1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月十三日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 神田 博君
理事 齋藤 憲三君 理事 多賀谷真稔君
倉成 正君 藏内 修治君
小泉 純也君 澁谷 直藏君
中村 幸八君 南 好雄君
井手 以誠君 滝井 義高君
伊藤卯四郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
通商産業事務
官
(大臣官房長) 塚本 敏夫君
通商産業事務
官
(石炭局長) 今井 博君
通商産業鉱務
監督官
(鉱山保安局
長) 八谷 芳裕君
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二月十三日
理事周東英雄君及び松井政吉君同日理事辞任に
つき、その補欠として齋藤憲三君及び中村重光
君が理事に当選した。
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二月八日
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七六号)
産炭地域振興事業団法案(内閣提出第七七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任の件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七六号)
産炭地域振興事業団法案(内閣提出第七七号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これにより会議を開きます。
去る二月八日付付託になりました内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法案を議題とし、まず、政府の提案理由の説明を求めます。佐藤通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/1
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002・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
エネルギー革命の進行に対応し、石炭鉱業は、その経済性を高めるため、極力合理化に努めており、石炭の販売価格を昭和三十八年度までに昭和三十三年度に比較し、千二百円程度引き下げることを目標として、現在スクラップ・アンド・ビルド対策を中心とする石炭の生産構造の再編成を進めているのであります。
これらの合理化施策の推進によりまして、今日までのところ、ほぼ基本路線に沿った合理化効果をあげてきたのであります。しかしながら、最近においてこの合理化計画遂行に対し、資材価格の上昇その他種々の障害が出て参りました。
また他方におきまして、石油輸入の自由化は、本年十月に予定されており、合理化の必要性は、一段と強まってきたと考えるものであります。従って、石炭鉱業の当面の課題は、これらの新情勢に対処していかにして合理化目標を達成するかにあり、そのためには、従来行なってきたスクラップ・アンド・ビルド施策による石炭鉱業の体質改善をこの際一そう強化推進することが必要であります。
このような見地に立ち、政府といたしましては、従来の整備計画に加え、昭和三十七年度から三カ年計画で新たに六百二十万トンを追加整備することといたしております。また高能率炭鉱の造成につきましては、近代化資金、開銀資金等の増額によって措置したいと考えております。
今回の改正案の内容の第一点は、上述の新たな整備計画の実施に伴い、炭鉱整備の迅速化をはかるため、従来の炭鉱買収方式に加え、石炭鉱山整理促進交付金の交付方式を新設することとし、石炭鉱業合理化事業団にその業務を行なわせることとしたことであります。事業団は、採掘権者または租鉱権者がその鉱業を廃止して、権利の放棄による消滅の登録を受けて申請したときは、廃止補償として一定の基準により交付金を交付するものとし、しかもその一定割合を留保して、廃止事業者にかわって賃金債務及び鉱害賠償債務を優先的に弁済することといたしました。なお、廃止事業者の放棄した鉱区または租鉱区については、権利の再設定等を禁止することといたしております。
改正の第二点は、現行の整備資金の保証制度に加え、石炭企業に対し、事業団が炭鉱整備のための長期運転資金の直接貸付を行なう制度を新設したことであります。
石炭鉱業の急速な合理化を進めていく過程におきましては、相対的な過剰雇用の発生を避けられないところであり、政府におきましても、離職者に対しては、一般の失業対策のほかに特別の対策を講じているところでありますが、石炭企業としても、退職金等を円滑迅速に支給することは、ぜひとも必要であり、また非能率炭鉱の閉鎖に際しては、既発生の鉱害を処理する必要があります。これらの退職金、鉱害賠償資金等の整備資金の需要は、今後ますます増大するものと予想されるのであります。
一方、石炭企業の運転資金の借り入れ残高は、巨額に上るとともに、限度一ぱいに達しており、最近の金融情勢を考慮すれば、この種資金を借り増すことはきわめて困難な状況でありまして、石炭鉱業の合理化が金融面から制約されるおそれもあるのであります。この見地から、事業団を通ずる整備資金融資の措置を講ずることとしたのであります。
改正の第三点といたしましては、石炭運賃延納債務の保証を事業団に行なわせることとしたことであります。
石炭の流通経費の相当部分を占める運賃の上昇に伴う石炭鉱業の負担を軽減するため、昨年六月、国鉄運賃の値上がり分の半額について三カ年の延納を認めることといたしましたが、担保について未解決の点がありましたので、大手及びその系列炭鉱を除くいわゆる中小炭鉱の担保として、事業団による債務保証の措置を講ずることといたしました。
なお、石炭鉱業に対する近代化資金の貸付対象設備に石炭専用船を加えるとともに、現行の整備資金保証制度の保証率を引き上げる等を内容とする改正もいたしておりますが、その他の点は、主として上述の三点の改正に伴う若干の手続的事項に関するものであります。
