1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月二十七日(火曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 神田 博君
理事 齋藤 憲三君 理事 岡田 利春君
理事 多賀谷真稔君 理事 中村 重光君
白浜 仁吉君 中村 幸八君
濱田 正信君 井手 以誠君
滝井 義高君 松井 政吉君
渡辺 惣蔵君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森 清君
通商産業事務官
(石炭局長) 今井 博君
委員外の出席者
通商産業技官
(大臣官房審議
官) 久良知章悟君
通商産業事務官
(石炭局炭政課
長) 井上 亮君
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七六号)
産炭地域振興事業団法案(内閣提出第七七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/1
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002・岡田利春
○岡田(利)委員 ただいま両案が当委員会に付託をされておりますが、私は主として産炭地域振興事業団法案について質問をいたしたいと思います。
産炭地振興法に基づいて今回産炭地域振興事業団法案が提案をされておるわけでありますが、産炭地振興法を私どもが討議をした場合に、産炭地域の振興に対するいわゆる考え方の問題、これがやはり一番論議の焦点ではなかったか、このように私は記憶いたしております。というのは、この産炭地域振興事業団法の内容を見ますと、特にこの立法の目的に、著しく疲弊した産炭地域において新しく鉱工業をまず計画的に開発をするのである、さらにまた、当該地域の鉱工業の振興のために必要な仕事をするのであるということが規定をされておるわけです。しかし産炭地振興法の目的を見ますと、あながちこの事業団法の目的と一致していないわけです。この辺の理由というのは、産炭地振興法の場合には、当初予算要求の場合にも問題になりましたように、いわゆる九州の筑豊炭田に大々的な低品位炭の火力発電を設置をする、しかも、そこからどんどん高圧送電によって関西に電気を送る、こういう構想、あるいはまた、当初予算要求の中に示された関西電力区域内において揚地発電所を作って、これを産炭地事業団がやる、こういうような構想も実はありましたのでありますが、その後この構想がつぶれて、それは電力と石炭の長期取引協定の中にゆだねられる、実はこういう経過があったわけです。この振興法の目的と事業団法の目的がこのように違っておるというのは、そういう事情というものを反映しておるのかどうか。あるいはまたこれ以外に、従来振興法を審議する場合と事業団法を出す場合との時期のズレによって、それぞれ考え方が変わってきたのか、この点についてまず経過を承りたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/2
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003・森清
○森(清)政府委員 御指摘のように、いわゆる産炭地発電等は、常識的に考えましても、産炭地の振興をはかるためには非常に格好な事業でもございますし、そのことをわれわれといたしましても実現すべく終始努力をしてきたのでありますけれども、今までも何べんもお答え申し上げましたように、産炭地発電そのものの経済的な効果とかいうふうなものを考えましたときに、相当まだまだ研究しなければならぬ面もたくさんございますし、あわせて、それらのことを研究している途上におきまして、電力関係におきましては、そうした事業は自分たちの手によってそれは完成していった方がより有効ではないかという意見も強力に出て、そうした意見の開陳もございましたので、そういう形において彼此融通し合い、相助け合っていく方がより効果的と思われましたので、私どももその意見に賛成して今日に至っておるわけでありまして、しかし産炭地地域振興事業団というものは、発電所関係だけは確かに電力界におまかせするといたしましても、その他の事業全般にわたりましてはこの事業団がやることになっておりますので、最初の構想と大した変化はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/3
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004・岡田利春
○岡田(利)委員 焦点をしぼってお話し申し上げますと、炭産地振興法の場合には、特に「産炭地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展と石炭需要の安定的拡大を図る」というのが産炭地振興法の目的で示されておるわけなんです。ところが事業団法の中には、需要の安定的拡大をはかるという、こういう目的が除かれておるわけです。この違いというのは、一見すれば、先ほど言ったように、予算要求の過程をめぐって産炭地発電という構想が後退をした、今次官が答弁された方向に通産省として踏み切ったという理由だけで、この石炭需要の安定的拡大をはかるということが除かれたのかどうかということが、問題になってくると思うのです。しかし当初通産省が打ち出した、需要地において揚地発電所を作って、これに事業団が出資をしていく、事業団が発電所の建設をはかる、そうして需要の安定的拡大をはかるという構想はつぶれたとしても、私はやはり産炭地における発電というのは、九州または北海道あるいはまた常磐、山口地帯において大口の発電所を作って、これを需要地に送るという構想が後退しても、地域内においては当然産炭地発電ということが考えられてくるし、すでに数個所話題にも上っておるわけですから、そう考えてくると、この場合に事業団として、そういう産炭地発電というものを行なうという根拠をこの目的からはずすということは、私はどうも解せないわけなんです。この点事業団法を作るにあたっての構想は、そういうものを含んでおるのかいないのか。含んでおるとすれば、振興法の目的である需要の安定的拡大という面は、当然事業団の目的にも付加されなければならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。もちろん、今私は電力だけの問題を取り上げて言っておりますけれども、概して産炭地域はある数個所の炭鉱がつぶれて、ある数個所の炭鉱が残っておる、あるいはまた開発でき得る炭層が賦存しておる、こういうような条件もあるのでありますから、そうしますと、単に産炭地発電以外においても、石炭をある程度使う工業の開発というものが優先されなければならぬのではないか、こういう点も実は考えられてくるわけです。ですから、目的というものは、やはりこれからの事業を律するし、この法の運用及び範囲というものをもおのずからきめていく問題であると思うのです。非常に大事なポイントじゃないか。こういう点で、今回の産炭地振興事業団法の法案の目的について、特にその点についての構想がどうなのか。どういうことを一体これからの事業として想定をしてこの目的がきめられたのか。この点具体的に、事務局でもけっこうですからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/4
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005・今井博
○今井(博)政府委員 石炭需要の安定的拡大という文句が入っておりませんのは、必ずしも産炭地発電をやらぬから取ったというわけではございません。従って臨時措置法の目的と産炭地事業団の目的と、表現は異なっておりますが、基本的には違わない、われわれはこう考えております。今度の産炭地振興事業団は、御指摘のように、事業として考えておりまする中に、産炭地発電、これは広義の意味の揚地へ超高圧で送るという産炭地発電のみならず、現地において産炭地での発電をやる、現地の需給を考えての産炭地発電をやるということは、産炭地事業団では一応考えておりません。しかし一般に産炭地でもって工業を振興するということを考えておりますので、そうしますと、工業が振興すれば相当電力需用が起こるわけでありますから、この産炭地発電をだれがやるかは別としまして、電力需用が起これば、相当石炭の需要というものが拡大されることになるわけでありますから、石炭需要の安定的な拡大にもそれは通ずる問題であります。従って、産炭地振興法の中に石炭需要の安定的拡大を書き、事業団法の中にこの文句を除きましたことは、そう大きな意味を持つわけではございませんので、産炭地発電をやるかやらぬかでこの文句が入ってくるというふうには、直接関連を持って考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/5
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006・岡田利春
○岡田(利)委員 答弁としては今の答弁をそのまま理解すれば理解できると思うのですが、しかし産炭地振興法を討議する場合には、これらの問題が非常に浮き彫りされて討議をされておるわけです。しかも通産省としては今年度予算で、大蔵省に揚地発電所の建設について予算要求をしておる、こういう経過があって、しかもそれが電力会社と石炭側との長期取引で、三百万トン石炭をよけい将来引き取るということで撤回をされた。こういう経過があるのですから、私はやはり相当な違いではないか、こう理解するのは、経過からいっても当然ではなかろうか、こういう感じがするわけなのです。それと今局長が言われたように、そういう場合、揚地発電所以外の産炭地発電は考えていないということを明確に答弁されておるまうに思うわけでありますけれども、しかし現実の問題として、常磐には常磐の共同火力が存在をしておる、あるいは九州においては九社の共同火力というものが今日着工され、さらに第二期工事にかかるという状態にある。さらにまた趨勢として考えてみますと、そういう共同火力の建設を促進をしていく、こういう意向も実はあるわけです。ですから、このように考えて参りますと、発電所がどうしても共同火力でなければならぬということにはならぬでしょうけれども、電力会社がやるというのであれば、それはそれでけっこうな話でしょうけれども、しかしながら、そういう場合も全然想定されないということがはたして明言できるかどうかということになると、私は相当疑問があると思うのです。共同火力というものがやはり将来とも、現実に許可されておるわけでありますから、そういうことが認められておるという前提に立ちますと、これは単に現在石炭資本から出資をさせることもけっこうでしょうけれども、むしろ事業団としてもとの面について十分考えていく、こういうことが事業団設置の趣旨からいっても、私は当然考えられなければならない問題点だと思うわけです。ですから、この目的というものは、そういう意味で事業の範囲に影響する非常に大きな問題だと思うのです。たとえば、もし局長が言うように、それは同じ意味である、別に実質上変わりはないのだということであるならば、振興法の目的である、産炭地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展と石炭の需要の安定的拡大をはかるため、当該地域における鉱工業等の振興に必要な業務を行なうとした方が、振興法と事業団法の関連からいっても、また、われわれが非常に疑点として思っているそういう面についても解消できるでしょうし、しかも先ほど来私が主張しておるような点も、この法案の中に生かされてより明確になってくる、こういう工合に私は理解するわけですが、この点もう少し詰めてお答え願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/6
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007・今井博
○今井(博)政府委員 ただいま私が答弁いたしましたのは、法律的な観点から主として答えたわけでございます。実際問題とすると、岡田先生の御指摘のように、相当大規模な産炭地発電をとの産炭地振興事業団がやるのだということになりますれば、これはそういう意味において石炭の需要の安定的拡大というものをもっと浮き彫りにはっきり出したらどうかという議論が当然出ますので、あるいは目的に入ったかと思いますが、しかしそれを入れなくても、そういうものは一応やり得る、目的として法律的には読み得るようになっておるということを申し上げたわけであります。実際問題として、産炭地発電を事業団が相当大規模にやるのだということになりますれば、そういうことをはっきりさせる意味においてさらに目的に追加させるというととは、実際問題としては考え得ると思いますが、ちょっと私の答弁が多少法律的に過ぎたかもしれませんが、法律的にはそういうものも読み得るようになっておるということをお答えした次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/7
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008・岡田利春
○岡田(利)委員 この産炭地域振興事業団法は、産炭地振興法を根拠として、事業団実施の面を事業団法というもので提起されておるわけですから、それであるならば、やはりその目的でも、振興法の目的とこの事業団法の目的というものが合致していても何ら問題がないでしょうし、むしろその方がより明確になるのではないか、私はこういう感じを持っておるわけです。
