1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年二月二十一日(水曜日)
午後一時五十七分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 神田 博君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
理事 中村 重光君
倉成 正君 藏内 修治君
中村 幸八君 南 好雄君
滝井 義高君 松井 政吉君
渡辺 惣蔵君
出席国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森 清君
通商産業事務官
(大臣官房長) 塚本 敏夫君
通商産業事務官
(石炭局長) 今井 博君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 樋詰 誠明君
労働事務官
(婦人少年局
長) 谷野 せつ君
自治事務官
(財政局長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計局主計
官) 田代 一生君
通商産業技官
(大臣官房審議
官) 久良知章悟君
通商産業事務官
(石炭局炭政課
長) 井上 亮君
労働事務官
(婦人少年局婦
人労働課長) 大羽 綾子君
自治事務官
(行政局振興課
長) 山本 明君
—————————————
二月二十日
石炭政策の転換に関する請願外四十五件(島本
虎三君紹介)(第一五三九号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七六号)
産炭地域振興事業団法案(内閣提出第七七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/0
-
001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法案を議題として、前日に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/1
-
002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず第一に、産炭地域振興事業団法について御質問いたしたいと思いますが、まず事務的な問題からお尋ねいたしたいと思います。
事業団の設立について、産炭地発電をとの事業団にさせるということは、エネルギー懇談会でもかなり論議がありましたし、その答申もありましたし、また、本委員会においても決議等もあったわけでありますが、この産炭地発電が立ち消えになったというのは、一体どういう事情からそうなったのかお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/2
-
003・今井博
○今井(博)政府委員 産炭地発電の仕事は、産炭地振興の上に非常に大きな意義を持つものでありまして、これは産炭地振興をやる場合に、これからの大きなテーマとして十分取り上げて推進するつもりでおりますが、事業団が直接産炭地発電をやるかどうかという問題につきましては、御承知のように、当初は産炭地事業団が産炭地発電も考えまして、当初の案としましては、揚地発電の土地造成というところまで実は考えておったわけでありますが、揚地発電の問題は、電力業界との話し合いによりまして、この問題は電力業界がみずから担当するということに話し合いがまとまりましたので、やはりもちはもち屋の方に譲った方がいいというので、これはそちらの方に譲ることにいたしたのであります。
それから産炭地振興審議会で答申のございました、いわゆる産炭地発電をやるべきだという案につきましては、もちろん事業団がこれをやるということは当然考えられるわけでございますが、今産炭地発電として問題になっております具体的なプロジェクトは、いろいろ、電力会社が直接やる場合とか、あるいは電発が直接やるとか、また西日本共同火力というような形でやるとか、あるいは常磐共同火力の問題もございますし、現在プロジェクトとして考えられます問題は、一応既存の機関によって十分やり得るということになっておりますので、産炭地事業団の仕事からは一応これを削除いたしまして、既存の機関によってそういうものを推進していくという考え方をとったわけでございます。
さらに産炭地の計画としまして、もっと小規模な産炭地発電をやってほしいという陳情が相当ございます。しかし、それはすべて具体的な計画がまだ固まっておりませんし、希望としてはいろいろございますけれども、具体的にそれでは三十七年度においてこれを取り上げてどうするという問題としては、これはすべてまだ未検討の事項でございますので、産炭地事業団の仕事としてはこれは一応削除いたしまして、既存の機関によってはとうていやれないというふうな問題が起こりました場合には、そういうプロジェクトがはっきりきまってから、その都度取り上げて検討するということにいたしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/3
-
004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 エネルギー懇談会の中間答申として、A案として産炭地発電、B案として揚地発電の問題が提起されたわけでありますが、そのときの産炭地発電には四十四万ボルトの超高圧線を引いてということまで付記されておったわけですが、この答申をなされるときの基礎的な数字についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/4
-
005・今井博
○今井(博)政府委員 詳細な数字は今ちょっと持ち合わせておりませんけれども、エネルギー懇談会で産炭地発電を取り上げましたときの考え方は、産炭地におきましては、特に九州におきまして、石油の自由化が実施されます場合には、相当過剰炭が生ずるであろう、そういう過剰炭を合理的に処理するには、それを電力に使う以外に方法がないという考え方で、産炭地に従来の計画以上に発電所を建設いたしまして、それを四十四万ボルトの送電線でもって揚地に送ろうという考え方であります。これは御承知のように、産炭地においてはそれだけの電力の需用がございませんので、計画以上に産炭地発電をやった場合には、どうしても揚地に送電しなければならない。その場合に、四十四万ボルトの送電線を作って揚地に送りました場合と、揚地におきまして従来の方法によりまして揚地発電をやった場合とのコストの比較、投資効果の比較というものをやりまして、その結果コスト的には揚地発電の方が有利であるという一応の結論に実はなったわけであります。その数字は、産炭地発電をたとえば九州のある地区にやりまして、それを揚地に、特に関西に送りました場合におきましては、送電線の費用につきましては無利子の金でやるというふうな非常な助成をやりましても、送電にはキロワット・アワー約一円の金がかかりますので、揚地に持っていきました場合には三円二十銭程度のキロワット・アワーのコストになるんじゃないか、こういう実は計算が出たわけであります。それに対しまして、最近の重油発電というものをかりに姫路あたりでやった場合においては、二円八十銭程度のコストで電気ができる、こういう実は計算になっております。それをさらに阪神に送る場合には若干の費用がかかりますから、二円八十銭のコストでも揚地へ、ほんとうの消費地へ持っていきます場合には、やはり十銭か十五銭程度の送電費用がかかります。そういうものを通算いたしますと、約三円近くになるわけであります。従ってコスト的には、三円と三円二十銭でございますからそう違わぬという数字は出るわけでありますけれども、一方産炭地発電をやります場合には、四十四万ボルトの送電線に相当大きな投資が要る、変電所を込めますと三百五十億程度の投資が新たに別に要る、こういうことが一つございまして、全然無利子の金ということで計算いたしましてもそういう数字になるわけでありまして、それだけの大きな金をここに投資するということについては相当大きな問題があります。また、四十四万ボルトの送電線というもの自体が、現在においてもまだ技術的に完成いたしておりません。特に九州の関門地区を通すという関係におきましては、技術的にもいろいろ問題がある。従って、これは相当まだ調査研究を重ねなければいけないだろうという点もありまして、今日の情勢としては、揚地発電ということでやった方が、石炭を確実に消費するということに限定いたしました場合にはむしろ有利じゃないかということで、実は揚地発電の案をとった次第でございます。なおこれに関する相当詳細な検討をいたしましたので、それの資料は今手元にございませんが、参考までにあとでお渡ししてもいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/5
-
006・多賀谷真稔
○多賀谷委員 このエネルギー懇談会の中間答申がなされる場合でも、私は、懇談会の事務局はもう少し案を検討して資料を提出すべきではないか、まだ技術的に問題があるなんということになると、しかも四十四万ボルトという数字をあげながら、技術的にまだ問題があるなんということになると、私はやはり中間答申をすべきじゃないと思うのですよ。
〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
それから答申をする場合には、かなり数字的なデータというものを見て、そして、どちらがいいか政治的な判断こ待たなければならぬというようなことでないと、数字を一見してどうもこれはもう初めから、金利を零と考えても産炭地発電の方が高くなるんだというような場合なら、むしろ答申をすべきでないんじゃないか、こういうように思うわけです。どうもその点もう少し数字的にはっきりしておく必要があるんではないか、こういうように考えるんですが、その当時は、石炭局としてはどういう判断をなされ、どういう資料を出したのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/6
-
007・今井博
○今井(博)政府委員 この案を出します場合には、公益事業局と石炭局とでいろいろ共同作業をいたしまして、そういう送電線を作った場合のいろいろな問題については相当詳細な資料を提出いたしております。それから石炭局としましては、もちろんどれだけの過剰炭が出るであろうか、特に筑豊地区において過剰炭が三百万程度出るんじゃないかという数字につきましても、相当山別に当たりまして、しかも現在の数字でなくて、ここ五年ないし十年の間にどうなるかということも一応検討いたしまして数字を出してございますので、現在の状況では考え得る資料を一応出しまして、その数字に基づいて懇談会でいろいろ議論、検討を願った、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/7
-
008・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この第一の点は、もしお話しのように巨大な投資が要る、そうして技術的にも問題だ。巨大な投資が要ることはわかりますけれども、技術的にも問題だというような場合なら、私は答申をすべきでないと思うのです。技術的に問題であるようなものを答申の中に入れると、みんな迷ってしまうんですね。そして、今のようにきわめて明快に判断がつくぐらいなら、最初から産炭地発電という声は引っ込めるべきじゃなかったか。今局長のお話でありますと、一見明瞭にして揚地発電がいいというような答弁になっておりますけれども、それならば私は、滝炭地発電なんということは、そもそも言い出すことがおかしいんじゃないか、こう考えるわけです。
そこで、私も若干の資料を持っておるわけですけれども、そのあなたの方で検討された資料のとり方にも、かなり問題があるんじゃないか。それから欧州エネルギー調査団、ことに土屋さんあるいは稲葉さんが行かれた調査団の唯一の報告は、産炭地発電にあった。率直にいって、あの調査団の報告を見て、ただ一つ、報告における政策を支持したというものが産炭地発電です。その産炭地発電がくずれていくというのは、私はきわめて遺憾であると思う。そうして技術的にどうして実らせるかというような、もう少し精査した調査が必要ではないかと思うのです。単純にそれはだめだ。あなたのおっしゃるところによれば、きわめて明瞭ですね。もう揚地発電がいいということになるわけですけれども、それほど明瞭なものなら、出すべきでなかったんじゃないか。あるいはそれほど明瞭でなくて、どこにポイントがあるのか、どういう方法をすれば産炭地発電が対抗できるんだ、こういう点も一つ御答弁願いたい。当時の石炭局でもおそらく、かくかくの条件があれば産炭地発電でもやっていけるんだという確信があったに違いない、そういう資料を出されたに違いないんです。それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/8
-
009・今井博
○今井(博)政府委員 少し言葉が不十分でございまして、いろいろ言い足りない点があったと思いますが、先ほど送電線について技術的に問題があると申しましたのは、これは否定する意味での問題じゃなくて、四十四万ボルトについては、電力の研究所におきまして今いろいろ研究をしておるわけでございますので、早急に実施するについてはまだ検討すべき分野が残っておる、こういう意味で、まだ問題がある、こういうふうに申し上げたわけでありまして、否定的な意味での問題ではございませんので、早急に実施するとするとまだ検討すべき分野が残っておる、こういうふうに一つ御理解願いたいと思います。
