1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年四月四日(水曜日)
午後二時五分開議
出席委員
商工委員会
委員長 早稻田柳右エ門君
理事 内田 常雄君 理事 岡本 茂君
理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君
理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君
理事 松平 忠久君
浦野 幸男君 小沢 辰男君
海部 俊樹君 神田 博君
齋藤 憲三君 始関 伊平君
首藤 新八君 田中 榮一君
中垣 國男君 中川 俊思君
林 博君 岡田 利春君
加藤 清二君 久保田 豊君
多賀谷真稔君 中村 重光君
西村 力弥君 伊藤卯四郎君
石炭対策特別委員会
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 始関 伊平君
理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
理事 中村 重光君
藏内 修治君 澁谷 直藏君
中村 幸八君 濱田 正信君
井手 以誠君 田中 武夫君
渡辺 惣蔵君 伊藤卯四郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森 清君
通商産業事務官
(大臣官房長) 塚本 敏夫君
通商産業事務官
(鉱山局長) 川出 千速君
通商産業事務官
(石炭局長) 今井 博君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 樋詰 誠明君
委員外の出席者
通商産業事務官
(企業局参事
官) 江上 竜彦君
通商産業事務官
(鉱山局石油課
長) 成田 寿治君
通商産業事務官
(鉱山局開発課
長) 飯塚 史郎君
専 門 員 越田 清七君
—————————————
本日の会議に付した案件
石油業法案(内閣提出第一二二号)
————◇—————
〔早稻田商工委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/0
-
001・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 これより商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして私が委員長の職を勤めます。
内閣提出の石油業法案を議題とし、質疑を順次許可いたします。始関伊平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/1
-
002・始関伊平
○始関委員 政府から提出されております石油業法案は比較的簡単でありまして、法案の内容はむしろどちらかというと内容に乏しいきらいがあると思うのであります。従って、内容に即してお尋ねをする事柄は、多少ありますけれども、それほどございません。そこで、この法案の背景となっておるエネルギー政策の考え方ないしは石油政策の考え方、それからこの法案では直接には取り上げられておらないエネルギー政策の考え方などについて主としてお尋ねをして、私は外側からこの法案を批判してみたいと思うのであります。
まず最初にお尋ねしたいのは、石油業というものに対する国の態度、これは本来いかにあるべきかという問題です。法案の審議の過程において時限立法論というものがあったというふうに承知をいたしております。これは、原則としては自由放任といいますか、国の規制の外に石油業を置くべきである、こういう考え方だと思います。それからこれは鉱山局からもらった資料ですが、「石油政策に関する学識経験者の意見」というのがありますね。通産省が学識経験者として認めておられる方々の御意見によると、国内石油市場の一定割合を国の影響下に置け、それでよろしいのだ。しかも石油政策を総合的に推進する必要がある、こういう書き方をしております。私は実はこれは何のことだかよくわからぬのでありますが、要するに、石油業というものに対して国家がどういう態度をとるべきであるかということについては、今の日本ではまだ国論の統一したものがない、こういうように思います。しかし、諸外国の例を見てもよくわかるのでありますが、これは石油産業というものが国の経済上不可欠であるとか、あるいは国民生活の上にどうだとかいうようなことを離れまして、国の存立そのものに対していわば死活的な大きな関係がある。だから石油産業そのものが本来国の規制下に置かるべきである、学識経験者と言われる者の言葉を使えば、影響下に置かれるべきものであって、石油産業が国家意思と無関係に、言葉をかえて申しますと、国の計画なり政策なりを反映できない、こういうような態勢で存在していることは、国家としてとうてい容認できるところではない。これは欧米各国、またいわゆる後進国を通じて共通の考え方であるし、態度だと思います。通産省は大臣初め国際協調ということを非常に強調しておられますが、欧米諸国であっても、資源的にいえば半分あるいは大部分のものを海外市場に依存している。従って、国際的協力ということはどこの国も同じなんです。そういうことを前提としながらも、石油産業というものは国の規制下に置かれるべきものである、こういうのが各国共通の態度だと思います。
国際石油資本その他外国の石油資本も、これは鉱山局長あるいは大臣の行政指導というか、そんなことではいかぬのですが、明確な国家意思として現われてきたものに対しては協力の態勢をとっている、これが事実だと思います。今度出されました法案を見ますと、内容は非常に微温的だと思いますが、この法案を恒久立法として出してきたのは、こういう今申したような考え方に基づくのではないかと思いますけれども、一方附則の四条では、本法の改正は緩和あるいは廃止の目的をもってのみなされるべきである、いわゆる時限立法論に妥協したような感じに受け取れるのでありますが、この点政府はどう考えておるのか、これが最初の一点です。
なお、次いで、三つの事実、一つは、これは鉱山局長もお認めになっておるのでありますが、国際的に石油が過剰気味であるということ、それから各国を通じて、日本くらい石油需要の伸び率の高い市場はない。従って、あらゆる石油資本が日本の石油市場をねらっておる、これが第二点。さらに、今日外国の立法例を見ますと、直接あるいは間接に石油の輸入をみんな規制している。間接というのは、西ドイツのように、いろいろな高率関税を含めてですが、規制をしております。野放しにしておる国は実はない。ところが、日本は、今度の法案では、設備規制というのがあるわけです。しかし、これは輸入制限という点からいうと、きわめて間接的な、従って、迂遠な方法であるので、今度の立法には有効な輸入規制の措置というものはない。たとえて申しますと、洪水が来て、あらゆる国ではそれの防波堤を作っておるのに、日本では防波堤をはずそうということでありますから、日本の石油市場はこういう法律が必要でなくなるということより、むしろ非常な混乱がしばらく続くだろう。従って、むしろ強化の方向に持っていかなければならぬと思いますし、その可能性の方がずっと大きいと思いますが、この二点を最初に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/2
-
003・川出千速
○川出政府委員 第一点、第二点、それぞれ関連しておるかと存じます。時限立法であるか恒久立法であるか、その点についてどういうふうに考えるかという御質問だろうと思いますが、この法律の基本的なかまえは、事業許可と設備許可の二つの許可が基本的なかまえになっております。そのほかにも若干の規定はございます。そういたしますと、やはり相当長期的な観点に立って法律を考えなければいけない。他方、この法案の制定の段階におきましては、自由経済を前提として行き過ぎた統制は困るという強い批判もあったわけであります。それで、政府といたしましては、必要最小限度の調整と申しますか、政府のコントロールと申しますか、そういう措置をとることが最も妥当であるという観点から立案をいたしたわけでございます。従って、形は恒久法の形をとっておりますけれども、これは必要最小限度のものでありますので、事態の推移に応じてやめていくのが一番妥当ではないかという考えで政府で提案をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/3
-
004・始関伊平
○始関委員 第二点に対する御回答がなかったわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/4
-
005・川出千速
○川出政府委員 第二点につきましても、第一点と密接な関連があると存じましたものですから、その点あいまいだったかもしれませんが、一緒にお答えしたつもりでございます。自由経済のもとにおいては、統制というものは必要最小限度にとどめる、この法律は事業許可、設備許可、場合によりましたら事業に対する勧告という手段も備えておりますので、このくらいのところが妥当ではないだろうかというふうに考えまして、今後は緩和ないし廃止の方向で検討していくということでまとめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/5
-
006・始関伊平
○始関委員 ただいまの御答弁では、一体これでほんとうに市場の安定あるいは秩序の確立ということができるというふうに考えておるのかと伺いたいところですが、それは差し控えまして、先に進みます。
あと二つ三つは、この次の質問を続けるための準備的な意味のきわめて事務的な質問ですから、簡単に御答弁いただきたい。なお、私はこの委員会にずっと出て参っておりませんので、あるいはすでに質問があって御答弁があったのなら、それだけおっしゃっていただけば、それでけっこうです。実は予想される答弁の内容を大体私も承知しておりますが、ただ、順序としてはっきりさせておきたい。
第一点は、石油精製設備に対する資金調達が今日までどのように行なわれておったかということ、所要の総額とそれの国内の調達分と、それから外国からの出資またはローン、この二つに分けて年次別に傾向を明らかにしていただきたい。それから三十七年、三十八年と先行きの予想があろうと思いますから、これを一つお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/6
-
007・川出千速
○川出政府委員 あとの方から先に申し上げます。現在石油の設備能力は、最近でございますが、約百万キロでございます。これは実稼働能力です。設計能力で申しますと、約一割増し近くの百七万とか八万とか称して、しかも世果では第二番目とかいわれております。それに対して、三十七年度の設備に対する各社の設資計画を現在集計中でございまして、まだ明確な数字が出ておりませんが、投資の意欲が相当旺盛でございます。金額で三十六年度は九百億前後でございますけれども、一応各社から出てきました数字は千億を相当上回りそうな傾向にございます。これはやはり自由化を前にした設備競争が現われておるのではないかというふうに考えております。
それから、今後の長期の一応の見通しでございますが、倍増計画では、これは内需だけでございますけれども、四十五年度の石油製品の需要を約八千九百万キロに見ております。しかし、これは内需だけでございまして、そのほかに輸出もございますし、それから石油化学の伸びも、倍増計画に比べますと、相当テンポが早いものですから、現在鉱山局でいろいろ想定をしておりますのは、いわゆる皆様方がおっしゃっているような一億キロを多少オーバーするということになっておりまして、その設備をまかなうためには、さらに一日百三、四十万バーレルで、現在の百万を倍以上にふやさないと調達できないような格好になりまして、資金の額にいたしますと九千億を多少上回る程度というふうに考えております。現在までの設備投資額は、昭和二十四年度から三十五年度までの分がございますが、約二千七百億でございます。これは三十六年の九百億が入っておりませんので、三十六年の九百億を入れますと、三千六百億くらいになるかと思います。
その資金の調達の内訳でございますけれども、これはちょっと手元にこまかいデータを持っておりませんのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/7
-
008・始関伊平
○始関委員 大ざっぱでいい、何割くらい外国から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/8
-
009・川出千速
○川出政府委員 そのうち、外資だけが三百六十九億でございます。約一〇%、一割でございます。三十六年です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/9
-
010・始関伊平
○始関委員 外資の出資とローンと合わせて、依存度は急激に高まる傾向はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/10
-
011・川出千速
○川出政府委員 御指摘のように、自由化を前にして急速に高まっておるかと思います。ごく概数を申し上げますと、外資を入れましたのが、戦後三十五年までで約一億という見当だったかと思います。三十六年度で外資法に基づいて認可をいたしましたのが、約八千七百万ドル程度かと思います。もちろん三十六年度中にその全額を使ってしまうという意味ではなくて、認可ベースで八千七百万ドルということでございます。それから来年度三十七年度でございますけれども、これは見込みですが、三十六年よりも傾向としてはふえるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/11
-
012・始関伊平
○始関委員 第二点として、これはもう質問があったかもしれませんが、石油価格の国際的な比較を伺いたいのです。これは税抜きの裸で、主たるものとしてガソリンと重油でけっこうですが、大観すると、日本市場における石油価格というものは、国際的にどういう地位にあるかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/12
-
013・川出千速
○川出政府委員 外国の雑誌にある数字と、それから日本の場合は日本銀行の統計の数字を申し上げますと、ガソリン、これはいろいろな種類があるかと思いますが、アメリカでは一万五千四百円税度、税抜きの価格でございます。それからイギリスが一万四千八百円、フランスが一万五千四百円、日本が約一万円ということでございまして、これに各国それぞれの消費税というんですか、日本では揮発油税が加わりますので、需要者の価格というのはまたそれぞれまちまちでございます。日本は一番安いということになります。これは税抜きの卸売価格でございまして、外国のは外国の雑誌からとった値段でございます。
それから重油でございますが、重油はA、B、Cいろいろな規格がございますが、日本のC重油という見当で、C重油を標準にして申しますと、同じく税抜き価格で、アメリカでは七千百円、それからイギリスでは一万四百円、フランスでは八千八百円、日本では、昨年の十月ころの日銀の卸売価格の統計でございますが、それをとりますと、七千四百円でございます。従って、アメリカは日本より若干安いのですが、日本は安い方であるというふうに考えております。
なお、実際の実勢価格と申しますか、大口取引は、これは日本はごく安いように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/13
-
014・始関伊平
○始関委員 ただいまの御説明で、ガソリンと重油と大観して、世界では一番安いということがわかったわけでありますが、その次に石油精製業の経理状況をちょっと伺いたい。これはあまりめんどうなことは要りませんが、大体二十くらい精製会社はあるのでありますが、もうかっておる会社は何社くらい、それから多少赤字の会社は何社程度、それからとんとんが何社くらい、そういう大ざっぱなところを、帳簿面でなく、あなた方の方でそう見ておられる実際のところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/14
-
015・川出千速
○川出政府委員 実はそういう詳細なことは、不勉強でございまして、調査いたしておらないのでございますが、われわれが話を聞くところでは、現在十七社精製会社がございます。ほとんど大部分、半分以上は実質上は赤字ではないかということをいれております。今の株の配当は、半分以上のところが最近二分とか三分配当率を下げているという。株価も三十年以降では最近が最低であるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/15
-
016・始関伊平
○始関委員 油の価格が世界一安いのに相応して、石油精製会社の業績はきわめて不振であるというところまではっきりしたわけであります。
その次に、外国石油資本のマーケット・シェア、これは国際石油資本のいわゆる一〇〇%ひもつきのものが大体六五%、その他の外国石油資本、これは部分的ひもつきといいますか、これが二〇%、いわゆる自由選択のものが一五%、ただしそのうちの過半がソ連石油というふうに聞いておりますが、それで間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/16
-
017・川出千速
○川出政府委員 シェアにつきましては、いろいろなシェアがございまして、たとえば外貨割当面におけるシェア、実際いわれておりますのは、いわゆる市場の占拠率、マーケット・シェアということでございますが、石油連盟で調査いたしました資料によりますと、いわゆる外資提携と申しますか、それが六二、三%というような数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/17
