1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年四月五日(木曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
商工委員会
委員長 早稻田柳右エ門君
理事 岡本 茂君 理事 白浜 仁吉君
理事 中村 幸八君
浦野 幸男君 遠藤 三郎君
小沢 辰男君 神田 博君
佐々木秀世君 齋藤 憲三君
始関 伊平君 首藤 新八君
田中 龍夫君 中垣 國男君
中川 俊男君 林 博君
原田 憲君 藤井 勝志君
南 好雄君 村上 勇君
玉置 一徳君
地方行政委員会
委員長 園田 直君
理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君
理事 渡海元三郎君
宇野 宗佑君 小澤 太郎君
久保田円次君 前田 義雄君
山崎 巖君 門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣 安井 謙君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
出席政府委員
経済企画政務次
官 菅 太郎君
総理府事務官
(経済企画庁総
合開発局長) 曾田 忠君
通商産業事務官
(企業局長) 佐橋 滋君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
自治政務次官 大上 司君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
通商産業事務官
(企業局立地政
策課長) 馬場 一也君
自治事務官
(行政局振興課
長) 山本 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 曾根 隆君
—————————————
本日の会議に付した案件
新産業都市建設促進法案(内閣提出第五五号)
産業と雇用の適正配置に関する法律案(井手以
誠君外十八名提出、衆法第一五号)
────◇─────
〔早稻田商工委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/0
-
001・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 これより会議を開きます。
本日は商工委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして私が委員長の職を勤めます。内閣提出、新産業都市建設促進法案及び井手以誠君外十八名提出、産業と雇用の適正配置に関する法律案を議題とし、審査を行ないます。
—————————————
新産業都市建設促進法案
産業と雇用の適正配置に関する法律
案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/1
-
002・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 内閣提出、新産業都市建設促進法案は、すでに本会議において趣旨の説明を聴取いたしておりますので、提案理由の説明は省略し、本日は、井手以誠君外十八名提出、産業と雇用の適正配置に関する法律案について提案理由の説明を聴取する予定でありますが、提出者が見えませんので、提出者が見えましたときこれを聴取することとし、内閣提出案件についての質疑を行なうことといたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保田円次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/2
-
003・久保田円次
○久保田(円)委員 私はこの法律案につきまして地方行政委員の立場から特に要点をしぼって——どういう要点にしぼるかというと、この法律の目的を達成するために、いわゆる区域指定をする、この区域指定につきましては、第五条におきましてこまかく出ておるわけでありまするが、別の角度から一応検討してみたらどうか、従って、今私が申し上げたここらの点にしぼりまして質問をいたしたい、かように考える次第であります。
さっそく本論に入りますが、いわゆる新産業都市建設促進法案の目的の中で、「大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、」とあるが、まず既成市街地において集中防止につきまして、今までどんな処置を講じておったか。また今後この過度の集中をいかようにするか。既成市街地における具体的な対策について、御計画がありましたら一つお知らせを願いたい、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/3
-
004・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 過大都市を防止いたしますことは、今日の非常に喫緊の要務だと思います。従いまして、たとえば、東京におきましては、首都圏整備委員会等におきましてこの問題を取り上げ、またあるいは通産省におきまして工場立地の関係においてそれぞれ取り上げていくわけでございまして、過大都市自体の制限等については、この法律の目的でないわけでございます。なお詳細なそういう点につきましては、事務当局から御説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/4
-
005・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。既成の大工業都市の過大化の防止につきましては、ただいま大臣からお答えがあったわけでございますが、特に東京について申し上げますと、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律といいますものが昭和三十四年に制定されておりまして、東京都の主として二十三区内の地域におきまするある一定の規模以上の工場等の新設を抑制しております。なお、最近におきまする東京の都市の人口の膨張等著しいものでございますので、その規模を低めるように、制限を強化するという改正法案がただいま本国会に提案されておる次第でございます。なお、昨年の国会におきまして、工場立地の調査等に関する法律の一部改正がございまして、一定の地域におきまする一定の工業の立地につきましては、事前に届出を求めまして、その工業の立地が適切でないと認められます場合におきましては、国が所要の勧告を行なうということに相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/5
-
006・久保田円次
○久保田(円)委員 現在の産業の立地条件及び都市の施設を整備するという、こういうふうな中に立ちまして、聞くところによりますと、いわゆる現在ある学校あるいは独立官庁というようなそういうふうなものを、積極的には分散させる、こんなような話も聞いておりますが、実際に計画に入っておるかどうか、ここらの点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/6
-
007・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 ただいまたとえば学校でありますとか官庁の移転というような問題については、行政管理庁方面あるいは自治庁方面において御検討中でございまして、まだ成案はできておりませんけれども、そういう面はいろいろな御検討が進んでおると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/7
-
008・久保田円次
○久保田(円)委員 この法律案は、大都市と地方、特に後進地域の格差是正をはかることを第一の目的としておるようでありまするが、その中で、既成市街地の人口及び産業の過度の集中を防止のため、新産業都市を適当な地域に作るのである、こういうふうに言うております。そういうふうな面から見たときに、いわゆる後進地域というようなものを中心にして一つ考えて持っていくのか、あるいは何でもかまわずに、過度の大都市の集中防止というものを押えるために、どこでもいいから、一つ人口、産業というものが分散できればいいんだ、こういうふうな考え方もありますけれども、ここらの比重の点はどんな工合に考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/8
-
009・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 もちろん大都市の人口の過度の集中ということを排除して参りますことは必要でございますけれども、しかし、その面を考えてみましても、将来、国土の総合的な開発の見地に立ちましてその問題を考えて参らなければならないことは、当然のことでございます。従いまして、この法律の目的とするところは、地域格差の是正ということも一つの大きなねらいでございますが、そういう意味からいって、国土総合開発の一環として私どもはこれを考えているわけでございます。それで、申せば、日本の国土を総合的に開発する形としてどういう形をとっていくかと申しますと、少なくとも現在新しい経済的な中心地帯を求めまして、そうしてそれが国土総合開発の拠点地域となる。つまり、新産業都市というものは、そういう形で総合開発の中で考えられていく。また、先般臨時国会で御決定を願いました低開発地の工業開発促進の法律がございますが、これはそれよりもずっと小さい地方、地域中におきます低開発地域の開発を目的とするということでございまして、この三つが合わさりまして、日本の国土の総合開発計画としてまとまって運営をされていくことになろうかと思うのでございます。ただ、過度の都市の集中防止を排除するために、どこへでも勝手に大きな都市を作るんだというのでなしに、むしろ現在の行政区域にとりわれないで、経済圏というものがある意味からいえば、相当交通の変化等によって起こっておりますので、そういう地点に国土総合開発の拠点地域としてこの新産業都市を求めていく、こういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/9
-
010・久保田円次
○久保田(円)委員 今大臣の申されましたそれを要約して、私どもは、いわゆる低開発地域というところへ努めて新産業都市というものを作って、総合的な均衡のとれた一つの経済を作りたい、むしろこういうふうに考えていいかどうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/10
-
011・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 この新産業都市はかなりな規模を持つということになるわけでございまして、いわゆる私が申しました拠点地区でございます。従って、その周辺と申しますか、あるいは必ずしも現在の行政圏にとらわれない経済圏の中心と申しますか、あるいは中核体となるべきところに選びまして、その地方全体のいわゆる低開発地域が開発されていくという考え方を持っておるのでございます。従いまして、条件等について、やはりこの五条にも規定されておりますように、相当条件の完備したところに持って参りませんと、ただ低開発地域だからということだけで立地条件を選びますことは、全体の低開発地域の総合的開発のためにも適当でない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/11
-
012・久保田円次
○久保田(円)委員 今大臣の言われるその条件という問題がございますが、いわゆるこの新産業都市を作る上においてやはり中心に考えなくちゃならないのは、大都市というものの関連性、従って、それについてはいわゆる道路とか交通とかあるいは運輸とかいろいろの問題が交流する場所でなければ工合が悪いのじゃないか、私どもそう考えます。しかし、それはかかって距離的に比例すべきものじゃない。どこへ作るにしても距離的の問題じゃない。要するに、距離はあっても時間的に——要するに、いわゆる新産業都市と大都市というもののこういうふうなつながりというものは、時間的な距離という、これが一番大切なことだ、こういうふうに考えております。とにかく目の前の離島あたりに新産業都市を作ろうと思っても、そこに海があるとかなんとかいうことになると、やはり時間的に長くなる。こういうふうな点から考えたときに、道路の問題が一番中心になりますが、こういうふうな点につきましては、企画庁として将来、新産業都市を作る上においては、今のような考え方を先行的に考える必要があると思います。ここらの点の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/12
-
013・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 新産業都市は、ただいまお答え申し上げましたように、総合開発の拠点地区でございますから、当然交通関係の便利なところであって、しかもある経済圏の中心地たり得るようなところに設定さるべきが、やはりその経済圏全体の興隆、発達に貢献し得るのではないかと思います。従って、そういう意味において、単に東京とか大阪に近いというばかりでなく、各地域、まあブロックと申しますか、そういう地域の経済的中心になり得るような場所に適当に配置されることが、総合開発の上で一番必要なことじゃないか、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/13
-
014・久保田円次
○久保田(円)委員 全国的の視野に立って、いわゆる経済、文化というものを私どもはながめてみる、国会という一つの窓口からながめたときに、大体日本の経済、文化というものは、太平洋岸というものが、比較的の問題でありますが、これは上昇しておるわけです。日本海岸が非常におくれておる。こういうふうな問題を一応どういうふうな形においてか今後是正をしていく考えが最も私は大切だと思うのです。常に日本海方面は非常に置いていかれておる、こういうふうなところについて考えておりますかどうか。おりましたら、一つここらの点も、今後はこんな工合にして考えるんだというようなことをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/14
-
015・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 御承知の通り、国土総合開発におきましても、いわゆる太平洋ベルト地帯ということを申しておりまして、今日までの段階では、その立地条件その他から見まして、太平洋沿岸地域というものが自然発生的にも、あるいは行政施策の上から申しましても、相当に発達して参ったのでございますけれども、その地域の発展というものが相当、ただいま申し上げましたように、過大都市化の傾向にもなっております。また自然的な発展条件にも合っておりますので、特に、ある程度力を入れていくという面については、やはり今もお話しのような裏日本方面に相当力を入れていくということが、私どもは総合開発の見地から必要だと思います。むろん、今日以後の状況から申しまして、自然的な条件等の科学的な技術の発達によって克服し得る場合も多々あるわけでございまして、そういう面からあわせ考えて将来の問題は当然考えていくべきだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/15
-
016・久保田円次
○久保田(円)委員 この国土開発縦貫自動車道建設法、こういうふうな高速道路図を私ながめてみまして、今後の北日本に対しましての考え方を強く持たなくてはなりませんが、この法律はいつごろできました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/16
-
017・關盛吉雄
○關盛政府委員 昭和三十二年の四月に施行されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/17
-
018・久保田円次
