1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月六日(金曜日)
午後二時六分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 齋藤 憲三君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
理事 中村 重光君
倉成 正君 白浜 仁吉君
中村 幸八君 井手 以誠君
滝井 義高君 伊藤卯四郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
通商産業事務官
(大臣官房長) 塚本 敏夫君
通商産業事務官
(石炭局長) 今井 博君
通商産業鉱務監
督官
(鉱山保安局
長) 八谷 芳祐君
委員外の出席者
通商産業事務官
(鉱山保安局管
理課長) 小林 健夫君
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七六号)
石炭鉱業安定法案(勝間田清一君外二名提出、
衆法第一九号)
炭鉱労働者の雇用安定に関する臨時措置法案(
勝間田清一君外二名提出、衆法第二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、勝間田清一郎君外二名提出、石炭鉱業安定法案及び炭鉱労働者の雇用安定に関する臨時措置法案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/1
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002・岡田利春
○岡田(利)委員 おとといですか、商工委員会と石炭の連合審査のときに、これからの政府のエネルギー政策について、私は質問をいたしたわけです。その際、通産省の企業局の方の答弁としては、総合的なエネルギー政策を検討していくのは、従来あったエネルギー懇談会というものを解消して、現在ある産業構造調査会の中にエネルギー部会というものを作る、しかもこのエネルギー部会というのは、現在ある、石炭に関しては石炭鉱業審議会、あるいはまた、石油については、今回出されている石油業法に基づく審議会、加えて、電力については、電力事業の審議会がある、こういうものと連関性を持たして、これからのエネルギー政策を考えていき、その方向なり政策というものを打ち出していきたい、こういう企業局からの答弁があったわけです。しかし私は、考えてみますと、それぞれ単独立法において、石炭については石炭鉱業審議会がある、油については、新しく石油業法が出されて審議会が構成をせられる、電力については、それぞれ審議会が現在設定されておる、こうなって参りますと、これらの上に総合的な政府のエネルギー政策というものを定めていく、あるいはまた、現実の問題として、それぞれ審議会で取り上げていく問題というものを、総合的に調整をしなければならないし、さらにまた、当面起きてくる問題については、それぞれそういう調整の中でまたその対策も決定しなければならぬ、実はこういう性格になるのではなかろうかと考えるわけです。そうなりますと、私は、やはり強力な審議機関を作って、総合エネルギー政策というものを確立する、こういう立場においては、当然、総合エネルギー対策の審議をする機関というものは、単に産業構造調査会の一つの部会として設定するのでなくして、やはり単独的に通産省内に設置してしかるべきではないか、実はこう考えるわけです。しかも今日まで、法に基づかないでエネルギー懇談会というものがあり、通産省内部の意見の統一という問題については、各局の局長構成からなるエネルギー懇談会というものがある、こういう方向で調整なり、あるいはまたエネルギー政策についていろいろ検討して参ったと私は考えるわけです。しかしながら、今日、これだけエネルギー問題が大きく世論の中で問題になり、しかもエネルギーが鉱工業生産の伸び以上に、毎年度七・八%程度、電力については毎年一〇%以上も伸びている、こういうエネルギーのわが国の産業拡大に伴う伸びから考えて、一つの重要な通産省としての政策の柱になる、こう考えて参ります場合に、私はエネルギー基本法を作るべきであると思いますけれども、それまでの一つの措置として、やはり単独の審議機関を当然作らなければならぬのではないか、また当然そうあるべきではないか、こういう見解を持っておるのですが、一応この点についての見解を承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/2
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003・今井博
○今井(博)政府委員 エネルギー全体の政策の問題は企業局が担当いたしておりますので、その方からいろいろ答弁があったと思いますが、石炭局の立場としましては、御指摘のように、総合エネルギー対策というふうなものをこれからやる場合には、ここで強力なるエネルギーの審議機構を設ける、このためには単独のそういうものを新設した方がいいんじゃないかということを、かねてから石炭局の考え方としては打ち出しておったわけでございますが、実際問題といたしまして、通産省の設置法はすでにこの国会を通過いたしたわけですし、それに実質的にはこの産業構造調査会がもうすでに動き出しております。これの部会を活用した方が効果が早いという実益もございますので、この取り扱いをほとんど単独の審議会を設けたと同じような扱いにすれば、十分目的は達するんじゃないかという考え方で、通産省としましては、このエネルギー関係は単独の部会ではございますが、特別の取り扱いにする、しかもこれの部会員には石炭鉱業審議会なり、電気審議会なり、それぞれの審議会の代表メンバーが入っていただくということにしますれば、実質上は同じ運用になるのじゃないかというふうに考えまして、通産省としては一応そういう方向でこの問題と取っ組もう、こう思っておりますが、本日閣議決定をいたしまして、通産省内に強力な審議機構を設けるということになっておりますので、この見地からさらに法律を出して新しいものを作るという問題については、今いずれにするかということを新しい見地から実は検討をし直しておるという段階でございます。しかしいずれにいたしましても、早くこの問題を取り上げていくということがやはり重要でございますので、とりあえずこの構造調査会の部会を、先ほど私が申し上げましたような形で出発さして、あとで新設のものを作ってそれに切りかえていくというふうな運用をした方が、実際問題としてむしろ効果があるんじゃないか、実は私はそういうふうに考えておりますが、その点は、いずれにするかということについてはなおまだ検討中でございまして、ちょっとその辺の答弁については保留さしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/3
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004・岡田利春
○岡田(利)委員 そこで、私はもちろん形式にこだわるわけではありませんけれども、実質的に今日多くの人から期待をされている総合エネルギー政策の確立について、十分その使命が果たし得る機構を作るということが非常に大事な問題だと思うわけです。今審議会ばやりというか非常に審議会が多くて、あまり審議会が多過ぎるのではないか、実にこういう批判もあるわけでありますけれども、私はこのエネルギーの場合については、単なる従来の感覚に基づいた審議会であっては、十分その機能を果たし得ないと思う。私に言わしめるならば、これはエネルギー政策委員会といいますか、そういう名称によって代表されるような性格、そういうものが考えられなければならぬと思うわけです。いわゆる総合エネルギー政策を打ち出し、あるいはまた、当面の問題としていろいろな各エネルギー産業間の調整等をはかっていく、こういう問題が実は出て参ると思いますけれども、しかしその考え方としてはエネルギー政策委員会、こういうような構想といいますか、そういうような名前によって代表される性格でなければいかぬのではなかろうか、こう実は考えておるわけです。ただいま、イギリスにおいても動力省があり、その中にエネルギー政策局というものが設置されて、いわゆる行政機構上そういう機能を果たしておる。これは単に国有国営という、形態が違うからそうであるというのではなくして、西ドイツの場合においてもやはり同様エネルギー政策という問題が非常に大きなウエートを持っておるわけです。しかもOEECの場合においては、そういう権威のある機関を作って、むしろ自国のエネルギー政策だけではなくして、共同体そのものの全体的なエネルギー政策の調整をはかる、こういうところまでヨーロッパの場合には進んでおるわけでありますから、そういう意味で、一体そういう性格を考えておるのか、そういう点についての見解を承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/4
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005・今井博
○今井(博)政府委員 これは、審議会ではなくて、政策委員会のような、行政機構的なものを考えろ、こういう御意見だと私は拝しますが、私も審議会というふうな機構では、強力なる政策の実施というものには不十分であると思います。従って実際にこのエネルギー政策を進めていくのには、当然行政機構の問題も議論になると考えておりまして、こういった審議会ではなくて、やはりそういった行政的な機能を持った委員会を作る必要があるのじゃないかということは、石炭局サイドとしてはそういう意見をかねがね実は申し出ておるわけでございますが、やはり行政機構全般の問題とからみまして、まだそれが熟するに至っておりませんが、そういう御意見を私は体しまして、今後ともそういうものの実現に一つ大いに努力したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/5
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006・岡田利春
○岡田(利)委員 基本的な問題はまた大臣が来てからお伺いすることにしまして、次に五千五百万トンの問題でありますが、特に事務ベースに関する問題について質疑をしておきたいと思うわけです。
それは五千五百万トンの生産規模の中で、特に原料炭生産については、これは将来のわが国の鉄鋼生産の伸びから考え、また所得倍増計画に基づく目標年次における原料炭の輸入状況から考えて、国際収支の面、あるいはまた、わが国の産業の拡大を通じて雇用問題等も考えていくという場合になりますと、原料炭開発というものは非常に急務になってくるし、大胆積極的に取り上げていかなければならぬ問題だと思うわけです。ただ、私ここで原料炭開発の前の問題としてお伺いしたいのは、今日すでに富士製鉄の場合においては一般炭を使用することが可能になり、これが企業の実施段階に移されておるわけです。今年、大体一般炭七千五百トンを買い入れて、これを原料炭とミックスして原料炭を併合して製鉄を開始をする、これは実施をする段階に実は来ておるわけです。原料炭は非常に火つきが悪いわけですから、一般炭の非常に火つきのいいものをこれと併合いたしますと、非常に火つきがよくて、製鉄関係でむしろ効率が高くなる、こういう実験のデータがすでに出て、七千五百トンというものが製鉄に回されるという段階になってきておるわけです。そうすると、一般炭の中で、特にそういう一つの特殊な炭を作ってこれを製鉄に回すという場合と、もう一つは、三池の石炭によって代表される、準原料炭といいますか、そういう炭で、これを洗炭したり、あるいはまたそのままでも、外国の強粘結の石炭とこれを混炭することによって原料炭に向けられる、こういう一般炭があるわけです。各企業がそういう形で努力をして、一般炭の中でも製鉄関係に向けられる、原料炭扱いにでき得る炭を作って供給した場合には、今の五千五百万トンのワクからはずすべきではないか。むしろそういうことを積極的に奨励をすることによって、五千五百万トンで一応一般炭の需要は押えられておるので、各企業は努力をして、これを原料炭に向けるように一つの施策をする、混炭設備等を作ってそういう炭を回す。今私が申し上げたようにて一般炭でも、すでに今年から製鉄会社が引き取って、これを実用化する段階である。こういう炭は、その分はワク外で増産してもよろしい、炭を出してもよろしいのだということになれば、特にそういう努力が企業間で行なわれると私は思うんです。そのことが国際収支の面から見ても、非常にプラスになると思うんです。この点事務ベースの段階として、そういう面の検討をなされているかどうか、これをなされる考えがあるかどうかをまず承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/6
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007・今井博