-
018・始関伊平
○始関委員 政務次官が参りましたから一つ御答弁願いたいと思うのですが、今度お尋ねする問題はちょっと今までの各委員の御質問と様子が違うかと思いますが、私の持論でありますのでお聞きを願いたいと思うのであります。
日本で石油に関する論議が行なわれますときには、いつも、石油そのもの、商品としての石油が論議の中心になり対象になっておるんですね。それであらためて申し上げるまでもございませんが、石油の供給が豊富であればよろしい、それから価格というものは合理的であろうとなかろうと、要するに安くさえあればいいんだというような考え方が日本では支配的であると思います。言葉を変えて申しますと、石油企業というものがどうなっているかということですね。そういうことについては、政府も財界もあるいは国民全般もきわめて冷淡であり、無関心であるというのが、私は今日までの実情だと思います。その結果、さっき鉱山局長から一々資料をあげて御説明になったのでありますが、石油そのものは日本人の希望通り世界一安くなったけれども、石油企業そのものは極度にゆがめられた、望ましからざる状態になっておるということを指摘しないわけにいかぬと思います。きょうはそこで、石油業法の審議だから、くどくなると思いますけれども、日本の石油業の実態がどういうことかということを申し上げてみます。間違っていたら、あとで訂正していただきたいと思います。
第一点として、日本の石油会社の過半は、五〇%の出資の代償として、一〇〇%の原油輸入がひもつきになっておって、しかも出資を受けない会社もローンその他の代償としてひもつきになっておりますから、八五%近くまでは選択権がないという状況なんですね。
それから第二点。これは会社の中の問題ですが、業務執行重役というものは日本人が多いようですが、しかし、会社の中の勢力関係といいますか、これは出資がフィフティ・フィフティであるにしても、向こうは一人の株主にまとまっているとか、いろいろな実力関係からして、日本側の重役というものは非常に自主性が乏しいといいますか、拒否権は向こうに持たれたような格好で、私の仄聞しているところでは、いや気がさして、どんな小さな会社でもいいから自分の会社を持ちたいという社長さんもおられるということであります。
それから第三点として、出資をしておる外国会社は強力な油送船団を持っていて、これを運航させることによって、配船の決定、運賃レートのコントロールなどを通じて石油会社に強力な発言を行ない得る立場にあるので、日本人経営者は、石油政策、タンカー政策等についてそれだけ発言権は拘束を受ける。この点でも積極性は望めない、こういう立場にあります。
第四点として、販売面の問題として、スタンダード、シェルなんという会社は、原油の供給を独占するほかに、国内の販売網を直接自分の掌中におさめている、こういう事実があります。カルテックスは名目だけであるけれども、製品の買い上げ権は持っている。名目だけの買い上げ権というのはトンネル口銭を取っているということじゃないかと思いますが、その点はあとで鉱山局長にお答え願いたい。
第五点として、技術面の問題ですが、これも出資会社からの拘束が強くて、日本側精製会社の独自の精製方法の採用とか関連化学工業部門への提携出資というようなことも思うようにいかぬ。この点も自主性がない。こういうような点をあげざるを得ないと思うのです。さらに今日においてこれは一番大事な点だと思いますが、わが国精製会社は常に設備資金と運転資金の不足に悩まされて、資金調達の必要に迫られるつど、親会社こ増資あるいはローン等の援助を受けざるを得ない立場にありますので、この点からも、わが国経営者の立場というものは決定的に劣弱なものになっておる、こう思いますが、この事実について御所見があれば承りたいと思うのであります。
こういうふうな事態になったにつきましては、終戦後今日に至るまでの間のそれぞれの歴史的な背景がございますので、そのときどきからいえばやむを得ない事情が積み重なってこうなったと思いますから、だれの責任を追及するというべき筋合いのものでもない。私自身もだいぶ長い間石油行政をやったことがありますが、しかし、今日は御承知の通り世界の石油市場というものはもう買手市場になっている。買い手というものは本来優位に立つべきであると思うのですが、にもかかわらず、こういったふうに日本の精製業が全体として外国の石油資本に対する隷属の度合いが、自主性の欠除しておる状態というものが大きい。しからばどう改善するかという問題はしばらく別としても、望ましからざる事態だと思うのであります。この点は、実は大臣にいろいろ答弁していただこうと思って楽しみにしておったのですが、きょうは大臣がおいでになれないで、はなはだ残念ですが、一つ森政務次官から御所見をお聞かせ願いたい。また今いろいろな点を申し上げましたが、今でも私は諸般の情勢上、たとえば配船がどうだとか技術がどうだとかいうやむを得ない点もあるかと思いますが、しかし、心がけのいかんによりましては、改善の余地のある点もあるのではなかろうかと思います。この点一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/18
-
019・森清
○森(清)政府委員 ただいま五つか六つの例をあげられまして、始関さんから御指摘がありましたように、確かにわが国石油業の六二、三%を占めるところの外資系の会社におきましては、その実例が顕著でございます。しかし、これは始関さんの言葉の中にもございましたように、終戦後の長い歴史の間に、特に石油というものがその資源が外国に依存しているだけに、いわばやむを得ない形でこういうふうに発展してきたんじゃないかと思いますが、この形は率直に申し上げまして、いわゆるわが国の基礎産業の重要なエネルギー源を占める石油であるだけに、非常に大きな問題をはらんでいると思います。しかし、この形を急速に改善するというふうなことも実際問題としてはできかねるのでございまして、現実に私ともが各業界と会合をいたしますときに、石油業界にありましては、ほとんどその半分はいわゆる人種の違う、つまり外国人が占めておるようなことが、非常に奇異な感じを抱かしておるのでありますが、これは御承知のような敗戦後の現象と申しますか、原料そのものが外国に依存している形からこうしたことに発展してきたのだと私は思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/19
-
020・川出千速
○川出政府委員 先ほどの御指摘の中で御質問がございましたが、日本石油精製が、自分で販売をしないで、トンネル会社を経由しておるのではないかというような御質問だったかと思います。日本石油精製は、精製をやりまして、その製品は日本石油を通して販売もしております。それからカルテックスとも提携しておるそうでございますが、口銭を取っておるかどうか、その辺の詳細はよくわからないのであります。石油課長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/20
-
021・成田寿治
○成田説明員 補足いたしますと、日石精製の製品は、国内の販売は日本石油が販売しております。ただその際、日本石油精製から日本石油に供給する場合に、ジャパン・カルテックスを通しておるという事実があります。その際口銭を取っておるかどうかというのはちょっとわれわれにはわからないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/21
-
022・始関伊平
○始関委員 どうも石油業法というものを出すについて、石油業の実態についての調査が不十分だというよりは、関心の持ち方がピントがはずれておるんじゃないかと思いますが、あまりどうもあれですから、その程度にいたします。森政務次官の御答弁でけっこうだと思いますが、私はただあなたの御答弁の中で、外国に依存するんだから、それでしょうがないのだということはないと思います。外国ではみな外国に依存しておりますし、欧米諸国では原料は外国に依存しておりますけれども、やはり国家的な体制に石油精製業というものを持っていっておるのです。その点ちょっと御注意をいただきたいと思うのです。
次の質問に移りますが、今申し上げたいのは、日本の石油精製業のあり方、いわば体質というようなものがあるわけです。この体質が私は政府の当面する石油政策の遂行を困難にしておる。今、森政務次官がおっしゃったように、半分は外人じゃないかということになってしまって、遂行困難にしておるのではないかと私は思います。きょうは大臣いらっしゃいませんが、大臣は電力会社の石炭の長期取引を大へん御自慢になっておられるのですが、私はそれほど自慢することでもないと思うのですけれども、電力会社は、何といったって、日本の政府の言うことを聞くような、そういう体質になっておる。ところが石油精製会社というのは、アラビア石油の引き取りなんというものについては、本質的にこれに反発するような体質のものになってしまっておる。政府の言うこともそうすなおに聞けない体質のものになってしまっておると私は思います。
さて実は、商工委員会の一行、ここにもおるのでありますが、昨年の夏エネルギー問題の調査で方々回って参りました。パリでフランス・オイルの社長その他幹部の者と会談したことがありますが、その際私どもサハラ原油の引き取りの問題について聞いてみたのです。これはすでに御承知のことでございますが、直接聞いてきた話なんで、御披露申し上げますが、原油の輸入許可の付帯条項として、サハラ原油の引き取りを政府は命令し得るのだ、しかし、そういう手段を待つまでもなく、民間は進んで協力しておるんだ、これは政府のおかげで長い間高度の秩序と安定とを保持することができた、私が注釈を加えれば、ある程度もうけさしてもらったということだろうと思いますが、そういうことでこういう際には民間も進んで政府に協力するんだ、こういうことをフランス・オイルの責任者がはっきりと説明しておられる。私は日本の場合とフランスの場合と比較してみて、まああるいはイギリスでもあそこにシェル、BP、それからエッソですか、この三社等は非常に国家的な体質のものになっておりますね。そういう点を比べてみると天地霄壌の差異がある、こう言ってもいいと思うのです。どうですかね。こういったような差異、今私が申し上げた通りだと思いますが、差異があることを御認識になりまして、日本では今日石油企業というものは国家の手の及ばぬものだということで半ば危険視しておったと思うのですが、今後の問題としては、いきなりフランスやイギリスのようなところまで持っていくことは困難だと思いますが、やはり国策に即応し得るようなそういう体制のものにだんだん直していくということが私は望ましいのじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/22
-
023・森清
○森(清)政府委員 先ほど私の答弁の中に多少説明足らずのところがございましたので補足いたしますが、確かに今日の石油業界の現象というものは好ましくない形だとは思います。しかし、これは先ほども申し上げましたように、敗戦後の占領下の一つの政策として日本が好むと好まざるとによらず、発展した現象であると思いまして、この形は逐次改善していかなければならぬと私は思います。それと同時に、そういう観点に立てば立つだけに、今日われわれが提案をしております石油業法というものの必要価値も私は大きなものになると思います。従ってその考え方のもとに今日皆さん方にこの法案を審議していただいておるのでございますが、こういう過程を経て、本質的な改善をはかっていきたいと私念願しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/23
-
024・始関伊平
○始関委員 それで法案の内容に関係のあることを一つお尋ねをいたしますが、政務次官もお認めになりましたように、日本の今日の石油企業というものは何といいますか、非常に極度に悪い状態、いわばどん底に落ちてしまっておると申しますか、逆に申しますと、これ以上悪くなるということはあまり心配がない、こう思います。しかし、この際伺っておきたいことは、日本の石油精製設備が今後十年か二十年の間にさらに二倍にも三倍にも拡張しなければいかぬということでありますから、外国の石油資本が合弁会社という形を飛び越えて、直接に日本国内で精製設備を持つということが私は考えられると思うのです。現実にそういう動きがあるかどうかは知りませんが、原油の輸入が自由になり、また資本の移動が自由になるということになれば、そういうことも考え得ると思うのであります。これはやはり私は日本の立場としては許容すべきではないと思いますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/24
-
025・川出千速
○川出政府委員 一〇〇%外国資本の日本法人という御質問だろうと思いますが、この石油業法がかりに施行されますと、事業許可を受けなければ事業を営めないということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/25
-
026・始関伊平
○始関委員 ですから、今私があげたような石油企業の形というものは望ましくない、こう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/26
-
027・川出千速
○川出政府委員 そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/27
-
028・始関伊平
○始関委員 その次にこれは政務次官にお尋ねいたしますが、日本で、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、目下のところ一番支配的であると思われる石油に対する考え方は、何でもかまわぬ、要するに安くさえあればそれでよろしい、まあそういう考え方が私は支配的だと思います。しかし、そういう考え方は私は間違っていると思うのでありまして、高くしろとはもちろん申しませんが、いわゆる安ければ安いほどいいのだといっても、やはり合理的な価格でなければいかぬのじゃなかろうかと思います。さっき鉱山局長から御説明があったように、欧米における石油価格というものは、日本に比べて割高であります。これは単純に石油資本の独占支配の結果そうなっているのではなくて、むしろ政府がそういう価格政策をとっているのだろうと、まあ私は見て参りました。せんだっての石油調査団に参加した人の意見の中にもそういうのがございます。たとえば、イギリスでは、さっき申したBPその他の三社の独占体制にございますが、三社と政府と両方の意思が疎通して、石油というものはかなり価格水準が高くなっていると思います。その趣旨は、若干の利潤も上げさせて、これによって内部蓄積をふやして、その利潤で石油精製設備の拡張とか、あるいは石油資源の探査、日本の場合にはこれはございませんが、石油資源の探査などに充当させようということだ。たとえば私どもの会いましたフランスの政府当局者なんかは、はっきりとそう説明しておりました。またその際、そういう価格を決定する際に、石炭のこともある程度考慮に入れておる、表向き否定しておるところもありますけれども、これもはっきりしておると思います。こういったような政策をとることによって初めて自主性のある、政府に協力のできる石油業者の体質というものができてくるのだろう、こう私は考えております。これは日本の体制に逆行するようなことですから、はっきり言うのはちょっと勇気の要ることでありますけれども、日本の石油価格対策としても今申し上げたような考え方というものを少なくとも相当に加味していかなければならぬ、このように考えます。もっともこの法律には、石油価格についての有効な規定というものがございませんから、さしあたりそういう議論をしても実績がないかと思いますが、ただこの際考え方として伺っておきたいのは、今世間で支配的であるような石油価格がダンピング価格であろうと何であろうとかまわない、要するに安くさえあればいいというようなお考え方を政府もされておるのか、あるいは今私が申し上げたような点も考慮して適切な価格でやっていこうというのか、その点を伺いたい。またそうすることが私は、日本の石油業の自主性回復ということの第一歩になるのじゃないかと思います。
それからこの際、この点に関連してもう一つ伺っておきたいのですが、こういうような価格政策をとるということは、いわゆるエネルギーの自由選択の原則というものと必ずしも背反するものじゃない、こう私は思います。と申しますのは、これは政府が決定した政策を前提として、たとえば関税をかけるならかける、そういうことを前提にして、その上で自由に選択してよろしいというのがいわゆる消費者自由選択の原則であって、この点も、日本人の考え方からすれば誤解が多いのではないかと私は思いますが、またこういうふうに解釈しなければ、欧米諸国でいわゆる自由選択の原則が行なわれるということは全く有名無実だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/28
-
029・森清
○森(清)政府委員 御指摘のように、エネルギーというものは安くて豊富だということが理想だとは思います。理想だと思いますけれども、各国の例を見ても、そしてまたさらに日本の現状を見てみましても、たとえば電力とか石炭だとか、そういうふうなエネルギー源のことも一応の考えの基礎に置いてその価格等も考えてこなければならない問題だと私は思うのであります。しかし、今日私どもが、この石油業法を制定するにあたりまして、石炭等の問題を大きく取り上げて考えているわけではございませんけれども、御指摘のように、各国の例を見ましても、石油の価格というものはただ単に安くて豊富だというふうな考え方に立脚するものではなくて、始関さんが今言われたような形の上に立って私は考えるべきものだと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/29
