1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月一日(木曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 神田 博君
理事 始関 伊平君 理事 周東 英雄君
理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
理事 松井 政吉君
倉成 正君 藏内 修治君
澁谷 直藏君 中村 幸八君
井手 以誠君 田中 武夫君
中村 重光君 伊藤卯四郎君
出席政府委員
労働事務官
(職業安定局
長) 三治 重信君
労働事務官
(職業訓練局
長) 村上 茂利君
委員外の出席者
通商産業技官
(大臣官房審議
官) 久良知章悟君
労働事務官
(職業安定局調
整課長) 北川 俊夫君
労働事務官
(職業訓練局管
理課長) 中田 定士君
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二月一日
委員薩摩雄次君辞任につき、その補欠として齋
藤憲三君が議長の指名で委員に選任された。
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一月三十一日
石炭政策の転換に関する請願外一件(勝間田清
一君紹介)(第五八八号)
同外一件(岡田利春君紹介)(第六二〇号)
同外十六件(田中武夫君紹介)(第六二一号)
同外一件(楢崎弥之助君紹介)(第六二二号)
石炭産業の危機打開に関する請願外十三件(田
中武夫君紹介)(第五八九号)
同外一件(松井政吉君紹介)(第六二三号)
同外二件(岡田利春君紹介)(第六二四号)
同外十二件(岡田春夫君紹介)(第六二五号)
同外九件(岡田春夫君紹介)(第七三七号)
同外三百七件(武藤山治君紹介)(第八二八
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/1
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002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず炭鉱離職者臨時措置法の、この法律でいう炭鉱の労働者という定義について、並びに運営についてお聞かせ願いたいと思いますが、それは現在炭鉱の会社で、しかも石炭部門を担当しておる従業員で、適用にならない従業員があるわけですね。しかしこの従業員はやはり他の従業員と同じに解雇をされるし、そうして他に転職をしなければならぬ。ところが、漸次炭鉱離職者の援護が厚くなればなるほど、適用される者と適用を受けない者の差が非常に大きくなるわけです。ですから私は、この炭鉱離職者並びに炭鉱労働者の定義をやはり拡大をして、法の趣旨に沿うようにしたらどうか、こういうように考えるわけですが、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/2
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003・三治重信
○三治政府委員 石炭関係の離職者で、この法律の対象となる石炭離職者につきまして、われわれがこの特別な対策をやる必要があるとして主張しているところは、やはり地下労働であって、しかも炭住という一般社会とはずっと関連が離れたところに住んでおる——それは直接石炭を掘らない方でも、その炭住というところに入っておられることには間違いないのですけれども、そういう主として地下労働またそれに付属する労働であるということで、範囲を指定しているわけです。ことに、一般的には事務職員なんかははずれておりますが、それを全部にやるということについては、この法律の趣旨からいっても、やはり法律に規定してありますように「石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の作業に従事する労働者」ということで、「掘採又はこれに附属する選炭」というものと関連づけて考えられれば、そこが一つの解釈上の問題になるかと思いますが、私まだよく存じません。具体的な問題につきましては、どういう人が同じような職種の人で抜けておるかということについてはまだ存じませんが、逐次そういう問題につきましては、できるだけ法の適用上不合理のないようにやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/3
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004・北川俊夫
○北川説明員 炭鉱労働者の定義は、御承知のように臨時措置法の二条にございますが、これの解釈につきましては、こういうものに該当する労働者というふうに考えております。一つは、炭鉱の掘採の準備、掘採または掘採後の処理等炭鉱における一連の基本的工程に属する作業。それから第二は、今申しました工程と関連して行なわれる補助的工程に属する作業、こういうものでございます。具体的に例をあげて申しますと、たとえば炭鉱における掘進、採炭、充填、仕繰り、選炭、運搬、保安、配送電、電気器具または資材の保管、受け渡し、製作または修理、その他炭鉱の掘採に付属する作業、こういう労働者を炭鉱労働者、こういうふうに解釈いたしております。従いまして、同じ炭鉱に勤めておりましても、事務職員あるいは付属病院の看護婦さん、そういう者は炭鉱労働者としては取り扱っておらない、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/4
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005・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、この炭鉱離職者臨時措置法のできた目的というものは、何も業種を差別する必要はないと思う。すなわち「炭鉱離職者が一定の地域において多数発生している現状にかんがみ」こういうことになっておるのですから、そういう大目的のために業種の選別をする必要がどこにあるか、私はかように考えるわけです。ましてや援護を受ける労働者というのは、これはその者の都合による退職等はこれを除外するという規定がある。ですから、会社の責任において解雇し、または会社の事業の都合によって解雇されるというような場合に、どうして差別をする必要があるか、かように考えるわけですが、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/5
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006・北川俊夫
○北川説明員 今先生の御質問の中で、炭鉱離職者については、解雇の事由について、自己退職の者は援護を受けられないというようなお話がございました。この点はやや誤解がございます。自己退職のゆえに援護対策を受けられないのは、現行法では移住資金と訓練手当の支給に関する事項だけでございます。従って、広域職業紹介あるいは緊急就労対策事業、こういうものへの吸収に関しましては、その退職が自己退職であろうと、あるいは会社の整理であろうと、区別なく炭鉱離職者として扱っております。なお、御指摘のように、炭鉱という業種を指定しておりますが、職種的に差別をする必要がないのではないか、今法律の一条をお引きになってそういう御質問でございますが、一条にはなるほど、一定地域に多数発生する、こういう現状にかんがみということを言っておりますが、それの目的に従いまして、二条では定義をわざわざ炭鉱労務者についていたしております。そして非常に坑内的なものに限定しておるわけでございます。この法律の趣旨は、集中的に発生する以外に、やはり炭鉱の地下労働、あるいは炭住で非常に特殊な社会生活をしておる、そういうことで他の産業には非常に転換がむずかしい、再就職がむずかしい、こういう点を注目しておるのであろうかと思います。従いまして、同じレベルで解雇されましても、事務職員その他地上で働いております者は、地下労働の労働者に比べて転換の度合いがやはり違うのではなかろうか、そういうことで、この法律においてはやはり地下労働に限定するということが趣旨として妥当ではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/6
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007・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは理屈をつければ、差別する根拠を見出すことができるわけですけれども、しかしやはり法の目的というものは、結局多数発生して非常に困るということでしょう。ましてや中高年令層の事務職員なんといろものは、これはなかなか就職が困難です。これが、雇用奨励制度ができ、それから移住資金を受けるという場合に、受けられないということは、これはどうしても考え方を改めていただかなければならぬと私は思うのです。それで、同じ言葉を使いましても、今ちょっと私条文を見出すことができないのですが、通産省の方の炭鉱労働者という定義は、同じ条文を使って全員に適用しておる。労働省の方は同じ条文を使って扱い方を変えておる。これは不合理ではないか、私はこう考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/7
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008・北川俊夫
○北川説明員 今御指摘の通産省関係の法律につきましては、私詳細に存じませんが、聞きますところによりますと、鉱山保安法その他におきましても、やはりホワイト・カラーあるいは病院の従業員、そういう者は炭鉱労働者から除外しておるようでございます。従いまして、同じ表現で違った取り扱いということはないのじゃなかろうか、これは断定いたしかねますが、そう考えます。
なおこの法律の趣旨といたしましては、先生のようなことで、一定地域に集中して離職者が発生するということだけであれば、たとえば筑豊地区で発生する炭鉱離職者以外の一般企業の離職者についても、やはりその地帯では就職が困難である、広域命令で他地区に就職しなければ困難であるということでは全く同じであります。炭鉱だけではなかなか線が引けないのではないか。それに加うるに、地下労働で、なかなか地上の作業には向かない、そういうことで特殊的な援護対策が出てくるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/8
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009・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭鉱合理化事業団の離職金は事務職員にも払っておりますよ。これは同じ条文ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/9
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010・北川俊夫
○北川説明員 合理化事業団の離職金につきましては、どういう趣旨でそうなっておるのか、ここで想像申し上げてあれでございますけれども、やはり特殊の理由によりまして、国家の政策によりまして、合理化という政策で当該事業場は全山閉鎖する、そういうような国家政策の犠牲として払われておるのではなかろうか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/10
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011・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから、私は、要点はこの法律の問題じゃないと思うのです。運用の問題だと思うのですよ。ですから、この「鉱山労働者に対する金銭の支払」として、石炭鉱業合理化臨時措置法の三十三条には、買収をした鉱区並びに租鉱区における石炭の採掘及びこれに付属する選炭その他の作業に従事した者、こういう条文になっておるのですよ。同じ条文ですから、私は法律の問題でなくて、あなたの方の運営の問題だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/11
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012・北川俊夫
○北川説明員 今御指摘の条文につきましては、国の合理化という政策によって離職するという事態に対して、退職金的なものを支払う、そういうことでございます。この援護対策というのは、再就職する場合になかなか転換が困離である、再就職の点をとらえての解釈でございますから、やはり地下労働に限定するのが妥当じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/12
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013・多賀谷真稔