○久保田(円)委員 昭和三十二年に施行されておる。当時と今は私は違っておると思います、いろいろな条件が。その当時の目的というものは、どんなような目的でこの法律を作ったか。こ
の点を一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/18
-
019・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまお尋ねのございました国土開発縦貫自動車道の法律は、国会の衆参両院の方が全部御賛成で提案されましてできた法律でございまして、第一条の目的にありますように、国土の普遍的な開発をはかるために、産業の立地の振興、国民生活の領域の拡大という、つまり国土の総合的な開発を目標のまず第一点といたしております。その産業なり、あるいは新都市なり、新農村なりを建設するに最も基盤となるところの、高速自動車道網を新たに作るための骨格としての縦貫道をまず作ろう、こういうことについての法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/19
-
020・久保田円次
○久保田(円)委員 ところが、今の御答弁では国土の均衡というような点も取り上げられておりますが、先ほど大臣に私が質問しましたいわゆる裏日本と表日本、こういうふうな面から見たときに、一応私は疑問があるような感じがいたします。これからの日本の経済は、今御承知のように日ソ間におきましてもいわゆる文化の交流までやろう、それからいろいろな面でとにかくの北の方というものは一応われわれとしては今後重視をしてみなくちゃならない。日韓問題におきましてもかように考えられるわけです。従って、この日本海方面に対しましてのいわゆる経済と、太平洋に面したところの経済の交流というものは、一方的に要するに縦貫自動車高速道路という一つの縦貫した考え方であっただけでは私はどうかと思う。こういうふうな点につきましては、一つのあばら骨を作りまして、この法律の中にやはり横断の自動車道というものをどうしても作らないと、北日本というものがいつも孤立しておる、こういうふうに高所から見たときには私どもは指摘せざるを得ないと思うのです。そういうふうなところから、一つこれについて国土開発横断自動車道建設というような考え方を、これを一つ入れるか、あるいはこういうふうなものを入れて、むしろ総合的な国土開発自動車道建設法というようなものに大きくふくらして、同時にやはりこれを調査もしていく必要があるのではないか。なぜかというと、今の縦貫自動車だけが先に出てしまうと、あとでこれを作っていくということも、それだけ要するにおくれていきまするので、ここらの点につきまして考え方をお知らせ願いたいと思います。この点は建設省関係にも御関係がありますが、いずれにしても企画庁としてどういう考え方を持っておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/20
-
021・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 縦貫道路ができただけでもっていいというわけではないので、お話のように縦貫道路を中核としたあばら骨のようなものが各地にできなければならない、東と西とを横断する道路ができなければならぬと思いますが、ただおそらく国会、皆様方が全員賛成のもとにこの縦貫道路を作られたときの状況は、こういうものがやはり国策として必要なんだ、その他現行において道路五カ年計画等が国道、県道その他の改修工事等によっても目的を達し得るけれども、しかし、この一本のあばら骨というものはなかなかそういうような既設のものだけでは解決しないということで、全員の御賛成で国会提案としてこれが可決されたものだと私心得ておるのでございます。しかし、今お話しのように、それができただけでは、南北の上におきます大きな影響、それから未開発地域の山地における開発事業には貢献いたしますけれども、同時に、それが東側、西側の海岸線に到達するようなあばら骨ができなければ、ほんとうの役に立つものでないことは申すまでもないのでありまして、そういう点については、企画庁といたしましても、総合開発の見地から検討もいたしますし、また新産業都市ができます場合に、そういうような縦断道路とその都市とがどういう道路によって連絡するかというようなことは、当然考えて参らなければならぬ点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/21
-
022・久保田円次
○久保田(円)委員 今後これに並行して、要するに横断道路というのはどうしても必要じゃないか。これはやはり大臣の言う御計画がかりに将来あるという工合に考えますれば、一応立法化してはっきりしておく必要があると思いますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/22
-
023・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 縦貫道路というのは、背骨に一本立法的にやりますとあれでございますけれども、横断道路となりますと、各地で非常なたくさんの道路になるわけでございまして、今日まででも国道、県道等もございまして、それの改修によっては、あるいはその目的を達する点もございますので、直ちにそういう法律が必要であるかどうかということについては、私の方もまだにわかに必要だと申し上げるわけにはいかぬと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/23
-
024・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいま企画庁長官からお答えがございましたが、若干補足して申し上げたいと思います。
ただいま御指摘のございました縦貫道建設法、この法律は、いわゆる建設の基本計画なり整備計画を定めることになっておりまして、全国の道路網体系の中におきましては、高速自動車国道としての法律によりまして整備、管理をするという建前になっております。御承知の通り、現在の全国の道路網というものは、約九千数百キロにわたる一級国道も、これは国土を縦貫し横断するいわゆる幹線の道路でございまして、この一級国道というものは、一級国道の性格に書いてありますように、高速国道網と合わせまして、国の幹線として整備、管理せらるべきものでございます。従いまして、ただいまのような御指摘の自動車のみの通行の用に供する高速国道の、いわゆる横断的な性格のものを実施するといたしますれば、高速国道法によって実施するということになっておりますので、法律の問題は、もちろんその現行法の中において処理することができます。現在の段階におきましては、縦貫道法によります路線の調査、北海道から東北、中央道、それから中国、四国、九州という縦貫道の予定路線に関するいわゆる経過地が出ておりますが、それに基づく調査を全面的に三十七年度から実施をいたすことになっております。なお、全国のそれらの路線を合わせました高速道路網につきましても、必要な調査を実施いたしておりますので、その結果を待ちまして検討したいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/24
-
025・久保田円次
○久保田(円)委員 私がそういうふうに強く申し上げるということは、新産業都市の区域指定をしても、要するに先行的に道路というものを考えてやらないと、指定をしてもそれは離れ小島になってしまう。ここらの点から、積極的に国の施策として、そういうふうなものを先行するのだ、こういうふうな考え方のもとに、いわゆる新産業都市区域指定という一つの原則に立って御質問をした次第でございます。
新産業都市を作る上においては、分けてみますと、臨海地帯と内陸地帯というふうに考えられますが、聞くところによると、どうもやはり臨海地帯の方が何か少し優先のように考えられるというような風説も聞いておりますが、そういうふうなことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/25
-
026・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 臨海地帯が優先ということだけを考えておるわけではございません。しかし将来の相当大規模な工業のいわゆる新産業都市を作ります場合には、港湾等の海運輸送の関係も相当重視して参らなければなりませんので、そういう面を考慮して参ることが必要でありますと、何か臨海地帯だけに重点が置かれるようにお考えになられるのだと思うのでありますが、必ずしも臨海地帯だけに重点を置いておるという意味ではございません。しかし、今申し上げたような点は十分大きな考慮をして参りませんと、かなり大規模な工業地帯を設定するのに適当でない。それで、今お話しのような自動車によりまして、いわゆる経済圏と申しますか、これは必ずしも今の行政区画、府県の区画ではございませんが、それを越えた一つの経済圏というものが、現在では交通事情その他でなり上がっておりますから、その中核体となり得るようにいたしていくのが一番適当じゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/26
-
027・久保田円次
○久保田(円)委員 臨海地帯ということになりますと、いわゆる企業集団ですか、比較的にコンビナート的な考え方に移ってくるように考えます。それから、内陸地帯に新産業都市を努めて作ろうということになりますと、いわゆる機械工業とか繊維関係の第二次産業的なもの、従って労働力を吸収するとか、あるいはそれに関連する中小企業というような考え方も、比較的に内陸地帯の方に有利のように考えます。ところが、今ちょっと長官が言われました臨海工業地帯というようなものも、非常に今発達しており、条件もよいわけです。そこへさらに大きく持っていくということになりますと、将来をずっと考えていくと、いわゆる東京都以上の集団的な行き方になるような心配が私は出てくるわけです。むしろ内陸地帯ということになりますと、高度な広域的なそういう新産業都市を作って、そういう中に学校、学園というものを入れることもよろしいでしょうし、それから官庁もそこに持っていってやる、それが波及的に四方八方に、要するにすべての経済が広がるわけでありますが、こういうふうな差ができますので、どちらが利点かといいますと、とにかく内陸方面に持っていくと非常に目的に沿うところの新産業都市ができるのじゃないか。コンビナート的ないわゆる都市が作り上げられるということになりますと、いわゆる大企業的にそこは必然的になってくるわけです。そうすると、これからはいよいよオートメーション化されるとか、いろいろな問題が出るわけですけれども、労働問題におきましても、やはり内陸よりも効果的には少ないのじゃないか、こんな工合に考えますけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/27
-
028・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 内陸地帯の開発ということはむろん必要なことでございまして、私どもからいえば、低開発地の工業促進というようなものと、いわゆる今度の新産業都市との中間地域だと考えるのでございます。そこで、今度の新産業都市が臨海地帯に偏しやしないか、むしろ内陸地帯の方がいいのじゃないかという御意見もございますけれども、必ずしもそれだけに私どもとらわれておりませんけれども、しかし、御承知の通り重化学工業にいたしましても、あるいは鉄鋼その他そういうような種類の海外から必要な原料を運んでくるものにつきましては、むしろ臨海地帯が適当である。ただ、その背後地を形成します山間地帯における都市の発達というものは、そういう原材料を基礎といたしまして、私が申しますいわゆる経済圏の拠点を中心にした、経済圏の中における特殊な産業形態の上での発達ということが考えられると思うのでございます。たとえば最近御承知の通り信州諏訪方面に、昔は製糸工場がたくさんあったということでございますが、最近東京の、たとえばレンズ工業が諏訪を中心に移動しているというようなこともございます。そういうことから考えまして、内陸地帯の開発というものは、やはりそういうものであって、たとえばそれでは諏訪と東京とをどういうふうにつなぐかというつなぎ方、あるいは新経済圏、こういうもののつなぎ方というものは、これは相当にいろいろなつなぎ方が私は考えられると思うのでございまして、今日のように科学技術が発達しまして、道路を開発しあるいはトンネル等を作ることも、技術的にもあるいは経費的にも比較的簡易になって参りました場合には、やはり新産業都市とそういうところを結び合わせて、そうしてその地方の開発もできるということが処置できると思うのでありまして、そういう意味から私は申し上げておるのであります。全然山間地帯を無視しているという意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/28
-
029・久保田円次
○久保田(円)委員 これは、特に経済格差というような問題から、地域差というような問題から見たとき、いわゆる臨海地帯のところと、それからいわゆる内陸方面というこの経済の格差というようなものを見たとき、やはり目的という中にはめ込む上においては、今私が申し上げることが筋が通っているのじゃないか。臨海工業地帯というものは、開発するのに比較的やすいわけですね。あるいは指定をして、そこに集まるにおいても、また資本投下においても、比較的楽にできるだろう、こういうふうな観点から、ともすれば低開発というような地域が残されていく。この点については、すでに地方開発都市の建設に関する意見として、地方制度調査会において、これは意見具申をちゃんとやっておるわけですから、こういうふうな問題も、内陸方面においてのいわゆる新産業都市建設というものは非常に大切であるぞということを付記しておりまするので、さらに私は今大臣にそのことをつけ加えるわけであります。
そこで、この新産業都市をかりに内陸方面に都市区域指定をするときに、一応中核となるべきところの区域というものがきまるわけですが、そういうふうなものをきめるときに、行政単位にこう持っていったときに、たとえば何々市というものが一つ浮かび上がります。そういうふうな一つの部分的なものでなくて、今建設省が考えておるところの広域的な、要するに中核都市を作って、そうして大きな一つの産業都市を作ったらどうだ、こういうふうなことを建設省で今いろいろ考えておる様子でありますけれども、こんなような行き方も、とにかく将来の百万都市、少なくとも目的に沿うための都市作りのためには一つの案じゃないか、新産業都市の区域指定というものは、一地点でなくて、広い区域指定をしてやる方がいいのじゃないか、こういうふうに考えますが、ここらの観点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/29
-
030・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 必ずしも一都市を指定するわけではございませんので、この法律にございますように、隣接町村にまたがりまして、そして新しい合併の便法も作りまして、新産業都市としての一つの指定をいたすことになりますし、また、なるような便法が法律にも規定されておるわけです。ただ、お話のように、非常に広域である、たとえば関東一円を一つ指定するというような意味ではないのでございまして、関東一円は一つの経済圏として考える。従って、その経済圏の中核体としてかりに東京というものがある——東京はむろんこの法律の目的の外ででございますけれども、考える。そうすると、東京を中心にして前橋、宇都宮なんというものを、道路網を作り、そこから一つの経済圏としてまとまりをつけていく、そういう意味においての経済圏というものを私ども考えておりますが、それ全体を一つの産業都市というふうな指定をいたすことは考えておらぬのでございます。ただ、今申しました一定の現在の市だけを指定しようということは、その隣接町村全体をあわせてこの要件に備えますようなある程度の工場敷地を持ち、ある程度の住宅敷地を持ち、また水等の便もあり、交通輸送の関係も考慮して、将来この程度の人口になり得るような区域を指定するということに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/30