それから特にこの目的の中に、当該地域における鉱工業等の振興をはかるということがあるわけなんですが、この鉱工業の鉱のうちに炭鉱が含まれておるのかどうか。これはメタルと石炭とあるわけですが、鉱工業の鉱には石炭が入っておるのかどうか、この点について見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/8
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009・今井博
○今井(博)政府委員 石炭は入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/9
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010・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、この石炭が入っておるということは、あとから事業団の業務方法書あるいは範囲等の問題で詳しく論議するとして、石炭山の直接経営という構想があるのか、あるいはまた、その産炭地域において新たに炭鉱が開設をされるという場合の、いわゆる採炭準備までの行程を想定して考えておるのか、あるいは坑口開設までのある程度の敷地の整地とか、あるいは交通の問題とか、そういう面を含んでおるのか、そういう点については、どういう構想でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/10
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011・今井博
○今井(博)政府委員 鉱工業の鉱という中には、法律的には石炭ももちろん入っておるということを申し上げたわけであります。従って事業団がそういう石炭鉱業の振興について仕事をやり得るという意味では対象になるわけでございますが、この業務の中には、そういう仕事を現在予定しておりませんので、実際問題とすると、事業団が業務としてそれをやり得るようにはなっておりません。
それからまた、一般にいろいろな事業、土地の造成等はやるが、たとえばある一定の工場を経営するとか、石炭鉱業を経営するとか、そういったこともこの業務の中に入っておりませんので、法律的には鉱工業の中に全部入っておりますが、業務としては、そういうものは事業団の中ではやり得ないということにはっきりなっておりますので、業務の範囲の中へ勢いしぼられてきて、御指摘になりましたような仕事は、一応事業団としてはやり得ないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/11
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012・岡田利春
○岡田(利)委員 その問題はまたあとに譲ることにいたしまして、もう一つここで詰めてお聞きしておきたいのですが、先ほど需要の安定的拡大という面について二、三やりとりしておったわけですが、この点はさらに保留をしておいて、この論議を深めていきたいと思います。
そういたしますと、産炭地域において、たとえば工場を誘致するとか、鉱業を開発するとか——ところが現在ボイラー規制法が存在をして、三十八年の十月までは、設置ボイラーについては、ボイラー規制法の方で規制ができるわけです。しかしながら、今のボイラー規制法でもザル法で、小型ボイラーについてはほとんど対象にはならぬ、こういう弱点をも持っておるわけです。そういたしますと、産炭地域において、周辺には炭の出るところもあるわけですから、そこに工場がきた場合に、そういう小型ボイラーなどの場合には、ボイラー規制法だけでは規制ができないという面が実は出てくるわけです。趣旨からいいますと、需要の安定的拡大という面もあるわけですし、安定的確保という面もあるわけですから、政府がせっかく産炭地域振興のために工場誘致をするのに対して、資金の融資なりあるいは助成措置なりをとっていく場合において、やはり将来とも石炭を動力源として使ってもらう、そういう油を使うか石炭を使うかいう場合は、石炭を使ってもらうという趣旨に立つことがきわめて当然ではないかと私は思うわけですが、その考え方はどうなのか。しかもボイラー規制法は、三十八年の十月で切れるという問題がある。業務方法書の方では、そういう産炭地事業団が、工場誘致等について、いろいろ敷地の整備とか、あるいはまた建物等について、いろいろ助成もしくは融資をするというような場合に、そういう規制というものを業務方法書でもって考えていくという前提があるのか、そういう点についてはどういうものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/12
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013・今井博
○今井(博)政府委員 このボイラー法との関係は、御指摘のように、現在小型ボイラーその他ははずれておりますから、重油ボイラー制限法でもってはずれておるところを、この産炭地振興法または事業団法で特に規制するということは、建前としてはできない。ただし実際に土地の造成とか融資等で事業団がいろいろ仕事をやる場合に、そういった条件をつけるということは、これは実際の問題として可能だと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/13
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014・岡田利春
○岡田(利)委員 条件をつけることは可能であるけれども、しかし、そのことをある程度半恒久的に規制をすることはできないわけですね。この問題については、あとから業務方法書等の質問の際に再度質問したいと思っております。これも、もう少し詰めて論議する必要があるのではないかと考えておるわけです。
次官にちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、先ほど申し上げました産炭地発電をして、需用地に対して高圧送電をするという構想は、むしろそれは揚地発電でやった方が安いという計算が、通産省で実はなされたわけです。私は、この問題の取り扱い方は非常に近視眼的な取り扱い方ではないか、こういう見解を実は持っておるわけなんです。というのは、高圧送電というのは、単に産炭地で発電をして、たとえば関西なら関西にまで送るということだけを考えるから、そういう計算が成り立つと思うのですが、しかし電力の長期計画の中では、昭和四十年度までに大体九州から大阪までは四十万ボルト程度の高圧送電を布設をする、こういう計画があって、昭和四十五年度までの全国の電力の高圧送電関係の計画というものが、すでに大体組まれておるわけなんですね。そういたしますと、この高圧送電というのは、将来の広域行政の面から見れば、どうしても日本の電力行政としてこの問題を取り上げて、これを着実に計画的に実施をしなければならぬ、こういう宿命を実は持っておるわけなんです。ですからこの高圧送電というのは、単に産炭地で発電をして需用地まで送るというだけのものではなくして、この及ぼす効果というものは非常に私は大きいものがあると思うのです。日本の電力行政としては、当然高圧送電の関係を整備していかなければならぬわけなんですから、そういう電力行政全体の面からとらまえた場合に、はたしてああいう近視眼的な結論というものが正しいかどうかということになると、私はやはりこれは問題があると思うのですね。ですから一応長期取引で三百万トン引き取る、こういっておりますけれども、産炭地で発電いたしますと、産炭地振興に役立つわけなんです。ですから私は、その問題はその問題として別にして、そういう長期的な電力行政あるいは長期的な高圧送電の長期計画等から考えて、この及ぼす効果というものをつけ加えてやはり検討してしかるべきではないか、こういう見解を持っておるわけです。このことは直接今すぐ計算で数字がぴんとは出ないでしょうけれども、実際問題としてすでにそういう計画があるわけなんですから、これは相当な効果を及ぼして、結局将来、今すぐでなくとも、産炭地発電の方がむしろやはり有効である、しかも電力料金についても割安であるという結果になるのではないか、実はこういう気がするわけなんですが、この点特に検討してもらいたいということと、特に見解があれば承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/14
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015・森清
○森(清)政府委員 産炭地発電がいいか揚地発電がよろしいかという問題は、いわゆる現在のような需用地、特に京阪神地区において相当の需用があるということで、たとえば九州からその需用地である京阪神地区に電力を持ってくる場合には、産炭地に発電所を作って高圧送電線で持ってくるというようなことになると、非常に不経済であるし、なかなか不可能なことであるという結論が出たのでありまして、ただこれは現状の場合、京阪地区というふうなものを対象としたときにはそういうものが出るわけでありますが、しかし私は日本のこれから先の工業的な発展等を考えたときに、あながちいついかなるときでも需用地は京阪地区に限られているということは言い得ないのであります。将来九州地方も大いに工業的にも発展してくるでしょうし、そうした状況におきましては、やはり産炭地発電なんというものも一応考えなければならない事態がくるのじゃないか、こう考えるわけであります。そこで通産省といたしましても、現状におきましては産炭地発電はなかなか困難であるけれども、従って揚地発電の方がいいんだという結論は、これはただ現在のこの情勢においてはという前提に立つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/15
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016・岡田利春
○岡田(利)委員 では次に議論を進めたいと思うのですが、本法の第三条の「事業団は、主たる事務所を東京都に置く。」なお従たる事務所を必要な地域に置く、こういうことになっておるわけですが、当面、今度の予算要求等の関連からいって、従たる事務所はどこに置く考え方なのか。この点もし具体的に検討されておればお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/16
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017・今井博
○今井(博)政府委員 さしあたりは九州に事務所をまず設置しよう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/17
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018・岡田利春
○岡田(利)委員 事業団の初年度は当面筑豊炭田を主体にして、筑豊炭田の産炭地域の振興をはかるというところに重点が向けられることは、私ども実は承知をいたしておるわけです。しかしながら、それは主としてということであって、全国の、北海道やあるいは常磐等においても、それぞれ産炭地域の振興について、いろいろ、それぞれの地域において計画も立案されておるようです。私の手元に、北海道関係の産炭地域振興の企業誘致の問題あるいは団地造成等の問題について、資料が実は来ておるわけです。そういう動きが、振興法制定以来ずいぶん活発になってきておりますし、具体的にその実施計画等について詰めておる、こういう事情も実はあるわけです。そうするとこれは、今年度の予算ですぐまかない得ないとしても、来年度予算等に関係も出てくるし、あるいはまた当然それらの動向について的確に把握をするということも、これは今から必要な問題でもありましょうし、あるいはまた、主たる事業は筑豊炭田に及ぼすとしても、従たるものとして、部分的にはやはり北海道や常磐というような場合も、これは当然想定されるのではないか。そうした場合に、これらの動向を把握し、それらの調査をし、しかもまた場合によってはその審査をする、そういう窓口というものが一体どういうことになるのか。そういう全国的な行政面ではどういうことを一体考えられておるのか、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/18
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019・今井博
○今井(博)政府委員 最初この三十七年度は、予算の関係もございますが、事業団を設置する、事業団をとにかく作るのだということに相当仕事の重点がございますので、あまり最初からこの組織を広げないで、少数精鋭でまずスタートすべきではないか、こう考えております。ただ九州はやはり仕事の重点でございますので、九州にはこの従たる事務所ができますが、ほかの地域につきましては、仕事を進めていきます場合にこれは確かに必要だということになれば、そのつど考えていいのではないか、初めからどこどこというふうに予定しない、こういう意味でございます。ただし九州はこれは仕事の重点であるからさしあたり必要だ、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/19