○多賀谷委員 地下労働に限定していないでしょう。坑外でも、機械や電気は一番よく売れるのです。これは就職の面からいえば、一二〇%も一三〇%もありますよ。ですから、私はきわめて理論的根拠がないと思うのです。事務職員でも、作業場に行って事務をとる人にはくれる。ところが、本部におって事務をとる人にはくれないのです。それは、今までのようにわずかの援護の場合は不平は起こらないだろうけれども、だんだん援護が厚くなればなるほど、差別的な取り扱いが多くなるでしょう。ですから、私はこの法律の定義からは出てこないと思う。差別しておるというのは、ただ運営でやっておるわけです。ですから、これは当然労働省としてお考えになるべき筋合いでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/13
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014・三治重信
○三治政府委員 今、課長が言いましたように、合理化事業団の方での退職金は、やはり今まで従事したその勤務の期間によっての退職金、これは一般的な、いわゆる労働保護的なものであるわけなんです。われわれの方のこちらの方も同じなのでありますが、その実際の問題につきましては、やはり再就職が困難な人を最優先的にやっていくという格好になるわけですから、そこに全部野放しにやるという政策もあるでしょうし、それから一部その職種をやはり限定する——われわれの方としては、先ほど行政措置の内部の細部の点についての取り扱いを御説明したわけなんですが、その中に事務職員が抜けているというのは、先ほど課長が申し上げたような理由でございますが、そういう点につきましては、また具体的な事例を見て、そういう方たちが、今われわれがやっておるとの措置と同じように考えなければ、再就職が非常に困難かどらかという問題について、さらに検討して処置したいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/14
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015・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭鉱の事務職員の構成の中に、労務係というのが非常に多いのです。これは、よそへ出したら全く役に立たぬわけです。普通同じ事務職員でも、会計などしている人は、これはまあまあよそへ行っても使えるわけです。労務係という長い間勘でやっておる人は、全く雇い手がないわけですよ。日本における特殊な労務管理をやっていた、こういう点があるわけですけれども、ですから私はこれも区別する理由というものはないと思うのです。ことに同じ条文を使って、一方合理化事業団の方は離職金を払っておるのですから、あなたの方でさらに制限をされて、シビアーに解釈する論拠を見つけようとするならば、ないことはないだろう、しかし私はやはりここは政治でありますから、大きな見地から一つ努力してもらいたい。これはあとから大臣にもお願いを申し上げたいと思いますが、これは一つぜひ取り扱いを改正してもらいたい、こういうようにお願いしておきます。
次に、従来の雇用促進事業団の業務の中に生業資金の借り入れのあっせんとありますが、具体的にはどういうことをされたか、これをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/15
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016・北川俊夫
○北川説明員 生業資金の借り入れにつきましては、自営業その他をやりますときに事業団が種々国民金融公庫その他の金融機関に貸し出し方をあっせんをする、そういう内容でございます。なお具体的にどのくらいであるかという点でございますが、窓口業務で生業資金の相談が相当きておりますので、それによりまして各種の金融機関にいろいろお願いをしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/16
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017・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは立法のときからも問題がありましたが、やはり雇用促進事業団で保証する程度の手厚い保護をしてやらないと——あっせんなんといいましても、あっせんというのはだれでもしてくれます。雇用事業団があっせんをして、何か特別の金融機関に対する権限があるかというと別にないのですからね。ただ、そこの窓口へ行きなさい、こういう程度です。だから、これは意味のないごまかしの規定だと思うのです。これは一体どういうふうにお考えですか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/17
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018・三治重信
○三治政府委員 今の政府の法律の建前からいきますと、生産資金の関係は、行政措置としてはやはり一般的に、ごく一部の特例を除きましては、あっせんという形で援護する、その生業資金の貸付の方は、やはり金融業務として特殊金融機関がやるというふうに区分けしておりますので、そういうふうに表現としてはなるわけでございます。事実駐留軍の離職者のときも、それから現在までに行なわれたいろいろの離職者対策のときにも、必ずこういう生業資金のあっせんというのが、閣議了解なり、あるいは閣議決定なりによって、そういう部面について行なわれてきたわけですが、その部面についての実績が、今おっしゃったように、そう顕著ないい事例が割合いに少ないわけですが、しかし、その結果としては少ないけれども、そういう御相談なり、それからそういうことについての紹介については、ずいぶんわれわれ役所側としても従来やったことがあるわけですが、やはりそういうことについての御相談なり計画というものが——私、直接炭鉱の現在の離職者のことについては具体的な事例を知りませんが、駐留軍の離職者対策のときにやった事例からいいますと、計画をされる方々は、従来特定の狭い範囲の仕事をやっておられて、それが解雇されて企業組合とかいろいろの事業計画をされる場合、知識が非常に乏しいわけです。そういうものについて、そういう計画なり、またはそういうふうな仕事をやられる場合については、こういうところへ行って意見を聞きなさい、ここでこういう窓口業務を扱っていますというふうな内面指導などをやると、ずいぶん企業組合なり、あるいは事業計画をされる人にとっては参考になる。これはあくまであっせんであって、ここですぐそういう金融機関に対して五十万円なり百万円というふうに、具体的に何件を貸すというところまではなかなかいかない場合が多いわけでございますけれども、そういうふうな関係につきましては、このあっせんの業務については、そういう相談的な仕事をそういう計画をされる方についてやる場合には、非常に喜ばれておるのじゃないかと思います。さらに、そういう具体的な事例がどの程度あるかにつきましては、事業団と連絡をとりましてまた御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/18
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019・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これも、もう少し制度的に援護してやる必要があるのじゃないか、ことに中高年層の場合は、雇用労働者として入るということも当然考えなければならぬのですが、やっぱり自分で事業をやるという方のことも考えてやらなければならぬ、そうしないと、どうしても政策がうまくいかない、実効が上がらない、かように考えるわけです。これは一つ今後の課題として研究をしてもらいたい。
次に住宅奨励金の問題ですが、大体住宅奨励金というと、援護としてはかなり大きな援護ですが、これがたとえば炭鉱離職者臨時措置法の二十三条の業務の中の各号の中に入ってないのですね。そして最後に、前各号のほか、こういうことで一括して必要な業務の中に入っているということは、法文の体裁からもおかしいのじゃないか。ほかに大したことをやらない講習会とか何かは入っておるけれども。住宅奨励金というのは、国の金を出すのですからね。当然法律の中に、移住資金や雇用奨励金と同じように出すべきじゃないか、こう思うんですが、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/19
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020・北川俊夫
○北川説明員 住宅確保奨励金というのは、御指摘のように、ただいまの二十三条の援護業務の一項の第十号の、その他必要な業務、これでやっております。これは、法律制度の当時は、住宅確保奨励金という制度がございませんで、その後に、実はこれは率直に申し上げて、こういう制度が生まれて参りました。その際に、この十号で十分やれるではないか、法律を改正する必要はない、そういうことから、今まできましたので、現在もこれで御勘弁をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/20
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021・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いや、必要な業務ですからね、やれないことはない。それはやれるのです。また、住宅確保奨励金が出たことは非常にいいことですから、私は大賛成なんですが、しかし金額的にも多くなりましたでしょう。そして今改正の時期ですからね。私は、これはかなり大きな問題ですから、やはり遠慮なく号を起こして、あるいはどこかに入れる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。他の、やはり建設省がやる住宅政策とか、いろいろ関連があって、なかなかそういう点で入れにくい、こういう事情ですか。遠慮なく一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/21
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022・北川俊夫
○北川説明員 率直に申し上げますと、実は今おっしゃった通りでございまして、実は前に援護会の資金で、高級アパートを大阪とか中京あたりに作っております。これにつきましては建設省等から非常に強い反対がございまして、そのときにも、この十号で何とかやろうということで、この十号は今まで、一号から九号までに列記しておる以外に非常に弾力的に運用し得る条文ということで、われわれとしては、援護の充実のためには非常に役に立つ条文でございますので、そういう関係で、住宅奨励命についてのみ、御指摘のような——これは筋論からいいますと全くその通りでございますが、それを明文化いたしますとその他に支障を来たすことがございますので、そういう点を御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/22
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023・多賀谷真稔
○多賀谷委員 わからないこともないわけですけれども、しかし、かなり大きな金額であります。予算の比重も相当大きいのですから、もう日陰者にしないで、堂々と住宅確保奨励金を業務の範囲の中に入れるべきだと思うのです。これは予算として出てくるのですから、それを国会で議員立法で修正するかどうかは別として、そういうように考えるわけです。
次に、私は、先ほどお話がありました労働者の住宅としてアパートを建てた場合の入居条件、これはいわば労働者保護のためにならないんじゃないか、こういう感じを持つわけです。それはなぜかというと、アパートに入るためには、新しい雇用主が一年後には自分で別に家を建ててやって、そうしてそれを確保するんだということが条件であります。ところが、私はこれはなかなか困難じゃないか、ましてや、大企業ならばいざ知らず、中小企業では不可能じゃないかと思うのですが、その点どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/23
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024・北川俊夫
○北川説明員 今の業務方法書では、炭鉱離職者用の宿舎につきましては、一年後に確実に建設できるという建設計画がなければ入れない、こういうことになっております。この点につきましては、御指摘のように、なかなか困難であるという批判がございます。しかし労働省といたしましては、こういう宿舎に入っております者が、一年たった後に、公営住宅、そういうものに転居いたします場合には、優先的に入れていただくように建設大臣と協議をいたしまして、すでにできております約三百九十戸分程度の炭鉱離職者の入居者につきましても、すでに公文でお願いして、大体優先入居のワくをいただいております。それによって、まずまず転居先については、事業主自身の資金によって次の住宅を確保しなくても充足できるんではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/24