-
031・久保田円次
○久保田(円)委員 今大臣の言われる、たとえば一都市、その周辺の町村というような形で聞きましたが、私が申し上げるのは、そういうふうな、たとえばここで考えますと、群馬なら群馬というものを一つ取り上げたときに、そこに市が幾つもあります。埼玉県でも栃木県でも幾つかの都市があります。全体を考えたとき、この各市町村のまたがる範囲というものが、要するに一都市よりも数都市集まって、そうして規模を非常に大きく持っていった方が、新産業都市としての区域指定をするときには、将来が非常に効果的なものになるのじゃないか、こういうことを聞いたわけです。この点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/31
-
032・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 その通りでございまして、隣接の数都市を合わせて指定し得ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/32
-
033・久保田円次
○久保田(円)委員 都市指定をする場合におきましての大体の規模、あるいは面積だとか、人口をどのくらいにするとか、あるいはまた投下資本をどのくらいつぎ込んでいくのか、ここらの点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/33
-
034・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 事務当局から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/34
-
035・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。新産業都市の規模の問題の御質問でございますが、この法律の第一条にもございますように、その地方の開発、発展の中核となるべきものであるということ、また第五条に区域の指定の要件がございますが、この中で「その区域に将来大規模な産業都市が形成される可能性を有すると認められるもの」、こういうような考え方を持っておるわけでございます。従いまして、現在のたとえば京浜あるいは中京、阪神、そういういわゆる既設工業地帯の規模を御参考までに申し上げますと、京浜地区は東京都と神奈川県を両方含めまして約二千万坪、いわゆる中京地区、愛知県が約千二百万坪、これは昭和三十三年度の従業員三十人以上の工場の敷地の面積でございますが、そういうふうなことになっております。従いまして、この新産業都市におきまして、先ほどからいろいろ御質問がありますように、一応のねらいといたしましては、重化学工業の基地を考えるという想定に立つ場合におきましては、中京地区に近い程度といいますか、五、六百万坪程度のものが一応重化学工業としての基地の規模になるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そういうような想定に立ちますと、大体そこに工場ができ、またそれに関連いたしまして、関連産業の第二次産業あるいは第三次産業というものの人口がふえて参るわけでございますが、これによって大体三十万程度の人口増になるというような想定を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/35
-
036・久保田円次
○久保田(円)委員 区域指定をしたとき、その区域におきましては、一応税法上、金融上いろいろの優遇措置が講じられておりますけれども、産業がそこにいくのについては、一番魅力のある電力の問題も見逃がしてはならぬ、こういうふうに考えます。ところが、いわゆる後進地域というのは、全体を見ると比較的山間地帯が多いですね。今電力がどういうふうに使われておるかというと、これは発電をしても一応電気業法によって買電をしなければならない。ところがそれが大都市重点に使われる。そうすると、電源県である地域は、作るだけ作っても、買うときは高いものを買うという形になってくる。送ったものがまた自分の方でも買うのだ。私が調査した結果は、数年前におきましてはそういうことはなかったわけですが、大体電源から大都市に来るまでに電力のロスが二四%くらいある。最近においては大体一六%くらいのロスをしておる。そうすると、電力料も、一応こういうふうなものを換算すれば、それだけ安くてもいいのです。そろばんがとれるのです。同じなんです。こういうようなところを考えた場合には、その地域指定をする上におきましては、後進地域のところに——努めて地域格差をなくそうという目的の中で、やはり電力というものは一つの魅力でありますので、そういうふうな優遇措置にプラス・アルファとして、電力がそういうところに行くと安いのだ、こういうふうなものを考えてやる必要があると思う。ここらの点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/36
-
037・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 新産業都市を作ります上において、電力及び今日以後の工業におきましては水というものが相当の魅力だと思います。しかし、同時に輸送関係が非常に魅力であることは申すまでもございませんし、ことに最近では、たとえばタンカー等は十万トンをこすようなタンカーができておる。あるいは海上輸送におきましても、石炭専用船、鉱石専用船というような、特に大型の種類のものによって運搬をいたすというような条件もございます。でありますから、そうした全体の条件を考えて参らなければならぬのでございまして、そういう面について、今後相当な新産業都市を作ります上においては問題として、研究していくべき点だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/37
-
038・久保田円次
○久保田(円)委員 第二十条に書いてあるわけですが、いわゆる既設、既存工場、事業場の新設、増設というようなものに対しましては、一応融資の点もいろいろ考えておる。ところが、その区域指定をする上において、今までの既存工場でフルに稼働すれば、とにかく相当の生産が上がるというのは相当あると思うのです、従って、そういうふうなところは中小企業も相当多いわけですから、何かそういうふうな会社の流動資本的なものを考えてやろう、要するに速度を早くして新産業都市を作る、こういうふうな面からそういうところを考えたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/38
-
039・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 新産業都市の内容をなします問題についていろいろな問題があることは当然でございまして、ただこの法律自体が、たとえば中小企業の振興をはかる、あるいはそういう面に対する資金その他の確保をはかるというような面は、法律自体の問題よりも、むしろ別個の法律の体系によってそれらの整備をいたしていく問題でございまして、この新産業都市は、現実に産業都市となり得るような適格性を持った地域についての基礎的な施設をしていき、当然やらなければならない中小企業の振興その他は、別個の法律によってそういうことがやられていくということであって、これは単に新産業都市だけではなくて、全国的にそういうことは行なわれなければならない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/39
-
040・久保田円次
○久保田(円)委員 区域指定を受けた地方団体において問題になりますのは、指定を受けてくると、それ産業が誘致されるぞ、こういうふうな面から地価ががたがたと上がる心配が必ず私は出てくると思うのです。そういうふうな点を慮慮に入れて、地方団体は何らかの形で一応土地買収というものには積極的にかかっていく、こういうふうな考え方から、地方団体におきましてのいろいろの優遇措置は、自治省としても考えられておる様子であります。しかし、その中で、土地買収という問題につきまして早く手を打つためには、最後のきめ手として、やはり土地収用法というような問題もからんでくるわけですが、こういうふうな点についてはどういうふうな考えを持っておるか。なおまた首都圏整備法によるところのいわゆる市街地開発区域に対して、現在やはり土地が上がって、どうしようもないというので、各関係者から陳情が出ておるわけですが、まだその土地収用法に対するところの具体的のこれだというきめ手がはっきり出ておらないのが現状であります。こういうふうな点は一歩前進して考えてやる必要があると思います。ここらのかね合わせばどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/40
-
041・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまお尋ねがございました公共用地等の取得に関する制度の問題でございますが、今回の新産業都市の建設に関する法律は、ごらんの通りに、地域の指定と、その地域内における建設計画の大綱を定める、いわゆるマスター・プランに関する法律でございます。従って、土地収用法という法律の上におきまして、公益性のある事業を所有権の得喪にかからしめるためには、一つは、それらの事業の公共性が問題になるということと、第二点は、土地利用計画の特定性ということが問題になるわけでございます。従いまして、この法律そのものからは、土地収用法による用地取得制度にまで結びつけることは困難でありますけれども、非常に重要な問題でありますので、今後大都市問題の全般の対策とあわせまして、建設省におきましては宅地制度審議会を三十七年度から設置いたしまして、検討を進めることにいたしております。
〔早稻田商工委員長退席、渡海地方行政委員長代理着席〕
なお、お尋ねの首都圏の区域に関しましては、現在首都圏の整備法によりまして、市街地開発区域の指定を行なっております。市街地開発区域につきましては、首都圏市街地開発区域整備法という法律がございます。従って、首都圏の既成市街地の産業なり一定の学校等の施設を抑制するといういわゆる制限を働かしております。そういう観点で、首都圏の区域内におきましては、新しいそういう押えられた地域と、開発区域というものを持っております。今回の国会におきまして、首都圏市街地開発区域整備法の一部改正案が本日上程せられておるわけでございまして、工業団地造成事業に関しましては、特定の事業と、それからその計画が工業団地造成事業としての都市計画の内容として定まるということと、またその事業を実施するために譲り受けたものが一定の法律上の制限を受けて活用するということを規定いたしました、工業団地造成についての用地の取得に関する法律が成案を得て、国会に審議せられることになっております。従って、こういうようなものが、ただいま御指摘になりました用地の強制取得という制度を論ずる場合におきましては、一つの重要な基準になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/41
-
042・久保田円次
○久保田(円)委員 それでは最後に、この法案の中で一番問題点になろうと思いまする点を一つ指摘をしまして、私の質問を終わりたいと思うのでありまするが、この第三条の区域の指定、これについては、経済企画庁長官及び関係大臣は、協議により、当該区域を新産業都市の区域として指定すべきことを内閣総理大臣に要請するものとし、総理大臣は、その要請に基づいて、新産業都市建設審議会の議を経て、区域指定をすることができる、こうあるのですね。そうすると、できない場合というのはどんなようなことが予想されるか、これを一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/42
-
043・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 新産業都市の性格あるいは条件等に該当しない場合には、指定をしないということもできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/43
-
044・久保田円次
○久保田(円)委員 ところが、この要請については関係大臣との間に協議することになっているが、協議が成立しなくても要請するのであるかどうか、ここらの点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/44
-
045・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 ここに出ております関係大臣と十分な協議がととなわなければ、むろん総理に対して要請はいたさないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/45
-
046・久保田円次
○久保田(円)委員 成立をしなければ要請をしないといいますけれども、これは大臣も関係されるわけでありますが、いろいろの問題から関係大臣の間において協議の成立しない場合は、私は相当あると思うのです。ところが、その協議が成立しなくとも、要するに総理大臣は今の審議会に向かってやはり諮問することができるわけでございましょう、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/46
-
047・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 経済企画庁長官は、関係行政機関の長と協議をしなければならぬ場合、協議をいたしまして、そして協議でございますから、話し合いで、こういうところはこうしたらいいだろう、こういうところはこうだ、そういうことによって協議がととのう場合もございます。そうでない場合もあると思います。ない場合には、やはり総理大臣に要請するわけには参らぬのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/47
-
048・久保田円次
○久保田(円)委員 私が思うのには、この法律案から見たときに、協議をするということになっておりますけれども、かりに協議が成立しないときには、総理大臣は審議会に諮問するというふうなことになっておりまするので、その点が非常にあやが出るように感じます。というのは、協議が成立すれば、もうこれは決定線になって出るわけですね。決定線とは言いませんけれども、協議が成立して、それから審議会の方に諮問してくる。成立しないでこれはどうしようもないというときに、今度は審議会の方へ諮問する、こういう問題も私はこの法律の中から出てくると思うのです。そういうふうな関係のあったときに、一体どっちを中心にしていいか、ここらの点ははっきりしておく必要があると思います。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/48
-
049・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 関係行政機関の長と協議して、そして協議がととのいましたら総理大臣に要請をいたします。総理大臣はこれを新産業都市建設審議会に付議するわけであります。新産業都市建設審議会の議を経てでございますから、新産業都市建設審議会が否定をされれば、それをしいて指定するわけには参らぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/49
-
050・久保田円次
○久保田(円)委員 建前は、協議を成立させて、そうして要するに審議会の方に総理大臣が諮問をする、こういうふうに結論的には解釈する、これでよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/50
-