以上が、この法律の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。
産炭地域振興事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
エネルギー革命の進行に対応し、石炭鉱業は、炭価の千二百円引き下げ、五千五百万トンの出炭の維持という合理化の基本路線に沿い、その経済性を高めるため、スクラップ・アンド・ビルド政策を根幹とした合理化対策を推進しております。
このような石炭鉱業の合理化の過程において、炭鉱の終閉山、過剰雇用の縮小は不可避であり、これに伴う石炭関連産業の衰退、炭鉱離職者の発生及び滞留石炭鉱害の放置等の事態が産炭地域に生ずることは避けられないのであります。しかも従来産炭地域の経済は、石炭鉱業に対する依存度がきわめて高く、石炭鉱業とその盛衰をともにしてきたのでありまして、石炭の構造的不況のもたらす影響は、地域によりましてはまことに深刻なものがあります。
政府といたしましては、つとに炭鉱離職者に対しては、広域職業紹介、緊急失業対策事業等の一般失業対策のほか、雇用の転換、移住の促進、住宅の確保等のための特別の対策を講じて万全を期し、また鉱害問題につきましては、鉱害復旧事業の促進等により、被害者の保護と環境整備に努めております。
しかしながら、これら対策のみでは、消極的に産炭地域の社会的混乱を防止するにとどまり、積極的に産炭地域の安定的発展をはかることは困難であります。日本経済の均衡ある成長を期するためには、地域的にも均衡のとれた成長をはかることが必要で、産炭地域経済の疲弊の深化は、経済成長の隘路となるおそれがあります。
このような見地から、撤収される石炭産業に代替する新たな鉱工業等を誘導することによって産炭地域の経済の水準の低下を防止し、さらにはこれをより高めていくことが肝要となっているのでありまして、先国会において成立を見た産炭地域振興臨時措置法の立法趣旨も、このような意図に出るものにほかなりません。
上述のごとく、産炭地域経済の著しい疲弊を防止し、さらにはその安定的発展をはかるためには、産炭地域において他の新たな鉱工業等を振興することが必要であり、工場用地等星業関連施設の整備、国税、地方税等の税制上の減免措置、あるいは企業資金の確保等の助成措置により、鉱工業等が進出しやすい環境を造出することが肝要であります。税制面につきましては、産炭地域振興臨時措置法及びこれに関する立法措置により若干の優遇措置が講ぜられることになりましたが、施設の整備、資金の確保等につきましては、従来一般的な対策のほかには特別の対策は十分でなかったのであります。
企業誘致のための環境整備は、本来は地方公共団体の担当する分野が多いのでありますが、産炭地域の地方財政の現況にかんがみ、疲弊度の著しい産炭地域における鉱工業等の振興を緊急に、かつ効果的に促進するためには、この際国家資金を投入して重点的に環境整備の促進及び誘致企業に対する助成を行なうことが適切であると考える次第であります。
この法律案は、このような考え方をもととし、産炭地域振興施策の推進機関として、特殊法人である産炭地域振興事業団を設立し、工業用地の造成、企業資金の貸付等の業務を重点的に行なわせることとし、その性格、組織及び業務に関して必要な規定を定めたものであります。
この法律案の内容の第一は、事業団の性格及び組織についてであります。事業団は、この法律に基づく特殊法人としての性格を有することとし、その役員として理事長、理事及び監事を置くことといたしております。また事業団の監督は、通商産業大臣がいたすこととしております。
第二点は、事業団の業務内容であります。
事業団の業務内容は、大別して次の二つであります。その一は、産炭地域の振興に必要な工業用地の造成及びこれと関連を有する工作物の建設並びにこれらの管理及び譲渡であり、その二は、同地域の振興に必要な鉱工業等を営む事業者に対する設備資金の貸付であります。
なお、事業団は、工業用地の造成及び鉱工業等の振興に必要な調査に関して業務の委託を受けることができる旨を規定しております。
その他事務所の設置、名称の使用制限、業務方法書の認可、借入金等に関し、通常の事業団に関する法律案に盛られる規定と同趣旨の規定をいたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/2
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003・有田喜一
○有田委員長 両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/3
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004・有田喜一
○有田委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
周東英雄君及び松井政吉君から、それぞれ理事辞任の申し出があります。この際、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/4
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005・有田喜一
○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
周東英雄君及び松井政吉君の理事辞任により、理事が二名欠員となりました。この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/5
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006・有田喜一
○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、齋藤憲三君及び中村重光君をそれぞれ理事に指名いたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00819620213/6
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