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025・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一年後には公営住宅に入れるという、このことは大体確実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/25
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026・北川俊夫
○北川説明員 はい。雇用促進事業団法の三十七条の三項に、「建設大臣は、事業団の業務の円滑な運営に資するため、移転就職者について、産業労働者住宅その他適当な住宅の確保に関し必要な措置をとるように努めるものとする。」こういう訓示規定がございます。これにのっとりまして、労働大臣から、公文をもちまして建設大臣に、たしか去年の夏に申し入れをいたしまして、建設省からは、その点については確保する、こういう回答をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/26
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027・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、これはかなり安心していいわけですね。大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/27
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028・北川俊夫
○北川説明員 大丈夫でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/28
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029・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、住宅確保奨励金は、今度の予算書を見ると、第一種が十五万円になっていますが、これは従来通り二十万円の限度でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/29
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030・北川俊夫
○北川説明員 十五万円と申しますのは予算単価でございまして、最高二十万円まで支給することは従前と同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/30
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031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、住宅確保奨励金はやはり新しい雇用主以外には申請権がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/31
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032・北川俊夫
○北川説明員 事業主以外には申請を認めない予定でございます。現行の制度通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/32
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033・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、供給側の炭鉱も住宅確保奨励金がもらえるのだというように改正をするということを大臣から聞いたのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/33
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034・北川俊夫
○北川説明員 その点はまだ伺っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/34
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035・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは私は亀井次官にも、堀前職業安定局長にも聞いたと記憶するのですよ。これはきわめて重大な問題でして、なぜかというと、たとえば八幡製鉄の下請工場あたりが、現在新しい労働力を得るためには、名目賃金の差をつけておったのでは、なかなか求職者がないのです。そこで名目賃金は比較的差がつけられない。そこで、福祉施設で差をつけようというので、福祉施設は一切しない、こういう方針をきめているところが相当多いのですよ。そこで、新しい雇用主に社宅を作れといいましても、新しい雇用主は、前の従業員にも社宅がないのですから、炭鉱から来たからといって、二十万円もらえるからといっても、労務管理上これはなかなか作れませんよ。そこで、炭鉱側の方がむしろ、合理化を積極的にするために、また円滑にするために、住宅確保奨励金をもらえるならば作ろう、こういう動きが相当多いのですよ。そこで、私は、これはだれにやってもいいと思うのですよ、何も新しい雇用主でなくても。要するに、新しく雇用をされた現場において支給をすればいいのです。ですから、私は、新しい雇用主だけではなくて、いわば労働者を解雇し、供給する側の炭鉱、それから、できれば、本人にもやったらどうかということをわれわれは主張したわけです。この点は、私は、改正になる、こう聞いておったのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/35
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036・北川俊夫
○北川説明員 住宅確保奨励金の支給に関しまして、労働者側にも支給すべきであるという強い御要求は、社会党あるいは労働組合等からございまして、大臣から検討を命ぜられまして、いろいろ検討して参りましたけれども、住宅確保奨励金の支給の実際の運営上、たとえば、個人に支給した場合に雇用の促進になるかどうか、あるいは建った後に転売されるようなことをどう防止するかというような点で、補助金の性格上、なかなか個人に支給することは困難である、そういうのがただいまの結論でございます。
なお、もう一点の供給側、炭鉱側の会社に住宅確保奨励命の支給という点でございますけれども、趣旨がよく私のみ込めませんが、住宅確保奨励金をもし炭鉱側に支給するとしますと、その住宅その他は所有権が炭鉱側に移るわけでございます。それで、あと継続的にその炭鉱から離職者が採用されるというような担保その他がなかなかむずかしいのじゃないでしょうか。その点で、炭鉱側に支給ということは、やはり制度の趣旨としては向かないと思います。
それから、先ほど御指摘のように、炭鉱離職者を受け入れた場合に、炭鉱離職者だけに住宅を建てるということは、労務管理上、今までおる労働者との間に不均衡を生ずる、こういう点はごもっともな点でございます。この点に関しましては、今度の雇用調整融資で、労働力の流動化その他、あるいは中高年層を雇い入れたという場合には、その当該雇い入れました労働者以外に、雇い入れた中高年の二倍程度の戸数を報奨的に融資する、こういう考えでございます。当該移転就職者以外の住宅もあわせて融資によって確保する、そういう制度でカバーできるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/36
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037・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ちょっとこれは別の項に入るのですが、たとえば貸付金の場合には、これは今度の雇用促進事業団法の一部改正で、「移転就職者を雇い入れる事業主その他の政令で定める事業主に対して」と、こうある。ですから、住宅確保奨励金も、その他の事業主でもいいのじゃないか。これは貸付金の場合も同じ趣旨ですよ。ですから、貸付金の場合は「その他の政令で定める事業主」ということで、これは何を言っているのかあとから質問したいと思うのですが、住宅確保奨励金は雇い入れる側の事業主だけでなくてもいいと思うのです。とにかく家が建てばいいわけでしょう。
それから、今継続的というお話がありましたけれども、新しい事業主は継続的に雇わなくてもいいわけでしょう。当該労働者の住宅を建ててやればいいわけでしょう。住宅確保奨励金は一回限りでもやるわけですね。継続的という観念は要らないわけで、現在でもない。ですから、私はむしろ、いわば労働者を出す供給側の事業主が、その円滑な合理化をやろうとして希望する場合には、やったらいいじゃないか、こういうように考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/37
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038・北川俊夫
○北川説明員 住宅確保奨励金の制度の趣旨が、相手方の事業主に住宅建設のための補助金的なものを支給することによって、雇用契約を結ぶことを促進する、雇用を促進することを第一義的に目的としていると思います。従いまして、その性格上、雇い入れる方に重点を置いて住宅確保奨励金を支給すべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/38
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039・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ところが、住宅が必ずしも雇用促進にならないわけですよ。労働者と住宅を一緒に持ってきてもらえれば雇う、こういう実情にあるということを私は説明している。そういう実情にあるものもある、こういうことを説明しておるのですから、労働者と住宅を一緒に送り込もうというのですから、これは私はだれが住宅の所有権者になっても同じだと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/39
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040・北川俊夫
○北川説明員 住宅全体につきましては、この住宅確保奨励金以外に、賃貸住宅、これは一年間で回転いたしますが、賃貸住宅に入居していただく、そのあとは、先ほど申しましたように、公営住宅に優先的に入居していただく、そういうことで、住宅そのものは、確保奨励金以外にも解決の方法もございます。住宅確保奨励金については、御指摘のように、労務管理上の不合理からむしろ供給者側、炭鉱側にも支給すべしという点の論旨は、私はわからないことはございませんが、ただ、確保奨励金という住宅の補助金的な性格上、やはり炭鉱に支給することは無理であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/40
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041・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、これは理屈じゃなくて政治だと思うのですよ。人と住宅をくっつけてやろうという政策が、現実に要望が強いわけでしょう。このことは、北海道でも言われたし、また、われわれが九州を視察したときにも、そういう話があったのです。大臣にもその話は耳に入っておるのですから、私は、今度は新しい雇用主だけでなくて、炭鉱側にもつけますよということを何度も聞いておる。私その点は、まあ非公式ですけれども、念を押しておるのです。ですから、私は、当然これは考えてしかるべきじゃないかと思うのです。と申しますのは、新しい雇用主で、住宅を建てるという気持を持っているところは、ごく限られた企業家ではないかと私は思う。そういう場合には比較的労働条件もいい、それから住宅も作る。ところが、新しく非常に資本力のある経営者に雇われた労働者と、そうでない労働者の格差が、同じ離職者でもものすごくつくわけです。今問題は、家がないから行かれないというのですから、しかも今から中高年層を出そうという場合に、中高年というのは大体大企業はあまり雇いませんよ。ところが中小企業は、今申しますように、労務管理上どうしても、新しい炭鉱離職者を入れるということで家を建てるわけにはいかない。そこで炭鉱側の方がそれなら私の方で家を建ててくっつけてやろうというのですから、私はこれほどいい政策はないと思うのです。一体どういうお考えですか、局長一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/41