051・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 協議がととのいましたものを総理大臣に申請を要請をいたしまして、そして総理大臣がその要請に基づいて審議会にこういう計画を審議してもらいたいということで諮るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/51
-
052・渡海元三郎
○渡海委員長代理 宇野宗佑君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/52
-
053・宇野宗佑
○宇野委員 ただいま久保田委員から相当広範囲にわたって御質問がございました。で、補足的な質問になるかもしれませんが、大体要点をしぼりまして、二、三お伺いいたしたいと思います。
初めに、この新産業都市建設法、この法律自体につきましては、まことに時宜にかなったものでありまして、敬意をささげる次第でございます。この区域の指定の申請についてでございますが、第二条にはその申請の手続方法が書かれております。言うならば、都道府県知事が申請してきた場合に、それをそれぞれ要請大臣において協議するということでございますが、それ以外の場合においては、第四条で、たといそのような申請がなかった場合においても、必要だと思う地点に新産業都市を建設することがいいと思うときには、またその地域を指定することができる、こう書かれておりまするが、第一条の目的を完遂せんがために国は相当強い心組みでこの新産業都市というものを造成しなければならぬというお心づもりであるのならば、一体第二条を中心とされるのか第四条の方を中心としてお進みになるのか、その辺の御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/53
-
054・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 総合開発計画の中の拠点地区として指定をするわけでありますから、考えておりますわけでございますから、国がやはり相当な総合的見地から考えなければならぬのでございまして、そういう意味から申しますと、国が相当なウエートを持って考えていく。ただし、そういうものを考えます場合に、地方からの申請等も十分参酌して参りますことは、諸般の経済情勢の地方的立場もございます。従って、そういうことは必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/54
-
055・宇野宗佑
○宇野委員 ただいまの御答弁によりますと、第四条に言うならば中心を置いて、第二条は地方の事情もしんしゃくし、なおかつその手続を定めたものである、こういうふうに解釈していいと私は思うのでございます。従いまして、先ほどその規模について久保田委員からの質問に対しまして、曾田さんの方から大体五百万坪、重化学を中心として五百万坪程度の新産業都市を建設する、並びにその人口は三十万である、こういうふうな御答弁でございましたが、五百万坪というのは重化学工業を中心とした工場敷地を五百万坪というのか、その工場敷地を含んだ都市地域が五百万坪であるのか、その辺を一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/55
-
056・曾田忠
○曾田政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げました五、六百万坪といいますのは、工場敷地の面積でございまして、その中には重化学工業に必要な面積もございますし、またそれに関連いたしましていわゆる関連産業といたしまする二次産業の敷地も含まれておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/56
-
057・宇野宗佑
○宇野委員 五百万坪が工業用地の敷地であるとするならば、当然それに伴う住宅地あるいはまた付帯道路、そうしたものが必要になると思いますが、大体われわれの常識からいうならば、工場の用地を一つ造成しようという場合に、住宅用地であるとか第三次工業用地であるとか、あるいは道路用地であるとか、そういうものが倍かかるはずなんです。そうすれば一応五百万坪に対して一千万坪くらいの関連用地が必要だ。しからば新産業都市は、千五百万坪というものが新産業都市であるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/57
-
058・曾田忠
○曾田政府委員 新産業都市の一応の規模の概定いたしまする場合におきましては、いろいろアプローチの方法があるかと思いますので、法律にもございますように、基本計画の策定という内容がうたわれておりますが、これに工業開発の目標というのを一番先にうたっております。先ほど私が申し上げましたのは、この工業開発の目標から一応規模を概定するという点で申し上げたのでありますが、そういう観点で申し上げますと、たとえば鉄鋼の敷地といたしまして大体二百万坪くらい要るというような、いろいろな数字がございます。そういう積み上げで五、六百万坪の工場敷地が要る。それに付随いたしまして、もちろん住宅用地あるいは道路その他公園等の公共用地というものが要るわけでございます。これはいずれもこの新しい工業用地の造成に伴いまして必要といたしまする面積でございます。新産業都市全体といたしましては、既存の住宅用地もございますし、あるいは商業地区もありまするし、またある部面におきましては農業用地も相当含まれるのではないかと考えております。そういう全般を含めますと、相当大きな面積になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/58
-
059・宇野宗佑
○宇野委員 そこで先ほど久保田さんが申されたような地価の高騰ということを、私たちは非常に心配するわけなんです。五百万坪で工場用地というものが造成される。それが倍になるかあるいは三倍になるか、今、曾田さんがおっしゃったような程度のものであるかどうか、それはその地域によって異なる問題だろうと思いますが、要はこれから、先ほどの大臣の御説明ではございませんが、大企業ベルト地帯というものをも大体対象として考えていくという場合におきましてすら、やはりこういう地域を造成しようという場合には当然農地というものが壊滅していく。今たとえば新しい地域に五百万坪の工場用地というものを造成せんがためには、その地帯が平坦地であれば、当然五百万坪は必然的に農地が壊滅していく。従って、農基法にうたわれるところの農村に対する工場の分散化というものは必要であるけれども、一面千五百万坪というものが壊滅した場合にはどうなるんだろうか。むしろ農業が零細化するじゃないか、こういうような問題で、要請大臣の中へ農林大臣が割り込んできたのではないかと私は思うのでございまするが、しからばその新産業都市というものをこれからほんとうに意気込んで、ただいまの大臣のお答え通り意気込んでやっていかなければ、わが国の経済発展のためには間に合わないというんならば、当然それに伴うところの地価の高騰というものについては、ただいま建設省の方からも御説明がございましたが、何か宅地制度審議会において十二分に考慮をしておるということではございましょう。あるいはまた公共性という問題もその中に加味しなければならぬから、直接この法律からは満たされないとはいうものの、しかし、これは非常に大切な問題だと思います。工場用地そのものについては公共性云々ということが論議せられまして、新産業都市みずからのこの法案からは、そうした問題が生まれてこないかもしれませんけれども、しかしながらやはりそれに付帯するところの道路あるいはその他公共事業に関しましては、当然土地収用法というものの発動云々ということも必要であろうと思う。ただ、それだけではなくて、経済発展のためには、この新産業都市法案をお出しになった以上は、やはり経済企画庁長官といたされましても、この土地抑制策と申しますか、これに対しまして、ただいま土地収用法があるからそれでいいじゃないかというだけでなくて、何らか新しい法律をお持ちであるのかないのか、この点をお伺いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/59
-
060・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 この新産業都市が進行して参ります場合に、御指摘のような問題が起こるかと思います。また同時に、この新産業都市を離れて考えてみましても、ただいまの物価の問題を考えてみまして、相当に土地の価格の問題というのは重要な問題だと存じております。特に土地が投機的対象になる傾向が非常に多いというようなことについては、何らかの検討をして参りませんと、日本の経済の安定的な成長もはかって参ります場合に適当ではないのではないか。そこで現実の問題として、建設省におかれましても、宅地の問題、土地の造成の問題、その価格の問題についての御検討願っておりますが、企画庁としてもただいま申し上げましたような見地から、将来土地の価格というものをどういうふうに押えていくか、まあ不当利得と申し上げるのはいかがかと存じますけれども、やはりそういうふうなものについて一つの考え方をきめていかなければならぬということで、現在の人員の中でやりくりをいたしまして、それらの調査を現在いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/60
-
061・小澤太郎
○小澤(太)委員 関連。——宇野委員の質問に対する長官の御答弁に関連いたしまして、ちょっとお聞きしたいと思います。
それは最初に質問のありました第二条と第四条との関係でありますが、伺っておりますと、二条はむしろ一応形式的に手続上こういうふうな体裁を整えただけであって、第四条がその中心である、こういうお考えのように承ったのでありますが、はたしてその通りですか、もう一ぺん伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/61
-
062・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 言葉が足りなかったかと思いますが、第二条によりまして地方からの申請を受けることが原則であると思います。しかし、それが総合的な開発の見地から見まして、適、不適を判断することは非常に重要なことでございまして、政府としてはその判断をしなければ総合開発の拠点地区とはならぬわけでございますから、そういう意味において十分な検討をいたすということでございます。従って、地方から申請がありました場合に、まずそういう申請を地方からできるだけ出していただいて、そして検討していく、しかし、それはそういう今のような総合開発の企画からやっていくのだ、たとえば総合開発の見地から見まして必要な場合にも、全然地方からそういう申請が出ないというような場合には、それは当然政府としてもそういうものを指定する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/62
-
063・小澤太郎
○小澤(太)委員 それでは先ほどの御答弁が間違いであって、第二条を本則とし、第二条の第一項の申請がない場合において第四条で政府はやる、こういうことが建前だということでございますか。原則と例外とが先ほどの御答弁と反対になっておりますが、どちらがほんとうですか。もう一ぺん伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/63
-
064・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 あとで申した方があれですが、地方から申請をできるだけ出していただいてやっていく、しかし、その申請をいたします場合には、今の総合開発計画の観点から、地方では審査をしなければなりません。その審査をした結果、新産業都市の指定をいたすわけであります。ただ、全然そういうことがちっとも出てこない場合でも、ある意味では未開発と申しますか、国土総合開発の見地から何かそういう方面に指定をしていく方が将来いいのではないかというような場合には、申請を待たないでもやれるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/64
-
065・小澤太郎
○小澤(太)委員 それでよくわかりました。そうあるべきだと思います。最初の御答弁は少しおかしいと思いました。そこで第四条の場合を実際的に考えてみると、おそらくどこの府県知事も、このけっこうな法律ができた暁におきましては、何とか自分のところを開発したいと思いますので、おそらく出てこないというよりは、どこもここもたくさん出てくるのではないか。それでその取捨選択にお困りになると思うケースが多いと思います。その場合の御選定になる基準といたしましては、先ほど伺いましたような基準のようでございます。これはいろいろ議論もあろうかと思いますが、私は時間の関係でそれに触れませんが、おそらく出てこない場合ということで想定されますのは、二つの府県にまたがる地域であって、それが一つの府県のみをとってみれば必ずしも適当でないというような地域があると思います。また府県のいろんなセクトの感情から、適地でありながら、それをあえて府県知事が申請しない。しかし、国の立場から見るならば、二つの府県にわたっておっても、これは新産業都市として指定すべきであるという観点に立っての措置をこの第四条でやるべきである。おそらくその場合以外にはほとんどないのではないかと思います。そういう場合におきまして、この法案を見ますと、二つの府県にわたる場合のことが何も書いてない。第二条は府県知事が自分の所管の範囲内で申請をする、こういうことでございます。第四条にはそのことはもちろん書いてありませんが、おそらくこの行為はそこにあると思いますが、そのほかの手続等につきましては、二つの県にわたる場合のことは何も書いてない。そこでせっかくこのような構想に基づいた新産業都市を作るのに、今の府県の区域にこだわっておられる、それを乗り越えてやろうというお考えがあるのかどうか、こういうことをぜひ伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/65
-
066・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 お説のように、同一府県内におきましてもいろいろな県内の事情によりまして知事が申請する、あるいは同意をするということについて協議があろうかと思います。そういうことから出てこない。それから府県にまたがってということも考えられることでございます。今府県にまたがってすぐにそれでは府県の行政をどうするかということまでこの法律では考えておりません。ただ心持から申せば、こういうものをやっていく場合に、現在の行政区画だけにとらわれるということは必ずしも適当ではないじゃないか。そしてそれはそれぞれの分かれております府県のためにも非常な大きな将来のプラスになる問題でございますから、今後ともそういう問題については十分に検討をいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/66
-
067・小澤太郎
○小澤(太)委員 大臣と私も同感でありまして、何も府県の区域にこだわる必要はない。むしろそういう真空地帯を十分に埋めていく必要があると思います。それにしましても、この法案には二つ以上の府県にまたがる場合における府県の協議と申しますか、そういうふうな手続等の規定がございませんが、それをどういうふうに扱っていくか、それからあるいは市町村の問題にいたしましても、合併というようなことを考えておりますが、合併でなしに、あるいはトロント方式というようなものもあるわけでございます。それからせっかく日本の産業開発を新しい観点に立ってやるにあたりましては、そのようなことも十分に考慮していく必要があるのではないか。何か既設の制度の上でそれを守りながら、その方則の中で、ワクの中で何とか処置をしようというようなにおいがいたします。この点については自治省の方の御見解もあろうかと思いますが、ここで一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/67