○今井(博)政府委員 原料炭につきましての今の岡田先生の御意見には、私もその通りじゃないかと実は考えて、原料炭をとにかく増産することは、国際収支の問題から見ましても非常に重要であるし、しかも経済ベースに一番乗せ得る石炭の増産でございまして、これは積極的にこれから取り上げたい、資金の配分におきましても、原料炭重点主義というものを打ち出したいと思っております。ただ問題は、そういう原料炭が出るところがある程度限定されているということ、と申しますのは、相当交通の不便なところがございまして、経済ベースに乗り得るような意味での原料炭の生産ということになりますと、場所も非常に限定されてくるという問題もございます。それから原料炭を掘りますと、一般炭が一緒になって出てくる。これは場所によって違いますが、やはり三割から四割くらい一般炭が出てくる。こういう問題がございますので、今日までそういう原料炭の問題を積極的に取り上げるのに若干ちゅうちょいたしておりましたが、御指摘になりましたような観点から、原料炭問題については五千五百万トンというワクをあまり固定して考えないで、合理的な増産を考えたい、こういう計画をしておくべきだ、してみたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/7
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008・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 今事務当局がお答えしたことについて、私の感じを率直に申し上げたいと思います。
一般的に申しますならば、強粘結炭あるいは弱粘結炭、さらにまた強粘結炭と一緒にして使うことによって十分効果を発揮し得る、かように考えられる炭については、これに制限を加えるというのはいかがかと思います。そういう意味において、今後の施策として新しいそういう山の開発に積極的な方向に進むべきだ、この点についてはこれはもう議論のない点だと思います。本日政府が閣議決定をいたしましたのも、実はそういうことでございます。ただ、そのお話のうちにあります、五千五百万トンのワク内なりやワク外なりや、この問題になりますと、これはもう少し議論をしないと詰まらないことじゃないかと思います。御承知のように、一面において、積極的に新鉱山を開発すると申しましても、これはやはり経済ベースに乗るということが基礎でなければならない。これを基礎に乗せるための、ただいまの五千五百万トンの計画であります。従いまして、現在掘っておられるものと新鉱山と合わして、一応のワク、経済ベースに乗る五千五百万トンというものを考える。しかしながら、経済ベースに乗るものがさらに拡大し得る、こういう結論になれば、私どもも五千五百万トンにこだわるつもりはございません。この点は、今までもしばしば申し上げた点でございます。ただ岡田委員の御指摘になりましたように、五千五百万トンのワク外であるとかワク内であるとかいうこと、これは本来の議論じゃないだろうと思いますので、どこまでも経済性を高めて、しかる上で新鉱山も開発する、こういうことを一つ御考慮願いたい。
なお、補足して申しますならば、この経済性に乗るということは、現在、労使双方の責任においてのみこれを解決しろ、そういうきついことを私は申しておるわけではございませんし、また、政府の責任において経済ベースに乗せろと言われることが、それがもしワクの外だという意味だとすると、私どももちょっと賛成しかねる。これは政府並びに労使三位一体になって、また、さらに消費者も加えて、十分石炭産業という国内ネルギー源については理解を深めた立場においての結論、こういうように私考えておりますので、誤解のないように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/8
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009・岡田利春
○岡田(利)委員 現在の基本問題部会で設定している五千五百万トン、この場合は、いわゆる需要の面では一応現状の見通しの上に立ってその引き取りを長期安定化するということで、長期取引協定が設定をされておるわけです。ですから、言うならば五千五百万トンのうちに占めている一般炭というものは、おのずからもうはっきりしてくると私は考えるわけです。ただ、今大事なことは、単に原料炭の山だけを開発するというだけではなくして、今大臣が言われたように、企業家も積極的に、長期に安定でき得る銘柄を作っていく、こういう努力がなされていかなければならぬと思うわけです。しかしながら、今日非常に合理化のテンポが速いために、そういう点についての創意性というか、そういうものがなかなか実施されないといううらみがあると思うのです。ですから、大臣が来る前に私申し上げたのでありますが、一般炭のうち特に灰分が一〇%程度、〇・九くらい、あるいはまた揮発分が非常に高いと火つきがいいという点で、すでに富士製鉄ではこれを今年一万トン計画で一応七千五百トン引き取るという長期の協定を実は実施いたしたわけです。今年度からそれが実用化されるという段階になってきているわけです。そのための努力というものは非常に大へんなものであったわけです。約五年間、製鉄会社の言うなりの洗炭をし、サイズ等をそろえて、サンプルを送って、今日ようやく実用化の段階になったという態勢なのです。そうすると今後とも、そういう企業家の創意性を発揮させるためには、そういう原料炭に準ずる、いわゆる市場が非常に大きい面に向け得る石炭が出た場合には、今業界は自主調整をしておるわけですから、そうい三面はわずかなんですから、これはワク外に見ていいのじゃないか、その方がむしろ積極的にそういう意欲を奨励することになるのじゃなかろうか。たとえば三井三池ですと、ものすごい増産になる。ところが、三井三池はコストが安くて経済ベースに乗るから、ほかがどうなっても、自分のところだけは増産していいというわけには政策上参らぬと思う。やはりある程度、五千五百万トンのベースでそれぞれの自主生産のワクというものは、おのずから定められてくると思うわけです。しかしながら三井三池で準原料炭に属する現在の一般炭銘柄を、これを水で洗って硫黄分を取るというような努力をしたり、あるいはまた強粘結と混炭させて、弱粘結の新しい、混炭による銘柄ができて、それが原料炭に向けられるということになりますと、これは国際収支の面から見ても非常にけっこうな話なんです。創意性をどんどん生かして実施をさせるためには、そういう努力した面については、これは市場があるわけなんですから、そういう点についてはある程度弾力性を持ってワクを見てやろうということになれば、当然そういう意欲が各企業に出てくるのではないか。ですから、五千五百万トンのワク外内という問題でなくして、一般炭を原料炭の方向に切りかえていく、そういう努力をさせる意味においては、少なくとも今業界がやっている自主生産調整については、ある程度の配慮を払ってやるべきではないか。今の場合、まだ一万トンぐらいですから、わずかで、これはお話になりませんけれども、三井三池のような場合にそういうことが実施されるとすれば、やはりある程度まとまった、十万、二十万あるいは三十万トンという量になっていくと私は思うのです。原料炭開発も大事であるが、むしろ一般炭をそういう方向に向けさせることによって、長期に今の企業が安定し、経済ベースにも乗って、いわゆる需要の面も確保できる、こういうことに私はなると思います。そういう点について、単に原料炭の開発だけではなくして、一般炭をむしろ原料炭に向けられるような点も十分考慮すべきではないか。そういうためには、企業も大いに努力するわけですから、そういう場合の生産量の面についてはある程度考慮してやる、こういう方が意欲がわくのではなかろうかということを実は申し上げておるのでありまして、そういう点の見解をお聞きしておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/9
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010・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 岡田さんのお話、そのまま伺うと私ども別に反対する筋はございません。ただ非常に誤解を受けやすいと思いますことは、工夫をすればどの炭でもやれるじゃないか、こういうことになりますと、今の技術上なり、受け入れ側の理解が不十分だという点がございますので、これはなかなかいかないのじゃないかと思います。いわゆる五千五百万トンというもののワクをはずせという意味から申して、一番わかりいいものは原料炭だ、これはもう強粘結に限らず、弱も含めてこういう考え方でいいと思いますよ。しかしその考え方をさらに推進し拡大して、一般炭にも及ぶじゃないか、こういうように御理解をいただくことが必要じゃないか、かように思います。それともう一つ。今の、三井はそういう条件でやっているとか、あるいは北炭はそういう条件でやっている、その条件に合わないものを無理やりにワク内に入れようとするところに実は無理がきますので、その辺は十分業界なり、私どもも中に入りまして、無理のこない形がいいのじゃないか。今回の政策決定も、そういう意味でどこまでも労使双方、消費者の理解を得、そして政府もそういう意味で責任を持とう、こういう観点でありますので、その観点に立って取り上げ得るものは取り上げていく、こういうことにならないといかぬというふうに思います。どうも抽象的な話をしてまことに恐縮でございますが、ただいませっかく御指摘になりました点について、私の感じを率直に申すと、ただいまのような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/10
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011・岡田利春
○岡田(利)委員 政府としては、当面五千五百万トンに固定するかわりに、スクラップ・アンド・ビルドをやって経済性を高めていく、こういう方針で進んでおるわけです。そのことを私は否定しておるわけではないわけです。現在、長期取引協定というものが紳士協約で確保されておる、こういう考え方に立ちますと、一応五千五百万トンを分解すれば、原料炭は一千万トンなら一千万トン、一般炭は四千五百万トン、こう分解ができるわけです。そういう意味では、五千五百万トンという数字は、むしろそのまま使わなくてもいいと思うのです。原料炭は開発計画も含めて何ぼ、それから一般炭は四千三百万トンなら四千三百万トン、こう分析をして、しかも一般炭で相当の犠牲を払い、炭価の面でも犠牲を払って、ドイツのルルギー会社のように、一般炭をコークス化して市場に使える銘柄を作る、こうなって参りますと、そういう点については、ある程度配慮を払えば相当弾力的に運用ができると考えるわけです。また、そういうことをある程度弾力的に運用することによって、企業家の意欲も大いにわいてくるだろうし、しかも炭鉱側と鉄鋼会社なら鉄鉱会社とお互いに技術提携をして、今鉄鋼会社にはそれぞれエネルギー研究所というものがありますから、そういうものと提携して積極的にやっていく、こういう意欲が自主的に出てくると思います。ですから、そういう意味では五千五百万トンを分解して、これから政策として進めるということもむしろ積極的に考えるべきではないか、こう考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/11
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012・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げている点で、ただいま岡田さんは五千五百万トンというものを一応了承してもいいというような御発言でございますが、私は五千五百万トンをぜひとも了承しろ、こう申すわけではございません。ただ、そういうものまでとって政府の基本線は堅持してもよろしいと言われることは、政府を大へん御鞭撻で、私は感謝にたえませんけれども、私の申し上げたいのは、五千五百万トンだとか、あるいは六千万トンだとか、そういうことは末の問題ではないか。問題は経済性にあるのだ。その経済性で十分条件さえまかなってくれれば、具備すれば、それはもう六千万トンになっても、六千五百万トンになってもいいのではないか。そういう意味の工夫が必要なんだ。今までの施策では、真の目的とするものを明示しておらない。政府がいかにもまずい表現をしている。ただいま私が申し上げることを、いわゆる政府の政策転換だ、こう言われても、それはかまわないと思います。五千五百万トンという数量そのものが問題ではない、問題はその経済性なんだ、こういうように御理解をいただきたい。その経済性という意味から——この経済性は、ものによっては外貨支払いの問題もあるし、あるいは他の燃料との競合の問題もある。そうして、そういう意味においての国内資源としての経済性の限度も、一応政府は考えている。だからその点に合うように一つ努力してくれろ、こういうことであります。外貨の支払い等の条件もあることですから、原料炭の場合において、外国から石炭まで買わぬでよいのではないか、国内の原料炭でまかない得るなら、また外国の強粘結炭を加えることによって国内の炭が生きていくのなら、そういう工夫をしろ、そうしてその範囲はさらに拡大されてもいいのではないか、こういうことを実は指摘したいのであります。また、かねてから言われておりますように、一般炭につきましても、いわゆる燃料炭として電力等で使用するものについて、それは一定のカロリーの高いものが必要である。カロリーの高いものは結局炭が安いのだ、こういうことですから、カロリーの高いものを考えますが、しかしながら低カロリーのものについても、特別な工夫をすれば、それは使えるのだ、そういう意味から与野党をあげて、山元の発電というか、非常に限られた狭い範囲の山元発電ではなしに、広い範囲において石炭の使用の範囲を拡大しろ、こういうことは私どもも努力して参るのでございます。だから、そういう意味の政府の真のねらいを御理解いただくことが一番大事なことだ、かように私も考えております。かように申せば、政府の主張も非常に明確になるのではないか。どうか御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/12