-
030・始関伊平
○始関委員 それじゃちょっと問題を変えますが、最初の問題は公益事業局長に伺います。電力会社は原油のなまだきを一つやりたいという考え方があるようでございますが、私はアラビア原油の処理などの問題ともあわせ考えて、原油のなまだきの問題が技術的に近く解決されるとするならば、これに反対する理由は全くないといいますか、技術的に近く解決するかどうかという点を一つ局長に御答弁願って、それから反対する理由がないという方は政務次官に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/30
-
031・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま電力界、それから石油業界並びに学者というような方々にお願いいたしまして、原油のなまだきが技術的に危険であるかどうかということの研究を始めたところでございます。われわれはこの研究の結果を待って、危険があるということになればもちろん取り上げるべきではない。危険がないということになれば、それに基づいて現在の日本の直面している燃料政策上一番好適な方法をとりたいというふうに考えておりますが、具体的にはよく関係当局とも打ち合わせていきたい。われわれといたしましては、それが一番経済的であるというならばやりたいと思っておりますが、全体の燃料政策の一環として考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/31
-
032・森清
○森(清)政府委員 今の局長の答弁で尽きていると思いますけれども、要するにエネルギーを考えるときには、やはり総合的な対策から割り出すべきであると私は考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/32
-
033・始関伊平
○始関委員 これは一つ政務次官にお尋ねをいたしますが、石油なまだきの場合に非常におもしろい問題が起こるのです。それは、なまだきの場合の原油原価が五千五百円、重油は六千八百円と一応仮定をいたします。メリットの差が五百円程度あるというふうに聞いておりますが、かりに五百円だといたしますと、その間八百円ばかり価格差があります。この価格差のあるままの状態で原油と重油が共存共栄できるかどうか、その問題を伺いたい。共存共栄できるかという意味は、私は全く同じ用途にあてられるものが一方は五千五百円、一方は六千八百円で、いつまでも存在することはできないので、必ずや低い方に引き寄せられる、そういう意味で共存はできない、こう思います。なお、現に外国では原油の価格と重油の価格とが大体見合っているということ心耳にするのですが、わかり切ったことをお尋ねするようで恐縮ですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/33
-
034・森清
○森(清)政府委員 先ほど局長がお答え申し上げましたように、そのことが試験的に成功もし、そしてそのことが危険度もないというふうな結論になった場合には、私はなまだきの問題も慎重に踏み切る段階になると思うのでありますが、ただ、今御質問の趣旨が、たとえば両立しないというふうに言われましたけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/34
-
035・始関伊平
○始関委員 という意味は価格が下がってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/35
-
036・森清
○森(清)政府委員 当然その段階になりますと、そういうことも考慮しなければならないと思いますが、私が考えますのに、これはエネルギー源でございますから、安いものへと移行していくのは当然ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/36
-
037・始関伊平
○始関委員 政務次官のお考えよりほかには考え方はないと思います。
そこで次に本論に入りますが、今度は重油と石炭の場合について同様の問題が起こるわけですね。今両方とも流体燃料ですが、今度は一方が流体燃料、片一方は固体燃料、そこが違うわけです。全く同じ用途にあてられるとすれば、重油と石炭とが価格差のあるままで共存共栄——言葉はおかしいかもしれませんが、共存共栄はできないだろうと私は思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/37
-
038・森清
○森(清)政府委員 当然使用者側に立ってみれば安い豊富なエネルギーを使いたいと思うでしょう。しかし、国家的な見地から見れば、たとえば、石炭の場合は、国内に産するものでございまして、従って、これが将来の合理化等を考えたときには、それに見合うような価格になることをわれわれとしても指導しながらやって参りますから、当然これは原則的に言えば確かに安いものに移行していくでしょうけれども、これは国家的な見地に立ってわれわれは行政指導をしてやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/38
-
039・始関伊平
○始関委員 政務次官、今の御答弁はだめなのです。これはそこが問題なのですが、大臣がおらぬので工合が悪いのですけれども、大臣は石炭については千二百円の価格引き下げをやるが、それ以上は重油と競争させない、こうはっきり言っておられる。その競争させないという意味は、千二百円下げたところで電力業者に押しつけていこう、電力業者に引き取らせる、こういうことなのです。大臣がおられればはっきり大臣の口から確かめたいと思うのですが、それができるかできないかということは、今非常な問題の焦点なのです。千二百円引き下げということは重油の八千四百円に見合うわけですから、とても価格的に不均衡なんですね。しかも重油のところに見合うまで石炭を下げるということもこれまた不可能なのです。それもはっきりしておる。そこで重油と石炭との価格差があるままで共存共栄できるのだというのが通産大臣の御所見なのです。あなたも同じ御意見ですか。ちょっとあなたの御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/39
-
040・森清
○森(清)政府委員 先ほど私は国家的な見地に立って行政指導をしていくと申し上げましたのは、その意味でございまして、その意味からいえば当然これは石油は石油、石炭は石炭という立場に立って考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/40
-
041・始関伊平
○始関委員 そこが問題なのです。それでは一つあらためて伺いますが、あなたのお考えは、要するに行政指導によって、たとえば電力業者という消費者の段階で安いもの、高いものとプール計算をさせる、そういうことはできる、そういう趣旨のように了解いたしましたが、しかし、これは非常に都合の悪いことに、電力業界の公式見解と違うのです。それはこの前の三十九国会のときに石炭委員会に電力事業連合会長として太田垣さんが出てこられた。太田垣さんはあくまで重油価格とバランスをとれ、重油価格が六千円に下がろうが、五千五百円に下がろうが、そこまで価格を下げろ、こういう見解だった。私どもそれは不都合だということをしきりに言いましたけれども、とうとう言うことを聞かずにそのまま引き返した。この間また石炭委員会に中川君が出てきまして、同じような答弁をしておられる。ですから、あなたは電力業者のところで高いものと安いものとが私の言葉で言えば共存共栄できるように行政指導するんだとおっしゃるが、これは電力業界の公式見解と違うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/41
-
042・森清
○森(清)政府委員 石炭が千二百円コスト・ダウンすれば電力業界としても二千三百万トンだけは必ず引き受けるということを、これははっきり明言しておりまして、これがわれわれの石炭行政に対する大前提になっておりまして、これはいかに太田垣会長が希望的な観測を述べられようとも、あるいは中川委員がそういう御意見であろうとも、この大前提はくずしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/42
-
043・始関伊平
○始関委員 非常に重要な論点なのですが、電力業果は二千万トンですね、二千三百万トンと言っていませんで、二千万トン引き受ける、こういうのですが、それは千二百円引き下げるのは昭和三十八年までですか、そのときまでのことを約束しておるので、その千二百円の先のことをずっと引き取るということは全然申しておりません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/43
-
044・森清
○森(清)政府委員 とりあえずわれわれは、目標は昭和三十八年度、千二百円コスト・ダウンということを言っておりますが、しかし、これは私どものエネルギーを考える場合に、わが国の石炭鉱業というものは決してないがしろに考えておりませんで、その問題に関する限り石油と競合して考えたり、あるいは競争させたりという考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/44
-
045・始関伊平
○始関委員 どうも競争させないとおっしゃるけれども、どうしても競争になっちゃうわけです。
ではもう少し申し上げますが、電力会社というのは、ずうたいは大きいけれども、実は合理化とか経費の節約とかいうやつはあまりない。これは燃料費をたたくことしかないのですね。それで公益事業局長が来ておりますが、私が石油精製業界の人に聞いたところでは、今日まででも、なまだきをやるぞ、あるいは重油の製品輸入申請をするぞということを武器にして、重油をたたく。一方に重油をたたいておいて、片方で石炭をたたく、これが電力業界のやり方だ、こう言うのですね。私は電力業者というものをこの際道義的に非難しようと思わない。道義的に非難する理由は全然ない。むしろそうすることが会社に忠実なんで、何より悪いことは、通産大臣のきめられる電力料金というものが非常に窮屈である。そういう窮屈の状態のもとにおいて四年なり五年なりやっていかなければならぬから、私は燃料をたたくのはあたりまえだと思う。ですから、私は自由経済下の、経済法則として、今あなたせっかくおっしゃいましたけれども、せっかく安く買えるものがあるのに、高いものを買うということはあり得ないので、これは重要な点ですから、いま一ぺん御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/45
-
046・森清
○森(清)政府委員 それは確かに使う側にとってみましては、安いものを使いたいと思うでございましょうけれども、しかし、われわれ政府の立場といたしましては、そのことが国家目的に沿うかどうかということ、たとえばこの場合に石炭というもの、石炭産業を守るということは、石油、電力その他のエネルギー源を考えましたときにも非常に大きな問題だと考えますので、その点は今日までもやっておりますけれども、強力な行政指導によりまして、なるべくこれが競合しないような方向でやっていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/46
-
047・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ちょっと補足させていただきたいと思います。御承知のように、現在は水力と火力の割合がほぼ半々ということになっておりますが、今後は非常に火力がふえて参りまして、大体四十二年ころには火力が二で水力が一ということになると思います。しかも現在火力の中で石炭が御承知のように六割以上占めているわけであります。六割以上と申しますと、もっと正確にいいますと、三十六年の約千七百万トンの石炭に対して、電力が六百万キロ、大体六割くらいが石炭、ところがこれが将来は三百万トンの揚げ地火力に相当する分を引き取るということにいたしましても、大体六割以上が石油で、石炭の占める割合は四割以下に下がるわけでございます。全体の発電量からいたしますと、せいぜい石炭の電力に占めるウエートというのは一五%以下になるんじゃないかと考えております。そこでそれだけ石炭のウエートはだんだん小さくなるわけでありますけれども、先ほどから政務次官が申し上げておりますように、実は電気は公益事業として地域独占を認めておる、いろいろな国家資金というようなものにつきましても特別の配慮ということをやっておりますので、われわれといたしましては、できるだけ資金のめんどうを見るといったようなことに期待いたしまして、電力料金を上げなくても、総体的に石油がだんだんふえていくことによって、火力発電のコストそのものは下がらないのじゃないか。むしろ揚水発電その他の水力発電が上がるといったようなことの方に若干上がる理由があるかもしれませんけれども、火力発電そのものとしては、総体的に見ますと、だんだん高くなるということは必ずしも言えない。大体約束してもらっております二千三百万トン、これは三十八年に千八百万トン、四十二年に二千万トンというふうに加えまして、大体四十年までに百五十万トン、四十二年までにさらに百五十万トンというものを追加するということをはっきりと約束いただいております。公益事業という立場、特に料金認可制をとっているという点からいいまして、資金の面その他いろいろ応援することによって石炭引き取りの約束だけは必ず果たしてもらう、ここでは一般産業と違いまして、相当役所として指導するいろいろな武器はあるじゃないかというふうに考えておりまして、できるだけ約束だけは果たしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/47
-
048・始関伊平
○始関委員 それでは公益事業局長にもう一ぺん伺いますが、電力業界の約束しておりますのは数量なんです。数量はお説の通り約束している。しかし、価格について約束しているという気配は、電力業者にいろいろ聞てみても、おくびにも出しませんな。あなたの独善じゃありませんか。
もう一つ申し上げますが、この間中川君が出てきた。この四月一日からの関税改正で原油が一割になりましたね。この前の六%の場合との差額二百十円ですか、これはそれに見合うものを割り戻すことになりましたね。中川君に、一体君の方は今後石炭との価格をしょっちゅう比較するだろう。払い戻しになった方は、自由価格で比較するか、どっちだと言ったら、これは安い方と比較するんだと言うのです。あなた方のおっしゃるように、片一方に安く売ってやれ、片一方には高く買えというような理屈もあって、われわれはあれに賛成したのですけれども、まさに反対のことを電力業界は言っておるので、政務次官、公益事業局長とも何か電力会社との連絡なしに言っておられるように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/48
-
049・樋詰誠明
○樋詰政府委員 先ほど政務次官から申し上げましたように、千二百円、三十八年までに下げるということが一番の前提になっております。それから先もとにかく幾らということは言っておりませんが、できるだけ合理化の努力をして下げるということが、千二百円にいくというそもそもの出発点になっているわけでありまして、われわれといたしましては、できないことを石炭に言ってもそれは無理だ、千二百円まではとにかく必ずやっていただこう。それから先も努力して下げていただくけれども、それは数字を約束せいといっても無理だということで、千二百円、そこらまで下げれば電気で必ず買うというふうにはもちろん思っておりません、その後もできるだけコストを下げ、プライスを下げてやっていただくべきだと思っておりますが、少なくとも通産省全体で、今後石炭が急速に価格の競争に破れて顧客を失うということのないように、特に電力界あたりちょっと安いからというだけでよそに向くことのないようにということにつきましては、あるいは私の表現が非常に強過ぎるということがあったかもしれませんが、できるだけの努力をしていきたいと思っております。千二百円以上下げるということに努力していただきたいということで、価格そのものは聞いておりませんが、できるだけ下げていただけば買いましょうというように私は了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/49
-
050・始関伊平
○始関委員 樋詰局長の御意見は、千二百円プラス・アルファとおっしゃるのですが、電力業界の意向は、あくまで重油価格とのパラレルな、つり合いのとれる価格でやる。しかし、その問題はこれ以上するのはよしましょう。ただ私は、今のように重宝なといいますか、そういうやり方があるなら、外国で原油に対して大幅な関税をかけたりあるいは重油について消費税をかけたり、価格の開きをなくするような政策をとっている意味がわからない。やはり電力会社といえども、本質は私企業で、消費者のところでプール計算するというのでは無理がある。やはり価格そのものをある程度つり合いのとれるような形にする。そういったような総合エネルギー対策、あるいは関税をかけるとか、今度法律を改めるが、そういう規定がないので実は失望しておるのでありますが、価格そのものをある線で維持するという考え方がないとうまくいかぬと思いますが、これは見解の相違ですからこれ以上御答弁はお聞きいたしません。