それから私の答弁の中で、明らかに揚地発電の方がいいのだ、軍配を上げたというニュアンスの答弁のようになっておりますが、これは一応現状では揚地発電の方が有利であろうというニュアンスの問題でございまして、決定的に揚地発電がいいので、産炭地発電はやめるのだ、こういうふうには実はなっておりません。ことに産炭地発電については、送電線の四十四万ボルトというものの費用が相当かかりますので、これが電力側から見てもそういう送電線を引くことが非常に必要である、早急に必要であるというふうな事態になって参ります場合には、これはまた産炭地発電というものもそれに関連して当然出てくる問題でもあります。それからわれわれが石炭サイドでもって産炭地発電をいろいろ議論しました場合には、現在産炭地発電の有利性というものは、やはり低品位炭で山元で発電して、それで安い電気を起こす、こういう意味で産炭地発電のメリットがあるわけでありますが、実際問題とすると、一体それだけの低品位炭がはたしてあるかどうかという点については、単に現時点のみならず、発電所一つをきめます場合には、少なくとも二十年から三十年という長い期間に発電をいたすわけでありますので、相当長期にわたってそういう低品位炭というものが確実に、一ヵ所にそれを集めて使うわけでありますので、そういうふうな意味ではやはり相当検討すべき分野が今後残っておるのではないかということをも考えまして、産炭地発電については、その案は不利だからもうやめるというわけじゃございません。今後そういうふうな問題をいろいろ検討し、取り上げていきたい、こういうふうに実は考えておるわけでありますが、ただ、さしむきこのどちらをとり、どちらを促進するかという問題になりますと、揚地発電の方が一応いろいろな問題が解決されておりますので、これでとにかくやった方が有利だろう、こういう考え方でございます。多少答弁のニュアンスで——決定的に産炭地発電が不利だ、こういうことを申し上げたわけではございません。その点は御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/9
-
010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 公益事業局にお尋ねしますが、いわゆる超高圧の送電線の研究は、四十万ボルトはいつごろ研究が完成するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/10
-
011・中川俊思
○中川委員長代理 公益事業局はちょっときていないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/11
-
012・多賀谷真稔
○多賀谷委員 電気事業連合会の副会長の松根さんが、ある雑誌で、四十万ボルトの超高圧送電線の研究所を今作っておるので、研究所ができるのが再来年になり、従って四十万が実現するのはそれから何年先になるかわからぬというようなことを言っておるわけですね。これは主観的な問題じゃなくて、技術的な問題です。客観的に一体できるかどうかというのは、経済論争じゃなくて、技術的な論争というものは客観的なものだと思うのです。ですから、こういった松根さんの議論が私は正しいかどうかわかりませんけれども、やはり技術的な問題は解決しておかないと、われわれ政治的な議論を幾らしておっても意味がないわけですね。ですから、これはあとから公益事業局が見えたらはっきりお伺いしたいと思う。われわれは架空の上で議論をしておりましても、意味がない。それならば当分四十万ボルトの話はぐっと後の話だというのか、あるいは今早急の話だというのか、これははっきりさせていただきたい、かように思うわけです。結局、石炭局長としては産炭地発電という旗はおろしていない、こう考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/12
-
013・今井博
○今井(博)政府委員 決して旗をおろしたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/13
-
014・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それでは政務次官の方から、産炭地発電、超高圧送電という一貫した政策は旗をおろしていない、今後も研究を進めていきたい、こういう考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/14
-
015・森清
○森(清)政府委員 もちろん、大いに研究を進めていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/15
-
016・多賀谷真稔
○多賀谷委員 自治省が見えておられますから、自治省にちょっとお尋ねしたいのですが、生活保護の多発地域あるいは失業者の多発地域、これの全国分布はどういうふうになっておりましょうか、一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/16
-
017・奥野誠亮
○奥野政府委員 今具体的の数字を承知しておりませんが、たとえば生活保護を受けている人口が全体の二%ぐらいだ、こういう記憶をいたしておりますが、産炭地域、特にそういう人数の多いところは三〇数%に上っておるというような例外的な地域もあり得るのであります。失業者数につきましても、そういう地域は特に多いわけでございます。そういう事情にかんがみまして、そういう地域については特別な財政措置を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/17
-
018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 地域開発の面から見て、不況地域というのを考えますと、大体全国的に見て、戦後あまり変化がないと思うのです。大体まず軍需工場、ことに海軍の軍需工場のあった地域、これは舞鶴でも、横須賀は少し変わっておりますけれども、呉でも佐世保でも同じようです。それから炭鉱地帯のように、一産業によって立っておる、いわば単一産業地帯、これが産業の変動によって非常に労働力過剰地域となっておる、こういう地域、これらが大体不況地域ではないかと私は思うのですが、この不況地域に対する対策は、自治省としてはどういうように今までとられたか、また行なわれんとするか、産炭地に限らず、一般的にお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/18
-
019・奥野誠亮
○奥野政府委員 不況地域につきましては、そういうような失業者を吸収するための特別な事業を起こしているというのが、一般的にとられている施策だと思うわけでございます。失業対策事業で量りますとか、あるいは、臨時に農村地帯において特別な事業を起こしたりいたしまして、そういうものについて国庫負担をしていくというような措置がとられがちでございます。そういう場合には、それの裏の地方負担におきまして地方債を特に認める、こういうようなやり方をいたしておるわけでございます。そのほかには、今お話しになりましたような失業対策事業費でありますとか、あるいは生活保護費でありますとか、そういうような負担について財政措置をしていない部分——国が地方交付税をもって財政措置をいたしますのは、全国的な数値に基づいてやるのが一般的でございますので、特にその団体の財政措置が多いというのが通例でございます。従ってそういう部分については、特別交付税を増額交付するというような措置をとって参ってきておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/19
-
020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 部分的な、いわば慢性不況地域というものの解決というのは、一番困られておるのは自治省の関係ですから、自治省の方で音頭をとって、そういう政策の推進が必要ではなかろうかと思うのです。今わが国においても、新産業都市建設促進法とか、低開発地域開発促進法とか、あるいは今問題になっております産炭地域振興法がありますけれども、私は一番最初に取り上げられるべき問題は、やはり不況地域の再開発、これが一番最初に取り上げられるべきではなかったかと思うのですが、これが石炭という形で、産炭地域の振興というような形で取り上げられるのは本来間違っておると私は思うのです。これはやるところがなかったからそういう形で出ざるを得なかったのでしょうが、国の政策としては、やはり石炭だけでなくて、たとえば繊維が集中的にある地帯においては、景気変動とともに従来非常に苦しんできた地域なんですから、一般的な慢性不況地域というのは、はっきり日本には戦後出てきておるわけです。だから慢性地域の不況再開発については、当然他の国において行なわれたと同じように、地域開発が必要ではなかったかと思う。ことによその国の地域開発を見ると、不況地域の再開発、これに非常な重点が置かれておる。ことに、第二次世界大戦後はそうなっている。イギリスのように第一次世界大戦後行なわれたところもありますが、大体第二次世界大戦後、大きな世界の趨勢として行なわれている。だから第二次世界大戦後の雇用問題というのは、全体的というよりも、局地的な雇用問題である。その一番問題のある地域、地方団体の関係はあなたの方の所管ですから、むしろあなたの方から音頭をとらるべきが至当ではなかったかと思う。前向きの新しい産業立地というよりも、白い地図に新しく塗るのではなくて、むしろ古い地図の塗りかえの作業の方が、緊急にして重要ではなかったかと私は考えるのですが、その点についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/20
-
021・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘になっておりますのは、慢性的な不況地帯ということでありますが、この慢性的な不況が何年続くのか、何十年続くのかということになるのではないかと思います。好況があれば不況がある、不況があれば好況があるというような問題に属する部門もあると思います。自治省といたしましては、どちらかと申しますと、後進地域の開発を促進していきたい、あるいはまた東京とか大阪とかに産業が集中しているのを分散させながら地域開発を推進していきたい、こういうような考え方に基づきまして、いろいろと施策を行なって参っておるわけであります。後進地域の開発に伴う公共事業につきまして国庫負担の特例に関する法律を作りましたり、今お話のありました新産業都市建設法案の整備に努力いたしましたりいたして参っているのも、その一つであろうかと思うのであります。慢性的な不況産業ということになりますと、自治省ももちろん大いに責任を感ずべきだと思いますが、たとえば、今日では若干事態が違うだろうと思いますけれども、農業に占める養蚕業の問題でありますとか、あるいは鉱業に占める石炭業の問題でありますとか、これは農林省なり通産省なり直接の官庁もあるわけでありまして、やはりできる限りそういう官庁が主体になっていただきまして、私たちは地方行政の面から十分それに力を合わせていかなければならないと思っておるのであります。一般的な地域総合開発、後進地域の開発等の問題につきましては、むしろ自治省が主体になっていくべき性質のものであろう、こういうような気持を持っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/21
-
022・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はその考えが誤っていると思うのです。不況になったり好況になったりという状態じゃないのです。科学の進歩によってその産業が好況になるということがほとんどない。あるいは、石炭とかメタルのような資源開発は、なくなってしまえばまるきりそこは死んだようになるのです。たとえば筑豊炭田のごときは、石炭景気と割合関係がないのです。石炭がよくなっても、石炭はなくなるのです。あの地域で明治二十何年から開発された地域は、資源そのものがなくなる。だから将来炭鉱が万々一、私はないと思うけれども、好況の時代がきても、それで筑豊炭田が昔のように栄えるということは考えられない。資源そのものがなくなる。これはメタル・マインでも同じです。それから海軍の軍港都市は、今戦後十五年を経てやっと立ち直った感じがありますが、軍需工場が壊滅した時期には、永遠に振興は不可能ではないかという感を当時の市民に植えつけたと私は思うのです。そういうような対策を、低開発の方よりむしろ先にすべきである。低開発は就職する場所がそこにはありませんけれども、労働力が過剰になっておる状態じゃない、割合に移動している状態でしょう。ですから、これは徐々にやればできるわけです。ところが壊滅産業の地帯というのは、これは人間がそこにいるわけです。そして飯を食わさなければならない。一刻も猶予ができないというんですから、産業政策も必要ですけれども、全般的な局地不況地域の政策というのは、むしろ自治省が行なうべきではないか、産業に従事しておる者も困るんですけれども、町全体が困っておるのですから、私は自治省が取り上げるのがおそきに失したという感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/22
-
023・奥野誠亮
○奥野政府委員 基本的には、石炭の発展に沿って市町村の発展が形成されてきているというような例もあるわけでございます。また、経済の発展なくして地方自治の発展もあり得ない、こういう気持も私たち持っておるわけでございますけれども、今のような産業が不況になっている地域を傍観しているという気持は毛頭ございません。ただ、石炭対策の問題でありますとか、養蚕対策の問題でありますとかいうような問題になって参りますと、やはり農林省なり通産省なりの役所もあることでございますので、縄張りを言うわけではございませんけれども、あまり積極的というよりも、第一次的にいろいろと口ばしを入れていくことはいかがだろうかという気持を持っておるわけでございます。しかも、今も申し上げますように、経済の発展と地方自治の運営とは不離一体のものでございますので、そういう意味において、地方自治の振興をはかっていかなければならない自治省の立場からも、慢性的な不況産業がある場合に、その地域の経済開発あるいは経済発展についてどういうような施策を当該市町村が講じていけるか、講じやすいような財政措置その他について努力を払っていかなければならない。これも当然のことだと思うのです。各省のもとにおいてこういう問題につきましては積極的に力を合わせていきたいという気持を多分に持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/23
-