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042・三治重信
○三治政府委員 今のお話、私初めて聞いたわけですが、今までやはりこの建前が、雇い入れを奨励するために、また雇い入れてもらうためには住宅がないから、それを雇い主に奨励金を出して住宅を作ってもらってやろうということで、送り出す炭鉱主の方が、自分の解雇した労務者を労働需要地に国があっせんして働かしてくれるならば、そちらの方に住宅を作って提供しようという問題のようですけれども、やはりそういたしますと、結局そのあとの財産の管理や、それから炭鉱会社が家主になるわけですね、だから、やはりそこが問題になってくるのじゃないかと思います。しかし前局長の堀さん、あるいは大臣がどういう答弁をされたか、その点についてまだ私知りませんので、至急にそれを調べてまた御相談の上で御答弁したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/42
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043・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭鉱が大きな山を閉山しようとする場合には、千数百の労働者を炭鉱側としてはどこかに移転をさせなければならぬ。そうすると炭鉱としては、他の鉱業所に受け入れるところもないというので、やはり労働力の需要地に土地をかなり買って、ブルドーザーを入れて整地をするわけですけれども、一度にしますからかなり安くなる。それから炭鉱の住宅でも、近いところなら持っていくことができるわけです。そうして住宅確保奨励金をもらうならば、きわめてうまく、スムーズにいくわけです。労働力の移動もできるわけですね。そういったのが現実なんですよ。理屈でなくて、現実に労働力の移動ができるわけです。貸付金の場合は、「その他の政令で定める事業主」と書いてあるのだから、当然住宅確保奨励金もだれにやったっていいわけです、とにかく家を建てればいい。新しい雇用主だって、継続的に雇わなくてもいいのですから、実情に沿うような政策が必要ではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/43
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044・三治重信
○三治政府委員 新しく融資の方で「その他の政令で定める事業主」というのも、われわれの方では全部、雇い入れる事業主と考えているわけでございますが、そういう雇い入れ以外の事業主に住宅を建てさせて、その入居者がどこの事業主に雇われてもいいというふうには考えていないのであります。なるほど一面、住宅確保奨励金ですから住宅さえ確保されればいいという観点から見れば、そういう理由もあるいは成り立つかと思いますけれども、この住宅確保奨励金そのものの構想の発足が、とにかくなれない人を雇って、無理にというのも語弊がありますけれども、ある程度の犠牲を忍んでも、そのやりくりの政策に協力してもらう事業主に、報奨的な意味で、雇用を奨励するためにやるのですから、雇用を奨励するということになりますと、どうしてもやはり雇い入れる事業主といろ観念が出てくるわけです。雇い入れる事業主というものをはずしますと、今多賀谷委員の言われたのは、雇い入れた方でも何も継続してまたそとに必ず置かなければならぬ義務はないというお話ですが、それも極端な考え方なんですが、それが一般の雇い入れ事業主以外が好むようなものを作ってやる場合には、さらにそういうことが、あとの炭鉱労務者の雇い入れという問題、それを継続的に雇用していくという部面の観念が薄らいで、せっかく雇用奨励のために建てられた住宅が、あと何に使われるか、これは保証の限りでない。これは雇い入れた事業主の方がやはり責任を持ってそこに炭鉱離職者を使用する関係になってくるのじゃないかと思います。そういう意味において、一つは解雇した側の炭鉱だけという部面も考えられるし、そういう理屈からいえば、とにかく住宅を建てて炭鉱労働者を入れてくれる人ならばだれでもいいのじゃないかというふうになりますと、そこまで一般理論を広げてしまうと、そういう一般的な住宅を建てるのはやはり建設省の所管で、住宅行政は建設省だ。全般的な住宅政策、一般的な住宅を建てるということについては建設省の所管であるけれども、われわれ労働省としては、特別な対策で炭鉱労働者を就職させなければならない、その就職のきっかけを作るのが住宅だ、そのきっかけを作るためのものだからということでやっておるわけです。ただ炭鉱離職者を入れさえすればだれでも住宅が建てられるのだ、その奨励金がもらえるのだということになりますと、今度は建設省の方の一般的な住宅計画、また住宅政策というものと真正面からぶつかるということになって、建てる者や使用する者を非常に制限してやっていかなければならないということで、こういうふうになっておるとわれわれは思っております。と同時に、またそういうことでできぬ部面については、先ほど課長が言ったように、賃貸住宅もあるし、その部面で補っていくし、さらに今度は融資の部面でそれを補っていく。これを雇い入れる事業主以外の事業主に広げて参りますと、これは政府部内でなかなか調整のつかない問題になりますとともに、理屈はともかく、実際の効率が上がるというようなことがあるかもしれませんが、現在のところ、いろいろな住宅の政策につきましては、各行政機関それぞれ任務がありまして、なかなかむずかしい問題であろうと思います。その点については、今までのいきさつをそこまで私聞いておりませんので、もう一度聞きました上でまた、そういうことについてさらに最終的な御答弁をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/44
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045・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは災害立法と同じですよ。非常立法ですよ。普通の行政ベースでいけるならば、炭鉱離職者臨時措置法というものは要らないんですよ。現状をどうして打開するかということのためにできた法律でしょう。そらして一方、石炭鉱業合理化事業団というものができて合理化を推進しておるわけです。ですから、あなたの方の態度からいうならば、これはうらはらの関係になっておるのです。われわれは必ずしもそれを是認しておりませんけれども、これは事業団法とうらはらの関係になっておるでしょう。ですから合理化をスムーズに推進するためには、今おっしゃったような理屈はあまり理屈にならないと思います。この法そのものが普通でないのですから、いわば災害立法、非常立法で一時的の法律なら、なぜ炭鉱労働者だけを優遇するのかという理屈も出てくる。現実にその住宅の確保がむずかしいというので停滞しておるから住宅を作ろうというのですから、その場合に、今おっしゃるような理屈であると、逆に従来おる労働者にも住宅がないからというので、中高年令層で、しかも中小企業に行こうとする労働者の就職が円滑にいかない。そのことは逆にまた、炭鉱側では合理化がうまくいかないということになるのです。ですから、広範囲に及ぶとおっしゃいますけれども、これはこれだけのものですよ。広範囲に及ぶことはないのです。むしろ、今おっしゃるようなことを言うならば、少なくとも今のILOの労働者住宅の勧告にもそむくわけでしょう。今企業主住宅というのは、世界の趨勢としては排除している方向ですよ。それは公営住宅にすべきであって、企業主がそれによってひもをつける住宅政策というものは、よくないということが言われておるのですよ。そういう中で、わざわざ今法律を作って住宅確保奨励金を出すというそのことが、もう逆行しているのですよ。ですから、私は大きな波のことを言うのではなくて、現実の処理という方が緊急問題じゃないか。そうするならば、今申しましたように、供給側の炭鉱の方が、確保奨励金をもらえばその住宅を作ってやることができる、こう言っておるのだし、また中小企業の方は、この確保奨励金をもらいたくても、従来の関係があってもらうことができないと言っているのですから、私は臨時行政的な措置としては、きわめて適当ではないかと思うのです。これを一つ十分考えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/45
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046・三治重信
○三治政府委員 私としては非常に無理だと思いますけれども、そういう従来のいきさつがあるようですから、さらに前局長、大臣と相談の上御返答したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/46
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047・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、住宅の建設の場所ですが、これは産炭地ではいけませんか。新しく住宅を建てる場所が産炭地域ではいけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/47
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048・三治重信
○三治政府委員 これはやはり主として広域職業紹介の方を対象にしているわけですから、この住宅確保奨励金は、産炭地では無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/48
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049・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、問題になるのは、たとえば北九州の場合ですが、北九州で今後伸びる住宅地というと、岡垣とか遠賀村というところへいくのです。ところが、これはかつて炭鉱がありまして、産炭地の指定になっておる。八幡から福岡に向かっての地域なんですが、それが指定地域で住宅を建てることができないというならば、確保奨励金をもらえないというならば、北九州の住宅確保奨励金というのは非常に給付がむずかしくなるのですね。これは二面性を持っているわけですよ。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/49
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050・三治重信
○三治政府委員 八幡とか、福岡とか、そちらの方の事業主が職業紹介によって雇い入れられて、八幡なり福岡の方では適当な土地がないので、今の産炭地指定地域の方で土地を確保して、雇い入れた労務者の住宅を作られるといろ分については、やはりその土地の確保の上から、そういうふうになるというなら、われわれの方は別に支障はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/50
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051・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、貸付金です。先ほど話が出たわけですが、この「移転就職者を雇い入れる事業主その他の政令で定める事業主」の「その他の政令で定める事業主」というのは、どういうものを想定されておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/51
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052・三治重信
○三治政府委員 労働力の過剰地域、いわゆる広域職業紹介地域の場合における労働力の過剰地域において、その土地で住宅を建てるとか、福祉施設を自分の従業員のために建てたいという場合が一つであります。
それから中小企業の労働者のために、いわゆる集団求人で人を雇い入れるという場合において、中小企業の労働力の雇用の促進をはかるための中小企業労働者のための住宅建設並びに福祉施設、それから中高年令層を雇用される場合の労働者用の住宅、福祉施設というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/52
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053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が質問したのに対して適当な答弁ではないと思いますが、私が言っているのは、移転就職者を雇い入れる事業主のほかの事業主というのはどういうものか、それを聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/53
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054・三治重信