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013・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、現在の政府の石炭政策というものは一貫している、こう思うわけです。というのは、石炭政策というのは、単なる量的なワクというものが石炭政策ではないと思う。現在政府の出している石炭の合理化政策も、一つの柱だと思う。そういう政策を遂行していく一つの長期的な展望として、毎年度の出炭規模というものはこういう程度である、こう予想され、一つの実施計画が年度別に組まれていく、こういうことだと思うのです。ですから五千五百万トンが、たとえば五千八百万トンになったからといって、政府の石炭政策が変更された、こういうことを言う人があるとするならば、それは木を見て森を見ざるたぐいである、こういう理解をしておるわけです。ですから当初合理化基本計画を立てる場合に、少なくとも現時点における姿というものが、大体五千五百万トン、こう想定したことは当たっておると思うのです。そう狂っていないと思うのです。今年六千百万トンというけれども、私の検討では、六千百万トンというものはそう楽に出る炭ではない、五千七百万トンから五千八百万トンくらい、現状の山を固定してもその程度ではないか、むしろ私はそういう見解を持っておるわけです。ですから私は、五千五百万トンというものは、もちろんこれからの合理化基本計画というものが一体どの程度遂行されて、どの程度の効果を上げるのかということによって、大臣が言うように相当これは変わってくる問題だ、こういう理解の上に立って質問をいたしておるわけです。
そこで、実は石油業法の連合審査のときにも私は申し上げたのでありますが、問題はエネルギーの相互間の調整といいますか、総合エネルギー政策を立てて、長期の総合エネルギーの需要の想定をするという場合に、一番今日問題なのは一体何だろうか、こう考えてみますと、現時点では価格政策が一番ポイントになるように思うわけです。これもまた価格政策というものが、今の場合まだ不安定な要素がありますから、なかなかはっきりしたものが出ないところに今日総合エネルギー政策が確固たる方向として打ち出し得ない最も大きな条件があるのではないか、こう実は考えるわけです。しかも一方、電力の場合には、私は現在の電力の料金体系というものについては、再検討しなければならぬ段階に来ておると思うのです。現在の原価主義そのものが、正しい意味における原価主義によって貫かれておるかというと、原則的には原価主義でいっておりますけれども、最近はだいぶこの点について検討しなければならぬ要素も生まれてきたように私は考えておるわけです。そうすると、エネルギーの価格政策というものは、やはり将来にわたる電気料金の価格政策といいますか、そういうものがはっきりしなければなりませんし、そろいう意味においても、今の制度がまっこうから悪いという意味ではなくて、重大な再検討をすることが必要ではないか、こう私は考えるわけです。そのことによって、石油業法による油の価格の問題あるいは石炭の将来の価格の問題というものが、ある程度、電力料金を中心にしてこれが検討され、総合的な価格政策を自信を持って打ち出すことができる、こういうことになるのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味では、今の制度が悪いとか何とか、そういう論議をする前に、もうそういういい悪いの問題でなくて、総合的に検討するという立場に立って、各エネルギー間の価格、料金の決定等の問題について再検討すべきではないか、こう思うのですが、見解いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/13
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014・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいまの料金なり、あるいは価格決定、これは総合的に決定すべきものだということ、これは経済の原則でございます。ところが、経済学の原則がときに政治的な配慮から必ずしもその通りにならない、そこに実は問題がかもし出されておるわけでございます。私どもも、取り組んだ場合に、いわゆる価格形成の原則論だけではものが解決できない、それが今日の当面しておる問題だ、こういうところに思いをいたさなければならぬ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/14
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015・岡田利春
○岡田(利)委員 そこで、合理化計画に基づく千二百円の炭価の引き下げでありますが、私は千二百円とか千三百円とか、価格引き下げについては、下げ得るならばまだまだ下げた方がいいわけですね、これについて、無原則に安いからいいという意味ではなくて、ある程度現在の競合エネルギー間の価格と比較してみて、石炭の場合にはまだまだ努力の余地があって、改善されるものならば安い方がいいと思うわけです。ただしかし問題なのは、今日石炭の価格の問題としてヨーロッパ等の諸国を考える場合に、石炭価格というものは、もちろん日本の事情とは違いますけれども、大体固定化された感じがするわけです。しかも価格をその時点から比較すると、ほかのコストは下がっておるのですけれども、やはり人件費が上がってきて、労務賃がコストにはね返ってくるというような面において、ドイツにおいても、イギリスにおいても、フランスにおいても、その結果として価格はあまり変わりがない、こういう傾向にあるわけです。ですから相当生産性が上がっても、価格は下がらない、むしろイギリスの場合には、今年の春ですか、去年の暮れですか、石炭価格はむしろ若干引き上げるというような傾向すらも出ておるわけです。日本の場合には合理化の過程にあるわけであります。しかし、合理化の過程であるから政治的な配慮で、ここであまりものを言うことはどうかという面はわかりますけれども、少なくともここ五年なり十年の展望に立った場合、最も競合する石油価格の長期想定と石炭価格の面を考えてみなければならぬと思うのです。そうすると八千四百円に対する千二百円という方針が打ち出されたのでありますが、すでに油は七千円台を割っておる。しかも石油業法ができて、今のアブノーマルな価格を安定的な価格に固定するといいますか、そういう安定価格の方向に引き戻すとしても、C重油大体七千四百円前後くらいになるのではないか、相当長期的にその価格が続いていくのではないかと私は見るわけです。そうしますと、千二百円下げても、C重油八千四百円に対するコスト・ダウンといいますか、当初基本計画を立てた場合と比較いたしまして、まだどうしても相当長期的に開きが出てくると思うわけです。この開きを埋める努力、技術改善、こういうものは当然積極的にやらなければならぬと思うわけです。しかしながらどうしても、自由価格競争させて価格のつり合いがとれるということには、七年ないし十年の展望に立った場合に、どこを検討してもそういう結論は出てこないわけです。しかし政治的な配慮からいうと、今ここで長期の展望に立ってそれが競合できないとすれば、石炭産業についてはある一つの限度において保護政策といいますか、そういうものを考慮していくという結論が必然的に導き出されてくると思うのです。それを今言うことは政治的にマイナスであるという面は、一つの政策を進める場合に理解できるのですけれども、しかし認識として、私のそういう認識があやまっておるかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/15
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016・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 石炭と石油と自由な立場において競争させる考えはない、こういうことを政府と申しますか、私自身がしばしば申し上げております。自由な立場において競争させるということは考えておらないが、コスト・ダウンというか、その目標を示さないで、経営をやっていらっしゃい、そしてまた目標も示さないで、あるがままの姿で自由な競争をなさいということは、石炭産業に非常に御迷惑なことだと考えますので、各界が了承したもの、いわゆる消費者も了承した千二百円下げという目標のもとに、ただいま労使双方の工夫を願っておるわけです。同時に、政府自身もそれの実現に努力する、こういうことで今日まで経緯いたしておるわけでございます。でありますから、根本的な思想においては、ただいま岡田さんが言われるように、石炭と石油を価格の点において自由に競争さす、こういう考え方を実は持っておるわけではございません。しかし、少なくとも石炭産業は第一目標のものだけは達成して下さい、こういうことを実は申しておるわけであります。また本日の閣議決定におきましても、残りの分の価格引き下げについては、三十七年度、三十八年度の振り合いの問題については、近く開かれる審議会において結論を得て、その上で決定しよう、こういうことを実は閣議決定いたしたわけでございますし、今後の残っておる部分は、時期的に三十七年度に入っておる今日まだきまらない状況でございますから、やや時間的なズレは出てきておる、こういうことだと思います。ただ私ども今までの説明でやや不足し、政府の意図もそういう意味で非常に誤解を受けていたんじゃないかと思うのですが、それは何かというと、今回の閣議決定を見るに際しまして、これは強く私自身が感じ、同時に反省をいたしておるのは、合理化遂行に非常に責任を持っておる結果、石炭産業に対する将来についての積極的な面がやや等閑視されておる、政府はいわゆる合理化には非常に熱心だが、石炭の将来というものについて希望を持っていないんじゃないか、こういうような感じを実は与えていたんじゃないかと思う。しばしば私は国会を通じ、その他の席を通じましても、基本産業である石炭産業をして、これを安定産業たらしめる、こういうことは公表もし、確約もし、その意味においての努力もいたして参っておりますが、どうもこの点が十分の御理解をいただいていない。むしろ合理化という形だけが強く出、そうしてそれが人員整理だとか、あるいは炭鉱の買い上げだとか、あるいは離職者に対する政策だとか、そういう点については熱意があるが、ただいま申し上げる長期にわたる石炭産業の将来性についていかにも積極性がない、こういうような感じを与えていたんじゃないかと思いますので、きょうの閣議決定に際しましても、今生じておる現象に対する政策はもちろんのことだが、本来の石炭産業の長期にわたっての基礎産業としての安定的な成長ということについての政府の熱意を十分示すことが必要じゃないか、かように実は思うのでございます。先ほど来いろいろ御意見が出ておりますが、この点について政府が本筋のことはもちろん考えているんだ、こういうことの御理解をいただくと、今やっておりますそれぞれの処置についての御理解等も、在来の感じよりも幾分変わるんじゃないか、こういうように思います。ただいままでの説明等においてやや欠くる点あり、かように私自身反省いたしまして、感ずる点を率直に付言して、ただいまの、価格千二百円下げの問題についての今後の扱い方、これは結局審議会の答申を経てやるんだという、その結論を御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/16
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017・岡田利春