024・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、産業不況地域における当該産業の振興だけで解決できない、ことにも問題があると思うのです。この問題は、そういう単位産業地域というものの産業構造に、むしろ問題があるんじゃないか。ですから、単にその産業の振興だけをやれということでは、私は解決できないと思うのですね。そういう地域は各種産業を入れるべきじゃないか、私はこういうように考えるわけです。これは労働力の配置の問題とも関連をして、ことにそういう必要があるわけです。英国の工場配置法ができて相当になり、また地方雇用法になったのですが、この評価をあなたの方はどういうふうにされておるのですか、その成果をどういうふうに評価されておるか、これを重ねて承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/24
-
025・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘の問題について私詳しくございませんので、ちょっとお答えしかねるのでございますけれども、積極的に雇用促進を地方自治体においてもいろいろな面において取り上げていくということは、きわめて適切な、必要な措置であろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/25
-
026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これはどこで聞けばいいのですか、企画庁かもしれませんが、一体日本の政府はどういうふうに評価をしておるか。そういう工場配置法というのは、今の新産業都市建設法の趣旨とは違うのです。あるいは、低開発地域の開発法とも違うんです。これは慢性不況地域が基準になっているんですから、法律の出発が違うんです。その後英国でも、この法律だけでなくて、いろいろな法律ができて、ニュー・タウンの法律もできたし、その他いろいろくっついて様相が変わってきましたけれども、法律の趣旨は、白いものに新しく地図を塗るんじゃないんです。古い地図を塗りかえる作業であった。ですからこの評価をどういうふうにされておるかお聞かせ願いたかったわけですが、これはあと回しにして、国務大臣が見えてから質問をしたいと思います。
そこで各種産業という面から労働省にお聞かせ願いたいと思うのですが、婦人労働力の問題について質問したいと思うのです。最近婦人の職場進出というものは非常に目覚ましいものがあるわけです。婦人の労働力は、全体的にいうと、大体男六で女四という比率になっておるが、従来わが国では婦人の労働力は、農業人口として入っておる部分が非常に多かった、また、家族労働として入っている部分が非常に多かったわけですが、最近は婦人の方々が雇用労働者として職場に進出してきた。これはかなり目覚ましいものがあるようです。外国の全雇用者の中に占める婦人の率を見ましても、日本は比較的少ない方でなくなりました。アメリカが三二%、イギリスが三四%、日本が三〇%というように、全雇用者の中に占める婦人の割合というものが出てきておる。ですから婦人労働力というものは、今後の労働行政に非常に大きなウエイトを占めてくるし、また産業構造の面からいってもゆるがせにできない問題がある。また、地域的な労働力の配分からしても、婦人の労働力を使う職場というものを、あるととろにおいてはむしろ規制をしなければならぬというようなところも出てきておるのでございます。
〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
ある地域においては、どんどん造成をしなければならぬ。アンバランスになっておるところも出てきておるのではないかと思います。ところが婦人労働力の配分というと、婦人の労力移動は非常に困難だ。若い未婚の婦人は労働力移動ができますけれども、結婚をした人あるいは未亡人という人は、労働力の移動はなかなか困難だし、あるいは一般の未婚者の場合でも、家庭に縛られて、若い女の子をそんなに遠いところへ出すということは親ごさんとして心配だという面がまだ日本にありますから、婦人労働力の配置というものはなかなかむずかしいし、むしろ今までは付随的に行なわれて、積極的に行なわれていなかったと思うのですが、一体現状はどうなっておるのか。率直に言いますと、名古屋を中心とする中京地区では、婦人労働力は著しく足りない。ところが同じ四大都市の北九州の場合は、重工業地帯ですから、婦人労働者の職場というものはほとんどない。ですから、こういった産業配置をどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/26
-
027・谷野せつ
○谷野政府委員 ただいま先生からお示しのように、日本の労働力の中で占める婦人の割合は三〇%余りでございまして、数年前から比べてみますと、男子の増加よりも幾分ずつ増加率がふえているわけでございます。婦人労働者の性格から申し上げますと、従来は大体中学校あるいは高等学校を卒業いたしました二十才前の若い労働者の数が、日本の婦人の労働力の性格といたしまして、非常に多いということが特色であったのでございますが、最近におきましては、この女子の労働力の性格として、だんだん年配の方がふえてきておるような傾向がございます。また、従来中学校を卒業いたしまして直ちに就職をする婦人労働者につきましては、その土地にとどまる人よりも、先生がおっしゃられましたように、むしろ他地域に、いわゆる出かせぎというような形で就職している人たちが多かったのでございます。最近におきましては、若い労働力の層におきましても、特に十五才から十九才に至ります年令の人口が減っておりましたり、また就学の割合が高くなっておりますために、若い労働者の方が減っておりますわけでございますが、このような関係で労働力の需給に、特に若年の場合には困難で、労働力不足を来たしている現状でございます。ところが、先生もお示しでございましたように、年令が高くなりますと、従来から女子は就職が困難で、職場を見出すことに非常に困難であったわけでございます。特に三十才を過ぎますとなかなかよい職を得られないというような状態にあったのでございますが、日本の若年の労働力が不足をいたしてきまするにつれて、一般的な傾向といたしましては、年令の高い婦人も労働市場で幾分ずつ就職が、以前から比べてみますと、きびしさを欠いてくるような情勢でございます。しかしそれにもかかわらず、中年の婦人はやはり就職が困難であるというような状態なんでございます。それと同時に、最近産業が地域的に、特に農村の近郊におきまして新しい産業が成長いたして参りまして、特に女子の労働力といたしまして電機産業でありますとか、あるいは繊維産業の部面におきましての若い労働者の就職が非常に盛んでございまして、そのような企業が膨張しているようなところにおきましては、一般的に若い人の労働力が特に不足をしている状況が見られるのでございます。しかし若い年令層が不足をして参りますと、特に都市の比較的中小企業におきましては、従来から年配の婦人が雇われていたのでございますが、中小企業におきまして、やはり若い人ではなくて年配の人も使っていかなければならないというようなことが企業者によってだんだん理解をされてきているような情勢にあるのでございます。
労働力の需給の調査につきましては、職業安定局が資料を整えておりまして、きょう私はその資料を準備いたして参りませんでしたので、先生のあとからの御意見を伺いました上で、もしも御必要でございましたら整えさしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/27
-
028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 自治省にお願いしたいのですが、この法案はほとんど自治省の関係が多いわけですよ。ですから、お忙しいでしょうけれども、少しいていただきたいと思うのです。全部自治省との関係の質問が多くなりますので、一つ御了承願いたいと思います。
それで婦人労働力の場合は、ことに積極的に移動ということが、未婚者の場合以外は非常に困難である。そこで産業立地上どうしても考えなければならない問題があるんじゃないか、こういうように考えるわけです。ことに今からの日本の戦略産業というべき電気機具の工場あるいはオートバイのような二輪車、これは大部分婦人労働力を使っております。ですから婦人労働力というのは、輸出産業の——かつては低賃金の繊維産業の源泉であったわけですけれども、また今度は別な変わった意味でやはり婦人労働力というものは重要視されなければならない。それだけに産業配置から見ても、私はやはり重工業地帯には軽工業も持ってきて、あるいは製造工業も持ってきて、男子の職と女子の職の均衡を保つような産業構造というものが必要ではないか、こう考えるわけです。これについて労働省の方はもちろんこれは異論はないのでしょうけれども、一体どういうお考えであるのか。ただ産業構造にあなたの方は合わしていくという程度であるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/28
-
029・谷野せつ
○谷野政府委員 産業配置の上から労働力の需給につきましていろいろ考えますような直接の役割は、職業安定局の方に属しておりますが、私どもといたしましては、婦人が就職の機会を得、そうしてその職業的な地位を高める、そうして婦人の労働力が十分に経済の発展に貢献できるようにという観点から、一つの婦人問題として扱っているのでございます。そういう観点から、先生が御注意下さいましたように、未婚の婦人は従来から移動がやさしいのでございますが、結婚をしている婦人は労働力の移動が大へんに困難で、そのために就職の機会を得ることもむずかしいのではないかというお示しでございましたが、まことに婦人の労働問題について一番困難な問題は、女子が結婚ということによって起こってくるいろいろな事態でございます。そこで私どもといたしましては、との未婚の女子に対する問題のほかに、結婚をして働いている人たちが、職業活動ができる、あるいはまた、職業活動におきましてその地位が高められるようにという観点から、あるいはまた女子の職場の拡大の方策というような観点から、従来職業ごとに問題点を考えて、そうして調査、啓蒙活動などに移して、婦人の労働力として十分にサービスのできるような、こういう方策を立てるための参考にするような活動を続けて参ったのでございます。家庭持ちの婦人に伴います諸般の問題につきまして、労働移動の可能なようにということについては、まだ私どもは勉強不足でございますが、今後とももっと検討を続けさせていただきたいと思っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/29
-
030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 婦人労働力というのは、日本で大体千七百万から八百万いるわけですね。そのうち農林関係が八百万、それから家族従業者となっておる者を除きまして、大体七百万の雇用労働者がいるわけですから、私は国の政策としても非常に大きいのじゃないかと思う。私が聞かんとする趣旨は、簡単に答弁願いたいのですが、よその国もみんなこのことを考慮しているんですよ。というのは、重工業地帯は婦人が非常に余ってきている。ところが婦人労働者が一方において非常に足りない。ことに全国の統計を見ると、男子の労働需給のアンバランスよりも、女子の労働需給のアンバランスの方が激しいと思うのです。相当これは激しい状態になっていはしないか。男子も今地域別に需給状態のアンバランスが激しいわけですね。それは名古屋地区の〇・三倍というところから、あるいは九州のように四倍というようなところがある。女子の場合は、私は一そう激しいのじゃないかと思うのです。そこでやはり産業配置上これは考えなければならぬ問題があるのではないか。ことに英国なんかの例を見ますと、フランスでもそうですか、重工業地帯には必ず軽工業、婦人労働力の職場を考えている。ことに工場配置法によって、炭鉱地帯に新しい産業を持ってくる場合には、婦人の職場を第一に考えておりますね。このことが非常に必要ではないかと思う。この産業配置が誤っておるために、日本において非常な悲劇を見ておる。たとえば三池炭鉱の争議なんというのは、その一つだと思う。この三池炭鉱の争議については、いろいろ評価があるでしょう。あるいは労働組合の階級意識過剰というものもある、あるいは向坂理論が徹底したという話もあるだろう、しかし問題は、あの地域というのは、日本においても特殊な地域なんです。なぜかというと、失業すると必ず日雇い労働者に登録をされる、こういうことは、現在においては炭鉱地域はほとんどそうですから、比較的珍しくなくなってきておりますが、ここ七、八年前までは非常に珍しい現象としてわれわれは見ておった。たとえば同じ炭鉱地帯でも、筑豊炭田にいきますと、大手で解雇される、失業保険を受ける、失業保険が切れたらどこへ行ったかわからない。日雇い登録労働者に出てこないのですね。それは大手炭鉱ですから、中小炭鉱に行ったり、農村に行ったりする。ところが大牟田の場合は、三井関係の大企業だけですね。そのほかは電気化学と九州電力しかない。ですから首を切られますと、もう失業者になって現われる以外には方法はないのですよ。それだけに、解雇という問題に対する労働者の抵抗が激しい。ところが、この地域は婦人労働の仕事場というものがないでしょう。ですから三池炭鉱で解雇された婦人は、全然転職の方法がない。このことは何も大牟田だけでなくて、北九州でもそうではないか。第二次加工製造業がない、あるいは軽工業がない、こういう地域も同じだろうと思う。そこで労働力配置、それに関連する産業構造の立て直しをどういうふうに考えられておるか、ことに産炭地域振興事業団発足にあたって、この産炭地域を一体どういうような産業構造に持っていこうとされておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/30
-
031・森清
○森(清)政府委員 従来、これは日本に限らずどこの国でもそうだと思うのでございますが、大きな工業が発達いたしますと、必ずそれに付随して、大木の下に下草がはえると同じような関係で、中小の工業も必然的に発達していくのが例でございます。ところが特殊な例は確かに三井三池のような場合もございますけれども、私どもがこれから産業構造を考える場合に、常に念頭にあることは、たとえばただいま中小企業の団地等を造成するにあたりまして、大きな企業の発達している地域に、ただ単にその地域の発展ということのみを考えずして、やはり労働力等も考えた上の中小工業の発達も考えているような、そういう構想を持っておるわけでありまして、私は二、三年前にインドへ参りましたときに非常に痛感したことでありますが、インドにおきましては、政府が非常に力を入れて大工業の発展、育成に努力をしておりますが、しかしどうしたわけか、これに伴って中小工業が発達しない。そこでインド政府としてはこれが非常に大きな悩みになっておって、日本から中小工業あるいは中小企業関係のベテランを呼んで盛んに意見を聴取しておりますが、そのインドの例と比較いたしますと、日本の場合ははるかに優位にはあると思いますけれども、これは私どもとして考えるにあたっては、常に大と中と小というようなバランスを考えながらやっていった方が、産業発展上あるいはその地域の発展上非常に意義あるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/31