-
068・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの二県にまたがります場合の将来の問題といたしましては、私どもも予想しておくべきではなかろうかというふうに考えておりますので、地方制度調査会の地方開発都市小委員会でそういう場合のことも御検討願っております。
それから市町村にまたがります場合に、合併という既存の方式以外に、トロント方式のような何か新しい協力方式を考えてはどうかというお説でございますが、この点毛私どもも全く同感でございまして、必ずしも合併じゃない、合併よりもむしろ幾つかの都市の連合都市的な形態で、より能率的に仕事をやっていけるという方式も研究していいんじゃなかろうかということで、これも現在検討をいたしております。まだ成案は得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/68
-
069・小澤太郎
○小澤(太)委員 そういうふうな構想かまとまれば、将来この法律を改正するなり新しい法律を作っていくなり、そういうふうな方向にお進めになるというお考えでありますかどうか。私は、ぜひともそういうふうな方向に、全体として、地方制度の問題も全部合わせて、日本の新しい産業のあり方の総建て直しをやっていただきたい。こういうことを大きな気宇、構想のもとにやっていただきたい、このことを希望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/69
-
070・宇野宗佑
○宇野委員 先ほどの土地の地価高騰の問題でございますが、それは第二といたしまして、ただいまの長官の答弁を承り、早急に法律案の成立を賜わりたいと思います。しかし、現実の問題としては、この法案が通過すれば、いち早く新産業都市の建設にかからなくちゃならないわけです。そのとき当然ついて回るものは、地価の高騰なんです。従いまして、いろいろ御検討はなされるでしょうが、新しい法律ができるにいたしましても、間に合わない。こういう観点からいたしますと、要はこれから新産業都市を建設しようとするところは、言うならば従来の既設工業都市の衛星都市あるいはまたそれをつなぐところのベルト地帯ならベルト地帯、こういうことになるでございましょう。後進性のあまり強いところは後進地域開発法に基づいてやっていくわけでございますから、新産業都市の間尺に合わないと私は思う。しからばいずれにいたしましても新しくそうしたところを作ろうという場合は、今日からいうならば、府県においても、あるいは町村においても、財政は非常に窮迫しておるようなところがなきにしもあらずだと思うのです。しかし、そういうところに新産業都市を作らなくちゃいけない。そうでなかったならば、都市に対する人口の集中であるとか、あるいはそれに伴うところの弊害を防止することはできない。こうなって参りますと、結局新しい地帯に工業を誘導する何らかの手段を講じなくちゃならぬ。その手段のためには現在国家としてはいろいろ考えられるでしょうけれども、公共投資であるとか財政金融あるいはまた租税政策、この三つくらいしかないと思う。ところが今日このままの姿でそれをやっていきまして、ここには起債については特別の配慮をいたしましょうというようなことも第十九条には書いてありますけれども、やはりここら辺に一つ都市を作るのだ、今、小澤さんの質問に対して、第二条によって各知事が、おれのところにはこういうりっぱなところがあるから、ここら辺の市町村長を集めてやろうと思ったところが、そこに誘導手段が間に合わない、いわゆる誘導手段を講ずるに足るだけの財政がもしない場合には、とてもじゃないが、今日のままの三つあげたような政策では間尺に合わないと私は思う。だから、こうした場合に、自治省としては開発債というものを考えておる、あるいはワク内起債というものを考えておる——どういうふうな手段を講じようとするか、これを御説明を賜わりたいと思うのです。なぜかならば、私の県においても現にそういうことが起こっているのですが、地価が高騰するから今のうちに手を打っておこうというので、地主の了解を得て何らかの手付金を渡そうじゃないか、そういう方法を講ぜざるを得ない。地価が高騰してしまう。だからこれは市町村がやろうと思いましても、県がやろうと思いましても、今日の財政力からいえば、そういうことはなかなか手が打てない。打てないままにほうっておくと、地価が高騰してしまって、さてそこに新産業都市を作ろうと思いましても、そのときには手の施しようがなかったというようなことでは、せっかく法律が通りましても、間に合わないと思うのです。この点に関する自治省の御見解を承っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/70
-
071・大上司
○大上政府委員 ただいま宇野委員の御質問、まことにその通りでございます。従いまして、われわれの方といたしましては、ただいま御審議願っておる法案の運営上ではそういう問題は当然起こるんじゃないかということを予測いたしまして、現在地方制度調査会へ提案し、目下審議をしていただいておりますが、要はわれわれといたしましてもそういう問題を想定して、現在においてももはや研究にかかっておるという段階であるということを申し上げたいのであります。
〔渡海地方行政委員長代理退席、早稻田商工委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/71
-
072・宇野宗佑
○宇野委員 まあ早急に一つ研究もしていただき、大蔵省がどのようなことを言われましょうとも、幸いにして藤山先生が窓口大臣としていらっしゃるのですから、こういう問題を総合的に並行して進めていかなくちゃならぬということをこの際に要望として申し上げておきます。
なお、かつそれに関しまして、第二十二条以降におきまして、関係市町村の規模の適正化ということが書いてあります。もちろんこうしたことは非常に必要なことだろうと思いますが、この法案を読んでみますと、もちろん各県には協議会というものができるのではございますけれども、関係市町村の規模の適正化については、「市町村合併によりその規模の適正化並びにその組織及び運営の合理化に資するよう配慮しなければならない。」ということであって、新産業都市の地域に指定されたその関係市町村は、合併をした方がよろしいというのか、あるいはまた合併をしなければならないというのか、気持はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/72
-
073・大上司
○大上政府委員 一つの行政単位としては、いわゆる単一の行政体が望ましいと思うのですが、この法案を施行することによって、たとえば強制的に合併をさせていくとかというようなことは考えておりません。すなわちこれを要約すると、合併というものを必須条件として、前提条件としてこの法案を実施する考え方はいたしておりません。どこまでもさいぜん申し上げましたように、一つの単一行政体であることは望ましいけれども、という見解をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/73
-
074・宇野宗佑
○宇野委員 しからばいわゆるトロント方式というふうなことを法制化はしておらないけれども、トロント方式というふうな形において、関係市町村の協議体によって、これからの新産業都市を運営していこうというお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/74
-
075・大上司
○大上政府委員 その具体的な運営方法につきましては、所管局長から御答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/75
-
076・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの点でございますが、この新産業都市に指定されます区域の市町村の状況が、先ほど企画庁長官からも御答弁がございましたように、一つの都市を中心にして隣接町村と一緒になったものか、あるいは数個の都市が比較的近くにありまして、それらのものを中心とする、言いかえますならば、その地域にさらに幾つかの小さな核と申しますか、中心ができる。それが連合した機能を持って、一つの総合的な新産業都市としての機能を発揮するというような場合もあろうかと思いまして、これはその区域々々の状況に応じて、どういう都市の形態がよろしいかということは判断をいたさなければならないと思っております。ただ原則的に申しますと、合併をしていった方がいいというような場合が比較的多かろうと思うのでございます。そのほかに先ほどお話の出ましたような、合併はいたしませんが、幾つかの都市が、広域的に処理した方がいいものだけを連合した機構を作って、それを処理をつけるというような、いわゆるトロント方式というようなものがより適切だというような場合もあろうかと思うのでございます。それらの場合につきましては、先ほど申しましたように、現在地方制度調査会でいろいろ御検討を願っておりますので、その結論が出ました上で、もし制度化すべきであるということであるならば、そういうふうな措置をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/76
-
077・宇野宗佑
○宇野委員 一つその辺に対しては、自治省はもう少しはっきりした態度でお臨みになった方がいいのじゃないかと私は思う。ついこの間も阪神あるいは播磨を中心とする広域都市というものが提唱されて、せっかく実りかけたけれども、要は下の方からの突き上げで流れてしまった。ああいうふうなもので毛、たとえばこれは合併した方がいいのだという一つの太い線が出されておったならば、その方向に向かって広域都市というものが建設されたかもしれませんけれども、協議会や何かで一つやっていきましょうということになってしまいますと、それぞれ今日あるところの地方自治の議会そのものがそのまま存続しておるわけですから、その議会の権限が縮小されるとかあるいは市町村の財源問題についてもそれぞれ利害関係があるとかというふうな感情で、要はせっかく実ろうとしたところの広域都市というものを崩壊してしまったという実例がついこの間阪神においてもあるわけなんです。そういうことを考えますと、ここに述べられておるところの新産業都市、まことにけっこうでしょうけれども、実際の運営という面に当たった場合には、そういうことがたくさん出てくるのじゃないか、こうした場合には、はっきり自治省は、思い切って合併をすべし、あるいはトロント方式というものを新しい法律によって定むるとか、何らかの形をしていかない限りは、単に協議会においてそのようなムードをかもし出して、その上において合併を促進しましょうというような程度のことでは、私は、この新産業都市というものが御希望の通りに動くか動かないかということについては、はなはだ疑問を抱かざるを得ない、かように存ずる次第であります。この点に関しましては、なお一そう御検討を賜わっておきたいと思います。
現に私の県におきましても、人口八十六万の滋賀県、ちっぽけな県であります。しりから勘定いたしまして三番目です。大体全国の百分の一、何でもかんでも百分の一ですが、今その県におきましても、新産業都市を、第二条に基づきまして、知事が、この法案が通ったら一つ出そうか——何も私は陳情しているわけではございませんが、今そういうつもりで段取りをして、総数で八十六万の県のうちで、四十万の新産業都市ができる、これは新産業都市として協議体として発足する場合にはいざ知らず、将来はやはり合併という問題も出てこようと私は思う。されば八十六万のうちで四十万の都市ができてしまって、残る四十六万が五十何カ町村に分かれておるというような地方自治体の姿が、先ほど小澤先生が申されたように、これから新しい新産業都市を構成して、まれそれに伴うところの地方自治制度そのもの自体についても再検討しなければならないときに、好ましい姿であるかないかということは、当然おわかりのことだと私は思う。こういうことについても、この法案を出した以上は、今から御検討なさって、相当はっきりした線を打ち立てられて、今から五、六年前に、塚田自治庁長官のときに、いわゆる町村合併、それに伴いまして、道州制であるとか府県合同だとか、そういう問題が出ました。あのときには、まだ経済というものは今日ほどに発達していなくて、お互いの関連性がなかったものですから、各都道府県におきましても、反対だとか、いやどうだとかいうような議論が出たでしょうが、今日の日本の経済を考えると、今や地域格差をなくしようとして、いろいろな法案が積み重ねられ、法案が出る前に、すでに後進地域に対しても工業というものはどんどんと進出しておって、お互いに相当レベルのある相近接した立場に来たときには、当然経済圏というものの母体をもって道州制もしくは合併という一つの条件が整いつつあると私は思う。こういうことを考えました場合に、府県の問題は第二といたしまして、事町村に限りましては、トロント方式ならトロント方式、あるいはまた合併なら合併すべし、こういうふうな態度を今からはっきりと持っていただくことが必要ではないかと私は思うのであります。
時間がございませんから、最後にもう一言だけ企画庁長官藤山先生に御質問申し上げておきたいと思いますが、要は、今日でき上がりました新産業都市法案に関しまして毛、あるいは昨年通過いたしました水資源開発公団あるいは促進法の二法案に関しましても、これは建設省、あるいは農林省、あるいは通産省といったふうに、それぞれの各省の思惑を一本におまとめになったわけであります。今回の新産業都市に関しましても、自治省は基幹都市、あるいは建設省は広域都市、あるいは通産省は工業都市、こういったものを、それじゃ工合が悪いから、一つなわ張り争いをよしていただきましょうというので、言うならば藤山先生が中に立たれまして、一つまとめる大臣としてこれからやっていこうということでまとめられたわけです。まとめられたから、この法案の中にもそれぞれの個性が生きておりまして、法案一本というところでながめさしていただいた場合には、まだまだ検討の余地があるのじゃなかろうかとは、私自身は考えております。しかし、これからこういう一応法律としては一本化した、さて新産業都市を実施しようという場合には、先ほどの小澤委員の質問ではございませんけれども、要請大臣というものの協議一致せざる場合には、これを内閣総理大臣に申達することもできないし、当然総理大臣は指定することもできない、こういうふうなことになって参りますると、せっかくこれからやっていこうというても、何だかんだという問題が出てくるのじゃないか。先ほど曾田さんに御質問申し上げたように、五百万坪だけれども、それに関連して千万坪要って、千五百万坪農地が壊滅するとかいうことになれば、農林大臣といたしましては、農業基本法の趣旨に基づいて、ちょっと待てというような声がかからないとも限らない。あるいは運輸大臣からかからないとも限らない。あるいは建設大臣からかからないとも限らない。こうしたことを考えていった場合には、もう一つ深く掘り下げて、このように今や国土を総合的に開発をなし、なおかつわが国の経済の拡大のために、所得を倍増しようとするからには、もう少し考えてほしいことがあるのでありますが、それは各省間のもちろん緊密な連絡であり、それこそ各省間の行政の一本化であります。なぜかならば、今日の行政を静かにながめておりますると、農林省は土地改良をやっておる。その土地改良をやって農林省が相当多く投資したにもかかわらず、いつの間にか知らぬが、そこに都市計画というものがなされておる。都市計画がなされて、建設省が相当そこに投資したにもかかわらず、いつの間にかそれが今度はまた私鉄なんかがそこを買収して、個人企業という公共性のきわめて薄いものが、その辺に発達しておる。そういうふうに国家の投資というものが二重、三重になる面がなきにしもあらずなんですね。