○岡田(利)委員 私も石炭産業の合理化の問題については、ずいぶん今まで具体的な意見が開陳され、さらにまた、政府の施策もなされてきたわけですが、問題は長期の石炭産業の展望に対する政策というものが、なかなか今まで打ち出されなかったわけです。佐藤通産大臣になりましてから、この問題について根本的に触れられて、これからの長期の展望に立つ石炭産業は、わが国の場合一体どうあるべきなのか、こういう方向に触れられてきたことを非常に同慶に思うわけです。そこで私はその問題を一歩具体化して考えます場合に、いろいろ世上いわれておるのでありますが、また私も昨年の臨時国会で大臣に申し上げましたように、現行合理化法の体系というものは、そこまで触れる仕組みには一応なっておったわけです。ただあまりにも性急なために、合理化案の進行の方向は、人員整理とか生産性を上げるという点にはずいぶん力点が置かれて進められてきたのでありますが、未開発炭田の開発なり鉱区の調整という問題は、全然法律運用が今日までなされてきておらなかったわけです。それがようやく今日基本問題に触れることによってその面が生かされていくということは、非常に同慶の至りだと思うわけです。そこで私ここで考えることは、これからの山がそういう重点的な施策によって開発をされていくという場合、当面は開発地点における鉱区の問題というのは私はほとんどないと思うわけです。ここ三年や五年という面では、別に鉱区の問題はないと思うのです。極端に言えば十年、二十年ない個所もあると思うわけです。しかし私は、これからの山の開発は合理化政策に基づいてやるわけなんですから、大体その地域における炭層の賦存状態をすでにもう調査が完了しておるわけです。もっと五年なり十年あるいは二十年先になると、鉱区の問題が出てくるわけです。しかしそれは今の問題でないから今すぐ解決する必要がないという意見は、誤りだと思うのです。縦坑なら縦坑、斜坑なら斜坑を開さくする場合には、どれだけのフィールドを、一体この穴を掘ることによって、賦存されている炭を採掘するかという条件によって、この開さくはきまるべきだと思うのです。ですからここに開さくをすることによって、少なくともそのフィールドというものは全部その穴によって採掘し得るし、されなければならぬということになりますと、その間に鉱区の問題があれば、事前に私は調整をしておくべきだと思うのです。そうしますと、この穴はとにかくその調整された全地域の石炭を採掘するのだという、初めからそういう前提に立って斜坑が開発され、縦坑が開発される。坑道の展開についても、通気の配置についても、設備についても、初めからそういう計画でやりますから、むだがなくなると私は思うし、非常に合理的に坑内設計、開発設計というものもできると思うのです。その点についての大臣の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/17
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018・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘の点は、私も賛成でございます。ただいま現実に通産省で取り組んでおりますその方向を局長から説明させますので、お聞き取り下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/18
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019・今井博
○今井(博)政府委員 未開発炭田の鉱区調整の問題につきましては、実は協議会を法律上設置することになっておりましたが、実際問題として当面その必要がないということで、実は今日までその開会を延ばしておったのでございますが、ただいま御指摘のような趣旨、また、これから未開発炭田というものに力を入れなければならぬという両方の観点から、ちょうど一カ月ぐらいになりますが、鉱区調整の第一回協議会を正式に開きまして、行動を開始いたしたような次第でございまして、非常におくればせでございますが、将来のことを考えまして、ただいま、その問題にこれから一つ大いに取り組みたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/19
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020・岡田利春
○岡田(利)委員 この問題は、今の答弁で私も同感なわけです。ところがもう一つ問題なのは、スクラップする炭鉱の場合は、これは全然問題はないわけですが、維持群の中でも相当長期に続く維持群——それから増強群の場合ですと、これは当然のことだと思うのですが、増強群の場合だけを取り上げて申し上げますと、大体フィールドのきまっている炭鉱も実は非常に多いわけです。そういう場合には、私は全然問題の対象外だと思うのです。しかし増強群の場合でも、まだ完全にフィールドがきまっていない個所があるわけなんですね。ですから、これはどんどん増強をしていく。ところが、炭鉱の坑道というものは重要な財産ですから、少なくとも全地域における採掘可能の地域を前提にしてのみ坑道の規模が決定され、開発が進められていくと考えるわけです。そうしますと、当然増強群の場合でも、将来の展望からいって、鉱区の問題が出てくるわけですね。私はこれは未開発炭田の場合と同様に、この面はある程度考慮しなければならぬ問題ではないか、こういう感じがするわけです。いわゆるおっかなびっくりに、向こうは北炭でこっちは住友だから、住友の方から掘っていって、これは将来どうなるかわからぬ。向こうの方が、こっちは掘るぞといえば、そこまでは坑道を延ばす、その場合に、初めから消極的な意味で坑道を掘さくする場合と、それを一応前提にして積極的に坑道を掘さくする、こういう場合が出てきます。ところが炭鉱は、坑道にものすごい金がかかるわけですね。何億という金が実はかかるわけです。ですから、そういう増強群についても、今の合理化法では、鉱区の調整の機関が設置されても、これは未開発炭田の開発にのみ付属する鉱区の開発調整機関であるわけです。そうしますと、そういう増強群の場合、それぞれフィールドを決定してある。そうして思い切って合理的にビルド・アップできる方向で一つ設計を組んでほしいということになりますと、これをある程度調整してやらなければならぬという問題が出てくると思うのです。これは比較的大手の場合が多いわけですね。しかし、それは十年先だから、まだ当面の問題ではないということで放置されておるわけです。それをやはり、そういう必要があれば、これは業者から、企業家からむしろ申請さして、こういう点について、こういう計画でいったら、非常にビルド・アップの方向で長期に安定をするし、非常に望ましいというような意見が出た場合に、それと関係のある者の意見を聞く。実はこれは現在まで全然行なわれていないと、私は言っておるのじゃないのです。これは業者間の自主的な話し合いによって、ある程度やられておるわけです。しかしながら、自主的に話し合いされている内容は、当面の問題が非常に多いですね。しかし合理化資金の入っている住友のように、縦坑を掘る場合には、北炭と話し合いによって自主的に解決したというケースも実はあるわけです。しかしながら、一方中小炭鉱においては、ビルド・アップする炭鉱があるわけですね、そうすると、これはなかなか話がきまらぬ。極端なものの言い方をすると、鉱区を分譲してもらうのに、実際に掘る炭を対象にして、一トン三百円の金を払わなければ鉱区を分譲しないという実例すらもあって、価格の相場もない。鉱山地代論というのは、歴史的に非常にむずかしい問題があるわけです。そういう問題が多少あるわけです。ですから、この鉱区調整機関というものは弾力的に、そういう面もある程度運用するという立場に立つのか、それとも、そういう面については従来通り話し合いでいいではないかという面でいくのか、一歩進めて積極的にやるとすれば、合理化審議会のそういう部会でも作って積極的にあっせんをしてやる、こういう立場に立つのか、その点のお考えがあれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/20
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021・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 さすがに岡田さんは専門家だから、実情についてのお尋ねがございます。本来から申しますならば、事業間の自主的な話し合いということが一番望ましいことでございます。しかしながら、それができておれば問題がないのですが、それができておらない、これが現状でございます。だから問題をさらに積極的に石炭産業の長期のあり方ということで手を染めていくということに、先ほど来申すように踏み切る以上、ただいまの問題についてもやはり積極的な考え方を持たざるを得ない。その問題に、私が特に指摘しお願いをしたいと思いますのは、企業家自身もそれぞれの立場についての主張があると思いますが、組合側においても、それぞれの企業を主体としての組合側の主張が強く出てくると思います。そういう事柄が、ただいまの自主調整をまとめる上において困難を招来しておるわけでございます。ここにやはり思いをいたさなければいけないのですね。増強群ばかりではございません。維持群においても、すでにそういう問題があるわけです。最近私、ある炭鉱の話を聞いてみると、それは具体的に申してもけっこうですが、たとえば国鉄の志免鉱という問題、これなども、過去の経緯から申すと、これはあの山一つをめぐりましていろいろな関係が展開された。だから、そこらに具体的な問題として解決の困難性というものを如実に説明していると思うのです。だからこれはやはり関係者の方々の積極的な協力を得ないと、かいたもちになるというか、作文だけはりっぱにできるが、また演説だけはりっぱにできるが、実効が上がらない。やはり関係の方々の全面的な理解協力、また、それを得るのは政府の責任でもあろうと思いますが、そういう意味の納得のいく方法をとらないと、なかなか理屈からいいというだけでは、現実には実現しない。これは岡田さんが意見をまじえての御意見でございますから、岡田さん御自身を縛るつもりはございませんけれども、私はそういう意味で、政府自身の指導的な立場あるいは行政的な立場、それをやはり正しい方向のもの、いいものというものは、関係者がそれぞれ推進していくというか、非常にとらわれた観点に立たないということ、これをなくするということ、ここに問題のあることを指摘しておきたいと思うのです。だから、今そういう問題に取り組むということになると、やはり行政官庁が独断専行するわけにはもちろん参りません。やはり各界の協力を得るような方法によって結論を出していくことが一番望ましい方法だと思います。しかし自分の方は変わったやり方でいくんだということになると、必ずそこに問題が起こる、そういう問題を克服する努力が関係者一同に必要なんじゃないか、こういうことを実は指摘して、ただいまの方向は私も同感であることを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/21
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022・岡田利春
○岡田(利)委員 私は二十一、二年石炭をやっておるのですが、大臣がくろうとはだしの答弁で、まことにおそれいっておるわけですが、今の問題は確かに歴史的な炭鉱の経営の流れがあるわけですね。国鉄の場合でも、国鉄一家主義ということがよくいわれるのですが、炭鉱の場合は特に発生と歴史的なあれから見ると、企業の一家主義というのが、いい面もあるが、弊害もあることは、御指摘の通りだと思うのです。そういう点の調整をはかる場合の今の大臣の意見というものは、私は全く同感であると実は考えておるわけです。
そこで、次の問題でありますが、今度出されておる合理化臨時措置法の一部改正案であります。いろいろ内容がありますが、特に、この改正案の要綱の第九番目の有効期間です。法律の有効期間を、昭和四十六年の三月三十一日まで延長する。これは三十八年の十月で第一期の合理化計画が一応終わるわけでありますが、この法律の有効期間が延長される。そうしますと、相当な期間、今から考えますと約十年近い、八年程度の期間が延長される。それは一体どういう展望に立ってこの法律の延長をされようとするのか、まず第一にそのことを承りたいと思うわけです。
次に、国鉄運賃の保証の期間が三十九年の三月三十一日、それから「採掘権又は鉱業施設の」云々のいわゆる買い上げ方式の期間は、昭和四十年の三月三十一日まで、雇用促進事業団に対する交付金の交付及び近代化資金の貸付が昭和四十三年三月三十一日、この最後の四十三年三月三十一日というのは、この年にやると大体法律の期間と三年間のズレがあるわけです、これはやはり実効を上げる面から考えてこういう有効期間になったのではなかろうかと思うのですが、この意味するものは相当基本的な問題がなければならぬのではないか、こう実は私自身判断をするわけです。これは、これからの炭鉱の合理化基本計画といいますか、基本的な考え方なり、将来に対する展望がなければ、こういう期間の延長というものはこのように出ないと実は思うわけなんですが、この点の見解を承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/22
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023・今井博