-
032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現実の各産業の振興状態を見ても、私は次官がおっしゃるようになっていないと思う。石油化学堆帯を見てごらんなさい。石油化学から出るポリエチレンにしろ、プラスチックにしろ、たとえば岩国、水島、四日市、こういう付近にそういう第二次加工の工場ができるような仕組みになっていないでしょう。それは石油精製からとるエチレンなどを持っている石油化学、こういう大企業はありますよ。しかし、それをもって具体的にプラスチックのバケツを作ったり、おもちゃを作ったり、そういうふうになっていないでしょう。みな阪神とか東京地方にその材料を持ってきて作るようになっているでしょう。今の一番新しい産業の石油化学において、すでにそうですよ。ですから、日本の産業構造が、どうもせっかく立地条件のいいそういう地域に、石油化学あたりが石油繊維工場と一緒になって、あるいは製鉄と一緒になってコンビナートを作っているのに、こういう加工部門というのはみな京阪神、中京あるいは京浜地区にきている。これは需要地に集まるといのは当然かもしれませんが、労働力配置の面から見ると、非常にいびつな形になる。これはやはり大牟田と同じような現象を呈するのではないかと考えますが、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/32
-
033・森清
○森(清)政府委員 今例をあげられた岩国そのほか二、三のところでありますが、私は現実にそうした大きなプラント、たとえば石油コンビナートのあるようなところには、できる限り中小工業の団地を作るようにということを指導しまして、よりより今相談しているところでありまして、今多賀谷さんの言われたように、そういうところに全然ないということは言えないと思います。それを造成するように今努力中でございます。
さらにまた、炭鉱地帯においても、たとえば今プラスチックの例を申されましたが、プラスチック工業なんかも成型関係は非常にいい工業でありますので、これらのことも産炭地振興の一つの有望な仕事として現実に取り入れるべく、今調査しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/33
-
034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 将来における産炭地域の構想というものを、どういうふうに考えられておりますか。これは起案者でけっこうですから、お示しを願いたい。どういう産業、どういう労働力の配置になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/34
-
035・今井博
○今井(博)政府委員 現在のところそういう構想をまだ持っておりませんが、御承知のように、各産炭地によって事情が違うと思いますので、その産炭地域における適正業種の調査というものに国から調査費をつけまして、現在ではそれに非常に重点を置いて、適正業種の調査をやって、それの具体的な結論を得ようと思って今努力しているところでございます。ただ一般的に申しますと、何といいましても、労働力を吸収することが一番重要かと考えまして、その意味においては、やはり機械工業なり、あるいは先ほど申されました第二次加工産業なり、そういったものが労働力の吸収の上において一番効果的であると思って、そういう観点から適正業種の調査をいたしたいと思っております。たとえば特に中国地区で手編み手袋というものが輸出産業として非常に栄えておりますが、筑豊地区において、そういう一つの企業というものも、先ほど申されました婦人労働力の活用ということから申しますと、一つの好個の適正業種ではないかというふうにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/35
-
036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 婦人の職業訓練というのは、労働省で実際行なわれているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/36
-
037・谷野せつ
○谷野政府委員 婦人につきましても、やはり職業訓練の中の一つとして設けられていると思うのでございますが、ただ私ども、婦人の職業教育とか、婦人の職業訓練という見方からいたしますと、やはり婦人の職業への適性ということが配慮されているせいでございましょうか、今日は訓練の科目に対しては、数が少ないように思うのでございます。しかし全般的な職業訓練の方策につきましては、私どもは婦人の職場の拡大、あるいは雇用の機会、それからさらに地位を高めるという上におきまして、研究会などを設けまして、今後研究をしながら職業訓練を進めていくところについて、訓練局に意見なども申すような機会を持ちたいと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/37
-
038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現実には講習会程度はありますけれども、婦人の職業訓練というのはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/38
-
039・谷野せつ
○谷野政府委員 全国に何ヵ所あるかということを正確にただいま申し上げる資料を持っておりませんのですが、職業訓練施設が、女子専用の職業訓練施設もございますし、また男女の共学と申しますか、一緒に訓練される形での職業訓練施設というものもございます。たとえば女子の職業訓練につきましては、裁縫でありますとか、あるいはまた美容でありますとか、タイプライターとか、あるいは製図とか謄写とか、こういう方面につきまして、女子の職業訓練施設というのは特別に設けられているのがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/39
-
040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、やはり職業訓練等についてもかなり推進をすべきではないか、各国とも婦人の雇用機会の増進というものは非常に大きな政治問題になっているわけですから、日本においても、ことに今からの輸出産業において、単に低賃金だけでなくて、非常に精密な機械を入れ、しかも付加価値の高いものをどんどん出しておるのですから、私はこれは国の大きな政策としても必要ではないか、かように考えるわけです。
それで次に私は、自治省の方がお急ぎでありますから、具体的に質問をしたいと思いますが、まず低開発地域の振興法には、事業税についての規定が、すなわち地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置としてあるわけですが、産炭地域の方にはないのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/40
-
041・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しのように、低開発地域工業振興法の場合と、御指摘の法案との場合にギャップがございます。低開発地域の方は文字通り低開発地域でございまして、事業場もほとんどないというような地域の開発をねらっているのに対しまして、産炭地域につきましては、ある時期においては相当な好況を期待できるような地域もございますので、程度にも若干開きがあるのではなかろうか、こう考えられるのであります。もともと法人税が減免されて参りますと、自動的に地方税の方も減免になるわけでございますけれども、国税との数を合わせる意味におきまして、事業税を減免することは穏当でない、こういう考え方もございまして、今申し上げました二つの意味合いから取り扱いを異にするようになってきた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/41
-
042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも私はその区別をする意味がわからぬというのですよ。事業税は益金が出るから、益金が出るのにそういう取り扱いをする必要はなかったというならそれでいい。しかしながら低開発地域工業開発促進法には、事業税を免税の対象にしてある。ところが、緊急を要する産炭地域振興臨時措置法にはない。どうもそこに区別をする理由がないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/42
-
043・奥野誠亮
○奥野政府委員 今も申し上げますように、二つの事情で——もうちょっと詳しく申し上げますと、基本的には、法人税におきましては減価償却の特別措置をとることになっておるわけであります。この減価償却の特別措置が行なわれますと、自動的に事業税についても同じ措置がとられることになるわけでございまして、あえて法律に書きませんでも減免になるわけでございます。同時に、法人税につきましては、それ以上の措置はとられないわけでございます。自然対応する法人税割なり事業税なりについても、それ以上の措置をとる必要はない、こういうことになるわけでございます。国税と地方税を数を合わせる意味においては、税におきましてことさら書きませんでも、減価償却の特例が自動的に事業税に反映されるわけだから必要はないんだ、こういうことでございます。しかしながら低開発地域につきましては、もともと第一次産業中心の地域でございまして、事業場はほとんどないわけでございますので、そのようなことから事業税が減免になるというような規定になったわけでございます。若干地域に差のあることでございますので、それをいろいろ考えました結果、むしろ国税と数を合わせる措置にすべきだというような見解から、産炭地域振興法以後は今申し上げますような措置をとることにいたして参ってきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/43
-
044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 法人税との関係はわかりますよ、減価償却の関係は……。ところが、低開発地域の促進法と産炭地域臨時措置法との関係がよくわからないのですね。というのは、どうもこの法案に対する認識がそもそも違うのじゃないかと私は思うのですよ。というのは、私たちは、人間のおる方が、災害のような状態になった場合には大へんだという考え方を持っておるのですね。あなたの方は、不毛の地の方が大へんだという考え方を持っておるのが違うんじゃないかと思う。要するに、現実に人がおるのですからね。ですから、その人の処理という方が私は非常に必要ではないかと思うのです。緊急度が違うのじゃないかと思うのです。それは、重要性については言いませんけれども、その認識がどうも産炭地域振興臨時措置法にはないんじゃないか。外国の地域開発というのはむしろ不況地域開発から出ているのじゃないか、こういうことを私は申しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/44
-
045・奥野誠亮
○奥野政府委員 これは、率直に申し上げますと税務局の所管でありまして、私がお答えするのは適当じゃありませんが、率直に経過を申し上げますと、低開発地域工業振興法の際に、事業税の減免まで規定したのが当時間違っておったという議論があるのでございます。率直に申し上げます。間違っておった、それで国税と数が合わなくなってしまった。しかし、一たん踏み切ってしまったものをいまさら取り消しもできないというようなことから、その後におきましては、事業税の減免は規定をしないということにいたしておるわけでございます。しかしながら、あえて理屈をつけて申し上げれば、今申しますような地域的な差異をあげることができるだろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/45
-
046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 率直に事業税についてお話がありましたので、それ以上言いませんが、どうも産炭地域振興臨時措置法という名前が悪かったと私は思うのです。こういう名前を使うから、何か石炭行政の一翼のような感じがある。これでなくて、むしろ不況地域再開発か何かつければ、一般の議員も賛成してくれるし、それから、あるいは繊維の産業地帯もまたこういうような状態になるのではないだろうかという心配もあるし、メタル・マインも第二の石炭のような状態にしてくれという陳情があるのですから、これは賛成者が多かったのに、どうも小さくなって、そして問題の重要性が何か石炭にのみ限ったという感じがあって、私は残念に思うのです。しかし関係者は一生懸命推進をされたわけですから、その努力を買うわけですけれども、認識がやはり足らないのじゃないかと私は思うのです。区別された認識というのは何でしょう。この低開発と産炭地域臨時措置法は同じ国会に出たんですよ、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/46
-
047・奥野誠亮
○奥野政府委員 私は大へん率直なことを申し上げたのでございますが、低開発地域工業開発促進法の際に事業税まで織り込んだことについて、税務局は大へん間違ったことをしたということで後悔をしておったわけでございます。その後にこの問題が持ち上がったわけでございます。国会としてはあるいは同じ国会になっているかもしれませんが、時期的には相当開きがあったはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/47