○三治政府委員 従ってその他の政令で定める事業主は、そういうふうな今申し上げた四つのグループのような事業主、そこで一般的な移転就職者でなくても、「その他の政令で定める事業主」という、その事業主の該当者、いわゆる労働力過剰地域において新しく労働者を雇い入れる事業主、それから中小企業が住宅がないために雇い入れられない、そして集団求人なんかで、住宅を提供するという条件を出して、その住宅を建てるために融資を受けたいという事業主、それから中高年令層を受け入れるというふうな事業主に対して特別にやるというふうに、この政令で定める事業主というのは、一般の移転者でなくても、そういう移転就職者を雇い入れる事業主と同じ地域とか、そういう目的によって、あるいはダブる場合があるかもしれませんが、そうでなくても、そういうふうな雇用促進のために、以上のような理由で住宅を建てたいという申し込みをされる事業主というふうに予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 移転就職者を雇い入れなくても、これはもらえるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/55
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056・三治重信
○三治政府委員 そうです。今申し上げたように、「その他の政令で定める事業主」というのは、そういうものですが、また逆に言えば、移転就職者を雇い入れる事業主ばかりでなくて、その他労働者を雇い入れる条件として住宅がほしいという人に対して、やはり安定所に協力またはこの一般的な労働省の雇用、失業対策に協力される事業主に対しては融資を優先的にやる、それを指定しているのが、この政令で定める事業主、こういう格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/56
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057・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この移転就職者に対する雇い入れというのは、もうすでに雇い入れる契約をした事業主と将来するであろう事業主、こういう意味ですか。全然人を雇い入れないで住宅を建てるということは考えられないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/57
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058・三治重信
○三治政府委員 これは予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/58
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059・多賀谷真稔
○多賀谷委員 予定でございますというのは、その他の政令で定める事業主というのが予定ですか、それとも、雇い入れる事業主というのが予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/59
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060・三治重信
○三治政府委員 移転就職者を雇い入れる予定が確かな事業主、それから、その他の政令で定める事業主でも同じように、雇い入れるととが確かな、雇い入れる予定の事業主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/60
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061・多賀谷真稔
○多賀谷委員 速記録を見て下さい。同じことですよ。あなたの言うのは、要するに移転就職者を雇い入れる契約が現実の場合と将来の場合と、こういうことなんでしょう。一本で読めば両方含むという意味でしょう。人を雇わないで、ただ労働力過剰地域から、逆に労働力が非常に不足している労働力の需要地に家を建てるといっても、やはり移転就職者を将来雇い入れるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/61
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062・三治重信
○三治政府委員 その移転就職者を広域紹介によって受け入れる事業主は、そのままここで移転就職者を雇い入れる事業主であるわけなんですが、それだけではなくて、もっと広い範囲の事業主を考えたいということで、政令で定める。当面その政で定める内容の場合においては、いわゆる広域職業紹介地域においてやはり雇用の安定をはかるために住宅を建てたい、福祉施設を建てたいという事業主は、その政令の指定の事業主とする、そういう、一つは地域的な場合。それから中小企業者の、いわゆる集団求人とかそういうことで、これは子供でもだれでもいいわけなんですが、そういうことで、その求人を確保するために住宅を建てたい、福祉施設を建てたいという場合において融資をする。それから中高年令者の雇用——これは今度の雇用奨励金と同じような考えの中高年令者でございますが、そういう中高年令者を特別に雇い入れる事業主に対しては、労働者住宅と福祉施設の方も融資の対象にする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/62
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063・多賀谷真稔
○多賀谷委員 たとえば労働者が過剰な不況地域で、新しい事業主が福利施設を作るという場合には適用しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/63
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064・三治重信
○三治政府委員 ここの移転就職者というのは、移転就職者という概念についての私の説明が若干まずかったと思うのですが、われわれのここでいっている移転就職者というのは、広域職業紹介命令によって地域が指定される、それからその外へ移転する、広域職業紹介命令で広域職業紹介の対象になって就職する移転、それだけを移転就職者というわけです。だからそういう広域職業紹介命令以外の地域の人でも、やはり一般的な概念による移転就職者というものがあるわけなんですが、それはここには含まれない。たとえば学卒が集団求人で行く場合とか、そういうものは含まれない。そういう意味ですから、ただ移転就職者というと一般的に解されるのですが、現在の職業安定法の十九条の二とそれから炭鉱離職者臨時措置法の三条による措置の広域職業紹介命令による広域職業紹介によって就職する者を移転就職者というわけなんです。そういう場合だけをここでいうわけですから、その他政令で定める事業主というふうに、そのときどきによって広い範囲の事業主を融資の対象にしようということで、政令で定める事業主ということが規定されているわけです。ここでいう移転就職者というのは、多賀谷先生の言われる、移転する者はだれでも入るわけじゃないのです。非常に狭いところの、先ほど申し上げましたように、職業安定法の十九条の二のと炭鉱離職者臨時措置法の三条による、広域職業紹介地域に対して広域職業紹介命令が出て職業紹介に乗った者だけが含まれる、それだけです。それ以外のものを雇い入れる事業主について、今みたいな場合に、その事業主に融資をしよう、こういうことが政令で指定する事業主ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/64
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065・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今みたいなという話が出ましたが、今みたいなというのは、中小企業において集団求人を確保する場合、それから中高年層を雇用する場合、この二つですか、政令で大体予定しているのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/65
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066・三治重信
○三治政府委員 一番先言いました労働力過剰地域のやつは、いわゆる労働力過剰地域で工場誘致なんかで工場を建てたい、新しく宿舎を作りたい、住宅を作りたい、そういう意味において、そういう労働力過剰地域について新しく工場ができたり、労働者を現地で雇用しようという場合、そういう場合が、労働力過剰地域における労働者を雇い入れる事業主という場合に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/66
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067・多賀谷真稔
○多賀谷委員 わかりました。それでは、労働力過剰地域においても適用はあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/67
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068・三治重信
○三治政府委員 先ほど申し上げましたように、労働力過剰地域において、新しくその地域において労働者を雇い入れる工場なんかの事業主というものと、それから中小企業の集団求人とかいうような場合の住宅とか宿舎という場合、それから中高年令層を雇い入れる場合というものを、今一応予定しているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/68
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069・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは労働者住宅と福利施設の設置、整備、これだけですか。職場の造成は入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/69
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070・三治重信
○三治政府委員 給食施設とか、そういうふうないわゆる労働者の労働環境——衛生とか、そういうところまでいきませんけれども、いわゆる一般的な福利施設、給食施設とか娯楽施設というものは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/70
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071・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから、職場の造成、工場の建物、土地造成、機械、これの設置は入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/71
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072・三治重信
○三治政府委員 そういうふうな工場誘致とかいう場合とか、産業立地計画によって新しく産業を振興する場合というものも、一時考えたことはあるのですけれども、それはほかのところの行政と非常にかち合うということで、今のところそういう土地造成とか機械、建物の設備関係、いわゆる一般的な土地、建物の設備投資関係はできないというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/72
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073・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは失業保険の積立金の還元融資だと思うのですが、今失業保険はどのくらい積立金がありますか。利子は年々どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/73
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074・三治重信
○三治政府委員 三十六年度末で大体千百億程度になろうかと思います。それで利子が三十七年度は六十六億程度になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/74
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075・多賀谷真稔
○多賀谷委員 六十六億の使途はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/75
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076・三治重信