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020・岡田利春
○岡田(利)委員 今度の事業団の予算には、従来と違って、一億ですか、相当額の調査費があるわけですね。これはやはり具体的、全国的に調査をするということであって、九州の筑豊に限るという趣旨のものでは私はないと思うわけなのです。しかもこの調査は一応建前からすれば、事業団がそれぞれ調査をするという面が強いのではないかと私は思うのですが、これは過渡的な段階としてそれぞれ出先の通産局が行なうのか、あるいはまた、そういう調査に付随するいろいろな問題や、先ほど来私が申し上げているように、それぞれ地域団体においてはそれぞれの構想をすでに練っておられるわけですから、これらについていろいろ相談をする窓口というものは、その場合どういう方法でやるのか、この点はやはり明確にしておかなければ、今すぐ事務所を作ると資金もかかるのですから、費用もかさむわけなんですから、一応そのことは次年度、昭和三十八年度に譲ったとしても、これらの配慮というものは当然なされておらなければいかぬのではないか。この事業団ができてからそういう点については考えるということもあるでしょうけれども、やはり当然そういう動向、動きというものがあるわけなんですから、今からその点を明確にやはり見解を示しておく必要があるのではないか、こう思うのですが、その点については具体的に何か検討されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/20
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021・今井博
○今井(博)政府委員 九州に事務所は設けますが、ほかの地区につきましては、事業団の本団でもって初年度は一応直轄してやり得るのではないか、こういう考え方であります。それから調査の問題は、この基本的な調査なり従来産炭地振興法に基づく調査は現地の通産局を主体としまして調査を進める予定でおります。事業団はもちろん調査はやるわけでございますが、これはやはり事業団の事業に関連しての調査が中心になりますので、この点は、初年度は一応本団の直轄でやり得るのじゃないか、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/21
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022・岡田利春
○岡田(利)委員 もちろん事業関係の調査をするということになるわけなんでしょうけれども、実はすでに通産省で、産炭地域のそういう調査をしているわけです。産炭地振興法ができ、そういう動き、経過に基づいて、それぞれの産炭地において具体的な実施計画を立案し、そういうものについての援助とか、融資とか、あるいは助成というものを強く要望する、こういう工合に私はなってくると思うわけなんです。そうしますと、それに対して、ある部分においては、実施できるかどうかという調査も、私は当然伴ってこなければならないものだと思うわけです。ですから、現時点では、まだそう画期的な動きはないという工合に理解されておるかもしれませんけれども、これは、昨年の暮れ振興法ができたばかりですし、今度は産炭地域事業団の法案が通ってできると、この動きは表面化して活発になってくると私は思うのです。もちろん予算には限度はありますけれども、少なくともそういう問題について、部分的に一指も触れないのであるということになると、これは多くの産炭地域の住民の失望を買う結果になるのではないか。ですから、主として筑豊炭田に重点を向けるということは理解しますけれども、部分的にはやはり十分考えて、次年度の計画に載せるものは載せていくということも必要でしょうし、そのためには、ある程度実施をするという前提に立って、調査も必要とする場合があるのじゃないか。しかし、その部分的なものも考慮しないのであるとすれば、これは法案の名前を変えて、筑豊炭田産炭地域振興事業団にすれば事足りる問題だと私は思うのです。しかし、少なくとも全国の産炭地域を振興する、そしてすでに産炭地域を指定しておる、しかも事業団ができるというのですから、これに対する期待は非常に大きいと思うのです。だから、これにこたえる態勢も必要でしょうし、ある程度こえたならば、予算の限度というものはありますけれども、部分的にはそういうものを考えて善処して、具体的な実施を前提として調査もする、ある場合においては、その結果が確定されれば、その面についてはやはり実施に移していく、こういう態度がなければ、立法の趣旨に私は反すると思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/22
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023・今井博
○今井(博)政府委員 これは、事業団の組織、それから事務所をどこに置くかという問題、あるいは調査をどういうふうにやっていくかという問題でありますが、この問題は、やはり事業団ができまして、理事長以下が相当真剣にこの問題を考えて、まず具体的な案を作ってくるという、そういう考え方が実際の中核体になるのじゃないかと思いますが、今までの仕事の経緯から見まして、われわれとしましては、さしあたりこの辺は必要だろうという見解を申し上げたにすぎません。従って、ある地域にそういう事務所を置くことが必要であるということになれば、そのつどやはり考えていくということになるであろうと思います。ただ、私がさしあたりそういうことを申し上げましたのは、実際問題として具体的なプロジェクトが、三十七年度は、九州以外は今のところあまり考えられないということが一つ。それから融資の問題も、金額が、初年度でございますので非常に少ないということ等もございまして、事務所を置くというところまでは、まだ必要性がないのじゃないかということを考えて、そういうお答えをいたしたのでありますが、やはりこれは事業団ができて、理事長が相当責任を持って考えられた場合には、その辺の感覚はまた違ってくるかもしれませんので、そのときにあらためてまたいろいろ相談をして決定するということにいたしたらどうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/23
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024・岡田利春
○岡田(利)委員 これは人格が別で、行政機関から独立してこういう団体ができるわけですから、この業務を行政機関が代行するということは、私はちょっとできないのではないかと思うのです。そうすると、そういう窓口というものは東京以外にない。勢い東京の事務所まで来なければならない、こういう結果になると私は思うのです。ですから、本年度の予算の内容、こういうものを検討しても、初めからすぐ事務所を置くということに、事業の実施面においてはならぬでしょうけれども、そういう要望というものは常に吸い上げて検討しておく、しかもまた、必要によっては調査もするということになると、どうしても東京から一々行くわけにもいかぬし、一々東京にそういうものを持ってくるということも、私は不可能だと思います。北海道と東京の関係は、九州より遠いのです。そうすると、やはり事務所とならぬでも、出張員を置くとか、何らか措置をしなければ、九州、北海道に産炭地が偏在している限り、問題が出てくると思うのです。ですから立法の趣旨からいって、一応本年度予算は別にして、全国の産炭地域の振興に及ぼすということでありますから、この点当然考えて、今から構想をして、腹づもりをしておかなければ、この法律ができても、いや、それはこの法律の趣旨からいって筑豊が主体なんだということで、全然顧みられない結果になるのじゃないかと私は思います。しかも、振興法は五年の時限立法なんです。そういう面からいっても、来年度のことは今年度やらなければならない。再来年度のことも、大体三十七年度の下期あたりからある程度検討しなければ、なかなか実施に移すということはできないと思うのです。だからその点を明確にしておかなければ、全国の産炭地市町村の関係者が集まって、この法案の成立を願い、産炭地振興ができるという大きな期待に、私はそむくごとになると思います。極端なものの言い方をすると、これは筑豊だけの法案であって全国のものじゃない、しかし全国の人もいろいろお世話になるのだから、名前だけは産炭地域振興事業団ということになるのじゃないかと私は思うのです。もし将来の見通しとしても、九州筑豊炭田に限ってしかできないということであるとするならば、この法案の名前を変えて、筑豊炭田産炭地域振興事業団法案ということにした方が、非常にすっきりして、みなこういうものにたよらぬし、一番いいと思います。その点、やはりそういう事業団ができた場合、今申し上げたような趣旨を明確にして、今から腹づもりをしておかなければならぬと思うので、この点の見解を私は聞きたいと思うわけです。
これに関連してもう一点聞いておきたいことは、この両法案の目的は、先ほど私がいろいろ指摘をしましたけれども、一応目的としては「特に疲弊の著しい産炭地域」という言葉が実はあるわけです。これは、前回産炭地域振興法を審議する場合に非常に問題になったところです。大蔵省の方では、将来事業団を作るにあたっても、そういう著しく疲弊した地域であるということでなければ、これはなかなか通らぬということで、この目的の、著しく疲弊をしたという言葉が、まくら言葉として理解ざれたと思います。しかしながら、いざ実施に移すという場合になって参りますと、局部に限って産炭地域振興というものはできるわけじゃない。工場を持ってくるというても、それは水の問題もあるし、敷地の問題もあるし、あるいは交通、運搬関係の便、不便の問題、そういう工場立地として適しておるかどうか、こういう問題が当然出てくると私は思うのです。そうすると、あながち産炭地域でなくても、その条件が隣にあるという場合には、ここに工場の誘致というものが行なわれるわけです。そうなると事業団の目的というものは、著しく疲弊しているということにはあまり拘泥されないということになるでしょうし、振興法の審議の場合にも、その点ずいぶんやりとりされておるわけですが、しかしともすれば、いざ具体的な予算を盛る場合に、そのことがずいぶん問題になってくるような気がするわけですね。この点についての見解は、あの振興法を審議した場合と変わらないのかどうか。もちろん工場立地の条件があって、しかも疲弊している産炭地域が優先されるということは当然のことと私は理解するのですが、この面については、先ごろ行わなれた政令による産炭地域の二条六条の指定の問題と関連して、ずいぶんあやふやになってきているような感じがするのですが、この点についてはどう考えられておるか、どう対処していこうという見解を持っておられるか、見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/24
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025・森清
○森(清)政府委員 第一の御質問でございますが、先ほど今井局長から筑豊に考えておるということを申し上げましたが、率直に申し上げまして、今のところでは、その構想は最終的にはまとまっておりません。先ほど局長からもお答え申し上げましたように、その事業団の構成が完了いたしましてからそうした責任者等の意見も十分参照いたしまして、最終的な意見を決定いたしたいと思います。もちろん今の岡田さんの御趣旨も十分生かしまして、慎重に考慮いたしたいと思っております。
第二の問題につきましては、著しく疲弊した地域ということになっておりますが、原則はその言葉にもちろん縛られるわけでございますけれども、しかし、事業団が一つの事業をやる場合において、事業というものは生きものでございますから、当然立地条件等を考えて、たとえば労務給源あるいは電力、水、労務者住宅、そうしたさまざまな要素を考えた上で決定さるべきものでございますので、多少の広義の解釈はしても差しつかえないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/25
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026・岡田利春
○岡田(利)委員 実は先般政令で二条、六条の指定地域がきまったわけです。実際には産炭地域でない地域についても考えていかなければ——特に北海道の炭鉱は沢に多くある、そういうようなところに工場を持ってこいといっても、なかなか工場はこないわけです。そうすると、どうしても交通、水、立地条件からいって便利な隣の町村、隣の町村は石炭は産出していなかったけれども、ここに工場を誘致するということが当然この場合には起きてくると思うのです。しかし、そこに人が吸収され、その影響が産炭地振興に広域の面で及ぶということになれば、当然そのことは考えられなければならぬし、またその次元を高くして、日本の国土開発や、あるいは僻地に工場を誘致するという面から考えても、当然そのことは常識的に容認されなければならぬ問題だと私は思うのです。そうなって参りますと、振興法の二条、六条の指定と、この事業団が行なう事業の設置場所というものは、ずれてくる場合が当然あるわけです。そうすると、ずれた場合には、産炭地振興法の二条あるいは六条の恩典に浴さないという結果が出ることも、この法案から当然予想されるわけです。せっかく工場を作ったけれども、固定資産税は減免されない、こういう問題が出てくる可能性は十分あるわけです。そういう場合には一体どう処置をするお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/26