次に、アラビア石油の問題でございますが、アラビア石油によって外貨節約になるということだと思いますが、世間では、アラビア石油の実質的な意味の外貨節約額はきわめて少ない、たとえば二割程度だというふうにいっておりますが、通産省ではどう見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/50
-
051・川出千速
○川出政府委員 現在アラビア石油は開発の途上にございまして、当初の目標である一千万キロに達していないのであります。従って、現在のところは開発のために要する外貨の支払いは相当な額に上がって、その販売も少ないのであります。それが一千万キロ、あるいはそれ以上の予想もございますけれども、一千万キロのベースになりますれば、ならして年に二千数百万ドルから三千万ドル程度の外貨節約になるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/51
-
052・始関伊平
○始関委員 輸入価格の何割程度節約になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/52
-
053・川出千速
○川出政府委員 現在FOBで一ドル三十セントでいっておるわけであります。これはキロに直しますと八ドル二十セントくらいではないかと思います。従って一千万キロになりますと、今の値段が変わらなければ八千二百万ドルくらいになるわけであります。かりに二千万ドルとすれば二五%だし、三千万ドルといたしますれば三割強ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/53
-
054・始関伊平
○始関委員 アラビア石油の問題につきましては、だいぶん質問があったようでございますが、さっきから申し上げておりますように、日本の石油精製業はこういったような問題に対して何か体質的に反発するような傾向にあるので、私は、たとえばサハラの原油とフランスの石油精製会社の関係などとはだいぶ違うと思うのです。私の接触しておるのは、通産省と違いまして全面的でございませんが、ある石油精製会社の有力な社長なんかに聞きますと、アラビア石油は山下太郎さんを社長にする個人会社みたいなものだ。ところが一方親会社との関係では一〇〇%がひもつきという契約があるので、そういったような形ではいかにも自分らとしては引き取りにくい。そこで法律ではっきり引き取り義務を書けば、その引き取り義務の条項が一せいに発動しなくてもいいと思います。そうでなければ一ぺん引き取り会社のようなものを作って、その引き取り会社に公共的な性格を持たしたものにすれば、だいぶやりいいというようなことを言っておるものがいるように思います。
それから大臣はまだおいでになりませんでしたが、同じ用途に当てられるエネルギー間に違った価格がある場合は非常な混乱が起きると思いますので、その引き取り会社に、比較的安い石油と、たとえばなまだきを認めるなら、そういったものと割高につく国産エネルギーとプールさせるとか、そういった用途と役割とを兼ねさせたら比較的円滑にいくのではないかと思います。この点については、大臣たびたび御答弁になったようですが、簡単でけっこうですから、ちょっとお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/54
-
055・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 最初の問題でございますが、引き取り会社云々の御意見でございます。いろいろ私ども、根本の問題として構想というか、工夫もいたしてみたのでございます。ただ、御承知のように、ただいままでが完全自由というか、非常に野放し的な業界でございます。その業界に急激な変化を与えることは、産業のあり方といたしましても、避けるべきが本来ではないか。ことに自由経済のもとで発達してきたものが、統制的なにおいの強い業法が出て、もうそれだけで業界に与える影響は非常に大きいと思います。そういうことを考えた場合に、どういう処置がよろしいかというのが、今回の立法になったゆえんでございます。私は、本来は自由主義経済の建前で物事を考える、かように思っております。その立場から申しますならば、業界の自主的な協力ということが望ましいと思います。ただ、業界もそれぞれの立場がございますし、ことにまた日本の石油業界は外国資本によって非常な支配的な影響を受けておる、そういう状況でございますので、そういうことを考えてみますと、ただいま申し上げるような業界の協力を求めるとか、あるいは自主的な建前についての活動を願うにいたしましても、これはなかなかできることではございません。そういうことを考えますと、石油の全体的な消費計画なり需給計画というものは必要だろうし、さらにまた国内エネルギーとの競合の立場からの総合的な観点に立ちますと、やはり国家的な意思が働かざるを得ないだろう。こういうところから業法を設けたわけでございます。ただいま申し上げるような基本的な一つの悩みを持っておる、この点を御了承いただきたいのであります。
第二点の問題につきまして、高価につくエネルギーと、それから低廉なエネルギー、これはそれぞれの特徴があるのでございますから、またそれをいろいろ工夫いたしましても、単一化できる場合となかなかできない場合がございます。ことに国産の原油は、いかに努力いたしましても、その努力の限度というものはおよそわかります。他の観点に立って、競合エネルギーである石炭などを見ますと、これまたいろいろ合理化等を進めて参りましても、おのずから限度がある。ところが、国際原油というか、外国原油はそういう事柄とは別に、特に最近はいわゆる競争価格を現出しておる。だからこういうものを価格を単一化するというか、あるいは均一化するというか、そういう努力をすることが——努力はいたすにいたしましても、およその見当はつくというか、ある程度の差額はやむを得ない、こういうように実は思うのでございます。そういう場合に、価格の面でこれを均一化する努力をするよりも、高いものと安いものとを消費者自身が適当なプロポーションで消費することによって、そこに経済的な一つの価値を見つけ得るのではないか。そういう方向がいわゆる自由経済のもとにおいては望ましいのではないか。ただ政府がどの程度慫慂し、勧奨し——その勧奨をいたしました場合でも、業界自身がどれだけ政府の意向等に協力してくれるか、こういうことが実は問題なんじゃないかと思うのでございます。だから、たとえば、電力用の燃料等については、本来あれは安い石油を使う。そしてそれがなまだきである。もちろんなまだきはまだ十分技術的に確信があるとは思いませんけれども、その議論は別としても、なまだきである方が安い、あるいは重油の方が安い、こういうことがあるし、さらに石炭の場合は高いとかいうことがございますが、それらを総合して使うことによって、適正な電力を供給し得る、こういう建前が望ましいだろう。そういう意味で業界に指導し、ただいままでその方針を実は変えておるわけではございません。ただ非常に危険あるいは心配をいたしますのは、経済界が協力してくれておる間は問題がないのでございますが、その協力ができないというような状態になったらどうなるか。その状態を今考えると、ただいまの法制下においては、それに対処する道はないということでございます。私は今日の状況のもとにおいて、政府は、確信なしに業界の協力を得ないのだ、こういうような見方はしておりません。やはりわれわれの考え方については、大かたの財界は協力してくれている、またその協力は今後も続け得るものだ、かように実は思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/55
-
056・始関伊平
○始関委員 ただいま大臣の御答弁の中にお触れになりました点で、非常に重要な点がございました。たとえば消費者としての電力会社の中で、高い石炭と安い重油とを一種のプール計算させる、こういう御構想を非常にはっきりとお述べになったのでありますが、実はこの問題につきまして、今まで森政務次官その他局長といろいろ議論をやっておって終わったところなんですが、重要な点ですから、この点だけ繰り返すことになりますが、大臣にお尋ねしたいのです。
電力会社のところでプール計算させるとおっしゃいますが、電力会社は二千万トンなり二千三百万トンなりを引き取る。それから千二百円引き下げの過程においては、年次別にきめられた価格で来ている。こういう約束をしていると思いますが、そのあとの問題の価格については、何ら了解しておらぬようでございます。むしろ、石炭委員会に太田垣さんなどが電気事業連合会の会長という資格で出て参りましたが、太田垣さんの見解では、やはり重油が下がれば、六千円になろうが五千五百円になろうが、それと見合う価格でなければならぬということを非常にはっきり言っておりました。私どもそれは不都合だということで、特に石炭は千二百円プラス・アルファで引き下げの余地があろるだろうけれども、そのアルファというものはあまり大きいとは思わないということで追及しましたが、見解を改めずに帰りました。それからこの間、二、三日前ですが、中川君、もと役所にいまして、専務理事ですが、これが参りまして、やはり同様な趣旨のことを言っておりましたので、大臣の言明と電力業界のお話とはちょっと食い違っておりますね。
それからもう一つ、電力業界も、大臣のおきめになる料金というものは非常に窮屈ですが、むしろ安いものを買うべく、あるいはたたいて買うべく努力をするのが会社に忠実なゆえんなんで、必ずしも大臣のおっしゃる通り、安いものと高いものとが需要者としての電力業者のところでうまくプールできるというようには思えない。またそういうような方法があれば、何も関税を上げたり、あるいは石油についてある程度の高価格政策をとって、石炭とのバランスというものを考える必要もなかろうと思います。重要な点ですから、繰り返しますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/56
-
057・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま言われるような、業界の自由にまかしておけば安いものを使う、また石炭も安くしなければ私はごめんこうむる、こういうことはもちろん端的な表現だと思います。業界まかせをすればその通りだと思います。かつてといいますか、昨年関税引き上げに際しましても、そういうような意見が多分にあった。この関税引き上げは、むしろ自分たちの値段を上げることによって、石炭自身の不振を救うのか。その際業界が明らかに申しておりましたのは、安いものは安いなりでいいじゃないですか、また高いものは高いなりでいいじゃないですか、そこで私どもは一緒にして使いますということで、これは本来の姿はそうだと思います。ここに政治があり、経済界の協力があり、また国内資源と外国から入ってくるもの、いろいろ区別して扱うこと、ただ単に外貨の支払いだけの問題ではございません。いろいろの面から、各種の雇用安定の問題もありましょうし、あるいは国内産業育成の問題もあります。だからそういう点はそこをよくお話しすれば御理解はいただけるのだ、かように思います。しかし、これは限度なしにはなかなかできることではございません。もうすでに質疑応答を重ねられたのだと思いますが、電力用の石炭を三百万トンふやすというような話も、この値段自身をはっきりきめていないと、かように御指摘ではございますけれども、ただいままでのところ千二百円下げ以上の下げた値段は指示してはございませんし、しかも千二百円下げは三十八年においてこれが完了するということでございます。そういうことを考えてみますると、財界の協力を非常に危険視するよりも、せっから協力方向に向いているものは、政府が総合的な見地からそれを進めていくということが実は望ましいのではないか、かように私は思っております。ことに今まで政務次官を初め政府委員等が答弁したことだと思いますが、石油と石炭を競争さすというような処置はとる考えはございませんので、ただいま申し上げるような方法で進めていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/57
-
058・始関伊平
○始関委員 大臣の御趣旨がまだ電力会社に不徹底なようですから、一つ十分御指導あらんことを希望申し上げます。
実はこれはもう御答弁は要りませんが、この間、中川君が出て参りまして、電力業者としては重油の価格と石炭の価格とをしょっちゅう比較するだろう、その場合に四%に見合う分を払い戻しますね。その安い方の価格で石炭と比較するのか、あるいは原油関税がフルにとられたもので比較するのかと聞きましたら、もちろん安い方と石炭と比較するのだ、こういうようなことで、大臣のただいまのお話とはまるで逆な方向に電力業界は向いておるということをちょっと指摘してこの点は終わります。
もう私の質問は終わりの方でございますが、もう一点大臣にお尋ねしたいのでございます。ソ連石油に対する御方針は前に伺いました。日ソ石油のバランスということを考えて参るんだというお話でございます。これはさっきから私の主張をお聞き取り願わなかったわけでございますが、石油業界の安定、特に価格的な安定という点から見ますと、やはりソ連石油というのはさしあたり市場を乱さぬとしても、乱し得る可能性の非常に大きな時限爆弾のような要素を備えたものであるということは言えると思うのでございますね。もう一つは、これはもう御承知の通り、相手方の、つまりソ連側の都合次第で数量、価格ともにどうにでも動くという、非常に政治性の激しい商売である。こういう点から見まして、私はソ連石油については、その依存度があまり大きくなることは望ましくないと思う。その点は通産省が学識経験者としておられる方々の意見の中にもあるわけなんでありますが、かりに望ましくないとしても、目下のところでは有効な規制措置がないようでございますけれども、考え方としては、やはりどうも貿易のバランスというだけでは不十分なので、あまり貿易の依存度が大きくなって一割五分にも二割にもなるということは、どうも望ましくないように思うのでありますが、いかがでありますか。
〔早稻田商工委員長退席、有田石炭対策特別委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/58
-
059・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 いろいろソ連油についての御議論がおありのようでございます。しかし、私はすなおに見たらいいのではないかと思います。すなおに見るということはどういうことか。ただいま日ソ間の貿易、これも拡大方向をたどっております。しかもこれが基本的に私どもは日ソ間で貿易のバランスがとれるように、こういう建前から必要な品物を輸入しておるわけでございます。その中で石油の占むる割合、あるいは木材なり石炭なり、その他のものがどういうふうに占むるか、これはそのつど交渉してきめるということが望ましいのではないか。今日の状況で、それじゃそれを非常にふやしたら一体どうなるか、これはバランスが実はとれません。これは当分とれっこない、これははっきり申し上げます。そういうことを考えますと、今御懸念になるような一割五分にも二割にもなるという事態にはなかなかならない、こういうように思います。これをあえて押えるというような特別な措置から生ずる結果ではございません。また輸送の力自体から見ましても、貿易の力、日本へ送り出す力等から見ましても、おのずから限度が実はあると思います、また日本国内において製油をしておりますもの等も限られたような今日の状況で、これまた限度がある。だから今からソ連原油は非常に危険性があるのだ、これは将来永続的な供給がないんだというようなことを心配することは、これは私実態を少し無視したものではないか、かように思います。
もう一つの一面でしばしば誤解を受けるものに、ソ連原油は安いのだ——なるほど現在は非常に安うございます、しかしながら、ソ連原油がそれじゃ至るところに対して安く供給されておるか。かように申しますると、ソ連原油が独占しておる市場においては高い。この事実を忘れては相ならないのでございます、現にソ連の東欧衛星諸国というか、その衛星圏に売っておるものは、日本に売っておるものよりもさらに高い、この事実だけはお互いにはっきり認識しておかなければならない。今日の競争の状態のもとにおいては確かに安いのであります。だからその点は当方はソ連原油を毛ぎらいすることなく、実態を十分見て、そして役立つものは当方に役立たす、これがいわゆるすなおな見方じゃないかと思います。
これは少し余談になりますが、ただいまの東欧の諸国へ売っておるものが高いという点で、私、ソ連の大使にはっきり言ったことがあるのです。おれの方は自由主義国の圏内の国であるので、大へんしあわせなんだ、もしもおれの方が共産圏だったら、東欧の衛星国へ売ったように高い油を売るだろうけれども、おれの方は幸いにして安いんだ、そういって実は笑ったことがございます。そういうような実情にあることもやっぱり考えなければならぬ。そうして、独占された暁においては、一つの問題が起こるのだ。そういう問題が一つあるということをよく念頭に刻み込んでおかないと、扱い方が間違ってくるのではないか、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/59
-
060・始関伊平