-
048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも同じ国会に出てその取り扱いが違うというのはおかしいと思うので、われわれ議会側としては了承できないのですが、これは今後の問題に譲りたいと思います。
そういたしますと、産炭地域振興臨時措置法で「施設の整備等」というところがあるのです。「国及び地方公共団体は、実施計画の円滑な実施を図るために必要な工場用地、道路、港湾施設、工業用水道その他の産業関連施設及び職業訓練を行なうための施設の整備の促進に努めるものとする。」この公共事業の場合の国庫の補助率は、低開発地域と同じように扱われるかどうか、これをお聞かせ願いたい。これは大蔵省で毛けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/48
-
049・田代一生
○田代説明員 私公共事業の直接担当者じゃございませんが、低開発地域とこの法律と別に関連ございません。この法律によりましてそういう規定がございましても、別に補助率でどうするということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/49
-
050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この産炭地域振興臨時措置法の第七条、この条文は空文ですか。何か特別に政府なり、あるいは公共団体がやるという意味ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/50
-
051・田代一生
○田代説明員 これは法文をお読みになるとおわかりと思いますが、大体何々のための施設の整備の促進に努めるものとするということで、実際の実行上の問題としましては、こういった産炭地域の整備計画に即応して、優先的と申しますか、そういうことで熱を入れてやろう、こういう意味だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/51
-
052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 低開発地域の場合はどういうことになりますか。低開発地域にも同じような条文があるわけですね。関連施設の整備の促進について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/52
-
053・田代一生
○田代説明員 それも同じ意味だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/53
-
054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律というのがあります。低開発地域の場合は比較的後進地域の開発と合致するのじゃないかと思いますが、ほとんど地域は違わないのじゃないかと思うのですが、この点についてどうですか。自治省でもいいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/54
-
055・奥野誠亮
○奥野政府委員 今お話しになりました法律は、産炭地域についても適用になるわけであります。ただ、今おあげになりました法律は、府県に限っておるわけであります。同時に財政力指数が一定割合以下の団体についてのみ適用されるわけであります。従いまして、佐賀県とか長崎県とかいうようなところで、港湾その他の公共事業を行ないます場合には、二割前後の補助率アップが行なわれることになりますけれども、福岡県はその法律の適用は受けないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/55
-
056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はこの法律そのものにこだわっているわけでないのですが、いやしくも産炭地域振興臨時措置法を掲げ、その第七条に「施設の整備」という条項を掲げておるならば、やはりこれに伴う国庫補助率の割合というものは特例を設けるべきではないかと思うのです。これは低開発地域よりもひどい状態にある。しかも緊急を要する。人間がおるわけです。しかも従来の財政の規模から、御存じのように、鉱産税の関係あるいは事業税の関係、いろいろ困った問題が起こるわけです。これは一体自治省としてはどういうようなお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/56
-
057・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しのような考え方も、一つの考え方だろうと思います。ただ現在とっておりますのは、後進地域の開発に伴う公共事業に対する国庫負担の特例ということで、二条の2を対象にしております。従って産炭地域を含む府県が財政力の弱い府県でありますれば、当然補助率アップが行なわれることになるわけであります。府県全体の財政力に応じて国が補助金を引き上げたり引き上げなかったりするという建前をとっております。一部の地域に低開発地域工業開発促進法の対象になる市町村があるとか、あるいは産炭地域の市町村があるということでありましても、それを包括する府県全体の財政力がある程度以上でありますと、その団体については特別の援助はしない、こういう建前になっておるわけでございますので、一応理屈は合っているのじゃないかと考えるわけであります。しかし根本的には、産炭地域の振興については事業分量を多くすることが第一だろうと思います。事業分量を多くする結果、財政力の高い団体でありましてもなかなか負担にたえない、こういう問題が起こって参りますならば、あるいは地方債政策でありますとか、あるいは地方交付税の配分でありますとか、そういうことでそれらの遂行が可能なように、地方財政全体についての措置を当然自治省として配慮していかなければならない、また配慮していくつもりでいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/57
-
058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は地方債の考え方が少し違うのではないかと思うのです。事業によってその自治体の財政能力を増すという考え方は間違いです。これは幾ら努力をしても、その地域における財政能力は依然として同じようにはできない。どんなに努力をしても、現実に、雇用促進事業団があって分散政策をとらなければならない、分散政策をとってもまだ停滞をする労働者のために、産業構造を変えて振興しなければならないのですね。ですから幾らその施設を作ってみても、従来の財政の維持ができないのです。これが第一の前提です。ですから地方債でやるというものの考え方は、それは普通の場合ならば私は適用されると思いますけれども、これはむしろどんどん衰退するのをいかにしてある程度防ぐか、こういうことです。ほとんどそういう地域なんです。ですから私はむしろ、地方債でやるべきでなく、国庫補助でやるか、少なくとも交付税で全部見るか。地方債という、益金を生むという考え方は、この中から出てこないと思う。ことに、国の予算でもそうですが、最近は国の予算は若干繰越金というのが出ることになっておりますが、地方財政は、かつてはかなり裕福であっても、貯えることができない、企業のように貯えることができないのです。その年度々々でやっていかなければならない。石炭が非常にいんしんをきわめた時代は、それは余裕があった。しかしこういうように総なだれの時代になってきますと、余裕はないんですね。余裕があるような財政計画になってないんです。ためるような状態になってないでしょう。ですから私は、地方債というものの考え方は誤りではないかと思う。県だけでなくて、私は、市町村の場合だってあると思う。当然第七条の規定する関連施設というものについては、国がやる場合は別として——国がやる場合においても地方負担ですね。あるいは、地方自治体がやる場合においては国庫補助率の変更をすべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/58
-
059・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方債の問題につきましては、頭からお説に反対をするわけではございません。ただ二つに分けて考えたいと思うのでございまして、何か工場を誘致してくれ、工業用水道を作らなければならない。その工業用水道の建設をどうするか。それは原則として独立採算でまかなうべきだと思うのでございます。従いまして、そういう意味では、地方債で建設をいたしまして、料金収入で元利を償還していく。従いましてこういう地区につきましては、そういう意味の地方資金はあとう限り地方債を百パーセントつけていくというようなやり方をすべきだと思います。一般財源で元利償還をまかなわなければならない地方債につきましては、一つは特定の年度に集中的に建設事業を行ない、建設事業に要する費用も一般財源でまかなうことが望ましいのでありますけれども、産炭地域振興をはかるために、短期の間にいろいろな建設事業を集中的に特定の地域に行なう、そういたしますと、一種の年度間の調整、何年間分かの建設事業費の財源をわずかな期間に使ってしまう、そうしますと、さしあたりは相当数の地方債資金もそれに充てていきませんと財源をまかなえないわけでございます。そのかわり後年度の建設事業が少なくなるのだから、その財源で元利償還をすればいいじゃないか、こういう理屈も立とうかと思うわけでございます。あるいはまた発電施設を設ける、そうなりますと、将来事業税なり固定資産税なり、収入が相当長くあがってくるわけでございます。将来の発展を見返りに、さしあたりは借金で仕事を行なっていくということもあり得るのではないかと思うわけでございます。地方債を乱発してはいけないわけでございまして、私の申し上げます地方債を考慮するということは、そういう意味で申し上げておるわけでございます。その限りにおいては必要な施策ではないか、こう思っておるわけでございます。
それから関連施設について、国の事業については負担率を引き上げるべきではないか、こういうお話がございました。先ほど申し上げましたように、府県の行なう部分につきましては、府県の財政力が十分でありません限りは、当然その部分についても、国の負担率が引き上げられる、こういうことになっておるわけでございます。国の負担率がさらに広い範囲内において引き上げられるということは、私どもとしては望ましいことであると考えられるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、産炭地域につきましては、事業分量を多くしていくということがより以上に必要ではなかろうか。その場合に、事業分量が多くなりますと、地方負担率が、かりに補助率が引き上げられましても、多くなっていくわけでございまして、そのかわりに財源措置が十分できますように地方財政上の措置は講じていきたい、講じていかなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/59
-
060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今市町村当局が考えており、また政府が考えているよりも、衰微の状態は激しくなるだろうと思います。それは現在の政府が考えている合理化が推進されると、自治体の当局者が予想しておった以上に悲惨な状態になる。地方自治体の諸君は、まだ余裕があるような気持を持っているんですね。三年後につぶれる山のことは、経営者は言わないのです。これは三年後につぶれますよという話はしない。まだかなり、十何年も続くであろうという錯覚を持っておる。経営者もあんまり早く、これはだめですよ、閉山したいという話をしますと大へんなものですから、言わないですね。そのまぎわでないと言わない。そのくずれ方は非常に激しいものであるし、新規事業を起こして、関連施設を市町村で負担しようかというような余裕のある状態ではないだろう、こういうように思うわけです。しかも今までの蓄積というものは自治体の財政上ないですから、それはトータルから見ればずっと以前よりも少ない財政状態になっておる。それはお話のように、ほうっておくよりもプラスになります、財政力を豊かにしますけれども、従来よりもプラスになるようなものの考え方は改めなくてはならぬのではないか、こういうように私は思うのです。災害の場合には、これだけの天災であるから市町村だってお互いにがまんをして負担しなければならぬ、こういう考え方、しかしその災害の場合でも地方債についての元利の償還については特例があるわけでしょう。私は、災害以上のものだ、こう考えるわけですね。特定の地域しか負担しないんです。しかも恒久的に負担しなければならぬ、ここに問題がありはしないかと思うのです。私企業のような場合には、よかった時代があるじゃないか、私はあえて言えます。しかし地方財政の場合には、そういう機構になってないから、そういう必要性があるのではないか、こういうことを私は言っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/60
-
061・奥野誠亮
○奥野政府委員 将来どういう振興計画ができ上がるかという問題でございますが、おそらく振興計画は、現状維持どころじゃない、さらに発展をさせたいという方向で考えていただきたいと思っております。その場合においても、その事業を遂行するについていずれの負担で行なうか、地方団体の負担に属するものもございますし、県の負担に属するものもございましょうし、あるいは民間の負担に属するものもあるかと思います。それぞれについて必要な手当がなされて参るわけでございます。そのうちの地方団体の本来の負担に属するもの、そういうものにつきましては、私どもとしては十分配慮していきたい、かように考えておりますということを申し上げておるわけでございます。その他の負担の分についてまで私の方からとやかく申しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/61
-