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027・今井博
○今井(博)政府委員 産炭地事業団法案の考えております事業団の活動する地域は、産炭地振興法の第二条で指定しました地域とは、法律的な表現が違っておりますが、実際問題は違わない、とう考えております。従って実際問題として、両者の間にそう食い違いが行なわれないようにすることができると思います。ただ、先生が今御指摘になりましたような第六条の指定の方は、これは地方税の減免、それに対する補てん、こういう関係になりますので、やはり地方行政上、財政力の非常に弱いところに重点を置いて指定をいたしました次第でありまして、これは事業団のする仕事とは直接関係を持つわけではございません。御指摘のように、産炭地振興というのは、もちろん疲弊した産炭地域を振興するということが目的でございますが、それをやります場合に、点と線とに限定して産炭地振興を考えるということは実情に沿わない。従って、点と線のみならず、その周辺も考えて広域的にこの問題をつかまえなければいかぬということを常々考えているわけでございます。従って、産炭地振興事業団の考え方におきましても、点と線とだけをやるのだということに実は考えておりません。やはりその目的のためにその周辺にもその仕事が及ぶのだという考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/27
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028・岡田利春
○岡田(利)委員 振興法の六条の指定の場合、政令で定めるということになっておるわけですが、その場合には地域と、特に事業団がやる事業、業種といいますか、そういうものの指定も、法文の内容から見れば可能だと思うのです。だから、そういう場合は特定の業種について適用する、こういうことを当然考えられてしかるべきではないか。これは今の法律でも可能だと思うのです。そういう特定業種というか、特に事業団がやるような場合、事業団の趣旨に基づいてやるような融資の対象になるもの、あるいは団地を作るというような場合、もし一致しなかったら当然考えていいじゃないか。六条の適用を受けない場合には、適用を受けるように政令で考えていいじゃないかという見解を持っているが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/28
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029・今井博
○今井(博)政府委員 六条の方は、先ほど申しましたように、特定の目的を持った政令の指定でございますので、これはやはり一つの基準でもって、その基準にその市町村が当てはまるかどうかということできめるべき筋合いのものだと思います。ただ、これは一つの基準でやるわけでございますから、実際にはなかなか実情に沿わない、基準に当てはまらぬけれども、もう少しそこを広げたらどうかという議論が、こういうことをやる場合に必ず起きますので、そのつどそれが実際に必要であるかどうかという点からむしろきめていくべきであって、事業団が手をつけたところだから第六条の指定を自動的にやるのだという考え方は、やはりこの法律の筋からいって若干おかしいじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/29
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030・岡田利春
○岡田(利)委員 もちろん、疲弊している産炭地域であるから、税の負担増大、こういうような面で地方自治団体単位の指定ということが考えられたと思うのです。しかしながら、ある程度負担力があって基準に合致しないとしても、たとえば夕張なら夕張にそういう適地がない、あるいはまた三笠なら三笠にないという場合に、その隣の栗山なら栗山にそういう条件のよいところがあり、栗山町が基準すれすれの指定を受けんとして、こういう趣旨に基づいて工場誘致をするというような場合は、何らかの方法でこの面については考えられてしかるべきではないかという気がするわけでありますが、この点は今すぐの問題でもありませんし、これからそういう具体例が出た場合に、ある程度弾力的に考えてもらうよう特に希望しておきたいと思うわけです。
それから次に、事業団の業務方法書の内容については、政令で定めるということに実はなっておるわけです。具体的に事業団がその業務方法書というものを定めて、それに基づいた実施計画を立案することになるわけですが、この政令で定める内容は、一体どういう内容を政令で定めようと考えられておるか、その点についての見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/30
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031・今井博
○今井(博)政府委員 事業団の業務が法律できまっておりますので、その業務の方法の記載事項として考えておりますのは、たとえば業務の対象の地域、あるいは土地造成の事業をやる場合の業務の準則であるとか、設備資金を貸し付ける場合の準則でございますとか、業務を受託する場合の準則、こういうものを主として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/31
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032・岡田利春
○岡田(利)委員 この業務方法書の問題で、その柱になるものは政令で定めるわけですね。この事業団が発足すればすぐ具体的に業務方法書を定め、事業計画を立てなければならぬ、矢つぎばやに行なわなければならぬわけですね。ですから、政令で定める事項は、この法案が審議を終わるまでにそれぞれある程度確定しておかなければならぬ事項ではないか、こう思うので、できれば次の委員会に業務方法書の柱になる政令で定める事項については、大体このような点について政令で定めるという点を一つ出していただきたいと思うわけです。大体他の法案の審議の場合も、こういう付随して政令で定めるというような場合については、一応その具体的な柱というものを出しておりますから、そういう点で、一つ次の委員会でもけっこうですから、出していただきたいと思うわけです。それで事業団は初年度政府出資が五億円、運用部資金が五億円、計十億円の予算で、大体その内訳は土地の造成及び関連施設が七億円、資金の貸付が二億円、その他実施面に当たる調査を含めて一億円ということになっておるわけなんですが、事業団の経費は、初年度の規模としてどの程度予定されておるか、一千万か、八百万か、五百万か。事業団自体の運営費はどの程度予定されておるか。そのことによって大体事業団の規模というものがわかってくるのですが、その点もし検討されておれば聞きたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/32
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033・今井博
○今井(博)政府委員 事業団の初年度の経費は、約七千万円程度を一応予定しております。これは人間の数は、確定いたしませんが、およそ五十人程度必要であるということで、その数字をはじきました。七千万円の中には普通の一般的な経費のほかに、建物を借ります場合のいろいろな費用等も含んでおりますので、初年度は普通の年度の経費よりは若干多くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/33
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034・岡田利春
○岡田(利)委員 事業団法が一応提案された。しかも初年度、政府出資五億円の予算がついた、運用部資金から五億円の融資がなされるということになっておるわけなんですが、こういう法案が出されて、事業団ができる、しかも産炭地域の振興をはかるという点については、非常にけっこうな話でありますけれども、今日置かれておる産炭地の現状からして、どうも政府出資の五億、運用部資金五億の十億円程度では、あまり期待ができぬではないか。しかし準備の問題や、あるいはまた経過、こういうような面からなかなか困難な面もあったと思うわけなんですが、このような微々たるものであっては、産炭地域の振興にはならぬと思うんです。従って将来、といってもそう遠い将来ではなくして、この法案を出すにあたって、産炭地域の振興のために具体的な事業を行なっていくという場合に、大体どの程度のことを事務当局としては予定をしておるか。どの程度の事業を来年、あるいは再来年、ここ二、三年の間に一応想定しておるのか、そういう点についてある程度の想定があるならば、この際承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/34
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035・今井博
○今井(博)政府委員 まだ全般のそういう想定は現在でき上がっておりませんので、ここでは一応各省で話のまとまった事項に限定してこういう予算を組んだ次第でございまして、今後いろいろ仕事の運び工合によりまして、事業がさらに拡大されるということにつきましては、それぞれ具体的に話をきめて、いろいろな振興計画等もまだでき上がっておりませんので、振興計画のでき工合から見まして、その中で特に事業団がこういうものをやらなければならぬというものをさらに選んで、その上で全体的の想定なり計画というものを作りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/35
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036・岡田利春
○岡田(利)委員 今の局長の答弁でいきますと、産炭地域の振興についてある程度通産省が、それぞれ出先の局で調査をしてきたけれども、資料が十分でないといいますか、そういう態勢が、どうなるかなかなかわからぬということで、とれなかったという面があって、十分な資料が集まらなかったのじゃないか、こういう感じがするわけです。そうしますと、やはり事業団が実施するわけですから、相当積極的に具体的に調査をしなければならぬという問題が出てくると思うのです。それは特に初年度の本年一年間に相当大きな力をさいてその方向に向けなければならぬのではないか、こういう感じがするわけです。その面からいっても、先ほどから言っておるように、単に筑豊という範囲だけについての問題の煮詰め方、考え方、あるいは調査費等についても、そういう筑豊の今実施しようとするものに関連して調査するという考え方は、私は非常に消極的だと思うわけです。ですから、予算はもうここ二、三日で衆議院を通過するという態勢にありますけれども、一応その予算のワクはワクとして、来年度飛躍的にこの立法の趣旨を生かして全国的に産炭地域の振興をはかるとするならば、当然本年一年間の事業団の運営については、それに即応した態勢で、それに即応した運用をはからなければ、来年度同じような状態に終わるのではないか、私は大体こういう見解を持っておるわけです。この点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/36
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037・今井博
○今井(博)政府委員 事業団の調査は、今計画をしておりますことに関連した調査のほかに、将来やり得るであろう、またやりたいというものに関連しての調査はもちろんできるわけでございますので、事業団がそういう方向で十分活動できるように組織とかいうものを考えたいと思っております。ただし、その場合にもあくまで事務所という組織をその土地に設けなければならぬかどうかという点につきましては、先ほど政務次官からお答えになりましたように、これから十分検討したいと思いますが、ただここで申し上げたいのは、何分産炭地域の振興の仕事は、必要性は十分あるわけでございますが、実態はまだ調査段階の仕事が非常にたくさんありまして、この意味においては来年度は引き続き三千万円の国で行なう調査費が計上されておりますので、これで産炭地域振興法に基づきまする調査計画——法律では振興計画といっておりますが、これを一日も早くみんなが力を合わせて作り上げるということが急務じゃないか。事業団と申しましても、これは新しい組織でございますので、そこまで自分が手を回していくわけにいきませんので、三十七年度は、従来の産炭地域振興法に基づいた実施計画の調査を、みんなが力を合わせていいものを作り上げていく、その中で事業団でなければどうしてもやれぬというものを事業団が取り上げていくということでやはり進まざるを得ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/37