私は滋賀県で、琵琶湖というものを持っておりますが、たとえば建設省においては、今日いわゆる工業用水の確保のためには、どうしても琶琵湖をダム化しようというので、南北湖に分けて、そうして北湖の方は三メートルか四メートル水位を引き下げようとしておる。もしも建設省がほんとうにその気持であるならば、ここから数年後には、当然北湖の水というものは三メートルか四メートルは下がるでしょう。ところが、そういう既成事実があり、国がそういう方針を持っておるにもかかわらず、片方におきましては、やはり農業基本法に基づきまして、いや、依然として既成農家の増反のためには干拓をしなくちゃならないというので、農林省は莫大な金を出しておる。そうすると、農林省が莫大な金を出しましても、もしも建設省の案が通過して水が下がってしまったら、何も干拓しなくたって、三年後にはちゃんと水はなくなって、そこが工場用地になるか、あるいは農地になるかもしれぬけれども、多少ともそうした用地というものが造成されるのじゃないか、こういうふうな矛盾が、今日の国家行政をながめたら、幾つもあるのです。こういうことは、もちろん川島行政管理庁長官にお尋ねした方がよいかもしれませんが、いやしくも経済という立場から立つのならば、経済企画庁という立場から立つのならば、当然この面に関しましても、各省間の統一というものが——現在ばらばらで行なわれておるということを考えますと、それを中心とした新産業都市が行なわれた場合も、それと同様なことが行なわれると私は思う。私は、国家投資というものが二重、三重になされることは、もったいないと思う。その辺に関するところの藤山先生の抱負をお承りいたしまして、私の質問を閉じさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/77
-
078・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 お説のような問題が起こりますことは、必ずしも日本の地域開発あるいは国土の総合的な開発、経済力を上げていく上において適当でございません。農林省がたとえば干拓事業をやって、でき上がる時分にはそれが工業用地になってしまうというような例も、私ども見ておるのでございまして、そういう点は、総合的に、企画庁としてもこういうものを出します以上は、十分な各省の間の関連をつけて、そうして総合的な問題として今後やって参らなければならぬと思います。
なお将来、今日のような発達して参りました段階におきましては、行政機構そのものに対して全般的に再検討する必要があると思うのでございまして、その点は、川島長官が行政審議会を作られまして、新しい行政組織全般にわたって再検討されることにし、民間各方面の有力な意見も入れて、単に事務能率の向上という以上に、行政機構の改編その他にまで触れていかれることだと思います。そういうことによりまして、将来新しい日本の時代に対応しますような行政機構ができることを望んでやまないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/78
-
079・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 前田義雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/79
-
080・前田義雄
○前田(義)委員 すでに委員各位から、それぞれの立場から御質問がありましたので、ほとんど尽きておるわけでございまするが、私は、一、二点補足的な問題ではございまするが、御質問申し上げたいと思うのでございます。
新産業都市建設促進法の目的は、第一条で、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、地域格差を解消する、こういうことが大原則になっておるのでございます。そこでこの問題に関連しまして、農村の労働力というものが最近大都市の工業労働力に吸収されて、この農村労働力というものについては、非常な問題点が出てきておるわけであります。これはどういうわけかといいますと、要するに調和ができないのだ。工業がどんどん進んでしまって、農村の近代化というものがおくれておる、そういうところに問題点があるかと思うのであります。そこで、やはり大都市を地方分散させて、地方に中核的な産業都市を作る、こういうことはまことにけっこうなことなんですが、また一面、新産業都市建設の促進の進度と農業の近代化の進度というものが調和できないということになると、やはり農業労働力についての非常な問題点が出てくるのじゃないかと思うのであります。こういう点については、十分政府において配慮がなされておるとは思いますけれども、私ども農山村の出身者としましては、非常に危惧をしておるわけであります。この点について、長官の御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/80
-
081・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 日本の経済の発展の過程におきまして、工業発展の方が農業改造よりも先に進み過ぎたということは、事実でございます。従って、農業基本法を作りまして、いわゆる選択的拡大ということで農業の体質改善をはかっていくことになったのも、そこにあろうかと思います。従って、今後農村をどういうふうにしていくかということは、非常に重要な問題でございまして、今後、工業の発達とともに、農業所得の拡大もはかって参らなければいけませんし、あるいは都市労働者と農村労働者との間の格差というものも、調整して参らなければならぬと思います。同時にまた、新産業都市を作ります場合に、先ほど御指摘のありましたように、工場用地あるいは住宅用地として農地をつぶす以外に、大きな面で考えて参りますと、こうした都市のできて参ります場合には、やはりその付近の農業というものは、ある程度都市の食糧の需給に直接合うような形態になっていかなければならない。つまり野菜農家というものの育成が考えられませんと、物価問題にも非常な影響を及ぼして参りますし、都市生活自体の問題にもなって参ります。従って、要請大臣として農林大臣が入られたのも、単に農地の転換というばかりでなく、これらの産業都市におきます食糧の需給関係、またそれの物価に及ぼす状況等も考えて参りますことが、私は必要なことじゃないかと思うのでありまして、また農業基本法によります選択的拡大という面からも、あわせて考えていただくことが必要じゃないか、こう考えて加わったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/81
-
082・前田義雄
○前田(義)委員 農業労働力が工業労働力に転換される一番の問題点は、一番働き手であるところの青壮年が工業労働力に吸収されることであります。その吸収度合いというのは、非常に加速的に増大をしておる。残る者は老人、婦人ということになってきておるわけであります。先ほど申しましたように、いわゆる農業の近代化がそれに伴っていかないと、農業の混乱を招くことは、はっきりした事実であろうと思うのであります。そういう点につきましては、今後この産業都市を建設される場合に、大事な農村の基盤を混乱させないように、十分御配慮を願いたい、こういうことをお願いをしておきたいと存じます。
次に、今お話がありましたが、こういうような問題から農林大臣も要請大臣の中に加わったということでありますけれども、これは第五条の区域指定の条件としまして、工業用水とか、水道等についても、重要な問題があるわけであります。法律案によりますと、行政大臣は経済企画庁長官と農林大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣ということに限定されておるわけでありますが、その他の大臣、例をいいますと、厚生大臣もやはり行政大臣に加わっていいのじゃないかと私は思うのですが、その辺の御見解はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/82
-
083・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 これらの新産業都市を運営して参ります場合には、ほとんど各省に関係して参るのであります。相当な規模の都市ができて参りますと、学校教育の問題も出て参ります。上下水道等の問題も出て参ります。あらゆる意味において関係大臣は多いのでありますが、一応これに限定いたしましたのは、新産業都市の地理的条件その他を具備いたしますための最小限の関係大臣を要請大臣といたしたわけでありまして、従って、こういう指定をいたしました場合に、関係行政機関の長というのは、厚生大臣にも、あるいは文部大臣にも、それぞれそういう都市を作ります場合には、学校等の計画はどういうふうになっておるのか、あるいは厚生行政の上においてはどういうふうにしていくのかということは、当然その御意見を伺ってやっていくことにいたして参りたいと思っておりますが、指定する場合の直接の、土地の問題でございますとか、あるいは運輸の問題でございますとか、あるいは都市自体の自治の問題とか、そういう点に限ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/83
-
084・前田義雄
○前田(義)委員 そういう御方針で、他の関係大臣にもいろいろと相談をしておやりになるということでございますので、了解いたします。
そこでもう一、二点あるわけでありまするが、先ほど小澤委員から、区域指定をする場合に、二つの府県にまたがるというような場合について、今後広域行政あるいは経済圏というようなものを考慮して、大きな立場から考えたらどうか、こういう御意見であったわけでありますが、ごもっともな御意見であると、私どもはそれに大賛成なんであります。しかし、御承知の通り、水資源の促進法、公団法等ができました際に、やはり上流の低開発地帯ともいわれる府県、そういう府県においては、水資源の促進法あるいは公団法を制定する場合におきましても、相当な問題が生じてきておるわけであります。たとえて言いますると、私、岐阜県でありまするが、やはり臨海地帯の愛知県あるいは三重県等との利害は、非常に相反するものがあるわけであります。しかし、臨海地帯の両県におきましては、水をどうしても確保しなければならないという必要性のあることも、十分に察せられるわけであります。そういうようなことを考えますると、もちろん、理想としてはこれはもう東海の経済圏を確立し、あるいは北陸の方まで入れて中部経済圏を確立するということは、これは非常に必要なことだとは当然考えますが、変なお尋ねをするようでありますけれども、いわゆる区域指定が両県にまたがる、二つの県あるいは三つの県にまたがるというような場合に、そういうことを前提条件にして区域指定があるということになりますと、低開発地域の上流県が非常に不利益をこうむらざるを得ないというようなことも考えられるのじゃないかと思うのであります。そういう点は、もちろんお考えになってはおるまいと思いますけれども、こういうような点について十分な御配慮がいただきたい、こう思うわけでありますが、この点についても、一つ御見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/84
-
085・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 つまり、私ども考えておりますのは、経済圏全体が発達していくような考え方のもとに、拠点地区としての中心地域を考えるということで、何か新産業都市という指定を受ければ、それ以外の土地はどうあってもかまわないのだということではないのだということではないのでありまして、拠点地域でございますから、全体の経済、これは必ずしも二県にまたがりますか、一県内でも同じことが私は言えると思うのでございますが、拠点構想ができますれば、その地方のいわゆる今日の経済圏全体が潤うような考え方でいくところに、いわゆる拠点地区という意味があるわけでございまして、それだけがやる。従って、川の上流方面には何らの経済的効果が及ばないで、川下のそこだけが栄えていくのだというのではなくて、そういうものができれば、上流の方にも新しい、いわゆる低開発地域の工業促進法というようなものによって適当なものができていくというような考え方で、われわれはおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/85
-
086・前田義雄
○前田(義)委員 もう一点、お伺いいたしたいと思います。
これは自治省になると思いますが、十九条で地方債についての配慮がなされておるわけであります。「建設基本計画を達成するために「法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。」こういうことが十九条にうたってあるわけであります。さらにまた二十条においては、「製造事業、運輸事業等の事業を営む者が、新産業都市の区域内において行なう工場、事業場その他の施設の新設若しくは増設又はこれらの施設の用に供する土地の取得若しくは造成に要する経費」——これは自治省の関係ではないと思いますが、「必要な資金の確保に努めなければならない。」、こういうようなことも言っておるわけであります。この十九条の特別な配慮、こういうことは、どのような一体配慮がなされるのか、それについての御意見を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/86
-
087・佐久間彊
○佐久間政府委員 一つは、既存のワクの中で起債の許可をいたします場合に、優先的に配慮をするということが一つございます。それからいま一つは、先ほどの土地の買収等につきましては、いわゆる先行投資、といったような性格のものになりますので、従来の起債の詮議方針からいたしますと、いろいろむずかしい点があるわけでありますが、そういうものも、起債のワクを広げますことによりまして取り扱い得るような配慮もする必要があるのではないかというような点を、この特別な配慮の問題といたしまして現在検討をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/87
-
088・前田義雄
○前田(義)委員 今のお話だと、まことに消極的なお話のように承るわけでありますが、私は時間の関係がありますから、これで質問はやめるわけでありますが、この地方債についての配慮、資金の確保、これは新産業都市建設の上において、非常に重要なウエートを占めるものであろうと存ずるのであります。従って、これについては、ただ今お話しのようなことでなく、もっと積極的な特別な配慮あるいは資金の確保、こういうことを十分に考慮していただくようなことを十分検討していただきたい、こういうことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/88
-
089・佐久間彊
○佐久間政府委員 ちょっと、今の先生のお尋ねに関連いたしまして、補足をさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたのは、さしあたり現在のところで考えておる事項でございますが、将来の問題といたしまして、この新産業都市建設が進行して参りました時期におきましては、さらに積極的に、たとえば公営企業金融公庫というものをもりと拡充をいたしまして、こういうものの資金の融資ができるようにするとか、あるいは必要によりましては外債というようなものも考えるとか、そういうような問題を現在地方制度調査会では御審議をいただいておりますので、それらのことも、今後の問題としては考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/89
-
090・小澤太郎