062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 地方団体の負担分を聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/62
-
063・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方団体の負担に属するものにつきまして、現在マイナス面の負担が現実に非常に多い。たとえば先ほどおあげになりました生活保護費が過重であるとか、失業対策費の地方団体の負担が過重であるとかというような問題がございます。こういう点につきましては、すでにそれなりに、他の地域よりも多くなっておる部分を全面的に特別交付税でめんどうを見るという措置を、特に三十六年度から手厚くするという措置をとって参っておるわけであります。将来前向きでいろいろ振興計画が作られ、それについて地方団体の財源措置を私たちはしていく。その場合でも、その結果なお将来その団体が地方債等で行なったものが償還できるような財政状態にはなってこない、地域の経済が繁栄になってこないということになりました場合には、もちろんそれに対応して地方団体が立っていけるような措置をとっていくことは当然であります。しかし基本的に、振興計画はそういうものではないだろうということを、私どもとしては期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/63
-
064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その振興計画は、今よりもよくなるという振興計画ではない。その点がどうも認識が違う。まだまだ下がるわけです。しかしそれを何とか維持しようというので、現在よりベターになるという振興計画ではない。何とか若干でも今の線に回復したいというくらいの程度ですよ。産炭地振興といいましても、昔のような繁栄なものにしようということではない。そのことを私は言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/64
-
065・奥野誠亮
○奥野政府委員 御心配になることはよくわかりました。いずれにいたしましても、府県なり市町村なりが財政的に存立が危うくされるということはほっておくべきものではございませんので、いずれの場合におきましても、財政的の存立が危うくされないような措置は、自治省としては当然講じていく、こう思っております。そういう考え方で善処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/65
-
066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は非常に消極的だと思うのです。その市町村は何もしないでじっとしておりますよ。それは、市町村の負担になるような行為はしません。むしろ手をこまねいてじっとしているのではないかと思う。そのことが振興にならないから、より力をつけてやらなければならないのじゃないか、その力をつけるためには、今のような普通の処置ではだめじゃないか、こう私は言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/66
-
067・奥野誠亮
○奥野政府委員 やはり振興計画の内容の問題でなかろうかと思うのでございまして、港湾事業をどれだけ持ってやろうとか、道路事業をどれだけ持ってやろうとかいうことになっていくのだと思います。国庫負担に属するものもございますし、大部分の残りを地方団体が負担するということになろうかと思います。そういうような一つの計画ができ上がって参りますと、国の方でもおそらくそれに即応した財政措置がとられるだろうと思いますし、その場合には、地方団体の負担分につきましても、どのような財政措置をとるかということを明確にする。明確にすることによって、地方団体がその計画に即して、その事業を地方団体の任務に属する限りは、やっていくようになるだろうと思います。そういうような方向で私たちは財政措置を講じて参りたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/67
-
068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 具体的に言いますと、たとえばダムを建設するという場合、これは産炭地事業団の仕事ではないわけです。事業団ではできない仕事です。そうすると、今まで既存の補助率ではとうていその負担にたえ得ないのじゃないか、こういうように考える。その場合に、一体どういうようにお考えになっておるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/68
-
069・奥野誠亮
○奥野政府委員 ダムの建設ということになりますと、大体府県の仕事だと思います。あるいは、国の直轄事業になる場合もございます。そうなって参りますと、府県の財政力のいかんによって、先ほど御指摘になりましたような法律の適用がございますので、財政力の悪い団体でございますと、当然補助率アップも行なわれる、こういうことになろうかと思うのであります。同時に、総合開発のダムでございますと、御承知のように、河川改修に属する部分でありますとか、あるいは工業用水道なり上水道なりに向けられる部分でありますならば、アロケーションも行なわれるわけでございます。公共負担に属する部分につきましては、本質的には基準財政需要額に算入される建前でございますので、それだけの一般財源が与えられることになっていくわけでありますし、工業用水道、上水道の負担分に属するものについては、地方債でまかなわれることになろうかと思います。従いまして、一応そういうものについては、それなりの財源措置ができていると思うのでございますけれども、具体の問題にあたりまして、なお御心配のような事例も起こらないわけではございませんので、そういう場合には、仕事ができますように、地方交付税なり地方債なり、そういう措置を通して、自治省としても最善を尽くしていきたいと思います。もとより大蔵省にも国費の補助についてお考え願わなければならない面も多分にあると思いますけれども、あとう限り計画に示された分については、明確に財政措置を講じていかなければならないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/69
-
070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 たとえば英国の地方雇用法、工場配置法を見ましても、やはり関連施設の補助金には特例を設けている。そして直接国がその事業に対して余分の補助金を出している。そうしないと、現在の補助金の率は一般と同じだ、こういうのでは何のためにこの規定を設けたのか、意味をなさないと思います。それから、後進地域には、先ほど申しましたように、むしろ現状よりもプラスになる状態である。ところが産炭地の場合は、まだまだ不況が進行し、悲惨な状態を何とか今程度に維持しようというくらいな状態にしか、現実問題としてはならないのじゃないか。現状における雇用を維持する振興ができたら大したものだと思う。これはどう考えたってできないのです。ことに、この雇用吸収度の非常に高い石炭産業にかわるべきものといっても、どんな機械産業を持ってきても、私はそれは不可能である。ただどの程度に維持するかということだけの問題ではないかと思うのですから、一つ十分考えていただきたい、かように思う次第です。
そこで、これは別の問題ですけれども、この新産業都市建設促進法には、この法律の目的に沿うための市町村の合併についての規定がある。この産炭地域振興臨時措置法にも、当然そういった合併の規定を設けてもいいのじゃないか、こういうように考えますが、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/70
-
071・山本明
○山本説明員 新産業都市建設促進法は、御承知のように、内閣総理大臣が、数ヵ町村にわたりまして都市の区域の指定をいたします。そうした場合に、ここに公共事業を重点的に投下をいたしまして、その建設を促進するわけでございますが、その際に、たとえば地方負担の問題あるいは土地利用の問題等によりまして、市町村がばらばらにあることがむしろ建設の促進を阻害するという事例が出るであろう、また、現実には各県におきまして、それぞれ臨海工業地帯の整備をしておるところがございますが、そういうところでも今言いましたように、市町村が別々であるためになかなか事業が促進されないという点が間々見られるわけでございます。そこで、今回、新産業都市建設促進法を立案します段階におきましては、できますだけそういう区域内の市町村は合併することが望ましいのではないか、こういう観点から、この法案の中に町村合併の規定を入れたわけでございます。先生のおっしゃいましたように、産炭地域におきまして、産炭地域の振興計画を立ててそれを実施します場合におきましては、あるいは市町村が合併をした方がより望ましいという事例もあるかと思うのであります。われわれ、産炭地域振興法が出ました段階におきましては、必ずしもそういう現実を見ておらなかったわけでございまして、新産業都市の方は、そういう現実がすでに生まれておりましたものでございますから、この法律の中に入れたというような経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/71
-
072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、新産業都市建設促進法には、この法律を施行するにあたって必要な合併というような特例を設けられた、産炭地域のの方も、そういう情勢にあれば、法案として修正をすることは、自治省としてはよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/72
-
073・山本明
○山本説明員 産炭地域振興法の適用を受けまして、関係市町村が、振興計画でございますかそういうものを作って、どうしてもその振興計画を実施する段階において必要であるという場合におきましては、これは市町村の合併というものをわれわれとしては考えてみなければならないのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/73
-
074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、やはり特例を設けるということになれば、どこかにそういう条項を入れておかなければできないわけでしょう。ですから、その新産業都市とか、あるいは、若干趣旨は違いますけれども、市の合併に関する特例の法案とかというような趣旨のものを、産炭地域振興臨時措置法の中に入れることは必要だ、こういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/74
-
075・山本明
○山本説明員 これは現実には、われわれが市の合併の特例に関します法律を作成しております段階におきまして、飯塚市を中心といたします周辺の町村の合併の問題が、実は内々に起こっておったことを知っております。われわれといたしましては、市の合併の特例に関する法律の中で、そういうものも救ってみたいという気持も持ったのでございますけれども、地元の市町村の間におきまして、合併の態様、すなわち新設合併をするかあるいは編入合併をするかということにつきましても、必ずしも意見の一致がなされておらない、あるいは特例条項につきましても、財政援助だけでいいという御意見もございますし、議員の任期等についても考えるべきだ、こういうような御意見もございまして、なかなか意見がまとまらなかったわけでございます。しかし一方、北九州五市が十二月に、三十八年の四月一日を目途にいたしまして合併をするという促進決議をいたしまして、早く法律を作ってほしいという段階でもございましたものでございますから、とりあえず北九州の五市の合併の実情を見まして、これを提案することにしたわけでございます。従って、地元におきますそれぞれの御意見等の一致、あるいはわれわれの方の考えております問題とが合致できますれば、そこに法律の成立が可能であったかとも思うのでございますが、若干時期的な違いがございましたので、自治省としては市の合併の特例の法律の中には入れなかった、こういうことでございます。しかし現実に、飯塚市を中心とする合併におきましてもかなり意見がまとまって参っておりますから、そういうものにつきましては、政府側におきましても十分な検討を進めて、そういう動きに対しまして善処するように努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/75
-
076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これはやはり特定の、たとえば飯塚市というだけの問題じゃないと思うんですね。やはり新産業都市建設促進法案の精神と同じように、産炭地域振興について合併が必要になるかもしれませんね。たとえば一産業を誘致するという場合にも、あるいはそれに対する工業用水を何とかしようという場合にも、土地の造成についても、どうしても合併というものが必要ではないか。ことにそれ以外に、従来相当の財政力を持っておった炭鉱地帯の町村が、今非常に財政力が弱くなっているから、今度は逆に弱いもの同士が相互扶助のような関係でも合併することが必要なんですね。ですからこの合併問題というのは、一つの振興政策でもある。振興するために合併が必要でもあるんですね。ですからそのことはやはり、単に飯塚市だけの問題ではなくて、自治省としても振興政策の一つとして考えられてしかるべきではないかと思うんです。具体的に問題が起こらないにしても、その点、どういうんですか、まあ率直に言いますと、われわれが修正をしますね、修正をすることは自治省としては、立法府の修正なんだから何も役所が言うことじゃないでしょうけれども、その趣旨については賛成ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/76
-
077・山本明
○山本説明員 修正につきましては、先生のおっしゃる通り、立法府の修正でございますから、われわれはとやかく言う限りじゃございませんが、産炭地の振興のために市町村の合併が必要であろう、現実に一ヵ所出て参っておりますから、そういう点につきましては趣旨としてはわれわれは賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/77