○今井(博)政府委員 まず第一に、この法律の有効期間を四十六年三月三十一日までに延長いたしましたのは、ただいま御指摘になりましたような考え方でやったものではございませんで、このたび現在の四十三年という有効期間をここまで延長いたしましたのは、納付金の関係、さらに具体的に申し上げますと、このたび六百二十万トンの非能率炭鉱の整備計画に基づきまして、八割は国の補助金、二割は業者の方からくる納付金によってこれをまかなうことにいたしておりますが、その納付金を現実に取ることは、現在の資金繰りからして非常にむずかしいと判断いたしまして、当面の間は国の財政投融資の方から合理化事業団が借りてそれをまかないまして、それを納付金でもってあとで返済する、こういう建前になっておりますが、その期間を四年間延長する、こういうことで四十六年というふうにいたした次第でございまして、合理化計画そのものとの関係ではございません。
それから石炭の運賃の問題も、現在も石炭運賃の債務保証を合理化事業団がやっておりますが、この保証の期間を三十九年三月三十一日ということにいたしたのは、昨年の六月に閣議決定をいたしました、その方針に基づいて期間をここに限定いたした次第であります。
それから、その次の第二項の、昭和四十年三月三十一日といたしましたのも、それぞれの仕事の性質からいたしまして、現在考えておる整備計画が、たとえば炭鉱の整備関係業務につきましては三十九年度末に一応完了するというふうに考えておりますので、それにあわせましてここにそういう規定を設けた次第でございます。
雇用促進事業団の関係は、これは雇用促進事業団の法律との関係におきまして、こういうことを現在の法律廃止予定の時期のままに据え置いたという考えでございまして、いわゆる長期の合理化計画とは実は直接関係を持っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/23
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024・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、合理化法の昭和四十二年までの期間内に、これから前期三カ年後期三カ年の合理化基本計画を組む、実はこういう構想で今合理化計画の基本計画を策定しつつあると思うわけです。そうしますと、これは法律の期限が昭和四十二年でありますから、当然その法律の有効期間内の合理化計画は、これから前期三年、後期三年、昭和四十二年までの合理化計画の基本計画を策定していく、こういうことになると私は思うわけです。しかし今述べられたように、ある部分について、納付金について昭和四十六年までかかるから、この法律の適用期間を延ばす、こういうように答弁がなされておるわけであります。しかし、現在の合理化臨時措置法そのものの全体の効力が昭和四十六年まで延長されるということになって参りますと——今大臣から指摘があったように、一応千二百円の目標年次、昭和三十八年の十月、こういうものが当面の第一段階の目標になって進んでおります。現在有効期間内の昭和四十二年までの前期後期六カ年の計画を組むということであります。そうするとその関連からいって、法律の期間を延長するという通産省の考え方については、今答弁があったので私も理解しますけれども、しかしこれは部分ではなくて、全体の有効期間が四十六年まで延ばされるわけです。そうしますと、私は石炭産業の実態、それから、これから未開発炭田の開発等もある程度考慮していくという面を総合的に考えますと、やはり少なくとも今から八年、まあ十カ年くらいの、昭和四十五年度、所得倍増計画の目標年次くらいまでの合理化展望というものを、むしろ持つべきではないか。そういう展望の中で毎年度実施計画、前期、後期計画に分けるか、あるいは前期、中期、後期計画に分けるかそれは別問題として、むしろそういう立場に立つべきではないかという感じが実はするわけです。四十六年まで合理化臨時措置法そのものの効力があるわけですから、納付金の関係だけでこれは考えたのであって、あとについては、何か四十二年以降はその効力が全然ストップされるということに、この法律の建前からいって私はならぬと思うのです。この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/24
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025・今井博
○今井(博)政府委員 それは、納付金の関係で法律の有効期間を延ばしたわけでございます。従って、あと各号に書かれておるように、特に限定しました項目を除きましては、四十六年まで全部生きているということでございます。しかし、最初申し上げましたように、一応この期間延長は納付金の関係で延ばしたのでございますが、もちろん現在の合理化計画は三十八年度までで、四十二年度までの計画は追っかけてすぐ今立てなければならぬと考えております。そういう長期計画というものが四十二年がいいのか、あるいは四十五年がいいのかという議論がございますが、そういう現在の合理化計画の進捗等を考えまして、さらに法律全体のそういった有効期間についてはもちろん再検討するつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/25
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026・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、合理化臨時措置法そのものが昭和四十六年まで有効期間が延長され、しかも石炭の運賃の延納に関する債務の保証は三十九年の三月末までであるということになりますと、これは去年とことしの分の保証が昭和三十九年まで続いて、それから取り立てをするという考え方に立っておるのか、それとも去年とことしとを保証して、昭和三十八年から取り立てをする、三十八年、三十九年でこれを取り立てるという考え方に立っておるのか、どうもこの点わからぬわけです。むしろ、石炭の運賃の問題は基本的な解決を考えるべきであって、ただ単に債務の保証を三十九年まで延ばすということは、実際は私はどうかと思うのですね。そういう点がどうもわかりませんので、この点一体どういう考え方に立っておるのか、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/26
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027・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 石炭運賃の問題について、一応私からお答えいたしておきます。これは、今日やっておりますのは、昨年の閣議決定の線、これを実施に移したというだけでございまして、ただいま御指摘になりますように、基本的な解決方法でございません。これについてはなお私ども関係省、社——公社ですか、等の間で十分検討いたしまして、その結論を出すつもりでございます。先ほど大へん基本的な将来のあり方についての私の気持を率直に御披露いたしましたが、この問題すら最終的な決定でない現状というものは、申しわけないことだ、先ほどその反省の一つとして、三十八年まであるからそれできめればいいじゃないかということでなしに、きめる方向が大体あるのですから、そういう方向で早急にまとめたい、かように思います。従いまして、その施行期日そのものとは関係なしに、御指摘のように基本的対策というか、根本的解決策、そういうものと取り組みたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/27
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028・岡田利春
○岡田(利)委員 次は、第二項の保証であります。これは昭和四十年三月末まで保証と貸付の期間を定めてあるわけなんですが、一応昭和四十二年までの基本計画を通産省としては組むわけですね。前期、後期の六カ年計画を組むわけです。そうすると、四十年ということになりますと、四十二年を前提にして一応現在作業を進められる、そういう基本計画というものを審議会にかけて答申をされるということになりますと、この面もどうも実施をしていく場合と期限の定め方がちぐはぐになっておるのではないか。今前段の運賃の問題については基本的解決について大臣から答弁がありましたので、これは別にこだわるべき問題ではなくなったと思うのですが、次の二番目の問題については、この点は一体どういう考え方なのか。この時点になると、もうとにかくこういうものは必要がなくなる、そういう想定なのか、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/28
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029・今井博
○今井(博)政府委員 四十年といたしましたのは、これは四十年三月三十一日、三十九年度という意味でございます。今考えておりまする新しい整備計画は、三十九年度で完了する、こういう予定になっておりますので、従ってそれに伴う交付金の交付、それから債務の保証、あるいは整備に必要な資金の貸付というものを、一応四十年三月三十一日といたした次第でございまして、これがいろいろな関係でかりに延びるという問題、あるいはその後さらにそういうものを続行しなければならぬという計画になりますれば、この期間がさらに延長される、こういう関係になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/29
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030・岡田利春
○岡田(利)委員 大臣が時間がないそうですから、ここでもう一点大臣にお伺いしておきたいと思うわけです。それは、今度の閣議決定によって、政府は権威のある調査団を編成をして、石炭鉱業の近代化、合理化及び雇用の実態を調査して、その実態調査の中から調査団が一つの答申を出していく、こういう閣議決定がなされたわけでありますが、この調査団の権威についてはわかるわけでありますが、問題は機能の問題だと思うのです。大体この調査団の機能というのは、その対象はどの程度にまで及ぶという構想があるか、たとえば、郡別、あるいは大手、中小、あるいはまた出炭規模、人員規模による炭鉱を想定しておるのか、おそらく全体の炭鉱を、五人十人の日本の六百何ぼの炭鉱全体を対象としておるのではないと私は思うのですが、その対象の規模についてはどういう程度まで考えられておるのか。この調査団の機能ということが、私は相当問題になってくると思うわけです。これと同時に、調査団の編成方針として、これは中立的な、専門的な機関として持っていくのか、あるいはまた調査団の編成は、数を少なくして、一つの事務局といいますか、専門機関といいますか、そういうものを作って、この調査団を派遣するのか、それとも調査団というものは、相当な人員によって編成をされるものか、この構想といいますか、考え方、対象、規模等について、あれば承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/30
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031・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 この調査団の調査の目標、これは石炭鉱業の近代化、合理化及び雇用の実情調査ということでございます。ただいま御指摘になりますこの中身の問題等については、これは調査団の構成、ことに団長の意向等も十分考慮しなければならない、かように思います。従いまして、調査団の編成方法が一つのポイントだと思います。ただいま私どもが考えておりますのは、やはり関係省といたしましては通産、大蔵、労働、この三省が中心でございますので、この事務当局の参加も必要です。さらに、民間から調査団に入っていただく方は、これは中正公正な方、こういう方、利害関係者でない方を選ぶ。ですから、労使双方の方は御遠慮願う。そういう少数、精鋭ということが望ましいのじゃないかと思います。そういう形のものを作る。従いまして、その調査団ができ上がった上で、その内容等、具体的調査の方法等は、調査団と実はとくと相談したい、かように思います。ただ、ただいままでのおよその考え方は、あるいは炭田別に考えるのがいいんじゃないのか、個々の会社にまで入るということはなかなかむずかしいんじゃないのか、こういうような感じを実は持っております。しかし、個々の会社に全然入らないで炭田別に調査しろといったってできない、あるいは特別な問題になっておるもの、特殊な事情でなっておるものは別といたしまして、現在まで合理化等を進めたその実情は、やはり代表的なものが、いい意味においても悪い意味においてもあると思います。そういうものについて実情を一つ見ていく、こういうことが望ましいのではないか、かように思います。本日閣議決定をいたしましたので、早急に調査団の編成等にかかるべきだ、かように考えておりますが、きょうの段階ではそこまでは発展しておりません。結局通産省が事務的な処理をしなければならぬだろう、かように思いますので、そういう立場に立って、そうしてこれは内閣総理大臣から特に任命された委員で、そこに権威を持たし、その答申もそういう意味では内閣総理大臣自身に答申する、こういうことが望ましいのではないかと思います。形式もやはり内容の一つだ、かように考えますので、十分形式等も考えて、しかる上で発足したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/31