○小澤(太)委員 ちょっと関連して。たびたびどうも関連質問をいたしまして申しわけございませんが、ちょっと気になることがございますので、これまた長官の御決意を伺いたいと思います。と申しますのは、この法律案ができますいきさつをいろいろ伺っておりますと、要請大臣が何人もできて、あとからまた加わったり何かして、それぞれ事情がありますし、意義があることだと思います。かくていろいろ政府でも御苦労なさってでき上がった法案を見ますと、まことにけっこうではありますけれども、何となく筋金が一つも通っていない、けっこうずくめだけれども、背骨が通っていないような感じがいたします。これの要点といたしましては、適当なところに指定をして、それに対しては起債の面と、融資の面と、租税上の均等措置をした場合の地方財政を確保してやる、こういうことのやや実のある問題と、最も大事な予算の問題などにつきまして、どう措置をされるつもりであるか。法律は作りましたけれども、これに関連した予算というものが十分ついてなければ、これはただ絵にかいたもちのようなことになります。とかく各省で、ああでもないこうでもない、お互いに権限を張り合って作り上げたものが、いざでき上がってみると、それがほんとうに生きて動かないという懸念がございます。経済企画庁がこの窓口になって、要請大臣筆頭になっておられるということになりますけれども、実施機関であります各省との間をどう調整していくか、ことに予算をどういうふうにこれにつけていくかというふうな意気込みというものが感じられないわけでございます。これを政府部内でどういうふうにお扱いになるかということを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/90
-
091・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 各方面からの御意見を総合してでき上がりましたので、何か迫力がないようなお感じの場合もございますけれども、これをやります以上は、当然真剣になってやって参らなければならぬのでございまして、この法律自体に、必ずしも先ほど自治省からの説明もございましたような程度以上には書いてございませんけれども、たとえば公共投資のような問題につきましては、新産業都市ができますれば、当然道路の五カ年計画なりあるいは道路の新しい計画なりというものは、建設省方面において新産業都市を中心にして、その発達に貢献するように予算措置もされ、またそれぞれの計画も立てられることになるわけでございまして、そういう点について、企画庁が窓口であり、幹事役であり、あるいは主管をいたします以上は、各省庁がそれぞれこの問題に向かってできるだけ協力するという以上に、各省庁がこの育成に努力するように私どもは持っていきたいという覚悟をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/91
-
092・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/92
-
093・門司亮
○門司委員 きょうは、私は条文には触れませんで、ごく簡単に、この法案を出された経緯、さらに構想その他について、二、三の点だけお伺いしておきたいと思います。
最初にお伺いしておきますのは、この法律を読んでみまして、一向私にはわからぬのでありますけれども、その構想を一つ明らかにしていただきたいと思います。
一体この法律はどういう観点でできたものかということがわれわれにわからぬのであります。というのは、表題が新産業都市建設促進法案と書いてあって、この法案の大臣の説明書を読んでみましても、冒頭には、日本の産業経済のことがずっと書いてあります。そこでこれをそのまま見ますと、どうもこの法律は、日本の産業経済と、さらにもう一つつけ加えれば、それからきたいろいろな付帯条件としての所得の格差というふうなものをなくするために、こういうことが言われようかと思います。そうだとすれば、この法律の主管は、当然通産省にいくべきではないか。いわゆる産業というものを中心に考えておるならば、通産省にいくべきだ。また、自治行政の立場から考えて、自治行政をいかに運営していくかということのためのそういう配慮が行なわれるということから考えれば、これは自治大臣に持っていくということも考えられる。政府の考え方は、今申し上げました後段の方を大体おとりになっているのではないかと私は考えられる。しかし、その辺はどっちなんですか。どっちにウエートを置かれておるのか。産業を開発しようとされるのか、あるいはその格差だけをこうやっていけばよろしいとお考えになっているのか、どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/93
-
094・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 御承知のように、国土の総合的な開発ということが今日非常に重要な問題でございまして、総合的な開発の計画もすでに進行いたしております。国土の総合的開発を何のためにするかといえば、むろん格差の是正をいたして参らなければなりませんし、また過大都市の集中排除も考えて参らなければならぬ。要するに、国力を総合的に発展させるための国土の総合開発計画なのでございます。そこで、その国土の総合開発をやっていくということの場合に、いろいろな条件があると思います。官庁都市とか、あるいは大学都市とかいうことも地方にはございましょうし、あるいはそういう面も考えられますけれども、今日の状況から申せば、やはり産業の開発ということが、一つの地方開発の拠点にならなければなりませんし、従って、私どもといたしましては、今申し上げたような目的を達する上における国土総合開発の拠点都市として、しかもその拠点都市は産業をまずやる都市である、あわせて低開発地域の工業開発促進法と関連して、これらの新産業都市と新しく低開発地域工業開発法によります開発地区との連絡を保ちながら、全体としてやっていく。従って、都市自身の性格からいえば、必ずしも大学都市であるとか、あるいはそういうような官庁都市であるとかという性格が大きくなくて、今お話しのような産業都市というようなことが大きいことでございますが、しかし、今申し上げましたような大きな観点に立ちますので、国土総合開発計画をやっております企画庁が主管をいたし、取りまとめをいたして、一向に差しつかえないのだ、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/94
-
095・門司亮
○門司委員 私が聞いておりますのは、企画庁が主管することはよろしいと思いますが、この法律の内容の中に、主管庁が自治省になっている。大体自治大臣なんです、問題になりますのは。これと似たようなものが長い間実は考えられております。御承知のように、イギリスにある工業配置法——一九四五年と一九五〇年の二回にわたってできた法律をわれわれは総合して、一口に英国の工業配置法ということで呼んでおります。このイギリスの構想は、すべての点においてやはり日本の通産省と同じような性格を持つ大臣が一手に握っておって、そして工業開発あるいは産業開発の観点からそれを主題に置いて、地方の必然的に行なわれてくる、形づけられるであろうとする、今お話しのような格差をなくするとか、あるいは自治行政をどうするかというようなことを解決をしていく。基本はやはり経済開発に主として置いて、そして通産大臣が大体工場の許可であるとか、あるいは政府が——これは英国は政府が非常にたくさんの金を出しておりますが、金を出して、そして国みずからがこれを行なうという建前をとっております。これは私はそれでよろしいと思います。ところが、私がこの法律がわからぬと言っているのは、そういう構想が首題の中には書いてある。大臣の説明の中にも、前段は書いてある。しかし、だんだんずっと読んでいってみると、しまいには、地方の税金がどうだとか、起債を許すとかいうことまで出てきております。一体この仕事はだれがするか。予算というものは、さっき小澤さんの質問でちょっとお答えになったようでありますが、予算などほとんどついてないでしょう。大臣が予算委員会で説明をされた大臣の説明書をそのまま読んでみますと、ごくわずかの予算しかついていない。ただ、委員会だけを設置して、何かこしらえられるというきわめてわずかなものであって、大臣の予算委員会の説明をそのまま読んでみますと、「新産業都市の建設を促進するための施策並びに産業の発展と都市人口の増加に伴う水需要の増大に対処して、水資源を確保するための施策などを樹立するに必要な経費として五百二十四万四千円が含まれております。」、こう書いてある。この前段は非常に大きな構想が考えられていたのだが、金高のところにいくと、五百二十四万四千円ということで、一体何をされるのだか、ちっとも私どもにはわからぬのであります。
そこで問題になりますのは、今聞いておりますように、一体どっちに考えられたか、われわれにはわからない。今日の地方の開発問題については、私は、いろいろな問題があろうかと思います。われわれの知っている範囲におきましても、一九五八年の八月に、オランダのパーク市で都市再建の第一回国際会議を行なっております。この場合の議題になって参りましたものは、地区の再開発が一つ。これは今のような構想が一つあろうかと思います。それからもう一つは、既存の都市をどういうふうに——この場合は修復というふうに翻訳されておりますが、修復されていけばよろしいか。もう一つは、既存の都市をどういうふうに保存していけばよろしいか。大体三つに分けて、ここの国際会議で議論をされてまとめられて、それが日本に持ち帰られて、そしてそれ以後ずっと、何でもこれについて都市問題研究会の二十何回かにはやはりこれが主題になって議論がされておる。そういうふうな都市問題と地域問題を考えていきますと、当然これは日本だけに起こった現象ではありませんで、方々にこういうものがあると私は思う。その場合の一つとして地区の再開発をどうするかということになって参りますと、これは単に自治行政だけの面から議論すべきものではなくて、むしろ日本の場合は経済の面から議論すべきであって、もしこういう法律が出されるなら、ほんとうに通産省は主管庁として一手に引き受けてこれを行なうという筋の通ったものでなければならぬと思う。企画庁でこれを企画されて、あとはみんなで審議してこしらえる。それから法案全体を見ておかしいと思うことは、予算のことがこの法案にはどこにも触れていない。どういうふうにしてあげるということはちっとも書いてない。だから予算だけを見てごらんなさい。申請の地方の自治体はあれを運営するための起債だとか、あるいは減税措置に対しての起債等は、はなはだしきは交付税の基礎単位の中にこれを入れてよろしいということが書いてある。全く地方の自治体の仕事というような形が出てきておる。国は許可権限その他を持っておるが、実際の実施は、地方の自治体の負担と責任において行なえということで、どうして新しい都市ができますか。新しい都市を建設していくためには、イギリスの工場配置法のような画然としたものがなければ、これはどうにもならぬです。この法律の末端にどうとかこうとか書いてありますが、こんなことは枝葉末節の話なんです。
だから大臣にもう一つ念を押して聞いておきたいと思いますが、ほんとうにどちらです。産業開発をされるというなら産業開発のように私どもは見方をしていかなければならぬ。法律自身もそういう眼で見なければならぬ。地方の自治体が責任と負担を背負って開発をしていくために、国が多少の援助をしてあげようというなら、またそういう見方をしなければならぬ。どうも法律を読んでみますと私はそういうふうな気がする。国の負担というものはどこにも書いてない。積極性というものがどこにも書いてない。
それでは時間がありませんから突っ込んで聞いておきますが、もしこういうものができれば国がどういう責任をお持ちになりますか。これは、地方の自治体で今申し上げましたような学校とか水道とか下水とかいろいろな施設に要りますよ。そのほかにこういう都市と都市との連絡をする道路というものは、どうしてもなければ発展はあり得ない。道路は必ずしもその都市だけにつけたのでは間に合わないのです。いわゆる連帯し道路の計画をどうするか。輸送計画をどうするかということになると、かなりの費用が必要になってくる。その費用は、この法律でどこに出るところがございますか。ただ審議会だけがあるからそれにまかしておくという、こういう御答弁になりますか。どちらになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/95
-
096・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合に、私どもはこの産業都市自体が単に通産行政のワクの中でできるとは考えておりません。今御指摘のように、都市と都市との間の道路を作るという道路建設事業もやって参らなければなりませんし、あるいは水の問題を扱って参りますれば、河川関係の問題も出て参るわけでありまして、各省に総合的に関係する問題でございます。従って、この法案としては、そうした都市を作る一般的な要件及び条件等を整備させまして、そうして、それらを各省それぞれが実施していくというまとめ方をして参るおけでございまして、たとえばこの法律に道路の費用をこういうふうにとってやるのだ、あるいは学校のあれをとってこうやるのだというようなことまでいきますことは、私は適当だとは考えておらぬのでございます。ただいま御指摘のように、外国の例をいろいろお引きになりましたので、たとえばイギリスのように、ある意味におきましては国土の総合的な開発というものは、ある程度進んでおります。道路の面におきましてもあらゆる面において、また産業分散におきましても、日本と違いまして、たとえば繊維の工業はスコットランドにあるのだ、鉄鋼はバーミンガムにあるとか、やはり各地にそれぞれそういうふうな総合的な開発がすでにある程度進んでおりまして、その中の過大都市をある程度分散して衛星都市にしようという都市計画の構想と、今日の日本の国土総合開発計画とは、若干相違する点があるのでございまして、そういう点において地域格差の是正というようなことも第一条にうたっておるわけでございます。従って、こういう法律によりまして一つの目的と方針と計画を立てまして、そうしてそれを各省庁がそれぞれ協力をいたし、またその線に沿って道路の計画を立て、あるいは水道の計画を立て、それに対する都市の補助もしていく、また通産省としてはそれぞれの産業立地の条件に従って工場の適正配置をはかっていくということによって、これが総合的に運営されていくということになるわけでありまして、かりに離島振興のように、各省にまたがります道路もございます。これは電力を引かなければならぬ、あるいは港湾を作らなければならぬ。離島振興のようなのは小さいですから、その予算をある程度企画庁でまとめておりますけれども、しかし実施そのものは、各主管庁がそれぞれお願いをしてやっておるわけでありまして、企画庁といたしましては、そういう面において——これはまだ指定都市もわかりません、その数もわかりません、あるいはそういうときに非常に膨大な予算を組むというそのことすら不可能なことでございますから、それぞれ各官庁が当然これに協力してやっていただければ私は目的を十分達するのだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/96
-
097・門司亮