○始関委員 大臣に対する質問を終わりまして、鉱山局長にちょっと二点お尋ねをしたいのでありますが、一つは石油政策に対する学識経験者の意見、あなたの意見ではなくて、学識経験者の意見です。通産省が学識経験者として認めておられる方々の意見だから、あなたも御存じだろうと思いますが、三の(2)「なお、この際、石油の関税収入をエネルギー対策に使用すべきであるとの前回提出した意見をもあわせて考慮すべきである。」こういうことが書いてありますね。私は学識経験者の意見というのは、総合エネルギー的感覚が非常に欠如していると思うのです。石油の関税収入ということをここで言うておるのですが、この関税収入というのはどういう種類の関税収入を予想しておるのか。私のような価格差を埋める意味の関税収入なのか、どういうことなのか説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/60
-
061・川出千速
○川出政府委員 学識経験者の自由な懇談の席の発言の模様を私も聞いておったわけでございますが、ここに書いてあります趣旨は、今度の六%を一〇%にする、つまり三百二十円を五百十円に引き上げた分についての収入という意味ではなくて、多数の方々の意見は、本来原油の関税というものは低い方がいい、ゼロでもいいんだ、それを暫定的に一割に上げておるのだ、いろいろな必要があって上げておるのだ、こういう考えのもとに立って関税収入の全部をエネルギー対策に使うべきではないかという趣旨であったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/61
-
062・始関伊平
○始関委員 ここに書いてありますのは、今後さらに石油の関税を引き上げることがあるかもしれない、そういう予想のもとに書かれているのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/62
-
063・川出千速
○川出政府委員 この議論をしておりますときには、まだ六%の暫定を一〇%の基本関税に直すという方針がはっきりしていなかったときではなかったかと思うのですが、そういうものも含めて関税収入は総合エネルギー的な対策に使うべきであるという趣旨であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/63
-
064・江上竜彦
○江上説明員 エネルギーに関する学識経験者の懇談会の幹事をしております立場においてちょっと御説明申し上げます。
この石油政策に関する学識経験者の中間報告が出ます前に、実は石油関税に関する中間報告といいますか、文章としてはわれわれが整理したのでございますけれども、結論が出まして、それが今度の関税の変更になったわけであります。
それで、その際の答申の趣旨は、石油の関税というのは、本来、特に原油については安ければ安いほどいいんだ、無税であることが理想なのである——石油製品の関税は別です。しかしながら、今の石炭対策の要請から見て、この際、暫定的に現在の六%の暫定税率というものを基本税率まで戻すことが当面としては必要であろう。その際にいろいろな条件をつけたわけでございますが、その条件といたしましては、そういった石炭対策並びにエネルギー対策のために本来は無税であるべき原油関税を一〇%にするのであるから、石油による関税収入というものはエネルギー対策にあげて使用すべきである。あげてと申し上げます意味は、単に今度六%から一〇%に上がった四%分だけではなくて、根っこから使用すべきである。エネルギー対策にという意味は、石炭対策はもちろん重要な問題でございますけれども、石炭対策だけではなくて、エネルギー対策全体として使用すべきであるということでございまして、従って、今後さらに上げるという考えはこの中には全然含まれておらない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/64
-
065・始関伊平
○始関委員 森政務次官にもう一つ伺いますが、先だってからこの議会で長谷、中川両君から、エネルギーの安定供給という見地から、原油について何か貯油義務を課すべしという議論が非常に強く主張されております。これは外国でもある程度やっておるようですが、日本では貯油義務を課するということは言うべくしてなかなか実行困難であると思います。ただし、エネルギー源を原油という形で貯蔵するのは非常に困難ですが、これをウラニウムという形でなら貯蔵するのは比較的容易だと思います。だから、その意味で、ウラン鉱を外国から輸入した場合についても、これは貯蔵がきくという意味では、国内にあるエネルギー源と同じような役割を持っておる。私はそういう意味で、諸外国、特にエネルギーの安定供給について非常に神経を使っておるイギリスあたりでは、原子力発電等も非常に一生懸命やっておると思いますが、日本の現状では、原子力発電というものについてはきわめて消極的で、かつ不熱心であるように見受けるのであります。これは通産省所管ではありませんが、ちょっと御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/65
-
066・森清
○森(清)政府委員 私はまことに不勉強でございまして、その点はよく研究はしておりませんが、ただ私が聞いております範囲内を参考にして意見を申し上げますならば、確かに日本の現状は、原子力発電については積極的な研究なり施策なりを講じてないと思います。従って、今日私どもはその問題について大きな関心を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/66
-
067・樋詰誠明
○樋詰政府委員 原子力発電につきましては、先生御承知だと思いますが、今後十年間、四十五年までに約百万キロワットを試験的に開発する、その次の十年間に六百五十万ないし八百五十万程度を開発するということになっておりますが、貯蔵ということになりますれば、確かに石炭の三百万分の一の量でいいわけでございますので、そういう万一の場合というようなことを考えました場合には、将来原子力が相当電力その他のエネルギー源として安全に活用されるというような時代になりましたときには、それはお説の通り、原子力燃料の貯蔵というようなことは真剣に考えてみる必要があるのではないかと思います。そうすれば、相当長期間、かりに海外からのあれがとだえるというようなことがありましても、打撃は非常に少なくて済むのではないかと思っております。この点につきましては、十年間くらいはまだ試験段階でございますので、その間ゆっくり一つ研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/67
-
068・始関伊平
○始関委員 どうも政務次官も公益事業局長も原子力発電についてはきわめて冷淡であるということがわかりました。遺憾の意を表明しておきます。
〔有田石炭対策特別委員長退席、中村(幸)商工委員長代理着席〕
最後に公益事業局長に、これはいささか陳情的質問のきらいがあるのですけれども、伺って、それで終わりますが、附則の第二条の経過的規定に関連する問題なんですが、本文の第二条の定義の中に、石油製品の中に潤滑油を含まない理由はいかがでありますか。なお、潤滑油業者の中には、原油の入手さえできれば、法律にいう石油製品の製造が可能となるものもあるというふうに聞いております。つまり今は原油の輸入が自由でございませんね。ですから潤滑油だけ作っておりますが、原油の輸入が自由になれば、現存の設備だけで、当然他の、ここに指定してある石油製品を製造することができる者がある、こういうふうに聞いておりますが、どういうふうにこれを処置されるかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/68
-
069・川出千速
○川出政府委員 潤滑油の製造業につきましては、第二条の定義の「石油製品」に入れておりませんものですから、業法の対象外になるということでございます。潤滑油業者が将来燃料油の生産をする、従って、この法律の適用になる場合があるかもしれませんが、その場合には潤滑油業者の立場をよく考えまして、運用の面において十分その立場を考えていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/69
-
070・中村幸八
○中村(幸)委員長代理 次は岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/70
-
071・岡田利春
○岡田(利)委員 大臣がおりませんし、時間もありませんから、ごく要点を御質問申し上げたいと思うわけです。
私は、まず、今回政府から提案された石油業法を出すに至ったその背景といいますか、そういう問題についてまずお伺いしたいと思うわけです。私は、やはりこの石油業法を出す背景として、石油は、これはもう世界の商品でありますから、そういう国際的な関係を十分考慮して、この石油業法というものをやはり考えられたと思うわけです。そこで、まず基本的に最も大事なのは、そういう国際的な石油資本、こういう動向なり現状の認識は、政府あるいは通産省として一体どういう認識をしているかということも、やはり基本的に問題ではないかと思うのです。そういう点について、大臣がおりませんから、担当者から見解をまず承りたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/71
-
072・川出千速
○川出政府委員 現在わが国の原油は、九八%強を輸入に依存をいたしております。この率は今後ふえる方向ではないかと思っておるわけでございます。その意味で、海外の石油資源に依存する度合いというものは強いわけでございますが、現在、海外の石油の資源の開発、販売等は、いわゆる国際石油資本、七つの大きな石油会社がございますけれども、それの過半の支配下にあるわけでございます。やはりこのような国際石油資本、従来もそうでありましたけれども、協調関係をまず基本にしなければならぬ、この点は重要なことだと思います。しかし、わが国の石油の消費は、世界でも一番伸びが早いといわれておりまして、最近、戦後十数年の間に、石油の事情も徐々に変わって参りました。売り込み競争が激しくなってきておる。世界的な原油の過剰傾向も反映しておるわけでございます。そういうことになりますと、協調ということを基本にしながら、わが国の石油行政もまた、国家的見地に立って弾力的に運用をしていかなければならないと思います。しかも自由化ということになりますと、今まで外貨割当制度によっていろいろな行政措置なり保護措置なりをやって参りましたが、そういう障壁がなくなるわけでございますので、そういう背景をもとにして、必要最小限度の法的措置をとる必要があるということが、立法の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/72
-
073・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、特にその国際的な背景として実はお聞きしたいのは、一昨年十一月四日、アメリカにおいて、いわゆるアメリカの独禁法違反の件で、スタンダード・ニュージャーシー、ソコニー・モービルあるいはスタンダード・カリフォルニア、テキサコ、ガルフ、この五つの会社が法廷で係争して、その結果、スタンダード・ニュージャーシー、それからガルフが一応同意をして、これは係争をやめたわけです。そのことによって、わが国の石油市場でスタンバックも解体というものが進んで二つの会社ができ、これがおそらくわが国の精製会社である東燃の会社の分割と言いますか、そういう方向にまで発展するのではなかろうか、こう実は言われておるわけであります。従って、この残っておる三社については、今日まだこの問題の根本的な解決がされていないと私は理解しておるわけなんですが、そういう面から見て、いわゆる世界の七大会社といわれる大石油資本が現在国際的に見てそれぞれの市場において協調しつつ支配をしておる、私はこういう見方をするわけです。ですから、こういう国際石油資本の動向に対する基本的な認識ということが、やはりこれからの油に対する政策を進めていく場合に最も大事なポイントではなかろうか、このようにまず思うわけです。政府は、そういう点についてのどういう統一的な認識、見解を持っておるのか、この石油業法を出す上にあたっては、少なくともそういう点について十分検討され、認識を統一しておるのではなかろうか、このように私は考えるわけなんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/73
-
074・川出千速
○川出政府委員 ただいま申し上げましたように、国際協調を基本といたしますけれども、国際石油資本の力もこれは相当の力を持っております。また、最近、新しい業者の進出も目立っておるし、あるいはソ連の石油の自由市場への進出も目立っているというような、いろいろな新しい現象もあるわけでございます。ただいま御指摘のような点は当然念頭に置きつつ、またその他の新しい要素も加味しながら、日本の国の石油の行政を一段新しい方向に持っていきたいというような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/74
-
075・岡田利春
○岡田(利)委員 端的にお聞きしますけれども、いわゆるソビエト石油の問題やあるいは今度問題になっているアラビア石油、こういう新しい動きなり、あるいはまた、それ以外の動きも若干出ておるわけですけれども、認識の問題として、今日、国際石油カルテルと一般にいわれているそういうものを一体認めておるのか、そういうものをあるという前提に立って物事を考えられておるのか、この点はいかがでしょうか。これは端的に質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/75
-
076・川出千速
○川出政府委員 国際石油カルテルという言葉は、人によっていろいろに使われておりまして、一般的には、最近は、いわゆる巨大な国際石油資本の代名詞のように使われている場合が多いかと思います。しかし、これは法的概念として、拘束力を持つカルテルがあるかないかという点になりますと、これはなかなか実証がないそうでございます。私もよく勉強しているわけじゃございませんが、いろいろな説があって、どうもわからないということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/76
-
077・岡田利春
○岡田(利)委員 しかしながら、従来いわれている七社といいますか、大石油資本というものは、国際的にずっと市場を検討していきますと、協調しつつそういう自分の市場の支配というものが行なわれている。少なくとも相反発、相競争し、骨肉を分けて、とにかく凄惨な競争をしているとまでは、国際的にいいますといかぬわけですね。そういう理解に立つのが正しいのじゃないか、こういう理解を私は持っているわけです。そういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/77
-
078・川出千速
○川出政府委員 その辺もよく私はわからないわけですが、国際石油資本の相互でも相当激しい競争があることは、これは日本の市場に殺到してくる場合の状況でもわかるかと思いますが、さらに、その背後で、国際石油資本の間で、いろいろな話し合いをして、共同行為をやっているかどうかということになると、わからない、それを実証するものがないというのが一般的な説ではないかと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/78
-
079・岡田利春
○岡田(利)委員 現在、欧米の石油資本あるいは石油産業に関連のある多くの人々の間では、こういうことが言われておるわけです。それは、第一点として、マルコポーロの東方見聞録ではありませんけれども、黄金の国日本は、今日われわれ石油資本にとっては黄金の市場である、こういうことが大体定説のようにいわれておる、こう私は聞いておるわけです。それから第二の問題としては、アラビア石油は、これは海外石油資源開発の面から考えると、非常に異常な偉大な成果であって、非常に成績がよ過ぎる。こういう点でこれはちょっと今までの開発から見ても非常に飛び抜けておる。一油井当たりの噴油量から見ても、すばらしいものである。このことが今日世界の石油資本から見て、あるいは石油市場から見て、非常に大きな脅威になっておるというか、相当なセンセーションを巻き起こしておる。この点についての認識は大体同一ではないか、こう私は理解するわけです。それから第三の問題は、日本の場合は、石油については黄金の市場であるけれども、特にそのうち最も石油を使う産業は電気産業であるわけです。おそらく昭和四十五年度には、石炭換算で七千五百万トンくらいになりますか、そのくらいの量を使うおけです。これはおそらくその時点における輸入量の五〇%に当たるわけです。従って、特にそのうちでも日本の電力産業をまずねらえというのが、これまたどうも世界中どこでもささやかれておる言葉である。こういうことを実は私は聞いておるわけです。そういたしますと、日本の場合には、世界の石油市場から見て、とにかくものすごく石油の需要量というものは急速なテンポで伸びている。それだけに、日本の場合には、もっと特殊な条件の中に立たされておるという工合に私は考えるわけです。そういう認識に立つ場合に、この石油産業の秩序に関しては、そういう点から考えても、単に石油だけを考えて政策を確立する、政策を進めるということも非常に問題があるのではないか、こういうように私は理解するわけです。そういう面から意見を述べたわけですが、これは国内的にエネルギー産業別に検討しても、そういうことになるわけです。従って、これに対処していくものとして、今回こういう石油業法を政府は提案したわけなんですが、しかし、これだけで十分やり得るという判断を持っておるのか、少なくともそういう国際的な面あるいは国内的な面から考えていくと、この石油業法自体が、何か一歩も二歩も後退したような形で提案されているのではなかろうか、まだまだ欠けている面がある、こう理解するわけです。ですから石油業法を提案するにあたって、これによってこれから日本の石油産業について、政府はこの方針で政策を進めていくという考え方なのか、これを土台にしてさらに積み重ねて、これからの石油産業に対する政策をより具体的に確実なものにしていくという考え方なのか、どういうお気持でこれを出されたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/79