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032・岡田利春
○岡田(利)委員 私は特にこの調査団の任務なり性格によって、労使双方がその結果納得できるという要件を備えるものになると思うわけです。そういう点で、実はこのことを非常に重要視いたしておるわけです。従って今言われた大臣の構想は、一応の考え方については私も大体同意見を持っておるわけです。
そこで、この調査団は、当面の問題として石炭鉱業の合理化に伴う整備計画、人員整理及び閉山計画については、これは地域別、炭田別に毎年石炭鉱業審議会において審議検討する。いわゆる合理化法の人の部面については全然今まで考慮しておらなかったわけでありますが、今度はいわゆる人の問題についても考えている。あるいは終山に伴う一つの地域のいろんな混乱もありますから、そういう面についても計画的に考えていくのだ、それを鉱業審議会において審議検討するのだ。この構想は、おそらく私は鉱業審議会の雇用部会なら雇用部会というものが作られて、そういう中で審議検討されていくのではなかろうか、実はこういう私自身想定をいたしておるわけです。
そこで私は、こういうような面が一体どういう構想なのかということと関係をして、調査団の対象範囲といいますか、対象は一体、この構想と同じように地域別、炭田別に調査をするのか、この点が私は非常に問題になってくると思うのです。このことも、やはり労使がその結果に基づいてすなおに納得できるのかどうか、そしてその結果に基づくものに対して、すなおに協力態勢がより強くとられていくということになるかどうかということと、私は重大な関連があると実は思うわけなんです。構成についての構想は、今大臣から言われたことで大体私自身は了解をしておるわけでありますが、そういう今申し上げた対象の面を含めて、鉱業審議会で検討するというものの構想との関連については、一体現時点でどういう考え方を持たれておるのかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/32
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033・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほどもちょっと触れたのでございますが、あるいは地域別、炭田別というようなことになるか、それになりましても、具体的な実例の会社を全然除くというわけにもいかない、こういうことだろうと思います。問題は、調査団ができました上で、団長の意向等も十分伺って、そうして実情に合うような調査可能な方法を一つ講じたい、かように思います。
それから、ただいまお話しになりました石炭鉱業審議会の問題につきましては、ただいままでのところどうも内容が不明確だ、そういう意味でしばしば労使双方から、いろいろな問題を提起されておりますので、これは今後一つ前進さして、特に皆さん方の御意見も参酌して、こういうように前進した考え方を実は決定いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/33
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034・岡田利春
○岡田(利)委員 そうしますと、局長、この後段の方は今すぐ生きないわけですね。後段の審議会の方ですね。審議会の方は調査が終わったあとについては関連がどうなっておるのか、その間この審議会は活動するのか、動くのか、それともこの調査団との関連で答申はこういうことも含めて出るかもしれないわけですね。その関連がどうなるのか。ちょっと私この点は不明確なんですが、どういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/34
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035・今井博
○今井(博)政府委員 閣議決定に書いてございます審議会の検討の問題は、毎年、現在でも実施計画を実はこの審議会の合理化部会にかけて検討いたしておるわけであります。これが非常におくれておるわけですが、この実施計画というのは、御承知のように全国一本で出しておりまして、生産数量とかそういうものはまだそれでもいいわけでございますが、この合理化計画の特に整備計画については、こういう情勢でございますので、かねがねわれわれは少なくとも地域別、炭田別くらいは出したいと思っていろいろ仕事をしておったのですが、いろいろな関係、デリケートな関係もありますので、実は差し控えておったわけでありますが、今度はその実施計画をグレード・ダウンしてやる、こういう意図で実は書いてございますので、この調査団の調査とは直接関係が実はないわけです。しかし御指摘のように、調査団が行かれまして、あるいはこの問題についてはやはり触れられるだろうと思いますので、それに従ってまたやり方を変えていくということは当然考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/35
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036・岡田利春
○岡田(利)委員 私はこの際特に大臣に強く要請したいのは、やはり調査団の編成、調査の仕方ですね。そういうことが非常に大事だと思うのです。今度の場合にはそのことによって、すなおに納得させることができるかどうかという問題も私は出ると思うのです。団長が実態を全部調査するなんということは、困難だと思うのです。相当忙しい人が、専門につくわけではないのですから、何かをもって委嘱するわけですから非常に困難だと思う。そういう点の機能ですね。調査が十分できるような機能という問題が、団の構成とは別に何か考えられなければならぬのじゃないか。それを大臣は、各省のそれぞれのエキスパートであるとか、そういう利害関係のないものを充ててできるようにしたいという一応の考えを持っておる、この点についてはいいわけですね。そこで私は特に調査については相当力点を置いていただきたいと思うのです。極端なものの言い方をすると、ある炭田には一回も行かないで全般的な問題について結論を出すということになりますと、これはやっぱり全般的に納得できないと思うのですね。ですからそれぞれの炭田別に調査をやるためには、団長が全部やっていったら、一年や二年は私はかかると思うのですね。ですからどうしても調査団の構想というのは、もう少し慎重にある程度運用の問題を考えて、編成をする場合に、団長さんの意見もあるでしょうけれども、そういう点を十分検討してもらいたい。そのことは非常にこれからの結果が出た場合のことについて影響するわけですから、考えてもらいたいということが一つと、今言った調査の対象の地域ですね、これをある程度具体的に組んで、そしてその結果についてみんなが納得できるように、場合によってはそれぞれの地域で、もちろん経営者側の意見を積極的に聞かなければわからぬでしょうし、また労働者の要望くらいは聞いてやる、そういうことを聞いて調査すると、労働者の考え方も一応参考にしながら調査もできるでしょうし、そういう民主的な手続は非常に忍耐を要するし、時間もかかることなんですが、問題はやはり単にぽっとやって、政府があと押しすればいいのだということであっては、多くの人を納得させることはできないと私は思う。そういう点で若干、時間の問題もあるのでしょうが、時間が若干かかっても、やはり考えたものについてみながすなおに納得できるという、この点について重大な配慮を払ってもらいたいということを要請すると同時に、大臣の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/36
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037・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 御指摘の通りでございます。せっかくできた調査団が、その調査の方法なり、その実情に合わず、関係者から誤解を受けるようでは十分の効果が上がらない、かように思いますので、ただいま御指摘になりましたいわゆる炭田別ということは、どの程度こまかく分け得るか、そこらに一つの問題があろうかと思いますが、大体炭田別といえばわかることで、そういう点では誤解はないだろうと思いますが、過去の実績等において、あるいはあそこはいけないが、大体同じというようなことでは申しわけないと思います。また、現実にはなるほどそう特殊性はないかわかりませんけれども、労使双方の方々から見ましても、実情の把握が足らない、こういうことでは調査の答申が権威がないということになろうと思いますので、ただいま要望されましたことは十分一つ徹底するように、誠意のある考え方で進んで参りたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 本日の閣議決定で出ました石炭対策について、関連いたしまして一、二点質問いたしたいと思いますが、「今後の石炭政策」として、「総合エネルギー対策の確立を図るため、近く通産省内に強力な審議会を設けて審議検討をするものとする。」こうありますが、エネルギー対策の確立のいわば方針といいますか、現在政府はどういう方向で日本のエネルギー対策を確立しようとされているのか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/38
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039・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほど岡田さんのお尋ねの中に、私の方から付加して申し上げたものがございます。それはどういう点か、ちょっと要点だけ申せば、今日まで石炭産業をさらに基礎産業としての安定産業たらしめる、そろいう積極的な意図を持っていかなければ——どうもやってきている事柄は、そういう積極性の面については非常に軽視しておるじゃないか、当面の問題の処理に追われているのではないか、しかも当面の問題は人員整理に重点を置いているのではないか、こういう誤解を受けていたが、そういうものではございません。特に国内産業としての重要性にかんがみて、これを育成強化していくという立場で諸政策を進めていきたい、だから、他の電力料金等の問題にしても、理論的にはもちろん関連がございますけれども、いわゆる経済的な観点だけで議論はなかなかできないものであるし、政治的は要素も入っておりますが、ぜひとも御理解をいただきたいのは、政府は積極政策というか、積極的な立場で推進していくつもりでございますので、この点を実はつけ加えさしていただいたのでございます。あるいはお尋ねの点がそういうこととはやや違うかと思いますが、私は石炭産業の今後のあり方というものは、そういう積極的な面をもっと強く打ち出さないと、そうでなくても気がめいりがちの業界に一そうのまずさを与えておる。だから今回もこういう閣議決定をいたしましたが、本来ならば、昨年閣議決定をして安定産業たらしめるという方向は明示されておるので、今回のような争議なり、あるいは不安なりはないはずなんですが、どうも現実は違っておる。その点が非常に遺憾であります。だから閣議決定がただ単に作文に終わらないように、実効を上げるように進めて参りたい、こういうことを実はつけ加えておいたわけであります。そのつもりでございますので、総合エネルギー対策といたしましても、国外資源と国内資源との特性を十分かみ合わせて、そうして総合的見地に立ってのエネルギー対策を立てていくということでありたいと思います。こまかな、あるいは価格はどうだとか、あるいは原料炭はどうだとか、いろいろな問題があろうかと思いますが、基本的に申しますと、積極的な意図を十分理解していただくことが必要だろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしますと、昨年の第三十九国会における本院の石炭産業危機打開に関する決議に「総合エネルギー対策の樹立に当たっては、国産エネルギー源を安定供給源として重視する方針を堅持し、」その中における石炭鉱業の位置づけを行なう、こういうことを書いているのです。大体この趣旨と理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/40