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038・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど森次官が少し大きなところを見せているわけですから、事務当局の方もそれに即応した態勢でやってもらわなければならぬと思うのです。そういう点で検討してもらわなければ、あまり孤立されたような形で検討されても、私はなかなか弾力性がないと思うのです。もちろん通産省ではいろいろずっと調査しておりますし、本年度もまた調査をするでしょう。しかし部分的に、重点的に詰めて調査をしなければならぬという部面もあるわけです。そうなって参りますと、ある程度分野はおのずから分かれてくるわけなんですから、また相協力してでき得る態勢もとれるわけですから、私はそういう意味では、特にそういう点について弾力的に検討してもらいたいと思うわけです。たとえば小児麻痺にかかってしまったら、それをなおすということは非常にむずかしいと思うのです。しかしながら、小児麻痺にかからぬようにワクチンを飲まして、あるいは小児麻痺にかかったら、そういう手当をして、できものを切開することによって、腕一本きかなくてもよろしい、こういうことの方が非常に大事だと思うのです。だから筑豊のようにすでに疲弊してしまって、あすからどうするかということも、政治として対策を立てることは大事でしょうけれども、合理化計画は一方において進められていく、それはやはり疲弊していくという場合に、それを食いとめる方がむしろ有効適切な処置、方法がとれるし、わずかで効果が倍も上がるということになるのじゃないか、実はこういう感じがするわけです。ですから法の場合には疲弊したところを再開するということに重点を置いていることは私は理解していますし、容認もするわけですが、実際に事業団がこの事業をやっていく場合には、疲弊しないように予防措置をする、そういう適切な施策をやはり講じていくということが、あわせて並行的にとられなければならない問題だと思うわけです。この点、次官、どうでしょう、この立法の趣旨からいって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/38
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039・森清
○森(清)政府委員 事業団の構想がいろいろな角度から検討されておるのでございますが、私は最も有効にこの事業団を運営するために、そしてまた立法の趣旨を生かすためにも、たとえば非常に疲弊しておるところだけこれを該当するということでなくして、将来のことを考えて、将来該当するような地域になると思われる場合には、十分予防的な措置を講じておくごとが正しいのじゃないかと思うわけであります。そういうふうに広義に解釈して事業を進めていった方が、より有効ではないかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/39
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040・岡田利春
○岡田(利)委員 たとえばAという炭鉱が企業合理化で人員をどんどん削減をするということによって、労働人口が他に流出をする、あるいはまた失業者としてその地域で滞留をする、その結果産炭地が疲弊をする、こういう現象が出て参るわけです。そこで、たとえば炭鉱のある市町村では、最も資本力のある企業は何であるかといえば、やはり私は炭鉱だと思うのです。そうすると、雇用の面ももちろんあるでしょう。もちろんその自治団体と表裏一体のような関係で炭鉱企業が経営されておるということになって参りますと、その市町村のことも考えなければいかぬ。労働者のスムーズな雇用の安定的転換もはかられることが大事だ。こういう面が今日以降、合理化を進めていく場合に出て参るわけです。そうするとAという会社は、炭鉱労働者たとえば百人なら百人、二百人なら二百人切る。どうしても転出してもらわなければならぬ。しかし、なかなか他にはない。住宅もない。ところが炭鉱には住宅が余っておる。炭鉱企業としては、これらの転換をスムーズにするために、その炭鉱の周辺にある一つの企業を興して、そこにその人間を吸収をする、こういう実例も実はあるわけです。その方が結局うちもあるし、雇用が安定した上で転換もできるわけなんです。しかしながら、実際問題として炭鉱は千二百円のコスト・ダウンをしなければならぬということで、それに相応するような企業を興すということも非常に困難だ、こういう面も実は出てくるわけなんです。との場合は企業の要求としても、あるいは労働政策の面からいっても、合理化の推進に伴って安定的に転換をはかる、こういう面からいっても、私は当然この問題は考えなければならぬと思うのです。しかしながら開銀その他のいろいろな融資、市中銀行からの資金の導入ということがもう限界に来ておることは、大体しろうと目でもわかるし、今日の趨勢は特にその色を濃くしているわけです。そういうような場合に、私はこの事業団が、今年度の予算はできなくても、来年度あたりはその辺までむしろ幅を広げて、意欲的に考えていかなければならない問題ではないか、こういう気がするわけです。もちろんそういう適切な企業がなくて、そういう措置が講じられないという場合は別です。しかしながら、そういう雇用の安定的転換をはかることができ得る企業を興し得る、それはまた通産省で見ても、これはなるほど十分にやっていける、こういうことであるならば、合理化政策の面からいってもむしろ積極的に奨励すべき事項ではないか、こういう気がするわけです。そうなって参りますと、産炭地域の振興という問題とも関連がありますけれども、今は合理化政策の面とも直接に関連を持ってそういう問題を考えなければならぬ時期ではないか。そういたしますと、それをやるものは今度提案されている産炭地振興の事業団以外にないと私は思うのです。こういう点について考えを及ぼしておるかどうか。そういう点は当然私は考慮すべき事項だと思うが、来年度あたりむしろ積極的にこのことを考えていかなければならぬ時期に来ておるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/40
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041・森清
○森(清)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、たまたま石炭という問題が国家的に非常に困難な事態になってきておりますので、この問題に焦点が合ったために、石炭を中心として今までいんしんをきわめていたところ、あるいは今まで盛んに仕事をやっていたその地域が急激に疲弊をしてくる、どうしてもこれを何とかして助けなければならないというふうなことから、産炭地域の振興事業団というようなものも考えられてきたのでありますが、私は日本全般から考えて、むしろこの産炭地振興事業団というふうなものは、いわゆる不況地域の振興という意味での一環として考えるのがしかるべきじゃないかと考えるわけであります。そういう観点から考えて参りますと、今岡田さんの申されたように、そしてまた先ほど局長からもお答えいたしましたように、これが点と線であっては効果はきわめて薄いと思うわけであります。あくまでも遠い将来のことを考えて、広い視野に立ってその地域の振興をはかっていくべきが至当ではないかと思うわけであります。ただし、そうする場合におきましても、なかなか基準というものがむずかしいのでありまして、一応私どもはこういう基準を立てて、その基準にのっとって事業をしていきたいと考えているわけであります。考え方のいわゆる発想というものは、私が今申し上げたようなことから出発すべきだと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/41
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042・岡田利春
○岡田(利)委員 前の国会で低開発地域工業開発促進法という法律ができて、低開発地域の指定をする、これも近く政令が出されて、具体的に地域の指定がなされると思うわけです。それから商工委員会に今新産業都市建設促進法という法律が実は出されているわけです。しかし産炭地の場合には、いずれの法律にも該当しないのが多いわけですね。もちろん炭鉱がなくなっておるところで低開発のところはあり得ますが、すでに相当の炭鉱があって稼行していて、その地域が低開発地域工業開発促進法の地域指定を受けるということはないわけですね。今度できる新産業都市建設促進法の場合も、これをずっと検討して参りますと、炭鉱は二次産業なわけで、第一次産業というのは極端に少ないわけですが、炭鉱だけでその市町村が成り立っておるというようなケース、あるいは立地条件等からいっても、新産業都市建設促進法の適用を受ける地域というのは、ほとんどないといっても私は過言でないと思うのです。そうすると、どうしても産炭地だけは、今の国の、地域格差を解消する、あるいはまた僻地の工業の開発を行なって所得格差を解消していこう、地域開発を促進していこうという具体的な構想にも合致しないのが産炭地の現状だと私は思うのです。そうすると勢い、産炭地域振興事業団法に基づく産炭地域振興事業団というものにたよらざるを得ないということが出てくると思うのです。これにたよらなければ、ほかの適用は受けられないし、たよるところがないというのが産炭地の現状でありますから、そういうことから考えて参りますと、今それぞれ立法されている低開発地域工業開発促進法や新産業都市建設促進法の立法趣旨から考えても、産炭地の振興については、これから出されてくる法律案、すでに出ている法律案からいっても、相当弾力的に広い範囲において考えていかなければ、産炭地の場合はどうしても私は問題が残るような気がするわけであります。ですから、国の方針として低開発地域を開発していくとか、あるいは慢性不況地域というものを再開発するという問題はあるでしょうけれども、産炭地の場合にはこの法律で律していくというむしろ積極的な態度が必要ではないか、そういう意欲的な構想がどうしても必要ではないか、こう考えるわけなんです。そういう方針というものがきまらなければ、来年度予算に対する意欲も出てこないでしょうし、構想というものも私は生まれてこないと思うわけです。そういう客観的な情勢というものを正しくとらまえて、産炭地の置かれている現状というものをよく認識をして、この法律の及ぼす範囲なり方針というものを正しく位置づけをするということでなければ、期待倒れという結果になると思うのです。そういう客観的な関係から検討して、ある程度幅と深みを増すという点について若干検討をし直す面があるのじゃないか。それは先ほど言ったように、合理化計画の進行とも関連する問題が出てくるわけでありますから、その点について合理化計画をやめない限り、しかも五年の時限立法であるこの合理化臨時措置法を昭和四十五年度まで伸ばすということで、合理化をどんどん昭和四十五年度までやっていくわけですから、そういう合理化法との関連からいっても、これは当然幅と深みについて検討し直すぐらいの——根本的な検討をし直すという意味じゃなくて、そういう点についてある程度検討を深めるということが私はどうしても必要だと思うのですが、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/42
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043・今井博
○今井(博)政府委員 幅と深みの問題は、産炭地域としまして、現在直接の産炭地域として百二十四の市町村を指定し、それの隣接地域としましては、直接の隣接地域として六十二、それからさらにそれの周辺として五十二、合計二百三十八市町村というものを、今回第二条で産炭地域として指定をいたしたわけでございます。これは直接の産炭地域以外に相当広範な隣接周辺地域を含んでおりますので、考え方としては今先生の御指摘になるような考え方で実はわれわれは臨んでおるわけです。ただ事業団の仕事の深さ、広さという点については、この前も多賀谷先生の質問に対してお答えしましたように、初年度でございまするし、あるいは話をきちっときめないとかえって事業団の今後の発展に支障があるのじゃないかということで、仕事を相当限定いたしております。しかし御指摘のように、産炭地振興の考え方は、石炭の合理化計画と非常に密接な関連を持っておりますし、私は一種の産業転換というものを含んでおる仕事だと考えますので、その深さの点については今後一つその見地に立って大いに努力したい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/43
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044・岡田利春