○三治政府委員 失業保険の業務取扱費が約二十八億二千百万円、それから福祉施設費が三十七億七千六百万円、全部で六十五億九千七百万円になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/76
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077・多賀谷真稔
○多賀谷委員 福祉施設の内訳は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/77
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078・三治重信
○三治政府委員 総合訓練所等の職業訓練の関係で約二十億、その他が雇用促進事業団がやる一般賃貸住宅や何かの予算、それと、二十億は職業総合訓練所の建設、運営費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/78
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079・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この貸付条件はどういうように予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/79
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080・三治重信
○三治政府委員 大体中小企業に対しては六分五厘で、大企業については、大企業といってもどの程度の区分かということはまだはっきりしておりませんが、七分程度というふうに考えております。償還期限は施設によって、大体建物の方は二十年から二十五年、福祉施設の方は十五年から二十年で償還する。据置期間についてはまだはっきりしないのですが、一応三年くらいの据置期間を作ったらどうかというふうに考えております。
なお全体の要る費用に対しての融資率は、大体大企業については七割、中小企業については九割程度までの融資率こしようと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/80
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081・多賀谷真稔
○多賀谷委員 職場造成ができないというのは、他の関係でわからないこともないのですが、厚生年金の還元融資等とは違うわけですね。失業保険の還元融資でしょう。失業保険の還元融資ですと、僕はやはり職場造成というのは大きな意味があると思うのです、失業者をなくするということですから。ですから、新しい雇用の機会を作ってやるということでやるならば、その面からやったらどうか。これは労働者住宅とか福利施設でなくて、私はむしろ職場造成に融資をする、これが必要ではないか。ただしその融資をする場合には、労働力の過剰地域とか、こういうように特殊の労働市場が発生しておるところにおいてやる、こういう条件、あるいは中高年令層とか、労働側から見た基準において職場造成をやるというのが適当ではないかと思うのです。これは一般会計でやるべきか、そういう積立金の還元融資でやるかという大前提の議論はありますけれども、私は失業保険の積立金の還元融資であるならば、職場造成ということは考えられるのじゃないかと思う。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/81
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082・三治重信
○三治政府委員 厚生年金なんか、還元融資という線で今日までずっときて、大体格好がついたようなんですが、失業保険の関係につきましては、従来これが、たくさんの積立金があってできませんでしたのは、いわゆる失業保険が短期の保険だということで、そういう還元には当然あるべき長期の積立金をファンドとしてやるならば還元融資という思想が出るけれども、そうでなくて、景気がいいために自然にたまったのだから、それを還元融資というような、そういうファンド的な考え方については納得ができないということで、この現在の二十億というのは、還元融資ということにはなっておりません。いずれにしても、ただ預金部資金から二十億、雇用促進のためにこういう住宅とか福利施設を作る、そういう雇用促進に役立つ融資をやろうということでありまして、雇用促進事業団は預金部資金の全体の融資のワクから二十億を融資してもらって、そうしてこの目的のためにさらに特定の金融機関あるいは市中金融機関を使って、一般の事業主あるいは特定の事業主に労働者の住宅や福利施設を作るように勧奨し、それがひいて雇用の奨励になり、中高年令層や、また労働力の移動に役に立つという目的のために使おうということでございまして、一般の財政投融資計画による場合の特別融資ということになっておりまして、還元融資という線は出さないようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/82
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083・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは、従来の炭鉱離職者援護会を雇用促進事業団に切りかえるときに、労働省は、失業保険還元融資が使えるからというので労働省に移したのですよ。そういう経緯があるのですよ。それが一般の預金部資金からくるなら、通産省でも同じですよ。そうでなくて、住宅には失業保険会計から還元融資を受けることができるからという理由で雇用促進事業団になった、そういう経緯があるのですよ。あなたのようにそういう理屈を言うと、私の方も理屈を言いたくなる。これは還元融資ではありません。これは預金部資金から特別の配慮を願っているのです、そんなら通産省に置いておってもいいのです。それは、失業保険の還元融資は労働省でなければ、通産省なんかに置いておくとむずかしいからという経緯があるのですよ。ですから、私は言葉じりはとりませんが、実質は還元融資です。私は短期保険の金を使うというのは間違いだと思う。むしろ短期保険で余れば、給付をよくするというのがあたりまえでしょう。保険料を下げるか、給付をよくするというのがほんとうです。そうして、短期保険をそんなに一千億も余しておくというのは間違いなんです。しかし私は今の段階ではそのことは言いません。言いませんが、失業保険の性格から見れば、私は福利厚生施設よりも、職場造成というような一番大きな目的に使わるべきではないか、こういうように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/83
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084・三治重信
○三治政府委員 われわれの方も、今説明しましたその実現した融資につきまして、さらにプラスそういうふうな考え方は持っておったわけなんですが、政府の全体的な政策、それから資金の融資のワクの配分というようなことから、労働省がそこまでやるのはまずい、雇用促進といえば、それじゃ一から十まで何でもできちゃうようなことになるのじゃないかというようなことになりまして、だんだん範囲が狭まって、とりあえず住宅と福利施設、またわれわれの方としても、さらに何かそういう不況地域とか、特別産業立地計画を立てて発展するようなところに、そういう労働者のためになる投資計画なんかでも援助してしかるべきじゃないかというのは、個人的に、また労働省の立場としては持ってないわけでもないし、事実予算折衝をやったわけなんです。ところがそういうふうな事情で今年はできなくて、将来はまたさらに考えてみたい。
それから融資の還元は、それは言葉じりだけの問題でございますが、われわれの方としても、これが実現できたのは還元融資的な考え方なわけなんですけれども、投融資計画の表現はそういう還元融資ということになっておらないということでございます。中身が雇用促進事業団を通じてやれるようになったのは、失業保険に相当余裕の財源があるということから、還元融資に似通った線でこういうワクがきめられたことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/84
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085・多賀谷真稔
○多賀谷委員 やはりこの労働力過剰地域には、普通の商業ベ−スによるとなかなか新工場も誘致ができないし、また金利においても特別配慮をしなければならない。ですから、純然たる産業政策だけでいきますと、私は従来ある既設の金融機関でもいいと思うのですが、産業政策にプラス社会保障の政策あるいは雇用政策というものがからんでおるところに、この失業保険の還元融資等による職場造成ということが必要じゃないか。まあ意見はどうも同じようで、力が足りずやむを得ずこうなったという感じを受けますから、それは一つ大臣に質問をしたいと思います。
次に、具体的に、業務を付託する金融機関ですが、この金融機関は労働金庫は入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/85
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086・三治重信
○三治政府委員 住宅の融資関係としましては、住宅金融公庫を総括的な委託金融機関としてやるつもりでおります。その他の福利施設につきましては、市中金融機関あるいは商工中金というものを一応予定しておりますが、現在のわれわれの考えでは、労働金庫につきましては、これは雇用をする事業主となっておりますので、労金の方は事業主が組合員に、また労金の対象になっておりませんので、労金からは無理じゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/86
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087・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なるほど、事業主が借りるという形になるから労金は無理だとおっしゃるならば、その通りかもしれませんが、労働省所管の唯一の金庫ですから、これはやはり十分考えてやる必要があるのじゃないか。しかも失業保険の金というのは経営者並びに労働者——積立金は政府はまだ入れてないわけでしょう。政府が支出するたびに出すのですから、政府の積立金は入っていない。ですから、これは将来の問題として十分配慮していただきたい、私はかように考えます。
続いて、先般も質問がありましたが、訓練手当の増額の問題は、失業保険だってベ−ス・アップしている、それから日雇い労働者の賃金だって上がっている、生活保護も上がっている、物価も上がっている、今度の予算でほとんどが上がっている中で、訓練手当だけが据え置きというのはおかしい。どうなんですか。どこに根拠を求めて据え置いたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/87
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088・三治重信
○三治政府委員 これは、この訓練手当を始めましたときに百二十円で出た。それを昨年三百円に倍増以上にしたわけです。そういうふうなことで大蔵当局の言い分としては、三百円そのものが非常に踏み切ったことなので、それをほかと同じように考えられては困るということなんです。ただ訓練手当についての考え方が、大蔵事務当局とわれわれとで根本的に食い違っている。われわれは、失業保険をもらえない人は、失業保険と同じように本人並びにその家族の生活をささえながら、しかも訓練に通える体制がなければ、そういう中高年令層の転職離職者の職業訓練というものは十分にできないのだという考え方でございます。しかしその訓練手当を出す方の側からいうと、そこまでやれば一から十まで全部になってしまう、当面訓練手当というものは本人一人で十分じゃないかというところに根本的な食い違いがあるわけです。われわれの方は、この訓練を受けられる転職者の訓練期間中の家族の生活費やその通勤費、そういうものも含んで考えて、またそういうことが訓練手当のあるべき姿だというふうに考えているわけなんですけれども、そのあるべき姿のうちで、家族その他扶養者の問題というものは別だ、やはり訓練を受けられる転職者本人が訓練を受けられるだけの訓練手当でいいのだ、それが限度であるというところに食い違いがあって、その意見が合おないうちにこうなっているわけです。現在のところ対象者が非常に少ないわけなんですけれども、これは全体のバランスから見るとちょっと立ちおくれた形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/88