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041・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘の通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、これは事務当局でけっこうですが、強力な審議機関を設けるというのは、具体的にはどういう方向で考えておられますか。これは通産省設置法の一部改正でも出すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/42
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043・今井博
○今井(博)政府委員 御承知のように、通産省に産業構造調査会というのがございまして、それの部会にエネルギー部会を設けるという予定になっておるのでございますが、早くこの問題を討議し、出発するという意味におきまして、このエネルギーの関係の部会を特別の部会にして、特別の扱いにして運営する。これに現在ございます石炭鉱業審議会なり各審議会の有力代表メンバーに参加してもらって、ほかの部会とは格の違う、最高機関的なものにするというふうな運用をしたらどうかというふうに実は考えておるわけでございますが。なお、せっかく作るなら、新しい法律を作って、単独で作ったらどうかという御意見もございますので、その辺のところはこれから至急検討したいと思います。しかし、実際には、早く効果を上げる意味におきましては、現在ある組織を運用した方がかえっていいのではないかという考えを強く持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これはわれわれとして特に意見はないのですけれども、法律を出されるならば、早く設置法の一部改正をして新しい機関を設けられるか、今御指摘のような形でおいでになるならば、早急に確立をしてもらいたい。
そこで、これはやはり立法の問題になるわけだろうと思うのですが、そういうエネルギー基本法ともいうべきものを大体大臣の頭では考えておられるのかどうか、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/44
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045・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 審議会の問題は、ただいま事務当局がお答えした通りでございます。もうこの国会は、御承知のように、通産省の関係の内閣委員会にかかっておりますものは、成立をしたというか、衆議院を通過した、こういう状況でございますので、実はその他にもいろいろあるだろう、かように考えますので、いましばらく事務当局が説明する程度で推移さしていただきたい、かように実は考えております。
それからその次の問題は、基本法の問題でございますが、最近基本法ばやりでございまして、私は基本法というものが十分効果を上げればけっこうでございますが、先ほどお読み上げになりました国内資源としての石炭の地位を位置づける、そういう抽象的なものが骨子になるだけでは、実はどうも不十分じゃないだろうかと思います。何も基本法をそう毛ぎらいするわけではございませんが、いやしくも基本法と申します以上、十分検討して、しかる上で出していかなければならぬのじゃないか、かように実は思っております。ただ、私先ほど来から申しておりますように、国内資源としての石炭のあり方というものは、これはよほど重要な問題でございますので、今の業界の方はもちろんのことでございますが、労使双方とも、また政府も、また消費者の立場にある方も真剣に一つ理解をいただき、そうして協力体制を作り上げないと、なかなか容易なことじゃないのじゃないか、実はかように思っております。そういう積極的な考え方から各界の協力を得るという基本的な立場をとっておりますと、今まで非常に不明確でございますが、気持の上から申せば、高いものと安いものと一緒にして、平均価格は安くするのだ、こういうような方法も、根本にはその考え方でないと解決がしないのじゃないか。高いものに安いものをつり上げていくというような非経済的な考え方をするよりも、やはり高いもの、それも下げてもらいますが、安いものと合わすことによって適正な価格を形成する、こういう形を政治的には考えざるを得ないだろう。そのためには特別な協力を得ていかなければならぬだろう、こう実は思っておるのでございます。過日の商工委員会と本特別委員会との連合委員会におきましても、その点を申し上げたつもりでございますが、しかし、これも各界の協力を得ないと、その政府の考え方はなかなか実現いたしませんから、そういう方向で指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣の今後のエネルギー対策に対するいわば一つの方針を出されたわけですが、私非常にけっこうだと思います。あまり法律にたよるということもどうかと思いますけれども、エネルギー、あるいは石炭、石油、水力あるいは天然ガス、将来の原子力、こういう問題、それから国内の問題と外国の問題、これらの調整の問題は、これはおのおの法律ではむずかしいのじゃないか、やはり何らか一本の形において基本的なものを出す必要があるのじゃないか、こういうように考えるわけです。そこで、あまり基本法ばやりの時代にまた基本法かと言われる感じもありますけれども、しかし私は、決して法律を作るための法ではなくて、その必要性が出てきておるのじゃないかと思います。ですから、次の国会にはそういう方向でお考えになっておるかどうか。どうも大臣、慎重ですけれども、しかし大臣が今おっしゃることも、やはりある制度というものが必要ではないかと思うんです。それは石炭、石油あるいは電力、おのおのの分野ではなかなかむずかしいので、そこに総合調整の制度的なものが必要である。そうすると、逆に言いますと、それは基本法ともいうべきものの中における一つの内容になるのではないか、こういうように思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/46
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047・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 いろいろ頭のいい方が次々にお考えになりますと、基本法も必要だという議論も出てくるかと思います。しかし、今日当面しておる問題でそこまで調整的な規定を必要とする段階になっているかどうかと申しますと、やはり業界も政府の考え方に協力してくれておりますので、一応資本主義経済のもとにおいて効果は上がりつつあるのでございます。従いまして、ただいまの点はなお検討さしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 あまり質問しておると、せっかくアイデアが出ておるのが、また引っ込んだりしますが、大臣がどう考えておるか、少しアイデアが出て、それを明確にしていこうとすると、また後退していくような感じがするのですけれども、これは通産省内に石炭でも石油でも電力でもありますから、あなたの方は自分の省内の問題だからというお気持のようですけれども、これがよその省に分かれておりますと、むしろ通産大臣の方からは、何とか総合的な法律が必要だなんて言われることになると思う。あなたの方の省内のものだからあまり問題にされておらぬようですけれども、これは私は、省のどこにかかわらず、やはり方向としてははっきりさす必要があるのではないか、かように考えておるわけです。これ以上は次の機会に譲ります。
そこで私は、出炭規模の問題については、今度の閣議決定ではある方向が示唆されたと思うのです。一応「当面五千五百万トンの合理化基本計画は変更しないがさらにコスト切り下げの可能な場合には、出炭規模の拡大について、総合エネルギー対策の一環として再検討するものとする。」これは、原則は変わらないけれども、そこにコストが引き下がるという面があるならば、あえて五千五百万トンに拘泥しない、こういう考え方です。この考え方は五千五百万トンをきめるときに、確かに需要業界の方の要請もあったかと思いますけれども、ものの考え方が当時変更になっておったということを私は指摘したい。と申しますのは、七千二百万トンという数字が出たことがございます。このときは、増産をすればコストが安くなる、逆に言えば、コストを安くするためには増産が必要である。それについて、大体エネルギー需要としてはあるのだから、その需要を裏づけたい、こういうことでしたが、その途中で、五千五百万トン以上を出すと逆にコストが高くなる、大体日本の出炭規模は五千五百万トンくらいで、それ以上出すのは、収穫逓減の法則ではないけれども、むしろ高くなるのだという空気が通産省の中にも出るし、また業界の内部にも、そういう空気が逆に出てきた。ところが最近の昭和三十七年度の各社の出炭計画を見ると、増産をすることによってコストを下げよう、こういう動きも出てきておるわけですね。そのときどきの情勢によってものの考え方ががらがらと変わってきておるのは事実ですが、五千五百万トン頭打ちという考え方で、やはりコストが安くなるにもかかわらず手控えをしておるという面が、われわれにも感ぜられるわけです。この点はやはり新しい方向として考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/48
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049・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘の点は、別に五千五百万トンにはこだわらない、問題は経済性だ、かように一つ御理解をいただきたいと思います。ただいま、大量生産をすれば安くなるというお話が出ておりましたが、そういう面もあるだろう。また、ああいう地下で作業しておりますので、なかなか大量生産という形に改善のできないものもございます。ただ、五千五百万トンだとか、あるいは六千万トンだとかいう数字にとらわれますと、経済性を無視してそれだけの炭を確保する、こういうことが今の実情なら陥りやすいのです。逆に申すと、非能率炭鉱まで合わせて五千五百万トン出ているんだ、だから五千五百万トンの炭が必要ならそれでいいんじゃないかというような議論になる。これでは私どもは五千五百万トンだとか千二百円下げだとか、言わなくてもいいことを実は申しているわけでございます。だから、非常な経済性があれば、外貨支払いなり、あるいは雇用の問題等があるこの重要な燃料問題となぜ取り組むのかということに実はなるわけでございますから、そういう点、誤解のないように願いたいと思います。だから、先ほど申しますように、この数量は結局末の形でしょう。はっきり申せば、経済性の問題だ。経済性を高めるという方法がどういうような工夫をされるか、これを政府も労使双方も一つ真剣になって考えようじゃないかというのが今の基本的な考え方でございますということを、先ほどるる申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政府の掲げます目標というのは、末梢的なものではないわけですね。やはり一つの方針ですから、それは法的な規制はございませんけれども、各業界はそれに相応するような生産体制を作るわけですから、あまり謙遜をされないで、政府はかくあるんだということでやはり方針を掲げられないと、末梢的なものだとかなんとかいわれると、これは業界としてもかなり萎縮した面もなきにしもあらず、こういうように考えておるわけです。炭価引き下げの面につきましては、先ほど岡田さんに答弁があったと思いますから省略をいたします。
それから具体的な問題ですが、閣議決定の四の(2)に、第二会社の問題がございます。「第二会社化については、労使協議の上、双方が雇用対策上必要と認める場合に限定するものとする。」こうありますが、この具体的な問題は、やはり石炭鉱業合理化法による坑口使用の許可のところで問題を処理されるつもりであるか。これは事務当局でけっこうですから、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/50
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051・今井博
○今井(博)政府委員 坑口の使用許可の問題は、主として保安の問題が中心になっております。それに能率その他を考えて運用することになっておりますけれども、そのことによって第二会社の問題を直接片づけるということは必ずしも適当でないと思いますが、やはりそういう問題を考えて行政指導を積極的にやりまして、坑口の使用許可の運用で行政指導とあわせてこの目的を達していくようにしたい、またこれによって十分達し得るというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次の労務供給事業の問題については、これは次の委員会で、労働大臣列席のところでお聞きいたしたいと思います。