○岡田(利)委員 特に、通産省には工業技術院というのがあるわけですね、そこでいろいろ石炭の利用について検討を加えておる。あるいは民間にもあるわけです。あるいはまた最近、北海道には北海道総合開発の一環として工業開発の試験所が新設されて、今年度二億四千万円の予算がついて、来年度完成で大体八億円程度の金をかけて作られておるわけです。この半分の仕事は実は石炭の仕事をしているわけですね。いろいろ石炭の利用の面、企業化をはかるというような点で検討も進めておるわけですね。だからこういう点の関連性というものは、私は相当考えていかなければならぬ問題だと思うのです。これはやはり事業団を設置するにあたって、特にそういう面との連係というものをある程度はっきりしておく根拠的な規定といいますか、内部的な規程でもけっこうなんですが、そういうものを検討する必要があるのではないか。最近炭鉱都市やあるいは東北、北海道、特に北海道のような場合には——札幌は六十万くらいの人口にふくれ上がっている。ところがスモッグで、煤煙防止の法案も今度出されることになっておるわけですが、そういう点で燃料として不向きだという面で煤煙防止をどうするか、あるいは地方自治団体で煤煙防止条例というものを作らなければいかぬというような問題も出て、石炭を無煙燃料化するというようなことでプラントが建設されて、そういう研究も相当進んでおるわけですね。ですからそういう面から考えていきますと、そういう工業試験所との関係というものを、これは随時相談をしてやるというのではなしに、事業団としてそういうものをある程度ぴしっと位置づけしたような形で考えていくという面も、私は事業団を設立させる場合の考え方として必要ではないかという気がするのですが、この点についての考え方がありましたらお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/44
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045・今井博
○今井(博)政府委員 まだ非常に研究不足でございまして、その面については十分な配慮を払っておりませんので、これは今後一つ御趣旨を体して十分研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/45
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046・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、これは産炭地の問題だけではなくして——石炭研究所というものがあるわけですね。川崎でも石炭の関係の試験とか、あっちこっちでいろいろやっておるわけですね。工業試験所関係でも本年度から大々的にやっておる。これを総合的に関連させていくことが、やはり通産省内部の問題なんです。特に石炭政策がここまで問題になってきている場合に、石炭価格の問題だとか、あるいは石炭利用の拡大だとか、いろいろ言っておるけれども、これはそっちにおまかせするということで、実は連関性がないわけですね。これだけ石炭の問題がやかましくなってきて、エネルギー問題があらゆる角度から論議されて、石油業法も出されるという時期になりますと、このエネルギー研究とか試験とか、なかんずく国際エネルギーであり、大宗を占める石炭を中心にする問題あるいはまた将来ガス開発や石油資源の開発等に伴う利用の問題、これは地域的な利用もあるでしょうけれども、やはりこういうものを総合的に通産省としてまとめることを考えなければ、今の場合は特に分割されておって、その点が非常に十分でないと思うわけなんです。そういう意味で私は、通産省内部としてエネルギー問題についてはエネルギー懇談会というものがあって、各局長が集まってやっておりますけれども、それの下の機関でも当面運用としては考えなければならない問題点があるのではなかろうかと思うのですが、この点は次官から一つ見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/46
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047・森清
○森(清)政府委員 全く仰せの通りでありまして、私も先般、非常に不勉強ではございましたけれども、寸暇を得まして、通産省の試験研究所をぐるっと回ってきましたが、やっている試験研究が、どうもただいま岡田さんの言われたような観点で、現実に今日本で困っている問題、あるいは非常に注目を浴びている問題等々と直接に通産省の試験研究所が密接な関係を持って、その解決のために少しでも努力しているという方向に私はいくべきだと思いまして、視察を終わりましたあと、関係者を集めて、実はそうしたテーマを直ちに取り上げるように私は指令をいたしました。もちろん、まだつい最近のことでございますので、その結果は出ておりませんが、私どもといたしましては、当然その方向に試験研究が進められていかなければならぬものだと考えております。特に石炭の場合は、ただいま岡田さんが言われました石炭の煤煙防止の問題から、コットレルや何かの問題も大へん重要な問題になってきております。これも研究の対象にしなければならぬと思いますし、さらにまた、石炭を大量に使う方向となると、私は、どうしても発電所なんというものは当然考えられることでありますが、それ以外に、いわゆる石炭の液化というふうなこと、そういう問題もこれからの大きなテーマではないかと思うわけであります。そういう問題に取り組むように準備しろということはすでに命じてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/47
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048・岡田利春
○岡田(利)委員 この点、特に最近ハウス・コールの需要が減退をしてきておるということで、東京都内なんかは、悪い石炭をたくと煤煙が出て、煤煙は風の日しか飛ばないのだけれども、付近から苦情が出るということで、石炭をたくこともきらっている諸君もありましょうし、特にふろ屋さんだけは地域には必ずあるわけです。そうしてその付近に住んでいる人たちも、この煤煙等について、住宅地の場合には問題になってきておるように私は聞いておるのです。そうなりますと、その対策が並行的に進められることが最も望ましいし、そのことが、今石炭問題が非常に焦点になっている場合に、せっかくそういう機関があるわけなんですから、その点の配慮を十分お願いしておきたいと思います。
それから先ほど私が質問しました発電所の問題でありますけれども、この事業団の事業範囲に、産炭地域における低品位炭が中心になると思いますが、——最近の発電所は大体低品位炭になってきたわけですね、低品位の場合と新鋭の場合たるとを問わず、四千カロリー前後の炭ということになってきておるわけです。そういう場合に、産炭地における発電所が事業団の事業範囲に一体含まれているのか、いないのか、このことは、これは当面はそういう計画がないとしても、事業団ができるわけなんですから、ずっとこれは存続するわけなんですから、そうなって参りますと、私はこの点をまず明らかにしておかなければならぬ問題じゃないかと思うのですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/48
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049・今井博
○今井(博)政府委員 産炭地振興事業団の業務の範囲の中には、産炭地発電をやることは入っておりません。これは実際問題として、産炭地発電の具体的なプロジェクトにつきましては、それぞれその実施の主体についてほぼきまっておりますので、それを既存の機関あるいは共同開発、こういうもので十分やり得る見通しが現在のところついておりますので、事業団の範囲の中にはこれは入れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/49
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050・岡田利春
○岡田(利)委員 今言われたように、むろんやられるという想定に立っているでしょうけれども、産炭地域振興の場合、諸外国の例を見ても、産炭地発電というものが全然対象から除かれるということは、私はどうも解せないわけです。むしろ、ある程度積極的にそういう面を包括していくということが大事ではないかというような感じを実は持っているわけです。しかし、電力行政と石炭行政のあり方というような面でいろいろ問題があるでしょうし、そういう中で、たとえば共同火力をする、九州のように電力会社が参加してやっていく部面でできるというような例もあるでしょうけれども、私は、やはり将来の産炭地域の振興ということを考えていく場合に、そういう共同火力については融資をする、これは別でできるからいいのだということになるならば、今共同火力の場合、炭鉱が出資しておるわけですね。ところが、その炭鉱が一体どんどんこういうものに出資をするという余裕を持って合理化というものが進められていくのか、こうなると、若干そこに疑問も実は出てくるわけなんです。ですから、そういう共同火力のような場合には、むしろ共同火力ということ自体がおかしいのであって、むしろそういうことは望ましいことでなくして、こういう事業団ができた場合には、事業団がそういう場合はやる、そうでない場合は電力会社がやる、あるいは電発がやる、まして、炭鉱で自家発電をするというようなことは、合理化が落ちつかない限りは、ちょっと望み得ないと思うのです。むしろ、そういう共同火力というような場合は事業団がやるという方が、これは的確に産炭地域振興にマッチした方向として理解されるのではないか、実はこういう気がするのですが、この点は含まないという理由は、今局長が言っただけの問題なのか、あるいはまた、もう一つの問題として、先般は、関西電力に三百万トンの石炭を使う発電所計画というものを、一応事業団の予算要求として大蔵省に出したけれども、しかし、さらに長期の展望に立って、今日いろいろ石炭側の要望を聞く場合に、もう一つ北海道という大産炭地を持っている、この需要地である東京電力については、将来の構想というものは持たなくてもいいものかどうか。発電所を作るとなれば、三年かかるわけですから、今かかっても実際に石炭を使うのは三年後の話です。来年かかれば四年後の話です。再来年かかれば五年後の話になるわけです。しかも北海道には日本の半分の石炭が埋蔵されておる。こういうことになりますと、たとえば東北電力もしくは東京電力あたりまでには同様のことを考えなければならぬのではないか、単なる行政だけではこの面は解決せぬのではないだろうか、こういう気がするのですが、少なくとも前の関西電力における石炭事業団の発電所というのは、九州の需用を想定されたものであって、北海道から関西まで持っていくというばかげた構想ではなかったと私は思う。しかも、出炭のウエートは北海道は年々増していく、もちろん原料炭という面もありますけれども、それにしても、年々増していくわけです。そうして合理化資金を導入してどんどん開発してやっていこうということになりますと、そういう産炭地発電のみならず、石炭発電については、北海道から持ってくるのは不可能なんですから、特に北海道の需用先の石炭発電所の問題は、私は当然ある程度含んでおるという解釈でなければ、どうも意味をなさないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/50
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051・森清
○森(清)政府委員 この事業団に発電関係を入れるかどうかという問題は別といたしましても、非常に慎重に審議をしたのでありますが、先ほどの岡田さんのお言葉の中にもありますように、いわゆる総合エネルギー対策から考えまして、御承知のように電気、石炭、油というようなものが、やはりお互い十分な連携をとりながらこれを総合的にやっていかなければならない問題でございまして、そういう建前からいって、電気といたしましては、もちはもち屋なんだから、事発電関係に関する限り一切われわれが責任を持って将来ともに運営していくからわれわれにまかせてくれぬかという強い要望もありまして、私どもといたしましても、この三者が両々相待って協力しながらやっていくということで実際に理想的な運営ができれば、それが一番いい、それに越したことはございませんので、われわれはそういう観点から、この産炭地事業団に発電所関係だけは抜いたわけであります。しかし、抜いたからといって、一切われ関せずという顔でいいかどうかというと、やはりその地域の開発のために、当然、電力関係に対して、通産行政を担当しておるわれわれとともに意見は言っていいことだと思います。ただし、事業そのものはこれではやらないということに、慎重審議の結果、きめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/51
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052・岡田利春
○岡田(利)委員 炭の出ている産炭地を振興するのは、石炭をどんどん使えばいいわけです。自然に産炭地は振興されるわけです。関西電力関係に発電所を事業団が作ってやるということで予算要求をした場合には、これは電力会社が、将来発電所ができる時点においては三百万トンの石炭を余分に引き取りましょうということで将来とも割り切り、大蔵省関係についてもそうなってこの事業団の予算というものはきまったという工合に実は理解しておるわけですが、しかし、それはあくまでもその時点までの問題であって、それ以降の時点についてそれでいいということではなかったと私は思うのです。ですから、そういう場合、さらに電力長期引取協定とはいっても、もちろん、電力の場合にはある程度政府の行政権限が強く及んでくるから、ある程度はこの協定は守り得る、こう言ってみたところで、それは別に立法で法律的にぴちっと長期協定がきめられておるわけではないわけです。しかし、それが通産省として、新しく石炭の長期引取協定に関する特別立法措置をとるということで、法律的に明確に契約として裏づけをするというのであれば、これは安心しておれるわけなんですが、いつひっくり返るかわからぬ。極端なものの言い方をすれば、セメントあるいは鉄鋼のような場合には、なおそういう問題が出てくるでしょう。特にセメントのような場合には、今度の関税割り戻しについてもないでしょう。ですから、そういう点について特別立法措置をとって長期引取協定の裏づけを通産省としてはする意思があるのかないのか、あるから、こういう問題については特に今回の場合は考えないのだ、こういうところが論議をされておるかどうか、お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/52