-
080・川出千速
○川出政府委員 なかなか政策問題として重要な問題でございますが、石油業の一種の統制法規でございまして、事業許可制、設備許可制、あるいは事業計画に対する変更の勧告、これは常時やるわけではございませんで、その他標準額の告示、これも常時ではございません。そういうようないろいろないわば統制色のある立法でございまして、自由主義経済のもとにおいてはいろいろな批判もあるかと思います。そういうことを総合的に考えまして、政府の提案は必要最小限度のものとして、この法案に盛られておるいろいろな条項を弾力的に活用して、できるだけ今御指摘になりましたようなむずかしい問題に対処したいというのが、われわれの考えでございます。
総合エネルギー的な問題ということがあると思うのでございますが、この石油業法について、総合エネルギー的な見地が全然ないかと申しますと、これは提案理由のときにも大臣から申し上げたわけでございますけれども、この石油業法の運営の大黒柱である石油の供給計画、五カ年の長期見通しを毎年立てていくわけでございまして、その際に石油の立場からだけでなくて、他の動力源なりエネルギー源というものの需給状況をも十分に勘案をして定めるという条項を一つ設けております。その辺のところで、不十分であるかもしれませんけれども、総合的な問題も十分審議をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/80
-
081・岡田利春
○岡田(利)委員 これは企業局の方に聞いた方がよいかと思いますが、いろいろ石油政策については、その機能なり、あるいはまた政策なりが、ヨーロッパの諸国によってそれぞれ違いがありますが、もちろん自国の石炭産業を国有国営にしておるところもあり、イギリスのように、電気まで国有国営の場合もある、そういう点でずいぶん違いがあるのでありますが、やはり今の資本主義の国でとっておる政策というものは、一般論からいって、大体国際石油資本とある程度協調しつつ反発しておるといいますか、反発しつつ協調し、協調しつつ反発しておる、こういうような関係だと思います。内容はそれぞれ各国によって違いますが、大体そういうことではないかと思います。そうしますと、この石油業法をずっと読んでみますと、今何かものすごく国際石油資本に反発して作ってある法律だ、世上こう言う人が非常に多いわけでありますが、しかし、どうもずいぶん抜けておるわけですよ。だから反発するにしても、ずいぶん抜けた反発の仕方をしておるというように実は理解しておる。もちろん出発としていろいろな事情からこういう法律案に私はなったと思います。しかし、長期的にこれから日本がエネルギーで一〇%も伸びていく、そのうち油がものすごく大宗を占める、将来半分を占めるということになって参りますと、やはり石油産業に対する政策というものは、急速に完成しなければならぬのではないかと思います。これを出しておいて、三年か五年たって、そのうちに何とか考えようというものではないと思います。まして原油の自由化というものを目前に控えておるわけでありますから、そういう面では、政府としてのこの石油に対する政策は、今石油製品の自由化は日程に上っておりませんが、当然日程に上ってくるわけでありますから、そういう面を含めると、まだまだこれらの政策を早急に確立しなければならぬし、そのための立法措置も急速に確立しなければならぬではないか。でなければ政府がこの石油業法を提案するにあたって、ずいぶん不十分ではないかと思います。一方においては、エネルギー小委員会あるいは所得倍増計画に基づくエネルギーの供給見通しがあるわけでありますから、これは内容を読むと不十分ですが、一応はあるわけでありますから、そういう点はもう少しはっきりした見解というものがあるのではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/81
-
082・江上竜彦
○江上説明員 ただいま岡田先生がおっしゃいました通り、ヨーロッパ各国ともそれぞれやり方は違いますが、石油を全く自由放任にしておる国はございません。それで今回石油業法を提案いたしましたのも、欧州諸国調査団を通産省が出しまして、欧州各国の状況をつぶさに見ていただいた結果、こういうものがどうしても必要であるということで通産省の政策として出したわけでございます。これでは不十分ではないかという御批判でございますけれども、ヨーロッパの各国を見ましても、法律によって非常に厳重に規制している国、たとえばフランスのような国がございます。イタリアのように、石油業法というものはありましても、その運用はきわめてゆるやかにしている。これは日本の今回の石油業法よりさらにゆるやかであろうか——これは私どもそのもとの法律を読んでおりませんので、詳細は存じませんけれども、調査団の報告によりますと非常にゆるやかだ。しかし、一方においてENIというような公団ができております。またイギリスのように全然法律のない国もあります。それで国家資本というものが三大石油資本のうちの二つに入る、それによって事実上、政府とうらはらになって、そういうものを通じて石油をコントロールしていく、こういう国もある。それからドイツのように、そういったものもほとんどなくて、たまたま石炭資本が非常に力が強い、それが石油にも進出しておる、そういったいわゆる国策会社ではないけれども、民族系の資本が非常に強いために、やはり石油の市場の一定割合というものを国の影響下に事実上置いておる、こういうふうに規制の態様なり程度は、それぞれ違うわけであります。日本の場合は、従来外貨割当という制度で石油に対する国家意思を反映さして参ったわけでございますが、現在の日本の石油業界というのは、先ほどから御質問がありましたように、いろいろ問題はありますけれども、やはり業界の自主的な規制能力と申しますか、自主的な事業活動というものが、それほど良識のない状態においては行なわれないだろうという期待をわれわれは持っておるわけであります。従って、業界としても石油業法は時限立法でいい、われわれの良識であとはやっていけるんだ、こういうような意見がありますので、政府といたしましては、そういった各国の事情、それから日本の現状というものをそう悲観的には考えておらない。この程度の石油業法である程度の秩序づけというものができるのではなかろうか、こういうふうな考え方から、こういった形で石油業法案を提案申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/82
-
083・岡田利春
○岡田(利)委員 説明は納得できませんけれども、あまり聞いてもいけないようですから、次に進みますが、わが国の油の消費というものは、非常に重質化しているわけです。その最大の理由は、昭和四十五年度には油の半分は電力でたく、こういうことですから、極端に重質化する傾向にある。ですから所得倍増計画を見ましても、原油の輸入に対して石油製品の輸入、これはほとんど重油が占めると私は思うのですが、これが昭和四十五年度には国内産原油の五倍くらいの量を実は輸入するわけですね。そういう計画になっておるわけです。大体量でいいますと、製品輸入だけで六百八十五万一千キロリットルの石油製品を輸入する、こういう計画になっておるわけです。これはおそらくはとんど重油でしょう。そうしますと、今日の国際的な石油市場なり供給から見て、原油の供給については別にして、石油製品のうちの重油の供給、しかも長期的な安定的供給ということについては、私はずいぶん疑問があると思うのですよ。今相当安定的に供給でき得る国は、カナダかあるいはイランにおける製油所がありますから、この面からは相当期待ができるけれども、これ以外は重油の長期安定的供給というものが期待でき得る条件は、私は今日国際的にないと思うのです。こういう点について考えてみますと、この法律では、石油製品については輸入業者にゆだねられるわけです。ですから、これはあまり強い規制もないわけです。しかし、わが国のそういう油の消費の傾向からいって、重油の長期的な、しかも最も安定的な供給体制がなければいかぬわけなんですね。そういう傾向から見て、どうも輸入業者について、販売についてもただ単に届出をすればいい、こういうものの考え方は、これからの政策の見通しについて、私は誤っているのではないかという見解を持っているのですが、そういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/83
-
084・川出千速
○川出政府委員 石油製品の輸入の見通しでございますけれども、これは長期見通しではそうふえないと思います。消費地精製主義、これは各国が戦後採用している一つの原則でございますが、わが国においても、原油を輸入して、そうしてガソリンなり灯・軽油なり重油を作る、その場合に不足するものを輸入するわけでございますが、現在の需要構造から見ますと、日本のガソリンの伸びというのは、これは道路その他の関係もございますが、ほかの国に比べると、それほど激しく伸びるわけではないのであります。従って、重油分の需要が多いわけでございます。そこで適度のバランスがとれるのではないかと思います。将来石油製品としての輸入、つまり重油が非常にふえていくという見通しは、実は、あまり立てていないわけでございます。
それから、石油製品の自由化は、これは先ほど御指摘がございましたように、当分の間見送ることにしております。
それからかりに将来自由化をするとしても、その際は、関税の問題を十分検討した上でなければいけない。現在のままの重油関税、軽油関税でいいかということは、今回の石油関税のときには議論をしていないわけでございます。将来に残してある問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/84
-
085・始関伊平
○始関委員 関連してちょっと伺いますが、今のお話は、例の学識経験者の答申の中にありますが、重油の輸入については関税の問題を考慮すべし、これは石油の中だけを考えた一種の総合政策ですが、しかし、エネルギーは相互に関連がある。ですから、重油について考えるとすれば、原油そのものについても考えなければならぬ。これでは全く片手落ちです。しかもこれは学識経験者としてあなたの方があがめ奉っている人の議論ですから、あなたに質問してもしようがありませんが、石油の方で総合的に考えていこうというのですけれども、エネルギー全体としてはそういう考え方が全然ない。しかし、やはりそういうものを考えるとすれば、原油関税なり、あるいは先ほどから意見が対立したままでしたが、バランスの問題が出ておりますが、その辺の関係は、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/85
-
086・川出千速
○川出政府委員 やはり石油製品の価格の体系というものがございまして、最近は日本の重油も過当競争の結果、下がっておりますが、元来日本はガソリン安の重油高、外国はガソリン高の重油安というのが価格の体系ではないか。最近は、それがいろいろほかの事情でゆがめられたような格好になっておりますけれども、基本的にはそういう傾向にあるのではないかと考えるわけであります。従って、これは先生に対する答弁にはならぬかもしれませんが、製品の自由化ないし関税の問題については、これは石油精製業の立場からだけというわけじゃないかもしれませんが、検討しなければならない問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/86
-
087・江上竜彦
○江上説明員 鉱山局長の説明を補足して申し上げます。
始関先生の御質問は、エネルギー懇談会の学識経験者の意見として、原油と製品との関税を、原油と石炭とについても考えるべきではないか、原油の関税についてももっと考えるべきじゃなかろうか、こういう御意見だと思います。ところが、実は石油政策に関する学識経験者の中間報告の前に、石炭政策に関する中間報告というのが昨年の八月三十一日に出されているわけでございます。そこにその関連について実は書いてあるわけであります。石油政策に関する中間報告では、原油と製品のことしか書いておりませんが、この中間報告は、例の産炭地発電、揚地発電を中心にした石炭政策に関する中間報告でございますが、この考え方は、エネルギーというのは一方において安いということが絶対に必要である、しかしながら、安いだけではいけないので、同時に安定供給という面を考えなければいけない。そうすれば、石炭産業というものをあまり小さくするということは、エネルギー対策としてもよくない。従って、五千五百万トン規模は維持すべきである。ところが消費者の自由選択にまかせれば非常に大きな過剰炭が出てくる。この過剰炭は、一つ電力業界が公益事業であり、しかも電力自体の観点から見ても、安定供給という面が必要であるから、電力業界は無理しても石炭を引き取るべきである。そのためには産炭地発電ないし揚地発電をこの際採用すべきであるということが骨子になっておるわけでございますが、その際に、石炭については多少経済性から見て石油より高くても引き取らせるのであるから、同時に重油についてはその値段を上げることは得策でない。従って、ちょっと読み上げますと、その懇談会の中間報告の五のところでございますが、「この場合石炭発電によるコストの上昇をカバーするため、他方において石油関税、重油消費税など電力用重油の価格を高くする措置は、原則として避けることが望ましい。」従って先ほど大臣が答弁されましたように、一方において高い石炭を買わせる、そのかわり重油も上げるということじゃ、これは往復びんたになる。従って、重油の値段というのはできるだけ安くして、電力会社においてそれをプールさせる、こういう思想が骨子になっておるわけでございまして、その間に石炭と石油との相互性がないというようには、われわれとしては考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/87
-
088・始関伊平
○始関委員 あなたの説明納得いたしませんが、しかし、いいです。
ただ、公益事業局長に伺いますが、かりに百歩を譲って、消費者としての電力業者のところへ石炭と重油をプールするとしても、今のように窮屈な電力料金じゃとてもできないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/88
-
089・樋詰誠明
○樋詰政府委員 私先ほど先生の御質問のときに申し上げるべきだったと思いますが、おっしゃる通りだと思います。私先ほど行政指導あるいは資金の融通その他でできるだけめんどうを見ていきたいということを申しました。御承知だと思いますが、現在この四月から九%に下がりましたけれども、今まで一割の電気ガス税というものがかかっていたわけであります。そこで石炭で問題になりますのは、九州、北海道という産炭地は比較的楽でございますが、東京、名古屋、関西といった中央三社並びに四国、中国、これは非常に近いところだから大したことはないわけですが、それらのところで今後はたして石炭を十分とってくれるかどうかということが問題になるわけであります。大体昭和四十年ごろ二千三百万トン引き取ろうといったような計画で参りますと、この中央の関係の五社で千三百万トン程度の石炭を消費するということになっております。ところが千二百円引きでは、実は六千円の重油に比べましてカロリー当たり十八銭くらい、トンにして約千円割高であります。そこで千三百万トンの炭を千円割高で買えば百三十億だけコストが上がるという格好になるわけであります。ところが御承知のように電力の需用が非常に伸びておりまして、昭和四十年ごろの五社の電力料金は多分七千五百億から八千億近くになるのではないか。従いましてその九%といたしますと、七百億程度の電気ガス税が取られるわけであります。もっとも現在三割弱のものが産業用の重要産業非課税になっておりますので、七百億でなしに五百億くらいにあるいはなるかと思いますが、いずれにいたしましても、五百億の電気ガス税が消費者から取られていく。ところが一方石炭を使うことによって割高だということからくるコスト・アップは二%弱で百三十億くらい。そこでもし通産省が年来主張しておりましたような電気ガス税というような悪税をやめることができますれば、消費者に対してはむしろ値引きしながら、実際には負担を下げながら、しかも石炭が確実に二千三百万トンなりあるいは二千五百万トンなりを取ってもらっても、電気会社には現在以上に経理上の圧迫を加えることにはならないということができるわけでありますから、これはわれわれ通産省の念願といたしまして、何とか早く電気ガス税をやめていただきたいということを、政府部内で自治省とかけ合がってことし一%だけ下がったわけであります。今後さらにこの方面の努力を役所全体として続けていくということで、今のようなことになりますれば、実質的には消費者の負担を下げながら今非常に心配しておられる石炭の消費というものは約束の数量を引き取る。しかも電力会社は非常な損をかけられることがなくて済むということになると思いますので、そういう点につきましても、われわれ一そう努力して、約束した数量だけは必ずお引き取りをするというように努力して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/89
-