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089・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは中高年令者の訓練ということを忘れておる。新制中学を出た子供なら、今の大蔵省の議論は当を得ておるかもしれません。問題は、訓練をする相手というのは家族をかかえた中高年令者ですからね。家族を忘れて政治は論じられないのですよ。これは最もがんばり方が足らなかったりじゃないかと私は思うのですが、とにかく生活保護だって一八%、補正で五%、さらに今度一三%と上がっているわけでしょう。それから失対だって昨年三百三十五円だったのが、三百八十六円と四百二十五円に上がっておるのですから、これだけ据え置いたというのは非常に問題だ。やはり基準になる失業保険の給付や賃金は上がっておりますから、当然これは何らかの形で上げるべきじゃないかと思うのです。一つ本委員会の決議でもしてもらって上げてもらわなければならぬと思うのですが、これはまた大臣に相談をしたい、かように思います。
次に雇用奨励金の実施の問題これは滝井さんが昨日もお話しになりましたが、とにかく一月一日以降に実施するのですが、一月以降に就職をした者で、すでに一万七千円なら一万七千円の給料が支払われておる者についてはどうなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/89
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090・三治重信
○三治政府委員 一月一日以降に雇用されたのでも二万円以上で雇用されないとまずいわけです。しかしその点の実際上の問題につきましては、あるいは知らなくて、従来の慣例でそういうふうに雇った、それがもらえるならば二万円は払おうというふうになれば、それは実質上できるだけ適用になるように指導していきたいと思います。規定としては、二万円以上給与が支払われる場合に適用する、これはやはりどの程度の給料を補償して雇用奨励をやるかということは、いろいろの線の引き方や考え方がございますが、昨年一年間のものでそれぞれ払う方、もらう方、両方の情報を集めた結果、大体払う方も四分の一程度の雇用奨励金がもらえるならば二万円は出せる、またもらう方も二万円程度ならば就職意欲が出るということで、二万円の線を引いたわけであります。これで一応今年はやっていきたい。その趣旨が不徹底のために、二万円以下で雇われておる人たちが適用できぬじゃないかという問題が出てくるわけですが、そういう方たちには、一月にさかのぼってそれだけの交付金が出るわけですから、それと勘案して二万円まで出せるようになればそれは十分適用していけるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/90
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091・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、政府は二万円以上の支給については奨励金を出す、こういうことを言っておるけれども、何さま政府は信用がないわけです。やはり予算が通過してみなければはっきりしないのですから、そんな不確定なことで二万円やっておったら、あとから返せと言うわけにいかぬでしょうから、これは一月一日から実施するということを宣伝したならば、たとい一万五千円であろうとも事業主の負担は変わりませんし、一万七千円の人にそんならば二万二千円払いましょう、こう言うかどう言うかわかりませんけれども、一つ親切に指導して、そして労働者が恩恵を受けるようにやってもらいたい、かように考えます。
さらに、昨日要求されました資料が出ておりますが、これについてちょっと質問をしたいと思います。その前に、三井三池の離職者の就職状態を少しく詳細に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/91
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092・北川俊夫
○北川説明員 三井三池につきましては、本年の一月八日現在の結果が一応わかっております。いわゆる九・九退職者は、千百四十七名でございます。そのうち一応帰趨が決定しました者が千六十八名。千六十人名の内訳には約五百十名程度の就職者が含まれております。それ以外に、たとえば企業組合を作った者が三十名、あるいは緊就に入っておる者が百六十名、失対が五十何名、自営業が六十名、こういうような中身になっております。なお未決定で残っております者は、七十九名ございます。それらの希望を私の方で調査いたしました結果によりますと、これから働きたい、そういう希望を持っておられる方は二十七名でございます。就職が間もなくできるであろう、そういう見込みの者が二十一名でございます。その他病気療養中等が約三十名程度ございます。なお就職先の内訳でございますが、五百十名程度のうち、大体三百名程度は県外へ就職しておられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/92
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093・多賀谷真稔
○多賀谷委員 訓練所の入所者は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/93
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094・北川俊夫
○北川説明員 百八十一名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/94
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095・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、緊就百六十名、それから訓練所百八十一名、それから七十九名の未就職者、これはやはり今後政策の対象になるわけです。緊就百六十名というのは、最近もう緊就の数がふえておって、私の三十六年の十月十四日調べでは百四十五名の緊就でありましたのが、百六十名になっておるのですから、だんだん緊就がふえていく。緊就というのは就職に入りませんからね。それから、やはり訓練所百八十一名をどういうようにするか、これは問題だと思うのですが、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/95
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096・三治重信
○三治政府委員 現在の、緊就に入られた方も、それから職業訓練に入っておられる方も、大体最後まで現地を離れたくない、家庭の事情、またいろいろの事情で離れたくないといろ関係——われわれの方としては、当人が広域職業紹介に乗ってもらえるならば大体できる予定にしておりましたけれども、しいて家庭の事情その他の問題があって離れられないからということで、こういう結果になりました。さらに、職業訓練をこの二月、三月に終わる人たちも、一部に現地に残りたい、広域職業紹介に、また職業訓練を受けた種目の方へ就職したくないという非常に強い希望もあるようです。その点はもう少し心の落ちつきを待って解決していくよりほかに手はないのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/96
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097・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、私は昨日いただきました資料について説明を願いたいと思いますが、昭和三十七年の四月から昭和三十八年の三月まで、繰り越し求職者四万八千百名、新規求職者八万三千六百名、安定所就職者三万六千名、縁故就職その他の帰趨者五万六千五百名、そうして差し引きで三万九千二百名、こういうふうになっているわけですが、安定所就職者三万六千名はどういうように就職していくわけでありますか。これを予算と関連をして御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/97
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098・北川俊夫
○北川説明員 安定所就職の内訳につきましては、広域職業紹介が約一万四千程度、それに一般紹介、自県内紹介が二万一千で、合わせまして三万五千九百名程度、これをまとめまして三万六千名、こういうように数字を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/98
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099・多賀谷真稔
○多賀谷委員 二万一千の自県内就職を見ており、縁故就職を五万六千五百人見ております。縁故就職というのは自県内就職がかなり多いわけですが、こんなに自県内で吸収できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/99
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100・北川俊夫
○北川説明員 今までの安定所紹介、それから縁故就職、そういう炭鉱離職者の就職の実態を、雇用促進事業団で支給しております移住資金の実績その他等からいろいろ検討いたしますと、安定所紹介一に対しまして縁故就職は大体その二・三倍程度ある、こういう実績であります。従いまして、来年度におきましては、雇用奨励金を支給することになりますと、その縁故就職の率は今まで通り安定所の二・三倍というのはややくずれてくる。もっと具体的に言いますと、今までは安定所の利用率は三〇%程度でございますけれども、これが倍増して六〇%は安定所を通じて就職するのではないか、そういうような計算で算出いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/100
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101・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、この縁故就職、それから自県内就職があまりに大きい、過大に見積もってある、こういうように考えるわけです。自県内就職というのは、そういうような余地があるか。私は余地は少ないのじゃないかと思うのです。ことに安定所を通ずる分を見るならば、自県内就職というのは非常に少ない。むしろ政策としても、また現実においても、広域紹介の方に重点を置いてしなければ——自県内就職というのは、これは私は実際できないのじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/101
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102・北川俊夫
○北川説明員 自県内の二万一千につきましては、昨日も申し上げましたけれども、これは今までの実績で自県内就職が約一万五千六百人程度出ております。それで今回雇用奨励金制度をやることによりまして、自県内にもさらに雇用の伸びが累増するであろう、そういう関係から考えましたものでございまして、非常に過大な見積もりであるということは絶対ないと思います。
なお、自県内紹介という言葉でちょっと誤解を招きますので、この際お断わり申しますが、広域職業紹介といいますのは、労働大臣が炭鉱離職者臨時措置法の三条に基づきまして、計画的に紹介の結びつきを命令いたします、その命令に基づいて就職するのが広域職業紹介による就職、こういうことになります。従いまして、たとえば福岡から自分で東京へ移住して、そうしてそのあとで東京の安定所の世話で東京で就職する、そういうものは一般紹介、今自県内と申し上げましたけれども、広い意味では一般紹介、そういう意味でこの二万二千を計上しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/102
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103・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、自県内でなくて、一般紹介と広域紹介、こういうふうに区別しておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/103
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104・北川俊夫
○北川説明員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/104