さらに「炭鉱労働者の安定職場への計画的転換の促進に資するため、産炭地域振興事業団の融資機能の活用を図る。」これをいわれましたのは、今までに国会で議論のありました、あるいは今度通過いたしました法律の際にいろいろ答弁をされた以上のことを考えられておるかどうか。あるいは具体的にはどういう融資機能の活用をはかろうとするか。制度的な問題はわかっておりますが、金額その他についてはどういうふうにお考えですか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/52
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053・今井博
○今井(博)政府委員 大筋は、従来当委員会において御説明しました方針とは変わりないのでございますが、ただあのときは一般的な産炭地振興ということに重点を置いておったわけでございます。しかしこのたび、さらにそれに安定職場への計画的な転換というものをつけ加えて、融資機能をもっと活用したらどうかということでありまして、もちろん産炭地振興に必要な事業というものに融資するということは変わりございませんが、その場合に安定職場への計画的な転換というものにできるだけ活用したいということを、さらに強化するということを考えておるわけでございます。それじゃ実際にはどうやるかということは、たとえば一般的には融資の割合をかりに三割程度に考えておりましたけれども、計画的な転換をはかるためには、もっとその割合をふやす必要があるのじゃないか、あるいはもう少し期間を伸ばす必要があるのじゃないか、そういった融資条件等についてもっと検討する余地があるだろう。それから融資の金額の幅も、もちろんこれをどんどん進めていけばさらにふやす必要があるのでありまして、当面の十億円の中の割り振りにつきましても、土地造成とこの融資との資金の割り振りにつきましても、さらにこの見地を考えて再検討する必要があるのじゃないか。そういった観点から、この項目の融資機能の活用というものをはかりたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 開発銀行の資金はどの程度のワクですか。また、この閣議決定がなされてから、どの程度ワクが広がるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/54
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055・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 今予算が出たばかりでございますし、それからこの資金計画も合わしてできておる状況でございます。ところで、私どもこれを特に入れましたのは、予算的にも、また資金ワクとしても非常に小さい、今後積極的に活動するためには、できたばかりの予算ではあるが、それをはみ出した場合には政府がさらに処理をつける、実はこういう考え方でございます。そういう点を大蔵大臣初め大蔵省にも強く実は要望いたしております。これは皆さん方の御意見をさらに借用いたしまして、適当な事業なり、あるいは融資対象等も、そういう意味でなお実際問題としても検討を続けていきたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一応予算も通過したことですけれども、適当な事業があり、そしてそれが安定職場の計画的転換に資するという場合には——今の時期に国務大臣が言われるのはちょっと適当かどうかわかりませんけれども、やはり年度内に必要があればそういう処置をする、こういうように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/56
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057・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、「大手の企業に対しては、炭鉱労働者を解雇する場合には、解雇された離職者をできるだけ多く系列会社等に就職させるよう特に勧奨する。」その次の項は、「炭鉱労働者の再雇用を促進するため、政府関係機関、特定の成長産業に対し協力を要請する。」この二つがありますが、これを具体的にどういうように考えられておるか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/58
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059・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 第一段の問題は、非常にわかりいいのは、北海道で失職した者を九州の同じ山に使う、同一系列ならそういうことも考えてもらいたいし、またその逆の場合もある。その方が多いでしょうが、そういうことだとか、あるいはまた、系列会社があえて石炭産業とは限らないであろう。また人によっては、今までの坑内作業からデスク・ワークに変わる人もありましょうから、そういう意味のことをまず第一に企業体自身が考える、そういうことが望ましいということを実は申しておるわけであります。また第二の問題は、今回わずかではございますが、たとえば郵政省が採用するということをきめるとか、こういうようなことも積極的に労働省自身も各産業に対して協力方を求めるべきではないか。一部では、特別に新規採用の場合には、その一割なら一割は炭鉱労働者を割り当てろ、こういうような強い要望が出ておりますが、そういう立法措置をとることはどうかと思いますが、少なくともそういう気持が出てくることが、離職者対策が実効を上げるゆえんだ、かように実は思うので、特に政府のこういう考え方を明確にいしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/59
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060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政府機関が再雇用について十分考慮するということは、これは身体障害者の場合は立法もあるし、これはちっょと違いますけれども、現実に公共事業の場合には吸収率というものを非常にやかましく言っているわけですが、炭鉱離職者に適した職種というものが、政府関係機関の中にはまだ相当あるのではないか。その職種には何割ということをきめてもおかしくないのですよ。ただあなた方は、どうも今までの既成概念でおかしいように思われるけれども、政府機関というものは、国のいろいろな政策の中において積極的に動くべきだと思うのです。この前は国産品の政府機関における買い上げの話もしたわけですけれども、中小企業の官公需の確保という問題もあるのだし、この人の面についてもやはり積極的に——政府機関というものは相当の購買力があり、人をかかえているのですからね。とにかく国民所得のうちどのくらいを占めるのですか。少なくとも政府予算だって二兆円でしょう。それから地方自治体だって二兆円でしょう。それから一般会計でない、公共企業体関係の国鉄、電電等なんかの予算だって実に莫大なものですから、これは相当努力すればできるのではないか。そこで、これこそ積極的に労働省と通産省が話し合ってもらって、遠慮なく計画を出されることが至当ではないかと思う。それは適さないものに無理に炭鉱離職者であるから押しつけるということは言えませんけれども、しかし適した職種がある。少なくとも今度の郵政職員のような場合には、あれはあんなみみっちいことではなくて、もう少し採るべきですね。それは郵政職員の中にも必ずしも適した職種でないものもありますけれども、郵便配達なんというのは、炭鉱離職者で十分できるのじゃないですか。これはあまり職種のなにを言いますと、若干現在の郵政職員に失礼になる面があると思うから申し上げませんけれども、私はかなり吸収されるのではないかと思う。今話がについているのは、何人くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/60
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061・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 私の方より労働省で御説明するのが適当だろうと思いますが、かりにワクをきめても、その通り実現はあるいは困難かもわかりません。また郵政省の数が少なかったのは、今回が最初の試用といいますか、そういう感じもありますので、成績がよければ、これはふやして当然のことであります。またずいぶん人手不足の産業の面もございますから、そういう意味では就職あっせんも可能かと思います。そういう意味から、失業の登録の手続等についても労働省は特別考えろ、全国的視野に立って配分の可能なような道も開けということも、実は申しております。しかしいずれにいたしましても、離職者対策というものが万全であるということはあまり自慢ではございませんので、今のお尊ねの点はよく伺いますけれども、そういう考え方で処理していきたい。やむを得ず出てきた離職者に対しては、どれだけ効果があるかわからぬにしろ、あらゆる手を尽くし、その方法としての具体的な方向を実は閣議決定した、かように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 産炭地振興事業団の際にお話しになっていましたね。炭鉱自体が炭鉱以外の企業をやる、しかもそれはいわば労働者の職場を転換さす意味だ、こういうことで職場造成という意味で行なう、これを積極的に進めたい、こういうことをおっしゃっておりましたが、どうもこの閣議決定には見受けられないようですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/62
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063・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 具体的にさようには書いてございませんが、産炭地振興事業団の仕事の範囲の拡大という意味でお世話をするつもりでおりますし、あるいはまた経営者自身のただいま言われるような点は、実際には処理して参るつもりです。だから新しい事業を起こす、これがまた中小企業の面とぶつかるというような問題もございますけれども、私はやはり総体としての考え方で進めていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今私が指摘いたしましたことは、大臣はかなり重点を置いてお答えになっておったように思うのですが、これが閣議決定から消えてなくなった、と言っては語弊がありますけれども、出てこなかったのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/64
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065・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 出てこなかったのは、当時あまり議論をしなかったということでございます。しかしこれは、石炭業者が石炭業だけにじっくりかまえるというようなことでなしに、さらに有望な事業等に積極的に拡大していくということがあってしかるべきだ、当然のことだ、また、そういう意味で従業員の福利等も増進すべきだ、この考え方には、書いてあろうがなかろうが、変わりはございません。そういう意味のことは、具体的な問題等があれば積極的にその相談に応ずる、こういう考え方には変わりございません。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/65
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066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 書いていらっしゃらなくてもやってもらえばけっこうなんです。ただこの委員会でお話しになっただけでは、実効がないと思うのです。ですから、これはやはり積極的な一つの施策としてやってもらいたい、これを希望しまして、本日は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/66
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067・有田喜一
○有田委員長 次会は来たる九日月曜日午前十時より開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X02319620406/67
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