方面で調査研究を進められておりますが、調査だけで十数億円を要する世紀の大事業を行なうのに、今日の調査は年間三千数百万円の小規模にすぎず、統一性を欠いております。すなわち有明海開発の緊急かつ重要性にかんがみ、有明海開発促進法を制定し綜合的大がかりな調査を進め、早急に開発基本計画を決定、引き続き開発公団を――これは別に要綱をお配りしておりますが、設立して事業を実施推進しようとするものであります。
次に法案の概要を申上げますと、
一、内閣総理大臣は有明海及びその周辺の地域の開発に関する調査について、その地域、行政機関、内容の基本計画を立案し、九州地方開発審議会の議を経て決定すること。
二、内閣総理大臣は毎年調査の結果をまとめて調査を推進するが、この法律施行後五年以内(調査期間は三年)に開発基本計画を立案決定するよう努めねばならないこと。
三、開発基本計画は内閣総理大臣が指定する区域における締め切り堤防、土地の造成、土地及び水面の利用、用水の利用、これらに関連する諸施設の整備その他総合的な計画の基本を定めること。
四、政府は開発基本計画を実施するために必要な資金の確保をはかること。
五、政府は事業の実施により失業した者の就業、生活再建または環境整備のため特別の措置を講ずるとともに、失業した漁民を造成された土地に優先入植させるよう努めること。
六、開発基本計画に基づく事業を実施するため別の法律案によって有明海開発公団を設置すること。
以上がおもなる内容であります。ここに有明海開発公団法案要綱を添え御提案申し上げますので、何とぞ著しい効果が約束されるわが国随一のこの国土開発計画に格別の御理解を賜わり、本法律案をすみやかに御可決下さいますよう御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/3
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004・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 以上で本案についての説明を終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/4
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005・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 次に、去る二月十日本委員会に付託になりました内閣提出、国民生活研究所法案を議題として、まず、政府に提案理由の説明を求めます。菅経済企画庁政務次官。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/5
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006・菅太郎
○菅政府委員 国民生活研究所法案の提案理由を御説明申し上げます。
戦後のわが国経済の成長は、目ざましいものがあり、国民生活もこれに伴って逐年向上し、最近では消費革命という言葉で表現されるような消費内容の質的な高度化が急速に進行しつつあります。しかし、消費生活面の高度化の進展が急速でありますために、これに対応できない幾つかの問題を新たに生じつつあることも否定し得ない事実であります。たとえば、社会共同の施設である各種生活環境施設の整備が著しく立ちおくれていることは、周知のことでありますし、一般の消費生活におきましてもきわめて進んだ面と立ちおくれた面とが併存し、国民生活に各種の不均衡が見られるのであります。
これら国民生活に見られます各種の不均衡を是正するため、政府は、国民生活向上対策審議会を設置するなど、消費者行政の推進に努めておりますが、その施策の適切を期するために、国民生活の実情と動向を正確に把握することが不可欠な問題であります。また、個人消費支出は国民総支出の中で大きな比重を占めております関係上、国民消費動向の把握は、民間企業にとりましても望ましい企業活動の方向を示唆することになるものであります。
しかるに、国民生活に関する調査研究は、その必要性が認識されていながらも、その対象が多岐にわたり、かつ特定の企業がこれを取り上げにくいなどの事情もあって、本格的な研究体制も研究活動もほとんどなされていないという状況にあったのであります。このような状況の中で、国民生活に関する総合的な研究機関の設立を望む声が各方面から聞かれるようになり、昭和三十四年九月に社団法人「国民生活研究所」の設立を見たのでありますが、国民生活の安定向上は政府としても十分力をいたさねばならない分野であり、また仕事の性質上も、民間機関としては、一定の制約がありますので、新たに特殊法人として国民生活研究所を設立しようとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、研究所の目的でありますが研究所は、国民生活に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行なうとともに、その成果を普及することによって、国民生活の安定と向上に寄与することを目的としております。
第二に、研究所の資本金は、政府と民間から出資する額の合計とし、政府は、研究所の設立に際し一億円を出資することとしております。
第三に、研究所の役員として、会長、所長、理事及び監事を置くこととしております。なお、国民生活に関する問題は、きわめて広範多岐にわたりますので、業務の適正な運営をはかるため、会長の諮問機関として参与会を設け、各方面の学識経験者の意見を取り入れるようにいたしております。
第四には、設立目的を達成するため、国民生活の実情や今後の動向に関して基礎的かつ総合的な調査研究を行なうことが研究所の中心的業務でありますが、あわせて国民生活に関する内外の情報や資料の収集を行ない、これらの調査研究の成果の普及を行なうことといたしております。
第五に、研究所の財務及び会計でありますが、研究所の特殊法人としての性格上、予算、事業計画資金計画、財務諸表、借入金等については、経済企画庁長官の認可または承認を必要とすることといたしております。
第六に、研究所の監督は、経済企画庁長官がこれを行なうこととし、研究所の業務に対して、監督上必要な命令をなし、報告を求め、またはその職員をして研究所に立ち入り検査をさせることができることといたしております。
第七に、新設の特殊法人国民生活研究所と社団法人国民生活研究所との関係につきましては、特殊法人国民生活研究所の設立の際に社団法人国民生活研究所は解散し、その一切の権利、義務を新設の研究所に引き継ぐことといたしております。
なお、研究所の設立に関する事務は、経済企画庁長官が任命する設立委員に処理させることとするほか、研究所に対する課税を免除するため、各種税法の一部改正をいたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概略であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/6
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007・田中武夫
○田中(武)委員 ちょっと本法案の提案説明を聞きました際に、関連して資料を要求しておきたいと思います。社団法人国民生活研究所、三十四年にできて、従来までありますこの分でございますが、これの過去二年間ですか、三年に近い活動の状況その他この社団法人のいろいろな資料を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/7
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008・菅太郎
○菅政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/8
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009・松平忠久
○松平委員 ちょっと政務次官、この「研究所に対する課税を免除するため、各種税法の一部改正をいたしております。」とこういうのですが、これは現在どこかの、大蔵委員会か何かにかけておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/9
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010・菅太郎
○菅政府委員 本法の附則で出て参りますので、本委員会の御審議に願うべきことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/10
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011・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 本日はこの程度にとどめ、明日十四日、午前十時より委員会を開催いたします。
これにて散会いたします。
午前十一時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004461X00719620213/11
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