○門司委員 今大臣のせっかくの御答弁ですけれども、こういう法律はたくさんあるのですね。開発法というのは困るほどあるのですよ。ところがそれが開発はちっともできないのです。これは、今の大臣のようなお考えだからだと思うのです。道路は建設省が予算をとらなければできない。敷地やその他の水道の問題ということになると、厚生省と両方にまたがっておる。下水は建設省でやるから、上水は厚生省にまだ残っておる、起債の認可その他は自治省と大蔵省がぐずぐず言う、これではどうにもならぬ。だから、この種の法律はたくさんあるでしょう。どのくらいありますか。日本にこの開発法と名のつくものは、北海道から地域的に見ておのおのあげますと、あるいはもうすでにこれと似たような、産業という文字がほかの文字と変わっているような開発法は幾らもある。これは低開発地域というのとどこが違いますか。低開発地域ということ自身についても大体これと似たような問題、似たような考え方、似たような構想のもとにああいうようなものが行なわれている、これが一向伸びない、発展もしない、こういうことであっては、ほんとうの仕事はできないと思うのです。私はこの際、あなた方がほんとうに日本の今日の現状をどうにかしなければならぬというお考えがあるならば、これはもう少し強いもので、そしてそれに対するたとえば予算処置はこの法律の中で十分にしなければならぬというふうに、やはりくぎをさしておかなければできやしないと思う。幾ら企画を立てられても、建設省の方では、いやそれよりもこっちの方にもっと重大な仕事があるというのでその仕事を始める。厚生省は、いやそっちも大事だろうが、こっちも大事だというので、十分に予算もつけ切らない。そして実施する自治省と地方の自治体が苦しむだけである。今日までの日本のこの種の法律の効果が一体どのくらいありますか、一応政府で資料を出してもらいたいと思いますが、この種の法律が日本にどのくらいあって、どういう計画になっておって、どういう効果とどういう所期の考え方から、今日までの年限の間にパーセンテージで進んでいるかということを一つ出してもらいたい。その上でなければこういう法案はなかなか審議できませんよ。これは審議をしてみてもどうなるかなかなか見当もつかぬでしょう。たとえば北海道開発という一つの法案は、あれは目的は何です。やはりこの種の法案とほとんど変わらないでしょう。北海道の産業その他を開発するということで、ただこれに多少変わっているのは、人口その他経済が過度に集中しているから、これを分散するということが、ここに書かれているだけでしょう。それだとするならば、たとえば英国の工場配置法みたいな企画の上に立って、工場をこういう形で分散していく。——今大臣はいろいろお話がありまして、経済関係は大臣の方が私よりくろうとですからよく御存じだろうと思いますが、こういうふうにして、おのおの立地条件があります。いやがおうでも臨海地帯でなければ、これをどこに持っていこうとも、持っていきようがない仕事がある。また臨海地でなくてもよろしいものがある、同時にまた、気候その他の関係で地域が限られた産業があることは、わかっているわけです。これらの産業を一体どうしようというのか、もしそういうふうに過大都市だけかたきにして、そうしてこれを分散しようとするなら、これはおのずからそういうものの選別が行なわれて、この地方にこういうものは必要はないのだ、またこれはここでもやれるのだという選別がついて、それらのものが移り変わっていくということが、やはり国の力で行なわれるべきではないですか、それがこれにはちっとも書いてないのです。どんなにやかましいことを言っても、今日の資本主義の社会でこれだけ経済が集中されておる社会において、今ここにあります産業をどこに持っていこうといったって、持っていくところがございますか。新しくできる産業地帯というものは、一応いろいろな条件も考えれば考えられないこともないかもしれない。土地が非常に安いとか、あるいは労賃が非常に安くてたくさん得られるとかいう条件がつけば、これはそこらに新しい工場ができるかもしれません。しかし何といっても、経済の行為自身が集中されております今日のこの資本主義の行き詰まりの状態の中で、こういうものができたからといって、直ちに大阪の人口が半分になり、東京の人口が三分の一になるとかいうことは、私はあり得ないと思う。その辺はこの法律にはちっとも触れていない。過度のものをどう分散するということは、ちっとも触れていない。ただ新しいものをこしらえるということだけです。だから、私はこの法律の性格を疑うのです。ほんとうに側を考えられているかということです。大臣の説明書の冒頭に書いておりますように、過大都市ができて困るからこれを防止しよう——東京は過大都市です。世界じゅうに、こんな変な化けもののような都市はありません。東京都の予算を見てごらんなさい。四千二百億をこえております、国の予算の二〇%をこえている。こういうような化けものみたいな大きな都市がどこにございますか。この法律ができて東京都の人口がどれだけ減っていく確信がありますか。提案理由の一番最初に、人口の過度の集中はけしからぬと書いてありますが、もし大臣、その確信があるのなら、一つここで説明を願いたい。この法律ができれば東京都の人口がどうなるか、東京都の経済状態はどうなるか、大阪はどうなるか、名古屋はどうなるか、こういう確信があるなら、はっきりさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/97
-
098・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 地方行政に詳しい門司委員の御質問でございますが、日本の戦後の状況から申しますれば、経済の復興発展が第一でございまして、その面に力が注がれる。従って、立地条件が有利なところに非常に集中したということは、これは今日の復興を容易ならしめ、あるいはすみやかならしめた理由だと思います。しかしながら、今日の段階になって参りますと、それをそのまま放置していいかというと、私はそう考えません。従って、たとえば地域立法というものを国会で御審議になって、それぞれ各地域における発計画の立法ができたのも、私はそのゆえんだと思います。また国土総合開発計画というものができまして、この点、非常に長い間その計画の策定ができませんでしたことは、はなはだ申しわけない次第でございますけれども、とにかく現状におきましては、昨年七月に草案を出しまして、来月には最終的な決定をいたしていきます、その国土総合開発計画と各地域立法との調節をはかりながら、ただいま申し上げたような全国の総合開発計画というものを推進していきます段階にただいまはなってきておるのでございまして、低開発地域の工業促進法ができたが実効がないじゃないかとおっしゃいますけれども、実は昨年の臨時国会でできたばかりでございまして、実効はこれからあげていこうという覚悟でわれわれはあれをやったわけでございます。池田総理ではございませんけれども、もうしばらく時間をかしていただかなければ、国会を通過したからといって、今すぐにその効果があがるものではないのでありまして、その点は、今お話の通り、われわれも努力して参ります。
そこで、先ほど来申し上げておりますように、国土の総合開発を一方では立てまして、そして拠点地区としてこの新産業都市をやると同時に、その中間地帯よりももっと悪いところ、つまり低開発地域に対しては特別な処置をしていく。その低開発地域の工業促進というものは、第一次産業に依存した工業が興ってくる、また興さなければならぬものだと思います。そういうようなことと、こういう新産業都市とを関連さして参ることが総合計画の一環でございまして、それを強く推進して参ることが必要だと思います。
この法律ができたならば、それでは、東京が小さくなるのかという御質問でございますが、私は、少なくも、東京が小さくならないまでもこれ以上大きくならないだけの準備は、この法律でしていかなければならぬと思うのでございまして、この東京都自身の過大都市化防止のためには、この法律だけではございません、首都圏整備法その他、他の法律にもよらざるを得ないのでありまして、この法律にそういうことを全部書き込みますことは、あまりに法律を複雑多岐にするだけでございまして、むしろ、将来こういう土地ができるのだ、そこにどういう産業を持ってくるかということは、これはむろん立地条件のいかんによって産業都市の性格がきまってくると思うのでございまして、あるいは石油化学工業のような土地になりますか、あるいは鉄鋼を主体とした重機械工業の土地になりますか、あるいは繊維というものを中心にした土地になりますか、それぞれその立地条件によってきまって参ると思うので、そういう点についてはむろん通産行政の上で十分な措置をして参らなければなりませんけれども、全体としてはやはり総合的に企画、立案をいたしまして、そうして全国的な各地域の総体的なレベル・アップと申しますか、上昇を見ながら、それによって既存の産業都市の過大化を一面においては防止していく、こういうねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/98
-
099・門司亮
○門司委員 経済に非常に詳しい藤山さんと私と議論しても始まらぬと思いますけれども、考えてもらいたいのは、日本の今の状態、たとえは藤山さんも横浜で私も横浜ですが、横浜と東京の経済関係を考えてみましても、港を持つ横浜に船会社の本社はございますまい、みんな東京にあるのです。さらに銀行の本店が横浜に一体幾つあるか。横浜の人口が約百五十万になろうとしている、こういう大きな都市が二つあって、経済的にはそういうふうになっている。なぜ一体そうなるのか。やはり東京が少なくとも経済の中心地であることには間違いがない。港横浜と誇りながら、港横浜には船会社の本社がない。これはおそらく一つもないと言った方がいいだろうと私は思う。そういう資本主義の社会における集中された経済というものを分散しようとする考え方がもしおありになるならば、私は、もう少し思い切った施策が行なわれなければ困難だろうと思う。イギリスの工業配置法がやや成功したようにいわれておりますが、それは実は労働党内閣がやったのです。四五年もそうです、労働党のときであります。また五〇年も労働党内閣のまん中であります。しかもその法律の内容は、かなり国が思い切った施策を講じております。工場の移転その他についてあるいは敷地の確保について国が責任を持っておる。要するに、費用などについても非常に安い金利が書かれておって、そうしてほんとうに政策的に工場の分散が行なわれている。私は資本主義の社会で、資本主義というものをそのままにしておいて、これを分散させようといったところで、実は簡単に事業主というものは言うことを聞かぬと思うのです。それを言うことを聞かそうとするには——英国も同じ資本主義の国家でありますが、やはりこれを言うことを聞かそうとするならば、政府が、こういう法案をお出しになるならば、思い切った施策を講じていただきたい。今までの開発法ではほとんどどうにもならないような状態を示しているということは、私は政府に積極性がないからだと思う。財政的な裏づけが十分ないからじゃないか、こういうことが実際に考えられる。だから、大臣の答弁ではそう言われておりますから、そのくらいにしておいてよろしいかと思いますが、過大都市の防止になればそれでも一翼かと思いますが、私は必ずしも防止にはならぬと思います。
それからもう一つ、根本の問題で聞いておきたいと思いますことは、お話の中に大体三十万ぐらいの都市というようなお話がございましたが、三十万の都市計画というものをかりに実施するといたしますと、どのくらいの経費とどのくらいの地方の自治体の予算規模というものを要求されるかということであります。これはかなり大きな問題です。私は具体的に事例を申し上げて参りますが、日本で大体三十万の都市と言われておりますので、これに匹敵する都市計画を立てたのは、大臣も御承知のように神奈川県の相模原です。あそこには何もなかった。しかし士官学校ができたり、あるいは兵器廠ができたりということで、あそこには二十五万を大体見当とする都市計画が立てられて、そして施設が行なわれたのであります。水道の問題も道路の問題も、すべて二十五万人の人口を大体目安にしよということでやったのであります。ところが今日ではそれが非常に狂って、人口が八万か十万にならないのであります。ああいう軍が使っているからいいようなものでありますが、たんぼのまん中にばかばかしい大きな道路ができたりロータリーができたりしておる。そこで三十万の都市をかりに考えるといたしますと、地方の自治体はそれに対してどういう計画とどういうことをしなければならないかということは、国がもう少しはっきりした態度でこれに臨んであげなければできない相談です。この地方の自治体の、あとの方に書いてありますように、税金がどうだの、いや交付税でめんどうを見てやるというようなことは、できあがったあとのことなんです。この法律で書くべきものじゃないと私は思っている。こんなことで地方の自治体がごまかされてどうなりますか。もう一つ大事なことは、今までにもだいぶ議論がされましたから、繰り返してよけいなことを申し上げることもないかと思いますが、一体こういう都市の機能というものをどういうふうにするのか、いわゆる複合的の都市機能というものを高度に発揮する目的なのか、あるいは集中的の分散方式をとられのか、一体三十万の都市計画というのは、どういう形で行なわれるのか、単にこういう工場を持っていけば三十万になるといったことで、それだけでは地方の自治体はやれません。そこにはちゃんと計画が必要だ、その計画に対して一体どれだけのことをされるのか、日本の都市行政の最も悪い面は、都市計画の画然としたものがないことです。家の建つに従って道路をこしらえたり、学校を建てたり、下水をこしらえたり、水道をしいたりしていることが今日の都市の複雑であり、かつどうにもならない状態を来たした最大の原因であります。従って、新しいこういう都市をかりにこしらえようとすれば、一つの都市でない複合体にするのだ、あるいは集団的なものにするのだというような形があって、そこにはもっと画然とした都市計画というものが事前に施行されて、その上に工場の敷地をこういうふうにきめる、ここには学校を持ってくる、ここには水道はどうだという画然とした計画が行なわれなければならない。それが、単に自治体が申し出てくれば知事がそれを勘案してという形、従って、こういうものは一年や二年でできる筋合いでは私は決してないと思う。相当長い間、かなりたくさんのお金をつぎ込んだ大きな努力が払われなければできない相談です。しかもそれは、新しい都市をこしらえようとするのか、今申し上げましたように、既存の都市を一体どういうふうに直していこうとするのか。全然何もない原っぱに三十万の都市をこしらえるというなら、これはまた一つの考え方でしょう。しかし、既存の都市を中心にしてものをこしらえていこうとするには、それぞれの既存の都市自身も三十万に拡大されるという計画についての規模を持たなければでき上がりません。こういう観点は、一体藤山さんの方でどうお考えになっておるかということを一つお聞きしたいのと、自治省がそれを受けて、それでやれるとお考えになっているのかどうか、そういう夢みたいなものができるとお考えになっているのかとうか、この点を一つはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/99
-
100・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 産業都市を作ります以上、ただいまお話のように、全然原っぱのところというわけには、日本の実情からいえば参らないだろうと思います。少なくとも、そこに若干大小の別はございましょうけれども、既存の都市があると思いますし、それを複合して新産業都市になるのが、日本の実情から申せばほとんど大部分がそうだと思います。そういう場合におきまして、都市計画その他を十分に立案検討して参らなければ、再び、人口そのものは過大でなくても、いわゆる過大都市の形を現出することは当然でありまして、そういうようなことでは大都市の経済効率も上がらないわけでございますから、都市計画を立ててやって参らなければならぬので、そういう点については、基本計画の策定の際に十分な考慮を加えてわれわれとしてはやって参りたいし、また都市計画その他の基本計画については、各省庁がそれぞれ完全に協力していただけるものと私は考えております。それでなければ、こういう新産業都市をただ作りましても、経済効率の悪いものになってしまうわけでありますし、その点は十分考えて参らなければならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/100
-
101・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生の御指摘のように、この都市を建設いたしますことは、一年や二年の短日月でできるものでもございませんし、相当長期間にわたりまして非常に巨額の資金を要することだと私どもも考えております。具体的には区域の指定がございまして、建設基本計画が定まりまして、その都市にどのような事業をどれだけの経費でやるかということを精細に検討をいたしました上で、それに対する財源の処置も考えて参らなければならぬと思っておりますが、とにかくこれは相当大へんな仕事であるという認識を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/101
-
102・早稻田柳右エ門
○早稻田委員長 なお、質疑の通告がございますが、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004518X00119620405/102
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。