090・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど質問したように、所得倍増計画によりますと、石油原油の場合は大体目標年次で三・九倍くらいの量を予定されておるわけであります。石油製品についても大体三・二倍くらいになるわけです。それだけ量がふえるわけであります。三倍以上になることは間違いがないわけですね。先ほど言ったように、大半の消費者は電力のわけです。昨年の暮れ問題になった、電力業界としては原油だきの構想を実は押し進めておるわけです。それは技術的に若干問題がある。あるいはサルファの多い原油だきということに問題がある。原油の性質による問題もあるでありましょう。しかし、この点について大体私の聞いておるところでは、技術的には解決できるということです。そこで、先ほど鉱山局長から答弁をいただいたわけですが、重油の輸入についての長期的な見通しについては非常に問題があると思うのです。そうなまやさしいことではないと思うのです。この点はだいぶ見解が違うのではないかと思います。それぞれの精製設備が将来大きく拡大されても、長期的に安定的に重油を輸入するということになると、現時点ではそうなまやさしい問題ではないというふうに私は理解するわけです。そういう面から考えて、電力がいわゆる原油のなまだきをするということは、もちろん今は許可しないでありましょうけれども、そういう構想がこれからの政策の中にひそんでおるのではないか、むしろある時点に来ると、原油のなまだきについては踏み切るというような考え方が通産省内部にあるのではないか、そういうことを包蔵して政策をこれから進めていくという考え方に立っておるのではないか、こう私は考えるわけです。この点について公益事業局長から聞いた方がいいと思うのですが、重油の輸入の問題、原油のなまだきの問題、これら重質化していくわが国の油の事情から見てどういう見通しを持っておるか、この点についてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/90
-
091・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま電力としては、石油業界、それと大学の先生にお願いいたしまして、原油のなまだきをした場合、はたして技術的に不安はないかというその危険性の試験をしていただいております。これで危険はないということになりますれば、われわれといたしましては、それが電力にとって経済的であるということであれば、これは先ほど企業局の江上参事官から申し上げましたが、ある程度高い燃料と安い燃料と抱き合わせて、全体的なエネルギー・コストを下げるという点にも役立つのではないかということで、それがもし技術的に大丈夫で、経済的にもほんとうに望ましいということであれば、これは当然認めるべきだと思っております。これにつきましては、全体的なエネルギーの政策の総合的な観点から判断していただいて、大きな見地で大綱、方針をきめていただいた上でやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/91
-
092・岡田利春
○岡田(利)委員 それぞれ局は所管が違うから、希望と期待というものがまじって答弁がされておるように私は理解するわけなんです。しかし、少なくともそういう問題については、ある程度の見通しがなくては、私はおかしいと思うのですよ。そういうような、今局長が言われたように、エネルギーに対する総合性ですね、こういうものがやはりないから特に問題になっておるし、エネルギー懇談会あたりで、そういう何か、どういう機関か私知りませんけれども、そういう懇談会で、エネルギー政策について答申をするという便法で、ワン・クッションを置いて、通産省がそれぞれそれをクッションにして調整をはかっていくとか、そういう便法措置を講じておるように思うのです。どうも通産省はエネルギーについては自信がない、そういう感じを私は実は強くするわけなんです。ところが、だれに聞いても、総合エネルギー政策の確立はどうしてもやらなければならぬし、早急にやらねばならぬ、こう言うわけです。それはもう少しあとでいいですよと言う人は、私はまだ会って聞いたことがないんですね。ところが政府はやらぬわけです。優秀な各局長クラスがどうしてもやらねばならぬと言ったら、これは大臣といえどもやらねばならぬと思うんですね。ところが各局長間で、エネルギー懇談会というものを省内で作り、あるいはまた別個にエネルギー懇談会を作っておる。今度は産業構造調査会のエネルギー部会にする、こういうような構想のようですが、これでも私は不十分だと思うのです。もちろん産業政策の中で、エネルギー政策というものは基本にはなるでしょう。しかし、今日エネルギー政策を進めていく場合には、やはりはっきりしたエネルギー総合政策を確立する方途と構想というものが私はなければならぬと思うのですね。これは局では企業局の所管だと思うのですが、一体そういろ点について、こういう石油業法を出して、石油業法を見ると、各エネルギー相互間の調整をやらぬで、これは供給計画は立ちませんよ。だからそういう工合に書いてある。むしろ私はそういう点については、並行的にエネルギー基本法なりあるいはエネルギー審議会なり、そういう総合性のある一つの権威ある機関というものがあって、それぞれ産業間に合うような理解ができるわけなんですね。一体どういう工合に考えておるのか、日本の通産省は、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/92
-
093・江上竜彦
○江上説明員 総合エネルギー政策についてのお尋ねでございますが、今まで個別に石炭対策、石油対策というように打ち出して参りましたけれども、やはり一貫した、総合的な立場からの対策を打ち出してきたつもりでございます。しかし、今後それを国民の前に明らかにする、総合エネルギー対策の基本的な方向というものを明らかにするということは、お説のように、今最も必要なことではなかろうか、かように考えておりますので、先ほど御指摘のありましたように、エネルギー審議会を作れというような御意見もございますけれども、そういう点も勘案いたしまして、目下のところ通産省としては、正式に法律に基づく機関としては、産業構造調査会、それにエネルギー部会というものがございまして、これは調査会という名前はついておりますけれども、通産政策の基本的な方向を打ち出すことを使命としたものでございますので、そういったものを活用すること、それからエネルギー審議会を作るのがいいかどうかということは研究中でございますけれども、何らかのそういった機構に諮りまして、総合エネルギー対策の基本的な方向というものを慎重に検討して、なるべく早い機会に発表いたしたい。その際にあわせてエネルギー基本法というものが必要であるかどうか、あるいは必要であるとするならば、どういう内容のものであるべきか、こういう点も検討いたしたいということで、目下準備をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/93
-
094・岡田利春
○岡田(利)委員 私はしかし、やる気がなければ、何年考えたらいいのか、何年慎重に検討したらいいのだろうか、こう思うのですよ。これはもう所得倍増計画を政府が出しておって、しかもその中にエネルギーのある程度の長期的な見通しを立てておって、その上にさらに何年も考え、何年も慎重にやってきたわけです。さらにそれ以上に慎重にせねばならぬという実は理由がわからぬわけです。この最大の問題点は何ですか。各エネルギーの価格の問題ですか。それ以外にありますか、お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/94
-
095・江上竜彦
○江上説明員 ただいま総合エネルギー対策という言葉では、まず各者みな一致しておるわけでございますけれども、それに見込まるべき内容になりますと、それぞれみな違ったことを考えておられるわけでございます。たとえば、石炭関係の方々の、労使含めて言われる総合エネルギー対策というものと、一般の経済界ですね、経団連あたりの考え、あるいは事業者たる電力業界等の考え、それぞれ、むしろ反対というような内容を含んでおる場合もあるかと思うのでございます。そういった諸般の事情を考えまして、各エネルギー間のバランスを考えて、総合エネルギー対策というものを多数の人々に納得してもらうような方向で考えたいということには、やはり相当慎重に検討する必要があろうと思うのです。ただし、それには何年間もということは、われわれ毛頭考えておりませんので、これは一日も早く打ち出す。従って、先ほどの、どの機関で検討するかは別としても、数カ月以内には方向を明らかにする、こういう方向で研究したい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/95
-
096・岡田利春
○岡田(利)委員 企業局次長はエネルギー担当で、エネルギーの専門家だと私は承っておるわけです。そこで、ではそのエネルギー政策の基本になる考え方を、ポイントをどこに置いて考えられておるのかをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/96
-
097・江上竜彦
○江上説明員 非常にむずかしい問題で、これは検討の結果を待って申し上げるべきかと思いますが、今まで通産省の政策を通じて一貫した考え方は、エネルギーの低廉なる供給というのが第一の要請でございます。それから第二の要請としては、低廉だけじゃいけないので、同時に安定的な供給、この二つの要請、それに付随して、安定的な供給に関連しまして、同時に社会問題ですね。雇用問題あるいは外貨節約問題、こういったものもそれにからんでくると思いますが、この二つの要請というものは、非常に仲よく協調する場合もあるけれども、時に背反する場合もある。この間の適正な調整をとりながら、安定と安価というものを同時に、その両方の要請にこたえていく、こういうところにエネルギー政策の基本的な方向を見出すべきじゃなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/97
-
098・岡田利春
○岡田(利)委員 私はやはりエネルギー政策の基本的な考え方というのは、エネルギーは基幹産業でありますから、産業活動のいわゆる源泉でもありますし、そのわが国のエネルギーの供給体というものは、まず完全な自立性がなければいかぬと思うのです。いわゆる他からの、他動的な支配を強く受けるということは、まず一番先に排除しなければならぬと思うのです。そういう点では、自立性という問題が基本的にまず考えられなければならぬと思うのです。それと同時に、自立性があっても、長期安定的な総合的な供給体制というものがなければいけません。そういう意味では、安定供給という点については、これは意見が一致すると思うのです。それから第三には、安いということと安定ということとは、なかなかこれはむずかしいわけですね。これを合理的に解決しなければならぬわけですよ。そうすると、各エネルギーの価格という問題を、私は積極的に取り上げなければならぬと思うのですね。これはあまりむずかしい問題であるから、これを積極的に解決するという意欲なり政策がない限り、なかなかエネルギーの基本政策というものはすっきりしたものにならぬと思うのです。それから第四には、何といっても、そういう基幹産業なんですから、やはり社会性というもの、公共性というものを十分考えて、これをむしろ強めていくのが世界の趨勢だ。資本主義諸国においてもそういう趨勢にあると思うのです。こういうことがやはり基本的な考え方でなければならぬではないか、このように実は私は考えておるわけです。しかしながら、今度の石油業法を見ますと、石油の供給計画というものは、それらの四つの問題について深くはないけれども、この供給計画を策定するという場合には、この四つの原則にいずれも触れておる問題なんです。そうしますと、石油供給計画を作り、この審議会で審議をする場合、今のそれぞれの審議会、石炭は石炭の審議会があり、石油は石油の審議会があり、電力についても開発審議会があり、それからエネルギー部会がある、通産省内にはエネルギー懇談会という各局長クラスのあれがある。どこが一体基本になってこれをやるかというふうになると、おそらく私は産業構造調査会のエネルギー部会だ、こうなると思うのです。そうであるならば、もう少し有機的に立法的に整備をして、少なくともそういう政策が確立されるまで、また政策を確立するためにも、そういう審議会というものはむしろ独立をさして、ぴちっと連関性を持たせ、省内でもそういう態勢でエネルギー政策を打ち出すことができるように、むしろ積極的にこれらの問題の解明をはかるべきではないか、こう私は思うのです。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/98
-
099・江上竜彦
○江上説明員 私は、エネルギー政策に関する審議会の問題と省内体制の問題と二つあると思います。省内体制といたしましては、現在局長クラスを委員にいたしますエネルギー対策協議会というものを作っておりまして、これの世話役は企業局がやるということになっております。私個人としては、今の態勢必ずしも一番適当と言えないので、省内行政機構の強化ということもできるだけやってもらいたい、こういうことを常に要望しておるわけであります。
それからもう一つ、これの審議機構といたしましては、先生御指摘の通り、石炭については臨時措置法に基づきまして、石炭鉱業審議会があります。それから石油につきましては、石油審議会がこの石油業法に基づいてできます。電気につきましては電源開発審議会のほかに、三十七年度から電気事業審議会というものを作ります。それらはそれぞれ法律に基づく独立の機関でございますけれども、総合エネルギー対策の検討にあたりましては、かりにそれをそういった審議機構として産業構造調査会が担当するということになりますれば、事実上それらの審議会というものを分科会のようにして使う。もちろんこれらの個々の審議会はそれぞれ独立の使命もございますから、全部その審議会が分科会のような活動に終始するというわけではございませんけれども、総合エネルギー政策に関する限り、それぞれの審議会というものは構造調査会エネルギー部会の分科会である、こういう性格のもとに運営して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/99
-
100・岡田利春
○岡田(利)委員 エネルギーの総合政策を進めるためにそういう立法措置を作り、強力な審議機関を作るということは、今日天の声であり、地の声であり、人の声だと思うのです。業界もあらゆる者がこのことを強く要望しておるわけです。その期待にこたえられない政府の力のなさといいますか、通産省の力のなさ、知恵がないのか非常に慨嘆にたえない、こう思うわけなんです。従って、そういう点でどうも石油業法の石油の審議会、石油の供給計画をずっと検討して参りますと、今言った構想で相補って進めるのでしょうけれども、そういった構想自体が過渡的なものである、こういう理解に立たざるを得ないと思うのです。そういう意味で私はこれを受けとめておきたいと思うのです。
そこで、総合エネルギー政策で問題になってくるのは、先ほど言ったように価格の問題だと思うのです。これをどう、いかにとらまえるかということが、これからのエネルギー政策の場合に一番骨幹になると思うのです。先ほど公益事業局長は電力問題についてはこうやると言ったが、もちろん当面電気産業は組織の再編成の問題と、料金体系の整備検討といいますか、このことが目下の急務になってきたと考えるわけです。一方において料金体系は原価主義をとっているけれども、さっぱり原価主義において貫かれているわけではないでしょう。しかも内容的に見ると、小口料金と大口料金との問題点が出てきておる。あるいはまた特殊料金があって、特にその方には料金的なサービスをわが国の産業構造の面からしておる。こういう矛盾も今の原価主義の中に相かかえているわけです。ですからこのことをまず根本的に検討しなければならぬ時期に来ていると思うのです。
一方石炭と油の関係では、石炭は油と競争できるのだというように今日見ている人は、わが国の場合にはないじゃないかと思うのです。ただそう言うと問題があるから言わぬだけであって、合理化の進行過程にあるし、炭価引き下げの過程にあるから、はっきり言うことを避けているということではないかと私は思う。しかし、長期の見通しとしては、もう石炭の価格と油の価格が競争できるという見通しは今日ないと思うのです。もちろん何か国際的に相当変動があった場合は別ですが、ノーマルな状態においてはそういう見解が一般的な見解ではないかと私は思うのです。そうすると油の価格と石炭の価格と電気の料金の問題、この三本の料金政策というか価格政策というか、このものを連関性を持たして強力な政策を進めるということができない限りにおいて、総合エネルギー政策は成り立たないと私は思うのです。こういう点について、特に価格政策の問題については、どういう検討をされてくるのか。油の価格については、著しく上がった場合と著しく下がった場合について、今度の石油業法では規定を実はいたしておるわけですが、その点についてはどういう見解を持っておるのか。少なくとも現時点においてどういう方向でこれらを調整していこうとするのか。今、ともかく単独立法されているそれぞれのものにまかしていくのだ、当分様子を見て、それから総合的なエネルギー政策、価格政策を考えるのか。そういう意味なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/100
-
101・江上竜彦