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053・今井博
○今井(博)政府委員 石炭の長期取引の問題は、特別立法は考えておりません。そういうことをしないでも、長期契約が出ましたのは、経団連におきまして、関係者が寄りまして、それぞれ代表が調印したということの紳士協定になっておりまして、これは経団連の相当えらい人がみんなタッチいたしております。役所もこれについてさらにあとで確認をいたしておりますので、両業界が責任を持ってその供給及び消費をやるという態勢になっておりますから、私は、変な法律で縛るよりは、もっとこれの方が実際の経済の実情に合っているのではないか、こう思っております。従って、十分今の態勢で確実に消費される、こういう見通しでございます。
それから、いま一つの、発電所を作った方が、石炭を確実に消費するという意味からいくと、いいのじゃないか、こういうお話でございますが、もちろん、その通りでございまして、今度の三百万トンをさらに増加させる問題は、これに関連してやはり具体的に石炭の火力発電所を作るという計画にまで話が及んでおりまして、揚地発電所を具体的に作る計画をそれぞれ関係電力会社から提出いたしておる次第でございますので、さらに消費は確実に考えていいのじゃないか、こう思っております。ただ、産炭地事業団が発電所をなぜ考えなかったかという場合には、先ほど政務次官からお答えがございましたように、一応今の既存の電力会社が責任を持ってやるということを言っておりますのと、いま一つ、具体的に発電所を作ります場合には、火力の技術屋さんが相当たくさん要るわけでございまして、現在日本では火力の技術屋がなくて非常にみな困っておる、東北電力が火力を初めてやります場合には、九州電力からおよそ百人程度のいろんな技術屋さんを実は供給した次第でございまして、むしろ火力の技術屋さんの取りっこになっておる。かりに電源開発がやる場合におきましても、さらに火力発電を増強する場合には、相当大量の技術屋さんが要る、こういう関係になっておりますので、やはり現在の実情から見ますと、もちはもち屋というお話の通りに、電力会社が責任を持ってやるという場合には、それにまかせるのが実情に合うのじゃないか、こう実は考えた次第でございます。
それから共同火力の問題、合理化の過程においてそれだけの出資を行なう余裕があるかどうかという問題は、もちろんあると思います。しかし、実際に発電所を作りました場合に、石炭側から見ますと、これは非常にけっこうな話でありますが、かりに需要家の電力の側から見ますと、初めから責任を持ってそれだけの石炭を供給してくれるかどうかという点にまだ非常な不安を持っておるわけでありまして、常磐共同火力の例を見ましても、一時は炭は出さないという炭鉱も相当出てきたわけであります。そういう関係から見ますと、やはり具体的に発電所を作った場合には、石炭側もそれに出資をして、責任を持って石炭を供給するという態勢を持つことが、需要供給の関係から見ますと実情に合っているんじゃないか。西日本共同火力も、そういう考え方で実はでき上がったわけであります。もちろん、これとても、これ以外に方法がないというわけではございませんので、実際に具体的な産炭地発電の計画ができ上がり、それについて電力会社もやれない、あるいは共同火力も不適当だという場合に、事業団で一つやったらどうかという考え方は、私はもちろん有力な一案かと思いますが、先ほど申しましたいろいろな事情から、現在では一応事業団の業務としてはやらないということで、既存のものにできるだけ責任を持ってやらせるという態勢がいいかと考えて、こういう案の提出をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/53
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054・岡田利春
○岡田(利)委員 発電事業をやらないということはいいのですが、法律的にはやり得る、こういう解釈はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/54
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055・今井博
○今井(博)政府委員 業務の範囲の中で、土地造成という仕事をやります。これはもちろん発電所の土地造成をやっているわけであります。それから揚地発電で、先ほど関西電力の関係で事業団が具体的に計画したじゃないかというお話がございましたが、これも一応土地造成、まず土地を確保しなければならぬという意味での土地造成の予算を実は考えた次第でありまして、これは業務の範囲内でもちろん十分やり得ると思います。しかし、実際に発電所を建設するという問題は、現在の業務の範囲ではやり得ません。これは先ほど申しましたようないろいろの事情からこれを除いた次第でございまして、一応やり得ることにして実際はやらないというのも、私は一つの行き方かと思いますが、事業団を今後正しく強力に育てていくという場合には、これは各方面の相当な応援、協力がないとできない仕事ばかりでございまして、産炭地発電の場合も、具体的に事業団がやった方がいいという話し合いを関係者できめて、それからやはり業務に追加する、逐次そういうものを増強していく、しかもそれは話し合いを十分つけてからやっていくということが、今後事業団をほんとうに伸ばすゆえんじゃないかと思いまして、こういうふうに一応やり得ることと、やることと一致させた、こういう次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/55
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056・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、今までの石炭と電力の折衝過程を見ると、今の説明では何とかその局面々々で話し合いがついておるから、やらなくていいんじゃないかと思うのですが、それは、やるという意欲があったから、そういう局面が打開できたのじゃないか、こう考えるわけです。たとえば、これは何でもそうですか、発電所を作るとなると、それでは石炭を引き取りましょう、今度は、国策製油会社を作りましょうというと、その油はあとで引き取りましょう、何かやろうとすると、業界は、やられるのはいやだから、協力する。こういうのは、単に石炭問題ばかりではなくて、油の問題だって、国策の原油精製会社を作る、それはある程度話し合いによって原油を引き取りましょう、しかし、思うほどの原油を引き取らぬ、それで業を煮やして、やはり石油業法なども作り出さなければならぬ、こういう事態になっておって、どうもその点が今日日本の独占の非常に悪い欠点ではないかという工合に私は考えておるわけです。ですから、この場合も、発電はやらぬのだけれども、これは場合によっては産炭地振興、石炭産業の安定、こういう面ではやり得るのだというようなそういう解釈なり、あるいはまた、それは局長が今言ったことをそのまま書いてもけっこうであるから、ある程度考慮すべき事項ではないか、実はこういう感じを私は持つわけです。この点は、特に今の場合そういう私の考え方を述べておく程度だけにしておきたいと思います。
それから第三章の業務の問題ですが、第十九条の一の事項は、大体私自身として前段の方はずっと理解できるのですが、二の「前号に規定する地域において当該地域の振興に必要な鉱工業等を営む者に対し、その事業の用に供する設備の新設又は増設に必要な資金の貸付けを行なうこと」ということになっておりますが、この資金の貸付について、これはずいぶん問題が出てくるのではないかという気がするわけです。ですから、これはもちろん予算のワク内でやるわけですが、この二号の範囲を広げていくということになると、この程度の予算ではとても問題にならぬのではないか、これは今日局として調査をした範囲において、この程度の資金でいいということで今年一応理解しておるのか、この点について、少なくとも設備の新設または増設に必要な資金ですから、対象は相当あると思うのです。これは当面、とりあえず今年の場合にはこの程度だけれども、この点について特に資料があって今年はこれで確定したものか、それとも、これでは一応不十分だけれども、予算上はこれだけにとどまったものか、この点、予算との関連についてまず伺っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/56
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057・今井博
○今井(博)政府委員 今回の予算の割り振りをきめましたのは、一応の概計といいますか、予算の算出根拠として考えたわけでございます。事業団ができ上がりまして、実際に融資の範囲をもう少しやはり必要があって広げるというようなことは起こり得るかと思います。従って、先ほど申されました予算の二億という数字は、一応土地造成というものに重点を置いてやった場合に、そういう数字にもなるという程度でございまして、この二億については、このくらいの企業でこう貸すのだという、具体的な算出根拠を持ったものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/57
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058・岡田利春
○岡田(利)委員 私の手元には、九州だけではないのです、北海道の場合だけでも、資金の貸付を受けたいという希望は実際はだいぶあるのです。それから見ても、この二億程度の予算というものではてんでお話にもならぬのじゃないか。今の説明で、これは通産省が一応団地を造成する、土地を造成するというような面での関連で考えられておるということなんですが、私は、この二号では、それだけではなくして、一般的にも対象になると思うのです。地方自治体とか地元が運動して来てもらう、資金はこういう点からこういう優遇措置があるのだからということで来てもらう、場合によっては、地方自治体の方で、町村で一つの政策会社を作って土地造成をやる、あるいはまた、事業団でやってもらう場合もあるでしょう、そうすると、この考え方は、一号に大きなウエートを置いて、それに付随するといううものだけの範囲にとどまるものか、それとも、私が質問しているように、一般的に産炭地に来る企業に対してこれが相当範囲を拡大して適用されていくものか、これはもちろんいろいろ系統資金関係はありましょうけれども、この趣旨は一体どういうことをねらっているのか、はっきりしておいていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/58
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059・今井博
○今井(博)政府委員 これは一般的に産炭地に来る企業に対して貸付業務を行なうという考え方でございまして、一種の土地造成をやって、それに関連して、その土地に来る事業ということに限定しておりません。しかし、一般的に申しましても、これは融資する場合に、一定の離職者を吸収する、そういった条件をやはり考えておりますので、一般的であるけれども、ある程度条件がつく、こういう考え方でおります。それから融資については、これは開発銀行との関係、中小公庫との関係もありますので、それらの関係を一種の抱き合わせでやり得る場合も相当出てきますので、これは先ほど申しましたような産炭地に来る企業であって、産炭地振興になる、しかも一定の離職者を相当吸収できる、こういうものに相当重点を置いて一般的にやりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/59
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060・岡田利春
○岡田(利)委員 私が特にここで強調しておきたいことは、単に産炭地振興のために企業が来るというだけではなくて、炭鉱の離職者を優先的に雇用するという面がついてきますと、これはやはり相当考えなければならぬ問題だと思うのです。この点の区別があるのかどうか。それから、これはもちろん開銀とか、市中銀行、中小公庫とか、いろいろ関連がありますが、そういう離職者を受け入れる、あるいはまた、先ほど言ったように、先にそういう企業を興して安定的雇用の展開をはかるという場合には、この項が非常に大きなウエートを持ってくるわけです。そういう点をもう少し鋭く深く考えておられるものか、一般論的にただその面は優先順位的には考えられるという程度なのか、二号をきめた立法の意欲というものはどの程度に持っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/60