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105・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで私は縁故就職の五万六千、これも非常に過大じゃないかと思うのです。そんなに縁故就職はできませんよ。そして、今お話のありましたように、雇用奨励金がつくわけでしょう。ですから、安定所に行きましょう。私は大部分行くと思いますね。今の情勢で判断をされることは間違いじゃないか。大部分は安定所の窓口に行く。金がもらえるのですから、だいぶ違うですよ。ですから、就職をする場合には、ほとんど安定所の窓口を通していくだろう。そういった場合に、はたして五万六千五百という、これだけの就職ができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/105
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106・北川俊夫
○北川説明員 雇用奨励金を支給いたすことに伴いまして、今までの安定所を利用する者、それから縁故で就職する者の比率は、繰り返して申し上げますけれども、その比率が逆転する、こういうことはわれわれ考えております。しかしながら、雇用奨励金を支給されます者は、御承知のように、三十五才以上に限定しております。従いまして、三十五才以下の者につきましては、今までと同じ程度の縁故就職と安定所紹介の比率が保たれる、こういう前提でこの五万六千の数字が出ておるわけでございます。なお、これは「縁故就職その他の帰すう者」とございますように、縁故就職以外に、たとえば自営業あるいは帰農あるいはリタイアー、こういうものをすべて含めました数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/106
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107・多賀谷真稔
○多賀谷委員 雇用奨励金制度が発足して第一年目ですから、私は今の予想というのが必ずしも当たらない、また当たらなくても非難をすることはないと思いますけれども、しかしあまりにも数字的には縁故就職その他帰農をする者ということで、ここへ押し込めておるという感じですね。そして最後には三万九千二百名しか繰り越しの離職者はない、こういうことですが、この制度をやりましても、三十八年の三月には四万八千百よりも多く出るのではないか。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/107
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108・北川俊夫
○北川説明員 今御指摘のように、非常に推測的な計数を使っておりますので、これがぴたりと当たるかどらか、なかなかむずかしいところでございますが、私といたしましては、雇用奨励金の支給の算定の基礎をはじく場合に、非常に有利といいますか、多く雇用奨励金が受けられるように考えて計数を整理いたしておりますので、来年度二万人、本年の一月から三月まで五千人、こういう数字は決して過小ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/108
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109・多賀谷真稔
○多賀谷委員 雇用奨励金の支給の基準、条件、これは業務方法書に書かれるでしょうけれども、どういうことを予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/109
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110・三治重信
○三治政府委員 先ほど申し上げましたように、本年の一月一日以降に新しく雇用される者であるということ、それから二万円以上であるということ——女子、身体障害者につきましては一万四千円以上ということは、御承知の通りであります。そのほか年令制限がございまして、三十五才以上、ただし上がり山とか、保安勧告による閉山とか、そういうふうなやむを得ない理由によって一斉閉山する場合には、この年令を三十才まで下げる。それから先ほど住宅確保奨励金のところでお話がありましたように、やはりこれにつきましては一年ぽっきりで、ただ雇用奨励金をもらわんがためだけの場合も、非常に取り越し苦労かもわかりませんけれども、考えまして、将来雇用奨励金が一年で切れても、あと継続的に常用的な労働者として雇用することが確実であることという、そういう訓示規定が入っております。それから安定所の紹介によるものであること、これは自分で、雇用されたから雇用奨励金がほしい、労働者と事業主だけの相対で雇用奨励金をくれといってもこれは無理で、安定所が紹介をするという条件が入っております。
それから、きのう滝井先生からお話がございましたが、この中に石炭の鉱業権者や租鉱権者のいわゆる石炭業者は入っていないということでございます。それから、最高限度を一人当たり七千五百円にするというふうにしまして、支給の方のやり方におきましては、大体五千円までの一律の部面は三カ月ごとの前払いにする、五千円以上のスライド分につきましては、三カ月後の精算払いということを考えております。これが全部が全部業務方法書によるかどらかはまだもう少し整理してみけなればわかりませんけれども、支給方法としては大体そういうことに固まっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/110
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111・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしますと、指定地域というものは考えないでいいわけですね。同一地域において炭鉱から他の産業の労働者になった場合も奨励金が入るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/111
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112・三治重信
○三治政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/112
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113・多賀谷真稔
○多賀谷委員 続いて「当該離職後新たに安定した職業についたことのないこと」という、この安定した職業というのはどういう基準ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/113
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114・三治重信
○三治政府委員 日雇いとか期限を定められた特別な臨時的な仕事ではない、大体客観的に、工場、事業場とか、普通の雇用契約で入られた場合には、その賃金の支給形態が、たとえ働いた日によって日給月給みたようになっておっても、大体雇用として特別の条件がつかなければ、それは安定した職業についたというふうに考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/114
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115・多賀谷真稔
○多賀谷委員 試用期間との関係はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/115
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116・三治重信
○三治政府委員 試用期間につきましては、まだこまかいことまで考えておりませんけれども、解雇される石炭労務者が一年以上炭鉱労務者として炭鉱に勤務していたということが条件になるわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/116
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117・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そっちでなく、受け入れる側です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/117
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118・三治重信
○三治政府委員 受け入れる側の方——「当該離職後新たに安定した職業」ですから、大体一年以上くらいではないですか。これもわれわれの方としてはまだ法施行後の具体的な問題についてはコンクリートには固めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/118
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119・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、安定した職業というのは、一年未満で首を切られた場合には雇用奨励金はくれるわけですね。新しい雇い主、新しいといろよりも、炭鉱以外の事業場において、非常に不安定な契約になっておる試用期間中に、あるいは試用期間が切れた場合に首を切られた、まあやめてくれという、この場合はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/119
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120・北川俊夫
○北川説明員 安定した職業の解釈につきましては、明確にできますことは、雇用形態がきわめて不安定な形、たとえば日雇いであるとか、あるいは先ほど局長から例示されました失対諸事業に入っておる、こういうような者については、明らかに安定しておらない、こう解釈いたします。その他の、今御指摘のごとく、試用期間あるいは臨時工、こういう者につきましては、その言葉だけで試用期間は安定しておらない、あるいは臨時工はだめだ、そう言うことはなかなか困難と思います。その実態に応じまして、結果的に、たとえば非常に事業主が一方的に短期間で、臨時工あるいは試み使用期間中に解雇した、そういう場合には不安定の職業、そういう実態判断で解釈をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/120
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121・多賀谷真稔
○多賀谷委員 たとえば産炭地から東京に来た場合、まあ雇い主ももの珍しいと言っちゃ変ですが、もの珍しいような気持で雇っておる人がある。そうして、いや、これはいかぬということで首切っておる。ですから、わずかしかいないんですよ。こういう場合は、なるほど普通の状態ですと、安定した職業についたことになるのですけれども、こういう場合は、私は、単に日雇いであるとかいうことだけではいかないんじゃないか。たとえば労働条件が非常に食い違っておる。新しい職場についてみたところが、自分が考えておったのとは違う、だから自分はやめたい。これも安定した職場についたということになりますと、恩恵を受ける人が少ないんじゃないかと私は思うのですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/121
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122・北川俊夫
○北川説明員 今御指摘のように、なかなか形式判断ではいきません。御例示のように、安定所で二万五千円もらえる、あるいは住宅がついておる、そういう紹介で行ったところが、実際は紹介条件と非常に違いまして、住宅もない、月給も二万ぎりぎりだ、そういうような場合に、みずからすぐやめるというふうな場合、これはたとい形態が長期の雇用、安定した雇用の形をとっておりましても、結果的に見まして、それは不安定の職業にしかついておらぬ、そういう実態判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/122
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123・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ことに職業安定所で紹介した労働条件と違っておったというような場合、これはぜひ、やめた労働者でも雇用奨励金がつくように御配慮願いたい、私はかように思います。
大体おもな点の質問をしたのですが、問題点になっておりますのは大臣に質問したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/123
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124・有田喜一
○有田委員長 次会は二月六日午前十時半から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00519620201/124
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