○江上説明員 エネルギーの価格の問題について、現在まで打ち出されている政策の底を流れます考え方は、大臣がたびたび言明しておられますように、これから日本の産業が貿易自由化を控えて国際競争力を強くするためには、一面において安価なエネルギーがどうしても必要である。従って、石炭についてストレートに、なまの経済性で石油に対抗できるまで値段を下げろということは無理であるけれども、石炭産業として努力のでき得る範囲内で極力価格を下げて経済性に近づける。それが現在政府の基本的な方針としております千二百円引きの線、従って千二百円引きの線までは、非常な困難はあるけれども、ぜひ石炭産業を合理化していく。しかし、千二百円引いたからといって石油と対抗できる値段には決してならないのであります。これはお説の通りであります。従って努力のぎりぎりの限度まで石炭の価格を下げてもらうけれども、それで石油とじかに裸で競争しろということは言わない。それについては今の五千五百万トン生産ベースを維持できるように、政府としても経済界としても一緒に協力して需要の確保をはかる、そういう方向へ努力して参る。一方石油につきましては、もちろん安価をエネルギーという意味で価格が下がることは望ましいけれども、これが先ほどから始関先生の言われましたように、自殺的競争で各社がみな採算割れになって、石油産業自体の体質を破壊するまでに下がることは決して好ましくない。従って、企業としてやっていける程度の範囲で、できるだけ安い石油価格というものを実現していくべきである。そのためにはやはり石油業法といったようなささえが必要である。それから石炭の合理化を進める上においても石油価格の安定ということが必要である。これが石油業法の一つのねらいになっているわけであります。石炭対策を直接意図してはおりませんが、結果的にはそういう役に立つ、こういうことであります。
それから電気事業につきましては、これは公益事業であり、政府が相当強力な法的な監督権を持っている関係上、そういったエネルギー政策の重要なにない手になってもらわなければならぬ。そのためには石炭というものはできるだけ安くさせるが、そうむちゃな無理はいってもらっては困る。石油についてはそう高くならぬように、これは価格を低位に安定させるということで、政府の方としても努力する。しかし、電気の料金につきましては、これはいろいろむずかしい問題でございますけれども、電気事業といえども私企業でございますから、電気事業が経営できないような料金に据え置くことは、やはり政府としてもすべきではないのじゃないか。そういう点からいっても、電気料金の問題もやはり慎重に検討を要する、こういうふうな考え方で現在進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/101
-
102・岡田利春
○岡田(利)委員 もちろん何でもかんでも慎重であることがいいでしょうけれども、そうゆうちょうなことも私は許されないと思うのです。私は特にエネルギー政策の基本になるのは、電気事業に対する政策がどうしても基本になると思うのです。そこで局長から伺っておきたいのですが、組織の再編成の問題はまず別にしても、電気料金についての根本的な改革といいますか、今電気料金の値上げについては、小口料金の値上げについては非常に抵抗が強いのです。これは物価がどんどん上がっているからです。もちろん小口の電力料金なり大口電力料金が上がることによって、その結果物価が上がる、こういうことはもちろんありますけれども、今日の製造工業部門のエネルギー・コストから見て、そう直接にはね上がるという工合に一般的に規定することは無理があるのです。もちろん特殊なものについては、そういう点があるでしょう。むしろそれよりも鉄鋼なんかの場合は、エネルギー・コストを問題にするならば、鋼材輸送なんかの流通関係を若干お互いに改めれば、むしろその方がぐっとコストが安くなると思うのです。そのように考えていくと、私は今の原価主義によって、小口電気料金、電灯料金が非常に割高になるということが解決されれば、伸びていく産業の状態から考えて、それは吸収可能ではないか。むしろ物価へのはね返りなんということをそう心配しなくてもいいのじゃないか。特殊な部門について重点的に考えれば、十分その点については解決できるという判断を私は持っておるわけです。ですから、今の原価主義を改めないで、電気料金の問題を問題にすることは、非常に大きな問題、抵抗があるでしょうけれども、そういう電気料金体系を根本的に検討して改善をするといった前提に立つ場合に、私はそう問題というものは起きないのではないか。そしてそのことを基点にしてエネルギーの価格政策というものを確立していく。そういう立場をとらない限り、なかなかこの問題は解決しないと思うのです。こういう点について検討を進めておるのか、その点についての見解があれば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/102
-
103・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま電気料金は、御承知のようにコスト主義になっております。これはコスト主義が全然貫かれておらないのじゃないかというお話でございますが、一応われわれといたしましては、コスト主義という建前をとる限り、たとえば大口電力が安く、小口が高いといいますのは、それぞれ電気を送る場合にたくさん送っても少なく送っても、ある程度固定費はかかるわけです。それからまたエネルギー多使用産業になりますと、一般産業の使わない深夜、むしろたまった水を流すといったようなときに使ってくれるといったようなこともございまして、一応大口は大口なりに安い理由があるわけでございます。しかし、これは今のままでいいかということになると、これは確かに問題点がございます。この国会で通していただきました先ほど江上さんから申しました電気事業審議会が近く発足することになると思いますが、その中でわれわれは、電気料金水準は日本産業全体から見ていかにあるべきか、それから電気料金の体系はどうあるべきかということが、さしあたりの一番大きな問題であろうというので、できるだけ早く検討してもらうというつもりでおります。
それから、各産業に対する影響でありますが、これは一般的に申しますと、輸出品に占める電気料金というものは確かにせいぜい二%程度ではないかと思われますが、しかしエネルギー多使用産業になりますと、たとえば電解電炉の製品なんかやはり三割以上占めるといったようなものもございまして、これは一がいに電気料金をある程度上げたからというので、その影響は一律に判断はできないと思っておりますが、われわれといたしましては、できるだけ合理的な全体の輸出競争力に支障がないように今後やっていきたい。
なお、生計費に占める割合は御承知だと思いますが、東京あたりでもせいぜい二%以下ということで、非常に少ないのでありますが、こういうものにつきましては、今後ともわれわれは低く押えるようにやってきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/103
-
104・岡田利春
○岡田(利)委員 時間がありませんから、あと一、二点質問して終わりますが、問題は非常にエネルギー政策がおくれておるということに、私はきわめて問題がずいぶん重なってきていると思うのです。それだけに総合的に解決しなければならない。こういう情勢に追い込まれてきておる。こう私は実は理解いたしておるわけであります。
そこでもう一つ特に伺っておきたいのは、石油の場合、昭和三十六年度の下期については、設備投資については一応一つの強力な行政指導もとっておられる。従って、昨年の実績を見ますと、大体精製については九〇%程度稼働しておるようです。そこでこれから石油業法ができて、さらに新規の許可という問題が出てくるわけです。しかしまた、九州石油というものは、会社がすでに設立されて認可が押えられておるわけですね。認可をしようとしていないのですが、今の場合は行政指導で抑えられておるのですが、こういう面と、それから全然新規にこの法が施行されてから精製会社をやりたい、あるいは設備を拡張したい、設備を新しく作りたいという場合とは相当違いがあると思うのです。そういうすでに法律が施行する前のものとしては、私の調査では九州石油ですか、これ以外にはないように思うのですが、この点については、これはやはりそういう既成事実をして優先的に認められるという考え方に立っておるのか、この点についてまず伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/104
-
105・川出千速
○川出政府委員 一般論といたしまして、既存の事業の創設だけを認めて、新規のものはシャット・アウトという方針は、これはやはりとれないのではないかと思います。既存の業界だけの保護に運用されるということは、これは一般論として妥当ではないと思うわけです。
それでは現在新規のものがあるかというお話でございますが、私の具体的に承知しておりますのは、九州石油だけでございます。これは行政指導でただいまお話のように認めていないわけでございます。三十年以降原則として新規は認めないという方向で参っておるものですから、認めてないわけであります。今後業法が施行になるわけでございますが、現在のところ新規を優先して認めるかどうかという方針はきめていない、検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/105
-
106・松平忠久
○松平委員 ちょっと関連して——今、川出君が言ったことは、九州石油の新しいのを認めるというようなことは検討中であるような発言があったのですが、今、石炭の問題でこれだけ騒いでおって、そうしていわゆる産炭地発電というものを取り上げてやろうというさなかにおいて、そこへ持ってきて九州に何かフランス石油と提携するとか八幡とやるとかいう、あれは軽質分の多い石油です。重質分が非常に少ない石油を持ってきてやるとか、それをやるということについては相当慎重な態度をとらなければならないと思うのだが、一体どういうように処理しようとする考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/106
-
107・川出千速
○川出政府委員 お話のように慎重に検討したいと思っておるわけでございます。九州石油の計画は、実は一年半くらい前から出ておりまして、まだ中身は必ずしも具体的に固まっていない点もあるようでございます。
それから産炭地の問題でございますが、一方九州には一つも精製会社がないという立地上の問題もあるわけでございます。それからこれは検討中のものですから、意見を述べる段階にはなっていないのかもしれませんが、船で石炭を運ぶということになりますと、あれは鶴崎の方でございますので、その方が運賃が安いそうでございます。そういう観点からしますと、まだほかに既存の製油所で産炭地に近いものもだいぶあるという点もありまして、その辺はやはり総合的に今後慎重に検討したいということで、方針をきめているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/107
-
108・岡田利春
○岡田(利)委員 最後にお聞きしておきたいのは、これからのエネルギーの価格政策の面で、諸外国では、関税政策あるいはまた重油消費税、こういうものを設定されて、相当高率な関税もしくは消費税が課せられているわけですね。わが国の場合は、目的税としてガソリン税が非常に高い、こう言われているわけですが、しかし、原動力として供給される重油については、御存じの通り、関税その他についてもあるいは消費税についても、別に設定されているわけじゃないわけですね。そうしますと、石炭の問題と国内原油の問題から関連して、これは価格競争という面では今のままでは相当大きな問題になってくると私は考えるわけです。あるいはまた精製設備、販売機構を持たないがゆえに、スマトラは軽質な油でしょうけれども、あるいは重質のカフジ原油の問題についても、これは引き取りが非常に問題になってくると思うのですね。これは価格の問題よりも機構上の問題でしょう。ですから、価格の問題と機構の問題と、二つ、私は国内産のエネルギー源から見れば問題があると思うのですね。石炭産業については、長期の展望に立つと、これは競争はおそらく不可能であろう。そうすると石炭産業の保護政策を強化していくのか、あるいは関税、消費税政策である程度需要の競争をさせるという建前をとるのか、私はこのいずれか以外には現在のところ考えられないのではないかと思うのです。さらにまた国産原油の問題については、これまたやはり輸送賃だけでも、アラビアから持ってくると国内で輸送するのと、あまり変わらないという感じもあるわけです。そうすると、この面については、価格の問題は、輸入石油や原油に対して、関税、消費税政策をとって、ある程度競争をさせようとするのか、しかし、量は少ないのだからそういう点は考える必要はない、別途な方法で考えるとするならば、私は一応の引き取り機関を作って、そして国の政策として現在の精製会社にこれを引き取らせる、こういう方法を打ち出す以外にないのではないかと思う。あるいはまた先ほど大臣が答弁したように、ソビエト原油の問題についても、わが国に入ってくる場合には非常に安いわけですね。しかしながら、安いからといって全然問題がないわけではない。国が一手引き取りをしようとすれば、相当の強い抵抗が示されていることは、これは周知の通りなわけです。しかしながら、安いがゆえに、政策的に見れば、一手買取機関を作ってやるという立場に立つ場合には、そういう点についても、ソビエト原油については一応引き取る、こういうような問題も政策の問題として一応は考えられると思うのです。これは非常にむずかしいなかなか大へんな問題でしょうが、そういう関係を一体どう考えておるのか。これはすぐ来るのです。貿易の自由化をしたらすぐ来る問題で、石炭の問題だって来年の十月で一応千二百円引き下げの目標年次が終わるわけですから、今からそういう基本政策がなければならないと思うのです。こういう点について承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/108
-
109・江上竜彦
○江上説明員 まず石炭の問題でございますけれども、保護政策でいくのか、競争エネルギーたる石油に対する関税、消費税という政策でいくのかという問題でございます。ただいままでの政府の考え方は、原油に対する関税、消費税というものは、エネルギー・コストを低廉ならしめるという意味において、できれば低率ないしは無税にいたしたい。これは日本の関税体系から見ましても、基礎原材料については、おおむね無税ないしは非常に低率であって、製品については、いくほど高くなるというのが日本の関税体系でございます。従って、本来言えば、製品と原油との間には相当の関税の格差があるべきである、原油については無税であることが望ましい。しかしながら、現在の石炭対策は、保護関税的な意味では、産炭地においては保護関税的な意味もありますが、大きな意味は、目的税といいますか、その財源対策というものもありまして、理想的な形ではないけれども、今は原油関税というものを若干上げるという方向でいっておるわけです。しかしながらこれを石炭価格とパラレルになるところまで関税を引き上げようという考え方はございません。ただ、原油と製品との関税体系というものについては、さらに検討して、将来手直しすべきである、こういう考え方であります。
石炭については、従って、広い意味での保護政策でいく。その保護の態様としては、一つは需要の確保といった、先ほど大臣が言われました長期引き取り契約等もその一つの現われでありますが、多少経済性において問題がありましても、需要を政府並びに経済界の協力によって確保していくことが一つと、それから石油産業はやはり合理化をして、企業努力によってできるだけ価格を低廉にしていくという方向における努力は継続すべきである、その際にしかし社会的な摩擦というものが起こる、従って雇用対策についても、従来の一般の雇用対策から見れば画期的な線で、国費を出しまして離職者対策等に力を入れていくということで、そういう広い意味の保護政策でいくべきである、こういうふうに考えます。
それから国産原油につきましても、考え方は、基本的には同じラインであろうかと思います。従って、現在石油資源開発会社というのがあって、政府が出資をしてやっておるのも、これは一つの保護政策であろうかと思いますが、こういったものをさらに強化していくべきであって、関税という手段で、じかに競争できるところまでさせるということはただいまのところは考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/109
-
110・岡田利春
○岡田(利)委員 これで終わりますけれども、今の問題は、私は、簡単にすらすら言われたけれども、そう簡単な問題じゃないと思うのです。そこで特にこれらエネルギーの相互間の価格の調整という問題は、やはりある程度の基本が——何を一体基点にしてやっていくかということになりますと、非常にむずかしい問題でもありましょうし、今の段階で明らかにできないだろうと思うのですけれども、しかし私は、これはもう少し深刻に一つ考えてもらいたい、検討してもらいたいということを特に強く要望しておきたいと思うのです。
それから、実はこれから石油業法に関係する問題の、国内あるいはアラビア、スマトラの問題について質問をしたいと思っていたのですが、時間がございませんから、その点は一応保留させていただきまして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/110
-
111・中村幸八
○中村(幸)商工委員長代理 これにて商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会を終了いたします。
午後五時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004509X00119620404/111
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。