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061・今井博
○今井(博)政府委員 これは産炭地振興に必要な事業、こういうふうに法律には書いてございますが、具体的には、業務方法書でもって融資の基準を作るわけでございますので、これには先ほども申しましたような離職者の一定数を吸収する。離職者と申しましても、これは離職者及びその子弟ということで相当広げておりますが、やはりそういう不況地域に対する一つの対策として考えております。それから実際には大企業は一応除外する、こう考えておりますが、具体的に一種の産業転換という考え方から、石炭鉱業が一つの山をやめて一つの新しい企業を興してそっちの方へ労務者を回す、こういう場合は私は非常ないい例だと思います。そういうものには相当優先的に運用したい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/61
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062・岡田利春
○岡田(利)委員 特にこの点は、今言われた数字でいけば、実際は予算なんというものはてんでお話にならぬわけです。しかし、特にこれから進んでいくわけなんですから、そういう意味では、安定的雇用展開をはかるために企業を興す、これに融資される、一方においては、雇用する炭鉱離職者に対しては住宅の補助金が出る、あるいはパイプ・ハウスが貸し付けられる、雇ったものについては四分の一の雇用奨励金を出す、こういうことになれば、相当この点については実現性があると思うのです。相当広範囲に及んでいく傾向が出てくるという工合に理解するわけです。そういう点と関連を持たせてこれは考えてもらわなければいかぬし、そういう考え方の上に立って、事業団の場合も実際問題としてはそういうことになると思うので、この点は特に考えておいていただきたいと思うわけです。
それと、一の後段の面ですが、「及びこれと関連を有する工作物を建設し、並びにこれらを管理し、及び譲渡すること」これは土地造成と直接関連を持つ工作物を建設する事業、並びにこの管理をする——建設するのですから、当然管理をするのですが、「及び譲渡する」という条文があるわけなんです。これは振興法を審議する場合に、他の委員からもいろいろとの間のやりとりが行なわれておるわけなのですが、この法案を提案するにあたって、どの程度に理解しているのか、どういうことを一応想定しているのか、この点について見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/62
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063・今井博
○今井(博)政府委員 ただいまの第十九条の前段は土地造成でございますが、後段の、これに対する工作物という場合には、たとえば土地の中の道路でございますとか排水施設でございますとか、さらに引込線であるとか、給排水施設、こういうものを、関連した工作物と考えておるわけであります。それから、実際に管理する場合は、一応普通の管理を考えておるわけでございますが、譲渡する場合は、およそ十年程度の長期の年賦均等支払いということで譲渡を行ないたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/63
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064・岡田利春
○岡田(利)委員 前の振興法を論議するときに、工作物という場合に、たとえば機械工場があれば、機械工場のいわゆる工作物、建物、こういうものを建設して一応貸しておく、しかし、そのうちに、条件をつけて漸次これを譲渡するということが論議をされておるわけですね。今の局長の答弁ですと、そういういわゆる工場建物のような建築物は含まれていないような理解になるわけなんですが、との点についてはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/64
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065・今井博
○今井(博)政府委員 この工作物は、法律的にはもちろん建物も含んでおります。しかし、実際に予算的には、建物までも含んで予算措置が講ぜられておらないという現状でございます。従って、建屋についてはこの融資の方法でいく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/65
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066・岡田利春
○岡田(利)委員 今年度予算の場合は、今局長が答弁されたことは私は理解できるわけです。しかしながら、来年度も予算を要求しなければなりませんし、特にこういう疲弊している地域においては、建物の場合も、そういう建築をしてそうして五年なら五年で譲渡する、資金を回収する、一応事業団が建てるという場合もなければ、ちょっとむずかしいのではないかという気がするわけです。しかも、ここには相当ウエートを置いて、今まで振興法を審議する場合にもそういう点が論議をされておるのです。これは今年度の予算には一応ないが、しかし今後の事業としてはある、こう理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/66
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067・今井博
○今井(博)政府委員 この考え方は、建屋の方は第二号の融資ということでいくべきじゃないか、もちろん、法律的には十分この工作物に入りますが、実際問題とすると、第二号でもって目的を達し得るのじゃないか、こうことしは考えておりますし、来年も一応そういう考え方でおりますが、実際やってみまして、これは第二号でいくよりは、やはり第一号の工作物の中に入れてやった方がいいのだという実情になりますれば、あらためてそのときに検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/67
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068・岡田利春
○岡田(利)委員 たとえば北海道のような場合には、中小企業一般対策として機械の貸与制度が行なわれておる。機械を一応道が買って、それを貸与するわけです。印刷機械、工作機械、あるいは炭鉱については扇風機とか、あるいはポンプ、こういうものを道が買ってそれを貸与している。それを年々償還する。こういう制度はすでに地方自治団体ではとられておるわけです。炭鉱なんかは、特に北海道の場合は、半分近いウエート、少ないところでも三分の一ぐらいのウエートを持ってこういう機械を地方自治団体が貸与しておるわけです。そうすると、産炭地振興法を作り、事業団を作って国がやる場合、地方自治団体でもそこまでいっておるのですから、せめて建物の問題は、今年度予算の場合には、一応積算の基礎要件というのがあるわけですから、入っているいないという問題は別にしても、これはやはり立法趣旨からいって、考えていかなければならぬ問題じゃないか。そういう建物ができると、北海道の場合ですと、今度は工作機械の一部は道から貸与してもらうということで、条件を整えて無理にでも来てもらうということがやはり積極的に考えられていかなければ、なかなか実効が上がらぬではないか、こういう気がするわけです。今の局長の答弁のように、そういうことは法律的には含まれておると理解をされるべきであるが、しかし、実際運用としては含まれていない、それは融資で片づけるんだという態度であっては、私は、どうも立法の趣旨からいっても、消極的ではないかという気がするのです。これは今年の問題とは切り離して、来年度以降の問題を想定した場合に——これはもちろん業務方法書等でそれぞれ具体的にさらに明確になることだと思うのですが、その業務方法書を作る、政令でその要件を定める場合においてもこれは関連がある問題なので、すべて聞いておかなければならぬ問題だと思うのです。この点もう少し見解を詰めて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/68
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069・今井博
○今井(博)政府委員 その点は一つ今後十分検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/69
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070・岡田利春
○岡田(利)委員 特にこの点は、今私が例をあげましたように、福岡県ではどういうことをやっておるか知りませんけれども、今日今言ったようなことがある程度行なわれているのじゃないかと思いますから、そうすると、国の施策と産炭地の府県の施策というものが相マッチして、よりこの法律の目的とするところが効果が上がるということになりますので、そういう点、特に、もし必要であれば、自治省あたりからそういう点についての資料等も集めて御検討願いたいと思うわけです。
あと一、二点でやめますが、事業団の成立について役員の構成等が考えられておるわけなのですが、これは大臣が理事長を任命する、理事長が理事をそれぞれ任命する、理事長と監事だけは大臣が任命するようになっているわけです。それで、北方協会といって、北方の見舞金十億円の場合には、これは論議の過程で、北海道知事が協会の会長になることが望ましいという政府見解が実は内閣委員会で示されておるわけなのです。ですから、あながち人事の問題を聞くことは当を得ていないということにならぬと私は思うのです。この点、特に産炭地事業団という特殊な面からいって、何か理事長等については予定されておる人選があるのかないのか、あるいはまた、これらの点について、単に炭鉱の経営者がいいというわけにはなかなかいかぬ問題ですから、そういう点について特にあれば承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/70
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071・森清
○森(清)政府委員 この問題はまだ全然検討しておりません。なかなかむずかしい人事でございますので、寄り寄り考えてはいるのでございますけれども、結論に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/71
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072・岡田利春
○岡田(利)委員 最後に、これは質問というより要望になるわけなのですが、私の質問で特に強調したことは、九州のいわゆる筑豊炭田地帯の疲弊している産炭地の振興について、当面重点的に対策を立てなければならぬし、その点優先されなければならぬという趣旨は、理解するわけなのです。しかし、本法は五年分臨時時限立法である、しかも産炭地全体に及ぼすという前提に立ってこの立法がなされておる。さらにまた、すでに産炭地振興法の二条、六条の指定というものはなされておるわけです。そうしますと、これからの問題として、単に、重点的にその方向に向ける、あるいは優先するからといって、他の地域がないがしろになるということについては、どうも私は承服ができないわけです。それに伴って、単に疲弊している産炭地域ということは、これはやはり立法の生まれてきた土壌なり、条件なり、客観的な情勢なりで一応こういう趣旨をとっているが、しかし、実際はやはり今日行なわれておる石炭産業の合理化と関連のある立法なのですから、その面は、目的にどううたおうと、現実の問題としてそういう性格は強く持っておると私は考えるわけです。そうしますと、当然、これは疲弊してしまったところの産業再開発というだけでなくして、産炭地が将来疲弊しない前にどうして安定するか、こういう面も側面的に当然に含まれていかなければならぬし、そういう面では、やはり調査はある程度行なわれているとしても、実施のための調査ということは、当然今から計画的に行なわれていかなければならぬ問題ではないか、こういう点を私は強く感ずるわけです。従って、そういう面で、特に最大の産炭地である北海道の面もお忘れにならないように、政令をきめる場合、あるいはまた、実際のそういう運用の面で考えてもらいたいし、なお、具体的には政令で定める要綱が出されたような場合、私は若干この点もう少しはっきりした見解を承っておきたいという工合に考えますので、この点を特に要望しまして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/72
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073・有田喜一
○有田委員長 次会は明後日木曜日を予定しておりますが、正確なところは公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X01119620227/73
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