-
078・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、具体的な地方交付税の問題について、これは滝井さんが先般質問をいたしましたが、例の生活保護費の財政需要の問題について、生活保護の適用者をはっきり別表の中に入れられるかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/78
-
079・奥野誠亮
○奥野政府委員 生活保護費を交付税で見ます場合には、関係の経費を人口でいたしております。従いまして、一般的な比率に基づいて生活保護費の基準財政需要額を算入している、こういうことになるわけでございます。そこで自然、産炭地のように生活保護者が特に多いという団体につきましては、特別交付税でその増加所要額だけをめんどう見なければならない、かように考えております。そういう意味で、たとえば今回の特別交付税の配分で申し上げますと、一昨年の十二月から昨年の十一月まで、実際の保護世帯、これを基礎にして所要額を算定いたしました。それから基準財政需要額に算入しております額を控除した差額を、特別交付税の所要額に算入をする、こういう計算方式をとっておるわけであります。要するに普通交付税と特別交付税を合わせますと、実際の所要額を完全に満たしている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/79
-
080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかし、生活保護の数が地域によって非常にアンバランスになっている現状ですね。こういう現状においては、私は、もう人口によって生活保護費の支出を財政需要額で一般交付税の中の算定として算入すべきでなくて、生活保護の世帯数で算定をされるのがしかるべきではないか、こういう質問をしておるわけです。既往の分については特別交付税で見ていただかなくてはなりませんけれども、い年度の問題として、今後の問題としてどういうふうにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/80
-
081・奥野誠亮
○奥野政府委員 御承知のように、生活保護につきましては、八割が国庫負担、二割が地元の負担であります。生活保護の対象にするかしないかということは、地方団体に一応ゆだねておる形になっておるわけであります。地方団体の財政需要は非常に広範囲にわたっているわけでございまして、そういうことから考えますと、あまり国の方から個々別々に予算を作って、こまかな予算の割当をしていくというようなことは避けた方がよろしいのじゃないか、こう思っておるわけでございます。従いまして、必要な額は全体として保障する、こういう考え方をとっておるわけでございます。全体として保障するわけでございますので、平均的な保護世帯を頭に財源措置をしているわけでございます。しかしそれでは特にそういう部分で財政が窮屈になってくるような、比率の高い団体についてだけ特別な措置をとる、こういう方が穏当じゃなかろうか、こう思っておるのでございます。なるべく国の方から個々別々の予算割当をするような結果にならないで、総合的な運営を可能にするように財源措置をしていきたい、その結果特定の費目に非常な圧迫を感ずるという場合には、その費目だけを取り上げて特別な措置をするという方が、地方自治体に対する財源措置としては妥当ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/81
-
082・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働費の場合は、失業者数という数字になっている。ところが、生活保護費の場合は、人口ということになっている。労働費の場合は失業者数ということになっているのですから、生活保護の関係が非常に地域によってアンバランスになっているという場合には、そのような現状ですから、当然普通交付税の中の算定の基準として、人口ということだけじゃなくて、生活保護世帯の数ということが必要ではないか、こう言っているわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/82
-
083・奥野誠亮
○奥野政府委員 失業対策事業費を考えまして、今御指摘のような計算をしているわけでございます。失業対策事業ということになって参りますと、失業者のほとんどいないところもずいぶんたくさんあるわけでございまして、これは登録失業者数でございますが、従って、失業対策事業の行なわれていない団体もかなりあるわけでございます。分布の程度が、生活保護世帯の場合と登録失業者の場合とでは、非常な開きがあるわけでございます。生活保護世帯になりますと、大体同じような傾向において一応はあるわけでございます。ただ、石炭地帯のように特別多い団体が出て参るわけであります。先ほど私は全国平均で二%前後ということを申し上げましたが、今聞きますと、一・七六%になっておるようであります。非常に多い田川市が七%、飯塚市が八・六%、山田市が七%、非常に高いわけであります。非常に高いわけでありますが、登録失業者の問題になって参りますと、こういう比じゃない、もっとひどい差でございます。従って、こういうものにつきましては、現実の登録失業者数をとって、失業対策事業費算入を行なわざるを得ないのじゃないか、こう思うのでございます。これはやむを得ずそういう措置をとっておるわけであります。なるべくならば、予算割当のような格好に基準財政需要額がならない方が望ましいのであります。幸いにして、生活保護費のような場合にはそれほどじゃありませんので、一応人口を測定単位にとっておいて、非常に多い団体についてだけ特別な措置を講じてもよろしいのじゃないか、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/83
-
084・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかし、あなた、全部小学校数、児童数なんですよ。中学だって生徒数、学級数、高等学校だって生徒数。ですから、人口でとっておるというのもかなりありますけれども、半分ぐらいは人口でないんですね。実数でとっているんですよ。大体学校数なんというのは、そうアンバランスはないですよ。高等学校は別としても、小学校の生徒はそんなにアンバランスがあるはずはない。人口が同じくらいなら、その年度における生徒数は幾らか大体わかるでしょう。人口平均ですよ。それを生徒数でとっておきながら、生活保護の場合はおかしいなんという理論は立たぬじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/84
-
085・奥野誠亮
○奥野政府委員 小学校数や中学校の場合におきまして、たとえば一学級当たり平均何人の生徒数になるかという点においては、人口の密集地帯と、そうでなくて非常に人口の密度の低いところでは、非常に大きな差があるのです。だから、人口一万くらいの町村であるにかかわらず、何十という学校を持っているところも、事実相当数あるわけでございます。それで学校数というようなものも測定単位の中に加えて小学校費、中学校費を算定した方が、妥当だということになってくるわけであります。しかも、それのみならず、小学校費、中学校費の市町村財政に占める比率というのは相当高いものでありますから、こういうものについて相当な開きが出て参りますと、それだけで財政を混乱させてしまうわけであります。生活保護費になって参りますと、それほど大きな違いがないのみならず、財政の上に占めるウエートから申しましても、今申し上げましたような措置で大体やっていけるんじゃないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/85
-
086・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも私は納得いかないのです。生活保護費でも、密集した地域とばらばらの地域だってあるんです。労働費は失業者数、学校も児童数、学級数、こういうふうになっているのですから、生活保護だけを人口数でやるということ自体がおかしいですよ。ですから、やはりこれは実数でいくべきじゃないか。その補正の問題はありますが、当然そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/86
-
087・奥野誠亮
○奥野政府委員 普通交付税だけで財源措置をいたしまして、あとの手直しをしない、これが小学校費や中学校費の場合でございます。生活保護費のように、一応人口で測定をしておきまして、従いまして、その結果、被保護世帯がそれほどないのに財源措置はある程度それ以上に行なわれているという団体もありましょう、しかしながら、特に財政需要のそれ以上に多い団体につきましては、特別交付税で手直しをする、こういう措置をとる、両様の行き方があるわけでございます。私たちは、生活保護費につきましては、ずばり保護世帯をとって測定をして、そのかわり特別交付税であとの措置はしないという行き方をするということになりますと、これだけに限らず、もっとたくさんな費目が出てくると思うのでごいざまして、その結果は予算割当みたいになってしまって、国の出先機関と違わないような財政措置をするというようになるのではないか。地方自治体ならば、総体としてやり、あとは総合運営にまかすのがいいのではないか、こういう基本的な考え方を持っておりますので、なるべく一般的なデータで計算をしていく。その団体の財政運営のいかん、行政運営のいかんによって数字が変わっていくような資料は基礎に用いない、全く客観的な資料を基礎にして計算をしていく、しかし、それじゃ不十分なことが出てくる場合には特別交付税で相当の手直しをしよう、こういう基本的な態度をとっているわけでございます。おっしゃっている点が頭からいけないのだ、こう申し上げるわけじゃございませんが、私たちは地方自治体の総合的な財政運営をあとう限り拘束しない、こういう基本的な考え方を持っておりますので、あえて今申しましたような措置にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/87
-
088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先般の滝井委員の質問に対して、大臣の方も、人口数とそれから保護者数を入れてやります、三十七年度からは改めます、こういうことを答弁しているわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/88
-
089・奥野誠亮
○奥野政府委員 現実の被保護世帯数をとってやりますことは、特別交付税の方をさしておられると思います。特別交付税の方でそういう補正をいたします。実態に合わない団体につきましてはやっていきます。こういうことでございます。ただ、それをいろいろ検討しておりまして、特別交付税でやらなくても、普通交付税に密度補正を加えることによって同じ結果が出るのではないか、そういうことを検討しているわけであります。今までは特別交付税でやって参ったわけでありますが、人口数を使いながらも、特にひどいところについては、人口の中に占める保護世帯の割合が高ければ、そういう意味の補正をする必要があるのではないか。それを特別交付税でやらなくて、普通交付税でやれるのではないか。そういう方向を三十七年度に検討してみたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/89
-
090・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると結局、普通交付税で補正をする場合に、現実の保護世帯数を見る、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/90
-
091・奥野誠亮
○奥野政府委員 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/91
-
092・多賀谷真稔
○多賀谷委員 やはり先ほどの認識の問題と同じですけれども、例の緊急就労の場合、滝井さんの質問についても十分な答弁がなかった。緊急就労に従事する労働者は失業者の数に入れない、失業者と見ない。これもやはり、労働省は失業者として考えておりますよ。炭鉱離職者ですよ。まさに、炭鉱離職者の就職というよりも、一時的な救済策として、一般の失対に入るとその賃金も安いし、そのプールからはみ出ることが困難であるから緊急就労というものを設けたのですから、当然失業者と考えてしかるべきではないかと思いますが、どうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/92
-
093・奥野誠亮
○奥野政府委員 今の点につきましては、地方債で一応見て、残りを全額特別交付税で交付する、こういう運用の仕方をしておるわけであります。なお問題になります点については、今後もいろいろ研究いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/93
-
094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は鉱害の場合における地方債というのが、どうしても納得いかない。鉱害における市町村負担分の地方債というのが、納得できない。これは当然交付税で見るべきではないかと思う。これは市町村としてはきわめて迷惑な話なんですよ。ですから、これを地方債で見て、これから将来財政能力が何か造成されるというような考え方は間違いではないかと思うのです。これはどういうようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/94
-
095・奥野誠亮
○奥野政府委員 これもいろいろ御意見がございまして、今回からこういう取り扱いをしていきたい、こう思っております。鉱害復旧事業の補助基本額に見合う地方負担額について、一応地方債をつけます、多年災害債並みの地方債をつけます、これを引きました残りの額の八割を特別交付税でめんどうを見ていきたい。それからこの地方債の元利償還額につきましては、五七%を特別交付税で見ていきたい、こういう措置を講ずることにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/95
-
096・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これも、地方債というものの考え方は非常に間違いではないかと思うのです。これはほんとうの原状回復なんですから、しかも効用回復の限度ですから、今までよりもプラスになるということは何もない。ですから五七%見ていただくことはけっこうですけれども、との考え方は一貫して地方交付税で見るという考え方に踏み切らるべきではないかと考えるわけです。今回、前進ですからこれ以上言いませんけれども、私はそういうように考える。もう少し鉱害復旧という点を自治省の方で毛検討していただきたいと思います。これは全く被害者である鉱業市町村が負担しておるのです。国の制度として負担すること自体が問題であると思います。何で地方自治体が負担する義務があるのか、これは私は不可思議なんです。鉱産税をとっておるじゃないか、こういう議論から出たのではないかと思うのですが、これもここで再検討をしていただきたい、私はかように思います。
次に産炭地発電について、公益事業局ではどうしてこの産炭地発電を取りやめられたか、また、どういう計数の算出をなさっておるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/96
-
097・樋詰誠明
○樋詰政府委員 御承知のように、エネルギー懇談会で、山元で現在やっております二十五万キロ程度の発電のほかに、さらに百二十五万キロ程度の発電をして、それを超高圧で大阪方面へ送るということをやるか、あるいは、揚地で三百万トン消化するような施設を作るか、どちらかをとれというような中間報告が出たわけでございます。それでわれわれ経済的、技術的にいろいろ検討したわけでございますが、四十四万ボルトに昇圧いたしましてそれを送るということは、まだ技術的に若干問題がございます。たとえばわが国は非常に国土狭小でございますので、そういう非常に高圧の送電をいたしますと、送電に伴って例の磁力線からの反作用と申しますか、電話が聞こえなくなったり、ラジオの聴取ができなくなったりといったような問題がいろいろあるわけでございます。これがヨーロッパあるいはアメリカといったような広いところでは、できるだけ人家のあるところを避けるということ等で、比較的問題はなく済んでおるわけでございますが、わが国においてはどこへ行ってもほとんど至るところに人が住んでおるというようなことで、そのあたりの技術は独特の面があるわけでございます。
その問題が一つと、それからもう一つ、やはり国土の狭小ということにも関連がございますが、わが国は非常に塩害があるわけでございます。この塩害がありますと、絶縁設計等につきましても特殊の設計が要る。この点につきましてはヨーロッパあるいはアメリカあたりでは、ことにアメリカあたりでは大陸の中でございますから、塩害ということは全然ない。ヨーロッパあたりも相当奥地に入ったところでやるという限りにおいては、ほとんど問題がございません。また比較的海岸に近いところでも、あるいは海水の濃度が違うとかいうような点もあるのですが、向こうでは塩害というものは現実にあまり起こっておらない。それで海風が吹きつけまして絶縁が非常に障害されるということは、これはたとえばこの前の台風のときで御存じだと思いますが、あちこちで送電線が機能を麻痺した。これが超高圧になればなるほど絶縁を発揮させなければいかぬのですが、その技術の研究もまだできておりません。これは今までお尋ねがなかったので申し上げてなかったのでございますが、そういう技術の面において、まだもう少し考慮の余地がある。もちろんわれわれは行く行くは、産炭地との関係というようなことを別にいたしましても、超高圧送電ということはできるだけ早くやるべきだということで別途研究を進めておりますが、少なくとも三十八年度あたりで着工するというととろまでは、とても技術的に自信がない、早くても三十九年度以降の着工分あたりからでないと間に合わないんじゃないかという技術的な面が一つございます。
それからもう一つ、経済的の面でございますが、私どもは、要は確実に石炭が消費されるということが一番大切だ、それからもう一つは、できるだけ地元に産業が興って、石炭から離職する人が吸収されること、この二つだと思いますが、実は九州電力の現在の石炭の消費量は、大体四百万トンでございます。それが現在われわれが考えております数字で申しますと、四十二年には九州電力だけで七百万トンにふえるわけでございます。とのほかすでにやっております西日本と電発の若松というようなものを入れますと、現在九州で四百万トン使っておるというものが、四十二年には九百万トンをこえる九百十万トンというようなことにもなっておりまして、山元発電と申しますか産炭地発電、いわゆる九州地内で作る発電というものは、今後相当ふえるという格好になっておるわけであります。それで現在電気の潮流と申しますか、大体西の方が電気は豊富で、東の方に送っているというようなことになっております。それで西日本共同火力並びに電発の若松火力も、半分は中国電力に送るということになっておるわけでありますが、中国電力は全国で一番料金が高いというところで、その上に、とにかく産炭地で電気を起こして、わざわざ送電線を引っ張って持ってくるということになると、自分の地内で重油発電をやるというのと比べると、コスト的に見ますとどうしてもコストは高くつくといったような問題もございます。特に大阪まで持ってきて消化するということになりますと、これはこの前の国会で申し上げたと思いますが、金利をゼロにいたしましても、大体三円十二銭ぐらいかかる。もし金利を二分五厘、三分の二ぐらいは政府のただの金、三分の一ぐらいを六分五厘の金ということでやりますと、三円二十八銭ぐらいかかりまして、これは、現在姫路火力でやっております重油火力のコストが二円八十八銭ということになっておりますが、相当割高になるわけでございます。
御承知のように、現在の電力は、戦前に作られました非常に安い水力といったものが、まだ相当あるわけでございます。最近火力の技術が非常に進んで参りまして、火力設備そのものは年々非常な勢いでコストも低下いたしております。今後火力の比率がだんだんふえるということも事実でございますので、一見いかにもそれがだんだん安くなるんじゃないかというふうな感じがいたしますけれども、火力がどんなに安くなると申しましても、今、戦前作られた設備では大体一円三十二銭ぐらいのコストについている。その辺にはとうてい追いつけない。従って今後電源開発をやればやるほど、電気の総合コストというものはどうしても上がってこざるを得ない。ところが一方、電気は生産活動並びに民生のすみずみまで行きわたっている一番貴重なエネルギーでございますので、できるだけ安く押えようということで、お説のように、ほかの物価が三百倍になっているのに、電気は全国平均で百二、三十倍というところで押えるということをやってきている。こういうことをやっておりますので、電気料金をできるだけ低くさせるということが全国的な要請にも合うんじゃないか。そこで、山元発電で超高圧送電を完全にやめたということではございませんので、超高圧送電には技術的な問題があるから今後も検討を進める、今さしあたりの問題としては、石炭が油の自由化の早まったことによりまして三百万トンぐらいは当初考えておったものよりもどうしても余るだろう、それを一体どうやるか、具体的な方法で解決しようということになりますと、一番確実なのは、とにかくそれだけを消化するだけの石炭火力を作る。しかも作る場合には、揚地で作る方が安くつく。揚地で作りますと、われわれの計算では大体三円六銭になると思います。産炭地で超高圧送電をすると安くて三円十二銭、それも金利を二分五厘とすると三円二十八銭と申し上げましたが、揚地に持ってきますと、そういう特別なことをやらないで、今まで通りの大体八分ぐらいの金利のつく金でやりましても三円六銭ででき上がるということから、われわれは揚地で確実に引き取るという方をやる方が一番確度が高いと考えて、とりあえず四十年までに百五十万トンを消化する設備をする、それからさらにその後四十二年までの間に、もう百五十万トン消化する設備を作るということにいたしまして、従来九電力だけで二千万トン取るということをしておりましたのを、九電力だけで二千三百万トン、その他を入れますとたぶん二千六、七百万トンになるんじゃないかと考えます。その程度のものを電力界で消化しようというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/97
-
098・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この電力業界自体が四十万ボルトあるいは四十四万ボルトの送電線を必要とする時期は、いつごろくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/98
-
099・樋詰誠明
○樋詰政府委員 昭和四十五年度以降乏いうふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/99
-
100・多賀谷真稔
○多賀谷委員 四十五年度以降というのは、どういう事情でそういう状態になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/100
-
101・樋詰誠明
○樋詰政府委員 御承知のように、現在電気は非常に窮迫いたしておりまして、余力は全然ありません。それをできるだけわれわれは渇水期の際にも支障のないようにある程度の予備力を持ちたい、こういうように思っておりますが、こういう超高圧送電線を作ると、当然それに相当の電気を乗せて送るということをしなければ引き合わないということでございますが、現在の資金計画それから建設の計画等からいたしまして、四十五年度以前に作っても、あまりそれに乗る電気がないということで、非常に不経済なものなんです。従って、需給の面から大体四十五年度にこういうものを作るということが、一番合理的だと考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/101
-
102・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、電力業界自体の中に、四十万ボルトあるいは四十四万ボルトの送電幹線を作るという計画があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/102
-
103・樋詰誠明
○樋詰政府委員 たとえば東京電力あたりでは、できたら三十九年度か四十年度ぐらいからでもやりたい。と申しますのは、東京、大阪といったようなところはロードのかかるところでございます。そこで、横須賀地区に現在大きなのを作っております。千葉地区にもいろいろ大きなのを作っております。あるいは只見その他からも来ておる、そういうことでございますが、非常にロードのかかるところなので、このあたりはしょっちゅう電力の融資をやらなければいかぬという問題もございますので、むしろできるだけ早く作りたいということで、全国的の需要というのは四十五年度以降だと思いますけれども、東電の管内あたりではもう少し早く、技術的に完成さえすればやりたいという気持は持っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/103
-
104・多賀谷真稔
○多賀谷委員 電力会社が作ってくれた道路の上をあとから走るというのは、ただでいいんですけれども、しかしこの負担は別として、大体従来の産炭地発電が一応延期されたという事情はわかりました。
そこで、これは通産省にお尋ねしたいのですが、事業団法の業務、この業務をこの法律にあげられたものに限った理由並びにその業務について、ことに工作物という字句の解釈、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/104
-
105・今井博
○今井(博)政府委員 事業団の業務を、工場用地とそれに関連する工作物の建設、それからそれの管理、譲渡、第二番目には、鉱工業を営む者に対し、その事業の用に供する設備の新設、増設に必要な資金の貸付、業務をこの二つに限定いたしましたのは、三十七年度の事業といたしましてはこの二つを考えておりますので、一応これに限定をした、こういう次第でございます。
それから工作物の定義でございますが、工作物は、特に「これと関連を有する工作物」と書いてありますのは、具体的にどういうことを考えておるかと申しますと、工業用地を造成する場合に二つあるのでありまして、建設を行なう必要がある工作物、たとえば土地の中の道路であるとか、排水の設備であるとか、あるいはまた工業用地としての効用を全うするための関連施設、たとえば引き込みの道路、引込線、給排水設備、こういったものをこの工作物として考えております。一般に施設ということが言われておりますが、実態的な意味での施設と大体同じ意味でこの工作物を使っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/105
-
106・多賀谷真稔
○多賀谷委員 引込線というと鉄道ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/106
-
107・今井博
○今井(博)政府委員 引込線も当然これに入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/107
-
108・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一応時間もきたようですから、次会にさらに細部にわたる問題と、それから大臣がお見えになりませんでしたので、大臣に総合的な地域開発の問題を質問申し上げたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/108
-
109・有田喜一
○有田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01019620221/109
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。